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1968-05-10 第58回国会 衆議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       岡本  茂君    神田  博君       木野 晴夫君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    田中 六助君       二階堂 進君    丹羽 久章君       橋口  隆君    岡田 利春君       佐野  進君    多賀谷真稔君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    三宅 正一君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君    松本 忠助君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         経済企画庁調査         局長      矢野 智雄君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省通商         局長      宮沢 鉄蔵君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君         建設政務次官  仮谷 忠男君  委員外出席者         法務省民事局第         四課長     田邊  明君         大蔵大臣官房財         務調査官    田代 一正君         通商産業省企業         局消費経済課長 谷村 昭一君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 五月九日  委員坂本三十次君、橋口隆君及び山崎始男君辞  任につき、その補欠として石田博英君、篠田弘  作君及び佐野進君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員石田博英君及び篠田弘作辞任につき、そ  の補欠として坂本三十次君及び橋口隆君が議長  の指名委員に選任された。 同月十日  委員武藤嘉文君及び近江巳記夫辞任につき、  その補欠として二階堂進君及び松本忠助君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  割賦販売法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 開会はいいんですが、大臣への質問があるのです。大臣への質問を筆頭にして、それから質問したい。政府委員のほう、そろえていただきたい。
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 速記をやめて。   〔速記中止
  5. 小峯柳多

    小峯委員長 速記を始めて。
  6. 永井勝次郎

    永井委員 ただいま議題になっている法案についてお尋ねをいたしたいと存じます。  大臣お尋ねをいたしますが、いま日本経済活動の領域の中で流通分野はどのような位置づけにあるのか、そうしてその流通分野の中における割賦販売位置づけはどのように把握されておられるのか、それらの点について伺いたいと存じます。
  7. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 流通経済は、国会の消費経済が非常に複雑多岐になるに従って、流通経済もきわめて重要な意義を有してまいりました。それから、割賦販売でございますが、日本はまだ欧米先進国に比較しておくれておりますが、だんだんこの割賦販売というものは進んでまいることになると思います。したがって、割賦販売流通経済における重要性はますます重大になってまいると考えております。
  8. 永井勝次郎

    永井委員 日本重化学工業は戦後特に重点を置いて計数的な振興計画を進めてこられたと思うのです。そういうような点においていまの日本重化学工業は国際的に見ても非常に高い地位にのし上がっておると思うのであります。その半面農業なり中小企業なり、そうしたところが非常なおくれをとりまして、破行的な経済条件にいまあると思うのです。またそうした中で流通分野が非常なおくれをとっておると思うのでありますが、やはり経済全体は過不足なく格差なく均衡のとれた発展が期されなければならない。もし重化学工業が先行しておるとするならば、それにできるだけ早く追いつかなければならぬ。そういう意味において流通分野における流通機構のこれから打つべき諸条件、これからどういう順序でどのように運ばなければならないと具体的にお考えになっておるのか、それを大臣から伺いたいのです。
  9. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 先ほど申し上げたように、急速に日本経済の動向と相まって国民の消費経済というものがいわば非常に進展してまいりましたので、これに伴ってこれを秩序立て合理化する、こういう方向に急速に進むことが要請されておる、かように考えます。
  10. 永井勝次郎

    永井委員 急速に要請されておると言いますが、もし流通分野における数の点から言うならば、私は商店などは世界で最も多い地域ではないか。ただ数が多いだけで質的におくれているというところから、その近代化なり高度化なり、こういうことがいま促進しようとする課題になっておると思うのであります。いま流通面における数が多い、そして規模が小さい、過小過多である。これを近代化する方向として、近代化高度化ということが言われておるのでありますが、そういうものの展望、数はどのくらいならいいのか、質的にどういうような形のものを期待しているのか。たとえばボランタリーチェーンであるとかなんとかいろいろ言っておりますけれども、それは言っておるだけで中身はまだ明確になっておらないと思うのであまりす。そういう点で、流通関係における近代化の具体的な構造改善、そういうものをどのようにとらえ、そしてそれを時間的にどのように運ぼうとしておるのか、その点を明確にいたしませんと、その中における割賦販売位置づけというものがきまってこないと思うのであります。そういう割賦販売の基盤である流通関係において、もう少し明確にしてほしい。
  11. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 産業構造流通部会におきまして、現在の流通界現状に即してこれをどういうふうに把握し、指導すればよろしいかというその基準をいま審査をしてもらっておりますので、近くその結論が出ることを期待しております。
  12. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、まだ具体的なものはないのだ、いま審議中なんだ、したがってその結論を待って事柄を運ぶのだ、こういう段階にある、こういう大臣答弁ですが、そのとおり理解してよろしいわけですか。
  13. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 もちろんそれまでは全部何も手をつけないというのではございませんで、実際の需要に迫られて、商業団地であるとかあるいはいろいろな商店組織化等がそれぞれの分野において自然の要請がございまして、それに応じて役所としても適当なる指導をいたしておりますが、これを全体的に見て、はたしてどういうふうに持っていくのが基本的に正しいのかという点については、十分ひとつ専門家意見等も聞く必要がございますので、ただいまその流通部会結論を待っておるという状況であります。
  14. 永井勝次郎

    永井委員 そうすると、いままでの流通機構についての基本的なものはある。しかしその基本的なものをさらに新しくしていくためにどういう手を打つべきかということについて、いま審議をし、その結論を待っておる、こういう関係にあるのか、基本姿勢は何もないのだ、だから何もないところにこれを立てるために目下検討中である、こういう関係なのか。大臣、単に質問があるから答弁をするという関係ではなくて、日本産業構造をどういうふうにしていくかという基本的な問題は、もうこれは大臣の頭に入っていなければならぬはずだと思うのです。そういうものなしに、出たとこ勝負で、ただその日その日の現象に対して追っかけ回している、こういうことじゃ問題にならぬと思うのです。私のお尋ねしているのは、局長からメモを受けなくたって、通産行政を預かっている以上は、大臣が基本的な姿勢として答弁できる範囲について私は大臣お尋ねをしていると思うのであります。そういう関係がいままであったとするならば、どういうものがあったのか、そしてどういうものの不足を感じて新しく審議を諮問しているのか、その関係をもう少し明確にしていただきたい。基本的な問題ですから、当然頭になければならぬはずだと思う。
  15. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御承知のとおり、われわれは一個の消費者としての立場から見ましても、各小売り店のほうで人手不足に悩んでおる。それからまた交通が非常に激甚と申しますか、非常に混乱してまいりまして、なかなか買いものなんというものもそう容易じゃない。場合によっては命がけで買いものをしなければならぬというような状況にもあります。こういうような状況において、消費者として何が一番便利であるか、そういう点から考えても、現状のままではこれは許されないと思うのであります。そしてまたいろいろな技術革新の世の中でございまして、いままでは簡単な知識でよかったが、それだけではなかなか足りない、消費者としての一応の商品に対する知識、識別の能力というものも備えなければならぬ、こういうような状況がわれわれの社会生活から、そういう新しい時代に即する要請というものが生まれてきておる。これに即して、あるいはボランタリーチェーンであるとか、あるいは商業団地であるとか、あるいは共同化、協業化といったような商店の運動も自然に起こってきております。それで、これを現状のままでいいかと言いますと、私はまだまだこれは現状のままでは満足できるものではないと考えます。これはただ業界消費者との問の相談とか、なんとかというようなこともさることながら、これを今度は実行に移して推進するという力もそこに出てこなければならぬ。こういつたようなことについて総合的にひとつ判断してもらう。そして大都会においてはどう、小都会においてはどう、いろいろな場合を想定して、これに適応した今後の流通機構というものの秩序組織というものをどういうふうに考えたらいいかということをいま流通部会に求めておるのでございます。
  16. 永井勝次郎

    永井委員 大臣答弁現象的な面だけのなにで、基本姿勢としての答弁ではないと思うのです。たとえばいなかのほうの人口が減った、過疎になった、それに適応する流通機構はどうなるかというような問題、あるいは住宅団地が郊外のほうにできる、そうすると食料品その他の関係はそのアパートの周辺にできていかなければならぬ、そういうような関係、したがって町の中には、都会の中には身回り品、衣料であるとかそういうものが中心になって、食料品その他は住宅地周辺に配慮される、そういうのは一つ現象であって、一つ政策では私はないと思うのであります。流通機構をどうするのか、重化学工業振興発展あるいは日本産業構造近代化、あるいはそれの高度化、そういうものの中における流通役割りはどういうふうなものになっていくのか、そしてその流通均衡のとれた紐帯としていくためには、どういう機構構造が必要かということが、私は基本的なものであろうと思うのであります。そういう点を私は聞いているので、現象面を聞いているのではないのであります。もう一度、基本姿勢がないならないでけっこうでありますから、いまの日本経済近代化に伴う流通機構近代化というのはどうなければならないのか、いままでこういうものがあったがこれでは対応していけないのだ、だからその足らない部分をこういうふうにやるんだというなら、そういうふうなことでけっこうですが、私はその点をもう少しこれから具体的にいろいろ話を進めていく上における前提条件として必要でありますから、大臣に聞いておるのであります。現象面を聞いているんじゃないのであります。
  17. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 流通は今後どうあらねばならぬかというようなことは、学問的体系もございましょう。これは社会主義国家自由主義国家ではまた行き方が違うように思われますが、まだそこまでの私は勉強をしておりませんで、ここでどうあらねばならぬかという体系的なものは実は持っておりません。
  18. 永井勝次郎

    永井委員 持っていないということなれば、質問してもこれはらちがあきませんから、話題を変えます。  そういたしますと、この割賦販売のやり方というのは、流通機構の中の一つの問題として取り上げているのか、あるいはそれとは別個に割賦販売割賦販売としての関係でこれはお取り上げになっているのか、その関連、関係を明確にしてい一ただきたいと思います。
  19. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 割賦販売制度は、これは自然発生的に出てくるものと思われます。これを先進国の行き方をまねるわけじゃないけれども、だんだんこういう方面に対する、実際の生活からこれに対する要請なり注文なりというものが起こってきておりますが、こういったような実際の現象をとらえて、そしてその間にかもされるいろいろな弊害、そういうものをなくする、そして本来消費者が何を希望しておるか、何を願っておるかという点を十分に考慮しながら、この秩序をだんだん整えていくというのがこの割賦販売制度のわれわれの考えておるねらいである、かように考えております。
  20. 永井勝次郎

    永井委員 私のお尋ねは、流通機構近代化施策一つとして取り上げているのか、一般流通機構近代化の中の位置づけがどうなっているのかということを聞いているのです。
  21. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 もちろん現実に起こっておる流通機構の一現象としてこれをとらえております。
  22. 永井勝次郎

    永井委員 割賦販売流通機構の中の主要な部分として取り上げておるとするならば、割賦販売は今後大いにこれを拡大し、振興し、そうしておくれている部分を補強していくのだ、割賦販売は大いにこれは奨励していくのだ、そういう御意思なのかどうか。
  23. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 割賦販売を特に消費者に対して奨励するというような考え方は持っておりません。実際の社会動きというものをよく見つめて、そして将来割賦販売というものは、まあおそらく現状よりももっと発展、普及するであろうとは考えておりますけれども、政策としては特にこれを普及しようという政策ではない。ただ、これにてんめんするいろいろな諸弊害をなくしていこう、秩序を立てていこう、こういう考え方であります。
  24. 永井勝次郎

    永井委員 割賦販売現実の問題の中で何が一番大きな問題として施策の中で取り上げられておるのか、その現状をどう把握されて、問題をどうつかんでおられるかということを明確にしていただかなければ、政策方向が見定めがつかないと思うので、問題点をどういうふうに政府はつかんでおるのか、明らかにしていただきたい。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 割賦販売の施行後まだ年は短くございますが、耐久消費財等を購入する場合にいろいろな、従来はものをまず受け取って、そしてこれに対する支払いをやっておった。しかしいまさしあたり必要ではないけれども、手元に十分に用意して、そして品物はあとから、こういうような需要も相当に出てきているので、この問題を取り上げて、そしてこれに秩序を与え、諸般のよって生ずる弊害というものを除去していこう、こういうのが今回の提案の理由でございます。
  26. 永井勝次郎

    永井委員 私は、割賦販売問題点は、ものの流れの面と金融の面と二つに分けて、混淆させないように、これが混在させないように区分して考えていかなければならないと思うのであります。そしてまた経済の面と、売らんかなという一部の浪費攻勢をかけておるというような、社会的な問題としても、これは割賦販売環境として私は取り上げなければならない諸点であろう、こう思うのであります。そういう点から見まして、ものの流れの面においてどういう点がいま割賦販売の中で問題として取り上げられているのか、それを具体的に示していただきたい。もし大臣でおわかりでなければ局長からでけっこうであります。
  27. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように割賦の問題といいますのは、今回の改正におきましては前払式弊害が非常に出てまいりましたので、それを正す、こういうのが趣旨でございますが、根本的に言いますと、日本ではやはり割賦販売が相当普及してくるだろう、こういうように思います。その過程におきまして金融問題あるいは販売のあり方の問題は、流通機構の非常に大きな部門として全般的に検討していかなければならぬ、かように考えております。先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、流通機構全体の問題は今後検討しよう、その中の大きな項目としてそういう基本的な問題は検討してまいりたい、今回の改正ではそれは間に合いませんでしたが、そういう問題があるということはわれわれも十分認識して努力している次第でございます。
  28. 永井勝次郎

