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1968-05-14 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十四日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 金子 一平君    理事 毛利 松平君 理事 渡辺美智雄君    理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君    理事 竹本 孫一君       大村 襄治君    河野 洋平君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村山 達雄君       山下 元利君    吉田 重延君       阿部 助哉君    井手 以誠君       佐藤觀次郎君    中嶋 英夫君       平林  剛君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    武藤 山治君       岡沢 完治君    河村  勝君       小川新一郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   橋口  收君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君  委員外出席者         総理府恩給局恩         給問題審議室長 大屋敷行雄君         大蔵省主計局給         与課長     津吉 伊定君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月九日  委員西岡武夫君、山下元利君、岡沢完治君及び  小川新一郎辞任につき、その補欠として福永  一臣君、床次徳二君、西村榮一君及び山田太郎  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員床次徳二君及び西村榮一辞任につき、そ  の補欠として山下元利君及び岡沢完治君が議長  の指名委員に選任された。 同月十日  委員宇都宮徳馬君、河野洋平君及び神門至馬夫  君辞任につき、その補欠として鯨岡兵輔君、増  岡博之君及び島上善五郎君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員増岡博之君及び島上善五郎辞任につき、  その補欠として河野洋平君及び神門至馬夫君が  議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員大村襄治辞任につき、その補欠として周  東英雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員周東英雄辞任につき、その補欠として大  村襄治君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員福永一臣君、神門至馬夫君及び山田太郎君  辞任につき、その補欠として西岡武夫君、中嶋  英夫君及び小川新一郎君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出第六二号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第七四号)  国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共  済組合法の一部を改正する法律案武藤山治君  外十一名提出衆法第一八号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(武藤山治君外十四名提出衆法第一七号)      ————◇—————
  2. 金子一平

    金子(一)委員長代理 これより会議開きます。  委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案武藤山治君外十一名提出国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案武藤山治君外十四名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 前回委員会質問をいたしまして、その答弁がなされないままに定足数不足で散会になっているわけですが、その答弁をまず恩給局から伺って、それからだんだんに質問をいたしたいと思います。
  4. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 前回の御質問をここで確認いたしておきますと、前回の御質問は、公的年金制度調整連絡会議におきまして同じように調整規定検討をいまやっておる最中でございます。ところが、恩給審議会におきましては、すでに答申が出ておる。つまりまあ恩給法の上におきまして一歩進んだ形になっておる。この間の考え方をどうするのかというのが骨子だと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうです。
  6. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 恩給審議会では、御承知のようにこの三月二十五日に調整に関する答申が出ておるわけでございますので、総理府といたしましてはこの答申趣旨に沿いまして今後検討いたしたい、こう考えておるわけでございますが、ただ昨年の七月に公的年金制度調整連絡会議が設けられまして、ちょうど恩給審議会ができておりますその期間中に設けられたわけでございますので、現在の状態におきましては、若干恩給審議会を設置したときと情勢が変わっておるんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけでございます。したがいまして、答申は出ておりますが、政府は今後検討する段階におきましては、当然この公的年金制度調整連絡会議審議状況、あるいは結論が出ましたらば、その結論との調整、これも十分考えなければならぬ、こう考えております。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 政務次官にお伺いしたいわけですが、国家公務員共済組合関係については、やはり主管と申しますか、これは大蔵省だと思います。公共企業体関係は運輸省が便宜担当しておるけれども、つまるところは国家公務員との関係もあるし、また、財源問題等をめぐってもかなり大蔵省のかかわるところが大きい、こういうような点からいいまして、この公務員関係公企体職員関係共済組合法におけるスライド調整、こういう問題を前向きにすみやかに進めていく決意であるかどうか、この点だけをこの問題の最後の締めくくりとして政務次官からひとつ答えていただきたい、かように思うのです。
  8. 倉成正

    倉成政府委員 ただいまも審議室長からお答え申しましたように、公的年金制度調整連絡会議でいろいろと年金制度全般に関する問題の検討を進めておるわけでありますので、その結論を勘案しつつ、適切な措置を講じてまいりたいというのが、大蔵省の基本的な態度でございます。恩給についていろいろ答申が出ておりますし、これを見ながらやはり共済年金制度についても恩給と同様の感覚で対処してまいりたい、こういう姿勢でございます。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この年金スライドの問題については、まあ通り一ぺんの答弁で事は済まないわけでありますから、それらの事情を、非常に年金受給者が切実に要求している問題でございますので、この点を特にきびしくお考えをいただいて前向きの姿勢で、しかも四十三年中には検討を了する、こういう附帯決議もついておるわけですから、十分そういう気持ちで具体的に問題を進めていただくように特に要請を申し上げて、この問題はまた同僚議員質問されると思いますので、その程度で終わっておきたいと思います。  ところで、この共済組合法関係で四十一年あるいはずっとここ引き続いて調整が行なわれてきておるわけでありまして、そのためにいま財政状態がどういうぐあいになっているのか、こういう点について若干伺いたいと思うわけでありますが、いま責任準備金というようなものはどのくらいにのぼっており、そういうようなものからまた共済組合財政状況というものがどういうことになっていくだろうか。五年ごとに財源率と申しますか、掛け金率など洗い直しをする予定になっておる、それが大体来年ということにもなるかと思うわけでありますが、その辺のところについてまずお伺いしてみたいと思うわけであります。
  10. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘共済組合長期給付にかかわる積み立て金でございますが、御承知のように国家公務員共済におきましては連合会加入組合現業組合とがございますが、これを取り集めまして年度末積み立て金三千三百三十五、六億程度になっております。それは四十一年度末決算でございます。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで、この責任準備金が大体三千三百三十億程度ある。そしてこれをいろいろ運用されるわけでありますが、いわゆる利差益というようなものは約八十何億かあると聞いておりますが、正確にはどのくらいございますか。
  12. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘でございますけれども先生すでに御承知のように、財源率計算におきましては予定利率は五分五厘ということで計算をいたしておりますが、脱退残存率あるいは平均余命等財源率基礎になります諸元がございますけれども、それらをそれぞれ分離いたしまして、利差益は幾らになっておるというふうな計算は実はいたしておりませんで、しかしながら、五分五厘の予定利率との差といいますか、実際の運用の利回りは、四十一年度で見ますと六分四厘ちょっとになっております。これは三十八年度あたり当時から見ますると漸次低下はいたしておりますけれども、六分四厘程度でございます。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 まあここ数年、前回財源率計算以来約四年たつわけでありますが、俗にいうベースアップということを通じて追加費用もかさんできたと思うのです。そういうようなことで今度の洗いかえ再計算の時期、ここで大蔵省としては、いまの状況からいって、いまちょっと給与課長平均余命が伸びたというようなこと、さらに脱退差損なんかもあるんだというようなこと、そういうようなことも言われたわけですが、それらを考えて、いわゆる将来を見通して、いまの掛け金率というようなもので大体やっていける見通しなのか、それとも今度あたりは上げなければならないというような状況まで至っているのか、そういうような問題等についてその見通しをこの際、わかっている限りでけっこうですから明らかにしていただきたいと思います。
  14. 津吉伊定

    津吉説明員 まことに御理解があるしんしゃくを賜わりまして、わかっておる限りという御質問で実はほっとしたわけでございますが、われわれ現在のところ、先ほど申し上げましたように、連合会加入組合二十組合、それから現業組合、建設省を含みますが五組合という長期財源率につきましては、その程度のいかんは問わず、御指摘になりましたように脱退差損というものがあります。それから一番大きなのは給料指数の上昇、いわゆるベースアップでございます。これは申すまでもなく、退職前三年間の平均俸給というものが年金の算定の基礎俸給になっております。ところが、厚生年金と違いまして給付基礎俸給は高いところになりますけれども掛け金あるいは国庫負担金というものが拠出されます基礎というものは、数字べースアップを重ねた前のその人在職中を通じてある水準にあるそれぞれの時点俸給でございます。したがいまして、その間のいわゆる穴がどの程度になりますか、これはただいまのところ連合会関係におきましては連合会、各現業においては現業共済組合におきまして、それぞれ最近時点における財源率計算諸元をあらわす資料を収集いたしまして、少なくとも一つめどといたしましては、御指摘になりましたように四十四年度、来年度から財源率の新規の数字適用でございますので、それに間に合いますような、端的に申し上げますと四十四年度予算に組み込み得る段階に合わせましてこの計算を了する、こういうスケジュールで作業を進めておる段階でございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 まだ検討段階だからなかなか正確な見通し——いろんな諸元があると思いますから、それらに対するよほど正確な見通しがないと責任ある答弁はできないというように私ども考えておりますが、掛け金の率をかりに上げなくても、職員自体ベースアップ、これは年金のほうも若干のベースアップはあるけれども職員ベースアップのほうがやはり先行していると思うのですね。そうしますならば、同じ比率であってもベースアップ基礎額が上がりますから、そういう面でかなりカバーできているんじゃないかということも当然考えられるわけですね。掛け金スライドして当然上がってくる。現職の人の給料が上がるということによって掛け金の額も上がってくる。こういうことも十分あるし、また必ずしも利差益をよけいにしろというようなことがいいか悪いかということはむずかしい問題だと思いますが、そういうものもあるようだし、いろんな問題があろうと思いますが、やはりできる限り掛け金率は上げない方向検討してもらいたいということの、私どもとしては強い要請を持っているわけであります。  そのために、別途本委員会にも提案をいたしておる共済組合法の改正、わが党独自のものも出しておるわけでありますが、その中で国の負担分を一五%から二〇%に引き上げてもらいたい、引き上げるべきだ。これは厚生年金との見合いというようなことも考えながらそういう案も出しているわけでありますが、将来の財源の問題とかみ合わせて、国庫負担分をそういうようにふやす意向はないかどうか。これは政治問題でもありますから、ひとつ政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  16. 倉成正

    倉成政府委員 ただいまの御質問は、長期給付国庫負担率厚生年金と同様に二〇%程度にすべきではないか、こういう御趣旨の御質問と思います。この点につきましては、広瀬委員よく御承知のとおり、厚生年金保険給付水準、これは共済給付水準と比較いたしますと、御案内のように共済については、退職前の三年間の平均給与厚生年金の場合には全加入期間平均標準報酬となっているわけでありますから、共済のほうが高いわけであります。それから年金支給開始年齢共済は五十五歳、厚生は六十歳となっているわけでありますから、大体厚生年金給付共済給付の六〇%ないし七〇%程度、こういうふうな給付水準、あるいは給付開始年齢というふうな差異があるわけであります。したがって、国庫負担率厚生年金は二〇%になっておりますが、これらの点を勘案すると、大体現在の公的共済年金負担の一五%程度バランスがとれておる、こういうふうに思われるわけであります。したがって厚生年金国庫負担との関係に関する限りは、大体国家公務員共済組合についての負担割合は決して低くないと思われるわけであります。  これらの点を考えながら、やはり厚生年金とのバランスをとりながら、今後ただいま御指摘のような点を踏まえて対処してまいりたいと思っておるわけであります。現在のところ、これを厚生年金と同様に二〇%にするという考えはございません。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いまいろんな理由をあげられましたけれども厚生年金よりも共済組合のほうがすぐれているのだ、優遇されているのだ、こういう御趣旨のように受け取れたのですが、必ずしもそうではない。こまかく見ていきますと、遺族年金適用なんかの問題については、厚生年金のほうがむしろ有利ということもあるわけだし、掛け金の問題でもやはり大きな開きがあるのではないかと思うのです。たとえば五万円なら五万円という場合の掛け金の率、掛け金の額、こういうようなものも、厚生年金の場合とは大きな開きがあるだろうと思うのです。したがって、そういうような面を考えれば、二〇%厚生年金に出している。だから、公務員のほうがいまでも有利にできているのだからというようなことには必ずしもならぬわけであります。やはり掛け金率をこれ以上上げないというような立場で、少なくとも厚生年金程度に国の負担分を二〇%までふやしていく、こういう方向というものは当然出していくべきだ、このように考えるわけでありますが、これは専門家としての給与課長なり主計局次長、いかがでしょう。
  18. 海堀洋平

