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1968-04-24 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十四日(水曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       鯨岡 兵輔君    河野 洋平君       小山 省二君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    砂田 重民君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       古屋  亨君    坊  秀男君       村上信二郎君    村山 達雄君       山下 元利君    吉田 重延君       阿部 助哉君    井手 以誠君       佐藤觀次郎君    永井勝次郎君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君    森  義視君       岡沢 完治君    中野  明君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         農林政務次官  安倍晋太郎君         林野庁長官   片山 正英君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君         参  考  人         (森林開発公団         理事長)    吉村 清英君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月二十四日  委員野口忠夫君、平岡忠次郎君及び小川新一郎  君辞任につき、その補欠として森義視君、永井  勝次郎君及び中野明君が議長の指名委員に選  任された。 同日  委員永井勝次郎君及び森義視辞任につき、そ  の補欠として平岡忠次郎君及び野口忠夫君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十三日  国立医療機関特別会計制反対に関する請願  (江田三郎紹介)(第四三四二号)  同外二件(川村継義紹介)(第四三四三号)  同外十八件(島本虎三紹介)(第四三四四号)  同(平林剛紹介)(第四三四五号)  同外二件(広瀬秀吉紹介)(第四三四六号)  同(小濱新次紹介)(第四三四七号)  同(伏木和雄紹介)(第四三四八号)  同外一件(井手以誠君紹介)(第四三九二号)  同(井上普方紹介)(第四三九三号)  同(江田三郎紹介)(第四三九四号)  同外一件(神門至馬夫君紹介)(第四三九五号)  同外五件(佐藤觀次郎紹介)(第四三九六号)  同外七件(下平正一紹介)(第四三九七号)  同外一件(古川喜一紹介)(第四三九八号)  同(森本靖紹介)(第四三九九号)  同(川上貫一紹介)(第四五〇〇号)  同(黒田寿男紹介)(第四五〇一号)  同外五件(佐野憲治紹介)(第四五〇二号)  同外一件(柴田健治紹介)(第四五〇三号)  同外二件(田代文久紹介)(第四五〇四号)  同(谷口善太郎紹介)(第四五〇五号)  同(武部文紹介)(第四五〇六号)  同(林百郎君紹介)(第四五〇七号)  同外四件(松本善明紹介)(第四五〇八号)  中小企業に対する国民金融公庫の融資制度改善  に関する請願外四件(淡谷悠藏紹介)(第四三  八五号)  同外二件(勝間田清一紹介)(第四三八六号)  同(小林信一紹介)(第四三八七号)  同外十九件(多賀谷真稔紹介)(第四三八八号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四三八九号)  同(平岡忠次紹介)(第四三九〇号)  同(柳田秀一紹介)(第四三九一号)  同外四十五件(淡谷悠藏紹介)(第四五〇九号)  同(井上普方紹介)(第四五一〇号)  同(石川次夫紹介)(第四五一一号)  同外五件(佐野憲治紹介)(第四五一二号)  同(武部文紹介)(第四五一三号)  同(只松祐治紹介)(第四五一四号)  同外五件(成田知巳紹介)(第四五一五号)  同(野間千代三君紹介)(第四五一六号)  同外四件(古川喜一紹介)(第四五一七号)  同(堀昌雄紹介)(第四五一八号)  同(山本政弘紹介)(第四五一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一六号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四七号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案について、本日、森林開発公団理事長吉村清英君に参考人として委員会出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 田村元

    田村委員長 国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 国有林野事業特別会計法の一部改正の問題に関連をして、若干の質問をいたしたいと思います。  昭和四十二年度の林業動向に関する年次報告書の付表の三ページを見ますと、国民所得総額、第一次産業、第二次産業、第三次産業、こういうようなぐあいにして国民所得推移が出ておるわけでありますが、この伸び率を見ますと、国民所得総額では三十六年、三十七年、それから四十一年までずっと出ておりますが、一八・五、一一七、一六・一、一三・〇、一〇・八、一六・八とこういうように出ておりますが、林業という欄を見ますと、三十六年はたいへん伸び率がよくて一二三・六、三十七年は九三・七とこれは減少をする。三十八年は対前年度比が一〇九・一、三十九年が九八・五、四十年に一〇二・八、四十一年は一二一・〇とこういう状況でございますが、ある年には対前年度の伸び率が非常によくなったかと思うと、次は前年度よりも非常に減少している。総体をならしましても、この伸び率というものは非常に低いわけであります。こういうような状況にあるし、また、昭和四十三年度にこの白書を受けて「講じようとする林業施策」というものにおいて、林業動向というところを見ますと、木材需要というものは、景気の上昇に伴う建築あるいは紙・パルプ等需要増加によって非常に伸びている。かなり著しい増加を示した。それにもかかわらず、国内における木材生産はきわめて停滞をしている。わずかに二・九%ぐらいしか増加をしないというような状況で、需給バランス国内産ということでは完全にくずれておるということから、外材輸入というのは急増している、こういう状況にあるわけであります。  現在、私どもが資料によっていろいろ調べてみますと、日本木材需要量に対して国内生産で大体六割をようやくまかなう、四〇%はもうすでに外材輸入にまたなければ需給バランスがはかれない、こういう状況まできていると思うのでありますが、こういう状況はやむを得ない状況なんですか。それとも、日本はまだ山林地帯といわれるところが大体六六、七%から七〇%にも近いといわれておるわけでありますが、それにもかかわらずこういう状況であるということに対して、国として現状をどのように見ておるのか、この点については農林政務次官お見えになりませんから、倉成政務次官から一応そういう問題についてどうお考えなのか、これでいいのか、こういう点についてまず伺いたいと思います。
  6. 倉成正

    倉成政府委員 ただいまの問題については、直接の所管ではございませんが、国土の大体六八%を林野面積が占めておるという状態で、国内木材自給ができないということはまことに残念なことでございます。これは一つには、戦時中に林野が非常に荒廃したということが大きな理由の一つでございます。またさきの委員会でも林野庁長官から申しましたように、薪炭林が非常に多くて人工林比率が非常に少ないということで、なかなか木材需要生産が伴わないという実情でございます。しかし、本来から申しますと、日本のように世界的に雨量が多くてしかも温度の高い地域において、その施策のよろしきを得ればかなり林業生産をあげることができるというふうに確信しておるわけであります。  しかし、何と申しましても林業生産は、その植栽から四十年から五十年という長期間を要しますので、なかなか急速に効果を見出すということがむずかしいものでありますから、やはり長期的な計画を立てて将来の木材需要というのを踏まえて、これからの施策をやっていかなければならないと考えております。これらの点につきましては、主管省であります農林省が十分いろいろ施策を講じておられることと思いますが、この線に沿って国としましてもできるだけの財政の援助もいたしてまいりたいと考えておる次第であります。
  7. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいま大蔵政務次官からも御答弁がございまして、大体尽きておるわけですが、若干補足をいたしまして御説明を申し上げたいと思います。  まず第一点の御質問林業所得が非常にばらばらになっておるということでございます。これは白書の二枚目をごらんになりますとわかりますように、生産につきましては非常に少ない数量でございますが漸増の形でございます。にもかかわらず、その所得が非常に変わっておるということは、主としてやはり価格の値上がり、価格の相違、そういうものがこういう結果になっているわけでございます。そこで、一番問題になりまする三十六年と四十一年が非常に伸びておるわけでございます。このときが、たまたまやはり価格が非常に上昇した結果を持っておるわけでございます。その間、三十六年から四十一年までは——四十年度後半でございますが、までは大体横ばいという形の価格推移をたどってきたわけでございます。大体以上のようなことが所得の面にあらわれておるわけでございます。  そこで第二番目の、外材輸入が非常に多いじゃないかという御指摘でございますが、そのとおりでございます。白書にお示ししておるように、四十一年度が約三二・六%の外材でございましたのが、四十二年度になりますと約三九%の外材の姿になっておるわけでございます。  そこで、そのような形の中で、国内生産はどうなっておるかという御質疑と存ずる次第でございますが、御承知のように、国内生産につきましては長期見通しというものを立てまして実はやっておるわけでございます。ただ、諸情勢を見ますると、労賃その他が非常に高騰してまいっております。それに反しまして、山林整備、たとえば林道であるとか資本の装備を高度化するというのが若干おくれておるのが実態でございます。それからまた、薪炭林需要が急減いたしまして、その急減した薪炭林需要を他に転換する、たとえばパルプ材に転換する、そういうことが早急にできにくいというような実情から、国内生産が若干停滞しておる。しかし、御承知のように三割余のまだ未開発の山を持っておるわけでございますから、そういう山を開発して当面の需要にも極力間に合わしていきたいという態度で推進している次第でございます。
  8. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今日、この森林面積所有形態別国有林民有林と大きく分けてみまして、人工林総体で、これは一番新しい資料だと思うのですが、三一・五%しかない。これは全体でですね。国有林関係でもまだ二〇・五%ですか、人工林比率はそれだけしかない。そういう状況になっておるわけですね。さらに民有林では、ややこれは小規模なものもあって手の届くところもあるのでしょうが、これはやや高く、三六・七%、こういう状況であるわけです。   〔委員長退席渡辺(美)委員長代理着席〕 たとえば、国有林だけに例をとって質問をいたしまするけれども、二〇・五%だ、あと八割は、天然林は六八・五%ある、一一%が無立木みたいなもの。この天然林もいろんな形態があるだろうと思うのですね、まあ木がところどころはえているという程度でほとんど立ち腐れ状態になっているようなところもあるだろうし、あるいは造林がなかなか地勢関係やいろんな点で困難だと思われるようなところも、この天然林という分野の中にはあると思います。しかし、こういうものもやはり人工林に変えていく、すなわち森林資源造成という問題が非常に大きく余地が残されているというように見られるわけであります。一体この天然林人工造林比率というものをどの程度に変えていく目標を立てておられるのか、このことをまずお伺いをしたいと思うのです。
  9. 片山正英

    片山(正)政府委員 人工林をどういうふうに持っていくかという御質問でございます。われわれは長期見通というものを先ほど御説明いたしましたように立てておるわけです。それによって御説明申し上げますと、御指摘のとおり現在約三二%が人工林でございます。その人工林は、立地あるいは国土保全、そういう点を勘案いたしまして、将来人工林になり得るというふうにわれわれが想定いたしております数字が五六%でございます。全森林の五六%は人工林に持っていけるのではないだろうかというふうに考えております。その中で民有林につきましては総面積が大体一千万町歩まで高め得るというふうに考えております。それから国有林につきましては三百四十万町歩まで高め得るという計画でございます。そういたしますと、先ほど申し上げました五六%が大体人工林ができるというふうな見通しでいま推進しておるわけでございます。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その計画は大体何年くらいの計画でそこまで高めようとされておりますか。
  11. 片山正英

    片山(正)政府委員 最終の目標と申しますと一応昭和九十年ということになりますけれども、大体主体としてやってまいりますのは六十五年ぐらいまでにその大半を完成しようという計画であります。
  12. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その間、そういう状態になりましても、六十五年、七十年というようなところで初めて杉とかヒノキとかいうようなものが植えられるということにもなるわけであります。需給関係というものがその間にどういう推移を見せますか、外材輸入がどの辺まで——今日六対四というような比率におおよそなっておるが、これがこういう計画の進行のテンポと、それからすでにもう人工林でどんどん出せる、あるいは天然林開発というようなことでパルプ材などはまかなえるでありましょうが、そういう開発という面と造成という面とにらみ合わせながら、そして総体的な日本木材需給関係というもので、たとえば六十五年あたりに見通しをつけて、その辺では一体国内生産需要をまかなえる面は何%ぐらいになるか、外材輸入は何%ぐらいになるだろうか、そういう見通しをお持ちでしょうか。
  13. 片山正英

    片山(正)政府委員 長期見通しに基づきますのは、四十一年四月一閣議の決定をした需給長期見通しというのをわれわれは立てておるわけでございますが、それをもとにいたしますと、大体昭和五十年、その時代が一番自給率が低まる年度じゃないだろうか。それから昭和六十年になりますと、自給率は高まりますけれども、外材の絶対量というものは一番多く入るのじゃないだろうか。と申しますのは、需要が増大いたしますので。したがいまして、大体昭和五十年から六十年にかけまするところが一番自給の困難な時代ではなかろうか。と申しますのは、これは先生承知のとおり、現在植えております造林というのは四十万町歩ぐらい毎年植えているわけでありますが、現在切っている森林人工林をたどりますと昭和初期になりますけれども、その時代はいまの四分の一ぐらいしか植えておらないという実態でございます。そのようなことから一番その間が自給率ではつらい時代ではないかというふうにわれわれは考えております。  そこで、そういう長期計画を実はつくったわけでありますが、最近の情勢は遺憾ながら非常に違っておるわけでございます。と申しますのは、この長期計画をつくった基礎的の考え方としましては、中期経済計画というのを経済企画庁でおつくりになって、それをもとにして実は算定したのが長期計画でございます。それを最近の指数で当てはめてみますと、中期経済計画所得伸びを八・一%と一応想定いたしておったわけでございますが、名目にいたしますと四十年から四十一年が一五・二%の伸びであり、四十一年から四十二年にかけまして一六・四%の伸びであるというように、名目ではございますが、その当時の推定よりは相当大幅な伸びが出ているわけでございます。そういうような状況から需要というものがわれわれが想定いたしましたものよりも相当ふえてまいるというのが実態でございます。にもかかわらず、山林整備というものがわれわれの計画どおりそのまままだいっておらない、若干下回っておるというようなギャップから、輸入が相当ふえてまいるというのが実態でございます。  したがいまして、先生の六十五年ごろはどうだというお話でございますが、われわれは今後五カ年ぐらい一応現在のベースをもとにして想定いたしたわけでございます。これによりますと、四十七年におきましては大体自給率は六〇%というふうに判断しております。そうするといまと同じじゃないかというふうに御質問になると思いますが、これは長期見通しをつくりました考え方には低質の廃材を含めて計画しておりますので、自給率が上がってくるかっこうになります。それによりますと六〇%というのが自給率であるというふうになります。ただ、それはわれわれが計画いたしております全国森林計画ということで計画した数字に基づく需要の想定でございますので、もし林道でも何でも現状のとおり推移するとなりますと、自給率は五三%ぐらいに下がるのではないかというふうに想定いたしております。それが四十七年の段階でございます。  それ以降の問題につきましては、いかに所得を見るかというのは非常に問題でございます。したがいまして、現在は非常に成長がいいわけでございますが、こういう成長がそのまま続くかどうかというのは、社会経済情勢をどう判断するかということでだいぶ変わるわけでございますので、それ以降の問題については今後また十分検討してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  14. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 国土の六八%が山林だといわれるこの山林国日本で、木材がやっとこ六割自給で四割は輸入にまたなければならない。しかもそれがもう五、六年たちますと、おそらく五五%ぐらいに下がってしまうのではないか、これもよほど力を入れていってのことだと思うのです。経済条件もいろいろと変わりますし、四五%も、今日でももうすでに約八億ドルぐらい輸入しているのじゃありませんか。そうしますと、石油に次ぐ輸入高だというようなことにもなってきている。これは日本国際収支を論ずるにあたっては、木材輸入国際収支の問題を悪化させる一つの原因にもなりかねないわけであります。いろいろな角度から見まして、もっともっと森林資源開発するための林道というようなものも当然必要でありましょう。それだけじゃなしに、やはり非常に長期的には、約七割近くが天然林ということで、天然林といえばたいへんていさいはいいけれども、実際に国有林天然林というものを見てみますと、非常に地勢の険峻なところにあったり交通の不便なところにあったり、しかも巨木が立ち腐れになってごろごろしておるというような状況にあったり、この天然林だって、一体どのぐらいの石数が眠っているのだろうかというようなことなんかもおそらく正確にはなかなかつかみ得ないだろうと思うのですよ。そういうことでどうしても長期的な観点をとれば、人工林というものをふやして、われわれの人工の手が届く森林資源造成に一番大きなウエートを置いていかなければならぬと思うのです。長官、ひとつここ数年の造林に向けた費用、それから造林面積、そういうものを、ちょっと数字だけでけっこうですから示してください。
  15. 片山正英

    片山(正)政府委員 造林推移でございます。先ほど申し上げましたように、戦前あるいは昭和初期、それに比較しますと、造林面積というのは約三倍から四倍、努力してまいってきておるわけですが、しかしながらその姿は、三十六年をピークといたしまして、現在、若干造林面積減少をたどっておるというのが現状でございます。しかし、これを国有林にとってみますと、国有林は三十六年を一〇〇といたしますと、四十一年が一二五・九%ということでございますので、二割余の増加をいたしております。しかしながら、民有林につきましては、三十六年を一〇〇といたしますと、四十一年は八一・三ということで、二割弱の減少を来たしておるわけでございます。総体といたしまして、三十六年を一〇〇としますと八八・八でございますから、一割強の減少をたどってきたわけでございます。  造林投資額につきましては、ただいま調べまして、後刻御返事申し上げたいと思います。  以上でございます。
  16. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 農林政務次官、忙しいところを来ていただいたのですが、いまいろいろと日本山林資源の問題について、今日の自給率で六対四というようなことで非常に下がっている。輸入量も非常に増大して、あと六、七年たてば、自給率は五五%ぐらいになって、四五%ぐらいは外材輸入にまたなければならぬというようなことにもなりかねない。しかもいわゆる国有林でもまだ二〇%程度人工林しかつくっていない。あと六八%が大体天然林だ。こういう状況で、人工林の比重を急速に高める必要があるのではないか、こういうようなことでいろいろ数字などを聞きながら、そういうことでいいのかといま質問をしておったところなんです。  一体、農林省として——まあ国有林野の場合には、いま長官が言いましたように、数字では、三十六年を一〇〇といたしますと、四十一年では二五・九%伸びて一二五・九%になっている。まあ二割五分ばかり伸びているわけですが、これも、その他の製造工業や何かの生産伸びから見まするならばきわめて低い数字だと思いまするし、民有林のごときはこれが軒並みに、補助造林ですら三十六年を一〇〇として七五・二%に落ち込んでいるし、融資造林がようやく八七・七%程度にとどまっておる。これも減っておるわけです。自力造林では五一%程度にまで落ち込んでいる。こういうような状況である。水源造林だけは、これは特別な政策目的で力を入れてまいりましたから約四倍に伸びている。これはたいへんにけっこうなんですけれども、こういう状況にあるわけですから、農林省としてはこの森林資源造成、特に造林ということについて、もっともっと画期的な力を入れた施策というものを講ずべきだと思うのですが、その辺の見解を、ひとつ農林大臣代理として、この際方針を明らかに示していただきたいと思う。
  17. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 先生お話は、森林資源の育成をどうしたらいいかということだろうと思いますが、これまで長官から具体的に説明もいたしたと思うわけですが、御存じのようにわれわれの基本的な政策といたしましては、林業基本法に基づきましてつくりました森林資源に関する基本計画に即しましていろいろと積極的な方策を講じておるわけでございまして、今度ともいままでの御意見のように、国有林あるいは民有林等に対する施策につきましても、まだまだ不十分な点も多々あると思うわけでありますが、農林省あるいは林野庁として積極的な立場で、今後の森林資源を確保するために、具体的な政策を強力に推進していきたいと思っております。
  18. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 たいへん抽象的なお答えなんですが、この昭和四十三年度に講じようとする施策の中にもいろいろなことを書いてありますが、しかし最近、造林という点では総体的に停滞傾向だと思う。そして一部にはもう明らかに低下をしているというような状況が見られている。国有林だけは何とか少しずつふえている。水源涵養林のようなところが幾らかふえている。こういうような状況なんです。しかもいま国有林の存在する地帯は、今日過疎対策というようなものが講ぜられなければならないような非常に問題の多いところであります。大体そういうところには労働力が非常に払底してきている。そのほか、森林労働が年間を通じてなかなかないということやら、いろいろな要素というものが重なり合っていよいよそういう計画を変更しなければならないように、木材需要というものがふえているにもかかわらず、それを追いかける林業施策というものが非常に立ちおくれていると総体的に私は思うわけなんです。こういうものに対して、大蔵省としてそういう状況というものをしっかりとらえて、やはり金を出すべきところは出すというような態度に出なければならぬだろうと思うのです。  そこで伺いますが、この国有林野事業特別会計に対して一般会計からの繰り入れの状況は最近どういうことになっておりますか。これは独立採算の範囲内で造林もやり、あるいは民有林に対する助成をやったり開発をやったりというようなことになっておりますか。
  19. 相沢英之

    ○相沢政府委員 国有林の固有の事業につきましては、これはその性質上独立採算のたてまえでございまして、一般会計からの繰り入れは行なっておりません。治山事業に関しまして、これは民有林もまた国有林につきましても、その所要財源を一般会計から治山勘定に繰り入れを行なっております。
  20. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その額を示してください。——時間がないから数字あとでいいです。  ところで、独立採算でやっている、治山事業だけ一般会計から繰り入れをしておる。現在の状況、それから将来の見通し、こういうものが、両政務次官、数字的に明らかにされたと思うのですね。  そこで、国有林の特別会計からの収入、森林資源を売り払った収入が大部分でありますが、そういうものの中からのみ造林事業をやっていきましょう、開発事業もやっていきましょう。しかも今度、国有林野の特別会計の中の特別積立金引当資金というようなものの中から森林開発公団に対して、ことしは五十億ぐらいですか、いままでもだいぶ繰り入れをやってきたわけですが、そういうようなことでそういうところにもやらせる、林道事業もやらせる、水源林の涵養というような仕事もやらせよう、それから特別林道、関連林道あるいは林道の災害復旧、みんな森林開発公団に、そういう国有林の特別会計の利益の中からやらしていこう、こうされるわけです。そんなことで日本森林資源開発あるいは造成、特に一番問題の造成というものが積極的に進められるか。国有林のうちわずかに二〇%の人工林比率しか持たないということ。巨大な天然林という名目で、いかにもふさふさとりっぱな天然林が山をおおっているように見ているかもしれませんけれども、それなんかもきわめて貧弱なものでしかないわけです。そういうものを人工造林化していくという非常に重要な国土保全あるいは治山治水、こういうような見地から、また国土総体的な高度の利用というような面からも、森林資源造成していくというものに対しては、特別会計の独算制の中で、その利益の限度内でやっていくというようなことになれば、先ほど長官が言ったように、もうどんどん後退をせざるを得ないというところに私は来ていると思うのです。そういうものに対して一般会計からでも、必要な面についてはどんどん長期的な見通し中で、自給率などもすみやかに改善をしていく、こういうような立場で何らかの手を打つべき段階に来ているのじゃないか。やはりそこまで一生懸命やらなければ、ほんとうに治山治水をしっかりやった、国土の高度開発をやるんだということにはならぬだろうと思うのですね。この点について大蔵省、農林省の両次官からそれぞれの見解を、はっきりしたものを出していただきたい。これからどういうようにします、いまのままで行きます、独算制の幅の中で、その余裕の中でのみいままでどおり進めていくのか、もう少しワクを破っていくのか、ここらのところをはっきりさしてもらいたいと思います。
  21. 倉成正

    倉成政府委員 私からお答え申し上げたいと思います。  ただいま御指摘の、森林資源の培養というのは、単に木材自給だけでなく、国土保全その他国民のいろいろな経済外の利益と申しますか、青少年の精神の涵養とか、そういう意味から考えましても、非常に重要な意義を持っておると思います。  そこで、国有林林野の中でどういう役割りを果たすべきかということでございますけれども、ただいま御指摘のように、国土面積の中で林野庁所管の国有林面積というのは大体二〇%を占めておるわけでございます。国有林外の民有林が四六%ということになっておるわけでございまして、国有林のみに大きなウエートをかけてこれらの問題を全部解決するというわけにはまいらない。やはりどうしても国有林民有林とあわせて施策を講じていくことが必要ではないかと考えておるわけでございます。  そこで、国有林に対する国の財政考え方でありますけれども、国有林の中で、特に治山事業その他国土保全に関するものについては、一般会計からこれを繰り入れていくということを従来もやってまいりましたし、これからもやっていく方針でございます。しかし、一般の造林事業の収支ということになりますと、これはやはりこれだけ広大な面積を持ち、また、かなり立地条件のいいところで造林事業をやっておるわけでありますから、その範囲内でいろいろな収支のやりくりをやっていくということがたてまえではなかろうかと考えておるわけであります。もちろん長期的に考えて、国有林野特別会計の中でやり切れないというような特別な問題が出てくれば、これはまたいろいろ考える余地があろうかと思いますけれども、現在の段階では、私はやはり治山事業その他国土保全の事業を除いては、国有林野特別会計の中でこれをやっていくのがたてまえであろうと思っております。また、やり得ると考えております。
  22. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 ただいま広瀬委員のおっしゃいましたように、木材需要に対応して国内生産力を増大していくということは喫緊の要務であるわけで、そのために林野庁で各種の施策をやっておりますが、おっしゃいましたように、国有林あるいは民有林等につきまして、まだまだ十分な点がないわけでございまして、そういう点から財源が足らないのではないか、特別会計のワクの中だけでは不十分じゃないかという御意見でございますが、われわれといたしましても、何としても財源を確保しなければ積極的な施策ができないわけですから、財源を確保するために積極的な努力をいたしたいと思いますし、御趣旨のような点につきましても十分配慮を加え、積極的な立場でひとつ推進をしていかなければならないのではないかと考えております。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうはあまり時間がないのですが、いまの倉成政務次官の御答弁に対して私は非常に大きな不満を持つのです。国有林はその利益の中から、特別積立金引当資金などを設けて、これを今回のように森林開発公団へ三十三億、さっき五十億と言いましたが三十三億出資をする。あるいは治山その他の経費の財源にしたり、あるいは林業信用基金、これは民有林などが全部対象になるわけでございます。あるいは農林漁業金融公庫への出資財源とか、こういうようなところにもだいぶ使っておるわけですね。それから森林開発公団への支出財源として、いままで三十六年以降だけでも百三十八億も出しておるわけです。こういうようなぐあいにして、民有林の育成なども同時にやっておるし、林道開発というようなこともやっておる。こういうようなものも、やはり国有林野事業のワクの中だけで将来にわたってやって、いわゆる森林資源造成というような問題もこのワクの中だけではたしてやれるのか、それで自給率をほんとうに高められるのか。こういうような点については、一般会計からの繰り入れというようなことももう少し大胆に打ち出して、そういうものにもつと力を入れるべき状況に私は来ていると思うのです。この点はこれ以上やっても、きょうは時間がないから、あとの同僚もおりますので、その点で私の不満だけをはっきり表明しておきます。  そこで最後に、造林事業等を積極的に進めていく、あるいは開発事業を進めていくにあたって、講じようとする施策の中でも一番問題になっておりますのは、そういう事業をやる地域においてはいずれも労働力不足というような問題に当面しておるはずです。これは非常に今後の発展のためには重大な問題点だろうと思うのです。それで、いま国有林に働いておる人が、これは正式の公務員たる地位を持っておる人がおそらく三万人だといわれておる、常用の職員といいますか、これが一万人、臨時が二万人、こういうような構成で約七万人で国有林の事業に携わっておるといわれておるわけでありますが、この常用、臨時というような人たちに対する賃金の問題、あるいはできる限り計画的な仕事を与えるというようなことを通じて、これ以上の人たちをおそらく確保していかなければ、何カ年計画を立てたところで、それがみんな計画倒れに終わって、みんな計画よりは少しは下回りました、下回りました、毎年そういう数字がそこから出てくるのじゃないか、こういうようにおそれられるわけであります。  この四十三年度に講じようという施策の中でも、従業員対策というものがかなりウエートを持って書かれておりますが、非常に抽象的であってどうもピントはずれな問題が多いと思うのです。青年の山をつくるなんということもいかにも思いつきで、こんなことで深刻な従業員の問題というものは解決つかないと思うのです。要するに、その人たちにしっかりした生活の基礎が得られるだけの賃金が与えられ、仕事が年間を通じて与えられるというような状況で定着をさしていかなければ、これはたいへんなことになる。山仕事なんかやる人が必ずいなくなってしまう。まあ薪炭というものが燃料革命の中で落ちていったにしても、しかし森林資源を、これからどんどん需要が増大するというときに、それを造成する、開発する、そういう人たちが全部いなくなってしまう。こういうところに非常に重大な問題があるだろうと思うのです。これについて一体どういう考え方、どういう対策というものを具体的に——この施策に書いてあるようなことだけではとても解決つかぬ。思いつきの対策ではだめだ。抜本的にはやはりその人たちに常時的な仕事を計画的に与える。あるいは若干の移動くらいはやむを得ないと思うのですが、これは林野庁なり国なり、県なり、そういうようなものの責任において、浮浪的な出かせぐというような形でなしに、統制ある、組織ある立場でのそういうことも考慮して、年間を通じて平らに仕事を与える、賃金をちゃんと保障していく、そして森林労働者、山林労働者でちゃんと食っていかれるような生活の基盤を保障するというのが一番大きい問題だと思うのです。そういう点ではやはり根本的な配慮というものが足りないと思うのですが、これについてお答え願いたい。
  24. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 補足的には長官から説明させますが、いまの森林事業を推進していく上におきまして最も大きな悩みは、広瀬委員のおっしゃいました雇用問題であるし、雇用対策であろうと思うわけであります。御存じのような最近の実情からいたしましても、労働力がどんどん都市のほうに流出をいたしまして、森林開発に伴うところの労働力を確保するということは非常にむずかしくなっておる段階でございます。それだけに労働力を確保するための、いま広瀬委員がおっしゃいましたような賃金の問題あるいは身分の問題等につきましても、積極的にこれはやっていかなければならない。特にただいま御指摘のように、雇用を通年化する、定着させるという、いわゆる通年労働的なものにこれを改めていくというところに重点を置いてひとつ労働対策を進めていかなければならない、そういうふうに考えておるわけであります。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 長官からお答えいただきたいのは、常用職員ですか、これの身分の保障をしてもらいたいということが非常に強く叫ばれてきたわけなのですが、これは幾分ずつでも前進をしておりますか。そうして前進をさせて、国有林のこの特別会計の中で、三万人の林野庁職員、公務員としての職員と、準公務員というような形でもいいから、やはり同じような待遇を得られる立場にこれを引き上げて、このくらいのものを、少なくとも十万や七万のものは日本森林資源開発し、造成するための基幹要員というような形で大蔵省にも予算を要求していくというような立場で前向きに考えていこうという気持ちはありますか。そうして、それに対する大蔵省としての答弁を最後に求めて私は終わりたいと思います。
  26. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいま安倍政務次官が御答弁されましたように、林業生産を円滑に進めるためには、優秀な労務の確保、これはどうしても必要でございます。そのために通年化をはかっていく。従来季節的な労務で行なわれておったものを、組み合わせその他によりまして通年化していく。これは国有林を問わず、民有林を問わず、そういう形が必要であろうということで推進をいたしておるわけであります。  そこで、お尋ねの、国有林の常用の労務者に対する問題と、国有林の定期作業員の問題、この二つが御質問の要点のように伺ったわけでありますが、定期作業員につきましては、先ほど申し上げましたように林業というのは非常に季節的に左右されやすいものでございますけれども、これを通年的な形で常用化に持っていくということを努力してまいっておるわけであります。  そこで、じゃ常用作業員のあれはどうかということに相なるわけでありますが、常用作業員につきましては、御承知のように機械化要員というのが二千七百名ばかり四十一年初期にあったわけでございます。それは今後定員内に任用してまいるということで進めたい、こういうことでございます。したがいまして、四十一年、四十二年と約六百名、そのうち定員内に任用してまいったのでございます。ただ定員の規制がございます。御承知のように、三十七年の閣議決定で定員の規制がございますので、欠員の補充という形で極力やってまいった次第でございます。したがいまして、その問題につきましては今後ともそのような方向で努力してまいりたいと思います。  それから一般の常用の問題につきましては、これは山村のいわゆる労働事情、労働条件、そういうものが都市と比較しますと確かに非常に格差があるように思います。したがいまして、そういう格差の是正ということでわれわれは努力しながらその待遇を高めてまいりたいという態度で今後とも努力していく。  以上でございます。
  27. 相沢英之

