運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-03 第58回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月三日(水曜日)    午後一時五十三分開議  出席委員    委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 神田  博君    理事 中川 俊思君 理事 西岡 武夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 池田 禎治君       大坪 保雄君    佐々木秀世君       篠田 弘作君    中村 寅太君       石野 久男君    細谷 治嘉君       八木  昇君    渡辺 惣蔵君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業省石炭         局長      中川理一郎君  委員外出席者         議     員 多賀谷真稔君         議     員 井手 以誠君     ————————————— 四月三日  委員中村重光辞任につき、その補欠として細  谷治嘉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員細谷治嘉辞任につき、その補欠として中  村重光君が議長指名委員に選任された。 四月三日  理事田中六助君同日理事辞任につき、その補欠  として中川俊思君理事に当選した。     ————————————— 三月二十八日  石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第九八号) 四月二日  石炭鉱業国有法案多賀谷真稔君外十四名提出、  衆法第一三号)  日本石炭公社法案多賀谷真稔君外十四名提出、  衆法第一四号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変  更するための法律案内閣提出第二七号)  石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第九八号)  石炭鉱業国有法案多賀谷真稔君外十四名提出、  衆法第一三号)  日本石炭公社法案多賀谷真稔君外十四名提出、  衆法第一四号)      ————◇—————
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についておはかりいたします。  田中六助君より、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堂森芳夫

    堂森委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  田中六助君の理事辞任に伴い、理事が一名欠員となりましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堂森芳夫

    堂森委員長 御異議なしと認めます。それでは、中川俊思君理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 堂森芳夫

    堂森委員長 去る三月二十八日付託になりました内閣提出石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。
  6. 堂森芳夫

    堂森委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。椎名通商産業大臣
  7. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現在、石炭鉱業及び亜炭鉱業による残存鉱害量は、膨大な額に達しており、国土の保全、民生の安定の見地から深刻な問題となっております。このような事態にかんがみ、政府は、従来から、一方において鉱害基金を設け鉱害賠償担保の積み立て及び鉱害賠償資金融資等を行なわせるとともに、他方において九州、山口、東海及び常磐の鉱害が多発している四地域鉱害復旧事業団を設け鉱害復旧事業を行なわせて、鋭意鉱害早期処理につとめてまいったのであります。  しかしながら、石炭鉱山の相次ぐ閉山とともに、無資力鉱害が激増する等鉱害問題は一そう深刻化しているのが実情であります。このため、総合的かつ強力な鉱害処理体制を確立するとともに、鉱害賠償に関する紛争を迅速かつ円滑に解決するための裁定制度を設ける必要があり、今回、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案提案した次第であります。  次にこの法律案要旨について御説明いたします。  第一は、鉱害基金鉱害復旧事業団統合して石炭鉱害事業団とすることとし、新事業団は、現在鉱害基金が行なっている鉱害賠償担保管理及び鉱害賠償資金等融資業務と現在鉱害復旧事業団が行なっている鉱害計画的な復旧に関する業務を総合的に行なうことといたしております。  第二は、鉱害賠償に関する紛争が生じ鉱害復旧の促進のためその解決が必要な場合等においては、地方鉱業協議会裁定を行なうことができることといたしております。また、これらに伴い臨時石炭鉱害復旧法その他の関連法律について所要の改正を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  8. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 堂森芳夫

    堂森委員長 引き続き、昨二日付託になりました多賀谷真稔君外十四名提出の、石炭鉱業国有法案及び多賀谷真稔君外十四名提出日本石炭公社法案の両案を議題といたします。
  10. 堂森芳夫

