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1968-03-14 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十四日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奧野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君       青木 正久君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    木野 晴夫君       辻  寛一君    中尾 栄一君       野呂 恭一君    藤田 義光君       山口シヅエ君    太田 一夫君       河上 民雄君    三木 喜夫君       山本弥之助君    依田 圭五君       門司  亮君    大野  潔君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         警察庁保安局長 今竹 義一君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         自治政務次官  細田 吉藏君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁長官   佐久間 彊君  委員外出席者         警察庁交通局運         転免許課長   西川 芳雄君         社会保険庁長官         官房総務課長  松下 廉蔵君         運輸省自動車局         参事官     岡田 茂秀君         自治省行政局公         務員部長    鎌田 要人君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月十三日  昭和四十二年度における地方公務員等共済組合  法の規定による年金の額の改定等に関する法律  等の一部を改正する法律案内閣提出第七〇  号) 同月十二日  社会保険等行政事務及び職員の地方自治体移管  に関する請願三宅正一紹介)(第二三三四  号)  同(本島百合子紹介)(第二三三五号)  同(武部文紹介)(第二四四四号)  同(福岡義登紹介)(第二四四五号)  同(伊賀定盛紹介)(第二五六二号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二五六三号)  同(江田三郎紹介)(第二五六四号)  同(加藤勘十君紹介)(第二五六五号)  同(勝澤芳雄紹介)(第二五六六号)  同(勝間田清一紹介)(第二五六七号)  同(神近市子紹介)(第二五六八号)  同外三件(小松幹紹介)(第二五六九号)  同(河野密紹介)(第二五七〇号)  同(佐々木更三君紹介)(第二五七一号)  同(斉藤正男紹介)(第二五七二号)  同(柴田健治紹介)(第二五七三号)  同(下平正一紹介)(第二五七四号)  同(内藤良平紹介)(第二五七五号)  同(成田知巳紹介)(第二五七六号)  同(広沢賢一紹介)(第二五七七号)  同(帆足計紹介)(第二五七八号)  同(村山喜一紹介)(第二五七九号)  同(安井吉典紹介)(第二五八〇号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第二五八一号)  同外一件(山本幸一紹介)(第二五八二号)  同外一件(依田圭五君紹介)(第二五八三号)  同(井上普方紹介)(第二五八四号)  地方公務員定年制法制化反対に関する請願外  一件(太田一夫紹介)(第二三三六号)  同(加藤勘十君紹介)(第二三三七号)  同(加藤清二紹介)(第二三三八号)  同(加藤万吉紹介)(第二三三九号)  同(勝澤芳雄紹介)(第二三四〇号)  同(勝間田清一紹介)(第二三四一号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二三四二号)  同(金丸徳重紹介)(第二三四三号)  同(神近市子紹介)(第二三四四号)  同(川崎寛治紹介)(第二三四五号)  同(川村継義紹介)(第二三四六号)  同(河上民雄紹介)(第二三四七号)  同(河野正紹介)(第二三四八号)  同(木原津與志君紹介)(第二三四九号)  同(木原実紹介)(第二三五〇号)  同(北山愛郎紹介)(第二三五一号)  同(久保三郎紹介)(第二三五二号)  同(久保田鶴松紹介)(第二三五三号)  同(栗林三郎紹介)(第二三五四号)  同(黒田寿男紹介)(第二三五五号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二三五六号)  同(古川喜一紹介)(第二三五七号)  同外一件(枝村要作紹介)(第二四四六号)  同(小林信一紹介)(第二四四七号)  同(小松幹紹介)(第二四四八号)  同(兒玉末男紹介)(第二四四九号)  同外二件(後藤俊男紹介)(第二四五〇号)  同(河野密紹介)(第二四五一号)  同(佐々木更三君紹介)(第二四五二号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第二四五三号)  同(佐野憲治紹介)(第二四五四号)  同(佐野進紹介)(第二四五五号)  同(阪上安太郎紹介)(第二四五六号)  同(實川清之紹介)(第二四五七号)  同(島上善五郎紹介)(第二四五八号)  同(島口重次郎紹介)(第二四五九号)  同(島本虎三紹介)(第二四六〇号)  同(下平正一紹介)(第二四六一号)  同(田中武夫紹介)(第二四六二号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二四六三号)  同(高田富之紹介)(第二四六四号)  同(只松祐治紹介)(第二四六五号)  同(武部文紹介)(第二四六六号)  同(安宅常彦紹介)(第二五二三号)  同(阿部昭吾紹介)(第二五二四号)  同(赤路友藏紹介)(第二五二五号)  同(井手以誠君紹介)(第二五二六号)  同(伊賀定盛紹介)(第二五二七号)  同(石野久男紹介)(第二五二八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二五二九号)  同(枝村要作紹介)(第二五三〇号)  同(岡田利春紹介)(第二五三一号)  同(岡田春夫紹介)(第二五三二号)  同(川崎寛治紹介)(第二五三三号)  同(川村継義紹介)(第二五三四号)  同(木原津與志君紹介)(第二五三五号)  同(兒玉末男紹介)(第二五三六号)  同(島口重次郎紹介)(第二五三七号)  同外四件(島本虎三紹介)(第二五三八号)  同(下平正一紹介)(第二五三九号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二五四〇号)  同外二件(戸叶里子紹介)(第二五四一号)  同(中澤茂一紹介)(第二五四二号)  同(中谷鉄也紹介)(第二五四三号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二五四四号)  同(野口忠夫紹介)(第二五四五号)  同(華山親義紹介)(第二五四六号)  同(平等文成紹介)(第二五四七号)  同(堀昌雄紹介)(第二五四八号)  同(松前重義紹介)(第二五四九号)  同(松本七郎紹介)(第二五五〇号)  同(三木喜夫紹介)(第二五五一号)  同(美濃政市紹介)(第二五五二号)  同(村山喜一紹介)(第二五五三号)  同(森義視紹介)(第二五五四号)  同(八木一男紹介)(第二五五五号)  同(八木昇紹介)(第二五五六号)  同(安井吉典紹介)(第二五五七号)  同(山内広紹介)(第二五五八号)  同(山田耻目君紹介)(第二五五九号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第二五六〇号)  同(中村重光紹介)(第二五六一号)  特別区の区長公選に関する請願本島百合子君  紹介)(第二三九一号)  地方公務員定年制反対等に関する請願外三件  (井岡大治紹介)(第二四三七号)  同外三件(太田一夫紹介)(第二四三八号)  同外三件(河上民雄紹介)(第二四三九号)  同外三件(細谷治嘉紹介)(第二四四〇号)  同外三件(三木喜夫紹介)(第二四四一号)  同外四件(山口鶴男紹介)(第二四四二号)  同外三件(山本弥之助紹介)(第二四四三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  赤澤国務大臣からの所管行政の説明に対し質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 過般当委員会自治大臣国家公安委員長所信表明をされました。私も当日拝聴いたしました。また、文書でその所信表明をよく読ましていただきました。各般の問題についてお触れになっておられるわけでありますが、その所信表明でお述べになりました自治大臣並びに国家公安委員長考え方につきまして、幾つかの問題をお尋ねをいたしておきたいと思います。  まず、地方自治に対する自治大臣としてのお考えでありますが、「地方自治の伸展と国民福祉の向上に万全を期してまいる所存であります。」と述べておられます。きわめて簡単なおことばでありますが、憲法にも、地方自治本旨にのっとって地方自治が行なわれるということが述べられておるわけでありますが、私は、大臣のこの地方自治考え方について幾つお尋ねしたいと思います。  現在の地方自治を見ますと、地方自治制度の基本的な問題について幾つかの欠陥と問題があるように私は考えます。それを分けてお尋ねをしたいのです。まず、現在の地方自治は、法令による中央統制を非常に受けていると私は思います。それから事務権限につきましても、すべて中央集中をしている。地方公共団体国有事務というものは、地方自治法を見ましてもほんの少ししか書いてございません。そして、地方自治法の別表を見ますと、この機関委任事務団体委任事務のほうがずっとたくさん書いてあるわけでありまして、こういう自治は、三割どころか一割かそこらであって、大半は団体委任事務機関委任事務、いわゆる中央からの委任事務をこなすために地方公共団体は懸命になっている状態だと思います。そればかりではなくて、許可認可権限というものもほとんど中央集中をしている。私はたいへんおかしいと思うのであります。たとえば、都道府県の中を走っているバスの停留所を一体どこにするかということすら、都道府県知事ではきめられないでしょう。また、当該都道府県の中を走っているハイヤー、タクシーについての許可権知事にはありません。過般問題になった大阪冷房料金の問題、その冷房料金が問題になったときに、大阪府議会では、こういうものは当然府議会として議論をすべきじゃないのかということで、では陸運事務所長に来てもらおうと府議会陸運事務所長出席を求めたところが、さっぱり出てこない。いや、私は知事統制など受けぬ、いわば運輸省の監督のもとにあるのだから、府議会などに出席する必要はない、こういうことだったそうであります。  こういうことを考えていきますと、現在の地方自治というものはほんとうに形骸になっている。法令による中央統制事務権限中央集中許認可権限中央集中という状態を見たときに、私は、地方自治体がまさに地方自治という名前でもって運営されている部面は非常に少ないと思うのです。大臣、これについて一体どう思いますか。いまの日本地方自治制度は、地方自治本旨にのっとって住民自治を行なう方向にいくどころか、これに逆行する方向に行きつつあると私は思うのです。これにブレーキをかけ、本来の地方自治を確立するために努力するのは、自治大臣をおいてほかに閣内においてはないと思いますので、これらの問題に対する自治大臣としての所見をお伺いしたいと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方自治は、言うまでもなく、住民自分の住んでおる地域をみずからおさめるということが本旨でございます。これが地方自治ですが、その内容につきましては、憲法を受けて、地方自治法で、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保をはかるとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とするというように書いてあるわけでございまして、そういう住民自治ということから考えますと、御指摘のとおりに、かなり国の政策に左右される面がある一面、やはりその必要がある面もあるけれども、あまり中央地方に対する関与が大幅になるということは最も戒むべきことであると思う。このこと自体が地方自治というものを誤り、そこなう結果になると思いますので、地方自治法施行二十周年を迎えて一応地方自治が地についたなどということを言っておりますけれども、私は、実態を解剖してみますと、いま山口さんの御指摘になったような点がたくさんあると思います。  そこで、今度行政改革に真剣に取り組む段階になったわけですが、たとえば、いまお示しになりました許認可などのことにつきましても、やはり中央段階で取り上げられておるのが非常に多い。具体的に御指摘になりました陸運事務所などの扱いにつきましても、その相当大幅な部分は地方自治にゆだねられるべきものだと私たちが考えておる面がまだ中央でやられるというこの状態は、私ども納得ができませんので、今回の行政改革、これは国、地方を通じてやらなければ意味がありませんので、そういう面では真の地方自治ということを尊重して、そうして、もっと地方公共団体を信用していただくという方面で議論を重ねて御期待に沿うような方向に向かいたいと思っております。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この中央地方を通ずる行政事務配分を進めなければいかぬ、特に大臣が言われた地方事務官制の問題についてはすみやかに解決したいと歴代の自治大臣が言われたわけです。しかし、昭和二十二年にこの地方事務官制ができまして以来今日まで二十年をこえる年月を経ておるのに、いまもって解決をいたしておりません。この点はきわめて遺憾であります。また、このことはあとでお尋ねをしたいと思うのであります。  そこで、さらに申し上げたいことは、たとえば府県道がありますね。府県道認定というものは、府県道という名前がつくならば都道府県でできるというのがあたりまえだと思うのです。府県道という名前がついているものを府県がきめるというのは、自分のうちの事柄を自分がきめるということと同じなんでありまして、自分のうちの道路をどうするということすら建設大臣認定がなければできないなどということは、考えてみれば非常におかしいと私は思います。自治というのは読んで字のごとくみずからおさめることであります。都道府県がみずからの中にある道路すらみずからおさめることができないというようなことでは、地方自治というのは、これは全く名前だけだと言わざるを得ないと思います。こういっただれが考えても非常識な問題、こういうものについても、大臣、解決する気持ちがございますか。
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 さきに申しましたように、国のほうで強制してやるのがいいと考えられる案件もあるし、でなくて、こういうものは全部地方に移譲すべきだというものもあるわけでございまして、それは一々について扱いが違うと思いますが、ただいま道路お話、これはさっきの運輸の関係自動車の路線なんかも、ずっと数府県にまたがって東京へつなぐとか、こういう種類のものは、やはりそれぞれの都道府県というわけにまいりませんが、県内の地方公共団体内の停留所をどこにするかといったようなことは、地方公共団体が知らぬうちにきめられるということもおかしい。道路お話でございますけれども、じゃ道路を完全に地方公共団体にまかせきりにした場合どうなるかと申しますと、たとえば舗装のしかただって、あるいは道路幅だって、各公共団体の領域内でそれぞれ違うということもおかしい。ちょうど河川法を改正いたしましたのが四、五年前だったと思いますが、このときもいろんな問題が起こりまして、河川指定等をめぐっていろんな議論が行なわれました。河川も同じ、道路もやはり全国につながっておるものでございますので、建設省がこれを画一的にやらなければならぬという判断を持つことも理由なしといたしませんので、この問題につきましては、まだそういった意味の検討の余地が十分あると考えております。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 河川法の例をお引きになりましたが、河川都道府県知事管理をしておった、それが一級河川、二級河川というようなことになって、一級河川については国がその管轄権を持つというふうになったわけです。いわば都道府県権限が減って、これが中央権限に移った、中央集中の端的なあらわれでしょう。道路についても同じだと思うのです。確かに、府県道認定は以前も建設大臣であった。しかし、その管理権というものは、現在国道になっております旧一級国道もかつては都道府県管理権だったと思うのです。それが一級国道、二級国道というものができて、一級国道建設省が直轄管理するということになって、中央権限がふえて府県権限が減った。それから今度は、二級国道についても、一般国道ということになって中央管理権を持つ、その一部を部分的に区域を指定して都道府県管理をさせるというふうになった。大臣、どうですか、最近のそういった河川道路行政を見ても、地方をもっと信用すべきじゃないのか、もっと地方自主性というものを守るべきじゃないのかという、大臣の御見解とはうらはらに、最近の数年間の行政というものを見ていけば、まさにこれは中央権限集中されていく歴史ではないですか。まさに戦後二十数年間の日本地方自治歴史というものは、地方自治権限拡大するというのではなくて縮小されている、地方自治がむしばまれている、その歴史だといって差しつかえないと私は思うのです。そういったことに対して、大臣は一体どうお考えですか。地方を信用したいという大臣のお考えとは全く逆に、地方はだんだん信用されなくなっている、こういう傾向に制度としては現になっているじゃありませんか。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私はそういうふうに考えてはおりません。地方自治そのもの住民に理解をされて、この制度が地についていくに従いまして、やはり地方公共団体もみな信用されて、そして権限というものは、ある意味においてはずっと大幅に移譲さるべきものもあるし、そういう方向へいかなければならぬと考えておりますが、ただ河川管理、これも水利権なんか、昔から、もう数百年前からいろんなやっかいなものがからみついております。道路の問題にいたしましても、国の総合開発という面から、また、統一的にやらなければならぬという意味もあるわけでございますので、道路河川、全部地域内はそれぞれの地方公共団体でこれを管理するのだということでは、なかなか国全体の総合的な立場に立ってはマイナスの面もあるのでございまして、そういった点では、信用するしないということは別にして、やむを得ない面があると考えております。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも地方自治体を信用したいという大臣のお考えと、制度としてはそうなっていないというギャップ、いわばたてまえと本音といいますかその辺がどうも違っているということを遺憾に思います。  そこで、大臣に聞くのとは離れまして、地方自治法が制定されましたときに、その解釈をお書きになって、たいへん膨大な御本をお書きになった地方自治法権威といわれておる行政局長がおられるのですが、どうですか。「逐条地方自治法」だったですか、当初お書きになったのと最近のとでは少し変わっているのではないかという、国民あまねく批判が一致しているのではないかと思いますが、地方自治法解釈をお書きになった権威として、地方自治のたてまえというものが、制度の上からどう侵されてきたというふうに思っているか、ひとつ御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 長野士郎

