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1968-04-12 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大村 襄治君    奥野 誠亮君       鯨岡 兵輔君    河野 洋平君       小山 省二君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    砂田 重民君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       古屋  享君    坊  秀男君       村上信二郎君    村山 達雄君       山下 元利君    吉田 重延君       阿部 助哉君    井手 以誠君       河野  正君    神門至馬夫君       佐藤觀次郎君    平林  剛君       広沢 賢一君    武藤 山治君       八木 一男君    山本 政弘君       米田 東吾君    岡沢 完治君       河村  勝君    大橋 敏雄君       田中 昭二君    広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         厚 生 大 臣 園田  直君         労 働 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         厚生省医務局長 若松 栄一君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         大蔵省主計局法         規課長     小田村四郎君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 四月十二日  委員佐藤觀次郎君、野口忠夫君、平岡忠次郎君、  平林剛君及び田中昭二辞任につき、その補欠  として山本政弘君、八木一男君、河野正君、米  田東吾君及び大橋敏雄君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員河野正君、八木一男君、山本政弘君及び米  田東吾辞任につき、その補欠として平岡忠次  郎君、野口忠夫君、佐藤觀次郎君及び平林剛君  が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十日  国立医療機関特別会計制反対に関する請願外  五件(淡谷悠藏紹介)(第三六九四号)  同(井手以誠君紹介)(第三六九五号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三六九六号)  同(板川正吾紹介)(第三六九七号)  同(岡本隆一紹介)(第三六九八号)  同(川上貫一紹介)(第三六九九号)  同外一件(河野正紹介)(第三七〇〇号)  同外一件(木原津與志君紹介)(第三七〇一号)  同(栗林三郎紹介)(第三七〇二号)  同(河野密紹介)(第三七〇三号)  同(神門至馬夫君紹介)(第三七〇四号)  同(佐々木更三君紹介)(第三七〇五号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第三七〇六号)  同外四件(佐野進紹介)(第三七〇七号)  同外二件(阪上安太郎紹介)(第三七〇八号)  同(實川清之紹介)(第三七〇九号)  同(柴田健治紹介)(第三七一〇号)  同(田代文久紹介)(第三七一一号)  同(田中武夫紹介)(第三七一二号)  同(谷口善太郎紹介)(第三七一三号)  同(中嶋英夫紹介)(第三七一四号)  同外八件(楢崎弥之助紹介)(第三七一五号)  同(西風勲紹介)(第三七一六号)  同(林百郎君紹介)(第三七一七号)  同外十一件(平等文成紹介)(第三七一八号)  同外四件(古川喜一紹介)(第三七一九号)  同外七件(帆足計紹介)(第三七二〇号)  同外一件(細谷治嘉紹介)(第三七二一号)  同(森本靖君紹介)(第三七二二号)  同(八百板正紹介)(第三七二三号)  同外四件(八木一男紹介)(第三七二四号)  同外二件(八木昇紹介)(第三七二五号)  同外二件(山本弥之助紹介)(第三七二六号)  同(依田圭五君紹介)(第三七二七号)  同(田代文久紹介)(第三七六八号)  同外二件(八木昇紹介)(第三七六九号)  同(井岡大治紹介)(第三七七六号)  同外四件(井上泉紹介)(第三七七七号)  同(井上普方紹介)(第三七七八号)  同外三件(伊賀定盛紹介)(第三七七九号)  同(石川次夫紹介)(第三七八〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三七八一号)  同外五件(稻村隆一君紹介)(第三七八二号)  同外十二件(枝村要作紹介)(第三七八三号)  同外一件(小川三男紹介)(第三七八四号)  同外九件(大柴滋夫紹介)(第三七八五号)  同(加藤万吉紹介)(第三七八六号)  同外四件(川崎寛治紹介)(第三七八七号)  同外一件(河上民雄紹介)(第三七八八号)  同外六件(河野正紹介)(第三七八九号)  同外一件(木原津與志君紹介)(第三七九〇号)  同外十七件(北山愛郎紹介)(第三七九一号)  同(黒田寿男紹介)(第三七九二号)  同外十件(小松幹紹介)(第三七九三号)  同外三件(後藤俊男紹介)(第三七九四号)  同(神門至馬夫君紹介)(第三七九五号)  同(佐々栄三郎紹介)(第三七九六号)  同外二件(佐藤觀次郎紹介)(第三七九七号)  同外四件(佐野憲治紹介)(第三七九八号)  同(柴田健治紹介)(第三七九九号)  同(田中武夫紹介)(第三八〇〇号)  同(田原春次紹介)(第三八〇一号)  同(内藤良平紹介)(第三八〇二号)  同外二件(中井德次郎紹介)(第三八〇三号)  同(中澤茂一紹介)(第三八〇四号)  同(中嶋英夫紹介)(第三八〇五号)  同外八件(中谷鉄也紹介)(第三八〇六号)  同(中村重光紹介)(第三八〇七号)  同外四件(楢崎弥之助紹介)(第三八〇八号)  同(成田知巳紹介)(第三八〇九号)  同外一件(西宮弘紹介)(第三八一〇号)  同外一件(浜田光人紹介)(第三八一一号)  同外六件(原茂紹介)(第三八一二号)  同外三件(平林剛紹介)(第三八一三号)  同(細谷治嘉紹介)(第三八一四号)  同外一件(堀昌雄紹介)(第三八一五号)  同外一件(松前重義紹介)(第三八一六号)  同外十件(三宅正一紹介)(第三八一七号)  同外一件(村山喜一紹介)(第三八一八号)  同外一件(森義視紹介)(第三八一九号)  同外一件(森本靖君紹介)(第三八二〇号)  同外一件(柳田秀一紹介)(第三八二一号)  同外三件(米内山義一郎紹介)(第三八二二号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三八五七号)  同外一件(井上普方紹介)(第三八五八号)  同(石野久男紹介)(第三八五九号)  同外五件(稻村隆一君紹介)(第三八六〇号)  同(江田三郎紹介)(第三八六一号)  同外八件(川上貫一紹介)(第三八六二号)  同外一件(黒田寿男紹介)(第三八六三号)  同(佐々栄三郎紹介)(第三八六四号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第三八六五号)  同外六件(島本虎三紹介)(第三八六六号)  同外四件(田代文久紹介)(第三八六七号)  同外一件(武部文紹介)(第三八六八号)  同(谷口善太郎紹介)(第三八六九号)  同外二件(中村重光紹介)(第三八七〇号)  同外三件(楢崎弥之助紹介)(第三八七一号)  同(浜田光人紹介)(第三八七二号)  同(林百郎君紹介)(第三八七三号)  同(福岡義登紹介)(第三八七四号)  同外一件(古川喜一紹介)(第三八七五号)  同外四件(松本善明紹介)(第三八七六号)  同(村山喜一紹介)(第三八七七号)  同外一件(森義視紹介)(第三八七八号)  同(森本靖君紹介)(第三八七九号)  同外五件(山田耻目君紹介)(第三八八〇号)  同(米田東吾紹介)(第三八八一号)  同外十一件(横山利秋紹介)(第三八八二号)  野菜果実類小売業等に対する国民金融公庫の特  別融資に関する請願外四件(鈴木一紹介)(第  三八九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四号)      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。河村勝君。
  3. 河村勝

    河村委員 本論に入る前に、厚生省に一つお伺いをしておきます。  一昨日、四月十日の朝日新聞の夕刊に、たいへんショッキングな記事が出ているわけです。中身が、責任者の実名まであげて書いてありますので、それが事実ならば非常に重大であって、追及しなければならないし、もし事実でなければ、公の場で弁明の機会を与えるという意味がありますから、そういう意味で、事実の有無を答弁していただきたい。  大体お読みになっただろうと思いますが、さわりのところだけちょっと言いますけれども、問題は東京のことで、ある女の人が肺結核でなくなった。そのなくなった場所が民間の貧しい療養所であって、国立療養所に入りたいと最後まで願っておったけれども、結局入れてくれなかった、それで死んでしまったということなんですけれども、そこで、それに対して国立療養所東京病院植村敏彦という診療部長ことばだということで書いてあるのがあって、「どんな薬もきかない、いわばもう見込みのない患者でも、ここに入れば五年も十年も生きてベッドをふさぎますからね。それでは〃見込みのある人〃がはいれなくなるし、医者だって逃げ出します」、だから重症者は、大体あっても入れないのだ、病床は二割くらい余っておるけれども、それは軽症者病床であって、重症者は入れてやらない、そういう意味のことが書いてあるんですね。もしこういうことが事実あるとすればたいへんなことだと思うので、その点について厚生省実情どうなっておるかを説明してください。
  4. 若松栄一

    若松政府委員 朝日新聞に載りました植村内科医長ことばとして、ただいまのお話のように非常に不穏当な記事が載っております。これに対して植村氏の真意は、自宅療養者あるいは入院によって新しい治療の可能になる人たち、あるいはすでに療養所に入っている人たちに優先して入院さしているという趣旨を述べたことであって、要するに、現在東京療養所におきましては、入所希望者が相当たくさんございますので、それに対して慣例的に入所順位というものを大体予想しております。その際に、在宅感染性患者、したがって家族に感染のおそれのある、そういう在宅感染性患者は第一順位、それから家庭では治療ができないけれども手術等によって非常に効果の期待できるという患者が第二優先患者ということにいたしておりまして、他の病院におります患者転院を希望するという患者は、優先順位としてはあとというふうな扱いをしておる。  今度のこの例に書かれました患者は、すでに他の病院に入院しておりまして、しかもかなりの重症でございます。そしていま動かすことは、ことに冬季の時期に転院をするために動かす、こういうようなことをしますと、途中で喀血その他の事故も考えられる、そういう意味でお断わりしたのだ、そういう趣旨であったと申しております。したがって、新聞に載りましたような趣旨ではない。いろいろ話がたくさんあったことと思いますが、それをいろいろ継ぎはぎであのような記事になったかと思いますが、趣旨としては全くそうではないということを言っております。
  5. 河村勝

    河村委員 いまのような説明をしたのなら、そう幾ら筆を曲げてもこれほどに書けるわけはないので、何かこう火のないところに煙は立たないじゃないけれども、それに近いようなことを言ったのじゃないですか。あまりいまの返事ではきれいごと過ぎちゃって、話がまるっきり正反対ですからね。この辺よく本人に確かめてみたのですか。
  6. 若松栄一

    若松政府委員 これは本人に確かめてございます。おそらく全く捏造ということは考えられません。おそらく、重症患者でもほんとうになおる見込みのない患者もいるのだというような表現はあったものと想像いたします。しかし、今度の例にのぼりました患者については、そのような事情であったのだということを申しております。
  7. 河村勝

    河村委員 それじゃこの点はほんとうなんですか。現在二割近くのあきベッドがある。けれども、それは軽症患者しか入れないで、重症患者はあいておっても入れることができないのだということは事実ですか。
  8. 若松栄一

    若松政府委員 現在の国立東京療養所といいますのは、昔の東京療養所とそれから清瀬病院と二つの施設を合併したものでございまして、総体としては、実は非常に広い土地に千六百床分の収容能力があったのでございます。しかし、それは昔のいわゆる大気安静療法といわれた時代大気小屋、きれいな空気を吸わせるという意味大気小屋というような、全くバラック小屋等も相当ございます。   〔委員長退席渡辺(美)委員長代理着席〕 木造の相当ひどく荒廃したものもたくさんございます。したがって、建物としてはそういうバラックも含めまして千六百床ございますけれども、これは近代的な医療を行なうための医療機関としては、千床程度にしたいというふうに考えております。したがって、現実には積極的に使う予定のない相当荒廃した建物も相当ございます。そういう意味であいているベッドは相当あるということ、そして軽症関係部屋では、二割程度あいているということも事実でございます。しかし、病棟にはそれぞれ病棟区分がございまして、いわゆる作業療法といわれるような、軽症者で作業しながら社会復帰を持っているようなごく軽症の者、あるいは中等症の者、重症部屋というぐあいにそれぞれ区分して看護単位等もきめてございますので、重症者には確かに一ぱいで入れないという例があった。しかも、軽症病棟はあいているという場合があるわけでございます。
  9. 河村勝

    河村委員 わかりました。それでは本論に入ります。  国立病院特別会計になったのは昭和二十四年ですね。そのときの法案が審議された大蔵厚生連合審査委員会、そこで、当時の厚生省から出ていた政府委員がこういう答弁をしておるんですね。国立療養所の中にはらい結核があるが、らい全額無償であって、結核昭和二十三年度の支出に対して収入は四五%くらい、これらはいずれも収入目的とするよりも、本質的には疾病の予防を国の施策で行なうもので、また、財政的にもこのような大きな一般会計繰り入れをしなくてはならないものは特別会計に適しないというのが厚生省考えである、この委員会答弁としてそういうことが載っておるわけですね。現在、国からの収入は四五%程度だろうと思うのですけれども一体、この答弁と現在、国立療養所特別会計にしようという主張とは非常に矛盾するようだが、どういうことなんですか。
  10. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院特別会計移行の時期は昭和二十四年でございまして、ほぼ二十年近くの時日を経過しております。その当時におきましては、まだ日本における結核が非常に蔓延をいたしておりまして、結核対策というものが、国の重要施策の中でも相当大きな施策でございまして、結核撲滅のためにあらゆる能力を動員してやるという体制にございました。しかも、当時はまだ医療保障あるいは所得保障の面でも整備ができておりません。したがって、結核患者に対していろいろな角度から、その保障を強化していくという体制にあったわけでございます。したがって、割引その他をして費用を軽減しながら療養させるという施策がとられておりましたし、医療機関それ自体も非常に不足しておりまして、国があらゆる努力をしてやっていかなければならぬという状況でございましたために、採算とかなんとかいうことを全く考えないどころか、とにかく結核一筋という考え方でやってまいったわけであります。そういう時代でございますので、現在の結核予防法保障であるとか、生活保護法保障であるとかというようなものもひっかぶって結核対策をやっておった時代でございますので、そういう時代においては、とうてい特別会計というような考え方考えもしなかった時代でございますが、最近におきましてはそのような医療保障も、生活保護による医療保障あるいは結核予防法による医療保障等が充実してまいりましたし、また、社会保険も皆保険という段階になってまいりましたので、そういう意味からも結核医療機関として、本来の姿で医療機関としての使命を全うするという意味からも、情勢が非常に変わってきておるということは申し上げていいかと思っております。
  11. 河村勝

    河村委員 四十二年度予算で、療養所予算の中で一般会計からの繰り入れ分は何%あります。現在一般会計から繰り入れはおかしいけれども、国の支出
  12. 船後正道

    ○船後政府委員 四十二年度の国立療養所予算につきまして、これを四十三年度と同じように特会ベースに振りかえて試算をするわけであります。そうしますと、当初ベース歳出総額が三百四十一億でございます。これに対しまして療養所自己収入と目されるものが百五十九億、差し引き百八十二億が一般会計繰り入れに相当する額でございます。その率は五三・四%でございます。
  13. 河村勝

    河村委員 そうすると、昭和二十四年度には四五%くらい国から出してもらっている。四五%も一般会計から繰り入れをしなければならないものは特別会計には適しないのだ、こう言っているのですね。いま四五%どころじゃなしに四十二年度でも五三%でしょう。その点はどう考えるのですか。
  14. 船後正道

    ○船後政府委員 二十四年当時と現在と、結核を中心とする公費医療の制度が大きく変わってきたという点につきましては、先ほど医務局長からお答えを申し上げたとおりでございます。いま特別会計にいたしました場合に、一般会計繰り入れ率がどの程度特別会計として妥当かどうかというようなことは、これはやはりそれぞれの対象に即しまして、実情に即して考えていかねばならぬと思うわけでございまして、その後できました特別会計の中には、国立学校特別会計のように、いわゆる一般会計繰り入れ率から考えますれば、国立療養所以上に一般財源に依存しなければならないというような会計もあるわけでございまして、特会経理する事業そのものが、特別会計として適当かどうかという点から判断すべきではないかと思います。
  15. 河村勝

    河村委員 特別会計にもいろいろの性格があります。単純な、経理を明確化するというか、計数整理上必要なもの、それから保険みたいなもの四種類らいに分かれると思うのですね。一体特別会計にする基準といいますか、そういうものは大きく分けてどういう原則で考えているのですか。
  16. 小田村四郎

    小田説明員 特別会計の設置につきましては、財政法の第十三条に規定してあるところでございまして、その規定によりますと、「国が特定事業を行う場合、特定資金を保有してその運用を行う場合その他特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、」特別会計を設置することができる、こういう規定になっております。それで特別会計を設置いたします場合、あるいはある経理特別会計で行なおうという場合におきましては、この規定に該当するかどうかということをまず考えるわけでございます。この規定に該当いたしまして、そうして一般会計と区分して経理することが、特定行政目的を達成するために適当であるというふうに認められます場合には、これを特別会計経理することにいたしたい、かように考えております。ただいま先生から御指摘ございましたように、特別会計分類につきましては、いろいろな分類のしかたがございます。その性質あるいはやり方、内容等から見まして各種の分類がございますけれども、一応私どもがただいま国立病院特別会計について考えておりますところは、これは国立学校特別会計と同様に、国の営造物を管理いたしますところの管理特別会計の一種である、かように考えておるわけであります。
  17. 河村勝

    河村委員 抽象的な基準は私はどうでもよろしいのですけれども、大体石炭特別会計とかあるいは食管とかああいう計数整理上のものと、それから保険関係、それはそれぞれの理由があると思うのですね。あとは治山治水とか港湾とか、それはおのおの建設をやるのですね。それ以外のものは大体事業経営目的にしたものが残るわけですが、それはほとんど郵便事業あるいは国有林野、造幣、印刷というように事業主体としたものは全部独立採算をたてまえとしておる。だから、私はそれがあくまでもたてまえで、そういう方針でいままでやってきておられるのだと思っておりましたが、いまのお話ですと、例外的に国立学校があるようですが、そうすると、こういう事業経営するものとは見ないで、営造物管理主体だ、そういう解釈でよろしいのですか。
  18. 小田村四郎

    小田説明員 病院経営あるいは学校経営、こういうものにつきましては、広い意味で申しますと、事業ということもいえるかと思います。しかし、私ども考えております分類といたしましては、事業特別会計といたしましては、いわゆる五現業、それから治水港湾と申しますような公共事業、そういう種類のものを事業特別会計というべきじゃないか。保険につきましても、保険事業というので事業ということもできますけれども、これは保険特別会計として、別の分類にしたほうがいいのではないかというふうに思います。  ただいま申し上げました管理特別会計という分類は、特定行政目的を遂行するために、物あるいは営造物を管理する会計というふうに考えておりまして、これも一応の分類でございますけれども、現在これに該当いたします会計として例を申し上げますと、貴金属を管理いたしますところの貴金属特別会計、あるいは外国為替を管理いたします外国為替資金特別会計、ただいま申し上げました国立学校国立病院、あへん、食糧管理自作農創設特別措置特別会計、それから糸価安定特別会計自動車検査登録特別会計、こういうような種類のものを一応物または営造物を管理する特別会計考えております。  御質問のございました独立採算制につきましては、それが不可欠の要素ということではございません。御指摘の五現業のような場合におきましては、当然独立採算制ということで経理いたしておりますけれども、こういう管理特別会計におきましては、それ自体で自収自弁できるものと、それから収支差額につきまして一般会計から繰り入れなければ経営の成り立たないものと、二種類あると思うわけでございます。
  19. 河村勝

    河村委員 そうなりますと、収支勘定というものが主体でなくなるというと、特別会計にするだけの意味が非常に薄れるわけですね。おまけに国立療養所の場合、国立病院の場合も同じですけれども経営主体というものがないのですね。ほんの一省の中の一部局あるいは一課で担当するぐらいの仕事になってしまって、その事業をまとめて管理するだけの機能を持たなくて、しかも収支採算というものは二の次、三の次ということになりますと、特別会計にする意味がほとんどないのですが、その点いかがですか。
  20. 小田村四郎

    小田説明員 御承知のとおり、現在国立病院特別会計経理いたしているわけでございます。それで国立療養所につきましても、これは結核、精神、脊髄といいますような特殊な療養を要する者を対象としておりますけれども医療法上はやはり病院でございまして、その点におきましては国立病院性格は同じでございます。したがいまして、そういう療養所経理を明確化するという点から申しますと、これを病院と同様に特別会計経理することがやはり適当であると思います。  なお、今回療養所特別会計に移行する理由といたしましては、提案の理由でも申し上げましたとおり、施設整備を急速に計画的に行なってまいりたいということで、借り入れ金の導入とか、不用土地の売り払い代金をこの財源に充当するとかいう措置をとりますとともに、いわゆる弾力条項の規定を置きまして、経営を円滑に行ないたいというようなことが直接の理由となっておるわけでございます。
  21. 河村勝

    河村委員 国立病院と実質的には差がないのだというお話でしたが、では伺いますが、収容している患者一人当たりの診療収入、それと患者一人当たりにかかる医療従事員の数、これはコストに該当するかと思いますけれども、そういうものを国立病院療養所と比較するとどういうことになるのですか。
  22. 小田村四郎

    小田説明員 その数字につきましては、厚生省のほうからお答え申し上げると思いますが、若干補足さしていただきますと、もちろんただいま御指摘のような点につきまして、国立療養所病院とは性格の差があるわけでございます。療養所は長期慢性疾患の入院患者主体としておりますし、病院につきましては外来患者が相当多いというような点で、収支面に相当な違いがございます。したがって一そのような意味で、特別会計経理はいたしますけれども、勘定は別にいたしまして区分して経理する、こういう措置をとっておるわけでございます。
  23. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院療養所における一人当たりの診療費は、入院で比べてみますと、四十一年で国立病院が千九百二十七円、療養所が九百八十二円。外来で見ますと、病院が九百八十六円、療養所が八百九十四円。それから最近の例といたしまして、四十三年一月で比較してみますと、入院で国立病院が二千二百七十円、国立療養所は一千百円。外来では、国立病院が一千百六十九円、国立療養所が一千十七円となっております。  なお、職員一人当たりの受け持ち患者数でございますが、四十二年度の実績で見ますと、国立病院では医師一人当たりについて患者が十三・九人、国立療養所におきましては医師一人当たりについて三十六・七人。看護婦について比べますと、国立病院におきましては看護婦一人当たりの受け持ちが三・七人、国立療養所におきましては五・五人という計算になっております。
  24. 河村勝

    河村委員 今後重症身障児を一万人以上収容していこうという計画のようですが、重症身障児の場合には、診療収入それから職員一人当たりの受け持ち患者数は一体どういうことになりますか。概数でけっこうです。
  25. 若松栄一

    若松政府委員 国立の療養所結核患者につきましては、看護婦が六人くらい受け持っておりますが、重症心身障害児の施設におきましては、大体四十人の収容者に対して二十七人くらいの職員を配置したいという構想であります。
  26. 河村勝

    河村委員 これで見ますと、国立病院の場合には診療収入は倍ですね。職員の受け持ち患者数は療養所のほうがよけい持てるようですけれども、しかし、だんだん心身障害児なんか入れてくることになりますと、収入関係からはこれは全然問題にならないですね。そういう意味から私は非常に疑問を持っているのです。  その点は一応おきまして、先ほど主計局のほうで、長期の整備計画をやるための借り入れ金それから弾力条項というものが、経理を明確化するという以外の特別会計の長所としてあげられたわけですね。そこで、借り入れ金制度が一体特別会計でなければならないかということなんですけれども、現に財政法の四条三項では、国立療養所の施設整備費というものは、国債発行対象経費に指定されているわけですね。ですから、別段療養所の借り入れ金によらなくたって、国債でまかなっても同じ効果があるのです。ですから、収支そのものに重点がないなら、借り入れ金を特別会計でやるか国債でまかなうかというのは何ら実質的な相違はないと思いますが、その点はいかがですか。
  27. 船後正道

    ○船後政府委員 一般会計におきましても、国債の発行によって借り入れ金と同種の財源が確保できるわけでございますけれども一般会計におきましては、これは一般財源ということになるわけでございまして、特定歳出に充てるために公債を発行するというかっこうにはならないわけでございます。それが特別会計になりますれば、療養所の整備という特殊なる目的のために計画を設定いたしまして、その計画に沿って借り入れ金を継続的、長期的にやっていくということが可能になるわけでございます。可能不可能という問題になりますれば、両者とも同じような機能になりますけれども特別会計のほうが、そういった機能がより円滑に働くといったように考えております。
  28. 河村勝

    河村委員 そうおっしゃいますが、来年度六十八億の施設整備費を組んでいますね。そのうち一般会計繰り入れ分が十一億ありますね。金には別段色がついていないから、これは国債から出したのではないのだと言えないことはないけれども、大体公共事業の中に占める国債の依存度というものは八〇%くらいなわけですから、この十一億だって国債から出したと見るほうが正しいわけです。そうなれば同じことじゃありませんか。特別会計には特別会計の使命があるというようなお話だったけれども、現に来年度だって公債から病院に出すわけでしょう。そうすればそれをふくらますだけのことじゃありませんか。いかがですか。
  29. 船後正道

    ○船後政府委員 一般会計におきましては、国債は公共事業費という大きな歳出に対する一般財源でございますので、理論的に申し上げれば、先生の御指摘のように案分比例といいまして、一般会計から繰り入れます約三十億程度の金でありますが、この中に公債財源部分もあるということになるわけでございますが、一般会計の公債発行額というものは、こういった特定の施設を整備するということとは直接にリンクされないで、そのときそのときの全体の経済情勢、財政事情その他を勘案して決定される性格でございます。これに対しまして特別会計の借り入れ金は、やはり特定の施設を整備するという具体的な目的に対して借り入れできるということで、大きな性格上の相違がある、かように考えております。
  30. 河村勝

    河村委員 ですけれども、借り入れ金でまかなう場合だって、やはり国として必要だと認めて借り入れをするわけでしょう。現に療養所の施設整備というのは、公債発行対象経費に予算総則で指定されておるわけでしょう。指定されておれば、借り入れ金であろうと公債であろうと、やることが必要だと認めた場合には、それは全部公債でまかなわなければならぬことはないけれども、当然公債を充当して差しつかえない理屈でしょう。その点はいかがなんですか。
  31. 船後正道

    ○船後政府委員 もちろん理論的には、一般会計から繰り入れられる療養所の施設費財源の中に、案分比例的に公債財源部分もあるという点につきましては、先生の御指摘されるとおりでございますが、ただ、実際問題といたしまして公債というものが、特定療養所を整備するため、特に国債を一般会計において発行するという具体的なる計画を背景にして国債を出しておるわけではございません。その点が特別会計になりますれば、特別会計の中におきまして、特定の施設を整備するという目的がはっきりしてくるわけでございます。その点に機能上の差があるということでございます。
  32. 河村勝

