運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-12 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十二日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    鯨岡 兵輔君       河野 洋平君    小山 省二君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村山 達雄君       山下 元利君    吉田 重延君       阿部 助哉君    井手 以誠君       佐藤觀次郎君    中嶋 英夫君       平林  剛君    広沢 賢一君       武藤 山治君    岡沢 完治君       河村  勝君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省関税局長 武藤謙二郎君         大蔵省国際金融         局長      柏木 雄介君         通商産業省通商         局長      宮沢 鉄蔵君  委員外出席者         経済企画庁調整         局参事官    赤羽  桂君         外務省経済協力         局外務参事官  有田 武夫君         大蔵省主計局法         規課長     小田村四郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   大倉 真隆君         大蔵省理財局国         債課長     大谷 邦夫君         日本輸出入銀行         副総裁     藤澤徳三郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月九日  委員樋上新一辞任につき、その補欠として石  田幸四郎君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員岡沢完治辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として岡  澤完治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。中嶋英夫君。
  3. 中嶋英夫

    中嶋委員 先日来、本案件についていろいろな質疑が行なわれてきたわけでありますが、倉成政務次官発言にありました、対外経済協力について根本的に検討すべきときだと考えるし、その焦点については平和に寄与するものでありたい、こういう見解の発表がありました。まことにけっこうなことだと思います。ただ、予算に組んでいない、しかし出資をする場合があり得る、こういう問題が議論になりました。なぜかというと、本年度は拠出するようなことはなかろう、こういう見通しがあるからだ、しからば今回提案する必要はなかろうと言うと、いやこれは加盟国の中で日本指導性を持っておる立場にあるので、そのものらしい姿勢を示したいのだ、こういう御発言がありました。私は、これにちょっと問題があると思うのは、姿勢を示すならば、ほんとうに、本腰で姿勢を示たしほうがいいと思うのです。やはり予算をちゃんと組んで、国会では議論がなかったというようなことで、ぴしっと姿勢を示す。中途はんぱに姿勢を、指導性を示そうとすると、中腰になってしまう。いわば及び腰という感じを与えるのです。  これは主観と客観の関係ですけれども、御存じのように、大戦後——戦争中もそうでありますが、アメリカヨーロッパ諸国に対してたいへんな経済援助軍事援助をやってきたわけであります。あれだけの援助をしても、その後アメリカに対するヨーロッパ各国の印象とか感じというものは、必ずしもアメリカに敬意を持つ、過去の援助に対する感謝の思いで政策的に足並みをそろえるとか、そういうものがない。むしろ最近では孤立的な傾向がある。いまアメリカベトナム戦争をしておりますけれどもアメリカ国内ですら、ベトナム戦争が拡大しそうになるとウォール街の株は下がってくる、逆に平和の展望が開かれそうだ、戦争終末じゃなかろうかというときにはウォール街の株は上がっていく、こういう現象で、アメリカ海外援助を大幅にやってきた。あるいは、軍事力をもって他国に対し、自分が援助をしなければこの国はああなるこうなるということで、余分なところに手を出して援助をしてきたものが、国外でも反響がある、国内でもそのような情勢にある。同じように、アジアにおいて日本指導性があるのだ、アジアではやはり日本が中心だというて、アメリカと歩を一にして海外援助あるいは海外に対する経済協力というようなものを進めていくことが、いま言ったのと同じような形で日本アジアで孤立をする可能性はないか、この辺が私は重大だと思うのです。そういうことを懸念するがゆえに、やはり姿性を示すならばすっぱり示す。何か金は出そうじゃないけれども、かっこうはつけておこう、だけれどもこれは使いませんよというような論議国会で行なわれていることは、私は加盟国に対して日本として必ずしもりっぱな姿勢を示したことにならぬ、こういうふうに考えるのでありますが、こういう点に対しての御見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  4. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたしたいと思います。  ただいま姿勢を示すということと関連して、アジア開銀拠出について、歳出予算としてこのものとして直接組んでいないじゃないか、これは姿勢を示すことにならないのではないかという御趣旨の御発言がありましたが、私はやはり非常にこれは誤解があるのではないかと思うのです。これは御案内のように、アジア開銀に対して二千万ドルの拠出をするという姿勢は、もうはつきり示しておるわけでありまして、このアジア開銀への拠出に関する法律に基づいて、予算をもって定める金額の中でこれをやるということをはっきり法律の中に書いておるわけであります。したがって、このアジア開銀への拠出に関する法律では、予算をもってというところの「予算」は予算総則意味するわけでありますから、予算総則の第十条に七十二億円を限度として債務負担行為をすることができるということをはっきり示しておるわけでありますから、その意味では私は姿勢を示すということははっきりここに出ておると思うわけであります。  そこで、中嶋委員のお話の焦点は、おそらくその意味じゃなくて、後段のことし出す見込みがなければ来年でも組んでいいじゃないかというところに御質問の重点があるのではないかと思うわけでありますが、その点は、やはり一応アジア開銀日本が中心的な役割りをしておる。各国農業開発に関する資金拠出を求める場合に、やはり日本幾ら出すか、それで他の国にも協力を求める、うちから総裁が出ておることでもありますし、そういった意味拠出ということを予算でお認めいただいて、そして債務負担行為をはっきり打ち出すということが大切じゃないか。しかし、先般からるる御説明申し上げておりますように、アジア開銀発足早々でありますからいろいろ準備をやったり、まあ現在やっておりますのはタイに対するものだけであまりすから、そういう意味準備その他で、あるいは今年中はその金が実際償還ということになることはないであろうという見通しを申し上げておるわけでありますので、その点はひとつ御理解をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  5. 中嶋英夫

    中嶋委員 先般奥村次長から援助効果についていろいろな説明がございましたが、いま特に東南アジア諸国の場合、もしベトナム戦乱がやんだ場合、現在計画しあるいは現在維持しておる軍事力というものをもっと少なくすることはできない。いわゆる開発途上国は、率直にいって後進国は民度が高まらない、産業が振興していない、非常におくれておる、そういう段階で軍事力だけは何か十二分に持たなければならぬという焦慮感あるいはそういうものに狂奔する動きなどが、結果的にはそれぞれの国の産業というものを圧迫し、あるいはそれぞれの国の国民の生活を向上せしめない大きな壁になっていると思うのです。ですから、いたずらに海外経済協力姿勢を示したり、制度をつくって、その本部を東京に置くかフィリピンに置くかといって大騒ぎをしてみたり、総裁日本から出しておるのだから、あるいはアメリカ日本と同じように一ぱい出しておるのだから、アジアの場合にはおれのほうの意見を聞けとか、あるいはうちの物をうんと買えとかいうようなことで、ぐるぐるお芝居が回っているような形で、ほんとう意味国民に利益を与えない状態がまだ続くのじゃなかろうか。そういう意味から考えると、先ほど申し上げたように、和平が近づいたと思うとウォール街の株がよくなり、戦争拡大だなと思うと下がってくる。こういうのとにらみ合わせて、大蔵当局事務的立場ではなくて、きょうは大臣がおりませんから申し上げるのですが、政府としてベトナム戦争を終止させるということがどのような援助よりも協力よりも何層倍する大きな援助になるという点について、そこに立脚点を置いた今後の外交姿勢あるいは海外援助姿勢というものが必要ではなかろうか。こういう点について十分な配慮をいただきたいし、御決意があるなら漏らしていただきたいと思います。  同時に、私は質問最後に申し上げるのですが、こういう海外援助対外経済協力等の場合、問題は、自立心がそれぞれの国にどれだけあるかということですね。いたずらな協力援助はむしろそれぞれの国家の国民あるいは民族に対して自立心を弱めていく、こういう麻薬的逆作用があるわけです。それはどこに問題があるか、私はこれはちょっとむずかしい問題だと思うのですけれども民族意識、すなわち独立意識というものを尊重しないで、協力援助というものは決して実りをあげることはできないと思うのです。こういう点についても十分な配慮がされてしかるべきと思うのですが、これらについてもし御配慮、御決意、お考えがあるならばそれを承って質問を終わりたいと思います。
  6. 倉成正

    倉成政府委員 非常に広範な御質問でございますが、アジアにおける今日の戦乱というのはまことに不幸なできごとでございまして、日本外交姿勢としましても当然こういった戦乱が一日も早く終わるような形で外交を進めていくべきだと思いますし、また、海外援助の問題についてもやはりそういったことを念頭に置きつつやるべきだと考えております。  それから次の、援助幾らやってもその国に自立心がなければならない、あるいは民族意識がなければ無意味だということは、もう全く同感であります。中嶋委員のおっしゃるとおりであります。しかし、御案内のように、終戦後の日本食糧が非常に不足した時代のことを思い起こしますと、そういった非常に混乱の事態におきましては、やはり何といっても若干の食糧援助なり商品援助なりをやるということが必要になってくる場合が起こってくると思うわけであります。そういった場合にはやはり臨機の措置をとるべきだと思うわけであります。しかし、御指摘のように、本来援助なるものは自立心を起こすために、また、自立心をそこなわないような形での援助を考えていくべきだという点は、中嶋委員のおっしゃるとおりだと思います。
  7. 中嶋英夫

    中嶋委員 どうもありがとうございました。
  8. 田村元

  9. 井手以誠

    井手委員 アジア開発銀行援助に対して、いままで政治上の立場からいろいろ論議がございましたが、私は若干法律論としてお伺いをいたします。  まず大臣にお伺いしたいのは、アジア開発銀行を通ずる東南アジアに対する援助内容はいかがなものでございますか。内容といっても金額の点をお伺いいたします。
  10. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 お答えいたします。  アジア開発銀行出資は約十億ドルでございますが、これは五年間にわたって分割払い込まれるわけでございます。払い込まれる場合にも、半額が現金、半額が公債になりますが、アジア開発銀行としてそのうち実際に使える金と申しますのは、大体交換可能通貨だけでございます。先進国が払い込みますものは全部交換可能通貨でございますが、後進国が払い込みます分は大部分のものが自国通貨でございまして交換性がございません。交換可能通貨の分が融資されるということでございます。したがって、現実にアジア開発銀行として融資に使える金と申しますのは三億四、五千万ドルくらいの……。
  11. 井手以誠

    井手委員 ちょっと途中ですが、お伺いしておりますのは、日本東南アジア援助する総額、それを毎年幾らずつ払うのか、出資幾らか、拠出幾らか、総額を私はお伺いをしているのです。内容は要りません。
  12. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 東南アジア全体で幾ら援助が行なわれておりますか、数字的にちょっと覚えておりませんけれども、昨年、昭和四十二年における後進国援助総額が六億三千万ドルくらいかと思います。そのうちの東南アジア向けがたしか七割見当でございますので四億数千万ドルかと存じます。そのうち出資の形をとっておりますものは、現在のところアジア開発銀行に対しまする七十二億円、二千万ドル相当額のものだけでございまして、拠出の形をとっておりますものにつきましては現在のところございません。今回のアジア開発銀行法改正によりまして、特別基金拠出の御審議をお願いすることになっておりますが、いまのところそういうふうな拠出はございません。残りのものは大部分円借款の形における融資で行なわれております。これが民間投資なり民間企業協力によって援助が行なわれております。
  13. 井手以誠

    井手委員 本日は法律論としてお伺いしたいのですから、政治的ないろいろな情勢についてはもう要りません。したがって、私も大綱だけをお伺いしておりますから、大臣からお願いをいたします。  アジア開発銀行に対する出資総額幾ら予定ですか。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 日本出資は二億ドルです。
  15. 井手以誠

    井手委員 今回提案されております特別基金に対する拠出金総額は、将来を含めて幾ら予定をされておりますか。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ本ぎまりではございませんが、日本はとりあえず一億ドル負担するという予定でございます。
  17. 井手以誠

    井手委員 アジア開発銀行に対して日本出資として七百二十億円、拠出金として特別基金に三百六十億円出そうというわけですね。間違いございませんか。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま言ったように、一億ドルはまだきまった数字ではございませんが、大体それをめどにして、四十三年度はとりあえず二千万ドル出すということを約束してあるし、政府もそのつもりでおります。
  19. 井手以誠

    井手委員 事務当局にお伺いをいたしますが、予算総則にあります七十二億円は、一般会計から支出される三十六億円の出資とは全然別でございますか、その中に含まっておりますか。
  20. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 全然別でございます。
  21. 井手以誠

    井手委員 お伺いいたしますが、出資とはいかなるものでございますか、その性格をお伺いいたします。
  22. 小田村四郎

    ○小田村説明員 出資と申しますのはいわば持ち分でございまして、出資に伴いましてその出資に応じますところの権限を保有するわけでございます。つまり、資本の一部を出資者が所有する、こういうことになるわけでございます。
  23. 井手以誠

    井手委員 会社の株券と同じようなものでしょう。組合、法人に対する資本の出捐ということになりましょう。したがって、場合によっては配当があるし、あるいは返還ということがあるでしょう。そうでしょう。  拠金とは法律上、財政学上いかなる定義でございますか。
  24. 小田村四郎

    ○小田村説明員 法律上使っておりますのは拠出といっております。拠出と申しますのは、要するに資金を出す、提供するという意味でございます。
  25. 井手以誠

    井手委員 資金を提供するということは、まあ寄付に類したものでございますね。戻ってこないもの。拠出ということは、みんなが集まって金を寄せ集めるという意味常識ですね。金を寄せ集めるというのが拠出拠金。そうなればわが国には資産としては残らないわけですね。もし残るとするならば、どこに法律用語として、財政用語としてございますか、お伺いいたします。
  26. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 今回のアジア開発銀行に対する拠出は、アジア開発銀行協定にあります第十九条の「特別基金」への拠出でございます。この基金への拠出は、いま法規課長から説明ありましたように、資金の提供でございますが、それが一体特別基金清算したときにその拠出国に戻るのか戻らないのかという点につきましては、これは当該拠出を行なう場合の拠出国アジア開発銀行との間の協定によってきまるものと了解いたします。したがいまして、国によりますと、あるいは拠出した場合に、以後一切、清算の場合の返還を要求しない場合もありましょうし、それから国によっては資金信託的に提供する、したがって特別基金清算ある場合には返還してもらう場合と、いろいろの場合があり得ると思います。私どもが現在考えておりまするアジア開発銀行への特別基金拠出というのは、信託的であると申しますか、清算の場合にはその資金返還してもらうという趣旨での拠出を考えております。
  27. 井手以誠

    井手委員 柏木さん、最後にあなたが、清算の場合は返してもらう出資意味だとおっしゃった。それが私はほんとうだと思うのです。それが正しい考え方だと思う。しかし、大臣にお伺いしたいのは、国会にこういう拠出を求めるような場合には、出資なのか寄付なのかという、協定というものをはっきりしておかねばならぬじゃないですか。くれてしまうのかあるいは戻ってくるのか、国費の支出としてどうなるのか、その性格を明らかにしておかねばならぬと思う。はっきりおっしゃってください。出資なのかあとで戻るものなのか、くれてやるのか、アジア開発銀行性格から考えてどちらですか。はっきりおっしゃってください。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 特別基金ができるまでのいきさつから見ますと、私どもはこれは信託であるというふうに思っておりますので、これはアジア開銀との協定の場合には、清算のときには返してもらうという性質のものだと考えております。
  29. 井手以誠

    井手委員 そういう性質のものであることはわかりましたが、その話はついておりますか、こっちの希望だけじゃいけませんよ。
  30. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 今回のアジア開発銀行への加盟措置法改正がございまして、予算が成立いたしまして、その上で政府といたしましてはアジア開発銀行との間に協定をいたします。その際には、いま申し上げました趣旨の規定を織り込みまして、この特別基金への拠出信託的性質のものであることを明らかにいたしたいと思います。
  31. 井手以誠

    井手委員 私は、この性格は、いわば、財政用語法律用語からいえば、国際条約に基づく一種分担金であると思う。そうであるならば、協定に基づいて国会に出されるのがほんとうじゃございませんか。こちらの希望だけが、希望はそうであっても、まだきまっていないものをお出しになるのは軽率じゃございませんか。本末転倒じゃございませんか。もしそうでないとするならば、はっきりこの席で、絶対にそれは戻る性格のものである、出資であるということをおっしゃっていただきたい。そうしないと、くれるのか、戻ってくるのかわからない。私はアジア開発銀行性質を承知しておりますから、将来についていろいろ申し上げません。しかし、法律論としてははっきりしてもらわぬと、これの審議を進めるわけにはまいりません。国際条約に基づく分担金のはずです。あいまいなことでは許されません。いかがでございます、大臣
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、ここまで来るいきさつから見まして、各国とも、これはアジア開銀に保管してもらう信託金というふうに思っておりますので、この協定のときにははっきりそういうふうに書くつもりでおりますので、これはもう間違いないと思います。
  33. 井手以誠

