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1968-03-19 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十九日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奧野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    木野 晴夫君       辻  寛一君    藤田 義光君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    三木 喜夫君       山本弥之助君    依田 圭五君       小濱 新次君    林  百郎君  出席政府委員          自治政務次官 細田 吉藏君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月十六日  委員谷口善太郎辞任につき、その補欠として  林百郎君が議長指名委員に選任された。 同十九日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として谷口  善太郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十五日  社会保険等行政事務及び職員の地方自治体移管  に関する請願広瀬秀吉紹介)(第二六〇六  号)  同外四件(岡沢完治紹介)(第二六〇七号)  同外四件(吉田泰造紹介)(第二六〇八号)  同(戸叶里子紹介)(第二七二四号)  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (田原春次紹介)(第二六〇九号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二六一〇号)  同(千葉佳男紹介)(第二六一一号)  同(戸叶里子紹介)(第二六一二号)  同(堂森芳夫紹介)(第二六一三号)  同(中井徳次郎紹介)(第二六一四号)  同(中澤茂一紹介)(第二六一五号)  同(中嶋英夫紹介)(第二六一六号)  同(中村重光紹介)(第二六一七号)  同(永井勝次郎紹介)(第二六一八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二六一九号)  同(成田知巳紹介)(第二六二〇号)  同(西宮弘紹介)(第二六二一号)  同(野口忠夫紹介)(第二六二二号)  同(野間千代三君紹介)(第二六二三号)  同(長谷川正三紹介)(第二六二四号)  同(畑和紹介)(第二六二五号)  同(華山親義紹介)(第二六二六号)  同(原茂紹介)(第二六二七号)  同(平岡忠次郎紹介)(第二六二八号)  同(平林剛紹介)(第二六二九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二六三〇号)  同(帆足計紹介)(第二六三一号)  同(穗積七郎紹介)(第二六三二号)  同(細谷治嘉紹介)(第二六三三号)  同(堀昌雄紹介)(第二六三四号)  同外一件(松前重義紹介)(第二六三五号)  同(松本七郎紹介)(第二六三六号)  同(三木喜夫紹介)(第二六三七号)  同(武藤山治紹介)(第二六三八号)  同(村山喜一紹介)(第二六三九号)  同(森本靖紹介)(第二六四〇号)  同(森義視紹介)(第二六四一号)  同(田中武夫紹介)(第二六四二号)  同(中谷鉄也紹介)(第二六六九号)  同(阿部昭吾紹介)(第二六九二号)  同(安宅常彦紹介)(第二七五八号)  同外一件(阿部昭吾紹介)(第二七五九号)  同(中井徳次郎紹介)(第二七六〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第二七六一号)  同(中澤茂一紹介)(第二七六二号)  同(中村重光紹介)(第二七六三号)  同(永井勝次郎紹介)(第二七六四号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二七六五号)  同(成田知巳紹介)(第二七六六号)  同(西宮弘紹介)(第二七六七号)  同(野口忠夫紹介)(第二七六八号)  同(野間千代三君紹介)(第二七六九号)  同(芳賀貢紹介)(第二七七〇号)  同(長谷川正三紹介)(第二七七一号)  同(畑和紹介)(第二七七二号)  特別区の区長公選に関する請願河野密君紹  介)(第二七二三号)  同(大柴滋夫君外一名紹介)(第二八〇九号)  戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(小  川半次紹介)(第二七九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今回の税法改正で、国民健康保険税改正がございますので、これにつきましてお尋ねいたしたいと思います。  今回の国保税改正は、標準課税総額療養諸費に対する割合を百分の六十五に引き下げることに相なっておるわけでありますが、この標準課税総額は、具体的には各市町村のそれぞれ個々の国民健康保険税算定をすることになると思うのでありますが、百分の六十五に引き下げた場合に、市町村のこれに準拠いたしましての課税をいたす市町村がどのくらいになる見込みでございましょうか。
  4. 松島五郎

    松島政府委員 国民健康保険税標準課税総額算定方法は、御承知のとおり国民健康保険給付に要します費用から国庫補助金、一部負担金等を除きまして、それにさらに付加給付等に要します経費を加えたものが国民健康保険税として得られるような形できめておるわけでございます。御承知のとおり、今回改正をいたしましたのは、本年一月から全部につきまして七割給付が行なわれることになりまして、財源計算率が変わってまいりましたので、そういうふうに改めることにいたしたものでございまして、現実付加状況は、結局は市町村国民健康保険に要します経費を、国庫補助金等財源を引きました残りを付加する形になりますので、どこの市町村でどういうふうにするかということは、結局は幾らその町村国民健康保険経費がかかるかということによってきまってくるわけでございます。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 かりに四十年あたりは——四十年はちょっと無理かもわかりませんが、四十一年あたりの決算から見て、現実にこういう計算をいたしまして集計せられた保険税との比較からいきますと、どうなりましょうか。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 現在、いま申し上げましたように、療養給付に要します経費から一部負担金国庫補助金等を引きましたものを国保税として取るようにいたす場合に、従来でございますと百分の七十五という率になったわけでございます。ただ、この療養給付に要します経費のほかに、財源計算上は任意給付保険施設費に対します費用というものを二〇%程度見込んでおりますので、百分の七十五にいたしておりますけれども現実には御承知のとおり任意給付あるいは保険施設をやっている団体もあり、またその額に多少がございますので、実際にはこれより低く付加しているのが実情のようでございます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、現実には七割給付を実施しておる市町村におきましても五〇%以下であろうと思うのであります。この辺の大まかな見通しはいかがでございますか。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 現在の計算を詳しく申し上げますと、今回算定をいたしました基礎は、療養給付あるいは療養費の支給に要します経費を百といたしまして、それに任意給付保険施設に要します経費を二十として、一応百二十と必要経費を置きまして、それから一部負担金を百に対して三十、それから国庫補助金四十と調整交付金を合わせまして四十五も七十五を百二十から引きまして、残りました四十五を七十でもって割り返しまして六十五という計算にいたしたものでございます。そこで、現実には任意給付保険給付の率が低くなっておりますので、かりにこれが全然ないといたしますと、二十五を七十で割るという計算になりますので、約百分の四十くらいになりますが、任意給付保険給付も若干ございますので、それを加えますと先生の御指摘のような数字に大体なるのではなかろうかと考えます。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 現実と比較いたしまして、いま税務局長さんの御答弁にありましたこの地方税法における標準課税総額をきめるというやり方は、市町村国保税現実に著しく乖離しておるという印象を受けるわけです。この前の当委員会でも御指摘申し上げましたように、今日過疎地帯における住民の最も大きな悩みは、国民健康保険税の著しい上昇、このことが、当該町村も非常に困っておるわけでありますし、住民としても、ここ数年の保険税の著しい増税といいますか、増徴といいますか、そういうことによって悩まされておる問題であろうと思うのであります。来年あたり医療保障抜本的改正が行なわれるということに相なっておるわけでありますが、おそらく職域保険地域保険の二本立てということになるのではないかと私いま想定いたしておるわけであります。そういった場合に、自治省としてこの国民健康保険税の問題をどういうふうにお考えになっておられるか、もう来年度の問題でありますので、その方針等おありでしたらお聞かせ願いたいと思います。
  10. 松島五郎

    松島政府委員 国民健康保険税という税の形態で、現在国民健康保険に要します経費一般保険者負担をしていただいておりますけれども、本来は私どもが納めます共済組合の掛け金でございますとか、あるいは健康保険について納めます保険料でありますとかいうものと御承知のとおり性質は全く同じものであります。そういう意味地域保険ではありますけれども厚生省あたりでは保険料に統一してはどうかというような考え方を持っておるように承っております。その場合にも地域ごと標準保険料と申しますかそういうような方式をとりまして、一定の所得の人に対しては地域を、ことに医療費段階がございますが、医療費段階をある程度分けまして、同じ医療費のところでは同じ程度の負担になるようにというような標準保険料制度というものを厚生省では検討しておられます。いま御指摘のように保険税としてどうするかという問題でございますけれども、そういう形になってまいりますと、保険税として残すのかあるいは保険料という形に統一してしまうのか、この辺の問題もございますので、私どもといたしましては厚生省と密接な連絡をとりながら検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  11. 山本弥之助