    河村委員 しかし、実際国債といい、借り入れ金といい、あるいは政保債といい、結局政府の意図のもとに債務をつくるわけですから、そういう意味じゃ、全体の金融のバランスからいえば、そうたいした違いはないですね。その点、私は少しその答弁はこじつけだと思います。  しかし、それはそれとして、いま一体国立病院の縛り入れ金、昭和二十四年度からずっと借り入れ金を累績しているわけですけれども、これの償還というものは、一体どういうふうにしてされるわけですか。
  33. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院におきましては、昭和三十八年度から施設整備のため借り入れ金を始めまして、四十三年度までに合計百四十五億円の借り入れ金をいたしました。この償還は、御承知のように五年据え置きまして二十年償還でございますので、四十三年度から初年度分の償還が始まりまして三千七百五十万円、さらに年々増加いたしますが、現在までの借り入れ金の償還計画は、ピーク時で七億二千五百万円の年額の償還になるわけでございます。
  34. 河村勝

    河村委員 たてまえとして、これは償還ないし利子両方ですね。これは双方ともに診療収入から償還をし利子を払っていく、そういうことになっているのですか。
  35. 若松栄一

    若松政府委員 利子につきましては、これは一般会計から繰り入れをしていただいております。元金だけを診療収入の増加分から支払いするという計画でございます。
  36. 河村勝

    河村委員 利子補給みたいなかっこうですから、それはいいでしょうが、償還は診療収入でおやりになる、こういうことですが、国立病院のほうは収入の伸びもかなりあるから、だから診療収入から償還するのは可能だろうと思うが療養の場合に、今後そう結核のほうの収入があまり望まれない。身障児の場合だったら、これはもうほとんどもうかる可能性ゼロ、マイナスですね。これで一体診療収入から借り入れ金の償還ができるのですか。
  37. 若松栄一

    若松政府委員 御心配の点もっともだと思いますが、施設の整備が行なわれますと近代的な医療機関になってまいります。したがって、患者の増等も行なわれます。もちろん、重症心身等を除きましても患者増等もございます。診療内容も向上してまいりますので、診療収入もかなり増加してまいる。同時に、年々の医療費というものが非常に増高しておりますので、医療費の総領というものが年々かなり増加しております。したがって、いわゆる患者の増その他がないといたしましても、診療収入が年々十数%の率で増加しておりますので、将来とも相当の診療収入増がある。もちろん、黒字になるという意味ではございませんけれども、絶対額としての診療収入増がある。その中から償還をしていきたい。しかし、それでも経営全体としては赤字になりますので、その不足分は一般会計から補てんしていただくという趣旨でございます。
  38. 河村勝

    河村委員 りっぱな設備はできるでしょう。患者もふえるだろうというお話でしたけれども一体結核患者がふえるわけはないでしょう。減るばかりなんでしょう。ふえるのは身体障害者とか、そういったもうからない人がふえてくる。それで一体借り入れ金の償還が診療収入でできるはずはないじゃありませんか。医療費が上がるというのは、これはいまのような、物価が毎年六%も一〇%も上がるというようなことをやっておれば、それは確かに過去の借金というものは相対的に安くなるのだから、楽になるでしょうけれども、そういうことを、当てにして償還計画を立てるという筋合いのものではないだろうと思うので、大蔵省としては一体この償還は診療収入からやらせるつもりでお考えになっておるのですか、どうなんですか。
  39. 船後正道

    ○船後政府委員 特別会計の借り入れ金につきましては、先ほど厚生省からお答えのございましたとおり、その特別会計自己収入から償還していくというたてまえをとっております。  なお、国立療養所が現在かなり収支率が悪いわけでございますが、これはやはり療養所が長期の療養を要する方々をもっぱら専門的に扱っておるという性格から生まれておるわけでございます。こういった長期の患者のみを扱う療養所の収支が非常に悪いということは、やはり問題は根本的には診療報酬体系にもあるのではないかというようにも考えられるわけでございます。  なお、先ほどの重症心身等でございますが、これも現在におきましては確かに経営面の圧迫要因になります。診療報酬で計算いたしました収入だけでは支出が償わないという状況でございます。これにつきましては、現在一般会計の児童措置費のほうで特に加算をいたしまして、その面で公費をもって支出をしていく。それが療養所収入になって戻ってくるというような経理をとっております。
  40. 河村勝

    河村委員 その一般会計のほうから重症心身児の補助金みたいなものが療養所特別会計に入ってきて、それが収入になるのですか。
  41. 船後正道

    ○船後政府委員 重症心身児の診療費につきましては、医療保険その他で診療報酬の上から請求し得る金額以上に支出を要する分は、一般会計のほうで特別の措置費として計上いたしております。これは国立療養所のみならず民間の重症心身児を収容する施設につきましても同様でございます。
  42. 河村勝

    河村委員 一応形式的にはそういう御答弁以外にはないだろうと思います。それだからこれ以上言ってみてもむだだからやりませんけれども、しかし、実際診療報酬で償還ができるとはとても思われない。結局、一般会計繰り入れで償還するようなかっこうになってしまうので、そうなれば、初めから国債を充当したほうがよほど簡単であり、筋の通ったやり方だろうと思います。  それから、弾力条項が大いに活用できるという話でありましたけれども、もともとどんどん収入が伸びていく事業であれば弾力条項の意味もあるでしょうけれども一体収入予算額に比して増加する場合に、結局利益は直接経費に使われるわけですね。そうなると、よほど収入の過小見積もりをやって、大蔵省がそれに手心を加えるというような場合以外には、弾力条項というのはほとんど活用の余地はないのだろうと思いますが、いかがですか。
  43. 若松栄一

    若松政府委員 現実には予想した患者、予想した医療が行なわれる限りにおきましては、それほどの変動があるわけはございません。国立病院の例でございますと、インフルエンザが非常に流行したような場合には相当予想診療が狂ってきますので、その場合には明らかに診療増加が起こり収入増が起こりますが、療養所の場合は国立病院と違いまして、それほど期待することはできないと思っております。
  44. 河村勝

    河村委員 特別会計に移行しよという計画をお進めになっている以上――厚生省としてもいままでの資料では、四十三年度はこのくらいよくなりますという数字だけが出ていて、将来計画が出ていないわけです。きょう提出された書類を見ると、五カ年計画の全貌らしきものが出ておりますが、この五カ年計画というものは、この性格はどういうものですか。ただ厚生省の中でもってつくった目安というだけのものですか。
  45. 若松栄一

    若松政府委員 当然私どもの今度の特会移行その他につきまして将来計画を考えておりますので、厚生省内においてはかなり検討しておりまして、予算折衝の段階におきましても、私どもの全貌の計画として大蔵省当局に対してお話しはしてございます。
  46. 河村勝

    河村委員 この国立療養所特別会計移行というのはかなり大きな社会問題みたいになっているわけですね。ですから、それを押し切って特別会計に移行しようというからには、いま少し今後の基本計画みたいなものが確立されてしかるべきだと思うのですね。これを五カ年計画に――これの中身を私もいま見ただけで、中身をどうこうするだけの余裕はございませんけれども、少なくともこういったものをつくったら何らかの形でオーソライズされたものがあって、それで特別会計に移行しますというくらいの態勢がなければならぬものだと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  47. 若松栄一

    若松政府委員 もちろん、計画としてはかなりかたい決心を持ってやっておるわけでありまして、したがって、長期の計画を大蔵省とも話し合いをしてやっておりますけれども予算の単年度主義の原則からいいまして、来年度予算まで承認するという形にはなっておりませんので、将来の計画に対して確約を得たということはどうもいまの状態では不可能でございますが、十分御理解をいただいておるものと考えております。
  48. 河村勝

    河村委員 予算が単年度主義であるということは承知しておりますし、実際相当権威づけても大蔵省なかなか渋くて、そう簡単にスケジュールどおりには認めない場合が従来の実績からいっても多いけれども、しかし、少なくとも五カ年計画をつくって閣議決定くらいはやって、その上で特別会計に移行しますというくらいのことをやらないというのは私は怠慢だと思うのですが、その点は厚生省としては一体どう考えておりますか。
  49. 若松栄一

    若松政府委員 閣議決定等の手続がなかったことは事実でございますが、国立病院におきましてはすでに第一次の五カ年計画を終了いたしまして、第二次の整備の五カ年計画に入っております。そういう経験もございまして、大体従来予想した程度のことを実施いたしておりますので、今後も実施できるものと確信をいたしてやった次第でございます。
  50. 河村勝

    河村委員 そうすると、いまのお返事だとこれでいいんだから、もう何らかの形でオーソライズする必要は認めない、そんな自信がある、こういうことなんですか。
  51. 若松栄一

    若松政府委員 お話しのとおりであります。
  52. 河村勝

    河村委員 それほど自信がおありなら、あえて言うことはないのでありまして、あなた方の努力に大いにまつほかありません。  そこで、いただいた療養所の整備計画ですが、金額的にいろいろ書いてありますが、今後ベッド一体どのくらいに持っていって、その内訳を、結核をどれだけにし、重症心身障害児をどのくらいにするか。それから統廃合の計画があるように聞いておりますけれども、統廃合の計画というのはこの五カ年計画の中では一体どのようになっておりますか。
  53. 若松栄一

    若松政府委員 現在国立療養所の全部のベッド数は約五万二千床でございます。将来結核自体としては相当減少してまいります。結核ベッドだけをとってみますと、現在四万三千床程度でございますが、私ども、四十九年までに二万八千ぐらいに減少するであろうという予測をいたしております。したがって、結核以外の精神病であるとか一般慢性疾患を収容してまいる所存でございまして、総体といたしましては国立医療機関の診療能力を減らさない、むしろ拡大していくという方向で考えております。  その際、統廃合の問題でございますが、国立療養所というものは計画的に設置されたものではございませんので、軍の施設あるいは傷痍軍人療養所、あるいは医療団の施設その他というものを統合いたしました関係上、結核療養所は同じような地域に各種の団体が隣接して建てたものがたくさんございます。したがって、かき一重を境にして設置している施設あるいはきわめて近隣の施設というもの。多数ございますので、これを近代化し高層化していくという段階におきましては、たとえば二百床の施設と隣合わせて二つつくるというようなことは意味がございませんので、そういう場合には合併して一つの施設にするという方向をとっております。現在まで統合いたしましたものも、主としてそういうような隣接ないしは近隣の施設でございまして、将来もそのようなものについては若干統廃合の上整備をしていくという考えを持っております。
  54. 河村勝

    河村委員 五カ年計画ができているからには、具体的な統廃合計画というのはあるはずでしょう。個々のところまで聞きませんけれども、大体スケールとしてどのくらいのものをつぶし、どのくらいのものを統合するということはおわかりじゃないですか。
  55. 若松栄一

    若松政府委員 現在までにすでにもう数カ所統合いたしておりますが、今後もなお数カ所程度は統廃合してしかるべき施設があるものと考えております。
  56. 河村勝

    河村委員 あまり言いたくないようだからそれくらいにしておきますけれども、土地の売却をこの五カ年で予定している金額は幾らですか。
  57. 若松栄一

    若松政府委員 今後予定しておりますのは四十ないし五十億でございます。
  58. 河村勝

    河村委員 現在余裕地と見られる総坪数というのはどのくらいあるのですか。
  59. 若松栄一

    若松政府委員 余裕地とはっきり計算することはなかなか困難でございます。国立療養所全部で、現在一千七百万平方メートルございます。したがって、その一割程度を処分したいと考えておりますが、その後におきましてもなお一千五百万平方メートルくらいになりますので、現在五万ベッドと計算いたしますと、処分したあとにおいてもなお一ベッド当たり百坪平均ということになり、一般医療機関に比べたら非常に余裕のあるスペースを持つことになります。
  60. 河村勝

    河村委員 千七百万平米というのはたいへんな財産ですね。それで国有地というものは、今後の住宅対策その他について非常に貴重なものなんですね。これをいかに施設整備のためとはいえ、切り売りしてしまうというのは非常にもったいないのですね。ですから売らない、それは原則として売るべきじゃないですね。売るならば住宅その他に目的をきめてやるべきものであって、そういう点は一体どういうふうにお考えですか。
  61. 若松栄一

    若松政府委員 御趣旨のように、国立療養所が持っている土地というものは、私は非常に貴重なものと考えております。しかも将来いろいろな意味の慢性疾患の医療を担当していくというためには、療養環境という点からいいましても、一般病院とは違って広いスペースを持っていることが必要だと考えております。そういう意味で、土地に対しては私たちは非常に貴重なものと考え、愛着も持っております。したがって、みだりに処分するという考えは毛頭ございません。しかし、何ぶんにも相当広い土地であり、また、まわりが非常に稠密な住宅化している中に非常に広範な地域を持っているというようなところもございますので、そういういろいろな情勢と整備のために焦眉の急の資金をほしいという意味から、そこら辺をかね合いまして一部を処分する。その処分する場合におきましても、公共の施設あるいは住宅公団その他公共の団体等がやる住宅用地等に優先的に提供するということであって、民間その他の営利の目的になるようなものに対しては決して払い下げをしないという原則でやっております。
  62. 河村勝

    河村委員 民間に一切払い下げをしないというお約束ができますか。
  63. 若松栄一

    若松政府委員 現在までのところは民間に直接払い下げたものはございません。
  64. 河村勝

    河村委員 現在までのことを聞いているんでなしに、これから大幅に施設整備のためにやり出そうというところですから、今後のことを言っているんです。民間には一切払い下げをしないということをお約束できますか。
  65. 若松栄一

    若松政府委員 今後も公共優先の考え方に徹してまいりますので、そのようなことは起こらないと思っております。
  66. 河村勝

    河村委員 起こらないだろうと思うというような人ごとみたいなことを言っちゃいけないんで、やる、やらないはあなた方が判断し実行することなんですよ。ですから、その意思のことを聞いているんです。
  67. 若松栄一

    若松政府委員 将来のことの予測でございますけれども、いままでもそうやっておりませんし、今後もそうやるつもりはございませんので、そういう事態は起こらないと信じております。
  68. 河村勝

    河村委員 私はそんなにごまかさなくていいと思うんですよ。売れるところというのは大体市街化していく地域でしょう。そういう地域は民間に払い下げるべきものじゃないんです。それはやらぬと言って、決してあとであなたが困るようなことはありませんから、はっきりお言いなさい。
  69. 若松栄一

    若松政府委員 民間ということばの定義が必ずしも明確でないかもしれませんが、少なくとも公共目的を持たないような、営利を目的とするような形のものには払い下げをしないという決心でおります。
  70. 河村勝

    河村委員 まあいいでしょう。  そこで、最後に一言だけお伺いいたしますが、現在重症身障児といえる者の数は全国に何人いるんですか。
  71. 若松栄一

    若松政府委員 重症身体障害児の数は児童局、社会局等で調査しておりますが、四十年の調査の結果によりますと、全国で一万九千三百人という計算になっております。
  72. 河村勝

    河村委員 その一万九千三百人のうち、国立の療養所なりその他の機関に収容されている人員は何人か、民間の施設に収容されている人は何人か、それはわかりますか。
  73. 若松栄一

    若松政府委員 四十二年度末におきましては、まだ施設の整備等が十分進んでおりませんので、二千八百八十九名が収容能力でございますが、このうち国立が一千百二十、公私立その他法人関係が一千七百六十九名でございます。
  74. 河村勝

    河村委員 国以外の民間の施設、自治団体も入るのでしょうけれども、それの今後の見通しですね、どのくらいの施設ができるか。それとこの療養所を活用することによって今後どのような収容計画を持っているのか。この両方をちょっと……。
  75. 若松栄一

    若松政府委員 全体の計画といたしましては、収容して治療したいという者を一万六千五百名と見ておりまして、そのうち大体一万名程度を国立の医療機関に収容したい、六千名程度を公私立その他法人のものにやりたいという年次計画でやっておるつもりでございます。
  76. 河村勝

    河村委員 その年次計画は何年計画ですか。
  77. 若松栄一

    若松政府委員 四十九年までの計画でいたしております。
  78. 河村勝

    河村委員 質問を終わります。
  79. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 広沢直樹君。
  80. 広沢直樹

    広沢(直)委員 まず最初に、私は、現在の国立療養所の施設はどのように改善されているか、その状況について伺いたい。
  81. 若松栄一

    若松政府委員 国立療養所建物の性質で木造のものと耐火構造の部分とに分けてみますと、昭和三十一年の五月現在で木造が九七・三%、耐火構造が二・七%でございまして、これが四十二年五月におきまして木造が八五・三%、耐火構造が一四・七%でございます。  これをなお国立病院と比較いたしてみますと、国立病院は、四十二年五月現在で木造が四九・七%、耐火構造が五〇・三%でございます。
  82. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、現在早急に改善を要する施設はどのくらいあるか。
  83. 若松栄一

    若松政府委員 早急に、現在すぐにも建てかえをしなければ危険があるという程度のものが、ただいま申しました木造建物の中で一四・五%、直ちに改修を必要とするという程度のものが四二・五%、木造ではあるけれどもまだ相当堅固であるというものが二八・三%でございます。
  84. 広沢直樹

    広沢(直)委員 直ちに建てかえなければならないというのが一四・五%で、改修を要するのが四二・五%ですね。この一四・五%というのはどことどこの地域になっているか、それをちょっと示していただきたい。
  85. 若松栄一

    若松政府委員 これは全国に散らばっております百六十施設についての各部分を全部集計したものでございまして、個々の施設が全部そうであるかということでなしに、一つの施設でも鉄筋化した部分と比較的まだいい木造部分、それから非常に老朽化した部分とがございますので、どの施設、どの地方ということは一律に申し上げるわけにいかないと思います。
  86. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いまあなたは、全体の中で一四・五%というのは、これは直ちに建てかえる必要があると認められるものだと言ったのです。それからいまあなたがおっしゃったように改修を直ちにやらなければならないというものが四二・五%ある、そのあとはまだ木造であるけれども堅固である、いわば改修する必要もなければ、建てかえる必要もない、これからまだしばらくはもつだろうというのがそれくらいある、こういう話ですね。その百六十何カ所を全部状況を言えというのじゃないのです。全体の中で一四・五%は老朽してこれは直ちに建てかえたほうがいいと指定されたものはどことどこかと聞いているのです。
  87. 若松栄一

    若松政府委員 個々のそれぞれの施設全体が老朽化した部分であるとか、一つの施設全体が堅固であるということではございませんで、一つの施設の中である病棟はすでに老朽化して建てかえなければならぬというのが一四%の中に入る。ある部分はまだ堅固で二八%の中に入るというようなぐあいでございまして、病棟あるいは建物別にそれぞれ保安度を検討しておりますので、施設全体がそれぞれのカテゴリーに入るというものではないわけでございます。
  88. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それではそういう施設全体をというものは一つもないわけでありますか。
  89. 若松栄一

    若松政府委員 当然、常々毎年毎年ある程度の改修等をやっておりますので、施設全体がもう老朽してしまって全部を直ちに建てかえなければならぬというような施設はないわけでございます。
  90. 広沢直樹

    広沢(直)委員 全体的に見て、半数以上がこれは建てかえる必要があるし、あるいはまた改修をする必要がある、こういうお話でありますが、こういうようにほとんどが改善されていない。その理由一体どういうわけでそうなっているのか、その点について……。
  91. 若松栄一

    若松政府委員 国立療養所のおい立ちといいますか、その前身を見ますと、大部分がいわゆる傷痍軍人療養所であり、あるいは旧陸海軍病院であり、あるいは軍隊の衛戌病院であったものもあり、また医療団の施設を引き継いだもの、あるいは戦後に新設されたものもございます。そういう意味でいろいろございますが、何ぶんにも旧軍時代の古い施設が大部分でございまして、しかも戦時中等に応急的に建造されたものが主体をなしておりますので、どうしてもそのような木造の陳腐化した建物が大部分になっておるわけでございます。
  92. 広沢直樹

    広沢(直)委員 国立病院の場合は、先ほどお話がありましたとおり非常に建物が改善されてきている。いわゆる耐火構造、近代建築化しているものが五〇・三%になってきているわけですね。ところが、国立療養所の場合はこれは一般会計で見てきたわけであります。この状況を考えていくならば、半数以上が戦後二十数年たっておくれているという問題に関しては、当然やはり充実した改善を行なっていかなければならないはずであります。それがどういうわけで――いま言われた理由だけではよく理解できないわけですが、それは戦前に建った陸軍病院のあとだとか、いろいろなあとを使っていることはよく存じております。しかし、それだからといってこれがおくれてきたという理由にはならない。その点はどうですか。
  93. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院につきましては、これも旧軍施設等を引き継いだものがたくさんございます。しかし、病院のほうは、どちらかといいますと比較的市街地にございまして、一般診療を主として担当しております関係上、近くの病院等もどんどんりっぱになってまいりますし、また医療それ自体から見ましても、一般病院としてやっていくためには、どうしても病院らしい建物にかえていかなければならない。ところが療養所の場合は、何ぶんにも結核、精神専門でございましたために、結核療養形態といたしまして、昔から大気、安静、栄養というような考え方が主軸で、平屋で広い地域に地をはうような形の病棟でやっておるのが原則的でございましたたために、そういう医療内容、医療目的からどうしても近代化がおくれてまいった。ところが、最近に至りますと、化学療法あるいは手術療法その他で、昔の大気、安静の治療方針から近代的な化学療法、結核療法というものがむしろ主軸になってまいりました。それに結核療養所も近代的医療機関としての形にならなければならない、そういうことで時期がかなりおくれてきた、国立病院の整備に比べまして数年間おくれがあったということが事実であろうかと思います。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 広沢直樹

    広沢(直)委員 ところで、いま特会制になれば施設の近代化が進んでいくのか。別に特会制にしなくたって、いまあなたがおっしゃたような理由であるならば、これから何カ年計画か立ててこれを近代的な、あるいは耐火構造に直していくことはできるわけでありますね。その点どうですか。
  95. 若松栄一

    若松政府委員 当然国立病院もそうやってきたわけでありますから、国立療養所も同じような運命といえるわけであります。しかし、国立病院特別会計にいち早くなっておりまして、三十七年から借入金を行ない、土地処分も行ないまして相当の財源をみずからもつくり出して、すでに百四十五億の借入金までいままでにやっておりまして整備をはかったわけでありますが、療養所におきましては、一般会計の財源に依存しておりましたために、一般会計ではなかなかそれだけのやりくりがつかなかった。延び延びにだんだん格差がついてしまった。そこで、国立療養所も何とかここで追いつき取り返したいということでございますが、急速にやるには相当のまとまった資金が必要である。そのためにはいまのような特別会計に移行することが最もいい手段であるというふうに考えたわけであります。
  96. 広沢直樹

    広沢(直)委員 早急にやるために特別会計でやったほうが借り入れた金等もできるし、そういうような理由から特会制ということを考えるのだ、こういう話でありますね。しかしながら、他の施設、学校等についてもそうでありますが、そういった施設の改善が一般会計において徐々に行なわれてきておるわけです。ところが、最も国がめんどうを見ていかなければならないとして一般会計になっておるこの国立療養所が、このようにおくれてきたという理由がはっきりしないわけですね。その点どうですか。もう一ぺんお願いします。
  97. 若松栄一

    若松政府委員 一部は繰り返しになるかもしれませんが、国立病院療養所ではその性格上診療内容が違う。一般診療というものは日本全体の傾向としてすでにかなり近代化されてまいっております。療養所につきましては、国立病院のみならず、なお従来の大気安静的な感覚が抜け切れずに、空気のいい広い土地で平面的な建物でやっていくという考え方がなかなか抜け切れず、そのために整備に着手することがおくれてきたということが一点。もう一つは、資金の投入が、国立病院においても当初一般会計繰り入れでやっておりましたけれども、それではなかなか遅々として進まないということから、借入金その他の制度を用いてかなり急速化した。国立療養所においては一般会計に依存する期間が少し長過ぎまして、どうしても整備の速度がおそくなってしまった。ここで何とか整備のスピードアップをしたいということが現在の念願であります。
  98. 広沢直樹

    広沢(直)委員 国立病院国立療養所というのは、おのずと性格が違うでしょう。違いますね。当然それは国立病院においてはある程度特会制にすることによって収支の内容というものが非常に変わってくることも別のデータには出ておるわけでありますが、この国療の場合はほとんど長期療養していくわけでありますから赤字になる場合が多いわけです。多いというよりも赤字です。全部負担して見ていかなければならないわけですね。別に特会制にしたからといって、それだったならば施設が急速に改善できるということは考えられないわけでしょう。むしろ一般会計に置いたほうが、おくれている社会福祉、あるいは医療施設関係に対する政府の施策というものを重点的にやっていこうという見方にしていけば、むしろ一般会計のほうができやすいじゃないですか、こう考えるのですがどうですか。
  99. 若松栄一

    若松政府委員 一般会計から特別会計にすることによって、療養所経理の内容が改善されるから整備が促進されるというような考え方は全く持っておりません。特別会計であろうが、一般会計であろうが、平常の経営状態については全く変わりがないと存じております。ただ、整備費を入手する方法といたしまして、一般会計に置きますと、一般会計の財源をいただきます関係上、単年度予算の中で応分の割り当てしかない。しかも現在病院整備は長期にわたる先行的投資といいますか、百六十の施設を急速に改善しなければならないということのために集中的な投資をしなければいかぬ。これは一般会計の財源は適当ではない。むしろ財政投融資というものに依存するほうが適切であるという判断を持つわけであります。
  100. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そうなりますと、特会制に移った場合、急速に施設、設備を改善するということでありますが、その計画はどうなんですか。
  101. 若松栄一

    若松政府委員 予算額も急速に伸びておりますように、急速にふやしました予算で大体まず五カ年を目標にいたしまして約半数の施設を近代化するという計画でございます。
  102. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そうすると、百六十あるうち約八十ですね。これを五カ年計画で全部その施設を近代設備に改善するというわけですか。  その次にお伺いしたいことは、四十三年度予算では整備費は六十八億円が計上されております。昨年に比べて三十億が増額になっておるわけでありますね。厚生省においてはこれを特会制の利点の一つとして、計画的に近代化をはかることができる、こういうふうに言っておるわけでありますけれども一般会計でなぜ整備費が増額される可能性はなかったのか、ないのか、どうでしょうか。
  103. 若松栄一

    若松政府委員 これは可能性という問題よりもむしろ現実の問題でございまして、私ども一般会計時代におきましてもできるだけ整備を促進したいという趣旨で整備費の要求をいたしておるわけでありますが、なかなか現実問題としてはふえてこない。ある意味ではしびれを切らして特会のメリットに依存しようという気持ちにもなったわけであります。
  104. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは主計局次長にお伺いいたしますが、いま局長がお答えになったその問題ですが、しびれを切らして、このままではなかなか改善できないからどうしても特会にして、五カ年計画の中で五〇%早急に改善したいと先ほど言っておりました。一四・五%の早急に改善しなければならない分と、それから四二・五%の改修しなければならない分、これを早急にやりたい。どういうわけでいままで厚生省はしびれを切らしてそれができなかったのか、この理由について答えていただきたい。
  105. 船後正道