    井手委員 重ねて念を押しておきますが、ただいま大臣言明に反する場合には、それでは協定を結ばれないということに理解してよろしゅうございますか。柏木さん、あなた詳しいことは知っているけれども、大事なことだから大臣に……。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういうことになろうと思います。
  35. 井手以誠

    井手委員 なろうと思いますじゃいけません。はっきりおっしゃってください。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 これにはいろいろ、拠出と書いた意味もそこにございますが、これは信託とも見られますし、貸し付けという性格のものとも見られますが、いずれにしろこれは清算のときに返ってくるものということについては、アジア開銀総裁との話もついております。
  37. 井手以誠

    井手委員 それではただいまの言明で、返ってくる日本持ち分である、こういうふうに私は了解をいたします。  そこで法制局にお伺いをいたします。  国の財政支出の場合に、補助金とかあるいは出資金とか貸し付け金などということばがございますが、拠出金というのは私は聞いたことがございません。拠金ということばは、どの法律辞典を引いても、また高辻法制局長官谷村大蔵次官辞典を引いてみても、どこを引いてもございません。どこから出てまいりましたか、そういう新語は。
  38. 荒井勇

    荒井政府委員 拠出ということばが従来の立法で用いられたことがあるか、あるいは拠金ということばがあるかということでございますが、拠出ということは通常の社会一般用語意味で用いているわけでございまして、特に法律定義を設けてこういうものだという特定の意味を持つものとして書くということもないほどに、一般的にわかることばであるという意味で、特別の定義は設けておりませんが、それは相手の管理にまかせるものとして提供するというようなことが拠出ということの意味であるということで、拠金ということばは今回の法律案についても使っておりませんし、またあまり一般的な用語でもない、こう考えておりますので、そういうことばは用いておりません。
  39. 井手以誠

    井手委員 拠金というのは、常識でいえば、先刻私が申し上げた、あなたもおっしゃった、相手希望に応じ金を提供するものを拠金という、拠出金という、これは間違いない。そこでいままで問い詰めたところが、大臣から、それは出資金意味でありますということであります。あなた、法制局でこういうことばを使っていいのですか。国会に出す以上は、どういう性格のものであるか、戻ってくるのか、出し切りなのかということは明確にする熟語が必要じゃないですか。これは注意だけにとどめておきます。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、すでに銀行総裁とも話し合いがついて、清算するときには戻ってくるものだ、日本持ち分である、それは特別基金という名前からいたして当然だと思います。だから、法律用語からいくならば、これは一種出資なんです。出資に間違いないんです。それなら貸し付け金ですか。何でもけっこうです。はっきりしたことをおっしゃってください。出資金か、それとも貸し付け金なのか、どちらです。こちらのほうに持ち分があるとするならば、出資金ですか、貸し付け金ですか。
  40. 水田三喜男

    水田国務大臣 出資金ではございません。アジア開銀も特別に各国拠出する金を管理する。管理するという金でございますので、先ほど申しましたように、いわば信託の金ということになろうと思います。
  41. 井手以誠

    井手委員 それでは、貸し付け金ということになりますか。
  42. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 貸し付け金でもございません。貸し付け金でありますれば、期限があるとか、あるいは利息を払うとかという問題がございますが、この場合には、資金拠出いたしまして、それをアジア開発銀行が管理して、運用する。そして、アジア開発銀行の解散の場合を私ども考えておりませんけれども、万一、開発銀行が解散になって清算するという段階がございますれば、その場合には、日本拠出いたしました基金は、そのとき返還してもらうという性質のものでございまして、その意味では、貸し付け金とは違うと思います。
  43. 井手以誠

    井手委員 それじゃ、出資金じゃございませんか、特別基金の運用に必要な金を提供するわけですから。普通にいうアジア開発銀行の一般の資金とは、それは項目は違うでしょう。けれども日本の国庫から出す場合においては、支出になるんじゃありませんか。
  44. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 私の御説明があるいは技術的過ぎたかもしれません。と申しますのは、アジア開発銀行協定にあります出資と、それから特別基金と分けますと、明らかに特別基金への拠出でございます。ただ、その資金性質から申しますれば、先生御指摘のように、出資に近い性格を持っている。ただ、いわゆるアジア開発銀行協定によります出資でありますれば、これに伴う投票権がありますとか、いろいろなことがございますが、今回の特別基金拠出につきましては、全然違う取り扱いになりまして、投票権は伴わない。全く、資金の運用につきましては、拠出国拠出を受けるアジア開発銀行との間の協定によりまして、その運用がきまってまいります。
  45. 井手以誠

    井手委員 開発銀行の運用に関して、投票権があるとかないとかいうことは、これは銀行の問題、運用の問題です。日本国から金を出す場合に、特別基金資金を提供する場合には、これは出資じゃありませんか。広い意味出資じゃありませんか。出資の中に含まれるじゃありませんか。持ち分があるならば、これは出資じゃありませんか。あいまいなことばは、この際、やっぱり慎んだほうがいいと思うのです。向こうの銀行の運用の問題がどうのこうのということで、日本の財政の性格上、そういう初めてのことばを使うものじゃありませんよ。これは、日本の財政に当てはめて出すべきです。あいまいなことばを使わぬようにしてほしい。世間で聞くならば、拠金というならば、寄付金と同じように見ますよ、常識からいえば。はっきりしていただきましょう。大臣出資一種だよ。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 いや、それはもう、井出さんのほうがお詳しいんじゃないかと思いますが、資本を構成する資金ではございませんで、出資というのは資本を構成する金で、これにはいろいろいま言った投票権があるとか、配当が伴うとか、いろいろなことがございます金でございますが、これはそうじゃなくて、特別基金というものは、アジア開銀がこれを管理し運用する。その特別の基金で、ここに一定の金を拠出するということは、それによって配当を受けるわけでもございませんし、それに伴う投票権と発言権というものが伴っているものではございませんし、これは出資とは明らかに違うもので、先ほどから申しますように、日本としては、ここに信託した金という性質のものだというふうに思います。
  47. 井手以誠

    井手委員 貸し付け金でもない、厳格な意味出資金でもない、それは一体何ですか。そんなあいまいな金が出せますか。私は、何もここで予算委員会のように争うつもりはございませんが、少し最近、財政の取り扱いが乱雑になっておるようでありますから、警告の意味できょうはここに立ちました。配当があるとかないとかいうのは、それは運用の問題、持ち分があるならば出資なんです。清算する場合に戻ってくるものであるならば、それは日本国としては出資ですよ。出資したものが、配当があるとかなんとかは別です、東南アジア開発の援助ですから。一体、貸し付け金でもない、出資金でもない、それは何です。いままでいう財政法上何ですか、それは。国の支出ですか。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 それですから、資金信託というような意味を持ったものだというふうに思います。
  49. 井手以誠

    井手委員 あいまいですな、それは。それじゃいけませんよ。出資金に類した、出資金の一部でございますとおっしゃれば、それで済むのです。  そうすると、財政法上、今度新たに信託拠出金というような名前ができることになるわけですか。それはできますか。何条に基づいてそれはできますか。財政法上どこでできますか、そんなものが。
  50. 小田村四郎

    ○小田村説明員 お答えいたします。  財政法は、国の現金によりまするところの支出と、それから国の債務負担につきまして規定をいたしております。したがって、その支出の目的が出資であるか、補助金であるか、また負担金であるか、あるいは単なる経費であるかというようなことは、予算内容によって定められるものでございまして、財政法がここに規定しておるものではないのでございます。
  51. 井手以誠

    井手委員 そんな答弁では承知いたしませんが、もう一つ私は聞いておきます。  それでは、大臣のいままでの答弁からいきますと、出資金に近いものであるが、出資金ではない、貸し付け金でもない。そういたしますと、出資金歳出予算に計上する、これに近いものの拠出金は計上せぬでもよろしい、予算総則でよろしい。それはどこから出てまいりますか。
  52. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 アジア開発銀行への出資のうち、一部は現金による出資、二部は公債による出資になっております。現金による出資部分は、予算に歳出項目として計上していますが、公債による分は、法律に基づく交付公債によって出資いたします。
  53. 井手以誠

    井手委員 論議はあとでいたします。  それでは、予算総則に基づいて——出資は現金、この出資については歳出予算のほうから出す、交付公債を予定しておる拠出金については予算総則で出します。財政法二十二条の第何号に該当して予算総則のこの項を設けられましたか。
  54. 小田村四郎

    ○小田村説明員 財政法第二十二条第六号でございます。
  55. 井手以誠

    井手委員 先日の御答弁では第五号だとお答えになりましたが、きょうは第六号になりましたが、日によって違うわけですね。
  56. 小田村四郎

    ○小田村説明員 第五号に規定いたしております国庫債務負担行為の限度額と申しますのは、いわゆる非特定議決の国庫債務負担行為をさしておりますもので、「災害復旧その他緊急の必要がある場合においては、国は国会の議決を経た金額の範囲内において、債務を負担する行為をなすことができる。」ということの国庫債務負担行為をさしておるわけでございます。したがいまして、第五号ではなくて第六号であるわけでございます。
  57. 井手以誠

    井手委員 この前はどなたでしたか、奥村さんとおっしゃる方ですか、第五号の国庫債務負担行為だとおっしゃいましたが、これは記録にも明らかですが、はっきりおっしゃっていただきましょうか。あとで訂正のないように、責任者から言ってほしい。
  58. 荒井勇

    荒井政府委員 ただいまの点は、財政法二十二条の解釈といたしまして、同条第六号の規定によるものであるという、いまの主計局法規課長の答弁のほうが正しゅうございます。
  59. 井手以誠

    井手委員 予算総則を規定した第二十二条の第六号になりますと、それは予算の執行に関しての契約、これが中心になる。あるいは予算の移流用に関する問題これは予算の執行に関してですよ。新たに国が債務負担をする行為についてではございませんよ。だいじょうぶですか。    〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕  それじゃお伺いしますが、予算の執行に関しての行為でありますならば、それは債務負担の権限だけをそこに書いたわけですね。債務負担の契約をすることはこれによってできるはずです。しかし、これによって経費を支出する場合はあらためて国会の承認を得なくてはならぬことは、これはもう明らかなはずです。間違いありませんね。
  60. 小田村四郎

    ○小田村説明員 そのとおりでございます。
  61. 井手以誠

    井手委員 そういたしますと、本年度に出さねばならぬ場合はどうなりますか。契約に基づいて出そうという場合にはどうなさいますか。契約を実行しようという場合……。
  62. 小田村四郎

    ○小田村説明員 今回の改正法律で規定してございますように、この七十二億円につましては、公債を発行いたしまして交付する予定でございます。
  63. 井手以誠

    井手委員 改正法律案によりますと、IMFの関係ですか、その法律を準用するか援用するということになっておるようですが、援用する場合に、援用することそのことを私は批判しようとは思っておりません。しかし、いわゆる世銀法にいう出資の場合、世銀法には出資のことが書いてある。ところが、今回の改正案には出資及び拠出金となっておる。そういう拡大した援用が法制上できるのですか。親よりも大きな子供を生むことができますか。子供は小さいはずです。親のほうが小さくて子供が大きいということはないはずです。いわゆる世銀法には出資だけを認めてある。その規定を今回はアジア開発銀行にも援用しよう、準用しようということになっておるが、その準用する場合に、拠出金まで加えられておる。そういう準用ができますか。
  64. 小田村四郎

    ○小田村説明員 法律技術の問題でございますが、今回の場合におきましてアジア開発銀行に同文の規定を置く、あらためて書くということもできるわけでございます。ただ、それは法律技術の問題といたしまして、国際開発銀行の加盟等と同文の規定になりますので、それをそのまま準用さしていただくということでございまして、法律的に可能、不可能という問題ではないと思います。
  65. 井手以誠

    井手委員 いわゆる世銀法には拠出金というのはないわけですよ。それを受けて聞いておるのです。
  66. 小田村四郎

    ○小田村説明員 お答えいたします。  現在アジア開発銀行出資につきましては、世銀法の準用をいたしておるわけでございます。これは現金の出資にかえまして国債を交付することができる、こういう趣旨の規定になっております。同文をあらためてこの加盟法に書いてもよろしいわけでございますけれども、しいてそこまでする必要はない、同性質の事項でございますので、世銀加盟法の条文をそのまま準用させていただくということで、これは純粋に法律技術的な問題にすぎないと思います。
  67. 井手以誠

    井手委員 世銀加盟法には拠出金は書いてないわけですよ。出資だけしか書いてないはずですよ。それを準用しようという場合に、拠出金まで加えて世銀加盟法を準用しようということは、これは無理じゃないかと申し上げているのです。
  68. 荒井勇

    荒井政府委員 準用するという、これは法律用語でございますけれども、類似の性格のものについて同種の規定を書くという場合に、繰り返しを避けるために、その性格がきわめて類似しているということでもとの規定を借りてきて、ちょうどそこにあらためて書いてあると同じような効果を得させるということがその準用のねらいでございまして、いままで説明がありましたように、この拠出ということは直ちにその相手方の資本の一部に組み入れられて、拠出国がそれに対して持ち分を持つというような関係ではございませんけれども、機能という面では非常に似通っている面があるので、その準用という一般的な法律用語を用いたということでございます。
  69. 井手以誠

    井手委員 法律技術上のことはこの程度にとどめておきますが、予算総則に基づく七十二億円の拠出金について、もし本年度日銀に買わせるような事態が起こった場合には、その利子は幾ら計上してありますか、世銀加盟法に基づいて。
  70. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 お答えいたします。  本年度その分として特定的には利子を計上いたしておりません。
  71. 井手以誠

    井手委員 世銀加盟法に基づきますと、国債を買わせられた日銀に対して国は利子を払わなくてはならぬ義務を生じております。その用意が全然ないということは、ことしはそれではなさらないというわけですか。
  72. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 お答えいたします。  日本銀行の買い取りということはきわめて例外的なことでございまして、先日も申し上げましたように、そういう事態を起こさないようにするというのがたてまえでございます。したがいまして、毎年そういう事態を想定しての積算の根拠としての利子の計上はいたしておらないわけでございますが、先日申し上げましたように、万々一起こりますれば、規定利子の範囲内でまかなえるものはまかなうというふうに相なると思います。われわれといたしましては、そういう事態が極力起こらないように予算を執行していくというのがたてまえであろうかと考えております。
  73. 井手以誠

    井手委員 この機会にお伺いいたしますが、先刻柏木さんは交付公債とおっしゃいましたが、公付交債の性格はどんなものですか。
  74. 小田村四郎

    ○小田村説明員 交付公債と申しますのは俗称でございまして、いわゆる現金の対価として発行するものでない公債、つまり法律に基づきまして国が債務を負担し、その負担した債務証書でありますところの国債を特定のものに交付して国債権者たらしめるという種類の公債を交付公債と称しております。
  75. 井手以誠

    井手委員 財政法第五条の公債とは違うわけですか。どういうふうに違いますか。
  76. 小田村四郎

    ○小田村説明員 第五条の公債は「すべて、公債」とございまして、特に限定はないわけでございます。おっしゃいました御趣旨は、第四条との違いの御質問ではないかと思いますが、第四条は、ここにございますように、歳出の財源とするための公債でございます。いわゆる交付公債は歳出の財源となるものではございませんので、その点で第四条の公債とは異なるわけでございます。
  77. 井手以誠

    井手委員 この際ひとつ明らかにしてほしいと思って聞いたわけですが、交付公債というのは根拠はどこなんですか。
  78. 小田村四郎

    ○小田村説明員 明文上の根拠といたしましては、これは当然の理でございますけれども、財政法の第十五条の第一項に、国が債務負担をいたします行為の種類を列記しております。それによりますと、法律に基づくもの、歳出予算に基づくもの、継続費に基づくもの、それからここにございますところの国庫債務負担行為によるもの、こういうものを列記しておるわけでございますが、交付公債は法律に基づく債務負担行為であるということになると思います。
  79. 井手以誠