    山本(弥)委員 国民健康保険現状は、自治省でも十分関心を持っていただきたい、かように私考えておりますことは、現状でも十分おわかりだと思うのでありますけれども、四十年度の統計によりますと、年間所得が十万円以下の階層というものは二〇%あるわけです。四十万円以下の階層となりますと、七八%を越え、約八〇%が四十万円以下の階層に属するわけでありまして、しかも全世帯の平均からいくと、三十万三千円、これは三十九年度からいいますと、所得上昇はほとんどないというのが現状であります。このことは今後も過密過疎といいますか、過疎対策からいいましても、いまの局長の御答弁のように、厚生省抜本改正に際しまして、保険料に統一することによって地域医療保険を、単なる相互保険の問題で考えられない、重大な問題を含んでおると思うのであります。したがって、今後ますます農村就業人口も減ってまいりますし、残されておるのは老人婦女子になる。しかも、婦女子労働過重になりました際には、農村における医療問題というのは、相当今後受診率等上昇する。いわば、地域対策からいいましても、あるいは過疎対策からいいましても、抜本改正の際に、単に医療保険という見地よりも、地域社会保障的見地国民健康保険には考えていかなければならない。したがって、税制の面におきましても、当然、負担に耐え得る標準保険税設定によりまして、その足らざる部分平衡交付税方式でこれを調整していくという、自治省地方自治団体に対する対策からも、厚生省考え方よりも、地域の問題としての負担という問題を重視して考えていかなければならぬ、かように私は考えておるわけであります。その点、多少将来の政策的な問題になりますので、政務次官から御答弁願いたいと思います。
  12. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  実は、私、島根県の出身でございまして、山本先生のところ以上に過疎地帯をかかえておりまして、いま御指摘がありましたように、健康保険税負担に耐えられない、特に人口が急激に減少する地帯におきましては、非常に大きな問題でございます。政府は、いま医療保険について抜本的な対策を練りつつありますことは御承知のとおりであります。私どもとしましては、全体の中でどういうふうな姿であるべきかということを、当然重大な考慮の要素として組み込んだ法改正が行なわれるべきである、かように基本的には存じておる次第でございます。  したがいまして、この健康保険税を実費で取るということになると、保険料はおそらく上がる傾向でございましょう、医療費も上がっておりますから。しかし、その傾向でいいかどうかということになりますと、御指摘のような重大な問題があると思います。そこで、これは、御指摘のように保険料ないし保険税としても考えなければならぬ問題でございますが、私は、もう少し大きな、より根本的な問題として考えていかなければならぬと思う。それらとの関連において、それらの一環としてこれを考えていく。負担を軽減しなければならぬということにつきましては、全くお説のような状況であることは、私ども地方を回りましてよく感じておるところでございます。大きな問題でございまして、そういう点で十分ひとつ政府全体として、厚生省自治省みんな合わせて考えていかなければならぬ問題だ、かように存じております。
  13. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今日、保険税がほとんどの市町村で一世帯当たり一万円をこえている。これ以上保険税の増額は困難であるということは十分御承知だと思うのであります。島根県にもおありかと思うのでありますけれども、岩手県におきましても、豪雪地帯の村は、交通を確保することと、半年雪に閉じ込められる地域健康管理、いわば、健康管理がその地域産業発展の基盤でございますので、相当の多額の経費村政のほとんど大部分を投じて交通の確保と国民健康保険の充実をはかっている。いわば、乏しい財政の中から、老人も、乳児も十割給付を断行している。そのことがまたほんとうの生きた行政だと私は思うのであります。そういうことをやっている村もあるのです。したがって、非常な低所得階層の中で一世帯当たり二万円という保険税を徴収しているというのが実態なわけであります。しかし、相互保険だからといって、この限度を越えますと、これは村の基本的な村政というものが破壊される、こういう実態に相なるわけであります。そういう医療保障重点を置いている村でなくても、おそらく早晩そういう体制に追い込まれていくんじゃないかというふうに私どもは見ているわけであります。したがいまして、ただいま政務次官は、地方自治の立場からいっても相当重点的に配慮したいということでありますが、単なる保険料という観念よりも、これ以上取れないという保険税限度というものをきめまして、あとは交付税考えていくという体制をとらなければならぬと私は思うのであります。本年度あたり交付税改正もございますが、逐次一般会計から国保特別会計に持ち出している市町村も多くなっていると思うのであります。これは自治省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 松島五郎

    松島政府委員 現在のところでは、御承知のとおり、国民健康保険は、それ自体一つ保険としての分野を形成しておるわけでございますので、一般会計との間で出し入れをするということは、原則として適当でないという考え方を私どもはとっております。現実には、御指摘のとおり相当繰り入れがございますけれども、本来これは国民健康保険会計それ自体の問題として処理をさるべきものであるという考え方をとっておるのでございます。そのためには、もちろん、保険料負担の問題からくる制約もございます。そこで、国庫補助負担というようなものの割合を高めるというようなことによって問題を処理すべきである、あるいは、国民健康保険事務費につきましての超過負担というようなものを解消するというようなことによって問題を解決すべきである、という考え方をとっております。  ただ、将来標準保険料方式等になってまいります場合を考えますと、所得の少ないところでは保険料も少なくなってくる、しかし、医療費そのものは、そういうところだから低いというわけに必ずしもまいりませんので、いわば財政需要財政収入との間の差額というものが団体ごとに違った形で出てくるということも考えられるわけでございます。そういう場合には、やはり一種の国民健康保険そのものについての交付金制度のようなものをつくって平衡化をはかっていくということは当然考えらるべきではなかろうかというふうに考えております。
  15. 山本弥之助

    山本(弥)委員 特別会計交付税方式を加味するということでございますが、これはぜひ実現を願いたいと考えておるわけであります。この前の委員会でも、過密対策のところで私は申し上げたわけでありますが、地方自治体の育成をはかるという自治省において、過密過疎対策が、経済界の非常に激動している中に弾力性がない。これはもう昨年から、私ども総理大臣方針をお聞きしたのですけれども、その前からだろうと思うのでありますが、これに真剣に取っ組むと言いますけれども自治省自体において、非常にこれらの問題、過密の問題についての臨機応変の処置といいますか、これらについても非常に緩慢である。過疎地帯も成り行きにまかしておるというふうな印象を持つのであります。どこに重点を置くべきかということに対して、今日の地方自治体保険税はこれ以上は徴収できないということで、逐次、一般会計から無理をして繰り入れをいたしておるわけでありますが、これに対して、交付税交付金としての算定基礎にも入っていない。もう少し、動いていく地方自治体の問題を、税制根本的改正が行なわれない現状においては、もっと流動的に、弾力的にこれに対処するという腰だめ方式も必要になってくるのじゃないか。そういう意味においては、交付税配分等も、単位費用に関係はともかくといたしましても、根本保健衛生等関連もあるわけでありまして、もう少しそういう意味で、そういった町村傾斜配分をする、それらの一般会計から繰り入れておるという実態考慮に入れながら、考慮せられるという英断的なお考えはないのでございましょうか。
  16. 松島五郎