    長野政府委員 どうもなかなかむずかしいお話でありましてあれでございますけれども、やはり社会経済発達に伴いまして、社会経済圏というものが非常に拡大をしていく、そういう場合に、行政対象であるものの広域的な活動というものを対象にしてまいるというような変化が起きてまいりますと、先ほど大臣からお話がありました河川とか道路というような面での管理とか、そういうものの内容に変更を受けるという面がどうしても出てくる面はある程度ある、これは避けられないと思います。そういう場合に、地方自治体任務というものがそれに応じまして変化を受ける、こういうこともあり得るわけであります。片一方で、しかしながら同時に同じような変化が、たとえば農村におきましても非常に都市化を進めていくというようなことが起こりまして、都市施設というようなものも、地方団体としては、府県市町村を問わず当然整備していくことが常識になっているというようなものも出てくるわけでございます。そういう場合には市町村任務というものもますます多きを加え、重さを加える、こういうことがございますので、片一方だけの変化をとらえてみますと、ある面、お話のとおり中央集権的なところへ権限が移譲されていくような面が目立つ、これはやむを得ないというか、否定できないわけでございますけれども、また、ある面で、そういう市町村自治体任務が重さを加えていくという面も、その変化と同時に起こってくる。こういうことを見定めながら地方団体と国との事務配分というようなものも考えていかなければならないというふうに思われるわけでございます。先生御指摘のように、そういう点で制約という面も確かにございます。しかしながら、一面、現に拡大をし、強化しつつある面もあるように思っております。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも最初にお書きになった本は歯切れがよかったが、最近の本のほうが歯切れが悪くて、そのあらわれがいまの御答弁じゃないか、印税だけかせいだが、どうも地方自治を守ろうとする御熱意のほうは薄れたという感じがいたしますが、この点はおきましょう。  大臣が御都合がおありのようでありますから、大臣に対するお尋ねを次にしたいと思います。  財政上の面でも私は言えると思うのですが、起債認可権府県については自治大臣、それから市町村については当該都道府県知事というふうに自治法で書かれておりますが、現状はそのとおり運営されておりますか、お尋ねをいたします。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 法的にはいまおっしゃるとおりですが、現状はなかなか複雑であります。いろいろワクをあらかじめ定めまして、府県ワク配分をいたしまして、そしてその中で市町村の分をきめてもらうというような方法を順次広げておるというのが現実でございます。ひところは何もかも中央でということでございましたけれども、だんだんそういう方法によって法律に定められた方向に持っていくようにしたいという考えでございます。一番問題になりますことは、御承知のとおりに関係省との協議の問題でございまして、協議をなるべく簡素化したいというようなことで、せっかく骨を折りながら、いま申し上げたようにやっておりますが、私どもの意のとおりになかなかなっておらないというのが現状でございます。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 実はいま財政局長からお話があったとおりですが、しかし大臣どうですか、地方自治法にはっきり書いてあるわけですね。協議することはそれは必要でしょう。それからまた、お金を貸すのだから、貸し元が少しは文句を言いたいというような気持ちもわからぬではありませんが、しかしそれはあくまでも気持ちであって、制度のたてまえは私はちちっとしていると思うのです。いま市町村に行きましても、起債認可権都道府県知事にあると思っておる者はないですよ。みんな財務局に行かなければならぬ、財務部に行かなければならぬ、大蔵省にお百度を踏まなければならぬ。それからまた、ワク自治省府県に示しているというお話しだそうですけれども現実には自治省地方債課のほうにお百度を踏まなければならぬ、こういう形になっていますね。どうですか大臣、この点については多少の協議——お金を持っておりますところの協議も必要でしょうが、もっと、自治省都道府県知事、ここで起債認可をするのだ、こういうたてまえを貫くために努力をいたす決意はございませんか。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体こういう公経済全体の一環として地方財政もあるわけでございますので、私どもは、まず大蔵省に、自治省を信用せよと言いたい。御案内のとおりに、起債だって、これは自治省だけで扱える問題じゃないわけです。こういうものもワクをぽんともらっておけば、あとは自治省がやればいいことなんです。それをやはり大蔵の理財へ持っていって一々指示を受けなければならぬなどということは、私はよくないと考えております。しかし一方、それぞれの都道府県起債を自由に扱わせるということも、やはり公経済の一環として考えました場合に、そこに統制ある行政がなければなりませんので、なかなかそこはむずかしいところではないかと思っております。しかし自治当局といたしましては、責任ある立場でございますので、地方財政事情などをよく見まして、適切なワク配分をさしておるはずでございます。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく、借りる相手は市町村であり、都道府県であり、地方公共団体なんですからね。しかも再建法によりまして、大幅な赤字を出した場合は起債を制限することもきちっときまっているわけでしょう。ですから、結局借りる相手が信用があるかないかというような、通常の金融機関が事業所にお金を貸す場合とは本質的に私は違うと思うのです。であります以上、この資金が、それは方々にあるでしょうから、そのワク自治省がきちっときめる。そうしてワク都道府県なら都道府県に示す。そうしたならば、都道府県市町村財政状況が一番わかるのですから、膨大な赤字があって起債が受けられぬというところは明確にわかるわけでありますから、ワクさえ与えて、都道府県知事市町村起債はきちっとまかせる、また府県起債自治省が、何も大蔵省の制約等を受けることなくきちっときめるということぐらいは、私はできるのじゃないかと思いますが、どうなんですか。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 民間の例をちょっとお出しになりましたが、かりに銀行からお金を借りる場合だって、それぞれの支店に一つのワクをやっておけは、そのワク内で自主的に——これは一番その支店が地域の実情を知っているのですから、それにやらせればいいじゃないかという考え方は一応うなずけるが、実際は本店に業務部とか審査課とかいうものがありまして、個々の貸し付けにつきましては、それぞれここでチェックするということをやっております。やはりある意味では、全体として先ほど申しましたように、行政面でも一つの統制が必要だという面もあるわけでございまして、公平にこういったものを扱います上においては、ある程度やむを得ない面も出てこざるを得ないと考えております。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから私は、自治省都道府県知事というルートでいろいろチェックすることはいいと思いますが、金融機関、財務部とか財務局とか、あるいは郵政省の何とか、そういうところへ自治体がお百度を踏まなければならぬというのは、自治省ががんばって排除したらどうなんですか、そういう意味ですよ。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 十分努力しなければならぬと脅えております。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもあまり熱意ある御努力の答弁じゃなかったですね。政治資金規正法を廃案にするぐらいファイトを燃やしてがんばった自治大臣なんですから、同じぐらいのファイトでひとつこれについてもやられたらどうでしょうか。  次は警察の問題です。かつては完全な国家警察自治警察でございましたが、警察法の改正以来、都道府県警察ということに一本化されました。ところが、残念ながら幹部は国家公務員である。したがって、都道府県の公安委員会の指揮のもとに都道府県警察を運営するのが法律のたてまえでありながら、現実にはこの都道府県警察の幹部の顔というものは、府県の公安委員会よりはむしろ警察庁のほうへ向いているというのが現状ではないかと思います。過般、佐世保の問題、さらには成田の問題で、当委員会でいろいろ議論がございました。お話を承っておりますと、成田ならば千葉県の県警本部長、佐世保ならば長崎県の県警本部長がすべて責任を持ってこれは対処すべきであります。ところが、それでは心配だというせいか、これも私は地方を信用しない一つのあらわれだと思いますが、中央警察庁の警備局から、警備局長みずから視察にお出ましになる。参事官等を派遣をして、参謀としてそばにつかせて、現実には参謀という名前のこの方が当該地域の指揮をおとりになっておるというのが実情のようであります。これも私は、警察法のたてまえからいえばおかしいのじゃないかと思います。いまの制度が、幹部が国家公務員であることはこれはやむを得ないと思いますが、あくまでも府県警察府県の公安委員会の指揮のもとに当該府県において警察行政を行なっていく、こういうたてまえをとるべきではないでしょうか。この点は国家公安委員長、どうですか。
  20. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 二十九年に国家地方警察が廃止になりまして、自治警察になりましてからは、すっかりこの警察の運営の基本方針が変わってまいったわけでございまして、ただ警察庁自体はこれは単に調整機関だ、それで都道府県警察というのが自主的にそれぞれ警察行政の運営に任じておるわけでございまして、これを特に指揮監督するわけではございません。しかしながら、先ほどの道路河川の問題と同じように、国で統一してやらなければならぬ。たとえば自動車の交通行政だとかいろいろな問題がありますし、最近はああいう集団暴力などが多発しておりますが、これがとにかくどこにどういうことが起こるかわからぬ状態でもございますので、その間にこういう事態が起こることが予想される場合に、それに対応する警備陣がこれでいいのかということになりますと、一つの都道府県ではなかなかやれない面がたくさんあります。そういう際には、やはり警察庁のほうではそこらの調整もしなければなりません。ただこれを指揮しておるというふうな意味にとれるようなことをいまおっしゃいましたけれども、そういうことは決してありませんで、警察庁のほうへ、こういう事件を扱う、なれている者をひとつよこしてくれ、それには情報その他を担当させるから頼むと言われれば、警察庁のほうから派遣することもあります。しかし、それは全部都道府県警察の本部長の指揮下に入るわけでありますので、そのことについて本部長が全責任を負ってやるわけでございます。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、ある新聞で拝見をしたのですが、佐世保事件を前にいたしまして、赤澤国家公安委員長非常に張り切りまして、みずから行って指揮をとりたい、こういうことを言われた。ところが、国家公安委員会の中である委員から、そういうことは現在の法律からいって間違っていますと指摘をされて、勇躍佐世保へ国家公安委員長が指揮をとりにいかれるのを取りやめたという趣旨の新聞記事を拝見をいたしました。いまの御答弁ですが、私は何か国家公安委員長の思想の中に、現在の府県警察のたてまえとは別に、いまの御答弁とは別に何か警察庁あるいは国家公安委員長が県警察の指揮ができるかのごとき、きわめて中央集権的な思想がどこかにあるのではないかという点を危惧いたしたのでありますが、あの新聞記事は真相でありますか。
  22. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そんなことを言った覚えもありませんし、法のたてまえはもちろんそうなっておりません。ただ、私としては、ああいうことが起こればやはり責任者ですから、どういうことになっておるか見にいきたいぐらいな気持ちはありますけれども、それさえ慎んだ。いわんや、全警察を指揮して戦闘に参加する、そんなことは全然考えたことはございませんから、間違いでございます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは間違いでけっこうでした。  そこで、実は私の学校の恩師に当たる方でありますが、ある新聞に投書されておるのを拝見をいたしました。赤澤国家公安委員長は十九日の閣議で、十七日の佐世保での警察のデモ取り締まりについて、全般的に見て警備に行き過ぎはなかったと確信している、一般の市民や報道陣にけが人が出たが、これは遭遇戦、白兵戦のさなかではやむを得ない事態と思われると述べたと新聞は伝えているが、われわれは看過できない。遭遇戦、白兵戦ということばは一体どこから出たのか。まさか佐世保は戦場ではあるまい。警察任務はあくまで一般市民の安全を確保することにある。現に国家公安委員長は、十八日の記者会見で、第三者の報道陣や市民をなぐったという事実があれば、これは警官のたいへんな行き過ぎであるばかりか、警官の不法行為であると語ったのです。一日にして白兵戦、遭遇戦というような非常な態度の急変というものは、国民として理解に苦しむ、こういうような投書を私は拝見をいたしました。私も同じような気持ちを持ったのですが、国家公安委員長は、この佐世保、成田、ああいうものは白兵戦であり遭遇戦である、そういう御認識でございますか、お答えをいただきたいのです。
  24. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 投書でそういうことを取り上げた方があって、私も回答いたしておきましたけれど、あまり善意の取り上げ方ではなかったと思います。いくさということばは、私もかつて歩兵の一兵士として参加いたしましたけれども、戦争というものは——これはもちろんないにこしたことはないのです。ただ「戦」ということは、たとえばリーグ戦も激しくなるとかいろいろな表現を使います。いろいろな娯楽面だって、マージャンやったって、碁やったって、戦うということばを使いますけれども、まあ遭遇戦、白兵戦、これはとりようによっては穏当ではありません、これは認めます。しかし、そういう戦争という意味で言ったわけではありません。もし言ったとするならば、決してそういう意味ではありません。まあ新聞社の方がどうおとりになったか知りませんけれども、遭遇戦とかいうものは、やはりとにかく力と力がいきなりぶつかるということを昔よく遭遇戦と言ったからそういうことばが出たのかもわかりませんけれども、決してこれを戦争状態と見ているのではありませんのでへその点はひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 結局、そういうことばが出る、また、暴徒というようなことばが出る、そういうところから、最近新聞等にも出ておりますが、私どもはもちろん三派系全学連諸君の行動がいいと思っているわけではありません。しかし、やはり何か警察がこれに対して対決をする、遭遇戦、白兵戦でもってせん滅する、こういったような考え方、またそういった行動、こういうことが出ることについて私どもは危惧を持つわけであります。また、飯田橋の事件等におきましても、私たちは戦前と同じような予防拘禁に類するような行動が現に行なわれているということについて危惧を持つわけであります。  そこで、お尋ねをしたいのですが、三派全学連の諸君に対して破防法適用をいたしたいというような議論がたいへん高まっておるようであります。参議院の自民党におかれましては、すみやかにこれは破防法を適用すべきであるというような申し入れをやった云々というような記事等も出ておるわけでございまして、また、木村官房長官の談話等も私ども拝聴しているわけであります。この三派全学連の諸君に対しての破防法適用ということは、政府としていまどうお考えになっておりますのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  26. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この件についての御質問は、もうどなたも三派系全学連のああいう行動を認めるものではないがという前置きのもとにいろいろおっしゃるわけなんです。私もこういった面での取り締まりの政治的な意味での最終責任者でございまするから、こういう事態をどうしてなくすかということについて深刻に考えております。ただ、日本は法治国でございますから、ああいう常習的な集団暴力というものは許すべきものじゃないという判断、これはもう諸先生もあるいは全閣僚も私は一致していると思う。暴力団ということばが出たからといってたいへんあちこちで御批判を受けましたけれども、私は常習的な同じ者がこういう暴行を働くという、これは学生というかさをかぶっているかもわかりませんけれども、そういうことは許される性質のものではないと考えておるわけなんです。  そこで、破防法の問題ですが、御案内のとおり、いろいろ新聞の紙面なんかもにぎわしておりまするけれども、こういう法律を適用しますのには、やはりそれぞれ重大なことでございまするので、判断しなければならないいろいろな点があるわけでございます。第一、この破防法の適用は、御承知のとおりに法務省、法務大臣の主管であります。また、公安調査庁の問題でもあります。私どもといたしましては、正式にまだ法務大臣から何らその問題について意思表示を受けておりませんが、取り締まり当局といたしましては、単に破防法だけではなくして、今日、現行法で許されているいろいろな取り締まりの法規というものを検討いたしまして、そしてこういうことが起こらないようにということを考えまして、いろいろ事務当局などでは検討をしておる最中でございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは大臣の時間も都合がありましょうからそれはおきまして、大臣にさらに違う面で質問いたしたいと思います。  次に、いろいろお述べになっておられるわけですが、地方公務員に対して近代的な人事管理体制の樹立を行ないたいということを言われております。  ちょっとその前に一つ聞きましょう。行政の簡素化、合理化につとめたいということを言っておられます。そこでお尋ねをしたいと思うのですが、この委員会でしばしば問題になったことなんですが、中央官庁が地方自治体に対して非常にたくさんの通達、内簡のたぐいを出しているということであります。東京都が一年間に約一万の各省からの内簡、通達を受けたということが当委員会でも問題になりました。私どもも、そのことにつきましては当委員会でしばしば問題を提起をいたしました。各省についてもそういうことについては整理をするように、自治省としても努力をすべきであるし、また自治省みずから出しますところの通達、内簡というものについても、あまりこういうものをたくさん出すことは望ましくないというお話をしてきたわけであります。ところが、実情はどうかと申しますと、内簡等は出しませんというようなお答えがあったかと思うと、数日後に内簡がどんどん出ておるというような状態であります。どうですか大臣、この各官庁から膨大に出る、年に一万通も東京都に内簡、通達のたぐいが行くという事態を改善をする、他の官庁についてももっと行政の簡素化という面で協力を要請をする、また、自治省みずからもそれについては簡素化につとめるという御決意はございますか、お答えいただきたいと思います。
  28. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体、自治省という役所は地方公共団体行政を指導する役割りを持っている官庁でございます。ですから、地方自治というものが、地方行政というものが、完全に足が地について、指導をしなくてもいいという段階になれば、私はそういうことを一々する必要もないということを考えますけれども、いまの段階では、むしろ地方公共団体のほうからいろんな指示を仰ぐとか、問い合わせがあるとか、そういうことも非常に多いわけでございます。だから、時と次第によってはこういう内簡あるいは通達等によって指導するということも、かえって親切だという面もあるわけでございまするので、そういうものが多過ぎるということは、もちろん感心はいたしませんけれども、やはりそれは十分考えてやっておるつもりでございます。
  29. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記やめて。     〔速記中止〕
  30. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは政府委員の方に幾つお尋ねをしたいと思いますけれども地方中堅都市の構想を云々と、こういうことを大臣言っておられますが、この地方中堅都市構想というのは一体どういうものなんですか。いつごろどういうものをどうしようということなんですか。せっかく大臣が言われておりますので、目新しいことばでありますからお尋ねをしたいと思います。
  32. 長野士郎

    長野政府委員 これは官房のほうで実は主としてやっておりますので、便宜私から一応御説明申し上げます。  地方中堅都市と申しますのは、そもそもこれからの国土のあり方、人口や産業の配置、そういうものをどう考えていくかということについて、大まかに分けて二つの考え方があるようでございます。要するに、一つは、大都市に人口や産業が集中するのはやむを得ない現象だから、それが無秩序に集中することを避けさえすればそれでいいじゃないかという一つの考え方、もう一つは、地方の人口の流出を、何とかして大都市への過度の集中を避けるということをあわせて考えますために、地方に人口、産業の分散をはかるというようなことを考えるべきだという考え方がございます。その一つのあらわれが新産業都市その他となってあらわれたというふうに思いますが、そういうことだけでは事態はなお改善をされていないということがございます。  そこで、過密、過疎という問題の両面から考えました場合に、各府県の中に相当ある力を加えることによって、すなわち都市機能などを強化することによりまして、そこの地方の拠点として発展さすその力をつけることのできるというようなところを想定いたしまして、それを地方の中堅都市と申しますか、そういうことでその都市を中心にして周辺の市町村のあるブロックの中心を形成させていくというような考え方をとれないだろうかということで、昨年来いろいろ省内で研究をしてまいっておるわけでございます。そういう場合に、府県とか地方でつくっております地域開発計画、いろいろな計画がございますが、そういうものと相関連いたさせまして、たとえば府県の中でいえば、通常からもう何ブロックかに分けてものを考えていくというような県内の単位もあるわけでありますが、そういうようなものの中には必ずその中心になるような中小都市というものがあるわけであります。そういうものとの結びつきの中で、周辺市町村を相率いまして一つのブロック的な集団として、その中心である都市に都市機能を強化することによって、そういう分散政策といいますか、過密対策といいますか、そういうものもあわせて効果をあげるような力を植えつけていきたい、こういう考え方を中心にしておるわけでございます。  なお、これにつきましては、昨年来各地域について調査をいたしておりますが、その実態調査の結果等に基づきまして、それについてもなお手を加えながら、大体ことしの前半くらいにはまとまっていく、大体形が整っていくというふうなことで研究を続けておるわけであります。何さまこういう問題は大きな問題でございますので、数年がかりで本腰を据えてやっていきたい、こういうことで自治省関係の局を中心にいたしまして共同作業をやっておるという段階でございます。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 非常に長く御説明をいただいたわけですが、そうすると、ことしの半ばごろですか、ある程度調査をまとめて、これについては一つの総合的な構想をおやりになるということで法律案まで提案をする、そういうものなんですか。そうではなくて、行政指導としてそういうものをやっていくというものなんですか。そこだけ簡単にお答えいただけばけっこうです。
  34. 長野士郎

    長野政府委員 制度的に整備する必要があるということになれば法律案の提案をしたい、行政措置、財政措置でできるものは、もうこれはそういうものを待たないでもやりたい、こういうふうな考え方でございます。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、まだどっちになるかということは未定である、これからの作業の推移いかんであるということですか。
  36. 長野士郎

    長野政府委員 そういうふうに考えております。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいまちょっと言いかけました近代的な人事管理の問題、それから地方財政に対する認識の問題等は、これは大臣がいませんとちょっとぐあいが悪いのでおきまして、消防及び警察の問題をお尋ねしたいと思うのです。  まず第一は、警察庁にお尋ねをしたいと思います。  それは昨年の十一月十日に施行になりました住民基本台帳法と道交法との関係の問題であります。実は、私の住んでおります群馬県にもそういう例があるのですが、全国にあると思いますが、行政区域はAならAの県にあるが、現実に経済、社会上の影響というものはB県にあるという地域が当然あります。そういう地域の人たちが運転免許証を取得しようという場合は、通常B県のほうの自動車教習所に通い、そこでもって運転免許証を受けるというのが通例だと思います。ところが、従来は住民票だけ持っていけばよかったのでありますが、住民基本台帳法が施行になりましてから、今度は選挙権から何から全部持っていかなければならぬということになりますと、そういうような地域での運転免許証の取得というものが非常に困難になる。これは住民基本台帳法と道交法と両方とのかね合いの問題になると思うのですが、ただいま申し上げたような実態を解決するために、警察庁並びに自治省としては、何らかの改善をするお考えがあるのか、まず警察庁のほうからお答えをいただきたいと思います。
  38. 西川芳雄

    ○西川説明員 運転免許事務は、ただいま各公安委員会に所管をさせておるわけでございますが、その場合に、運転者の本籍地にしたらいいか、あるいは住所地にしたらいいか、あるいは運転地にしたらいいか、あるいは勤務地にしたらいいかということで、どれを基準にしたらいいかということについてはいろいろ議論があろうかと思いますが、ただいまは運転者の便宜をはかるとともに、運転者管理の適正、あるいは二重免許その他の免許に関する不正事件の防止をはかるという行政上の必要から、お話がございましたように、住所地主義によって各公安委員会に所属をさせておるわけでございますが、ただいまお話がございましたような御要望の趣旨を取り入れまして、運転免許試験は、住所地以外においても受験することができるとした場合のことを考えてみますと、公安委員会相互間の事務処理がたいへん複雑になるというようなことと、公安委員会による先ほど来申し上げましたような、運転者管理の適正あるいは免許に関する不正事件の防止ということについても支障を及ぼすことが一応予想されますので、目下のところ適当でないというふうに考えております。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣は、ただいま私との論議の中で——行政局長も言われたのですが、結局、社会経済の進歩に伴って行政の効率的運営が必要だということを言っておられる。現に大臣所信表明でも「行政の広域的、かつ、効率的な運営について」云々ということを言っておるわけであって、都道府県合併ということを、明治百年だからといって一ぺんに考えるよりは、ただいま申し上げた社会経済的な、広域的な問題を丹念にこまかく解決していくということが住民福祉につながるのではないですか。とすれば、住民基本台帳法があるから、片一方は動かせぬ、住民基本台帳のほうは便宜ははかられぬ、道交法は道交法で、八十九条があるからこれはだめだというようなことを言っておらぬで、こういうものこそ行政の広域的かつ効率的な運営をやったらどうなんですか。これは法律を改めなければならぬということもあると思いますが、どうですか、政務次官、私はこういうものから住民の便宜をはかることを着実に積み上げることが必要じゃないかと思いますが、どうでしょうか。法律を変えてもこういった問題を解決したらいかがかと思いますが、御所見を承りたいと思います。
  40. 細田吉藏

    ○細田政府委員 実は、私は国家公安委員会のほうは担当いたしておりませんから、いまの問題につきましては、お答えする資格はないと思います。ただ、一般論として申し上げますならば、そういった問題が実はほかにもたくさんあると思います。赤澤大臣が申しました趣旨は、そういう手近なところからどしどしやらなければならぬ、こういう趣旨だと思います。基本的には先生のお考えに私ども全幅的な賛成をいたすわけでございます。ただ、いまの問題がどうであるかということにつきましては、いろいろ考慮しなければならぬ点もあろうかと思いますが、これは警察庁からお答えをいただいたほうがいいかと思います。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうでしょうか。この点は、住民基本台帳を所管する自治省と道交法の所管庁の警察庁と相談をして、そういう手近な問題から解決していくという前向きの姿勢でお取り組みになっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  42. 細田吉藏

    ○細田政府委員 御趣旨に十分沿いまして相談をいたします。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは消防庁長官お尋ねをいたしたいと思うのですが、本年の一月二十四日でありますか、千葉県の三井ポリケミカル工場の爆発事故がありましたが、最近コンビナートとして設立されております石油化学の多くは、アメリカのノーハウを買ってやっている工場が多いようであります。そういたしますと、非常に危険なものでありながら、こういうところへ消防なり警察が行きましても、うちの会社はノーハウだ、企業秘密があるということで立ち入りすら拒否されるというようなことがあったと伝えられているわけです。こういうことでは——とんどん臨海工業地帯に建設されているコンビナート、京葉地帯もそうですし、四日市もそうですが、これらがそういった企業の秘密で消防活動もできぬということでは、私は非常に危険だと思うのです。こういうものについて、消防庁としては、どのような解決の考え方を持っているのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  44. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘の事故でございますが、ただいまお述べになりましたような話を耳にいたしまして、私も京葉工業地帯の状況を一度視察したいと思っておったところでございましたので、参りましたついでにそこの状況も見てまいりましたが、地元の消防本部の説明によりますと、市原市の消防機関が活動することが、いまのような事情で妨げられたというような事情はなかったということでございました。あの事故の場合におきましては、爆発いたしましたものが他へ延焼し、さらに誘爆をするというようなことを防ぐことが消防としてとるべき措置であったわけでございまして、そのために、まわりのところを冷却給水をいたしまして延焼を防いだ。爆発したものはそのまま燃してしまう。こういうのが一番消防の戦術的な適切な方法であろうか、こういうことで、地元の消防本部もその行動をとったわけでございまして、それをするにつきまして、会社のほうのいまお述べになりましたような事情で、消防活動が妨げられたことはなかった、こういう報告でございました。私もおそらくそうであろうと思います。ただ、一般論といたしまして、今後そういうようなことが起こりまするならば、これは許すべからざることだと思います。各企業には、それぞれ企業の自衛消防施設を整備するように法令でも規定されておりまするし、指導もいたしておりまするから、まず自分のところの自衛消防力でやる。しかし、それでやれぬものはどうしても市町村消防力にまたなければならないわけでありまして、市町村消防が行動するにつきまして、いかなる事情があっても、事故が起こりましたならば、その消防の行動を妨げるというようなことは、これは私は許されるべきことではない、かように思っております。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも調査の結果と新聞の報道とはたいへん違うようですね。新聞には当該工場の談話まで載っておるのですよ。当社は外国から技術導入する際、機密保持の約束をしており、外部の人を簡単に立ち入らせることはできない事情にある、事故を隠すために外部の人をシャットアウトしたわけではない、こう言っているのです。事故を隠すためにシャットアウトしたのではないけれども、要するに企業秘密を守るためにシャットアウトしたのだということを、はっきり工場の責任者が答えておる。ですから私は、消防庁の調査では、現場の消防のほうは別に消防活動が妨げられたことはないというふうに言っておるかどうかわかりませんが、現実にはシャットアウトしたという事実があるんじゃないですか。ですから、問題はこういった企業秘密、ノーハウ、こういうものはどんどんふえていくと思いますが、そういう企業秘密を守るために消防活動を妨げるというようなことがあれば、たいへん問題がある。したがって、ノーハウあるいは企業秘密というのは、これは通産省の問題であるとも思いますが、通産省と消防庁との間で、こういったものに対しての消防活動についてどうするかというようなことについては、大綱をやはり相談をしておきめになる必要があるんじゃないですか。これからこういった危険性が多くなるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  46. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 前段の点でございますが、もしそういうふうに伝えられた点があるといたしますと、地元の隣接の市町村から消防団がかなり応援に来たそうであります。しかし、すでに市原市の消防が中へ入りまして、先ほど申しましたような措置をとっており、その措置をとるについては、それだけで十分であったということで、他の応援に参りました消防団は、門外で待機してもらった、こういうことがあったそうであります。その際、消防団の中から、なぜ中へ入れないのだというような声もあったようでありますが、おそらく応援に参りました消防団に対して事情をよく説明するという点につきまして欠ける点があったのではなかろうかと思っております。  それから、なお、消防機関以外のものを中へ入れなかったというようなことはあったようでございますが、これは私ども、直接関係した問題ではございません。私どもとしては、御指摘のように、いかなる企業秘密がございましても、消防が公の立場で活動することが妨げられるといったようなことは、これはあってはならぬことでございまするから、ただいまの御指摘のような、自衛消防組織と公設消防組織がどういうふうに連携、協力をとっていくかというようなことにつきまして、なおいろいろ検討すべき点は、これは一般論としてあろうかと思います。その点につきましては検討してみたいと思います。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 保安局長さんお見えですか。何かこれでは警察のほうもシャットアウトされたというようなことがあるわけです。こういった化学工場の爆発事故というものはないことが望ましいと思いますけれども、将来ふえても決して減ることはないであろうと予想することが常識だと思います。この爆発は危険物もたいへん多いだろうと思いますが、こういう点で警察もお手上げであった、何と言いますか、シャットアウトされるというようなことについて、一体どうお考えでしょうか。
  48. 今竹義一

