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1968-05-22 第58回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十二日(水曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 堂森 芳夫君    理事 田中 六助君 理事 中川 俊思君    理事 野田 武夫君 理事 岡田 利春君    理事 多賀谷真稔君       大坪 保雄君    菅波  茂君       西岡 武夫君    廣瀬 正雄君       井手 以誠君    石野 久男君       田畑 金光君    中野  明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省石炭         局長      中川理一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         労働省労政局長 松永 正男君  委員外出席者         労働省労働基準         局補償課長   長岡  貢君         日本国有鉄道常         務理事     長瀬 恒雄君     ————————————— 五月十五日  委員松本忠助辞任につき、その補欠として中  野明君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員渡辺惣蔵辞任につき、その補欠として井  手以誠君議長指名委員に選任された。 同日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として渡  辺惣蔵君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十一日  福岡県玄海町の大和炭鉱鉱害復旧に関する請願  (中村寅太君外三名紹介)(第七〇三六号)  同(田中六助紹介)(第七〇三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 運輸大臣産炭地振興関連をして御質問申し上げたいと思いますが、御存じのように、石炭輸送費コスト低減ということが昭和三十年当時から非常に問題になりました。そうして低減のために油須原線を竣工さしていただいたわけであります。ところが石炭事情が非常に急変をいたしまして、油須原線に沿って苅田から関西に出る石炭は非常に少なくなりました。この点は国鉄としてはいわば赤字路線をつくったという意味で非常に御迷惑をかけたと思います。しかし何をいいましても、白糠線といいあるいは油須原線といいまして、いわば石炭コスト低減のためにやったわけでありますけれども、その後の石炭事情が非常に変わったということで御了承願いたいと思います。  篠栗線につきましては、これは大正時代から何度も陳情要請がありまして、そうして油須原線と大体呼応して篠栗線を建設するということになったわけであります。篠栗線は当初は篠栗から長尾付近ということになっておりました。一番問題になっておりますのは、今度この二十五日に開通するわけでありますけれども、この開通篠栗から桂川までということになるわけです。  そこで問題は、いま九州の鉄道を見ますると、大体横断する鉄道は鹿児島本線さらに久大線久留米から大分に参る久大線、いわばその中間を通るのがこの篠栗線であり、油須原線であるとわれわれは考えておったわけです。ところが油須原線篠栗線がいわば分断をされる。すなわち博多から飯塚まで行って、さらに飯塚から上山田線で参りまして油須原線に乗りかえる。こういうことでいわば分断をされる。そこで、地元としては、篠栗線がせっかくできたので、油須原線につないでもらうことによっていわば久大線と同じような効果を発するのではないか。しかもその路線桂川から碓井までの間はきわめて僅少の間である。こういうことを考えておるわけです。なかんずく最近における産炭地疲弊並びに荒廃によりまして、北九州とさらに博多にいわば通勤地域として開発ということが非常に考えられておる。そういたしますと、桂川から碓井まで開通することによって、産炭地振興としては一番いわばネックであり困難である同じ筑豊炭田でも最も南部の地域、すなわち碓井であるとかあるいは山田地区であるとか川崎であるとかあるいは添田であるとか、こういう地域開発が非常に進められるわけであります。要するに博多からの通勤地域に、桂川碓井を結ぶことによってできる。こういうふうに考えられるわけであります。そこで線路の長さとしても四キロ程度でございますので、ぜひひとつこれを実現するようにお願いいたしたい。実は篠栗線開通要請行動というのは碓井を含めてみなやったわけであります。当然碓井まで来るものだという実は感じを持っておりましたけれども、遺憾ながら桂川でとどまった、こういうことでありまして、これは経済的に見ましてもあるいはまた国鉄経営内部の問題を見ましても、私どもはむしろプラスになる、そしていままで博多地域に行かなかったその地域通勤区になる、そして産炭地振興にも非常に益する、こういうように考えておるわけです。これはすでに再三にわたって大臣の耳にも入っておると思いますが、いよいよ五月の二十五日開通というので、いわば碓井町においてはぜひひとつ実現をしてもらいたい、実現ができなければひとつ線路にすわり込んでも、こういう空気も出ておるので、これは大きな意味からいっても、国鉄経営からいっても、あるいは地元住民要請からいっても非常に必要なことではないかと思います。そこでこれに対する大臣の所見を承りたい。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 篠栗線開通に前後いたしまして桂川碓井間の新線建設の御要望が非常に熾烈であることは私もよく承知をいたしておりますし、また地元議員皆さん方からも御陳情をいただいております。ただまことに遺憾なことには、この桂川碓井間はいままで予定線にものぼっていない。したがいまして、法律上の別表にも載っける必要が実はあるわけなのであります、もしやるといたしましても。そういう情勢から、桂川碓井間に新線を建設するということは非常に困難な状態にありまして、このことは議員皆さま方市町村皆さま方にも御説明を申し上げたのであります。最近承りますところによりますと、地元のほうでいろいろな資金その他の関係についても御研究をしていただいておるそうでございまして、そういう案を持ってくるからそのときには考えろというお話もいただいておりますので、具体的なお話がありました場合に研究してみたいと考えております。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 地元御存じのようにいわば非常に疲弊をしておる町村であります。山田市のごときはかつて人戸四万おりましたけれども、いま二万を切れようかという日本一小さい町村になっておる。そしてほとんど九割を国庫補助あるいは交付金、こういうことでまかなっておる。また碓井も非常に小さい町村であるし、またそのお隣の添田もそうであります。でありますから、これは国鉄経営自体にも、いま申しましたようにいわば博多から大分に結ぶ線の大きな路線になるし、そして路線の利用は今後相当私はできるのではないか。いまのままにしておりますと油須原線そのもの永遠赤字路線になる、こういうように考えるわけです。ですから、これはひとつ運輸省のほうでそういう手続をとっていただいて積極的に進めてもらいたい。確かに博多飯塚間は私は採算がとれるだろうと思いますが、あとの線が全部死んでしまう。ですから、その線を死なせないためにはやはり桂川碓井を結ぶことによって非常な経営の好転が望まれるのではないか、かように考えるわけですがね。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この線はお指図がありましたから非常によく検討いたしまして、鉄建公団総裁も呼びましていろいろ私協議したのでございますが、現在の状態におきましては、法律的にもまた実際的にも非常にむずかしい状態にありますことはまことに残念でございます。
  7. 田中六助