    海堀政府委員 いま政務次官からお話のありましたように、社会保険制度は、それぞれ発生的にも多少違いますが、徐々にお互いの権衡というものを考えて処理していかなければいけないと思っております。ただ、歴史がありまして、たとえばいま政務次官からも例としてあげられましたような差異がありまして、これを直ちに一緒にしろということになりますと、その間に長い歴史がありますので、いろいろ摩擦が起こりますから、それらを徐々に均衡をとっていく。したがって、やり方それぞれに一長一短がありますので、それらの権衡考えながら徐々に社会保険制度それぞれの均衡をはかっていくということを考えなければならないと思います。したがって、直ちにあるところだけをとってそれを合わせろとおっしゃいますと、厚年のほうにはやはり厚年のほうの言い分があるだろうと思いますので、それらを彼此勘案しながら、全体として社会保険制度が厚くなっていくようにというふうに考えていきたいと思います。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題は、できる限り早い時期に二〇%に引き上げるように強く要望いたしまして、次の問題に進みたいと思います。  国家公務員共済組合審議会今井会長から昭和四十三年二月六日付で、今回提案されております「昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律要綱について」ということで、「標題のことについての当審議会意見は次のとおりである。」という答申——答申といいますか意見書が出されておることを御承知だと思うのですが、その中で公的年金制度調整連絡会議検討の結果を待たないで出したというのは独走ではないかということが一つあります。それからもう一つは、法施行日の前後により段落を生じ、年齢別による場当たり的区別制度化してしまうという批判をしております。それから、年金そのもの増率によらずして、あえて俸給額増率というものを固執している、これも不要な事務量を増大させるものであって、たいした意味がないじゃないか。私どもは、この問題について去年の委員会でも質問をいたしたわけですが、やはり審議会会長考え方としてもこういうものが示されておる。こういうことについて大蔵省としてはどのようにお考えですか、いま申し上げた三点ばかりについての見解をひとつ……。
  20. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘諸点につきましては、これはすでに十分御承知のように、改定の問題は今回に限らず昨年もお願いし、昭和四十年にもお願いをいたしたところでございます。趣旨といたしまして、ほぼ先生指摘のような国家公務員共済組合審議会としての意見をちょうだいいたしておるわけでございますが、これも重々承知のように、われわれ国家公務員共済年金は、現業でありますと三十四年一月一日、非現業でありますと三十四年十月一日からいわゆる社会保険に脱皮をいたしまして、恩給を取り込んで発足をしたという制度でございますが、いまだ在職者ないしは既退職者におきまして見ますと、恩給期間を主たる部分としておるわけでございますので、それぞれ改定法内容におきまして、御承知のように恩給にかかわる部分、それから恩給に対応する部分、それから共済旧法、旧勅令というような部分、それぞれが恩給における改定に準じ、あるいはならいまして、改定が行なわれざるを得ないという実態がございます。したがいまして、その改定方式におきましても、恩給でおとりになるところにならわざるを得ないという状態で推移をいたしておるわけでございまして、これはただいまのところ、他の諸種重要問題についていわれておりますように、それらを総合いたしまして、公的年金制度調整連絡会議の重要なる議題になっておりますことは言うまでもないところでございます。  その検討につきましても、先ほど来答弁申し上げ、先生も御指摘になっておりますように、早期に、少なくも一年くらいをめどにいたしまして、諸点についての解決をはかりたいという運びになっておりますので、すべて公的年金制度調整連絡会議に逃げ込むようではございますけれども、その検討に待たざるを得ないという段階で、先ほど御指摘国家公務員共済組合審議会意見におきましても、その末尾におきまして、遺憾ながらそのバランスははからざるを得ないわけでございますので、理において本案に反対すべきでありますけれども、遺憾ながら受給者差別を生ずることは放置しがたいのでやむを得ないということをいただいておるのでございます。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この前段の公的年金調整連絡会議、こういう問題は、まあ大体の見通しもこの委員会でわかってまいりました。これを待たないで出すというのは少し独走だということに対して、今度出したのがけしからぬと言うつもりは私はないのです。ただしかし、こういうようなところからも、やはりこういうものを早く作業を進めて結論を得て、そうしてそのすっきりしたものでやりなさいという趣旨が非常に強く出ているのだということを十分考えていただきたい、そういうためにいま申したわけです。  それから、年齢別による場当たり的区別制度化してしまって、本来の共済年金その他に及ぼす影響が大きいじゃないかというような指摘、それから特に私が問題にしたいのは、年金そのもの増率にどうしてよれないのかということ、その基礎になる俸給額仮定俸給表、こういうものの増率ということでやってくるのは二重の手間になり、全くおかしいじゃないかということ、しろうとのわれわれでも、どう考えてみても、やはりもう、そういう年金額そのもの増率していくのだ、それで引き上げていくのだ、こういうことでいいのじゃないかということを私ども考えるわけなんですよ。そういうものが非常に合理的な考え方だと私どもは思うので、それがやれないというのは——今度もこういうものを出してきた、やはりこういう審議会長今井さんから指摘されているようなことをそのままやってきたわけですが、なぜ年金額そのもの増率するというストレートのやり方、こういうものをやれないのかということについてどういうようにお考えですか。
  22. 津吉伊定

    津吉説明員 まことにごもっともな御指摘でございます。われわれも担当者といたしまして、仮定俸給による制度をとりたくはないのでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、現在のところ、恩給とのバランスをはかりながら改定をせざるを得ないという段階でございますので、恩給のほうでおとりになる技術的な方法というものにあえて従わざるを得ないという点がございます。  それから、年齢別引き上げ状態が違う、差別があるという点につきましては、これも重々承知でございますが、恩給のほうにおきまして七十歳以上あるいは六十五歳未満、六十五歳以上七十歳未満というふうな段階を設けた改定をはかっておるわけでございますので、その恩給にかかわる部分あるいはこれに対応いたしましてバランスをはからざるを得ない部分という点については、それぞれその改定方式にならうという状態でやらざるを得ないのでございますので、われわれとしてもまことにやむを得ない改定措置として行なおうとしておる次第でございます。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その説明された内容については私もよくわかるのですけれども、しかし、恩給法というのはもうやがてはなくなっていくものですよ。あと何十年かたてば適用者もだんだんなくなるというようなことなんです。あとは、残っていくのは、やはり将来まで続いていくのは共済組合法だと思うのです。そういうことで、確かに、たとえばいま公共企業体の国鉄の職員であっても、その人たちが、むろん恩給公務員の時期というようなものを持っておった人たちがまだ現職にたくさんいるわけですから、そういう面でのつながりというものを否定するわけではありません。しかしながら、新しく共済組合法が発足してから、もうかなり時間もたちますし、公共企業体としても独自の地歩を占めてやってきておるわけでありますから、そういうような問題を十分勘案をして、共済組合のいわば独自的な立場というものをもう少し積極的に出すべき時期がもうそろそろ来ているのじゃないか。大体三十四年に公務員共済法ができて十年たったわけですね。そういうことから考えましても、また、公共企業体の場合なんかはもうそれ以上になっているわけですから、もう少し恩給法のからというものを捨てて、新しい立場でもう一回これを見直していくという、そういう時期がもうそろそろ到来しているのじゃないか。いつまでも恩給法の慣例、からをくっつけているのを、それをそのままくっつけなければどうにもやれないのだというものでもないように私は思うのです。どうしてもそれがやれないということは、そうだと思えばそういうことにもなるだろうというようなことだと思うのですよ。抜けようと思えば抜けられないことはないのだ、そういう関係だと思いますから、そういう方向で、ひとつもう少し独自的な立場でこの問題を共済組合共済組合としてはやはり考えていくという面がもう少し強く出ていいのじゃないか、こういうように思うわけであります。  そこで、次に問題を移したいと思いますが、本人の一部負担金も昨年の健保改悪以来非常に増加をしているというようなことで、この負担金に対する還元というような問題が最近非常に問題になっているようでありますが、これについてはどういうようになっておりますか。
  24. 津吉伊定

    津吉説明員 健保の特例措置適用につきましては、共済組合にこれを適用すべきやいなやという議論があったことは先生承知のとおりでございます。しかし、昨年の夏の時点におきましてわれわれ共済組合は、長期でいいますと厚生年金、短期でいいますと健康促険というものの、職域でこれを取りまとめたようなかっこうになっております保険でございますので、詳細に見ますると、それぞれ財政状態差異はもちろんございますけれども、そういう方式としてとられる点につきましてはこれにならって措置をする、適用するということでいったのでございますが、その際、一部負担金の還元その他組合員の給付を他の面で手厚くする、あるいは負担を軽減する方途がないかということが当然議論にのぼったのでございます。  それで、その健保特例の適用につきまして、共済組合審議会でその席上重々議論があったのでございます。その際、審議会会長以下、審議会に出席しております委員の議論の結果、もちろん一部負担金の還元という方法が当然考えられるのでございますけれども、単純にこれを還元するという方途しかないというわけでもありませんので、付加給付水準を高めるとかあるいは付加給付の事項を新設するとか、ないしは収支の状況に、各組合ごとの実態に基づく次第ではありますけれども、それを勘案いたしまして掛け金率調整する。調整するといいますのは、むしろ引き下げるというようなことも考慮されるわけでございますので、早計に——と言うと恐縮でありますけれども、単に一部負担金の還元という方途のみによるべきではなかろう。こういう議論になりまして、それぞれ各共済組合におきまして適切な方法を検討されたいということが当時の結論であったのでございます。  その際、審議会今井会長からいま申し上げましたような一部負担金の還元ということを中心にいたしまして、非常に詳細な研究方の要望が昨年の九月に各共済組合に対して連絡として出されたのであります。その結果、二、三の組合におきましては四十三年度の事業計画の策定にあたりまして、一部負担金の還付というような面での要望が出たようでありますけれども、ほとんど大部分組合におきましては、いま申し上げました付加給付の厚みを増す等々の方途を講じまして、あるいは掛け金率を若干引き下げる等の方法を講じまして、計画を策定したという実態でございます。  したがいまして、共済組合の実情に応じ一部負担金の払い戻ししか全く手はないというふうに重重詰められた上でその計画をお考えになるという方途につきましては、あえて、そういう事柄であるからして、その事柄をもってわれわれは賛成しないというふうなことを申しておるのではございません。むしろ、いろいろ前向きの建設的な積極的な方法をとられるについては十分検討をしてもらいたいということを、共済組合審議会長以下やはり共済組合に対して要請申し上げている次第でございます。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 相当の組合から大蔵省に、その一部負担金は組合として還元すべきだというような要請が、通産省あるいは労働省、衆議院、参議院などからなされたと聞いておるわけでありますが、なるほどそういう形で一部負担としてやるのがいいのか。一部負担制度が実施されてから、おそらく短期給付給付率なんかも一〇%以上下がっているのじゃないかというようなこともいわれておるわけですね。これは具体的な数字はおそらく一四%くらいまで下がっているのじゃないかと思うのですが、そういうことでかなり余裕が出てきたということから、それに対する還元をしてもらいたいというような議論がある。厚生省では健保組合等に対して還元してもよろしいという通達を出したというようなことで、その組合の自主性もある程度認めて、一部負担金に対する還元をやってもいい、あるいはまた、付加給付の充実ということでやってもいい、あるいはまた、掛け金の若干の引き下げというように、それを回してもいい、そういうような弾力性のある指導でよかったのではないか。一部負担の還元はなぜ悪いんだ、四つの組合から要求があったということは、やはりそれなりの理由もあるだろうと思うのです。それはやはり医療費が一部負担によって非常に増高しているというようなことが、そしてそのお医者さんにかかった人たちにとってはかなり経済的な圧迫にもなっておるというようなこともあるわけでありますから、そういうような点である程度弾力性を持たしてもよかったのではないか。そういうことをやってもよろしい、これは自主的によってやってもいいんだ。それを一律に、これはいけません、それよりはこうこういうふうにしなさいということをぴしっと断定的に出して指導をせられていくということは、少し大蔵省として行き過ぎではないのかという気がするわけです。その辺のところはどうでしょうか。それをやりたいところはやってもいい、しかし本筋はこうじゃないかというそういう指導ならいいのですが、これはやってはいかぬのだ、それで付加給付の充実あるいは掛け金の引き下げだけをやるんだ、そういう指導をされるのは、少し大蔵省としての行き過ぎではないか、こういうように思うのです。
  26. 津吉伊定

    津吉説明員 遺憾ながら、いま御摘摘になりましたような実質的な指導を行なっておるわけではございませんので、あるいは非難さるべきは、そういう健保で出しましたような通達をあらためてわれわれのほうから共済組合関係に出しまして、それで措置すべき組合があるならば考えろというふうに、また特段に具体的なそういう技術的な方法をとればよろしかったのでございますけれども、それはあえてとらなかったということでございます。といいますのは、ちょっと弁解がましいですけれども、先ほどの組合審議会の席上いろいろ議論されました内容審議会長共済組合に連絡をいたしておりますと申し上げましたその中身につきまして、やや具体的に申し上げますと、非常に詳細な議論が表示してあるわけでございます。ちょっと長いですけれどもそのままお読みいたしますと、   今回の一部負担金の改正経緯に照らし、また、これを払い戻しすることは技術的にきわめて困難であることを考えると、共済組合においてはこの際何かこれに代るべき措置をとることが適当ではないかという意見が、先般の国家公務員共済組合審議会において主として共済組合員代表委員から出された。その際の意見は次のとおりであった。  イ、特例法施行により共済組合の収支に及ぼす影響を見究めたうえで財源率改定を行なうべきではないか。  ロ、各共済組合における今後の収支の変動に備えて、この際積立金の充実に充てるべきではないか。  ハ、特例法施行により生じた財源は、附加給付の拡充の方法により組合員に還元すべきではないか。  ニ、前号と関連し、附加給付に関する現行の実施基準も、この際検討すべきではないか。  それで最後に締めくくりをいたしまして、これは一例でありますけれども、   特例法の施行による一部負担金の改正に伴い、以上のような種々の意見があり、いずれ、国家公務員共済組合審議会を中心として、検討を進めることとなろうかと思われるので、各共済組合におかれても、この点につき、十分研究されるよう要望する。  こういう連絡をいたしまして、われわれといたしましても、別段御指摘になりますように、一部負担金の払い戻しをするという方法については、これは絶対に認められない方法である、あるいはどういうふうな順位で認められる方法であると、否定的に出ておるのであるとかないとかということは特に申し上げておらない。むしろそういう方法しかないならは、いま列挙いたしましたような——これは当然審議会で出ました席上の意見でございますけれども、これらの意見もありますので、要は共済組合員のためになる最も適切な方法がとらるべきであろうかということを念願しておった次第でございます。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 禁止した趣旨ではない、そういうように受け取っていいわけですね。禁止はしておりません、やれるところはやっても差しつかえはないのだ、こういうことですね。よろしいですね。
  28. 津吉伊定

    津吉説明員 それぞれの共済組合におきまして、その実態に基づき自主的に判断をされる事柄でございますので、特段の、通念上支障が及ぶような方途をとられるということでなければ、別段拒否をする理由はないと思います。また、共済組合審議会におきましてこのような意見として出されておるわけでございますので、共済組合審議会における広範な全般的な検討にまつというのが一番至当かと思います。
  29. 武藤山治

    武藤(山)委員 関連。  給与課長のいまの答弁で経過は大体わかったのでありますが、まず給与課長に認識をどの程度しておるか確認しておきたいのですが、一部負担を払い戻したら、還元をしたら、年間大体どのぐらいの金額になりますか、国家公務員関係で。
  30. 津吉伊定

    津吉説明員 ただいま一部負担金だけにつきまして分析をいたしました数字を持ち合わせておりませんので、後ほど提出なり御連絡をいたしたいと思います。
  31. 武藤山治

