運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-05 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月五日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君       青木 正久君    伊東 隆治君       亀山 孝一君    木野 晴夫君       辻  寛一君    永山 忠則君       野呂 恭一君    井岡 大治君       太田 一夫君    河上 民雄君       中村 重光君    三木 喜夫君       山本弥之助君    依田 圭五君       門司  亮君    大野  潔君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警察庁警備局長 川島 広守君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         厚生省薬務局長 坂元貞一郎君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月四日  委員谷口善太郎辞任につき、その補欠として  林百郎君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として中  村重光君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村重光辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月一日  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五八号)(予) 同日  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (安宅常彦紹介)(第一八四三号)  同(赤路友藏紹介)(第一八四四号)  同(渋谷悠藏紹介)(第一八四五号)  同(井岡大治紹介)(第一八四六号)  同(井手以誠君紹介)(第一八四七号)  同(石川次夫紹介)(第一八四八号)  同(石田宥全君紹介)(第一八四九号)  同(石野久男紹介)(第一八五〇号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第一八五一号)  同(板川正吾紹介)(第一八五二号)  同(稻村隆一君紹介)(第一八五三号)  同(江田三郎紹介)(第一八五四号)  同(小川三男紹介)(第一八五五号)  同(大出俊紹介)(第一八五六号)  同(大柴滋夫紹介)(第一八五七号)  同(大原亨紹介)(第一八五八号)  同(岡田春夫紹介)(第一八五九号)  同(河野正紹介)(第一八六〇号)  同(佐野進紹介)(第一八六一号)  同(島上善五郎紹介)(第一八六二号)  同外一件(山口鶴男紹介)(第一八六三号)  同(米内山義一郎紹介)(第一八六四号)  同(赤路友藏紹介)(第一九〇三号)  同(井岡大治紹介)(第一九〇四号)  同(岡田利春紹介)(第一九〇五号)  同(岡田春夫紹介)(第一九〇六号)  同(岡本隆一紹介)(第一九〇七号)  同(加藤勘十君紹介)(第一九〇八号)  同(加藤清二紹介)(第一九〇九号)  同(加藤万吉紹介)(第一九一〇号)  同(勝澤芳雄紹介)(第一九一一号)  同(勝間田清一紹介)(第一九一二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一九一三号)  同(金丸徳重紹介)(第一九一四号)  同(神近市子紹介)(第一九一五号)  同(川崎寛治紹介)(第一九一六号)  同(川村継義紹介)(第一九一七号)  同(河上民雄紹介)(第一九一八号)  同(河野正紹介)(第一九一九号)  同(木原津與志君紹介)(第一九二〇号)  同(木原実紹介)(第一九二一号)  同(北山愛郎紹介)(第一九二二号)  同(久保三郎紹介)(第一九二三号)  同(栗林三郎紹介)(第一九二四号)  同(黒田寿男紹介)(第一九二五号)  同(小林信一紹介)(第一九二六号)  同(小松幹紹介)(第一九二七号)  同(兒玉末男紹介)(第一九二八号)  同(和田耕作紹介)(第一九二九号)  同(井手以誠君紹介)(第二〇一三号)  同外二件(伊賀定盛紹介)(第二〇一四号)  同(猪俣浩三紹介)(第二〇一五号)  同(川村継義紹介)(第二〇一六号)  同(河上民雄紹介)(第二〇一七号)  同(小松幹紹介)(第二〇一八号)  同(佐野憲治紹介)(第二〇一九号)  同外一件(神門至馬夫君紹介)(第二〇二〇  号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第二〇二一号)  同(細谷治嘉紹介)(第二〇二二号)  地方公務員定年制実現に関する請願井原岸  高君紹介)(第一九三〇号)  社会保険等行政事務及び職員の地方自治体移管  に関する請願(西尾末廣君紹介)(第一九三一  号)  同(山本政弘紹介)(第一九三二号)  同(吉田之久君紹介)(第一九三三号)  同(石田宥全君紹介)(第二〇二三号)  同(松前重義紹介)(第二〇二四号)  同(松本七郎紹介)(第二〇二五号)  同(武藤山治紹介)(第二〇二六号)  同(村山喜一紹介)(第二〇二七号)  同(森義視紹介)(第二〇二八号)  同(森本靖紹介)(第二〇二九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二〇三〇号)  同(古川喜一紹介)(第二〇三一号)  同(帆足計紹介)(第二〇三二号)  同(穗積七郎紹介)(第二〇三三号)  同(細谷治嘉紹介)(第二〇三四号)  同(堀昌雄紹介)(第二〇三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件(佐世保事件に関する問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。  佐世保事件に関する問題等について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奧野誠亮君。
  3. 奥野誠亮

    奥野委員 最初警察当局にお伺いいたしたいと思います。  第一次、第二次の羽田事件佐世保事件成田空港事件と、三派系全学連等学生集団の動きが急速に悪質化してきているように思われるのであります。新聞雑誌等にあらわれるところだけを拾ってみましても、羽田での角材石ころから、佐世保ではハンマーが使われたり、成田空港では劇物が投げつけられたりしているようでございます。なおまた、佐世保に西下する学生集団が、車両を独占して、車掌その他の入室を拒んだりしているようでもあります。しかも、法秩序を守ろうとする警察官にまつ正面から戦いをいどんでいく姿が、だんだんと大っぴらになり、激しさを加えてきているようにも見受けられるわけでございます。そこで、彼らのとってまいってきております戦術や、用いている武器その他がどのようなものであるのか、最初に御説明願っておきたいと考えるものでございます。
  4. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの趣旨は、三派系全学連の最近におきます暴走の傾向というか、その中で、特に彼らのやっております武装行動あるいは武装闘争ということをしきりに申しておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、これら三派系全学連学生が特に暴力をふるい始めましたのは、昨年の二月二十六日の砂川闘争、続きまして五月二十八日の第一次の砂川、七月九日の第二次の砂川、次いで十月八日の第一次の羽田、次いで十一月十二日の第二次の羽田、それから御案内のいわゆる佐世保事件、さらには二月二十六日の成田事件、こういうふうに連続反復暴力行為が繰り返されておるわけでございます。その中で、昨年の第二次の砂川事件までは、おおむね彼らが使いましたものはいわゆるコンクリートの破片でございますとか、あるいは路上の石でございますとか、あるいは側溝のふたを砕いたものでございますとか、主として石による暴力行為が大部分でございましたが、第一次の羽田事件を契機にして、完全に従来の闘争戦術とは変わりまして、学生のほとんど全員がいわゆるヘルメットを着用する、あるいは全員がいわゆるホッパースタイルと申しますが、覆面をする——これは当然のことながら、自分身分を隠すためのものでございますけれども、さらに、ほとんど全員が、いわゆる質材もしくは直ちに角材に転用し得ますところのプラカードを所持する、これでなぐる、突く、打つというようなことに相なってきたわけでございます。  次いで、佐世保事件におきましては、これは事前に確実なる情報もあったのでございますが、アンモンニアでございますとかその他の薬物を使うということ、さらにはロープを使って、阻止線と申しますかいわゆるバリケードその他を破壊するため、かぎをつけましたロープ、あるいは現実にはいかりを使って平瀬橋のところでは破壊の用に供したのでございますが、そういうようなもの、あるいは石割りハンマーでございますとか、あるいは鉄線のバリケードを切りますはさみでございますとか、ペンチ、そういうようなものが十分に用意されておったことは、犯罪の結果に徴してきわめて明らかでございます。  さらに二月二十六日の成田事件におきましては、現在調査中でございますので、いかなる薬物であったかまださだかではございませんけれども、いまわれわれが実況見分の結果鑑定を急いでおりますものは、おおむね十種類程度薬物であろうかというふうに判断をいたしております。その大部分は、おそらくアンモニアも含めまして農薬を使ったものと考えられるわけでございます。新聞にも一部報道されておりまするが、成田の場合には、一人の巡査がたてを持って投石を防いでおったわけでございますが、顔面にその薬物が投げられまして、直ちに本人は目が痛くなりましたので眼科に行ったのでございますが、眼科に行って治療を受けている最中に気分が悪くなりまして、そこで眼科から他の病院にすぐ移りまして、その夜中に気道閉鎖——気管が詰まって呼吸困難になったわけでございまして、直ちに気道の切開をいたしたのでございます。幸いにして命は何とか保てるような状態でございますけれども、目下まだ絶対安静という状態のままに推移しておるところでございます。  そういうようなことで、次第に学生らの使いますいわゆる武器とか称しておりますものは、いま申しましたように、種類において、あるいは内容において、非常に危険度を加えてきておるということは、いま申しましたことではっきりいたすのではなかろうかと存じております。
  5. 奥野誠亮

    奥野委員 私が心配いたしますように、非常に悪質になってきていると思うのであります。そのことは、明らかに指導者指揮者革命機運の醸成をねらっている、このような感じがするのであります。それに参加している学生の大部分は、あるいはそうしたしっかりした意識を持っていないかもしれませんけれども、しかしこのような状態を続けていきますと、火遊びが高じて、しまいには大火にならないとも限らない、かような危惧の念を強く抱いておるものでございます。  そこで、さらに警察当局にもう一度確かめたいのであります。  もともと私は、これらの学生問題は、警察の問題であるより以前に、かつ、より以上に、学校当局勇気を持って処理すべき問題だ、かように考えるわけでありますし、文部省考えるべき問題であるとも思うのでございます。そのような見地から若干ただしていきたいために警察当局に再度伺うわけでありますが、佐世保事件に際して、九大教養部学生会館が三派系全学連等現地闘争本部になったと承知しているわけであります。あしたに角材を持って警察隊に突入する学生を送り出し、夕べに傷ついた学生を迎え入れて、あしざまに言いますと、人を教育する崇高な場所が、暴力的な武装集団の本拠になっていたというようにも言えるわけでございます。また、地元民大学当局抗議文書を送っているわけでありますが、その中にこういうふうに書いてあります。「私共周辺居住者は、」——要するに九大周辺居住者でありますが、「貴大学の学内秩序維持不能のため、日夜、狂騒怒声暴力の脅威にさらされた。その後再び十二日夜から翌朝にかけて、無法状態乱闘がひき起こされ、その間、火事さわぎまで招いた実情を知り、全く慄然とした。これは、依然として暴力学徒不法占拠を容認するなど、大学側のあいまいな態度が原因である。とくに市民が乱闘事件を通報したにもかかわらず、傍観して被害を大きくしたことは、すべて当局責任である。」云々、いろんなことを書いておるわけでございます。  そこで、このように地元民からは非常なひんしゅくを買い、不安におとし入れたについては、相当な人数が毎日出たり入ったり、宿泊していたのではないだろうか。かように考えますだけに、その実態をこの際明確にお教えいただきたいと思います。
  6. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまお尋ね九州大学学生会館並びに田島寮という寮が今回の佐世保事件文字どおり拠点になりましたことは、御指摘のとおりでございます。一月の十五日からこの闘争が終息いたしました二十二日までの間、九州大学に宿泊いたしました学生の数は、九大学生会館のほうに延べで千八百二十六名、うち三派系が千七百三十六人でございます。他方九大田島寮学生寮に宿泊しましたのが千百八十八名でございます。延べで総計三千名という数に相なるわけでございます。その中で、特に佐世保事件と一般的に称されます直近の日にちで申しますと、一月の十六日が学生会館に六百人、十七日が五百七十八人、十八日が三百六十五人、他方田島寮のほうは、十九日に二百八十人、二十一日に四百四十一人というのがおもな宿泊の数でございます。
  7. 奥野誠亮

    奥野委員 いまお話を聞きまして、意外に人数の多いのに非常な驚きを感じているわけでございます。学校は人を教育する場所でございます。そしてまた、環境が人間を育てていくんだともいわれているわけでございます。そのような学問の府の中に、ヘルメット角材石ころが持ち込まれ、こん棒を振り上げて警察官に襲いかかる暴力学生横行濶歩を数日間も放置しているということ、ちょっと私たちには考えられない事態でございます。学校当局一般学生の感覚が麻痺してしまっているようにも思えるわけでございます。学校当局の無責任さにははなはだしいものがあるようにも思えるわけでございます。十人や二十人の問題じゃなしに、五百人、六百人が出たり入ったりしているということ、全く驚き入った感じを持つのでございます。  そこで、文部当局に伺いたいのでありますが、文部省設置法を見ますと、文部省は、大学に対して、その運営に関し指導助言を与えると示されているわけであります。九大当局学校管理のあり方にどのような指導助言をされてきたか、これが一つであります。  もう一つは、文部省指導助言はいかがであれ、九大の問題は、九大最高責任者、それは学長でございましょうが、責任を明らかにされる必要があると私は考えるのでございます。責任を明らかにしていくことが、感受性の強い学生に最も説得力があるのではないか、かように思うのでございます。一体、学長はどのような責任をお感じになり、それを文部当局に申し出されてきているか、明らかにしていただきたいと考えるのでございます。  さらにもう一つ、いまや学園の雰囲気や環境を根本的に立て直さなければならないときに至っていると考えるのでございます。もちろん、先生方の中には、暴力革命を支持し扇動しようとする方もございましょう。しかし私は、現在においてはそう多くの数でもないように思うのでございます。少なくとも民主主義を守り抜こうとするより多くの先生方に、勇気ある行動勇気ある態度を望みたいものだと念願しているのでございます。いまこそ勇気を持って学生指導力を回復してもらいたいという念願を強く抱いているものでございます。文部省当局のこれからの指導方針、どうお考えになっているか、それを明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  8. 宮地茂

    宮地政府委員 昨年の羽田事件に続きまして、今年初頭に、お尋ね佐世保事件学生身分を持ちます者が非常に社会を騒がせるような不祥事件を起こしまして、文教の問題につきまして所掌しております文部省としましてもまことに申しわけなく、非常に責任感じておる次第でございます。  お尋ね佐世保事件について、九州大学に対して文部省はいかなる指導助言を行なったかという点でございますが、先般の佐世保事件につきましては、昨年暮れからこうした計画が事前に私どものほうにも予測されておりました。したがいまして、昨年の羽田事件に引き続きまして不祥事件学生の手によって起こるということは、まことに遺憾なことでございますので、文部省といたしましても、これは全国的に佐世保学生が集まるということでもございますので、各大学学生部長を集めまして、こういった問題においての一般的な羽田事件反省と同時に、予想される佐世保問題について、学生部長との打ち合わせ会と申しますか懇談会を開きました。同時に、九州地区学生部長会議をことしの正月に入りましていたしました。こうした場所におきましては、やはり大学き然とした態度を持って、学生がこういった問題で不祥事件を起こすようなことのないように、参加をすることはもちろんよろしくございませんが、あらゆる場面を想定して、大学としてのとるべき措置について話し合いをいたしました。そういうことで、特に九州大学といたしましても、自分学校拠点になるであろうということで、九州大学佐賀大学拠点になるおそれがあるということで、それぞれ九州大学佐賀大学におきまして、どのような方法学生参加を食いとめ、あるいは学園秩序を乱すことに対して教職員はどのような方法でこれを阻止するかといったような詳細なスケジュールも立てておりました。そういう関係で、文部省といたしましては、佐世保事件が起こりました先ほど御指摘の数日間に直接文部省としてああせよ、こうせよということはいたしませんでしたが、その事件の直前までそういった指導をとってまいりました。また、同時に、文部大臣としての談話を発表し、あるいは私の名前で大学に通達もいたして指導いたしたわけでございます。しかしながら、当日の状況は、御指摘のような、文部省指導があまり役に立たない、また大学の準備もあまり役に立たない結果に至りましたのをまことに申しわけなく思っております。  それから、事件後、文部大臣が直接九州大学学長佐賀大学学長に上京してもらいまして事情の聴取を行ないました。二番目の御質問で、大学責任を明らかにするようにという御質問でございましたが、そのことと関連いたしますが、九州大学学長といたしましては、先般不法な学生によってあのような不祥事件が起こり、学園秩序が乱され、社会を騒がしたことに対しては、まことに申しわけがございませんでした、自分としても非常に遺憾に思っておりますという、事情報告と同時に、学長の遺憾の意の表明がございました。文部大臣といたしましては、今回の事件に対して、ただ遺憾の意を表されるだけでは社会は納得しないだろう、また大学責任もそれでは済まされないであろう、大学としての筋の通ったけじめはつけていただきたい。それに対して文部省として、どうせよ、こうせよという指示はいたしませんが、学長において筋の通ったけじめはつけていただきたいということを、大臣からも申しました。学長といたしましては、その場合の処置については、社会的にも批判があるし、また、自分としてもいろいろな考えがあるが、やはり大学として一致した考え方で、二度と再びこういうことが起こらないような、そういう措置を含めての今回の事件の処理はいたしたいということでございました。  ただ、それにつきまして、最終的に今日まで、このようなけじめをつけ、筋道を立て、責任をとるという報告には接しておりませんが、伝えられておりますように、教養部長学生部長責任をとるとか、そういった一、二の当事者の意思表示は出ておるようでございますが、大学としての今回の問題についての責任のある処置ということについては、まだ学長から報告に接しておりませんし、最終的なけじめはつけていない状況でございます。  それから、大学先生勇気を持ってこういう問題に当たるようにという、三番目の御指摘、御質問でございますが、私どもといたしましては、このように羽田事件に続きまして二度三度と重なった不祥事件、また近くは、成田空港学生が出向いて騒いでおるといったような、非常に世の中の耳目をそばだてるような事件を次々に起こしております。これに対しましては、文部省として、あるいは法律命令によっていろいろな措置考えられますが、何と申しましても、やはり大学におきましては直接学生を預かる教職員が真剣に事の重要性を認識して、心から自覚をして、適切な学生指導に当たるということがともかく一番最初のやるべきことであり、また最後のことである、これがすべてであるというふうにさえ考えられますので、そういったことは羽田事件以来文部大臣が国立、公立、私立の学長との懇談会におきましても申しておりますし、教職員が一致して事態を認識し、責任感じ、また、いろいろいいことを大学としては声明をしておられますので、要は勇気を持って、責任を持ってその実を示してもらいたい、その実を示されることを文部大臣としては期待をしておるということを言っておりますが、私どもとしても、そういったことで大学反省、努力を促しておる次第でございます。
  9. 奥野誠亮

