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1968-03-21 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十一日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 塩川正十郎君    理事 古屋  亨君 理事 和爾俊二郎君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    木野 晴夫君       中尾 栄一君    永山 忠則君       藤田 義光君    山口シヅエ君       河上 民雄君    三木 喜夫君       山本弥之助君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         建設省道路局道         路総務課長   川田 陽吉君         自治大臣官房参         事官      皆川 迪夫君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省税務局府         県税課長    森岡  敞君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月二十一日  委員山本弥之助辞任につき、その補欠とし  て佐々木更三君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として山  本弥之助君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十九日  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八四号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。依田圭五君。
  3. 依田圭五

    依田委員 今度の法律改正の中で、地方税法の中では、課税最低限引き上げに伴ういろいろの問題と、それから自動車取得税創設になりました問題がおもに中心になっておるわけでありまして、自動車取得税の問題について若干お聞きをいたし、あと時間がありますれば、その他の税法改正にも触れてお尋ねしたいと思います。  まず第一に、自動車取得税の問題でありますが、今度自治省におきましてこれができ上がりました経過の中で、当初燃料課税財源にしてやっていきたいという立場から、軽油引取税を約二割、地方道路税を一〇%ばかり引き上げることによって三百億前後の財源をぜひほしい、こういうことを自治省がお考えになっておったのでありますが、その後政府の中でこれに対する意見が出てまいりまして、いろいろもんだあげくに、最終的には自動車取得税創設という形でこれが決定をされ、その自治省原案税調に持ち込んで説明をして了解をとり、それが税調答申の形で出てまいったということをわれわれは聞いておるわけであります。なぜ自動車使用者が使うガソリン燃料スライドをしておる道路の故障、破損あるいはその諸関係の費用について、完全にスライドしておらない自動車取得原因としてこれにかけるというような税の創設に踏み切ったか、これについて御説明を願いたいと思います。
  4. 松島五郎

    松島政府委員 従来道路整備五カ年計画改定になります際には、増加所要財源をまかないますために燃料課税引き上げを実施してまいりました。そこで今回も、道路整備五カ年計画改定になりまして四兆一千億の事業費が六兆六千億に拡大されることになりましたので、その財源をまかなうために、当初御指摘のように揮発油税あるいは軽油引取税引き上げということを考えたわけでございます。しかし、これをいろいろ検討してまいりますと、一つには、自動車燃料に対する課税引き上げ輸送コストの問題に直ちに関係をいたします。それはひいては物価問題にも影響を及ぼすというようなことから適当でないという意見もございます。また、先日も申し上げましたように、現在の燃料課税揮発油では小売り価格に対して六一・三%、軽油引取税は四九・三%という非常に高い税率になっておりまして、この税率をさらに引き上げるということは、税体系の上からも好ましくないという意見もございました。そういった点からいろいろ考えまして、この際燃料課税引き上げは適当でないという判断をいたしたわけでございます。しかしながら、道路事業費がいま申し上げましたように大幅に拡大をいたしましたことに伴いまして、どうしても地方団体がこれらの事業を消化していきますための道路目的財源が必要である、そこで道路使用自動車所有という関係等が密接な関係にありますことを考慮いたしまして、自動車取得税というようなものを創設することにいたしたわけでございます。
  5. 依田圭五

    依田委員 揮発油税負担割合が六一%だというお話でありますが、これは外国の負担割合に比べましても、アメリカはこれは別です、たくさん油が出ますからこれは三〇・二%ですが、イギリスは六八・一%の負担をいたしております。西ドイツは六三・八%、約六四%、日本よりも多い負担をいたしております。それからフランスでは七四・四%、日本よりも二割も多い負担率をがまんしております。イタリアでは七六・三%負担しておる。すべて日本の六一よりも多いわけであります。これは揮発油だけでありますが、軽油も大体同じような数字があげられております。日本負担が四九・三に対し、イギリスが六五、端数を言いませんが、西ドイツ六一・九ですから約六二、フランスが六七、イタリアが六八・二ですから六八、もう倍に近い負担をいたしております。結局、道路の損傷、その修繕、維持管理あるいは舗装その他の問題がガソリン消費量スライドするということは、これは疑う余地がないのでありまして、自動車取得することには完全にスライドをしないわけであります。その間にギャップがあるわけであります。ですから税の公平の原則からいっても、少しそこに無理があるのじゃないか、こういうことを考えるわけでありますが、この点について御説明を願います。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり自動車燃料に対します課税は、アメリカを除きましてはイギリス西ドイツフランスイタリア、いずれも現在のわが国の揮発油税負担なりあるいは軽油引取税負担よりは重くなっているのでございます。  そこで、私どももこうした事実を前提にいたしまして、当初、先ほど申し上げましたように自動車燃料課税引き上げということを考えたわけでございます。しかし、税負担がそれぞれどうなっているかということは、その国のいろいろな事情にもよって違いますので、一つの税だけを比較をいたしまして、どちらが高い低いという議論をすることは適当でないという意見もございました。かたがた、道路使用ということと税負担という面からいえば、御指摘のとおり燃料課税が一番適当だと考えられるわけでございますけれども、一面、今日最も問題になっております物価の問題というようなことを考えますと、いまここで燃料課税引き上げるということは適当でないというふうに判断をいたしたわけでございます。
  7. 依田圭五

    依田委員 社会党立場から、何も増税を提案する、特に資本主義社会における自動車燃料の問題について、ガソリン税を上げるがよろしいというようなことを言っておるわけじゃないんで、ただ地方道路整備について特定財源がない、去年はわずかに二十五億足らずであった、しかし三、四百億の金が要る、そういうところでその財源をどこに求めるかというので今回この新しい法律ができ上がったわけでありますが、それならば市町村道整備財源としてふさわしい税種目であるかどうか、自動車取得税創設というものがほんとうに正しいものであるかどうかという点から御質問をさらに続けたいと思うのです。  われわれの考えとしては、むしろこれは建設省からお聞きしたいのですが、有料道路あるいはその他の道路について、財投あるいは国家の一般会計からたいへんな金が入っております。こういうものについてもう少し経済階層に伴う負担をはっきりさせて、いまや一千万台をこえる、一億の人口で一千万台、そのうち老人と子供を除き夫婦世帯単位についていきますと、おそらく三世帯か四世帯、三人か四人の青年男子の運転可能な者に対して一台というような、もうげたかくつのようなところまでまいっております自動車に対して、さらに零細な所得者に対してまで、必需品となっておる自動車取得に、一々三%の税金をかけるということについてはたいへんな疑問がある、こういうような立場でお聞きするのですが、かりに揮発油を一五%引き上げ、また軽油については三〇%——これは自治省原案は違うようでありまして、引取税が二〇%、道路税が一〇%であったようですが、かりにこれは社会党のほうで計算してみたのですが、揮発油を一五%、軽油を三〇%上げても、なおまだ世界の水準から言うとだいぶ負担が軽いわけであります。それでどのくらいになるかというと、揮発油は六四・三%になります。軽油のほうは五五・七%になる。イギリス西ドイツフランスイタリアのそれぞれの国の負担に比較いたしましても、まだそれより少ない数字が出ております。しかも、財源としては約四百九十五億、私の計算ですが、五百億足らず入ってくるわけであります。こういうことを考えますときに、自治省がせっかく昨年の暮れにいろいろ燃料課税考え各省に働きかけたが、それに大蔵が反対したかどこが反対したか、ともかく自治省中心になって建設省と相談して働きかけた、その当初の基本方針がくずれて、急遽十二月の末の段階になって取得税に切りかわったが、その間について、自治省の主張を含め、単にそれがハイヤー・タクシーにはね返ってくるからというようなことでなくして、もう少し突っ込んだ御説明を聞きたいと思います。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 何度も御説明申し上げますように、当初燃料に対する課税引き上げようということでいろいろ検討してきたわけでございますけれども、先ほど来申し上げますように、燃料課税引き上げというものは、物価にストレートに影響してまいります。御指摘のありましたように、タクシーあるいは営業用自動車あるいはバスというようなものの料金にも直接影響をしてまいります。今日の状態において税をふやすことでございますから、どういう課税のしかたをいたしましても、もちろん影響はございますけれども、この影響最小限度に食いとめていかなければならないという観点から、自動車燃料に対する課税をやめることにいたしたわけでございます。
  9. 依田圭五

    依田委員 では、これは建設省に聞きたいのですが、ハイタクにはね返る度合いが多い、自動車のメーカーなり運送業者を通して物価にはね返る面が多いというお話ですが、自動車取得税だって、多かれ少なかれこれははね返ってくるわけですね。特にハイタク業界からはこれに対する反対の陳情がすでに出ております。いまはタクシーの問題ですが、ほとんど東京都内じゃ乗れない。むしろ内閣の総合的な物価対策、その指導の中に原因があるのであって、ハイタク業界にだけその問題を求めていくということは少し無理があるのじゃないかと私は思うのです。現に料金の据え置きをしておる。東京都内じゃ実際にタクシーに乗れない。これは一体どういうようにお考えですか。建設省のほうからひとつ御答弁願いたい。
  10. 川田陽吉

    川田説明員 この問題につきましては、建設行政と申しますよりはむしろ運輸行政関係かと存じますけれども、少なくとも大都市におけるハイタクを含めましてバス交通等が、非常に不便になってきている、こういう現実に着目いたしまして、経済企画庁とか陸上交通安全調査室運輸省建設省等各省が共同で目下基本的な対策検討中でございます。中心になっている方向といたしましては、やはり運賃等の問題が中心でございますが、抜本的解決策としては、そのほかに大都市内における道路の絶対量をふやす問題とか、交通規制において優先交通考えるべきであるかいなかとか、幅広く基本的な検討を続けている最中でございます。
  11. 依田圭五

    依田委員 運輸省所管事項ですから、建設省では答弁は無理だと思いますが、この自動車取得税ですが、これは山梨県においても三十一年に一年間だけやって中止しておりますね。三重県でもやはり三年間やってやめている。愛媛県が五年間ですか、北海道が三十二年から三十三年まで二年間やってこれを中止しておる。中止といいますか、これはおそらく自治省から認可しなかったというのか、あるいは当該府県申請してこなかったか、まあどちらかでしょうが、長野県でも二年間でやめております。和歌山が一年限り、三十五年だけでやめておる。こういう各府県においてやめておる事情、あるいは申請してこなかったか、自主的にやめたのか、その間の事情お話し願いながら、この取得税がこの府県においてどのような成績あるいは批判を受けたかをお聞きいたしたいと思います。
  12. 松島五郎

    松島政府委員 自動車取得税は、御承知のとおり自動車取得に対して課税をするという一種の流通税でございます。したがいまして、流通税県単位で起こすということにつきましてはいろいろ問題がございます。その税をやっている県とやっていない県との間で自動車流通関係に非常な影響があるというようなことで、県単位で実施するということについては、そういう意味からの批判がなかなか多いわけでございます。そういった点から、それぞれの団体では、そのときどきの財政需要に応じまして税は設けておりますけれども、なかなか一県限りでこの税制を実施していくということについては、そういう意味批判もあり、かつまた実施も非常にむずかしいというような面がございまして、現在残っておりますのは京都府と徳島県ということになっているわけでございます。
  13. 依田圭五

    依田委員 京都徳島はずっと続けております。で、今度自治省考えておるのは、税率を三%で営業用自家用を全然区別しておらないですね。京都自家用を三%にして営業用を二%にし、自治省のほうは十万円が免税点ですね。京都は三十五万円。それで一億四千二百万円ばかりですが、それが四、五年のうちに四億六千万も京都お金が入ってきちゃったんですね。それであわてて——あわてたかどうか知りませんが、自家用を、税率をやや半分に近く一・八%に下げております。それでも三億五千万円も京都で入っておるのですね。営業用も同じように半分に下げております。二%を一%に下げている。そして免税点は三十五万から四十万円に引き上げております。松島さん、今回提案になりました政府取得税も、こういうようなスピードなり方向でどんどん将来は下げるなりなんなりしていくのですか。
  14. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど、京都徳島以外の県でも、自動車取得税創設をしたが、逐次やめていったというお話がございましたが、京都徳島県におきましても、将来はできるだけ早い機会に、県単位の税としては、法定外地方税でもございますので、やめていきたいという意向を持っておられるようでございます。そういった点から、やめたときにおける財政上の変動をできるだけ少なくするという意味でも、逐次税率を減らしていくというような方法をとっているようでございますが、今回新たに創設をいたします自動車取得税につきまして、さらに将来京都やあるいはその他の県で行なったと同じ方向にいくというようなことを、私ども段階において考えているわけではございません。
  15. 依田圭五

    依田委員 京都徳島がことしからやめるということは、これで新しい法律を全国的に出しますからやめるということで、そうでなければおそらく京都徳島は、過去何年かやってきたと同じように申請を続けるだろうと私は思うのです。京都は三十五年から、あるいは徳島は三十二年からずうっと続けておるわけですね。当初三千万を見通しておった税収がその三倍ないし四倍近く、一億二千万近く入っておるわけですから、ことし、もし自治省創設をしなければ、やめないで続けたろうと私は思うのですよ。今度は全国画一でもってやるからやめてくれということが私は自治省指導内容ではないかと思うのですが、結局、山梨三重愛媛北海道長野和歌山のように一両年でやめるところもあるかわりに、京都徳島のように、たいへんな何倍かの税収が上がってきまずから十年近くやめられない。政府がやらないならばこの二県だけでも長く続けていこうという姿勢が過去の実績からうかがわれるのですが、それらも含めて、税務局長、今度の取得税創設についてはどうお考えになりますか。
  16. 松島五郎

    松島政府委員 京都徳島につきましては、昭和四十三年度までの期限つきで許可されておりますので、来年度一年だけの期限つきで許可されておりますので、今後続けるかどうかという問題は、かりに今回提案をいたしております自動車取得税がなくともいずれ検討段階に入るわけでございます。もちろんその際に、当該地方団体としてさらに継続するかどうかは、これは当該団体の意思でございますから別でございますけれども、私どもとしてさらにそれを続けることを許可するかどうかという問題は、かりにこのままで新しい取得税創設しなかった場合には、別個の観点から検討されることになっただろうと考えております。  それからなお、京都徳島の問題につきましては、今回提案をいたします法律の附則において、昭和四十三年六月三十日限りで廃止をすることにいたしております。
  17. 依田圭五

    依田委員 自治省は都道府県から申請のあった場合、一定の条件が充足されている場合にはこれを許可せざるを得ない。住民の負担が著しく過重になるとか、あるいは地方団体間における物の流通に重大な障害を与えるとか、あるいは国の経済施策に照らしてどうであるとかというような点から考えて、重大な欠点がなければ自治省はこれを認可せざるを得ない。京都徳島が長いことやってきた。それがどんどん税率を下げております。それから免税点も上げております。その他の府県では一年か二年でやめております。県議会におきましても、あるいは県の執行機関におきましても、実績経験に照らして、この取得税は問題が多過ぎるんじゃないかと私は思うのです。その二、三を想像いたしますと、たとえば中古車のような場合には、金額にいろいろ変化があり過ぎてしまってもうどうにもならぬという点——もちろん税務局長の言われるように、県単位ではなかなか自動車関係はむずかしい。簡単に県外にも行ったり、また県内にも入ってきたりしますから、むずかしいということもあるでしょうけれども、ともかく何か相当弊害がある。だからやめてしぼう県は一、二年でやめてしまう。しかし、予想外に金が入ってくるというので、なかなか一、二の県が捨て切れないでいる、こういうふうに私は考えるのですが、それらを含めて——京都徳島が来年やめるというのは、これは当然であって全国的にやるわけですから、日本全国の中で二つの県だけが独自にやられては困るので、これは自治省認可事項ですから、これはもう困るよと一言言えばやめるのであって、私は何かこの取得税創設というのは、税をとる手続の中にも相当無理なものがあるのじゃないかと思うのですが、税務局長、その点どうですか。
  18. 松島五郎

    松島政府委員 自動車取得税課税についての課税上のいろいろな問題点があることは御指摘のとおりでございます。特に新車につきましては、御承知のとおり、今回の法律案におきましても、登録の際に申告納税をしていただくことにしておりまして、新車は、一般普通自動車につきましては道路運送車両法によります登録をしなければ、すなわち登録をして番号をつけなければ道路の運行ができませんので、必ず登録をしていただくことになりますから、その際に税金を納めてもらう。また、軽自動車につきましても、同じように道路運送車両法によって使用届け出を必ずして、それによって車両番号指定を受けることになっています。それをしなければ道路を走ることができませんので、その際に申告納税をしていただくことは、これは技術的にそう問題はないと思います。しかし、中古車につきましては、御指摘のようにいろいろなむずかしい問題がございます。第一には、中古車につきましては、所有者が変わりました場合には移転登録ということをするわけでございますけれども、この移転登録は一応番号がついている車の移転でございますから、移転登録をしなければ車が走れないというわけでは必ずしもございません。そういった点からはたして円滑に実施されるかどうかというような問題も考えられないことはないと思います。また、軽自動車につきましては、使用届け出でございますので、使用者が変更いたしました場合には届け出ることになっていますけれども、これも一たん車両番号指定を受けました以上は、だれが運転をしているかに関係なく走れるわけでございますので、その場合の使用者の変更の届け出が円滑に行なわれるかどうかというような問題も考えられるわけでありまして、御承知のとおり、そういった点からむずかしいという点が一つございます。もう一つは、御指摘のありましたような価格の問題で、中古車価格というのは、人によってはあってなきがごときものだと言う方もございまして、これも実際に拒握するということが非常にむずかしいという点はあろうと思います。しかし、私どもといたしましては、こういう税を創設いたしました当初は、納められる方も、取るほうも、なかなかなれませんのでいろいろむずかしい点は残ると思いますけれども、結局、どんな税でも、ある程度経験の積み重ねというものが一つの基礎になって逐次円滑に実施されていっているわけでございまして、そういう点から言えば、課税団体側の努力と納税者の協力とを待って円滑に進めていくようにいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  19. 依田圭五

    依田委員 中古車なんですが、たとえば京都免税点が最初三十五万円だったのですね、昭和三十五年ですか、それから四十年ごろから四十万円に引き上げて、実際問題として四十万円の免税点ということは、中古車を含まずということになってくるわけですね。現在ここに提案になっております法律案内容では、十万円が免税点になっている。ほとんどの中古車、運行可能な中古車といいますか、動く中古車は大体十万円以上いたすということが常識だそうであります。まあ二、三年まで古いものですね。四年も五年もたてば、何でもかんでもポンコツ寸前は全部十万円という単位で取引するそうなんですが、とにかく、少し整備したり何かすると相当なお金がかかる。中古車には全部課税をするということが十万円免税点のボーダーラインというか意味だと私は思うのですが、その点は私の言っているようなことかどうかを局長に御答弁いただきたい。
  20. 松島五郎

