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西家政府委員 本年に入りまして
重大災害が相次いで発生をいたしておりまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。太
平洋釧路炭鉱の落盤
災害並びに大夕張の炭鉱のガス爆発
災害につきまして御
説明を申し上げたいと思います。お
手元に簡単な
資料を配付してございますが、
資料に基づきまして御
説明をいたしたいと思います。
太
平洋釧路炭鉱の落盤
災害でございますが、
災害の起こりました炭鉱名は、太
平洋釧路炭鉱春採坑でございます。所在地は、釧路市春採二百六十、
鉱業権者、太平洋炭鉱株式会社社長寺山朝、
災害発生年月日は、
昭和四十三年一月三十一日十時二十分ころでございます。
災害発生個所は、同坑の東益浦左一片卸八号九番目抜きでございます。
災害の種類は、落盤でございます。罹災者は、係員一名を含めまして死者三名、重傷者は係員一名を含めまして三名、軽傷者一名、
合計七名でございます。いずれも直轄の方でございます。当炭鉱の鉱山
労働者数は、全部で四千二百四十四名でございまして、
出炭は、一日
当たり七千四百トン程度でございます。
災害の概況でございますが、
災害発生個所は、春採坑の連れ卸坑口から七千三百二十メートルの位置でございまして、東益浦区域にございます。
災害の起こりました当坑道は採炭準備卸坑道でございまして、間隔二十五メートルをもってベルト卸と材料卸の平行する本連れ卸の二つの卸からなっておりまして、掘進法といたしましては、材料卸を先に進めておりまして、目抜きは七十メートルから九十メートル間隔にベルト卸から約四十五度の角度で掘進して材料卸に貫通させるような方法をやっておるわけでございまして、貫通した後には引き続き材料卸を先に進めておるようなやり方でございます。以上のような採掘を行なってきましたところが、九日抜きの貫通個所におきましてこの
災害が発生したのでございます。
三十一日の朝の七時ごろに、前日の三番方の機械係員より左一片卸八号九日抜き前が崩落しているという報告がございまして、上席係員でございます係長が、すでに入坑しておりました当部内の担当係員一名と坑員十名を急遽番割りを変更いたしましてそちらに向けたほか、他の現場から応援のためにやはり係員一名と坑員六名を招集いたしまして、当該崩落個所の山固め、仕繰りの作業に従事さしたわけでございます。八時ごろから他の上席係員、もう一つ上の区長が総指揮をとりまして、九日抜き側の一部を含めすりばち状に崩落している個所につきまして——ちょっと最後に図面がございますが、崩落個所がまん中に書いてあるわけでございます。この崩落個所の三方、すなわち左のほうの目抜きと書いてございますほうからと、上のほうの材料卸と書いてあるほうからと、それから奥のほう、いわゆる下のほう、この三カ所からそれぞれ七名、五名、四名がかかりまして、この個所の山固めに取りかかったわけでございます。そのほかに一人仕繰りの担当係員が応援にかけつけまして、この仕繰りの担当員と二、三名の坑員とが長材——レールをかさ木の上に乗せようといたしましたときに二回目の崩落が発生いたしまして、この山固め作業に従事いたしておりましたうち七名が埋没罹災したのでございます。すぐに救出作業に取りかかりましたけれども、三名の方が遺体として収容されたような次第でございます。
災害の
原因といたしましては、この仕繰り作業にあたっての
状況判断の甘さか、または作業手順の誤りか、いずれかによるものと
考えておるわけでございますが、なお詳細につきましては、罹災者、けがをされた方の供述も完全に終わっておりませんので、確実なところはまだわからないわけでございますけれども、大体以上のような
原因というように
考えておる次第でございます。
続きまして、大
夕張炭鉱のガス爆発
災害につきまして御
説明させていただきます。
鉱山坑口名は、大
夕張炭鉱大夕張坑、所在地、夕張市鹿島、
鉱業権者、三菱鑛業株式会社、発生年月日は、
昭和四十三年二月二十八日十六時ごろでございます。発生個所は、奥部第二立て坑の本坑底付近でございまして、特免区域にはなっていない地域でございます。罹災者の数は、死亡者一名、重傷十五名——大体火傷の二度ないし三度の重傷者十五名、計十六名の方々であります。十六名の中には、二名の直轄係員、一名の請負組係員、十三名の請負組夫の方、こういう