    奥野委員 大学学生諸君はやがて次代をになっていくわけであります。社会の興亡、日本の盛衰が彼ら学生の上にかかっているわけでございます。それだけに私は、非常な危惧の念を持って文部当局にお伺いしているわけでございます。  いま伺いますと、大学全体に対して指導助言を強めていったというお話を伺いました。しかし、九州大学があのようなていたらくでありながら、九州大学に対して、その後少なくとも遺憾の意も正式には表されていないじゃないかという感じを持つのでありまして、学長と個別にどう話をかわされたか知りませんけれども、やっぱり非常に問題を起こした学校当局に対しましては、文部省設置法に定められている指導助言責任文部当局は果たされるべきではないか、私はかように考えるわけでございます。そのことは決して大学自治に対する干渉ではございません。指導助言法律文部当局に義務づけておるわけでございまして、この義務の履行なくして学園立ち直りを期待することは不可能ではないか、私はかように考えますので、もう一度この点についてお答えを伺っておきたい、かように考えるのでございます。  同時にまた、九大学長についてもけじめをつけなさいと、こうおっしゃっておられる。佐賀大学き然として学園を守った姿とはまことに九州大学は対照的であった、かように考えるわけでございます。みずからけじめをつけない場合にはどうされるのか。私は、法律の定めるところによってしかるべき処分をなされるべきだ、かように考えるわけでございます。処分をなされることによって初めて真剣に学生指導に取り組んでいる人たち勇気づけることになるのだ。文部当局があやまちをあやまちとしてこれを処分することなしに、多くの大学教授勇気をふるい起こしてもらいたいと言いましても、それはただ口頭に終わってしまうじゃないかという心配を私は持つものでございます。文部省当局に対しましても、この際勇気を持っていただきたい。しかし、干渉をしなさいと申し上げているわけではございません。一般的に、抽象的に、大学当局にいろいろと指導助言をしている限りにおいては、あるいは文部省責任は比較的軽いかもしれません。しかし、非常なあやまちを犯した大学に対しまして、それを指摘されませんでは、いつまでたっても立ち直りを期待することは非常に困難だ、私はかような心配を持ちますので、この点につきまして重ねて御見解を伺っておきたいと思います。
  10. 宮地茂

    宮地政府委員 直接九州大学に対しての指導という重ねてのお尋ねでございますが、先ほど申しましたように、大臣から直接学長事情を聴取し、また、学長からも遺憾の意の表明があり、大臣としても、筋を立てて社会に対し、あるいは大学自身も責任をすみやかに態度で示していただきたい、それを期待しておるということを申しましたが、その後学内では御指摘学生処分を含めましていろいろ学内でのこの問題の処置が、まことに遅々としてはおりますが、あれで終わったのだということでなくて、責任感じて、そのあと始末は学内の諸機関を通じてやっておるようでございます。したがいまして、私のほうといたしましては、大臣が申しましたことにつきまして、その後九州大学に対しまして、直接学長ではございませんが、事務局長を介して大臣の申しました点を私からも強く伝えておる次第でございます。まだこのような結果に一応大学としてのけじめをつけましたという最終的な報告に接していないのは恐縮でございますが、大学としてはそのような措置をいま考えておるということでございます。  それから、なおこれはつけ加えでありますが、羽田事件以後、ああした学生の問題につきまして、起訴をされあるいは検挙されなくとも、参加をして相当な不法なことをやった学生がおります。これにつきましては、私どもといたしましては、ただ処罰をするだけが能ではない。しかしながら、処罰を含めて大学のとるべき責任というものがあるであろうということで、そういう連絡もいたしておりますし、大学としましては、いろいろこの問題につきまして各大学が検討をいたしております。羽田事件以後いまだ、その何校がこのようにいたしましたと申し上げるほどの結果が出ておりませんが、学生を退学させる、あるいは停学させる、あるいは説諭、巖重注意、まあいろいろな種類がございますが、そういったことをこれまでやった学校はわずか数校でございます。羽田事件以後、多くの大学におきましては、それぞれ学内の機関にかけまして、あるいはすでに済みました者につきましても、教授が常時生活指導をしていくとか、あるいは誓約書をとる——以後再びこのような事件には参加しないとか、いろいろな方法大学責任を果たすべくいま努力をいたしておることを一応御報告いたしておきます。  ただ、大学というところは、学内組織が非常にあれでいろいろ教授会もございますし、各教授会の間で学生処置につきましても刑量が非常にアンバランスになっておる。そういった場合には、またたびたび横の連絡をするとかいったようなことで、すみやかに措置がなされておらないのは恐縮でございますが、決して大学としては、羽田事件以後ほおかぶりでうやむやにほうむろうということではないということをつけ加えさせていただきます。  それから、国立大学協会におきましては、国立大学全体の問題として常置委員会でこうした問題についても検討をいたしております。
  11. 奥野誠亮

    奥野委員 私がお願いしている問題は、文部大臣学長が個別に話し合われる、個人と個人との問題でなしに、社会を背景にして、文部省当局九州大学についてどういうような見解を持っているか、それを常に明らかにしていく。文部当局態度が適当でなければ社会的批判も受けるでしょう。しかし、それだけの自信を持って臨んでもらいたいということを私は申し上げているわけでございます。個別取引をどうしてくださいというようなことはひとつも申し上げていないのであります。社会を背景にして、文部省の見解が常に明らかになるように、全大学に、九州大学については文部当局はどういう考え方を持っているのか、批判をしているのかということを、明らかにする方向で取り組んでもらいたいというお願いを申し上げたいのであります。  いまのお話しで、処罰するだけが能ではないというお話しがございました。いままでどれだけの処罰をされたか。しておられないじゃないか。それは憶病だ、こう言えるじゃありませんか。責任を感ずる者の態度ではないじゃないかということが言えるではありませんか。私は非常に顕著な九州大学だけを申し上げているわけであります。いたずらに処罰権を振り回しなさいということを申し上げておるのじゃございません。何も処罰しないということは、これは憶病、無責任に通ずるのじゃないかということを指摘したいのであります。しかし、いま大学学術局長の話では、学内の処置について、いずれ九州大学当局から文部省報告があるということを伺いました。私は、今日の治安問題は大学問題だとまで言えると思うくらいに心配をいたしているものでざいますので、そういう報告がありました場合には、ぜひ当委員会にお知らせをいただくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、警察当局暴力をふるう学生を検挙しているでしょうし、また、人物も具体的に相当多くのものを把握をしているだろうと思うのでございます。これらの学生につきましては、当然警察当局文部省に通報してきておられるだろうと思うのであります。そのことを明らかにしていただきたいということと同時に、数多くの学生を出している学校、これはやはり常に公にしていただいて、そして学校当局にも考えてもらいたいし、社会の皆さん方にも深い関心を持っていただかなければならないじゃないか。総がかりでこの問題を研究、検討し、是正していかなければならないのじゃないだろうか、かように考えるわけでございますので、それらの学校をひとつお教えをいただきたい、かように思います。  それを受けて文部省は各学校におそらく連絡していられるだろうと思うのでありますが、どの程度連絡し、また、それらについて文部省はどのような見解を学校当局に示しておられるのかということを伺いたいのであります。おそらく学校は父兄にこれを連絡しているのだろうと思いますけれども、それがどのような姿になっているのだろうかということも承知したいのでございます。寡聞にして私は、山崎君の事件について容疑者とされた二人を、日本大学当局が退学を命じたということを新聞記事で拝見いたしました。それ以外には、少なくともこれだけ大きな騒ぎを起こしながら、退学の処分をした学校を知らないのであります。それでいいと考えておられるのかどうか、この点についても文部当局考えを明らかにしていただきたいのであります。  学生の本分を乱り、学生としてあるまじき行動をとった者を処分しないで、学園秩序を守り、学生を善導していくことはできないじゃないかと心配をしておるのであります。もちろん退学という処分もあれば、停学という処分もあり、訓告という処分もございましょう。何らかの処分に相当しているはずだ、かように私は考えておるものでございます。学校当局が善導できない学生をいつまでも学校にとどめておくこと自体にも問題がある、かように考えております。もしあのような行動を起こす者が一般社会人でありますならば、社会全体が、これを放置することは許さないだろうと思います。また、全面的にこれを逮捕できないような警察なら、社会から警察が信頼を失なってしまうと思います。いまの暴力学生のように警察官にこん棒をたたきつけながらもなお学校に籍を置き、二度、三度、四度と出撃しておる、もしこれが一般の社会人でありますならば、私は直ちに、左翼の暴力活動に対しまして、国家の存立を危うくするものだとして右翼の暴力活動が活発に始まる、かように考えるわけでございます。現状でも私は右翼の活動が相当活発になってきておるのじゃないかという心配を持つわけであります。私は、右翼であれ、左翼であれ、暴力は排除したいのであります。右翼の暴力活動の傾向について、簡単でけっこうでございますが、変化がなければけっこうでございますが、変化があるなら御指摘をいただいておきたい、かように思うのであります。学生だから学校当局がそのうちに何とか善導してくれるだろうという社会の甘い期待もございます。また、警察当局のある程度の寛大さも私はあると思うのでございます。社会一般や警察当局の期待にこたえられない場合には私は学校から突き放すべきではないか。同じ人間が角材をかついで渡り歩いておるのに、それに対して依然として学校身分を置いておるというのは、ある意味においては学校も共犯者になるのじゃないか、こういう感じすらするのでございます。こういう学校当局のあり方についてはいかにも疑問を抱かざるを得ない。したがって、いま申し上げたように、警察文部省学校、父兄、これらの連絡がどのように講ぜられておるのかということをこの際教えていただきたいと思います。
  12. 宮地茂

    宮地政府委員 まず警察との連絡でございますが、私のほうは、検挙されたものは警察に、それから起訴されたものは法務省のほうに照会をいたしましてその様子をお聞きしまして、それを大学に通達いたしております。ただ、これは大学の要望もございますし、私のほうの考えもございますが、一応その学校の名前あるいは学生の氏名を世に公表することは、これは警察あるいは司法的な観点でなさることは別といたしまして、教育的立場にあります文部省といたしましては、やはりその学校の名誉、あるいは将来の教育の可能性のある学生もおる、こういう観点から、氏名と学校、名を公表することだけは御容赦いただきたいと思います。大学にもそのように申しておりますが、個々の大学には、何のたれべえがどうしたという、警察なり法務省の見解はそのとおり伝えております。ただ、これに対しまして大学処置でございますが、先ほど来申し上げておりますように、警察に検挙された、あるいは法務省のほうで起訴された、こういう事実だけで大学は直ちにこれを一般の国家公務員のように、まあ休職に当たる停学に対するとかいったようなことは、機械的にはやらないという大学がほとんでございます。これにつきましてはいろいろ批判もあろうかと思いますが、大学といたしましてはやはり教育の可能性を信じる。で、検挙され起訴された者、その学生は直ちに呼び出しまして事実を学生から述べさせております。もちろん、そういう学生ですから、事実を否定して、検挙される筋合いではなかったとか、起訴されたけれども、おれはそうじゃないんだとか、いろいろそういうことを大学当局に言っておるようでありますが、そういうことばだけにだまされるということではなくて、司直の手でさばくということは、違った教育的な配慮から、そういう起訴、検挙された学生についての事実を、大学としてもできる限り本人からも話させ、事実を調査する、あるいは警察に行って事情を聞くとか、いろいろやっておるようでございます。  それから、もちろん父兄にも通知をいたしております。これは処分だけではございませんで、今回の佐世保事件の場合は、羽田のときにいろいろ大ぜいの学生参加したような大学、これは十数校でございましたが、私どものほうからも指導いたしまして、大学からそれぞれの父兄に、佐世保事件事前の予告をして、親からも、学生に対してこういうことをしないように手紙を出してやってほしい、あるいは直接指導してほしいというような連絡もいたしておりますが、もちろん、警察の検挙起訴された学生の父兄には連絡いたしておるのが事実でございます。  それから、大学処分がいまだかつて出てないではないか、一、二の大学を除いて全体的にないではないか、まことに遺憾でございますが、そのとおりでございます。この事情につきましては、別に大学を弁護するわけではございませんが、大学といたしましては、起訴、検挙されたからすぐ停学、とりあえず停学といった、公務員のようなことは教育的でないというような考え、それから、教授会にはかつてそれぞれこういう問題をやっていくといったようなことで、今日までまとまった数字の大学処分を行ない、決着をつけたという大学はございませんが、私のほうもそのことは督促もいたしておりますし、決してうやむやに葬ろうという考え大学にございませんので、何も処分をしなければしないという理由をはっきりさせて、文部省のほうへ報告をさせるというふうにいたしております。したがいまして、いましばらく、大学責任において処置すると申しておりますので、しばらく御猶予いただきたい、このように考えます。
  13. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの、今回の一連の三派系全学連の暴走に対しまして、いわゆる右翼団体の動向でございますけれども、御指摘羽田事件を契機といたしまして、三派系全学連の武装化というものが一段と計画的になり悪質化してまいりましたことは、先ほどもお答え申し上げたとおりでございますけれども、このような羽田事件を特に契機にいたしまして、右翼団体といたしましては非常に、いわゆる危機感を一そう深めたということははっきり申せると思うのでございます。と申しますのは、羽田事件の場合にもそうでございましたが、おおむねこの種、いわば学生等の動員がございます場合には、数の多少は別といたしまして、右翼陣営では、いわゆる七〇年問題というようなものにつきましても、それぞれの団体においてそれぞれの見方なりあるいは対策とも申すべきものを発表しておるわけでございますが、そのような発表されました内容等をしさいに検討した上で申せますことは、羽田事件につきまして学生というものが在来大したことはない、こう考えておったのだけれども、実際現場であの暴走ぶりをまのあたり見て、非常な、いわば焦燥感と申しますか、危機感を非常に深めたということは、はっきり彼ら自身がものに書き、あるいはまた、彼らの団体の細胞でも述べておるところでございます。そういうようなことで、今回の佐世保事件に例をとって申しますと、今回の佐世保事件には、十五日から二十二日までの間で、右翼団体の参加延べで五十六団体、現場に出ました数が延べで六百七十五名、最高時十六団体、二百三名という数字に相なっておるわけでございます。そのようなことで、右翼といたしましては、現場の学生の暴走ぶりに対して、先ほど来繰り返しお答え申し上げておりますように、非常な焦燥感を持っております。そこで、われわれ警察といたしましては、当然この種の学生の暴走というものが反射的に右翼側の不法行為を誘発するということは、過去の歴史にも明らかでございますので、、そのような観点から、右翼の動向につきましては調査し、対策も十分に講じてまいりたいという立場から、その動向には至大な関心を持っておる次第でございます。  ちなみに現在、虞犯性が高くて、治安維持の観点から常時その動向について視察をしなければならない、また現に視察をしております数が六百名程度にのぼっておるということをお答えいたします。
  14. 奥野誠亮

    奥野委員 文部当局のほうで、必ずしも学校当局が処罰しないでもよい場合が多いようなお話があって、たいへんけげんな気持ちがしたわけでございます。そういうようなことではなくて、学生の集団的な反抗が予想されるので、できない状態にまでもう混乱状態が濃化したのだ、こういうことじゃないかと私は考えるわけでございます。その立て直しをどうはかっていくかということについてくふうしていただかなければならないわけでございますので、いまのようなあいまいな態度では、私は、いつまでたっても学校の秩存は回復できないのではないかと思うのであります。大学学術局長が参議院のほうにおいでになりましたので、よくお考えおきいただきたいと思います。ことに学校の実態は、社会一般が学校の評価をするためにも必要なことだと考えるわけでございますので、私は、おそれずに資料をお出しになるべきだと思うのです。  そこで、警察当局にお願いしておきたいと思います。これまで多数の学生羽田なり佐世保なりその他に出しているところについて、学校名と員数とを資料としてお出しいただきたい。これは治安問題にとっても大問題でございます。そういう大学については、特に学校当局に対しまして注意を喚起していかなければならない、かように考えるものでございます。私は、警察官の中には、万一のことを考えて、佐世保事件その他においては、下着も新しいものに取りかえて、そして何かあったときのことを言い残して出かけている者も相当数に及んでいるということを聞いております。遺書を残して秩序維持に当たっている、全く警察官の心情には同情に余りあるものがあると思うのであります。コンクリートのかけらを野球のボールを投げるように力一ぱい警察官に投げている若い学生の姿を見ておりますと、警察官にまともに当たったら、警察官は死んでしまいますよ。国民多数によってつくられた法秩序を守るために命を投げ出している警察官に対して、心から同情の念を禁じ得ないし、深い感謝もしておるわけでございます。無謀にもこれに突っかかっていく学生集団と同一に見て激突というような表現がときどき使われますが、まことに警察官が気の毒だという感じを持つのであります。私は、同時に警察当局に対しましては、法秩序を破壊する者について、これを検挙できないときには、ことさら学生集団に突っ込んだりするようなことは適当でない、かように考えているものでございます。そういうことでは激突という表現を用いられてもしかたがないじゃないかという言い方もできると思うのであります。私は、常に自重して、善良な市民から愛される警察であり、同時にまた、信頼される警察であってほしいと思います。そのかわりに、基本的にに法秩序を破る者は全員検挙、逮捕すべきだと思うのであります。また、逮捕できないようなときには、無謀な突っ込みは私は避けられたほうがいい、こう考えるわけでございまして、警察を指揮する者は、群衆心理のおもむくところを十分に理解をしてもらうと同時に、常に暴力をふるう者は一般市民から引き離して、現実に全員逮捕し得るときのみ実力行使に踏み切るべきだ、かような考え方を抱いているわけでございますが、これに対するお考えを承っておきたいと思います。  同時に、最近の事態を見ておりますと、かつて二・二六事件や五・一五事件で高橋、斎藤、渡辺、犬養という人たちが次々と殺されていきました。これらの暴力行動をにくむよりも、暴力をふるった青年将校や右翼の人たちのその心情に同情を寄せる風潮の強かったことを思い起こすのであります。議会における自由な論議は急速に凋落していきました。また、戦争に突入し、自来十年もたたないうちに国は焦土化し、敗戦のみじめな体験をしたわけでございます。今日の政治家の中にもいろいろな言動をされる向きもございます。あるいは松浦公園で三派全学連、革マル全学連の諸君を前にして、いまこそ思想、信条の違いを乗り越えて大同団結すべきだと叫ぶ政治家があったりします。あるいはまた、あれだけのおよそ集団示威運動とはかけ離れた暴力行動が繰り返され、多数の負傷者を出していながらも、わが政党の活動は成功だったと豪語している政治家がございます。私はわが国の議会政治の前途に非常な不安を覚えるものでございます。  これらの点については、答えられない範囲のものは国家公安委員長にお伝え願いまして、いつかの機会に、当委員会においてその所見を明らかにしていただきたいというお願いをしておきたいと思います。
  15. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいま警備実施の方針について御意見がございましたが、私どもの方針といたしましては、集団で暴力不法を行なう者に対しましては、全員検挙の方針で臨んでいるわけでありますけれども、それが不可能な場合には、手をこまねいているということも、これまたできがたい場合もございます。そういう不法な事態があるにもかかわらず、ただその事態を解消すれば済むというような考え方は、われわれとらないところでございまして、御指摘のございましたような方針でわれわれもやっておりますし、努力もいたします。ただ、そのほかの場合は、全然警備実施をいたさないというわけにはまいりませんので、御了承を願いたいと思います。これは一つは、ほかの国の例は私ども新聞等で承知するだけでありまして、詳細にはわからないのでありますけれども、ほかの国の例は、たとえばアメリカのデトロイトで十日にわたる暴動がありまして、六千人近い人が逮捕されました。その結果、四千人から五千人近い人たちが処罰されているということを聞いたのでありますけれども、日本のいまの裁判制度では、そういうことはおそらく不可能だろうと思います。そういうことがございまして、われわれもわれわれの活動自体のあとの処理につきまして、必ずしも十分ではない点がございますので、その辺の考慮はある程度施さざるを得ないということを御了承願いたいと思います。  それから、公安委員長に伝える部面につきましては、いずれ公安委員長から意見の表明がおありになるだろうと思いますので、御了承願いたいと思います。
  16. 奥野誠亮

