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1968-03-05 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月五日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    鯨岡 兵輔君       河野 洋平君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    砂田 重民君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       古屋  亨君    坊  秀男君       村上信二郎君    村山 達雄君       山下 元利君    吉田 重延君       阿部 助哉君    井手 以誠君       佐藤觀次郎君    中嶋 英夫君       平林  剛君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    武藤 山治君       河村  勝君    北側 義一君       田中 昭二君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         大蔵省理財局長 鳩山威一郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局東北開発         株式会社監理官 下山 修二君         外務省経済協力         局政策課長   野村  豊君         大蔵省理財局資         金課長     大蔵 公雄君         大蔵省国際金融         局次長     奥村 輝之君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         通商産業省貿易         振興局為替金融         課長      宮本 四郎君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      加藤 博男君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月五日  委員石田幸四郎君辞任につき、その補欠として  北側義一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二日  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号) 同月一日  国立医療機関特別会計制反対に関する請願  (中嶋英夫紹介)(第一八六六号)  同外二件(平林剛紹介)(第一八六七号)  同外一件(春日一幸紹介)(第一九三六号)  同(黒田寿男紹介)(第一九三七号)  同外二件(野口忠夫紹介)(第一九三八号)  同外一件(華山親義紹介)(第一九三九号)  同(山崎始男紹介)(第一九四〇号)  同外一件(島本虎三紹介)(第二〇四二号)  同(西宮弘紹介)(第二〇四三号)  中小企業に対する国民金融公庫融資制度改善  に関する請願麻生良方紹介)(第一九三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融  通特別会計法を廃止する法律案内閣提出第一  五号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案日本開発銀行法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広沢賢一君。
  3. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 経済援助資金特別会計余剰農産物資金融通特別会計産業投資特別会計に吸収合併するという法案についての質疑をいたしますが、産業投資特別会計の内訳をまず御質問いたしたいと思います。   〔委員長退席金子(一)委員長代理着席〕 これは大蔵省主計局長、いないですね。——答えられますね。  この特別会計を見ますと、日本輸出入銀行に四百八十億出されています。そのほか中小企業金融公庫その他に非常に少なく出されていますが、輸出入銀行だけに圧倒的に多く出したという理由をまずお伺いしたいと思います。
  4. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいまの輸出入銀行に対します出資の点について、理財局長でございますが、主計局が来るまで、私がお答えさしていただきます。  輸出入銀行は、御承知のように、プラント等輸出あるいは海外に対する、借款に対します資金貸し付けを行なっておりますけれども、その貸し付けば、いま、原則として、プラント等は四分の貸し付けを行なっております。そういう関係で、貸し付け原資出資資金運用部等貸し付けと両方でまかなっておりますが、資金運用部貸し付けば六分五厘の原価がかかっておりますので、これを総合金利として五分程度、五分以下の金利に薄めなければなりませんので、どうしても出資金が必要であるということで、これは昨年も、補正後でございますが、四百八十億円の出資が必要だったのでございますが、四十三年度も四百八十億円の出資をしなければならないことにいたしておるわけであります。
  5. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 この金利の問題ですが、大蔵省では四分の要求を五分にしなければならぬということでずいぶんがんばった。読み上げますと、「船などの延べ払い輸出に使われる輸銀金利引き上げも、閣僚折衝で見送られた。」ということで、四分を五分にとどめなければいかぬということを強く主張した根拠は何かございますか。非常に根拠はあると思うのです。
  6. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 輸銀金利の問題につきましては、閣僚折衝まで折衝いたしたわけでございますが、その結果は、当面据え置きにするということで終わっているわけであります。財政的な立場から申し上げますと、ただいまのような非常に多額の出資を必要といたしますので、四百八十億円の出資でも、現在の四分の貸し付けを継続するというのはなかなか困難が多いのでございますが、これにつきまして、今後——世界各国とも特に船舶につきましては相当輸出競争が激しくなっておりまして、これらにつきまして、国際的にも、いろいろな国際金利状況あるいは国際的な船の輸出条件に織り込むべき金利水準をどうするかということが問題になっておりますので、これらの点も今後いろいろ勘案いたしまして、今後の情勢に応じて検討してまいりたいというので、何らかの措置がとられるまでは現状の四分の制度で続けていく、こういうことに了解をいたしておるわけであります。
  7. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 「何らかの措置がとられるまで」ということがまだ具体的にはっきりしませんが、新聞によりますと、大蔵省輸銀金利引き上げようとしている理由があがっております。なかなか明確なんですが、「外貨準備高が二十億ドルを割り込み、海外環境の悪化で、さらに落ち込むおそれが出ているとき、輸銀延べ払い輸出が伸びても外貨はふえないし、外貨が直接手に入る通常輸出が、安易な延べ払い輸出に振りかわるようでは困る。」ということが一つ。それから「海外金利が上昇しているのに、日本の輸銀が、年四%という低利を続ける必要は少ない。」ということです。それから国際的な非難が高まる、これはあれとして、それからもう一つは、「大手の造船会社は、一社で輸銀貸し出し残高約九千億円の一割以上に当たる一千億円ないし七、八百億円もの膨大な融資を受けている。」これはたいへんな額ですが、輸銀もとをたどれば、一般会計からも出ているし、それから、大切な国民の預貯金とかその他が集まったものですから、非常に大蔵省として慎重な取り扱いをしておると思うのです。それ以上に、現在いろいろなものを見ると、造船会社は世界一の技術水準を持っておる、よその国からその技術を学びに来ている、技術輸出もできるくらいだ。しかも給料は安い。造船会社で働いている人は、外国から見れば、ヨーロッパの二分の一、アメリカの五分の一、そういう状況で、金利負担だけが大きいわけです。ところが、コストを調べると、よそよりか非常にコスト安になっている。あたりまえですね。技術がうんとあって、うんと働いて、しかも給料が安い。そういうような造船会社に対して金利負担金利負担という。どこだって金利負担はたいへんだ。よその国を見ても全部そうだ。そういう点から見ると、大蔵省としていっていることはもっともで、通産省が要求していることのほうがいままでの惰性をいっているというような感じがしますが、大蔵省としてはどういうふうに考えますか。
  8. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいまの事務的な折衝段階では、いろいろ私ども意見は戦わしたのでありますけれども、結着いたしましたのは、先ほど申し上げたとおり、当分この現状で参るということでございます。ただ、いまおっしゃいました中で、輸出振興が現在非常に大事であるということも事実でありますし、輸銀金利をかりに若干引き上げました場合に、それが輸出振興にどういう影響を及ぼすかということは、これはなかなかむずかしい問題でありますので、現在特に外貨危機状況でありますから、この際、輸銀金利引き上げ輸出振興に阻害になっては、これはまたたいへんなことだということは、十分私どもも考えておるのであります。ただ、頭金が少ないわけでありますから、大部分が延べ払いになるわけであります。現在、何といっても現金が一番ほしい時期でありますので、そういった頭金をふやすとか、そういう方式であれば非常にいいわけでありますけれども、ただ金利を上げるということで頭金がふえるということにもなりませんので、その辺はなお慎重に検討していかなければならぬ問題であろう、こう考えております。
  9. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 第一番目の問題については触れられたですが、今後の問題として、いまおっしゃったとおり具体的措置という内容がまだ十分明確じゃないです。新聞によると、まだその方向がきまっていないということですね。具体的な措置でどういうようにきめていくのか、五分のほうにするのか四分のほうにするのか、だんだん切り詰めていくのかということについてのもう少し明確な御答弁をお願いします。   〔金子(一)委員長代理退席委員長着席
  10. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいまの点は、現状どおりで当分まいるということであります。じゃ、いつからそういった金利引き上げのようなことをやるのかということは、それ自体もまだきまっていないわけでありますから、今後国際的な状況等も考慮に入れて検討を続けてまいるという段階でありますから、現在のところは現状どおり四分の貸し付けを継続するというふうに考えております。
  11. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 ちょっとまだ抽象的なんですが、それはそれとして、こういう問題があると思うのです。  この造船会社に対して、大蔵と通産が水かけ論をしているのではなくて、巖密な経理内容の分析をしなければいかぬですね。いまおっしゃったことは、結局、今後造船輸出がずっと伸びるか伸びないか、その度合いによってだというけれども輸出が伸びるか伸びないかということは、これは非常に多くのいろいろな要因が重なっているのです。しかも問題は、いま造船会社というのは注文の手持ちが一ぱいある。二年ぐらいあるでしょう。そうすると、これだけに対して輸出が伸びるか伸びないかということで、やはり四分だ五分だと国民の大切な金を——通産省に言うべきだけれども、まだきめかねないでずっといくということは許されないと思いますが、造船会社に対しての輸出入銀行通産省大蔵省等がどういうような査定をするのかをお聞きしたいと思います。
  12. 宮本四郎

    宮本説明員 お答え申し上げます。  具体的に案件政府のほうに申請されますと、私どものほうで審査いたしまして、大体条件その他が適当であると認めますと、大蔵省に同意を求めまして、相談の上決定いたしております。
  13. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それは一つの個別の審査の手続を言っているだけでしてね。造船会社はもうかっていますね、ことしは相当のあれになっております。そうすると、もうかっていてこれだけの金利でいいのだ悪いのだといういろいろなめどをつけるのはどこでやるのですか。
  14. 宮本四郎

    宮本説明員 私どものほうといたしましては、船舶輸出は、全体のプラント輸出の一環として考えておりますけれども、最近国際競争が非常に激しい。特にポンドの切り下げ以来イギリスあたり船価が大体六、七%−一〇%下がっております。受注ベースで見ます限りにおきましては、船舶輸出は前年と比較いたしますとかなりダウンになっております。そういうような状況から判断いたしますと、私どもは、少なくとも現在の金利水準で適当ではないのか、かように考えております。
  15. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 この問題は、造船会社経理内容についてお互いにもっと詳しく討議する時間を別に持ちます。  銀行局長にお伺いしますが、この前、銀行局長承知のとおり、中小企業政府機関政府出資資本金出資が少ない。資本金出資が、開発銀行輸出入銀行に比べて一けた、三千億と三百億の違い。そのために中小企業機関の貸す金利が高い。そのため、中小企業近代化その他について、それから物価安定について、政府の方針どおりいってないで、中小企業が非常に困っている。だから、そのほうに、資金ワクの増大だけでなくて資本金の増額をしなければならぬと質問したら、大蔵大臣は、三機関条件をよくするためにはその点まで立ち入らなければならぬ、次の予算で、今度の予算ですね、考えますというお約束をしました。銀行局長もよく御承知だと思うのですが、その後、今度見ると、輸出入銀行に対する出資は大きいけれども中小企業金融公庫に対してたった三億。四百八十億と三億の差です。産投から出ているでしょう。あとは皆無ですね。自己資金でまかなえという。これではとてもとても約束が守れてないけれども、これはどういうわけです。
  16. 澄田智

    澄田政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、前回その問題を広沢委員が御指摘のおり、私はそのおりに広沢先生からおしかりを受けましたが、大臣答弁をされたあとでまた私申し上げまして、政府金融機関金利につきましては、これは必ずしも出資によってその資金コストを低くして、そうして低利貸し出しをするという道ばかりではなく、政府金融機関に関し補給金を行なうというような方法によっても金利を低くすることは可能である。出資をするか、あるいは出資以外の方法補給金政府金融機関の損益を見て、そうして政策目的に従った金利融資を行なうという形によるか、それは一がいに出資でなければならないということではないということを申し上げて、その点はある程度御了解をいただけたのではないか、かように思っておるわけでございます。  今回の四十三年度予算におきまして、中小関係政府金融機関に対する出資は、御指摘のように、投資育成会社に対する分といたしまして、中小公庫に三億出資をいたしておりますが、それ以外は、輸出入銀行に対しましては、これは国際的な関係等もございまして、貸し出し金利原資との差を出資によって補てんをするというような形での予算を組みましたが、中小機関につきましては、それぞれその政策目的に従って、政策目的に合うような金利融資ができるように、そういう配慮はいたしてあるわけです。
  17. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 澄田さんの苦心はわかります。特に流通近代化資金の問題なんかで非常に苦心されたことは私たちは多としますが、しかし、根本的な問題としては全然片づかないのですね。どういうことかというと、新聞論調を二、三出しますと、問題が全然片づかない。たとえばこういうことをいっています。澄田さんが非常に苦労した流通近代化の問題についても、「しかし、いずれも利率は八・二%が原則とされており、農林省通産省が望んでいた六・五%はほとんど認められなかった。これでは実際に借りる側にとってあまり魅力はない。わざわざこの資金から借りなくても大差ない金利一般金融機関から借りられる。スピードと手続の簡単さからいうと、むしろそのほうがいい。」と書いてあります。それから「したがって国民金融公庫につけた百三十億円のワクが消化しきれるかどうか疑わしいほどだ。」これではせっかく苦労して国民金融公庫を守ってこの百三十億のワクをやったけれども一つ金利の点で環衛金融公庫ほどの恩典もないじゃないかという不満があるし、「当の農林省通産省も「測定不可能」」ということをいっているのですね、流通コストがどのくらい下がるか。こういうように、中小企業についてはわずかな金を総花的にまいて、ただ名目を保っているだけなんです。ところが、輸銀の問題については、これはもうはれものにさわるようにやっている。ことに通産省はそういうことをやっていると思うのですが、これは矛盾しているじゃないですか。
  18. 澄田智

    澄田政府委員 ただいまの点でございますが、これは広沢先生承知のとおり、今度の生鮮食料品の対策につきましても、従来でございますと、かりに国民金融公庫から融資を受けるといたしましても、基準金利で八分二厘ということでございますが、今回設けました特別融資制度によりますと、基準金利はなるほど八分二厘でございますが、その中で特定の施設につきましては七分七厘、あるいは衛生関係等の、特に採算上プラスにならないというようなものにつきましては六分五厘というような金利も設けておるわけでございます。全体といたしまして、中小政府機関基準金利八分二厘というところは、一般民間金利と比べまして最も優遇されておる、一般的に見て優遇されておる金利でございまして、これが中小金融基準金利ということになって、その基準金利もとにはいたしますが、資金目的に従いまして七分七厘や六分五厘という金利も設けております。また、償還期間につきましても、従来の融資よりも延長されて、七年もしくは十年というようなことになる。さらに、貸し出し限度についても引き上げられるというようなことで、いろいろ御要望はあるわけでございますが、全体として見まして、金融条件としては非常に改善されている。当然今度の制度目的とするようなところに従って、貸し出しの需要も非常にあるものと思われますし、また、その政策目的を達成する上に大いに役立つものと、かように信じております。
  19. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 この金利の問題については、中小企業のさっき言った流通近代化、これはいろいろな食品団体とか業者の人に直接聞いたらば、やはり安いほう、特利のほうですね、これはずいぶん業種というか、やかましいいろいろな目的、使途が設定され、手続がたいへんだというのです。それですから、また開銀の問題が後ほど問題になりますから、そのときにあらためてもう一回お聞きしますが、新聞で御承知のとおり、中小企業要望というのはこんなにあるのですよ。四月−六月期にたいへんな状況になる。この問題についてはやはり本格的に取り組まないと、澄田さんがせっかく言った——公債が出てから、公債政策はもう失敗しました。そのために約束した経済効率化とかもしくは経済の二重構造の解消ですか、近代化というものはどんどん後退しているのですね。だから、一歩前進というのはほんのわずかな一歩前進で……。  時間を急ぎますからその次に、輸銀でまかなっているのは非常に安い四分、五分の金利プラント輸出をする。この問題ばかりでなくて、もう一つもっとひどいむだ使いじゃないかと思われる問題について御質問します。これは外務省だと思いますが、いままで政府借款輸銀でまかなってきたということですが、本来国と国との金の貸し借りについては、これは本来は条約事項に準じて、憲法でも国が借金するときは、これはきちっと国会承認を得なければならぬ、こう書いてある。そういう重大な問題が国会承認がなくて、ほとんどの人が知らないで事実が先行してしまうということがあると思う。  まず第一にお聞きしたいのは、その借金というか、今度は貸すほうですが、世界的にインフレーションの時代、ことにインフレの非常にひどい国に対して、総理大臣がどんどん金を貸すということを約束して帰ってきておる。これはどんなに損害になるかですが、そういう場合に、こういう手続輸出入銀行で簡単に貸したり何かすることが、今後は続けられないと思うのですが、今度は経済協力基金法改正するということになっていますが、問題は、海外経済協力基金ワクを今度四百億に拡大して同基金法改正するという趣旨です。輸銀の問題がこの基金法にずっと移っていって一本化したという問題について、どういう理由でそういうふうになったかということについてお聞きしたいと思うのです。
  20. 野村豊

