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多賀谷議員 第一点の
財源問題ですが、一応われわれは、現在行なわれております
石炭特別会計の
財源としての
重油関税のうち一〇%という
財源を依然として続けていきたい、このように考えておるわけです。そういたしますと、四十四年度から始まりましたといたしまして四十八年度までに約四千億円
——一〇%ずつの伸びということを
政府がいっておりますから、一応
政府の試算でまいりまして四千億円と考えるわけであります。
それから、一体
債権債務をどういうように見るかということでありますが、
債務は先ほど申しましたような
状態で、
借り入れ残あるいは
従業員の預かり金、
長期社債というようなものがございます。さらに、
あとからも申し上げますが、私
どもは、
買収をする際には、
専業炭鉱については、その
会社の一切の
事業を買うわけでありますから、一応その
会社が持っております
有価証券あるいは
炭鉱を除く
子会社への投資、
長期貸し付け金というものが当然換金できるものである、こういうように考えております。一応国の
財産にいたしますけれ
ども、これは
公社が引き継いでその後
譲渡をする、こういう
考え方を持っておるわけです。そういたしますと、そこにかなりの
財源が逆に浮いてくると考えております。
それから、私
どもがいまとりあえず必要であります
金額は、
公社の
出資金であります。また、
あとから申し上げますけれ
ども、
買収費すなわち
買収価額というものを
長期に払いますけれ
ども、これも当然必要とするわけであります。
これらを考えまして、まず第一点としては、現在
政府がやっております
政策のうちで、
産炭地振興と
離職者対策費は四千億円から除いていきたい。
残りの
政策をこの四千億円でまかなっていきたい、こういうように考えておるわけです。
まず、
財源といたしましては、
専業十二社、
買収をいたします
会社の持っておる
有価証券が約百七十八億円であります。これは本来ならば時価で売るということになるでしょうけれ
ども、一応計算ができませんから
帳簿価額ということにいたしまして百七十八億円。それから
炭鉱を除く
子会社への
出資、株式並びに
長期貸し付け金がございます。これから
炭鉱関係を除きますと、約三、四百億円という
財源が出てくるわけです。そこで、ざっと申しまして五年間に四千四、五百億円
程度の
財源が出るわけです。
それに対しまして、五年間に返済を予定いたします
金額は一千億円、
肩がわり元利補給金につきましては、これは
政府が入って銀行と契約をいたしましたから、
幾ら制度が違っておるといいましてもこれを切りかえることはなかなか不可能だろうと思います。でありますから、これをそのまま継続をすることとし、
残りの一千三百億円
程度から、実はその
金額の中に
合理化事業団の
貸し付けがございますが、
合理化事業団の
貸し付けの中には財投の分と
出資の分がございます。
出資金の分は
政府が一応
一般会計からすでに支出しておるわけでありますから、これは返済しないこととし、差し引いていきたい、こういうように考えております。
それから、われわれは一千億円を除く
借り入れ残金につきましては、二十年の年賦で返したいと考えております。これは
金融機関に泣いてもらわなければならぬ、かように思っておるわけです。
それから
長期社債がございますが、これは三十億
程度でございますので、予定どおり払っていきたいと思います。それから、鉱害の
費用がございます。
さらに
管理貯金も払わなければなりませんから、それらを合わせますと二千三百億円
程度要るわけです。
その二千三百億円をいま申しました
財源から支出をしますと、二千百ないし二百億円という金が直接
炭鉱の運営に使える、かように考えるわけです。年間五千万トンといたしますと、五年間
平均で
トン当たりちょうど八百円
程度使えることになります。そのうち、われわれは今後の
金利は、一千億円を除く分については打ち切りますから、現在払っております
金利、及び先ほど申しました
管理費の節減、これらを合わせますと約六百円
程度財源が出るわけです。ですから
トン当たり千四百円くらい
金額が浮くことになる。それをひとつ
石炭政策に総合的、積極的に使っていきたい、かように考えておる次第です。
それから、十四条の
関係の
買収価額でございます。
まず第一点は、私
どもが考えましたのは、
買収をする場合、
憲法にも正当な
補償をするということになっておりますし、その
憲法に適応する
買収価額というのは一体何か、いろいろ調査をいたしました。
日本におきますと、過去において
鉄道国有法、すなわち
西園寺内閣のときの
鉄道買収法があります。その次には
日本製鉄株式会社法がございます。それから
日本発送電株式会社法、近くは
電力九分断のときの
評価のしかたがございます。これらは
国有鉄道の場合は
建設費を主として行なっておりますけれ
ども、
あとの
会社の場合につきましては、大体
建設費から
償却費を引いたものと、それから三年間なら三年間の
収益の
平均を年額にいたしまして、それを十年ないし二十年掛けたいわゆる
収益還元方式とを足して二で割っているのがいままでの
方式でございます。でありますから、
鉄鋼とか
電力のように、高炉をつくるとか
発電所をつくって
収益が上がるという場合には、その
方法は私はわりあい正確に出てくるのではないかと考えるわけです。」しかし、
炭鉱は十年間以上益金が出ていないという
状態ですから、
収益還元法は使えないということであります。
それから
資産といいましても、いまからとにかく
スクラップをする
炭鉱もかなりあるわけであります。
スクラップが予定されている
炭鉱の
資産というものは本来ゼロである。それを擬制して
資産と見なければならぬ、こういう問題があるわけであります。ちなみにいまの
簿価を見ますると、非常な有望な
鉱区を有する
会社でたった二千万円しか
鉱業権が
評価されていない。反面、
経営悪化の
炭鉱を有する
会社の
鉱業権が六億円も
評価されている、こういうことでありまして、現在の
貸借対照表から見ても、とても実体に合うような状況はつかめない、こういうように考えまして、結局私
どもは各国が
国有化しております実例、すなわち最近に赴いてはイタリアの
電力国有法、さらに
イギリスの
鉄鋼国有法、さらにその前の第二次
世界大戦直後の
フランス並びに
イギリスの例、ただし
イギリスの場合はイングランド銀行と
炭鉱は
収益還元方式をとっております。しかし、その他は全部株でやっております。
英国労働党が第一党となる前日から過去三年間の
平均の
株価でやっております。
そこで、私
どもも一応
経済が安定しておりますならば、過去三年間の
平均株価でいきたいと考えておりましたけれ
ども、その三年間に二百億以上も借金がふえているという実情でありますから、われわれが
記者発表をいたしました以前一年間の
株価でいきたい、こういうように考えておる次第であります。それが第一号の
買収方式であります。
次に、上場されていない
会社がございますから、上場されていない
会社にはどうも
評価のしかたがありませんから、遺憾ながらわれわれは
資産の
合計額から
負債の
合計額を引く、こういう
方式をとらざるを得なかったわけであります。
それから
兼業がございます。
兼業の場合は、
御存じのように、だれが見ましても常識的に
兼業会社があるわけです。正確に言いますと、いまの
会社は全部
兼業だと言って言えないことはございませんけれ
ども、
一般にいわれている
兼業会社、
専業会社というおのずからの区別がありますが、それは
政令で指定をいたしまして、
兼業会社については
石炭鉱業に
関連する分だけを買い上げる、こういうことで
資産から
負債を引いたものを
買収価格とすることにしました。
それから
鉱業権の
消滅でございますが、現在稼行していない
鉱業権につきましては、
国有にする場合に
買収をするのはいかがなものかと考えまして、
消滅さすことにいたしました。ですから通常生ずべき
損失というのは、まあ
鉱区税ないしそれに
関連をするもの、こういう
程度に理解をしているわけであります。
以上でございます。