    ○船後政府委員 療養所の施設の状況につきましては、先ほど厚生省からお答えのあったとおりでございまして、戦後二十数年経過いたしまして老朽化がはなはだしくなっておりますから、何とかしなければならないという要求は確かに参っております。一般会計当時におきましても、もちろんこのような事実が進行しておったわけでございます。財政当局といたしましてもできるだけ療養所の施設費につきましては配慮してまいったのでございます。三十八年ごろまでは大体十億円程度の施設費でございましたけれども、これを三十九年度から二十億円程度に増額いたしまして、自今大体一〇数%の伸び率ということで、他の一般会計の施設費に比べますれば特別な配慮をしたつもりでおるのでございますけれども、やはり一般会計という大きなワクの中で考えますと、全体としての財政需要、施設につきましてもさまざまな需要があるわけでございます、療養所以外につきましても。そういった中の種々バランスをとりながら考えていかねばならない、そこにやはり現実的なる制約というものがあるわけでございます。御承知のとおり、四十三年度におきましては、公共事業費をはじめ施設費につきましては、かなりきびしい態度でもって予算を編成しておる次第でございまして、一般官庁営繕費のごときに至りましては、対前年度同額かないしは一割減というような予算計上状況でございます。しかし、療養所の現状は、もはや放置し得ないというようなところまでいきつつあるわけでございますので、私どもといたしましては、やはりこの際特別会計に移行いたしまして、特別会計というワクの中でみずからの財源及び一般会計繰り入れ財源というものを財源として、財源のワクを広げて、先ほど医務局長からお話のございましたような計画というものを頭に置きまして、今後計画的に急速にこの整備を進めていきたいというつもりでございます。
  106. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いまのお話ですと、そういう配慮ができなかったためにそのしわ寄せを特会制にしてそれを解決しよう、借り入れにして解決しようというわけでありますね。いま確かに社会資本の充実をはからなければならないということはいわれておるわけです。財政当局としては、いままで厚生省の行政当局がそれを要求してもなかなかそれは回すことができなかった。今後こういったおくれている、特にこういう医療機関の施設がおくれている問題に対しては重点的に予算の増額をはかって、そうして充実を期していくつもりがあるかどうか、その点についてしかと承っておきたい。
  107. 船後正道

    ○船後政府委員 療養所の整備につきましては、今後とも格段の配慮をしてまいりたいと考えております。
  108. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、六十八億の整備費のうち、四十四億円は特別整備となっております。その内訳は、借り入れ金が十五億、それから土地売却が十八億となっておりますね。それから一般会計繰り入れが十一億、こういうことになっておりますが、その土地売却十八億というのは、これは一体どれくらいの坪に当たるのか、あるいは地域としてはどういった地域を売却するつもりであるのか、その点をお伺いしたい。
  109. 若松栄一

    若松政府委員 現在売却を予定しておりますのは、非常に人口棚密地帯になっております関東周辺でございまして、松戸療養所とか武蔵療養所とかいうようなところが予定されております。
  110. 広沢直樹

    広沢(直)委員 聞くところによりますと、そういう関東方面だけではなくて、廃統合が行なわれるという計画のところがあるやに聞いているわけでありますが、その地域についてはどうでありますか。
  111. 若松栄一

    若松政府委員 二つの施設を一つにまとめますと、当然一つの地域が余剰土地になりますので、そういう地域は処分する予定をいたしております。
  112. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは統合する地域はどこどこですか。こまかく地名を言わなくても、県名でもけっこうであります。何県と何県のところは統合するというふうに……。
  113. 若松栄一

    若松政府委員 四十三年度に統合したいと考えておりますのは、愛知県に一カ所、兵庫県に一カ所、新潟県に一カ所ございます。
  114. 広沢直樹

    広沢(直)委員 聞くところによりますと、北海道から九州に至るまで、各県がその対象となっているそうであります。確かに四十三年度においては、いま言われた三県かもわかりませんが、先ほどいただいたデータにしても、土地処分は、今後四十億から五十億程度を予定しているということであります。これは、五カ年計画ができているわけですけれども、そうしますと、将来の五カ年計画の中でこれだけの土地を処分しなければならないということになりますと、五カ年計画の中で廃統合するということは大体もう予定が立っているはずだと思うわけでありますが、その点はどうでしょうか。
  115. 若松栄一

    若松政府委員 土地処分の四十五億ないし五十億というものは、整備されて立体化した場合に相当余裕ができてきて、その整備した施設の余剰土地を処分するもの、それから、統合して余剰になった地域を処分するもの、両方含まれております。したがって、将来の統合というものもこの計画の中に幾つかは予想されております。
  116. 広沢直樹

    広沢(直)委員 厚生大臣まだ来ませんか。十二時過ぎておりますが。……
  117. 若松栄一

    若松政府委員 ちょっと訂正させていただきます。  ただいま、将来の統合予定も入っていると申しましたが、将来の統合を予定している地域の処分は、この四十五億ないし五十億の計算の中には入っておりません。
  118. 田村元

    田村委員長 広沢君、厚生大臣ですが、参議院決算委員会で十二時に終わるという予定であるそうです。十二時になれば向こうを終わってこちらへ来られるという予定であるそうでありますが、いまどういうことになっているか、事務当局を走らせましたから、厚生大臣に関係のない質疑を続けてください。
  119. 広沢直樹

    広沢(直)委員 私は、厚生大臣にいろいろお尋ねしたいことがあるのです。時間の制限もありますから、厚生大臣に聞く時間がなくなってしまうわけです。十二時に来るという約束でいまいろいろなことを聞いているわけですが、ずっと関連してまいりますから、早急に呼んでいただきたいと思います。
  120. 田村元

    田村委員長 いま走らせましたから、もしどうしても厚生大臣というのであれば、しばらくそのままで待っていてください。
  121. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは、厚生大臣が来たら厚生大臣に聞くことにして、二割引き廃止と基準料金加算による費用負担区分のことについてお伺いしたいと思います。  これは一昨日来ずっと質疑が行なわれてきたわけでありますが、今度の特会になることによって、新しく入所してくる患者の取り扱いについては、これは二割引きの廃止を適用しない分と廃止を適用している分と二通りになっていますね。ところが、健康保険あるいは船員あるいは共済、日雇の本人の場合においては、これは本人の負担がない。いわゆる本人にはしわ寄せしないから、二割引きを適用しない。ところが、その家族については、これはやはり五割の自己負担があるわけでありますから、そういった場合は二割引きを適用するんだという話であります。いつまでこれは続けられるのか、その点について……。
  122. 若松栄一

    若松政府委員 この措置はいまのところまだ当分続けるつもりでございまして、保険の抜本的改正というようなことで、公費負担の範囲をどうするかというようなことも現実に問題になっておりまして、それらの制度の大幅な改正等があれば、そのときはその事態に即応して再検討いたしますけれども、それらの大きな事態の変動がない限り継続してまいる所存でございます。
  123. 広沢直樹

    広沢(直)委員 一応いまの療養所の関係については、一般会計からやっている場合においてはこれははっきりしているわけですね。ところが、今度変わってくる場合において、一部には二割引きが廃止になってくるし、将来においては、どうしてもこれが、いまあなたがおっしゃったような理由によって、いつの時限かに廃止されるのじゃないか、やはり自己負担にかかってくるようになるのじゃないかという懸念があるわけです。したがって、いまのところそれは考えていないということでありますが、これは四月一日に入る人もあれば、次々入ってくる方もいらっしゃると思うし、こういう療養所関係というのは長期療養になってくるわけでありますから、いつそれが廃止になるかということが非常に患者にとっては危惧されるところです。したがって、その点ははっきりしておいていただきたいと思います。
  124. 若松栄一

    若松政府委員 この制度の運用それ自体に直接影響するような制度の改正等のない限り、これは続けていく考えでございます。
  125. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 関連して。いまの基準看護料あるいは基準給食料、基準寝具料という三つの内容が今度いろいろ検討されておりますが、その中の内容として、まず二割引きを廃止するという話があるんですが、三月三十一日現在入所している患者に対しては、二割引きはずっと継続するのだ、こういうふうに聞いておりますが、これは間違いありませんね。
  126. 若松栄一

    若松政府委員 間違いありません。
  127. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 では、現在入っている人が、将来四年あるいは五年、個人的に見れば長い人では十年入るような場合も起こってくるかもしれない。そういう人の場合は、退所するまで二割引きはなされるのかどうか。
  128. 若松栄一

    若松政府委員 いま申し上げましたように、制度の変革等によってこれが変更しなければならぬという事態でない限り、続けていくつもりでございます。
  129. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、一応二割引きは廃止しないと言っても、制度の変革をやらねばならないような何らかの事態が起これば、即座に二割引きを廃止するということになるわけですか。
  130. 若松栄一

    若松政府委員 たとえば結核療養についてはすべて公費でまかなうのだというような制度が起こってまいりますと、これは事態が全く変わってまいりますので、そういうことも一応頭に置いての御返答を申し上げたわけでございます。
  131. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、四月以降に入る人ですが、健康保険等で本人が全く手出ししない、こういう該当者には二割引きを廃止する。自己負担、自費で、事実お金を手出しする人に対しては二割引きを現在のまま踏襲する、これもいま言われたようなことで、ある意味では、いつか時限が来れば二割引きを中止するということになるのですね。
  132. 若松栄一

    若松政府委員 先ほど申し上げましたような特殊な事態のない限り、これを継続していくということでございます。
  133. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 基準看護料というのは一体何なんですか。
  134. 若松栄一

    若松政府委員 現在、病院におきまして看護婦がおります。その際に、現在の医療法におきましては、病院における看護婦というものは、医療法の施行規則によりまして、おおむね患者四人について一人の割合を標準にするという規定がございます。この規定は標準でございまして、その程度でやるということで、現実には病院性格によりましてそれより少ないものも多いものもございます。したがって、看護婦の数というものは病院によって非常に格差があるわけでございまして、特に一般病院は通常四人に一人ぐらいが標準になっておりますが、結核、精神というような比較的慢性の疾患を扱うところにおいては、比較的それより少なくなっております。  そこで、医療法とは関係なく、今度は医療保険の支払いの標準といたしまして、看護婦が一定基準以上配置されているものについては加算をいたすたてまえになっております。その加算がまた、一類、二類というような内容に分かれております。そういう通常の入院料の中に含まれている看護報酬のほかに、特別に基準にかなった看護体制がしかれているという意味をもって加算して看護料を支払うものが基準加算でございます。
  135. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの一類、二類、三類という看護料の基準があるということですが、私が聞いたところによりますと、一類看護というのは看護婦さん一人当たりに患者が四名、二類は看護婦さん一人当たり五名、それから三類は看護婦さん一人当たりに六名、これだけの基準があれば、たとえば二類看護の場合は百四十円ですか、これだけの支給がなされる、こういうふうに聞いたのですが、これは間違いありませんか。
  136. 若松栄一

    若松政府委員 そのとおりでございます。
  137. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、看護婦さんに対する患者の数がいまの基準より多い場合は、当然その百四十円がさらにまた加算されていくというふうに考えていいのですか。
  138. 若松栄一

    若松政府委員 それぞれ一類、二類という基準がございますので、その基準に合致したものであって、県の保険課に申請いたしまして認可されたものが加算を受けるわけでございます。
  139. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま私が聞いているのは、たとえば三類の場合は看護婦さん一人当たりに六名が基準になっている。それが一人当たり十名持っている状態になったとき、その加算料というのは、いまの基準の百四十円がたえとば二百円になってみたり、あるいはそれ以上になるのかと聞いているわけです。
  140. 若松栄一

    若松政府委員 先ほどもお話がありましたように、一類、二類、三類とありますので、一類というのは患者四名について一人、そういうふうな状況になりますと一類の承認を受けまして、そうなると二十一点の加算があるわけでございます。
  141. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 どうも私の聞いている気持ちがよくわかってないようですが、それでは、逆に、その基準よりも患者が少ない、こういう場合も起こってきますね。私は要するに基準というものの意味を知りたいのです。なぜ基準を置いたか……。
  142. 若松栄一

    若松政府委員 基準を設けます意味は、病院性格あるいは診療内容等によりまして、どうしても看護婦を相当たくさん置かなければならぬところもある、また、比較的少ない看護婦でやっていけるところもある。したがって、それらの間にやはり格差をつけて診療報酬の支払いを変えていくべきであるという考え方から一たとえば急性病院で、入院期間も非常に短く、診療内容が濃厚である場合は、どうしても看護婦の数がたくさん要ります。したがって、そういうところは、それに応じて看護婦を増員し、一類看護の認可を得るということになるわけであります。
  143. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 ではもう一つ具体的に聞きますが、一類看護の場合は、基準は看護婦さん一人当たりに四名、そしてそれに対する基準看護料というものは二百十円だと聞いておりますが、それは間違いございませんか。
  144. 若松栄一

    若松政府委員 そのとおりでございます。
  145. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 では極端な言い方になりますが、一つの例として、看護婦一人当たりに三十名を担当している、そういう場合、幾らもらえるのかと聞いているのです。
  146. 若松栄一

    若松政府委員 そういう場合はいずれの基準にも合致いたしませんので、基準加算は承認されません。したがって、通常の入院料の中に含まれている看護の費用だけが払われているわけでございます。
  147. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの病院医療内容を見ていきますと、非常に看護婦さんが手不足している、こういう感じを受けます。実は私が調べた内容を申し上げますと、これは四十三年の三月、現在の問題ですけれども、神奈川県のある療養所の内容ですが、八病棟、十病棟にいる人は、手術前の患者と手術を受けた後の患者、これが入っているというのです。しかも二交代制です。そして看護婦さんが、正看護婦、それから准看護婦、看護助手を含めて八名、それに対して患者が九十四名その病棟におるのです。これは看護婦さんに対して、非常に重労働ではないかと思います。また病院側は、この基準料をもらうからにはもっと看護婦さんをふやさねばならない状態にあると思うのですが、こういうのはどうなんですか。
  148. 若松栄一

    若松政府委員 基準看護というものはその施設全般に適用されておりまして、一つの病棟ごとにきめられるものではないのが原則でございます。したがって、病院全体の中には重症病棟もあれば軽症病棟もあります。一般病院でいえば産科病棟もございますし、内科病棟もございます。それらを全体として計算いたしまして、四対一なら四対一、六対一と計算いたしております。したがって、国立療養所におきましても、総体としては大体六対一に近いわけでございますが、その施設の中の内部の配分関係は、それぞれ傾斜を設けて配置されるわけでございまして、たとえば現実の数を申しますと、昭和四十二年十月の調査時点で計算をいたしましても、国立病院全体としては、結核病棟だけをとってみますと四・五人の患者に一人という計算になりますが、重症病棟だけをとってみますと、三・五人に一人、それから手術直後の患者を入れる手術病棟というところについては二・三人について一人、またその他の手術からある程度時間を経過しました外科病棟については三・八というぐあいに、非常に濃厚に配置しております。一方軽症病棟については七・四人に一人というぐあいに配置されておりまして、したがって、病状によりまして、それぞれ看護の濃度の傾斜がつけてございます。しかしそれにしても、七名か八名で九十名というのは非常に法外な薄い看護でございまして、そういう点は当然できるだけ改善しなければならぬと思います。
  149. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 関連ですので、もうすぐ終わりますが、非常に不可解に思うことは、一病棟の、一般を入れている病舎では十六名患者がいる、それに八名ですか看護婦さんがおるのですね。病院内のこうした管理のことを、私しろうとですのでよくわかりませんが、私はしろうとなりに見て、これは看護婦さんの配置等の管理が非常にずさんじゃないのかな、こういうように考えるのです。  それから、これを全部合計しますと、とにかく看護婦さんが、看護助手さんを入れて九十八名、そして患者数が五百二十九名ですから、いまの局長さんの話によれば、三類看護の基準に当たるわけですね。そうしますと、百四十円ではなくて、百円の対象にしかこれはなりませんね。しろうとの目から見ても、こういう何だか矛盾だらけだという感じを受けるのですが、厚生省としてはこういう指導監督はどの程度までやられるのですか。
  150. 若松栄一

    若松政府委員 そのような病院内の管理の形態につきましては、当然病院長、療養所長が責任を持ち、看護婦の直接の配分関係につきましては総婦長が勤務計画を立ててやっております。
  151. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これは三交代、二交代とありまして、現実問題になれば、これの三倍の患者を少ない看護婦さんで見ているということになる、非常に問題だと思うのですね。しっかり行政指導なりあるいは管理指導をやられることを強く要望します。  これで一応終わります。
  152. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、いまの問題でありますが、この基準看護料あるいは基準給食費、あるいは基準寝具というのが特会になりますとできてまいるわけでありますが、これは将来においてなしくずしに、まずそれだけは患者の負担にするのだという形でこられるのではないか、こういうような懸念を持たれるわけでありますが、その点はどうですか。
  153. 若松栄一

    若松政府委員 先ほど問題になりました、二割引きの制度の廃止、あるいは存続というものと同じように扱ってまいりたいと考えております。
  154. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは、大臣に御出席いただいたので、端的にお伺いしたいと思います。  今回、国立療養所特別会計に移行するという問題が出てきているわけでありますが、大臣としては、こういうことは適当であると思うか、できるならば一般会計に置いて従来どおり継続していくべきであると基本的にお考えなのか、その点についてまずお伺いしたい。
  155. 園田直

    ○園田国務大臣 国立療養所の特殊なる使命から考えまして、施設が十分であり、あるいは建物が完全であって、一般会計によってこれが患者の方々の治療なりその他のことができるものであれば、私は一般会計のほうが適当であるとは考えますが、しかしながら、御承知のとおりに、軍から引き継ぎました老朽施設で、設備はほとんどなくて、今日まで結核についていろいろ努力をいたしてきましたものの、新しい薬ができたからようやく結核患者が、何とかだんだん少しずつ回復のほうへ向かってこられたようなことで、行ってみますと、冬などは電気ストーブ一つで、吹きさらしの中におられるところもございます。そこで、これを早急に膨大な資金を投入をして近代設備をし、建物を新たにするということは、今日の国家財政の観点からは、一般会計からやっておっては間に合いませんので、そこで特別会計にこれを移して、特別会計の利点を利用して借り入れ金の導入あるいは不用財産の処分等をやって、これをやらなければ早急に間に合わない。ところが、特別会計に移しますると、委員から出ておりまするような、特別会計に移すことによって将来独立採算へと移行して、そして患者並びに療養所の職員がそのしわ寄せを受けるようなことがないかといういろいろな不安があるわけでありまするから、こういうことに歯どめをしつつ特別会計に移行をして、早急に近代設備を完了したい、こういう観点から踏み切ったわけでございます。
  156. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いま大臣がお答えになりましたが、早急にこれを建てかえなければならないところもある。いわゆる電気ストーブだけで吹きさらしのところにおっては、これは療養の基本的問題にも問題が波及してくる、こういうお話でありましたが、先ほど局長にお伺いしたときに、早急に建て直さなければならない、いま直ちにやらなければならないというものはどうなのかとお伺いした場合に、部分的にそれを直せばいいんだというような答弁があったわけでありますが、その点ちょっと矛盾するのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  157. 若松栄一

    若松政府委員 現在の国立療養所の施設は、原則的にほとんど全部木造でございまして、これを全部鉄筋コンクリートの近代化にしたいというのが原則でございます。しかし、現状におきまして、なおそのまま多少の手を入れながら使っていけるという木造部分も相当あるということを申し上げたわけでございまして、八十四の施設をまず鉄筋化しようという場合には、現在なお使えるような部分を持っている療養所におきましても、これを近代化する場合には、すべて集約的にして近代化していくということでございます。
  158. 広沢直樹

    広沢(直)委員 じゃ、大臣にお伺いしますが、基本的には、いま国立療養所性格から考えて、一般会計で行なうべきである。しかし現在の状況が、建物等一切の関係が不備であるために、特別会計に移してこの改善を早急にやりたいというお話であったわけでありますが、それがもしもできた暁においては、具体的に進んできた暁においては、基本的ないまのお話によれば、当然に一般会計にまた移してやっていくお考えがあるのかどうか、どうでしょうか。
  159. 園田直

    ○園田国務大臣 先ほど申し上げました点から、特別会計に移行したあと、従業員並びに患者にしわ寄せがこないということであって、経営の収支を一般会計から繰り入れる――今年度も御承知のとおりに四百二十億のうち二百五億、四九%は一般会計から繰り入れております。明年度以降についてもこれは繰り入れることとなっておりまするので、収支が赤字であるからといって、たとえば患者の方に出てもらったり、あるいは赤字であるからといって看護婦さんの定員を削ってみたりというようなことはなくて、その足りない部分は一般会計から繰り入れるということになっておりまするから、私は、足りない部分は一般会計から繰り入れてもらい特別会計の利点をそのまま利用してやっていくならば、このままでよろしい、こう考えております。
  160. 広沢直樹

    広沢(直)委員 いま、一般会計から繰り入れるからというお話ですが、これも一昨日来質疑の問題になっているわけですけれども国立病院特会制にした場合に、政府は一般会計から一定の繰り入れを行なうということであって、一定の繰り入れというのは当時二五%を繰り入れていくということであったわけですね。ところが、本年度四十三年度はこれはどういうふうになっておりますか、一一%というふうに下がってきているわけであります。したがって、この国立療養所の問題についても、本年度は四九%の繰り入れをするというふうに計画は立てられているわけですが、将来この四九%を維持していく保証は何もないわけです。やはりこれがまただんだん下がってくるのではないか。というのは、そういった行き方になるのは、やはり経営を合理化していくという問題がそこに出てくるからこうなる、したがって営利性が強くなってくるという色彩がここに顕著に出てきているわけですね。  こういった点について、国立病院とそれから国立療養所とでは、おのずからその性格が違うところでありますから、この一般会計からの繰り入れを、いままでのデータから見、あるいは諸物価の上昇とかから見て、必要経費の赤字部分、その部分について、基準的にこれを繰り入れることを明確にしておいてはどうなのか、その意思があるかどうか、その点について……。
  161. 園田直

    ○園田国務大臣 国立病院の場合は、私詳しく存じませんが、国立病院国立療養所は、本質的に趣を異にいたしております。もちろん国立病院でございますから、一般病院のごとき独立採算制は許さるべきではありません。しかしながら、国立病院は、一般医療に従事をいたしておりますから、近代設備をやり、適正な経営をやれば、一般会計からの繰り入れはどんどんどんどん減っていくことは当然であると考えております。しかし、国立療養所は、いま結核患者が減ったとは申しますものの、この前の御意見にも出ましたけれども病床に入っておる、入院しておる患者が減ったということと、実際の患者が減ったということの間には、相当の開きがあると私は考えております。一つは、設備が非常に不十分であって、入院してもたいしたことないからといって自宅療養される方もあるでしょうし、あるいはまた、自宅におってもたいへんであるから入院したいと思うが、生活の保障というものが十分でないから、苦しくて入院できない方もあるでありましょう。この点は、ベッドがあいだがら患者が急速に減ったとは考えておりませんので、今後とも結核については十分な追い打ちをかけなければならぬと思う。  なお、新たなる任務を持ってまいっております筋ジストロフィーあるいは身体障害児など、長期慢性の病気に対しては、これは国立病院国立療養所は非常に差がありますので、当然適正なる経営をやっても、その収支に赤字が出てくるのは当然であると考えております。したがって、適正なる経営の収支については、一般会計から繰り入れるという財政当局と私との約束を、しばしば本委員会各位との応答の中にもあらわしておるはずでございまするが、それでもなお歯どめとしては不十分であるから、患者その他の方々も心配されるし、将来そういうことになってはいかぬからという御意見でありますれば、提案をしたのは政府自体でありますから、手続上私がどうこう変えますということはできませんが、国会は最高の決議機関でありますから、委員各位の持っておられるお力によって、歯どめをしていただいてもけっこうであると考えております。
  162. 広沢直樹

    広沢(直)委員 そこで、いま確かに大臣がおっしゃっておられます適正な収支、この見方はまた問題になると思います。ここが営利性の問題でありまして、現在四九%を一般会計から繰り入れるべきであるとして予算化していっているわけですね。すると、いままでの経営状態から見て、これだけの部分はどうしても――国立病院は二五%あったが、国立療養所は状況が違うから四九%であるという一つのなにができているわけです。したがって、それ以下になっていくことはないのか。療養所療養する入院患者が減っていくというような場合は、経費が要らなくなってくるでありましょうけれども、そういった場合を除いて、現状から見て、この一つの線の引き方が問題になってくると思います。これはやはり現状のままかりにあったとして、そうして合理化して、だんだんこれが四九%が三〇%になり、いわゆる国立病院みたいに一一%に下げていく。そのことは、患者あるいはそういったすべての面に影響してくる問題でありますから、その一つの線を引くことが問題になってくると思うのですが、その点はどうでしょう。
  163. 園田直

    ○園田国務大臣 経営の収支を一般会計から繰り入れるということは、四九%確保するという意味ではございません。やはり設備あるいは施設等が完備し、あるいは結核患者等がほんとうに減ってまいりますれば、一般会計から繰り入れる必要は若干は減るでございましょう。しかし、これは常識として、国立病院の減り方と、国立療養所結核患者並びに慢性長期の患者を入院せしめておって、近代的な施設が終わったからといって減る率というのは、相当大きな開きがある、こう考えております。
  164. 広沢直樹

    広沢(直)委員 それでは時間の制限を受けておりますので、最後にもう一点だけ再度確認をしておきたいわけでありますが、先ほども厚生大臣のお答えの中に、要するにいままでずっと、その療養所の施設等についてもこれがおくれてきておるまま今日までやってきた、したがって、これを特別会計にすることによって、早急に改善することができるんだというお話であるのです。  そこで主計局次長、先ほどあなたから確かにそれはおくれてきたけれども、今後はこういった機関に対して、重点的にあるいは極力こういう面に対しては予算化をしていく、めんどうを見ていくというお話がありましたが、いまの厚生省の意見をまとめてみますと、この改善に対しては、一応は予算的措置あるいは要求というものをやったでありましょうけれども、やはり全体の予算上こういったものがあと回しになってきておる。いわゆる政府のこういった方々に対するあたたかい配慮が欠けておったのではないか、そういう観点から、たとえこういうような措置をとられようとも、一般会計から今後は、いま言った営利性の問題も出てきているわけでありますが、セーブしていくというような行き方でなくて、やはり特別にそれを極力援助していく、そういうような姿勢でやっていけるかどうか、はっきりお答え願っておきたいと思います。
  165. 船後正道

    ○船後政府委員 療養所の施設整備を促進するために格別に配慮していくことにつきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、今後とも療養所の適正な経営に伴う収支差額につきまして、これを一般会計繰り入れによって療養所の円滑なる運営に支障のないようにいたしたいと思っております。
  166. 広沢直樹

