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1968-04-17 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十七日(水曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 渡辺美智雄君    理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君    理事 竹本 孫一君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       河野 洋平君    小山 省二君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       井手 以誠君    佐藤觀次郎君       平林  剛君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       武藤 山治君    河村  勝君       石田幸四郎君    広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         中小企業庁次長 沖田  守君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         労働省労政局福         祉共済課長   根岸  博君         参  考  人         (金融制度調査         会会長)    舟山 正吉君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 四月十七日  委員野口忠夫君及び大橋敏雄辞任につき、そ  の補欠として堀昌雄君及び石田幸四郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として野口  忠夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十六日  国立医療機関特別会計制反対に関する請願外  三件(井上泉紹介)(第三九五一号)  同(江田三郎紹介)(第三九五二号)  同外五件(小沢貞孝紹介)(第三九五三号)  同(岡沢完治紹介)(第三九五四号)  同外九件(角屋堅次郎紹介)(第三九五五号)  同(金丸德重君紹介)(第三九五六号)  同外一件(川上貫一紹介)(第三九五七号)  同外二件(河上民雄紹介)(第三九五八号)  同外一件(木原津與志君紹介)(第三九五九号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第三九六〇号)  同外三件(島本虎三紹介)(第三九六一号)  同外三件(田代文久紹介)(第三九六二号)  同(田原春次紹介)(第三九六三号)  同外二件(谷口善太郎紹介)(第三九六四号)  同(玉置一德君紹介)(第三九六五号)  同外七件(塚本三郎紹介)(第三九六六号)  同外四件(堂森芳夫紹介)(第三九六七号)  同(中澤茂一紹介)(第三九六八号)  同外六件(中村時雄紹介)(第三九六九号)  同外二件(永末英一紹介)(第三九七〇号)  同(成田知巳紹介)(第三九七一号)  同(浜田光人紹介)(第三九七二号)  同外一件(林百郎君紹介)(第三九七三号)  同外二件(古川喜一紹介)(第三九七四号)  同外一件(松前重義紹介)(第三九七五号)  同外三件(松本善明紹介)(第三九七六号)  同(森義視紹介)(第三九七七号)  同(森本靖君紹介)(第三九七八号)  同外七件(山崎始男紹介)(第三九七九号)  同外十一件(山本幸一紹介)(第三九八〇号)  同(吉田之久君紹介)(第三九八一号)  同(阿部哉君紹介)(第三九八二号)  同外一件(井上泉紹介)(第三九九七号)  同(井上普方紹介)(第三九九八号)  同外五件(石田宥全君紹介)(第三九九九号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第四〇〇〇号)  同(川上貫一紹介)(第四〇〇一号)  同外五件(川村継義紹介)(第四〇〇二号)  同外三件(河野正紹介)(第四〇〇三号)  同外四件(工藤良平紹介)(第四〇〇四号)  同外二件(黑田寿男紹介)(第四〇〇五号)  同外一件(佐々栄三郎紹介)(第四〇〇六号)  同外八件(佐野進紹介)(第四〇〇七号)  同(田代文久紹介)(第四〇〇八号)  同(田原春次紹介)(第四〇〇九号)  同外一件(武部文紹介)(第四〇一〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第四〇一一号)  同外二件(千葉佳男紹介)(第四〇一二号)  同(浜田光人紹介)(第四〇一三号)  同(林百郎君紹介)(第四〇一四号)  同(松本善明紹介)(第四〇一五号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第四〇六九号)  同外一件(北山愛郎紹介)(第四〇七〇号)  同外一件(小松幹紹介)(第四〇七一号)  同(神門至馬夫君紹介)(第四〇七二号)  同外一件(柴田健治紹介)(第四〇七三号)  同(田原春次紹介)(第四〇七四号)  同外一件(堂森芳夫紹介)(第四〇七五号)  同(成田知巳紹介)(第四〇七六号)  同外七件(芳賀貢紹介)(第四〇七七号)  同外一件(広沢賢一紹介)(第四〇七八号)  同外一件(古川喜一紹介)(第四〇七九号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第四〇八〇号)  同外一件(森本靖君紹介)(第四〇八一号)  同(井上普方紹介)(第四〇九一号)  同外三件(石橋政嗣君紹介)(第四〇九二号)  同(江田三郎紹介)(第四〇九三号)  同外三件(加藤淸二君紹介)(第四〇九四号)  同外一件(金丸德重君紹介)(第四〇九五号)  同外一件(河上民雄紹介)(第四〇九六号)  同(久保三郎紹介)(第四〇九七号)  同外一件(神門至馬夫君紹介)(第四〇九八号)  同(佐々栄三郎紹介)(第四〇九九号)  同外十四件(島本虎三紹介)(第四一〇〇号)  同(田原春次紹介)(第四一〇一号)  同外一件(成田知巳紹介)(第四一〇二号)  同(西風勲紹介)(第四一〇三号)  同外一件(古川喜一紹介)(第四一〇四号)  同外二件(細谷治嘉紹介)(第四一〇五号)  同(堀昌雄紹介)(第四一〇六号)  同(森本靖君紹介)(第四一〇七号)  同(柳田秀一紹介)(第四一〇八号)  同外一件(依田圭五君紹介)(第四一〇九号)  同外七件(山田耻目君紹介)(第四一一〇号)  野菜果実類小売業等に対する国民金融公庫の特  別融資に関する請願外四件(鈴木一紹介)(第  三九八五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行  法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第二〇号)  金融機関合併及び転換に関する法律案(内閣  提出第二一号)      ――――◇―――――
  2. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 これより会議を開きます。  都合により委員長が不在でありますので、私が委員長の職務を行ないます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案、及び金融機関合併及び転換に関する法律案について、金融制度調査会会長舟山正吉君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 次に中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の  一部を改正する法律案、及び金融機関合併及び転換に関する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いわゆる中小企業関係金融二法に対して若干質問をいたしたいと思います。  まず最初に、中小企業庁おいでになりましたのでお聞きをいたしたいのです。四十二年度中の中小企業倒産状況でございますが、新聞の報ずるところによりますと、八千二百六十九件くらいだろうということになったわけですが、おそらく三月が入ってない数字じゃなかったかと思うのです。三月を入れますと、約九千件をこえた、こういう数字東京商工興信所あるいは帝国興信所、両方の調べによりましても――前者の調べでは九千百七十件、後者の調べでは九千二百三十二件、こういうようなたいへんな記録破り数字が出ておるわけであります。負債金額につきましても、非常に膨大にのぼっておりまして、五千八百三十五億あるいは六千百四十五億、こういう数字を示しておりますが、大体この数字に誤りないというように承知されておりますか、それからまずお伺いいたします。
  6. 沖田守

    沖田政府委員 東京商工興信所及び帝国興信所調査というものが、現在負債総額一千万円以上の企業倒産調査いたしております資料でございますので、先生の御指摘のように、たとえば東京商工興信所調査では八千二百六十九件、こういう形で出ておるということは私どもも承知いたしております。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大体こういうように中小企業昭和四十二年度中に非常に高い倒産の数を示しておる、一体その原因は何か、これは中小企業白書にも出ておりますが、そういう中で、原因についてもあなた方の見解をお聞きしたいわけですけれども、それと同時に、中小企業金融ほんとうに円滑にいっておったならば、このうちどれぐらいは倒産せずに済んだろうかというような、そういう分析はいたしておりますか、その点を伺いたいと思います。
  8. 沖田守

    沖田政府委員 現在の倒産原因といたしましては、企業内部的な要因と、外部の構造的要因と、さらに、景気的要因というものが入りまじっておると思うのでございます。現在金融引き締めによる倒産としてみなされますものは、他社倒産の余波という形で、商工興信所あたり調査いたしておりますものが金融引き締めによるものであると普通見られるわけでございますが、それ以外のものにつきましても、要因が非常に幾つも重なり合っておりまして、金融引き締めだけと申しましても、もともと労働力不足あるいは人件費上昇によるコストアップというような理由から、経営に相当無理がきておるのが、金融引き締めを契機として倒産という形になる、こういうものがございますので、明確にどの部分が金融引き締めによるものであるということは私どもまだ分析いたしていないわけでございます。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 中小企業は今日象徴的に南と北からのはさみ打ちにあっている。言うならば、資本自由化あらし中小企業国際化経済の中に組み込まれて、そのあらしの中に立たされているというような問題や、あるいはまた特恵関税あるいは輸入課徴金、こういうようなあらしに立ち向かわなければならないというような問題、さらに、国内的には構造的ないろいろな問題もありますし、さらに、労働力不足というような、そういう幾つかの要因に最近もみくちゃにされながら力の強い中どころ以上のものはどうにか上にのしていくという傾向が見られるけれども、そういう中で非常に、景気動向ともからみ合いながら倒産の件数がかつてないほどふえてきたということに対して、通産省の中で特別に中小企業庁を設けておる今日の段階において、抽象的なものの言い方はできるにしても、具体的にいろいろな要因がからみ合っていることはわかりまするけれどもほんとう中小企業倒産を防ぐ立場というようなもの、そういう倒産要因分析というものがしつかりなされでなければならない、倒産防止するそういうようなところに力を入れなければならないというようなことを白書の最後の結びに書いておっても、そんなものでは、有効な政策はそういうような不確かな分析の中からは出てこないじゃありませんか。そういう面でもう一ぺんひとつ今日の倒産に対してどういう手を打ったらいいのかというような点を聞かせてもらいたいと思うのです。先ほどのような答弁では、一体中小企業庁何をやっているのだと言わざるを得ないわけです。
  10. 沖田守

    沖田政府委員 倒産要因分析といたしましては、白書でも指摘しておりますように、中小企業体質強化構造改善という基本的な政策というものがまず必要である、同時に、金融引き締めしわ寄せというものが、金融機関を通じあるいは大企業を通じて中小企業に不当にしわ寄せされることを防ぐということと、二つが相まっていく必要があると思うわけでございます。  基本的な体質強化構造改善施策といたしましては、いままで続けておりました施策をさらに強化するために、現在中小企業政策審議会下部機構におきまして真剣に抜本策検討をいたしておりまして、六月を目途に何らかの中間的成案を得たい、こう努力をいたしておるわけでございます。  いま一つ金融引き締めのしわが金融機関あるいは大企業を通じて中小企業しわ寄せされるという点につきましては、やはり金融面での円滑化あるいは下請代金支払遅延等防止法のしっかりとした運用、こういうものをあわせてやっていく必要があると考えておりまして、今日まで金融面におきましては、政府系中小企業機関財政投融資におきましては、昨年の貸し付け規模に比べて大幅に伸びを示したほか、さらにその運用面におきまして、上期にウエートを置いた運用配分をしていただいておりまして、当面対前年度の相当大きな伸びで、金融が商工中金、国民公庫、中小公庫、こういうところからは去年と比べてかなり大幅な伸びでこの上期に重点を置いて運用される、こういう用意をいたしておる次第でございます。政府系機関ウエートと申しますものは中小企業金融の九%弱でございますので、一般の中小企業に対する融資はそれ以外の民間金融機関に仰がなければなりませんので、この点につきましては倒産防止を含めまして、各現地に、大蔵省銀行局長日銀総裁中小企業庁長官、御相談申し上げて、日銀支店長財務局長通産局長からなる三者協議会を設けて、具体的な倒産防止をも含めた現地対策を充実させていきたい、こういう努力をいたしておる次第でございます。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大蔵省に伺いますが、中小企業向け設備資金運転資金の合計に対する金融機関別資金供給構成を見てみますと、いわゆる民間中小企業専門金融機関としての相互銀行信用金庫、信用組合、これのシェアが、これは白書の中に書いてある数でありますが、あまり古いところから言ってもしかたがありませんが、三十七年当時四四・六%、三十八年四六・三、三十九年四三・五、四十年四四・六、四十一年四三・五、四十二年四三・五、この最終は四十二年九月ですが、きのうからの論議で四一%ということを言われておるわけでありますが、一番新しい数字では四一%ということでございますか。
  12. 澄田智

    澄田政府委員 四十二年九月末現在の数字で申し上げますと四〇・九%でございますから、四一%と申し上げましたのはこれを切り上げて申し上げたのでございます。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 通産省が出した中小企業白書、いわゆる中小企業動向に関する年次報告の付表の四五八ページによりますと、設備資金運転資金両方合わせて四十二年九月末には四三・五という数字が出ているわけですね。四〇・九というのとはだいぶ違うわけです。これは二%も三%も違ったらたいへんな違いだと思うのですが、これはどちらが正しいのですか。
  14. 澄田智

    澄田政府委員 私が申し上げました数字は、実は今度の二法案のもとになります答申等段階で正確に中小企業向け貸し出し割合というものを、出す必要がございまして、相互銀行につきまして、従来相互銀行融資は全部中小企業向けだというふうに統計でとっていたのでございます。ところが、今回御審議をお願いしておりますのに出てまいった問題でございますが、相互銀行については必ずしも明確な中小企業という定義とか、あるいは中小企業に対して融資をするというような義務づけがございませんで、「国民大衆のために」ということで、従来は無尽を主体とする相互掛け金というようなことで当然国民大衆、こういうことになっておったわけでございます。その内容を見ますと、今回資本金二億あるいは従業員三百人以下、こういうことで範囲を限定して中小企業に専念する義務を法律上課す、こういう形にいたしたわけでございますが、従来はそういうことになっておりません関係上、中小企業基本法中小企業に限定して相互銀行融資を見ますと、そのうちの七七・一%が中小企業向け融資、こういうことになりまして、残りの二二・九%というものは中小企業以外の融資ということになるわけでございます。これをはずしまして計算をいたしましたものが私どもの申しました計算になるわけでございます。従来はそこはばく然と相互銀行は全部中小企業金融、こういうふうにやって計算をいたしておったわけでございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 数字関係はそれでわかりました。しかし、いずれにいたしましても、三十八年は不況の段階中小企業金融が特段に政策的配慮をもってふえたと思うのですが、その後ずっと四三%程度、四%台に上がったこともありますが、これをいまおっしゃったような事情を割引しましても、中小企業専門金融機関の果たしてきた構成比シェアというものは大体四〇%程度で推移してきているということだろうと思うのです。これがちっともふえない、全体のシェアとしてはあまりふえない、こういうようなところにやはり先ほど通産省が言った金融引き締めによるしわ寄せというものがどうしてもこういうところにくる、倒産に結びつく一つの大きな要因になっているのではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  16. 澄田智

    澄田政府委員 その点につきまして、ただ申し上げたいことは、特に四十年以降の金融緩和期にそういうことが顕著になったわけでございますが、普通銀行都銀行も含めまして、従来より中小企業に対する融資を、ここに重点を置きまして中小企業向け融資強化してきておる。これは金融緩和で優良な中小企業得意先とするというような傾向が当然出てまいります。そういうことで都銀地銀等全国銀行中小企業向け貸し出しの比重、これが高まってくるわけであります。全国銀行で総貸し出しの中に占める中小企業向け貸し出しシェアをとりますと、四十年の三月に三〇・四%でありましたものが四十二年の十二月には三三・三%というふうに割合を広げてきているわけでございます。そういうようなことで専門機関がその割合がふえないということの反面には、普通銀行都銀地銀等中小企業に対する融資の量をふやしてきている。こういうことがありまして、全体としては中小企業向け金融の量はふえるわけでございますが、そのシェアとなると、片方もそれをふやしてきておるわけですから、専門機関の分がふえない、こういう関係があるかと存じます。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこでもまた数字の誤差にぶつかるわけです。おそらく先ほどの御説明と同じようなことだろうと思いますが、全国銀行の勘定の中で中小企業向け貸し出しが、三十九年が四六・七、四五・三、四六・四、四六・四、こういうふうにこの白書には出ているわけですね。それにはおそらくいま言った三〇・四%あるいは三三・三%というようなものは、中小企業基本法定義に基づいて整理をしてみるとそういうようになる、やはりこういう関係になりますか。
  18. 澄田智

    澄田政府委員 いま仰せの数字は、中小企業に対する全体の資金のうちでどれだけ全国銀行供給したかというのが、四六・四でございますか、という数字だと思いますが、私が申し上げました数字は、そうではございませんで、全国銀行の総貸し出しの中で、その全国銀行、相銀や何か入らない都銀地銀全国銀行の総貸し出しの中で中小企業にどれだけ振り向けているか、そういうシェア、それで申しますと、三〇・四が三三・三になりましたと申し上げたので、全国銀行貸し出し全体の中で中小企業向けと、こういうことでございます。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 わかりました。いずれにしましても、これは中小企業庁にお聞きしたいのですけれども、今日いろいろな統計を見る場合にも非常に混乱があるのです。また、政策を立案する当局でも、これはいろいろ戸惑うことがあるのじゃないかと思うのですけれども、これはきょう通産大臣に来てもらってぜひ聞きたかったのですけれども次長ですから決定的なお答えが出ないかとも思うのです。基本法中小企業概念といいますか、範囲といいますか、限度資本金限度が五千万円、従業員限度が三百人、そういうような定義になっておる。そういうのをわれわれは中小企業基本法がある限り、やはりそれは中小企業だというとらえ方をするわけであります。税制面になりますと、これは中小企業合理化機械特別償却を認める範囲は、中小企業という概念を広げて、基本法にかかわらず一億ぐらいまではということで政策展開をやっておられる。今度はこの金融二法の中で改正をしようということは、大体資本金がいわゆるこの中小企業専門機関としての相互銀行その他が――これは相互銀行等の場合に例をこれは、二億円程度資本金を有する企業に対しても貸し出し対象にしようじゃないか。そうするとそこまで、二億円まで資本金限度中小企業としてとらえられるのだ、こういうことで金融面ではそういうところまで手を伸ばそうとする。こういうようなことになれば、これは物価の上昇なりあるいは経済の成長なりということで、中小企業というもののとらえ方を再検討しなければならない段階ではないか。そうでないと政策が非常に混乱を来たすと思うのです。私どもはこういう中小企業金融というような場面を見ましても、当然これは二億円までのところに対象を広げたら、中小企業専門機関というものが今度は法律上堂々とやれるわけですね。そちらのほうに力点を置いたほうが採算ベースにも合うし手間もかからないし、コストも安い状況で経理は上昇する。どうしたってこれは営利を目的としているわけですから、当然そういうところに引っぱられていく。そうすれば、一体小零細というようなところに回る資金というものは、非常に減ってくるんじゃないかというような疑いも当然出てくるわけです。中小企業基本法がねらって、ほんとうにその振興をはかろうとしておる範囲というものは、一体どこなんだということで困るわけです。統計を見るのでも、いろいろそういうことで差っ引いてきたり、一たん出した数字からこの分は実はこういうことでやりましたということでは、全く混乱をしている、こう言わざるを得ないわけなんです。  そういうことで、中小企業範囲というものは一体どこがいいんだ、こういうことについて中小企業庁通産省として再検討段階だと思いますが、そういう検討というものはなされておりますか。現状でそういうように政策展開の具体的な中で、基本法をはるかに飛び越えて政策運営現実に展開されている。これは現実のテンポのほうが早いというものなのか、それともこういうような政策をこの金融二法でも出してくるというようなものが、中小企業庁立場からいえば少し先走りなのか、そこらのところをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  20. 沖田守

    沖田政府委員 先生の御指摘でございましたように、中小企業定義中小企業基本法によって基本的に定められておりまして、あと具体的な範囲施策ごとにある程度の幅をもって定められてきておるわけでございます。今回の貸し付け対象が、中小企業基本法で定めます範囲を越えますという点については、私どもはその結果比較的小規模の中小企業に対する資金供給が、それによって円滑を欠くようなことにならないよう十分配慮しながら、この運用というものを考えていただこうということで大蔵省とも御相談いたしておるわけです。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 どうもあなたにこれ以上のことを聞いてもしかたがないかもしれませんけれども銀行局長あるいは政務次官にお聞きしたいんですけれども、一体今度のこの二法は、金融制度調査会に諮問をして答申が出た、だからそれをやるんです、これを法案化したんです、その答申に従って、その趣旨を生かして。だけれどもほんとうのねらいというものは、一体この法案によっていかなるメリットがもたらされるんだ、そしてそのメリットはどこへ集中的にいくのかというような政策目的というものが、非常にぼけてくると思うんです。今日までも、もう好景気、不景気の谷間に中小企業倒産をするということは、金融引き締めのしわがいつでも中小企業に強く寄る。しかも一億円なり二億円というような資本金階層、そういうところでは倒産というのは非常に少ない。そういうようなところが倒産すると、山陽特殊鋼なんかの例のように、これは全世間的な大騒ぎになって、たいへんな特別な手も打たれるけれども資本金一千万以下というような、あるいは五千万以下というそういうようなところが非常に多いわけだ。特に資本金一千万以下というようなところが非常に倒産が多いわけだけれども、焦点を一体どこに合わしてこの中小企業金融機関の再編成の一部として、あるいはまた中小企業の円滑な金融、効率的な金融というのは、その二つをかみ合わせれば、具体的には非常に金利の安い、しかも長期のそして豊富な資金中小企業供給されるんだ、こううたっておるわけですけれども、一体そういうものがどの辺の小企業に焦点を当てているのか、いわゆるもう中小企業概念を越えて、中堅企業という第三概念みたいなものがありますけれども中小企業のちょっと上で大企業との間みたいなところを最近中堅企業というようなことばも散見するわけですけれども、そういうようなところに重点を置くのか、そこらのところがどうも不明確になってくるんですね、そういうことになってくると。いままで卒業生金融だとかいうようなことでワクを越えて貸し出しせざるを得ないようないろいろな条件というものがあったと思うのです。そういうようなものをどんどんそういうところに今度は重点を移行していったら、小零細企業に対する金融というようなことは忘れられてしまうではないか、こういう点について、この法案のほんとうのねらいというもの、そしてその政策目的というものが、どのあたりに焦点を合わしていわゆる円滑化、効率化というものをやろうとしているのか非常に不明確になると思うのです。これについてはっきりさせていただきたい。
  22. 澄田智

    澄田政府委員 まず私から申し上げます。  いま御指摘の点でございますが、相互銀行を例にとって申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の相互銀行法は、昭和二十六年無尽会社から相互銀行という制度に切りかえたときの法律でございますが、相互銀行法には「国民大衆のために」ということで、中小企業ということに限定をいたしておりません。そこで、法的には取引対象としては何でもできるというような形をとっておって、今回初めて中小企業に定着するための義務づけを行なっております。その義務づけをするにあたって――中小企業と申しましても、いまお話しのようにいろいろ階層がある。さらに中小企業の上位と申しますか、いまお話しのような中堅企業というような階層もあるわけでございますので、中小企業の各層にそれぞれ金融が行き渡るように、従来から中堅企業について特に手薄であるという意見も一方ございますし、その辺はいろいろの意見もあり、要望もあるわけでございます。  そこで、中小企業の各階層に応じて実態に合わせ金融業務を営む、そしてその業務の範囲も広げ、その間に競争することによって経営の効率化をはかり、資金コストを下げて、豊富に低利の資金供給するというようなところに持っていくための手だてといたしまして、資本金でいえば二億円以下という相互銀行あるいは一億円以下を会員とする信用金庫、それから五千万円以下の、中小企業基本法範囲ということで行ないます協同組合組織の信用組合、そういうことにいたしまして、その間はお互いにもちろんダブリ合うわけでございますが、零細面は全部が行なうような範囲にはもちろんなっております。お互いに営業の形態等によってそこはいろいろあると思いますが、その間の各中小企業の階層に応じて金融が行なわれるように、どの層にねらいを置くというよりも、中小企業の実態に応じてそれぞれの金融機関の業態に合わして金融がはかられるように、そしてその間にお互いに競争が行なわれて効率化がはかられるように、こういうようなねらいを持っておるわけでございます。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この法案が出まして全国商工会団体連合会ですか、こういうようなところからも私とものところにも――全国商工会に結集している業者は非常に資本金規模も小さい、いわば小零細の階層ですね、こういう人たちがこの法案に非常に強く反対していますね。それから、きのうも同僚の広沢君からも御指摘がありましたように、中小企業専門機関である三つの機関に働いておる従業員の人たちも非常に強く反対している。そういうことを考えますと、特に全国商工会の人たちが、これは小零細企業を非常に不景気にさせて、われわれから見れば大企業だといわれるようなところに金融重点を移していく施策だ。なるほど法律は、相互銀行についてはいままで国民大衆のためだというようなことで非常に抽象的であった。これを法律の改正によって、相互銀行中小企業の専門金融機関なんだぞということを法定する、これはこれなりに私は評価をしていいと思うのです。  しかしながら実態は、相互銀行として正しく大衆の輿望にこたえて国民大衆のためにということでやっている。これは私のところの相互銀行に行って私も調べてみたのでありますが、九五・何%というのは中小企業にやっています、こういうような姿が現に出ているのです。これは全国的に規模がそれほど上じゃないかもしれないけれども、中より少し下のところだと思いますけれども、たとえば日本相互のように五千億をこえているというような、普通銀行に近いような、いいところよりもむしろ盛んだというようなところもある。そういう格差の問題もあるから、一がいには論じられないにしても、相互銀行の使命というものを現状においても正しく認識しているものは九五%をこえる中小企業向けの――さっき平均的には七七%とか八〇%とか、その辺だろうと思いますが、そういうところもかなり数あるわけです。だから、そういうところについてはあらためて中小企業専門機関だといわなくても、やっているところはやっている。ところが、現実の指導なりあるいはまたそういうように預金量の増大ということになると、預貸率を上げるためにはどうしても大きいところに融資していくということになるかもしれませんけれども、そういうものに対してワクをはめるということには意味があると思うのです。しかし、そこまで広げたということによって小零細に対する資金供給が非常に減らされていく、そういうようなおそれはないのか、このことがやはり一番大きい心配だし、全国商工会というような団体ですら、本能的に、これはたいへんなことだ、われわれのところに回る資金がどんどん大きいところに回ってしまうんだ、それがこれのねらいじゃないかということになっているわけです。  だから、そこらのところの歯どめがこの法案にとっては一番大事だろうと思うのです。それをどうやって、そういう人たちの心配を解消させる方向というものがとられるのか、これを具体的にひとつ安心のいくように、その人たちの心配が杞憂であるという確信のある説明を求めたいと思うのです。
  24. 澄田智

    澄田政府委員 ただいまのお話でございますが、この法案のもとになりました昨年十月の金融制度調査会の答申の過程におきます論議――一年半論議したわけでございますが、その過程におきまして、全国中小企業団体中央会の会長あるいは専務理事というような人が委員として終始参加をされておりまして、中小企業団体の立場からも、この法案の内容に対しては賛成をされておったわけでございます。ただいま全国商工会の反対というお話がございましたが、私ども、民主商工会が反対しているということはちょっと聞きましたが、全国商工会が反対しているという話は聞いておりませんので、あるいは民主商工会のことではないかとも思うわけでございますが、その問題は別にいたしまして、いずれにいたしましても、お話しのように、零細な中小企業がこの改正によって被害を受けるというようなことは最も慎まなければならない、注意をしなければならない点でございまして、金融機関合併及び転換に関する法律案のたとえば第六条等におきましても、合併転換というようなことでその地域地域の中小企業金融に支障を与えるようなことがあってはならない、認可に際してはそういう条件を厳重に審査をして認可する、さらに必要と認めるような場合には認可にあたって条件をつけることもできる、大蔵大臣が条件をつけまして、従来の中小企業金融というもののシェアを落とさないように、あるいはさらにふやしていくように、その地域の中小企業金融にいささかも支障を生じないようにということを条件に考えてまいる、こういうことになるわけでございます。  地域地域によって中小企業のあり方、大きさ等も非常に違う。金融機関によっても非常にその取引村手が違っているという実情をよく把握をいたしまして、その実情に沿うように今後やっていきたい。中小企業の上位あるいは中堅企業ウエートを移して全体の金融が行なわれるというようなことは、毛頭この法律の施行によってあってはならない。また、そういうことのないように十分留意をしていきたい。その点は制度の仕組みにおきましても、実情に応じて業務の範囲を拡張する、あるいはいまの資本金基準を引き上げるという点はございますが、全体としては中小企業に対する金融というものに定着させるということを眼目にいたしておりますので、御心配のようなことはないと思います。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私の心配なり、また、現実に小零細企業の心配がないように運営されることは当然のことでございますから、力強いお約束をいただいたと了解をいたします。  次に、この金融逼迫期において信用金庫なりあるいは相互銀行等がコール運用に非常に資金を回しているという問題で、しかもそういう時期こそ中小零細企業資金を非常にほしい。のどから手が出るようにほしい時期に、そういうこともかつてはあったと思うのです。まあこの制度調査会の答申でも、コールの利率も安定的に推移しているし、異常な状態ではないんだ、だからそうたいして心配あるまいということを言われておるわけでありますが、このコールローンの規制、こういうようなものについてどういう指導を今後されるおつもりでありますか。そういう点については全く心配がないということで、ほったらかしでいいのかどうか、これらの点についてひとつ……。
  26. 澄田智

    澄田政府委員 答申の中にも指摘がございますように、余裕金の運用という範囲を越えて、コールによってむしろ利益をかせぐというようなことでコールに回されるというようなことが、過去には御指摘のようにあったわけでございますが、そういうことがないように、余裕金の運用の規制というようなものも十分考えていくようにということも申しております。この点につきましては、これは余裕金の運用のしかたというようなものを指導及び検査を通じて、過当にコール等に流れて本来の貸し出しというものがおろそかになるようなことが万ないようにということで、今後重点を置いて指導してまいるつもりでおりますが、なお、何と申しましても、それはやはりコールのレートいかんによるわけでございまして、この点につきましては、御承知のように過去の引き締めという時期には非常にコールが高く上がりまして、三銭、五銭というようなコールになったわけでございますが、今回は、いままでのところ、コールの金利も、引き締め下にかかわらず、従来の引き締めに比べれば、非常に上がり方が少ないというような状態であるわけであります。これはいろいろ、全体の金融の基調が変わってきているということもございますし、それから都市銀行あるいは地方銀行等がコールをとる場合に、外部負債をとった場合にはそれをマイナスの要因にいたしまして、日銀貸し出し増加額の規制を行なっているというようなことで、そういう外部負債にたよるというようなことが、日銀で規制されるときに強い規制を受けるというようなことになりますので、コールをとる側もそう従来のようにとりあさるというようなことはないということと相まって、コールというもののレートも今回は上がっておりません。そういうようなこともありまして、今回は、相互銀行あるいは信用金庫等のコールに運用している比率というものも、引き締め下でありますが、たとえば相互銀行等は、全体の資金のうちでコールに運用している割合が、二月の末等をとってみてもむしろちょっと下がっている。信用金庫はちよっと上がっておりますが、これも従来の引き締めに比べれば問題にならない。こういうような状態でございますので、その点は逐次よくなりつつあるものと思っております。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私が聞きたいのは、将来また三銭以上にもなるようないわば異常なコールレートが出るような場合に、これは金融機関として、しかも体質的にまだ弱い中小企業金融機関というものは、どうしてもそういうところに――やはり引き締め時にもかかわらず、また引き締め時であるがゆえに、そういう両面を持ってコールの出し手になる。これは一番簡単で安心でしかも利ざやが非常に大きいということになる。そういう誘惑というものにどうしても――これは大蔵省の単なるちょっとぐらいの指導では、その流れをとめることはできないだろうと思うのですね。そういう場合にしっかりやってもらいたいという気持ちなんですよ。だから、だいじょうぶだろうと思いますというだけではいけないのであって、そこらのところに対する指導というものもしっかりやります、こういう答弁をあとでいただきたいわけです。  それからもう一つ伺いたいのは、大蔵省金融機関に対する統一経理基準といわれるものが、通達が出ているわけですが、これは資料として出していただけますか。私どもがそれを要求する趣旨は、相互銀行なり信用金庫なりあるいは信用組合、こういうようなものに対する基準が非常にきびしい形で押しつけられる。しかも都市銀行などのほうが非常に経営的にも充実し基礎もしっかりしている。そういうものに対して比較的甘く、体質の弱い――当然体質が弱いから経理基準をきびしくしていい状態に持っていこうというねらいがあることはわかりまするけれども、しかし、あまりにもそういう現実の場面で押しつけてそれを強制していくと、これが非常に労使関係などを紛糾させたり、また、大衆に対するサービスというようなものがなくなったり、また、本来の使命を忘れて大企業融資に走るというような、あるいはコールローンにどんどん出していくというような結果にもなるわけであります。そういうような面でこの問題については、私どもがいろいろ事情をそれぞれ聞いたところによると、きびし過ぎるのではないかという批判を聞くわけであります。それについての見解と、それから資料が出せるかどうか、それから先ほどの答え……。
  28. 澄田智

    澄田政府委員 統一経理基準は、昨年九月期から全国銀行に対してこれを実施いたしております。その基準は資料として提出いたします。  それから、相互銀行以下の統一経理基準の適用につきましては、目下相互銀行に適用するということで、相互銀行の業界と相談をいたしておりますが、いまお話しのような点につきまして、当然その業界の実情に応じて、経営の効率化というねらいはそこにあるわけでございますが、きびし過ぎるとかあるいは実情に沿わないということはないように、実情に合わしたものとして考えていきたい、そういうことで話をいたしております。  それから、先ほどのコールの放出の問題でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、答申の趣旨等も生かしまして、過当にコールへの放出によって利ざやをかせぐというようなことのないように、この点は検査や指導を通じまして、十分そういう趣旨を貫いてまいる所存でございます。   〔渡辺(美)委員長代理退席、金子(一)委員長   代理着席〕  先ほどちょっと触れましたように、取り手方のほうに対してもまたやはりコントロールするということも必要であって、そういう趣旨では日銀の今回の窓口増加額の規制というような点で、そういう目的がある程度果たされておりますが、出し手のほうの指導という点については、今後もくれぐれも重点を置いて指導してまいりたい、かように存じます。
  29. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間が来ておりますからあと幾つも聞けないですが、信用補完の制度について、これは中小企業庁にお聞きしたいのですが、制度調査会でもこれの改善の方向を出すべきだということが答申されているわけですね。現実の問題として信用保険公庫ですか、これの出資を今国会において三億ばかりやった。こういう一つのことがあるわけでありますが、まだその他の幾つもの問題が信用補完制度にはあるだろうと思うのです。まだまだ保証料というようなものが高いというような問題もありますし、これらの問題について中小企業庁としては、この答申を受けて一体どういう対策を考えておられるか。そしてこれを法律改正なりあるいは行政の面で措置をするというような分野があろうと思いますが、それらについて、信用補完制度の充実という答申に対する通産省としての態度を、この際聞いておきたいと思います。
  30. 沖田守

    沖田政府委員 信用補完制度が中小企業金融円滑化のために非常に重要な役割りを果たしておるということについては、私ども十分認識しておるところでございまして、信用補完制度につきましては、さきに中小企業政策審議会金融委員会で、たまたま舟山さんが主査をしておられまして、金融制度調査会でも長をしておられましたので、その席でも十分検討されまして、昨年法律改正を行なったところでございまして、ただいま御指摘の保険料あるいは保証料の問題、そういう残る当面する問題につきましては、行政上の措置による改善で足りると思われますので、当面は行政上の改善措置の成果を見るということにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点もその答弁ではたいへん不満なんですけれども、時間がないので、また同僚委員からさらに詰めていただくことにいたしまして先に移ります。  銀行局長にお伺いいたしますが、いわゆる卒業生金融、これは今度の法改正におきましても、過去一定期間会員であった事業者は、会員資格の範囲を越えて成長した場合でも、その後一定期間に限り、引き続き当該信用金庫から融資を受けられる、そういう道を開いたというよりも、そういう制度に正式にするわけでありますが、一定期間というのは一体どの程度を考えておられますか。
  32. 澄田智