    堂森委員長 両案について提出者より提案理由説明を聴取いたします。多賀谷真稔君。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷議員 私は、ただいま議題となりました石炭鉱業国有法案並びに日本石炭公社法案について提出者を代表しその提案趣旨説明を申し上げます。  戦後におけるわが国石炭鉱業日本再建のにない手としていわゆる傾斜生産方式がとられ、臨時石炭鉱業管理法のもとに生産拡大重要産業への低廉な供給が行なわれ、戦後の経済の復興に貢献してきたのであります。  昭和三十年いわゆるエネルギー革命の前ぶれとして石油の進出による需要の圧迫を受け、石炭鉱業合理化臨時措置法の制定によるスクラップ・アンド・ビルド方式が採用され、引き続き昭和三十四年政府は揚げ地における重油価格と均衡するためにトン当たり千二百円引き下げを決定し、それに基づく合理化計画が強行され、失業者のはんらん、関連中小企業倒産などを引き起こし、深刻な社会問題となり、労働者産炭地域の自治体と住民、中小企業者等一体となって政府政策転換を迫ったのであります。  かくして政府昭和三十七年四月石炭鉱業調査団編成することを決定し、今日まで第一次、第二次、第三次に及ぶ答申がなされ、ことに第三次答申抜本策として一千億円の財政資金肩がわり安定補給金の交付及び重油関税を財源とする特別会計の設置という私企業への異例な措置がなされたのであります。  しかしこの画期的な政策実施されてわずか一、二月をまたずして、肩がわりを受けた炭鉱倒産し、あるいは会社更生法の申請を行なうといった状態となり、四十二年度出炭も目標を三百三十万トン割り、決算は以前に増して悪化し、このまま推進すれば、石炭鉱業は全面的崩壊必至の情勢になってきたのであります。  わが党が石炭政策根本的改革を提示するゆえんもここにあるのであります。私は今日までの政府政策について、その欠陥を指摘しつつ政策の提言をいたしたいと思います。  第一に、従来の政策の最大の欠陥個別企業対策に終始したということであります。  相次ぐ答申が挫折した原因にはもちろん予想以上の重油価格の低落、諸物価の高騰などがありますが、政策を策定するに際して提出された各社計画が常に会社利害の上に立ってつくられ、さらに答申に基づく再建計画実施が無秩序に行なわれ計画がそごを来たしたという事実を見のがすことはできないのであります。  第一次答申以来各社は競って、第二会社化閉山、首切りを進め、五年間逐次実施する予定のスクラップ計画をわずか一年半で強行し、その後における合理化もベースアップの抑制、労働時間の延長、組夫導入等全く非近代的方向で行なってきたのであります。この結果、大災害の頻発となり、労働者炭鉱の将来に対する展望と希望を喪失させ、離山ムードをかりたて、ついに計画出炭体制経営者みずから放棄するに至ったのであります。  第二には、かように企業内合理化非合理化段階まで落ち込んでいるのに企業間の合理化は全然放置されてきたということであります。  昭和三十年、当時の両社会党政府石炭合理化臨時措置法案対策として石炭鉱業安定法案を共同して提出し、石炭総合エネルギーにおける位置づけ、未開発炭田開発のための遊休鉱区の解放と石炭開発株式会社設立流通機構一元化のための石炭販売公社設立を要求したのであります。  今日まで政府が、これらの根本的問題の解決に手をつけようとしなかったところにわが国石炭鉱業の悲劇があります。  石炭鉱業近代化を阻害しているものは、明治以来の先願主義による鉱区大手炭鉱の独占と錯綜せる鉱区の分布によるものであります。鉱区統合石炭生産構造整備の基本であります。地下の鉱物資源土地所有権に属す法制になっていた英国においては群小の炭鉱が存在し、近代化が著しくおくれていたところから、早くより国有化が叫ばれていたのであります。イギリスの国営、フランスの公社営制度は大胆な鉱区統合編成でもあったのであります。したがって生産基盤整備を行なわずして石炭鉱業近代化はあり得ないのであります。  次に、石炭鉱業近代化のおくれはその流通機構にも見ることができるのであります。  石炭は本来生産弾力性が乏しくわずかの経済変動でも大きな影響を受け、需給関係調整機関設立が必要であります。  また、わが国においては千種に及ぶ銘柄があり、しかもこの輸送コストの高い石炭交錯輸送が行なわれている現状であります。最近は石炭供給構造が変化し、北海道に重点が移行し、さらに石炭各社出炭販売シェアが変わりつつある今日、流通機構一元化が緊急な課題であります。  石炭需要は電力並びに鉄鋼が大宗を占め、いわばその大部分が政策需要であることからも販売における競争はもはや意味がないのであります。  第三には、現政策では新鉱開発は全く行き詰まり、スクラップも困難になりつつある情勢であります。  政府政策スクラップ・アンド・ビルド政策として、今日まで年産二千百万トン規模炭鉱整理してきましたが、その縮小生産方式個別企業のもとでは限界にきつつあります。従来幾つかの炭鉱を経営していた企業が赤字の炭鉱閉山し、その債務残存炭鉱肩がわりしてきましたが、今後の閉山企業そのもの倒産意味し、労働者はもちろん、売り掛け金を持つ中小企業者等に多くの犠牲をしいる結果になり、社会的摩擦と混乱を生ずることは明らかであります。  新鉱開発についてはいまだに成果を見ていないのであります。新鉱開発は初期に膨大な投資を必要とし、非常なリスクを伴う点から、今後最も必要とする原料炭開発にしても大規模炭鉱建設は一私企業のとうていなし得るところではないのであります。  第四には、今後の石炭政策において最も重要な問題は、いかにして労働力確保するかということであります。  鉱山の命数は鉱量によってきまり、個々の炭鉱に就職することは若い者にとっては永遠の職場たり得ないのであります。高温多湿の地底に、しかも災害の多い職場で、低賃金で退職金すら確保の保証のない状態において、労働力の吸収が困難であることは当然であります。それには災害を防止し、労働条件を引き上げ、現在のような各炭鉱別雇用でなく、石炭鉱業全体としての雇用形態に改め、少なくとも現存する技術者並び労働者確保しながら若い労働力の養成をはかることが必要であります。  第五には膨大な債務残存鉱害処理の問題であります。  欧州各国とも石炭政策については多くの予算を計上して保護助成政策をとっているのでありますが、わが国のごとく私企業たる個別会社政府債務肩がわりをした例は皆無であるとともに、企業間においてきわめて不公平な施策となっているのであります。しかも一千億の肩がわりでは立て直しが困難であることが判明した今日、個別企業を再編成し、公的機関統合してこの旧債の整理鉱害処理を行なう必要があります。  