    広沢(直)委員 終わります。
  167. 田村元

  168. 米田東吾

    米田委員 だいぶ時間の制約を受けておりますので、私は問題点をしぼって、大臣並びに主管の局長から御答弁をいただきたいと思います。  私がこれから御質問申し上げるのは、現に出ておる療養所の統合の問題であり、その中における新潟の内野、有明、この二つの療養所の統合の問題を中心にして御質問申し上げます。  そこで、まず大臣にお聞きしたいのでありますけれども、統合の問題は、対患者の関係、それから現に療養所は外来等に対しましても診療関係を受け持っておる。それからそこに重要な役割りを果たしておられる医療関係の職員や、あるいは事務員、看護婦、こういう方々の労働条件、こういうものとも不可分の関係を持つわけであります。したがいまして、この統合という問題につきましては、十分な配慮と、それから事前にその組合なりあるいは患者なり、そういう者と十分話し合いの上で、納得の上で進められなければならない問題ではないか。単に一つの事業所と事業所を統合するという問題ではございません。そういうものだと私は思うのでございますが、いま新潟県の有明、内野に出ておる統合、聞くところによりますと、たとえば兵庫県の二つの療養所、愛知県における二つの療養所、これらがいま計画され実施されようとしておるようであります。こういう関係につきまして、事前に十分な話し合いができておるのかどうかということと、もう一つは、この計画はいま審議をしております特会法との関係において出てきているのか、あるいはそうでないのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  169. 園田直

    ○園田国務大臣 療養所の統合でございますが、これはただいま御審議を願っております国立療養所特別会計移行とは全然関係がないことでございまして、以前から厚生省としては、一つの方針のもとに統合を進めてきたものでございます。今後とも特別会計に移行することによっての観点から統合する考えはございません。  なおまた、御意見の中に、統合する場合には患者なりあるいは従業員、職員の方々あるいは現地の意見等も十分聞いた上でやるべきではないか、こういうことがありましたが、病院並びに療養所の持つ性格らいいまして、当然これは建物ができればいいというものではなくて、利用される方方及びその利用される方々にサービスをする職員の方々の協力のもとに初めて統合の目的も達成するわけでありますから、これはいままでに不十分の点がありましたら、十分注意をして現地等の御意見も聞いて、そして話し合いの上でやりたいと考えております。  なお、いま御指摘の新潟の有明、内野のことで、従業員の諸君と、それから施設長との間に相談があったというように聞いておりますが、こういう点も統合するための重要な資料であると考えておりますので、よく事情を聞きまして、そして患者の方々にも、それから職員の方々にも、療養所を統合すべきだという目的を御理解願うと同時に、そういう方々の御意見も十分しんしゃくしたいと考えております。
  170. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、第二点のほうの大臣のお答えでは、いまの特会法とは関係がない。――わかりました。それから第一点の前段のほうにおきまして、十分意を尽くしたいとの大臣の御答弁でありました。  そこで、お聞きしたいのでありますが、私が聞いているところによりますと、この統合の計画は四月一日から実施をするというのがあなたのほうの計画のように聞いておるわけであります。しかし、今日この統合はなされておらないようでありますが、その主要な理由に、特会法の関係においてということがあなたのほうから説明されておるように聞いておるわけでありますけれども、これは間違いでありますか。
  171. 若松栄一

    若松政府委員 この内野、有明の統合計画につきましては、すでに数年前から検討されていたことでございまして、特別会計への移行の問題とは直接の関連がないのは大臣のお答えのとおりでございます。通常でありますと、本年四月一日に組織統合を実施したいと考えておりましたけれども、本年度はいろいろな事態で、このように手続の面でもおくれておりますので、いまここで私ども事務的な面も考えまして、急速にはやらない、適当な時期を見てやるということにいたしたいと思います。
  172. 米田東吾

    米田委員 そこでお聞きいたしますが、あなたのほうには全医労という組合があるはずであります。これは大臣、私の調査では、国家公務員法に基づいて登録手続等を終わりまして、いわゆる法のもとにおいては合法的な組合の資格として、あなたのほうと絶えず話し合い等が持たれておるように聞いておりますけれども、この組合はそういう関係の組合でございますか。
  173. 若松栄一

    若松政府委員 そのとおりでございます。
  174. 米田東吾

    米田委員 そういたしますと、この統合の問題は、いまの局長答弁によりますと、数年前から計画もあった、しかも聞くところによりますと、新潟だけじゃなしに全国でとりあえず三カ所、この内容等を見ますと、職員の関係、患者の関係、相当重要な内容があるわけであります。そうだとすれば、いま大臣が答弁されましたように数年前からそういう計画なり準備があったとすれば、しかも患者や職員に関係する内容を含んでおりますから、当然全医労との間にまずあなたのほうは話し合いをされて、交渉をされて、そして十分な理解を求めるということが当然なされなければならないと思うのでありますけれども、計画は発表されて、しかも聞くところによると、現地にトラブルが起きて、それから大臣が全医労と話をされている。全然意思疎通がないというふうに私聞いているわけでありますけれども、他の関係の官庁では、私はこういうことはあまり聞かないわけです。ことに、いま郵政省にいたしましても、国鉄当局等にいたしましても、いろいろ合理化等が進んでおりまして、いわゆる作業環境の統合なりそういうようなものが進んでおりますが、みんな一定の計画を示して、まず中央段階において十分な合意を尽くす、そういう段階を経て、それからくるというふうになっておりますが、あなたのほうではどうもそういうことがやられておらないようでありまして、これではうまくいくはずがないと思いますが、どうでございますか。
  175. 若松栄一

    若松政府委員 中央の段階におきましても、この統合の問題はいろいろ話題にのぼっておりまして、ある程度の話し合いは尽くしております。また、個々の施設につきましては、現地で施設長と施設の組合との間で、できるだけ意思疎通をはかるように指導をしております。
  176. 米田東吾

    米田委員 まず、私が言いたいのは、中央段階でなぜ話をしないのかということです。全医労が人事院の登録を経て、そして職員団体として認められておる単位は全国一本の単位、中央でその手続を経ておられるそうであります。当然これは中央でなされなければならないのじゃないですか。私の調査したところでは、中央の段階は、なされておりません。問題が起きてから、初めてあなたのほうではやられておるようであります。これは逆であります。これはおかしいのじゃないですか。うそを言ったってだめです。
  177. 若松栄一

    若松政府委員 中央の交渉で、個々の施設の統合それ自体を協定するというようなことはいたしておりません。しかし、施設の統合等について、中央の団体交渉の段階でそれぞれ意見を述べ合っているということはございます。
  178. 米田東吾

    米田委員 いや、私は何も文書の取りかわしなんということは言っておりません。意思疎通があるのかないのかと、こういうことを聞いているわけであります。私がいただいている資料によりますと、あなたのほうでは大臣と全医労の中央が会われたのが三月十三日、このとき初めて内野あるいは春霞園とか愛知とか、そういう関係の問題を話されておる。もちろん特会の問題も中心でありましょうけれども、そういうふうに私は聞いているわけであります。どうもそういう点ではあなたのほうは、何かごまかしの答弁をされているのじゃないですか。
  179. 若松栄一

    若松政府委員 内野、有明の統合につきましては、かなり前から話が出ているということを申し上げましたが、したがって統合する場合には、当然建物をどっちか一カ所に移して整理をするということになります。そのために、先生も御承知のように、両施設を統合するという前提で、内野療養所の中にすでに二百床の鉄筋コンクリートの病棟を整備し、また、本年度も四百床分に相当する管理関係の施設を整備することにいたしております。したがって、このようなことでもうかがうことができると思いますが、この話はかなり前から施設のほうともそういう計画が内々進み、また、それらの計画についてもある程度の了解が成り立っているものと考えております。
  180. 米田東吾

    米田委員 こんなところで時間をとりませんが、私は現地のほうも調査しております。現地ではおっしゃるように、相当話し合いがなされておったことは私も確認しております。しかし、中央段階で、少なくとも有明、内野の統合、愛知、兵庫、こういう関係の、あなたのほうが四月一日からやろうと言われておるその点についての全医労との話し合いというものは、ほとんど持たれておらない。何かあったとき、話くらい出るでしょう。そういうルールじゃないでしょう。ですから、この点はいまの答弁では納得いたしませんが、ひとつ今後十分注意をしていただきたい。せっかく合法的な資格を持った労働組合があるのですから、私は当然そういうものを通して、事前の話し合いといいましょうか、対話というか、交渉というものをよくやられるべきではないか、これを一応申し上げておきます。  それから、いま内野、有明の統合の問題は、どんなふうに現地ではなっておるのですか。これは局長から……。
  181. 若松栄一

    若松政府委員 すでに二百床の病棟ができ上がりまして、現在有明におります約百名程度患者が早急に移って差しつかえない状態になっておりますので、それについて移る場合のいろいろな手続あるいはその場合における職場の配置転換等が起こりますので、それらの職務の関係の条件その他について、組合と昨年の十二月以来話し合いが進められておるわけであります。
  182. 米田東吾

    米田委員 現在どうなっておるかということを聞いておるわけです。少なくとも四月一日以降の段階、それからあなたが、まだ十分話をしなければならぬということをさっき答弁なされておりますけれども、現在どういう状況にあるかということを聞いておるわけです。
  183. 若松栄一

    若松政府委員 施設長と組合職員との間に、いろいろ話し合いを進めておりますけれども、なかなか完全な意見の一致が見えないでおります。したがって、三月中にも職員と施設長との間で、この統合移転の問題に関する確認書というようなものも取りかわされて、なお話し合いを続けていくという段階になっております。
  184. 米田東吾

    米田委員 なお話し合いが続いておる、それから確認書の取りかわし等もあってという御答弁であります。私も大体そういう状況じゃないかと思っておるわけでありますが、なお正確を期する意味でいま御質問したわけであります。  そこで、確認書というものを、ひとつ私に資料としていただきたいのであります。三月十一日有明、三月十二日内野、この所長と取りかわしたといわれる確認書を、ひとつ資料提出していただけませんか。
  185. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま手元にございませんので、追って提出いたします。
  186. 米田東吾

    米田委員 私、事前に資料提出を求めておらなかったのでやむを得ないのでありますが、あとでいただいてもちょっと間に合いませんし、その写しを持っておりますから、これで大体間違いないかどうか、局長、大体間違いないと思いますけれども、ちょっと見てください。
  187. 若松栄一

    若松政府委員 確実に照合できませんが、間違いないと思います。
  188. 米田東吾

    米田委員 この確認書につきましては、確実な照合はいまできないけれども、間違いないだろうという御答弁でございますから、これはインチキじゃないということを一応確認していただいたわけであります。  そこで、お聞きしたいのでありますけれども、ここには三項目にわたりまして確認をされております。第一項は、「昨年九月二十九日に地方医務局に提出した「統合計画書」にもとづいて、組合・患者と十分に討議し、準備をすすめることを今日までしていなかったことを認める。」「四十三年四月一日の組織統合は、施設の具体的細目の提示がおくれ、組合・患者が検討する時間もないので困難である。」これが第二項。「全医労・患者自治会と施設当局は誠意をもって話し合い、話しあいの間は組織統合はおこなわない。」これが第三項であります。  この三項をもって、三月十一日に、国立有明療養所長会田謙吉、全医労書記長松本道広、全医労有明支部長星山芳朗、有明療有明療友会長高野国男、それから患者同盟を代表して伊藤重樹、この五人の方が調印をしておられるわけであります。  これは局長から御答弁いただきたいのでありますけれども、この確認書はりっぱな確認書だと私は思いますけれども、これはあなたのほうではお認めになりますか。
  189. 若松栄一

    若松政府委員 現地の実情として十分尊重してやってまいりたいと思います。
  190. 米田東吾

    米田委員 私、常識的に聞いておりません。法律的に十分ただしておきたい、こう思っておるわけであります。  それで、現地の実情として十分尊重する、これは当然なことだと思いますが、何か聞くところによりますと、この確認書は無効だ――おそらく当事者能力がないということをあなたのほうは前提として、無効だという一方的な御判断をされて、現地の所長や事務長にそういうふうにおっしゃって、指導しておられるんじゃないかと思いますが、念のため、この点についてはいかがでございますか。
  191. 若松栄一

    若松政府委員 確認書ということで、お互いに話し合いのメモということでございますので、これを法律的な公正証書と同等に扱うかどうかということには当然問題はございます。有効か無効かという意味でなしに、こういう問題は現地の実情を十分に把握し、その認識の上に立って仕事をすべきものと考えまして、十分に尊重していくという考えでございます。
  192. 米田東吾

    米田委員 きわめてけっこうな御答弁でございますけれども、しかし局長さん、どうですか。この中には「話しあいの間は組織統合はおこなわない。」こういう第三項等もあります。それから、準備を進める段階で、患者、組合と十分な話し合いをしていなかったということもはっきり認めております。特に、「話しあいの間は組織統合はおこなわない。」というこの項は、いま局長答弁されたようなかっこうでは済まないのではございませんか。このことをあなたがこのとおり確認されて、これをあなたが認められれば、これ以上、私は何も申し上げることはございませんから、ぜひそうしていただきたいと思います。私はその点がどうも心配だ。  なおこれは、協約とか協定とか、いわゆる債権債務の関係までいくかどうか、これはあなたのおっしゃったとおり、問題はありましょうけれども、単なるメモでないと私は思う。少なくとも確認書として調印行為をなさっておるわけです。こういうことになりますと、公務員法や労組法や民法上にいう契約行為として、これは相当問題が残る点ではないか、そう思いますから、いまあなたのおっしゃったように、一応常識的に尊重していきたいなんということだけでは済まないと思いますが、いかがでございますか。これは検討しておられるでしょう。
  193. 若松栄一

    若松政府委員 このような組織統合というような問題は、国の組織の問題でございますので、ある意味では施設長の単独で決定できるような問題ではございません。国とも十分協議しながらやらなければならない問題でございまして、最終的には国が決定する問題でございますので、国が決定する場合には現地の実情を十分しんしゃくしてやる、そのために必要な状況の判断書ということで考えてまいりたいということでございます。
  194. 米田東吾

    米田委員 どうもはっきりしませんが、大臣、いかがでございましょう。私は、いま局長答弁で誠意を認められれば、あえてあまりくどく追及いたしませんけれども、いまも答弁の中にちらついておりますように、国の方針あるいは現地所長の権限、当事者能力、いろいろあなたのほうにはこだわるべき根拠があるわけでありますから、したがって、一応そういうものは除いて、ここにあるように、十分協議をする、話し合いをする、その間は組織統合は行なわない、こういう趣旨で最後まで行かれるかどうか。この点、局長はそういう趣旨の御答弁のようでございますけれども、大臣からひとつお答えをしていただきたいと思います。
  195. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの御意見に関連をして、前の御意見にもつけ加えてお答えを申し上げます。  厚生省と組合との関係が、一般の関係のない組合から受ける陳情と、それから私の所管内にある諸君がつくった組合との関係は別でございまして、これはいわば、なまいきなようなことばでございますが、私の部下であり、あるいは同僚である。したがって、米田委員も、従業員諸君に関係のある場合、地域に関係あるような場合には、何か計画をつくって押しつけて、うまくいかぬ場合に話し合いをするのでなくて、前もって対話をして、こういうことをやりたいからどうか協力してくれと言ってやったらどうかという御意見だと思いますが、私の所管内における組合と厚生省との関係はそうあるべきだと私は思っております。  なお、いまの確認書は無効であると考えていません。施設長も私の部下であり、これと話し合った労働組合の諸君も部下であります。部下と部下が話し合ったことは――施設長が本省に連絡をとらないで越権行為をすることは、施設長と私との関係であります。やはり申し合わせをした以上はこれを尊重するのが当然だと、私ははっきり申し上げておきます。
  196. 米田東吾

    米田委員 大臣から明快なる御答弁をいただきましたので、ひとつぜひそういう誠意ある態度で進めていただきたいし、それが前提になりませんと、この特会法で計画されております統合、あなたのほうは一応机上プランとしては、たとえば全国六十カ所ないし七十カ所くらいをなくするとか、あるいは統合するとか、プランはありましても、私は進まないと思う。工場の統合と違うんですから。患者がおり、そうしてそこに働く方、医療関係の職員の皆さんの労働条件にも多大な影響が出てくるわけです。ですから、これはほんとうに誠意をもって、まず患者や、そこの、ここでいえば全医労の労働者と話をする、そういう十分なものが前提になければ成功しない。もちろん法律はまだ通っておりませんし、いま審議が続いておる段階でありますから、この法律が通るかどうかは別といたしまして、当然そういう態度は必要ではないか、こう思いまして御質問をやったわけであります。
  197. 園田直

    ○園田国務大臣 私が申し上げましたのは、やはり国立療養所設置の目的を達成するために一番いい方法であるという観点から申し上げたことでありまして、私のほうは答弁いたしました以上は、誠意をもってこれを尊重するつもりでございます。なおまた、そうでなければ、今後いろいろな統合問題その他の問題についてまじめな協力をお願いするわけにはいかない。押しつけるだけで、きめたことはやれ、そして不平を言ったら、協力しろ、これでは話がうまくいかない。それではかえって時間を空費をして、施設設置の目的から逸脱をするおそれがある。こういう考えで、誠意をもって善処いたしたいと思っておりますので、米田委員の真意を受け取って誠意ある答弁をいたしておりまするから、現地ではうまく話がいきますように、米田委員におかれましても御協力を願えれば幸いでございます。
  198. 米田東吾

    米田委員 これ以上私も申し上げません。  それで、ただ局長に御注意を申し上げておきたいと思いますが、この確認書は、要するにあなたのほうのいわば使用者とそれから職員との間の確認書だけではありません。普通の労使関係といわれる確認書でありません。これは患者の代表もちゃんと参加をして調印をされておられる。ですから、この関係は、私はあなたのほうに重視をしてもらわなければならぬ。とにかく対組合との関係におきまして、当事者能力だとか、あるいはいろいろな、今後そういうことはないということにも確認をいたしますけれども、言いがかりをつけて、有効か無効かという論争がかりにあったといたしましても、少なくとも、これに調印しておる患者の代表が、二人ほど入っておられるわけです。この関係というものは、さっきあなたおっしゃいましたけれども、もしこれをほごにされるとすれば確実に今後問題としては残るだろう、私はそういうふうに思います。憲法の条項も調べてまいりました。第十七条。それから公務員法の関係も調べてまいりました。それから民法の関係も調べてまいりました。これは絶対にあなたのほうでは無効だということで通せない。これは法的に十分整った確認書であり、一定のやはり当然の契約書であります。ですから、そういうことではこれはのがれませんから、十分誠意を尽くして、大臣の趣旨をひとつ生かしてやっていただくようにお願いしたいし、また、日本の裁判等の例を見ましても、この種の確認書というものは非常に重視されております。ですから、これがあとで訴訟なんかになることはないと思いますけれども、十分検討をいただきまして、あくまでもこれは生きておる、有効である、したがって、この中の特に第三項については、きょうのこの委員会で私、大臣や局長の意向もただしたわけでありますから、皆さんがひとつ今度誠意をもってこの第三項の履行に当たっていただきまするように私は要請をしておきたいと思いますが、局長からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  199. 若松栄一

    若松政府委員 大臣の御趣旨を体して慎重にやってまいります。
  200. 米田東吾

    米田委員 それで具体的には局長、これからどういうふうにされますか。現地のほうは十分指導されて努力されるように当然なると思いますけれども、何かあなたのほうでそういうことについてお考えがありましたら、ついでで恐縮でありますけれども、聞かしておいていただきたい。
  201. 若松栄一

    若松政府委員 当然現地の指導を十分にやってまいり、お互いの理解を深めることが必要でございますので、私どもをはじめ地方医務局、それらの段階を通しまして十分に理解を深め、話し合いができるようにいたしたいと思います。
  202. 田村元

    田村委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩      ――――◇―――――    午後五時二分開議
  203. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本政弘君。  御静粛に願います。
  204. 山本政弘

    山本(政)委員 あとで大蔵大臣がお見えになると思いますので、大蔵大臣がお見えになったらお伺いいたすことにいたしまして、厚生大臣にまずお伺いいたしたいのです。  この国立療養所特別会計移管に関しては、私はきょうはいわば実質的には合同委員会性格を持っておるような気もいたします。それほど重要な問題であると私は思うのですけれども、厚生大臣の今国会の社労委員会における所信表明においても、この特別会計に関することは一言半句触れられておらない。当然私は、こういうことについては厚生大臣のほうから所信の表明があってしかるべきだと思うのですけれども、この点について触れられておらない。たいへん私はその点については理解しがたいのでございますけれども、これについて厚生大臣のお考えをひとつお伺いいたしたい、こう思います。
  205. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいま、本年度の厚生行政の所信表明で特別会計がなかったという御指摘でございますが、全くそのとおりでございまして、これは御承知のとおりに、特別会計に移行することについては当初私は非常に慎重にやっておったわけでございます。と申しますのは、国立療養所国立病院との相違がございまして、国立療養所は、一般医療治療ではなくて、やはり長期慢性の特別なものの治療でありまするから、特別会計に移行して独立採算制のようなかっこうで患者諸君に負担がしわ寄せされては困る、こういうことでいろいろ折衝してきたのでありまするが、その後それぞれの歯どめについて財政当局とも話し合いました結果、特別会計移行に踏み切ったわけでございます。したがいまして、その所信の中に、こういう重大なことで経過を申し上げておかなければならなかったことを申し上げてなかったのは、まことに申しわけないことと存じます。
  206. 山本政弘

    山本(政)委員 私は、昨年末だったと思いますけれども、大臣が参議院でたいへん慎重な御答弁をされたことは承知いたしております。しかし、年が明けまして、社会労働委員会で、私はかなり時日的な余裕はあったと思うのですね。そういうときになおかつお出しになっておらない。慎重であったかもわからぬけれども、それからはかなりの日にちがたっているはずだ。そしてその中で特別会計への移行が明らかにされているのですから、慎重であったからそういうことについて所信表明において触れられないということは、私は理屈としては成り立たないと思うのです。その点はいかがでございましょうか。
  207. 園田直

    ○園田国務大臣 そういう経過がありまするから、御指摘のとおりに、特別会計については所信表明の中で重要事項として報告を申し上げるべきであったと考えます。
  208. 山本政弘

    山本(政)委員 昭和二十四年に国立病院特別会計法が成立いたしました。この段階では、当時の記録を見ますと、当時の阪田主計局次長は、ただいまのところ国立病院を払い下げる計画は全然ない。それから東医務局長も、収入があがらないからといって病院をつぶすようなことは決してありません。そして久下医務局次長は、それぞれの土地で国立病院の使命を果たしているので、特別会計になったからといって病院を整理するということは全然考えていない、こう言っているのですけれども、これが二十四年です。そして二十七年には国立療養所への移行が始まっております。これは地方に移譲された施設が十、国療に転換されたのが十五あります。そして今日、国療の特別会計ということになって、また国立病院へ戻ろうとしているのもあります。すでに戻ったのもあります。郡山、王子、甲府、松江、久留米、鹿児島はすでに戻っております。そして旭川も戻ろうとしております。そうすると、国立病院から国立療養所へ、国立療養所から国立病院へと、こういうふうに、財政の都合によって何か当局の、これはことばとしては言い過ぎかもわかりませんけれども、恣意にそのときの便宜主義的な考え方に基づいて、気ままに転換をされておるというふうな気がしてならないわけです。その点について一体どうお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  209. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院国立療養所の間に移行があったことは御指摘のとおりでございまして、昭和二十年の厚生省移管の後、現在までに国立病院から国立療養所に転換いたしたものが四十一施設ございます。また、国立療養所から国立病院に転換したものが二十四施設ございます。これは当初いろいろな施設が厚生省移管になりまして、それぞれの地域の特性によりまして、病院あるいは療養所として経営されたものでございますけれども、戦後結核対策を急激に拡大いたしました場合に、結核療養所ベッドを急速に増大いたした時代がございます。そのころ新設その他が十分間に合いませんので、国立病院の一部を国立療養所に転換して結核対策に協力した。一面また、結核が減少してまいりまして、結核ベッドにあきが生じてくる。また他面、一般医療の需要が増大いたしまして、都市化その他の環境の中で一般医療機関の任務を果たすほうがよろしいという状況に至りましたものは、再びあるいは新たに国立病院に転換したわけでございまして、決して便宜的なものではなしに、その地域の実情に沿って行なったものでございます。
  210. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、若松局長お話では、厚生省国立療養所の問題に関しては一貫した施策をお持ちだ、こうおっしゃるわけですね。それは確認してよろしゅうございますね。
  211. 若松栄一

    若松政府委員 一貫したといいますか、要するに病院療養所の間の転換については、そのような需要供給の関係から見て、それに対処するという方向で相互の転換をはかってまいった次第でございます。
  212. 山本政弘

    山本(政)委員 もう一度確認いたします。国立病院国立療養所、この二つのことについては、国民医療の立場から一貫した施策でもって転換のことについてもお考えになっているわけでしょう。そう考えていいですね。
  213. 若松栄一

    若松政府委員 そのような趣旨でございます。
  214. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは次に移りたいと思います。  けさほど、国立療養所の整備計画というのをいただきました。そこでお伺いいたしたいのは、いま国立療養所は百六十カ所あると思います。そしてことし統廃合が現実に行なわれているのが三カ所ほどありますね。そうしますと、百六十カ所から、いま行なわれているのが三カ所あるとすれば、百五十七カ所。そうすると、ここには特別整備が八十四カ所で、一般整備が七十カ所、合計百五十四カ所ですね。そうすると、百五十七から百五十四引くと三カ所、これはどこかに予定があるわけですね。この予定はどこなんですか。
  215. 若松栄一

    若松政府委員 三カ所の差は、療養所の統廃合による減が三カ所あるわけでございます。四十二年度の百六十カ所から四十三年度百五十四カ所になっておりますが、六カ所の減は、三カ所は療養所から病院への転換でございますし、三カ所は、近接した二つの施設を一カ所に統合するための減でございます。
  216. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃそれはあとでやるとしまして、特別整備が二百三十億ですか、その二百三十億の中で注がありまして、土地処分が四十億から五十億円を予定されている。そうすると、残りの百八十億ないしは百九十億円というものの中身について御説明をいただきたいと思います。
  217. 若松栄一

    若松政府委員 二百三十億の中に土地処分が四十ないし五十億、これは前には四十五億ないし五十億とお答えしたことがございます。そのほかの分につきましては、借入金が百億、その他が一般会計からの繰り入れということになります。
  218. 山本政弘

    山本(政)委員 それではその八十億から九十億の金が残りますね。その中身は一体どうなっておりますか。要するに私のお伺いいたしたいことは、厚生省は、特別会計へ移行するということによって、展望を持っておられると思います。一体五カ年の間にどのように整備をしていくのか、そうしてどこを整備するのだ、あなた方はそういう長期の計画をお持ちになっているから、特別会計というものに移行するのだと思うのです。特別会計というのは私はよくわかりませんけれども収入支出というものの相関関係を均一にするのだ、こういうことからいえば、あなた方は長期計画をすでにお持ちになっていると思うのですけれども、その長期計画を私はお示し願いたいと思います。
  219. 若松栄一

    若松政府委員 八十四カ所を整備するという計画をしておりますが、八十四カ所全部が個別に最終的決定を見ているわけではございませんで、大部分の施設はほぼ確定しておりますけれども、今後の計画で若干動く点はあるということでございます。  なお、長期の展望ということでございますが、これは結核患者が相当減少することが明らかでございますし、したがって、現在結核病床が総体の中で四万三千くらいございますけれども、これは昭和四十九年ころまでにはおそらく二万八千くらい程度に減少するであろう。一方、重症心身障害の施設は現在千程度でございますけれども、これが逆に一万くらいに増加するであろう。精神ベッドにつきましても、同じように三千四百程度が六千程度になろう。そのようなもののほかに、なお慢性の疾患等の患者も相当予定いたしまして、交通災害のあとの後療法であるとか、あるいは老人性の疾患の長期療養というようなものも、将来一万、一万五千というふうになっていくという見通しを持って長期の整備計画をやっていくつもりでございます。
  220. 山本政弘