    澄田政府委員 これは、なおまだ一定期間の内容は実は具体的にはきめておりませんが、ほぼ三年くらいかな、こういうふうに考えておる程度でございます。
  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それで、卒業生金融とそれから先ほどの融資限度額ですか、たとえば相互銀行の場合に二億、信用金庫一億、信用組合五千万ですか、大体こういうような基準でいこう。これはその基準でいくというのだから、その上限は二億から大体何%くらいのアローアンスを持っていると考えてよろしいのですか。それとも二億というものはぴしっと上限である、それ以下なんだ、卒業生金融の問題ともからんでそれもやはり上限はそういうものであるのか。それから基準だというので、それを二億二千万なり、あるいは二割くらいのアローアンスをつけて二億四、五千万までいけるのか、そういう点ではどういうようにお考えでしょうか。私どもとしては少なくとも、二億でも少しよけいだというように考えるわけです。これはもっとたくさんの業者に貸せるような方向というのが正しいと思うのですけれども、その点の大蔵省の考え方を伺いたい。
  34. 澄田智

    澄田政府委員 狭義のといいますか固有の卒業生金融というのは信用金庫の場合でございまして、信用金庫は会員制でございますので、たとえば中小企業が増資をして大きくなるともう会員になれない、そこで卒業生という問題が起きてくるわけでございますか、その場合でもいまお話しの融資限度と申しますのは、一般の会員に対する融資限度と同じ限度でございますので、信用金庫なら一億ということになります。さらに自己資本比率というものがございまして、信用金庫は自己資本の二〇%までということで、それが一億より低い場合にはそれが限度、そういうことになるわけでございます。相互銀行の場合も、卒業生とはちょっと違いますが、中小企業以外のものの融資も二割の範囲内でできることになっておりますから、この場合も融資限度は二億という一般の場合と全く同じでございます。
  35. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 もう時間がありませんからこれでやめますが、いままでいろいろ問題点をただしてまいりましたが、最後に倉成政務次官、この法案はいい面も若干はあります。しかし、小零細企業がどうしても、先ほど申し上げたように、こういうぐあいに二億というようなところまで会社にも貸せるようになる、しかも融資限度相互銀行は二億まで引き上げる、あるいは信用金庫も一億まで引き上げるというようなことについて、小零細に回る金がかえって非常に詰まってくるのではないかというような問題点その他の点について、この法案を運用するにあたっての大蔵省としての、ほんとう中小企業金融機関としてその特殊性というものを十二分に生かして、法律制定の目的に沿うようにやる基本的な考え方、そういう懸念に対する大蔵省としての運営の立場というようなものについて、最後にひとつまとめて答えていただきたいと思うのです。
  36. 倉成正

    ○倉成政府委員 非常に大事な問題の御指摘がございましたが、今回の法律の改正は広瀬委員よく御承知のとおり、中小企業につきましては非常に大きく経済の情勢で変わりつつある。しかも制度と実情との乖離が非常に著しい。また相互銀行信用金庫、信用組合等が、中小企業金融機関であるといわれながら必ずしも中小企業金融に対する専門機関としての性格を発揮していない。そういうことから、ひとつこれらの機関をそれぞれ性格を明確にして、中小企業専門機関としての性格に定着せしめよう、こういうのが目的であります。したがいまして、先ほどからるる御指摘がございましたように、税法上の取り扱いあるいは中小企業基本法における中小企業概念、また、今回の金融二法で取り扱う中小企業概念、それぞれ異なっておりますけれども、しかし、これはやはりそれぞれの政策目的に従って中小企業というものをとらえているわけでございまして、相互銀行については比較的大きな部門について、信用金庫についてはそれから少し下の部分、また、信用組合についてはそれ以下のものとかという大体の分野を分けまして、ある程度相互にダブるところを認めまして、これらの三機関がそれぞれ特色を発揮して中小企業金融について適正な競争をいたしまして金融の効率化をはかっていく。その結果として低利な資金を豊富に受けることができるようにしたいというのがねらいでございますので、ただいま御指摘のいろいろな諸般の問題については、ひとつ今後の運営につきましてきめこまかく、金融の効率化という点と同時に、それぞれその地域の中小企業金融について遺憾のないように努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 以上で終わります。
  38. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 竹本孫一君。
  39. 竹本孫一

    ○竹本委員 中小企業庁がお見えになっておりますから、最初に中小企業庁にお伺いいたします。  ゆれ動く世界経済の中の日本経済、また、その日本経済の中での中小企業の問題で総括的なものを伺いたいのでありますけれども、まず第一に、現在においての生産と輸出の面において中小企業は何%くらいのウェートを持っておるか、また、将来は何%くらい占めさせるつもりであるか、占めるであろうという見通しであるか、その辺をひとつ。
  40. 沖田守

    沖田政府委員 先に輸出のウエートで申し上げますと、工業製品の輸出の中で占めます中小企業製品の比重は、四十二年の一――九月の数字をとりまして、四三・三%を占めております。  生産は、ただいま手元にございます資料で申し上げますと、全産業の売り上げ高の比例でとりまして、中小企業ウエートは、昭和三十九年度調べで四三%でございます。
  41. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの御説明は非常に少ないと思うんだけれども、その場合の中小企業とはどの範囲のものをいっておるのか。それから、下請なんかは入っておるのかいないのか。その辺をひとつ。
  42. 沖田守

    沖田政府委員 普通の中小企業定義に基づいて、すなわち、製造業につきましては、資本金五千万円、三百人以下という数字でございます。それから、商業につきましては、資本金一千万円以下、従業員五十人以下、こういう数字をとっております。  下請につきましては、いわゆる末端の中小企業である下請企業の売り上げというものは入っておるわけであります。
  43. 竹本孫一

    ○竹本委員 生産も輸出も、どちらも大体四三%ぐらいですか。少し少な過ぎると思うんだけれども、だいじょうぶですか。
  44. 沖田守

    沖田政府委員 輸出につきましては、ただいま申し上げましたのは、工業製品の輸出の中における中小企業製品の輸出でございます。  もう一つの、売り上げ高で中小企業の生産のウエートを出しました数字は、法人企業統計をもとにして出したものでございます。
  45. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは、きのうも私、一応予告しておいたつもりなんですけれども、もう少し吟味をしたいと思いますので、あらためて、現在の生産並びに輸出において占める中小企業ウエートを、資料として出してもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  46. 沖田守

    沖田政府委員 あらためて資料として提出いたします。
  47. 竹本孫一

    ○竹本委員 次に、資本の自由化と特恵関税の問題が非常にやかましくなっておりますけれども、それらのあらしの中で、中小企業体質の改善が重要な課題になってまいりました。通産省としても、構造改善ということをしきりに言っておられるようであります。  そこで、具体的に承りますけれども構造改善というのはどの程度のことをねらいとして持っておられるのであるか。特恵の場合、あるいは資本自由化の場合、日本の中小企業あるいは日本の産業全体が、コストの面において、たとえば大体何割高ぐらいになっておるか、それを構造改善等によって、あるいは近代化等の努力によって、どの程度まで、何年計画で下げていこうとするのであるか、その大体の輪郭。それから、それに関連いたしまして、特に今日通産省が力を入れておられる今度の中小企業関係の予算の中でも、ほとんど大部分、それが構造改善に向けられておるようでございますけれども、そうした目標の中において、構造改善のためにはどれだけの資金を必要とするというような計画で計算されたのであるか、この辺を伺いたい。
  48. 沖田守

    沖田政府委員 ただいま御指摘と同じ問題意識を持ちまして、ただいま基本的に検討いたしておりまして、繊維におきましては、構造改善事業をすでにスタートさせておるわけでございますが、その他の業種、あるいは繊維におきましても織布以外の分野につきましては、ただいま具体的な検討を進めておる段階でございまして、いわゆる構造改善といたしましては、やはり業種ごとに詰めないと具体的な数字が出てまいりませんので、現在それぞれ業種ごとの検討も着手いたしておりますし、来年度の予算を控えての特恵対策あるいは資本自由化の問題も含めまして、そういう問題についての基礎的な資料整備を急いでおる段階でございまして、中小企業政策審議会において、六月を目途として中間的にその実態をまとめてまいりたいと、ただいま鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  49. 竹本孫一

    ○竹本委員 鋭意努力の点はわかりますけれども、きょうは大臣がいらっしゃいませんので政務次官にひとつお伺いしますが、たとえば中小企業金融についての大改革をやろう、金融制度調査会でも諮問するといったような場合に、これからの中小企業は一体どれだけの体質改善を必要とするのか。たとえば、いま申しましたように、生産コストの面でもこれだけ割り高だ、資本自由化あらし特恵関税あらし、それに対抗していくためにはこの程度体質改善が必要なんだ、その体質改善をやらせるためには、かりに五カ年計画でこれだけの資金が要る、それを政府関係機関ではこういうふうにして出そう、民間金融機関にはこういうふうにして回させよう、それに不便であるから金融機構は改革をするんだ。こういうことでないと、全く総論のない、その日暮らしの積み重ねみたような感じがするんですけれども、その辺について政務次官はどう思われますか。
  50. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま御指摘の点は、いわゆる経済計画をしっかり立てて、しかも、その裏づけとしての資金計画を確立することが必要であるという御趣旨と思いますが、政府といたしましては、現在持っておりますのは経済社会発展五カ年計画、これが一応基本になろうかと思います。なお、ただいま御指摘のような資本の自由化あるいは特恵関税に対応する中小企業のあるべき姿、また、これに裏づける資金の計画いかんということになりますと、ただいま通産省のほうからもお答えがありましたように、それぞれ各産業別にきめこまかく対策を立てる必要があるのじゃなかろうかと思います。この分について各産業にブレークダウンしましたこまかい計画はただいま持ち合わせておりません。
  51. 竹本孫一

    ○竹本委員 経済社会開発計画というのも御承知のようにもう改めたらどうか、あるいは、ないにひとしいではないかという議論もあるくらい、極端にいえば現実離れがしております。きょうはその問題を論議いたしませんが、しかし、少なくともことに中小企業の問題はわが国の特殊な問題として非常に重要な問題でございますから、中小企業のあるべき姿というものを描き出す前提条件ぐらいは一通り整備しておかないと問題にならぬじゃないか。金融を便利にする、あるいは効率化するといっても、何を目標に効率化するのかという根本の前提がさっぱりはっきりしないじゃないか、きょうは少しきめこまかくあとで伺ってみてもいいですけれども、ないと思うのですね。  それから、いま通産省がお答えになりましたけれども構造改善というとことばはたいへんりっぱだけれども、具体的なものが立っているのは繊維以外に何かありますか。
  52. 沖田守

    沖田政府委員 繊維以外には具体的にはございません。業種別としてはございませんが、構造改善準備金あるいは個別に適用する余地のある制度はございますが、全体を業種別にとらえた構造改善事業は繊維だけでございます。
  53. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまお話しのように、繊維以外ほとんどないのですよ。その繊維についてもわれわれはいろいろ議論がありますけれども、日本の産業の業種は御承知のように何百とある。その中にただ繊維について一つ考えられておるということで、その他の問題についてはこれから考えよう、通産省がそれだけの問題意識を持ったということは一つの前進でありますけれども、全くこれはまだそういうものがばく然と頭に浮かんできたという程度であって、もう少しこれは政府として取り組み方を真剣に具体的に急がなければならぬじゃないかということを、これは重大なる警告を発しておきます。もう少し真剣にしかも具体的に取り組んでいただかなければならぬと思います。  そこで、時間がありませんから急いで申し上げますが、中小企業金融ウエートは一体現在どのぐらいになっておるか、全国銀行と都市銀行について金額とパーセンテージを承りたい。
  54. 澄田智

    澄田政府委員 四十二年九月末現在で、まず全国銀行中小企業向け貸し出し総額が八兆一千六百八十八億であります。このウエートは、中小企業向け金融全体の中で四九・九%を占めております。うち都市銀行が三兆四千二百十九億、中小企業向け金融全体のうちで二〇・九%ということでございます。
  55. 竹本孫一

    ○竹本委員 全国銀行が四九・九%ですか。
  56. 澄田智

    澄田政府委員 中小企業向け資金、この中には政府金融機関から出る分も含めますが、それの四九・九%であります。
  57. 竹本孫一

    ○竹本委員 中小企業金融シェアが、先ほど申されました中小企業の生産や輸出のウエート――これは少し少な過ぎますのであとで別に論議するといたしまして、そういうものと見合ってまだ少ないというふうに思っておりますが、今度の金融二法案の一つのねらいは、中小企業金融を大いに豊かにしてやろうというお考えのようでございますけれども、いわゆる政府関係機関は、全体として現在でもウエート中小企業向け金融の中の九%前後だと思いますが、それを今後ふやして一やはりこれはあとでまた銀行のあり方について一口議論をしたいと思いますけれども、いまの営利主義の銀行ではなかなかうまくいかない。やはり的確に豊富に資金供給するためには、何としても政府関係機関ウエートをふやしていく以外にはないと思いますけれども大蔵省並びに通産省は現在の政府関係機関の占めておるウェートをどう見ておられるか、今後どういうふうに努力されるつもりであるか、それぞれお伺いいたしたい。
  58. 澄田智

    澄田政府委員 ウエートはいまお示しのように九%でございます。このウェートは低いのではないかということでございますが、政府金融機関はやはり民間金融機関の補完というたてまえでありまして、膨大なる中小企業資金の主たる供給源というのは、これは申すまでもなく民間金融機関、その中にはいま申しましたように全国銀行というのがほぼ半分の割合を占めている。それから今回御審議願っております対象であります専門の民間金融機関、これが約四一%というような割合を占める、こういうことでございまして、この民間金融機関中小企業向け資金のパイプというものをできるだけ拡充し、太くしていく。これが中小企業金融全体が大きくなるゆえんでございます。もちろん、政府金融機関ウエートというのは補完という意味からますます重要なものを持ってくるわけでございますが、量的、質的に補完をするというたてまえで、必ずしもそのシェアが高いということがすべてではない、かように存じております。
  59. 沖田守

    沖田政府委員 ただいま銀行局長からお答え申し上げたものと基本的には同様でございますが、民間金融機関ウエートが非常に大幅に改善されれば、その意味では政府系がそれほど大幅に上がらなくともいい、こういう相関関係があると思います。財政資金の許す範囲で政府系の三機関のウェートというものをある程度高めることができればよい、そういうことで努力は続けてまいりたいと思います。
  60. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの銀行局長の御答弁では、補完ということばを使われました。確かに現在は補完であると思う。  もう一度念を押して聞きますが、政府関係機関は、中小企業金融に対しては補完的立場であるというのは、量的な意味であるか、質的な意味であるか。私は量的には現在むしろいまおっしゃるように銀行が中心になっておる。四九%持っておる。したがって、政府関係機関は量的に見れば一割に足らないのだから、補完的なものであるという姿をはっきり出しておると思うのです。しかし質的に見れば、銀行というものは中小企業のために、いまウェートは相当大きいけれども、親切にいろいろきめこまかくやっておるかということになると、あとで議論をいたしますけれども、そうでないと思うのですね。中小企業に対しては質的にはむしろ政府三機関が主導力にならなければ、いまの自由化を前にした特恵関税あらしの前に立った中小企業体質改善を急速にやることはできないと思う。だから、量的に見れば補完であるかもしらぬけれども、質的に見れば単なる補完的なセカンダリーな立場に立って政府機関がめんどうを見ております、お手伝いをしておりますという程度では、問題解決はできない。きょうは残念ながらあるべき中小企業ウエート、姿というものを論じないのだから、若干議論が不徹底になりますけれども、まあおわかりのことと思いますので、そこは飛躍して申し上げますけれども質的に見れば政府三機関こそが主導力にならなければだめだ。そういう意味からいえば、量的に考えても、私は持論としてこれを九%を倍にして大体二〇%近くまで持っていくぐらいの数量を政府三機関にふやさなければだめなんだ、こういう意見を持っているが、これは別として、むしろ質的に補完的なセカンダリーな立場に謙遜しておったのでは、中小企業ほんとうの意味の体質改善はできないと思うが、いかがですか。
  61. 澄田智

    澄田政府委員 質的補完か量的補完かという問題は、経済情勢の推移と申しますか中小企業政策の推移というようなものにもよるところでありまして、おっしゃるように、民間中小企業向け金融というものが、いろいろ問題点はありますが、量的には逐次非常に拡大をされてくる。こういう状況において政府金融機関の持つ使命というものが、量よりむしろ質の面が中心である、こういうような形になってきているということは御指摘のとおりだと思います。そういう意味におきまして、中小企業金融につきましても、基準金利のほかに近代化促進のための金利であるとかあるいは流通面の金利であるとかいうふうな低い特利を設けまして、金利面からこれを中小金融重点あるいは政策目的というものも貫いていく、こういうやり方をとっておるわけであります。
  62. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、政府三機関が中心にならなければ、普通の銀行にお預けしておいたら問題の解決は十分できないのだということをいま申し上げておる。それに対して半ば肯定、半ばどうもはっきりしないような御答弁でございます。  今度は、私の議論を裏づけるために、先ほども中小企業の破産、倒産の問題が論ぜられておりました。この不景気で破産、倒産が相次いで、次々新記録を出しておるような中で、たとえば一般の都市銀行というものは一体どの程度の利益をあげておるかということを考えてみれば、あるいは貸倒準備金なんかがどういうふうに使われておるかという事実を反省してみれば、直ちに私の議論の裏づけになると思うのです。その意味において、銀行局長にお伺いいたしたい。  最近の、特に四十二年上期における都市銀行の公表の利益は幾らあるか、お示し願いたい。
  63. 澄田智

    澄田政府委員 都市銀行十三行の四十二年上期の公表利益は、全体で四百四十八億でございます。
  64. 竹本孫一

    ○竹本委員 四十二年ですよ。
  65. 澄田智

    澄田政府委員 四十二年上期でございます。
  66. 竹本孫一

    ○竹本委員 四百四十八億でしょう。
  67. 澄田智

    澄田政府委員 さようでございます。
  68. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、御参考までに申し上げますならば、こんなに破産、倒産相次ぐ中で、都市銀行では一行で半期に七十五億円の利益をあげたものが一つある。七十億円台が一つある。六十億円台が二つある。五十億円台がまた一つある。それから三十億円台が一つ。二十億円台は四つあります。それから十億円台が四つある。  そこで、ひとつ参考のために伺いますが、銀行というものは営利を目的とするものであまりないように、公的機関であるように説明され宣伝せられておるのだけれども、こんなに破産、倒産相次いでいる中で、銀行が十三行だけで四百四十八億、はなはだしきは七十五億、あるいは六十億円台も二つ、こういうふうな利益をあげておるということに対して、一体生産会社と比べてどうなのか、社会、国民感情から見てどうなのか、政務次官にお伺いしたい。
  69. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま都市銀行の公表利益のお話がございました。御指摘のように、四十二年の上期で全体が四百四十八億、中には七十億をこした利益のものがある。これは一つは、統一経理基準を変えましたために、新しい実施をいたしましたために利益が出てきたという面があろうかと思います。しかし、御指摘のように、銀行の利益がいろいろな他の方面の企業と比べて比較的大きいというような問題もあろうかと思いますが、そういう問題は、やはりできるだけ銀行の経営が合理化されて、預金者あるいは貸し出しを受ける人々にもその利益が均てんさるべきだというふうに考えております。
  70. 竹本孫一

    ○竹本委員 ちょっといま政務次官の御説明の中には、何だか計算の方法が変わったから大きく出ておるのだというような弁解がありましたけれども、幾ら計算方法を変えてみても、ない利益が出てくるわけはありませんから、全体としては、ただ以前に比べて大きくなったとかという問題はあるにしても、利益がなかったわけではない。ありもあり、四百四十八億もあったのだ。これは社会常識から考えてみて、こんなに不景気なときに、あるいはこんなに破産、倒産が相次いでいるときに、どうも多過ぎると端的に私は思うのですけれども、端的な国民感情に対して簡単明瞭な政務次官のお感じはどんなものであるか、もう一度はっきり伺いたい。
  71. 倉成正

    ○倉成政府委員 この数字が多いか少ないかという価値判断の問題は非常にむずかしいと思います。諸外国と比べると決して多いというわけではないと思いますけれども、しかし、他の機関が非常に赤字が出ておるときに金融機関だけが軒並みに黒字だということについては御指摘の問題があろうかと思います。
  72. 竹本孫一

    ○竹本委員 政務次官はずいぶん遠慮して言っておられるようだけれども、諸外国との比較なんてそうむずかしいことを言わなくても、生産会社と比較したらどうですか。生産会社で半期七十億円以上の利益をあげている会社は一体幾らあるか、あるいはこの銀行と同じような資本金でやっている生産会社でこんなに大きな利益をあげているところが何社あるか、こういうことを必要があれば資料で要求してもいいのですけれども、そういうことを端的にわれわれが直観的に考えた場合に、まじめに働いてさえも破産、倒産をしなければならない、あるいはまじめに働いている生産会社でも利益というものは半期にそんなにたくさんあるものではありません。それをただ金を右から左に移しているだけで一もちろん銀行にも苦労があるでしょうけれども、それだけで半期六十億だ、七十億だという利益をあげて、それを大蔵省にしてもあるいは政府にしても、多過ぎるとも何とも感じないで、外国と比較してみなければまだ結論が出ませんというようなことで国民が納得するかどうか。これは重大な問題だと思いますね。われわれは、生産に直接タッチしていない銀行が半期何十億という利益をあげるということはどうしても納得できない。それに対して政府は一体どんな感じを持っておるかということをいま伺っておるのです。外国と比較しなくてもよろしい。そんな簡単なことは隣の生産会社と比較してみればいい。そういう見方はどうですか。
  73. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいまの生産会社との比較の資料がございませんので、厳密な比較はできません。しかし、竹本委員がおっしゃるように、金融機関が非常に大きな利益をあげている。地方においても、長者番付の上位に属しているということについては、やはり御指摘のような感じを持っております。
  74. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいまの率直な御答弁で、一応納得をいたしました。いまお話しのありましたように、地方の長者番付を見たって、上のほうはみな銀行ですよ。だから、中小企業なんかまじめに働いている人は、いわゆる歩積み・両建ての問題その他、私はきょうは論議いたしませんけれども、こんなにわれわれは高い金利を強要されて、そして結果を見れば、銀行がやっとこさうまくやっているかと思ったら、もうけている。国民感情としては、割り切れないものが残っておる。それに対して銀行行政を担当しておられる大蔵省としては、やはりその国民感情を踏まえて、これからはひとつ指導をしてもらいたいということを私はお願いをしておるわけです。  やはりこれと関連をいたしますけれども、私はよくわからないのですけれども、貸倒準備金というものが六千百二十四億円あるということになっておる。六千百二十四億円、六千億円をこえる貸倒準備金というものは、いかなる目的のために設けられておるものであるか。また、それがその目的のためにいかに活用されておるか。これをちょっとお伺いしたい。
  75. 澄田智

    澄田政府委員 貸倒準備金は、これは何と申しましても金融機関の性格上健全な運営ということが、預金者保護あるいは信用機構の中枢という意味からいっても、最も重要な点でございます。貸倒準備金は金融機関運用資産の価値というものを、その反対勘定を設けまして、これで適正に――その中にはいろいろな種類の貸し付けがあるわけでございますので、これをある程度反対勘定を設けることによって適正化をする。その資産勘定の評価を適正化するというために、反対勘定に設けた。経理のことばで申しますと、評価性の引き当て金、こう言うそうでございますが、そういう評価性の引き当て金、こういったものであると承知いたしております。
  76. 竹本孫一

    ○竹本委員 活用した例を聞きたい。
  77. 澄田智

    澄田政府委員 現在の貸倒準備金の制度、これは税制でどういうふうな貸倒準備金を認めるかというところをもとにしているわけでございますが、それは三十九年の四月一日からやり方が変わりまして、毎期毎期全額洗いがえということでやっております。その期の貸し出し総額に対しまして新しく積み立てる、こういうことでやっております。  そこで、活用ということでございますが、その間にいろいろ債権の償却等の必要のある場合も出てまいりますが、これは償却を別にいたしまして、そうして各期各期で全額洗いがえをして、そして新しく積み立てる、こういう方式をとっておりますので、貸倒準備金を取りくずして焦げつき債権あるいは取れない債権を埋める、そういう形には――実態はそういうふうなあれになるにいたしましても、貸倒準備金そのものを取りくずして埋める、そういうことではございません。償却は償却でいたしまして、他方毎期債権額の一定割合を積み立てて、その債権の資産の健全性というものを確保する、こういう趣旨の負債勘定における積み立てのことでございます。
  78. 竹本孫一

    ○竹本委員 会計法的な御説明でございますけれども、それじゃ裏からお伺いいたしましょう。  金融が引き締まる、不景気になる。銀行としては預金者保護とか、いまおっしゃった信用機構だとかいろいろのことがありますから、その立場も一応はわかりますけれども、特に地方銀行なんかの場合においては、もうこういうふうに金融が引き締まってくる、経済の情勢が悪くなってくると、銀行というのは非常に貸し惜しみをするというのですか、貸し渋るというのですか、非常に多いのですね。その点はどういうふうに見ておられますか。
  79. 澄田智

    澄田政府委員 金融引き締めの場合に当然そういう目的で引き締めが行なわれるということもあります。日本銀行の貸し出し増加額の規制というようなものがあって、今期の貸し出しは幾ら、前期に比べて何%増というようなことで規制をされるわけでございます。そういう場合には、金融機関としては--ちょうどそういう時期は景気の引き締めという段階でございますので、資金需要が非常に強くなってくるという時期にもちょうどぶつかりまして、需要が非常に多くて借り入れの申し込みが非常に殺到する、こういうような段階で、貸し出しの増加額のほうを押えなければならぬ。押えないと引き締めの目的を達しないというようなことで、そういうときに貸し出しを渋る。いまもおっしゃいましたが、そういうようなたくさんの申し込みの中で応ずるものを選ばなければならない、こういう立場に置かれるわけでございます。
  80. 竹本孫一

    ○竹本委員 だいぶ時間がたちましたから、この問題でもう一度また機会をあらためて本格的に論議をすることにいたしましょう。そこで、本論にひとつ入りたいのでございますけれども、今度の金融二法案の中に、あるいは金融制度調査会の答申の中には、「適正な競争原理」を導入するというようなことがいろいろ言ってありますが、そこで二つのことを伺いたい。「適正な競争」とは何かということが一つ。それからもう一つは、先ほどの都市銀行の場合を一つ例にとって申し上げますけれども、公表の利益が非常にふえておるのですね。半期ごとに見ても三百十九億のものが三百六十億になり四百四十八億になる、こういうことでこの期間には資本の増資なんというものはほとんどなかったろうと思うのですが、あったかどうか。かりにないとすれば、同じ資本であげる利益は三百億から三百六十億、四百五十億と、こういうふうにめちゃくちゃにふえていく。こういうことを見ると、その辺に非常な矛盾を感ずるわけです。その辺をひとつまずお伺いいたしたい。  そこで、ついでに申し上げますが、御承知のように銀行の配当の問題は大体八%くらいに均一化されておるようでございますけれども、七十億利益をあげたところも十億しか利益が出なかったところも同じ配当八%ということはちょっとおかしい。競争原理ということで、銀行にもやはりサービスもあってもよろしいし、それから実力の競争もあってしかるべきだ。こういうことになれば、配当にも差をつけろという意見が当然出てくるわけです。「適正な競争原理」とは一体何か、適正な競争とは何かということとあわせて、銀行にこんなに格差が出ておるときに、その格差をそのままにしておいて配当はどこでも八%だといったようなことは、その競争原理の導入ということと矛盾すると思うが、どうかということです。
  81. 澄田智

    澄田政府委員 第一点の「適正な競争原理」こういう場合の適正な競争とは何かというお話でございますが、端的に申し上げまして、それが金融機関資金コストの引き下げにつながるような競争、経営の合理化によって資金コストを下げる、そういう競争というようなつもりでおります。金融にも生産性ということばが適用できれば金融の生産性を高めるような競争、こういうことでございまして、昨日、井手先生から預金獲得競争の弊害というような御指摘がありましたが、形式的な預金高を誇ったりあるいは店舗の建物の華美を誇ったり、店舗の数を誇ったりするというような、そういう形式的な競争というようなものは必ずしも――必ずしもというよりも、そういう競争自体が資金コストを下げるということにつながらないという場合が大部分でございます。そういう意味で資金コストを下げる、そういう競争を適正な競争、こういうふうに申し上げているわけでございます。  それから増資のお話がございましたが、四十一年に都市銀行で申せば二行の増資がございます。さらに最近四十二年度に六行の増資が行なわれております。  それから、いまお話がありました利益にも非常な格差がある、こういう場合の配当一率の点はどうかという点でありますが、この点は確かにお考えのような点はございます。そこで統一経理基準というものを昨年の九月から実施いたしておりまして、これは三年間の経過期間を設けて完全に実施をするということでいまやっておるわけでございます。そういう統一経理基準みたいなもので金融機関の経理というものは同じ原則で行なわれるということになって、そこで利益率に非常な差ができてくる。それで経営の実態があらわれる、こういうことでございますので、配当等についても将来は競争原理を反映させるというようなことも考えられるのではないか、かように考えております。
  82. 竹本孫一

    ○竹本委員 ついでに念のために承っておきますが、利益があがった、それの八%だけ還元する。蓄積されてくる。蓄積されていけば、銀行全体としての資金コストを下げるメリットがあると思うのです。しかし、それはだんだん、だんだん蓄積されていったら、最後はどうなるのですか。
  83. 澄田智

    澄田政府委員 金融機関の内部蓄積というのは、金融機関の経営の健全性という意味からいえば、これは多いほうがいいわけでございます。日本の金融機関、最も大手のところをとって見ますと、その総資金量の中で自己資金の占める資本金といまの蓄積とを合わせました占める割合というものは五%程度でございます、総運用資金の中で。これはやはり低過ぎるというようなことで、目標は一〇%ぐらいが一番望ましい経営健全の姿である、こう思われますので、蓄積がなおふえていくということは、金融機関の経営としては、その点からはけっこうなことだろうと思います。
  84. 竹本孫一

    ○竹本委員 けっこうな点だけ御指摘になりましたけれども、銀行によってはその積み立て金のほうが授権資本よりも多いという場合がきっとあるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  85. 澄田智

    澄田政府委員 特殊な、まあ特殊と申しますか、古くからの地方のある銀行等では、ややそういうような場合になっている例があると思いますが、何と申しましてもまだ蓄積とそれから一方増資と両方相まって自己資本を充実している、こういう状況でございます。
  86. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうした議論はこれ以上やりませんが、そこで私は、逆にこれだけ利益を銀行があげるということは、むしろけしからぬという国民感情に即して申しますならば、この辺で銀行の貸し出しの金利を下げるという方向の努力をもう少しやるべきじゃないか、銀行が利益があがってないからコストも上がる、高く貸し出し金利をするということもやむを得ないと思いますけれども、その辺で利益がこんなにあがっておるという実情の中で、やはり金利の引き下げということについて、あるいは歩積み・両建てというようなことについて、もう少し自粛を促す当局の御指導があってしかるべきじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  87. 澄田智

    澄田政府委員 経営の効率化をはかり資金コストを下げるというような目的は、これはあくまでも貸し出し金利を下げていく、こういうことにあるわけです。内部蓄積とかあるいは経常収支というようなものを見て、そうして経営の健全性というものをはかっていくというのも、やはり健全な経営をしながら、一方極力貸し出し金利を下げていく、こういうことでありますので、もちろん貸し出し金利の引き下げという方向に、資金コストを下げて、その余裕をそちらに振り向ける、いたずらに内部蓄積をふやすということのみに充ててはもちろんならないわけであります。やはりそれは貸し出し金利の引き下げというところにそれを充てる、そういう目的のために経営も効率化をしていき、資金コストを引き下げていく、こういうことであるわけでございますので、その点はおっしゃるとおりでございます。
  88. 竹本孫一

    ○竹本委員 これはきのう井手委員からもいろいろきびしい追及が行なわれましたけれども、私は、その経費の問題は別にして、結果的な結果論から論じましても、やはりまだコストを引き下げる、貸し出し金利を引き下げる余裕が十分あるではないかということをいま言っておるわけでして、ぜひそういう問題意識を持って御指導を願いたいと存じます。  あと若干、事務的といいますか具体的な問題を伺いたいと思いますが、一つ中小企業専門の金融機関については、いろいろそういう相手が中小企業でございますから、金融機関としても苦労が多いと思うけれども、国家の行政の上からは中小企業金融機関については特にメリットを与えておるのかどうか、与えておるとすればどういうメリットを与えておるのかということについてお伺いをいたしたい。  時間がありませんから、あわせて国債や政府保証債といったようなものを中小企業金融機関に対しては持たしておるか、あるいは強制的に割り当てておるか、その事実もちょっと伺いたい。
  89. 澄田智

    澄田政府委員 中小企業専門金融機関のメリットというような点でございますが、これは今度のこの二つの法律の中におきまして、中小企業に定着させるということによりまして、そういう業務というものをはっきりさせるというようなことで、そこに営業の基盤というものをはっきりきめるというような点も、広い意味の専門機関の存立の基礎をかたくすることでございますが、現実の問題といたしましては、たとえば信用金庫、信用組合に対しましてはこれは法人税法の取り扱い上、信用金庫も含めました協同組合的な組織というものに対しては税率も軽減されておりますし、また、利用分量配当の損金算入というようなこともあるわけでございます。  それから第二点の国債、政府保証債等の点でございますが、国債の引き受けで申しますと、四十一年中の相互銀行信用金庫の総資金量の増加額のうちどれだけが国債の引き受けに向けられているかということを数字で見ますと、その割合相互銀行で四・九%、信用金庫で四・一%でございます。これは都市銀行とか地方銀行等の割合に比べますと非常に低い割合だということになるわけであります。
  90. 竹本孫一

    ○竹本委員 財政資金日銀資金をそうした中小専門金融機関に回してもらいたい、都市銀行だけでは困るのだという要望が強いようですが、その点についてはどういうお考えですか。
  91. 澄田智

    澄田政府委員 日本銀行の金融調節というのは、これは申すまでもなく金融市場の繁閑に応じて調節をするということでございまして、相互銀行のうちでも、重要な相互銀行につきましては日銀貸し出しの道が開かれております。それから信用金庫については、信用金庫連合会を通じまして日銀貸し出しの道が開かれておる。また、オペレーションによる資金供給につきましては、これは広く相互銀行もオペレーションの対象ということになっておるわけであります。そういう意味で、日銀資金というものは、金融市場の繁閑とこれら金融機関状況に応じましてその道が開かれておるわけでございますし、今後もますますそういう道は大きくなっていくものと思います。  それから、財政資金につきましては、これは民間金融機関でございますので、財政資金を流すというのは政府金融機関を通じて供給することになろうかと思います。
  92. 竹本孫一

