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1968-07-30 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年七月三十日(火曜日)    午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 毛利 松平君 理事 渡辺美智雄君    理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君    理事 竹本 孫一君       鯨岡 兵輔君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       砂田 重民君    西岡 武夫君       坊  秀男君    山下 元利君       中嶋 英夫君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    武藤 山治君       河村  勝君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  委員外出席者         警察庁刑事局長 内海  倫君         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵事務次官  村上孝太郎君         大蔵省財務官  柏木 雄介君         大蔵大臣官房長 近藤 道生君         大蔵省主計局長 鳩山威一郎君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省理財局長 青山  俊君         大蔵省証券局長 広瀬 駿二君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         大蔵省国際金融         局長      村井 七郎君         国税庁長官   亀徳 正之君         文部省大学学術         局学術課長   三角 哲生君         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農政局長 太田 康二君         参  考  人         (税制調査会会          長代理)   松隈 秀雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 五月二十四日  委員奥野誠亮君、鯨岡兵輔君、小山省二君、河  野洋平君、砂田重民君、中嶋英夫君及び広沢直  樹君辞任につき、その補欠として三ツ林弥太郎  君、佐々木秀世君、黒金泰美君、湊徹郎君、久  野忠治君、小松幹君及び斎藤実君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員久野忠治君、黒金泰美君、佐々木秀世君、  三ツ林弥太郎君、湊徹郎君及び斎藤実辞任に  つき、その補欠として砂田重民君、小山省二君、  鯨岡兵輔君、奥野誠亮君、河野洋平君及び広沢  直樹君が議長指名委員に選任された。 六月三日  委員小松幹辞任につき、その補欠として中嶋  英夫君が議長指名委員に選任された。 七月十一日  委員佐藤觀次郎辞任につき、その補欠として  芳賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として佐藤  觀次郎君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として堀  昌雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として野口  忠夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月三日  一、国の会計に関する件  二、税制に関する件  三、関税に関する件  四、金融に関する件  五、証券取引に関する件  六、外国為替に関する件  七、国有財産に関する件  八、専売事業に関する件  九、印刷事業に関する件  一〇、造幣事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十四日  共済組合廃疾年金支給率増額に関する陳情書  (第四三七号)  国税庁税務調査に関する陳情書  (第四三八号)  中小企業に対する国民金融公庫の融資制度改善  に関する陳情書  (第四六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  今般新たに就任されました大蔵事務次官村上孝太郎君、財務官柏木雄介君、官房長近藤道生君、主計局長鳩山威一郎君、理財局長青山俊君、国際金融局長村井七郎君、国税庁長官亀徳正之君よりそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。  村上孝太郎君。
  3. 村上孝太郎

    村上説明員 村上でございます。  今般、はからずも谷村さんと交代をいたすことに相なりました。本委員会には従来もいろいろ御指導をいただいておるところでございますが、今後も何とぞよろしくお願い申し上げます。
  4. 田村元

  5. 柏木雄介

    柏木説明員 このたび財務官を命ぜられました。国際金融局長在任中はたいへんお世話になりましてありがとうございました。これからも何とぞ、ごやっかいになると思いますので、よろしくお願いいたします。
  6. 田村元

  7. 近藤道生

    近藤説明員 官房担当財務調査官からこのたび官房長を拝命いたしました近藤でございます。  たいへん若輩でございまして、経験も浅うございますので、格別の御指導、御鞭撻をいただきたいと存じます。よろしくどうぞお願いいたします。
  8. 田村元

  9. 鳩山威一郎

    鳩山説明員 このたび村上さんのあとを追って主計局長を拝命いたしました。たいへんむずかしいときでございますので、皆さま先生方の御指導を切にお願い申し上げます。
  10. 田村元

  11. 青山俊

    青山説明員 このたび理財局長を拝命いたしました青山でございます。  日銀政策委員をいたしておりまして、このたび、また理財局のほうへ戻ることになりました。まことにふつつかな点が多いことと存じますが、どうぞよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
  12. 田村元

  13. 村井七郎

    村井説明員 財務参事官からこのたび柏木さんのあとを受けまして国際金融局長を命ぜられました。いろいろむずかしいときでございますので、何とぞよろしく御指導を願いたいと思います。
  14. 田村元

  15. 亀徳正之

    亀徳説明員 私、このたび国税庁長官を拝命いたしました亀徳でございます。  たいへんむずかしい仕事が着任早々から次々起こっておりますが、何とかこの大役を果たしたいと思っております。何とぞよろしくお願いいたします。  なお、私、官房長時代に、前回の国会では、たばこの値上げ法案増税法案を含めまして大蔵省関係の全法案継続審議の分まで含めまして全法案を通していただきまして、こういう席をかりましてあれでございますが、たいへん感謝いたしております。  また、今後ともひとつよろしくお願いいたします。      ————◇—————
  16. 田村元

    田村委員長 国の会計税制金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  なお、本日は参考人として税制調査会会長代理松隈秀雄君が御出席になっております。  只松祐治君。
  17. 只松祐治

    只松委員 さっそく、おいでになったようでございますから、お尋ねをいたしたいと思います。  今回行なわれました答申、特にその中で「長期税制あり方についての答申」これの要点と申しますか、あるいはさらに、その中の基本的な立場と申しますか、それについてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  18. 松隈秀雄

    松隈参考人 お手元に「長期税制あり方についての答申」という、去る七月二十六日に税制調査会が決定し、本日、佐藤総理大臣に提出されました案がおありではないかと思います。そうしますれば、それによってごらんを願いたいのであります。  大きな柱といたしまして、今後における租税政策基本的方向というものを打ち出しております。その考え方の骨子は、公経済私経済部門の資源の配分として税負担考えるべきであるという考え方であります。つまり、公経済部門のほうに片寄り過ぎてもいけず、私経済部門のほうに片寄り過ぎてもいかぬ。その中間と申しますと、結局国の経済安定的成長、それから国民生活の安定、こういうことを目安税負担を定めるべきである。しかし、大勢から申しますと、社会経済発展に伴いまして国民所得は増大いたしますので、ある程度税負担の上がることはやむを得ない。こういうふうな見方をいたしております。  それから次に、税負担の適正な配分といたしましては、税体系あり方を論ずるわけでございまするが、わが国税体系は、所得税法人税等の直接税を中心とし、間接税においては個別消費税中心とした間接税体系を持っておるが、この体系は、さしあたり変える必要は認めない。しかし、それぞれの税について適正な経済社会情勢に即応した見直しを続けていくべきであるという書き方をいたしております。  それから、経済政策税制の調和という項目につきましては、租税特別措置が一番問題とはなりますが、租税特別措置については、経済政策のために租税の誘引的な効果を活用することは、真にその経済政策目的を達成し得る範囲においてやむを得ない措置として認めるべきである。租税特別措置が従来とかくマンネリ化したり、あるいは既得権化するというようなことは避けてほしい。それからわが国税制は、ある程度経済成長に即応する弾力性を持っておるからして、特別の税について、たとえば所得税であるとか、あるいは物品税等について、年度の中途で税率を上げ下げするというような新しい制度の採用は、すぐにその必要は認めない、将来の問題として検討することはよろしいがと、こういうふうな取り上げ方をいたしております。  第二の大きな柱といたしまして、長期税制具体的方向というものを示しております。  その第一に取り上げましたのは、所得税であります。所得税基本的な考え方と……。(只松委員松隈さん、それはいいです。順次聞いていきますから、基本だけでけっこうです」と呼ぶ)それでは根本的方向だけの説明をまず申し上げます。
  19. 只松祐治

    只松委員 これは、大臣がお見えになれば、私は、先に大臣に、この答申案をどういう形で尊重するかということをひとつお聞きし、確約をしたかったわけですが、大臣がなかなか出てこないので、ひとつ次官なり主税局長のほうから、この答申案に対してどう思うか、どう取り組んでいくか、心がまえをひとつお聞きしたい。
  20. 倉成正

    倉成説明員 今回長期税制あり方についての御答申をいただいたわけでありますが、今後の租税政策の根本的な方向を示した貴重な指針として、今後税制改正を行なう際に十分尊重してまいりたいと思っております。
  21. 只松祐治

    只松委員 まあとかく自分たち都合のいいのは大体完全に実施していく。しかし、都合の悪いもの、たとえば租税特別措置——まあ今度はわりあいに明確に指針が出ておりますけれども、そういうものはほおかぶりをしていく、こういうのが今までの政府税調答申案に対する取り組み方であったと思うのでありますが、ひとつ今後は、今回の場合は絶対にそういうことのないように、私はこれにも、あとで若干質問をしますが、満足ではない。しかし、満足でないものをさらに曲げられてしまったのでは、どうにもならないから、ひとつそういうことがないようにお願いしたいと思います。大臣が来られて、さらにそういう点についてお尋ねをしたいと思います。要望をいたしておきます。  いま松隈さんが説明された中で、私はこういうものを少ない時間の中で論戦しようとは思いませんけれども、これを読んで随所に出てくるのは、特に六ページの六行目からあります「今後における租税政策は、経済安定的成長を確保するという基本的目標に即して、」こういうことが随所に出てきておりますね。私は、税制というのは、国の予算を編成して、その予算財源になるために、税金というものを国民からいただいている。予算の編成というものは、国民生活がどう安定し、向上発展していくかということに向けられなければならない。どこかにちょっと国民生活ということが一カ所か何か出てきておりますけれども、全体的にこれを貫くのは、国民生活ではなくて、経済の安定、発展あるいは経済の云々という、私はこれは語るに落ちたといいますか、国民経済を否定するといっているわけじゃないけれども、その面だけにウエートを置き過ぎた答申案ではないか。その趣旨は、そういう非常に片寄ったような印象を受けるわけです。先ほど申しますように、私はここでそういう形の論戦をしようというつもりはありませんけれどもあとの個々の具体的問題についてもそういう点が見受けられます。この流れている一貫した思想の中に、私の偏見であればいいけれども、そういう点が多く見受けられる。大臣が来ておれば、今後税調をどういう形で存続するのか、これをやめてしまうのか、あるいはどう税制に取り組んでいくのか、そういう問題も聞きたかったわけです。  そういうことでありまして、この税制あり方は私は経済の安定あるいは発展だけではないと思うのです。むしろそれは税制の面から見れば従的な立場にある。さっき御説明がありました、いま一つの部面の公的部門私的部門、これの配分、こういうこともその次に出てくる問題であって、これそのものが税制基本ではないと私は思う。これは学者がお書きになったのか、だれがお書きになったのか知りませんけれども、この基本書き方というものはいろいろな問題点があるのじゃないか、こういうふうに感じます。まあここで松隈さんの御意見を聞いて論戦しようとは思いません。すればまた長くなります。これもひとつ要望として、これを実施される場合にも、経済の安定、発展、そういう面からだけでなくて、国民生活の安定、向上ということを主眼にして税制考えていく、実施をしていく、こういうふうに私はやっていただきたいと思う。  で、具体的問題について少しお尋ねをいたしますが、ここで述べられております。たびたび政府も公約をしてまいりました夫婦子供三人の五人家族で百万円、今度の場合は百二万八千円になっておりますが、これで当分満足だ、こういうふうにお考えでございますか。それから、これはいつまでにどういう形で実施すべきであるとお考えでございますか、お聞きしたいと思います。
  22. 松隈秀雄

    松隈参考人 只松委員の御質問所得税の問題に入る前に、先ほどの私の説明があるいは不十分であったかもしれませんけれども、税はやはり国民生活充実向上を期することが大事であるということで、お手元にありますように答申の五ページの書き出しのところに、「国民生活充実向上を期するためには、もとより経済安定的成長を確保することが重要な課題である」ということで、やはり税は国民生活充実向上を期するんだけれども、それについても経済安定的成長ということがあって、国民所得水準が上がってくるということになれば、税とあわせて国民生活充実向上が達成されるから、そういう意味で国民生活充実向上ということを眼目に掲げているつもりではありますが、説明が悪かったとすればその点の御了承を得たいと思うのであります。  それから、所得税につきましては、課税最低限夫婦子三人の給与所得者で今回百二万八千円ほどに引き上げ目標を掲げております。長期税制全体としては今後二、三年、それから問題によっては四、五年内に実現されることを希望しておりますが、所得税の場合においては、この答申の中に随時ありますように、所得弾性値が高く、所得上昇に伴って税負担が急激に重くなる懸念が多分にあるからして、なるべく早い機会答申の線を実現してほしいと、こういう含みを持たせてあるつもりでございます。
  23. 只松祐治