    田中(六)委員 ちょっと関連質問大臣にお尋ねというよりもむしろお願いしたいわけでございますが、篠栗線油須原線を結ぶ話をしましておるわけでございますが、結べばその距離が約三・七五キロ、しかも予算は十億程度というふうにいわれていますけれども、非常に平たん地でそう障害もないので、私は七、八億円ぐらいで済むと思います。問題は油須原線田川のほうにございまして、いずれにしても全部筑豊地帯でございます。御承知のように炭鉱はほとんど閉山になっておりまして、離職者ということだけを考えましても、現在田川で九カ町村あるのですが、日本一生活保護者が多いといわれておりまして、ある町などは二軒半に一軒は生活保護者というのが三つぐらいあります。そういうしかも離職者対策ということを問題にするならば、外に働きにいったらいいのじゃないかというと、御承知のように住宅難でそれもできない。炭住に住んでおればまだ住めるというようなこともございまして、ほんとうに底辺において人間生活をしていない人がかなりおるわけでございます。それで私どもが一定の生活というのは、道路やあるいは交通の整備というものが近代では最も必要でございますし、いまこの間の線を結ぶ申請をすると全国で三十、四十あるこういうのが一ぺんに吹き出してきてどうにもできないという当局の返事なのでございますが、人間生活それからそういう一つの大きな問題をかかえておりますので、ぜひとも七億程度で、そういう金で多くの人の生活が助かるというならば、そこが政治じゃないかと思うのです。机の上だけでこれを結ぶと全国で三十も四十もこれに類似したものが出る、こういう答えになると全く血の通ってない政治になりますし、順番などをいっておるということよりも、そういう観点からぜひともこれを頭にのぼしてほしい。  それから多賀谷委員がいまおっしゃいましたように、赤字路線を心配していますが、油須原線篠栗線をつながなければますます赤字になる。つなぐことによって赤字が解消するという方向にあることは明らかでございますので、こういう点を重々大臣はもう皆さん陳情で頭におありでしょうが、私の心配するのは、順番を待ってあるいはいまから法的な手続をして、もちろん法的な手続をしなければどうにもならないでしょうが、しゅうちょうなことは許されないということを十分御認識していただいて判断の材料にしていただきたいというふうに思っております。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 何しろ法律がございまして、別表に載ってないものは鉄建公団でもやることができないのでございます。そういう点やあるいはいま建設費の問題もこざいましたが、建設費は十億から二十億ぐらいかかるという一応の試算を持ってまいってきておりまして、そういういろいろな情勢を見ますと、にわかにこれをやるということは、ここでやると御答弁申し上げることは非常にむずかしいのでございますが、せっかくのお申し出もございますから、もう一回よく検討してみることにいたします。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いま田中委員からも言われましたように、問題はこの地域永遠スクラップ地帯になるということ、ですからこれは国鉄当局というよりも大臣ベースで考えていただかなければならぬ問題です。通勤可能な地区になるわけですね。博多まで一時間足らずで行けるわけですから、いまわれわれが要望しておる路線がつながれることによって。ですから産炭地でも一番振興しにくい地点、しかもそれがごく近くまで鉄道が通っておる。そうして若干の費用も出せばそれがつなげる、こういう状態になる。ですから、私はこれはやはり政治ベースで考えないと、国鉄当局ではいろいろな問題があるだろうと思いますけれども政治ベースで考えれば私はある線が容易に出る、かように考えておるわけです。ひとつせっかく地元要望しておりますし、まは高い見地から見ますと、この失対事業の費用なんというのは相当のものがおりているわけですね。しかも子供までスクラップとされようという、そういう時期に、この路線というものは非常に経済に活を入れるし、新しい開発になる、かように考えているわけでありまして、ひとつ運輸大臣は国の総合的施策として考えていただきますように要望して質問を終わりたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 せっかくのお話でもございますから、もう一回鉄建公団を呼びましてよく相談いたします。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣に対する質問は終わりにいたしますが、続いていまの篠栗線開通関連をいたしまして質問をいたしたいと思います。  篠栗線ができましたことは、地元開発といい、あるいは住民の福祉からいっても非常に喜ばしいことであります。ところがこれに関連をいたしまして、約二十三往復、四十六本の列車篠栗線によってふえるわけですけれども、逆に伊田線、日田彦山線、漆生線、後藤寺線上山田線宮田線、こういう列車が百本程度間引きをされる、そうしてなかんずく最終列車がなくなるという点がこの筑豊特殊性として非常に困るという問題が起こっているわけです。御存じのように、筑豊から北九州に出ている労働者は、私をして言わしむるならば、残念ながら正常な雇用関係についていない。たとえば八幡製鉄や、三菱化成にも行っておりますけれども、それは八幡職員というわけではなく、三菱化成職員でもない、下請あるいはその下請労働者として雇用されている。ですからこれはほとんど残業で食っている従業員である。非常に夜勤が多かったり、あるいはまた残業が多い。ですから通勤といいましても、八時に入って五時に帰る労働者ではない。夜十時から十一時に門を出てくる、こういう労働者になっている。そこで、この筑豊本線でもそういう問題が起こりますが、ましてや支線になりますと、とても通勤できない。たとえば宮田であるとか、稲築であるとかいうことになると、ローカル線が切れてしまって、結局通勤区になり得ない、こういう問題が起こってきたわけです。そこで、たとえば桂川篠栗線が着くことによって篠栗—原田線飯塚最終が十九時三十七分という時間、七時三十七分で、上穂波とか内野というところの労働者はもう通勤できない。それから上山田線にいたしましても、飯塚からが二十二時五分でありますから、これでもう最終になるわけですから、これも非常に困る、あるいは勝野から宮田線につきましても最終列車が廃止される、こうなってまいりますと、せっかく直方、飯塚までは帰ってこれるけれども、そのあと通勤列車がないという問題が起こるわけです。これは何とか特殊の事情を考慮していただきましてひとつダイヤの組みかえをしていただきたい、そうして増発をしていただきたい。そうしませんと結局その職場をやめて、また失業保険なり、生活保護に転落をしなければならぬという情勢になるわけです。これはいわば非常な特殊な地域であるということ、それから篠栗線は非常によかったけれども篠栗線のおかげでわれわれは職場を失ったという労働者が相当出てくる。こういうことになるわけですが、これについてひとつぜひ改正をお願いいたしたい、かように考えておるのですが、いかがでしょう。
  12. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のように、篠栗線が二十五日に開業いたします。その開業とともに車の運用と申しますか、そういう関係筑豊本線、伊田その他各線時刻改正をしなければならないというような情勢になるわけでありまして、当然各線時刻改正を必要とするということは先生も御承知だと思います。それと同時にこの線につきまして、私どもいろいろと検討いたしました。たとえば列車輸送状況あるいは沿線のバス状況その他をいろいろと検討いたしまして、それにマッチしたダイヤをつくるということが私どものほうの仕事になるわけでございます。その結果におきましては、ただいま御指摘のように通勤輸送力、これは私ども最優先に考えておるわけでありまして、通勤輸送力につきましては大体現行あるいは現行よりもよくなっている線が多いわけでありまして、サービスの面あるいは通勤輸送力混雑緩和という点につきましては、まず第一に留意した点でございます。  それから御指摘最終列車につきましては、確かに若干時間を繰り上げたということで各線につきましてそういう状況が見えるわけでありますが、この点につきましては、やはり先ほど申しましたとおり、需給と申しますか、需要と申しますか、輸送状況というものを考えて、あの時間帯がいいのじゃないか、あるいは早いほうがいい、あるいはおそいほうがいい、いろいろと議論がございますが、その点を勘案いたしまして、現在の車両運用から考えて最善の方策を講じたというふうに考えております。しかし、御指摘のように筑豊地帯特殊性ということも私どもよく存じておりまして、通常の時刻改正を行ないますと、おおむね一カ月ないし二カ月後におきましてそれに対する修正をするということが行なわれているわけでございます。車の問題もございますし、乗務員関係もございますので、一カ月ないし二カ月後におきましては、地元関係についていろいろと協議いたしまして修正することがあるわけであります。しかし、現時点におきましては、国鉄内部労働組合、これとも昨日話がつきましたし、あるいは地元関係につきましても目下各市町村と協議をいたしておりまして、大体本日中には話がつくのじゃないかというふうに考えておりますが、それはそれといたしまして、今後の時刻修正という点につきましては、増発はきわめて困難でございますが、御要望のような線に沿える点については、最大限努力いたしたいと考えております。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 篠栗線のできることによって筑豊関係全体として増発をしたわけですか、それとも筑豊関係を間引いて篠栗線に充てたわけですか。
  14. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 ただいま申し上げましたとおり、篠栗線開業と同時にこれに対する列車輸送力はつけたわけであります。しかし、先ほど申しましたとおり全体の車の運用というような関係もございまして、それから同時に各線のいわゆる旅客の流れというものを勘案して、昼間のデータイム、これはバス等に相当転移いたしておりますので、そういうところの列車削減したものもございます。しかし、全体といたしましては、筑豊線その他につきましては需要が減っているという面から、列車削減したものもありますが、それをもって篠栗線に移したという考えではございません。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 旅客列車を百本廃止しているわけですね。そうして篠栗線に回しておる。トータルとしては一つもふえていないわけですね。しかし、私は篠栗線開通することによってトータル需要現時点から見てかなり増大をすると考えざるを得ない。そこに無理があるのではないか。あなたのところで筑豊線で全部まかなってしまえ、こういうようなことで新しい列車をつくり、そうして旅客列車を百本間引いたというところに非常な無理があるのではないか。ですから、あなたのほうは一、二カ月して修正をすると言うけれども、それでは間に合わないのです。一、二カ月も、労働者が、——私は汽車の関係通勤できなくなったから何とか職場を変更してくださいと言えるような発言力のある雇用関係にある労働者ではないのです。それは大きな会社であるとかあるいは組合がかなり強いところであるとかというところであれば、組合が交渉をして、今度は通勤列車がこういうようになったから、ひとつ勤務時間を変えてもらいたいということも言えるでしょうけれども、残念ながらそういう強い雇用形態にある労働者でない。でありますから、あなたのほうは、一、二カ月様子を見るというけれども、一、二カ月のうちに職場を変わるかやめるか、あるいは下宿をするかせざるを得ないような労働者である。そこに私は問題があると思うのです。ですから実際問題として、筑豊線の中で百本削減をして篠栗線に回せば無理が出てくることは当然でしょう。私はいままでどおり走らせろとは言わぬけれども、しかし、もう少し政治としては勘案をする余地はなかったのか。これは言わば篠栗線ができたことは関係者は喜んでおるけれども、逆に通勤をするか弱い労働者のほうは、少なくとも北九州通勤する諸君は非常に恨むという形になる。ですからせっかくやる政治が、これでは何をやっておるのかわからぬという感じを私は受けるわけです。ですから、一体この筑豊だけで操作するのではなくて、やはりもう少し国鉄全体で何か操作をする方法はなかったかどうか。  それから時間の関係もありますから、要点だけ質問しますが、あなたのほうは一、二カ月して様子を見て、需給関係を見て直すとおっしゃるけれども、そういうゆうちょうのことができない。そこでもう時刻表を発表したならば、臨時電車でも出すのかどうか。私はたとえば漆生、後藤寺線のごとく、八時三十分から十四時まで一本の列車も走らぬというようなことについても質問したいのですけれども、とにかく一番問題はとりあえず最終列車という問題です。ですからいまの時刻表がきまっていよいよ二十五日から篠栗線開通する。ですからいまいろいろ話をしておっても全部のダイヤを変えるということは間に合わぬわけですから、そうすると臨時ダイヤでも、ひとつ通勤について、ことに最終通勤については出されるかどうか、この二点についてお伺いしたい。
