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1968-03-28 第58回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 神田  博君    理事 西岡 武夫君 理事 野田 武夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 池田 禎治君       大坪 保雄君    佐々木秀世君       中川 俊思君    田畑 金光君       大橋 敏雄君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省石炭         局長      中川理一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君  委員外出席者         通商産業省石炭         局炭政課長   村松  寿君         通商産業省石炭         局計画課長   佐藤淳一郎君         通商産業省石炭         局調整課長   織田 季明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変  更するための法律案内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変更するための法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許可します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 きのう、海外原料炭動向について質問いたしたのでありますが、私は、きのうの局長答弁では非常に甘いのじゃないか、特に一昨年末以来の国外原料炭値上がり動向、さらにまた最近の海外供給状態、加えてイギリスあるいはフランス、ドイツの各鉄綱会社原料炭米炭依存しなければならない、おそらく将来は、わが国と同じように米炭依存をするという傾向を深めるものと判断をするわけです。きのうも数字が出ましたけれども、四十一年度では、米炭依存度が四〇%、豪州炭依存度が四二%、カナダは四・四%、ソ連が七・四%、中国が三・五%、その他二・八%で、一千七百八十七万トンの原料炭輸入をされておるわけです。しかもきのう申し上げましたように、米炭の場合には鉄道運賃値上がりがあり、引き続き炭鉱における福利厚生賃金値上がり、こういうものを含めて、昨年度六十セントの値上がりを示しているわけです。一方、東海岸でありますから、一万マイルもある地点から日本輸入をしなければならない、こういう状況にあるわけです。こういう傾向から判断をし、さらに今年の鉄綱会社に対するアメリカからの申し入れば、さらにこれに上積みをして六十セント程度値上がり要求してきているという事情もあるわけです。これは契約で、日本鉄綱会社米炭供給会社との間では、そういう賃金の上昇や、あるいはまた物価の値上がり公共料金値上がり、こういうものは頭打ちがございませんから、やはり無制限に価格が上昇していく、こういう契約内容であるわけです。ですからどうしても米炭依存というものは、今日以後依存度がむしろ高まる傾向すらあることを見のがしてはならないのではないか。さらに一方、豪州の場合でも、これは頭打ちはございますけれども値上がりは必至になってきて、現在豪州炭坑というのは、オープンカット、もしくは坑内掘りの場合には柱房式コンティニュアスマイナー採炭を実は行なっているわけです。これも限度が見え始めておりますから、結局、日本式採炭原料炭を採掘しなければならない。それに対する労働力不足というものは、豪州カナダ同様に労働力確保はきわめて困難である。そういう面で、契約条項がありながら、原料炭供給契約時期よりもおくれている、こういう傾向が昨年末来ずっと出てまいっているということも、私は事実だと思うわけです。わが国の今後の鉄綱生産長期見通しに立つ場合に、海外原料炭確保ということはきわめて容易だという判断は、これはもう昭和三十年代の話であって、これから四十年代半ばを迎える今日では、供給に対していまから相当積極的な手を打たなければならない段階に来ておると同時に、原料炭値上がりは必至である、こう私は判断をいたしておるわけです。こういう点について、きのうは、私の見解石炭局見解がずいぶん違う、やはり、この見解が一致しないと、原料炭確保政策に対する認識が大きく違うのではないか、こう思いますので、こういう点についての見解を述べていただきたいと思います。
  4. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ただいま岡田先生から御指摘がございました海外原料炭につきましても、世界全体の需要がふえること、これに対しての供給上、地域別に見ても相当問題があるということ、これは私は、昨日はどういうふうに申し上げて、どの辺がことばが足りなかったかは別にいたしまして、いまおっしゃいましたことは、そのとおりだと思っております。日本鉄綱業生産の伸びが大きいだけに、鉄鉱石についての配慮と相並んで、原料炭確保についての配慮が十分でなければならないということは当然のことだと思っております。いささか思い過ごしかもしれませんが、そのような徴候が、長期的に見れば十分出てくる可能性があるという感じではおりますけれども、現在の国内原料炭輸入炭との値差の二ドル分というものが、急激に縮まるというふうには見ていない、そういう感じでお答えしたのが、あるいはことばが足りなかったのではなかろうかと思うのです。これは鉄綱業界も同様に、長期的な展望に立って、海外原料炭ソースをいかに有利なものを求め、かつこれを確保していくかというふうなことにつきましては、私ども、ときたま会いますときも、率直に言っておることでございます。ただいまの御意見に関する限りは、私は同じ意見でございます。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 いままでは、近距離に供給地を大きく転換をする、そうしてまた、大型車用船化することによって炭価を引き下げて、供給態勢というものを維持してきた、こう私は言えるのだと思います。しかし、特に豪州の場合には、専用船大型化には大体限界が近づいてきた。これはやはり積み出しする地点の港の設備の改善というものがなかなか容易にできない、こういう弱点を持っているわけです。それと同時に、これからの対日輸出前提とした原料炭開発は、どうしても内陸地帯に入らざるを得ない。豪州の場合でも、どうしても内陸地帯に入らざるを得ない。そういう意味から、陸上運搬賃が当然かさんでくる。いま二ドルと言いますから、大体七百二十円でございますか、しかし私の判断では、昭和四十三年から四十五年にかけて、大体二百五十円程度値上がりは避けられないのではないか、こういう認識を持っておるのですが、こういう点についてはいかがですか。