    只松委員 なるべく早い機会ですが、この委員会での論議では、昭和四十五年百万円というのを一応の目安にして答弁が行なわれてきておる。ここで明確に百二万八千円という一応の線が出たわけです。政府においては、これに対し、いままでの約束どおり四十五年度には完全に実施する、こういうことをお答えいただきたい。
  24. 倉成正

    倉成説明員 今回の税制調査会における所得税課税最低限目標が示されておるわけでありますが、これにつきましては、ただいま只松委員の御指摘のとおり、四十五年度までに実施いたしたいと考えております。
  25. 只松祐治

    只松委員 ここで具体的に四十五年度百二万八千円という線が出てきたわけでございます。これは勤労国民にとってはたいへんな意義があることだと思います。しかし、この内容につきましては、たとえば基本的な面からいうと、いまの家族は大体四人を割るというような家族構成になってきている。五人の家族というのは農村地帯などに限られてきております。いわゆる勤労所得家庭というのは、厚生省の統計——まだ新しいのはないけれども、四人ぐらいでしょうね。あるいはもっと核家族化が進んでまいりますと、四人を割って三・何人になる。こういう形でございますから、戦前といろいろな比較をいたしてまいりまして、百二万になったからといってこれが必ずしも満足すべきものではない。だからさっき松隈さんに、これで満足ですかということを質問したわけでございます。きょうは多少ほかの問題も聞いていきますから、この問題一つだけ論議する時間はありませんけれども、一応大きな前進でありますが、そういう家族構成なりその他をお考えいただきまして、表面的な金額がそうなっただけではなくて、実質的に所得税がまだ重い、こういう面からさらに控除額引き上げに努力していただきたい。  額と関連して、ここでも指摘されております税率の問題になってくるわけでありますが、聞くところによると、税率は、この百二万八千円が実施された後に取り組むのではないか、こういうことが巷間伝、えられております。これでは、私はこの答申精神は必ず生きてこないと思いますし、松隈さんからもこの精神をお聞きしたいと思いますけれども同時政府——そうじゃないと、賃金は形式的に上昇を続けてきております。さっきから言われるように、一〇%賃金が上がれば、二二%税金は上がっていく。こういうことで諸外国に例のない高度の実質的な所得税の累進が日本で行なわれている。あと二、三年いまの税率のまま推移するならば、名目的には百二万という形にはなりますけれども、実質は一つ減税にはなっていかない、物価の上昇、こういうものと関連して。したがって、私は同時に行なうべきものだと思いますけれども、ひとつ税調なり大蔵当局お答えをいただきたい。
  26. 松隈秀雄

    松隈参考人 税制調査会におきましても、各種控除引き上げ税率刻み改正論議する際に、これを別々に実施することなく、あわせて実施してほしいという意見が出ております。  そこで、本日東畑会長佐藤総理大臣答申を提出されたときにも、課税最低限引き上げ税率刻み改正同時実施してほしい。その理由は、課税最低限引き上げは、比較的低所得者負担軽減割合が大きいわけでございます。それを先に実行してしまうと、その段階では低所得者を優遇したことでけっこうなんですが、その後に税率刻み改正をしますと、これは中堅所得層のところの減税幅が大きくなる。そして課税最低限すれすれのところあたりでは軽減割合が比較的少なく出る。そうすると、その案を独立審議するときに、どうもこれでは一番所得の少ない人の軽減割合が低くて、少し上のほうの軽減割合が多いではないか、これでは不公平な案だ、こういうふうな非難も出るおそれがありますので、この両者をかみ合わせると申しますか組み合わせて、同時に実行することによりまして低所得者から中堅階層、続いて大所得者にある程度なだらかな負担軽減が行なわれ、そうしてこれを実効税率カーブに描いたときに、そのカーブも従来のような下の二百万円以下あたりで急に上昇しているというカーブが寝て、なだらかなものになる。こういう特色がございますので、ただいま只松委員のおっしゃったと同じような考え税制調査会は立っておると申し上げて差しつかえないと思います。   〔委員長退席毛利委員長代理着席
  27. 倉成正

    倉成説明員 ただいま松隈会長からお話しのように、最近の所得上昇の推移が非常に急激な場合、また、所得階層の分布が大幅に変化しておる場合には、税率改正課税最低限とあわせて考えていくべきだという基本的な考え方を持っておりますので、できるだけ早い機会実施をいたしたい。ただ、税率改正については非常に多額の減税財源を要しますので、やはり今後の景気動向あるいは財政事情等もあわせてこれは考えていくべきではないかと考えております。
  28. 只松祐治

    只松委員 そういう逃げ口上といいますか、理由はわかるわけですが、松隈さんがおっしゃる、税調が言っておるように同時——私は内容まで申し上げない。松隈さんはだいぶ内容までお話しになったわけですが、同時実施しないと、今回答申した精神というものが失われていく、あるいは国民にアンバランス、不公平をもたらす、こういうことがいわれているわけです。だから、財政事情その他もあるけれども、私が言っておるように、二年先に百二万八千円まで実施した後に税率緩和を行なう、こういうことがいわれているわけです。そういうことではなくて、同時に行なっていくのがこの趣旨ではないか、行なうべきではないか。だから、財政事情その他の理由はわからぬわけではないけれども同時に行なうということをここは政府側としてはお答えをいただきたい、そういう質問をしているわけです。
  29. 倉成正

    倉成説明員 ただいま松隈会長からのお話のように、その精神を十分生かしてまいりたいと思っております。ただし、やはり今後の景気動向あるいは財政事情というのが減税をやる場合の基本的な前提条件になりますので、やはり緊要度の高いものから実施していくということになろうかと思います。
  30. 只松祐治

    只松委員 中身はそういうことは言わぬでも大体わかっておる。そういう答弁になるだろう。切り離してするか、同時にするかということがこの一つの問題なんです。だからしたがって、同時にする場合にどういう税率緩和をするかということは、初年度こうやって次年度こうと、あると思いますよ。そこまできょう論議をしている時間がないから、同時実施するか切り離して実施するかを聞いているわけです。同時なら同時、この答えだけでいいわけです。その理由を聞いているわけではない。中身を聞いているわけではないのです。
  31. 吉國二郎

    吉國説明員 ただいまのお尋ねの点でございますが、松隈小委員長からお答えいたしましたとおり、税制調査会審議の過程におきまして、いま松隈小委員長の言われたような点からすれば、同時実施をすることが望ましいという点はかなり強調されております。ただ御承知のとおり、先ほども政務次官からお答えをいたしましたが、とにかく四十五年までには百万円を実施しなければならぬという命題が一つございます。この財源が相当なものになるということは御承知のとおりでございますので、それを全部二年間にやるとなると相当な負担になるわけでございます。それらを勘案いたしまして、財政事情等考えて、実施する場合には、もちろんでき得れば税率をかみ合わせるということも望ましいわけでございますが、財源的に許されないとすれば、まず課税最低限実施をはかるというのが先決ではないか、私どもはそう受け取っておりますが、理論的に一緒に実施するほうがいいことは、これは私どももそのとおりだと思っております。
  32. 只松祐治

    只松委員 だから、技術論はきょう私は論議しようとは思わないんですよ。これで約三十分たっておるので、まだほかにも質問をしたいことがあるわけです。押し問答をして技術論中身を言うのではなくて、その答申を尊重するのかと言ったら、尊重するということなんだ。だから、こうやって中身にちょっと突っ込んでいくと、こうやって逃げて、尊重するのかしないのかわけがわからぬことになっちゃうわけだ。これが租税特別措置やそういうことになったら、さらにそういうことになっちゃうわけだ。だから、そういうことではなくて、尊重するというならば、やはり百二万八千円までは四十五年度実施するということは、前からもあるしする。税率も四十五年度完全実施ということを言っているわけじゃない。それが四十四年度となるか四十五年度になるか、財政事情と見合ってくるかもしれないけれども、しかし発足は同時に、これを尊重していく、こういうことでないとこれを尊重した形にならぬと思います。そういうことを聞いておるので、あまり自分の頭のほうが先に専門的に走っちゃってそういう答えなんですが、やはり同時実施するという精神的なものを答えてください。
  33. 吉國二郎

    吉國説明員 ただいま申し上げましたように、税調委員の方々のお答えの中には同時実施ということがあるわけでございますけれども答申はその点やはり現実の財政状況等を考えられまして、一応は財政事情等を勘案して、年次的な固定的な計画を定めるべきではなかろう、しかも財政事情によって、実施する場合には緊要度の高いものからまず実施すべきであろうという書き方をしてあります。私どもとしても、これを二年間で実施するか、同時に全部やるかということはなかなかむずかしいと思います。しかし、最終の形として、給与所得控除を含めました控除の引き上げ、それから税率緩和というものは、この答申の予想する期間があるいは五年とも考えられるわけでございますが、そういう期間内に最終的な形としてこれを実現するということについては全面的な努力を続けてまいりたい、かように思っておるわけでございまして、それを二年間という前提をつけられますと、これにはやはり全体的な財政事情等もからみますので、とにかくこの姿が最終的にできるだけ早く実施されるように、技術論にわたるかもしれませんが、できるだけそこは考えてやってまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  34. 只松祐治

    只松委員 時間がありませんから、これ以上問答してもしようがないけれども、別に税率のほうも二年間と私はぴしっと言っているわけじゃないので、ただ発足を同時にする。その間に賃金は上がっていくわけですから、いまみたいにインフレーションが相当進んでまいりますと、来年も春闘なんかで給与は一〇%上がっていく、それからまた、来年の給与所得者の納税人口がふえたり、全体の中に占める所得税の税額がふえたらたいへんなことになるわけです。税調はそういうこともおもんぱかってこういう答申をしているわけです。きょうは所得税論議じゃないからここでやめますけれども、ぜひ趣旨に沿って努力していただきたい。  次に、企業税の問題で、中間答申の場合には利潤税を検討する、こういうことがわりあい強く出ておったように見受けるわけです。今回の場合はそれが一歩後退をして、さらに今後検討をしていく、こういう形に一歩後退といいますか、してきたような印象を受けるわけでございますが、税調において企業税関係でこういう問題に今後どう対処されるか。これはほんとは大臣がおいでになれば、長期税制というものに税制調査会はどう取り組むか、——これで一応解散になったわけでしょう。また新たにつくるのかどうするのか、どういう取り組み方をされるのか、それを一番先に私は聞きたいと思ったのですが、大臣がおいでになりませんからそれは聞きませんけれども、いま論議された中における税調の企業税関係に対する考え方をお聞きいたしたい。
  35. 松隈秀雄

    松隈参考人 税制調査会は、企業の税制の中枢をなすところの法人税問題についてかなり多くの時間をかけて検討いたしました。問題となりますのは、現在の法人税の基本的な考え方が、法人というものを株主の集団と見て、法人に課税するのはその株主の所得税の前取りであるという考え方で成り立っておるわけであります。ところが、シャウプ勧告に基づく現行の法人税が必ずしも国民になじんでいない。たとえば、法人が納める税は、株主の所得税をかわって払っておるのだから、高い安いの問題じゃないといっても、極端なことばですけれども、差しつかえないのですが、法人税の負担が重い重いとしきりに訴える。人さまのものをかわって払っておりながら重いというのもおかしいといえるわけなんです。それから、この大蔵委員会でもときどき問題になります夫婦子三人で配当所得だけ受け取っておれば二百二十六万円ですか、最近の数字だとそれが二百三十六万円くらいになるのですが、それには所得税がかかってこない。これは法人段階で課税を受けておるから、個人の段階ではそれを調整するのですといっても、何か私たちはおかしいではないか。というのは、どうもシャウプの税制が地についてない。それならば法人の利潤を課税標準として、法人には独自の負担をさせる、それから株主の段階では、配当を他の所得と同じように見て、法人で税をかけられたからそれを調整するという、配当控除はなくしてしまう、こういう考え方はどうかということで、いわゆる利潤税方式という仮案を提出して検討をしたのでございます。世論も聞くことにいたしたのでありますが、世論も、その改正によって比較的利益となる、自分のほうに有利であるというほうは賛成しますけれども、その改正負担が重くなるほうは反対だ、こういうのでなかなか世論のつかみどころもないわけでございます。  それから、あと審議の過程におきまして、法人の利潤に課税するのはいいけれども、配当を損金に認めるかどうかという問題が出てまいりました。これも利子と配当とのつり合いをどうとるかということで、なかなかむずかしい問題でございます。さらに進みまして、利子と配当のつり合いをとるならば、いまの税制を変えてしまって、法人に付加価値税を課するということにすれば、利潤の中には配当が入っている、そのほかに付加価値基準として、利子、給料、地代、家賃というものが出てくるから、そうするとそこで利子と配当の取り扱いの相違は解決するのじゃないか、こういうような付加価値論まで出ましたので、時間の関係もありましてなかなか結論を出しにくくなりまして、これはさらに時間をかけて十分検討すべきである。  なお、その段階におきまして、上場会社のような資本の所有と経営が分かれておる法人と、それから中小企業のような、経営者と資本家が一体である、法人という形式をとっておるにすぎない、——これもちょっと言い過ぎですが、そういう形ではやはり課税を別にするほうがいいのではないか、こういう問題もさらに議論の過程で出てまいりましたので、そういうことをすべてここに列記しまして、これだけの問題をかかえたので、われわれの任期は八月初めで終わるのであるから、ぜひ次の税制調査会においてこれらの諸点を中心に、引き続いて検討をして、何とか結論を出してほしい。それの終局のねらいとするところは、法人税の安定的な制度、そしてそれが日本経済に寄与するような形のものであってほしい、こう述べておる次第でございます。
  36. 只松祐治

