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1968-03-06 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月六日(水曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    鯨岡 兵輔君       河野 洋平君    小山 省二君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       井手 以誠君    佐藤觀次郎君       中嶋 英夫君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    武藤 山治君       岡沢 完治君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省理財局長 鳩山威一郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君  委員外出席者         外務省経済協力         局外務参事官  小林 春尚君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      加藤 博男君         通商産業省公益         事業局公益事業         調査課長    石井 泰安君         通商産業省公益         事業局業務課長 塚本 保雄君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月六日  委員北側義一君辞任につき、その補欠として石  田幸四郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月五日  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  号)  物品税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第五号)  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一六号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号)  経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融  通特別会計法を廃止する法律案内閣提出第一  五号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  関税定率法等の一部を改正する法律案所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案、以上の各案を議題といたします。
  3. 田村元

    田村委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。水田大蔵大臣
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案外二件につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近における内外の経済情勢の変化及び関税一括引き下げ交渉妥結等関税面における国際的動向に対応して、関税率及び関税減免制度について所要調整を行なうとともに、不当廉売関税制度整備開港追加等を行なうため、関税定率法関税法及び関税暫定措置法についてそれぞれ所要改正を行なう必要がありますので、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、関税率について必要な調整を行なうことであります。すなわち、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて六十二品目実行税率を変更いたしますとともに、暫定税率適用期限が本年三月三十一日とされている七十二品目につきまして、その適用期限を一年間延長いたしますほか、二十二の品目につき同種の品目税率を統一する等の改正を行なうことといたしております。実行税率を変更する六十二品目の内訳は、税率引き下げるものが関税割り当て制度の二次税率引き下げを含め六十一品目であり、残りの一品目は、配合飼料用以外のトウモロコシの関税割り当て制度につきまして、その適用期限を一年間延長するとともに、二次税率引き上げ、一次税率の一部を引き下げるものであります。  第二は、本年三月三十一日に適用期限が到来する重要機械類免税制度等関税減免税または還付制度のうち十一の制度について、その適用期限を一年間延長することであります。  第三は、別途国会の御審議をお願いしております関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書による協定税率引き下げに応じ、入国者携帯貨物に対する簡易税率引き下げることであります。  第四は、これも別途国会の御審議をお願いしております関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定を受諾することに伴い、現行不当廉売関税制度につきまして、規定整備を行なうことであります。  このほか、最近における港湾施設整備状況外国貿易船の入出港状況及び輸出入実績等を考慮いたしまして、新たに開港として、千葉県の木更津港、広島県の土生港及び福岡県の苅田港を指定することといたしますとともに、若干の規定整備をはかることといたしております。  次に、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。政府は、昨年十二月税制調査会から提出された昭和四十三年度税制改正に関する答申及び税制簡素化についての第二次答申中心に、さらに検討を重ねた結果、昭和四十三年度におきましては、最近における国民負担状況及び経済情勢の推移を勘案し、中小所得者負担軽減に重点を置いて平年度一千二百五十億円の所得税の減税を行なうとともに、輸出の振興、技術開発の促進、中小企業構造改善等、当面の経済施策に即応する税制上の措置を講ずるほか、所得及び物価の水準等状況に応じた間接税負担調整等により歳入の充足をはかることといたしたのであります。  今回は、これらの税制改正のための諸法案のうち、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。  第一は、中小所得者中心とする所得税負担軽減をはかりていることであります。  すなわち、基礎控除配偶者控除及び扶養控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、給与所得控除につきましても、その最高限度額を六万円引き上げることといたしました。また、これらの控除引き上げと関連いたしまして、最低税率を九%から九・五%に引き上げることとしております。なお、これらの諸控除引き上げによりまして、夫婦と子供三人の給与所得者課税最低額は、年収約八十三万円となって現行より十万円程度引き上げられることになるのであります。  さらに、障害者控除寡婦控除等人的控除につきましても、それぞれ一万円の引き上げを行なうほか、特に重度障害者障害者控除については五万円の引き上げを行なうこととし、また、配偶者のいない世帯の一人目の扶養控除を二万円引き上げることといたしております。  第二は、所得税制整備合理化をはかっていることであります。  すなわち、適格退職年金及び地方公共団体心身障害者に関して実施する共済制度の掛け金を生命保険料控除対象とすることとし、また、寄付金控除足切り限度額を現在の二十万円から十万円に引き下げるほか、雑所得計算上生じた損失の金額については、他の所得との損益通算はできないことといたしております。このほか、雑損控除医療費控除等所得控除につきまして、配偶者控除扶養控除等人的控除と同様に、確定申告書にその記載がない場合でも控除ができることとする等、所要規定整備合理化をはかることとしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。  第一は、法人税課税所得計算について簡素化をはかっていることであります。  すなわち、貸倒引当金等のいわゆる各種引当金制度適用について、青色申告書提出する場合に限る旨の要件を廃止すること、欠損金繰り越し控除について欠損金の生じた事業年度青色申告書提出していれば、その後の各事業年度には青色申告書提出することを要しないものとすること等の措置を講ずることとしております。  第二は、主として中小企業者が加入している適格退職年金契約等退職年金積立金に対する法人税税率を一・二%から一%に引き下げることといたしております。  第三は、圧縮記帳特例対象となる工事負担金の範囲に、主として農業協同組合等が受け取る有線放送電話についての工事負担金を追加する等、所要規定整備合理化を行なっております。  以上が、ただいま議題となりました三法案提案理由及びその内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 田村元

    田村委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 田村元

    田村委員長 経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案日本開発銀行法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵大臣、きのうこの問題についてはこの委員会で論議をいたしたのでございますが、どうしても大臣に御答弁をいただかなければならない点が二点ほど残されてまいりました。そこで、大臣からその御所見をお伺いいたしたいのでございます。  というのは、今回、四十三年度産投会計歳入関係を調べてまいりますると、株式売払収入五十五億七千九十万円という歳入項目がございますが、この中身は、大臣承知のように、日本合成ゴム株式会社政府所有をしております九十万株を売り払う、そのほかに日本航空の株を二百六十五万株売却をするという内容のものでございます。  そこで、大臣にその見解をお尋ねしたい第一の点は、先般十万株をとりあえず先がけといたしまして売却をいたしました。そのときに三菱グループのほうがこの株の払い下げを受けたわけでございますが、十万株、三菱化成が独占をいたしたわけでございます。その価格が、額面千円に対しまして三千百六十円という非常に大きな額で落札がなされました。したがいまして、一挙にいたしまして三菱系統が大株主になったわけでございます。この処理をめぐりまして、新聞等が伝えるところによりますると、証券界にどういうような方法でやったらいいだろうかというような意見等も求めながら、大蔵省処分については苦悩している模様であるということが報道されているわけでございます。なぜかなれば、現在の国有財産売却方法によりまするならば、処分方法といたしまして、会計法二十九条の五に定めるところの競争入札をやる、こういうことになってまいりました場合には、高い価格落札をするものがこれを手に入れるという結果になることは言うまでもございません。そこで、現在の予算決算及び会計令臨時特例の四条の十による方式をとろうとしておられるのか、それとも会計法二十九条の五による競争入札方式をとろうとしておられるのか、その処分方法が問題になってくるわけでございます。  そこで、国民の血税の中から国の財産所有と今日なっておりますこの出資証券九十万株の保管につきましては、国有財産の台帳にも出されているわけでございますが、その財産処分をどういう角度でおやりになるのかということを大臣にお聞きしたいのでございます。これを一般競争入札に付していくならば、政府が今日まで日本合成ゴム株式会社の、この非常に将来性のある企業国民税金によって育て上げてきたものが、一つの大きな独占資本に株が全部渡されるという結果になるならば、国民税金でそういうようなものに対しまして利益を与えるという結果にもなる。だから、一体この処分についてはどういう措置をとろうとお考えになっているのかということについてきのう追及をいたしたのでございますが、まだ処分内容等については方針が立っていないやに承ったのでございます。しかし、これはもうすでに予算審議の過程の中に入っておる問題でございますので、大臣から処分方法についての方針を、この際明確にお示しを願いたいというのが第一点でございます。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 御質疑の点は、まだ現在方針がきまっておりません。この合成ゴム会社をつくったときは、ちょうど私が通産大臣のときでございまして、やはり民間ではなかなかこれだけの仕事は起こせませんので、開銀の出資を求めて会社をつくり、これが軌道に乗った場合に、その株は民間に払い下げるという方針でつくった会社でございましたので、今回の処分について私も相当の関心を持っておりましたが、結果はいまおっしゃられたとおりでございますので、こういう一般入札方法だけでもし今後やったとすると、これはいま言ったような弊害がはっきり予想されますので、やはりそれだけではなくて、随意契約方法も加味して、独占されない形でこの株の放出考えなければならないというふうに考えて、いまいろいろ部内で相談中でございますが、まだ結論が出ておりません。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 この日本合成ゴムは日本一の生産能力を持っている、世界で五番目の席を確保している、八期にわたって一割配当を続けた安定した経営路線を歩んでいる。そういうような非常に有望な会社で、さればこそ前回その入札をしたときに三千百六十円という価格落札がされたと思うのであります。いま大臣がお話しになりました内容からいうならば、随契方法考えておるということでございますが、そうなってまいりますると、国有財産として持っておりますこの証券を手放す場合に、一般競争入札に付した場合には、最高価格落札をされて、落札をされたものの手にその株が帰するわけであります。それは望ましくない。とするならば、随契でやる方法は一体どういうふうにお考えになっているのですか。会社従業員等に株を持たせるという方式をお考えになっておるのですか。この方向がきまらないで、財産処分はこういうようなことでやりますと、歳入歳出予算を組んであなた方は国会審議を求めておられるわけです。私は、株をどれだけの価格で手放すのかというようなことまでは、国益に反する結果を招来すると思いますからお尋ねはいたしませんけれども、しかし前回一般競争入札に付して三千百六十円という価格が出た以上は、それを無視するわけにもいかないだろうと思う。したがいまして、そこには、この処理方法いかんによっては非常に問題が出てくる可能性があります。したがいまして、大臣としてはどういうような方向でこの問題を考えようとしておられるのか。やはり大臣考えておられる方向というものが少なくとも明確にならなければ、この歳入歳出関係審議できないという結果になるじゃありませんか。その点、大臣処理方針というものをこの際明確に国民の前に示していただきたい。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま言いましたようなことで、これについてはいままでのやり方ではいけない、どういうやり方をやることがいいかということを、いま事務当局に研究してもらっておる最中でございまして、こうしたらどうだろうという具体案がまだ私のところへ出てきていないところでございますので、これからその結論に対して、自分も加わって意見を述べるつもりでおりましたが、まだそこまで検討が進んでいない。できるだけ早くこの方針はきめたいと思っております。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、どうもその説明では納得できないのです。というのは、いつごろその方針をきめるのか。また、どういう方向処分をしなければならないと考えているのか。皆さんが提出をされた予算の中には五十五億七千万円というものが金額として出されているわけですから、この金額算定根拠については、説明をされなければならないのが当然なんですよ。私があえてそれを聞かないのは、この株の予定売却価格入札前に国民の前に出されたときに、不当な利得をはかるものが生まれることをおそれて、あえてその点は追及していない。それを、まだ処理方針についていつきめるともわかっていないようなものが、予算書に出てくるということ自体がおかしいのであって、この点については、大臣もっと詰めて答弁を願わなければ、この法案を上げるわけにはまいりませんよ。大臣、いつごろその方向をおきめになりますか。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま、関係当局である通産省のほうは、四月半ばごろまでに通産省の案を持ってくるということになっておりますので、通産省の案がきてから大蔵省との相談になりますので、四月一ぱいぐらいにはっきりした方向をきめたいと思っております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 四月一ぱいという一つのめどは示されましたが、その処理方針について——通産省だれか来ておるのですか。きのう出席要請をしておきましたが……。私は、この問題については非常に微妙な点があるので、できるだけ中身についてこれ以上は避けたいと思っておるのでありますが、しかし、やり方いかんによっては政府があらぬ誤解を受けるという結果にもなりかねないのであります。  そこで、これのこういうような処理方針が、今日の時点においてもまだ立っていないようなものを、一体なぜ売却をするということをお考えになったのか。もう少し煮詰めてから売却をするという方針を出して、予算書に計上されてもいいのではないか。当初に、これだけは処分をしなければならないという積極的な理由というものがありますか。
  14. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 昨日もこの問題につきまして御意見があったのですが、私どもは昨年の秋から、この株の放出をしなければならぬということで準備を進めてまいったのでございます。その際の考え方は、全体の一割程度入札処分をする、そういうことによりまして、一体この株がどのくらいに世間評価されているかというこの価格をつかみたい、結局そのほうが一番手っ取り早いからということで、そういう道を選んだのでございます。考え方によりましては、ほかに、たとえば株の評価委員会というようなものをつくりまして、そこで学識経験者が集まって審議をして価格をきめてもらうという方法もあったのでありますけれども世間一般評価のほうがむしろ正しいのではないかということで、そういう道を選んだわけであります。残りの九十万株につきましては、そういった価格基準にいたしまして、通産省のほうで、たとえば関係会社あるいはその会社の役員、従業員というような広い層に、随契方法によって処分をしよう、その随契の相手方につきましては、通産省のほうで審査をして案をつくる、こういう考え方であったわけでございます。  私どもは、当初の考え方によってそのまま処分が済めばそれでいいと思いますが、現在問題になっております点は、一般会社従業員からしますと、三千百六十円というのはなかなか買い切れないという問題が出てきておるのでございます。そういった価格一般従業員に買ってもらえるのであればすぐ実行ができるのでありますけれども、そのためには、何らか会社がいろいろな意味で補助か何か出さなければその株が買ってもらえない、こういうことになって、いま問題がやや難航をしておるのでございますが、われわれの考えておりますことは、現在世間評価された価格というもので随契ができるということに話がきまれば、それで問題はすぐ結着する問題と思っております。何も準備なしに、ただ財源が必要であるからこれを突如として財源に計上するということではなくして、昨年からそういった考え方仕事を進めてまいったのでありまして、問題がいま当初の案どおり、すらっと運ばないという段階にあるということを御了解いただきたいと思います。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、時間をとりたくないのですが、昨年の秋からこの準備作業を進めておられて、半年たってもなお確たる方針が生まれてこないというところに問題があろうかと思うのであります。これが三十二年の十二月に発足をして、そして設立当初は輸入合成ゴムとの競争というきびしい環境の中で、社をあげて、従業員ともども全力をあげて企業努力をして、今日の状態にこぎつけたわけですね。その場合に、一体これからどういうふうにやったらいいだろうか。株を処分する場合の基本的な考え方というものが、随契によるのだ、随契は、三千百六十円という価格を前提にして随契を取り結びたい。それはなるほどそれだけの収入をあげたいという気持ちはありましょう。しかし、それは一体高いのか安いのかということになってくると問題がある。従業員はその価格では引き受けたがらない。では、一体どういうふうにしてやるのだということになると、なかなか話が煮詰まらないで、今日まで遅延をしているという実態でしょう。それを予算書の中にあえて出さなければならないという——これは今日の時点において、予算書の中で歳入としてそれを示す必要性というものはないじゃないか。その話が煮詰まってから、補正予算等において計上されるのが至当ではないか、私たちはこういうふうに受け取るのでございますが、四月の末までには十分にその自信がおありでございますか、大臣
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 四月中にはきめたいと思います。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 では、次の問題に入ります。  大臣、今回、御承知のように経済援助資金特別会計整理と、それから余剰農産物資金融通特別会計整理が行なわれてくるわけでございますが、これらの資金は、いずれもMSAなりあるいは余剰農産物低利長期資金というもので、電源開発であるとか、あるいはその他日本の農地開発とか、基幹産業等にそれらの資金が投入をされ、まあMSA協定の分は軍事産業に投資されておりますが、いずれにしても資金原資というものは、これがアメリカのドル建ての場合には三分程度、日本円の場合には四分程度低利長期資金でございます。それが産投会計に移しがえになるということになってまいりますと、いままでそういうような低利長期資金を出しておりましたものが、当然新しい産投会計基準に従って処理されなければならないものだと私たち考えるのでございます。  そこで、電源開発の場合には、貸し付け金残高が三百十何億ございますが、これらの四十三年度関係予算中身においては、四分の原資のものを四分で貸し付けるようになってはおります。しかしながら、これは将来においては一体どうするのだという説明を求めましたところ、これについてはまだ未確定であるということになっているのでございます。勢いこれは開発銀行を通して資金融通という問題はなされるものだと思うのでございますが、それからいうならば、電力関係等については、六分五厘くらいの金利のものが開発銀行等にはございます。産投のほうからこれをやる場合においても同じような、まあ大体それに見合うような形の中で処理をされていかなければならないものだと私は思うのでございますが、一体電源開発資金等については、今後どういうふうに処理される方針であるのか、この点について承っておきたいのであります。
  18. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 私からちょっとお答えをさせていただきます。  昨日のこの審議の際に……(「大臣が来たから、大臣答弁を求めているのだ」と呼ぶ者あり)あとで大臣にお願いします。  昨日、公益事業局長のほうから、電源開発会社に対して今後ともこの低利資金が必要であるという説明がございました。電源開発といたしましては、やはり資金はなるべく低利のほうがいいということは事実だと思いますが、これは今後の予算で、電発にどういった低利資金の供給をするかという問題でありますので、余剰農産物の特別のほうから移る資産の今後の運用形態をどうするかという問題だけではなくて、全体として産投会計からどれだけ出資をするかとか、そういう問題とからむ問題になるかと存じますので、これは来年度以降産投会計出資がどれだけ電発に出せるようになるかという問題とからめまして、来年度以降はきめたいと思っております。そういう意味でいえば、電発の問題に対しては、まだ来年度の問題をただいまきめるわけにいかないと思います。ただ、一般的には、今回余農の資金産投会計に一本化しますので、貸し付けに回る部分とか、あるいはそのうち従来の利益金に相当するものもあるわけでありますから、ある程度出資に回せるものも出るかと思います。これらは来年度の財投計画策定の際にきめるべき問題であると考えておりまして、従来四分で貸し付けが出ておるから今後も四分で継続する、必ずそうするということは私ども考えておらないということでございます。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 鳩山理財局長の話はまあきのうの続きのようなものでして、あなたにわざわざ答えていただかなくとも、きょうは大臣がお見えでございますから、大臣からお答えをいただきたいと私は思う。  これは、いまの産投会計の貸し付け条件というのが五・五%から七%でしょう。だから運用部資金よりも、条件というのは非常にやかましくなっているはずだと思うのです。それに今度四分資金余剰農産物のやつを受け入れた。それだけ産投のほうのやりくりは、そういう低利資金を受け入れるわけですから豊かになるわけです。ゆとりが出てまいります。しかし、今日まで余剰農産物資金を使って、低利長期資金を投入して電源開発のようなそういう仕事をやってきた。それはもうこれから先は、会計を統一した以上は、やはり現在の会計の原則というものに従わなければ、特別会計を統一する意味がないじゃありませんか。統一をした以上は、期限は十五年から十八年程度で、貸し付け条件は五・五%から七%という現在の原則というものが生きてくる。これが当然の考え方でなければならないのであって、それを四分資金でやっていくということになるならば、では、なぜこの際吸収合併をしたのだということを私は言わざるを得ないのであります。  そこで、その方針というものが明確になされないままに、四十三年度分についてはとりあえず——まあいままでいろいろな準備等もあったので、それは認めるとしても、そのあとについてはこれからでございます、その方針はまだ持っておりませんという答弁では、これは、この両特別会計を産投会計に一本にするということに対する説明にはならないと思う。大臣、いかがでございますか。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、そのとおりだと思います。産投会計に一緒になった以上は、産投会計基準によって貸し付け条件をきめるということが当然だろうと思います。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 それに対しまして、いままでそういうような非常に低利な、長期の有利な資金を受けてまいりました電源開発であるとかその他のものについては、従来どおりの権利を確保するというような考え方を、やはりそういうようなところは持っているだろうと私は思う。そういうようなところから大臣が押しまくられて、また同じように、産投会計の中に五・五%の資金もあれば七%の資金もある、四%の資金もあるというようなものをつくっていったら、いまの産投会計自体が複雑怪奇な状態の中にあって、ますますそういうような複雑な状態になってくる。私はそれでは、今日国民から疑惑の目で見られているような産投会計が、ますますそういうような形で複雑化して、この資金の性格なり資金運用の目的があいまいになってくるということは、許されないことだと思うのであります。そういうような意味において、大臣はやはり一本化する以上は一本化した線で、そういうような要求に対しましては、今後も努力を別個の方法でやるのは、政策的な目的からあるかもしれませんが、とにかくこの産投会計という立場からは、一貫した姿勢を堅持願いたい。それを要望申し上げておきます。大臣、それはよろしいですね。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 来年の問題は白紙だというようなことを言ったようでございますが、白紙だということは、具体的にどうするのだということじゃなくて、要するに、いまの合併前の条件にとらわれないで、新しい立場で考えるという意味だと思いますので、おっしゃられるような方向で運営したいと思います。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 新しい立場で考えてくださいということを言っているんじゃないのですよ。やはり産投に吸収した以上は、産投の今日までの姿勢というもので処理していくのだという、先ほど大臣がお答えになったとおりでけっこうです。それで間違いございませんね。
  24. 水田三喜男