    ○竹本委員 あと、時間がありませんから大急ぎでやりますが、一つは、今度、統合、合併ということが盛んに強調せられるわけでございますけれども、われわれ地元民の声をよく聞く機会が多いのですけれども、機械的な統合をやられて、中小企業なり小売り商なりが困ることがありはしないかという心配が非常に強い。  そこで、統合、統合とよく言われるのだけれども、現在の数が多いというふうに見ておられるのであるかどうか、多いということを言う基準は何であるかということ、それからうらはらになりますけれども、小型店舗なんかをどんどん認めよという要望が強いわけですが、その辺についてはどういうふうにお考えになっておるか。
  93. 澄田智

    澄田政府委員 金融機関の数が多いかどうかということは、必ずしも一律には申し上げかねるわけでございますが、全体として見ますと、やはり弱小で経営基盤が非常に劣悪であるというようなものもあるわけでございます。こういうものはある程度統合が行なわれて、そうして経営の基礎がしっかりしたものになるということが中小金融を円滑に供給するという上からいっても望ましい、こういう場合も認められるわけでございます。そういう意味で、これは地域的分布とかいろいろな点を入れての上でございますが、多過ぎる場合もある、こういうことと考えております。  それから小型店舗等をというお話がございましたが、小型店舗というような形で認めておりました時期があったわけでございますが、現在は特に小型店舗ということで店舗を認めるというようなことはいたしておりません。小型とそうでないものとの区別も必ずしもはっきりいたしませんし、小型店舗はあとで小型でなくなるというようなこともございます。現在の店舗の認める方針といたしましては、特にそういう特別なものというふうにはいたしておりません。
  94. 竹本孫一

    ○竹本委員 これはあとで要望がいろいろ出ると思いますけれども、とにかく地方の零細企業やら小売り商やらが、今度の統合の機運のためにえらく不便になってしまうというようなことのないように留意を願いたいと思います。  それからこれに関連して、私はやはり末端は数をだんだん多くするほうがいい、中央はだんだん集約していくほうがいい、こういう考え方に立っておりますのでそういう質問をするわけですけれども一つはこれは戦争中の遺物であると思うが、一県一行主義というのはこの辺で再検討すべきではないかと思います。これについて銀行局長並びに政務次官のお考えを承りたいと思います。
  95. 澄田智

    澄田政府委員 一県一行主義というのは、地方銀行の数の非常に多い時期がございます。一番多い時期には銀行と名のつくものを全部集めて二千をこえておったというような時期もあったわけでございます。これは明治の終わりごろだったかと思いますが……。そういうような経緯を経てきて、そしてその地方銀行を統合するということは、金融恐慌のあとで、これが焦眉の急であるというときに、その統合の目標として一県一行ということを掲げてきて、戦争中を通じまして推進をされてきた、こういうことであるわけでございますが、その後、必ずしも一県一行の原則というようなものはないわけでございます。場合によっては一県にさらにほかにもあるというような例も出てきておるわけでございますし、まあ今後は、地方の経済のブロック化、広域化というようなこともございます。必ずしも一県一行というようなことでとらわれて考えるという必要はないことではないかと思っております。
  96. 竹本孫一

    ○竹本委員 大事な点だからもう一度念を押して聞きますが、一県一行ということの原則があるわけではないということですね。したがって、一県に二つの銀行ができる場合もあるだろう、逆に二つか三つの県を集めた一つの銀行ができて支店やその他の店はいろいろできるということになる場合もあるだろう、こういうふうに理解していいのですか。
  97. 澄田智

    澄田政府委員 これからの情勢ではそういうことも考えられていいのではないかと思っております。
  98. 竹本孫一

    ○竹本委員 法案のねらいに、合併、統合とか転換とかいうことがいわれているわけですけれども、これからの具体的な指導というものは、そのどちらに重点を置くわけですか。
  99. 澄田智

    澄田政府委員 今回の法律は異種金融機関の間の合併の道を開くということでございますので、一県一行の問題は、むしろそれよりは――一県一行というのは普通、地方銀行の場合でいわれておることでございますので、地方銀行相互の問題ということになるわけでございます。もちろん今度の法律による異種合併というものも全然関係ないということはないと思います。今後、世上いわれますいわゆる金融再編成という中においては、あるいは二、三県で一つ金融機関というような場合も――これは府県制の将来という問題も別にあるわけでございますが、金融機関の場合に、当然そういうようなことも考えられるケースとなってくるのではないか、かように考えております。
  100. 竹本孫一

    ○竹本委員 政務次官、いまの御答弁の中に、くるのではないかという、ずいぶんぼかした、回りくどい表現があるわけですけれども、せっかく法律をつくって、異種とか同種とかは別として、合併をするとか転換をするとかいう以上は、一体これからはどういうふうに持っていこうかという、やはり一つの大きな構想があってしかるべきだと思うのです。合併する場合には、この法律でやれば、将来のようなめんどうくさい手続をやらなくてもやれます、合併する方には若干便宜になりますよという法律であるだけの問題でなくて、この法律をつくって合併に便利ならしむる目的というのは、こういうふうに統合していこうとするのだとかなんとかいう考え方があってしかるべきだと思うのです。そういう意味で、いまの局長の答弁をもう少し高い立場から御答弁をいただきたいと思います。
  101. 倉成正

    ○倉成政府委員 一つのビジョンを描いて、それに基づいてこの合併転換を運営しなくてはいかぬ、こういう御指摘だと思いますけれども、しかし、金融機関合併あるいは転換という問題は、やはり金融機関の自主性をできるだけ尊重していくということがやはりたてまえではなかろうかと思っております。したがって、その合併転換の認可基準の指導の際に、そこで具体的ないろいろな問題が金融の効率化に資するものであるか、地域の中小企業金融に支障を生じない条件を満たしておるか、あるいは合併転換をした後に金融機関相互の競争が阻害されないか、金融秩序を乱すおそれがないか、あるいは金融機関合併転換後に行なおうとする一つの業務に支障を来たさないかどうか、そういう基準に合するかどうかということをあくまでたてまえとしていくべきでありまして、大蔵省がこういう合併をしたらよろしいというような指導をするのは私は行き過ぎであると思います。しかし、資本金の額であるとか、あるいは経営が非常に零細で、また一人立ちができないというようなものについて、こういうことをしたらどうかというようなサゼストは、あるいは非公式にはあり得るかと思いますが、大蔵省として金融を国家統制のもとでやるというようなことはただいまのたてまえとして考えておりません。
  102. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいまの政務次官の御答弁だと、非公式には別として、公式には合併転換法律をつくっても銀行の自主性の前には無力であります、こういうことになりますか。
  103. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま答弁が舌足らずであったと思いますけれども、非公式という意味は決してそういう意味じゃございません。いろいろ御相談に応ずることはあり得るという意味であります。しかし合併転換を、一つのビジョンを持って大蔵省一つの構想どおりにやらせるということは行き過ぎである、自主的なたてまえを尊重するということであろうかと思います。
  104. 竹本孫一

    ○竹本委員 どうも大事な点でえらいぼけてしまいましたけれども、政務次官は行き過ぎを心配しておられるが、行き足らずのほうの心配はないんですか。やはりもう少し指導性があってしかるべきだと思う。もう一度ひとつお願いしたい。
  105. 倉成正

    ○倉成政府委員 それは御相談に応ずることはあり得ると思います。しかし、こうしたほうがよろしいということをあらかじめ打ち出して合併転換を強力に推進するということは、私は行き過ぎであると思います。
  106. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がまいりましたので、最後に一つだけ。  いまの問題と関連いたしまして、都市銀行と地方銀行とを差別しておく必要はいかなる理由によってあるのか。今後はそのあり方についてはどういう検討を加え、指導ということはおきらいのようだけれども、どういうふうに導いていくつもりであるか、これについてお伺いしたい。
  107. 澄田智

    澄田政府委員 都市銀行と地方銀行というのは確かにそういう区別になっております。これは銀行協会の取り扱いでそういうような形に母体ができて、そういうふうなあれになっております。そして店舗行政等の場合にもこの区別を意識したことが従来行なわれてきておるわけでございますが、いろいろ金融機関の現状というものについても今後変革が予想されるという状態でございます。この合併転換というようなことが進んでまいりますと、現在の都市銀行と地方銀行の境界というのも、もちろん永久にああいうような境界線というものがあのままであるべきものでもない。今後の推移に応じて都市銀行、地方銀行という区別自体もあるいはもう一度考えられるかもしれませんし、いわんや都市銀行と地方銀行とのその境には移動というものがあり得る、こういうことだと思います。
  108. 竹本孫一

    ○竹本委員 終わります。
  109. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 石田幸四郎君。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、労働金庫の貸し出し業務について若干承りたいと思います。  昨年の九月から今日に至るまで、愛知県労働金庫の一宮支店において、一宮市の艶金興業への貸し出しについての事件が発覚しております。これは組合幹部が組合員の名義を乱用して、愛知労働金庫一宮支店から多額の貸し出しを受けて、それを使い込んだ事件であります。そして現在背任、公金横領、私文書偽造、印鑑盗用等で取り調べを受けておるわけでございますが、この報告を大蔵当局は受けていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  111. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま御指摘になりました点につきまして、そういう話を聞きましたので、財務局を通じまして一応状況等を問い合わせをいたし、調査をいたしたことはございます。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 銀行局長に伺いたいのでありますが、この事件に関しまして、艶金興業一宮工場の労働組合の一宮支部において、この本部の副組合長が、佐千原支部が存在しておった当時に、労金に返済すべきお金が五十二万あったと聞いておりますが、この返済を一宮支部が依頼されて、そのために一宮支部の幹部が組合員の名義を詐称して、あるいは水増しをして、そしてさらにまた愛知労金から借り入れた、これが今回の事件の発端であったようでございます。  そしてさらに時間が過ぎまして、この愛知労金の一宮支店長がこの問題に疑義を感じて調査をした結果、総額五百二十万が焦げつきになっていたのを発見、そしてこの艶金の一宮支部に早期解決を要望したことになっておりますが、こういうところからさらに問題が拡大をしたのである、このように私のほうの調べではなっておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  113. 澄田智

    澄田政府委員 私どものほうで調べましたのは、必ずしもまだ詳細全貌というところまでつかんでおらないかもしれませんが、大体いまお話しになったような内容であるようでございます。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この事件は、このように労金から五百二十万の多額の金を借り出して、さらにこれを返済しなければならない当然の義務が生じたわけでありますので、この労組の幹部は、いわゆる他の業者に支払うべき金をこの労金の返済に充ててしまった。そして他の業者が騒ぎ立てて返済を求めても返済がされておりませんので、騒ぎ立てたところからこの刑事事件が発覚をしたわけです。  私は、この問題について特にお伺いしたいのでございますけれども、こういう労金と労組の間に事件が起こって、いわゆる焦げつきが起こった場合に、その返済を求めるのは、労金と労働組合との間において債務の弁済を求めるのが通例ではないか、こう思うわけです。さらにまた、従来のいろいろなやり方を見ておりますと、労金では、使い込んだ金に対しまして個人にその責務を切りかえて、そして処置をしているのが通例ではないかと思うのですが、ここら辺の事情についてはどうでしょうか。
  115. 澄田智

    澄田政府委員 現在、御承知のように労働金庫の貸し出し方式について、労働金庫協会で研究した結果、貸し出し標準事務処理方式というのをきめておりまして、それによって団体主義ということで組合に融資をするという形をとっておるわけでございます。こういうようなことでやっておるわけでございますが、個々のケースの場合は実際に費消した者の責任、その者の債務というような形にこれを処理の場合にするというようなことも、金庫とその組合及び当事者間の話の結果、そういうふうな形にするというようなことがあるわけでありまして、この場合そういうふうな形をとられた、こういうことではないかと思います。   〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理   着席〕
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 現在、労金から貸し出しをしている場合に、組合が一括で貸し出しを受けて、そして組合の資金としてこれを各個人に貸し付けを行なっておる。そして本来、貸し付けを受けるべき貸し出しを申し込んだところの各個人が連帯保証人になっておるわけです。さらにまた、これとは逆に、各個人が直接労金に貸し出しを要望し、そしてまた組合がその連帯保証になっておる。この二つの形式で貸し出しが行なわれておるようでございますが、実際問題としてどちらが多いか、そういった面についてどのくらいの比率になっているか、承りたいと思います。
  117. 澄田智

    澄田政府委員 正確な比率はちょっとわからな  いのでございますが、いまお話しの二つのやり方のうち、前者のほう、すなわち団体に貸し付けて、団体が個人の資金をさらに団体から貸し付けるという形で個人が連帯保証する、こういう形のほうが比率は多いと承知いたします。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 今回の事件を見ますと、組合員がかってに名前を使われておったり、あるいは印鑑が盗用されておったり、連帯保証人になっていることすら知らなかった、こういうような事件がたくさんこの中に内在しておるわけです。さらにまた、十万円の借り入れを申し込みしたにもかかわらず、それが四十五万円に水増しされておる、こういうような事件も実際にこのケースの中にはたくさん見られます。で、通常金融業務の場合は、連帯保証人に対しても当然その確認が行なわれなければならない。ところが、この労働金庫の場合は、特にこの愛知労働金庫の場合かと思いますけれども、連帯保証人に対しては全然確認を怠っておる、このようなことがこの問題を大きくした一つ要因になっておるわけなんです。なぜ労金に限ってこのような連帯保証人に対する確認が行なわれないか。  また、私が一つの疑問点と感ずることは、現実に、いま局長さんもおっしゃったように、いわゆる集団主義をとって、組合が資金を借りて、それを組合員がさらに貸し出しを受けておるというような形をとられておるほうが多い。組合員がいわゆる連帯保証人となっているケースが多いわけですが、しかし実際問題は、借りる当人が連帯保証人になっておるということは、どうも私は、そこに主客転倒している形が行なわれているのじゃないか、こういうふうに思うわけです。この点について、特に今回の事件を見ますと、連帯保証人に対して確認が行なわれてないところから事件が起こっておるわけです。そういう点から考えて、このいわゆる集団主義という方向を改めるお考えはないか、そういう行政指導をするお考えはないか、その点を承りたいわけです。
  119. 澄田智

    澄田政府委員 いまの連帯保証人の確認という点でございますが、これは当然に連帯保証をする者が自己の意思で連帯保証をするというのが普通の場合自然な、自然といいますか当然のことでございます。それはいかなる金融機関の場合でもそういうわけでございますが、ただこの場合に、いまお触れになりましたように何かこう、印鑑の盗用とかおっしゃいましたが、本人の知らない間に連帯というようなことになっておることが金融機関側でもわからない、金融機関側は形式的な形が整っておる、こういうようなことで、それが数の多い組合員というような場合にそういうことになったのではないかと思うわけであります。この辺はどうも私どもまだよく、はっきりつかんでおりませんわけでございますが、組合という、非常に普通の金融機関貸し出しと違うところで、組合が責任を持って組合を通じてという形も、円滑に行なわれる場合にはいいのですが、こういうような事件が起こると問題になるわけでございます。そういう点もあります。労働金庫そして労働組合という、普通の金融機関と違う特殊的な面もございますので、そういう点をあわせて十分問題はなお検討しなければならない面があるのではないかというふうに考えております。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まあいまの答弁は私ははなはだ不満足なわけですが、この愛知労金の問題に限らず、こういう問題が現実にあります。特に最初、労金が発足した当時においては、連帯保証人等においても実印を使用するように、こういうような一つの業務形式になっておりました。その後どういうふうな問題があったか知りませんけれども、普通の認め印を使えばそれでよろしいというような傾向があるわけなのです。ここにも、この問題が大きな問題に発展した一つ原因があるのじゃないかと思うのですが、こういった問題について、当然金融機関として、これが特殊な金融機関であったとしても、金融機関の常識としてその程度のことは当然確認されてしかるべきじゃないか。この点についてはいかがでしょうか。
  121. 澄田智

    澄田政府委員 労働金庫も金融機関という立場においては当然に金融機関としての注意義務と申しますか、当然守らなければならないような原則というものはやはり守られて運営されるということでなければならないわけでございます。そういう意味の指導というようなことはいたしておるわけでございますが、その実印かそうでないかというような点について、金融機関としての常識で運営されるということを当然期待をしておるわけでございます。なお、そういう点で不十分な点があれば今後注意をしてまいりたい、かように思います。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 御注意をしてくださるということでございますので、この問題はこれでけっこうでございますが、借りる本人が連帯保証人になっている問題については、もう一度一考を要するのじゃないかと思うのです。この事件にしましても、労組の経理担当者あるいは労組の幹部の人たちが、かってに組合員の名義を乱用できるすきが存在します。現にこの艶金興業の問題ではなく、愛知労金だけの問題ではなくて、岐阜労金においても、四十二年の五月十六日の岐阜日日によれば、組合幹部が実に六千三百万円の不正借り入れを行なっていた事実が報道されている。その被害者は六百七十二人に及んでおる。六百七十二人の借り入れにおいてこの六千三百万円の金が引き出されておる、こういうような事件がございます。あるいはまた、山形労金の場合もこれに類似した事件がありますし、前に愛知労金においても、やはりこれらと類似事件が起こっているような話を聞いております。私は、そういった意味において、いわゆるこの労金の貸し出し業務の趣旨というものに一つの欠陥があるのではないか。それは借りる本人が連帯保証人になっているところに一つの問題がある、このように私は考えるわけなんですけれども、この点についてもう一歩突っ込んだ議論をお伺いしたいと思います。
  123. 澄田智

    澄田政府委員 お話しの点は、現在の貸し付けに関する方法、先ほどからお話のあります団体が借りる連帯保証をするというような、そういう団体主義というようなものの欠陥かどうか。そういう点、申すまでもなく労働金庫であるという特殊性もあわせ考えまして、その御指摘のような事例が団体主義によるやり方、その団体主義のやり方にもまた手落ちがあるかもしれませんし、団体主義というしかた自体の欠陥かどうかというような点について慎重に検討いたしまして、こういうことを防止することはこれはおっしゃるまでもなく、ぜひそういう点に留意しなければなりませんので、十分その点は慎重に検討いたしたい、かように存じます。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 次に、刑事局長に伺いたいのでございますが、刑事局長さんいらっしゃいますか。――刑事課長さんにお伺いしますが、一つの問題点は、これは御存じかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、業者が自分のところが支払いを受くべき代金を請求したときにこの刑事事件が発覚した。ところが、実際問題としては愛知労金において、その以前において五百二十万円の焦げつきを発見しております。そのことは、当然愛知労金の支店長なりが、私文書の偽造あるいは印鑑盗用、あるいは背任等の刑事事件を知っていた、このように考えざるを得ません。それにもかかわらず、支店長はこういった問題については口をつぐんでおる。むしろこれを隠蔽をしてしまったと言っても過言ではないのですが、こういう問題に対して刑事上の責任ありやなしや、単に道義的な責任にとどまるものかどうか、この点の見解を承りたいのであります。  もう一点、さらにこういう事実を知りながらも、金融機関としての正当な責務を全うしない。先ほどお話があったように、このような使い込み事件が起こったときには、当然労金と労組の間において決済をさるべきはずである。労金側も十分責任を持って、この債務の弁済を求める方法を講じなければならないと思うのです。ところが、問題を組合側に縮小してしまって、自分のところは責任がない、このような態度をとったために、この労組の幹部は他の業者の金に手をつけて、いわゆる犯罪行為を拡大せしめたような、そういうおそれがあります。この点についての刑事責任はないのか、この点についての見解を伺いたいと思います。
  125. 石原一彦

    ○石原説明員 最初の問題の、支店長が犯罪を知りながら何もしなかった、特に証拠隠滅的な行為があったときにはどうなるかということでございますが、この点刑法に百四条がございまして、他人の刑事被告事件に関する証拠を隠滅しまたは偽造、変造したというときにはいわゆる証拠隠滅罪が成立するという規定がございます。それで、この条文は相当使われておりますが、やはり構成要件といたしまして、他人の刑事被告事件に関する証憑を隠滅したという場合の他人の刑事被告事件、すなわち当該の人間が何らかの刑事事件を犯したかという認識がまず第一に問題になるであろうと思います。それで、この事実につきましてはただいま警察から事件の送致を受けまして、名古屋地検の一宮支部で捜査中でございますが、私どもがただいま報告を求めましたところによりますと、警察から検察庁に送られてきた事実によりますと、愛知労働金庫から五百万円余りを騙取したということでございまして、むしろ労働金庫が被害者になっておるようなことに相なるわけでございます。もちろん、被害者になっておる者が証拠を隠滅するということはございますけれども、刑事被告事件として自分が被害者になっておるわけでございますので、はたしてその認識があったかどうかが一つの問題であろうかと思います。したがいまして、今後の捜査の結果に待たなければならないのでございますが、支店長にもし犯罪ということを知りながら証拠を隠滅したという点が認められますれば証拠隠滅罪になるのではなかろうか。それから、どうも警察から送られてきた事実と対比いたしますと、そのまま直ちに犯罪になるということはこの段階では申し上げられないというような感じがいたします。  それから二番目の問題で、なすことをしなかったがために犯罪行為が拡大したのではないかという点でございますが、この点は刑法の共犯理論で、共同正犯、教唆、幇助とございますが、共同正犯あるいは教唆ということは考えられませんが、もしある行為が行なわれまして、それが犯人の犯行を容易ならしめたという結果になりますならば幇助罪が成立するものと思われます。しかしながら、ただ、犯罪行為があることを知っていて何もしなかったというだけで直ちにある犯罪の幇助になるかどうかということは、具体的な案件あるいは事実関係を承知しない以上、いまここではっきりしたことは申し上げられない、かように考えております。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの問題に関しまして銀行局長さんにお伺いするのでございますが、先ほどもちょっとお話を申し上げましたように、こういった労金の使い込み事件というのは、これは労働組合が労金から金を借りているわけでありますから、労組の責任において返済すべきは当然でございます。労働組合が責任を負わなければならない。しかしながら、現実の問題としまして、これは個人の使い込み事件であるためにそれは労組の責任ではない、個人の責任であるというふうにこの事件はなっております。そういうふうに組合幹部の間では確認されております。そうした場合に、これは当然労働金庫と個人とのこういう債務弁済に切りかえらるべきが正当な金融業務のあり方じゃないか、私はこう思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  127. 澄田智

    澄田政府委員 いまお話しのような場合は、当然に個人あての債務ということになってそういうような処理が行なわれ、金庫としてはそういう処理をして個人に追求する、こういうことになろうかと思います。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 刑事課長さんにお伺いしますが、いま銀行局長さんは、これは当然個人債務に切りかえるべき問題であるとおっしゃっております。にもかかわらず、労金が労働組合に強くその返済を求めたがゆえに、この事件はさらにそういう関係業者にまで拡大されておるわけです。これに対する刑事課長さんの見解はいかがですか。
  129. 石原一彦

    ○石原説明員 ただいまの事実関係だけで、刑法あるいはその他の刑事関係法令のどの罰条に該当するか、ちょっと考えられないので、はっきりしたお答えができませんが、義務でないことを無理にやらせたという場合には強要罪というのがございますが、どうもただいまのお話を承っただけで、直ちにその犯罪が成立するというのは、ここではちょっと申し上げかねると思われます。
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 次の問題に移りますが、今回のこの事件を見てみますと、これは労組幹部の使い込み事件であります。しかしながら、労金としても確認事項等においては非常に怠っている面がある、業務に忠実でない、こういうようなことが私は考えられてならないのです。たとえば、通常労金が貸し出しをする場合、生活資金は給料の三カ月分で十万円をこえてはならない、こう規定されております。にもかかわらず、こういった労組の幹部に限っては、再び三たび返済されないにもかかわらず、さらに追加で貸し出しをなされておる、こういったことがあります。こういうような規定を守らない愛知労金の業務のしかたについては、銀行局長さんはどうお考えでしょうか。この問題等については労金は怠慢であるとお考えになるかどうか、こういった点についてお話を、いままでの分とあわせて伺いたい、こう思うわけであります。いかがでしょうか。
  131. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま愛知労金の場合の例といたしまして、個人に対する貸し出し限度というような例をお示しになりましたが、これは各労働金庫でそれぞれ内規としてきめていることではないかというふうに承知をいたします。もちろん金融機関の運営としては、その内規を守って運営が行なわれなければならないわけであります。そういう点について、なお労働金庫の実情等をよく見まして、指導等も徹底いたしたい。それぞれの内規を守り、業務を規律正しくやっていくということは金融機関として当然のことではないかと思います。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 さらに、同類の問題について私は伺いたいのでございますけれども、この事件に関して表面にあらわれてきた金額というものは、約七百八万円余になっております。最初五百二十万の金額が、労金に返済をしなければならないために、その労組の幹部はその他の業者から金を借りたり、あるいは組合の手形を発行したりして操作しているうちに、七百八万円というようにさらに事件が拡大をしていったのでございますが、この中の百二十万円というのは、まだ労金に返済されずに残っております。そうしてその百二十万円については、特定の人に個人債務として切りかえになっております。これは先ほどの銀行業務の措置の上からやむを得ないとしましても、これだけの事件が起こっているにかかわらず、たしか書記長だと思いますけれども、この人に対しまして、労金は、事件が起こっていることがわかりながら、さらに百五十万円の貸し付けをしているわけです。これは労金に返すべき債務ではないわけです。特定の業者に生じた債務の分を、労金が担保があると言いながらも、刑事事件が起こっている人にさらに百五十万円の金を貸し出しをしなければならない必要は私はないと思う。むしろ普通の金融業務の上からいえば、そういった問題は避けるべきじゃないか。こういったところに愛知労金の幹部の背任行為が存在するんじゃないか。これは刑事事件になるか道義的な問題になるかは別としまして、そういう点についてはいかがですか。いわゆる生活資金ならば限度額十万円ときまっておりますし、またその他の貸し付けについては、住宅資金の最高額がこの場合は給料の二十カ月分で、さらに最高額二百万である。この貸し出しを受けた書記長は給料三万円ですから、二十カ月分だって六十万円ですよ。それにもかかわらず、そういうすでに焦げつきがあるにもかかわらず百五十万円の貸し出しをして、そうしてこれらの事件を片づけようというような意思が労金側に感じられるような気がしてなりません。こういった点について、当然貸し出しをしてならないような状態にありながら貸し出しをしていることについては、労金側の背任行為にならないかどうか、その点ひとつ銀行局長さんに伺いたいと思います。
  133. 澄田智

    澄田政府委員 いまお話しのものが背任かどうかというような点は、ちょっと私いま伺ったお話だけではわかりかねるわけでございますし、私どももまたお答え申し上げることでもないのではないかとも思うわけでございますが、個人に債務を切りかえることによってそういう処理をする、こういうために……。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 切りかえじゃないんです。百二十万円は別の人です。
  135. 澄田智

    澄田政府委員 切りかえて新しく債務が生じたというわけじゃないわけでございますね。
  136. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうじゃないわけです。
  137. 澄田智

    澄田政府委員 どうも具体的な内容をその点についてよく承知をいたしておりませんので……。
  138. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それじゃもう一ぺんお伺いいたします。労働金庫法の第五条第二項に、「金庫は、その行う事業によってその会員に直接の奉仕をすることを目的とし、特定の会員の利益のみを目的としてその事業を行ってはならない。」こう規定されておるわけです。この条項に該当するかどうか、この点はどうでしょうか。
  139. 澄田智

    澄田政府委員 事実関係を確認をいたしておりませんものですから、確定的に申し上げかねるわけでございますが、いまおあげになった労働金庫法第五条の精神というようなものは、これは労働金庫という特殊な金庫として、労働金庫の運営上基本的な理念として当然に守っていかなければならないものと思われるわけでございます。どうもお話しのようなケースが非常に行き過ぎになるような場合でございますと、やはり一つの問題であろうかと思います。
  140. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これらの問題は、事実行為がまだ大蔵当局においてははっきり確認されておらないようでございますので、確認の上さらにお答えをいただきたい、このように思うわけであります。特に愛知労金につきましては、金融業務の遂行にあたって重大な疑義があると私は思うわけです。個人の貸し付けにしても何回も貸し出しをしております。本年度の会計決算の結果がもうすぐあらわれるはずでございますので、こういった問題を銀行局当局でさらに監査をなされて、その報告を私は求めたい、このように思うわけでございます。その点いかがでしょう。
  141. 澄田智

    澄田政府委員 事実関係をよく調査いたしまして、なおわれわれのほうも財務局その他によく連絡をいたしまして実情を調査いたしたいと思います。
  142. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 委員長にお願いをいたすわけでございますが、特に私は、この愛知労金については貸し出し業務にいろいろな欠陥がある、したがって、これらのことを関係監督官庁である銀行局のほうにおいて調べた結果を、ひとつ委員会に提出されることを要請していただきたい、こう思うわけであります。  さらにあと二点だけお伺いいたしますが、この使い込み事件というのは、副組合長が個人的に使い込んだ事件であります。それにいわゆる責任上として支部組合長、書記長が印鑑を連ねたところに、当然この二人の刑事責任があわせ発生をしているわけであります。ところが、こういう個人的に使い込んだ金までも、組合長、書記長の立場にあって印鑑を押さざるを得なかった人たちが個人的な債務まで負わねばならないかどうか、この点をひとつ刑事課長さん並びに銀行局長さんからお答えを願いたいと思います。
  143. 石原一彦

    ○石原説明員 ただいまの銀行の支店長の背任との関係におきましては、検察庁ではあらゆる角度から真相の究明に当たることも考えられますので、必要が生じますれば、われわれ検察結果の行政施策への反映と申しておりますが、業務の内容あるいは組織等について問題があれば関係庁に御連絡するということになろうかと思っております。  なお、ただいまの点、民事責任にも関係いたしますので、直接私の所管ではございませんが、全然情報を知らないので名前を使われたという場合につきまして、民事責任は別といたしまして刑事責任で考えますと、その限りにおきましては、私文書偽造罪あるいは先ほど先生もおっしゃられました印鑑の盗用その他をめぐる刑事責任が発生するのではないか、かように考えております。
  144. 澄田智

    澄田政府委員 私ども調査いたしたところによりますと、費消いたしました債務を切りかえて個人の責任に及ぶ、その場合の保証人というような中には組合の役一員が入っております。そうすると、これはいまの組合の費消事件を個人の債務に切りかえ、そしてその切りかえて支払いをする、支払いの義務がある個人の親戚等のほかに当時の組合役員が保証人になっている、こういうケースのその保証債務の場合かとも思うわけでございます。あるいは違っておるかもしれません。
  145. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんので労働省のほうにお伺いいたしますが、通常組合でこういうような問題が発生したときに――これは七百何万になっておりますが、使い込んだのは組合幹部三人のうちの一人であります。組合の中においてこういうあとの二人が債務も弁済すべきであるというふうにきめたのでございますけれども、この点について私もよくわからないのですが、実際にそういった弁済をしなければならないか、民事問題だと思いますけれども、この点に対する見解を承っておきたい。
  146. 根岸博

    ○根岸説明員 この事件の債務の弁済の方式でございますけれども、私たちの承っておる点におきましては、それぞれの組合幹部及び労金が話し合いまして責任の所在を確かめまして、どのように返済するのが適当であるかというような合意に基づいてきめられたというふうに承っております。そうなれば、その債務をどのように弁済していくのかというのは組合内部の問題として片づけるというのが一般の組合側のいままでの行き方になっているというふうに了解しております。
  147. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんので、最後に一つだけ政務次官にお伺いいたします。  現在、先ほどから問題になっておりますこの労金の貸し出しの問題につきまして、借り入れを申し込む本人が連帯保証人となっておる、こういうことについて矛盾を感じないのかどうか、この点についてひとつ伺いたいと思います。  それから現在労金が貸し出しをしておる制度、いわゆる集団主義を是とするか非とするか、この問題について政務次官にお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  148. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま御指摘の団体主義の問題を含めまして、今後十分に検討いたしてみたいと思います。
  149. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  150. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 午後二時十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十一分開議
  151. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平林君。
  152. 平林剛

    ○平林委員 私は、ただいま議題になっております金融二法案について、若干お尋ねをしたいと思うのであります。  それで、この法案を審議するにあたり、いろいろ検討しなければならない問題はありますけれども、まず初めに、この法案によって、またこの法案によらずとも、ことしの経済動向状況から見まして、今後の中小企業金融というものがどういう状態になるだろうか。それからまた、そうした予測される事情において、この法律案はどういうふうな波紋を描くだろうかという点がやはり一つの焦点であろうと思いますので、この点についていろいろとお伺いをしていきたいと思うのであります。  この間、政府のほう――これは経済企画庁のほうから、四月十五日に、昭和四十三年度の総合資金の需要見込み、それから産業資金供給見込みというのが発表されたことは御承知のとおりであります。これは結局、政府の経済見通しに立って、金融機関の資本収支と産業資金の動きを資金の源泉別に試算したものでございますから、政府の経済見通しによってはいろいろの幅があると私は思いますし、それが実態と合っているかどうかということも問題でしょう。しかし、一応この政府から発表されましたことしの総合資金需要から見ますと、結論から申し上げて、金融機関資金不足額はおおよそ四千五百億円ぐらいになるだろうといわれておるわけであります。私は、最近の中小企業倒産、あるいは金融引き締め下における金融全般を見ますと、こうした資金不足という形がはね返って中小企業に対する金融の圧迫になってくるのではないだろうか、こう考えますので、これに対して政府は一体どういうふうなお考えを持っておるのか、ひとつ総合的な判断を大蔵大臣からお聞かせいただきたいと思うのであります。
  153. 澄田智

    澄田政府委員 まず私のほうから申し上げさしていただきたいと思うのです。  現在、御存じのようにきびしい国際環境に対して金融引き締めという段階でございます、特に今年度、この四-六月というような時期は、そういう引き締めにおいて、一つの重要な段階になっておるわけでございます。そういう情勢に即応いたしまして、中小企業金融という面において不当にしわが寄るということのないように、その点については、民間金融機関の指導においても従来から注意を払っておるところでありますが、特に本年の一月の公定歩合の引き上げに際しても、その点を重ねて強く要望いたしておるところでございます。  また、政府金融機関を通ずる中小企業金融につきましても、財政投融資一般の伸びに比べまして、政府金融機関資金量の伸び率も、一般の伸びよりもそれを高くすると同時に、今後この四十三年度の資金の配分におきましても、特に現在重要な段階であります四-六月期というようなものに、昨年の同期に比べても、より重点を置いて資金配分をするというようなことで、当面引き締めの浸透がはかられておりますこの四-六月期の中小企業金融に支障のないようにというような配慮をいたしておるわけでございます。  今回二法案の審議をお願いいたしまして、これによって中小企業金融専門機関の間に、お互いに業務分野の差異を認めつつ、しかし全体として中小企業に定着をさせるということにいたし、その間に、競争による金融の効率化、資金コストの低下というものを通じて中小企業金融円滑化をはかっていく、こういう措置もとられたわけでございまして、こういう法案が実現されるということになりますれば、その意味からも、民間中小金融機関に対しての効率化に拍車をかけるという効果も期待し得るということでございます。そういうような状況によって、現在引き締め下における中小企業金融というものに遺憾のないようにという配慮をいたしておる次第でございます。
  154. 平林剛