    ○今竹政府委員 私も当時その新聞記事を読みまして、直ちに千葉県の警察のほうに照会いたしたのでございますが、警察においても、そういうシャットアウトされたというような事実はない、こういう返事でございました。  なお、いま御指摘のような爆発物の危険性ということは今後もある。そういうことについて、私ども警察でいろいろ事故の調査、捜査のために立ち入るわけでございます。当然シャットアウトを受けるべき性質のものではない。全くその点消防と同様であります。そのように考えます。
  49. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷君の関連質問を許します。細谷君。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの点は私は非常に重要だと思っておる。当時の新聞を読みますと、山口委員指摘しておりますように、警察もやはりノーハウだということでシャットアウトを食いかけた。消防はシャットアウトを食って十分な活動ができなかった。むろん活動するにしても、わらぶきの屋根ぐらいを対象にした消防力しかないということなので、近代化学工場に立ち向かうような消防力は持たないということで、赤ん坊が双葉山に相撲をしかけるようなもので相手にされなかったかもしれませんけれども、当時の新聞を見ますと、全部やはりノーハウということが理由で十分な警察なりあるいは消防の活動ができなかったということが新聞に書いてある。ですから、見出しに「化学工場は治外法権か」という見出しが書かれた。これは私はエクセルじゃなかったと思うのですよ。ところが、いまのあなたのことば、あるいは最近出ました消防関係の雑誌を読んでみますと、あなたの言うとおりなんだ。消防はじゃまされなかったのだ、全能力を発揮する態勢にあったのだ、こういうことで工場側の治外法権かということが変わって、消防も会社からじゃまされないで自主的に活動できたのだ、こう言っておる。  いま一点、争いの問題で、消防が関心を持っておるのは何かというと、そういう場合には警察が一手で指揮権を握るということについて、消防としては承服できないのだという、警察消防とのけんかになってしまっておるわけだ。雑誌を見てごらんなさい。「近代消防」の三月号を見てごらんなさい。座談会にそう書いてあるんですよ。その辺にずいぶん問題があるんですよ。一番問題は自衛消防というのがある。赤ん坊が双葉山に向かっていくような程度の消防力しか持たぬというところに問題があるのです。しかし消防活動はじゃまされたということはあるんですよ。この前の例の川崎の事故の際にも門前払いを食ったという事実があった。同じようなポリケミカルの事故が起こった大竹工場、大竹工場でも問題があったのですが、大竹工場では最後にあまり無統制に入れたのでかえって消防活動ができなかったというような反省があったのだそうだが、今度それが逆になって、会社は全部シャットアウトしたんですよ。消防上問題があったんですよ。技術的な問題は、きょう私は予算委員会で通産省に質問するということにしておるのだが、問題があるのですよ。ところが私が解せないのは、警察が指揮権を握るのはけしからぬというので、消防団なり消防署がけんかを売って、当時のやつは工場は悪くなかったんだ、おれたちは十分できたんだというように言い分が、当時の新聞とは今日変わってきている。一ぱい飲まされたんですか、どうなんですか。わからないんだ、これは。そこに今日の消防の姿勢の問題が根本にあるんじゃないか。佐久間さんだから信用しているんだけれども、やはり消防の姿勢に問題があるんじゃないか、こう思うのです。変わってきていますよ、あなた方の主張は。
  51. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまおあげになりました雑誌の記事は私まだ読んでおりませんが、先ほど申し上げました、地元の市原市の消防機関の活動が、ノーハウによって妨げられたということはないという報告でございまするし、それからまた、私も、なかったろう、そのとおりであったろうと思います。  それで、今回の事故は、あの程度の消防力で鎮圧できるものでございましたが、しかし、今後いろいろ予想されますものは、より大きな消防力が、しかも相互によく連携をとりまして対処しなければならぬようなものが起こることが予想されますので、いろいろ御批判のありました点につきましては、十分研究してまいりたいと思っております。  なお、警察云々ということは、私、全然聞いておりません。  姿勢の問題は、先ほど申しましたように、会社の企業秘密があるから消防の行動がそれに遠慮をするといったようなことは、これは許さるべきことでない、こういう基本的な考え方でむろん対処しておるのであります。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最近は企業はパテントをとらないわけですね。パテントをとればいわば公表になるということで、ノーハウでみんなやるわけでしょう。そうした企業のノーハウを守りたいという欲望、そういうものによって消防活動なり——あるいはけが人すら警察が調べようとしたら会わせなかったというのですからね。こういった保安活動が制約されるということは、私は許されるべきではないと思うのです。ですから、そういう意味でこれからふえつつあるコンビナート等のノーハウ等については、警察の保安当局、それから消防当局も、き然たる態度をもって人命の保護のために努力していただきますように強く要請をしておきたいと思います。  それでは最後に、厚生省と運輸省の方をお呼びをいたしておりますから、そのお方にだけお尋ねしたいと思うのですが、地方事務官の問題です。先ほど議論いたしましたように、もう二十年をこえる問題であります。しかも本年の二月二日の閣議了解では、六月末までに行政機構改革の一環として、この問題解決のための計画案を作成して内閣に提出をするということになっておると聞いておるわけであります。厚生省並びに運輸省、特に運輸省のほうにお尋ねしたいと思うのですが、検査事務は全国的でなければいかぬとか、あるいはバスの路線免許等についても、いま府県をまたがる広域的な問題もあるから、これは府県にはまかせられぬとか、できない、できないというようなことばかり盛んに言っておるわけでございます。しかし、先ほども議論いたしましたように、とにかく府県の中にあるバスの停留所をどこにするかさえ都道府県で解決ができないとか、それから都道府県の中で走るタクシーの冷房料金がどうだとか、住民から不満があるという場合に、これすら地方議会で議論しようと思っても陸運事務所長が出てこないとか、それから県知事のはんこは陸運事務所にずっと置きっぱなしであるとか、こういったようなことが地方自治のたてまえからいって許されるべきではないということは、御理解いただけると思うのです。そういったことについて、運輸省並びに厚生省のこの地方事務官制度について六月末までに一応案を提出するわけでしょうが、一体どういうお考え方でありますのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  53. 岡田茂秀

    岡田説明員 お答え申し上げます。  御指摘のような閣議決定がございまして、運輸省といたしましても、大臣の指示のもと行政刷新本部というものが設けられまして、特に自動車行政については、全般にわたって再検討するということに相なっておりますので、その一環として地方事務官の問題も検討してまいりたい、かように思っておる次第でございます。  方向は、いろいろのところからの答申もございますし、また、従来のわれわれの考え方もございますし、大臣の予算委員会における御答弁もございますし、それらを参酌といいますと失礼かもしれませんが、頭に入れながら、新しい自動車行政のあり方というものの一環として考えてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  54. 松下廉蔵

    ○松下説明員 厚生省関係地方事務官問題についてお答え申し上げます。  先ほど御指摘になりました二月二日の閣議に基づきます行政改革全般、これはもちろん地方事務官問題だけでございませんで、厚生省といたしましても、全体として現在取り組んでおりますが、特にいま御質問の地方事務官問題につきましては、私ども担当いたしております社会保険、国民年金関係の仕事に従事しております職員の場合は、これは先生方すでに御承知のとおり、社会保険の本質から申しまして、全国的な統一がなされ、全国一体の運営を必要とするものでございますので、そういった社会保険の本質に照らしまして、どういう形でこれを処理しますのが一番適当かという問題について、すでに予算委員会でも細谷先生の御質問に大臣から御答弁申し上げておりますように、最も社会保険の本質に合うように、また国民の利益に合致するような方向で検討せよという指示を受けておりまして、目下そういった指示に基づいて検討を重ねておる段階でございまして、六月の末までにははっきりした方向を打ち出したいというふうに考えております。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもはっきりしませんですね。いまの運輸大臣中曽根さんは群馬県の御出身であります。その中曽根運輸大臣が、大臣に就任いたしまして一月二十八日前橋へ参りまして、はっきりこの陸運行政の改革について談話を出しておられるわけですね。「陸運事務所の機構改革を断行する。運輸行政は交通政策に取り組むべきものであるから、認可許可業務など切り離すべきものである。その意味で陸運行政で民間に接する部門で、民間や県に移管できる業務は積極的に移管を考えて行く。」ということをはっきり言われているわけであります。ところが、中曽根運輸大臣運輸省に帰ってきてみると、自動車局長さんが言われたか参事官が言われたか知りませんが、いろいろ文句をつけられて、前橋談話というものがいまや全くしぼんでいるという状態ではないですか。せっかくわが郷土群馬から出ました偉大なる運輸大臣が、地方自治の伸展を目ざしてりっぱな構想を発表されたのを、事務当局が足を引っぱっているという現状じゃないですか。私は郷土の群馬県の一員として非常に残念に思うのです。何で大臣の当初の所信を——初心忘るべからずというでしょう。初心を忘れさせるようなことを事務当局の方はおやりになるのですか。  そこで聞きますが、少なくともこの問題については臨調の答申も出ておるわけですね。ですから、臨調答申の方向で少なくとも検討するということなんですか。この点は運輸省、それから厚生省もあわせてお答えをいただきたいと思うのです。
  56. 岡田茂秀

    岡田説明員 大臣の談話については、私もよく存じませんが、この点については、本院の予算委員会において細谷先生からの御質問に対して大臣がお答えしたことでかえさせていただきたいと思います。あとどういうふうに対処するか、もちろん臨調の答申も尊重して、あるいはその後の行政管理庁長官からの通達等もございます。それらをみんな参考にしながら、また、片や新しい自動車行政のあり方というふうなものについては、大臣からの御指示もございますので、その線に沿って並行的に総合的に考えてみたい、かように思う次第でございます。
  57. 松下廉蔵

    ○松下説明員 いま御指摘の臨時行政調査会の御意見、これはもちろん厚生省といたしましても尊重しなければならないものであろうというふうに思いますが、同時に、厚生省で担当いたしております社会保険、これも国民のために欠くことのできない性質のものでございますので、その社会保険の本質に照らしまして、臨調の趣旨を尊重しながら最も合理的な運営方式がとれますような方向で現在検討いたしております。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点はいまのお答えでは不満であります。臨調答申や行政管理庁長官の指示を参考にしてやっていただきたいということならいいのでありますが、その後云々というただし書きがつくわけであります。しかし、ここで水かけ論を繰り返しましてもしかたありませんからやめておきますが、少なくとも臨調の答申、行政管理庁長官からの指示、こういった方向で長年のこの問題を解決するように、厚生省当局も運輸当局も、あまり大臣の足を引っぱらぬでやっていただくことをお願いをいたしておきたいと思います。  あと近代的な人事管理の問題、地方財政の認識に関する問題等、大臣おられませんので、この問題は保留をいたしまして、一応質問を打ち切らしていただきます。
  59. 吉川久衛

    吉川委員長 午後一時より再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時十四分開議
  60. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣国家公安委員長がお見えになりましたから、午前中質問を留保いたしました点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初にお尋ねをしたいのは、ただいま国家公安委員会が開催をされたようであります。先ほど全学連三派の諸君に対する破防法適用の問題についてお尋ねをしたわけでありますが、今日の新聞によりますと、赤間法務大臣は法務省に吉河公安調査庁長官を呼び、三派全学連に対する破防法適用問題についてその後の調査結果を聞いた。法務大臣はこの会談のあと記者会見で、法務省としては破防法の適用を目途に最終的検討に入ったと述べたが、適用の時期など具体的な方針などについては態度を明らかにしなかったと、こう報道されております。それから他の報道によりますと、警察庁当局はこの問題については非常に慎重であるというような報道もなされておるわけであります。  本日国家公安委員会が開催されまして、これに関する問題についても御議論があったやに伺っておるわけでありますが、これについて国家公安委員会としての一応の御見解というものはどういうことでございますか。お聞かせをいただきたいと思います。
  62. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいままで国家公安委員会出席をしておりました。公安委員会というのは、御案内のとおりに、警察運営をきわめて公平厳正に、しかもいかなるところからも圧力を受けないで中立的に運営をしていくという責任のある委員会でございますので、今日連続して起こりつつある集団不法事件に対しまして、いろいろ委員の間で議論がありました。その議論がかわされている多くの時間、私その席におりませんでしたけれども、最終その場に至りまして、皆さん五人の委員の方々の御意見を聞いたわけでございます。それは、治安の責任は政府が持つとはいい条、今日の事態を治安確保の上からどう判断するかということは、国家公安委員会がおきめになることでございまするので、いまの時点でやはり国家公安委員会の判断というものを明らかにすべきものであると考えておりましたところ、ちょうどきょう結論が出されたわけです。ただいま私は外に向かっては国家公安委員会を代表することになっておりまするので、談話の形でいま発表をしたわけでございます。この談話の内容は、ここにありまするけれども、簡単に申しますと、法治国においてああいう暴力を許せない。警察は言うまでもなく社会秩序、法秩序を守るという立場にありますし、片方は、ああいう連続して、とにかくああいう不法な、乱暴ろうぜきを働いておるわけでございますので、この形からして取り締まり当局はき然たる態度で臨むべきものである。しかも最近は市民の生活をおびやかしておる。土足で家に侵入するとか、中には通行人に失明者さえ出しているという状況であるので、これははなはだ民主主義体制を破壊する危険性が十分あるわけだから、警察当局のみならず、関係の向きにおいては、よくその立場で違法行為の防止につとめられたい、こういうことでした。  しかし、いま御指摘のとおり、取り締まりの方法としてどういうことをやるのかということですけれども、いま破壊活動防止法適用云々が議論されておりますけれども、これは法務省、むしろ公安調査庁が指導的な役割りを果たす、警察は正式に法務大臣から意見を聞かれれば申すという考え方でおるわけでございまして、公安委員会においても当然破防法を適用すべき、あるいはすべからざるといったようなことにつきましては、議論は及ばなかったわけでございます。ただいま終わりましたけれども、大体そういう経過でございます。
  63. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 法律的に申しまして、破防法の適用手続は公安調査庁長官が判断をいたしまして、その上でこの公安審査委員会にかけまして決定をするという手続でありまして、当然いま公安委員長から言われましたように、その前に国家公安委員会として適用云々の問題について態度を表明することは、これは筋違いであり、お話しのとおりであろうと思います。ただ破防法適用の経過から見まして、これには幾多の制限があるわけであります。いま公安委員長が言われましたように、住宅に土足で云々ということもありますが、建造物に対して放火をするというようなことはその要件に当てはまるわけでありますが、土足云々ということは、これは破防法の適用の条項にはないと私は承知をいたしています。したがいまして、いまお考え方はお聞きいたしましたが、伝えられるように、この破防法適用ということは、三派全学連諸君の行動そのものについて議論をすればいろいろありましょうが、要は民主主義政治、政治活動の自由というものを保障いたしました憲法のもとにおける特殊な規定でありますために、警察当局といたしましても、意見を求められた場合は慎重に対処いただくことをお願いをいたしておきたいと思います。  時間もありませんから、あと二つの点について簡単にお尋ねをいたしておきたいと思います。  一つは、地方財政の認識に対する問題であります。今回の地方財政計画が発表されまして、各新聞社がこの本年度の地方財政計画について、社説等で論評を加えております。見出しだけ申し上げますと、毎日新聞の社説では「大型化した地方財政計画」、「大盤ぶるまいを恐れる」と、こう副題がついております。日経新聞の社説では「好転見込みの地方財政事情」というような見出しがついております。  そこで、今回の地方財政計画、私たちはこの地方財政計画についてはいろいろ議論もございます。しかし、こまかい議論は、地方交付税法案が提案されましたときにあらためていたしたいと思いますので、ここでは省きたいと思いますけれども、とにかく、先ほど見出しを紹介いたしましたように、何か今回の地方財政計画のきまり方の過程において、地方財政が著しく好転したんだと、こういうような印象を一般に与えておりますことは、私は非常に遺憾に思うわけです。それにはやはり自治省の責任があるのじゃないかと私は思います。それは予算委員会でも議論をされました。阪上委員指摘されたのですが、今回の四百五十億、いわゆる例の出世払いの問題について、これもまあいわば国に貸すというような形をとったわけであります。国に四百五十億円も貸すことのできるほど地方財政は豊かになったのかというふうに思われることはやむを得ないと思うのです。  そこで、お尋ねをいたしたいのですが、いわゆる地方財政は出世したと自治大臣はお考えでありますのか。国に四百五十億も貸すだけ地方財政はゆとりがある、かようにお考えになっておられますのか。その点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  64. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方財政は最近多少よくなってはおります、数字の上では。しかし、まだこれは借金の上に立てられている財政運営でございますので、そういった意味で、よそへ資金を貸すなんということができる立場ではないわけなんです。ですから、例の出世払い云々のことについてのお尋ねでございますけれども、私どもは、ごまかすという意味ではない、四百五十億円というのは国に貸したという考え方は持っておりません。しかしながら、将来とも、やはり地方財政の根幹の問題ですけれども、交付税率に何らかの影響があるようなことではいけませんので、将来はやはり三カ年にわたって百五十億ずつまた交付税を増額してもらうことになっているから、結果的に言えば四百五十億ことしは出して、百五十億ずつ三カ年返してもらえるだろう、こういう議論も成り立つと思いますが、根本はやはり内外を取り巻くこういう経済情勢でございますので、国もやむなく抑制型の予算も組みますし、ですから、それに歩調を合わせるという意味で、今回は四百五十億円を減したわけでございます。そのこと自体は地方財政上の大きな支障はないという判断のもとにやったわけでございます。
  65. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 毎日の社説にこう書いてあります。「結局、このような大型計画を組むことができたのは、地方財政にゆとりが生じた証拠といえる。自治省は、ついこの間まで「地方財政も硬直化」と宣伝していたが、四十三年度だけに限れば、どうも、それは当てはまらないようである。」というようなことを書いております。私はこの記事は当たらないと思います。実態を見ていないと考えます。しかし、問題はこういうように思われる根拠を、自治省が今回の地方財政計画においてつくったのではないか。大臣はいまの御答弁で、自発的に減額したのである、明年度以降三カ年百五十億円ずつ交付税の上にふやしてもらうんだ、こう言われておるのですが、しかし、大臣が言われるように思う人は数が少ないのです。やはり四百五十億国に地方が貸した、それで四百五十億を三年間にわたって百五十億ずつ返してもらう、こう理解するのがあたりまえであります。大臣のような解釈をとる人は、私はよほど珍しいのではないかと思うのです。結局そういう形をとったことが、何か地方財政の硬直化ということは宣伝ではなかったのか、というようなことを言われる根拠も自治省みずからがつくった。私はこの点は非常に遺憾に思います。これはまたあらためて地方財政計画あるいは地方交付税法の議論でこまかい点を申し上げたいと思いますから、ここでは、そういった自治省のあり方が、そういう根拠を与えたということだけを指摘しておきたいと思います。  それから、あわせて、これも阪上委員指摘をされたのですが、交付税の扱い方というものが非常に安易になってきた、法律のたてまえを忘れてきたということを私は思わざるを得ないのであります。それは二百五十億の起債の繰り上げ償還、本来、交付税は一般財源、これを何か特定財源のごとく取り扱う。そればかりではありません。特別事業債につきましても、昨年は特例交付金としてこの措置をいたしました。今回はこれを交付税の中にほうり込んで処置するわけであります。そういたしますと、一般財源であるべき交付税が何か特定財源的に扱われる。こういうことは交付税法のたてまえに反するのではないか、かように思わざるを得ません。そればかりではありません。交付税の中の特別交付税についても問題があります。最近の報道によりますと、佐世保でたいへん損害を受けた。したがって、これについて請求書を国のほうに持ってまいりまして、長崎の市長が大いに窮状を訴えたそうです。それで特別交付税で二千万円ですか三千万円ですか、措置されたと伝えられております。特別交付税も、本来幾つかのルートに分けまして当然これは配分をすべきであります。それを何か——佐世保に対してやること自体について私は云々しようというわけではありません。何かそういう問題が起きた、これは特交で見るということが、本来の交付税法のたてまえ、特別交付税の性格からいって、一体よろしいのかどうか、この点たいへん疑問を持たざるを得ません。この点は一体どうなんでしょう。
  66. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 四百五十億円のことについては今回触れぬというお話ですけれども、前々国会からのいきさつは御案内のとおりに、例の出世払いとかなんとかいうことが出てまいりまして、交付税の落ち込み分を国が出してくれたものを返す必要があるとかないとかいう議論が堂々——そういったものはなかったという裏証文的な形で把握して正しい扱い方にしたわけなんでして、やはりそれが何か地方財政が豊かになって貸したというふうにとられることは、私としてはたいへん迷惑だということを申し上げた。私も新聞でそういう記事が出たことは承知しておりまして、たいへん遺憾であったと考えておりますが、なおそういう誤解は解いていかなければならぬと考えております。交付税は言うまでもなく一般財源でございますから、先般の予算委員会で阪上さんが聞かれた例の災害債の繰り上げ償還したものを、また借りて交付税に投入してやるということは、結局ひもつきと同じことじゃないかということを言われたわけです。私はそうは考えていない。やはり旧債を整理いたしまして、地方財政を多少でも健全化していくということは、やはり関係者はみな始終考えておるところでありまして、旧債のうちでも古い交付税、災害債は各団体において非常に不均衡な形で——こげつきとは申しませんけれども、残っておるものもあるものですから、一定の年次を切ってそれを一応繰り上げてお返し願って、そして、それはまた別にいろいろな行政需要にそれぞれはめるということにしておりますので、何も特にひもつきだというふうには考えておりません。  それから、佐世保のことですけれども、ああいう突発的なことで、事実思わざる出費もあの市にあったわけでございますので、これは何らかやはり国において措置しなければならぬものと考えて、交付税の点でも若干考慮はいたしました。しかし、交付税の配分の面では、こまかいことは財政局のほうでやっておりますので、金額その他につきましては財政局長のほうからひとつお聞き取りを願います。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 佐世保につきましては、ちょっと数字は正確に覚えておりませんが、渉外基地の関係で千五百万ほど特別交付税の算定をいたしました。これは別に佐世保について本年度だけ初めてというわけじゃございません。従来から基地のあります市町村に対しましては、特殊な財政需要がある、しかし普通交付税で算定できないということで、全国そういう関係のある市町村について算定をいたしております。
  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは上積みですか。従来出しておる上に対して千五百万円よけいあげた、こういうことですか。
  69. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっとそのこまかい数字を覚えておりませんが、いわゆる佐世保事件として千五百万ということではなくして、渉外基地関係費として従来も佐世保にたしか五百万か六百万か見ておったと思います。そういうものの額がふえておる、こういうことでございます。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも細郷財政局長が巧緻精緻な交付税制度ということを言われたわけで、そういうことを言われたたてまえからいって、佐世保騒動に二千五百万円上積みしたということはやむを得ない、しかもまた、特交の申請の期日の末日は十一月の末ですから、いわゆる佐世保騒動なるものはその後に起きたから、それでもって特交を上積みしたということになれば、これは筋が通らぬ。だから、いまのような全くわけのわからぬ御答弁をされるという気持ちはわかりますよ。しかし、そういうことは交付税制度のたてまえ、こういうものからいって、明らかに佐世保のために上積みをしたわけです。そういうことが制度のたてまえからいって許されないということは、自治省もよく理解しておられるわけです。理解しているからそういうことを言わざるを得ないのでしょうけれども、そのことはこれ以上私は追及しませんが、とにかく、そういう形でこの交付税制度が乱されている。それから、ひもつき云々という話もありましたが、現に明らかにひもつきではないですか。この特別事業債にしても、それから起債の繰り上げ償還にしてもそうではありませんか。そういうことは交付税制度のたてまえをくずす。巧緻精緻な交付税制度が、細郷財政局長の願いにもかかわらず、どんどんおかされているという事実を私は指摘をしておきたいと思うのです。どうも昭和四十三年度は巧緻精緻と言うわけにはいかないで、たいへんわけのわからないものになったといわざるを得ないでしょう。
  71. 細谷治嘉