  16. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 ただいま先生が百本というようにお話しでございますが、これは列車本数と同時に列車キロというものが中心になるわけであります。全体の輸送人キロといいますか、それに即した列車をつくるというのがダイヤ作製の基本でございます。したがいまして、本数だけで議論をすることは私問題があると思いますが、とにかくデータイムにつきましては、確かに旅客が乗っていないというのが現状でございます。したがいましてデータイムにおきましては、確かに削減をいたしております。それからいま御指摘終列車の問題は、確かに時間が早くなっておるという点は私ども認めますが、しかし、先ほど申しましたとおり、車の関係ということがございまして、全面的な時刻修正を必要とするわけであります。たとえば小倉から出てまいります列車にそれぞれの各線列車がぶら下がっているわけであります。したがいまして、全体の輸送に影響いたしますので、その辺を勘案するために一カ月ないし二カ月は必要であるというふうに申し上げたわけであります。それから臨時ダイヤと申しましてもこれは限られた車でございますので、バスのように簡単に臨時列車を出すということは非常に困難でございますが、先ほど申しましたとおり、現地情勢につきましては地方に命じまして十分検討させまして、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 一体篠栗線列車キロはどのくらいあるのですか。それから間引いたのは列車キロでどのくらいですか。
  18. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 列車キロ篠栗線は九百六十九キロふやしております。それから全体としまして三百五十キロ程度はふやしております。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 御希望の点を十分検討して善処するというお話ですが、では臨時ダイヤを出すということと考えていいですか。
  20. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 臨時ダイヤと申しますと、これは車の関係というものがございまして、全国では窮屈な車の運用をいたしておりますので、なかなか簡単には臨時ダイヤができるというふうには考えられません。ダイヤ構成面から考えて、たとえば現在二十時に出ておる列車を二十一時にするということは、全体の修正を要するわけです。したがって、臨時ダイヤバスのようにはいかないということを申し上げておきます。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 バスのようにいかなくても、現実問題として困るでしょう。ですから、一両でもいいのですよ。とにかく終列車を出していただかないと、現実に通勤で、しかも最終列車で帰る労働者というのは、一カ月、二カ月が待てるような関係労働者じゃないのです。現地の姿というものは、国鉄本社で考えておられるような実情ではないということです。ですから、一、二カ月して十分需給関係を見てダイヤを改めますとおっしゃったのでは解決できない。一、二カ月も空間をおけば、その需要そのものがなくなるかもしれぬのですよ。というのは、もう会社をやめるかもしれぬ、あるいは下宿生活に入るかもしれぬ。一、二カ月待てる労働者でない。ほんとうはいままでの最終列車で帰りたいと思うけれども時刻表が変更になったら前の列車で帰ろうというような労働者ではないということです。ですから、これについてはひとつ十分配慮願いたい。それは全体としてはきついでしょうけれども、ここは職場を失うかどうかという問題です。そうすると、結局失対労働者がふえるか、それから生活保護に転落するかというような、国としてはいままでの費用よりもより以上の費用が要る話になるわけです。それが一名とか二名とかいう数字なら私は言いませんけれども、相当の数字にのぼるのです。ですから、これはひとつ臨時ダイヤでも出してその間は補うという話をしていただかないと——その一、二カ月が待てるような労働者ではない、こういうことですね。
  22. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 先生の御指摘のような点は確かにあると思いますが、現在の時刻でなければならないということはないと私は思います。同時に、今度のダイヤ修正によりますダイヤで間に合わないかどうかという点も、現状を見なければわからないのじゃないか。それから、毎日夜勤なり超勤をするというふうには考えられませんし、その間におきましてはバスもございますので、その点を調べましたら、大体その時間帯にはバスは走っているという現状でございます。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 バスがありますか。  それから、この連中の給与というものも考えてもらわなくては困るんですよ。そういう最終列車に限られることじゃないとおっしゃられましたが、そんな労働者じゃないのです。あなたは八幡製鉄所の門に立ってごらんなさい。あの門一つだけで一日二万人の人が出入りしている。戸畑の製鉄所の門だけでも四カ所も五カ所もあるが、一つの門から二万人も通勤をしている。そうしてそれはずっとのべつ通勤をしている。そのうちの半分は下請です。ですから、そういう実態を把握しないで、何も最終列車でなくても前の列車で帰れるだろうという想像はほんとうに机上の想像だ。こんなことは言いたくないけれども最終列車に乗っている人の服装を見てごらんなさい。そういう人に、あなたはバスに乗りなさいと言えるかどうか。これは酔っぱらっておそく帰るという労働者ではないんですよ。とにかく製鉄は原則として三交代でしょう。三交代でそれに夜勤がつくから間断なく門の出入りがあるわけです。そのことがなかなか簡単に変更できないんです。若干の考慮はあるけれども変更できない。そういうところに問題があるんですね。しかも、その労働者下請労働者である。そういう労働者は、いま御存じのように労働力がかなり不足なんですから、下請はほとんど筑豊から連れていっているということが言える。その下請が、うちの労働者通勤関係によって時間を変更してもらいたいということを言えば、その下請そのもの、企業そのものが事業を廃止しなければならぬという情勢にも追い込まれる。非常に深刻な問題ですね。ですから私は、やはり国有鉄道ですからその程度のサービスはやるべきではないかというように思うのですが、どうですか。
  24. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 先生の御指摘、あるいは私どもまだ現地を知らないということがございますが、現地の管理局といたしましては、いまのような実情につきまして十分把握しているというふうに私は考えております。その点につきましては、先ほど申しましたとおり、沿線の市町村あるいはそこにおります住民との関連において、きょうとくと話をするという段階になっております。いま御指摘のような最終列車が何時がいいかという点については十分検討しなければならない問題ではないかと考えております。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 最終列車が何時がいいかというのは、時刻表の変更ですから、一、二カ月かかるわけでしょう。時刻表の変更までの間はどうするかと聞いているんですよ。その間の空間というのが暮らせないのだ。一、二カ月たったら、もとへ復帰しますとか、あるいは中間の時間をとりますとか、もういろいろくふうをされるでしょう。しかし問題は、一、二カ月は待てませんよ、雇用がなくなるんですよ、こう言っているんですよ。それを国鉄に責任を負えとは言いませんけれども、しかし現実はそういう状態ではないか。ですから、この一、二カ月の間に全部が全部臨時ダイヤを出せとは言ってないけれども、ある程度臨時ダイヤを出してその空間を埋めなければ、筑豊におってせっかく職を求めている労働者がまた職を失うことになるのではないか。このことが国鉄は理解できぬのですか。
  26. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 一、二カ月と申し上げましたが、これは私どもでもって本線との関連を慎重に検討する時間をいただきたいということでございますので、できるだけそうした実情に合わせるということは努力いたしたいと思いますが、さしあたりまして二十五日でございますので、それを直ちに修正するということはできないわけであります。したがいまして、できるだけ短期間に修正をする必要があればしたいということを申し上げたい。ただ本線とのからみがございますのでそう簡単には直らない。この点は御理解いただきたいと思います。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから、臨時ダイヤを出すかどうかといって聞いているんですよ。本格的な修正の話はよろしい。それはその後されるわけです。問題はそのつなぎをどうするのですかと聞いているんですよ。一カ月もあるいは半月でも私は実は夜勤はできないんです、こう言ったら、ほとんど夜勤で生活をしておる労働者でしょう、それは結局やめざるを得ないでしょう。ですから、そのことをどうして理解できないだろうかと私は思うのです。ですから、それは臨時ダイヤを出してそのつなぎはやる、そのうちに本格的な修正をされる、このことを要望しているわけです。それは本格的な修正は急いでいただかなければならぬが、その間をひとつ臨時ダイヤを出されたらどうですか、このくらいは国鉄でできませんか。何のための国有鉄道ですか。
  28. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 国有鉄道でございますので、国民の鉄道であることは私どもよく承知いたしております。ただ現在の車というものを考えますと、先ほど申しましたとおり、全部フル稼働しているというような関係で、いま御指摘のような臨時ダイヤというものが組めるということは、これは不可能でございます。確かに早急にいろいろな面から検討していくより方法はないのじゃないかというふうに考えます。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは政治の問題で、このくらいのことは国鉄でできると思ったけれども、もう一回大臣要請したいと思う。無理なことを言っているのじゃないのです。このくらいのことがどうしてできないのですか。ひとつもう一回大臣をお願いしたい。
  30. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 臨時ダイヤ臨時ダイヤと申されますが、現在のダイヤの構成から非常にむずかしい。しかしこれにつきましては、もしそういうような線区によりまして事態が起これば、あるいは予備車を一部一時的に流用することは考えられますが、しかしはたしてその列車をどこへ入れるか。現在のままのダイヤにするかということは、これは不可能でございます。したがいまして、どこのところに一番そういう炭鉱離職者がおられるか、これもよく調査しなければ入れることができない。その辺を勘案いたしまして検討するということを申し上げております。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 その臨時ダイヤを入れることを検討するというのですか。あなたの話ではそういうお話でなくて、ぼくは臨時ダイヤをその間入れたらどうですか、本格的に修正するまでの間、こういう質問をしておるのですが、あなたは臨時ダイヤについてはなかなか御答弁にならぬわけです。そこで臨時ダイヤについて、いまの話ですと若干ニュアンスが違うようだけれども臨時ダイヤについてもどこに入れるかということを検討する、こういうことですか。こういうように理解していいですか。ちょっと答弁していただきたい。
  32. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 臨時ダイヤの問題は、先ほどから申し上げましたとおり、非常にむずかしいわけでございます。車の関係あるいに乗務員関係、その他列車線路容量というような関係から非常にむずかしいわけでございますが、御指摘のような離職者の夜勤というものを実情を調べまして、必要な線区にできればそれは考えなければいかぬと思います。これは必ずしもできるということはお約束できないわけでございます。十分これは検討いたしたいと思います。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 とにかく普通考えまして、いままであったダイヤが、最終列車がなくなるのでしょう。ですから、困るのはあたりまえです。しかしどの程度困るかということについては、それはいろいろ調査があるでしょう。しかし私は必要な線路にはやはり臨時ダイヤでも出してその間を補う、そうして本格的な修正をなるべく早い機会に行なう、こういうように御答弁できないんですか。本格的な修正についてはいろいろ考えるということでけっこうですけれども、その間のつなぎを聞いておるわけです。その間のつなぎについては、ひとつ路線について十分検討をして臨時ダイヤで補う、こういう答弁ができませんか。
  34. 長瀬恒雄