    山本(政)委員 大蔵大臣にお伺いいたしたいのですけれども、先ほど厚生大臣にお伺いいたしました、特別会計へ移すということで、これは私はやはり大きな問題だと思うのです。だが、本会議の際における大蔵大臣の施策の方針にも、このことは私は出てこなかったと思います。それはともかくとしても、大蔵委員会における施策の方針においても、この特会への移行ということについては、何ら大臣はお触れになっておらないと思うのです。一体、これほど大きな問題について、少なくとも財政を担当されている大臣は、この国立療養所特会への移行ということに対しては、私は何らか一言あってしかるべきだと思うのですけれども、一つもお触れになっていない。この点についてひとつお伺いいたしたいと思います。  第二点は、先ほど若松局長のほうから八十億ないし九十億というものは一般会計から繰り入れるのだ、こうお話しになりました。そのことについて大臣は、財政を担当する責任者として、八十億ないし九十億の繰り入れ金を今後お認めになるかどうか、この点をひとつはっきりとお伺いいたしたいと存じます。
  221. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国立療養所特別会計にするという、確かにこれは非常に大きい問題でございます。したがって、重要法案であるということは重重承知しておりますが、ただ、いわゆる財政演説というものは、予算の大綱を御説明いたして、そうして財政金融政策の基本方針についての所信を申し述べるということにありますので、特に個々の法律案というようなものには触れなかったという次第でございます。また、大蔵委員会におきましては、本会議で述べました財政演説について、これをふえんして御説明し、そのあとで、予算関係法案が十四ございまして、これを入れてこの大蔵委員会に御審議をお願いする法案は全部で二十二になる、どうかよろしくお願いしたいということを述べた。この二十二の法案の中にこの法案があるのですが、むろんこの法案のうちでは非常に重要な法案だと思っている次第でございます。(「答弁が抜けておる、九十億繰り入れの」と呼ぶ者あり)九十億の問題はちょっと事務当局からしてもらいます。
  222. 船後正道

    ○船後政府委員 国立療養所の整備につきましては、これを計画的に進めていかねばならない、こういう御趣旨でございまして、厚生省のほうでは先ほどから五カ年間で二百三十億というような御計画をお話しした次第でございますが、これの財源措置その他につきましては、財政当局といたしましてもできる限りの配慮をしてまいりたいと考えております。
  223. 山本政弘

    山本(政)委員 いま御答弁がありましたけれども、大臣、それでよろしゅうございますか。
  224. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題は計画の問題でございまして、厚生省において立案されることでございますので、厚生大臣と十分協議して私のほうは協力するというつもりでおります。
  225. 山本政弘

    山本(政)委員 厚生省のほうはこれは五カ年計画で出している、わけです。だから十分相談をして、それでそれができないということになったら、この五カ年計画はできないことになりますよ。大蔵大臣がこの約束をしなければ、これはできないじゃありませんか。その点どうなんです、大蔵大臣は。
  226. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたように、私のほうで十分御協力いたします。
  227. 山本政弘

    山本(政)委員 若松さん、先ほど、病床とか重症病棟ですか、そういうことについて非常に抽象的な長期計画、長期展望というのですか、お示しになりました。私はどうもそれじゃ納得がいかないので、少なくとも四十三年度に四十四億、四十四年度に四十五億、四十五年度、四十六年度、四十七年度、締めて二百三十億という中で、これは毎年かなり大きな額の金額が投ぜられるわけですね。そうすると、それが単なる病床だとかなんとかいうことではないでしょう。ここで特別に整備をするのですよ。特別の整備をするのだったら、要するに、どこを整備し、どこを統合するのだということが、展望として出なければならぬはずだと思います。そうでしょう。それをあなたのほうでお持ちならば、ひとつお聞かせ願いたい、こう申し上げておるのです。
  228. 若松栄一

    若松政府委員 八十四の施設を整備するということで積算をいたした結果でございますが、この  一応予定いたしました施設というものは、長期の計画として一応策定いたしましたもので、個々の施設について全部決定したというわけではございませんが、大多数についてはほぼ決定的なものがあるというふうに申し上げます。
  229. 山本政弘

    山本(政)委員 四十三年度に直ちに統合されるものとしては西新潟病院がありますね。そして東名古屋病院。いま進捗中かどうか、たぶん進捗中だと思うのですけれども、兵庫中央病院がある。これはおのおの二つの病院を一つに統合しようとしておる。しかも問題があるのは、その統合した病院病床が少なくとも前より少なくなっていると思うのです。それはともかくとして、そうすると四十三年度の特別整備計画で統合を予定されておるものとして、ことしの一月に加倉井課長さんはこう言明をしておる。旭川の療養所を旭川の病院に、青森の療養所を臨浦園に、道川療養所を秋田療養所に、それから大分の場合は別府荘、光の園を石垣原に統合するという予定があるわけでしょう。そういう予定をあなた方がお示しにならなければ、ほんとうの統廃合、整理統合は審議できないじゃありませんか。ただ、金額を出し病床をどうこうするというだけで、現実にあなた方は、結核を中心とする国民の医療というものを私どもが審議できるとお思いになりますか。その点はどうなのです。
  230. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま御指摘になりましたような施設について、そういう考え方があることは確かでございます。これをいつの時点にどういう形でやるかということについては、まだ必ずしも決定しておりません。最初にお話の出ました本年度三カ所という統合だけが決定しておるわけでございます。
  231. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ本年度統合する三カ所というのは、これは確かめたいのですけれども、西新潟病院と東名古屋病院、それから兵庫中央病院ですか。それに間違いありませんか。
  232. 若松栄一

    若松政府委員 統合された結果がその三つの病院になるわけでございます。
  233. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、この統合計画の中に四十四億円が投入されるということなのですか、どうなのですか。
  234. 若松栄一

    若松政府委員 この四十四億円の中から三つの施設の整備全部が行なわれるわけではございませんで、西新潟病院につきましては、すでに四十二年度までに二百床の病棟が完成しております。四十四億円の今年度の予算の中にはサービス棟の建築が予定されております。なお名古屋東病院につきましては、すでに四十二年に完成いたしております。また、兵庫中央病院につきましては、これはまだほとんど着工いたしておりませんので、これからの計画になっております。
  235. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、名古屋の東病院は完成しているとおっしゃると、西新潟病院と兵庫中央病院に四十四億円が投入されることになりますか。
  236. 若松栄一

    若松政府委員 四十四億円の中の一部の費用がそれにつぎ込まれることになります。
  237. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ幾らつぎ込まれることになるのですか。
  238. 若松栄一

    若松政府委員 まだ四十三年度の実施計画が確定しておりませんので、確定的な金額は出ておりません。
  239. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃあなた方は、実施計画ができておらなくて五カ年計画というものをお立てになっているのですか。そんなばかなことないでしょう。予算だけ取ればあとは適当に計画をするという、そういうばかなことはないでしょう。計画がきちんとできるから予算というものを取られるわけでしょう。大蔵省に予算を要求されるときに、それじゃあなた方は計画書もなくて、お金だけを厚生省に渡しなさいと、そういう交渉をされるのですか。そして大蔵省はそれでけっこうだと、こう言うのですか。そんなばかなことはないでしょう。
  240. 若松栄一

    若松政府委員 五カ年計画というような計画に基づきまして、四十三年度はほぼどのくらいという見当でございまして、個々のこまかく細部まで積み上げた予算ではございません。
  241. 山本政弘

    山本(政)委員 しかし大まかに、どこの療養所をどうするのだという計画は、あなた方はおありになっているでしょう。それをお出しなさいよ。そうでなければ、これは現実には審議できないでしょう。私はそう思いますよ。そうでなければ、あなた、審議できないはずですよ。金額と病床だけで、非常に全国のものを包括的にあなたは数字としてお示しになったけれども、ここにそういうものが計画として出てこなければ、審議のしようがないじゃありませんか。
  242. 若松栄一

    若松政府委員 実施計画と申しますのは、いわゆる総体的な計画という意味でございませんで、どの施設に幾ら幾らという予算を付して計画を確定するのが実施計画でございます。そういう意味の実施計画、まあ経理上の術語といいますか、専門語として申し上げたわけでございます。そういう意味で、四十四億円という今年度の整備につきましては、現在、それぞれ予定しております各施設から実情と施設の希望等を全部聴取しておりまして、これに基づいて最終的な確定をする段階でございます。
  243. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは私申し上げます。これは日本医師会の雑誌ですよ。四十二年の一月一日にこれは出ております。その中であなた方は、日本医師会と国立療養所の将来の計画についてお話しになっているでしょう。なっているという事実がここにありますよ。読みましょうか。これは日本医師会のほうから出しているわけです。ですから、当然あなた方が御相談をなされて、そうして医師会から各都道府県の医師会のほうに出したものです。「かねて日本医師会が行なった、国立療養所転換等に関する調査を基として、さる七月二十八日日本医師会において、厚生省医務局担当関係者と懇談打合せの結果別紙(Ⅰ)「国立療養所に関する打合せメモ」の如き結論に到達いたしました。」計画はすでにこのときからなされているのですよ。なされておって、そうして現実にいま――この年は四十一年の七月ですね。四十一年の七月に、すでにあなた方はこういう計画をお持ちになっているわけだ。そして今日まで、そのことについて、その計画というものが具体的に進展しておらぬという事実は、あなた方が怠慢じゃありませんか。本来ならば、それまでの間には、すでに大まかなあなた方のブループリントができているはずでしょう。それができてないというのだったら、これは現実には審議することできませんよ。
  244. 若松栄一

    若松政府委員 その医師会雑誌に載っております別紙療養所に関する云々ということは、療養所個々の施設の計画ということではございませんで、今後療養所の整備にあたっては、結核ベッドだけでなしに、慢性疾患あるいは老人性の長期の慢性疾患等を収容する計画を考えておりますので、それらの病床の整備等については、地元の医師会等ともよく相談をして、話し合いをしながらやっていくという、そういう覚え書きを担当官と医師会の理事との間でかわしたということでございます。
  245. 山本政弘

    山本(政)委員 それだけではないでしょう。ここには(A)、(B)、(C)という三群に分かれておりますよ。「(約八十カ所のうちの一部について)」として「基幹療養所」というのがちゃんとここに十二と書いてある。そして「(B)(約八十カ所の小型療養所について)」では「(B)は将来の検討問題として現状のままでしばらく保留する。」と書いている。(C)については、これはただ(付)として、出ておらない。だがしかし、「これにたいし渥美次長は早急に両者協力して検討開始する」と、ここに書いてありますよ。検討を開始するわけだ。そうすると、そこにブループリントが出てこないはずがないでしょう。具体的にどこをどうするというものが出てこなければ私どもは審議しようがないし、同時に、あなた方は当然そういうものを持っていていいはずですよ。毎年四十五億以上の金をお使いになるのですよ。そういう無責任なことがあるとするならば、これは大蔵大臣もお金を出すことができないでしょう。しかし、大蔵大臣はお金を出すと言っているんです。私どもにいま確約されたわけだ。そうするとあなた方がお金を受けた段階で、それを計画実施中だ、計画中だということにはならぬでしょう。計画があるんだからお出しなさいよ。そうしないとこれは審議できませんよ。
  246. 若松栄一

    若松政府委員 ただいまの印刷物を十分拝見しておりませんでしたのでいろいろ思い違い等もございますが、その当時申し上げましたのは、国立療養所の将来の展望といたしまして、どこまでも結核療養所として残していく、結核専門病院として経営していくものと、それから慢性疾患を主にしてやっていくものと、それから小児疾患をやっていくものというような、大まかなワクを考えていくというお話はやったわけでございます。
  247. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは申し上げます。「昭和四十二年度概算要求説明資料、医務局整備課」というのがここに私の手元にある。ここにはちゃんと出ておりますよ。しかし四十三年度は特別会計になるんだから、おそらく計画はこれと若干違うはずです。こういうものがなければあなた方は大蔵省には予算の要求できないでしょう。そうでしょう。これにはちゃんと出ているのですよ、療養所をどうするかということが。昭和四十年の国立療養所の年報によりますと病床数は二千百四十床です。これは東京療養所のことですよ。それが現在、医療法による病床数は千八百五十、そして四十二年度の整備計画では千四百になっているのですよ。二千百四十から千八百五十、そして千四百とずっとこれは大幅に減っているわけですよ。だから私は、資料を出してくださいと、こう言っているわけです。あなた方に資料がないはずはないでしょう。毎年あなた方は大蔵省に対して予算を要求しているわけでしょう。それを出しなさい。
  248. 若松栄一

    若松政府委員 毎年やはり長期的な展望を考えております。したがって、毎年予算折衝をする場合には、やはり私どもの長期的な考え方も話しております。しかし、それが確定的なものではございませんで、そのときの情勢によって多少ずつの移り変わりはございまして、それで先ほども申しましたように、四十三年につきましても、八十四カ所というものの大筋のものはきまっておりますけれども、まだ若干は動くものがある。したがって、四十二年の当時考えたものとも一部は共通し、一部は変更があるということでございます。
  249. 山本政弘

    山本(政)委員 だから一部変更があっても、それは大局的な五カ年という長期展望の中では、私はそうたいした影響ではないと思うのですよ。しかし、審議をすることについては、この整備計画、要するに施設とかなんとかということと金額とは大いに関係があるわけですよ。同時に、どこが統合されるかということは、私は結核患者にとっても大きな問題になると思う。問題点としてはそれだけの問題があるのですよ。だから私は、それをお伺いいたしたいからあなたにお出しを願いたいと、こう言っているわけです。これ、大臣答弁してください。
  250. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの質疑応答を聞いておりまして、もちろん予算が決定して、格づけすることはそのあとでございましょうが、予算折衝については大まかな青図はあるわけでございます。ましていわんやそこに資料を持っておられるようでありまして、防衛庁ではございませんから助かりましたが、あるようでございますから……。
  251. 山本政弘

    山本(政)委員 だから、四十三年度の資料をお出しなさいと言うのですよ。出していただきたい、こう言うのです。そうでなければ審議にならぬでしょう。お出しになるのかならないのかというそれをお伺いしたいのです。そうしなければこれは進められませんよ。私はこれに関連して質問があるのですから……。   〔発言する者あり〕
  252. 田村元

    田村委員長 御静粛に願います。
  253. 若松栄一

    若松政府委員 四十三年度の予算要求の場合に使用いたしました八十四施設というものはございます。したがって、この資料は提出できますけれども、これは決して確定的なものではございません。相当部分が変動するということを御了解いただきたいと思います。
  254. 山本政弘

    山本(政)委員 なぜ私が資料を提出していただきたいかと申しますと、一般会計歳出予算各日明細書、この中に四十四億円というものが国立療養所特別施設整備費としてあるのですよ。そして積算の内訳の中に国庫債務負担行為限度額というものが三十億出ているわけですよ。四十四億プラスの三十億ですよ。七十四億というものが特別整備に使われるのですよ。それを四十四億しか使われないということになれば、これは実質三十億使うか使わないか別としても、計画としてはあり得るでしょう。そういうものがどう使われるかわからないで私は審議ができないと言っているわけですよ。四十四億。プラス三十億というプラスアルファがついているわけです。それならば当然それに基づいた計画書があると言うのですよ、私は。あなたは四十四億ということばかり言っているけれども、三十億の債務負担行為だってあるわけでしょう。それは一体どこに使われるのですか。
  255. 若松栄一

    若松政府委員 国庫債務負担行為の承認をいただいておりますのは二十億でございまして、国立療養所分が十五億、国立病院分が五億であります。
  256. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは、時間がないようですから、お伺いいたします。  結核予防法第二十九条三項に「国若しくは地方公共団体の開設する結核療養所又は第六十条の規定によって国庫の補助を受けた法人の開設する結核療養所の管理者は、都道府県知事から第一項の規定により入所し、又は入所させることを命じた旨の通知があった場合において、当該患者又はその保護者が入所を申し込んだときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。」こういっておるのです。これは二、三日前の朝日新聞の中での植村さんの話を私は申し上げたいと思うのですよ。「どんな薬もきかない、いわばもう見込みのない患者でも、ここに入れば五年も十年も生きてベッドをふさぎますからね。それでは〃見込みのある人〃がはいれなくなるし、医者だって逃げ出します。」こう書いてあるのですよ。しかし、二十九条の三項では拒否できないことになっているのですよ。しかもあなた方は、ベッドはあいていると、こう言っているのです。結核患者が少なくなったからベッドがあいている、こう言っている。入れておらないじゃありませんか。現実にベッドをふさぐからということで入れておらない。しかもそのベッドはあいておる。しかし、収容しなければならぬ患者というものはたくさんまだありますよ。一体こういうことに対するあなた方の責任はどうなるのですか。
  257. 若松栄一

    若松政府委員 朝日の特会の特集欄みたいなところに出ました、植村先生のことばとしてあげられております文字につきましては、植村先生に照会いたしましたが、そのような趣旨で申し上げたのではないということでございまして、どの程度ことばがあったか、火のないところに煙は立ちませんから、ある程度そういうニュアンスのことばもあったかとも想像されますが、決してそのような趣旨ではなかった、かなり離れておるというふうに聞いております。といいますのは、植村先生の説明は、東京病院としては入院患者が相当たくさんあるので、どうしてもある程度優先順位をつけなければいかぬ。第一は、在宅感染性の患者で家族に感染のおそれの大きい者、こういう者は優先順位として扱う。それから、在宅では全く手のつかない程度の、外科療法等、入院治療によって急速に好転するという見込みの者はやはり優先順位とする。他の療養所に現在おられて転院したいという者については順位は非常にあとだというふうに言っておられます。そして今度その特集で、断わられましたという患者も、実は他の病院から転院したいという患者であって、しかもかなりの重症患者であって、冬季の期間に移動する等のことは若干の危険なしとしない、そういう意味で従来の療養所においでいただくように申し上げたのだという趣旨でございます。
  258. 山本政弘

    山本(政)委員 持ち時間を超過したそうですから、それでは申し上げますけれども、これはあなたのおっしゃっておるように、民間の療養所にお入りになっておって国立の療養所に入りたい、こういった方ではありません。うちにおって結核にかかったから、それで国立の療養所に入れてほしいと言ったところが入れてもらえない。だから、精神病院に入った方がおられます。これは民間です。それから清瀬保養園にお入りになった方もあります。ベッドがあいているということの裏にはこういう事実があるということを、あなた方はお忘れになってはいけませんよ。現実にあっせんしておるのですよ。国立療養所ベッドがあいておるならば、言ってきた人をまずとにかく入れる。入れてそれが満員になった、そして重い人が来たらその中で操作するというのが、あなた方の親切な本来のあり方だと思うのですよ。それがなされてないのですよ。その点については一体どうお考えになりますか、大臣。
  259. 園田直

    ○園田国務大臣 結核患者については、戦後いろいろな努力の結果逐次減ってきたということを厚生当局では言っておりまするが、ただ、その減った中で、実際の患者が減ったということよりも、施設のベッドがあいたということをもって減ったと言っておるというおそれなきにしもあらずでございます。そこで私は、結核患者が逐次終えんをして、これを減少さす態勢にあるとは考えておりません。ただし、四十三年度予算におきましては、きのうも村山委員から御指摘を受けましたが、やはりベッドを減らしておる。ただし、年々二千のところを基準にして減らしておりますが、四十三年度はその減らし方の割合は少なくしてございます。そのベッドがあいたということは、患者が減ったということもあろうが、一つには、いまおっしゃった施設が十分でないということ、あるいは入院する方の生活の保障が十分でないということもありましょう。そういうことも勘案をして考えなければならぬ、こういうわけで、四十三年度の予算では結核対策費は昨年よりも三十二億増の予算を組んではおりますが、結核患者に対しては、いま御指摘されたことも中にはなきにしもあらず、ときどき耳に入ります。この点は、療養所その他直接の窓口にはよく指導をしてそういうことがないように、なおまた、ベッドを減らすか、あるいはまだ減らしてはならぬかということについては、この次からもう一ぺん検討してみたいと考えております。
  260. 山本政弘

    山本(政)委員 最後に、いまのあいたベッドをむしろ国立療養所のほうでふさごうとしないという事実を私は申し上げたのですけれども、同時に、いま結核療養に当たっておるお医者さんは、年齢的にいうと四十歳以上です。あと結核を専攻しているというか、研究している若いお医者さんがだんだん減ってきている。あなた方は、特別会計に移行することによって施設もよくなる、すべての面がよくなるというバラ色のビジョンをわれわれにお示しになっておるようであります。しかし、お医者さんの面とかそういう面について十分な配慮を払っていかないと、せっかく減少した結核患者がまたふえるという傾向になりますよ。その点をひとつ当局のほうは十分お考えを願いたい。  第二番目は、整備計画をお出しになるということですが、いつお出しになるか、その点だけを私はお伺いします。
  261. 若松栄一

    若松政府委員 この委員会の終わりまでに提出いたします。
  262. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは私の質問を終わります。
  263. 井手以誠

    井手委員 いまの山本委員の質問に関連して、一言確かめておきたいと思います。  医務局長、四十三年度の特別整備計画の四十四億円の財源の内訳は、土地代、借り入れ金など、どういうふうになっておりますか。数字だけを。
  264. 若松栄一

    若松政府委員 四十四億円の内訳は、借入金が十五億、土地処分による収益が十八億、一般会計繰り入れによるものが十一億でございます。
  265. 井手以誠

    井手委員 厚生大臣にお伺いいたします。四十三年度の特別整備計画によりますと、借入金が十五億、土地売却代が十八億、一般会計からの繰り入れが十一億ということであります。先刻の医務局長説明によりますと、二百三十億の特別整備計画のうちに、借入金が百億、土地売却代が四十億ないし五十億、したがって八十億ないし九十億は一般会計からの繰り入れ金であるという答弁がありました。大臣、間違いないと思いますが、念のために確認しておきたいと思います。
  266. 園田直

    ○園田国務大臣 そういう計画になっております。
  267. 井手以誠

    井手委員 大蔵大臣、いまお聞きのとおりでございまして、厚生大臣からただいま数字の御説明がありました。念のために大蔵大臣からも数字の確認を得ておきたいと思います。一般会計からの特別整備計画に対する五カ年間の繰り入れ額は八十億円ないし九十億円、間違いないと思いますが、念のためにお答えをいただきたいと思います。
  268. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまのは、さっき申しましたように厚生省の計画でございます。私のほうはこれに十分協力をすると申し上げておりますので、厚生省と協議の上、年々の予算化については、この計画に協力したいというふうに考えております。
  269. 井手以誠

    井手委員 協力したいということは、ただいまの一般会計からの繰り入れは八十億ないし九十偉そういうことで進んでおります、そのとおりですということでございますか。
  270. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたように、まだこの予算は、年々厚生省の計画に従って予算の計上をやっておりますので、査定官庁としてはそういうことはさまってはおりませんが、さっき申しましたように、これは厚生省の計画でございますので、この計画ができるように、予算の計上については協力するという立場でございます。
  271. 井手以誠

    井手委員 国務大臣の園田さんから御答弁があったわけです。同じ国務大臣から二様の答弁があろうとは思っておりませんが、いまのお役所の組織の点もありますから、念のためにお伺いしておるわけです。あなたは本会議における説明で、すみやかに計画的に整備しなくてはならぬから特別会計を設けますという御説明があっております。特別に整備しなくてはならぬから特別会計を設けますという説明でございます。すべてがそうなんです。そうであれば、五カ年間にどれだけ整備する、その財源の裏づけはこうこうであるということを明らかにしなくては説明の裏づけにはならないわけです。だから、私は申し上げておるのです。聞いておるわけです。だから、やはりそれは明確に両大臣打ち合わせてお答えをいただきたい。
  272. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この計画は、厚生省と大蔵省でこれでいきましょうと最終段階としてきまった計画ではございませんで、いま両方で相談している段階ということでございます。ですから、さっき申しましたように、主管官庁の計画でありますから、この計画ができるように私は協力したいと言っておるのですが、これは両省で一致して、これでいくという確定の計画にはいまなっていないということでございます。
  273. 井手以誠

    井手委員 確定していない整備計画をお出しになって、特別会計の審議を願われることは、これは違っておるのではございませんか。これこれの療養所を整備しなくてはならぬ、五カ年間で二百二十億の財源で整備をいたします、だから特別会計にしなくてはならないというのが改正案提案の理由でしょう。あなたのほうの説明は、すべてそこに整備が必要だからというので、特別会計の必要を力説されておるのですよ。厚生省のほうでは、はっきり二百三十億円、一般会計から八十億円ないし九十億円なくてはできないという説明があっておる。その数字にあなたのほうの両者の間で狂いがあるならば、一体何を信用してわれわれは審議できますか。私は、両大臣国務大臣だから、話し合いがあった上で御答弁があっておると信じております。金額が少ないなら少ないでけっこうです。多いなら多いのはなおけっこう。通した数字をお示しいただきたい。二百三十億円の整備をやりますというのでここで提案をされておる。その財源の裏づけがないなら、何で特別会計の提案の必要がありますか。重大な国会の審議ですよ。国会の審議に二様の説明があってどうなりますか。ひとつ打ち合わせて明確にお答えを願いたい、すでに数字は承っておりますから。
  274. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいま私から答弁したものと大蔵大臣の答弁は、食い違いがないと考えております。と申しますことは、年々の国家財源の関係もありましょうし、年々の変動もありましょう。総額については、あるいは私のほうでもっとふやしてお願いすることもありましょうし、そういう変動がありますので、これがきまったわけではございませんが、特別会計移行の際に、今年度の予算折衝の際に、こういう計画である、これに協力を願うという意味で、大蔵省もそれに協力をしようということで話ができておりまするから、私はさように申し上げたわけでございます。これは決定したという筋合いのものではございません。
  275. 井手以誠

    井手委員 二百三十億というのは、整備計画を立てて積み重ねた金額でしょう。ただ空にこれだけにしよう、二百三十億にしようか、三百億にしようかといって、つかんできめたものではないはずです。そんなあいまいなものは国会に出されぬはずです。その積算した二百三十億の内訳はこうこうこうだという御説明があった。それでその数字はそのとおりであろうとあなたはおっしゃった。実行する場合に一銭一厘違っては困ると私は申し上げてはおりません。しかし、少なくとも二百三十億の財源については、両者の話し合いがついておらねば説明ができないはずです。答弁にはならないはずです。それは一銭二厘のことを私は申し上げておるのじゃありませんよ。ただ出された二百三十億円について、財源はこうですという両大臣の一致した見解を私は聞きたいのです。そうでなくては私は引き下がれません。
  276. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま厚生大臣が言われたとおり、食い違ってはおりません。大体、予算折衝のときの厚生省から示された計画は総額二百三十億という計画で、これを一応私どもは承知の上で、まず本年度の予算折衝をいたしまして四十四億をきめて、本年度以降はこの全体計画を実現するように協力するつもりでございますが、この内容は、いまあなたのおっしゃるように、ここに書いた数字どおりにいくというわけではございません。こういう点はまた来年度のときの折衝ということでございますが、大体全体の計画については両省が一致して今年度の予算をきめた、こういういきさつであります。
  277. 井手以誠