    ○平林委員 大臣に伺いたいのでありますけれども、私は、いま銀行局長がお話しになりましたように、四-六月の一つ金融逼迫期にあたって、中小企業金融に不当なしわ寄せが行かぬようにとか、民間金融機関の措置についても強力な要望をするとかいうことは、抽象的にはわかる。抽象的にはわかるんだけれども、しかし実際問題として、最近の金融機関中小企業向け貸し出し状況といりものは、私がいま手元に持っておる資料では、第三・四半期の資料でありますけれども、都市銀行においても、地方銀行においても、相互銀行においても、昨年の同期から比べると低下しておる。たとえば都市銀行は、一昨年の十月から十二月、つまり第三・四半期におきましては、中小企業向け貸し出しは、前年に比べまして六・八%くらい増加傾向をたどっておったけれども昭和四十二年の同じ期間には四・一%と低下しておる。地方銀行においても、同じように八・四%増の態勢をとっておりましたのが六・七%の増というふうに、これもスローダウンしておる。相互銀行関係でも、同じように六・一%から五・七%増程度に、いずれもスローダウンをしておる。パーセントの割合は少ないですけれども、最近の中小企業倒産を見てみると、これは相当の広い範囲にわたって影響を受けるものでございまして、私はそういう意味では、四-六月の状態、あるいは先ほど申し上げました今後の総合資金需要見込みなどから予想される金融機関資金不足というのはこうした面にあらわれてくるのではないだろうか。抽象的なそれに対する対策で銀行局長のお話、わかりましたけれども、具体的に何か手を打たなければ、万年資金不足の中小企業にやはりしわ寄せがまいりまして、結局倒産数の増加ということに結果的になるのではないか。私は、この段階におきましてはやはりある程度具体的な問題についても大蔵大臣としてこういうことはひとつ検討してみようというようなお考えがあるだろうと思うのでありまして、それをお聞かせいただきたい。
  155. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 中小企業への貸し出し比率を落とさないようにという各金融機関への指導は常に行なっておりますが、しかし、いかにそういうことを指導を行なっておっても、事実上資金中小企業へ行かないような状態ができてしまったらこれはいけません。幸いにいまのところ、御承知のように公定歩合を上げてもコールレートの上がり方が非常に鈍いというようなことから、中小企業金融機関からコールとして都市銀行へ流れていくということは、従来の引き締めのときとは違って今度はそういう現象が起こっておりません。  また、中小企業金融機関以外も中小企業金融に定着するつもりを持っており、そうなるとやはりいい得意先を確保するということが今後の自分の地盤強化の問題とつながりますので、そういう意味から今回特に中小企業金融をここで確保しようという政策をそれぞれの銀行がとっておるというような現象が出ておりますので、従来の例によりましたら、これだけの引き締め政策をやったらもっと貸し出し比率が落ちるはずでございますが、たとえば全国銀行の三三%というようなものが三二・何%程度――去年の九月の引き締めときからはずっと上がっておりますが、今年に入ってごくわずか総体の金融機関の比率が落ちているという程度でございまして、大体引き締めであるにかかわらず中小企業へのしわ寄せがいま金融の面から避けられているという状態であろうと私は考えています。したがって、この状態を今後続けるように、一面補完金融機関である政府関係機関資金の割り振りを、さっき銀行局長の言ったような形で調整するというようなことをやってこの期間を切り抜けることが一番必要だと思っておりますので、そういう配慮をしたいと思っております。
  156. 平林剛

    ○平林委員 われわれは、よく中小企業金融について、たとえば景気、不景気のときにどういう手を打ったらいいかというときに、数字をあげて、全般の金融の中で中小企業に対する貸し出し状況の比率はこうでございますというようなことで、比率でもって議論をする場合が多いわけです。そしてその比率が下がらなければ中小企業金融はまあだいじょうぶであろう、あるいはまあある程度の措置をとったであろうという一つの自己満足といいますか、それから、それでことばを詰めていえば責任回避になっているわけです。私は、この問題の審議をするにあたりまして、念のために中小企業に対する貸し出し状況を、昭和三十五年当時から最近に至るまでの状況統計資料としてとっていただいたわけなんです。御承知のように、昭和三十六年、七年あたりが一つ金融引き締め時でございました。それから三十九年、四十年が一つの景気調整の引き締め時でございました。それからまた、最近は一つ引き締め政策が行なわれておるわけでございますが、残念ながら政府がとっていただいた中小企業向けに対する貸し出し状況の比率だけでは実際にその手当てが十分であったのか十分でなかったのかという判断がなかなかとりにくい。  例を申し上げますと、昭和三十六年の引き締めのときには、中小企業向け貸し出し比率が全般で四四・四%であったのが、三十七年には四三・八とやや落ちておりますから、これは中小企業向けしわ寄せがきたなということはある程度数字としてわかるわけであります。しかしながら、三十九年、四十年のときには、四五・三から四五・〇というぐあいに、わずか〇・三%の数字しかあらわれていない。今度の場合も、先ほど申し上げましたように多少開きが出ておりますけれども数字の上で議論いたしますと、かなりやっておる、そんなに開きがないじゃないかということになりますが、実際は中小企業倒産が非常に多くなって、その記録がどんどん更新をされておる状態でございます。ですから私たちは、やはり大蔵省あるいは銀行当局のつくった統計資料だけでなく、もっと実態に即したものの見方ということも必要だと思う。だから、対策のときにただ抽象的な議論をするのでなくて、具体的にこうするということも少しずつ進めていく必要があるということを感じておるわけです。  今度の法案につきましても、やはりこの法律案が、中小零細企業に対する長期低利の融資を確保する何らの保障もなくして、反対に中小零細企業の整理淘汰を促進するねらいを持っておるのではないかという反対議論もありますように、具体的な問題を少し政府において、これはこうしたらどうだということを少し考えてもらうべき時期が来ておるのではないか。  そこで、少し聞きますけれども、たとえば、こういう段階におきましては万年的な資金不足というようなことを解決する一つの方法といたしまして、政府や日本銀行による中小零細企業向けの長期低利の資金供給を拡大することや、政府保証料の引き下げや、政府負担などの政策を具体化すること、それからまた、米の代金の支払いをひとつ小さな金融機関にやってみるというようなこと、あるいは各種の公庫あるいは公団であるというようなところの余裕金の預け入れをそうした中小金融機関に与えるというようなこと、そのほか郵便局の余裕金の預け入れというような問題ももう少し中小金融機関に与えるというようなこと、こういうような具体的なことについて検討する必要があるのではないかと思うのですけれども、それはいかがでしょう。
  157. 澄田智

    澄田政府委員 中小企業金融状況を見るために、たとえばお話しにありましたように金融機関貸し出しの中におけるシェアというものの数字だけで判断をするということが、往々にしてそれだけではつかめないものを持っておるという点も御指摘のとおりのことがあろうと思います。四十年以降の金融緩和期に、普通銀行等の金融機関中小企業金融に対して積極的な姿勢で取り組んで拡充していこう、こういうかまえを見せてきていることは事実でございます。それが最近になって、シェアとしてあらわれてきているということはあると思いますが、しかし、それが問題の解決ということにそれだけでなるということではもちろんないわけでございます。  御指摘のように、中小企業金融機関日銀資金供給をもっと多くするようにしたらどうかという点につきましては、これは先ほども申し上げましたが、日本銀行の貸し出し相互銀行等に対して拡大いたしておりますし、信用金庫に対しても、連合会を通じてやっておりますし、オペに際しては、全相互銀行等対象にしてそれをやっておるということで、これは逐次日本銀行の金融調節の一環といたしまして、資金の需給に応じて拡大をしていく性質のものと思います。  それから、保証料率の引き下げ等は、機会あるごとに下げるということで、予算等に際しても処置してきているところであります。また今後とも一そうその点は充実していかなければならぬ、こういうことであろうと思います。  それから、さらに中小企業金融機関に対する政府金融機関の代理業務の拡充につきましても、これは中小三機関については、従来から相互銀行信用金庫、信用組合といった機関においての代理店として扱うウエートというか比重を高くしておりまして、そのシェアも逐年高まってきて、六割台でございますが、それが七割に近いというところまで上がってきておる次第でございます。  それから、最後にお話しになりました余裕金でございますが、国庫余裕金を指定預金として預託をするということは、御承知のように前にやっておったわけでございますが、これは国庫金の活用という意味からいっても、国庫金の管理という意味からいっても、会計法上の問題等もありまして、会計検査院の指摘もあり、その指定預金の制度はやめたわけでございますが、この国庫余裕金につきましては、公債を発行している現状において、余裕金がたくさん出るような管理をしないというのが国庫金管理のたてまえであろうと思うので、国庫金の活用というのは問題があると思いますが、そのほかの点につきましては、余裕金を運用するというよりは、郵便貯金にしてこれを財投の資金として活用していく、そっちの方向において重点的に中小金融に振り向けるというほうが大切かと存ずる次第でございます。  いまお話しの点について、かいつまんで申し上げますと、そういうことだろうと思います。
  158. 平林剛

    ○平林委員 この問題は、時間もありませんから、今後も引き続きいろいろと今後の措置を要望していくことにいたします。  大臣、ちょっと伺いますけれども、ことしの経済見通しからいきますと、金融機関資金不足は、政府の見通しによりましてもおおよそ四千五百億円くらい見込まれる。有力な銀行では、むしろもっと大き目になるのではないかということから、銀行筋の中でも、特にいま一番苦しい状態にある都銀あたりから、ことしの国債は少し免除してもらえないかというような動きが早晩起こってくるだろうと思いますけれども、これは今後の中小企業金融一つ資金量にも関係がありまして、私たちとしても注目している点でありますが、そういう動きがあったとき、大臣はどうなさいますか。
  159. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 昨年も歳入との関連でそういう問題には考慮を払ったところでありますが、ことしもそういう問題が起こったときには、昨年と同じように、やはり国債の発行についても、いろいろ機動的な考慮をする必要があると私は思っております。
  160. 平林剛

    ○平林委員 そこで、少し本題の法律案について具体的にお尋ねしてまいりたいと思いますが、今回の特に合併転換法律案によって、おそらくこれから相互銀行あるいは信用金庫、信用組合等にいろいろな動きが予想されると思います。  最初にお尋ねしておきますけれども、政府は、こうした合併転換等の動きについて積極的にリードして、みずから描く方向に施策を進めていく考えですか、あるいはこれにつきましては、政府が直接リードすることなく、実際に即して、法律条項に照らして措置していくという道をただあけたというだけに理解していいのか、この点を少しはっきりしておいていただきたい。
  161. 澄田智

    澄田政府委員 これは法律としては、あくまでそういう合併転換の道を開き、そうして合併転換については内容を検討し、ケース・バイ・ケースで大蔵大臣の認可が行なわれる、こういうたてまえの法律でございます。しかし、金融の効率化をはかり、適正な競争を行なわせる環境を整備するという意味で合併転換が必要な場合も非常に多いのではないか、かように考えて今回の法案の御審議をお願いしている次第でございますので、実際の運用にあたりましては、必要な場合には合併転換が行なわれるように政府としてもアドバイスをしたり、自主的なそれぞれの金融機関の決定にまつわけでございますが、それを助長する必要がある場合には、その相談に乗ってそれが進められるような環境をつくるというようなことも場合によってはあり得るのではないか、かように思う次第でございます。
  162. 平林剛

    ○平林委員 それでは銀行局長にお尋ねしますが、いまのたとえば異種の金融機関でそれぞれ転換を目ざすというようなこと、私たちいろいろな情報で伝え聞いておりますことは、まず相互銀行筋あたりでは自分のからだに合った着物を着せてもらいたいということで早くから熱望していたところもありますし、またどちらかといいますと、長年夢にまで見た普通銀行への転換の実現ができるかできないかということで、この法律案に対して一つの感激と緊張感を持っているところもございますし、たとえば日本相互銀行のように大きな相互銀行は、たぶんこの法案が成立すると同時に、いろいろなこまかい規定ができるのをまって、五、六月ごろにはこの法に基づいて異種の金融機関転換されるというような動きもございますが、現状はどういうふうに把握されておりますか。
  163. 澄田智

    澄田政府委員 巷間いろいろな話を私どもも耳にするわけでございます。ただ、これは現在金融機関でいろいろ考えている向きもあろうかと思いますが、この法律が施行されてから具体的な話ということにもちろんなるわけでございますが、現状においては、まだ私ども具体的にこういう話があるというようなことをはっきり聞いている例はないわけでございます。ただ、この法律が御審議を経て施行されるという段階においては、それからいろいろな検討が行なわれるということで、今後逐次そういう話が出てくるのではないか、かように思う次第でございます。
  164. 平林剛

    ○平林委員 私たちがいろいろな方面の情報を見ておりますと、まず日本相互というあたりからこの動きが始まるというふうに観測をされており、その名前まできまっておる。このほか西日本、幸福、福徳、近畿、平和、兵庫、東京、福岡、名古屋などの相互銀行界におけるベストテンあたりでは、この法案のあれによりまして、いろいろなメリット、デメリットはあるでしょうけれども、動きが始まるだろうと見ておるわけであります。  そこで、まず、昭和四十二年三月末現在で七十二ある相互銀行のそれぞれの預金量あるいは資本金などを見ますと、上位の中では、一つの政府リードもあれば、合併転換という動きがかなり起きてくるのではないか。そのことは一体どういうことになるかという点なのであります。中小企業金融立場から見ると、そうした動きは歓迎すべきものであるのかどうか、先ほど申し上げましたことしの経済見通し、それから資金需要の状況から見まして、歓迎すべき状態なのかどうか、私はここが一つ問題だと思うのです。たとえば今度の法律によりまして、相互銀行はその目的を中小企業金融機関というふうにはっきり定められまして、それを担当する機関となるわけでありますけれども、いままでの状態をこまかく見ますと、どちらかというと、貸し出し対象や一件当たりの貸し出し金額を厳密に見ていくと、きわめて多くの部分が大企業向けの貸し出しに向けられておったという批判を私は持っておるわけであります。そこへもってきて、今度は上位の相互銀行普通銀行転換をしていきますと、政府からいただいておる資料によりましても、中小企業向け貸し出し割合というのは、都市銀行、普通銀行と大きな銀行になるに従って狭くなるわけですね。広い部分を担当しておるのは信用組合あるいは信用金庫、一部相互銀行、こういうふうになっておるわけですね。これがどんどんどんどん異種のほうに転換をしていく、そうすると、その分だけ中小企業金融の面が狭められていくのではないか、こういうことを私は感ずるのであります。  同時に、これから五年くらいたったらどうなるだろうかということになりますと、いまの状況から判断しますと、七十二ある相互銀行の中で十億円以上の資産を持っているのが十一、五億から十億のが二十三というぐあいに、かなりの部分が、もしかりに五年くらい後を想定してみた場合に上位にいるかどうか。普通銀行転換をしていった場合、好むと好まざるとにかかわらず、その分だけは明らかに中小企業金融の分野というものが少なくなってくるのではないか、それに対応して政府の措置をしなきゃならないということを私は言っておるわけでありますけれども、五年後を想定いたしますと、相互銀行というものは、相互銀行法というのはあるけれども、中身はなくなってしまう、あるいは中身は半分になるというようなことは想定できないか。こういう場合、大蔵省では一体どういうふうに想定をしてこの法律案を提案をしたのか。これは単なる夢物語ではなくて、現実に進行する問題だと思いますが、そういうときは相互銀行のほらはどうするのか、中小企業金融についてどうするのかというようなものをお持ちかどうかをひとつ聞かせてもらいたい。
  165. 澄田智

    澄田政府委員 相互銀行につきましては、一部中小企業以外の金融というものに現在においても相当なウエートがあるというような実態を持っているものがあることは事実でございます。また、法律上も中小企業という業務範囲を明確にしているというわけでもございません。そういうようなところから、相互銀行融資内容というものは相互銀行によってかなり差があるという形になっております。全体としては七七%くらい、八割近く中小企業融資をしているという実情であるわけであります。  そこで、今回この合併転換の道を開くということになるが、これにつきましては、御説明申し上げておりますように、金融機関の実態に応じまして最もふさわしい形で業務をやらせる、そうして適正な競争をさせる、こういうたてまえで、実態に合うように必要なら転換も認めるということでありますが、転換の認可に際しては、中小企業金融円滑化というのが重要な認可の基準として、十分そういう点を考えて認可をしていくということにいたさねばならないと考えております。  そういたしまして、現在御承知のように、中小企業金融向けの全体の金融の半分は普通銀行によって資金供給が行なわれております。したがって、あくまで中小金融の実態は、最もそれぞれの金融機関の業務の実態に合うような形で中小金融が円滑に行なわれていくということでありまして、中には相互銀行から普通銀行転換したほうがふさわしいという形の場合にはそうする、しかし、相互銀行から転換をしていきますような普通銀行については、やはり中小金融に非常にウエートを持った、そういった特色を持った普通銀行というものに育っていくだろう、こういうふうに考えるわけであります。  かれこれ考えまして、その全体としての金融の効率化をはかりつつ、中小企業金融に対するウエート、その重要性というものが失われないように資金量というものが拡大されるような方向で見ていくということになろうかと思います。相互銀行については非常に同質化が行なわれているというような面もございますし、相互銀行の現在の数はいまよりは減っていって、民間の中小金融というものが専門機関普通銀行の両方から行なわれていって拡大されていくというような形になろうかと思うわけであります。しかし、大部分の相互銀行は、今度定めましたこの業務範囲というようなもので、その対象としては中小企業金融というものを重点としてやっていくものが残ることになると思われますので、いまお話しのように、相互銀行という制度はあっても内容はなくなってしまうというようなことにはならないだろう、かように思うわけでございます。しかし、そのいずれにしても、そういう範囲を固定化するということでなしに、実情に合わせてその金融機関の実態に即応した姿をとらせる、しかし、中小企業金融というものは、あくまで全体として資金量を拡大し円滑化もはかっていく、こういうことがねらいであろうと思います。
  166. 平林剛

    ○平林委員 一つの姿として、いまのお話しのようなことを進めていくことはできるだろうと思うのですけれども、実際の姿としては、相互銀行界においては、どちらかというと、上位の金融機関転換をするためには資金量も多くならねばいかぬから、どうしても預金競争に走る。それからまた法律にありますように、金融の効率化ということの面から見れば、小口より大口の貸し出しのほうが効率化もよろしいということになるわけでありますから、中小企業にそっぽを向いて、大きな企業に有利なことをした金融機関というのが、だんだん大きくふくれ上がって、内容もいいなんというようなことになりまして、結局不良むすこのほうがほめられた上に進級していくというようなことになる。そして零細な企業のほうのめんどうを見たやつは効率が悪いから、いろんな面において条件が悪いというふうなことになる。何か悪平等が出てくるのではないかという感じがします。  そこで、たとえばこの第六条に、こうした金融機関合併及び転換は、大蔵大臣の認可を受けなければならぬことになっておるわけでありますから、大蔵大臣がその点はよほどしっかりしてもらわなければならない。同時に、認可をしようとするときには基準がありまして、「合併又は転換金融の効率化に資するものであること。」それから「合併又は転換により当該地域の中小企業金融に支障を生じないこと。」その他三、四と規定がしてありますが、金融の効率化という意味をへたな解釈をいたしますと、解釈いかんによりましては、いまのように不良むすこがたくさん出てくるということになる。それから、「合併又は転換により当該地域の中小企業金融に支障を生じないこと。」とありますけれども、これも相互銀行あたりでものを考えますと、あまり中小企業のほうをやらないで、上位銀行になっても同じ程度シェアがありますからというようなことになれば、結局中小企業金融に支障を生じないということに適合してまいりまして、転換が許可されてしまうというようなことになるわけでございます。私は、この法律によって中小企業金融の分野が狭められるということを防ぐためには、この基準の解釈に対しても、かなり私が申し上げた側でものを考えてやってもらいたい。五月、六月――まだ法案の簡単な基準だけで、こまかい規定が出ておりませんけれども、これはどんな考えでもってやるつもりですか。それは大体いつごろにまとまる予定ですか。
  167. 澄田智

    澄田政府委員 ただいまお話しの六条の基準という点でございますが、これは、法律ではあくまで最も重要なポイントを指摘しておりまして、それが金融の効率化に資する、そしてまた当該地域の中小企業金融に支障を生じないというようなことをあげておるわけでございます。金融機関の経営が効率化されて、そして資金コストを引き下げるというようなことで、中小企業金融に対してもより低利な資金供給できるような環境をつくっていくというような点がそのねらいでありまして、したがって、効率化という点についても、それは当然に中小企業金融のためになるような効率化ということを考えるわけでございます。それから中小企業金融に支障を生じないというような点についても、具体的にそれぞれのケースによって判断をいたしまして、いやしくもその地域に中小企業金融機関が手薄になって、中小企業金融に支障を生ずるというようなことは避けなければならないことでございまして、そういう点は十分に注意をして運用をしていかなければならないものと考えるわけでございます。具体的ないろいろな基準でございますが、これにつきましては、あくまでそれぞれのいろいろなケースが考えられるわけでありまして、実態に即応して、こういう大原則から照らして考えるということで、個々の基準をはっきり規定のようなもので定めるというようなことは考えておりませんが、あくまでそれは具体的に、こういった原則に照らして判断をするというようなものとしての考え方ということで運用をしてまいるつもりでございます。
  168. 平林剛

    ○平林委員 こまかいところを聞きたいのですけれども、また別の小委員会などでこまかいことは聞いてまいりたいと思いますが、私は一貫して考えてもらわなければならぬことは、やはり中小企業金融という問題に支障のない形でこれらが行なわれねばならぬ、そういう心配がある限りにおきましては、われわれも十分監視の目を払っていかねばならぬということを申し上げておきたいと思うのであります。  いま相互銀行関係で申し上げましたけれども信用金庫界のほうでは、むしろこれからは、もっぱら合併の問題がやはり話題となり、合併のムードというものが高くなってくるのではないだろうかと思うのであります。ただもう一つの考え方は、この際、たとえは有力な――まあ有力というよりも力のある都銀筋あたりが、こういう法律ができたのを機会に、たとえば弱い信用金庫あるいは信用組合とまでいきますか、そういうものを自分の系列下にしようという動きは、予想しておかなければならぬ。特に当面都銀筋では、自分の資金吸収のパイプの一環にしたいという希望は、私は持っておると思うのであります。同時に、店舗の問題につきましても、一つの制約がありますから、そういう面では、機会を見たら合併、吸収をはかって、店舗も拡充して、そのメリットをねらうということも考え得られるわけであります。特にこの場合には、大都市周辺の小さな金融機関がねらわれる――と言うと語弊があるかもしれませんが、対象になりやすい。こういうことが弱肉強食の形で行なわれるということになりますと、一面信用金庫あるいは信用組合が受け持っておる中小企業金融の面にいろいろ支障が出てくるのではないか。これはある程度大蔵省、政府においてチェックしていく必要があると思うのですけれども、どうお考えですか。
  169. 澄田智

    澄田政府委員 仰せのとおりだろうと思います。そういうような弊害が出ることがあってはならないわけでありまして、そういう点も十分に留意をしてまいりたい。そういう意味で、先ほどおあげになりました法律の六条二項の規定に三号といたしまして、「合併又は転換金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないこと。」という条件も掲げておるわけでございまして、いたずらにそういうような競争が激化して、大銀行が周辺の中小企業金融機関を併呑するというようなことによって、不当に競争関係を乱すというような、あるいは金融秩序を乱す、そういうようなことがあっては、それは中小企業金融の意味からいっても問題でございます。また、全体の金融秩序という意味からいっても好ましくございませんので、そういう点は、十分注意してまいらねばならないと考えております。
  170. 平林剛

    ○平林委員 まあ都銀筋では、一部の信用金庫に対して、金庫の役員がそういうような措置がとれるようなときの資金を融通するというような話を持ちかけたり、あるいは退職金だとか、相当の地位を保障することで理事者を動かしていったりするような動きもないわけではない。そういうことを考えますと、いまおっしゃったような形の措置は、やはり十分の配慮を持って当たらねばならぬということを申し上げておきたいと思うのです。  特に私は、この機会にお聞きしますけれども、信金界でも合併ムードが起きてくるという場合に、私はかつてこの委員会でもお尋ねしたことがあるわけでありますが、合併をするにあたって悪い内容の金庫が、これを隠すために合併をする、あるいはまたそうでなくても、金融の効率化という旗じるしを掲げて合併をする場合でも、最近信用金庫界の現状から見ますと、やはりそういうときにいろいろな問題が起きがちである。かつてある信用金庫理事長が、退職金を自分で用意しておく一あのときに私が問題にいたしましたのは、五千万円の退職金を用意する、それから功労金として一、千万円、計七千万円は用意してあるなんというようなことを豪語して、合併の問題があってもだいじょうぶだというようなことを議論をしたことがございまして、こういうようなことは適当でない。銀行局長も私の質問に答えまして、これは適当でないということで、その措置を善処するというようなことになっておったはずであります。それからこれに関連して、私はいろいろな資料を、問題を指摘した場合の具体的な報告を求めていたわけであります。まだそれがありません。したがって、そのことについてどうするか。同時にまた、いまのは一つの例でありますけれども、こういう考えの人もあるわけでありますから、合併とかその他やったときに、不当な退職金、功労金をとるというような悪い傾向が出ないように、銀行局は一体どういう措置をとられたか、現状こういうことが予想されるときにどういう措置をとるか、こういうことをひとつ聞かしておいてもらいたい。
  171. 澄田智

    澄田政府委員 この前当大蔵委員会で本問題の指摘を受けましたときに、私のほうから十分所轄の財務局を通じまして当該の金庫に注意を行なうということを申し上げました。それは厳重に注意をいたしました。そうしてなお今後十分監督をしてまいりたい、かように申し上げた次第でございます。その後の報告によりますと、四十二年の八月に退職金の支給規程を一部改正を行ないまして、功労金として五〇%加算する旨の規定を削除いたしております。それからさらに、問題の金庫でございますが、最近役員の退職金を最高五千万円で打ち切る、あらゆる場合を総合して最高五千万、こういうようなことにしたようであります。これでも高過ぎるというようなことも考えられるわけでございますが、従来からいろいろ金庫の検査、監督等を通じまして、退職金の支給状況等もやはり注意をしてまいっておりますが、これからことに御指摘のように、この法律運用にあたって、具体的な事例等につきましては、認可の場合にもそういうこともよくわかるわけでございますので、そういう点は十分注意してまいりたい、かように存じております。
  172. 平林剛

    ○平林委員 なお足りない点は、後ほど私のところに説明を願いたいと思っております。  もう一つ最後に、今度は信用組合の問題につきまして、若干お尋ねをしておきます。  信用組合は、御承知のように、昭和四十二年十二月三十一日現在で組合数が五百四十三になりまして、地域の組合あるいは業域の組合、職域の組合と、いろいろの形がありますが、その店舗数もかなり広範囲にわたっております。私どもといたしましては、信用組合が地方自治団体の行政下において地域大衆に結びつき、きめのこまかい金融活動を行なっておるということから考えますと、今後の中小企業の、特に零細企業金融の問題につきましては、影響も大きいし、役割りも大きいし、重視すべきものだと思っておるわけであります。私はそういう意味から考えると、いまの信用組合の現状は、預金、貸し出しが小口である、それから中小、零細企業対象であるために危険負担というものは大きい、員外取引もできない、こういうことになっておりますだけに、いわゆる資金の効率化とか金融の効率化というものについては、かなり苦しい状態に置かれるのではないだろうか。そういう点から考えますと、ただこの法律案によって、そういう効率化、金融円滑化ということだけではいかない面を持っていると思うのであります。そこで一つ、先ほど私が申し上げましたような財政政策あるいは制度の改正で改善をはかるというようなことが必要ではないだろうかと思うのでありますが、現在どういう措置をおとりになろうとしておりますか。
  173. 澄田智

    澄田政府委員 協同組合組織の金融機関として信用組合は、ますますその協同組合組織としての特色を発揮して、中小金融の分野で大きな機能を果たしていくということが大切なことは、申すまでもないところでございます。そうして今回の改正におきましても、協同組合組織という組織と両立する範囲内におきまして、業界も希望しておりますいろいろ業務の拡張ということもいたしておるわけでございます。あるいは組合員のためにします保護預りでありますとか、あるいは有価証券の払込金の受入れでありますとか、あるいは、さらに内国為替業務というようなものも組合員のためにできるように拡充をしていく。さらにはまた、連合会の組合を通ずる代理貸しというような道も開くというようなことで、協同組合組織としての特色を発揮しつつ、十分その利用者の便宜もはかる、また組合としての業務の範囲も広げるというようなことで、今後ますます組合の――いろいろ組合としての制約はあるわけでございますが、組合の営業業務というものが、そういう新しい仕事等も加えて効率的にやっていけるように、こういうことをこの法律でも配慮をいたしておるわけでありまして、この点はやはり進歩であろうと思います。そうして、現在組合員に対します行政は、知事に委任をいたしておりますが、今後積極的に、われわれのほうといたしましても、組合に対する行政というようなものも知事を通じてではありますが、重点を置いてまいりたい、かように存じます。
  174. 平林剛

    ○平林委員 改正案で、内国為替の取引だとか有価証券の払込金の受入れだとか保護預り、あるいは地方公共団体及び非営利の法人に対する預金担保貸付を加えるという点は、法案を見て承知しております。  その連合会というのは、いま五百四十三のうち五百二くらい集めている全国信用協同組合連合会のことを言うのですか。
  175. 澄田智

    澄田政府委員 これは、内国為替業務等でありますと、やはり全体のその為替を集めて集中して処理するというようなことも必要でございますので、全国の規模の連合会に一本化されるというような条件が整備されたところでそういう業務をやっていく、こういうことにいたしたいと考えております。
  176. 平林剛

    ○平林委員 そうすると、この全国信用協同組合連合会に一本化されたときにただいまのようなことをやる、こう理解してよろしゅうございますか。
  177. 澄田智

    澄田政府委員 内国為替業務あるいは連合会の代理貸しというものについては、さように考えております。
  178. 平林剛

    ○平林委員 私は、この機に、この信用組合の業界の一本化が急速に高まって、そうしたことが措置できるように、大蔵省、政府においても推進をする役割りを背負うべきではないかと思いますが、いかがですか。
  179. 澄田智

    澄田政府委員 これはもちろん業界のことでございますので、第一には、業界が自主的にそういう空気になってそういうことを推進されるということでございますが、しかし、こういうふうな新しい業務も予想しておることでございますので、そういう機運ができますようわれわれとしても努力をいたしたいと存じます。
  180. 平林剛

    ○平林委員 なおほかに私がきょう問題にしようとした点があるのですけれども、いろいろ時間のあれがありますから、これからおもしろいやつをやろうと思ったのですけれども、それは次の機会に譲ることにいたしまして、私の質問を一応これで終わります。
  181. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 武藤委員
  182. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 まず最初に舟山会長から、現在の金融制度調査会の審議の進め方と申しますか、これからのめどと申しますか、どういうような問題に視点を当てていつごろこういうものを答申したい、こういう順序、制度調査会でやっている順序があると思うのです。それを大ざっぱにちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  183. 舟山正吉

    舟山参考人 金融制度調査会におきましては、昨年に中小企業問題の答申を終わりまして、昨年の暮れから今度は民間金融機関に関する検討を始めたのでございます。そのために特別委員会をこしらえまして、勉強していただいておるのでありますが、現在のところは、まず民間金融制度を考えるのにあたりましては、将来金融をめぐる環境というもの、経済環境がどうなろうかということを頭につくらなければならないという意味におきまして、今後の経済成長の予測、それから設備投資の先行きの研究、これに伴いまして設備資金の需要、供給がどうなっていくか、並びにこの資金供給をもっぱら担当いたします金融機関、特に銀行につきましてはどういう形態で資金が利用されるであろうかというようなことを研究する、これが金融環境の研究でございます。これが特別委員会で大体各方面の御意見を伺いまして、一まとめにいたしまして、これを金融制度調査会に報告するという段取りになっております。  それに引き続きまして、今度はもう少し金融プロパーについて掘り下げた問題を取り扱おうということでございます。まずさしあたっては、金利というものをどう考えるかということに着手いたしまして、それからさらに進みますと、長期金融、短期金融関係をどう考えるかといったようなことを検討してまいりたい。しかる後に、それらを担当する金融機関はどういう形でどの程度であるかといったようなことに進みたい。あまり長くなりましてもいけませんから、去年の秋から発足いたしましたので、大体二年ぐらいで結論を出したいという心組みでやっております。
  184. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしますと、今回の金融再編成の答申というものは、さらに都市銀行や長期銀行あるいは信託銀行、そういうものの再編成の方途というようなもの、こういうものも金利と合わせて当然答申をなされると思うのでありますが、それは大体昭和四十四年の暮れごろを目途にやりたい、こういうことでございますか。
  185. 舟山正吉

    舟山参考人 できるだけ早く結論を出し、そうして町勢の要求に応ずることが念願でございますけれども、大体来年中ごろまではかかるのじゃないか。あとの問題は御指摘のとおりであります。
  186. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 金利の問題やあるいは長短金融分離の方針をどう変更するかとか、あるいはいままでのままでいくとか、そういう金融プロパーの問題全体を金融制度調査会で十分討議をして、しかる後に今回のような改正を出してくるのが筋としてはいいのではないか。中小金融だけなぜ今日急いで改変をしようとするのか、その根拠は何ですか。
  187. 舟山正吉

    舟山参考人 金融制度は大体終戦後三十年ごろにきまりましたが、その後実際の運用等によりまして、制度と実際とのひずみが相当できております。金融界全体について再検討すべきでありますけれども、何ぶん広大な領域でありますので、まず、当時として急いでおりました中小企業金融というものについて研究したわけであります。しかしその際も、全体の金融機構というものがどうなるかということは念頭に置いてやってまいった次第であります。それが終わりましたから今度は普通銀行その他に問題が移ったということであります。
  188. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 調査会の答申要旨の中には、国民経済全体の効率化のためには金融の効率化が必要だ、さらに適正な競争原理を導入することが必要だ、この二本が柱になっておるわけでありますね。そこで皆さんが議論をした中で、簡単に言うと、いまの信用金庫あるいは信用組合、相互銀行、これが多過ぎるのだ、 これを何とか整理統合、合併をしなければならないのだという前提があって、こういうものを何とか処理しないことには効率化が実現しないのだ、そういう気持ちで今度の答申というものが出されたのではなかろうかという気がするのでありますが、その辺の中身の議論は、どういうことを具体的にやれば効率化ができると思っておるのですか。
  189. 舟山正吉

    舟山参考人 中小金融機関の問題は、具体的に申しますと、相互銀行信用金庫、信用組合でありますが、それらについて、金融の効率化をあげるためにどうしたらいいかについては、そういう機関がある部面では多過ぎて、過当競争もしておる、それから一つ一つ機関の基礎も弱い、こういうものはあるいは一緒にして強化する必要もある。しかしながら、一面これらの金融機関の機能が弱い面もある、こういう面については、これを強くして、もっと中小金融のために働かそうということでございまして、それらを通じまして、こういう形でやったならば、中小金融はうまくいくであろうという型を示したものが今度の答申でございます。
  190. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その際に、具体的に全体のビジョンとして、あるいは青写真として、信用金庫はこのくらいが適切なんだ、あるいは信用組合は日本のいまの経済規模からいってこのくらいがほどよいのだ、そういうようなものは論議の中では全然想定しなかったのですか。
  191. 舟山正吉