    長瀬説明員 先ほどそういうように申し上げたつもりでございますが、結局離職者の動きというものがどうなっているか、これもよく調べなければなりません。ただ現在汽車があるからこれに乗っているというだけでは、これは間違いを起こすわけであります。したがって、そうした現状をよく調査した上で、そうした車があれば私どもとして措置をしたいと考えます。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この問題はいいです。     —————————————
  36. 堂森芳夫

    堂森委員長 この際、美唄炭鉱災害のその後の経過、並びに去る十七日発生いたしました三池炭鉱の抗内火災について、政府より説明を聴取いたします。西家鉱山保安局長
  37. 西家正起

    ○西家政府委員 その後の美唄炭鉱の災害の状況につきまして御報告さしていただきます。  今月の十五日の朝、美唄炭鉱の五片におきまして六名の方々の遺体を収容したのでございますが、その後引き続きまして五片の奥のほう、さらには五片から四片のほうに至る奥に四名おると想像されておりました個所の付近まで救護隊が入抗いたしまして捜索をしたのでございますけれども、ついに四名の方の居どころを発見できずに引き上げてきたのでございますが、その後火炎が一向に衰えないという状況でございまして、ちょうど十七日に参議院の調査団に私も随行いたしまして参ったのでございますが、そのときの段階では、火がありますためにどうしても近寄れないというような状況でございまして、救護隊も一時引き上げておるような状態でございました。  したがって、そのときに、これは現場に通じます人気が新坑のほうと二坑のほうと大別して二カ所あるのでございますが、新坑のほうから来る人気は遮断をいたしまして、火勢を弱めまして救出に当たるしか方法がないじゃないか、こういうような会社側の計画が出てまいりまして、いろいろそれに対する検討、それから観測隊なんかの進入等の結果、十六日の夜から、新坑のほうから参りますところの二片の連絡坑道と四片の連絡坑道、この二カ所を本密閉することに決定をいたしまして、その作業に取りかかったわけでございます。この密閉は十九日の十九時までに終わっております。  その後様子を見たのでございますけれども、一時火勢は衰えたのでございますが、なおまだ二坑から相当人気がございまして、火炎は二坑の人気側のほうに広がってまいりました。このままほうっておきますと、さらに二坑の人気側に広がった結果、爆発をするおそれも出てまいりましたので、二十日に、二坑側から入る人気側も密閉をいたしたい、こういうような計画が会社側から出てきたわけでございます。二坑側の人気を全部密閉いたしますと、中におられる七名の方に対する人気は完全に閉ざされる——まだ排気がございますから、包囲密閉にはなりませんけれども、人気側は全部閉ざされる、こういうことになりますので、この点につきましては当局も慎重に取り扱いまして、会社側も残っておられる七名の方々の家族等につきまして、十分な説明と了承をとったようでございます。また組合側も別の立場で了承をとったようでございまして、とうとう二坑の人気側のほうも密閉することにきめたわけでございます。現在二坑から入ります人気側の四カ所密閉作業を続行中でございまして、きょうにはおそらく完了いたす予定でございます。  それから排気側のほうは、依然としてやはり煙その他が出ておりますので、排気につきましては密閉作業はむしろ非常に危険なこともございますし、手がつかないので、現在のれんをいたしまして通気の動きを少なくするというような方法でやっております。きょう現在そういう状況でございますが、まだ火は消えていない、こういう状況でございます。六名の方々の遺体を収容しました際、ちょうど人気のコントロールで中に入っていたときに、五片につきましては実況見分を大体済ましておりまして、その状況を見ました場合に、死なれた方あるいは坑道の状況等から相当な圧風を受けておる、こういうような状況を把握いたしております。しかし何ぶんにも火災の発生いたしました、山はねの起こりました四片坑に全然入れないという状況でございますので、原因等につきましては、現在の段階ではまだ軽々に判断できない、こういうような状況に相なっておる次第でございます。  引き続きまして、三池の坑内火災につきまして報告をさせていただきます。  三池炭鉱は、鉱業権者が三井鉱山株式会社でございまして、大牟田市にございます全国でも大きな炭鉱でございます。この炭鉱の三川鉱におきまして、四十三年の五月十七日の二十三時三十分ごろに火災が発生したのでございますが、非常に奥のほうでございまして、本層の三十六卸右六片原動機座のあります付近で火災が発生したわけでございます。  三池炭鉱の既況を申し上げますと、これはもう先生方十分御存じのことでございますが、三川鉱と四山、それから宮浦がございまして、全体で鉱山労働者数は一万九百六十二名、月に四十五万四千三百トンの出炭をいたしております。このうち三川鉱は、鉱山労働者の数が三千百六十三名で、月に十九万四千九百トン出炭をいたしております。今回の災害の発生いたしましたのは本層三十六卸右六片坑道でございまして、大体坑口から六千八百五十メートルの位置にございます。ここで柱房式の払いの採炭をやっておる個所があるのでございますが、この切り羽からパンツァーコンベアに石炭を落としまして、それを今度ベルトコンベアで本層の西三十六卸のベルトコンベアまで搬出をいたしておったわけでございますが、災害の起こりました二、三日前の五月十四日の一番方におきましてその個所の採炭は終了いたしました。五月十五日からは引き続いてその柱房式採炭個所のすぐ隣にある一昇りの左の部分の残柱採炭計画をやる予定になっておりまして、そのためにその採掘計画に伴う一連の運搬コンベア関係の移設の取りかえ作業をやっておったのでございます。五月十七日の三番方の係員が二十三時三十分ごろ三十六卸をずっと入ってまいりまして、右六片の巻き立ての付近に参りましたときに、奥のほうで火を発見いたしまして、さらにその巻き立てから進入をいたしまして、連れ卸口の付近まで来たところで、ベルトコンベアの原動機座付近が燃えておるのを発見しております。直ちにこの付近で働いておりました職員七名、鉱員二十九名、全部で三十六名の方々を連絡によりまして無事退避させたのでございます。とともに消火作業に入ったわけでございます。その後救護隊による消火作業をやったのでありますが、消火作業はなかなか進展しないで、当初は直接消火をやっておったのでございますが、これを断念いたしまして、水没をすることに決定をいたしまして、五月十八日の十七時五十分注水作業に切りかえたのでございます。二十日の二時には水没の水足が六日抜き下部の付近まで到達いたしましたので、一時注水作業を中止して、その上にある坑道の辺の状況を探検したのでございますけれども、まだ下のほうから煙が出てくるということでございましたので、さらに水没をもう一つ上の段まで水没させるということに切りかえまして、現在水を注入中でございまして、予定まで水が入りますのは、大体きょうの夜の十時ごろになるのじゃないか、こういう予定でございます。  それで、災害の起こりました翌十八日の夜中に直ちに監督局から監督官二名を派遣いたしまして、その状況を調査に当たらしておるわけでございますけれども、なかなか火災の発生した位置に近寄れないということで、原因調査は——調査中でございますけれども、なかなかむずかしい状態になっておるのでございます。  なお、当三川鉱におきましては、昨年以来かなり坑内火災がたびたび起こっておりますので、非常に監督の頻度を増しておるのでありますが、今回も昨日から十四名の調査団を監督局から派遣をいたしまして、坑内一斉にわたりまして点検をさしておるような状態でございます。  以上簡単でございますが、御報告申し上げます。
  38. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて政府の説明は終わりました。     —————————————
  39. 堂森芳夫

    堂森委員長 質疑を続行いたします。岡田利春君。
  40. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 三菱美唄の炭鉱の災害については、当委員会から調査団を派遣する予定でございましたけれども、地震の関係で調査に行くことができなかったわけです。私、社会党の党派遣調査団として、美唄炭鉱状況についていろいろ現地でも報告を受けてまいりました。  災害発生以来、特に保安監督局の対策は、私なりで判断いたしますと、きわめて厳正な態度で、しかも沈着にその状況判断をし、行動しておったということは評価されてよいのではないか、こう実は考えております。局長以下陣頭指揮に立って、まず救出作業をいかに完了するか、これに第一の重点を置いて、二次災害を起こさないように、そういう体制のもとで進められてきた、こう理解をいたしております。ただいまその後の状況の報告があったわけですが、私が参りましたときには、ちょうど消火のためには密閉に移らざるを得ないのではないか、こういう状況であり、しかも科学的な方法あるいはまたいろいろ通気系統の操作の問題、こういう手を打って、最終的に密閉消火の方向をとらざるを得ないだろう、こういう状況で私ら帰ってまいったわけですが、いま報告されました体制ではたして消火が可能かどうか、非常に私は疑問があるのではないかと思うわけです。もちろん非常に災害地点よりも離れた地点の密閉、しかも排気側は一応たれ幕で遮断をしておる、こういう状況でありますから、相当経過もしておりますので、消火というものはいまの体制では非常にむずかしいのではないか、こう一応私は判断をいたしておるわけですが、このことは将来死体の救出の問題、さらにまた二坑全体の操業体制の問題等に関連を持ってくるわけですが、この点についての見通しは現時点で一体どう判断をされておるか、一応の見解を承っておきたいと思います。
  41. 西家正起

    ○西家政府委員 ただいま岡田先生からお話がございましたように、私も今後の見通しにつきましてまだ必ずしも明確な判断はできないのでございますけれども、ただいまの状況から判断いたしまして、確かに密閉地域が広くなっておるということ。それから排気側が完全に密閉をしていない。現在まだ火が消えていないという状況から判断いたしまして、やはり現在のままではなかなか火が消えにくいのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、今後どうやって消火をするかという対策につきましては、第一次的には鉱業権者のほうから計画が出てまいりまして、それにつきましていろいろ判断をしなければならない、こういうことになるかと思うのでございますけれども、端的に申しまして、次の手段といたしましてはたとえば水没をさせる、こういうようなことも考えられるわけでございます。それは具体的な話が起こりました際に十分慎重に検討いたしたい、かように考えております。水没をかりにいたしたとするならば、これが取り明け、さらには遺体の収容につきましてはかなり時間が今後かかるのじゃないか、かように考える次第でございます。
  42. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 現在二坑全体が作業されていないわけですから、そういう意味でこの大体の見通しというものが美唄炭鉱のこれからのいろいろな問題点に関連してくるのではなかろうか、こう思うわけです。ようやく採算ベースに乗ったといわれる美唄炭鉱でありますので、もし水没消火をした場合大体どの程度の期間を要するのか、そういう点については全然予測は立ちませんか。
  43. 西家正起

    ○西家政府委員 水没の話はまだ実は具体的になっていないのでございまして、水没をした場合にはどのくらいの期間次の取り明けまでかかるか、あるいは遺体の救出までかかるかということは現在検討中でございます。
  44. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この災害で保安管理者あるいは鉱業権者自体がその対策を立てておられると思うのですけれども、ただ、いまのような状態が長期に続くということになれば、二坑全体はそのまま作業はできないということになると思うわけです。しかしさらに密閉個所等の検討を行ない、水没完全消火をする、こういう体制が一応とれればその時点でまた判断できると思うわけです。したがって、そう長い時間をかけないでこの消火作業を一体どうするかという決断を下して、完全消火をすみやかにすることが一番先決ではないか、こういう考え方を持っておりますので、そういう点について特段の指導といいますか、今後の対策を進めていただきたいと要請をいたしておきます。  それから次の問題は、今回の災害は予知できない山はね現象による、しかもその動機として火源が発生をして引火をした、こう想定をされるわけです。現地情勢を見ますと、現地点の山はね現象というのは一月、四月、今回と三回にわたっている。いわば一つの集中的な山はね現象というものがそこの地帯に起きている。とするならば、この地帯の採掘というのは、もちろん災害のあと始末の関係もありますが、非常にむずかしかろう。ただしかし、稼行しております六番層については、これは部内も違う、また層自体も違うという問題。さらにまた現在二坑で開発計画を持っている深部開発、これがはたして層状から見て、同じ九番層でありますが、地域が違うのですが、どう判断できるのか非常にむずかしい問題に対処しなければならない、こう思うわけです。したがって、この災害の原因を究明すると同時に、今後二坑の問題について一体どう対処していくかというのは、美唄炭鉱の命脈にも関する非常に重大な問題ではないか、こう私は判断せざるを得ないわけです。したがって、一方においては、山はね現象という問題について、先般の答弁がありますように検討を加えて、それは集中的なものか全般的に出るものか、あまりいままで経験がないわけですから、そういう一応の学術的な面からの検討を進めていくと同時に、今後この対策を進める過程において、慎重に一つ一つの事象を十分分析して、どうこれに対処するかという慎重な態度が特に美唄炭鉱の場合には要望されるのではないか、こう私は判断をするわけです。そういう点について、いま申し上げましたような方向でこれに対処してほしいと思うのですが、この点に関する見解をこの機会に承っておきたいと思います。
  45. 西家正起

