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1968-03-29 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十九日(金曜日)    午後二時二十六分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    奥野 誠亮君       鯨岡 兵輔君    河野 洋平君       小山 省二君    笹山茂太郎君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       井手 以誠君    佐藤觀次郎君       中嶋 英夫君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君    岡沢 完治君       河村  勝君    田中 昭二君       樋上 新一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官木村 俊夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省理財局長 鳩山威一郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省観光局長 深草 克已君  委員外出席者         議     員 武藤 山治君         大蔵省主税局税         制第一課長   大倉 真隆君         国税庁直税部長 川村博太郎君         通商産業省貿易         振興局為替金融         課長      宮本 四郎君         中小企業庁計画         部長      井上 武久君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月二十八日  委員中嶋英夫君、広瀬秀吉君及び岡沢完治君辞  任につき、その補欠として八木昇君、岡田春夫  君及び西村榮一君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員岡田春夫君、八木昇君及び西村榮一辞任  につき、その補欠として広瀬秀吉君、中嶋英夫  君及び岡沢完治君が議長指名委員選任さ  れた。 同月二十九日  委員西岡武夫君、吉田重延君、広瀬秀吉君、岡  澤完治君及び浅井美幸辞任につき、その補欠  として福永一臣君、小坂善太郎君、山田耻目  君、西村榮一君及び樋上新一君が議長指名で  委員選任された。 同日  委員福永一臣君、山田耻目君及び西村榮一君辞  任につき、その補欠として西岡武夫君、広瀬秀  吉君及び岡沢完治君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 三月二十九日  国家公務員共済組合法及び公共金業体職員等共  済組合法の一部を改正する法律案武藤山治君  外十一名提出衆法第一八号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(武藤山治君外十四名提出衆法第一七号) は本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四号)  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行  法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第二〇号)  金融機関合併及び転換に関する法律案内閣  提出第二一号)  昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出第六二号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第七四号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(武藤山治君外十四名提出衆法第一七号)  国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共  済組合法の一部を改正する法律案武藤山治君  外十一名提出衆法第一八号)  物品税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第五号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第三四号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  この際、木村官房長官より発言を求められておりますので、これを許可いたします。官房長官木村俊夫君。
  3. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 一昨日午前の私の記者会見内容といたしまして、夕刊各紙に報道されました酒税法案国会審議見通しに関する記事につきまして、同法案審議に当たられる大蔵委員各位はもちろん、国会に対しまして政府国会審議内容に介入するかのごとき印象を与え、多大の御迷惑をおかけいたしましたことをまず深くおわびを申し上げます。すでに私といたしましては、総理よりもきびしい注意を受けておりますが、今後かかる誤解を招くことのないように発言等を一そう慎重にいたしたいと存じます。  各位のお許しを得まして、まず記者会見経過について事実を説明させていただきます。  当日朝刊記事に関連いたしまして、記者団質問に答えたものでございます。当日の朝刊には、法案の衆議院における審議見通し等掲載されておりました。そこで、その質問に答えまして、もし報道されているような審議見通しであるならば、その後参議院の審議もあることであるし、実施上の準備期間も必要であるから、五月一日ということもあり得るのではないか、そうなれば四十数億円の歳入欠陥を生ずることにもなるし、政府としてもたいへんなことである。以上のようなことを申し上げたことがその真相でございますが、予算法案等すべての決定は、国会の御意思によってのみ確定することでありまして、当委員会提出案件政府原案に対しまして、今後御検討されるであろう修正、改正決議等につきましては、政府はその御決定を尊重いたす所存でありますことは当然のことでございます。また、平素の記者会見等においても、しょっちゅうそれは厳守しておるところでございますけれども、この機会にあらためてこれを明らかにいたしまして、私の釈明といたしたいと存じます。
  4. 田村元

    田村委員長 ただいまの発言に関連して只松祐治君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。只松祐治君。
  5. 只松祐治

    只松委員 本大蔵委員会は、御承知のように歳入委員会としてきわめて大事な委員会であります。特に今期におきましては、十六年来の増税法案をかかえまして、国民の代表として私たちは慎重な審議をいたしてまいってきております。ただ、本委員会責任ではなくて国会全体、政府のいろいろな発言の中から、いわゆる倉石バカンス等が出てまいりまして、審議が多少おくれておるのは私たちも遺憾に思っております。そういうさなかに、私たち国民の負託を受けて一生懸命審議をしておる。これは与野党とも非常にいろいろな意味配慮をしながらやってきておる。そしていよいよ本委員会期限切れ法案の大詰めにきつつあるときに、官房長官がその一つの重要法案である酒税法について、あたかも五月一日実施でいいというような意味に受け取れる、国民の多くは、いわばきわめてシビアに問題を解釈しない、常識的に解釈する国民はすでにそれを期待してしまっておる、こういう既成的な事実をつくり上げるということは、当委員会を無視する、大きくは国会を無視するということにもなるわけでございますが、本委員会審議にもきわめていろいろな問題を生じてきておる。事実、一昨日と本日とはそれによってまる一日以上すでに空転をいたしたわけであります。いま、先に官房長官にすなおにあやまられまして、これ以上の質問といいますか、そういうことが言いずらくなってきておるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、とにかく少なくとも政府の別な意味責任のある長官が、本委員会の妨害になるようなことはなさらないよう強く要望をいたしたいと思います。  それから、いま申しましたように、その後政府統一見解その他を発表されまして取り消しや何かなさったり、いろいろその後動きが出てきておりますけれども、国民の多くはそれに期待するというか、一種の期待権と申しますか、そういうものがすでにここに発生しておることは政治上厳然たる事実でございます。こういうことで、先ほど申しますように今後の審議与野党ともたいへん苦しい立場になってきておる、こういうこともひとつぜひ御了承——了承といっては何ですが、ひとつ了解しておいていただきたい。  先にどうもあやまられまして質問がしにくくなったのですが、注意を喚起し要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。(拍手
  6. 木村俊夫

    木村(俊)国務大臣 私の不注意からする発言でたいへん御迷惑をかけましたことを、重ねておわび申し上げます。ただいま只松委員のお話しになりました点、よく御意見を承りまして以後注意をしてまいりたいと思います。(拍手)      ————◇—————
  7. 田村元

    田村委員長 次に、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案金融機関合併及び転換に関する法律案昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。     —————————————  国立病院特別会計法の一部を改正する法律案  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案  金融機関合併及び転換に関する法律案  昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案  〔本号末尾掲載〕     —————————————
  8. 田村元

    田村委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。倉成大蔵政務次官
  9. 倉成正

    倉成政府委員 ただいま議題となりました国立病院特別会計法の一部を改正する法律案外三法律案について、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  最初に、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、従来一般会計で行なってまいりました国立療養所経理を新たに国立病院特別会計において行なうこととするものであります。  御承知のように、国立療養所は、これまで、戦後におけるわが国結核策対を推進する上に大きな役割りを果たしてまいったのでありますが、これに加えて、近年は国民疾病構造変化に伴う各種の長期慢性疾患重症身心障害進行性筋萎縮症等の新たな医療需要にこたえることが強く要請されているのであります。しかしながら、現在の国立療養所施設の多くは、相当老朽化しておりますので、このような時代の要請にこたえるためには、すみやかに、かつ、計画的にその整備を促進し、充実した医療を行ない得る体制を確立する必要があります。  今回の改正措置は、国立療養所特別会計に移すことにより、その収支を明らかにし、なお足らないところは一般会計から補足する措置を講じまして、その経理を明確にいたしますと同時に、ただいま申し上げましたような国立療養所の実情にかんがみ、特別会計において借入金の導入、資産効率的活用予算弾力的運用等を行なうことにより、その施設設備整備を促進し、あわせて経営の円滑化をはかろうとするものであります。  なお、国立療養所のうち、らい療養所につきましては、その特殊性にかんがみ、引き続き一般会計において経理することといたしております。  次に、この法律案概要について申し上げます。  新たに国立病院特別会計において国立療養所にかかる経理を行なうことといたしましたことに伴い、同会計病院勘定及び療養所勘定に区分いたしますほか、療養所勘定においても施設費を支弁するため必要があるときは借入金をすることができることとし、また、各勘定相互間の資産の移動に関し必要な規定を設ける等所要規定整備をはかることといたしております。  なお、昭和四十三年度の暫定予算期間中に行なわれる支出及び債務の負担並びに収入で国立病院及び国立療養所にかかるものは、暫定予算が失効することとなった場合には、この会計の各勘定において行なわれたものとみなすことといたしております。  次に、中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案及び金融機関合併及び転換に関する法律案を一括して申し上げます。  最近における金融機関を取り巻く環境変化に対応して、金融制度調査会では、わが国金融制度全般の再検討を開始したのでありますが、その第一段階として中小企業金融問題を取り上げ、昨年十月、中小企業金融制度のあり方についての答申を行なったのであります。  この答申の基本的な考え方は、中小企業金融円滑化のために、民間中小企業金融専門機関必要性を認め、相互銀行信用金庫及び信用協同組合の三種類金融機関について、融資対象融資限度等に関し、それぞれの業務の態様に差異を認めつつ、中小企業金融専門機関としての性格を明確にし、あわせて、各金融機関がより広い範囲で適正な競争を行なうことができるような環境整備し、もって金融効率化をはかろうとするものであります。  政府といたしましては、この答申に基づきまして鋭意検討を行なってまいりました結果、相互銀行信用金庫及び信用協同組合について、それぞれの法律所要改正を行なうこととし、また、異種金融機関合併転換につきましても、これを可能ならしめるよう法律上その道を開いておくため、ここにその二法案提出いたしした次第であります。  まず、中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  第一は、相互銀行法についての改正であります。  この関係では、まず、相互銀行融資対象を、主として、従業員数が三百人以下または資本金政令で定める金額以下の中小企業者とすることとし、中小企業金融専門機関たる性格を明確にすることとしております。  次に、最低資本の額の引き上げであります。相互銀行最低資本の額は昭和二十六年に法定されたままでありますが、その後の事情を勘案し、これを三年の経過期間をおいて現行の十倍に引き上げることとしております。  このほか、営業区域の廃止、銀行との関係等について所要規定整備を行なうこととしております。  第二は、信用金庫法についての改正であります。  この関係では、まず、信用金庫会員となり得る事業者範囲について、資本金基準を新たに設けることとしております。すなわち、現行従業員基準のほか、資本金基準を設けて、このいずれか一方を満たせばよいことにしております。  次に、先に述べた相互銀行の場合と同様の考え方から、金庫の出資総額最低限度現行の十倍に引き上げ、相互銀行と同様の経過措置を設けることとしております。  また、現行法では、内国為替取引及び有価証券払込金受入れ等業務は、会員のためにする場合に限られているのでありますが、これを会員以外の者に対しても行ない得ることとし、あわせて政令で定めるところにより、会員以外の者に対しても融資を行ない得ることとして、金融円滑化をはかることとしております。  このほか、会員一人当たりの出資最低限度額を定め、一会員に対する貸付け等自己資本の二〇%以内に制限し、総代制度を改善する等所要規定整備改善をはかることとしております。  第三は、信用協同組合についての改正であります。  この関係では、まず、信用協同組合について、組合員のためにする内国為替取引及び有価証券払込金受入れ等付随業務を新たに行ない得ることとし、また、信用事業を行なう連合会について、連合会会員である信用協同組合組合員に対する貸付け等を加えることとして、金融円滑化をはかることとしております。  次に、さきに相互銀行及び信用金庫において述べたと同様の考え方から、地域により、信用協同組合出資総額最低限度を、現行の四倍または五倍に引き上げ、相互銀行と同様の経過措置を設けることとしております。  このほか、一組合員に対する貸付け等自己資本の二〇%以内に制限する等所要規定整備改善をはかることとしております。  次に、金融機関合併及び転換に関する法律案について申し上げます。  第一は、異種金融機関相互間において、合併及び転換を行なうことができることとしております。  すなわち、この法律案で、異種金融機関とは、普通銀行相互銀行信用金庫及び信用協同組合の四種類をさしておりますが、これらの異種金融機関相互間における合併または転換につきましては、従来、法律上、その道がなく、営業を譲渡し、あるいは一たん解散した上で異種金融機関を新たに設立するという方法のみが可能であったのであります。この法律案に基づきまして、これらの間での合併または転換の道が開かれることにより、たとえば株式会社組織株式会社以外の組織との間の合併または転換ということ等も可能となってまいるのであります。  第二は、合併及び転換に際し、国民経済的観点に立って認可基準を定めたことであります。  すなわち、異種金融機関合併及び転換には、認可を必要とすることとされておりますが、その際の審査基準といたしまして、「金融効率化に資するものであること。」「当該地域中小企業金融に支障を生じないこと。」「適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないこと。」等、特に重要な四項目を列挙いたし、認可に当たり、これらの諸点をも十分考慮することといたしております。  さらに、その審査にあたっては、同種の金融機関相互間の合併を妨げることのないよう配慮しなければならないこととされております。  第三は、利害関係者の権利の保護についてであります。  この点につきましては、異種金融機関相互間の合併転換でありますので、法律上特段の配慮を加えております。  すなわち、合併または転換に反対する銀行株主等については、株式買取請求権または支払請求権を認め、また、信用金庫会員または信用協同組合組合員については、持分払戻請求権を認めることとしております。  また、合併または転換を行なう金融機関債権者の利益を保護するため、債権者異議申し立て制度を設けることといたしております。  第四は、業務の継続の特例についてであります。  すなわち、合併または転換前の金融機関業務のうち、合併または転換後の金融機関が法令上行なうことができなくなったものにつきましては、合併または転換後でも、一定期間、継続することができることとして、この制度の円滑な運営を期しているのであります。  次に、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法昭和三十三年改正前の旧国家公務員共済組合法及び現行国家公務員共済組合法規定により現に支給されている退職年金等つきまして、このたび別途本国会提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて年金額を引き上げること等、所要措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等につきましては、昭和四十二年度におきまして、恩給における改定措置にならい、年金額改定基礎となる俸給を、原則として一〇%、六十五歳以上の年金受給者等退職年金等につきましては二〇%または二八・五%増額することにより、年金額増額したところでありますが、さらに今回、恩給における措置にならい、この年金額改定基礎となる俸給増額率原則として二〇%、六十五歳以上の年金受給者等退職年金等につきましては二八・五%または三五%に改めることにより、昭和四十三年十月分以後、年金額増額することといたしております。  また、現行国家公務員共済組合法規定により支給されている退職年金等につきましても、昭和四十二年度におきまして、恩給における改定措置に準じて年金額改定基礎となる俸給増額したところでありますが、さらに今回、恩給における措置に準じてその増額をすることといたしております。  すなわち、現行法施行前の期間に対応する部分につきましては、昭和四十二年度におきまして、恩給における改定措置にならい、従前年金額改定基礎となる俸給を、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等におけると同様の方法により、増額したところでありますが、今回、その増額率を、これらの法律に基づく退職年金等におけると同様に改めることとし、また、現行法施行後の期間に対応する部分につきましては、昭和四十二年度におきまして、従前年金額改定基礎となる俸給を一〇%増額したところでありますが、今回、その増額率を二〇%に改め、これらの俸給の額を基礎として計算した年金額既裁定年金額を上回るときは、昭和四十三年十月分以後、その差額に相当する額の増額をすることといたしております。  このほか、この法律案におきましては、増加恩給の額が引き上げられること等に伴いまして、公務による廃疾年金及び公務にかかる遺族年金最低保障額を引き上げることとするほか、恩給法改正に伴う所要措置等を講ずることといたしております。  以上が、国立病院特別会計法の一部を改正する法律案外三法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。      ————◇—————
  10. 田村元

    田村委員長 次に、内閣提出昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。金子運輸政務次官。     ————————————— 昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案  〔本号末尾掲載〕     —————————————
  11. 金子岩三