  6. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ただいまおっしゃいました数字につきましては、あるいは聞いておる範囲が違うのかもしれませんが、私どものほうで聞きました感じでは、もう少し低いのではなかろうかと思います。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度、通産省は大蔵省に対する予算要求で、海外原料炭開発のために調査団海外に派遣する、こういう予算要求をしたのでありますけれども、これは削除されて、調査費予算として計上されておるわけです。しかしその最大の需要先である鉄綱業界の協力も得て、民間構成といいますか、そういう態勢の中で、海外原料炭供給地情勢、実情、こういうものを調査するために調査団を派遣する。私の聞くところでは、四月中か五月の初旬、こう聞いておるわけでありますけれども、こういうプランがあるのかないのか。あるとするならば、どういうような構成調査団を派遣する考えなのか、お聞きいたしたいと思います。
  8. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 先生指摘予算数字につきましては、要求段階ではもう少し大きなことを考えておったのですが、いずれにいたしましても、鉄鋼業界人たちも一緒に行くというようなことから、でき上がりました予算は、実態から申しますと、調査団を自前で出して、帰ってきてレポートを整理し、それを印刷し、云々ということに必要な経費の程度にとどまっておるわけでございますが、実際上、先ほど来お話しのございましたように、海外炭についての確保措置ということ、あるいはその状況を見きわめて、国内原料炭開発をどんなふうに考えていくかというからみもございますので、ただいま私のほうの局の計画課中心にいたしまして、重工業局と相談しながら、人選、行く先、あるいは調査事項といったようなものを中心に検討しておるはずでございます。日取りもまだ確定しておるというふうには、私は承知をしておりません。しかしいずれにしても、調査費ではございますけれども、あれだけのものをつけておりますし、大方の賛同を得ております。鉄鋼業界も非常に積極的でございまするから、早い時期に調査団を出せるようにいたしたいと思います。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 昭和四十五年度から対日輸出をすることになっておるカナダパロマー炭の問題でありますけれども、これはすでにわが国鉄鋼業界炭価価格交渉を行なっておると私は聞いておるわけです。しかもこの条件を見ますと、毎年二年ごとに五十五セントの炭価値上がりを自動的に認めるよう契約内容に織り込みたいと、非常に強気な態度で出てきておるわけです。これは東海岸米炭価格を優に上回る価格要求がすでになされておる、こう聞いておるのであります。そういう交渉がいま持たれておるかどうか、そういう動向についてお伺いいたしたいと思います。
  10. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 私、詳細承知しておりませんので、調整課長から、知っておる限り申し上げたいと思います。
  11. 織田季明

    織田説明員 お答え申し上げますが、先生のおっしゃるように、先方からの話は聞いておりますが、こちらのほうはまた違った主張をしておりまして、現在まだ折衝中でございます。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国鉄鋼生産状況から判断をして、原料炭確保という問題は、従来の観念を一掃しなければならぬのではないか、したがって、たとえば鉄鋼業界鉄鉱石供給地確保するために、第一次、第二次の永野調査団が派遣をされた。そういう形で鉄鋼原石確保のために努力をいたしてきた。あるいはまた、石油についても石油公団が生まれて、積極的に海外石油開発を行ない、この安定供給確保する、あるいはまた、最近の動向では銅についても国際的に慢性的な不足を来たす、こういう問題があり、積極的な銅山開発に乗り出し、資源開発海外に向けてどんどん進めておるわけですが、特にこの原料炭の場合には、いままでは供給は長期的に安定なのである、価格についてもそう心配はない、こういう強気な姿勢だったわけですけれども、最近の動向から判断しますと、そうではなくて、むしろ同様、特に強粘結は日本には一トンも出ないわけですから、積極的に海外原料炭開発に乗り出さざるを得ない情勢になってきていると、私は判断をいたしておるわけですが、そういう計画調査団の発足になるのでしょうけれども、そういう認識については、鉄鋼業界を含めて、私が申し上げたような認識を持っているかどうか、見解を承りたいと思います。