    ○西家政府委員 山はね対策につきましては、先生指摘のとおりでございまして、私どもといたしましてはさっそく東大の鈴木先生そのほかの方々に御連絡をいたしまして、早急に学術的な見地からのエキスパートを集める。さらに、従来死傷者は出していなかったのでございますけれども、それぞれの炭鉱でやはり同じような現象としては全然皆無ではないわけでございまして、それらのデータを持っております大手の各社の方たちに集まっていただきまして、至急に山はねに対する技術対策委員会というものをつくりまして、統計的にあるいは学術的にこれを究明いたしたい。また究明の過程におきまして、やはり経験的な面で採炭法とかあるいは起こりそうな場所とか、そういった可能性につきましての研究も比較的早期にこれをつかみ得るのではないか、こういう感じが現在いたしておる次第でございまして、この点につきましてはできるだけ早急に前進をさせたい、かように考えておるわけでございます。  それから、この災害の発生いたしました炭層の付近につきましては、確かに起こりやすい地層であるということが過去の災害から見てもいえるわけでございますが、さらに上部のほうの層の違ったほうにおきまして、あるいは今後下部のほうの状態につきましては、現在起こりましたところと同一かどうかということにつきましては必ずしも同一ではない、こういうように考えておりますので、その辺につきましてはその辺でまた十分に現状を把握いたしましてこれに対処してまいりたい。今後の美唄の開発につきましては、非常に重要な問題でございますので、できるだけ早急に何らかの結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  46. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この美唄炭鉱の親会社は、一〇〇%三菱がその資本を持っているわけです。先般の談話では、三菱としても災害対策をして今後山を回復し、継続的にひとつ山をやっていこう、こういう意欲的な談話が三菱鉱業から出されているわけです。そこでいま質問しましたように、これはある場合には相当時間がかかるのではないか、こう予想されるわけです。したがって急がなければなりませんけれども、その間もちろん親会社である三菱鉱業としてもこれに対する対策をとるでしょうし、またそういう指導をしてもらわなければなりませんし、また政府としてもそういう面について必要があれば融資等の対策を立てる。いずれにしても年産百十万トンを出炭をし、二万人以上の住民がそれによって生活をしているわけですから、ひとつそういう慎重な対策を立ててほしい、こう思うわけですが、この点は石炭局長から見解を承っておきたい。
  47. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ただいまお話しございましたように、特殊な性格と形態それからいきさつで成り立っておる会社でございますので、御意見のような立ち直りと申しますか、それから保安対策というようなものをいたしますためには、美唄炭鉱自身の力ではおよそ限界があると思います。親会社である三菱鉱業の力によって力をつけていくということが唯一可能な方法だと思っておりますので、三菱側と十分連絡をとりまして三菱鉱業として政府に頼みたいことそのほかがございましたならば、私どもも全面的に協力をするつもりでおります。
  48. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今度の災害にかんがみて救護隊の問題ですが、石炭抜本策と長期安定策をいま諮問をしているわけですが、救護隊のまずあり方、編成上の問題がある。いま山に救護隊が編成をされておって、この行動は大体資本系統で相協力し合う、こういうのが普通一般の常識なわけですが、しかし長期安定策を立てるにあたり救護隊がどうあるべきが正しいのか、編成上の問題ですね、そういう問題。さらにまた温度が非常に高くなるとその地点では作業ができないという、こういう経験を得たわけですが、その面から見て装備の問題。普通救護隊の服装というのは一般のきわめて作業服的な服装をしているわけですが、そういう意味では装備の問題については再検討する必要があるのではないか。ある程度高温個所でも作業でき得る服装、こういうものはもうすでに開発をされておるわけでありますから、そういう意味ではこの機会に装備の問題を再検討する必要があるのではないか、私はこういう感じがしたわけですが、こういう点についての見解を承っておきたい。
  49. 西家正起

    ○西家政府委員 現在鉱山救護隊は山元に編成をされておりまして、確かに資本系統によって編成をされておるわけでございます。それで鉱山救護隊が必要の場合には非常に時間を急ぐし、こういう点で山元にとにかくあることはこれは必要でございます。そういう意味でその炭鉱なら炭鉱に所属する救護隊が必要なことは申すまでもないことでございますが、人員その他の面で足りない場合にはほかの炭鉱からの救護を仰ぐ。その場合に、大体同じ資本系統の救護隊の救助を仰いでいるのが現状でございますけれども、しかし必要となれば監督局長要請によりまして、ほかの会社の鉱山救護隊もこれに救助の援助をする、こういうようなことも過去においてやった例もございますし、今後ともそういうことで一応果たせるのではないか、かように考えておりますが、なお地域全体について特殊な場合に対する救護体制、こういうものにつきましては確かに十分今後検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから装備の問題でございますが、鉱山救護隊もかなり高温の個所においても入れるという装備はできると思います。ただ、ある一定の温度以上になりますと、大体その個所全体が危険になるというような状態が多いものでございますので、大体これは撤去するというケースが多いのでございますけれども、服装につきましては確かにある程度以上の温度に耐え得る服装もございますし、この点につきましては御指摘のとおり今後十分検討いたしたいと考えております。
  50. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 三池災害の問題で一点だけ質問しておきますが、いま報告がありましたようにここは柱房、炭柱払いの個所であった。大体こういう個所は自然発火が起こりやすい個所であるというのが一般的な常識であると思うわけです。そこで三井三池はわが国最高の条件を備えている炭鉱であり、私も三池におったことがあるのですが、問題はやはり従来の常識にないような災害が起きる。特に三池の場合には最近非常な自然発火というものが目立ってきておるわけです。したがって、従来の常識で判断するのではなくして、ここまで自然発火が起きれば、いわば自然発火多発の炭鉱である、そういう傾向の炭鉱であると認定せざるを得ないのではないか、こう思うわけです。そういう考え方に立てば、当然自然発火対策というものはそういう自然発火を起こしやすい山であるということを前提にして保安管理体制もそうあらねばならないし、またそういう研究も進んでさせなければならないし、そういう指導もまた強力に行なわなければならないのではないか、こう思うわけです。特にここは集中的に多くの労働者が坑内で働いておるわけですから、場合によっては前にも発生しましたようにきわめて重大な、数多くの人命が失なわれるという危険性があるわけですから、それだけに保安対策は万全でなければならないと思うわけです。そういう点については、この三池のこういう三たびの自然発火に対して——第一回は爆発でございましたけれども、前にも自然発火を起こしておりますが、この自然発火対策に対して、局としては一体どう対処されておるか、見解を承っておきたいと思います。
  51. 西家正起

    ○西家政府委員 今回の災害につきましては、実のところまだ原因がはっきりわかっていないのでございますが、確かに先生のおっしゃるとおり三池炭鉱におきましては自然発火も含めまして、坑内火災が、他の炭鉱に比べまして大小かなり多いことは事実でございます。昨年の暮れ、さらには今月、三月末等にも、幸い罹災者はなかったのでございますけれども、坑内火災が発生をいたしておりまして、かねがね当局といたしましてはこれにつきまして監督上非常に注意を払ってまいっておるわけでございます。また、三池鉱業所に対しましても火災の発見、その他巡視体制につきまして厳重な通達をいたしておるわけでございまして、監督回数等も先ほどもちょっと触れましたように月に一回は最低でございますが、三回ぐらい、一斉検査等含めてやっておる。特に火災につきましては機電関係を中心といたしましてやる。それから自然発火につきましては、いわゆる自然発火のおそれの多いと従来されておるところ以外の場所につきましても係員の巡視頻度を増す。こういう方向で対処してまいっておるような次第でございます。にもかかわりませず、こういう火災がたびたび発生いたしまして監督上もはなはだ遺憾に存ずる次第でございますが、なお今回の災害につきまして、さらに三池炭鉱に対しまして火災の早期発見に対する巡視体制というものを強化いたしたい、かように考えておる次第であります。
  52. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 災害については、一応重大災害はそれぞれの中央、地方の保安協議会等でもその点についていろいろ検討をされておるようであります。しかし、保安技術を開発し、保安技術を高めるということがまた非常に大事な問題でもあるわけです。保安技術というのは一般的に炭鉱技術の中に包括されておりますけれども、私は特にこの保安新技術の開発については業界自身がもう少し熱があっていいのではないか。そういう意味では、言うなれば保安技術学会と言いますか、こういう自主的なものが盛り上がっていいのではないか、こう思うわけです。しかし、百年河清を待つと同じようなもので、なかなか保安の問題についてはそういう業界自身の自主的な意欲というものがそう盛り上がっているとは思えないわけです。しかしそういう点から考えますと、この際、政府としてむしろそういう点について強力な指導をする。そして重大災害については炭鉱の技術陣がもうあらゆる面から議論をする、あるいはまた新しい保安技術というものは、常に開発されたものは公開をされていく、こういう専門的なものが必要ではないか、こう思うわけです。これを待っていても、なかなかそういう気運もあまり高まっているとは思えませんし、むしろその点についてはある程度の指導を伴う必要があるのではないか、こういう気がするのですが、こういう点について見解があれば承っておきたいと思います。
  53. 西家正起

    ○西家政府委員 この点につきましても先生指摘のとおりでございまして、業界の自主的な保安体制あるいは技術開発の促進体制、そういうものにつきまして今後とも指導する必要があると存じます。ただいま炭鉱の場合には炭鉱技術懇話会等組織としては一応あるわけでございまして、それぞれ一応の活動はいたしておりますけれども、さらにこれを十分に活用いたしますように、われわれといたしましても強力に指導をいたしたいと考えております。  それから重大災害等につきまして、技術も含めてあらゆる点で自主的に相談をする、こういう点につきましては、たまたま今回の美唄災害の発生に基づきまして、石炭の大手の団体におきましては、自主的にこういうことを——この重要性を認識しておるようでございまして、大手の団体におきまして保安確保の優先につきまして決意をいたしまして、それぞれ九州、北海道の地区におきまして、関係者を集めてこういうことについてフリーに業界だけの場において議論をし、今後の対策を進める、こういうような方向に現在いっておるようでございますので、われわれといたしましても、十分そういう点に沿いまして指導を申し上げたい、かように考えております。
  54. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 次に遺族補償の問題なんですが、いま日本炭鉱労働組合石炭経営者の間では、遺族補償の新しい要求に基づいて紛争も実は起きているわけです。  そこでまず第一に基準局にお尋ねしたいのですが、特に民間企業の場合、災害死亡の場合、労使間協定で遺族補償を出しておるように聞いておるわけです。多いところでは化学工場なんかでは三百万をこえるところもあるし、また百万のところもあるし百五十万のところもある。いろいろ自主的に組合側から要求が出され協定をされておる。このことは今日の労災補償自体が非常に低いということを意味しておるように思うのですが、そういう傾向について、まずどういう傾向にあるかということを第一点としてお聞きしておきたいのです。
  55. 長岡貢