    金子政府委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体共済組合が支給しております旧国家公務員共済組合法及び現行公共企業体職員等共済組合法に基づく既裁定年金の額につきまして、このたび、別途本国会提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じまして、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案による国家公務員共済年金の額の改定と同様の改定を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  まず、旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等の額につきましては、昭和四十二年度におきまして、恩給改定措置に準じ、年金額算定基礎となる俸給を、原則として一〇%、六十五歳以上七十歳未満の年金受給者及び六十五歳未満の遺族年金受給者のうち妻、子または孫につきましては二〇%、七十歳以上の年金受給者につきましては二八・五%増額することにより、その改定を行なったところでありますが、さらに今回、これらの増額率恩給改定措置に準じて、一〇%は二〇%に、二〇%は二八。五%に、二八・五%は三五%にそれぞれ改めることにより、昭和四十三年十月分以後、年金額増額することといたしております。  次に、現行公共企業体職員等共済組合法に基づく退職年金等の額につきましては、これも昭和四十二年度におきまして、恩給改定措置に準じて改め、年金額算定基礎となる俸給現行法施行日前の組合員期間に対応する部分につきましては、さきに述べました旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等の場合と同様の率で増額し、また、現行法施行日以後の組合員期間に対応する部分につきましては、一律に一〇%増額したところでありますが、さらに今回、これらの増額率恩給改定措置に準じて、一〇%は二〇%に、二〇%は二八。五%に、二八・五%は三五%にそれぞれ改めることにより、昭和四十三年十月分以後、年金額増額することといたしております。  なお、上記により年金額改定した場合に、既裁定年金額の方が多いときは、従前年金額をそのまま支給することといたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。      ————◇—————
  12. 田村元

  13. 田村元

    田村委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。提出武藤山治君。
  14. 武藤山治

    武藤(山)議員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案の趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障の水準は、西欧先進諸国に比べ、依然として低水準に置かれております。しかも最近における医療費の急激な増高は、各種共済組合の短期給付財政の収支を悪化させ、そのため組合員に過重な負担をしいる掛け金の引き上げを余儀なくいたしております。また一方、長期給付におきましても、ここ数年来の異常なまでの消費者物価の上昇のもとで、年金受給者の生活は、極度に逼迫しているのが実情であります。  このときにあたりまして、主として組合員の掛け金と、それに見合う使用主負担の財源で運営され、国庫負担が貧弱な共済組合におきましては、従来の保険主義の原則を廃し、大幅な国庫負担の導入により、その社会保障的性格を強める必要があります。かようにして短期給付、長期給付とも、組合員の負担がこれ以上過重にならないよう措置いたしますとともに、退職公務員の老後の生活を少しでも安んじさせるよう、前向きの措置を行なうことは、社会保障の観点からはもとより、共済組合の趣旨に照らしましても、当然、国の責任というべきものであります。  以上の立場から、共済組合の短期給付並びに長期給付の充実改善をはかるため、この改正案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一は、短期給付に要する費用につき、新たに国庫は二割相当分を負担することといたしたのであります。これにより国家公務員共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国五割、組合員三割の負担、公共企業体職員等共済組合につきましては、同じく国二割、公共企業体五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。  第二は、長期給付に要する費用の負担割合についてであります。第四十八国会において改正されました厚生年金保険法の例にならい、国庫負担を一割五分から二割へ引き上げることにいたしたのであります。これにより国家公務員共済組合につきましては、国庫としての国二割、使用主としての国四割二分五厘、組合員三割七分五厘の負担、公共企業体職員等共済組合につきましては国二割、公共企業体四割二分五厘、組合員三割七分五厘の負担とすることにいたしております。  第三は、年金給付の算定基礎についてであります。国家公務員共済組合の長期給付につきましては、従来その算定基礎は退職前三カ年間の俸給の平均額とされておりましたが、消費者物価の上昇の中で、年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮し、公共企業体の職員等の共済組合と同様にこれを退職時の俸給といたしたのであります。  第四は、遺族一時金及び死亡一時金の支給範囲の拡大と年金者遺族一時金の創設についてであります。現行法では遺族の範囲が、主として死亡した組合員の収入により生計を維持していた範囲に限られており、たとえ配偶者や親がいても、組合員の収入によって生計を維持していなかった場合には、給付の対象とされておりません。この際、遺族一時金および死亡一時金は、組合員の収入によって生計を維持していない遺族であっても、その支給を受けることができることといたしますとともに、遺族年金の支給の要件を満たしている場合において遺族年金を受けるべき遺族がないときは、組合員の収入によって生計を維持していなかった者に対して、遺族年金の額の十二カ年分に相当する金額を年金者遺族一時金として支給することにいたしたのであります。  第五は退職一時金の引き上げについてであります。現在、国家公務員及び地方公務員の共済組合においては、退職一時金の支給額は、組合員期間によりそれぞれ二十日から五百十五日分となっておりますが、公共企業体の職員等の共済組合では二十日から四百八十日分となっており、著しく不均衡であるばかりか、その支給額も低きに失しております。したがいまして、この不均衡を正し、かつ退職一時金の底上げを行なうため、三十日から六百十五日分といたしたのであります。  第六は、国家公務員共済組合審議委員共済組合運営審議委員などは共済組合員でなければならないものとされておりますが、共済組合運営の実態及びその特殊性から、現在は非組合員であっても、たとえば労働組合の役員として専従業務に携わっている者等、かつて組合員であったものについては、労働組合の推薦により、委員に任命できるようにいたしたのであります。  以上、この法律案提案の趣旨及び内容の概略を申し述べました。  次に、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びにその概要について御説明申し上げます。  日本国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社が、いわゆる三公社として発足いたしまして、その職員は、国家公務員法、一般職の公務員の給与に関する法律などの適用を離れ、賃金をはじめとする労働諸条件については労使の団体交渉により決定するという公共企業体等労働関係法の適用を受け、もって企業の民主的、自主的経営の実をあげ、公社の福祉に資することと相なりまして、すでに二十年に及んでいるところであります。  この間、恩給制度につきましてもそれぞれ公共企業体職員等共済組合法による年金制度に改められていることも御承知のとおりであります。しかしながら、その職員にとって重要な労働条件の一つとなっている退職手当につきましては、公労法により団体交渉事項とされながら、依然として国家公務員と同様、国家公務員等退職手当法の適用を受けてきていることは昭和二十八年三月十日、公共企業体仲裁委員会は仲裁裁定第一〇号をもって、当然公労法上の団体交渉事項であることを明らかにしていることなどに見られるように、それ自体問題を残しているのであります。  他面、日本電信電話公社をはじめとしてこれら三公社事業のごとく、技術革新、拡充計画などの遂行が今日のごとくその職員に多様複雑な影響を及ぼす状況にありましては、退職手当につきましても多角的な実情に沿った労使の団体交渉による決定必要性が痛感されているところであります。  これらの理由に基づく改正のおもな点は次のとおりであります。  第一に、日本国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社のいわゆる三公社職員の退職手当については、公共企業体等労働関係法の関連において、現在の国家公務員等退職手当法の適用を取りやめ、労使の団体交渉できめることと改めようとするものであります。  第二に、この場合、公社職員と国家公務員相互間の在職期間の通算、及び公社の定める退職手当の基準など所要措置を行なおうとするものであります。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしたいと考えます。  以上がこの法律案提案理由並びにその概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第であります。
  15. 田村元

    田村委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  16. 田村元

    田村委員長 次に、物品税法等の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  おはかりいたします。  租税特別措置法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  18. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 租税特別措置法の一部改正及び物品税法等の一部改正案について御質問いたしたいと思います。  まず、租税特別措置法の問題ですが、この問題については、もう本委員会においてしばしば論議をされ、論議は尽くされていると思うわけでありますが、その焦点は何といっても、この租税特別措置法が税の公平の原則というものを非常に乱している。そういう面が非常に強いものであるということ。さらに政策減税だといわれるが、その政策効果がきわめてあいまいではないか。これだけはっきり減税してやって、こういう成果があがりましたということが、政策当局自身も説明がどうしてもつかない。こういうあいまいさがある。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 さらにもう一つの問題点は、これは第一の問題とも関連しますけれども、大企業あるいは大資産家と申しますか、大金持ち、こういうようなものにきわめてメリットが集中し過ぎているのではないかというような点が大体の問題点であろうと思うわけであります。私どもはそう思うわけでありますが、そういう点について、主税局は一体どのようにお考えであるか、まず、この点を伺いたい。
  19. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、租税特別措置につきましては、税制調査会等でも前々から検討いたしておりまして、御指摘の公平を欠くという点は、この制度が特定の措置をとった場合に、税を軽減するという意味におきましては、この措置を適用する前の課税標準に対する税額に対しては減税になるという意味では、いかなる措置をとりましても、他の点を考えなければ不公平になるというのが第一の前提であるということは認めております。しかし同時に、税を軽減するということによって、その誘導的効果が政策実行の上にあるということも全然否定はできない。ことに税制で処置した場合のほうが、その実質的効果として同じ補助金を交付した場合よりも有効と認められるような場合がある。たとえば減価償却の特別償却のごときは、一定の設備を設置しなければ恩典が受けられない。そういう意味では所期した一定の合理化を行なわせるという目的を達成したときに、初めて減価償却が認められる。そういうような意味では最もその効果を実効あらしめるための効果が強い。補助金を出す場合には、補助金を出しても、それが最終的にどこまで使われるかという保証が非常にむずかしいわけでございます。そういう意味で税を使う場合が有効な場合もあるので、政策効果とその不公平という点を勘案しながら、ある程度政策の具として使っていくことは、これまた考えなければならぬことであるということを言っているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、それぞれの特別措置につきましては、第一にできるだけその不公平でない制度、同時に、それを補助金として支出しても適当であるかどうかという程度の高い政策的な目的があるかどうかということ、それにこたえるだけの効果がある措置になるかどうかということを考えて必要な措置をとるべきときはとる。同時に、そういうものは、すべてその時期その時期の要望でありますので、それに応じて時代の動き、あるいはその効果の達成度合い等によって絶えず内容を洗い直していって、租税特別措置が恒常化したり、あるいは慢性化したりすることは避けなければならない、そういうふうに私ども一般的には考えておる次第であります。  それから、特別措置内容が大企業に片寄るという点でございますが、この点はかつて御指摘がございましたように、昭和四十年ころの特別措置のうち企業に適用になるものを洗ってみますと、一億円をこえる法人についてその減収税額が一億円以下のものより多いという結果から、大企業中心のように見える点もございましたが、特別措置自体が最近におきましては中小企業の近代化とか構造改善という方向に向いてまいりましたので、この間お示しをいたしましたように、昭和四十三年度の制度として対照いたしますと、現在では中小企業のほうがむしろ五五%程度減収額が生じておるようなわけで、中小企業にも相当適用がある。むしろ大企業よりも多く適用があるということ、さらに最近では中小企業だけのための租税特別措置が非常にふえてきているということを申し上げておきたい、かように考えるわけであります。
  20. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 実は、三月五日の本会議において、私が租税特別措置法改正の趣旨説明に対して総理大臣に質問をいたしたわけでありますが、この中で、総理大臣は、昭和四十二年度の数字を引用しまして——ちょっと読んでみますと、「まず貯蓄奨励でございます。国民の貯蓄奨励千五百十四億であります。これは大企業ではございません、大衆全般がこれに影響している。さらにまた輸出振興、これは二百八十一億であります。技術振興、これは二百二十七億、内部留保の充実三百五億、社会開発の促進が三百四十七億等々となっております。これをこの関係するところから大企業がどの程度、中小企業がどの程度幸いしているかということを考えてみますと、大企業は三百二十一億であります。中小企業はこれより以上の三百九十四億であります。この点を十分委員会等におきましても御審議をいただきたい。そうして社会党の方や皆さん方も、ただ政府をお責めになるのはいいですが、この制度が大企業だけに幸いするんだ、かような政策的な特殊な立場からの御批判だけはやめていただきたい、」こういうように答えられておるわけです。私どもはこの問題を取り扱って、先ほど冒頭に申し上げましたような角度から追及をいたしておりますものが何か政策的な特殊な立場だというような表現を用いられているということに対しては非常に不満であって、この総理があげられた数字はおそらく主税局長から出された数字に違いないわけでありますが、この点について、これはどういう形で調査をされたのか、まずこの数字について明らかにしていただきたいと思います。
  21. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいまの総理が申されました数字、これは先日釈明いたしましたように、新しい数字ができませんでしたので、昭和四十二年度の減収額につきまして資料を差し上げたものでございます。新しい減収額で申しますと、全体が二千六百四十八億になりますので、当時の総理の御説明ではおそらく二千四百億程度だったと思います。それは一年ずれておるわけであります。  新しい数字で申し上げたほうがいいと思いますので……。この分け方をいたしましたのは、企業に適用になる租税特別措置と、企業という立場でなくて、一般の個人の所得に関するものと二つに分けまして、そういう面から申しますと、貯蓄奨励とか——貯蓄の奨励は、御承知のとおり中身が少額貯蓄でございますとか、あるいは生命保険料控除でございますとか、あるいは個人の受け取る利子の特例ですとかそういうものでございますので、新しい四十三年度の減収額で計算をいたしますと千六百十六億になっております。それと航空機用揮発油の免税、これは企業とちょっと直接関係がございませんので、これの二十九億、それから住宅対策のための課税の特例、これも個人の住宅でございますから。それと収用の場合の譲渡所得の特例、これはおもに農地であります。これが二十四億と百六十四億、合わせまして千八百三十三億というものがこういう個人関係並びに企業に関係のないものであるという前提で、残りを大企業と中小企業に個別に分けてまいります。その分ける場合の基準といたしましては、それは大体昭和四十年度の実態調査の結果を勘案いたしまして、たとえば輸出割増償却でございますと、大企業が使っているのが八〇%であるといったような実績が出ております。それで区分けをしてまいりまして、そして最後に、特別措置としては異例でございますが、交際費の否認による課税額、これを加除いたしました結果が、一億円超の法人に対しましては減収額で三百六十七億円となり、中小企業関係としては四百四十八億円になった。したがいまして、これを一〇〇で分けてみますると、中小企業が五五%、大企業が四五%という数字になります。これを四十二年分で計算いたしましたのが先ほどお引きいただきました総理の発言内容でございます。
  22. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その際あなた方は、中小企業、大企業を分ける基準を一億に置いておられますね。これは私どもは、今日の法体系の中でやはり資本金五千万円以下というところが中小企業とされておるわけでありますから、そういう分け方をするとこの比率はどう変わりますか。
  23. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 実はまだその分け方はいたしておりませんが、なぜこういう分け方をいたしたかと申しますと、一昨年並びに昨年の税制改正の際に、中小企業向けの特別な扱い、特別の税率を一億円以下で切ったわけでございます。たとえば中小企業の貸倒引当金の割り増し、これも一億円以下の法人に認めまして、そのかわりに一億円をこえた法人には資本構成の是正の特別措置、これを見合いで認めるというような形で、中小企業には中小企業に即した特例を今後認めていこうという考えのもとに、また、従来一億円超の法人にも認めておりました段階税率、軽減税率を一億円以下の法人に限ってだけ一定の所得額以下のものについて認めるというように改めました。そういうことで、五千万円で切りますとこの特別措置内容が実態に合わなくなりますので、私どもその区分けを税法上は一億円でやらしているわけでございますが、最近、今度の金融関係法規などでも、中小企業に対し、一億円というような感覚がやや出だしてきたように思います。最近いろいろ制度的に——中小企業基本法でははっきり書いてありますが、立法例としては若干ずつ中小企業が大きくなっている面もあると思います。税法は、そういう意味でやや長期にわたる考え方で一億円で一応切ってしまおうというのが、去年、おととしあたりの改正でございまして、これについてはその当時いろいろ御論議をいただいたことと思っております。
  24. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 税制面で特に中小企業だけにという銘を打って措置をするようになった。その際には、一億円以下ということになればそれだけよけい対象が広がるわけですから、それはそれでけっこうですけれども、その点では、今日そういうものを何も税法の中で中小企業に関する措置として特別にやらなくても、それと同じようなことをかりにやるとすればやりようもあるわけです。五千万円をちょっとこして六千万円ないし七千万円でそういうものは受けられないというところを、あえて中小企業ということで一億円以下にしなくたって、それはそれでできるわけです。中小企業の概念というものは中小企業基本法に基づいてつかむべきだ。税の政策上そういうものを入れたらどうかという点については、また別個の問題になるけれども、そういう場合には中小企業庁との相談はどういうようになっているのですか。
  25. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 中小企業基本法そのまま中小企業として定義しなくてはならぬということもございませんが、中小企業庁とも十分打ち合わせたわけでございます。税法の場合、税率の適用とかなんとかかなり画一的なものでございますから、従業員基準などというものは入れられない。そういたしますと、かなり安全性を見て資本金で一億円くらいとっておきませんと、従業員基準で入るものが落ちてしまうということになっても困りますので、一億円ということを採用しようということで当時話し合いをしたと私どもは聞いております。
  26. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いずれにしても、われわれが今日の中小企業税制を論ずる場合でも、金融を論ずる場合でも、五千万円というものが一応の基準になっている。中小企業金融機関等についても、いわゆる卒業生金融というようなものもぼつぼつ出てはおるけれども、そういう観点からいうならば、資料の出し方としても、五千万円のところで一つ切ったものを出していただきたい。これは調べて出していただきたいと思うのです。それが一つです。  それから次に、毎年毎年予算のたびに、昨年は二千四百十九億だ、ことしは二千六百四十八億減収になるという見通しというものがいつも出されるわけであります。しかしながら、一体これがほんとうにそのとおりだったのかどうか。もっと減収額が増大をしておったのではないかというような疑いがあっても、それを追跡して調べることはできないわけです。この点について調査をほんとうに、たとえば、この措置をやってこれだけの減収額になりますということでそれを確認をする追跡をして、大体そのとおり、見込みに間違いはなかったというようなことをやっておりますか、やっておりませんか。
  27. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 それは国税庁のほうでは実績を調査したものが報告書に出てまいります。それで実績を確認いたしまして毎年見込みをつくっております。そういう関係で、実は実績が出るのが二年くらいおくれますので、どうしてもその間やや推計が入ります。しかし、新しい推計を立てるときは常に一番新しい実績で直しているというのが実情でございます。もっとも、新しくやる措置は実際にいろいろな推計を試みましてやるよりほかはないと思います。
  28. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 では国税庁に聞きますが、いま私の手元に、昭和三十三年以降十年間の減収額、平年別の推計というのを持っているのですが、三十三年から、七百十一、八百二十七、千十一、千二十五、千二百五十八、千六百九十六、二千百四十八、二千二百八、二千三百四十、二千三百七十七、こういうような数字、これは主税局が予算審議の際にいつも出す平年度ベースでの推計というものしかないわけです。これに見合うものとして実績額はどうなっていますか。
  29. 川村博太郎

