○堀坂
参考人 事業団の事業全般についての御
質問でございますが、事業団の事業のうち、融資事業及び土地造成、工業用地の
譲渡に関します点等について、特に申し上げたいと思います。
事業団の発足以来、設備資金及び運転資金を貸し付けておりますが、この貸し付け実績は大体六百十件、百五十五億になっております。その工業生産高は相当高いものになっておるのでありますが、産炭地への
企業進出
状況は、発足当初から四十年ごろまでは決していい状態ではございませんで、
政府から予算としていただきましたものの消化につきましても非常に困難をきわめておったのでございますが、四十一
年度ごろからよほど活発になってまいりまして、四十一
年度におきまして大体四十億、四十二
年度で四十三億円の設備資金を融資いたしたのでございますが、四十三
年度に至りまして産炭地への進出の
状況が非常に活発になってまいりまして、私
ども四十三
年度で約四十三億の融資をいたしましても、なおかつ二十億以上の融資を必要とするものに対して四十三
年度に持ち越さねばならないという
状況でございましたし、なおかつ、現在におきまして産炭地に新たに工場をつくりたいということで具体的に
計画ができているもの等を加えますならば、五十億円以上の設備資金需要の状態が、四十三
年度分として現在すでにあるのでございます。御
承知のように、四十三
年度におきますところの当事業団の設備資金の融資ワクは三十八億でございますので、それに対しまして、現在におきまして約一・五倍程度の資金需要があるという状態でございます。したがいまして、これから後一年間の経過を
考えました場合において、この
金額は相当大きな設備資金需要額になってくるであろうというように思っておるのでございます。
単にそういう需要があるということだけでなくて、産炭地に出てまいりますところの事業の規模及び業種に相当の変化があるのでございまして、
石炭産業の
合理化によるところの
地域の疲弊が叫ばれました三十六、七年ごろにおきましては、産炭地に出てまいりますところの事業というのは、婦人労働力等を利用する非常に軽工業的なもの、あるいは地元の資源をできるだけ活用するというようなもの、あるいは
炭鉱の離職者に何とか職の場を与えたいというようなことで、無理に
計画をしたというようなものもないわけではなかったのでございますが、御
承知のように、日本の産業の発展に伴いまして、労働力の不足が非常に強くなってまいりますとともに、
炭鉱の離職者が他の方面に行かれて働かれましたところの結果が非常によかったというようなことで、今日の日本経済全般に通じますところの労働力不足に対する
企業の対策といたしまして、新たに
企業を拡張するならば産炭地等でやってはどうかというようなことで、相当各種の産業にわたって産炭地へ着目をされるようになってきたということが言えると思うのであります。また、その他のいろいろな融資
制度あるいは
政府の減税の
制度等も非常に有益であるということがいままで幾らかの実績が出ましてそういうふうになってきておるのでございまして、最近におきましては、化学工業あるいは機械工業あるいは金属加工工業あるいは最近は紡績工業等も産炭地に立地したいという希望を申し出てきておるというような状態でございます。
御
承知のように、日本全体といたしまして、設備投資の抑制が非常に活発に行なわれているときでございますので、そういう面で、それをのがれて産炭地に来るのではないかという観測も行なわれないわけではございませんけれ
ども、そういうふうな面からではなくて、産炭地に立地することが労働力の確保あるいは最近までの工場用地あるいは道路整備等が進捗した
状況から見まして有利である、こういう観点から産炭地への進出が活発になってきておると思うのでございまして、現在決して各方面に対して御満足のいくような状態ではないのでございますが、ようやく産炭地にも
企業が相当立地できるというきざしを私
どもは十分
感じ取れるところへ来たのではないかと思うのでございます。
第二に土地造成事業でございますが、土地造成事業といたしましては、私
どもいままで約四百万平米近くの土地を完成いたしておるのでございますが、そのうち六〇%以上が土地の
譲渡ができております。これにつきましても、ただいまの
企業の進出の
状況と同じように、実は三十八年から土地造成を始めましてから土地の取得その他にもいろいろ困難をきわめましたが、事業団がつくった土地がなかなか売れないということは御
承知のように国会等におきましてもいろいろ御注意をいただいたところでございます。その
状況を
考えてみますと、三十八
年度から四十
年度までの間に、
金額にいたしまして約十六億円の売り上げであったのでございますが、四十二
年度だけで実は十七億円以上の土地の契約ができたのでございまして、過去四年間の土地の
譲渡を一年間で上回ったという
状況でございます。四十三
年度分につきましても現在すでに事業団の土地に対する需要というものは相当活発でございまして、前
年度程度の申し込みをいま
審査いたしておるという状態でございます。御
承知のようにこの土地は
炭鉱の工業用地等を整備いたしまして
炭鉱離職者が造成をいたしましたボタ山処
理事業によるところの土地というものが半分以上あるのでございますが、そういうふうな土地が
政府の公共資本を利用さしていただいた事業によっていままでもちこたえてきたということによりまして、御
承知のように地価が非常に騰貴いたしております今日から申しまして必ずしも高くないという状態にだんだんなってきておるということと、日本の土地が全般に、利用できる土地が非常に少なくなってきておるという点から見まして、それに先ほど申し上げました一般工業立地上の産炭地の条件というものが改善されてきているということからいたしまして、こういう工業用地に対する需要もやや活発になってきておるのでございます。このような
状況でございまして、産炭地振興は、決して十分なところに行っておるのではございません、かつ二百数十カ所の市町村に対しまして御満足のいけるような状態ではございませんが、幾らかこの事業を
政府の事業として進めていくということの意義というものは私
どもは
感じられると申しますか、相当自信を持って進めていいことではないかというように思っておりますし、また、これはやや大それた言い方になるかと思いますが、人口と産業の都市への集中によりまして過大都市化されておりますところのこの日本の現在の問題、そういう点を
考えました場合に、一般に僻地的性格を持っているといわれる産炭地にこういうような
企業が出てこられてそれぞれの場で仕事が得られるということは、非常にけっこうなことであると私
どもは存じておるのでございます。