    武藤(山)委員 いま広瀬議員がなぜこの問題を取り上げているかという真意は、組合員の立場から見るならば、健保のほうは一部負担について還元してよろしいと厚生省が局長の名前でちゃんと通達を出しているのですよ。四回の通達が出ておる。健保のほうでそういう通達が出ているのに、なぜ大蔵省はどっちにでもとれるような解釈で、しかも個々の組合が還元をしたいと言っていけば、いや、それは好ましくない、審議会でこういう議論がありましたと言って、大蔵省は還元をさせない方向の指導をしてきた。だから、いま広瀬さんが言いたいと思っている気持ちは、厚生省もきちっと通達を出しているのだから、大蔵省会議録を送るなんというのじゃなくて、もっときちっとした文書を出して、よりメリットのある、より組合員が喜ぶ、満足される方向に指導すべきではないか、こういうことなんですね。ただ議事録を送っただけで、解釈はおまえらの自由にまかせる。その解釈を、単位組合がうちのほうは還元をしたいと思って申し出れば、おそらく大蔵省はいや、それは好ましくない、会議の席でもっと付加給付のほうへ、もっと積み立てを増すためにとか、いろいろな議論があったから、おまえのところ還元はやめてくれよ、ほかに波及するからと、おそらくそういう指導をするに違いない。そういう指導をした覚えは絶対にないかどうか。それから、今後どちらに理解してもよろしいというならば、還元をしたいという組合があるならば、一々大蔵省の了解を受けなくてもよろしいかどうか。この二点をはっきりしてください。
  32. 津吉伊定

    津吉説明員 単純に会議録を送付しというわけではございませんで、国家公務員共済組合審議会における議論といたしまして、それをいかに解決、処理するかという点につきまして、国家公務員共済組合審議会長が文書をもって各共済組合に連絡をしておる案件でございます。それが一つと、それから一部負担金の還元につきましては、別段これを拒否的な方向で指導をし、あるいはそういう方途をとる組合が起これば、それが単純に波及するから困るという意味合いでわれわれはこれをチェックした実態はございません。ただしそれぞれの——いまちょっと前後いたしますが、先ほど御指摘になりました健保系統の一部負担金の還元につきましても、その通達されておるところは、これも釈迦に説法でございますけれども財政状態等々を考慮いたしまして、個々の組合の実情に即応して自主的に決定されるべきものだということを前提に、適切な事業を実施するために、その一部負担金の余裕を使用するというふうな意味合いが主となっておる通達でございます。  われわれのほうも、あえて形式的にそういうふうな通達はお出ししておりませんけれども、その趣旨におきまして審議会長が連絡をし、各共済組合において実情に基づき研究されたいと言っておるところと全く同趣旨でございます。われわれの指導といたしまして、特にある方法はチェックをした、ある方法は奨励したというふうな指導はございません。また、単純に、各共済組合考えてそれを持っていったら、そのままウのみになるかどうか、この点につきましては、少なくともわれわれ共済組合につきましての事業計画の承認、予算の承認というようなことをやらしていただいておる、あるいは監査というような権限を与えられておる監督機関でもございますので、共済組合事業が円滑に、適切に行なわれるという半面、これは組合の自主性とのかね合いで強制は非常にむずかしい運用になるかと思いますけれども、そこの還元をしたいという際の対処のしかたとしまして、やはり法令上半面大蔵大臣が定めるものにつきまして還元をすることができるという法律規定もある次第でございますので、その運用につきまして、実質を埋める態度としては、重々申し上げておりますように、還元ということ自体を方法として毛ぎらいしておるわけではございません。
  33. 武藤山治

    武藤(山)委員 だとしたら、あなた、大蔵大臣が管理、運営のことについていろいろ監督する権限があり、還元をするかしないかということについての意思表示は当然大蔵省として通達を出すべきですよ。そうじゃないですか。いまそういう権限が法律に基づいてあるというなら、それを出さずにおいて、審議会会議でいろんな意見が出たからということを集約して、連合会に責任を持たして連絡事項を出したということだけでは、これは無責任ですよ。やはり大蔵省としてもきちっとした態度を通達で出すべきじゃありませんか。それでなかったら、さっき言ったように、還元をしたいという組合に対してはスムーズに認めたらいいんじゃないですか。どうもつじつまが合わぬですよ。
  34. 津吉伊定

    津吉説明員 まことに失礼でございますが、国家公務員共済組合審議会というものについての法令上の地位の御認識につきまして申し上げたいと思うのですが、これは連合会の機関ではございませんで、国家公務員共済組合法第百十一条に規定しておりますところの国家公務員共済組合審議会でございます。これは第百十一条に規定がありますように、大蔵省の付属機関として置かれておる審議会でございまして、大蔵大臣の諮問機関であります。したがいまして、連合会の機関でないことはもちろんであります。大蔵省の機関そのものであります。しかも、この大蔵省の付属機関たる審議会審議会長として、先ほど来申し上げておる文書をもって連絡を申し上げておる。さらに給与課長として念を押して御連絡を申し上げればよかった、あるいはそうすべきであったと言われる点につきましては、これは非常に恐縮でございますけれども程度問題といいますか、さらに丁寧になぜやらぬか、こう言われる点につきましては重々甘受いたします。そういう非難はあるいは程度に応じましてあろうかと存じますが、共済組合審議会なるものは、われわれ監督機関といたしまして、連合会にその責任を押しつけておるという非難をこうむにおいては、これはそうではございませんと申し上げざるを得ないのでございます。
  35. 武藤山治

    武藤(山)委員 だって、広瀬さんに読み上げたのは、一応運営審議会にどちらにもとれる会議をしたというさっきの文書でしょう。したがって、組合がぜひ還元をしたい、払い戻しをしたいという申し出があった場合には、大蔵省は認めるか認めないか。あなたは、大蔵省が諸般の事情を判定をして、いろんな基準を考えて、するかもしらぬし、しないかもしらぬという答弁なんですよ。どちらでもいいんだから、そこまで制限しないで、厚生省と同じように、その組合財政事情がよければ、たとえば参議院とか衆議院とか特にいい組合については、そういう申し出があればすらっと認めますよ、大蔵省は一切チェックしませんよ、そう答えられないのですか。
  36. 津吉伊定

    津吉説明員 先ほどお読みいたしましたように、共済組合審議会においていろいろ議論が出、また諮問もしなければいかぬというような重要な事項でございますので、われわれだけで、共済組合審議会における重要な議論の過程を一応横に置きまして、どうこうという具体的な御返答は申し上げかねる段階ではあるのでございますが、そういう共済組合員に対する優遇方法といいますか、給付を手厚くする、あるいは負担をできるだけ軽減するという方途につきましては、当然に考慮されるべき方途でありますので、われわれとしても共済組合審議会に当然はかりまして、それでもちろん、何回も申し上げますように共済組合の自主性に基づくものではありますが、やはり共済組合としての収支その他財政状況という実態の問題がございますので、それらを勘案いたしました上、認むべきは認めるという態度でおることには変わりはございません。
  37. 武藤山治

    武藤(山)委員 最後に、しからば、あなたはこの議題をいつごろの審議会にかけて少し詳しくこまかく検討してみたい、一応日限は大体いつごろをめどにしますか。
  38. 津吉伊定

    津吉説明員 常にそういう責め方になるわけでございますが、先生承知のように、一部負担金の払い戻し、還元等の問題は、それ自体として非常に重大な問題でありますが、先ほど広瀬委員からもいろいろ御質問になっておりますところの財源率計算の問題というようなこともございます。また、組合全般の運営問題ということで、いろいろ具体的に審議会の意向として検討しなければいかぬというものがある段階において当然煮詰まってくると思います。そういう段階につきましては、この問題としてはわれわれとしてもできるだけ早期を期待いたすわけでございますけれども、もっと大ぶろしきを広げれば、それらの公的年金制度調整連絡会議というものの推移がどういうふうになりますかによって、共済組合審議会に付議される事項というのがいろいろあろうかと思います。したがいまして、その問のタイミングというのは、この場において何月、いつごろになるということをお責めになるのはちょっと酷かと思います。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 関連質問でいろいろあれですが、調整連絡ということももちろんこれは大事なことですよ。そのことを私どもも否定はいたしません。しかし、やはりそれぞれの単位共済組合にもそれぞれの審議会もあり、財源率等についても、大蔵省が全体的な立場で考える以上に、単位共済組合は単位共済組合なりのそれぞれの民主的な手続を経てそういう点も十分考えておるわけです。それを無視してあまり画一的な指導でやっていこうということは、私はやはりかなり問題があるというように思うのです。だから、こういうこともある、ああいうこともある、幾つもの問題点、それを全部調整することになってからでなければ、単位共済の独自性でやり得ると判断をしたものもみんな大蔵省から押えられるのだ、そういうことについてはやはり抵抗を感ぜざるを得ないわけです。ですから、先ほどの大蔵省の見方と若干の違いがあっても、単位共済審議会なり何なりでそういう方向を出して、やりたいというものについては、やらしていいんじゃないか、その程度のものはやるべきだ、こういうように思うわけです。先ほどの答弁がありましたからその程度——禁止をする趣旨でないのだ、やれるところはやっても差しつかえはないのだ、こういう答弁だけを私そのとおりお聞きして、次の質問に移りたいと思うのです。  前回、前年の本委員会においても実は私質問したわけですが、共済年金受給者に対して福祉年金が併給されないということです。たしか厚生年金なんかの場合にはこれは併給されているはずだと思いますが、この点について当時の小沢政務次官が答えておるのですが、現実はまことに気の毒である、これは前向きの姿勢検討するのだということを私の質問に答えたわけです。その後、この問題についてどういうように見解が前進をしましたか。こういう方向をやりたいというお気持ちがございましょうか。
  40. 津吉伊定

    津吉説明員 先生指摘の決議事項は、「旧令共済組合期間を有する者に関する特例老齢年金については、年金制度の通算の改善を図る際、検討すること。」こうおっしゃる点であろうかと思います。この点につきましては、別段逃げるわけではございませんが、この附帯決議事項の中にもあらわれておりますように、「年金制度の通算の改善を図る際、」こういうことであります。この「年金制度の通算の改善を図る際、」といいますのは、公的年金調整連絡ということが重要な関門になるわけでございます。そこにおける公的年金全体の検討というものが前提になりました上での措置でなければいかぬのでありますので、ただいまの段階におきましては、前回答弁申し上げましたような厚生省行政の所管にかかる年金における処理というものと、われわれの旧令共済組合期間にかかわる処理というものとは、やはり全体の公的年金の体系のうちにおきましていまだ基本的な割り切り方がされておらない。遺憾ながらそういう段階でありますので、検討の進めぐあいといたしましては、当時お答えいたしました旧令共済組合期間において旧令共済規定する退職一時金、こういうものを給付しておりますので、通算退職年金制度に乗っておるものではございません。通算退職年金制度に乗るためには、その原資の凍結ということが必要でありますが、そういうことを行なわないですでに御承知のような旧令共済組合制度でありますので、その分について逆にさかのぼっていわゆる実をつけるという手は、これは相当に困難な処理になるのであります。といいますことは、その原資自体が全然ない。当時の制度における給付というのはすでに行なわれ済みであるという点と、それからかりに実のある通算をするとするならば、後に加入した年金制度、これは厚年になりますが、その年金制度における措置に待たざるを得ないというのが、現在の通算の筋合いになっておるというような点からいたしまして、ただいまのところ、そういう基本的な割り切り方がされる検討の結果を待たなければ、まどろこしい話ですけれども、いずれとも申し上げかねる段階にあるということを遺憾ながら申し上げざるを得ないわけでございます。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 どうもお話が発展し過ぎたような気がするのですが、私が言っているのは、七十歳をこえて普通の場合に老齢福祉年金が無拠出でもらえる資格がつくわけです。これはもちろん所得の制限によって、非常に多額の所得がある場合はこれがもらえない、福祉年金が支給されない、こういうことはあるですけれども、その制限にひっかからない限りは、そしてほかに財産や所得がないんだ、そういう年金受給者に対してこの福祉年金を当然支給していいのではないか、通算の問題や何かということと離れて、当然いいじゃないかということを質問していけるわなんです。だから、少し議論が発展し過ぎて取り越し苦労をされたわけですけれども、私の言うのはきわめて簡単な問題を言っているわけです。それについては前向きで検討しますと小沢さんも答えられたんです。  これについてもう一ぺん伺いますが、それができないという理由は私は非常に乏しいだろうと思うのです。もう所得制限だけで、それ一本でいいじゃないか。国家公務員としてあるいは恩給をもらっているそういう人だからというのでは、これは何かやはり昔のからをくっつけた思想かそういうものだと思うのです。ところが、現在では恩給年金が古い人たちのものは非常に価値が低下してしまって、生活を完全にそれだけでやっていくというものには全く足りない少額のものになっている。こういう実態を踏まえるならば——昔のやせても枯れても武士は食わねど高ようじなんだ、そういうものでとにかく最低の生活は恩給という形で老後は保障してやるのだ、こういうような形があったわけですけれども、そういうものがもはや時代の変遷で全く質的に実態的に変化してしまっている。そういう状態なんだから、そういう古くさい観念というようなものをその中に入れないで、ドライに割り切って、非常に価値の低まってしまった年金額、そういうものには、所得制限のところでひっかからない限りは、無拠出の老齢福祉年金というものを併給してもこれは当然いいんじゃないかという考えなんです。これについて政務次官なり主計局次長から答弁してください。
  42. 海堀洋平

    海堀政府委員 要するに、社会保険制度それ自体、いま先生が御指摘のような事態は確かに検討をすべき点だろうと思います。同じ国家から出ているといいましても、それぞれ制度が違いますので、現在の法律はどうも併給を禁止しているようでございますが、確かに社会保険制度というものを基本的に考える場合には、やはりさらに深く掘り下げて検討しなければならぬと思います。ただ現在のところ、社会保険制度がそれぞれ成り立ちが違っておりまして、そこにそれだけではなくていろいろ調整しなければならぬ点があろうかと思いますので、そういう問題と全体として関連いたしまして、至急検討いたしたいと思います。確かに先生指摘の点は問題として検討すべきだろうと思います。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 前向きに十分ひとつ検討していただきたいと思います。  次に、退職年金あるいは遺族年金、廃疾年金があるわけですが、各種年金について、公務員公共企業体、それぞれについて最低保障がどういうことになっていますか。数字をひとつ示していただきたい。
  44. 津吉伊定