    野村説明員 野村でございます。  経済協力基金経済企画庁所管でございますし、輸銀大蔵省所管でございますので、詳細な点につきましては、それぞれ所管関係の方面から責任ある答弁があるかと存じますが、外務省といたしまして、経済協力に関します輸銀基金のあり方という問題につきましては、かねがね考えておったわけでございます。今般、基金法改正が現在のところ検討されておりますのは、現在、御承知のとおり基金法法律のたてまえによりますと、ある非常に経済の安定に役立つような形の資金協力といいますか援助が、いまの法制ではできない。しかるに、いろいろ後進国においてはそういった援助要請が最近もございますので、そういった要請に応ずるような体制に持っていくということから、基金法改正ということを現在検討しておるという段階でございます。
  21. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 つまり、輸銀ではもう安い金利のそういう外国との約束は都合が悪いから、だから基金法のほうに一本化したということだと思うのです。で、一番の根本問題は、国会承認とかその他の成規手続を経てないでそういうことができるかどうかという問題については、これは大臣に質問する問題だと思うのですが、大蔵政務次官、どう思いますか。
  22. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  いろいろ後進国に対する援助の中での延べ払いの問題の御質問だと思いますが、そのいろいろな交渉をいたしましてからも、実際にこれを融資するかどうかということについては、やはり輸銀立場から商業ベースに乗り得るかどうかということを一応検討いたしまして、それによって取りきめておりますので、したがって、その個々の問題については国会承認を要しない、さように考えております。
  23. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私の聞いているのは、そういう小さな問題ばかりじゃなくて、外務省でもどこでもお答えになれたら聞きたいのですが、佐藤内閣が今度発展途上国に対して一体どのくらいの借款等約束をしてきたか、その額、それから国別、大ざっぱでいいですがお答えになることできますか。当然できると思いますが……。
  24. 奥村輝之

    奥村説明員 佐藤総理が東南アジアを訪問されたわけでありますが、大蔵省としてもその際にどういう話があったかということについては非常に関心を持っておったわけでございます。しかし、この御訪問については、こういう国との親善関係を深めるという目的で行なわれたものである。もちろん、もともとそれらの国の中には、それまでに交渉が進められておった国もございました。ところが、そういう国々からは、総理がおいでになったときに当然いままで進めておる交渉についてどうであるかというふうな話もあったようでございます。しかし、結論としては、総理からは、今後は事務ベースでよく検討を行なう、こういうふうな話をせられたわけでございます。総理が向こうでお約束になったということは、大蔵省としては承知はしておりません。
  25. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 私が聞いているのは、たとえばこれは「経済協力現状と問題点」という政府の発行のものに出ていますが、大体どのくらいの額かということです。それに出ているのでは二十六億ドル、日本の円にすると九千三百六十億円と書いてありますが、大体そのくらいだと了承していいですか。
  26. 奥村輝之

    奥村説明員 約束残高という数字は、私どもはなかなか把握がむずかしいものでございますが、——約束の中には非常にかたい約束もあり、非常に抽象的な約束もあるものでございますから、正確な把握はむずかしいわけでございますが、最近の数字を申し上げますと、四十一年は賠償とか無償経済協力とか技術協力を含めまして金額は一億五百万ドル、こういうものがございます。それから輸出入銀行基金から相手国に対して供与しております円借款、これは一億三千万ドル貸し付けをいたしました。そのほか国際機関へ拠出いたしましたものが五千万ドル、こういうことで、全体で二億八千五百万ドルという数字が、四十一年の暦年でございますが実績でございます。最近の数字についてはまだ集計中でございますので、正確なものはわからないわけでございますが、やはりこういうことは日本の国力の許す範囲内において、相手国の償還能力、相手国の経済に対する貢献の度合い、こういうものを考えて着実に実施していくべきものであろうというように考えております。
  27. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 いまお聞きしますと、全く金額が違うし、それから私は総額で大体一九六〇年以降一九六七年までのことを言ったのです。やはりこれを全部承知してなければ、予算をあずかる者としてはたいへんなことになると思うのですよ。私が聞いたのは二十六億ドル、九千三百六十億、たいへんな額です。しりぬぐいするのにはえらいたいへんだと思うのですが、そういうものについての一覧表を予算委員会もしくは外務委員会に出して、きちっと御審議を願うということをやったことはございますか。
  28. 奥村輝之

    奥村説明員 政府関係の賠償あるいは無償の経済協力等につきましては、御要求によって資料をお出ししたことはあると思います。その他民間の延べ払い輸出、これも一種の信用供与でございます。後進国に対しては、場合によっては経済援助という実質を持つことがあるわけでございます。したがって、そういうものを全部含めて検討をせられるということで資料をお出ししたことは、私の記憶ではないかと思いますけれども、そういう数字は調製いたしまして提出してもよろしゅうございます。
  29. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それはぜひ提出してもらいたいと思うのです。先行き日本の総理大臣が、主人が——主人といっても家庭でいえばだんなさんが、どこでどれだけの金を貸すと約束をしてきたか、そのめどがつかないで今後の経済の運営は立たぬと思うのです。たいへんな額ですよ、九千三百六十億といったら。財政硬直化で金がない、金がないといっているのに、たいへんな約束をしてきたと思うのです。  それからもう一つ問題なのは、こういうことだと思うのです。結局、いま言われたとおり賠償、無償経済協力、円借款というものがごたごたになっているわけです。それをたとえば輸出入銀行で出していて、それがぐあいが悪くなったら、では経済協力基金に一本化しようとか、輸出入銀行でやっているのはけしからぬじゃないかということになると、それはそれだということで逃げるし、これは大福帳的だと思うのです。  もう一つお聞きします。こうやって金をどんどん貸して、いろんな形で——これは賠償はあと少し残っているけれどもだんだん済んできましたが、あとそれと同じくらいのたいへんな援助をしているのです。その援助というものは、日本政府は最後まで見ますか。たとえば相手国がインフレーションが非常に——インドネシアなんかそうですね。韓国もそうです。インフレというのは減価してきます。どんどんお金の値打ちが減価してきます。そういう中でもしか政変とかいろいろなことが起きた場合、これはたいへんな損失になると思うんですがね。そういう点について政府としては最後まで見ていろいろなことをやらなければならぬと思う。これはあたりまえのことなんですが、そういうことについての保証はございますか。
  30. 奥村輝之

    奥村説明員 私どもとしては、経済協力をする以上は、ほんとうに相手国の利益になる、ためになる、これによってやはり日本に広い意味で、長い目で見て利益が返ってくる、こういうものでなければならぬと思うわけでございます。したがって、経済協力をいたします場合には、相手国の経済状況もよく見る。どういうプロジェクトを選ぶかということについてもよく相談する。日本だけでなくて相手国のほんとうのためになる、こういうような着眼点が必要かと思うわけでございます。したがって、開発途上にある国の中には、あるいは経済政策上非常な努力をしているにもかかわらず、インフレ的な傾向があるという場合もあるかと思いますけれども、できるだけそういうものに対して、われわれとしては日本の国力の許す範囲内において、計画がうまく進むように、こういうことを考えているわけでございます。  インフレにつきましては、私ども借款は円建てでございまして、後進国の通貨建てではございませんので、償還せられる場合においては、元本、利息等は円建てで償還が行なわれるということになると思います。
  31. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうですね。それは相手国がインフレであってもこっちがインフレでなければいいけれども、日本もやはり物価はどんどん高くなる傾向ですね。押えられないです。ことしは四・八%さらに上回る。そうすればやはり同じような状況、少しずつそういう状況になると思うのですが、とにかく物価が上がるときに人に金を貸したら損なんですから慎重にやらなければならぬと思いますけれども、問題はこういうことだと思うのです。これは輸出入銀行の業務報告書です。ずいぶん巨額な金を出している。政府の命令で出している。輸出入銀行の業務報告書に「国際収支の逆調と対外債務の累増、あるいはインフレ激化に悩む国が依然少なくない。一部の国では、農業生産をはじめ経済活動の不振により飢餓的様相を呈し、本来社会資本ないしは工場建設にあてられるべき外国援助資金をも目前の消費に用いねばならない状況にある。」ということが書いてあります。輸出入銀行が書いていますから。もっとひどい状況になると、たとえばこれは新聞で、これは常識ですがね。「数の上では最も多い日本、アメリカの援助が中途半端に終わっているのは、」インドネシアの例です。政府が業者まかせにしたこと、つまり政府借款約束をしたりなにかして手続を踏んだらば、あとは野放しで業者がどういう見積もりをとってどういうふうにするか、もしくは汚職をやるかということは知らぬ顔ですよ。知らぬ顔というか、それは自分の責任じゃない、こう言います。前に木下産商の問題があったけれども、「正常な政府間ルートによらず、両国の政商が利権を中心に動いたためだという見方もある。」それから「この二年間の援助は主として、商品援助というかたちをとった間接援助だった。いわばカンフル注射であり、」もっと重要な問題が、「反共体制維持のための政治援助である。その大部分は軍人、官吏の給料に支払われた。このようなカンフル注射的援助は、ことしも幾分残るだろう。」ということですが、御承知のとおり、インドネシアの債権国会議を開いてどうしようかということがあるわけです。ところが、これをきめてくるのは総理大臣がかってにどんどんきめてきてしまうということで、しりぬぐいはたいへんです。問題は、こういうものに対して経済援助を与えるのが外務省であるのか、経済企画庁であるのか、大蔵省か、通産省か、どこの所管かもばらばらでわからない。外務省としてはどういう形でそういうことを最後までめんどうを見、経済効果をあげるのか、新聞にもこういうふうに書かれてございます。反共軍事独裁国家に対するアメリカの要請なんです。ロストウが来てもそのとおり、新聞には東南アジア援助の肩がわりということをいっているのです。そうすると、先ほど御答弁なさったように、善隣友好、それからいろいろ経済効果があがってよくなるようにということで貸すのだと言っておりましたが、どうも実態は違うと思いますが、その点どう思いますか。
  32. 奥村輝之

    奥村説明員 アメリカからの政治的要請があって東南アジアに対して援助をふやすのではないか、するのではないかという御質問の点につきましては、私どもはあくまでも自主的に、東南アジアの中にあって日本が最も進んだ国である、経済的に進んだ国である、日本としてはやはり近隣諸国を富ませることによって、結局は東南アジアの繁栄をはかり、ひいては日本の利益になる、そういうふうに持ってまいりたいという自主的な気持ちで臨んでいるわけでございます。  もう一つ御質問のございました商品援助というものとプロジェクト援助というものを比べてみて、商品援助というのはその場しのぎの援助ではないか。この御趣旨は、むしろプロジェクト援助によってその国の経済力が根本的に力がつくように持っていくべきではないか、こういう御趣旨ではないかと思います。私どももほんとうは一日も早く、いま商品援助をしなければならない状態となっている国に対してプロジェクト援助ということに切りかえていくという日がくることを望んでいるわけでございます。問題は、非常に経済自体が逼迫いたしまして、とにかくいまの状態では、やはり民生の最も基本的な安定ということで消費財の援助を望んでいるわけでございます。しかし、私どもはそういう状態がいいというふうには考えておらないわけでございます。一日も早くプロジェクト援助というものを行ないまして、逆に商品援助というものを少なくしていくという方向で考えてまいりたいと思っております。
  33. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 希望とそれからあらねばならぬということはわかりました。そうすれば、今度のことしの予算の中でいろいろ問題点があると思うのですが、たとえば南ベトナム等で海外技術協力という名前で医療協力をやっておりますが、その医療協力は大体どこを対象にしてどういう地区に医療協力しているのですか。
  34. 海堀洋平

    海堀政府委員 医療協力は外務省予算に計上されておりまして、ベトナムにもやっておりますが、これは民間の二つの病院に対しまして医薬品等を供与するという形をとっております。
  35. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それはもちろん南ベトナムですね。北ベトナムには行っていないわけですね。
  36. 海堀洋平

    海堀政府委員 現在のところ出していないと思っております。
  37. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それはやはり一方的な——そうなるとただ民間の医療協力というわけではないですな。アメリカが北爆をしている、そういう状況の中で医療協力が始まったということですね。そうすると、これは何らの経済的な問題ではなくて、非常にすぐれた政治的なものであるし、今後の情勢が、御承知のとおりアメリカもベトナム戦争で行き詰まっています。そういう場合に、南ベトナム政府はこれは民族解放戦線その他の政府が取ってかわるだろうという、そういう一国内の状況、事情によってなったときに、こういう援助は簡単に言うと捨て金ですね、どうですか。
  38. 海堀洋平

    海堀政府委員 医療協力の予算というのは、東南アジアの全体が医療的におくれておりますので、これに対しまして国の予算をもって医療や薬品を供与したりあるいは医者を派遣したりしているわけでございます。どこにどういうふうに行なうかという問題は、その所管省、要するに予算を計上されております外務省、外務大臣の判断、もしそれがさらに高度の政治的判断を要するとすれば閣議なりで行なわれることでございまして、予算をどこの国にどれだけやるのだと初めからきめて計上いたしておるわけではございません。したがいまして、そういう高度の政治的判断というものは私たち事務当局のお答えできる範囲外だと存じます。
  39. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、もう一つあるのですが、たとえば無償供与というので、対外食糧等特別援助費、これは大体どこへどういう目的でいくのか、お聞きしたいと思うのです。
  40. 海堀洋平

    海堀政府委員 私よりもむしろ国際金融局なり関税局なりがお答えすべきことではなかったかと思いますが、御存じのケネディラウンドの交渉におきまして、結局日本はその食糧援助それ自体の趣旨には賛成しましたが、その条約に規定することについては、その条項について態度を留保したわけでございます。しかし、食糧援助を行なうという精神には賛成いたしまして、たぶんガットの事務局長等にそういう精神に準じて日本も食糧援助を行なう、こういうことを通告したと承知いたしております。四十三年度予算ではその年間分の二分の一、約二十五億円を計上いたしております。これはどこにどういうふうにやるのだという問題は、やはり食糧援助を受けなければならないような国に対しまして個別に交渉いたしまして実施するわけで、初めからどこにどれだけをやるということをきめておるわけではございません。
  41. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうするとことしは、四十二年度からそれが始まったのですが、二十五億もあるでしょう。二十五億という金だったら、これは身体障害者の七カ年計画も削らないで済むし、たいへん貴重だと思うのですよ。この二十五億の金がどこへいくのだかわからないけれども、食糧援助費として計上してあるのだという御答弁ではこれは答弁にならぬと思うのですね。たとえばどこどこを経由して、国連を経由するのかどうか、その他ちゃんとそういう行き先をきめないでばく然と計上しているというわけではないでしょう。
  42. 海堀洋平

    海堀政府委員 これはやり方としましては、相手国との話し合いによって行なうわけでございます。もちろん相手国というのは、食糧援助を受けなければならないような国、しかも日本と関係の深い国ということになってくると思います。しかし、これはあくまで具体的にそのときどきの相手国の事情等勘案しまして、食糧の援助を要するような国と話し合って、二国間の話し合いに基づいて行なうということになっていると承知しております。
  43. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そうすると、今度の場合の発展途上国に対する援助というものが、先ほどの御答弁のような善隣友好とかそういう形ではなくて、新聞でも書いているのですけれども、反共体制の強化、それからロストウさんが来たときにいろいろ約束したというそれが新聞に出ているのです。そうすると、多分に政治的な意図で仕組まれているばかりじゃないけれども、仕組まれている方向に沿ってよその国と相談して食糧の援助をきめるとなると、えてしてこれは社会主義国とか北ベトナムにいかないで、もう一方的に南ベトナムとか韓国とかにいくおそれはきわめて多いのですね。しかも国民の大切な血税が捨て金になるおそれもある。そういうことが非常に複雑な大福帳のもとでもって、正当な援助のやり方ともごっちゃになって出てきているというところに重要な問題があると思うのです。  もう一つお尋ねしたいのは、この協力協定がいろいろありましたが、まだ相当あいまいもことしているのではないか。たとえば先ほど言われましたように、総理約束をしてきたいろいろの貸し金の約束国会にまだ出ていない。これも外務省にお聞きしますが、一九五七年以後六六年十二月までの円借款の協定はどのくらいですか。その中で協定文が公表されたのはどのくらいありますか。
  44. 野村豊