    只松委員 私が聞いたのは、法人関係で利潤税が大体そういう方向で進みそうだったのが、一歩後退したのではないかということだったのですが、税調の今度一応終わった中で、利潤税を中心に今後進むのか。いまいろいろあげて話されましたが、並列、羅列してそういうものを何とか検討していく、こういう形であるのか。私たちは利潤税でいくべきである、こういう説を言ってきているわけです。そういう形にしたほうがいいんじゃないかという考えを持っておるわけです。そういうことで進まれるかどうか、その点をお聞きしておきたい。
  37. 倉成正

    倉成説明員 ただいま松隈税調委員長からもお答えになりましたように、法人税については今回の税制調査会では、最終的な結論をお出しにならなかったわけであります。しかし、その税制調査会の中で、今後の検討すべき方向についての二、三の点については、この答申の四十八ページ以下に大体書いてございますので、この御答申を受けて、今度の調査会は一応任務を終わりましたが、新しい委員の任命をお願いいたしまして、九月くらいからもう一度この問題については検討いたしてまいりたいと思っております。
  38. 只松祐治

    只松委員 ついでに言っておきますが、新しい委員の任命ということでございますが、私たちがたびたび言っておるように、もう少しこの税調の人選については、野党の意見も聞くなり、あるいは所得税関係が国税の半分近くを占めてきておりますが、こういう人たちを代表する委員が多いかというと、必ずしもそうじゃない。やはり納税の比率に見合ったことも考えた人選について、これまたいろいろ私たちも意見を具申いたしますが、ひとつ取り入れていただきたいと思います。きょうはそれだけでその点はとどめておきます。  それから、企業税関係の場合で、松隈さんの話にも出ましたように、いわゆる同族会社なり、形だけ日本のいまの税制上法人組織をとってきた、こういうのが税率についても実効税率が一%前後しか違わない。同じ税体系のもとにある。こういういろいろな矛盾点なり問題点があると私は思うのです。したがって、税体系をどうするかということの前に、私は税率の問題をいままでたびたび問題にしておりますが、十億、百億の利潤をあげておるところも、百万の利潤をあげておるところも同じ税率実効税率は一%しかいま違わない、こういうことでは私はいかがかと思うのです。今後、法人税の問題は残された問題が多いようでございますから、ひとつそういう問題等についてもあわせて検討をしていただきたい。特に中小企業の青色申告の場合に、今度国税では完全給与制が実施せられております。地方税ではまだ実施されておりません。依然として法人のあれが続いておる。地方税まで完全に完全給与制になる。さらに事業所得の問題について、青色申告者の方が訴えているような問題が解決されると、これはもう法人成りをしなくても、一部、二部の上場会社だけとは限りませんけれども、相当大きな資本を要するもの以外は法人成りをする必要がなくなってまいります。ところが、現在ではそういういろんな税の矛盾があるために、まあ皆さん方から見ればあまりいいことではないかもしれないけれども、できるだけ税金を安くしたい、税の節減をしたいということで、法人成りというものが非常に行なわれておるわけです。  こういう根本的な、それこそ日本経済あり方という面から法人税の問題については取り組むべきではないか。当面そういう税率の問題について、巨大独占資本も零細企業者も同じような、ほとんど変わらない税率というのは、私はたいへんな矛盾だと思う。そういう点について、ひとつ十分今後論議をしていただきたい。  それから、特に地方税で固定資産税の再評価というような問題が出てきておりますけれども、これも単に地方の財政の問題だけではなくて、当然に住宅政策その他と関連をしてまいりまして、地代の問題、家賃の問題、そういう問題全部にひっかかってまいります。前回の固定資産の再評価の場合には、やはり相当大幅なそういうものの引き上げが行なわれた。私なんかも土地を借りておるわけでございますが、そういうときなんか、結局税金が上がりましたから、ほかに理由はありません、そういうことで地代を上げてくれ、こうやって地主さんが来られるわけです。こういう点につきましてひとつ慎重に、特に事務当局の場合、こういう点だけはひとつ——きょうは自治省を呼んでおりませんけれども、遠慮会釈なくこのとおりだというわけでぼんぼんと上げられるわけです。したがって、国民生活に対する影響ということを考えれば、こういう点を慎重にしなければならぬ。国民経済あるいは地方財政という面だけから見れば、公的経済、私的経済というような部面だけから見れば、この答申どおりずばりといくのです。私は、さっきから言うように、全体の論議をしようとしておりませんので、要望だけ申し上げておるのですけれども、こういう点については十分に配慮していただきたい。特に地方税の場合、青色申告の完全給与、それから事業所得者の専従者の控除の問題、こういう問題につきましては、長年の要望がありますので、ひとつ努力していただきたい。これは自治省を呼んでおりませんが、大蔵省のほうとしても地方税と無関係ではありませんから、ぜひ考慮していただきたい。税調のほうにおきましても、ひとつ大蔵省だけではなくて、自治省のほうに対しましてもこういう点をひとつ——総理大臣にしておけば済むようなものですが、総理大臣は大体大蔵省には通ずるけれども、それほど自治省のほうには通じないんじゃないかという気もします。特に御配慮をいただきたいと思います。松隈さん、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  39. 松隈秀雄

    松隈参考人 中小事業者の場合に、その負担が大法人に比してどちらかといえば過重である、これについて特別の考慮を払うようにということでありますので、法人税段階においてそういう点を含めて検討が行なわれることは当然だと思います。  それから住民税の場合、青色申告で認められている専従者控除の問題、それは事業税についても同様でありますが、専従者の給与制度というものを認めるべきである、ちょうど国税において青色申告者に認められているのと同じ扱いをすべきであるということは、地方税を審議する場合に意見として出ておりまして、検討はいたしております。ただ、地方財政は国の財政と違いまして、地方団体の数が多く、したがいまして、地方税が減税になる措置を講じますと、地方団体の財政欠陥を生ずる市町村にどういう対策をあわせ講ずるかということが問題になりますので、それらの点について具体的な案が出ないまま、はっきり青色申告者の専従者の給与制を認める、こういうことを書いてしまうと、地方財政としての平仄が合わなくなるものですから、検討をするということだけにいたして、具体的にその問題を実施すべきであるとまで書いておりません。しかし、問題であることは事実でありますので、今後引き続いてやることと思います。
  40. 只松祐治

    只松委員 時間がありませんから、土地税制その他の問題についてもお尋ねしたかったのですけれども、きょうはこれで終わりまして、また他日御都合のいいときにお尋ねをいたしたいと思います。松隈さんに対する質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  41. 毛利松平

    毛利委員長代理 これにて松隈参考人に対する質疑は終了いたしました。  松隈参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。御退席いただいてけっこうでございます。     —————————————
  42. 毛利松平

  43. 只松祐治

    只松委員 次に、証券行政の問題につきましてお伺いいたします。  今朝来の新聞を見ましてもおわりのように、東商の株価は五年ぶりの高値をつけて、千五百九十二円十一銭、こういう異常な高値をつけてきている。一体この原因がどこにあるのか、私なりに調べて論議をしたいのですが、これも時間がありませんから、ひとつその前に、率直に大蔵省当局のほうからその原因をお話しをいただきたい。少なくともかつての高値のときのように、民間投資家なり一般投資家がこれに参加をしておる、こういう形跡はまだきわめて少ないわけですね。そういう状況の中でどうやってこんな高値が出てきておるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  44. 広瀬駿二

    広瀬説明員 最近、特に今年三月以降の市況は、御指摘のように活況を呈しておりまして、昨日の旧ダウ平均では千五百九十二円十一銭という新高値になったわけでございます。これは、証券投資に経験のある資産家層の委託取引が中心となっているというふうにわれわれは見ておりまして、証券会社の自己売買が相場をリードするというような、かつてありましたような状況は見られないというふうに見ております。
  45. 只松祐治

    只松委員 私もぴしっと調べたわけじゃありませんが、私が聞き及んだことで、あと具体的に銘柄をあげて一、二質問をしますが、私は三十分くらい前にもあるところへ電話して聞いた。その場合にもいわゆる日ばかり商い、朝買って、昼売って、夕方買う、こうやって日に三回くらいしておる形跡というのはきわめて顕著ですね。これだけではありませんけれども、それは金融緩和あるいは外人投資家の買いあおり、いろんなそういう要素もあります。あるけれども、主として大証券等がそういう擬制商いを行なっておるということはこれは明らかでしょう。そういうことが全然なくて、あなたがいまおっしゃったようなことだとお答えになるのですか。私が前もって多少調べた範囲でも大体いま言ったようなことですし、けさ電話をかけて聞いても、あるところあたりに聞いてもそういうことですよ。そういうことは全然ないとおっしゃるのですか。
  46. 広瀬駿二

    広瀬説明員 御指摘の日ばかり商いというようなことが全然ないわけではございません。多少あるわけでございますが、これは受け渡し比率という係数であらわれてまいりますが、先週で見ますと、先週の二十二日が三六・八、二十三日が三三・五、二十四日が三五・二というように多少低くなっておりますけれども、また二十五日には四四%というふうになっておりまして、そう顕著ではないんじゃないかと思います。
  47. 只松祐治

    只松委員 それから一ぺん証券会社が買っておいて、いわゆるいままであった推奨株ですね、推奨販売、これもまだ公然と行なわれているでしょう。こういうのだって全然ないですか。推奨販売あるいは鉄砲商い、こういうやつが相当行なわれておる。これは中の人がぼくのところにいろいろ言ってくるわけですよ。こういうことは全然ありませんか。
  48. 広瀬駿二

    広瀬説明員 かつてやりました推奨販売というような形式のものは非常に減っております。手持ちの有価証券の制限をしておりますから、ことに大証券につきましてはきびしくこれをやっておりますので、非常に少なくなっております。
  49. 只松祐治

    只松委員 あなたはたいしてないとおっしゃるけれども、これが相当広範囲に大きく行なわれておる。これが一つの今日の大きな商いが行なわれている原因だ、こういうふうにいわれておるわけですね。たとえば一つの銘柄をとってみますと、これは株価操作のにおいもあるんではないか、大和ハウスですね。これが百円くらいだったのが一時五百円をこして、いま幾らになっておりますか、五百円を割ったかどうかくらいでしょう。これに対してあなたのほうで警告を発せられましたね。調査がありましたね。そういうことも一つだと思いますが、あなたたちがまず警告されたりして調べられたその結果というものはどういうふうに出てきておりますか。
  50. 広瀬駿二

    広瀬説明員 御指摘の大和ハウスの株価でございますが、ことしの三月下旬以降急激な上昇を示しておりまして、一月の四日には百四十四円であったのが、三月の二十五日が百八十七円、それがいまおっしゃったような七月の二十九日に終わり値五百二十一円となっております。これに伴いまして、売買高も急増しておりました。この理由は、大和ハウスの業績がかなり好調であるのに加えまして、来年三月期以降の増配、増資説が流れまして、これが好材料となっているというふうに見られます。  そこで、こういうような状況にかんがみまして、四月十七日以降、証券取引所に対する各会員の信用取引残高報告をとるようにいたしました。それから六月一日以降、大和ハウスの株式の信用取引委託保証金率の三〇%から五〇%への引き上げ措置をとりました。この株式の信用取引の取り組みは、四月中旬の最盛時に比較しまして現在では半減しております。また、現在まで取引所で、これにつきまして株価操作が行なわれているかどうかにつきましていろいろ調査をしたのでございますが、現在までのところはそのような事実はないというふうに考えられますが、なお、おっしゃったような、かなり変動幅が大きいということで十分注意しているという段階でございます。
  51. 只松祐治