    ○相沢政府委員 常用作業員のうち、機械化要員等の定員化の問題につきましては、ただいま林野庁長官から答弁ございましたとおり、一応常用職員の定員外職員の定員組み入れの措置につきましては、三十九年度をもって終了したということになっており、三十七年一月十九日の閣議決定によりまして、今後定員外の常用職員をできるだけ生じないように各省とも努力するというふうな申し合わせにもなっておるわけでございます。したがいまして、機械化要員の定員組み入れを定員増加の形をもって解決することは、これはそのときの閣議決定の趣旨にもとることにもなりますのでできないと思いますが、欠員を生ずる場合に、その範囲内においてこれを定員に組み入れることにつきましては、私どももけっこうだと存じております。  問題は、ただ国有林野事業特別会計の給与予算がこの定員組み入れに不十分ではないかといった点にあるかと思いますが、この点につきましては私どもも国有林野事業の職員の離職率、したがいまして、定期昇給に要する財源等を今後なお慎重に検討いたしまして、できるだけ実態に即するようにしたいと思っております。そういうような措置をすることによりまして、この機械化要員の定員組み入ればやや前進するのではないかというふうに考えております。  なお、その他の職員の給与等の問題につきましては、これは毎年度他の屋外労務者の賃金の上がり等を勘案いたしまして、その引き上げの予算措置を講じているわけでございますが、今後もなおその実態に即しまして給与の改定を考えていきたいと思っております。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これで終わりますけれども、特に常用作業員の定員化というようなもの、あるいはその他の臨時の作業員の人たちに対する労働条件の改善というようなことは、日本のこれからの森林行政を論ずるにあたって一番中心の問題だと思いますし、このことができるかできないかがこれからの国土開発、高度利用というような点からも非常に重大なポイントだと思いますので大蔵省としても常に——大蔵省はもう定員をぶった切る、予算をぶった切ることだけが能じゃない。ほんとうに日本森林資源開発し、増大をさせていく、人工林比率を上げていく、資源の自給率を高めていく、こういうような角度から、十分努力していただきたい、このことを要請をいたしまして、終わります。
  29. 田村元

    田村委員長 次に、森義視君の質疑に入るのでありますが、参考人として森林開発公団理事長吉村清英君が御出席になっております。  森義視君。
  30. 森義視

    ○森(義)委員 質問の最初に、委員長から、約三十分の約束でありますのでよろしくという時間制限がございます。私は、できるだけ委員長の御趣旨に沿って議事進行に協力したいと思います。つきましては、答弁に立たれる方々も簡明に要領よく答弁をしていただかないと、質問者だけが協力しましても、時間がオーバーする場合があると思います。よろしくお願いしたいと思います。  そこで、本法案の具体的な内容につきましては担当委員会の同僚の皆さんからいろいろと御質問があると思いますので、そのほうに譲ることといたしまして、時間の関係がございますので、私は基本的な問題について一、二お尋ねしたいと思います。  まず第一に、水源涵養造林について従来の官行造林から三十六年に公団造林に移った経緯について、いただきました資料、「公団造林事業の概要」の二二ページに要点が書かれてあるのでありますが、これでは全く了解に苦しむわけです。したがって、その点について官行造林から公団造林に移った経緯をいま一度林野庁長官から御説明をいただきたいと思います。
  31. 片山正英

    片山(正)政府委員 三十六年に官行造林から水源林造林に移ったわけでありますが、御承知のように、官行造林というのは市町村を対象にして従来やっておったわけでございますが、三十三年でございましたか、水源林造成をあわせ含めましてやるということになったわけでございます。しかし、三十六年の段階におきまして水源林造成の姿が非常に奥地化してきたということが第一点でございます。それからもう一点は、非常に分散してかつ零細な面積になってきたという姿があったわけでございます。そのような姿がなかなか国としての管理、国としての実行には非常に不向きな姿になってきたというのが第二点でございます。  たまたま国有林野事業におきましては、御承知のように林力増強計画というのを発足いたしまして、現在までやっておりました姿に、基本的には造林につきましては約三割増しぐらいの造成をはかっていく、林種転換をしていくという施策とあわせまして、伐採量につきましては、おおむね一割五分ぐらいの増伐をいたすという形で推移する態度をとったわけでございます。現在もそのような形で推移しているわけでございます。  したがいまして、そういうような形から国有林ではなかなかやりにくいということから、公団のほうにお願いしたという経緯でございます。その結果、公団においてやっていただきます姿は、地元からも非常に喜ばれ、かつ推進され、かつ成果をあげているというふうな現況であろうというふうに判断いたしております。
  32. 森義視

    ○森(義)委員 いま長官から説明のあったようなことがこの二二ページに書かれてあるわけです。いわゆる奥地化、細分化されてきた、したがって、国でこれを管理するのは非常にむずかしくなってきた、そういういま述べられたような理由が書いてあるわけです。国有林の膨大な林野庁の機構をもってしてもなおかつやれないところを、零細な五百名の森林開発公団でやるというふうなことは、全くそれは主客転倒していると思うわけです。林林庁の組織というのは、全国すみずみにまで組織を持っているわけです。そこでやれないことが、五百名ばかりの小さな森林開発公団で、かゆいところに手の届くような、そういう施策ができるというふうな長官説明のしかたは、全くナンセンスだと私は思うわけです。むしろそのことよりも、ここにはっきり書いてありますように、森林開発公団の熊野、剣山の林道問題は、大体三十五年で終わる。そこでたまたま森林開発公団の手がすいておるから、こういうややこしい仕事は公団にやってもらったらどうだろうか、こういうところに官行造林から公団造林に切りかえられた基本的なねらいがあったのではないですか、いま一度長官から御答弁願いたい。
  33. 片山正英

    片山(正)政府委員 確かに御指摘のように熊野、剣山の事業が、この段階においておおむね終了するということはあったわけでございます。しかし、公団造林の推進、いわゆる水源涵養造林を今後推進していくという場合におきましては、ただいま申しました公団方式ということが、地元の非常な造林の意欲を持っておる方々あるいはそれらの技術を持っておる方々、それらのものを有効に活用しながらかつ公団においては計画的な資金的なあるいは技術的な、そういう指導を行ないながらやっていくという体制が非常にマッチした姿であるというふうに判断したがゆえに、そのようなことをやったわけでございます。
  34. 森義視

    ○森(義)委員 長官にお尋ねしますが、水源林造林、水源林涵養という重大な国土保全上の役割りをになうこの問題について、林業政策上どういう位置づけを考えておられるのですか。林業が持っている経済的側面、それから公共的側面——公共的側面の今日中核になるのは水源林涵養だと思います。特に工業の発展に伴う水資源の確保というのは、当面のきわめて重大な課題になっているわけです。林業が持つ公共的役割りの中核になるのは、この水源林涵養だと思うわけです。そういうたてまえからいうならば、水源林涵養は林野行政の中の中核的な位置づけに据えられなくてはならない。それを、行管からいつ整理されるかわからないような、整理の第一対象になっておる公団造林に、国がさせなければならない重要な最高のかなめを移したというのはどういうことか。私は当然これは官行造林によって、国の責任において、林業の持つ公共的使命の中核的な役割りを果たす水源林涵養をになうべきものだ、こういうように思うのですが、いかがですか。
  35. 片山正英

    片山(正)政府委員 水源林造成という問題が国の施策として重要である、それに対する林野庁の態度がいかぬというふうに感じたわけでございますが、御承知のように、保安林整備臨時措置法というのがございまして、昭和二十九年に発足いたしまして、十カ年の時限法であったわけでございます。それによって保安林の整備をやってまいったわけです、その整備の終わる年におきまして、さらにそれを整備拡充するということで、さらに十カ年延長をして現在に至っておるわけでございます。したがいまして、その保安林整備という形で林野庁がそれぞれ企画をいたしましたその中の一環としまして水源林造成、いわゆる保安林を指定をしまして水源林造成ということをやっておるわけでございます。  御承知のように、国といたしましては、国有林、重要流域におきまする民有林国有林として保安林に買い入れてそれを実施するというのを、国の大きな施策国有林の大きな施策といたしますとともに、民有林におきましては、公団方式によってその完遂をはかっていくという形によって、これを遂行していくということがいいのじゃないか、そういう形で進んでおるわけでございます。
  36. 森義視

    ○森(義)委員 御承知のように、現在保安林は十七種類ございます。その中で水源林涵養、土砂流出保安林、土砂崩壊保安林、この三つが私は、一番重要な、また、面積からいっても広いシェアを占めておると思う。その第一位にランクされておるのが水資源涵養であります。これは国のほうは国でやる、民有は公団でやる、こういうふうな形でやられるべき性格のものでなくて、統一をして、国土保全という重大な、林業がになっておる役割りを果たすという点からいっても、統一してやるべきである、私はこういうふうに考えるわけなんです。そういうふうに考えるならば、いまのようにいわゆる水源林涵養を出資論でごまかすのじゃなくて、政策論からこの問題が出てこなくちゃならない。国有林から三十三億の金を出して公団にやらす、財投の十七億をかかえて五十億で公団にやらせる。そういうふうな、国が当然果たさなければならない主体的な任務を、出資論で、あとは公団のほうに民有林関係は責任を負わせてしまって、それで事足れりという考え方の中に、日本林業を担当しておる林野庁の姿勢に私は疑問を感ずるわけです。そういうことをやっておるから、造林の問題が、今日、国有林のほうはまあまあ計画どおりにいっておっても、民有林のほうは一向進まない、こういう結果を招来しておるのじゃないか、そういうふうに感ずるわけです。  もう一回お尋ねいたしますが、こういう重要な日本林業行政の、特に保安林行政の中では中核になる水源林涵養の問題を、単なる出資論で国は責任を回避をし、それでいいのかどうか。私は、政策のかなめに据えなくちゃならない問題だと思うのだが、この点について長官はどうお考えですか。
  37. 片山正英

    片山(正)政府委員 水源林は非常に重要であるから国がやるべきだ、こういう御趣旨のように承ったわけでございます。われわれとしましても、重要な施策に対して国が企画立案しそれを推進するという態度には変わりはございません。ただ、そのやり方といたしまして、公団のいまの姿が、私としましては、非常に実効的にうまくいっているのじゃないか、円滑にいっているのじゃないか、地元から喜ばれておるのじゃないか、そうしてかつ、これが達成されているのじゃないかという現実を見ております。御承知のように、官行造林は大正九年に発足いたしました。その間四十年の長きにわたりまして実行いたしました面積が三十一万町歩、いま公団がやっておりますのは、非常に零細なものも含めましてやっておる姿は、ここ三十六年から六、七年間にすでに十二万町歩もやっておるという実績がございます。その山の実態も、検査をし調査をいたしますと、非常にりっぱなものでございます。そのような形の推進でございますれば、私は、不安はないのじゃないかということで考えております。したがいまして、実態に即したということにおいて私は推進してまいったらというように存じております。  なお、造林全般についてどうあるべきか、それは、いま造林が低下しております。その造林全般についてどうあるべきかということについては、国としても今後検討をやってまいりたい、かように思っております。
  38. 森義視

    ○森(義)委員 私は、水源林造林政策的な位置づけを聞いておるのですよ。いま当面、公団造林でやっておるから地元とスムーズにいっておるんだというふうな、場当たり的な考え方ではないのです。いま長官もちょっと触れられましたように、あとでお伺いしたいと思いますが、造林全体の問題の中で、特に公共的な使命の重要な役割りをになっている水源林造林が、国の政策上どういう場所に位置づけられるべきであるか、その考え方を基本的に聞いているわけなんです。このいただきました資料の二五ページに、公団造林がどういう位置づけにあるかということを書いてあるわけです。これを見ますと、保安林以外の森林がいわゆる補助、融資、自力、公社、こういう造林が一番外郭にありまして、その中に補助造林があって、それから公団造林があって、国有化がある。現在の公団のやっております造林というのは、これは国有化の中の一つの中核、かなめなんです。こういう国の政策の一番の、経済的な要素も含めた造林の外に水源林涵養とか、あるいは土砂流出保安林とか、土砂崩壊保安林とか、そういうものがあるのじゃなくて、私は政策上の位置づけとしては、いま公団にやらしておることが、国有林造林の中の一番中核的なかなめに位置づけされなくちゃならないという政策上の問題を聞いているわけなんです。それをいま単に、公団にやらしておれば地元とかなりスムーズにいっておるということだけで、そういうことで政策論を放棄してしまって、出資論だけでそれでいいのかどうか、こういうことをお尋ねしているわけでありますから、長官の答弁はすれ違いをしていると思うのです。  もう一回確認いたしますけれども、水源林涵養の造林というものは、林業政策上どういう位置づけでやらなくちゃならないかということについて、長官からもう一ぺん御答弁願いたい。
  39. 片山正英

    片山(正)政府委員 水源林造林の問題については、重要だということは決してわれわれもゆるがせにしない問題ではございます。ただ、水源林造成を円滑に、かつ、それを完成するというのが国の基本的な態度として持っていたいわけでございます。そこで、方法論として、先ほど先生にちょっと御説明申し上げたわけでございますが、なお、先生のその考え方、こういうもをただされたわけでございます。それにつきましては、一つの検討すべき問題点がございます。それは、御承知のように、国有林野事業につきまして、かつて国有林のあり方というものについて諮問をいたしたわけでございます。それに対する答申をいただいたわけでございますが、いわゆる民生協力というそういう姿のものは、いわゆる国有林の利益というものをあげた中でそれを極力やるべきじゃないかという御趣旨かと思うのでございます。国有林というものは、国有林自体をもう少し積極的に開発し見直すということが必要じゃないだろう、民生協力というものに混在した形では無理ではないかという御指摘が実はあるわけでございます。したがいまして、そういう点も相関連いたしまして、現在検討はいたしておるわけでございます。  したがいまして、私のほうといたしましては、そのような基本的な問題もございます。ただねらいとしましては、あくまで水源林造成計画的に完成するというのを一番の問題点として対処してまいりたいという態度でございます。
  40. 森義視

    ○森(義)委員 冒頭に、答弁を的をはずさないようにと私がお断わりしたのはそこなんですが、盛んに的をはずした答弁をしておられます。私は政策論上の位置づけを言っておるわけですが、政策というのは少なくとも基本的なものの考え方です。そういう問題をはずして、現実の問題で逃げようとしておるわけですが、これはそれなりの理由があると思うわけです。  今日の森林開発公団が生まれた経緯から、あるいはこれから行管から整理されようとするのを何とか守ろうとする林野官僚の考え方から、当然この問題については本質論に触れると答弁しにくくなるので逃げておられることもよくわかるわけでございますが、先ほど長官も少し触れられましたように、官行造林の問題について、これは御承知のように、入会林の近代化法案のときにも、官行造林の復活についての検討を附帯決議としてつけられました。今度の森林法の一部改正についても、先般参議院で官行造林の復活についての検討が附帯決議としてつけられたわけであります。少なくとも今日、造林の問題について考える場合に、いまのように複雑多岐に分かれた造林方式では、生産基盤の整備の重要なかなめである造林がスムーズにいくはずはございません。したがってわが党はかねてから、造林法という単独立法をつくって、日本林業の将来の生産基盤に重要な造林法、それともう一つ林道法、この二つをつくって生産基盤の拡充をはかるべきであるということを主張してきたわけなんです。そういう見地から申し上げますならば、まず造林法という単独立法ができて、いまの複雑多岐に分かれた造林関係の諸法規が交通整理されることは必要でありますけれども、そのまず前提として、私は官行造林の復活というものを考えていいのじゃないか。これは各党共通の附帯決議の中につけられておる問題であって、入会林野のときにも、森林法の一部改正のときにもつけられておるわけです。その問題をことさらに回避しようとするその考え方の基礎にあるものは何かというと、しんどい問題については出資論でごまかそう、そうして政策論上の重要な位置づけというものをはぐらかそうという考え方がその根底にあるのじゃないか、そう思うわけなんです。その点について、入会林野の近代化法に対する附帯決議なり、森林法の一部改正についての附帯決議なり、それをどういうふうに検討されようとしておるのか、この点一点、ぜひ長官から確たる御回答をいただいておきたいと思います。
  41. 片山正英

    片山(正)政府委員 重ねての御質問でございますが、ただいま申し上げましたような、造林の推進というのが林業の基本的態度でございます。したがいまして、この前の入会林野の場合の附帯決議の官行造林の検討ということもございます。われわれはそういう意味で検討は進めておるわけでございます。ただ先ほど申しました国有林のあり方という答申もあわせていただいておるわけでございますので、造林の推進という形において、従来の官行造林の姿、どういう位置づけ、どういうような推進、どういうような有効なやり方というような問題についていま検討をやっておるわけでございます。今回の森林法におきましてもそのような附帯決議がまたついたわけでございます。われわれは官行造林を避けているわけじゃございませんで、そういうような意味で、造林推進の一環としてどうあるべきかという点を検討いたしておる次第でございます。
  42. 森義視

    ○森(義)委員 林野庁長官造林というものが日本林業生産基盤の整備の上で果たす役割り、これは長官造林林道はまず中核だということは御存じのとおりなんです。そういう造林の問題について、しかもその造林の中で国土保全という公共的なにない手である水源林造林なり、先ほど申しましたような土砂流出防止保安林等の造林については、最も中核に置かれなくてはならない問題である。そういう問題が私は公団の関係でうまくいっておるからということだけで、政策というものを絶対抜きにして処理していっていいのかどうか、そういうことを実はお尋ねしているわけなんです。ところが長官はどうしても、生産基盤のにない手である、重要なファクターである造林の問題について、現状肯定主義で先ほどから答弁をしておられるわけなんです。ところが、現状はそれではうまくいっておるのか、うまくいってないわけなんですね。少なくとも民有林造林については計画どおりいっていない。当然なんです。いまの補助単価で五十年先の収益を予想して投資するというような、そういう人はおらないわけなんです。だから、補助造林のほうがずんずん減っていっている。これは私は当然の帰結だと思うわけです。少なくとも資本主義社会においては、投資された資本がどれだけの速度で回転するかによって勝負がきまる。そのときに投資した資本が五十年先でなければ回収してこない、こんな林業に投資する資本家はおりません。いわゆる財産保全的な感覚でのみようやく造林が行なわれておる。こういう状態の中で、造林という林業の重要な生産基盤の中核である、要素である問題について、林野庁考え方は当面を何とか糊塗していこうという考え方に終始しておるところに問題点がある。私はそのことを指摘しているわけです。  だから、その点は長官も、少なくとも林業長期にわたって担当しておられる最高の責任者として十分お感じになっておられるのだけれども、何とかして森林開発公団を存命さそう、それを拡大強化しよう、そういう前提に立ってものを言っておられるものだから、政策論と現実論とが食い違ってくるわけだ。私は造林問題について、官行造林の復活だけを主張しておるのではありません。全体の問題として日本林業の振興の基盤になる問題を追及するのであって、特にその公共性の重要な役割りを果たす水源林涵養等について、国の政策上は林業行政の一番かなめにし、国の責任においてこれをやるのだという考え方に立ってもらわなければいけない。そういう考え方に立つならば、今度の一部法改正で出資論的に逃げようとする考え方は、私は間違っておると思うわけです。むしろ、国の一般会計の中から必要とするところの造林経費は十分に予算化していく、こういう考え方に立つべきだと思うわけなんです。肝心かなめの林野庁がそういう出資論で、政策の中核、かなめをはずそうとしておるところにこの法案の重要な問題点があると思う。だから、繰り返して私はお尋ねしておるわけでございますが、長官のものの考え方現状肯定主義、しかもその現状というものはきわめて計画とそごしておる現実である。その計画とそごしておる現実を、日本林業の将来の観点に立ってどう改めていくのかということについて、いろいろな角度から、いろいろな法案審議の場合に要請を受けて、附帯決議がされておるのにかかわらず、その問題については一向に前向きの姿勢で取り組もうとしない。そこに日本林業の、先ほど同僚の広瀬委員から質問がありましたように、六八%の林野面積を持ちながら外材を三〇%も入れなければならぬ基本的な問題がある、こう私は考えるわけなんです。そういう考え方について、 いま一度長官のほうから、もっと林業を担当する長官らしい答弁をしてほしいと思う。
  43. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいま先生の御指摘のように、非常に水源林の重要なこと、かつまた、なかなか経済的にはやりにくいようなこと、こういうものは国みずからがやるべきではないかということでございます。私は、先生のおっしゃること、そのままそのとおりに思います。ただ問題は、そういう林地に対してはいわゆる個人の人にまかせないで、国がそれを責任を持ってやる、裏を返していいますれば、国が責任を持って投資をするということが一番の重要なことではないか。したがいまして、そういう投資という形において、公団が国の投資によってこれをやる、投資の確保をはかる、資金の確保をはかる、これが一番重要じゃないかというふうに思う次第でございます。したがいまして、今回の改正におきましても、直接出資のほか資金運用部資金からお借りいたしまして、その資金を確保しながらこれを推進していく、あくまで国の力というものが必要であろう、このように思うわけでございます。  そこで、ただこれの実行方法として国有林みずからがやるのかやらぬのか、こういう問題になるわけでございます。これは先ほどもちょっと触れましたように、国みずからがやる場合に、非常に零細であり、分散しておるというような姿、たとえばこれを例にとりますと、従来官行造林でやっております面積というものは、現在公団がやっております平均面積の、およそ、少なくとも倍以上でございます。それから公団がいま契約しております面積は、件数にいたしましてほとんど過半が三十ヘクタール以下の小さなものである、これも実態でございます。そういうようなものを国みずからが管理し運営していくということにおきましては、機構の問題、さらに官行造林営林署、そういうものをつくって管理していかなければ、なかなか思うようにいかないというのがいままでの経緯でございます。したがいまして、そういうことじゃなしに、やはり公団の機構を活用いたしまして、かつ地元の意欲を活用いたしまして、これを調整していく。しかし、資金については、先生のおっしゃるように、国みずからがこれに対処していく態度でなければ、なかなかできないのではないかというようなことでわれわれは対処してまいる。一方、官行造林等につきましてのあり方という問題については、造林全般の問題として、何度も繰り返すようでございますが検討してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  44. 森義視

    ○森(義)委員 だいぶ私の質問と合ってきました。先ほどからはそっち向いて答弁しておったように思うのですが、だいぶ合ってきたわけです。  そこで私は、零細、細分化されておるのを国が直接やるということについては非常に手間がかかって困るんだ、それで公団にやらすんだ——公団は五百人くらいでしょう。いま四万人の定員なり陣容を持ち、しかも明治二年からこちら、ずうっと林業行政を担当しておる、緻密な組織網と経験を持っておる林野庁がやれないことが、五百名の森林開発公団で、かゆいところに手の届くような形でやれるということはどういうことで出てくるか。私は逆だと思う。林野庁が、国がやることによって初めて、どのようなへき地においても、どのように零細化、分散化されておっても、手の届く体制があるのです。また、造林されたあとのいろいろな御相談に応じられる体制があると思うわけなんです。いま公団が分収造林をやって、そのあと実際の育林の問題について、どれだけ微に入り細にわたって山林所有者との間のパイプが通じておるのか。五百人くらいの人員で全国の重要な水源林涵養の造林について、微に入り細にわたり、森林所有者との間にパイプが通じておるとは私には思われません。もしそれがやられておるとするならば、私は森林開発公団の職員の皆さんはものすごい能力を持っておると思う。森林開発公団の職員の皆さんは、これだけじゃなく、また峰越し林道、スーパー林道もやっておるんでしょう。五百名近くいる人員の中で、重要な幹線道路をやっておるわけです。片方で幹線道路をやりながら、片方では水源林涵養や、国有林でできないようなことがやれるという、そういう理論はどこから出てくるのですか。公団のほうが人員が少なくて全部済みますよ。国有林でやれないことが公団でやれるのだ、私はそれはおかしいと思う。それだったら国有林の労働者はみんな遊んでおるのか、公団の労働者ひとりが神様のような能力を持っておるのか、いずれかでなければできないわけです。そんな矛盾は出てこないはずなんです。そんなことは私は逃げ口上だと思う。  国が責任を持ってやらなければならない政策上の重要な中心であるということは長官もいま認められたわけです。しかしやり方については、零細な、あるいは細分化されておるので、国有林でやるよりも公団でやったほうがスムーズにいっておる、こうおっしゃるのだけれども、政策の基本に位置づけたら、国が責任を持ってやる、これがまずかなめである。国でやれないことを公団がやれるというその説明をいま一度長官からお聞きしたいわけでございます。現地の住民から喜ばれておる、こういうことでございますが、公団でわずか五百名の陣容で造林されたあとの管理について、地元とそれほどスムーズにパイプが通じておるということは、私は聞いておらないわけです。むしろ国有林がやったほうが、私はその点についてはパイプが通じる機構と組織をいま持っておる、こういうふうに確信をしているわけでございますが、いかがでございますか。
  45. 片山正英

    片山(正)政府委員 確かに公団のやっております姿は、官行造林がやるように国が全部責任を負ってやっていくという姿ではございません。御承知のように、分収造林特別措置法というその趣旨の一環としてやっておるわけでございまして、土地所有者並びに造林者並びに公団という三者が一体となりまして、あるいは二者という形もございます。そういうものが一体となりまして、その造林を完遂していくという制度でございます。したがいまして、現地におきます造林者が、その造林のあり方、いわゆる企画、それからその管理、あるいはそういうものに対する地元の意向、地元の意欲、地元の技術、そういうものを活用して、その中で公団が大所高所から指導する、資金の裏づけをする、あるいは技術の指導をするということで、いわゆる三者一体となっての姿、それが公団の成功をしてきている姿ではないだろうかというふうに思うわけでございます。したがいまして、先生おっしゃるとおり、官行造林と即同じ姿ではいま運営されておらないわけでございますが、その同じ姿でないところが、造林の零細なもの、分散されたものをそれに適した姿で推進していくということに適合した姿ではないだろうかというふうに思っている次第であります。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席
  46. 森義視