    水田国務大臣 新しいというのはそうじゃなくて、四十三年度のあれにとらわれないでということでございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 以上で私の質問を終わります。
  26. 田村元

    田村委員長 広瀬秀吉君。
  27. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大蔵大臣がきょうはせっかくお見えですので、法案の質問と関連をしながら、若干当面の問題について大臣にお伺いをいたしたいと思います。  経済援助資金特別会計余剰農産物資金融通特別会計、こういうものを今度は廃止をして産投会計に繰り入れる、こういう問題、あるいはまた、開銀法の一部改正する法律案等をいま審議をいたしているわけでありますが、産投と非常に密接な関係のある輸銀の問題がきのうから論議をされてきておるわけであります。これは今度の予算編成にあたりましても、通産大臣大蔵大臣との間に輸銀の金利をどうするかという問題をめぐってたいへん攻防戦があったと報道されておる問題でありますが、きょうの新聞を見ますと、輸銀の金利はいつの間にか一月からもうすでに〇・二五%ないし〇・五%内密のうちに上がってしまっている、こういうようなことになっているわけでありますが、大蔵大臣としてはこの問題についてどのようにお考えでしょうか。まずそのことをお伺いしたいと思います。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、輸銀の金利は必ずしも一律な金利でなければならぬというふうには思っておりません。日本の輸出を促進するために、業種別また輸出向け地別にいろいろの状況考えて、金利は必ずしも画一でなくてもいい。そのほうが輸銀の経営についても、これが非常に強くなって全体の貿易促進に益するところが多いというような考え方を私は持っておりまして、この産業は国際競争力から考えてどうしても低利でなければならぬという場合に、その状況に応じた金利にするというふうに、この金利は一律に運営しないということのほうがむしろいいんじゃないかというふうな考えを私は持っております。
  29. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 輸出金融については、基準金利として四%ということが今日までとられてきたわけであります。その限りにおいては、これはいろいろ見方にはよりまするけれども、輸出促進ということには役立つであろうということは当然わかるわけでありまするが、現在景気抑制といいまするか景気調整といいますか、そういう問題を真剣に取り上げなければならないという状況の場合に、輸入金利が、いま大臣が申されたように六・五%ですか、こういうところが景気抑制というような意味から〇・二五でも〇・五でも上がる。そういうことをことしの財政運営の基本に据えていく、重大目標にしているという立場からはあれなんですが、輸出関係の中でその金利が上がっていく、しかもそういうものをきめておってそれが政治的に非常に問題になったのに、いつの間にかしらん上がっている。こういうことについては、いま申し上げた前段の意味と後段の意味と二つの意味でちょっとおかしいのではないか、こういう疑問を持つわけです。確かに多様の金利があっていいということも一面の問題はあろうと思いますが、あそこまで政治問題化してついにこれは見送ったのだ。どのような事情かわかりませんが、とにかく見送ったということになっているにもかかわらず、それがいつの間にか実質的に輸出入銀行でかってに上げている。こういうことに対してどう思われるのか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 あのときは、別に輸銀金利をもう上げないということで話をつけたわけではございません。やはり金利は弾力的であっていいというわけですが、特に問題になりましたのは、造船輸出の問題を中心としてまだ金利を上げる段階ではない、もう少しこの金利は据え置いてもらわなければいかぬ状態にあるというようなことで議論があったことはございますが、私どもはさっき申しましたように、業種別にいろいろ実情を考えてこの金利の運営をやればいいという立場から、いま船の金利についてはこれを引き上げるというようなことをいま全然やっておりませんが、そういう形で業種別に考えてやっていいんじゃないか。外国の金利状況も非常に変わってきて、割り高になってきておりますので、昔、日本の金利が高くてどうこういわれたのが、いま相対的に相当その点も違ってまいりましたので、外国の金利を見、外国の企業の成長率も見、国内の企業の実態から、これはケースケースできめてもいいんじゃないかというふうに私ども考えて、そういう指導を若干しておりますが、もう輸銀の金利は上げないというふうにそのときに話がついておったのを、輸銀がいまかってに金利をいろいろやっている、こういう事情にはございません。
  31. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そうしますと、基準金利とまでいかないにしても、大体基準金利的に運用されてきたものについては、大蔵省もこれからできるだけ成り行きにまかしていくんだ、自主性を反映するような形でいいんだというような考え、そういうものに変わった。四%なり六・五%なり七%なりという三本立ての金利が今日まで通用してきたわけですけれども、それにはもうこだわりません、自主性に応じて弾力性を持った運営方針に変えました、こういうように了解してよろしいわけですか。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 四%の金利のものが非常に多いということは確かでございますが、あとは多種多様で、七分まで金利は多種多様になっております。
  33. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大臣、きょうはその問題、あんまり本格的にやるつもりで質問しているわけではないのですけれども、はっきりひとつ答えていただきたいのは、そういうことを聞いているんじゃないのです。とにかく大蔵省に連絡もせず、了解も求めず、独自でどんどん金利を操作してこれからやっていっていいんだ、いままでもそうだったのか、それならばあえて怪しむに足りない。しかしながら、通産省大蔵大臣との間に相当この問題は問題になり、政治問題にもなっておったものが、現実にそういうことになったということはおかしいじゃないかという疑問をわれわれは持つわけでありますが、そこらのところもあらためていままでの方針を変えるんだということなのか、いままでも自主性にまかしてやっていたんだ、ときどきチェックするだけだ、こういうことなのか。指導して、こういう輸出については四%を守ってくれというようなものは放棄して、金利の四分を適用するか、あるいは四分を少し高めるかというようなことについては輸銀にまかして文句を言わないんだ、そういうことになったのかということを聞いているわけですよ。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、四分から七分まで多種多様でございますが、いままでもこれはやはり輸銀の権限で、大蔵省にはむろん相談をしながら自主的にやっておったということでございまして、ただそれが今回特に問題になっていますのは、四分についてせめて〇・五%くらいの金利を上げようということを考えたことが、たまたま特殊な業種の問題とからんで、これがいいか悪いかということが論議されたということはございますが、従来からも大体自主的な運営を輸銀はやっておったということでございまして、その点については、今度の場合本質的には変わりございません。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  35. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いま答弁の中に、相談しながらやってきたというお答えがあったのですが、今度の場合も、それでは相談があって、それをいいだろう、こういうことで大蔵省はそういう態度をとった。内密にということできようは新聞に報道されているわけなんです。内密にじゃなくて、相談があったんですか。そうしてそれに対して了解を与えたということならば、それはきょうはよろしい。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 内密じゃございません。相談がございまして了解を与えたということです。
  37. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その点はけっこうです。  それから、きのうも私、本会議の質問の中でも中小企業倒産の問題に触れたわけでありますが、今度の産投会計の中でも、われわれが中小企業金融公庫等に対してはかなりの出資をしてもらいたい、大蔵大臣もそれに対しては大いに努力をするということを言っておられたわけでありますが、今度はわずかに三億しか出資がふえません。もちろんこれは、運用部からの貸し付け金等は一〇%以上ふえて、ワクは拡大しておりますが、しかし、いずれにしても膨大な中小企業の倒産、そしてもう去年だけでも空前の倒産を見て、この一−三月あるいは四−六月にはたいへんな倒産をするだろう。まさに中小企業はピンチだ。引き締め効果も三月、四月あるいは六月までの間に集中的に出るだろう。しかもそれは中小企業にしわ寄せされていくだろうということは、もうはっきりした事実になってあらわれているし、最近における倒産というものもたいへんな問題になっている。おそらく三月から六月には千件台の、年にすれば一万二、三千になるだろうというような高率で倒産が考えられる。こういう状況の中で、年末においてはいろいろ手を打っていただいて、あの当時は何とか切り抜けられた。これは、どこの中小企業専門機関なんかに行きましても、それほど詰まった感じはありませんということです。しかし、それにもかかわらず——これは適切な手が打たれたからという見方も政策当局としては言いたいところでありましょうし、私どもも認めておるわけでありますが、実は年末危機じゃなくて、いまやこの景気調整がずれ込んで、四月−六月危機というようなことになっているわけです。そういうものをここで何とかしなければならない、こういう立場に今日あるだろうと思うのです。年末にとった以上の強力な措置、たとえばこの貸し付け計画を先食いするような相当思い切った措置というようなものもやらなければならぬだろうと思うのですが、この問題についての、これは事務的な部分については銀行局長も答えていただきたいのですが、大蔵大臣の所見を承りたいと思います。
  38. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、中小企業の金融については、政府関係三機関の金融量というものは、大体民間中小企業への金融ワクの約一割というところだろうと思います。したがって、中小企業金融のためには、まず政府関係機関のこの資金の充実をはかるということと同時に、やはり民間への協力ということをさせることが一番重点でございますので、そういう意味において中小企業への貸し付け比率を落とさないように、もっとふやすようにという指導をいたしてきましたが、これがいま、そういう方向でだいぶ改善されておりまして、中小企業への貸し付け比率は非常に伸びております。それと、政府が今回とりました三機関への融資の増額というようなことから、大体この三月までの中小企業のあり方は、そう指摘のようなものにはなっていない。私どものとっている資料から見ますと、何とかいまの程度で切り抜けていかれるというように思っております。やはり問題は三月以降にあるんじゃないかというふうにも考えられますので、そういたしますれば、これは実情に応じて私どもは臨機の措置をとってもいいと存じます。ただ四月になりますと、また散超期になりますので、一般銀行に対する協力も相当強化させられると思いますし、そういう問題とからんで、これが中小企業の危機というようなことでございましたら、中小三機関に対する措置というものは十分これは弾力的に考えたいというふうに思っております。
  39. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 たとえば先食いでもしてというようなことも私ちょっと提案的に申し上げたわけでありますが、やはりそのくらいの思い切った措置をしないとこれはまたたいへんなことになるだろう。もう二月段階でも九百件をこえるというような倒産が出てきておる。これが三月から四月、五月、六月と引き継がれていき、おそらく六月が底だろうという見方はおおむね一致できる状況まで来ておりまするけれども、その四−六をどうつけていくかということについて、いままでやらなかったような思い切った措置をやはりやってくれなければ困る。四月、これは散超になるというようなことだけで、それが中小企業の手元まで回り回って潤していくのは何カ月かかるかわかったものじゃないのです。そういうようなことだから直接的な手を打っていく。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 これは、もちろん大臣がおっしゃったように、民間金融機関の協力というものも当然大事であります。貸し付け比率を落とさないだけでなしに、むしろこの面では増加をしていくという積極的な姿勢がほしいし、それから政府機関に対しては政府の直接コントロールがきくのですから、これをもっと勇気ある措置を、たとえば先食いさせてもというくらいの気持ちをと私は言っているわけでありますが、そこら辺はどうですか。
  40. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、昭和四十三年度政府関係の三機関の貸し付け総ワクというようなものは八千億に近いものでございます。昨年からの伸び率を見ましても一九%というくらいに伸びて、この点は十分考えておりますので、したがって、四月−六月の情勢を見まして、これを四半期別に割るときに、そういう情勢を見て考慮すればいいんじゃないかというふうに考えております。
  41. 澄田智

    ○澄田政府委員 本年度の第四・四半期につきましては、これは過般、昨年末の財投の中小金融機関に対する追加等によりまして、第四・四半期の貸し付け計画の数字で申し上げますと、たとえば国民公庫につきましては、昨年の第四・四半期に比べまして三〇・七%ということでございますが、三割の資金量の増加ということになっております。中小公庫につきましても二割、二一%の増加、こういうことになっておりまして、実質的に第四・四半期については非常に政府金融機関の資金の手当てが厚くなっておる次第でございます。  いま御指摘の四十三年度に入りましてからの点でございますが、これは大臣から申し上げましたように、四十三年度の総資金量の四半期別の割り当て等、これをそれぞれの機関でつくるわけでございますが、そういうおりにも十分そのときの金融情勢、引き締めの浸透度あるいは中小金融の実情等を勘案して、四−六の期間においてはもう重点的に資金配分をする、かようなことで臨みたいと思います。  それから、民間の金融機関につきましても、これも大臣から申し上げましたとおり、中小金融向けの割合というものを下げないように、事実いままで四十年、四十一年、民間金融機関の中小向けのシェアは全金融機関にわたって大きくなってきております。中小向けの比重は高くなってきておる。その高くなった比重をこういう引き締めの時期においても下げないように、できればこれを上げていくように、こういうような指導をしておりまして、最近までの実績においてはそのとおりむしろ比率は上がってきておる、そういうような形を示しておりますので、これから引き締めがきびしくなるにつれて、それが逆転することのないように一そう気をつけてまいりたい、かように思っております。
  42. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 ひとつ強力に、御答弁になられたような措置をしっかりやっていただきたいと思います。  それからもう一つ大臣にこの際聞いておきますが、景気情勢を見て、新年度早々財政支出を留保しようという気持ちが大蔵省にあるという話でありますが、これは予算の成立の時期等も、暫定予算を組まなければならぬというようなことが必至になった状態の中で、あるいは狂ってきたかもしれませんが、二月は一般会計の財政支出が千九百五十億円にのぼり、一月に比べて八〇%もふえている。前年度の同月に比べても三百数十億多い。三月になりますとこの傾向は一そう強まる、三月、四月、五月ですね。こういうような状況から、やはり景気の情勢を見て、すぐに四月から——中立型、抑制型だといっているけれども、われわれからいえばインフレ含みの過大な予算だと思うわけでありますが、そういう中でこういう考えが出たと思うのでありますが、これについての大蔵大臣のいまのお考えはいかがですか。
  43. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはいまのところ全然考えておりません。
  44. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 広瀬委員の質問はまだ続くと思いますが、中小企業金融の問題について、特に私の関係していることで関連質問をいたします。  先ほど水田さんは、政府関係の三機関は補完機関でありますとおっしゃいますが、そうすれば、開発銀行もこれは大企業の金融に対する補完機関でありますね。で、当面の四−六月の中小企業の金融危機はいま広瀬委員が言われるとおりです。これは非常に重要な問題だと思うのです。  同時に、もう一つ重要な問題がある。それは去年私が質問をして、大蔵大臣が次の予算考えますと言った問題は、これはきのう澄田さんに聞きましたが、三機関の金利を下げなければならぬ、八分二厘ですね。大企業のほうは利子補給までやっている。私の言っているのは、一番重要な問題はこういうことだった。つまり、いまの中小企業の危機というものは構造的な危機であるということですね。つまり、人手が不足であるということ、それから特恵関税が今度は中小企業を追い込んでいくということ、どんどん大企業が近代化してくる、合理化してくる、そこでどうにもならないということですね。だから、物価値上がりの原因は大企業の賃金値上げではなくて、これは中小企業が取り残されているからだ。この構造的な問題を解決することは物価問題の解決でも重点的な問題であるということを申し上げたい。そういう意味からいったならば、これは後ほど澄田さんとも議論しますが、つまり、単なる資金量をふやしたとか、いろいろ民間銀行に要請するとかいう問題では解決しないのです。これは大蔵大臣お認めになると思いますが、どうですか。つまり、いまの構造的危機というのは、単に民間銀行に資金量をふやせという要請——これは要請ですよ。要請したり、三機関の資金量を若干ふやしたりというだけでは解決をしない。これは通産省からも中小企業庁からもいろいろ問題が出るだろうと思うのですが、構造的改善だと思うのです。ここに書いてあるように、たとえばほんの中小企業一つや二つの機械を取り上げて、これに少しばかりの補助金をつけたり、これは低利融資だということでちょぼちょぼやっているのでなくて、もっと大きく経済二重構造の改善として考えなければならぬのですね。だから、財政硬直化の今度の予算でむずかしければ、次に本格的に考えなければならぬと思うのです。そういう点で、大蔵大臣の言った次の予算考えるというのはどういう範囲なのか、それからいまの構造的危機、中小企業は構造的危機なんだという認識についてお答えを願いたいと思うのです。
  45. 水田三喜男

    水田国務大臣 中小企業の構造的改善ということは確かにそのとおりだと思います。それにはやはり政府関係機関の強化ということと同時に、一般の金融機関について中小企業に金融する専門機関というふうに、一般金融機関もそういう方向にはっきりしたものをつくることが、この際、中小企業にとっては必要だという関係から、あとから中小企業専門の民間金融機関というようなものについてのいろいろな法案の御審議をお願いしょうというふうに考えておりますので、やはりそういう民間の金融体制の変化と対応して、政府機関関係もそういう方向へのこれらの施策の強化をやっていきたいと考えております。
  46. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 もう一言。後ほど中小企業の金融の再編成のときにいろいろ議論しますが、ただ一言、これだけなんですが、今度の予算考えますと言って、今度の予算で、中小企業庁からの要求、それから環衛公庫の要求も、それからその次に食料団体、今度は流通近代化の要求、その他のいろいろな要求に対してやはりみな削っていますよ。そういう形をとって、資本金増額ということについて大蔵大臣のおっしゃったのは、利子を低くするための条件を確保するためには資本金を増額しなければなりません、ひとつもやっていないのです。こういう問題についてはもっと、中小企業金融再編成でよく議論しますだけではだめで、今後も追及しますけれども、今度の予算ではそういう措置はとれなかったということをはっきり言ってください。
  47. 水田三喜男

    水田国務大臣 出資はふやしておりませんが、補給金については増額しておりますから、その具体的な数字は事務当局から……。
  48. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、今度の予算ではやらなかったと理解していいのですね。本格的なことはやらなかった、この次だと理解していいのですね。
  49. 澄田智

    ○澄田政府委員 私のほうから補足して申し上げます。  今度の予算におきまして、御指摘の出資の点は、昨日も申し上げましたように、これは必ずしも出資という方法によらないでも、中小金融の政府機関の資金コストというものを下げる方法はあるわけでございまして、そういう手は打ってございます。それに加えまして、ただいまもちょっとお触れになりましたように、たとえば生鮮食料品の近代化のための特別融資制度国民金融公庫に設ける、あるいは流通近代化のための融資を中小、国民それぞれの公庫に設ける、あるいはまた環衛公庫の融資の対象を拡大する、いろいろ手は打ってあるわけでございまして、本格的なこととおっしゃいますが、相当な対策を講じてある、かように存ずる次第でございます。
  50. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 もうこれで終わりますが、それがいけないのですよ。つまり、本格的なことをやっていないということだったらば、その次にやるということになるのですが、このくらいのことでもってなんとかかんとかというのだったら、これは永久に中小企業は救われない。だから、本格的なことをやるというのだったら、それは大蔵大臣、やはりいまの中小企業の危機は、広瀬委員の言うとおり、非常にたいへんな金融引き締めのしわ寄せを受けている。同時に、いまの中小企業の危機は、これは人手不足その他の要因があって、これは構造的危機で、これは本格的に取り組まなければならぬという決意のほどをひとつ最後にお聞きしたいと思います。
  51. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、政府関係機関においても、また民間の金融機関のあり方においても、そういう方向へ努力したいという決意を持っております。
  52. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 きのうの質問で資料が不十分できように留保した問題がありますので、まずそれから伺いたいと思いますが、輸銀の資金を使って南ベトナムに医療の無償援助をした。このことは広沢委員から質問されたわけでありますが、この根拠になった協定ですか、交換公文といいますか、そういうものと、この無償援助の根拠の協定、これはどういうものであるか、いつやったものか、そうしてその金額は幾らか、そうして日本のどういう商社にこれを発注をして、向こうのどういう機関にこれが渡って、向こうへ行ってからどのようにほんとうにベトナムの気の毒な方たちの、いわゆる民間の医療、医薬品として使われているか、そのことをどういうことでチェックをし、軍人には使われないのだというような担保というようなものがあるのか、保証というようなものがあるのか、これらについて外務省の関係者にお聞きいたしたいと思うわけであります。
  53. 小林春尚

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、ベトナムに対する医療協力について輸銀の資金が使われたということは承知しておりません。  それからベトナムに対しましては、医療協力につきましては、財源を活用いたしまして、外務省の技術協力の予算を使用いたしまして、従来、まず昭和四十一年度におきましては、チョウライ病院の外科病棟の建設等を行なっております。これはこの金額は一億三千二百五万円でございます。それから昭和四十二年度にやはり技術協力予算を使用いたしまして、同様にチョウライ病院の外科病棟をさらに充実いたしまして、これに一億三千三十七万円使用しております。それから専門家派遣の予算がございますが、これにて現在まで五名の専門家を派遣しておりまして、最近のベトナムの緊急事態におきまして、これらの医者はたいへん献身的な活動をいたしまして、ベトナム側及び在留邦人の方々から非常な感謝をされて、大使館にもその旨が伝えられております。最近の二月に起きましたサイゴンを中心とする緊急事態につきましては、この従来やっておりましたところのベトナムに対する医療協力、技術協力予算を使用いたします。この予算を使いまして、その計画の一環といたしまして、サイゴン病院及びチョウライ病院に向けまして、日本政府よりベトナム政府を相手といたしまして、金額二千万円の薬を送ることにいたしました。これは東京及びサイゴンにおいて相手国政府に伝え、そうしてこの医薬品は、いまのところ、大体三月中旬に、商業機によりましてサイゴンに到着する手はずになっております。ベトナム政府もこれを非常にアプリシェートしまして、この受け入れについての体制を完成し、着きましたら直ちに、空港などに置くことなくすぐ使用する体制をつくりまして待っておるという情勢でございます。
  54. 田村元