    野村説明員 御説明申し上げます。  一九五七年以来わが国の供与いたしました円借款は、インド、パキスタンをはじめ、そのほかセイロン、ナイジェリア、マレーシア、タイ等、相当多数にのぼっておりまして、正確な数はあとで御説明申し上げますけれども、そういった円借款の協定はすべて交換公文というかっこうで、まず日本政府の意図としてそういった円借款が供与されるのであろうということを政府間で、大体政府の意思としてきめるわけでございますけれども、実際上の債務負担という問題が起きるのは、事実上の輸銀もしくは基金との間でローンアグリーメントというものが、相手国政府との間で締結されて初めて効果を持つというようなかっこうになっておる次第でございます。
  45. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そちらのほうはばく然として、私のほうがもっとはっきりしたものを聞いていますが、四十八件ですね。それでその中で協定文が公表されたのはわずかです。インド第六次の円借款、インドの食糧援助、セイロンの第一次、第二次の円借款、台湾の円借款、それから対パラグァイの円借款、それから対韓国六五年度の円借款だけですね。——そうですね。
  46. 野村豊

    野村説明員 いま先生御指摘になりましたものだけが公表されたかどうか、私もあとで確認いたしたいと思います。
  47. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 つまり、こういう協定文の公表等はわりあいに国民が気がつかないうちにどしどしと進められ、それで公表されないものもあるということでは、——大臣がいないからあれですが、大蔵政務次官、やっぱりこういう問題については、もっときびしく外務省に要求したり、その他するべきじゃないですか、どうですか。
  48. 奥村輝之

    奥村説明員 先ほど御質問のありました直接借款、それぞれどういうふうに協定あるいは交換公文が結ばれたかということを申し上げます。  インドにつきましては、昭和四十二年八月、金額は六百万ドル、それから四十二年九月、三千八百万ドル、四十二年七月、七百万ドル、こういう数字が四十二年については出ております。  それから、パキスタンにつきましては、四十二年の二月に三千万ドル、四十二年十月に三千万ドル、これは六次と七次でございます。  それから、セイロンにつきましては、四十二年九月に五百万ドル、これは第三次のセイロンの借款でございます。  次は、インドネシアにつきましては、四十二年六月に五千万ドル、四十二年の同じく六月に四千三百万ドル、これはリファイナンスでございます。  それから、台湾、韓国、南ベトナム、タイ——タイは、四十三年一月に六千万ドル、マレーシアは、四十二年以降ございません。  四十二年につきましては、以上申し上げたような直接借款をやったわけでございます。で、これは秘密ではございませんので、借款協定の調印あるいは交換公文その他正式の手続をとりましたときには、外には出ておると私ども承知しております。  なお、その前の年の数字につきましても、御必要がございますれば資料を出して差しつかえないものと考えております。
  49. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 秘密でない、それはそうでしょう。それは非常にいいことで、たとえばいまおっしゃいました中で一つ、インドネシアのリファイナンスというと、国民は、ああ何だろう、いいものかなと思っているけれども、何とこれは翻訳しますと、インドネシアは借金払えないから、その借金払えない繰り延べを輸出入銀行の日本の国民資金でもってめんどうを見るということなんでしょう、リファイナンスは。どうですか。
  50. 奥村輝之

    奥村説明員 リファイナンスは、先生おっしゃいましたとおりでございますが、こういう問題は、きわめて慎重に処理することを要する問題でございます。したがって、日本単独でこういうことをやっていいとか悪いとかいうことをきめませんで、関係国、債権国がたくさんございますので、主要債権国が集まりまして、いかにしてインドネシアの経済をよく持っていくか、再びこのリファイナンスなしに経済を上向きに持っていく方法はどういう方法があるかということを相談いたしました。これは債権国会議と申しますが、こういう会議を通じて、各国との話し合いのもとにきまったものをきわめて慎重にリファイナンスにのせるという方針をとっておりますので、御心配のような点については、私どももまた非常な慎重な態度でもって臨んでおる、このように申し上げたいと思います。
  51. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そういう問題は重大な問題ですよ。その重大な問題があまり国民の目につかないですね。国会でもそういう問題について十分慎重に審議しないということでは、これはやっぱり責任を果たさないことだと思うのです。ですから今度、この経済協力援助、協力、こういうものの協定一切についてガラス張りにするということをお約束されているのですから、やっぱり一覧表で出して、これはこうなんだということをはっきりさせなければ予算審議はできない、こういうふうに思います。  それから、もう一つ次に、業務上、先ほど私が言いましたように、経済協力局や通産省の貿易振興局、それから輸出入銀行、これは大蔵省海外経済協力基金経済企画庁となって、いろいろお互いにやっていることはずっと分散しておりますね。その場合、個々の問題によって違いますけれども、これについての最終責任をとって主導権をとるというのはどこなんですか。たとえば新聞によると、大蔵省は、国民の大切なお金を守るためにがんばっているというように受け取れますよ、最後には屈服するけれども外務省は理屈が立たないようなものもどんどん要求してくる。これは政治的に必要なんだからというので、先ほどのいろいろな医療協力費とか何かという形になる。その結果は、たとえば中国にはプラント輸出はしない、よそにはさっき言ったとおりのことをやっているという状況になると思うのですがね。お互いに経済協力関係についての行政機構について、審議する問題について、どういうように一本化し、どういうようにこれを統一していくのか。それから今後、たとえば各国を調査したり何かして、これはいい、悪いときめますが、これを国会を含めて十分討議することが必要だと思うのですが、それについて、たとえばインドネシアに調査団がいま行っています。これは財界ですが、財界や何か一緒になって行っていますが、そういう問題について何かきちっとした考え方がおありですか、これは外務省がまず……。
  52. 野村豊

    野村説明員 ただいま先生の御指摘のございました経済協力機構の問題でございますが、これは現在のところ、外務省大蔵省通産省、経企庁が主たる中心になっておりまして、確かに先生のおっしゃるとおり、外務省は主として外交政策の角度から経済協力問題を絶えず判断しておりますし、大蔵省は主として財政の角度からとらえておりまして、それぞれ立場は違いますけれども、すべての問題につきましては、そういった省が中心になりまして、随時各省の課長ないしは局長、次官レベルまで上げる、そういった随時協議を通じまして、一つの個々の問題を実施しておるという段階でございます。それから、なお、そういったレベルでもなおかつきまらない場合には、上のほうの経済閣僚懇談会でございますとか、上のほうの閣僚レベルに持ち上げまして、だんだんと話し合いを詰めていくというふうな体制をとっておるわけでございまして、そういった経済協力の機構につきましては、われわれ内部的にも事務当局のいろいろ考えがございますけれども、まだ確実な成案を得ておるという段階にはまいっておる次第ではございません。
  53. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そこで今度はお聞きしたいのですが、先ほど中国のプラント輸出の問題が出ました。アメリカが今度課徴金をつり上げるということですか、新設するということに対して大騒ぎになっています。これはまた後ほど相当国会で審議しなければならぬ問題ですが、アメリカのこういうことに対して、それじゃわれわれも、ガットに違反しても輸出の所得控除とか、こんなのはちょっと虫がよ過ぎる話ですが、いろいろの議論が出ています。ところが、そのアメリカに対してぴちっと言うんだったら、そういう方面も一つだけれども、もう一つは、やはりよその国に手厚いプラント輸出をやっているんだったら、中国にもプラント輸出をぴちっとやるという方針を出すほうが、アメリカに対する強腰の根拠になると思うのですが、これはもう大臣クラス以外は、大体外務省も出すという意思統一をしているのですか、外務省、それから大蔵省通産省にお聞きします。
  54. 奥村輝之

    奥村説明員 御指定の順序と違いますが、大蔵省から申し上げます。  本件は、中共に対する延べ払い輸出制については、ケース・バイ・ケースにきめるという方針で臨んでおります。
  55. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 政務次官に聞きます。これは大臣クラスのあれですから。  ケース・バイ・ケースにきめるというんだったら、これは答弁にならない。それで、吉田書簡、これはもう効力がないのだという認識に立っているのか。そういうことをにおわしながら、しかもケース・バス・ケースでやるという奥村さんのお話がありましたけれども、LT貿易がこういう状態になっているのですから、これについてどういうふうにお考えになるか、はっきりいままでのところの相談した結果をお話しになっていただきたいと思います。
  56. 倉成正

    倉成政府委員 社会主義諸国に対する輸出についてのお尋ねだと思いますが、これまでもプラント輸出をいたしております。また、お尋ねの焦点は、輸銀による延べ払い金融の問題ではないかと思いますけれども、これもケース・バイ・ケースで考えていきたい、こういうことでございます。
  57. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そのケース・バイ・ケースでもってやると言ってずっとやらないのですから、ケース・バイ・ケースというのは、これは一つ前進した答弁にならないのですね。自民党からだってちゃんと行っているのです。あぶら汗しぼっているのですよ。  あと、今度関税定率法の問題でもお聞きしますが、全く中国だけは除外するような腹の小さいことを関税定率法でたくらまれていると思うのですが、そういうことはますます対中国貿易について困難にしていく問題があるのです。今度の場合も、お米でなければ食肉を入れろというと、農林省は何か口蹄疫とかなんとかというものでもって——これは渡辺さんのほうがよく知っている。自民党の中でもよく知っているし、農林省のほうではこれは十分調査して、りっぱな防疫施設もできているという証言もできている。農林省に報告書もきているはずです。だから、日中貿易について、それから北朝鮮との貿易も含みますが、ソ連との貿易もあるけれども、資本主義圏との貿易についてこれほど神経過敏になって、産投特別会計から輸出入銀行を通じていろいろ国民の大切なお金が手厚く出されているのですから、これは社会主義国にもあたりまえなんですね、全面的に適用すれば。そうすれば、少しはアメリカはびっくりするし、そういうぐらいのことをやることが政治だと思いますが、政務次官のお考えはどうですか。
  58. 倉成正

    倉成政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、やはり相手国の状況、それから支払い条件、そういったものを考えながら、やはりケース・バイ・ケースで前向きに処理していきたいと考えております。
  59. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それでは、経済的な条件についてケース・バイ・ケースなんですね。そうすると、政治的な問題については、おっしゃった御答弁では、それは全然条件がないわけですね。
  60. 倉成正

    倉成政府委員 ソ連に対してはこの適用があることも御承知のとおりであります。問題は、中共貿易を焦点としてお話しじゃないかと思いますけれども、中共貿易は御案内のようにLP貿易、それから民間友好貿易、いろいろな形がございまして、必ずしも正常のノルマルな貿易関係でないという点もございますので、そういう点を勘案しつつケース・バイ・ケースで考えていきたいということでございます。
  61. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 そのノルマルな貿易ではない、国交正常化をしていない、これはどっちのほうの責任だと思いますか。
  62. 倉成正

    倉成政府委員 それはちょっとデリケートな問題でありますから、どちらの責任というべきものじゃなくして、今日の国際情勢がさようにしたというふうに判断いたしております。
  63. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 その国際情勢がふわふわっとしてそういうことを妨げているというんですね。これをもっと具体的に、好意的に私が翻訳しますと、つまり国際情勢というのは、アメリカ、それからこの経済協力で一方的に経済協力ばかりやっている台湾——韓国も入るかもしれないけれども、台湾がそういうことを起こしている原因ではないか、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  64. 倉成正

    倉成政府委員 広沢委員がさようなお考えをお持ちになることは自由でありますけれども、われわれはやはり一方的にさような考えではないと考えております。
  65. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それではもう一つお聞きしますが、もし中国がいま国交を回復しようという提案を持ちかけてきたときには、日本は当然喜んで応ずべきだと思いますが、いまの御答弁ではそういうふうに理解されますが、どうでしょう。
  66. 倉成正

    倉成政府委員 いまの御質問は、むしろ総理大臣あるいは外務大臣からお答えしたほうがいいんじゃないかと思っております。
  67. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 それでは、この国会審議の間に総理大臣か外務大臣をここへお連れして、十分それについての御答弁をとりたいと思うのです。これを委員長、お含みを願いたいと思います。  そこまでいかなくても、それでは延べ払いについては、事務当局としては経済的なケース・バイ・ケースでもって判断するので、政治的な問題については、これは事務当局として、大蔵当局としても通産当局としても全然考慮はしない、どんどんやるという理解をしてよろしゅうございますか。
  68. 倉成正

    倉成政府委員 広沢委員のお話が、ある前提を置いて、それから結論を出しての御質問でありますが、これは十分御承知の上で質問されておると思いますが、やはり国の政府である以上、政治的な要素は十分考慮しながら考えていくのが当然だと思っております。
  69. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 外務大臣総理大臣にお伺いすることは委員長とお約束しました。  最後に、私がいまお話し申し上げましたように、非常にいい答弁もございましたけれども、結局逃げていかれたような感じがします。つまり、私がこういうことを質問するのは、自民党の中で、非常に苦しい状況の中で私たちの同僚議員が中国に行かれて、全力を尽くしているのです。LT貿易が成立するかしないかということは、ただ単に現在の対中国貿易だけではなくて、日本がやろうと思えば、昔の戦前の貿易比率でいえば、百億ドルの規模だったら、三分の一に近い三十億ドルぐらいの規模まで伸びるのです。昔よりもいまの中国のほうが、プラント輸出とか延べ払いとかはずっと受け入れる余地があるし、無尽蔵だと思うのです。船にいたしましても、船は売れるか売れないか、四%、五%でもって、国民の大切な税金でもって大蔵省が一生懸命がんばった。それも大事だけれども、たとえば造船の延べ払いプラント輸出をやるということになれば、日本が本気で取り組めば相当いけると思うのです。そういう大事なものを全然見ないで、それについてはこうやって防戦これつとめていながら、こういう問題について一生懸命になって答弁するというのは、まことに気の毒です。もっと規模をでかくして、自民党の中でりっぱな方が一生懸命努力していることに対して、何とかこれを達成するし、拡大していく。そうすれば、日本は経済的に非常に安泰になるのではないかということについて、私は特に大蔵政務次官にお願いしますが、大体私の趣旨には御賛成ですか。これで終わりますが……。
  70. 倉成正

    倉成政府委員 LT貿易が成功して日中間の友好関係が発展していくということについては、私個人としまして賛成でございます。
  71. 広沢賢一

    広沢(賢)委員 終わります。
  72. 田村元

    田村委員長 村山喜一君。
  73. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、具体的な問題からひとつお尋ねをしてまいりたいと思うのですが、四十三年度の産投予算書を見てまいりますると、一般会計からの受け入れが五百九十六億ということになっておる。なお、非常に問題になりますのは、株式売払収入、これが五十五億七千九十万円計上されておる。それに今回法律によりまして、経済援助資金特別会計整理残余金受入、並びに、余剰農産物資金融通特別会計整理残金金受入が見込み額として計上されているわけでございます。  そこで、お尋ねをしてまいりますが、一般会計から出資を受け入れる理由というものは、今日までも幾たびも論議をされてまいっておりますけれども、この際、私は、それを政務次官のほうから明らかにしていただきたいと思うのであります。というのは、輸銀に回している資金が大部分でございまして、御承知のように輸銀関係金利コストというものは非常に低いわけであります。低いということは、一般会計からそういうような税金に見合うものを導入をすることによって資金コストを下げているわけであります。そうするならば、一体限界はどういうところにその一般会計から受け入れる条件というものをあなた方は考えていらっしゃるのか、この点については政務次官から御答弁をいただきたいのでございます。  第二点は、株式売払収入でございます。これの算出の根拠につきましてお伺いをいたしてまいりたい。ということは、前に新聞紙上でも騒がれておりましたが、日本合成ゴム、これは今日まで政府が手がけた中では財投の性格の中に入るだろうと思うのでありますが、日本の資本主義の踏み台的な役割りを果たしながら産業を育成をしていく、その中において、これはまことにまれな成功をおさめた例でございます。これの政府の手持ちの分につきまして、さきに十万株売却をした。そのときに三菱化成が全部集中的に落札をしているわけであります。しかもそれが三千百六十円という、額面の約三倍強という高い値段で落札をしたということは、結局三菱化成が十万株を独占をしたということになるのでございます。今回また、この中身を調べてまいりますると、この日本合成ゴムの政府手持ちの株を売却をするということになるわけであります。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 その場合に、一体今日のこのような、日本一の生産能力をあげてまいりました日本合成ゴムというこの会社が、このような順調な姿で育ってきたということをどういう面から考えていくかということを、私は、この際、この株の売却にあたりましては考えなければならない段階にあるのではないかと思うのであります。一体大蔵省としては、これらの国有財産の売却にあたっては、時価で売却をするという考え方に立っておやりになるのか、それとも今日、日本合成ゴムをこのように成長させてきたのは、そこに働いている労働者というものがこれに対して貢献をしてきた、こういう立場から問題をお考えになり、広い株主の範囲をこの際設定をするという考え方に立つのか、この点が非常に重大な問題であろうと思うのであります。したがいまして、株価の問題などにつきましては、これは与える影響が非常に大きいと思いますので、私は、そういうような内容については質問をいたしませんが、しかし、株の売却、売り払い収入というものが、五十五億七千余万円も予算に計上されている以上は、これに対しては日本航空の株券と日本合成ゴムの株券を売り払うということが内容になっておりますので、その株の売却にあたってはどういう方針で臨むのだという方針を、この際明確にしておく必要があろうと思いますので、これについては担当の局長からお答えをいただきたいのでございます。  以上、初めに二点お伺いをいたします。
  74. 倉成正