以上の観点より、これらの問題を総合的に解決する方法は、炭鉱国有化して公社において経営する以外にないと思うのであります。  わが国におけるエネルギーの消費は年々国民総生産成長率とほぼ同一テンポで増加しているのであります。しかし、国産エネルギー資源は乏しく、エネルギー調査会答申によってもエネルギー輸入依存度昭和四十五年度七六・四%、昭和五十年度八二・四%と極度に高まっていくのであって、エネルギー安定的供給確保国民経済上きわめて重要であります。  これがために供給源分散化海外原油開発貯蔵等対策が進められ、増殖炉等発電用原子炉開発が期待されていますが、国内資源である石炭鉱業の継続的安定こそ最も確実な安定供給であります。また鉄綱生産の飛躍的な増大に対処し、その原料炭確保は最も肝要であり、国内炭のみではなく、海外開発もみずから行なう体制の確立が必要であります。  今日世界における石炭情勢アメリカ並びにソ連、中国、ポーランドの社会主義国拡大生産に対し、欧州においては秩序ある撤退が唱えられ、イギリスは一九七五年、一億二千万トン、西ドイツは九千万トンないし一億一千万トンに縮小するといわれますが、工業生産がすでにイギリスを凌駕し、西ドイツと同程度に接近しつつあるわが国経済において、五千万トン程度石炭の維持はけだし当然といわなければなりません。  かかる見地にたって以下法案概要について説明申し上げます。まず、石炭鉱業国有法案について申し上げますが、第一章は目的についての規定であります。  石炭わが国における重要なエネルギー資源であり、エネルギーの将来にわたる安定的供給確保する上に重要な地位を占めていることにかんがみ、石炭の掘採、取得及び輸入権能を国に専属し、計画的、合理的な生産及び供給確保し、石炭鉱業の継続的安定をばかり、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。  第二章は前述のごとき目的に基づき石炭鉱業に対する国の権能規定しました。しかしてその権能実施日本石炭公社をして行なわしめることにいたしたのであります。  第三章は石炭需給計画について規定しました。石炭審議会意見を聞いて毎年通商産業大臣当該年度以降五年間の需給計画を定めることにいたしたのであります。  第四章は石炭審議会規定を設け、公社の労使、需要者学識経験者からなる四者構成といたしました。  第五章は石炭鉱業等買収について規定いたしました。買収価格評価方式についてはわが国における従来の鉄道国有法日本製鉄株式会社法日本発送電株式会社法の場合、並びに欧州における国有法公社法の場合の方式等検討いたしましたが、わが国における石炭鉱業企業経理実態から一定期日一定期間平均株価基準として評価することにいたしました。これらは政令によって定めるわけでありますが、わが党としては国有法案内容を記者発表した二月十九日前一年間の株価平均といたしたいと存じます。  非上場会社については評価審査会において上場会社買収価格を考慮に入れながら資産を評価し、それから負債を控除した額を基準とすることにしました。兼業会社政令による基準によって指定し、当該企業石炭部門買収することとし、この評価は非上場の場合と同じ方式をとることにいたしました。現在稼行していない鉱業権については消滅さすこととし、その際これによって生じた損失について補償することにいたしました。買収時において鉱業権者等が有する権利義務は国が承継し、直ちに公社に引き継がれるものといたしました。これらの買収代金並びに補償金については、国債証券を交付し、二十年以内に償還することといたしました。  なお、本法律施行に伴う諸種の法律整理については別に施行法提出する所存であります。  次に、日本石炭公社について説明申し上げます。  第一章において、日本石炭公社国有法に基づき、石炭の掘採、取得輸入販売海外を含め未開発炭田開発等業務を行なうことを規定いたしました。輸入業務は委託を行なうことができるように規定し、また販売についても小口等は従来どおり商社を通じ販売するつもりであります。資本金は二百億円とし政府全額出資といたしました。  第二章に義務運営重要事項を決定する機関として経営委員会を設け、学識経験者労働者を代表する委員公社を代表する特別委員で構成することにいたしました。  第三章は役員並びに職員について規定いたしましたが、職員身分関係については公社労働組合との協約並びに就業規則に譲ることといたしました。  なお、職員労働権利につきましては、先般来日したILO結社の自由に関する実情調査調停委員会ドライヤー報告書の「すべての公有企業が、関係法律上区別することなく、同一の基盤で取り扱われることは適当ではない」と述べている勧告に基づき、本公社職員は公労法の適用を受けず、一般労組法労調法適用を受けることといたしました。  第四章は財務及び会計について規定いたしました。この点に関し、現行の三公社と異なる点は給与総額を設けず、かつ予算上不可能な資金の支出を内容とする協定を締結したときは、その協定締結後十日以内に必要な補正予算を国会に提出しなければならない旨の規定を設けました。その他石炭債券発行等規定を設けました。  さらに附則において退職手当の計算の規定を設け、旧会社における在職期間とみなすことといたしました。  以上が日本石炭公社法案概要でありますが、今日わが国と同じく炭鉱私企業で経営している西ドイツにおいては、労働組合提出している強制一社案や、いわゆるラインシュタール案といわれるルール炭田一社案等が論議され、再編成が一社化の方向最終段階を迎えているのであります。わが国においてもすでに石炭経営者の中より全国一社案、全国三社案、共同販売会社案等提出され、また植村構想が述べられ、それをめぐって論議されつつあります。  わが国石炭鉱業個別企業利害対立を超越しなければならないほどきびしい段階にきているのであります。  わが党政権下であるならば当然エネルギー全体を把握し管理する方式をとるべきでありますが、現在の政治的分野を配慮して、この崩壊しようとする石炭鉱業に限定し、その立て直しをはかり、国産エネルギー源確保する見地から石炭鉱業国有法案並びに日本石炭公社法案提案する次第であります。  本法案資本主義基調とする自民党政府のもとでも、十分とり入れられる政策でありまして、自民党の皆さまも今日の石炭鉱業の破局の実態を直視され賛同されんことを期待します。  何とぞ本法案がすみやかに審議され、可決されんことをお願いして提案趣旨説明といたします。(拍手)
  12. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  13. 堂森芳夫