    舟山参考人 結論といたしましては、現在及び将来の事態に備えまして、それらの中小金融機関の規模はどのくらいがいいか、つまり言いかえますならば、資本金はどのくらいでなければいかぬか、それから融資対象はどういうものにするか、融資限度はどういう程度がよかろうかというようなことを十分考えまして、新しい事態に応じた金融機関の条件の提案をしておるわけであります。
  192. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、あなたのほうで出した答申の中身では、最低資本金に達しないものについては「三年程度の経過期間を設け、その間に増資ないし合併等の措置を講ずる」こう書いてあるのですね。この文章を読んだ限りでは「合併等の措置を講ずる」ということは、ある程度そういう誘導を行ない、行政指導を行ない、相手の気持ちがどうであろうと合併を進めるのだという意味に解せるのです。したがって、私は議論の中である程度適切な数の金融機関というのはどうあるべきだということを頭に描いて議論しておるのじゃないかと思うのです。そういうものは描いておらなかったという答弁でありますから、それはそれ以上質問いたしませんが、資本金が未達の場合には増資を行なわし、しかしそれが実現しない場合には合併措置を講ずるという意味はどういうことですか。
  193. 舟山正吉

    舟山参考人 そのくらいの大きさ、規模がなければ十分にその機能が発揮できない、それに対しては増資することも必要であるし、それができない場合には、弱いものが幾つもある場合にはこれは一本になって、一本立ちできるようにするといったようないろいろな場合を想像いたしますと、そういうような表現になるわけであります。
  194. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 銀行局長、現在相互銀行幾つありますか。
  195. 澄田智

    澄田政府委員 七十二ございます。
  196. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 七十二行のうち、現時点で今度の資本金に達してない未達のものは幾つありますか。
  197. 澄田智

    澄田政府委員 現時点で申し上げますと十一ございます。
  198. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 信用金庫は全国に幾つあって、未達のものは幾つありますか。
  199. 澄田智

    澄田政府委員 これは四十二年十二月末の数字で申し上げます。ごく最近合併の実例などございまして、ちょっと数字は動いているわけでございますが、四十二年十二月末で五百二十一ございます。そのうらで未達のものは百六十三ございます。
  200. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 信用組合は全国に幾つあって、未達のものは幾つありますか。
  201. 澄田智

    澄田政府委員 五百四十二ございまして、未達のものは五十九ございます。
  202. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ただいま局長が発表されたように、相互銀行のうち十一行、信用金庫のうち百六十三、信用組合五十九、これが資本金が今度の基準に達していないものである。これをやや三年ぐらいをめどにして今回の改正の出資金に引き上げたい、こういう大蔵省の考えのようでありますが、どうしてもその金額に達しないものは大蔵省としては強制的に達成させるようにどういう措置をとるわけですか。それとも達しないものは直ちに三年たったらおまえのところは信用組合として認めない、あるいは信用金庫として存続を認めない、こういうことになるのですか。それとも大蔵省は強力な行政指導を、どんなことをやるのか知らぬけれども、どういう方法でこの法律の趣旨に合致するように指導するのですか。
  203. 澄田智

    澄田政府委員 三年間の経過期間を設けておりますので、この間にできるだけ資本金あるいは出資金、これを増加いたしまして、そうしてこの目標に達成させる、こういうふうなことで指導してまいりたいと思うわけでございます。現在の資金量等から見まして、最低このくらいの規模というものはぜひ必要である、こういうようなところでございますので、できる限りこの間に増資へ持っていくことにいたしたい。そこまで達しない場合にはあるいは合併という方法によるということもあろうかと思います。
  204. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その合併ということもあるであろうと言うのですが、あなたは「金融財政事情」という本の中で、合併についての誘導は大蔵省としては行なわない、あくまでも経営者の自主的な判断、経営者の意思によって行なうものである、こういうことをしゃべっておるわけですよ。誘導はしないのか、そういう場合には完全な誘導であり、ある程度半強制的な指導じゃありませんか。
  205. 澄田智

    澄田政府委員 合併につきまして当事者の自主的な判断にまかせるというのは、あくまでそのとおりでありまして、合併及び転換に関する法律案合併というような場合は、まさにそういうような当事者の自主的な意思で合併するという場合に、異種金融機関の間の合併の道を開くわけでございます。ただ、この最低出資金という場合につきまして、どうしてもそこまでいかないという場合の合併というのは、それはその金融機関が増資努力をするかあるいは合併に踏み切るかというようなことは、その金融機関が自主的にきめることでございまして、また合併という場合でも相手方をどこに選ぶかというふうなことはその金融機関の自発的な意思でございますが、最低規模というものはぜひそこへ達成させたい、かように存じております。
  206. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 結論として三年間に未達のものはなくなる、解消する、こういう見通しですか、銀行局としては。
  207. 澄田智

    澄田政府委員 三年という期間を設けておりまして、この点については十分その間にその目標額に達成することができる、かように考えております。したがって三年後には未達のものはなくなる、かように考えております。
  208. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 答申の中で、東京都の特別区と指定市だけが出資額を一口一万円、それ以外の市の信用金庫は五千円、こういう差をつけたのは私はどうも納得できないですね。なぜ東京の特別区と指定市だけ規模が小さかろうが一万円、ほかの町じゃ規模が大きくとも五千円、そういう差をつけたのは一体何を根拠にしてそういうことになったのか。私は規模別に大小の金融信用金庫というのはそれぞれの地域によってずいぶん差があるし、違うと思うのであります。それを組合員なりあるいは資本金なりに応じて、特別区の区別でなくて、もっと合理的な方法というのがあるのじゃないか。これは非常に合理的でないという感じがするのですが、どういうわけですか。
  209. 澄田智

    澄田政府委員 信用金庫の会員制度につきまして、ごくわずかな金額だけを形式的に信用金庫から金を借りるための、会員になるための出資を行なうというようなことであっては会員制度というものは名目的になるということで、出資の最低額を引き上げたのは御承知のとおりでございます。そこで一万円と五千円というところに分けておりますが、これはやはり実態から見ましても、そういう大都市の信用金庫というものは平均の資金量も大きいという状況でもございますので、今回の最低出資金というものも一億円と五千万円、六大都市は一億円その他は五千万円というのを最低といたしておりますが、その最低の規模も大きいというようなことから、その出資額もそういうふうに分けまして、それだけ平均的に大きい金庫というものがありますので、そこから受ける便益も大きい、こういうことになりますので、出資者の立場からいたしましても一万円と五千円というような分け方をいたした、こういうことでございます。
  210. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 だから、そういう分け方が合理的でないと私は言っているわけなんだ。特別区と指定市だけが一億と五千万円だ、あるいは一万円と五千円の出資額だ。それよりも、そういう地域に該当しないところでも大きい信用金庫があるわけですね。そういう規模の大小というものを勘案しないこういう分け方は合理的でない、こういう質問をしているわけなんです。なぜそういうことになるのか、めんどうくさいからこういうことになってしまうのか、分け方がない、だから特別区とこういうように分けたのか、こういうことなのか。
  211. 澄田智

    澄田政府委員 大都市にありますものについては、これは先ほど申し上げましたように、金庫の出資金が一億円以上ということになって大きくなっております。いまお話しのように、地方においても大きいものもあるではないか、それはおっしゃるとおりで、非常に資金量の大きい金庫もあるわけでございますが、出資の一口の最低額が五千円以上ということになっておりまして、そういうところは、その金庫の定款でもって一万円というふうに定めても、もちろんそれはかまわない。五千円以上というのが、定款で地方の金庫の一口の最低出資金、こういうことになるわけであります。
  212. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 先ほど、銀行局長、信金と信組で二百二十二の未達組合がある、こういうことを発表されたのですが、名前は出さなくてもけっこうですから、これを各府県別に、どの県は未達が、信用金庫幾つ、信用組合は幾つ、そして、そういう未達の大体の預金量、これの一覧表を資料としてあとでひとつ提供願いたいのですが、よろしゅうございますか。
  213. 澄田智

    澄田政府委員 そういう資料を調製いたしまして提出いたします。
  214. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから、先ほど舟山さんも局長もおっしゃいましたが、合併は無理に誘導したり行政指導したりして、無理やりの合併というものはしない。あくまで自主的に経営者が判断をしない限り、合併というものはあり得ない、起こり得ない、こういうような意味の御答弁をしたわけですが、合併について、大蔵省が強い行政指導をしたり、誘導したりは絶対いたしませんね。確認をしておきたいと思います。
  215. 澄田智

    澄田政府委員 合併は当事者の自主的な判断によって、そして、われわれとしては、それに対してアドバイスをしたり、あっせんの労をとったりというような場合はあると思いますが、強くこれを誘導するというようなことは考えておりません。
  216. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あなた、先ほど、質問の中で効率化とは何かというときに、コストの引き下げだ、コストが引き下がるようなことが効率化の基本なんだ、こういう御答弁をなさいました。今回の法律改正によって、具体的に信用金庫なり、信用組合なり、相互銀行なりのコストが下がるという保一証は一体あるのですか。
  217. 澄田智

    澄田政府委員 たとえば三十年以降のコストを見ますと、全体としても、金融機関資金コストは下がっておりますが、特にその中で著しく下がっておりますのは相互銀行信用金庫でございます。これは、この間の資金量の増加もめざましいわけでございますが、そのコストも非常に著しい低下を見ておりまして、だんだんと普通銀行とのコストの差が接近をしてきておるわけでございます。今回のこういった新しい措置をとることによりまして、一そう経営の効率化ということにつとめることによりまして、今後とも特にこういった中小金融機関、専門金融機関のコスト低下ということが実現していくものと考えております。
  218. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そのコスト低下が起こり得る具体的な手だてというものは、一体どういうところにまだ余裕があると見ておるのですか。機械化によってそういうコストが下げられるというのか、人件費を減らすことによってコストが下がるというのか、それとも現在の支出の中身に冗費があり過ぎるからそれを節約するという意味なのか、どういうところに信金や信用組合のコストが下がる要因があるのか、どう見ておりますか。   〔毛利委員長代理退席、金子(一)委員長代理   着席〕
  219. 澄田智

    澄田政府委員 コストは物件費と人件費から成り立っておりますが、当然に、適正な規模で適正な競争をはかるというところから、各面の効率化というものが行なわれてコスト低下になる。それはもちろん、決して人件費の量的な切り下げというようなものであってはならないわけでございます。金融機関における機械化というようなことも非常に進められておりますが、これもやはりある程度の規模をもって実施した場合に、一番そういう効果が上がるものでございますし、そういう面のコスト低下というものも当然考え得られますし、そのほか経営の各面においての効率化ということが当然に期待していいことであろうと思います。
  220. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの澄田さんの答弁、全然説得力がない。ほかの人が聞いていても、何を言っているのかさっぱりわからないと思う。問題は、信用組合なり信用金庫なり、相互銀行なりが、こういう法改正によって具体的にコストが完全に下がるんだ、そういう保証が何もないんですよ、ずっときのうからの質問なり議論を聞いておっても。しかし、それをここで論じても、おそらく澄田さんは、それは資金量が多ければかなりコストダウンできるんだという答弁に発展する可能性がある。同時にそれは、資金量をふやすためには合併、合同することのほうがより効果があるんだという議論につながると思うのであります。  そこで、私はふしぎに思うのは、大蔵省がかつて出した金融機関別のコスト、利ざや等の比較表、これは前の金融委員会のときに出された資料でありますが、これによると、一千億円以上の資金量を持つ都銀は、預金コストは六分一厘、相互銀行は六分八厘四毛、信用金庫は六分四厘五毛、これは昭和四十年度のものですから、幾らか古いと思う。それがかりに二百億から三百億の資金量になると、地銀が六分七厘六毛、相銀が七分二厘六毛、信金が六分九厘九毛。資金量が小さくなるに従って預金コストもずっと上がっていくわけですね。こういう点だけを見ると、なるほどこれは資金量を豊富にして、合同して、合理化すれば、かなりコストというものは低下するという数字には読み取れるわけです。  ここで私はちょっと尋ねたいのは、どのランクを見ても、信用金庫よりも相互銀行のほうが高いですね、預金金利が。これはどういうわけでしょうか。原因は何でしょうか。
  221. 澄田智

    澄田政府委員 一つには定期預金、特に一年定期の比率というのが、相互銀行のほうが信用金庫より高いというようなことになっておりまして、相互銀行のほうが預金コストが高い面は、一つはそういうところから出てまいると思います。  なお、人件費率を見ますと、相互銀行のほうが信用金庫よりも高くなっておりまして、やはりこれが響いているのではないか、かように考えられます。
  222. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 こういう現在の状況の中で、今回の法案の大義名分は金融の効率化、適正な競争原理の導入と言うけれども、これは単なるうたい文句の美名であって、現実には、今回の法改正によって金融の効率化も、あるいは適正な競争原理も、意図するような方向には進まないと私は断ぜざるを得ないのであります。それをここで論争してもしかたありませんが、舟山さん、「適正な競争」というのはどの程度のことなんです。どういうことがあるんでしょう。いま過当競争だからということで、「適正な競争」ということをうたい文句にしたんでしょう。現在の金融のあり方は、どういう点が過当競争で、それを是正するために、適正な競争はこの程度のものが適正なんだという一応の目標がなければいかぬでしょう。一応どういうことをイメージとしてお持ちなんでしょうか。
  223. 舟山正吉

    舟山参考人 これも抽象的に申し上げるよりしようがないのですが、結局、過当競争に対する適正競争ということはで――過当競争というのは、競争が行き過ぎて、相手も傷つけ、おのれも傷つくということだろうと思います。適正競争は、競争があるために独占の弊がなくなって、よい効果をもたらすということで、全然競争がありませんと、独占になれまして、そこに不合理な点も出てくるし、金融の場合でいいますと、取引先にもあれになる、そういうことだろうと思います。
  224. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 どうもわかったようなわからぬような……。しかし、今回の改正では、一定の規模を持てばおまえも普通銀行になれるんだぞ、普通銀行になれば、取り扱い業務範囲というものは地域制限がなくなる、それは普通銀行になったほうが有利だぞ、こういう気持ちが働きますね。だから、今度の改正は、逆に同質化を一そう強めて、しかも普通銀行になろうというお互いそういう意欲を持って、最終ゴールは普通銀行だという形に意欲を燃やすと私は思うのです。そういう中における競争というのは、いまよりも激しくなって、一体適正な競争といえるかどうかという情勢に発展するのじゃないかと思うのですが、そういう心配は全くありませんか。
  225. 舟山正吉

    舟山参考人 適正競争ということばをうたいましたのは、いろいろな面がありますが、現に過当競争というものがある、これはお互いに損をしておる、これは除去しなければならぬ。しかし、この競争を排除するのあまり、たとえばある区域については一つ金融機関しか置かぬというようなことになりますと、逆に独占の弊害が出てくる、あぐらをかいておるという弊害が出てくる。それだから、全然競争をなくしてしまうというような区域割当的な考え方もこれはとるべきではない、こういうことで若干の競争があって、よく勉強するものが進んでいくという体制にする、こういうことでございます。   〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理   着席〕  それからその次に、中小金融機関がいずれも大規模の金融たらんことを考えるという問題につきましては、先ほどから御議論もありましたが、調査会におきましても、そうは考えておりませんので、やはり職分に安んずると申しますか、中小企業を使命とするという使命感を持つ方もございますし、それからまた、大規模の金融機関なり大規模の企業を相手にする金融にするということになりますれば、そこに激烈な競争が起こり、いい面ばかりはございません。そういう点をお考えになれば、中小企業金融機関の経営者といえども、単に名前だけをりっぱにしたいという気持ちはないのではないかというふうに考えております。
  226. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 きのうから議論を聞いておりましても、中小金融にライトを当て、ウエートを置いて、中小金融に定着させるのだ、こういう主張をしているけれども、一体中小金融に定着するという状況になるのか、逆に中小金融への融資というものが底の浅いほうにはあまりいかない、上のほうにいってしまう、二億、一億、五千万というふうにランクを上げたことは、逆に零細のほうが手薄になる、こういう心配が指摘されているわけです。そういう心配が全くないかどうか、私はあると思うのです。  そこで、銀行局長にひとつ検討願いたいのは、みな普通銀行になろうと思って争って過当競争をするよりかは、普通銀行がやってはいけないという一つのランクを設けたらどうか。具体的には、貸し出し最高限度をきめるだけでなくて、都市銀行の最低限をきめる。したがって、都市銀行は五百万円以下の融資については手を出してはいけないとか、そうしてなるべく中小零細企業専門は相互銀行信用金庫や信用組合がやるのだ、そういう形の何らかの――上限だけをきめないで、都市銀行については、あるいは地方銀行については、そういう何か最低の限度をこの際指導すべきではないか、こう私は考えるが、あなたの見解はいかがですか。
  227. 澄田智

    澄田政府委員 お考えもわかるのでございまが、ただ、その場合に非常に考えなければならないことは、御承知のように現在中小企業向け金融のうちの五〇%、四九・九%ということになっておりますが、これは普通銀行から資金供給されているわけでございます。もちろんその中には、これは優良中小企業というようなことで、中小企業としては大きいところに供給されているという実態、ことに都市銀行等の場合についてはそういうことになろうかと思います。下限をきめるというようなことが、中小企業専門金融機関の独自の営業分野をつくるというようなことのあまりに、普通銀行中小企業向け金融ウエートを少なくする、そちらをとめるというようなことになりますと、これは中小企業金融全体から見てかえってマイナスではないかというような点も、この場合にはあわせて十分考えなければならない問題でありますので、いまにわかにそういうようなことはちょっと考えられないのではないかと思っております。
  228. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、都市銀行筋に対して何らかある程度のコントロール、規制をしなければ、もう信用金庫も信用組合も相互銀行も、上限だけは今度二億、一億、五千万と上がったけれども、下限というものに対して非常に手薄になりはせぬか、私はこう言っているわけです。ですから、都市銀行についての何らかそういう制限を設くべきではないかという意見です。しかし大蔵省としては、直ちにいまそういうことはということで逃げておりますから、これはとても議論がかみ合わないと思います。しかし、中小金融に定着させる、中小金融にいいことだということをうたい文句にして今回の合併法も整備法も出てきているわけです。ところが、詰めてみると、何も確実にそうだという納得のいく、保証されるものが回答から出てこない。従来とほとんど変わらぬような金融情勢だ、中小企業から見るならば、借り手から見るならば。そこで何らか具体的なメリットがあることをやはり大蔵省としては考えるべきではないか。  具体的にもう一つ提案してみます。たとえば国民金融公庫の資金を、都市銀行も地方銀行もみな窓口で代理業務ができるようになっている。こういうのを、一挙に都市銀行あるいは大きな地方銀行をはずすわけにいかぬだろうけれども、できるだけ信用金庫、信用組合、地方の相互銀行、この三種の金融機関に国民金融公庫の代理業務の仕事の大半を与える、こういうことをやはり大蔵省として指導してしかるべきだと思いますが、その私の意見に対してどうお答えになりますか。
  229. 澄田智

    澄田政府委員 いま国民金融公庫でとおっしゃいましたが、かりにこれを中小金融機関全体で考えました場合に……。
  230. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いや、三機関ではだめなんだ。中小企業金融公庫が入るから、これはずっと大きい、零細業者でないからね。
  231. 澄田智

    澄田政府委員 それでは国民金融公庫で申し上げますと、相互銀行信用金庫、信用組合合わせまして代理貸し付けの状態のウエートを見ますと、九七%は相互銀行信用金庫、信用組合によって代理貸しが行なわれております。銀行によって供給されておりますものは、わずかに三・三五%というような割合で、これはおっしゃるように圧倒的に、もうほとんど全部この三専門機関によって代理貸しが行なわれているというわけでございます。
  232. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その数字昭和四十二年度でございますか、四十一年度……。いまの数字はあとで国民金融公庫から確認してみますけれども普通銀行も入れて三・三五%ですか。
  233. 澄田智

    澄田政府委員 これは四十一年度の実績でございます。
  234. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 普通銀行……。
  235. 澄田智

    澄田政府委員 これは普通銀行全部で三・三五%でございます。
  236. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私は今回の改正を契機にして、こういう普通銀行、都市銀行が国民金融公庫の代理業務を取り扱う必要はないようにこの際は指導をしてよろしいんではないか、こう考えます。この三・三五%も全部こういうものは相互、信金さらに組合に一切代理権を移譲してしまう、このくらいの指導をしてしかるべきでないかと思うのです。  第二には、郵貯あるいは簡易保険、こういう政府資金をできるだけ今度は、国民金融公庫や中小企業金融公庫を通じての融資だけではなくて、直接三機関に対して貸せるような道を新たに講ずべきではないか、こう考えますが、この点についてはいかがですか。
  237. 澄田智

    澄田政府委員 最初の国民公庫の代理貸しはすべて専門機関にすべきであるという点については、まあほぼそれに近い状況でございますが、ただこれは地方等においておそらく――これは私の想像でございますが、地銀の支店だけしかないというようなところで、それでは非常に不便であるというような場合もあろうかと思うわけでございます。  それから、いま御指摘の郵貯あるいは簡易保険の資金を中小金融機関に出すという点でございますが、これは申すまでもなく、財政投融資としてこれらの資金は活用されておるわけでございまして、それを民間金融機関に預託その他でもって資金を流すということは、これは財投の運用というものとの関係上むずかしいのではないか、いろいろ問題点があるのじゃないか、かように存じます。
  238. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういういろいろ問題点があるのをやはり検討して、中小金融に定着する金融機関としての特殊性を十分発揮させなければ、法案の提案はペテンじゃないか、何にもメリットないじゃないですか、われわれが質問してみても。ただ相互銀行普通銀行転換されるということが最大のメリットであって、それ以外に、業者側から見たら、何にもこれは変わったことが起こらぬじゃないですか、いまの状態では。そうでしょう。だから、私は、中小金融に定着する金融機関をきちっと定める。中小業者にこういういいことになるんですよというものがなければならぬ。だから、今後検討してできるだけ中小業者から歓迎されるような配慮をしなければいけない。  第三点は、信用保証料の引き下げの問題もその一つに入ると思うのです。  第四には、そういう零細商工業者に対する融資をしている金融機関に対する貸し倒れ償却の問題も、検討に値する問題だと思うのです。これらの問題は現状のままでいいと思っているのですか。検討してもっと前向きに中小金融については別な、やはりある程度都市銀行とは違ったメリットを与えるというような検討を今後やろうというような前向きの姿勢は全くないのですか。
  239. 澄田智

    澄田政府委員 企業保証の料率の引き下げについては、これはいままでも努力してきておるところでございますが、今後もこれはぜひとも引き下げをしていきたい、かように考えておりますし、そのほか中小金融円滑化というような意味において、今後とも検討すべき点は十分取り上げて検討していきたい、かように考えておる次第でございます。  ただ、メリットというような点でおっしゃいましたが、今回の法律改正によりまして、それぞれの中小金融機関は、その業態に応じましてその業務の分野をはっきりいたしまして、さらにはいろいろ業務の分野の拡大ということも、信用金庫あるいは信用組合それぞれについて行なわれておるわけでございます。こういう意味で、経営の面からいってはいろいろな面でそういうプラスの面というものはあるわけでございますから、十分今回の法律改正によって中小企業に定着する機関としての機能を発揮できるようになってまいるものと考えております。
  240. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間がありませんから、局長なるべく端的に答えてもらいたいのですが、現在の信用金庫の利率というものはこれから下がるのだ、下げる努力をするんだ。――現在はそれぞれの金融機関の業務方法書で最高日歩幾ら、そういうふうにきまっているのですか。それは年々一回ずつその業務方法書は大蔵省の監督を受けるわけですか。
  241. 澄田智

    澄田政府委員 それぞれの金融機関で最高の貸し出し金利等をきめておる例はございますが、しかし、これはむしろ非常に高い金利で、実態はそれよりも下がってきておるわけでございますので、最高というようなものは、これは現実にはそういうような金利で貸し出されない、もっとそれより低い金利で貸し出しされるというような実情でございます。
  242. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 実情はそうであっても、大蔵省へ年々業務方法書を提出させられて最高というものの承認は受けなければならぬのかどうかという質問をしておるわけです。
  243. 澄田智

    澄田政府委員 業務方法書変更というような場合に認可をする、こういうことでございます。
  244. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、いま大体業務方法書で各信用金庫から出ている平均金利というものは、日歩幾らになりますか。
  245. 澄田智

    澄田政府委員 現在においては、大体業務方法書できめております最高限度というのは、貸し付けについて日歩三銭五厘以内というような程度のきめ方をしているのが一番多い例だと思います。
  246. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 三銭五厘という最高を許しておくということは、事情によって三銭五厘とるということですが、これはどうですか。預金コストから見てこの程度の金利でなければとても経営がやっていけないという数字ですか。もっと下げられるという可能性があるのですか。
  247. 澄田智

    澄田政府委員 これは先ほど申しましたように最高でございまして、最高で貸しているという例はほとんど見られません。全体でとってみますると、全体の〇・一%というものがこの最高金利で貸されておるということになっておりまして、実態はもちろんそれより低い金利で貸されておるわけでございます。
  248. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 実態はそうであっても、大蔵省の指導の姿勢としては、金利を下げていくというからには、最高三銭五厘という定めをしなければいまの信用金庫の経営というものは困難になるのかと聞いておるわけですよ。望ましくは、もっとこれを下げるという指導を具体的にやはりしなければいかぬと思うのですよ。  そこで、もう時間があと十分しかありませんから詰めますが、信用金庫にも統一経理基準というものの適用をしようと考えているわけですか。
  249. 澄田智

    澄田政府委員 信用金庫についても今後統一経理基準というものを考えてまいりたい、かように存じております。
  250. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それはいつごろから実施するめどですか。
  251. 澄田智

    澄田政府委員 現在相互銀行について検討中でございます。信用金庫はそれからということになりますので、明年以降検討することといたしております。
  252. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 相互銀行はことしの八月か九月から実施しようというのでしょう。
  253. 澄田智

    澄田政府委員 われわれとしてはそのように運べばいいと思っております。
  254. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、信用金庫は明年以降というのは明年以降五年も六年も十年も先の話じゃないのですよね。いつごろを大体めどにしているのですか。大体いつごろから実施したいというややの目標というものがあるでしょう。
  255. 澄田智

    澄田政府委員 御承知のように一年決算でございますので、早ければ来年三月ということでございますが、あるいはもう一期待たねばならないか、その辺は今後の状況を見てまいりたいと思います。
  256. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしますと、両三年じゅうには実施したいというふうに理解をしてよろしいですか。
  257. 澄田智

    澄田政府委員 そのとおりでございます。
  258. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしますと、その統一経理基準に基づいて検査をする。そして現在の経常収支率が銀行の場合は七九%ですか、信用金庫の場合も今度は一定の八三%なら八三%を最高限として、それよりも悪いものについては配当率をある程度制限するとか、あるいは償却、積立金というようなものに対しても大蔵省が介入をしてそういうものはこうすべきだ、そういうような決算承認金庫というようなものがなおふえると思いますが、いかがですか。
  259. 澄田智

    澄田政府委員 統一経理基準は、これは実態に応じてきめてまいるわけでございますので、統一経理基準の実施によって決算承認の金庫はどうなるかということは、必ずしも統一経理基準の実施によって多くなるというものでもないと思います。
  260. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 現在、決算承認金庫というのは全国に幾つありますか。
  261. 澄田智

    澄田政府委員 たぶん二十八ぐらいだと思います。
  262. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その二十八の決算承認金庫は今度の合併及び転換法ができることによってさらに合併の方向にだんだん追いやられていく可能性が非常に濃厚だと思いますが、どう認識されておりますか。
  263. 澄田智

    澄田政府委員 決算承認は、現在の時点というよりも過去にいろいろ問題があってなお決算承認にしておるというようなものもございますので、決算承認金庫であるのでそれを合併対象として考えるというようなものではございません。合併の問題は、先ほど申しましたようなことで、自主的な前提で、そして最低資本金に達しないもの等はその最低資本金に到達する手段として合併が行なわれるということもございましょうし、あとは効率化という見地から合併が今後出てくる、こういうことであろうと思います。
  264. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし局長、実際に配当率を制限され、償却の問題、積立金などすべて大蔵省の承認を必要とする金庫は二十八もある。こういうものは検査官がうるさく言うたびにやられれば、とてもこれはやっていけぬ、合併だということに追い込まれるわけでしょう。  もう時間がないからいいとして、合併を余儀なくせられた場合に、人員整理が行なわれ首切りが非常に多くなる、あるいは労働が強化される、いろいろ心配をする向きもあります。今度の合併及び転換法では対等合併という概念ですね。吸収じゃなくて対等合併という考え方ですね。どうなのですか。
  265. 澄田智

    澄田政府委員 合併法律にあります新設合併及び吸収合併、両方の合併が異種金融機関の間でできるというようなたてまえの法律になっております。
  266. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その場合、対等合併の場合は従来の店舗、そういうものが全部そのままで合併される、存続金融機関に引き継がれるものなのか、それとも大蔵省が介入してそういう店舗も幾つ幾つは閉鎖しなさい、こう指導するのか、対等合併の場合と吸収合併の場合と取り扱いが違うのかどうか、そこはどうですか。
  267. 澄田智

    澄田政府委員 合併によって店舗がどうなるかということについては、原則として当然にこれは合併前の金融機関の店舗を引き継ぐ、当然そういうたてまえで考えております。
  268. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 吸収の場合もそういう姿勢で、一応支店というものは制限しないでいままでどおりのものを吸収させる、こういう考え方でよろしゅうございますか。
  269. 澄田智

    澄田政府委員 さようでございます。
  270. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 委員長から時間の通告を受けておるのでやめますが、銀行局、きのう、きょうのこの質疑を通じても、中小金融に定着をするというたてまえがりっぱであるだけに期待も大きいわけであります。しかし、議論をしてみるとその中身がどうもはっきり保証がない。こういう点非常に私たちは不満がありますので、今後十分これらの中小金融についてはっきり方針を定めて、これから金融制度調査会が都市銀行、長期銀行、信託銀行などの再編成の問題についても答申をされるやに承りました。そういう場合に、せっかく今回改正したけれども何ら喜ばれる面がなかった、そういうことにならないように、われわれ指摘している数々の問題を大蔵省は十分前向きで検討すると約束をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  271. 倉成正

    ○倉成政府委員 金融は非常に生きものでありますので、なかなか思うようにいかないという面も一面にございます。しかし、この法律を提案いたしまして、中小企業金融をより円滑により効率的にしたいという趣旨でございますから、ただいま御注意もありました数々の点につきましては、十分配意いたして今後の指導をいたしてまいりたいと思います。
  272. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  舟山参考人には、御多用中のところ長時間にわたって御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。  御退席をいただいてけっこうです。     ―――――――――――――
  273. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 政府に対する質疑を続行いたします。堀委員
  274. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、今後の日本の金融制度の新しい法律を今日ここで提案をされておるわけでありますけれども、まず私は大臣にお伺いをしたいのは、この前金融委員会等で銀行局長とは議論をいたしておりますが、日本のあるべき金融制度というものを考えていくときに、一体なぜ中小専門機関というものが一番最初に問題提起をされたか。澄田銀行局長は途中から来ましたからしかたがないのですが、大臣は、あなたがずっといるところでこれは始まったのだと思うのですね。かねてから証券諸立法が一応片がつきましたから、この次にはどうしても金融諸立法の改正をしなければならぬと考えておりました。議論もそういうことでしておりましたけれども、それならばやはり都市銀行、地方銀行、長期信用銀行、信託銀行、政府関係金融機関等重要な全体の構図をまず考えて、その全体の位置づけがきまった中で中小金融機関を位置づけして問題を処理するというのが筋道ではないか。どうもたいへんさか立ちしていると思うのですが、大臣はこれをどうお考えですか。
  275. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 きのうも同じような御質問がございまして、私はさか立ちを率直に認めたわけでございますが、この資本の自由化あるいは産業の開放体制というようないろんなものを前にして、これからの日本の金融機関がどうあるべきかという問題を考える場合には、やはり全体を考えて、その中で中小金融機関のあるべき姿というものをきめていくのがほんとうだと思います。しかし、御承知のように日本ではやはり国際収支の問題もあったでしょうが、始終経済政策に波を打たせておる。少し経済が成長するというとすぐに国際収支の壁にぶつかる、そうなれば引き締め政策が行なわれるという、これを過去において二、三回繰り返している。そのときに一番問題になっているのは中小企業の問題でございます。特に日本の企業の数からいってももう絶対多数を持っているという日本の特殊性から見まして、金融問題として見ますと一番差し迫って、常に深刻な問題になっているのが中小企業でございましたので、これを体系的に取り上げるというよりは必要に迫られてこの問題から一番先に入ったということになって、順序としては私は逆だったと思いますが、しかし、中小企業が絶対多いという日本の特殊性、それからやはり保有外貨準備が非常に少ないということから、常にこの中小企業問題を起こしているというところからこの問題に先に入ったというのが実情でございまして、ようやくこの問題の答申を得ましたので、一応まずこれはこれとして新しい立法の御審議をお願いしたわけでございます。これが済むと同時に、すぐに、昨年十一月に金融制度調査会は一般金融機関の問題に入ってこれを取り上げて取り組むということをきめて、特別の委員会をつくっていただいて、いま審議してもらっているという最中でございます。  順序は逆でございましたが、これから入ることも日本の実情等から見ましたら私は意義のあることだと考えております。
  276. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの大臣の答弁、大蔵大臣としては私非常に説得力がないと思うのですよ。いいですか。いまあなたは高度成長があって引き締めをしなければいかぬ。引き締めをすると中小企業へしわが寄る。その中小企業へしわが寄るのを何とか中小金融機関というものをちゃんとして、できるだけそれを除いていきたい、そのためにと、こういう話でしたね。しかし、ことしの例を一つとって申しますと、私は予算委員会でもちょっと論議をしてきたりしておりますけれども、大体この前の二回の引き締めのときに比べて、政府の経済見通しというのはことしは高いのですよ。前回の三十六年のときの引き締めのときには、名目成長率が五・四%ぐらい当初がなっておるわけですね。その次の三十八年のときの引き締めも名目成長率がやはり一〇%割っているわけですよ。それでようやく引き締めができた。あのときはいまのように内部留保もあったわけではありませんから、情勢が非常に違いました。にもかかわらず、要するに成長率をかなり低目に見積もってやってきた。今度は名目成長率が一二二%というように非常に高いのですね。そんな名目の成長率を高いことにしておいて、政府の財貨サービス購入がやはり一一・何%という、結果として高いものになっておるから、そこで財政はそのワクの中でよろしいということをあなた方は言ってきたわけです。しかし、いまの金融引き締めをやっておる現状はどういうことになっておるかといえば、大体日本でこういう問題が起きておるのは、御承知のとおり設備投資の過熱によるわけです。その設備投資による過熱を金融引き締めるとどういうことが起きるかというと、いま金が要るのは去年の投資なんです。去年着工したものに対していま支払いをする。そのいま支払いをする金が要る企業が窓口を締められておる。それじゃ何をやるかといえば、これは企業間信用で下へおろしていくというのが現状じゃないですか。これが第一点。  そして第二点は、それじゃことしの設備投資の影響力があるかないかという点は、心理的にはあるでしょうけれども、鉄鋼一つの例をとってみても、いま君津の二号以下一連の設備投資というものが、計算してみると大体三、四百億しかかからないのです。あの支払いというものはみな先にいくのです。来年以降でしょう。ですからいま締めていることは、新しい設備投資に何も影響しない。そしてその影響は、いまあなた方は金融政策として中小企業へ寄せているのです。  そういうように財政政策でもってもっと需要を締めなければならぬものをやらないでおいて、金融だけで締めさしておいて、そのしわが自然に中小企業に寄ってどんどん倒産しておるという現状の中で、いまのような答弁は、これはほかの大臣ならいざ知らず、大蔵大臣としては全然説得力がないですね。
  277. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私の言ったのは、いまのこの引き締めが行なわれてきたので、それについて中小企業の問題が痛切な問題になったと言っているのではございません。過去においてそういうことで幾多の経験をしておるから、やはり金融機関のあるべき姿というものへ入るのには、どうしてもこれから入る必要があったということで、これを諮問したときは、去年の引き締めをやってから諮問したのではございません。もう四十一年度に取り上げて諮問したのが、いまになって答申が出てきたということでございます。
  278. 堀昌雄