    ○川村説明員 国税庁はこの租税特別措置の実績額をとってはございません。ただ、主税局が毎年平年度減収額をはじく過程で、国税庁は法人企業の実態調査を行なっております。それに、たとえば青色申告法人の特典の利用状況をとってございます。たとえば、引き当て金が幾ら積まれてあるか、準備金が幾ら積まれてあるか、特別償却が幾ら行なわれておるかという基礎的な統計をとってございますので、そういうものを参考にして主税局が平年度の減収額を計算されているということだろうと思います。国税庁といたしましては、この特別措置の平年度減収額に見合う実績を統計でとることにはいたしておりません。
  30. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはやはり重大な問題だと思うのです。われわれにはこのくらいの減収になるだろう——この措置法もやはり税法ですよ。本来基本の法律からいえば徴収しなければならないものをわざわざ法律をつくって減収をはかってやる、減税をはかってやるわけです。それが一体そのとおりであるのかどうかということについて、積極的にとるほうは、これはもうちゃんと実績として出ますけれども、どれだけ減収になったかということはなかなかむずかしい面もあろうと思います。しかし、これだけまけてやるんだという見込みだけで常に実績はたどれないということでは、税法の審議としてはやはり非常にまずい問題があるのではないかと思います。それをやっていないというのはけしからぬと思います。私どもは、主税局の出すものを一〇〇%信頼して審議をする以外に何もない。それをトレースすることもできない。国税庁すらそれをやっていない。統計もとっていない。一部分、たとえば、この法人企業の実態などにちょっぴり出ているというようなところはあります。たとえば、減価償却などというところで、一番最後のところに租税特別措置法の償却の特例というようなことで償却なんかは載っている。そういうように、部分的にとらえる程度しかない。したがって、先ほど主税局長はいろいろ言われましたけれども、そういうものをあなた方の数字であらわしてくるけれども、それに対してほんとうにそうなのかどうかということをわれわれ調べる手段を持たないということになると、きわめて信頼できない。これだけ重要な問題でありながらそういうことにならざるを得ないわけでありますが、その点どうお考えでしょうか。
  31. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 先ほど申し上げましたように、大体二年ごとに実態調査というものをやりまして、サンプルではありますが、ほぼ確実に近いものをつかんで、実績に合わせて、実績を洗い直しているわけでございますが、税務統計でも大きなものは統計としてとっているものはございますけれども、何しろ非常に小さなものもございますので、それを全部とるとなりますと非常な手数がかかるということで、全部完全にはとっておりませんが、この数字としては、実態調査から推計した大きなもの等についてはほとんど間違いないものだと私どもは確信を持っております。小さなものになりますとややズレがあるかもしれませんが、ほとんど大差はないという程度に調べてございます。税務統計を全部とるとよろしゅうございますが、これは申告書の中から全部抜き出してとるとなりますと、これだけある特別措置でございますだけに非常にむずかしい。それからまた、御承知の利子配当になりますと、これは金融関係の資料から推計するよりほかはないといったようなことで、税務統計だけでもとれないものがあるわけでございます。それをいろいろと実態調査を集めまして確実を期する。毎年のこの減収額は、私どもとしてはいわばでき得る最上のものだと自負しているようなわけでございます。
  32. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 結局そういう答弁をされましても、私どものほうに、それに対してここは違っていると指摘するだけの資料があなた方のほうから提供されていないのです。たとえば、四十一年なら四十一年はもう決算ができているわけですから、そういういま主税局長が言われた範囲の中で、おもだったものでも、実績を調べられたというようなものがあれば、一つでもいいから、このとおり推測は正しかったという実例があれば、それを示してもらいたい。
  33. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 非常にむずかしい点がございますのは、国税庁でも青色などの所得としての特典利用状況というものはとっておりますけれども、これを税額に換算するのは、軽減税率があったり何かして、実際の税額はなかなか出ないというようなこともありまして、どうしても推計が要るわけでありますが、実績をとったもので申し上げますと、いまここに実績をとった基礎がございますが、たとえば価格変動準備金でございますと、法人企業統計でとれます。それから渇水準備金などは、これは電力会社だけでございますが、局から報告をとって独自に調べております。それから異常危険準備金にいたしましても、これは保険会社関係でございますので、特別調査で全部調べてございますし、違約損失補償準備金、これも特別調査で調べております。それから証券取引責任準備金は、証券局を通じて各証券会社のものをとっております。海外市場開拓準備金は法人企業統計から、探鉱準備金は同じく法人企業統計から、いろいろ基礎となる資料で確実なものをとっておりますので、それをもとにして修正をいたして考えておりますから、実際の数字として——ただ、ここで困りますのは、いずれも準備金の実額で出ているわけでございますね。私どもが要求されて出しておりますのは減収額でございますので、税額になってしまいますので、そこにズレが出る。そのズレは、実際の税額というのは、法人の繰り越し欠損があって控除されたり、いろいろな加算、減算がされておりますので、一応推計をせざるを得ないということでございますが、ここでとった実績と常に照らし合わせまして直しておりますことは、毎年実績を洗っておりますから、いま四十一年までとっておりますが、それで合わしてまいりますと、ほとんど間違いがないと私は思っております。
  34. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 間違いないと思っておっても、私どもはかなり間違いがあるのじゃないかと疑っておるわけです。   〔金子(一)委員長代理退席、毛利委員長代理   着席〕  いろいろな資料をいまあげられましたけれども、そういうものでとったものはちゃんと残るけれども、どれだけまけてやったかということは、これはやはり国税庁でしかわからぬと思うのですね。直税部長、どうですか。どれだけがこの措置によって減収になったか、その推計と実績というものを調べる方法というものは、国税庁として絶対ないという見解ですか。これは、たとえば最近ではコンピューターの時代になってきたというようなこともありますよ。そういうようなものをフルに活用すれば、それほど人数を減らさなくてもやれるということも出てくるだろうと思う。常に議論はしても、ほんとうにそれだけ減収になったのか、それ以上減収になったのか確かめようがないという、税法の中でやはりそういうきわめて不正確なものがあるということについては、主税局長もわれわれに積極的に数字を出して、このとおり見通しが正しかったということは言えないんですよね。これは国税庁が調べる以外には手がないと思うのです。調べれば私は調べられると思うのです。そして、それで人手が足りなければ機械も入れるべし、若干の人数もふやしてその面の追跡だけでもやって、ほんとうにどれだけ当然取るべきものが取れなかったか、そしてその見通しが正しかったか正しくなかったか、これは少しまけ過ぎているじゃないかというようなことをわれわれに示さなければ、これはほんとうの税法の審議とはいえないのじゃないかと私は思うのです。積極的に取るものの姿だけ見ているのじゃなくて、まけてやっている分がどれだけある——本来取るべきものをまけてやっているというものなんですから、そういう面でもやはりしっかりした数字をつかんでいなければならぬと思うのです。そういう点で、いかがですか、絶対これは不可能に属するのですか、やればやれるのですか、どうですか。
  35. 川村博太郎

    ○川村説明員 先ほど申し上げましたように、こうした青色申告にからみます特典の利用状況は、国税庁の統計としてとってございます。ただ、先ほど主税局長が申し上げましたように、軽減税率がございますし、配当軽課の税率等もございまして、たとえば引き当て金あるいは準備金によって所得が減ったものが、一体軽減率税にかかるものであるか、基本税率にかかるものであるかというような問題がございますので、統計として確たる数字は事の性質上とれないわけでございます。しかしながら、こうした特典利用状況をもとにいたしまして推計をすることは可能でございます。
  36. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 まあなかなかむずかしい面もあるけれども、かなりその実績に近いと思うような推計の数字というようなものも、これは同じ大蔵省の中ですから、打ち合わせして出されたらそれまでになるかもしれぬけれども、やはり法人企業統計なり、その他金融諸統計なり、そういうようなものは一般的に公表され、客観性を持っておるわけですから、そういうものの中でまたそれを分析することも可能だと思うのですがね。そういう数字というものもやはり国税庁としてもあるいは主税当局としても出すべきだと思うのです。そういう配慮というものはございませんか。これは政務次官に聞きたいと思うのです。
  37. 倉成正

    倉成政府委員 ちょっといま途中であれしたものですから、局長から答えまして、それを補足いたします。
  38. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 私どもも、特別措置の正確な実績をつかみたいということは同じでございます。したがいまして、主税局独自でつかめるもの、これは法人企業統計で確実に出てまいる種類のものは法人企業統計を使って、それに税額推計を加えてやっておりますし、国税庁でとってくれているものはそれで税額推計を加える。さらに個別にとれるものは毎年照会をしてとっているということで、その努力は十分いたしております。したがいまして、この数字は毎年補正しながら確実を期してまいっておる。さらに私どもとしてもより正確なものをつかむ努力は続けていきたいと思いますけれども、現在まで長年いろいろの努力を重ねてこの数字は積み上げてまいったものでございますから、私としてはなお努力の余地はあると思いますけれども、現段階においては実績に最も近いものであるということでお答えを申し上げる次第でございます。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いままで確かにわれわれ大蔵委員会の論議でも、その実績についての論議というのはほとんどなかったんですよね。しかし、もうこの段階に来て、中小企業に非常に重みがかかってきているのだとか、いろいろなことをいわれても、そういうものがないと、やはりそれに対して信頼する具体的な根拠を持てないのです。だから、そういう意味で、国税庁も出せる限りの資料はこの委員会に、実績等について、たとえば全面的でなくてもいいから、わかる限りのものはやはり出すというようなことをしてもらいたいと思うのです。そういう方向でないと、税法の審議も非常に手間どると思うのです。不必要な議論があるいはあるかもしれないと思うのです、資料がないために。だから、そういう点で、特に実績を追跡する努力というものはやはり怠ってはならないものだ。こういう点について、これは政務次官から答えてもらいたい。
  40. 倉成正