    ○森(義)委員 官行造林のやり方と、それから森林開発公団造林のやり方の違うのは、私は知っております。そういう点については、私どもは官行造林を復活すべきであるというのが、これは衆参両院における農林水産委員会の決議であります。だから、そこまで世話を見てやるべきであるという考え方で、官行造林の問題についての附帯決議をつけているわけなんです。そういう点については、長官の先ほどからの答弁を聞いておりますと、どうも官行造林の問題については、まだまだ検討して、あるいは造林全体についての検討の中で官行造林の位置づけというものに非常にウエートを置いたものの考え方というものに、まだ立っておられないように思うのです。私はくどいようですが、こういう国会における法案審議の際において、附帯決議がされた問題というのは、しかも与野党一致して付された問題というものは、当面のやはり重要な問題点なんです。そういう問題が軽視されるところに、国会の審議というものが、法律さえ通ったらいいのだというふうに見られがちな傾向を生んでいる、こういうふうに思うわけです。だから、そういう点についてはもう一回、私は官行造林の復活について、それではどういう検討をし、先ほど申しました造林全体の問題についてのこれからの展望をどういうふうにお考えになっており、その中で官行造林の復活というものをどこに位置づけようと考えられておるか、こういう点について、これ以上この問題は聞きませんが、もう一回だけお答えを願いたい。
  47. 片山正英

    片山(正)政府委員 先ほどもるる御説明申し上げましたように、造林の推進につきましては、林野庁といたしましても今後重大な問題だと思っておるわけでございます。かつまた、附帯決議もございます。国有林野事業に対する答申もございます。それらを十分検討いたしまして、先生の御趣旨も十分了解するわけでございますので、造林推進の一環として、官行造林の問題を十分検討いたしたい、かように思う次第でございます。
  48. 森義視

    ○森(義)委員 それでは時間もありませんので、いま一点だけお聞きしておきたいわけです。  今度この法改正で、いままで特別積立金引当資金の中から、林業振興のためという形で一般会計に繰り入れられて、用途を明示して一般会計の中から森林開発公団にきておったのが、今度はストレートで出す。ストレートで出すことと、従来のいわゆる一般会計に繰り入れて国の予算的措置の中で出してくる方法と、どういうふうに違うのですか。どこにメリットがあるのですか。いままでのやり方でやったら、こういう点において問題点がある、これを国有林野の特別会計のほうからストレートで森林開発公団におろせばこういうメリットがあるんだという点について、長官の御答弁をお願いしたい。
  49. 片山正英

    片山(正)政府委員 その問題につきましては、実は昨日も若干お答え申し上げたわけでございますが、公団の発足いたしました三十六年から、一般会計から公団に出資いたしまして、水源林造林が完成されてきておるわけでございますが、その一般会計の原資といたしましては、それと大体同額が国有林野特別会計積立金引当資金から回っておるわけでございます。なお、特別会計の引当資金の使途でございますが、それは御承知のように、その大部分が水源林造林に充てられてきたという経緯がございます。  そこで、特別会計の用状でございますが、今後伐採量というものがここ五年ぐらいはふえていかないという現状がございます。なおまた、労賃をはじめとするその他のものについては対処してまいらなければならないという実態がございます。そのような前提を一応考えますと、特別積立金引当資金が大幅にふえていくということがなかなか困難ではないだろうかというふうに一応想定されるのでございます。したがいまして、この段階で四十三年度末大体百三十億ぐらいの特別積立金引当資金になる見込みでございますが、そういうものを従来の経緯を考えまして、優先的にこれを水源林造林につぎ込んでいくのが目下の保安林整備臨時措置法に準拠した水源林を完成する上に必要じゃなかろうか、計画的、安定的に出すのが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、優先的にこれを確保していくということになりますと、わざわざ一般会計に入れてそして出すという手数は必要ないんじゃないか。また一般会計に入れますと、それは必ず水源林造林にいくという保証も実はないわけでございます。そういう制度でございます。したがいまして、そういう手数をかけずにこれを優先的に、安定的に推進するというのであれば、直接出資することが妥当ではないだろうかというふうに考えまして、お願いを申し上げた次第でございます。
  50. 森義視

    ○森(義)委員 この際、参考人を呼んでおりますのでお尋ねいたします。  森林開発公団理事長、いまお聞きになったような長官説明であります。そこで、ここ二、三年の間とおっしゃいましたが、国有林の特別積立金引当資金がふえるという見込みはない、こういうことなんですが、そういうことでストレートでくる。ところが、ストレートでこなくなった場合に大蔵省がその分を負担する、こういう形に約束はできておるのかどうか。いままでだったら、大蔵省の一般会計の中からこれは出されておったわけですね。ところが、今度はストレートでくる。ストレートで常時コンスタントに確保できるという状態じゃない、また、ここ数年減る可能性が強い。こういうことなんですが、たとえば昭和四十年から四十一年のように、国有林の赤字が出るというような状態の中では、皆さんのこれからの仕事をしていく上において問題点があるわけですね。そういう点について、いまの形、むしろ財政に依存しているという形のほうがいい、安心感があるんじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  51. 吉村清英

    吉村参考人 お答え申し上げます。  先ほど長官からお答えいただきましたと同じ考えでございます。優先的に公団に特別積立金引当資金をお回し願うということで、私どもは安心して専心この事業に従事をしてまいれると思っておるわけでございますが、さてお尋ねの、もしなくなったときはどうなるかということでございます。これはない場合には何としてでもこの事業の重要性にかんがみまして、他の方法で御出資を願うということはぜひお願いしなければならないと思います。
  52. 森義視

    ○森(義)委員 他の方法でというとどういうことですか。
  53. 吉村清英

    吉村参考人 私は、ただいまその成案があるわけではないのでございます。
  54. 森義視

    ○森(義)委員 そういう問題があるから私は国でやるべきだと言うんです。出資論でこういう問題を考えようとするところに、出資の金がなくなった場合においては、肝心かなめのものがみなぐらついてしまうでしょう。だから、先ほどから時間をかけて長官に言っておるわけです。国有林野特別会計の中で赤字を出してもその問題はやらなくちゃならない問題なんです。ところが、今後出資金というものを特別積立金引当資金の中から出していく。これが切れてしまったらどこから出すという策がはっきりしてない。こううい不安定な形で国の政策のかなめの財政的な裏づけを考えておるというところに問題があるということを先ほどから指摘しておるわけです。大蔵省は国有林野特別会計の中から一般会計に繰り入れられた中で、ずっと水源林の造林に優先的にいままで出しておるじゃないですか。どこへ使われるかわからぬから今度優先的に出していくんだ、それは私が従来のここ五、六年の経過を見ますと、大蔵省のほうではっきりとこれは予算化しておるじゃないですか。一般会計に繰り入れた中で重点は水源林造林に向けられておる。したがって、そんな心配は要らないと私は思う。あえて法を改正しなくても、大蔵省で、国有林野から一般会計に繰り入れられた問題については法の規定するところであって、林業振興のためにしか使えないわけで、その振興の中で水源林の造林にこれを使ってもらいたいということさえはっきり確約をとっておれば、あえて法を改正する必要はない。むしろそのことのほうが水源林造林という重大な公共的使命を達成するための会計上のあり方じゃないか。いつ切れるかもわからないようなところにこういう公共的な使命をになっておる水源林造林の財源を求めてくるところに問題があると思う。  それで、いまの森林開発公団理事長お話も、事業が重要であるために、もし国有林からもらえなかった場合にどこからかもらいたい。そんなあいまいな形でこの問題を私は処理できないと思う。どうですか長官、その点についてもし国有林野から一般会計に繰り入れる財源がなかった場合においては、従来だけの額は一般会計の中から補ってもらう、こういう形でやるほうがむしろ全般的な水源林造林の重要性からいって正しいのではないか、出資論としては私はそのほうがずっと正しいと思うのです。その点はどうお考えですか。
  55. 片山正英

    片山(正)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、優先的に特別積立金引当資金を確保するということで申し上げたわけでございますが、一般会計からの出資というものをこの法案の改正において閉ざしておるというものではないと解釈をいたします。
  56. 森義視

    ○森(義)委員 そうすると、二重に一般会計からも支出されるというわけですか。必要な場合にはいわゆる国有林野特別会計からストレートに出して、不足する場合においては一般会計からもいままでどおり出される、こういうことですか。
  57. 片山正英

    片山(正)政府委員 特別積立金引当資金がゼロになってしまった、全然なくなったという段階におきましては、一般会計からの道を閉ざしているわけではございませんので、お打ち合わせをしてまいりたい、かように申し上げたのであります。
  58. 森義視

    ○森(義)委員 大蔵省の主計局次長にお伺いいたします。  いま長官から、国有林野から出資する財源がなくなった、そういう場合においては大蔵省としては一般会計から水源林造林の出資をする、こういう答弁でございますが、そういう約束ができておるのですか。
  59. 相沢英之

    ○相沢政府委員 特別積立金引当資金がゼロになりました場合に、森林開発公団に対するどういうふうな財政措置をするかについては、そういう事態になるかどうかわかりませんので、別に打ち合わせはしておりません。しかしながら、水源林の造成の事業は、これは将来とも大いにやらねばならない事業でございますし、また、その事業の性格上一般の融資のみをもってしては、金利の関係からいたしましても、これはまかなえないことは明らかでございます。したがいまして、特別積立金引当資金が枯渇いたした場合におきましては、過去におきまして相当な、四十二年度末までにすでに百八十三億、それからことしの三十三億を入れますと二百十六億の出資があり、なおかつ今後も出資が行なわれていくわけでございますので、その出資の量とそれまでの間の借り入れ金額、それの関係から出てまいりますところの金利、それとそれから公団が採算上払い得るところの金利、そういったものを検討して、やはりその時点におきまして出資を必要とするということになれば、これはやはり一般会計から出資をする、そうしなければならぬというふうに考えております。一般会計からの出資の道は当然現在でも開かれておるわけでございますから、そういった時点になりましたならば当然一般会計からこれは繰り入れていくというふうに考えております。
  60. 森義視

    ○森(義)委員 国有林特別会計から繰り入れがやり得る積立金引当資金がなくなった場合においては、いま主計局次長の言うように、これは長官の答弁と同じであります。それは結局水源林造林というのは、金があるなしにかかわらず、やらなくちゃならない国の重大な施策だという認識から出ておるのだと思います。そうすれば何もいまストレートに出さなくても、いままでの方法と同じでやっていいのじゃないですか。それほど大蔵省のほうは認識があるわけだ。国有林から金がいかなくても必要があれば金は出すと言っている。だから、国有林から一般会計に入れ込んでも、一般会計からよそに使われるという心配はないじゃありませんか。それはひもつきの金なんですから、ちゃんと法律上は一般会計に繰り入れる場合は林業振興のために使う。だから、いまのストレートの方法というのは私は必要ないと思います。国有林が一般会計の中で取り扱われてきた従来の方針を踏襲して、森林開発公団が水源林造林をやっていく上においては何ら支障はない。金がなかった場合においては——国有林の繰り入れがなかった場合においては、一般会計の財政の中から出していこう、こういう決意をいま披瀝しておられるわけですから、これをどうしてストレートで公団のほうに出すというふうに法を改正してまでやらなくちゃならないのですか。しかも法案の中には「当分の間、」と書いてある。そういう重要な国の政策の中心になる問題について「当分の間、」というような書き方自体もおかしいと思うのです。その点、メリットという問題これは理解できないわけなんです。ストレートで出す。それは長官は、林野庁出身の役人の皆さんが森林開発公団におられるので、大蔵省へ頭を下げてがあがあ言うよりも直接林野庁と話をしたほうが話しやすいだろう、そういう人間性の問題で考えるなら別ですよ。しかし、私は少なくとも国の財政を考える場合にそんな問題が中心になっては間違いだと思うわけです。いま笑っておられるが、そうだと思う。そうすればストレートでいくのはどういうメリットがあるのか、私は一般会計に入ったぼうが水源林造林という重要な政策上の問題点が資金の裏づけにおいても明確に確立される、こういうように思うわけですが、いかがですか。
  61. 相沢英之

    ○相沢政府委員 確かにおっしゃるような御疑問ももっともだと存じますけれども、しかし、現在の特別積立金引当資金に関します国有林野事業特別会計法の規定によりますと、これは「林業の振興のために必要な経費その他の経費の財源に充てるものとして国有林野事業勘定から一般会計に繰り入れる場合に限り、予算の定めるところにより、使用することができる。」となっておりまして、この特別積立金引当資金が林業振興のためのみに充てられるということにはなっておりません。したがいまして、国有林野事業特別会計から一般会計に繰り入れた金が森林開発公団への出資その他林業の振興のために使われるといういわば保証がないわけでございます。その点が現在の制度上森林開発公団への出資を優先的に考えます場合に規定上問題になってくる点でございます。そして過去におきましては、御案内のとおり、この繰り入れました金額のうち相当額まで一般会計から森林開発公団への出資に充てられておるわけでございますが、これはあくまでも一般会計から森林開発公団へ対する出資でございまして、国有林野事業特別会計としては何らのいわば権利を持っていない。で、今回の改正法によって、森林開発公団国有林野事業特別会計から直接に出資をすることができるようになりますと、林野事業としては出資権を持つわけでございます。したがいまして、いわば林野事業特別会計の内部留保を厚くすることができることになる、こういった利点もございます。  それからまた、これは従来も一般会計に入れましてすぐ一般会計から森林開発公団へ出資をする、その限りの金額はいわばこの特別会計と一般会計との間ではそれぞれ歳入歳出に二度ずつ建っておりまして、特にそういうような迂回した方法をとらなくてもいいじゃないかという考え方もあるわけでございまして、そういったことから今回直接、国有林野事業特別会計から森林開発公団へ出資できるような規定を置いたわけでございます。  「当分の間、」というふうにいたしましたのは、実は先ほどもちょっと長官が触れられたかと思いますけれども、国有林野事業の経営に関しては四十年の三月に中央森林審議会から答申が出ておりまして、これによりますと、かなり根本的な事業運営に関する検討が要請されております。したがいまして、将来国有林野事業の運営のやり方にそのような根本的な改革が加えられた場合にも、なおかつこういう森林開発公団への出資が国有林野事業から直接行なわれるというような形が、その状態になっても続けられるかどうかといった点につきましても問題があろうかと存じまして、このような制度の改正を「当分の間、」というふうにしたわけでございます。
  62. 森義視

    ○森(義)委員 いまの主計局次長の御説明で大体わかってまいりましたが、確かに法律上は林業の振興その他という形で林業の振興に限定をいたしておりません。しかし、従来の取り扱い方は、具体的な数字が示しますように、水源林造林に一番ウエートを置いた形でどんどん年々ふえてきておるわけですね。それから先ほど、かりに国有林野事業特別会計からの一般会計への繰り入れがなくても、必要な場合においては出すというくらいのこれは重要性を持った出資である、こういうふうに御答弁をいただいておるわけでございますから、おそらく国有林からきた金を、重要な水源林造林に必要な経費が重要なかなめとしてあるのに、ほかに回すというようなことはあり得ないだろう。したがって、法文上はそういう道があるのだから、必ずしも水源林造林に全部回されるとは限らないのだからというふうな説明はできますけれども、今日までとりきたった経過と、いま考えられておる水源林造林の重要性ということから私はそういうことはあり得ない。法を改正してまでそういうことをしなくとも、国有林特別会計からの繰り入れの特別積立金引当資金の問題については、これは水源林造林に重点的に出資するということさえ明確に大蔵省のほうから御答弁があるならば、法律改正を必要としないで、それで済むことなんです。  こういうふうに私は考えるわけなんですが、今度の出資と財投が二対一という比率になっておりますけれども、十七億、三十三億、この比率は今後ともそういう比率で考えていかれるのですか。
  63. 相沢英之

    ○相沢政府委員 四十三年度の事業費に対しましては、ただいまおっしゃいましたとおり、三十三億円が出資、十七億円が資金運用部からの借り入れになっておりますが、今後出資と融資との比率をどうするかということは、実はまだ林野庁との間にもよく相談申し上げておりません。過去におきまして百八十三億円の出資がございますし、それから一応森林開発公団の水源林造成事業の払い得ます金利は二・五%ぐらいだというような一応の試算がございます。したがいまして、その二・五%の金利ということを前提にして考えれば、極端なことをいいますと、当分は出資をやらなくとも、つまり借り入れだけであってもやれないこともないわけです。しかしながら、そういうやり方では長続きはいたしません。それで四十四年度以降につきましても、現在の状況でいきますと特別積立金引当資金はまだ相当額ございます。したがいまして、これは今後協議してきめるべきことでございますけれども、まあまあことし程度の出資と融資の割合が一つのめどになるのではないかというふうに考えております。なお、これは当然のことでありますけれども、資金運用部資金の原資の状況にもよることでございますので、そういった点とのにらみ合わせも当然必要になるわけでございます。
  64. 森義視

    ○森(義)委員 将来の問題として出資と財投がどちらが主になるか、いまの状態では二対一ですが、将来の問題として、林野庁長官、これからの水源林造林の規模からいって、事業量からいって、またそれに対する国有林からの出資の可能性からいってどういうふうになるとお考えですか。
  65. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいま相沢次長からお話しになったとおりでございまして、まだ基本的に大蔵省と明確に融資と出資と出資の割合ということはやっておりません。ただお話しのように、公団が赤字にならずに済む限度という一つの目安が確かにございます。それが先ほどの大体二%から二・五%であろう、そういうことの一応の想定がございます。そういうことで考えてまいりますと、当面新植をやっております段階におきまして、一応の目安ということで先ほども次長がおっしゃったわけでございます。それから保育の問題というものがございます。それにつきましては、ただいま申しました二%から二・五%というような範囲の中でどう消化されていくかということで態度を決定していきたいと考えております。
  66. 森義視

    ○森(義)委員 約束の時間がだいぶオーバーいたしましてまことに申しわけございません。これは私だけの責任ではなくて、長官の先ほどの答弁が、冒頭に申し上げましたように、すれ違いの答弁ばかりしておりまして時間がおそくなったので、時間がたいへんオーバーして混乱しましたけれども、最後に一つだけ要望しておきたいのです。  これは、冒頭に私が長時間をかけて長官に申し上げましたように、水源林造林、いわゆる日本造林の中で最も公共性の高い造林の問題については、今後官行造林、国の責任においてやるのだという姿勢の方向に切りかえていただくように御検討を特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  67. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  吉村参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。  午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後二時十二分開議
  68. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。永井勝次郎君。
  69. 永井勝次郎

    永井委員 日本林業は非常な重要な時点に当面していると思うのであります。そこで、時間があまり与えられておりませんから、結論から先に申しますと、いま林野庁のやっている林業政策は縮小再生産の性格である。これはどんどん先細りになっていく。こういう方向ではなくて、拡大再生産の方向に転換をしなければならないのではないか。その拡大再生産の方向に転換するためにはいろいろな要因が必要でありますが、それらについてお尋ねを進めたいと思うのであります。  いまの林政の諸欠陥、どういう欠陥があるか、またどういう長所があって、それを伸ばそうとしているか、そういう現状分析について長官からまずお答えをいただきたいと思います。
  70. 片山正英

    片山(正)政府委員 日本林業の拡大であるべきなのが縮小じゃないかという御指摘でございます。私たちは先生承知のように、昭和四十一年の四月に閣議決定をいたしました森林の基本的な計画がございます。それを中心にして現在推進しておるわけでございますが、その要点だけをかいつまんで申し上げますと、人工造林、現在三二%しか日本の山の人工森林率はございません。それを五六%まで拡大していこうというのを基本的な姿勢として持っておるわけでございます。したがいまして、従来粗放に利用されております薪炭林であるとかあるいは天然林であるとかを人工林に切りかえていく、いわゆる拡大造林というものを推進していっておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、三十六年をピークといたしまして少しずつ造林面積減少してきておるというのは御指摘のとおりでございます。そこで、先生がおっしゃいました現在の問題点は何かということでございます。  御承知のように、労務が山村から減少を続けております。かつまた、労賃はいろいろな関係から当然のぼるべきでございましょうが、やはり相当の上がり方をしておるわけでございます。それに対する山林のいわゆる基盤と申しますか、そういうものの整備が遺憾ながら非常におくれているということを言わざるを得ないと思うわけでございます。一例を林道件とりますれば、林道のわれわれの目標の数量でございますが、四十年が七万一千キロでございますのを十八万三千キロに延ばしていく、こういう基本的な態度をもちましてそれを六十五年までに達成しよう、その中で山を開発していこうという態度をとっておるわけでございます。その進捗が若干おくれております。  それからもう一つは、零細な所有者が非常に多い、山の経営がばらばらに行なわれておるというようなことから、これをある程度まとまった形で持っていく。その中でいわゆる資本装備をいたしまして、生産の合理的な姿を打ち出してまいりたいということで、これまた林業構造改善をはじめといたしましてやってまいっておるわけでございます。ところが御承知のように、大体千三百町村を対象にいたしておりますが、完成いたしましたのが九十一カ町村でございます。これは逐次増大するようにいっておるわけでございますが、現状としてはそのような形でございます。そういうようなことから、労賃その他の上昇をカバーするような形でなかなか山の生産が合理化されてないというところに、一つの問題点があろうかと思うわけでございます。  それからもう一点は、やはり山村労務が減少していく、その優秀な労務を確保してその生産に携わってもらうということが重要な要件であろうかと思いますけれども、山林の季節的な労務ということから通年雇用がいままでなかなかでき得なかったという実態でございます。したがいまして、われわれはそういう通年雇用がやり得るような施業あるいはそういう仕組み、そういうものを考えまして、そういう形の中で労務を安定して、そして社会保障その他もそれに応ずるような形に持っていってその中で安んじてやっていただくという形を打ち出していって対処してまいりたい、その点が現在の問題点というふうに存じておる次第でございます。  大体かいつまんで申し上げますと、以上のとおりでございます。
  71. 永井勝次郎

    永井委員 四十一年の四月に決定いたしました森林資源に関する基本計画需給に関する長期見通し、こういうものは承知しております。また、造林は六十年度までに、林道は六十五年度まで、これこれの目標に達したいという、こういう目標承知しております。しかし、いま長官が触れられたように、造林一つとりましても、実際は三十六年をピークにいたしまして下がっておる、それは民有林のほうが下がって国有林のほうはそう減ってない。林業の報告では、国有林はふえていると言いますが、実際は九万ヘクタールを割っておるのではないかと思うのでありまして、こういう計画でいきますと、いま言った造林を六十年度までに四百九十八万ヘクタールを実現するというような目標さえできないのではないか。いわんや造林したあとのいろいろな障害、そういうものを差し引きますと、実際にふえていく量としては、もっと造林を増強して、その中にリスクを織り込んで最低の条件で、いろいろなものが起こりましても目標は達成できるという確実性のある計画を実行するのでなければいけないと思うのです。林道なんかにいたしましても同様であります。でありますから、私はそういう状況から見まして、それならば需要は最初の計画どおり需要増なのかどうか。需要は最初の目標よりもうんと伸びているのではないか、生産は予定よりも伸びない、それを下回っている、こういうアンバランスがこの計画の実行の当初においてすでに出ておる。これがずっと目標年度までいきましたときの格差というもの、アンバランスというものはもっと拡大され大きなものになるのではないか、こう私は思うのでありますが、そういう需給関係、それから計画の中における基本的な問題点、そういうものをどういうふうに的確におつかみになっているかどうかを、あらためてさらにお伺いをしたいと思います。
  72. 片山正英

    片山(正)政府委員 御指摘需給長期考え方でございますが、閣議決定をいたしました需給見通しと申しますのは、これは中期経済計画、いわゆる経済企画庁で立案されましたものをもとにしまして実は策定いたした需給数字でございます。そこで長期を見ました場合に、大体昭和九十年までを、今後五十年を予想してやっておるわけであります。その中で需給がどうなるかということは非常にむずかしい問題でございますが、国民総生産木材需要との過去の相関関係を指数にいたしまして、それをもとにして伸ばして総計いたしたのがこの需給でございます。そこで、このような数字がはたして五十年後どうなるかというのは、基本的な社会経済情勢をどう判断すべきかというのが相当問題であろうかと思うわけでございます。しかしながら、中期経済計画はいますでに変わっております。それから最近の情勢は、先ほど申しました中期経済計画に基づきまして、先ほどもちょっと御説明申し上げた点でございますが、八・一%の国民所得伸びということを前提に置いて算定をいたしたわけでございますが、最近の四十年から四十一年、四十一年から四十二年の指数の伸びはこれを相当上回った形になっております。したがいまして、建築需要とかその他そういう需要が当初目標といたしましたものよりは伸びております。そのような関係から需要というものが当初想定よりも伸びてまいったわけでございます。ところが、その需要伸びに対する生産伸びというのは、先ほど申しました資本装備並びにそれに関連する生産基盤が当初の計画よりは若干下回る姿であったために、その需要伸びに即座に追いつけないという形がございます。そのような関係で、その差額は大体外材でまかなわれてきた。したがいまして、四十一年度は外材が三二%強でございましたのが、四十二年度になりますと三九%までの依存になってまいったというような実情でございます。  したがいまして、私のほうといたしましては長期計画というものについても検討を始めておりますが、当面の問題として今後五カ年というものを対象にいたしまして、需給計画を新たに作成しておる段階でございます。
  73. 永井勝次郎

    永井委員 五十年後の長期展望に立っての予測というものはいま的確につかめない、それはそのとおりであろうと思う。また、いろいろな経済環境の変化によりまして、いろいろな計数のとり方にいたしましても違いが出てくる。違いが出てくるが、計画としては現在予測もし得る条件に立ってこれを予測していく。それが変わってきた場合にはその変化に直ちに対応していける体制というものがなければならないわけでありますが、計数の違いは違いとして、それに対応できないという弾力的な備えのないいまのやり方については、われわれはさらに長期の展望に立っては不安を持つわけです。何といったって全林野面積の半分は造林可能面積である。その造林可能面積は、雑草がいたずらにはえて、木が茂っておらない。そして、これだけ資源が不足なのに、その造林というものの伸び一つをとりましても、それすらが計画よりずっと下回っている。出発早々からそういう実情を見ますと、将来の展望に対してわれわれは非常な不安を持つわけであります。  そこで、林力が弱い、だんだん衰弱していく、それに合わせて、生長率は幾らだからこのくらいは切れるのだ、あるいはもっと切ってもいいというようなことで、算術計算を基礎にして切っておるのがいまの切り方だと思うのです。八千万立方からの需要に対して二千五百万立方近くの輸入材が入ってきている。それがどんどんまたふえている。こういうような需給関係一つ見ましても、鉄鋼であるとか繊維であるとか、こういうものは原料を輸入して、それを加工して再輸出へ向けるのですからまだいいのでありますが、林業などの場合は、資源を育成する条件を国内に持ちながら、造林可能面積の半分を遊ばしておいて、そしてどんどんこういう多量な輸入材が入ってくる。その輸入材を国内の林力を林養させる期間として活用するというだけならば、そういう計画性のある輸入のしかたならまだいいのでありますが、ただ需要伸びてくるということだけに押されてどんどん入ってくる。その輸入材というのは、需要の面でこれが入ってくるのでありまして、日本の林政としての計画の中に織り込まれて、そういう総合的な計画の中で計画的に輸入されているというのではない。需給関係で入ってくる。資源の問題あるいは生産の問題、そういうものと結びつかない形でかたまりで入ってきておる、こういう現状であるとわれわれは思うのでありますが、長官はこういう輸入材の大量の輸入、その輸入の入り方、消流の関係、こういうものが日本の林政にとってプラスの形で入ってきているのか、あるいはこれが将来大きく役立つ形で入っているのか、日本の林政を健康にするための性格のものであるのかどうか、これに対する評価を聞きたいと思う。
  74. 片山正英