    細谷委員 関連してちょっとお尋ねしますが、いまの佐世保、いろいろ市の財政があったのですから、期間的なものはあるにしても、見てやることについて私ども異議を申し立てているわけではないのですけれども、問題はやはり特別交付税の配り方、こういう基本的な問題に関心を持っている。  そこで、一つ関連してお尋ねしたいのですが、一〇・二六等でいろいろな訴訟が起こっておりますと、その訴訟費の全額は特交で埋めてやったそうですね。そういう事実がありますか。
  72. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと私記憶ございませんので、調べて御返事させていただきます。
  73. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではもうこの問題は一応これでおきましょう。またあらためて交付税法その他で議論をしたいと思います。  最後にお尋ねしたいのは、近代的な人事管理体制をおとりになりたいということでありますが、どうも私はここでは定年制の問題は議論をいたさないつもりです。ただ一言言っておきたいのは、定年制のPRについては自治省はたいへん力を入れているようですね。ところが、どうですか、肝心な地方財政計画、地方財政が好転したかしないかということについては、結局自治省のやり方のまずさもあったようですが、全く自治省の意図と違うような論評を盛んにされているではありませんか。私はむしろ自治省がPR活動に力を入れるとすれば、そんなつまらぬ定年制などに力を入れるのではなくて、地方財政計画、地方財政が好転したかしないかということについて非常に誤った見解がされていることについて力を入れることのほうがしかるべきではないか、こういう御忠告だけは申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、近代的な人事管理ということになれば、私は当然国際的な視野からこれを考える必要があるのではないかと思います。ILO等におきましては、近代的な労使関係を確立するために、国際的な視野に立った各種の勧告あるいは条約等をきめておりますことは御案内のとおりであります。そこで、お尋ねをいたしたいのでありますが、最近ILOにおきまして紛糾のございます特に公務員関係の労働者、これに関して一つの公務員部会というものをつくって、そうして公務員労働者のいわば地位と申しますかについて調査をなされ、この勧告をするなり、あるいは条約なら条約をつくるなり、そういった作業を進めようとしておられるということについては、自治省当局十分御案内だと思うのですが、その点はどうですか。事務当局でけっこうです。
  74. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 そのとおりでございます。
  75. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本年初めての公務員部会が開かれますね。ILOは三者機関であります、政府と使用者と労働者。ところが、公務員労働者ということになりますと、政府と使用者が同じ立場に立つので、結局、政府と労働者代表という二者構成にならざるを得ない。その点にいろいろ議論がございまして、結局、その点は割り切って、政府代表、労働者代表、その両者でもってこの部会を開くということになったようであります。日本からは、労働者代表としては宝樹全逓委員長、それから安養寺自治労書記長、槙枝日教組書記長、この三者が代表として行くことにすでにきまっておるやに聞いております。そして、公務員部会がモデルとして扱いますのは、いわゆる昨年の末国会に報告されました、教師の地位に関する勧告、これをモデルとして審議をするということが伝えられておるわけであります。この点についても間違いありませんね。
  76. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 遺憾ながら、そこまで詳しい話は私ども聞いておりません。
  77. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どういうのですか。せっかく公務員部ができたわけであって、しかも近代的な労使関係を確立したいということを大臣が発言される以上は、こういった動きについては、われわれしろうと以上に専門家たる公務員部が事情をよくお調べになることが必要ではないでしょうか。そうでなければ——近代的人事管理体制の樹立、こう言っているのですが、そういうことを抜きにした近代的な人事管理なんというものがありますか。定年制をつくることが近代的な人事管理じゃないですよ。その点はひとつ御注意を申し上げておきたいと思うのです。  そこで、お尋ねをいたします。ILO、ユネスコの教師の地位に関する勧告によれば、教員組合に対して、団体交渉を行なう権利を保障しなければならないということ、それからまた、当事者間の交渉が行き詰まった場合は、他の団体が正当な利益を保護するため普通持っているような他の手段をとる権利を当然持たなければならないということ、すなわち、ストライキ権を認めるということを明確に規定をしているわけですね。そして、これをモデルにして公務員労働者に対する地位等の審議が行なわれるということになれば、これと同じ条項が、ILOにおいて決定され勧告されてくるということは、火を見るよりも明らかだといわざるを得ないと私は思うのです。そういった方向に対して、近代的な人事管理体制の樹立を願う自治大臣としては、一体どのようにお考えになっておりますか。お尋ねをいたしたいと思うのです。
  78. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ILOの公務員の地位に関するILOの部会のお話は、労働省の国際労働課と連絡をとりまして、私どものほうで話を聞いておりますけれども、ただいま山口委員からお述べになりましたような、そういう具体的な、代表者の問題でございますとかということは、私どもの調査ではまだわかっておらない。いつやるかということも未定の問題のように承知いたしておるわけでございます。したがいまして、ただいまお話がございました、教員の地位に関しまする、お読み上げになりました問題につきましても、正常な公務員の労使関係、あるいは争議権を与える、こういった問題につきましては、これは御案内のとおり、基本的な問題もあるわけでございます。また、諸国の趨勢におきましても、公務員に争議権を認めるということはたいへんな重大問題でございます。そういうことがございますので、私もそう簡単に、この問題がそういう形で取り上げられて結論が出るというふうには理解いたしておらない次第でございます。
  79. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そう都合のいいように理解してもらっては困るのでありまして、ヨーロッパ各国の公務員労働者がいかなる労働基本権を持っておるかということは、私がここで一々、フランスはどうであるとか、イギリスがどうであるとか言わなくたって、公務員部長は十分御存じでしょう。ヨーロッパ各国におきましては、公務員労働者が団体交渉権を持ち、ストライキ権を持っていることはすでに常識になっている。憲法で保障されている国もあるし、法律的に保障されている国もある。現実にそういう慣行が確立されている国もあります。そういう中で、教師の地位に関する勧告についても、そういった国際的な状況を踏まえて、先ほど私が指摘したようなことがきまっているわけですね。そういった大勢というものを公務員部長は理解しておらぬのですか。
  80. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 世界的な大勢というおことばがございましたが、私ども耳にいたしますところでは、公務員に争議権を無条件で与えるといったような大勢にあるようには承知いたしておらないのでございます。釈迦に説法めいた話で恐縮でございますけれども、公務員の使用者は国民であり、地域住民であるわけでございますので、それに対して争議権をもって対抗するということにつきましては、先ほどのドライヤー勧告の中におきましても、あるいは同調査団の一人でございますある委員が米国に帰りましてから、公務員に争議権を与えることには問題があるということを述べられた論文の要旨も私どもは拝見いたしておるわけでございまして、やはり、大いに議論をして、これから積み上げていくべき問題じゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  81. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 教師がストライキをやる、日教組がストライキをやるということになりますと、文部省はたいへんふうふう言います。ところが、文部省のお好きなアメリカにおいて、教師がストライキをやっている事例はたくさんあるということも、これまた厳然たる事実であります。世界の大勢というものはそういうことなんですね。本年公務員部会がILOで持たれる。労働者代表は三名が出席をする。当然政府の代表も外務省の嘱託のようなかっこうになって行かれるのだろうと思いますけれども、教師の地位に関する勧告を決定するときに、文部省から派遣された役人がとったようなみじめな態度は、少なくとも自治省からそういう場合に行きます代表者の方にはとっていただきたくないということだけは、私はこの際御注意を申し上げたいと思うのであります。文部省の代表は、まさに国際的な舞台で孤立をして、何か、日本が近代的な労使関係が確立されていない、近代的な人事管理が確立されていないという印象を他国に与えた。非常に遺憾である。そういう中から日本の貿易等について非常に悪い影響が出ていることは御案内のとおりである。本年ILOの公務員部会が開かれる場合に、自治省のほうから政府代表者が行くかどうかは知りませんが、行くことになっておればお答えをいただきたいと思いますが、その場合におきましては、大臣がここで言明されたような近代的な人事管理体制を確立する、こういうたてまえでぜひ対処していただきますように、これは強く要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  82. 吉川久衛

    吉川委員長 古屋亨君。
  83. 古屋亨

    ○古屋委員 最近の経済の発展と社会開発の推進に伴いまして、人口の都市並びに都市周辺への集中は著しいものがあると存ずるのであります。産業別就業者の構成にも大きな変化をもたらしております。こういう事象に伴いまして、大都市周辺におきましては、たとえばベッドタウンというようなものも出現を見ております。あるいは、そういう点で学校の統合とか、下水の処理とかいうようないろいろな新しい問題も起こっておりますし、他面、過疎と申しますか、人口が減少してまいります農山村は、膨大な面積のもとに行政一人当たりのコストも増高を続けておる、こういうような事態に対しまして、従来の考え方やあるいは既存の法令下では律せられないようないろいろの事実が現実の姿となって出ておると考えるのであります。そういう意味におきまして、過密または過疎の問題につきまして、自治省としてもいろいろ新たな構想を検討されておるようでございますが、一体どういうような方向においてこれを検討されておりますか、その点最初に大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  84. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 過密、過疎の問題はいま世界的な大問題になっております。どの国でも文化の度が進んでまいりますと、国民が大都会へ非常に吸収される、反面、過疎地帯が至るところに発生する、これはやはり国全体の均衡ある発展、繁栄という観点から申しますということではないことはもちろんでございまするので、これをどうして分散させるかということについては、非常に政府が苦慮しておるところでございます。しかし、現実にそういう大勢になっておりまするので、やはりそれに即応する施策というものは行なっていかなければならぬわけでございます。過密、過疎を解消する根本的な策としては、経済企画庁あたりが中心となりまして、産業分散の措置だとかいろいろなことが次々と行なわれております。しかし、現にこういう現象が起こっておるわけですから、過密地帯ではどんどん人口がふえる、そこへ社会資本が不足いたしましたために、交通その他教育、いろいろな面で現実に支障が出ておるわけですから、とりあえずの自治省当局の考え方としては、こういうところへある程度財政面でいろいろな措置を手厚くとっていく。特に大都会の周辺で急に膨張する地帯、こういったところは、交付税その他でいろいろな措置をとりあえずはしております。反面、過疎地帯のほうも、御案内のとおりに、離島だとかあるいは山村、こういったところは振興のための特殊立法もいたしておりますし、また、交付税の傾斜配分その他いろいろ措置をしております。起債も同じでございます。そして、とりあえずのところは、水道だとか、あるいは道路だとか、学校だとか、こういった整備に重点を置いてやっておりますが、それでもなかなか防げるわけのものではございませんので、やはり地域住民の定着を進めますためには、過疎になりがちな地域では、農山村では、兼業を得る機会をつくっていきませんと、どうしても大都会へ自然に流れてしまう。そこで、自治省といたしましては、中堅都市構想というものをいま盛んに検討をいたしております。いままで国の行政が、産業分散でも、国でその自然条件を考えて指定をいたしました新産都市あるいは工業開発特別地域、あるいは低開発地域工業開発促進法に基づく地域指定、こういったことをそれぞれやっておりまするけれども、それぞれの地域でこういったことについて一番責任を負い、また実情を知っているのは、それぞれの地方公共団体でございます。自治省の場合は、やはりそういったものを国で指定をいたしましても、そういったものもからめて、住民の生活を中心にして定着するような、まあ文化の度と申しましても、東京みたいなところを至るところにつくるわけにはいかぬわけですけれども、少なくとも文化生活が享受できて、そして日常生活にとにかく不安のないようないろいろな施設をつくっていくということも必要でございますので、そういった計画も立てながら、とりあえずの財政措置などを進めていっている段階でございます。
  85. 古屋亨

    ○古屋委員 第二番目に私は広域行政の問題についてお伺いしたいと思います。社会経済変化とともに都道府県の区域を越えるいわゆる広域行政の問題がいろいろ論議されておりまして、政府は都道府県合併特例法の実施によりまして広域行政を推進するお考えのようでありますが、この問題につきましても、たとえば行政の広域化、あるいは計画的な処理体制の確立というようなものが期し得ること、あるいは行財政能力の強化による行政水準の向上をはかり得ること、また水資源とか、道路整備、企業立地、港湾整備などにつきまして、府県間の利害対立と申しますか、とにかくそういうものが解消し得る、あるいは市町村の事務の統合をされるとともに、市町村の調整についての指導につとめられるというような点は、確かにその長所だと思うのでありますが、一方、行政の効率化、重点化がはかられる結果、辺地のほうがかえって取り残され、格差が拡大するのではないかという点も見受けられます。あるいはまた、行政の重点投資、効率化というものが、大都市中心の行政になるおそれがあり、地方開発、地方分散の観点から、不利な面が出てくるのではないかというような短所というような点も一応考えられますので、この都道府県合併特例法の実施につきまして、広域行政を積極的に推進する御意思でありますか、この際、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  86. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいまお述べになりました長所、欠点がそれぞれあることは承知をいたしております。この広域行政は、そういう方向へいろいろな情勢が向かってきておる時代でございまするので、やはり都道府県の合併だけではございませんが、これは市町村でも広域的に行政を扱っていくという必要もだんだんふえてまいっておりまするし、そういったことの長所というものを認めて、そういう方向に行きたいという機運が高まりました場合には、自発的に合併されてもいいじゃないか。そのほうが効率的であり、その長所のほうにうんと重点がかかってまいるならいいのじゃないか。ただ、この道を開きましても、現実、じゃあどこの府県が合併するかということになりますと、いまいろいろな陳情その他が出ておりまするけれども、実はなかなか容易に進まないと思います。しかしながら、こういう道を開くということは、そういった扱いに対する政府の姿勢を示すということにもなると考えまするので、私どもはこの提案をいたしておる次第でございますが、やはり時代の要請であるという判断に立っておるわけでございますので、ぜひこれは今国会で通していただくようにお願いをしておるわけでございます。
  87. 古屋亨

    ○古屋委員 第三に、地方行政機関の簡素化あるいは行政機構の問題でございますが、国の行政機構の簡素化、能率化に呼応いたしまして、地方公共団体におきましても、行政機構やあるいは行政運営の改善を行なうべきものであると考えるのでありますが、いま政府においてお考えの、この地方行政機構あるいは行政運営の改善につきましての基準的な考え方と申しますか、また、いつそれを行なうか、ことばをかえて申し上げますと、どのような内容をどういうふうな方法段階によって実施をされるおつもりであるか、同時に、これを推進するために、先ほども論議がありましたように、国の出先機関やあるいは補助金制度につきましてどういうような改革を考慮されておるか、この点あわせてお伺いをいたしたいと思います。
  88. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 行政機構の改革は、地方あるいは国、別々にはなかなかできないと思います。重大な関連がございまするので、やるなら国、地方を通じて一挙にやらなければ、私はなかなか所期の効果をおさめることができぬと思っております。その方法につきましては、行政調査会で答申もあります。しかしながら、長年これをやろうとして果たさないで今日に至っております。たまたま今回は、各省庁それぞれ六月末までに所管の行政改革の案を出せ、こういうことに管理庁から指示もされておりますし、自治省といたしましては、これはやはり地方公共団体をかかえておりまするので、これは自主的に措置されるべき性質のものですけれども、しかしながら、しかるべき指導はしなければならぬというふうに考えております。いまの地方事務官制度の扱いにいたしましても、また、いまの事務配分その他いろいろな複雑な要素がからみ合っておるわけでございますけれども、いまその作業を行政局によってやっている最中でございまして、間もなく成案ができれば、それを行政管理庁に示したいという考え方でおるわけでございますが、細部は事務当局から説明いたさせます。
  89. 古屋亨

    ○古屋委員 いま事務当局で検討中というお答えでございますが、細郷さんはあまり答えたくないようなあれかもしれませんが、ひとつ至急検討の結果をまた御報告願うことにいたしまして、次の問題に移ります。  第四番目は、地方公務員の定年制の問題でございます。最近のわが国の雇用状況を見まするときに、いわゆる労働力の不足、ことに若年労働力の不足が非常に著しいものがございます。したがいまして、今後中高年齢層の活用をはからなければならないことは当然だと思っておるのでありまして、民間におきましては定年制の延長あるいは再雇用の制度がとられ始めておるように承っておるのでありますが、このような労働情勢を概観いたしますときに、地方公務員の定年制というものをどういうふうに考えられておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  90. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 最近定年制につきましていろいろな検討は進みましたし、今回提案いたしまして皆さんの御審議を願うことにいたしておりますが、しかし、これもまた、私、時代の要請と考えておるわけでして、やはり、地域住民が主権者で、地域住民がこういった問題についての判断を下すべき立場にあると思います。自治省のほうとしては、定年制への道を開く、道を開きましても、やる公共団体もあれば、やらない公共団体もありますが、条例で定年制を設けても違法ではないという、そういうとりあえずの道を開くというふうに考えております。  大体、雇用状況を見ますと、御指摘のとおり最近若年労働者というものはだんだん減りまして、また中高年齢層をどう扱うかということが問題になっております。これは何も地方公共団体だけではありませんので、民間においても同じことだ。企業内でも、またこういう職員団体間におきましても、多いほうから少ないほうへまんべんなくいい形で配分されることができれば、それが行政運営のためにも一番効果的であると考えます。というのは、やはり若い人たちもおらなければそこにはつらつたる機運というものも生まれてまいりませんし、同年の者ばかりになりましたら意気も沈滞いたします。そのことが住民のサービスにも大きな関係があると考えますので、そういったことの適正配置につきましては、私どもも適切な指導をしなければならぬと考えておるわけでございます。
  91. 古屋亨

    ○古屋委員 地方関係につきまして、いずれ法案の審議がございますから、詳細はその場に譲りますが、今回の住民税の減税は、昨年の本委員会の附帯決議を実現したものとしまして好ましいものと考えておるのでございますが、今後の住民税のあり方ないし減税の目標をどのように考えられておりますか、この点を伺いますと同時に、また今回の改正によりまして、年収入約百万円の標準的な給与所得者につきまして、負担はどの程度軽減されるか、この二点をお伺いいたしたいと思います。
  92. 松島五郎

    ○松島政府委員 年百万円程度の収入の給与所得者について見ますと、夫婦子三人で県民税で千七百五十円、市町村民税で三千五百円、合わせまして五千二百五十円程度の減税でございます。従来の税額がこういう方にとりましては二万四千二百三十六円でございましたので、減税率は二一・七%程度となる見込みでございます。
  93. 古屋亨

    ○古屋委員 次に、消防関係についてお伺いいたしますが、私は最近の火災その他災害の多発にかんがみまして、いわゆる消防力の増強をはかる施策がきわめて必要だと考えております。昨日の有楽町のサウナぶろの火災、あるいは先般の湯河原の温泉旅館の火災等を考えますと、不幸にして死傷者が出ておるのでございますが、こういうような施策を相当今後強化する必要があると私は考えるのでありますが、その点に対する消防庁長官の構想と、同時に、消防につきまして私は消防団員の処遇改善というものがきわめて重要だと考えておりますが、どういう方向でどういう措置を講じられておるか、将来どういうふうにされたいと計画されておるか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  94. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 最近の状況を見てみますと、ただいま御指摘のように、死者を伴う火災が多く出ておりますことは、まことに憂慮にたえないところでございます。ことに、いま例におあげになりましたように、観光地のホテル等におきまする事故が多く出ておるわけでございます。これに対しましては、いろいろな角度から施策を講じてまいらなければならないと考えておりまするが、第一には、観光地はいわゆる国勢調査人口だけで申しますと、人口の少ない町村が比較的多いわけでございますが、これらの地域におきましては従来消防団の地域になっております。しかし、国勢調査人口は少うございますが、観光客で宿泊いたしております者の数は多いわけでございますから、これらのところにつきましては、できるだけ早く消防の常備化を進めていくようにいたしたいと考えておりまして、ここ数年来、年々かような町村を消防本部長を設置すべき市町村として指定を増加いたしてまいっております。  それから、先般の湯河原の事故等について見ますと、建築基準法の違反、あるいは設置いたしました当初は基準に合致いたしておりまするが、その後増築をいたしましてその際違反が出てくる、あるいは消防法の法令によります消防設備につきましての違反あるいは不備などがかなりあるようでございます。これらの点につきましては、私ども消防機関でできますことは、消防機関を督励いたしまして改善をはかりたいし、また建築機関に連絡すべきことは、こちらで気のついたことは連絡いたしまして、これの改善をはかるというような措置を講じてまいりたいと思っております。  なお、最近の火災の特徴といたしまして、煙による窒息死というものが多く出ております。これも建物の構造上、あるいはまた消防設備の上で検討いたさなければならぬ点がございますので、これらの点につきましては、一部は今国会に予定いたしております法案の中で措置をいたしておりますが、そのほかの点につきましても、引き続き検討をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。  それから、消防団員の処遇の点でございますが、この点につきましては、年々改善をはかってまいっております。四十三年度の地方交付税による措置におきましては、従来出動手当一回が四百二十円でございましたが、これを五百円に引き上げるということに予定をいたしております。  なお、団員の被服費につきまして、従来団員一人当たり千円でございましたが、これを千六百円に増額することにいたしております。  それから、昨年消防委員会で御議論もございました退職報償金の改善の点でございますが、これもいろいろ検討いたしまして、現在十五年で退職いたしましたものは三万円を支給することにいたしておりましたが、これを三万五千円に引き上げ、最高七万円を八万円に引き上げるという措置を講ずる予定にいたしております。  なお、団員の処遇改善につきましては、引き続き検討し、これは漸進的に改善をはかってまいりたい、私はかように考えておる次第でございます。
  95. 古屋亨