    田村委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後二時三分開議
  55. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  56. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 まず、銀行局長にお伺いいたします。  きのうも質問が出たわけでありますが、輸銀を通じていわゆる直接借款が、パキスタンであるとか、インドネシアであるとか、その他メキシコ、インド、中華民国というようなところに、それぞれの協定等に基づいて行なわれておると思うのであります。四十一年度の実績については金融年報で詳細にわかっているわけでありますが、これを四十二年度どういうものがあったか、まず数字を明らかにしていただきたいと思います。
  57. 澄田智

    ○澄田政府委員 輸出入銀行の四十二年度の直接借款でございますが、インド、中華民国、セイロン、パキスタン、それからインドネシア、タンザニア等に対しまして、十一月末までに四百四億の融資を行なっております。年度間につきましては、いまの見込みで申しますと六百三十五億と見込まれております。
  58. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 金融年報で、四十年は四百六十四億円、これに対して四十一年が五百九十二億円、この間百二十八億、二八%増加をしたわけであります。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 四十二年度六百三千五億、これはまだ推計の段階であろうと思いますが、何%四十一年に伸びることになりますか、これが一つ。  それから十一月末四百四億、年度間で六百三十五億というものは何件ぐらいございますか。
  59. 澄田智

    ○澄田政府委員 ちょっと、件数と伸び率をいま計算をいたしまして、その上でお答え申し上げます。
  60. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 では、あわせて昭和四十三年度の計画も調べて、あとでけっこうですから、報告していただきたいと思います。  私がこの問題を取り上げるのは、これらの海外援助が非常に急速に高率をもって伸びてきているわけでありますが、それらの問題も詳しい資料の上に立ってまた質問したいと思います。  それでは、開銀総裁、せっかく午前中からお見えになって、たいへん御苦労さまでございますが、開銀総裁にお尋ねをいたしたいと思います。  開銀の貸し付けの原資と申しますか、これはほとんど大部分が政府資金であります。そういうようなことから、開銀総裁として、この貴重な国民の金——政府借り入れの残高が七千二百七十一億円ある。そのうち運用部資金だけでも六千九百六十九億円、産投が二百九十五億、経済援助資金が七億ということだそうでありますが、六千九百六十九億という金は、資金運用部資金である以上、これは国民大衆の郵便貯金であるとか、簡易保険とか、あるいは国民健康保険とか、その他とにかく零細な大衆の預金であることに間違いないと思うのです。そういうものを運用され、そしていろいろ開銀法の目的とされるところに従って運用されるわけでありますが、今後どういう立場で、どういうお考えをもって、開銀の金を最も国民全体のためにその正しい運用と申しますか、そういうものをやっていくのか、その抱負をひとつこの際はっきり聞かしていただきたいと思うわけであります。
  61. 石原周夫

    ○石原説明員 開発銀行の融資、貸し付けをいたしまする方針がどうかというお尋ねでございまするが、御承知のように、開発銀行法がございまして、「経済の再建」「産業の開発」という目的が第一条にうたってございます。なおそれ以外に、基本法律といたしましては、私どもが担当いたしておりまする仕事から申しますると、北陸、中国、四国、九州、その四つの地域につきましては、おのおの地域開発促進法というものがございまして、その地域の開発促進法、この四地域に関しまする財政の援助と申しまするか、「資金の確保」ということばが使ってあるかと思いまするが、その法律に基づきまして地域開発の仕事を担当するということでございます。それから特定機械の振興、電子工業の振興法というものがございます。これはいずれもそれらの工業につきまして、これの合理化、高度化ということをいたしますために、政府としては財政上の援助をいたすということでございまして、そういうような法律に基づきまして、その法律の趣旨を体しまして運用いたすわけでございます。  御承知であると思いまするが、政府におきまして、政府関係金融機関につきまして運用基本方針というものを毎年立てていただいております。年度開始早々にいただくわけでございまするから、毎年毎年、先ほど申しました諸法律の趣旨と、政府からいただきまする運用基本方針というものを基幹といたしまして貸し付け運用をいたしてまいるわけでございます。ただ、私ども金融機関でございまするから、金融機関としての判断をいたす必要がございます。これは政策融資でございましても、いわゆる金融的に合わないというものにつきましては、私ども融資をいたすというわけにまいりかねるわけでございますから、その基本方針に基づきまして、各個の場合におきまする総合的な判断をいたしてまいるというのが私どもの銀行のつとめであろうというふうに考えております。
  62. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀法の法律に定める目的、あるいはまた毎年示される「政府資金の産業設備に関する運用基本方針」、こういうようなものに従ってやっていく、こういうことでありますが、そうしますと、この運用基本方針は大体六月、去年あたりは六月二十日に企画庁から示されているわけでありますが、ことしもそういうことであろう、大体そんなところに落ちつくんじゃないかと思うのですが、この予算を、開銀の政府機関としての予算案を策定する段階では、貸し付けの計画というものは立たないわけでありますか。これが示されてから具体的な計画を立てるわけでありますか、その辺はどうなっておりますか。
  63. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほどお話がございましたように、私どものほうの銀行は、一部外債にまちまする場合、そういうものはございますけれども、その他はあげて政府資金に依存をいたしているわけでございます。したがいまして、政府が財政投融資をおきめになりまする際に、どういうような金繰りで、どういうような貸し付け目的に向かって金を出すかということにつきましての内部の意見をまとめる、これは各省、相当多くの省が関係しておりますから、各省間の調整をいたしまして、政府との間の調整をいたすわけでございます。したがいまして、私どものやっております仕事のうちで、たとえば海運でありますとか、あるいは電力でありますとか、石炭でありますとか、そういうように非常に大きな項目をなしますものにつきましては、政府側と年度の財政投融資計画の基礎をなしまする借り入れ金を計算いたしまする際、金額を一応概計をいたします。ただ、それ以外の項目につきましては、これは毎年多少内容が異なりまして、たとえば大都市再開発というような項目は、実は従来から全然ないわけではございませんが、四十一年度からそういう項目を立てまして、これはたとえば本年度は二百五十億というような金をそれに充てようじゃないか、こういうようなことで、各省とも御相談をし、監督当局とも御相談をしているわけでございます。したがいまして、大体本年度、四十三年度どういうことをいたすのだということは、財政投融資計画をおきめいただきます際に大体のアウトラインはできておる。しかし、そう一々こまかいところまでできておらぬという面と、実行上若干の調整をする場合がある、こういうふうにお考えをいただけばよろしいと思います。
  64. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀の特徴と申しますか、そういうものの中には、やはり経済の再建なり、産業の開発なりに寄与する設備の取得、あるいは改良、補修、こういうようなものに融資をするんだというわけでありますが、しかもそこに一つの大きな限定と申しますか、国家的な要請というものが、民間金融機関が行なっているものに対する補完という意味、それは具体的には、民間金融機関が供給することが困難である、そういうようなもの、こういう条件があると思うのであります。その点についてどういうような基準とか、どういうようなお考えでそういうものを判定をされるのでありますか、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。
  65. 石原周夫

    ○石原説明員 私どものやっておりまする仕事は、ただいまお話しのように、民間の金融機関の補完または奨励ということに相なっておるわけであります。これは私どもの銀行ができましてすでに十六年に相なっておるわけでありまするから、その内容も十六年の間に若干変わってきておるかと思います。  ごく大ざっぱなことで申しますると、かつては量的補完の時代であった。今日は質的補完の時代であるということを申すようなわけでありまして、銀行開設早々の時代におきましては、産業資金そのものの量が足りない、整備資金そのものの量が足りない。したがって、私どものほうの銀行で、これの補完を量的にいたすのだといった点が主たるねらいであった。ところが、最近に相なりますと、相当金融の流れも大きくなってまいりましたので、私どもの金融は質的な補完をいたすのだというようなことを大ざっぱに申しております。ただ、これは私、必ずしも正確ではないと思うのであります。その前後を通じて奨励であり補完であるというふうに考えるのでありますが、ニュアンスの差はあるということを申し上げておいたほうがいいかと思っております。  ただ、こういうことは申し上げておく必要があると思います。それはある特定の仕事の計画に対しまして、私どものほうの銀行が、その所要資金の全部をやる、あるいは全然やらない、こういうわけではないのでございまして、これは最初の量的補完、質的補完の時代を通じまして、私どものほうは民間の金融機関と協調融資ということをいたしております。それで融資率が何割ということを申すわけでございますけれども、これはやはり私どものほうが何割かお金を出すことによりまして、政府考えておられる政策が実現せられるように誘導をいたすということであり、あるいはその金がなければできない部分を補完をいたすということでございます。したがいまして、そういうような意味で、その奨励ないし補完というものは、先ほどのことばで申し上げますように、これは相当ニュアンスの差異に属するものではございまするが、同時にまた、金融の時期的な繁閑という問題もございます。したがいまして、私どもといたしましては、市中金融機関と、あらゆる場合に御相談をいたしまして、これは私どものほうでどの程度やるか、それは私どものほうでどの程度やればおたくでどれだけやっていただけるか、逆の場合ももちろんあるわけでございます。これは資金を必要とせられる方と御相談をしながら、その間にわれわれのほうが出過ぎて、かえって弊害をかもす、あるいはわれわれのほうが出さなさ過ぎて、そのために必要な計画が、金融として本来成立し得るものであるにかかわらず、うまくいかないということがないように、その点は非常に注意しながら、各金融機関と御相談をいたしてまいっておる次第でございます。
  66. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういうぐあいにして判断をしながら、個々のケースとしては独自の判断を加えながら、大まかな点については運用基本方針に従いながらやってきた。その結果が、今日業種別の貸し付け残高の中に大体あらわれていると思うわけでありますが、電力、海運、石炭、そして最近になって地方開発というのが非常に大きな残高を占めているわけであります。この四十二年度の、まだこれは見込みになろうと思いますが、貸し付け残高の見込みを、大どころだけでけっこうでございますから、数字をちょっとあげていただきたいと思います。
  67. 石原周夫

    ○石原説明員 おっしゃいますのは、各事業項目別でございますか。
  68. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そうです。
  69. 石原周夫

    ○石原説明員 いまどこか手元にあるはずでございますが、とりあえず十二月末の数字を申し上げますが、いますぐ追っかけて申し上げます。  十二月末現在におきまして、貸し付け残が一兆一千七百九十九億でございます。これは国内資金分でございますから、このほかに外貨貸し付けが七百億でございます。正確な数字は後ほど申し上げますが、これに七百億を加えたものがうちの貸し付け残高というふうにお考えいただいてけっこうでございます。大体一兆二千五百億ちょっとこしたところでございます。いま七百億という数字を申し上げましたが、これは世界銀行から三億ドルの借款を受けましたその残でございます。それを除きまして一兆一千七百九十九億というこの十二月末現在の貸し付け残について申し上げますが、電力が三千四百十四億、パーセンテージで申しますと二八・九%であります。海運が三千八百八十四億、三二・九%であります。地方開発千三百三十三億、一一・三%であります。石炭が八百五十九億、七・三%、特定機械二百三十二億、二%、その他が二千七十七億、一七・六%、合計が一兆一千七百九十九億というのが十二月末の数字であります。
  70. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大どころはそういうところに融資をされておるわけであります。その中で石炭産業が八百五十九億の貸し付け残高になっている。これは石炭産業が今日ほとんどの山が赤字決算で、一体石炭を将来どう持っていくかということについては、これはまたエネルギーの問題としても非常に大きな問題になっているし、経営、そしてそれに対する再建、そういう問題でもこれはたいへんな問題であろうと思うわけでございますが、この石炭産業の貸し付け残高が、四十一年度末の七百六十三億からさらに九十六億近くも伸びて八百五十九億にもなっておるわけでありますが、これは将来ともまだ相当累増する可能性があるだろうと思うのですね。これの回収の状況はどうなっておりますか口そうしてまた将来の見込みはどうなりますか。
  71. 石原周夫

    ○石原説明員 現在までに累計をいたしまして、開発銀行が石炭鉱業に対しまして四十二年九月末でございますが、千百九十四億の貸し付けをいたしております。それに対しまして、貸し付け残が七百九十三億でございます。  なお、これはお尋ねがなかった点でありますが、先ほどのお尋ねと関連いたしますから申し上げておきますると、期末の延滞状況でございますが、先ほど御心配をいただきましたものが延滞分となって端的にあらわれているのでございますが、四十二年九月末におきまして、二十三億の元本の延滞残がございます。これは大体三十九年あたりから二十一、二・三億というような程度で、大体元本の延滞は横ばいの状況だというふうに御承知を願いたいと思います。
  72. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 総裁、私が聞きましたのは、延滞がもうすでに出ている、将来これの回収という問題はどうなるのか。開銀の経営にとっても、なるほど産業の開発という大きな目的があるわけでありますから、必ずしも絶対にもうかっていなければならぬということを私は毛頭言うつもりはないのですけれども、しかし、こういうところにどんどん貸し付けを増大しておって、しかも延滞がどんどん増大をするという推定にあるのじゃないですか。その見込みはどうでしょう。
  73. 石原周夫

    ○石原説明員 私、実はお答えをいたすに適当ではないのかと思います。ただいまお尋ねの点は、大体政策当局がお考えになるべき問題でございまして、私どもといたしましては、先ほど来申しておりますように、各個のケースにつきましては金融的に判断をいたしておるわけであります。先般来の抜本対策というものがございまして、政府としては一千億の肩がわり対策というものをお立てになっていらっしゃるわけであります。したがいまして、これに基づきまして石炭鉱業審議会で、各個の会社につきまして、その千億の肩がわりをいたしました結果どういうことになっているか、それが立ち直るか立ち直らないかという一応各個別の検討をいたしまして、それに基づきまして、一応政府としては肩がわりの計画を進めておられるわけであります。したがいまして、開発銀行もそれに基づいた融資をいたしておるわけでありまするが、最近におきまして出炭がはかばかしくない、あるいは災害が起こるというようなことがございまして、ただいまお示しのようなことが起こっているわけであります。これをどういたしますかということは、これは政策当局がお考えになることだと思います。ただ、私どもの融資の割合について申しますると、先ほど御指摘になりましたように、残高といたしましてはふえておるわけでございます。と申しますのは、当然といいますか、石炭は償還期限が長うございますから、償還金よりはもちろん貸す金がはるかに多いということであります。融資比率、石炭鉱業に対します融資のワクが全体のワクに占めます割合は、全体ワクの伸びているのには及ばない。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 最近におきますると六%、二、三年前まではそれが八%、一〇%というような状態でありました。したがって、融資の割合におきまする石炭のウエートというものは、若干ではありますが減少している、こういうことであります。
  74. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 石炭の関係は、政府の肩がわり  一千億融資というような問題とかち合いますから、その程度にしておきます。  次に、今回産投に引き継がれる援助資金からの開銀を通ずる貸し付けが、ほとんど航空機、武器、弾薬、あるいは通信器材などに投資をされまして、大体開発銀行の資料によりましても、約六十三億が武器生産といいますか、そういうものに貸し出されてきたわけであります。これはこの年報等に出ております特定機械の中に入っておるということでありますが、それでよろしゅうございますか。
  75. 石原周夫

    ○石原説明員 どの資料でおっしゃっているか知りませんが、特定機械は先ほど申し上げました特定機械の振興法がございまするから、その融資の関係だけをおっしゃると思いますので、その中に入っておりません。これは資金も先ほど申し上げましたが、全く別の資金でございますから、別の項目を立てておるわけでございます。
  76. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今度は、それが産投にこれからは引き継がれるわけですね。いままでも開銀からそういう別ワクで兵器産業関係にその設備投資を中心にして貸し出されてきて、約六十三億あるわけであります。今後これは産投からの出資なり、繰り入れなり、貸し付けなり、借り入れ金の導入ということに相なっていくわけでありますが、いままで別ワクにしておった分は、開銀の中での取り扱いとしては今後どうなるわけでありますか。
  77. 石原周夫

    ○石原説明員 実は、経済援助資金の特別会計から、いわゆる経済援助資金として当行が融資を受けておりました分は——これにつきまして御承知であろうと思いますが、別に運営基本方針というものを政府からいただいておるわけであります。融資のなかった年がございますから、融資のなかった年は別でございますが、融資のありました年は、毎年、政府におきまして経済援助資金の運用基本要綱というものをおきめいただきまして、それに従いまして私どもとしては融資をいたしてまいりました。今回特別会計が消滅をいたしたわけでありますから、今度は産投会計と申しまするか、あるいは運用部資金になりますか、そこら辺は政府側の問題でございますので、私のお答えをいたしかねるところでありますが、いずれにいたしましても今度は、従来のようにその分として別にこの金がある、これは全然別ワクのものであるということには相ならないだろうという点は全くおっしゃるとおりであります。ただ、これからの経理のいたし方、これからの運営のやり方その他につきましては、政府側でどういうことをきめていただけるか、それに基づきまして私どもは運営いたしてまいりたいというふうに考えております。
  78. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この運営方針の中で、一体武器産業というものがどこに出てくるのかということは私どもわからぬわけです。これは兵器も機械の一種でありますから、機械というところで、この運用基本方針には、「機械工業振興及び電子工業振興のための臨時措置にかかる設備を主とし、専門生産体制の確立等に留意しつつ、わが国産業の国際競争力強化に著しく寄与する機械の生産設備の近代化、合理化をはかる。」この辺に該当する以外にはほかにないじゃなかろうか。あるいはまた電子計算機なんかも、バッジ等については非常に重要なものになってくるわけですから、「技術開発の推進」この辺のところかなというように推定するわけでありますが、この兵器産業というものに対する融資については、この運用方針の中のどういうところから出していくおつもりでしょうか。
  79. 石原周夫

    ○石原説明員 これも私がいまの段階でお答えをいたしかねる問題に属するわけでありますが、ただいま御指摘のように、たとえば従来は航空機の関係である、あるいは武器の関係である、あるいは電子工業の振興法ができまする以前におきましては電子工業、相当出ておりますが、どういうような項目だということを基本方針でおきめいただいておるわけであります。ただ今回は、まだこれからの話でありまするから、これからどういうことになるかということは、これから政府側が御相談になりまして、運営基本方針でおきめになる、それを私どもが拝見をいたす、こういうことになると思います。
  80. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 通産省に伺いますが、新聞の報道するところによりますと、四十一年度防衛庁の契約高順位というようなものが出ていまして、たとえば三菱重工業が二百億、兵器産業二百億の契約が成立しておる、あるいは石川島播磨が七十億、川崎航空が六十七億だ、日本製鋼が二十四億、三菱電機が二十二億、以下小松製作所が二十億だとか、新明和が二十億だとかいうようにずっと出ているわけですね。こういうようにして第二次防衛計画、この段階では国内における兵器生産調達費といいますか、そういうものは四千四、五百億程度だった。これが第三次防になりますと大体九千億から一兆円になろう、これが国内調達をはかられるのだ、こういうことに計画がされておるわけですね。こういうものに対して通産省としては、開銀に対して、こういうものが三次防あるいは四次防、五次防というように続くわけでありますが、金額もおのずから飛躍的に巨額なものになっていくだろうと思うのでありますが、そういうものに対して通産省は、一体どういう——おそらくいままでの設備だけでやれる、あるいは設備を大幅に改善するなり、改良するなりというようなことなんかも——こういうような巨額にのぼる、日本の産業としては比較的新しい、いままでの産業からスムーズに転換できるのもあるだろうけれども、新しい分野が一つ開けていくようなかっこうになるだろうと思います。こういう面が非常に注目されているわけでありますが、そういう際に、そういう面での設備資金というようなものがやはり巨額にのぼってくるだろう、そういうものに対して、開銀に対して通産省としてはどういうものをお求めになる気持ちがあるのか、こういう点について通産省考え方を聞かしてほしい。
  81. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  御承知のように、従来の防衛産業の生産規模というものは、防衛産業としての生産規模は百億をちょっとこえる程度の、規模としては小さいものでございました。ただ生産品の性質上、非常に技術上高級なものを要求される、精巧なものを要求されていることから、設備等につきまして高度な設備が必要だということがございまして、できるだけ専用的な設備につきましては、従来の経済援助資金の開銀のほうへ貸し付けられた資金から融資をするという形でまいったわけでございます。今後第三次防衛計画の実施に伴いまして設備の新設等が必要になる場合もございますが、これらにつきましても、できるだけ専用的なものにつきまして資金の必要が出てまいろうと思います。これらにつきましては、今回の特別会計の廃止に伴いまして、新たな融資の財政的な面の援助が必要であろうと思いますから、これらにつきましては慎重に今後検討して、関係大蔵省等と相談をしたい、こういうように考えておる次第であります。
  82. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 重ねてお伺いいたしますが、第三次防衛計画で、国内の兵器生産で大体一兆円の金が使われるであろう、こういうことはいまや常識になっているわけです。これの生産体制のために所要設備資金というのは一体どのくらいかかると推定されておるのでありますか。それと同時に、開銀に対してそういう設備の資金の供給を求められるかどうか、こういう点についてもあわせてお伺いしたいと思います。
  83. 本田早苗