    ○長岡説明員 遺族補償の協定の問題でありますが、最近まだ調査をいたしておりませんので明らかではありませんけれども、それいう協定を結んだりあるいは事故直後に団交によって決定するというような傾向が増加してまいっておるように思います。
  56. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の調査によりますと、もう遺族補償の締結というものは大体常識化されてきているのではないか、こう見ているわけです。たとえばメタンの場合でも最低百二十万あるいは化学工場では三百万から百五十万、あるいは月数で出しておるところもあるわけです。この協定が一般化されてきた、こういう傾向として理解していいのじゃないかと思うわけですね。ということは、普通の補償の場合には組合がきめる場合と裁判できめる場合もございますけれども、しかしいずれの場合も労災補償が行なわれておる。先般年金制度に切りかわっておるわけですけれども、それではとても遺族が生活ができない、こういうようなことから自主的に遺族補償について組合が要求を出し、新しく協定をするということになっていると私は思うわけです。こういう気運が全体的に出てきているということは、私は少なくともこの遺族補償の面について労災法を再検討する時期にきているのではないか、そういう意味では年金制度に移行しましたけれども、このあるべき姿、遺族の補償という面について、私はそういう情勢を踏んまえてむしろ法改正に、積極的に審議会に諮問をする、こういう姿勢を打ち出すべき時期に労働省はきているのではないか、こう判断をするのですが、きょう局長が基準審議会に出て、来られぬそうでありますけれども、課長さんではなかなかそういう見解を示すことは困難かもしれませんけれども、どういう判断をされているか承っておきたい。
  57. 長岡貢

    ○長岡説明員 昭和四十年の六月に法律改正いたしまして、遺族につきましては年金制度を導入いたしましたことは先生指摘のとおりでございます。その後この年金をめぐりまして、炭鉱災害あるいはその他の重大災害の際に低いではないかというような御指摘が再々なされていることも先生指摘のとおりでございます。したがいまして、この年金制度を導入しまして、従来一時金であったわけでありますけれども、一時金でありますと従来の調査によりますと、二、三年でなくなってしまうというようなこともございまして、長期的に継続的に遺族の方々の生活を見てまいるということで、年金制度を導入いたしましてそれなりの役割りを果たしてまいっているわけでございます。ことしになりましてから、労働組合側から自賠法の改定も行なわれたし、労災の遺族年金が非常に低いじゃないかというような要求も強く出てまいりまして、先生指摘のように労働者災害補償保険審議会というものがございますが、その場におきまして労働者側の意見、それから使用者側の意見というものを出していただいて、給付の改善等について今後慎重に検討してまいるというような運びにいまなっているわけでございます。
  58. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この際ひとつ民間の遺族補償協定、この動向についてあとでけっこうですから資料を出していただきたい。  それと同時に、いま答弁がありましたけれども、だれが考えても、もう自動車保険であっても三百万にもなっている、またそれ以外に補償があればそれを上回る、こういう状況であります。わが国は非常に産業災害の多発している国でありますから、この対策を特にすみやかに立てる必要があるのではないが。特に炭鉱のように危険な作業であり、しかも死亡率も非常に高いというところでは、家族が大体こういう危険なところでは働かないようにということで職場を離れていく。むしろ家族側の要求が非常に強いわけです。先般美唄で災害があって、二名が救出をされたのですが、家族は、おとうさんもうやめておきましょう、しかしおとうさんのほうは、おれは継続して働くということで、働くようになったという話も聞いているわけなんですが、危険な作業に対する労働力確保という面を考えれば、なければ一番いいのですが、もし万が一災害があった場合には、やはりある程度生活というものが保障されるということでなければ、特に労働力が非常に不足化し、非常に流動化している今日、特に生産上最も大事な危険な作業に労働者が集まらない、特に若い労働者が集まらないということになると私は思うのです。極端にいえば、危険な職場に働いている人には嫁さんにいかないということにまで発展するわけでありますから、そういう内部の打ち合わせをされているようでありますけれども、帰られまして十分意のあるところをお伝え願って、この法改正、遺族補償の引き上げという点について、労働省としてひとつ十分検討してもらうようにこの機会に要請を申し上げておきたいと思います。  次に、日本炭鉱労働組合が、きのう、おとといとストライキをやりました。きょうはストライキをしていないわけですが、それとは別に関係なく、せっかくの指導によって労使が中労委の調停を受けるという態度をきめたのですが、調停時期が当初見込みよりもずいぶんおくれた。しかし先般調停が行なわれたけれども、これが不調という形でまとまらなかったわけでございまして、その間の若干の報告を聞いておるわけですが、この調停がまとまらなかった経過について労働省の見解を伺っておきたいと思います。
  59. 松永正男

    ○松永政府委員 ことしの石炭関係の賃上げ問題をめぐります労使の紛争につきましては、先生よく御承知のようないきさつで、労使双方から、炭労、全炭鉱とも調停申請を出したということで中労委の調停の場にのぼったわけでございます。中労委におきましては、それぞれの関係の調停委員会の数にしてたしか六つくらいになると思いますが、調停委員会を成立させまして、以後事情聴取から合議に入ってきたのでございます。今月の第三週、十三日から特に継続いたしまして、十三、十四、十五日と合議を行なったのでありますが、十九日の日曜日におきまして、ここで最終的な解決が見られるかという期待を持ったのでございます。  問題点といたしましては、大づかみに分けて二つあるような気がいたします。  一つは、言うまでもなく賃上げの幅でございまして、御承知のように経営者側は七%、一方当たり八十六円という回答であったわけでありますが、調停委員会の場におきましてこの当初回答に比べましてやや弾力的な意向を示してきている。それから組合側のほうといたしましては、いわば世間並みの賃金ということでありますけれども、当初の態度よりはやや弾力的な意向も示しつつある。そこで十九日の段階におきましては、労使双方ともまだ差はございますけれども、歩み寄りの傾向を示しているというふうに私どもは見ておるのでございますが、これとあわせましてストライキ問題がからみまして——実は調停委員会が発足いたします際に、経営者側といたしましては、十五日はストライキに入ったわけでございますけれども、その後のストライキにつきましては中止をするということを条件にしまして、調停申請をしようというような意向があったのでありますが、その後五月に入りましてから炭労側が、いろいろな事情があったのでありましょうが、十六日、十七日にストライキをかまえる。これに対しまして、経営者側としましては、調停申請をして、中労委において調停が進行中にもかかわらず、ストライキをかまえるということは不穏当ではなかろうかというようなことで、これに対して抗議の意向を強く示しておりました。また中労委の場におきましても、経営者側委員また公益側の委員の方々からも、そういう調停継続中にストライキをやるのは適当でないのではないかというような意向が示されたのでありますが、十九日の最終的な段階におきまして、賃上げ幅ももちろんまだ労使の主張に相当の隔たりはありますけれども、あわせて調停中にストライキをやるということにつきまして、経営者側が前田委員を通じまして非常に強い意向を示してきました。ストライキを継続するのなら、調停については経営者は応じない、あるいは調停取り下げをするというような意向を示したのであります。公益側といたしましては、調停中におけるストライキが望ましくないことについては、それは同じ意見であるけれども、しかし調停継続の条件としてストライキをやめるかどうか、そういう厳密な意味で因果関係をつけるべきかどうかということにつきましては、使用者側の委員とは必ずしも意見が同じではないのでございます。したがって十九日の段階におきましては、決裂寸前といいますか、非常な難航状態でございます。しかし調停が全く不調になったということではない。まだ調停は非常に細い糸でありますけれども、つながっている、現在中断しているという状況であると見ております。  この二つの問題につきまして、今後どのような解決の方途があるかということでございますが、非常に難航であることは事実でございます。それから全炭鉱系統につきましては、二十四日に調停委員会を開きまして、ここでさらに煮詰めて行なうという予定になっていると聞いております。
  60. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 経過はいま承ったわけですが、聞くところによりますと、それぞれの調停委員の方々は、委嘱を受けて、非常に多忙な中を努力をされているそうであります。ただ、しかしストライキが前に中止をされて調停に移行して以来、三十五日以上経過しているわけです。これは連休その他もありましたし、他の日程もありますから、ある程度おくれることは、私どもとしても一応そう理解しておったわけですが、しかしここまでおくれるとは、ちょっとおくれ過ぎではないか。ほかはもうすでに賃金がきまっているにもかかわらず、非常におくれている。これは委員の都合等もあるように実は聞いているわけですが、さらにこの段階でなおかつ委員の都合もまたあるやに聞いている。そう考えますと、相当時間が延びるのじゃないかという懸念が非常にするわけです。したがって、双方から合意で調停を受けているわけですが、これからの調停の作業の見通しというものはどうなっていくのか。それと同時に、合意で調停されておりますけれども、いま通産大臣が、一方においては来年度以降新しい長期安定策を展開すべく諮問している、これが八月一ぱいに答申を求める、こういう一つの背景、情勢等も頭の中にわれわれは入れて賃金の解決——それ以外の問題もありますけれども、紛争の早期解決がわれわれ関係者として特に望ましいのではないか、実はこう考えているわけです。したがって、そういう意味では、調停の見通しと同時に、会長がいままでずいぶん事情聴取もされ、合議も重ねられているわけですから、場合によってはあっせん等の方向で早期に解決するとか——これはもちろん関係者も話し合いをしなければならぬでしょうが、そういう点について、見通しを含めて何か見解があれば承っておきたいと思います。
  61. 松永正男