    ○堀委員 いや私か申しているのは――もちろんそうなんですよ。要するに引き締めをするたびに中小へしわが寄る。中小へしわが寄るということは、あなたいまお認めになったわけでしょう。中小へしわが寄るからここをちゃんとしておきたいと言うけれども、それだけわかっておるなら、もう少し中小にしわの寄らないような政策自体をとらなければおかしいんじゃないですか。この法律改正でどれだけ中小に金がいくのですか。金がいくように一つ法律はなっていないじゃないですか。今度の中小の整備改善は、ただそれは機構を整備するにとどまって、金の流れはちっともこれによって変わりませんよ。大臣、変わると思うのですか。だから、あなたの言っていることは、全然説得力がないのです。私に言わせるならば、大蔵省は、都市銀行やなんかに手をつけるのはなかなか抵抗が多くてむずかしいから、やるとすれば一番力の弱い中小からやって既成事実をつくろう、それが本音ですよ。どうですか大臣、そうでしょう。率直に答えたほうがいいですよ。
  279. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 実はこの諮問は私がしたわけではございませんで、前からの、諮問したときの話を私がただ引き継いでいるだけでございますが、大きいほうはやっかいだからという意味でやったわけじゃございません。
  280. 堀昌雄

    ○堀委員 水田さんの前に出ていたかどうか、そこのところまでは私もはっきりわかりませんからいいですが、要するに私がなぜこういうことを言うかといいますと、さっきから議論もずっとあったと思うのですけれども、あるべき制度をつくっただけでは何にもならぬということなんですよ。私は、あなたとこの前予算委員会の分科会で議論したときに、なるほど証券免許制というあるべき姿を一つここでつくりました。投資信託法の改正もやりました。あるべき姿というのはずいぶんやってきたわけですよ。しかし、あるべき姿だけではだめなんですよ。それをいかにして生かすかという政策がうしろについていなくて、姿だけ、機構だけ整備して一体何になるのですか。あなたが言っておる中小企業対策として考えたいというのなら、この法案を出すと同時に、政府はこういう制度の改善をして、そこへこういう形で新しい資金を流して、その結果中小企業に対してメリットが具体的に出るということにならなければ、制度だけ考えてもだめなんじゃないですか。私は別に会社型投信だけにこだわるわけではないけれども、せっかく免許会社の証券会社ができた、ただつくっただけでいいというわけにはいかぬと思うのですよ。そういう安心できるものができたら、それを多少育成しながら、大衆が安心して投信に参加できるようにするということが大切なんで、その前向きのものなくして、ただ機構づくりだけやったらそれで終わりだというなら、やらないほうがましくらいなんですよ。そこに一貫性がないと思うので私はそれを伺った。何かやりますか、大蔵大臣。
  281. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 まずやり得る基礎をつくることがやはり一番大事だと思います。先ほど平林さんの質問にもございましたが、たとえば相互銀行はできるだけ大きな企業に金を貸すほうが、これはコストも安くなりますし、利益が出る、みんなそういう方向にいま逃げたがっていて、最後は普通銀行になるだろう。もしそういうようなことが起こったら、中小企業のための施策というものが意味なくなるじゃないかというようなお話もございましたが、そうじゃなくて、そういう傾向というものはいまほうっておいてもどんどん起こっておる。ですから、こういう今度のような法律ができることによっていろいろ制限を受け、範囲がきめられるとかいろいろなことを通じて、銀行が中小企業金融に定着をしていくという効果は非常に大きいもので、手放しにしておいたら、今後中小企業金融について起こるいろいろなこと、これをまず防いで、ここで性格をはっきりするという措置が行なわれることが基礎になって、今後中小企業資金をどうするというような問題が、初めて有効にこれが効果が期待できるということになるでしょうし、そういう意味で今度この金融機関をこういう形ではっきりさせることは将来への非常なプラスだというふうに私は考えております。
  282. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私はマイナスだと一言も言っていない、マイナスだと言っていないけれども、要するに、絵をかいて目を入れなければ絵にならぬでしょう。私は、これは外側の絵はできたけれども、目も入れなさいと言っているのです。だから、せっかく制度をさわる場合に考えてもらいたいことは、外ワクだけを考えたのではだめですよ、外ワクをつくったら中に魂も入れましょう、これが動きやすいようにしましょう、これが私のものの発想なんです。私は、いまこまかいことを一々どうするああするとあなたから具体的に答弁を求めなくてもいいけれども、少なくともこれをつくった以上、中小の金融機関を過保護する必要はないけれども、育成するための政府としてやり得る道を少し考えてみたらどうだろうか。さっき武藤君問題を提起しておりましたけれども信用金庫などに例をとれば、たとえば食管の支払いの資金というようなものは扱えないんだろうかとか、あるいは公庫、公団等の余裕金というようなものは預かれないんだろうかとか、いろいろとそういう面において金庫は金庫なりの願いがあると思うのです、政府に関連している……。あるいは日本銀行の貿手の問題についても、輸出もいま中小企業はたくさんやっていますから、輸出貿手についての取り扱いを日本銀行から認めてもらえないだろうかとか、具体的にいろんな要望があるわけです。その中で政府としてこれをやらしてもいいと思うものがあれば積極的にやらせるという、表と裏がくっついて、私はこの法律が生きてくると思う。だから、私はむだと言っているのではないですけれども、これをつくった以上、さらに政府として要するに指導育成する方向というものをもう少し真剣に考えてもらいたい。だから、そういう方向でひとつやりますという答弁なら、それでけっこうです。あとの中身はまたこまかく先で論議すればいいのですから。
  283. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今後そういうつもりでおりますが、一番最後は、やはりこれに引き続いて一般金融機関の問題に早く触れて、全体との関係においていま言ったようなものを十分有効に考えていきたいというふうに考えております。
  284. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは次に進みますが、あなたこの間、信託銀行の大会にいらっしゃって、あいさつをなさいましたね。その中でこういうことをおっしゃっておるわけです。  「信託業界は、従来、長期金融の分野に重点をおいてその業務の進展を図ってまいりましたが、経済の発展に応じ、逐次、本来の信託業にふさわしい財務管理の業務も開拓され、この分野における業界の知識と経験に期待するところが大きくなってきております。」終わりのほうで「業務の各部門にわたり、経営を見直し、その質的内容の刷新改善に努められることを深く望むものであります。」こういうふうに、あなたこの間あいさつしていらっしゃいますね。  このことは要するに――信託銀行というのはいま貸付信託、金銭信託をやっていますが、私は金銭信託というのはほんとうの姿の信託だと思っていないのです。これは長期の借り入れ金をして預金を貸し付けみたいなものですからローンだと思っておるわけです。ですから、本来私は、あなたがここで触れられたような信託業にふさわしい財務管理の業務をやるのが信託業だと思っておるわけです。そこで、あなたがこういうふうにお考えをここで明らかにされたことは、要するに信託銀行の将来についての発言だと私は思うのですが、どうでしょう。
  285. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 信託銀行をも含めて、いま一般金融機関のあり方を金融制度調査会でやっておるときでございますので、あまりにその最中にこちらからどうこうと言うことは差し控えたほうがいいのではないかと思いますが、私の言った意味は、信託銀行が普通銀行的な業務に片寄らないで、本来の分野といいますか、あるいは信託固有の面といいますか、財産管理の、たとえば年金信託とか証券代行とか、そういうような本来の信託の業務へ特色を発揮されるようにという気持ちで申したわけでございますが、こういう方向もいまあわせて調査会がやっているところでございますので……。
  286. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたの立場もありますが、これは実は非常に重要な問題が出てきているわけです。なぜかと申しますと、いまのあるべき金融機関の問題という中には、都市銀行はいわゆる同質化、デパート論というのを主張しておるわけです。私は実は反対なんです。ところが、信託銀行というのは銀行が信託業務を兼営しているのです。実は法律的にはそうなっているわけです。そこで私は、信託銀行はいまあなたの言われたような本来の業務を主体とする方向へいきなさい、こう言っておるわけです。長期銀行も、あるべき長期銀行というのは、いまのような一年の割引債などをやめて五年の金融債を七年にするという方向で、やはり長期銀行としてのあるべき姿のほうにいきなさい、都市銀行は商業銀行に徹しなさい、これが私がすでに金融委員会で述べてきている私の考えですが、一つここがあなたと一致したわけですね。ここが一つ一致しますと、これはやはり銀行なんですね、信託会社じゃないのです。要するに、銀行で信託を業務としておるものがややはっきりしてきたわけです。中小金融専門機関というものは、あなた方ここで一つはっきりさした。全体の中で、まず中小の金融専門機関というのはばちっと法律まで出したのだから、あとでまた多少の手直しはあるにしても、専門的な方向へいきなさいということをここできめた。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 次に、信託銀行も専門的な方向へいきなさいということをあなたは言っちゃったのです。あなたが、金融制度調査会がどうのこうのと言ったって、口から出ちゃったものですから、既成事実になった。大臣が大会に出て言ったのですから、もう既成事実ができた。今後のあるべき金融再編成といわれている方向は、その方向づけがようやくちょっときまってきたと思うのです。  そこで、ちょっと伺いたいのはこの法律なんです。この金融機関合併及び転換に関する法律案の第一条「金融機関が相互に適正な競争を行なうことができるような環境を整備して金融の効率化を図り、」この金融機関が相互に競争するというのはどういう機関とどういう機関が相互に競争するのか、そこのところをちょっと大臣にはっきりさしていただきたいのですが……。
  287. 澄田智

    澄田政府委員 法律の条文でございますので……。第一条に「金融機関が相互に適正な競争を行なう」というその前に「他の法律による同種の金融機関相互間の合併に加えて、異種の金融機関相互間の合併及び転換の制度を設けることにより、」というふうにございますけれども、そこの「相互に」という意味は、必ずしも同種のものの相互にという意味だけでなくて、異種との間にも適当な業務の限界というものは認めつつ、しかも相互に競争をするというような形もあるのではないかといういうようなことで、ここの条文の規定としまして、「相互」というのは同種金融機関相互と、それからそれと交錯する業務分野を持つ異種の金融機関との間、両方を含む、こういうふうに解釈すべきではないかと思います。
  288. 堀昌雄

    ○堀委員 そこが実は問題なんですよ。私が前段で話を少し出してきてあるのは、要するにものの考え方の一番の中心点ですから、大臣、これはいいですか、政治的な判断ですから、大臣に考えてもらいたい。  要するに、競争原理を導入するということ、この考え方のもとは一体何にあるかといいますと、都市銀行と信用金庫が同じようなベースで競争しなさいということが競争原理の導入だと私は思ってないのです。いいですか。それはなるほど扱うのが預金という共通的なものですからね、それはどこかでオーバーラップする接点がありますよ。しかし、競争というのはオーバーラップしているここの一部分だけに競争が起こるということではないわけですから、そうなると、「適正な競争を行なう」と、こういっている以上、適正な競争の行なわれる範囲というのは限界があると私は思うわけです。だから、いま都市銀行が問題を出してきておる同質化論というのは、あらゆる土俵のワクを取っ払って、広い土俵の中で、都市銀行から長期銀行、信託銀行、それから地方銀行、相互銀行信用金庫、一斉にともかく競争さしてくれというのがいまの都市銀行の発想でしょう、それならこういうことになるのですよ。「相互に」となるのです。しかし、その「相互に」と、あとの「適正」とは結びつかないようになっていると私は思う。適正にやるためには、おのずから相互という中には――要するにボクシングをやるのに、ヘビーウェートとフライ級でボクシングをやらして、適正なゲームができますか。ヘビーウェートはヘビーウェート同士でやるのがルールでしょう、どうですか。だから私が言っているのは……(「柔道だ」と呼ぶ者あり)柔道もいまは国際試合はヘビーはヘビーです。(笑声)ですから、要するにものの考え方の基本をここでひとつはっきりしておかなければいかぬことは、競争原理の導入、効率のある競争というものは、おおむね専門的なものの間における競争が主である。それだけではないですよ、もちろん扱っておる預金なりそういうものは共通したものですからね。しかし、少なくとも考え方はそこを整理しておかないと、これは今後に続いてくることに非常に問題がある。主たる競争というのは同種間の競争が主である。しかし、ものの性格上、オーバーラップするものはたくさんあります。要するに、中小企業金融は、上からおりてきたものと下から上がってきたものと、ダブっているものがありますから、当然オーバーラップするものがありますから、そこの部分についても、適正な競争ということにとどめるべきであって、いまの都市銀行の考えているような全部のワクを取っ払って、そうしてヨーイ・ドンと、ヘビーウエートとフライが一緒にやるなんという、そういうことになっていない。これは今後のあるべき金融機関を考える場合に非常に重要なファクターですから、ひとつ大臣の明確な答弁を求めておきたい。
  289. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この競争の主たる場というのは、これはやはり同種の金融機関だろうと思います。しかし、競争原理の働く場面はそれだけではございませんで、たとえば、大きくなった信用金庫というようなものは、地方においてはもう地方銀行と非常なせり合いをしている。相互銀行もしかりで、やはり、少なくともいまここで問題にしている中小企業金融機関内においては競争原理の働く余地というものは非常にあるのでございまして、主たる場面といったら同種ということはいえるだろうと思いますが、それだけではないというふうに思います。
  290. 堀昌雄

    ○堀委員 それでけっこうです。要するに私は、相互銀行信用金庫が地域で競合する場合は、これは何というかライトとフライぐらいのところですから、このごろはちょいちょい、少しぐらい体重がふえたらやっているわけですから、その程度のことはいいと思うのです。しかし、フライとヘビーがやるようなことは、そういうことはやらないのだという原則ははっきりしておきませんと、これは実は非常に問題があるわけです。同時にそのことは、都市銀行がいま自分たちのシェアが下がってきたものだから、いかにしてシニアを回復するかということに専念しておりますけれども、効率的な金融というのは、都市銀行がシェアを回復することが効率的な金融ということになるわけではないのです。実は都市銀行がもっとあるべき都市銀行に徹していくことが効率的になっていくのですから、そこらの点をもう少しはっきりしておかないと、ややもするといまそういう同質化論とかデパート論とか、そういうものが出てきて、要するに自分たちのシェアだけを考えるというようなことになっては困るので、今後の大筋の方向について大臣の見解をここでオーソライズしておいたのです。  そこで、その次のもう一つの問題は、金融の効率化ということばは私どももよく使いますし、たいへんいいことばなんですけれども、これは具体的にどういうことだというと非常に問題が出てくるわけです。その具体的な問題ということは、第六条第二項の一に「合併又は転換金融の効率化に資するものであること。」こう書いてあるのです。いいですか。その前には「この法律による金融機関合併及び転換は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」「大蔵大臣は、前項の認可をしようとするときは、次の各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。」基準というのはきわめて具体的なものです。そうして「金融の効率化に資する」というのはきわめて抽象的な表現ですね。一体この具体的なものと抽象的なものとどういうふうにかみ合わせるのか、これははっきり答弁してください。
  291. 澄田智

    澄田政府委員 法律の第六条で「金融の効率化に資するものであること。」と書いてございます。これは御指摘のとおりきわめて抽象的な書き方をいたしております。ここに四つ項目を掲げておりますのは、い、ずれもその認可に際して最も重点を置くポイントのようなものを指摘しているつもりでございます。  その第一点として「金融の効率化」ということをいっておるわけでございますが、この「金融の効率化」というのは、金融機関が相互に適正な競争を通じて資金コストを引き下げ、体質強化いたしまして、今後の経済環境において金融機関に要請されるような資金供給し得る、そういうような経営なり金融のやり方なりというものをできるようにしていく。そういう効率的な金融のあり方というものを「金融の効率化」ということでいっておりまして、それは制度面においてもあるいは金融機関の経営面においても効率化ということばで表現をしているわけでございます。そういう見地からいって、ある転換なりある合併なりが、その金融機関にとっても、あるいはその金融機関から融資を受ける融資対象の面から見ても、それがその目的に照らして最も望ましい姿である、その資金コストの面から見ても、あるいはその貸し出し金利の面その他の条件から見ても最も望ましい形になり得る、そういうケースというものが効率化に資するケースである、かように考えております。
  292. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、話は澄田さんが言わなくても私はわかっているんだ。話はわかっているけれども、基準ですからね。いいですか、基準というのはものさしでしょう。程度であらわしてこなければいけないでしょう。ところが、ここには何も書いてないんですよ。それらの基準の細目は政令で定めるとでもあるならまだわかるけれども、第一こんな抽象的なものが法律体系として基準になるかということですよ。  もう一つは、いまの一のところで、合併はいまあなたの言うような中身に合致する場合は大いにある。一体転換がそういうふうになるんですか。転換か効率化に資する――転換したら何か財務比率がよくなって資金コストが下がってきて何かなるのかということですね。私はちょっとそれはよくわからないんですね。転換したらなる、もしそれがそういうふうになるのならみんな転換させるべきですよ。いまさらこんな法律を書く必要はないんだ。改善、整備する必要はないわけだ。合併ならわかる。転換はわからないんですよ。転換が効率化に資するというのはわからない。
  293. 澄田智

    澄田政府委員 金融機関によりましては、現在のその金融機関の根拠になっている制度、それのワクから見た場合に、たとえば地域的にもやや広がっておりまして、あるいは金庫等を例にとった場合には、会員といいますか融資対象は非常に数が多いというような形になっておって、その形態としての経営よりも違う形態に移ったほうがより経営体として自然であると同時に、その経営としての効率を発揮し得るという場合、これは想定できると思います。現にそういうことも考えられるんじゃないか、あるいは……(堀委員「それじゃ具体的に一つ例を出して言ってください、相互銀行なら相互銀行信用金庫なら信用金庫」と呼ぶ)それは相互銀行にしても信用金庫にしても、現在の経営の実態がそういういままでの経営の形であってはやや大きくなり過ぎるなり、あるいは手を広げ過ぎているというような形でもってかえって効率的でない、こういう場合はあると思いますし、またよくそれがおわかりになって聞いておられるんじゃないかと思うのであります。
  294. 堀昌雄

    ○堀委員 ここのところは私、実は非常に問題があると思うんです。それはなぜ問題があるかといいますと、さっき言ったように、いまあなたちょっと説明されて、何か相互銀行が非常に大きくなって、手を広げ過ぎて、相互銀行のワクではどうもまずいけれども、地方銀行になったらいけるんだということになるかもしれませんけれども、私はこの転換というのは最初からあまり賛成していないのです。いいですか。合併は別ですよ。転換は賛成していないということは、信用金庫の場合、例をとって恐縮ですが、たとえば城南信用金庫という預金量一千億をこえる信用金庫がありますね。これは城南信用金庫普通銀行になりたがっているかというと、全然なりたがっていません。一件当たりの貸し付け額が三十万円くらいしかない。ともかく小原理事長はそれをもって最大の誇りに思っております。私のところでは貸し付けの口数においては都市銀行のいかなるものにも負けません、そうして中小金融機関に徹して今日までまいりました、そうやって徹してきたことが今日の城南信用金庫ができ上がったゆえんです。私は、これが中小金融機関のあるべき姿だと思っているわけです。それをいまのあなたの発想のようなことで、何か転換して上にいくことが効率化に資するということ、この部分については、私はこれは適切でないと思っているのです。実は効率化というのはその中で行ない得ることをやらないでおいて、そうして安易に他の業務を受け取ることによってそれが効率化になるのだというような発想であったならば、これはもう中小金融機関でなくなっちゃうわけです。私に言わせれば、もし相互銀行がどんどんそんな方向にいったら、早晩相互銀行はつぶれる、だろうと思うのです。できてきた基盤が違うのですよ。都市銀行なら都市銀行と相互銀行というのは基盤が違う。その基盤が違うものが背伸びをして、預金量がふえたから今度銀行でいきましょうというような安易なことにはならないから、私はその限りでは金融の効率化に資すると思われない。これは非常に重要な問題ですよ。今後のあり方として、そういう意味では相互銀行が上位の銀行になろうというような考えを持っているのは全くおかしいと私は思っているのですよ。ほんとうに良心的な相互銀行の経営者ならば、相互銀行に徹して、そうしてより大きな、相互銀行ですから中小企業に対するりっぱな相互銀行としていくことが当然じゃないか。私はその点がちょっと気になるので、もう一回お答え願いたい。
  295. 澄田智

    澄田政府委員 転換合併と同様にその経営体として自主的に考えまして、どの道を選ぶのが最もふさわしいかということで考えるべき問題であるわけでございます。ただ、いま御指摘の点が効率化という点から転換が効率化にならないという点につきましては、いままでの金融機関のあり方というものは、それぞれの種類の金融機関の中においてそこだけでもちろん競争は行なわれているにしても、非常に封鎖的なそういった金融機関の種別の分け方であります。それが転換が認められるということになりますと、その金融機関というものが、今度は転換してくるほうから見ますとニューエントリーということになるわけであります。ニューエントリーということはやはりその業界としての非常な刺激になる、これは当然でございます。金融機関については従来あまりにそういうことがなさ過ぎるという面はあるわけでございます。といって、もちろん新設の金融機関をやたらに認めていくことができないというのが金融機関の特質でございますので、そういう意味でニューエントリーというものによる競争、新しい刺激というものによる効率化ということもあるということとあわせて申し上げさせていただきます。
  296. 堀昌雄

    ○堀委員 せっかくの答弁だけれども、ではちょっと私聞きたいのですが、相互銀行普通銀行――地方銀行的になるでしょうか、一体とれだけ違うのですか。今度の法律を改正して、相互銀行は地域制限がなくなりましたね。あとはどれだけ違うんですか、メリットの点で。ちょっと具体的に答えてみてください。要するに相互銀行が銀行になったら特別にやれることになる業務というのは何なんですか、法律的に。
  297. 澄田智

    澄田政府委員 今度の法律改正後における相互銀行普通銀行という場合で考えますと、融資対象におきまして、相互銀行の場合は資本金二億円以下または従業員三百人以内というものが融資対象になります。ただ二〇%というような範囲内におけるそれ以外の融資というものも認められておりますが、融資対象においてそういう差がございます。それから、もちろん融資限度というような点についての違いもございます。
  298. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、要するにそのことだけから見ますと、中小金融機関でなくなるようにしてやろうということですね。この転換は。要するに中小金融機関から中小金融機関でなくなることが効率化に資することになる、こういうことですね。
  299. 澄田智

    澄田政府委員 転換の場合に、中小企業、ここにいっております中小企業の専門金融機関からそうでないものになる、普通銀行になるというような場合、そういう転換は、その意味で中小企業の専門金融機関でなくなるわけでございます。ただ、金融機関のそれぞれの営業の地盤なりその営業対象というのはその金融機関によってそれぞれあるわけでございまして、いまもお話のありましたように、完全な都市銀行といままでの地盤の違うそれになるというようなことでもってもし経営をすれば、その経営としては非常にむずかしいことがあるのは御指摘のとおりでございます。したがって、転換後も特色を持ってやっていくということであるならば、中小金融にも非常なウエートを持った、そういう業務のやり方をしていくような普通銀行というものができてくるということは当然あると思います。そうでないと普通銀行としての存立の基礎というものがなかなかむずかしいんじゃないか、かように存ずるわけでございます。
  300. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ時間がありませんから次にいきますけれども、どうも私はその点問題があるように思う。まあ法律法律ですから、いまさらそこを消せというわけにいかぬでしょうからいいんですけれども、実行上の問題についてはあとにいろいろなことがまだあるのです。いいですか。「当該金融機関合併又は転換後に行なおうとする業務を的確に遂行する見込みが確実であること。」これはきわめて抽象的に書いてあるわけですね。それからもう一つは「合併又は転換金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないこと。」しかし、どっちかというと、いまのあなたの話のニューエントリーがインセンティブを与えるという表現が片一方にありますね。確かにそれはメリットがありますが、同時にやはりいまの金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する要素も当然そこへ生まれてくるんじゃないですかね、そういう場合に。同じ業種がふえてくるわけでしょう、銀行の側からするならば。どっちかといえば、私はいまの銀行全体の方向というのは、やや銀行というのは地盤が沈下しつつあるわけですからね。その地盤が沈下する中へニューエントリーして競争をさせよう、それがインセンティブになるかどうかは別として。いまの適正な競争関係の中にうまいことそれが入れるのかどうか、非常に私は問題があると思います。だから、時間がありませんから先へいきますからいいですが、私はこの合併のほうは、これは諸般の情勢から見て必要が起こる場合があり得ると思いますが、転換というのはきわめて恣意的な処置の問題になり判断の問題に入ってくると思うのですよ。だから、この一から四まで、さらに、その次に第三項は、「大蔵大臣は、前項第二号又は第三号の基準につき審査しようとする場合において、合併又は転換が同種の金融機関相互間の合併を妨げることとならないよう配慮しなければならない。」とか「大蔵大臣は、第二項各号の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要な限度において、第一項の認可に条件を附することができる。」一体私は、条件を付してまで転換や何かを認める必要があるのかどうか。もう「公益上必要があると認めるときは、その必要な限度において、第一項の認可に条件を附する」というようなことになってくれば、前段に書いてあることと、だいぶこれは中身が変わってくると思うのです。大臣わかりますね。だから私が言うのは、それは転換も書いてあるから、これは転換絶対したらいかぬということではないけれども、まず転換ということは、この法律に書いた法意の流れから見ますときわめてまれな例だ、こうなると思うのですが、大臣どうでしょうか。
  301. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ですから、先ほど私が言いましたように、次にいま検討しております問題の結論が出て、一般金融機関のあり方というものがきまってきたときに、それとの関係でもう一ぺんこの中小金融機関専門機関のあり方についてもあるいは若干の変更が今後行なわれるかもしれませんが、いずれにしろそういう問題がまだ全貌が描かれない間に転換の道を法律で閉ざしておくという必要はないと思いますので、この道はあけておく必要があるので、こういうふうにやっていますが、じゃ具体的にどこが転換するかといったら、きわめて私はまれなことだろうと思っております。
  302. 堀昌雄

    ○堀委員 それならば法律は道を開いただけですから、これは大蔵大臣の認可ですからね。要するに大蔵省における考え方を少しシビアにしていただいて、やはりあらゆる角度から見てそのことが望ましいという条件が、それはあり得るでしょう。きわめてまれな例ですけれどもね。そういう場合に限って処置をするという御答弁でありますから、その点については一応了解をいたします。  その次に、今後の問題の中で、中小金融機関のこの問題をやった場合には、これに関連のする中小三公庫の問題というのが――いまの金融制度調査会で議論になっておりますのは要するにあとの金融民間金融機関が主としていまなっているわけですね。政府関係のほうは私はまだ議題にのぼっていないのじゃないかと思うのですが、中小をやるのなら、順序として言うと、私は、それと非常に重要な密接な関係のある中小公庫関係のところがあわせて行なわれるほうが、中小金融機関の問題としては正当じゃないか、 こう思うのです。大臣その点はどうお考えになりますか。
  303. 澄田智

    澄田政府委員 政府金融機関の問題も同時に金融制度の一環として当然に考えられなければならない問題だと思っております。現在、先ほどお話のありましたように、民間金融機関の全体について検討を進めているところでございますが、なお今後の当然検討しなければならない課題といたしましては、中小三機関を含む政府金融機関のあり方、こういう問題を検討しなければならない、かように存じております。
  304. 堀昌雄

    ○堀委員 その、いまの発想に私はやや問題を感じているのです。金融機関というのが民間だけの問題で片がつくのなら、まず民間にちょっとやりましょう、別にまた政府関係やりましょう、これはわかるのです。しかし、私はそう思わないのですよ。要するに、たとえば開発銀行の問題一つをとらえてみましても、いま都市銀行、それから長期銀行、こうきたときに、長期銀行というものの性格は非常に私は他のものと違うと思うのです。都市銀行や地方銀行、相互銀行は預金がきて、そのきた預金をいかにして貸し出すかという順序になっていますね。ところがこの長期銀行の場合は、債券を売って、そうしてその原資を貸し付けるということは、裏返していうならば、貸し付けのほうが先行しているわけでしょう。要するに資金需要があって、その資金需要に見合って金融債を出す、こうなっていますから、ここらが非常に違うわけです。これは多分に今後の方向としては私は政策金融的な方向へいかざるを得ない性格を本来持っている。大体興銀というのは過去の歴史を見ればそういうかっこうで今日まできているわけです。そうすると、開銀と長期信用銀行の関係というのはあわせて一つの土俵の場で議論をしておかなければ、片一方コンクリートにしておいて開銀を考えるということにならぬですよ、これは。だから私は、いまここで金融制度調査会で進行しておる中でひとつぜひやってもらいたいと思うのは、やはり民間金融機関と政府関係金融機関がどういうかかわり合いを持ちながら、ここで一体どうなっていくのかという、ここの論議をやらないでいっているところがここにあらわれていると思うのです。本来私の考えであるならば、そういう民間全部をやると同時に、あわせて政府関係金融機関をやって、その全体の絵ができた中における中小はどうあるべきか、そこには当然中小三公庫と民間の中小専門機関とが合理的にお互いのシェアなり、いろいろな配分なり、いろいろな条件がそこでかみ合うようなものをあるべき姿として考えるべきだと思うのです。いいですか大臣、わかりますね、私の言っていることは。だから今後、いま金融制度調査会でいろいろ仕事をやっておられますが、ぜひそういう角度でやっておいていただかないと、あるべき金融全体のビジョンというものはどこかに瑕疵ができるのじゃないか。残念ながらこの問題はもうそうなっていませんけれども、早急に、その問題を含めて処理するように私は金融制度調査会にはかってもらいたい、こう思うのですが、大臣どうでしょう。
  305. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 やはり考えるべきだと思います。ただ、いまのこの、たとえば開発銀行というようなものも、長期銀行の論議をしているときには当然関連して論議さるべき問題だと思います。その政府金融機関関係した論議の中で、中小三機関の問題も関連して当然論議さるべき問題だと私は思います。したがって、いまの調査会のこの日程も簡単ではなくて、来年度までわたるという非常に長い検討期間でございますので、そういうものを適宜取り入れた論議をお願いしようと思っております。
  306. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ大臣、そういうことで前向きのお答えをいただいたから、ぜひそれはそういうことでやっていただかないと、あとで問題が残りますし、同時に、今日開発銀行のあり方というものは、これはもう根本的に相当考え直さなければならぬところにすでにきていると私は思うのです。いま開発銀行は、初めは重点産業投資だったのが、地域開発という方向へだんだんシフトしてくる。地域開発という問題はそれじゃ一体何かというと、多分に中小金融にも関係が出てきているのです、そういう意味では。だからそこらを含めて、私はやはり政府関係金融機関の問題はよほど前へ出してもらわないと、政府はややもすると民間のほうはやっても、政府に関係するほうはまあまあこっちへ置いておいて、こうなりがちですから、もうこの際は民間も政府も同じレベルで俎上に上げて、政府の関係だからどうということを離れて、やはり全体としてのここに書かれておる効率化の問題の線で考えていく、こうなって初めて私は将来のあるべき姿ができてくると思うのです。  最後に一言申し上げておきたいことは、たいへんここにあっちにもこっちにも書いてあることばは「適正な競争」ということが書いてありますね。この「適正な競争」というのは、実はことばに書いてあるけれども、実際いま行なわれていないのですよ。いま全く過当競争でしょう、現状でも依然として過当競争だと思っています。だから、相互銀行調べてみますと、相互銀行の中には配当が八分のところ、六分のところ、四分のところ、無配のところと現状でも四つありますね、相互銀行には。どうですか。
  307. 澄田智

    澄田政府委員 そのとおりでございます。
  308. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから、さっきすでに話も出ておりましたけれども、私はやはりせっかく統一経理基準をやる以上は、それは統一経理基準をやって、われわれ専門的にやっている者ならその決算を見ればどこの銀行はいいか悪いかよくわかりますが、国民にはわからないわけですね。国民の側は何を判断するか、あそこの銀行へ行ったら大きなマッチをもらったとか、あるいは書簡せんをもらった、どこの銀行ではただで電話がかけられる。いいですか、そういう銀行知ってるんだ。だからあそこの銀行へ行く。冗談じゃないですよ。銀行へ行ってただで電話がかけられるようなことをしておる銀行は、過当競争をやっているわけでしょう。だから私が言いたいことは、奥さん方といえどもやはり配当率の差が出てきたら、自分のとらの子は、配当率の高い会社なら一番心配がないんだから、あそこへ預けましょうということになりますよ。電話でつりマッチでつって預金をさせるような制度を残しちゃいかぬということです、私が言いたいのは。だからその「適正な競争」というものの最終的な結論は、私はやはり配当の中にあらわす以外は国民の判断はできない、こう思うのですが、大臣どうでしょうか。
  309. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そのとおりだと思います。統一経理基準を実施しているというようなことも、いままでは金融機関の差というものが国民の前に見えないようになっておったのですが、今度はっきりと各金融機関の差というものが見えてくるということも、これはそういう意味からいって非常にいいことだろうと私どもは考えておるわけでございます。今後はやはり金融機関に差のないような指導をしないということが、これからの私どもの指導方針でございます。
  310. 堀昌雄

    ○堀委員 大体そうすると統一経理基準はあと三年すると――三年でしたね、ほほ完了して完全なものになる、そこらをめどにそういうことが行なわれると理解していいですね、大臣。――いや、大臣から。それは重要なことだから。
  311. 澄田智

    澄田政府委員 ちょっと私から……。現在はいま御指摘のように統一経理基準が完全に統一した形になるのに三年間の期間を設けていまやっているところであります。まあ三年たって後の問題として検討すべき問題ではないかと私どもは事務的には思っております。
  312. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、さっきのあなたの答弁はいい答弁しているのだから、あとをちょっと私詰めているだけだから……。
  313. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 相当、三年以上かかるのではないかと当初は思っておったのですが、もうすでに三割以上を越しているというので、非常に成績がよろしゅうございますが、この調子でいったら三年間で完全に実施できるのではないかと思っております。
  314. 堀昌雄

    ○堀委員 この実施というのは、私の言った配当に差がつくような指導が実施される、そういうことですね。
  315. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それはこれが済んだ上で、そういうふうになるように考えております。
  316. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとおかしいですね。なぜかというと、いまあなた方の話で、要するに統一経理基準が完全に実施されないうちはものさしがないわけだから、そういうことは無理ですね。完全に実施されて、要するに外部でもわかるようにするんだというのがいまのあなたの答弁ですから、だから外部でもわかるようにするということは、統一経理基準の中身の財務比率ではわからないから、それを集約したものが配当でしょう。利益のあるところは配当もよろしい、もちろんある幅がありますよ、無制限にやれなんて言ってないのです。ある幅の中で当然それが出てくるためにやっていると言うのなら、それがデータとして完全なものがそろってそれから考えるなんていうのはおかしいじゃないですか、そんなことはっきり言えばいいじゃないですか。
  317. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 考えるんじゃなくて、これが実施されたらはっきりと出てくるということでございます。
  318. 堀昌雄

    ○堀委員 よくわからないですね。実施されたらはっきり出てくる、そうすると配当にもはっきり差が出てくる、こういうことですね。
  319. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういうことです。
  320. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  321. 田村元