    倉成政府委員 私もごもっともな議論だと思います。税の当初の見込みとそれから実績というものをやはり絶えず対比しつつ、いろいろな政策は検討していくべきだと思います。したがいまして、先ほども主税局長がお答えいたしましたように、できるだけ実績に近づける努力をいたしていくというふうに考えております。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう点で十分注意をしていただきたいと思います。  そこで、昨年の七月に大蔵省から出した資料で「法人の規模別税負担割合推計」というのがあるわけですが、これで資本金階級で一千万円以下、一億円以下、一億円超、合計、こうなっておるわけですが、ここで租税特別措置による準備金、特別償却等、一千万円以下で百三十億、一億円以下で百四十二億、一億円超が六百五十五億、合計で九百二十七億、こういう数字が出ております。課税所得金額とそれから租税特別措置適用前所得との差がそうなるわけです。したがいまして、こういうものから税負担の率がここに出ておるわけですが、課税所得に対する税負担率、法人税分として一千万円以下のところが三一・二%、一億円以下が三二・五%、一億円超が三二・六%、こういうようにきわめて近似した税率、いわばこれが実効税率だと思いますが、そういう姿になっている。こういうようなことを見ますと、これがこの一年で、あるいは今度の措置によって大きく変わるのかどうか。基本税率は法人税三五%だ、軽減税率で所得三百万以下の法人が二八%の軽減税率だ。まあこの三百万以下という数字が出ておりませんから、一千万円以下と見ましても、その中には三五%を適用されるものも入るわけですが、そういうものでこれを見ますと、これこそほんとうに租税特別措置が大企業に働いたためにこうなっているのじゃないかということをまさに一目りょう然とする数字ではないかこういうように思うのです。  さらに、たとえば昭和四十一年度の資本金階級別の準備金、引き当て金をちょっと計算してみましても、五千万円超のところを見ましても、価格変動準備金は七四%が五千万円をこえたところに集中している、貸倒引当金が五千万円超のところに八三%集中している、こういうような数字だって出ているわけですよ。これを一億円にかりにしたとしても、この数字が幾らか下がることであって、若干は下がるけれども、四五%と五五%で逆点いたしておりますというようなことを、どこを押したら一体いえるのだろうか、こういうことがいえます。  それから減価償却の面を見ましても、これはちょっと資料が古くなりましたが、昭和四十年分「法人企業の実態」を見ましても、特別措置法の償却の特例で五千万円以上のところを見ますと、七四・八%はやはり大企業、われわれからいえば五千万円以上は大企業と見ているわけですから、これは七四・八%になっているのですよ。この資料の一番最後のページにあるものです。そういう姿になっておってなおかつ先ほどのような数字をあげられたって、私ども全く信用できない。いかがですか。
  42. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございました点は、やや不正確かもしれませんが御説明いたしますと、まず貸倒引当金と価格変動準備金が片寄っている点は、私もそうだと思います。貸倒引当金の中で、貸し金が一番大きいのは何と申しましても金融機関でございますから、どうしてもそれが大きくなると思います。価格変動準備金にいたしましても、たなおろし資産が膨大なのはどうしても大企業でございます。そういう意味で御指摘になったものはそのとおり大きいと思います。先ほども私が計算してお話を申し上げました大企業との分け方につきましても、価格変動準備金などについても同じ割合で見ております。ただし、貸倒引当金は、先般も御説明申し上げましたように、これは一種の負債性引き当て金でございまして、特別措置ではございませんので、これには入っておりません。  それから先ほどの、昨年提出いたしました資料でございますが、実効税率が非常に下がってきておるという点でございますけれども、その下に租税特別措置適用前所得に対する税負担率が出ております。それでごらんいただきますと、千万円以下が三〇・七、一億円以下が三一・二、一億円超が三一・二ということでございまして、特別措置適用後の差とあまり違いがない。ですから、いまの所得は非常に大きくございますから、特別措置を適用した後の実効税率もそれほど差はないのだということがいえると思います。  それにしても、大企業に多いのではないかということは確かに御指摘のとおり、実は私どもも調べてみたのでございますが、去年出しました資料は四十年度のものを適用したわけでございます。四十年度のところで中小企業と大企業、私どもの分類でございますが、一億円超で調べてみますと、大企業が七〇・七%、中小企業が二九・三%という結果になるのでございます。ところが、その後四十一年度、四十二年度、四十三年度の改正では、大企業に一番大きく適用になっております価格変動準備金をことしは全部についてといっていいぐらい切ってしまう。百五十億ぐらいあったのを十三億程度に切ってしまう。ですからそれはほとんどなくなってしまったわけでございます。それから、四十一年の改正で貸倒引当金について、普通の貸倒引当金は本法で設けておりますけれども、中小企業だけ特に二割増しを積ませることにいたしました。この分は実績比率をオーバーして積ませる分でございますから、特別措置法規定いたしました分が税額で申しますと九十億ぐらいございます。そういう中小企業専門の準備金、引き当て金等といたしましては、たとえば構造改善準備金もできましたし、中小企業の海外市場開拓準備金も拡大をいたしました。それらをずっと変遷をたどってまいりますと、四十一年度は依然として七六・二対二三・八でございますが、四十二年度になりますと五六・六対四三・四となります。同じ比較であと新しく入ったものを加除いたしませんで計算いたしますと、四十三年度は中小企業が五一・一、大企業四八・九ということになりまして、これに個人関係のいわゆる社会診療報酬の分を中小企業分に加えますと、先ほど申し上げた五五%、四五%という数字になるわけでございます。ですから、昨年お示しした資料はたいへん古いもので推計いたしましたので、四十一年度以降の租税特別措置の体系で御説明いたします。四十年度−四十三年度にわたって租税特別措置が急激に中小企業に傾斜してまいったという点はお認め願えるかと思うのでございます。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ある程度そういう形で、これは年来の私どもの主張でもありますし、大企業に傾斜して体質の弱い中小企業にこういう配慮が足りないということを言ってきたわけですから、そういう意味で中小企業に適用される面が若干ずつふえてきたということも私どもも認めております。しかし、それを証明する資料をあなた方は一つも出さない。この審議に先立って、前年度とことしとこれだけ大きく変わっております。そうして中小企業にメリットが帰属するもの、大企業にメリットが帰属するもの、これは大体どの辺まできました、それはかくかくの理由です、ということをどうしてお出しにならないのですか。こういうものを質問すれば、そういうようにいま手元にあると答えられる。それを審議の資料としてお出しになるというようなことは何か差しつかえがあるのですか。そういうものを前もって出されて、そしてこのとおりになりましたからということで審議を求めてくるというような態度が私は必要だろうと思うのです。聞いていくと、だんだん小出しに出してきて、それは違うんだ。これは非常に審議の停滞にこそなれ、審議を促進し、能率的な効率的な審議をさせるという点ではまことに配慮の足らない態度だと思うのです。非常に資料を秘密にしたがるといいますか、出したがらないという、そういう性向というものはどうも大蔵省にある、こういうように私ども思うのです。その数字をいまそう答えられても、ここでそれを、そういうことでございますかといって私ども認めるわけにいかぬのです。また、この大企業に傾斜する分のほうがかなり大きいということを言わざるを得ないわけなんですよね。中小企業に対する配慮も最近は幾らか出てきたということは認めるけれども、まだまだ大企業にメリットを帰属させるウエートが非常に高い、そういうように言わざるを得ないと思うのです。その点ばかりやっておりますと、あとまた何人かの人たちもやるようでありますから、そちらに譲りまして、次の問題に移りたいと思います。  この前、所得税法のときにも銀行局長にお伺いいたしたわけですが、利子課税の特例の問題で、大体少額貯蓄の非課税制度を利用しておる人数は約四千四百万ある。こういうことで、百万円限度で多種類多店舗ということになっておって——これは延べじゃなくて、かりに一人が一口一種類しか利用していない、こういうことにすれば四千四百万人、五千万人の有業者のうち約九割近くの人が利用している、非常に大衆に対して恩恵が及んでいるんだ、こういうように思えないこともないわけでありますが、これは一人の人が、かなり多いものは五十口、百口というようなものを百万円限度で分散貯蓄をするというようなことも当然うかがえるわけであります。それらについて、一体その実情はどういうようになっているのか、こういう点についてまず伺いたいと思うのです。
  44. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの点でございますが、少額貯蓄の非課税制度の四十二年三月末の利用状況、利用者の数は、おっしゃいました四千万に近い三千八百五十万ということになっております。これは農協等まで入れました金融機関の計数でございます。そのほかに証券関係その他が約六百万ばかりでございますからほぼ四千四百万、こういうことになるわけでございますが、この当時はまだ四十二年三月ごろの数字でございますので、多種類多店舗になる前、したがいまして一人一口、こういうときでございましたが、こういう高い利用率を持っているということでございまして、これはこの制度が非常に広く利用され、しかもこれは各人利用できる制度でございますので、たとえば本人のみならず家族というような名前でこの制度の申告をしてこれを利用していく、こういうことであろう。したがって、いまお示しのように非常に高い利用率である、こういうことになっておりますが、当時はこういういまの制度前でございますので、結局それだけの人が金融機関あるいは証券会社を通じてこの制度を利用している、こういうことになろうかと思います。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは金融機関が三千八百五十万人、証券会社が百三十万人、勤務先預金が四百六十五万人、合計で四千四百四十六万人という数字が出るわけなんですが、これが今日どのような変化をしておるかは、まだ調査は出ておりませんか。これと同じようなことで、多種類多店舗に変わった後にどういうことになっておりますか。
  46. 川村博太郎

    ○川村説明員 非課税貯蓄申告書の四十二年十二月末現在の状況を申し上げますと、銀行が二千六百四十五万枚、それから信託会社が三百二十三万枚、それから証券業者が百四十五万枚、それからその他農協等の金融機関が千七百三十四万枚、それから勤務先預け金、これが五百一万枚、合計いたしまして五千三百四十八万件であります。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはもちろん経済の拡大、経済の成長、所得の向上等いろいろ原因もあるだろうと思いますが、多種類多店舗という制度改正によってふえた分もかなりあると思いますが、お認めになりますか。
  48. 川村博太郎

    ○川村説明員 多種類多店舗になりましてから、かなり枚数はふえておる傾向にございます。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この中で、先ほど私、適当な表現がなかなかないものですからあれですが、有業人口が五千万だ、大体日銀の貯蓄増強推進本部で出しておる資料を見ましても、二十万円以下の世帯というようなところでも、年間所得に見合う程度の貯金があるという数字が出ておるのですよ。かくのごとく貯蓄性向が高いわけなんですが、一体この制度がねらった効果というものは、やはり貯蓄増強である、こういうことだろうと思うのです。しかし、現実にこの日銀の調査によりましても、大体何のために貯蓄をするのだという調査を毎年やっておるわけですけれども、病気や不時の災害に備えたいということ、これが八一・二%という高率だ、子供の教育費、結婚資金にしたいというのが五八・二%、それから老後の生活が不安だからというのが三七・九七、それから最近特にふえてきたのが土地、家屋の改修や新築などをやるための準備だ、こういうのが三五・二七というのが一番新しい日銀の調査で出ておるわけですね。こういうことが一つある。それでその中には、貯蓄をしておって少額貯蓄非課税の制度があるから、その利子に税金がかからぬというようなことを言っておる人はただの一人もいないわけですよ。それにもかかわらずちゃんと貯金をしておる。そういうほんとうに貯蓄心の旺盛な国民に対して、ほんとうに一人一口ぐらいで、百万円限度ぐらいのやつで持っておるという場合、それから名寄せしてもそれを絶対にこえないなんという、五十万で二口持っておる人もあるかもしれない。その程度のものがそういう形で現実に行なわれておるとするならば、それは大衆のためにかなりなっておるだろうと思うのです。しかし、私ども疑わざるを得ないのは、やはり高額の所得者なりあるいはまたお金持ちの人たちがこの制度を悪用乱用をして、分散貯蓄をして、税金を納めるのを免れるという脱税の手段に使われている面がどうしてもかなりの程度ある、こう見ざるを得ないわけなんです。  国税庁にその点お伺いしたいのですけれども、こういうもので、特に多種類多店舗ということになると、名寄せの問題が非常に大きな問題になるだろうと思いますが、名寄せはどういう場合にやっておられますか。たとえば何か問題が出た、脱税容疑があった、そういう場合に名寄せをやるということ、大体その程度じゃないかと思うのです。そういうものがない場合には、何ぼやってもねらわれない、国税庁にマークされない場合は、いつまででも脱税でそのままでいく。積極的に名寄せをやっていく、こういう事態に対して、先ほどの追跡調査じゃないけれども、実態はどうなのだろうかというようなことで、その脱税容疑というようなものがあってやるのじゃなくて、最初からそういうものがどのくらいあるだろうかというような形で調査をなさるというようなこと、そういう意味での調査をなさっておりますか、名寄せ等を通じて。
  50. 川村博太郎

    ○川村説明員 御承知のように、いまの少額貯蓄非課税制度が設けられましたのが昭和三十八年の四月でございます。国税庁といたしましては、三十八年四月、この制度が施行されまして以来毎年一回全部悉皆で名寄せの調査をいたしております。多種類多店舗になりましたのは昨年の改正で、七月以降でございますが、これにつきましては、現在のところ、まだやっておりません。しかしながら、四月以降これをやる計画でおります。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは今年の四月にそれを総ざらいに一ぺんやってみる、こういう意味ですか。
  52. 川村博太郎

    ○川村説明員 事務計画の手順等ございますので、四月になりますかあるいは五月になりますか、その辺はまだはっきりとは申し上げられませんが、四月以降適宜やりたいとは考えております。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 主税局長に聞きますが、そういうこともやられるようでありますから、その実態を見て、この問題についても、ほんとうに大衆のために、先ほど申し上げたようなささやかな願いのもとに貯蓄している人たちにある程度の優遇をしてやろうということを越えて、分散貯蓄による脱税と見られるようなものが相当あるというようなことになれば、当然そういうものに対する処置をつけなければいかぬだろうと思うのですが、そういうお考えはどうですか。
  54. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 この制度は、御指摘のとおり昭和三十八年の税制改正の際に、従来とかくの問題がございました国民貯蓄組合の制度をより適正化と申しますか、先生御指摘のようなことのないような形に改めるということででき上がった制度でございます。非課税貯蓄申告書を金融機関を経由して出す、その際に預貯金者の確認を行なうというようなことで、少なくとも善意の貯蓄者、善意の金融機関であれば間違いなく実行できるというかなり担保を持った制度だと思います。これは私の記憶でございますが、この前国民貯蓄組合の組合員数というが約九千万くらい、これが、この非課税貯蓄になって、いまの多種類多店舗になる前には約三千万から四千万程度に一挙に減っております。それだけ適正化ができたと考えておるわけでありますが、もし誤りがあった場合には、もちろん名寄せをして摘発をしたものは徴収を厳格にやっております。この名寄せ、たいへんな手数ではございますけれども、名寄せをやることによってまじめな貯蓄者が安心して貯蓄ができると同時に、ふまじめな連中がやはり警戒して正しい貯蓄をするということができるという意味では、国税庁もたいへんな手数ではございますが、名寄せをやっている、これが続いていけば、だんだん貯蓄の適正化ということはできてくるのではないかと期待しているわけでございます。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 さらにこの利子課税の問題では、分離課税一五%の問題があるわけでございます。大体利子所得は二兆六千五百億だ、課税対象額が一兆二千九百五十七億くらいになる、課税額が千七百四十八億になります。課税所得に対する負担割合が一四%程度、利子所得の総体に対する負担割合は六・六%くらいになる、こういうわけでありますが、この数字について、総所得に対して六・六%、課税所得に対して一四%、こういう姿があるわけであります。利子課税の分離課税については上積み実効税率というか、そういう段階において非常な不当な不公平が特に出るわけでありますが、この問題について、これはあとは二年ですか、期限があるわけですけれども、これくらいはもう基本税率に戻すというお考え、そしてまた総合累進課税の原則に戻していく、こういうことに当然踏み切るべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  56. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 私も理想的な形としてはそういう形にいくのが望ましいと考えておるわけでございます。常にこの問題は新しい問題として取り上げられておりますが、一方において公平感というものを徹底していくためには、利子の絶対的な把握ということが必要になってきます。また、源泉徴収をしている限り確実に、もし課税すべき所得がない場合は還付する必要がある、これらの技術的な制度を十分に詰めてまいりませんと、結果においては、たとえば匿名の預貯金とかそういうもので非常な不適正ができるということになりますと、かえって大きな不公平が起きる。その辺の技術的な点を私どもとしては詰めていきたいと思いますし、また、金融関係当局としては、やはりこれだけの大きな貯蓄額でございますし、また、この貯蓄額が日本の資本形成等に大きく働いているものでもございますので、その急激な影響というものをかなり見きわめる必要がある。この二年間に私どもとしてはそういう点、貯蓄あるいは資本の増強というような面からの配慮と、また、技術的な公平な課税を担保できるかどうかという見通しと、こういったものを十分つけて、二年間の間に結論を出したいと考えておるわけでございます。
  57. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 たいへん慎重な答弁をされておるわけですけれども、この日本の貯蓄性向が高いことは世界一だといわれておるし、しかも、その貯蓄する目的は先ほど申し上げたようなことだ。しかも、日銀のこの調査によりますと、物価が上がるということに対して非常に貯蓄意欲というものが減退するであろう、こういうようなこと、これは当然常識的に考えられることなんですね、ところが、この調査によりましても、物価が五%上がっても六%上がっても、そういうことには関係なしに、私どもは貯蓄しますという結果が出ているのですよ。だから、おそらくもう政策当局としても、いわゆる貯蒲増強に水をさしたりあるいは貯蓄心がなくなったりしては困るという政策配慮が一番先にこれをつくらしたわけですね。ところがそういう心配はない。かつて税制調査会も指摘しておりますように、これは五、六年前、たしか昭和三十六年くらいの税制調査会だと思いますが、何年か前に、この優遇措置が切られたことがありましたが、そのときでもちっとも貯蓄の増強という点では何の影響も出なかった、こういうことをはっきり指摘をしているわけですね。しかも分離一五%というものが、税の公平を非常に害する、しかもこれは大きな資産所得だということでもありますし、ここで資産である限りにおいて、これは労働者の賃金のように、肉体が滅びればそのままなくなっちまうようなものと違って、ちゃんと残る。いわゆる相続可能な所得である。しかも非常に安定した所得であるというようなこともあるわけです。だからそういうものに対して、やはり特に給与所得、所得税、こういうものとの見合いにおいて非常にきわ立った不公平感というものが出るわけであります。だからそういう立場において、もう少し勇断をもってこれはもうやるのだというような腹を固めて、税制調査会にも積極的に諮問をしていく、こういうような考えを私どもは持つわけです。大蔵省としてもその程度の気持ちにはなっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  58. 倉成正