    倉成政府委員 最初のお尋ねは、産投会計に一般会計から出資をする場合に、その基準があるかというお話かと思いますけれども、御案内のように、産投会計には一般会計から出資を受け入れることはできるようになっております。しかし、産投会計は、国の出資のすべてを統合することを目的として定めたものではございませんので、産投会計法に定める目的に従いまして、会計の自己資本の運用として投資活動を行なうものでございますから、産投会計に対する一般会計出資は、必要な額だけ、その差額だけ出資をする、かように考えておるわけであります。
  75. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいまお尋ねのございました日本合成ゴム株式会社の株の売却の今後の方針でございますが、どういうふうに考えておるか。実は、この合成ゴム株式会社につきましては、非常にこの経営が確立したということで、法律の精神に従いまして、なるべくすみやかに株の処分をして、民間に放出するということをやらなければならないということで、これをいかにするかということをだいぶ検討いたしたのでございます。何ぶんにも一度入札をして売ってみるということが、時価を見きわめるのに一番端的な方法ではないかということから、額面約一億円、十万株の処分を行なったのでございます。そのときは、それらによりまして世間で評価される価格が出ますので、それによりましていろいろ、ただいま仰せになりました、あるいは合成ゴム会社の役職員等で株主になりたいという希望のある者等に、広くこの株を分散させたらいいんじゃないかというようなことも考えておったのでございます。ただ、現状では価格が、ただいまおっしゃいましたように、非常に高目についたという印象をわれわれも持っております。今後の処理につきましては、やはりこの会社の設立の次第から申しまして、一社に集中するということは非常に好ましくないということはわれわれも当然考えておりまして、これをいかに安定的な分散をはかるかということにつきまして、なお通産省あるいは会社当局等と現在いろいろ相談をしておりまして、まだ結論が出ておらないのであります。ただ、われわれとしては、予算で見積もりました評価といたしましては、先般出ました価格、それをそのままとって歳入を見込むということはいたしておりません。安全率を見込んで歳入に計上いたしておる次第でございます。なお、これも急いで結論を出したいと思いますが、現在のところはまだきまっておりません。どうしてもその際に、やはり国庫としてはなるべく高い値段で売れるほうが国益であるという考え方がありますし、また、ただいま御質問にありましたような株主層の安定化ということも大事な問題でありますので、その二者をいかにして調和させるかというところに多大の苦心をしている次第でございます。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 非常にデリケートな問題を中に含んでおりますが、この日本合成ゴム株式会社の資本金が二十五億円、この株主構成を見てまいりますと、日本の大蔵大臣所管にかかります分が九十万株、この九十万株の売却を今回しようとするわけであります。したがいまして、さきに三菱が落札をいたしましたように、十万株を独占をしてしまおうということで、非常に高い価格で値段をつけた。残りの九十万株も自分のところに手に入れたら、これはもう三菱系統に全部株が行き渡ってしまって、この授権株数二百五十万株のうち、百万株を三菱系統が押えるというかっこうになりかねないわけです。そういうふうになったら、国は国民の税金をもとにしてそういうような出資金を出しておきながら、その出資金が特定の大会社の手に握られてしまうというかっこうになりかねない。これはやはり、国有財産を処分をする場合には、その最高価格で売るという入札の方法でやるならば、そういうことになりかねないと私は思うのであります。そうなったら、一体国民は、これに対してどういうような気持ちで政府に対処するであろうかという点を考えますと、処分のやり方、内容によっては、非常に重大な問題が出てくると思うのであります。まさか幾ら自民党政府であっても、こういうようなふうに出資をして成長産業に育て上げて、それを大資本に売り渡そうというような考え方ではなかろうと思うのでありますが、倉成政務次官、あなたは、これに対しましてはどういうようないわゆる政治的な判断で対処されるつもりでございますか、お答えをいただきたいのでございます。これを自然のまま最高価格で入札をするという方式をとれば、当然そこの株を独占しよう、その会社の経営権に対して、大きな影響をもたらそうと意図している会社の手に入ることは間違いない。さればといって、これは国有財産でございますから、その財産処分にあたっては、できるだけ大きな利益を得るようにしなければならないということもまた事実であります。このお互いに内部矛盾を来たしております問題を、どういうふうに統一的にとらえてやるんだということであなた方はお考えになっているのか、いま行政当局のほうからはお伺いをいたしました。だから政務次官として、政務職である大臣なりあるいはあなた方の間では、どういうような話になっているのか、この点について倉成政務次官からお答えをいただきたい。
  77. 倉成正

    倉成政府委員 ただいま御指摘のような心配がある株の放出をやって、それを最高価格の人が入手してまいりますと、一部の特定のものに集中するという可能性があるということは私どもも考えております。したがいまして、そのやり方について、そういった結果にならないように慎重に検討していかなければいけないという点も御指摘のとおりでございます。それらの点を勘案して、今後十分検討してまいりたいと思っております。
  78. 村山喜一

    村山(喜)委員 先ほどの政務次官の御答弁は、足らない分を一般会計から出すのだ、こういうような抽象的なお話でございます。産投会計の性格については法律に定めてありますように、経済の再建、産業開発、貿易の振興のための資金を供与ということになっておるわけでございます。しかしながら、この中身を次から次に拡大をしてまいりますならば、一体どこを限界として——一般会計から投入をする資金というのは国民の税金でございますから、国民の税金がどのように使われるかということについては、やはり限界を明確にしておかなければならないと思うのであります。足らないから一般会計から入れるという論理では、これは納得できません。だから、国民経済の基礎的な部門に向けて支出をされ、その効果が広く国民全体に行き渡るような投融資については、資金コストを安くするために、一般会計から支出をすることも考えられるわけですが、しかしあなたのような説明では、資金が足らなくなったら、もう一般会計からどんどん移して、その資金は大資本家のために、特に輸出入業を中心にする人たちの輸銀資金等に、どんどん投入していったらいいという理屈になるじゃありませんか。やはりそこには限界というものがなければならない。この産投会計の支出についても、私は財政投融資全体の計画の中で国会の議決にゆだねなければならない問題だと思うのですよ。そういう重要な国民の税金をいかに使うかという内容に関する問題でありますから、いま少し認識を新たにしていただいて、その限界点についてはあなたから明確に国民の前に示してもらいたい。
  79. 倉成正

    倉成政府委員 先ほど少しことばが足らなかったと思いますが、御案内のように、産投会計はアメリカの対日援助見返り資金からの承継資産、その他同会計に属する資産を資本として、村山委員指摘のように、経済の発展、産業の開発等のための投資を行なうということを目的としております。したがいまして、この目的に従って産投会計の運営はされるわけでありますが、経過的に見ますと、この会計の設立当時は、開銀、輸銀及び電発、この三法人を対象にしておりましたが、   〔毛利委員長代理退席委員長着席〕 三十一年度以降投資の範囲を拡大いたしまして、農林漁業金融公庫あるいは住宅公団、その他一般会計からの出資に依存しておった法人にも産投出資が行なわれるようになったことも御承知のとおりであります。したがいまして、この限界をどこに求めるかということは、なかなかむずかしい問題でありますけれども産投会計の目的であります経済の発展、産業の開発等のために投資を行なう、この精神に従って考えるべきだというふうに考えております。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 その沿革はあなたのおっしゃるとおりですよ。しかし、一般会計からの繰り入れ資金が、産投歳入の六割以上に達しているのは、もう、ずっと以前からじゃありませんか。だから、その産投の性格をめぐる論争が非常にあるわけなんです。だから、どしどし一般会計国民の税金をこれに入れて、そして特定の産業の資本家に、低利資金を長期で融資をする。これが国家目的であるという考え方に立つならば、まさに自民党は大資本擁護の政策を、こういうような面を通じてやっているという産投の性格がはっきり出ているわけなんです。五百九十六億ことし入れた、これは毎年毎年ふえているんですよ。だから、これの限界についてはどういうふうにすべきなんだという基本的な考え方を、あなたはお気持ちにならなければならないんじゃないか。
  81. 海堀洋平

    海堀政府委員 先生の御質問が、一般会計に触れてまいっておりますので、私から答えさせていただきたいと思います。  産投会計の目的は、先ほど先生が仰せられたとおりでございまして、それからまた現在ガリオアの返済のために、産投会計自体の原資と申しますか、これが相当苦しくなっているということも事実でございます。それで問題は、どこに限界を求めるのかという御質問かと思いますが、一般会計のサイドから見ますと、一般会計自体が全体の施策の斉合性といいますか、要するに施策の均衡といいますか、そういう一般会計の全体の国の施策の均衡上、産投会計の目的に従ってどれだけの金を使うことが妥当であるかという判断で最終的には決定されるのだろうと思います。ただ一般会計が、現在非常に一般的に硬直化しているというふうにいわれて苦しい状態にありますので、産業投資特別会計を通ずる投資につきましても、必要最小限度にしぼっていくという方向で努力を重ねてきていることは、ここ数年来の経緯を見ていただければ承知していただけるかと存じます。
  82. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、その答弁には不満なんです。これはやはり財政の機能という面から見ましても、あるいは財投計画の編成過程の中で、政治的な性格が今日非常に強く入っているという状態から見ましても、あるいは国債発行が恒常的な形になってきたという現在の時点から見ましても、少なくともやはり特別会計はなるほど特別会計国会の論議に供せられますが、全体的な立場から、国会の審議権の対象にすべき段階にもうきているんじゃないかと思うのです。そういうような全体的なとらえ方は、やはり政務次官、あなたは政務職なんですから、行政職ではないのですから、そういう国民の声を謙虚に聞いてもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
  83. 倉成正

    倉成政府委員 産投から御案内のように各種、輸銀やその他公団、公庫等に出資をしているわけでありますから、財投全体の問題としてこれは御審議いただくことじゃなかろうかと思っております。
  84. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、先ほど質問をいたしました日本合成ゴム株式会社の資本の内容並びに今回の株式売払収入の中身については、この席にまた大蔵大臣の出席を願いまして、ひとつ大臣の決意をお伺いをしておかないと、いまのところは慎重に審議をし、対処しますということだけでは、やはりこの前と同じような轍を踏むおそれがありますので、大臣から答弁を求めたいと思いますから、委員長、その点はよろしく御配慮いただきたいと思います。その件はよろしゅうございますか、委員長。五十五億の売り払いについて、これはきわめて重大な内容でございます。
  85. 田村元

    田村委員長 さっそく私からそういうふうに取り計らうように努力してみましょう。——委員長として十分努力いたしましょう。
  86. 村山喜一

    村山(喜)委員 それでは次にお尋ねをいたします。  経済援助資金特別会計整理残余金受入れ六千百四十万円何がし、それから余剰農産物資金融通特別会計整理残余金受入四億八千三百七十五万円余、この受け入れの見込み額は、これは貸借対照表、損益計算書等を調べてみますと、本年度についてこれだけの受け入れがあって、いま現に貸し付けているものについての債務償還額については、後年度に逐次産投会計の中に吸収をしていくという考え方に立っていらっしゃるように思うのでありますが、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますかということが一点。  それからもう一つの点は、この資金の性格でございます。時間がありましたらその内容について事こまかに質問をしてまいりたいと思いますが、それもできませんので、簡単に要求をいたします。余剰農産物の資金の運用状況をこれの内容から見てまいりますると、おもに電源開発事業に低利融資をしているわけであります。ドル建てで支払いをすれば金利は三分、円建ての場合には四分、その四分資金を四分のまま電源開発に約百億貸している。で、そういうような資金が今回は全部産投会計のほうに移るわけであります。移ったら今後においては、こういうような電源開発という一つの大きな、日本の産業の開発のために低利長期の資金が使われてきて、それによって成果をあげたことは私は認めます。だが、今度は産投会計に入ってまいった場合には、四分の原資のものを四分で貸すというわけにはまいらないと私は思うのです。したがって、これについてはどういうような対処を今後していかれるつもりであるのか。並びに電源開発といたしましては、今後は相当割り高の資金を使ってやらなければならないということになる。その場合には、どういうような経営の方針で臨むつもりなのかということも、あわせて説明を願いたいのであります。  それから次に、経済援助資金特別会計のこのMSA援助資金でありますが、これの条件も、いわゆる四分資金を開銀に融資をいたしまして、開銀のほうから特定の軍需産業の部門に低利資金を長期に貸しておりまして、これの融資比率は、政令で定めるところによりまして、大体五割ということになっているようであります。開銀のほうの貸し付け融資比率の割合を調べてみましたら、四八・五%ぐらいになっているようであります。これも四分資金を、開銀の利ざやを見込んで、開銀から貸す場合には六分五厘という資金で供与しているようであります。したがいまして、これも今度産投会計の中に吸収されるわけでありますから、今後においてはそういうような特利的な取り扱いというものはできないようになってくると私は思うのでありますが、特利的な取り扱いを余剰農産物あるいは経済援助資金については今後続けていかれるつもりであるのかないのか、この点を明らかにしていただきたいのであります。
  87. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 お尋ねの第一点でございますが、先ほど村山先生おっしゃいましたのは、余剰農産物の会計あるいは経済援助資金会計からの現金の引き継ぎの金額でありまして、債権その他出資金は、その債権額、出資額を、全部産投会計のほうが引き継ぐわけでございます。その金額は、経済援助資金会計では出資が四十億、貸し付け金が五億四千八百万でありまして、余農会計では四百五十四億八百万円が引き継ぎになるわけでございます。余農会計は全部貸し付け金でございます。  それから御質問の第二点は、余農会計の貸し付けでございますが、余農会計は、電源開発会社に対する貸し付けを、四十三年度は二十三億を予定しておりますが、これは従来どおり四分の貸し付けを行なうことにしております。その電発に対する貸し付けは、御承知のように、石炭対策といたしまして、揚げ地の石炭火力のために使っておるのでございます。これが落着をいたしました場合には、今後は一般金利貸し付けるということに当然なると思うのでございます。  それから経済援助資金会計のほうの特利の問題につきましては、今後はやはり原則に立ち戻って、通常の金利貸し付けを継続してまいるということに考えております。
  88. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは何ですか、いまちょっと最後を聞き漏らしたんですが、産投会計の資金運用と同じような取り扱いをしていく。なるほど電源開発の場合は、四十三年度分はそうでしょう。これはもうすでに予定をしておったんだからしかたがないということで話し合いがついたようであります。しかし、四十四年度以降については、これはまだ確定をしていないでしょう。だから、その問題について一体どうするんだということを、電源開発のほうの担当の通産省にお伺いいたします。
  89. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 お答えいたします。  四十三年度の予算につきましては、先ほど鳩山理財局長からもお話がありましたので、それに尽きているかと思いますが、今後の電発のあり方につきましては、先生も御承知のように、電発はただいま石炭火力を行なっておりまして、コスト関係からいたしますと、一般の重油専焼火力に比べますとどうしても割り高になるというようなことがございますので、低利資金をお願いいたしたいというふうに考えております。  それからなお、電発は石炭火力のほかに、これまた御承知のように、水力開発をいたしておるわけでございますが、これも、なお今後ともに電発が受け持つべき地点が相当ございます。私ども今後十年間の想定をいたしておりますが、これは電発だけがやるわけではありませんが、必要な日本全体としての水力開発としましては、今後十年間にやはり九百万キロくらいの水力開発をしなきゃいかぬ。これは水火力と原子力合わせまして、全体の出力の中で二割程度はやはり水力開発をすることが電力経済上望ましい姿だということが定説になっておるわけでございますが、そういう観点に立ちますと、なお地点もございますし、九百万キロ以上の開発をすることになろうと思います。そのうち、やはり多目的ダムというようなことになりますと、電発がこれを担当せざるを得ないというような任務もございますので、今後ともにやはり電力の広域運営というような観点からいたしますと、電発の使命は依然として重いわけでございまして、こういった特に目的を持った電源開発をいたす立場にございますので、私ども通産省立場といたしましては、電発につきましては電力の料金の長期安定というような見地からいいましても、できるだけ長期に低利資金融資をいたしたいというふうに考えております。
  90. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいまお聞きのように、通産当局は、やはり低利、長期の資金を事業の性格から要求をしておることは事実でございます。大蔵省はとりあえず四十三年度分については、従来の四分資金でこれを認めよう、しかし、そのあとについてはどうするかということについては協議が決定をしていない。したがいまして、この問題については、産投会計にこれらの二つの特別会計を吸収をするということについて、よってくるところのいろいろな複雑な内容というものがからみ込んできている。したがって、今後その産投会計の中において、それらの特利体制というものを別個につくっていくということになれば、一体何のために産投会計にそれらの資金を吸収をするということになるのか、それはやはり別会計で、そのままやっておくのが当然ではないかという気にもなるのでございます。産投会計の中に吸収をするということは、これはやはりそういう一つ産投会計の会計原理に従っていかなければならないという大蔵省の発想であろうと思う。そういうことになるならば、大蔵省通産省の意見が将来この問題について食い違ってくるということになってまいりますと非常に大きな問題でございますので、やはりこれはまた大蔵大臣の出席を求めて答弁を願わなければならない点であろうと思うのでございます。この点も委員長、そういうふうにお取り計らいをお願いをいたします。  それから、愛知用水公団、これに資金を貸しておりますね。農林省貸し付け残高は幾らになっておりますか。金利はどうですか。
  91. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  愛知用水公団が借りました余農資金の残高は約百五億ぐらいあると思います。金利は四分でございます。
  92. 村山喜一