    ○田村委員長 広沢直樹君。
  322. 広沢直樹

    広沢(直)委員 まず最初にはっきりしておきたいことは、大蔵大臣にお伺いいたしますが、今度の二法案で特に金融の効率化、そしてまた中小企業金融円滑化ということ、そういった問題はメリットとしてあげられておりますけれども、実際に問題になってくることは、今度の改正が金融機関自身のための改正という姿勢が非常に強いわけです。この点で明確にしていただきたいことは、やはり中小零細企業者に対する低利また長期の資金を確保する明確な取りきめがないわけですが、その点においてはそういったものに大きなしわ寄せがいくのではないか、こういう懸念が持たれるわけであります。したがって、その点について今度の改正に基づいてそういう点があってはならないし、そういう姿勢についてまず大蔵大臣の見解を承っておきたい。
  323. 澄田智

    澄田政府委員 まず私からちょっと申し上げます。  今度の制度の改正は、中小企業金融に対しまして、これの円滑化をはかるという目的を持って、中小企業金融専門機関の効率化をはかる、こういう見地でございまして、業務分野をそれぞれ明確にいたしまして、そうしてその間に経営の効率化による資金コストの低下等によって、金融を受ける者の立場から見ても十分中小金融が円滑に行なわれた、こういうことになるようなねらいを持っておるわけでございます。その中小企業範囲も、実態も、それぞれだんだん大きくなってきているという面もございますので、資本金限度等は今回二億、一億、五千万というようなことにいたしましたが、零細な中小企業というような点につきましては、専門機関それぞれいずれもその対象として金融を行なっていくわけであります。むしろ今回の改正によりまして経営が適正なものになり、体質強化されるというようなことで、金融機関としても中小金融、特に零細面に対する資金供給というような意味におきましても、十分その目的を達し得るような形になる、こういうことをねらっているわけでございます。
  324. 広沢直樹

    広沢(直)委員 ところで、今度の改正によって資本金の十倍引き上げ等が行なわれるわけでありますが、そうなりますと、相銀にしてもまた信金にいたしましても、未達金庫あるいは銀行ができるわけであります。これは一応三年間のめどというものがあるわけでありますけれども、その間において、やはりその資本金に達しないところも出てくるんじゃないか。これは吸収されていく可能性も大いに出てくるわけであります。やはり信金等の場合は、地域の金融機関として、それを利用しておった中小企業あるいは零細企業、ことに組合等の場合には非常に零細企業が利用しているとはいえども、やはり地域的に見るならば、組合のみならず信金等においても、あるいは相銀等においてもこういったことは考えられるわけであります。そういう面から見ますと、やはり資本金を拡大していくことになりますと、どうしても大口のほうの貸し出しが多くなっていく傾向も考えられる。そういう面に関して、今度の改正においてそういうしわ寄せがいかないように考えていくべきである。その点の具体的な問題は明確にされるべきであると思いますが、いかがですか。
  325. 澄田智

    澄田政府委員 今回の最低資本金または出資金の引き上げというものは、二十六年に現在の制度ができましてから、資金量で申し上げれば相互銀行は二十五倍、信用金庫で四十倍というようなふうにすでに大きくなっておりますが、これに対して資本金を十倍引き上げるということでございます。現在、二十六年の基準で見ましてその十倍の資本金というようなことは、これは中小企業金融を円滑に行なっていくためには、むしろそのくらいな規模がなければならない。そのくらいな規模があって経営を堅実に行ない得る、そういう体力を持っているというためには、このくらいが最低必要であるというようなことでやっておることでございまして、これが多くなると零細金融をやらないで大口にだんだんなっていくというような、そういう規模というものでは毛頭ございません。したがいまして、三年間に資本金の充実ということでそこまで引き上げる努力をいたしまして、そうしてもちろんそれは、そういう適正な規模によってむしろその中小金融というものをより充実して行ない得る、こういうことになろうかと思います。
  326. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、理論上においては相銀あるいは信金、信組の性格あるいは位置づけというものが明確化されるわけでありますが、それと関連して合併転換の法案も当面これは考えていかなければならない。そういう事態が起こってくるということでこれは考えられているわけですが、まず第一に相銀からの問題でお伺いしてまいりたいと思います。  資本金を十倍以上に引き上げる、あるいはまた大口の貸し出し限度の引き上げが行なわれる、こういうわけであります。そこで、資本金を十倍以上に引き上げられる東京及び人口五十万以上の指定都市に本店を有する相銀の場合は資本金は三億円、その他の地域は二億円となっておりますが、その結果未達相銀、それに達しない相互銀行は幾らか、そしてまた、その他の地域においては現時点においてそれに達しない銀行は幾らあるのか。
  327. 澄田智

    澄田政府委員 東京都その他の指定市において、現時点において三億円に満たない相互銀行は五行ございます。それからその他の地域においてはこれは二億円でございますが、現時点においてそれに満たないものは六行ということになっております。
  328. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、いま合わせて十一行でありますけれども、この経過期間三年間の間で、こういった銀行が増資によって達成できる見込みはあるのかどうか、そのところの見解はどうなっておりましょうか。
  329. 澄田智

    澄田政府委員 これらの相互銀行におきましては、この間において増資に努力をするということに当然なると思います。それで、増資によってこの目標の最低資本に達することができるという場合が多いのではないか、ほとんどそういうふうなことになり得るのではないか。中には合併という方法によって最低資本金を満たすという場合も出てくるものと思いますが、まず増資ということになろうと思います。
  330. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、九月期から経理基準の実施に入るわけでありますが、その基準未達銀行は収益計上がむずかしくなってくる。そして増資したとしても現行の配当が困難になってくるのではないか。そういうような場合、大蔵当局としても、健全な経営のたてまえから、増資後の配当落ちをしないように、あるいは無配になるような増資は認めない方針であるというふうに伺っているわけでありますが、その点についてはどうですか。
  331. 澄田智

    澄田政府委員 相互銀行の統一経理基準は現在相互銀行業界と話し合いをいたしておりまして、相互銀行の実情に即応した形で統一経理基準を実施していく、こういうふうに考えております。一方、最低資本金の引き上げというのは三年間の経過期間内に達成をしなければならないわけでございますので、そのための増資と、それから統一基準を実施していく場合にも、そういう増資の必要というようなことも当然条件の中に入れて考えまして、今後統一経理基準のやり力を検討していきたいと思っております。
  332. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、大口貸し出し限度の引き上げをして、中小企業の成長や発展に即応した処置をとるにしても、中小企業で相銀の場合は上位あるいは中位、そういった対象になるわけでありますが、これを法律で認めたということになりますと、上位銀行は経営の合理化あるいは資金運用の効率化から、やはり大口の貸し出し融資の方向に向かうと考えられる。あとからいろいろ問題を提起いたしますが、いわゆる中小企業の下位の層に対しては資金供給が非常に少なくなると考えられる。こうなりますと、やはり中小企業金融問題が当然起こり得る可能性があるのではないかと思うのでありますが、その点はどうでしょうか。
  333. 澄田智

    澄田政府委員 大口の貸し出し限度を、今回相互銀行信用金庫、信用組合、それぞれその業態に応じまして貸し出し限度をきめたわけでございます。貸し出し限度の引き上げという形に、相互銀行及び信用金庫はなっておりますが、他方、自己資本比率によって大口限度をきめている。両方の併用をしていずれか低いほうを限度にする、こういう形をとっておるわけでありまして、それぞれの金融機関に応じまして、それにふさわしい大口の貸し出し限度をきめたいというのが今回の趣旨でございます。  大口限度が引き上げられましたために、その大口に非常に集中をして小口がおろそかになるのではないかというような点でございますが、それは従来の限度状況から見ましても、むしろ今回はその実態に最もふさわしい形にしたというようなところでございまして、決してこれによって大口に集中するというようなことにはならない、また、そういうふうにならないように今後の指導をいたしてまいりたい、かように存じております。
  334. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、現に金融制度調査会が答申したあとで、大蔵省相互銀行の大口貸し出しの実態を調査したと聞いておりますが、どうでしょうか。
  335. 澄田智

    澄田政府委員 大口貸し出し限度との関係における大口貸し出し状況というのは、常に個々の金融検査に際してはそれぞれ検査をいたしておりまして、その状況というのは把握しておるわけであります。特に今度の制度改正のための調査ということはいたしておりませんが、これは金融検査の場合に一つ重点でございまして、従来からいたしております。
  336. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、現在の相互銀行が大口貸し出しをする場合において、形式上は名義あるいは会社名が変わっていても、その会社がトンネル会社等であったりして、実質は同じ会社に融資しているという事実が間々見られるわけでありますが、その点については大蔵省はどう掌握するのですか。
  337. 澄田智

    澄田政府委員 従来からその点は、検査の場合に実質上の大口貸し出しというものに着目をいたしまして、それの限度超過ということにならないように、たとえば会社名の場合とそれからその役員、社長なり何なりというような形で貸しておるというような場合等が別口というようなことになって大口の制限を越えるというような事例等は、これを捕捉いたしまして一件として考えるというようなふうにして検査をいたしております。
  338. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、公取の方にお伺いしたと思うのですが、こういった場合、相互銀行がいま言った名義とかあるいは会社名が変わったとしても、それを通して一つの会社に融資をした場合、この場合は独禁法十九条の不公正な取引ないしは九条から十一条までありますが、それに該当することになりやしませんか。
  339. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 直ちになるとは申せないかと思うのでございますけれども、なり得る場合もあろうかと思います。
  340. 広沢直樹

    広沢(直)委員 具体的な事例をあげておりませんので多少抽象的になるかもわかりませんが、やはり法律の解釈上からこれを明確にしておいていただきたいと思っているわけです。と申しますのは、いま申し上げたとおり実質上において名義あるいは会社名が変わって、その会社はトンネル会社であったりして実際には同じ会社に融資している、そういう事実が意外に多いわけです。具体的な事例も私は持っておりますけれども、そういうようなことが行なわれていると認定された場合においては、いま言った独禁法に抵触しないかということです。
  341. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 独占禁止法におきます不公正な取引方法につきましては、一般指定というものができておりまして、十二項目にわたってそのタイプが指定してございますけれども、トンネル会社を通じて融資をしたというような形態がそのまま該当するような不公正な取引方法のタイプはございません。
  342. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それはそのまま該当せぬとしても、いま銀行局長がお答えになったように、そういうことがあればそれは十分取り締まっていかなければならない、こういうふうにおっしゃっていらっしゃるのですね。ですから、やはりこういうような形で貸し出しが行なわれてきた場合においては、これにぴったり当てはまるなにはないにしても、そういう対象にならないのかということですがね。
  343. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 実質的な貸し出しを判断の基準としなければならないようなケースの場合には、そういうものを含めて判断をしなければならないと思います。
  344. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、もう一点公取のほうにお伺いしておきたいのですが、要するに銀行から融資をする場合において、融資の途中においてその持ち株の大半を担保として預かる、あるいはまた会社の実印とか社印、そしてまたその会社の預金通帳とかそれから辞任届けあるいは白紙委任状、こういった会社の実務に影響するようなものを融資の条件として預かることは、やはりこれは十九条に抵触するのではないかと思われるわけですが、その点についてはどうでしょうか。
  345. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 不公正な取引方法に関する一般指定の九号に「正当な理由がないのに、相手方である会社の役員の選任についてあらかじめ自己の指示に従い、または自己の承認を受くべき旨の条件をつけて、当該相手方と取引すること。」ということを禁止しております。それからまた十号の「自己の取引上の地位が相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件で取引すること。」ということを禁止しております。ただいま御指摘の件は、この二つのタイプを判断する場合にきわめて重要な要件になるというふうに考えております。
  346. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それから十七条に脱法行為の禁止というのがありますね。これでいきますと、「何らの名義を以てするかを問わず、第九条から前条までの規定による禁止又は制限を免れる行為をしてはならない。」ということがあるわけですが、いまの持ち株の大半を担保として預かるような場合、こういった場合にはやはり十条ないし十一条に抵触してくることになるのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  347. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 御指摘のとおりだと存じます。
  348. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、具体的な事例があがった場合においては公取は直ちにそれを調査し、そしてまた勧告等の所要の措置をとることは、事例によっては当然でしょうが、直ちにそれを調査するということでありますか。
  349. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 具体的な事実の御指摘がございますれば、公正取引委員会としては直ちにそれを調査いたしたいというふうに存じます。
  350. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それで銀行局にお伺いしたいのですが、いま公取と話し合った件について、もしも融資の条件としていま言うような実情があった場合においては、これはやはり銀行秩序の上からも放置すべき問題ではない、こう考えるわけですが、その見解についてまず伺いたい。
  351. 澄田智

    澄田政府委員 金融機関という立場においてその業務が公正に行なわれなければならないことは申すまでもないところでございまして、融資をするにあたりましての条件として行き過ぎであるというようなものに対しては、やはり金融機関の使命からいいましても厳重に注意をしなければならない。御指摘のケースのような場合の内容といたしまして、十分内容によっては善処したいと考えております。
  352. 広沢直樹

    広沢(直)委員 要するに、この場合は貸し手と借り手という関係でありますので、これはいろいろその間の事情というものはあると思います。こういうケースが行なわれた場合ですね。したがって、そういうような場合において、いま言ったような会社の実権を左右するようなものを全部担保として預かる、その対象として融資が行なわれていくとかそういうことはやはり重大な問題だと考えるわけであります。そこでまず融資について相銀が間々相互銀行法十条で規定されている分野、これに違反して融資をしておった場合、そういった場合はこれには罰則規定がないわけです。そういった場合の処置は銀行局としてはどうとられるのですか。
  353. 澄田智

    澄田政府委員 通常の場合のやり方といたしましては、先ほど申しましたように検査の場合に、大口の融資という状況を検査の重要項目としてよく実情を把握いたしまして、その上で注意すべきものがある場合においては、検査の結果の示達という場合にその点を厳重に指摘をいたしまして、状況によりましては事後にそれの是正の措置をとらせる、そしてそれを報告させるというようなことをいたしております。
  354. 広沢直樹

    広沢(直)委員 しかしこの十条の解釈の場合、銀行法を適用できる。主務大臣の監督権限ですか、これを規定してある銀行法を、法令違反を犯した場合に、準用できる規定があります。こういった処置を厳重にとっていかなければ、たくさん私、事例を持っているわけでありますが、間々そういったことが行なわれていくのではないか、こう考えるわけです。そういうふうな十条に対して銀行法を準用していくということは考えられないですか。
  355. 澄田智

    澄田政府委員 相互銀行法においては、銀行法の規定を準用いたしております。したがって、相互銀行法の規定の違反についても準用される銀行法の規定が適用される、そういう場合はあるわけでございまして、法律上のたてまえとしてはそういうことになると思います。ただ、現実には検査等を通じてこれを捕捉いたしまして、そうして是正をさせるというような方法を通じまして現在までやってきておる次第でございます。
  356. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで十条も銀行法が適用になる。ですから、これに違反しておった場合には、銀行法の二十三条は当然適用になると思うのですが、間違いありませんね。
  357. 澄田智

    澄田政府委員 相互銀行法に準用されております銀行法の二十三条は、「法令、定款若ハ主務大臣ノ命令二違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ」ということでございまして、法令違反というものを広く中に含めた書き方になっております。もちろん、これは申すまでもないことでございますが、違反の態様等によりまして具体的なケースとして判断をするということでございますが、法令違反というものはこういった措置をとり得るという規定にはなっています。
  358. 広沢直樹

    広沢(直)委員 こういうようなことによって不利益をこうむったものがあるというような場合においては、さっき申されたように、ただ単にそれを戒めただけ、あるいは勧告しただけ、あるいは注意を与えただけということでは事が済まない場合が出てくるわけでありますが、そういう場合においてただ注意を与えただけで--これは準用かできるということになっておって、それだけの処置がないということになれば、やはり十条というものは罰則規定そのものがないわけでありますから、ただ、してはならないという制限行為であって、別にそれを犯したからどうこうということはない。やはりざる法みたいな感じがするわけでありますが、その点については当局としてどういう手を打たれるか、その点についてお伺いしたい。
  359. 澄田智

    澄田政府委員 私、さっき申し上げましたのは、単に検査の際に注意をする、あるいは勧告をするというだけではなくて、訂正させるというようなことで、その内容によってはそういった限度を超過しているような融資に対してこれを是正させる、そして是正状況を報告させるというようなこともいたしておるわけでございます。その法令違反に対しまして銀行法の二十三条というような規定はございますが、これは違反の態様等によって考えなければならない問題でございますので、具体的なケースによって考えらるべき問題でございます。限度超過の融資等については、よくその状況を見て、そしてこれを是正をさせていくというようなことが最も必要なことではないか、かように存じておるわけでございます。
  360. 広沢直樹

    広沢(直)委員 ただ単に、その限度を越えて融資して違反になっているから、それを是正させるということだけでは事が済まない場合があるわけです。要するに、そういう名義を変えた当人――あとからそういうような態度をとったにしても、今度の貸し出し限度二億円ですか、そこまで持っていこうという問題も、上位相銀にしてみれば、これはやはり非常に問題があると思います。ですから、こういうような抜け穴的な方向で大口融資をやっているという形態が、一件だけではなくて間々見られているわけです。そういった場合においてやはり預金者あるいはそれを利用している者が不利益をこうむるような行為があった場合においては、単なる注意だけでは事が済まないわけでありまして、この問題に対して大蔵当局としてはどういうような態度をとっていくか。正式にとっていくならば、十条ではいわゆる銀行法二十三条の法令違反としてその適用をすることはできるわけであります。ですから、その点について、そこまで適用する必要はない一もちろんその預金者というのは単に一人ではなくて、たくさんの方がおるわけでありますから、みだりに適用すべきではないとは思われますけれども、一預金者あるいは利用者にしても、不利益をこうむることがあった場合は、それを解決するべく厳重なる取り締まりと配慮を払っていくべきである、こういうふうに考えるわけですが、その点について監督当局が非常にあいまいであると、こういった問題がうやむやに葬り去られる懸念があるわけです。そういった点について監督官庁としての見解を明確に伺いたい。
  361. 澄田智

    澄田政府委員 相互銀行法十条で一人に対する貸し出し限度をきめておりますのは、いまお話しのような預金者に対する関係等を考えまして、金融機関の健全性という見地から、自己資本に対する一定の割合までというようなことで規定をしておられます。あくまで金融機関の経営のあり方としてきめておることでございます。法令違反というものも、いろいろ違反の態様、それからどういう法令に違反をしたかというようないろんな場合があって、最も強い場合として、銀行法の二十三条というような規定があるわけでございますが、それはそれぞれの法令の規定の目的等に照らして考えるべきではないか。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 したがいまして、大口貸し出しというような問題は、やはり検査等を通じて問題を把握し、そういうような違反のないように、そういう点について十分監督し指導する、さらに是正をさせるということを中心にやっていくべき問題である、かように存じております。
  362. 広沢直樹

    広沢(直)委員 何といっても、この十条の精神というものは、金融円滑化、また一方に片寄らないようにという趣旨でもあることは十分わかります。しかしながら、そういう規定があるにもかかわらず、そういうような融資をやっていくということが、先ほどから申し上げているように、間々見られるわけであります。それによって不利益をこうむるような場合においては、やはり違反は違反に違いないと思うのです。十条違反は違反です。ですからいま言ったようなきびしい処置も、態度としては考えていかなければ、この問題は解決していかないのじゃないか、私はそのように思うわけでありますが、その点についてもう一度お伺いしておきたい。
  363. 澄田智

    澄田政府委員 いまお話しのようなお考えもわかるわけでございます。法令違反というものは厳重に処置しなければならない、こういう問題も当然でございますが、ただ、金融機関金融のあり方というようなものにつきましては、その規定の目的というものを考えまして、経営の健全性という見地からこういった制限を課しているというような場合であれば、あくまでその制限を守らして、そうして経営を健全にするということが目的であるわけでございますので、そういう趣旨に合うように事後の処置をやっていくべきである、かように考えるわけでございます。先ほどから、そういうような貸し出し等はよく実情を把握して是正させるというように申しておるのもそういう趣旨でございます。
  364. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、そういったようなことをやっていますから、先ほど申し上げたように、会社の実際の実権を握っていくようなものを、通常では考えられないようなものを担保物件として取り上げていくような問題が出てくるわけであります。これもやはりいま言ったような大口の貸し出しをやっていく、そういう無理な融資をしていくところからこういった問題が出てくると考えられるわけです。  でありますから、これは前後の関係から申さなければわからないかもしれませんが、やはりいま申し上げたとおり、過度の貸し出しをやっていくから、その保全のためには、いま言うように担保物件として必要以上のものまでとっていかなければ預金が焦げつきになるんじゃないか、問題が起きるんじゃないかという懸念さえ出てくるわけですね。そういう面でいま銀行局長が申されたように、十条がある意味においては金融の秩序を保つためにこれを適用するという法の趣旨であるというならば、いま言ったような面が具体的に出てくる場合においては、これもやはり処置していかなければならない、こう考えるのです。ですから、それは単なる注意事項だけで終わるということではなくて、やはり法令違反には違いないわけです。ですから、その点をきびしく監督しあるいは取り締まっていく、是正さしていく、こういう態度は監督官庁として明確にしておくべきではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  365. 澄田智

    澄田政府委員 法令違反については、これはきびしく実情を把握いたしまして、是正せしむべきものは厳重に是正させる、こういう態度で臨んでまいります。
  366. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは時間がありませんので、この問題はこれでおいて、次の問題に移ります。  今回の改正で最も注目されておりますのは、金融制度調査会の審議の過程において、いわば大蔵省の原案と見られる滝口調査官の試案が出ておったわけであります。時間がありませんので内容は申しませんが、いま三機関を存続するようにしたんだけれども、将来においては中小企業金融機関というのは二機関にすべきである、いわゆる滝口試案の方向に将来のビジョンというか青写真を持っていこうという考えがあるのか、あるいはやはりいまの三機関は当然金融機関のあり方として残していくべきであると考えているのか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
  367. 澄田智

    澄田政府委員 金融制度調査会に、答申に至るまでの過程におきまして、一つの試案としまして、いまお話しになりました滝口試案というものが出たわけでございます。そのほかにも試案がございました。こういう試案を検討いたしまして、結論は、いま御審議を願っております法案というような形で答申が出たわけでございまして、答申の内容は、中小企業専門機関として現存の三種類の機関を、それぞれその業務の内容を明確にして、性格、特色をはっきりさして存続させる、こういうことでございますので、この法案の御審議をお願いすることになったわけでございます。したがいまして、これはあくまで三種類の機関を今後も存続さしていく、こういう趣旨でございます。
  368. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは次にお伺いいたします。  信金の場合、資本金の最低限度を十倍に引き上げる点でありますが、それによって起こってくる未達の金庫数は現在どういうふうになっておりますか。
  369. 澄田智

    澄田政府委員 信用金庫の現在この限度に到達しておらないものは百六十三金庫ございます。
  370. 広沢直樹

    広沢(直)委員 これらの金庫が増資により今後三年間に存続できる立場になるかどうか、その見通しについてはどういうふうに見ておられますか。
  371. 澄田智

    澄田政府委員 今回引き上げようとする出資金に達していないものは、現在数は多いのでございますが、これはあとわずかで到達し得るものも非常に多いわけでございます。したがいまして、ほとんど大部分の金庫は、今後の三年間の出資金の増額というようなことで最低出資金限度には到達し得るもの、かように考えております。
  372. 広沢直樹

    広沢(直)委員 出資総額と預金の関係性から見た場合でありますが、これまでの信金の預金対自己資金の比率は大体どのくらいになっておるでしょう。
  373. 澄田智

    澄田政府委員 信用金庫資金量に対する自己資本の割合はほぼ五%程度になっております。正確に申し上げますと、四十年度において六・九%でございます。
  374. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、いま局長は、いまの未達金庫の大半は一応増資によってまかなうことができるのではないかというお話でありましたが、大体それくらいのことになりますと、出資額が一億円になる場合と五千万円になる場合とあるわけですが、これを一億円にするにはやはり三十億ないし百億、あるいは五千万円にするためには十五億から五十億円の預金規模が最低必要になってくるのではないか、こう考えられるわけですが、いまこの中間的な数字を通して、三十億円ないし百億円、これを六十億円とし、それからまた、十五億円ないし五十億円を三十億円ととってみましても、六大都市の金庫の場合においては二十八金庫、その他の地区においては百五十八、計百八十六金庫というものは、出資総額の未達金庫数百六十三金庫よりも二十三金庫ぐらいふえるわけですね。そこで、預金になると、手形とか、あるいは両建てがいま問題になっておりますが、そういった形において出資の増加をはかっていかなければならなくなってくる面も出てくるのではないか。また、そうであれば、この場合半数近くは未達に終わることも考えられるのですが、その点はどうでしょうか。
  375. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま信用金庫の自己資本と資金量との関係で六・九というような数字を申し上げましたが、この場合の自己資本というのは、これは出資金のほかに内部留保も入れましたものでございますので、したがって、出資金で見ればもっと比率は小さい、こういうようなことにもなるわけでございます。そうして信用金庫の場合は、とりわけ制度ができましてから現在までの間に、資金量の拡充というものは非常に著しく、二十六年の四十倍というふうに資金量も上がってきているわけでございますし、現在の資金量等から見ますと、この程度の最小限度資金は、信用金庫としても当然備えなければならない出資金でございまして、そこに到達するについて、非常に多くのものが未到達に終わるというようなことは決して考えられないものと思っております。
  376. 広沢直樹

    広沢(直)委員 時間がありませんから。もう一点だけお伺いしておきたいと思いますが、要するに、合併によって金庫が大型化するということは、やはりそれのメリットは考えられるわけです。たとえば貸し出し利率の低減、低くなっていくという面もありますけれども、やはり信用金庫はあくまでも地域金融機関としての地位があるわけであります。それで、これがあながち吸収合併等で――いま三〇%程度が未達になっているわけですが、その面がそれだけ大きくなっていくと、増資によってそれが残るならばけっこうでありますが、そうじゃなくて、吸収合併されるということになりますと、規模が大きくなっていくということは、地域金融機関としてのそういう地位というものがくずれていくことになるのではないか。したがって、この面に関しては、ただ三年間の中でこれを自然に増資をしろ、それに達しないものは吸収合併してしまうのだ、こういうような姿ではなくて、やはりそこにもう一歩当局としての配慮が必要じゃないか、こういうようにも考えられるわけですが、その点についてはどうですか。
  377. 澄田智

    澄田政府委員 三年間に出資金の引き上げというような努力を、それぞれ金庫がいたすわけでございます。合併というような方法による場合も考えられないわけではございませんが、やはり出資金を増額するというほうに、金庫としては当然にこの間に努力をするところであろうと思います。現在の信用金庫のあり方、中小金融において持っております使命というようなことから申しましても、ある程度の規模のものであるということはどうしても必要でございますので、三年という期間は、ある意味においては短いわけでございますが、しかし他面、見方によっては三年というのはある意味では十分その時間を見ているということにもなりますし、また逆に、三年くらいたてば、どうしてもそういうふうな限度には引き上げなければならない、こういうことでもあろうと思います。ぜひとも金庫の努力によってこの限度に到達してもらう、こういうことに持ってまいらねばならない、かように存じております。
  378. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それではもう一点、最後に要望も含めて申し上げておきたいと思うのですが、要するに、現状では銀行の窓口規制だとかあるいは選別融資だとか、そういうことで中小企業というのは非常に困惑しているわけです。したがって、こういう中小企業者を救っていく道は、やはりいまの信金あるいは信組、相銀、こういう中小金融の三機関がその態度を明確にしていかなければならない、そのための今度の改正でありますけれども、しかし、先ほどから申し上げておるように、大口の金融のほうがぐんぐん伸びて、小口金融のほうが制限される、あるいはまた現実においてそういう事態が起こってくる、こういうことも懸念されたわけでありますけれども、そういったことがないように、今後とも当局としては十分なる監督と配慮が必要ではないのか、こういうふうに思うわけでありますが、最後にそのお答えをいただいて終わります。
  379. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。大口融資というようなことに走って、中小金融の本来の姿を失うというようなことがあってはたいへんでございます。今度の法律の運営について、その点は十分に注意をしてまいりたい、かように存じます。
  380. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 只松祐治君。
  381. 只松祐治

    ○只松委員 まず大臣にお尋ねをいたします。  日本では社会保障制度がきわめて立ちおくれております。こういうことを要因といたしまして、日本の貯蓄というものが非常に高いわけです。二、三日前に公表されておりましたが、一八・四%ですか、世界で一番高い、こういう貯蓄傾向を持っております。これは別な角度から見れば、十万円月給を取っておる人が一万八千四百円貯金をするわけですから、いわば社会保障制度が低いために実質的な生活の切り下げをしておる、こういうことになるのだと私は思います。将来の安全性やいろいろなことを考えれば別ですけれども、しかし本来入学や病気やいろいろな、なぜ貯蓄をするかという貯蓄の調査にあらわれてきておる原因というのは、もっと政府の政治の力でなすべきものが多い。それを個人でカバーしていこうとしている。これは実質的な生活の切り下げだと思います。ところが、そうやって実質的な生活を切り下げて貯蓄をしているこの貯蓄がまた、現在のようにインフレを皆さん方が進めておられる――高度経済成長政策のしりぬぐいが一つのインフレ政策にあるわけですけれども、こうなってまいりますと、十万円貯蓄がしてあるのが実質的に九万円になり八万円になり七万円になったり、インフレヘの進行によって切り下げられている。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕  たとえば家を建てようと思ってここに百万円を持っておる。十五坪の家を建てようと思っておるけれども百万円ではなかなか建たない。そこであと五年たったならば五十万円たまって百五十万円になると思ってためる。ところが五年たったならば、これはおそらく十五万にとどまらないで十七、八万になるだろう。過去を見ましても大体三年くらいで、坪四、五万円の建築というのはいま八万から十万になっている。こうやって三年たって、一生懸命金はためたけれども、今度は建築費のほうが上がって半分の家しか建たなくなった。インフレということは国民にこういう大きな影響を及ぼしておるわけです。私は、いわゆるとうふの値段の上がり方その他わかりやすい例をとって御説明するのですけれども、貯蓄を実質上切り下げをする、こういう事態が起こってきておる。こういうことに対して、きょうは本法案の最終日ですから、ほんとうはこういう問題をはじめとして、いま自民党なり佐藤政府がとっておる金融政策、貯蓄政策、そういうものについてお尋ねをしてひとつ意見を申し上げようと思っておったが、きょうはお聞きすることにとどめておきますけれども、こういう政策を、ひとつできるだけ国民に迷惑がかからないように、無理な貯金をしなくても生活が安定していけるように努力すべきだと思いますが、御所見はいかがですか。
  382. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 問題はやはり貨幣価値の安定ということだろうと思います。政治の施策が不当に物価を上げないようにすることができればそういう問題は全部解決するのじゃないかと思いますが、御承知のように物価が上がって貯蓄がどうのということがいわれておりますが、昭和三十五、六年のときを見ますと、貯蓄残高が十三兆というようなものが、現在においては四十八兆というふうに、国民の貯蓄が三倍半もふえておるということは、これはいまあなたがおっしゃられるように、国民にそういう無理な貯蓄をさせているということが、一つは社会保障制度が後退していることだというようなお話のようでございましたが、問題は、いま言ったような貨幣価値の問題と同時に、国民所得水準を上げるという政策がやはり大事であって、所得水準が上がっていくなら、もっと国民が社会保障制度についての負担ができるはずだ、結局社会保障の給付は国民の負担によるよりほかしかたがありませんが、この負担力が少ないというために社会保障制度の充実というものがはばまれているというのが現実でございますので、国民所得の水準を大きくして、やはり社会保険の費用なり、税負担なり、諸外国並みに負担を上げても国民が苦しくないという状況に持っていくことと同時に、いま言った貨幣価値の維持ということによって国民の実質貯蓄というものを保護するという、この二つにやはり政治の目標を置くべきであろうというふうに考えます。
  383. 只松祐治

    ○只松委員 私はきょうは論争しようとは思っておりません。また、いずれ金融委員会を開きまして、そういう席でいろいろ論議をしたいと思っております。問題を羅列するだけにしておきたいと思いますが、国民のだれが負担するかということが社会保障制度の場合問題になってくる。また、税の取り方、課税のしかた、徴税のしかたにもかかってくるわけです。そういう租税その他の話に入らなければなりません。きょうは私はそういうことはいたしません。ただ、政治の姿勢として金融問題を論議するときに、ぜひそういうことを担当大臣としてお考えをしていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それから、今度の法案の一つのねらいというのは金融機関の近代化、民主化、こういうことにあるわけでございますけれども、私は過日都市銀行あるいは生命保険、相互銀行等の中における不動産会社の扱いというものについてその一端を指摘いたしました。不動産会社だけではなくて建設会社やいろいろな傍系会社を持っておるところも、その後調べると明らかになってきております。これは都銀をはじめ、あるいは今回こうやって問題になっておる相互銀行信用金庫ということになりますと、これはおれのものだ、とにかくおやじの代から何からおれのものだ、こう思って、あと総代や何かは適当におれのほうで選任をしてやっておるのでおまえらががたがた言うことはない、こういう気持ちの経営者というのが依然として多い。そういう気持ちであれば、その経営というものがこれまたきわめて封建的な姿のまま行なわれておる。従業員に対してはもちろんですけれども、一般の平理事等に対しましても犬、ネコまでいかぬけれども、あまり人間扱いをしないで隷属させておる。こういう実態というものが私の知っておる限りにおいてもたくさんある。時間があればそういう問題も具体例を示しまして、こういう機会にそういうものを指摘して、さっきから各委員が申しましたように、この法案の形式だけではなくて、運用に非常に大きな問題があるわけですから、監督官庁の大蔵省といたしましては、日銀の考査とともに形式的なあるいは計数的な監査、考査というものはなされますけれども、そういう運営等の近代化の実態的な指導というものはあまりないわけです。どこまでどういう形でするかは微妙な問題があってなかなか容易ではないと思いますけれども、しかし、いまのままに放置して、これがまた五年、十年このままに、いまの親子代々の相続みたいな私有財産的にすることは、私はきわめて遺憾なことだと思います。ひとつこの法案が施行されるにあたって、ぜひそういう意味の近代化、民主化ということにも御努力をいただきたい、すべきであると思います。  そういうことから始まっていわゆる大口融資だけではなくて、健全であれば零細企業にも融資をしていく、ほんとうの庶民の金融機関として相互銀行信用金庫等が活躍をする、こういう傾向が強まってくるのだ。そうでなくていまのような状態でなれば、自分のちょっと懇意な人であるとか、あるいは少し何か裏で取引ができそうなところへ不当に貸しておる。ぼくらはそういうことも知っておりますけれども、そして私利私欲を肥やしていくということは、当然に健全な零細企業者のほうに資金が回ってこない、こういうことにもなるわけであります。そういうものの一つの大きなネックとして、あるいは柱として、いま申し上げましたような問題があるわけであります。ひとつ法案の成立だけではなくて、そういう面でも適切な指導をすべきだ、こう思いますが、いかがですか。
  384. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 個人的色彩の強い経営ということについては、もう長い間相当指導をしておりますので、ずいぶんこの問題は減っておる、改善されておると思いますが、まだまだ御指摘のようなことが相当見られますので、今後の指導もさらに一段とそういう方向に強化していきたいと考えています。
  385. 只松祐治