    倉成政府委員 ただいま御指摘のように、この制度は非常に歴史的な過程をたどっております。昭和二十五年に、ただいまお話しになりましたように、源泉選択制度を廃止いたしました。しかし、これは一年きりで、また二十六年に復活いたしまして、それから御案内のように最近では昭和三十八年に源泉分離課税を一〇%から五%に下げた、それから四十年に五%からまた一〇%、四十二年度に御案内のように一〇%から一五%に上げたということでございます。そこで、この期限があと二年ほどでございますから、この間にいろいろ利子所得についての課税をどうしたらいいかということを、やはりいろいろ御論議のあることも参考にしながら検討しなければならないのじゃないかと思っておるわけであります。いずれにいたしましても、この制度はその時代の要請と申しますか、やはり経済政策、経済全体の動向と密接に関係があって今日に至っておるわけでありますから、この四十二年度の改正の推移を見守りながら、いろいろこれまで御議論いただいたようなことを参考にしながら検討していくべきものじゃなかろうかと考えております。
  59. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 どうもあまり慎重にかまえ過ぎて、色よい返事をしないわけですけれども、このことはやはり真剣に考えていかなければいけないだろうと思うんです。こういうものの存在というものが、やはり国民の納税意欲というようなものを非常に鈍らす。それだけ第一線の税務職員などはこのことを持ち出されて、そういう不合理をやりながらということをやられて、現実に苦労する面も非常にあるわけです。だから、そういうことから申しましても、またねらった政策効果というものが、ほとんどこのことあるがゆえに貯蓄がふえているんだということは、もはや何の証明もないわけです。これは主税局だって証明できない。銀行局長だって、これはばく然と金融機関のほうをあずかっている局長だから、それはあったほうがいいと、こういう気持ちはあるだろうけれども、このことはなくなった、そういう分離課税のメリットがなくなったからといって貯蓄が減るというような、そういうものでないというようなことにもなっているわけですから、そういう点でぜひひとつこれを勇断をもって——優柔不断の優断であってはならないわけでして、勇気ある断行をひとつ要望をしておきたいと思います。
  60. 井手以誠

    ○井手委員 関連して一言、政務次官に勇断を求めたいのです。  いま広瀬委員から、利子課税率の変更にもかかわらず貯蓄はふえていっておる、こういうお話がございました。昭和三十四年の一〇%課税のときには一四%の貯蓄が一八%に伸びておる。それから税率を引き下げた四十年には、逆に貯蓄率が落ちておる。税率を下げたときに落ちておる。これはもう明らかに因果関係はないのです。したがって、税調においてははっきり答申をいたしております。いまさっき広瀬さんもおっしゃったとおりです。その政策的効果はないので廃止が妥当であると明確に答申をいたしております。はっりき答申をいたしております。政府に断行を迫っておるわけです。いまさら検討の余地はないはずです。これほどはっきりした税調の答申があり、世論の批判があるならば、何も検討の余地はない。むしろ二年というものを短縮して、近いうち二年を待たずして廃止するのがあたりまえじゃありませんか。しかし私は、それはしいては申しませんが、期限が来れば廃止する予定であります、ぐらいは言えないはずはないと思う。明確にお答えを願いたい。
  61. 倉成正

    倉成政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、この当初の出発点、非常に長い歴史的な、明治以来大正、昭和、それからまた戦後と通じてこの制度はできておるわけで、そういう歴史的な過程を持っておるわけであります。したがいまして、ただいま井手委員の御指摘のありましたように、利子、すなわち免税と貯蓄との相関関係はどうかということになりますと、非常にこれはむずかしい問題じゃなかろうか。これはいわゆる利子率と貯蓄率との問題とも関連いたしましょうから、これはなかなか一がいに断定することはできないと思います。しかし、一応貯蓄なり資本蓄積に効果があるということを考えて、この制度が設けられてきておるわけでありますから、税調の御答申昭和三十四、五年にあったかと思いますし、また、いろいろ世論の批判もあるということもわれわれ承知しておりますので、四十二年度にせっかく一〇%から一五%に上げたわけでありますから、やはりこの推移を見守りながら期限の来るまでに十分検討していくというのが、ただいまのわれわれの立場でございます。
  62. 井手以誠

    ○井手委員 どうも末尾にひっかかりがあるようですな。法律の命ずるままに、あと二年で効力を失います、政府もその方針でございます。税調からも答申があっておりますからその方針でございます、くらいは言えないはずはないでしょう。倉成さん、それだけおっしゃってください。あいまいにおっしゃいますと、いつまでもやりますよ。
  63. 倉成正

    倉成政府委員 税調にも、またこのたび新たに法人税のあり方なりその他いろいろな御諮問を申し上げておるわけでありますから、やはりわれわれとしてここでこれを廃止するというようなことをすぐ申し上げるわけにはまいりません。しかし、御議論のあることは十分われわれ頭に描きながら、この問題に対処してまいりたいということでございます。
  64. 井手以誠

    ○井手委員 法律の命ずるところは、あと二カ年しかないじゃございませんか。いま言えることは、二カ年は法律がそのままなっておりますから、二カ年続けてまいりますが、その後は税調の答申を尊重して廃止する方針でございます、そうおっしゃったって、あなた別にあとに問題起こらぬでしょう。政務次官、税調に諮問をしておるというお話がございましたが、そう権威のない答申ではないはずです。また、大蔵省もいろんな世論なり効果なりも考えて諮問された結果の答申ですよ。同じことを何回も答申するはずないです。諮問するはずはないです。私が言ったくらい言えるだろう。
  65. 倉成正

    倉成政府委員 昭和四十二年度の税調の答申は、井手委員よく御承知のように、利子所得及び配当所得に対する措置についてはその特例税率を漸進的に引き上げることとして、その引き上げの幅はさしあたり二年間は五%とする、いわゆる一〇%から一五%までという答申であります。したがって、税率のほうでいくのか廃止するのかということは、これはやはりいろいろな情勢を考えながら検討すべきことであろうと思いまして、ここで直ちに二年後廃止するというのはいささか私としては行き過ぎじゃなかろうか。
  66. 井手以誠

    ○井手委員 法律はそう書いてあるのじゃないですか。二年済んだらまた検討しますと書いてないでしょう。二年間だけでしょう。時限立法ではっきりしているでしょう。それだけの話じゃないですか。あなたが検討するとおっしゃるから私はここに出てきたのだ。
  67. 倉成正

    倉成政府委員 法律の期限はあと二年間あるわけでございますから、四十五年の三月三十一日までの間あるわけでございますから、この間のことはもちろん法律のとおり、そのあとのことについてはわれわれはまだ廃止するというようなことをきめておりません。廃止するか税率をどうするかというような問題についてはまだここできめておりません。
  68. 井手以誠

    ○井手委員 言わずもがなのことをおっしゃるようだな。記録に載るものですから私はあえて繰り返して申し上げておりますが、先のことを申し上げておるわけではないし、筋としてはあなたのほうの諮問に応じて明確な答申があっておるわけですから、それを早期に尊重していきたい、私としては尊重してまいりたい方針でございます、とおっしゃればそれで済むことですよ。
  69. 倉成正

    倉成政府委員 答申は廃止せよという答申が出ていないのです。四十二年度のやつは井手委員がよく御承知のとおりです。
  70. 井手以誠

    ○井手委員 四十二年のものは一年分の答申です。
  71. 倉成正

    倉成政府委員 四十二年度が一番新しいやつでありますから、やはりこれは長期答申を含めての議論だと思っておりますので……。
  72. 井手以誠

    ○井手委員 税調の答申は長期税制に関する四十年度の答申です。あなたのおっしゃる四十二年の答申は四十三年度をどうするかという答申ですよ。だから四十三年度の答申は廃止に至る段階的な一つの答申なんですよ。
  73. 倉成正

    倉成政府委員 長期税制のあり方についての中間答申には利子については具体的に意思を表明いたしておりません。井手委員のおっしゃるのは前のやつではなかろうかと思いますけれども、やはりわれわれとしてはこの中間答申並びに新しい答申を一応参考にすべきものと考えております。
  74. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま関連質問で井手委員からも申し上げたわけですが、答申の線に沿ってこれを尊重して、二年先にはそういう廃止の方向でいく、そういう答弁をしてください。そうでないと大臣来てからでないとやれなくなりますよ。
  75. 倉成正

    倉成政府委員 期限は四十五年の三月三十一日にまいります。したがって、新しい措置をしない限りにおいては、そのとき廃止されるわけであります。しかし、いま二年後の利子について全然処置をしないということをここで明言するわけにはまいりません。
  76. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう方向で検討するぐらいのことは言えないですか、そのくらいのことは。
  77. 倉成正

    倉成政府委員 皆さま方の御議論なりあるいは税調の御議論なりを十分に参考にしながら、これは検討してまいるべきものと心得ております。
  78. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これ以上やっても、大臣が来なければ政務次官としてはそれしか言えないかもしれないから、その点については大臣が来たときにまた私なり同僚委員なりからさらに詰めていただくということにして、次に移りたいと思います。  利子所得とともに配当所得に対する特例が非常に問題だし、本会議質問でも私、具体的に数字をあげて質問をいたしたわけであります。このことは単に所得税だけの問題じゃなしに、地方税をも含めて、税の公平という面から見てどうにも納得がいかない。ようやく五人世帯の課税最低限が八十万八千六十三円に引き上げられて、肉体に汗して働いている人たちはようやくそこまで来た。それが資産所得で、まさに不労所得で、悪いことばでいえば、寝食いをしているような人たちが二百三十六万三千何ぼですか、そこまでは所得税がびた一文かからない。こういう制度に対して、これはどう説明されようとも——証券業界の圧力が相当強くても、ほんとうに証券業界の健全な発展をするということは、こんな税制なんかで何ぼしりぬぐいをしてみたところで、これはどうにもなるものじゃないと思うのですよ。こういうことをやっているから安易に流れて、そういうものだけにたよって、本来打つべき手を打っていないというようなことだろうと思うのです。そういう点についてはいろいろ公社債市場の問題とか、あるいは国民の中にいわゆる証券貯蓄の風習というようなものがないとか、そういうものをどうやって高めていくかとか、長期金利体系の問題もあり、いろいろな問題が全部からまっている。それを税制が一手に引き受けている。これほど端的に税の体系を不公平の見本のような形で見せているものはないと思うのです。この問題についても期限が切られておりますけれども、これぐらいはせめて廃止をする、そういう優遇措置というものを廃止をしていく。もちろんこれは理屈としては配当軽課、法人擬制説の上に立って法人税の前取りだとかいろいろな理屈もあります。ありますけれども、とにかく現実に片方は所得が二百三十六万あって税金がかからない。給与所得者は八十万八千円をこえれば税金が取られるのだ。こういうような形というのは、どう見たって国民の感じとして——それは理論がどうであろうと、いま理論で論議をしているのじゃないですよ。国民もそういう立場じゃない。額に汗して働けばこうだ、そして親譲りの資産で株の配当で食っていればこうだ、そういう形の端的な比較になるわけです。そういう理論はいいです、わかっているのですから。だからそういう理論じゃなしに、国民に税というものは公平なものなんだということを示すためにも、もちろんこれは法人実在というような形での法人税についての考え方というのは別に考えることとしても、少なくとも個人の所得になる配当所得というものに対してあまりにも税を優遇し過ぎている。この問題についてやはりめどをつけた答弁をお願いしたいと思うのです。
  79. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま御指摘になりました点、二つ問題があると思います。一つは、期限が二年後に到来をいたします配当の源泉選択の問題、これが一つだと思います。もう一つは、これは期限がついておりませんが、配当控除の問題。  第一の問題につきましては、これは御承知のとおり、利子所得の分離課税との関係から、資本市場の育成という意味で新しく最近に設けられた制度であります。これはむしろ創設された当時はできるだけ早く廃止するということをよくいわれた制度でございます。そういう意味で、利子所得との権衡上設けられただけに、利子所得と一緒に検討するということで、同じ年に終了するようにしてございます。源泉選択という制度も、源泉課税のほうが税率が低ければ、やはり得で、だれでも選択いたしますから、確かに問題の制度でございます。利子所得と同じような期限が来たときに、それに対する解決をはかるべき問題だと思っております。  配当控除の問題は、これは御承知のようにシャウプ税制で初めて日本に導入された制度でございますけれども、これは大正九年までは日本も同じ制度をとっていたわけであります。法人税を源泉課税と考えているわけで、ですからいま御指摘のありましたように、二百三十六万の人は、なるほど所得税としては税金を払っておりませんが、法人税では百三万ばかり税金を払っております。これをもしも二重課税にしてよければ、この法人を通した所得には何十%という非常に高い税率がかかる。それがはたして企業というものを通した所得として妥当なのかどうかということをシャウプは問題にしているわけです。たとえば組合をつくって一緒に仕事をして分配を全部しちゃったというときに、組合に課税をして、また分配金に課税をするかという点、そういう考え方から申しますと、法人の所得ではございますが、利潤として分配した分は、法人の所得から見れば、相手方に利子を払ったのと同じではないか。そういう考え方から申しますと、配当も利子と同じに損金算入して、残ったネットを課税すればいいじゃないかという考え方も出てくるわけであります。ドイツの税制はそういう考え方であります。そういう考え方をとりますと、法人税がその分配にかかっているということは、所得税に対する源泉徴収が行なわれていると同じだ、理論構成はそうなるわけでございますが、見たところがかっこうが非常によくない。たとえば私どもは給料もらって源泉徴収されておりますから、ほかに所得がないと、年間で二百万ばかり給料をもらっていると思うのでございますが、申告を要しない、つまりもう源泉徴収してございますから、申告所得税は要らないということになるわけであります。それと同じ意味だということも考えられるわけでございます。ただ、いまの法律構成が配当控除というわかりにくい制度をとっているために、非常におかしなことだというふうに一般に見られておりますけれども、法人個人を通じた企業に対する負担として考えた場合に、はたして二重課税が妥当であるかどうかという点は非常にむずかしい問題であると思います。私は、両方出与え方が成り立つと思うのです。現に世界じゅうの税制がこの両方でうろうろしているというのが実情でございます。最初二重課税を排除しておったイギリスが、利潤税という形で、ちょうど昭和二十五年の前の日本の税制と同じ形に変わりました。ところが、二重課税をしていなかったフランス、ベルギー、ドイツというものが一斉に二重課税に変わっておる。そういうことでなかなかこの問題はむずかしい問題でございます。これはいま税制調査会の中心課題になっておりますので、それこそ税制調査会の知恵をしぼっていただいた結果によって決定をいたしていくよりしかたがない、かように思っております。
  80. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題ももう理屈ではないのです。理論はわれわれもとうにわかって質問しておるのでありますが、これは国民感情としてもそういうことでは納得しない。そういうことでございますから、これも十分国民のために大衆のために善処をしなければいけない段階に来ておる。そういうことだけ申し上げまして、あとまたほかにやる方もございますので、次に交際費の問題ですが、これも約六十億をおそらく突破しておるのだろうと思うのですけれども、こういう問題についてもほとんどが九割以上も損金に算入されて、しかもその額が六千億をこすという状況になっておる。このことはやはり相当問題があろうと思うのです。しかもこの交際費が百万円未満の法人などでもかなり利用する数が多い。しかし、金額は非常に少ない。百億円以上になりますと、一社で三億七千三百万近くも年間で使う。大蔵省の資料によりましても、日本のマンモス企業である八幡製鉄とか富士製鉄とか日本鋼管、神戸製鋼なんというところで四十一年の三月期で七億五千八百万、四十一年の九月期で六億四千万、こういう膨大ら交際費を使っているわけですね。こういうものがはたしてそれでいいのか。なるほど交際費が原則的には損金であることは、認めるけれども、こういうものが日本の商取引やなんかを毒したりあるいはそれが政治問題にからんでくるような、汚職の問題などともからむような面もこういうところにあるのじゃないか。しかも外国の企業家、実業家の人たちも、日本の交際費というようなものについては非常にびっくりするほど高額なものが損金として認められておるというような制度にもなっている。こういうものを、もう少し損金に算入しない部分というものをもっとふやしていくのは当然のことだと思うのです。国民総産生が四十七兆こえるというような中で、六千億くらい当然の必要経費なんだという見方ではなくて、一社当たりにしても、大きい会社、八幡製鉄のごときは年間に約四億、こういうようなものが一体何に使われるのだろうか。それがどれだけの必要性というものが、いわゆる必要経費として認められていいものか、こういうような議論が当然出るわけです。そういうようなことを考えれば、もっと損金不算入部分を増大さして否認をしていくというようなことにすれば、財政硬直化というような問題についても、こういう当然余裕があって出せるような企業からもっともっと税金を正しく徴収することでできるのじゃないか、こういうように思うのです。そういう点で、この問題についての主税当局の考えと進むべき方向について述べていただきたい。
  81. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これもこの間申し上げましたが、御承知のとおり、交際費というものは二十八年までは全部損金であったわけであります。しかし、当時の日本の企業の実態として、交際費というのが企業経費、売り上げの伸長というもののためだけでなく、社用消費に使われておる部面がかなりある、便乗消費があるというので、過大な交際費についてはそれを必要経費とは認めないという趣旨で損金不算入制度というものを創設したわけであります。これはアメリカでもケネディ税制のときにやり出したことでございます。その後いろいろ変遷がございましたが、現在の姿でございますと、交際費の総支出額が五千九百二十六億、そのうち損金不算入となっておりますのが千六十億という結果になっております。ただし、このうち中小企業で否認をされておりますものが三百六十二億、大企業では六百九十八億、損金不算入の割合、つまり使った交際費のうち損金不算入になっている割合は、大企業では四〇。八%でございますが、中小企業では八・六%にすぎないわけであります。これはつまり四百万円と資本金の一定額との合計額を基礎控除にいたしまして、これが響いているわけでございます。御承知のように、当初交際費課税という問題は中小企業には適用しないということで進んでまいりましたが、その後中小企業も一律に適用すべきであるということで、その場合には基礎控除が必要だというので基礎控除を設けた経緯がございます。そこで、いま交際費課税を強化するという意味基礎控除をこえた分は全部否認してしまったらあと幾ら否認できるかということを私ども計算をいたしてみますと、大体三百億程度しか出てまいりません。つまり基礎控除で食われている部分が非常に多い。基礎控除を吹き飛ばしたらどうかというと、これは確かに千三百億ばかりとれますが、そのうち千億が中小企業になってしまう。つまり交際費の課税と申しましても、中小企業が交際費を使って仕事をしている面というのも、これはなかなか無視できない。交際費を全額課税してしまえば困るのは中小企業であるという結果になるわけです。交際費というものも、これはやはり広告費と同じで、むだに企業が使っているわけではないのでございまして、企業としては差し引き利益が最大になるべくいろいろなことをやっているわけでございますから、これを課税するとすれば、やはり合理的な基準が必要なんで——交際費をたくさん使うということはけしからぬというのは、私もそう思います。いまの交際費の使い方は非常にけしからぬ点が多いというふうに私も思うのでございますが、これを税制で税を取ってしまうというのは、これは経費として社会に流出したものを、それにあとから税金を取る、いわば資金がないところから税金をとるわけでございますから、それだけ税率は所得に対して高くなるわけで、中小企業あたりはこれでやられますと非常に重い負担になると思います。もちろん、さらにくふうをして実際に適合した交際費の課税をはかっていくということは、私も賛成でございます。その点で今後努力をしていきたいと思います。  この制度も来年度は期限がまいります。先ほど御議論のように、期限が来たら廃止をするとなりますと、交際費が全部損金算入になってしまうので、これは期限が来ても私は絶対廃止しないというつもりでおります。もう少し制度を合理化して残したいと思っております。
  82. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いろいろおっしゃったけれども、この制度は、やはり損金算入を否認する方向を強めていくということで当然やるべきだ、こういう形であって、私どももそういう方向については賛成をするわけでありますから、いまそういう趣旨のお答えがあったと理解をしたいわけですが、できる限り否認を強化する、損金不算入を強化する、そういう方向で検討する、こういう趣旨ですね。
  83. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 合理的に強化したいきたい、かように思っております。
  84. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間があまりございません。通産省も来ておりますので、各論的に輸出振興の問題をお伺いいたしたいのですが、ここに輸出割増償却制度をさらに拡充をする、こういうことで甲種輸出貢献企業あるいは乙種輸出貢献企業というようなことを書かれておるわけですが、一体どういう基準で貢献したかどうかということをきめるのか、まずそのことを伺いたいと思います。   〔毛利委員長代理退席、渡辺(美)委員長代理   着席〕
  85. 宮本四郎