    村山(喜)委員 その愛知用水公団は、今回行政機構の改革によりまして水資源開発公団に吸収合併をされるということになっているのでございます。したがいまして、今後水資源開発公団の資金というものと、今日まで愛知用水公団が使ってまいりました資金との間には、いわゆる金利上の差があろうかと思うのです。そうなってきたときに、統合ということについてはわれわれも原則的には承忍をするのでありますが、そういうようなうまみがなくなった愛知用水公団を水資源のほうに吸収をして、そしてコストの高い資金で今後の開発を進めていこうということになってきた場合に、一体どういう方向に経営の内容が変わってくるか、こういうような見通しは、当然農林省としてはもう検討をしておられるに違いないと思いますので、その検討内容をお示しいただきたい。
  93. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 愛知用水公団があの組織で予定しております残されておる今後の仕事は、すでにつくられました施設の管理、それからあの地域に残っております水の開発事業、これらが今後残されておる仕事でございます。この合併あるいは存続というような問題とは無関係に、残されておる事業のやり方につきましては、水資源公団に移りましても同様な方式、あるいはかりに残ったといたしましても同じ方式でやるように考えておりましたので、今回合併することになりましても、事業の実施のやり方あるいは資金の問題等については、合併とは無関係に、従来と同じようなやり方でやってまいるつもりでございます。といいますことは、木曽川関係に残されております仕事は、総体の事業費あるいは諸部門の負担の割合等を勘案いたしますれば、現行の水資源開発方式、そういうようなことで十分やっていけるというふうな見通しを持っておるわけでございます。
  94. 村山喜一

    村山(喜)委員 その問題はもうこれ以上追及する時間がありませんので、このあたりでとめますが、問題は、先ほど答弁漏れの点がございます。  経済援助資金貸し付け状況、これの中で融資比率は私が指摘をしたとおりだと思うのですが、これの政策効果はどこが判断を下すのですか。資金貸し付けたところが判断を下すのですか。
  95. 加藤博男

    ○加藤説明員 防衛産業を担当いたしております通産省の航空機武器課長でございます。  いままでの融資は、防衛庁の防御力整備計画に基づきまして、それに対応と申しますか、その計画における国産品調達にそごを来たさないようにという配慮で行なわれております。そういうものを政策効果と考えております。
  96. 村山喜一

    村山(喜)委員 三十年以来四十一年に至るまで、あなた方が貸し付けをされたその航空機関係、武器火薬関係、通信器材、それからオートメーション機器関係、この資料はここに私持っておるのです。  そこで、私がお尋ねをするのは、こういうような防衛産業については、経済援助資金というアメリカからのひもつきの資金であるがゆえに、防衛産業というものを育成をするんだということで低利の長期資金をお貸しになったわけでしょう。企業のいわゆる要求に従って、あなた方が開銀を通じて援助資金を出さしている。私がお尋ねしておるのは、その融資比率は四八・五%だという開銀の資料があるが、それによってどういうような産業の状態にまでなしたんだという一つの政策的なものが、メリットがなければならないわけでしょう。それも事実上は三十九年でほとんど終わりになっている。あとは日本航空機製造株式会社への出資金に振りかわっている。ということは、それだけもう必要性がなくなったのだ、今日においてはこういうようにあなた方は判断しておられるわけですね。あとはもう開銀融資一般の標準金利である八分二厘の資金でやっていって差しつかえない、こういうように考えておいでになるのかどうかということです。
  97. 加藤博男

    ○加藤説明員 融資を受ける立場から申しますと、これは金利が安いのにこしたことはございませんが、一般の中に吸収されるわけでございますので、一般金利と同じもので十分とわれわれも了解をいたしております。  それから前半の御質問でございますが、三十九年以降非常に減っております。したがいまして、もうMSAという融資が必要でなくなった、不要になったのだということではございませんで、その時点における必要資金がその年次においては非常に少なかった、ある年次はなかったということでございます。
  98. 村山喜一

    村山(喜)委員 経済援助資金特別会計のほうから出資をされました日本航空機製造株式会社、これを見てみますと、例年赤字の継続でございます。四十一年度、四十二年度も——四十二年度は六十五億三千九百十九万八千円の赤字見込みであります。それが書いてある。資本金は七十七億円であります。資本金は七十七億円であるのに、もう四十二年度の赤字見込み額は六十五億だというようになっておる。四十三年度の欠損見込みは立たないという、ちゃんと予算書に書いてあります。こういうような形の中で日本航空機製造株式会社というものが存在をしておる。一体これの責任はだれがとるのですか。もう一つは東北開発株式会社ですか、ここも赤字は次から次へ累積をしていく一方であります。一体そういうような赤字会社に対する責任というものは、この金を貸し付けた側にも私は責任があろうと思うのであります。こういうような立場からどういうとらえ方をしておいでになるのか、これについてお答えをいただきたいのであります。
  99. 加藤博男

    ○加藤説明員 前半についての事実をまずお答えをさせていただきます。  四十二年度末で六十五億というお話でございますが、四十三年度欠損見込みが立たないということではございませんで、当時つくりました段階ではまだ事業計画が固まっておりませんでしたので、その点の明確なあれがないということでございまして、(村山委員「四十三年度見込みは幾ら」と呼ぶ)四十三年度はこれから事業計画をつくるところでございますが、それの概要をお答えいたしたいと思います。  現在、日本航空機製造は百二十機から百五十機を目標に生産をいたしておりますが、ちょうど三分の一が終わったところでございます。航空機の製造事業と申しますのは、どこでもそうでございますが、特に航空機の場合にはコストが前半は非常に高いわけでございます。だんだん習熟いたしましてコストが下がってまいります。しかし一方、機体の販売価格のほうはいわゆる一定と申しますか、当初から終わりまである程度コンスタントにとらざるを得ません。しかも当初は初めての飛行機ということで、むしろ値段は安く売っていかなければならないという面がございます。そういう立場から問題が一つございます。したがいまして、今後はずっとコストが下がってまいります。  第二の点は、五十号機からYS11のA型というのを出しております。これは一部改造はいたしておりますが、積載能力が一トン強ふえるわけでございます。したがいまして、商品価値としてかなり上がりますので、販売価格も約一割くらい上げることになっております。そういうことでございまして、これでいくと、全体として考えますと、いわゆるいま御指摘のような六十億の赤字ということではございません。四十三年度からまさに回復に入る段階でございます。いま申し上げましたように、ちょうど全工程の約三分の一でございますので、当初はそういう赤字になる、一応事実はそういうことでございます。  なお、おかげさまで輸出のほうも出てまいりまして、現在までに国内二十九機、輸出が二十一機出ております。なお、今後の契約済みのものなどは、輸出のほうが多くなると思います。百二十機をこえる生産の見通しもついてきたような状況でございます。  以上でございます。
  100. 下山修二

    下山(修)説明員 東北開発株式会社の問題について御説明いたします。  東北開発株式会社は、御承知だと思いますが、東北地方の開発を促進するために設けられた会社でございまして、セメント事業その他の主として製造業を行なっているわけでございます。  東北地方でございまして、経済的にきわめて立地条件が悪いために、企業収益という点から見ますと、あまり芳しくない状況でございます。そのような状況でございますので、この会社の収益を向上させる、ひいては開発の目的を達成するために、政府のほうから主としてこの社債を減少するというふうな目的のために出資をいただいているわけでございます。御指摘のようにその累積の欠損は相当な額に達しましたが、いまのような政府からのいろいろな措置をいただいたおかげで、最近は収益がきわめて良好になってきておるような状況でございます。もちろん、これは経済状況の好転も相当影響しているとは思いますが、このような状況になっているわけでございます。
  101. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がないので、この点についてはこの席では追及をいたしません。しかし、例年赤字を次から次に出しながら、役員にはあたりまえの給与をやって、そうしてそれでも赤字を出すので、一般会計国民の税金をつぎ込む、こういうようなやり方については私は考え直さなければならぬと思う。この点についてはやむを得ないではない。その運営の責任は一体だれがとってくれるのかということを明確に願いたいのであります。金を貸したほうですから、それを所管するその所管庁の責任者である大臣か、その点はどうなんですか。(「返す能力がないんだよ」と呼ぶ者あり)返す能力がないような資金を貸して、そして役員には、退職金もその規則で定めるとおり何千万円も払わなければならぬ。そんなおかしな経営というものは私はあり得ないと思う。これについては、その責任の所在を明確に願いたいと思います。だれが責任者ですか。
  102. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後四時二十六分開議
  104. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山喜一君。
  105. 村山喜一

    村山(喜)委員 先ほど回答を保留しておった問題について、責任者である経済企画庁から答弁をお願いいたします。
  106. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 東北開発会社の赤字の問題につきましてのお尋ねでございますが、この会社の赤字の原因等については、すでにいろいろ御説明をいたしたことと思いますが、その大きな原因は、人員の過剰問題であり、あるいは着手した事業が計画どおりに進まなかった、あるいは資源開発等の事業につきまして一部失敗があったとかというようなこと、いろいろございますが、大局的に見まして、この会社の生じた赤字につきましては、第一次的には、当然会社の首脳部である方々の責任ということになるわけでございますが、この会社に対する監督官庁でありまする経済企画庁の責任もこれは免れない、このように考えております。
  107. 村山喜一

    村山(喜)委員 毎年毎年一般会計のほうから、その赤字を埋めるために資金の継ぎ足しを行なって運営をしていくという状態は、これは異常な状態です。したがって、その経営に当たります責任者というものは、当然その責任を感じてもらわなければならないと思うのであります。したがいまして、話によりますと、赤字を出し経営上の責任を分担しなければならない事態における役員の退職金等については、減額支給の方途を講じているやに承るのでございますが、それは事実でございますか。  それから第二点、この問題はやはり経済企画庁の担当になると思いますが、あなたのところでお答えができるかどうかわかりません。それは、今回東北開発公庫のほうから、御承知のように地域開発と称しまして、開発の資金については、宮澤構想に基づいて低利資金を、寒冷地である、雪害地であるというようなことの意味において、供給をするということが決定を見たようであります。これに対しまして、従来開発銀行関係が地域開発資金としてやっております金利と、そういう東北開発公庫のような資金との間においては、同じように運営をしていくんだということになっておった。ところが、東北開発公庫だけが先に走り出して、開銀資金のほうについては現在のまま据え置きということになったと思います。こういうようなやり方は、はたして正しいとお考えになっているのかどうか。これについては大蔵省の銀行局ですか、今後の処理の方向についてはどういうふうにお考えになっているのか、その点については大蔵省からお答えを願いたいのであります。
  108. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 会社の赤字を生じました経緯はいろいろございますが、三十七年に、この会社につきまして、いろいろ赤字の問題その他問題がございまして、役員の総入れかえをいたしました際には、退職金についての減額支給を行なっております。その後、三十九年からこの会社につきましては、再建計画に基づきまして会社の再建をやるという方針がきまりました。人員の整理あるいはトップマネージメントの強化、その他基幹事業の体質強化であるとか、いろいろの対策を講じてまいってきております。この計画に従いまして、現在では相当成果があがってまいりました。昨年度の収支等についても、非常な改善を見ております。しかしながら、現在の段階におきまして、役員の給与等につきましては、夏期、年末の給与等につきまして、政府関係機関のうちでは大体最低のレベルで支給するというような形でやらしております。退職金につきましては、一応の規程もございまするので、最近の退職者につきましては、規程どおり支給をすることにいたしております。
  109. 村山喜一

    村山(喜)委員 ちょっとこれは大蔵省にお伺いをしますが、ただいまのそういうような赤字を出した責任の所在というものをめぐりまして、当時退職をした人についてはそのような措置が講ぜられたそうであります。しかし、現在そこの役員であり、なお今日総裁であり、そしてなお仕事をしている人たちがおるわけです。その人たちの分については、これからの問題として出てくると思うのでありますが、やはりこの辺で公社、公団等の、そういうような企業努力というものによっても赤字が生じた、その責任をとらなければならない状態というものが生まれてきたときには、これだけの責任をとってもらうという原則を明らかにしていかなければ、赤字が出ようが黒字が出ようが、それは大蔵省のほうで認可をした総裁は幾らでござる、理事は二十万円、監事は十七万円というような一つの基準というものに照らし合わせて、経理の内容がどうあろうが同じように退職金を出す、給与を出すというやり方は、私は、この資本主義の現段階においておかしいと思うのでありますが、それについてはどういうふうな今後の対策をお持ちであるのか、倉成政務次官、お答えをいただきます。
  110. 倉成正

    倉成政府委員 ただいまの村山委員の御質問でありますけれども、赤字が出たから機械的に退職金を減らすというわけにはまいらないと思います。したがいまして、どういう理由によってそういう赤字が出るかということのいろいろな検討がやはり必要ではないか。特別、非常に運営なり何なりそういう問題がその経営者の責任に当然帰するというような場合には、やはりそういった問題は十分考慮に入れて、ただいまの御趣旨のように検討すべきことであろうと思います。
  111. 村山喜一