    ○本田説明員 技術的な問題になりますので航空機武器課長から……。
  84. 加藤博男

    ○加藤説明員 三次防以降の生産のために必要な設備資金がどのくらいかかるかということについては、実はまだよく調査もいたしておりませんし、数字その他をつかんでおるわけではございません。   〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 ただ、生産額が実体的にどうなりますかということは、私ども狭い意味での武器と、それからいわゆる航空機を見ておりますが、そういう点から見ますと、膨大な生産量に必ずしもならない面もございます。しかし、その辺の数字については、私ども結果が出てきませんとわかりませんが、生産の段階で新しいものをつくりますと新しい設備が要るという場合が起こりますが、従来と同じようなものでございますと、飛躍的な生産量の増大がないと、必ずしも設備資金のほうにはね返らない場合もございます。そういうようなことで、私どもいまこの資金量がどのくらいになるか、実ははっきりわかっておりません。第一点の御質問についてはそういう点でございます。  第二点の開銀からの融資という点でございますが、この点については、私どもは従来どおり、金利の点は別でございますけれども、開銀の応援を得たい、そういうことを担当といたしましては考えております。
  85. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 開銀総裁にお尋ねいたしますが、現在貸し付け残高の中で、防衛関係産業、兵器産業、こういうものに貸し付けている額はどのくらいのシェアになっておりますか、金額も同時に。
  86. 石原周夫

    ○石原説明員 経済援助資金の特別会計のほうから融資をいただいておりましてこの貸し付けをいたしておりまするものが、先ほど御指摘のございました六十三億三千七百万円というものが累計額でございます。この残高が五億二千二百万円、これが、航空機が二億九千二百万円、武器火薬が一億五千二百万円、オートメーションその他七千八百万円、これは大体電子工業でございます。以上合計しまして五億二千二百万円、これが現在の私どもの残高でございます。
  87. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 ところで、これは政策問題にもなろうかと思いますが、銀行局長なり政務次官からお答えいただきたいのですが、開発銀行にいままで経済援助資金の別ワクでということで、そういう貸し付けも行なわれておったわけでありますが、開発銀行の本来の目的というものから、こういうものがだんだん巨額にのぼって、現在のところでは、いまシェアのパーセントが出なかったわけですが、これがどんどんまたシェアとしても増大をしてくるというようなことについては非常に問題だろうと思うのです。国民大衆の金、その国民大衆は防衛生産とか、あるいは兵器生産、軍備増強というようなことをちっとも願っていないのであります。これは世論調査などを見ましても、NHKの調査等においてそういう結果もあらわれておるわけです。そういう中で、いま通産省の御意見を承りますと、経済援助資金特別会計はなくなるけれども、それを引き継いだ形で、いままでそういう関係があったのだから、開発銀行にやはり求めたいという、こういう問題については一体大蔵省としてどのように考えられますか。開発銀行にどんどん防衛産業のための資金供給の任務を負わせるということでよろしいですか、その点はっきりお答えいただきたい。
  88. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの点、お答え申し上げます。  まず、防衛産業に対する現在の経済援助資金特別会計からの金によります、開発銀行の融資の全体の一兆二千億の貸し出し総額の中のシェアでございますが、いまちょっとここで計算いたしたところでございますが、〇・〇四%でございます。したがいまして、全体のウエートとしてはきわめて少ない、こう申し上げて差しつかえないかと思います。  それから今後の防衛産業に対する問題でございますが、今回特別会計の廃止に伴いまして、開銀融資における別ワクの取り扱いというものは当然廃止される。これは御承知のとおりでございまして、今後はその防衛産業に対して開銀が特別な扱いをして、特別融資をする、こういう考えはございません。一般貸し付けのワクの中、その他のワクの中というようなところで、開銀の一般産業に対する融資として考えられるものとして、その中に個々の案件について今後開銀において検討をして融資すべきものは融資をするということはあろうかと思いますが、防衛産業ということで特別な融資をするということはないものと思います。  そうして、いまこういう融資が非常に大きくなるのではないかというようなことでございますが、いま申し上げましたようなことで、特別な別ワクの融資ということはございませんで、また、現在の非常に低いシェアというようなことから見ましても、これが御指摘のようなことになるというふうなことは毛頭考えられないところでございます。
  89. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 倉成次官から、いまの問題について大蔵当局として——いま通産省からは、開銀にやはり求めたいと言っているのですよ。そのことが本来の開銀の設立の趣旨、これはもちろん当初の目的から時代の流れに従って、若干、たとえば量的補完から質的補完に転換をした、地方開発というような問題がどんどん入ってきたとか、そういう問題はありまするけれども、いわゆる防衛産業、兵器産業に対して、これも広くいえば産業の開発だ、こういうようなことでは、これはおかしいわけであって、国民大衆の金なんだ。したがって、国民大衆のところにはね返ってくる、ほんとうに直接的にはね返ってくるような産業の開発というのが、本来の趣旨であったろうと思うのですが、それにもかかわらず、そういうものをどんどんやはり——防衛産業に対する設備資金所要額がどのくらいあるかわからぬけれども、そういう状況の中で、まだわからぬとは言うけれども、それを開銀のほうにとにかく求めていきたいという気持ちを通産省としては持っている。それに対して、大蔵としては一体どう考えるのか、この開銀の所管官庁としてどういうお考えを持ちますか。
  90. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま銀行局長からもお答えいたしましたように、防衛産業に対する開銀の融資については、特別の取り扱いをしようという考えはございません。しかし、防衛産業という定義が非常にむずかしいと思うのです。武器や弾薬をつくっているのははっきりしておりますけれども、いろいろな多角的な経営をしておるという場合があるのであります。そういった場合に、それにたまたま防衛の仕事が一部にあるかどうかということによって不利益な取り扱いをするかどうかということは、ちょっと慎重にこれは考えなければいけない問題じゃないかと思います。したがいまして、もう一度繰り返しますと、防衛産業に対する開銀融資について特別な取り扱いをする考えはございません。一般的な貸し付け、開銀の業務として個々の案件に即してこれは決定していくべきものだと考えております。
  91. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 全然歯切れの悪い、筋の通らない答弁であるわけですが、本来の開銀の設立された趣旨というものと、防衛産業が入り込む——今回、経済援助資金というもので、これは武器産業に資金を供給するということが主たる目的であったわけだけれども、それがなくなったというようなことで、やっぱり開銀にあおりといいますか、引き継がれてそういうものがどんどんシェアとして拡大をしていくのかどうか、そうしていくことが本来の開銀の使命というものをそこなうのではないか、開銀としてはそういうことはやるべきではないのではないか、こういう考えを私ども持つわけだけれども、その点どうなんだ、こう聞いておるわけです。ずばりでひとつ答えてください、あなたの率直な気持ちを……。
  92. 倉成正

    ○倉成政府委員 お答えします。  たびたび繰り返して申し上げておりますように、経済援助資金から引き続いたような形で防衛産業について、開銀融資について特別な扱いをするということは考えておりません。
  93. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いままで——開銀総裁は四十一年からでございましたか。総裁になられたのは四十何年ですか。その前に副総裁でございましたね。非常に長い期間、開銀の設立の趣旨に、あるいはまた産業設備の資金運用の基本方針、こういうものに従ってやってきた立場から、そういうものがどんどん開銀からの融資として要請されてくるということに対して、あなたは抵抗を感じないでしょうか。あなたの考えをひとつ率直に聞かしていただきたい。
  94. 石原周夫

    ○石原説明員 政策当局からお答えをいただくことが第一だと思いますが、私がちょっと念のために申し上げておきますると、先ほど申し上げましたように、昭和三十年からでございます、実際の融資が始まりましたのは。六十三億と先ほど御指摘がありました数字であります。ただ、これは三十年、三十一年と金額が多かったわけでございまして、最近におきましては全然融資をしてない年もございます。これを三、四年くらいを平均をいたしますと、金額にいたしますと一億になるかならないかでございます。最近三、四年の私どもの銀行の融資総額は、二千二百億とか、そういうような数字でございまするから、そのうちの一億内外であるというような数字に相なるわけであります。したがいまして、大体先ほど来お話がございましたように、従来と大体同じような形でいくんだという政府側の考えのようでありまするから、そういうことでございますれば、では直ちに幾らかということは申し上げかねるわけでありますけれども、との三、四年、この程度の数字でまいったということを一応頭に置いて考え、これからどういうふうに政策をおとりになるかによるわけでありますが、最近の実績はそういうことであるということを、ひとつ念のために申し上げておきます。
  95. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いまのお答えの中に、いままで以上にシェアを増大するようなことはしたくないという気持ちに私は理解をいたしたいと思います。そういうことで、きょうのところは大臣もお見えになりませんから、またあとの質問者に、大臣お見えになってからそれらの問題をはっきり聞いていただきたいと思うわけです。  銀行局長から先ほどの答えをいただいて、それできょうはあとの質問者に譲りたいと思います。
  96. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほどお答えを保留させていただきました点でございますが、直接借款の四十二年度年度間の見込みといたしまして六百三十五億ということを先ほど私申し上げましたが、これはちょっと古い数字でございまして、現在の見込みで申し上げますと、六百八十六億、これはリファイナンスという部分を除いたものでございますが、六百八十六億でございます。  それから、件数のお尋ねがございました。件数は二十六件ということになります。インドが六件、パキスタンが六件というような形になっておりまして、件数でまいりますと二十六件、こういうことでございます。  そしてこれの伸び率でございますが、四十一年度の同様の直接借款、リファイナンスを除く直接借款が三百十八億でございますので、これを一〇〇といたしますと二一五ということになります。  四十三年度の計画でございますが、四十三年度は直接借款分六百十八億というふうに見込まれております。これは四十二年度よりもこのままで申し上げますと一〇%の減少だ、こういうことになるわけでございますが、ただこの場合は、インドネシアに対する直接借款分を経済協力基金に業務を移すという問題がございまして、その前提でこういう数字になっております。  そこで、同じ数字に戻しますと、四十二年度の六百八十六億の中のインドネシア分百四十四億というものを差し引きまして、六百八十六億から百四十四億を引いて、それとそのものに対して四十三年度の六百十八億というものがどういう割合になっているか、こういうことでございます。そういたしますとこれは一四%の増、こういう形になります。  以上でございます。
  97. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これで終わりますけれども、いまのやつを国別に、それからプロジェクト別に、資料として出せませんか。四十二年度のものと四十三年度の見込み。
  98. 澄田智

    ○澄田政府委員 四十三年度のものは今後の見込みでございますし、それから相手国との関係もございますので、これはちょっとこまかい点まではお出しできないと思います。  四十二年度分につきましては、一部まだ実行見込みのものもございますが、現時点におきまして、その御指摘の内容のものをつくりまして提出することにしたいと思います。
  99. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 四十二年度の分は了承しますが、四十三年度の分については不公表であるというものもあるようであります。これは外交問題でもありますから、そういうようなものは不公表の分として大体何件、幾らの見込みということでけっこうでございますから、そういうこともそういう見込みとして件数、金額等と、それから国等を出していただきたい。よろしいですね。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 澄田智

    ○澄田政府委員 四十三年度の点につきましては、相手方のあることではありますし、どれだけ内容をはっきりできるかという点につきましては、ちょっと、検討させていただきたいと思います。そして内容のはっきりできないものにつきましては、まとめたものとして申し上げる、こういうことで、そういう範囲でしか申し上げられないのではないかと思います。
  101. 田村元

    田村委員長 阿部助哉君。
  102. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 開銀の総裁おいでになっておりますので、まず最初に聞きますけれども、開銀には基本金利というのと特利というのがございますけれども、基本金利で貸し付けてある総額はどれくらいで、特利ではまたいろいろパーセンテージがあるようでありますが、電力、外航船であるとか、あるいは電子計算機であるとかいうふうに、いろいろ種類によって特利が違うようでありますが、その違う種類によっての金額をちょっと示していただきたい。
  103. 石原周夫

    ○石原説明員 基準金利と申しまするのがベースになります金利でございますが、これが現在八分二厘、四十二年九月末現在におきまして、二千二百五十六億の残高がございます。この四十二年九月末の貸し付け総残高が一兆一千三百五十五億でございますから一九%、約二割というように御了承いただきたいと思います。その次に大きいのが六分五厘という、これが特利の中心をなすものでございまして、これが八千百六十六億、七一%強、大体七二%でございます。これは電力が三千百二十八億、海運が三千八百四十億、石炭が七百八十六億、あと硫安でありまするとかそういうものがございまして、全体として八千百六十六億、七二%というのが大体六分五厘、残りがこれは外資を借りて貸しました場合、それから産投会計で外債を出しまして、その貸し付けをいたします場合というのがあるものでございますから、この中途の七%とかそういう金利があるわけでございますが、うちの銀行として出しておりまする特利といたしましては七分五厘という金利がございまして、これは主として先ほど御質問がございました特定機械の関係があるわけでありますが、これが三百十七億で二・八%。それから七%というのが、これは最近出しておりまする金利でございまして、たとえば都内の乗り入れの関係、あるいは私鉄の事故防止の関係、あるいは踏切の関係というような非常に限られたいわゆる特定工事というものを対象といたします。それが主でありまして、それが五百十億、四・五%。  以上が大体利率別にいたしました大ざっぱなものでございます。
  104. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、基準金利というのが大体二〇%でございますね。基準でないほうが多いようでございますが、この基準というのは、金利がこれくらいでいいというのは、何をもとにしてきめられるわけですか。
  105. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど開発銀行法の趣旨のお尋ねのときに申し上げたわけでありまするが、開発銀行は、民間金融機関の補完または奨励ということを申しておるのでありまして、これと競争的立場で競争するのを原則としない、したがいまして、一般民間長期資金の貸し付けの利率と、いわば興銀、長銀というような銀行が出しまするいわゆる基準利率、それが八分二厘、それが動きまするに応じまして私どもも動かしております。昭和四十一年中に二回基準金利の引き下げをいたしました。これも興長銀などにおける基準利率の引き下げと時期を同じゅうしてやったわけでございます。したがいまして、その金利に右へならえをしている、こういうふうにお考えいただいてけっこうでございます。
  106. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 基準金利のほうはわかりましたが、特利のほうは幾色か差がありますね。これは何を根拠にしてきめられるのですか。
  107. 石原周夫

    ○石原説明員 大体、私どものほうの銀行としましては、先ほど申し上げましたように、政府借り入れ金が主たるといいますかほとんど全部の財源であります。それも大体資金運用部からの借り入れがほとんどであります。これが六分五厘ということに相なっておるわけでございます。したがいまして、いろいろなチャージもございますから、六分五厘というものから右左にいってどうだということはございませんけれども、六分五厘というのは、一応うちのほうの銀行が金融機関として出し得る一つの限界ではないかというのが基本的な考え方でございます。したがって、六分五厘というところに一応の目標を置き、たとえば電力でありまするとか、海運でありまするとか、あるいは石炭でありまするとか、そういうような政府として非常に政策的な傾斜と申しますか、政策的に意義の強い、非常に明らかな助成政策をとっておるというようなものにつきまして、その一番安い金利と申しますか、資金運用部金利と大体右左になる、そういうような金利を目安にいたしておる。七分と申しまするのは、六分五厘と申しますと、いま申し上げましたぎりぎり一ぱいでありますから、でき得べくんば——これは政策的なウエートの考え方ということにもよるわけでございますが、でき得べくんば六分五厘、ぎりぎりということは避けたいというのが七分あるいは七分五厘ということに相なるわけでございます。一番の基本のところは、資金運用部からの借り入れ金利が六分五厘である。したがって、それは一つの限界を示しているということが考え方中心だというふうにお考えを願いたいと思います。
  108. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 銀行局長にちょっとお伺いしたいのでありますが、中小企業金融公庫や国民金融公庫の金利は幾らでございますか。
  109. 澄田智

    ○澄田政府委員 国民公庫、中小公庫につきましても、基準金利は八分二厘ということで、開発銀行基準金利と同じ水準でございます。これもやはり先ほどお話にありましたように、民間長期信用銀行のプライムレートと申しますか、最も優遇しておりますレート、その金利を基準にいたしまして八分二厘ということになっております。ただ、この場合も特別がございまして、従来から、たとえば国民公庫で申しますと、恩給担保貸し付け、これは六分でございます。あるいは国債担保貸し付け、これも六分でございます。それから中小公庫の特利といたしましては、中小企業の近代化促進関係の金利七分七厘でございます。それから特定機械工業七分五厘、特定輸出産業が七分五厘でございます。それから産炭地の中小企業六分五厘、あるいは産業安全衛生施設というようなものが六分五厘、その他鉱山保安関係等、いろいろそういった特利を設けております。さらに四十三年度から国民公庫に生鮮食料品等の小売り業の近代化の貸し付け、それから国民、中小両公庫に流通近代化貸し付け、そういう融資制度を設けることになっておりますが、この融資につきましては基準金利八分二厘のほかに七分七厘あるいは六分五厘、こういう金利を設けることになっております。
  110. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 たいへん詳しくあれですが、大ざっぱに、国民金融公庫や中小企業公庫の基準で貸しておる額と、特利全部の額との比較はどれくらいの割合になっておりますか。
  111. 澄田智

    ○澄田政府委員 四十一年度末のところで申し上げますと、国民公庫の基準金利分が、割合で申しまして九一%ということになっております。それから中小企業公庫でも九二%、こういう割合でございます。
  112. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 開銀のほうは、いまお話しのように特利のほうが七二%、これはむしろ基準みたいなものですね。どっちが基準でどっちが特別扱いなのかちょっと見当つかない。ところが、零細な企業に対しては、いろいろと項目は一ぱい並べましたけれども、大半は基準金利の高いのでいっておる。こういうことになっているわけですね。そういうことですね。
  113. 澄田智

    ○澄田政府委員 その点につきましてちょっと御説明申し上げますと、開発銀行につきましては、先ほどからいろいろお話がございましたように、基幹産業とか、あるいは特に政策的に重点を置きます特定のそれぞれの企業につきまして、そういう政策目的に従って特別な金利を適用している、こういうことでございますが、中小三機関等の場合につきましては、原則としてこれは中小企業の金融一般ということでございまして、一般の市中金融機関からの融資だけでは金融が不足になりがちな中小企業に対して、量的な補完を行なうということに重点を置いた制度でございます。したがいまして、中小公庫、国民公庫、ともに一般の中小金融に対しまして、興銀や長銀等の民間の金融機関の最も優遇されております八分二厘という基準金利で一般資金を供給する。ただその中で、特定の近代化とかあるいは特定の安全関係、衛生関係とかいろいろな目的がございますが、そういった特定の目的に対して六分五厘あるいは七分七厘、あるいは七分五厘というような特利を適用するたてまえになっておりまして、そういう中小企業対策という中で、さらにそういう特定の政策目的、こういうものにしぼってそういう特利、こういう形になっておりまして、一般の場合の基準金利、こういうことで、そこは開発銀行の場合と特定の政策目的という考え方がちょっと違っておる、こういうことであろうかと思います。
  114. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いろいろお話ありますけれども、私たちも何も基幹産業がつぶれてもいいということを考えているわけではない。だけれども、政策上と言われるけれども、やはり中小企業がいま一番困っておる。これはいままでも困っておる。そういうものに対してはいろいろくどくど説明がありますけれども、一番高い八分二厘で、大体九割余が高い金利でいっておるということは、これはちょっと納得できないんじゃないか。しかも開銀の場合には、基準金利として、政令ですか、これできめてありますけれども、実際は大半が特利でいっておるというあたり、何か私には解せないのであります。開銀総裁にお願いしたいのですが、会社全部とは言わぬですが、せめて十億くらい以上の貸しておる先の資料をいただきたいと思うのですが、お願いできましょうか。
  115. 石原周夫

    ○石原説明員 政策当局とも御相談をしなければなりませんが、従来各個の貸し付け先につきましては、御報告申し上げることを差し控えてきていると承知をいたしておりますので、なお、こういうことを承知したいのだというお話でございますれば、またそれに応じてお答えを申し上げたいと思います。
  116. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 これは先ほど広瀬委員の質問のときにもありましたように、これは国民の金でありまして、まあある意味でいえば公の金であります。それで借りておるほうも政府機関から借りておるというのは、何も町の高利貸しから借りておるということではないのでありまして、それほど恥ずかしいわけでもなかろうし、当然国民の金を預かり、また国民の金を借りておるという点からいけば、これを公開することはひとつも妨げにはならないんじゃないか、企業のどうのこうのということはないんじゃないか。せめて少なくとも、この大蔵委員会くらいには出すべきだと私は思いますが、いかがですか。
  117. 石原周夫