    津吉説明員 われわれ国家公務員共済年金における最低保障といたしましては、現行退職年金では八万四千円、それから遺族年金では六万七千二百円、廃疾年金では、御承知のように級別で三級に分かれておりますけれども、一級では十万三千二百円、二級では八万四千円、三級では六万円ということに相なっております。  それで、通常国家公務員共済年金において、最低保障を考慮いたします場合の最低保障額といたしましては、厚生年金を考慮いたしておるわけでございますが、厚生年金の最低給付額というものを考慮いたしましたのが八万四千円、それからまた、厚生年金の廃疾年金の最低保障が六万円、こういうことになっておるのを考慮いたしておるのでございます。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう状況ですが、これはやはり厚生年金との見合いでそういうようにしているというわけであります。そういう立場から遺族年金も月額にしまして五千円程度のものになってしまうわけですが、一方、生活扶助といつも引き合いに出されるのですが、これは本質が違うといえばそれまでなんですが、いま遺族年金月額平均四千八百二十円くらいになっているということを国鉄のOBの諸君が調べて持ってきたのです。大体遺族年金の月額平均四千八百円くらいだ、生活扶助一級地で女一人七十歳、月額換算して一万百八十五円くらいになる。まさにちょうど半分以下だという数字が出ているわけですね。こういうことはやはりどうかと思うわけです。しかも遺族年金の場合でも、もらっていれば今度福祉年金ももらえないという制限がくっついている。こういう状況に対して政務次官、どうですか。やはり最低保障を引き上げるなりということは本筋であります。それをもう当然やってもらわなければならぬことだし、それと同時に、福祉年金などを、こういう事態を踏まえてみて、併給できる道を開くということについてお考えをひとつこの際明らかにして、こういう低い年金でがまんしている人たちに対して、もう少し明るい希望を持たしていけるように御努力を願えるかどうか、そしてまた、そういう実現の方向で努力をしていただけるかどうか、こういう点ひとつ明らかにしておきたいと思います。
  46. 倉成正

    倉成政府委員 共済年金の最低保障額は、給与課長から申しましたように厚生年金の最低額と一致しておる、御指摘のように非常に低いわけであります。しかし、この引き上げということになるとすぐ財源率あるいは他の共済年金との関係が出てまいりますから、いま直ちにこれは引き上げるというわけにはまいらないと思いますけれども、国鉄の退職者の方々と先般お目にかかった際にも、ちょうど広瀬委員が御指摘のような点をるる述べられました。ごもっともな点もいろいろあろうかと思いますので、やはりこれは全体の公的年金制度との関連でこの問題は検討すべきものだと思っておりますので、御趣旨を十分体してまいりたいと思っております。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間が参りましたので、あと同僚の諸君もたくさん質問があるようですから、私、この辺にして終わりたいと思います。
  48. 金子一平

    金子(一)委員長代理 広沢賢一君。
  49. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 私は、これから国家公務員共済組合の運営の問題について二、三御質問したいと思います。  国家公務員共済組合は、いままでの質問にあったとおり、重ねて言うまでもないのですが、いわばこれは労使折半ですね。恩給と違うわけです。しかも取り扱う金額は非常に多額に、七百八十九億、長期経理の収入額が達しています。それですから、この運営について非常にに重要な問題点があると思うのです。  第一番目にお伺いしたいのですが、この国家公務員共済組合法の機構の中で決議機関というのがないのですね。そこでまず倉成さんにお伺いしますが、この法律二十八条ですか三項で「前二項の規定適用を受けない理事及び監事は、理事長が、評議員会の議を経て任命する。」とありますが、その評議員会の議がきまらない場合にはどうなるのですか、お聞きしたいと思うのです。
  50. 倉成正

    倉成政府委員 多少法律技術的なことでありますから、給与課長から答弁いたさせます。
  51. 津吉伊定

    津吉説明員 ただいまの条文は二十九条の三項かと思います。二十九条の三項の規定は、単位共済組合ではございませんで連合会規定でございますが、すでに御承知のように連合会におきましては評議員会というのがございます。評議員会は、法律で申すと三十五条でありますけれども連合会に評議員会を置きまして、四項で「次に掲げる事項は、評議員会の議を経なければならない。」ということになっております。この「議を経なければならない。」という評議員会でございますが、その評議員会の議を経て任命するというのが先ほど引かれました二十九条三項の理事及び監事の任命の規定でございます。  評議員会がいかなる審議をするかという点につきましては、その議を経て任命するということでありますので、先ほど先生指摘のように決議機関ではございません。ございませんが、その意図を全く無視して任命するというようなことは、運用として適切であるかどうかという妥当性の問題があろうかと思いますけれども法律上議がまとまらないといいますか、決議のかっこうになるかならぬかは、これは決議機関ではございませんので、法理論的にはその問題はない。議を経てということになっておるのでございます。
  52. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、最後に突き詰めたときには、ちょっとまとまりがつかない規定だと思うのです。たとえば三十四条に理事長の代表権の制限の問題がありますが、「連合会理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が連合会を代表する。」というのですが、この場合だれがそういうように認定してどういうふうに決定するのか、お聞きしたいと思います。
  53. 津吉伊定

    津吉説明員 非常にむずかしい法律上の御質問でございますが、われわれ解しておりますところは、少なくともこの法律を第一次的に解釈をする連合会のそれぞれの担当機関——これはそれぞれの担当機関と申しますと非常に疑義があります。ばく然としておりますけれども、この法律のもとにおいて業務を執行するについて責めを負う理事長以下役員、また、指摘される評議員会との関係連合会における機関それぞれがやはり解釈権を持ち、一次的に解釈をするということになると思いますが、この連合会の監督機関であるわれわれがさらにこれを解釈する権限を持っておる。さらに申し上げますならば、政府法律を解釈適用するという関係におきましては、内閣法制局というような関係が起ころうかと思います。
  54. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、突き詰めていきますとこういうことになるのですね。結局、連合会でも評議員会でもいろいろ意見が違うことがある。その意見が違ってけんけんがくがくやってまとまらないときには結局、大蔵省の主計局給与課長の判断とかそれから大蔵大臣の判断できめてしまうということになるわけですね。
  55. 津吉伊定

    津吉説明員 結局がたがたいたしまして意見がまとまらないということは、連合会には理事長といういわばトップの執行機関があるわけでありますので、また、先ほど来指摘されておりますように、評議員会といいますのが独自に議決をするといういわゆる議決機関ではありませんので、その間の意見のまとまりぐあいというのは、意見内容の是非は別といたしまして、システマティックに見ますと、理事長が最終的にきめるところに相なる、それにおきまして、われわれ連合会を監督する権限を与えられておる機関といたしましては、連合会の業務執行全般についての監督をする状態にありますので、それぞれの解釈適用におきまして、業務の運営そのものについて監督の対象としてとらえていくということに相なるのでございます。
  56. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そこで、最近民間団体の頼母子講、そしてそれから上に上がっていく信用金庫であろうが、または労働組合はもちろん、各種団体全部がやはり多数決原則というのをちゃんと規定していますね。ほとんど規定しています。これはあたりまえなんでして、国会もそうだし、すべて近代社会の団体というのは多数決原理がこれはものをいうと思うのです。その多数決の基礎になるのは、やはり選任、正しく代表が選ばれるということが一つの問題になると思うのです。  そこで今度、この連合会と単位共済の区別がありますが、まず連合会をとってみますと、単位共済がまず非民主的でして、いまおっしゃったとおり、つまり役員は全部大蔵大臣が任命するのですね。それからいまおっしゃったとおりいろいろごたごたが起きたり、意見がきまらないときには、最終的には大蔵大臣がきめてしまうということで、いろいろ複雑な機構が一ぱい出てきているのです。評議員会とか、あとで御質問しますけれども、運営協議会が出る、いろいろな問題が出る。それらの屋上屋を重ねた機関というのは、ほとんど全部一種の拘束力がない。ただ意見を聴取するというだけのものに終わっておる。こういう点が地方公務員共済組合とは違って、この国家公務員共済組合については非常にきわ立っていると思いますが、どう思いますか。
  57. 津吉伊定

    津吉説明員 ただいま御指摘になりました連合会の役員の任命という問題でございますが、これはことばじりを拾うようでございますけれども理事長と監事につきましては大蔵大臣が任命をいたします。それから、先ほど御指摘になりました条文の辺になりますけれども、二十九条の二項あるいは三項で理事長が任命をするという次第に相なっております。  それからあとで申されました地方公務員共済組合関係につきましては、これも申すまでもございませんが、地方公務員共済組合には御承知のように種別がございます。これは地方公務員共済組合法の三条でごらんになりますように、地方職員共済組合——これは道府県の職員であります。公立学校共済組合、警察共済組合——これは都道府県警察の職員であります。これだけのいわゆる地方三共済といわれているものにつきましては、これは運営審議会方式といいますか、地方公務員共済組合法の六条に規定がされておりますように、運営審議会がいまの三共済には置かれておる。それから都職員、都市職員あるいは市町村職員というものが入っております共済組合につきましては——地方公務員共済組合法の三条にそれに続いてありますように、都職員、指定都市職員、それから市町村職員という共済組合がありますが、いま申し上げた諸共済組合につきましては、御指摘になりますような組合会方式がございます。これはいずれも基本的な原則といたしまして、いずれがいずれのほうに成立すべきであるかというふうな基本的な根拠に基づいてはっきり割り切れてつくられておるものとはわれわれ——これはもちろん所管が自治省でありますので、直接確定的に申し上げ切れないわけでありますけれども、伺っておりますところ、沿革的な問題がございまして、健保組合から移行したというような関係から、その系統の組合会というような現象が起こっておる、あるいは前のいわゆる地方三共済については、国公系統から分立いたしておるという沿革がありまして、運審形式になっておるという沿革のなせる部分というのを非常に強く承っておるわけでありますけれども、御指摘になりますように、この運審方式あるいは組合会方式というものにつきましては、運営についていずれが基本的にとられるべき原則であるかという点については検討さるべき問題かと思います。ただし、国家公務員共済においてわれわれ現在とっております制度は、単位組合でいいますと運営審議会であり、連合会でいいますと評議員会でございますけれども、これがそれぞれ議を経てということになり、議決機関にはなっておりません。  これは重々申し上げると長いことになりますけれども国家公務員共済組合法一条で、すでに御承知のような国家公務員共済の置かれている立場ないしは目的というものがあるわけでございまして、官の組織が、各省各庁の長を代表者として国の職員が使用され、それで共済の系統ができ上がっておる。連合会においても共済組合法で定めておる特殊法人としてこれら単位共済組合法律上加入して、統合して行なわれる共済システムであります。これは責任の所在のチェックの認識のしかたでありますけれども、ただいま現行制度においては、国家公務員の生活の安定、福祉の向上をはかることによりまして、公務の能率的運営に資するということを目的とする職域保険制度である共済組合におきましては、やはり現在の制度がとられておるゆえんがそこにあるのかと存じます。もちろん絶対的に妥当するところの原則がどの程度あるのかは別といたしまして、したがいまして、検討すべき問題ではないとは申しませんが、ただいま現行法においてとられておる原則におきましてはそういうシステムがとられておる、こういうことを申し上げておるのでございます。
  58. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それでは一番初めから共済制度という問題についていろいろ考えなければならぬですが、第一条はおっしゃるとおり相互救済を目的として、みんな集まって、費用は簡単にいえば労使折半なんですよ。だから、半分の権利を経済的にいえば持っているわけなんです。したがって、地方公務員共済組合法では、はっきりとそういう点について不文律として確立していますね。それから、たとえば単位共済組合の運営審議会の代表者を見ても、大体十人のうち五人もしくは四人が組合員代表という不文律がずっとできているのです、防衛庁や何かを除いては。これはあたりまえのことでしょう、そう思いませんか。倉成政務次官、どう思いますか。
  59. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  単位組合について労使の代表が出ておるというのは、これは民主的な運営で当然のことだと思います。ただし、連合会については、やはりその組合の業務を統轄すると申しますか、全体の運営計画を代表する者が一人出るわけでありますから、二人出るというわけにはまいらないのではないかと思っております。
  60. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 一人でなければならぬということは、これは何らの根拠がないですよ、たとえば労使、それから国の代表をとったら三人出ればいい。そういう構成もあるし、それから、大体この構成を見ますと先ほど言われたのですが、大蔵大臣が理事長を任命する。理事長が大蔵大臣の認可を受けて常勤の理事を任命する。さらに今度は、理事長が評議員会の議を経て非常勤を全部任命する。監事も同じく大蔵大臣が任命して、非常勤の監事を理事長が任命する。評議員会の議を経てというのは、これは何もけんけんがくがくでやったのではなく、これは聞き流しなんですな。口を悪くいえば聞いたという形を示せばいい。そうするとこれは、むしろ大蔵大臣の任命に、帰するところはなってしまうのです。しかも、この運営の方法で、たとえば法律二十七条で「以内」というのがあるのですね。「理事長一人、理事九人以内及び監事三人以内」ということになって、そのうち加入組合の事務を行なう組合員を充てることになっているのが、これも「以内」。「以内」だから少し減らしてかまわないだろうということになって、自由裁量の余地が残る。そういうようなあいまいな規定で、運営審議会から、さらに上部団体がきちっと規定されているということで、断絶してしまっているのですよ。だから、共済組合員の意見はこれは反映されてないのです。官側の構成で全部できておるということになるのですが、これはおかしいと思いませんか。
  61. 津吉伊定