    井手委員 はっきりしてまいりましたが、第十五条の国庫債務負担行為アジア開発銀行加盟に関する法律に基づくもの、その公債を発行する、それはあらかじめ国会の議決を経なくてはならぬ。その規定によって、国が債務を負担する行為により支出すべき年限は、当該会計年度から五カ年間、さらに国際条約に基づくものに関するもの、その他は延ばしてもよろしい、こういうわけですね。この場合に、第一項の規定により国が債務を負担する行為は、これを国庫債務負担行為というわけですね。
  80. 小田村四郎

    ○小田村説明員 第十五条の第五項で申しますところの国庫債務負担行為は——法律に基づくもの、歳出予算金額の範囲内におけるもの、これは第十五条の第五項によりますところの国庫債務負担行為とは呼ばないわけでございます。この以外におきまして、予算をもって国会の議決を経るところの債務負担行為、これを国庫債務負担行為というわけでございまして、現在の一般会計予算で申しますと、丁号の国庫債務負担行為というのがこの第五項で申しますところの国庫債務負担行為に該当する。それから第二項は、先ほど先生がちょっとおっしゃいました問題でございますが、これは一般会計予算総則第九条に現在規定しておりますが、それが第二項でいうところの国庫債務負担行為、この両者を総称して国庫債務負担行為といっておるわけでございます。
  81. 井手以誠

    井手委員 アジア開発銀行を通ずる東南アジア農業開発の問題については、私は、性格的には日本の農業の将来を圧迫するものであるという立場から反対です。法制上の立場から申しましても、この法案の一番大事な点は、当然出資金として一般会計に計上しなければならぬものを、予算総則によって歳出の権限を与えようとするこそくの点にあると私は思います。私は、この点について節を曲げるわけにはまいりません。ほかの法制上のことは多くは申し上げませんが、少なくともこの一点については、アジア開発銀行特別基金に金を出すのですから、大臣からも答弁があったように、この資金は返ってくる性格のものでございますから、出資に間違いはございません。なぜそれを一般会計に計上されないのか。しかも御答弁によりますと、総額一億ドルを予定されておるようであります。まあ日本立場からいえば少ないにこしたことはない。それを分割して出そうということに私はあえて反対はいたしませんけれども、当然一般会計の歳出にあげねばならぬものを、予算総則でこそくの手段でやろうという態度に対して私は賛成するわけにはまいりません。私は、この法案をいろいろ研究してまいりまして、どうも最近大蔵省の財政処理のやり方が非常にルーズになっておるのではなかろうか、こういう点を考えまして、きょうは質問に立ったわけであります。申し上げるまでもございません、一カ年間一会計年度の一切の支出を歳入、歳出に計上して、予算の全容を、財政処理の全容を明らかにするのが、私は民主財政の鉄則であろうと信じております。    〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、この法律案によりますと、予算総則あるいは国債整理基金からの償還、あるいは日本銀行に買い取りを命ずるなどといういろいろな手段をとられておる。私はここで申し上げたいのは、その出資のようなものならば、大臣の言う出資に近いものであるならば、なぜ財政処理を堂々とその本筋を、本道を歩まないのか、歳入、歳出という玄関からなぜ進まないのか。玄関から入らないばかりじゃございません。勝手口からも入っていない。回り回って便所の窓から入るようなやり方をしておる。こういうやり方は断じて私は賛成できません。あまりにもわかりにくいいまの財政処理の大蔵省の方針、私はこのやり方について非常に不満を持っております。私は、かねて民主財政については、財政の民主化については一応の抱負を持っておられると信じております水田大蔵大臣見解を、この機会に承っておきたいと思います。
  82. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政制度の運営については、御承知のようにやり方がたくさんあると思います。今度の問題も、すでにいままで現金で払わなくても代用公債の発行で済ませるというような事例もございますし、またそうだとすれば、現金払い込みよりそのほうがこちらにとっては有利だというような問題もございますので、いままでそういうような処理をやってきました。これはもっぱら出資についてそういう処理をやりましたが、御承知のように出資特別基金への拠出というのは若干厳密な意味では性格が違うだろうと思います。性格が似ておっても少し違う。その場合に、今度の拠出についてどうするかといいますと、井出さんのおっしゃられたようなはっきりした措置をとることはこれはむろん好ましいと思いますが、しかし、アジア開銀のほうでは、これが協定までこぎつけて、そうして調査が進んでいざ貸し出すというところまでくるのには相当時間がかかって、おそらく四十三年中には向こうが償還を求めてこないだろうというような状勢が一方にありますし、また一方、それなら四十四年度にいま言ったような措置をとったらどうだということでございますが、御承知のように、これは日本が主唱して、そうして率先日本はこれだけもう出したのだから諸外国においてもみんなこれに協力してもらいたいということをこの際やらないと、日本立場としてもぐあいの悪い、またやることがいいのだということから考えますと、一時代用公債をもって拠出しておくことがいいというふうに考えましたので、そうしますと、いままでこういうことをやっておりますので、その規定を採用して今回もこういう法律による債務負担行為をする。財政法上間違いのないことでございますので、この件もそういうやり方をするほうがいいということを考えてやった措置でございまして、まあ来年度において、はっきり歳出で立ててやるということならそのほうがいいと思いますが、しかし、そういう間違いでないいろいろの措置の方法があるのでございますから、今回それによってここで代用公債を拠出しておこうということにしたわけでございまして、まあ財政法上の違反を犯しているというようなものではございませんので、これはよろしくお願いしたいと思います。
  83. 井手以誠

    井手委員 この法案についていろいろ意見も持っておりますが、審議の事情もありますから、多くは申し上げません。私はきょうは、最近あまりにもこそくな手段をとり過ぎる大蔵省の態度に対して警告を発したいと思って立ったわけですが、しかし、拠出金などというあいまいなことばを使うのではなくて、財政の本道から出資金として扱うべきであるという説は私は変えておりません。この基金のよしあし、これは立場によって違うでしょう。われわれは反対です。しかし、たとえ大臣がおっしゃるように、日本の提唱によってとおっしゃっても、しかしそれは筋を通さなくてはならぬはずです。ただ、私は本日の質問拠出金のあいまいなことについて、これは出資に近いものであり、そして決済の場合は戻ってくる持ち分性格のものであるというお話がございましたからこれを信用しておきます。今後は、ひとつもう少し国民にわかるように、大蔵省ばかりわかるんじゃなくて、国民にわかるような堂々たる財政処理の方針で進んでもらいたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  84. 田村元

    田村委員長 武藤山治君。
  85. 武藤山治

    武藤(山)委員 きょうはせっかく大臣もお見えになっておる席でありますから、質問の順序を変更して大臣にお答えいただけるような問題を取り上げてひとつ質問をしてみたいと思います。  冒頭に、柏木国際金融局長がIMFの蔵相代理会議に出席されて、つい最近帰ってきたばかりでございますが、世界の金融担当のベテランの集まる会議で、現在の金ラッシュの問題、アメリカのドル防衛の問題、いろいろ話題が出たのではなかろうかと推察をいたします。まず専門担当官として代理会議に出てどんなことが話されたか、秘密でない話の範囲内で、また、日本として今後こういう情勢に対処するにこういう点にひとつ力を入れなければならぬなと感ぜられた点、それなどの数々をひとつ最初に御披露願いたいと思います。
  86. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 私、先週ヨーロッパに出張してまいりまして、蔵相代理会議、それから OECDの経済政策委員会等に出席してまいりました。蔵相代理会議のほうはIMF協定改正、例の特別引き出し権の関係の審議をいたしました。これは非常に技術的というか、残されたる問題点数項目についての意見交換がございましたが、いま武藤委員からお話のありましたような世界の金融状勢とか、そういう話は出ませんでございました。むしろそういう問題が出ましたのは、経済政策委員会の会議でございまして、そこでは本年一月のアメリカのジョンソン特別教書に基づく国際収支対策がOECD各国にどういうように影響し、それが今後の各国の経済運営、世界の経済にどういうふうな影響をもたらすか、いろいろ議論があったわけでございます。  OECD会議内容は、それほど時間をかけて詳しく説明することはございませんから、要点を申し上げますと、アメリカの国際収支対策というものについては、各国とも、ドルが世界の基軸通貨としてその安定がきわめて必要である、世界の国際通貨制度を安定させる意味から、ドルがこの際安定することが必要だ、そのためにアメリカが国際収支を改善する、できるだけ早く均衡させるというその目標については、各国とも全幅的の支持を与えておりました。そのためにアメリカが先般とりました施策というものについては、いろいろ問題はあるだろう、資本取引の規制をする、為替管理的な規制をすることについては若干問題はあるだろう。それから各国の問で必ずしも同一に扱わない、たとえば低開発国は非常に優遇する、ヨーロッパの国は必ずしも優遇しないというか、ヨーロッパへの風当たりを強くするというような問題については問題はあるだろう。あるいは海外渡航、観光関係の規制を、税の形でありますが、これを行なうという点も問題はあるだろう。いろいろ問題はあるであろうが、しかし今日アメリカのドルが安定するということが、やはり世界全体のために非常に有用だという意味合いにおきまして、アメリカの施策というものを、今回とろうとしておる施策を原則的に支持しようという空気でございます。ただその場合に、アメリカの考えております施策というのは、どうも直接統制というか、対症療法的なる施策が多い、むしろ基本的にアメリカの国際収支をよくするための国内施策、具体的にいえば、財政金融政策の推進をぜひとも希望したい、そういうふうな意向が示されました。そういうことによって、一方ではドルの安定をよくする、しかしそれにつきましては、アメリカの経済が停滞する、あるいはイギリスの経済が停滞する、それがヨーロッパの国々にも反映して世界全体の経済が停滞するということは非常に問題だ、こういうときには、いわゆる黒字国である、国際収支の黒字の国、外貨準備が手厚い国は、この際積極政策、拡大政策を推進して、世界全体の経済を発展させることが望ましいのではないかというような意見も多々出ました。具体的に申し上げますれば、EECのうちのドイツ、フランス、イタリアというような、黒字国であり、同時に外貨準備の多い国は、この際積極的な政策によって、世界経済の沈むのを何とか防止したらどうかというようなことがいろいろ言われました。各国ともそれに賛意を表し、その三国についても、積極的に拡大をしましょうということでございました。会議全体の空気としましては、これらの国が中心になって拡大政策を進め、それに伴って周辺の小国も拡大に進むということによって世界全体の経済発展が促進されるであろう、一方のアメリカ、イギリスの引き締めに対応して引き締めするのではなくて、拡大して、その両者を通じて世界全体の繁栄をもたらそうという空気でございました。
  87. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、この会議で、あなたの感じでございますが、ドル防衛は成功する、アメリカの所期の目的は果たせるだろう、こういう感じをお持ちになったか。  第二点は、フランスは金プール国から離脱をいたしましたね。このフランスがまた金プール国に加わって、金の価格の引き上げまで及ばなくとも、何とかドルの価値を維持できる、そういう何か手だてがこういう会議感じ取られたかどうか、この二点について……。
  88. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 ドル防衛につきまして、ちょっと言い落としましたが、アメリカ政府といたしましても、先ほど申し上げました財政金融政策の健全な運営によって国際収支をよくしようという努力はする。現に議会に増税法案を出しておる。増税法案が万一いかない場合には、金融政策をさらに強めてドル防衛を必ず達成するという決意を披瀝しておりました。その問題と、いま申しました各国協力体制によってドル防衛をしようとする、それを通じて考えますと、ドルの防衛という問題は非常に強められたという感じがいたします。  それから、いまお話がありました金の問題でありますが、これは先般国際決済銀行の会議がございまして、そのとき各国の総意としまして、金の価値を維持、金プールを続けていくということが確認されたわけでございます。これは日本は、ことに政府間の集まりでございませんので、政府としてこれに別に関与いたしておりませんので、新聞でしか情報を得ておりませんが、そういうものを通じまして、金のスペキュレーションというものはおさまっていくだろう、こういうふうに考えております。
  89. 武藤山治

    武藤(山)委員 柏木さんの判断は少々甘いのではないかと思うのですが、時間がありませんからあまり論議はいたしませんが、アメリカの金保有というものが、去年、四十二年の十一月末には百二十九億六千五百万ドルあった、それが現在では大体百十九億ドル。大体百十八億ドル台に落ち込んできた、こういう状況でございますから、この情勢はまだこれからも続くのではないか、この低下の傾向は続くのではないか。しかもアメリカの金保有が百億ドルを割るというような事態がこないとも限らない。そういう事態がこの一年か一年半くらいの間に起こるのではないか。そのときでもアメリカははたして金の価格を引き上げずに、ドル防衛政策で、国内需要の抑圧で乗り切れるであろうか、すなわちいまのドル防衛のとどのつまりは、金の引き上げをせざるを得ないのではないだろうか。そのとどのつまりが一年後にくるか、一年半後にくるか、そこらはなかなかむずかしい想定でありますが、そういう事態にどうしても追い込まれるのではないかというのが、私はほんとうの観測じゃないかと思うのですが、柏木さん、どうですか。
  90. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 武藤委員の御指摘のとおり、アメリカの金保有は減ってきております。これがいつまで続くか、金のスペキュレーションがいつまでも続くかということで、何とも言い切れないと思いますが、アメリカ政府といたしまして、もうずっと主張というか、言っておりますように、金価格の維持のためには、最後の一ドルまで吐き出してもいいという決意を披瀝しておりますし、また先週BIS——国際決済銀行の会議でも確認されましたように、国際価格を維持することはアメリカ一国の問題でなくて、関係国の共通の要請でもあるということでございますので、そういう国際金融協力、それからアメリカ決意というものが変わらない限り、金のスペキュレーションが続いても金価格の変更ということはない、私はさように信じております。
  91. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、アメリカの金が百億ドルくらいになったということになる場合は、そういう場合を仮定した場合は、対外的なドルの流出総額というものが民間で百四十億ドル、政府関係で百四十億ドル、約二百八十億ドルくらいのドルが流れているわけでしょう。そういう事態のときに、百億ドル台になったときに、アメリカ最後までドルの価値は維持するのだという言明をそのまま一〇〇%信頼をしていいのかどうか。その場合にはアメリカの金保有制というものはくずれて、違う体制に移らざるを得ないのではなかろうかという事態も想像される。アメリカが、ドルの価値はあくまで維持するぞ、金が全部吐き出されても価値は維持するぞという、アメリカの今日の期待、希望、観測、そういうものを日本の国の政治をあずかる者として一〇〇%信用していいのかどうか、大蔵大臣いかがですか。信用しますか、どうですか。
  92. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、結局ドルの防衛はアメリカ国内政策においてこの際どういう政策をとってアメリカ自身の国際収支の改善をやるかというところにやはりかかっておると思います。むろん、これはアメリカはやると思いますし、そうすれば、さっき局長の言ったような形で、ドルの価値を防衛するということは結局最後はできるだろうというふうに思っておりますが、問題は、アメリカ自身がまず自分の国際収支の赤字を解決するということをやらなかったら、今後ドルの不安をもっと起こしていく、ここに私は問題がかかっているのじゃないかというふうに考えます。
  93. 武藤山治

    武藤(山)委員 私の判断では、結局は、とどのつまりは、金価格の引き上げ、ドルの切り下げをせざるを得ない羽目におちいるだろう。もちろんジョンソンが大統統選挙後にベトナム戦争をやめて、海外へのドル流出を極力削減をするという具体的措置が講ぜられれば別であります。そういう与件が完全に満たされない限り、アメリカのドル防衛は失敗をするであろう。もしアメカリがそのようなドル防衛を強力に推し進めるならば、世界はデフレになり、また日本などへの影響、はね返りというものも非常に甚大であり、とてもこれは世界の指導国としてのアメリカの権威を維持することができなくなると私は判断いたします。しかし、これは議論になりますから、見解の相違ということになるでありましょうから、この議論は歴史が証明することになって、来年あるいは一年半後にまたこの本委員会において、アメリカ希望、観測を信頼した柏木さんが正しい判断であったか、私の観測が正しかったかはひとつやることにして、次の質問に進みたいと思います。  もう一つ、大臣政府国民所得の一%程度を海外援助に振り向けるという先進国会議での約束は、これはかたい約束として守る必要があるのか。いまの政府はどの程度にこの一%という数字について真剣に実現しようとするのか。これはそうきついものではない程度に思っているのか、その点は大臣どのようにお考えになっておりますか。
  94. 水田三喜男