  13. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ただいまお話がございましたように、通産省各局を通じましても、金属鉱石海外資源についての手当ての問題、原油についての手当ての問題というようなことが、逐次私どもの省の重要関心事になってきております。このことをわれわれサイド考えますと、原料炭につきましても同様のことでございまして、ただいま御指摘ございました見解につきましては、鉄鋼業界も、石炭業界も、通産省関係局も、いずれも同じ認識でおります。ただ違いますのは、金属鉱石の場合、油の場合、政府施策というものもある程度誘導的な役割りを果たしますならば、当該業界がみずからの資金を相当つぎ込みましてやり得るという体制がつくりやすいわけでございますが、石炭業界は御案内のような状況でございまして、考え方として十分わかっておりますけれども、これに即応するだけの資金手当てができるかどうかというところが、他の業界と違った状況でございます。しかしながら需要業界との協調によりまして、おっしゃるような線を一歩でも二歩でも前進させたいというのが、私ども考えでございます。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国石炭産業の再編成をめぐって、いずれ鉱業審議会に諮問されると思うわけですが、これは国内石炭産業の再編成だけでは不十分ではないか。いわゆる世界第一の生産を誇る鉄鋼生産に必要な原料炭確保する、こういう面における海外原料炭開発あるいは確保のための必要な措置、こういうものが総合的に検討されないで、いわゆる生産規模なり、そのうちの一般炭原料炭比率なり、こういうものを単に国内事情だけできめるということは非常に不見識ではなかろうか、私はこういう気がするわけです。したがって、これらの問題が当然含まれてその場合に諮問されるものか、それともそういうものは海外については一応切った形で、国内にとどめて諮問されるものか、もしその構想があれば、承っておきたいと思います。
  15. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 いまの段階では、いずれとも定めてはおりませんけれども、私としては、原料炭に関する限りは、御指摘の考慮の範囲というものを当然に審議していただくことに相なろうと思いますし、将来の国内炭生産規模をきめる上におきましても、原料炭の扱いをどんなふうに考えるかということは、海外ソースとの関連なしにはきめ得ないことだと考えます。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度の四千七百万トンの出炭見込みに対して、原料炭はどの程度になるのか。さらにまた、四十三年度四千七百七万トンの出炭規模に対して、原料炭は特に増産というものが含まれておるかどうか、量的にはどういう見込みなのか承りたいと思います。
  17. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 四十二年度の実績推定は千二百四十七万トンでございます。四十三年度の計画といたしましては、千三百十万トンぐらいのところを見込もうと考えております。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま原料炭を産出する炭鉱の総出炭に対する原料炭比率というものはどのようになっているか。この比率はさらに上昇するのか停滞なのか、それとも下がるのか。その点の原料炭炭鉱の総出炭に対する原料炭比率、この動向について伺っておきたいと思います。
  19. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 漸次歩どまりが悪くなってきておるのでありますが、詳細につきましては、計画課長から御説明いたさせます。
  20. 佐藤淳一郎

    佐藤説明員 現状におきますところのいわゆる原料炭産出炭鉱は、随伴的に一般炭が出てまいるわけでありますが、現状といたしましては大体五〇%、したがいまして、ことしで言いますれば約千二百四十七万トンでございますので、これらの原料炭産出炭鉱から、同じ程度一般炭が産出されるということであります。  それから長期的な見通しでございますけれども、一応再建計画で見ております計画といたしましては、何といいましても原料炭産出炭鉱ビルド炭鉱の中核になっておりますので、逐次増産いたしまして、再建計画としましては、四十五年時点で千五百万トン近い数字計画しておりますけれども、四十二年度の実勢からいきまして、その計画に達成するのは若干時期的にずれるのではなかろうかというような見通しを、ただいま持っている次第でございます。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 当初の計画では、いま述べられたように、大体千五百万トン前後の原料炭確保だ。したがって総出炭に対する原料炭比率が五〇%、こう想定をいたしますと、原料炭の山で生産される総出炭量というのは大体三千万トン、こういう形になるわけです。したがって、一千二百万トン程度原料炭鉄鋼会社供給をする。こういう前提に立ちますと、当然一千五百万トン程度原料炭確保しなければならぬということになるわけですから、それだけの生産規模でも実に三千万トンになるのだ。したがって、もし生産規模を大きく縮小するということになりますと、わが国原料炭供給というものは、さらに大きく下回るということがはっきりしてまいると思うわけです。ここがこれからの政策を立てていく場合に非常に重要だと私は思うわけです。たとえば原料炭炭鉱が、採算面だけで切っていきますと、当然相当落ちる原料炭産出山というものが想定をされるわけです。そうすると結局結果的には原料炭供給量が大きく後退をする。しかも昭和四十七年ごろになりますと、おそらく鉄鋼の場合でも九千万トンぐらいに達するとすれば、輸入原料炭だけでも、国内生産量に匹敵するほどの原料炭輸入しなければならない。こういうのがほぼこれからの見通しのようでありますから、この面が政策として非常に重要なポイントではないか、こう非常に強く私は実は感ずるわけです。したがってこの原料炭の問題をどうするかということは、これからの石炭政策一つの大きなポイントである。国内供給国外との長期的な安定的な供給、あるいはまた国際的な原料炭炭価に対する一つの牽制の役割り、それには一定割合原料炭供給確保しなければならないという面もあるわけですから、この面は石炭サイドだけで今日議論されるべきではなくて、鉄鋼業界も含め、あるいは通産省としても一歩高い視点でこの問題を議論しない限り、石炭サイドだけで議論するだけでは、やはり政策がゆがむのではないか、私は実はこういう見解を持っておるわけですが、こういう点についてはいかがですか。