    ○古屋委員 もう一点、消防についてお伺いいたしますが、地方における消防団員の非常な不足と申しますか、なかなか補充ができないというような状況にかんがみまして、最近女子消防と申しますか、婦人をもって消防に当てるというような声が出ておりますが、この点についての御意見をお伺いしたい。
  96. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 最近、御指摘のとおりに、婦人が男子の消防団員の不定を補いますために、協力をかなり積極的にされておるところが多くなってまいっております。特に男子が都市に出かせぎに出ていくような農漁村等におきましてこの点が多く見られるわけでございます。これにつきまして、いろいろな形態がございまして、正式の消防団員としておりますところもございましょうし、正式の消防団員にはしておりませんけれども、婦人消防隊と称しておりまして、自発的に男手の足らないところを補充をしていくというような組織になっておるところもございます。それから、これは農村ばかりでございませんが、都会におきましても、予防を主にいたしました婦人防火クラブというようなものもかなりできております。私は、地域の状況に応じまして、婦人の消防に対する協力の形態というものはいろいろあっていいと思うのでございます。ことに婦人は、勢子と違いまして、肉体的その他のいろいろな条件もございますから、必ずこれを正式の消防団員にすべきだというようなふうには考えておりません。ただいま申しました婦人消防隊というような形態でもよろしいし、あるいは予防を主にしました婦人防火クラブというような形態でもよろしいし、いずれにいたしましても、それぞれの地域の状況に応じまして、婦人の方々にも、消防につきましていままでよりも協力をしていただくような方向考えてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  97. 古屋亨

    ○古屋委員 国家公安委員長警察関係の事項についてお伺いをいたしたいと思います。  民主警察のあり方は、国民から信頼される警察を確立することであることは申し上げるまでもないのでございまして、このために、政府におかれましても種々努力をされておるところでございますが、最近の三派全学連の暴力的行為、これは継続的、計画的に行なわれておりまして、警備や取り締まりには非常な労苦を重ねておられると存ずるのであります。この際、こういうような警察運営の問題につきまして、一、二御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。  第一は、三派全学連等の暴力事犯の警備取り締まりにあたりましては、現場においてこういうような三派全学連と警察との直接のタッチと申しますか、接触をできるだけ少なくする方策をとる必要があると思うのであります。これについて、科学的な方法とかいろいろございますが、具体的構想をお伺いしたいというのが第一点。  第二点は、いかなる警察運営も国民の信頼と協力を得るものでなければならぬことは当然でございますが、警備の運営にあたりましても、市民生活を守る、たとえば、いわゆる一一〇番の運用あるいは交通取り締まりというような点を多分に強化する必要があるのではないか。先般の佐世保事件の際に、警備だけに力を入れて、市民のための警察活動はお留守だった。市民の二〇番などの訴えに対する措置がおくれたなどの非難を一部聞くのでありますが、もしこういう非難が事実とすれば、やはり改める必要があると思います。この点につきましてお考えをお伺いをいたしたい。  第三に、警備実施についての広報の問題でございますが、警備の実施にあたりまして、善良な市民が現場に巻き込まれることのないように、事前の警告並びに広報を一そう徹底される必要があると存ずるわけでございますが、この点のお考え、今後の方向についてお伺いしたいと思います。  さらに、私は、この前の安保闘争の直後でございますが、七大新聞社の「暴力を排し議会主義を守れ」という共同宣言、これは三十五年六月十七日の朝日新聞に出ておりますが、「民主主義は言論をもって争わるべきものである。その理由のいかんを問わず、またいかなる政治的難局に立とうと、暴力を用いて事を運ばんとすることは、断じて許さるべきではない。」という共同宣言を思い出しておるのでありまして、これが当時国民の心に非常に強く働いたことを私思い起こすものであります。この点につきまして国務大臣としての所信をお伺いいたしまして私の質問を終わらしていただきます。
  98. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 第一の警備実施にあたって、警察並びに片方の集団暴力を働いておる諸君との直接の接触を防いで、けが人を出さぬようにする方法についての御質問でございますが、なかなかうまい方法が見つかりませんので、やむなくああいう催涙性のガスあるいはガス液の使用などをいたしておる次第でございます。(細谷委員「毒ガスだ」と呼ぶ)細谷さんは専門家ですから、あれはこの間の予算委員会で、国際条約で規制されておるはずだがどうかといったような御質問も外務大臣に対してございました。しかし、そのクロルアセトフェノンというのは、細谷さんも御承知のとおり、世界じゅうの警察が使っておるわけでして、これが国際条約にかかるほどの毒ガスではないということは周知の事実でございます。それから、人畜無害の薬剤を振りかけてみたところで、とても規制はできるものではない。多少刺激性のあるものでないと役に立たぬわけでございますので、今後あの程度のものはやむを得ず使っていく……(「勇み足だよ」と呼ぶ者あり)勇み足でも何でもない、やむを得ずあの程度のものは使わざるを得ないという考え方に立っております。  それから、一一〇番のことにお触れになりましたが、これはあのときに、民主警察というたてまえからいってああいう事件があったときに、一一○番が役に立たぬようになっては困るじゃないかという御指摘でございますが、警察のほうでもいま一一〇番の集中運用ということにつきましていろいろ検討を加えておりまして、ただいまのところでは一一〇番を三年計画で、とにかく警備本部にみんなつないでしまう、指令室の体制を整備して一一〇番を集中する、またパトカーの派出所、駐在所などへの緊急配備、その他の通信指令体制の整備をはかる、また隣接府県に対する通信連絡網を整備して、警察活動の迅速かつ広域的な運用体制を確立するというようないろいろ努力を進めておりまして、大体とりあえずのところは、四十四年度までの三年間に、東京を中心とする千葉、埼玉、神奈川、静岡のこの首都圏、それから続いては大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀の近畿圏、愛知、岐阜、三重の中京圏、それから福岡、北九州、下関地区、これはきちっと整備できますし、さらにその他の道県庁のある所在地、それも二十万以上の都市について行なうという予定にいたしておりますので、一一〇番のことは近く十分完全に活用できる体制をつくる努力はいたしております。  その次は、広報のことについて、これはこの間のようなああいう警備の大事件がありますと、われわれといたしましては、危害予防という意味で、また、何よりもこういう警備体制があるということについて、それぞれ地域住民の御理解を十分いただくのが先決でございます。佐世保のあの例をとりましても、実は十二月中にもう関係地域全部を警察で戸別訪問いたしまして、こういう事件が起こりますから十分御注意くださるようにということは、全部、この危害予防という面で地域の方々に訴えてまいっておりますし、また、ああいう規制をいたします際にも事前にそれぞれ警報を発するとか、あるいはたれ幕をかけるとか、いろいろ広報ということには努力しております。しかしながら、まだまだこれが不徹底であるということは私も認めます。ああいうエンタープライズなどが来るということについて、その理解はそれぞれ国民の方々によって、そういうものは許さぬとか、あるいはその反対の考え方をお持ちになる、それぞれございます。しかしながら、それにはそれの理由が政府側としてあるわけでございますので、そういうことについての御理解はできるだけお願いするという、広報につきましてはまだまだ徹底を欠いておるということは私も認めざるを得ません。しかし、少なくともああいった現場に、いわゆるやじ馬ということばは失礼ですけれども、観覧客が非常に多くてどうにもならないという状態、五千人から一万人も人が来られるということ、報道班の方々に負傷者が出たということは、私最も遺憾としておりますが、こういった方々にもどういう協定をしたかという内容をここに持っております。時間がかかってもよろしければ読み上げますけれども、実はこまごまとしたことを協定いたしました。警察の手からワッペンを渡しまして、ワッペンを渡した方には警官が一人付き添うくらいな形でやりましてもああいう事故が起こってくる。ワッペンを渡したマスコミの方々だって七百三十人ですから、ワッペンをもらわない人たちを加えますとおそらく一千名をこえるという報道人の取材熱心な方々があの中に入られるわけですから、私たちはけががないようにということを念じておりましたけれども、不幸にしてああいういやな事件が起こった。御指摘の広報ということにつきましては、今後とも十分努力をいたさなければならぬと考えております。  それから最後に、こういう民主政治、議会政治の基礎というものは、みなこれは言論が中心であって、言うまでもなく、そこに暴力が介在することの許されぬことは御指摘のとおりであって、いろいろこの間の警備体制その他について御不満もございます。各委員会でいろいろ御質問も受けておりまするけれども、御質問なさる方々でも、このことについて反対の方はないわけでございます。まあ、とにかくああいう三派系全学連といったような名前を打たれている方々も、考えてみれば、人の親として、ああいった立場にどうして追いやられるのか憂慮にたえません。私たちのところにも、ああいう人たちの、青年のお母さんが見えて、うちの子はああいうことになるはずはないんだけれども、なぜああいうことに巻き込まれたんだろうと言って涙ながらに訴えた人さえあります。私は、ああいう純情な青年諸君をとらえてみると、残念と申しますか、意外なことには、みなそれが少年法の適用者であったり、中には児童福祉法の適用を受けている——児童福祉法というのは十八歳以下、少年法は二十歳以下ですから、これはやはり本人の将来のこともありますし、将来の日本をになう若い人たちですから、それ相当の扱いをしなければなりません。ところが、こういった諸君が口にしていることは、革命をやるという、武装闘争をやるんだ、これは幾ら子供だと思っておりましても、ああいうことをやるということは許せないと私どもは思うわけなんです。取り締まりながら考えますことは、なぜこういう若い諸君がここまでかり立てられるのか、私はかつての例の戦争時代のあの不愉快な特攻隊なんかの状況も思い起こすのだけれども、おそらくその背後には、ああいうことにかり立てられている青年諸君に、拍手を送らないまでも、ほくそえんで見ている人もあるいはおるのじゃないかということを考えますと、はなはだ残念に思うのです。私は、この若い人たちをとがめるより、まずそういった人たちに反省を促したい、そうしなければ、法秩序を守るとか社会秩序を守るとか申しましても、はなはだむずかしいことであると私ども考えざるを得ないわけでございます。御指摘のとおりに、議会政治、民主政治というものは、これは言論によって行なわれることである。言論がどう乱暴に行なわれましてもそれはいいと思うが そこに暴力が介在するということは、これは議会政治、民主政治の破壊だと思うわけです。特にああいう若い諸君を、単に学生だということに甘えさしてはいけない、やはりこれが、周囲に、秩序ある社会に、非常に不安を与えるとか、あるいは住民の生活に非常な不安を与えるというようなことになりますれば、まあ徹底的にこれは取り締まらざるを得ぬ、遺憾ながら取り締まらざるを得ぬという考え方に立っておるものでございます。
  99. 吉川久衛

  100. 細谷治嘉

    細谷委員 最初にお尋ねいたしたいのでありますけれども大臣所信表明あらわれておりますものが具体的にいろいろな法律案という形でこの国会に提案されるものと思うのであります。いますでに幾つ国会に出されて、そしてこれから幾つ出す予定なのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  101. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 ただいまの細谷委員の御質問でございますが、自治省関係といたしましては、国会に御提出を申し上げる予定のものは九つ予定をいたしております。現在まず選挙関係で申しますと、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律案、これは御提案を申し上げております。それから政治資金規正法及び公職選挙法等、選挙運動の関係でございますが、これにつきましては目下政府部内におきまして検討を続けております。それから、ただいま申し上げましたのは選挙関係でございますが、地方財政関係といたしましては交付税法を御提案申し上げているわけでございます。それから地方税の関係といたしまして地方税法の一部を改正する法律案を御提案申し上げておるわけでございます。それから臨時行政関係といたしまして地方公務員法の一部を改正する法律案を近く御提案を申し上げる予定になっております。それから共済組合法の関係でございますが、これも近く御提案を申し上げる予定になっているわけでございます。なお、最後に、消防関係といたしまして、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきましては、近く御提案を申し上げる予定になっているわけでございます。それからなお、先ほど申し忘れましたが、地方公務員の公務災害補償法に関する法律、これはすでに御提案を申し上げているわけでございます。なお、地方財政法の一部を改正する法律案につきましては、御提案を申し上げるということで検討をいたしているわけでございますが、あるいはこれにつきましては、今回は御提案を申し上げることには至らないというふうにも考えられるのでございます。それからさらに、小笠原関係法律案でございますが、関係省庁とただいまいろいろ連絡をとって調整をいたしております。これも今後の推移によりましては、御提案を申し上げて御審議を願うということにあるいはなろうかと考えております。大体法案の関係は以上のとおりでございます。
  102. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、九本でなくて、いまあげたのは十本ですね。選挙を入れて十本でしょう。すでに出たものが地方交付税法、地方税法、地方公務員災害補償法でしょう。それから地方公務員等共済組合法で、消防は出るか出ないかわからぬ。地方財政法も出るか出ないかわからぬ。小笠原も出るか出ないかわからぬ。地方公務員等のやつは、閣議は決定したようでありますが、これはどうなるかわからぬですが、与党の議員に聞きますと、いやそんなものは出るか出ないかわからぬ。与党の御都合次第で法案の数が伸びたり縮んだりするような印象もあるので、もうはっきりしてくださいよ。三月の半ばですよ。
  103. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 私の申し上げましたことが多少不正確な点があったかと思うのでございますが、御提案を申し上げるかどうかなおわからないというふうに申し上げましたのは、地方財政法の関係とそれから小笠原の関係でございます。ただいま細谷委員から消防法及び消防組織法のことについて御言及になりましたけれども、これは御提案を申し上げることになっております。閣議決定もいたしております。それからなお、申し忘れましたが、前国会から継続して御審議を願っております都道府県合併特例法案もあるわけでございます。
  104. 細谷治嘉

    細谷委員 消防法及び消防組織法は出るということになりますと、選挙を除きまして正確に出てくるものは六本ということになるわけですね。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのでありますけれども、私も正確ではありませんけれども地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案というのが、本法のほうと地方公務員の一部改正のほうと二つに分かれておると承っておるのでありますが、そのとおりですか。
  105. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 そのとおりであります。
  106. 細谷治嘉

    細谷委員 一本の法律で出ないのはおかしい。ロケットというのがあるけれども、何だって地方公務員等共済組合法をわざわざ地方公務員法のほうと本来の地方公務員等共済組合法のほうと二つに分けたのですか。これはたいへんおかしいと思うのです。
  107. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 地方公務員法の一部を改正する法律案の附則のほうでございますが、これは例の本法におきまして定年制を実施する道を開きまして、それに合わせまして職員の再雇用の道を開かれまして、再雇用職員の身分に関する規定を設けております。この再雇用職員に対しまして、つとめながら年金をもらえるようにする、こういうことで地方公務員等共済組合法の一部を改正する必要があるわけであります。これはまさに定年制の実施、再雇用職員の身分、こういうことに関連をいたして出てくるものでございますので、従来いろいろ御注意をいただいておりましたこともございまして、その地方公務員法の附則に合わせて規定をいたしました。本来の共済組合法の改正関係、年金額の改定その他のものもございますが、これは別個の法案としていずれも衆議院に提案済みでございます。
  108. 細谷治嘉

    細谷委員 そのときにゆっくりやればいいですけれども、鎌田公務員部長は、法律経済ということをしきりにおっしゃっておる。すっきりしなければいかぬ。こういうことで、この前この委員会の主張で、国家公務員の給料を決定する中に、それよりも一・五倍以上の財源を必要とする地方公務員のものを、準ずるという法律上の関係はありますけれども、附則で国家公務員の中にたたき込むことはよろしくないじゃないか、こういうことでありました。ところが、そのときには法律経済だという新造語を使われてやったのですが、今度は国家公務員災害補償法の改正ということと、それに基づいて地方公務員災害補償法の改正が行なわれる場合には、やはり国家公務員と地方公務員法律が二本立てになったわけですね。こういう法律経済は、きちんと分けるべきものは分けるべきなんです。ところが、今度地方公務員等共済組合法という法律が出ないならともかく、その法律はれっきとして出てくる。それを恩給改正法改正に基づく部分だけで、そして地方公務員法の一部改正という定年に関連する部分から起こってくるものは、同じ地方公務員等共済組合法の改正でありながら切り離してこっちに載せてくるというのは、一体どういうことなんですか。大臣、これは言ってみれば、国会を侮辱していますよ。そうですよ。同じ法律が出ておるのに、その一部分を違ったほうの法律の附則に入れてきて本法のほうに入れないなんということは、国会侮辱ですよ。
  109. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと失礼でございますが、誤解がおありではないかと思うわけでございます。もう一件の共済組合法の関係のは、正確に申し上げますと、昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案になっておりまして、中身は、第一条は、四十二年改定法の一部を改正する、第二条は施行法の一部を改正する、第三条は地方公務員等共済組合法の一部を改正する、この三つが内容になっておるわけでございます。それで、その法律が一本、それから地方公務員法の一部を改正する法律が一本、その地方公務員法の一部を改正する法律の附則に共済組合法の関係の一部改正を入れましたのは、先ほど申し上げましたように、地方公務員法の本体のほうから当然関連して出てくる部分でございますので、私どもはむしろすっきりした、こういう感じを持っておるわけでございます。
  110. 細谷治嘉

    細谷委員 私はけしからぬやり方だと思っているわけです。しかし、これはこれ以上申し上げません。しかし、確かに地方公務員等共済組合法の一部改正からは出てきません、これは恩給法ですからね。昭和四十二年度におけるという形でそれがくることは知っていますよ。しかし、それは共済関係であることは間違いないのですから、そちらのほうでやるべきだ。それを恩給を定年法の中にからませてくるというやり方は、これは私どもにとってはけしからぬやり方だと思う。鎌田さんばかり答弁しているが、どうも自治大臣らしくない腹のこまかいやり方だ、私はこう申し上げざるを得ない。それだけちょっと指摘しておきます。  そこで、ちょっと大臣所信表明のしまいのほうから質問していきたいのでありますけれども道路交通関係で免許をやる場合に、この委員会でもたいへん問題になって、私も当時、精神鑑定というのはたいへんむずかしいんだ。九大の専門家の医者も、この人の精神が正常かどうかということを確認するには、少なくとも半月以上同じところに住んで生活した上でなければ、専門家らしい診断はできないんだ。しかもそういう専門家の医師というのは数が知れておるんだ。ですから、道路交通法に基づいて、あるいは施行規則に基づいて医師の診断を必要とするというけれども、その診断というのは、実際はあまり効果をあげ得ないんじゃないか、こういうことを指摘をいたしたのであります。ところが、警察庁はおやりになった。ところが、今度やめた。(「英断である」と呼ぶ者あり)英断かどうかわかりませんけれども、あまり効果がなかったのでやめたということは英断かもしれませんけれども、その前にもっとこの問題について深く突っ込んだ研究がしてあれは——当時からこの委員会で問題があったんですから、かなりの経費を使って、意味のない金を使って、そして一年後にやめる、これは全く、重要な道路交通を担当しておる警察庁としては、たいへんな落ち度じゃないかと私は思うのです。これについてどうお考えなんですか。
  111. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは全く朝令暮改といえばその典型的なことになってしまいまして、全く相済まぬ、あやまるしかないわけですが、ただ事情は交通事故があまりにも多過ぎる、これを減らすためにはどういう方法があるだろうかといろいろ検討の中に、やはり精神異常者などが運転免許を持つのが原因の一つだということは当然考えられるけれども、その判定がむずかしく、当時もいろいろ、こういうことをやったってうまくいくだろうかという心配もあったと思いますけれども、結果的にはもうさじを投げざるを得なかったということで、この際あっさり失敗を認めてやめたわけでございますので、その点は私のほうで十分おわびをいたします。
  112. 細谷治嘉

    細谷委員 あやまったことを改めるのにはばかる必要はないので、まあいいことであります。しかし私は、やめたからといって、問題は片づいたとは思わない。やはり精神異常者というものが現実に交通事故を起こしている例があるのですから。一年前に鳴りもの入りであれだけやった、相当な金も使ってきた、そしてやめた、ほかに何も手がない。あとに何をやるという対策もなしにやめるということは、不見識もはなはだしいと思うのですね。一体どういうお考えをもって、これからそういう問題について対処しようとするのであるか、これがなければ、大臣、折れない腰を幾つ折ったって、申し開きが立たぬと思うのですよ。いかがですか。
  113. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおり、実に困ったことでございまして、細谷先生のほうに何か名案があれば、何とぞいいお知恵を拝借いたしたいものと思っております。具体的には交通局長から答弁いたさせます。
  114. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 御指摘の点につきましては、実は日本精神神経学会その他関係方面といろいろ検討をいたしたのでありますけれども、事前の対策、つまり新しく免許を申請してきた場合、それから免許を更新する場合に、事前に精神病者等をチェックする方策につきましては、いま直ちに効果のあがる方策を実は発見できなかったわけでございます。しかし、将来の問題といたしまして、現在私どもが開発しておりまして、七〇%ぐらいまでの成果があがっているということでございます心理的な性格テストの問題があるわけであります。それにプラス精神神経的なテストができないものかということで、これは日本精神神経学会に検討をしていただくことになっております。  もう一つは、てんかんにつきましては、簡易な脳波テストをする機械を、現在厚生省を中心にいたしまして開発中でございまして、それを持ってやるということでございますので、直ちに代案を事前の対策としては発見できなかったわけでございます。ただし、事後のことになりますけれども、事故の多発者あるいは特異な事故を起こした者等につきましては、現在の道交法の中に臨時適性検査というものがございまして、その臨時適性検査で疑わしい者につきましては、精神病の専門医の診断をもってこれを直ちに排除することができるという、先般の政令の改正でそういう形にいたしましたので、それを今後大いに活用していくということで、事前の対策としては代案にはなりませんでしたけれども、事後大いに精神病等の者をあらゆる機会に排除していくという対策を強化していくということで、実はまことに申しわけない次第でございましたが、そういう方向で当面精神病者等の排除対策を講じていくということにいたしたわけでございます。
  115. 吉川久衛

    吉川委員長 太田一夫君に関連質問を許します。
  116. 太田一夫

    太田委員 国家公安委員長に一つだけお尋ねをいたしたいことがあるのです。それは警察行政のあり方に関連するのですが、すべてが形式的に流れて実質というものが見のがされておりますと、実は非常に急いでやっておるようでありますが、効果があがらないことが多いわけです。さてとなると、そこで犯罪が起きたり、つまらないトラブルを起こすわけです。一つの実例があるのです。実はいま赤坂宿舎に住んでおりますわが党の議員なのですが、非常な脅迫電話あるいは脅迫文を受けまして、明十五日は命をもらうぞという期限つきなんです。赤坂の宿舎には派出所ですか、巡査が派出されておるわけですね。電話線まで調べておくわけにはいかないでしょうけれども、何かそういう情報を受けておられますか。
  117. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 具体的には聞いておりませんけれども、最近、倉石君の例の発言のあと、名前をさしては何だが、柳田君とかいろいろな方々にいろいろな脅迫の電話なんかがあったということでして、身辺も警戒しなきゃなりませんし、いろいろな措置を申し出ましたところ、いやその必要はないといってお断わりになられた場合もあります。これは脅迫電話ですけれども、投書だとか電話だとかはなかなか実態のつかみにくいものでございますから、そういう事実がございましたら、時を移さず私どものほうへ連絡していただければ、しかるべき措置をとらなければならぬと考えております。
  118. 太田一夫