    ○宮本説明員 輸出貢献企業の基準でございますが、現在のところ、甲種の貢献企業、乙種の貢献企業、二種類に考えております。乙種の貢献企業につきましては、基準年次の輸出額をベースといたしまして、当該年度の輸出額が一%以上伸びている企業ということに考えております。それから甲種の貢献企業につきましては、乙種であることはもちろんでありますが、さらにその中で当該企業の輸出比率が下回っておらない、あるいは当該企業の輸出の伸び率が日本全体の輸出の伸び率と比較いたしまして三分の二以上伸びておる、こういうものが甲種の貢献企業と考えております。
  86. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その輸出という概念の中で一たとえば、きのうですかスハルト大統領が日本を訪問した。おそらく日本政府との間で、六千万ドルか一億ドルか知りませんけれども、援助協定をしたい、援助の要請に来たことははっきりしているわけでありますが、そういういわゆる対外援動、こういうようなものは当然輸出の中に入るんだろうと思うのですが、いかがですか。
  87. 宮本四郎

    ○宮本説明員 従来から入れておりますので、今後も入れるつもりでおります。
  88. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 輸出入銀行からいただいた資料によりまして、円借款供与状況一覧というのがございますが、これはたくさんあるわけですね。これは円を持っていって、札を持っていくわけじゃないのですから、日本の機械なりあるいはプラントなりその他の商品なりがこういう形で出ていくのだろうと思うのですが、百二十一億二千五百万ドルですか、輸出目標の中にこういうものもみんな入っておる、こう了解してよろしいですか。
  89. 宮本四郎

    ○宮本説明員 入っているわけでございます。
  90. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういった場合に、こういうものの発注を受けるような貿易商社あるいはメーカーはたいした企業努力なしに一これは交際費をうんと使うかもしれないが、ちょっとこれは皮肉になりますけれども、そういうようなことで輸出がいまおっしゃったように一%ふえるとか、あるいは総体の日本の輸出の伸び率よりも三分の二以上ふえるとか、そういうことで甲種、乙種分けるわけだけれども、こういうようなものを一つぱっと発注されたら、それで一%くらいすぐ伸びる。そういうこともあるし、たとえばアメリカの輸入課徴金ともろにぶつかるような、あるいは輸入課徴金が行なわれれば、特恵問題もだいぶ先のようだけれども、特恵問題が実施されたと同じような結果になる。輸入課徴金の場合でも特恵供与しなければならぬような国に対しては課徴金をやらないのですから、現実にはもう課徴金を偽る段階でそういう事態に立ち至るということもいえるわけです。そういうような特恵問題や課徴金問題で非常に困難にさらされるような業者が非常に努力しても一%ふやすことはできない。しかし、こういうようなもので政府とのいままでのコネによってすぱっと一つ大きい仕事がくるということになれば、それで非常に恵まれた今度の割り増し償却の適用を受けられる、こういうことがあるわけですね。したがって、貢献度というのは単に実績だけを見てやるのか、ほんとうに市場開拓にたいへんな努力をして、その結果輸出を増大させる、そういうようなものは入らないわけですか。結果だけを見るわけですか。どうなんです。
  91. 宮本四郎

    ○宮本説明員 先生の御趣旨はまことにごもっともでございます。私どももできるだけそういう方向にいきたいと思っておるのでございますが、税制のことになりますので、やはり客観的な基準が必要かと思います。
  92. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 この制度全体は輸出を奨励するというたてまえでございます。ただ画一的な制度といたしましては、何らかの客観的な基準をとりませんと、たとえば通産省がこれはよくやったという程度では困るのでありまして、やはりできるだけ一つの基準を考えて、それに乗っていくよりしかたがない。たとえば今度の制度でございますと、一般的に輸出をしたものについては、従来からの制度は底にあるわけでございます、その中で貢献企業というものに三割ないし六割の上積みを認めていく。いま為替金融課長が申しましたような基準に該当するものは、大体において努力したものであるということは、九〇%そうだと思います。中にはちょこっとウインドフォールみたいなものが入る場合もあると思いますけれども、大勢としては、追加をするについてはこの程度の基準がやむを得ない限度ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  93. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 政令の案もこの通産ジャーナルに出ておるのですけれども、前年の一%ということ——これは大体前々年ぐらいになりそうなんですけれども、そういうようなことでやるのだが、輸出の数量あるいは金額、そういうようなもので一%伸びた、そういう貢献度というものを一体だれが認定するのか。一%ということが入れば、企業努力というようなことは何も考えずに、無条件に一%という、これがもう唯一の基準なんだ、こういうことですか。
  94. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 この認定は主務大臣、大部分は通産大臣がやることになっております。乙種の場合は一%が一つの基準であって、これに該当すれば一応は認定をされるものと私ども思っております。
  95. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 先ほども引き合いに出したのですが、円借款の問題などで政府資金を使ってやる、海外に商品を輸出する、あるいは機械類を出す、あるいはプラントを出すというようなことでうまく飛びついたところが、もうそれだけでこの恩恵にすぱっと浴する。こういうようなことになりかねないわけですよ。そうすると、そういうようなことで非常にもうかる、あるいは業務が拡大をし、発展をする。そういうものがさらにこの適用を受けて償却額を一・六倍あるいは一・三倍にふやしてもらえる、こういうようなことになったのでは、これはまた一つ問題があるのではないか。  それともう一つ、基準年度というようなものがあって、いままで準備をしておって、これから開拓をして、初めて輸出に乗り出した、こういうようなものは比較すべき基準年度がないのだから、そういうものは全然メリットを受けない、そういう不合理も出てくるだろうと思うのです。だから、こういうような場合は一体何も考えないわけですか。基準年度からずっと引き続いてやっているものだけが適用される、新しく輸出を始めて相当な実績をあげたというようなものなんかは入らないわけですか。
  96. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいまの点でございますが、確かに円借の場合は、この制度としては円借をやった場合には、最終的に向こうは外貨を獲得して返すわけでございますから、やはり外貨獲得だという意味でこれははずすわけにいかないというので入れたのであります。そういう意味で、少しウインドフォール的なところはあるようでありますが、そのかわり、これは一ぺんそういう楽な商売をして一%こえたといっておりましても、この次の年は、今度はそれをもっとこえなければ割り増しは認められないということになるわけであります。それにまた、この制度は、償却にいたしましても各種の準備金にしても、繰り延べにすぎないわけでございますから、結果においては、たとえば海外市場開拓準備金でございますと、翌年からは積んだ分の五分の一ずつくずれてまいりますから、そういうウインドフォールでたくさん積んだ、翌年からは積むほうはなくて逆にくずすほうはたくさん出てきて苦しくなるということもございます。そういうところで取り戻しをつけてあると、しいていえばいえるかと思います。一年目の分はこれはどうもいま基準年度はないものですから、基礎になる従来からの制度の分は積めます。二年目からは新しい制度の分が積み増しできる、それはやむを得ないかと思います。
  97. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間の関係もあるし、あとまだ同僚の方が待っておりますので、きょうはこれだけで終わらしていただきます。
  98. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員長代理 村山喜一君。
  99. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、改正法案に出された中身の問題について、具体的な問題をちょっと詰めてみたいと思います。  一番最初に取り上げます問題は、措置法の五十二条の五、国際観光ホテルの問題についてであります。これは国際観光ホテル整備法に基づいて、固定資産の耐用年数を、まあ特別償却、減価償却の割り増し償却をやろうというのですけれども、そこで一体、この旅館の種類はどういうふうになっているのか、これから説明いただきたい。
  100. 深草克已

    ○深草政府委員 旅館は一般的に、厚生省の所管になっております。旅館業法に規定されております。この法律に直接関係のありますのは、先ほど先生のおっしゃった国際観光ホテル整備法に基づきます登録ホテル、登録旅館、この二つでございます。
  101. 村山喜一

    村山(喜)委員 国際観光登録ホテルと国際観光ホテル、これは運輸省の所管ですね。日本観光旅館連盟の旅館は、これはどこの所管ですか。
  102. 深草克已

    ○深草政府委員 日本観光旅館連盟は一つの公益法人でございまして、沿革的に申しますと、昔、国鉄指定旅館というような制度がございました。別に法的な制度ではございませんで、国鉄が指定をした旅館、これの連盟でございます。現在指定制度はなくなっておりますけれども、そのまま法人は残っております。この監督は運輸省でいたしております。
  103. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、いままだ交通公社指定というのがありますね、日本観光旅館連盟の中に。それで四段階だというふうに考えてよろしいですか。登録ホテル、観光ホテル、それから日本観光旅館連盟の交通公社指定とその他、この四段階に旅館といえば普通考えられますか。
  104. 深草克已

    ○深草政府委員 別に法的なランクはございませんで、一番外人が利用に適するものを登録制度によって実施いたしておりますが、大体それと同程度のもので国際観光旅館連盟というのが一つございます。それよりも若干広げましたものは日本観光旅館連盟、それから交通公社の指定旅館は、原則としてそういった国際観光旅館連盟あるいは登録旅館あるいは日本観光旅館連盟、こういったものの中から適当なものを交通公社で指定をしておるということでございます。
  105. 村山喜一

    村山(喜)委員 登録ホテルについては税法上の利益を与えていますね。国際観光ホテルについては別にございませんか、登録ホテル以外のものについては。
  106. 深草克已

    ○深草政府委員 登録制度はホテルと旅館と二本立てでございますが、政府登録という名前のつかない旅館につきましては、恩典は何にもございません。
  107. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、政府登録ホテルに税法上の恩典を与える理由は何ですか。
  108. 深草克已

    ○深草政府委員 この整備法は昭和二十四年にできたわけでございますが、当時戦後でございまして、だんだん外人も、業務客あるいはその後は観光客、そういったものが日本に来るのがふえましたけれども、ほとんど占領軍に接収をされておるとかそういった事情もございまして、純粋の民間のホテルを早くつくらなければ外客の誘致上非常に支障があるというようなことで、こういった恩典を与える制度を設けたわけでございます。
  109. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは外人だけ泊まっているんですか。   〔渡辺(美)委員長代理退席、毛利委員長代理   着席〕
  110. 深草克已

    ○深草政府委員 日本人ももちろん泊まっております。
  111. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、外人観光客の誘致という立場から税法上の利益を与えておるわけですか。これはちょっと矛盾するじゃないですか。日本人の宿泊者のほうが多いでしょう。
  112. 深草克已

    ○深草政府委員 登録ホテルのほうから申しますと、主要ホテルの外人の宿泊の割合でございますが、四十二年度は全国平均で三〇・七%でございます。それから京阪神あるいは京浜地区、こういったところは五一・七%、外人のほうが若干率は多くなっております。
  113. 村山喜一

    村山(喜)委員 全国平均でいかなくちゃいけませんから三〇・七%、なるほど外人観光客を誘致するために、ドルをかせぐためにそういうような税法上の利益を与えるということなんでしょうが、一体そういうような特別措置をとる必要がありますか。何かそこには利益と対応する義務みたいなものがあるんじゃないですか。義務がなければそういうような税法上の利益を——ホテル業というのは旅館の中では最上級ですから、それに対する措置が非常に不均衡な形になるんじゃありませんか。何か関係があるんですか。
  114. 深草克已