    松島政府委員 市町村でやっております仕事だから、何もかにも交付税で最後の締めくくりをするのが適当かどうかという問題になると思うのでございますけれども、これは、やはり仕事性質制度の立て方の問題として考えなければならない面があるのではないかと考えられるのでございます。現在のような国民健康保険制度のもとにおきまして、一般会計から繰り入れる、あるいは、その財源として地方交付税でもって処理をするということになりますと、結局、足りないか、足りるかという問題は、もっぱら交付税上の問題だけに帰着してしまいまして、国民健康保険制度それ自体合理化の問題というものがすりかえられてしまって、かえって解決が十分にいかないという問題も考えられるわけでございます。私どもは、この制度は現在でも、すべての市町村国民健康保険税という制度をとっているのではなく、ある場合は国民健康保険料という制度もとっておるわけでございまして、そういう点から申しますと、やはりこれは国民健康保険会計それ自体の問題として合理化をしていくという方向考えられるべき問題ではなかろうかというふうに考えておるものでございます。
  17. 山本弥之助

    山本(弥)委員 非常にしゃくし定木のお考えのようでございますが、今後の抜本的改正におきましても、この社会保険という問題は、地域保険国民健康保険から順次、他の職域保険に切りかえられていく。たとえば従業員五人未満のところも他の健康保険に切りかえられていく。いわば地域の低所得者層のたまりとして国民健康保険というものは残されていく。これは大きく、先ほど申し上げましたように、繰り返して申し上げますが、過密過疎関連において私は生じてきた問題だ。そういう自治体をどう育成していくという場合に、単に国保特別会計という考え方でこの問題は解決しないのだ。残された住民福祉あるいは生活保障、そのうちの基本的な問題がその村においては医療保険制度ならば、その地域自治体重点特別会計だけでは処理できない問題としての把握、これが必要になってくるのじゃないかと私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  18. 松島五郎

    松島政府委員 先生の御指摘のとおり、だんだん国民健康保険対象者というものが、特に過疎地帯等におきましては、老年者でありますとかあるいは婦女子でありますとかいう、いわば稼得能力の低い方を対象とするようなものに変わっていきつつあることは事実でございます。そういう点から申しますと、こういう国民の健康を守っていく制度として、単に保険というような形でなくて、社会保障制度一環としてむしろ考えていくべきだという御指摘も、私どもも当然起こってくると考えているのでございます。ただ、そういうふうに考えました場合に、そういうものとかりに制度考えまして、一体どういう措置が最も適切かという問題は、私は、おのずからまた別の問題であろうと思います。そういうふうになったからといって直ちに、現在あります交付税の中で処理をすれば問題が解決するのか、あるいは、そういう制度として考えた場合にそこに別個の、たとえば国民健康保険調整交付金というような制度を新たに設けて、国民健康保険そのものとしての財政調整制度考えるかという問題がなお残り得ると思うのでございまして、現在、私どもの聞いておるところでは、厚生省方面でも、国民健康保険について、標準保険料制度設定する。標準保険料制度設定しますと、所得十万円の人には、どこの村に行っても、国民健康保険税は一応同じような負担におそらくなっていくと思います。そうしますと、その村の医療費にかかる財政需要というのは必ずしも同じではございませんから、差額が出てくる。その足りない分の埋め合わせを何らかの形でしていかなければならない。その埋め合わせのしかたとして国民健康保険調整交付金というような、名前をどうつけられるかわかりませんが、そういった形のものを考えていきたいということを検討しておるのでございまして、そういう制度ができますならば、それ自体として私は、問題が先生のおっしゃるような方向解決をしていくのではなかろうか、かように考えておるものでございます。
  19. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、来年度において、社会保険、特に医療保険の抜本的な改正が行なわれるという段階において、多年私ども、現在の標準課税総額という方式がもう無意味になっておるので、標準税率といいますか、そういうものの設定ということは要望しておるわけでありますが、しかし、全体の抜本改正を行なう中において、国民健康保険標準税率というものを設定する際におきましては、私は、非常に標準税率地域住民過重負担になるような方向できめられるのではないか、こういうことに不安を感じておるわけであります。したがって、将来のそういう地域における問題を、先ほど申しましたように、大局から、その地域の健康を保持しながら、他の地域と同じような生活の水準まで向上させるという方策を樹立する中でこの問題に対処願いたい。そのことが、過疎地帯をどうするかということを、いろいろ山村の振興とも言っておられますが、逐次これらも総合的な施設、たとえば単に町村役場の改築の際に起債を認めるということではなくて、産業その他社会福祉、総合的なセンターに対する助成を行なうとかという方向に変わりつつあるわけでありますから、この点は自治省等も非常にお骨折りを願っておると思うのでございます。そういう考え方過疎地帯に全般について考えていかなければならぬ、かように考えておるわけでありまして、この国保特別会計においてそういった標準税率、さらに交付税方式を採用する場合も、常に、その地域行政全般としての把握を考えてもらいたい。単に特別会計というような問題ではなくて、そのことが過疎地帯重点事項になりつつあるわけであります。そこにまず重点を置いて過疎地帯の問題の解決の端緒にする考え方考えないと、この国民健康保険の問題は非常な行き詰まりを来たす、抜本改正を行なわれたあとでも行き詰まりを来たすと私考えますので、それらの点をはっきりお聞かせ願いたいと思います。
  20. 松島五郎

    松島政府委員 国民健康保険税と申しますか、国民健康保険に関します負担の問題が、現状のままでは過疎地帯におけるいろいろな問題を解決する上において非常に大きな障害になり、ひいてはこの制度自体の行き詰まりを来たすという御指摘でございますが、私どもも今日の国民健康保険会計の運営の状況を見ておりますと、何とかやはり改善の方途を講じていかなければならないというふうに強く考えておるものでございます。  しばしば御指摘のございますように、こういう地域においては、人的な構成が最近非常に変わってきておりまして、所得能力と申しますか、あるいは所得稼得能力の低い方が残っている。そういう人たちに、保険制度だから要る金は自前でもって負担をしなさいという形で現在の国民健康保険税のような負担方式では、とうてい維持していけないという問題があるということは御指摘のとおりだと考えます。そういった点から国におきましても、国民健康保険に関します負担金割合をずっと高めてまいっておるような状況でもございます。さらには一部負担金の税率を低めていくというようなことによって、別な面——税という面を離れた、実質負担の面ではやはり相当の軽減が行なわれてきているわけでございますけれども、さらに御指摘のような点につきましては、今後の標準保険料制度設定、それに伴います財政調整制度の確立というような方向で問題を処理していくべきものというふうに考えております。
  21. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いずれまたの機会にこの問題は御質問いたしたいと思いますけれども、一言だけ自動車取得税についてお尋ねいたしますが、いずれ詳しく同僚委員からの御質問があろうかと思います。  市町村におきまして、いままで特定財源がなかったのを自動車取得税によりまして特定財源が得られ、また将来にわたってある程度の税源、目的税としての市町村道整備の財源が確保せられると思うのでありますが、ひとつ税体系につきましての一点だけを御質問したいと思うのです。将来この自動車取得税というものを存続なさるおつもりか、あるいはある段階において国道整備というふうな見合いのもとにあるいはガソリン税、軽油引取税等の市町村の配分ということで変えられるのかどうか、その点お聞かせ願いたいと思います。
  22. 松島五郎

    松島政府委員 御承知のとおり、道路に対します財政需要は、今日の段階ではほとんど無限といっていい状況と申し上げて差しつかえないのではないかと思います。道路整備は金さえあれば、整備されればされるほど望ましいという現在の状況でございます。そういった段階においていま考えております。道路の目的財源現状より減らすという方向で将来考えられるかという点については、いまの段階では、私どもはそういうふうには考えておりません。ただ、国道なり府県道なりの整備がおおむねある程度の段階に達して、これからはまあそう国道なり府県道なりに金をかけなくてもいいという段階がきますならば、その段階においてはもちろんいま御指摘のような問題を含めて、財源再配分という問題は当然考えられなければならないというふうに考えております。
  23. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、自動車を対象とする税金が非常に多種にわたっておるということと、自動車取得税ということにやはり問題があるのではないか、いわば道路の整備はその損傷の度合いにおいて課税をするということが本来のたてまえではないか、物価上昇ということによりまして、市町村に対する国税あるいは県税等の配分が避けられたようでありますが、税の本質からいいますと、むしろガソリン税等の市町村に対する配分、おそらく自治省のほうも当初はそういう考えでお考えになり、物価の上昇ということの配慮からガソリン税の値上げその他を避けられたと思うのであります。本来、税の性質からいいますと、自動車取得税ということよりも、むしろその損傷に関連した税そのことが当然目的税としては適当な税である、いわば税体系を非常に乱してくるのではないかというふうな考え方がありますので、本来、自治省でその辺のことをどうお考えになっておるのか。とりあえず市町村財源を取得税に求めたのか、本来の税体系のたてまえから将来ガソリン税の増徴というようなことで市町村道にも目的税を与えるという本来の筋に戻すというような考え方なのか。今後もいろいろこの取得税に関連しては私は問題もあり、検討を加えなければならぬのでありますが、いわば国税、地方税との関連においての税体系上からきわめて適当な税とも思われないで、いたずらに市町村の目的税を確保するということから腰だめ的に創設されたのかどうか。その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 松島五郎