    ○石原説明員 実は、従来も当大蔵委員会におきましても、ほかの委員会におきましても、何度かそういうようなケースがあったと思うのでありますが、特定のこういう目的で、こういうことはどうなんだということに対しまして、できるだけ、公共資金のことでございまするから、お答えをいたすということに相なっているかと思うのです。ただ全体として、個々のリストを出すということは、やはり金融機関としての性質上いかがかということで差し控えてまいったのが従来の大体の扱いかというふうに私も承知をいたしまするので、特にこういう点でどうなんだというお尋ねがございますれば、私どものほうもできるだけお答えを申し上げたいと思います。
  118. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 やはりいろいろ審議したり検討する場合に、この全体のものも見なければ、ことに私のように一年生はなかなかわからぬわけでして、そういう全体も見せてもらわないと論議ができないわけです。そういう点でこれは国民の金を預かり、また基幹産業は国民の金を借りておるのだから、それくらいのものは出すのがむしろ当然であって、金融機関だからどうだこうだという性格のものではなかろうと私は思うのですが、これは政府のほうでやかましいのですか。それとも何か法律で、出してはいかぬというきまりがあるのですか。
  119. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほども申し上げましたように、国会のいろいろな機会に、そういうような問題が起こったことがございまして、大体そのたびごとにいろいろお話をいたしまして、各個のケースにつきまして、この会社に幾らというような数字はお出しをするのを差し控えてきておるというのが、私の承知をいたしておる取り扱いでございますので、繰り返して先ほどからそういうことを申し上げておるわけでございます。
  120. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 その点、どうも私は合点がいかぬのですがね。総裁はいままで出さなかった。出さないことがいいこととは私は思わないので、これは当然出すべきなんだというのが私の考えでありますが、これはあなたのほうが出せないのですか。それとも政府のほうから出さないように言われておるわけですか。あなたのほうの権限でしょう。
  121. 石原周夫

    ○石原説明員 各金融機関、政府関係金融機関がほかにあるわけでございますから、私どもの内部と申しますか、私どもの銀行の関係の資料でございますれば、提出をいたしますのには当然監督官庁とも相談をいたします。ただ、私が申し上げておりますのは、そういうような従来の実績の累積から申しまして、先ほど来私が申し上げているようなことに相なっておるのだということを申し上げておるわけであります。
  122. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それでは、監督の立場にある大蔵省のほうにお伺いをしますが、これは出せないという何かあれがあるのですか。
  123. 澄田智

    ○澄田政府委員 特にこれを出すことを禁じているというような、そういう規定のようなものはございませんが、政府機関でございまして、しかも資金は財政資金であるということは御指摘のとおりでございますが、しかし一面、これはやはり金融機関でございます。そうして融資を受けます相手の企業は、いずれも私企業でございまして、その企業がどういう融資を受けているかということによって、企業内容もわかるわけでございます。そういう意味において、特にこういう点という御指摘があなたのお話ですと——先ほど総裁からもお答え申し上げましたように、できる限り御要望に沿うようにつとめるべきであると思いますが、一般的なそういうリストを公開するというのは、これはやはり金融機関という性格あるいは相手の企業という立場からいっていかがなものか、かように存ずる次第でございます。
  124. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 しかし、この金は、先ほど来話がありましたように、国民の金を預かっておる。それで特に基幹産業だということで、特別の扱いをして開発銀行というものをおつくりになったわけでしょう。町の金融機関からだけでは、これはなかなかうまく進まぬだろうということでこれだけ大きな金をそこへつぎ込んでおる。しかも先ほどの御説明のように、特別に安い金利でこれを融資をしておる。その企業にそれほど迷惑がかかるとは常識的に私には考えられない。これは当然出して、それで全体のワクの中でどこへどういっておるのだというぐらいのものがなければ、ほんとうのこれからの開銀のあり方あるいは産業のあり方というものを審議するわけにいかないじゃないですか。それは当然出すべきだと私は思うのだが、次官、どうですか。
  125. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいまの御質問の御趣旨はよくわかります。それで、特定の企業の名前を全部列挙するということになると、先ほど銀行局長が申しましたように、協調融資の関係その他の問題もございましょうから、できますれば資本金別に、業種別に、大体こういう融資をしておるという、御審議の趣旨に沿うような形の資料として出さしていただきたいと思っております。
  126. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そういうのだったら大体あるのですよ。だから、それじゃ困るから別々に、企業別に出してもらいたい、こういうことなんです。いかがですか。
  127. 澄田智

    ○澄田政府委員 重ねて申し上げることになりますが、相手の企業につきまして、全体のリストをはっきりさせるというようなことになりますと、これはやはり開発銀行の融資といえども企業に対する金融でございます。ただいまもお話がありましたように、民間の金融機関と協調融資というような形で、一部を開発銀行から出しておるというようなものでございますので、そのリストを出すということは従来もいたしておりませんし——従来出しておらないなどというのは間違いであって、やるべきではないかという御指摘もございますが、従来出さなかったのは、やはりそういう理由があったから出さなかったのだ、こういうことであろうかと思います。この点は個々にいろいろ御質問ならその御質問についてお答えをする、それから、いろいろお調べの点に、そのお調べのできるような資料を提出する、こういうことをいたすのはもちろんでございますが、一般的なリストを公開するということは差し控えさしていただきたいと存じます。
  128. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、協調融資があるから民間銀行からの分も出せとは言っていないですよ。協調融資があったところで、開銀から出ておる金の額を出せばいい。そうでないと、国民はむしろ開銀に疑惑を持つでしょう。開銀そのものが政治献金しなくたって、開銀から金を受けたところの会社が政治献金をしておるじゃないかというような疑惑を持たれるかもわからない。そういうものを明確にするためには、どこへ開銀の金がいっておるのだというぐらいのことは出せないはずがない、これは国民の金じゃないですか。あなたは私企業だ私企業だと言うけれども、都合のいいときには、これは基幹産業でございます、あるいは公共的なものだというようなことで、たとえば電力ならストライキの権利を奪っておる。ということならば、こういうときも、公共企業あるいは基幹産業なんだ、そのためにある程度いろいろな援助を与えておる、当然それぐらいのものは出すべきだと思う。重ねて私は要求します。いかがですか。
  129. 澄田智

    ○澄田政府委員 繰り返した答弁で申しわけございませんが、そういうふうな一般的な資料というのは、これはやはり差し控えさしていただきたいと存じます。
  130. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げました業種別、資本金別のものを差し上げて、それをごらんいただいて、それでどうなんだということをまた特にお尋ねがあれば、それにまたお答え申し上げるということでいかがでございましょうか。いま申し上げますとおり、海運とか、電力とかいうようなものを、資本金別に分けてごらんいただけば、全体を見たいのだというところは大体それでおわかりだろうと思うのです。その中で、特にここを聞きたいのだというお尋ねがあれば、先ほど来申し上げておりますように、それはまたお答えを申し上げたい、こういうふうに私は考えます。
  131. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 総裁のほうは、大蔵省のほうには、どこで、どういう会社に、幾らいっておるというのは報告してあるのでしょうね。
  132. 石原周夫

    ○石原説明員 個別の報告はいたしておりません。
  133. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それで監督官庁は、国民の金を開銀にやって、監督ができるのですか。
  134. 石原周夫

    ○石原説明員 私どもも、金融機関でございますので、金融検査を受けておるわけであります。
  135. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 銀行局長にお伺いしますが、金融の検査をやれば、当然それはわかることでしょうね。
  136. 澄田智

    ○澄田政府委員 検査の場合には、開発銀行に検査官が臨みまして、そして帳簿その他の、検査上必要なものを見る、こういうことで、その範囲においては内容承知するわけでございますが、これはその検査を執行した検査官が承知をするということでございまして、いまもお答えになりましたように、一般的にこういうところに融資をしているというような一覧表のようなものは、われわれも持っておりませんし、そういうふうな形で開銀から報告を受けておることでもございません。個別的な何らかの問題がありました場合には、その点について当たってみるということは、これは監督の職責上当然いたすこともあるわけでございますが、そういう一般的なことはいたしておらないわけでございます。
  137. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  138. 田村元

    田村委員長 それでは速記を始めて。  阿部君にちょっと申し上げますが、私から開銀側に対していまの収拾方をはかりたいと思いますので、私の意見を述べたいと思いますが、よろしゅうございますか。——それでは、開発銀行は阿部君の要求に応じて、でき得る限り、もちろん個人資料でけっこうでありますから、要望に沿うように御尽力願いたい。阿部君それでよろしゅうございますね。  それでは続行いたします。
  139. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それでは次に移りますが、今度経済援助資金をやめにしまして、それで産投会計に移すということになっておりますが、そうしましたら、いままではこの援助資金は、アメリカと日本との協定で、大体防衛産業——一部あとで変更しまして、航空機会社に投資をしておりますが、今度これを産投会計に移した場合には、いままでのアメリカとの協定というものはこれはもうなくなっておるのですか、それともその際になくなるのですか、どうなんですか。
  140. 相沢英之

    ○相沢政府委員 私、ちょっといま手元に協定を持っておりませんので、正確に覚えておりませんが、アメリカ側との協定では、その資金を積み立てるのを別途の勘定にするということになっておりまして、そしてかつ、事実上第一回の貸し付けについては、具体的な点についてもアメリカ側と一応相談はしておりますけれども、回収金の再貸し付けについては、当初からそのような約束にはなっておりませんので、別に相談もいたしておりません。
  141. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それでは再貸し付けの場合には、もう日本側で独自にやられてもいい、こういうことでございますね。
  142. 相沢英之

    ○相沢政府委員 さようでございます。
  143. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、これが今度産投会計に入ってくる。先ほど広瀬さんの質問にもありましたように、いまは産投会計全部の中では、防衛産業へ回る金は非常にパーセンテージは低いけれども、やはり何か大きい舞台にそれが入ってくる。ますます第三次防衛計画というようなことで、資金量が設備投資をしなければならぬという事態にはまってくるのじゃないか。そうなってくると、そのためにこの会計を産投会計へ移したのではないかというような感じがするわけですが、その点は先ほども答弁ありましたけれども、もう一度確認をしておきたいのでありますが、政務次官からお願いをしたいと思います。
  144. 倉成正

    ○倉成政府委員 お答えいたしたいと思います。  産投会計に吸収されたわけでありますから、今度は産投会計に与えられた目的の範囲内で仕事を進めていく、こういうことになります。
  145. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いや、それはわかるのです。産投会計へやったんだから、産投会計仕事を進めるのはこれはわかるのですが、いままでよりも大きな産投会計というところへ入ったので、防衛産業のほうにますますよけい金をつぎ込むために何かこれを産投会計に一緒にしたんじゃないか、こういう心配をしておるわけですが、そういう点はないと言い切れるんですか。
  146. 倉成正

    ○倉成政府委員 さようなことはございません。
  147. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 次に、先ほど総裁のお話でも、電力関係には資金が非常によけいいっておるわけですが、これは通産省のほうの公益事業局にお伺いしたいのでありますが、電力というのはどうなんですかね、大口電力と小口電力とありますが、電力の供給量は大口、小口と分けた場合に、大体どれくらいのパーセンテージになっておりますか、まずそれをお伺いいたしたい。
  148. 石井泰安

    ○石井説明員 お答えいたします。  九電力会社が供給しております電力量の中の大体六〇%程度が大口電力でございます。それから小口電力は十数%でございます。したがって、大口と小口の比は三対一か四対一くらいでございます。
  149. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 料金のほうはどうですか。
  150. 塚本保雄

    ○塚本説明員 お答えいたします。  小口の電気料金の仕上がり単価でございますが、四十一年度の仕上がり単価を申し上げますと、全国平均七円二十一銭でございます。それから大口電力の四十一年度の平均の仕上がり単価が三円七十九銭でございます。
  151. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それで電力会社への収入は大口と小口でどれくらいのパーセンテージになっておりますか。
  152. 塚本保雄

    ○塚本説明員 四十一年度の小口電力の収入は千八百四十六億円でございます。大口電力は全体で三千四百九十二億円でございます。
  153. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうなってくると、小口のほうが大体大口の半分ということでございますか。
  154. 塚本保雄

    ○塚本説明員 まあ大体そういうことでございます。
  155. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 九電力は、私ちょっと資料を持ってこなかったのですが、いろいろの会社の利潤というか、利益といいますか、それが新聞なんかで発表されておりまして、なかなか大きな収入をあげておるようでありますが、九電力で一番最近における利益はどれくらいあがっておるか。
  156. 塚本保雄

    ○塚本説明員 四十一年度の収入を申し上げますと、九電力合計で利益が六百二億円でございます。
  157. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 まあ、電力会社独占でありますし、いまお話しのように、いろいろな償却や、渇水期の準備金や、いろいろなものを差し引いても、なおかつこれだけ大きな利益をあげておるわけであります。そこへ先ほど来話がありました最低の六分五厘という形で、またこれ大きな国家資本が投入されておるということでございますので、それならばもう少し何か——物価がこれだけ上がって心配しておるときに、電力料でも下げていく努力というものがもっとなされないと、もうけはうんともうけておる、つくるときは国民の金でつくっていく、それで物価のほう、料金のほうはさっぱり下がらないということになっては、何のために基幹産業だ基幹産業だといって金をつぎ込むのか国民にはわからなくなってくるということになろうかと思いますが、そういう点での政府の努力というものはどういう形でなされておるのか、お伺いします。
  158. 塚本保雄

    ○塚本説明員 九電力は、先ほど申し上げましたとおり、四十一年度で六百二億の利益もあげておりますが、これはそのほとんどが配当に回っております。現在、九電力は一割配当を全部やっておりまして、この六百二億のうち配当金として五百三十一億円配当金に回りまして、それから商法上の法定準備金がございますが、これがちょうど配当金の一割となっておりますので五十三億円。したがいまして、六百二億というのはほとんどこの配当金と利益準備金に該当しておるというような状態でございます。したがいまして、特別に利益があるというのではございません。
  159. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 こうやって、基幹産業ということで開発銀行がたいへん大きな金をこういうところに回しておる。そうしながら、この前も大臣に質問いたしましたが、農業の場合なんかは何かやっかい者みたいな形でいま扱われておるわけでして、そういう点を考えると、基幹産業が伸びていくことそれ自体は私は否定もしないし、けっこうでありますけれども、それならばやはりそれに相応するような農業の基盤の整備であるとかというところにも回らないと、これは国民は納得しなくなるんじゃないか、こう考えるわけであります。  次に、日本航空機製造株式会社というのは、政府のほうと民間とで出資をしておりますが、その民間出資をしておる会社の名前はどういうところであるか、お伺いしたいと思います。
  160. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  名前ということでありますが、現在の資本金は七十五億でございまして、国の出資がその五三・三%でございます。それから機体をつくっております六社の出資が一八・四%、それから部品その他の製造会社が、これは多数ありますが、一一・六%、それから、その航空機に直接関係ございませんが、日本航空あるいは銀行、生命保険等、これが一六・七%。七十五億の出資に対して、いま申し上げたような四つのグループでそれぞれ出資をいたしておるわけでございます。国の出資がそのうちの五三・三%、四十億でございます。
  161. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 その役員構成ですが、国は五三%持っておるとすれば、社長やなんか、役員は国で任命をするわけですか。どういうことになっておりますか。
  162. 本田早苗

    ○本田説明員 社長並びに代表取締役並びに監査役につきましては、通産大臣の認可を要するということになっております。
  163. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 役員の出身はどこですか。総裁というのですか、社長というのですか、せめて三役くらいは出身を述べてもらいたい。
  164. 本田早苗

    ○本田説明員 これは社長ということでございまして、民間の出身の方です。
  165. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どこの出身ですか。
  166. 本田早苗

    ○本田説明員 丸紅飯田の商事会社の出身です。それから専務は、通産省の出身です。あと取締役五人は、公務員の出身が一名、あとは民間の方が四名でございます。
  167. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それで、これの取引先ですが、大体おもな品物の仕入れ先とか購入先というのはどういうところですか。
  168. 加藤博男

    ○加藤説明員 日本航空機製造は、自分で工場を持っておりませんで、先ほどの機械メーカーに分割発注いたしております。また、部品も国内のメーカーに発注をいたしまして、それをいわば機体に組み上げまして販売をいたしておるわけであります。販売先の約半分は輸出でございます。大体大きな取引関係はそういうことでございます。
  169. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、これは七十五億の会社はつくった、それでそこへ出資をしておる会社と大体取引がある、こういうことですか。主としてそういうところとの取引になるわけですか。
  170. 加藤博男

    ○加藤説明員 取引のない出資者ももちろんございますが、取引があるところが出資をしているという面もございます。それに限られたわけではございません。
  171. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 主としてそういうところですか。
  172. 加藤博男

    ○加藤説明員 ちょっとその辺の詳細な分析ないし数字は持っておりませんが、額としては、買う立場から申しますと、その点は多いと思います。売り先は別でございます。
  173. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、これも会社の負担を、むしろ国の金で危険負担をしておる。こういうふうなことなんでしょう。
  174. 加藤博男

    ○加藤説明員 そういう御指摘のようなことではございませんで、逆に官民協力してこの事業を遂行しようということで、関係者からまた出資も求めておるわけでございます。
  175. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 五三%も国が出資しておるとすれば、国はどういうその監督の権限を持っておるのですか。
  176. 本田早苗

    ○本田説明員 監督の関係といたしましては、先ほど申し上げましたような主要な役員についての承認、それから事業計画についての認可をやることになっております。それから重要な財産の譲渡につきましても、通産大臣の認可が必要になっております。社債、借り入れ金につきましても認可を要するということになっています。
  177. 只松祐治

    ○只松委員 関連。五三%持っておるということは過半数ですから、過半数ということは、それに対して株主権を絶対に行使できるわけでしょう。違いますか。
  178. 本田早苗

    ○本田説明員 株主権がございます。
  179. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると、いまの法律上からは承認とかなんとかいうことですけれども、過半数の力を持っておれば、国の意思によって役員その他を選出することができる、あるいはあとの業務の監査その他も国の意思が全部通る、こういうことになるのじゃないですか。監理、承認ではなくて、実質上国が全部の意思を決定することができる、こういうことでしょう。
  180. 本田早苗

    ○本田説明員 現在の株主の比率から申し上げますとそういうことでございますが、法律上の監督権として、法律で役員の承認その他いろいろな認可権を規定しております。
  181. 只松祐治

    ○只松委員 過半数持っておって国が自由にできるということならば、そういう会社に対する株主権の行使というのは、国のどこがやっておりますか。
  182. 本田早苗

    ○本田説明員 株主としての権限は大蔵大臣にあります。
  183. 只松祐治

    ○只松委員 大蔵大臣が直接そういうことをやっておるわけですか。文部省のどこかの局長が、そういう実質上の、社長や何かに対する任免権あるいは監督権というものを行使しているわけですか。その具体的内容はどうですか。
  184. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 株主総会に出席いたしますのは、大臣の委任を受けまして理財局の職員がこれに出席をしております。
  185. 只松祐治

    ○只松委員 どの程度の職員が出ておるのですか。ただ行って傍聴しているのですか。それとも、そういうものに対して、いまだめだからこれになりたまえ、こう言って社長や何かを任命する過半数の株主権を持っておるわけですから、そういう発言権を持った責任ある人々が行っているのですか。どうですか。
  186. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 従来から株主総会の席上において、そのような拒否権とかそういうものを行使した例はございません。
  187. 只松祐治

    ○只松委員 関連ですからそう深くは聞きませんけれども、裏を返せば、過半数の株主権を持っておりながら、そういうときに何らの発言その他株主権を行使したことはないということになれば、国民の代表としてそういうものを預かっている大蔵省としては、きわめて職務怠慢だ。国民の代表としてそういう財産を管理しておるその任務を遂行しておらない、こういうことになるのじゃないですか。それとも、いやそういうことはたいしたことはないので、全体として大蔵省なり通産省が見ておればいいのだ、こういうことであんまり気にしておらない、こういうことですか。
  188. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 現在の日本航空機製造株式会社は、法律のたてまえによりまして、重要なる事項は、ただいま通産当局から説明がありましたように、業務を通じまして監督権を行使しております。したがいまして、株主総会の席上において拒否権を発動するようなそういう事態はないのが通例でございまして、いままで出席はいたしまして決議に参加をいたしておりますが、通常の業務につきましては、通産省が第一の監督官庁でありまして、大蔵大臣は、重要な事項につきまして協議を受けまして、いろいろな監督に参加をしておるわけであります。
  189. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると大蔵大臣、そういう会社——これは一つではないわけですが、こういうふうに国が過半数を持ったりきわめて関連しておる会社は、大蔵大臣が大体社長や何かは了解して指名しておるのですか、あるいは大臣はそこまでいけないけれども、理財局長や局長程度が、その社長を、それならよかろうということでしておるから、大体株主総会に行っても発言しないということだろうと思うのです。だから、全然意に反したりそういうことを知らなければ、これはだめだということになると思いますが、そういう点は、大体大臣の息がかかったというか、了解を得た人間が全部社長や何かになっておるのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  190. 水田三喜男

    水田国務大臣 息のかかった者がいるからいいというのではなくて、これは行政機構の上で共管になっておるものは共管、あるいは自分の管轄になっておるものは管轄事項として、行政機構としてそういう重要な問題の監査、監督というものは処理されておりますので、株主総会に大臣が出るとか出ないとかいうことは必要ないことだと思っております。
  191. 只松祐治