    只松委員 たとえば大和ハウスの問題だけでも私のところに相談の——あなたのところにも何かいったのじゃないかという話ですが、投書、電話がかかってきております。こういう人々が株価を操作している、調べてもらいたい、あるいはこういう人々が相当大幅に商いをして三億くらいの金をもうけたんではないか、あるいはそれがこの参議院議員の選挙資金に流れたんではないか、こういうことをぼくらのところに言ってくる人があるわけですよ。あそこで常務か何かが選挙のことで逮捕されたんですが、そういう問題と関連して、これは相当大幅に選挙資金に流れておる、それは株価操作をしたからだ、買ったわれわれは、こういうふうに下がってきておる、将来もおそらく上がる見込みはないだろう、われわれは被害者じゃないか、大蔵省は何をしているんだろう、こういう電話なり何なりがくるわけです。これは私は、きょうはもう時間もないし、本委員会は検察庁ではありませんから詳しいことは申しませんけれども、そういう相当具体的な問題をわれわれのところに言ってくるわけですよ。こういう人はおそらく会社の内情を知った人ですよ。そういうことがある。これは大和ハウスという一例、ほかのいろんな証券界のいまの動きを見ておっても、本格的に一般投資家や何かが買いに出ておるのではなくて、これだけの大きな商いが行なわれて活況を呈しておる。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 これを全然別な面から、私があなただけを意気込んでやっつけよう——あなたたちが言うように、いまそれほどよければ、共同証券なり保有組合にまだ幾ら残っておるか、なぜ放出しないか、あるいは今度放出されたのがどれほど信用取引や何かで残高があるか、そういうことについても、ほんとうは時間があればそういう面を先にお聞きして、それから実際にいいか悪いかという論に進めば、なかなかあなたたちのいまみたいな強気の答えが出ないはずですよ。論戦はいたしませんけれども、この前放出したものの、信用取引で残っている残高や何かがあったらそういうこと、それから、いま幾ら残っておるか、なぜ放出しないか、そういうことを簡単に言ってください。
  52. 広瀬駿二

    広瀬説明員 証券保有組合の放出の状況でございますが、これは買い入れました株式は、証券投資信託の部分が一千八百二十七億円買い入れてあったわけでございます。それから証券会社の分が五百一億、合計二千三百二十八億であったわけですが、それを今日まで売却しましたものは、証券投資信託分が一千四百六十三億円、証券会社分は全額五百一億円そのままでございます。合計一千九百六十四億放出しております。そこで、現在保有しておりますのは簿価で七百七十四億円でございます。この四月、五月、六月、非常に大量に放出しております。残っているのはただいま申し上げたような数字になっております。  共同証券のほうは、買い入れた株式金額は一千八百九十七億円であったわけでございますが、七月二十九日、昨日までの売却額は七百六十四億円、現在保有しております残高は、簿価で一千四百五十七億円になっております。
  53. 只松祐治

    只松委員 そんなに実商いがあって、ほんとうに景気がいい、こんなに高くなってきているのだったら——まだ二千億からあるのですよ。それから、たびたび言うように、田中さんのときは、たな上げだ、塩づけだ、半年か一年しておけばいい、こう言って、もう何年になるのですか。それであなたたちが警告するくらいなら、五年ぶりにこんなに高くなってきているのに、なぜいつまでもこんなところに持っているのです。そのことを私は聞いているのですよ。なぜ放出させないか。  それから、この放出した中で信用取引の分が相当あるのじゃないですか。そういうふうなものは一つもないですか。放出は全部実売買ですか。
  54. 広瀬駿二

    広瀬説明員 放出は信用取引のものじゃございませんで、全部実売買でございます。  それから、なぜもっと出さないかということでございますが、これはかねてから御指摘のあったところでございますが、四月以降非常に大幅に、いままでよりはるかに大幅に放出しております。従来は保有組合が二十億、共同証券が十億くらいのベースだったと思いますが、四月以降は非常に大幅に、いま申し上げたような数字になりまして、四、五、六、七で一千億をこえる放出が行なわれております。保有組合のほうが、大体、三カ年という期限もございましたので、先行しております。共同証券のほうは多少おくれておるということであります。
  55. 只松祐治

    只松委員 私はこれで論議はしませんが、これは日銀から特別融資さしたりなんかして、共同証券だ、保有組合だというのは全部、事実上国がめんどうを見たわけでしょう。それに前後した山一証券の問題にしたところで、無利子、無催促で貸したり、その株の落ち込んだときはたいへんな騒ぎをしたわけですよ。よくなってくれば、こうやってまだ二千億から持ちながら放出もしないでいる。きょうは米価の問題は、大臣が来ないからあれだけれども、片一方、米価の問題やなんかちょっと上げてもたたきまくってくるのに、こういう証券や金融、こういう問題については、政府はきわめて態度が甘い。だから、私はなぜ高いかというような問題だけをきょうは聞いておこうと思って、突っ込んだ質問はしてないわけでございますけれども、あなたたちが言うとおりのように、ちょっとは反省したことばがあるかと思って、私はそういうことはやめようかと思ったけれども、そういうことじゃなくて、証券界はたいした問題がなくて実際に景気がいいんだ、こういうお答えですが、それはちょっと違うのじゃないかということを言って、その実例として大和ハウスの問題やら共同証券の問題をちょっと言った。そんなに言うんだったら、共同証券と保有組合は、いつまでに完全放出させますか。   〔委員長退席毛利委員長代理着席〕 五年ぶりにこんなに高いんだったら、何も半分公的な金融機関にあなたたちが命令して出さしたり日銀に出さしたりした金をいつまでも持っておくことはないでしょう。実際上こんなにいいんだったら、いつまでに放出するか、ここで明言をしなさい。
  56. 広瀬駿二

    広瀬説明員 只松先生のおっしゃったような意味で、放出については、この四月以来、かなり大幅に努力をしておりまして、日本銀行の借り入れ金も、証券保有組合のほうは、ピーク時には二千百五十六億円、二千億をこえる額があったわけでございますけれども、現在は四百五十億円、五百億を割るところまできております。それから日本共同証券のほうは、日本銀行の資金を日証金を通じまして借り入れましたものが六百七十六億円というのがピーク時の金額でございますが、現在は八十二億円、百億を割る数字になっております。今後につきましては、なお市場の情勢を見ながら放出をしております。証券保有組合のほうは来年の一月が期限になっております。それまでに整理がつくかどうか、たぶんつくのじゃないかというふうに思います。共同証券のほうはそういう期限はございません。
  57. 只松祐治

    只松委員 そういうふうに、いまだいぶ下がってきて約六百億、それでもまだ六百億、日銀から貸し出しているわけでしょう。中小企業やそんなものにそんなに大きな金を貸し出しますか。あれはピーク時は、どっちも合わせて日銀だけで三千億から貸し出しているわけでしょう。そうやってめんどうを見てきたわけですよ。それで証券界から見れば、立ち直ってきたというのですね。国民の側から見れば、これは過熱過ぎるほど過熱してきてよくなってきているでしょう、五年来の最高になっているわけですから。それでもなおかつ日銀から貸し出したり、あるいは大蔵省なんか口をきいて銀行等からの借り入れによってこれがまかなわれておる。これが正しい姿でしょうか、正しいあり方だと思いますか。証券だけじゃないですよ、日本の政治全体から見て、米価の問題やら——さっきぼくは税金の問題をちょっと聞いたけれども税金は勤労所得税や何かはなかなか下げない。税率緩和しろといってもそうしない。そういうものには渋いけれども、証券界なんか、こういうものには五百億、一千億、二千億、へでもないような顔をするでしょう。あなたは証券局長だからそういうことで済むけれども、大蔵省当局としてはそういうことじゃ済まない。大臣が来ないから、技術的な末端の技術論におちいるから、また時間がないから、ぼくは最初から技術論に入ろうということで、質問していないから、こういう形に多少食い違った形になるけれども大臣がおれば、これは一つの責任問題です、こういう問題は。政務次官、ひとつこういう問題について、もし大臣あとで来れば、私はさっきの所得税なんかの期限の問題やこういう問題について聞きたいが、もう今度だけじゃなくて、たびたび私たちが共同証券や保有組合の問題と株式市場の問題について質問してきているわけですから、明確な答弁を……。
  58. 倉成正

    倉成説明員 只松委員が御指摘のように、共同証券等の日銀借り入れについては、なるべく早く解消していくようにわれわれも努力してまいりたいと思います。ただ、これをいつまでにやるとかどうするとかというようなことは、これは株式市場に大きな影響を及ぼすことでもございますから、この際申し上げることは差し控えたいと思います。  同時に、われわれはやはり健全な株式市場の発達ということを考えておるわけでありますから、やはり機関投資家、また、善良な投資者が安心してやっていけるということを念願して、株式市場が健全に発達していくということがわが国経済発展に役立つと思っておりますので、証券界を取り巻くいろいろな問題について前向きで検討してまいりたいと思っております。
  59. 只松祐治

    只松委員 その当時の議事録を読んでごらんなさいよ、何なら休憩して持ってきてもいいですよ。田中大蔵大臣は、たな上げだ、塩づけだ、一年間しておけばそれで大体いい、どんなにしても二年だ、そういうことを田中さんはぱきぱきと答弁した。あなたたちみたいにうまく逃げる、こういうことをしないで、ぱっと答弁しております。私たちの頭の中に残っている。そうしたんですよ。それがこうやって五年来の最高の高値をつけても、まだ今日完全放出か何かわからない。市場の状況を見ながらとかなんとか、もう初めの、これがたな上げをしたときの原因は完全になくなっている。それをもう本年一ぱいなら本年一ぱいをめどに努力するとか、こういう最高値をつけたらもう解除してもいいでしょう。ただ、それを今月一ぱいにするか来月一ぱいにするか、そこまではぼくらは子供の論議はしません。しかし、原則としてこれは全部解除するというくらいのことは答弁すべきじゃないですか。一番最初たな上げしたときの論議を読んでごらんなさい、議事録を持ってきて。
  60. 倉成正

    倉成説明員 専門家の只松先生の御質問でございますが、これはよく御承知のとおり、非常に株式市場というのはセンシチブで、敏感でございますから、やはりそういうふうな時間を限ってこうする、ああするというような議論は、われわれ政策当局としては慎むべきじゃないか。おのずから腹づもりは考えておりますけれども、こういう席でそういうことを申し上げるのはいかがと思っております。   〔「こういう席で言わなかったら、どこでする   のか」と呼び、その他発言する者あり〕
  61. 只松祐治

    只松委員 時間もなくなりましたから終わりにしたいのですが、いまやじがございましたように、委員会の席上でなくて本会議論議するわけにいきませんし、国会議員としてやはり論議するのは本委員会でしかないわけです。次官室にでも行ってこっそり聞くなら別ですが。だから、何月にするとか、あしたにするということは言えないけれども、しかし、原則としてやはりこれは早期に放出する、こういうことはこの委員会で政策として言わなければ——この早期が八月であるか、十二月であるか、それはいろいろ解釈によるでしょう。しかし、原則としてそういう時点に達した、こういうことはやはり言うべきでしょう。それをここで言わなくて、どこでどうしますか。
  62. 倉成正

    倉成説明員 私が申し上げたのは、やはり株式市場というのは非常に感受性が強いわけでありますから、いろいろそういう具体的なことを公の席で政策当局として申し上げるのは適切でないということを申し上げたわけでありまして、なるべく早くこういうものがなくなるということは、当然私どもとして望んでおる次第でございます。
  63. 只松祐治

    只松委員 それじゃいいです。
  64. 毛利松平

  65. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 きょうは、金融機関の正常なあり方について、大臣並びに関係当局にお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、これから質問を進めるにあたって認識をしっかり持っていただきたいために、常識的なことですが、銀行局長にちょっとお尋ねいたしますが、いまの都市銀行の一位から順位を、ちょっと銀行局長発表してください。
  66. 澄田智