    松島政府委員 道路損傷負担金的な面からいえば、自動車燃料に対する課税が一番適切ではないかというお尋ねでございますが、私どももそう考えております。走れば走るほど、すなわち自動車が道路を使えば使うほど、税がよけいかかるというのが現在の燃料課税の行き方でございますので、それが自動車損傷負担金的な性格あるいは目的税としては一番適当な税であると考えます。ただ、それだからといって、燃料課税をどんどん上げていくことが適当かどうかという問題になりますと、これはまた別の面からいろいろ考えなければならぬ問題があろうかと思います。ただいま御指摘のございましたような物価の値上げ等もその一つでございますが、また税体系の面から見ましても現在揮発油税は御承知のとおり小売り価格に対して約六一・三%になっております。それから軽油引取税は四九・三%という税率になっております。このように高い税率というものが他の消費税との関係において、道路を使うんだからというだけでもっともっと上げられるものだということが言えるのかどうかという税体系上の問題も考えていかなければならないと思うのでありますけれども、そういう点を除いて道路とその負担という観点から申しますならば、ただいま先生の御指摘のとおりだと考えております。
  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これで終わります。
  26. 吉川久衛

    吉川委員長 河上民雄君。
  27. 河上民雄

    ○河上委員 ただいま山本委員より豊富な経験と、そしていわゆる過疎地帯の切実な体験をもとにして地方税法についていろいろ御質問があったわけですが、私はむしろ大都市特に指定都市の問題に質問をしぼりまして、地方税法一部改正法案についての御質問を申し上げたいと思うのであります。  まず初めに伺っておきたいのでありますが、大都市、特に六大都市が財政的に非常に危機に瀕しているという認識は大方の認めるところでありますけれども、そして現状のまま推移するならば、数年ならずして大都市財政は破産に瀕するのではないか、こういうような説さえあるのでありますけれども自治省ではこうした問題についていまどのような認識を持っておられるか、まず初めにお伺いしたいと思います。
  28. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、大都市財政一般に悪くなってきているといわれております。財政が悪くなっているということを、どういう面から実証的に説明をするかということになりますと、人によって意見がいろいろでございまして、税収入の歳入全体に占める割合が下がってきたことをもって財政が悪くなったという方もございます。いや、そうじゃなくて、それは別な財源でもって補てんをされていればそれでいいのだという考えの方もございます。また歳入中に占める市債の割合、市の借金の割合が大きくなってきたという事実をとらえて大都市財政が悪くなったのだという方もございます。それに対して、また発展しつつある都市というようなものを前提とする限り、臨時に要る、あるいは建設中に要る経費というものは起債をもってまかなってもいいのだという考え方もございます。いろいろ見方によって異なると思いますけれども、一応私どもは、従来から基準財政需要額と基準財政収入額の割合というものを一つの指標にいたしまして、財政力指数というものを出しておりますが、それによって一応の判断をいたしますと、確かに御指摘のように大都市財政は非常に悪くなってきております。ただ、この悪くなってきた原因というものはそれじゃどこにあるのかという問題、それは将来ともその形でもってずっと続いていくのかという問題はまた別の問題であろうと思いますけれども、大都市財政が最近非常に悪くなってきたというのは、先日来御指摘ございましたように、一面には地方税というものは非常に、市町村税は停滞的な税が多いということから、そういう伸びつつある、あるいは財政需要が急激に増加しつつある都市の財政についていけないという点が一番大きな点であろうと思います。  さらにその市町村税のうちでは何が一番伸びが悪いかというと、この前申し上げましたように、結局固定資産税の伸びが悪いというところに一つの問題があろうと思うのでございます。固定資産税につきましては、御承知のような負担調整措置を講じながら、年々多少とも収入が増加するような措置を講じておりますけれども、しかしそれを上回って現在では財政需要が伸びつつあるような状況でございますので、財政事情が困難であるというような状態は、このままではなお当分の間続くのではないかというふうに考えております。
  29. 河上民雄

    ○河上委員 いまいろいろ御説明ありましたけれども自治省としては要するに大都市財政は非常にむずかしい、そういう危機感を持っておられるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 そのとおりに考えております。
  31. 河上民雄

    ○河上委員 昭和三十九年以来、国会において衆参両院で地方税法の一部改正法律案の議決に際しまして、幾たびか附帯決議が出されておるのでございます。私は昔のことはよく知らないのでございますが、文献によれば、衆参それぞれ三回ずつ同様の附帯決議がなされておるのであります。それは、都市、特に指定都市の財政需要が著しく増高することに対処するため、税財政制度を再検討し、独立財源の充実をはかるべきである、こういうことが述べてあるわけであります。自治省ではここ数年、この附帯決議にこたえるべき具体的努力をされてこられたか、もしされてこられたといたしますならば、その措置はどのように行なわれてきたか、お答え願いたいと思います。
  32. 松島五郎

    松島政府委員 大都市の財源充実ということを一つの前提に置きまして、昭和四十一年には固定資産税につきましては負担調整措置を講じながら増加をはかってきた、特にその際に都市計画税につきましては、大都市が都市計画財源に非常に困っておる状況考えまして、負担調整率を固定資産税よりは高くして税収の増加をはかったというようなこともしてまいっております。また府県税であります軽油引取税の一部を大都市につきましては交付することになっておりますが、その際に大都市の交通量というものにある程度重点を置きまして、交通量による補正を強化することによって、大都市に相対的に財源が多くいくような措置も講じてきております。また今回御提案申し上げております自動車取得税につきましても、御承知のとおり、全国的に課税をする税ではありますけれども、今日の自動車の増加状況から見てまいりますと、やはり大都市を持っております府県にその税収入が非常に大きく入るわけでございまして、そういう点を考慮いたしまして、これを大都市あるいは都市に重点的に配分しようというような考え方もとっておるわけでございます。まあ不十分ではございますけれども、私どもとしても努力をしてきておるつもりでございます。
  33. 河上民雄

    ○河上委員 いま自治省が認められましたように、はなはだ不十分であるという証拠に、今日なお危機が続いているばかりか、ますます深刻になっているわけでございまして、その後もこの附帯決議が何回も繰り返されているということ自体、事態が改善せられてない証拠だと思うのでございます。大都市財政の窮迫には幾つかの原因があろうと思いますけれども、私の見ますところ、少なくとも二つの側面があるように受け取れるのであります。一つは、いま、少しく指摘されましたように、現在の大都市の財政実態に現在の財源というものが即応していないということが一つの大きな原因であろうと思います。もう一つは、財政負担というものが地方へしわ寄せされておる。超過負担とかあるいは財政硬直化の名のもとに行なわれるさまざまの負担、ことに来年度のごときは地方財政の窮迫にもかかわらず中央に巨額の資金を貸すという、強制的に貸さざるを得ないというような形になっておったりいたしておりますが、そういう地方へのしわ寄せ、こういう二つの側面が交錯して今日の大都市財政の窮迫が生まれているのだと思うのであります。  したがって、この対策には、一方では大都市財政実態に即して財源を与えるということ、もう一つは地方へのしわ寄せを是正するということ、この二つが必要であろうと思いますが、自治省におきましては、こういうような評価についてどのようにお考えになっておりますか。
  34. 松島五郎