    太田委員 官房長がいらっしゃいますから、ちょっとこの際申し上げておきたいと思うのですが、あしたの三月十五日にはおまえの命をもらいに参上するからさよう覚悟しておけということで、きょうは十四日だから、そんなことはあり得ないことだと思いますけれども、あらかじめ申し上げます。  その人は、加藤清二といういまの予算委員会理事で、社会党では筆頭理事ということになっていますから、あの人に攻撃が来たのも、私はわかるような気がするわけです。これも裏から見れば、政治というものがからんでおることでありますから、どういう意図であるか、私はわからぬわけじゃない。本気じゃなかろうと思いますけれども、しかし、他の人たちに対するいやがらせや脅迫というものもほとんどあとを断っておりません。加藤議員に対するところの脅迫電話のものすごさというのはひどい。二十歳くらいのお嬢さんが一人おりまして、いま赤坂から大学に行っていらっしゃる。ところが、電話では、おまえだけがあぶないんじゃないぞ、娘まで一緒だぞ、学校の帰りだってどこだってすきはあるんだぞということで、もう娘さんはこわくて学校に行けないんです。女ですから。その電話はいつかかってくるかというと、大体十二時から朝の四時までの深夜にかかってくるのです。有線電話ですから、警察がその気になればわかるんじゃないでしょうか。きょう十四日になってそれがわからないということはおかしいと私は思っておるのです。たしかボディーガードは一人か二人ついておるんじゃありませんか。警視庁だけのことで事が済んでおるのかもしれませんけれども、非常に執拗な脅迫の電話と手紙がたくさん来ているようですから、よく探っていただいて、逆探知でもしていただきまして、今晩一晩あるとするなら、もうちょっとそういうような問題について、なるほど日本の国は警察が生命財産を守ることにしっかりしているところだという実を示していただきたいと私は思うわけです。公安委員長、ようございますね。
  119. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 加藤さんは非常に親しい方でございますし、先般問題がありました際にも、直接加藤さんから聞きまして、しかるべき措置をとることといたしました。そういうことが起こってから転々とホテルを泊まり歩いておるというお話もありましたので、私たいへん心配をいたしまして、特に厳重に、そういったことについての警戒を怠らず警察をしてやらせておるつもりでございます。今後もそういった面で不測の事態が起きないように十分努力をいたしたいと考えております。
  120. 細谷治嘉

    細谷委員 精神異常者のための診断書ということについてはいま経過を伺いましたが、何といっても交通地獄を何とか克服しようということで異常な熱意であらゆるものを模索しつつ具体的な方途を講じてきた警察としては、今日それは悪かった、そうして何らの対策も今日具体的に持たないというのは、まさしく千慮の一失だろうと私は思うのです。今日、対策を持たないというのは遺憾に思うんですよ しかし、そうかといって精神異常者は相当多いわけですから、たとえば、交通事故の常習犯はどこかに異常があるわけです。そこに重大な事故が起こってくるわけですから、精神の異常ということから事故が起こらないように具体的な対策を講じていただきたい、早く樹立していただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。  もう一つお聞きしたい点があるのです。いま私は資料を要求しておるのでございますけれども、まだ的確な資料が出てきておりませんから一点だけお尋ねしておきたいのですが、大臣のおことばの中に、警察官の「治安警備体制を充実、強化することがぜひとも必要であると考えられますので、このたび機動隊員の増員その他所要の措置を講ずることといたした次第であります」そうして同じページの末尾のほうに「警察官一人一人が真に国民に親しまれ、信頼されると同時に、日夜治安の確保に献身している第一線警察官が安んじてその責務が遂行し得るような方策を講ずる必要があるのであります。」こういうことが述べられております。ところで、この委員会でもかつて問題になったのでありますけれども、たとえば、警察官が安んじて責務を果たすために住宅問題の解決も積極的に取り組んでやったらどうか、こういうことはこの委員会でも述べられたところなんです。ところが、今度は警察官の待機宿舎をつくるのを国庫債務負担行為に求めておるんですね。金額は十億円ちょっとですよ。三年か四年計画ですよ。八万トンなり十万トンの軍艦をつくるのに三年も四年もかかるということになると、国庫債務負担行為が必要でありましょう。予算外の義務負担を議決してもらわなければならぬということになる。しかし、住宅なら単価はわかっていますよ。二年も三年もしなければ住宅はできないというものではないでしょう。これがどうして国庫債務負担行為でやらなければならぬのでしょうか。国庫債務負担行為で一番問題になっているのは、予算委員会で問題になったように、防衛庁のいろいろな装備です。バッジシステムとか、これはこれから新しく開発されるものでありますから、なかなかほんとうのコストがわからぬということで値段もきめてないもので、二年、三年とかかるということで国庫債務負担行為が必要になってくる。したがいまして、事住宅を建てるのに、どんなにいい住宅だって、二年も三年もかからなければ建たぬというものではないんですよ。それを国庫債務負担行為でやらなければならぬという理由は一体何ですか。しかも、いまいろいろ問題になっております警備警察に対する住宅は国庫債務負担行為になっておるんですよ。ですから、いろいろなところに関係づけられて勘ぐられますよ。これはおかしいじゃないですか。どういうことなんでしょうか。
  121. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 お答えいたします。  このたび債務負担行為に計上いたしまして整備をしようという機動隊施設は、御承知のように、昔の軍の施設あるいは戦争中とか戦後に建てました非常に材料の悪い建物というふうなもので、いずれも早急に建設をやる必要のあるものでございます。しかし、これらの施設の整備につきましては、敷地の確保あるいは工事量等の関係もございまして、単年度ではなかなか完成ができない。また、単年度ごとに契約手続をいたしますると、工事期間が空白をいたしまして、その聞いたずらに時間がかかるというようなこともございまするので、早急に整備をする、こういう観点から、今回債務負担行為の活用をしたのでございます。
  122. 細谷治嘉

    細谷委員 それだけでは納得できないですよ。大臣、納得できますか、いまの答弁で。それも一千億円をこす金額とか五百億円をこす金額というなら、これは別ですよ。たった十一億か二億でしょう。その金額を三年くらいの計画でやろうというんでしょう。それはしかも住宅ですよ。そんなことを言うんなら、いろんな公共事業、橋や何かをやるとき、三年計画や四年計画でやっていますよ。住宅ですよ。それは八万五千トンの軍艦をつくるのに、エンタープライズをつくるのに、一年でつくるなんということはできませんから、このエンタープライズをつくらせようと計画する場合は、五年くらいかかるでしょうから、債務負担行為が必要でありましょうけれども、住宅を債務負担行為でやらせるということになりますと、私は何か裏にあると思うのですよ。私はきわめて単純に考えているのです。おそらく自治大臣が四百五十億円大蔵省に貸してやって、なけなしの予算査定であったけれども、財源が尽きたんだけれども、やはりどうしてもやらなければいけないので、債務負担行為で逃げたんじゃないか、こういうふうに、きわめて善意に解釈してますよ。しかし、今日の段階では、いまの答弁になりますと、そんな善意の私の解釈なんか吹っ飛んでしまう。防衛庁の債務負担行為がたいへん問題になっているでしょう、バッジシステム、百三十億円で請け負ったと思ったら、二百五十億円になったというのですから、たいへんな問題を含んでいるわけですよ。それをあえて警察官の、しかも治安警備のほうの住宅をつくるために、しかも金額はたった十数億円、それを債務負担行為に持っていったということになりますと、何かなければいけませんよ。いまの答弁などではこれは理解できませんよ。
  123. 浅沼清太郎

    ○浅沼政府委員 いま手元の資料ではっきりしませんが、警察庁として債務負担行為をやりました例が、たしか三十七年か八年にございます。このときは、関東管区警察学校という警察学校の庁舎を建設するということで、二年度にわたりまして、たしか総額八億か九億だと思いますけれども、そういう例はございます。それで、先ほど申し上げましたように、今回の機動隊施設の整備も、早急にこの三年間でやりたい、こういうことに出ているものでございます。
  124. 細谷治嘉

    細谷委員 幾らたったって、答弁がひとつも進んでいないのですよ。いままででも警察官の待機宿舎——昨年あたりから消防の待機宿舎というようなものをつくっておるのですが、みんな必要額は予算に計上しておる。債務負担行為じゃないのですよ。住宅ぐらいに債務負担行為ということはあり得ないですよ。大臣、ちょっとお答えをいただきますよ。
  125. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 警察官は安い給料で働いておるわけですから、できるだけ住宅とかその他生活面で優遇しなければならぬということは、常々考えておるわけでございます。しかし、予算要求をいたしましても、なかなか思うようにはかどらない。あの債務負担行為ということで、どうにかおさめたいきさつは、最終段階で、とにかく、警察の立場というものを主張いたしまして、そうしてかろうじてこれだけの債務負担行為で、この私たちが希望しておるものを実現することができたわけでございます。ただ、予算に計上されたものであれ、債務負担行為であれ、結局われわれとしては、待機宿舎なり、警察官の住宅なりが建っていけば目的が達成したと申しましょうか、私はその責任者といたしまして、予算を確保できたという考え方に立って、内心はたいへん喜んでおるわけでございますので、その裏に何かあるか、そんなことは全然ございません。これは、予算を確保しましたことについては、みんなそれぞれ善意のもとに行なわれたわけでございますので、そういうふうにおくみ取りをお願いいたします。
  126. 細谷治嘉

    細谷委員 いま大臣は、すなおに、とうとう最後に予算がなくなったから、大蔵のさいふがなくなったから、はたいてもしようがなくなって、しかもやらなければならないことだからやったというふうに、私が善意に解釈していたお答えをいただいた。私は、宿舎を建てることについて、これは大臣が言っておるように、日夜苦労しておるのですから、住の安定というものが何といっても大事です。衣食住と言いますけれども、私はやはり一番生活の安定感というのは住の問題だと思うのです。そういう点で、それはけっこうなんです。そのこと自体は問題じゃない。ただ問題は、それを債務負担行為に求めたということ、これは五兆八千百八十五億という予算の中でわずか十億ばかりのものを債務負担行為に求めたという、その予算のやり方については、これは大臣の最後の詰めに起こった問題ということで、これは気持ちはわかります。この予算のやり方についてはどうしても納得するわけにはいきません。これだけ一応言っておきます。問題は残りますよ、これは。  そのほかに、まだ警察庁の予算については、いろいろと私ども御質問を申し上げたい点がございます。したがって、委員長にお願いしたいのでありますが、これからの委員会の進行過程において、警察関係の官房が出てまいりませんが、やはり委員会として、警察庁の予算も、ベールがかぶさったままではいけませんから、明らかにしていく必要があろうと思いますから、適当な機会をおつくりいただくようにお願いをしておきたいと思うのです。委員長よろしいでしょうか。
  127. 吉川久衛

    吉川委員長 考慮いたします。
  128. 細谷治嘉

    細谷委員 考慮ですから、委員長を信用します。  それから、いずれまた詳しくそれぞれの審議の際にお尋ねがあると思うのでありますが、私はせんだって予算委員会におきまして、超過負担の三カ年計画の改正に関連いたしまして、自治大臣の答弁と大蔵大臣の答弁とに、一年間の共同調査を通じての結果というものに、解釈にかなりの誤りがある。言ってみますと、自治大臣は、おおむね一千億円程度の超過負担というものは現存しているんだ、こういう認識に立っておりますけれども、大蔵大臣はそうじゃないのですね。そこで、詳しくはお聞きいたしませんが、この共同調査の資料を、地方財政計画を中心にして税の問題なり交付税の問題なりにこれから審議が入っていくわけでありますから、ひとつ詳細な調査資料をこの委員会に御提出をいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょう。
  129. 細郷道一

    細郷政府委員 提出いたします。
  130. 細谷治嘉

    細谷委員 それから、ばらばらになりますが、大臣所信表明の中で、「出先機関等行政組織の再検討、零細補助金の整理等を通じて、」と、こう書いてあります。補助金の整理というのが毎年叫ばれておるのでありますけれども、今年もやはり遅々としたもののようでございます。そこで、これも時間の関係がありますから、国の予算を通じての補助金の整理統合等が行なわれたのはどういう形で行なわれたか、その結果、地方公共団体関係にはどういう形で及んでくるのか、こういう詳細な資料を御提出いただきたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  131. 細郷道一

    細郷政府委員 大蔵省と相談をして調整したいと思います。
  132. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省と相談するといっても、一部新聞等でも発表されているのですね。財政局長さん、これは大蔵省と相談しなければだめなんですか。
  133. 細郷道一

    細郷政府委員 補助金の整理統合には、民間に出すものも実は入っております。したがいまして、いまお尋ね地方関係ということになりますと、それを抜いていかなければならないものでありますから、一回調整をしたい、こういう意味でございます。
  134. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省がすでに発表をしたものでは、一月三十一日の発表で新聞にも出ておるのですが、補助金整理は四十三年度が三百三十七件だ。廃止したのは地方公共団体関係が四十九件だ、民間団体関係が三十七件である。合計八十六件、金額にして十二億五千四百八十万円だ、こういうことです。減額したものが、地方団体三十一件、民間団体が三十八件、合計六十九件、金額で二十三億円、統合合理化したものが三十三件、打ち切りの期限を定めたものが八十件だ。こういうようなことまで発表になっているわけですよ。ここまで発表されたのに、なお大蔵省と相談しなければ資料を出せないのですか。
  135. 細郷道一

    細郷政府委員 そういうことでございますれば、大蔵省が出すべき資料だと思いますから、大蔵省のほうに連絡いたします。
  136. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省が出すべき資料等がいろいろな審議に必要でありますから、出していただけるわけですね。
  137. 細郷道一

    細郷政府委員 大蔵省に出すように言おうと思っておりますが、連絡いたします。
  138. 細谷治嘉

    細谷委員 出していただかないと困るので、大蔵省のほうに出すように言おうと思っておりますと言うが、大蔵省いやと言ったら出ないことになりますよ。大蔵省に言って、出します、こう答えればいいわけだ。
  139. 細郷道一

    細郷政府委員 大蔵省もたぶんうんと言うと思いますけれども、そういういま読み上げられたものでございますと、私のほうにございませんから、主管の大蔵省のところに聞いてみなければわからない、こういう意味で念のために申し上げたわけであります。
  140. 細谷治嘉

    細谷委員 山口委員の質問のときにあったわけですが、いまの赤澤大臣になっても、たしか新聞に出たかと思いますけれども、前の藤枝大臣のときも出ておることなんでありますが、自治省においては府県のあり方、こういうものを検討した上で府県合併特例法を出し直すのだ、こういう趣旨の談話が何べんか大臣談話として新聞に載っておるわけでありますが、これは新聞の記事が全く誤りでしょうか。
  141. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういうことは発言した覚えもありませんし、何かの誤解ではないかと思います。
  142. 細谷治嘉

    細谷委員 これは誤解じゃなくて、新聞にちゃんと書いてあるわけですね。きょう新聞を持ってきておりませんけれども、新聞にはそう書いてありますから、私の誤解じゃなくて、新聞が誤りなのか、行き過ぎなのか。自治省はそういうあれが何かできたのか。それをちょっとはっきりしておきたいと思ってお聞きしているわけです。
  143. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 新聞の誤解じゃないかという気がいたします、そういうことが出ておるとしたら。
  144. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞の記事が誤りだ、こういうことなんですね。この問題はこれ以上申し上げません。  次に、お尋ねいたしたい点は、大臣、東京都の区制問題について、せんだって予算委員会でも質問したのでありますけれども、二十三区を昔のように市にしたほうがいいのだという意見を言っている人もおるのですよ、自治省の公式の意見じゃないでしょうけれど。大臣、一体どういうお考えなんですか。
  145. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どうしたらいいかということにつきましては、いろいろな案が述べられております。しかし、いずれに踏み切るかということは重要なことでございますので、もうぼつぼつこの問題には終止符を打たなければならぬ時期、打つべき時期になっておると思いますけれども、問題が重大でございますので、ただいまの段階では、まだ検討を進めつつあると申し上げるよりほか道がないわけでございます。
  146. 細谷治嘉

    細谷委員 長野さん、ちょっと答えてください。
  147. 長野士郎

    長野政府委員 区長の改革につきましては、いま事務的にいろいろな案を実は検討しておる最中であります。いずれもまだ自治省の内部でも成案というところまでは至っておりませんけれども、事務的にはいろいろな案を検討いたしております。そういう検討の中には、やはり現在の都政の一つの特色でもありますが、同時に問題でもありますのは、二十三区というものが都市としての一体性を確保できるという制度的な保障をいかにして見つけるか、こういう問題だというわけでございます。そういうときに東京市制というようなものを考えるという考え方考え方としては絶無ではないと思います。
  148. 細谷治嘉

    細谷委員 きのう東京都の都議会でやはりこの問題が議論されておりますね。美濃部知事が東京都の姿としては三多摩地区も、適当な、人口三十万ないし五十万くらいの単位に区切った形のいわゆる大ロンドン構想というものに自分は賛成だ、こう言っておりました。自治省はどうも昔の東京市案——まあ個人的な意見のようでありますが、私が想像しますと、ここにいらっしゃる行政局長もどうも東京市制復活論じゃないかと思うのだな。それから宮澤官房長もどうも東京市制論じゃないかと思うのだ。それから、いまの事務次官もやはり東京市制復活論じゃないかと私は想像しているのです。一体、自治省の幹部は大部分東京市制復活論じゃないですか。そうしますと、ずいぶんなにですよ、広域行政論を説いておったかと思うと東京市制復活論を出したり、ずいぶん構想なり理論に矛盾があるのじゃないでしょうか大臣、ばらばらですから。財政局長、税務局長には聞きません、大臣どうお思いになるのですか。しかも大臣、あなたもどこかの新聞に書いてありますが、いまや東京二十三区の区長が選ばれないで混乱しておる原因は、すべて区会議員の質の問題だなんて片づけているように思うのですよ。新聞にそういうふうに書いてある。そんなばかなことはないですよ。これまた区会議員を侮辱するのもはなはだしいことであって、自治大臣の言うことばじゃないと思うのですよ。大臣、そういう周囲に取り巻かれておるのですから、これは重要な問題ですから、どうお思いなんですか。
  149. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ちょっと関連して聞きます。  三月五日の予算委員会一般質問でただいま質問された細谷委員がこの問題を取り上げています。大臣、次のように答えていますね。「具体的には、やはりいまの選任方法になって区長ができぬはずはないのでございまして、やはりこれはいまの区会議員諸君が十分職責を尽くしていないと判断されるわけでございまして」こう言っておる。いま細谷委員が言われたような思想がにじみ出ている答弁を予算委員会でもしておる。その点もあわせて明らかにしていただきたい。
  150. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 予算委員会でお答えしたのと同じ考え方を私は持っております。私はふしぎに思いますのは、前に自治大臣やったとき練馬で問題が起こっておりまして、そのときも例の区長公選問題につきましていろいろな陳情も受けました。再び自治省へ行ってみますと、さらにこれが拡大されて至るところの特別区に及んでおる。今後どうなるかということを考えますと、まことに不安なわけでございます。しかし、各特別区の問題を起こしておるところをよく詳細に見ると、区議会の勢力関係からいってできぬはずがないものができない、それにはやはり皆さん御承知のわけがあるわけでございまして、そういうことを検討していきますと、区議会によっては議員としての職責を十分果たしておられぬのじゃないかという結論に達せざるを得ない。過半数の勢力の一つの党であってもまとまりがないということは、言いたくはないけれども、それが現実でございまするから、やはり私たちは厳重にこういった問題につきまして、指導と申しますか忠告もしなければならぬと考えるわけでございます。
  151. 細谷治嘉