    水田国務大臣 発展途上国の援助ということは先進国の義務でありますし、世界の繁栄のためにはどうしてもしなければいかぬことでございますので、やはり各国が一定の基準をきめて、相当の無理があっても、援助ということは義務づけられることがいいというふうに考えまして、日本も一応国民所得の一%ということを今後目標にするというお約束もしましたし、私どももそのつもりではおりますが、しかしこれは、先進国援助の状態を見ましても、四十一年あたりよりは四十二年が、比率から見たらすでに下がっておるというような国が多いということを見ましても、これは常にそれだけの比率を確保していくということは、その国のそのときの経済事情によって、なかなか一本調子にはいかないことがあるだろうと思います。基準はそうきめても、やはり現実にはその国の経済事情に縛られて、多く援助できる年もございましょうし、これが控え目にされる年もあって、これはやむを得ないと思っています。基準はそこいらに置くつもりですが、いまの日本みたような事情になってきますと、この比率をもって援助を継続するということは、これはよほどの努力をしなければできないことでございまして、御承知のとおり〇・七というところ、いまその程度の水準にきましたが、そう急速にこの水準を伸ばせるというわけにはいかぬじゃないかと思っております。
  95. 武藤山治

    武藤(山)委員 これは担当官でけっこうですが、一%の援助というと、四十三年度予算ベースなり経済見通しベースでいくと、絶対額は幾らになりますか。
  96. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 来年度の国民総生産の見通しでございますが、政府見通しによりますと四十七兆八千四百億であります。国民所得が大体その八割ぐらいでありますので、そういたしますと、国民所得の一%というものは大体四千億ぐらいかと思います。
  97. 武藤山治

    武藤(山)委員 ことし政府が、これは海外援助だと思われるあらゆる種類のものを、外務省の技術援助、あるいは通産省、あるいは輸出入銀行、海外経済協力基金、そういうものを全部合わせて、絶対額幾らになりますか。
  98. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 これはDACで大体まとめております統計でございますので、一九六七年の暦年の見通し、見込みでございます。正式にまだ確定数字として発表されておりません。これによりますと、政府ベース、民間ベース合わせまして、援助実績として見込まれますのは六億七千百万ドル、国民所得との比率が約〇・七三から七四ぐらいになるのじゃなかろうかと思います。御案内のとおり、一九六六年、一年前のものでございます、これは一応〇・六九、こういう数字になっております。したがいまして、六七年、暦年におきましては若干上がる、いまこういう見込みになっております。
  99. 武藤山治

    武藤(山)委員 そこで、その内訳を聞きたいのですよ。というのは、日本海外援助はまことにばらばらなんですね。ぼくは三、四年前にここで外務大臣と大蔵大臣に、こういうばらばらな海外援助というものは、やはり窓口を統一する必要がある、そういう議論をここでやって、留学生の国立の大学ぐらいこの際考えて、技術などもここでみっちり教えるような、何か抜本的に考えろと言ったら、当時外務大臣は、なかなかおもしろい構想だから検討します、大蔵大臣も、福田さんでございましたか、なかなかいい構想のようですから検討いたしますという答弁をとったのですが、さっぱり検討しないようですから、少しきょうはこの〇・七三%の中身を、ごまかされないようにひとつ中身を発表してもらいたいんですが、どういう援助でこういうことになったか、実額を外務省関係でどういう援助幾ら海外経済協力基金幾ら、こういうふうに各省に分かれているものを、全部内訳をずっとひとつ発表してみてください。
  100. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 ただいま申し上げました六億七千百万ドルの内訳でございます。これは各省といま仰せられましたが、各省別に分かれておりませんので、DACでまとめてあります一定の表式に従いましてこれは分かれておるわけでごいます。中身の分け方といたしましては、政府ベースと民間ベースと二つに分かれております。それから政府ベースがさらに三つばかりに分かれておりまして、贈与、これは賠償でございますとか、無償協力でございますとか、技術協力、これがいわゆる贈与という項目に入っておるわけでございます。それから貸し付けるベースのものがございます。貸し付けでございます。贈与にならない貸し付け。それから国際機関に対する出資どももう一つ項目があるわけでございます。贈与と貸し付け出資が三つ入っております。  それぞれについて数字を申し上げますが、贈与が一億三千七百万ドル、それから貸し付けが二億一千九百万ドル、国際機関の出資が四千四百万ドル、合わせまして政府ベースといたしまして四億百万ドルばかりの数字になっております。それから民間ベースでございますが、これはいわゆる直接投資と輸出信用延べ払いと二つに分かれております。それをそれぞれ申し上げますと、直接投資が一億九百万ドル、それから輸出信用が一億六千万ドル、計二億六千九百万ドルばかりになっております。民間ベースといたしまして二億六千九百万ドルで、政府ベースの四億百万ドルと合わせまして六億七千百万ドルとかような一応のいまの見込みになっております。
  101. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、外務省の技術援助だの、それから向こうの研修生を年間千人ぐらい日本へ受け入れていろいろやっておる、ああいうのは一切この計算には入らぬのですか。
  102. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 入っております。贈与の中の技術協力というような項目を申し上げましたが、この中に入っております。
  103. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは企画庁、あとでひとつこの中身を資料にして私のところへまた持ってきてください。今度はこの内容、いま言った技術協力幾らとか、これがまた分かれてくるんだが、輸出入銀行が取り扱うのが幾らとか、いいですね、その資料はできますね。
  104. 赤羽桂

    ○赤羽説明員 はい、できます。
  105. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまの答弁に関連して、輸出入銀行が昨年四十二年度実績で百六十三億円の投資を行なっている。本年の投資計画が百五十一億円になっている。去年の百六十三億円の投資の国は、どこへどんな投資をいたしたのでございますか。——わかりませんか。副総裁、私の手元にこういう輸銀から出ている資料が来ているのですよ。
  106. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 たいへん手間をとりまして恐縮でございますが、いまお尋ねの投資先の地域別の数字を申し上げます。東アジアで二十億九千万円、東南アジアが六十億七千万円、西アジアが百四十六億九千万円、中南米が百五十五億二千万円、ヨーロッパがございませんで、アフリカは七億二千万円、総計で三百九十一億一千万円でございます。
  107. 武藤山治

    武藤(山)委員 副総裁、全然数字が合わぬですね。私どもに配られた資料では、四十二年度の投資の実績が百六十三億円、四十一年が百二十三億円、来年度、四十三年度の計画が百五十一億円となっておるのですよ。とすると、三百九十一億では全然合わぬですね。
  108. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 いま申し上げましたのは、四十二年末の貸し付け残高でございます。あるいはお話しの数字はその年間あるいは年度間の新規投資額ではないかと思いますが……。
  109. 武藤山治

    武藤(山)委員 私がいまちょっとこの資料で疑問を持ったのは、最初に添付された金額が、四十二年度実績見込みで百六十三億円となっておるのに、各国別、地方別に区分したほうの表は百六億五千九百万円になっておるのです。五十億円も差があるのです。同じ輸銀から出ておる資料で五十億円も差があるので、どこの国にいっておるのかわからぬかということをいまただしておるわけです。
  110. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 いまお話しの百六十三億というのは、四十二年度中の見込み額でございます。実績となりますと多少数字が変わってくるかと思います。
  111. 武藤山治

    武藤(山)委員 多少実績が違っても、先ほど副総裁が答えた三百九十一億と百六十三億ではたいへん違いますな。
  112. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 先ほどの数字は残高でございますし、いま申し上げました百六十三億というのはその年度間の貸し付け見込み額で、違うわけでございます。
  113. 武藤山治

    武藤(山)委員 それから直接借款というのは、輸銀はいまの輸銀法でこういう直接借款という方法が許されておるのでしょうが、政府の何か指示がなければ直接借款というやり方はやらないのですか。それとも輸銀独自の判断で直接借款というのはやっておるのですか。直接借款の性格をひとつ明らかにしてください。
  114. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 直接借款をいたしますのは、輸銀が輸銀法に基づいていたしますが、やはり政府相手国との協定なりまた話し合いに基づいて輸銀がこれを実施機関としてやるわけでございます。
  115. 武藤山治

    武藤(山)委員 四十三年度の直接借款の相手国はどこですか。——もしわからぬ場合は時間がもったいないからあとで言ってください。
  116. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 それでは後ほど……。
  117. 武藤山治

    武藤(山)委員 副総裁、実務関係のことはあまりよく知らぬと見えて、とても質問になりませんから、数字の確認をしてから質問に入ろうと思ったのですが、あとでひとつ直接借款の国別の内訳は資料で届けていただきたいと思います。  それから、去年、インドネシア援助商品援助を輸銀を通じてやりましたね。輸銀でやった実績額はわかりますか。
  118. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 昨年度やりましたインドネシアに対する円借款は、第二次として五千万ドル相当額をやっておりまして、それの二月末における残高は百六十七億円になっております。もう一つそのほかにリファイナンスをいたしております。これは同じく百五十七億円であります。
  119. 武藤山治

    武藤(山)委員 この五千万ドルの形式は、日本の商社がインドネシアへ商品を輸出する、それを輸出入銀行の窓口で融資をしてやる、こういう輸出金融一本なんですか、この支出は。
  120. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 お話しのように、インドネシアに対しまして日本の業者が商品を輸出をする、それに対してこの借款に基づいて貸し付けをする、そういうことでございます。それが同時にインドネシアに対する借款供与になるという仕組みでございます。
  121. 武藤山治

    武藤(山)委員 それは期限は大体何カ年ものになっていますか。
  122. 藤澤徳三郎

    ○藤澤説明員 据え置き七年を加えまして二十年になっております。
  123. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣、その場合、輸出入銀行がインドネシアへ政府がきめた借款に対して商品で輸出をするそういう商社に対して、またそういう企業に対しては輸出控除を認めるのですか。税法上輸出控除の特別措置は適用になるのですか。
  124. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 いま主税局の者がおりませんので、後ほど調べてお答え申し上げます。
  125. 武藤山治

    武藤(山)委員 大蔵大臣、おそらく輸出控除になるという制度を適用していると思うのです。そういうことになりますと、インドネシアの国民が期待をするようなプロジェクトあるいは農業用の水利ダム、そういうものの建設よりかは、やはり日本の商社が喜び、しかも租税の特別措置も受けられ、そういう方法の援助のほうが日本の商社としては得だ、利益がある、こういう感じ商品援助というものについては出てまいりますね。その点はいかがですか。
  126. 水田三喜男

    水田国務大臣 商品についてはインドネシア側がきめる権利を持っておりますので、こちらの自由にはなりません。
  127. 武藤山治

    武藤(山)委員 こちらの自由にはいきませんが、それだけの借款分はすべて日本の製品を買うという約束でしょう。ですから、プロジェクトで援助するよりかは、あるいは農業開発援助するよりかは、ほんの目の先の利害だけを考えれば、商品援助のほうが商社が喜び、日本の企業家が喜び、得だ、こういう感情が出てくるでしょうね。それは否定できますか。
  128. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりいろいろとプラントで出るほうを望む業界がございますし、これは一がいには言えないと思います。
  129. 武藤山治

    武藤(山)委員 今度海外経済協力基金法の改正を閣議はきめたようですね、決定されましたね、大臣
  130. 水田三喜男

    水田国務大臣 先週の閣議できまりました。
  131. 武藤山治

    武藤(山)委員 閣議で決定するからには、これはただ単に企画庁にまかせておけるような問題ではない。それは大蔵大臣として強い関心を示さねばならぬ法改正でございますね。そこで、なぜ海外経済協力基金法を今回改正をしなければならぬのか、大臣感じはいかがですか。
  132. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、昨年インドネシアの援助は五千万ドル、と同時に一千万ドルの贈与をいたしましたが、こういう援助のしかたはやはり私は感心しない。したがって、今後は海外経済協力基金を通じてこの問題の合理化をはかればいいという考えで、さしあたりインドネシアに対する援助についてだけ、今度はこの基金法の改正をお願いしましたが、すぐあとから引き続いて、今後こういう海外経済援助について、さっきおっしゃられましたように、やはり窓口と申しますか、この交通の整理をする必要がございますので、そういう研究へ入る一歩として本年度この改正をお願いした、こういう事情でございます。
  133. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、基金法の改正が実現をいたすならば、以後低開発国あるいは東南アジア大臣や総理大臣が旅行に行って、よし、気前よく援助をしようなどという約束を輸出入銀行を通じてやらせるようなことはもうよもやあるまいと思うのでありますが、そういうことは絶対いたしませんね。
  134. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 このたびの基金法の改正によりまして、経済安定のためのいわゆるノンプロジェクトのソフトローンをする仕組みになるわけでありますが、今後日本後進国向けの援助がどういう形のものになるか、どの程度ハードのもの、どの程度ソフトのもの、どの程度プロジェクトのもの、どの程度ノンプロジェクトにするか、これはこれから各般の事情を考えながらきめてまいりますものでございまして、今度の基金法の改正によりまして、今後はすべてノンプロジェクトのソフトローンをやるという趣旨のものではございません。
  135. 武藤山治

    武藤(山)委員 柏木さんは、基金法を改正して商品援助ができるような形の改正というものが前向きの改正であると、あなたほんとうに思っておりますか。それとも商品援助というような形であまり効果のあがらない、しかもインドネシアのようなインフレの国情の中にそういう商品を持っていって、国がほんとうにそれを効果的に有効にカンフルの役割りを果たせるような使い方ができるならば日本の意図は実現するでしょうが、いままでのようなインドネシアの状況を見ると、効果はあがっておらぬと私は思う。しかもそういうときに、プロジェクトのほうの拡大でなくて、商品援助の拡大にいくという改正を大蔵省の担当官として前向きの改正だと思いますか。
  136. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 援助の形としてプロジェクトローンがいいかノンプロジェクトローンがいいかという点につきましては、武藤委員お説のとおり、私もプロジェクトローンのほうが望ましいと思います。ただ、現実の後進国の姿を見ますと、すべてノンプロジェクトはだめなんだ、プロジェクトでなければならないということも言い切れないんじゃないかと思う。やはり相手国の事情を見ながら、そこに場合によってはノンプロジェクトのソフトローンもやる必要があるんじゃないか。そういう意味で、今回基金法の改正をお願いしたわけでございます。その意味において前向きというか必要な措置をとっているわけでございまして、これからは日本もどんどんノンプロジェクト・ソフトローンをやるという趣旨ではございません。
  137. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし安易に、いやアメリカにも金を貸せ、日本にも金を貸せといって、それでお米の値段が一年に三倍も上がるような国情で、そういう他力本願的な経済再建をはかろうという国に、商品で援助してやったって、次から次へ焼け石に水のような形になっていって、ほんとうの住民から喜ばれる援助にはならぬと私は思うのです。そういう点において、やはり日本の今回の海外経済協力基金法の改正というものは私はうしろ向きではないか、こういう断定をいたしたいのであります。しかし、その議論予算分科会でいたすことにいたしますが、とにかくいま政府は気前よくインドネシアやなんかにも借款を与えておりますが、本年もかなり与えようという姿勢のようであります。大臣、本年はインドネシアにどのくらい与えるつもりですか。
  138. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま予定しておるのは六千万ドルでございます。
  139. 武藤山治

    武藤(山)委員 これも、債権国会議に出てアメリカに強く要請をされると、その金額でおさまらぬ。  武藤関税局長にちょっとお尋ねしますが、あなたは日本国を代表してホノルル会議に出席をいたしました。伝えられるところによると、ホノルル会議アメリカ側はインドネシア援助について日本がもうちょっと奮発をしてくれ、こういう要請があったやの報道なども目にしたのでありますが、アメリカはホノルル会議のときにそういう問題まで事務当局は出しましたか、いかがですか。
  140. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 私の担当じゃございまんけれども、具体的な要請はなかったと思います。
  141. 武藤山治