  22. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ただいまの御意見は、私どもも同感でございまして、これから先のことをいろいろ考えます上におきましても、原料炭確保ということにつきましては、施策の中で重点的に考えるべきであろう、こう思っております。したがって、これを優先させますと、先ほど計画課長がお答えいたしましたように、ほぼ同量の付随炭が出てまいるわけでございますし、全体の石炭産業構成から申しますと、一般炭山であっても、相当高能率でやれる山がございます。それにつきましては、原料炭とまた無関係にビルドしていくことを考えなければならない。さらに地域需給のことを考えますと、単純にコストだけで割り切れない問題がございますので、それらをどのようにかね合わせて考えていくかというのが、これからの検討問題であろうと思っております。  なお、御指摘にございましたように、原料炭の問題は、石炭関係者だけで考えるべきことではなくて、これは当然に需要業界見解見通しというものに対しましても、腹蔵のない意見を交換しながら、定めていくべきことだと思っております。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日、原料炭の場合には、比較的手取りがいいということになっておるのですが、四十五年度までの再建計画を見ましても、しかし原料炭山ならば自産炭損益では非常に有利かというと、私は決してそうではないと思うわけです。これはもう一般炭の山でも、黒字予定の山は、むしろ原料炭山よりも、四十五年度で見れば多いはずなんですね。ここがやはりこれからの原料炭確保に対する政策上非常にまた大事な問題点であると思うのですが、現状原料炭の山で、自産炭損益黒字を計上している山がございますか。
  24. 佐藤淳一郎

    佐藤説明員 現状におきまして、四十二年度貸し越しましたいろんな補助金なりそれから肩がわり効果等を含めて考えたといたしましても、四十二年度の現状は、むしろ原料炭山減産が、一般炭炭鉱よりも減産割合が多かったために、大手関係においては、ほとんど黒字というところはございません。ただ中小の、しかも大手のいわゆる第二会社系統の山は黒字かと思いますけれども大手関係については、遺憾ながら四十二年度の現状は、軒並みに赤字の現状でございます。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 たとえば四十五年度の計画を見ましても、結局、原料炭山では、黒字に転化できる山はどうなのかというと、わずか三炭鉱程度しかないだろう、私はそう想定をしておるわけであります。したがって、比較的炭価手取りのいい原料炭ですらも、今日そういう現状であり、再建計画の中でもそういう状態にあるということを、われわれは見のがしてはならないと思うわけです。むしろ中小炭鉱原料炭の山のほうが、非常に黒字でいい成績をあげているというのが現状でございます。原料炭山だから、炭価手取りがよくて採算性はいいのだという観念というのは、残念ながら炭鉱別に分析してみますと、そうはならない、こういう認識を私は持っておるわけで、いまの答弁と大体一致をするのだと思うのです。  そこで、きのう申し上げました有明の問題でございますけれども、いわば、わが国最後の最もまとまった原料炭開発地域だ、そういう面から考えて、この有明の問題というのは、単に石炭サイド企業サイドの問題だけではなくして、いままで質問いたしましたそういう総合的な角度から見て、この有明開発というものは、わが国技術を駆使して進めることが国策上きわめて重要であるという認識に私は立たざるを得ない、このように実は考えるわけです。したがって、有明の場合には比較的国家資金も入っておりませんし、言うならば、いままで日鉄鉱業の九〇%自己資本でここまで開発をしてきた山でありますから、そういう意味では、相当程度国家資金を導入するに値する山でもある、こう実は私自身認識を持っておるわけです。近く技術上の調査団を派遣して水の対策を立てる、こういう点ですが、この点の政策的な位置づけについて、特段の検討をひとつしていただきたいということを、この機会に希望申し上げておきたいと存じます。  次に、昭和四十二年度の出炭規模が近く審議会に諮問されるわけですが、これに伴って、原料炭は別として、一般炭のうち電力用炭ですね、すでにこれは交渉をいたしているようでありますけれども、問題はこの二千二百万トンの引き取りという問題と、一番ネックになっているのは、大体最近の公益事業局出方を見れば、量を先にきめようではないか、ただしこれに並行的に割りつけをきめようとする三池の一般炭については、これはあと回しにしようじゃないか、こういうような態度にいま出ておるようなんですが、これはしかし四月に入るわけですから、早急にきめなければならぬ問題でもあるわけです。この三池炭の問題と二千二百万トンの引き取りは、この関連においていま石炭局調整課で進めているこの考え方というものは、どこまで折衝で煮詰まっておるのか、この点の事情についてひとつ説明願いたいと思うのです。
  26. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 御指摘のとおり、九電力の来年度の引き取り量につきましては、鋭意折衝を重ねておりまして、その中で大きな問題点が二つございます。一つは、電力業界から見まして、最近の石炭生産事情に対する一般的な不安感があるわけでございまして、四千七百万トンを前提にしておる生産計画で、二千二百万トンを引き取るということを私どもが言っておるわけでございますので、この辺についての危惧の念というものが、総量についての向こう側の不安として表明されておる。もう一つは、かりに総量を私ども希望数字にほぼ近いものにまとめるとしても、御指摘三池炭をどれぐらいのものとして考えるかということでございますが、御承知硫黄分の多い炭でございますために、都市周辺発電所では、公害問題という角度から、使えないという問題が一つございます。その他、発電所の設計上の問題からして、三池炭の持っておるねばりっこさというものが、混炭をかなり考えるとしても限界があるという点が一つでございます。ありていに申しまして、四千七百万トンを前提にいたしました二千二百万トンの引き取り希望というものも、ほかの三池炭を除きました炭の出方、これの炭繰りというものを考えますと、非常にぎりぎりの数字でございまして、三池炭を大きく使ってもらわないと、二千二百万トンということが計算上も出てまいらないというのが実態でございます。問題点は、一般的な不安感を別にいたしますと、三池炭の処理に尽きるような状態でございます。