    ○澄田説明員 順位というのは、通常資金量あるいは預金高というようなところで申し上げるわけで、必ずしもこの量によってというのは私どもも賛成いたしておりませんが、御質問でございますので一応申し上げますと、一位が富士銀行、それから三菱、住友、三和、東海、第一、三井、勧業銀行、それから協和、大和、神戸、北海道拓殖銀行、それから東京銀行は、都市銀行に入れる場合と入れない場合とございます。入れる場合であっても一番最下位、こういうことになっております。
  67. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その都市銀行のランク五位の三井銀行が、きょうの新聞報道によりますと、特別検査を受ける、こういうことがけさ報道されているわけで、これはいつから特別検査を始めるわけですか。
  68. 澄田智

    ○澄田説明員 三井銀行の検査は、特別検査というものではございませんで、これは定例と申しますか一般と申しますか、大体二年ごとに検査をいたしておるわけで、その検査を七月の二十日から着手をいたしております。目下検査中でございます。
  69. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この新聞報道によると、三井銀行外数行について、不正融資の疑いもあるとして特別検査を始めた、こう書いてある。この新聞記事の書き方が、あなたのいまの答弁から比較してみると間違っている、こういうことですか。
  70. 澄田智

    ○澄田説明員 新聞の記事はその点正確でございませんで、三井銀行は四十一年に検査お受けておりますので、ほぼ満二年ということになっております。大体定例の時期になっておるわけでございます。そういうところで検査をたいしておるわけですが、本日御質問になるようなケース等もありまして、その検査が若干早目であるというようなところもあって特別検査、こういうことで新聞報道されているもの、かように思います。
  71. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 きょう質問があるような問題があるのでという意味は、どういうことですか。
  72. 澄田智

    ○澄田説明員 かねがね京阪神土地株式会社に対する融資につきまして問題がございます。本日その点についての御質問があるというような内々のお話も伺っておるわけでございます。一部地方新聞等にもそういうようなことが報道されております。そういうようなことに関連しての記事ではないか、こういうふうに思っております。
  73. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私が頭の中で何を考えているか、これから何の質問が出るか、聡明なあなたは先を見通して、京阪神土地問題の、大蔵当局が受け取っている不当とか不正とか、これは銀行局として許しがたいとか、そういう数々の問題点をおそらく把握していると思うのですが、その京阪神土地問題と金融機関の問題について、あなたとしてはどういうふうに認識されているわけですか。
  74. 澄田智

    ○澄田説明員 京阪神土地問題につきましては、これはかねがね預金獲得の目的で、そういうふうな意識で三井銀行その他の銀行が預金に幻惑されて、京阪神土地会社に対する貸し付けがルーズであったのではないか、かような疑惑を持っておりましたが、検査その他行政指導等を通じて、そういう点は逐次内容がわかってまいりますにつれて厳重に注意をしてまいったところでございます。その後、京阪神土地株式会社の会長の山田なる者が金詰まりによって、結局逃亡をしたというようなことによって事件が明るみに出て、それが逮捕され、それに引き続いて若干の金融機関の者も逮捕され、あるいは起訴される、こういうような段階に至りまして、刑事事件としての面も持っておるわけでございますが、金融問題としては、山田があっせんをした関連預金というようなものの内容、それからそういった預金につられまして、資本金も少ない、そうして急にできた新しい土地会社の内容を十分調査をしないうちにこれに対してルーズな貸し出しをした。その結果、いろいろ貸し出しに対する問題をめぐり、さらにそれの抵当となっておる不動産、動産等の抵当権もかなり工作があった。あるいはその山田の京阪神土地会社のやっている宅地造成についての宅地の分譲を受けようとしている人たちの問題等いろいろな問題がある。  まだ警察あるいは検察側の調査の段階でありまして、全貌がはっきりいたしませんが、われわれ金融機関の側から見ましても、そういった問題があるというのが現在私どもが問題視しているところであります。
  75. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あなたのは問題があるというだけで中身がさっぱりわからない。中身について触れていないのですよ。  そこで、そろそろ中身に入ってお尋ねしたいと思うのですが、厳重に注意をした——三井銀行へ注意をしたんだろうと思うのですが、その注意をしたときのことは、検査の結果だから文書で厳重に注意したのですか、注意のしかたはどういう方法で注意したのですか。
  76. 澄田智

    ○澄田説明員 四十一年に三井銀行の検査をいたしました。そのおりに、その当時はまだ京阪神土地会社に対する貸し出しが、どうしてそういう貸し出しが行なわれたかという点につきまして疑惑は持ちましたが、しかし担保は十分ある、こういうような説明でありました。当時としてはそれ以上は、その後判明した事実等はわからなかったわけでありますが、しかし、山田関係の貸し出しというものが、内容の審査が十分されていないで、安易に貸し出されているのではないかというような意味において、講評に際してその点を指摘をいたしまして注意をいたしております。
  77. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 銀行局長に、あとでその講評に付して注意したという——古い資料ですから、その講評した文書をひとつ資料として御提出を願いたい。よろしゅうございますか。
  78. 澄田智

    ○澄田説明員 銀行検査の場合の講評あるいは指摘というようなものの文書そのものを提出することは、従来からこれは銀行の資産、負債の内容等にもわたることでございます。一般的に国会の資料としてもこれをお断わりいたしておるわけでございます。ただ、内容につきましては、御審議の必要な範囲で申し上げる、かようにいたしておりますので、この点についてもそのように取り計らわせていただきたいと存じます。
  79. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、銀行局長は厳重にしかも講評をもって注意をした。その際の注意事項の内容は、先ほど言った関連預金の動向、それから土地会社の内容をよく調べないで融資をした疑い、この二点ですか。その講評の中身についてはどういうことなんですか。
  80. 澄田智

    ○澄田説明員 関連預金につきましては、これはその当時は全貌がわかりませんで、山田関連預金ということでそのうちの相当部分の預金がわかっておった、こういう状態でありますが、そういうふうな預金につられて、そうして安易な融資が行なわれた節がある、こういう点について注意をいたしております。
  81. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは当時の三井銀行に対して京阪神土地会社が借りた金、それからそれに関連する預金、それの状況はどう移動していますか、それをちょっと明らかにしてください。
  82. 澄田智

    ○澄田説明員 これは四十一年十月でございますが、その当時の三井銀行からの山田ないし京阪神土地あるいはその関連会社というものに対する貸し出しは二十三億ございました。この場合に預金のほうでございますが、当時検査のときに関連預金としてわかっておりました預金は十億でございます。
  83. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私もいろいろ債権者会議の資料や当時の状況の資料を手に入れて持っているわけでございますが、当時の三井銀行と京阪神土地会社との関係をずっと数字で見ると、普通の検査官ならたいがいふしぎに思い、不審に思って、これは大臣命令による厳重な処分か何かなされるべきほど異常な情勢じゃないですか。そういう点全然わかりませんか。——参考に私のほうから言いましょうか。この会社は昭和三十九年二月に資本金一千万円でできた新しい会社です。翌年の四十年三月に六百万円の預金で借り入れ三千万円、この辺はまだまだ正常でしょう。それから六カ月後の四十年九月は六千二百万円の預金、借金は九千六百万円。その次の六カ月間に六千二百万から一挙に十九億二千八百万円に関連預金がふえていますね。六千万円から十九億二千八百万ですよ。借り入れのほうも九億三千万に、十倍にふくれ上がっている。さらにその後の六カ月、四十一年三月から四十一年九月、この間の数字というのは、今度はそういう預金が四十億八千三百万円にふくれ上がっている。九月の段階で、検査をする一カ月前の段階で借り入れ金が二十二億一千八百万円。したがって、当時四十一年十月に銀行検査が行なわれたならば、この異常な急激な預金の増大というものに対して、当然これはふしぎだと気がつかなきゃならぬですよ。全然検査官は気がついた報告を大蔵省にされなかったのですか。それとも報告はあったが、だれかが口をふさいだのですか。それはどちらですか。
  84. 澄田智

    ○澄田説明員 数字は、ただいま御指摘のとおりでございますが、四十一年の十月十九日に本件検査をしたわけでございますが、その当時におきまして貸し出し及び関連預金、両方とも急激に増加をしている、そういう事実はもちろん検査官は注意をいたしまして、そうしてその貸し出しの担保その他内容は十分その場合に念を入れて検査をしたわけでございます。  そこでもって、あとから考えますと、いろいろその後に事がはっきりしてくるわけでございますが、その当時の認識といたしましては、山田ないし京阪神土地会社は順調に急激に仕事を広げておるが、しかし、前から土地を持っておって、その土地の売却代金等が相当入ってきている。しかも三井銀行にふえているのは、他の銀行からそこの銀行取引をやめて三井銀行に乗りかえるということで、その預金を引き揚げて三井銀行に移しているのである、こういうような説明も行なわれ、そして担保関係等かなり入念に見たわけでございますが、非常に巧妙な工作も、あとから考えるとあったと思うのであります。そのとき、検査官が金融機関を検査する検査としては、一応担保等もまず間違いはない、こういうようなことで、ただ何にしても急激な貸し出しの増加というものは、山田が紹介してきておる関連預金というものに幻惑されて安易に行なわれたという点について、特にこの場合の検査の重要な内容として指摘をして三井銀行には注意をしてきた。あとから考えますと、いまの御指摘のように、その場合に預金の内容等についてさらに検査を十分徹底してやるべきであった、そういう御指摘で、その点は今後の検査のやり方等についての反省の重要な点であると私ども思っておりますが、そのときの検査官としては、十分その注意はしながらいま申し上げましたような検査の結果で終わっていたわけでございます。決して、その検査のときにつかんでおりましたが、それを何か他の原因によって指摘をやめたというようなことではございません。
  85. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あなたはございませんと言うけれども、当時銀行局長じゃないのだから、断定できますか。  そこで、私は検査のあり方、検査官の検査のしかたというものがどういう方法で行なわれるかわかりませんが、たとえば三井銀行の湊川支店一つの預金量の増加を見ても、昭和四十年三月は二十七億、六月は二十八億、九月は二十九億、大体こういうペースで、ふえたところで一億円程度ずつしか預金量はふえていかないんですね。それが過去のずっと例ですよ。ところが、突然この京阪神土地に関連する預金が、わずか六カ月後には四十一億にふえているじゃありませんか。十二億円もふえているんですよ、この六カ月間に、いままでは一億か二億しかふえていない支店の総預金量が、一挙に六カ月間に四割もふえ、その後の預金も四十一億から四十七億、五十四億、五十六億というぐあいにふえている。従来のふえ方とは全然違うですね。ふえ方が違という点は銀行局長認めるでしょう。どうですか。
  86. 澄田智

    ○澄田説明員 御指摘のような数字でございますし、ことに四十年の九月から十二月の間に急激にふえておる、その後も御指摘のようにふえているという点は、確かに異常なふえ方というようなことで、検査官がこの問題に気がつきましたのも、こういった湊川支店のふえ方、そしてその場合の内容は何でふえたというようなところから、京阪神土地の問題がそのときに指摘をされている、こういう問題でございます。
  87. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その指摘のときに、これが導入預金であるということについて検査官は気がつかなかったのですか。
  88. 澄田智

    ○澄田説明員 その点が当時はそこまでのはっきりした認識は持っておらなかったわけでございます。これは山田ないし京阪神土地が紹介をしてきている関連の預金である、こういうふうには見ておったわけであります。そういう預金を持ってくるので、それに対して貸し出しをした、こういうふうに見ておったわけでありまして、導入預金について、導入ということが成立するためにもいろいろ法律的な要件があるわけでありますが、そういうような点に該当する導入預金というような、そこまでの認識は当時は持っておりませんでした。
  89. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 刑事局長、ちょっとお尋ねしますが、三井銀行にこの短期間に預金が急激にふえた、これはかなり金融ブローカーが介在し、導入預金であった、こう思われる節が多いわけであります。警察当局で現在までに逮捕した中で、三井銀行にそういう導入預金を橋渡しして逮捕された者はおるかいないか、いかがですか。
  90. 内海倫

