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三宅委員 通産
大臣は居眠りをしておられたと見えて、話がとんちんかんで食い違っておるのですが、要するに、申しましたことは、そんなことを再々やっておったって時間ばかりたちますが、確かに私は
日本の在外公館というものがまだそういう感覚だと思うのです。
あとから三木君来られたら話そうと思っておったのですけれども、たとえば外務省なんかではひとつ一番素質のいい人を
東南アジアなどに出す。しかもそれだけでなしに、あらゆる在外地に二年や三年で帰るということではなしに、半分ぐらいは、それはそれぞれポストを入れかえてけっこうですけれども、そのうちの半分ぐらいの館員は二十年でも三十年でもその土地におって、その国の
ことばも知り、その国の風習も知り、その国にほれ込んで、その国に骨を埋めるというような外交官というものを配置しなければ、私は
ほんとうの
意味の連携なんというものはできやしないと思うのであります。第一に私は
ことばでびっくりしたんだけれども、
外務大臣おりませんけれども、あなたがとんちんかんな答弁をされたから言うんだけれども、デンマークに行きましたら、デンマーク語のわかる人が大使館員に一人もおらぬというんだ。そんなことで
ほんとうにかゆいところに手の届くような話ができますか。そういう点でも外務省の機構はここでもう一ぺん再検討する必要がある。第一、国際交通路が変わりまして、ソ連へ
日本の直通の
飛行機が行きます。そうしてフィンランドあたりへお客さんがうんとふえてきているのであります。しかるに昔はフィンランドは辺僻の地であまり
日本人が行かなかったから大使館員は非常に少ない。トルコにおきましても、あすこのテヘランへはほとんど
日本人が入らない。イスタンブールへはうんと
日本人が行くんだけれども、大使館のほうはテヘランのほうに十何人館員がおって、イスタンブールには二人しかおりません。そういう人員の配置をしておりますと、
ほんとうにかゆいところに手が届かぬ。
産業、
経済、人間の動きなんというのは変わるものでありますから、そういう点をひとつ直さなければいけませんが、それよりも何よりも、一番根本の問題は、何といっても私は、落ちつかない、エリートのそういう
気持ちがだめだと思うのであります。それに反しまして、
東南アジアで非常に信頼を得ておる人々はどういう人々であるかと申しますれば、お気づきになっておるかと思いますけれども、大使館員や三井、三菱の
諸君ではありません。それは、たとえば農業技術センターに行っております技師の
諸君なんかは、人にもよると思いますけれども、非常な信頼を得ております。たとえば、
インドでは御
承知のとおり上流階級は働かぬことがいいと思っている。そこへ場長でありまする技師が先に立って田植えに入るというようなことは、
インドにおける間違った
社会的な制度を平和的に直す大きな役割りを果たしておりまして、信頼を得ております。また、さらに申し上げますれば、中小企業の技術センターなどへ行っております者、これも人によると思いますけれども、全部が成功しているわけでもないと思いますけれども、こういう人々というのは非常に
向こうととけ込んで、よろしいのであります。さらに申しますというと、カルカッタに
日本山妙法寺というお寺がありますが、その
日本山妙法寺というものは、これもむろん御
承知かもしらぬ、しばしば行かれた
諸君、御
承知かと思いますが、妙法寺は予科練の海軍の人が人生に無情を
感じまして、あそこにお寺をつくっておるのであります。お寺をつくっておりますというと、いま
日本の学生などが無銭旅行で非常に行っておりますが、中には迷惑をかける者もありますが、大使館では、迷惑だといって世話をしません。しかるときはしかるが、ともかく大ぜいが来ているときに、そのうちの一人ぐらいは行き違う者もあるから、かわいがるところはかわいがって、それらを
ほんとうに世話をするという人間的にできた者がおりませんと、外地で
ほんとうの仕事はできませんけれども、その
日本山妙法寺の予科練から出ました坊さんというのは、そういう学生が来れば泊めて世話をする。それが非常に大事なことでありまして、われわれは、旅行に出るときによそで迷惑をかけるような気がまえで出てはいかぬというようなことは内地で教えますけれども、同時に、外地へ出ましたときにはそれくらいの世話をする
気持ちがなければ——閣僚が来たり、国
会議員が来たりしたときには非常にサービスするけれども、学生が来たりなんかして、ちょっと困った者が来ると迷惑千万だというような顔をしている、そういう感覚をもってしては、私は
貧困と無知にいまださいなまれておるところの新しい国々の信頼は博せないと思うのであります。その
日本山妙法寺の坊さんがそういう人でありますから、私がぴっくりいたしましたのは、不可触賤民という一番下の階層がありますが、その不可触賤民のものが日蓮宗に改宗している。
ほんとうにばかにせずに、それこそ——椎名さんよく聞いておってください。ともかく、
日本の商社の人でも大使館の人でも、非常に
向こうは給料が安いですから、五、六人使用人を使っておる。もっとも掃除するのは掃除するの、めしを運ぶのはめしを運ぶの、みんな仕事が分かれておりますからしかたがありませんけれども、使っておるという
状態ですが、それで一番下の層などに対しては、初めから悪いやつだ、ごまかすやつだと
考えて
相手にしない。ところが
日本山妙法寺のその予科練を出た坊さんが非常にそれと人間として対等なつき合いをいたしますから、日蓮宗に改宗をいたしました不可触賤民の
諸君がたくさんあるという話を聞いたのでありまして、私は在外公館がそういう
姿勢をとるような空気に
国内の
姿勢自体がならなければだめだということで申し上げておるのでありまして、それに対して何か聞き違えてとんちんかんな返答をされて、寝ておられるのもお疲れだろうから文句は言いませんけれども、そういう点で私は国の
姿勢を直さなければだめだという、そういうことを申し上げておるのであります。もう一ぺんそれじゃ、だれか閣僚を代表して御答弁をいただきます。