ただしかし、これを発電所ごとに、三池炭がどれくらい使えるかという詰めを全部終わりましてから、決着をしなければいかぬということでは、年度当初にあたって総量の約束をし、これによって石炭業界に対しての安心感を与えるという点からいいますと、非常に時期を失する気配がございますので、おそらく来月の上旬ぐらいにセットいたすことに相なると思いますが、その際に、三池炭の引き取りについての確定的な数字をきめないで、総量できめるということにならざるを得ないのではなかろうかと考えております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 まあ今年異常渇水もあり、出炭減もあって、三池炭が商社を経由して納炭された、そのことが問題を起こしたことは御承知のとおりなわけです。ただ私は、最近の需要動向を見ると、電力用炭に対して、二千二百万トンに対して、それぞれ大手各社は、増ワク引き取りの要請というものが非常に強く行なわれておるのではないか。昨年同様の引き取りでよろしいといっておるのは二社程度であって、あとは全般的に増ワクの引き取りをむしろ希望している。そういたしますと、当然二千二百万トンでは消化し切れない。問題は、それが確実に供給できるかどうか、こういう問題点が、各社別、山別に検討されなければならない問題だと私は思うのですが、その増ワク引き取りを希望しているのは、すでに二千二百万トンをオーバーする。そこに三池炭の三千七十万トン程度ですか、この割りつけをする。この矛盾が実はあると思うのですね。この調整をはからないと、地域別や、あるいはまた従来の販売実績、こういうものから見て、たとえば紙パなどは全部重油に転換をする、こういう傾向による減も出てまいるわけですから、そういう面の増ワク引き取りの要望というものが出てまいるわけです。この間の調整についてはどのような見解を持たれておりますか。
  28. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 御指摘のとおり、各社の電力側に対する引き取り希望というものをそのまま合算いたしますと、私ども総量で話をしているものよりも相当大きなものに相なる次第でございます。それらはおそらく、安定需要先としての電力需要の中で、自社のシェアを確保したいという気持ちのあらわれだろうと思います。全体量の需給を考えました上では、われわれの目から見て、非常に無理のあることも多々あるわけでございます。ただ、しかしながらそれぞれの取引ということもございますので、私どもとしては総量の話し合いをすることについての努力というのが役所のいたすべきことであり、先生の御懸念なさるように、非常に無理なことは実際問題としては起こるまい。つまり、電力に非常にたくさんつぎ込むために、一般需要先をここで急にカットするというようなこともまた不適当でございますので、これらのところは全体の数字をセットいたしました上で、各社の九電力とのそれぞれの話をフォローしながら所要の調整をいたしていきたい、こう考えております。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は当委員会で、しばしば三池炭対策という問題についていままで触れてもまいったわけです。しかし依然この問題は未解決のままに今日推移をしておる。しかし、わが国石炭企業としては第一位の三井鉱山の最大主力の炭鉱であり、国際的に見ても相当な一級の炭鉱である。こういう山であることははっきりいたしておるわけです。しかし現状の体制の中では、結局三池炭対策をするとすれば、ある程度無理が伴っても割りつけをしなければならない、こういう形になりますし、割りつけをするということは、結局大牟田市にある三池炭鉱から、少なくとも関東電力までは三池炭供給しなければならない。無理をすれば、東北電力までも三池炭割りつけをしなければならない。これは交錯輸送の最たるものに実はなるわけです。しかもそれは避けられないということに実はなっていくわけです。したがって、私は、三池炭の対策は三池炭をたき得る条件の発電所をつくるべきではないか。しかもそれ以外の発電所については、他の炭鉱一般炭供給すればよろしいわけですから、それが最もベターではないか、こういう意見を実はいままで申し上げてきたわけです。しかし、これは実現されないままにまいっておりますし、電発ができても、電発は九電力考え方と全く同一の考え方に立っている。したがって三池炭は敬遠される。まして磯子のように周辺が別荘地帯であるというようなところでは、公害対策が非常にきびしゅうございますから、三池炭が敬遠されるという問題も出てまいるわけです。ですから私はそういう意味で、三池炭の対策というのは、三池炭をたき得る条件のところにそういう発電所をつくる以外に、非常にむずかしいのではないか。しかもこれは、おそらくわが国に最後まで残る炭鉱ではないかといわれるほどの鉱量を持っておるわけですし、そういう意味で私は非常に重要な問題だと思うわけです。  さらにつけ加えて、松島炭鉱一般炭原料炭比率が逆転をした。しかもその炭は三池炭と同質の炭である。おそらく九十万トン程度そういう炭が松島から生産をされてまいるわけですから、この面を考えますと、そういう施策が最も望ましいのではないか。一方三井鉱山では、三井グループが集まって大牟田で三井アルミをやる。この電力供給のために、三池炭をたく発電所をつくるという計画が出されてずいぶん久しくなるわけですが、もちろんこれはアルミ業界との調整の問題もございますし、そういう中で、一向日の目を見ないという状態に現在置かれておる実情を、実は私は理解をいたしておるわけです。  こういう判断からいたしまして、とにかく滞貨は多いし、生産量は高いし、さらに生産を上げる条件というものは、三井三池自体は持っている。こういうことになってまいりますと、この点はやはりオーソドックスな体制というものを考えるべきではないのか。そのために特定な政策を立てても、決して一企業に対する政策ではなくして、全体の需要調整が行なわれるわけですから、決して特定の対策にならないと私は思うわけです。しかもわが国最大の条件を持っている炭鉱でありますから、こういう対策が、これからどういう政策が立てられても、実現をしなければならない問題点ではないのか、私はこう思うのですが、こういう点についての見解はいかがですか。