    ○深草政府委員 国際観光ホテル整備法の第四条に登録基準がございます。これは申請者の人格とか、あるいは経営の健全性もございますが、一番の重点は施設基準でございまして、たとえば外客の宿泊に適する部屋が一定数以上ある、一定割合以上ある、あるいは基準客室と印しておりますが、それには一定条件を満たすというようなこと、あるいは当然のことでございますが、客室にかぎをかける設備があるとか、あるいは浴室、便所、こういったものが外人向きであるとか、あるいは消防法よりも若干きつい消防設備、その他外人宿泊に適した部屋があることのほかに、接遇上必要最小限度の要件を整えるようなことになっておるわけでございます。
  115. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、減価償却資産の耐用年数の短縮をやろうというわけですか。税法上二分の一以上三分の二というのは、これはどこで区分するのですか。短縮の基準はどういうふうになりますか。
  116. 深草克已

    ○深草政府委員 現在の国際観光ホテル整備法が二十四年にできた当時、これは議員立法でございますが、この耐用年数は一般の旅館の耐用年数の半分ということでできた沿革があるわけでございまして、その後大蔵省令で一般の耐用年数は著しく短縮せられておりますが、これが法定されておるような関係もございまして、なかなかそれに追いつけないで、最近におきましてはほとんどが法律に基づく耐用年数と大蔵省令の耐用年数とが接近をしてまいりまして、ものによりましては逆に法律のほうが長くなっているというようなことで、当初の趣旨を著しく曲げてきたというようなこともございます。今回租税特別措置法にこれを移すにあたりまして、当初のこの法律の精神あるいはその後の推移、こういったものを勘案いたしまして、最高は二分の一ということの条件で政令できめることにいたしたわけでございます。
  117. 村山喜一

    村山(喜)委員 最高が二分の一ですか。最高は三分の二じゃないのですか。
  118. 深草克已

    ○深草政府委員 一番優遇された場合が二分の一でございます。
  119. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうしたら、大蔵省の「ファイナンス」のあれは間違っていますね。あれは三分の二というのが入っていますよ。
  120. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 短縮を二分の一ないし三分の一でございますので、耐用年数が残るほうが三分の二、二分の一になるわけであります。
  121. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これの五十二条の五による租税特別措置法上の減税額は幾らですか。
  122. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 十億未満でございます。正確に申し上げますと、平年度で九億八千三百万、初年度でございますと一億九千七百万でございます。
  123. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは大蔵省の四十三年度特別措置による減収額試算のどの欄に入りますか。
  124. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 「輸出の振興等」の「その他」に入っております。
  125. 村山喜一

    村山(喜)委員 これの該当旅館数、ホテル数は何ぼになりますか。
  126. 深草克已

    ○深草政府委員 四十三年の三月一日現在で、ホテルのほうが百五十八件、一般の旅館が八百五十二件でございます。
  127. 村山喜一

    村山(喜)委員 平年度について九億八千三百万の減税措置、これは一番恵まれているわけですね。ホテルの中では一番大きいホテルについてはこういうような措置を講じて、われわれが泊まるようなホテルあるいは旅館については税法上の恩恵を与えないわけですね。そういうような措置をとりながら、なお登録ホテルについては運輸大臣の書簡によって固定資産税を減免をする措置がありますね。この減免額は幾らですか。
  128. 山下稔

    山下説明員 多少資料が古く未整理な部分があって恐縮でございますが、四十年四月の調べによりますと、地方団体が登録ホテルについて軽減をいたしております軽減額は一億九千四百万円でございます。
  129. 村山喜一

    村山(喜)委員 これはホテルだけで、旅館についてはやっていませんね。
  130. 山下稔

    山下説明員 ただいま申し上げました数字は、登録ホテルにかかる軽減額だけでございます。このほかに登録旅館についても軽減している市町村がございます。その数字は、登録旅館にかかわるものは九千百万円でございます。
  131. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは四十年のものですが、いただいた資料によると、ホテルが百四十九で固定資産税は一億九千四百万ですから、大体一ホテル当たり百二、三十万固定資産税を減免をしてもらっている。登録旅館の数はわりかませんが、これは先ほどの割合からいうならば、旅館のほうはホテルよりも固定資産税を減免をしてもらっている金額は少ない、こういうように見てよろしいですね。
  132. 山下稔

    山下説明員 四十年四月の調べによります登録旅館に関する数字の上で申しますと、一旅館当たりの軽減額は、一ホテル当たりの軽減額よりも少ないということがいえると思います。
  133. 村山喜一

    村山(喜)委員 この登録旅館の数は何ぼですか。
  134. 山下稔

    山下説明員 一億九千四百万円の軽減をいたしました場合の関係ホテル数は、百四十九でございます。
  135. 村山喜一

    村山(喜)委員 いやいや、旅館のほうです。
  136. 山下稔

    山下説明員 旅館のほうは三百八十八でございます。
  137. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、先ほどの観光局長からの数字とは若干食い違いがありますね。ホテルのほうはふえて、旅館のほうは固定資産関係の減免を受けていないものが約五百ある。ホテルのほうはその後もできているでしょうから、これは全部といってもいいぐらい受けておる。しかし、旅館のほうは三分の一ぐらいしか受けていない、こういうように確認してよろしいですね。
  138. 山下稔

    山下説明員 地方団体が地方税法六条によってみずからの判断によって軽減しているものでございますが、国際観光ホテル整備法七条で、登録ホテルについては地方税法上の不均一課税をすることができるのだという規定がございますが、登録旅館についてはその規定の準用がございません。そういう事情もあるのではないかと思いますが、登録旅館について軽減している数は御指摘のとおりでございます。
  139. 村山喜一

    村山(喜)委員 ずいぶん前ですが、水上温泉ホテルの火事がありましたね、そのとき死人も出た。それから近くは神奈川県の湯河原の大伊豆ホテル、これは二人死んで四十数人が重軽傷を負うた事件がありましたね。これは登録ホテルですか、そうじゃありませんか。
  140. 深草克已

    ○深草政府委員 水上のほうは登録旅館でございましたが、その後火事がございまして登録を辞退いたしております。したがって、現在は登録旅館ではございません。それから湯河原のほうは最初から登録旅館ではございません。
  141. 村山喜一

    村山(喜)委員 先ほど観光局長ですか、登録ホテルの場合には消防法による基準よりもなおきつい施設条件が要求されている、こういうことでございますが、その中身は。
  142. 深草克已

    ○深草政府委員 はっきりした資料を持ってきておりませんが、一つは避難階段の数が、消防法では三階以上について二つ、私のほうは階数に関係なく二つ最小限度要るということでございます。それから消火器の配置が広さによって一定数がきまっておりますが、その広さも標準が登録の場合のほうが狭い。この二点だと思います。
  143. 村山喜一

    村山(喜)委員 登録ホテルができた、そうして最近はひんぴんとして火事が起こる、その火事を防ぐための消防施設というものを考えてみると、消火施設あるいは警報設備、さらには避難器具、その他いろいろな基準があります。この基準と同時に考えなければならないのは消防車ですね。消防車のはしご車、こういうようなものを備えつけなければ高層建築については人命の救助はできないというような実例が出ておりますね。  そこで、私お尋ねいたしますが、こういうような登録ホテルは税法上九億八千三百万円もまけてもらっている。まけてもらっているとするならば、ホテルなり旅館なりで、そういうはしご車を用意しているとか、そのような施設を持っているところはございますか。
  144. 深草克已

    ○深草政府委員 高層建築に対する消防施設としてのはしご車でございますが、私は現在登録ホテル、旅館がそういったものを持っていることは承知しておりません。しかしこれは、私どもとしては自治体消防が措置すべきだと思うわけでございまして、ことに観光地におきましては相当遊興飲食税があがっておりますので、それらを消防のほうにぜひ回していただきたいというふうな要望をいたしておるわけでございます。
  145. 村山喜一

    村山(喜)委員 遊興飲食税はどこの収入になりますか。
  146. 山下稔

    山下説明員 府県でございます。
  147. 村山喜一

    村山(喜)委員 自治体消防を設置するのは市町村でしょう。だから県のほうで税金を取って、その分をはしご車をつくるほうに回せるのですか。
  148. 深草克已

    ○深草政府委員 ちょっと言い足らなかったわけでございますが、これは沿革を申しますと、前は市町村に納めた税でございます。その後県税にかわったわけでございます。私どもと申しますか観光地の市町村長あたりは、昔どおりとまでいかなくとも、少なくとも三分の一ぐらいはその所在地の市町村に還元をしていただきたいという強い要望をいたしておるわけであります。
  149. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなた方自己矛盾を感じられないですか。運輸大臣の連絡によって固定資産税はまけなさい、そして一億九千四百万もまけさしているわけでしょう。税金はまけさした上に、そういうようなはしご車ですね、これは国庫補助と起債で三分の二は見ます。見ますけれども、財源は県のほうの遊興飲食税とおっしゃるが、これは県のほうに取られて、当該市町村にはそういうようなのはないでしょう。だから、この起債というのは借金ですよ。片一方、固定資産税はまけさせるように運輸大臣の書簡を出してまけさせているでしょう。しかも、その減収分については自治省の地方税法で定めるところによりまして、それは交付税なりその他で補てんをするわけですか。補てんしないでしょう。
  150. 山下稔

    山下説明員 登録ホテルにかかる軽減分について地方交付税の補てんはいたしておりません。
  151. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、その補てんはしないんです。だから、出せば出すだけマイナスになるのです。どこも見てくれません。そうして国税においては、いまも話があるように九億八千三百万円もまけている。そういうようなサービスをしながら、大きなホテルについては、これは国税においても地方税においても大サービス、そしてそういうようなところがあるところにははしご車を購入するのに起債という借金で押しつけてやるから、そういうようなのをかかえている市町村は消防力を充実しようと思ってもこれは金がないからできないですよ。だから火事でもあったら、これは私も調べてみたんだが、一秒間に煙は五メートルから六メートル上のほうにのぼり、横のほうには一秒間に一・五メートルはうというのです。そういうようなのに対するいわゆる訓練、施設——訓練もあまり行き届いていない。消火施設なりあるいは警報施設、設備とか避難器具などはわりあいに整ってはおるでしょう。こういうようなものになぜこういうような減価償却資産の特別な配慮をしなければならないのですか、大蔵省は。これは圧力団体に負けたんじゃないですか。
  152. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 この制度は、先ほどお話がございましたように、議員立法でできました国際観光ホテル整備法の中に、税法上こういうふうにすると書いてあるのでございます。しかし、それは何も議員立法だからということじゃないのでありまして、こういう特殊な設備をすることによって外客を誘致をいたします。ここで私どもが輸出促進措置の中に特に「その他」として入れておりますのも、外貨獲得ということから考えているわけでございます。ホテルの設備が不十分でございますとどうしても、いかに景色がよくても外客が来ない。やはり外貨を獲得する必要性の強いときであるだけに、できるだけ早くこういうホテルを整備させまして、外人が泊まれる——外人は御承知のとおり日本式の便所じゃなかなか泊まれないのでございまして、やはりそれだけそうした設備が必要である、そのためには相当な投資が要ります。早くその投資を回収しなければ採算も合わないというようなこともございまして、こういう特別償却を認められたものと私了解しているわけでございます。ただ、これが遺憾ながら法律で耐用年数を書いたものでございますから、償却の耐用年数のほうはどんどん合理化して短くなってまいりますので、これじゃ実際上半分のつもりだったのが、いまじゃほとんど同じだというので、今回こういう措置を租税特別措置の中に入れて、ほかの償却と権衡をとりながらやりましょうということになったわけでございます。最近の一般の耐用年数はかなり短くなっておりますから、前と同じように二分の一ではほとんど耐用年数がなくなってしまうようなものが出てまいりますので、そこで短縮割合を二分の一以上三分の一以内ということで制限をいたしまして、前よりはややきつくなっているわけでございます。
  153. 村山喜一

    村山(喜)委員 お伺いします。固定資産の耐用年数は、これは比較をして短くなったんだとおっしゃるんだが、建物関係は木造の場合十五年、それから鉄筋は四十年でしょう。それを今度は二分の一にするということは、木造関係だったら七年半、それから鉄筋は二十年で償却ができるようにしようというのでしょう。
  154. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 二分の一短縮と申しますのは、一般の法定耐用年数の二分の一でございます。旧耐用年数は十五年で木造建物をきめております。一般の耐用年数のほうもいま二十二年に下がってしまいました。前は三十年だったのです。そこで二十二年の半分まではいかないけれども、十三年程度、まあ何ぼ何でも建物を十年とか八年というわけにまいりません。二十二年に対して十三年ということに大体きめる予定でございます。
  155. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは建物関係はわかります。あるいはそれに付属をする設備については一つの基準があります。しかし構築物はどうなんですか。庭園とか舗装道路とかそういうようなものまで特別償却を認めなければならないのですか。
  156. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これはいろいろ考え方があると思いますが、ぽかっとホテルが赤土の上に建っているというのもこれはぐあいが悪いものでございまして、やはり環境整備というものが整ってホテルになるという意味では、ホテルとしての風格を備える程度のところまでは認めざるを得ないということで、前の制度のときにすでに認めておりますものですから、今度も踏襲をいたしたということで、少ししぼったのでございますけれども、大体踏襲をしたということでございます。
  157. 村山喜一

    村山(喜)委員 登録ホテルの器具あるいは備品は、これは普通のホテルよりも値段の高いものを使うからということで、あなた方は償却を早めるわけですか。室内装飾品それから厨房用具、そういうようなものまで耐用年数がどうして違わなければならないのですか。
  158. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 多分に沿革的なものもございますけれども、やはりホテル相応の、それぞれそのホテルに相応した器具、備品というものがあると思います。かなり高いものをそろえないと、そのホテル自身の外観にも沿わないということもございますので、何しろ前の法律できめていたことだけに、こちらといたしましてもあまり査定をするわけにいかぬという事情もございます。
  159. 村山喜一

    村山(喜)委員 厨房用具など、そういうようなのは衛生的な基準というものはどの旅館にしても私は必要だと思うのですよ。それを外人が泊まるから厨房用具はその二倍も三倍も高いのを使って、ほかの一般のホテルは、——そこでは洋食も出すわけですよ。そういうような厨房用具が値段が違うというのは、どうしてもわれわれは受け取れない。これはもう明らかに既得権化しているものを延長して、その上にあなた方は税法上のメリットを与えようという考え方に立っている、そういうような考え方しか説明できないじゃないですか。観光局長、何かありますか。
  160. 深草克已

    ○深草政府委員 先ほど申しませんでしたが、基準の中に、これはたいへん抽象的な文句でございますが、ホテルのほうは、環境及び建築が良好であること。それから旅館のほうはさらに「環境、建築、外観及び庭園が優秀で、外客を喜ばせるに足るものであること。」それから「基準客室」の中で「設備、調度品等が、日本趣味豊かなものであって、外客を喜ばせるに足るものであること。」こういった条件がございますので、当初からこういうものが入っておるというわけでございます。
  161. 村山喜一

    村山(喜)委員 おかしいですよ、あなた。電話の整備からネオンサインまで区別をするのですか。外人向けの電話はどんな電話ですか。喜ばせる電話というのはどんな電話ですか。
  162. 深草克已

    ○深草政府委員 電話につきましても、客室につきましては、卓上電話というものの設置を義務づけておるわけでございます。
  163. 村山喜一

    村山(喜)委員 このごろは卓上電話ですよ、あなた。値段の高いホテルに泊まったら、かけてあるやつなんかそれは昔のやつだ、みんなダイヤル式になっているのですよ。あのお湯を引く管も違うのですか、これは五年間ですよ、何か水でも違うのですか。私はそういうようなのを見ていくと、これは建物とそれに付属をする設備くらいまではそういうような外人の特別な慣習の違いを考えての措置をとって税法上のなにはしてもいいと思うけれども、構築物から器具、備品、それから機械、装置、こういうようなものまで税法上の恩典を与える必要はないと思うのですよ。倉成政務次官、いかがでございますか。
  164. 倉成正

