○水田国務大臣 ただいま議題となりました
製造たばこ定価法の一部を改正する
法律案、
酒税法の一部を改正する
法律案、
物品税法等の一部を改正する
法律案及び
租税特別措置法の一部を改正する
法律案について、提案の理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
昭和四十三
年度税制改正のため諸
法律案のうち、さきに所得税法の一部を改正する
法律案及び法人税法の一部を改正する
法律案について御
説明申し上げましたが、今回は、
製造たばこ定価法の一部を改正する
法律案外三
法律案について申し上げます。
まず、
製造たばこ定価法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御
説明申し上げます。
製造たばこの小売り定価は、十数年来据え置かれておりますが、
政府といたしましては、この間における所得、消費水準の上昇及び諸物価の動向等にかんがみ、また、
昭和四十三
年度における財政収入の確保をはかるべく、製造たばこの小売り定価の引き上げをはかることといたしております。
この
法律案は、製造たばこの小売り定価を引き上げるため、種類別、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこについては十本当たり五円ないし十五円、パイプたばこについては十グラム当たり十円ないし二十円、葉巻きたばこについては一本当たり十五円ないし六十円、それぞれ引き上げる等、所要の改正を行ない、本年四月一日から施行しようとするものであります。
なお、製造たばこの各銘柄別の小売り定価につきましては、この最高価格の
範囲内で、
日本専売公社が大蔵大臣の認可を受けて定めることとなっております。
次に、
酒税法の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
酒税は、その税率が所得水準、物価水準の変動にかかわりなく定額に据え置かれているため、税負担が相対的な低下を来たし、他の諸税の負担との間に均衡を失していると認められますので、清酒特級及び一級、ビール並びにウイスキー類に対する税率を引き上げ、あわせて所要の規定の
整備合理化をはかるため、この
法律案を
提出した次第であります。
以下、この
法律案の
内容について、その大要を申し上げます。
第一に、清酒特級及び一級、ビール並びにウイスキー類の税率の引き上げをはかることとしております。
すなわち、これらの酒類に対する従量税率を種類別、級別間の格差を考慮しつつ、おおむね一〇%ないし一五%程度引き上げることといたしました。この結果、通常の容量の容器一本当たり、清酒の特級は六十円、一級は四十円、ビールは七円、ウイスキー類の特級は六十一円、一級はアルコール分四十二度もので四十一円、四十度もので二十八円、二級は三十九度もので二十円程度の増税となります。
また、ウイスキー類特級の従価税率につきましては、従量税の税率の引き上げに見合ってその税率の引き上げを行ない、新たにウイスキー類の一級及び二級の一部のものにつきましても、税負担の適正化をはかるため、
昭和四十六年四月から従価税制度を導入することとしております。
なお、その税率の引き上げが行なわれる酒類を一定数量以上所持する酒類販売業者等に対しては、手持ち品課税を行なうこととしております。
第二に、酒類の定義の
整備をはかることとしております。
すなわち、しょうちゅうについて、一定の限度内での砂糖等の混和を認め、また、ウイスキー類のうちウイスキー原酒またはブランデー原酒が混和されていないものは、ウイスキー類の
範囲から除外してスピリッツ類とする等、酒類の定義について所要の
整備を行なうこととしております。
第三に、酒税に関する手続規定の
整備簡素化をはかることとしております。
すなわち、酒類製造者または酒類販売業者が従価税率適用の酒類を詰めかえまたは改装する場合に届け出を要することとするとともに、未納税移出に関する承認制度の一部を申告制度に改める等の
措置をとることとしております。
次に、
物品税法等の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
物品税につきましては、国際競争力の強化等の見地から、カラーテレビジョン受像機等十品目につきまして暫定的に税率の軽減または非課税の
措置を講じてまいりましたが、この暫定
措置の期限は、本年中に到来することとなっております。これらの物品のうち、小型カラーテレビジョン受像機等六品目につきましては、すでにその
目的を達成したものと認められるところから、その期限到来とともに本則税率を適用することといたしました。他方、パッケージ型ルームクラー等四品目につきましては、その生産及び取引の実情に顧みまして、なおしばらくの間、その税率の軽減または非課税の特例
措置をとる必要があると認められます。また、アンサンブル式レコード演奏装置に対する軽減
措置の期限到来に伴い、その構成部分品に対する税率の調整を行なう等の
措置を講ずる必要がありますので、ここに
物品税法等の一部を改正する
法律案を
提出した次第であります。
以下、この
法律案の