  30. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 御指摘のとおり、三池の全石炭鉱業の中に占める立場というものと、そこでつくり出される、生み出される炭が、需要上かなりの制約を持ったものであるというこの二つをかね合わせて考えますと、望ましいのは、岡田先生指摘のとおり、三池炭三池炭として使うという立場での考え方を徹底させるのが一番望ましいことでございます。その意味ではいろいろな形はございましょうけれども、山元発電ということが一番望ましいわけでございまして、われわれも含めて、その点は関係者がそれぞれいままで苦労をしてきたところでございますけれども、共同火力的な構想というものもなかなか障害がございまして、実現がいたしません。そういう形で、三井におきましては、自家発によるアルミ企業の新設という構想に切りかえて、いま会社をつくり準備をいたしておるという状況でございます。この問題は御指摘のとおりの問題でございますので、今後といえども、いろいろな角度考えていかなければいかぬのじゃないかと思っております。  それから、先ほど御質問の中にございました点で御理解をいただきたいと思っておりますことの一つは、電発についてのことでございます。お話しのとおり、たとえば磯子などにつきましては、公害問題がございまして、地元の自治体と電発が協定をいたしました公害防止の観点で使えないというような制約はございますけれども、一般的に申しますと、やはり特別な会社でございますので、三池炭その他の引き取りにつきましては、格段の配慮をしてもらっておるというのが現状でございますので、これは御理解をいただきたいと思います。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれにしても、今年度の電力向けの実情から見て、また長期的にある一定の一般炭というものを電力供給をする、こういう面から見て、やはりこの供給ブロック体制というものがつくられることがほんとうは望ましいのだと私は思うわけです。たとえば北海道で見ますと、空知炭田は、その供給先がまず北電の各発電所であり、余ったものについては東北及び関東に供給をする。あるいはまた釧路炭田で見れば、これは港が近うございますから、内陸運賃が低いわけですから、東北、関東、中部、こういう供給先にブロック的になるのではないか。九州の場合には、それぞれ各ブロックの電力会社、こういう体制が望ましいのではないか。ただそこで問題になるのは、結局各電力会社によって炭価が非常に違うということなんですね。これはわが国の産炭構造の歴史的な経過からきたのだと私は思うわけです。いわゆる石炭生産の主力は九州であったわけですから、九州から近いところはどうしても炭価が安い、供給先の遠い東京、東電のほうになれば、九州から供給するわけですから当然炭価が高い、そういう自然的な形勢で今日まで推移したと思うわけです。しかも今日まで炭価についてはその趨勢が是正をされないままになっている。電発ができても、結局その炭価の趨勢で買い入れ価格をきめるということで、これまた国策でありながら炭価の是正が一向にできていない、こういう実情にあると思うわけです。私はそういう意味において、結局これらの問題の解決は、一般炭の交錯輸送等の解決というものは、最近行政指導等で若干ずつ効果はあげておりますけれども、しかしそれでも解決にはならない。やはりこれらの産炭構造、供給源が変わってきた、北海道が主力に大きく変わってきた、こういう面を勘案する場合に、当然その面の価格的な体系の是正がなされない限り、なかなか思うようにいかぬのではないか、このように私は考えるわけです。したがって、こういう点についての指導なり行政的な努力といいますか、そういう面はどのような考え方のもとに行なわれてきたか、この見通しはどうか、これはやはりもうこの時点では、再編成の中でやらざるを得ないだろうということであるならばこれは別ですけれども、この点についてはどういうお考えか、承っておきたいと思います。
  32. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 御承知のように、現在の炭価につきましては、石炭鉱業合理化臨時措置法五十八条の規定によりまして、基準額が定められております。特に電力用炭につきましては、電力用炭販売株式会社法の第十五条の規定に基づきまして、基準炭価に準拠して、電力用炭の品位に応じ、販売会社の購入価格及び販売価格を定めることになっております。これらの価格を定めるにあたりましては、過去の経緯、慣習を参酌しておるために、いろんな意味での値差が生じております。また電力会社間においても購入単価のばらつきが生じております。これらのうちには、過去の経緯を離れて考えますと、明らかに不合理だと思われるものがずいぶんあるわけでございますが、長い間の慣習によって、なかなか簡単には改められない、また当事者の利害というものもございまして、なかなか改められないというのが率直なところでございます。千二百円引きも、これらの既存価格の上に立ってやったという経緯もございまして、不合理さは、私どもも不合理だ、供給側も引き取り側も、不合理だという感じはいたしておりますが、率直に申しまして、なかなか直らないというのが私ども感じでございます。岡田委員もおっしゃいましたように、これを基本的に改善するには、何がしかの体制変更ということなくしては、なかなかなし得ないのではなかろうか。さるがゆえに、今後の石炭対策につきましては、いろんな意見が出ておりますけれども、どの意見でも共通に出てきておりますのが販売の一元化、これを欠いた意見がいまのところないというくらいでございますので、先生方の御認識と関係者の認識は、ひとしく不合理を認め、かつ現状ではなかなか直らないという上に立って、基本的に考え直すことが必要なんじゃないかというふうに皆さんがお考えになっているのじゃないかと思います。私もそう思います。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 原料炭についてもこれは同様に言えるわけです。しかも原料炭の場合には、北海道原料炭の成果が著しい。運賃がかさみ手取り炭価は下がる、二重手取り減、こういう現象を埋めるために、専用船の二はい建造も今年度予算で計上されておるわけです。したがって、電力のみならず、原料炭を含めた石炭全体が、そういう状態にあるのだと私は思うわけです。  ただこの際、参考に聞いておきたいのですが、交錯輸送というのはどこで一体線を引くのか。常磐の場合は別にして、九州、北海道が主力でありますから、私の常識的な考え方では、電力でいえば、中部までは北海道、関西から以南は九州、原料炭の場合には、高炉が立っておるわけですから、そう言っておられませんから、出たものをどう配分するかということになりますから、結局は北海道原料炭が将来水島まで供給するようになるということになっていくのだと思うのです。ただ私がここで聞いておきたいのは、そういう一応の線を引いて、交錯輸送で北海道の原料炭が九州まで行っておるわけですから、また池島の炭が東北に売られているというような実績もあるわけですから、そういう点の交錯輸送というのは現時点でどの程度の量を把握されておるか、この点について見解を承りたいと思います。