    ○内海説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の件に関する導入預金で、これに導入預金を世話いたしましたいわゆる導入屋といいますかそういうブローカーは三名これを逮捕して、すでに検察庁のほうに送致をいたしております。
  91. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 刑事局長のお話のように、とにかく二十九億か二十八億しか総預金量がない湊川支店が、一挙に四十一億にふくれ上がる、五十四億にふくれ上がれば、当然この預金はおかしいということを検査官が気がつかぬわけはないですよ。気がつかぬとしたら、ぼくはいまの大蔵省の検査なんというのは全くふぬけていて意味がないと思うのです。大蔵大臣、預金さえどんどん集まれば、その質がどうであろうと、預金の内容がどうであろうと、預金さえ集めれば銀行のランクが上がるんだといういまの銀行の競争について、大蔵大臣はどういう見解を持っていますか。
  92. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 預金量を中心にする業容の拡大競争ということは非常にいけない。もっと質的な競争をさせるようにしなければいかぬというようなことから、御承知のように経理基準の問題も出して、それによってやはり経理の内容の優劣というものがはっきりわかるような形で公正な競争をするというような方向へ持っていきたいというのが、大体私どもの銀行に対する指導方針でございます。
  93. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いま大臣非常に重要な段階で、金融再編成も多い、金融機関の合併促進もしていこうという、こういう新しい金融界の編成の時期に、銀行の姿勢はなっちゃおらぬじゃありませんか。預金さえ持っておれば、無記名、架空預金というものが許されておるものですから、今回の京阪神土地の状況を調べてみますと、農協の金をまとめて四億あるいは五億という金を銀行へ入れさせて、無記名、匿名ができるわけでしょう。それを悪いやつがうまく利用して、それを裏預金として金を貸してくれという形で悪用するわけですよ。今度の三井の場合には、その裏預金がふえるたびに貸し出し額が非常にふえているんですよ。こういうような預金競争というものをあまりにも熾烈に行なわせているいまの制度そのものにも問題がある。監督官庁の責任ですよ。  しかし、時間が限られていますから先に進みますが、当時の検査官は、四十一年十月の検査当時の大蔵省の検査部長はだれですか。
  94. 澄田智

    ○澄田説明員 当時の検査部長は庭山慶一郎でございます。
  95. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 おかしいんじゃないですか。十一月にかわったわけですか。検査当時は庭山さん。庭山さんは何月から何月まで。そうすると、四十年七月から四十一年何月まで庭山さんで、その次はだれで、その次はだれだか、三人ばかり歴代の検査部長の就任年月日を言ってください。
  96. 澄田智

    ○澄田説明員 就任年月日はちょっと正確でないかもしれませんが、庭山検査部長は四十年から四十一年の十一月までだろうと思います。四十一年十一月から次が松本検査部長、これが四十二年八月までだと思います。それから四十二年八月から谷川検査部長、こういうことで四十三年七月までです。
  97. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 先ほど局長、四十一年十月に検査をやり、講評で厳重な注意をした、その講評を出したのは何月ですか。検査したのは十月ですが、出したのは何月の段階ですか。
  98. 澄田智

    ○澄田説明員 検査に着手いたしましたのが四十一年十月十九日でございますが、検査の講評は検査終了後資料を整えましてそして講評するわけでございますが、通常検査の場合から推定いたしますと、ほぼ検査に三週間ないし一カ月で現場の検査を終わりまして、検査を終わったところで、口頭で銀行側に対して講評をいたしまして、そしてさらにその示達書をもって結果を示すわけでございます。それはさらにそれより一カ月ばかりおくれる、そういうことになっておりますので、おそらく口頭による講評は十一月中でありましょうし、それから示達のほうはその年の暮れか、翌年の一月の早々ぐらいに示達をしているのではないか、かように思います。ここはいずれ正確に調べます。
  99. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いずれにしても、松本十郎検査部長のときに正式な文書になって講評書が届けられた。松本十郎さんと三井銀行の会長佐藤喜一郎さんとは関係が深いですね。そのことは銀行局長知っていますか。
  100. 澄田智

    ○澄田説明員 姻戚関係でありました。
  101. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 三井銀行の会長佐藤さんの娘さんが松本十郎さんの奥さんであったわけですね。したがって、三井銀行と検査部長とはかなり考えようによっては緊密な連絡がとれる間柄にあったということがいえると思うのであります。そこらにやはりいろいろなうわさが立つ原因があると思うのであります。  第二に、この京阪神土地株式会社は三井ビルの中に会社の事務所がある。あまりにも三井銀行と関係が深い。三井ビルの中に会社があるということは間違いありませんね。銀行局長、そのことは知っておるのでしょう。
  102. 澄田智

    ○澄田説明員 四十一年の一月に三井銀行の神戸支店のビル、三井ビルといっておりますが、その三階に入っております。その後、この検査のあった当時ずっと京阪神土地は三井ビルの中にあったわけであります。
  103. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 文部省来ていますね。文部省の学術課長さん。
  104. 毛利松平

    毛利委員長代理 おります。
  105. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 財団法人鈴木学術財団、鈴木大拙さんの残された遺業を継ごうという財団法人のようであります。財団の寄付行為について監督をしておるのは文部省ですね。
  106. 三角哲生

    ○三角説明員 さようでございます。
  107. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その鈴木財団の会長をいたしておるのは三井銀行の会長の佐藤喜一郎さんですね、いかがですか。
  108. 三角哲生

    ○三角説明員 さようでございます。
  109. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 今日からさかのぼって三年間くらいの間に山田正光もしくは京阪神土地株式会社、どちらかの名前でその財団に寄付をされた金額はおわかりになりますか。
  110. 三角哲生

    ○三角説明員 私どものほうにその財団法人からは毎年事業報告が出てございます。四十年、四十一年、四十二年の事業報告につきましてその収支決算が出てございますが、寄付を受けておるという報告はなされておりません。
  111. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 寄付は全然ございませんか。——それでは、その中でほかの人からの寄付で最高額の寄付というのは、その三カ年間に一口でどれくらいの最高額の寄付がございましたか。
  112. 三角哲生

    ○三角説明員 寄付につきましては、一件も報告がない次第でございます。
  113. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、そういう財団法人がかりに寄付をもらった場合に、文部省に報告しなかった場合には、何らかの制裁、罰則というものはあるのですか、ないのですか。報告しなくても別にとがめられる点はないのですか。
  114. 三角哲生

    ○三角説明員 いまお話しのございましたような点につきましては、「文部大臣の主管に属する民法第三十四条の法人の設立及び監督に関する規程」という省令がございまして、報告書の内容等につきまして、事実を隠蔽したというようなことがありました場合には、民法の八十四条に基づく罰則の規定にかかるかと考えます。
  115. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 刑事局長お尋ねいたしますが、兵庫県警の調べによると、新聞の報ずるところによると、この財団に山田正光が三千万円の寄付をしたと自供しているという報道が出ております。そういう報告は刑事局のほうではまだ知りませんか。
  116. 内海倫

    ○内海説明員 御承知のようにこの事件、まだ兵庫県警察で捜査中のものでございまして、すでに送致をいたしているような問題については御説明申し上げられますけれども、現在いろいろな機関で内偵あるいは情報の収集等をやっておる段階でございますので、ただいまの御質問の件に関しましては、一応私から、どういうふうな供述を行なわれておる、どういうふうなことであるというふうなことは捜査中の問題でございますので、答弁を控えさせていただきたいと思います。御了承願いたいと思います。
  117. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは、警察としては、何をどんなぐあいに、いま捜査をなされておるわけですか。
  118. 内海倫

    ○内海説明員 この京阪神土地をめぐります犯罪は非常に多種多様にわたっております。現在兵庫県警察で取り調べをいたしまして送致をいたしましたものでもすでに十二名、そのうち十一名は身柄を逮捕したまま送致をいたしておるほどの事件でございます。なお、それぞれの者がいろいろな供述をいたしております。それらに基づきます裏づけあるいはそれから発展するいろいろな問題について、そのすべてが犯罪である、すべてが容疑があるとかいうものではございませんが、それらについて克明に、あるいは調査しあるいは捜査する、こういうことをやっておるところでございます。なお、今後いろいろなそういう措置をとらなければならない、かように存じております。
  119. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 容疑があるかないかは別として、この事件に関連して国会議員を一応調べたことはございますか。
  120. 内海倫

    ○内海説明員 まだ兵庫県警の報告からは、さような事実については、私、聞いておりません。
  121. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 新聞の報ずるところによりますと、これは朝日新聞でございますが、「大蔵省出身の代議士に近づき、大蔵省に働きかけさせた。山田からこの代議士に、活動資金として、二、三百万円が贈られ、同代議士が関係官庁に圧力をかけたらしい」これは警察側が一応山田メモからずっと調べた事実だということをいっておるわけですが、前のほうを省略したわけです。それで、そのことについて「近畿財務局の堀理財部長は、ある代議士から、京阪神土地会社と銀行の取引関係をいろいろ調べているようだが、山田は信用のおける男だから圧迫を加えるのはやめてほしい——といった趣旨の依頼はあった。」理財部長がこう言っておるのです、朝日新聞にちゃんとカッコして。しかもその某代議士が、勧業銀行東京本店に、自分の口座にその金を振り込んだということまで新聞記事に書いてある。こういう新聞報道があっても、警察は調べないのでしょうか。
  122. 内海倫

    ○内海説明員 警察は犯罪の容疑があり、あるいは犯罪の証拠となるようなものがありますれば、これらに対する捜査は当然いたすところでございますが、ただいま申されましたような点につきまして、いま具体的に何をどうしておるかというふうなことの報告は私まだ聞いておりませんし、また、それに関連するいろいろな諸情報のあることも、新聞あるいはその他で私も承知はいたしておりますけれども、まだそういう問題で、兵庫県警察が犯罪の容疑をもって捜査に当たっておるというふうな報告は聞いておりません。しかしそのことと、兵庫県警察がいろいろな観点から内偵をし、あるいは情報を収集しておるということは別個の問題であります。
  123. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 なかなか発表できない問題点が多かろうと思いますが、この京阪神土地会社の収入と支出を突き合わしていくと、十九億円の差額が出る。この十九億円の差額は大体どこへいったのかという点は、やや警察としては突き詰められたのですか。それともまだ全く行くえ不明ですか。それはどうですか。
  124. 内海倫

    ○内海説明員 いま警察で大ざっぱに把握しておる点は、この京阪神土地会社がどの程度の資産を持っておるか、さらにいろいろな形での借り入れがどのぐらいであるか、差額が大体どの程度の額に達しておるか、したがって、そういうふうな問に介在する詐欺あるいは背任、あるいは導入預金の問題その他の犯罪を徹底的に追及しておる段階であり、それらの一つ一つの明らかになったものから順次検察庁のほうに送致をしておる。なお、先ほども申しましたように、この問題については捜査を継続しておる、こういうことであります。
  125. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 法務省刑事局、ひとつお尋ねしますが、「財界展望」という雑誌の中で、この問題は政界、財界に及ぶかなり大きな問題で、いなか県警さんではなかなかむずかしいだろうという笑わせ半分の「ガンバレ!田舎県警さん」という見出しで、やがて政界、財界の調査に入っていくと、壁にぶつかってなかなかやれないだろうという不安が書かれているわけであります。これは法務省としても検察当局に、こういう問題についてはやはりき然とした態度で調査に臨むべきであるという指示をすべきであると思いますが、いかがですか。
  126. 石原一彦

    ○石原説明員 検察といたしましては、あらゆる事件につきまして厳正公平な態度で事案の真相を究明するものでございます。本件についても同様でございまして、兵庫県警と緊密なる連絡のもとに、捜査をいたしている次第でございます。  なお、私、ほかの事件を見ましても、兵庫県警が能力がない県警であるとは決して思いませんし、神戸地検は検察庁のうちでも相当有能な検事を集めた検察庁でございますので、かりに事件がございますれば、やはり全能力を発揮いたしまして、適正なる処理をいたすものと確信いたしております。
  127. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから、法務省ですが、今度の場合には預金等に係る不当契約の取締に関する法律に違反する事案がたくさんあるわけですが、そうすると、三井銀行なり第一銀行なり三菱銀行なりが、導入預金を承知の上で預かっている、また、山田にそれをうまく利用された。今度のケースの場合、銀行には犯罪を構成するような点は考えられないのかどうか。銀行は預金等に係る不当契約の取締に関する法律に全く該当しないのかどうか、見解はいかがですか。
  128. 石原一彦