    松島政府委員 大体御指摘のとおり、道路上を走る中古車につきましては、課税の対象に一応すべきものというふうに考えまして、新車価格というようなものも一応の参考にいたしまして中古車免税点をきめたわけでございます。
  21. 依田圭五

    依田委員 その中古車なんですが、これは何回くらい取得を変えるように想定をして積算をしておるのですか。所有者が何回も何回も変わりますね。一回くらいだということですか。二回も三回も変わるというふうに想定しているのですか。
  22. 松島五郎

    松島政府委員 一般には、税法のたてまえとしては、十万円になるまでに何回でも移転をすればそのつど課税をされるわけでございますけれども、実際問題といたしましては、よほど高い車でない限り、二年程度いたしますと大体二十万前後になると思いますので、その点で中古車移転が行なわれますと取得課税される。しかし、それ以後はさらに一年なり二年なり経過をいたしますと大体十万円以下になってしまうと思いますので、中古車については、通常の使用形態では一度程度ではなかろうかというふうに考えております。
  23. 依田圭五

    依田委員 中古車の問題はまたあとで触れますが、私、建設省にちょっとお聞きしたいのです。  明日ですか、通路五カ年計画が閣議決定をするということを聞いておるのですが、その前ですからもうほとんどコンクリートされておると思うのですが、五カ年計画の中で、今度、平年度五百二十六億ですか、ことしは七月実施の三百五十二億ですか、何かお金を入れまして、一体どのくらいの舗装率、改良率になるのか、現在の市町村道の総延長はどのくらいあって、それを新設されるということはないと思うのですが、どのくらい新設というか造成をするのか。これはほとんどないと思いますが、舗装改良率、これについて具体的な数字をお聞きしたいと思います。
  24. 川田陽吉

    川田説明員 昭和四十二年三月現在で市町村道の総延長は八十四万キロでございます。わが国の道路網の中では延長が最も長い部類でございます。もと一国が一万二千キロ、もと二国が一万五千キロ、合わせまして二万七千キロでございますし、また府県道について申し上げますと、一般府県道の延長が八万八千キロでございますから、八十四万キロと申しますと一般府県道の約十倍近い非常に長い延長でございますので、現在の改良率一二%、舗装率四・四%につきましては、一年間投資をいたしまして、改良率におきまして〇・一%程度上がるということで、率としては大きな改良は期待できない実情でございます。
  25. 依田圭五

    依田委員 改良率はいま何とおっしゃいましたか。
  26. 川田陽吉

    川田説明員 四十二年三月の整備率で一二・ 〇%でございまして、四十二年度予算一ぱい投入いたしまして一二・一%くらいに上がる、こういうことでございます。
  27. 依田圭五

    依田委員 舗装率は、私の聞いた数字では五・二%だというのですが、四・四%ですね。そうしますと、改良率は一二・四%と私は聞いたのですが、一二・〇、ほぼ似たような数字が出ておるわけですが、その点を明確にしてください。
  28. 川田陽吉

    川田説明員 先生が仰せになりました数字は、道路整備五カ年計画終了後の市町村道の改良率が一二・五%、それから舗装率につきましては五カ年計画が済んだあとで五・四%、こういう数字であります。
  29. 依田圭五

    依田委員 いずれにしましても、何か五カ年計画を実施して、そして有料道路と国道を除いたいわゆる地方の単独事業に膨大なお金を補助して、これは今度の税法とは関係なく、これは建設省の去年にきめた骨格をあした閣議決定をするわけですが、その五年先の四十六年ですか、その先の舗装率が特に改良率なんかは伸び率が〇・一なんというのは非常に少ないと思うのですが、こういうものなんですか。どうもその辺が納得できないのですがね。
  30. 川田陽吉

    川田説明員 市町村道の総延長八十四万キロという膨大な延長でございますし、また、その中に、実際問題として道路の実態が幅員一メートル足らずのようなものも含まれている模様でございます。昭和四十一年以来約三カ年いろいろ調査を続けてまいりまして、本年中には市町村道についての明確な実態をもとにいたしました基本的な整備方針を立てることにいたしておりますが、そういった点で、道路整備五カ年計画で見込んでおります市町村道の投資額程度でございますと、なかなか一次改良が進まないというところから、非常に低い率になっております。
  31. 依田圭五

    依田委員 五カ年計画程度の財源ではと軽く言われるのですが、私はそんなことは少しおかしいと思うのですね。ともかく、五カ年計画は一兆一千億円かけるわけでしょう。そのうち、その財源は大体二割前後が二千五百億ですか、二兆一千四百八十億円というのが地方市町村道ですね。そのうち公共事業が九千九百七十億、有料道路が七百三億で、単独事業は一兆一千億、その一兆一千億のうち、五カ年計画でこの自動車取得税財源としたものは、つかみで二千五百億、あとは一般会計から入れるわけですね。そこにも私は問題があると思うのですよ。有料道路もけっこう、あるいはデラックスな道路もけっこうだけれども、その財源を大衆の負担にさせてはならないということは私たちがいつも申し上げておることなんですがね。その中で、つかみで二千五百億も使って——正確には幾らですかね、二千三百十二億ですか、ともかく二千五百億ばかり使ってわずかに〇・一%しか改良率が進まないということでは、少し特別なことでもあればともかく、道路とはそういうものなのですか。それをちょっと説明を聞きたいと思います。
  32. 川田陽吉

    川田説明員 一兆一千億円の地方単独事業につきましては、そのうち、大体年によっては違うのでございますが、おおむねならしますと、半分は市町村道の単独事業で、半分は府県が行ないます単独事業ということになります。それからまた、単独事業の中で大きな割合を占めますものは、砂利道の維持修繕でありますとか、こわれた舗装道の補修とか、そういうことで、直接整備率そのものにはあまりプラスになってこないものが相当含まれているということでございます。また、市町村道の国で計画しました事業においてどのくらいできるかと申し上げますと、市町村道の一次改築で一千三百二十五キロメートルでございます。五カ年国が補助事業考えております一次改築の改良が一千三百二十五キロ、舗装で一千四百三十七キロメートル、これが八十八万キロのうちでパーセンテージの改良に役立つ数字でございます。したがいまして、率としては非常に低いということが一つと、それから一兆一千億円の地方単独事業のうちの半分の市町村道事業の、さらにそのうち改良とか舗装に向けられる部分の投資の推計をまだいたしておりませんので、その部分は、先ほど申上げました改良率の変化に見込んでおりません。したがいまして、先ほど先生が仰せになりましたパーセンテージよりもさらに若干よいパーセンテージになる、こういうふうに考えております。
  33. 依田圭五

    依田委員 若干といって〇・一%がどのくらいよくなるのですか。
  34. 川田陽吉

    川田説明員 昭和四十二年の三月末で一二・四%の改良率が一二・五%になるということは、公共事業関係によって整備される率が〇・一%上がるということでございまして、そのほかに一兆一千億円の地方単独事業によってパーセンテージが上がる部分があるわけでございますが、ただいまの段階ではまだ推計できておりません。そういう意味でございます。
  35. 依田圭五

    依田委員 建設省に聞きますが、八十八万ですか八十四万ですか、いま八十八という数字が出たのですが、八十四万キロメートルの中でほんとうに村の中に入ったりなんかするのじゃなくて、幹線の市町村道があるはずですね。これを直すわけでしょう。八十八万というのは、何でもかんでも総延長であって、山の中で一年に一ぺんしか通らぬきこりの通るような道や、あるいはあぜ道に近いものまで入れて、これは府県道のように、一定の規格でもって、道路法か何かでもってきめられているわけじゃないのですから、人間の必要なところはみな道路になるわけですから、これは八十八万のうち正味どのくらいがあなたのほうで今度のお金を使って直そうとしておるのか、その道路についての舗装率は一体五年間にどのくらい上がるのか、〇・一じゃ百年河清を待つというよりも、第何次五カ年計画までやったらこのデラックスな都市の道路や何かと同じように市町村道整備されるのか。全く〇・一を一〇〇にするのは千年かかりますよ。そんなことでは困ります。ですから八十八万のうちほんとうに建設省整備五カ年計画の中で考えておる対象事業はこのくらいごさいます、それについてこれだけの——ともかく自動車取得税を五十億取るわけですから、これを財源としてこれに振り向けるとか、加速度的に大都市では飽和状態になっている自動車が地方にはけますということで、その数字をわかりやすくお話を聞きたいと思うのです。
  36. 川田陽吉

    川田説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、八十四万キロ全体を対象としているわけではございません。現状について申し上げますと、建設省市町村道整備方針につきましては、現在のところ特殊立法関係に基づく事業、たとえば山村振興でございますとか、離島でございますとか、企業合理化促進法の関係とか、そういう特殊立法関係、国の直接施策に基づくものを大体中心にいたしてまして、それから町村内の重要幹線をなしている、具体的に申し上げますと、バス路線でございますとか、それから団地やなんかの関連で必要になりました路線等を取り上げて計画を組んでいるわけでございます。ただそれだけでございますと、もう全体としての整備という考え方から見ると、まだ検討が足りないとわれわれ自身も考えておりまして、約三カ年ほどかかりまして市町村道の実態調査を府県と市町村と国と三者共同で目下実施している最中でございます。その結果によりまして、大体市町村道のうちの幹線的なものの総延長というものを、また具体的な路線というものをおおむね明らかにいたしまして、それから先生に御説明できればよろしいのでございますが、いまの段階はまだ作業中でございまして、おおむね何万キロかというような大ざっぱな見当も立てたことがございますが、まあ二割程度であるとか、その程度の腰だめ的な数字しか現在はございませんが、四十三年度中にはそういった八十四万キロの市町村道の基本的な分析結果も発表できる段階になるのではないか、こういうふうに考えております。
  37. 依田圭五

    依田委員 だって、税金のほうはことしの七月から取るわけですよ。そのお金建設省のほうへ渡すのか、市町村に交付してそれでもって八十四万キロのうちのどの部分かを直して、そして面目一新をさせようというのが今回の政府のアイデアじゃないかと私思うのですが、先ほどあなたのおっしゃったような特殊な地域や——それはもう全部乗っかっておるでしょう、たとえば奥地産業開発道路整備計画では五カ年計画の中にもうすでに二百五十億円あるわけです。あるいは積雪寒冷特別地域の道路交通の確保のための五カ年計画というのがあって、八百十億が乗っかっておるのですから、それぞれ特殊な地帯には特殊な予算を乗っけておるのです。ですから私は、四十四年度中には調査して数字があげられるというのですが、ことしの七月から税金を取るのですから、やはりその辺をはっきりさせていただきたいと思うのですよ。まして一年かかって詳細な、昨年大づかみの六兆六千億の予算の構想をきめて、一年がかりで明日閣議に出すわけですから、すでに古い四十二年のやつはやっておるわけです。ですからもう相当な数字があがっておるはずだと思うのです。そうでないと、われわれはこういうふうに考えるのですよ。この三%という高い税率、あるいは平年度五百二十六億ですか、こういう税金の徴収というものは、入るをはかって出ずるを制するのでなくて、何となく、自動車が七種類か八種類あるけれども、まだかける税源が自動車についてはあるじゃないか、道路は果てしなく直さなければならぬからやれ、固定資産税も三%だから三%くらいかけておる。幾ら入ってくる、五百億だ、幾らでもいいんだ、建設省計画はまだわからぬ、まあしかし取れるだけ取っておけ、スタートしようじゃないか、こういうことで入るをはかって出ずるを制するじゃなくて、入ってくると、出るほうは無制限に要るのだ、こういうことじゃ私は困ると思うのですよ。実際大都市における自動車は飽和状態になっておりますね。大都市における全平米と自動車単位面積が十二平米ですから、ほとんどとんとんに近い状態で、にっちもさっちもいかないことがわかるのです。それについては市町村道整備しなければならぬことはよくわかる。これは党としても無制限の財源を投入したいところなんです。ただ三%という高率の税金を取る場合には、やはりそのお金の使い方について、当該官庁に相当お話を承らぬと、この法案の審議に協力を申し上げるわけにいかない、こういうように考え立場から、もうあと二、三年たてばわかるなどと言わずに、大づかみの話でもいいですから御説明を聞きたいと思います。
  38. 川田陽吉

    川田説明員 つかみの話でたいへん恐縮でございますが、八十四万キロの市町村道全体を整備するやり方といたしましては、建設省の公共事業として、いわば国庫補助事業として整備するものと、地方の単独事業として特定の財源及び自主財源によって整備すべきものと、まあ二つの種類に大別すると仮定いたしまして、大体昨年秋から現在の段階に部内の検討中の数字といたしまして、二五%程度のものを非公式ながら考えている次第でございます。
  39. 依田圭五

    依田委員 まあその点については、また同僚委員からもさらに突っ込んで質問をしてもらいたいとい思います。  これは自治省にお聞きしたいのですが、この配分なんですが、大体いま面積と延長でやる方法、地方道路税譲与方式というのですか、こういう方法をやるらしいのですが、そのほかにいろいろの方法があると思うのですが、御検討になりましたならば、その内容についてお聞きしたいと思います。
  40. 松島五郎

    松島政府委員 道路使用の実態とこの税の配分とが一番適合するような方法が望ましいわけでございますので、一応基礎的には道路の延長と面積とによって配分をすることにいたしておりますけれども、この法律案にもございますように、その道路の延長なり面積なりを補正することができるようになっておりますが、補正をいたします場合には、やはり道路使用状態が配分に反映いたしますように適切なる方途を講じてまいりたいと考えております。
  41. 依田圭五

    依田委員 その補正の方法なんですが、政令できめるのだとすれば、その政令の資料を提出を願いたいと思いますので、要求をいたしておきます。  これは面積と延長とをプラスして二で割って一応数字を出しますね。そういう方法だと私は思うのですが、そのほかに、補正の内容なんですが、人口であるとか、あるいは交通量、あるいは税金を取る当該市町村なり府県における自動車の保有台数、あるいは行政区画の面、こういうものについて考慮を払う必要がないのかどうか、それについて御質問いたします。
  42. 松島五郎

    松島政府委員 政令でなくて自治省令で定めることにいたしておりますが、この内容については、ただいま申し上げましたように、各県から資料をとりまして、何が一番資料として適合性を持っておるかをただいま検討をいたしておる段階でございます。大体の考え方といたしましては、ただいま御指摘がございましたが、当該市町村の自動車の台数をとるということも一つ考え方でございます。ただ、市町村ごとの保有台数を調査するということがまた非常にむずかしい仕事でございまして、なかなか正確なものが出てこないという状況でございますので、これについてはなおもうしばらく検討いたしたいと思います。配分をいたします以上は、客観的な資料でございませんと、配分した際にいろいろ問題が起こりますので、客観的な資料として市町村ごとに自動車の台数がとれるかどうかという問題については、なお検討いたしたいと思います。  それから交通量の問題でございます。交通量につきましても、これは市町村全体について末端まで交通量を調査いたしたものはございませんので、交通量をとるということは、実際問題としてできないというふうに考えております。  それから、人口をとるということでございますが、人口と自動車とは一体どういう結びつきがあるのかということが、ある程度理論上理屈づけられれば、私どももそれも一つの方法であろうというふうに考えて、その人口をかりにとる、あるいは逆に、面積を加味した形で人口密度をとったらどういう配分方式になるかということについても、ただいま資料を集めて検討いたしておる段階でございます。
  43. 依田圭五

    依田委員 そうすると、配分方式については何ら検討がない、ないというか、ほとんどこれからだということなんですが、もう法律ができ上がっておるのですから、こういう配分をしたならば、総額こういうお金が要るから、それについてはこういう税率をかける、こういうようにして私たちは法律というものはでき上がるものだと思っておるんです。取れるだけ取れそうなところで取って、使い道はあとで相談しようじゃないか、こういうことじゃ——配分方法というものが明確に一番先にきまって、そしてどの町には幾ら、どの村には幾ら、それを五カ年間でこれだけ舗装率を上げ、改良率を上げ、これだけ将来ふえるであろう自動車を消化することができる、そのためには、実際の道路の面積と延長と実際の自動車の利用、税金の入ってくる状態とは違いますから、それを補正して、補正がいまの省令の内容になると思うのですが、それを確定をして、それからだんだんに積算をして、総額全国で平年度で五百二十六億のお金が要る、それには逆算して三%くらいかけるということが私は出てくると思うのですが、その点はどうなんですか。
  44. 松島五郎

    松島政府委員 先生の御指摘のような方法も考えなければならない点であると思います。しかし、現在の段階では、先ほど来お話がございますように、道路事業費全体に対します、この税を起こしましても、その充当率は二四%程度のものでございまして、そういった点から申しますと、積み上げてきてこれだけ要るというよりは、全体として見て、いわば最近のことばを使いますと、マクロで見てみても、なお財源として十分であるかどうかという問題がございます。そこで、私どもとしましては、全体のうちで少なくともこの程度は道路目的財源として確保いたしたい、その上で各市町村ごとの配分は、できるだけ実態に即応するようにいたしたいということで作業をいたしておるのでございます。
  45. 依田圭五

    依田委員 どうも、ぼくらは局長のように熟練者でないものだから、考え方があれなんですけれども、少し頭の回りが悪いのでしょうが、大体ぼくらは、必要なお金を積算をして取る、こういうように考えております。それを委員会説明してくれて、委員会の了承をとるということに考えておるのですが、いまのお話だと、全需要のうちの二割四分だから、幾ら取ったってそんなことはどうでもいいのだ、二割四分しかないのだから、一〇〇%あるいは二〇〇%にもなるならば真剣に考えるけれども、どうせ内輪のお金なんだからそんなことはいいじゃないか、こういうお話は少し荒っぽい話だと私は思うのですが、ともかくこの問題につきましては、地方税法の審議が終わりますまでに、配分の基本的な方針をはっきりお示しを願いたいと思います。その点についてはっきりお示しいただけるかどうか。
  46. 松島五郎

    松島政府委員 いま申し上げましたように、交通量の調査というのは特定の地点しかやっておりませんので、全市町村を今回は対象にいたしますので、交通量によって配分をするということになりますと、それが一番適切だと私ども考えておるのでございますけれども、資料の関係で現段階では不可能であるというふうに考えております。ただ、人口でありますとか、その他の要素につきましては、できるだけ早い機会に検討をいたしまして、大体の考え方をこの委員会にお示ししたいと考えております。
  47. 依田圭五