    片山(正)政府委員 日本森林あるいは林業の方向といたしましては、要点をかいつまんで申し上げますと、これから十カ年ないし十五カ年、これが日本の山の一番苦しい時代でございます。と申しますのは、端的に申し上げますと、人工林が先ほど申しましたように三二%しかない。その三二%の人工林のうち六七%が終戦後植えられた木である。したがって伐期には達しておらない。そういう木が六七%も占めておる。そういう実態がございます。なおまた、残りの面積につきましては、御承知のように天然林かつ薪炭林というものがございます。その薪炭林がこれまたその面積の四〇%はそういうもので占められておるというところに、一つの問題点がございます。したがいまして、そういう薪炭林の低質なものを速急に解決して、あるいは拡大造林して、将来の用材の需要にマッチさせることをわれわれは努力しなければならないというふうに思うわけでございます。  そのような山の状況でありますけれども、なお三割余の未開発林の山がございます。したがいまして、その山をやはり速急な開発の中で当面の需給をまかないながら、かつ将来に備える人工造林に持っていこうというのが趣旨でございます。ところがそのテンポというのは、御承知のように全山でございますので、そう一挙にまいるというわけにもいきません。かつまた、零細所有者を含めたそういう生産体制が、一挙に資本装備が高度化するというわけにもまいりません。われわれはそういうところに一日も早くなるように努力はしておりますが、やはりある期間を要するというふうに思わざるを得ません。その期間がやはり十年か十五年どうしてもかかるであろう。したがって、その間外材に対する依存率が逐次高まるということはやむを得ざるものでなかろうかというふうに思う次第でございます。しかし、その間を過ぎたならば、逐次国内材の自給率は高まりまして、われわれは九割の自給率を保つ段階までは持っていけるように努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、ここ当分はやはり外材の依存率は多少高まるのじゃないだろうか。しかし、われわれの目標として、いま当面、先生も御指摘になった、遠き将来ではなしに具体的に見込める範囲で、今後五カ年ということを想定いたしますと、できれば自給率は六割、外材は四割という形で——これはもちろん廃材を含んでの率でございますが、そういう形でやってまいりたいというふうに想定いたしておるわけでございます。
  75. 永井勝次郎

    永井委員 私は、国内の林力が弱まっている、あるいは資源が窮乏している、こういうことは総体的には認めます。しかしながらそれならば、この持っておる林力を一〇〇%合理的に運営されているか、こういえば、林道がないためにいたずらに過熟しているところはそのままに放置されておる。あるいは里山の近くでは少々伐期に早いものでもこれは切っていっている、切らざるを得ない。こういうふうに、合理的な経営の線にのぼっておらないのであります。こういう点を、もっと林道をつけて過熟林はもっと市場に出して、そして国土面積の七割が林野面積でありますから、その七割の半分が雑草がはえておるというようなむだなことではなくして、できるだけ造林を増強していく。たくさん切るということは、単に切れば、当面の需要にできるだけ量を対応すればいいというのではなくて、長期の展望の中で資源を培養しながら、切れる条件を整えて、できるだけたくさん切っていくということをしなければならないのでありますから、たくさん切るという積極的な面に重点を置いて、そういう戦略目標の中で、どうしたらたくさん切れるかという林業政策が確立されてこなければならない。これだけより切れないのだからこれだけに縮んでいくのだという縮小再生産政策をとっていけば、これは縮む一方であります。とにかく戦中戦後を通して日本国内の山を乱伐したのですし、あるいは風倒木その他で災害を受けておる。こういうような状況から、そういう長期にわたる人為的あるいは自然的災害を受けた山をできるだけその傷を回復しますためには、私は国有林野の独立採算制の中だけではなくて、これは国土の問題でありますから、国が大きく金を投入して、少なくも残されたわずかな資源あるいは膨大なはげ山になっている地点をいかにして増強し、いかにして合理的に運営するかという、積極的な取り組みがここになければならないのではないか。そういう取り組みをしますためには、国有林野の中でできないならば、私は国の一般の予算の中から問題を提起して国策的にこういう問題を解決するようにしていかなければならない、こう思うのです。  長官は、これは現状でけっこうです、国有林野の独立財政の中で十分やっていけます、また現状計画で十分です、こういうふうにお考えなのか。不足ならばその不足をできるだけ短い期間に補足をして、さらにはそれを拡大して、そして荒廃している国土にうっそうたる木を茂らせていくということを計画の線にのせなければならないときではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  76. 片山正英

    片山(正)政府委員 国有林の使命でございますが、国有林の公益上の使命もさることながら、かつまた、そういう木材生産の場としての国有林の使命も非常に重要だ、こういうふうに思っておるわけでございます。  ところで、国有林の現在運営しております実態でございますが、御承知のように国有林生産をして、そのあげた金でまた再投資をして将来の木材生産に寄与するという形でいわゆる経営的に運営しておるものと、それからもう一つは、たとえば治山事業でございますが、やはり御迷惑をかけないように早く復旧するという意味で、これはもうかったからやる、もうからぬからやらぬという性質のものではなしに、いわゆる国土の保安上早くしなければならないという性格のものと、二つあるわけでございます。  そこで、国有林の運営しております実態を若干申し上げますと、国有林は特別会計になりましたときが昭和二十二年でございますが、その総予算は二十二年当時に対しまして、全体の予算の伸びは約二十四倍になっておりますが、治山関係伸びは百八倍でございます。したがいまして、治山に対していままで非常に努力をしてきてまいった姿がおわかりいただけると思うわけでございますが、ただ治山は、先ほど申しましたように、もうかったからやる、もうからぬからやらぬというものではございませんで、この伸びが非常に増加いたしますと、当面の国有林の収支というものに対しては確かに問題になるわけでございます。そこで二、三年前からその点を関係官庁ともお話し申し上げて、治山の一部につきましては一般会計からの補助もいただきまして、いわゆる治山勘定というのを十大流域については設けまして、その中で推進をする形になったわけでございます。  なお、したがいまして、国有林そのものの事業につきましては、合理的な運営を通じまして、国土の保安はもとより木材生産の増強に対処してまいるという形で進んでまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  77. 永井勝次郎

    永井委員 主計局次長にお尋ねしますが、これは政策論議ですから無理かもしれませんが、いまの日本の林力は先ほど来話のありましたとおり衰弱している。そして需要の約三分の一、金額にいたしますと一兆円に近い輸入材でこれがまかなわれておる。そして国内では林野面積の半分が遊んでいる。それから林道がないために、造林がされないためにそれだけの空地になっておる、あるいは国内で足りない資源の中で奥地等においてはどんどん過熟していっている。そういうところを残しながら一兆円に近い輸入材が年々入ってきておる。そして国内国内材が減れば減るほど値段が上がります。国内で上がれば外材輸入価格も年々上がってくることはあたりまえです。そういう悪循環の中で国内の資源が培養されないまま長期の期間を経過するということは重大な問題だと思うのでありますが、これらに対して当面の国内資源を合理的に運営する前提となる林道、こういうものにもっと大幅に金を投入しなければならない。国有林の中でもうけた一部の金を一般会計に繰り入れているような状態でありますが、繰り入れるなどという財源の余裕なんかいま国有林にはないと思うのであります。そういう金をもっと思い切って、当面の運営を合理化するための条件としての林道造林につぎ込む考えはないかどうか伺います。
  78. 相沢英之

    ○相沢政府委員 確かにお話しのとおり、外材輸入が九億ドルもこえ、さらに今後もふえる趨勢にありますことは、他の農林水産物の輸入がふえておりますことと同様に、これはいろいろな面において非常に多く問題をはらんでおると思います。おっしゃるとおり、国内の林産資源をふやすために、またそれを活用するために所要の予算措置をとるということにつきましては、私どもも窮屈な財政のワク内におきまして従来も努力しておったところでございますが、何ぶんにも林木は財政措置をいたしましても、それが成果となってあらわれるまでには数十年という期間を要しますので、なかなかそれが目の前に結実してくるのを見られないという点について、ずいぶんもどかしい感じを持つものでございます。予算の措置の面では、林業関係、これは治山も含めてでございますけれども、四十三年度では八百三十六億円、四十二年度の七百五十八億円に対しまして、相当これは努力して増額したつもりでございます。造林林道につきましても、それぞれ所要の増額を行なっております。また、これには森林公団の出資等は含んでおりませんが、それもいま申し上げた数字のほかに、四十三年度でございますと約五十億円ございます。したがいまして四十三年度におきましては八百八十六億円ほどいわば財政措置といたしまして林業関係には予算を計上しているわけでございます。今後につきましてもまたこの林業長期計画の線に沿って、できるだけ所要の予算措置を講じていきたいというふうに考えております。
  79. 永井勝次郎

    永井委員 私は、予算の金額面からどうこうということを言っているのではないのです。前年に比べてこれだけ伸びた、そういう比較は私は問題にならぬと思う。また、年々インフレでこういうふうに物価が上がっておるのでありますから、予算面における金額の比較では確かにふえているでありましょうが、そういうものを事業量という点にしぼって比較いたしますと、事業量は私は引っ込んでいっていると思う。そういう問題よりも、日本林業の現在の実態がどうあるのか、その実態に即してこの予算は適応しているのかどうか、いろいろな林業の現場から要求する林道があれば、今後過熟林を市場に出すことができる、これだけの造林ができれば、造林ばかりではなくて治山に対する基本的な対策もできるのだ、そういう現場の要求がいろいろある。その要求に対してこの予算は適応しているのかどうかということが問題であって、昨年に比べてどうなんだ、昨年に比べてこれだけふえているのだ、そんなことは問題でありません。比較してこれだけふえたのだということですが、黙っておったって事業量を同じにしておけば金額はふえなければならぬ。金額だけふえて事業量が減っていっているというのが大体の公共事業関係実情だと思う。  そういう面で、主計局次長は、いまの日本林業の当面している危機、こういう危機に対してこの予算は十分に要求にこたえている、こういうふうにお考えなのかどうか、その点を、うしろ向いた前年比較というのではなくて、これからの、非常にいろいろな病気を持っている、その病気を治療し、さらには進んでその健康を、山の健康を回復していく、増強していくということに適応する予算であるかどうかという点についてのお考えを聞きたい。
  80. 相沢英之

    ○相沢政府委員 単に予算の金額が前年に比べてふえたというだけでは何ら根本的な対策になっていないではないかという御意見だと存じます。私ももちろんさように存じますが、しかしながら、現在林業の置かれておりますところのいろいろの困難な問題を解決するには、単に予算上の措置を拡充するということだけではなく、日本林野において非常に大きな比重を占めておりますところの国有林のあり方についてどういうふうにするかとか、また、一般にこれは農林を通じていえますけれども、適正な労働力をいかにして確保するかとか、いろいろな面におきまして問題があることは私どもも存じております。したがいまして、そういう根本的な対策を抜きにいたしまして、単に林業に投じられておりますところの予算の額がどの程度になったかということを申すだけではお答えにならないかと存じますが、私ども予算を担当しております者といたしましては、林野庁のいろいろな面からの検討の結果に基づきまして、要求のございました予算の要求のラインに従いまして、できるだけこの仕事を円滑に進めるというような観点から予算の措置を考えてまいっているわけでございます。予算は伸びても事業量は伸びてないではないかというおしかりをいただきましたけれども、労務費単価、資材費単価等の値上がりを考えましても、事業の量といたしまして、ただいまのところの予算措置をもってしましても、前年よりも低くなっているというようなことは決してないというふうに考えております。
  81. 永井勝次郎

    永井委員 私は、予算のぶんどり、予算の配分というものは、国にしっかりした政治の姿勢があれば、圧力団体がどうあろうと必要なところに必要な予算が適正に配分される体制にあると思うのでありますが、いまの保守党のように、在外資産だといえばそこに金がいく、あるいは地主補償だといえばそこに金がいく、そういうふうに暗いところに金がいくものですから、山に木を植えるとかあるいは林道をつけるとか、そういう基本的な問題、選挙と直接結びつかない、こういう国策の基本的な問題のほうにはどうも予算が行き渡らないといううらみがあります。それだけに国会の中で、林野庁あたりがもっと国有林の現在の実態というものをだれにでもわかるように明らかにしながら、そうして急速に対策を充実していかなければ、千載に悔いを残すというその実情を強調して、そして正しい政治的な解決を強力に推進するのでなければ、幾ら茶話のように困った、困ったと言ってみても問題の解決にはならない、私はこう思うのであります。  そういうふうな意味からいたしまして、予算の総額というものが一応あるのでありますから、その中でどうそれを配分するかということについても、いろいろな事情からそう急速にどうこうということもできないことも、いまの政治の体制の中ではよくわかるのであります。しかし、そういうような問題を前提にいたしまして、それならばそれとして、林野としては、いま二千四百万から二千五百万立方の輸入材、さらにはこれから当分はどんどんふえていく、こういうような状態をあれよあれよと見ている手はないのであります。ただ需要者のところにまっすぐ陸揚げされてすっといってしまう、そうして日本造林とも、日本林道とも、あるいは日本林業の構造的な改善というようなものにも結びつかないままで、単に処理をされていってしまっておる、こういうような形はもう少し考える必要があるのではないか。あれよあれよと手をこまねいて見ている、そうして一兆円近い外材がどんどんどんどん上陸してくる、こういうものをただ見ている手はないのではないか。これを、もっと日本長期にわたる造林であるとか林業であるとか、あるいは森林資源の育成、培養、国土の保全というような面に役立つ形において、計画的に、合理的に考えていく必要があるのではないか。それは関税ということについては、いろいろ国際的なガットその他がありますから問題でありましょうけれども、国内には木引税という流通税がずっとあるのであります。従来そういうレールが敷かれておりながら、国内には流通税をかけるが、外材には何もない。ただあれよあれよと見ているだけだ、こういうばかげたことはないではないか。もっとこれを結びつけて考える考え方というものがあってしかるべきではないか、こう思うのですが、これについて長官はどのようにお考えですか。
  82. 片山正英

    片山(正)政府委員 お話は三点あったように伺いますが、まず第一点は、木材輸入をあれよあれよという形で見ているのかというお話でございます。  先ほど申しましたように、長期見通しというのが閣議決定を経ているわけでありますが、最近の事情は若干食い違っております。したがいまして、最近の五カ年というものを対象にいたしまして一応の需要推定を行なったのでございます。それによりますと、四十二年が約八千七百万立方の需要でございますが、それが四十七年には一億五百万立方程度伸びるのではないか、一応そういう想定をいたす次第でございます。その中で、国内の供給力というものをどう判断するかということでございますが、これは、いままでの推移並びに今後の対策を含めますと、四十二年で五千七百万立方が大体生産されておったのでございますが、これを、おおよそでございますが、大体六千三百万立方程度に伸ばし得るのではないかというように一応想定いたします。そうしますと、その差額が四千二百万立方ほどになるわけでございますが、これが一応外材増加を来たすのではないだろうかということで、運輸省その他とも御連絡を申し上げまして、その輸入見通しについてはお打ち合わせをしているわけでございます。そうしますと、大体需給率六割というところが当面の一つの姿として安定した形であり、それでやってまいる以外にはないのではなかろうかというように私どもは思うわけでございます。  それからもう一点、国有林のいまのあり方でございますが、御承知のように経営的に申しますと、現在国有林は保安林が大体二六%程度あるわけでございますが、今後の国土保全その他を考えますと、これは少なくとも五〇%近いものになってまいるのではないかというように考えるわけでございます。したがいまして、残りました土地に対しましては、現在人工造林が百三十三万ヘクタールでございますが、それを三百四十万ヘクタールまで持っていって、その生産を高め、合理的な施策をやってまいりたいという基本的な方向でございます。  それから、木引税が内地材にかかっておって外材は何もかからぬじゃないかという御指摘でございます。なるほどそのとおりでございます。ただ木引税は、御承知のように土地には固定資産税がございますが、日本にはございません。そういう課税が伐採のときに実は木引としてかかっているわけでございます。山の管理その他も市町村としていろいろ重要であるわけでありましょうが、そういうものとの関連もございまして市町村税としてかかっているわけでございます。  なお、この木引の問題については、いろいろ問題もございますので、林野庁といたしましても基本的に検討はいたしている段階でございますが、市町村の固定財源との関係もございますので、いまのところは内地材には木引税があって外材にはないということでございます。そこで、外材に対してどう対処すべきかということが問題になろうと思うわけでございます。ただ現在輸入税その他がだんだん撤廃される方向にありますだけに、なかなかむずかしい問題だと思います。しかし、取引という面から見ますと、なるほどアンバラのような姿もあるわけでございます。でき得べくんばそういうものが山林投資との関係でできないものだろうかということも一応考えられるわけでございますが、それらを含めまして検討してみたい、かように思っている次第でございます。
  83. 永井勝次郎

    永井委員 時間がないということで、政務次官にお尋ねをいたしまして終わりにしたいと思うのですけれども、いま林業政策一つの大きな転換期に来ている。そうして二年や三年、五年あるいは十年くらいどっちに動きましても、その成果というものはそんなに顕著にあらわれてこない。したがって、やかましくない、また選挙にそう大きく直接影響しない、そういう関連の中ではこういう国策の基本的な問題は投げやりになりがちだ、おろそかになりがちだという条件があると私は思うのです。でありますから、私はもう少し時間をかけて、日本のいま当面している林業の診断をもっと長官等と詳しくいろんな角度からやりまして、その診断の上に立ってこれからどう治療方針を立てるかということを論議しなければ、ほんとうの議論の線がかみ合ってこないと思うのですが、時間がありませんから、先ほど来二、三質疑いたしましたものの集約として、ひとつ政務次官から答弁をいただきたいと思います。  林力はいま弱まっているけれども、国有林長期にわたって国の需要にこたえていく、こういう公益的なあるいは資源的な性格を持っておる。だから、林力が弱まったからこれだけよりつけられないのだという算術計算的なやり方ではいけないのではないか。縮小再生産の方向でなくて、もっと拡大再生産の方向の政策を立ててその中身を充実していく。そして造林はできるだけうんとしたほうがいいんだし、林道はもっと短い期間に完成したらいいんだし、その他のいろんな諸施策もそれに合わせて国の財政の力をできるだけ山に投資することが私は必要だと思う。もっと切って拡大再生産のかまえを確立するということを前提にしまして、林道にもっと金を入れるべきではないか、もっと造林をすべきではないか、国土の半分が草だけがはえている、あるいは林道がないために過熟している山をほったらかしてある。これはばかでもわかる不経済をしているのではないか。そういうふうに取り組むべきでないかということが一点。  それからもう一つは、国内木材需要が八千万立方、そのうち二千四、五百万立方が輸入材、そしてそれが年々ふえていく。国内材が少なくて外材が多いのですから、どうしたって最近のように国内木材価格が上がってきます。国内価格が上がれば上がったに比例して外材は安く日本に持ってこれません。国内価格が上がれば上がるにつれて外材もどんどん上がってまいります。そういうふうにいたしますと、この木材国内でほとんど消費されて、加工されて再輸出というものは合板その他少数のもので、大部分は国内消費だ。そうすると、消流の関係を片回りして、日本林業の再生産的な面での結びつき、有機的な関連というものなしに消費されてしまう。そして値段だけはだんだん高くなっていく、こういうことでいいのかどうか。これだけの大量の輸入に対して、国内では木引税その他の流通税があるのでありますから、税金のかけ方その他いろんな角度から技術的に検討をする必要がありますが、これだけのものを輸入いたします以上は、それをもっと国内の林力増強の面に結びつけた扱い方があるのではないか。それをもっとくふうすることが必要ではないのか。黙っておけばみんな値上がりして外国に持っていかれてしまうわけです。国内価格と向こうの輸入材との間に何らかの税金を取る幅を持たして、その幅を国内の林力増強の原資に振り向けるような考え方を国をあげてやるべきではないか。もちろんケネディラウンドその他で自由貿易の方向に動いておるとはいいながら、またその反面、アメリカの課徴金その他のように保護貿易の方向へもどんどん動いておる。ことに日本の林力というのは戦時中、戦後あるいは風倒木その他でほんとうに荒れ果てているわけでありますから、これを国土保全の立場から見ても、資源の上から見ましても、林業を企業という面から見ましても、急速にこれを増強する必要がある。声を出さないからといってこれを虐待することは重大な悔いを残す、こういうふうに思うのであります。この輸入材に対する課税あるいは何らかの方法における国内の資源増強に寄与させる、こういう角度からの検討が必要でないか、こう思うのでありますが、これはひとつ大蔵省においてもできるだけ国有林に金をつぎ込むことを考えてほしい、そしてこの輸入材について何らかの措置で税金その他の方法で山に還元する方法を考えてほしい。  この二点について、政策的な問題でありますから、政務次官からお伺いしたいと思います。
  84. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  第一点の、林業というのは、長期的な視野で考えなければならないという永井委員の御指摘は、全く同感でございます。そういう角度から、やはり目先のことだけではなくして、もっと長い目で日本林業というものを考えていかなければならないと思います。  国有林野の問題につきましては、御指摘もございましたけれども、国土保全という公共的な面がある、その反面やはり木材生産という経済事業の性格と、この二面を持っていると思います。したがって、国有林野の会計におきましても、できるだけ能率的に、できるだけ合理的に今後の経営をやっていく姿勢も必要であろうと思います。そういう姿勢の上に立ってこれから国有林野をますますりっぱなものにしていく、そういうことで農林省林野庁当局でいろいろ御計画いただいて、それが合理的なものであれば、これに財政面の御協力をするのは当然のことであろうと思っております。  それから、第二の外材輸入問題は、九億ドルにのぼる輸入、これがますますふえていくということでありますから、これはやはり非常に重要なゆゆしい問題であると思います。この輸入は、私の考えでは二つ側面を持っている。やはり木材需要が、絶対量が足らないわけでありますから、どうしてもある程度輸入をしなければ、縮小再生産、乱伐におちいるという意味から、やはりこれは輸入しなければならない。しかし今度は、永井委員も御指摘ございましたけれども、輸入いたしますところの外材価格というのが国内価格に非常にいろんな影響を及ぼしてくる、あるいは造林意欲をなくするほうに影響を及ぼす場合もありましょうし、いろいろな多角的な影響を及ぼすということでありますから、外材輸入国内生産ということはやはり十分ににらみながらやっていかなければならないという御指摘は、まことに適切な御指摘であろうかと思います。  そこで、外材輸入を何らかの形で税の面で捕捉をして、これを国内国有林等の拡大再生産に利用できないか、いわば酪農の場合に乳製品の輸入差益を取って不足払いの財源に充てる、こういう思想の御提案だと思います。これにつきましては、非常に検討に値する御提案だと思いますけれども、やはり関税の問題あるいはその他いろいろ影響するところが大きい問題でございますから、ただいまの御趣旨をどういう形で実現したらいいかということをひとつ勉強させていただきたいと思います。
  85. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 中野明君。
  86. 中野明

    中野(明)委員 時間があまりないようですから、できるだけ重複を避けて焦点だけお尋ねしたいと思います。  最初に、この法案の事業勘定から直接開発公団に出資することにされたその理由を次長のほうからお伺いしたいと思います。
  87. 相沢英之

    ○相沢政府委員 森林開発公団に対する出資を直接国有林野事業特別会計から出すことにしましたのは、数点理由がございます。  その一つは、この出資は、従来国有林野事業特別会計の特別積立金引当資金を財源といたしまして、これを一般会計に繰り入れ、一般会計から森林開発公団の出資その他林政協力に必要な事業に充てることになっておったわけでございます。しかし、特別積立金引当資金は、今後国有林事業特別会計の収支の状況を勘案いたしますと、それほど大幅にふえるという見込みはございませんで、むしろ不安定な要素が多いわけでございます。   〔金子(一)委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 したがいまして、現行の制度のままでございますと、森林開発公団に対する出資を安定的に確保することが困難になるというようなおそれもございますので、この森林開発公団への出資を優先的にいたしますために、従来の一般会計へまず繰り入れてそれから森林開発公団へ出資するという、そういういわば間接的なやり方を改めまして、直接国有林野事業特別会計から森林開発公団へ出資できるようにいたしたわけでございます。他の林政協力のための繰り入れば、したがいまして森林開発公団への出資をいたしましてなおかつ余裕がある場合に特別積立金引当資金から一般会計に繰り入れるというふうになるわけでございます。それが一点でございます。  もう一つは、一般会計に国有林野事業特別会計からまず繰り入れを行ない、一般会計から森林開発公団に出資するという形では、この両方の間に、つまり一般会計への繰り入れと森林開発公団への出資との間に事実上の関連はございますけれども、制度的には何ら関連がないわけであります。つまり引当資金から一般会計への繰り入れは、これは言うなれば、一応目的は林政協力ということになっておりますけれども、それのみに限られていないという意味におきまして特定財源的に入れられるものではない。したがいまして、国有林野事業特別会計は引当資金を繰り入れるということでとどまりまして、この森林開発公団に対しては何らのいわば権利を持っていないわけであります。これを林野事業特別会計から直接森林開発公団に出資いたすことになりますと、いわばそこに出資権を持つことになりまして、林野事業特別会計がそこで内部留保を厚くすることが可能になるということでございます。これが理由の第二点であります。  もう一つは、従来国有林野事業特別会計の引当資金から一般会計への繰り入ればひもつきではございませんが、その相当額が一般会計から森林開発公団への出資に充てられておりますので、その限度におきましては同じ金額が一般会計を経由して森林開発公団に出資されているといういわば迂回したルートを通っておったわけでございます。それぞれの歳入歳出にいわばダブって計上されるという形になっております。そういったことで、これを直接的にすることによりましてそのルートを簡略化する、こういった点につきましても意味があるというふうに考えたわけであります。これが改正案の第三点の理由でございます。
  88. 中野明

    中野(明)委員 いま御説明があったのですが、一応こういうふうにいたしますと、けさほどから議論がありましたが、将来もしも国有林の特別会計のほうから繰り入れ不可能になった場合の保証、裏づけがどうなるかということについて非常に私どもも疑問に思うわけであります。わざわざこういうふうにする以上は、その反対の場合も考えられる。反対の場合に何の裏づけもなければ現在のままのほうがいいのではないか、そういうふうに議論が出てくるわけです。この点もう一度御答弁願いたい。
  89. 相沢英之

    ○相沢政府委員 森林開発公団の行なっておりますところの水源林の造成事業は重要な仕事でございますので、かりに引当資金が枯渇いたしました場合におきましても、これはやっていかねばなりません。その場合の財源としましては、財政投融資とあわせて一般会計からの出資が考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、もしそういう引当資金が枯渇するような状態になれば必要財源は財投とあわせて一般会計から考えていく、かように考えております。
  90. 中野明

    中野(明)委員 もう一点法案のことですが、「当分の間、」とこのように出ておりますが、いま御説明のありましたように、将来国有林野がそういうふうな状態で公団に出資できるような状態になくなった、そういうときまでの間をさすのかというふうに初め思ったのですが、この「当分の間、」と非常にあいまいな表現をされているわけです。これについてもう一度説明をしていただきたい。
  91. 相沢英之

    ○相沢政府委員 国有林野事業特別会計の特別積立金引当資金が枯渇してしまいますれば、これはもう出資いたそうにもできないわけでございますから、それまでの間でということで「当分の間、」というふうな限定をしているわけではございませんので、これは先ほども申し上げましたが、国有林野事業特別会計の運営につきましては、すでに中央森林審議会から根本的な改革も含めた検討を行なわねばならないということが意見として出されておりますので、どういう形になりますかは今後の検討の結果によりますが、いずれにしましてもそういう点につきまして結論が出ました場合には、現在行なわれておりますような国有林から森林開発公団へ出資するというようなことがはたして行なわれるどうか、その辺についてもわかりませんので、そのような結論を得るまでの間という意味におきまして「当分の間、」という限定を加えたわけでございます。
  92. 中野明

    中野(明)委員 林野庁長官にお尋ねしますが、国有林野事業の経営の今後の見通しについて、いまのお話を通し、また今後見通しが容易でないというようなことがいわれておりますが、長官のほうからその点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  93. 片山正英

    片山(正)政府委員 簡潔にということでございますのでお答えいたましす。  国有林野の収穫量が、いわゆる伐採量が収入の根源になるわけでございます。その収穫量は大体四十七年まで若干減少してまいるというのが実態でございます。それ以降は今度は逐次増加する、こういうことでございますが、その間は若干減少する、こういう形でございます。したがいまして、財源的にはある程度制約がされる、収入に制約される。その反面、労賃その他いろいろな投資の関係がございますので、そういうようなものはどうしても今後は上昇せざるを得ないだろう。これは社会情勢からそういうふうに考えられるのでございますが、そのような観点を踏まえまして、いままでのような収入はそう大きくは期待できないのではないかというのが大体の様子でございます。
  94. 中野明

