○河上
委員 大都市のいまのお話は、一面私の見方に対する反駁のようでございますが、大阪の場合は、御
承知のとおりドーナツ化現象の激しい大都市で、いまの御
指摘とは逆に、昼間
人口は非常に多くて、夜間
人口がむしろ周辺都市に散っていくという形になっているわけであります。確かに横浜と京都の場合は、東京並びに大阪の住宅地的な様相を若干持っていることは否定できないと思いますけれ
ども、しかしいずれにせよ、そういう大都市が非常な大きな変動に見舞われておる。つまり、そこへ住んでいてそして働く、そして税金を払っている、こういうような姿ではなくなってきていることは否定できないと思うのであります。
いま、固定資産税の伸びが小さいということが市の収益を制限している、制約しているというような御意見でございましたが、しかし、私が申し上げたいのは、そういったような、いまある税源の配分を前提として、これを動かしがたいものだという形でいまの問題を
処理しようとすること
自体に無理があるのではないか、もっと基本的に
考え直さなければならない時期に来ているのじゃないか、こういうことなんでございます。多くの人が
指摘いたしますように、たとえば法人が出すところの税金というものが、実際にどういうふうに国と府県と市に配分されているかということを
考えてみますと、六大都市側の出しております資料でございますけれ
ども、六大市域分について申しますと、国は法人税を取っておりますが、法人が出す税の六九%を手にし、府県は法人事業税あるいは法人府県民税で二五・九%、それから市は法人
市町村民税で五・一%しか取っておらないのであります。この法人の多くは大都市で活動しているわけであります。そういう点から見ましても、法人が出す広い
意味の法人税というものの配分から見ましても、大都市というものは、非常に限られた税源で無限の
仕事を押しつけられておる、こういうふうに言わざるを得ないのであります。したがって、このほかにもいろいろございますけれ
ども、そういう税の配分というものに
根本的なメスを入れない限り、いま言われたように、ただ固定資産税を引き上げるとか、そういうような既存の税体系というものを前提とした改革策というものは結局びほう策に終わってしまうんではないか、こういうふうに言わざるを得ないのであります。
いまのようなお話がございましたので、ついでに申しますが、昭和三十一年の
地方自治法の
改正のときに、二百五十二条の十九で規定されておりますが、いわゆる十六項の事務移譲がなされておるわけであります。今日に至るまでこのことは変わっていないわけでありますが、その事務移譲に伴って、それに見合う
財源というものは今日全く付与されないできておる、そういう事実があるのであります。統計によりますと、今日では、これは二十七億ぐらいにのぼるのではないかと思うのですが、こういうものがちゃんとした
財源を与えられずに、大都市の
仕事にされているわけであります。そのほか、いろんな個々の法令で、六大都市にというか、指定都市に与えられております
仕事は、いまここに資料を持っておりますけれ
ども、一々あげませんが、非常な数にのぼっておるわけでありまして、それらはみな
財源を要求しないで事務を指定都市側が
負担しております。その数字は一応出ておりますのであげますと、昭和四十年では二百七十二億にのぼっております。四十二年では三百四十四億になるというようなことがいわれておるのであります。もちろん、この数字がすべて市が
負担しておるのかあるいは何らかのほかの道がいろいろ講ぜられておるのか。たとえば、
交付税で見ているというようなお答えがあるかもしれませんが、いずれにせよ
財源を付与しないで事務が移譲されておる、こういう事実は否定できないのであります。今日、大都市
財政の問題を
解決するためには、ぽろぽろと一つ一ついじるのではなくて、こういうような問題、
財源の
基礎そのものを
根本的に洗い直して矛盾を直していく。その中で都市的な税源については都市に譲っていくという、そういう基本的態度をここで明らかにすべきではないか、こういうふうに私は思うのであります。いま私が
指摘いたしました二百五十二条の十九、いわゆる十六項目の事務移譲に伴う
経費というものは一体どういうふうになっておるのか、あるいはその他の個々の法令によって指定都市に与えられております
仕事に伴う
経費というものはどういうふうになっているか、それをこの際参考にお聞かせいただきたいと思います。