    松島政府委員 大都市に財源を与えるという問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、私どもとしても努力をいたしておるところでございます。なお大都市についてのいろいろな負担の問題、特に超過負担の問題等につきましては、これまた御説明を申し上げておりますように、計画を持ってこの是正をはかっていくということで進めておるわけでございまして、私どもといたしましては両面からこの問題に取り組んでおるような状況でございます。
  35. 河上民雄

    ○河上委員 もしそういうお考えでありますならば、そのような対策を講じていただきたいのでありますが、御承知のとおり、今日の大都市の基本的な様態は、人口の集中、工場の集中あるいは管理機能の集中というようなことから起こっていると思うのでありますが、それはすべて高度成長の影響であるというふうに見て間違いないと思うのであります。ところが現在の地方税の体系というものは、その基本において高度成長の始まる前にすでにできておるという重要な事実があるように思うのであります。いま言ったような人口の集中、産業の集中あるいは管理機能の集中——先日、私、北海道の札幌へ参りましたけれども、さしたる産業はなくても、戦後人口は約四倍にふえて、二十二万の人口が九十万に近いというようなことでございまして、この管理機能の集中ということがやはり都市化現象を起こす一つの原因であろうと思うのであります。その結果として、同じ大都市の中でも、都心部における昼間人口と夜間人口の差というものは非常に著しいのでありまして、私の選挙区の神戸市など、その中心部、オフィス街といわれます生田区などは、昼間は十八万の人口で、夜は七万七千、約二倍の人口が昼間いるというようなことであります。こういうような都市化現象は、住宅問題、上下水道の問題、交通問題あるいは道路問題、教育問題、公害問題、そういうようなものをいろいろ生み出すとともに、公園とか、そういうような文化的な施設に対する財政需要も高まっているわけであります。さらに、昭和三十年前後から、いわゆる都市のし尿というものが農村に還元できなくなりまして、それが非常な大都市の大きな負担になっておるように聞いておるのであります。神戸市の例で申しますと、百二十万人おりますけれども、その都市の周辺に、神戸の場合は酪農がかなり行なわれておりまして、一万くらいの牛と豚がおりますと、牛や豚は人間の出すし尿の百二十倍くらいの濃度を持っておりますので、一万の家畜がいるだけで百二十万人分の人口相当するし尿処理負担が神戸市にかかっているようなわけであります。  そういうように、おそらく昭和三十年以前には想像もできなかったような問題が起きているわけであります。にもかかわらず、こういうダイナミックな財政需要に対応すべき税制のほうは、基本的にはシャウプ勧告で大きくきまっておりまして、昭和三十年以降、ことに三十五年以降の高度成長という竜のを全然予想しておらない、そういうところに基本的な矛盾があるのではないか、こんなふうに思うのであります。シャウプ勧告では市税というものは安定的なもの、景気変動の影響を受けないもの、そういうものを充てるという考え方で行なわれておりまして、それが結果として今日伸びの少ない税源が市に割り当てられており、伸びの高い弾力的なものが国税あるいは府県税に回っておる、こういうような結果を生んでおると思うのであります。しかし今日の市町村税の体系の前提にあるものは、都市というものの財政需要が安定しているということにあったと思うのであります。財政需要の安定性というものを前提として組み立てられたと思うのでありますが、今日そうした前提がくずれた以上、税体系の変更は必要である、これを変えない限りは今日の問題には対処できないのじゃないか、こういう基本的な点をこの際もう一度考え直す必要を自治省では感じておられないのか。その点をいじらない限りは今日の問題はどうしても解決できないのではないか、こんなふうに私は考えるのであります。自治省の御見解を承りたいと思います。
  36. 松島五郎

    松島政府委員 大都市の問題は、先ほど先生の御指摘にございましたように、人口産業あるいは管理機能というようなものが集中してくることによって非常に財政需要が大きくなってきたということでございますが、私もそのとおりであると思います。ただ、六つの都市を比較してまいりますと、人口の集中という面では必ずしも大都市はみな同じ形ではないように見受けられます。たとえば、大阪市の場合におきましては、昭和三十五年の人口が三百一万二千人でございますが、昭和四十年の国勢調査では三百十五万六千人、この間に約十四万人程度しかふえておりません。そういう意味では大阪市は必ずしも人口増加が非常に著しいというわけではないと思います。また管理中枢機能が集まってきているという問題にいたしましても、管理中枢機能が集まれば昼夜間人口の差というものがそこに出てくるわけでありますけれども、その場合におきましても、都市によってかなり性格が違っているように私どもは見受けられます。たとえば、横浜市の場合をとってみますと、横浜市の昭和四十年における流入人口が夜間人口の約一〇%でございます。ところが流出人口と申しますか、外へつとめに出られる方が一六%でございまして、その差が十一万三千人、すなわち、横浜市の場合は、昼間のほうの人口が十一万三千人だけ少ないという状態でございます。これは明らかに東京という大都市に対する、ことばは適当でありませんけれども、衛星都市的な面を持っているのではないかというふうにも考えられるのでございます。このように都市によりまして、人口産業あるいは管理機能というような面を一律にとらえて財政需要が大きくなったというふうに言うことはできませんが、しかし全体を通じて見ますならば、御指摘のようにこれらのものが原因になっていると考えるのでございます。  シャウプ勧告は御指摘のように、安定的な税収入を市町村に与えるという前提で立てられておりますので、今日のような激しい世の中の動きに対してついていけない面があるということも私どもとしては認めるところでございますが、ただその場合においても、何度も申し上げますように、市町村税の最も大きな部分を占めますものが市町村民税であり、固定資産税でありますが、その固定資産税の伸びが非常に停滞しているというところに一つの大きな大都市税制が伸び悩んでいる原因があると思います。しかしそれでは固定資産税が本来目ざしているところの適正な時価に対して課税をするという、そのたてまえが生かされているかどうかという問題になりますと、これはまたいろいろ議論のあるところでございまして、最近は地価が非常に上がっている、にもかかわらず固定資産税はそれに応じていっていないではないかというようなこともしばしば指摘されておるところでございます。そういう面から現在の税制でも、もっと運営そのものが機動的であったならば即応し得たのではないかという意見も、今後あわせて考えていかなければならない点があろうと思います。
  37. 河上民雄