    永井委員 商品を流す場合において現在問題になっているのは、先日参考人質疑の中にも堀君からいろいろ提起されましたように、一体商品価格が妥当なのか妥当でないのか、非常な格差がある、そういうものの整理が私はまず第一に取り上げられなければならない問題ではないか。消費者の側からいえば、商品知識はそうないのでありますから、それがほんとうに妥当なものであるのかどうか、これがわからないのであります。そういう意味において、流していく場合の取引の起点に立つ商品価格というものに対して、今日のような非常な格差がある、そういうものを一応適正な、消費者にとって善意のコスト、その他販売価格というものを整理する環境を整備する、そういうようなお考えがあるのかどうか、伺いたいと思います。
  29. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘の点は二つの問題があろうかと思います。一つは、価格統制するかどうか、(永井委員「いや、統制じゃない」と呼ぶ)突っ込んで言いますとそういうような問題もあろうかと思いますが、現在のわれわれの気持ちといたしましては、やはり自由競争によって価格をできるだけ低位安定に持っていきたい。その過程におきまして、先般も御指摘になりましたように、非常に定価を高くつけておいて、現金の場合は非常に割り引くとか、消費者の目をごまかすと言ったら言い過ぎかもしれませんが、理解に苦しむような価格つけ方という問題がございます。そういう問題は、消費者現金の場合、割賦の場合もう少し選択できるように、その価格信頼性が置けるように日本商慣習を変えていかなければいかぬ。先進諸国におきましてはそういう価格体系になっておりますので、そういう点はわれわれとしては今後十分勉強もし業界を指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  30. 永井勝次郎

    永井委員 割賦販売の発生からそれが広がっている経過から見て、消費者の側からの要求によってこういうものが生まれてきたのではなくて、メーカー側なりあるいはディーラーなりが売らんかな、どんどん売るのにはどうしたらいいか、現金売りだけではなしにこういう方法でということで生まれてきたのが割賦販売の歴史である。そういう意味から、これは内容としては消費者の側の利益を守っていくという条件内容として運営をしていきませんと、一方的な押しつけが起こっていく。ことに日本経済関係において不整備な条件の中でまねをして割賦販売が出てきた。そういう中で業者の一方的な攻勢の中で消費者が押し流されようとしているのが、私は現在の正しい取り上げ方である、こう思うのであります。  そういたしますと、取引のいろいろな段階でいろいろの問題はありましょうが、まず品物の原価がコストの上から見て妥当な価格になっておるのか、あるいはほしいという気持ちを刺激しておいて高いものを売りつける、インチキなものを売りつける、そういうような動きが現在の割賦販売の実情ではないか。一部の商品、一部の業態を除いて全般的にはそういうことが言えるのではないか。そういうことが一つ弊害として現実にあるとするならば、そしてまた先日来堀君等から御指摘のように、調べてみても現実に非常な格差がある。こういう事実がある以上は、商品価格統制という問題ではなしに、消費者にかわってこれが運営にあたって適正な幅を持たした価格適正価格というようなものを指導していく、そういうものを明確にしていく、消費者がそれを判断していける、こういう条件をつくることが必要ではないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょう。
  31. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように消費者が選択しやすい条件をつくっていくということは、私は割賦販売過程においては非常に大事な問題であろうかと思います。そういう意味におきまして、できるだけ業界をそういう線で指導してまいりたいと思いますし、今回の改正におきましても前払式の約款につきましては一応の基準をつくって、それによって許可するということもそういう趣旨でございます。それと同時に、私ども非常に大事だと思いますのは、先ほどもちょっと御指摘がございましたように、消費者現金で買うかあるいは割賦で買うかというのは選択になっておりますが、現金で買う能力がないというところがやはり一つ問題点だろうと思います。割賦現金価格が非常に違います場合は、消費者が力があれば現金で買うということが自然にできる、業界も自粛する、こういう形になるわけでございます。そういう意味消費者金融という問題がもう一つのてことして今後非常に大事になってくる、そういうものをあわせまして御指摘趣旨に沿ってわれわれはだんだんやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますと、価格については基準をつくる、そういうふうに聞いたわけですが、そういう点を指導するというか、具体的にはどういうふうになさろうとするのですか。
  33. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 先ほども申し上げましたように、たとえばミシンでいってこの価格が適正であるという基準をすべての物品につきましてつくる考え方は、現段階ではございません。そういう意味で申し上げたのではなくて、定価と実際の現金売りが非常に違っておる、定価の二割、三割引きというのが横行しておるような場合に、できるだけ実際に売る価格定価を近づけていただきたい。あるいは現金価格割賦価格が非常に差がある、それが合理的な差ならけっこうでありますが、そうでない場合に、普通経費としてはこのくらいが基準だからその差額はこうだというようなことを考えておるわけでありまして、価格統制までいくつもりはございませんが、少し価格体系を明朗化していく、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 いろいろな当局の施策というのは、立法の場合あるいは運営の場合、問題が提起された場合は消費者のことを十分に考える、こういうことばとしてはあるのですが、実際において消費者立場が十分に守られておるという事例はまことに少ないと私は思う。たとえば防腐剤その他の薬剤を入れてはいけないという基準がありましても、それがうっかりしておるとその基準を越えてどんどん行なわれておる、あるいは商標の関係インチキなものがあってもそれが堂々と押し渡っておる、あるいは色素を食料に入れてはいけないということは十分わかっておるのにそれが放任されておるというふうに、日本商品関係というものは非常に乱雑です。そうしてほったらかしにしておる。買う者が悪いと結局は消費者の責任に帰されておる、ほとんどこういうふうな関係にあります。消費者の利益がほんとうに正しく守られるというような条件は確立されておらない、私はこう思うのであります。割賦販売の場合は、ことに現金では買えない、だから割賦でもほしい、そこにほしいという欲を消費者に発動させておいて、そうしてこうなればこうなるのだ、こういうふうに見せられても、ほしいということが先に立っておるのですから、その場合は少々の不利益な条件がありましても取引が行なわれていくということになっていくので、割賦販売の成立の歴史的な経過から見て、消費攻勢をかけているわけですから、その中で正しい消費者の利益を守るというなら、そういう消費者のほしいという欲望を冷やすような、また冷やさなくとも十分に正しい取引ができるような条件を整えてやるということが消費者に対する正しい方向だ。その意味において、まず出発点は商品価格がこの場合現実に問題になると思うのです。その意味において、この場合、この法案は前払いに対する規制の問題でありますけれども、割賦販売全体の問題として考えていきますならば、そういうことを基盤としていろいろな問題を考えていかなければならぬと思うのです。その意味では価格について統制をしたりあるいは自由に競争させるという条件を残すことも必要でありますが、競争する土俵をつくってやるということは当然考えてしかるべきだ、私はこう思うのです。そうして取引関係においては何ヵ月割賦の場合はこうだ、何ヵ月の場合はこうだ、あまり長期のものはいけないというふうにルールをきちっとつくることが必要だ、こう思う。その出発点としての商品価格、こういう問題を私は重視したい、こう思うのです。
  35. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように、同業者あるいは消費者から言いますと選択の問題でございますが、そういう自由競争の土俵をつくってやる、合理的な土俵をつくるということは、私は今後の流通機構の問題では非常に大事だろうと思っております。特に、消費者行政につきましておしかりも受けましたが、私ども全体的な考え方といたしましては、御承知のように日本も国際経済に突入をいたしております。先進諸国経済のあり方というのは、つくるだけでなしに、いかに消費者に満足してもらえるか、そこでやはり勝負がきまるわけでございます。   〔委員長退席、中川(俊)委員長代理着席〕 したがって消費者行政という意味は、企業がやはり競争して強くなるという意味でも私は必要ではないか。そういう意味で産業政策全体の中に取り込みまして、まだ不十分な面はございますが、消費者基本法もできた段階でございますので、今後不備な面は補って、十分やってまいりたい、こういう気持ちでございます。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 いまのところ年限は大体どのように考えておりますか。四十ヵ月というようなものもあるようでありますが、大体のめどはどういうところに置いているのか伺いたいと思います。
  37. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 普通の、いわゆる広義の割賦の場合と、御承知のように前払いの場合は違っております。前払いの場合は比較的期間が長うございますが、普通の割賦は大体十ヵ月から二十ヵ月程度が普通でございます。もちろん金額の張るものについてはどちらかというと長いということでございますが、自動車につきましても二十ヵ月前後ということで、普通の割賦につきましては、そういうようにあまり長期にわたらないような指導をしてまいりたいと思います。ただ、それをやります場合には、いろいろな客観条件を整備する、特に前払い等につきましては、やはり金融の道を考えていくということがあわせて必要である。そういうものとあわせて、御指摘のような点についてはだんだん指導してまいりたい、かように考えております。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 割賦販売における信用調査の問題がもっと合理化されなければならない。いま悪いやつの分を善良な者がかぶっておる。それによるリスクが善良な者に地ならしされておるという分が多いと思うのです。したがって、割賦販売を正しいレールに乗せていくというためには、基礎としての信用調査の組織整備が必要だ、こう思うのですが、いまのところは、自分のところで引っかかったら、それを黙って隠して、しゃくにさわるから隣の相手にも紹介して引っかけさして、これであいこだ、こういうようなことが慣例のように行なわれております。ばらばらな形でみんな手持ちしてやっておる、これをもう少し組織的に信用調査をレールに乗せる、それを急ぐ必要があると思うのですが、それについてはいかがでありますか。
  39. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のとおりだろうと思います。御承知のように業界は非常に苛烈な競争をいたしておりますので、なかなかいまのような情報を交換しない、したがらないというのが実情でございますが、   〔中川(俊)委員長代理退席、委員長着席〕 先般も御説明申し上げましたように、日本割賦協会におきまして情報交換所というのを発足さしております。東京地区だけでございますが、現在でも十数万件のブラックリストをお互いの協力によって提供しておるという段階でございます。そういうものを今後十分強化してまいりたい。信用調査というのはやはり割賦金融の基礎だろうと思いますので、真剣に検討してまいりたい、かように考えております。
  40. 永井勝次郎

    永井委員 あとのほうでちょっと聞きたいと思ったのですが、大臣が十一時半に退席されるそうでありますから、中断して繰り上げて聞きたいと思います。自動車エンジンの自由化を来年やるということをきめておるということでありますが、私は割賦販売については将来自動車が一番日本の手ごわい競争の相手になってくる、こう思います。そういう点について割賦販売との関連の中でどのようにお考えになっているのか。  それから豪州向けの自動車の輸出が、向こうの値上げ要求によりましていろいろ問題になってくると思うのですが、自動車関係についていま国際的に起こっているいろいろな条件について、ひとつ時間の許す限りにおいて、知っている限りにおいて御答弁をいただきたいと思います。
  41. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 エンジンの自由化問題については、かねがねアメリカ等から熱烈な希望がございますが、日本の国内情勢は、これはまだ許す段階ではない。自動車そのものじゃなくてエンジンだから、こう言ってこれを自由化するということは、いまの段階では、これはちょっとほとんど同じようなものでございますから、これを考えておりません。  それから、豪州向けの自動車の輸出値段の問題については、新聞でも御承知のとおり大体話がついております。なお、詳しいことは局長から申し上げます。
  42. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 自動車エンジンを中心としました部品の自由化問題は、これは非常に重要な問題でございます。特にそれが外資のノックダウンあるいは資本自由化に結びつくという問題がございます。その過程におきまして、御指摘のように、日本割賦販売金融制度が軌道に乗っておりません。そういうあらゆる条件考えました場合に、この部品の自由化については相当ほかの制度等の整備を見まして慎重に検討すべき問題である、かように考えております。したがいまして、何か来年からやるような記事も出ておりましたが、通産省としては軽々にきめておるわけではございません。今後慎重に検討しようということにしております。  それから自動車につきましては、今後輸出産業として相当伸ばさなければならぬと思いますが、豪州関係でああいう問題が起こりましたが、これは大臣が御説明しましたように、ある程度輸出価格を引き上げるということで向こうの了解を得ております。今後輸出をする過程におきまして、対外的にいろいろな問題が出てまいろうかと思いますが、国内情勢と対外情勢をにらみ合わせて慎重に検討してまいりたいというのが現在の段階でございます。
  43. 永井勝次郎

    永井委員 割賦販売を正常に伸ばすために、そうしてその割賦販売運営の中で消費者が不当な被害を受けないためには、まず出発点として商品の値段を消費者が判断できるようにそういう条件を整備すること、それから何ヵ月月賦あるいはこの期限のいろいろな条件の中でどのくらいの一定の率か、はっきりと計算できるような比率の基準を明確にすること、それから信用調査を明確にして、ずるいやつのリスクを善良な者がかぶらないようにすること、そういうことを商品流れにおいて消費者立場考えていかなければならない問題だ、私はこう思うのであります。その意味において契約書その他にもみんなが守るべき条件というものを明確にする必要がある。いますぐにそういうことができないにしても、そういう方向を指向して整備を急ぐ必要がある、こう思うのですが、そういう御意思があるかどうか。
  44. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 割賦販売全体についての御意見でございますが、私どももさように考えております。そういう方向で、今後全般的な問題として、しかも流通機構の一部門として十分研究し努力してまいりたい、かように考えております。
  45. 永井勝次郎

    永井委員 次は、金融の問題ですが、大体私の質問が一時間ということでありますので、また具体的な質問者がみんなあとに控えていますので、私はみんなの質問関係なくと思いまして、総論的な問題だけにとどめておきたい、こういうことで質問をしておるのであります。この金融の問題について、大体アドオン方式という方式で金利その他を計算しているようでありますが、私はアドオン方式というのは実に消費者をごまかした悪どい高利貸しのような計算の基準だと思うのでありますが、日本の場合もこのような大体アドオン方式というものを認めていくというお考えでありますかどうか。
  46. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘の点も、非常に重要な問題であろうかと思います。御承知のように、アメリカにおきましては、いい悪いは別にしまして、現在までいわゆるアドオン方式をとっております。何もアメリカのまねをするというわけではございませんが、現在の段階ではそういうことでございます。ただ、アメリカにおきましても、これでは少しまずいのじゃないか、もう少し勉強すべきじゃないかということで、金利の標準のしかたというのを研究しておるようでございます。ただ、元本が減ってまいりますので、実効金利ということになりますと、非常にややこしい計算になるわけでございます。したがって、そういうものを表示して、一体消費者が理解できるかどうかという問題があるわけでございます。われわれとしても今後十分どういう形がいいかというのを、専門家に集まっていただいて研究してもらうつもりでございます。
  47. 永井勝次郎