    奥野委員 革命を期待している人たちは、民衆の中に同調する扇動家をとけ込ませて、民衆の中にあって民衆をあおり立てていくものだ、かように承知しているものでございます。佐世保において、多数の佐世保市民が寄港反対運動に同調するばかりか、警察官に投石する者もあったように新聞の中には書いているのがございます。しかし、白いエプロンをかけているから主婦たる市民とも限らないし、げたをはいているからその土地の住民とも限らないわけでございます。ある雑誌には、佐世保事件の際に、背広の中からはさみを投げて、学生たちに有刺鉄線を切らしていたという記事も出ておりました。これらの実態をどう警察当局で観察しておられるのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。  同時に、警備にあたっては、学生暴力だけに頭を奪われないで、扇動家を市民の中にまぎれ込ませないくふう、投石者を市民の中にまぎれ込ませない研究、そういったことについても、いろいろお考えいただいているだろうと思うのでありますが、同時にまた、そういうことについて、市民の協力をどうして得るようにしていくかということも考えていただかなければならない事態に入ってしまっている、かように、私は心配しているのでございます。私の危惧するような事実があったかどうか、これらについて、将来どう対処していかれようとしておられるのか、こういうことを伺っておきたいと思います。
  17. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまお尋ねの、いわゆる暴徒というべき学生、これと、一般の善良なる市民の方々に御迷惑をかけないというための措置をどうとるかというお尋ねでございますが、いま御指摘にもございましたように、学生たちはみずからこの武装闘争というものを、いわゆる七〇年の安保闘争の前哨戦なんだと、彼らみずからが位置づけておるわけでございます。そういうような観点で、羽田事件以来、彼らは自分らの闘争というものがいわばたいへんな成功であり、なかんずく佐世保事件の場合において、新聞等が一部報じましたように、市民の中にも彼ら学生に対して支持をする、あるいは援助をする者があらわれたということは、これはたいへんな勝利だ。それにひきかえて、羽田事件の場合には、いわゆる第一次羽田におきましては、学生が暴徒呼ばわりをされたことは御承知のとおりでございます。あの場合において、学生自身はマスコミは偏向しておるということをしきりに叫んでおります。それが今回の佐世保事件の場合には打って変わって、いま申しましたようなことで、市民が支援をしたということにおいてたいへんな成功であったというふうに、彼ら自身が自画自賛をしておることは、これまた先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、問題の御指摘の点でございますけれども、たびたび御指摘のように、警察といたしましては、いかなる場合におきましても、いわゆる市民の方々、いわば世論の支持というものがございませんことには、警察の執行はできないことは、これはきわめて明らかであります。しかしながら、反面また御了解をいただきたいと思いますことは、警察が警備実施をいたします場所というものは野原ではないのでございまして、いずれにいたしましても、いわば市街地ということが多いのございます。そういうわけでございますので、学生らが、先ほど来御指摘のような凶器を持って数時間にわたりまして警察の行為に対して抵抗してくる、それを抑止するためのわれわれの職務行為については、当然何らかの形において第三者の方々にも多少にかかわらず御迷惑をかけざるを得ないのが、正直申して現状でございます。そういうような意味合いもございまして、ともかくも、一般の市民の方々と暴徒たる学生とをどのようにして分離するかということにつきましては、警備戦術といたしましても実は常々苦慮しておるところでございます。これにつきましては、佐世保の場合にはその措置をとったのでございますが、残念ながらその措置は期待された結果が出てまいりませんでしたけれども佐世保事件の場合には、十二月中旬ごろから署長、幹部あげましてそれぞれ市内におけるいろいろな組織に呼びかけまして、来たるべきエンタープライズ入港の場合には相当数の学生佐世保にやってくる、これは羽田事件等の結果にも明らかでございまするように、相当ないわば不法行為を行なうことは明らかである、そういうような観点から、いろいろ御迷惑をかけることに相なろう、学生自身が石を投げることによってけがをするということもございましょう、そういうことで市民の方々に御協力を賜わりたいということは、十二月の中旬からきわめて真剣に実は市民の方たちにも呼びかけてまいった経緯もございます。さらにまた、警備実施をいたします直前にも、いわゆる事前広報と申しましょうか、現場広報と申しますか、そういうことにも十分つとめたつもりでございましたけれども、結果においてわれわれの期待どおりにいかなかったことは、ただいま御指摘のとおりでございます。したがって、将来に向かいましては、いま申しましたようなことで手段、方法をさらにまた研究をいたし、ともかくもいわゆる第三者の方々が、この警備実施の場に巻き込まれるということが起こらないように、いろいろな方法について研究をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  18. 奥野誠亮

    奥野委員 私は、今日の事態は、自由を守り、民主主義議会政治を守ろうとする者と、暴力革命のチャンスをねらいたい者との間の争いにまで発展しかねない姿だ、かような危惧をいたしておるものでございます。しかし、理事会で約束いたしました時間にもなりましたので、これで打ち切らしていただきます。
  19. 吉川久衛

    吉川委員長 依田圭五君。
  20. 依田圭五

    ○依田委員 私は、俗にいう飯田橋事件、これについて若干お尋ねをいたし、それに関連する今回の佐世保の問題について一連の御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、飯田橋の法政大学を出てまいりました学生諸君に対して、わずか三分間に百三十一名の大量検挙をやり、そしてこれに対して、公安条例の違反並びに凶器準備集合罪の適用という立場で、地検はこれを五人だけしか起訴しておらない。非常に少数の起訴者しか出しておらない。にもかかわらず、たくさんの検挙者を出しておる。私の調べた範囲内におきましても、たとえば飯田橋は百三十一名で、そのうち百二十六人を送っておりますが、三十人しか勾留を認められておりません。有楽町の事件では百八人で、そのうちの六十六人のうち、わずか三十五人しか認められていない。外務省に入りました事件では、九十一名中四十三人を要求いたしましたが、七人しか地検で了解をとっておらない。同じく早大事件は、二百三名も逮捕したけれども、わずかに七名しか了解をとれていない。あるいは五月二十八日の砂川事件でも、同じように五十人のうち二人しかない。砂川事件では四十七名のうち三人しかおらない。あるいは昨年の九月の法政大学事件でありますが、二百八十五人のうちわずかに四十五人しか地検の了解をとっておらない。こういうような中で、少数の起訴しか出せない案件に対して大量の検挙をいたしておる。これについて、特に飯田橋を中心に御答弁をいただきたいと思います。
  21. 川島広守

    川島(広)政府委員 飯田橋事件の内容につきましては、ただいまお尋ねの中にございましたのであれでございますが、問題の飯田橋事件は、いわゆる十五日の前夜、二百名の者が法政大学に泊まりまして、その間、夜半に相当数の角材が持ち込まれたということもわれわれの目で現認をいたしておるわけでございますし、次いで早朝でございますが、六時三十分ごろから学生らは起き出しまして校内においてデモをする。さらにまたプラカードを携行する。さらにはまた校庭におきまして側溝のコンクリートのふたをハンマーで割り、そして石を段ボールに詰めるというような一連の行為がずっと続いておったわけでございます。そのようにして石を詰め、その他をして午前八時過ぎに校門を出てまいりました。これは明らかに無届けデモでございますが、これに対して警告をし、さらに制止をいたしたのでございます。これに対して学生らは、全員が持ってまいりましたプラカードを全部たたき割って、そして角材をもって突き、なぐるというような一連の暴力行為に及んだわけでございます。したがいまして、いまお話しのように、われわれ警察官としましては、きわめて明白にそれが公務執行妨害罪の犯罪構成要件を充足し、さらに凶器準備集合罪の要件を構成する、そういうことで百三十一名を現行犯として逮捕いたした次第でございます。  それでお尋ねの起訴の数がたいへん少ないということでございますが、これもまた先生御案内のとおり、警察側としまして、いま申しましたように明白に現行犯として逮捕いたしたのでありますけれども、これを起訴するかしないか、ただいま法務省から来ておられないようでございますから、これは従来から言われておりまするように、検察官としましては、起訴便宜主義で起訴いたすわけでございますけれども、特にその本人の性行なり経歴なり、あるいは将来性と申しましょうか、そういうことについてあれこれ判断をして初めて起訴いたすわけでございます。そういうことで起訴者が少ない。検挙者が多いということは、いま申しましたように、その逮捕が不当であるというそういうような証左にはならないとわれわれは考えておるわけでございます。
  22. 依田圭五

    ○依田委員 警察のほうでは、この逮捕は公安条例の違反であるというようなことを言っておりますが、法政大学から飯田橋までデモをしてきた。しかしその学生たちは、実は十時三十分東京駅発の「雲仙・西海号」に乗る予定で切符をみんな所持しておったわけであります。従来、こういうような大学から駅に行くという行動をデモ行進という形で定義づけて、これに対して無届けデモという立場から公安条例を発動いたしたということはないわけであります。また、公安条例ということになりますと、いわゆる主権者とか指揮者、幹部しかこれを逮捕することができませんので、これに対しては、そこに参加いたしておる、いわゆる凶器準備集合罪の構成要件を満たすのだという形でこれを全員大量の検挙に踏み切った、こういうようにわれわれは理解をいたしております。公安条例ではなかなか規制ができないので、ここで凶器準備集合罪という法律を援用いたしまして、大量検挙の一つの前例をなしくずしにつくりつつある。そのことが予防検束なりあるいは戦前の行政執行法なり非常に暗い印象を呼び起こします。事前検挙への国民の連想を呼び起こしますので、たいへん心配をしている。こういう角度から私は、凶器につきましては、従来の判例でも、視聴上の凶器でなければ、運用上の凶器としては認定できない、そのカテゴリーに入らないと認定されております。プラカードにつきましては、昭和三十三年、この法律ができ上がります当時、当時の刑事局長の竹内さんがはっきり速記録の中で、プラカードはこれは凶器ではないのだということを言っております。これらと、この飯田橋事件におきまするプラカードを凶器と認定をして逮捕いたしましたその根拠について、御質問申し上げたいと思います。
  23. 川島広守

    川島(広)政府委員 まず最初に公安条例の問題についてでございます。いまお尋ねがごございましたように、公安条例で逮捕できます者は、お話しのとおりに主催者、指導者または扇動者というような者だけでございますが、東京都公安条例の第四条にございますように、公共の秩序を保持するために、いわゆる警告を発します、それから制止をいたします、あるいはその他所要の措置をとります。これは主催者だけではございませんで、参加全員についてそのことが触れるわけでございます。それは先生御案内のとおりでございます。そのような立場で今回警告をし、制止をしたわけでございます。  それに対して学生たちが、先ほど来申しておりますように、石を投げ、あるいは角材をふるってきた、こういうことでございます。このような例がかってないかと申しますと、実はそうではございませんで、先生も御案内でございますけれども、そのようなことは過去の、各大学から出てまいります場合に、無届けで出ました場合には所要の措置をとり、警告、制止をいたしております。  それから、問題の凶器準備集合罪の凶器の問題でございますけれども、これは御案内のとおりに、凶器にはいわゆる性質上の凶器と用法上の凶器とありますことは、いまのお話の中にもございましたとおりでございます。今回のプラカードと申しますのは、いわゆる通常社会通念的に普通一般のデモの場合にかついでまいりますようなプラカードとは実は違うのでございまして、通常の場合には、プラカードの柄というものは、大体長さにおいて一メートル未満、太さにおいて三センチ程度が、通常用いられておるプラカードと称されておるものでございます。今回の場合は全く違いまして、長さが一メートル二〇以上に及び、さらにまた、角材そのものが四センチから四・五センチ角の太いものであります。しかも、プラカードの板でございますが、これがすぐに取りはずしができます。パンとたたけばすぐに取れてしまう、こういうような構造になっておるわけでございます。したがいまして、用法上の凶器という認定は非常にむずかしいことは、いまお尋ねのとおりでございますけれども、今回の飯田橋事件に用いましたプラカードは、いま申し上げましたようなことで、その大きさあるいは構造、さらにまた、これを持っております学生行動の目的あるいは過去の実績、こういうようないわゆる使用目的と結びつけて考えました場合には、今回の飯田橋のプラカードは、明らかに用法上の凶器になるという判断をいたしておりますし、警察当局も明らかにそういう判断で起訴をいたしたというふうに言っておる次第でございます。
  24. 依田圭五

    ○依田委員 凶器準備集合罪の構成要件のうち、最も重要なのは二つありまして、一つは凶器の問題であり、一つは共同加害目的が一体立証できるかという問題でございますが、今回の学生たちは、これは飯田橋に汽車に乗るべく出かけたのであって、そこで警察官に対して公務執行妨害なり何か実力をもってどうこうするという意思をもっておったわけではない、むしろこの弁護団の弁論の趣旨によりましてもはっきりわかっておりますが、たくさんの、圧倒的な数の機動隊が両方からはさむような形で待機いたしておった、こういうように言っておるわけであります。これらの点につきまして、そこで機動隊がなかりせば、こういうような問題は発生をしない。警察庁のほうは、これは佐世保においてどうのこうのというのではなくして、これは佐世保に対してこの学生がある目的を持って行くから凶器準備集合罪を適用するのではなくして、そこにおる学生警察官の制止にかかわらず、それに実力をもって対抗しようとする決意の瞬間に集合罪の成立が認められるという形で、現行犯逮捕をいたしたという理論構成になっております。私は、この学生は決して加害目的はなかったと考えるわけでありますが、その辺を警察側はどういうようにお考えになるか。また、ヘルメットを取られ、こん棒でなぐられ、あるいは——その場の状態であります、これは弁護団のほうの書類でありますが、腹を突かれ、足腰をけられる、あるいは逮捕するときに路上にすわらしてこれをなぐる、女子の首をわきにかかえて振り回す、こういうようなことが現場の目認として出ております。これらにつきまして、そのような事実があったかなかったか、あったとするならば、こういうことをする警察官に対してはどのような御処置をお考えになっておるかを明確にしてもらいたいと思います。
  25. 川島広守

    川島(広)政府委員 凶器準備集合罪は、御指摘のとおり、共同加害の意思があったかどうかという目的の立証が必要でございます。この点につきましては、いま先生がおっしゃったとおりでございまして、先ほどもちょっと申しましたけれども、この飯田橋の場合には、午前の六時半ころから学生行動を開始しておりまして、さらにまた付近の駅、市ケ谷あるいは飯田橋の周辺についていわゆる偵察をしておったわけです。警察側としましては、総配置人員が四百名でございましたが、学生側の目に触れる前面には百名の警察官を配置いたしておったわけでございます。それらのことで彼らが警察官に向かって石を投げるということは——あるいはコンクリートを砕いて段ボールに詰めて持っておるわけでございますから、そんなものを持って佐世保に行くとはだれも考えないわけでございます。それは実況見分の結果もはっきり出ておりますけれども、相当大きな段ボールの箱二つでございます。その中にはれんがやコンクリートの破片が一ぱい入っておったわけでありますけれども、そういうようなことでわがほうとしては、あの現場で警察官に対して共同して暴行を加えるという要件がはっきりと成立したもの、そういうふうに考えるわけであります。
  26. 依田圭五