    ○石原説明員 まさにその点を含めまして目下捜査中でございます。先ほどからお尋ねの三井銀行兵庫支店関係につきましては、末藤という支店長が商法違反——これは贈収賄でございますが、それですでに起訴されております。その他の事件につきましては、あらゆる観点から捜査が行なわれているものと思います。それがいわゆる先生御指摘の導入預金に関する、預金等に係る不当契約の取締に関する法律違反であるか、あるいは商法上の背任等であるかという点につきましては、いまだ詳しい報告は受けておりません。
  129. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣、会社が三十九年の二月にできて、一年半そこそこで十五億、二十億という金が簡単に借りられると常識でお考えですか、いかがですか。会社ができて一年半か二年で二十億、十五億——一千万の資本金の会社でそう簡単に融資が行なわれると常識で考えられますが、大蔵大臣考え方を……。
  130. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 なかなか簡単には借りられないと思います。
  131. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 なかなか簡単には借りられない。それはだれが見たって、会社ができたばかりで、一千万の資本金で、しかも一年後に十五億、二十億の金を借りられるというのは、よほどの何かがなければ借りられませんよ。しかも、ものを生産する企業で機械代として借りたとか工場建設で借りたとかいうならば担保がきちっとあるから、それはわかりますよ。しかも、自分の預金は幾らもないのですよ。人の名義の預金か無記名か架空預金をどこかから見つけてきて、それはおれが世話したんだと申し出た男にそういう膨大な金をばんばん貸す、そんなふぬけた銀行は私はないと思います。だれか相当えらぶつか、あるいは三井銀行に相当顔のきく人が、この男をめんどう見てやってくれという話がなければ、なかなかこれは一支店長にできないことだと思うのです。湊川支店の一支店長の判断でこれだけの預金を集め、これだけの貸し出しをしたと大蔵大臣、銀行局長ともども考えですか。本店は全く知らぬのだ、重役は全く知らぬのだ、これは支店長の独断でこういうことをやったんだ、大蔵大臣考えはどうですか。
  132. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私が聞きました範囲では、やはり一千万の会社として借り入れ金が多いというので銀行検査の対象になってやったのですが、最初は、そう金額が多くなかったときではなかったかと思いますが、担保は十分に入っておるというようなことで、資本金の割りに多いとは思ったけれども、担保があるから注意をする程度にとどめたというふうな話を聞いておりましたが、最初はそうであっても、その後これは急にふくれたものじゃないかと思っています。
  133. 澄田智

    ○澄田説明員 検査の当時、山田関係の貸し出しについて、一応銀行側でも、貸し出しをするにあたって調査はしたとしておりますが、その場合に、当時山田の宅地造成事業というのがある程度実績をあげておりまして、当時分譲地を神戸市に売却しまして、その代金も神戸市から内入れが行なわれております。これは熊内台というところの分譲地でありますが、一部売却しまして、四億円ばかりの代金の内入れがあったというような状態であって、そういう状態を見て、急速に手を広げている、そういった宅地造成の事業である、こういうような認定で、そしてその山田の関連預金が当時十億というふうに三井銀行ではいっておりましたが、そういう預金もあるが、事業自体もそういうことで順調に動いておる、こういうような認識で貸し付けを行なった。しかし、それにしても、いまいろいろ御指摘のように、この貸し出しは預金につられてルーズな貸し出しではないかというのが検査のときの検査官の認定であったわけですが、貸し出し自体はそういうような状態において貸し出しを行なっておる、こういうことであります。
  134. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間に限度があるから、一日やっても終わらぬほどあるのですが、要点だけひとつ大臣に聞いておきたいのであります。  当時、検査部長であった松本さんが現在大蔵省のどこにいるかは、大臣知っているでしょう。
  135. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 印刷局長であります。
  136. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その印刷局に、現在官吏であり大蔵省の役人である人が、播磨政経研究会代表になって、重箱などを一生懸命配っているというようなことは、うわさに聞いたことありますか。
  137. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 聞いたことございません。
  138. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 聞いたことがない、それでは、そういう事実を調べて、もし聞いたら、現職の役人のうち、そこまで露骨にそういうことはやるべきでないという注意をいたしますか、どうですか。現職の役人ですよ。大蔵大臣どうですか、証拠を出してもいいですよ。   〔「その資金はどこから出ているか。」「何のた   めに配っているか。」と呼ぶ者あり〕
  139. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 何で配っておるのか、その事実を調べないとわからないと思います。
  140. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 刑事局長のほうでは、何のためにそういうことを、自分のやがて立候補を予定されている地域で行なっているかということは、ある程度調べはしているでしょう。全然これは関係ないという判断で、そういう調べはいたしておりませんか。
  141. 内海倫

    ○内海説明員 私、いまそういう話は初耳でございますし、また、兵庫県警察でそういう問題についていろいろ論議しておるということは聞いておりません。
  142. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これはやはり大蔵大臣の監督、管轄ですから、現職の印刷局長が、やがて解散になったら衆議院に立つというその地域で、しかも名入れのものを配る。しかも播磨政経研究会代表という名を出している。こういう行為は好ましい役人の態度じゃありませんね。退職後なら何をやってもいいでしょう。したがって、世間では、やはり三井銀行の会長の娘を奥さんに持った人だから金はたんまりあって、しかも選挙の準備にはでにやっているんだ、こういうあらぬ非難が強くなるのは当然だと思うのでありますが、もし大臣がその事実を指摘しなさいと言うならば指摘をいたしますから、そういう事実があるならば、大臣としては十分監督をするという答えがいただけますか、いかがですか。
  143. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御指摘がございましたから、よく私のほうでも調べてみます。
  144. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから大臣、この事件をずっと調べてみて感ずることは、先ほど、冒頭に預金獲得の過当競争、これが一つ害になっている。架空名義、無記名名義の預金制度というものが乱用されるとたいへんなことになるということをこれは教えていますね。この辺で架空名義、無記名預金ということに対する大蔵省としてのきちっとした姿勢をとることが望ましいと思うけれども大臣の見解はいかがですか。
  145. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題は、当委員会で、たぶん堀さんであったと思いますが、そういう御提起がございまして、私も架空名義はいけないということから、この自粛を銀行に求め、また銀行も、そういうことのないように特に店頭に掲示を出すというような措置をとらせて、できるだけ架空預金をなくしようということでいま努力しておるところでございます。
  146. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私は、この事件をめぐって、また、歩積み・両建て問題も第二ラウンドが本年の十一月に大体終了するわけでありますが、これはさっぱり行なわれていない、両建て預金もさっぱり解消の方向にいっていないという危惧を強くしたのであります。特に今度の、この京阪神土地会社に関係する銀行は、三井のみならず、都市銀行の雄たる三菱も、第一も、協和も、こういうものとの取引をして、最終的には倒産の時点でかなりの貸し出し金が残っている。都市銀行全体の姿勢として、ここで徹底的に反省をさせる必要があると思うのでありますが、大臣の見解はいかがですか。
  147. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは、いま申しましたような方針で極力銀行にも自粛方をお願いしておるところでございます。
  148. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 具体的にどういう自粛方をお考えになりますか。
  149. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 歩積み・両建てのほうはもう御承知のとおり第二ラウンドに入っておりまして、これは常時検査しておりますし、それからいまの匿名預金のほうも、これは少なくとも店頭に掲示をしてお客にはっきりこれを知らせるという措置をとっておりますので、私の聞いておるところでは、架空預金というものは非常に減っておる、最近相当効果をあらわしておるというふうに聞いております。
  150. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 刑事局長にもう一つお尋ねをいたしますが、京阪神土地会社会長の山田正光の養父山田寛之助さんが、この事件の勃発後、自殺をしておりますね。自殺をしておる事実は知っておりますか。聞いておりますか。
  151. 内海倫

    ○内海説明員 聞いております。
  152. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その自殺をした寛之助さんが、かなり詳しく、この事件にまつわる人たちが一ぱい出てくる遺書を残しておる。その遺書が警察の手に渡っている。その遺書を警察はこの際明らかにして、この事件の徹底的な捜査をすべきだと思いますが、いかがですか。
  153. 内海倫

    ○内海説明員 私、遺書の件については聞いておりませんが、この京阪神土地をめぐる犯罪につきましては、先ほどいなか県警というあれもございましたけれども、有能なる兵庫県警察の全力をあげてその捜査に当たっておるところでございますから、犯罪の容疑のある限り徹底した捜査が行なわれておるもの、また、行なうものと、かように考えております。
  154. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 決算委員会などでは、起訴状の写しを資料として御提出を願いたいというと出すのでありますが、本事件も山田正光にかかわる起訴状の写しをひとつ資料としていただきたいのでありますが、刑事局長いかがでありますか。
  155. 石原一彦

    ○石原説明員 公訴事実の要旨につきましては、さっそく作成の上提出いたします。
  156. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣、この事件にまたまつわることで、先ほど刑事局長も非常に幅の広い、いろいろな問題がある事件だとおっしゃいましたが、国税局の査察官が——普通の税務署の職員が逮捕されたというような場合は何回か耳にしたのでありますが、最も厳格に調査をする査察官が二人この事件で逮捕されたことは、あなたも御存じですね。その逮捕された直後、今日まで、そういうことの起こらぬように何か特別な、大臣として今後の監督をこうするのだというようなことの、綱紀粛正についての姿勢を示しましたか。
  157. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 特別に、この事件があったために、綱紀粛正を示したというような事実はございません。
  158. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そんなのは怠慢じゃありませんか、大臣。査察官が逮捕されたというのは、普通の税務職員が逮捕されたのと国民の受ける印象は全然違いますよ。だから、国税庁長官はあるいはしているかもしらぬ、このくらいの大きな問題になってきたら、やはり大蔵大臣がき然とした綱紀粛正の姿勢をとるべきですよ。そのくらい気がつかぬ大臣では、怠慢ですよ。  国税庁長官は、どういう姿勢をとりましたか。
  159. 亀徳正之

    亀徳説明員 今回の事件ばかりでございませんで、実は私、長官になりました際に、ちょうどたまたま東京国税局の調査官が五名、日通事件に関連して逮捕されるという不幸な事態を迎えました。また、大阪でも、こういう事態を迎えるということで、私、やはり税務行政の基本国民に信頼される税務行政の確立という一語に尽きるのではないか。私は、率直に申して、長い間税務をつとめておりまして、非常にまじめに働いておられる方が多いので、一、二のそういう事例のために全部が誤解されるということは非常に心外だと思うとともに、また同時に、こういう事態もやはり撲滅というか、こういう非違を受けないように、厳重にそういう点は注意しなくてはいかぬということで、実は去る二十五日、ちょうど国税局長が半数近くかわりもいたしましたし、特に個別の事務の指導ということでなしに、いまの綱紀粛正の問題を含め、同時に、私はそのとき思うのでございますが、だめだ、だめだと言うほかに、やはりわれわれの、税務官吏の処遇、環境の整備ということも整える必要があるのではないか。そのために、長官としても、予算編成時期を迎えまして、相当の努力をいたしたい。  先ほどの、いかなる措置をとったかということにつきましては、先ほどの国税局長会議、一日でございますが、終始この問題を中心に真剣に議論しました。これは一片の通達で事終わるという問題ではないので、やはり上の者がまずえりを正して、この気持ちを一人一人に浸透させること、そして国民の信頼にこたえる税務行政をやっていくということが最も基本ではないか。また、私、着任したばかりで、いろいろ不十分な点があろうかと思いますが、私は全力をあげてこの問題に対決していきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  160. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そこで長官、この京阪神土地会社は、新聞の報道によると、脱税事件であがったことがある。何年何月に更正決定を受け、脱税で捕捉された金額は幾らあるか、わかりますか。
  161. 亀徳正之