    武藤(山)委員 アメリカがドル防衛の五本の柱を遂行するために日本に対して、海外援助関係、あるいは東南アジア関係、あるいは中国封じ込めの反共経済体制、とにかくそういう一環の中で、そういうことを今度はひとつやってくれぬか、こういう具体的なアメリカからの要請は全くありませんでしたか、いかがですか。
  142. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 援助の関係は私の担当じゃありませんけれども、私の関係の関税の関係で申しますと、こういう話はございました。アメリカはドル防衛で非常に苦しんでいる、そこで現在貿易の面でも何かの措置をとらないといかぬ、どういう措置をとるかということはまだきめていない。しかしこういう際であるから、主としてヨーロッパですけれども、ヨーロッパの黒字国がアメリカの国際収支を助けるように努力してもらいたいが、日本も状況の苦しいことはよくわかっているが何ぶんかの援助をしてもらう、協力をしてもらうと自分のほうも非常にやりやすくなるんだ、そういう話はございました。
  143. 武藤山治

    武藤(山)委員 日本のインドネシアに対する債権額というのは、現在全額幾らありますか。
  144. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 約一億八千万ドルでございます。
  145. 武藤山治

    武藤(山)委員 約一億八千万ドルをこの倒産国に——破産はまだしていないのですね、これから何とか再建しようとするのですから。そういう国にさらに六千万ドル、また六千万ドルあるいは九千万ドルというようにつぎ込んで、まことにあたたかい情けのある手当てを外国にはしておる。日本の中小企業はばたばたと倒産をして、中小企業の倒産は戦後未曾有の、昨年一カ年間で八千二百件以上、一千万円以上の負債額で倒産をした件数がふえている。この二月にはまたそれを更新するというような月別では最高の状態である。しかし、国内の中小企業には倒産をしてもまあそれは本人の自己責任であるというような形で、インドネシアという国が倒産をした、それに対しては次から次へと金をつぎ込む。それはアメリカの要請であり、国際会議の強い要請であるからしかたがない、こう自民党政府は判断をしてつぎ込んでいく。不渡りを出してしまったそういう国に次から次へと援助をするというのは、何か特別の積極的理由がなければやれないことですね。何でしょう、積極的な理由というのは。インドネシアという国に年々つぎ込もうという政府の積極的な根拠、その理由は何ですか。ひとつ明快にお示しを願いたいと思います。
  146. 水田三喜男

    水田国務大臣 積極的な理由ということでございますが、とにかくインドネシアと日本とはいままで特別な関係がございましたし、このインドネシアが、いままでの対外援助ももう二十三億ドルにも及んでいる。しかもそれで経済的な破局へ来てしまった。これを建直すために政権がかわって、いまスハルト政権がインフレを押えて、そうしてここで輸出を伸ばす、輸出力の回復、生産力の回復ということをやって、インドネシアの建て直しをやるということで、世界各国がこれを応援してもらいたいという政治情勢に、世界の各国が応じて、インドネシアの再建を助けようということになりましたが、そうなりますと、アジアにおいて、いままで関係の深い日本というものはやはり他国に比べてある程度この援助に熱心にならざるを得ない、そういう立場にあることを要請をされておりますので、私どもはやはり日本とインドネシアとの関係から見てこの再建を助ける必要がある、こういう政治的な判断からインドネシアの援助をしている、こういう事情でございます。
  147. 武藤山治

    武藤(山)委員 インドはたいへんな食糧危機で、年々多くの人命が食糧不足のために失われている。同じアジアの一員で、たいへんに気の毒な状態にあります。そのインドに対する援助のしかたとインドネシアに対する援助のしかたとではたいへんな違いがある、公平ではない、平等ではないですね。真に日本アジアの低開発国の国々を一視同仁に援助し、日本アジアの経済的繁栄をもたらすために大いに力を貸すのだというならば、インドに対しても積極的に思い切った援助をわれわれはしなければならぬと思うのであります。ところが、インドに対しては昨年七百万ドル、三千八百万ドル、六百十万ドル、これだけですね。インドネシアには六千万ドルをぽんと出す。人口はインドのほうが四倍も多い。そういう点で、日本のインドネシアに対する援助姿勢というものは、スハルト政権ができて反共体制の中に入り、自由主義陣営の中にくみする、したがって、これをてこにして日本は、中国封じ込め政策の一翼をになうアメリカのそういう指示に基づいて、佐藤総理がインドネシアに出かけていって気前のいい発言をし、共同声明を出してきた。これが今回また援助をしようという基礎でしょう。積極的な貸し出しをする原因はここにあるんでしょうね。結局政略です。人道的な博愛主義から出た援助ではない。これは間違いありませんね。非常に政治的な、イデオロギー的な意図から、インドネシアに対するこういうべらぼうな援助というものが政府の手によって推し進められておると私は断定をいたします。大臣はこれに反駁をなさるでありましょうが、しかし議事録は、佐藤さんがインドネシアでどういうことをあのときに声明をしたか、しゃべったかということは、すでに報道され記録しております。そういう具体的な根拠は、佐藤さんが行ってスハルト政権にてこ入れして、アジアにおける自由主義陣営の仲間入りをさせて、ひとつ大いにアメリカの力にならせよう、こういう意図でしょう、大臣
  148. 水田三喜男

    水田国務大臣 援助を一々そういうふうにとられたら、国際援助は事実上むずかしいことになるのですが、そうじゃなくて、各国がどんな国をどんなふうに助けなきゃならぬかということについては、日本ひとりが考えるということじゃなくて、こういう援助の仕事は国際協力でやっております。したがって、インドにおきましても、四億二千七百万ドル、協定総額はこうなっておりますが、日本はいまインドネシアよりもインドヘの援助のほうが金額としては多いのでございます。インドについての援助は、世界の先進国の義務であるとして、国際間でその割り当てをきめて、日本もこれに参加して貢献しているということでございます。インドネシアにおいても同じことで、日本だけがかってにやっているんじゃございませんで、債権者会議を開いて、従来インドネシアを助けた国々全部の相談によって、今後のインドネシアの再建をはかるというようなことでございまして、一々そういう政治目的のために特にやっているというようなことではないというふうに思います。
  149. 武藤山治

    武藤(山)委員 たいへん時間が詰まってまいりましたから、一、二点で終わります。  主税局にお尋ねしたいのですが、先ほど、インドネシアヘの商品援助の場合に、輸出入銀行を通じて業者に融資が行なわれる場合は、輸出として取り扱われてことごとく輸出控除が適用になるかどうかという質問をしたわけですが、主税局でなければわからぬということでございましたから、これはどうですか。
  150. 大倉真隆

    ○大倉説明員 お答え申し上げます。  武藤先生のおっしゃいます点が物品の輸出でございます場合には、現在輸出割増償却制度の対象の輸出になるかならないか、それは輸出になります。それからなお、技術援助に関しましては、対外支払い手段を対価といたします技術輸出につきましては、御承知の技術等海外取引の所得控除制度がございますが、この対象になります対外支払い手段の中には、いわゆる円借款による円の支払いを受ける内国支払い手段も対外支払い手段と同等に扱うということに税法上なっております。
  151. 武藤山治

    武藤(山)委員 海外経済協力基金が今回一挙に一年間四百四十億円の計画予算になって——きょうは主計局は来てないですね、主計局がいないとわかりませんか、あるいは柏木さんのほうでもわかると思いますが、海外経済協力基金ができてから七年間に実行した額は幾らですか。昭和三十六年にこの基金ができたわけですが、それが七年間に幾ら実行したかと申しますと、時間がありませんから申し上げますが四百二十億円ですよ。それが四十三年度一カ年間の計画予算は今度は四百四十億円で、七年分と一年分が匹敵する金額になる。大蔵省はこういう予算の使い方について、また、こういう事業計画の立て方について、海外経済協力基金についてあまり目を通していないと思うけれども大臣いかがですか。
  152. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは御承知のように、先ほど申しましたように理由によってインドネシア援助をこの基金で扱うことになりましたので、一挙にこの額はふえたわけでございます。
  153. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、六千万ドルはすでに予算措置をしておいた、まだ債権国会議が開かれないのに、すでに四百四十億円のうち六千万ドルの援助予定して計上してある、こういう意味ですか。
  154. 水田三喜男

    水田国務大臣 最終の額はきまらないのですが、いま申しましたように、一応私などが想定して置いておるわけであります。
  155. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、スハルト大総領代理が来て、また総理大臣や大蔵大臣に懇請をしても、もうここでいま予算予定しているという六千万ドル以上は絶対にふやさぬという確約ができますね。
  156. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは今後の問題で話し合いによってどういうふうになるかわかりませんが、私ども国会予算審議をお願いしている以上は、そう多い援助を求められても実際問題としてなかなかむずかしい問題でございますので、よくお話をするつもりでございます。
  157. 武藤山治

    武藤(山)委員 本会議の時間も切迫しておりますので、きょうはこの程度で質問を終わりたいと思います。
  158. 田村元

    田村委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時八分休憩      ————◇—————     午後三時二十八分開議
  159. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  160. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 アジア開発銀行の問題でありますが、アジア開銀の業務内容の開始は一九六六年の十二月になっておるようでございますが、翌年の一九六七年の業務内容について詳しくお伺いしたいと思います。
  161. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 アジア開発銀行昭和四十  一年十二月十九日にマニラで開所をいたしまして、それからまず職員を集め、内部の諸規程を整備する、あるいは総裁としまして関係国の意向を十分把握するために、加盟各国を全部歴訪されるとか、あるいは今後のアジア開銀としての業務開始につきまして関係国の事情調査のため調査団を派遣する等、いろいろの準備をしておるわけであります。これらによりまして現に相当日時がかかっております。特に職員を募集するにつきまして、加盟各国のみならず広く世界から人材を集める意味から、相当厳密に募集をやりましたので、人員を全部そろえるのに相当時間がかかりました。そこで、八月ごろから本格的に業務に入るというか、今後の借款についての具体的な検討が始められまして、貸し付け規程もようやく昨年の末ごろ整備されました。したがいまして、一九六七年における業務と申しますのは、全部今後のアジア開銀の業務開始に必要なる準備のために費されて、貸し付け業務というか、貸し付けが具体的に行なわれましたのが実は六八年に入ってからであります。六七年中は業務開始に必要なる準備を整えるのにかかった。現在はもうスタッフも全部そろっております。いわゆるプロフェッショナルスタッフはたしか六十人ぐらい集まりまして、そのほかに事務スタッフ百数十人合わせまして、一応銀行としての機構が整備されておりますので、本年からは本格的な業務が開始されるものと期待いたしております。
  162. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、一九六八年、本年度の業務計画はどのようになっておるのでしょうか。
  163. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 本年度と申しますか、アジア開銀の会計年度は四月から三月まででございまして、四十二年度と申しますか、昨年の四月から三月までの計画としてはあと数件だけ貸し付け借款が成立するものと考えます。来年度以降の問題につきましては、まだアジア開銀として計画立案中でございまして、具体的にどういうふうになるか、こちらはまだ承知いたしておりませんが、御案内のように出資金の払い込みは、一昨年の銀行発足のときに出資額の五分の一、それから昨年の秋にまた五分の一払い込みましておりますので、四月以降からは本格的な融資業務が始まるものと期待をいたしております。  融資金額そのものにつきましては、御案内のようにアジア開銀に与えられている資金量が制約ございますので、そう大きな融資はできないかもしれませんが、まあ一件当たり五百万ドルの借款を十あるいは十数件借款ができる程度の借款計画を立て得るものと期待をいたしております。
  164. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その六七年度のあと残りました二、三件というのは具体的にどういうものですか。
  165. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 これはアジア開銀の事務局で準備いたしておりますので、私どもの大体こういう借款があるだろうということは聞いておりますけれども、いまこの席で御披露するのもいかがかと思いますので差し控えさせていただきます。
  166. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 続いて、第一回の東南アジア開発閣僚会議において、農林漁業開発に主眼点が置かれる、そういうようになっておりまして、特に農業問題の開発に力を注ぐとの討議がなされておりますが、具体的にはどのような部門に開発の重点を置いておるのか。具体的にどこの国のどの部門というようにお答え願いたいと思います。
  167. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 東南アジア閣僚会議におきまして、日本といたしましては東南アジアの農業を開発するために今回の御審議願っております特別基金拠出する考えを御披露したわけです。そのとき関係出席各国とも賛意を表しまして、この農業開発の促進についてはアジア開発銀行を利用するのが適当であろうということでございまして、その考えによりまして東南アジア閣僚会議からアジア開発銀行にこの研究を依嘱したわけです。それを受けましてアジア開銀では、ちょっとはっきり覚えておりませんが、昨年の八月か九月ごろから各国に調査団を派遣いたしまして、そしてこの域内の農業開発についてはどういうふうに進めたらいいかという調査をいたしました。その報告がたしかことしの一月ごろか二月ごろですが、できまして関係国に配付になっております。いまのところアジア開発銀行としまして、どの国に幾ら出すというようなことは予定いたしておりません。ただ、どういう国はどういう方法で農業開発を進めたらいいかというようなことにつきまして調査したものができております。それを見て、これからアジア開銀としてどういうふうにやったらいいか、方針がきまるものと思っております。
  168. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 このアジア開銀に対するわが国の出資でございますが、アメリカに次いで多額な出資がなされ、また、今度は特別基金拠出もあるようでございます。いまお話を聞いておりますと、そういう重要な発言力を持つわが国としまして、もう少し何とか詳しく知りたいと思う点があるわけですが、それは今後の問題といたしまして、将来のビジョンといたしましてアジアの経済開発として農業以外にもそのような資金が使用されていくのかどうか、そういう具体的計画があるのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  169. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 アジア開発銀行のもとにある資金は、各国から出資された金のほかに特別基金がございます。この特別基金につきまして、私どもといたしましては来年度七十二億円の拠出をできるようにいま御審議願っておりますが、この七十二億円につきましては主として東南アジア諸国における農業開発のために充当したい、そういう考えでございます。アジア開発銀行のほうといたしましては、その特別基金の使途は、農業に限らず、それ以外の用途、たとえば運輸、通信あるいは教育、あるいは公共事業とかいろいろ掲げておりますが、目下のところ日本として東南アジアにおける経済開発の重点はやはり農業に志向すべきである。そういう考えから今回の七十二億円は重点的に農業に志向するように考えております。将来の問題としてこれをほかの業務にも充てるようにするかどうかという問題は、今後の予算の問題として私どもも研究いたしたいと存じます。
  170. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 中南米にラ米開発銀行ですか、またアフリカのほうにも開発銀行があるようでございますが、こういう銀行の業務内容とはどのように違うのでしょう。
  171. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 ラテンアメリカ銀行とアジア開発銀行との一番違う特色と申しますのは、ラ米銀行のほうはラテンアメリカ諸国とアメリカだけでつくっておる銀行でございます。つまり、アメリカとラテンアメリカ諸国が資金拠出して、そしてそれ以外の国からの金というものは全部借り入れによってまかなっておる。つまり、アメリカの銀行であるという色彩が非常に強く出ております。アジア開銀の場合には、域内の国のほかに域外の国にも一緒になって金を出してもらう。そして域内の国が大体出資の六割、域外が四割、六・四の割合で出資いたしまして、そして共同してアジアの開発をやろうというので、より広い基盤の上に立っている銀行と存じます。  それからもう一つ、信託基金特別基金の関係でありますが、これはアジア開銀の場合には、域内加盟国のほかに域外加盟国あるいはその他の国からの基金拠出を要請して、できるだけ豊富な資金を持ってやろうという趣旨でございますが、ラ米銀行の場合には、現在のところ特別基金アメリカだけが出しております。ほかの国からはそういうふうな基金出資はございませんで、もっぱら借り入れにおいてやっております。  それからアフリカ開銀のほうでございますが、アフリカ開銀のほうは、実は域内国だけで銀行をつくっております。域外国の参加は一切認めないという趣旨で出発いたしております。その結果、域内国と域外国との意思の疎通がうまくまいりません。要するに、こういう域内国だけでつくっている銀行というものの信用がアピールしない関係で、域外国は何ら信用を援助しないという結果、アフリカ開銀の場合には全然業務開始ができない、全然活動いたしておりません。銀行が開所いたしましてからすでに五年近くたっておりますが、いまだに融資もできないという状況でございます。銀行のかっこうだけあってまだ動いてないという状況でございます。実は今度のアジア開発銀行をつくります場合に、ラテンアメリカ銀行のあり方、アフリカ開発銀行のあり方を見まして、両方の業績を見まして、やはり今後のアジア開発銀行の行き方としては、域内国、域外国の総力を合わせる方法はどういうふうにしたらいいかということをいろいろ考えたあとが、いま申し上げました域内国六、域外四という割合にすることが一番望ましいのではないか、それに加えて域外国からなるべく多く特別基金を出してもらうように働きかけるという仕組みがいいのじゃないか、さようなことでいまのアジア開発銀行協定ができておりました。そこで、今回日本といたしましても、銀行の発足から一年余りたっておりますので、ここで特別基金日本が率先して拠出して、そしてほかの先進国からの拠出をなるべく促進しよう、そういう考え方です。
  172. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 また前に戻るようでございますが、わが国が四十一年、四十二年におのおの二千万ドル、七十二億円でございますが、半分は円貨で半分は国債で支払っておるわけです。また、本年は二千万ドルの金額を国債で払うというわけですが、そのような多額な金額になっております。これは先ほどお話がありましたように、アメリカと並んで多額なる出資であると思われますが、この資金の何か出資基準というものがあるかどうか。また、その出資金についての政策的な意義といいますか、そういうものについて、大臣からもお答えを願いたいと思います。
  173. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 出資基準というものは、域内諸国につきましては国民総生産とか、貿易のボリュームとか、いろいろなそういう客観的な基準を一応頭に置きながら、それから各国の大体の分担額を出しまして、それに対して関係国の希望をいれまして、ある国はその基準より多く、ある国はその基準より少なくきまっておる次第でございます。日本の場合には、大体当初定められた基準のとおりに出資いたしておるわけでございます。域内諸国のうちの大体三分の一を受け持つかっこうになっております。域外国の出資のほうは、そういう客観的な基準はございませんで、むしろこういうアジア開発銀行という銀行ができるに際しては、先進諸国に対して積極的な出資を要請いたした結果、アメリカが率先して域外国の拠出の半分くらいを出そうということになりました。あとはドイツ、イギリス、カナダ面イタリアという関係国をアジア開発銀行の設立準備委員が歴訪しましていろいろ話した結果、出資額がきまったということで、域外諸国のほうの出資額については特にこれという基準はございません。
  174. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまのようなお話で、基準はございませんが、日本拠出するについてはやはり域外国に協力させることが一番いいというふうに考えまして、この拠出の場合には、少なくとも日本がこれだけ拠出するからには域外国はこれだけにしてくれなければということで、アメリカを除いた他の欧州諸国に少なくとも日本と同額だけの拠出はしてくれいというような交渉をしておりますので、別に基準というのはございませんが、日本としては他の諸国、域外国に日本と同じ程度の拠出はさせようという方針でいままでやってまいりました。
  175. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 このアジア開銀とわが国の拠出協定でございますか、これが結ばれるのはいつごろでございましょう。それが第一点。  また、その拠出協定にいろいろ向こうからの希望もありましょうし、わが国からの態度も示さなければならないと思いますが、その場合のわが国の基本的な態度といいますか、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。
  176. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 拠出協定をいつ締結するかという点は、実はまだこれはアジア開発銀行当局と打ち合わせしておりませんけれども、いまこの改正法案が成立し、予算が成立しますれば、さっそくアジア開発銀行当局とも打ち合わせして協定をまとめたいと思います。それほどむずかしい問題はないと思いますので、数カ月以内にもちろん成立するものと思います。  それから、拠出協定でどういう事項に特に着眼して締結するかという点につきましては、私どもといたしましては、この特別基金拠出いたします七十二億円は、私は主としてアジア地域における農業開発のために使うということを特にはっきりさせたいと思います。もう一つは、今回の七十二億円につきましては、日本にある物資役務を調達することに使ってもらいたいのであります。
  177. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後になりますが、わが国がアジアの経済開発に寄与するということは、アジアの一員として当然でございます。現在後進国といわれます国々に対しても経済協力をするのはその意義も深いことではないかと思うわけでございますが、そうしますと、この海外経済援助は自分の国の経済の発展にも効果がもたらされなければならないとも思うわけでございます。現在東南アジアとわが国の貿易量を見ましても、輸出においては約三割くらいを占めておると思いますが、今後アジアの経済開発に寄与することが、将来日本の貿易が伸びる要因ではなかろうかと思うわけでございます。今後東南アジアの貿易の推進というような面から見て、アジア開銀がどのような方向に行くものか、また、そういう経済的効果も考えて私は当然なされなければならないと存じますが、その方向について局長大臣にお尋ねして終わりにしたいと思います。
  178. 柏木雄介