    依田委員 そうすると、その他の項目というと、保有台数と行政区画の面積、それから人口、さらに言うと税金を納める人の数ですね、それは保有台数と人口は相関関係があるだろう、あるいは交通量も相関関係があるだろうという点から、いろいろ略してもいい項目があるかもしれませんけれども、ともかく人口、保有台数、交通量は——いまわからないと言いますから、行政区画の面積あるいは納税者の数、こういうものは補正の中に、省令の中に検討をしていただけるということかどうか。
  48. 松島五郎

    松島政府委員 市町村の面積あるいは人口、こういったものは補正の中で検討をいたしたいということで、いま作業をいたしておる段階でございます。ただ、自動車の保有台数を市町村別に出すということは、実際問題として非常にむずかしい作業でありまして、名目だけ登録しているところもございますし、たとえば最近では、いろいろな事情から、実際には東京都内自動車を持っておられるけれども自動車の本拠地は三多摩かどこかに登録してあるという例も多いようでございます。そういった点から、登録台数そのものの因子でもって自動車を押えて配分の基礎に使うということは、いろいろまた弊害もございますので、この点はなお研究をさしていただきたいと思います。
  49. 依田圭五

    依田委員 大体、一年間に一ぺんくらいしか通らない山の奥の道路、これもやはり市町村道の中に入って、それから非常に交通量の多いもの、それもまた入れる。それをひっくるめて、その中で面積と延長だけによってきめるということについては、私は相当問題があると思うのですよ。ですから、人口と保有台数と行政区画面積、この三つは検討の中に前向きで考えるのか、検討してネグるのか、どちらの方向で省令をお考えになるのかまで含めて御答弁を願いたいと思います。
  50. 松島五郎

    松島政府委員 人口と行政区画の面積、これは考慮の対象にいたしたいということで検討いたしたいと思います。なお、道路の規格の問題もある程度考慮に入れたい、と申しますのは、具体的には内勤車の通る道路という規格を中心にして考えたい、こういうふうに考えております。
  51. 依田圭五

    依田委員 ひとつ、この税法の審議の終わるまでに、ほとんど固まっているようですから、出してください。  それから、まだ二、三急いで聞きますが、徴収率が九三%、これは一説には一〇〇%補足できるんだという見解もあるし、いや九〇%くらいしか——自治省の当初の原案は九〇%でありましにが、それを九三%に修正というか、これに落ちつきました経緯についてお話しを願いたいと思います。
  52. 松島五郎

    松島政府委員 これから新しく実施いたします税でございますので、徴収率を幾らにするかということは、従来の経験に照らして推定するよりほかにないわけでございます。一〇〇%という向きもございますが、新車につきましては、御指摘のとおり、先ほどの課税方法で申し上げましたように、ある程度登録段階で押えられますので、相当徴収率は高くできると思います。ただ、この場合におきましても、申告納税の制度をとっておりますので、税金を納めなければ登録してやらないのだというわけにはまいりませんので、登録に来た際に税金を持ってくるのを忘れたとか、税金はあとにするから申告だけして帰りますというような場合もございますので、一〇〇%というわけにはいかないと考えております。それからまた、中古車につきましては、先ほど申し上げましたように、登録ということに一応かけて申告納税をしていただくということにはしておりますけれども、実際問題としては、登録自体を押えるということがなかなかむずかしい状況でございますので、この徴収率というのはかなり高い率を維持することは困難であろうというふうに考えております。  そこで、具体的に九三%はどこから出たかというお尋ねでございますが、同じような税金であります自動車税の徴収率を九三%というふうに見込んでおりますので、それによって算定したものでございます。
  53. 依田圭五

    依田委員 自動車税の徴収率が九三%だからそれを根拠に置きましたというお話でありますが、どうもわれわれが考えると、これは各都道府県でいろいろあると思いますが、陸運事務所が名義変更のところに出ばってきて、あるいは府県の税務事務所がそこへ出張して、そこでこのお金を取るわけです。ですから、一〇〇%補足ができると思うのですが、ただ税の体系と安全運転を中心として免許を出す基準とのあれが違うものですから、そこで逃げるものがある、こういうことだろうと思うのですが、自治省はその辺をこれからどういうふうに——七%は逃げっぱなしでいいのかどうか、これをどうして補足するか、その補足については、これは運輸省ですか、陸運事務所とどういうふうに連携をとり、いまの弊害を是正するのか。こういう税金は一〇〇%取ってもらわなければ困るわけです。そういうふうに思うのですが……。
  54. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のような問題がございまして、最初は自動車取得税を納付しなければ登録しないというような制度にしてはどうかということも考えたわけでございますけれども、ただいま先生からお話のございましたように、自動車登録というものの性格と税を取るということとは必ずしも同じ性格の事務ではございませんので、そういう結びつきをすることは、自動車登録のたてまえからいって適当でないという意見がございまして、一応登録の際に納めてもらうということにはしておりますけれども、その際とは、事実上登録に来たときに納めていただくということでございまして、税金を納めなければ登録をさせないというしかけにはなっていないわけでございます。しかし、御指摘のとおり、税を一方の方が納めるのに一方は納めなくていいんだというわけにまいりませんから、いかなる場合の税についても同じでございますけれども、一〇〇%の徴収率であることが望ましいわけであります。この点につきましては、運輸当局ともお話し合いをいたしまして、具体的な事務の協力方法についていろいろ打ち合わせをして、遺憾なきを期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 依田圭五

    依田委員 たとえば、東京の場合は陸運事務所へ行って名義変更の許可を運輸省からもらおうとする場合には、税務事務所ですか、これは都税ですから、自動車税なり何なり税務事務所に払った証紙なり証明書がないとくれないわけですね。これは東京では一〇〇%取れていると私思うのですが、そうなるとなかなか自動車整備をして許可をとりにくることを避けて、やみで乗り回しているというようなケースも出てくることを心配してなかなか密着させないんだろうと思うのですが、やはり性格上どうしても脱税があるものならやむを得ないし、そうでないものならば、全国同じように統一指導をして、何とかそこで自動車の申告、これは安全を中心として申告するのですが、これは一〇〇%も一二〇%も申告してもらわなければならぬ。しかも税金も納めてもらわなければ困る。どっちかといえば税金のほうがあとになるのですが、ある府県においては完全に納めるだろう、ある府県においては完全に納めない、全国平均ですから、おそらく一〇%以上納めないところも出てくると思うのですよ。もっと二割も納めないところもあるかもしれませんけれども、納めるところがあり納めないところがあって平均が七なんだから、この点は自治省としてはもっと運輸省と積極的に連絡をとっていただきまして、強力な指導をしていただかぬと困ると思うのですが、どうですか。
  56. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、運輸省と十分連絡をとって、県別に非常にちぐはぐにならないようにいたしたいと思います。いまお話しのございました東京都の実例は、これは陸運局と都税との関係が最もうまくいっている例ではないかというふうに考えますが、現在の自動車税につきましては、自動車税を納めたという証明がなければ、自動車の車体検査を受けられないというふうに法律的にはなっております。これは車体検査の場合でございまして、登録の場合ではございません。  今度の自動車取得税につきましても、同じような規定を設けてはどうかというので検討をいたしたのでございますけれども自動車の車体検査という時期と、自動車取得税を納めるというのとは、自動車取得税はどちらかといえば通常一回限りの税金でございますので、その関係を結びつけるということはちょっと技術的に困難がございまして、それはやっておりませんが、いまの御指摘の問題につきましては、陸運局とも十分連絡をとって、遺漏のないようにいたしたいと考えております。
  57. 依田圭五

    依田委員 身体障害者関係なんですが、これは身体障害者からどれくらい税収が入るか、自動車取得税が入るか、数字はございますか。
  58. 松島五郎

    松島政府委員 申しわけございません。いま数字を持っておりません。
  59. 依田圭五

    依田委員 そうすると、その他の各階層、身体障害者ばかりでなしに、社会的に相当保護しなければならぬ人たちのことについて、データがあれば明らかにしてください。身体障害者だけ隅然にないのですか。その他いろいろあると思うのですが、数字は全然ないのですか。
  60. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま手元にございませんので、調べまして御報告をさしていただきたいと思います。
  61. 依田圭五

    依田委員 これは必ずあると思うのですが、こういう身体障害者のような場合に対する自動車取得、これはある意味ではぜいたく品だとか、どうでもいいようなものではなくて、生活に密着したものである。これは一体減免の方法を何か考えておるのですか。
  62. 松島五郎

    松島政府委員 自動車取得税は、道路目的税であるということから、できるだけ非課税、減免の規定を置かないようにしていきたいということで、ただいま提案をいたしておりますものには、そういうものについて特に減税をするという法律的な規定はいたしておりませんが、ただ、現在の自動車税につきましても、身体障害者につきましては軽減の措置を講ずるよう条例で規定を設けることについて指導をいたしておりますので、同じような考え方でこの問題については対処していきたいと思っております。
  63. 依田圭五

    依田委員 それじゃ、身体障害者その他の減免を必要とする階層に対する考慮は、ひとつ自治省でもお骨折りを願いたいと思います。  それから中古車取得価格段階別では台数がわかっておりますか。たとえば十万円以下はどのくらい——一応十万円以下は免税点ですが、しかし基礎になる数字はあると思うのです。それから、十万から十五万はどのくらい、十五万から二十万はどのくらい、二十万から二十五万、二十五万から三十万、三十万から四十万、四十万以上、京都は四十万ですが、四十万以上の数字はありますか。
  64. 松島五郎

    松島政府委員 中古車段階価格というのは、実際問題として、現在のところ把握ができない状態でございます。したがいまして積算は——陸運局に移転登録されました車のうちから、割賦販売で移転登録がございまして、御承知のとおり割賦販売をいたしますと、新しい車を買いますと一応登録の名義はディーラーの名義になりまして、割賦が済んだ段階所有者移転登録が行なわれる、こういう形で移転登録がなされております。したがいまして、これにつきましては、新しく買った段階課税をしますので、ディーラーから所有権が買い主に移転した段階では課税しないことにこの法律ではなっておりますので、この分は移転登録がかりに行なわれましても、その段階で説税されませんので、その分を引かなければなりません。それを引いた残りのものを一応中古車移転として台数を推計いたしておるものであります。その台数のうちで、何年たった車が何台で、何年たった車が何台かというような問題は、現在のところ全く統計資料がございません。したがいまして、私どもは耐用年数に応じまして一応均等に分布しているものという想定をいたして、その上で価格を求めているのでございます。  具体的に申し上げますと、たとえば乗用車につきまして、新車価格が六十万円なら六十万円といたしますと、一般自家用車につきましては耐用年数が六年、営業車につきましては三年でございますので、かりに自家用車の場合をとって考えますと、六年間に中古車が均等に分布しているものというふうに考えまして、そしてそれに応じまして法定耐用年数に応ずる減価率を出します。減価率を出しますと、御承知のとおり曲線になりますので、その曲線が十万円と交わる点から以下のものを一応台数から落としまして、そして残りました台数部分についての平均価格を求めまして計算をいたしております。そういう計算をいたしておりますので、したがいまして、何万円の車が何台、何万円の車が何台ということは、現在のところわかりかねる状況でございます。
  65. 依田圭五

    依田委員 中古車の積算の基礎は何か高等数学らしいので、ともかく資料として出してください。そうしてもらわぬと、これは私もちょっと研究してみたのですが、ここで質疑をするようなことでは十分尽くせないと思いますから、資料として出していただきたい。  今回、税金を見込みました基本になる数字、これは自治省数字、四百四十四万台だということでございますが、そのうち新車中古車がどのくらいであって、乗用車はどのくらい、トラックはどのくらい、バスはどのくらい——軽自動車も含めて乗用車、トラック、三輪を含めて中古車の総台数、外車も入れまして、この数字をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  66. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまの点につきまして、資料を用意いたしておりますので、お配りをさしていただきたいと思います。
  67. 依田圭五

    依田委員 今回、自動車の総台数の積算について、自治省のほうはおそらく運輸省なり通産省とも相談をいたしましてきめられた数字であろうと私は思うのですが、自動車工業会あたりが言っております数字に比べますと、実は相当な開きがあるわけであります。通産省は、最初新車が二百九十五万台、税収見積もりが二・五%で平年度四百二十九億円、初年度三百五十七億円入る、こういうことを言っておりました。また自動車工業会は、四十一年度は二百七十三万台、四十二年度は二百八十万台が登録台数である。二%にいたしましても四百七億のお金が入る、初年度は六月実施の場合を想定して三百三十九億、二・五%でも平年度五百九億入る、初年度は四百二十五億入る、こういうように考えておるというのですが、どうもそれに比較いたしますと、自動車工業会のほうでは六百六十億ぐらいのお金が入ってくるような数字に相なるわけです。少し過小な見積もりをしたのではないかということをわれわれは心配するのです。まあ自治省が役所の総力をあげて、信頼できる運輸省数字か何かを基礎にお考えになったのだと思いますが、特にこの台数をきめるときに、関係官庁とどのような折衝をいたし、あるいは他の業界ともどういう折衝をいたしてこの数字を確定されたかを御説明を願いたいと思います。
  68. 松島五郎

    松島政府委員 私どものただいまの見積もりの課税台数等につきましては、運輸省自動車登録関係の予算の基礎に使いました昭和四十三年度の登録見込み台数を基礎といたしております。ただ、軽自動車のうちの乗用車につきましては、最近実績が非常にあがっておりますので、これは最近の実績を考慮いたしまして来年度の伸びを推計をいたした上で計算をいたしております。  なお、自動車工業会との相違の点でございますけれども自動車工業会におかれましても、この税のことが問題になりました際からいろいろの数字をあげてきておられまして、昨年の十二月には昭和四十二年度の課税見込み台数、新車だけでございますが、三百七万八千台だ、それが一月になりますと三百二十二万六千台だ、二月になりまして三百四十二万五千台だというふうに、月々二十万台ぐらいずつ見込みがふえてきております。したがいまして、この見込みは、御承知のとおり業界は業界の立場で見込んでおられますので、はたしてそれだけ見込めるものかどうかという点については、なおいろいろな観点から検討する必要があろうと思います。  私どもの見込みは、いま申し上げましたように、原則といたしましては、自動車登録関係の予算の基礎になりました運輸省登録見込み台数を基礎にいたしておりまして、それに、軽自動車につきましては最近の実績を基礎にいたしまして推定をいたしておるものでございます。私どもが来年度の税収の見込みの基礎にいたしております台数は三百二十九万三千台でございます。三百二十九万三千台でございますので、自動車工業会との差は約十二万台ばかりございますけれども、これはそれぞれ見方の相違ではなかろうかというふうに考えております。なお、三百二十九台からさらに、私どもは地方公共団体や国が取得いたします自動車については非課税となっておりますので、その数字を従来の例から推定をいたしまして、課税見込み台数は三百十三万八千台といたしておるわけでございます。これに対しまして自動車工業会のほうは、非課税分というようなものを全然考慮に入れておりませんので、課税台数がふえております。なお、課税台数がふえておりますほかに、自動車工業会は徴収率は一〇〇%だというふうに計算をしておられますので、その辺でも収入見込みに相当の違いがございます。そういった点から、自動車工業会は二・五%でも相当の税収がある、こういうようなことをいっているのではないかというふうに考えております。
  69. 依田圭五

    依田委員 徴税の方法が申告納税になっておるのですけれども、実際いって役所のほうは、公表しておる小売り価格、たとえばトヨタ自動車が出しておるコロナという車は五十六万四千円、あるいは日産が出しておるブルーバードという車は五十六万円ちょうどですね。これを各府県のディーラーとか、あるいは特約店、自分の会社の出先機関を通して、あるいはさらにその先にいるブローカーですか、販路を開拓する人たちを通してほんとうに需要者の手に入るときには相当な値引きがされておるわけですね。そこで申告納税ですから、値引きの度合いというものはそれぞれ土地土地によっても変わるでしょうし、運賃その他もあります。また需要関係もあるし、競争の度合いもあるわけです。相手の会社があれば競争で値引きするし、独占的なシェアの場合には相当高い値段でさばくでありましょうし、また、厳密に言えば、相対で一人一人の取得価額が全部違うわけです。全部申告してやるのか。法文はそういう解釈だと思うのですが、それとも公表価格がありますから、その一割引きとか二割引きとかきめて、全国的に発表して、ぴしゃっと納税さして、それ以外の特別に安い、親族間であるとか、あるいは寄付でもらったとかいうようなものだけを申告させるのか。もし個々の一人一人の値段の違う申告をさせると、相当徴税事務が煩瑣になるように思うのですが、その点どうですか。
  70. 松島五郎

    松島政府委員 この自動車取得税課税標準をどういうふうにきめるかという問題については、いろいろな考え方がございまして、私どももずいぶんいろいろと検討いたしました。大体大まかに言って二つの方法があると思います。一つの方法は、課税団体が一定の基準に基づきまして評価をいたしまして、その評価額に基づいて税額を算定して課税をするという方法が一つでございます。もう一つの方法は、この法律案にありますように、取得価額を申告をしていただきまして、それに税率を乗じて税を納めていただく、こういう方法でございます。現在の不動産取得税のような場合には、御承知のとおり市町村が評価をいたしました価額、すなわち固定資産課税台帳に登録された価額を基準にいたしまして税率を乗じまして税額を算定する、こういう方法をとっております。この方法が比較的課税の公平という面から言えば適当ではないかということで、私どももいろいろ検討をいたしました。しかし、こういう方法をとりますと、徴収方法とも関連いたしますけれども申告納税ということがむずかしくなります。課税標準をきめるのは地方団体側でございますから、税金を納めようと思いますと、自動車を買いましたが、この自動車は幾らに課税団体では評価をするのですかということを聞きに行って、それが五十万円だとか百万円だとか言われたときに、それではというので帰ってきて、税額を計算してもう一度申告に行かなければならぬ、こういうことになります。どうしてもそういう場合は申告納税という方法をとることができませんので、賦課課税徴税令書を地方団体側から一方的に出すということにならざるを得ないというふうになります。しかし、この税金を円滑に納めていただきますためには、できるだけ自主納税という方向が適当ではないか。かたがた、国税においては申告納税という制度がずいぶん普及もしてまいりましたので、そういった点から、できるだけ申告納税という制度をとっていくほうが円滑にいくのではないかということを考えました。申告納税にいたしますと、税金を納められる方が自分で税金の計算ができなくてはなりません。自分で税金の計算をいたしますためには、課税標準を自分でまず知っていなければならぬわけでございまして、そのためにはやはり取得価額、自分の買った値段というものはだれでも知っているわけでございますから、それによって税率をかけて納めていただくというやり方がいいのではないか、こういうことで申告納税の制度と相関連いたしまして、取得価額の方式にいたしたのでございます。しかし、取得価額の方式にいたしますと、お話しのように安く買ったとか高く買ったとかいう問題が多少起きてくる心配がございます。そこで、実際上の事務取り扱いとしてどういうふうにしていくかということを私どもいろいろくふうをしていかなければならないと思っておるわけでありますが、そのくふうの一つとして、大体公表小売り価格を基準にして、この程度までのものは、申告されればそれは申告を是認をして処理していく、こういうような方式を考えてまいりたいというふうに思っております。
  71. 吉川久衛