    村山(喜)委員 その問題はここでこれ以上は触れませんが、公益性と企業性という上に立ってその会社組織をつくっているようなところの法人は、やはり企業性が優先をすると私は思うのですよ。公社、公団であれば公共性が優先するということで、国が公共負担をしなければならないものを、国鉄みたいに負担をかぶせてしまうような場合もありますから、一がいにはいえませんけれども、株式会社になっておるような存在のところについては、十分合理的な解決というものを、今後においては効率的に講じてもらわなければならない段階だと私は思うのです。それでなければ、国民の税金からつぎ込んでいく一般会計の支出が含まれておるのでありますから、その点は十分明確にしながら、担当の経済企画庁におきましても鞭撻を願いたいと思います。  そこで、もう一点だけ私お尋ねしておきますのは、今度の産投会計の中に出てまいるわけでありますが、予算総則の第十一条第一項第五号によります外貨公債発行の問題でございます。これは四十二年度については、二月の十三日に、ドイツマルク債で一億マルク発行するということが決定をされ、調印がなされたと新聞が伝えております。それは、ドイツ銀行から期間十五年で据え置き三年、表面利率七%で応募者利回りが七・二三%、初の七%台の外貨債の発行をして、そうしてその資金産投会計に導入して、融資資金として活用していくのだということでございます。  そこで、お伺いいたしたいのは、四十二年度の予算総則によりましても、同じようにそういう外貨公債発行の計画がございます。したがいまして、四十二年度分として発行されたものが四十三年度会計年度において使われていくということになるでありましょうが、四十三年度も引き続いてこれを発行されていくつもりであるのかどうかというのが第一点。  第二点は、従来のいわゆる発行条件に比べまして、今回は、高金利時代という世界的な情勢の中で発行したので、七・二三%というだいぶ割り高のものになったのであろうと思うのでありますが、そういうようなものを導入して、一体これをどういうようなところに貸し付けていこうと考えておいでになるのか。国内の金利水準から見ましても、融資するという考え方に立つならば、あえてこのような外資を入れる必要はないじゃないか。ただいえることは、産投会計を通じまして外貨資金繰りはなるほどよくなる、この点はありましょうが、それ以外のメリットというものはあり得ないのじゃないか。この割り高の資金を使ってて一体何に融資をしてやっていこうという計画を立てているのか、産投会計の内容についての説明をお伺いいたしたいのであります。
  112. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 産投会計におきます外債の発行につきましてお尋ねがございましたが、第一点の四十三年度におきましての発行はどうかというお尋ねでございますが、国債の形で出しますもの、あるいは政府が保証をいたしまして政府保証債という形で出します場合と考えられるわけでありますが、これはそれぞれ市場の状況等を勘案いたしまして、国債であれば非常に有利な条件で出し得る場合があります。また、政保債という形でも出し得る場合もあるかと存じます。これらは今後の市場の状況等によりまして、全体の考え方といたしましては、長期的な安定した外資というものは入れていきたいという方針でおりますが、これをどういうふうな市場でどういうようなものをどういう条件で出すかということは、具体的な場面になりませんとまだ何とも申し上げられないのでありますが、そういうチャンスがありました場合には、極力努力をしてまいるという考え方でおります。  それから第二点の、非常に利回りが高いものをどういうふうに利用するのであるかということでございますが、今回のマルク債につきましては、日本開発銀行に対します貸し付けとしてこれを運用いたしたい、その運用の条件といたしましては、年七分五厘で運用をいたしたい、期限も十五年というようなことで、その使途は開発銀行一般貸し付け原資にこれを充てたいということを考えておる次第でございます。
  113. 澄田智

    澄田政府委員 先ほどの御質問のあとのほうの点の、北海道東北開発公庫の特利の問題でございますが、これは四十三年度の予算編成の過程におきまして、閣僚折衝におきましてこの問題が取り上げられまして、北海道、東北の特殊性にかんがみて、地域とか業種とかあるいは事業の規模等限定をしまして、一般金利よりも安い金利を適用することを考慮する、こういうふうにきめられたわけでありまして、その考え方は、積雪が激しくあるいは寒冷度が激しいというような点と、それに加えて経済的に著しく立ちおくれている、この二つの条件を兼ね備えているところというふうに、非常に特殊なところであるというので、北海道、東北という地域について一般の公庫の金利よりも若干安い金利を適用して、これらの地域の開発をはかって、地域的にまだ利用のおくれている国土の開発をはかる、こういうような見地であったと思います。そういう意味におきまして、いかなる利率を適用するか、それからどういう地域にしぼるか、北海道、東北の中でさらにどういう地域にしぼるか、あるいはどういう業種を対象とするか、さらにはどのような規模のものを対象とするかという点についても、なおまだ検討中でございます。  御指摘の、開発銀行の地域開発につきましては、やはり後進的な地域ということもございます。あるいは相当積雪寒冷の地域というのもあるわけでございます。この両方の条件を両方とも備えている非常に特殊な地域であるという点において若干違うのではないか、かようなことで四十三年度予算段階におきましては、開発銀行の地域開発についてはこの問題は見送られておるわけであります。したがって、現在のところは、開発銀行については考えておりません。
  114. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはよく知っておるのですがね。ところが、雪が降るという地帯は東北だけじゃありませんよ。北陸のほうだって山陰のほうだって大雪が降っておるのだ。そういうようなところの企業誘致の条件というものと東北のようなところと、そう私は差はないと思います。じゃ山陰と東北はどっちが企業誘致の条件を備えているかといえば、私は東北のほうが誘致条件はいい。そういうような点も考えてみるならば、私は閣議決定でそういうような措置がとられたということは、東北地方のために評価したいと思う。と同時に、やはり開銀資金においても、そういうような地域開発資金というものは低利融資をやるべきだ。それをおやりにならなかったということは、残念ながら手抜かりであったといわなければならぬ。この点については、倉成政務次官は九州出身でもございます。あなたはやはり努力をされるべきだと思うのだが、その点については後ほど御答弁を願いたいと思います。  それから、先ほどの論議の中で、経済援助資金特別会計原資は四%だ。それを開銀に運営をさせておったわけでありますが、それは六・五%で運営をさせておった。だから、原資とそれから資金コストの割合はこの差から生まれてくるわけでありますから、今度ドイツマルク債の場合には七分五厘で運営をする、こういうことでございます。原資のなにが七・二三%ですから、七・五%で国が貸し出します。そうして今度は開銀がその資金を使って運営をする場合には、少なくともそれに二・五%くらい加えなければならないということになったら一〇%の金利になる。そうなると、開銀の資金は標準金利が四・二%でありますから、割り高のものを運営しなければならないということになるのですが、それでも借り手は十分にある、こういうことで運営をされるおつもりであるのかどうか。その点は鳩山さんからお答えを願っておきたいのであります。
  115. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 開発銀行一般の基準の貸し出し金利は八・二%でございますが、何ぶん造船あるいは電力とか、そういった六分五厘の運用をしておるものが金額の比重において非常に大きいものでございますから、総体の利回りは低くなっておりますが、基準の貸し出しとしては八分二厘となっております。それでただいまのお話の産投マルク債の収入金は、これを基準金利貸し出します八分二厘のものに充てるということに考えておりまして、開発銀行としてはこれによって逆に赤字になるということはないということで、しかし、この資金によりまして利益というものはほとんどあがらないのじゃないかと思います。なお、七・二三%というものは実質の利回りでありまして、このほかにやはり発行者におきましては若干の経費がかかりますので、この分につきましては、産投会計からいたしますと若干のマイナスになるという面がございます。
  116. 倉成正

    倉成政府委員 お答えします。  北東公庫の特利の問題についての御質問でありますけれども、一応北東公庫に特利を設けるということについては、積雪寒冷あるいは工業の開発度、こういうことを基準にして特利を設けることにいたしたわけであります。したがいまして、御指摘の北陸、山陰とどう違うかという問題が非常にデリケートな問題でありますけれども、一応そういった基準をつくりまして説明がつくと思うのであります。しかし、率直に申し上げますと、やはり東北、北海道というものの開発については、明治以来の伝統的なそういう開発というものがあるということを頭に置いておく必要があるのじゃないかと思います。  九州の問題につきましては、やはり積雪寒冷という問題からは、特殊な場合もありますけれども、これは全然別の問題だと思いますが、もしそういう地域に何らかのことを考えるとすれば、やはりこれは別の角度から考えなければいかぬじゃないか。  開銀の地方開発全体について、これは安いにこしたことはないわけでありますけれども、現在のところこれを下げるという考えは大蔵省としてはございません。
  117. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうように答弁をされると私はまたものを言わなければならないのです。というのは、従来の慣習というものを打ち破って東北だけそういうようなのをやらなければならないのは、伝統があるからだとおっしゃる、あるいは積雪寒冷地帯だとおっしゃる、これはおかしいと思うのですよ。いまでさえもそういうような公庫があり、しかも赤字の東北開発の株式会社があるのです。そうして国のほうから、一般会計のほうから資金をつぎ込んでやっているのです。そういうようなところと、全然開銀だけしかない地域との間において差をつけなければならないということは私は間違いだと思う。ことしはとりあえず特利をつけて東北方面の開発をやろう、しかし、従来から開銀の融資というものについては同じように取り扱ってきたのだから、来年度においてはこの解決のために努力をいたしますということであるならば、倉成政務次官さすがだと私は思うのだけれども、それを、固定的にあなたは発言をされるということは間違いじゃありませんか。事務官僚であれば、ことしはできませんでした、もうやる余地はありませんと答えられてもしかたがないと思うんだけれども、もっと前向きに地域開発資金というものは考えてしかるべきだ。お答え願います。
  118. 倉成正

    倉成政府委員 開銀の地方開発のワクとそれから北東公庫のワクとは、大体並行してふえてきておることは御承知のとおりであります。いま御質問の中心は金利の問題だと思うのですが、現在のところ、地方開発の金利について変える考えはないということを率直に申し上げたわけでありますので、先ほども申し上げましたように、いろいろその地域地域において特殊な問題があり、北東の地域と同じような理屈がつけば、またそのときに検討すべき問題ではなかろうかと思っておるわけであります。
  119. 村山喜一

    村山(喜)委員 これで終わりますが、先ほどの鳩山理財局長の説明、これは、開銀資金が御承知のように一般会計資金、さらに資金運用部資金、そういうようなところから資金原資として回ってきますね。その場合に基準利率というものが年八分二厘だ。それは一般会計分は無利子です。それから財政資金についても六分五厘。そういうような資金利用で、なお特利の分があるので、八分二厘ということでやらなければならない。ところが、先ほどのマルク債は発行原価が七分二厘三毛でしょう。そして発行をするためにいろいろな経費がかかっておりますから、七分五厘で資金を渡すわけでしょう。資金を渡して、その資金を受けた開発銀行が、それに今度は運営の人件費であるとかその他のコストを加えて運営をするわけですから、やはりどう見ましても標準金利の八分二厘では、この高い原資ではやっていけないというのが、そろばんをはじいた結論としては出てくるじゃありませんか。そうなったら、この割り高のものを入れるというのは、国際収支の上から見たら確かにメリットはある。しかし、国内資金の上から見たら、これは利益というものはないですよ。その点は明確にお答えを願っておかないと、今後において混乱が起こり得ると思うので、その辺をお答えを願います。  そこで、その答弁内容次第ですが、私は、今度のこの経済援助資金特別会計並びに余剰農産物の特別会計制度を取りやめて産投会計一本にするということについては、これはそういうような措置がとられることに対して反対じゃございませんが、しかし、今度産投会計の性格がまたこれによって非常にあいまいになってきた。いまでさえも資金の性格なり資金運用の目的があいまいであるということで、絶えず大蔵委員会等を中心にして追及をされてきた。それが今度またこういうような二つの会計が一つになることによって、その資金の性格なり運用目的というものがあいまいさを加えてくる。一つ特別会計の中にまた特利分をつくりなにをするということになったら、特別会計を吸収する意味がないわけです。そういうことから考えてまいりまするならば、非常に大きな問題を今後に含んでいるということを指摘申し上げておきたいと思う。  それで、やはりすっきりしたものにしなければならないという将来の見通しを含めながら、問題をこれから前向きに対処していかなければならない任務が国会にもあるし、あなた方大蔵省にもあるのだ。この点は、私は倉成政務次官がそういうような受けとめ方をしていただきたいと思うのでありますが、そのような受けとめ方をあなたはされるかいなか、先ほどの答弁にあわせてお答えをいただいておきたいのでございます。  そういうような考え方で私たちは対処してまいりたいと思いますが、最後に、先ほど委員長のほうから保留を願っておきました二点についての大臣答弁は保留をいたしまして、これで私の質疑は終わらせていただきますが、明確な答弁をお願いします。
  120. 澄田智

    澄田政府委員 開発銀行の経費の点に入りますので、私のほうからお答えを申し上げます。  開発銀行の現在の直接の経費、これは人件費、物件費等を含めた事務費、それから減価償却費等を含めまして、開発銀行の直接の経費は〇・二五%というふうな計算になります。そのほかに貸し倒れ準備金への繰り入れをいたしておりますので、この部分があるわけでございまして、これが〇・二五ないし〇・三ぐらいに当たるわけでございます。これを両方加えますと〇・五%、こういうことでございます。したがいまして、今度のマルク債の資金を七・五%で開発銀行が取り入れたといたします。それに対しまして、この直接経費及び貸し倒れの繰り入れ金までも入れて計算いたしまして、それに〇・五ないし〇・五五を足すことになりますから、八%ないし八・〇五%というようなことになります。したがいまして、先ほど理財局長から申し上げたように、開発銀行あるいはそのほかに特利の部分、六・五%等の金利を適用される部分が大きいわけでございますので、総平均貸し出し金利ということになりますともっと低いわけでございますが、八分二厘という基準金利の部分をとりまして、これは一般分は八分二厘で貸しておりますのでこの部分をとりまして、そしてマルク債で入れた資金へ経費を乗せたという形になりますと、その部分は逆ざやにならない、こういうことになるわけでございます。
  121. 倉成正

    倉成政府委員 産投会計の性格の問題についての御指摘でありますが、ただいまお話しのように、原資が、何ぶんアメリカにガリオア債務として毎年返さなければならないものをたくさん含んでおりますので、一ぺんにすっきりするわけにはまいりませんけれども、だんだんすっきりしたものに持っていきたいと思っております。  それからマルク債の問題については、先ほども指摘がございましたが、今日の外貨事情にかんがみまして、主として国際収支の改善ということに重点を置いておるということを申しておきたいと思います。
  122. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。  広瀬秀吉君。
  124. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 経済援助資金特別会計法余剰農産物資金融通特別会計法、これを廃止して今度産業投資特別会計産投会計に引き継ごうというわけであります。  そこで、まず最初に御質問いたしたいのは、この経済援助資金のほうは、その成り立ちからいって、アメリカの小麦等の農産物を輸入したその等価額を日本銀行に設けたアメリカ合衆国政府の特別勧定に積み立てる、その積み立てられた返納金のうちから、経済措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、こういうものに基づいてできているわけでありますが、その中で、「資金は、工業を助成し、その他本邦の経済力の増強に資するため、政令で定めるところにより、運用又は使用するものとする。」こういうことになっておったわけであります。それを受けた政令ではどういうことをいっているかと申しますと、まず開発銀行を通じて出資あるいは設備等に対する融資をやるのだ。しかも、その中で非常に重要なことは、「本邦の防衛のため必要な武器、武器に準ずる物、航空機若しくは船舶(これらの物の部品及び装備品を含み、以下「武器等」という。)を製造し、又は修理するため、武器等の製造又は修理の事業を行う者が必要とする設備(附帯的に必要とする設備を含む。)」   〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕  次に、「武器等の原材料を製造するため、武器等の原材料の製造の事業を行う者が必要とする設備」、「前号に掲げる設備の外、本邦の工業力その他の経済力の増強に資すると認められる設備」こういうようなところを対象にしてきたわけであります。この考え方といいますか、限られた特別会計を設置する目的というものはそういうものに限られておるはずでありますが、提案理由の説明によりましても、特別な会計を独立した特別会計として処置するほどの理由はもうなくなった、こういうことで産投に引き継ごうというわけでありますが、ずっとこの特別会計はいま申し上げたような趣旨で運用され、資金が使用されてきたのかどうか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  125. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいま先生のお話は、そのとおり運用されてきたと私ども考えております。
  126. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 経済援助資金の運用状況というのをちょっと調べてみたのですが、昭和二十九年から工業力強化の投融資というもので、かなりの巨額にのぼる投融資をやっておるわけであります。また、開発銀行貸し付けられたものもずっと昭和四十一年までですか、工業力強化投融資は四十二年までこの資料に出ておるわけでありますが、さらにまた日本航空機製造株式会社に対する出資、これも四十二年まで続けられておるわけであります。こういうものをいままで運用してきた際に、アメリカとの協定に基づいてこういうものがつくられたわけですが、アメリカからのこの特別会計に対するいろいろな注文というようなものは、包括的な協定だけであって、個別的にこれについての注文がつけられるというようなことはなかったんですか。
  127. 加藤博男