    永井委員 大蔵省の田代財務調査官見えておりますね。  割賦販売の問題を正しく運営しますためには、消費者金融の問題が整備される必要がある、私は、こう思います。それから、いまの金利の計算方式についても私は正常なルートに乗せる必要がある、こう思うのであります。また、頭金なり前払いの問題についても、私は金融秩序を確立するという立場から見て、この問題についてもいろいろ問題があろうか、こう思うのです。そういう意味において前払い方式における残高の問題積み立ての運用問題について、どのように大蔵省は考えておるのか。また、アドオン方式のような、高利貸しのようなこういう計算について、金利の統制の上から見て、大蔵省はどのように考えておるのか。私はこれについて答弁をいただきたいと思います。
  48. 田代一正

    ○田代説明員 二点御質疑がございましたので、順次申し上げます。  一つは、銀行の行なう消費者金融という問題でございますが、これは二通りございまして、割賦販売という形でもって購入したいという消費者自身に金融を与えるというやり方と、それから割賦販売自体の仕事をやっておる業者に金融を与えるというやり方と両方ございます。そこで参考までに申しますと、後者、つまり割賦販売業者に対する貸し出しでございますが、これが、都市銀行、地方銀行、長期信用銀行、相互銀行を入れまして四十年の十二月末でもって六千百三十億円、それが二年かかりまして四十二年の十二月末におきましては九千百九十三億円ということであります。これは総貸し出しに対するウエートで考えますと、昭和四十年十二月末は、二・五五でございました。それが四十二年十二月末には二・八八ということで、金融機関はこの金融には相当力を入れておるということであります。それから同時に、個人消費者直接に貸し出します消費者信用でございますが、これは合計いたしまして、昭和四十年の十二月末には七百六十三億円、それが四十二年の十二月末には二千三百四十一億円ということで、四十年十二月末には、総貸し出しに対する割合が〇・三二%でありましたのが、四十二年には飛躍的に上がりまして、〇・七三%ということになっております。しかほどさように、消費者金融におきましては、現在金融機関といたしましても、扱い業者なりまた消費者個人に対する融資が非常に盛んに行なわれておるわけでございます。そこで御参考までに申しますと、永井委員も御存じのように、現在金融制度調査会におきまして、昨年の秋以来一般民間金融機関のあり方についてということをテーマといたしまして、現在審議中でございますが、先般、まずその一次的な問題といたしまして、中間的な意見の表明がございました。その中にも今後消費者金融とか住宅金融とかいう点につきましては、民間金融機関の資金繰りの緩和と相まって、その資金運用面において大きな比重を占めてくるだろう、またそうすべきだろうということが述べられております。したがいまして、金融機関としましてはそういう方向に向かっていくのではないかというぐあいに考えております。  それから第二点の金利、アドオン方式というお話がございました。私も実例を一、二見たのでございますが、現在金融機関でもそういった形でもって、さっき申しました個人の消費者に対する、これはメーカーとタイアップした形になっておりますが、そういう形でもって融資をいたします。たとえばピアノローンとか、そういう式のものがいろいろあります。その場合にももちろんアドオン方式をとっておる金融機関がございますが、その場合、われわれの金融機関に対するものの言い方としましては、アドオン方式でいくと、表面は六%であるけれども、実質は一〇.三%であるとか、両方の表示をお客さんにしなさいという指導をいたしております。ですから、そういうものに加わるという場合には、そういうものをよく御存じの上でもって実際銀行から金を借りるというような形に相なるわけです。
  49. 永井勝次郎

    永井委員 日本割賦販売については基盤が不整備のまま突入して、いま言ったように金融その他があるにいたしましても、これは組織化されたものではなくて、個々ばらばらであり、ことにメーカー本位の、メーカーを主体にした金融で、いま消費者と言いましたけれどもそれはメーカーの裏づけとしての消費者金融でありまして、そういう関係をもっと整備しなければいけない。個々ばらばらな金融の実績はありましても、それが組織化されたものになっておらない。それを組織化することが必要であろうと思いますので、組織化された場合、金利その他の計算方式については一つ基準を設けて、消費者にそれがかぶることのないような条件を整えることが必要だ、こう思うのですが、こういう条件の中で、外国から自動車が入ってくる、あるいはクーラーが入ってくる、こういう国際競争が日本の国内にきびしく入ってきた場合、そういう面で対抗していくためには具体的にどういう手を考えておるのか。そして競争の中においてどういう不利な条件の中に日本が置かれておるのか。クーラー、それから自動車について具体的な事例をあげてお答えをいただきたい。
  50. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように、割賦販売金融というものを総合的に制度化していかなければならぬというのは全くそのとおりでございまして、先ほど大蔵省のほうからちょっと御説明がございました金融制度調査会でもその問題が出ております。われわれのほうはより具体的な問題といたしまして、業種のヒヤリングもやりまして、どういう業種についてはどういう金融制度がいいだろうかといういろいろな御意見もございますので、割賦販売審議会でこの問題を重点的に取り上げてまいりたい、その目途といたしましては、一年以内に結論を出して金融制度調査会とのすり合わせも完了したい、かような意気込みでいま取り組んでおる最中であります。その過程におきまして、金利の表示等の問題につきましては十分制度として今後研究してまいりたいと思います。  それから、外資との対抗の問題が自動車、クーラー等について出ましたが、まずこの割賦販売金融制度というのを軌道に乗せる。といいますのは、販売関係におきまして一番有力な武器といいますか、になりますのは資金でございます。外資は豊富な資金を持っておりますから、やはりこれに対抗し得るだけの制度をつくるということが必要だろうと思います。  それからもう一つ大事な問題は、そういうようになりましても金利水準の問題がございます。金利が高いという問題があろうかと思います。したがって、これは部分的に金利をどうするというわけにはいきませんが、金融制度調査会あたりでも、この金利水準をどういうふうに持っていくか、あるいは流通金融のウエートをどういうふうに持っていくか、十分御審議をお願いしたい、かように考えております。特に、われわれが今後注意してまいらなければいけないと思いますのは、外資との関係でございますが、たとえば御指摘のルームクーラーその他におきましては、非常に豊富な資金を持ってきて、割賦条件をゆるいもので売り込んでいく、ある段階になるとまた正常に戻すというように、お客をとるためにいろいろな過当販売というようなことも行なわれやすい、こういうように聞いております。したがいまして、そういうものを防止するためには、今後適正な割賦販売条件をつくって、これをできるだけ守っていくというようなことも外資対策としては今後必要になるのじゃないかというようなことを考えておるわけでございます。
  51. 永井勝次郎

    永井委員 これで質問を終わりますが、メーカーとディーラーとの間における明確な区分、また商品価格についての出発点の問題、あるいは金融における消費者金融の確立、そういう金融を確立していく場合に、金融全体の基盤としては、いま局長のお話のように金利が高いという問題、これはその部分においてだけ安くするということはできないので、全体としての金利体系のコストを下げなければならない。コストを下げるという問題になれば、これは金融機関の合併、統一、こういう体質改善から始めなければならない問題であり、また割賦販売を正しい方向に持っていきますためには、全体としてのその基盤としての流通機構の整備が確立されてこなければならない問題だ、こう思うわけであります。そうして割賦販売の場合、金融商品とは明確に区分する方向で問題を発展させなければならない。でありますから、前払い等の問題は、これはやはり専門の金融機関の中で扱うべきものであって、メーカーの中で品物金融とをチャンポンにして、どっちにウエートがかかっているのか消費者のほうではっきりわからないような形であいまいな運びをすることは正しくない。ですから、前払いは現在の段階ではやむを得ないとしても、こういう法的根拠を与えて将来前払いを大いに整備していく、そういうものを発展させていくというようなことには、私は原則として反対であります一  それから、この問題を正しく発展させますためには、環境としては消費者商品知識なりあるいは自分の生活設計について、力以上のことをしてはならないという節度のある消費者生活設計というものを整えさせていく、そういう教育活動が一面に行なわれなければならない。また、現在ある割賦を扱う商店、メーカーなりあるいはディーラーなりをそのまま網羅的に安定させる方向ではなくて、私は一定基準、適正規模というものはやはりあると思うのであります。適正規模を持たない条件を、網羅的に弱いものを全部安定させるという底辺に置いて考えますと、条件のいいところはもうけ過ぎる、こういうことになるので、割賦販売の今後の整備については、単に三分の一の保証金を積むという認可の制度だけではなくて、一定基準を備えるという経済的な条件を整備させる、一定規模を持たせるということが必要ではないか。これは私見でありますが、そういうことから出発していきませんと、乱雑にできてしまったり、あとまたそれを整備するというときにたいへんな手間がかかる。もうわかり切った経済上の問題でありますから、経済条件を整備させて出発をさせる、こういうことが必要だと思うのであります。  たいへん質問が抽象的でありましたけれども、具体的な問題は避けて総論をするということで、一応私見を加えまして私の質問を終わります。
  52. 小峯柳多