    吉川委員長 山本弥之助君に関連質問を許します。
  72. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 建設省お見えになっておりますので、一言お尋ねしたいと思うのでありますが、今回の自動車取得税に関連いたしまして、これは市町村の道路の自主財源をふやあうというたてまえに相なっておるわけでございますが、従来も、あるいは将来にわたりまして、道路整備五カ年計画等を遂行する過程におきまして、公共補助事業等が、市町村道整備、都市計画事業その他であると思うのであります。これらは当然継続していかれると思うのでありますが、いかがでございましょう。
  73. 川田陽吉

    川田説明員 仰せのとおり、第五次道路整備五カ年計画におきましても、道路関係の改良、それから都市局関係の都市計画街路としてやります市町村道関係事業を大幅に拡充して実施することにいたしております。
  74. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 従来、府県におきまして単独事業として市町村に市町村道補助金というのが計上されておると思うのでありますが、これらの総額等おわかりでございましょうか。建設省でおわかりでございますか。
  75. 川田陽吉

    川田説明員 古い——古いと申してはなんでございますが、決算による統計数字は私どものほうも承知しておりますが、建設省といたしましては本日資料を持参してきておりませんので……。
  76. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自治省にお願いしたいと思うのでございますが、今度の財源関係によりまして、従来都道府県で計上いたしております市町村道の補助金等、これはやはり従来どおり計上を続けていくように指導が願いたいと思っておるのですが、いかがでございましょう。
  77. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 自治省としましては、地方の単独事業について、県と市町村との関係に特別に積極的な関与はしておらないわけでございますので、こういう制度ができたことによって特にこれを変更するというようなことはなるべく避けていきたいと思います。
  78. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 もう一点簡単にお尋ねいたしたいと思いますが、過般の予算委員会におきまして、阪上委員から、この取得税の配分について、現在の府県、市町村の税配分あるいは財政状態から言いまして、市町村のほうが非常に財政的に困窮しておる、したがってこれを全額市町村に配分すべきであるという質問に対して、自治省側において検討を加えるという答弁がなされたように記憶いたしております。この配分について、すでに府県におきましては特定財源整備されておるわけでありまして、これについての減税になるとかなんとかということはないと思いますが、今回の取得税について、徴税費は、自動車登録その他把握するという意味においてやむを得ないといたしましても、徴税費を除外いたしまして、これはある程度まで潤沢な徴税費を府県に与えるということについてはいいと思うのだが、ほとんど全額を市町村に譲与するということが当然考えられてしかるべきであると私は考えます。ことに燃料課税ということのかわり財源というふうな考え方をこの前、局長からお聞きしたのでありますが、当然それらについての配慮があってしかるべきだと思うのでありますが、いかがでございますか。
  79. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘のような点も、私どもとしては十分考慮をいたしたつもりでございます。それでもなお三割相当額は府県に残してあるではないかというお尋ねであろうと思いますけれども、税として徴収を府県にさせます以上は、やはり徴税意欲と申しますか、そういった問題も考えてまいらなければならないと思います。新しい税金でもございまして、税の徴収につきましても、やはり府県当局に格段の努力も願わなければならない問題がいろいろあろうと思います。したがいまして、ある程度は徴税をした団体の収入に帰属するということでございませんと、この税がかえって円滑に行なわれないような結果になってもいかがかと考えられますので、そういった点を考えましたいわばぎりぎりの線まで私どもは市町村に配分するということにいたしたわけでございます。こういたしましても、なお指定都市を有する府県におきましては、当然のこととはいいながら、府県道分、国道分につきまして三割をさらに再配分をするわけでございまして、そういう府県におきましては、実際手取りはもっともっと少なくなる、こういうようなことも考えますときに、やはりこの辺が一応の限度ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
  80. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 府県財源といたしましても、いまお話しになったように、微々たるものでありますので、この際英断的に、しかも取得税については私は将来やはり燃料課税に移行すべきである、もしこの法案が通過いたしますにしましても。そういう税体系考え方からいっても、もし認めるにいたしましても、あくまで暫定的なものではないかというふうな考え方をするのであります。その意味からいきますと、当然性格からいっても、府県税としては、ことに指定都市をかかえておる府県におきましては、ほとんどわずかな配分しか受けないという実態からいって、この際税源に苦しんでおる市町村に思い切って配分すべきである、かように考えておりますので、ぜひ再検討を願いたい、こう考えております。  これで関連質問を終わります。
  81. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまの点につきましては、いま申し上げましたように、私どもといたしましても、いろいろな場合を考えまして、その上で市町村に一番多くいくようにいたしたいということでこういうような率を一応定めたわけでございます。しかしただいま御指摘のとおりに、市町村の道路財源の問題がこれで全部済んだということには必ずしもならないと思いますので、将来さらに市町村道財源をどうするかという問題を検討するにあたりましては、ただいま御指摘の点を含めましてさらに研究をいたしてまいりたいと思います。
  82. 依田圭五

    依田委員 あと一、二点だけ質問いたしまして終わります。  第一は、時限立法にする意思はあるのかないのか、これが一点であります。  その次に、地方公営企業に対して免税をしないようになっておるようでありますが、その台数、その取得金額の総額がわかっておればはっきり知らしていただきたい。それからその根拠も。  それからもう一点は、道路公債という案があったそうでありますが、これを取り上げないで今回この税法に落ちついた当局の考え方のあらましを御報告願いたいと思います。
  83. 松島五郎

    松島政府委員 時限立法にする意思があるのかどうかというお尋ねでございますが、現在のところ道路整備の問題は、一応新しい五カ年計画ができておりますけれども、その五カ年でもって完了するものとは考えられませんので、そういった点を考えますと、現段階においてこの税を時限立法にするという考え方は持っておりません。  第二点の地方公営企業の問題につきましては、後ほど数字を申し上げます。  第三点の道路公債の問題でございますけれども、私ども道路公債のお話というのを直接的に伺ったことはございませんが、これはいろいろな方面でおりに触れて出てくる問題であるようでございます。したがいまして、その道路公債というもので考えております内容も、確定的なものでございませんで、人によって違うようでございます。ただ、この自動車取得税に関連して道路公債ということを一部の方が言われた文書を私は拝見したことがございますが、その内容もきわめてばく然としたものございまして、自動車を買う方が、買うときに一定の道路公債を買うことを義務づてはどうかという内容であったように記憶いたしております。ちょうど電話をつけます際に電話公債を買うのと同じような内容であったように記憶いたしております。しかし、一体電話公債のような場合でございますと、電話をつける人と電話公債を買う人との間には、電話をつけることに関連する一連の契約、一つ内容の契約として処理されるわけでありますけれども自動車一般の民間会社から買うということと、それから地方公共団体なり国なりの発行する道路公債を買えという義務づけとは、どういう形で結びつくのか、そういう地方団体なりあるいは国なりの発行する道路公債を買わなければ私的な契約が成立しないというような法律的構成をとるということが、現在の法律の体系上許されるのかどうかという法律上の疑問がございます。  それから第二には、その道路公債の償還をどうするのかということになりますと、その償還はたしか五年くらいの間に返すということになっていたと思いますが、返す財源はどこに求めるのかということになりますと、それはどうもばく然としているようでございまして、どこかに金があるであろうということでありますならば、これは現在税をよけい納めてもらっても、道路整備しなければならぬということと結びつかないわけでありまして、その点につきましても疑問がございます。  さらに、その道路公債をだれが発行するのかという点になりますと、さらにあいまいでありまして、府県が発行して市町村の道路財源に回すのだという内容であったように見受けられますけれども、一体、府県が発行してその元利償還を府県がして、そしてその財源を市町村が使うということは、財政的に一体どういう形になるのかという点になりますと、私どもどうもその辺の理解がつかないという点がございます。  そういうふうに、一時この自動車取得税にかわるものとして道路公債はどうかという御意見がございましたけれども、その内容を書いたものでもって拝見した限りでは、私どもとうてい自動車取得税にかわるものとして考え得るものというふうには思われない内容であったわけでございます。  なお、地方公営企業につきましての見込み額につきましては、府県税課長からお答えをさせていただきます。
  84. 森岡敞

    ○森岡説明員 お答えいたします。  地方公営企業全般を通じましての数字ではございませんで、交通関係バス事業だけの数字を手元に持っておりますので申し上げます。四十三年度の年間の購入見込み台数は約一千五百台で、その収入見込み額はほぼ一億五千万円程度、こういうことになっております。
  85. 依田圭五

    依田委員 これをどうしてはずしちゃったのですか。民間との関係でもう問答無用というわけですか。
  86. 松島五郎

    松島政府委員 自動車取得税道路損傷に対する目的財源であるということから申しますと、国であろうと、地方団体であろうと、何であろうと、道路との関係では自動車取得税を納めていただくのが原則であろうと思います。ただ、課税団体であります地方団体あるいは課税団体であります国との間では相互に税をかけ合わないという原則がございますので、国と地方団体そのものにつきましては課税しないことにいたしておりますけれども、公営企業の場合、特に交通事業のような場合になりますと、民間のバス事業タクシーもみんな課税をされておるわけでございまして、そういう点から言えば、やはり公営企業の自動車については、この際取得税を納めていただくのが適当ではないか、こういうような考え方に基づいておるわけでございます。
  87. 依田圭五

    依田委員 民間もそうだから、(「上水道」と呼ぶ者あり)上水道は、全然課税しておらぬわけですから、これは民間に競争がないから特別扱いしているのだという御答弁になると思いますけれども、地方公営企業の持っておる性格、その任務、それからモータリゼーション時代における制約、こういうものと不採算路線をたくさんにかかえておるのです。そういう地方公営企業の特殊な性格に照らして、これと民間との関係、問答無用ということで一括して扱うことについては、もう少しきめのこまかな検討をお願いをいたしておきます。  それから、道路公債につきましては、いろいろ議論がありまして、党の立場もありますからこれ以上触れませんが、党は公債政策については非常に強い批判をいたしておりますから、これ以上触れませんけれども、ただ七種類も八種類もある税金の上に、また税金を新しく創設して、しかも永久に続く道路の造成に対し、あるいは舗装その他を——永久とは言いませんけれども、半永久的にできるであろう道路をそのときの自動車取得者にその負担を転嫁する、こういうことについて私は相当問題があると思うのです。局長の言うように、公債の償還財源をどうするかということになれば、これはやはりガソリンの消費税か何かの税源、いまでも三千三百億も入っておるのですから、これらの税率を上げるなり何なりして考えていけばいいのであって、ともかくある時点における自動車取得者に対して、恒久的な道路の造成財源負担をさしていくということについては、問題があるのではないかと私は思いますが、まあ道路公債そのものについては、党が非常に反対いたしておりますので、これ以上触れません。ただ、資料を二、三要求しておきます。  一つは、一六四ページの特殊自動車の政令、六百九十九条の二項ですが、特殊自動車、レントゲン車であるとかクレーン車が相当むずかしいというわけで、これをはっきりさしてもらいたいということが言われております。この政令の内容をひとつはっきりさしていただきたい。一つは、一番最後に一七五ページの六百九十九条の七、特別の事情がある場合における自動車取得で政令で定める場合、これをひとつはっきりさしていただきたい。この二つの資料を要求いたしまして、私の質問を終わります。
  88. 吉川久衛

    吉川委員長 松島局長、資料は用意できますか。
  89. 松島五郎

    松島政府委員 できるだけ早い機会に資料として提出をいたします。
  90. 吉川久衛

    吉川委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  91. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、出席がおくれますので、委員長指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。折小野良一君。
  92. 折小野良一

    ○折小野委員 昨年の地方税法改正の際には、自治省はいわゆる負担分任ということをしょっちゅうおっしゃいました。ことしは、それにかわりまして、安定した財源が地方税の場合は望ましいのだ、こういう意見を再々おっしゃるわけでございます。しかし、現在、その対象になっております社会、これは非常な勢いで変動しておる。したがって地方行政自身も動いておる。行政が真に地方住民のために行なわれるということでありますならば、この変わっておる社会に即応した体制がとれるということでなければならないのじゃなかろうかと思っております。したがって、自治省がおっしゃる安定した財源が地方の場合は望ましいのだ、こういう考え方、これはむしろ現在の時勢において、税務行政を考えられる場合に間違いじゃないかと私どもは思いますし、また、そういうようなお考えがありましたら、今後の地方税制あるいは財政、地方行政全般につきましても非常におくれた行政が行なわれる。またその行政の結果、住民へのサービスというものが向上されない、こういうような点を私ども感ずるわけでございます。そういう点からいって、安定した財源が望ましいのだということでなしに、むしろ現実の社会に適応した適切な行政が行なわれるような、そういう財源が望ましいのだ。社会が流動しておりますならば、むしろ財源というのもそれに応じて一定の流動性を持ったもの、こうでなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、自治省の御見解をお伺いいたします。
  93. 松島五郎

    松島政府委員 市町村税として税を考えます場合に、安定性のあるものが望ましいということは、先日も申し上げたとおりでありますが、ただいま御指摘のように、社会がきわめて流動的な状態のときには、やはりそれに即応したような、適応性を持った税収入というものも考えるべきではないかという御指摘、まことにごもっともでございます。私どもも市町村税収入が単に安定さえしていればいいのだというふうに考えているわけではございません。結局、安定性ということと伸長性ということをどういうふうに考えていくかという問題であろうと思います。私どもは、このごろのことばではございませんが、安定的な成長をしていくような税収入というものが、言ってみれば地方税としての安定性ありかつ伸長性ある税収入ではないかというふうに考えております。地方税に安定性のある税源が必要だと申しますのは、景気変動にあまり大きく左右されるような税収入でございますと、御承知のとおり地方団体は非常に規模の小さい団体財政でもございますし、そういう景気の変動に直ちに即応していけないという面を持っております。また、その財政需要も国民の日常生活に接触するような行政に要する経費が多いわけでございますから、景気のよしあしにかかわらず一定の財政需要がございますから、それによって税収入が非常に大きく変動しますために行政ができないということになってはいかぬという面から、安定性ある税源が望ましいと言っておるわけでございますけれども、安定性即停滞性ということを必ずしも意味するものではない、やはり安定性を持ちながらも世の中の発展に伴って伸びていくような税収入ということが望ましいというふうに私は考えておるものでございます。
  94. 折小野良一

    ○折小野委員 二の点につきましては、一つ考え方でございますが、ことしは明治百年でございますけれども負担分任とか安定した財源とかいうような考え方は、むしろ百年前の地方自治が始まったころの基本的な考え方じゃないか、やはり今日、時代は非常な勢いで動いておるのですから、そういう現実というものを十分見て、そしてその現実に適応した行財政というものを当然考えていくべきであろう、こういうふうに考えるわけでございます。  ところで、現在の地方の動きの中で一番大きいのは何と申しましてもいわゆる都市化の傾向ということでございますが、この都市化の傾向に対しまして財政が即応しない、税制が即応しない、こういうところが一番問題でございます。けさ見えました政令都市の方々の陳情にいたしましても、大都市が非常な勢いで膨張していっておる、いわゆる過密の問題がいろいろな場面に出てきておる。ところが、やらなければならないと思っても金がないからやれない、税はそれに応じて伸びてない、こういうところに一番問題があるわけでございます。これに対しまして今日までの自治省お話を伺っておりますと、なかなか適当な税がないのだというふうにおっしゃる。確かに過密地帯の反面には過疎地帯がある。過密も過疎もひっくるめて対応し得る税というのは、それは確かにないであろうと思っております。税が万能じゃ決してございません。しかしそういう面につきましては、もっと高い立場から考えていきますと、十分な調整がきくと私どもは思うのであります。たとえば税とそれから交付税の関係考えてみますならば、端的にいって、過密は税で過疎は交付税で、こういう大まかな考え方をとってやっていっていいのじゃないか、またやれるのじゃないかと思う。ところが税は税についての考え方、それが非常に硬直化してきておる。あるいは交付税は交付税についての考え方、それなりに硬直化してきておる。こういうところになかなか弾力的な対策がとれない原因というものがあるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございますが、こういうような点についてのお考えを承っておきたいと思います。
  95. 松島五郎

    松島政府委員 先日来いろいろ御意見がございますように、最近の地方自治団体、特に市町村におきます人口の移動等を考えてまいりますと、お話しのように一つの税でもってすべての団体に十分なる収入が得られるような税を考えるということは非常にむずかしいと私どもも感じております。これは税源をふやす場合についても同様でございますが、税源を減らすと申しますか、減税をいたすような場合につきましても、前回も申し上げたと思いますが、たとえば今回の住民税の減税にいたしましても、町村と都市と大都市というふうに分けまして、納税義務者一人当たりの課税所得をとってみますと、町村は非常に低い、都市はそれよりやや高く、大都市が一番高い。したがいまして、そこで課税最低限を同じようにかりに十万円引き上げるといたしますと、その減税が与えます影響というものは全国一律ではございませんで、課税所得の非常に低いところでは半分くらいの人が税を納めないというような事態も起きてくることも考えられるわけでございます。そういう点から申しますと、単に市町村税というような一つのことばで表現はされておりますけれども、それぞれの団体に与えます影響は、減税の場合にも増収の場合にも非常に違うわけでございまして、それはもう社会経済の実態と申しますか、それ自体がそういうふうに変わってきている結果であろうと思います。そういう結果を、そういう、何と申しますか、社会経済の実態を無視してものを考えていくということは、御指摘のとおりできないわけでございまして、私どもも、今後の市町村税を考え方向といたしましては、やはり御指摘のありましたように、税でまかなっていくことを中心として考えなければならない団体と、交付税を中心にして財政をまかなっていくべき団体というものを、ある程度、どこで線を引くかという具体的問題になりますと、いろいろ議論はありますでしょうが、少なくとも基本的な考え方としては、ある程度割り切っていかなければどちらつかずになってしまう可能性が多くあるように思われます。そういう点は私どもも、御指摘のとおり、最近の世の中の動きから十分感じておりますので、今後税制を考えてまいります場合にも、その点を十分念頭に置きまして検討をいたしてまいりたいと思います。
  96. 折小野良一