    津吉説明員 いろいろ錯雑した内容を含められた御質問でございますが、あるいは全部お答えをし切っておるかどうかわかりませんが、加えて御質問願いたいと思います。  まず、政務次官答弁いたしましたように、連合会における評議員は、これは単位共済組合の運営審議会における委員とは異なりまして、御承知のように連合会に加入しておる組合を代表するものとして、しかも、ちょっと法律上は詳しくは申し上げませんでしたけれども国家公務員共済組合法の第三十五条の第三項におきまして、「評議員は、連合会加入組合に係る各省各庁の長が、その組合員のうちから任命する。」こういうことになっておりまして、各単位共済組合の各省各庁の長は、これも共済組合法八条の規定によりまして、代表者としてその業務を執行しておるものでございますが、その代表者が自分のところの運営審議会委員というものに、具体的にはその任命対象を求めまして、法律上は三十五条三項で任命をして出してくる、こういうものが連合会の評議員でございます。したがいまして、非常に直接的に、二人というのは、その加入組合の代表である限りにおきましては分裂をいたしますのでとり得ないわけでございますが、その一人が出てくるにつきまして、その一人の人の立場というのはどうであるべきだということは、しかく確定的にわれわれのほうで申し上げる状態ではございません。もちろん組合員の意図、意見がまんべんなく片寄らずに代表されるというふうなことがなければいけませんので、その点は代表者たる各省各庁の長が任命をして評議員を出してくる、こういうことになっておるのでございます。  それから連合会における決定の問題でございますが、非常に名目的に議を経てであるから、実質的にはいかにがくがく反対がありましても、それを強行するかというような点につきましては、われわれも監督機関として見ておるところであり、連合会理事長及び監事、これは直接大蔵大臣の任命でございますが、そういう役員におきましても適切妥当な運営をはかりたい、実質的に妥当な運営をはかりたいという意味においては変わりがあるところではございませんので、しいて形式的に議を経てにとどまるから、いかなる反対があってもこれは実態に反して強行するという態度は少なくともわれわれ監督機関としてはとらないところであるわけでございます。
  62. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それは道義的な意味でしっかと約束されたわけですが、それならば私はこう思うのです。五十一通常国会においての附帯決議で「国家公務員共済組合連合会の運営については、加入組合員の意向が評議員会に十分反映できる方途につき検討の上実現を図ること。」というのは少しやわらか過ぎる。国会が少し遠慮し過ぎていると思うのです、この附帯決議は。やはり連合会が全国的にいって全体の執行機関なんです。その執行機関に組合員の意向が反映できるということであるから、先ほどおっしゃったとおり、これがずっと入っているということなんですが、そこまで突き詰めて、いまおっしゃったことをはっきりと制度化するか、もしくは何かの文章にしなければ安心できないと思うのですが、倉成さん、どうですか。
  63. 津吉伊定

    津吉説明員 ちょっと前提になります事実といいますか、沿革的な実情がございますので、その点を申し上げたいと思いますが、評議員会における評議員の選任ということは、先ほど申し上げたとおりであります。そういう筋合いとともに、実質的に加入組合組合員の意見ができるだけ適切に反映されるということを求むべきであろうかと思います。したがいまして、その評議員会の運営と総合いたしました適切な実体的な運営を期することができるというためには、四十年度以来やっておることでございますけれども、いわゆる連合運審と申しまして運営審議会の連合体版とでも申しますか、各加入組合から端的に申しまして労使双方とも二名の方が出てまいりまして、二十組合ですから四十名、これは事業計画とか予算の問題というような重要な事項につきましてそれぞれ議論をされる。先ほど御指摘になっておりますような評議員会における議論というもの以上に、むしろ事実上実質的には非常にがくがくの議論のあるところでありまして、これは実質的には非常に活用されておるという会合でございます。それを通じまして、評議員会における議論というものもただ眠っておるようなわけではなくて、そこに非常に問題が喚起され、がくがくと検討されるわけであります。それら両者あわせまして、組合員の意図が十分代表されるというような方途を取り進めつつあるわけであります。  これがさらに御指摘になりました、先ほどちょっと言われました運営協議会というものを考えまして、評議員会の審議と兼ね合わせて、その際いわゆる連合運審がどうなるかというようなこともございます。あるいは文書にしなければ、こうおっしゃる。それが定款であるのか運営規則であるのか、あるいは申し合わせの規定であるのか、いろいろな形態があろうかと存じますが、実はいまだその形式的な解決というところまではいっておりませんで、現在実体的には連合運審というものは非常に活発にその機能を果たしてきておるという状況にありますので、これに基づくといいますか、これをにらみまして、運営協議会というものもいかに処理し、評議員会の使命とともに最も適切な運営をはかるにはどうするかという点で連合会とともに心を痛めておる、検討を進めておるというところでございます。
  64. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 その苦心のほどはわかりますし、イギリス式に慣習からだんだん制度化するという、それが一つの進歩の方法だと思いますが、そこでさらに進めなければならぬというのはどうしてかというと、何ら公の拘束力がないわけなんです。言いっぱなしになるかもわからない。けんけんがくがく議論が盛んになるのは非常にいいことです。しかし、それが言っぱなしではだめで、拘束力がなければだめなんで、慣習としてイギリスでもやはり拘束力を持つのですが、日本ではこれは持ちやしないのです。たとえば理事の方々の顔ぶれを見ると、みんな課長さんですね。そうすると、大蔵大臣が任命する、そして課長さんですから、一番下の方々の共済組合のいろいろな問題、たとえばストライキをやって懲罰を受けたという人の問題についての処理や何かについても、これは労働組合の代表がいなければ、共済組合とそれから行政の問題、これは別だというようなことははっきり言えない、反映されない。  したがってお聞きしますが、連合会の代表の方来ておりますか。——またあとで問題にされますけれども、ことしの三月の連合会常務理事との交渉の中で、連合会側は、本年四月末までに運営協議会の具体的な構想を明らかにする。これがいま給与課長さんがおっしゃったことだと思うのですが、運営協議会について連合会がいろいろ考えを出すのですが、大蔵省としてはいま言われたことのもうちょっと具体的な構想、四月末までに具体的な構想を明らかにすると言うのだから、何らか連合会から相談がおありになりましたかどうか、そういう問題についてお聞きしたいと思います。
  65. 津吉伊定

    津吉説明員 連合会をお呼び出しになったと思うのですけれども連合会においてももちろん検討を進めておりますが、理事長の御承知のような事故もありまして、非常に早く検討を取り進めたいという当初の見込みに反して、現段階では確定的な結論を得る段階に来てないという点はまことに遺憾でございますけれども、われわれその過程におきましていろいろ承っておる、あるいは今後どうするかということを考えております段階におきまして、少なくとも言えますことは、先ほど申し上げました現在行なっておる事実上の会合であるいわゆる連合運審というものは、運営協議会といわれる構想に関連いたしまして、むしろ逆にいかなる欠点を持っておるのであろうか。したがいまして、何でもかでも運営協議会方式というものにのみよるべきであろうかという点が一つでございます。  それからもう一点は、法律上定められておる、先ほど来口をすっぱくして申し上げましたたてまえから発しますところの共済運営の組織というものが法律上定められておる。こういう法律上定められておる組織及びその運営原則というものに、事実上運営の機構として考える限りは、その制度の範囲内において成り立つものでなければいけない。その間の調整をはかるにはどうするか。これは調整できない、あるいは目の中に入った異物であるからこれは話にならぬというような態度で臨むものではありませんで、できるだけ実質的に調査をはかることができるのかどうかという意味におきまして、やや具体的な運営協議会の組織、運営のしかたについての腹がまえを連合会にさらに聴取いたしまして検討を進めたいという段階でございます。
  66. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると具体的に、やはり連合会大蔵省もこの問題については前進させるつもりであるということを承りました。  その際、そうすると前に四月末という答弁があったのですが、これは連合会のほうからですから大蔵省に責任はないとは思いますが、やはりいつごろがめどになるかということが一つ。  それからもう一つは、いまのお話の連合運審の問題でもあれですが、いろんな代表ですね、任命されるのではなくて、労使が自主的に選ばれる。それからもう一つは、自主的に選ばれたからにはこれはちゃんとした代表の機関になる。もちろんその中に官側代表も入っていいわけですね。それでもって一応決議機関のていさいをとることが、たとえば地方公務員共済組合会でもそうなっていますが、そういうように進歩させる。これは進歩ですね。大福帳ではなくて、団体運営のていさいをなすようにする。それで理事もそういう中から一部選任するようにするということになれば、近代的な団体組織となるのですが、そういうような方向に行く可能性があるかどうか、お聞きしたいと思います。
  67. 津吉伊定

    津吉説明員 可能性の問題でございますので、どちらのほうに片寄っていく可能性があるかという点につきましては、ひとつお許し願いたいと思います。  そのめどでございますが、四月一ぱいくらいにはと言うておりましたのが、すべて理事長の事故等にかかわりまして、申し上げるのは恐縮でございますけれども、当初の見込みから非常にずれ込んだという事情がございまして、もちろんそれは残っております理事、監事で十分検討が尽くせる、それだけで解決ができるという考え方もあるかとは思いますけれども、やはり事重要な問題でありますので、理事長の状態というものが非常に大きく作用した。したがいまして、彼らの意図としまして、おそらく非常に重要な要請であるかかる問題を放置したのではないだろうと私は解しておるのであります。したがいまして、できるだけすみやかにということが、われわれ監督するものの態度として連合会に対処する心がまえであるというふうに存じております。  それから、自後検討を進めまして、近代的な団体運営の組織になるかどうか。この点は、一条その他における国家公務員共済組合の本質問題ということでありまして、何事もみな押しつけるようでありますが、公的年金全体の中の公務員の特性に基づく共済組織あるいは共済の運営の内容はいかにあるべきかという検討に当然つながってまいりますので、これはとにかく時間をかけて——のんびりしておるつもりではありませんけれども、早急にどの方向にだけ固まるであろうということは、差し控えさせていただきたいと思います。
  68. 只松祐治

    ○只松委員 関連して。また私のときにも時間があれば質問したいと思いますが、いまの運営の問題は広沢君の質問に対してきわめて詳細な答弁がなされております。およそいまの社会に被用者の立場を認めない、こういうことはないわけですね、近代国家にないでしょう。ありますか。ところが、この共済連合会の場合には、あなたはいろいろなことを言っておるけれども、事実上被用者の立場というものを認めてないわけです。発言する機会というものは連合会にない。これはきわめて封建的なものというか非近代的なものというか、言いようはいろいろあるでしょうが、とにかく単位組合からの実態も反映しない。そういう個々のことはいいけれども、とにかく近代的な組織形態のあり方ではない。これを何らかの形でいまの社会にマッチする組織、したがって運営にするということは当然なことだと思うので、別な機会にこれは根本的に私たちのほうとしても態度をきめていく、こういうことをしたいと思いますけれども、関連でありますから簡単に聞いておきます。  まず一点として、現代社会にマッチした組織形態でないと私は思いますが、あると思いますかどうですか、政務次官のほうからでもいいですが、お答えいただきたいと思います。
  69. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、おそらくこの相互扶助組織である共済組合について、単位組合は別として連合会についてもう少し組合員の意向を反映するようにすべきではないか、こういう御意見だと思いますが、確かにごもっともな点があろうかと思います。  現在のところは、先ほど給与課長からお答えいたしましたように、連合運審で事業計画あるいは予算、そういうものについていろいろ御審議というか討議をしていただいておる。これをやはり少し積み重ねていくことが必要ではないか。しかし、それをもっと制度的なものにしたらどうかというような広沢委員の御質疑もあったようでございますが、これらの点についてはひとつ連合会のほうでもう少し検討してもらってみたいと思っております。  それから、やはり国家公務員共済組合でありますから、能率増進あるいは人事管理というような点、また、国の財政負担というようないろいろな面がございますから、必ずしもこれが非近代的なものだとは考えておりません。やはりこれなりに一つの意味があると考えておるわけでございますけれども、ただ御指摘のような点もございますし、また、しばしば附帯決議をいただいておるわけでございますから、そういうことを踏まえて公的年金の協議会あるいは連合会のほうでいろいろと御検討いただいて、それに対処してわれわれも考えてまいりたいと思っておるわけであります。
  70. 只松祐治

    ○只松委員 時間がないからあれですが、単位組合の運営あるいは仕事の量、力、それから連合会のまたそういうこと、こういうウエートから始まって、私の連合会の力は相当なものだと思っておるのです。単位組合では労働組合側の代表が出たり何かする、あるいはいま言われた連合運審にそれぞれの意見も多少出るということですけれども、しかし、これまた常時の事務執行機関というものが大きな力を持つということは、——ときたま集まってきて発言したくらいでちょいちょい意見は述べられるけれども、これはたいしたものにならないということは、これはあなたも大蔵政務次官をやっていて、大蔵省の運営について見たってすぐわかる。やはり常時の連合会理事会その他の運営というものは、企画、立案全部含めて一番大きな力を持っておる。これに圧倒的多数を占めておる被使用者側の代表者が一人も入っておらない。これが非近代的でないとおっしゃる。何さま倉成さんにしては私は失言じゃないかと思う。こういう具体的な問題まで私は論議しようと思いませんけれども、少なくともいまのこの近代社会において、参加者の圧倒的多数を占める被使用者側の人が一人も入ってないということは、これは非近代的、非近代的ということが悪ければ非民主的なものです。だから、これは何らかの形で各省二人にしていくか、あるいは少なくとも各省の中から三分の一以上はその連合会全体の中から、役員は被使用者側でなければならない、こういうふうにするか、扱い方はいろいろあるし、今後研究していかなければならぬと思うけれども、被使用者側の人間が一人も入っておらないということは、何らかの形で改めていかなければならないと思うのです。  したがって、私たち社会党はじめ野党も、この問題にそういう角度から根本的に取り組んだこともございませんから、もしどうしてもそういうことができないとおっしゃるならば、それこそ、本年はもう国会審議も山を越したわけでございますけれども、来年なら来年で本格的にほかの法案闘争とからめて、修正なり何なりしたいと思います。しかし私は、これはそういう意味の、与野党衝突するとかなんとかいう形のかけ引きなり何なりから修正していくという問題ではなくて、この性格から見て、円満な話し合いのうちに——私はおととし私個人もそういう質問をしました。附帯決議も言われたように何かついていると思うのですが、ほとんどそういう傾向が出てこないということはたいへん残念です。ぜひひとつ何らかの形で、私はまだ形を言っておりませんけれども、少なくとも圧倒的な参加者を持つ被使用者側が、一番力を持っておる連合会の常時の運営の中に参加していく、このことをひとつぜひお考えをいただきたいと思います。
  71. 倉成正