    亀徳説明員 先ほど来いろいろなお話がございましたように、この法人は三十九年に設立されまして、急速に、いろいろな不正事実もまじえながら、業況を拡大していったのでございまして、ただ、設立第一期、第二期の法人の調査はなかなか徹底しにくいという点がもう一つございますが、ただこれにあわせまして、実は山田個人がいろいろやみ金融その他をやっているのじゃないかという情報がございました。これは四十年でございますが、査察に個人の所得税法違反ということで着手した事例がございます。そのときはやはりこれだけの問題の大きさはもちろん予想しておりませんで、ただ本人が相当やみ金融を大きくやっている、貯金もあるのではないかということが情報として入りまして、調べましたところが、やはり、本人の名義であるが実は本人のものではなかったということ、それから脱税所得もさほど大きくない。(武藤(山)委員「幾らだ」と呼ぶ)普通、査察立件するような額ではないわけであります。これは査察調査としては一応中止するような事態がございました。それから法人そのものの調査でございますが、非常に進んでいる過程でございまして、第一期は問題がございません。第二期は調査いたしましたが、これは税務署の調査で、率直に申して若干、期間計算の損益程度で必ずしも徹底したものではなかったように見受けられます。  先ほど来お話がございましたように、非常に複雑多岐にわたりまして、また山田のほかにも、導入屋といいますか、この間にいろいろと介在したブローカー的な者が多い。また、これの持っております子会社がいろいろたくさんある。それらと相互関連いたしまして、いろいろの事実があるのではないかということで、いずれ捜査当局の調べが終わりまして、いろいろ関係資料をまた見せていただくということも可能ではないか。また同時に、大阪局の資料調査課というところを中心に根本的に相互の関連を追いつつ、全貌をとらえて課税の面でも適正を期したい、かように考えておる次第でございます。
  162. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この事件に関連してホテル経営の大東健治、これもどうも新聞記事を読んでいるとなかなかたいへんな脱税をしているような気がいたすわけでございます。この大東健治、これもぜひひとつその後の状況を調査したら報告を願いたいと思います。  新聞の報ずるところでは、当時の山田の脱税額が約四億五千万円程度じゃなかろうか、それを最終的には二億程度にしたのじゃないか。その裏にかなりの顔役が回ってその額を減額させるために動いた、こういううわさがかなり報道されているわけであります。したがって、これらの問題もまた第二ラウンドでゆっくりお尋ねをいたしますから、十分ひとつ実情を調査をしておいていただきたい。今度の機会にやりたいと思います。  それから農林省関係もおいでになっておると思うのでありますが、きょうははなはだ時間がなくてあれですが、農協の余裕資金の使用と運用のしかた、こういうところに問題があると思うのであります。しかし、その中身についてはこの次ひとつお尋ねをすることにして、今度のこの京阪神土地事件をめぐって導入預金とらく印を押されて農協に戻らない額、川西農協をはじめ三島農協あるいは春日野農協、こういうようなところが導入預金をしたために、これは導入だときめつけられてとうとう払い戻しができない。そういう総金額は幾らぐらいだと農林省は判断しておりますか。
  163. 太田康二

    ○太田説明員 農業協同組合は先生御承知のとおり、財務処理基準令で余裕金の運用等の定めをいたしておるのでございますが、余裕金の運用といたしましては、系統金融機関への預金のほかに銀行への預金も認められておりまして、今回先生御指摘のような銀行についての預金がはたして導入預金であったかどうかということにつきましては、現在直接の監督責任者でございますところの府県知事を通じて調査を進めておるのでございます。それらの詳細を待ちましてお答え申し上げたいと思います。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは導入預金であることは間違いない。警察の調べで、川西農協の三億九千万ははっきり導入預金で、農協は払い戻しできないで大騒ぎしていると新聞に出ているのですよ。そんなものはちゃんと調べてきょう出てこないようでは怠慢ですよ。このことはもう一回やりますから、ひとつ具体的に農協で被害を受けたものを全部出してもらいたい。  それから刑事局長、この事件をめぐって、零細な被害者は大体どの程度の人数でどのくらいの金額か、これが一つ。それから、導入預金として裏利息を山田なり金融ブローカーなりが払った、そういう裏金利の合計額というのはどのくらいに推定されているのですか。これは推定だと思いますが、どんな状況ですか、この二つをひとつ……。
  165. 内海倫

    ○内海説明員 これに関係した零細な、いわゆる土地を買った人がございますね。これは、京阪神土地会社から土地を買って手付金を払ったという形での被害を受けている人は、警察の調査ですけれども、百六十五名、それによって生じておる被害は大体一億円ぐらい。  それから導入預金に対する裏金利の問題ですけれども、これは導入預金に対して日歩四銭五厘ないし七銭というものを支払っており、三カ月ごとに導入屋を通じて支払っておるようでありますが、それらの総額がどのくらいになるかということは、いま私報告を受けておりませんので、これは明らかにいたしておりません。
  166. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの導入預金の裏金利ですね、これがどこへどういうふうに流れたかということは大体わかるのでしょう。額はわからないにしても、しかし、どういう形で流れていったかは。結局、山田の手からみな裏金利というのは個々に配られているのか、そこらはどういう調査になっておりますか。
  167. 内海倫

    ○内海説明員 兵庫県警察のほうではもちろんそのところは明らかにいたしておると思いますけれども、私その辺のところは詳細に報告を受けておりませんので、ここで御報告をいたしかねておるわけで、必要であればまたよく調べまして……。ただ私の聞いておりますので、山田が導入預金の裏金利ということで、大体毎月七千万ないし八千万円を支払っておったというふうな数字は聞いております。
  168. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それは、毎月というのはいつからいつごろまでのことですか。それで大体大ざっぱな金額がつかめるわけですが、どのくらいの期間毎月七千万円ずつ支払っておったでしょう。一年ぐらいでしょうか、二年ぐらいでしょうか。
  169. 内海倫

    ○内海説明員 その辺十分資料を持っておりませんので、ごかんべん願いたいと思います。
  170. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次回のときにそういう点もひとつお答えいただけるように調査してください、受け取り先とか。  時間が非常に不十分で、こまかい点まで詰める時間がなかったわけでありますが、この調査を進めるためにひとつ委員長に御配慮いただきたいのは、次回、できるだけすみやかな機会に、三井銀行、第一銀行、協和銀行、三菱銀行、この銀行の責任者をぜひ本委員会に招致して、こういうずさんな銀行経営が行なわれないように十分ひとつ追及いたしたいと思いますので、一回理事会にはかって、早急に善処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  171. 田村元

    田村委員長 前向きで善処いたします。
  172. 澄田智

    ○澄田説明員 先ほど私が推測で申し上げました点、わかりましたので申し上げますが、庭山検査部長が松本検査部長に交代いたしましたのが四十一年十一月十五日でございます。それから、松本君は四十二年の八月四日まで検査部長をいたしております。それから谷川検査部長に交代をいたしております。  講評の日は、四十一年十二月十二日でございます。この日に検査を終わりまして、銀行の責任者に口頭でもって申し渡しております。それから書面による示達は翌年二月十三日でございます。
  173. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 砂田委員が被害者救済策について、関連で質問をすることになりましたので、これで私の質問は終わりたいと思います。
  174. 砂田重民

    砂田委員 武藤委員質問に関連をいたしまして、事件が、特に刑事事件、これがまだ進行中ではありますけれども、いまから銀行局長にひとつ心にどうしてもとめておいていただきたい、こう考えるものですから、小口の債権者、零細な債権者の保護について、銀行局長の腹づもりといいますか、姿勢と申しますか、伺っておきたいと思います。  実は、武藤委員の御質問は、特にきょうは三井銀行のことに集中されたようでありますけれども、これは三井銀行だけに限った二とではない。兵庫県警の調査によりますと、京阪神土地に融資をいたしております銀行は、都市銀行で四、地方銀行で二、相互銀行で五、信用金庫で一、これだけの銀行が京阪神土地株式会社という会社と非常な友好関係の中で、多額な融資を続けていた。有力な銀行が全面的に応援している京阪神土地だという風評が、京阪神土地の所在地の神戸市は、極端な言い方をすれば、すみからすみまで流れていたわけです。そういうことから、マイホームを夢見て、退職金を目当てにした方もありましょうし、貯金を続けてきてその金を使っての方もありましょう。そういう方々が、マイホームを夢見て、京阪神土地と分譲地の契約をしたわけです。そういう人たちが、先ほどの捜査当局のお話では百六十数名、一億余りということでありましたけれども、兵庫県警の調査では百九十三名、一億九千万余り、こういう人たちが、ほんとうに気の毒な状態に今日あるわけであります。この人たちが京阪神土地という会社をこれだけ信頼したのは、京阪神土地という会社が自分の会社のことを宣伝しただけでこの会社を信頼したのではなくて、先ほど武藤委員質問の中にもありましたように、三井銀行の三井ビルの中にある、あるいは有力な銀行が非常に大量な融資をして全面的にバックアップをしておる。そういった銀行取引の表で見、える事態からこの会社を信頼をして、こういう零細な人たちが土地を購入する契約をして、今日泣いているわけです。そういう意味から、まだ刑事事件として問題が進行中でありますから、銀行という法人そのものに刑事的な責任があるかどうか、まだ答えを出す段階ではない。しかし、少なくとも社会的なそういう責任は、銀行に何がしかのものは当然とってもらわなければならぬ。これだけは今日言い得ることではないか。それが一点。  それから、武藤委員は三井銀行のことを重点に質問なさいましたが、近畿財務局は福徳相互と京阪神土地の問題は、昨年の夏にすでに不審を持っておられた。昨年の夏に同行の神戸東支店の某土地会社への融資が非常に多額であったということを近畿財務局はつかんでおられ、その調査をしておられるわけです。この時点でどういう報告が回答として福徳相互から近畿財務局にもたらされたか、そういうことはきょうは時間がないからもう聞きません。しかし、去年の夏にそういう問題があることを近畿財務局は一ぺんつかんで、ことしの二月にも福徳相互を検査をしておられる。事件の起こったのは五月であります。ですから、京阪神土地という会社のある神戸市の地元では、もう世論としてやはり近畿財務局の監督が不十分だったのではないか。去年の夏にそういう不審感を持っておられたならば、また、ことしの二月に検査をやられたならば、その時期に何らかの処置を近畿財務局がとってくれれば、われわれはこんな泣きの目を見なくて済んだのではないか、そういう世論がもうすでにあるわけです。私は今日、大蔵省の銀行局が監督不十分であっという結論は出しません。まだちょっと早い。それにいたしましても、大体万人がそういう目で見ているわけです。  こういう事実からいたしましても、これが更生法の申請をしたようでありますが、一体そういう更生法という通常の倒産をいたしました会社の整理のやり方でいったらいいのか、宅建業者でありますから、商法三百八十一条の第二項というような、監督官庁がこれの整理を命ずることができるというような条項にのせていって整理したほうがいいのか、小口の債権者のためにはどちらが有利であるのかということは、今日まだ結論を出すのは早いと思います。それにいたしましても、その大口債権者の銀行そのもののこの会社の整理にあたっての態度というものの右左で、こういう気の毒な小口の債権者がどこまで救えるか、全く救えないかという問題がある。それだけに小口の債権者をどうやって守ってあげるか。銀行局長が今日具体的に、これこれこういう処置をとるということは、まだお答えはできないと思いますけれども、一応こういった環境の中で生まれてきた気の毒な零細な小口債権者の利益を守ってあげ、債権を守ってあげるということについて、銀行局はこれから事件の運びとともに、銀行そのものにいろいろ行政指導をしていかれると思うのですが、その指導をしていかれる中で、どういう心がまえをもって小口債権者の権利を守っていただけるのか、その心がまえだけを今日一点伺っておきたい。
  175. 澄田智

    ○澄田説明員 ただいま御指摘のように、京阪神土地の事業を信用いたしまして——この信用の背景には金融機関との取引というようなもののあったということも事実でございましょう。そうして自分の蓄積を投じてマイホームを得るために、京阪神土地から土地建物を購入した、そういう債権者が、今度の事件の中で最も同情すべき被害者であることは御指摘のとおりであると思います。したがいまして、大蔵省といたしましては、金融機関については、これはまた一般大衆の預金を預かっている金融機関でございますので、その預金者の保護という見地から資産の健全な運用ということには常に最も大きな配慮をいたしておるわけでございます。銀行検査等もその見地からやっておるわけでございますが、しかし他方、御指摘のような小口の債権者という立場も十分考えなければならないことでございますので、今後のこの事件の事後の処理にあたりましては、金融機関を監督する上におきましても、十分そういう小口の債権者の保護ということに重点を置いて問題の処理に当たるように、われわれも監督上細心の注意を払ってまいりたい。  御指摘のように、現在会社更生法による更生の申し立てもなされておりますが、更生の方法によるのがよいのかどうかというようなことは、現在いま少しく事態の進展を見なければなりませんし、裁判所の監督のもとに事業を継続させるというようなことも考えられる一つの手でございますが、この辺のところは、なおこれから状況を見て十分われわれも注意して指導をしてまいりたい。現にこういった小口の債権者の方々は、しかるべき弁護士の人を代表として金融機関側とも十分連絡をとられておるようであります。金融機関側もその点は十分な配慮をもって事を処理する、こういうような態度でおりますので、今後事態の推移を見まして、十分その点には遺憾のないようにいたしたい、かように存じております。
  176. 砂田重民

    砂田委員 これで終わります。
  177. 田村元

    田村委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会