  34. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 原料炭一般炭に分けてお答えいたしたいと思いますが、原料炭の交錯輸送は、ただいま御指摘のございましたように、特殊な資本関係から端を発しまして、北海道から関西に輸送されているというようなものもございます。これらが原料炭については大部分でございまして、この資本のつながり、それは当然にまた契約条件等にも関係のあることでございますが、これは現状やむを得ないとかりに考えますと、残りは一般炭の問題によるわけでございます。これをどこに線を引くかは一つの問題でございますが、北海道は関東までということで考えまして、中部以西に行くものがやや無理な輸送状況にあるというふうに考えました場合に、一般炭につきまして、北海道から中部及び関西に輸送されているものが約六十万トンでございます。それから同じような仕分けで考えまして、九州から関西に持ってくるものがややむだである、こういう前提に立ちますと、これが約四十一万トン、こういうことでございますが、全体の地域別生産構成比が北に傾斜してきているという状況から見まして、前者のほうがかりにある程度やむを得ないという考えに立ちますと、後者の四十一万トンというものの相当額が、交錯輸送是正の対象として考えてよろしいのではなかろうか、こういう感じでございます。それからいままでの実績をちなみに御紹介いたしますと、三十七年度から四十一年度にかけまして、このような意味での交錯輸送の是正を行なったという実績が約四十三万トンでございます。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭はカロリーだけで価格をきめるこということが非常に困難なもので、たとえば原料炭ですと、サルファが何%、灰分はどうか、一般炭についても、灰分がどうとか、いろいろ化学分析の内容そのものがやはり価格に反映する、こういう一つ傾向を持っておるわけです。そこで、私は、いま局長からいろいろ交錯輸送の問題点も述べられましたけれども、流通関係を検討してまいりますと、大手中小の格差、あるいはまた炭鉱でなくて商社経由で、実績ワクでそこを経由して、ある程度トン当たり百円なり二百円を納めて、その炭が商社を経由しただけで納められていくということがそのまま放置をされておる問題、いろいろ流通関係には問題点があると思うわけです。ただしかし、いま石炭編成をめぐって、流通関係はそれぞれ一元化すべきであるというのがどこの場合でも強く主張されて、大体この点は一致しておるということもまた事実だと私は認識をいたしておるわけです。そこで、流通関係が一元化されるということは、結局一番メリットがあるのだ、こういう意味だと思うわけですね。でなければそう各意見が一致するはずがないわけです。この流通関係が一番メリットがあるわけですが、石炭産業を体制的に見て、それ以外に一元化してメリットのある分野というものはどういう点が考えられるか、見解を承りたいと思うのです。
  36. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 なかなかむずかしい問題でございます。流通関係の一元化が、新しい体制を考えます場合の最大のメリットであろうということは、私もさように考えております。これはほかの、たとえばよく出てまいります鉱区調整というような何がしかの再編成前提にした場合のメリットと比べましても、格段に大きいのではなかろうかという感じがいたしております。その他、御質問の意味を十分とりかねてはおるのでございますけれども、再編成的な考え方というものの最大のメリットというものは何かということを考えますと、昨日もお答えいたしましたように、労働力状況その他というものが非常に変わり得る要素がございます。そういった労働力確保生産規模の整合と申しますか、そういったことがやれるということが今後の石炭政策の安定の上で一番大事なことではなかろうか。計画計画として考えましても、それの裏づけになる労働力というようなものがばらつくとか、あるいは総体として不足するというようなことが、今後石炭産業の安定の上からは一番心配点でございます。私個人といたしましては、労働力需給と生産量というものの整合をはかる、調整をはかるということができる仕組みというものができれば、これが一番大きなメリットではなかろうか。その次に原価的なことでまずきわ立ってプラスになってくるというものは、いま御指摘の流通の一元化ではなかろうか。その二つに比べますと、あとのことは、それぞれメリットとして数えることもございますけれども、大きさはさほどのことではないのではなかろうか、こういう感じがいたします。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、一元化体制のメリットは、一番大きいのは流通関係ではないか。第二の問題は、いま局長が言われたように、既存の労働力確保し、活用し、そしてそれに見合う、どこまでできるか知りませんけれども、ある程度の若い労働力確保するという面がやはり保障されてくる、これが二番目に大きいメリットでなかろうか。第三番目には、総合開発ができるというメリットがあるのではないか。たとえば北海道であれば北空知地区、赤平さらに茂尻、こういうものは地域が総合的に開発をされる。もちろん赤間もございますけれども、赤間は赤間で、これはレベルが違いますから、この点はその地域の開発に役立つ、こういうメリットや、あるいはまた雨龍地区の総合開発、あるいはまた、今日生産は維持群にある雄別炭鉱の住友の鉱区のように、掘れば、これがレベルで容易に掘れて、三十年安定的に生産でき得る体制というものが確保できる折り紙つきの鉱区が死蔵されているという点もある。