    堂森委員長 石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変更するための法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。田畑金光君。
  14. 田畑金光

    田畑委員 私は、きょうは法律案に関連して、当面の石炭政策について通産大臣に二、三お尋ねしたいと思いますが、その前に、ただいま社会党多賀谷委員から、石炭鉱業国有法案並びに日本石炭公社法案についての趣旨説明がなされたわけであります。今日石炭政策については、いろんな方面でいろんな角度から議論がなされておるわけで、多賀谷委員提案社会党としての提案であるわけでありますが、まことにいわば革新的な、そうしてまたいままでの石炭政策ベースでは考えられない前進した内容を持っておるわけであります。最後のところで、「資本主義基調とする自民党政府のもとでも、十分とり入れられる政策でありまして、」と断定的に述べておられるわけであります。私も聞いておりまして、むべなるかなという感じもいたしたわけでありますが、大臣も熱心に趣旨説明についてお聞きになっておられたようでありますので、この案についてどういうお感じを持っておられるか、まず率直に承っておきたいと思っております。
  15. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 実にイデオロギーにとらわれることなく、その実態を見詰めておられることば十分了解できます。でありますから、ただ、これが実際の効果を十分にあげ得るかどうかという問題を十分に突き詰めて研究して、結論を得るのが望ましいと私は考えます。
  16. 田畑金光

    田畑委員 大臣石炭問題についてはイデオロギーを越えて考えておるという点についてたいへん共鳴されましたので、私もそういう意味においては大臣と同じ感じを持つわけです。したがいまして、この社会党案の中でも取り入れられるものは積極的に取り入れて、今後の施策に強く反映されるように、私は民社党でありますが、石炭政策については党派を越えてどういう道を歩むことがより望ましいか、こういう観点から取り組んでいただきたいということを切に望むものであります。  昨年十二月二十二日に私はこの委員会において、前の菅野通産大臣が昨年の十一月十一日、この委員会岡田委員からの質問に対しまして、せっかくこれが最後だという抜本策が発足してわずか数カ月だが、抜本策については、もう一度根本的に、あるいは長期的な立場で、総合的な観点から考え直さなくちゃならぬ、こういうことを述べられたのでありますが、その問題について新通産大臣所見いかんと私はお尋ねしたわけです。これに対しまして通産大臣は、手直しでいくか、根本的な検討をもって望むか、せっかく新任早々でもあるので、これから勉強していずれの道を選ぶかきめたい、こういうことをお答えになっておるわけであります。  元来、通産大臣はその道のべテランであるということは衆目の見るところ自明でありますが、ここに四十三年度の予算編成を通じ、石炭問題についてもいたく心労を重ねられてこられたわけでありますが、今後の石炭対策のあり方について、通産大臣はいまどのような方針をお持ちであるのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  17. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 それからまだ日数はたっておりませんけれども、ただ手直し程度ではこれはとてもむずかしいのではないか、かなり思い切った再検討をする段階にもう来ておるという感じを抱いておるわけであります。
  18. 田畑金光

    田畑委員 手直しではなくして根本的な検討が必要と見る、こういう御判断のようでありますが、しからば今後大臣としては石炭行政について具体的にどういう手順、手続でいまのお考えを具体化されようという御方針なのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  19. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これはやり返しがもうきかない問題でございますから、相当急ぐ問題ではありますが、やはり相当慎重に考究をいたしまして、結論に到達するというのが最も適当であろうかと存じます。大体明年度予算に間に合うように、しかも慎重に考究を尽くす、そういう必要があると存じます。
  20. 田畑金光

    田畑委員 大臣も御承知のように、炭鉱の再編成についての構想がいろんな層で、いろんな人から発表されたことは御承知のとおりであります。大手筋を中心とする石炭協会などにおいても、政府石炭政策をこれ以上前向きに進めるためには、みずからの力で今後の石炭のあるべきビジョンを見出さねばならぬといって努力されたことは大臣承知でございますが、しかし、やはり従来の自由企業個人企業という立場にとらわれて利害の衝突する協会の中ではなかなか意見がまとまりがたかった。そういうとき、たまたま植村構想というものが出されたことは明らかであります。植村構想について大臣御存じであるかどうか、当然御存じだろうと考えますが、植村構想について大臣の御所見いかん
  21. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 新聞等で承知している程度でございまして、御本人からも十分にこの問題についてゆっくりお話を聞いているひまがないわけであります、朝から晩まで国会のほうにくぎづけになっておりますから。ただ、これは終局的な案というよりも、一応の話の糸口というような意味構想をまとめたものだということを間接に聞いております。
  22. 田畑金光

    田畑委員 朝から晩まで衆参両院の予算委員会その他で追い回されておる。大臣の多忙さはよくわかりますが、ただ心配することは、大臣はスローモーということでは、これまた実に特色ある大臣だということも世間見ているわけです。ただ先ほどの答弁の中で、四十四年度の予算編成に間に合うように、しかし慎重に検討を進めていきたい、こういうことでありますが、四十四年度の予算編成に間に合うようにということになれば、当然この八月ごろには言うまでもなく各省の事務段階における四十四年度予算の作業が一応始まるわけでありますが、そういうあたりをめどにして準備を進めていかれようとするのであるかどうか。新しい石炭政策をどうするかということになれば、当然石炭局長だけで案をつくるわけにはまいらぬと思いますが、石炭鉱業審議会に当然諮問する手続などもとられるものだと考えておりまするが、石炭鉱業審議会などに諮問するについては、いつをめどに考えておられるのか、この点ひとつ大臣から明確にお答えを願っておきたいと思います。
  23. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 諮問するにつきましては、やはり、ただどうしたらよかろうかというぼんやりしたことじゃなしに、相当諮問の筋といいますか、内容といいますか、そういうものに触れた諮問案を出すということにしたいと思います。でありますから、相当急いで、やはり四月一ぱいには取りまとめたい、四月一ぱいには審議会に諮問を出したい、こういう考えでございます。
  24. 田畑金光