内容につきまして、その大要を申し上げます。
第一に、パッケージ型ルームクーラー等四品目につきまして、その税率を漸進的に引き上げまたは非課税
措置を延長することとしております。
すなわち、パッケージ型ルームクーラーにつきましては、一五%の軽減税率を、小型の白黒トランジスターテレビ受像機及び温蔵庫につきましては、五%の軽減税率をなお二年間適用し、あわせて、他のトランジスターテレビ受像機及び電子楽器につきましては、非課税
措置をなお二年間継続することとしております。
第二に、アンサンブル式レコード演奏装置の暫定
措置の期限到来に伴い、その構成部分品に対する税率の調整をはかることとしております。
すなわち、アンサンブル式レコード演奏装置につきましては、暫定
措置の期限到来とともに一五%の税率が適用されることになりますが、その構成部分品に対する税率もこれと同一となるよう所要の調整を加えることとしております。
なお、これによりまして著しく税負担の増大するものにつきましては、転嫁の
状況等を考慮し、二年間その税率の引き上げ幅を五%にとどめる経過
措置を講じております。
第三に、オールチャンネルテレビ受像機につきまして、UHF放送の受信回路に関する課税標準の特例を今後二年間設けることとしております。
このほか、受信用真空管等を非課税とする等所要の規定の
整備をはかることとしております。
次に、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
この
法律案におきましては、最近の
経済情勢と当面の
政策上の
要請にこたえ、税制上の特別
措置について、新設あるいは整理合理化、適用期限の延長等を行なうこととしております。
第一は、輸出の
振興に資するための
措置を講ずることであります。
その一は、輸出割増償却制度及び海外市場開拓準備金制度を拡充し、輸出貢献
企業については、その割り増し率及び準備金の積み立て率を割り増しすることといたしております。
その二は、
技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に農業及び漁業に関する
技術指導並びに
開発途上国の一次産品の仲介貿易を加え、また、海外投資損失準備金につきましても、
特定の
地域において石油資源を
開発する法人をその適用対象に加えることとしております。
このほか、今後二年以内に発行される民間外貨債の利子について所得税を免除し、国際観光ホテル
整備法による登録ホテル業等の減価償却資産について耐用年数を短縮することとしております。
第二に、
技術開発を促進するため、試験研究費が増加した場合の税額控除制度を拡充し、年率一二%をこえて増加した試験研究費については、その控除率の割り増しを行ない、また、電子計算機
産業の育成に資するため、電子計算機買戻損失準備金の制度を設けることとしております。
第三は、
中小企業の構造改善を促進するための
措置を講ずることであります。
すなわち、構造改善促進
計画を実施する商工組合等の組合員である
中小企業者につきまして、工場用建物、
機械等の二分の一割増償却制度を創設するほか、事業協同組合等が組合員等の職業訓練のための共同教育施設を設置した場合には、五年間十割増しの償却を認めることといたしております。
また、
中小企業者の
機械等の割増償却制度について
業種指定の期限を二年間延長するほか、
中小企業構造改善準備金、
中小企業の貸倒引当金の特例等
中小企業に関する課税の特例の適用期限をそれぞれ二年間延長することとしております。
第四は、既存の特別
措置につきまして、実情に応じた
整備合理化を行なうことであります。
その一は、価格変動準備金制度につきまして、その積み立て限度が既往の積み立て額を下回ることのないよう所要の
措置を講じつつ、積み立て率を二%程度引き下げてその整理合理化を行なうことであります。
その二は、
特定設備を廃棄した場合及び合併をした場合の税額控除制度につきまして、その適用
範囲を縮減する等の合理化を行ない、その期限を延長することとしております。
このほか、今後二年以内に発行される国債について、別
ワク五十万円の少額貯蓄非課税制度を設け、また、原油備蓄の増強のために緊急に必要とされる貯蔵施設及び大都市における送配電設備の
整備のために必要な地中送配電設備について、特別償却を認めることとしております。
また、土地税制のあり方について引き続き根本的な検討を加えることとされていることに関連して、事業用資産の買いかえの特例の適用期限を一年間延長するほか、期限の到来するその他の特別
措置、すなわち資本構成を改善した場合の特別控除制度、農地等の現物出資の登録免許税の軽減
措置等について、実情に応じ二年ないし五年間適用期限を延長することとしております。
なお、以上のほか、税制の簡素化をはかる見地から、収用等に伴い代替資産を取得した場合の圧縮記帳の特例等に関する申告要件についての宥恕規定を設ける等所要の
整備合理化を行なうこととしております。
以上、四
法律案につきまして、その提案の理由と
内容の大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。