    小峯委員長 堀昌雄君。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 今度の法律で前払式割賦の契約の。いターン、モデルをつくる、標準をつくるということで、ちょうだいをした資料の参考に、前払式割賦販売契約約款の標準例、こういうのが出ていますね。これは要するに、皆さんとしては今後の前払式割賦販売契約約款をこの方向に行政指導をしていきたい、こういうことだと理解をしますが、これでいいですか。
  54. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 そのように考えております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでお伺いをいたしますが、この問ミシン協会の会長に来ていただいて、実はミシンの価格を伺いました。そうすると、小売りが受け取る卸売り価格は、いま問題になっております五百円を三十六ヵ月かけるという前払い方式では一万八千円というのが三年後の価格になっておるわけですが、そのものの卸売り価格は一万五千円、現金正価が二万三千円、月賦価格が二万七千円、こういうお答えがありました。  そこで実は、これを違約金の面で見ていきますと、今度の皆さんのルールによりますと、   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕 違約金といいますか、払い込んでおきながら途中で解約した場合に返してもらえない費用が、一回から三回まで計算をしますと、三回目で千五百円を払い込んだ、そこで解約をすると、千三百円違約金というか手数料でとられるということにこの模範例はなっているわけです。それから、六回目ですと、三千円払って二千百円というのが違約金というか手数料でとられる。これを皆さん方は認めておるわけですね。この認めておる根拠は一体何なのか。三回目で千三百円の手数料、六回目で、三千円払って二千百円とられてしまうわけですから、九百円しか返してもらえない。この二千百円というものは一体何から出てきたのか、これをちょっと明らかにしていただきたいと思う。
  56. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 私の先ほどの申し上げ方が少しことばが足りなかったかと思いますが、基準約款の中に違約金の表がございます。これは先般も申し上げましたように、過去の実情を私どもの気持ちとしては相当切ったところで一応一例として示したわけでございますが、今後具体的にやります場合はこれに拘泥いたしておりません。業界の実態をもう少し調べまして合理的なものにしたい、そういう努力をしたい、こういうことを考えておりますが、その点は先ほどことばが足りませんで、御了承願いたいと思います。  それから第二の御質問の点の、どういうもののためにこういう形になるかということでございますが、項目といたしまして現在検討いたしておりますのが販売手数料、これは大体業界の実情を聞きますと、八回目までくらいその費用がかかる、こう言っております。これが正しいかどうかは今後もう少し検討してまいりたいと思います。それから集金手数料という項目がございます。   〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕 これは最後まで一回あたり絶対額同じで費用を計上せざるを得ないと思います。それから契約書をつくります場合の事務費がございます。これはわずかのものでございますが、一回目だけでございます。そのほか直接管理費という費目がございます。これもある点においては必要かと思いますが、これをどれくらい計上するかということは、その業界の実態にもよりましょうし、非常に問題のあるところでございます。こういう点は今後十分検討してまいりたいと思いますが、費目としてはいま申し上げた四つの点でございます。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私これを見ておりまして、あるA、B、Cというミシン会社の皆さんの約款を出していただいているわけですが、他の約款では三回目までは千五百円までは全部持っていくということに実はなっておるわけですね。皆さんのほうの場合でいま計算をいたしましたら千三百円ですから、二百円だけここヘバックペイが出てくる、こうなるわけですが、最初にこれだけとるということは、私は要するにセールスのあり方に問題がある。セールスに歩合金か何かがおそらく出ていて、前払い割賦をとってきたら、そのとってきたものに対して幾らか歩合でこれを渡す、ここに問題があると思うのです。だからここはしょっぱなが非常に高くなっている。この問題は、実は私はすでに大蔵委員会で生命保険問題について長く問題を提起してやってきたわけです。それはどういうことかというと、いま日本の生命保険の場合でもそうですし、おそらくこの前払い割賦の問題も、この間伺ったら途中解約になるのが二〇%くらいある。それから現金で買うことになるのが一五%くらいある。最後まで払うのが二〇%くらいだ。ですから五五%、約半分くらいのものはいまの形になってあとの半分は月賦にいくんだ。こうなっているもとはどこにあるかというと、実はセールスが正確にいろいろなことを消費者に対して話をしていないのじゃないかと私は思うのですよ。セールがほんとうに正確に話をして、得心をしておれば最後まで払うはずなんですが、それが途中でこういうふうにみな解約をしたり、チェンジをしていることは、セールスのあり方がフェアでない。なぜフェアでないかというと、そのセールスたちは歩合制によって、一つとってきたらともかく幾らか金になる。おそらく千五百円、ここでぽんといっている以上、一万八千円くらいの品物ですから一件あたり千円は歩合というか、一件とったら千円はふところに入る。だからともかく一日に十件、うまいことごまかしてもいいから、何でもいいからうまいことだまして、比較的無知でそうして生活の低い、乏しい低所得の人たちからうまくごまかして契約をとるということの結果がこのあとの状態になっているのじゃないか。だからまず、この最大の問題は、生命保険における問題と同じように、これの外務員といいますか、セールスの問題に非常に重大な問題があって、それを担保するために実は違約金の形がこういうかっこうになっている。これは私はずっとこの問からの話を伺いながら感じた。前払式割賦消費者に対してきわめて不利な問題を与えておる最大の問題点だ、こういうふうに私は感じますが、その点、企業局長どうですか。
  58. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のとおりだろうと思います。最近企業経営といたしましても、できるだけ固定給のものを広げるという努力はしていただいておるわけでございまして、純然たる歩合給というのはパーセンテージとしては非常に少のうございますが、固定給。プラス歩合給というケースがまだ半分以上ございます。そういうことからこういう八掛けまでくらい、それを一ぺんに取る、こういう形が表にしますと非常に不合理な形になっておる。したがいまして私どもの今後の指導方針といたしましても、そういうものを改善しながら、そういう形にできるだけならないように、自然に更改していけるというような形にもっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、いま生命保険の問題については、この途中解約、特に返戻金なき途中解約というものは、各社を調べてみますと、非常に多いところと少ないところがあるのです。そこで、私はたとえばミシンならミシンを例にとって、ミシン各社で一ぺん調査をしてもらいたいのは、過去何年問かでもいいのですが、要するにいまの途中解約、それから途中で現金で買うもの、それから途中で月賦にいくもの、最後まで払うものが、どういうかっこうになっておるかを各社別に一ぺん統計をとってもらうと、無理をしておるところほど初期の解約が多くなるわけです。それで最後までいくところが多いとすれば、それは比較的フェアなセールスによって消費者が納得して払っておるから最後までいくわけです。だから、やはりそういうふうな当初の目的と違うような形になることについては、ひとつ十分考えてもらいたいと思うのです。  特にこの問題で私はよくわからない点がもう一つありますのは、途中で今度はチェンジをするときに、払った費用の二割を現金正価または月賦販売価格から引きます、こうなっているわけです。これがみな約款に書いてあるわけです。そこで一体、これまで払ってきた費用の二割というのはどういう形になるかということを調べてみますと、六ヵ月で三千円払った人は六百円、十ヵ月で五千円払った者は千円、二十ヵ月で一万円払った者は二千円、三十ヵ月で一万五千円払った者は三千円。二割ですからこういうふうに出てくるわけです。これを現金正価か月賦販売価格から引くわけですが、要するに三十ヵ月払って、そうしていまのを引いても、現金正価で引けたものは二万円なんですよ、実は。あと六ヵ月というところへきているわけですね。それで実は現金で買うときに現金正価二万円、三十回として三千円引いて二万円になる。要するにこの計算と、今度は逆にいまの違約金との関係、それから実際の現金のほんとうの価格、一万五千円という卸売り価格から見て、これらの形態は私は全然消費者のためになっていないと思うのですよ。三十ヵ月も払って、それで一だから三十ヵ月払ったということは、一万五千円、実はもうすでに払ってあるわけですね。一万五千円払っておいて、三十ヵ月目に一万五千円の品物を買うのですよ。卸売り価格から見て一万五千円のものを買うときに、これは二万円ですよ、というわけですよ。二割引くというのですから。だから、結局その人はあと現金を五千円出して二万円のものを買う。六ヵ月前ですよ。あと六カ月三千円払ったら一万八千円で買えるものが、六ヵ月前には二万円で買う。その間の費用は二千円違うわけですね。だから、ここらがこうずっと——時間がありませんからですけれども、少しも合理的な価格体系の中でそういう契約ができていないということですよ。この二割というのは、一二〇%ということであなたのほうの標準例に入っているわけです。途中解約についての現金で買う場合も、月賦にチェンジする場合も、標準例には一二〇%、これでそのまま認めておる。だから、私はどうも皆さんのこの問題に対する対処のしかたがきわめて甘いと思う。標準例を出すならば、やはり皆さんがあるべき姿を想定をして計算をして、そしてその計算のもとに合理性のある標準例を出すべきではないかと思うけれども、これは経済的に全然合理性がない。商工委員会でこれまで数の議論があまりされてないものだから、それであるいは皆さん、条項のほうだけはあれしておったかもしれないけれども、こまかく  一々計算してみたら全然経済合理性がないところを商工委員会でやるということはいかぬと思うのです。企業局長、どうです。通産省の感覚を伺いたい。
  60. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 まことに申しわけございませんが、比較計算は私自身いたしていませんので申しわけないと思いますが、先ほど指摘のものは、払ったものの二割を足すというように私は了解しているわけでございます。足すという意味は、金利を消費者にそれだけ還元させていける。それから法定の利息以上のものでなければならぬという意味で、二割をむしろオンさす、こういう感じでそういう案をつくったわけであります。それと違約金との関係とかあるいは利子の計算が合理的になっているかどうかというのは、私どもももう一回真剣に調整してみたい、かように考えております。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 一二〇%オンすることと、それから現金正価が定価から二割引くこととはちょっと違いますよ。違いますけれども、結果として、まあ上、下の関係があるから二%くらいの差ができるが、その差であって、これはたいしたことにならないと思うのです。論理は大体同じことです。ですから、そこらの点は標準例をつくるについてはやはりもう少し検討してもらって、一体、しょっぱなに千三百円も販売マージンをやらしておることをそのまま認めているのか。そうではなくて、やはり常勤でやるのがたてまえなんだから、そこらをもっと減らすということが当然なんじゃないか。  その点ではいまの販売マージンは多過ぎると思うのですよ。ですからそこらをもう少し考えてもらわないと、零細なわずか五百円ずつ払っておる人たちの金をそんなにやっていくような制度販売を強化しようということは問題があると思いますので、その点を明らかにしておくことと、あわせて大臣に、これはこの間のやっと非常に似ているのですが、卸売り価格一万五千円の品物を小売り屋さんが普通に売る場合に、一体どのぐらいのマージンがいま普通でしょうか。私は二割から、幾ら多くても三割ぐらいまでが適正な小売りマージンだろうと思うのですが、通産大臣どうお考えでしょうか。
  62. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 よくわかりませんが、あなたのおっしゃるぐらいのところがいいところでしょう。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 よくはわからないけれども、あなたのおっしゃるぐらいのところだというんじゃ困るのです。やはり大臣が答える以上は、そこのところは少しはっきりしてくださいよ。私は二割か三割ぐらいのところじゃないかと思うが、あなたも二割か三割ですと、こう言ってもらわなければ困るのですよ。
  64. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 では二割か三割です。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、一万五千円の卸売り価格で入ったものが、二割とれば一万八千円です。そうすると、三十六カ月五百円ずつ金を払わして、そうして要するに本来一万八千円で渡せるものを三年目に渡しておるというのがいまのミシンの月賦の実情です。よろしゅうございますか。三割と考えればこれは一万九千五百円になりますから、千五百円だけ安くなったというわけですね。これを三年間払って千五百円の金利を見てもらったということです。最初の分は二割なら金利なしですよ。三年間前払いで金利なしで買ったと同じだ。片方は三年間払って、要するにいまの金利の感覚からいったら、千五百円ということは年に五百円ずつのマージンがついておるということですね。いま郵便局で五百円ずつ積み立て貯金をやりますと、二年で満期になるのです。そうするとこれがちょうど大体二年で、五百円を四分八毛か何かで積み立てておるわけですけれども、そうすると二年で五百円ですから三年目で七百五十円か八百円ぐらいになる。だからもし、これは郵便局の積み立てで二年しかないからちょっと複利になりにくいしするからあれですが、もう少し合理的にいまいろいろな銀行や何かでやっているやつを使ったって大差ないと思うのですね。そうして積んでおいて少なくとも現金で買ったのとほとんど同じことになるというほどいまのミシンの月賦というものはフェアでない処理をされておる。そうして現金販売価格はこの間申したように、二万三千円になっておる。二万三千円ということは一万八千円と見ると五千円実はこの間にマージンがあるわけですね。一万八千円というわずかなものに対して五千円のマージンがある。月賦は二万七千円ですから、先ほど私は途中解約で言ったように、二割ぐらい引いてもらったって消費者は全然得になっていない。私、この間から申し上げておるのですが、この間参考人にも申し上げたのですが、前払い方式というのはやめたらどうだろうか、こういう問題提起をしておるのです。というのは、これは企画庁長官に聞きますからよく聞いていただきたいのですが、国民の所得層の一番零細な人たちから五百円ずつ金をとっていって、そして三年の先にいまの卸価格で二割のマージンをとったものを渡しておるという現状。こんなことで、それが途中で事故が起きてお金がもらえなくなる人たちがたくさんあるというので、今度皆さん三分の一供託ということでやっていただいておるけれども、この五百円ずつ三年間払わなければものが入らないなんという仕組みが、いまのこの割賦の世の中で通用するだろうということを通産省が認めておられること自身が、私は全く消費者不在の政策だと思う。私は今度商工委員会へ参りましてから、通産省というのはどっちかというと企業側の利益を代表する役所みたいになっておりまして、どうも国民のための役所でないような気がする。私はこれからここへ来て国民の側に立って、広くいえば消費者の側に立って合理的な通産行政をやってもらいたいということで今日いろいろ問題提起を始めておるわけですが、いまのようなこのあり方について、私は前払い方式はすみやかにこれをやめて割賦方式に転換させるということでなければ、国民の利益を守れない。割賦を正しくやることとは、この前から申し上げておるように、割賦価格についても要するに適正な価格割賦をすることが前提でありますが、適正な価格割賦なら私は消費者の利益を守れると思うのですが、しかしいまのこの前払い方式は消費者の利益を守るにはまことに困難な制度になっている。これを皆さんが担保するには非常にむずかしい。預金業務ではともかくすでに大蔵省が免許制にしてきちんとワクをきめてやっておるけれども、そうでないところを幾ら皆さんが許可制にしたって、事故を起こしたならば国が何かするかというと何もできない。要するに、三分の一供託金をもらっても、いまの違約金その他の経緯から見て、実際に向こうへいくのがどれだけあるかということで、私は倒産したものについては、はなはだ疑問が残るわけです。ひとつその点について今後こういう前払い方式を継続することが適当かどうか、すみやかに撤収作戦をやって正常な割賦販売にのルートに乗せることが、私は当面政策としてきわめて重要だと思いますので、その点をひとつまず先に企画庁長官から消費者立場からお答えをいただいて、通産大臣のお答えをあとでいただきたいと思います。
  66. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる割賦販売、信用供与によるところの販売というものは、わが国として比較的新しいものでございますから、それについての研究なり、国民経済的に見てどういう影響があるかということは、実はほんとうのところあまり研究が進んでおりません。いいことか悪いことか、いろいろなメリット、デメリットがあると思います。進んでおりませんが、いまの御引例によりますと、つまり最初のインストールメントを払ったときにものが来るべきであって、ものがおくれて来るのはほんとうにおかしいだろうと言われるので、これはやはりメーカーに対する金融でございますか、そういうコスト関係でそういうことが現実の問題としてはいまその程度にしかできないということなんではございませんでしょうか。本来から言えば、最初のダウンペイメントのときにものが来るのが理想ではないかと言われれば、諸外国で、アメリカなんかでそれが多いように思います。結局メーカーに対する金融のおくれというものがそういうふうになっているのではないか。あるいは割賦ということが国全体として始まったばかりでありますから、最初に品物をデリバーして、そうして最初のインストールメントを受け取るというところまでメーカーが行き届いていない、こういうふうに見るべきではないかと思います。
  67. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 割賦販売の業者を信頼するか、金融機関を信頼するかということになると思いますが、金融機関のほうでそこまで消費者の便宜を見てやろうということだったならば、やはり金融機関を信頼して、そっちのほうに移行するというのがほんとうじゃないでしょうか。
  68. 堀昌雄

    ○堀委員 どうも、いまの答弁両方とも問題があるのですが、前払い制度がなぜ起きたかというのは、金融不足だという問題ではないので、これはシンガーミシンが来たときに、いかにして自分たちのシェアを確保しながら広げていこうかという場合に、まずセールスを一斉に入れて、そうして後開発地帯といいますか、そういう地帯、あるいは低所得層のところに対して比較的安易なかっこうで買えますよという宣伝戦をやったことが私はこの問題のモメントになっていると思うのですよ。割賦は頭金が要りますから、一万八千円のものを買うときに、たとえば二割と言われると、最初に三千六百円、これはなかなかいまの低所得の方たちには問題がある。ところが、そうじゃなくて、五百円ずつ払ったらいけますよという頼母子講的発想でできてきたと思うのです。しかし、今日近代的経営が進歩している中で、御承知のように相互銀行というのは、かつて頼母子から無尽会社になり、相互銀行になったわけです。しかし今日の相互銀行には相互掛け金という問題はもう残滓を残しているだけであって、ほとんど近代的経済の中で通用しないわけですから、そういうような前近代的な日本的構想は、過渡的な段階では私はやむを得ないと思いますけれども、今日まであった問題についてどうこうするわけにはいかないと思いますが、これから今後の消費者金融の問題を発展さしていこうというこの過程の中で、こういう前近代的な問題をそのままに残しておくわけにはまいらないのじゃないか。やはりできるだけすみやかに合理的な——五百円というのはだいぶ前から五百円ですから、物価の上昇につれてそれが八百円になったっていいから、ともかく割賦制度にすべきではないか。いま緑屋や丸井は頭金制度をとっていないのですよ、十ヵ月なら十ヵ月で均等でやらしておるわけですから。そういうことはいまの金融の問題として、これはあとで大蔵省と論議をしますけれども、いま企画庁長官は金融があまりついていないのじゃないかとおっしゃったけれども、十分ついている。つけようと思えばつけられる。にもかかわらず金融の側で処理しないで、依然としてさっき申し上げたように半分以上が途中で月賦になっておって、金融の問題でないにもかかわらずこの制度がとられておるということは、セールス、シェアの確保の問題として出てきたという沿革に私は原因があると思うのです。ですから、そういう沿革は沿革として認めますけれども、それを少なくとも近代経済の中で合理的な体系にすみやかに誘導することが私は通産行政としても必要ではないかと思いますから、大臣、重ねてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  69. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のとおりだろうと思います。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣いらっしゃる時間がありませんから、ちょっと途中ではしょって、今度の豪州の自動車問題を先にやりたいと思います。  実は新聞の伝えるところによりますと、今回の豪州における自動車はついにFOB価格一〇%の引き上げということに決定を見た、こういうことでございますね。そこで、ひとつサニー、カローラのような特に一番小さいタイプ、その次の千五百CC、二千CCくらいについて一体正式にはどうなのか。新聞では百ドル、二百五十ドル、四百五十ドルと値上げになった、こういうふうに伝えていますが、その点重工業局長からちょっとお答えをいただきたいと思います。
  71. 高島節男