    田畑委員 四月一ぱいに出されるというなら、もうそろそろ大臣植村構想などについてもある程度検討はなされていると考えておるわけですが、それも忙しゅてまだ聞いていないということなのかどうか。特に植村さんは石炭鉱業審議会の会長でもあるし、試案といっても、会長という立場の公人である。その人が一つの構想を出されておるところに、問題の響きが大きくなっておるわけです。聞くところによると、植村さんは経団連の会長に就任される、それが五月ごろだ、こう聞いておるわけでありまするが、長い間この問題に取り組んでこられた植村さんが審議会の会長を今後とも兼任するのか、あるいは経団連の会長になればおかわりになるのか、この辺は一体どういうことなのか。念を押したいのでありますが、大臣植村構想をまだ聞いていないというお話でありますけれども、これは新聞などでも伝えられておるわけでありまするから、知らぬはずはないわけですね。どういうお感じをお持ちであるか、重ねてお尋ねしたいと思います。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まだ十分に私は植村構想というものを正直のところ研究しておりません。まあそういうわけでございまして、したがってこの構想に対していいとも悪いとも論評はいたしかねます。
  26. 田畑金光

    田畑委員 大臣の顔を見ていると、正直な答えなのかとぼけておるのかどうもわからぬわけですが、実はこの石炭特別委員会でも秘密会でありますが、植村会長にも来ていただいていわゆる植村構想なるものもお聞きいたしました。秘密会でありまするから、その話の内容をここで私が申し上げる気持ちはございません。ただ、ある雑誌に植村構想内容として公表されておるものがあるわけです。  これは「(1)石炭特別会計の財源のワク内で、逐次非能率炭鉱閉山を進め、出炭規模を縮小しながらその健全化をはかる。(2)石炭業界、主要需要業界、金融機関および政府が出資する半官半民の管理会社を特殊法人として設立し、これを石炭編成の軸とする。(3)現在の石炭会社から石炭部門を分離して第二会社を作り、これを管理会社の支配下に置く(一種のトラスト)(4)管理会社は、逐次閉山を進める縮小過程で、全国的な石炭生産販売の調整を一元的に行なう。(5)親会社に残される債務処理については、その相当部分について政府が負担する。(6)この再編成に参画するかどうかは、石炭各社の自由とする。」これは「エコノミスト」の三月二十六日号に載っておる記事でありますから、私はこれを引用するわけでありますが、過般私たちが承った内容とほほ共通の内容であるわけであります。この点は、おそらく私は石炭局長であっても、植村会長が試案を発表するについては相談にあずかったかどうかは知らぬが、資料を出すとか意見を述べるとか、あるいはこうなればこうなりますよという程度の助言というか、資料の提供に協力なさったことは、これは常識だと考えておるわけで、そういう面においては当然大臣石炭局長からこの辺の事情についてはお聞きになっておるとこう考えるわけです。私は、この構想について大臣としてはどのような受け取り方をなされておられるのか、ことにこれが誤り伝えられて三千万トン出炭体制などということで、ただですら不安を感ずる炭鉱企業労使に非常な不安を与えたことは事実であります。植村さんからの直接の話では、決して三千万トン出炭体制云々ということを自分が出したということではないということは、われわれも確かめ得たわけでありますが、こういう構想について大臣はどういう所見を持っておられるか。ことに私大臣にお尋ねしたいのは、大臣は四月一ぱいということでありますが、四月一ぱいには審議会に諮問されるという意味だと思いますが、これは何らの案なしに諮問されるのかどうか。結局植村構想なるものが出ておる以上は、審議会が開かれますと、この構想を中心に議論が発展するものだと私は常識として理解しておるわけでありますが、この辺の事情についてひとつ大臣の所見を承っておきたいと、こう思います。
  27. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 お説のように、諮問を四月中には出したい、こう考えております。それで出すには先ほども申し上げたように、ただばく然とどうしたらいいかというような諮問というのはあり得ないことはないだろうけれども、そういうようなものじゃなしに、十分に問題点を明示して、そしてこれに対する答申を求める、こういうことになると思います。ただ、それはその際の植村試案なるものが、やはり一つの参考資料とはもちろんなり得ると思います。
  28. 田畑金光

    田畑委員 私は、そこで大臣に基本的な問題について念を押したいと思うのでありますが、三千万トンとか四千万トンとか、こういわれておるわけであります。しかし、五千万トンの出炭体制を維持する、そういう前提で今日までの政府石炭施策というものはとられてきたものと考えておるわけでありますが、今後とも政府石炭政策を進めるにあたっては、従来の基本的なこの方針の上に立って発展させるのかどうか、この点を大臣から明確に承っておきたいと思うのです。
  29. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どういう規模でこの石炭政策を進めていくかということは、これはもう非常に基本的な非常に重大な問題でございます。でありますが、とにかくそれが発足して間もなく行き悩んでおる。四十二年度においてはもうすでに結論が出ておりますが、四十三年度もほぼ同様の横ばいの状況で進むのではないかということもいわれております。でありますから、こういう規模でなければならぬ、そのワク内でひとつどうすればいいか考えてくれというような諮問のしかたは、どうも適当でないと私は考えます。
  30. 田畑金光