    ○松永政府委員 おっしゃいますように、私どもも中労委の調停におきまして早期に解決するということは非常に望ましいと考えております。  それから御指摘のように、三者構成の委員会でございますので、しかもこれがそれだけの専門の委員ではございませんので、本務を持っておられて、そして委員をおやりになっておられますので、使用者側の都合がつくときは労働者側が都合がつかないとか、労働側の委員の都合のいいときは使用者側で都合がつかないといったようなことで、できるだけ努力をして都合を合わせるようにしてくださっておるとは思うのでありますけれども、そのようなことで確かに当初期待いたしておりましたよりも時間がかかっておると思うのであります。そこへもってきまして、いま申し上げましたような事情が加わりましたので非常な難航状態でございますけれども、私どもといたしまして、調停段階の解決ということにまだ望みを捨てたわけではございません。やはりできれば調停で解決をしてもらいたいというふうに強く念願をいたしておるのでございますが、また、調停委員の労働側、全炭鉱関係、炭労関係、両方ともやはり調停委員会の場で解決をしたいという意向を強く示しておられます。それからまた、そのような御意向もありますので、石井会長としましても職権あっせんというような形をとる意思はないということを調停の場でもおっしゃっておられまするので、やはり方向といたしましては調停委員会で解決するという方向ではなかろうかと思うのであります。ただ、今後の日程につきましては、いまのような事情でございますので、どのようなきっかけといいますか、労使双方の今後の動きいかんかと思うのでございますが、ただいまのところ、私どももまた先生方の御意見等もよく承りたいと思っておりますけれども、まあ妙案がございませんので、目下のところ先行きどんな日程になるのか、どう動いていくのかということは、現在のところちょっと予測がつかない状態でございます。
  62. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 石炭産業が依然大勢が非常に困難である。だから、長期安定策についてさらに諮問をしておるわけですが、そういう点ではなかなか炭鉱企業側としても経営が苦しいということは、通産省提出の資料を見ても理解はできるわけです。しかしまた一方、再建策で七%、再建炭鉱は三%で一応押えられてきて、去年他の企業が一二から一四%以上上がっても、大体七%で平和的に解決をした。またおととしも七%で解決をされている。したがって、産業間の賃金格差というものが急速に拡大をしてきた。一方、炭鉱では災害も非常に多い。賃金は上がらない。そういう中から離山ムードが一そう促進をされているという悪循環を実はぎたしておるわけです。炭鉱自体の労働賃金を調べても、それぞれの企業によっては非常な格差も実はあるわけです。そういう意味で今後の政策の立て方も非常にめんどうな面もそういう側面からもあるわけなんですが、だからといって、石炭産業を安定させるためには低い賃金で固定化してでは、労働力を確保でき、生産が確保でき、安定するかというと、そうではないと思うわけですね。したがって、ここで一応のふん切りをやはりつけて問題を解決する以外にないんではないか。私の聞くところではそう大きな差はないと思っておりまするし、しかも一方労働者側の要求している、大体調停を通じて意向を示しておるもの、このものもけたはずれだものでもないようですし、相場から見て大体それに近づきたい、ほぼその水準までほしいというのは当然じゃないかと思うのです。一方経営者側は、出せない、非常に経営が苦しいという面でしぶっている。しかし、一応ここまでくればそう解決困難な幅ではないというぐあいに、私なりで実は理解いたしておるわけです。そういう意味では、私は、調停でありますから、調停を継続していくという考え方もけっこうでありますし、またしかし、石炭の置かれておる背景から見れば、合意によって調停申請を受けた中労委側としてもある程度勇断を持って処するというか、そういうことも私は大事ではないか、こういう実は判断等もするわけです。そういう面でなかなかこの問題掘り下げてここで議論するということはなりませんけれども、そういう情勢を十分ひとつ踏んまえて、労働省としてもぜひひとつ早期問題解決のために指導を願いたいということを、この機会に特に要請をしておきたいと思うのです。
  63. 堂森芳夫

  64. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いまの問題について、少し経営者のほうもこだわっておるのではないか。結局これは一つの問題点は争議——これはいわゆる緊急調停じゃないわけですからね、いままで争議中にあっせんをしあるいは調停をした例も間々ある。法律論としては別に調停というのはそういう行為をしたことによって云々すべき性格ではない、こういう判断をする。それはないほうがいいことはわかっている。しかし事実はこの問題だけで限定をして交渉しているわけじゃありませんから、事実行為として行なわれている場合、あまりそれに理屈をつけてみても、もうそういう段階でない、早く解決することが最も緊要な問題だ、こういうように思うわけです。ですから役所のほうからも——あまり労使問題で非常にこだわるというのは炭鉱の非常に悪いくせですよね。ずっと従来の例を見ると、何かそういうものに非常にこだわっている。こだわっていることが大局的に経営を悪くさせている。こういう点、異常に労務問題に興味を持っていると言えば悪いけれども、ずっといままでのなにを見ると非常に興味を持ち過ぎている。そして経営全体の把握が足りないというところに——いままでの長い戦後の労使関係を見ると、なぜあんなに異常に関心と興味、重点を置いてやるか。それがプラスになっていればいいけれども、必ずしもプラスになっていない。こういうところに私はいままでの経営者の態度というような問題があるだろう。これについて一体労働者としてはどういうように判断をしているか。私は、調停中ですからこの問題に関しては争議をやらないほうがいいと思いますけれども、事実上、いま岡田さんから指摘がありましたように、三十五日もきまらない。それから連休連休と言っても炭鉱は連休はない。それに最大の問題の仲裁裁定もきまった、一体われわれはどうしたらいいんだろうかという不安がある。そして賃金すらまだきまらないという状態は、私は全体としてむしろ好ましくない姿を呈しておる、こういうように判断をするので、ひとつその点については労働省のほうでどういうように考えているか。労働省だけでなくて、石炭局ですね。やはりいま企業の再編成をするかどうかというきわめて重大な時期ですから、私は早く四十三年度の賃金というものは目安をつけてやる必要がある。そして経営がきわめて健全なときならばそれだけの余裕があるだろうけれども、余裕がないのですから、このことが逆に言えば経営全体を悪化させておる。ですからすみやかに賃金というものをきめてやる必要がある。それが今後の雇用関係の安定策にもなる、こういうように考えるのですが、ひとつ石炭局長並びに労政局長から御答弁を願いたい。
  65. 松永正男

