○
赤澤国務大臣 第一の警備実施にあたって、
警察並びに片方の集団暴力を働いておる諸君との直接の接触を防いで、けが人を出さぬようにする
方法についての御質問でございますが、なかなかうまい
方法が見つかりませんので、やむなくああいう催涙性のガスあるいはガス液の使用などをいたしておる次第でございます。(
細谷委員「毒ガスだ」と呼ぶ)
細谷さんは専門家ですから、あれはこの間の予算
委員会で、国際条約で規制されておるはずだがどうかといったような御質問も外務
大臣に対してございました。しかし、そのクロルアセトフェノンというのは、
細谷さんも御承知のとおり、世界じゅうの
警察が使っておるわけでして、これが国際条約にかかるほどの毒ガスではないということは周知の事実でございます。それから、人畜無害の薬剤を振りかけてみたところで、とても規制はできるものではない。多少刺激性のあるものでないと役に立たぬわけでございますので、今後あの程度のものはやむを得ず使っていく……(「勇み足だよ」と呼ぶ者あり)勇み足でも何でもない、やむを得ずあの程度のものは使わざるを得ないという
考え方に立っております。
それから、一一〇番のことにお触れになりましたが、これはあのときに、民主
警察というたてまえからいってああいう事件があったときに、一一○番が役に立たぬようになっては困るじゃないかという御
指摘でございますが、
警察のほうでもいま一一〇番の
集中運用ということにつきましていろいろ検討を加えておりまして、ただいまのところでは一一〇番を三年計画で、とにかく警備本部にみんなつないでしまう、指令室の体制を整備して一一〇番を
集中する、またパトカーの派出所、駐在所などへの緊急配備、その他の通信指令体制の整備をはかる、また隣接
府県に対する通信連絡網を整備して、
警察活動の迅速かつ広域的な運用体制を確立するというようないろいろ努力を進めておりまして、大体とりあえずのところは、四十四年度までの三年間に、東京を中心とする千葉、埼玉、神奈川、静岡のこの首都圏、それから続いては
大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀の近畿圏、愛知、岐阜、三重の中京圏、それから福岡、北九州、下関地区、これはきちっと整備できますし、さらにその他の道県庁のある所在地、それも二十万以上の都市について行なうという予定にいたしておりますので、一一〇番のことは近く十分完全に活用できる体制をつくる努力はいたしております。
その次は、広報のことについて、これはこの間のようなああいう警備の大事件がありますと、われわれといたしましては、危害予防という
意味で、また、何よりもこういう警備体制があるということについて、それぞれ
地域住民の御理解を十分いただくのが先決でございます。佐世保のあの例をとりましても、実は十二月中にもう
関係地域全部を
警察で戸別訪問いたしまして、こういう事件が起こりますから十分御注意くださるようにということは、全部、この危害予防という面で
地域の方々に訴えてまいっておりますし、また、ああいう規制をいたします際にも事前にそれぞれ警報を発するとか、あるいはたれ幕をかけるとか、いろいろ広報ということには努力しております。しかしながら、まだまだこれが不徹底であるということは私も認めます。ああいうエンタープライズなどが来るということについて、その理解はそれぞれ
国民の方々によって、そういうものは許さぬとか、あるいはその反対の
考え方をお持ちになる、それぞれございます。しかしながら、それにはそれの理由が政府側としてあるわけでございますので、そういうことについての御理解はできるだけお願いするという、広報につきましてはまだまだ徹底を欠いておるということは私も認めざるを得ません。しかし、少なくともああいった現場に、いわゆるやじ馬ということばは失礼ですけれ
ども、観覧客が非常に多くてどうにもならないという
状態、五千人から一万人も人が来られるということ、報道班の方々に負傷者が出たということは、私最も遺憾としておりますが、こういった方々にもどういう協定をしたかという
内容をここに持っております。時間がかかってもよろしければ読み上げますけれ
ども、実はこまごまとしたことを協定いたしました。
警察の手からワッペンを渡しまして、ワッペンを渡した方には警官が一人付き添うくらいな形でやりましてもああいう事故が起こってくる。ワッペンを渡したマスコミの方々だって七百三十人ですから、ワッペンをもらわない人たちを加えますとおそらく一千名をこえるという報道人の取材熱心な方々があの中に入られるわけですから、私たちはけががないようにということを念じておりましたけれ
ども、不幸にしてああいういやな事件が起こった。御
指摘の広報ということにつきましては、今後とも十分努力をいたさなければならぬと
考えております。
それから最後に、こういう民主政治、議会政治の基礎というものは、みなこれは言論が中心であって、言うまでもなく、そこに暴力が介在することの許されぬことは御
指摘のとおりであって、いろいろこの間の警備体制その他について御不満もございます。各
委員会でいろいろ御質問も受けておりまするけれ
ども、御質問なさる方々でも、このことについて反対の方はないわけでございます。まあ、とにかくああいう三派系全学連といったような
名前を打たれている方々も、
考えてみれば、人の親として、ああいった立場にどうして追いやられるのか憂慮にたえません。私たちのところにも、ああいう人たちの、青年のお母さんが見えて、うちの子はああいうことになるはずはないんだけれ
ども、なぜああいうことに巻き込まれたんだろうと言って涙ながらに訴えた人さえあります。私は、ああいう純情な青年諸君をとらえてみると、残念と申しますか、意外なことには、みなそれが少年法の適用者であったり、中には児童福祉法の適用を受けている——児童福祉法というのは十八歳以下、少年法は二十歳以下ですから、これはやはり本人の将来のこともありますし、将来の
日本をになう若い人たちですから、それ相当の
扱いをしなければなりません。ところが、こういった諸君が口にしていることは、革命をやるという、武装闘争をやるんだ、これは幾ら子供だと思っておりましても、ああいうことをやるということは許せないと私
どもは思うわけなんです。取り締まりながら
考えますことは、なぜこういう若い諸君がここまでかり立てられるのか、私はかつての例の戦争時代のあの不愉快な特攻隊なんかの状況も思い起こすのだけれ
ども、おそらくその背後には、ああいうことにかり立てられている青年諸君に、拍手を送らないまでも、ほくそえんで見ている人もあるいはおるのじゃないかということを
考えますと、はなはだ残念に思うのです。私は、この若い人たちをとがめるより、まずそういった人たちに反省を促したい、そうしなければ、法秩序を守るとか社会秩序を守るとか申しましても、はなはだむずかしいことであると私
どもは
考えざるを得ないわけでございます。御
指摘のとおりに、議会政治、民主政治というものは、これは言論によって行なわれることである。言論がどう乱暴に行なわれましてもそれはいいと思うが そこに暴力が介在するということは、これは議会政治、民主政治の破壊だと思うわけです。特にああいう若い諸君を、単に学生だということに甘えさしてはいけない、やはりこれが、周囲に、秩序ある社会に、非常に不安を与えるとか、あるいは
住民の生活に非常な不安を与えるというようなことになりますれば、まあ徹底的にこれは取り締まらざるを得ぬ、遺憾ながら取り締まらざるを得ぬという
考え方に立っておるものでございます。