○倉成
政府委員 ただいま議題となりました
経済援助資金特別会計法及び
余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する
法律案外四案につきまして、提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
最初に、
経済援助資金特別会計法及び
余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する
法律案について申し上げます。
経済援助資金特別
会計は、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定により、わが国の工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するためにアメリカ合衆国から贈与を受けた資金約三十四億円につきまして、その運用に関する経理を明確にするため、昭和二十九
年度に設けられたものであります。
また、
余剰農産物資金融通特別
会計は、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定によりアメリカ合衆国から借り入れた約三百八十億円に相当する外貨借り入れ金を
財源として、電源開発、農地開発等のために行なう資金の貸し付けにつきまして、その経理を明確にするため、昭和三十
年度に設けられたものであります。
しかしながら、これらの協定成立後十年以上を経過した現在では、両
会計は、いずれも当初の貸し付けを終了して回収金の再投資を行なっている
段階であり、毎
年度の貸し付け原資も少なく、これらを独立の
会計として存続させる意義が失われていると
考えられるのであります。
この
法律案は、以上のような
事情にかんがみ、両
会計を昭和四十二
年度限り廃止してその権利義務を産業投資特別
会計に引き継ぐことにより、産業投資
関係の特別
会計を整理統合して国の
会計経理の簡素化をはかろうとするものであります。
次に、
日本開発銀行法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
この
法律案による
日本開発銀行法の改正の内容は、日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度を自己資本の四倍から五倍に引き上げることであります。
日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発の促進につとめてまいっているのでありますが、昭和四十三
年度の財政投融資計画においても、同行の貸し出しは、二千五百十億円と予定されており、これに債務保証を加えますと、昭和四十三
年度末の同行の貸し付け等の残高は、一兆六千五百九十一億円に達すると見込まれております。
このように、四十三
年度においては、同行の業務量の一そうの増加が見込まれているのでありますが、日本開発銀行の貸し付け等の残高につきましては、
日本開発銀行法において、自己資本の額と借り入れ金等の限度額との合計額をこえてはならないことと定められておりますので、現状のまま推移するとすれば、四十三
年度中に、同行の貸し付け等の残高は、この限度額をこえることとなります。
したがいまして、この際、同行の借り入れ金等の限度額を自己資本の四倍から五倍に引き上げ、これにより、貸し付け等の業務量の限度を拡大し、もって、同行の業務の円滑な運営をはかろうとするものであります。
次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する
法律の一部を改正する
法律案について申し上げます。
アジア開発銀行は、アジアにおける
経済成長及び経済協力を助長し、この地域内の開発途上にある加盟国の経済開発の促進に寄与することを目的として、昭和四十一年末に発足したのであります。わが国は、二億ドルの出資をもって同銀行に加盟し、同銀行は、最近、本格的業務を行なう体制を整えるに至っております。
また、アジア開発銀行は、出資金を
財源として通常の業務を行なうほか、各国の拠出による特別基金によって特別業務を行なうことを予定しております。この特別基金の
制度は、特別基金への拠出国の意向を反映した資金運用を可能ならしめることによって、各国の資金拠出を容易にしようという趣旨で設けられたものであります。
政府といたしましては、同特別基金への拠出を行なうため、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する
法律の一部を改正することとし、その
法律案の成立をまって、アジア開発銀行との間で取りきめを結びたいと
考えております。
次に、この
法律案の概要について申し上げます。
第一に、アジア開発銀行の特別基金に充てるため、
予算で定める金額の
範囲内において、
政府は、同銀行に対し、本邦通貨により拠出することができることといたしております。
第二に、当該拠出については、本邦通貨にかえて、その全部または一部を国債で行なうことができることとし、この国債の発行、償還等に関する事項は、同銀行に対する通常の出資に充てるため発行することができることとされている国債の場合と同様とするよう定めております。
また、昭和四十三
年度における特別基金への拠出金額は、七十二億円と予定し、昭和四十三
年度予算案の
予算総則で拠出限度額を七十二億円と定め、別途御
承認をお願いしている次第であります。
なお、昭和四十三
年度の拠出は全額を国債で行なうことを予定しております。
次に、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
今回、
政府においては、国及び地方を通ずる財政運営を円滑化し、あわせて地方財政の健全な運営に資するため、昭和四十三
年度から昭和四十六
年度までの各
年度における地方
交付税の総額の特例を設けるほか、昭和四十三
年度から昭和五十六
年度の各
年度について特別事業債償還交付金を交付することとし、別途、今国会に地方
交付税法の一部を改正する
法律案を提案いたしておりますが、この地方
交付税にかかる特例措置に伴い、
交付税及び
譲与税配付金特別会計法について所要の改正を行なおうとするものであります。
すなわち、その一は、昭和四十三
年度において、地方
交付税交付金の
財源として一般
会計からこの
会計に
繰り入れる金額を、所定の額から四百五十億円を控除した額とし、他方、昭和四十四
年度から四十六
年度までの三
年度において
繰り入れる金額を所定の額に毎
年度百五十億円を加算した額とするものであります。
次に、昭和四十三
年度においては、この
会計の
負担において二百五十億円を限り借り入れ金をすることができることとし、この金額を昭和四十四
年度から昭和四十六
年度までの三
年度間にわたり償還ができるよう措置いたしております。
さらに、昭和四十三
年度から昭和五十六
年度までの各
年度に交付することとされた特別事業債償還交付金に相当する金額を
予算で定めるところにより、一般
会計からこの
会計に
繰り入れることとするものであります。
最後に、
地方自治法第百五十六条第六項の
規定に
基づき、税務署の設置に関し
承認を求めるの件について申し上げます。
最近における経済の発展に伴い、都会地の税務署では、管内の納税者及び課税物件等が年々増加しておりますが、一部の税務署におきましては、事務量が過大となり、税務指導等、納税者に対するサービスや事務管理の面で支障が生じようとしております。
このような
事情に対処いたしまして、札幌国税局において、札幌中税務署の管轄区域を分割して、札幌市の西部の地域を管轄する札幌西税務署を、また、名古屋国税局において名古屋東税務署の管轄区域を分割して、千種区を管轄する千種税務署をそれぞれ設置し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかろうとするものであります。
以上が
経済援助資金特別会計法及び
余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する
法律案外四案の提案の理由及び概要であります。
何とぞ御
審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。