    ○加藤説明員 お答えいたします。  いままで、具体的な案件についてのそういう話は聞いておりません。いままでわれわれのほうにそういう話はきておりません。
  128. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 特別会計を扱っている大蔵省としてはどうなんですか、それらの点について。
  129. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 私どもも、そのような具体的な話は全然聞いておりません。
  130. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それではもう全く日本政府の独自の立場で、しかしながら、こういう限定された目的に合うようにということは、そのつど考えられて運用してきた、こういうことですか。
  131. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 私どもが聞いておりますことは、この最初の協定ができまして、それでアメリカ側から余剰農産物が送られてきたわけでありますが、それが日銀内に積み立てられた資金をこの特別会計に移していくという段階で、いろいろ打ち合わせの上で方針等がきめられたというふうに聞いております。それで、それは最初にこの資金を受け入れるときにいろいろな話があった。一度この資金特別会計へ入れてしまってからこれを運用するにおきましては、最初の貸し付けられた金、最初にそれを運用する際の計画というものは向こうと相談をしてきめられたと聞いておりますが、それが現在はもうみんな回収になってしまいまして、今度は再投資になっております。その再投資の段階では全然日本側の独自の判断で行なわれておりまして、再投資についてアメリカ側からの希望とか、あるいは意見とかいうものは全く聞いておらないのでございます。
  132. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 非常に重要な武器産業に対する融資でありますから、かなり長期なものがあろうと思うのですが、二十九年に設置をされたわけですから、もう約十四年近くたつわけであります。巖密に言えばまる十三年でありますが、これは最初投融資したもの、運用したものは全部回収済みである、そういう状況でありますか。間違いございませんか。   〔渡辺(美)委員長代理退席委員長着席
  133. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 そのとおりであります。
  134. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それでは次に移ります。  今度この資金特別会計産投に引き継ぐという場合に、これが設置された当初の目的というようなものと産投会計を設置した目的というものは、産投会計もこのものもそれぞれの法律の条文にも明確に目的がうたわれておるわけです。この特別会計を設置するにあたってはどういう意味を持つか、目的を持つかということは、それぞれ特別な目的というものがあったわけでありますが、そういう特定の目的を持ったものを今度産投会計に繰り入れた場合に、産投会計の中でやはり依然として武器産業というようなもの、こういうものに投資をしなければならないというそういう考え方、当初の特別会計を設置したときの考え方というもの、目的というものが引き継がれますか、この点を確認をしておきたいと思います。
  135. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 御承知のように、現状におきましては四十億というものが日本航空機製造株式会社の出資になっておりまして、この日本航空機製造株式会社にはすでに産投会計からも出資しておるわけであります。これは民間の航空機の製造会社でありまして、武器等とは全く関係のないものと考えております。その他の現在の貸し付け残が五億程度あるわけでございますが、これが回収されますと、現在の経済援助資金というものの性格はほとんどもうなくなってしまうということで、今後は、産投会計の目的に従ってその回収金は運用してまいりたい、こういうように考えております。
  136. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは開発銀行から得た資料でございますが、経済援助資金によって武器、火薬、通信器材など、まあこれら武器産業といっていいのだと思いますが、これらに対して、昭和三十年度に六億五百万円、三十七年度に七千万円、三十八年度に一億円、四十一年度に一億円、こういうように貸し付けられておるわけであります。これは大体どういうものか、貸し付けの会社の名前をあわせて——通信器材、これも武器に関連のある通信器材の製造会社だと思うわけでありますが、これが三十年に一億七千五百万、三十三年に四千六百万、三十四年に一億四百万、三十五年に一億四千八百万、こういうふうに貸し付けられておるわけでありますが、この主たる貸し付けの対象会社名を、ひとつおもなるものをあげてほしいわけです。
  137. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 具体的な会社名はただいま覚えておりませんが、主として中小企業が非常に多いと記憶しております。一応中小企業が多うございまして、非常に……(「たとえば武器と火薬くらいはわかるはずだよ、武器製造会社だもの」と呼ぶ者あり)融資先につきましては銀行局のほうで……。
  138. 澄田智

    澄田政府委員 開発銀行融資先等につきましては、一般論といたしますと、こういった種類の企業というようなことで、具体的な会社の名前は、従来差し控えてきておりますが、むしろこれを指導しております通産省のほうの判断にゆだねたいと思いますが……。
  139. 加藤博男

    ○加藤説明員 こういう一般的な融資の話を申し上げていいかどうか、その点私もよくわかりませんが、三十八年に出ておりますのが三菱造船でございます。それからその次、豊和工業に三十八年、三十九年に出ております。(「それが中小企業か。資本金は幾らだ」と呼ぶ者あり)ちょっと資本金は覚えておりませんが……。四十一年は住友精密工業でございます。以上でございます。(「武器、火薬と書いてあるんだが、一体何をつくっているんだ」と呼ぶ者あり)住友精密工業は火器とプロペラをつくっております。豊和工業は小銃をつくっております。三菱造船は魚雷であります。
  140. 田村元

    田村委員長 加藤君、御注意申し上げますが、質問者も答弁者もかってに委員長抜きで私語をされることは困ります。
  141. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 理財局長、いま中小企業だと心得ておるというような答弁があったわけでありますが、いまちょっと聞いただけでも、三菱造船であるとか、豊和工業であるとか、住友精密工業であるとか、こういうふうなものは、これは中小企業とはいえないと思うのですが、そういうような不的確な答弁をなさらぬようにひとつお願いしておきます。  それから、もう一つ質問をしました、特別会計目的の違うものを引き継いだときに、うまくそれになじんでいくのか、今後産投会計の中で、その引き継いだ資金というようなものがどういうふうに生かされていくのか、こういう点について答弁漏れになっておりますので、答弁していただきたい。
  142. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 中小企業と申し上げましたのは、やや不正確でございましたので訂正申し上げます。ただ、中小企業のも相当ありまして、いま名前がなかなか出なかったのですが、こまかいものは相当ございます。これは、内容はいずれ別途御説明いたすということで御了承いただきたいと思います。
  143. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 答弁漏れの分……。
  144. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 先ほど、今後のこの引き継ぎの原資の利用につきましては、産投会計の目的に従ってこれを運用するということを申し上げたつもりでおりましたので……。御承知のように、金額も、きわめて大部分は日本航空機製造会社の出資になってしまいまして、残りはほんの五億ちょっとしかないわけであります。それは、一般原資と一緒に運用するということになります。
  145. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで、いままでこの特別会計ワクから開銀を通じて融資してきました、特に武器、火薬、それから通信器材、こういうもの、それからオートメーション機器その他というのもあるわけでありますが、これはそうさかのぼったものでなくてけっこうですから、十年前の三十三年あたりからのもので、その融資の対象会社名を、ひとついま申し上げた三つについて、一覧表をつくって出していただきたいと思います。これは資料要求をいたしておきたいと思います。この点、まず資料の要求で委員長に……。
  146. 田村元

    田村委員長 後刻、理事間で一度よく相談をしていただきたいと思います。   〔「当局側は資料ができるのかできないのか」と呼ぶ者あり〕
  147. 田村元

    田村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。もう一回繰り返し申し上げます。  委員長に対する御要望のようでありましたから、お答えをしたわけでありますが、各党の理事間でよく相談をされて、その上で善処されることを望みますが、私としても善処するように努力いたします。
  149. 只松祐治

    ○只松委員 重要なあれならば、委員長理事を招集されたり何かしなければならぬけれども、この程度の簡単なものは、事務当局が出せるか出せないか、事務当局が出せないと言えば、それは理事会で懇談ということになりますけれども、そうでない限り、事務当局が出すというならば、特別理事会を開かなくてもいいと思う。一々この程度の資料要求を理事会にはかるということになったらたいへんなことになりますから、この程度なら、事務当局が出せるか出せないか、出せないなら、どういうことかということで理事間でやればいいと思います。
  150. 田村元

    田村委員長 私に対する要望であったからそうお答えしたので、事務当局がどういうお答えをするか、それは関知しませんから、私に対する御要望だと思ってお答えしたわけであります。  澄田君から何か御意見ありますか。
  151. 澄田智

    澄田政府委員 開発銀行融資先のこまかい明細表というようなことになりますと、融資の相手方企業に対する秘密等もございますので、従来から完全なるリストというようなものは提出をしていないというようなこともあります。本件については資金の特殊性かございます。そういう点も入れまして、その責任者としての開発銀行、いま来ておりませんので、どういうふうな見解であるかということもただした上で、御要望でございますし、委員長も善処するとおっしゃっておるわけでございますので、なるべく努力をしたいと思います。
  152. 田村元

    田村委員長 善処するとは言わないよ。善処するべく努力すると言ったんだから、その点、誤解のないようにくぎをさしておきますよ。
  153. 澄田智

    澄田政府委員 委員長のおっしゃったとおりのことでございますので、その趣旨で……。
  154. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 先ほど中小企業と申しましたのは、私どもがあまりよく知らない会社の名前があるという程度のことで、軽率に申し上げたので、これは明確に誤りでありますから取り消します。
  155. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 じゃ、資料要求の問題は、委員長のおっしゃったようにひとつしていただきます。  午前中に産投会計に触れて、輸出入銀行の問題で、広沢委員が、南ベトナムに対する医療協力という問題を出されたわけでありますが、これは輸出入銀行の本旨からいって、なるほどそれは最も広く拡張解釈すればそういうこともできないことではないかもしれませんが、こういうことは、一体ほんとうに、本来の輸出入銀行の仕事であるのかどうかという点がやはり疑問になります。それと同時に、そのようにして出したものが、どういう経路で、どういう業者から、向こうのどういうものにそれが渡されて、ほんとうに、いわゆる民生安定といいますか、やはり後進地域が経済発展するためには健康な労働力が得られなければならぬわけですから、そういう人たちにやられて、ほんとうに渡っているのか、そういうものがちゃんとトレースできるのかどうか。あるいは、米軍の戦闘行為によって傷ついたり、侵略戦争によって傷ついている軍人のほうにどんどんそれが流用されていく、そういうようなことは絶対ない形で行なわれているものかどうかということも、やはり疑問なわけです。そうなると、もし後者のほうの可能性というものもあるんだとすれば、やはりこれは、輸出入銀行はとんでもないことをしているということにも相なるわけです。そこらのところは一体どういうことになっていますか。日本のどういう商社が、どういう形で向こうの船に送って、どういう機関に引き渡すんだ、そしてそれから先ほんとうに民生の安定のために、健康な労働力の確保なり、次の新しい世代の健康のためにほんとうに使われているのか、軍事目的に絶対に流用されないという保証はあるのか、こういうような問題についても、この際ひとつ聞いておきたいと思う。
  156. 奥村輝之

    奥村説明員 先ほど御指摘のベトナムに対する医療協力の問題でございます。これは外務省所管一般会計予算の範囲内でやっておるものでございます。輸銀とは関係はございません。そのことをちょっと申し上げておきます。
  157. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それじゃ、その点は質問を留保をしておきまして、またあらためて関係者を呼んでお聞きいたしたいと思います。しかし、大蔵省もやはり輸出入銀行に対する所管官庁ですよね。そういうどうも疑問だと思われるようなものに対しては、やはり輸出入銀行本来の仕事であるかどうかというような観点から、相当チェックをし監督をするというようなことをやらなければ、輸出入銀行資金が何に使われているかわからぬ、軍事面にいつの間にかちゃんと使われておったというようなことになって、あわてたってこれは間に合わぬと思う。そういう点はもう少し注意をしておいていただきたいと思うわけです。  それから、飛び飛びになって恐縮ですが、産投においてガリオア、エロア資金の返済の問題があるわけでありますが、アメリカのドル防衛の問題と関連して、これの年次別の償還を繰り上げてもらいたいというような要求が非常に強まっているという一時相当なうわさが流れたわけでありますが、これはどうなっておるのか、そういう繰り上げ償還というような事態はないのかというようなことについて、実際の状況を明らかにしていただきたい。
  158. 奥村輝之

    奥村説明員 ガリオア、エロア関係の返済繰り上げのことは、一切私どもは聞いておりません。
  159. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 六時までにきょうは終わらそうという申し合わせだそうでありますが、あと武藤委員の質問が残っておりますので、私、きょうはこれくらいにいたしまして終わりたいと思います。
  160. 田村元

    田村委員長 武藤山治君。
  161. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 けさから同僚がたいへん詳しく質問をなされましたので、ほんの約束の三十分間、二、三点を質問して終わりたいと思います。  最初に、理財局のほうから、予算書について、昭和四十二年度予算の中で、経済援助資金特別会計資金受払額総計表というのが提出されておりますね。昭和二十九年から四十一年までの資金がどういうぐあいに、累積がどうなったという数字があるわけです。これをちょっと見ると、よく意味がわからないのは、経済援助資金歳入外受入高累計百億六千百三十四万一千円、この経済援助資金歳入外受入というのはどういう意味ですか。歳入外という意味がよくわからぬ。これをちょっと説明してください。
  162. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 ただいまのお尋ねの歳入外の受け入れ高と申しますのは、資金運用部へ預託いたしました額の払い戻しの累計を掲げてあるわけでございます。
  163. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしますと、百億になっておりますが、二十九年から四十一年まで十二年間の毎年預金部に預けたものの総合計が百億になるという意味ですか。そうすると一年に七、八億円、それだけを運用部へ積んでいたという意味ですか。この意味がよくわからないのです。何でこんなことを書くのだかわからない。
  164. 大蔵公雄

    大蔵説明員 お答えいたします。  ここに書いてございますのは、資金運用部へ必要に応じまして、時によって違いますけれども、年に二回ないし三回入れたり出したりいたすわけでありまして、これの累計でございますから、その間に、資金運用部に対して預けられたお金の累計という意味にはなっておりません。かりに四十一年度をとりますと、四十一年度じゅうに資金運用部から払い戻しを受けたのが、約四億七千百万円という意味でございまして、この累計の欄にございます約百億という数字は、二十九年から今日に至るまでの累計でございまして、年間に何回か入れたり出したりいたします関係上、この金額が資金運用部から払い戻しを受けた全額であるという意味ではございません。
  165. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それに対応する利息収入は、貸し付け回収金の中に含まれるのか、運用利息収入の十一億がそっくり運用部から入った利息なのか、その辺はどうなのですか。
  166. 大蔵公雄

    大蔵説明員 十一億一千万円と申しますのは、これは累計でございまして、二十九年から今日に至るまでの運用利息収入の累計十一億一千万円という意味でございます。
  167. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、貸し付け金の六十三億四千三百万円、この現在残っている貸し付け先はどこですか。
  168. 大蔵公雄

    大蔵説明員 先ほど理財局長から御説明いたしましたように、現在この経済援助資金特別会計から貸し付けで残っておりますのは、開銀に対する貸し付け金五億四千八百万円でございます。
  169. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あとはないのですか。
  170. 大蔵公雄

    大蔵説明員 はい。
  171. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 去年六十三億あったうち、現在五億四千万円しかない。あとの分は、去年のうちに一般会計に、全部国庫へ納付したわけですか。
  172. 大蔵公雄

    大蔵説明員 この六十三億四千三百万円と申します数字は、二十九年から四十年末までに至る間の貸し付け金の累計でございまして、その間回収が行なわれております。したがいまして、現在残っておりますところの貸し付け金残高は五億四千八百万円ということに相なるわけでございます。
  173. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうしますと、今度は産投のほうへ資産として貸し付け金を引き継ぐのは、この会計では五億四千八百万円だけですね。
  174. 大蔵公雄

    大蔵説明員 おっしゃるとおりでございます。
  175. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次の余剰農産物特別会計のほうを見ますと、貸し付け金の残高が四十二年度末で四百五十四億でございますね。その金額の内訳を、大体どこへ幾らどこへ幾らというのを明らかにしてください。
  176. 大蔵公雄