    田畑委員 そうしますと、大臣は昨年の十二月二十二日に私が本委員会でこの問題について質問をいたしましたとき、こう答えておられるわけです。「○椎名国務大臣 すでに具体的に検討されて、五千万トン以上の出炭量維持という基本方針が定められたのでございますから、当面これに従っていく考えでございます。」こうはっきり答えておいでになるわけです。しかも大臣のこの答えのよってきたものは、申すまでもなく昭和四十一年七月の第三次有澤答申を受けられて、そうして昭和四十一年八月の閣議決定においては、まず第一に「総合エネルギー政策の中における石炭の位置づけは、五千万トン程度とする。  石炭需要確保については長期的観点に立って五千万トン以上となるよう積極的に努力する。また電力および鉄綱業界に対して長期引取体制を確立するとともに、合理的な負担増対策を講ずる。」要するにこの閣議決定に基づいて今日までの石炭政策というものが進められておるわけです。さらに大臣承知のように、昨年の二月二十日には総合エネルギー調査会答申を出しておるわけです。その答申の中でも、総合エネルギーの中における石炭の位置づけについては、こう書いております。石炭政策は、石炭鉱業審議会及び石炭政策に関する閣議決定の趣旨に沿って需要確保、経営基盤の確立、体制整備等の諸対策を重点として、五千万トン程度出炭規模を長期にわたって維持することを目標に推進さるべきである。これは昨年二月の総合エネルギー調査会答申であるわけです。また御承知のごとく、この国会におきましても、本会議において、あるいはまた昨年の五十五国会においては、昨年の七月六日、「石炭鉱業再建対策の推進に関する件」ということで、本委員会において石炭政策についての重要な決議を見ておるわけであります。したがいまして私は、やはり石炭政策を進めるにあたって、石炭生産体制をどうするかということは、やはり根本の問題であると考えておるわけです。昨年の十二月二十二日の本委員会において、大臣は従来の方針を堅持するということを明確に答えておるわけであります。ところがいまのお話を聞いてみると、これがぐらついておるわけで、了解できません。先ほど、あなたが社会党の案について、非常にイデオロギーを越えていい案だと言って、たいへんほめておられました。何をほめられたか、私にはよくわかりませんが、この社会党案の中にもこういうことを書いておりますね。「イギリスは一九七五年、一億二千万トン、西ドイツは九千万トンないし一億一千万トンに縮小するといわれていますが、工業生産がすでにイギリスを凌駕し、西ドイツと同程度に接近しつつあるわが国経済において、五千万トン程度石炭の維持はけだし当然といわなければなりません。」この点は私も全く、けだし当然だと、こう考えて、こういう点は私は心から賛意を表しているわけでありますが、大臣もこの案には非常に賛成のような感想で、これは安心したなと私喜んでおるわけでありますが、この点大臣はどういうような御方針なのか。これは一番根本の問題ですよ。はっきりしてください。
  31. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 十二月ですか、委員会であなたの御質問にお答え申し上げまして、そのときは「当面」ということばを使わなかったかしら。さしあたりという意味ですね。そういうつもりで申し上げたつもりです。従来の目標を目標として当面いく。それでその後勉強した結果、今回の答申においては、この五千万トンの目標のワク内において考えてくれということはこれは言えない、これは私の考え方がそう進歩しておるのです。
  32. 田畑金光

    田畑委員 進歩とはどういうことですか。あなたの答弁の中には、「すでに具体的に検討されて、五千万トン以上の出炭量維持という基本方針が定められたのでございますから、」なるほどその次には、正直に読みますが、「当面これに従っていく考えでございます。」と述べておることも事実です。しかし前段においては、五千万トン以上出炭量維持という基本方針が定められた経過を非常に重視されておる。その前にもありますよ、いろいろな質疑応答の中で。重視されておる立場をとっておられるわけです。だから、この閣議決定に基づく、あるいは政府機関である調査会の答申に基づく、あるいはこの決議に基づいてきめられた大原則というものを、大臣、これを後退させるということは進歩ですか。進歩じゃなくて、これは文字どおり後退じゃございませんか。私のお聞きしたいのは、もし大臣の気持ちが、諮問というのはそういう問題も含めて審議会に諮問するのだという意味ならば理解できるし、しかも私はさらにもう一つ、政府としてはこういう基本的な方針を今日までとってきて、今後もこういう方針に変わりはないが、審議会において十分ひとつ検討してくれというような意味であるとするならば、大臣の答えは変わっていないなということで納得いたしますが、先ほどのようなお答えならば、進歩ではなくて、全くこれは後退もはなはだしいものです。もう一度御答弁をいただきます。
  33. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 進歩は後退でもどっちでもよろしゅうございますが、とにかく私は五千万トンのワク内において諮問するということじゃなしに、そういう五千万トンというものはもう動かせないのだという前提のもとに新しく諮問をするという態度はとらないということを申し上げたのであります。諮問の結果、答申がまた五千万トンということになってくるか、あるいはその他の、目標は適当でないということに答申内容が変更されてくるか、それはわかりませんけれども、とにかく全体の目標を五千万トンというものも含めて、この問題に対しての答申を求めたい、こう思います
  34. 堂森芳夫