    倉成政府委員 組合の役員並びに評議員は、一応組合の代表者であると同時に、単位組合の業務を統括しているわけでありますから、現在のところ、担当省の課長が役員並びに評議員として出ておるわけでございます。したがって、その代表として出ている役員並びに評議員が一応労使の立場も代表している、こういう考え方でありますが、御指摘のような点も踏まえて、ただいま連合運審で補っておるというわけであります。しかし、それではまだ不十分であるから、もう少し制度的なものとして確立したらどうかという御趣旨のようでございますが、これらの点については連合会でも十分検討していただき、また公的年金の協議会、また公務員制度全体の問題との関連もございますので、ただいまの御趣旨を踏まえて検討してみたいと思っております。
  72. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 只松委員が言われましたから、その上に重ねて言うことはないと思いますが、ただし一点、第一条を盛んにたてにとりますけれども、第一条の「公務の能率的運営」というのは、相互救済とそれから後顧の憂いなく生活安定、遺族を含めた生活安定と福祉の向上、そういうことで能率的運営ができるということなんですが、第一条は、何も官側が一方的に規制したから能率的運営になるということではないのです。現に連合会というものの理事長さんは非常に権限を持っておる。たいへんな権限を持っておる。その権限を持っておる理事長さんが病気になったらば開店休業だとかいろいろ文句が一ぱい出てくる。懸案事項が片づかないというのでは能率的運用じゃないのです。そういう点もありますし、第二項も、国はそのために、たとえば大切な金をうんと預かるのですから、それで配慮として健全な運営ができるようにする。したがって、只松委員が言ったことは、これは近代政治学のイロハなんです。団体を組織するについてのイロハなんです。したがって、いままでのやり方は前期的であるということは認めていただきたいと思うのです。だからこれは早急に改めないと、ほかの法律でこういうのはないと思うのです。これは行政組織じゃないですからね。法人なんですから、そういうものについてほかにあったらば——私これは調べますが、例はないと思います。例がなければこれは早急に改めて、法改正をしなければならぬということだと思います。  第二番目に審査会についてですが、これはイギリス式になかなか健全に、委員の選任にあたっては、これは法律上大蔵大臣の委嘱によるのですが、いつもいままで労働組合側の意見を聞いて委員を委嘱してきたという例があります。そのいままでの慣例についてお認めになりますか、どうですか。
  73. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘の審査会委員の選任につきましては、審査会といいますのは共済組合法の百四条に規定されております機関でありまして、長期給付等についての不服の審査をする機関でございます。委員の任期は三年でありまして、組合員代表者、国の代表者、公益代表者、それぞれ三人をもちまして構成をするわけであります。それで、これは連合会に加入していない共済長期をやっております共済、それと連合会に加入している共済につきまして連合会に置くというものとございます。特に連合会に置かれるものについて申しますと、労組の意見を聞いてと指摘されます点については、意見は十分聞いておるという慣行のとおりやっておるわけでございます。  今般任期の到来いたしました二名の組合員代表、実質的には職員団体の系統であられる方々、これら任期到来者についてみますと、それぞれ九年あるいは六年在任されておりまして、組合員数から見ましても相当の多数を連合会加入組合のうちに占める組合であって、しかも御承知共済組合審議会にも、たとえば文部であるとか農林であるとか、あるいは郵政というふうな多数の組合員をお持ちのところは、やはりその分野に応じまして委員をお出し願っておるわけでございます。それらも考慮いたしますと、組合員数の多寡のみにかかるわけではございませんが、また、一期三年でございますので、もちろんローテーションということもあるわけでございますし、非常に固定的に三期ないし二期と、いわば三選というようなことも思わしくないかもしれませんので、新たに少なくとも組合員数の多いところ、しかも共済組合審議会委員との選任ぐあいのかね合いをも考えまして選任をいたしましたというのが、今回の審査会委員の選任の経緯でございます。
  74. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 その経緯でもって、全司法からの代表が防衛庁にかわって、国会職連が大蔵職組にかわったということですが、このかわったときに連合会並びに各省庁の共済組合意見を聞かないで一方的に任命したというふうにいわれています。これは連合会の方からあとで出てきたときに聞きますが、労働組合じゃなくて、これはは連合会並びに各省庁の共済組合意見も聞かなかったという、そういう事実はあるのですか。
  75. 津吉伊定

    津吉説明員 連合会並びに各省庁の共済組合意見ないしは慣行になっております労働組合意見というものの聴取のぐあいでございますが、程度問題もあろうかと思いますが、いずれも全然聞いておらないということはございません。特に連合会につきましては、直接の事務担当部局になることでもありますし、全然意見を聞いておらぬということはありません。
  76. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それではおそらく意見を聞いてまとまらなかったから任命してしまったということかもわかりません。これはあと連合会の方が来たときに、いろいろほかの委員が確かめると思いますが、今後はやはりこういう問題の慣例を尊重していくという、半歩前進ですね、そういう気持ちがおありになりますか、どうですか。
  77. 津吉伊定

    津吉説明員 今回の選任にあたりましても、別段やみ討ちをしたというようなつもりではありませんので、その態度を改めるとか、特に後退もしておらぬと思っておりますので、前進するということも、現状から見ますと、さらにさらに前進ということはございますが、半歩前進かどうかという点につきましては、私は特に慣行に反したというふうには思っておりません。
  78. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 これは水かけ論になりますが、三月の連合会との交渉の際に、連合会は事前に何ら相談もなかったと言明するとともに、大蔵省に対し、今後このような措置をとらないよう要望すると回答しているそうです。だから、これは何かの行き違いだと思いますが、親切にいろいろ指導されている給与課長としては、連合会の方に聞いて、今後はそういうことのないように……。  その次に、いままで各単位共済が事業計画、予算編成をするにあたって、事業計画編成の基本方針が大蔵省から示されている。それに基づいて編成をしてきたわけです。ところが、今度は基本方針のほかに、事業計画及び予算編成の算定方法を提示をして、ことこまかにいろいろ規定する。各共済ともいろいろ事情が違うわけですね。地方出先機関があるかないかとか、行政事務を主体とする共済組合であるかどうかということ、それから、年齢構成が違うということ、付加給付のあるなし、それから短期掛け金率も千分の二十七から千分の四十一に大きく開いている。いろいろ事情が違うわけですから、やはりそれについて各単位共済の自主性を尊重しなければならぬということがあると思います。各省庁の共済組合にはそれぞれ二者構成による運審がありますが、ここで慎重に検討するのですから、そこできめたことは、大蔵省はいままでどおり事業計画及び予算について、むちゃくちゃなことでない限りは自動的に承認するということについて、そのとおりだと言われるのですか、どうですか。
  79. 津吉伊定

    津吉説明員 ただいま御指摘ではございますが、事業計画、予算の策定の基本方針につきましては、従来と何ら変わりはございません。また、特に各共済組合におきまして、実態が著しく異なるにかかわらず、これを画一的な基準をもって、一つの型にはめるとか、あるいは自主的にやりたいということについて非常識に反対をするとかいうふうなことがあるやの御指摘でございましたが、これは具体的に、そういうことではございません。基本方針をお示しいたしまして、自主的に御決定願う。もちろん組合財政を無視した措置でありますならば、われわれも監督の権限を与えられている機関として、それこそまた無視はできませんので、その点については申し上げるまでもないのでございますけれども、別段画一的なワクをもって押しつけたり、あるいは所々方々を切り捨てたというふうなことではございません。
  80. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 大体、私、それでいいと思いますが、付加給付財源のワク及び付加給付の新設、貸付規定の変更、定款改正などですね、大蔵大臣の承認事項になっているものについても、各単位共済審議会で決定したものについて、自動的に承認なさるのですね。よほどのことがない限りいままでどおりということでよろしゅうございますね。
  81. 津吉伊定

    津吉説明員 もちろんよほどのことがない限り——自動的にという辺はいろいろ御解釈があろうかと思いますが、よほどのことがない限りわれわれのほうで拒否する理由はないと存じます。
  82. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 次に、私の持ち時間がなくなりましたものですから、軍人恩給の問題について倉成さんにお聞きします。  これは共済年金、公的年金関係がありますが、共済というのはお互いに金を出し合った前向きな近代的な制度ですが、恩給というのはいわばうしろ向きである。これはいつもお答えになっていると思いますが、そのように政務次官考えておられますか、どうですか。
  83. 倉成正

    倉成政府委員 御質問の御趣旨がちょっと私、理解しかねるのですが、うしろ向きということばはいささか適当でないと思います。やはり過去のいろいろな功労に報いる、こういう意味があろうかと思います。
  84. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 過去の功労に報いると言うんだったら、きちんとした科学的な根拠があって、万人が納得しなければならぬと思うのです。そうすると、審議会でも国民感情をいろいろ考えて軍人恩給をきめなければならぬと言う。ここに一つ新聞記事がありますから読み上げますが、これについてどう思われるか。  これは当時の新聞記事ですが、「復活折衝の過程をふり返ると“二匹のお化け”がまかり通った。それは恩給費と警察機動隊の手当である。」あと、「出所は自民党内閣部会と同治安対策特別委員会」これは失礼ですが、そこで発生した。大蔵省はこれについて知らなかった。水田大蔵大臣は、十二日の朝まで「審議会答申にも総理府の要求にもないような恩給増額は認められない」と言ってがんばったけれども、一夜にして大蔵省は敗れた。これは新聞で言っているんですよ、社会党が言っているんじゃなくて。「すなわち、票に結びついた恩給族」——これは軍人恩給族ですね。「「一九七〇年体制」の整備を急ぐ治安対策部会の力に屈したものだ。」  これは過去の労に報いるということにならぬと思うのですがね。きわめてうしろ向きです。私が経験したところを見ても、たとえば十二年つとめた兵には年に五万五千六百円から五万八千円。ところが、中佐クラスは二十一万七千九百円もしくは二十二万八千円。私も戦地に行ってよく知ってますが、中佐クラスから上の将官クラスというのは、司令部で有名なスキャンダルがあります。おめかけさんを持ったり、それから前線でわれわれが働いているときにいろいろ官給物品を着服したり、敗戦のときにはとんでもないことをずいぶんやってのけたというのが一般にいわれております。これが過去の労に報いるということにはならぬと思うのですが、ひとつ進歩的な倉成さんの御答弁を願いたいと思います。
  85. 倉成正

    倉成政府委員 恩給の問題は実は審議室長が参っておりますから、これからお答えしたほうがいいと思いますが、ただいまいろいろ事例をあげられましたけれども、私は大部分の軍人の方々がやはり真剣に国のため戦ったと思っております。したがって、そういう一部の者をもって全体を律せられることはいささか私は言い過ぎではなかろうかと思っております。
  86. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それは水かけ論になりますが、私は天律のほうをよく見ていますが、大部分の者——将官クラスとか大部分の人が、やはりそのおかしなことをするほうの人が多いのです。まじめに働いたのは、命を的にして働いたのは前線の人たちです。前線の人たちの多くの人は、微兵をされて——私も恩給は受けていません。そういう人がずいぶん多いのです。たとえば内地でもってまじめに工場を守って爆撃でみんな吹っ飛んでしまったという人たちがいるわけですね。そういうところと比べるとまことに軍人恩給というのはこれはうしろ向きではないか。将来はなくしていかなければならぬ。もちろんなくなっていきますが、そういう点で財政硬直化のおりから、たとえば平年度で三百二十億円増加でしょう。これが硬直化の種になると思うですが、こういう問題はなるべくなくしていかなければならぬのか、それとも奨励してでかくするのか、お伺いしたいと思います。
  87. 倉成正

    倉成政府委員 ただいまの二者択一の御質問でありますと非常にむずかしいと思います。私は、やはり適正なところで判断すべきだと思っております。
  88. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 適正な判断というと、その二者択一の中にいろいろなものが一ぱいあります。だから、、方向は漸次こっちのほうへ行くのか、反対のほうへ行くのか。やはり近代的な公務員共済とかその他——それから報われない、たとえは二十一万円を中佐クラスで取っていて、十三年命を的にして働いた兵士が五万五千円しか取っていないということはおかしいと思いませんか。これはやはり労に報いるのだったら、そのほかの表彰その他ずいぶんありましたけれども、そういう問題が、靖国神社の問題もあると思うのです。だから、こういう問題についてはこれは生きている人ですよ。しかも中佐クラス、将官クラスは相当活生もいいと思うのです。調べたらわかりますが、こういうことについてどういう所得でどうなっているかということについて、恩給局は調べたことがあるのですか。恩給局にお聞きしたいと思います。
  89. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 これは制度的に考えなければならないと思いますが、個人個人におきましてはそういうケースもあると思います。恩給制度は御承知のように戦前からあったわけでございまして、もちろん文武官を問わず、同じような制度があったわけでございます。ただ軍人恩給につきましては、昭和二十一年に終戦に併いまして一応廃止になりまして、その後従来受けておった方からの非常な強い要望等もありまして、過渡的には戦傷病者戦没者遺族等援護法というものを通して、戦前の恩給制度に復元したわけでございますが、その場合におきましても、権利を新たに取得したというたてまえから、戦前の制度とは相当姿を変えたというような形で発足したわけでございます。  それでその趣旨でございますが、やはり戦後の特殊事情というのがございまして、それと一時に恩給受給者がふえるというようなかっこうになるわけでございます。結局、軍人恩給は復活するわけでございますから、そういうようなかね合いから、戦前とはかなり形を変えたかっこうで発足したわけでございます。その場合に、何と申しましてもやはり遺族とかあるいは傷病者をまず優先的に処遇すべきできないか、このような考え方が相当強く支配されておるわけでございます。しかしながら、何ぶん政府として恩給制度として発足した以上は、その制度の本質というものはやはりとらなければならぬ、こういうことで現在のような階級制度というのが基本になっておるわけでございます。
  90. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それはいいことか悪いことか。将来なくしていかなければならぬ、それから階級制度もずっとならしていかなければいかぬ、そして遺族に対して手厚くしてやるとか、そういうようなことの議論は恩給局としてあったのでしょう。
  91. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 結局、この軍人恩給が発足しました場合の根拠になりましたのは、昭和二十八年に軍人恩給復活を原則的に——原則的といいますか根本的に審議するというために、政府の中に恩給法特別審議会、こういうものが設けられたわけでございますが、その場合、やはり前年制定されました戦傷病者戦没者遺族等援護法、こういう法律がございますが、この法律は一応の仲介としまして、戦前におきまして文武官共通の制度があったということを念頭に置きまして、やはり恩給制度として発足すべきが適当である、こういう御答申になっておるわけでございます。
  92. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 くどくは言いませんが、恩給審議でもってそういう議論がなかったとすれば、何のために国の費用で恩給審議会が設けられているかわからぬですよ、その感覚が……。そういう議論は恩給審議会であったのでしょう。なければとてもおかしいです。おかしいじゃないかという議論はあったでしょう。
  93. 大屋敷行雄