    ○只松委員 いろいろ申し上げたいことはありますけれども、時間もおそくなっておりますし、毎日連日でございますから別の機会に申すことにして、次に合併の促進法案について意見を申しておきたいと思います。  これはあとに出てまいります都銀やその他の法案と重要な関連をなしてくる問題だと私は思っております。したがって、これとあわせてほんとうは論議をしなければならないわけですが、こういう結果どうしてもやはり合併促進を強めるということになれば、同じ業種間の信用金庫なら信用金庫、あるいは相互銀行なら相互銀行間の合併というものがおそらく事実上起こらぬだろう、こういうことがいわれております。これから起こってくるのは、いわゆるそういう促進することができるということで、縦の系列の強化、別なことから金融独占の強化というものがもたらされるのじゃないか、こういうことが非常に憂えられておるわけであります。この法案の本来の趣旨である効率の悪いそういうものを引き上げたり、あるいはもっとそういう受け入れコストを下げる、そういう面にぜひ向くように、ただ都銀の系列化あるいは金融独占資本の強化、こういうことに向かないように十分な配慮をしていただきたい、これが第一点。  それから、そういうことで競争の激化ということは、ある面ではコストが引き下がればいいことでございますけれども、そこに働く人の労働強化、あるいは先ほどあまりないだろうとは申しましたけれども、もし起これば、合併等によりましてそこの従業員の配置転換あるいは首切り等々の問題が出てくる。これを労働者の場合は非常に懸念をしておるわけでございます。そういう事態が起こった場合には、強い監督権を持っておられる銀行局当局としては、そういうことが絶対にないようにひとつ厳重な監視をしていただきたい。大臣なり銀行局長からひとつお答えをいただきたい。
  386. 澄田智

    澄田政府委員 まず御指摘の、今回の法律によりまして縦の系列の合併というものが非常に盛んになりまして、同種の合併というものが妨げられるというような点でございますが、この点につきましては、法案の第六条第三項に、大蔵大臣は、前項の認可を「審査しようとする場合において、合併又は転換が同種の金融機関相互間の合併を妨げることとならないよう配慮しなければならない。」特にこういう規定を置きまして、合併事案等の審査にあたっても十分、最も自然であるような同種合併が異種合併によって妨げられるというようなことのないように、そのケース、ケースに応じて同種の合併というものももちろんこれは進められていくべきものである、かように考えている次第でございます。  合併によって労働強化が行なわれる、あるいはさらにはなはだしきはそれが解雇というようなことになるというような点でございますが、元来、今後の金融機関の経営においても人手不足というようなことが非常なネックになるということが予想されるわけでございます。今回の法案によりますと、むしろ合併の道を開き適正な規模にするというようなことで、そういった人手不足というような点の一つの解決になる。こういうことでございまして、これが労働強化になったりあるいは解雇とかいうようなことは、およそこの場合の合併というような問題には考えられないことであろうと思いますし、そういうことのないように十分今後の運用指導等については注意してまいりたい、かように存じます。
  387. 只松祐治

    ○只松委員 次に、社内預金の問題についてお尋ねをいたします。  これは順次皆さん方のほうにお答えをいただいてから本来ならば質問をするわけでございますが、時間がございませんから、私のほうからかいつまんで申し上げますが、現在社内預金は、預金総額が九千二百四十億円、預金労働者数が五百五十万人、預金者一人当たりが十六万八千円、こういう形で一兆億近い金というものが社内預金に振り向けられております。これがあらゆる角度からいま問題になってきているわけでございます。これは労働省当局と大蔵省当局と多少見解が違うようでございます。まず最初に、基本的に大蔵省と労働省のこれらに対する御見解をお聞かせいただきたい。
  388. 澄田智

    澄田政府委員 この制度は労働基準法に根拠を有するものでありますが、ただ、運用のしかたによりましては問題があるのではないか。すなわち、社内預金について預金者保護というような措置からいって万全でないという場合も考えられる。さらにいまお示しのように非常に額も大きくなっておりますが、こういう大衆の貯蓄預金が非常に高い金利でもって集められるというようなことは、これは金利の全体のバランスあるいは金融政策、そういうような面からいっても好ましくないという場合も考えられる。こういうことでありまして、十分運用については検討すべき点があるのではないか、さように考えております。
  389. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 社内預金の問題につきましては、御承知のように労働基準法第十八条第二項の規定によりまして行なわれているものでございますが、その現状につきましては、先生先ほど御指摘のような状態に相なっております。  ところで、大蔵省と労働省との間に考え方に食い違いがないかどうかという点でございますが、この問題につきましては、率直に申しまして、金利がどうあるべきかという点が一番大蔵省との関連で問題になり得るところであります。しかし、労働省としましては、四十一年に中央労働基準審議会の答申を得まして施行規則の改正もなし、三月には通達も発しまして、その後の社内預金の運営につきまして指導を行なってきておるわけでありますが、その指導の基本になっております利率につきましては、現行預金などの利率の最高が、貸し付け信託五年ものの年利七分三厘七毛であることに留意の上、高利率の排除につとめるという基本的な考えを明らかにいたしておるわけであります。そういう基本的な認識については大蔵省と食い違いがないと私ども考えておりますが、ただ最近に至りまして、住宅積み立て金の制度を社内預金としてどのように考えるかという問題に関連いたしまして、関係審議会あるいは懇談会等にはかったわけでありますが、当分の間の暫定措置として、ある程度運用上の措置については暫定措置として特別の措置を必要とするのではないかという見解が示されておるわけでございまして、あるいは先生指摘の点もそのような問題にまつわることではなかろうかというふうに存ずるわけでございます。
  390. 只松祐治

    ○只松委員 きょうは長時間論議しようと思いませんから、一々問題点を指摘いたしませんが、大蔵省とあなたのほうとの違いは単に金利の問題だけではないだろうと思います。あるいはそういう簡単な問題ではないわけです。もっと預金の安全性の問題から、御承知のように倒産した会社はどうなんです。それから、公務員はそういうものはできませんね。それから中小零細企業者もこういう高利のものは預金できませんね。あるいは社内預金しておる人だって、自分の金だけではなくて、妻の金や親戚の金をこれに充てておる人もありますね。順次そういうものはなくするように努力はしている。いろいろな問題がここにあるわけですよ。それから市中金利は普通預金で二分一厘九毛です。定期預金でも四分から五分五厘です。ところが社内預金では、普通預金で八分二厘、今度いわゆる住宅積み立て金は九分八厘、これは高利貸しみたいなものです。こういうものを――方では、きょうこの金融二法案を論議しておりますように、非常に強い規制をもって金融機関を規制したりあるいは指導監督をしておる。なかなか厳密ですよ、ある面からは。しかし一方では、会社というものに、社員であるがゆえに、不特定多数でありませんが、必ずしも特定だけではない。こういう金を五百万人からの利用者があるわけです。高利の金で預けておく。これは単に金利だけの問題ではないですよ。いろいろな問題がここから発生してくる。きょうは詰めまでいたしませんけれども、労働省としても、こういうものを無制限に全労働者に適用されるなら、これはまた多少話は違ってくる。いわば大企業の、比較的企業が安定をしておる、こういうところを中心の労働者だけがこういう高金利を得ることができる。これは金融上からも問題です。だから、そういう点についてももっとシビアな角度からこれは取り組むべきだと思います。特に住宅預金のように、こういう高金利のやつをした場合には、これは何らかの形で会社側がその利子を負担する、こういうことが実際行なわれておるわけでしょう。これもいろいろな角度から金利負担を行なっておるということになれば、税法上からいろいろな問題が出てくるですよ。どういう名目で金利負担をやっておるか、ほんとうは国税庁等を呼んで論議したらおもしろい問題になるのですよ。だからそう簡単に考えないで私はきょうは問題点だけ指摘しておきます。いずれまた金融委員会に来ていただいてやりますけれども、もっとシビアに、特に今回の住宅積み立てのように、九分八厘も出すということはやめるように取りはからっていただきたいと思います。  それから大蔵省当局においても、これは一般の金融行政という面から見るならばたいへんな問題だ。こういう高金利のものが一兆近く動いているということになれば、労働者の預金の保護の安全とか、そういう面からだけではなくて、金融全般からもこれは金融体系を乱すものであります。いろいろな問題が出てくるわけですから、ひとつこの問題については、単に金利という面からだけではなくて、金融全般の問題から労働省側ともよく相談をして、こういうことが無鉄砲に行なわれないようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  それぞれ関係者からお答えを願います。
  391. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 社内預金のあり方につきまして、労働省といたしましては、たてまえそのものは強制貯金は禁止されておるわけでありまして、それを解除する制度として貯蓄金の管理協定、しかもこれが労使の協定によって初めて例外的に認めるという制度でございますから、これは助長したり、この方向についてさらに伸ばす方向でものごとを考えるというふうには私どもは考えておらぬのでありまして、ただ労使の協定に期待するという制度ではありますが、それぞれの立場から労使の協定が行なわれます際に、従来は何ら制約がございませんので、その協定の内容が必ずしも正鵠を得ていないという場合もあり得たわけであります。そこで先ほども申し上げましたように、中央労働基準審議会の答申をまちまして、預金者の範囲あるいは預金の金額、金利、預金の保全方法等について、協定の内容として明記するように規則でこれを改める、そしてその内容についても指導通達をもちまして規制を加える、こういう態度であるわけであります。そこで、先生いま御指摘の金利の問題にとどまらないという点については、私どもも全く同様に考えております。大蔵省との間に意見の食い違いがあるのではないかといった点につきまして、一例として金利の点を申し上げたわけでありますが、この金利につきましても、これも先生御承知かと思いますが、中央労働基準審議会におきまして住宅積み立て金についての社内預金をどうするかという問題につきまして、勤労者財産づくり懇談会のほうにその問題について意見を聞く、そういう意見を出されましたので、勤労者財産づくり懇談会に労働大臣からはかったわけでございます。その意見書が最近出まして、さらに中央労働基準審議会で独自の立場検討する、こういうことになっておりまして、結論はまだ最終的なものにはなっていないわけであります。労働基準審議会の御意見を聞きまして、今後どうあるべきかということに最終的な態度をきめたい、かように存じておる次第でございます。
  392. 澄田智

    澄田政府委員 大蔵省といたしましては、十分にただいまの御意見の方向で今後も検討いたしたいと思います。
  393. 只松祐治

    ○只松委員 いろいろ言いたいことがありますが、連日でたいへん疲れているから、きょうはこの程度にして、他日金融委員会を開会することをお願いいたしまして質問を終わります。
  394. 田村元

    ○田村委員長 村山喜一君。
  395. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間が二十分間でございますから、私も詰めて質疑をいたしたいと思います。そこで澄田局長は答弁が長過ぎますから、簡潔にひとつ。  これは法律の解釈の問題でございますので、まず澄田さんに伺います。  それはいまの問題でございますが、私は臨時金利調整法並びに金利の最高限度大蔵省の告示、これから見まして、いま社内預金制度という問題は、これは法律違反の事項だと思う。法律違反でないとすれば大蔵省の告示に違反をしている。国民は、ひとしく憲法のもとにおいて門地によりあるいは身分上の差別によって異なる待遇を受けてはならないということになっておる。平等の原則というものは憲法上規定されておるはずです。だから、その法律の問題については、これは当然あなた方としてはそれを守る義務があると私は考えているのですが、いまのようなそういう社内預金制度というものが行なわれることについては問題にしておいでにならないのですか。当然廃止すべきじゃないですか。それに、今度勤労者の財産づくりと称して住宅積み立て金のそういうような制度をつくる、これは九分八厘でやろうとする。そういうようなものを認めるとするならば、なぜ一部の労働者だけを認めて――いま、あなた方が日銀の公定歩合の引き上げ等によって金融機関は最近の引き締め効果をねらうために貸し出し金利が上昇をして、預金者の金利はそのまま据え置きであります。そうなってきたら、金融機関の利潤というものはふえていることは間違いない。とするならば、いまこの住宅の積み立て預金だけは特例を設けて、ほかのものはそのままに据え置いておくという考え方はまさに不公平な政治だと言わなければならない。事務的な答弁は大蔵省澄田局長から聞きますが、そういうようないわゆる金利政策というものが二重にあっていいのかどうかということについて大蔵大臣の所見をこの際お伺いをしておきたいと思います。
  396. 澄田智

    澄田政府委員 簡単にお答え申し上げます。  臨時金利調整法の対象といたしておりますのは金融機関の金利ということになっておりまして、金融機関の金利を規制をしている。大蔵大臣が告示できめておりますのも、いずれも金融機関の金利ということになりますので、法律的にはこの問題はこれに入らない、かように存じます。
  397. 村山喜一

    村山(喜)委員 では、銀行法上はどうですか。銀行法上も、銀行ではないからということであなたは逃げられるのだったら、これは一つの金貸し業ですか。
  398. 澄田智

    澄田政府委員 該当する法律といたしましては、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律という法律がございまして、これでいわゆる貸し金業というのは、この法律による届け出、報告等の規定があるわけでございます。ただ、この法律におきましては、第二条に「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」こういう規定がございまして、他の法律に特別の定めある場合の者を除くということで、労働基準法に根拠があるということでこの預り金の法律の適用を受けない、こういうふうな法律関係になっております。
  399. 村山喜一

    村山(喜)委員 労働基準法の第何条ですか。
  400. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 第十八条第二項でございます。
  401. 村山喜一

    村山(喜)委員 内容は。
  402. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 十八条は、先ほども申しましたが、第一項の規定でいわゆる強制貯金というものを禁止しておりまして、そして第二項で「使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。」という第二項の規定によりまして行なわれておるものでございます。
  403. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、この条項についても、労働基準法という法律は労働者の基本的な権利を守らなければならないためにつくられた法律だと考えております。しかし、この前の山陽特殊鋼の倒産の例に見られたように、社員が社内預金として頼んだやつがもう焦げついて取れないような状態におちいった。近くは大谷重工が、もう会社が破産宣告をしなければならないような状態におちいっておる。それの関連倒産が相当な範囲に及ぶということで非常な心配をしておる段階にある。これから中小企業の中にも次から次に、もう一千万以上の負債を背負って倒れた件数が三月だけでも一千件をこえておる。そういうような形の中で、安全性という問題についてはほとんど考慮が払われない。なけなしの金が全く煙となって消えてしまう、こういう場合すら出てくるわけですよ。そのときに預金者保護という立場から考えましても、一体労働者はこれに対して賛成をしておるのですか。この中央労働基準審議会の会合において賛成してないでしょう。日経連の諸君だけが賛成しておるのでしょう。労働組合側の代表は反対しておるじゃありませんか。それを続けなければならない。なお、財産づくりだと称してそういうようないわゆる住宅資金の積み立て預金については九分八厘というような高利でつっていく、そういうような政策をとらしておるというところに問題がある。水田大蔵大臣、いかがでございますか。
  404. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 結局、現状を認めておるというだけのことでいろいろの法律ができておると思うのですが、本来なら、やはりこういうことは私は禁じたほうがいいというふうに考えております。
  405. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような方向で、大蔵大臣は閣僚で国務大臣ですから、閣議でこの問題については十分にひとつ検討を願いたいと思うのです。これから先企業倒産をしないという保障はないのですから、次から次に倒産をしておる状態の中において、労働者が不測の損害を受けるようなことは、これはどんなことがあっても防いでいかなければなりません。また、金融政策の中において一部の国民だけに、一部の労働者だけにそういうような巨額な恩恵を与えるようなやり方、しかもそれは企業の必要性に応じてそういうようなことをやらせておる。労働者は反対をしておるのにそれをやらせるということは間違いだと思うのです。そういうような点は、労働省においては労働者の問題よりも使用者の問題を考えるのだったら、労働省ではなくて使用者省です。名前を変えなければならぬ。  時間があと十分しかありませんから詰めていきます。大蔵大臣が望ましくないとおっしゃったんだから検討していただけると思う。  先ほど竹本委員のほうからも触れられたわけでございますが、いわゆる貸倒準備金が三十九年の四月以降においては評価制の引き当て金に変わってきた。そこでこれは洗いがえをする形でいま積み立てが行なわれておるわけですが、統一経理基準では貸し出し額の千分の十五という現在の税法上の無税の分を十八ということで指導をされて、有税の引き当て金を千分の三程度はこれを置くように指導をされておるということでございます。そういうふうに努力をするようにされているわけですが、一体今日金融機関が焦げつき債権としてかかえているものをどのようにして処理しているのかという実態を調べてまいりますると、明らかにこれは欠損を生ずる見込みがあるにもかかわらず、月に千円くらいずつ借りたお金の金利を払う、こういうような形のものについては、それを欠損金として認めない、銀行局としてはこういうような指導をしておいでになる、こういうようにお伺いをしておるのですが、今日各金融機関ごとに焦げつき債権を、これはもう完全に回収はできないものとして、金融機関にそれを取りくずすといいますか、その点については損金勘定として落とすことを認められる、その金額はどのくらいになりますか。機関別でいいです。
  406. 澄田智

    澄田政府委員 四十二年の九月期で貸し倒れ金の償却状況で申しますと、全国銀行で六十四億ばかりの償却を行なっております。都市銀行は四十六億というふうな数字になっております。
  407. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が尋ねておるのは、全国銀行を尋ねておるんじゃありません。各金融機関ごとにお尋ねしておる。相互銀行信用金庫、どれだけ認めておるかということです。
  408. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま都市銀行だけを申し上げましたが、地方銀行が十五億、それから相互銀行が十八億、信用金庫が十五億というような数字になっております。
  409. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまおっしゃった数字は四十一年下期ですね。
  410. 澄田智

    澄田政府委員 四十二年の九月、上期でございます。
  411. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねいたします。いわゆる潜在的な焦げつき債権というものは、どういうような額に及ぶと推定をされますか。
  412. 澄田智

    澄田政府委員 潜在的と申しますと非常につかまえにくいものでございますが、現在金融検査に際しましてそれぞれ債権を分類いたしております。そういう分類によって債権をそれぞれ内容を洗いまして、そのうちでもって最も焦げつきの度の激しいものを償却させるということで、第四分類というようなものは全額償却、第三分類というものも償却をさせる、こういうようなことをやっていっておりますが、金額はちょっと推定することが困難でございます。
  413. 村山喜一

    村山(喜)委員 四分類に入ったものは欠損見込みとして全額償却ができる。しかし、三分類の場合はどの程度認めるのですか。
  414. 澄田智

    澄田政府委員 三分類はまだ欠損見込みが確定をしていない、欠損が生ずることは確実であるがまだ額を確定できないという場合でございますが、担保の状況等によって額を確定できるような場合には償却を認める場合もあります。
  415. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで三分類と四分類と、欠損が生ずる見込みのものから担保物件を取っているものは除いて、三分類、四分類に属するものが大体焦げつき債権の中で七五%ぐらいだ、焦げつき額の七五%程度に及ぶであろうというふうに、われわれは相互銀行のほうからは聞いております。一体どれくらいの焦げつきがあるのかということを聞いてみたら、大体七十二行あるうち推計総額が一千億近いものがあるのではないか、こういうような話であります。一体こういうような状態の中でほかの金融機関はどうであろうか、同じようなことがいえるのではないかと思う。最近のように倒産件数が非常に多い。しかも私のところの場合などは、でん粉工場の場合等、いわゆる営造物としては残っておる。しかしもう資本力も運転資金も何もない、そういうようなところが遊休化した施設を持っている、遊休化した固定資産を持っているがゆえに破産の宣告ができない、この資産を入札に付しましても競売に応ずる人がいない。こういうようなことで焦げつき分はどうにもこうにも処理ができないということで弱り果てている地方銀行なりあるいは相互銀行なり、そういうようなものが存在をしているのですよ。そういうようなものもいろいろ考えてまいりますると、私はやはり潜在的なものは相当多いと見なければならない。それを見せかけは非常にいいように見えるけれども、一体そういうような状態の中にあって、自己資本比率といいますか、これが非常に低いという状態の中で、この自己資本比率というものをとってみますと、これは四十二年三月の数字、先ほど言っていられたのですが、都銀で五・八七%、地銀が七・三八%、信用金庫が六%、相互銀行が幾らかわかりませんが、大体五、六%のものだろうと思う。そういうふうに非常に自己資本比率というものが低いというのが日本の金融機関の実態である。とするならば、これに対してあなた方としてはどういうような指導をなさるか。最悪の場合には預金者に支払えないような状態が出る。そのときに、今日までは日銀の応援やその他で切り抜けてきたでしょう、あるいは協調融資で切り抜けてきたかもしれません。しかし、そういうような事態に立ち至らないような、いわゆる企業の健全性というものを指導していくためにどうしたらいいとお考えになっているのか、やはりそれの目標というものを設定されていらっしゃるだろうと思いますから、それの長期的な計画がおありであればこの際お示しを願いたい。
  416. 澄田智

    澄田政府委員 自己資本比率が総体的に低いということはお示しのとおりでございますが、自己資本の目標といたしましては、一応ただいま普通銀行等の場合においては一〇%というものを目標にいたしておりますが、過去は量を拡大する、資金量拡大ということに追われまして、自己資本比率が不十分であるという状態でございました。戦前等を見ますれば、やはり一〇%をこしておったというような状況でございます。そういうような状況から見まして、今後金融機関の健全経営、内部蓄積等々につとめまして、自己資本比率を上げていくということは、やはり金融機関の指導の一つの重要な点であろう、かように存じます。
  417. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がありませんのでこれでやめますが、最後に澄田さん、あなたのほうから説明をお聞きしたいのは、相互銀行が七十二行ありますね。その中で最低資本金の基準に達しない資本金不足のものが十一行ですか、それの達成までいわゆる暫定的な措置をとっていくわけですが、信用金庫の場合には、五百二十四行のうちそういうような基準に達しないものはどの程度で、そうしてこれは信用組合もそうでございますが、そういうようなものについて法律施行によってそれの達成が困難視されるところはございませんか。事実上暫定的な移行措置を講じていく中で円滑にそれが推移していくという確信をお持ちであるかどうか、最後にお尋ねしておきたい。
  418. 澄田智

    澄田政府委員 相互銀行はおっしゃるとおりでございます。信用金庫については、現在において達していないところが百六十三金庫でございます。数は相当多いわけでございますが、ただ、これは現在で見ますとこういう状況でございますが、あとわずかで達するというものも相当ございます。三年間の経過期間内において、大多数の場合においては増資その他の努力によって資本金あるいは出資金をふやすことによってこの目的を達成し得る、かように確信をいたしております。なお、増資によらず合併等の方法によって最低基準に達する、こういうものも中にはあろうかと存じます。
  419. 村山喜一

    村山(喜)委員 信用組合は。
  420. 澄田智

    澄田政府委員 信用組合は五十九でございます。
  421. 村山喜一

    村山(喜)委員 一番問題になるのは信用金庫の五百二十四の中で四分の一以上の百六十三行が現在その条件を満たしていないという、これにはよほどの努力が必要である。やはり今日の日本の金融機関というものを考えてまいりますならば、預金者に対するところの安心感を与えないような存在のものもある。そして一人当たりの預金量が少ないがゆえに非常に企業的に見て安定性を欠いているものがある。したがって、高いコストの資金企業融資をしなければならない、こういうような条件下にあるものが相当あります。そういうようなものについては、やはり産業間の資金あるいは国民生活に必要な資金供給するという体制を確立をしていかなければならない。それが一方的に労働者にしわ寄せをされるようなことがあってはならないと思うのです。そういう立場からこれらの点については慎重な配慮のもとに対処願いたいということを要望申し上げて終わります。(拍手)
  422. 田村元

    ○田村委員長 これには両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  423. 田村元

    ○田村委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  通告がありますので、順次これを許します。大村襄治君。
  424. 大村襄治

    ○大村委員 ただいま議題となりました二法律案に対しまして、私は、自由民主党を代表して賛成の意見を表明せんとするものであります。  ただいま上程せられております金融関係法律案は、金融制度調査会が昨年十月行なった「中小企業金融制度のあり方について」の答申に基づき、中小企業金融円滑化、効率化をはかり、あわせて各金融機関が、より広い範囲で適正な競争を行なうことができるような環境を整備するために提案されたものであります。  まず、中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案について申し上げますと、最近における中小企業の変貌と中小企業金融機関の発展が著しかったために、十数年前に制定された現行制度と実情との乖離がはなはだしく、制度面のみならず運営面でも種々問題のあったことは御承知のとおりであります。  今回の改正によりまして、これら中小企業金融機関それぞれの業務の態様に差異を認めながら、中小企業金融専門機関としての性格が明確とされ、それらの最低資本の額または出資の額、会員一人当たりの最低出資額、あるいは融資対象融資限度額が、実情に即した適正なものに収められ、また、たとえば、信用金庫の総代選任方法について改善が加えられたり、会員からの異議申し立ての道が開かれる等、経営の民主化のためにも大いに役立つものと思われるものであります。  次に、金融機関合併及び転換に関する法律案について申し上げますると、この法案は金融機関相互間に適正な競争原理を導入し、金融の効率化をはかるために、異種の金融機関相互間の合併及び転換について、その道を開いておこうとするものであります。すなわち、相互銀行信用金庫及び信用組合が中心となって引き続き中小企業金融を行なうことは従来と全く変わりありませんが、これら異種の金融機関の間においても、業務提携や合併転換等を必要とすることもあり得るので、これを円滑に行なえるような環境をあらかじめ整備しておくことは、きわめて適切妥当な措置であると思うのであります。  以上、申し上げました理由によりまして、私は両案に対して賛意を表明し、賛成の討論を終わります。(拍手)
  425. 田村元

    ○田村委員長 広沢賢一君。
  426. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私は、日本社会党を代表しまして、両案に対する討論を行ないます。  今回の中小企業金融再編成は、本来、金融機関の同質化による混乱を是正して、中小企業に対し、安定的に資金供給するための専門機関が必要であること、その際地域性が強く、中小企業の経営内容を熟知して、きめのこまかい金融を行なうことができる相銀、信金、信用組合のそれぞれの特色を明らかにして、今日の経済実態に即応して事業分野を確立することにあるわけであります。このことについてはわが党も前から指摘してきたことでありますから、中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫等の一部を改正する法律案に対しては、基本的に賛成するものであります。  ところが、もう一つ金融機関合併及び転換に関する法律案では、以上の根本的な趣旨とはなはだしく矛盾し、ときには反対の性格を持つものすらあるのであります。  第一、合併の道を開くことは、各般の金融機関が一斉に普通銀行を最終ゴールとして、同質化していくことにかえって拍車をかけられることになります。その上で、いわゆる共通の土俵で適正な競争をさせることになれば、ますます地域を同じくする同質の過当競争となり、金融機関同士の預金の奪い合い競争をむしろ激化し、その結果預金コストの引き下げにはならず、むしろ、引き上げ要因をはらみ、そして大は小に勝ち、弱肉強食となることは資本主義経済の法則であります。その結果、各種金融機関は同種または異種の大規模なものに吸収されて、やがては中小専門金融機関が縮小していく方向をとるおそれがあります。  第二、日銀考査局の課長ですら、たとえば相銀が形だけの普通銀行化を追うことは、大企業向けの融資比率や大口信用供与比率をいたずらに上昇させ、勢い中小企業との密着度の希薄化から、中小企業金融専門機関としての特質をみずから放棄することにもなりかねないという心配の念を表明しているように、中小企業、特に零細小企業に対する金融が置き忘れられ、切り捨てられていくおそれを多分に持っているのであります。  第三、合併転換によって、それに伴うのは、今日の大蔵省の銀行検査、経理指導でも明らかなように、安い利子、 コスト引き下げのしわ寄せが、ただ一方的に、不当労働行為による従業員の人員整理、労働条件の引き下げにのみ求められることが心配されます。先日指摘しましたように、諸外国に比較して、人件費率については、中小金融機関ばかりが高いとはいえないのでありますが、将来さらに電子計算機の導入など、再編成、合理化が進められることが予想されるとき、正常な労使関係の確立、合理化の展望と事前協議等が明らかにされない中で、ただ合併転換のみが先走ることには反対であります。  第四、いま世界、イギリス、フランスでも、日本でも、資本自由化その他による大きな経済転換期に直面し、金融再編成を重要な課題としています。特に、日本では、間接金融によるオーバーローン方式で、企業体質の悪化、重過ぎる金利負担を招き、その反面、銀行割り当て方式による国債発行の売れ行き不振、発行条件の改定と金利体系の混乱、証券市場の不振、さらに金融債の行き詰まりによる長期信用銀行の前途不安定、さらにまた、直接金融方式を取り入れた場合の金融引き締めのあり方等、いわゆるポリシーミックスを含めて、根本的に再検討をしなければならない段階にあります。  特に、大企業中小企業、勤労大衆等の階層別の観点から見るとき、都市銀行をはじめ、信託、保険に至るまで、諸外国に比べて異常なまでに高い率の国民の貯蓄を銀行等が吸収し、これを独占的大企業の高度成長に回している一方、他方、中小企業においては、中小企業が国民経済の中で、その付加価値や生産高、輸出高とも全体の半分を占め、従業員では七〇%を占める重要性を持ち、しかも、人手不足と資本自由化特恵関税はさみ打ちされ、物価安定対策のためにも、その構造近代化のために低利長期資金を大量に必要としているときです。その資金需要を満たすためには、開銀、輸銀、長期信用と中小金融政府三機関、農漁業金融機関、さらに信用補完制度など、これらが全般的に再検討されて、その上で、その一環として中小企業金融再編成を考えなければ、この弱肉強食の資本主義経済法則下で、真に中小企業金融充実を考えたものとはなり得ないと思うのであります。したがって、今後、一般及び政府金融機関再編成を行なう際、以上のような根本的課題を十分に組み入れなければなりませんが、そうした意味において、本委員会が慎重審議の結果、相銀法、信金法等の一部改正及び合併転換に関する法案について、それぞれ附帯決議を採択する予定であると聞きますが、今後、行政執行にあたっては、この附帯決議が厳格に誠意をもって守られることを強く要望して、反対討論を終わるものであります。(拍手)
  427. 田村元

    ○田村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  428. 田村元

    ○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  429. 田村元

    ○田村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党を代表し、金子一平君外三十八名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者の趣旨の説明を求めます。金子一平君。
  430. 金子一平

    ○金子(一)委員 ただいま議題となりました中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明いたします。  附帯決議の案文は、お手元に配付してありますので、便宜朗読を省略させていただきます。  御承知のとおり、この法案は、金融制度調査会において、特別委員会を設け、一年有余にわたり慎重に検討いたした結果の答申に基づいて提案になったものでありまして、中小企業金融機関の再編成に関する画期的な法案であります。したがいまして、この法案が成立した暁において、いかに運用されるか、また、はたして所期のとおり中小企業金融円滑化がはかられるかにつきましては、私どもも、大きな関心を払わざるを得ないのでありまして、ここに附帯決議を付すべしとの動議を提出するに至ったゆえんのものも、ひとえに、かかる配慮にいずるものにほかならないのであります。  次に、附帯決議案の内容について申し上げます。  第一に、今回行なわれんとする中小企業金融制度整備改善の目的は、すなわち、相互銀行信用金庫及び信用協同組合を真に中小企業金融機関として定着させることにあることにかんがみ、政府は、これらの金融機関が、これを契機として、ますます本来の中小企業金融に徹して、借り入れ側、中小企業の必要とする低利にして豊富な資金供給するよう、さらに指導すべきであります。同時に、中小企業は、概して物的担保力、信用力に乏しく、資金調達が困難な場合が多い実情に徴し、この際、信用補完制度については、一そうその拡充強化をはかるほか、今後とも政府関係公庫の資金ワクの拡大につとめ、さらに、一般的に利子の引き下げその他融資条件の改善等を通じて、中小企業者に対して、より有効にして確実な効果をあげるよう必要な措置をとるべきことを政府に対し要望するものであります。  第二に、中小企業金融機関の指導と育成にあたっては、金融の効率化もさることながら、競争原理の導入を急ぐあまり、規模の小さい金融機関の営業分野が不当に侵されることのないよう、政府は、適切な配慮をするとともに、政府関係機関の代理業務の範囲の拡大をはかり、中小企業金融機関の経営の安定に資するよう要望するものであります。  第三に、預金者保護に徹することは、金融機関の使命とするところでありますが、競争原理の導入とともに、その重要性はますます高まってまいりますので、政府は、たとえば、預金保険制度について、これが検討に着手されるよう要望せんとするものであります。  以上が、附帯決議案の趣旨及び内容でありますが、何とぞ満場一致の御賛成あらんことを希望いたします。     ――――――――――――― 〔参照〕 中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) (一) 中小企業金融制度整備改善に伴い、これらの金融機関が本来の中小企業金融に徹して、借入れ側中小企業の必要とする低利にして豊富な資金供給するようさらに指導すべきである。これとあわせて、信用保証の拡充、政府関係公庫資金枠の拡大、利子の引下げその他融資条件の改善等を通じて、中小企業者に対しより有効にして確実な効果をあげるよう必要な措置を行なうべきである。 (二)中小企業金融専門機関の指導と育成にあたっては、次の事項につき充分配慮すべきである。 イ、競争原理の導入を急ぐ余り、規模の小さい専門機関の営業分野が不当に侵されないように配慮すること。 ロ、代理業務の範囲の拡大をはかり経営の安定に資すること。 (三)貯金者保護の措置を構ずべきである。 ―――――――――――――
  431. 田村元

    ○田村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  432. 田村元

    ○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められております。これを許します。大蔵大臣水田三宮男君。
  433. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ただいま御決議になりました中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  434. 田村元

    ○田村委員長 次に、金融機関合併及び転換に関する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  435. 田村元

    ○田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  436. 田村元

    ○田村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党、民主社会党、公明党を代表し、金子一平君外二十六名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者の趣旨の説明を求めます。金子一平君。
  437. 金子一平

    ○金子(一)委員 ただいま議題となりました金融機関合併及び転換に関する法律案に対する附帯決議案について、提出者を代表してその趣旨を御説明いたします。  附帯決議の案文はお手元に配付しておりますので、便宜朗読を省略さしていただきます。  金融機関合併及び転換は、本来、それぞれの金融機関の当事者が自主的に決定すべきものであることは言うまでもないところであります。しかしながら、合併及び転換に際して、人員整理、労働条件の引き下げ、差別待遇等のごときことが行なわれてはならないのでありし旨して、この点につきましては、労使間において自主的に決定せしめるよう、政府は、配慮すべきものであります。また、合併及び転換により、中小金融機関にもっぱら依存していた中小零細企業者が、不利益をこうむる結果を招来するようなことがあってはならないことも当然でありまして、この点、政府が特に配慮すべきことを要望するものであります。  以上がこの附帯決議案の趣旨でありますが、何とぞ大力の御賛同あらんことを希望いたします。     ―――――――――――――   〔参照〕    金融機関合併及び転換に関する法律案に対する附帯決議(案)   本法の推進にあたり、特に人員整理、労働条件の引下げ、差別待遇等を行なうことのないように、労使間において自主的に決定せしめるとともに合併及び転換に際して、中小金融機関に専ら依存していた中小零細企業者が、不利益をこうむる結果を招来しないよう特に配慮すべきである。     ―――――――――――――
  438. 田村元

    ○田村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  439. 田村元

    ○田村委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣水田三喜男君。
  440. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ただいま御決議になりました金融機関合併及び転換に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  441. 田村元

    ○田村委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  442. 田村元

    ○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  443. 田村元

    ○田村委員長 次回は、明後十九日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十二分散会