    ○只松委員 何言っておるかよく聞こえないのですけれども、要するに、過半数持っておって一つも発言しないということは、国民の側から見ればきわめておかしいわけでしょう。私は関連質問ですから、そんなことはあまり詳しくシビアーに追及しようとは思っていないわけですけれども、それは何らの発言もしない。あなたの言うように、さもなければ、事前に首脳部に対しての了解を与えておらない、ただ監督したり何かしておるからそれでいいのだということでは私は済まされないと思うのですよ。これはあまりにも無責任じゃありませんか。私はいま関連ですから、その経路だけちょっと明らかにしたいと思って質問して、これ以上しませんけれども、もう少しそういうことについては責任を持った態度を明確にすべきではないか。商法上からいっても、これは問題があるいは出てくるのではないかと思いますね。私は関連ですからこれでやめますけれども、とにかくもう少し明確な、過半数株を持った大蔵省としての態度というものを——これだけではない、ほかの関連会社もあるわけですから、ひとつ明確な態度をとってもらいたい、こういうことを要望して、私の関連質問を終わります。
  192. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いま只松委員から関連で出ましたように、私もそう思うのですが、政府がこれだけの国民の金を出しておる。しかもそこの部品や何かをつくらせるところが大体出資をしておる会社だということになると、その取引に何かすっきりしないものが出てくるのではないか。しかもそれに対してほとんど監督が行なわれていないようでは困りますので、そういう点で一そう監督をきびしくしてもらいたい。  それで最後に、もう時間も迫りましたので、せっかく大臣がたまにお見えになるのでお伺いしたいのですが、この前、二十四日の予算委員会でわが党の北山委員からの質問に、大臣も答え、鳩山さんが主としてかわって答えておるようでありますが、四十二年度の国債を四十三年度の四月になってから発行するということについて、どうもこれは私にはわからないのですが、予算決算及び会計令の会計年度所属区分というところの第一条に一号、二号、三号とありますね。この収入はどこに当たるのですか。
  193. 水田三喜男

    水田国務大臣 二号ということだそうであります。
  194. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 これは二号に当たるのですか。そうすると、納入告知書はいつどういう形のものを出すのですか。
  195. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 納入告知書の発行につきましてちょっと御説明を申し上げます。  今回三月末に契約をいたしまして発行しようと考えておりますのは、納入告知書を、ただいま大臣からお話がありましたように、同第一条の第二号で処理をするということにしたわけでありますが、これらは納入告知書は従来は毎月は発行していないわけであります。三月の末に契約する分につきまして、特別な措置として納入告知書を発行いたしまして、その際に引き受け契約を完全に結びまして、総額を引き受けるという契約を締結するということを考えておる次第であります。入金は四月に入ってからする、こういうことに考えております。
  196. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、この告知書は三月末に出す、それで入金は四月に入ってから入ってくる。そうしますと、その納入告知書を出した日から四月に金の入ってくるまでの間は、延滞利息みたいなものは取るのですか。
  197. 相沢英之

    ○相沢政府委員 取りません。
  198. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 取らないとすると、やはりこれはあれになるのじゃないですか、三号で規定してありますように、「領収した日の属する年度」に会計は回らざるを得ないんじゃないですか。そうすると、一般の人の場合には、告知書を出しておいて、それでその年度で納めない場合には延滞金を取られるわけですが、この場合には延滞金というものを取られないというのは片手落ちじゃないですか。
  199. 相沢英之

    ○相沢政府委員 予決令の第一条第一項第三号の、いま先生おっしゃいました領収した日の属する年度に収入が所属するものは、随時の収入で納入告知書を発しないものについてそういうことになっておるわけです。本件は納入告知書を発するものであり、かつ契約においてその払い込みの日が指定されてあるものでありますから、その利息は払い込んだ日からつけることになっております。収入はその第二号の規定に従って「納入告知書を発した日の属する年度」ということになるわけでございます。
  200. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 かってに法律をそう解釈していけば、予算の単年度主義なんというものは、これはめちゃくちゃになってしまうのじゃないですか。そういうことはかってな解釈で、来年の四十三年度に入ってから国債を発行して、金も四十三年度になってから入ってくる。ただ話し合いだけちょっとしたという程度でそう年度を変えられたんでは、これは年度年度予算審議なんというものはできないじゃないですか。そんなあいまいにして——そうでなくとも、私は初めて国債が出たときも、国債の問題で大臣に歯どめの問題やらいろいろお伺いしましたけれども、こういう国債というようなものをルーズにしていけば、もう国の予算というものはどうしようもなくなってしまうのではないですか。そういうものをいま二号で処理できるということにはならないんじゃないかと思うのです。もう一ぺんそこを大臣にお伺いしたいのです。
  201. 水田三喜男

    水田国務大臣 実際の必要から出納整理期間というものがつくられておることは、これはもう御承知のとおりだと思いますが、その期間中においてこういう措置がとられるということは、これはいままでもいろいろ予想されておることでございますから、その場合に対処し得るようにこういう規定準備ができているというようなことでございまして、これは別にめちゃくちゃになっていることではございませんで、こういうやり方がはっきりときめられていることによって実際的に処理されるということでございますから、私は別にめちゃくちゃではないと思います。
  202. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 この三条の整理期間というのは、普通は年度内に税金を納めるべきものが滞納をしたというようなときの規定でしょう。初めからわかっておる国債を、そんな形で新しい年度になって発行して、金もまた新しい年度に入ってくるというようなものは、この規定の中には含まれていないと思う。金に関する法律ですから、ほかの法律以上に厳正にやっていかないと、これはどうしようもないじゃないですか。大蔵省自体が金の問題は全く自分のポケットマネーのように考えてもらっては困るのですね。それならば予算委員会審議なんてできないじゃないですか。
  203. 相沢英之

    ○相沢政府委員 予決令の第三条に出納整理期限の規定がございますが、これは「出納官吏又は出納員において毎会計年度所属の歳入金を収納するのは、翌年度の四月三十日限りとする。」という規定がございます。これがいわゆる出納整理期限の規定ですが、これは税金の収納の場合だけではなく、たとえば国が国有財産を売り払いました場合なども当然この規定適用を受けるわけでありまして、単に国債に限ってこの規定を乱用したというようなことは決してございません。この第一条並びに第三条の規定に従って、納入告知書の発行が四十二年度内でありましても、四月三十日までに約定によってその収入が入れば、当然これは四十二年度会計の歳入となるわけでございます。
  204. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 関連して。いまの予算は単年度主義をとっている方針には間違いありませんね。原則的に、いまの予算というものは単年度主義の性格をずっとそのまま持ち続けてきている、これは変更になっていないでしょう。どうですか、大臣
  205. 水田三喜男

    水田国務大臣 単年度主義でございます。
  206. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 単年度主義だという原則があるならば、国債というものは、どういう事情で三月にとにかく金を取り上げなければならぬかという事態が起こったかということを考えるならば、引き受けたシンジケート団がとにかくできるだけ減らしてくれということで、政府も押せ押せでずってきたわけですよね。そういう事情があるわけですよ。したがって、予測できないものではなくて、すでに三月段階でどういうことになるかということはわかっているはずです。わかっているなら当然補正予算を組んで、四十三年度で使うのだということならば四十三年度予算——当然これはもう補正を組んで出すべきだ。それを四十二年度のもので告知書を出したから、金が入ってくるのは四月に入ってきて、来年度に使ってもいいということは親切ではないですね。国会を尊重し、さらに単年度主義という予算の原則を踏まえて執行するならば、当然補正予算を組むべきではなかろうか。これが私は親切な、しかも国会を尊重し、いまの予算原則を守るという忠実な姿勢ではないかと思うのですが、間違いですか。当然補正を組むべきだという議論は間違いですか。どうですか、大臣
  207. 水田三喜男

    水田国務大臣 予算の繰り延べ措置も、これは補正を要しないでできるということになっておることは御承知のとおりだと思います。で、もし国会で議決されました金額の変更をするということでしたら、これは問題は別でございますが、変更するものではない。したがって、その財源もかってにこれを準備しないで切るというわけにはまいりませんので、たとえば公共事業に当てられる分の公債というものはやはり発行しなければなりません。したがって、その事業に見合った公債の発行ということは、別に発行ということが補正予算対象になるというふうには考えません。
  208. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、それはこじつけの議論であって、三月中にこの国債発行が不可能だ、そういう事態が明々白々なのですから、それを、告知書だけ三月中に発行しておけば、金が入るのは四月でもいいというようなことは便宜主義というものですよ。やはりそれは、四十三年度に金が入ってきて四十三年度に使うようになっているのだから、当然これは補正を組んで——あるいはその間四十二年度で使ってしまったとするならば、一時借り入れ金で予算を補充しなければならないわけでしょう。借り入れをするならするで、やはり国会の承認を受けておいて、四月になってから金が入ってくるからということならわかりますよ。しかし、いま言ったように、四十二年度国会で決議してあるのだから四十三年度に金が入ってきてもいいのだなんということは、安易に財政法を紊乱しておる態度だと思うのです。これはやはり反省してもらわなければいかぬと思うのです。今後もあり得ることですから、もう事態がわかっておるのですから、当然国債発行の中で四十二年度を減らして四十三年度をふやす、こういう態度をとるのがしかるべき態度じゃありませんか。
  209. 水田三喜男

    水田国務大臣 四十二年度中に発行すべきものでございますから、いま言った形の発行をとるということで、もしこれをかってに発行しないのだということでしたら、それこそ国会でもう一ぺん御審議を願わなければならぬということになろうと思いますが、発行するほうの措置をとることは少しも補正を要する問題でも何でもない、こういうふうに思います。
  210. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 まあ関連で大体けしからぬということだけははっきりしたようでありますからあれですが、大臣、二項を読んでみましても、拡張解釈をすればどこまでもいってしまう。国債がいまのようになかなか不評判だということになってくれば、今度は発行条件の改定をする。いずれまた大臣にお伺いをしたいと思いますが、私は、前に国債のときに、歯どめの問題でずいぶん質問をいたしました。そうしたら、市中発行が不可能になったときはそれはやめるのだ、歯どめはそれなんだ、だからそれが一番間違いのない歯どめだ、こうおっしゃった。ところが今度は、その歯どめがこわれてしまうと発行条件を変えてくる、安くしてくる、あるいは税金をまけてやるとかいうことで条件を変えていけば、歯どめなんというものは幾らでもはずれてくる。金利をうんと高くしてごらんなさい。幾らでも市中消化ができるでしょう。株式よりも何よりも高い金利にすることによって、国債でもうけられるということになれば、資本家は仕事をするよりも国債を買ったほうがもうかるということになる。そんなでたらめな歯どめなんというものはありっこない。そういう点で、特に私は国債の問題だからなおさらこういう問題を国会にはかって、それで承認を求めた上でおやりになるならば、これもまたやむを得ないだろうけれども、こういう形で拡張解釈をされるのにはどうしても納得はいきませんが、私の時間が来たようでありますので、質問を終わりますけれども、そういう点であらためてこの問題をお伺いしたいと思います。
  211. 田村元

    田村委員長 ただいま議題となっております両案中、経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案につきましては、他に御質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  212. 田村元

    田村委員長 これより討論に入ります。通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  213. 村山喜一

    村山(喜)委員 経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案についての意見を申し上げたいと思います。  第一点は、経済援助資金特別会計法を設置するときに、MSA資金援助による軍需産業育成をはかるものとして、これに社会党は反対をしてまいりました。余剰農産物資金融通特別会計法にもひもつき融資をするということにおいて反対をしてきたものであります。  今回、協定成立後十年以上を経過いたしまして、独立の会計としての存続をせしめる意義が失われ、産業投資特別会計に吸収しようとするものでありますが、内容的に質疑を通じて明らかになったように、関係当局意見の統一も十分なされていないだけでなく、吸収したあとの運営方針についても明確さを欠いている点がございます。  一方、第三点といたしまして、吸収するところの産投会計につきましては、経済の再建、産業開発、貿易振興のための資金供給という名のもとに出資と融資を行なっておりますが、民間金融の量的、質的補完をはかり、資本主義の安定と強行をはかる任務を持っていることは言うまでもありません。  産業投資会計を通じまして、社会政策的効果の推進や、地方公共団体に対する財政需要に対する補完を行なっていることは認められるといたしましても、主たる任務は民間資本の蓄積の補完であり、国家資本の蓄積を通じて質的な補完をはかり、中には民間投資が行なわれる踏み台的な役割りを果たしてきているものもあります。しかも出資と融資を行なっていることから、資金の性格も資金運用の目的もあいまいであり、したがって、社会党といたしましては、産投会計については今日まで反対の態度をとってきているのであります。  しかし、この法案については、この立場から見てまいりますと、内容的には問題があるところでございますが、成立に反対をいたしました法律整理統合をして、国の会計経理の簡素化をはかろうとするものでありますので、整備される規定がゆがめられないことを条件といたしまして、賛成を表明する次第であります。(拍手)
  214. 田村元

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。  引き続き採決に入ります。  おはかりいたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決せられました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  217. 田村元

    田村委員長 引き続き日本開発銀行法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。広沢賢一君。
  218. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 開発銀行総裁にお聞きします。  大蔵委員会の専門調査室でつくった資料の中で、立法の理由についてこう書いてあります。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕 「この対策としては、政府出資を行ない、資本金を増額することによって貸付及び債務保証の限度額を引き上げ方法もあるが、当面の財政事情では困難なので、これに代わって、開銀法を改正し、貸付及び債務保証の限度額を自己資本の五倍から六倍に引上げ、もって業務の円滑な運営を確保しようとするものである。」と書いてあるのです。そこでお聞きしますけれども、やはり政府出資を行なって資本金を増額することのほうが開銀としてはやりやすい、しかし財政上なかなか困難なので、それでまあ次善の策としてこうしたということでございますが、第一番目のやり方をやればどういう利益があるかお伺いしたいと思います。
  219. 石原周夫

    ○石原説明員 日本開発銀行は現在二千三百四十億円ほどの資本金を持っておるわけであります。したがいまして、現在の金融機関の一般的な常識からいたしますると、これは見返り資金出資並びに前身であります復興金融金庫の出資があるからでありますが、相当大きな割合だということができると思います。ただ、何と申しましても出資をいただきますれば、現在御承知のように政府納付金をいたしておりますが、一応利益が出た場合に政府納付をいたすわけでありますが、何と申しましても資金運用部から六分五厘の借り入れをいたしますよりもその意味においては有利であることは確かであります。しかしながら、政府側におきましても、いわゆる財政硬直化という時期でございまするし、先ほど申しましたように、資本金が相当大きいものでございますから、保証を入れまして五倍を六倍にする。普通金融機関が債券発行限度として規定しておるものに比べますと、まあ比較的低いところでおさまるのでございますから、次善の策というお話でございましたけれども、まあこういうようなところでも業務の運営にはもちろん支障はない、こういうふうに考えております。
  220. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、やはり資本金の増額や何かやれば、特利とか安い利子で十分貸し得る余裕が出るというわけですね。それから、ほかから借りてきて、債券でもって集めてきた金というのは、やっぱり資本コストが高く、ばんばんそう使えないということになる、こういうように理解していいですね。
  221. 石原周夫

    ○石原説明員 現在、私どもの融資をしておりまする平均の利回りは六分八、九厘になっております。先ほど来特利のお話がございましたが、電力関係の融資につきましては最近対象をしぼっておるのでありまするから、したがいまして、融資をいたしておりまする割合は低くなっております。したがいまして、六分五厘の利率で運用しておりまするものの比率は低下いたしておるのでありますから、私どもの運用利回りというものは八分二厘口が若干ふえておる状況であります。したがいまして、出資をいたさなければ特利をやるわけにいかぬとか、あるいは拡張するわけにいかぬというような状態ではございません。御承知のように、百二十億、百二十数億という納付金をいたすような状況でございまするから、納付金を減らせばいいんだというわけにはまいりかねますけれども、それがなければ特利の運用ができないというような状況ではございません。
  222. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 わかりました。とにかく利子の安い金を貸せるということは、これはもう第一の方法が一番いいということでございますね。利子の安い金を貸すにはそういうことですね。そうでしょう。よそから借りて……。
  223. 石原周夫

    ○石原説明員 利子の低い金を貸すには都合がいいというお話をあえて否定するわけではございませんけれども、そういうような言い方よりは、では、利子の安い金を貸すのに政府出資がいただけないとむずかしいかといいますと、先ほど申しましたように、納付金をいたしておることでもございますし、平均融資利回りの六・九でありますが、若干利率が上がっておるわけでありますから、したがって、そのためにどうしても金利の低い金を借りないと困るという状況に追い詰められているということじゃないんだということは申し上げておきます。
  224. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 いまの状況はそうだと思うのですね、余裕金があるから。しかし、全体としては、第一と第二番目の方法と比べれば、やはり安い利子で貸すという特別の任務を持っていれば、やはりそれだから政府出資が多いんでしょう。そうですね。だから、したがって第一の方法がいい、そういうふうに考えられますけれども、これに書いてあるのは、そういうふうに書いてありますな、どうですか。
  225. 石原周夫

    ○石原説明員 いまお尋ねの点は、利子の点のお話があったものでございますから、私も少しそれについて利子のことを申し上げたのでありまするが、本来金融機関のことでございまするので、自己資本の割合が高いということのほうが経営として安定している、非常に望ましいということはあると思います。したがいまして、ここに書いておられますのは、私どもが書いたのではないかと思いますが、その趣旨であって、金融機関としては、やはり自己資本の充実が望ましいという金融機関としての立場があるだろう、こういうことが中心かと思います。
  226. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 この問題は、特に澄田銀行局長に聞いてもらいたいから話したのですが、やはり自己資本、それから特に資金コストの安い政府出資が多ければ、それだけ有益な仕事に安い利子で貸すことができるということなんです。この問題はあとでまたいろいろと議論します。  その次にお伺いしますのは、先ほどいろいろ質問があった中でこういうことがありました。一番多く貸している電力と海運ですが、その中の電力はたいへん利益が上がっていて、一割配当をしているという話がありました。電力会社というのは私企業ですね。私は国鉄と対照しますと、国鉄というのは公社ですね。公営企業です。この国鉄でいま五万人の強制配転をしなければならぬというので電車がとまったり何かしている。そういう難問題をかかえている国鉄が、その利子を見ますとやっぱり七分の一般公募債をしています。政府保証債が七分、金額にしてこれが一番大きい金額の比重でして、約五千億を突破していますね。こういうように七分の利子でもって国鉄が苦労しなければならぬ。だから、国鉄総裁は平均五分の利子にするように利子補給してくれ、こう言っているのですが、それに比較すると電力は配当を一割もやっている。一割も配当をやっている電力会社がもっと安い六分五厘の利子でどんどんとずっとめんどうを見てもらっているということについては、おかしいと思うのですが、これは大蔵大臣にお聞きしますが、どうですか、おかしくないですか。
  227. 澄田智

    ○澄田政府委員 私のほうからお答えさせていただきます。  ただいま国鉄と比べられまして、そうして電力会社に対する開発銀行からの融資についてのお尋ねでございますが、現在開発銀行において電力に融資をいたしておりますのは、あるいは石炭対策としての石炭火力発電に対する融資とか、あるいは原子力発電に対する融資とかというものも含めて、特定の部分につきまして、その部分に限ってそういう融資をしているわけでございます。融資の金利は六分五厘でございます。ただ、電力会社はそのほかにも社債を発行いたしております。電力会社の発行します社債は国鉄の出しました政府保証債よりも高い金利を支払っておる、こういう次第でございます。それから電力会社はそのほかにも民間金融機関からの借り入れもいたしております。この部分も金利は国鉄の借り入れ金利よりも高い、こういうことになります。そういう全体を総合しまして、電力会社の調達資金の金利というものが出てまいるわけでございます。開発銀行から出てまいる六分五厘の点だけお取り上げになって国鉄と比較されるというのは、そういう点についての問題がほかにあろうか、かように存ずる次第であります。
  228. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 その点はわかりました。  今度はもうちょっと深く入りますと、国鉄はもちろん営利事業じゃないから、国鉄の役員がどこか子会社を設けたり不動産会社を下請させたりして金もうけができません。ところが、いろいろと先ほどは原子力発電等々と申しましたが、普通の電力会社が不動産の子会社等を持っているという事実は御存じですか、銀行局長。
  229. 澄田智