    倉成政府委員 だんだんお話を承っておりますと、やはりこれは非常に最初の出発点からずっと経過を経た歴史的な所産のような感じがいたします。したがいまして、いずれかの機会にやはりこれは洗い直す必要はあろうかと考えております。
  165. 村山喜一

    村山(喜)委員 なかなかいい答弁をいただきました。そういうふうにひとつ明確にこれからも御説明をいただきたい。  そこで、特別償却の問題に移ります。今度これは幾種類ありますか。
  166. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 合計いたしますと十八種類になります。
  167. 村山喜一

    村山(喜)委員 それを条文ごとに読み上げてみてください。
  168. 大倉真隆

    ○大倉説明員 多少細目にわたりますので、私から御説明申し上げます。  まず、法人系統で御説明申し上げますと、租税特別措置法第四十三条の合理化機械等の特別償却、これは表にまとめてございますが、その第一号がいわゆる合理化機械。それから第二号が中小企業用合理化機械。第三号が中小企業近代化資金等助成法に規定する事業協同組合等の、私どもが協同組合用合理化機械と申しておりますグループ。それから第四号が国産一号機と私ども申しておりますもの。それから第五号、工業用水法に規定いたします工業用水道施設でございます。それから第六号が公害施設。第七号が昨年設けました私鉄の都心乗り入れあるいは高架化の系統の設備でございます。
  169. 村山喜一

    村山(喜)委員 その中身まで詳しく言わぬでもいい。
  170. 大倉真隆

    ○大倉説明員 以下第八号、第九号とありまして、それから条文に即して申しますと次の第四十四条が新技術企業化用機械設備等の特別償却でございます。それから第四十五条が低開発地域の工業用機械等の特別償却でございます。今回この次に一条加えまして、中小企業の構造改善促進計画をつくりました場合の割り増し償却が新たに追加されております。それから四十六条に、現在の近促法に基づきます指定業種の割り増し償却がございます。それから四十七条が新築貸し家住宅の割り増し償却でございます。四十八条が耐火建築物等の割り増し償却でございます。四十九条が鉱業用坑道等の特別償却。五十条が林業の、造林費の特別償却でございます。第五十一条が中小企業構造改善計画をもちます特定の構造改善組合の取得資産の特別償却でございます。もう一つございます。第五十二条がこれは鉱工業技術研究組合と申しまして、共同試験研究いたしますときの参加企業の支出金でございます。それの特別償却でございます。
  171. 村山喜一

    村山(喜)委員 それじゃ十八になりませんよ。
  172. 大倉真隆

    ○大倉説明員 いまこまかいものは省略して申し上げました。
  173. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はこれを調べてみたんですが、四十三条、四十四条、四十五条、四十五条の二、四十六条、四十六条の二、四十七条、四十八条、四十九条、五十条、五十一条、五十二条、それと今度新しくつくる五十一条の二というのがありますね。それから五十二条の五というのがあります。それから四十八条の二というのが今度あるわけでしょう。こういうのをつけ加えなければおかしいじゃないか。たとえば原油備蓄の割り増し償却は特別償却の中に入らないのですか。
  174. 大倉真隆

    ○大倉説明員 失礼いたしました。それは当然つけ加えるべきでありまして、原油備蓄の割り増し償却、それから地中架送配電線の特別償却、当然つけ加えるべきであります。なお五十二条の五は先ほど来御審議いただいておりますものでございますが、これは耐用年数の短縮でございますので、私どもは普通は特別償却の中には入れておりません。性質上は非常に似ておりますが……。
  175. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、この特別償却の性格ですが、これは相当の償却と異なって特別償却準備金として積み立てることが認められましたね。だから、これをすべてのものに準備金として積み立てるということでよろしいわけですか。
  176. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 法律を去年でしたか改正いたしまして、準備金による積み立てを認めましたので、特別償却は原則として全部準備金積み立てが可能になったわけであります。
  177. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと先ほど五十二条の五ですね、登録ホテル。これの場合も積み立て金として認められることになりますね。
  178. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これは耐用年数を短縮いたしましたが、償却の性格は普通償却でございますので、それは認められないということになっております。
  179. 村山喜一

    村山(喜)委員 普通償却の上に特別償却を認めたんじゃないんですか。
  180. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これは耐用年数を縮めたわけでございまして、それによって行なわれる償却は普通償却でございます。
  181. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、この特別償却による減税額は幾らになりますか。
  182. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 四十三年度の計算で五百六十三億になります。
  183. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が中小企業庁のほうからもらったのによると、これは大蔵省と打ち合わせて数字を出したということでしたが、これには五百三十七億とありますよ。いまの五百六十三億は間違いございませんね。
  184. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 私のほうの数字はそういう整理をしておりますが、あるいは入り繰りがあるのかもしれません。
  185. 村山喜一

    村山(喜)委員 この特別償却の問題は、いま資料を詰めておりますから後ほど質問をすることにして、これはしばらく保留さしていただきます。  そこで、大蔵省にお尋ねをいたしますが、去年までの税調の資料として分類をされましたのは、貯蓄の増強、内部留保の充実、それから技術の振興及び設備の近代化、産業の助成、その他、こういうように分類をされて資料を税調あたりにはお出しになっていらっしゃるようです。去年で二千四百十九億の減収額見込みである。ことしの資料をいただきますと、二千六百四十八億の減収見込みであるという資料をいただいておる。これによりますと、この分類のしかたが変わってきているように思うのです。産業の助成という項目はなくなっておりますね。どこかございますか。そのかわり社会開発の促進等というのが出てきておる。こういうような資料をいただいたわけですが、これを前の四十二年までの分と比較対照をした場合にはどういうような資料になりますか。これを貯蓄の奨励等というところと、その項目ごとにひとつ四十二年度分をこれに当てはめてください、ことしのものに。
  186. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ことし出したものに組み直して去年のを幾らであるかということで申し上げたいと思います。ことしの貯蓄の奨励等は千六百十六億でございますが、去年は千五百十四億、それから輸出の振興等がことしが四百七でございますが、去年が二百八十一。それから技術の振興、設備の近代化がことし三百十七、去年が二百二十七でございます。それから内部留保の充実、企業体質の強化、これがことしが二百三十一、去年が三百五でございます。それから社会開発の促進等、これはことしが三百九十九、去年が三百四十七、その他として整理してございます分が、三角というのは増でございますが、増収三百二十二、去年が増二百九十七でございます。
  187. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、産業の助成という項目はどこにいったのですか。
  188. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 大部分は内部留保の充実、企業体質の強化というところに入ります。一部社会開発の促進等に入っております。
  189. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、私お尋ねしてまいりたいと思いますが、この特別償却の中で、あなた方はいつも租税特別措置法というのは大企業にはこのごろは振り向けていない、国民大衆に関係のあるものに重点を置いてやっておるとおっしゃる。特別償却関係ではどうなりますか。
  190. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 特別償却関係は大体大企業のほうが多くなっております。大体七割近くが大企業になると思います。三割程度が中小企業であるということになると思います。
  191. 村山喜一

    村山(喜)委員 あげられている項目は中小企業関係私は中小企業庁に表をつくらしたのですが、項目が十三あるんですね。ほとんど先ほどの特別償却関係にも関係がある。にもかかわらず、これの減税予想額というものを調べてみれば、大企業は、私の資料では三百六十八億、中小企業は百六十九億、こういうようなことですが、これは違いますか。
  192. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 いま申し上げましたように、大体三割と七割と申し上げたのがぴたりと合っておるわけであります。
  193. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、あなた方はよく言われるわけですが、どこで中小企業のほうに優利になるわけですか。いまのように租税特別措置によります特別償却制度によるところの減税額を調べても七、三の割合でしょう。そうすると、中小企業のほうが大企業よりも税法上において、特別措置の中において恵まれているとおっしゃる。それはどこにあらわれますか。
  194. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 中小企業貸倒引当金というのは中小企業九十五億、大企業は認めておりません。それからさらに大きいのは、増収分におきまして中小企業は交際費の否認による増収額が百五十億でございます。大企業は三百五十億、これを相殺いたしますと中小企業が大きくなるわけでございます。
  195. 村山喜一

    村山(喜)委員 その交際費の否認額が損金として認められないというのは、それは大企業のほうがそれだけ余分な交際費等を使っているからじゃないのですか。
  196. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これは再々申し上げているように、中小企業が大体八割近くを使っておりまして、否認割合は大企業が非常に高いということです。それから大企業の特別償却が多いというのは、これは大企業の償却資産が圧倒的に多いということからきています。
  197. 村山喜一

    村山(喜)委員 中小企業白書のことしの部分を見てみると、資本装備率にしても、付加価値生産性にしても低いということは、この税法の上の場合にも当然これも七・三の割合で出てくると思うのですが、そうなってくると、租税特別措置の上から見たら、いまおっしゃった損失準備金なり、あるいは中小企業貸倒引当金なり、あるいは交際費の否認額が少ないとか、そういうような問題は別にいたしまして、全体をながめた場合に、大企業には幾ら、中小企業には幾らの減税をしているのですか、これで。
  198. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 大企業には三百六十七億、中小企業には四百四十八億でございます。
  199. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、先ほどの三百六十八億ですが、いわゆる特別償却制度による減税額、これと比較をいたしてみますと、これよりも少ないものを租税特別措置でやっておるのですか。ほかに恩恵はないのですか。
  200. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これは再三申し上げますが、いまごらんになった特別償却のほうは損金算入額でございますから、私が申し上げているのは減税額でございます。損金算入額に三五%か二八%をかけたものが減収額になる。それを直接……。失礼しました。私ちょっと錯覚を起こしておりましたが、おっしゃった三百六十八億というのは減収額でおっしゃったと思います。さっきの交際費のオフセットがございますから、それで三百六十七億になる。三百五十億の交際費の損金不算入による増収額を加えますと、合計では七百十七億、積極額として七百十七億になります。
  201. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、大法人の場合が七百十七億で、中小企業は四百四十八億……。
  202. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 それはまた中小企業のほうも足しまして五百九十八億ということになります。
  203. 村山喜一

    村山(喜)委員 これもそういうような計算をしたものを表としてお出しをいただきたいと思います。  そこで、次の質問に入ります。通産省、見えていますね。  きょうの新聞によりますと、アメリカの上院の本会議でホリングズ法案が通過をした。これは繊維輸入制限を可決をしたということが報道をされております。この立場からいえば、輸入割り当て制をとることによって日本の輸出が四割減少するのではないか、五%の輸入課徴金を課せられたよりも大きな損害を受けるであろうという、非常に悲観すべき情報が伝えられておる。  〔毛利委員長代理退席委員長着席〕  もうすでに綿製品については国際的な協定が実施される。その中で今度やられるのは、毛織物関係、それから化繊、合繊関係の繊維関係がやられる、こういうようなことなんですが、これに対応する政策をどういうふうにお進めになりますか。
  204. 井上武久

    ○井上説明員 中小企業庁でございまして、直接の所管でございませんので個人的な考えだけを申し上げますが、まず輸入制限法案の成立を阻止するように運動いたすと申しますか、これが成立しないように阻止をするということが第一だと思います。第二に、もし成立をいたしました場合には、これに対応するような助成の措置を考えるべきだろうと思います。
  205. 村山喜一

    村山(喜)委員 委員長のほうから催促を受けておりますから、そろそろやめたいと思いますが、中小企業関係の問題は、私は特別償却制度関係の中での減税額を調べてもらって、いただいておるわけです。三百八十一億の減税サービスをする、こういうことになっているようでありますが、この中でいまの問題は、もしかりに実施されるということになれば、中小企業関係のこれは、業種が多いわけですね。そういうようなときにどういうような対策をとられるわけですか。業種ぐるみあるいは産地ぐるみの近代化、合理化というものを進めていくのだ。そして税法の上ですでに綿とスフ、人絹ですか、これは特定織布関係の近代化として二十八の産地組合が構造改善を実施中である、こういうふうに白書に書いてありますね。しかしながら、五カ年計画の第一年度が四十二年度に出発をしたのに、達成率は、設備のビルド計画は八%しか達成をしなかった。四十三年度は、今度それの倍、一六%という計画である、こういうふうに出ているわけですが、最近の綿布の市況が非常によかったということで、国内の売れ行きが伸びてきたために、その能率の上がらない機械等もそのまま残存をして稼働を続ける、こういう傾向が出ているわけですね。だから、その中において中小企業近代化促進法なりあるいは繊維工業構造改善対策の促進をやってまいりましても実情に合わないようなかっこうになる。あなた方が構造改善計画として立てられているのができないということになっているのじゃないですか。その点が第一点。  それから第二点としては、もうこういうような状態になったら、今度は毛の製品なりあるいは化学繊維、合成繊維というもの、これも構造改善の対象として取り上げなければならないという事態がくるのではないかと私は思うのですが、そういうような点は検討をしなくてよろしいですか。
  206. 井上武久

    ○井上説明員 まず第一点でございますが、綿糸の市況がかなり高騰いたしたわけでございますが、最近に至りまして市況が安定をしてまいっております。綿布のほうは綿糸ほど市況が高騰いたしておりません。現在も老朽織機はスクラップ・アンド・ビルドをいたしまして、能率的な織機に入れかえますとともに、品種を高級品に転換をいたしまして、五カ年計画で構造改善を進めていく計画でございます。それから絹、人絹と綿をさしあたりやっておるわけでございますが、これには合成繊維も含めて、綿織機あるいは絹、人絹織機で織布をいたしておりますので、合成繊維も含めてやっております。  また、毛につきましては、現在やっておりませんが、それらのものにつきましても今後検討をして構造改善を進めるようにしてまいりたいと考えております。
  207. 村山喜一

    村山(喜)委員 これでやめますが、二言だけ。これは倉成政務次官にお伺いしておきたい。物品税の課税の根拠、これは何を基準にして税率区分というものを定めておいでになるのか。私は物品税というのは担税能力というもの、したがってそれは主として価格になると思うのですが、それを中心に能力のあるもの、奢侈的な品物については高く、生活必需品については安く、もうほとんどかけないというのがシステムだろうと思いますが、ところがいまの中身を見てみますと、そうでもないようなものがあります。これはあなたも御承知のようにマッチとかそういうようなものが入っているのですから。そういうような点から見ると、いまの物品税の課税の基準というものがどこにあるのかということが疑問でございますが、その点だけをお伺いをして私の質問を終わります。
  208. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 先日お答えいたしましたように、わが国の物品税はきめが非常にこまかくなっております。諸外国の物品税あるいは売り上げ税というのは大体同じ税率で、若干飲料、いわゆる酒精飲料につきましては高くしておりますが、ほとんど同じ率で課税をする。ところが日本では、担税力といいますか、その物自体の持っております性質から、それを購入する人の担税力をある程度あらわすであろうという前提で、奢侈品とかあるいは娯楽用品でも高級なもの、こういうものをいろいろふるい分けをいたしまして、段階税率をとっておるわけであります。それだけに所得弾性値を見ましても、日本の物品税は一にほぼ近いというものになっております。外国では売り上げ税でありますが必ず逆進になっております。そういう意味で、一つ一つの基準はどうだと言われますとなかなかむずかしいのでございますが、これはかなり沿革的なものであり、しかもこれは常に国会等でも御判断をいただいてふるい分けをして、時々訂正をしつつここまできたものであります。やはりこの基礎になるのは奢侈品であるとかあるいは娯楽用品であるとか、趣味、観賞用品であるとか、あるいは嗜好品であるとか、そういったようなものの性質に応じて、権衡をとりながら税率を定めてきたというのが実態でございまして、かなり沿革的なものがあると思います。
  209. 村山喜一

    村山(喜)委員 過去十年間の物品税の税率の所得弾性値は〇・九です。一・幾らじゃありません。それだけ申し上げておきます。
  210. 田村元

    田村委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会      ————◇—————