    ○高島政府委員 豪州の交渉は、ダンピング問題という形で急に起こりました。業者がまず豪州へ呼び出されまして、交渉を始めておりましたが、情勢をいろいろとこまかに申し上げるのははばかりますが、外交上の感触から言いますと相当むずかしい、こういう総合的な判断をいたしました。そして政府側のほうも大使館に応援のための係官を出してやりました結果、大体のセツルがついたと聞いておりますが、新聞に出ております値段は、私どもまだ何も正確に報告を受けておりません。昨日のことでございまして、話がついたというところで、大体一割というのはこれくらいだろうというので値段が出ている、それを豪州ドルで逆算しているというような感じでございまして、正確なデータは、派遣いたしました係官等帰ってまいりませんと、つかみがねている状態でございます。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、実は私は、今度の豪州でFOB価格で自動車が一〇%上がったということは非常に重要な問題だと思っておるのです。それは単に対豪州の問題ではなく、自動車については世界市場全体について同じことが起こる条件が目前に来ておると私は思います。それと同時に、今度は豪州側は、自動車について一〇%というのは、次は電気製品についても同じ問題が起こる条件が十分にあるのではないかと私は思います。というのは、この間から電気製品の問題でもいまのミシンの問題でもみなそうでありますけれども、私どもは一昨年の十月ころでありますか、大蔵委員会で、御承知のようにカラーテレビの輸出価格と国内価格との問題を取り上げました。この結果は、サンヨーテレビが一月の選挙中に引き下げをするというような事態になって適正な競争が行なわれて、ややいい方向へ来ておる、こう思いますが、御承知のようにこれは公取の審判に付されておる問題であります。  そこで、実は今後の問題として考えなければならないことは、新聞の伝えるところでは、日本価格が高いのはディーラーに対してメーカーがリべートを出しておるから高いんですということを向こうへ行って説得しようと思ったけれども、それは説得できなかった、こういうことになっているわけですね。メーカーがディーラーにリベートを出してそれでできておる価格。しかしその価格で国民は買わされておるわけですよ。いいですか、国民全般はそういう価格で買わされておる。その基準を豪州側がとらえて一〇%をダンピングしておるではないかという問題が出てきたのが、私はこの問題の経緯だろうと思います。ですから、この問題は単に自動車だけの問題ではなくて、世界市場を相手に日本が輸出振興していかなければならないこの際に重大な波及性を持つ問題だろうと私は判断するのですが、通産大臣はこれに対してどういうふうにお考えになっておるか、お答えいただきたい。
  73. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 経緯でございますので、重工業局長から申し上げます。
  74. 高島節男

    ○高島政府委員 豪州の問題の経緯は、論争点が、先方においてやっておりまして、済んだばかりで、どこに論争の開きがあったのか、これは各社それぞれまた事情が違ったようでございまして、総合的には把握できませんが、いまおっしゃいましたリベートというのは、おそらくこういうことじゃないかと思います。と申しますのは、日本側の主張といたしましておそらく言ったであろうと想像をいたします点は、広告宣伝費とか販売奨励費とかいうものをメーカーが国内でディーラーに対して支出をいたしております。そのほか価格差の内容として、スペックの差別であるとか、あるいは保証期間が違っているとか、そういうものがいろいろありますが、その中で宣伝広告費や販売奨励費というものが出ておりまして、その分は小売り価格から単に物品税を引いただけで国内の価格と思われるのは誤解である、メーカーのほうが自分が負担すべきそういう費用というものを別途正価から引いた形でディーラーに対して供給をしておる、こういう感触の説明をいたしたのではないかと想像いたしております。結果だけ参っておりましてリーズンがはっきりいたしませんが、おそらくそこが争点であったのではないか。  それで、さらに少し越えまして実態を申し上げますと、そういう形で支出していたものが消費者に対してどうなっているかということ——先生の御質問の感触から私も想像できます。先ばしったあれで恐縮でございますが、その点は、現在の実態は非常にむずかしい把握の困難な点が多うございますが、現在の自動車の販売というものは非常な乱売競争にディーラーから消費者のところに対してなっている。いわゆる下取りと申しまして古い車を買ってもらうのを、非常に高く買ってもらって、流通秩序が非常に乱れておる。それから、さらに販売業者も実質は非常に引いて、これは私買った経験がございませんから実際上の消費者としての経験はございませんけれども、一般にいわれておりますところは、非常に大きなディスカウントをやっておるという実情でございます。その実態を計数的になかなか把握できない点はございますが、そういう実情になっておるのではなかろうか。したがって、FOBおそらく価格というものよりも国内の卸価格のほうが高いのではありませんか、こう向こうは申したのではないかと思います。それに対しまして、いや別途こういうものを支出をしておるのだ、それは豪州に輸出しますときは打ち切りだという説明をしたのではないかと思います。そうすると国内では特にそういうものを支出しておるから、決して豪州側の主張のようなダンピングではない。おそらくそこが争点であったのではないか、こういう感じがいたします。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 通産大臣、いま重工業局長が答えておりますことは、私のこの間あなたとの間に申し上げたことにちょうど舞い戻ってきたわけです。いいですか、現在正価というものをある程度高く固定しておいてあるいは国内で競争をするということで値引きをしておるかもわかりません。値引きをした価格というのは外にはわからないのですよ。一体三万円引いているか、五万円引いているかわからないから、要するに価格体系をきちんとして、値引きはしません、しかしこれが一番安くして売る価格ですというもので販売がされておれば、それに積み上がってマージンが適正にあるならば、私はこういう問題が起きてこないと思うのです。ところが、たまたまいまのように、現金定価というものをみな自動車はきめていますが、きめている定価から下取りで要するに値引き部分を浮かしてみたり、あるいはいろんなものをひっつけてくるわけですね。要するにいまの一つ問題点は、自動車は表面なかなか価格を引かないのです。私はこの前から自分のところの自動車を買ってよくわかるのですが、表面価格の値引きはできませんけれども、五万円相当額何でもつけます、こうなるわけです。そこで、シートカバーをつけろ、スペアタイアをつけろ、あるいは何をつけろかにをつけろといって、しかたがないからこっちは五万円相当のものを買うわけです。結果としてはなるほど値引きですけれども、向こうはまたその中でマージンを取っていくから、なかなかうまいことできているわけですけれども、こういうフェアでない商行為を少なくともすみやかにやめないと、実際問題として、今後日本が輸出を伸長さしていこうという中で、いまの日本の正価というものは、国内の正価がはっきりしない問題もいろいろ私は出てくると思うのです。だから国内が実際に安いということがわかれば、向こうへ出しておるのと中身では変わらないのだけれども、いまの国内の建て値から見たら私は外国から文句が出るのは当然じゃないかと思うのです。カラーテレビなんか、私はよく向こうがダンピングだといって文句を言ってこないと思ってふしぎでしかたがない。十六万円もするものが六万五千円か七万円でアメリカへいっていて、これが黙って通用しているのは、われわれ国内から見たらふしぎでしかたがない。だからそういう意味でひとつ今後特に輸出に関係のある製品については、国内における建て値なりいろいろな価格の構成、月賦販売価格を含めてですが、もう少し通産省は指導することによって国家的利益を守っていく必要があるのじゃないか、私はこう思うのです。この間、私大臣とこの点合意に達しているのですが、その点については今後どういう方向で、どういう指導をしてやっていかれるのか。すみやかにやらないとこれは波及しますよ。電気製品にもカメラにもいまの豪州問題というのはどんどん波及してくると思う。私は、日本のこれからの輸出振興にとって非常に重大な問題が前に控えていると思うのですが、その点についての通産大臣のお答えを伺っておきたいと思います。
  76. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いろいろな品目について具体的に研究しなければいかぬと思いますが、いずれにいたしましても、国内価格の混乱がひいては輸出に非常な混乱を引き起こすことになりますので、その点ははっきりさせる必要があると思います。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 はっきりさせる必要があるということは、要するに不明朗なものを取り除いて、ある程度マージンはマージンとしてはっきりとればいいのですから、要するにこれだけがコストです、これはマージンです、これが卸売り業者のマージンですとか、卸売り業者のマージンの中には宣伝費なり広告費なり当然入っていいのですから、それがはっきりわかるような価格体系とその表示のあり方、これをひとつやってもらいたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
  78. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 場合によっては法律上の権限を侵すことになりかねないと思いますが、しかし指導上適当にやりたいと思います。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 どうかひとつ、割賦問題も非常に重要な問題ですが、単に割賦にとどまらず、今後の日本の産業政策、通商政策上の問題でありますので、十分その点を御配慮いただきたいと思います。通産大臣それじゃどうぞ……。  そこで、いま大臣のそういうお答えがありましたから、ちょっとあと事務当局にもう少し詰めてお話しをしておきたいわけですが、なるほど価格を幾らにきめるかは、私はまさにいまの自由主義経済の中では業者側にすべてがまかされておると思います。思いますけれども、やはり私どもは今日ここへきますと、国内の価格が安ければ消費は伸びるわけです。消費が伸びることが大量生産につながってコストが下がるわけですから、そうしたコスト経済の合理性を追っていく中で下げることで国際的競争力を持つのでなければ、どうしても今後の問題としては、これは各商品全部同じことですが、問題が出てくる。そして日本は今後やはり労働集約的なものから資本集約的なものヘチェンジしていかなければ、資源のない国としてどうしても国民所得をふやしていくわけにいかないという条件に置かれておるわけですから、この問題は今後非常に重要な問題ですが、どういう手順で皆さんはこの問題に取り組んでいくのかをちょっとここで伺っておきたいと思います。大臣方向はもうきまりましたから。
  80. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 価格体系を合理化していくという問題は私非常に大事な問題であろうかと思います。従来この問題はわれわれとしてもいろいろ考えてはいるわけでございますが、御承知のように高度成長のもとにおきまして、やはり非常に業界の競争が激しい、こういう問題がございます。特に先ほど指摘になったようなリベートに類似なものがわけもわからずに横行しているという点は、私は事実として認めざるを得ない。これを保護しますためには、やはり業界サイドの協力がないと、一部がやりましても、先般も申し上げたかと思いますが、電機につきまして少し合理化しようということで一部の業界でおやりになったのですが、結局そういう合理化したところが売れないというような形になりましたから、やはり業界全体が協力するということが必要だろうと思います。   〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕 しかも商慣習というものは一気には変えられませんから、業種によって相当違いがあると思います。われわれのほうといたしましては、先ほど来問題がありましたように、流通機構の合理化と抽象的に言いましても、なかなかどういう業種についてはどういう形をやったらいいか、さて中小企業はどういうことをしたらいいかということは必ずしもはっきりしておりません。したがって、流通機構の合理化も業種別に類型でもつくりまして、こういう業種の形ならばこういう合理化の方法が一番いいという一つのビジョンというものをつくろうとしております。その過程におきまして、いまの取引条件というような問題、これは独禁法との関係は出てまいりますが、あわせて研究してみたいということで、いま流通部会で取り組んでおります。一年の間にそういうものができることを各委員の方にもお願いしまして、期待をいたしておる段階でございます。
  81. 堀昌雄

    ○堀委員 私はまずこの問題に取り組むにあたって、これは企画庁長官にもよく聞いていただきたいのですけれども、やはりまず調査が必要ではないかと思うのです。実態をはたして通産省どれほど握っておられますか。私も皆さんからこまかく聞いたわけではないけれども、必ずしも皆さん実態をよくつかんでいらっしゃらないのではないか。いま特に自動車が問題になりましたから、この際、自動車というのは波及するから、早急に自動車に対しては対策を立ててもらいたいわけです。これについては一体どういうことになっているのですか。各企業別に通産省としてはきっちり、皆さんがこの点はコンクリートだという確信が持てるいろいろな価格における諸条件ですね、実際にリベートといわれるものはどういうように使われて、何になったか、私は皆さんのほうで十分確信を持たない限り対外交渉なんてやれっこないと思うのです。実はその点やや調査不十分でないかという気がするのですが、まず第一にいまの現状分析をきっちりして、その価格の状態も、私がさっき申し上げたように、ある会社の自動車を買ったら五万円引きます、しかも品物にしてくれというようなことを皆さんがはたしてどれだけ把握しておられますかわかりませんけれども、そういうことを一々点検をしてもらいたいわけですよ。実際に下取りになった場合の価格、その下取りした車はその後どうしたのか、マージンをつけて売ったのか、もうばらしてしまったのか、そういうやはりきちっとトレースをしながら、それの価格は結局どういうことにはね返ってどうなっているのかという、価格からの、側面からの現状分析をひとつ早急にやってもらいたいと思います。そうして秘密会でけっこうですから、六ヵ月後ぐらいに当委員会に御報告をいただきたいと思いますが、重工業局長どうですか。
  82. 高島節男