    ○河上委員 大都市のいまのお話は、一面私の見方に対する反駁のようでございますが、大阪の場合は、御承知のとおりドーナツ化現象の激しい大都市で、いまの御指摘とは逆に、昼間人口は非常に多くて、夜間人口がむしろ周辺都市に散っていくという形になっているわけであります。確かに横浜と京都の場合は、東京並びに大阪の住宅地的な様相を若干持っていることは否定できないと思いますけれども、しかしいずれにせよ、そういう大都市が非常な大きな変動に見舞われておる。つまり、そこへ住んでいてそして働く、そして税金を払っている、こういうような姿ではなくなってきていることは否定できないと思うのであります。  いま、固定資産税の伸びが小さいということが市の収益を制限している、制約しているというような御意見でございましたが、しかし、私が申し上げたいのは、そういったような、いまある税源の配分を前提として、これを動かしがたいものだという形でいまの問題を処理しようとすること自体に無理があるのではないか、もっと基本的に考え直さなければならない時期に来ているのじゃないか、こういうことなんでございます。多くの人が指摘いたしますように、たとえば法人が出すところの税金というものが、実際にどういうふうに国と府県と市に配分されているかということを考えてみますと、六大都市側の出しております資料でございますけれども、六大市域分について申しますと、国は法人税を取っておりますが、法人が出す税の六九%を手にし、府県は法人事業税あるいは法人府県民税で二五・九%、それから市は法人市町村民税で五・一%しか取っておらないのであります。この法人の多くは大都市で活動しているわけであります。そういう点から見ましても、法人が出す広い意味の法人税というものの配分から見ましても、大都市というものは、非常に限られた税源で無限の仕事を押しつけられておる、こういうふうに言わざるを得ないのであります。したがって、このほかにもいろいろございますけれども、そういう税の配分というものに根本的なメスを入れない限り、いま言われたように、ただ固定資産税を引き上げるとか、そういうような既存の税体系というものを前提とした改革策というものは結局びほう策に終わってしまうんではないか、こういうふうに言わざるを得ないのであります。  いまのようなお話がございましたので、ついでに申しますが、昭和三十一年の地方自治法の改正のときに、二百五十二条の十九で規定されておりますが、いわゆる十六項の事務移譲がなされておるわけであります。今日に至るまでこのことは変わっていないわけでありますが、その事務移譲に伴って、それに見合う財源というものは今日全く付与されないできておる、そういう事実があるのであります。統計によりますと、今日では、これは二十七億ぐらいにのぼるのではないかと思うのですが、こういうものがちゃんとした財源を与えられずに、大都市の仕事にされているわけであります。そのほか、いろんな個々の法令で、六大都市にというか、指定都市に与えられております仕事は、いまここに資料を持っておりますけれども、一々あげませんが、非常な数にのぼっておるわけでありまして、それらはみな財源を要求しないで事務を指定都市側が負担しております。その数字は一応出ておりますのであげますと、昭和四十年では二百七十二億にのぼっております。四十二年では三百四十四億になるというようなことがいわれておるのであります。もちろん、この数字がすべて市が負担しておるのかあるいは何らかのほかの道がいろいろ講ぜられておるのか。たとえば、交付税で見ているというようなお答えがあるかもしれませんが、いずれにせよ財源を付与しないで事務が移譲されておる、こういう事実は否定できないのであります。今日、大都市財政の問題を解決するためには、ぽろぽろと一つ一ついじるのではなくて、こういうような問題、財源基礎そのものを根本的に洗い直して矛盾を直していく。その中で都市的な税源については都市に譲っていくという、そういう基本的態度をここで明らかにすべきではないか、こういうふうに私は思うのであります。いま私が指摘いたしました二百五十二条の十九、いわゆる十六項目の事務移譲に伴う経費というものは一体どういうふうになっておるのか、あるいはその他の個々の法令によって指定都市に与えられております仕事に伴う経費というものはどういうふうになっているか、それをこの際参考にお聞かせいただきたいと思います。
  38. 松島五郎

    松島政府委員 二百五十二条でございましたか、配分に伴います財源の問題につきましては、財政課長からお答えをさせます。  なお、先ほど大都市財源の問題でいろいろお話がございましたが、先ほども申し上げましたように、大都市と一口に申しましても、その実態がいろいろと違っております。大都市はもちろん財政需要の増高に非常に困難を感じておりますことは御指摘のとおりでございますが、単に大都市だけではなく、大都市を含む周辺の市町村もまた、別の意味財政需要の増高に苦んでおるわけでございます。したがいまして、今後問題を考えてまいります際には、大都市並びにその周辺を含んだ広い意味の大都市圏の財政というものがいかにあるべきかということもあわせて考えていかなければならないのではないか。そういうふうに考えてまいりますと、大都市という単位あるいはその周辺の市とか町村とかという単位だけでものを考えていくのか、あるいはそれらを含めた府県というものもあわせて考えて、その場合における、そういう大都市なりその周辺を含む府県の役割りというものはいかにあるべきかという観点から考えていく問題もあわせて考えてまいりませんと、なかなか問題が解決しないのではないかというふうに思っております。
  39. 首藤堯

    ○首藤説明員 大都市におきますただいま御指摘のような特別の財政需要につきましては、御指摘のように地方交付税の基準財政需要算定の際に、各種の補正係数等を通じまして算入しておるところであります。ただいまその具体的な数字を持ってきておりませんが、後ほど調査の上御報告申し上げたいと思います。
  40. 河上民雄

    ○河上委員 いま指定都市と申しますか、大都市はこういう財源を伴わない事務移譲の負担というものがばかにならなくなっておるわけであります。そういう実態について自治省では全然まだ把握しておられないような印象を受けるのであります。六大指定都市分につきまして、一体交付税で全部見ているのか、それともおそらく交付税で全部見ているのではなくて、やはり一般財源で見ている部面も非常に多いと思うのです。そういう比率についてこの際教えていただきたいと思うのです。いますぐここに出せないならば、資料の提出を要求したいと思います。委員長よろしくお願いいたします。
  41. 首藤堯

    ○首藤説明員 資料を調製の上、後日御報告申し上げます。
  42. 河上民雄

    ○河上委員 それでは、これは資料をあとで出していただきたいと思います。  いま自治省では、大都市だけの問題ではなくて周辺都市の問題がある、それを含めて考えなければならぬ。大都市圏というような名前がいまあげられたのですが、これは大都市圏だけの問題ではなく国全体の問題である。その点については私も考え方として特に異論はないわけでございまして、都市問題というものはやはり過密過疎地域の一貫する、現在の日本社会の一つの病根としてとらえなければならないと私は考えておるからであります。しかし実際にこの問題を担当する自治省として、いまのようにただ、当面の問題を解決するのを避けてより大きな問題がある、またその問題はさらにより大きな問題があるというような形で解決を延ばしていくということは、結局じんぜん日を送るという結果になるのではないか、こういうように思うのでありまして、いまこの都市問題を解決するためには、いろいろ問題はあろうけれども、とりあえず指定都市というようなワクでとらえてみるということが必要なんじゃないか、こんなふうに私は考えておるのであります。  そもそも、いま事務移譲については交付税で見ているのだ、見ているといっても全部見ているのか何%見ているのか、その辺がはっきりしないのでありますが、しかし指定都市というものが一番税を負担する能力があるはずです。一番富んでいるはずの指定都市が国から交付税を受けなければならない、こういう実態は、交付税法の精神から見て本来あり得べからざることではないか、そんなふうに考えるのであります。ことに交付税の源泉というものが何であるかということを考えてみますると、その有力な柱は法人税である。そしてその法人が一番たくさん集中している大都市が、その法人が出す税金のうちのわずか五%しか受けておらない、こういうような事実は一体どういうように理解したらよいのであろうか。現在の交付税というものは出せるところと出せないところがある。そういうアンバランスを前提として、その平均をはかるという考え方から出ていると思うのでありますが、いまのようなやり方でありますと、みんなを貧乏にしてしまうということになってしまうのではないか、そんなような気がいたすのであります。乏しきを憂えずひとしからざるを憂えるということばがありますが、指定都市を含めてすべてを乏しくしてしまう、そういうような形にいまはなっておるような気がするのであります。したがって、交付税というようなものは本来過密過疎という、こういうアンバランスの解決のために用い得べき手段であって、指定都市についてはもっと独立の豊かな財源を与えることによって、交付税のめんどうを受けなくともやっていけるような体制をつくるべきではないか。たとえば、指定都市についていえば、法人税割りの市町村民税の税率の引き上げなども考慮すべき時期が来ているのではないか、こんなふうに考えるのでありますが、自治省のお考えを承りたいと思う。
  43. 松島五郎

    松島政府委員 市町村財政に関します制度考えます場合に、先ほど御指摘のありましたような特別の事務がある市町村に与えられている、だからその分で金がよけい要るということであれば、それについての財政措置をどうするかという問題として考えることができると思います。しかし、そういう問題を離れて、ある特定の市町村だけがどうして特別の財源を与えられなければならないのかという問題になりますと、なかなかむずかしい問題がございます。ただいま六大都市について御指摘がございましたけれども、たとえば、東京と横浜との間にはさまっております川崎市が、それではなぜ、地方自治法に基づきますところの、特別の事務はもちろんございませんからこの財源は別といたしまして、そういう問題を除いた部面における指定都市に与えられる財源が、なぜ川崎市に与えられてはいけないのか、こういうような問題になってまいりますと、それは川崎市はだめなんだというわけにはいかない問題がございます。そういった点を考えてまいりますと、大都市にかりに財源現状から以上に強化をするといたしましても、その強化をすべき点をどこに求めるかという問題もあわせて考えなければならないわけでございまして、こういった面から、結局事務配分の問題なんかとも関連をして、この問題は検討していかなければならないというふうに考えておるのでございます。
  44. 河上民雄