    ○依田委員 私たちは、学生が凶器を準備した、こういうようなやり方に対して、必ずしも全面的に同情したり、賛成をいたしておるものではないわけであります。しかしながら、佐世保におきまする状態を見ましても、先ほど奥野委員に対する長官の答弁の中にもありましたように、第一次、第二次羽田事件当時とは違いまして、非常にたくさんの同情が学生側にわいておるというようなことをわれわれは認めざるを得ないわけであります。ここに各種の週刊誌あるいは当時の新聞がたくさんございますが、その中の一つを取り上げましても、これは週刊朝日でありますが、こういうことをいっております。これは佐世保の実情でありますが、「しかし、そのことを割引きしたにしても、日をおって、市民が、機動隊と三派との衝突の前面に出てくるようになったことは、否定できない。『機動隊、帰れ』『おれたちの通る橋を、どうしてふさぐ。道をあけろ』『三派、がんばれ』。なかには、石を拾って、機動隊に投げるものもいた。六千人近くの警察官を動員した強力な警備陣が、市民感情を刺激し、裏目にはねがえってきたようであった。」これは週刊朝日の記者でありますが、こういうような判断をいたしております。奥野委員が先ほど、佐世保平瀬橋なりあるいは佐世保橋の周辺におきまして、ポケットから石を出して投げるようなエプロン姿の主婦がおる、こういうようなものは一体どういう性質の群衆であるか、あるいは、それは学生側のサクラではないかというような意味合いのことから警告を発しておりましたが、私は、このたくさんの週刊誌あるいは当時の新聞、ラジオ、マスコミの報道というものが、一貫いたしまして佐世保事件につきましては、学生側に同情があるという事実を非常に重大に考えなくちゃならぬと思います。そのほかに、作家で書いておりますものを簡単に読み上げますが、これは井上光晴さんが書いた「三派系全学連は孤立しなかった」という文章であります。同じ週刊朝日でありますが「『だれでもあれを見たら、こりゃおかしいぞと思いますもんね。学生を誘い込んどって三方からめった打ちにするとですから。病院の溝に落ちてうずくまっとるのを、上から踏みつぶすごと警棒でたたきつけるとですよ。機動隊はああいうことをするのかとびっくりしました』一月十七日の朝、九時四十五分。佐世保駅に到着するとすぐ、基地突入をはかって平瀬橋になだれ込んだ学生に対する、警察権力の『姿』を目のあたりに見た市民病院の入院患者の感想だが、『警官やめろ』と思わず叫んでから、『見物人』達は自分の声に驚いたのである。」こういうことをいっております。またさらに行をかえて「『羽田の教訓』を逆手に取ったむきだしの弾圧が確かにそうさせたのだが、そのほかにやはり、エンタープライズは佐世保を中継核基地としてベトナムに出動するのだという実感が、学生たちの悲壮な闘争と心情的に結びついたのであろう。」という文章を寄せておるわけであります。  こういうようなことを幾つ読んでも切りがありませんけれども、私は当時のマスコミ関係の新聞やラジオあるいはそれぞれのスクラップを読んでみましたが、佐世保に関する限り、警察官に対する同情の念というものは非常に薄い。これは第一次、第二次羽田事件とは非常に条件が違うところであります。まことに重大な問題であると私は考えざるを得ないわけでありまして、あくまでも民主主義の時代においては、警察は健全でかつ中正に警察法の理念に従って行動をとってもらいたい、これはわれわれ納税者、一般国民が心から警察を信頼してそういうように希望いたすわけであります。  これに対して、このように発展をして、また、地球が狭くなり日本が狭くなっておりますいまの時代におきまして、テレビ、ラジオがその日の情勢を刻々と報道するようなこの文明の時代におきまして、第一次、第二次羽田事件とは違って、佐世保のときには警察に対する同情が薄い。学生に対するカンパがどんどん集まる。千円、二千円はおろか、一万円札まで入れていくような佐世保市民がたくさん出てくるということは、これはたいへんな問題である。私は、この観点から、同じように飯田橋の問題について、わずか三分間に百三十一名を逮捕いたしましたこの手ぎわのよさといいますか、この準備といいますか、私自身も目撃をいたしておるわけではありませんから、ここにあります弁護団側の調書に従って御質問いたしておるわけであります。  この辺について、警察は一体どのようにしたら、いまの学生運動に対し公正不偏に、国の将来に対して運営ができるかということについて、この機会に、佐世保事件並びに飯田橋事件、一連の事件の中において、第一次、第二次の羽田事件との関連の中におきましても、あるいはごく最近成田の問題が発生いたしております。これも同じであります。学生のほうがエキサイトして、そして何か対抗策を講ずる。これに対して警察側も同じように対抗策を講ずる。これは第一次、第二次羽田事件では若干消極的に、むしろ警察本来の姿で制止の形でもって対したものが、今度は佐世保のほうではどんどん積極的に出てくる。そうすると、まわりに見ておる第三勢力といいますか、国民一般の大きな同情を学生側に呼びつける。学生はむしろ自信を持ってさらに成田に行く。こういうような悪循環が繰り返されておるわけであります。これについて長官の御答弁を承りたいと思います。
  27. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいまいろいろ引用に相なりました市民の問題につきましては、われわれは必ずしもその意見に同調いたしかねますけれども、われわれがいたしかねただけでは御承服願えないならば、共産党はその機関紙においてはっきり市民の運動ではないといっておるわけであります。そういう引用に対しましては、私どもここでくどくどと申し上げるのはやめるようにいたしたいと思いますが、ただ一般的にいいまして、私は全学連のああいうやり方についての国民の認識が十分でないということを痛感いたします。したがいまして、場面場面で、非常にいい場面をつかまえると、それをてこにして訴えておるという点があるんじゃないかと思います。私、学者の書いたものを見まして非常に奇異の感を抱いたのでありますけれども、全学連のあの三派の連中は暴力団ではない。何となれば、一般市民に迷惑をかけない。迷惑がかかるのは警察官だけだから暴力団ではない、そういう意味の定義をいたしておるのを拝見いたしましてたいへん奇異の感に打たれました。現実には市民にも相当迷惑をかけております。機動隊が出なければ迷惑がかからないという議論は、そもそも私は順序が違うのではないかと思います。あのように、要するに力を信奉して修羅場を現前せしめれば、それで自分たちの目的は足りるのだということを公言をいたしております。そういうような者の行動をどうしてこういうふうに支持する形が出てくるのか。われわれはその点については三派の全学連のやり方、ことに依田委員もさっきおっしゃいましたけれども、政治に責任を持つ政党には全然服しておりません。そして彼らの上部団体自体も、政権に対する責任のある構想を発表いたしておりません。要するに、彼らのことばをかりれば、ゲバルトをもってそういうような現場をつくれば、国民に衝動を与え、革命の起爆になるんだ、今後は常識的なデモなんというものはやっておってもいたし方のないものだ、もっと武装した闘争こそこれからのわれわれの役割りだということを言っておりますけれども、これも依田委員も先ほど御指摘になりましたように、この諸君は決していま申しましたように政党の統制には服しておりません。したがいまして、政治に対して何ら責任のないものであるにもかかわらず、このような乱暴を繰り返しておるという事態、これに対しては、私ども自身の努力も足りなかったのかもしれませんけれども、国民あるいは一般市民にもっとわかっていただきたいと思います。  それからまた、私どものやることが一から十まで全部よかったと私どもは思っておりません。また、私どものやり方がまずかったために国民から誤解を受ける、そういう部面があったことは、私ども十分に反省、検討いたさなければならないと思います。しかしながら、よく御認識いただきたいと思いますのは、ともかく、まっこうから警察の側に攻撃をしかけて、そしてわれわれが負ければそれがわれわれの目的なんだとまで言っておるああいうやり方、そして、それを何回も繰り返しているやり方、これが何回も繰り返されるということは、先ほど奥野委員の御指摘にありましたように、私どもも非常にその点を憂慮いたしております。やはり私は、日本の現状というものは、われわれが秩序を維持するために努力するということは、国民の大半に認めていただけると思っております。しかし、やり方自体に対しましては、いま御指摘にありましたように、十分批判にたえ得るように改善、くふうを今後とも加えてやってまいりたいと思いますけれども、ともかく、ああいう無目的に乱暴に突っかかってくる者に対して処置するのに、横綱が新参の相撲取りを一人で扱うようなわけにはまいりません。われわれも相当真剣にこれに立ち向かわなければなりませんので、その間におきまして、はたから見れば、もう少し余裕を持ってやったらどうだという御批判の出るのも私どもわかるのでありますけれども、なかなかここで議論するようにはまいらない点があることを、われわれたいへん遺憾に思っております。  ただ、いろいろお尋ねがありましたので申し上げましたけれども、市民の協力を得るということは、われわれの警備実施はもちろん警察活動全部について最も必要なことでございまして、もし御指摘のようなことがあれば謙虚に反省いたしまして、再びそういうような間違いは繰り返さないようにいたしたいと思っております。
  28. 依田圭五

    ○依田委員 現在の情勢の中で、学生運動が国民にとりましても非常に重要な問題になってきておることは、これはわれわれ一同よく認識しておるわけです。その間において、これはあとで文部省にも聞きたいところなんですが、学生運動を一体どういうように指導し、あるいはこれに対処するか、現在警察がその前面に立っておるわけであります。その素材としてエンタープライズの入港であるとか、あるいはその他の問題があるわけであります。これは、いま長官は、暴力団であるというようなことをおっしゃいましたけれども、われわれ国民が日常使っておる常識的なことばでいう暴力団と学生暴力行為とは違うのではないか。どういう点が違うかといえば、対市民との関係におきまして、対社会との関係におきまして、暴力団のほうは、一般の市民に対し、一般の社会に対しまして、いろいろの被害を与えます。しかし、学生の諸君は、一般の市民に対して何ら——まあ警察学生との衝突の現場におきまして、そこにおります市民に対して、いろいろ御迷惑のかかることは偶発的にあるのでありましょうけれども、本来のあり方として、学生運動が市民を対象にし、市民に被害を与えることをもって目的といたしておるとは、とうてい常識上考えられないわけでありまして、当然それは国の政策、特にエンタープライズのような、七万五千トンという巨大な、核装備もしているであろうと考えられておりまするベトナムの戦力が、さしたる理由もなくして日本に寄港をいたします。しかも、それが伝えられるごとく、核に対するアレルギーをつくる一つの国民感情をなしくずしにしていく第一段の措置であろうというようなことまでいわれておりますいまの段階におきまして、これ以上は考えられないような大きな政治目的、政治争点に立って、国の治安を預かります、言いかえれば、時の内閣の政策の執行の第一線にある治安警察を担当する警察権力と学生がその現場において対決するような現象は、一般の暴力団が町の中におきましてやるようなこととは本質的に違うわけであります。しかしながら、われわれ日本がいま法治国家の現状においてこれを是認するわけにはいかない。思想、信条は自由でありますから、こういうようなことを信じ、こういうような手段に訴える学生はあるでありましょう。しかし、全部の学生がそうであるわけじゃない。また、その学生の中にも、イデオロギーの理解のしかた、あるいはそれぞれの条件というものは全部違うわけであります。これを一緒くたにいたしまして、プラカードを持っておるから、角材を持っておるからということで、これを暴力団と規定をいたし、これに対して警察官が対等の立場で立ち向かうということは、非常に問題があるのではないかと私は考えるわけであります。  元来、警察というものは国の中における一つの機関でありまして、治安を担当してもらうわけであります。当然警察には、警察官職務執行法があり、警察法があり、それぞれの理念ができ、手続があって、行動綱領があるわけでありまして、国民のために、納税者のために、一人一人の警察官責任を負って親切に、刑事に対し、あるいは公安問題に対し、あくまでも受け身の立場で武器を持ってこれらの治安にあずかるわけであります。凶器を持ってあずかるわけではない。武器は合法的で、かつ公然のものでありまして、これは許されておるわけであります。いま学生角材を持ってみたり、あるいは武器をいろいろ考えて、いわゆる凶器でありますか、いろいろ準備いたしましても、これは警察の装備に比べれば月とスッポンであります。背景において、量において、質において、その武器のしかたにおいてはもう全然おとなと子供であります。あくまでも警察の本来のあり方に戻りまして、市民警察、自治体警察として受け身に立ってもらいまして、学生が無理に突っ込んでくれば受ける。そのかわり武器があり、鉄のたてがあるわけでありますから、十分にこん棒なりプラカードを受けられるわけであります。こういうように消極的、防御的に行動していただきまして、できるだけそういう本来のあり方でもって行動してもらう。これに対して無理に学生が突っ込んでくる、無理をする、これは国民が許しません。現に第一次、第二次羽田事件においては、相当同情を失っております。しかしながら、佐世保事件におきましては、むしろたくさんのカンパが集まってくるということは、一体これはどういうことでありますか。この辺につきまして、私は、長官のほんとうにこれからの警察全体に対する運営の問題とも関連がありますので、突っ込んだ御答弁と信念のほどを、ひとつお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  29. 新井裕

    ○新井政府委員 先ほど私は暴力団というふうに申し上げたのではありませんで、暴力団と違うけれども、違いはそこだという一点について、私はたいへん納得できないということを申し上げたのでございます。ただ、たいへん暴力的な団体であることについては、私は認識を改めるわけにはまいりません。  それから、佐世保だけについてのお尋ねでありますけれども、確かに一部の市民の間に、警察に対して批判的な空気が出たことは私どもも承知いたしております。しかし、これは根本についての理解が十分でなかったからだと思います。それから、いま御指摘のように、私どもの根本的なたてまえは、常に防御的でございまして、防ぐ、最大限度としても逮捕するという以上のことはわれわれできません。したがいまして、佐世保の場合でも、そういう意味においては防御的で、平瀬橋で二時間あるいはそれ以上も防御をした。その末に逮捕しようとして後方から部隊を回したというだけでありまして、特に攻撃的な措置に出たとは考えておりません。しかし、先ほどから申し上げておりますとおり、しばしば暴力を働いておる実績を持つものが、武器を持って天下の公道を横行しているのを、現場に行くまでは指をくわえて見ていなければならないという理屈は私どもはないと思います。われわれといたしましては、そういう違法な状態を放置しておくわけにもまいりませんので、今後もそういう事態に対しましては、法律に与えられた条件に従って執行をしてまいらなければならないと思います。ただ、結論は、依田委員の御指摘のように、われわれの仕事はすべて防御的な立場で終始いたしておる。そこにまたわれわれとしての苦心がある。また、あるいは少しよけいなことを申し上げますけれども、先方よりはこちらのほうの勢力がどうしても多くならざるを得ない。何となれば、そういう受け身の執行であるからそういうことにならざるを得ない、こういうことになるわけでございます。
  30. 依田圭五

    ○依田委員 ガスの問題その他は別の委員から専門的に聞いていただきますが、長官は防御的とおっしゃっておるわけであります。もちろんそのとおり、警察官というものは国の機関でありますから、国費をもって、あるいは都道府県の公共団体の費用をもってまかなわれる公の機関でありますから、当然そうあるべきものであります。しかしながら、実際は、現地においての実情というものは、これは私も先ほどのように、新聞であるとか週刊誌であるとかいうようなものを一々読み上げたり、ここに資料がたくさんありますけれども、やる時間もありませんし、煩瑣を避けますが、とにかく長官は、一部の者の行き過ぎを認めるけれどもというようなことを言っておりました。予算委員会では、大臣は、全然そういうことはない、あるいは総理も、そういうことはない、行き過ぎはないというようなことを言っておるようでありますが、長官は若干ある、しかしそれは若干であってというようなお話であります。しかしながら、あえて言えば、たくさんの天下の新聞記者あるいはマスコミのそれぞれの人たちは決してそういうようには見ておらない。たいへんな同情というものがこの三派の学生の諸君にいっておる。ということは、私はこれはたとえ長官のおっしゃるように、それが一部の国民でありましょうとも、全くのサクラであるか何か別といたしまして、これはたいへんな問題である。これは新聞、テレビを通じまして全国民の耳に入っておるわけであります。そういうわけで、非常に重大な影響を警察行政、警察の運営、国民の警察に対する信頼の上に与えておるという点を、私は無視することはできないと考えるわけでありますが、そのことに関連して、他の委員からも突っ込んで聞いていただきますが、指揮権の問題であります。  これは、この種警備につきましては、当時警備本部には北折警備本部長がいて、直接の指揮をとった。しかし、全国的にはいわゆる幕僚団なるものを結成いたしまして、それがテレビ等を通じまして広域警備と申しますか、遠くのほうから指揮をいたしたということが問題になっております。これについてどのような構成であり、どのような指揮のとり方をしておったのか。それが、結局北折本部長が言っておりますように、大阪部隊の行き過ぎを招いた十七日でありますか、これに対して急速警察庁のほうは対策に努力したというようないきさつがあるわけでありますが、この幕僚団の構成あるいは運営その他につきまして、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  31. 新井裕

    ○新井政府委員 いま私が一部警備に行き過ぎがあったと言ったと言われましたが、私はそう申し上げたのではありません。一部の市民には批判的な行動があったということを申し上げたのであります。  それからまた、先ほど市民の協力、理解というものを得てやるのがわれわれの本来のねらいであるということを申し上げましたけれども警察は、評判の悪いことでもときには敢然として義務としてやらざるを得ないこともたくさんございます。したがいまして、評判が悪いからといってこれからやらないというわけにはまいりません。違法な状態があれば、われわれは歯を食いしばってもやらなければならない場合があることも御了承願いたいと思います。  それから、いまお尋ねの幕僚団ということでありますが、幕僚団というのは俗称で、私どもはそういう名称を使っておりません。いまの警察法のたてまえからいいまして、府県の警察の仕事は本部長が府県の公安委員会の管理のもとに行なうことになっております。したがって、本部長が最高指揮官であります。しかし、集まってきて乱暴しょうということでありますから、これについてわれわれとしても全国から応援をもらって人数をそろえたわけでありますが、そのほかに、警察庁というのは元来知恵を集めてそういうときに知恵をかす、そういうたてまえでできておる機関であると私は思っております。したがいまして、その必要な人間を差し出して、本部長のもとにおいてその指揮を受けて、適当に相談にも乗り、献策もして仕事をするというたてまえでありまして、いまの警察法の趣旨に最ものっとったやり方だと思います。したがいまして、幕僚団という名称は俗称であるということ、それからまた、指揮官は本部長であるということ、この点だけははっきり御認識を願いたいと思います。
  32. 依田圭五

    ○依田委員 私は、幕僚団の問題につきましては、警察法のたてまえに照らしまして、いま長官のおっしゃいましたように、当然指揮権は県本部長にあるということになっておりますが、実際はほとんど俗称幕僚団がリモコンでコントロールしてやっておったということにつきまして、どのような根拠、あるいはこの制度を一体どうするのか、混成部隊による広域警備の問題をどうするのかということを関連して聞きたいと思いますが、それは時間がありませんから他の委員に譲ります。  どうも警察のほうがエキサイトして、そういうことばづかいはともかくといたしまして、何か目には目、歯には歯でありまして、学生のほうに対して強く出る。学生はそれに対してまた新しい対策を立てる。そして、それを取り巻く国民、一般市民のいわゆる世論でありますが、世論が、あるときには学生側に傾き、あるときには警察側に傾く。そして、それぞれの団体が自信を持って次にまた行動に移る。成田にいたしましても、その他にいたしましても、そういう状態であります。こういうようなことでは、一体これからどうなるか、非常に心配をするのでありまして、これはやはりこういうようなデモクラシー、民主主義の時代でありますから、あくまでも法治国家の本来の姿に返りまして、学生のほうに少々の行き過ぎがありましても、これは歯を食いしばっても、警察のほうでは、本来の警察官のあり方としての防御の態勢に入る。全部が全部そういう学生じゃないのでありますから、その程度と質におきまして千差万別あるわけであります。ですから、わずかに三分間で百三十一人、全員に近いものを逮捕するというような手回しのよさというものは、これはほめられるよりも先に——そのうちわずか五人しか裁判所でもこれを認めないというようなことでは、これはもう事前検挙の復活ではないかという心配をみな持つわけであります。ですから、どうしてももっと国民の警察官本来のあり方として、つらくても、そのかわり武器が十分にあるわけでありますから、催涙ガスもあるわけでありますから、その催涙ガスでみんなが目をはらしまして、幾日もなおらぬというような、身体障害を与えるような催涙ガスの調合のし方、これはどういうものか、いずれまたこれを明らかにしてもらいますが、こういうような形の中で悪循環を繰り返していくというようなことになりますと、これは最後にはファッショが出てまいります。これはたいへんな問題が出てまいります。私は、その問題に関連をいたしまして、もう一度念を押して長官に、学生運動に対するあり方について突っ込んで御答弁を願いたいと思います。
  33. 新井裕