    中野(明)委員 過去、その年によってもかなり違いますが、収益が上がってきております。もちろん四十年から四十一年は赤字になっておりますが、こういうことも考えてみますと一木材の値上がりということが非常に大きな理由の一つになっていると思います。けさほどから議論になっておりますが、国土の七〇%近くを占めている林野、そのうち国有のほうはかなり造林その他の計画計画的になされているようですが、民有林ということになりますとこれは非常にさびしい状態、荒廃している山がたくさんあります。このことにつきまして、民有林造林計画というものが今後も非常に大きな問題にもなってまいると思いますが、こういう点については国のほうとして、林野庁としてどういう考えで今後進んでいかれるか。けさほどからの議論も当然そこに焦点がしぼられているように考えます。民有林造林が非常に停滞していることは事実であります。このままでいきますと、木材生産にも当然関係がございますし、それから国土の保全の問題にも関連してきます。同時に、いま一番問題になっております農山村の人口の過疎問題というのは、もう大きな社会問題になってきております。こういうすべての要素を考えていきますときに、造林をどんどんしていくということがこれは根本的な解決の一つの中に入ると思います。この点についての林野庁長官の今後の決意というのですか、方針を聞かしていただきたいのです。片山(正)政府委員 御指摘のように造林について、国有林につきましては三十六年を一〇〇としまして約二割余の増加を現在しておるわけでございますが、民有林につきましては逆に二割弱の減少を来たしておるわけでございます。  そこで、民有林政策でございますが、現在造林につきましては補助造林、これは大体小面積所有者に対して主としてやっておるわけでございますが補助造林。それから融資造林、これは大面積所有者に対してやっているわけでございます。そのほかにいわゆる水源林という特殊の問題につきましては森林開発公団、あるいは低質の薪炭林を改良するということで最近各県でやってまいっております公社造林というのがございます。それらを通して推進してまいっておるわけでございます。  ここで問題点になりましたのが、先ほどもちょっと触れましたように薪炭林の山、これが需要がない、なかなか利用がつかない、それが一点ございます。したがいまして、それを用材林に切りかえるということが需要面としても問題でございますし、労務問題というところに問題点があるわけでございます。したがいまして、それを打開するという意味で、まず薪炭林需要を開拓する。たとえばパルプとかそういうものに結びつけていくというのが第一点にございます。  それからもう一点は、これらの山に対してやはり手厚い姿を打ち出していかなければならぬということで、昨年から団地造林というものをお認めいただきまして推進いたしておるわけでございます。これは作業用道路につきましても補助対象にしていただきまして、その材が有効に利用され、かつそのあと造林をされるという形で推進してやってまいっております。今後とも総合造林を進めるよう検討していきたい、かように思っております。
  95. 中野明

    中野(明)委員 重ねて申し上げるようですが、この人口の過疎問題のことにつきましては、これは社会問題として国のほうでも真剣に考えての重要な政策一つだと思います。それを考えていきましたときにこの造林事業、そしてまた、計画的な林業施策というものが解決の大きな役割りを果たす、このように私たちは強く確信を持っているわけであります。先日も私の地方でございましたが、山火事がありました。ところが、大騒ぎをしてもなかなか男の手が集まらない。やっとの思いで消防車に三人ほど乗って走ったというようなこと、これは極端な一つの例でございますが、そういうふうな状態、将来このままで放置しておけば、だんだん山村はそういう状態になって、男はみんなおらなくなってしまうというふうに地域の人たちも非常に不安を持っておるわけです。そういうところに結局造林計画あるいは林業施策を強力に推進していくならば、現時点ではまだ全体がそこまではいっておりません。いまのうちならば、何とかこれ以上過疎になる問題を防げるのではないかと私どもは考えているわけであります。ですから、そういうこと等考え合わされて、今後強力に造林計画については考えを持っていただいて、そして先ほどからお話が出ておりますように、もちろん木材生産にもあるいは国土の保全にも、あらゆる面に関連が出てくるわけでありますから、重ねて、いま答弁をいただきましたが、ただ検討を加えてそのようにしよう、こういうことでございますが、これは早急に考えて実施をしていただきたい、私どもはこのように思うわけであります。長官のほうからその面について積極的なお話もございましたが、いま一度お話をいただきたい。
  96. 片山正英

    片山(正)政府委員 御説明が少し簡単過ぎて申しわけなかったと思います。  ただいまの労務の問題に関してでございますが、従来林業の労務というのは非常に季節的なために臨時的な雇用というものが非常に多かったのが実態でございます。しかし、今後そのような形で推移することは林業推進には非常に問題がございますので、われわれとしましては、造林という季節の問題もございますが、さらに林業という面からしますと、生産とそういうことを組み合わせることによりまして通年的に持っていけるというふうに思う次第でございます。したがって、そのような方針のもとに予算化もいたしておるわけでありますが、その中で通年的な雇用を背景とした社会保障等も充実しまして、いわゆる優秀な労務の方々がとどまっていただくという方向にいきたいというふうに予算的に措置してまいっております。さらに林業構造改善あるいは労働力対策その他の施策がすでに出ておりますが、これはその綿に沿って極力早期再達成するような形で推進してまいりたい。  以上でございます。
  97. 中野明

    中野(明)委員 最後に一点だけ、蛇足になるようですけれども、わが国の国土の大半を占めておりますこの林業に対しての施策というものは、これは国のほうでも重要施策一つとして考えていただきまして、これは次官のほうから御返事を願えればけっこうだと思いますが、国有林野の収益から何とか林業政策を考えておるという消極的なことではなくして、先ほど議論もございました輸入の問題、木材の値上がりの問題、そしてまた国土保全の問題といろいろございます。特に民有林造林計画というものは種々さまざまな状態で行なわれておりますが、一貫性がないようにも思えます。こういう点について、国のほうの施策として大蔵省のほうでも特に関心を持っていただいて、やはり予算面の措置がなければどうすることもできない問題ですから、造林計画を推進する、そしてまた国土を保全する、そういう意味において今後強力な姿勢で臨んでいただきたい。そうする以外に当面する重要な種々の問題の解決ができない、私どもはこのように思いますので、その点について所信をお伺いして終わりにしたいと思います。
  98. 倉成正

    倉成政府委員 中野委員の御指摘のとおり、国土の七割を占めております国有林野あるいは民有林野をどうやってもっとりっぱなものにし、国土保全に役立て、またわが国の木材資源として培養していくかということは国策の基本問題の一つであると思いますので、これにつきましてはますます努力をいたしまして、十分成果をあげるようにいたしたいと思います。
  99. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  100. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  101. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正について御質問いたすわけです。  まず冒頭にお伺いいたしたいのは、交付税というのは一体何だということなんですが、地方交付税法の「この法律の目的」ということで「この法律は、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能をそこなわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」こういうように定めておられるわけであります。  第二条の第一項第一号におきまして「地方交付税第六条の規定により算定した所得税、法人税及び酒税のそれぞれの一定割合の額で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」こういうようにあるわけですね。  この交付税法の第一条及び第二条の第一項一号から申しまするならば、所定の所得、法人、酒税、国税三税の百分の三十二ということが今日法定の額であります。しかも交付税というものは第一条に掲げるように、いま読み上げたような性格を持っている。こういうことから申しますと、今回のこの特別会計法の一部改正によっていろんな複雑な措置を講じようとすることは、この交付税法の第一条の趣旨に反するのではないか、このことがやはり私は一番大きい問題点ではないかと思うのです。所定の額をかってに国が四百五十億を今年度は削減をする、こういうようなことをやっている。繰り上げ償還を二百五十億、資金運用部に対してやらせる、そしてそれを見合いにして借り入れ金を二百五十億やる。いかにもこの地方交付税というものを国の都合によってどうにでもいじり回す、そうして地方自治の本旨に従っての地方自治体の運営というものをどのようにでも国が左右することができる、こういうようなことになりまするならば、この性格というものは、今年は少なくとも政府の財政操作によって著しく曲げられた、こういうように考えますが、その点についてのお考えは、まず政務次官、いかがですか。
  102. 倉成正

    倉成政府委員 地方交付税の目的につきましては、ただいま広瀬委員から御指摘のとおり、条文に書いてあるとおりだと思います。  ところで、四十三年度の国の財政は、御承知のとおり、非常に内外の経済環境がきびしいということで、国の財政を極力圧縮してまいりましたし、一般会計のほうも公債の依存度引き下げ、また、財源の面でも、配分でも適正、効率的な配分をはかってまいったわけでございます。しかし、そう申しましても、制度的に当然に増加せざるを得ない、いわゆる当然増の経費というのが非常に多いわけでございまして、非常に財源難という状態になっております。  一方、地方財政のほうは、いろいろ地方財政自体にも多くの問題を含んでおりますけれども、四十三年度に関する限りは、地方税及び地方交付税増加がいまだかつてないような大きな伸びを示しましたし、また、国の公共事業が圧縮される関係上、地方負担の増加が小さいということで、国と地方という比較的な話をいたしますと、財源にはやや余裕があるのではなかろうかというふうに判断したわけでございます。  こういう情勢において、国及び地方財政の事情を勘案いたしまして、結局国の財政、地方の財政を通じて財政運営の効率化をはかっていく、円滑化をはかっていくということが、今日の経済事情の中で要請されてくるということでございますので、四十三年度予算で地方交付税の法定額から四百五十億を減額することにいたしました。しかし、これは四十三年度の特例措置として行なうものでありますし、また、今回の措置とあわせて四十四年以降三カ年間で百五十億ずつ地方交付税の法定額を増額することとしておるわけでありまして、国と地方の財源配分の基準となる交付税率三二%の変更を行なうものではございません。したがって、この地方交付税の精神は生きておるというか、十分堅持されておる。ただことしの財政、国、地方を通ずる財政事情から勘案いたしまして相互の調整をはかった、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけであります。
  103. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは大蔵省としてはそういう答弁をされるでしょうけれども、昭和四十三年度は地方財政はことのほか好転をした、こういう見方をされて四百五十億ことしの特例として削減をする、しかしあと三年間に百五十億ずつそれを上乗せしていくんだからと言う。そのことは当然私どももわかっておるわけでありますが、本年限りの特例措置なら、特例法という形で出して法律の審議をさせるべきだと思うのですよ。これはちゃんと地方交付税法の本体をそのままにしておいて特例だとするならば、こういう交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正ということではなくて、これはことし限りの特例だということで、やはりそういう特例法の形をとるべきだと思うのです。  まあそれは答えてもらわなくてもいいけれども、今度は自治省にお伺いいたしますが、自治省は財政事情が非常に好転した、そういうようにお認めになりますか。
  104. 細郷道一

    細郷政府委員 地方財政が出世したとか好転したとかいろいろ議論がございます。いろいろ聞いておりますといろいろ見方があるようでございます。たとえば非常に現象的な事柄をとらえて、好転したとか出世したとか、あるいは陳情が多いとか出張が多いとか、そういったようなことがございます。私どもはそういうことに対してはやはり厳格にすべきではなかろうかという態度で地方団体を指導してまいったわけであります。しかしながら、実体的にどうであるかといいますと、地方財政自体の持っております硬直性というものは依然として解消しておりません。財政構造の面から目ましても、自主財源が十分にない。さらに行政水準その他から見ましてなおやるべきことが多い。そういう点から見まして、私どもは形の上では一応そういった姿が見えるといたしましても、実体的にはやはりなお十分でないのだ、やるべきことが多いのだ、こういうふうに考えております。
  105. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いろんな見方もあるし、観点の違いというものも、確かに好転したかどうかという抽象的な文句では問題があるだろうと思うのですが、大蔵省は口をそろえて地方財政は好転したのだ好転したのだというPRを盛んにこの問題でいたしたわけであります。しかし、なるほど地方税収というようなものについても若干の伸びがあった、特に法人税等についての伸びがあったというようなことも私ども承知をいたしております。そういうようなことで自主財源なども自然増収が多かった。しかし、そういうようなときには国がすぐに介入してきて、好転したのだからというようなことで配付の方法にこういうような特別な措置をやってくるということは、これはやはり許されないことだと思うのです。ことし限りの特例だと言うのならば、先ほども申し上げたように、そういう形ではっきりさせて、ものごとの本質というものをはっきりさせていかないと、問題の本質を見失ってしまう結果になるのじゃないか、こういうように私ども思うわけです。  特に、私どもが地方財政が好転したかどうかということで一番基本に置いて見る立場というのは、行政水準というものがほんとうに向上したのかどうか。ほとんど恒常的にやるだけのことをやっていれば済んでいるというようなことで、大体地域住民、地方自治体の住民の要求というものは出てこない、大体いまの水準を維持していればいいんだというようなところまで到達しているのならば、そういうことも言えるけれども、これはあらゆる面で、地方財政に対する地方住民の要求、不満というものはまさにうっせきしているのですよ。そういうものを見ると、大蔵省が、地方財政は好転している、国は財政硬直化だというようなことを言うのは、私は、ほんとうの地方自治体の姿というものをとらえていないんじゃないかというように思うのですが、いま、財政好転だと言われた根拠をひとつ示してください。
  106. 相沢英之

    ○相沢政府委員 先ほど自治省の財政局長から答弁がございましたとおり、いろいろと見方がございますので、それぞれの見方によりまして、国、地方の財政が、いずれが余裕があるとかないとか、あるいはただいま御質問の、地方財政が非常に好転しているかというような点につきましても見解が分かれておると思いますが、私どもが見ておりますところでは、たとえば地方の財政の決算状況を見てみますと、四十一年度末で、地方団体は七百五十七億円の累積黒字と千二百十七億円の積立金とを持っておりまして、合わせて千九百七十四億円をいわば余裕資金として持っている。これに対しまして国は、四十一年度の剰余金五百三十九億円であり、しかもこれから交付すべき地方交付税の清算分百八十七億を除くと三百五十二億円にすぎない。財政規模は国も地方もほぼ同じようでございますから、これを見ますと、かなり国のほうが窮屈ではないかということになります。  また、国、地方の債務依存度について見ますと、四十三年度の財政計画で、地方団体は、地方債の歳入において占める比率が四・二%でございますが、国は、公債の依存率を極力引き下げる努力はいたしましたけれども、一〇・九%ということになっております。債務依存度から見ますと、そういったことで国のほうがまだかなり高くなっております。なお、債務残高の歳入に対する比率を見ますと、四十一年度末では国、地方ほぼ同じ程度でございましたが、四十二年度末では、地方の三二%に対しまして、国は四〇%を上回る見込みでございます。  それから、投資的な経費に充てられる特定財源を除いた経常収入のうち、人件費や一般行政費などの経常的支出に充てられている部分を示すいわゆる経常収支比率というものをとってみますと、四十三年度におきまして、地方は八〇%であるのに対して、国は九五%でございます。逆にいいますと、地方経常的収入の二〇%を投資財源に回せるのに対しまして、国はわずか五%しか回せない。  それから、給与水準について申しますと、地方公務員の給与水準は、国に比べまして、三十八年度の調査で、都道府県で七・九%、市町村で三・八%高い。そのうち六大都市は三四・二%高いという傾向が出ております。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕  その他、いろいろとり方はあると思いますが、私どもはこういったような点から見ますと、相対的には地方財政は、最近では国よりもややゆとりがあるんじゃないか、かように考えておりますが、これはあくまでもこういったデータから見ればそういうような見解も出てくるというのでありまして、絶対に地方団体は余裕があるんだということを申し上げているわけでもないのであります。
  107. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 表面にあらわれた数字を並べればそういうことになるだろうと思います。なるほどそれは一見好転したかに見える数字でありますが、しかし、その際大蔵省は——相沢主計局次長は主計局のベテランでありますから、いまさら言うまでもないことですけれども、やはり大蔵省は重要な観点というものを取り違えているんじゃないかと思うのです。最も大事なことは行政水準の問題だと思うのです。地域住民の要求というものにどれだけこたえられているか、地方自治とは一体何だ、地方自治の本旨は何だといえば、やはり住民の福祉であり、住民の願い、住民の要求というものがいろいろの形で生かされる。道路の問題でもそうだし、下水道の問題でもそうだし、あるいはし尿処理、ごみ処理の問題、至るところで問題になっていますよ。そういうような問題とか学校教育の問題、父兄負担の問題、いろいろ数え上げたら切りがない。しかも一番生活に密着している政治部面であることに間違いはないわけです。そういうところに、要求が実現されないというたいへんな不満がうっせきしているわけです。やはりそういう実態に着目することが大事だと思うのですが、そういう点についてどうお考えでしょう。そのあらわれた数字、それは行政水準を落とせば、そういう数字は幾らでも出てくる。住民の要求する生活の利便はどんどん地方自治体を通じて与えていく、つくっていく、そういうことをやっていくならば、これは限りない要求というものがあるわけです。それをまたやらなければならない。先進諸国の生活環境というようなものと比べて非常に低いわけですから、そういうものの実態に着目してどういうようにお考えでしょう。
  108. 相沢英之

    ○相沢政府委員 確かに、御指摘なさいましたいろいろな行政面におきましてはきわめて不十分な点があるということは、私どもも日常の生活を通じて感じているところでございますので、十分にやってなおかつ余りがある、そういう意味におきまして余裕があるということを申し上げているのでは決してないのであります。そういった生活環境の面であるとか、あるいはその他に対する投資的な支出がなおかつ不十分であるということは私どもも感じておりますけれども、しかしながら、具体的にあらわれてきている例で申しますと、たとえば、私どもから見ますと、きわめてぜいたくな庁舎をつくっているとか、俗に会館行政といわれているように、会館ばかり建てるとか、あるいは給与水準にいたしましても、国家公務員の場合と比べてきわめて高いものを払っているとか、そういった点について、地方団体も行政については指摘さるべき問題点があるのではないかということを、私どもは相対的に見まして感じております。  したがいまして、私どもはやはり地方行政、地方財政のあり方としまして、節すべきところはできるだけ節して、必要な行政水準の向上に充てなければならないのじゃないか。こういった点について、現在の地方財政のあり方につきまして、私どもとしてなお問題に思う点も多いわけでございます。
  109. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 確かにそういう、いまおっしゃられた一面は、私も認める面もあります。しかし、たとえば給与の問題などについて、これが国より少し高いというようなことについて、大蔵省がそういう角度でそうとやかく言うべきものではないと思うのです。それはやはり地域住民が地方自治の本旨に従って決すべきことであって、そのことによってどうこうということは私は言うべきではないと思います。会館行政だとか、あるいは市役所をたいへん分不相応なすばらしい、必要もないぜいたくな建物を建てるとかというような点についてはやはりきびしく、自治省がこれは監督官庁として、そういうようなむだ使いというようなものについては当然規制すべきだと思うのです。そういう点ではこれは自治省もしっかりしていかなければならぬ面は確かにあると思いますが、給与の問題については私は違った見解を持っておるわけです。  いずれにいたしましても、この行政水準がまだまだ非常に低く押えられているというところに着目をするならば、単に数字にあらわれた面で、行政水準を落としておいて黒字が出たといったのでは何にもならぬわけですから、とんとんにいっても行政水準はかくかく上がりました、これだけ住民は非常に生活環境が整備されて喜んでおりますというような事態が出ることが、地方自治の一番大事な点だと思うのです。そういう点について、今日、たとえば保育所の問題が非常に立ちおくれているというようなことが強くいわれておるわけであります。いまこの問題でも地方において非常に格差がございます。非常にたくさんの公営の保育所などを持っておるところと、そういうところはもうほとんど大きな都市でありながら、私営の保育所などの建設に非常に不熱心であるという格差がございます。  そういうような場合に、これは自治省に伺いたいのですが、大体同じような市のレベル、人口規模と財政規模というようなものを比較して、保育所というのはたとえば人口何万に対してどのくらいのものが適正だというような基準などがあるわけですか、そしてそういう指導というようなものをやられるお気持ちはあるんですか。
  110. 細郷道一

    細郷政府委員 保育所につきましての現実の指導は厚生省がやっておるわけでございまして、私どもは交付税算定の基礎になります基準財政需要額の算定におきまして、保育所につきましては社会福祉費の中でこれを算定することにいたしております。その場合に、標準の団体として十万の人口の団体を想定して、そこには保育所が幾つあるべきだ、こういうことから経費を割り出しておるわけです。いまお話しのありましたように、人口の段階に応じて保育所の数というものをきめてまいりますことは、一面では非常に理屈に合うわけでございますけれども、反面、実態から見ますると、必ずしも人口の数に応じてそのとおり置いていないというところもあるわけでございますので、実は今回の改正におきまして、標準団体におきましては従来どおりにいたしておりますけれども、保育所の数の多いところ、保育所の託児、児童数の現実に多いところにつきましては多いように、少ないところには少なくいくようにという補正の方法を新たに導入することによって実態に沿うようにこたえたい、かようにやっております。
  111. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最近共かせぎ世帯が多くなって、かぎっ子というような深刻な問題なども出ておるわけでありますが、たとえば栃木県の恥を言うようでありますが、宇都宮はそろそろ人口三十万になろうという北関東では一番大きい都市でありまするけれども、保育所が非常に少ない。こういう問題があって、最近共かせぎの奥さんたちが非常に騒いでおるわけであります。自治省が何らか、やはり市として人口三十万——これは人口だけでははかれない問題がたくさんあろうと思うのですが、そういう実態に着目して、共かせぎ夫婦が非常に多い、あるいはそういう保育所に入れることが必要だと思われる人数がどのくらい実態としてあるのかということに対して、きわめて小さい比率でしか保育所がないのだというものに対して積極的に、おまえのところは基準財政需要額の中で保育所の要求というようなものはほとんどないではないか、もっと効用面を高める必要があるのではないか、そういうような指導を——これは単に保育所だけではありません。そのほかの基準財政需要額の算定の基礎にどんどん入ってくる問題等についてもやはり水準をならしていく。そうでこぼこの——保育所の問題については非常に落差がある、非常に低いところがある。そのかわり道路なら道路ばかりべらぼうにやっておるというようなこともあろうと思います。こういうようなものもやはり地域住民のやることだからそれでいいのだ、こういうようなことではなく、やはりそういう面での指導ということを通じて全体的にバランスのとれた地方自治にいくような形というものをある程度指導をしていく、誘導していく、こういう考えはやはり私は必要だと思うのですが、そういう点についての御見解はいかがですか。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほども申し上げましたように、直接の指導はやはり厚生省でやっていただかなければなりません。それを各自治体がそれぞれ自治体の特色を生かしながらどういうふうに消化をしていくか、そういう点から、どの自治体も一律であるという必要は私はないと思っております。ただ私どもは、基準財政需要額の算定におきましては、先ほども申し上げましたように、人口十万について九百二十九人の人員を必要とするのだという基礎によって実は計算をいたしております。ただ、それが実態に必ずしも合わないところもございます、人口に必ずしも比例してない面もございますので、ある程度実態を加味する意味で実態と標準とのズレを見て補正をしていくことによって今回実態に合わせるようにしてまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。ただ、交付税でございますからひもつきの財源ではございませんので、これによってこの算定どおり保育所を設けるというようなことを私どもは強制するわけにもまいりません。順次財政が許しますれば、こういった基準を引き上げることによってだんだんとそういう面が充実されていくのではないだろうか、こういうふうに考えております。
  113. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 地方自治ということからいえば、画一的な指導ということはやはり問題だと思うのです。しかし、市長なり何なりの恣意的なやり方で不急不要と思われるようなところにどんどん金を使ったり、そしてほんとうに大衆が喜ぶようなところに金を回さないというようなことは現に起こり得るわけですね。そういうようなものをチェックするのは、やはり地方自治体だからといって地方住民が本来ならば主人公だし、チェックするのがあたりまえだし、その範囲でやっていく。しかし、それではあまりにも野放しになるし、自治省の存在理由というのは、そういう点での適正なよき助言というかアドバイスというかそういうものもあるし、それから全体的に行政水準を上げていく、そういういろいろな指導の面というものもやはりあるだろうと思うんですね。行政水準というものを全体的にバランスのとれたもので引き上げていくという形での指導の強化というようなものは必要だろうと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  114. 細郷道一

    細郷政府委員 行政水準をバランスがとれたように引き上げる、これは非常に大事なことだろうと思うのです。また、反面では非常にむずかしい点がございます。私は、地方自治体というものが全く国の施策の外に存するものではないと考えるのであります。やはり国の施策の中において地方自治体がそれぞれその特性を発揮していく、こういうことから見てまいりますと、やはり関係各省におきましてそれぞれ施策を立て、あるいは予算を配付し、あるいは法律をつくり、そういったようなことをやってまいります場合には、それをどの程度に自分の団体にはめ込んでいくかというところにそれぞれの団体の苦心があるんだろうと思うわけでございます。したがいまして、私どもは交付税の算定にあたりましては、各省のそういった施策交付税需要にできるだけ反映していくという行き方をとって、各省と連携を実はとっておるというのが現状でございます。  しかしながら、もちろんそういった各省の施策自体が現実の住民の行政水準向上の欲望に対しましては非常に遠いものもございます。そういった点につきましては、単独事業等である程度は補っていくわけでございます。なお、財源的に十分でないというものにつきまして、なお足らざるものが残ってくるのではないだろうか、そういうふうに一般的には考えておりますので、私どもとしては、できるだけ各省の施策に沿いつつ、単独事業の幅も広げて、自治体の住民の福祉向上にこたえていきたい、こういうふうに考えております。
  115. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間があまりありませんから次に進みます。  昭和四十一年度に発行された特別事業債、これはたしか千二百億くらいと思ったのですが、これの償還財源に充てるために、去年も若干の措置をした。昭和四十三年度は九十億を普通交付税の配分方式に準じて地方公共団体に交付するということになったわけでありますが、当時は一般財源で交付税を増額すべきものを事業債に振りかえたということでこういうことになっているわけであります。その点から見ますと、実際に四十一年の段階で特別事業債を発行した、そういうところに対して、それに見合う交付のしかた、元利償還に見合う交付のしかたというものが当然だろうと思うのですが、普通交付税の配分方式に準じて、ということはちょっとここに問題があるんじゃないか、そういうように思うのですが、その点はどうなんでございましょうか。
  116. 細郷道一

    細郷政府委員 特別事業債の元利償還金に対してどういう財源措置をするか、その方法はいろいろ考えられるわけでございます。  一つには、それぞれの団体の元利償還額のなまの額に対して完全な元利補給をするという行き方も一つだろうと思います。  それからもう一つは、今回とっておりますような考え方でございますが、いろいろ沿革と申しますか、その特別事業債の起こったときを考えてみますと、もし昭和四十一年度に交付税が順調に伸びておったとするならば、基準財政需要額によって処置されたであろう、こう考えてまいりますと、やはりこの償還金につきましても、基準財政需要額の算定によってカバーしていくのがいいのではないだろうか。これをやることによって、交付団体、不交付団体を通じて、それぞれ需要額を算定してまいる、こう考えまして、今回の措置をとっておるわけでございます。
  117. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 若干疑義が残るわけですが、その問題だけやっておるわけにもいきません。  それと同時に、交付が四十三年度から五十六年度まで——事業債は償還金が大体七年くらいですね。そうしますと、こういうような長期にわたりますと、やはりその面で若干地方財政に対する圧迫ということにもなりかねない。どうして五十六年までという年限を策定しましたか。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 政保債は十五年のものもございます。そこで、今回基準財政需要額に算入することにいたしましたについては、理論的な計算によります償還額を算出することにいたしました。と申しますのは、それぞれの団体の個別の計算ということになりますと、利子もいろいろであったり、年限もいろいろであったりするわけであります。途中で繰り上げ償還をしたり借りかえ償還をしたりということも起こると思います。非常に繁雑でございます。各団体を通じまして、同じ条件のもとでどういう償還額になるかという計算をいたしました結果、十五年間で元利償還をするという計算になったわけでございます。
  119. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 問題を先に進めますが、建設省がお見えになりましたので、建設省に伺いますが、建設省の道路整備五カ年計画があるわけであります。これによりまして、国道、県道、市町村道と分けまして、舗装の道路はどういうところまで比率を高めていくという計画になっておりますか。その点を三つに分けてお答えいただきたいと思います。
  120. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 この五カ年計画計画どおり達成されるといたしました場合に、四十六年度末で、私のほうで推定をいたしております数字でございますが、一般国道で申し上げますと、舗装済み延長が全体の九二・九%、それから主要地方道が六一・九%、一般地方道、これは県道でございますが、これが二九・六%。以上でございまして、市町村道につきましては、御案内のとおり、総延長に対する比率が非常に低うございます。したがって、特に整備率でなくて事業量で現在私ども考えておりますが、大体千四百三十七キロメートルの市町村道の舗装をやりたい、こう考えております。
  121. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 市町村道は、総延長何キロございますか。
  122. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 市町村道の総延長は大体八十四万キロ程度でございます。
  123. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 八十四万キロのうち千四百三十七キロというなら、これはたいへん低率のものであります。今回、地方公共団体に地方道路譲与税譲与金として譲与する、こういうようなこともあり、また、石油ガス税の収入の二分の一に相当する額をこの会計に受け入れて、地方の道路財源に充てる。いずれも都道府県と道路法の第七条三項の指定市にだけ配付されるということになっております。実際に今日、政府も過疎対策、山村振興というようなことを盛んに言っているわけでありますが、とにかく市町村道がこういう状況に置かれている。ほんとうにパーセントではものを言えない。こういうような状況で、おそらく二%か三%ぐらいの舗装率でしかないだろうと思うのですが、そういうものに対して、今回の措置でもいわば県と大都市中心だけになっている。こういうようなことで、一体市町村というものは道路財源というものをどういうところにどういうぐあいにして仰ぐか。  しかも、市町村道というものは、今日、学校に通う子供たち、あるいはまた農作業をやる、あるいはまた生活圏、そういうような形の中で、それらの地域の住民にとっては一番利用度が高い、日常ふだんにその道路を利用しなければならぬ、そういう性格のものであります。これが政策の考慮の外に置かれているようなそういう状況にある。これについて、一体どういうような形でこれをやっていこうというような計画が自治省としてはあるのか。   〔委員長退席渡辺(美)委員長代理着席〕 あるいはまた建設省としても、それに対する助成策というようなものをどういうふうに持っておられるのかということを伺いたいと思うのです。特に、財源の問題などどういうようにするのか。せっかく地方道路譲与税あるいは石油ガス税の二分の一の繰り入れというようなことで財源を確保しても、それはでかいところだけだ、それ以下の財政規模の非常に小さいというところにはこういう財源がない。これではもうどうにもならぬだろうと思うのです。それについての見解をひとつ両方からお聞きいたしたいと思います。
  124. 細郷道一