内訳になっております。
労働者の数は、当炭鉱では四十二年十一月現在で千八百十七名、
出炭量は月五万七百トン程度でございます。
災害の概況及び
原因でございますが、
災害を発生いたしました第二立て坑は、内径六メートルの人気立て坑でございまして、この人気量は毎分四千五百立方メートルでございまして、従来採掘あとを流送充てんするための材料を一番下の三片坑道を経由して坑外まで搬出しておったのでございますが、昨年
昭和四十二年の十一月二十三日に発生した自然発火の処置といたしまして、十二月五日に三方坑道を水没いたしましたために、立て坑底における同施設の使用が不可能になっておりますので、新たにその立て坑の上のほうのいわゆる木片坑道地並みの立て坑内にチップラーを設置する作業を
実施しておったのでございます。
災害当日は、このチップラー据えつけ作業に三名の係員——この三名の方のうち二人は直轄、一人は組の方でありますが、三名の係員の監督指揮のもとに請負組夫一三名——これは北宝
建設十一名、北菱
建設二名、この十三名の方が従事をいたしておりまして、チップラーの防じんカバーの取りつけ、キブルガイドの取りつけ、チップラー下部の座張り、ロープカプラテンションウェイトの取りつけ等の作業を行なっておりました際に、突然ガス爆発がございまして、前記の十六名の方が罹災したのでございます。
原因につきましては、目下夕張
保安監督署長以下五名の監督官により
調査中でございますが、溶接作業中の火花か、あるいは赤熱いたしました鉱粉によって座張り下の停滞ガスに引火した疑いが濃厚でございます。
災害後の罹災者に対する処置でございますが、二十八日夜、美唄労災病院から院長以下三名、また北大から皮膚科教授以下二名の計五名の医師の来援を請うとともに、美唄労災病院より高圧酸素室を輸送、罹災者の治療に当たったのでございます。
次に略図がかいてございますが、この図面のまん中のちょっと右のほうに第二立て坑と書いてございます。この立て坑のところが
災害個所でございます。この立て坑は人気になっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような相当量の風が坑外から直接この立て坑を通って入っておるところでございます。そこに黒い坑道がかいてございますが、この黒い点はいわゆる特免区域となっておりまして、ガスその他の施設の緩和をしていい地域でございます。その他の白い地域は特免にはなっていない地域でございます。
さらに最後の図面でございますが、最後の図面は、
災害個所をやや詳細にかいたものでございますが、左のほうが当該立て坑の図面でございます。一番下のほうに三片と書いてございますが、この坑道を通じて従来ズリを搬出しておったのでございますけれども、これは自然発火のために三片の坑道の天盤から九メートル上まで水没をさせておるわけでございます。これは昨年の十一月二十三日の
災害の際に水没させたものでございます。したがいまして、この坑道を、その上のほうに本片と書いてございますが、本片の坑道から坑口に搬出させようということで、この本片の坑道の交わっておるところに、チップラー、鉱車をひっくり返す装置と、そのひっくり返されて出たものを搬出するキブルの設置をいたしておったところでございます。その
部分を上から見ましたところが右のほうの図面でございまして、大きなまるが立て坑でございますが、そこに鉱車を持っていきまして、チップラー室がございまして、チップラーのところで鉱車を手前のほうにひっくり返して、ホッパーを通して小さいまるのキブルの中に入れる、こういう
設備でございます。さらにこれを横から見た場合がその右下のほうに図面がかいてございまして、チップラーからホッパーを通ってキブルに入る
状況がかいてあるわけでございますが、ここでこの設置作業の際に——それから一つ忘れましたが、この左のほうの図面の本片坑道から七メートル下のところに線がございます。そこに座張りがあるわけでございます。この下のほうにおそらくガスがたまっておりまして、その上でチップラーの溶接作業をやっておりましたときの火花か、あるいは鉄粉が落ちましてガスに引火したのではないか、こういうように
考えられるわけでございます。
以上で
説明を終わらせていただきます。
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