    ○新井政府委員 いまいろいろお話のございましたうち、私ども依田委員にぜひ御理解願いたいと思いますのは、全学連は適当にあしらっておけばだいじょうぶだというような御趣旨でお尋ねになったとすると、これはたいへんな間違いではないかと思います。と申しますのは、私もある雑誌によって、彼らの主張というものを紹介されているのを見たのでありますけれども、要するに全学連のほんとうの目標は、権力に闘争をいどむことである、権力の代表は警察である、したがって警察闘争をいどむこと、そのことがわれわれの本務であるというようなことをインタビュアーに対して答えております。これが第一次あるいは第二次の羽田事件に如実にあらわれておるわけでございます。本来の目的の、たとえば総理大臣が外国へ行くことを阻止するということであるならば、飛行機が出た後は状況が終わりになるはずでありますけれども状況はむしろそれから始まっておるというのが実情でございましたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、私は、依田委員のおっしゃるように悪循環が無限に続くようなことは、たいへん残念でありますし、憂慮すべきことでございますので、悪循環を断つことの必要については全く同感でございますけれども、そのためには、全学連のそういう本質というものを十分に見きわめて、こういうものは絶対によくないんだということをもう少し国民全体の空気としてはっきりさせるということが、彼らに対する、ああいう一つの無謀行動の繰り返しをやめさせる理由になるのではないかと思います。  それからまた、警察側が武器がたいへん十分であるというようなお話でございましたけれども、決してそういう現状ではございません。また、私どもは、その武器というようなものをどういうふうに考えるかよくわかりませんけれども、われわれの本質として攻撃的なものを持つわけにはまいりません。防御的なものでございます。防御的なものというのは、極端なことを申しますと、みんな戦車の中へでも入っておれば、あるいは全然被害を受けないかもしれませんけれども、そういうことはまた警察の本質に反することであると思います。先ほど警備局長からお話を申し上げましたように、われわれが警備の実施をいたします場所はみんな市街地であるのが本質でありまして、野原で第三者に全然迷惑をかけないでやるというようなものでございません。したがいまして、われわれのやることは、先ほどの依田委員のおことばをかりれば、市民警察的なる手段以外にはあり得ないのであります。したがいまして、そういう逮捕というものについていまいろいろ御質問があったのでありますけれども、われわれは、最も違法なるものに対して、与えられている権限というもの、これを形式的に武器と解釈すれば、これ以外にはわれわれの強力な武器はございません。したがいまして、今後ともそういう点については、われわれはその方針でやっていくほかないと思っておりますので、その点について十分に御認識を願いたいと思います。われわれとしては、そんなに強力なる武器を望んでおるわけではございませんので、その点はわれわれとしてもたいへん残念なことでありますけれども、毎度多数の警察官の負傷のもとにようやくそういうような成果を得ているということ、これだけは何としても避けなければいけない。したがいまして、できるだけ負傷を少なくするような方向においてのくふうはいたしてまいりたいと思っております。
  34. 依田圭五

    ○依田委員 いいかげんにあしらっておけば学生運動はどうにかなるんじゃないか、全学連に対してはそういう扱い方でいいんだというような理解を私がしているようなお話では、たいへん迷惑をいたすのでありまして、これは警察が心配しておるよりも、国民全体が、いまのベトナム問題を控え、安保問題を控え、こういうような世界状勢の中で、アジアの情勢の中で、七十年を前にして非常に心配いたしております。そういう中でこのエンタープライズの寄港に伴う学生運動の問題が佐世保で起こっておるわけでありまして、あるいは、先ほど長官が言われましたように、佐藤総理がアメリカに出かけるという、国の運命を決定するような大きな問題のあとに——時間的には若干のあとか前か、ともかくずれはありましょうけれども、そこで第一次羽田事件が起こり、第二次羽田事件が起こっておるわけであります。それこそ、決していいかげんな問題を素材としてこれらの問題が発生をしておるのではなくて、そこに警察のほうも全力をあげて——もちろんこれは税金をもってまかないました、国費をもってまかなっておる警察官が、正規の出動をいたしまして治安に当たっておるわけであります。ただ戦前と違って、いまはテレビがあり、ラジオがあり、新聞があり、刻々として客観的な報道がなされておるわけであります。ですから、学生の諸君といえども、世論の支持なくしては、まあ二、三の学生のリーダーはともかく、大多数の学生運動、これは何百人という運動でありますから、質量ともにみな、考え方も思想、信条も違うわけであります。ですから、こういう中でもって国民の絶対的な支持なくしてはできるわけはないのでありまして、この中ですもうをとっておるわけであります。第一次、第二次羽田事件とは違って、佐世保のときには重大な批判が当局に対して与えられたということは、私は一人の国民として、どちらに味方をするというのではなくして、この地方行政委員会は、そういう立場から国民の窓口としてこの問題を取り上げるべきだと思いますから、これは長官の認識がごく少数の市民の批判ということでありましょうとも、それは少数とか多数とかいうことではなくて、そういう批判に対しては、警察は誤謬があってはならない、これは許されない問題であるということを、私はあえて訴えたいと思うわけであります。そのことについて、先ほど、いいかげんなというようなことは、これは長官のあれでしょうけれども、関連いたしまして御答弁を願いたいと思います。
  35. 新井裕

    ○新井政府委員 ことばの使い方が悪いために誤解を生ずる点がございましたら撤回をいたします。私は軽くあしらうというような性質のものでないということを申し上げたかったのであります。  それから、いまお話がございましたように、世論の支持がなくてはあんな運動はできないということをおっしゃいましたけれども、全学連の三派の主張は、世論は要らないんだ、国民をむしろ引きつけるということを再々言っておりまして、そういう点は、世論の支持というものを彼らはそれほど当てにしていると私ども思われません。たとえば三里塚の空港に対します二月二十六日の行動のあとの各新聞の社説——これが一体世論であるのかないのか、いろいろ議論があるかもしれませんが、私どもは一応世論と考えますけれども、あの新聞の社説は全部、全学連がああいう行動をすることはいけないということをはっきりして指摘しております。しかし、それにもかかわらず、三月十日には大々的な行動をしようということを豪語しております。したがいまして、三派の考え方というものは、われわれとしてはちょっと理解しがたいものがたくさんあるように思います。したがいまして、われわれとして、だからといってわれわれの行動が世論の支持を得ないでいいということを申し上げておるわけではございません。われわれとしては、十分世論の支持を得てこれらに対処してまいりたいと思っております。
  36. 依田圭五

    ○依田委員 この問題についてはもう質問をやめようと思ったのですが、どうもまだあれですからもう一点だけ聞きますが、私は、警察は絶対に世論の支持の上に立ってもらわなければ困る。これは一〇〇%立っていただくべきが本来の制度の趣旨であり、その理念の上に運営されているもの、また、そのような指導を長官はなさっておるものと信じて疑わないわけであります。ですから、われわれもまた、世論の上にというような表現でなくして、全面的に立っておるという自信を持ってもらうべきがたてまえであるということを申し上げておきます。  ただ、今回の佐世保の問題は、あなたが全マスコミを敵に回すならいざ知らず、決してそのような状態ではないことを私は再三ここで繰り返さなくちゃならぬ。そのことについて一々ここでその資料を読み上げたり、そういうようなひまはありませんけれども、ただその学生の問題でありますが、もし学生が、あなたのおっしゃるように、全部が鉄の規律を持ってそういう考え方でもってやるならば、いろいろ方法はあります。これは現行各法条に照らしまして、それだけの構成要件を備え、それだけの条件を満たすならばいろいろの法律がございます。ほんとうに破壊活動のみを考えるならば破防法もあればいろいろあります。しかし、軽々しくそのような問題にならない。なぜならないか。それはそんなあなたのおっしゃるように、全部の学生がそうであり、全部の行動がそうではないからであります。それは一部のものはあるでありましょう。ごく少数の指導者あるいは過激な分子はそうでありましょう。しかし、全部がそうではない。また、それには量も質も違う。しかも、与えられました素材は、一国の民族の運命に関する重大な問題である。ここでわれわれ一億の国民は、一体、こういう問題とどういうふうに対処すべきか、こういう道を模索しなければならない、それがここに与えられましたわれわれの責任ではないかと考えておる。この角度から私はあなたに指導の信念について伺いたい。過剰警備の問題がたくさんあります。ありますけれども、そのことはあまり使わないで、前向きの形で長官に信念のほどを聞いておるわけであります。
  37. 新井裕

    ○新井政府委員 依田委員の御指摘のように、私どもも真剣にこの問題については考えなければならないと思いますし、先ほどから御指摘のありましたように、われわれの行動は、防御的な立場が根本でございますので、今後ともそういう立場に立ってわれわれの仕事を進めてまいりたいと思いますし、その進める過程におきまして、できるだけ世論の支持を得てやってまいりたいというふうに考えております。
  38. 依田圭五

    ○依田委員 文部省にちょっと聞きたいのですが、最後に一点だけ。  最近、第四十回の国立大学の協会の総会がございまして、第三常置委員会がいろいろ決議をいたしております。それにつきまして、大学への出勤基準につきまして警察庁のほうからいろいろ何か最近きめられたように聞いております。そのうちには三カ条あって、大学の構内に入るにつきましては、客観的に犯罪が行なわれておるというような問題につきましてこれが確認されれば入ってよろしいとか、あるいは関係者から電話などの通報があればよろしいとか、二、三重大な改正があるようであります。これについて私は、まず一点は文部省に、一点は警察庁にお聞きしたいのですが、特に文部省に対して、学問の自由ということが憲法で保障され、また、自由なる学問のないところに大学はないわけでありまして、しかも真理の探求ということが、時の国家権力に関係なくほんとうに公平に行なわれるには、大学はそれこそあらゆる面で保護されなければ、学問というものの自由が保障されない、こういうことに考えておるわけでありますが、これらのことについて、新しい学内出動基準の策定の過程を通して、文部省警察庁とどのような連絡をなさり、そうして文部省の立場からどのような希望を述べ、その希望がどのようにいれられましたかをここで御説明願いたいと思います。
  39. 宮地茂

    宮地政府委員 学問の自由、これは憲法で保障されております。その学問を行ないます大学につきましては、憲法の学問の自由という問題で一番大きく取り扱われる場所でございますが、大学におきます学問研究の自由を保障する、こういったようなことを確保するための一つ考え方といたしまして、大学には相当大幅の自治権が慣例上よい慣行として今日まで行なわれております。そういうことから学園秩序維持といったようなことにつきましても、大学の管理運営の機能はある程度自治権の範囲内で従来から認められてきておったところでございます。そういうようなことで、特に東京都の警視庁の慣例におきまして、従来警察官大学に入れる場合においては、大学が要請をする、要請があった場合に入ってくる。もちろん学問研究とあまり関係のない、外部から犯罪者が逃げ込んできたとか、あるいは学内で傷害事件があったとか、いわゆる学問研究あるいは学生の教育ということとはあまり関係のない、こういうことではなくて、一応学問研究に関係があり、学生の教育的な問題、こういうことで必要がある場合には、警察を導入するときは要請を大学がするのだ、そうでなくて一方的に大学に入ってくるということは遠慮してもらう、こういう申し合わせもできまして、これはいい慣行として守られてきておりました。前回の警視庁が大学との関連においての基準的なものを通達されたということをお聞きいたしましたが、これは私のほうといたしましては事前に御連絡は受けておりません。したがいまして、希望も述べておりませんが、いろいろその詳細につきましては、全文は見せていただいておりませんが、そういう通達を出されたということで一応私のほうも連絡をとり、その中身を拝見いたしました。ただ、従来の扱いと特に異なったことではなくて、従来の扱いを再確認するようなものであるという御説明でもあるし、またそのような内容にも受け取れておりますので、私どもとしましては、従来の慣行と特に違ったようには考えておりません。  ただ、先ほど来、国立大学協会の第三常置委員会のことを触れられましたのでちょっと補足いたしますが、ことしの二月九日に国立大学協会第三常置委員会が「最近の学生運動に関する意見」というものを出しております。それには、第一次羽田事件から佐世保事件に至るこの事件は「学生自身が計画的に大学の規律をあえてふみにじってかえりみないのだとするなら、自らの手で大学の自治を掘り崩し、大学の存立を危からしめるものである。」「学生を教育し指導すべき立場にある大学としてその責めを深く痛感している。」こういうようなことから、当面大学としてなすべきこととしましては「全学一体となって学生指導についての姿勢を正すこと。」とか、あるいは「大学における教育内容を充実しその体制の改善をはかること。」といったことと並びまして「学園秩序保持に努力すべきこと。」という見解が表明されております。その中に「大学における秩序の破壊は、できるだけ大学自身の手でその回復に努力すべきであり、警官の導入によって秩序が回復されるものと安易に考えるべきではない。しかしながら、大学は治外法権の場ではない。不幸にして学園秩序暴力行動によって破壊され、大学自身の力では秩序を保持することが全く不可能となったときには、大学暴力を物理的に排除する力を持っていないので、学園の平和と秩序を回復するために、警官を導入することもやむをえない」云々といったようなことも書かれております。したがいまして、前回の通達を出されたということを新聞で拝見いたしましたが、中身につきまして特に従来の慣行と違っておる、その点はぜひ改めてもらいたいと特に私のほうから申し入れをするものもないように思われましたので、文部省としては、事後にそのことについて警察庁に申し入ればいたしておりません。ただ、こういうことを、再確認的なことでも一応時期的にいろいろ社会の耳目をそばだてるような問題でございますので、できる限り事前に連絡をしてほしいという要望は申し伝えております。
  40. 依田圭五

    ○依田委員 学内出動基準「一、学内で現に犯罪が行なわれ、またはまさに行なわれようとしていることが外部から現認できる場合」現認とは一体具体的にどういうような状態であるかを説明していただきたいと思います。第二に「学長学生部長など大学側責任者から一一〇番または警察幹部へ電話などで通報があり、不法事犯が客観的に認められた場合」こういうのが第二になっております。第三は「負傷者などが学内から学外に運び出される」云々とありますが、第二項で、大学のほうの管理責任者なのか、あるいは要請権のある権限者の電話なのか、電話で足りるのか、それと今度は警察側の判断が加わるのでありましょうか、どういうような立場でもって客観的な条件が整えばこれを発動するか、それを御答弁願いたいと思います。
  41. 川島広守

    川島(広)政府委員 今回の通達は、例年のことでございますけれども、二月三月というのは大体学園紛争が非常に頻発いたす時期でございます。そういうことで一月の二十五日付で警視庁の警備、公安両部長名で管下の警察に出した通達の内容でございまして、いま依田委員が読み上げられましたように、これはあくまでも判断の基準でございます。したがいまして、読み上げられました第一項の現認の問題でございますけれども、これはいろいろ外部から警察官自身でも現認できる場合もございます。そういう場合のことをあげておるわけでございます。これは従来と何ら方針は変わっておらないのでございまして、従来から学内といえども治外法権の場ではないということははっきりいたしておりますし、治安維持はあくまでも警察責任でございますから、そういう意味合いで、学内におきましていわゆる生命、身体、財産に重大な侵害があるというような場合には警察が学内に入るということは、これは従来から変わってない基本方針でございます。ただ、あくまでも大学の自治を尊重するというたてまえは、在来ともそうでございますし、将来におきましてもいささかも変わっておりません。したがいまして、いまお読み上げになりました基準というものを一応四つほどつくってあるわけでございますけれども、これはあくまでも判断の基準でございまして、きわめて希有な場合、非常に緊急な場合、そういう場合に入るにいたしましても、事前に連絡の方法は幾つもあるわけでございますから、全然大学の関係者に何の連絡もなくて抜き打ちに入っていくというようなことは考えてもおりませんし、そういうことはすべきではないという立場をとっております。そういう立場で将来もやっていくわけでございます。従来の方針といささかも変わっておらない。しかも、いまお示しの国大協云々の問題は二月九日の問題でございます。私どもの通達は一月の二十五日でございまして、何の関係もないことでございますので、御了解を願いたいと思います。
  42. 依田圭五

    ○依田委員 宮地局長に聞きますが、大学が治外法権の場でないことは国大協の第三常置委員会でも一応触れております。しかし、大学のビラの張り方一つでも、国大協のほうではいかぬというようなことを付帯意見かなんかで言っておるらしいのですが、大学生というのは成年でございまして、思想、信条の自由は憲法の保障するところでありますから、学園の中といえども表現の自由は保障されておるわけです。ですから、これはたとえば国大協のほうでは、佐藤訪米反対というようなビラを学園の中に張ることはまかりならぬというようなことを言っておるようでありますが、むしろ、それでしたら、佐藤訪米賛成というようなビラをどんどん学園の中に張らせたらどうですか。学生が張る気があれば張るわけであります。そういうことをやはり国大協の中で議論をし、かつそれに対して、たとえばいまの学内出動基準でありますが、これに対して文部当局のほうから少しも警察庁のほうに連絡がない、あるいは意見を持っていっておらないというようなことになりますと、これは九州大学の法学部長が人権擁護委員会に提訴してきております博多の問題につきましても、あるいは学内の捜索の問題につきましても提訴いたしておりますけれども大学当局を非常に刺激いたしまして、文部行政に心から協力しようというような気持ちを起こさせることがなくなるのではないか、その点を私は非常に心配いたしております。先ほどのお話だと、何ら意見も持っていかないし、何ら連絡する事項もないというお話であります。それでよろしいのかどうか、最後に宮地さんからお伺いしたいと思います。
  43. 宮地茂