    大屋敷説明員 今回の恩給審議会におきましては、まず第一に恩給の本質というのが相当論議になったわけでございます。委員の中には、戦後における恩給の本質は変わったのじゃないか、こういうような議論を言われる方も確かにございました。しかしながら、やはり文官恩給が現在まで続いている状態におきまして、戦前あった軍人恩給制度恩給の本質というものを離れまして、全然別個な制度にするというような議論はございませんでした。
  94. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 じゃ倉成さんにお聞きします。つまり倉成さんはよくおわかりだろうと思うのです、政治家だから。やはりこれは方向としては公的年金制度で、社会保障制度でもって修正していくのが望ましい、今後はこういう問題については絶対に大蔵省としては、大蔵大臣もそうですが、軍人恩給をふやすというような方向は望ましくないということについてはっきりとした御答弁を願えますか。
  95. 倉成正

    倉成政府委員 この問題については恩給審議会その他各種の審議会で慎重に検討していただいておることでございますから、その結論を参照して十分慎重に対処してまいりたいと思っております。
  96. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 まあそれ以上は制約があると思いますが、もう一つ、じゃお聞きしますが、倉成さんが関与されたときに、いまの新聞記事にあったような事実、新聞記事で報道されておるようなことはあったのですか、どうなんですか。それを事実としてお聞きします。
  97. 倉成正

    倉成政府委員 予算編成の過程におきましては、いろいろなことがございます。少なくとも財政当局としてはできるだけ財政の健全化のための主張をいたしてまいったために、やはりそれぞれの立場の方々とは多少意見の異なったことはあったわけであります。しかし、きまった以上は財政当局としてはこれに十分対処していくのが任務だと考えております。
  98. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 政務次官の立場はわかりますからこれ以上あれしませんが、政務次官は事務次官じゃないから、その点は大きく国の経綸をあずかっていただきたいと思うのです。  最後に要望いたしますが、軍人恩給というのは、これはだれが見てもおかしいです。新聞記事に書かれているとおりです。これから共済組合についての給付の問題、短期給付長期給付でいろいろ要求が出ます。これは社会党の要求じゃなくて組合員のいろいろな要求が出ます。そのときに、いまの公的年金共済組合は、物価が上がっておる傾向では非常にたいへんな、重要な問題だろうと思うのです。スライドするにしても、財源のほう、原資のほうがどういうふうになるか、これはやはりよく考えなければならぬということを、お互いに討論します。これは重要な問題ですね。物価が上がると年金制度はあぶなくなります。そういう問題を真剣に討論しているときに、軍人恩給なんてばかなものがぽこっと出てくると、せっかく一生懸命議論して、こういう公的年金の道をさがそう、しんぼうするところはしんぼうしようなんという議論が吹っ飛んでしまうのです。これは、国民の政治不信の的になる。したがって、この問題についてははっきりとした態度を今後とっていただきたい。  以上、要望して終わります。
  99. 金子一平

    金子(一)委員長代理 古屋亨君
  100. 古屋亨

    ○古屋委員 数項目についてお伺いをいたしますが、まず第一には、いわゆるスライド制の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  いわゆる退職年金等に関する調整規定につきましては、昭和三十六年に国民年金法に設けられまして、その後四十一年に恩給法国家公務員共済法とともに、地方公務員共済法等におきましても、同様のスライド規定が設けられたのでありまして、いわゆる政策スライド制というものができたと思うのであります。その後、ことしの三月二十五日に恩給審議会の最終答申が出ておりまして、この問題につきましては他の委員から御質問があったのでございますが、また同時に、昨年六月社会保障制度審議会答申でもスライド制の確立に伴う意見が出ておるのであります。政府におきましては、公的年金制度調整連絡会議というものをつくっておられるようでありますが、この会議は内閣の審議室長議長であるようでございますが、どういうような経過によってこれができて、その性格はどういうものであるか。簡単にお話を願いたいと思います。
  101. 橋口收

    ○橋口政府委員 ただいま御質問ございました公的年金制度調整連絡会議でございますが、これは御指摘がございましたように、昨年の六月、社会保障制度審議会から各種公的年金制度調整についての申し入れをちょうだいいたしておるわけでございます。直接的にはこの社会保障制度審議会からの政府に対する申し入れを契機といたしまして、政府部内の連絡会議として設けられたものでございます。昨年の七月に第一回の会合を開きましてから、今日まで数回の会合を開いております。さらに、協議会の下に各省の課長をもって構成する幹事会を設けております。幹事会も前後七回にわたって行政上の連絡と、さらに協議会の補助機関としての活動をいたしておるわけでございます。
  102. 古屋亨

    ○古屋委員 大体の経過はお話しになりましたが、この会議は連絡協議会でありますが、いわゆる行政組織上どういうような性格を持っておりますか。単に事実上の行政上の連絡機関であるか、あるいは次官会議の申し合わせによってこういうものをつくり、閣議に報告されてきたものであるか。まず、その性格をもう一度お伺いいたします。
  103. 橋口收

    ○橋口政府委員 御指摘がございましたように、法律規定に基づく正規の協議会ではございません。先ほど申し上げましたように、直接的な契機といたしましては、社会保障制度審議会からの申し入れに基づきまして、関係事務次官会議で申し合わせをいたして協議会を設けたわけでございます。したがいまして、協議会の構成メンバーといたしましては、内閣審議室長が座長となり、各省の関係の局長をもって構成いたしておるわけであります。
  104. 古屋亨

    ○古屋委員 こういう調整会議というようなのは、事実上次官会議の申し合わせでできて、閣議に報告されたというふうに考えておるのですが、ほかにもそういうものがありますか。
  105. 橋口收

    ○橋口政府委員 この種の行政部内の連絡会議でございますので、その他幾つかございます。現在活動いたしておりますものでも、おそらく三つ四つはあると思います。
  106. 古屋亨

    ○古屋委員 この問題につきましては、社会保障制度審議会の申し入れによりまして公的年金制度調整連絡会議ができたようでありますが、さらにその申し入れの最後に「政府関係各省庁を督励するとともに、本件に関する責任官庁を定め、おそくとも一両年内には結論を見出すようにされたい。」となっております。それからまた、本大蔵委員会の昨年度の本件附帯決議におきましても、「公的年金スライド制についての調整規定の運用については、すみやかに、統一的な責任官庁を定め、関係機関との調整をはかりつつ、実効ある具体的措置を講ずるよう、四十三年度を目途として検討すること。」つまりこの附帯決議においても「統一的な責任官庁を定め、」「四十三年度を目途として検討すること。」となっておりますし、社会保障制度審議会の申し入れにおきましても「責任官庁を定め、おそくとも一両年内には結論を見出すようにされたい。」というふうになっておりますが、この点についての「責任官庁」というのはどういうふうに解釈されておるか。あるいは「一両年内には結論を見出すようにされたい、」あるいは附帯決議の「四十三年度を目途として検討すること。」その検討状況についてお話しを願いたいと思います。
  107. 橋口收

    ○橋口政府委員 第二回の公的年金制度調整連絡会議に、社会保障制度審議会今井委員に御足労をいただきまして、この申し入れ書の趣旨についての御説明を聴取いたしたわけでありますが、その中の御説明にも、本件に関する責任官庁、理想の姿としては、統一的な責任官庁を定めて公的年金についての調整を行なうというのが申し入れの描いた理想的な姿であるけれども、いまの行政機構の現状から見まして、とりあえず統一的な官庁を設置することは無理であるとすれば、連絡協議会のような行政部内の制度によって調整問題についての前向きの検討姿勢をとるように、こういう御趣旨があったわけであります。したがいまして、当面の措置といたしましては、関係省庁間の連絡を緊密にするという意味におきまして連絡会議を持っておるわけでございます。  さらに、一両年以内に結論を見出すようにということが申し入れ書にもございます。この点につきまして、連絡会議におきましては、申し入れ書は一両年ということになっておりますが、できるだけ早く、中間的な姿であっても差しつかえないから結論を出そうじゃないかということで、おおむね一年以内に結論を求めるという態勢で、現在検討をいたしておるわけでございます。
  108. 古屋亨

    ○古屋委員 昨年の七月六日にこの会議ができたようでございますが、もう十カ月たっております。お見通しとしてはいつごろ結論を得ることになりますか、この点をまずお伺いしたい。
  109. 橋口收

    ○橋口政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、協議会は前後五回開催いたしております。さらに、その下の幹事会は前後七回開催いたしております。最初の協議会の検討方向といたしましては、現在の各種公的年金制度内容についての検討を行なう。内容といたしましては、当然に調整規定の問題も取り上げてまいるわけであります。さらに、諸外国の各種年金制度の現状あるいは調整規定の取り扱い方等についても検討を進める。検討の過程におきまして、当然問題は調整規定の取り扱いに収斂されてきたわけでございます。  したがいまして、その段階におきまして、幹事会においてさらに制度を根本的に見直すという見地から、調整規定の問題を含めて制度の詳細にわたって現在検討いたしておるわけでございます。幹事会の検討の経過等から見ましても、間もなく幹事会の検討を一応終わりまして、恩給審議会を開いて何がしかの方向づけができる、こういう段階に進んでおるのでございます。
  110. 古屋亨

    ○古屋委員 三月二十五日に恩給審議会スライド制に関する答申が出ておりますが、その問題はどういうふうにこの協議会では検討されておるか、現状についてお伺いいたします。
  111. 橋口收

    ○橋口政府委員 三月二十五日に恩給審議会から答申をちょうだいいたしたわけでございますが、その直後に、公的年金制度連絡協議会の幹事会で答申内容についての説明を恩給局から聴取をいたしたわけでございます。この答申の中にも書いてございますように、恩給調整を行ないます場合に、各種の調整の場合の指標について研究をいたしておるわけでございます。その中にも他の公的年金との均衡をはかりながら調整を行なうようにという指摘もございます。そういう点もあわせ考えまして、各種公的年金制度全般に通ずる問題についての指標について検討をいたしておるわけでございますが、ただ、恩給審議会において若干消費者物価にスライドしての考え方を打ち出された経緯もございますので、率直に申しまして、公的年金制度連絡協議会の検討に対してもある程度の影響があるというふうに考えておるわけでございます。
  112. 古屋亨

    ○古屋委員 この問題の審議の過程におきまして、当然この協議会のメンバーでありまする人事院からもいろいろの意見が述べられておるようでございます。この共済組合法第一条の問題が先ほどから出ておるのでございますが、公務員の勤務関係の特殊性についての視野から、使用者としての国に対して特別な配意を要請するような検討も行なわれておるやに聞いておるのであります。  すなわち、それによりますと、「現行の公務員年金制度は、以上のような公務員の特殊な勤務関係と、その中での公務員の忠実な職務遂行に対する功労報償的要素を加味し、あわせて特殊な人事管理政策面からの要請にこたえるための、使用者としての国の、特別な配慮に基づくものとして、一般国民を対象とする類似の諸制度とは異質なものであるといわなければならない。」というような意見が出ておるように聞いておるのでありますが、こういうような共済組合法第一条にいう、つまり公務員につきましてはいろいろの制約を受けておる、その反面、勤務上の特殊性につきましてのいわゆる特別な配慮をどのようにこの協議会では考えられておりますか、簡単でけっこうでございますが、一応お伺いしたいと思います。
  113. 橋口收

    ○橋口政府委員 恩給を含めた各種公的年金につきまして同一原理を発見するということにつきまして、一番の困難を感じますのは恩給の問題であろうかと思います。各種公的年金制度検討の過程におきましても、常にこの恩給の問題をどういうふうに取り扱うかということが最大の課題の一つであったわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在幹事会において各種年金制度の体系についての検討をいたしておるわけでございますが、その検討の過程におきまして、あらためて国家公務員なり公務員の勤務の特殊性についての検討というものが必要ではないか、そういう観点から構成メンバーである人事院に委嘱をいたしまして、公務員制度の、公務員の勤務の特殊性についての非公式な文書をちょうだいいたしておるわけでございます。  そういうふうにあらゆる年金制度につきましてあらゆる角度から検討をいたしておるわけであります。したがいまして、そういう公務員の勤務の特殊性を含めて、はたして恩給を含めた各種の公的年金制度に共通な部分というものが発見できるかどうか、共通の部分と個別の部分とに十分な整理が可能かどうか、これが検討の最大の課題の一つになっておるわけでございます。
  114. 古屋亨