    柏木(雄)政府委員 田中委員御指摘のとおり、日本経済援助というものが開発途上国の経済発展を促進することによって、また回り回って日本の経済にも非常に寄与するという点、そのとおりだと思います。私どもはこの経済援助についてもそういう観点を十分考慮いたしております。そこで、今回のアジア開発銀行への拠出でありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、日本が率先して拠出をするということによって、他の域外諸国からの拠出を誘いたい、それによってアジア開発銀行の持っている資金量をなるべく豊富にしたい。このアジア開発銀行資金量が豊富になれば、それだけのものがまた東南アジア諸国の経済発展に寄与する、それが間接にまた日本に寄与してくるということでございまして、日本のここで拠出する金というものは二倍、三倍あるいは四倍ともなって活用されるものでございますので、日本としてはアジア開銀を通じてアジアの開発を行なうことは非常に有用だ、かように思います。
  179. 水田三喜男

    水田国務大臣 日本のためになるということをあまり露骨に強調するのもどうかと思いますが、アジアのこの開発途上国援助するということは、これは結局、日本自身の経済にも寄与するところが多いという関係にございますので、したがって、いま局長説明しましたように、私どもアジア先進国としての義務として、まず援助をするということをやると同時に、これが日本経済のためにいかになるかということも考えた援助をすべきだというふうに考えます。
  180. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後大臣にもお願いしておきますが、弱気にならずして、わが国が主導権を握れるような立場にあるわけでございますから、どうかひとつ大きな経済効果を持ちますように、今後計画なり業務を遂行していただきたいと思います。この点をお願いいたしまして私の質問を終わります。
  181. 田村元

    田村委員長 ただいま議題となっておりますアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に加えて、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  両案につきましては、他に御質疑もありませんので、両案に対する質疑は終了いたしました。
  182. 田村元

    田村委員長 これより順次討論、採決を行ないます。  まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について討論に入ります。通告がありますので、これを許します。広沢賢一君。
  183. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 私は、日本社会党を代表して、日本開発銀行法の一部を改正する法律案に反対する討論を行なうものであります。  同改正法案は、日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度を自己資本の四倍から五倍に引き上げるものでありますが、これに反対する理由の第一は、開発銀行の融資内容が、今日の国民経済及び国民生活の実情と課題から見て、あまりにも独占大企業本位に片寄っているからであります。  開発銀行の資本金は、政府の産投特別会計からの出資金二千三百三十九億七千百万円からなっております。この産投特別会計は、一般会計、すなわち国民の税金及びその他の特別会計からの繰り入れで構成されています。さらに、今年度でも資金運用部資金借り入れ金千八百三十億円を繰り入れております。いわば、間接的に国民の大切な血税や預貯金が使われているこの開発銀行の融資がどのように使われているかは、税金や一般会計が厳密に国会審議を経ているように、本来は一切国会で明らかにしなければならない事柄であります。ところが、本委員会の質問審議で明らかにされたとおり、政府は、どこの会社やホテルに融資されているか、一覧表さえ提出することをためらっているのであります。きわめて遺憾なことであります。  この問題は、国会審議のあり方として、あらためて大きな問題とすべきでありますが、当面おおまかな業種別融資を検討しましても、一兆一千七百九十九億円の貸し付け残高の六一・八%を電力、海運の二つの独占的大企業に集中しており、しかも、その貸し出し条件は、六分五厘の安い利子で貸し出されております。さらにまた、電子工業が同じ措置をとられており、しかも貸し付け年限が非常に長期にわたるため、開銀の基準金利は八分二厘であるといいながら、実際には、たとえば四十二年度貸し付け金利息予定額を四十一年度末貸し付け残高と四十二年度貸し付け残高予定の合計で割った年平均利子は五分七厘の安い利子で、しかも平均貸し出し期間は十八年の長きにわたるものであります。もし今日の金融引き締め下で、一方的に引き締めのしわ寄せを受け、五−六月には、倒産の危機は未曾有の量に達するであろうといわれている中小企業に対して、こうした二千数百億円の大量に及ぶ資金が、このように安い利子で長期の貸し付けが行なわれるとしたら、事態は目立って急変し、中小経営の構造的な改善、近代化も大きく前進することは明らかであります。  ところが、前国会で大蔵大臣は、物価対策の上からも、中小企業近代化と経済の二重構造の解消のために、中小企業金融公庫、国民金融公庫商工金庫など、政府三機関の貸し付け条件をこれ以上よくするためには、これらの資本金の増額が必要であることを認め、次の予算で考えるといいながら、四十三年度予算では、産投からの中小企業金融公庫への出資わずか三億円以外に何ら資本金増額は行なっていないのであります。そのため、これら三機関は、一けた低いわずか二、三百億円の資本金のまま、しかも融資ワクの増加も主として自己資金増でまかなうというやり方です。  さらに、開銀と同様に、主として独占大企業に対して融資をしている輸出入銀行の資本金をも開銀と合計すると、実に四千四百六十七億円に及ぶのであります。この一事をもってしても、政府の施策が、いかに独占大企業偏重であるか、明々白々たるものがあるではありませんか。私たちは、こうした開銀融資のあり方を断じて許すことはできないのであります。  反対理由の第二は、最近の開銀融資役割りの変遷において、きわめて不明瞭なものがあるということであります。  第一に、このたびの大蔵委員会で明らかにされたことは、開銀融資が、軍需産業に貸し出されていることであります。初めはその額が少なくても、第三次防衛力増強計画、兵器国産化が進むにつれて、次第にこうした軍需産業への政府融資が増額されていくことは、平和憲法のもとの経済運営として断じて許すことはできません。  第二に、開銀の歴史は、二十年代の復興期には、石炭、電力、海運、鉄鋼を中心に融資が行なわれ、三十年代半ばには、貿易自由化に対処するとして自動車、石油化学、特殊鋼への体制金融が行なわれ、さらに、四十年以降、資本自由化への対処として、電子工業、特定機械、繊維、アンモニア等への融資が加わりました。すなわち、基幹産業が、それぞれこれらの特別優遇によって巨額な利潤をあげて自立するにつれて、融資の重点が体制金融、構造金融へと移行してきたわけでありますが、同時に、その融資先はさらに広がって、地域開発、観光ホテル建設、さらに、これらのための土地取得資金にまで政府融資を広げているのであります。先年、汚職不正の重大問題となった共和製糖に対しては、その一部は地域開発という名目で開銀融資も行なわれているのであります。これらホテル建設にまで開銀融資が行なわれているということは、輸出振興と経済建設の基本性格からはるかにはずれた消費的融資となるおそれを持っているのであります。大切な国民資金が、再び黒い霧に使われるおそれを持っていることを強く警告しなければなりません。  しかも、こうした独占的大企業や観光会社、大ホテル等は、いずれも傘下に二つも三つもの不動産会社を持ち、物価よりはるかに高い、戦前比二、三千倍の値段にはね上がった土地の投機買い締めを行なっているのが常識になっているのであります。この会社の土地買い締めこそ、政府の住宅建設を困難におとしいれている大きな原因の一つであります。春秋の論法を借りれば、国民の大切な資金政府資金が、開銀等を経由してそれが住宅建設の阻害要因となるおそれを持っているわけであります。  こうしたばかげたことにならないためには、今後の開銀融資のあり方及び融資先について、国会は徹底的に究明しなければならないと思うのであります。  以上が、第二の反対理由でありますが、同時に、今回の法案審議を通じて大蔵大臣は、資本金一億円程度以下の中堅企業に対しても、開銀融資の道を開くことをお約束なさいました。このことは、中堅企業にとって一つの大きな前進の拠点となることを確信して、反対討論を終わります。(拍手)
  184. 田村元

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  185. 田村元

    田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
  186. 武藤山治

    武藤(山)委員 私は、日本社会党を代表して、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論をいたすものであります。  今回の改正内容は、農業開発基金拠出をきめ、しかも出資拠出ともその全部または一部を国債で出すという、すなわち、特別基金一億ドルを限度に、出資金二億ドルに加えて支出しようとするものであります。しかもこの措置は、国債で全部または一部を出せるようにしようというものであり、外国へ出資する場合、国債というもので処理するしかたには問題があります。支払い契約さえきちっとできていれば、その額を必要とする際に、歳出に予定しておくことで十分支障はないはずであります。国会の目をくらまし、審議に不便を感ずるような処置のしかたは、妥当ではないのであります。財政の運用は、現今乱雑、安易に流れている傾向があり、われわれは政府に強い警告をいたしたいと存じます。  第二に、アジア開銀は、反共国家群を経済的につくり上げ、さらにアメリカのドル圏を拡大する手だてになるおそれが十分あるわけであります。われわれは積極中立の外交こそ、日本の将来の安全と平和に通ずるものと確信をしております。しかるに政府は、インドネシア援助などに見られるように、非常に政略的、イデオロギー的姿勢で現在の外交を進めております。このような姿勢の自民党政府に、アジア開銀を、そのまま運営をまかせるようなことは、非常に危険を感ずるのであります。したがって、私どもはいずれの国とも互恵、平等に、しかも低開発国にはその恩恵を、または利益を全く求めないという姿において、公平な援助態度を要求するものであります。  本案が当初立法された際にも、社会党は反対を表明いたしておりましたので、本案に社会党は反対の意思を表明するものであります。(拍手)
  187. 田村元

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  188. 田村元

    田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  190. 田村元

    田村委員長 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
  191. 只松祐治

    ○只松委員 米国のドル防衛政策は、わが国にもいろいろな問題を投げかけております。    〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 したがって、いろいろな問題を起こしつつあります。このことは、予算委員会では激しく、いわゆる核のかさとして日米の防衛、安保問題等が論議されてまいったわけでございますけれども、別な面から見るならば、これはいわゆるドルのかさ、こう言っても私は言い過ぎではないと思うのでありますけれども日本はこのアメリカのドルのかさの中に抱かれておるといいますか、かさの中にあって経済的な行為を行なっておるわけであります。大蔵大臣は、このアメリカのドルに対して絶対的な信頼と申しますか、一つも不安を感じない、そして今後もその信頼のもとにわが国の経済活動を進めていく、そのかさの中に入れられていくことができる、こういうふうにお考えでございますか。それとも、現状においてはいろいろ不安を感ずる、こういうふうにお思いでございますか。
  192. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりドルは国際通貨制度の基盤をなすものでございますので、何よりもドルの安定というものをはかることが必要あるということで 日本はドルの防衛には十分協力するつもりでおりますが、アメリカがドルを防衛するためにとるいろいろな方法というものには、妥当な適切だと思う措置も考えられますし、そうでない措置も考えられる。私どもはドルを安定することは必要でありますが、その一つの手段として今回の課徴金制度というようなものは、やはりアメリカはとるべきじゃないということで、いまあらゆる機会を通じてこういう方向のドル対策をやめてもらおうと、いま努力しておるわけでございますが、それじゃどういう措置があるかと申しますと、ハワイ会談でも意見が大体一致しましたように、やはり欧州の黒字国との協調をどういうふうな形で得て、そうして、このアメリカの国際収支の改善策を立てるかというような問題それから自国のいろいろな経済政策においてとるべき点は何かというようなことを通じて、私ども協力できる範囲のことは協力する。しかし、やめてもらわなければならぬという政策については、極力これを阻止するというようなことで、いずれにしましても日本の貿易の三分の一がアメリカ大陸にあることでございますから、非常にドルと円は密接な関係がございますので、円の安定はおっしゃられるようにドルの安定とつながっておるというふうに考えますので、でき得る可能な限りにおいて協力するという立場で今後いきたいと思います。
  193. 只松祐治

    ○只松委員 ドルの安定化を望み、またそのために協力をする、これは次にお伺いしようと思ったのですが、先にお答えになりました。私がいま聞いたのは、その前提条件として、ドルに絶対の信頼をお持ちになっておりますか、こういうことを聞いておるわけです。EEC諸国なり諸外国においては、金の動きその他を見ましても、一部には、このドルに対して不安を感じておる向きがあるわけですね。日本の大蔵大臣は、そういうことは一切不安はない、いわば絶対的な信頼をするのだ、こういうふうにお考えになっておるかどうか。いまお答えになったのは次にお聞きしようと思ったのですが、私はその信頼度を聞いておるのです。
  194. 水田三喜男