    宮地政府委員 学内のビラ云々の問題でございますが、これは先生も御承知のように教育基本法の八条に「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」という基本的な原則が示されております。私どもは学内で幾ら成人に達した学生といえども、これは政治的教養を積み、あるいは政治学の講義を受ける、こういうことはまことにけっこうでございますが、しかしながら、具体的に特定の政党を支持、反対するようないわゆる政治を学内に持ち込むということだけは避けたい。静かな政治的中立な学園を保持さしていきたい、こういう考え方を持っておるわけでございます。これは、考え方というよりは、法律上当然のことでございます。したがいまして、先生方のいろいろな大学をごらんになったと思いますが、いろいろなビラが張られております。こういうようなことにつきましては、たとえば先ほど私読みました第三常置委員会におきましても、「学内規則の軽視と規律の無視とは、やがて大学の自治を自ら放棄する途に通じていることを深く反省せしめるべきである。」云々というふうに書かれておりますが、小さな学内の規則でありましょうとも、これはやはり大学で政治的中立を保つために学内規則がありますれば、それに触れるうなビラは、これは無届けで学内に張ってはいけない、また先生が、佐藤訪米賛成と張らすべきだといったようなことも、そういうことももちろんやるべきではないと思います。静かな学園、政治的中立な学園にしていきたいということのほかに何ら意図があるものではございません。  それから、警察の今回の大学当局との関係の基準でございますが、私が申し上げましたのは、従来からそういう慣行で行なわれてきております。それにつきまして、新たに基準をお示しになるというようなことを私ども承知いたしておりませんでしたので全然連絡はいたしませんでした。ただ、新聞で拝見いたしまして、その事実を確かめ、中身を見ましたところ、従来私ども警察との間で話し合っておるよい慣行として保たれてきたものを特に改めるような中身でなかったので、私のほうはそれに異議を申し立てるとか、あるいは賛意を表するとか、そういうことをいたさなかった。ただ、できる限り、こういうことを、事実の再確認であっても、形として通達をお出しになるのであれば、事前に御連絡をいただきたいという希望を申し述べた、そういうことでございます。
  44. 吉川久衛

    吉川委員長 依田君まだだいぶありますか。
  45. 依田圭五

    ○依田委員 もうこれで終わります。意見だけ言っておきます。  事前に知らなかったから連絡をしない、こういうことじゃお話にならぬのです。当然、そういうことは文部省はもう絶えず情報を握って、むしろ積極的に連絡をして、今度は警察のほうでどういう通達を出す、あるいはわれわれのほうでもどういう通達を出す、これはやっぱり相互の連絡が十分あるものとわれわれ委員は前提してかかっております。あなたのおっしゃるように、知らなかったから連絡のしょうがないというようなことでは、私は納得ができないのが一点。  それから、先ほどでありますが、大学が不偏不党、政党政派に関係をしない、中正不偏の立場で運営されることは当然であります。問題は、学生が、学生の発意によって、学生みずからが組織する団体、学生会の中で、学内でもって許されました学生会活動の中で、その中にまた、許されました掲示板、掲示権のある掲示板の中に、学生の自由なる考え方を、これは佐藤訪米反対であろうが、賛成であろうが、そのことについて、学校当局があらためてあれこれ干渉する必要は私はないんじゃないか。むしろ、すればかえって悪い結果が出やせぬか。あくまでも学生の自意にまかせて、成年でありますし、憲法のもとに保護されておる学生であるのですから、これはやはりまかせてやらせるのが、ほんとうに学校教育の本旨にも沿うものではないか、こういう観点から申し上げておるのでありまして、大学自体が一党一派を尊重したり、あるいは支持したり、そんなことはもう当然、これは話にも何もならない問題であります。私は、そういう点から、学内掲示の問題を取り上げておるわけであります。  いろいろありますが、時間がありませんので、意見だけ申し上げまして、終わります。
  46. 吉川久衛

    吉川委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後四時五十七分開議
  47. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは時間があまりないようでありますから、厚生省から薬務局長その他防衛庁からも来ていただいたと思いますが、予算委員会あるいは他の委員会においてお尋ねをすることにいたしますから、警察庁以外の方は私の質問に対してはお引き取り願ってけっこうでございます。  先ほど来、長官のお答えを伺っておったわけですが、警備のあり方として、基本的には考え方を改めようとはしておられないようでございますけれども、非常にすなおな答弁も感じられるわけです。ただ、長官が、警察は防御的な立場に立って警備をやっているのだ。そこで全学連の諸君に対して、暴力的な団体であるというような考え方をとっておられるようであります。私も佐世保におりましたし、よく全学連の諸君の行動も承知いたし、さらにまた博多にも参りまして、私のほうの党の調査団の一人といたしまして、博多駅長にも、あるいは公安室長その他関係の人々の、いろいろと現場を見られたその感じ、いろいろお話を伺ってまいったわけでありますけれども、全学連の諸君のとった態度は、確かに批判される点が多々あると私は思う。それは率直に認めなければならない。だが、しかし、長官が言われるように、これはむしろ暴力団であるという考え、その先入主というようなものが警察の過剰警備というものを引き起こした、処罰行為というようなことがあったということ、そのことは否定できないと私は思うわけです。  先般、法務委員会において、同僚中谷委員質問に対して、答弁に当たられた川島警備局長にも私は申し上げた。事実は事実として率直にお認めになるということ、それが私は必要じゃなかろうかということを申し上げたのでありますが、きょうの長官の答弁を伺っておりましても、そういう感じが実はいたします。たとえば、博多駅の状況を私は見たわけでありませんが、調査に参りまして伺ったわけでありますけれども、三百名程度の学生が博多駅に着くということは警察情報として取っておられた。しかも当日ではなくて、前からいろいろな方法で情報をお取りになっておられたと思うのですが、博多駅には千二百名ないし五百名武装警官が待機しておった。学生諸君がホームに降りて、そして南の出口のところまで来る間はさして混乱はなかった。ところが、多数の機動隊の警備体制を見まして、やはり若い学生諸君が、飯田橋の事件があった直後でございますから、気負い立ってくるということは否定できない。そこで、構内において、何というか相当行き過ぎた渦巻きデモみたいな形のものがあったということは事実のようであります。そこで混乱が起こった。だが、しかし、そのときの逮捕者は、たしか四名ということであったようでありますが、その際にいろいろと所持品検査の問題であるとか、あるいは身体検査といったようなことまでされたということで——これは同僚委員からすでに指摘され、議論されておるところでございますから、私はここでは触れません。そこで九大に行かれて、警察としては、博多駅でこれを一斉逮捕することはできなかったが、おそらく九大で門を開かないであろうと思っておられた。ところが、九大で門を開いて学生を入れた。そこで逮捕するという形にはならなかった。これは一般に伝えられておるところでございますが、御承知のとおりに飯田橋において、昔のいわゆる予防検束というようなああいう形が引き起こされた。博多駅でもおそらくそういう考え方だったろうと思う。しかし、それはついに成功しなかった。舞台は佐世保に移ってきた。そこで十七日のあの大混乱というのが起こされてきたわけです。  私、あとでずっとお尋ねしてまいりますけれども佐世保においてどういう態度でお臨みになったのか。あの大混乱の中で、わずか二十七名の逮捕者を出したにすぎない。いいですか、これは大臣もお聞きとりを願いたい。そして、驚くなかれ、負傷者が百四十名出たという事実であります。飯田橋では大量検挙をやった。博多においてもその考え方であった。佐世保に行くことをできるだけ食いとめようと思った。舞台が佐世保に移ると、今度は検束という方向よりも警棒をふるって、その他武器を使って百四十名という重軽傷者を出した。このことを考えてみますときに、警備体制というものは、警備の基本というものはどこに置いておられるのであろうか。市民の批判もそこに集中しておるということを、まず私は、長官も静かにお考えにならなければならないし、また、大臣も、国家公安委員会委員長として、それらの点については反省としてお考えにならなければならない点があるのではなかろうか。  ずっと尋ねてまいりますが、そこでこの一連の事件を通じて長官は、反省としてどういうことをお考えになっていらっしゃるか。私がいま指摘をいたしましたこと等から考えてみましても、やはりこの警備の点については間違いはなかったのだというお考えを持っていらっしゃるのか、伺ってみたいと思うのであります。
  49. 新井裕

    ○新井政府委員 警備自体の目標は、佐世保におきましては、事前の情報としても、基地の中に突入するというのが三派全学連の計画であったようでありますので、これをまず絶対的に防ぐということを第一目標にすると同時に、警備の過程におきましては、できるだけ双方にけが人を出さないように、そういうことを目標としつつ遠隔規制をやりまして、いままで行なわれがちでありましたからだとからだと接触するようなそういう場面はできるだけ避けていきたい、こういうふうに考えておったわけであります。警備の基本方針はそういうことでございます。  それから、具体的に平瀬橋のたもとの問題についてのお尋ねでございますが、あそこで二時間以上対峙しておりまして、逐次障害物を除去いたしまして、だんだん橋を渡りそうになってまいりましたので、いつまでもそういう規制を続けているわけにいかないという判断をいたしまして、これを後方からほかの警察の部隊を回しまして検挙あるいは解散させるという方向でやったわけであります。それがお尋ねの趣旨と合っているかどうかちょっと疑問なんですが、私ども考えている基本方針であるわけでございます。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 私は、きょうは事実問題、事実関係だけにしぼってお尋ねいたしたいと思いますから、いまお答えがあった点について、その事実を知っている点から問題を指摘して御意見を伺ってみたいと思うのです。  いま長官は、二時間待機しておった、これは学生佐世保駅に「西海」で着いたのが四十五分ごろで、約五分ばかりおくれたわけです。そこで線路伝いに学生平瀬橋のほうにやってきた。そして急ぎ足で歩いてきておりますので、十分程度時間を取った。そうすると十時若干前であったわけです。そうして長官お答えのとおり、確かに実力行使をおやりになったのは十一時五十分、その実力行使の時間というのは、新聞に伝えられているのですが、約六分程度であった。これは川島警備局長も約六分か七分のできごとであったのだ、こう言われた。そのことは、私はたいした時間の違いはないと思っております。ところが長官がいまお答えになりました二時間待機しておって、そこでやむを得ないで実力行使に入ったのだ、橋を渡られるというような危険を感じたから、こうおっしゃるのですが、それは事実と違う。これは川島警備局長は、現場においでになっておりましたから御承知でございましょうが、学生諸君が橋を渡るような状態ではございません。これは十八日のデモ、五万人集会を私たちはいたしまして、私も参加し、そのデモ隊と警察の接触があって、そこで事故が起こってはならないというので、私もその先頭に立って、むしろある意味では、警察の警備体制に協力するというような私ども行動があったわけです。ところが、学生諸君はやってこないということがわかっている。佐世保橋のほうにおったわけでございますから、佐世保橋から平瀬橋のほうには警官隊がたくさん警備に当たっておりましたから、やってこれない。ところが警察が、デモ隊の諸君にひとつデモコースを変更してもらいたい、そして、平瀬橋のほうに行ってもらいたいという希望でありますので、平瀬橋のほうは通れるのか、それは通れるでしょう、通れます、こう言うので、佐世保橋のほうの指揮官の要請に従って、平瀬橋のほうへ回った。ところが、平瀬橋のほうには鉄条網を張りめぐらしておって、とうていそこを通れるような状態ではございません。それこそ有刺鉄線を張りめぐらしているのでありますから、これは危険です。自分でけがをしたい者は、それは飛び越えても行きましょうが、だれもけがをしたい者はいないのですから行けません。ですから、十七日の状態、十八日の状態、二十一日の状態、これはもう同じなんです。ですから、そういうようなことができるような状態ではなかった。しかも学生諸君平瀬橋のところの現場に着いた。着いて、放水が始まったのは十時十分ぐらいからです。私は五分と申し上げたのですが、ここに新聞社の新聞報道のなにを全部持っておりますから、十時十分ぐらいから放水開始をやった。初めは水だけの放水であったか、あるいは十時十分からいわゆるガス液を混入した放水をやったかということについては、五分、十分の時間の関係については必ずしもはっきりいたしませんが、しかし、いま長官がお答えになりましたように、二時間待機しておった、何もしないでおった、そして橋を渡られる危険性があったから、やむを得ず背後に回ってこれを排除するようにしたんだ、そして、お互いからだとからだが接触しないように、けが人を出さないようにつとめたということは、答弁のための答弁ならば、そういうことは言えるかもしれませんけれども、現場を実際に知っておる者が聞きますと、それは正確ではございません。だからして、ガスの放水の問題等等、長官からお答えを願えれば、なおけっこうでございます。警備局長からお答え願ってもけっこうでございますけれども、私が法務委員会でも申し上げましたが、ガス弾にいたしましても、警備局長は、何回も警告した後にガス弾を実は投げたんだ、こういうことをおっしゃった。これも事実に相違いたします。どうしたことか。まあ、たくさんの学生の諸君が、中には相当数の者が角材を持っておる。あるいは、投石もあるというようなこと等から、理性を失ったという点も私は指摘できると思うのでございますけれども、ともかく、いろいろなその当時の状況からいたしまして、確かに間違いが起こったということは否定できない。ということは、このガス弾を破裂させるにあたって警告をしなかったということ、そのことは、局長はやはり警告をしたというふうにあくまでおっしゃるのか。まずその点を伺っていま長官がお答えになった、二時間待機しておったそのことと、私が指摘したこととの間にたいへんな違いがあるわけでありますから、そこいらもひとつ御説明を願いたいと思います。
  51. 川島広守

    川島(広)政府委員 中村委員も現場においでになったわけでございますが、先般の法務委員会でもお答えいたしましたように、私のほうといたしましても、正確なデータに基づいてお答えしておるわけでございます。そういうような立場で正確に申し上げてみたいと思います。  ただいま御指摘がございましたように、学生佐世保駅におり立ちましたのは九時四十六分前後であったろうと思います。そこで、線路沿いに大部分の者が引き込み線に従って平瀬橋のほうにあらわれたわけでございますが、その間七名の公安職員が突き飛ばされる、なぐられるということがございまして、けがをいたしておりますが、いずれにいたしましても、平瀬橋の上に、東詰めのところに学生が到達しましたのは、いまお話しのようにおおむね十時ごろでございます。私のほうで放水を開始いたしましたのは、正確に申しますと、十時十分、そのとおりでございます。  それから、ガス弾を使うことにつきましては、この前法務委員会でもお答えいたしましたように、ガスを使います場合には事前の警告をしないでは絶対に使っておりません。警告はいたしております。  それから、水の中にガス液を混入して使用いたしましたのは、時間で申しますと十時四十分ごろでございまして、長官が申しましたのは、全体として、平瀬橋の上には約十条の有刺鉄線を実は張っておったわけでございます。この十条の有刺鉄線が、角材あるいは金ペンチその他で次々に破壊されまして、結局七条の有刺鉄線が全部破壊し尽くされました。あと残っておりますのはわずかに三条でございます。  それから、かかっております鉄橋のほうには、ごらんになられましたように、国鉄のほうで二つのバリケードをかなりがんじょうなものをつくっておったわけでございますが、最初の鉄条網は完全に破壊し尽くされました。最後のと申しますか、次のバリケードも、ほとんど七分どおりが破壊された。この時間がおおむね十一時四十七分、八分ごろでございます。具体的に平瀬橋の西詰めに待機をしておりましたのは、これまた御案内のとおりに、熊本の大隊でございますけれども、これが残りました三条の有刺鉄線の上に大だてをかぶせまして、その上を越えて市民病院のほうに規制を開始いたしました。これが十一時五十分でございます。そうでございますので、長官が二時間と申しましたのは十一時五十分、ちょうど一時間五十分を経過しているわけでございますけれども、その後さらに一連の規制措置がとられたわけでございますが、それは全体で二時間半に及んでいるわけでございます。そういうふうな事実関係がございますので、そのように御了承いただきたいと思います。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうでは警告したと言い張るのでしょう。ところ、警告をしていない。これは事実ですよ。それは市民も、なぜに無警告でガス弾を破裂させるのかという非難がたいへん強かった。これは市民病院でも言っておりますよ。私ども調査に行ったときも、患者の人たちは異口同音にそれを言うのです。だから、警告がないものだから、放水というのは水の放水だろうということはだれでも思うことですよ。あなた方のほうでも、ガスを混入して放水したというのは、羽田でもおやりになられず、いわゆるガス弾だけをお使いになったのです。ところが佐世保で初めて混入して、液状にしてお使いになったわけですから、両方使った。あとでこれも尋ねていきますが、このガス弾を二通りお使いになっただろうと私は思う。地上に落ちるのと、途中で破裂するのと、おそらく二つお使いになった。現に、吉葉君ですか、あれはガス弾が首のところで破裂して大やけどをしているのです。だから、それも幾種類のガス弾をお使いになったのかということもお答えを願わなければなりませんし、それから、問題の、警告をしないでガス弾を投げた、ガス弾を破裂さしたということ、これはもう事実なんです。それから、いまあなたは十時四十分ごろとおっしゃいましたが、ガス弾を投げたり、放水のときに、いわゆる催涙ガスをまぜて放水しておるのです。病院は窓を明けておったから、ガスがもうもうと、しかも風向きもそうだったわけですが、市民病院のところにどんどん流れて、患者も目をやられ、右往左往というような状態で、医師が窓を締めてください、こう言って実は窓を締めさせるというような状態であったということですね。しかし、このことをあなた方と何ぼ議論をいたしましても、これは水かけ論になる。だから、あなた方としては、その警告をしたのだということになると、間違ったことはやっていなかったということ、いわゆる過剰警備でなかったということを主張されるということになるのだ。ところが、前には市民病院と共済病院の二つの病院があるわけでしょう。そういうガス弾をお使いになるという場合に、学生だけを念頭に置かれるのではなくて、病院があるのだ、患者が相当数入院をしておるのだ、これに迷惑をかけてはならぬという配慮があってしかるべきではなかったのか。だから、病院に連絡をとり、適当の措置をそれぞれ要請されるという態度があってしかるべきではなかったか。それをおやりになったとおっしゃいますか。
  53. 川島広守