    ○河上委員 いまのような議論でございますと、結局問題は一歩も進まないわけでございまして、確かに川崎市とかあるいは札幌とか、そういう百万人に近い都会があることは事実でございます。しかし、そういうことを理由に指定都市そのものは一切動かしてはならない、こういうことでありますと、今日の大都市問題というものは全然解決しないのじゃないか、こんなふうに思うのであります。指定都市というものの役割り、基準というようなものもそこでもう一度考え直さなければならないような点もいろいろあろうと思いますけれども、ともかくいま言われたようなことでありますと一向に問題は解決しない。何とか解決をするという意欲というものがそこに示されてしかるべきだと思うのでありますが、この際次官の御意見を承りたい。
  45. 細田吉藏

    細田政府委員 先ほど来河上先生の都市問題全般にわたるような御高見を拝聴しておるわけでございますが、もう全くおっしゃるとおりのような状況だと思います。この都市化現象はこれは単に日本だけではない。今世紀における大問題といいましょうか、世界的な問題でございます。これに対応する措置が機動的にとられておるかどうか、ダイナミックにとられておるかという点につきましては、これはしからず、追いついてきておらない、こう見なければならぬと思います。そういう点では、おっしゃるとおりの現象でございまして、これが単に指定都市に限るか限らぬかという問題はあると思います。これは広島にしても、札幌にしても、福岡にしてもあります。だから、指定都市云々とおっしゃるのは、それはいかぬので、全体として都市化現象にどう対処するか、こういうことだと思います。それにつきましては、各党の中におきましても、いろいろいまあらゆる角度から都市の問題をどうするかということが検討されております。したがいまして、私ども自治省といたしましても、いままでのものにこだわって、それで、それを多少の手直しをする程度のことでは根本的な解決にはならない、かように私は存じます。そういう点で、方法等につきましては、これは税だけの問題ではございません。そのほかのいろいろな問題とあわせて考えなければならぬと思いますが、私ども自治省は、特に都市については直接担当する省でございますので、十分いろいろな角度から、特に税についても考えてまいらなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  46. 河上民雄

    ○河上委員 いま、次官から積極的な意欲を示された御答弁があったのでありますが、すでに、そういうような方向づけについては、先年来附帯決議などでもいわれておりますし、各審議会その他、あるいは各調査会でもいわれているわけでありまして、いまや方向というか、その姿勢というものはあらためて言うまでもないほどでありますが、しかもなお、私がここに時間を費して申し上げておりますのは、これを実行すべき段階に来たのではないかということでございます。たとえて申しますならば、いまのようなことを言われるのでありますならば、都市的な財源、いろいろございますけれども、そういうようなものを市町村に、市税のほうに譲るというようなこと、たとえば、不動産取得税、娯楽施設利用税、料理飲食等消費税等々、こういうようなものにつきまして、具体的にどれをどうするかというようなことも考えなければ、とうてい実行の段階に入れないのではないか。もちろん、限られた数字の中でどちらをどうとるかという問題でありますけれども、その場合に、やはり都市生活実態に即して財源を配分し直すという基本的立場で考えますと、いま言ったような税すべてを一括してどれを都市にということもありましょうし、あるいは全体について二分の一を都市にというような考え方もありましょうが、そういうことにつきまして、自治省は一体どういうふうに考えておられるのか。  また、先年来の非常に強い要望でございますが、地方道路譲与税の配分のしかたを石油ガス譲与税方式に統一してはどうかというような要望も現に強く存在するわけであります。こういうようなことにつきまして、先ほど次官はああいうような御答弁がございましたけれども、今度は次官の胸の中にある一つのお考えというものをここで明らかにしていただきたいと思います。
  47. 細田吉藏

    細田政府委員 道路譲与税の関係につきましては、あとから税務局長にお答えいたさせたいと思いますが、先ほど来税務局長からお答えいたしておりますように、現在の都市、特に過密都市に対する対策として、手直し程度といいましょうか、現在の制度でやれること、手直し程度のことはやってまいっておるわけでございます。しかしそれではもう間に合わぬじゃないかということですが、私は全くそのとおりだと思います。したがいまして、具体的にどうするかということですが、問題は税金のことでございますから、国税、地方税、また、県税、市町村税と、一つのワク組みができ上っておるわけでございまして、そのワクを相当大きく変えなければならぬというような必要性が起こっておる、こういうことでございますために、これはいろいろな点で研究はいたしておりますが、行き悩んでまいっておる。しかし、先生の御説は、もうそういう事態ではないじゃないか、むしろもうおそ過ぎるのではないかということでございますので、私どもも、そういう点につきましては大いに前進をいたさせなければならぬと存じております。  具体的にどうするかという点につきましては、私、いまここですぐお答えすることはできません。しかし、おっしゃっております趣旨につきましては、もう私どもも十分了解いたしておりますので、そういう点につきまして、今後これは私どもだけでやってまいるというわけのものではございませんが、私どもの立場からいろいろ考えてまいりたい、ただ問題を投げやりにする、引き延ばすということではなくて、真剣に問題と取り組んでまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  48. 松島五郎

    松島政府委員 石油ガス譲与税方式で道路譲与税を交付したらどうかというお尋ねでございますが、石油ガス譲与税ができました経緯から考えますと、石油ガス譲与税と申しましても、プロパンガスで走っております自動車はほとんど大都市に多いわけでございますので、そういった観点から、なるべく全体に配分はするものでありますけれども、税源が大都市にあるというところから、大都市にできるだけたくさんいくようにという配慮からああいう配分の方式を定めたわけでございまして、この点は、揮発油税とは、その成立の経緯も異なりますので、必ずしも同じようにしなければならないというふうにはいえないと思います。ただ、現在、軽油引取税の大都市と府県との配分、あるいは石油ガス譲与税の配分、道路譲与税の配分というものは、それぞれみな違った配分方式をとっておりますことは非常に繁雑でもございますので、この点については、突き詰めていけば同じような性格のものだから同じようにしたらいいじゃないかという御意見もあると思いますが、私どものほうとしましては、今後検討してまいりたいと存じます。
  49. 河上民雄

    ○河上委員 いまの地方道路譲与税についての見解の御説明は、石油ガス譲与税方式に統一すべきだという意見もあるが、それに賛成するということでございますか。
  50. 松島五郎

    松島政府委員 石油ガス譲与税方式に統一しろという意見もございます。ございますが、他面において、石油ガス譲与税の配分方式というものが、いま申し上げました経緯から、大都市で主としてプロパンガスの自動車が去っているのだから、大都市になるべく環元しょうという趣旨でできたものでございますので、それを道路譲与税と同じようにするのがいいか悪いかというのは別の面からの検討が必要でございます。しかし、他面において、また、三つの税の配分がいろいろ違っているのもおかしいじゃないかという議論もございますので、現在の石油ガス譲与税方式に全部統一するということを申し上げているのではございませんが、何らか一つの配分方式に統一したほうがいいじゃないかという考え方も持っておりますので、その方向で検討したいということを申し上げたわけでございます。
  51. 河上民雄

