○依田
委員 私
たちは、
学生が凶器を準備した、こういうようなやり方に対して、必ずしも全面的に同情したり、賛成をいたしておるものではないわけであります。しかしながら、
佐世保におきまする
状態を見ましても、先ほど
奥野委員に対する長官の答弁の中にもありましたように、第一次、第二次
羽田事件当時とは違いまして、非常にたくさんの同情が
学生側にわいておるというようなことをわれわれは認めざるを得ないわけであります。ここに各種の週刊誌あるいは当時の
新聞がたくさんございますが、その中の
一つを取り上げましても、これは週刊朝日でありますが、こういうことをいっております。これは
佐世保の実情でありますが、「しかし、そのことを割引きしたにしても、日をおって、市民が、機動隊と三派との衝突の前面に出てくるようになったことは、否定できない。『機動隊、帰れ』『おれ
たちの通る橋を、どうしてふさぐ。道をあけろ』『三派、がんばれ』。なかには、石を拾って、機動隊に投げるものもいた。六千人近くの
警察官を動員した強力な警備陣が、市民感情を刺激し、裏目にはねがえってきたようであった。」これは週刊朝日の記者でありますが、こういうような判断をいたしております。
奥野委員が先ほど、
佐世保の
平瀬橋なりあるいは
佐世保橋の
周辺におきまして、ポケットから石を出して投げるようなエプロン姿の主婦がおる、こういうようなものは一体どういう性質の群衆であるか、あるいは、それは
学生側のサクラではないかというような意味合いのことから警告を発しておりましたが、私は、このたくさんの週刊誌あるいは当時の
新聞、ラジオ、マスコミの報道というものが、一貫いたしまして
佐世保事件につきましては、
学生側に同情があるという事実を非常に重大に
考えなくちゃならぬと思います。そのほかに、作家で書いておりますものを簡単に読み上げますが、これは井上光晴さんが書いた「三派
系全学連は孤立しなかった」という文章であります。同じ週刊朝日でありますが「『だれでもあれを見たら、こりゃおかしいぞと思いますもんね。
学生を誘い込んどって三方からめった打ちにするとですから。病院の溝に落ちてうずくまっとるのを、上から踏みつぶすごと警棒でたたきつけるとですよ。機動隊はああいうことをするのかとびっくりしました』一月十七日の朝、九時四十五分。
佐世保駅に到着するとすぐ、基地突入をはかって
平瀬橋になだれ込んだ
学生に対する、
警察権力の『姿』を目のあたりに見た市民病院の入院患者の感想だが、『警官やめろ』と思わず叫んでから、『見物人』達は
自分の声に驚いたのである。」こういうことをいっております。またさらに行をかえて「『
羽田の教訓』を逆手に取ったむきだしの弾圧が確かにそうさせたのだが、そのほかにやはり、エンタープライズは
佐世保を中継核基地としてベトナムに出動するのだという実感が、
学生たちの悲壮な
闘争と心情的に結びついたのであろう。」という文章を寄せておるわけであります。
こういうようなことを幾つ読んでも切りがありませんけれ
ども、私は当時のマスコミ関係の
新聞やラジオあるいはそれぞれのスクラップを読んでみましたが、
佐世保に関する限り、
警察官に対する同情の念というものは非常に薄い。これは第一次、第二次
羽田事件とは非常に条件が違うところであります。まことに重大な問題であると私は
考えざるを得ないわけでありまして、あくまでも
民主主義の時代においては、
警察は健全でかつ中正に
警察法の理念に従って
行動をとってもらいたい、これはわれわれ納税者、一般国民が心から
警察を信頼してそういうように希望いたすわけであります。
これに対して、このように発展をして、また、地球が狭くなり日本が狭くなっておりますいまの時代におきまして、テレビ、ラジオがその日の情勢を刻々と報道するようなこの文明の時代におきまして、第一次、第二次
羽田事件とは違って、
佐世保のときには
警察に対する同情が薄い。
学生に対するカンパがどんどん集まる。千円、二千円はおろか、一万円札まで入れていくような
佐世保市民がたくさん出てくるということは、これはたいへんな問題である。私は、この観点から、同じように飯田橋の問題について、わずか三分間に百三十一名を逮捕いたしましたこの手ぎわのよさといいますか、この準備といいますか、私自身も目撃をいたしておるわけではありませんから、ここにあります弁護団側の調書に従って御
質問いたしておるわけであります。
この辺について、
警察は一体どのようにしたら、いまの
学生運動に対し公正不偏に、国の将来に対して運営ができるかということについて、この機会に、
佐世保事件並びに飯田橋
事件、一連の
事件の中において、第一次、第二次の
羽田事件との関連の中におきましても、あるいはごく最近
成田の問題が発生いたしております。これも同じであります。
学生のほうがエキサイトして、そして何か対抗策を講ずる。これに対して
警察側も同じように対抗策を講ずる。これは第一次、第二次
羽田事件では若干消極的に、むしろ
警察本来の姿で制止の形でもって対したものが、今度は
佐世保のほうではどんどん積極的に出てくる。そうすると、まわりに見ておる第三勢力といいますか、国民一般の大きな同情を
学生側に呼びつける。
学生はむしろ自信を持ってさらに
成田に行く。こういうような悪循環が繰り返されておるわけであります。これについて長官の御答弁を承りたいと思います。