    細谷委員 指導し忠告するのは大臣のつとめですからけっこうですよ。しかし、今日まで十五カ年間スムーズにいったのはたった一ぺんしかないんですよ大臣。いままで何をしてきたんですか。指導の効果があがったんですか。監督の効果があがったんですか。一歩も進んでない、ますます混乱しているじゃないですか。ですから私は、この段階では、思い切って今日大臣が、それは区会議員の責任だ——それは責任ですよ、区会議員だって。しかし、それにはまたいろいろな事情があってのことなんでありますから、それは区会議員の質が悪いなんということで一方的に片づけるべき筋のものじゃないと思うのですよ。問題は、一向十五カ年間進んでおらぬところに問題がある。それでありますから、これは自治省の責任だろうと私は思うのですよ。国費職員の身分移管の問題は他職員との関係がありますが、あなたのほうが決意さえすればこの問題はできるのですよ。それをおやりになろうとしないわけですね。まあこの問題もあまり言いませんけれども、わりあいに政務次官はぴしゃっと言うので、ひとつ政務次官から……。
  152. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どうもメンタルテストみたいになってしまってたいへん恐縮をしておるわけですが、あなたのお隣には多年大阪市政で御苦労なさった先生もおられるわけなので、やはり特別区あるいは行政区いずれがまとまった地方公共団体という形で地区住民の福祉のためにいいかということは、なかなか判断がむずかしいところでございます。東京都と申しましても、この間まで東京市であったわけです。ただ、東京の特別区だけは、御案内のとおりに昔からのいろいろな因縁もございまして、こういう特殊な形になっておるわけでございます。ただこれを公選にしさえすればものごとは片づくかというと、東京都は東京市とは名前が変わっておりまするけれども、やはり一つの都市であることには間違いがない。そこで事務上の問題だとか、いろいろな点で研究すればなかなかむずかしいことがあって簡単に割り切るわけにいきません。しかし重大なことである。ですから、いまの状態だったって区長ができぬはずがないのでございます。だから、私調べまして、まあ自民党もこういうことじゃ困るじゃないか、なぜもっと適切な方法をとらないかということを、私の党の都連の諸君には言いましたところ、いやそのとおりだ、全く申しわけない、善処しなければならぬと言っておるわけなんですね。ということは、やはり社会党、公明党その他の皆さんも、大事な区長の選任でございますから、とにかくつくるという考え方に立って十分話し合いしていただいて、その中には区長として適切な人がないはずは絶対ないと思いまするので、どうかひとつ、より出して、現行制度のもとだってできるはずなんですから、そういうようなことを前向きで実現できますように、細谷先生なんか特に御尽力をいただきたいと思う次第でございます。
  153. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題は、予党とか野党とかという問題じゃなくて、日本のキャピタル、そこの住民と一番密接な関係を持っている区長が選ばれないで混乱しているという現実は、これはやはり非常に大切な問題だと思うので、またいずれこの問題は取り上げたいと思うのでありますが、特に大臣、あなたは、大臣に就任したらこの問題一つだけでも片づけたいという決意で就任したとおっしゃったんですから、ひとつあなたの任期中にでも——私がこの間、佐藤総理と同じように両三年中に片をつけろと言ったら、あまりはっきりおっしゃらなかったのですが、あなたの就任の際のほんとうの腹というのは、おれの任期中にこれぐらいは片づける、こういう決意であったようでありますから、ひとつ真剣に取り組んでいただきたい、こう思います。  これに関連いたしまして、後ほどまた法案等の審議にからんで同僚の委員から詳しく質問がある予定なんでありますけれども、一言大臣の所見を承っておきたいのです。先ほど名古屋市の方の陳情によりますと、昭和三十一年から今日の昭和四十三年までの推移をながめてみると、大都市における、指定市における税というのは指数が四〇〇にしかなってないのだ。ところが、指定市が所在する府県は税が幾ら伸びているかというと、七〇〇以上になっているのだ。そこに住んでいる住民の税負担というのを見てみますと、国に納めているのが七二なんです。残りの二八のうち市のほうに入ってくるのは幾らかというと一二ございます。残りの一六というのは、これは名古屋の場合ですが、もう県に行っているんです。大阪の人の話を聞きますと、大阪では国に入っていくのが大体六八%でございます。残りの三二%が地方税でございます。そのうちの一一しか大阪市に入っていきませんですよ。残りの二一というのは大阪府に入っていくんですよ、こう言っておりましたね。こうなってまいりますと、——私はせんだって、あなたのところの事務次官がある雑誌に書いた論文を拝見した。指定市などというところが交付税をもらって生活するなんというのはまったくおかしい、こういう意味の論文を書かれておるのですよ。ところが、残念ながらその指定市に行っているんですよ。おかしいですね。おかしいというのが今日の税体系にあると思うのですよ。そこで何とかしてやらなければいかぬと思いますが、ひとつ大臣、今国会で何とか、これは毎回毎回附帯決議がこの委員会でもつけられたのでありますけれども、何とかしたいという具体的な大臣の御見解をちょっとここで示していただきたい。ちょっとではなくて、ちょっとは困るのです。ことばはちょっとでもいいんですが、簡単明瞭に、決意のほどを示していただきたい。
  154. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 簡単に簡単にと申されるけれども、これは実にやっかいなことでございまして、ふしぎに和爾さんとこうして並んでいらっしゃるところを見ますと、御案内のとおりに和爾さんは大阪市政をひっかついで長年苦労されたわけだけれども、ここも同じことであって、大阪府と大阪市との財政の状況などはもうよくわかっておる。こういうことでほっておけない事態になっておるわけであります。名古屋だって同じ、どこだってやっぱり同じでございます。しかしこれは、私も任期中にという決意は申しましたけれども、よくそのときの前後をお読みになればおわかりいただけるように、私もそれだけに取り組んでやれればもう相当この問題を前進させられると思いますし、やりがいがあると思っておりましたけれども、御案内のとおりに、むずかしいものを一ぱいかついでおりまして、そこへもってきまして、決して泣き言は申しませんけれども、予算がああいう状態で時間切れにはなってしまうし、実は初期の意気込みから申しますと、ちょっと困った立場にあるわけでございます。しかし、かといって、決してこの問題をおろそかに考えておりませんで、ただいま御指摘の問題は、住民の福祉に直接につながることでございます。社会資本の問題に関連あることでございまするので、慎重にと申しましても、早くこういった問題を解決したいと考えておりまするので、努力をいたしたいと思っております。
  155. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、税務局長さん、大体シャウプ勧告以来今日までの流れを見ますと、自治省が何か地方自治地方自治なんてことばで言っていますけれども、みずから中央集権化を進めた。その中央集権化を進める大きな拠点として、府県の行財政を握るために、税の配分というものを府県重点にやったところに私は問題があると思う。これはやっぱり自治省の税務局の責任だろうと思うのだ。いま市町村の税の弾性値は一・〇五か六ですよ。府県の税の弾性値は一・四二ぐらいです。国の弾性値は一・四七か八ぐらい、ほとんど国と府県は変わらないんですよ。市町村の弾性値はほとんど一ですよ。こういうような税目を並べたところに、自治省府県重点主義があった。その府県重点主義は、裏を返せば中央集権化を自治省を中心として進めようと意図しておったところから出てきているんだ、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのでありますが、税務局長、感想いかがですか。
  156. 松島五郎

    ○松島政府委員 市町村税と府県税との伸びその他について御指摘がございましたが、御指摘のとおり、シャウプ勧告によって新しい地方税制ができました当時は、府県税収入に対しまして市町村税制を強化すべきであるということで、市町村税収入のほうが多くなるような税制の仕組みにしたわけでございます。その際に、御承知のとおり、市町村は基礎的な地方団体としてできるだけ安定した税収入が得られるようにということで、住民税と固定資産税を中心にして税制が組み立てられたわけでございます。現在でも住民税と固定資産税はそれぞれ市町村税収入の約四割ずつを占めておりまして、両方合わせて八割がこの二つの税金で構成されている、こういうことでございます。市町村税制の形といたしましては、そういうことできわめて安定した税収入が得られるようにということで出発をいたしたわけでございますし、また市町村税制を強化するというたてまえで出発したわけでございますから、その税制それ自体は、私は間違ったものではなかったと思います。ただ、その後の推移を見てまいりますと、御承知のとおりわが国の経済はきわめて高度の成長を遂げてまいりました。その高度の成長は、結局税収入としては何に一番多くよっていったかというと、結局法人関係の諸税に多く増収が出てきたわけでございます。したがいまして、当初はできるだけ安定した税制ということで法人関係にあまりウエートを置いてなかった、市町村税収入が勢い伸びの上では少なかったという事情があることは事実でございます。また、他面においては、固定資産税が、いま申し上げましたように、市町村税収入の約四割を占めておりますけれども、これが評価その他の関係から税収入が伸び悩んできたということも、市町村税収入が全体として伸びなかった原因の一つであろうと思います。市町村税収入の指数を昭和三十年を一〇〇としてみますと昭和四十一年度三六六の伸びになっておりますけれども、そのうちで固定資産税は二九九でございまして、この固定資産税の伸びが非常に少なかったことが市町村税全体の伸びを少なくしつつある一つの大きな原因であると思います。  それともう一つは、先ほど申し上げましたように、住民税と申しましても、特に個人住民税を中心にして課税されてまいりましたが、個人住民税につきましては、地方財政が苦しいから、所得税ほど減税はしてまいりませんけれども、それでもやはり毎年幾ばくかの減税を続けてきております。そういったことも市町村民税の伸びを少なくした結果になったということは言えると思います。そういうような事情から、現在の市町村税制は府県税制に比べまして伸びが低くなってきておりますので、地方財政計画上におきます税収入見込み額も、今日では府県税収入のほうが市町村税収入を上回る、こういう状態になってきていることは御承知のとおりでございます。これをどう改善していくかという問題でございますが、今日のように社会経済圏がだんだん広がってまいりますと、市町村単位で取れる税収入で適切なものを生み出すということはなかなかむずかしい問題でございます。今日地方税法の改正案で提案いたしております自動車取得税につきましても、たしか先生からも市町村税で直接取ったらいいじゃないかという御指摘がございましたが、徴税技術その他の面から申しますと、やはり府県税に一応はせざるを得ない、こういうような形になっておるわけでございますが、しかし、この税金なども主として大きな都市を持っております府県に相当収入が入りますので、それを府県市町村の間で分けることにいたしておりますから、大都市についてはこれによって相当の収入が得られるものというふうに考えておるわけでございます。こういった面を通じまして今後とも検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  157. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に、私はきのうも近代消防という雑誌をいただいたのでありますが、三月号でございます。それを読みますと、佐久間長官、財政局長、それから大蔵省の主計官等々が出ておるのだ。たまたまきのうは銀座でサウナで焼け死んだ。きょう昼ごはんを食べようとしておったら、テレビで池袋のビルの二階が火災で上までもうもうとしておる。これにも書いてあるのですが、危険物プロパン等の特殊な火災、超高層ビルや地下街等の特殊な火災、こういうことが言われておる。ところが、消防の実態というのは、人的な消防力の構成もきわめて貧弱なんです。日本一充実しているといわれている東京消防庁ですらも、人員の面の充足も半分以下、機材器具においても半分以下、まあまあいいのは救急業務が七割か八割ぐらい、そんなところですよ。にもかかわらず、その座談会を読みますと、ことし幾らですか、消防の補助金が化学災害も含めて一億五千万円か二億円ふえたでしょう。ふえたことに対して、過去数年前が二億五千万円くらいであった経過からしますと十何億になってきたのでというわけで、大蔵省はべたほめ、消防庁も随喜の涙を流して、大きい予算をもらいましたという形の座談会になっている。これでいいとお思いなのか、大臣ひとつお聞きしたい。
  158. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 消防庁で理想を描いております線から言いますとまだほど遠いのでありまして、しかしながら御案内のとおりに、一挙に伸ばすということはなかなかむずかしい事情もございまして、不満足ながら累年努力を積み重ねることによって今日まできております。今後は格段の努力をいたすと申すほかないわけでございます。
  159. 細谷治嘉

    細谷委員 十分とはいえないけれどもしようがない、それだと随喜の涙を流しておらぬようですけれども、五井の爆発のときに、当時は治外法権だと言っておるが、あとでは間違いだと、へなへなとなっている。予算のときも、要求に比べますと半分も取れない。あとで大蔵省あたりに随喜の涙、そういう形で座談会に臨んだから、大臣、これでは足らぬ、これでは足らぬ、機材に対してもまだ半分にもいってない、こういう実態はいつになっても解決しない。百年河清を待つよりもっと悪い、こう申さなければならぬと思うんですよ。  そこで、私は佐久間長官の姿勢はもっともと思うのだけれども、どうも座談会なりいろいろな記事における限りにおいては期待はずれの感がございます。そこで今日の消防体制というのは、この間の湯河原の火事でもごらんなさい、消防力が足らぬ。足らぬというと何もかも足らぬのだ。伝令の連絡まで足りなくなってしまっている。そういうことでありますから、やはり今日の時代に即応できるような消防体制というのは、自衛消防というのはむろん自衛の立場でやらなければいけませんけれども、やはり公設消防というものの充実については、よほどの努力がなければいけないのじゃないかという感を深くしております。  消防関係法律が出るようでありますから、その節またいろいろお伺いすることにして、きょうはこれで終わります。
  160. 吉川久衛

    吉川委員長 門司亮君。
  161. 門司亮

    ○門司委員 私はごく簡単に、大臣所信表明に合わせて少し財政のことについて聞いておきたいことがございますので、その点をお聞きしておきたいと思います。  まず最初に聞いておきたいと思いますことは、この間の本会議河上議員の質問に答えて大蔵大臣の答弁されておりますことが、赤澤自治大臣も大体同じような御答弁をされておるようでございますが、これでよろしいかどうかということです。これは地方財政の基本に触れますので、この際ちょっと聞いておきたいと思いますが、河上議員の質問は、前段を取り除きますと、「今日の都市化現象に伴う激しい財政需要にダイナミックに対応することは、きわめて困難であります。特に大都市の財政危機は緊急を要する問題でありまして、地方税もこの角度から根本的に検討されなければなりません。今回の地方税法改正案には、この点に関する配慮がきわめて不十分であります。」と、こういう前提で、あと現実の問題としてこまかい数字が述べられております。これに対して水田大蔵大臣が答弁をされておりますのは、「他面、地方団体のほうの要望を申しますと、学校とかあるいは消防あるいは警察というようなものは、住民の日常生活に密着したサービスを主体としておりますので、景気の変動に関係のないほうがいい、一定水準のサービスが確保されればいいという要請の面が非常に強い。したがって、こういう経費をまかなう税というものは、景気の弾力性の高いものよりも、なるたけ安定した税がほしいというのが地方の要望でございます。」まあこういうふうに実は言われております。そうして、これに対してさらに赤澤大臣が、「それから、大蔵大臣が述べましたが、国税、地方税を通ずる税制の抜本的改正をする必要があるのじゃないかという、これはいつでも論じられる問題でございます。国税、地方税を通じての税制の改正は、国と地方団体との間の事務の配分、それから地方交付税、国庫支出金など、国、地方団体を通じての財政制度との関連において総合的に検討すべき問題であると考えます。」こういうふうに両大臣から答弁がされております。  それで、問題になりますのは、先ほども税務局長からちょっと話がありましたように、できるだけ固定したものがよろしいんだという一つの概念からくる解釈です。私は、この概念からくる解釈の上に立って現状を見ておいでになるということはきわめて認識不足であって、これらの諸君にまかしておいたんでは、これでは地方財政、特に大都市財政というものはどうにもならない。私はこの際検討すべきものは、国と地方の財源配分もさることながら、今日の税がどういう形になっておるかということの一つ一つの検討がなされておるかどうかということです。先ほどシャウプのお話もちょっと出ました。シャウプが二十五年の九月でありまするかに第一次勧告をいたしました。その中に先ほどの御答弁のようなことが実は書いてあります。日本のデモクラシーを完全に遂行しようとするには、そのデモクラシーの最も政治的基礎団体である市町村の財源を充実すべきだとして、現在の市町村財政には五割くらいを増さなければならないであろう。府県は中間であるからいまのままでよろしい。さらに、国はそのことのために市町村にその財源をさいて、国の税制は少し少なくなっても地方に財源をさくべきであるということが、シャウプの税制勧告の基本であります。これはそのとおりに書いてある。さらに、十一月になって行なわれた第二次シャウプ勧告の内容等につきましても、大体これに基づいて書かれておる。こういうふうに考えてまいりますと、一体いまの税種目別に考えてみて、現状でよろしいかどうかということについて、大臣は一体どういうふうに地方財政現状を見ておられるか。  時間がありませんので立つたついでに申し上げておきますが、先ほどからいろいろ議論されておりますように、大阪なら大阪の一つの市をとりましても、市税は伸びない。県税は非常に伸びておる。国税も大体伸びておる。原因はどこにあるのか、これをひとつはっきりと聞いておきたいと思うのでありますが、大臣これを御存じですか。
  162. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体承知しておるつもりでございまして、私が本会議で答弁いたしましたのも、国と地方との税源の配分だけでなくして、地方団体間の調整ということも必要なことは言うまでもありません。それで、地方税というものをできるだけ安定したものをまず取り上げるということが中心になっておることは、シャウプ勧告を待っまでもなく、ただいま税務局長が申したとおりでございますけれども、その後の税源の伸びぐあいを見ますと、われわれが予想しなかった方向へぐんぐんと動いておることは事実でございます。これが先ほど——ここに和爾さんがおられるけれども大阪の府と市の関係を見ましてもはっきりいたしております。その他そういう現象が至るところにあらわれておりますので、そういった問題について、調整の意味で、さらに積極的な措置を講じなければならぬものと私ども考えております。
  163. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのはそういうことばだけじゃないのです。これは大臣のほうでつごうが悪ければ事務当局でけっこうです。かりにいまの都道府県税と市町村税との関係がどういう形になりつつあるかということ、これをどの辺まで一体検討されておりますか。国から地方に移譲するといういろいろな方法もございましょう。また同時に、県と市との間の調整をはからなければならない現状が私はあろうと思う。したがって、税制改正を行なわれるについては、その点をどういう形で一体考えられておるのか。ただ改正をする、改正をすると言ったって、改正はそれだけではできないのでありまして、どの税金がどういう姿に今日変転しつつあるかということ、そして県税がふえたこと、国税がふえたこと、市のほうがわりあいにふえなかったのだということを具体的にひとつ示してもらいたいと思う。その検討が行なわれてない限りは、税制改正などはおぼつかない。
  164. 松島五郎

    ○松島政府委員 県税と市町村税とを見ました場合に、先ほども申し上げましたように市町村税におきましては、住民税と国定資産税が大きな部分を占めておりまして、市町村民税が約四割、固定資産税が約四割でございます。この二つの税金が中心でございますけれども、固定資産税につきましては、先ほども申し上げましたように、評価等の事情から伸びがきわめて低いという状態でございます。これが市町村税が伸び悩んでいる一つの大きな原因であろうと思います。もう一つは、市町村民税等におきましても、個人市町村民税が中心でございますけれども、これにつきましては、もちろん国民所得の増加に伴って収入の増加もございますけれども、他面において減税が相次いで行なわれております関係上、その伸びも法人に比べましては相対的に低いという状態でございます。一方、県税の場合を見てまいりますと、一番大きく伸びておりますのはやはり事業税でございます。事業税のうちでも法人事業税でございます。個人事業税につきましては、十年前からほとんど二割くらいしか伸びてないというような状態でございまして、個人事業税の伸びは停滞しておりますけれども、法人事業税の伸びは非常に大きなものがございます。そのことが県税が伸びます最も大きな原因の一つになっておると考えております。  そのほかに、県税におきましては、御承知のとおり娯楽施設利用税、料飲税、自動車税というような税金がございますが、これらの税金は消費水準の増加なり、あるいは自動車の増加なりというようなものとパラレルに伸びてまいりますので、かなりの伸びを示しております。そういうふうに、一言で申しますならば市町村は比較的安定した税制ではございますけれども、その反面において税収入が停滞的である。県税のほうは比較的機動的な税種が多くて景気の推移に即して伸縮が大きい。しかしながら、最近のように経済がどんどん伸びておる段階においては、少なくとも県税の伸びのほうが大きい、こういう状態であるということだと思います。  そこで、ただいま御指摘のございました大都市あるいは市町村の税制をどう考えていくかという場合に、特に大都市等の税制を考えていく場合には、どうしても大都市にもっと機動的な税制を導入するかどうかという問題であろうと思います。大都市にもう少し機動的な税制、多少の安定性はそこなわれても、機動的な税制を導入するとすれば、一体どういうものが考えられるか、こういうことになろうかと思います。そこで取り上げられますのは法人に関します税でありますとか、あるいは消費税とかいうようなものを、もう少し大都市税制の中に導入したらどうかという御意見が一部にございます。私どもは大都市の税制を考えます場合にはそういうことも必要だろうと思いますけれども、他面には大都市だけの税制として考えるのか、あるいは市町村全体の税制として考えるのかという問題を同時に考えてまいらなければなりません。市町村全体の税制ということになりますと、大都市に多いという税制はほかの市町村にはほとんどないという、いわゆる偏在の問題というものを考えてまいらなければなりません。そういった点をただいま私のほうとしてはいろいろ検討している段階でございます。
  165. 門司亮

    ○門司委員 一つのものの考え方は、安定した財源がよろしいという、これは理論であります。今日の地方自治体が、安定財源を求めるほど行政が安定しておりますか。行政需要は非常に多いのですよ。理論としては一応そういうことが言えるのであります。市町村はできるだけ安定した確定財源で確定した仕事をしていけばよろしい、これは理論的には言える。しかし、日本の今日の市町村現状は、それを許す時代ではないと私は考えておる。このように人口がどんどんふえていく、そうして先行投資を非常にたくさんしなければならない、そういう時期に、自治省がなおかつ安定財源がよろしいということを言っていること自体が、私は認識不足もはなはだしいのじゃないかと思う。たとえば、いま固定資産税の問題をお話しになったけれども、なるほど固定資産税は固定して三年に一ぺんしか変えませんから、そうふえないかもしれない。しかし、同じ固定資産に対する不動産の取得税はどうなります。これは県税でしょう。不動産は、地価はどんどん上がっておる、物件は同じですよ。こうした相関関係があるじゃありませんか。こういう問題に一体どれだけメスを入れるつもりですか。たとえば、いま観光ブームだといっているが、観光地における市町村の設備は非常にたくさんの金が要る。先行投資をしなければなかなか出てこない。ところが、ここからあがっていく税金はどこが持っていきますか。これは府県がみんな持っていくでしょう。東京にしても、大阪にしても、大都市はみんな同じこと。今日のこのレジャーブームでかけられておる税金は、遊興飲食税をはじめとして、全部といっていいほどこれは府県税でしょう。市町村自分の行なわなければならない仕事を行なうことができないほど貧弱な状態にあるときに、ただいたずらに原則だけを論じておって事が足りると考えておるなら、自治省は全く地方公共団体の役所ではない、大蔵省の出先くらいに考えてたいして間違いはないように考えられる。もう少し、市町村府県との関係、国と地方自治体との関連性においては、自治省が本腰を入れて、税制改正をするなら税制改正をしたらどうですか。こういう意思はございませんか。税金をずっと一つずつ並べてみましょうか。いまの税制の中でどういう形でとられておるかということ。この間ゴルフの税金を上げたでしょう。一体どうなりました。三百円上げたって、二百円は県がとって、市町村に百円しかやらぬでしょう。市町村は包含した県の中にあることは間違いございません。しかし一番大きな被害を受けるのはどこですか。市町村でしょう。しかも、従来は、これが畑でありあるいは耕作地であるならば、固定資産税もそれで高くかける。ところが、これがゴルフ場になれば、雑種地ですよ。固定資産税はそれの何分の一しかもらえない。そこに入ってくる税金の三分の二は県がとる。増税したといっても、三分の二県がとって、市町村に三分の一しかやらない、こういうことを自治省は平気でやっているでしょう。こういうものの考え方をもう少し改めたらどうですか。いまそういう税制改正はできませんか。この際、思い切って府県市町村との間の税制改正をする、国と地方との間の税制改正を行なうということが早急に行なわれなければ、いつまでたっても日本地方行政というものは満足なものができ上がらない。したがって、今度わずかな住民税をふやすとか減らすとかいっておりますけれども、一体これらの税制改正でよろしいかどうかということなんです。それをいたずらに、ただ事務配分がどうでこうでといったところで、事務配分は、現在の段階で、それに付随して税制改正をする前の段階がまだ残っているのであって、一体どうしてそういうことができないのか、できない理由があるなら、それをこの席ではっきり示していただきたいと思う。
  166. 松島五郎