    ○折小野委員 もちろん税制だけですべての解決はできないと思いますし、また現在の地方の行財政の範囲内だけでもなかなか基本的な解決はできないであろうと思います。そういう面については私ども、国から地方を通ずる行政事務の再編成、これに伴います財源の再配分というのを念願をいたしてまいっておるわけであります。昨年もこういう面について御質問いたしました。現在検討中だということでございますが、こういう点については現在検討がどの程度に進んでおるか、そしてその検討の結果、何らか具体的な効果があらわれる時期というのがどういう時期に見通されるか、そういう将来の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  97. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、御承知のとおり、地方制度調査会で昭和四十一かに出されました行政事務の再配分に関します答申に基づいて、財源配分をするとすればどういつだ形でどういうふうにやるべきかということについて御検討をいただいておる段階でございます。おそらくことしの夏ごろまでには答申がいただけるものと考えております。私どもはその答申をいただいた段階で、その答申に沿って善処いたしたいというふうに考えているわけでございます。現在までに考えられておりますものの非常に大きな部分は、国道と府県道と市町村道の問題につきまして、道路のそれぞれの管理者がその経費を全部負担するというたてまえにすべきであるという点が、財源的には一番大きな部分でございます。そうなりますと、おそらくその問題は道路財源の再配分の問題というようなことになるのではないかというふうに考えております。
  98. 折小野良一

    ○折小野委員 行政事務の再配分並びにこれに伴う財源の再配分の問題も、なかなかいろいろな問題があろうと思います。したがって、またそれにすべてを期待するというわけにもまいらない。現在の地方自治の制度の中におきましても、考える面はやはり考えてまいらなければならないと思いますが、その中で、これもこの間からの御答弁の中にありますのですが、固定資産税が伸びないということを自治省みずからおっしゃっております。特に市町村の税の中で市町村民税と並んで一番大きいのが固定資産税、したがって、固定資産税が伸びないということは、市町村の財源を確保する上において非常に困ったことでございます。しかし私どもはその賦課の実態その他から見てみますと、これは自治省が単に伸びないというふうにおっしゃっている、そういうようなことでなしに、むしろ今日まで自治省のこれに対する扱いは伸ばさないという方向で扱っておられるのじゃないか、こういうふうに考えざるを得ないのです。その一番基本的な問題は、固定資産、特に土地なんですが、土地の評価の問題です。現在評価の状態につきましては、申し上げるまでもないと思っておりますが、時価に対しまして、よく評価してあるところでせいぜい五分の一、ひどいところになりますと十五分の一、これくらいしか評価されていないのであります。したがって、現実を税制の上に少しでも反映させよう、また反映させなければならないといたしましても、こういうような現実と非常に隔たった状態におきましては、それが税制の上で反映してこない、これは当然のことだと思っております。都市化という問題がいろいろございますが、この都市化に最も即応するのはやはり土地、地価だ、こういうふうに私ども考える。そういう面からいたしますと、評価という問題が現在のような状態になっておるということ、むしろ自治省のほうで現在の状態にしておられるということは、すなわち固定資産税を伸ばさない一番大きな原因になっておるというふうに考えます。またそのために、土地については固定資産の評価がありますが、それでぐあいが悪いからでしょう、結局国においては相続税の評価というものはまた別につくっている。そして最近では建設省のほうでさらに公示制度というものをいろいろ準備しておる。土地についての価格というものがいろいろある。こういうような状態では、これはやはり土地対策というものがうまくできない、あるいは地価対策というものができない、こういうことの一番大きな原因になっておるのではないかというふうに考えます。もちろん税というものはただ単に一定の財源を取るということだけではなしに、その税があることによる行政上の別の効果というものも当然考えていかなければならないわけですし、そういう立場からいたしますと、今日の都市化の時代において、私は、土地に対する固定資産税あるいは都市計画税、こういうものが最も大きく期待されていいのではないか、こういうふうに考えるのでございますが、これがおっしゃるように伸びない、私に言わせると伸ばさない、こういうような形をとってきておると思う。こういう点についてどういうふうにお考えになっておるか。また、こういう点について将来どういうふうにしようとお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  99. 松島五郎

    松島政府委員 固定資産税の問題についての御指摘でございますが、固定資産税につきましては、現在、御承知のとおり昭和三十九年度に行ないました評価が急激な上昇となりましたので、一挙に新評価に基づきまして負担を求めることが困難でありますことから、逐次新評価に近づけていくという、いわゆる負担調整措置を講じておる段階でございます。御指摘のとおり昭和三十九年度に行ないました評価がかりに適正なものであったといたしましても、その後すでに三年、四年の経過をしておりますので、その間にも地価の上昇がなお続いておるわけでございますから、今日ただいまの段階で見ますと、その評価もなお低きに過ぎるのではないかという批判もあることは御指摘のとおりでございます。最近地価問題から、土地税制のあり方全体についていろいろ論議がございます。地価の上昇という点から何らかの対策を講じていかなければならない。その対策を税の面において求めるとすればどういう考え方があるかということがいろいろ議論されておりますことは御承知のとおりでございます。その一つとして、ある場合には空閑地税のようなものを起こすべきであるという議論もございます。ある場合には開発利益を吸収するような税制を考えるべきであるという議論もございます。しかし、そういう議論をする前に、現在ある固定資産税の評価をもっと時価に近づけることによって大部分の問題は解決するのではないかという議論もございます。これらの問題については、ただいま政府の税制調査会の中に土地税制の特別部会というものができていろいろ御検討いただいておりますが、ただ、固定資産税の評価を時価に近づけるということの必要なことは私どもも同感でございますけれども、しかしまた一面において、固定資産税は広く一般の国民にかかる税金でございます。特に住宅用地に対してもかかる税金でございますので、全体的に地価は上がっておりますけれども、住宅として住んでいる人が、それだからといって税が同時に上がっていくことに対しては強い抵抗もあり、問題もあるわけであります。その辺をどう調整するかということが、結局は固定資産の評価を適正にしていく場合に一番大きな問題であろうと考えております。この辺の調整のために、いわば現在の負担調整率というようなものも出てきたわけでございまして、その辺の問題を念頭に置きながら、税制調査会の結論を待って、私どもとしてはこの問題に取り組んでまいりたいと考えておる段階でございます。
  100. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、自治省の固定資産税に対する考え方が基本的に間違っているんじゃないかと思います。ただいまのお話のように、住宅用地が上がるのは困る、こういうようなお考えが開陳されたのですが、私どももそういう面については十分考慮されなければならない、こういうふうに考えます。しかし、そのことのために評価を極度に低く据え置くということは、税の本来の考え方からするとむしろ逆な方向である、評価はあくまでも適正な時価、操作するならば基礎控除あるいは税率、こういうような面で当然操作さるべきじゃないか。それを税率とか控除とかをそのままにしておいて、評価のほうを動かさない、あるいは時価と評価との間の非常に大きな差をそのまま放置しておく、これはむしろ扱いとして逆な扱いじゃないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  101. 松島五郎

    松島政府委員 時価はどこまでも時価であるべきだという点は、御指摘のとおりだと考えております。ただ、それでは税負担の面をどう調整するかという場合に、具体的に御提示になりました税率あるいは控除制度によってやるという問題、もちろん考えられないほどの問題ではございませんが、税率でもって調整をするという場合になりますと、それでは家屋に対する税率あるいは償却資産に対する税率との関係をどう考えるかという、固定資産税制度全体をどう考えるのかというむずかしい問題がございます。それから控除制度につきましても、この委員会でもいろいろ御検討をいただきましたように、一体固定資産税制度そのも  のに控除制度というものが税の体系としてなじむものであるかどうかという基本的な問題もございます。また技術的な面でも非常にむずかしい問題がいろいろございます。私どももいろいろな場合を考え検討を続けておるわけでございますけれども、評価でもって調整をするというようなことは、御指摘のとおり事柄自体が反対であるような感じは強く持っておりますが、さればといって、それにかわる調整の制度というものはどういうふうに考えられるかという問題について、いま検討しているという段階でございます。
  102. 折小野良一

    ○折小野委員 この問題につきましては、特に将来の地価対策、そういう面ともいろいろ関連をいたしておるわけでございますので、これは十分考えていただいて、しかもより効果的な税制並びにその運用というものをやっていただかなければ非常に困るんじゃないかと考えます。将来の地価対策という面からいたしますと、いまおっしゃった空閑地税的なもの、あるいは開発利益の吸収、こういうようなものがございますが、こういうようなものの中で、やはり一番対象になりますのは、何といっても固定資産の対象になっている土地なのでございますから、この評価というものをどうするか、こういう基本的な問題からいろいろな問題が出てくるわけでございます。私は現在、固定資産と申しますよりは、土地が個人の資産になっておる、そして資産をふやす手段として土地を取得しておる、こういうような実態から考えました場合に、同じ土地であってもその用途あるいはその用途の社会的な意義、こういうものによって、いろいろな段階税率があって差しつかえないんじゃないか、あるいは場合によっては不用の土地を多く持っておる者に対して、固定資産税においても累進税率あるいはそれに類するもの、こういうものを考えてもいいんじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、現在固定資産税というのは伸びないというふうにおっしゃいますが、今後やはり、市町村の一番基本的な税でございますし、しかも現在問題になっております都市化、そして地価の問題、これに最も関連をする税でございますので、この点についてはひとつ十分な御検討をお願いをいたしたいと思います。  ところで、その都市化に関連をいたしましての税の配分の問題でございますが、これはなかなかむずかしいむずかしいとおっしゃっております。しかし私は、必ずしもむずかしいことはないんじゃないか、やろうと思えばやれるんじゃないかと思うのでございます。したがって、一つ一つ簡単にお聞きしてみたいと思っております。  都市化即応という立場からいたしまして、各大都市でもそれぞれ要望をしておるところでもございますし、また都市化にある程度即応した財源だとも考えられますものに住民税の法人税割りがございます。この税率が現在八・九でございますが、この標準税率を上げるということに対してはどういうふうにお考えでございますか。
  103. 松島五郎

    松島政府委員 法人税率の問題につきましては、市町村の税収入を増大させるために上げるといたしました場合、二つの考え方があると思います。一つは、全市町村を通じて上げるという上げ方があると思います。それからもう一つは、大都市なら大都市という特別の地域において別な税率を定めて上げることができるようにするという方法があると思います。いずれにいたしましても、そうなりますと法人の負担がそれだけ重くなるわけでございますから、法人に課せられております税、すなわち法人税、法人事業税、法人税割り全体を通じて、法人の税負担をこれ以上に上げるべきかどうかという問題として検討されなければならない問題でございます。もしもその場合に全体として上げることが不適当であるということになれば、法人税の税率を引き下げてその上に、それに相当する分を法人税割りの税率として上げていくという考え方をとらなければならない場合もあろうと思います。そういうふうになってまいりますと、結局この問題は、法人に対する課税全体をどう処理をしていくかという問題の一環としてでなければ結論が得にくいわけでございまして、大都市なりあるいは市町村が困っているからすぐに法人の税率を上げればそれで済むんだというわけにはいかない問題でございますので、私どもとしては、そういう全体の法人負担がいかにあるべきかという問題の一環として今後検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  104. 折小野良一

    ○折小野委員 私、実は御説明をお聞きするのでなしに、大都市の都市化に即応する一つ財源として地方税の中で見るならば、この法人税割りの税率を上げるということが一つ考えられる。これに対して自治省として、上げるという立場において検討されておるのかどうか、そういう点を端的にお伺いしたいと思います。
  105. 松島五郎

    松島政府委員 また説明になって恐縮でございますけれども、結局大都市の税源をどうしていくかという問題、この問題は単に法人税割りを上げる上げないだけで処理をするのか、あるいはその他の税をあわせて考えていくのかということにも関連をいたしますので、私どもといたしましては全体を通じて問題を検討していかなければならぬ、この法人税割りだけ一つ取り上げて、これを上げるのの是非という形ではなかなか答えを出しにくいということでございます。
  106. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは、不動産取得税というのがございます。これは不動産に関連をいたしておりますし、また開発の進んでまいりますところでは不動産の取引というのが非常に多い。ですから、いわば都市化にある程度即応した財源だというふうに考えます。といたしますと、現在都道府県の税でございますが、これはやはり都市税制の中に入れたほうがいいんじゃないか、こういう見方があるのでございますが、不動産取得税を都市税制の中に組み込もう、こういうようなお考えはございますかどうか。
  107. 松島五郎

    松島政府委員 確かに一つ考え方であると思いますが、いまの段階で不動産取得税を直ちに市町村税にするという方向検討をいたしておるわけではございません。何度も申し上げて恐縮でございますけれども、かりに何かの税金を、それがすでに現在国税なり府県税なりとして取られているものを市町村に移すということになりますと、そのこと自体をとってみれば移すということの合理性はかりにあるにいたしましても、それによって減収を生ずる団体の問題、財政をどう処理していくかということとあわせて考えてまいらなければなりませんので、結局問題は、あるいはさらに御指摘があるかもわかりませんが、幾つかの税について検討いたしてみます場合に、それによって失う団体財政の問題と、それによって得る団体財政の問題とをあわせて考えながら、その場合にどの程度移譲するかということも考え、それに対応する財源措置をどうするかということも考えた上で結論を出さなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  108. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは、さらに同じような税で料理飲食税あるいは娯楽施設利用税、こういうものはやはり都市に集中するという性格のものでございますし、都市に集中した人たちがこれを利用するというようなかっこうになるわけでございます。現在これも道府県税でございますが、これは都市的な財源だというふうにいっていいんだと思うのでございます。これを都市財源に組み込む、こういう考えについてはいかがでございますか。
  109. 松島五郎

    松島政府委員 大都市にあるいは都市にどれだけの財源をこの際税として与えるべきかという一つの結論が出たといたしますと、その結論に基づきまして、それではそれを充足するためにどういう税金が移譲するのに最もふさわしいかという検討の問題になると思います。その検討のいわば第二段の検討段階においてどういう税金を選ぶかということになりますと、いま御指摘のような税金というのは一応検討さるべき対象になるものと考えております。
  110. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは、地方道路譲与税というのがあるわけですが、これは道路に対する目的税でございます。ところが同じような税金で、これの配分の方法がいろいろ違うというのがあるわけでございます。この地方道路譲与税の配分の方法について、ほかの軽油引取税あたりと同じように、あるいは今度自動車取得税についてもそういうような規定ができるわけでございますが、これをただ単に延長と面積だけでなしに、これを補正するただし書きをつける、こういうような改正についてはどういうお考えでございますか。
  111. 松島五郎

    松島政府委員 石油ガス譲与税につきましては、配分にあたって補正をいたしております。また軽油引取税につきましても同様な補正をいたしております。それに対して、道路譲与税のほうは補正をしておりませんが、補正をすることについてどうかというお尋ねでございます。これも前回申し上げたと考えておりますが、石油ガス譲与税のほうは、プロパンガスを使って走ります自動車というのはほとんど都会だけでございますので、税は本来ならばその税金があがるところに税収入もあがるというたてまえをとるべきものでございますので、できるだけそれに近づけようということで補正をいたして、なるべく大都市財源がいくように、こういう配慮をいたしておるのでございます。それからまた、軽油引取税につきましても県単位でございますから、たとえば大阪府内においてあがりました税収入はなるべく、そのうちの大阪市分に相当するであろうものは大阪市に還元されるようにという配慮から補正をいたしておるわけでございます。道路譲与税は、国全体として上がりました揮発油税を、いわば地方団体に対する一つ財源調整的な考え方も入れまして配分をいたしておるわけでございます。したがって、どちらかといえば、むしろいなかの府県になるべく十分な税収入が得られるようにというような配慮のもとに、補正をあえていたしていないということでございます。配分の方法がいろいろ違うのは、御指摘のとおり私どもも非常に繁雑でございますので、できることならばなるべく統一をいたしたいということで検討いたしておりますけれども、それらの税につきましては、それぞれその税ができましたときの背景というものをもとにして配分方法もきまっておりますので、ある段階がきたからといって、何もかにもその成立当時のいきさつを無視して、一つの方法で処理してしまえばいいんだというわけにはまいらない面がございます。かたがた、長い間一つの方法によって配分をいたしておりますと、その配分方法のもとにいろいろな団体の利害関係というものが生まれてくるわけでございまして、それを一挙に変えていくということになりますと、またそこにいろいろな混乱が起きるという問題も考えなければなりません。そういったことを考えまして、私どもとしては繁雑ではございますが、現在まだそれぞれ配分方法が違っておるという段階でございます。ただ御指摘のように、幾つもの配分方法があるのがはたして今日の段階で適当であるかどうかという点については、なお検討しなければならぬ点も十分あると思いますので、私どもとしては、できるだけ統一化する方向でこの問題を処理してまいりたいと思っております。
  112. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろ検討しておる、あるいはむずかしい、困難であるとおっしゃるわけでございますが、そういうふうにおっしゃって、そして具体的に何もしない。そういう間に都市化というのは日一日と進んでいっているわけであります。過密化による都市生活のいろいろな阻害、こういうものは日一日と大きくなっていっておるわけであります。やはりいろいろなことをお考えになることはもちろんけっこうだと思いますが、しかし思い切ってやっていく、一つでも二つでも前進する、そういうような姿勢が必要じゃないかというふうに考えるわけであります。私が一つ一つ申し上げましたようなものにつきましては、その一つをやってもそれだけの効果はあると思っております。しかし全体のいろいろな面を配慮して何もやらないということになりますと、それによって都市化の弊害というものはますます大きくなるわけでございます。四十三年度を控えていまそういうことを申しても直ちに効果があがるわけじゃございませんが、明年度都市化に対する税制上の対策、こういうものを具体的にやっていただく、こういうお約束ができますかどうか、ひとつはっきりした御決意を承っておきたいと思います。政務次官ちょっとお願いいたします。
  113. 細田吉藏