    大蔵説明員 四十二年度末におきます貸し付け金残高が四百五十四億ございますが、これは主としまして愛知用水公団に対します百五億円であるとか、あるいは電源開発株式会社に対する三百二十四億円、その他森林開発公団、横浜市、名古屋市、四日市、大阪、広島等の各府県、そういう地方団体にも貸し付けが行なわれておりまして、それらの総合が四百五十四億円ということに相なっているわけでございます。
  177. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 一年間にアメリカに返す金額が、四十年度までは大体二億二千万円から二億六千万円ですか。これはずっと今後返済をするのでございましょうが、何年度に完済になるわけですか。
  178. 大蔵公雄

    大蔵説明員 完済になりますのは、昭和七十年度でございます。
  179. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 経理が非常に明らかになっておって金額が少ない。しかも、貸し付け対象が一定のワクにはめられている。こういう特別会計をなぜ産投会計に本年になって急に吸収合併をしなければならないのか、その積極的な理由が私はわからないのです。なぜこの会計を廃止して産投会計にするのかという積極的な理由がわからないのであります。使途別に大体どういう方面に使うかということが初めからきまっておって、しかも、返済もちゃんと協定で、第一次協定、第二次協定で返済額がきまっていて、七十年になれば自然に全部返済していって、残った金を国庫に納入すれば、それで会計は一切任務が終わるのに、なぜことし急にこの会計を廃止しなければならぬのか、その積極的理由をひとつ説明してみてください。
  180. 相沢英之

    ○相沢政府委員 現在、特別会計の数は四十五ございまして、この数が多いではないかという批判が各方面からあったわけでございます。数年前に、国立学校及び自動車の検査登録に関する特別会計をつくりました際にも、国会の御審議を通じまして、特別会計をつくるだけではなくて、すでにその目的を達したと思われるものについては、積極的にこれを整理すべきであるという御意見がございました。私どももその際に、今後できるだけ検討をして、これを減らしていくように努力することを答弁申し上げましたし、また、臨時行政調査会の答申におきましても、特別会計の数があまり多いということは、予算の一覧性を害するという点においても好ましくないという意見でございまして、そういったような答申のありましたことも、私どもとしては十分に配慮しておったわけでございます。  この両特別会計を廃止することにつきましては、したがいまして、ここ一両年の懸案であったわけでございますが、これ以上この特別会計の整理統合を遷延することもいかがかと存じまして、踏み切って、今回産業投資特別会計に統合するという法律案改正提出することとした次第でございます。
  181. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いままでは、この特別会計で運用して余剰金が出た場合、そういう場合には、その特別会計の中へ、やはり運用できるように絶対ワクを広げていったのか、それとも余剰分は一般会計、国庫のほうへ全部納付したのか、それはどうなんですか。
  182. 相沢英之

    ○相沢政府委員 両特別会計とも、それぞれその特別会計の中におきまして、そういう利益金その他は運用に充当されておったわけでございます。
  183. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これを、行政調査会やあるいはいままでの国会審議などでも、特別会計は減らすべきだという意見があったからことしやったのだ、こうおっしゃいますが、そういう前提で特別会計をふやさないという一貫した思想を貫いているなら、そう文句も言いたくないのでありますが、国立療養所は特別会計にして、それで片方は臨時行政調査会の答申があったからその意見を尊重したのだというのは、どうも説明に一貫性がありませんね。何かこれを産投会計に入れて整理するとこういうメリットがあるのだ、これをそのまま産投会計に引き継ぐことによって何かメリットがあるのですか。
  184. 相沢英之

    ○相沢政府委員 特別会計を整理するといいながら、別途新しい特別会計の設置、あるいは療養所のごとく特別会計内容をふやすという措置をやっているではないかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもはやはり特別会計を設ける必要が、財政法等の規定の面から見まして適当であると判断する際には、これはやはり設けるべきではないかというふうに考えております。しかしながら、先ほども申し上げましたとおりに、すでに四十をこす数になっております。予算はできるだけ一般会計という一つの会計に歳入歳出ともおさめて、その一覧性を持つということが望ましいことでございますので、やはり特別会計の数が多いということは問題であると思います。したがいまして、すでにその目的を達したと思われるような会計につきましては、これを整理統合するということはやっていかねばならないのではないかと思います。  それでは、この両特別会計産業投資特別会計と一緒にすることによりまして、何か積極的なメリットがあるかと申しますと、この点は、両特別会計ともそれぞれその目的は限定されております。かつ資金の量は、前にも申し上げましたとおりに、相当現在では減少しております。したがいまして、こういうような両特別会計を存置しまして、その狭い世帯の中で、一定の目的資金を運用するよりも、産投といういわば広い座敷の中に一緒にいたしまして、それぞれの投資目的に即しましてこれを運用することのほうが、資金の使用としては効率的ではないか、こういったところに両特別会計産投会計に統合することの利点があるのではないかというふうに考えております。
  185. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、いままでの二つの特別会計は、一応その資金の使途というものはある程度ワクをはめられたわけですね。それが今度産投会計へそのまま引き継がれますと、産投会計の融資対象、あるいは出資対象、そういうものの目的と全然相反するようなことはないのか。もし反することがあるならば、産投会計法のほうの目的のところへ一項入れなければならぬと思うのですが、その点は、全くそういう点の精神に反する性格のものではないとおっしゃいますか。そこはいかがですか。
  186. 相沢英之

    ○相沢政府委員 経済援助資金特別会計法は第一条におきまして、「円資金を、工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため必要な費途に充てる」云々というふうに規定してございます。それから余剰農産物資金融通特別会計法におきましては、「外貨資金を財源として電源の開発、農地の開発その他本邦の経済の発展を促進するため」云々というふうに、この資金の使用の目的を規定しております。このような目的は、いずれも現在産業投資特別会計法の第一条に示しますところの、「経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のため」云々というような、この目的の中に包摂される概念でございます。したがいまして、 この両特別会計産業投資特別会計に吸収するに際しましては、特に産業投資特別会計法の第一条等の目的改正はいたしておりません。したがいまして、これらの引き継ぎました資金は、産投本来の資金と合わされまして、産投会計の目的に従って運用されるわけでありまして、それらの資金と区別して運用するということは考えておりません。
  187. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの三会計法の目的、精神が産投会計にみな包摂される。もちろん産業の開発という概念は非常に大きい概念ですから、すべてこれを、事業家のやっているものはみなこれに包摂することは可能かもしれません。しかし、少々無理があるような気がいたすのであります。片方は、電源の開発とはっきりこううたっている。それから最初の経済援助資金の場合にも、明確にうたっている。そういうような点からいって、最も忠実に法律を守って会計制度というものをつくっていこうとする大蔵省立場は、私は、やはりこれだけのものを引き継ぐからには、当然産投会計の目的の中に、経済の再建、産業の開発というその大きい概念に包摂されるのだというような説明でなくて、やはり目的もこの際は変えるべきではなかったか、かように考える。しかし、これは、あなたが産業の開発という概念の中にはみな含まれるのだと言えば、なるほどそれは概念を広げれば全部含まれますよね。森羅万象ことごとく生産や企業、そういうものは産業の開発にはみな含まれるでしょうね。だが、それはちょっと私はためにする解釈であって、忠実な解釈をするならば、二つの目的産投会計の中にうたわれるような改正をするのがしかるべきではないか、そういう私の私見でありますが、一応今後いろいろこういう法律を合併するような際には、十分そういう点まじめに、忠実に守ってもらわぬといかぬのではないか、こういう気がいたすわけであります。  さらに、時間がありませんから次の問題にちょっと触れたいと思いますが、理財局長、いま政府出資法人の数は相当ありますね。この大蔵省の財政金融統計月報を見ましてもかなりありますが、政府出資している金額、総金額でどのくらいになりますか。的確でなくてもいいですが、大ざっぱでもいいですが、総金額、これは大蔵省の出している統計があるからすぐわかりますね。——鳩山さん、突然で統計を持ってこなかったようですから、これは大蔵省の出した四十二年三月現在でも四千八百八十八億九千百万円、膨大な金額を政府出資をいたしております。これだけの団体、おそらくこれは数えますと約七十団体、もっとありますかね。もっとあると思います。九十三ですか。この一つ一つを、今度のような財政硬直化のおりには、こういう出資法人というものをよく洗い直したのでしょうか。増税の年にして、あるいは受益者負担を非常に激増させて、財政がたいへんだ、たいへんだというときに、この政府出資の法人団体、こういうものを一体洗い直してみましたか。この点いかがですか。
  188. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 先ほど、出資の額がどれくらいかというお話がありましたが、手元に数字を持っておりませんが、産業投資特別会計から出資をいたしておるものは八千百四十五億円でございます。これは開発銀行輸出入銀行あるいは住宅金融公庫、そういったところが大口でございまして、産業投資特別会計からの出資につきましては、私ども所管でございますので申し上げますが、個々の公庫につきまして、それぞれ従来毎年予算折衝の際に検討いたしておるわけでございます。それらの中には、従来出資でありましたものが、途中からあるいは利子補給方式に変わった機関もございます。現在非常に多額に出資をしておりますのは、御承知のように輸出入銀行が非常に多いわけでありますが、それらにつきましては、やはり所定の金利を維持していくために多額の出資を続けなければならない、こういうことになっております。その他は比較的わずかの金額の出資になっておるわけであります。
  189. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間がないから、これは個々にお尋ねするわけにいきませんが、産投会計だけでも八千百四十五億円、もちろん輸出入銀行開発銀行、農林漁業金融公庫、これらが一千億をこえる大口ですが、こまかいのをずっと見ると、先ほど村山君も指摘しておりましたように、東北開発株式会社だけでも七十二億円、石油資源開発株式会社が百二十億円、電源開発株式会社が六百四十五億円。ここで一つだけちょっとお尋ねしますが、六百四十五億円、電源開発株式会社に出資をしていますが、東京電力にしても関西電力にしても、とにかく資本金が一千五百億、一千八百億というように、日本でも有数な巨大企業ですよ。こういうのはどんどん自分のところで電源開発をやって発電所をつくるという、かなりの余力のある会社だ。しかも、配当も年々ずっと出している会社ですね。それにさらに政府が輪をかけて、六百四十五億の出資をして電源を開発して、彼らの発電が非常に容易にできるように手助けをしなきゃならぬという理由がそうあるんでしょうか、いまの段階で。それは夜、毎晩電気が消えた敗戦直後の電力事情といまの事態では全く違うのですから、こういう独占大企業にこういう政府の金をどんどんつぎ込む必要があるかどうか。大蔵省、真剣にあると考えているのですか。
  190. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 電源開発株式会社に対します出資は、電源開発会社が水力発電を相当やっておりました時代の出資でございまして、最近はほとんど出資は行なわれておりません。なお、ここに公益事業局長が来ておりますので、ひとつ公益事業局長のほうから……。
  191. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 お答えをいたします。  電源開発株式会社は、先生も御承知のように、過去におきまして大規模な電源開発を、特に水力関係の電源開発をやってまいったわけでございますが、ただいまも御指摘がありましたように、最近では大規模な多目的の水力地点というものは逐次減少してきておるということは、御指摘のとおりでございます。しかし、今後私ども電力政策といたしまして、やはり今後の発電形態といたしましては、原子力発電が将来だんだんふえてまいる。しかし、この将来の原子力発電それから重油専焼火力、それに石炭火力もございます。それと水力発電、大きくいいまして水力、火力、原子力、この三つのコンビネーションによってやはり経営をしていくことが、一番電力経済上合理的であるというふうに考えております。  それから先ほども、午前中だったと思いますが、御質問にお答えしたわけでございますが、今後の水力開発の地点につきましては、ただいま九電力のほうでも調査いたしておりますが、電発においても一緒に調査をいたしておりますが、少なくとも私ども、今後十年間、九百万キロくらいの水力地点の開発をすることが、電力経済上望ましいというような見地に立っておるわけでございます。この九百万キロという水力開発は、やはり決して少ない数字ではございません。しかし、御指摘にもありましたように、かつての大規模な地点というものは減少している、これは事実でございます。しかし、なお水力開発について、多目的ダムの問題もございますし、電源開発株式会社が担当するにふさわしい地点もあるわけでございますので、そういった面でなお電発の機能を活用してまいりたい。  それからなお、確かに先生の御指摘のように、他の九電力会社が比較的経営の安定してきたところもございますので、それにある程度やらしてもいいんじゃないかという面もございますけれども、しかし、やはり現在の電力政策の中におきましては、広域運営を円滑にやっていくという面もあわせてございますので、そういった面では、やはり電発の役割りも欠かせない位置を持っているものと考えておりますので、そういった面でも、今後電発の機能を活用してまいりたい。  それからなお、これは石炭政策から特に要請された問題でございますが、これは長期には続かないかと思いますが、御承知のように、かつて四、五年前に、石炭政策のために電発が三基の石炭火力の新設を行ない、現在は追加二基の建設をやっておるというような現状もありますので、そういった面で電発を、国民経済あるいは電力政策の中で最も有意義なあり方として指導しながら、合理化も行なわせながら健全に育ててまいりたいというふうに考えております。
  192. 鳩山威一郎

    鳩山政府委員 先ほど答弁が不正確でございましたが、最近におきましては、ただいま公益事業局長のほうから申し上げましたように、電発に対しまして、産投といたしましては石炭火力のために、三十九年度から四十一年度まで出資を行なっております。
  193. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 電源開発株式会社というのは、配当を出しているのですか。
  194. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 いたしておりません。
  195. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ことしも四十三年度予算で二十三億円の産投から融資を受けるわけですが、ことしは原子力か何か特別の開発の予定があって産投から借りるのですか、四十三年度予算で。
  196. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 そういう事情ではありません。ただ、電発は政府機関でもございますので、配当を主目的にいたしませんので、余力がありますれば、それは償却に回すとかあるいは積極的な建設の面に回すというような方針で指導しておりますので、そういった意味合いで配当はいたしておりません。
  197. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いや、ことしの産投特別会計投資計画の中で二十三億円融資を受けますね、ことし特別に。去年は一銭も受けなかったわけですよ、出資貸し付け金も。四十三年度に二十三億円新たに計上したというのには、何か特別な事情があるのですか。
  198. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 二十三億はこれは余農資金でございますが、余農資金の二十三億の意味でありますれば、余農資金は前々からいただいております。主として石炭火力の建設資金というような意味合いで従来借りておるわけでございます。
  199. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いや、従来借りておるというけれども、四十二年度は借りてないですよ。四十三年度に新たにまた二十三億付加されてきておるから、その理由を聞いておるのです。
  200. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 ちょっと訂正させていただきますが、先ほど余農資金を借りていると申しましたのは間違いでございまして、二十三億は四十三年度の産投会計の予算でいただいておりますが、四十二年度は十八億、それから四十一年度は十七億、四十年度は二十二億、三十四年、三十五年、三十六年はありませんけれども、三十七年以降連年ございます。
  201. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 四十一年も四十二年もあった……。
  202. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 はい。
  203. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 鳩山さん、四十二年も電源開発があったとすれば、この予算書はうそですか。われわれに配った四十三年度特別会計予算では、四十二年度は電源開発はゼロになっておる。
  204. 大蔵公雄

    大蔵説明員 四十三年度から産投会計に余農特会が吸収をされます関係上、四十三年度は産投特会からの借り入れになりますけれども、それ以前は余農特会からの電源開発に対する貸し付けになっておるわけでありまして、産投会計からの貸し付け金はゼロということであります。
  205. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 余農特会というのは予算書のどこにあるんだ、ちょっと教えてくれよ。余農特会って何だ。初めて聞いた。
  206. 大蔵公雄

    大蔵説明員 余剰農産物特別会計であります。
  207. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いずれにしても、この産投会計の出資貸し付け金を見ると、石油開発だとか、やれ金属鉱物探鉱だとか、東北開発だとか、国家国民経済立場ということの美名に隠れて、こういう財政硬直化のおり、融資をしなくてもよかろうと思うものにかなりの資金を出しておる。こういう点、私はいままでの惰性で、大蔵省として安易に産投からの出資というものが、あるいは貸し付けというものが行なわれているうらみがあるのではないか、こういう感じがするわけです。  きょうは三十分という時間ですから、個々に尋ねようと思って、実は資料を集めてきたのでありますが、やめますが、こういう点については、あと一般質問のときに理財局長にひとつじっくりお尋ねをしたいと思いますから、今度はひとつ個々の法人まで検討しておいていただきたい。きょうはこの程度で終わります。
  208. 田村元

    田村委員長 次回は、明六日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会