    ○松島政府委員 御指摘のとおり、現在の市町村は、一方において大都市あるいは大都市周辺におきまして非常な人口の集中が起こっておりまして、そこでは膨大な財政需要のために財政が非常に苦しいという状態が続いているということは御指摘のとおりでございます。また、他方においては、それらのところに流出している人口が、結局いわゆる過疎地帯において人口の減となってあらわれて、そういう団体ではまた労働力人口が減少して、税金の納め手が減ってくるということから、財政の運営が困難になってきている、両面の問題を起こしてきているわけであります。このように、現在一口に市町村といいましても、一方においては人口がどんどん減っていく、一方においてはどんどんふえていくという形で現在の市町村が動いておりますので、単に静態的な税制と申しますか、そういうもとにおいては、なかなか財政需要に応じていけないという面がありますことは、御指摘のとおりだと私ども考えております。  そこで、それらの状態にどう適合した形で税制を考えていくかという問題でございますけれども、同じ市町村と申しましても、いまのように非常にこう形が変わってきておりますので、一律に考えることはなかなかむずかしいという問題でございます。非常にたくさん人口のふえるところに一体どういう税制が与えられたら財政需要が充足されるかということを考えてまいりまして、もう少しそういうところに適した税制を考えてまいりますと、逆にそういう税制のもとでは、人口がどんどん減っていくようなところは何ともしようがないという問題もございます。  そこで、同じ市町村税制というような一律のワクの中で考えずに、ふえるところはふえるところの税制、減るところは減るところの税制というものがあり得るのかどうかというような問題まで考えてまいりませんと、なかなか解決はしないわけであります。県と市町村との税源の配分の問題も御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては、そういうことも今後の検討問題ではございましょうけれども地方財政全体としての税収入を単に右から左に動かすだけで問題は解決するわけではないのではないか、やはり国、地方を通じた税源の配分ということもあわせて考えていかなければならないのではないか、こういうふうに考えて検討している段階でございます。
  167. 門司亮

    ○門司委員 これは大臣、よく聞いていただきたいのですが、私はいまのような答弁を聞くのはきわめて不愉快です。なぜかというと、何のために交付税がありますか。諸君の手によって交付税は配分されるんでしょう。財政が十分に税金でまかなえるところはまかなわせるというたてまえをとるべきでしょう。まかなえないところには交付税を交付すればそれで事は足りるのです。財源調整の最も大きな役割りを演じているのは交付税でしょう。交付税がなければいまのような議論があるいは成り立つかもしれない。何も税金のないところに税金を無理にやろうとしても、それはどうすればいいのですか。やりようがないでしょう。それよりも府県との間に非常に不均衡がある、国と地方団体との間に非常な不均衡がある、これを是正するなら是正してしまう、なおかつそれによって追いつかない貧弱な町村に対しては、交付税の交付の方法があるでしょう。これは技術的にやれるはずです。そういう技術的の問題を怠っておって、そして過疎地帯、過密地帯があるからどうにもならぬ、いまの政府で均衡するといっても、均衡することはおそらくできないでしょう。できないことを前提としてものを考えるくらいおろかなことはない。なぜできることを先にお考えにならないのか。大都市が、たとえば府県市町村との税制改正を行なうことによって、配分関係を行なうことによって、財源が多少なりとも豊かになるとするなら、そこの交付税は削ってもいいでしょう。これは農村に幾らでもいけることになって、そのために財政調整が行なわれておる。財政需要とさらに収入とのバランスは始終あなたのほうで考えている。私は、そういうしゃくし定規のものの考え方で一体議論をいまする時代でないと考えている。地方の実態を知ってごらんなさい、どういう形になっているか、きょうはもう時間がございませんので、私は長くお話しいたしませんが、大臣はどうお考えになりますか。こういう問題を、少なくともこの際、国と地方との関係の中にあるものはよくいわれておるが、たとえば国の経済政策のために行なわれておる租税の特別措置法というようなもの、これは国の経済政策の一環として行なわれている一つの税制だと私は考えておる。そのことのために地方自治体が被害をこうむる筋合いは私はないと考えておる。むしろ地方自治体には公害その他で非常な迷惑をかけておる。あるいは、学校の問題だとか道路の問題だとかいうことで、地方には非常に迷惑をかけておる。国は一応の経済政策のために、あるいは産業政策のために特別措置法をこしらえる必要があるかもしれない。しかし、地方がその犠牲になるという筋合いは私はないと考える。こういう問題の調整はつかない、あるいは弾力性のものがないといわれておるが、弾力性のものでも、たとえば直接国民の消費に関係をいたしておりまする専売益金の配付率はお酒の配付率より少ないでしょう。これはごく安く見積もっても、私どもはたばこの売り上げは全部地方へ持ってこいと言いたいのであります。そう主張いたしておるのであります。しかし、同じ住民の嗜好品であるお酒については三二%は還元するという措置をとっておる。ところが、たばこはそこまでいっていないでしょう。こういうごく内輪目に見た財政の均衡化についてもやはり配慮する必要がある。それを、先ほどの事務当局の答弁のように、過疎地帯、過密地帯があって、これを一律に税金を取ったら——そういうことがどうにもならないというようなものの考え方では、私はいつまでたったって解決はつかぬと思う。この点をもう少し大臣のほうから明確にひとつ答えていただきたいと思います。
  168. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ちょっと席をはずした間にいろいろな議論があったようでございますが、おそらく税務局長は税源のことについていろいろ御説明申し上げたのじゃないかと思います。言うまでもなく、交付税はそういった団体間の財源を調整する大きな役割りを持っておるわけでございますが、だからこれは御案内のような方式でルールをつくって配分しておりますけれども、近ごろいわれる例の傾斜配分方式、これも後進地域、低開発地域と申しますか、そういう方面への傾斜配分であったと思いますが、近ごろはやはり人口が急激に膨張する方面でも傾斜配分だというから、それじゃ富士山みたいな形になってしまって、どうにもならぬじゃないか、傾斜配分方式ということだけは明確に最初のことばのできた筋だけで使おうじゃないかと言ったわけです。そうしたら、結局急激に膨張していく場合に、そこにもやはり財政需要が相当起こりまして、しかも目に見えて住民が困っているわけですから、ここはどうするか、じゃ、それは割増しということばを使おうというようなことで、この間笑いながら話したような次第でございます。しかし、新たに膨張する地域の公共施設が整わないで困っておる。しかし、こういう過密過疎を解消すると申しましても、政府は手を尽くしますけれども、これは自然の勢いと申しますか、なかなかとどめることが困難でございますし、大きな政策はやはり検討して進めていかなければならぬと思っておりますが、それはそれといたしまして、いま門司さんの御指摘のとおりに、そういったことの調整をいたすために交付税というものがあるわけでございまするので、これは門司さんの御意見もよく伺いまして、住民の福祉につながることでございまするので、税をどう扱うかと申しましてもむずかしい問題がございますから、足りない方面に対しましては、交付税を流すことによって補いをつけていきたい、かように考えております。
  169. 門司亮

    ○門司委員 もう一つの問題として考えていただきたいと思うことは、県と国との事務の中で、市が比較的大きな負担をしなければならないものが一つあります。それは先ほどお話のあった消防の施設です。これは建物が、どんどん建築費が高くなっております。そしてこれの許可権限は、大都市は市に持っておりますけれども、一般の府県は大体県庁が持っておる。消防の施設は市がやらなければならない。こういう形の中で、先ほどからお話しのありましたように、消防に対する財源というのはきわめてわずかなものであります。これはどうにもならない、こういうことを考えてまいりましても、市と県との間における財源配分というものを考慮する段階にきておるのじゃないか。そうしないと、いつまでたっても地方行政というものは満足にならない。ことに、何といっても都市の一つの象徴ということばを使えば行き過ぎでありますけれども、そういう形になっておる。大都市というものがだんだん貧弱になってきて、そうして大都市も行政がだんだん粗末になってくるという傾向はいなむことができない。したがって、もう一度念を押しておきますが、一体、政府は、今度地方税法の改正を行なわれることになっておりますけれども、少しばかり住民税を減らすということくらいのもので、われわれが賛成のできない自動車取得税なんというものをふやされた。これもインチキきわまる話であって、国に四百五十億お貸しになるお金があるなら、何もそれと見合うような新しい財源を取らなくてもよさそうだと思うのですが、そういうことはさておいて、そういう形になっておる。こういう問題について、今度の税法改正を見てみますと、大臣所信表明の中にはわりあいそういう点を触れられておりません。私はこの点は「挨拶」と書いてありますが、その「挨拶」を読んで非常に遺憾に考えておる。もう少し私は地方自治体、特に最近における大都市行政についての考え方を変えていただきませんと、地方自治体のあり方というものはますます変なものになってしまって、どうにもならない形が出てまいりますので、ひとつ税制改正を思い切っていつごろおやりになるのか、これをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  170. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 税制調査会のほうでは、いま長期的なものの答申が行なわれる予定になっておりますし、制度調査会のほうではこの財源配分について検討中でございますし、いつまでという時間を切られましても、なかなか申し上げにくい現状でございますが、できるだけ早く御趣旨に沿うような意味におきましても結論を出したい、かように考えております。
  171. 門司亮

    ○門司委員 私はなぜこういうことを言うかといいますと、この地方財政に関する問題、あるいは税法の改正に対して、ここ三年ばかりずっと続けて大都市財政については特に注意しなさいという決議をしてきておるのです。いいかげんで——いいかげんということばは悪いのでありますが、しかしこの辺で政府も決意をしたらどうですか。国会の決議は国会の御自由で、やることは私のほうでやるのだということでは、私は済まされないと思うのです。われわれは、何も地方のこういう大都市財政について、やかましく陳情があるから、それじゃこれに入れておきましょうというようなことで入れたのではないのであって、さっきからお話しがありましたように、大都市財政がどうにもならなくなっておる。しかも大都市からあがる税金というものが非常に偏在しておる。これをひとつ是正してもらわなければ、地方の大都市の財政はよくならない。これは大都市だけでなくて、やがて地方財政にも——最近の観光都市といわれるような町も同じことだと思います。一生懸命設備してやっても、あがった税金はみんな県が持っていってしまうということでどうにもならなくなっている。こういう点等については、何年と言うわけにもいかぬということはわかりますけれども、国会の決議というものは自治省も見てもらいたいと思います。それはどうなんです。大臣は、これから先と言うとこれまたおこられるかもしれませんが、国会の決議を尊重されますか、尊重されませんか。少し私は尊重していただきたいと思う。
  172. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何せ国権の最高機関の決議なり御決意でございますから、何にもまして尊重しなければならぬと考えております。
  173. 門司亮

    ○門司委員 今度はちょっと方面を変えて、これに関連したことでお聞きをしておきたいと思いますが、あまりいい形ではございませんが、最近における地方自治体の不祥事件、これは警察庁の報告を見てみますると、大体一年に、非常に遺憾ではありますが、地方議員の関連している汚職が百人をこえております。事件の数から言いますると四百も五百もある。これに対して自治省はどういうお考えをお持ちになっているか。いいことではありませんからあまり数字を明らかにしたくはないのでありますが、しかし、数字を明らかにするということも一つの方法かと思いますので、いままで地方自治体におけるこういう不祥事件について、一体どのくらいあったか、それの数字がおわかりならひとつ発表していただきたいと思います。
  174. 長野士郎

    長野政府委員 現在関係方面等について照会中でございまして、現在まだ手元にそういう資料は集まっておりませんが、なるべく早く集めまして提出いたしたいと思います。
  175. 門司亮

    ○門司委員 これはなかなか私は調べにくいこともあろうかと思いますが、補助金等の適正化に関する法律についての不祥事件は大体八十一件くらいあったと思います。しかし、そのほかにこの法律に基づかないものがかなりたくさんあろうかと私は存じますので、これは隠しておく必要は毛頭ない。地方自治体の政治というのは、もう説教するまでもなく皆さんのほうがよく御承知のように、地方住民がやはりその自治体の理事者を信頼して、そうしてほんとうに協力をする体制が整わなければ、地方自治体の運営というものはできないのであります。したがって、その基本をなすこれらの諸君に関連するようなことは徹底的になくする方法をしませんと、いつまでたっても自治の発展には私はならないと考えます。最近は、地方版を見ておりますると、毎日というとおこられるかもしれませんが、かなりたくさんのこれらの事件があるようであります。したがって、ここでお聞きをいたしますことは、それらの汚職がどうして起こるかということについて、自治省は一体検討されたことがあるかないかということであります。
  176. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治が姿勢を正さなければならぬということは中央だけではございません。それは各末端地方公共団体に至るまで同様でございまして、こういう事故が起きないようにということは、始終われわれといたしましても注意を促しておりまするけれども、間々そういう事件が起こることははなはだ遺憾に考えております。最近、東京都で引き続いて毎日のように御指摘のように新聞面をにぎわしているああいう事件が起こって私たいへん不愉快に思っておりますが、あまりに機構が膨大なためになかなか監督の目が行き届かないのじゃないかという気がするわけであります。これはそれぞれ東京都におきましてもいろいろ御心配で、こういうことが起こらないようにということは知事もたいへん心配をいたしまして、いろんな方策を講じておられるようでございます。東京都あたりは非常に大きな団体でございまするけれども、しかし、やろうと決意すれば、こんなことは根絶できるはずでございまするので、自治省といたしましては、今後いよいよそういった面の指導について意を用いたいと思っております。
  177. 門司亮

    ○門司委員 私はいまの大臣の答弁だけでは満足しないのですがね。一体どういう指導をされているかということです。自治省は内簡だとか外簡とかいうものをむやみやたらに出されて、かなりめんどうなことを地方に指令されているようですけれども、どうもこういう事件が一向なくならないどころか、相次いで起こってくるというところに、私は、自治省の指導が、こういう方面でなくて、ただ自治省の権力だけを強くするためのことに終始しているのではないかという気がするのです。  それからもう一つ、立ったついでですからお願いをいたしますが、これの原因についてはいろいろありますが、一つは地方行政のあり方の中に行き届かない点がありはしないか。それは、一つの委員会制度というようなものが、満足ということばは行き過ぎと思いまするが、円滑にずっと進んでいけばこういう問題は起こりませんが、しかし、たまたまこういう問題の背景を見てみますと、何か執行機関と議決機関とが混同されやすいような形が出てきていはしないだろうか。その辺に対する指導といいますか、けじめをある程度はっきりして、議決機関は議決機関としての立場、執行機関は執行機関としての立場というようなものが十分に守られていくというようなことが行なわれれば、案外これらの問題は、心のゆるみというものがなくなるのではないかというように考えられますが、その辺に対する考え方でもしお気づきがあるならば、どなたからでもひとつ御返事を願いたいと思います。
  178. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 末端の地方公共団体にあっても、議会人といえば政治家でございますから、やはり政治家がそれぞれみずからの立場を自覚するという以外には防ぐ道はないと思います。政治資金の規制にもいろいろ私いま立法段階で苦労いたしておりますが、どんな取り締まりの規則をつくりましても、政治家のおのおのが自分の責任を自覚せざる限りにおいては、やはりこういう不祥事件というものはあとを断たないと考えている。これは指導と申しましても、いま内簡、外簡ということばも出ましたけれども、幾ら内簡を出してみたところで、なかなか片づく問題ではない。やはりこれは、国民全体の政治意識の高揚と申しますか、そういったことからかかっていかなければなかなかケリがつかぬ問題でございまして、単に自治省だけの問題でなく、これは今日の日本の政治が直面しておりまする解決を要する大問題もいろいろあるわけでございまするので、そういうことを通じてお互いに努力を進めていきたい、かように考える次第でございます。
  179. 門司亮

    ○門司委員 このくらいできょうは終わりたいと思いますが、あなたの大臣所信表明の中で、あげ足をとるようでありますけれども、これも私は遺憾に考えておりますのは、この中に書いてありますように、「五十一回国会以来都道府県合併特例法案の御審議をわずらわしているところでありまして、」と、こう書いてあります。これはそのとおりだと思う。しかし、このほかに継続審議になっているものが幾つかあるはずですね。しかもそれは野党側から出した一つの継続審議であって、それは大臣がみんな抹殺されてしまって、自分のほうから出したやつだけを通すことに努力するというのはおかしなことで、これを見ておりまして、なるほど大臣は、かなり自分かってなことばかり言っておられるなという気がしたのですが、どうなんです。いろいろな問題が出ているはずですが、それらの審議は今度の国会では願わないのですか。
  180. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は政府におりますので、まあ私どもの提案いたしましたものをぜひよろしくすみやかに御審議御可決をお願いしますと申したわけでございます。議員立法のほうは、国会自体の問題でございまするので、これはまた委員長さんのほうでいろいろお考えもあろうかと思いますので、そのほうにお願いいたしたいと考えます。
  181. 門司亮

    ○門司委員 大臣の答弁としてはそれでよろしいかとも思いますが、なるほど、政府から出したものが通ればそれでいいのだというなら、国会提案なんかどうでもいいということになるのですがね。極端に言えばそうなる。少なくともこの地方行政委員会に関する限りは、こういうものが懸案になっているというぐらいは大臣お認めになったらどうですか。それも認められないというのですか。議員立法というものは認められない、おれは政府の大臣だからこっちの言うことだけしかわからぬ、私は、お認めになるぐらいのところはお認になったからといって——この委員会でやはり審議すべきものは審議すべきものだ、そういう背景があればこそ提案されている議員立法であります。したがって、私は、そういう御答弁だけで逃げられたのじゃかなわないと思っていますがね。
  182. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も、私の所属しておる党内でぱ議員立法強化の主張をずっと続けてまいっておるものの一人でございます。予算に重大な関連がない限りは、予算関連法案でも議員立法で出すべきものである。これは何と申しましても議会は立法府でございますから、立法府がやるべきことが全部政府の手によって行なわれ、ここは単に賛成機関にすぎないということは私は正しいと考えておりません。そういった意味におきまして、政府提案のものばかりに固執しているわけではございません。皆さんのほうで御提案になりましたものについても、十分考慮してまいっておりまするので、その点は誤解がないようにお願いいたします。
  183. 門司亮

    ○門司委員 最後にもう一つだけ聞いておきますが、それは公債のことです。地方自治体は財源が非常に枯渇しておる中で、ことしも二千億余りの公債費を払わなければならないことになっております。借金の総額は大臣のほうがよく御存じだと思いまするが、大体一般会計で一兆八千億くらいじゃありませんか。それから公共事業債で一兆七千億くらい、両方で三兆五千億くらい地方自治体は借金をしょっておりますね。借金をしようということは、単に地方自治体が借金をしょっておるわけではなくて、これは地方住民がしょっておるのですね。国債と違うのですね。国債は国民が買うのであります。そして国債は、いい悪いは別にして、銀行利子よりも少しよろしい。あるいは郵便局よりもずっとよろしい。いま利回りは大体六分八厘くらいになりはしませんか。ところが、銀行に預けましても五分五厘、郵便局に持っていけばそれよりも安い。したがって、国債を買ったほうが国民はもうかるということで、国民は、国債自身は幾らか貯蓄になるかもしれません。ところが、地方債というものはそれと全く逆でございまして、国民が安い利息で貯金をする。それが政府の運用部資金に回っていく。あるいは高い税金を取られる。その税金を地方自治体が借りるのですね。そして払うほうはだれが払うのか。地方自治体が払うわけではございませんで、地方住民がみんな払うのです。だから、地方債というのは、地方自治体が借りるのではなくして、地方住民が個々に安い利息で国に預けて、高い利息で国から借りておるということになる。その利ざやだけ国民が貧乏する、こういうことになるのですね。そういう原理になると私は思うのだが、その地方債が、いま申し上げましたように両方合わせて三兆五千億というような数字になってきた。そしてこれはどうにもならなくなってきておる。そこで、これらの問題の利息の状態をずっと調べてみますと、一番安い特別債で六分三厘というのがありますが、高いのは八分をこえているのがありますね。それから、ほかに公債の仲間に入らない一時借り入れというものがありますね。この一時借り入ればかなり高い利息であって、少なくともこれは三百億ぐらい利息を払っているのではないか。一時借り入れば利息は高いのでありますし、統計にはあらわれてこない。利息だけがあらわれてくる。こういうことで、地方財政を非常にむしばんでいるのはこの辺にも一つ原因がありはしないかと考えられる。これに対して、一体自治省はどういうふうにお考えになるのですか。お金が足りなければみんなおまえのほうに貸してやる、そして利ざやは国がもうけるという、こういう形でおられるのかどうなのか、ひとつ地方債についての基本的な考え方を聞かしておいていただたいと思います。
  184. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方の現債額は御指摘のとおりでございまして、債務負担を入れればざっと四兆円、いま御指摘になりましたいろいろなものを加えればそういう金額になるのではないかと思います。いま地方財政内容を健全化するために、これを洗って、今度繰り上げ償還いたしますものを選定いたしましたのも、ここに資料もございますけれども、いろいろ苦心をしてやったわけでございます。しかし、利ざやを国がかせぐのかとおっしゃると、平たく言うと何かつじつまが合わぬような妙なことになるわけでございますけれども、この金利というものは、御案内のとおりに、議論すればし尽くせないくらい、それぞれ大蔵省は大蔵省の見方もあるわけでございまして、私どもとしては、できるだけ低金利のものを、国民の大事な行政需要と申しますか、社会資本の蓄積に投ずるわけでございますので、低金利のものをと思っておりますけれども、なかなかうまいぐあいに運んでおりません。しかし、御指摘のとおりに、この借金というものは全部住民の借金であることに間違いないわけでございますので、負担を軽からしめるための努力はなお続けていかなければならぬと考えております。
  185. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけ聞いておきたいと思いますが、公共料金がずっと上がってきております。そこで、これをどうしても押える必要が私はあると思う。公共事業は御承知のように全部借金でやっております。したがって、借金とこれとは切り離しては考えられません。これを安くしようとするのには、どうしても借金のことを考えないわけにはいかない。そこで、借金のことを考える場合には、一つの方法として償還年限のいわゆる据え置き期間というものをある程度——事業がペイするところまではいきませんが、事業を実際に始める時期までは償還を据え置いたらどうか。そうしてあげないと、事業収入はほとんどないが償還はしなければならない、利息を払わなければならないということになりますと、非常に苦しくなってくる。したがって、公共料金の値下げの一つの方法としては、先行投資をしたものが返ってくる時期まで大体償還をさせない、据え置いてあげるというような親心がなければ、公共料金はどんなことをしても下げられない、上げざるを得ない、こういう気がするのであります。これも私はたいしてむずかしい仕事ではないと思うのですが、三年間、五年間あるいは長くて——十年計画なんというものは少ないでしょうから、そう長い間では私はないと思う。今日、先行投資を非常に必要としておる公共事業に対する値上げの問題がどこでもやかましく起こって、毎年毎年水道料の値上げだ、いや何の値上げだと、やらなければならぬその背景は、全部この借金の償還が中心になっておって、そして事業収入をそれが上回るというばかばかしいものまで出てきておる。この辺の考え方は政府にはございませんか。
  186. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、収益を伴う事業でありましても、やはりペイするまでにはなかなか時間がかかります。ですから、実情を考えまして、据え置き期間というものも、実情により、それぞれによりますけれども考えていがなければならぬとも考えておりますし、また、高金利のものも、少なくとも公営企業なんかにおきましては、借りかえなどの際にいろいろな措置で手をかしておるわけでございます。しかし、一番問題になっておりますのは、例の地下鉄などになりますと、とてもじゃないが、あれだけの建設費を払ってペイするわけはございませんので、こういったものについては、もっと根本的な策を考えなければいかぬと思っておる次第でございます。
  187. 門司亮

    ○門司委員 これで終わります。
  188. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、明十五日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会