    ○河上委員 私はいろいろ申しましたが、それは別に特に指定都市にのみ優遇措置を与えよ、こういうような意味ではないのでありまして、都市生活実態、都市の財政需要に即応した税源を与えるべきである、それによって大都市は大都市としてできるだけ独立して現在の要請にこたえることができるようにし、交付税は現在起こっております過密過疎という大きな問題に対処する一つの手段として、そういうようにいわば整理して考えるべきではないかという考え方に立っているわけでありますので、いま言ったような面から見ますと、税源の配分のほかに、これは従来からいわれておることでありますけれども超過負担地方へのしわ寄せという事実も都市の財政を貧困化している大きな理由になっておるのであります。超過負担の問題は年々解決するように努力はしているという意味の声明がおりおり伝えられるのでありますけれども、実際には一向に解決しておらないのであります。神戸市などの実例を少しく申し上げましても、公営住宅の建設費、まあ今回は敷地買収補助の打ち切りは取りやめになったようでありますけれども、そういうようなものを含めまして下水道、保健所、失業対策、こういうようなものの超過負担は実はばかにならないのであります。伺いますところによりますならば、昭和四十三年の一月六日、例の出世払いについての覚え書きのときにこの超過負担を三年間で解消するというような話し合いが行なわれたように聞いておるのでありますが、この超過負担という問題について具体的な解消の手順なり方策というものがまだわれわれに知らされておらないのであります。その点について次官のお答えをいただきたい。
  52. 細田吉藏

    細田政府委員 超過負担につきましては、これまでも逐次解消につとめてまいりましたが、まだ膨大なものが残っておる。この点につきまして大蔵と私どもで具体的に総点検し調査をいたしておるわけでございます。一月六日、予算の折衝の際に、大蔵大臣と自治大臣との間で、本来からいえば一年でやってしまいたいというところなんでございましょうが、いろいろ調査等をいたしたりいたさなければなりませんので、三年間で超過負担を解消しよう、こういう申し合わせをいたしたわけでございまして、昭和四十三年度予算ではその第一年度としての解消策をいたしました。その内容につきましては事務当局からお答えいたさせたいと思います。  なお、これらの超過負担の問題とやや離れるかもしれませんが、さきごろも山本先生にもお答えいたしましたが、国が地方仕事を押しつけておるというものにつきましては、超過負担の問題よりさらに根本的な問題として、整理できるものはこの際整理してもらおうじゃないかという方向で、いまこれを行政局を中心にいろいろ検討をいたしております。各省に対しまして私どもは強く要請をいたしたい、何とかしてこれを実現いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 首藤堯

    ○首藤説明員 超過負担の解消につきましては、ただいま政務次官から申し上げましたとおりでございますが、昨年超過負担実態について、保健所の職員費、農業改良普及員等の職員費等六項目につきまして調査をいたしたわけでございます。その調査の結果四百十一億という超過負担の所在が認められたのでございます。この超過負担の中には単価の問題、対象の問題等、国において解消措置を講ずべきものと、それから地方の単独事業分と認められますたぐいのものと、全体を通じましてほぼ半々程度存在をいたしたわけでございます。前者につきましては三カ年で解消するということを目標にいたしまして、その措置をすべき単価との差の三分の一をさしあたり四十三年度においても是正する、こういう措置をとったわけでございます。これらの措置を通じまして四十三年度では約三百二十億円事業費別の解消をはかった次第でございます。なお、今後これらにつきましてはその解消の努力を続ける所存でございます。
  54. 河上民雄

    ○河上委員 いまのような御説明から非常に項目が多岐にわたっておりますし、資料をあとで配っていただきたいと思います。お願いいたします。
  55. 吉川久衛

    吉川委員長 資料、出ますね。
  56. 首藤堯

    ○首藤説明員 資料を提出いたします。
  57. 河上民雄

    ○河上委員 六大都市の場合、超過負担というふうに言ってよいのかどうかわかりませんが、六大都市のほとんどが実は港湾を持っておるわけでございます。京都はもちろん山国ですからございませんが、それ以外、管理の実態はどうなっておるか私よく承知いたしませんが、東京は別といたしましても残りの五つ、横浜、神戸、大阪、名古屋、北九州は港湾を持っておるわけでございます。この港湾の建設運営費というのは相当指定都市の大きな負担になっております。神戸の場合でございますと、大体七十八億円ぐらいかかっておるようでございます。ところがこれに対する税源の裏づけというものはほとんど与えられておらないのが実情でございます。関税というものがどんなにそこからばく大にあがるか、四百十六億あがっておるというような状態でございまして、市税全体のそれこそ三倍ぐらいのものが関税としてあがっておる。その港の建設運営費のために市は七十八億費やす。ところがそれに対して税源というものは全然——全然というと語弊がありますが、与えられていないにひとしいような状態でございます。とん税は国税に入り、特別とん譲与税が市に五億ぐらい入るようでございます。そのほか船舶の固定資産税とか、これは聞くところによりますと一億に足らないようでございまして、六千万円ぐらいのようであります。そのほか使用料とかいろいろあるので、私、あまりこまかいことは知りませんが、ごく大ざっぱに見ましても神戸市の一つの例で申しましても港湾を持っておるそれに対していろいろと負担がかかるわけでありますが、そこから関税という形で非常にばく大な収益が国にいくのに対しまして、それの管理を受け持たされております指定都市の場合はほとんど取るに足らないものであるというような状態であります。このほか文化的な施設、大学を持っておるとかいろいろございまして、自治省あたりですと、そんならみんなやめてしまえばよいじゃないかということになるかもしれませんが、百万人の大都会が大学を持つことは当然のことであろうと思います。そんなことをいろいろ考えまして、指定都市というものが一般の市とはまた違ったいろいろな役割りというか機能を営んでいるという実態を十分に考慮に入れて地方税、特に市町村税の大改正というものをこの際考えていただきたいのであります。そういうことにつきまして次官から御意見を承りたいと思います。
  58. 細田吉藏

    細田政府委員 港湾についてのお話がございましたが、港の建設費の問題と運営管理の問題とあると思います。  建設費につきましては非常に膨大なものがかかるわけでございまして、昨年でございましたか、特に海上運送のコンテナー化ということに関連して外貿埠頭公団というものをつくって、これはむしろ地方自治体負担を緩和するということが一つの大きなねらいでつくられたのでございます。  港の管理ということにつきましては、これは独立採算ができるように何とか考えるというのが本筋だと思います。ただそういう点、現在のところはそうなっておりません。しかし言う人は、神戸、横浜から港がなくなったら市の繁栄も何もない。ある程度の負担は当然じゃないかと言う人もございます。しかしながら、やはり管理運営というものは、それに見合うものが出てくるのが港湾を運営する本筋だと私は思います。それをどういう形で収入の道を得ていくか。しこれは外国の例なんかを見ますと、かなり港で収入があがっておりますが、日本も逐次港の埠頭使用料その他を上げてまいっておりますけれども、まだ十分でないことは御指摘のとおりでございます。ただこれをどうやって補てんしていくか。港だけを切り離していくか。いま大学のお話もございましたが、そういうものを一つ一つ切り離していくかということになりますとこれは問題でございまして、やはり全体として解決するということではなかろうか。ただ港自体の運営の経費は、できるだけ港から何といいましょうか、受益者といいましょうか、そういうものからあがってくるもので充てるというのがたてまえじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
  59. 河上民雄

    ○河上委員 すでにもう時間もだいぶたちましたので、このほかいろいろ都市独自財源の問題につきまして、自治省の御見解を承りたいと考えておりますが、たとえば、自動車取得税などについては、他の同僚議員から特にこれを取り上げて御質問がありますので、私の質問はこの程度で終わりたいと思います。  最後に一言だけ御要望申し上げたいのでありますけれども地方税の根本的な改正、特に都市の財政需要に即応した大都市財政の確立ということは、今日の都市問題の解決の基本でございます。いろいろむずかしい点、先ほど局長から御指摘がありましたけれども、ただその困難を指摘するだけで、足が一歩も前へ進まぬということでは困るのでございます。ひとつ自治省、大臣、次官はじめ各位においては、特にこの点を留意されて、私がお願いいたしましたことを取り入れていただきたい、このように御要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  60. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、明後二十一日木曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十四分散会