    細郷政府委員 市町村道の道路財源に欠けていることは御指摘のとおりでありますので、今回新たに、府県税として自動車取得税を創設いたしました。それを徴税費引きでその七割を県内の市町村に配付するといったようなことによりまして、いままでなかった道路目的財源を市町村に与えることができるようになるわけでございます。もちろん、これだけで十分だとは私どもは考えておりませんけれども、さしあたってこういうような措置によって四十三年度は進んでまいりたいと思います。
  125. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ああいう自動車取得税が今度創設をされているわけで、大体三百五、六十億だと思うのですが、それの七割がいきましても、市町村に配付されるのは二百二、三十億くらいのものでしょう。これでは多くの貧弱な市町村の道路をりっぱにしていくための費用としては、いかにもスズメの涙どころではない。国道は五カ年計画で九二・九%にされるという反面において、三%にも満たない、あるいはそれ以下の舗装率でしかないというような状況は何としても……。これからずっと自動車取得税を続けていくといたしまして、五年先くらいには一体何%くらいの舗装率になりますか。これはちょっと言えないくらいの小さなものだと思うのですが、どのくらいにめどを置いておりますか。
  126. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ねの五カ年計画の最終年度末におきまして、市町村道だけを考えました場合に、舗装率は八%程度でございます。
  127. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その最終年度は何年ですか。
  128. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 四十六年度末でございますから、四十七年三月末でございます。
  129. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 財政局長いかがですか。そういうようなことで、八%になるというのは当然自動車取得税を織り込んだ数字だと思うのですが、この問題はあと九二%の未舗装が残るのです。こういうものをもっと計画のテンポを早めるなり、道路の改良なりあるいは舗装率を急テンポに進めるなり、こういうようなことについてもっと画期的な方法というのはないのですか。地方一般県道などは、先ほど言われたように約三〇%ということになり、主要なる地方道は六一・九%になる。これから見ていかにもふつり合いということですね。四十六年度を終期にしてそういうことだ。これをもっとテンポを早めて舗装率を高めていくというような計画の手直し、あるいはまた大蔵省も、そういう自治省の考え方というものに財源的な裏づけを何らかの形で考慮をしていくという配慮は当然あってしかるべきだと思うのですす。これは政策問題ですから、大蔵省主計局次長の相沢さんと倉成政務次官の両方からお答えしていただきたいと思いますが、まず財政局長からお答えをいただきたいと思います。
  130. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申し上げましたように、今回は自動車取得税の創設ということをいたしたわけでございます。なお、財源のほうでございますが、交付税需要額の算定におきましても、今回は道路関係の単位費用は昨年に比して四割程度引き上げる、今後まだまだ三年、四年と期間があるわけでございますが、できるだけ引き上げ率をほかの施設よりも多くしてまいることによって幾らかなりとも需要にこたえていきたい。そのほか、特に農山漁村等における場合を考えまして、補正によりまして後進地対策をつけ加えて、それだけそういう方面に費用が流れるようにしていきたい。また、辺地債等を活用することによって辺地の道路整備ができるようにしたい。いろいろとわずかずつではございますがいろいろな面で手を打ってそういった要望にこたえるようにつとめております。  なお、基本的には、将来適当な機会に抜本的な手直しをすることによってもっと整備の躍進をはかるべきであろう、かように考えております。
  131. 相沢英之

    ○相沢政府委員 地方団体、特に市町村の道路財源の充実についての問題でございますが、私どもは、要するに、地方団体の道路整備に要する財源がたとえ特定財源であろうと一般財源であろうと充実されれば道路の整備には役に立つのであるから、ただその特定財源だけを増強せねばならないという考え方には必ずしも全く賛成するわけにはいきません、しかしながら現状におきまして、市町村の道路の特定財源が特定市を除いてないという状況では確かに問題であろう、こういうところからいたしまして、自治省から特に市町村の道路財源の充実の要求が強かったのにこたえて、ことしは自動車取得税を創設し、その七割を市町村に回すという措置をとることに賛成したわけでございます。ことしのこの自動車収得税をつくることにつきましても、自動車に対する物品税の引き上げ問題とのからみ合いなどもございまして、途中でいろいろと難航はいたしましたけれども、昨年度に市町村の道路に対しまして二十五億円、一般財源に計上したこととの関連、つまり四十三年度以降さらに市町村の道路財源について何らかの前向きの措置をとるということが両省間で大体了解されておったということもございまして、私どもも自動車の取得税を積極的に推したわけでございます。  そういうことでございますので、これだけでは不十分だという御意見もあろうかと存じますけれども、今後なおガソリンに対する課税の分配の問題、その他道路整備五カ年計画との関連におきまして、なお地方道路財源の充実については慎重に検討していきたい、かように存じております。
  132. 倉成正

    倉成政府委員 地方の市町村道路の財源の問題については、今後できるだけ努力してまいりたいと思います。
  133. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 以上で時間が来ましたので終わります。     —————————————
  134. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 田村元君。
  135. 田村元

    田村(元)委員 私は、委員長という地位にありながら、異例のことでありますけれども、大蔵省当局に対して、国会に臨む姿勢に関する若干の質疑をいたしたいと存じます。  私は、かつて大蔵委員に籍を置いたことは一度もありません。だから、大蔵委員会のしきたりというものはよく存じません。ところが、大蔵委員長に就任いたしてから今日まで、不可思議かつ不可解、しかもふんまんにたえない大蔵省の姿勢というものに対して、私はいずれかのときにはこれをはっきり御質問申し上げようと思っておったのでありますが、大蔵委員会の審議に支障を来たしては申しわけありませんから、今日までしんぼうをいたしておりました。そこで私は、本来ならば大蔵大臣に御質問申し上げるべきでありますが、きょうは大臣いまお見えでありませんから、倉成君に御質問を申し上げたい。  大蔵省当局は、この国会の常任委員会、特に歳出委員会である予算委員会、歳入委員会である大蔵委員会に対する格差を何かお考えでありますか。その地位に関する、その権威に関する格差を何かお感じになっておられますか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
  136. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  予算委員会と歳入委員会である大蔵委員会と、いずれが重しとするか、いずれが軽しとするかという点につきましては、全然相違はないと思っております。
  137. 田村元

    田村(元)委員 私は、委員長席から御質問申し上げようかと実は考えましたが、やはり一個の質問者としてこの席から御質問申し上げたほうがよいと思ってここにおりたのでありますが、何らの格差を感じていない、全く平等である。すなわち、歳入委員会と歳出委員会の果たす役割り、その持っておる意義というものは全く同じである、このようにいま受け取れるお答えがあったのであります。  しからば、主計局長がみずからの所管の法案の審議に際して、過去十年間全然ここに出たことがないというのは、これは大蔵委員会のしきたりでありますか、大蔵省のしきたりでありますか、私はその点をお伺いいたしたいと思います。
  138. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  予算委員会の開会中は、御承知のとおり主計局長は予算委員会でくぎづけになっておりますので、事実上出席できません。それから予算委員会が開会以外の時期には、主計局長、いま御指摘のとおりに各委員会とも出席いたしておりません。これは一つには、各委員会から、ある委員会出席するということになると、この委員会には出席しないということで、いろいろ問題が起こる可能性があるものですから、主計局の場合、特に次長が三人おりまして、それぞれの分担を責任を持っていたしております。それぞれ政府委員に御任命をいただいておりますので、その所管の事項に関しては、主計局の次長が主計局を代表して出席する、こういう慣例になっております。
  139. 田村元

    田村(元)委員 私はいまのお答えに対して、残念ながら語気を鋭く反発せざるを得ない。建設委員会であるとか、商工委員会であるとか、地方行政委員会であるとか、そのような委員会の場合には、いま政務次官のお答えのとおりでもある程度いたし方がないと思います。当大蔵委員会は大蔵省所管の案件を審議する委員会であり、なおかつ、主計局長みずからが所管の局長として法案を提出しておる委員会であります。もちろん質疑者がその政府委員出席の要求に主計局長を求めざりしあやまちはあるかもしれません。これはおそらくいままでの慣例というもの、つくられていない自然に積み重なったものを慣例と錯覚して、ここに呼ばなかったのかもしれない。けれども、少なくとも所管の法案の趣旨弁明のときにおいても、私は大臣が提案理由の説明をしなければならないというぐらい重要な提案理由説明のときにおいても、なおかつ主計局長は出席しない。これはおのれの所管の法案を審議してもらうという、その所管局長としてのあまりにも思い上がった、国会軽視の風潮であると私は思う。これは、私は今日までじっとしんぼうして、私は委員長席から何も言わなかった。ところが、大体大蔵委員会も重要法案の審議が山を越しましたから、私はあえてきょうこれを発言したのであります。いま審議されておる法案は、直接主計局に関係のある法案であります。このように考えるときに、私はどういうふうに大蔵省が大蔵委員会を考えておるのであろうか、まことに解釈に苦しみます。  重ねて伺いますが、いまの御答弁は、これは私は聞かなかったことにいたしましょう。所管の法案の審議に際しても、せめて趣旨説明のときにだけでもここに出るべきであると思いますが、政務次官はどうお考えですか。
  140. 倉成正

    倉成政府委員 従来の慣例になれて出席しないのが当然だ、こういう感じを持っておったかもしれません。しかし御指摘の点は、私もごもっともだと思いますけれども、ただ従来そういうふうになっておったものですから出席しなかったと考えております。なおここ数日来は、実はかぜで休んでおりまして、ほとんど出てきておりませんので、事実上出席は不可能であったと思います。
  141. 田村元

    田村(元)委員 かぜをひいておったかどうか、そんなものはおそらく十年昔からかぜをひきっぱなしでもありますまいから、これは弁解にはならないと私は思う。なるほど質疑者が過去十年も主計局長の出席要求をしなかったことは、これは私はおかしいと思う。与党、野党を問わず、その点何となく妙な錯覚におちいっておったものだと私は思います。でありますから、この点はある程度しかたがなかったとしても、私はここではっきり申し上げておきたいことがある。  きょう、私はあえて憎まれ口をたたきます。私は十三年余りの代議士生活をしております。そうしてほとんど各省の役人の気風というものもよく存じております。ところが、大蔵省の官僚の他省の官僚に接する態度、あたかも旧陸軍関東軍が満州国軍の軍人に接する態度であります。何か一格上であるかのごとく、何か施しをしてやる立場のごとく、私はまことに不愉快な思いを幾たびかいたしました。そのような思い上がりが今日の主計局長か——私はいまの村上君を悪いと言うんじゃありません。過去十年以上もそのような思い上がりが歴代主計局長をしてこの委員会、しかも自分の当然最も縁の深い大蔵委員会を軽視する風潮につながったものだと私は思う。私はあえて長々とこの問題で申し上げようとも思いませんし、いまここで結論が出るまで強く私が食い下がるということは、実際の肝心のこの法案審議に非常な支障を来たすと私は思いますから、きょうはおそらく採決もございましょうから、私は時間の関係からあえて多くを語りませんけれども、このような大蔵省の姿勢というものに対して、私はどうしても納得することができません。私は、その意味において、今後委員諸君が少なくとも主計局の所管にかかわる法案審議に関しては毎回主計局長をお呼びになられ、責任ある答弁をお求めになることを期待もいたしたいし、同時に、大蔵当局がそのような積極的に国会を重視する姿勢をとってもらいたい。そうして大蔵省の中に充満しておる何となく思い上がった大蔵官僚的気風というものの一掃をはかってもらいたい。幸いにして倉成政務次官は、少なくとも私の見るところにおいては、私の今日まで知り及んでおるあらゆる政務次官よりもあなたはりっぱな政務次官だと私は思っておる。大蔵大臣よりも政務次官のほうが答弁がうまいとまで言われておる。人柄もまことにりっぱであります。私は友人として倉成君を見ておって、ほんとうにうれしく思うし、また安心して委員長席についておることができました。しかし能力的な、政務次官として答弁をうまくおやりになる、法案審議をすみやかに解決するように努力をなさる政務次官で今日まであられたのはけっこうだが、政務次官の任期はわずか一年、もはやその多くをあなたは費やされた。これからは大蔵省にあって、大蔵省のよき面を助長しながら悪き面をコントロールするという名政務次官としての足跡を残してもらいたい。これを強く要望するものであります。また祈るものであります。私は、あえてこれ以上申し上げませんが、政務次官から、村上君個人でなくして、これからの主計局長というものに対してりっぱな訓辞を残しておいてもらいたいと思います。私はそれだけ申し上げて、政務次官の御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  142. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたしたいと思います。  大蔵省が国の財政を預かっているという立場から、やはりその衝に当たる者は心してその挙措、態度に注意すべきものだという御指摘はまことにごもっともでございます。一生懸命やっていると思いますが、やはりその間においていろいろ御指摘のような感じを与えておることがあれば、まことに遺憾に存じます。この点は必ず改めさせるようにいたしたいと思います。  また、ただいままで数々大蔵省に対する御忠告がございましたが、それぞれの面について私も委員長と同感の面もございますので、そういう点につきましては、ひとつ十分これから配慮いたしてまいりたいと思っております。
  143. 田村元

    田村(元)委員 終わります。(拍手)
  144. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいま田村委員の発言があり、それに対する答弁が倉成政務次官から行なわれました。私は、それをお聞きしている中でふに落ちない点がございます。前は主計局次長というのは二名でございました。私は前の期において内閣委員をいたしておりました。そのときに、大蔵省のほうから主計局次長を三名にふやしてもらいたい、その理由を問うてみたら、それは各委員会において主計局長をはじめ主計局次長の出席要求が非常に多い、したがってそういうような面において十分に国会にサービスをする意味からも、主計局次長を一名増員をしてもらいたい、こういう答弁がなされて、私もそれに賛成をいたしまして、その大蔵省設置法の改正を満場一致で承認をいたした記憶がいまでも残っているのでございます。  なお、御承知のように、主計局長は政府委員であります。三名の主計局次長もそれぞれ政府委員であります。政府委員として任命する以上は、国会に出てその立場を明確にしていくのが本来の国会と当局との関係だと私は思うのであります。私も主計局長を呼ぶように、この委員会で要請をしたことがあります。ところが、予算委員会以外には出席をしない慣例になっている、こういうふうに委員部のほうが申しますから、そういうような慣例というものが、はたしてどういうような法令に基づいてやっているのかということについては、若干の疑問を感じておったわけであります。ただいま委員長が、わざわざ委員席におりまして、この問題について追及をいたしました。その中ではっきりいたしてまいりましたのは、改むべきことは改めてまいりたいという倉成政務次官の答弁でございます。したがいまして、われわれ理事会といたしまして出席を要求いたしました場合には、今後必ず出席をせしめるという確約を、この際、大蔵政務次官から御答弁をいただいておきたいのでございます。いかがでございますか。
  145. 倉成正

    倉成政府委員 主計局長の出席につきましては、特に主計局長でなければならないという場合には、ひとつ出席するようにいたしたいと思います。ただし、主計局長の仕事は、皆さま方御承知のとおり、非常に多岐多端にわたっておりますので、しょっちゅう呼び出されるということになりますと、これはやはり仕事のほうもなかなかうまくいかないということになりますので、その辺のところはよく御理解いただいて、御相談の上で配慮いたしたいと思います。
  146. 田村元

    田村(元)委員 私は一度質問を終わりましたが、そういう御答弁であれば、いま少し申し上げたいことがあります。  主計局長が非常に忙しい職責であることは、十分私は認めます。でありますから、この委員会に毎日のように引っぱり出されては、それはたいへんなことでありましょう。これもわかります。けれども、主計局所管にかかわる法案審議に関して、かつ委員から特に名ざしで出席を要求された場合においては、これは出るのが当然だと私は思う。それをすら断わるということになれば、これはたいへんなことになると私は思う。  そこで私は、もうこれは質問ということよりも、ここで宣告をしておきますがかりに——かりに委員から所管の法案に関して強い要求があって、欠席に関するその委員の了解が得られない場合には、私は職権をもって委員会を開きませんから、その点だけははっきりとしておいてもらいたい。私はそれだけはっきりとここで言明しておきます。(拍手)     —————————————
  147. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 続いて質疑を続行いたします。武藤山治君。
  148. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いま、われわれがたいへんうかつで、大蔵省の立場だけを認めておって、主計局長を全然呼ばなかったというのは、野党としても少々反省しなければならぬと、しみじみ感じさせられたわけであります。田村委員長の勇断をわれわれは非常に高く評価し、これから主計局管轄の法案の際には、ぜひ主計局長もときたま出席を求めたいと思いますから、どうか政務次官もまた次長も、きょうの田村委員長の決意のほどを十分肝に銘じて、今後われわれの期待に沿えるように、強くまず冒頭に期待をして質問に入りたいと思います。  まず第一に、税外負担の状況でございますが、地方に行きますと、非常に税金を納めておるのに次から次へと寄付が来て、なかなか容易でない、そういう不満を聞かされるわけであります。自治省としては現在税外負担が、府県と市町村に分けて、大体どの程度税外負担というものがあると認識をしているか、その数字をまず先に明らかにしてもらいたいと思います。
  149. 細郷道一

    細郷政府委員 昭和四十一年度の決算をもとに推計をいたしたものでございますが、それによりますと、府県分が三十億四千二百万円、市町村分が五十七億三千七百万円、合計八十七億七千九百万円、こう見込んでおります。
  150. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その数字を私は国会図書館立法考査局の統計表でちょっと目を通してみますと、自治省の発表した数字をここに掲載しております。それによりますと、三十九年度の場合、四十年度の場合、数字が出ております。三十九年度は府県、市町村合わせて二百九十四億、四十年度は二百六十八億、寄付金という項目で入っている。それ以外に雑収入という形でかなり数字がその下に入っております。三千二十一億、二千六百七十三億、こういうことでありますから、おそらくこの寄付金というのは主として住民から集める寄付金ではなかろうか、こういう感じがするわけでありますが、この決算総額の中に含まれている寄付金の中身というのは、これは主として住民からの寄付でないという理解をすべきなのか、これはどうなんですか。
  151. 細郷道一

    細郷政府委員 多くの団体のことでございますからいろんな種類のものがあろうと思いますが、大部分は住民あるいは会社でありますとか、そういった面からの寄付が多いと思います。
  152. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしてみると、自治省がいまおっしゃる四十一年度が八十七億八千万、四十年度が百四億九千七百万、三十九年度が百三十四億七千九百万という数字が概算税外負担である。すでに決算で、財政白書でも発表している三十九年度が二百九十四億、四十年度が二百六十八億と、百億ばかりの差は、そういたしますと、強制寄付でない——この私に配ってくれた資料は、強制的な寄付という意味なのか。それから、この決算のほうへ出ているのは、任意の寄付からみんな含めるから、百億も差がつくのか。この数字に百億からの差がつくのはどういうわけだろうか。
  153. 細郷道一

    細郷政府委員 実は税外負担というものをどの範囲にとらえるかというのはむずかしいわけでございます。予算の科目から申しますれば寄付金になるものもございましょうし、それから品物にして寄付採納するものもございますものですから、それをどういうふうに税外負担と見たらいいかということは、私どもも実はむずかしい問題で、確たるものはつかめないのでございます。従来寄付金その他で出てまいりましたものを、そのうちで公費で負担をすべきものがどれくらいあるであろうか、しかも決算上に出てきたものがどうであろうかというふうに、いわばしぼりをかけてみた数字が、いまお手元にいっている数字でございます。したがいまして、その数字自体も、最初に申し上げましたように実は推計であるわけでございます。
  154. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そこで、いまの答弁の中からも、当然団体が支出すべき項目というものと、これは寄付金でやってもいいんだという項目との限界が非常にむずかしいのですね。自治省は一体——いまの地財法四条の五に寄付の禁止規定がありますね。これを文字のままを読みますと「直接であると間接であるとを問わず、」こういう規定になっている。「寄付金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」直接たると間接たるとを問わずというその直接のほうはわかりますが、間接たるとを問わずというのはどういう意味ですか。
  155. 細郷道一

    細郷政府委員 いろんなケースがあると思いますし、その当時の通達にもそういう表現を実はしておるわけでありますが、強制寄付というものをできるだけ排除したいという意味で、事例として適当であったかどうかわかりませんが、外郭団体等を通じてやるものもいけないというこういう表現を実はいたしております。しかし、その外郭団体たるものも、一体どういうものを外郭団体といっていいのか、これも定義が定まっておるようでまだ定まっていないのが現状であろうと思います。そこに申しておりますことは、そういった強制的に割り当て的な寄付をさせてはならぬのだということ、脱法的にやってもいかぬし、直接的にやってもいかぬということを強調しようということからそういう通達の文言になっているわけであります。
  156. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、直接たると間接たるとを問わずという場合の間接というのはまあ外郭団体をさす、そこまではわかる。その外郭団体というのは、外郭団体でないという団体と外郭団体であるという団体での区別は一体どんな概念で規定しているのですか。たとえばPTAの場合、これは外郭団体なのか外郭団体でないのか。交通安全協会、これは外郭団体なのか外郭団体でないか。道路愛護協会、これはどうだろう。個々に具体的に自治省としては、この場合にはこういう内容ならば外郭団体でない、こういう場合ならば外郭団体だという規定を設けて通達をしてくれなければ、この規定だけでは、直接たると間接たるとを問わずということをそのまま理解をすれば、一切の寄付は地方公共団体はとっちゃいかぬのだ、こういう理解になると思うのですが、そこらはいかがですか。
  157. 細郷道一

    細郷政府委員 外郭団体の定義はなかなかむずかしいのでございますが、しいて言いますならば、一般的には、その地方団体が主体となって設置をした団体、あるいはその地方団体の行なっております業務に非常に深い関係がある団体、あるいは業務をある程度代行するような団体、そういったようなものが外郭団体という定義に当たろうかと思うのであります。しかし、それだからといって、じゃ一つ一つこれはどうかあれはどうかといってみても、また県によってはいろいろ違うものもございますし、一がい的には私どものほうではちょっと申し上げかねるのでありますが、PTAなどは、特殊な場合は別としまして、一般的には外郭団体ということばには入らないのではなかろうかと私どもは考えております。  なお、その通達で外郭団体というそういうばくたる表現を使ったのはどうか。確かにおしかり々受ける点もあろうかと思いますが、その通達を出しました趣旨は、先ほど申し上げましたように、ちょうど終戦の後でございまして、いろいろ六・三制とか新しい警察制度、消防制度の拡充とかいったようなことが非常に急激にやってまいっておりました時代でございましたので、特に形を変えてでも強制的な割り当てはいけないのだということを強く指導したという意味で書かれておるものと御理解いただきい。
  158. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういう解釈だったら、税外負担の解消なんというのは、これはもうお題目だけで、そういう姿勢で指導したのでは、実際には解消にならぬ。  そこで、いまの地方財政法の二十七条の三あるいは二十七条の四で、こういう場合には住民から寄付を受けてはいかぬという規定がありますね。はっきりこれは法律であるのですね。一つは、県立高校の施設の建設事業費である場合、高校の建設事業費について住民から寄付をもらってはいけない。これは法律できちっときまっている。どういう項目はいけないということが書いてあるわけですね。二十七条の四では、「市町村の職員の給与に要する経費」第二には、小中学校の「建物の維持及び修繕に要する経費」。「建物の維持及び修繕に要する経費」ということになると、これ以外のものは何を寄付を集めてもいいということですか。たとえばプールをつくる、八百万円だ。半分は地元で負担しろ、半分は市と県で出しましょう。これはいまの二十七条の四の小中学校の建物の維持及び修繕に入るのかどうか。プール、どうですか。
  159. 細郷道一

    細郷政府委員 プールの建設費は、その条項には当たらないものと考えます。
  160. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、プールの寄付は、半強制的に割り当てしても、この二十七条の四には抵触しない。しかし四条の五には抵触するかもしらぬ。どういう解釈になりますか。
  161. 細郷道一

    細郷政府委員 四条の五は、御承知のように、自発的な寄付はよろしいが強制的な割当的寄付はいけないということでございまして、その中で特に市町村あるいは府県においてケースが多いであろうという心配のされるものにつきまして、それぞれの条項できめておる、こういうことでございます。
  162. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そこで、いまの二十七条の三と二十七条の四に規定したもの以外の支出なら、PTAは——PTAの例でありますよ。PTAの場合、建物の維持及び修繕以外だったら、RTAが何ぼ金を集めて学校へ寄付しても、あるいは市に寄付しても、それはそういう法律から見て好ましくないと判定はできない、建物の維持及び修繕以外ならば。そういうラフな解釈ですか。
  163. 細郷道一

    細郷政府委員 個別のケースの問題でございますから、一がいに申し上げかねますが、ここに書いてないからよろしいという気持ちは毛頭持っておりません。全く自発的に出ます寄付は、これはいいと思いまするけれども、強制的、割当的寄付はいけないという精神は地方財政法に出ておるわけでございます。それによって判断をすべきものと考えております。
  164. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 税外負担を解消するという答弁を政府も大臣も再三してきたし、自治省もそういう指導をする。それには通達も出している。ところが肝心な、何が強制的な割り当てであるかという、その強制的と強制的でない区別もはっきりしていない。それから、外郭団体を通じてやった場合でも強制的な寄付はいけない。じゃ、その外郭団体とは一体何かといえば、それもはっきり通達や指導の中には規定されない。これじゃ税外負担を解消するといったって、基準がはっきりしていなければ、適切な指導ができないじゃありませんか。どうなんですか。
  165. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり終局的には常識によって判断をさるべきものと私は考えております。地方財政法に規定してありますこと自身も御承知のように訓示的な規定でございますので、ここにあるからどうこうというよりは、むしろこんな規定をまつまでもなく、良識によって判断をすべきものだ、こういうふうに考えております。ただ私どもは、税外負担の解消をただ口の上で言っているだけではいけませんので、こうして決算の上から出てまいりまして、このうちで公費で負担すべきものがこれだけあるという費目につきましては、それをそれぞれ基準財政需要額の需要に反映をいたしまして、そうしてできるだけそういう形の寄付がなくなるように、あるいは税外負担がなくなるようにという現実的な指導でこれにこたえていこう、こういう態度をとっておるのでございます。
  166. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そこで、基準財政需要額の中に昭和四十三年度は大体幾ら見積もったか、それから四十二年はどれぐらい、四十一年はどれぐらい、過去三年ぐらいの税外負担解消のために具体的に交付税の中にこれだけ一応見込んだ、その数字を明らかにしてください。
  167. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度は、ただいま申し上げました四十一年度の決算から推定をいたしました八十七億七千九百万円を、それぞれの該当費目ごとに全部需要額に織り込みました。それから昨年、四十二年度は、四十年度の決算をもとにしたものとして百四億九千七百万円、その前の年は百十七億円をそれぞれ需要額に見込んでおります。
  168. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうするとあなたの立場としては、一応決算を追って、自治省で大体推算をした金額は交付税の中に含めておるから、自治団体としては強制寄付をしなくも、割り当て寄付をしなくもやれるはずなんだ。だから、やるのはそれはそれぞれの地方自治団体が良識に欠けているんだ、こう理解をして、それ以上のところは何とも自治省では手を打てぬのだ、こういうことですか。
  169. 細郷道一