    ○高島政府委員 自動車の問題は、従来からもちろん量産に伴って値段を引き下げてきております。そのモデルチェンジの時期には実質的に値下げが行なわれておりますが、ここで一、二万円下げておることは事実でございまして、先生の御指摘のとおりでございます。その個々の取引ということになりますと、人によって作戦がいろいろございますし、また需要家の出方も違うし、千差万別というのがどうも実態ではないかと思います。しかし先ほど業局長がお答えいたしましたように、流通実態調査の機会に、自動車に限らず一般につきまして型をやはり把握していくということが必要ではないか。一つ一つシラミつぶしにやっていると、これは何年かかっても結局わからないということをいままで繰り返してきたような点がありますので、ある程度不正確でも——そう言うと語弊がございますが、あるタイプの中に押し込んでいってやっていくというのが一つのヒントではないであろうか。自動車につきましては今度こういうことが起こりました。元来、業界に対しまして、われわれは報告徴収権その他持っていない分野でございます。家庭電機、自動車、すべてそうでございます。   〔宇野委員長代理退席、委員長着席〕 これが立法上どうかということは一つございますけれども、輸出との関連において極力そういった問題を除くという気持ちは、一回こういう話にぶつかると少しこりてくるのではないか。その機会にやはりデータを整備して、これは対外交渉のことがございますから、ぜひ秘密会にしていただきまして、相当のまとまりがついた時期にお願いをいたしたいと考えております。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 通産大臣がいらっしゃいませんからあれですが、企画庁長官、私はやはり国家的利益を守るためのことならば、各種の報告義務ぐらいをとることは立法していいのじゃないかと思うのです。実態を政府も十分把握せずして、しかし業界は何かといえば政府にもたれかかるわけですよ。ことに外交交渉なんかの場合にはやはり政府が正面立ってやらなければならぬにもかかわらず、政府が必ずしも十分な実態を知らなかったら勝負にならないと思います。こういう価格の問題もそうであります。  私はちょっと脱線しますけれども、たとえば最近いろいろ問題になっておりますので一番問題は、実はこの設備投資の問題ですね。民間設備投資の問題というのが実は実態がよくわからない。そして通産省もいま産構審でいろいろおやりになっておるけれども、これは通産省所管のカバレージはいま五〇%くらいですか、幾らですか、ちょっと答えてください。
  84. 高島節男

    ○高島政府委員 三一%です。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから産構審でいろいろやってみたところで、実は三割ぐらいしか効果がなくて、あとの七割というのは外に出てしまっているということになりますと、これは今後の景気調整だっていろいろ問題がありますから、まずごく零細なものは別としても、せめて中小企業が民間設備投資を着工したら、着工の報告ぐらいはひとつ通産省で全部法律に基づいてとる、要するに報告義務ですね。私は、行政のいろいろな問題のもとは、毛沢東じゃないけれども、これは調査なくして発言なしだと思うのです。ところが、実際には調査もしないでおいていろいろなことをやられて、あとで企画庁の国民所得統計を見れば、二年たってからぽかんとものが動いていく。これは何かと言えば、中小企業が大きかったのだ、こういうことでは今後の日本経済はものにならぬと私は思うのです。いまの価格もそうですが、ここらでたとえばいまの民間設備投資についても、着工したら、いつ着工しましたという届け出義務ぐらいは課して、届け出をしなかった者には軽度の罰則を与えるぐらいなことをして、要するに日本の民間設備投資の実態を政府が年に二回ぐらい、できればクォーターがいいのですけれども、そうはいかぬでしょうから、年に二回ぐらいに限って報告義務をとることぐらいはしたらいいのじゃないか、私はこう思うのですが、企画庁長官、どうでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこのところが私は日本経済のおもしろいところだと実は思っておるのでございます。たとえば、いま産業構造審議会に昭和四十三年度の設備投資計画が出ておる。二兆九千億なら二兆九千億、三割何ぼのカバレージのものが出ておりますが、こういう会社については通産省がいろいろ報告を求められたりされれば、かなりちゃんとインテリジェントな報告を出してくる能力がまずあるものだと思います。ところが今度それをはずれて、中小企業ということになりますと、実際この報告をしなさいと言っても、さあどの程度にその能力現実にあるか。金融機関から金を借りたという経験がない程度の中小企業では、帳面というものがダブルエントリーになっているなんというのは御承知のように少のうございまして、でありますから、その辺の持っている前近代性みたいなものがやはりわが国の経済をわからなくしている要素でもありますし、潜在力といえば潜在力である要素もあると思うのでございます。第一次産業になればなおさらそれがはなはだしいということだと思います。ですから、私先ほどから堀委員の言われることを伺っておりまして、だんだん労働集約的なものから資本集約的なものになっていかなければならない、確かにそうなんで、そこに問題を解くかぎがあるのだと思います。だんだん資本集約的になっていきますと、そうすると、やはりある程度規格化ということが、製造についても流通についてもスタンダーダイゼーションというものが行なわれざるを得ないと思うのです。そうしましたら、流通機構がおのおの迷路のように非常に複雑でありましてという話がだんだんなくなって、そこでどこで幾ら載っかっているというようなことがわかってくるようになる。そうなれば、さっきのような問題がかなり解決しやすくなるのでありますから、いまのうちはそういう資本集約になる道を進めていって、ある程度整備できたものから報告もとるし、調査もする、そうでないものについてはできるだけ早く資本集約的なものにしていって、全体を統計でつかめるようにする、こういうふうに私は考えたらいかがかと思います。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 私も考え方としては大体それでいいと思います。要するに、記帳もできないところから報告をとろうといったって無理ですが、私は記帳ができないところのウエートはあまりたいしたことはないと思うのですね。今日問題があるのは、日本では中企業ではないかと思うのです。かなり中企業のウエートが高くなっておりながら中企業の資料が集まってないところに問題があるのじゃないか。こういう中企業は十分そういう調査に耐えられるものであるから、もう一つは、要するに金融機関で調査をしました分は、これは支払いベースですから、着工ベースでものを見なければ実際は役に立たないにもかかわらず、支払いべースで、気がついたときにはもう工事は済んじゃっているのですから、需要効果としては済んじゃっているのですから、どうしても着工ベースでものを考えるという一つの原則を、いまのあなたのおっしゃった、できるようなところから、いまの価格にしてもそうですけれども、やっていくということを始める必要のある段階にきたのじゃないか。いわゆる特殊の大企業だけを中心にしておった時代と非常にそれは変わってきた。最近、金融の問題で都市銀行のシェアが非常に低下をしたといって問題になっているのは、これは、日本構造が、大企業のシェアがだんだん狭くなって、中企業が非常にふくらんできたことが、相対的に都市銀行の預金にはね返ったのだというふうに私は理解しているのですが、その側面は産業構造の側面でも同じだろうと思います。ひとつ企業局長どうです。いま私が問題提起をしているような記帳可能な範囲の企業ぐらいからはひとつ着工ベースで設備投資の報告をとるということについては検討の余地があるように思うのですが、どうでしょうか。
  88. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 まず、御承知のように通産省の設備調整は支払いベースでやっております。企画庁のほうの経済見通しは工事ぺース、やはりこれの調整をはかる、今後も通産省としては支払いベース、工事ベース、両方を考えていく方向にきた、こういうように考えております。  それから、中堅企業の問題、中小企業の問題が出ましたが、私どももその点十分に反省いたしております。特に通産行政の今後のポイントといたしましても、やはり中堅企業の実態をつかまえて、それをどういうように持っていくかということが一番ポイントではなかろうか、かように考えております。したがって、今後の設備調整につきましては、私は常に言っているわけですが、もう少しサンプル調査でもいいから、特に設備投資につきましては、投資の意欲を聞かないと、数字だけ聞いても意味がございませんので、そういうサンプル調査的なヒヤリングを中堅企業についてやるべきではないかということを考えております。御希望に沿うような線でだんだんやってまいりたい。特に中小企業につきましては、先ほど経済企画庁長官からもお話がございましたが、今回私どもも少し中小企業の設備動向をつかまえたいというのでやりましたが、やりました結果は、数字はどうも当てになりませんという結論が出たわけでございます。したがってやはり今後はそういうものを言っていただける中小企業をきめまして、サンプル的に、絶えずそういうものの御協力を仰ぐという形が、おそいようではございますが、一番効実性があるのではなかろうかということを考えております。そういう面で、すべてとは言えませんが、サンプル的に十分御希望に沿うような調査はやってみたい、こういうように考えております。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、ちょっと横道にそれたのをもとに戻します。  実は、いま私が前払いの問題をやりましたが、あと残っております割賦信用の問題の重要な点は、私は消費者信用の問題だと思います。そこで実は実施を少し調べてみますと、銀行の消費者向け賦払い信用というのがかなり行なわれておるのですね。調べてみて、私もなるほどこのくらいもういっているのかという感じがいたしたわけでありますが、残高等について見ましても、一件当たりの残高は全国銀行で見ますと、消費財が十七万二千円、乗用車二十二万八千円、電気製品十一万五千円、サービス十九万四千円、住宅九十八万五千円、こういうことになっておるわけです。これは四十二年の九月でございますが、こういう形で最近かなり実は消費者信用が行なわれておるわけですが、ちょっと企画庁の資料を見ておりまして、企画庁の「消費と貯蓄の動向」という資料があるのですが、この資料を見ておりまして、せっかく統計がとられておりながら私非常にわからないのは、これは昭和四十二年版で、一〇二ページのところに第二十五表「月賦利用状況」というものがあるのですが、そこで昭和四十一年十二月から四十二年二月までの実績として未払い残高、月賦購入額と二つありまして、借り入れ世帯の比率は全世帯の三一・九%、期末の未払い残高は一万一千円、こういうふうになっておるのです。その期末の未払い残高は全世帯で割ったのだ、こう書いてある。だから、月賦利用の未払い残高、それは全体で割ってしまいますと、一体、月賦世帯でどうかということがわからなければ意味がないにもかかわらず、実は全世帯で割ったとこう書いてある。「期末の未払残高・期中の月賦購入額とも月賦を利用しなかった世帯を含めた全世帯の平均である。」こう下に注釈がついておるのですね。なぜこういう統計になっておるのかがどうもよく私わからないのですけれども、大体見当をつけて三倍くらいしてみると、まあ三万四千円くらいとか、四万四千幾らとこう出るわけですが、せっかくこういう非常にいい統計をつくっておられるのについては、もうちょっと実際利用しやすいような統計方法にすべきではないかということが一つと、それからいまのこのあと、要するに貯蓄が幾らあってという資料もやはりこれにあるわけですから、これで大体推計をしてみますと、日本の場合は四十二年二月末で一人当たり貯蓄が七十九万九千円、そのうち預貯金が四十万八千円、消費者信用が八万三千九百円、こういうかっこうになっておりまして、消費者信用というのは預貯金の大体二〇%くらいというのがこの企画庁の資料から見ると出てくるわけです。ですからその限りでは、私は、割賦の問題というのはいろいろありますけれども、預金のない者が——これは平均値ですからどうもそのところが非常にむずかしいのですが、調査を今後していただくときに、預金のある世帯で幾ら預金があって、割賦で幾ら購入をして、未払い残高が幾らになるのかというような統計が出てきますと、私どもはものを考えるのにも非常に考えやすいのですけれども、そういうものは全然別個に、預金は預金のない世帯のほうに実は割賦のほうがうんとあるのか、これは平均値になっているからわからないわけですね。そこで、割賦の問題というのは今後の消費者信用に非常に重要な問題ですので、ひとつ経済企画庁としては今後消費と貯蓄の動向調査のときには、もうちょっとセットになった統計を御準備いただけないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  90. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 ただいま御指摘がありました点、確かに現在の統計、集計しておりますのは、たとえば月賦の場合には月賦を利用した者だけではなくて全体の平均をとっております。これは全体としてどのくらいかということを知るために便宜上それだけ出しております。貯蓄のほうも同じでありますが、この原表にはその区分が全部できますので、御指摘のような集計は可能でございます。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは原表があるそうですから、ひとつ当委員会に——これは貯蓄と消費の動向というのはクォーター別くらいにおやりになっておりますから、割賦を持ってくる者の預金といまのこの関係ですね。私の申し上げました未払い残高、新たな月賦購入額とそのときにおける預金の増加額といまの預金の残高というようなものが、要するに保有金融資産と消費者信用というかっこうで把握ができるような統計にひとつつくり直して当委員会は御提出をいただきたい、こう思います。これは急にはできませんでしょうが、できるだけ早い機会にお願いをいたしたいと思います。割賦消費者信用という問題は、この法案が済んだから終わりだということではございません。今後日本の場合非常に重要でありますから……。  それから銀行局にひとつお尋ねをしたいのですが、最近クレッジットカードの問題を含めて銀行筋も消費者信用については非常に関心が高くなっておると思います。だいぶ沿革があって、昭和三十六年のころから例のボンドオープンが始まって、証券よこんにちは、銀行よさようならの時代から、銀行側としても消費者金融というものを通じて預金獲得をやっていこう、こういうかっこうで問題が提起をされておるようですが、今後の銀行のあり方としては、所得がだんだん増大をしてくる中で、貯蓄を片面に持っていながら消費者信用を行なうという問題が当然私は出てくると思うのです。アメリカの状態を調べてみますと、消費者信用に対して現預金の状態というものは、現預金を持っておる者の二一%ぐらいが実は消費者信用ということになっておりますし、総金融資産残高の全体から見た割賦消費者信用というのは五・七%ぐらいということでありますから、日本の場合における総貯蓄と預貯金というのは、総貯蓄に対して預金が半分ぐらいですが、アメリカの場合は大体二四%ぐらいというのが総貯蓄に対する預金の比率でありますから、ここらはだいぶ違うわけですけれども、そういう意味で、将来銀行としてももう少し消費者信用を金融の面でやることによって、片方の不当な高い割賦販売価格と、消費者が銀行で借りたらどうだろうかということで比べてみたときに、銀行のほうが有利だということになれば、必然的に不当な割賦価格というものは下がってこざるを得ない、競争の原理が働いてくるわけですから。それで銀行側とすればそんな不当な手数料をとったり何かする必要はないのであって、定められた金利が徴収できればいいわけでありますから、そういう点では、現在のさっきの話のあった六%のアドオンというものが、実効金利が一一・一幾らになるというようなことはだんだん改善されてきて、そのことが全体の割賦信用にも影響を与えるということになってきて、あるべき消費者信用の方向にだんだん前進できるということになるのじゃないかと思うので、今後のそういう取り扱い方については、金融機関も単に割賦業者に資金を供給するとか、いまのいわゆる銀行ローンというかっこうだけでなしに、要するに消費者の選択による非定型というのですか、きまった型でないかっこうの金融、新たな小口金融による消費者信用というものを考える必要があるのじゃないか、こう思いますが、その点大蔵省のほうどう考えておるか。
  92. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま堀委員からいろいろ御意見を拝聴いたしたのでありますが、金融機関といたしましても一つ消費者信用という形で個々の消費者に対する金融という形をやっていく、それが最近では非常に大きなウエートになってきておる、さっき私が数字を申し上げたとおり。また一面別のものといたしましてクレジットカード、これは昭和三十六年にできまして、それからまたさらに、先回近江委員の御質問の際も申し上げたのですが、アメリカのキャッシュレス・チェックレス・ソサエティーということをバックにいたしまして、それからさらには都市銀行の地盤沈下、これは個人預金が非常に弱いという反省からそういう方向に乗り出しておるという状況だと思います。こういう方向といたしましては今後とも——  一つ金融制度調査会の中間答申にもございますように、今後の日本経済成長のスピード自身が若干、四十年代に入りますと、特に後半になりますと成長のスピードが落ちるだろう。したがって設備投資を主軸にした経済のパターンが少し変わってくるのじゃないか。むしろ経済成長というのは多元的なにない手による成長という感じになってまいりますと、当然金融機関の適応のしかたも変わってくるでしょう。当然その段階には消費者金融というものも相当大きなウエートを占めざるを得ないだろうという客観条件があろうかと思います。したがいまして、いろいろな面から申しまして、今後伸長するという段階にあると思います。われわれもそういったことを十分考えながら弊害のない範囲で十分伸ばしていきたい、こういうぐあいに考えております。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 時間が参りましたからおしまいにしたわけでありますが、今回この問題をずっと調べてまいりました結果、ひとつぜひ最後の締めくくりとして通産省にも企画庁にもお願いをしたいのは、よく最近は大型消費時代といいますか、消費そのものが確かに経済の成長をささえておるわけですが、その消費をする大衆がやや道具の形になっている感じがするわけです。消費をする、要するに購入をしてもらうのですが、しかしそれは売りつければいいといいますか、そして片方では次々とそういう競争の中でモデルチェンジをやる。そのモデルチェンジをやる結果が、個々の割賦の中に出てくるところの、途中で商品がなくなるということがちょいちょいあるから規定が入っているわけですよ。三年間のうちに初めお約束した商品がなくなってほかのものになった場合にはまた金を取りますよなんというような約款ができたりしているわけですね。私はこういうところが全く消費者不在の大型消費時代だと思うのです。私ども古いテレビを使っておりますと、チャンネルを回すものがちょっとだめになります。これはもちろんだめになる性格のものですから、そこでだめになったからひとつ修繕してくださいというと、もうその型のようなものは先生ありませんよというわけですね。ありませんよといったって、そこだけであと使えるのにありませんよなんてばかなことがあるかというのですよ。それが実際はなかなかないということです。それは裏返していえば、もうそんなものをやめて新しいものを買いなさいでしょうけれども、消費者の側から見たら、使えるものはできるだけ使っていきたい。こんな冗談話を聞いたことがあるのです。電機のメーカーの中では、ともかく三年ぐらいは絶対にこわれないけれども、三年目ぐらいになったならばさっとだめになっちゃうようなものをやったほうが非常にいい。そうするとその途中は故障がないけれども、三年目になるとあっちもこっちもだめになり新しいものを買う。それはメーカーのほうからすればたいへんけっこうでしょうけれども、消費者は所得がふえたからといえば、日本の所得のふえ方もきわめて遅々としておりますから、出た品物を有効に使うことは重要なことじゃないかと思うのです。その意味では、ここでひとつお約束をいただきたいことは、モデルチェンジ差しつかえありません、差しつかえないけれども、最も消耗する部分についてはメーカーが最終的に部品を責任を持って供給するということを一点ここで確約をしていただきたい。そのぐらいの確約なくしては、消費者は要するにメーカーのための材料として利用されているだけであって、私は、消費者自体から見ると日本の国民経済というものが不在になっていくのではないか、こう考えます。その点いまのテレビなんか一番こわれるのは回すところですよ。あれは時間がたってくれば、何回かやっておればこわれるのはさまっている。自分のところが販売した以上は、今後も大体の耐用年数を考えて——いま私のところで大事に使っているのは九年使っているけれども、まだ依然として使えるわけです。回すところを二回取りかえたけれども、一時はどうしても持ってきてくれないので、ペンチを置いておいて。ペンチで押えてこう回す。近代的な経済社会でそんなばかなことがあり得るのかという感じがしてなりませんので、その点をひとつここで通産省として責任を持って明らかにしていただきたい。これは自動車でもなんでも、ひとつ今後の大量生産によるところの新しい耐久消費財についての重要な問題ですから、それだけを確認をして質問を終わりたいと思います。
  94. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 耐久消費財につきましてのアフターサービスという問題だろうと思います。私どもも非常に重要な問題と考えております。特に消費者からもそういう御意見は非常に多うございます。産業構造審議会の中に、流通部会とは別に消費経済部会というのをつくりまして、何でも言ってきてくださいという組織にいたしております。消費者の代表もたくさん入っていただいて問題をこなしております。そこでこのアフターサービスの問題については、中間答申をいただきまして、ある消耗部品についてはある期間品物を取りそろえるようにという答申をいただいておりまして、そういう方向で十分指導してまいりたい、かように考えております。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  96. 小峯柳多