    ○澄田政府委員 電力会社の直接の内容等通産省のほうでないと、私どもちょっと的確なお答えをいたしかねるのでございます。そしていま不動産の子会社というようなお話がございまして、ちょっと正確にお答え申しかねる次第でございます。
  230. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それで、さっきうちのほうの委員が非常に憤慨した一つ理由があると思うのですが、つまりこういうことなんですよ。銀行局長のほうも、それから今度開発銀行総裁にお聞きしますが、開発銀行としても、貸した先が、さっきは国鉄と比べましたが、ところが普通の金融機関で中小企業が借りるときは、一割ちょっと過ぎても借りられない人がいっぱいいます。うんといるのですね。ところが、電力会社とかそういうところでもっていま開発銀行からずっと貸している多くの会社がありますが、そういう会社は私企業だというので、協調融資だからなおさら企業の秘密でタッチできないというならあれですが、貸しつばなしで、それが六分五厘の安い利子で貸していて、たいへんなもうけになると思うのです。計算すると、貸し出し残高とかければ、たいへんな何百億といういままで累積利益があると思う。そういう電力会社そのほかの会社の名前をこれからあげますが——個別の名前をあげるということでみなひやひやしているから、あまり個別には——私はそれについて利害関係がないんだけれども、いろいろと書いてある点についてあげてみます。そうしますと、たとえば東京電力は東電不動産というのを持っています。それから九州電力は電気ビル、それから天神ビル、それから新小倉ビル、中部電力は永楽不動産と中電ビル、関西電力が宇治電ビルというような、ビルディングの会社を持っていると同時に、不動産の経営をしていますね。いろいろと会社からそういうところへお金が流れて、それで都市近郊の土地を買いあさったりする。いろいろ名目はあると思います。営業上必要だとか事業上必要だとかということで買いあさっているという資金がそういうところに流れているかいないかという保証はとれますか、とれませんか、開発銀行
  231. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど来申し上げておりまするように、開発銀行は、設立後相当の期間、いわゆる基幹産業というものを中心といたしまして融資をしてまいったわけであります。したがいまして、電力に対しまして、当該年度の融資額の四割である、五割であるというような金額を出したことはございます。それは初期であります。現在は、先ほど銀行局長からお話しいただきましたように、一つは、石炭火力ということ、これはむしろ石炭をたくということ、すなわち石炭鉱業に対する助成の意味においてやっておりますものと、もう一つは重電機延べ払いという、これは相当大きな規模の発電機を国産化をするという趣旨でやりまするものと、それから原子力発電の国産化という、その三本にしぼっておりまして、普通つくっております火力発電関係あるいは水力発電関係、そういうものに対しましては、私どもはいま融資をいたしておりません。いまちょっと正確な数字を持っておりませんが、最近融資額が、たとえば百六十億である、百七十億であるというような金額に減ってまいったものでありますから、電力会社から回収いたしておりまする金額と、新規に融資をいたします金額は、大体同じくらいになっております。したがいまして、電力融資の残高というものは、今後、大勢的に申しますと、原子力発電が今後どうなるかということによるわけでありますが、目下のところは、大体横ばい状態であるという状態でございます。  それから、ただいまお尋ねのございました、それではその金がほかに流れないかということでございますが、これは銀行局長からお答えをいただきましたように、年間に非常に大きな設備投資をいたしておるわけでありますから、私どもは、そのうちの原子力発電でありますとか、いまの三つにしぼっております。それから、おのおのの、たとえば石炭火力でありますと、唐津の石炭だけたきます発電所がどうなったとか、あるいは原子力発電でございますれば、敦賀の原子力発電がどうなったということを十分にチェックできるわけでありまして、それの金をねらいまして、そのうちの国産化分、そのうちのある融資割合ということで貸しておるわけでありますから、したがいまして、私どもから出ました金が、いま御指摘のような方向に回ってまいるという余地はないだろうというふうに考えております。
  232. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それは原子力発電ということを非常に強調されますけれども、電力会社というのは一つなんですよね。それで一割の配当をやっているんです。だから、声を大にして、輸出振興とか原子力発電とかというと、みんなああそうかと思う。開発銀行は、総裁はまじめですからそうあれじゃないと思いますが、大体そういうふうな……。たとえばもう一つ例がありますが、硫安ですね。肥料の会社は六・五%の利子ですね。そうですね。八・二%の利子が六分五厘の利子収入になっておりますね。ちょっとお聞きします。
  233. 石原周夫

    ○石原説明員 硫安につきましては、かつて例の輸出赤字が累積をいたしましたときに、これは政府が硫安対策というものをお立てになりまして、そのときに、たしか金額限度で幾らでございましたか、開発銀行からの融資をいたすということできまりましたワクが百六億ございます。そのワクの範囲内でただいま御指摘の六分五厘と八分二厘との差額を免除するという方法によりまして、実際の支払い利子が六分五厘ということでやっております。しかしながら、それ以外の場合にはというか、いま申し上げた硫安対策の系統の分だけが六分五厘ということを申し上げたわけであります。
  234. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、その硫安会社に対しては毎年毎年安い利子で貸したからには、それだけの厳重な会計検査をするのですか。たとえば国鉄その他が国家の会計検査を受けるようなきちっとした会計検査を受けますか、どうですか。
  235. 石原周夫

    ○石原説明員 私どもは、設備投資の融資をいたしておるわけでありますから、その融資をいたしました金が硫安ならば、ただいま申しましたように、もうだいぶ前から百六億でありますから、今日は限度十億とかなんとかいう非常に少ない金額になっておるわけでありますが、その金が当該事業目的に用いられるということは、これは十分精査をいたします。ただ、しかしながら、硫安事業を営んでおります会社が非常に監理上注意を要するという状態になりますれば、当然われわれは相当詳密な報告をもらいまするし、常に事業の進みぐあいに対しまして注意をいたすわけでありますが、一応われわれが出しました金が当該事業目的に用いられ、それが正常に運営をしておるということでありますれば、一応われわれとしては、今後償還がどうであるということに主たる関心を払っていくわけであります。
  236. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 ここで一つ例がありますけれども、資本主義社会ですから、その経営を向上させようと思えば、もちろんまじめな営業もするでしょう。借りた目的のために一生懸命使うでしょう。しかし、えてして、たとえば一番もうかることに余った金を出すとか、いろいろのことをやりかねないですね。これは人情の常で、幾ら道徳でいってもしょうがない。これは御承知のとおりだと思います。そうすると、ある大きな肥料会社では土地に対して——剰余金の合計が四十二億で、これは基準時の三・八倍強、それで資本金の二八・六%の内部蓄積をする。まあ低いですね。うんと金を借りたのでしょう。それで、土地の帳簿上の価額が十一億二千三百万円。これは基準時の帳簿の価額の二八・八倍弱で、その含み資産は八百十九億円ということなんですがね。これは御承知のとおり、資産再評価を土地に対してはやっていない。ですからこれは帳簿上なかなか出てこない。しかも銀行から金を借りるときは、この土地があるから、担保をどんどんやれる。しかもこれを専門にやると、そっちのほうがおもしろくなっていきます。そうすると、そちらのほうへずっと流れる、子会社を通じて流れるということが、硫安会社でもってもいろいろな会社があがっていますが、みんな子会社なんです。何とか不動産とかなんとかという形で持っている。けれども、その経理内容はどうか、これがどう使われるかということについては、しっかりしないと、たとえば土地の買い占めを大きな会社がやるのです。したがって、サラリーマンは、政府が幾ら住宅の貸し付けの金を出しても、なかなかうちが建たないということになるということになるんですね。そうすると、土地の投機、そういうものの買いあさりを大きな会社でやっている。これは子会社でやらせている。これを助長するようなことを安い利子でもって開銀から出したら、これは開銀のほんとうの気持ちにはならぬと思うのですが、その点、確たるそういうことはないという保証はございますか。
  237. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げましたように、硫安の輸出赤字をどう処理するかということの閣議決定の場合におきまして、目的をアンモニアの多角利用、肥料形態の転換というような二本にしぼりまして、金額を百六億にきめたわけであります。同時に、融資率もたしか四割というふうにきまって、その系統が実はここ数年続いておるわけでありまして、最近、実はこの系統で融資しております金は十億とか十数億というような、こういうような金であります。たしか四十二年度でもってその百六億は全部終了いたすかと思うのでありますが、俗なことばで申しますと、そのしっぽが残っているという形の現状であります。したがいまして、硫安会社自身といたしましては、おそらく相当大きな設備投資の計画を持っておられるわけでありまして、そのうちでこういうような、たとえば硫安肥料の多角化計画なり高度化成肥料をこういう計画でつくる、それに対して四割の融資をするということで、具体的な工場の計画に基づく融資の申請がありまして、それに基づいてわれわれは金を貸すわけであります。したがいまして、その金が当該の、たとえばいま申しましたような高度化成なら高度化成の工場に充てられたということは、これは十分確認をいたします。したがって、その金の融資対象になりましたものができ上がったということは確認をいたしますが、いま申し上げましたように、事業費に対しまして四割ということでございますから、もちろんそれ以外の金融の道を硫安会社としては必要といたすわけであります。
  238. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、その会社のつくった設備その他を一つ一つ使途別に厳重に監査をするわけですね。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  239. 石原周夫

    ○石原説明員 全部の仕事につきまして全部監査をいたすというわけではございませんが、でき上がった場合にそれを確認をいたすということはやっております。
  240. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、もう一つ今度は石炭で申し上げますが、石炭は御承知のとおりたいへん斜陽になってまいりまして非常に気の毒ですが、よくいわれているのですが、この石炭の会社の社長さんが、早くから業種転換をすればこういうことにならなかったと言うのですね。自分が資本を持っているときに、まだ石炭がこういうふうになる前に、たとえば化学工業その他に資本をだんだんと集中していけばこういうことにならなかった、よくこれは石炭会社でいわれます。その次に出てくるのは、化学工業とかその他まじめなところへ転換するということよりも、中小炭鉱主で御承知のとおり投機性の強い方がいます。そういうところでは、やはり実質六分五厘の安い利子でいろいろ借りて、土地投機はもちろん、いろいろもうかるところへずっと移っていくという実例があります。それを開発銀行総裁はよく御承知ですか。
  241. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど来申し上げておりますように、私どもの銀行の融資はいわゆるプロジェクト融資と申しまして、どういうような工事をする、それがどういう意味があるからこうこうの融資をいたす、こういうたてまえであります。したがいまして、石炭の融資にいたしましても、どこどこにどういう立て坑を掘る、そうするとどれだけ金がかかる、それに対して何割融資をいたす、こういうことであります。したがいまして、私どもは融資をいたしますときに、炭鉱なんかの場合であると、中間におきまして出来高を見ることもございますが、少なくとも先ほど来申し上げておりますように、最終段階におきまして、当行に申請のありましたプロジェクトがそのとおりにできているという確認はいたしておるわけであります。
  242. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そうすると、たとえば今度盛んに貸し始めている国際観光施設もやはり同様ですね。
  243. 石原周夫

    ○石原説明員 同様でございます。
  244. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そこで、国際観光施設でございますが、国際観光施設に八分二厘の利子ですか、それにしても、これは環衛でも非常に問題になったのですが、これはもちろんオリンピックを機にして外国人からドルかせぎでやるのが目的ですが、ドルかせぎ以外のお客さんでも部屋があいてればやはりどんどん収容するわけですね。
  245. 石原周夫

    ○石原説明員 全部外人が入るということは、なかなかそういうことにはまいりませんので、やはりある割合で外国人が宿泊する、こういうことであります。
  246. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 そこで、との観光ホテルですが、おたくで出している設備投資計画調査報告書、これによりますと、旅館はもう外部資金の依存が要らぬくらいもうかっていると書いております。そうすると、こういうところにたとえば日本のお客もどんどん行く。消費奨励ですね。昭和元禄です。そういうように、観光会社が何とかホテルを二十億、三十億で建てる。その内容について非常にきびしい監査をして、よそに使っていないという保証はあるのですか。きちっと処置をしておりますか。
  247. 石原周夫

    ○石原説明員 国際観光ホテルにつきましては、運輸省がきめました基準がございます。たとえばパブリックスペースの割合、それから便所、ふろ場との関係とか、そういうような基準がございまして、その基準に合致をいたしているということがまず私どものほうの融資の一つの目安になるわけであります。のみならず、私どものほうといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、事業計画がありまして、その所要事業費と見合ってある融資割合で金を貸すものでありますから、そのとおりのものができているということを確認いたしましてお金を渡す、こういうことにいたしております。
  248. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 この開発銀行のお金は、八分二厘といえども一般の市中の金利、一割以上の金利より安いのだし、さっき言ったように大切な国民の金なのです。だから、普通の人が金もうけになるから土地投機をやるとか、観光施設がもうかるからといって事業を始めても、運輸省の基準に合致しなければならない。ところが、その運輸省の基準との合致はあとで運輸省に聞かなければならぬが、何々スカイラインというところで二十億、三十億の開銀の融資を受けたという話があるのですね。したがって、融資基準やなんかを厳格に調査しなければなりませんが、具体的に名前は知っているわけですが、開発銀行総裁としては、こういう国際親光のホテルでドルかせぎをするといっても、これは日本人も相当使うし、そういうものに貸し出すこういう資金は、開発銀行本来の趣旨ではないとお考えになりますか、どうですか。
  249. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど来申し上げております開発銀行の業務というものは、やはり政府の政策を反映するものでございまして、「経済の再建」「産業の開発」ということがうたってございますが、その趣旨におきまして、政府が、観光政策が非常に重要であるということで、外貨獲得、国際収支対策ということでやっておられる。私どももその政策に基づきまして、国際観光ホテルに対します融資をやっておるわけでございます。
  250. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 さっきずっと聞きましたが、それでは総裁は、ほんとうに土地造成並びにそれに必要な土地の取得ということに金を貸していませんね。
  251. 石原周夫

    ○石原説明員 これは三年ほど前でございましたか、法律改正をいたしましたので、当大蔵委員会でごらんをいただいたと思っておりますが、土地造成のための融資ができるように開発銀行法の改正をいたしております。これはいまお話しのような土地ということでは必ずしもないのでありまして、工業用地の造成をいたす必要がございます。そういう意味で工業用地の造成に対します融資の道を開いたわけでありますから、当然われわれのほうといたしましては、工業用地の造成に融資をする道はございます。現在までに九州において一件該当した案件がございます。
  252. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 さっき私は何度か念を押したでしょう。それをきちっと見てきて、厳格な融資のやり方をしているかどうかと聞いたのですよ。声はあまりでかくしませんが、私はちゃんと見ていたんですよ。業務方法書というのがそこにある。そこには、「経済の再建及び産業の開発に寄与する事業の用に供する土地の造成(当該造成に必要な土地の取得を含む。)」と書いてある。いま断言して、総裁はまじめだから、きちっと成り行きを見ていると言うけれども、私はここで実例をあげると、相当多くの会社——土地の値段というのは、いろいろの事業の利益よりも、それから一般価格の上昇よりも、たとえば一般価格が三百四十倍なら土地の価格は三千五百倍くらい上がっているでしょう。したがって、えてしてみんなそういうところに手を出しますよ。現に東京の近郊でもってずっと一番多く買っている。したがって、土地値上がりの一番の原因は何かというと、物価問題懇談会でもいろいろと調査資料が出ているとおり、大きな会社の土地の買い占めがあるのです。京成不動産でもどこでも、個々の名前あげませんが、子会社を持ってたいへんなことをしている。そういう問題について——たとえば私鉄のターミナルの乗り入れも今度新しくやられたでしょう。そうすると観光会社——観光会社だけだと断言したでしょう。どうですか。
  253. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど来申し上げておりますように、私どものほうはプロジェクトに基づく融資をいたしておりますから、当該プロジェクトがそのとおりできているかどうかということを確認をいたして金を出すのだということを申し上げたわけであります。設備投資に要必な資金を供給いたすことが私どもの任務でありますから、したがって、一般的には設備資金を貸すわけであります。土地造成という場合におきましても、これは一つの有形資産ができるわけでありますけれども、これは売却を目的といたすものでありますから、したがいまして、先ほど申し上げましたように、十八条の改正をいたしまして、土地造成の金は、これは有形資産をつくのではあるが、いわゆる設備投資にならないということで、例外規定を設けました。これに基づきまして当初融資をいたしておりますのが九州に一件あるということも申し上げました。それはしかし、ただいまお尋ねのような形のものではございませんで、これは埋め立て地を造成いたしまして、臨海を所要の施設に売却するためにできたものであります。そのプロジェクトに従いまして金を融資し、現在では土地の売却が相当よく進行したからだと思いますが、完済になったそうであります。
  254. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 私は、総裁のきちんとしたまじめな答弁は信用しますけれども、しかし、全体の機構として信用するわけにいかぬと思うのです。なぜならば、常識でおわかりになるでしょう。たとえば今度私鉄のターミナルの乗り入れとかその他がずっとあります。都市再開発とかそういういろいろの問題が、どの程度どういうように投機に使われ、もしくはいろいろと利権に使われるかということは、東京の開発のいろいろな事例で明らかなんです。それに対して、先ほど阿部委員からいろいろ要求したときに、私企業であるから全然それについて融資の額も見せられないというのですよ。それでは国会——たとえばそういう会社の資産内容というものは、これは全部もう御承知のとおりです。貸借対照表にしても何にしても、全部集めたものを割って出しているものですから、それがどういうようになっているかということは、資産経理内容一つ一つ詳しく調べて、国会でどうだということを言う以外に、そういう御答弁で引き下がる以外にないのです。ところが、事実は違っているのです。  それから、いろいろと今度開発でもって、たとえば観光ホテルを建てるとかなんとかということも、これは後日また質問しますけれども、ずいぶんと運輸省といろいろ交渉して、どこが公平な基準かということはわかりかねる、そういう問題を内蔵していると思うのです。そういう重要なこまかい内容に入ってわからないこと、それからどこまで監視するということのその基本的な内容について、今度もっと具体的な内容で言わないと水かけ論になりますから、具体的な内容で申し上げます。やはり開発銀行としては、私は思うのですが、観光施設ということでいろいろのホテルや何かに金を貸すのと、それから、これからまた中小企業金融で質問しますけれども中小企業のたいへんな体質の改善に使うのがいいか、そういう点で詳しくお聞きしたいと思うのですが、これは大蔵大臣にお聞きします。  いろいろの業界の要望を見ますと、資本金が大体一億円程度の、これは中小企業に入るかわかりませんが、中堅企業が開銀融資を非常に要求して  る。もちろん、中小企業金融公庫その他でもってめんどうを見られるのは、だんだん範囲が大きくなって、しかも中小企業金融のワクが少ないという問題がありますね。そういう場合に、中堅企業——輸出産業ですよ。中堅企業を育成するためにはどういうふうにやっていくか、大蔵大臣にお考えをお聞きしたいと思うのです。
  255. 澄田智

    ○澄田政府委員 とりあえず私のほうからまずお答えを申し上げます。  現在の中小企業に対します政府関係金融機関は、これは中小企業基本法の中小企業というようなことに、融資対象としてはそういうことになっております。それよりもう少し大きいところ、いま申し上げました中堅企業中小企業の域を脱した、しかし、まだ企業としての規模も十分でないというような企業に対する対策という点については、これはそういう面の金融面等について従来からいろいろ要望もあります。必要もあったわけであります。今回御審議を願うことになっております金融制度調査会の答申に基づく中小企業金融のあり方というあの答申の中におきましても、相互銀行あるいは信用金庫といった中小企業専門の民間金融機関の主たる融資の対象の範囲を、現在の中小企業の範囲よりも広げる。たとえば相互銀行で申し上げれば、資本金二億円以下、それから信用金庫で申し上げれば一億円以下というようなところまで拡張をいたしまして、中小企業及び中堅企業の金融対策という点に、特に新しくその面について充実をはかっていこう、こういう趣旨で今回法律案を御審議をお願いすることにいたしている次第でございます。民間の面では、そういうようなことによって、従来とかくそのところが薄くなりがちの中小企業の上のところ、中堅企業のところの金融対策という点にそういう配慮をいたしておるわけでございますが、なお、中小公庫につきましても、現在の融資限度についてもっと引き上げてほしいという要望が強いわけでございます。この点につきましては、近く中小企業庁と共同いたしまして実態を調査いたしまして、必要に応じてその融資の限度につきまして若干の引き上げをはかっていきたい、そういうことで別途充実もはかっていく、そういうふうなことを考えております。なお、そういう場合におきましては、国民公庫と中小公庫との間の業務の範囲の調節というようなことも、したがいまして必要になってくるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  256. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 大蔵大臣にお伺いしますけれども、以上のとおり、開発銀行の融資については総裁は一生懸命あれされていましたが、全体として貸し出す方向がだんだんいわゆる基幹産業が移ってきて、資金に余裕が出てきたのだと思いますが、基幹産業がみんなもうもうけて自立できるようになったということもあるわけです。一番困っているのは輸出産業であるというような、いま澄田さんが言われました中小というか、中堅企業のそういう金融の要求とかなんとかがいろいろ苦心されていますが、そういうところにやはり開銀の重点も置くべきではないか。観光ホテルがいけないというのじゃないけれども、だんだん観光とかホテルとかターミナルとかそういうところに広げていけばいくほど、先ほど私が警告したような、土地の買いあさりとか土地投機とかというところにずっと広がっていくおそれは多いと思うのです。したがって、今後はそういうほうを整理して、だんだんほんとうに昭和元禄でない、質実剛健な方向に融資の重点を向けていくという点はお約束できますか。
  257. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはり自由化対策に即して中小企業の構造改善というようなものについての金融として、開銀もそういう方向へいってもらうほうがいいというようなことをわれわれ考えております。
  258. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 ちょっといまほかの委員から注意がありまして、開銀総裁にお聞きしますが、レジャーランドにお金を貸すというようなことは許されますか、どうですか。
  259. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げましたように、国際観光ホテルに貸しておりますのは、これは先ほど申し上げましたような運輸省の規格に合致いたしました観光ホテル、ただ地域開発ということがございまして、私ども先ほども申し上げたように、四地域のいわゆる後進地域と申しますか、それに対します地域開発融資をいたしておりまするが、これはおのおの四地域に地域開発促進法というものがあって、その開発促進法に基づいて融資をいたしておるわけでございますが、これは相当僻地と申しまするか、観光以外にあまり見るべきものがないというところもございます。そういうところもございまするし、近ごろは国際観光ルートというようなものを考えまして、国際収支の改善をそのような方面からはかっていきたいということもございます。そういうところは、これは登録旅館ということを申すわけでございますが、これも運輸省に一つ基準がございまして、国際観光ホテルよりももう少しゆるいのでございますが、やはり相当外客が泊まり得るような、そういうような基準を持ちましたいわゆる登録旅館というものがございます。これを相手にいたしました金融をいたしておるわけであります。  それからもう一つ、有料道路がございまして、これは公営の場合が多いわけでありますが、民営でも有料道路をやっておるところもございます。これは観光的な意味ももちろんございますが、同時に産業的な意味もある。それから基本的な交通そのものに意味があるというところもございますので、こういうものも若干地域開発のほうで取り上げているわけでございます。
  260. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 もうこれで切り上げようと思ったんですが、そういうように御返事があると……。いまお聞きしたのは、レジャーランドというと、それについては貸すか貸さないかという問題、もう一回お聞きします。
  261. 石原周夫