    ○古屋委員 私は実は審議室長さんが公的年金調整連絡会議議長として非常に努力されておることはわかっておるのでありますが、こういうような、国としてもきわめて大きい重要な問題であり、社会保障制度審議会といたしましても、すみやかに責任官庁を定めてできるだけ早く結論を出せということでございますので、これは要望でございますが、ぜひ関係省を督励せられ、協議会を十分開催せられまして、できるだけ早い機会にこの結論を出していただきたい。そうしないと、今度の法律に出ておりますように、共済組合法の改正は恩給にずっと準じてやるというようなかっこうになっておりますので、特にこの点は政務次官もおられますので、そういう点政府と一体として早急に結論を出すように、総理府としても大蔵省としても、それぞれの立場から御努力願いたいという要望を、この点だけ申し上げておきます。  第二に、私がお伺いしたいと思いますのは、大蔵委員会の昨年の附帯決議にあります第二の「共済組合給付に要する費用の公的負担については、他の社会保険制度との均衡を考慮してその改善につとめること。」という点でございますが、まず長期給付の問題につきましてお伺いいたします。  三十九年に国庫負担としての国の負担割合一〇%を一五%に引き上げた。したがいまして国の負担金が百分の五十七・五、組合員の掛け金を百分の四十二・五としておるのでありますが、厚生年金におきましてはその後二〇%に、四十年六月でございますか引き上げたことから見まして、共済組合におきましても国庫としての国の負担割合というものについて一五%というものを引き上げるべく検討すべきであると考えておるのであります。  この点につきまして、昨年には共済組合連盟会長今井一男氏、地方公務員共済組合協議会会長の萩田保氏から大蔵大臣、自治大臣に対しまして「共済組合が行なう長期給付に要する費用に係る国庫負担割合の引き上げ方要望について」という書面が、昨年二月二十日付で出ておることは御承知のとおりだと思うのでございます。法九十九条一項で長期給付に要する費用、つまり掛け金率につきましては少なくとも五年ごとに再計算を行なうことを定めております。四十四年度はその年に当たっておるのでありまして、したがいまして、四十四年度予算に費用を計上する必要があると思うのであります。おそらくその準備は事務当局においてなされていると思うのでありますが、最近の給与の改定あるいは平均寿命と申しますか平均余命の延び等を考えますと、長期給付の総財源率の上昇は必至であると思うのであります。したがいまして、現行の負担割合では組合員の負担はさらに増大をする。この前の三十九年度の再計算あたりましては、国庫負担割合の引き上げによりまして組合員の負担は変更しなかったのでありますが、いま申し上げましたような現行負担割合組合員の負担はさらに増大するのでありますから、組合員の負担軽減の措置を講ずる必要があると思います。  こういう意味におきまして、先ほど申し上げました厚生年金と同じと申しますか、百分の十五というものの引き上げについてはどういうふうに考えておられますか、事務当局並びに政務次官の御意見をお伺いしたいと思います。
  115. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘になりますように、前回大蔵委員会におきまして公的負担についての附帯決議がございます。そこに示されておりますように、「他の社会保険制度との均衡を考慮してその改善に努めること。」というふうにお示しになっておるのでございますが、その点につきましては、先ほど政務次官もお答えをいたしましたように、他の公的年金給付水準に比べますと、端的に申しまして年金基礎俸給は、共済退職前三年の平均の本俸でありますが、厚生年金の場合は最高標準報酬六万円というところで在職の総平均をいたしておるわけでございます。また、基礎俸給のとり方自身について見ましても、公企体でありますとか私学、あるいは農林の共済組合におきましては、標準報酬、しかも退職前三年の平均ということになっております。そういう基礎がいろいろございますが、さらに年金支給開始年齢は、すでに御承知のように、厚生年金は六十歳、共済では五十五歳ということに相なっております。そういう給付水準を考慮いたしますと、おおむね厚生年金水準共済の六〇ないし七〇%となるわけでございまして、それに国庫負担の割合をかけますと、六〇ないし七〇の二〇%というのはおおむね一五ということになります。そういう国庫負担の一応の均衡をとっておるのでございまして、さらにこれを厚くするに越したことはないのでありますし、本人の掛け金負担の軽減をはかりたいという面は重々あるわけでございますが、反面、公的年金制度調整連絡会議におきましても十分検討を進めつつありますように、年金の実質価値の保全、スライドと、先ほど指摘されました問題があるわけでございます。いずれもこれは本人の掛け金負担とともに国庫負担を一応考慮されるという対象の問題になるわけでございますので、それぞれ本人負担も問題ではございますが、反面また、国庫負担といいますものもその国庫負担の緊急性、緊要度というようなことがありますし、限られた財源によって適切に財政需要をまかなっていくという問題があるわけでございますので、非常にばく大な国庫負担を一がいに入れ込むということも不可能でございます。したがいましていま申し上げました水準差異というようなことから考えましても、現在のところ国庫負担均衡がとられておるという点があるわけでございます。また反面、本人の掛け金負担の現状を見ましても、国家公務員共済掛け金負担は、私学、農林あるいは地方に比べましても、特に負担が高いということでもありませんので、現状においては均衡がとられておるというふうに見るわけでございます。  しかしながら、なおも年金の諸元につきまして、いまや先ほどの御答弁、御質問にもありましたような調整連絡がはかられておるという現状におきまして、さらにその検討にまたざるを得ないのでございますが、いずれにいたしましてもこの点だけを取り上げまして、公的年金のうちの一部、しかもたとえば国家公務員共済のみについて結論を求めるという段階ではないと存ずるのでございます。
  116. 古屋亨

    ○古屋委員 いまの御意見でございますが、私が先ほど申し上げましたように、一割五分というのは他の保険との関係においても検討は相当続けなければならないし、また、国の財政の観点ということを考えるのはもとよりでありますけれども政務次官、いかがでしょうか、再計算のときにこれはひとつ十分検討しなければならぬ問題だと思うのでありますが、ひとつ政務次官の御意見をお聞きしたい。
  117. 倉成正

    倉成政府委員 附帯決議にもありますように、その他の社会保険制度との均衡を保つということが一番の問題じゃなかろうかと思うわけでありまして、保険料のみで適当な給付水準を確保できない場合、特に被保険者の範囲が低所得層に及ぶ場合に、事業者だけに負担させることは適当でないという場合に、国庫負担の緊急度に応じて、また社会保障制度、保険制度全体の均衡を考慮してやるというのがたてまえでございますから、現在のところ一応均衡が保たれていると私ども考えておりますけれども、なおいろいろ社会、経済情勢の推移に応じてそういう均衡について洗い直すべきであるという時期には、当然これは再検討すべきであろうと思います。
  118. 古屋亨

    ○古屋委員 時間の関係で先に進みまして、短期給付の問題についてお伺いいたします。  国家公務員共済組合におきましても、いわゆる組合員の医療費の増高ということが、非常に掛け金負担が高くなってきつつある一つの問題だと思うのでありますが、給与課長さんのほうで組合員あるいは被扶養者一人当たりの医療費というのは比較してどのくらい高くなっておるかというような数字がございましたら、ひとつお示し願いたい。いまなければ、つくって本委員会に出していただきたいと思います。
  119. 津吉伊定

    津吉説明員 直ちに的確な資料が見当たりませんので、適切なものを作成いたしまして提出させていただきたいと思います。
  120. 古屋亨

    ○古屋委員 短期給付の問題につきまして、私も前に関係したことがあるのでありますが、各省庁の共済組合のうちには、職員の構成割合におきまして、行政(二)と申しますか、この職員が非常に多いために、平均俸給額が他の省庁に比較して低くなっておるところがあります。低くなっておりますために、現状では、こういうような組合は、必然的に短期給付掛け金率が他の省庁に比較して高いこととなりまして、つまり俸給の低い職員を多くかかえた組合が、かえって高い掛け金率を課するといったような矛盾を生じております。また、特定地域の行政を担当する官庁をその組織の中に包含いたしますために、組合員の過半数が寒冷地に居住しているような組合があります。このような組合では、危険の分散が行なわれにくく、一例をあげれば、医療費の冬季加算の影響を他省庁に比較いたしまして濃厚に受けざるを得ないというような実情にあるものがあるのであります。同じ国家公務員共済組合でありながら、短期給付におきまして、外務省ですか、掛け金率千分の二十四、つまり二・四%というような組合がある一方におきましては、建設省のような千分の四十一あるいは総理府のような千分の四十という組合があるという現実を前にいたしまして、こういった運命的なといいますか、こういう不利な条件を負いました、いわば体質的に弱い組合に対しまして、現行の掛け金あるいは国庫負担金の折半負担負担割合に特例を設けるとか、あるいは財政的援助を与えるといったような、短期給付についての不均衡是正の措置はとれないだろうかということを考えておるのでございます。  ただこの前例として、過去におきまして、各省庁共済組合の短期給付に対しまして財政補助を行なった例が、昭和二十五年度と昭和二十八年度にあるのであります。二十三年の七月、現行制度発足にあたりまして、各省庁とも掛け金率を一応千分の二十五としてスタートいたしましたために、二十五年に至りますと、掛け金率の引き上げ、改定の必要が生じた組合が多く、そのうちで十八組合が過去の赤字の補てんとして、総額七億五千三百七十万四千円の補助を受けた。たしか当時の組合数は三十組合であったようなことを聞いております。  また、昭和二十八年度におきましては、累積不足金のある、掛け金率千分の四十以上、そして結核関係医療費の割合が高い、こういうような三条件を備えた五組合に対して、総額三億一千三百三十八万八千円を結核対策として、実質は赤字補てんだろうと思いますが、交付した前例があるように覚えておるのであります。  こういうような組合によって短期給付掛け金率が大いに違い、それがたとえば行政(二)職員を多くかかえている北海道開発庁だとかそういうところでは非常に多い医療費のほうの負担はどんどん高くなり、また、どの官庁においても同じようにいるわけでありますから、こういうような体質的に弱い組合に対しまして何らかの援助、あるいは負担割合に特例を設けるというようなことをお考えになる必要があると思いますが、この点に対する御意見をひとつお伺いしたいと思います。
  121. 津吉伊定

    津吉説明員 ただいま御指摘の二十五年度あるいは二十八年度に行ないました国庫補助、これはおっしゃいますようにそれぞれいわば特殊なものでございまして、二十五年度の場合は御承知のように旧共済組合が発足をいたしました当初でもございます。そういう組合財政の基盤の確立という点から見まして、非常に基盤的なものが問題でございましたようでありまして、御指摘になりましたように、多数の組合に対しまして援助を行なっております。また、二十八年度におきましては、他の医療保険と同様に保険医療対策といたしまして、その一環として行ないました際、掛け金率が千分の四十以上に引き上げましても赤字が出るというような極度に貧弱な財政にある組合に対しまして、そういう観点から行なった特別な補助であったのでございます。  現在のところ、長期は、非現業でいいますと、連合会として統一算定をいたしておりますけれども、短期につきましては、特にそれぞれの共済組合の特殊性に基づきまして、それぞれ自主的に効率的な運営をはかるというたてまえのもとにおきまして、それぞれ経理状況等、もちろん掛け金率にも差異が生じておるのでございますが、そういう実態の差異というものがいわゆる企業努力という面と、それからどうにもならぬという実態と、そこのかね合いがむずかしい問題でございますので、財政状態のいかんによりまして特にそれらを個別につかまえて補助を特段に行なうという点につきましては、慎重に検討しなければならぬ問題が存すると存ずるのでございます。また、医療保険制度の全般的な改正という面におきましても、われわれ共済のグループのみが別途の解決をはかるというわけにもまいりませんので、これとともにやはり検討を進めていくべき問題であるというふうに存じております。
  122. 古屋亨

    ○古屋委員 長期、短期ともに千分の四十四だとか千分の四十というと、一年にいたしますと十二カ月俸給をもらっても、一体一カ月分は給付のほうへ負担していってしまうというような問題があるのでありまして、この点は先ほど政務次官がおっしゃいましたような長期及び短期の給付に要する費用につきまして、他の社会保険制度との均衡を考慮して改善につとめるという附帯決議になっておりますが、そういう点で組合員の負担率の増高を来たさないようにという意味におきましても、また、医療費が非常に高くなっておるという見地からも、ぜひひとつ早急に御検討をお願いいたしまして、この給付の問題から次に移りたいと思います。  第三番目は、昨年の附帯決議の第五番目にありまする、掛け金及び給付金の算定の基礎となる俸給の最高限度十一万円の据え置きの問題でございます。共済組合法によりまして、十一万円でストップになっておるのでありまして、もう相当年度がたっておるのでありますが、十一万円としたのは、当時の次官の俸給か何かで一番最高の俸給としてきめられたものらしいということを聞いておりますが、最近の状況では、中央、地方を問わず、十一万円というのをもう再検討すべきではないかということがいわれており、附帯決議も出ておるのでありますが、この点に対する御意見をお聞きしたいと思います。
  123. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘のとおり、前回附帯決議に含まれておる事項でございます。また、御指摘になりますように、三十四年十月以来据え置かれておる最高限度であるところ、これはそのとおりでございます。しかしながら、このいわゆる頭打ちの引き上げという点につきましては、何事も現在総合的検討ということで全部逃げまくるようでありますけれども、最終俸給によりますか、あるいは退職前三年の平均俸給によりますか、標準報酬の在職中の平均によりますか、あるいは私学、農林式の報酬の退職前三年の平均によりますか、そこでまた全然給付水準が変わってまいります。また、その給付水準差異に従いまして、現今のような給与改定が継続的に行なわれるというような情勢におきましては、掛け金によるあるいは国庫負担金による原資というものと、実際の給付のための所要額というもののギャップが当然生じます。さらに実質価値の維持ということになりますと、その負担関係はさらにおそるべきことになってくるのであります。本人の負担あるいは国庫の負担、いずれを問わずばく大なものになるわけであります。したがいまして、確かに三十四年十月以来十一万円が据え置かれておるという点についての御議論は、その面ではわかるのでございますけれども、反面、最低保障額の引き上げというような問題もあり、実質価値の維持、保全という問題もあり、それらを種々総合勘案いたしませんと、これもこの点のみをつかまえて、たとえば倍増するとかいうようなことは、とても元気を出してきめ得る事柄ではないと存ずるのであります。  なお、この十一万円が基礎になりまして、申すまでもありませんが、百分の四十が二十年でありまして、それに最高限百分の三十を足しまして百分の七十、七割というのが十一万円にかかる最高限であります。  また、これも釈迦に説法でありますけれども恩給年限を持っておる人でいわゆる共済年金時代にから回りが生ずる人に対しましては、若干七割以上の上積みというものを法律改正により昨年来認めておるという点もございまして、ちょうど月額十一万円の七割、七万七千円というものが年金額でありますと、御承知のように社会保障としての観点、それから功労報償、恩給的と、立場によりますと指摘されるような部分、それらがいかに入り込んでおるかという問題は確かにございますが、常識的に見まして、月額七万七千円というものの意味が現在のところ全く皆無でもないと存ずるのであります。また反面、重々申し上げますように、最低保障問題とかいろいろ関連してまいります点がございますので、これもあれやこれや総合いたしまして慎重に検討さしていただきたいということでございます。
  124. 古屋亨

    ○古屋委員 最後にお伺いいたしたいと思いますが、先般の内閣委員会恩給法の改正がございまして、いわゆる満日と申しますか、外国政府、外国特殊法人の職員として昭和二十年八月八日まで在職し、その後恩給公務員となった者につきましては、その外国政府あるいは外国特殊法人の職員としての在職期間は、従来は普通恩給最短年限に達するまでを限度として通算することとしておりましたが、この制限を昭和四十四年一月から廃止して、同年同月からその恩給年額を改正するという議員の提案によりまして修正されたのでございますが、今般提案されておる共済組合法は、恩給の改正によるものがほとんど大部分でございますが、この満日の点につきましては、政府としては共済組合についてはどういうふうに考えられておりますか。その点をお伺いしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  125. 津吉伊定

    津吉説明員 御指摘のいわゆる満日のケースでございますが、恩給法においてとられました修正、これに対応といいますか、これに関連いたしまして、共済年金制度におきましても、恩給とのバランスという点がございますので、恩給においてかかる措置がとられたことに対するわれわれの態度としましては、均衡上やむを得ないという基本的な立場になるかと存じます。
  126. 金子一平

    金子(一)委員長代理 次回は、明十五日水曜日、午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会