    水田国務大臣 ドルを安定させる方法というものは、私はたくさんあると思います。今度の欧州でとられた協力も一つの方法ですが、国際協力が強化され、アメリカの対策がよろしきを得るならば、私はドルはりっぱに安定するというふうに信頼しております。
  195. 只松祐治

    ○只松委員 無条件ではなくて、そういう安定への努力、いわば条件つき信頼といいますか、そういうことのようですが、このドルの不安はいろいろな面からきておるわけでございますが、その一つの大きな要素として、ベトナム戦争というものがあるわけでございます。ベトナム戦争に関しては、年間二百六十億ドルから支出されております。今後も、いまの戦況によりましては、さらに兵員の増大、したがってわれわれから見るならばドルの浪費、乱費ということが当然に伴ってきます。起こってくるわけです。あとでお聞きしますけれども日本になんかきびしい課徴金を課そうとしながらも、一方こういう乱費をしているわけです。これは防衛問題であるし外交問題でありまして、経済行為ではないわけですけれども、しかしいわゆるドルの安定という、ドルと円とは切っても切り離せないのだ、こういう立場に立たれる大蔵大臣としては、防衛問題や外交問題とは別な角度から、このベトナム戦争というものに関して、こういう乱費の経済行為に対して忠告なりあるいは勧告なり要望なりする気がありますか。そういうものにむだ使いをしておいて、中期債を買ってくれとかあるいは課徴金を課すとかなんとか、弱い者いじめと申しますか、こういうことをわが国なりあるいは諸外国に要求してくる。俗なことばでいうならば、アメリカのわがままも度が過ぎるではないか、こういうふうに私たちは思います。経済面から見たベトナム戦争に対する大蔵大臣のお考えなり立場というものを明らかにしていただきたいと思います。
  196. 水田三喜男

    水田国務大臣 アメリカの国際収支の赤字という点から見たら、ベトナム戦争の影響というものは十億ドルとか十五億ドルとかいわれておりますが、それよりも、アメリカ国内予算の赤字というものの原因は、やはりベトナム戦争にあるというふうに思っておりますので、ドル防衛策として国際収支という点から考えましたら、いまアメリカのとっているもろもろの措置、三十億ドルに及ぶこの国際収支改善措置、これをとることは非常に有効なことだと思います。    〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、ベトナム戦争による国内予算の赤字というものが、ドルの信任に究極的にはどういう影響を持っているかということを考えますと、いまアメリカのこれによるいろいろなインフレ傾向、そういうようなものを静めるために、当初アメリカ政府が出しておる増税案というようなものがアメリカ議会において議決されて、こういう点ではっきりした態度を示すということが、アメリカの政策にとって重要だというふうに私は考えております。
  197. 只松祐治

    ○只松委員 いまこれも先におっしゃいましたが、アメリカの税制対策、いわゆる国内の増税問題ということも、国内問題としてはきわめて重要な問題だと思っております。こういうものを明確にして国際的な問題に対処するというのが——私たちはそうは思っていませんけれども、結局世界の資本主義国の中心といいますか、その中心的な役割りを果たす国家として当然のことだ。それはそれとして、国内の問題ですから、われわれが要求するということは、これもまた別個の問題であります。われわれとしては、やはり何といいましても、沖縄問題だけでなくて、日本国内のいろいろな問題とベトナム戦争というのが関連を持っておるわけですね。予算委員会もその大きなエネルギーというのが外交、防衛問題に注がれてきておる。おそらくそういうことにもよると思う。私は、あした総理が来ますが、もっとこの歳入委員会を重要視してもらいたいと思うし、予算委員会においても外交、防衛問題だけでなくても、もっと具体的な経済問題を論議する。ニュースの報道のしかたも、外交、防衛問題だけではなくて、そういう問題も行なうべきだ。日本国会のあり方あるいはニュースの報道のしかた、こういうものにもいろいろな問題があるように私自身は考えます。  それはそれといたしまして、とにかく実際はそういうことで予算委員会で多くの論議というものが外交、防衛問題、ベトナム問題等に注がれてきたわけです。それほどに日本の経済、日本の国家とアメリカベトナム戦争というのが結びついている。そのベトナム戦争というものが結局こういうふうに今日のアメリカのドル危機を招いておる大きな原因でございますから、これに対してメスを入れない、これに対して措置をしないで、いつもいわれますように、土台なり根本なり根元に何らの処置をしないで、枝葉末節だけいろいろなことをする、これは私は本末転倒だと思います。資本主義国家のアメリカの有力なパートナー、極東においては唯一最大の友好国である、こういうふうに佐藤さんは自認されておるわけですけれども、その国としてはもう少し、外交、防衛の面からではなくて、こういう経済の面から大いに友好国として忠告するものはする、改めてもらうものは改めてもらう、こういうことをすべきである。そういうことをやはり精一ぱいして、その後に、それでもなおかつアメリカが苦しいというのならばこれは別だけれども、輸入課徴金の問題に対して、佐藤さんが何か特使を派遣すると言っておりますけれども、それは日本のほうの問題としてそういう問題も必要かと思いますけれども、それよりも根本的な問題に、やはり友好的な態度をとっておる現在の佐藤総理として、もう少しただすべきものはただし、忠告すべきものは忠告すべきじゃないか。大蔵大臣はそういう点は、いや、別に現状でいい、感じないということですか、それともやはりそういう面についてはもっとアメリカに言うべき要請は言う、こういうふうにお考えになりますか。
  198. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはりアメリカの直面している国際収支の改善というためには、まずアメリカ国内における予算の均衡ということを土台にしなければならないというふうに思っております。また、現に米国政府もそういう方針でいま非常に努力しておる最中でございます。おそらく米国は、まず国内の均衡を保つという政策は必ず実行するだろうと私は期待しております。
  199. 只松祐治

    ○只松委員 アメリカが実行するだろうではなくて、友好的な態度をとっておられる日本として、佐藤政府として、もっと根本的なそういう問題について、アメリカに要望なり要求なり、そういうことをすべきではないでしょうか。そういうことをした上で課徴金の問題やほかの問題に取り組むならば、これはアメリカとしても聞き方もおのずから違ってくると思うのです。しかし、そういう問題には一つも触れない。先ほどおっしゃったように、ベトナム戦争と増税の問題、これがアメリカのとるべき大きな二本の柱であるということは、大臣のおっしゃったとおり、私も大体そういうことだと思いますけれども、それならばそれとして、増税の問題もありますけれども、それは国内問題ですから。しかし、日本ともっと関係のあるいま一つの柱であるこのベトナム問題については、外交、防衛の面だけではなくて——中共との政経分離ということをおっしゃっていますけれども、私たちは政経分離じゃない、あとでお聞きしますけれども、しかし、いまそういう意味アメリカと政経分離という観点から見まして、もっと経済の側面から見て、ベトナム戦争の問題について御発言をすべきではないか、こういうことを言っております。大蔵大臣がそういうことを考えたり発言をしなければ、ほかの大臣がする人はありませんからね。だから大蔵大臣として、そういう面についてもっとお考えになる必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。
  200. 水田三喜男

    水田国務大臣 事外交の問題は外交の問題として、所管大臣が処理しておることでございますので、この点は、まあ私の仕事の範囲外ということに思っておりますので、御答弁は差し控えたいと思います。
  201. 只松祐治

    ○只松委員 アメリカに直接行ったりなんかするのは、それは外務大臣だと思いますけれども、やはり国会論議をし、どういうふうにするかというのは、国民に対しては大蔵大臣が経済的側面から言っているわけですから、国会で直接発言するのがはばかられるというのだったら、個人的な見解として閣議その他において、私が言っておるように、そういう面からもっとアメリカに対して要望していく、こういうことをお考えになりますかどうですか。そういう気はさらさらないということですか。
  202. 水田三喜男

    水田国務大臣 その点は、さっき私が申し述べました私の考え方で、大体御想像がつくと思っております。
  203. 只松祐治

    ○只松委員 いまからお聞きします課徴金の問題のような具体的な問題それから出てくる枝葉の問題ではなくて、根本の問題について、ぜひひとつ勇気を持って対処していただきたいと思います。いまどういう形で使節団が行くのか知りませんけれども、そういう行かれる人にも、単なる技術的な交渉や話し合いだけではなくて、もっとそういう根本的な問題について討議をする。どうせ財界の人が行くわけですから、こういうことを大蔵大臣としても要望しておいていただきたい。  そういう結果、結局アメリカがドルの不安が増してまいりまして、課徴金を取る、国境税を取る、こういうことをいま言い始めておるわけでございますけれども、いまわが国で予測されておるアメリカのこういう措置というものはいかなるものであるか、その内容についていま皆さん方が把握されておることをお知らせいただきたいと思います。
  204. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 アメリカの考えもいろいろと動いておるようでございますが、まず最初に、ドル防衛対策として貿易の面でも五億ドル改善したい、これは大統領の演説で年初に述べております。それからそのあと、これは正式にどういう対策をとるかということをアメリカがきめたわけではございませんけれども、初めの段階では国境における税の調整、ボーダータックス・アジャストメント、これが非常に有力な案ということでクローズアップされております。最近のところでは、今度はそうではなくて、サーチャーチ、輸入付加金と申しますか課徴金と申しますか、そちらにいくという状況が非常に濃くなってきているということでございます。
  205. 只松祐治

    ○只松委員 新聞が報じておるところですから、私たちもなかなか的確なあれはつかめない。いまおっしゃるように、多少流動はしておるようでございますが、大体どういう名目になるかわからないが、とにかく国境税的なものとして三%と六%ぐらいの間、大体五%ぐらいではないか、こういうことがいわれておるわけです。こういうことになれば、まあこれもなってみなければなかなかわからないわけでしょうが、大体四億ドルから五億ドルぐらい日本では損失が生ずるだろう、こういうことがいわれておりますが、大体そういう程度ですか。
  206. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは中身がきまっておりませんので、日本に対する影響がどのぐらいになるかということは、ほんとうにわからないというのが実情でございます。
  207. 只松祐治

    ○只松委員 しかし、これは、一ぺんちょいと憶測として出ておるのではなくて、新聞あるいは雑誌、その他繊維なら繊維、鉄鋼なら鉄鋼、それぞれの業界紙、そういうのにも全部、これが適用された場合にはということで、大体予測記事が出ていますね。また、そういうものを想像した記事も出ておるわけです。いま言うように、動いておるわけですから、最終的なものはわからないとしても、三%のこういう場合にはこう、五%ならこう。私の言っているのは、大体五%ではないだろうか、そういうことに仮定したら、大体こういうことか、こういうふうに聞いているわけですが……。それは決定しなければ最終的にわからないのはわかっておるのですが、現状におけるわが国に及ぼす影響というものは、どういうふうに捕捉されますか。
  208. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは、中身もわかりませんばかりでなくて、実を申しますと、一つの商品について何%課徴金がつけられたときに、向こうの国内でどういう反応が起き、また日本と競合している輸出国にどういう反応が起こるか、なかなかむずかしいことでございまして、非常に簡単にあんまり自信のない数字を——経済評論家が雑誌に書くようなことはいろいろな形で出せますけれどもほんとうにどうなるかということは、非常に困難な計算なんでございます。
  209. 只松祐治

    ○只松委員 それでは一つもわからないで……。私は、これはぴしっと、一足す一は二として出せ、こういうことを言っているわけじゃないですから。わが国の経済に及ぼす影響というものはおよそこういうことだろう、それならこういうことでたいへんだからこうしようというような、皆さん方が業界なり何なりにも多少話されると思うけれども、そういうことぐらい、国民にも警告なり、あるいは警告までいかなくても、こういうことがあるのだぞということは、政府として知らせるべきだと思います。そういうことまで秘密にすることは何にもないと思います。およそのことを聞いているわけです。しかし、それが逆に全然わからないとするならば、何をあなたたちは大騒ぎしているのですか。そんなこと一つもわからないで、特使を出したり何かして、そんなにわあわあ大騒ぎして……。逆に、こんな騒ぎをする必要ないと言いなさいよ。これだけ騒いでいるのは、相当な影響があるから騒いでいるのでしょう。特使まで出しているのでしょう。いま何にもわからないなら、特使なんか出すのはやめなさいよ。そんなでたらめ言わないで、およそのことぐらい言いなさいよ。
  210. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは日本に相当な影響があるだろうということは考えておるのでございますが、特に、たとえば後進国の産品がどうなるかというようなことで影響の程度も違うということで、私どもいろいろ議論しておりますが、どうもこれといってここで申し上げるようなしっかりした数字というものが出てこないというのが現状でございます。
  211. 只松祐治

    ○只松委員 一足す一は二で、四・五億ドルきちっと出しなさい、こういうことを言っているのではないのですよ。たとえば、少ない場合は三億ドルだろう、多い場合には六億ドルだろうと、そういう幅やなにかいろいろあると思いますよ。ぼくが言うように、大体五%、こういうことになれば、これも四%になるかどうかわからないわけですね。わからないけれども、通常いわれている——私は非常識のことを言っているのではなくて、常識的に、これだけ多くのものが、新聞、テレビ、雑誌から何から、全部これだけ一致したものを書いて、業界なり各財界の連中もいろいろ意見を発表していますね。それだけやって、全然わなからいということはないでしょう。だから、ある程度の幅を持ったことでもいいけれども、こういう影響があるということぐらい、関税法案を審議していてこういうことを何にも言えない、わからないというのじゃ、審議をやめたっていいのですよ。
  212. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは対策を立てなければならぬ責任を持っておる私どもとして、あなたのおっしゃる影響を知りたがっておるのはこちらが一番知りたがっていることでございますので、これについてはいろいろこちらでも検討しておりますが、実際にこれはわからない。日本にとって相当の影響のあることだけははっきりしておりますが、どれだけの影響があるかということは、向こうの措置内容をまず見なければほんとうの推定もできないというのが実情でございます。たとえば向こうはこれによって輸入の絶対額を落とそうということを考えておるわけじゃございませんで、ほうっておけば今年度二千億ドルから二十五億ドル向こうは輸入がふえる。これをふやすのを五億ドルぐらいはとめたいのがねらいだというふうにもいわれておりますし、もしそういう目的のための措置を考えるということでしたら、これはたとえば日本アメリカ貿易におけるシェアが十分の一だというふうに見ましたら、それから計算すれば、伸びるものをそれだけ押えるということならそう大きな影響ではないということもいえますし、向こうの内容いかんによっていろいろの点がいま想像されますので、これはどれだけの影響ということをいまここで言えないのが実際でございます。
  213. 只松祐治

    ○只松委員 通産省、だれか来ていますか。通産省のほうは直接業界を指導していく、そういう立場から、いま大蔵省が答弁されているような形で全然予測ができない、こういうことではこれは業界の指導はできませんね。とするならば、通産省としては、ここにも新聞の切り抜きが一ぱいありますが、これは繊維の被害甚大とか、自動車がどうとか、全部業界ごとに書いてあります。あなたたちも大体そういうことはある程度検討をされておることと思いますが、通産省の輸入課徴金に対する見通し、予測、考え方をひとつ述べていただきたい。
  214. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 輸入課徴金がかけられましたときに、どのくらいの影響を及ぼすかという問題につきましては、ただいま大蔵省のほうからも御説明がありましたとおり、何億ドルになるだろうということを数字で申し上げられる段階ではないと思います。ただ、この問題はいま各業界も非常に問題にしておりまして、それぞれ業界としてかってにどのくらいになるかということも新聞にちらほら出ておるわけでございます。それを全部集めたときに一体どれくらいになるのか、また、業界の試算がそのまま正しいのかどうかという問題もございますし、かつまた、向こうのサイドとしてどういうかけ方をするかということも全くわからないわけでございます。後進国に対して例外を設けるというようなことが行なわれるかどうかということによっても非常に違います。業種別に見まして繊維とか雑貨、それから機械の一部、そういうものにつきましては、現在におきましてもアメリカ市場におきまして日本の輸出のシェアがだんだん減りつつあるものがございます。こういうものにつきまして、かりに後進国につきましては例外というふうなことをやられますと、実質的には特恵を早めて実施されるのと同じような結果を来たすことになりまして、そういうような種類の業界につきましては非常に深刻な影響を来たすおそれがあるということをわれわれも心配しておるわけでございます。  そこで、御承知のようにアメリカは貿易収支面で五億ドル節約したい、こういうことをいっておるわけでございますが、日本のシェアというのが大体五分の一ぐらいでございますから、同じぐらいかぶると一億ドルくらいということになるのでありましょうけれども、先ほども申しましたように、中小企業等の一部につきまして、先ほどのように後進国例外のために、もっとよけいにかぶるということになるとさらにそれはふえる可能性があるわけでございます。したがいまして、数字的に何億ドルくらいになりそうだというようなことを申し上げる自信がございませんけれども、相当な影響がくるであろう、その相当な影響というのはそういう何千万ドルというようなことではなしに、やはり億ドル単位のものになる可能性があるということをわれわれは心配しております。
  215. 只松祐治