    井手委員 二百三十億の計画については了承をして本年度の予算を提案したという御説明でありました。全体計画の二百三十億円の財源については、厚生大臣から確たる答弁があっております。借入金百億円、土地売却代四十億ないし五十億円、残りの八十億ないし九十億円は一般会計から繰り入れるという厚生省説明を了承した、こういうことでございます。私は、その点を了承したということでございますから、この程度でとどめておきます。ただいまの全体計画を了承するには、財源も含んでおるということを含んで私はこの質問を終わりたいと思いますが、医務局長説明によりますと、ことしの繰り入れ金はわずかに十一億でございますから、八十億ないし九十億の場合には、今後繰り入れのほうはずっとふえなくては合わないわけです。その点は厚生大臣、格段の努力が必要であろうと存じますので、念のためこの点を申し上げて私の関連質問を終わります。
  278. 田村元

  279. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は、基準寝具料に関連しまして、いろいろと変なうわさも聞いておりますし、そういう立場から厚生大臣にお尋ねしてみたいと思いますが、国療の寝具下請はいつごろから実施されているのか、まずこれをお聞かせ願いたいと思います。
  280. 若松栄一

    若松政府委員 昭和四十二年度に一部実施し、昭和四十三年度から全面的に実施したいと思っております。
  281. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間があまりありませんので、要点をつかんで答弁してください。  国立療養所の寝具下請業者の数は、現在幾つあるのか。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席
  282. 若松栄一

    若松政府委員 下請業者の数というのは、ただいま承知しておりませんので、すぐに調べて後刻お答え申し上げます。
  283. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 四十三年度の基準寝具料は一日五十円ということで予算化されていると聞きましたが、その四十三年度の予算の総額は幾らになっておるのですか。――それもわかりませんか。これはちゃんと質問通告していましたよ。
  284. 若松栄一

    若松政府委員 五億四千四百万でございます。
  285. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この五十円というのは全国一律なのですか、それとも療養所によっては変わるのですか。
  286. 若松栄一

    若松政府委員 これは医療保険基準の単価でございますので、全国一律でございます。
  287. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 日本病院寝具協会というのがあるそうですが、これはいつごろからどういう目的で設立されたのか、お伺いします。
  288. 若松栄一

    若松政府委員 日本病院寝具協会といいますのは、昭和三十九年十二月に、医療機関用の寝具の普及並びにその科学的研究、改善をはかるということを目的にして設置されました。
  289. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この協会は社団法人と聞きましたけれども、間違いありませんか。
  290. 若松栄一

    若松政府委員 社団法人でございます。
  291. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、差しつかえなければ、ここの会長さんはだれか、名前を聞かしてもらいたいのですが……。
  292. 若松栄一

    若松政府委員 会長は黒木利克であります。
  293. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その黒木さんという方は、現在の参議院議員の方でしょうか。
  294. 若松栄一

    若松政府委員 さようでございます。
  295. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 現在この協会に加盟している加盟店は幾つなんでしょうか。
  296. 若松栄一

    若松政府委員 昭和四十三年三月現在で七十四でございます。
  297. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この寝具協会の仕事は厚生大臣の認可業務だと聞いておりますけれども、それはどうでしょうか。
  298. 若松栄一

    若松政府委員 この法人は厚生大臣の認可を得ております。
  299. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その認可条件はどういう内容になっているのでしょうか。
  300. 若松栄一

    若松政府委員 社団法人として認可されておりまして、その目的事業等の定めがございます。
  301. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その定めは条文になってあると思いますが、要点だけでいいですから言ってもらえませんか。
  302. 若松栄一

    若松政府委員 この社団法人は、医療機関に対する寝具サプライ業を行なう者を会員といたしまして、寝具及び寝具のサプライに関する業務のあっせん、第二番目として医療機関用寝具の品質の向上及び制度活用の普及、三番目には会員の福利厚生に関する事業等を行なうということを目的といたしております。
  303. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この国立療養所関係の寝具下請業者の数のうちに、同協会関係は何社くらい入っているのか、またこの協会ばかりなのか、それともそのほかに関係のない業者が入っているのか、いればその数を教えてください。
  304. 若松栄一

    若松政府委員 昭和四十二年度に実施いたしました施設は三十九ございますが、これに寝具を納入する業者が二十一ございまして、このうち二つだけが寝具協会に加盟していない業者でございます。あと十九は加盟業者です。
  305. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの数はいつの時点の数ですか。
  306. 若松栄一

    若松政府委員 四十二年十一月の時点の調査でございます。
  307. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その後変わってないのですね。
  308. 若松栄一

    若松政府委員 大体契約がありますので、変わってないと思います。各契約には相当の期間がありますので、変わってないと思っております。
  309. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 きのう私が厚生省の役人に聞いた数とはずいぶん違うのですがね。きのう聞いたのは、三十七加盟して、このうち三十五は国療関係だと聞いたのですが、これは私の聞き間違いだったのでしょうか。
  310. 若松栄一

    若松政府委員 それはおそらく施設数と業者数が少し混同しているのじゃなかろうかと思っておりますが、一つの業者が幾つかの施設に納入しておりますので、業者の数にいたしますと、二十一、実施している施設の数にいたしますと三十九ということになります。
  311. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いずれにしましてもこの協会が占めている数というのは倍以上になっているわけですが、独占企業的であるとか、あるいはいまも説明があったように、この会長さんは現在の衆議院議員でもあるし、また元厚生省の医務局の高級官僚であった。そういうことからいろいろな疑惑の内容がちまたに流れておりますが、この入会条件というのは一体どうなっているんでしょうかね。
  312. 若松栄一

    若松政府委員 私どもこの協会の定款等から、会員の条件として特別に限定されたものを見ることはできません。会費の規程がございますので、会費の納入によって会員になるのではないかと思っております。
  313. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 この協会は社団法人ですので、営利主義であってはならぬというふうに考えますが、この点はどうですか。
  314. 若松栄一

    若松政府委員 七十四名の会員によって構成されておりますこの法人自体は、営利事業はやっておりません。   〔毛利委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理   着席〕
  315. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 入会金が五万円であり、また貸し寝具の枚数によって、それに比例して手数料がかなり取られているということを聞いたのですが、そういうことを御承知でしょうか。
  316. 若松栄一

    若松政府委員 入会金を五万円とし、そのほかに年会費として、会員の契約病床数に応じて月額千円から四万円までの年会費があるというふうに承知しております。
  317. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 大臣にお尋ねいたしますが、いまのお話では、入会金五万円、そのほかにベット数あるいは寝具を納める数量によって手数料か何かが納められているというのですが、こういう姿は問題ないのでしょうか。
  318. 園田直

    ○園田国務大臣 社団法人でございますから、社団法人でそのようなことをやることを、私のほうでとかく言うことできないと思います。
  319. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 厚生大臣の認可業務になっているという話を聞きましたけれども、そういう指導監督の立場から考えた場合、社団法人がその趣旨目的に沿って進んでいるかどうかという立場からいろいろと内容の検討もあろうかと思うのですけれども、そういうことはなさらないのでしょうか。
  320. 園田直

    ○園田国務大臣 特に不当な事項がある場合にはそういうことをやるようになっております。
  321. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私も詳しくは知りませんけれども、うわさですけれども、この枚数によってかなりの手数料が取られているというのは、枚数がかなりの枚数になっているわけです。つまり四十万くらいの枚数になっていると聞きました。そうしますとばく大な金額になりますね。そういうことから、これがあるいは政治献金に動いているのではないかなどといううわさをちらほら聞くわけです。こういううわさが流れているということを御存じないのならば、これはよほどぼんやりなさっているのではないかと思いますが、もし聞いていらっしゃるのならば、そういう黒い霧のうわさを晴らす意味からも、その内容を調査なさる必要があると思うのですが、この点はどうですか。
  322. 園田直

    ○園田国務大臣 決算委員会である委員の方からそういう御注意を受けた事実が過去にあったように記憶しておりますので、その当時そういうことについて問題があったようでございますが、その問題について当局で調べたときには、私の在任中ではございませんでしたが、不正事実はなかった。ただし、さような事実について十分注意をするように注意をしたようでございます。
  323. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 園田厚生大臣のときではなかったという話ですが、現在は園田大臣が厚生大臣ですから、ひとつこれもしっかり内容を究明していただきたい。これは要望です。協会の経理状態というのが一体黒字なのかどうなのか、また、たくさんもうかっているならば、そういうもうかった金は一体どうなっているのか、こういうことも指導監督の立場から究明してもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  324. 若松栄一

    若松政府委員 厚生省で監督しております法人でございますので、私どものほうで決算等も聴取いたしまして内容の監督をいたしております。
  325. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 とにかく最近は、黒い霧だ、黒い霧だといろいろとうわさが飛びますので、いまの点十分心得て調査してもらいたい。  その次にお尋ねしますが、国立療養所がそうした下請業者を選択するのは指名入札と聞いていますけれども、業者の指名権はだれにあるのか。
  326. 若松栄一

    若松政府委員 当然指名の権限は、契約の当事者である病院の事務長でございます。
  327. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 一つの実例を申し上げますと、昭和四十二年の七月十五日、岩手県の国立盛岡療養所と花巻療養所の入札が行なわれたことは事実ですが、このときに非常に不可解な入札があったということで、地元の業者から厚生省に陳情が行なわれたということを聞いておりますけれども、それは御承知でしょうか。
  328. 若松栄一

    若松政府委員 地元の業者からの陳情がございました。
  329. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 そのときの陳情内容、私もここに手にしておりますが、六項目にわたって質問が出ております。そして厚生省の立場からこの質問状にお答え願います、こう書いてありますが、その当時どのように回答されたのか。時間があれば一項目ずつ質問のとおりを読み上げてもいいのですけれども、時間を節約する意味において、第一カ条はどう返答したか、第二カ条はどう返答したか、答えていただきたいのです。
  330. 若松栄一

    若松政府委員 これは盛岡の事件でございますので、私どもの中間的な管理機関である仙台にあります地方医務局長をして回答させてあります。その内容は、項目は先生のほうでおわかりと思いますが、第一の項目については、予算額とは予定価格と解されるが、この予定価格は各施設支出負担行為担当官において作成するもので、その施設の立地条件、気候、風土、建物の構造、患者の態様、寝具の品質、規格及びその他契約しようとする条件等を勘案し、積算決定するもので、必ずしも施設それぞれ同一価格とはならない。
  331. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま、厚生省予算というものは、全国一律ではないのだ。療養所療養所によって違う場合もあるのだという返答のように聞こえましたけれども、そのように理解してよろしいですか。
  332. 若松栄一

    若松政府委員 本省から令達しております予算額は、全部一律に三十円でございます。しかし、いま申し上げましたように、いろいろな土地土地による条件等もございますので、入札の予定価格としては一律にはならないというふうに指導しております。
  333. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 わかりました。それでは一応厚生省としては全国一律に、その当時は三十円ですね。私は四十円と聞いておったのですけれども、三十円間違いありませんね。
  334. 若松栄一

    若松政府委員 三十円でございます。
  335. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは次に聞きますが、第二条はどういう返答でしょうか。
  336. 若松栄一

    若松政府委員 盛岡、花巻の二療養所における予定価格は二十四円九十銭未満であったため、予定価格に達せず不調に終わったものである。
  337. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの話を聞いていますと、そのときの入札の最低価格が二十四円九十銭であった、こういうわけですね。ところが、これがもう一回やり直しをさせられたというのですね。この理由はわかっていますか。
  338. 若松栄一

    若松政府委員 いま申し上げましたのは、二十四円九十銭未満であったために、もう一度やり直したということでございます。
  339. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 おかしいですね。これはだいぶ違ってきますよ。これは二十四円九十銭で一応入札が終わったのです。当然この方に落札しなければならない常識なのですけれども病院側のほうで、予算がそれだけないんだ、だから高過ぎるからやり直す、こういうわけです。しかし、いま医務局長お話によれば、私は四十円と思っていましたけれども、三十円と言いました。三十円にしてもその予算内じゃないですか。だったら、これで落とされていいはずですね。入札の常識からいったらそうじゃないでしょうか。
  340. 若松栄一

    若松政府委員 厚生省の配賦単価が三十円でございまして、施設では二十四円九十銭よりももっと安い値で請け負わせてやろうという意思があった。したがって、二十四円九十銭では一応落札させないで、もう一度入札をしたということでございます。
  341. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 そこのところに非常に不可解な内容を感ずるのですけれども、それはそれとしまして、その次にやられた入札で、最低額が十九円だというのですね。これは全国どこを見てもこんな安い額はないのです。業者も驚くし、関係者もみんな驚いたというのですね。もし十九円ぐらいで実際仕事ができるならば、他の業者はつぶれるのじゃないか、こういう話もあるのですけれども、こういう点はどうお考えでしょう。
  342. 若松栄一

    若松政府委員 私どももこの結果を承知いたしまして、実はびっくりいたしたわけでございます。そのような価格ではなかなかできかねるのではないか。したがって、このケースの場合は、ある意味ではダンピングというような形ではないかと考えております。
  343. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 第四条の問題と関連しますけれども、入札業者の指名は事務長がやると先ほどおっしゃいましたね。盛岡市に有力な業者がおるにもかかわらず、それを参加させないで、他県の業者をわざわざ指名し入札に参加させた、こういう点についてはどういうふうに返答なさっているのですか。
  344. 若松栄一

    若松政府委員 私ども、地元に有力な業者がどの程度あったかということをつまびらかにしておりませんが、業者の選定にあたっては、過去の実績、経営規模、経営の状況、消毒設備等を総合的に調査し、契約の履行に十分耐えるかどうかということを調査し、適当と認めたものを指名するというふうに指導いたしております。
  345. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 指導の内容はわかりますけれども、現実問題として、地元にはいまの条件に十分合う業者がいるのです。それをはずして、他県からわざわざ呼び寄せるというのがおかしいじゃないかと言っているのです。  それでは、もう一つお尋ねしますが、この盛岡市と花巻市の二つの療養所は、やはり現在も十九円でその作業がなされているのですか。
  346. 若松栄一

    若松政府委員 昨年の契約に従って、現在でもそのようにやっていると思っております。
  347. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 十九円くらいで実際できるならば、今回の五十円なんという予算は多過ぎるのじゃないですかね。これはもっと私は軽減すべきだと思います、そんな安い金でできるならば。  そしてもう一つの考え方は、とにかく五十円というお金で予算が組まれた。実際は十九円でやられている。その差額金は一体何に使われているのか、この問題が一つですよ。  それから、いま言うように、その予算額を、五十円をもっと切り下げるべきではないかというのが一つです。これに対してお答え願います。
  348. 若松栄一

    若松政府委員 十九円でやっているならば、五十円は高いじゃないかというお話でございますが、十九円というものはきわめて異例なことで、ここで問題になるほど異例な事例でございまして、大部分の施設はわれわれの配賦した予算の三十円で落札しているのが実情でございます。なお、本年度から予算を四十円にいたしております。  なお、これは保険のほうの基準寝具の報酬支払いが、昨年の医療費の改定で四十円から五十円になったということでございます。したがって、われわれのほうの予算が四十円で、受け取る報酬が五十円だ。その間の十円はどういうことかということでございますが、これは四十円請負に支払います金は、洗たくとそれから寝具の借料ということでございまして、そのほかに病院なんかにおきましては、それらの寝具を取り扱っております職員もございます。また、事務の者もおります。またそのほかに、現実に病院というものは、この寝具のほかに患者が持っております、たとえば寝巻きやパジャマというような私物の洗たくというようなものも引き受けております。そういう意味で、基準寝具料として五十円になったということは、それらの実情もあわせまして単価が上げられたものと考えております。
  349. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間がきたようでございますので、この辺でやめますが、とかくこのような、ふしぎでならない、不可解きわまりない入札の状態だとか、そのほかにいろいろと疑惑を持たれるような事柄がうわさとして流れております。厚生省は、特に大臣にお願いしますが、こういう内容について責任ある調査をお願いしたい。それから国立病院の場合は、このような作業がなされているのかどうか、それとも自前でやられているのかどうか、お聞きします。
  350. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院におきましては、従来からみずから実施しております。
  351. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 国立療養所もそのようにあるべきではないですか。その点どうお考えですか。
  352. 若松栄一

    若松政府委員 国立療養所についても、みずから実施することが望ましい姿であると考えております。ただ、私どもこういう時代に、一挙にこれを実施いたしますと、そのためには寝具の購入費に相当多額の金がかかり、また、職員を相当数増さなければならぬということが現在の時点ではなかなか困難である。したがって、やむを得ず民間業者に一部を委託をしたということでございます。
  353. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 最後に、大臣にお尋ねしますが、これは理想論ではなくて、現実論として、あすあさってにやれと言われても無理でありますけれども、いま言いましたような、いろいろな問題をかもし出す要素がありますので、やはり国立療養所について、国立病院と同じように国立療養所のそういう施設等を設備して、健全なる運営に進めるべきだと思いますが、大臣としてこの点、どうお考えでしょうか。
  354. 園田直

    ○園田国務大臣 御指摘のとおりに、これは病院自体でやるのが原則でございます。なおまた、いまのような問題に対しましては、十分調査をし、かつまた、協会に入っているものと入っていないものと、差別などのないようによく注意してまいりたいと思います。
  355. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 もう一つだけ聞かせていただきますが、福岡県の屋形原療養所ですが、ここは去年の八月から寝具料の認可が出まして、すべてにそれが取られているということになっているのです。ところが、今度の法律の改正案の中で自費で、あるいは半分は保険で見られる、半分は自前になるというような人は、二割引きはいまのまま続行するというふうに聞いておりますが、そうしますと、去年からいままでずっと払い続けてきた人の二割引きの、その差額金ですね、それはどうなるのでしょうか、お返しになるのでしょうかね。
  356. 若松栄一

    若松政府委員 昨年実施いたしました分については、これは従来の二割引きと違って、新たに基準を実施したということで、基準寝具料を付加したのでございますが、これは今度の二割引き廃止と同時に、むしろこれも撤廃したほうがよかろうということで、今年五月からは、従来から入院している分についても改めて、基準寝具料は撤廃するということにいたしております。
  357. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は、これで終わります。
  358. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 河野正君。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  359. 河野正

    河野(正)委員 いわゆる今回の特会法は、法文そのものはきわめて簡単でございますけれども、しかし、その背景にまつわりまする問題は、非常に重大な、多くの問題をはらんでおるというふうに私は考えておるわけでございます。  しかしながら、きょう割り当てられた時間も非常に制限がございますので、多岐にわたってお尋ねするわけにまいりませんので、したがって、問題点を要約してしぼって、ひとつ御見解を承っておきたい、こういうように考えるわけでございます。  そこで問題の性質上、まず第一にお尋ねを申し上げておきたいと思いまする点は、これはもうすでに委員会でもいろいろ言われてまいったと思いまするけれども、今度の特会法移行というものが、公営医療本来の性格を失わしめまして、営利本位の医療になるおそれがある、こういうような議論が非常に強いわけでございます。そこで、いろいろ私どもも、そういう立場から論議を進めてまいりたいわけでございますけれども、時間の制約等があって、先ほど申し上げるように、多くを申し上げることができません。しかしながら、質疑に入りまする前提として、まず、ぜひお聞かせをいただきたいと思いまするのは、今回の特会法と、いわゆる結核対策、あるいは精神病対策、こういうものとの関連、特に私はいろいろな疑問を持っておるわけでありまするから、政府としては、どういうところに利点があるというふうに、効果があるというふうにお考えになっておるのか、この点をまずお聞かせをいただいて、それに基づいていろいろと私どもも反論を加えてまいりたい、こういうように考えます。
  360. 若松栄一

    若松政府委員 このたびの国立療養所会計特別会計にいたします趣旨は、現在の国立療養所が、従来結核、精神、脊髄等を扱ってまいりましたけれども結核患者は著しい勢いで減少いたしております。したがって、相当空床ができてくる。したがって、一部は精神病床に転換をいたしております。また、さらに将来診療能力に十分に余裕も出てまいりますので、これを重症心身障害児であるとか、あるいはその他の慢性疾患の収容にも当たりたい。そのような目的を達成いたしますためには、現在の医療設備はきわめて陳腐、老朽化しておりまして、とうていその用にたえない。したがって、これを急速に整備充実しなければならない。そういうためには、現在の一般会計の中における従前の規模の予算、従前の傾向における増加程度では、とても処理し切れない。したがって、特別会計制度によりまして、借入金の導入、あるいは自己資産の処分による収入等を確保し、さらに一般会計からも繰り入れをいただきまして、整備の促進をはかり、なお、そのほかに、これを機会に医療の充実、患者サービスの向上等もあわせて実施したい。そういう意味で、この特別会計に踏み切ることに決心いたしたわけでございます。
  361. 河野正

    河野(正)委員 そこで、ひとつ反論いたしたいわけでございますけれども、いま局長は、結核病床というものがだんだん空床になってきた、そのことは、結核患者が減少したためと言う。要するに局長の御答弁を伺っておりますと、結核患者が減少した、そうして空床ができてきた、そこで、今回の特会法によって、いろいろ改善をはかっていきたい、こういう意味でのお答えであったわけでございますけれども、ところが、なるほどこの実情の上からはそうだかもわかりませんけれども、たとえば、昭和三十八年におきまする結核の実態調査によりますと、いま言われましたように、三十三年から五年間だけでも約百万人の患者が減少した。しかしながら、その中でも問題でございますのは、やはり八十九万といわれておりまする要治療、いわゆる活動性結核患者の対策であると思います。ところが実際には、そういった活動性結核患者につきましては、なおかなり処置を進めなければならぬ。実際には、いわゆる活動性結核患者は、感染性の結核患者でございますけれども、これは、大づかみの話でございまするけれども、厚生白書によりましても三十万近い、こういうふうにいわれておるわけでございます。ところが、四十一年度におきます結核病床数というものは十九万ベッドということですから、厚生白書によりましてもなお感染性の、当然これは隔離しなければならぬ、要治療、要入院、こういった患者がおるわけです。そこで、化学療法、その他の進歩によって、なるほど患者は減少したけれども、しかし、社会的にまた国が処理をしなければならぬ、対策をしなければならぬ患者というものは、なお多くおるという認識をわれわれは特に持たなければならぬと思う。ところが、単に結核そのものが減ったから、空床ができてきたから、この際合理化をやっていこうというような考え方が根本的に誤っておることは、いま私が実際の数字を申し上げた点からも明らかだと思います。  それから、時間もございませんから、いま一つ精神についてもあわせて申し上げておきたいと思います。これもまた、昭和三十八年におきます精神衛生実態調査によりましても、精神障害者の推計というものは約百二十四万というようにいわれております。これが実態というものはなかなかっかみにくいわけでございますけれども、一応そういうふうな推計がございます。しかも、即刻入院させて社会から隔離しなければならぬ、閉鎖しなければならぬ、そういう患者は、これまた大体三十万程度というふうにいわれてまいっております。しかも、こちらのほうは、精神のほうは、むしろ患者が年々歳々増加をしていくという傾向にございます。そういうところから見てまいりますると、四十一年度の病床数というものは約十九万でございますから、そういう点から見てまいりましても、これはなお社会なり政府みずからが処理しなければならぬ患者というものが、多数に残されておるということを私どもは銘記しなければならぬと思います。  そういう点から考えてまいりますると、先ほども局長が言われましたが、患者が減少した、空床がふえた、したがってこの際この規模を縮小し、そして近代化していこうというような答弁があったわけでありますけれども、これは根本的に認識が違っているというように私ども指摘をせざるを得ぬと思います。そういう根本的な認識、そういう認識のもとにこの特令法に移行されまするということは、今後、いま世間で言われておりまするようないろいろ憂慮すべき点があるということは、私どもはやはり肯定せざるを得ぬと思います。こういう認識のしかたについて、この際ひとつ大臣から、率直な意見をお述べいただきたい。
  362. 園田直

    ○園田国務大臣 先ほど申し上げましたが、特別会計にする第一の理由は、結核患者が減ってきて、いままでほど施設を必要としないから合理化をして、移行しようというわけではございません。確かに、ベッドは、御指摘のとおりにあいておりまするが、その老いている理由というものは、第一は、今日のままの老朽な、しかも結核療養に適しない、完全でない施設にあまり入る者がないということもありましょうし、もう一つは、生活に困った者が療養所に入られても、その生活の保障が十分でないという点もありましょうし、そういういろいろな点があってベッドがあいている。単に、結核患者がいなくなったからあいたとは考えておりません。  そこで、実は、現実にあいておりまするから、年年ベッドを減らしてきておりまするが、私は、結核患者というものを、だんだんなおってきたからもうほうっておいてもいいのだという考え方は間違いであって、いまなお結核に対する追撃戦をやらなければならないということを考えております。  そこで、四十三年度も、ベッドの数は減ってはおりまするものの、いままでの年次の平均からすれば、その減らし方は少なくなるわけでございまして、結核対策にも、四十三年度の予算は三十二億増をいたしております。しかしながら、これを早急に近代的な設備をして、喜んで療養所に入られるということにするためには、どうしても早急に膨大な資金が要るし、財政的に弾力性のある財政方法を使わなければならぬので特別会計に移行したわけでありまして、したがいまして、四十四年度以降からの結核患者ベッドというものについては、いままでのような惰性で逐次減らしていくということは間違いであるので、もう一ぺん検討しなければならぬと考えております。
  363. 河野正

    河野(正)委員 そこで、いまの点に関連をしてここでお伺いをいたしておきたと思いますのは、それならば、結核療養所が精神療養所に転換された面がございますが、これが幾つやられたか、また、今後どういう考え方を持っておられるか。  それからもう一つ、時間がございませんからあわせて申し上げますが、結核療養所が精神療養所に転換をされて、そして、それらに対応する職員の配置というものは一体どういうことになっているか。その点についてもひとつこの際お聞かせいただきたいと思います。
  364. 若松栄一

    若松政府委員 国立療養所の中で、旧陸軍時代から精神専門でやっておりました施設が三つございましたが、現在六つの施設が精神療養所となっております。したがって、新しい三つの施設が転換したわけでございますが、やはり、転換時の人事管理というような面から、旧結核の専門家が所長をしておりましたけれども、最近は二つの施設が転換いたしました。三つのうち二つが精神科の専門になりまして、一つの施設がまだ残っておりますが、これも将来はそのような専門家を充てていきたい考えでございます。
  365. 河野正