あるいはまた現時点では、当面掘る鉱量については鉱区の調整はされたけれども、これが総合開発の面でしからばどうかという点がちゅうちょされているというような問題、あるいは九州で申し上げますと、日炭高松の海岸に向けての総合開発、こういうものが、北九州の地理的な条件と合わせて、一体どういうふうに総合的に開発する体制を示していくのか、あるいは有明についても技術上の問題がいまございますけれども、これが開発をされるとすれば、三池と含めて、この地域は総合はされませんけれども福利厚生やいろいろな人事配置やいろいろな面でのメリット、こういう鉱区一元化に伴う総合開発計画、こういうもののメリットというものは、やはりいまあげた程度であるわけですから、出てくるのではないか、それと同時に、第四番目としては、管理体制というものが一元化されてくる。これに要している本社経費というものの大幅な削減を考えることが可能だ。この点も大きなメリットとして、私は見のがすわけにはまいらぬと思うわけです。技術上のメリットというものは、わが国の場合には採掘範囲というものがそれぞれブロック別に編成されておりますから、直接技術上のメリットというものは私はそう大きくはないと認識しているわけです。ただ問題は、技術の交流というものが容易に行なわれる、こういうメリットをむしろ考えるべきであって、直接技術上のメリットというものはそう大きく期待できないのではないか、私はこういう気がするわけです。そういたしますと、この反面、マイナス面はどういう面があるのか、こういう議論を私どもは常にしてまいるわけですが、その場合に言われることは、労働問題というものが一番強く言われるわけです。労働問題というものが非常に強く言われるわけです。しかし私は労働問題というのは、これは情勢に対する認識やあるいはまた政策のよろしきを得れば、これはもう安定的な労使関係なり、労働環境というものをつくり上げることは、そうむずかしい問題ではないのではないかという気が実はするわけです。したがって私は、そういう面から考えれば、再編成の方向というのは、むしろ一元化の方向が望ましいのではないか。そしてまたこの一元化される石炭鉱業が持っている技術、こういうものを活用して、海外原料炭確保にも大きく貢献できるという、そういう側面というものを見のがしてはならないのではないか、実は私自身はこういう判断を持っておるわけです。伝えられるところによると、一社化案、三社化案という案もございますけれども、しかし三社化案という一つ考えてみましても、今日九州の場合には、三池、離島の三菱端島、あるいは松島炭鉱、こういう地域で非常に離れている。しかも一般炭の炭の性状から考えて、いずれもサルファが非常に多いという炭が主力になる。こういう点から考えまして、三社化案というのは、感触としては石炭編成一つの有力な案として認識をされると思うのですけれども、私は、実際にこれを内容的に分析をしてまいりますと、案外実情に合わないという面がずいぶん出てくるのではなかろうか、こういう気が実はするわけです。したがって、流通関係が一元化されるということは、石炭鉱業の一元化の方向が望ましいのではないか。むしろそこでデメリットとして、要因として考えられる面をどう一体解明をしていくか、こういう積極的な姿勢に立たれるほうがより望ましいのではないか、こういう私は私なりの見解を実は持っておるわけです。それが国有化形式をとろうが、民間形式をとろうが、そういう前提は別にして、一元化の方向がより望ましいのではないか、こういう感じを実は非常に強くするわけです。それと同時に、各単位炭鉱のライフをずっと分析してまいりますと、当然継続的に採掘できない山が、これは相当程度出てまいるわけですから、そうなってくると、企業の中でこれらのスクラップを行ない、またビルドを行なっていくということについては、より格差というものが増大をしていくのではないか、私はこういう感じが非常に強くいたしておるわけです。そういう意味で、私は、そういう面をあまり政治的にものごと考えるのではなくして、また従来の労働慣行なら労働慣行というものを固定的に考えるのではなくして、体制を変えるとするならば、それに見合った体制につくり直す、こういう非常に大胆なものごと考え方の中で、今後の石炭編成の問題に対処しなければいかぬのではないか、実はこういう気持ちを持っているわけです。もちろん石炭経営者は、それぞれの企業サイドだけで意見を述べて、それが許容できる範囲でのみまとまっているのであって、決してそういう大所に立った判断ではないと私は思うわけです。これから石炭編成に取り組むにあたって、それらの見解について、政務次官からお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  38. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 先刻来非常に貴重な御意見を拝聴いたしまして、たいへん私自身ありがたく思うわけでございまして、御指摘のとおり、私も現下の、いわゆるエネルギー革命下における石炭産業のあり方、最近のことばで言いますと、再編成問題、こういった点については、先ほどからお話がございましたように、やはり原料炭海外依存度比率は年とともに大きくなってくる、こういうことからもうかがわれるごとく、広くわれわれはいわゆる国際的な視野に立って問題を考える、いわんや一企業のサイドでものを考えるべきではない、全国民的経済の視野に立って問題の解決を急がなければならぬ、このように考えるわけでございます。したがって、私はただ単に販売機構の一元化という、でき上がった品物のさばく方法についての問題のみならず、根本的に生産体制の一元化、こういう線に向かって抜本的な対策を急いで、その力はやはり海外原料炭資源にこの国の総力をあげて前進していく体制をつくるべきである、このように考えるわけでございまして、基本的なお考えは全く同感でございます。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員長 次回は、来たる四月三日水曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会