    川島(広)政府委員 平瀬橋におきましては、私も現地に行ってみましたし、さらにまた事前に、一月の十五日以降、あの付近の平均気温はどうなっておるのか、さらにまた、平均的な風向きというものはどうなっておるのか、こういうようなことも実は事前に詳細に調査をさせましたわけでございます。このことは、ここでまた繰り返して詳しく申し上げる必要もないわけでございますけれども、今回の佐世保につきましては、あらかじめ、いわゆる佐世保を第三の羽田にするのだということを公然宣言をして、年末から全国各地の大学にオルグ活動をしまして最大限の動員をはかったのが、あの三派系全学連行動でございます。そういうようなことで、相次ぐ羽田事件であのような暴走をいたしたわけでございますので、われわれといたしましては、相手方の不法行為に、対応して、それぞれの制止の措置あるいは治安の維持をとるわけでございますけれども、万が一の場合に、ガスを使わなければならないような事態になるのではなかろうかということを実は懸念をいたしまして、これは先生も現地で病院の院長先生なりあるいはまた事務長からお聞き取り願ったと思いますけれども、実は年末から、病院側のほうに対しましても、またあの付近の市民の方々に対しましても、万々が一の場合にはガスを使わなければならないような事態になるかもわかりません。このこと自体がいたずらに不安を与えることを実はおそれたのでございますけれども、そのことにつきましては、年末から病院のほうにも協力方をお願いした経緯がございます。しかも、皆さん御案内のとおりに、あそこの場所は、通常でございますれば、あの平瀬橋から西北のほうへ実は風が流れている、川口のほうへ流れておるわけでございますけれども、ところが、あの場合には、あの地域の一部の風向きがだいぶ変わったようでございます。たとえば、テレビにも映ったようでございますが、一時は病院の煙突の煙がまっすぐ上がっておりました。ちょうどガスを使いましたあの時刻には、風向きが逆に変わりまして、平瀬橋からいま御指摘のように市民病院、共済病院、佐世保橋のほうへずっとただよっていりた。こういうことが実際調べた結果わかりましたので、急遽ガス弾のほうをとめまして、ガス液に切りかえたわけでございます。ガス液につきましては、御承知のとおりに指向性がございますのと、いわば拡散性があまりないわけでございます。到達距離は、通常の場合の放水でございますと、三十メートルでございますから、これ以上には広がらないわけでございます。そういう意味合いで、もしも万々が一の場合に、佐世保橋でガスを使わなければならないような事態を想定いたしました場合には、風向きはもちろんでございますが、場合によってはガス水のほうが迷惑をかけることが少ないであろう、こういう判断も実はあわせて持ったわけでございます。そこで、市民病院のほうの側に対しましては、調査状況もそうでございますが、使いますときにも、年末からやっておりましたけれども事前にも電話で御連絡いたしております。問題は、病院の患者の方々がいろいろ御迷惑を受けたということを一部新聞にも報ぜられたのでございますけれども、これは先生お尋ねになります前に、私のほうでもさっそくに両病院に幹部を出しまして、そして一般の患者の方々にたいへん御迷惑をかけたのではなかろうかということを懸念しまして参りました。そのときの病院長のお話では、いや、それは私のほうではわかっておりましたから、患者には絶対に窓をあけてはいけない、こういうふうに指示しておりました、しかし、中には興味がおありで窓をあけられた方もおる、しかし全体として見れば、一般の患者には被害は及んでおりませんというお答えをいただいておるのでございます。  ただ、いまお話にもございましたけれども、あの場合にはおおむね七百名近くの者が、いわば目を洗うために、あるいはからだを洗うためにあの市民病院の中にかけ込みまして、先生も御承知のとおりに、あの病院の下は外来になっておりますので、その中にそれぞれガス液をかぶった者、あるいはパウダーがついた者、数百名の者がそのまま飛び込んだ。そういうようなことで、外来に目が痛いというような方が相当数殺到しておる、そういうような意味での御迷惑をかけたことはまことに遺憾に存じておるわけでございますけれども、さらにまた、治療に当たられました先生なりあるいは看護婦の方々も、同様に涙を流しながら治療に当たられたということは、私どもは実は市民病院のほうからも承っておりますし、詳細な報告によってそのことは重々承知をいたしておるわけでございます。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 このことで押し問答をいたしておりましたら、時間が幾らあっても足りません。それも平行線です。私ども調査団として調査に参りましたときにも、院長その他看護婦あるいは患者の方々からお話を伺いました。これもいまあなたがお答えになったこととは違うわけです。さらにまた、その前もずっと私はおったわけでございますから、一般市民の方々、それから患者の方々のお話は伺っております。あなたがおっしゃるように、興味本位に、窓を締めろと言われておったのだけれどもあけておったのだ、そういうことではないのです。しかし、警備は行き過ぎでなかったという考え方の上に立っておられるあなた方は、私の言うことを肯定はなさらないでしょう。  そこで、長官にお尋ねをいたしますが、からだとからだが接触をしないようにつとめたのだ、こうおっしゃる。そして背後に実は警察官を回したと、こうおっしゃる。背後に回ったことは事実です。佐世保橋寄りのことはあとから起こったのでありますが、駅寄り、これは背後に回る。それからいま言う平瀬橋のほう、これは背後に回ったのは、そうしたからだとからだを接触させないために、けが人を出さないために回したのだとおっしゃったのだが、あなたの意図したとおりに結果はなったのでしょうか。
  55. 新井裕

    ○新井政府委員 私のことばが足りなかったために誤解があるようでありますけれども最初平瀬橋をはさみまして、有刺鉄線あるいはガス等で、できるだけ遠隔で先方のそういう乱暴する意思をなくさせようとしたのでありますけれども、二時間たっても一向に退散しないばかりでなく、有刺鉄線を破壊してだんだん近づいてくるというので、やむを得ずうしろから回したのでありますが、これは遠隔規制でもありません。結局からだとからだとぶつかり合うのは予想してやったわけでございまして、私が申しました遠隔規制というのは、全般と申しますか、大部分の時間のことでございます。したがいまして、横及び背後から回しましたのは、逮捕できる者は逮捕すると同時に、一方の道をあけておきまして、そちらのほうに逃げる道をつくった上でやったわけでございます。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 一方に逃げる道をつくったとおっしゃったが、どっちに逃げる道をつくったのでしょう。
  57. 川島広守

    川島(広)政府委員 中村委員よく御案内でございますけれども、川沿いのガス会社のほうに行く道でございます。それから島地公園のわきの道がございますが、二つの通りをあけたわけでございます。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 それはこれから尋ねていきますが、長官のお答えを聞いておりますと、あなたのほうでは防御措置は何もおとりにならない。有刺鉄線をずっと切断をして、そして平瀬橋を渡って、基地側におる警察官のほうに突入をしてくるという危険性があった。これは有刺鉄線を何本か切っておることば事実です。ところが、いまいうガス弾あるいはガスを混入した催涙ガス水をどんどん放水されるんだから、有刺鉄線を切って基地側に待機している機動隊に向かって突入し得るような状態じゃございません。初め水だけの放水をしたときは、非常に圧力の強い放水をされて、それで立っておることもできなくて倒れる者があり、うしろに後退をする。それから今度はガスを混入したいわゆる催涙ガス水をどんどん放水する。もう目がしぶい。そうすると、突入していくような状態じゃございません。けれども、退かせない。そしてとまる。そこでまた来る。またガス弾で押し返す。そういうことがずっと繰り返されてきたんです。それで、あなたのほうでは、実力行使をするのを、一時間四十分程度も放水開始からそういうことを繰り返したんだから、したがって、がまんにがまんをしたんだということかもしれません。しかし、やはりああいう皮膚がびらんをするようなガスをお使いになったんでございますから、法務委員会では局長はこれは武器ではないとおっしゃったんだが、これはたいへんな武器だ。法律的には武器ではないということになるでしょうが、事実上はこれは非常に強いいわゆる武器であるということになる。そういうことを繰り返してきた。そこで今度は、いま長官がお答えになりましたように、実力行使という腹をおきめになって、そして背後にずっと回して、そして突っ込めという号令とともに、今度はその有刺鉄線のほうを越えて学生のほうにいわゆる前方から突っ込んでいく。それから背後に回った者が突っ込んでいく。いいですか。いま言う逃げ道をつくったとおっしゃる島地町のほう、あるいはまた大阪部隊と称する部隊がそこでまた襲いかかってきたんだそうです。はさみ打ちじゃない。三方からもう学生が絶対に逃げられないような状態に追い込んだんですよ。その時間が六分間。その間にめった打ち。いいですか。逃げ道をつくってやるとか、できるだけこれを逮捕するというような形でおやりになったのではないですよ。これだけはことばで繰り返さなくたって私も新聞を持っておりますが、あなた方のほうでも、いろいろ新聞写真その他、あなた方自体のほうでとっていらっしゃる写真もあるわけでしょうから、見られるとわかると思う。ともかくたいへんな混乱がそこで起きたわけですよ。しかも問題は、どうして逃げる学生に対してこん棒をふるうのかということです。逃げる者に対してはこん棒をふるわない。いわゆる警棒ということになるでしょうが、警棒をふるわないということが私はたてまえであろうと思う。これは大臣からお答えを願いたいと思うのですが、ともかく十七日のそのわずか六分か七分間の時間ではございましょうけれども警察のとった行為というものは、全くこれは警備ではございません。私はあえてこれは警察官暴力であると指摘したいんであります。私が冒頭に申し上げましたように、わずか六分か七分の時間中に逮捕者はわずかに二十七名、重軽傷者百四十名を出しておるというこの事実が明らかに物語るのではないでしょうか。それでもあなた方は警備の行き過ぎはなかったんだ。できるだけけが人を出さないようにつとめたんだということが、説得力のある答弁になりましょうか。  いろいろ申し上げましたが、そういう逃げ惑う学生に対して警棒をふるうとか、あるいはなぐられて倒れて足腰も立たなくなった者に対して、なおかつ警棒でめった打ちにする。しかも一人に対して四人も五人も——これは写真もありますか、抵抗力を完全失った者に対して、警棒の雨を降らせる、あるいは踏む、ける、そういうようなことをおやりになっておるのですが、これも正常な警備の状態ということが言えるでしょうか。これは法的にそういうことをおやりになる根拠はどこにあるのでしょう。まずそれらの点に対してお答えを願いたいと思います。局長の前に、基本的な問題だから大臣からお答え願います。
  59. 川島広守

    川島(広)政府委員 私からお答えを申し上げましたあとで、また大臣なり長官からお答えがあろうと思います。  いまお話がございました平瀬橋事件でございますが、いまお話しになった事件の概要は先生のおっしゃったとおりでございます。そこで、けが人の問題は、あの平瀬橋におきましては、警察官側のけがは、あの一時間五十分にわたります隠忍自重しておりました間に八十七名の警察官が実はけがをしております。学生側のほうは、先生のおっしゃいました百四十名と申しますのは、これは佐世保事件全部の合計が約百四十名でございます。あのときの学生の負傷者数は五十一名というふうに私のほうは把握しておるわけでございますが、これは調査方法によって違うかもしれません。  そこで、警棒を無抵抗の学生にふるったというお話でございますけれども先生も現場でごらんになられたそうでございますから御理解がいくと思いますけれども、あの事件は、いま申しましたように、川端通りと博多屋本館のほうからそれぞれ二つの部隊を検挙並びに制止活動の任務を与えて出したわけでございます。いまお話もございましたが、島地町のほうに規制しましたのは、お話しのとおりに大阪の部隊でございます。いずれもこれらの学生は、いま申しましたように、終始その時間休むことなく反復継続をいたしまして、いわゆる石を投げつけ、角棒でいま申しましたバリケードなどを破壊するという行為が、一時間五十分にわたって実は継続しておったことは、先ほど来先生のおっしゃったとおりでございますが、そういうような非常に異常特別な事態でございます。その中において、警察部隊としましては、逃げ惑う学生をなぐったというお話でございますけれども、局面局面ではなくて、全体をぜひ御理解願いたいと思うのでございます。学生たちが、終わりましてから後にいろいろ言っておるようでございますけれども、ともかくも、ごらんになってわかりますように、一たん逃げる、そしてまた立ち向かってくるということでございまして、これはいずれも彼らとしましては、一たん下がって陣を立て直してまた来るという状態でございます。その瞬間をとらえればあちらに逃げたようなかっこうでございますけれども、水をかけられるある、いはガスにあう、下がる、そうしてまた来る。したがって、実際に制止活動に入りました場合でも、そのようなことが、実は全体として、全局面には展開されておるわけでございます。、そういう意味合いでございますので、ぜひひとつ全体の、一つの局面局面ではなくて、あの警備実施の制止活動全体、鎮圧活動全体を御理解されました上で、いま申しましたようなことで御了解を得たい、こう思うのでございます。
  60. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私が過剰警備ではなかったということを申し上げたら、たいへん皆さんの非難を受けたわけでございますが、これは私が個人的に感じを申し上げたわけじゃ決してございませんので、警察は御案内のとおりに国家公安委員会が掌握しております。私の役割りは、やはり国家公安委員会が正しく警察署を管理する、こういうことについては重大な責任がありまするので、こういう際にも、始終公安委員会とは連絡をとって、報告も聞いて、その結果をまた内閣にも反映し、また、政府の御希望があればそれを公安委員会に伝えます。しかし、これは総理大臣が命令することも何もできぬことは御案内のとおりでございまして、政府がもっと警備をやれと言ったら、そこでろ過をして、その必要はないという御判断ならば、それ以上進めるわけにはいかぬ。当然のことでございます。あのときも、ずっと公安委員会を開きまして、しさいにあの警備の状態を説明を受けて、いろいろ判断いたしまして、合議と申しますか、いろいろ公安委員の諸先生に御判断をいただいて、そのとき全員五名の方が、あれは決して行き過ぎではないという御判断をいただいたことを私はそのまま申し上げたにすぎないわけでございます。  そこで、あの経過のことにつきまして事務当局からいろいろ説明しましたし、中村先生は現地においでになってまざまざと当時のありさまをごらんいただいたわけでございます。しかしながら、私どもの残念といたしますことは、やはりああいう三派系全学連の諸君ですか、これは常習的にああいうことをやるわけなんです。飯田橋から出ましたときから、すでにいろんな情報も入っておるし、警察としても、勢いそれに対して異常な関心を持たざるを得ない。ですから、過剰警備であったという批判もあるかもしれませんが、しかし警察の責務としては、私は当然であったという考え方を持っておるわけでございます。警察官の職責——この間予算委員会で、警察は何のためにあるかという御質問があっのですが、これは言わずと知れた国民のため、むしろ国民の人権を守るためにあるのであって、国民に危害を与えるようなことはもちろん許されない。そういうことはあくまでも防ぐ立場が警察官の立場でなくちゃならたい、これは言うまでもないところございます。  そこで、いまの問題ですが、やはりずいぶんしんぼうしてしんぼうして、そして警棒は御案内のとおり、抜けという号令がかからなかったら抜けない、おさめといったらおさめる、それを何分やったかということは、いま警備局長が言ったようですが何時から何分間やったということは、それぞれ部隊によって違います。そのことも記録は来ております。しかし、ああいうこん棒でなぐられっぱなしになっておりますと、やはり人間のことですから多少は興奮をすることも考えられる。そこで、そういうことも予想をいたしまして、一番最初国家公安委員会警察庁に四つの大綱を示しました。そのうちの大事なことは、先ほどわれわれのほうで、平穏に通る計画であったのが通さなかったとおっしゃったけれども、やはり主催者側と十分連絡をとって、事が起こらぬという形にすべきだ、これが第一である。それから次には、負傷者は絶対に出すなというふうなことを国家公安委員会としては指示をしたわけでございます。しかし、人間のことですから、当時私は現場におりませんでしたけれども、さんざんなぐられっぱなしになっておった者が向き合ったということでありますと、やはり多少何か起こったのじゃないかという気がしますので、私は心配もいたしております。しかし、こういうやり方につきましては、今後十分研究、くふうが必要なことはよく承知もいたしておりますし、当時警察が無抵抗であった者までぶんなぐったということは、私は信じませんけれども、しかしながら、こういった誤解を招いたことはたいへん残念でもありますし、こういった点につきましては、十分将来に向かって新しい方法などを検討しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは、公安委員長として、できるだけ部下の警察官をかばうという気持ちが働くというのはわかります。しかし、それだけではあなたの任務はつとまらないんじゃないでしょうか。やはり行き過ぎは行き過ぎとしてたしなめるという態度、これは国の公安委員会ですからね、警察を擁護するということだけではあなたの任務、国家公安委員会の任務は果たせないのですよ。いまあなたは、警察官が寄ってたかって踏んだりけったりする、あるいは警棒の雨を降らすということはなかったんだ、ことばとしてはそうお使いにはならなかったが、私の言ったことに対してお答えになったのだからそうだと思います。ガス弾を警告なしにやったとかやらないとかということ、これは水かけ論だ。しかし、逃げまどう者に対して警棒をふるったこと、それから抵抗力を失った者に対して足げにかけたり、一人の倒れている学生に対して三人も五人もの警察官がそういうような暴挙に出たということは、これは議論じゃないですよ。写真がはっきりあるのだから、これは否定できない。だから大臣は、その点は率直にお認めになって——それから公安委員会態度お話しになりましたが、全体的には、これは公安委員会としての結論がそう出たのだろうと思います。ところが、瞬間だけをとらえるなとおっしゃるのだけれども、これはあなた、一分間で人は殺せるのですよ。そうですね。それこそ一秒間でも人は殺せるということにもなるのです。だから、瞬間のできごとだけをとらえるなとおっしゃるが、それは私は間違いだと思う。なるほど警備局長もお答えになりましたように、一時間半から一時間四十分程度ガス弾を炸烈させ、それから催涙液を放水するという形において、その後退前進というのが繰り返されたということは事実です。決してこれはがまんにがまんをしておったということにはならないのですね。ところが、実力行使ということも、これはこういうことを繰り返しておってもしょうがないのだから、学生をそこで排除するというような行き方なら、もう少し冷静な、正しい警備の方法が私はあったと思う。そういうことをおやりにならないで、それから逃げ道をつくった、そういうことは、ほんとうに逃げ道をおつくりにならなければだめなんです。これは警察官が警棒をふるって、ぐっと押しかけてくると、さあ逃げろということで逃げるのだから、これは初めのガス弾のときこそ突進するという形があったわけなんです。これは接触しないから、その場合はやるのですよ。まあその後いろいろなことをやっておる。接触するときにもやっておるようです。私は当日の問題を言っておるのですが、当日はそういうことではなかった。いわゆる六分間の瞬間のできごとというものは、決して学生角材を持って、警察官のほうに立ち向かうという場面はないのです。もう逃げまどう、そうして市民病院のところまで逃げる、それでも追っかけていく、そして市民病院の入り口のガラスはめちゃめちゃにこわれる、そういう現象であったわけです。だから、逃げさえすればいいのだけれども、いま言うように、三方から完全に逃げ道をふさいでしまって、まん中に包囲してしまった。そういうような現状は、あえて私は、警備ではない、全く暴力だと申し上げましたが、これは私だけが言うのじゃなくて、新聞にもそういうことが書いてありますし、これは市民の声なんです。そうまでしなくてもいいじゃないか、警察もうやめろ、という大きい声で、これは現場を見ておる市民がどなっておったということ、これはひとつお認めにならなければならない。それと、報道陣の人たちも五人もけがをされておるというこの事実、それから岩垂朝日新聞記者にいたしましても、当時の警察の警備の行き過ぎ、そういう暴力に対して指摘しておるのです。この事実もすなおに、大臣にしても、あるいは長官以下警察当局にしても、やはり反省するところは反省して、その後に備えるという態度があってしかるべきだ、こう思う。それでなければ、決して、警察に対して国民の支持というものは、私はあり得ないと思う。そこで、一貫して行き過ぎはなかったとおっしゃるのだけれども、現地のいわゆる指揮官であるこの本部長、これは当然最高責任者ですが、その北折本部長が行き過ぎがあったということを率直に認めておるのですよ。これは私の持っておる新聞にもあるわけです。警備の再検討を指示した。そして翌十八日の佐世保橋のときにはほんとうに自重された。二十一日に至っては、これはもう完全に自重したと私は申し上げてもよろしい。放水問題においてしかり。だけれども、十七日の状態は、何とあなた方が抗弁されようとも、このことは否定できないことですよ。だから、きょうあなたは、これで行き過ぎはなかったとおっしゃるが、それじゃ現地の本部長である北折長崎県警本部長が、行き過ぎがあった、警備の再検討を指示したと、こう新聞にも、テレビにも出たわけですが、これは間違いであると、こうおっしゃいますか。
  62. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その記事は、私も読みました。総指揮官であった県警の本部長が、結果的に取り締まろうとした対象でなくて他にけが人が出たということは、何としてもお気の毒なことでございましたので、ひらにあやまったというふうに理解をしておるわけでございまして、今回の警備計画が間違っておったということは、本部長は言っていないというふうに考えておるわけでございます。いま日にちを分けておっしゃいましたけれども、私はこういったことを非常に気にいたしまして、ですからいま十七日と二十一日のことをおっしゃった。十七日は非常に積極的にやった。このときの負傷者を見ますと、私特に警察官がかわいくてその立場を守ることに専念しておるわけじゃありません。言うまでもなく、警察官というのは法を守る、社会秩序を守るということの使命を帯びておるわけでございますが、片方はそうではないわけなんでして、ですから隠忍自重いたしましてやった結果、十七日は学生が五十一人負傷いたしまして、警察官が八十六人の負傷でございます。警察はずいぶんがまんしたとおっしゃった二十一日は、学生三十一人に対して実に警察官は重傷をまじえて百五十七名の負傷者が出ておるわけでございます。とにかく、押えに押えて、しんぼうせい、しんぼうせいということだけではなかなかやれぬ面もあるわけでありまするので、そこは中村先生も賢明な御判断をいただいて、ただ私は、やはりやり方については今後もっと研究、くふうを要する点があるということを申し上げておるにすぎないわけでありまするので、どうかその点は御了解をお願いいたしたい。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 時間がなにしましたから進みますが、二十一日はそのとおりです。二十一日の北折本部長のとった態度、これは私どもできるだけけが人を出さないように、混乱を起こさせないようにいろいろと話し合いをいたしましたが、その約束を守り、警察が隠忍自重したということは事実なんです。そのことがやはり警察官のけが人がたくさん出たということになったということも私は言えると思う。しかし、学生諸君もやはりそのときはある程度自重するという形があったのだが、そこまでいく前に、学生の投石というようなものからできるだけ放水を手控えたという関係もあって、けが人がたくさん出ることになったのだと私は思う。私は十七日の問題を中心にして申し上げているのですが、私は警察が何でも悪いのだという形でこの質問を展開しているわけじゃありません。警察のとった態度がよかった点はよかったと率直にそのことを認め、行き過ぎはすなおにお認めになったほうがよろしい、そして警察に対する国民の信頼を取り戻すようになさる必要があるのではないか、こう言っている。  それから、いま大臣が、現地の北折本部長の行き過ぎがあったということに対してのあなたの考え方をお話しになったのですけれども、これは新聞が誤報であるといえば別ですけれども、これを読んでも、これは確かに行き過ぎがあった、しかも警察官には前もって十分注意しておったのだ、にもかかわらずこういうことをやったということは、警察官個人の行き過ぎであり、報道関係者をなぐったこととあわせて、その責任の所在を明らかにすると言っているのです。このことは私は重大な問題だと思うのです。これは警備体制の組織の問題等と関連をして、これは重大な問題がある。全国各地から警備隊を佐世保へ集められた。そのことが、現地の県警本部長の指揮が十分行なわれなかったことが混乱をさらに大きくしたということも否定できないのではないか。だから、大阪隊の名前を指摘して、その行き過ぎを、これは個人の責任だという形で言っているのですね。これは問題だと思う。警備体制のあり方についても、あなた方は反省をされなければならないのではないかというように私は思う。ともかく、行き過ぎは行き過ぎとしてお認めになったほうがよろしい。  その次にお尋ねをいたしますが、幕僚団の問題、先ほど長官は、俗称幕僚団というのだけれども、幕僚団というようにはこれは考えていない、お互いに知恵も出し合う、あるいは意見の進言もする、こういう形で実はやっているのであって、警察当然の行き方だということをお話しになっておったのでございますが、この幕僚団の構成とか、それからその権限というか、そういうものはどういうことであったのか。あくまでこれは内的な関係であって、その幕僚団というものは、外に向かって責任のある言動をするという形にはならないではないか。それらの点はどうでしょう。
  64. 新井裕