    堂森委員長 岡田利春君。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 ちょっと関連いたしますけれども、およそ石炭鉱業の再編成問題がどうしても審議会の諮問事項になってくると思うのですが、その生産ベースについて全然触れない。問題は、そういうものごとの考え方でこの長期安定策が諮問できるのかどうか。この点は非常に私は問題だと思うわけです。すでにエネ調では五千万トン出炭規模昭和六十年度、これはもう当然必要である、こういう形で答申をしているわけです。あるいはまた過般の参議院の予算委員会では、大矢委員の質問に対して総理は、たとえば三千万トンなどということは、わが国の国際収支からいって、あるいは原料炭確保からいって、そういうことは考えていない——むしろ積極的な発言が参議院の予算委員会でなされていることも事実なわけです。したがって、ある一定のめどといいますか、そういうものがある程度示されて——これを上回るか下回るかは別ですよ。そういうのが全然示されないで諮問されるということになりますと、いわばノーズロースで諮問をする、こういうことになるんではないか。しかし一応の、五千万トンなら五千万トンの体制できたが、今後石炭編成をして長期的に安定をするためには一体具体的に検討してどうなるのか、その結果として経済出炭ベースとかいろいろな問題があって、再編成体制と相関連して、しかしかくあるべきだという答申がなされれば、それは一応審議会の答申でしょう。だからやはりその前提になるものは従来の政策。しかしその政策が破綻をしてきた。やはりそういう点を受け継いで諮問しないと、政策が一貫しないのではないか、こういう感じが私はしますし、鉱業審議会の答申もエネ調の答申もすべて初めから否定してしまうというものの考え方は納得できないわけです。この点はいかがですか。
  36. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どうも私の言い方が悪かったのかもしらぬが、五千万トンということにこだわらない。五千万トンというものは前回の答申にあるんだから、これは動かさないで、あくまで五千万トンというものを達成するためにどうすればいいかという諮問のしかたは私はとるべきじゃない、こう申し上げているのです。ですからそういうことにこだわらず、いまあなたが言われたように、どれくらいが従来の経験、今日の情勢から見て適当であるかということを見直していただけたらそれはけっこうだ。あるいはそれを、これをもっと下げてくれとか上げてくれとか、そういうことも一切言わないで、とにかく目標ぐるみ答申をしてもらう、そういうふうに持っていきたいと思うのです。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 どういう形で諮問するかということが問題点ですけれども、たとえば先ほどからいわれているように社会党の案もある。あるいは全国一社の案もある。全国三社の案もある。植村構想もある。そういう体制がどうであるかということによって相当大きな違いが出てくるんだと思うわけです。従来の私企業形態でさらに安定策を求めるという場合、あるいは全国一社体制で安定策を求めるという場合、それぞれの場合によって相当の差が出てくると思うのです。私の判断では、いま一社化すれば、黙っていてもトン当たり七百円のメリットがある、こう見ているわけです。私はそういう一応の見方もしているわけです。したがって採算を問題にするならば、体制が一体どうなのか、このことによっても重大な関連を持ってくるわけです。したがって、そういう意味大臣は、では審議会に諮問する場合に体制を、一応のこういう考え方を持っているがどうか、これを中心にして議論してくれ、こう諮問をするというお考え方なのか。体制そのものについてもいろいろないま案があるんだけれども、この点についてもいわゆるそういうものを十分分析をしていただいて答申をいただく、こういう方向で諮問しようとしているのか、この点はいかがですか。
  38. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そればとにかく石炭が有効に採掘できて、エネルギー革命段階において十分に役に立つという案であるならば、それはもう体制も研究するがよかろうし、そういうことにこだわらない。
  39. 田畑金光

    田畑委員 要するに大臣、今日のわが国の産業あるいは需要業界が五千万トンの石炭を必要とするというようなことで、審議会においてもそのような考え方に基づいて答申が出るということならば、それにはもちろん賛成する、こういうことだと思いますが、これは当然のことだと思います。ただ私の先ほど来お聞きしておることは、従来政府昭和四十一年八月の閣議決定に基づいて、石炭生産体制というものが五千万トンを維持するということを明確に約束しているわけです。その閣議決定に基づいて今日政策が連続してきておるわけです。また総合エネルギー調査会の昨年二月の答申においても、五千万トン出炭体制維持ということは、国民経済的な観点から見ても、あるいは国際収支の観点地域経済の発展という立場から見ても、これはあくまでもある程度経済性は克服しても、将来のわが国エネルギー需要の伸びぶりを考えてみたときに、国内炭の五千万トンくらいは最小限維持すべきだという結論を持っているわけです。  大臣承知のごとく、経済の高度発展に伴うてエネルギー需要というものはますます増大していっておるわけです。昭和四十年度は、わが国の総使用エネルギーの中で輸入エネルギーが六六%、これに要する外貨十六億ドル、こういわれております。これが昭和六十年度になれば、九〇%が輸入エネルギーに依存する。そしてこれに要する外貨が六十一億ドルをこえる。このようにエネルギー調査会は踏んでおるわけです。過般農業白書が出されましたが、四十一年度におけるわが国の農林水産物の輸入というものは、実に三十億ドルをこえておるわけです。総輸入の三分の一をこえておるような状況です。  そういうことを考えてみたならば、やはり私はわが国経済の全体の均衡ある発展ということから見ましても、五千万トン体制の維持というものは、必要最小限度の政策としてこれは守るべきである、こういう立場を強く主張し、とっておるわけでありますが、大臣としては今回審議会に諮問するについて、審議会に、いまの岡田委員のお話のとおりで、何ら政府が案を示さずして、これは正規な文書であろうと、あるいは暗黙と申しますか、非公式な案であろうと、政府が何らかの意思表示せずして諮問するはずはないと考えるわけでありますが、その点について大臣としてどのようにお考えになっておられるか、この点をもう一度ひとつ承っておきたいと思うのです。
  40. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 でございますから、ただいまは四十一年の八月の閣議決定の五千万トンということでやっているわけですが、これは動かさないのだということじゃなしに、それを入れて、目標も入れて最も適当であるという点を答申してもらう、こういうふうに考えていきたいと思います。
  41. 田畑金光