    小峯委員長 中谷鉄也君。
  97. 中谷鉄也

    ○中谷委員 三回目の質問ですが、やはり私も基準約款の問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  基準約款の表示例は、現に行なわれておりますところの前払式割賦販売現実の契約書に比べますと、非常に私は進歩したものであるというふうに考えておりますが、それにいたしましても、なお若干の疑点があるわけです。  一番最初に私は次のようなことをお尋ねをいたします。前払式割賦販売契約約款の内容については、その購入者を保護するために必要な基準に適合しない法人については許可しない、改善命令を出すことができるということになっておりますね。そこで一番最初にお尋ねしておきたいのは、約款の何といっても基本は月賦販売価格が約款の基本でございますね。そうすると、幾らで売り幾らで買うというのが約束の一番の基本でございますね。その前払式月賦販売価格について、消費者を保護するためにお考えになっておられる省令できめられる基準というのは一体どんなことなのか、これが一点。  いま一点は、前回からの政府委員答弁によりますと、たとえばミシンの月賦価格は四万四千円が平均、現金価格は三万九千四百八十円が大体平均という資料がある、こういうお話がありました。そしてわれわれが質疑をいたしましたのは、月賦価格がべらぼうに高いじゃないか、こういうことを盛んに申したわけでございますね。今後の省令の中では、消費者保護という立場から、現に行なわれているような、たとえばわれわれが指摘したミシンの月賦価格などというものは消費者保護の省令の基準に合わないものということになるかどうか、この点についてお尋ねをいたしたい。要するに現金価格よりも実際の販売は二割ぐらい引いて売られているじゃないか、こういうことをわれわれは盛んに申しましたですね。そうすると、そういう実態からいうと、月賦価格というものはべらぼうに高いじゃないか、そういう高い月賦価格というもの、これが約款の一番の骨、柱なんですね。そういうものを承認するということはおかしいと思うが、これは一体どういうことになるのか、これをひとつ最初に明確にお答えをいただきたい。
  98. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御承知のように現金価格割賦販売価格を書かなければいかぬということは、これは法律でもそうでございますし、約款でもそのとおりになっておりますが、幾らの価格を書くか、定価を書くのか実際の割引価格を書くのか、われわれとしてはできるだけ実際の価格を書いていただくような指導はいたしたいと思いますが、そこは強制はできないと思います。それからもう一つ差額がどうかという問題も、そこが適正であるかどうかというところまでは今度の約款では規制できない。それはあくまでも指導行政の問題であります。その問のどういう経費がかかってこういう価格になるというのは、業界全体として検討して、あまりでたらめなものにしないという指導行政の問題であろう、かように考えております。
  99. 中谷鉄也

    ○中谷委員 約款の基準案は必要的記載事項として、たとえば「賦払金の金額、回数、支払時期および支払の方法」については明確に記載しなければなりませんというようなことを「必要的記載事項」の中には書いておりますね。そうしてさらに「記載してはならない事項」として一ないし七についての記載があります。そうすると結局、その約款というのは消費者保護の立場から見て、たとえば契約を解除した場合にお金は六十日以内に返さなければならないというふうな規定がある。そういうことを守らなければいけませんということですね。ところが約款という以上は、もう一度申し上げますけれども、幾らで売り幾らで買うかというのが約款の一番基本なんでしょう。そうすると、割賦販売法というのは消費者保護だということをおっしゃるけれども、通産省で承認をされる約款というのは、たとえば極端なことを言いますと、現金で二万円で買えるものを前払い割賦では十万円だということが書いてあっても、基本の価格については承認、不承認の対象にならない、改善命令も出せない、こういうことなんですか。
  100. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように消費者保護を、これは方法論はいろいろあると思いますが、徹底いたしますためには、そういう価格をはっきりきめるということも一つの方法かと思いますが、御承知のようにわれわれのいまの考え方は、それはやはり自由競争でやっていただく、そういう非常に大きな開きのあるところはおのずからそこの店では買わなくなるということを期待いたしておるわけでございます。それと同時に、率直に申し上げますと、一万円と十万円ということは、法律的にはいまの体系ではどうにもならぬ問題でございます。しかし常識としてそういう業界はないと思います。そういう点については行政指導でやってまいりたいというのがいまの基本的姿勢でございます。
  101. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官のお約束の時間が過ぎましたので、一点だけ長官にお尋ねをしておきまして、あと企業局のほうへ質問を移します。お尋ねをしたいのは次のようなことなんです。  御承知のとおり割賦販売法の今度の改正点の主点は、前受け金の三分の一を供託させる、そうして消費者の事故があった場合の保護をはかる、こういうことだというふうにいわれております。そこでそういうふうな改正動きの中で、一部のミシン業者の人たちは、そういうふうに三分の一の供託金を積まされるようなことでは、従来の五百円ずつ積み立てていくところのいわゆる前払式割賦というようなことがどうも資金の回転が悪くて困る、ひとつお客さんが減っても千円に引き上げようというふうな動きがあるということが新聞等に報ぜられている。前払式割賦という制度は、先ほど指摘をいたしましたとおりフランスにごく一部あるだけであって、ほとんど外国には例を見ない、どちらかと言えば前近代的な制度だということはわれわれが指摘をいたしました。しかし同時に、そういう制度が現にある中では、五百円しか出せないという人の保護がなければ前払い割賦の意義がないのじゃないかというふうにも考えるわけなんです。そうすると、三分の一の供託という制度に対応してそういうことになるのだったら、割賦代金を千円に上げよう、五百円というものはやめようというような動きは、はたして消費者保護の立場から見て正しいのかどうだろうか、好ましいのかどうか。こういうような点について、私は消費者保護の基本の立場から長官の御答弁をいただきたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も詳しいことを存じませんが、たしかいまのような前払いのなにが始まりましたのは、たとえばミシンなど比較的モデルチェンジのないもので、農家などで娘さんが何年かすると嫁にいく、いまから月にこのくらいずつ払い込んでいけば、金利関係でも当然安くなるわけでございますから、いまから払い込んでいこう。モデルチェンジのあるものはぐあいが悪うございますが、そうでないものはけっこうそれでいけるということで始まったように承知しておるのでございます。ですからこれは確かに本来わりに珍しい形のものであろうと思います。既契約そのものはむろん有効でございましょうと思いますが、だんだんどの農家も所得がふえてまいっておりますし、これからそういう傾向がさらに大きくなるのではなかろうかと思われますので、かりに五百円単位を千円単位にするということになりましても、私は別段消費者が保護を欠くようになるとは考えなくていいのではないかと思います。
  103. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官に対するお尋ねは、私もうお約束の時間が過ぎましたので、これだけにいたしておきます。  局長に引き続いてお尋ねをいたしますが、もう一度約款についての承認そうして改善命令というのは——そうすると約款の一番の柱であり、基本である月賦販売価格、要するに幾らで売りますというこれが約款の一番中心ですね、これについては何ら手を触れることができない。これについては、われわれは数回にわたって月賦価格というものはべらぼうに高いじゃないかということを指摘し続けてきました。そうして当局のほうもその点については、堀委員などの質問についてどうも高いなとお認めになったと私は思うのです。そのことについては手を触れることができないものだということなんですか。
  104. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 率直に申し上げますが、絶対額については私は割賦販売法では無理だと考えております。先ほど価格体系の問題を申し上げましたが、もちろん非合理な価格体系というものをだんだん改善していかなければいかぬ、これまた当然のことだろうと思います。したがいまして、この問題は割賦販売法を離れまして、われわれとしてはそういう悪い習慣をだんだん業界にお話し申し上げて改善いたしてまいりたい、かように考えております。  なお現金価格割賦販売価格との差額の問題につきましては、今後われわれとしてやり得ることは、どうしてその差額が出てくるか、金利の表示の問題がございます。そういう問題は今後うまい表示の方法があって、なるほどこれだけの差額はこういうために要るんだなということを消費者に知らせるということは研究してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  105. 中谷鉄也