    細郷政府委員 現実的な問題と指導の問題と二つあると思うのでございますが、現実的に何といっても税外負担という金銭的なものでございますので、それだけの財源をまず与えることが、これを予防する一つの有力な方法であろう、こう考えるわけでございます。その意味で、基準財政需要額にわずかずつでもともかく見込んでいくことによって需要額を増大させておる。一方では、文書その他によって指導をいたしておるわけでございます。もちろん常識を最終のとりでとはいたすわけでございまするけれども、おかしい具体的なものにつきましては、個別に注意をいたしておるのでございます。それがあまりにもはなはだしくて法令に違背するというようなことでございますれば、これは財政法なり交付税法の規定によって措置をしなければならないと考えます。
  170. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 たとえば、この自治省が発表した税外負担の状況というものは、これは全国のトータルの中ではほんの一部分にすぎないと見ておるのです、私の判断は。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 というのは、たとえば私の町の例を一応調べてみますと、四十一年度決算で、人口わずか十六万の市で正式に地元民から寄付として予算に計上した受け入れ額、寄付金として受け入れた額ですね。それ以外に、受け入れないで使っているPTAの予算なんか一ぱいありますよ。受け入れている正規のものだけでも三千万円ある。それはい千万円が学校援助費、一千五百万円が体育館とプールと校舎の建設費、五百万円が記念事業の費用、学校二十周年記念だとか、体育館ができた十周年記念だとかそういう記念事業。三千万円が正規の寄付金として受け入れられておるのですね。これは市町村、県の寄付金額というものを全国合計したら、とても八十七億どころの額ではない、相当の額である。住民はかなり泣いているのである。しかしこれは良識に基づいた寄付であるという解釈をすればどうということはないじゃないかという反論がおそらくあると思う。しかし、これは良識的なものじゃないのですね。子供が人質なんですよ。かわいい子供が学校に行っているから、学校のPTAの会長なり校長がやめたあとに、何か一つ記念を残そうなんと思って、何か事業を起こされれば、隣がして自分がしないというわけにいかない風習があるわけですよ。だから、これはもう不本意ながらそういうほんのわずかの校長なり幹部なりがきめたその行為というものから、それが全住民に波及をしていくわけですよ。だから、こういうのはもう不本意でも出さざるを得ないという半強制的寄付の意味を含んでいるわけです。だから私は、直接たると間接たるとを問わずということばは非常に強いことばですけれども、一切こういう費目については寄付を集めてはならぬ、寄付を集めて使える範囲内のものは、PTAや何かのこの程度の備品とかこの程度までの消耗品とか生徒の教材のこの程度のものまでというある程度の範疇をきちっと定めて、各地方団体に通達を出してやるのがほんとうの住民本位の立場に立った自治省の通達であるべきだと私は思います。いまの通達では意味がない。来年には通達をひとつ再検討して、通達の中身というものをもうちょっときちっとした、だれが読んでも、なるほどこういうものについて支出してはならぬな、税金を納めているんだから、それ以上負担をかけるのは気の毒じゃなあ、そういう思いやりのある立場から、通達をきちっと来年は練り直してもらいたいと私は思いますが、あなたの見解はいかがですか。
  171. 細郷道一

    細郷政府委員 税外負担というものはどうしてできるのか、これはいま例をあげられましたような、親子の愛情に訴えるようなものもあろうかと思いますが、もっと一般的には、やはり国、府県、市町村の間の財政の秩序が確立されているかどうかということが一番大事な問題ではないだろうかと思います。国が府県に負担をかける、府県が市町村に負担をかける、それがまた住民にいく。こういうことでございますので、私どもはそれの一つの解決方法としては、もうすでに皆さん御承知の超過負担の解消といったようなことを実は取り上げておるわけであります。それから、さらに県と市町村の間の負担の関係につきましても、私は規制をすべきものがまだあろうと思っております。多少は法令の手直しを必要とするものもあろうかと、実はいま検討中でございます。  そういったような面から、なるべく住民への税外負担を避けていくという方法がやはり実効的なのではなかろうか、こういう気持ちでやっておるのでございまして、通達その他なお不備なところがあれば、私どもも十分これを検討するにやぶさかでございませんけれども、どうもいままでの経験から徴しますると、そういった実効的な面でだんだんとそういうことがやりにくくなるような環境をつくることが必要ではなかろうかというので、もっぱらそういう面に重点を置いておるわけでございます。
  172. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私はいまの通達では、どう見ても不備だと思うのですよ。たとえば公共団体が支弁すべき性質を有する経費、それは一体何だということになると、通達の中にはないわけでしょう。プールだとか学校の補助だとか、これは当然地方団体が負担すべき経費ですよ。しかし、さっき言った二十七条の三と四に触れなければいいのだろうということで、地方自治団体は、市町村長は、財政がそう豊かでないから、みんな住民に負担を転嫁してくる。だから私は、通達というものはやはり再検討して——大体あの通達は年々出しているのでしょう。だから来年の通達については、もうちょっときちっとしたものをつくるべきだという私の提案について、そういう前向きの姿勢で来年の通達はひとつ十分角度を変えて検討して通達を出してみたい、そういう気持ちになれませんか。
  173. 細郷道一

    細郷政府委員 通達、検討いたしてみたいと思いますし、また、会議等も通じてよく趣旨の徹底をはかるように努力いたします。
  174. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、いまたいへん国会でも問題になっている公害の問題と地方財政負担の問題、それについての自治省の指導の問題でありますが、具体的にある特定の地域が公害がひどい。そこでその公害を回避するために集団移転をする。それで集団移転をさせる指導を地方自治体がやる。道路もつくらなければならぬ。橋もつくらなければならぬ。同時に、そのうらを新たにつくる人たちに対しても、何ぼかの補助をしてやらなければ移転ができないというような事態が現実に栃木県に起こったわけであります。そういう場合に、すでに各市町村あるいは県がそういう公害をのがれるために支出した費用というものは、特別交付税あとで補てんをしてくれるか、めんどう見てくれるのかどうか、その点はいかがですか。
  175. 細郷道一

    細郷政府委員 特別交付税は御承知のように、何でも出したらみんなめんどうを見るというものではございませんで、それが地方団体にとって出すべき経費であって、かつそこの財政事情と比べて必要であろうというものについてこれを考慮するという考え方でございますので、個別個別の問題として処理をいたしたいと思います。
  176. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 具体的な例をちょっと申し上げて局長の耳に入れておきたいのは、栃木県栃木市に石灰山があるわけであります。鍋山と普通呼んでおりますが、五つの工場がありまして、もう昼間でも石灰を粉砕する粉が一面にまっ白に立ち込もっておって、黒いものなどを洗たくをして外へ干しておくと一日で上側はまっ白になってしまう。そして私は国会でその問題を取り上げ、通産省、労働省それぞれの立場から意見を伺い、通産省も直ちに現場調査をいたしました結果、七割の人間がその呼吸のために肺じんの病気にかかっている。度合いはちょっといま忘れましたが、全くもう仕事に従事できない者が六人も出た。あとの者の大半も大なり小なり病気にかかっている。ぜんそくにもなりやすい。そういうけい肺病にかかる率が非常に高い。同時に、その粉を年じゅう吸っている子供がちは、目にこまかい石が入るためにほとんどトラホームにかかってしまう。こういう事態では何とか防じん装置をしなければならぬということを訴えたのでありますが、中小企業でありますから直ちに防じん装置ができない。中小企業金融公庫は、一件三千万円ぐらいしか貸さない。県は、何とか近代化でやってくれぬかといえば、これは無利子の金は三百万円が限度であるという。したがって、防じん装置をすればみすみす目の前で直ちに処理できる公害が防げない事態にあったわけであります。そこで県に訴え、市に訴え、そこの従業員も真剣に陳情、請願運動を始め、NHKテレビも取り上げ、ついに市会を動かし、市長を動かして、三十戸が全部移転をしようということになったわけであります。現実につい最近、市で整地をしてやり、橋をつくり道路をつくって、一定の場所にその従業員の住宅を三十戸そっくり移転をしたという問題であります。  その際に、市が道路をつくり橋をつくるために使った費用が五百五十万円、それからその移転をする人たちに、もちろん経営者からも出させたわけでありますが、県が二月当たり五万円、市が一戸当たり五万円、これだけの補助をこれらの人たちに支給をいたしたわけであります。そういう際に、普通交付税ではもちろん見られないわけでありましょうから、特別交付税で公害対策としてのこういう支出については支出をしてやるべきであると思うが、局長の見解はいかがか、こういう質問であります。
  177. 細郷道一

    細郷政府委員 公害で原因がはっきりしておれば当然企業者が負担をすべきものだと私は考えております。いまお話しのようでございますと、その点ははっきりいたしておりませんが、いずれにしましても、もしお話しのとおりでございますれば非常に気の毒な事情にあるので、個別の問題としてよく事情を聞いてみたい、こう思います。
  178. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 では、その問題については市当局から自治省に実情を十分お知らせをして、本年の算定の中ででもできるだけひとつ配慮をしていただきたいと要望して、次の質問に移りたいと思います。  従来、大蔵委員会で農業用ガソリンにかかるガソリン税というものは、これはできるだけ市町村に還元をすべきである、本来ならば農業用ガソリンには課税すべきではない、こういう主張をわれわれは続けてきたわけであります。昭和三十五年のこの大蔵委員会では、私が一番最初に農業用ガソリン税問題を取り上げたわけであります。その後二年間はかり——おそらく大蔵省は地方に回しているんではないかと思うのでありますが、本年のベースでは、どのくらい農業用ガソリンの税金を地方財政に還元をいたしておりますか。これは主計局でもわかるのじゃないですか。——これは財政局長には通告しておかなかったから、メモがそこにないんじゃないかと思うのですが、相沢さんわかりませんか。
  179. 相沢英之

    ○相沢政府委員 いわゆる農免道路の関係事業費でございますが、これは、農道、林道、漁港関連道を含めまして、四十三年度の予算額が百十七億円になっております。ほかに、後進地域の補助率差額として八億五千万円ございますので、これを含めた百二十五億五千万円が総額になっております。
  180. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし相沢さん、百二十五億を——この程度は農民が使ったガソリンの中から取った税金だろう。しかし、もとの、ほかのほうの支出をその分だけ減らしてしまって百二十五億だけ、項目はこうだからこれはガソリンの税金だといって配分したんでは意味がない。もとの分はそのまま残しておいて、そのほかにプラスアルファとして百二十五億ふえたんでなければ、農業用ガソリンを還元したということにはならぬのですが、そこらはどういう処理になっておりますか。二年間われわれが黙っていたものだから、おそらくぼかした処理をしているんじゃないかという心配があるので質問しているわけです。
  181. 相沢英之

    ○相沢政府委員 それは現在道路費も、揮発油税収入相当額に加えまして、一般財源から四百七十億円継ぎ足して計上いたしております。したがいまして、この農免の道路の関係事業費も揮発油税財源見合いの道路費の一部になりますから、農免の事業費がふえれば揮発油税見合いの他の道路費が減るという関係にはございます。そういう関係にはございますけれども、ほかのものを減らして農免のほうをふやしていく、そういうようなことはないと思っております。
  182. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その問題は、あとでまた主税局や農林省も呼んで詳しくお尋ねいたしたいと思います。  もう一つ、この前予算委員会で唐橋君が指摘をしておった縦貫道建設に伴う県の委託の事業について、県が立てかえ支出をする。あまり立てかえ支出金額が多くなるということは地方財政を圧迫し、地方財政にあまりにも負担が重くなると思います。そこで、建設省道路局長と財政局長との間で取りきめをした契約書によると、当該年度内に清算されることを原則とする。年度内というと、早い機会に支出した場合には一年間県が立てかえておかなければならない。だから、そういう年度内というあまりにも長い期間のばく然とした契約でなくて、そういう支出を県が立てかえておる場合には、少なくとも一カ月以内に道路公団は立てかえ分について支払うべきであるとか、あるいは項目によっては、その項目が一区切りつけられるときに、当然一、二カ月の期間のうちに立てかえ金について清算すべきだとか。両局長の取りきめた契約というものは再検討して、何かそういう形に直す必要があるのではないか、そういう感じがするわけでありますが、財政局長の見解はいかがですか。
  183. 細郷道一

    細郷政府委員 両者協議の上で年度内に清算するという考え方でございますので、その協議の過程において、いまお話しのような点を実現しようとすればできるだろうと私は考えまして、特に覚え書き、約束文書をどうこうということは考えておりません。
  184. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、年度内に清算することを原則とするということではあまりにもばく然としていますね。やはり地方自治団体と道路局あるいは高速営団となると、力に非常な差があるわけですね。なかなか言いにくい。したがって、それはどうしても自治省のほうで音頭をとってやって、道路局のほうには、きちっとできたら、とにかく一カ月以内には清算をするようにして、地方財政を圧迫しないようにしてくれ。そういう点の交渉は上の段階で、自治省の段階でもしかるべき処置をきちっととるべきであると私は思うのであります。  与党のほうが頼むぞ、頼むぞと言っているから、時間をはしょりますが、最後に、大臣せっかくお見えになりましたので、大臣にお答えできる問題を一つお尋ねいたします。  いよいよ春闘も山場を終わり、三公社五現業の答えを出すという段階が来たわけであります。国家公務員については、まだ人事院の勧告が先でありますので、直接自治大臣の担当している従業員の問題については先になる話でありますが、四十三年度の予算では、地方公務員のベースアップについての予算というものをどのように配慮されておるのか。政府は千二百億の予備費を計上して対処しよう、総合予算主義をとるんだ、こう言っておりますが、これに呼応して、地方財政のほうではどういう処置をおとりになっておられるのか。
  185. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 別に呼応したというわけではありませんけれども、毎年時期が来ると、同じようにベースアップのために予算補正をしているのが例になっております。今度は国では総合予算主義をとるというたてまえでございますので、われわれといたしましても、一般行政経費の中の現年災に必要なものも含めまして、八百五十億円を一応計上いたしております。
  186. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 八百五十億円は一般行政費の中に計上をしているのか、あるいは何か予備費というような項目でこれだけを見積もって計上しているのか、どちらでございますか。
  187. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方財政計画に予備費なんという便利なものはございませんので、国庫負担を伴わない経費をもって八百五十億あげております。
  188. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると財政局長、この八百五十億のうち——年々災害で予想できない支出というものがかなりある。大体過去三年くらいをとってみると、どのくらいの災害支出というものがあるわけですか。
  189. 細郷道一

    細郷政府委員 四十年度でいいますと百六億円、四十一年度で八十九億円、四十二年度で百三十五億円、こう見込んでおります。
  190. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、八百五十億円のうち百億前後、多い年は百三十五億として、約百億程度は災害に回るとかりに計算をして、七百五十億円が地方公務員のベアに回せると予想のつく金額だろうと思うのであります。七百五十億というとベアの率は、かりに五月から完全実施すると何%、去年と同じように八月からやった場合には何%になりますか。
  191. 細郷道一

    細郷政府委員 実はその計算をいたしておりませんので、ちょっと手元に持っておりません。
  192. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それは簡単にできるわけですね。私はけさそういう質問を局長にやるぞということを言っておいたのですがね。だからそれはちょっと怠慢ですな。あとでひとつ計算をして、例年の例でいくとかりに七百五十億をベアに使った場合には何%になるか、至急に手元に出していただきたいと思います。  それからもう一つ、いま地方公務員について定年制を何とかしこうという自治省の考えのようでありまするが、もし定年制の法律をつくったとしたら、大体どのくらいの人間が削減されるという予想なんですか。
  193. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 定年制は、自治省では一律に年齢を定めてやるわけではありませんので、一定の年齢以上の人を離職させる道をそれぞれ地方公共団体が条例によって定める。ですから、それぞれ団体によって不必要と考えるところではそういう条例はつくらぬわけでございますが、中にはもう七十歳、八十歳にも近いような職員をたくさんかかえておるところもありますし、そういうところではおそらく条例をすぐつくることになると思います。ですから、いまの段階ではこれに該当して離職する人が何人あるかということは、全然予測ができません。
  194. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、この定年制のねらいは、新規の者が採用できなくなってきた、新規の者を採用するワクが減ってしまった。現在就労しておる人たちが固定化しているために新規が入らぬ、高齢化している、そこで新陳代謝をはかろうというのがねらいなのか。それとも自治省は、現在の地方公務員の定数というものがもうすでに絶対的に多過ぎるのだ、したがってその絶対量を減らすのだという構想なのか。それはどちらにウエートがかかっているのですか。
  195. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのいずれでもありません。やはり国家公務員であれ地方公務員であれ、使用者は住民であり国民であるわけですから、そのことは憲法で明確になっておるわけなんでして、一応定数というものをきめてはありまするけれども、やっぱり最終は住民を代表している議会できめられるべきものであると考えます。
  196. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 議会できめられるべきものだったらわざわざ中央で一律に条例をつくるのを促進するような定年制を出す必要はないのじゃありませんか。
  197. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その必要を感じておる地方団体もたくさんあるわけでございますが、いままではそういう定年をきめる条例をつくるなどということは何か違法であるかのごとき感じが持たれておったけれども、そうではないと思います。離職の規定を地方公務員法に入れたい、こういうことでございます。
  198. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、実際には大体年齢がくると退職勧奨してやっておるのですから、それを全国的に一律にこういうもので条例がつくられるのだ、さあやりたまえという指導を法律でやらなくたってできるのじゃないですか。勧奨というのはちゃんとやっておるのですから。それをあえてこういうことをやろうというところに赤澤自治大臣の人気が下落するもとができるのじゃないですか。どうも説得力がないですね。
  199. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほども申されましたように、やはり職員構成は新陳代謝があるということ、常に若返るということは住民に対するサービスのゆえんでもありますし、また、この道を開くということについてはやはり地域住民にいろいろなお考えがあるわけですから、それを尊重してその地域ごとに——何歳ということは申しませんけれども、あまり年老いておじいさんになった方は、若い人もどんどん成長して就職への道を求めるわけでございますので、やはり中が流れるということは決して悪いことではない、その道だけは開いておこう、こういうことであります。
  200. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その問題はきょうの本論ではありませんから、ここで大臣と論議することはやめます。  いずれにしても、今回の地方交付税法の改正に伴う、ただいま大蔵で議論をしておる措置のしかたは、地方財政から四百五十億国が借りて、しかも今度は償還を早めて別に貸し出しをするなどというややこしい手続をとって、地方自治体の自治を侵害するような今回の政府の措置というものは、まことに地方自治の本旨にもとる逆の措置である。また、地方自治体を中央権力が自由に左右するようなこういう予算措置というものはまことにけしからぬ措置であると、大蔵大臣に不満をぶちまけて私の質問を終わりたいと思います。
  201. 田村元

  202. 村山喜一

    村山(喜)委員 自治大臣にお尋ねいたしますが、あなたは二月の二十六日に赤坂プリンスホテルで、全国知事会地方制度調査委員会委員長の岡山知事さんの加藤武徳さんと「当面する地方行財政の諸問題」ということで座談会をおやりになりましたか。これは事実でございますか。
  203. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 やりました。
  204. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、都道府県展望の四月号にその内容が出ておりますが、これはごらんになりまして、そしてこのことについてはそのとおりだ、こういうことでよろしゅうございますね。
  205. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 読んではおりませんが、だいぶ調子よくやりましたから、いろいろなことが書かれてあると思います。
  206. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が大臣にきょう出てきていただいたのは、この点についてあなたが非常に意気軒高として活躍をされておる模様をこの誌上によって承りましたので、それについてのあなたの自信のほどをひとつお聞かせいただきたいということでお出ましをいただいたようなわけです。そこで次から次へお尋ねをしてまいりますから、お答えをいただきたいのであります。  この特別会計の法案の審議にあたりましては、すでに中身の問題については地方行政委員会で十分に論議がされたと思うのであります。しかしながら、これは地方財政計画のその方針の中にも出ておりまするし、そして一般会計から受け入れたりあるいは返済したり、いろいろな会計上の措置がわれわれの審議の内容でございますから、幾ぶんその面においては重複する点はやむを得なかろうと思うのであります。  そこで、地方財政の問題を考えてまいりますと、大臣も言っておられるように、現在地方債の合計額がいわゆる債務負担行為まで入れて約四兆円、これは間違いないわけですね。
  207. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 間違いありません。
  208. 村山喜一

    村山(喜)委員 四兆円もあるという事実、しかも債務負担行為というものは自治省として規制ができているわけですか。
  209. 細郷道一

    細郷政府委員 特別にはございません。
  210. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十一年度の地方債の発行状況の借り入れ先別を調べてまいりますと、「地方財政」の三月号でございますから一番新しいやつです、その中で、政府資金は四一・八%、それから市中銀行が四四・六%、これは都道府県の分ですが、市町村まで入れましても、政府資金が五五%、それから市中銀行が二九・三%、市町村を入れたら若干の比率は違いますけれども、そういう中で、今度あなたのほうでいわゆる二百五十億の資金運用部からの資金を借り入れて、そしてこの特別会計で交付税に加算をして配分をする、それによって古い災害債などを返済をさせる、こういうような構想のように承るのですが、これは政府資金分ですか。
  211. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  212. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、その政府資金分の金利と、それから市中公募あるいはその他団体から借り入れている分とは、資金コストの面からいった場合には地方自治団体にとっては政府資金分のほうは安くて、そして縁故債等による分は高い、これは間違いありませんね。
  213. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 何がしか差があることは事実でございます。
  214. 村山喜一

    村山(喜)委員 地方財政を健全化していくという方向から申しますならば、そういうような災害債等は政府資金によるものが全部だと私は思うのですが、それよりも、高利の資金を返済をしていく、こういうような方向に目を向けるのが当然ではないかと私は思うのですが、それをあなたは古い災害債分を処置するんだ、こういうようなことでおられるというのは、知恵をしぼってやったということを言われておるのですが、あまり知恵があるようには私は思わぬのですが、その点はいかがですか。
  215. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いろいろ考えたのでございまして、古い災害債は団体ごとに非常に凹凸もありますし、いつかこの財政の内容を健全化するためにこれは一ぺん大掃除をしなければならないということは考えておったわけでございます。これも引き揚げてしまうわけではありませんので、やはり新しい行政需要には引き当ててまいることになっておりまするので、それはやはり金利の面を御指摘になりますれば何ほどかそういう面も指摘されるとおりかもしれません。しかし、それより一応総ざらいするということにも意味があるのでございまして、私は、地方財政健全化のためには間違った道ではなかったと考えております。
  216. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは、災害債分は市町村まで入れたら三千六百七十五億、これは間違いございませんね。
  217. 細郷道一

    細郷政府委員 そうでございます。
  218. 村山喜一

    村山(喜)委員 その古い分を大掃除をするんだと言うが、二百五十億で大掃除はできないと私は思う。大掃除をするということはこれからもそういうような措置をしようというお考えですか。
  219. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御案内のとおりに、昭和二十七年から三十七年までの公共災害復旧事業分を一応整理してみたということでございまして、それを内訳いたしますと、交付団体、不交付団体合わせて二百六十七億ということになっております。そのうちで今度整理いたしましたものが交付団体分二百三十八億円、ちなみに不交付団体分も若干その上に合わせまして二百五十億という計算をしたわけでございます。
  220. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ大掃除とまではいかないと私は思うのです。今後おやりになるのかどうか、いまはまだはっきりしていないからお答えをいただきたい。
  221. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大掃除か中掃除か小掃除かわかりませんけれども、やはり借金財政の上に成り立っておることは間違いないところでございます。ですから、借金というものを洗いまして、できるだけそういうものをなくしていく。借金がなくなってしまえば一番健全には違いありませんが、現在の状態ではそこまではなかなかいきかねておりますので、しかし古い債務というものはやはり整理していくのが私は順当ではないかと考えております。
  222. 村山喜一

    村山(喜)委員 その借金をなくしていくようにするというのはこれはいいんですよ。いいけれども、これは四十四、四十五、四十六の三年間にわたって地方公共団体の一般財源から返済をしなければならないわけでしょう。
  223. 細郷道一

    細郷政府委員 二百五十億の借り入れ金については返済をいたします。
  224. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、それは三年間計画でやられるということになっておりますね。これは間違いございませんね。
  225. 細郷道一

    細郷政府委員 そのとおりでございます。
  226. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、一般財源の使途をその分だけは制約をして、おまえのところには借金があるから直接それを返せ、自分で使える一般財源がその分だけこれから制約をしていくという考え方ですね。これは四十四年、四十五年は八十五億ずつ、それから四十六年は八十億、これだけは使わせないぞ、そのかわり繰り上げ償還をせよ、こういうことでしょう。ということは、地方財政は豊かであるからそういう措置をしなさい、こういうことではないのですか。
  227. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方財政が豊かだからといううぬぼれなんぞは毛頭持っておらぬことは先ほど現債額を御指摘になりましたとおりであります。借金財政の上に成り立っておるわけです。しかし今回の予算編成は、ここは大蔵委員会でございますからここに大蔵大臣が黙って控えておりますけれども、今日内外の経済情勢からして、非常に日本財政が危機に立っておるという認識の上に編成されたものと考えておるわけでございます。そうすると、国の財政も地方の財政も直接国のフィスカルポリシーなんかに関係はございませんけれども、しかしながらやはり、車の両輪ということばが当たるか当たらないかわかりませんけれども、国が直面しておるものについては地方も十分それについてしんしゃくするということが、地方の行政需要を満たすことも必要ですけれども、国民、住民全般にとって決して不幸をもたらすものではない、かえってこういう時期には何がしか協力するのが至当であろうという考え方で若干の措置をとっております。
  228. 村山喜一

    村山(喜)委員 その問題は私のほうからこれから質問をする問題であって、いま私があなたに質問をしたのは、一般財源の使途をそれだけ制約することになるんだという事実だけはお認めになるべきじゃないのですか。二百五十億資金運用部資金を借りてこの特別会計の中に入れて交付税の形で流す、流すけれどもそれは返済を三年間にわたってさせるわけでしょう。そうすると、いずれ渡されたほうは古い借金の返済にこれを充てるわけですから、借金は減るけれども、いわゆる一般財源はそれだけ少なくなるから、一般財源の使途はその借金を返す分だけ制限をされる、こういうことでしょう。
  229. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ひもつきでやっておるのではないかといったような印象からそういうことをおっしゃっておるのではないかと思いまするけれども、私どもはそういうふうに考えておりません。
  230. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは細郷局長、どうですか。四十四年では——来年度ですよ。四十四年では八十五億、四十五年が八十五億、四十六年八十億、これは資金運用部資金特別会計に返済をするわけでしょう。そうでしょう。この一年間しか借りられないのだから、資金運用部資金の二百五十億は。だから、返済をする分をそういうふうにして順ぐりにやっていくその原資というものは、地方公共団体の一般財源の中から返済をせざるを得ないじゃないですか。それともこの交付税特別会計のほうでさらにそれを借金をして、あとはそのままにしておくのですか。そうじゃないでしょう。
  231. 細郷道一

    細郷政府委員 二百五十億については三年間で八十五億、八十五億、八十億、それぞれ返済をいたします。
  232. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、その返済をするのは地方公共団体でしょう。
  233. 細郷道一

    細郷政府委員 地方交付税の総額から返済をいたします。
  234. 村山喜一

    村山(喜)委員 地方交付税は、これは地方公共団体の一般財源です。だから、その分だけそれが減るということは、一般的にひもがつかない一般財源が制約をされるということになるじゃありませんか。そうでしょう。
  235. 細郷道一

    細郷政府委員 それは前借りをしたわけですから、あとの年度では減るのが当然だろうと思います。ただ御承知のように、一方では四百五十億の返還分が百五十億ずつ入ってまいるわけでございます。
  236. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうのをへ理屈というのです。大体四百五十億は、これは地方のものだったのを国のほうが、とにかくやりくりが困るから貸してくれというのであって、それを三年間繰り延べをするにすぎないのです、百五十億ずつ。だから、あなたの言うのは理屈に合わない。別な要素のものを引っぱり出してきて言うておるにすぎない。やはり客観的な事実は事実として、その上に問題を組み立てていかないと、そういうようなごまかしの答弁になる。四百五十億のこの問題についても、私は問題があると思うのです。  赤澤自治大臣、あなたはこれは地方財政法第二条の立場から承認をされたのですか。これにはそう書いてある。どうですか。地方財政法第二条だ、あなたは加藤さんにそう言われたでしょう。
  237. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  238. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは私は法律の解釈を間違っておると思うのです。地方財政法は第一条からあるのです。第二条だけじゃございません。したがって、第一条の立場から問題を考えるべきであって、大臣が苦しい立場にあるということは、私はわかるわけですよ。こういうようなことをやらざるを得なかったという事実については、私は承認をしてもよろしゅうございます。しかし、第二条があるから、それによってやるのがあたりまえだという考え方は、これは間違いじゃないかと思うのですが、いかがです。
  239. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 あたりまえだとは思っておりませんけれども、先ほどの大蔵大臣のことを言いましたが、こういう措置をとらざるを得なかったことは、国全体の財政政策関係がありますので、あえてそういう措置をとったということを申し上げた。まあ貸し借りという議論は果てしがありませんけれども、事の起こりは、御案内のとおりに、過般四百八十二億というものを、減額すべきものを埋めたいきさつもありまして、そこへ何か出世払いなどということがはさまったものですから、非常に困ったわけですが、出世払いというものは、私たちは払わなくてもいいものだという解釈の上に立って、大蔵大臣とずいぶん議論をしたわけでございます。しかし、まあ国の立場もわからぬことはないから、そんなものは破ってしまおう。あらためてとにかくそういう措置をした、こういうことでございます。
  240. 村山喜一