    ○細田政府委員 一昨日でございましたかもお答えをいたしたのでございますが、ただいま御指摘になりましたようなこと、私ども一々ごもっともだと思っております。ただいま税務局長からのお答えの中に出ておりますように、国税、府県税、市町村税、一ぺんきまりますとやや固定的なものになるおそれが、これは税の持っている本質的な一つの性格だろうと思います。一つの何と申しますかワク組みができてしまう。これを実情に合うように変えていくということはいろいろな点で、一方をふやせば一方が減るというようなことがございますからなかなか困難性がある。それで実情についていけない。そこにいろいろ悩みがあり、きょうあたりの神戸市の御陳情の趣旨などもほんとうにごもっともだと思うわけでありますが、なかなか困難で進行しておらない、こういうのが率直に申し上げました実情であると思います。この点につきましては、先日もお答えいたしましたが、これでいいのかということになりますと、私はしからずと思います。いかに困難でございましてもやはり機動的に、実情に合うように、非常にいま変わり方が大きいものでございますから、どちらかというと行財政全体を通じて戸惑っておると申してもいいような感じだと私は思いますが、これらの点については、いつまでもむずかしいからといって問題を放てきしておいてはならないと思います。もちろん総合的とか全般的とかいいましてもなかなか全部が全部、仕事の配分問題から税源の配分問題みんな合わせてやる、これはもう理想でございましょうが、しかしある程度のところへまいりましたら、これは方向として大きな変化があるならば断を下さなければならぬ、かように私は思います。そういう意味で、四十四年度というお話がございましたが、今回の自動車取得税なんかも、一つ方向としては、特に自動車取得税の配分についての大都市傾斜というようなことも若干考えに入れております。これは一つ方向としては今度あたりも考えておるわけでございますが、四十四年度の地方の税制、財政含めまして都市化現象に対するあるいは過密都市に対する対策、これについてはさらに私ども大きく前進をさせたい、できるだけの努力をいたしたい、私どもの大臣もさように考えておりますので、努力をできるだけさせていただきたい、かように思っておる次第でございます。
  114. 折小野良一

    ○折小野委員 都市化に対応する税制改正を少なくとも明年度は具体的にやっていただけるというふうに受け取りまして、先に進みます。  今度の改正で、三百五十条に次の二項を加えるということで改正が出ております。「当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の三分の二をこえる場合において、百分の一・七をこえる税率で当該年度分の固定資産税を課するときは、あらかじめ、文書で、その旨を自治大臣に届け出なければならない。」こういう改正をしなければならないということにはいろいろな理由があるんだろうと思いますが、この原因になりました具体的な事例、あるいはまたこの規定によってどういうことを意図しておられるのか、御説明を願います。
  115. 松島五郎

    松島政府委員 一つの市町村の中で、非常に一人の納税義務者が持っておられます固定資産の価額が大きいような場合に、超過課税をいたしますにあたりましてはやはり慎重に配慮をしていただきたいということでございまして、特に三分の二以上と申しますと、まあ相当額の税を、税率が上がればその一人の納税義務者が負担するわけでもございますので、そういう場合には慎重にやっていただきたいという配慮からでございました。届け出を求めたからといって必ずしもその制限税率を上げることを認めないとか、そういうような趣旨ではございません。具体的な事例につきましては、大体現在大きな発電所のありますようなところでは、かなり税率を高く上げているという事例がございます。
  116. 折小野良一

    ○折小野委員 別に上げることができないということはないというふうにおっしゃるのですが、そうでありますならばなぜこういうような規定を設けなければならないのか、大きな固定資産を持っておる者もあるいは小さな固定資産を持っておる者も、権利においては同じだろうと思うのです。大きなこの三分の二をこえるというようなものはおそらく企業だろうと思うのでございます。そういう場合にだけこれに顧慮をして、そして小さな固定資産しか持っていない一般の住民に対してはどうでもいい、こういう考え方はどうかと思います。そういうような点からいって、あえていまの御説明ではこういう規定を新たに設けなければならない理由というのがわからないのでございます。もっと具体的に何かありましたら御説明を願いたい。
  117. 松島五郎

    松島政府委員 一般に固定資産税を制限税率以上にすることにつきましては、先生も御承知のとおり、標準税率制度というものがあります以上はできるだけ標準税率に従ってやっていただくように私どもも期待をし、そういう方向指導をしておるわけでございます。ところがたくさんの納税義務者が全部こまかいものといいますか、こまかい資産で負担をいたします場合には、やはり税率を上げるかどうかというふうなことも市町村の議会において十分審議をされて、住民の納得の上で問題が処理されていると思います。しかし現実を見てまいりますと、大きな固定資産があるようなところでは、上げればあそこから取れるのだからというようなことで税率引き上げが行なわれており、しかもそれが、私は標準税率制度があり、制限税率制度がある以上は、その制限内まで上げることは自由であると思いますけれども、それはどこまでもある年度に特別の財政需要があるから上げるということであって、それが済めばまたもとの税率に変えていくという弾力性のあるものでなければならぬと思いますけれども、こういうところでは往々固定的になるというような傾向もあわせて持っているわけでございまして、そういう点から言えば、やはりこの際ほんとうに上げる理由があるかどうかということについて慎重な配慮をしていただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。
  118. 折小野良一

    ○折小野委員 それぞれの地方団体は税の賦課に対しまして、あるいは条例の制定に対しまして、決していまおっしゃるように慎重でないとは言えないんだと思うのです。むしろそれぞれの自治体がそういう面に責任を持ってやることこそ地方自治を尊重するゆえんでもありますし、またほんとうの意味の地方自治を伸ばすゆえんでもあろうと思うのです。したがって、何も規制するものでも何でもない、こういうような規定をあえてあげなければならない理由というのは私ども考えられません。むしろこういう規定はなさないことのほうがより正しいし、また市町村は当然そういう面は自己の責任においてなすべきである、私どもはそういうふうに考えております。まあこの点については見解の相違もあろうと思いますが、この辺で一応おさめておきます。  それから自動車取得税でございますが、これは先ほどいろいろ御質問がございましたので、重複しないように一、二補足的に御質問を申し上げます。  自動車につきましてはいろいろな税金がかかっておるのでありますが、中でもこれに物品税と、それから今度新たに自動車取得税というものがかけられる、こういうことになりますと、いわゆる消費税に流通税というものがプラスされる、こういう形になるわけであります。各国におきましても自動車にはいろいろな形の税金がかけられておるのでございますが、諸外国の例を見ましても、物品税と流通税というものは重複課税してある例というのはほとんどないんじゃないかと思うのです。たいていは片方だけ。こういう面が特に今度の自動車取得税創設につきましてどういうふうに検討されたか。いわばこれは重複課税あるいは二重課税というような形になるのじゃないかと思うのでございますが、御意見を伺います。
  119. 松島五郎

    松島政府委員 物品税は、御承知のとおり物品の奢侈性と申しますか、そういうものに着目をして、そこに担税力を見出して課税をするという性格を持っていると考えております。したがいまして、乗用車に現在かけておりますけれども、トラック、バスについては課税をいたしておりません。今度私ども提案をいたしております自動車取得税は、道路の目的財源を得るということで課税をしようとしておるものでございまして、税としては御指摘のとおり流通税でございますから、物品税とある面においては競合するのではないかという御指摘、ごもっともでございます。しかし、税の目ざすところというのはおのずから違うわけでございまして、そういう意味では、私はこの税が物品税と重複をしても許されるのではないかというふうに考えるわけでございます。御指摘のとおり、二重課税とは何ぞやという問題になりますと、たいへんむずかしい問題でございまして、たとえば酒につきましては御承知のとおり酒税が課税されておりますが、その酒を飲んでごちそうを食べれば料理飲食等消費税がかかる。これは二重課税なりやいなやというような問題も出てくるわけでございます。また、関税のかかっておるものについても同じように物品税がかかっておるものもございますし、そういう面で、二重課税とは何かという問題になりますといろいろ御議論はあろうと思いますけれども、しかしその税がどういう性格のものであり、どういう目的に使われるかというような点を総合的に勘案していただきますならば、今回の自動車取得税も合理的なものであるというふうに考えているものでございます。
  120. 折小野良一

    ○折小野委員 二重課税とはどういうものかということについては、いろいろな問題があろうと思います。しかし諸外国の例から見ましても、消費税と流通税を併課している例はほとんどないように聞いているわけであります。その辺にやはり課税面の配慮と申しますか、そういう面があるように考えられるわけであります。こういう点については今後ともひとつ御検討願いたいと思います。  次に進みます。午前中にたしか山本委員の御質問に対しまして、自治省のほうでは、三分の一を県に残したというのは、県が徴収するのだからやはりその立場考えて少しは残してやらなければいけないのだから、そういうような意味合いで七割を市町村に交付し、三割は都道府県に残すのだ、こういうような御説明でございましたが、この御説明はどうも納得がいかないように思うのであります。先ほど道路整備五カ年計画についてのいろいろなお話もございました。そしてまた、それに対する目的財源といたしましては、県にはすでに相当の目的財源が与えられておる、ところが市町村には全然ない、そういうようなことから市町村は強く道路目的財源を要望してまいったのでありまして、それに対して年間、今度の場合は三百何十億ですか、四百億足らず、そういうもので一応市町村の道路整備が終わる、できるのだ、こういうことでありますならば、それはけっこうだと思う。しかしながら、先ほどいろいろな話にありましたように、五カ年計画をそのとおり遂行いたしましても、市町村の道路は〇・一%ぐらいしかよくなっていかないのだ。そういうような状態の中において、なおかつ三分の一のものを県に残さなければならぬ、こういう理由は何らないのじゃないかというふうに考えるのでございますが、どうですか。
  121. 松島五郎

    松島政府委員 市町村にできるだけ道路目的財源を多くなるようにいたしたいという点につきましては、私どもも先生と同じように考えております。ただ、今回の道路整備五カ年計画改定によって地方団体負担します額も、地方団体全体としては七千億くらいの負担の増加になるわけでございまして、この七千億は、市町村はもちろんでありますけれども、県の負担もふえてまいるわけでございます。したがいまして、道路財源の配分といたしまして、市町村にだけ道路財源がふえれば県のほうにはふえなくてもいいんだというわけにはまいりません。そういった点も考えまして、また、かたがた、けさほど申し上げましたように府県税として取る立場というようなものも考えまして、このような配分割合にいたしたわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、市町村の道路財源がこれで十分だという段階にあると私ども考えておりませんので、今後とも市町村の道路財源の充実につきましては努力をいたしたいと思っております。
  122. 折小野良一

    ○折小野委員 県が賦課して交付するんだということに一つの理由があるような御説明でございますが、もしそうでありますならば、県民税はどうなりますか。県民税は市町村が全部とる。そして県に全部返しておる。もしその理屈が成り立つのなら、県民税のうちの三分の一くらいは市町村に残せ、こういうことになります。ですからそういう点はちょっと御説明としてもぐあいが悪いのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  123. 松島五郎

    松島政府委員 いま県民税を引き合いに出してのお尋ねでございますが、県民税は、御指摘のとおり県民税分は全部市町村にとっていただいて納めてもらうわけでございますけれども負担する住民の側から申しますと、よく住民税ということばでいわれますように、住民税として負担していただいて、そのうち市町村が相当額をとり県がその一部をとる、こういうようなことでございますので、県民税、市町村民税というふうにお考えいただかないで、住民税と考えていただけば、住民税がちょうど自動車取得税というふうなものに相当するのではないかというふうにも考えていただけるのではなかろうかと思います。
  124. 折小野良一

    ○折小野委員 いまの御説明は単なる理屈であろうと思っております。やはり住民は、自分は市町村の住民でありまた県の住民であるということはちゃんと認識しているのですから、そういうことでこの三分の一を県に残すという考え方、これは納得いかないのです。むしろいままでのいろいろな質問の中においても見られますように、この税源は市町村の税源としてのほうが適当であるから、県税からはずして市町村に移したらどうかという意見に対しましても、いろいろな反応を示しておられるが、この場合もやはり県というものをいろいろ考えておられる。自治省としまして、全般的にですが、市町村の場合よりは都道府県立場のほうをあらゆる面においてより優先的に考えておられる。また都道府県の圧力のほうが市町村の圧力よりか大きいというふうにも考えられる。そういう面がいろいろな面にあるように考えられるのでございますが、自治省の姿勢としてはいかがでございますか。
  125. 松島五郎

    松島政府委員 先生御指摘のようなことは、私どもは全然ないつもりでやっております。
  126. 折小野良一

    ○折小野委員 局長はないというふうにおっしゃいました。しかし多くのものはやはりある。自治省は都道府県立場ばかりを尊重して市町村の立場考えない、こういうような面がいろいろな場合にあるのでございます。この点は幾らおっしゃいましても、確かにそういう面があるのでございます。ひとつ今後のことといたしましても、こういう面は改めていただきたい。私どもはむしろ地方自治の本質というのは、住民に直接結びついておる市町村が行なっている地方自治を尊重するためには、まず市町村の立場考えていかなければならない、このように私ども考えます。そういう点についてはひとつ十分御検討いただき、またいろいろな面で御配慮をいただきたいと思います。  最後になりましたが、国民健康保険税についてひとつ。国民健康保険税について、地方税法の七百六条の二という規定がございます。ふだんあまりごらんになっていないと思いますので、ひとつそれを出していただきたいと思います。これは国民健康保険税を賦課するにあたりまして、結局、国民健康保険税というのは総医療費というのを出して、そこから税をはじき出す、こういう仕組みになっておりますので、年度の最初においてはなかなか事務がそこまで進まない。したがって一応前年度の平均を出して賦課する、こういうような特例でございます。現在市町村におきましては、ほとんどこの特例をもって実施をいたしているというふうに考えるわけでございますが、この特例を適用して実施いたしました場合に、こういうことが出てまいります。これは具体的に申し上げたいと思いますが、前年度その人の国民健康保険税が一万二千円である、そうして納期が四期であったといたしますと、それの四分の一でございますから、三千円が今年度の第一期あるいは第二期の税額になる。そして最近は受診率も上がっておりますし、医療費も上がっておりますから、たいてい上がる。そうすると、来年度の税金が一万二千円から一万六千円に上がるといたします。そうなりますと、年度と年度を比較いたしますと、これは三割かの値上がりということになりますね。とかろがその年度におきましては、この特例によって一期、二期を納めてもらっておりますので、それを差し引いたものをあとの二期で納めなければならない。そうすると、年度の途中において三千円から五千円、これを次の期には納めなければならないということになります。ということになりますと、そこで実際は六割値上げになるということになりますね。そうして今度は次の年度の初めにおいては、その平均ですから、三期、四期、五千円納めて、次の年度の一期は四千円ということになります。そうしてまた上がる。現実に納める税金が上がったり下がったり、しかもそういう操作をするがために、実際は三割しか上がっていないのが六割上がる、こういう形になるわけであります。こういうところに、実際の運営といたしまして国民健康保険税が非常に高いという声が出てまいりますし、またそのために現実の被保険者の生活設計というものが非常にこわされる。そこで国民健康保険税の値上がりに対するいろいろな文句というようなものも出てくるわけであります。ですからこの特例というものをもう少し簡素化いたしますと、そういう住民の受け取り方も違ってまいりますし、また事務も非常に簡素化される。ここには前年度の平均をとるということになっております。これを改正をいたしまして、前年度の最後の期と同額をとるということになりますと、最初の賦課というのが非常に簡単にできる。事務量からいたしますと、被保険者五万人ぐらいの都市におきまして、これをやるのと前年度の末期の税額と同じものを賦課するということにいたしますのとでは、一カ月に二十名ぐらいの人員の差というのが出てまいります。私が一つ経験で大体考えますと、少なくも一保険者において年間に一人の人件費は浮くという勘定になる。しかもそういう激変がなくなってくる。こういうようなプラスの面があるわけでございますが、そういう面についてこの法を直ちに改正する、こういう御意向はございませんか、お伺いをいたしたいと思います。
  127. 松島五郎

    松島政府委員 現在の考え方は、税でございますので、その年度の分がきまらないうちにあらかじめよけい取っておくというようなことは許されないという考え方に立っておると考えます。したがいまして、考え方を裏返しにいたしますと、ただいま御指摘のような場合に、最初から一万六千円として課税されておれば四千円ずつ納めていかなければならなかったのを、三千円で済ましてきたということは、千円について何カ月間かの余裕があったというふうにも考えられるわけでございますけれども、実際問題として納税者の感情からいたしますと、急激に上がったり下がったりするということは、徴税事務の円滑を期する上からも、御指摘のような問題がございます。また事務的手続の上でも非常なロスがあると思います。したがいまして、御指摘の御意見ごもっともでございますので、私どもとしてはその点をひとつ検討さしていただきたいと思います。
  128. 折小野良一

    ○折小野委員 この問題は小さな扱い方の問題でございますけれども、当時者である市町村といたしましては事務上にも非常にめんどうがありますし、また一般被保険者に与える影響というのも大きいのでございます。そして前年度の最後の税額をそのまま賦課するということになりますと、これは特別それでよけい納めてもらうというわけでもございませんし、最も近い過去の実績によってやるわけですから、これはよけい取るとかいうようなことになるわけのものではありません。そしてあとの調整というものを十分やる。そうした場合に、調整の幅というのが非常に小さくなりますから、そのほうがやはり被保険者にとっていいわけであります。これはこの場で私は直ちにでも改正すべきであるというふうに考えております。  事務の節減でございますが、さっき私がかりに推定したところによりますと、一市町村一人の人件費が助かるといたしますと、これを二千市町村としますと、これだけで十億助かるわけです。十億の金が節減できるわけであります。私はこういうような問題は直ちにやっていただきたいというふうに考えますが、今度のこの改正に一緒にそれをやるということについて賛成でございますか、いかがでございますか。
  129. 松島五郎

    松島政府委員 これは私から申し上げるまでもなく、先生よく御存じのことでございますが、地方団体としては、税制改正がどうなるかということについては常に関心を払いながら事務を進めておるわけでございます。いまここで改正をいたしますと、御指摘のような点ももちろんあると思いますけれども、また逆に、急にやりますと、ことしはもう三月も残り少なくなっておる時期でございますので、それぞれ従来の線に従って準備をしておるところは、もう一度全部やり直しをしなければならぬという混乱の問題も起こる可能性もございます。したがいまして、やはりやるにいたしましても、あらかじめ準備期間を与えてからやったほうがより円滑にいくのではないかというふうに考えております。
  130. 折小野良一

    ○折小野委員 混乱はありません。それを改正しさえすれば、直ちに四十三年度から、全国の国民健康保険は少なくも十億の金の余裕が出てくるわけであります。そういうような点はひとつ思い切ってやるべきであるというふうに考えます。改正といいましても、むずかしいことじゃないのです。ここにむずかしく書いてありますけれども、むしろこのむずかしく書いてあるのを簡単に、前年度の最後のものの国民健康保険税の税額の範囲内においてと、こういうふうにここを改めさえずればいいわけなんです。少しでもいいものはやっていただきたいと思います。政務次官いかがでございますか。
  131. 松島五郎