    河野(正)委員 そこで、私どもものを申したいわけですけれども、なぜ転換したにもかかわらず専門医がおらないのか。私は、そこにすでに厚生省がいろいろ国会答弁を通じて、いま世間で心配しておるようなことは絶対に考えておらぬのだとおっしゃっても、たとえば結核療養所を精神療養所に転換しながら、その専門医がおらない。これは各界で問題になっておるわけですよ。結局、患者のため、国民のためというよりも、便宜主義的にこの合理化というものが行なわれている。それで私は指摘したかったから、あえて精神病の問題を取り上げたわけです。ですから、大臣が口頭禅じゃないけれども、幾らりっぱなことをおっしゃっても、それはいま言ったように全く便宜的な合理化というふうに私は指摘せざるを得ない。少なくとも、個人開業なら別ですよ、個人開業だって人道的な問題がある。国の施設、国の機関が、いわゆる結核から精神に転換されながら専門医がおらないなんて、こんなばかなことがありますか。それでは、国民の声にこたえて合理化をやるんだといっても、国民は信用できませんよ。その点大臣いかがですか。
  366. 園田直

    ○園田国務大臣 いま転換をいたしました小諸とそれから松籟荘と、それからもう一つは榊原療養所、この三カ所のうちの二カ所は、長は精神専門医がやっておりますが、小諸だけが長は精神病専門医の方でないわけです。しかし、その小諸も、精神科医長など、中堅クラスは専門医を配置しておりますが、ただいまのような御意見等も十分配慮いたしまして、将来はそのようにしていきたいと考えております。
  367. 河野正

    河野(正)委員 この結核療養所を精神に転換するんなら、それに応ずる体制ができて初めて転換すべきであって、転換したけれども専門の医者がおらぬ、こんな国民をばかにしたことがありますか。そういう事実があるから、たとえ厚生大臣が、口頭禅じゃないけれども、幾らりっぱなきれいごとをおっしゃっても、国民というものは納得しがたい。国民の心配というものは消えない。これが私はこの特会に対する一番大きな国民の憂慮だと思うのです。そこで、厚生省がいろいろここできれいごとをおっしゃるけれども、われわれが納得できぬ理由というものがそういった点にあることを、ひとつ十分に銘記しておいていただきたい、こういうように思います。時間がございませんから、なおいろいろと追及したいわけでございますけれども、その点をしっかりひとつ銘記しておいてもらいたいと思うのです。  そこで、まあ時間の制約がございまして時間、時間と言うわけでございますが、きょう、私しぼって申し上げたいと思いまする点は、特会制移行と合理化との関連ですね。特に、特会制移行あるいはまた国の医療機関におきます合理化政策がとられてきて一各面において下請制度というものが入ってまいっておりますことは御承知のとおりだと思います。そこで、そういう特会制移行と今後の合理化、特に今回のいわゆる下請制度、こういう点について政府はどういう御見解を持っておられるのか、この点についての御見解をひとつお示しいただきたい。
  368. 若松栄一

    若松政府委員 このたびの特別会計制度への移行と、それからただいまお話のありましたような下請等を内容とする合理化制度の推進ということは、私ども直接的には何ら関係なく考えてそれぞれ実施してまいりました。ちょうど実施の時期がぶつかったということのために誤解をされますことは、まことに遺憾だと思います。
  369. 河野正

    河野(正)委員 それならば私ども基本的に追及してまいりたいと思いますので、具体的に、どういう形の下請制が導入されておるのか、実施されておるのか、それについてお聞かせいただきたい。
  370. 若松栄一

    若松政府委員 国立療養所につきましては、先ほど来話に出ましたように、昭和四十二年と四十三年の二年がかりで基準寝具を実施するための寝具の下請をやらせております。給食関係等については、これは従前から直営でやっておりますので、そのまま将来も実施してまいる所存でございます。
  371. 河野正

    河野(正)委員 そこで、のめのめと厚生省基準寝具は当然なんだというような言い方をされるのか、私ども納得いかぬわけですけれども厚生省が出しました告示があるわけでございます。その昭和三十三年六月三十日厚生省告示第百七十八号として出された告示によりますと、いま局長は合理化と関係なく、四十二年、三年にわたって、どんどん基準寝具の下請をやってきた、こういうお答えであったわけですけれども、いま私が述べましたように、昭和三十三年六月三十日の厚生省告示第百七十八号によりますると、「患者療養を行なう理想の形としては寝具設備も医療の一環と考えなければならない。」こう書いてあるのですね。しかも寝具設備の基準の項には「療養上必要な寝具類を具備し、患者の使用に供するほか、その洗たく、消毒及び修理は、当該保険医療機関が原則として自ら行うものとする。」原則的にはそういう寝具というものは病院みずからが行なうべきである、こういう指導が一般になされておりながら、厚生省みずからが範をたれなければならぬのに、一般に対しては基準寝具というものは病院みずから行なうのが妥当である、こういう告示を出しておいて、なぜ、国立の医療機関においてそういうことを率先してやらなければならぬのか。そんなことで、何もあなた一般に対してこういう告示をする必要はないでしょう。おまえたちやりなさい、おれたちはかってに基準寝具は民間に委託するんだ、こんなばかなことがありますか。大臣、この点いかがですか。
  372. 若松栄一

    若松政府委員 どこまでもこれは原則的には病院それ自体で実施しなさい、やむを得ない場合もあり得るということを申しておりますが、国立がやむを得ない場合に該当したということはまことに申しわけないわけでございますが、国立も非常に大きな百六十という施設をかかえておりまして、これを一挙に整備し、また洗たく施設等拡充し、また職員を相当数準備するということが現時点においてきわめて困難である。しかも、これを実施して患者サービスを向上するということは急がなければならぬということから、残念ながらやむを得ずという形で、国立の医療機関が実施することにいたしたわけでございます。
  373. 河野正

    河野(正)委員 この患者サービスの向上ということから、実は基準寝具というものは病院直営でやりなさいということに私はなっていると思うのですね。というのは、あなたのほうから出した書類ですよ、「患者療養を行なう理想の形としては寝具設備も医療の一環と考えなければならない。」こういう指導をやっておいて、何で国立が率先してやらなければならぬのか、こんなばかな指導がありますか。一般に対しては、それは財政上の問題がある、あるいはいまの低医療費の世の中ですから保険医療というものは非常に窮屈になっている。だから一般においては、そういう原則的には病院みずからやるべきであるけれども、下請やむを得ぬ、これなら話はわかる、多少立場はわかる。ところが指導をしておる厚生省が、なぜ自分のところの病院に対して、そういう指導にもとるような民間委託をやらなければならぬのか。こういう告示は、全くあなたは、これは何といいますか、国民にだけ責めを負わしておいて、そして厚生省みずからは全くほおかぶりをしておる。こういうことで、適切な厚生行政、円満な厚生行政というものが遂行できますか。できないでしょう。この点、大臣いかがですか、お聞きになって。
  374. 園田直

    ○園田国務大臣 仰せのごとく、入院患者の寝具の設備を医療の一環として考えるのは当然でありまして、これは原則でございます。なお、また、社会保険の診療報酬において入院料に加算を認める場合の基準は、先ほどのごとく、その病院自身が寝具類を備え、かつ、洗たくその他の整備をするようになっておりますが、しかし、現実の問題としては、やむを得ない例外として、一般病院も、寝具類を賃借しあるいは洗たくを外部に委託することが認められておるわけでありまして、これは療養所においても、原則として自前でやるのが当然でありますが、いろいろ財政上等の措置で、そういうふうに外へ委託しておるものと考えるわけであります。
  375. 河野正

    河野(正)委員 それならもう一つ。厚生省がお出しになった「病院経営管理指導要領」というのがあります。これは昨年の十一月、厚生省の医務局がお出しになった。これによりますと、もっと強いことが書いてある。どういうことが書いてあるかと申しますと、「寝具類、リネン類、ホータイ、ガーゼ等、衛生材料、喀痰等の汚物、便所等の消毒は、それぞれ、対象物に適応した消毒方法により、病院において行なうべきである。」と書いてある。これは、あなたのところが出した指導要領ですよ。病院が行なうべきだと書いてあるでしょう。こういう指導をしておきながら、何で政府みずからが、自分の医療機関において、そういう方針をお破りにならなければならないのか。これは一般の民間に対して、万やむを得なければいたしかたないとおっしゃるなら、これまた、先ほど申し上げましたように、一応の理屈は理屈だと思うのです。厚生省がそういう指導を出しながら、なぜ厚生省みずからが破らなければならないのか、どうも私ども納得いかないですよ。これは大臣は非常に常識的な方ですから、少なくとも私の読み上げたこの指導の文章その他をお聞きになれば、おそらくけげんな気持ちになられるでしょう、これは大臣の時代じゃないですから。全くこれは納得いきませんよ。これはどういうことです。
  376. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま御指摘ありました趣は、私どもの出しております「病院経営管理指導要領」の寝具類、リネン類の消毒の項ではないかと思います。したがって、これは、病院の寝具類、リネン類、それから汚物、便所等の消毒は、それぞれの対象物に適応した消毒方法により病院において行なうべきであるということで、行なうべきであることを強く指導しておりますのは、特に消毒の面を医療機関として強調したつもりでございます。
  377. 河野正

    河野(正)委員 そんなことを言うならあらためて申し上げますが、それならなぜ寝具類の消毒を民間にまかせますか。民間にまかしておるじゃないですか。私は、神奈川県の療養所に調査に参りました。そしてその病院がやっておりますのは、敷布をかぶせたり、そういうことは病院がやるのですよ。ところが、一切の消毒その他万般済まして下請の会社が病院に持ち込んでくるわけでしょう。だから、そういう指導をやって確かに悪うございましたなら悪うございましたとおっしゃるならいいけれども、あなたが幾ら弁解されても、弁解の余地はないでしょう、こういう文書を出しているわけですから。どうですか、これは。
  378. 若松栄一

    若松政府委員 ただいまの先生にごらんいただきましたのは、横浜の浩風園であろうと思いますが、浩風園におきましても、これも現地の神奈川県庁の指導もありまして、消毒は病院の中で行ないなさいということで、病院でホルマリン消毒の設備をやりまして、病院内で消毒を行ないまして、それらを洗たくに外へ運ぶという手だてをいたしております。
  379. 河野正

    河野(正)委員 それならなぜそういう指導をしませんか。ここには明らかに病院が行なうべきだと書いてあるじゃないですか。なぜ書いてあることをあなた方は誤った方法でおやりになるのですか。だから、一般病院がやむを得ざる事情によってそういう方策をとるということは、これはまたいろいろあると思う。いま低医療費政策ですからね。ところが、そういう指導をやった厚生省みずからが、なぜ指導を踏み誤らなければならぬのかと言っているのですよ。たとえば、いま浩風園のお話が出ました。それは私とあなたと若干見解を異にいたします。異にいたしますが、それならばなぜあなたがおっしゃったように、この指導要領にお書きになりませんか。少なくともこの文章からは私が言うとおりでしょう。そうじゃないですか。あなた方が、自分が指導しながら、厚生省みずからが破るんなら、一般病院はなおさらのことですよ。もう監督する権限はあなたのところにはないですよ。これは当事者能力がありません。どうですか、その点。
  380. 若松栄一

    若松政府委員 いま申し上げましたのは、寝具類の消毒に関する事項でございますので、この消毒に関しては、病院においてみずから行なうものだというふうに指導しておりまして、浩風園におきましても、消毒は浩風園において行なって、その消毒が済んだものを寝具委託業者に出しているというのが実情だということを申し上げたわけであります。
  381. 河野正

    河野(正)委員 それならもっと重大なことを取り上げます、あなたがそういう方針なら。  これは清掃業務を委託していますね。間違いありませんね。
  382. 若松栄一

    若松政府委員 清掃につきましても、一部を委託しております。
  383. 河野正

    河野(正)委員 これは清掃業務のほうがもっとひどいですよ。これは法律違反事項ですから、徹底的に私は責任を追及いたします、あなた方がそういう方針なら。いいですか。「清掃業務です。病院の清掃業務を行なうためには、院内の各部門と建物設備に精通することが必要であり、衛生的かつ感染予防の立場から、病院の職員自らが行なうことが望ましい。」と書いてありますね。これは「望ましい。」ですから、しなければしないでいいわけですよ。しかし、指導としては、そうおやりなさいと書いてありますね。これはなぜ結局、民間に委託いたしますか。一般にはそういうことを「望ましい。」と書きながら、なぜ政府みずからがそういう指導方針というものをじゅうりんして、民間に委託されますか。
  384. 若松栄一

    若松政府委員 国立療養所で現在清掃の委託をしておりますのは、中野療養所で、十一階の高層でございますので、三階以上の高層部分の窓ふきを委託しているのが実情でございます。
  385. 河野正

    河野(正)委員 そこで、重ねて申し上げます。この「窓ガラス、廊下等の清掃について、外部に委託する場合には、その業務を放任することなく、常に監督しなければならない。」という、こういう方針でございますことは間違いございませんね。
  386. 若松栄一

    若松政府委員 そのような方針でございます。
  387. 河野正

    河野(正)委員 そこで、その指導要領に示されたこの方針というものは、職業安定法施行規則の第四条第二号に抵触するものではございませんか。
  388. 若松栄一

    若松政府委員 私どもは、病院の「監督」という表現の趣旨は、受託者が契約内容を適正に実施に移しているかどうかということを確認するという趣旨に解してこのことばを使っておりましたので、その限りにおいては、職安法に抵触しないであろうというふうに考えております。
  389. 河野正

    河野(正)委員 あなたがおっしゃるのは、あと検の場合です。できたものについて、契約どおりやっておるかどうかということを検査する場合には、あなたのおっしゃるとおりです。しかし、指導要領に何と書いてありますか。「常に」ですよ。あと検じゃないですよ。「常に監督しなければならない。」と書いてあるでしょう。ですから、あなたがおっしゃっておるのはあと検なんですよ。常に監督しなければならぬということが職安法施行規則第四条第二号に抵触するのかどうか、この点については、労働大臣から御見解を述べていただきたい。
  390. 小川平二

    小川国務大臣 職安法の趣旨については、すでに御高承のことと存じますけれども、近代的ならざる雇用の慣行を排除するためにこの規定が設けられておるわけであります。労働組合が行なうもののほかは、いわゆる労働者供給の事業を禁止しておるわけですが、その際に作業請負という形で脱法行為が行なわれてはなりませんので、一定の認可基準を設けておるわけであります。これがただいま御指摘のございました施行規則の四条に列挙してございます。その際、委託者の側で作業を指揮監督をしてはならないと書いてございますので、委託者が指揮監督をするということであれば、これは明白にこの法律の違反になるわけでございますが、ただいま厚生省説明を聞いて私が受けます印象では、この監督ということばが多少不用意に使われておるのではなかろうか。請負契約が正しく履行されておるかどうかを監視確認するために、委託者の側がその場に立ち合っておるというようなことでありますれば、これはこの法律との関連では問題は起こらないわけでございます。
  391. 河野正

    河野(正)委員 大臣、よく聞いてくださいよ。そこで、あと検であるのか――最終的にできばえを検査をして、これでよろしいかどうかという監督の場合と、契約どおりに実行したかどうかということを監督する場合と、常に監督する場合とは、おのずから性格が違うわけですね。常に監督するという場合、違いますね。そこで、私ども言っているのは、常に監督しなければならぬということは、この職安法施行規則第四条第二号に該当する事例ではございませんか、こういうことを言っているのです。常に、です。
  392. 小川平二

    小川国務大臣 あと先ということは、必ずしも問題でないのだろうと存じます。現に作業が行なわれておる現場におりましても、一々いわゆる指揮監督をするということであれば違反をいたしますけれども、契約に従って作業が行なわれておるかどうかかその場で監視しておるということでありますれば、これは必ずしもこの法律の違反とはならないと存じます。
  393. 河野正

    河野(正)委員 これは大臣、たいへんなことですよ。いままであなたは社会労働委員会で何と言ってきましたか。常に指揮監督することは職安法違反だということを、明確にあなた委員会の中で言ってきたではありませんか。きょうはどういう意味で、社会労働委員会で言ってきたことをひるがえしておっしゃるのですか。
  394. 小川平二

    小川国務大臣 これは格別違ったことを申しておるのではございませんで、指揮監督であれば明白に違反いたします。契約が正しく履行されておるかどうかを監視確認しておるということであれば、これは違反はしないわけでございますから、それがいまおことばにありました、あと検ということをおっしゃいましたが、あとであろうとも、あるいはその場で監視をしておるのであろうとも、これはいずれでも差しつかえないものと考えます。
  395. 河野正

    河野(正)委員 これは法律の解釈を誤るもはなはだしいと思うのです。徹底的に私は大臣の責任を追及しなければならぬ。あと検の場合は、契約どおりにやられたかどうかということを監督なさるわけですからね。それについてもいろいろ議論はございます。議論はございますけれども、契約というものは法律事項である。それが法律上すべての責任を持つということで私ども一応理解をいたしております。ところが、常に仕事場において監督するということが職安法違反でないということは、これは少なくとも法施行規則第四条第二号の精神をじゅうりんするもはなはだしいと思う。労働大臣は法律を守るための労働大臣ですよ。ところが、いまのようにすると、しょっちゅう見ておって監督しておっても、それは契約どおりやっておるかどうか監督しておるのだ、そういうことを言うならば、施行規則第四条は全くほごじゃないですか。少なくとも国鉄の職安法違反問題のときには、あなたはそういう見解をとられなかった。明らかにそういう場合は職安法違反だということを明確にされてきたと私は思うのです。ところが、きょうは唐突として、それは厚生省の圧力があったのかどうか知らぬけれども、あるいは官僚の圧力があったのかどうか知らぬけれども、そういう従来国会で明らかにされてきたことをここでゆがめられるということは、私は納得できません。これはすみやかにこの委員会を休憩して、理事会を開いてもらわなければいかぬ。そうして答弁してください、従来の国会の答弁と違うのだから。そんなことはありませんよ。
  396. 小川平二

    小川国務大臣 おことばでございますが、格別この点、厚生省と打ち合わせたわけではございません。また、官僚の圧力を受けたわけでもないのでございまして、私がいままで申しておりますことは、指揮監督であれば明白に法律に違反する、監視確認であれば違反しない、かように従来申してきておるわけでございまして、あとであろうとも、現に作業が行なわれているときであろうとも、監視確認のために委託者の側から担当者が現場に出向いて、黙って見ておるということでありますれば、これは必ずしも違反するものではない、そういう趣旨を申し上げたのであります。
  397. 河野正

    河野(正)委員 私はさっきから言っているでしょう、常に監督しなければならぬと書いてあるわけですよ。この文章を受けて、あなたはどういう判断をされますか。
  398. 小川平二

    小川国務大臣 この監督ということばが、いわゆる指揮監督、その場におって、ああしろこうしろという指図をする、こういうことでありますと、明白に違反になる、これは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、先ほど厚生省説明考え合わせまするときに、はたして職安法の存在を意識しておったのかどうかということも疑問に思うわけでございますし、監督ということばがおそらく不用意に使われておるのじゃなかろうか、そういう印象を持っておるわけでございます。
  399. 河野正

    河野(正)委員 いま大臣は非常に重大なことをおっしゃったと思う。法律を意識しておらなければ法律違反を起こしてもよろしいというような意味にとれるような発言ですね。私は、法律を意識しようがすまいが、違反は違反なんだと思うんですよ。たとえば法律を知らぬでも、法律違反を起こせば法律違反ですね。しかも、この職安法違反の場合は悪質じゃありませんが、良質の場合でも、六十四条によりますと一万円以下の罰金、一年以下の懲役なんですよ。悪質の場合は十年ですよ。悪質の場合は六十三条です。良質の場合は六十四条です。良質の場合の適用によりましても、一万円以下の罰金、一年以下の懲役なんですよ。だから、厚生省が法律を意識しようがすまいが、そういうことは別問題です、法律違反であるかどうかということをここでただしておるわけですから。あなたは正直に私ども指摘したことに対して判断くださればいいと思うのです。
  400. 小川平二

    小川国務大臣 もちろん御指摘のとおり、意識しておろうといまいと、法律の違反は違反でございます。これが違反でないと申しておるのではないのであります。ここで不用意に監督ということばを使っておるけれども、これは職安法にいわゆる指揮監督とはおそらく違う意味で使ったのではなかろうか。厚生省説明を聞いて……(発言する者多し)厚生省説明を聞いて推測をいたしているだけでございます。もしかりに、これが現実に指揮監督をするものであれば、これは法律違反であることは明瞭でございます。
  401. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいまの問題について私から一言申し上げておきますが、法律並びに指導あるいは政令等の解釈は、一々その意味説明して通ずるものではございません。文字どおり解釈されるのが当然でありまして、ただいまの労働大臣の法律上の解釈はそれでよろしい。ただ私のほうで使っておりまする「常に監督しなければならない。」というこのことばは、説明をすればいろいろ言えまするが、その文字どおりから言えば、確かに私は御指摘のようなおそれがあると考えます。なおまた、先ほどの寝具の基準につきましても、  一方の保険の診療については備えなければならぬと書いてあるし、それから医療法については、設備しなければならぬとは書いてないです。指導要領については誤解を受けるようなことが二、三書いてあります。国立療養所がいかに財源、環境が苦しくて、無理をしておりましても、お許しを願わなければならぬ点は願わなければならぬけれども、少なくとも同じ厚生省であって、保険局と医務局の指導要領が違ったり、あるいは同じ医務局の通知が違ったり、あるいは法律上解釈の疑義を与えるようなことをやっておったことは、確かに、ただいま質疑の中で聞いておりまして、私は率直に、私どものほうで反省をしなければならぬと考えますので、この点については十分すみやかに検討をして、医務局の指導要領なりあるいは医療上の諸制度を改正をするなり、その方針に沿うようにやりたいと考えております。
  402. 河野正

    河野(正)委員 そこで、もう時間もないそうですから、割り当ての時間が過ぎたそうですから結論的に申し上げますと、そういう法律事項を犯すような形で今日までの合理化政策というものが推進されてきた、そこに私たちは非常に大きな問題があると思うのです。要するに合理化は、それは政府は政府なりの言い分がございましょう。言い分があろうけれども、いま法律を犯すような形で、手段を選ばぬような形で行なわれることについては、われわれ、国民の立場から了承するわけにまいりません。少なくともいま大臣は、非常に前向きなお答えをいただきました。私、時間もございませんから、これ以上追及しようとは思いませんけれども、少なくとも私どもが法律違反だ、こういうように考えます形で今日までの合理化諸政策というものが行なわれてきたことについて、私どもは、先ほどから申し上げますように、全く納得できません。そこで、今後の問題もございます。それからまた過去の問題もございます。すでにもう四十二年、四十三年においては、いまの下請が実施をされておるというケースもあるわけでございますが、そういうケースについては、先ほど申し上げますように、労働大臣については私納得しておりませんから、これは次の社会労働委員会で徹底的に大臣の責任を追及いたします。あなたの責任を追及いたします。決して協力いたしませんから、その点は十分覚悟しておいてもらいたい。  そこで、そういう私ども考え方に立った形において、今後特会制度にまつわりますいろんな合理化政策を行なわれることについては、われわれは重大な関心を持たなければならぬ、こういうことです。そこで、指導要領なりあるいは保険局通達なり通知なりがどうもいろいろ誤解を招くということで、改めればいいんだという考え方も、これは納得いかぬと思うのです。というのは、それこそ自分たちでかってに指導しておきながら、今度文句を言われたら、はい改正いたします、要するに自分たちが違法行為をやる、そうすると、今度違法にならぬような通達を出したり、あるいは指導要領を出してきたり、こういうことも私は法律を守る政府として全く不見識なものだと思うのです。ですから、これ以上申し上げませんが、この問題は法律事項ですから、あとに残る問題ですから、何もこの大蔵委員会でのみやる性質のものではございません。たまたま特会制度の問題があったから私ども指摘しておるわけでありますから、いずれこの問題は、さらに社会労働委員会で徹底的に追及をいたしてまいりたい、このことを申し添えて、私のきょうの質問を終わりたいと思います。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席
  403. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 八木委員
  404. 八木一男

    八木(一)委員 私は、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案並びに関連事項について、大蔵大臣、厚生大臣、労働大臣はじめ各政府委員に御質問を申し上げたいと思います。  最初に、ごく簡単に事務的なことでお伺いをいたしたいと思います。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕  この特別会計予算について、抽出した予算書が大蔵委員会に提出されていないことは、非常に大蔵省と厚生省の怠慢であって、院の審議を促進しないものであると思う。大体抽出した予算書くらい出すのがあたりまえですが、これはともかくといたしまして、ちょっとお伺いをいたしておきたいのは、昭和四十三年度特別会計予算の二七六ページの国立病院療養所勘定というところには百八十四億と書いてありますね。ところが、ほかのほうでは百八十一億と書いてございますが、この数字の食い違いはちょっとよくわかりませんので、どうしてこの数字が食い違っているか、大蔵省から教えていただきたい。
  405. 船後正道

    ○船後政府委員 特別会計におきまして、損益計算書のほうは発生主義でもって経理することになっております。これに対しまして、歳入歳出予算は現金ベースでございます。そこでこの両者の経理のしかたの相違が、損益計算書におきましては、診療収入は百八十四億円、歳入予算におきましては百八十一億円というふうになっておるわけでございまして、この差額の三億五千万円を御説明申し上げますと、まず四十三年度の調定の中からその年度は未収となるというものが六億七千万円を見込んでおりまして、他方、四十二年度以前に調定をいたしまして、それが現実に四十三年度の収入となる。これを過去の実績から推定いたしまして三億二千万円を計上しております。したがいまして、その両者の間に三億五千万の開きがあるわけでございます。
  406. 八木一男

    八木(一)委員 実は、この法案を審議するのに、これにタイアップした特別会計予算を見なければ、ほんとうの審議ができないわけでございます。ところが、いま言ったように、損益計算書と療養所勘定が金額が食い違っておって、そういうことについて丁寧に伺ったらわかりましたけれども、こういうような不親切な態度では非常に遺憾に思う。抽出した予算書の提出ぐらい、なぜ大蔵省なり厚生省が用意できなかったか、簡単でけっこうでございますけれども、伺っておきたいと思います。
  407. 船後正道

    ○船後政府委員 説明の不十分な点がございますればおわび申し上げますが、特別会計のほうの損益計算と歳入歳出経理は、この病院特会のみならず、一般的にこのような経理のしかたになっておりますので御了承願います。
  408. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣に伺いますが、この法案といまの国立病院の特別勘定の四十三年度の予算は、これは一体のものであるというふうにお考えでございましょうかどうか、伺っておきます。
  409. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 従来の病院勘定と今度の療養所の勘定は、区分が別になっておりますので、その二つを合わせて特別会計を構成するということになっております。
  410. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣、質問者の質問をよく聞いてください。いま審議をしている法律と、今度の国立病院の特別勘定の中に療養所勘定を入れたそういうような予算案が組まれておる、この予算案とこの法律は一体のものであるかどうか、それをはっきり答えていただきたい。
  411. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは一体のものでございます。
  412. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣にも同じ質問をいたします。
  413. 園田直

    ○園田国務大臣 予算制度上は、一体のものにされておるようでございます。
  414. 八木一男

    八木(一)委員 この法律を提出をして政府としては成立を期したい。その場合に、そうなれば特別勘定の中から、国立病院特別会計療養所勘定というものを入れて、それを予算案の内容として出しておられる、そういう意味一体のものであるかと大蔵大臣に伺ったら、そのとおりだと言われた。厚生大臣、あっさりと、変な解釈をまじえるようなことでなしに、一体であるかどうかはっきりお答えを願いたい。
  415. 園田直