    ○新井政府委員 先ほどお答えを申し上げましたとおり、幕僚団という名前は使っておりませんし、組織上もそういうものではございません。いまの警察法のたてまえから申しまして、現地の本部長が最高責任者であり、そこにわれわれのほうから参りました者は、アドバイザーと申しましょうか、あるいは補助者と申しましょうか、そういう立場で行っておるわけであります。私は、こういうたてまえは、いまの警察法のたてまえのもとで最も望ましい形ではないかと思っております。要するに、先方の動きも全国的である。長崎県だけでは判断できないこともある。また、力の上でも、長崎県だけではできませんので、機動隊の応援を各県に求めたわけでございますけれども、それぞれの判断なり措置なりにつきまして、それぞれ適当なる相談にあずかり、あるいは勧告をするというたてまえでございます。したがいまして、先ほどお尋ねがございましたように、責任のある立場で外に発言すべきではないというお話でございますけれども、県警の本部長から、君から言ってくれというようなことがあれば、本部長にかわって発言することはあろうかと思いますが、それ以外の場合は、単なる事実上の発言はありましても、責任を持っての発言というものではないことは、御指摘のとおりだと思います。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 私は、この幕僚団というのが事実上の指揮をおとりになったと思っています。そのことが非常に中央集権的な警察の警備体制という形になって、その事情を知らないために非常な混乱を巻き起こすということも否定できないのではないかという感じがするわけです。それで、この幕僚団というのは、中央でいわゆる頭脳的な演習をやるというようなことでもって、中央できめた方針を下にそのままおろしていくというようなことになったのではないかという感じがいたします。具体的にこういうことだということで私は申し上げてもよろしいのですが、時間の関係がございますから、いずれまた適当な機会にそのことは触れてみたい、こう思うわけです。  いま長官は、本部長から依頼をされて何か発言をすることができるのだ、こうおっしゃった。それは私ども警察との間に混乱を避けるために話し合いをする、そういう際にも幕僚団が出られて発言をするという機会もありました。私はそのことについては言いません。だがしかし、この警備の行き過ぎということに対して、あなた方はこれを盛んに否定をされるんだけれども、幕僚団の一人である、むしろそのキャップ的な役割りを果たされたであろう富田参事官が、この警備が行き過ぎであったということを、いわゆる遺憾の意を表明しておるというこの事実は、あなた方が、幕僚団というものは何の権限もなかったんだということにはならないのではないか。少なくとも指揮者という立場に立たなければ、私は、そういう十七日の事態に対して、外に向かって遺憾の意を表するとか、あるいは病院に見舞いに行くといったようなことを、しかもこれは報道機関にお話しになったんだから、新聞に載っておるわけですから、これは否定できないと思うわけですが、そういうことに対してはどのようにお考えになりますか。
  66. 新井裕

    ○新井政府委員 富田参事官がそのように発言したことは、全く承知しておりませんし、本人からの復命でもそういうことはございませんので、事実についてははっきりここでお答えいたしかねますが、一般的に申しますと、そういうことは言っていないと思います。  それから、幕僚団は全然権限がないというような御発言でございますけれども、応援要請で行っておりますから、事実上応援先の本部長の命令によって仕事を行ないますし、また法律上の権限も行使できるのでありまして、そういうことは全く否定はいたしておりません。それからまた、中央集権的だというふうに言われましたけれども、いまの警察法でも、ある程度、国家的なことについては警察庁なり国家公安委員会というものがコントロールをするということを認めた、そういうたてまえでございまして、その限度におきましては、今度の問題についても適当なる助言なりあるいは調整なりというものをわれわれはやったわけでございますが、先ほどから何回も申し上げましたとおり、現地の最高の責任者は県警本部長であります。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 現地の責任者は県警本部長である、そのとおりだと私は思うのですね。それで、幕僚団は全然権限がないのかというと、それは内的な問題については私はあると思う。ですけれども、外に向かっては、当初あなたがお答えになりました幕僚団というものは、あくまでその本部長をささえる、あるいは進言をするとか、そういう警備体制の内的な形についての機関であると私は思う。  それから、富田参事官はそういうことを言っていないんだと思う、それは新聞の誤報であるとおっしゃれば別ですが、私はそういうことではないというふうに考えます。だがこれは、幕僚団のいわゆる性格、権能の問題という点から重大な問題である。しかもこれは、赤澤国家公安委員長としても、これらの問題は将来も相当な問題として十分調査もし検討もされなければならないのではないかと思う。  それから、これは警察庁の内部の問題ですから私は言う必要はないと思いますが、少なくともこれだけの事故が起こったということ、このことは、われわれとしては無関心ではあり得ない。やはり県警本部長というものが最高責任者である。それをほんとうに補佐する者は私は県警の警備部長でなければならないと思います。ところが、その県警の警備部長というのはどういう役割りを果たしておったとお思いになりますか。これは川島局長が一番御存じですからあえてお答えいただくまでもなくよく御存じだと思いますが、一地域の連隊長である役割りを果たしておったということは、これは局長お認めのところだろうと思います。それから平瀬橋のほうの連隊長というのは刑事部長が担当しておった。そして中央から来ている県警の警備課長は、いわゆる参謀本部におる本部長のもとにおる。そうして肝心の警備部長というのは、全体的な形においてのいわゆる意見を言ったりあるいはそれに即応するような、本部長を助けて指揮をする立場に置かれていなかった。こういうことも、佐世保のああいう大事件を引き起こし、国民の大きな批判を受けておるというこの事実に対しては、十分反省をする必要があるのではないかというように私は思います。それらの点に対して、佐世保事件反省としてどのようにお考えになるか、先ほど赤澤大臣に対して私お尋ねしたこともありますので、予算委員会が始まるそうでございますので、その点お答えをいただいて大臣御退席になってけっこうでございます。
  68. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先般の佐世保だけでなくて、最近こういう集団違法事案が頻発いたしております。こういう際の警備のやり方につきましては、いろいろ研究、くふうをする余地があると考えております。
  69. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいま具体的な配置についてお尋ねがございましたけれども、私自身も第一線の本部長をした経験から申しまして、ああいう大きな事件が、しかも何日も続きますと、県の幹部だけでは足りなくなりますので、第一線の必要からいっても、多数のブレーントラストのような応援が必要でございまして、それの結果、本部長がどういう配置をするかということはやや二次的な問題ではないかと思います。  今後も、こういうような事態がありました場合には、そういう形で応援をしていくということがあり得る。またこれがやはり一番いいやり方である。たとえば、警備事件だけのことをお考えでございますけれども、先般静岡県でライフル魔の事件がございましたときにも、静岡県にこちらから若干のスタッフが参りましていろいろお手伝いをいたしまして、本部長もそのおかげでわれわれの判断が非常に的確になったし、処置がうまくいったということを言っております。そういう限度を守りつつ、われわれとしては今後もそういう方式を続けてまいるほかないというように思います。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 長官、今度の事件に対して、現地のそうした機構とかそういうものは二次的なものである。そのことは中央に、警察庁警備局に、原子力空母佐世保寄港警備総合デスクというものをおつくりになっている。そして川島警備局長がこの最高責任をおとりになっている。そこで、佐世保に派遣された幕僚団というものに対してそれぞれの使命を帯びさせるという形でおやりになった。そこで、長官がお答えになりましたように、それぞれの権限というものはあるのだ、こういうことで、内的にいろいろな任務を帯びさせたんだろうと思う。ところが、佐世保の警備体制が完全に行なわれたということを、あなた方は成功であったという考え方の上に立っておられるから、そういうお答えになっておるのだろうと私は思う。しかし、十七日の問題を中心にして、国民から大きな批判を受ける。しかも内閣官房長官は、これは行き過ぎということだけではなくて、不当だというようなことばをお使いになったというように、現地におって私はテレビで見たように記憶をするのであります。ともかく、これはたいへんな警察の警備の行き過ぎということに対する批判を受けることになったということは、これは失敗であったということをお認めにならなければならないのではないかと思うのですよ。それならば、現地というようなものに重点を置かないで、中央の警察庁の方針という形においておやりになったということが、今回のような行き過ぎた警備の体制になった。そして、ああいう混乱を引き起こしたというならば、そういうことになったのだから、その点に対する反省というものは当然なければならぬと私は思う。成功した場合において、やはり全国的な関係であるから、今度おとりになった措置というようなことに対して、それなりの評価というものが出てくるのではないかというように思いますけれども、いままでかつてやらなかったことを今度おやりになって、そしてこうした混乱を引き起こしたということに対しては、あなたとしては反省があってしかるべし、こう私は思うのです。その点に対してはどのようにお考えになりますか。
  71. 新井裕

    ○新井政府委員 官房長官が警備の行き過ぎがあったというふうに言明されたようには、私どもは理解しておりませんので、その点はまず申し上げておかなくてはならないと思いますが、初めてこういう形の動員なり計画をしたというお尋ねでありますけれども、ある程度以上の規模の捜査なりあるいは警備なりをやります場合には、しばしばこういう形をとっておりまして、われわれとして、別に今度が初めてではございません。  それから、現地の警備部長は事前の計画について十分参画いたしておりまして、当日は御指摘のように第一線の責任者になっておりましたけれども、これはまた地形地物をよく知っている者が第一線で機敏な判断をするに最も適当だということでやったわけでございまして、むしろ現場の最高の責任者というものは、現場を昔からよく知っている人、状況をよく知っている人が当たるのが適当であると判断をわれわれもいたしました。おそらくそういう判断で本部長もそういう配置をされたものと思います。先ほどから公安委員長からもお話がありましたように、われわれとしては、いかなる事態に対しましても常に検討を怠らず、少しでも前進し、少しでも改善のくふうを加えていくことについては決してやぶさかではございません。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく、きょうは時間がありませんし、定足数も割っておるようでございますから、あらためて私はお尋ねをすることにいたします。  ともかく、あなた方が佐世保において、この結果が示したように、いかに気負い立って警備をやったか、取り組んだかということは、これはある警察官の言っていることですけれども、ともかく関門を渡ってきた学生はもとのからだでは関門を渡らせないのだ、そういうことで警棒をさすっておったというような、そういうようなことまでも新聞に報道されておる。そういうことが当日のあのような重軽傷者を出すという結果になった。その後の問題にいたしましても、たとえばスパイ行為、ある警備部員の娘さんが、見舞い客を装うてけがをして入院をしておる学生が名前を明らかにしないというようなことからの配慮であったろうと思いますが、いわゆる見舞い客に接近する。それから見舞い客を尾行する。私が調査に参りましたときに、佐世保駅に私をたずねてまいりましたある女の学校先生——それは手をこうしているときに警棒でなぐられてけがをしている、そう言えば警備局長ももうぴんと頭にくると思うのですが、いまでも入院している学生がある。私たちもその学生を見舞いに行きましたが、その見舞いに行った人に対して尾行をされる。そうして、いろいろ管理者を通じてその学校先生に圧力をかける。あなたはあの学生に近づいたりなんかするとあなたのためにならぬ、こういうようなことで、見舞いに行った者にまで圧力をかけていくという非人道的なことをおやりになっている。ともかく、総合的に見なさい、瞬間だけを見てはいけませんよと、長官も盛んにおっしゃいますけれども、全体的に見るときに、いかに警察当局がやっておられる警備のあり方というものが、全くファッショ的な、往年の警察国家を再現させたというような感じを与えるような行動をとっておるかということが私は指摘できると思う。まだたくさん資料を私は持っておる。放水に使った薬液のガスの成分の問題であるとか、あるいは佐世保川の水の問題であるとか、これはあなた方は、指定をされておらぬとか、あるいは基準はきまっておらぬとか、それぞれのお答えがあるでしょう。予算委員会においては、警備局長は、江ノ島の夏の海水よりもきれいだったということを、畑君の質問に対してお答えになっておりましたが、そういう簡単なものではございません。いかに基準がきめられていないといたしましても、水は、プールに対しては基準はきめてありますが、海水についてはきめられていない。だがしかし、ともかく百CCに八万も九万もという大腸菌が入っておる水を放水したという、この事実は否定できない。佐世保の保健所の所長が、あのあとで、治療を早くしたからよかったけれども、もし治療を怠っておったならば、これはたいへな障害が起こってきただろうと思う、いま考えるとぞっといたしますということを、記者団にも語っております。そういうもろもろの問題、まだ警備上の問題等に対して私はいろいろお尋ねをしたいことがございますけれども、きょうは、定足数を割っておるような委員会の構成では、このまま続けられないというような考え方もあるようでございますから、私は質問を保留をいたしまして、きょうはこれで一応終わりたいと思います。
  73. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、明後七日木曜日午前十一時から理事会、理事会散会後に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十六分散会