    ○松永政府委員 多賀谷先生もう石炭御専門でございますので、私から特にこういう具体的な問題について申し上げるまでもないと思うのでありますが、大局的な観点につきましては私も全く同感でございます。実は御承知のように、昨年私どもといたしましてもできれば中労委段階で解決をしたらどうかということでいろいろ考え、またアドバイスもしてみたのでありますが、昨年はまあ結論におきましては労働大臣あっせんというような形になりまして、私どもも幾晩も徹夜をしてやったわけでありますが、本年におきましては先生方のいろいろな御配慮もあり、また炭鉱経営者の方々もいま先生おっしゃったような考えに——大局的にはそのような考えに立たれたと思うのでありますが、中労委において解決をしたいという意向を示されましたことは、やはり石炭の労使関係にとっては、私は一つの前進であるというふうに評価をいたしておるのであります。ただいまの調停中のストライキ問題につきましては、私も山本委員長いろいろ話をいたしまして、私どもといたしましても調停中にストライキをやるというのは穏当じゃなかろうという意見を申し上げたのでありますが、おっしゃいましたように、多数の組合員を擁しておるのでありまして、調停の進行等についての正確な情報といいますか、いきさつ等を知らない人たちが、どうしたんだろうかということで本部を突き上げる、したがって、非常に内部の事情からしていろいろ問題があった、その話もわからぬではないのでありますが、また同時に、災害補償の問題とか退職金の問題とか自主交渉の部面の問題もあるというようなことであったわけでございます。おっしゃいますように、労使関係というのは生きものであるわけでございまして、感情的になるなと申しましても、これはそのときどきのいきさつであり得ることなんでございます。そこで、私どもといたしましては、やはり非常な難航でありますけれども、何とか調停という線で、今後の問題もございますので、解決をできたら非常に望ましい。その線で、われわれとしても何らかできる面があればやりたいという気持ちを振っておりますが、現在の段階におきましては、ちょっと行き詰まりの状態であります。しかし、まだまだ望みを捨てていない。何か局面打開がはかられるのではないかという一るの希望を持ちまして、見ておるところでございます。
  66. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 今年の春闘問題につきまして、経緯と中労委の調停作業の経過については、労政局長からお話があったのですが、少しさかのぼって、今年初めて調停申請をした経緯を思い出していただきたいと思います。これは非常に形式的に申しますと、再建整備計画では年率七%の賃上げという計画を組みまして、計画を私どもが認めて、肩がわりの決定をいたしましたときに、通産大臣が労使双方を呼びまして、双方この計画を誠実に履行するということを約したのでございます。これから申しますと、形式的に申しますと、七%であって一向差しつかえないわけでございますが、先ほど先生から御指摘のありましたように、状況は相当変化して、計画そのものはくずれてきた、こういう状態がございます。そこで、いきさつから申しますと、経営者側から七%以上のものがなかなか自発的には言いにくい状況なわけです。労働者側も、おそらくいま置かれた石炭産業の状況、立場というものは知っておるはずであります。これを自主交渉で解決させようということにしても、お互いの立場があって、なかなか話がきまらないのじゃないかということであれば、この情勢をよく理解していただいて、第三者である中労委で調停を受けたほうが、解決が早いのではなかろうか、こういう趣旨で私どもも相談を受けましたときに、いろいろ問題はございましたけれども、あっせん申請を労使双方合意して行なうということは、ことしの状況から見て適当ではないか、こう判断をいたしたわけでございます。その趣旨は、いま申しましたように、あくまで迅速に解決をするということと、いま置かれた状況の中で、のべつスト行為などをやられて、産業そのものを窮地におとしいれるようなことのないように、そのためには双方が納得し得る第三者機関である中労委のあっせんを受けたほうがいいのじゃないか、こういう観点から持ち込まれたものでございます。それはいろいろ御意見もございましょうけれども、実際問題として労使の立場が相当離れております以上、調停行為に時間がかかるのは、これはもうやむを得ぬことでございます。その間、私どもは双方が誠実に話をし、事情を述べ、調停について誠実な態度でこれに応じていくということが望ましいことだという期待をかけておったのでございますけれども、先ほどございましたように調停作業進行中にストをかけられるというようなことが炭労系の組合にございまして、私もその前日に炭労の役員を呼びまして再考を要請したわけでございます。しかし、不幸にして二日間のストを実施する。今回は十九日の調停が非常に難航したことではございましょうけれども、また継続してストが行なわれておる、こういう状況でございます。  もう一つ、私どもは立場上、労使間の賃金についてどうあるべきだということを言う立場にはございません。これは双方の立場できめるべきことでございます。ただ一つ、産業を預かっておる立場として考えますと、本委員会でもたびたび先生方から御質問が出、率直に言って私が対策に苦慮しておるということを申し上げております。本年の資金繰りというものは、これはたいへんな苦しさでございます。その状態で長いストによる出炭減が経理に響く状況、これは私どもとしては決して好ましいとは言えぬ。また賃上げの率につきましても、大体一%が、いまトン当たり二十円、実額にしておそらく十億円弱の金額になる。岡田先生も、わりあい幅は狭まったとおっしゃっておられます。スタートラインから言えば狭まっておるとは思いますけれども、私はそんなに狭まったとは思っていない。そういう意味で、個人の意見を申し上げるとまたいろいろ差しさわりがございますけれども、もう少し双方にひとつ誠意を持ってこの問題を考えてもらう必要があるのではなかろうか。先生方にもひとつ——私ども取り立てて労使のどちらに欠陥があるということは申しません。それは両方ともあると思います。しかし、産業を何とかしたいということで、せっかくいろいろと来年度以降の政策を論議していただいておるときに、その答えを待たないで、ことしにもピンチが来るというような状態が片方にございますのに、それに拍車をかけるような状況が進むということは、私どもとしてはまことに納得いかない次第でございます。できるだけひとつ関係先生方にも、それぞれ立場はございましょうけれども、公正な立場で御指導を加えていただきたいと思います。
  67. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 最も根本的な問題で局長誤解をされている。七%というのは、これはたしか第二次答申のときに計算の基礎として有沢さんが七%と組んだ。これは国会でも、速記録を見ていただけばわかります、大問題になって、これだけ物価が上がるのに七%で押えられるか、また正常ではないのではないかということについて、七%を固執するものではございません、これは賃金をきめたのではないのです、これはただ計算をしなければならぬから、今後の経営において計算の目安として七%を一応はじいたわけです。こういうことを再三再四にわたって——速記録で見られればわかるわけです。ですから、これを再建計画実施の際に労使がそれで確約したという性格のものではないのです。何かそこに根本的に誤解がありやしませんか。
  68. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 多少理解のしかたあるいは表現のしかたが間違っておったかもしれません。おっしゃるとおり、それはそうだと思いますが、七%として計画を組んだものがなお想定したより悪い状態におちいっておるという実態でございますから、支払い能力のない企業家はそれ以上のものを積極的、自発的に言い出すということはなかなか無理であろう、こういう感じを申し上げたわけです。  それから私の調停申請よろしかろうと言ったことは、七%にこだわって調停申請ということは、これは意味のない矛盾でございまして、当然それを上回るものを予測して、その上の線で調停の成立することを期待したわけでございます。それがかけ離れて大きな率でございますと、やはり、いま私の申し上げましたことは多少間違っておったかと思いますけれども、基準線として考えておった状況というものとあまり隔たってまいりますと、現実に資金繰りができない、こういう状態が出てまいります。そこを申し上げたかったわけでございますので、間違いがございましたら訂正いたします。
  69. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから、当初から七%というのは無理じゃないか、こういうことで、この委員会でも相当有沢さん、植村さんに詰め寄って、これは計算の一つの資料です、こういうことを何度も答弁されておるわけですから、まして労働組合も行って確認をしたなんという事実はありませんから、これはいま取り消されましたから了承しますが、そういう認識の上に立っておられると、この問題はたいへんな誤解から生ずる紛争を巻き起こす、こういうように私は考えるわけです。しかし事実は動いておる。さっき労政局長が言われたように、生きものは生きものですから、そうして労働者だってなま身だし、ですからそんな理屈を言ったって始まらないですよ、こういうことを言っている。それならひとつ争議行為をやめなければ調停をやらぬと言ってみても始まらないんじゃないか。そのうちに炭鉱企業というものにあいそをつかしてどんどんどんどん労働者が流出したら炭鉱は成り立ちますか、こういう話をした。しかも炭鉱労働者の賃金が高いといえば別ですよ。しかし何をいいましても、ここ数年停滞をしておるわけですから、よその企業から比べればずっと格差がついているわけですから、やはりあるべき方向というものを若干近づけていく必要があるんじゃないか。あの赤字路線で非常に困っておる、そうして定期券を上げなければならないという国鉄でも一一・九%出しておる。もうどうにもならない、消費者に転嫁をしなければならないという国鉄も一一・九%出している。仲裁裁定ですから、これは政府は必ず実施する。ですから、やはりここ数年間非常に停滞をしておった石炭産業というものについてひとつ十分配慮をしていただいて、労働者を逸散させては何にもならぬわけですから、元も子もないわけですから、この点やはり十分配慮していただきたい。大臣おられぬから、政務次官から御答弁願いたい。
  70. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御指摘の点はよく了解できるわけでございます。一日も早く正常な運転ができるように関係機関全力をあげなければならない。仲裁裁定、一日も早くいい結論が出るように、われわれのほうの立場からも、過去のいきさつにこだわらないで善処したい、このように考えます。
  71. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それからおそらく委員会としては、もう今国会、あまり審議することはないと思いますから、石炭局長から、石炭鉱業審議会の作業の状態、そういうものについてひとつ説明を願いたい。
  72. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 まだ本格的な軌道に乗ったという段階ではございませんが、私どもで今度とるべき政策はおそらく在来的な政策というものと相当変わった形のもの、単なる補助金制度とかいうようなことではないという感じでございます。新しい政策を議論していただく上には、従来用意していなかった資料等を相当かき集めなければいかぬという状態でございまして、われわれ所要だと思っているもののおおよそいま八割くらいを集めたかという状況でございまして、集め得ましたものを大体整理をいたしまして、一通り審議会の主要なメンバーに御説明することをやってきたわけでございます。その状況は大体おそらく今月一ぱいまだ続くと思います。政策の輪郭をいろいろなタイプで議論し合っていただくという段取りはおそらく来月ごろからではなかろうか。いろいろタイミングから見まして実は時間が足りないので、焦燥の感にかられているわけでございますが、先ほどの中労委の委員の御都合じゃございませんけれども、私のほうもなかなかそろいにくいという状況がございまして、来月に入りましたら、それぞれに仕事を持っていらっしゃる方なんで、昼が無理なら夜でも、あるいは一日かん詰め作業をしてでもということで先般会長の了解をとりまして、各個の委員の日繰りをいま調整しておるところでございますが、来月早々は相当突っ込んだところに入っていけるのではなかろうか。最終ターゲットは八月一ぱいに答申するということで、検討していただかなければならぬ事項というものをおおよそ考えますと、非常に時間不足というくらいの感じが率直にいたしますけれども、六月以降ひとつ御無理を願って、大馬力で進めたい、かように考えておるという状況でございます。
  73. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 政務次官にもお願いしたいのですが、いまの作業のテンポでいくと、新しい形態を予想すればかなり時間がかかり、そこに空白が起こるんじゃないか。たとえば四十四年度からということで予算を国会に出す、法律も同時に出すといいましても、四月一日から新しい形になるかというと、それはちょっと法律関係もある、そしてその法律が通過をしても経過処置があるという。それで、これは答申が出ましたら、臨時国会をいまから予想するというわけにいきませんけれども、もし臨時国会があるとするならば、法律だけでも臨時国会に出す、こういう形を踏まないと、その間が非常にまた混乱と、逆にあらゆる法律にはかけ込み増産とか、いろいろあります。そういうわれわれが予期しない事態が起こる、こういうことを非常に憂えるわけです。ドイツあたりは石炭が非常に危機だといわれましても、経営は日本のようではない。日本の場合には非常に経営が悪化しておるという状態で、タイミングがおくれるとそれだけ問題が派生するという点で、いままで答申が出て実際実施されるのは非常におくれるという批判を受けましたけれども、今度の場合は企業体に関する問題ですから、なお慎重を要すると同時に、また早く出発しなければならぬ問題もある。ですから、私は少なくとも臨時国会に法律を出して、新しい形態というものを早くとらなければせっかくのものが効果を減退をされる、こういう気持ちがあるわけです。それについて、次官、どういうようにお考えですか。
  74. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御趣旨の点は私もそのとおりだと思うのであります。特に先ほど局長から御答弁いたしましたように、石炭鉱業審議会の結論自体が八月末ということで作業は進めてもらっておりますけれども、絶えず局長と会うたびに私は間に合うか、間に合うかということで、促進するつもりで言っております。その結論が出て、いまおっしゃるように、これが立法化され、国会の審議、こういったことを考えますと、できるだけ早くその問題の運びも計算の中に入れなければならぬ。ただ、これはやはり金を伴う問題である。金と同時に、また根本的な石炭政策というこの問題にからみますから、金の問題ということになればやはり予算、しかも小金で済むわけではないですから、相当まとまった財源措置をしなければならぬということになると、やはり四十四年度の予算編成という時期——金を伴わない、ただ基本的な、基本法的なもので済めば、法律だけ先に出して審議してもらってもいいですが、それでは意味をなさぬということになると、私はちょっとジレンマというか、そういう感じがいたしまして、せっかくの御意見はよくわかりますので、どういう運びをつけるか。問題はやはり一刻も早く、時間がたつに従って崩壊寸前に直面しますから、早急にひとつ実のある結論を急がなければならぬ、こういう考えは御指摘のとおりであります。
  75. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ちょっと補足いたしますが、政策を急がにゃいかぬという問題と、急ぐことのもう一つもっと現実的な問題と分けて考えますと、先ほど来申しましたように、金融をつけることさえ可能でございますならば、多少の時間のギャップがあってもよろしいわけでございます。そこで、いまの状況で申しますと、おそらく私が金融機関に頭を下げていっても何の意味もない、こういうことになるはずでございます。銀行屋が見た経理状況から見れば、先行きよくなるというような保証はおろか、悪くなるという数字しか出てこない。頻発してストが行なわれているような状態でどうなるかわからない。いろいろなことであろうかと思うわけでございますが、先ほどの時間が必要だということを申しますためには、国会の審議ということが一つございましょうけれども、答申と国会審議の間に、できればアウトラインの閣議決定ということで政府の方針だけでもはっきりさせることが可能ではなかろうか、こういう感じがいたしておるわけでございまして、植村会長も自分のほうは答申を急ぎたい、急ぐつもりだが、これを受けてひとつ政府もアウトラインの閣議決定くらいは、前回の例も、ございますので、やってもらえれば、実際問題としての資金繰りがつくのではなかろうか、こういう意向を漏らされておりまして、私はその限りにおきましては全く同じ考えを持っておりますので、これまた作業の進展状況とにらみ合いまして、政務次官なり大臣なりに御相談した上で、そういう運びがとれるものならやってみたいと考えております。
  76. 堂森芳夫

    堂森委員長 次回は明二十三日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会