    松島政府委員 現在国民健康保険税を実施しております団体のうちの四六%が年四回でございます。あと年五回、六回、七回、八回、九回——十二回に分けてやっておるところもございます。こういうようなことで、少なくとも、四回のところは大体四月が納期になっておりますので、いま急にやるといたしましてもなかなか事務的に即応できないのではないかというふうに考えますので、私どもといたしましては、若干の猶予期間を置いて実施するほうがいいのではないかというふうに考えております。
  132. 折小野良一

    ○折小野委員 国民健康保険税の納期が四回であろうと十二回であろうと、何回でもいいのでございます。そしてまた四月からやるのを最もスムーズにやるために私は申し上げておる。より早くできる。四月からやろうとすれば、四月からそれができる。これは一刻も早くやるべきことだと思います。
  133. 細田吉藏

    ○細田政府委員 折小野先生の実際に即した、事務簡素化その他から考えられる、これはたいへんけっこうな案だろうと私は思います。ただ法律改正の問題でございますので、事務当局にも十分検討いたさせなければならぬと思いますので、ここでいますぐ、それはけっこうです、すぐ改正しましょうというわけには実はちょっとまいりませんが、十分御趣旨のあるところをなにしまして、なるべく早い時期に検討いたしまして、お答えをいたしたいと思います。かように存じております。
  134. 折小野良一

    ○折小野委員 検討についての時間は要りません。そしてまた、これをやるについても時間は要りません。ただその決意をされるかどうかということです。そうすることによって地方自治体は喜びますし、地方の国民健康保険は少なくも年間十億円節減ができるわけでございます。こういうことは思い切ってやっていただきたいと思います。まあ早急にということでございますから、ひとつこれが採決されるまでに御検討を願いたいと私は思っております。  ところで、先ほど自動車取得税のところでちょっと御質問したいと思っておったのでございますが、自動車取得税が法定外普通税としてできましたそのころ、自動車取得税に対して大蔵省から自治省に対して、大蔵省の意見というのが述べられた。これによりますと、理由はいろいろあげてありますが、自動車取得税は適当でない、こういう税を新しくつくることは適当でない、こういうようなことでございますが、今日自治省自動車取得税創設しようとするにあたって、大蔵省は前と意見が違ったわけでございますか。その辺を伺っておきたいと思います。
  135. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 まず、おくれて出席いたしましたことをおわび申し上げます。  自動車取得税が不適当であるという、過去におきまして大蔵省の意思表示があったという御指摘でございますが、いま私指摘を受けまして、はなはだ勉強不十分でございましてその経緯を私は存じ上げておりません。あるいは主税局のほうの御意見として出ているかもしれませんが、私は寡聞にして存じておりませんが、それはそれといたしまして、御案内のように市町村の道路目的財源につきましては、過去において幾多の議論を重ねてきておるのが現状でございます。地方制度調査会等においてもこの問題は熱心に取り上げられておりますし、大蔵省といたしましては、国と地方との特定財源比率を同じくしろという御議論については、いささか私どもとしては問題がある。やはり交付税とかそういったものまで含めた道路に対する投資全体の可能資金量という点からそのことを把握していくべきではないかということは、大蔵省としてはかねてから主張しておる点でございますが、それはそれといたしまして、ともかく市町村の道路目的財源の増強については、まず燃料課税という問題もありましょうけれども、これは物価に与える影響等もございますし、いろいろ問題がございますが、まず地方の独立税源といたしまして目的税を創設したらどうかという意見につきましては、私どもは反対をするものではなく、今回自動車取得税創設につきまして御協議を受け、賛成をしている次第でございます。
  136. 折小野良一

    ○折小野委員 昭和三十一年ですか、一萬田さんが大蔵大臣のときですが、まあいろいろな理由があげてありますけれども、結局このような税の新設は国の施策に照らして適当でない、こういうふうに書かれておるわけであります。その後意見が変わったのでしょう。いずれにいたしましても、新しい税を創設する場合におきまして、いろいろな事情というものを御勘案になっていただくことが大切なことであろうというふうに思っております。こういう点については、もう自動車取得税の質問は終わりましたので、一応お聞きするだけにして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  137. 大石八治

    ○大石(八)委員長代理 小濱新次君。
  138. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に大事な法案でございますので、いろいろと突っ込んだ質疑が行なわれてまいりました。だいぶ重複する点がございますが、私は二、三点いろいろとお尋ねをしていきたいと思います。  最初に政務次官にお願いしたいと思うのです。四十三年度七百四十二億の地方税の減税が実施される予定である、このように聞いておりますが、その補てん措置は、自動車取得税の新設ですりかえられてしまった。道路整備のための目的税として設けられた自動車取得税であるならば——これは地方財政が困難に直面している今日であります。いろいろといままでも話がありましたように、やりたい新規事業もできない。持ち出しが非常に多い。そうして先ほども六大市の陳情団が参りましたが、何とかして税制の改正をお願いしたい、こう言っておりました。こういう状態の今日でありますから、何とかほかに税源の移譲、こういう方法等によって一般財源の充実策を自治省がもっと強く主張しなければならなかったのではないか。何かその努力が足りなかったように思われるわけであります。この基本的な問題について政務次官にお尋ねしておきたいと思います。
  139. 細田吉藏

    ○細田政府委員 お答え申し上げます。  住民税七百億円以上の減税になるわけでございますが、自動車取得税でこれの穴埋めをするという必ずしも結びつきの考え方ではございません。いま御質問の中にもございましたように、自動車取得税は、かねて懸案になっておりました市町村を主といたします道路目的財源の充実のために新設をいたしたものでございます。先ごろ来、当委員会で問題になっておりますような税源について、もっと強力に自治省が主張すべきではなかったか、こういう御意見でございますが、この点につきまして、あるいは御批判を私ども甘んじて受けなければならないかもしれませんが、実は懸案になっておりました道路目的財源自動車取得税をとにかく設けるということにつきましても、もう置くこと自体、設けること自体、またそれらをどういうふうな方法でやるかというようなことにつきまして、ここまでまいりますまでにも非常な意見があったようなわけでございまして、私どもといたしましては、この点につきまして努力の足りなかったという点については認めますけれども、少なくとも懸案のこの道路目的財源の確保というようなことで一生懸命やったつもりでございます。しかし、それではこれで十分かということになりますると、先般来お答え申し上げておりますように、私ども今後よほど覚悟をきめて努力をしてまいらなければならない、都市を中心にいたしましての市町村の財源の確保という問題については特に考えていかなければならない、かように考えておる次第でございます。  なお、住民税の減税をした補てんをもっと積極的にやるべきではなかったか、あるいはこの問題に関連いたしまして、いやそれどころではない、四百五十億も国に貸しておるということも、結局国全体の財政を結果的には縮めておることになっておるわけでございまして、そういう点についても非常によくないではないか、地方ではもっと財政の需要もあるのではないか、こういう御指摘かと思うわけですが、地方の財政が決して楽になったというふうには私ども考えておりませんけれども、国の財政と地方の財政とを一貫して考えまして、この程度——この程度というのにはあまりに大きいものでございますけれども、地方の財政計画としては、これで本年度やっていける、こういう見通しを立てましたので、こうした引き締めの国の財政、それに応じた地方財政というようなことで、ただいま私申し上げましたような補てん措置なしの住民税の減税、あるいは四百五十億を国に貸せる措置を講じた次第でございます。私どもとしましては、地方財政立場だけから考えますと、これに対してはいろいろな意見を持っているわけでございますが、国、地方を通ずる予算全体として政府の中でいろいろ話し合いました結果、このような線に落ちつけたような次第でございますので、御了承いただきたいと思うのでございます。
  140. 小濱新次

    ○小濱委員 もう少し政務次官にお尋ねしたいと思うのですが、これは自治体の改革案といいますか、現在の地方自治体の行政区分を、これはずっと内容が広いのでありますが、どういうふうにお考えになっておられるか、こういう問題でございます。これは例をあげますと、きょうも六大市の人が参りましたが、六大市のあるところはいずれも富裕県であります。非常に内容がよろしい。神奈川の場合には、横浜市が指定都市になっておりますが、最近二百万になんなんとしております。それから川崎が近く百万都市になります。こうなると、また大都市制がしかれていくであろうと思うわけでありますが、そうすると神奈川の総人口は、いま五百万人、その中で三百万人が指定都市になっていく。これはうわさでありますが、前々から問題になっております西相都市というのですが、小田原、平塚方面を一つにして百万都市をつくっていこうという計画もあるわけであります。こういう制度がしかれていった場合に、神奈川県はどういうふうになっていくのであろうか。大きな自治体も小さな自治体も一本の自治法で現在は一緒に運営されているわけでありまして、日本でも一県に二つの指定都市があるということはまだ例がございません。近くその実施が見られることになっていくわけです。そういう点でも、行政区分をどういうふうにお考えになっておられるか、こういうことでございますが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  141. 細田吉藏

    ○細田政府委員 たいへんむずかしい大きな問題でございまして、私見を申し上げたのでは、これはこの場の答弁にはならないと思いますが、つまり自治省といたしましては、御承知のようにいまの府県というようなものについての地域、これは明治御一新以来の範囲でございますので、今日のような状況ではもう少し広域的にものを考えたらどうか、こういうことで、御案内のように都道府県合併の特例法も出しているわけでございます。ですから、大きくはそういうものもございますが、私は東京都中心にいたしました首都圏といいましょうか、あるいはもう少し範囲を狭くしてもよろしいのではないかと思いますが、これにつきましては、たいへんむずかしいことではございますけれども、特別な行政区域というようなものを考えなければならぬ時期がきているのではなかろうか、かように存じております。しかし、このことたるや、実は言うべくして非常に困難な問題でございまして、ただ頭の中で考え、机の上で考えただけでは解決する問題ではございません。ロブソン報告等にもございますが、東京中心の五十キロ圏内といったものが、ほとんどいまいっぱいになっておる。さらに大きく太平洋メガロポリスというふうなものができるかもしれませんが、その中でも、都心部を中心にした五十キロ圏内といったところは、ほんとうは一つの都市といってもいいような状況に実は相なっていると思うのであります。これらにつきましては、困難な問題でございますが、私ども、さらに十分実情に合う行政組織というもので考えていかなければならぬ、かように思うわけでございます。どうも問題が、総理大臣がお答えするような問題でございますが、私自身の意見も多少加えまして申し上げますと、さように思っております。非常に困難ではございますが、今後の大都市中心にしました行政のあり方、行政区域のあり方、そういうものについてあらゆる角度から検討いたさなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  142. 小濱新次

    ○小濱委員 税制の問題からこういうふうに発展していってしまうわけでありますが、これは局長にお尋ねしたいのですが、三十一年度にたしか十六項目の移譲が行なわれました。ところが、この移譲には、残念ながら財源が伴っていなかったということで、自治体としては、何とかしてという希望を持って非常に努力をしていったわけであります。たしか、五大市では、大都市制度特別実行委員会が設置されまして、そうして、以来毎年毎年努力を重ねてまいりました。その財源獲得のために努力をしてまいりましたが、一向に進歩が見られない、こういうことで、ある委員会は廃止され、次から次と廃止されて、いまは五大市の中で、残っているところはほとんど一つか二つであろうと思うわけであります。もう希望を失ってしまった、そして特別委員会を解散してしまったというような状態になっているわけであります。河上委員から資料の要求が出ておることでもありますし、またあとで、こまかい内面については勉強していきたいと思っておりますが、今度、何か七項目にわたって、また移譲の内容検討しているという話がこの間出ておったように思うわけであります。今回は、自治省では、その内容検討にはどういうふうな財源措置の考えを持っておられるか。いままでは地方交付税に算定されておった、こういうふうにも一応私ども聞いておりますが、そのはっきりとした内容がつかめませんので、その五大市では非常に財源が伴わないということで、頭を痛めて努力してきたわけでありますが、こういう点もあまり詳しくわかりませんので、地方交付税に算定をされておったのかどうか、あるいはまた、その七項目の検討については財源措置はどういうふうに考えておるのか、こういう内容について少しく局長のほうからお答えをいただきたいと思います。
  143. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘のございました七項目移譲ということでございますが、七項目移譲ということが何をさしておっしゃっておられるのか、ちょっと私どもわかりませんですが、現在、地方制度調査会では、国と府県、国と市町村との間の事務配分についていろいろ御検討いただいておりますが、これは、大都市ということで具体的な項目をきめて御検討いただいておるわけでは必ずしもございませんので、いま検討しておる七項目ということにつきましては、私、ちょっとお答えをいたしかねますことを御了承いただきたいと思います。
  144. 小濱新次

    ○小濱委員 その十六項目が交付税の中に算定されておったという、そのことについてはどうでしょうか。
  145. 松島五郎

    松島政府委員 その点につきましては、財政担当のほうからお答えさしていただきます。     〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 横手正

    ○横手説明員 御要求のございました資料につきましては、目下各種別に計算を行なっておりますので、できるだけ早い機会に提出いたしたいと存じます。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 横浜市の例をあげますと、県に吸い上げられている税額は約三百億円少しになっていると思います。四七%とも聞いておりますし、そしてまた、還元されてくる額はたしか三六%であったと思いますが、そういうことになっているわけです。指定都市が非常に財政難で悩んでいる一つの例がここにも出ているわけであります。そういう点で税配分の問題がいろいろと質疑されてきたわけでございますが、こういうことで指定都市ができる地域もまたうわさにのぼっている。こういうことになると、県は仕事がなくなって、財政的な内面はまた非常に豊かになっていく、こういうふうにも簡単に私どもの脳裏では考えられるわけであります。こういう点での税の配分という問題、この行政区分の問題とあわせて税の配分という問題で当然これはこまかく討議をされていかなくちゃならない問題であった、こう思うわけであります。私は、きょうは、大きな問題ではございますが、その概要だけをお尋ねしておいて、そして、今後またこまかくこれを取り上げていきたい、こういうふうに考えておりますので、もう一ぺん局長のほうからお答えいただきたいと思います。
  148. 松島五郎

    松島政府委員 神奈川県の例をおとりになっての御質問でございますが、神奈川県で、今後、横浜市のほかにさらに指定都市ができていくというようなことになってまいりますと、県と市の財政需要というものもおのずから変わってくる面が出てくるだろうと思います。そうなりますならば、やはりそれに対応したような財源の配分ということを考えてまいらなければならないということは当然でございます。したがいまして、そういった動きと相対応いたしましてこの問題は考慮してまいりたいというふうに考えております。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 御存じと思いますが、神奈川県では、昨年一年で二十一万人の人口増であります。横浜ではその半数であります。大きな都市が幾つも幾つも一年間にできていくだけ人口増になっている。そういう過密都市であります。その対策のためにも、それから、いろいろと話をいたしましたが、二重行政解消のためには、どうしても行政区分の問題と税の配分という問題これは大いに今後も論じられていかなくちゃならない、こういうふうに考えましてお尋ねをしたわけであります。この問題につきましては次回に譲ります。  一つ住民税についてお尋ねをしていきたいのですが、住民税が高いという住民の声を最近は非常に聞く機会が多くなってまいりました。この問題についていろいろと資料を調べて見ますと、住民税と所得税の課税最低限、このレベルは三十六年度には同じであったわけですね。それから三十七年度には、今度は住民税がぐっと下がって所得税が上がっていった。その下がった位置で住民税は三十八年、三十九年、四十年と、こう横すべりできたわけです。所得税はぐっと年々上がっていったわけです。で、四十一年度に上がりました。その住民税の額がまた四十二年度はほとんど同じで、横すべりになった。当委員会においてもこの問題は大きく取り上げられました。佳局税に対する関心は大いに深くなってまいりました。そこで、昨年度は努力をいたしまして、そうして、今度は新年度の予算にようやく十万円が加算されることになった。増になるわけであります。このことについて、藤枝自治大臣が、当時この委員会で発言されておったわけでありますが、この住民税の課税最低限をできるだけ引き上げるのが妥当である、まあ、努力をしていきたい——、何回も何回もこの問題については質疑を続けられておりましたが、そのつど大臣はこういうふうに答弁をしておられました。ところが、今回は十万円しか上がらない。そういう点で、非常に直接身に感じている住民税について非難の声が高くなってきたわけであります。このことについて、ひとつ局長さんにお尋ねしたいのであります。この住民税に対する基本的な考え方ですね、どういうふうにお持ちになっておられるか、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  150. 松島五郎

    松島政府委員 住民税の課税最低限と所得税の課税最低限との比較ということが常に問題になるわけでございますけれども、住民税について基本的にどう考えるかというお尋ねでございますが、税制調査会の長期税制のあり方についての中間答申というのが四十一年の暮れに出ておりますが、その中で住民税の課税最低限につきまして、住民税は所得税と同じように所得に対する課税ではあるけれども、所得税と異なって地域社会の費用を広く住民が分担をするという性格を持っている税であるから、住民税の納税義務者は所得税よりも多いということが望ましい。したがって、その課税最低限も所得税とは異なるべきであるというように言っておられるのでございます。私どもも、基本的にはこの答申の考え方をとっているわけでございますが、ただ、それでは所得税より多くの人に納めていただくという税の性格上から、課税最低限は所得税と異なっていいとして、どれだけが適当であるかという問題になりますと、これは一律に幾らがいいということはなかなかきめにくい問題でございまして、やはりこの答申の中でも言っておりますように、国民生活水準の推移とか、あるいは地方財政の状況を勘案しながら最低限の引き上げをはかっていくべきであるといっておられますけれども、私どももそういう方向で問題を処理すべきものであるというふうに考えております。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 いままで何回も繰り返されてきた問題でありますから、こまかくは申し上げませんが、所得税の納税人口二千六十四万人に対して、住民税の納税人口は三千二百万人と、このように言われております。これは国税の納税人口よりはるかに多いわけです。したがって、所得税を納めてない人たちがこの住民税を納めているという、そこに問題点があるわけです。自治省としては、当然住民福祉という立場から何とかして住民のしあわせを願って行政面のその衝に当たっておられるわけであります。こういう点の住民の声をひとつよく聞いていただきたいと思う。新聞等にもその事例がよくあげられております。一つの簡単な例をここにあげますと、現在住民税の免除措置を受けている生活保護世帯の保護基準は、住宅扶助を含めてA地区においては三十九万円となっておる。課税限度額とわずかに四万円と差が迫りつつある。もう少したつと保護世帯が住民税を払わなければならない、こういうことでありますから、低所得層には非常にこのことが頭にこびりついておって、悩みの種になっておるわけであります。こういう点があって、この住民税に対する国民の関心は非常に大きいわけであります。ここに大衆課税といわれるいわれがあるわけでありますが、このことについて、やはり所得税の将来の最低基準額の目途はきちっと総理大臣からも大蔵大臣からも示されております。これは百万あるいは大蔵大臣は百三万までとも、詳しくその内容説明をされたことも覚えておりますが、残念ながら住民税の限度額については、まだ一度もその方向を示されたことがございません。自治省としてはどういうふうにお考えになっておられるのか。局長でけっこうでございますが、御答弁いただきたいと思います。
  152. 松島五郎