    ○石原説明員 レジャーランドというお尋ねでございましたので、むしろ内容を申し上げないとおわかりにならないかと思います。私どもはレジャーランドというものをレジャーランドとして対象にいたしたことはございません。ただ申し上げましたように、その中で登録旅館という資格に該当する旅館があり、あるいはもちちん登録旅館全部に貸すわけでも何でもないのでありまして、地域開発の非常に重要な意義があるというものに限るわけでありますが、有料道路におきましても、先ほど申し上げましたような、そういう地域開発上の意味がある、こういうものに貸しておるということを申し上げたわけでございます。
  262. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 それじゃ、ドルをかせぐため、そういう緊急の国のために必要だというところだけに貸すわけでしょう。
  263. 石原周夫

    ○石原説明員 国際観光ホテルにつきましては、これはまさに外貨、国際収支改善という意味がございます。したがって、外客誘致の率も必ずある率がございまして、その点はたして入ったかどうかという点も私ども報告をもらっておるわけでございます。先ほど申し上げました地域開発というのは、これはまた、その地域における開発に貢献するかどうかという問題でございます。ただそれにしても、おのずから融資の対象には、まずその対象そのものに限定がある、その上に地域開発の重要性という両方の意味がなければならないと申し上げたわけであります。
  264. 広沢賢一

    ○広沢(賢)委員 もう水かけ論はおしまいにしますが、その地域開発ということですね、これがどこまで拡張されるか、これはよその各省と定義を聞いたり何かして実態を調べて厳重にやらないと、国のいまの基本方針ですね、円の防衛という、ドルをできるだけかせぐという、そのためにいたし方がないというなら、まだ話がわかるけれども、それ以外のことでもってだんだんそれを広げていって、昭和元禄を助長するような、いろいろと土地と利権に関係するような、そういう問題に広げていったのでは、これは開発銀行が悪い方向にいくと思いますから、それで念のためにほかの委員がお聞きしたのです。そういう点では十分気をつけていただきたいと思います。  以上でございます。
  265. 田村元

    田村委員長 竹本孫一君。
  266. 竹本孫一

    ○竹本委員 簡単に質問いたします。  日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度額を今回の改正で四倍から五倍にする。よくわかりますけれども、それが四倍から五倍になったということで、新しい限度額は一兆八千八百億かになります。ところが、現在貸し付けておるもの、またことし貸していくものを考えてみると、幾らも残らない。そういうことになりますと、来年はまた来年で倍率増加を考えなければならぬような気もいたしますが、一体どういう長期的展望の上に立って五倍ということにされたのであるか、その辺を承りたい。
  267. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま御質問の開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度額、それと融資及び貸し付け及び債務保証の限度額、それぞれ現行は片方は自己資本の四倍、片方は五倍ということになっております。これのあり方について、金融機関の性格、その内容というようなものから見まして、どのくらいが適当であるかという点につきましては、いろいろ考え方はあると思います。現在まで逐次引き上げられてきて、現在貸し付けの限度額につきましては五倍ということになっているわけでございますが、この五倍という比率は、今回六倍に引き上げるということになりまして毛、それは金融機関としての性格から見て、他の金融機関と比較をしてみた場合、自己資本に比較をして決して高いということはなく、むしろ非常に余裕のあると申しますか、自己資本が厚い、そういう形になっているわけでございます。  今回、一倍引き上げた、一倍だけワクを拡大したということでございますが、そうしてそれはまたいまの御指摘では、来年さらに拡大しなければならぬのではないか、こういうようなことでございますが、私ども、これからの開発銀行の貸し付けのワクの今後の推移等を見まして、今回の改正によりまして、決してまた来年必要になるというようなことでなく、ある程度の期間これでもっていけるのではないか。具体的に申せば、二年ないし三年は、今度の改正によって、開発銀行の融資の伸びが現在程度の伸びで伸びていった場合にはだいじょうぶじゃないかということで、今回一倍ふやす、こういうことにいたした次第でございます。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
  268. 竹本孫一

    ○竹本委員 本来、政府出資でいくべきだという意見を私は持っておるわけですけれども、これは先ほど来議論がありましたのでやめますが、あとで大臣にもお伺いしたいと思うのだけれども開発銀行の本来の使命、これからの使命といったようなものを考えたた場合に、いま局長は二、三年だいじょうぶのようなお話でございましたけれども、いささかその日暮らしのような感じがするのですけれども、要するに五倍にしたということについては、一応長期展望の上に立っておるのであるかどうかということを、もう一度念を押しておきたいと思います。
  269. 澄田智

    ○澄田政府委員 三十年代の経済から四十年代の経済に変わり、今後の経済成長の姿というのもいろいろ従来と変わってくる、こういう環境のもとにおきまして、金融制度全般について再検討する時期である、かように考えまして、金融制度調査会では四十一年度から逐次金融制度のあり方について検討いたしております。昨年十月に中小企業金融のあり方ということについての答申を得まして、今回国会にお願いいたしております法律案になっておる次第でございます。  金融制度全般を再検討いたします場合に、当然に政府金融機関のあり方というような問題も将来の問題として問題になってまいる、かように存ずる次第でございます。特に開発銀行につきましては、長期金融、設備金融というものが民間の金融機関ときわめて密接な関係にありますので、そういうような民間の金融のあり方というものと関連して開発銀行長期展望というものも考えられなければならない、こういう性格であろうかと存じます。かれこれ考えまして、今回は二年ないし三年という期間を見たとりあえずの限度の改正であることは御指摘のとおりでございますが、長期的な問題としては、今後の金融全体の問題として考える、開発銀行についてもそういう問題として考えられる問題を持っておるのではないか、かように存ずる次第でございます。
  270. 竹本孫一

    ○竹本委員 この問題はこのくらいにいたしておきまして、次は借り入れ、債券発行の残高の内訳はどんなものになっておるか、伺いたい。
  271. 澄田智

    ○澄田政府委員 手元にございます数字の四十二年九月末でとりあえずお答え申し上げますが、開発銀行の借り入れ金の残高は七千九百八十七億でございます。そのうち政府からの借り入れ金が七千二百七十一億、外貨の借り入れ金が七百十六億、かような数字になっております。
  272. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、今回ワクを広げ、限度額をふやした場合に、借り入れについての問題はすべてスムーズにいくという見通しですかどうですか。
  273. 澄田智

    ○澄田政府委員 借り入れのほうはまだ余力がございます。開発銀行の借り入れは、政府からの借り入れ、財投計画による借り入れでございますが、それはまだ余裕がございまして、今回の改正の必要も、これは開発銀行の貸し付けのほうが、このままでございますと四十三年度中に天井にぶつかる、こういうことで今回の改正になった次第でございます。借り入れについては余力がございますし、特別な問題はございません。
  274. 竹本孫一

    ○竹本委員 この問題も議論をすれば議論はあるでしょうが、先ほど銀行局長が触れられましたような基本的な問題について、これから一、二伺ってみたいと思います。  まず第一は、総裁にお伺いいたしますけれども、二十六年四月にできて以来、開銀の果たしておる政策金融のあり方がどういう変遷をして今日に至っておるか。また、時間がありませんから一緒に言いますが、これからの開銀のあり方、政策金融のあり方の中での開銀の役割り、使命というものについてどういうお考えを持っておられるかを承りたい。
  275. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほども申し上げましたように、開発銀行ができました当初におきましては、大体におきまして基幹産業に対しまする融資、電力、海運、石炭、鉄鋼そのほか四業種を中心にした融資をいたしておりまして、大体年度の七、八割はその融資でもって——八割をこしたようなときもあるわけであります。その後になりまして、産業の高度化という要請が加わってまいりまして、機械の関係でありますとか、あるいは電子工業の関係でありますとか、石油化学というものも加わってくる。と同時に、国際収支という要請がありまして、たとえばホテルだとか、あるいは海運のほうも——これは最初からやっておったのでありますが、いわゆる大量建造というものが始まりまして、海運の面からする国際収支の強化という問題であります。その後になりますと地域開発というのが、これは三十四年から始まっておるわけでありまするが、地域開発促進法が四地域できまして、地域開発が新しい項目として加わる。最近のところで申しますると、始まったのが三十八年からでありまするが、体制整備、体制金融といいまして、産業構造の改善ということに開発銀行の融資を役立てたいということが一つ。もう一つは社会開発という要請、これはたとえば中期経済計画から新しい経済社会発展計画におきまして、やはり経済開発と社会開発とを並行しなければならぬということでありまして、私どもといたしましては、大都市の再開発でありますとか、流通機構の改善でありますとか、そういうような項目が加わってくる。特に四十三年度におきましては、技術開発というもの、これは従来からもあったわけでありまするけれども金額もふやし、特別な取り扱いをしてできるだけこれを拡充してまいりたいというようなのが最近のところでございます。  したがいまして、今後どうするかということは、これは政府が政策をおきめになることでありますが、いま大体申し上げてまいりましたように、最近の傾向から申しますると、資本の自由化、開放経済ということに関連いたしまして、何といっても産業体制の整備をするという問題は、今後相当の期間続くだろうというふうに考えております。それからもう一つは、先ほど申し上げました社会開発ということに関連をいたしまする大都市問題、いわゆる過密問題、都市問題という問題が依然として今後まただんだん伸びてまいるんじゃなかろうか。もう一つは、やはり今後におきまする経済の発展の大きなかぎになりまする技術開発の問題、そういうような問題が、私いま申し上げました、今日までに至りまする開発銀行の業務がどうなってまいったかということに関連して考えられるかと思います。
  276. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がないから簡単にお尋ねをいたしますが、一つは、産業設備資金の供給の面において開発銀行が現在どの程度の役割りを果たしつつあるのか。また、大臣にお伺いいたしたいのですけれども、産業設備資金の今後における需給はどういうふうなお見通しであるか、二つお尋ねいたします。
  277. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまのお尋ねの第一点の、産業設備資金の中に占めます開発銀行のウエートということでございますが、四十一年度で申しますと、約四兆五千億程度資金の中で開発銀行から二千二百億ばかり供給されておりますので、その割合は五%というようなことになるわけでございます。  それから、大臣へのお尋ねの、今後の産業設備資金の需要供給の動向という点でございますが、四十年の経済の停滞期あるいはその後の四十一年を通じまして、企業のいわゆる自己金融力といわれております償却資金あるいは内部蓄積というようなものによって設備資金をまかなうという割合は非常に高まってまいりました。これは、一時高度成長で設備投資が非常に盛んに行なわれておりましたときには、必然的にかなり低かったわけでございますが、それが経済成長のパターンも変わってまいったというようなこともございますし、それから、巨額な設備投資が行なわれた結果、それによる償却資金というものが非常に大きくなってきたというようなこともあり、他方、設備投資の伸びも鈍化したということと相まちまして、企業の設備資金に占める自己資金の割合というものが非常に高まってきたわけでございます。現在、また設備投資が盛り上がりを見せております。一方、金融も引き締められておる。こういう状況でありますので、このところはちょっと足踏みの状態でございますが、全体としてはそういう傾向になってまいりました。これから急速に伸びましたその勢いでまたどんどん伸びていくかどうかは別といたしまして、今後も方向といたしましては、産業設備資金に対して企業の自己金融力で調達する比重が高まる。したがいまして、外部から依存をする設備資金の割合というものは相対的にウエートが小さくなる。長期的に見ますとこういうような形をたどるのであろう、かように存ずる次第であります。
  278. 竹本孫一

    ○竹本委員 局長の見通しとちょっとわれわれ違うのですけれども、時間がありませんから議論はやめますが、いま五%とおっしゃいました。これは全体の数字の比較でありますから、パーセンテージが下がっておるのでしょうけれども、いずれにいたしましても、業種別に考えた場合でも、産業体制の整備とか資本自由化対策ということを考えると、私は、開発銀行のウエートはもっとふやさなければならぬのではないかという意見なんです。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味から、先ほども、四倍を五倍にした程度ではその日暮らしではないかということもお尋ねをいたしたわけでございますが、この問題はきょうは議論はやめます。  ただ次に、いまの自己金融力が非常にふえてきたお話は、七〇%から八〇%はおもな業種ではやっておるようですから、それは確かにそのとおりでありますが、それも情勢がだんだんに変わりつつある。さらに将来はもっと変わるだろうということを見た場合に、一体長期資金の供給源というものは、どこに、どういうふうに求めていくのか、それから全体のバランスはどの程度になっていくのか、その辺についてもう少し科学的な見通しはありませんか。
  279. 澄田智

    ○澄田政府委員 御指摘のような長期の見通しにつきましては、今後の経済成長がどういうふうになっていくかというような問題、将来の日本経済の姿というものを想定いたしまして、そしていろいろ計算をするということで、先ほど申し上げました今後の金融のあり方の再検討ということで、現在金融制度調査会においても、一般民間金融機関の特別委員会というのを設けまして検討いたしております。そういうための資料等も目下つくって、いろいろ検討はいたしております。また、民間の金融機関等でもいろいろ試算はあるようでございますが、いずれも幾つかの大きな想定のもとのものでございまして、御質問のような科学的なとおっしゃる点につきましては、いろいろありますが、これはという御納得のいくようなものはなかなかないわけでございますが、いろんな角度から目下検討いたしておるところであります。
  280. 竹本孫一

    ○竹本委員 需給のバランスを中心に議論しなければ、今後の長期金融のあり方等についても、また、開発銀行の果たす使命といったような問題についても、十分な論議ができないと思いますので、これはあらためてやることにいたしまして、二、三これに関連してお伺いいたします。  一つは、将来二年ものの定期を新設するお考えがあるか。次にはCD発行は可能性があるのか。三つ目は、金融債の消化についてはどういうふうなお考えを持っておられるのか。この三つだけ関連をしてお尋ねしておきたい。
  281. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまお尋ねの二年毛の定期とか、あるいは譲渡可能な預金証書、いわゆるCDでございますが、これはまさに今後の金融制度のあり方、長短金融の制度のあり方という問題に触れる問題でございます。金融制度調査会においてこれから検討する一つの重要な問題でございます。昨年の十一月に一般民間金融機関に関する特別委員会を設けることになりまして、十二月から発足いたしました。数回委員会を開いたところでございますが、今後こういう問題の検討に入っていくことになっております。  それから、金融債の消化の問題でございますが、今回の引き締めの結果、金融債、なかんずく利付金融債の消化、これは御承知のとおり、主として都市銀行を中心とする普通銀行において消化をされるウエートが非常に高いわけでございますが、そういう消化がかなり窮屈になっておる。他方、そういう金融債を持っておった金融機関がこれを売却をしておるというようなことも、一つは債券市場の値を下げる原因になっておる、こういう状況でございます。長期金融のあり方、ことにその資金調達の方法——いまのように金融債という形で資金を調達する、金融債にも割引債と利付債があり、利付債は金融機関消化というものに相当依存をしておる、こういうような形のあり方については、これまた今後の金融制度の問題、長期信用銀行等のあり方の問題というような問題としても、今回の引き締めの経験等を一つの材料といたしまして、なお十分検討する問題であろう、かように存じております。
  282. 竹本孫一

    ○竹本委員 きょうは銀行局長は遠慮しておられるのかどうだか、みんな金融制度調査会に聞いてくれというようなことばかりで、さっぱり要領を得ませんが、時間もないので論議を深めることができませんけれども、金融制度調査会のみならず、すべての調査会に問題をはかるときには、もう少し原局の意見をまとめて、どの辺に結論を持っていくかということについて、責任と見識のあるリーダーシップがなければ、何もかもみな制度調査会に待っているようなことでは話にならぬのじゃないかと思いますから、これは希望意見として申し上げておきます。  最後に、二つだけお伺いをいたしたいのでございます。簡単に結論だけ言っていただけばよろしいのだが、一つは、金融再編成がいわれている中で、また金融環境も大きく変わろうとしている中で、開発銀行はどういう方向に向いていこうとしておるのであるか。長期資金の確保の問題、産業設備資金の確保の問題の中で、他の金融機関との分野の調整の問題もありましょう。いろいろ問題があると思いますけれども、要するに結論として、開発銀行はどういう位置づけをし、どういう使命を果たさせようとしておるのであるか、これが一つ、これは大臣に伺いたいのです。  もう一つは、資本の自由化ということがいわれておる。そうしてまた、最近その論議が少し下火になっておるわけで、輸入課徴金のほうが前面に出ておるわけでございますけれども、これは私、将来的な展望から言うと、資本自由化というものはたいへんな問題だと思っておるのです。かつて私、予算委員会において聞いたこともありますが、イギリスの産業再編成公社というものがあります。これは民族産業を擁護する立場に立って金を貸してやる。外国から乗っ取られるところの危機は救ってやるが、そのかわりに、地方開発についてもこれだけの分野は受け持て、輸出についてもこれだけの責任は持てといったところまで、国家的な見地でコントロールを加えておる。私は、日本においても将来資本の自由化のあらしが吹いてきた場合には、これを受ける、あるいは受けとめるものがなければならぬと思うのです。ところが、実際は、持ち株会社をいってみたり、あるいは独禁法の、われわれからいえば改悪を考えてみたり、いろいろいっておりますけれども、いずれも民間ベースの考え方であり、またそれだけの限界のあるワクの中での考え方であって、たとえば、いま申しましたイギリスの産業再編成公社が果たし、もしくは果たそうとしておるような、国家的な資金による大規模な民族産業擁護の姿勢ではありません。日本でもしそれを考えるとするならば、開発銀行をそういう方向方向づけることも一つの案ではないかと思うのでございますけれども、この二つの点。金融再編成の過程において長期資金の供給を受け持っておる開発銀行は、いかなる方向に位置づけていこうとするのであるか。資本自由化のあらしの中で、国策的な見地から開発銀行はどういう役割りを果たすのか、果たさないのか、果たさせようとしておるのか、その辺をひとつ伺いたい。
  283. 水田三喜男

    水田国務大臣 いわゆる資本の自由化に伴って、日本経済は開放体制をとらざるを得ないところにいま来ております。それに加えて、関税のいわゆるケネディラウンドの問題といい、また特恵関税の問題、こういうものが出てきますと、何をおいても、日本の産業の再編成をしなければならぬ、そうして体制整備仕事をここで急速にやらなければいけないという事情に直面しておりますので、それらの要望にこたえて、開発銀行の使命はそういう新しい方向が出てきていると思いますので、やはり開発銀行の今後の使命としては、こういう産業の構造高度化への金融ということと、国産技術の振興のための資金供給というようなことに新しい開発銀行の使命は出てくるのだろうと思いますので、いま政府でもそういう方向へのいろいろ重点を置いた運営のしかたについて考えておるところでございます。   〔竹本委員「金融再編成は」と呼ぶ〕
  284. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま大臣答弁申し上げました中にもございますが、今後開放経済体制も進んでまいりますし、そういう中において産業の再編成というようなことも必然的に進められていかなければならぬ。そういうような点で、開発銀行がやはりそういう面の役割りを果たしていく、社会開発の面あるいはまた各種の新技術開発というような面等、現在もそういう点に開銀の重点が徐々に出てまいっておりますことも先ほど説明があったところでございますが、そういうような開銀の使命というものは今後もますます大きくなっていく面も持っているのだと思います。ただ、産業資金の供給面においてどういうふうにこれを位置づけていくかというような問題は、先ほども御指摘がございましたが、今後の経済成長の姿、設備投資の推移というようなものも見まして、民間機関との関係等も考えてこれから検討していかなければならない問題である。方向がわからないで検討するのはおかしいじゃないかというお話が先ほどございましたが、まさに金融制度調査会においていま検討に着手したところでございます。これからいろいろ具体的な内容に入っていくところでございます。目下そういう問題については勉強中でございます。
  285. 竹本孫一

    ○竹本委員 本日は時間がありませんのでこの辺で終わりますが、要望いたしておきたいと思います。  いまお聞きのように、金融再編成の問題は、これから具体的な日程にのぼってまいるであろう一番重大な問題でございますので、ひとつ高いリーダーシップと十分な科学的なデータを用意されるように、せっかく努力をしていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
  286. 田村元

    田村委員長 次回は、来たる八日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会      ————◇—————