    ○只松委員 逆にお尋ねしますが、新聞やマスコミはそれほどインチキではないと私は思うのですが、これだけ連日、毎日毎日課徴金問題が報じられて数字があげられておるのは全くでたらめである、根も葉もないことである、こういうふうにお考えですか。これは国民、庶民を惑わすものである、そういうことはあり得ない、こういうふうにお考えですか。大体そういうことだろう、こういうふうにお考えですか。大蔵省、通産省、それぞれお答えをいただきたい。
  216. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 各業界でそれぞれ、先ほど通商局長も御説明いたしましたように、特に業界の中でも、現在でも非常に苦しくなっているというような業界は、さらにこれが後進国のほうに適用がないということになりますと、そこで差がついて特恵が実施されたようなことになりますので、非常に心配していろいろとそれが新聞にも出ているということはよく承知しております。非常に心配しているということは根も葉もないことではないと思いますけれども、さてそれらを集計して日本の輸出にどれだけ響くかというところがなかなかはっきりしない、こういう状況でございます。
  217. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 ただいま関税局長から答弁ございましたけれども、私も全く同じ感じを持っております。
  218. 只松祐治

    ○只松委員 いや、これは根も葉もないことですか。大体まあこういう程度であろう、こういうふうに考えるのですかと、こう聞いておるのです。根も葉もないことだったら、新聞は連日こうやってうそを書いているとあなたたちは警告しなさいよ、新聞に。何かあればすぐ呼んで注意することがあるでしょうが。そんな国民に不安を起こさしてくれるな、財界に混乱を起こさしてくれるなと警告しなさいよ、いいですか。大体合っているからそういうことしないんでしょう。合っているからしないんじゃないですか。合っていなければ警告すればいいのですよ。日本経済を混乱させるものだとやったらいいでしょう。そんなに数字を隠すことはないでしょう。新聞なりマスコミの数字は大体合っているのですよ、多少は違っているものがあるかもしれませんけれども。これだけ日本のマスコミが一致して書いているのを、今日なおかつあなたたちはわからない。これはぴしっと四・五億ドルとか幾らというふうに言えとか、そういうことを計算して出しなさいと言っているのじゃないんですよ。しかもぼくは、なおかつ新聞に書いていることは大体こういうことであなた方お認めになりますか、それともこれは国民を惑わすたいへんな問題だ、こういうふうにお考えになりますかと、こう聞いておるのです。そのくらいの答弁できないですか。
  219. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは後ほど通商局長からまた補足していただいたほうがいいと思いますけれども、各業界が先ほど申し上げましたように非常に心配している、それは心配するだけの問題であるということは事実でございますから、根も葉もないということではないと思います。ただ、それが日本全体として見た場合にどのくらいの輸出に対する影響があるか、この試算は非常にむずかしい。したがって、私どもいろいろと議論しておりますが、自信のある数字が出てこない、これが現状でございます。
  220. 只松祐治

    ○只松委員 いま私は全体の数字なり何なりをお聞きしておるわけですが、全体の数字なり出てくる影響というものがわからなければ、繊維業界の絹なりあるいは綿なり、あるいは自動車業界なり、どの業界にどういうふうにそれに対する——対抗措置じゃないですよ。それに行く前のいろんな、あまり混乱が起きないように行政指導なりあるいは措置なりしていくかということはわからないんじゃないですか、ある程度のことをやはりつかんでおかなければ。わからない、しないということは、ばっとかけられたときにあわ食ってがたがたいっちゃうんですよ、いいですか。特に中小企業なんかはそういうふうになっちゃうわけですよ。これだけ新聞に書いてあるんだから、それぞれ業界は対抗措置を考えているかもしれないけれども、とにかくそれは新聞がかってに書いて、かってに国民が思えばいいんだということかしりませんが、やはり行政官としては、あなた方は国民を、あるいは経済界を指導していく責務があるわけですよ。そのために月給もらっているわけでしょう。統計数字をいじくっているだけ、国会で答弁するだけであなたたち月給もらっているわけじゃないんだから、予測されるならそういうことをやはり考えなければならぬでしょう。全然考えないですか。出たとこ勝負ですか。
  221. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これは各業界としてはいろいろ、私のほうの業界はこういう心配があるということをいっておりますけれども、それを業界が的確に知っているというよりも、業界としてはこういう問題でこういう影響が出そうだ、おのおのの業界が自分の心配なことをいっておるわけございますけれども、大蔵省として、あるいは政府として、客観的にどのくらいの影響があるかということをつかむことは非常に困難なことでございまして、私ども、自信のある数字がない、こういうことでございます。
  222. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 業界のいろいろの記事は御承知のように新聞に出ております。これに出ております数字につきましては別でございますけれども、真剣に心配されている点は、非常に心配する値打ちがあって心配しておられるんだと思っております。先ほども申しましたけれども、繊維の一部、特にたとえば縫製品、二次製品でございますが、こういうようなものを例にとりますと、アメリカ市場におきまして、最近は香港でありますとか、台湾とか、韓国だとか、そういうところに押されまして、じりじりシェアが減っておるわけでございます。したがいまして、そういう際に、そういう業界の採算状態を見ますと、おそらく非常に採算状態が悪くなっておって、非常に利益の幅が減っているのだろうと思います。そこで、かりに五%でもかけられますと、とてもそれは吸収できない。採算は全然合わない。五%かけられたのが、向こうにかぶせることができるんなら問題は別でございますけれども、おそらく、いま申しましたような状態のもとでは、向こう側にかぶせることができなくて、結局こっちがかぶらざるを得ない。かぶらざるを得ないといっても、先ほど申しましたように採算上かぶれない。結局そうしますと、そういう業界につきましては、非常に大げさな表現を使えば、やや壊滅的な打撃をこうむることはあり得ることなので、したがって、そういう中小企業の一部、いま申しましたような業種につきましては、やはり当該業界としては相当真剣に問題を考えておられるわけでありますし、われわれとしても当然御心配は持たれると思っておるわけであります。したがって、その積み上げた数字はどうかということよりも、そういうことに着目して、これはやはり相当な影響が起こるおそれのある問題である。したがって、われわれはアメリカに対して、ぜひこれを思い直してもらわなければならぬ、そのためにあらゆる努力をしなければならない、こういうふうに考えておるのございます。
  223. 只松祐治

    ○只松委員 いま一部話が出てまいりましたように、ある業種によっては壊滅的打撃を受けるやもしれない、こういうことばもありました。私はそのとおりだと思うのです。特にそういう面は中小企業の製品に多く出てくることが予測されておりますね。私たちみたいなしろうとでも、そのくらいのことは大体わかるわけですよ。それから業界の人の陳情も受けますし、通産省は直接業界指導をやっておいでになりますから、私はほんとうは、いま言った以上にわかっておると思う。大蔵省だって陳情があるからわかっておるわけでしょう。それをここではあまり言わないんだと思う。まことにけしからぬ話だと思う。けしかるかけしからぬかはその次にして、とにかくそういうことならあなたたちは当然に、業界をそこまで追い込まないためにもやはり対処をしなければならない。施策をしなければならぬ。施策をするためにはもっと的確な状況なり数字というものをつかまなければならぬ。アメリカ日本大使館だって、別に飛行機を買うためにばかりあるわけじゃないだろう。こういう情勢をつかむためにアメリカ日本大使館なり、通産省、大蔵省その他の関係の事務官も向こうの大使館にだっておるわけでしょう。だから、おそらくあなた方は知っておっても、影響が起こることをおそれて数字を言わないのだと思うけれども、とにかくこれだけ新聞やマスコミに明らかになっている問題ですから、もう少しまともな答弁、まともな数字を出して、国民に警告するものはある程度警告をする、安心させるものは安心をさせる、そうしてやっていくというのがあなたたちの任務、私たち政治家もそういう任務の一端を持っておるわけですね。与党の人は、こういう議会の審議のしかたですからあまり質問をしませんから、せめて私たちこうやって質問をする人間がそういう問題を明らかにして、国民に知らしていくということでないと、国民は知らないし、納得しないわけですね。民主政治のあり方というものは大体そういうものです。だから、あなたたち、きょうここで言えなければ、別の機会にでも、資料としてでもいいですから、あなたたちが大体予測されるものを答弁するなり、資料として出していただきたい。いま、あるものによっては壊滅的な打撃も受けるというような話がありましたが、そういう事態に対処して、皆さん方は——これも中身はちんぷんかんぷんで、私にはよくわからない。とにかくどういう対抗措置なり、あるいは対抗だけでなくして、処置をとろうとしておられるのか。それぞれ大蔵省、通産省の皆さん方の考えておられる——ガットの提訴とかなんとかそういうことを盛んに言われているわけですね。ひとつ幾つかある皆さん方の対抗措置を示していただきたい。
  224. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 いまの段階は、政府としては、とにかくこういうことをアメリカ政府がやることは世界貿易の正常な発展のために非常に困ることだということで、ぜひやめていただきたいということを強く言っているわけでございます。そういう考え方を持っているのは日本ばかりではございません。各国でこういうことをぜひ断念するようにということを働きかけている段階でございまして、それで対抗措置についてどうするかということは、まだ政府として申し上げられる段階になっていないわけであります。
  225. 宮沢鉄蔵

    ○宮沢(鉄)政府委員 ただいま関税局長から御答弁申し上げましたとおりでございます。
  226. 只松祐治

    ○只松委員 これまた新聞、報道機関の報ずるところでは、もうすでに使節団が行くということが一つ明らかなんでしょう。それから、これは多少の推測でしょうが、しかし日本政府はガットへの提訴を行なう、こういうことが考えられておる。それからわが国のほうもそれに対抗して国境税を設ける、こういうことを考えておる。結局幾つかの対抗措置というのがすでに出ているわけですね。あるいは業界等も要望してきておるわけです、が、そんなことはとにかく、いまEECなんかは——日本が動いてからでないですよ、EECなんか相当強く動いたから、若干いま延びつつあるわけですね。EECがこんなに強く動かなければ、もうあるいは間もなく課せられておる、こういう状態にあるわけです。そういうふうに別段対抗措置も、それから及んでくる影響もよくわからない。これだけ大騒ぎになって倒産するやつがあるかもしれぬ、壊滅するやつもあるかもしれぬと言いながら、対抗措置も何も、ただやめてくださいとお願いするだけです。こういう子供みたいなことしかあなたたち考えてないのですか。もう少し知恵のあることやら効果のあることを考えてないのですか。それではほんとう質問をやめますよ、こんなばかなことを答弁していると。
  227. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 先ほど申し上げましたように、アメリカ措置がどういう品目を対象とするか。それからあるときは国境税調整でやる、あるいはサーチャージでやる。国境税調整でやるということになりますと、内国税から積算しますから、そうすると何%というものは品目によって内国税で計算ができる。サーチャージになりますと、一体どういうことをやるのかよくわからない。特に先ほどから申し上げておりますように、日本の中小企業の産品というものは後進国と競合する。そこで後進国の関係をどうするのか。この関係がどうなるかによって影響の大きさが非常に違う、こういうことでございます。私どもが何か自信のある数字があって、そして答弁で申し上げないということでございませんで、ほんとうに自信のある数字が出てこないということが実情でございます。  それから今度の話の起こりは、御承知のようにドイツの国境税調整というのを、黒字国だから取りやめてくれということをアメリカは執拗に運動しておったわけです。それがEEC全体として取りやめられないということになりまして、今度の話が起こったわけでございますけれども日本政府としても、年初にロストウが来て以来あらゆる機会をとらえて、断念するようにということを言っております。日本が非常に強く反対しているということも相当アメリカにはきいている、そう思っております。
  228. 只松祐治

    ○只松委員 対抗措置は。
  229. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 そこでどういう対抗措置をとるかということでございますけれども、いまの段階として政府としては、極力アメリカにこの措置を撤回させようということを働きかけておる段階でございます。どういう対抗措置をとるかということはまだきまっておりません。まだ申し上げる段階になっておりません。
  230. 只松祐治

    ○只松委員 使節団が行くというのはまだきまってないのですか。全然うわさもないのですか、どうですか。
  231. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 民間から使節団が行くというのは聞いております。
  232. 只松祐治

    ○只松委員 政府が全然それにはタッチしない……。
  233. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 政府レベルでは、先ほども申しましたが、アメリカは一月二日にロストウが日本を説得しようということで来たわけですが、そのときに強く反対いたしましたし、それからホノルルでも非常に強く反対いたしましたし、それから大使からも強く申し入れましたし、外務大臣からこちらの大使にも申し入れましたし、いろいろな措置を講じて断念するようにということを働きかけているわけでございます。
  234. 只松祐治

    ○只松委員 一つは、政府がそういう反対の意思表示をした。それは言えばいい。一つは、民間使節がこうやって行きます。対抗措置といったって、別にけんかするのが対抗措置じゃないからね。それに対処するわけですから方法はいろいろあるわけだ。その二つ。それからガットへ提訴する、これは仮定の問題。向こうからほんとうに課徴金が実施されたとするならば、仮定の問題だけれども、向こうは十二条によってこれができる、こういうことを言っている。こっちはそうじゃない。あなたが言ったかだれが言ったか、政府高官、大蔵高官筋の伝えるところによれば、と新聞は書いてある。だれが言ったか知らない、だれが高官か知らないが、とにかく言っているわけですから、これは仮定の問題としてガット提訴という考慮の余地がありますか。その場合考慮しているわけですか、どうですか。
  235. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 アメリカの動きもいろいろありまして、一がいに言えないと思います。しかし、たとえば国境税調整ということになりますと、形の上ではいまのガットの違反にはならない。ところが、いま非常に有力に伝えられておりますサーチャージということになりますとガットの規定に反しますので、アメリカがガットでウェーバーをとらなければいかぬだろう、そういうふうに考えております。
  236. 只松祐治

    ○只松委員 その場合に提訴しますかということだ。
  237. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 それもなかなかむずかしいことですけれども日本が提訴するというよりも、アメリカがガットでウエーバーをとるという形で持ち出すのじゃないかと思っております。
  238. 只松祐治

    ○只松委員 そうするとこっちとしては、おそらく、全加盟国の二分の一、投票総数の三分の二というものが必要だからとれないだろう、こういう想定に立つわけですか、日本は。
  239. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これはアメリカが年初来、アメリカ措置に対して各国が報復しないように、さらに何とか各国に黙認してもらいたいということでいろいろ働きかけておるわけでございますから、したがって、必ずウエーバーがとれないだろうということを申すのは言い過ぎだろうと思いますけれども、われわれは現在の段階では、アメリカがこういうことをやるのはけしからぬ、ぜひ思いとどまってくれということを強くあらゆる機会に言っているわけでございます。先ほど申し上げましたほかにもいろいろな国際会議がございますが、その際にもそういう意思表示をしておるわけでございます。
  240. 只松祐治

    ○只松委員 そうして、どうしても、いろいろなことをやってもアメリカが背に腹はかえられないで課徴金をかけた、こういうときには日本側もかける、こういうことをお考えですか。これは大臣にひとつ聞いておきたい。
  241. 水田三喜男

    水田国務大臣 日本側としましては、あらゆる起こり得る事態に対処する方法をいま検討しておりますが、まだ結論は出ておりません。こちらが一つの措置をとるにしましても、こういう国際貿易、国際経済を縮小させるような方向の措置はとるべきでないということを、日本はこれだけ熱心に反対しておるものでございますから、これがそれだけ筋を通した反対をしている日本として、各国への日本のとる措置がどういう影響を及ぼすかというような問題も十分考えなければならぬ問題でございますので、そういう意味で非常にいま慎重に、起こり得る事態に対処する方法を研究しております。
  242. 田村元

    田村委員長 次回は、明十三日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時散会