    村山(喜)委員 四百五十億は、これはどっちのほうが勝敗がついたのか、勝ち負けは私は評価はいたしません。しかし四百五十億、国に地方公共団体が貸してやった。それを三カ年間にわたって百五十億ずつ延べ払いで、国がこれから交付税に継ぎ増しをしてやるんだ。しかし、それだけでは大蔵省としては、どうも旗色が悪いから、ひとつこの際、借金を返してもらおうじゃないかということで二百五十億という要素が加わったんじゃないですか。
  241. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういうことはございません。自治省といたしましては、やはり財政面で不安もあるものですから、たとえば特別事業債なども、かつての大臣が、地方には迷惑をかけないと速記録に残しただけで、そのままこれも議論の種として残っておるとか、あるいは地方の超過負担の問題も未解決として残っておるとか、いろいろの問題をかかえておったわけでございまして、これをきれいさっぱり今回片づけたいという気持もありました。いろいろなこともからみまして、そういう措置に踏み切ったわけでございます。決してふところぐあいがいいから、国に金を貸すなんて大それたことを思ってやったことでないことは、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  242. 村山喜一

    村山(喜)委員 結果的にはそう言われても、国のほうは四百五十億借りて、延べ払いであとは払っていくという形に法律の上ではなっているんだからしかたがない。だからそれは客観的な事実として私は指摘をしておる。  そこで、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律の四条二項による借り入れ金の三百億の返済の問題ですが、これは初め四十一年から四十六年までかけて返済をしていく形で借り入れの措置が行なわれるようになっております。ところが今回の改正では、借り入れ金は四十四年度以降の年度においては行なわない。こういう措置を今度とるわけですね。それは一年繰り上げて、四十四年と四十五年には残りの分について八十五億ずつ、これは繰り上げ償還ですから百七十億、その分だけは繰り上げ償還をする。だから七カ年返済を一年繰り上げて六カ年返済にするんだ、こういうふうになりますね。これはそのとおり考えてよろしいですか。
  243. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そのとおりでございます。
  244. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、ここでも償還が一年早まることによって、それだけ地方財政は圧迫される。片一方の立場から見れば、それは健全化される。うらはらの関係でしょうから、そうおっしゃるかもしれない。こういうような繰り上げ償還措置をとることか——先ほども触れましたか、これでやっていけるという自信が大臣としてはあるわけですか。
  245. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もちろんすべて十分検討いたしましてやれる。しかも財政面では重点的に効率的に予算を駆使していくことによって、地方団体にはそう大きな迷惑を来たさないという判断の上に立ってやっておるわけでございます。
  246. 村山喜一

    村山(喜)委員 その問題は大きな迷惑をかけるか、小さな迷惑になるか、それはこれからの運営を見なければわかりません。それはまた、その時期に申し上げることにいたします。  そこでもう一つありますのは、四十一年度に発行された、いわゆる特別事業債千五百億、これの元利合計分は交付団体で幾らになるのですか。この計画によりますと、四十三年から五十六年までの間に一般会計からこの特別会計の中に繰り入れて交付をし、そして返済せしめるということになっているようでありますが、その間のいわゆる元利合計は、交付団体分は幾らになりますか。
  247. 細郷道一

    細郷政府委員 四十二年度の交付団体ベースで今後を推計いたしますと、四十三年以降千百三十六億でございます。
  248. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十三年度分として九十億計上してあるのですが、これは九百十四億の分に見合う分ではないのですか。この千百三十六億に見合う分として計上してあるのですか。
  249. 細郷道一

    細郷政府委員 今回の九十億は、九百十四億分の借り入れ金の元利償還のうちで、交付団体にかかる分が九十億ということでございます。それから千百三十六億と申しましたのは、四十三年度から五十六年度までの間に交付団体分として償還すべき元利額が千百三十六億でございます。ただし、その計算は四十二年度の交付団体ベースで計算をいたしております。
  250. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、この九百十四億に見合う分としての九十億でございますか、それとも千百三十六億の分の九十億でございますか。その点は大蔵省と自治省ではっきり詰めておりますか。
  251. 細郷道一

    細郷政府委員 九百十四億借り入れをいたしましたものを、元利償還分で四十三年度で返すべきもののうち交付団体分が九十億、したがいまして、先ほど申し上げました千百三十六億のうちに九十億は入っておるわけでございます。
  252. 村山喜一

    村山(喜)委員 その一部ですね。
  253. 細郷道一

    細郷政府委員 はい、一部です。
  254. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十二年度の交付団体、それから当時の交付団体、不交付団体、これは動きはございませんか。財政事情の変化によって動きがあると私は思うのですが、いかがですか。
  255. 細郷道一

    細郷政府委員 交付、不交付の動きは毎年若干ずつございます。
  256. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、不交付団体になったら、その分だけは国のほうでめんどう見てくれるという分がなくなるわけですから、その分だけ被害を受けるということですね、金の面からいえば。
  257. 細郷道一

    細郷政府委員 不交付団体には交付税そのものがまいりません。この償還交付金は交付税と合わせて交付をいたしますので、不交付団体にはこれの分もいかない、こういうことでございます。
  258. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、不交付団体になったら、財政事情がよくなるのですから、その分だけ少なくなる。そこで四十三年以降五十六年までの間において、不交付団体がふえてきたような事態が出てきたときには、この千百三十六億は減ってきますね。
  259. 細郷道一

    細郷政府委員 不交付団体がふえてまいりまして、その分の償還額があります分だけは減るわけでございます。逆の場合はふえるわけでございます。
  260. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、千百三十六億というのは、一応仮定の数字にすぎないとすれば、これの分の九十億というのは、ことしについては予算上の措置はあるけれども、これを法律で実害を及ぼさないような措置を考えることが可能だという考え方をあなたはお持ちですか。
  261. 細郷道一

    細郷政府委員 技術的には可能でございますが、ただ今回の場合は、四十一年度に発行した九百十四億はもうすでに確定した数字でございます。そうしてそれに計算をいたします元利の条件は、あらかじめきめておるわけでございます。したがいまして、その計算は、毎年度の元利償還額は、今後十五年間もうすでに抽象的にきまっております。違います点は、毎年度の交付、不交付のズレだけでございます。それは政令によってそういう計算をするということを明らかにいたしたいと思っております。
  262. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなた方のほうは、「政令で定める基準に従い」ということになっているんですね、法律の条文は。ところが、大蔵委員会の特別会計のほうに出されたのは、「予算で定めるところにより、」というふうに条文はなっておりますね。これは大蔵省は予算だけが制限のワクだというふうに考えているのですか。
  263. 相沢英之

    ○相沢政府委員 「政令で定める基準に従い」「予算で定めるところにより、」という表現を使っておりますが、その対象となっております特別事業債の範囲ははっきりいたしておりますし、それから基準は、財政局長が申し上げたようなことできまってまいりますものですから、特に「予算で定めるところにより、」ということはあるいは不必要かと思いますけれども、これは特別会計に一般会計から財源を繰り入れる場合のいわば例文でございまして、特別な意味はございません。しいて申し上げますと、端数を整理するというような点に意味があるわけでございます。
  264. 村山喜一

    村山(喜)委員 この九百十四億に対する詰めは、大蔵省と自治省のほうでははっきりしているわけですね。そうすると、四十二年度末におけるものを、四十三年から五十六年までの元利合計額とし四十二年度の交付団体分について計算をしたら千百三十六億という金額になった、これは両省間において間違いございませんか。はっきりしてください。
  265. 細郷道一

    細郷政府委員 間違いありません。
  266. 相沢英之

    ○相沢政府委員 これは計算のこまかい点については自治省でやったものでございますが、私どももそういう数字で一応考えております。
  267. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような状態になっているわけですが、この都道府県展望の中に、自治大臣は「禍根を残してはいかぬから、きちっと制度として償還交付金という形でこれは年度割りにして返すという法律をつくってしまうつもりです。」こういうふうにやはり大蔵省は信用ができない、ひとつ法律できちっとやろうという自治大臣としては非常に勇気のある発言をなさっておいでになる。まことにけっこうなことです。自治大臣は、そういう立場でこれからやられるんでしょうね。
  268. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大蔵大臣を決して信用しないわけではありませんけれども、法律総体のワクははっきりきまっている、それをもう一覧表的に、年次別に金額をはっきり出せば、そこまでやっておれば一番安心がいくのですが、これはいろいろ省内でもこの問題については検討いたしまして、いろいろ複雑な計算のしかたで——やはり政令で十分目的が達せられるということがわかりましたので、こういう形にしたわけでございます。
  269. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうしますと、これはもう取り下げ、こういうふうになるわけですね。その意気は壮とするに足りますが、そういうようなことで両方の金額が両省間において一致して、そうしてそれについては基準をつくって、それを予算化していくということですから、間違いがないと思います。ただ、これはわれわれのほうでは、予算の定めるところに従いという条項しかないのですから、一般会計の中における繰り出しですから、予算全体が非常に窮屈になっていって、そうして事態が非常に困難な状態になるということになったら、これは予算の定めるところの範囲内だけしか出てこないということになると心配がありますが、水田大蔵大臣、この点はだいじょうぶ間違いありませんね。
  270. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題の処理については、万全な話し合いがついて、了解事項でございますので、間違いありません。
  271. 村山喜一

    村山(喜)委員 安心いたしました。  そこで、もう時間がありませんから、私もこれ以上追及はいたしませんが、あと一点だけ、これはいわゆる超過負担額の問題でございます。  今度、超過負担額の六事業種目について実態調査をしたところが、四百十億くらいの超過負担額が出てきた。そのうち半分は国、半分は地方公共団体が持つべきものである、こういうことになったということでございますが、残ったものについてはどうされるのですか。これからまた調査をして、そして超過負担の解消につとめるつもりであるのか。半分だけは国が持ち、半分は地方公共団体が受け持つというような割り切り方は政治的な割り切り方じゃないですか。合理的な科学的な割り切り方だと言えますか。
  272. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 四十二年度に精査いたしまして、どういうことが原因になって超過負担が生まれておるのかということがわかったわけでございます。事業の種類によって一々内容は違うわけでございまするが、ただ総体的に申しまして、四十二年の調査分ではやはり数量差あるいは単価差などが大きな問題になったわけでございます。しかし、実際調べてみますと、国で負担すべきもの、それからそれぞれの団体で負担すべきものがはっきりしたわけでございますので、それがたまたま昭和四十二年の分は大体半々という数字が出た。しかし、これは大蔵大臣と固い約束をいたしましたが、六種類の事業以外のものは四十三年度で精査いたしまして、三年がかりで完全に解消するという固い約束をいたしております。
  273. 村山喜一

    村山(喜)委員 残りのものについては精査の上、三年がかりで解消につとめる、大蔵大臣、それは間違いございませんね。
  274. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 間違いございません。
  275. 村山喜一

    村山(喜)委員 保育単価の問題なども、法律に定めるところによる分といたしまして、八億円くらいの超過負担額がある。その一番大きいのは、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、こういうようなところの指定都市が一番大きいようでありますが、保育単価一つ取り上げてみましても、国庫負担金の交付予定額についての調査をした資料を見ましても、これは指定六種目以外のものですが、そういうようなものがあることをわれわれも知っております。そこで、これらの問題については、十分今後において両省間で合理的な解決の道が生まれて、そして、足して二で割るという方式ではなくて、ひとつ科学的に、この分については地方自治体が受け持たなければならぬ、これは国が当然措置しなければならないものだというけじめを明確に措置されるように要望申し上げまして、終わりたいと思います。
  276. 田村元

    田村委員長 岡沢完治君。
  277. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私、約三十分という約束でございますので、六時四十五分が参りましたら、途中でもう質問をやめるということを前提にして三、四点の問題をお尋ねしたいと思います。  いま武藤委員から、超過負担の問題について質問がございましたが、最初にこの超過負担についてお尋ねいたします。  自治省のほうに、超過負担に対する基本的な態度をどういうふうにとっておられるかということと、それから、地方財政計画上のこの超過負担の取り扱いについて御説明いただきたい。
  278. 細郷道一

    細郷政府委員 超過負担は当然解消すべきものだと考えております。ただ、先ほど来出ておりますように、今年度実態調査をいたしました結果、中には、たとえば職員の給与ベースが高いものがあるというようなものは地方で独自に持つべきものといたしまして、それ以外のものについては三年計画で解消する。地方財政計画も措置された後の姿で、それぞれ計画いたしております。
  279. 岡沢完治

    ○岡沢委員 大蔵省のほうに聞きたいと思うけれども、いま自治省の財政局長としての、超過負担に対する基本的な態度の表明があったわけですが、大蔵省も同じだと考えてよろしゅうございますか。
  280. 相沢英之

    ○相沢政府委員 超過負担の解消につきましては、私ども、自治省と同じ考え方でございまして、四十二年度に特に超過負担が多いと思われる六種目につきまして調査を行ない、その結果に基づいて四十三年度に所要の措置をとりましたが、今後もなお問題のある補助金につきまして、四十二年度と同様、関係各省立会のもとに調査を行なって、その解消の措置を行ないたい、かように存じております。
  281. 岡沢完治

    ○岡沢委員 その超過負担につきましては、従来千億とか千二百億といわれておったのに、昨年度の調査では四百十一億という結果でかなり差があるわけであります。この辺の数字の違いはどこに原因しているのですか。
  282. 細郷道一

    細郷政府委員 いわゆる超過負担というものはなお千億くらいあるのじゃなかろうかと思います。今回、そのうち六つの事業について調べました結果が四百十一億であったわけでございますが、それ以外のものも含めてそれくらいあるだろう。ただ、それを精査の結果は、地方が独自で持つべきものも出てまいると思います。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席
  283. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いま御答弁がありましたけれども、四十三年度の超過負担の解消額を数字でお示しいただき、その具体的な例についても御説明いただきたい。
  284. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度において解消いたしました額は三百二十億でございます。そのうち四十二年度に調査をいたしました六事業については二百三十七億でございます。その調査をいたさないものにつきましても、単価の改定等をいたしておりますために、全体で三百二十億でございます。
  285. 岡沢完治

    ○岡沢委員 御承知のように、物価は確実に上昇傾向にございますし、給与のベースアップというものも当然考えられるわけでございますが、今後の超過負担の解消措置と、この物価上昇、あるいはベースアップとの関連についていかなる考えを持っておられるか、お尋ねいたします。
  286. 細郷道一

    細郷政府委員 適正なるものは見込んでまいる考えであります。
  287. 岡沢完治

    ○岡沢委員 それでは、時間の関係で、超過負担につきましてはその程度にいたしまして、次は過密対策についてお尋ねをいたします。  最近における人口の都市集不に伴いまして、大都市及びその周辺における市町村では、これに対処するための学校とか、都市計画事業、し尿、ごみ処理施設などの財政需要が急増していることは御承知のとおりでございますが、その問題について、四十三年度の交付税上の財政的な措置はどのようになっておりますか、お尋ねいたします。
  288. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度で、交付税上は、過密対策として二百十二億見込んでおります。内容としましては、人口急増の補正を強化するほか、都市的な経費の態容補正を合理化するなどの方法によっております。
  289. 岡沢完治

    ○岡沢委員 これらの大都市周辺における財政需要の中でも、特に市町村で困っているのは用地取得の問題ではないかと私は感ずるのでございますけれども、用地取得に対する財政的措置について具体的な自治省の御態度を御説明願いたい。
  290. 細郷道一

    細郷政府委員 一つは、交付税の中で急増補正の中では用地費を考慮した上で需要の増を見込むようにいたしております。いま一つは、地方債で先行取得債を許可する。また義務教育につきましてはやはり用地費を政府資金によって措置をする。そういったものを弾力的に運用することによって動態的な需要にこたえてまいりたい、かように思っております。
  291. 岡沢完治

    ○岡沢委員 都市対策一般について特に地方債が従来までも有効な役割りを果たしてきたと思うのでございますけれども、四十三年度の地方債計画を見ますと、前年度が六千六百九億円、本年度は六千七百七十三億円でその増加はわずかに百六十億、増加率は二・五%にすぎないわけでございます。その理由はどこにあるのか。これで実際適切な措置がとれるのかという点をお尋ねします。
  292. 細郷道一

    細郷政府委員 明年度の地方債計画、特に一般会計におきましては、昭和三十九年度に行なわれました住民税の減税補てん債が自然減になります。そのほか補助事業あるいは直轄事業、義務教育事業等につきまして、一般財源が伸びましたのでそれに振りかえをいたしましたために地方債を減額いたしている分がございます。全体としてこれでやっていけるものと考えております。  なお、公営企業債につきましては、水道、下水あるいは地下鉄等につきましてかなりの増額をいたしております。
  293. 岡沢完治

    ○岡沢委員 それでは、過密対策につきましてはまだ質問したい点もありますけれども、時間の関係で交通安全対策特別交付金、例の交通反則金の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  御承知のように、昨年の道交法の一部改正によりまして新たに交通法規違反者に対する反則金制度が行なわれ、この七月から施行されるわけでございますけれども、交通安全対策特別交付金として地方団体に交付される交付金の実態、具体的にはどういう扱いで交付金が地方団体に交付されるのか、その扱いの内容を御説明いただきたい。
  294. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度は全体百二億でございますが、その額を地方団体に配分するにあたりましては、交通事故の発生件数と人口集中地区人口をとりまして、その割合は大体二対一でとろうと思っております。そしてそれを県ごとに分けまして、県の中で都道府県と市町村の割合をまた二対一に分ける。  なお、指定市につきましては道路管理上の特殊性がございますので、特別にその該当の府県からよけいに分けるようにいたしております。それぞれ先般出ました政令に規定をいたしてございます。
  295. 岡沢完治

    ○岡沢委員 この交付金の対象になる施設につきまして、具体的にどういう施設にこの交付金が使われるのか、御説明をいただきたいと思います。
  296. 細郷道一

    細郷政府委員 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法にございますいわゆる交通安全三カ年計画の事業によって設けられる施設でございますので、具体的にはガードレールでありますとか歩道橋、あるいは信号機、反射鏡、そういった種類のもの、それに踏切道の舗装と拡幅に要する施設、それから救急自動車、こういうものが政令でそれぞれ対象施設にきめてございます。
  297. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いま政令ということばが出たわけでございますけれども、この政令はもうすでに公布されたのかどうか。この政令に団づく配分方法について先ほど御説明がございましたけれども、補足されるところがありましたら、お答え願いたいと思います。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
  298. 細郷道一

    細郷政府委員 政令は先般公布になりました。
  299. 岡沢完治

    ○岡沢委員 配分方法は先ほどおっしゃったとおりですか。
  300. 細郷道一

    細郷政府委員 そのとおりでございます。
  301. 岡沢完治

    ○岡沢委員 それでは、時間的に最後の質問に移りたいと思いますけれども、道路譲与税についてお尋ねをいたします。  この道路譲与税の配分方法、配分率について、あるいはまたこの道路譲与税の創設された立法趣旨についてお尋ねいたします。
  302. 細郷道一

    細郷政府委員 地方道路譲与税の配分は、国道、府県道の面積と延長を一対一、半々にとりまして、各府県、五大市に配分をいたしております。  当初はいろいろ交通量その他補正をいたしておりましたけれども、地方のいわゆる未改良地帯の道路目的財源を確保しようという考え方から、現在は面積、延長になま案分をしているのが実情でございます。
  303. 岡沢完治

    ○岡沢委員 立法趣旨と立法時期について。
  304. 細郷道一

    細郷政府委員 立法は昭和三十年に地方道路譲与税法ができました。それは、一つには、昭和二十九年から発足いたしました第一次の道路整備五カ年計画の地方の負担をカバーする、こういう目的から最初にできたものでございます。
  305. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いまの御説明にもありましたように、この道路譲与税の発足したのが昭和三十年、いまほど道路の過密状態がきびしくなかった時期であります。また、人口の都市集中もきびしくなかったという時代でございます。御説明にありましたように、配分方法が道路の面積と延長ということだけで単純配分——先ほどお答えになりました交通反則金の場合は事故数とか人口集中率、石油ガス譲与税につきましても交通量の実態に応じた補正があるわけでございますが、この道路譲与税に限って道路面積と道路延長ということになりますと、岩手とか北海道とか面積の広い地域は非常に率としては優遇されているかっこうになるが、大都市、特に大阪等の人口密度は強いけれども面積は少ない、しかし道路の使用量は非常に多いというところでは、実際問題として非常に不利な配分率になるわけですが、これについて是正の御用意があるか、あるいは将来どういうように考えておるか、このままでいいと思っておられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  306. 細郷道一

    細郷政府委員 道路譲与税の配分の方式は、先ほどもちょっと触れましたように、最初はある程度補正を入れておったのでございます。地方のほうでは未改良補正、都会のほうでは交通量補正を入れるというようなことで、かなり相殺的な要素が多かったわけでございます。しかし全般的に見て、地方の道路の未改良の度合いが低いのでそれに対応しようという意味から、先ほど申し上げたなま案分にいたしたわけであります。しかし反面において、交付税需要額の算定におきましては十分交通量補正というようなことを需要額に見込んでおりますので、そういう面ではそれだけの財源が関係の団体に確保されておる、こういうふうに考えております。
  307. 岡沢完治

    ○岡沢委員 細郷さんは非常に頭のいい方ですからじょうずにごまかされますけれども、やはりこの道路譲与税の分配については、面積が小さくて交通量の多い大都市をかかえておる地方団体については非常に大きな不利益をこうむっておるのが実態ではないか、そういう点を御配慮いただいて、私は交通反則金なりあるいは石油ガス譲与税そのままとは申し上げませんけれども、三十年の分配率が正しいというようなことは実態に合わないのではないかということを御指摘申し上げまして、質問を終わります。
  308. 田村元

    田村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  309. 田村元

    田村委員長 これより討論に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
  310. 古屋亨

    ○古屋委員 ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対し、私は、自由民主党を代表して、賛成の意見を表明せんとするものであります。  本改正案は、昭和四十三年度の地方交付税にかかる特例措置が別途今国会に提出された地方交付税法の一部を改正する法律案において講ぜられたことに伴い、同年度以後の四年度における一般会計からの交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ金の額の特例、及び同特別会計の負担による借り入れ金の借り入れ並びに昭和四十三年度以後における特別事業債償還交付金に相当する金額の一般会計から同特別会計への繰り入れに関する規定を設けようとするものでありまして、基本法の改正に伴う措置として適切妥当なものと認めるにやぶさかでないのであります。  御承知のように、四十三年度の地方財政においては、地方税及び地方交付税等の一般財源の比重の増大が見込まれております。すなわち、四十三年度地方財政計画においては、地方税は前年度比二一・一%の増加が予想され、歳入全体に占める構成比も四十二年度の四〇・二%から四十三年度には四一・五%へ上昇することとなり、他面、地方債は前年度計画比一・七%の微増にとどまり、地方債依存率は前年度の四・八%に対し、四十三年度には四・二%に低下すると見られております。  しかしながら、現下のきびしい経済情勢にかんがみるときは、地方財政においても国と同一の抑制基調により重点主義に徹し、節度ある運営を行ない、その一そうの健全化をはかることは、地方財政の規模が国の一般会計予算と匹敵することを考えればきわめて意義あることというべきであります。  このような見地から、今回地方交付税について、国、地方を通ずる財政運営の円滑化をはかるため、地方交付税交付金の法定額から四百五十億円を減額して交付する等の特別措置が設けられたものであり、これに照応して地方交付税の収支を経理する特別会計につき所要の規定を設けようとすることは当然であり、適切妥当な措置というべきであり、ここに賛成の意を表するものであります。  以上、簡単でありますが、これをもって賛成討論を終わります。(拍手)
  311. 田村元

  312. 村山喜一

    村山(喜)委員 日本社会党を代表いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行ないます。  本法案は、四十三年度地方財政計画の策定方針に見られますように、本年度に限り地方交付税の繰り入れ額を法定額から四百五十億円減額して翌年度以降に繰り越すとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計において二百五十億円を借り入れ地方交付税に加算して、その金額だけ地方債を繰り上げ償還しようとし、あわせて昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律第四条第二項の規定による借り入れ金を四十四年度以降は行なわない措置をとることに伴う規定等の整備を行なうための法律案の改正でございます。  このことは、国の都合によって、国との財政貸し借りの道をつくり、地方財政の安定性が脅かされることになり、実質上三二%の交付税率を削減をする不当な措置であり、地方財政法を曲げて解釈したものだと言わなければなりません。  第二点は、交付税及び譲与税配付金特別会計で二百五十億円を借り入れて地方交付税において加算配分し、地方債について古い災害債分を償還期限を繰り上げて償還させようというものでありますが、これは資金運用部資金からの借り入れであり、四十四年ないし四十六年の三年間で償還は地方公共団体の財源から行なうものであり、一般財源の使途を制約するものであります。政府資金にかかわる災害債より高利の縁故債分を整理するのが地方財政の健全化になることを考えた場合には、これは単なるごまかしにすぎないということが言えます。  第三点は、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律による借り入れ金の返済も、四十四年度以降は借り入れ金を行なわないことになり、七カ年の返済を一年繰り上げて償還を早めようとするものでありますから、その点からも地方財政を圧迫するものだと言わなければなりません。  そして第四点といたしまして、特別事業債九百十四億にかかる十五カ年間の元利償還額一千百三十六億円中九十億円は一般会計から本会計に繰り入れられておりますが、不交付団体になった場合には損害を受けることになり、大蔵、自治両省間で債権債務は確認されているものも、これらのものについてはすでに清算されてしかるべきものが十五カ年間もかかるということは問題があるわけであります。  最後に、地方財政状況を考えてみますると、地方債の現債高が三兆五千億円にも及び、しかも予算外の支出行為である債務負担行為が四千五百億円にも及んでおり、合計いたしまして四兆円の借金を背負っているという事実、赤字団体が四百七団体、三百六億円の赤字額を背負っておるということは、地方財政を非常に圧迫をしている状態の中にあるということが言えると思うのであります。  そういう場合において、このような国の財政が苦しいからということで地方財政にしわ寄せをするような本法案の改正には、社会党としては賛成をするわけにはまいりません。  以上をもって反対討論とするものであります。(拍手)
  313. 田村元

    田村委員長 竹本孫一君。
  314. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、本改正案に反対の討論を行なわんとするものであります。  第一点は、今回の改正案にはビジョンやステーツマンシップがほとんどなくて、いたずらに小細工の多い改正案になっていることであります。交付税をふやしてみたり減らしてみたり、いたずらに複雑になっておるだけであります。  第二に、人口の都市集中、都市化地域の発展、その他地方団体の行政費の増加につきましても、その増加を今後どういう程度に見るのか、これに見合う地方の自主財源その他の財政措置はどうするかといったような基本的な問題についての基本的な構想が十分に示されていないという点であります。  第三に、したがって地方交付税交付税率のごときは、百分の三十二からむしろ今後増加すべきものであるとわれわれは考えておりますけれども、今回はむしろこれを切り下げようというようなお考えがあって、それが十分にできなかったために、あとでいろいろと細工をされた形跡もありまして、われわれの反対する点であります。  第四には、今回の試みは、交付税の本質をむしろ歪曲するような傾向がありまして、遺憾であります。交付税というのは、御承知のようにかってに減額をしたりいろいろ動かしたりすることのできないものでありまして、平衡交付金とは違う性質のものである。また、その性質は一般的なものであって、附則やその他でその本質をもてあそぶがごとき傾向は厳に慎なければならないと思います。また、本法の附則を見ればよくわかりますけれども、非常に複雑な附則を次々につけ加えていって、非常に混乱をさせる傾向がありますので、こういう点はむしろ今後厳重に警戒をしなければならぬ点ではないかと思うのであります。  以上、基本法に反対いたしましたのと大体同じ理由によって反対であることを申し添えて、反対の討論を終わります。(拍手)
  315. 田村元

  316. 中野明

    中野(明)委員 私は、公明党を代表いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対の意見を表明するものであります。  その第一の理由は、今回、地方交付税から国の一般会計に四百五十億円の貸し付けをしたことであります。最近、地方財政の収支じりのみをとらえて、地方財政は好転したとの論をなす者がありますが、これは単に表面上を見たのみであり、実情を見るならば、地方財政の収支は借入金によってかろうじてささえられているにすぎないのであります。なおかつ、地方においては、住民福祉の面において行なうべき緊急の仕事が山積しておる状態であります。それにもかかわらず、今回の措置は全く納得できないのであります。  第二は、国と同一基調により、地方の公共事業を抑制したことであります。これは、景気抑制という国のフィスカルポリシーに協力するものと思われますが、このような方針は、地方自治の使命、役割りに照らしてみても不適当であると考えるものであります。  第三は、災害債の繰り上げ償還を基準財政需要額に算入したことでありますが、これは交付税の恩恵を受けない不交付団体とのつり合いから考えて不合理であると考えるのであります。  第四は、毎年人事院勧告が出されるのが通例となっており、今年もおそらく勧告が予想されますが、これを地方公務員に適用した場合の給与改定費のうち、交付団体分として五百六十億円を計上しておりますが、これを上回った場合の措置が考えられていないことであります。  以上の点につきまして、今回の交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案に対して、反対の意見を表明するものであります。(拍手)
  317. 田村元

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  318. 田村元

    田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書に附録に掲載〕     —————————————
  320. 田村元

    田村委員長 次回は、来たる五月七日火曜日、午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会