    ○園田国務大臣 そういう意味一体でございます。
  416. 八木一男

    八木(一)委員 この国立病院特別会計の中の療養所勘定の予算について、いわゆる二割引きをなくするということについて、収入増をどのくらい見積もっておられるか、簡単にお答えを願いたい。――こういうもたもたした態度じゃ審議促進ができません。政府側がもたもたしておる間は、私の消費時間からぜひ取り除いていただきたいと思う。そんなぼやぼやした政府はあったものじゃない。
  417. 船後正道

    ○船後政府委員 割引制度廃止による増収見込み分は六億四千三百万円、なおほかに基準加算による増収見込み分が七億三千五百万円でございます。
  418. 八木一男

    八木(一)委員 私の手に入れました厚生省の数字と割引廃止について数字が違っておりますけれども厚生省はどのような数字に考えておられますか。
  419. 若松栄一

    若松政府委員 割引廃止による増加額が六億四千三百万円、基準加算実施に伴うものが七億三千五百万円。
  420. 八木一男

    八木(一)委員 委員長、いまお聞きのように、両方数字が食い違っております。このような粗末な予算で――この問題あとでまた問題にしますけれども、両省で数字が違っておるような予算で、それに関連した法律案なんというものは審議できるものじゃない。
  421. 船後正道

    ○船後政府委員 私のあるいは発言が不明瞭であったかもしれませんが、ただいま医務局長からお答えいたしましたとおりでございまして、割引廃止によるものが六億四千三百万円、基準加算によるものが七億三千五百万円でございます。
  422. 八木一男

    八木(一)委員 厚生省から、本日この問題をやるぞといっていただいたものの割引廃止のほうは五億五千七百万円、ここに資料があります。厚生省から直前にいただいた。これはいいです。これはあとで問題にしますから、大事な問題があるので。このくらいわけのわからぬ連絡ぶりです。ですからこの問題はあとで、ほかの質問をしてからまた問題にいたします。
  423. 田村元

    田村委員長 八木君、厚生省らいまのことで発言を求められておりますが……。
  424. 八木一男

    八木(一)委員 あとで、後刻でけっこうです。大事な問題で大臣待っておられますので、労働大臣も急ぐようですから……。
  425. 田村元

    田村委員長 ちょっと言わしてくれと言っておるのですが、質問時間は私が預かりますから御安心を……。
  426. 若松栄一

    若松政府委員 ちょっと私どもが提出いたしました資料について、ただいま割引廃止分五億五千七百九十万二千円の先生がおっしゃいました額は、これは入院患者分でありまして、それに外来患者の分も合わせましたのが、私並びに大蔵省から申し上げた一番下の欄であります。
  427. 八木一男

    八木(一)委員 いまの点は私が調査不足であります。  その次に申し上げたいことは、このように収入増加ということになりますが、その収入増加した部分はどこの負担になるか、これも簡単に厚生大臣から伺います。
  428. 園田直

    ○園田国務大臣 新入患者と外来患者の自己負担のないものの負担でありますから、これは個人の負担にならないわけでございます。
  429. 八木一男

    八木(一)委員 もう一回おっしゃってください。
  430. 園田直

    ○園田国務大臣 保険の公費の負担になるわけでございます。
  431. 八木一男

    八木(一)委員 それだけですか、保険だけじゃないでしょう。
  432. 園田直

    ○園田国務大臣 保険者と公費の負担になります。
  433. 八木一男

    八木(一)委員 公費の負担というのは、地方財政の負担になるわけですね。これはそういうふうになるわけですね。
  434. 園田直

    ○園田国務大臣 地方と国になります。
  435. 八木一男

    八木(一)委員 地方と国と、それから保険者の負担になるわけでございますから、健康保険の赤字が非常に大きくなるけれども厚生省はこの前は健康保険の特例法案というようなむちゃくちゃな法案を出して、押し切ってこの財政を直そうとされた。ところが、その分だけ厚生省のいままで考えておられること、あんなむちゃくちゃをして通したことの逆な方向になるわけですね。
  436. 園田直

    ○園田国務大臣 若干は増になります。
  437. 八木一男

    八木(一)委員 結局それは間接の国の負担とか、あとで赤字を国が埋めるというようなものはそれだけ削減をされるということになりますね。
  438. 若松栄一

    若松政府委員 ただいまよく理解できなかったのですが、保険者の負担が、国の負担によって削減されるかという趣旨でございますか。
  439. 八木一男

    八木(一)委員 結局それだけよけい保険者が払わなければならないから――いままでは安かったわけですね。だから保険者が負担をしなくて済んだ。保険者というよりは組合管掌健康保険なり共済組合の短期会計なり、政府管掌の会計なり、日雇い労働者の健康保険会計が、それだけ負担がふえるということになる。実際上この割引を通じて国庫負担が行なわれたのが、それだけ減った。直接の国庫負担じゃないけれども、実際上の国庫負担が減ったということになるわけですね。
  440. 若松栄一

    若松政府委員 そのとおりでございます。
  441. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣、さっき何か医務局長と言っておられたように、あなた方がいままで、前の厚生大臣でしたけれども厚生省がとにかく猛烈に赤字で困るから何とか言ってむちゃくちゃにやったこととまるで逆なことをいまやっているのですよ。こんな役所というものはあったものではないと思うのです。よく覚えておいてください。それで反省してこれを撤回する相談などひとつしていただきたいと思います。  その次に、この提案理由を読みますると、これは大蔵大臣が読まれたものだと思います、厚生大臣も一緒に。この国立療養所というものは非常に大きな大切な役割りをしてきたということを明らかに言っておられるわけです。結核の問題や何かを中心として非常に大きな役割りをしてきた。ことに全国の津々浦々までいろんな所に療養所があって、長期の結核患者をはじめとして、そういう非常にむずかしい病気について二割引きというようなほんとうによい制度をとりながら、それでやってきたということを強調しておられているわけでございますが、そのお気持ちは変わりはないと思うのです。時間の関係上それは答弁を求めませんが、そういう点でこれは非常に医療保障上の大切な設備であった。それをあなた方はあなた方流でよくしたいと考えておられる。私どもは、あなた方の考え方が、表向きではよくしたいと考えているが裏向きは悪くしたいと思っていると理解をしまして非常に心配しておるわけなんですが、国立療養所医療保障のために非常に役に立ってきたことは大蔵大臣も厚生大臣も同じ意見だと思いますが、それについて簡単にお答えをいただきたい。
  442. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そのとおりに考えております。
  443. 園田直

    ○園田国務大臣 私も同様でございます。
  444. 八木一男

    八木(一)委員 そこで、質問の本題にいきたいと思いますが、こうした法律、またこうした特別会計、その一環のものについては、こういうものを出してこられるまでに、どこかに意見を聞かなければならないところがあったと思う。それをお忘れではないかと思う。それを大蔵大臣から最初に聞きたい。大蔵大臣、他の人に聞かないで答弁してください。
  445. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私のほうは厚生省と相談の上でこういう措置をとりました。
  446. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣はどこに相談しなければならないかわからなかったわけですね。それは確認をしておきます。  答弁がないから、次に厚生大臣に同じ問題についてお伺いいたします。厚生大臣も局長に聞かないですぐ答えてください。
  447. 園田直

    ○園田国務大臣 それは無理ですよ。
  448. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣が認識しておられるかどうかを私は知りたい。
  449. 園田直

    ○園田国務大臣 それは結核審議会の意見を聞かなければならなかったのかという御意見だと思いますが、これは聞いておりません。
  450. 八木一男

    八木(一)委員 両大臣とも大切なことをお忘れのようであります。これは大臣、ほんとうに重大な責任だと思う。社会保障制度審議会設置法という法律のあることを大蔵大臣は御存じでありますか。またそこに、いま申し上げたことについてどういう規定があるか。その規定どおりじゃなくても、ばく然とそういう内容だけ御存じであったらお答えを願いたい。御存じでなければ知りませんと言ってください。聞かないですぐ答えてください。聞かないでもいいのですよ。答えは早くやってください。
  451. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 内容をよく知りません。
  452. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣、同様にいかがですか。
  453. 園田直

    ○園田国務大臣 存じません。
  454. 八木一男

    八木(一)委員 御存じなかったということは正直でいいです。私もさっき計算間違いをしたことを正直に申し上げました。みんな政治は正直にやりたいと思う。  そこで、しかたがないから教えて差し上げます。社会保障制度審議会設置法という法律がございまして、その第二条の第二項には、「内閣総理大臣及び関係各大臣は、社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」という規定があるわけであります。法律ですよ。そうしますと、この特別会計法については、国立療養所については、これは社会保障の中心である医療保障の重大な機関であるということをさっきはお認になりました。そしてまた、この特別会計法と予算一体であることも両大臣は認められました。この予算の中では先ほども伺いましたように、自己負担がふえる部分、健康保険等の勘定に悪影響を及ぼす部分、そういう点がございます。その両面から考えると、これは社会保障に対する企画にも当たります一立法にも当たります。行政運用の大綱にも当たるわけです。この法律に三重に違反をした法律提出手続であります。これはほかが法律違反をしたのではなくて、あなた方が違反をしたのです。これは閣法でありますから、内閣総理大臣をはじめ国務大臣全部が法律違反をしたわけであります。(「総辞職だ」と呼ぶ者あり)この意味において、あなた方は総辞職をするのが当然でありますが、政治家としてはそうしていただきたいけれども、なお内閣に、大臣に執念がおありでございましたならば、いまからでもおそくはないから、その法律違反の行動を直していただかなければならないと思います。まずこの違法の手続で提出された法律案を撤回することが法律を守ることになります。それを明確に意思表示をせられなければ、水田大蔵大臣はみずから法律を破ることを国務大臣として、大蔵大臣として宣言をしたことになります。その点について他の人には相談しない、明確にあなたの責任において御答弁をいただきたいと思います。
  455. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 厚生省とわれわれのほうで相談してやったことでございますが、これが法律違反になるようなことを私どもはやったとは思いません。この問題については事務当局から説明いたします。
  456. 八木一男

    八木(一)委員 事務当局の答弁は要りません。拒否いたします。閣法は国務大臣が全部責任を持っている。事務当局が何と言おうと、国務大臣であったらその責任はとらなければなりません。そんなものをとれないような政治家であれば、国務大臣だけじゃなくて、政治も、隠退をしていただきたいと思います。自分でやったことは責任をおとりなさい。
  457. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 だから、それをそこに諮問しなくてもよかった理由があるのですから、その問題を説明いたさせます。
  458. 八木一男

    八木(一)委員 そんなひきょうな国務大臣ありますか。だから、さっき質問を申し上げた。医療保障に重大な要素を持っている国立療養所の問題である。また、この特別会計法とこの法律とは一体のものである。特別会計法の中には、自己負担をふやしたり健康保険やその他の社会保険の実質上の国庫負担の減をしたり、そういう内容があるということをあなた方にはっきり伺ってから言った。これは明らかに医療保障であります。医療保障は社会保障の中の中心的事項であります。この法律規定は、社会保障をよくするときも適用されます。もちろん悪くしようとするときなど――これは憲法違反でありますが、そういうところの審議を経ないで出すということは、ほんとうにけしからぬ問題であります。そういうところで法律違反ですからね。これは大蔵大臣に申し上げましたけれども、厚生大臣も労働大臣も同じく国務大臣として責任があります。厚生大臣はこれに非常に重要な関係のある大臣であります。労働大臣はいま言ったように、健康保険とか共済の短期とか、あるいはまた、日雇い労働者健康保険、労働者に非常に関係のある医療保障の部分について同じく責任を持たれなければなりません。全国務大臣が全部責任があります。総理大臣以下全部ありますが、特に関係の深いあなた方は、その誤りを正すために、いま強い決心をされなければ、法律違反を自分がやったことを認めたことになる。これは大臣だけではなしに衆議院議員も辞職をされることが当然だと思うし、一切の公職活動はやめていただかなければならないと思います。この法律違反についてどう対処されるか、直ちに撤回をされるかどうか、明確に伺いたいと思います。
  459. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ですから、申し上げているように、法律違反であるかないか、私どもは違反でないと思うので、これを違反でないと思ってやった当局から一応説明をしたいというのですから、この説明をお聞きになってからでいいんじゃないですか。
  460. 八木一男

    八木(一)委員 あなた国務大臣じゃないのですか。あなたそれなら辞職して、そこにおる船後君でも次の大蔵大臣に佐藤さんに推薦しなさい。法律は閣議できめた。法律違反の問題を事務局に説明させなければ何も答弁できない。そんな大臣がどこにありますか。ひとつ辞職して船後君を推薦しなさい。船後君でも大臣になれるのだ、国務大臣は一人ぐらいは。そんなに船後君が大事なら、たよりにしているなら……。あなたはこういう法律というものを、こんなこともあることを知らなかったで国務大臣がつとまりますか。厚生大臣もどうですか。
  461. 園田直

    ○園田国務大臣 社会保障全般について御意見を承っており、八木委員が信任をしておられる社会保障制度審議会に相談したほうが適当であって、しなかったことは重大な過失であると考えまするが、提案をしたことは法律違反ではないと考えます。その法律上の解釈については、事務当局から説明をさせます。
  462. 八木一男

    八木(一)委員 私は、両大臣に質問しているのであって、事務局の答弁は私はお断わりをいたしたいと思います。この法律の条文は日本語で書いてあるのですから、両大臣そのとおりに解釈をしていただきたいと思う。もう一回明確に読みます。社会保障制度審議会設置法第二条第二項「内閣総理大臣及び関係各大臣は、」したがって、大蔵大臣も厚生大臣も労働大臣も関係があるんですよ。「は、社会保障に関する企画、」企画は計画ですよ。「企画立法」法律判定の準備ですね。立法は、ほんとうは国会がやりますから、これは立法の準備です。「立法又は運営の大綱集関しては、」計画も、提案という立法の準備も、それから運営の大綱も、全部にこの問題はかかるわけです。「に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」審議会は尊重さるべきでありますが、審議会の意見が、これはちょっとどうかといっても、それをちょっと変えられても、これは法律違反な協議ではございません。しかし、前に意見を求めないことは、どんな観点からしても法律違反であります。法律違反について、あなたどうされますか。法律違反をおかしたとこについて、非を天下にわびて辞職をされますか、それとも法律違反行為が固定をしないように、もとに戻して、この法案を撤回をして、社会保障制度審議会に諮問をして、それから出直されるか、その二つしか道がございません。この二つのどっちを選ばれるか、明確に御答弁を願いたいと思います。これは大蔵大臣、厚生大臣、労働大臣の答弁を願いたい。
  463. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 社会保障制度の内容については、いま厚生大臣が言われたように、しかるべき機関に相談をするのがこれは適正だったかもしれませんが、今回は、この法律案は、一般会計からこれを特別会計に移す、この会計の区分を移すということの法律案でございまして、私どもは、これを社会保障制度審議会にあらかじめあれしなかったということは、今後この社会保障制度をどうするかという問題ではございませんで、特会にこれを移すということを中心にした法律でございますので、そういう措置をとらなかったということでございます。
  464. 八木一男

    八木(一)委員 全部おかしいのです。あなたのこの法律の提案理由説明に、「御承知のように、国立療養所は、これまで、戦後におけるわが国の結核対策を推進する上に大きな役割りを果たしてまいったのでありますが、これに加えて、近年は国民の疾病構造の変化に伴う各種の長期慢性疾患、重症心身障害、進行性筋萎縮症等の新たな医療需要にこたえることが強く要請されているのであります。しかしながら、現在の国立療養所の施設の多くは、相当老朽化しておりますので、このような時代の要請にこたえるためには、すみやかに、かつ、計画的にその整備を促進し、充実した医療を行ない得る体制を確立する必要があります。」こういう提案理由説明をしておられるわけであります。結核とか筋ジストロフィーとか、あるいはその他の病気について、国立療養所が、これはそういう設備としての医療保障として非常に重大な役割りをしている。ところが、それは老朽化して、それが任務を果たし得ないようになっているのでよくしたいというような提案理由を言っておられるわけであります。医療保障の具体的な内容をよくしようという、そういう意欲のある法律であります。この法律でそういうことを言っておられるけれども、だんだん悪くする内容が含んでいると私ども考えているわけでございまするが、少なくとも政府のおっしゃったことを表向き信用するとしても、とにかくこういうものをよくしようと考えておられる。われわれは悪くされると心配をしているわけでございますが、よくするときも悪くするときにも、どんなときにも、これは企画、計画について、その立法について、行政運営の大綱についてはあらかじめ社会保障制度審議会にはからなければいけないわけであります。ですから、これは法律違反であります。社会保障制度審議会にかけ直されれば、政府はなかなかりっぱだ、水田さんも園田さんもりっぱなことをやったというような答申が来るかもしれません。あるいはけしからぬ、こんなものは提出してはいけないという答申が来るかもしれません。これはどっちにしろこの法律条文でははからなければいけない。日本語を解釈されるならば、それが法律違反であることは明らかであります。あなたは日本人でありますから、日本語がわかるはずです。この法律どおりに考えて、法律どおりに理解されて、法律を犯したことについてどうするか。直ちに辞職されるか、あるいは法律違反が固定、確定しないようにいまのこの法律案を撤回をして、社会保障制度審議会に諮問をして、それから出直すようにされるか、その二つに一つであります。この二つに一つについて明確な御答弁をいただきたいと思います。
  465. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 二つに一つと言うのですが、私どもは、大臣が行政するときでも事務官の補佐によって行政をしていくことは御承知のとおりで、その場合に、こういう法律をきめるときにこういうところへ諮問しなければいかぬかどうかということは、当然事務当局の補佐を得て私どもが判断してきめておるのですが、その場合に、これは別に法律違反でないという補佐によって私どもきめたのですから、だからすぐに法律違反だときめつけられても、何とも返事できません。これはそうでないと言われて、私どももそうでないと思ってきめたことですから、これは十分検討いたしますが、これを二つに一つだときめつけられても、私この場では何とも申し上げられません。
  466. 田村元

    田村委員長 八木君に申し上げますが、八木君の持ち時間はすでに済んでおりますが、いま少しく質問されてもよろしい。
  467. 八木一男

    八木(一)委員 これは、もし大蔵大臣がこういうことを日本語に解釈して、法律に従った措置をとられなければ、これは内閣総理大臣に出ていただかなければならない。総理大臣は一国の一番の責任者ですからね。法律違反を国務大臣や内閣総理大臣はなさらないだろうと思う。国務大臣が法律違反をして、そうしてのうのうとしておるならば、国民は全部都合の悪い法律は一切守らなくていいということになる。法治国家ではそういうことは許されません。ですから、総理大臣はきっと法律違反はしたくないと言うだろう。大蔵大臣がそういうことを言っておるのだったら、ほかのことは猛烈に信頼している水田君でも、法律違反に対処できないような大蔵大臣は即時やめてもらおうということになるだろう。ですから、ぐずぐずしてそういうことが答弁できなかったら、ほかの法律についての責任をほんとうに全うするかどうかわからないので、内閣総理大臣と全閣僚をすぐ呼んでもらいたい。
  468. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記そのままにして。   〔速記中止〕
  469. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。
  470. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それではもう一ぺん申し上げます。  今回の改正法は、国立療養所経理一般会計から特別会計へ移すことを内容とする会計経理に関する法律でありまして、社会保障制度の内容にかかるものではありません。また、社会保障関係の会計制度は――本体は必ず社会保障制度審議会にかけますが、本体ではない会計制度そのものは、従来社会保障制度審議会の審議にかけた例はございません。今回の法律に合わせて二割引きの廃止、基準加算実施というようなものがつけ加わりましたのでいろいろ混同されておると思いますが、この問題は特別会計法の改正とは直接に関係はないものでございまして、なお、この二割云々というようなものは社会保障制度の大綱にかかる問題ではないというふうに私ども考えております。したがって、この会計制度そのものを審議会にかけないということは、違法ではないというふうに私ども考えております。
  471. 八木一男

    八木(一)委員 いまおっしゃったけれども、あなたの提案理由には、さっき申し上げたように、繰り返して申し上げるように、医療保障の根幹であること……
  472. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 提案理由は……
  473. 八木一男

    八木(一)委員 ぼくの質問の間すわって――ずっと立って聞かれるなら立っていただくんですが、そうでなければ……。  この提案理由には、さっき言ったように、ちゃんと書いてあるのです。ですから、これは医療保障を、政府側の、いまの佐藤内閣側の考え方で、よくするために出した法律ですね。そうじゃなくて、医療保障制度と全然関係なしにこれを出したということは、この提案理由から言えないわけです。それからその次に、さっき言ったように、二割引きの問題については、この法律と一体のものであるということは、あなた方言われたとおり。りっぱな政治家は食言はしないと思う。――厚生大臣、答弁の前に御相談になってもいいですが、ちょっと聞いていてください。それでわざわざさっき聞いたわけです。特別会計の中には、二割引きをしたものが、二割引きを廃止するたてまえの予算書が組まれているわけです。これはまだ通っていない今度の一般会計予算特別会計予算に関係があるわけです。そういうことです。そういうことですから、とにかくこの提案理由から見ても、医療保障の中核的な問題であり、また、二割引きの問題とも直接関係があるということであります。前にやったことがない、あるということは、問題ではありません。それは内閣をはじめ、私も含めて、昔はぼんやりしていました。しかし、法律違反ということがわかったら、前にやったことを全部とっつかまえて、法律違反でやることも一つの方法でありますけれども、現在ただいまから、寸刻の猶予なく、ただいまから法律に従ってやらなければならない。昔法律違反をやった連中について、あなた方を追及してもいいですよ。だけれども、その問題よりは、これから法律違反をやらないということが大事です。昔大蔵省がなまけて、厚生省がなまけて、労働省もなまけていたことがある。そういうことをやったかもしれない。やったかもしれないけれども、問題が憲法とか法律を守る国会で提起をされた以上は、それから一秒後において寸時の猶予もなく法律を順守する方法がとられなければならぬ。前にやらなかったというなら、やらなかったことに関係した公務員を全部適切に責任をとってもらってください。前にやらなかったのがいけない。しかし、私は前のことを追及して言おうとは思っていない。あなたが、前にやらなかったからいいんですという答弁を、そのうしろ辺にいる人があなたを助けようと思ってやったならば、これはとんでもないことです。前にやらなかったことが全部法律違反なんです。その責任者は全部処分してください。これからは国会という国権の最高機関で法律の問題で提起をされた以上は、法律の問題は一分のすきもなくやっていかなければならない。その意味で、さっき言ったように、大蔵大臣は法律違反をやったことを認めて、その法律違反が確定をしないように、この間違った手続をとった法律は撤回を求めて、委員長や――これは議会の議決を経ないと撤回できませんけれども、私は法律違反の手続をやりました、申しわけございませんけれども、法律違反が確定をしないように院において撤回をお許しいただきたい、それをされて、その後についてそのような間違ったことをおかした責任をとられて大蔵大臣辞表を出される、これが政治家としての道である。また、厚生大臣も労働大臣も同じ責任がある。しかし、法律違反の提出をされているわけでございまするから、これは大蔵大臣が一番責任がある。あなたが責任をとらないとなれば、閣法でありますから、佐藤内閣総理大臣に責任をとってもらわなければならない。あなたが自分で責任をとるのがいやだったら、自分のリーダーである佐藤さんに責任をとらせなさい。佐藤さんに総理大臣をやめるように言いなさい。やっぱり自分の責任管掌については、大蔵大臣が責任をとらなければならない。ほんとうに誠意を示されたならば、大蔵大臣をやめぬでもいいという空気もあとで出るかもしれません。少なくともこの特別会計法案を撤回を要請して審議会にかけてから出直す、それをやらなければ、あなたは、大蔵大臣だけではなしに、法律違反をイニシアし、それを実行する政治家でございまするから、衆議院議院もやめていただかなければならないし、一切のこれからの公職活動をやめていただかなければならないということになります。この撤回をすぐあなたとしては決心をし、閣法でありますから、総理大臣のところへ飛んでいって、間違いをおかしました、申しわけありません、撤回について国会にお願いをいたしますとすぐ行っていらっしゃい。
  474. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私はすぐ行きません。というのは、いま申し上げましたように、社会保障制度の大綱とか本体に関するものはこれは審議会に審議を依頼しなければならぬかもしれませんが、これは特別会計に移すという会計経理に関するものであって、会計制度そのものについてはいままで社会保障制度生産審議会にもこれはかけていないというので、したがって、今回もこれをかけないということは別に違法だと思っているわけではございませんで、いま違法でないという説明や御了解を願おうとしたことでもう違法ときめつけられてどうこう言われても、これはどうにもならぬことでございます。
  475. 八木一男

    八木(一)委員 違法に違いないですよ。あなたは違法の手続をした。違法を指摘されて違法じゃないと居ずわるなら、あなたが刑法上の猛烈な悪いことをしても、おれがやったのじゃない、あるいは人をあやめてもそれは刑法に触れないのだと言っていることと同じことになりますよ。違法は絶対に違法ですよ。ここに企画というのがあるでしょう。企画というのは計画であります。計画は全部に及ぶ。立法もやっているじゃないですか。行政運営の大綱については、大綱じゃない、枝葉末節だという逃げ口上はあるかもしれないけれども、企画という問題は大綱とは書いてない。往生ぎわ悪くしないで。完全に法律違反でありますから、悪い刑法上の罪を犯して、そんなことはかまわないのだ、法律なんか無視するというようなとんでもない気違いが世の中に一人くらいいるかもしれないけれども、そんな気違いではない、りっぱな人格者の水田さん、りっぱないまの政治見識を持っている水田さんですから、法律を守るという国の一番大切なことについて、あなたが法律違反を犯して国民が法律を無視するということにならないように、法律違反を確定をしない行動をするのがあなたの公人としての、政治家としての国務大臣としての使命である。直ちにこの行動を起こしてください。
  476. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 たとえば失業保険法というものをきめるときには、失業保険の本体、企画、こういうものについては審議会に諮問しております。相談しておりますが、失業保険法を特別会計にするという特別会計制度は別に諮問していないということでございまして、この会計制度の諮問をしないということは私は法律違反じゃないというふうに思っています。
  477. 八木一男

    八木(一)委員 前のことは、ここで、国権の最高機関で法律の問題を提起したならば、前に国務大臣も一つもこの法律を知らなかったように、この問題については非常になまけた状態であります。そうしていまの事務局もそれからあわててああいうものをつくったくらいになまけている。政府全体がなまけておるし、国会議員の私どもも、私も含めまして、その当時は勉強不足だった。しかし、いまここで明らかになった以上、前に法律違反を犯して平気なんだからこれからもやっていいということにはなりません。前に刑法上の罪を犯してもそのとき助かったからこれからもどんどん放火もすればどろぼうもするというようなことは通じない。いまここで問題が明らかになったら、直ちにいまの寸刻から法律を守るように対処されなければ政治家ではありません。
  478. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  479. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。  本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後十一時三十七分散会