○
岡田(利)
委員 私は、自由民主党、
日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、四党共同提案にかかる
石炭鉱山の
保安確保に関する決議を提出し、皆さんの御賛同をいただきたいと存じます。
まず最初に案文を朗読いたします。
石炭鉱山の
保安確保に関する件(案)
わが国における
石炭鉱業は
石炭鉱業審議会の第三次答申に基き、その政策を
実施してきたが、大
日本炭鉱の倒産及び、大辻、日吉
炭鉱等の
閉山が相つぎ、
政府は石炭産業再編成を含みその長期安定策について
石炭鉱業審議会に諮問した。
一方
石炭鉱山における
災害は、最近においても三池、
美唄、大夕張、雄別
炭鉱と続き、五月十二日再び
美唄炭鉱において重大
災害の
発生を見るに至った。
石炭鉱山の重大
災害は、数多くの人命を失うばかりか、
炭鉱労働者に不安と動揺を与え離山ムードを一層増大し、労働力不足に拍車をかけ、再建途上の
炭鉱経営に救い難い打撃をもたらしている。よって
石炭鉱山の
保安確保のため
政府は、次のことを
実施すべきである。
一、全国
炭鉱の緊急
保安総点検と、
保安態勢についての
調査のための
保安調査団を編成し、その
調査を行い、以て
保安対策の確立を期すること。
一、
災害による遺
家族の援護については万全を期すること。
一、
保安施設及び機器の整備を一層促進し、その予算を優先的に
確保すること。
一、
保安監督行政の強化と
監督官の増員、
報告届出義務の内容強化等必要な
措置を再検討して速かに
実施すること。
一、
保安教育の徹底と
保安センターの運営強化を図ること。
一、自主
保安確保のため体制の整備及びその運動を強力に進めるよう積極的に
指導すること。
右決議する。
次に、簡単に提案の趣旨を御説明申し上げます。
第一点は、最近の
災害の頻発にかんがみまして、全国の
炭鉱の緊急な
保安確保の
調査を行なう必要があることを私どもは痛感をいたしておるのであります。特に
炭鉱経営は、経理が非常に悪化をしてきたという中で、今日の
炭鉱は出炭した石炭を売却し、その得た代金によって金繰りをしなければならない、こういう形に追い詰められているというのが今日のわが国
炭鉱会社の経営の実態であろうかと思うのであります。そういう点で、残業、公休出勤等による出炭強化ということが経営上特に必要な実情にあることは申し上げるまでもありません。そういう面から
考えまして、生産第一主義にともすればおちいりやすい傾向を持っておるのでありまして、
人命尊重の意味から、まず今日の
炭鉱のそういう実情の中で
保安が一体どのような
状態にあるのか、こういう点を総点検をしてその
対策を立てるべきではないか、また
保安の問題については実情がケース・バイ・ケースになってまいりますので、その点を十分
調査をする必要がある、こういう意味で
調査団を編成してその
対策をより綿密、確実に進めることが肝要であると思うのであります。
第二の問題は、
災害による遺
家族の援護について、今日まで労使間でもいろいろ話し合いがなされておりますけれども、特に今日の労使間の争点の一つにも遺族の
補償の問題があげられておる実情であります。したがって、遺族の援護については
災害の起こるたびに遺
家族対策についての万全を誓っておるのでありますけれども、より一そう遺
家族の援護についてはその
対策を強化すること。
第三点は、
保安施設及び機器の整備でありますが、施設更新を伴う
状態にあっても今日なかなかその思い切った設備更新を行なうことができないという実情があるわけです。そういう点にかんがみまして、特に
保安の施設と
保安の機器——
ガス、炭じんの多い
坑内作業でありますから、機器の整備なくして
災害を防ぐことはできませんので、その整備を一そう促進するために予算を優先的に振り向けてもらいたいというのが第三点であります。
第四点は、
保安監督行政を一そう強化をする。特に現在、
報告届け出義務の問題については、その内容をより一そう強化しなければならない。さらにまた、届け出についてもより追加すべきものがあると私どもは
考えているわけです。そういう点を十分ひとつ再検討されて、
炭鉱の
保安のあり方が常に監督行政の中で把握でき得る体制を確立をし、的確な行政
指導が行なわれる体制を整備することが至当であるという点であります。
第五点は、
保安教育の徹底の問題でありますが、特に
保安センターが
北海道の場合に起工式が行なわれたと同時に今度の
美唄災害が起きておるという皮肉な
現象にあるわけです。そういう意味からも
保安教育の徹底をはかるために、
保安センターの構想を今日
実施をいたしておるのでありますが、この
保安センターの運営強化をより充実をして
保安技術職員あるいはまた有資格、指定
鉱山労働者、一般
炭鉱労働者の
保安教育の徹底をさらに進めるべきであるという点であります。
第六点は、
炭鉱の
保安は単なる行政
指導やあるいはまた規則の強化だけで
確保できるものではありません。したがって、生産の接点におります技術職員あるいはまた
炭鉱労働者、さらにまた
保安管理者、三者一体になって自主的に
保安を
確保するという気がまえと、そういうふだんの努力が必要であると痛感をいたすわけです。したがって、そういう自主
保安確保のために体制の整備をより一そう進めること、さらにまた、そういう自主
保安確保のための運動を随時展開をさせていく、こういう意味において、行政
指導の面で積極的にこれらの
指導をすることが肝要であるという点が提案の趣旨の内容であります。
ひとつよろしく御賛同の上、この決議を可決していただきますようお願いをいたしまして、提案の説明にかえる次第であります。(拍手)