    松島政府委員 先ほど御指摘になりました住民税の納税義務者の点でございますが、住民税には御承知のとおり均等割りの制度がございますので、昭和四十二年度では均等割りを納める方の数は三千九十万人ばかりになっておりますが、そのうち、いま御指摘になりました所得税の課税最低限との関係で問題になります所得割りを納める方は二千四百六十万人でございます。今回課税最低限を約十万円引き上げることといたしておりますので、納税義務者の数はかなり減少をいたす見込みでございます。私どもでは、一方、納税人員につきましても自然増がございますけれども、純粋の課税最低限引き上げによります減員は約三百万人と見込んでおるのでございます。  それから、生活保護との関係についてお尋ねがございましたが、昭和四十二年度の生活保護の基準は、御指摘のような金額でございます。また、昭和四十二年度におきます住民税の課税最低限は四十三万三千五百円ばかりでございますから、その差は四万円程度でございます。ただ、今回提案をいたしておりますように、夫婦と子三人の給与所得者課税最低限は約十万円引き上げられて五十三万二千円になります。それと生活保護はもちろん四十三年度には若干上がりますけれども、しかし、生活保護の基準の上がり方よりは住民税の課税最低限の上がり方のほうがはるかに大きいわけでございますので、その差はかなり開いてくるものと考えております。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 年収八十三万円になった場合には私の所得税はこういうふうになるんですよ、そして住民税はこういうふうに納めなければならないんですよ、もう五倍も六倍も納めなきゃならないという内容がいつでも話に出てくるわけであります。ですから、今度も五十三万円という線が示されますが、まだまだこれでは不十分であろうと私どもは思うわけであります。所得税よりはるかに低いこの限度額に対して、多くの国民が悩んでいる問題でありますから、一日も早くこの不つり合いを少なくして、そうして安心した生活ができるようにしてあげなくちゃならないと考えまして質問をしているわけであります。所得税の百万円減税ということが四十五年度を目途にして打ち出されました。私どもは一日も早く百万円減税をしろと主張しておりますが、この住民税については全然そういう方向が示されないわけであります。そこで、どういうお考えを持っているのかをお尋ねをしたい、こういうことであります。
  154. 松島五郎

    松島政府委員 所得税は、近い将来、給与所得者につきましては年収百万円まで課税されないようにしようということになっておりますことは御指摘のとおりでございます。それに対応して住民税をどうするかというお尋ねでございますが、住民税の場合は、地方財政に及ぼす影響というものもやはりそのときそのとき十分考慮して進めていかなければなりませんので、所得税のようにあらかじめ何年後に課税最低限を何万円にするという計画は立てにくいという状態にございます。しかしながら、私どもといたしましては、住民税の課税最低限につきましても、地方財政の状況が許す限り、やはり引き上げをはかっていくことが適当であるというふうに考えておりますので、そういった方向で努力を続けてまいりたいという考えでございます。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 住民税については終わります。  次に、電気ガス税について少しお尋ねをしたいと思うのです。昨年もこれは大きく取り上げられて問題になりまして、佐藤総理大臣も、電気ガス税は悪税であるから、適当な財源が見つかれば存続する考えはない、このように言われておったわけであります。当委員会においても、前藤枝自治大臣もこの問題については強調しておられました。大臣は、電気ガス税の六百億円という額は、地方財政にとって非常に多額である、何とか国税のうちより税源の一部をさいてこれにかえていきたい、何とかしてこれを廃止をしていきたいという意図を示されました。あれからだいぶ月日もたったわけでありますが、今回は、残念ながら電気は据え置きで、ガス税は百円だけ上げて八百円にしたということで何かお茶を濁したような感じがするわけであります。この電気ガス税は悪税だということばがはっきりと総理から打ち出されておりますので、この点については大いに努力をしてもらわなければなりませんが、今回は適当な財源が見つからないという理由か、なぜ百円しか上げられぬのか、お答えいただきたいと思います。
  156. 松島五郎

    松島政府委員 電気ガス税の軽減の問題でありますが、御承知のとおり、電気ガス税はきわめて普遍性を持った税金でございまして、どこの地方団体でもある程度の税収を上げられる。そういう意味で普遍性を持った税金でございます。かつ、先ほど来問題になりました安定性に富み、また、消費生活の向上に伴いまして伸長性も持っているわけであります。そういう点から申しますと、市町村の財源という面から見れば、電気ガス税は非常に重要な位置を占めていると考えておるのであります。ただ、国会において、いろいろ御質問あるいは政府からの答弁もございましたように、何と申しましても、電気を使用する方の全部にかかる税金でございますので、その合理化をはかっていかなければならないということは、私ども考えているところでございますが、今回なぜ大幅な減税なりあるいは廃止なりができなかったかとい、うお尋ねでございますが、これにつきましては、先ほど来申し上げましたように、一方では住民税の大幅な減税を実施しなければならない、しかも、その大幅な減税についても、国からの財源補てんということを期待することができないような情勢にあったわけでございまして、そういう点から申しまして、ここでさらに六百億にのぼる電気ガス税を減税し、そのかわり財源を求めるということが実際問題としてできなかったということでございます。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 総理大臣が悪税だと公の場所で発言している内容について、国の適当な財源措置をしてもらえなかったからやむを得ない、こういうふうな措置しかできなかったということであります。この問題については、非常に真剣に取り組まなくてはならぬ立場自治省であったわけですが、そういう努力が足りなかったのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。これは一日も早く全廃に持ち込んでいかなくちゃならない内容のものであります。そういう点で、これからも、私どもも一生懸命努力をしてまいりますが、きょうは大臣がおりませんから、まことに残念でありますが、政務次官、ひとつこの電気ガス税の全廃についてのお考えを、今後のためにお聞かせいただきたいと思います。
  158. 細田吉藏

    ○細田政府委員 総理からかつて御答弁がありましたことも、私どもよく承知いたしております。一方、この地方の財源から考えますると、昭和四十三年度七百十六億という、一応これは数字がその後伸びております。先ほど税務局長が申し上げましたような非常な伸びのいいものでございます。非常に普遍性にも富んでおる。しかし、今日のような時代に、こういう税金がどうかという本質論になりますと、いろいろな御意見があり、また、総理もそういった意味で発言されたのではないか、こう思うわけでございます。しかし、現実の問題といたしましては、やはり税金のことでございます。財政に直接の関係を持っておるわけでございますから、かわりの税源を見つけるということでなければ、早急にやめまして穴があくということになっても、これはたいへんなわけでございます。今後私ども国と地方との財政の再配分の問題、こういうものと関連をいたしまして、ただいまお説がございましたように、これの減税、税率の引き下げ、あるいは免税点引き上げ、あるいは、さらに進んでは廃止ということになるかもしれませんが、何しろ額が額でございますので、今後ひとつ慎重に検討をしてまいりたい、かように考えておるような次第でございまして、本件に関しましては、私どものほうの大臣も非常に特別な御関心を持っておられるようでございまして、特に御検討になるということを、私どもにもしばしば申しておられます。今後慎重に取り扱いたい、かように存じておるような次第でございます。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 非常なる関心をお持ちになっておられるようでありますから、期待をして今後見ていきたいと思っております。  それから、自動車取得税については長々とお話がございました。私どもも、道路使用者道路財源の一部を負担するということは、これはある程度までは考えられます。しかしながら、すでに大衆化された車に対して、さらに取得税を課することは、国民大衆を苦しめ、さらには、産業発展に対して阻害を及ぼすもの、こういうふうに私ども考えているわけです。そういう点で、この自動車取得税については、われわれまだ納得できないわけでありますが、いろいろと質問がございましたので、私はこの点についてはおきますが、ひとつ国民大衆を苦しめる、さらには産業発展に対して阻害を及ぼす、そういう原因になるのだ、私どもはこう考えているわけであります。この点については一つだけでけっこうでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  160. 松島五郎

    松島政府委員 道路整備をしてまいりませんと、結局においては自動車そのものが用をなさなくなるというわけでございます。そこで、結局、道路整備ということが、またある面におきましては自動車の発展を促していくゆえんではなかろうかというふうに考えるものでございまして、そういう面から言えば、道路自動車との密接な受益関係考えますときに、道路使用者であります自動車を持たれる方に税を負担していただくということが、ひいては自動車の運行を円滑にし、また、自動車産業の発展にも寄与し得る道ではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 いま運転免許を持っておるのが二千三百万人、車の台数ははっきりしませんが、年間免許証の書きかえ、新規を合わせると八百万人以上という、自動車も千万台以上というふうにも聞いておりますが、はっきりした点はわかりません。こういう現状下において、やはりこれは大衆課税といわれるゆえんがここにあるんじゃないか。したがって、この自動車取得税については、もう国民ひとしくこの成り行きを注目しているわけでありまして、私どもいろいろの会合に出ますと、この質問をされるわけであります。この点についてはいろいろと方法もあろうかと思いますが、これからひとつ納得さしてもらえるような努力を払っていっていただきたい、こういうふうに思います。自動車取得税についてはこれで終わります。  最後に、専従者控除について少しくお尋ねしたいと思います。  最近、中小企業の倒産が史上最高といわれるような数字が示されております。これは中小企業の経営のむずかしさ、あるいはまた、最近の経済の動向、これももちろんあるでしょう。ありますが、政府の中小企業に対する政策の誤りも大きな責任を感じなければならないであろう、こういうふうに考えるわけであります。この税金においても、中小企業保護の施策が当然とられてしかるべきであると思うわけであります。こういう点についてお尋ねをしていきたいと思いますが、所得税法の五十七条によりますと、青色事業専従者控除限度額が廃止をされた、全額必要経費として控除できるようにことしから改正をされたわけであります。そこで、お尋ねしたいことは、住民税においても当然そのような措置をとってしかるべきだと思うのでありますが、この点についてお答えいただきたいと思います。
  162. 松島五郎

    松島政府委員 専従者控除につきましては、御指摘のとおり青色申告者につきましては、昭和四十三年分の所得から、いわゆる限度額を撤廃いたしまして、通常支払うべき相当な給与であれば必要経費に算入することになったわけであります。そこで、地方税ではそれにどう対処していくかということでございますが、御承知のとおり専従者控除は、現在地方税では住民税と事業税と両方にまたがった問題でございます。しかも住民税の場合でございますと、それによって起こります減収というものが地方財政にかなりの影響を持つわけでございます。また、事業税の場合でございますと、事業税には御承知のとおり事業主控除という制度がございまして、現在二十七万円と定められております。かりに専従者控除の額が、実際支払い給与額をそのまま必要経費として認められるということになった場合に、どのくらいになるのかという問題も、この事業主控除と非常に密接な関連を持ってまいります。したがいまして、地方税において専従者控除、いわゆる完全給与制にするかどうかという問題は、地方税収入に及ぼします影響、並びに事業税におきます事業主控除との関係をどうするかというような問題を総合的に検討してまいりませんと、結論を出し得ない状況でございます。そこで、現在までの専従者控除の限度額が所得税との間で非常に大きな開きがございましたので、いずれにいたしましても、私どもはできるだけ所得税との差を縮めておきたい、かような考え方のもとに、本年度の改正案では、青色専従者につきましては五万円引き上げ、白色専従者につきましては三万円引き上げるという案を提案いたしておるわけでございます。今後完全給与制をどうするかという問題につきましては、先ほども申し上げましたような問題を検討しながら結論を出してまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、住民税、事業税いずれも前年所得課税のたてまえをとっておりますので、所得税が本年から実施いたしましても、私どものほうがかりにそのまま所得税に準ずるといたしましても明年度からの問題になりますので、この一年間十分その点を検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 お説よくわかりますが、零細企業といわれているこの資本の非常に少ない人たち、こういう人たちは所得税は納めなくても個人事業税は納めなければならない、こういうことになっているわけであります。そういう人たちが四十万人の二三%もいる、こういうふうに書いてあります。これらの個人事業者にとっては、これはもう諸経費も非常に多いのです。あるいはまた、施設に金をかけたいのです。かけてもなかなか税務署のほうで認めてくれない、控除されない。そういうわけで、諸施設に対してもなかなか金がかけられない。こういう悩みを零細企業の人たちはかかえているわけであります。そういうわけで、やりたいことはたくさんあるのですが、耐え忍んでいるわけであります。こういう人々にとっては、やはり事業税も所得税並みにしてもらいたいという希望であろうと思うわけであります。こういう点についてはどういうお考えをお持ちになっておられますか、ひとつ局長からお答え願いしたいと思います。
  164. 松島五郎

    松島政府委員 事業税は、御承知のとおり、事業を経営しているという事実に課税をする税でございますので、むしろ現在のような所得を課税標準にするよりは、所得以外の外形的な基準を課税標準にするほうが適当であるという議論もございます。しかしながら、そういうふうにいたしますと、特に個人事業税の場合には負担の激変という問題も出てまいりますので、この点は慎重に検討してまいらなければならないと思いますけれども、要するに、事業税と所得税とは性格の異なる税であるということでございます。したがいまして、全く所得税と内容を合わせてしまうということが適当であるかどうか、問題がある点でございます。たとえば現在でも、先ほども申し上げました事業主控除という制度がございますが、これをかりに所得税における基礎控除に相当するものと考えますならば、所得税の基礎控除は現在十五万円、改正案によって十六万円でございます。事業主控除は二十七万円でございますから、むしろ事業主控除のほうが所得税の基礎控除よりは大きいではないか、その意味においては、所得税より税負担が、ある場合は軽いではないかという議論も成り立つわけでございます。ところが、所得税は、いわば人税として、その家族についても考慮するというたてまえから、扶養控除というような制度が別にございます。しかし、事業税については、事業に対する課税であるという観点から、その事業経営者が家族を何人持っておられるかという問題は取り上げていないわけでございます。したがいまして、そういうように税の体系が異なりますので、所得税と全く同じにするということはできないわけでございます。ただ、事業税の負担につきましても、御指摘のような中小企業者の現状にかんがみまして、できるだけ負担の軽減をはかるべきであるという点については、私どもも今後とも努力をいたしてまいりたいと考えております。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 事業税について、たとえば何百軒かある商店街を検討してみますと、年間、名義がえ——倒産をしてまたそこへ違った店主があらわれて営業している、こういう率が非常に多く見られるわけです。そういう点で、事業課税をするということは、やはり所得があって課税されるのならば、これはもう当然その義務は果たしていかなくてはならないと思いますが、そういう点、やむを得ずに、もう苦しい中から払っているというような人が多いわけでありまして、そういう点でやはり所得税並みにすべきである、このように私は思うわけであります。そういう点でお尋ねしたわけであります。  あわせて、もう一つお尋ねしたいのですが、いまの事業税の面において、このような個人事業者、特に低所得者に対して何か方法、施策をお考えになっておられるかどうか、ひとつ御見解を聞いておきたいと思います。
  166. 松島五郎

    松島政府委員 事業税につきましては、零細な所得者に対して事業税を課税しないという基本的な考え方から、当初免税点という制度がございまして、この免税点という制度は、いま申し上げますように、零細負担の排除という観点から設けられたものでございます。その後、この免税点を基礎控除という制度に切りかえまして、一定所得以下は控除するということによって零細負担を排除していこう、こういう方向で進んでまいっております。その後、基礎控除の制度が、先ほど申し上げましたように事業主控除という制度に改まりまして、その金額も年々若干ずつ引き上げてまいっておりますが、これは一にいま御指摘のありましたような非常に小さな事業者の負担を軽減をしていきたいという趣旨でございます。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、個人の都道府県民税の均等割りの百円について少しくお尋ねしたいと思います。  都道府県民税の個人均等割りのみの場合、この百円のうち四十二円は徴税事務費として市町村に交付されている。したがって手取りは五十八円である。これは税としてナンセンスだという声もあるわけでありますが、このことについては、私どもは、現行のまま据え置いておくくらいならば、これはもう全廃していくか、あるいは市町村民税に統合していくか、何らかそういうような方法を早急に講じていくべきである、こう考えておるわけでありますが、この点について局長考えを聞きたいと思います。
  168. 松島五郎

    松島政府委員 住民税の均等割りのうち、半分の百円につきましては、徴税費を除いた残りが五十八円程度にしかならない、税の税収として見た場合に、非常に非合理的なものであり、したがって、これを廃止すべきであるという御意見でございますが、住民税の均等割りにつきましては、県民税の均等割りを含めまして、税制調査会等では昭和二十六年以来——県民税だけについて申しますと昭和二十九年からでございますが、両方合わせたものでは昭和二十六年以来税額が据え置いてございまして、その間に物価水準もかなり上がってきております。また、所得の水準もかなり上がってきております。そういった面からいって、やはり税率をもっと調整すべきではないかという御見解もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、事情が許しますならば、均等割りについてももう少し税収入として十分なものになるような方向検討いたしたいと考えているのでございますけれども、他面、これにつきましては、所得の大小にかかわらず一律にとるような税金というものを引き上げるということは適当でないという御意見も非常に強くございますので、そういった経緯から長い間据え置きになってきておりますので、現在の額を中心にして考えますと、御指摘のような問題があろうかと思いますが、この問題につきましては、税率引き上げることの可否の問題とあわせて今後検討してまいりたいと思います。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 最後にもう一点だけお尋ねしたいのですが、今回の専従者控除額の引き上げは、完全給与制に移行するその布石となる、このように理解をしてよろしいかどうか、局長お答えいただきたい。
  170. 松島五郎

    松島政府委員 完全給与制をとるかとらないかの問題につきましては、先ほどもお答えをいたしたとおりでございますが、しかしながら、所得税においてそういう制度のレールがすでに敷かれておることでもございますので、私どもといたしましては、将来の問題としては、やはり完全給与制ということは、地方税においても考えざるを得ない方向にいくのではないかというふうに考えておりますが、そういったことも一応念頭に置きながら、現在までの差をできるだけ縮めておきたい、それが結論をどう求めるにいたしましても必要なことではないか、かような考え方でもって、できるだけ大幅の専従者控除の引き上げをいたすことにしているものでございます。
  171. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、明二十二日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会