    田畑委員 四十二年度は、生産目標は、出炭計画は五千三十万トンだった、こう思いますが、それが年度当初いわゆる抜本策の第一年度で出炭減ですべての計画に狂いがきた、こういうことがいわれておるわけです。もうすでに三月も過ぎて四月に入っておるわけでありますが、四十二年度の計画出炭との実績はどういうことなのか。同時に、あわせて何がゆえにこのような蹉跌を初年度に見なければならなくなったのか。この点を大臣なり局長なりからひとつお答えをいただきたいと思います。
  42. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 御指摘のとおり昭和四十二年度につきましては五千三十万トンという計画でスタートいたしました。三月を終わったわけでございますが、まだ最終的な確定数字は判明いたしておりませんけれども、おおよそ四千七百万トンという状況でございまして若干の下回りがあるかもしれません。これにつきましては、閉山そのものが私どもの予想していなかったものが出てまいりましたということ、あるいは閉山を予定しておったけれども、予定時点よりも閉山が繰り上がった、こういった関係のものが約百万トンございます。それからストその他の原因によりますものが三十万トンくらいございますが、残りは自然条件の予想以上の悪化というものが約七十万トン、労働力不足、これは出荷率の低下も含めましてこのものが約五十万トン、その他の原因が六十万トンという状況でございます。
  43. 田畑金光

    田畑委員 いま局長から出炭計画割れについての説明がなされましたが、それはいまいろいろな理由があげられたわけで、自然条件の問題であるとか、あるいは労働力不足の問題であるとか、あるいはスクラップがスピードが早過ぎたとか、いろいろな問題が重なってこういうことになったものと思うのです。問題は、一体いまの需要について、五千万トンの出炭を受け入れるだけの需要というものはあるのかないのか。たまたま四十二年度については計画を三百万トンも割るに至ったが、需要業界としては一体五千万トンの出炭を維持できるような情勢にあるかどうか。この点はどのように踏んでおられますか。
  44. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 突っ込みで五千万トンないし四千七百万トンというようなことを需要との関係で議論をしても無意味でございまして、たとえば原料炭でございますならば、ただいまの状況はわが国で使用する原料炭の三分の二を輸入しておるという状況でございますので、原料炭出炭が大きく出ますならば、この需要面はもっと大きなものが実はあるわけでございます。一般炭につきましては、先生御承知のように一般産業用の一般炭の需要というものないしは暖房用炭の需要というものは逐年低下をいたしております。長期的に考えました場合に、これらがどの辺の落ちつきを見るものかというようなことは、それぞれの角度から慎重にきめなければならないことだと思っております。  原料炭について申しますと、先ほど申しましたように出炭さえ出ますならばまだまだ需要はあるわけでございます。それから一般炭につきましては大体いまの生産規模でございましたならば、当面につきましては需要面に支障はない。長期的に考えますと、先ほど申しました一般産業用の需要あるいは暖房炭の需要というものがどれくらい落ちていくかという予測とからむことでございますけれども、かなり需要面に不安がある、かようにお考えいただいてよろしいかと思います。
  45. 田畑金光

    田畑委員 局長の答弁の中にもありましたように、原料炭については需要はますますふえていくことが予測されるわけです。石炭局のほうで出しておる資料を見ても、原料炭について見れば、四十一年度の実績、千二百四十五万トン、四十二年度、これは見通しですが、千二百十六万トン、四十三年度は計画千二百八十万トン、こうなっておるわけです。ところが原料炭輸入についてみると、四十年度が千五百八十六万トン、四十一年度千八百九十七万トン、四十二年度は二千万トンにふえる、こういう状況であるわけですから一もっとも原料炭輸入については弱粘、強粘の問題等があることは当然でありますけれども、原料炭については需要はますます拡大できる情勢にあるわけで、ことに今後の鉄綱産業の伸びなどを考えるならば有望であることは言うまでもないわけです。一般炭については、なるほどいま局長がお話しのように、特に一般産業向けについてはだんだん減っていくということで、この面は不安でありますけれども、しかし電発が増設することなどによって、今後一般炭の需要はその面で相当カバーできていくわけであります。したがって、一般炭を見ても原料炭を見ても五千万トンの出炭体制を維持することは、需要の面から見たならば、私はこれは十分見通しは立つものだ、このように考えておるわけですが、この点はどうですか。
  46. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 需要面からのみ考え、かつ原料炭生産の非常に大きいものが可能であるということであれば、お説のとおりだと思いますが、問題は単なる物量問題ではございませんで、当面石炭産業がかかえております問題と申しますのは、どれくらいの費用でその炭が採掘できるか、その費用と売り値との比較におきまして経営的に採算がとれるものとして採掘できるかどうかという問題に基本があるわけでございますので、原料炭がないわけではございませんけれども、それに対しての投資額あるいは費用というものとの関連で見ていかなければならないことだと思っております。需要面では先生おっしゃるように考えまして、ことに原料炭のウェートを高く考えれば、石炭生産規模は大きいものであって一向差しつかえないわけでございます。問題は、経理的にどのくらい採算のとれるものになるかということであろうかと思います。
  47. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 議事進行について。与党が、政府提案をした法案審議に全部退席をするなどというのは全く不見識ですから、委員長は直ちに散会されんことを望みます。
  48. 堂森芳夫

    堂森委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時十分散会