    ○中谷委員 問題が二つあるわけですね。要するに、現金価格そのものが高いではないか、たとえばカラーテレビについては輸出のカラーテレビの価格よりもわれわれが買っているカラーテレビというものはずいぶん割高じゃないかという問題があります。しかし、その問題にまで割賦販売法でわれわれは触れられるとは思わない。しかし、割賦販売価格現金販売価格との差額というものも、事実上は現金販売価格よりも二割くらい引いたところで売られているというその差額のことについて何ら手を触れることができない。そうすると、通産省としてはその差額の実態について調査をされるとおっしゃるけれども、その調査というものが具体的に——かりに月賦販売価格現金販売価格、そして現実に支払われるところの現金との差が非常に大きいものだとしたならば、それについてはどのように改善をされるのか。表示を合理的にしたというふうなことが改善の方法になるというふうなことは、私、必ずしも納得できない。割賦販売法でだめだとおっしゃるなら、そういう割賦販売価格現金価格よりも不当に開いているものについてどのように処置をされるのか、これはいかがですか。
  106. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように二つの問題がございます。どういう価格を表示するのか、しかも現金の場合は定価からさらに割り引く場合もございますので、その問題が一つございます。  それと、今度は現金価格割賦価格の差の問題がございます。その差の問題につきましては、それがやはり合理的な基礎に立っておるものであることが非常に望ましいわけでございます。したがって、私が表示の問題を申し上げましたのは、消費者に今後それをできるだけ表示することによって消費者サイドからもブレーキがかかるんじゃなかろうか、業界の自省も訴えられるんじゃないかという意味で、アドオン方式とかいろいろな方式がございますが、金利表示ができるならばそういうことを今後研究してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。それと同時に、表示だけで事が足りるわけではございません。これは業界がその気持ちになって価格形式をしていただかなければならぬわけでございますので、資料をとりまして、現金価格と月賦販売価格との差額はこうあるべきじゃないかということは、当分の問指導行政として十分やってみたらどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 中谷鉄也

    ○中谷委員 おそらく業界のある対抗の方法として、業界の人たちは供託をさせられるのだったら一ぺん月賦販売価格のほうを引き上げようかというようなことも軽率な考え方の中には出てくるんじゃないかというふうな危惧さえ持ちます。だから、約款の承認ということまで踏み切られるなら、改善命令ということまでお踏み切りになるのなら、価格そのものについての改善命令が出せないのか、そういうものを出すということが、あるいはまたそういうことについての承認をするということが、何か現行の法体系から見て矛盾があり、無理があり、あるいはまた故障が生ずるというようなことがあり得るのかどうか、この点はいかがでしょうか。法律問題としてお尋ねをいたします。
  108. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 価格の絶対額を任意に向こうが表示するわけでございますが、そのあるべき価格はこうであるというようなことを強制いたしますことは、これは割賦のみならず、全般の物価の問題あるいは物価統制の問題に関連する問題だろうと思います。それをやったほうがいいかどうかというのは、この割賦販売だけの判断ではいかないと思います。それは全般的な問題として、今後全般的な立場から十分検討しなければ結論の出ない問題である、かように考えております。
  109. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、いずれにしてもこういうふうな点だけは指摘をせざるを得ないわけですね。消費者保護ということで違約金の返還の時期、方法、率等について、われわれは約款の中で論議をしてまいりました。非常に大事な問題だと思うのです。しかし、論議が集中をしましたのは、割賦販売価格現金価格に比して非常に割高ではないか、だから、割賦販売というのは消費者にとって不利なものを買わされているのではなかろうということについて質疑をいたしまして、おおむねその点についての論証もわれわれしたと思うのですが、その点については結局しり抜けというか、手が触れられない。少なくとも現在のこの改正案においては手が触れておられないということを残念ながらお認めいただかなければしかたがない、こういうことでございますね。
  110. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 やはり割賦販売法のいまのあり方といいまするのは、これは先ほど議論が出ましたように消費者ローンの問題もございます。そういう実力がないと、頭の中では選択の余地があるといいましても、実効が伴わないわけでございますので、消費者ローンの問題等は非常に大事な問題でございますがとにかく消費者に選択の余地を与える。しかも、その価格体系をできるだけ合理的なものにし、差額を合理的なものにしていく、こういうことは指向いたしておりますが、絶対額をどうこうというのは、やはりいまの経済体制では自由競争でいくという方針でございます。
  111. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうでなくて、差額が不当に開いている場合は、その差額についての改善命令が出せないのですかと、こう聞いているのです。ところが、それは出せないとおっしゃるわけでしょう。結局その点はあとで出せないというお答えだろうと思うのです。だから、結局絶対額を云々しているのじゃない。少なくとも最低差額について改善命令を出せないのか、それが出せなければ一番基本の点がいわゆるしり抜けになってしまうじゃないかと、こう何べんも申し上げているのです。しかし、どうも残念ながらその点については触れられないとおっしゃるわけだ。  そこで、その次にお尋ねをしておきますが、前回参考人に私のほうから次のような点を指摘いたしました。要するに、解約をしてお金が返還されるのは、ある契約によると、六ヵ月経過後とか三ヵ月経過後というふうなことが、非常に大きな大手のミシン会社の実際の契約の中にある。これは参考人の方が言われたように、私のところの会社の契約は六ヵ月以内じゃなかったかと言うんですが、そうなっていない。六ヵ月後に返しますというのですから、逆に言いますと、六ヵ月たたなければ返してはいけないんだというふうなことに相なっている契約なんです。そこで、そういう業界の実態の中で今度非常に努力をされて、六十日以内に返還をするというところの返還の日について標準例としてあるべきものをお示しになりました。これは何べんも申し上げますように、現実業界で行なわれているところの契約に比べますと、私は非常に進歩だと思うのです。  しかし、局長お尋ねをいたしますが、そういう六ヵ月たたなければ返しませんという、六ヵ月後にしか返しませんという業界の実態からいたしまして、六十日以内に返すというこの標準例が具体的に動き出した場合に、一体お金が入ってくる時期はどの辺に集中すると思われますか。六十日以内ということになれば五日間でも六十日以内ですね。一ヵ月たっても六十日以内ですね。しかし、おそらく五十九日とか六十日とかいう二ヵ月ぎりぎり一ぱい待ったところにお金の返還の時期というものが集中してくると私は思うのです。言うまでもなしに、すぐ返すよりも六十日待ってから返したほうが業者にとっては得ですね。そういう問題についての規制措置はどう考えられますか。
  112. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 返還時期を六十日以内にした件でございますが、これは御指摘のように業界の実情とはだいぶん異なっております。この点は業界でもいろいろ討議の過程において問題があったわけでございますが、通産省としては、最小限度ぜひこの程度にはしていただきたいということでお願いを申し上げたわけでございます。したがって必ずこの範囲内は守っていただけると思います。ただ、先ほど指摘もありましたように、業界の実情と非常に隔たっております。したがって、御想像のように六十日以内だから五十何日でもというようなことが実情になろうかと思います。私どもとしては、一気にこういうものを変革ということは非常にむずかしゅうございます。やはり販売業者の金融制度というような問題とからみ合わせて問題を解決していかなければいかぬと思います。そういうものをからみ合わせまして六十日以内の問題は一歩ずつ前進してまいりたい、それがやはり現在の実情ではなかろうか、かように考えております。
  113. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それでは、そこでひとつ局長あるいは課長さんのほうからお答えをいただきたいと思いますが、業界の実態ということを盛んにおっしゃるわけです。そこで、たとえばこのある特定の会社の契約書にありますように、十二回までの払い込みをして解約をした場合には、解約の日から六ヵ月経過後なんだ、そして、十三回以上の場合には解約の日から三ヵ月経過後だということなんです。その業界の実態というのは具体的には一体何なんですか。要するに解約の申し込みをしまして六ヵ月たたなければ事務的な手続の上でお金が返せないという事務上のひっかかりがあって六ヵ月はやむを得ないという業界の実態があるのか。いや、そうじゃない、要するにお金を預かっておって、それで金利かせぎをしておるのだという実態があるのかどうか。これは一体そういう業界の実態ということでそういうことをはたして認めることがいいのかどうか。要するに前払いというのは預かり金じゃないかということになれば、六ヵ月後あるいは三ヵ月後というふうな業界の実態というのはそもそも基本的に間違いなんだ。そうすると、いま検討さるべきは、その業界の実態ではなしに、解約申し入れがあって、事務的に返還されるに要する日数は一体どの程度なのかということが論議の対象にならなければならないと思うのです。一体解約申し入れをして返還に要する日数というのは具体的にどの程度のものなんでしょうか。
  114. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 業界の実態ということを申し上げましたが、われわれがこれを判断いたす場合に、業界の実態がこうだからそれに従うのだというような気持ちではございません。具体的に申し上げますと、六ヵ月とか三ヵ月という実態は私は妥当でない、こういう判断をしておるわけでございます。そういう意味で、これをどの程度にしたらいいかというのは、役所の立場といたしましては、あくまでもいまの事務的手続から見て、どのくらいならば確実に守っていただけるだろうかという点を検討したわけでございます。その結果が、大体専門家の見当でございますが、六十日くらいが事務的な手続を要する点ではなかろうか、そのくらいの余裕はなければいかぬじゃないかということで一応六十日ということできめたわけでございます。
  115. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それではもう少しお聞きします。なぜ六十日もかかるのでしょうか。どこで何日要し、どういうわけで六十日という日数を要するのでしょうか。これは教えていただかなければわかりませんね。人から預かったお金を返すのになぜ六十日も要するのか。分析はどうなっていますか。
  116. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いまのお話でございますが、六十日のたとえばどの時点で何日というような具体的な計算は正直申してやっておりません。ただし御承知のように、大体前払式の業者は全国的に支店網を持っておりまして、支店網から本社に書類が届き、本社でそれを処理するという手続を検討してみたわけでございますが、この点は前払式の供託の期日もそれに関連がある議論でございますので、そういうような支店から本店にあがる事務的な経費、本店で整理する期間、そういうものを一応考慮いたしまして六十日ということにいたしたわけでございます。
  117. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私がなぜこんなに六十日ということにこだわるかと申しますと、前回も申し上げましたように、契約を解除する立場の購入者、消費者気持ちというのは、大部分の人はまじめにお金を積み立てたけれども、どうしてもお金が続かないとか、あるいはほかにどうしても入用なお金があるというふうなことで解約する人もあるわけです。実は私が具体的にぶつかった例では、お医者さんのお金が要るので解約したいのだけれどもというまことに悲惨な話がありました。そうしたら、実際に契約書をよく読んでみろ、何ヵ月後でなければ返さぬと書いてあるだろうと言われて、非常に残念がって帰ってきたという例があるのです。そういう解約する人の動機というものを考えてみましたら、私はなみなみならぬ気持ちで解約するのではないかと思うのです。だから急ごうと思えば私は急げると思うのです。三日でも五日でもできると思うのです。だから逆に本件のお取りきめについては、何日、要するに事務的にそういう何日が合理的だとすれば、むしろある程度の金利等とかなんとかを考えるとか、あるいはまたその手続についての費用というものを若干見るにしてでも早く返してあげるという方法というのを少なくとも考えるべきじゃないか、あるいはまた考え方によると二十日以内に返しなさい、二十日以内に返さない場合にはそれに金利を今度業者のほうでつけるということだってあり得ると思うのです。何かそういうふうな解約する人の動機というものが、この場合不在になっていると私は思うのです。この点については配慮の余地はありませんか。
  118. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 解約される方の動機という問題は、私は零細な方だけに非常に大事な問題だろうと思います。問題は、そういう個々の場合をきめ得れば御指摘の実情に合ってくる、こういうように考えていますが、いままでの研究段階ではその動機によって変えるというのはなかなかむずかしゅうございます。したがいまして、おっしゃる御趣旨は私どもも十分理解できますし、それからまたこれは販売業者としても一つの商業道徳の問題でもあり、また人生観の問題でもあろうかと思います。したがって、そういうどうしても急ぐという向きについてはできるだけ早く返していただくというような指導は十分やってまいりたいと思いますが、動機の問題等につきましては、もう少し業界とも相談させていただきまして検討させていただきたい、かように考えております。
  119. 中谷鉄也

    ○中谷委員 どうも納得いたしかねますね。しかし質問を次に移します。  これで同じことを三回聞くわけですが、今度解約金の問題についてもう一度お尋ねをいたします。これも前提として申し上げたいのは、現に行なわれているミシンの販売業者の契約などに比べると、標準例は非常に進んでいる。これは業界の抵抗も若干あっただろうと私は思うのです。しかしこの標準例についてお尋ねをしますが、この標準例をおつくりになった以上は、この標準例をおつくりになったいわゆる〇〇〇ミシン会社というこの会社は、一体どの程度の契約者数を持っており、どの程度の売り上げがあってというふうなことが想定としてなければ、私おかしいと思うのです。ですから結局払い込み一回の場合は返還金はゼロなんだ、二回の場合は百円なんだ、三回の場合は二百円だと、こうありますけれども、一体この場合の内容は、販売手数料だ、集金手数料だ、契約手数料だ、こうおっしゃるんだけれども、集金手数料の基本になっておる集金人というのは、一体この場合、一日に何軒集金して回るというふうな前提があったんだろうか、こんなこともひとつ私はお話をいただかなければ、この標準例が合理的な根拠を持っているかどうかについてもなかなか納得がいかない。ただ従来の例よりも非常に進歩しているということはわかるけれども、納得がいかない。この点について同僚委員からの質問もありましたが、これは私何べんもお聞きしていることなので、もう一度お答えをいただきたいと思います。
  120. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いまの件でございますが、実はこれは個々の企業でございませんで、業種別に、たとえばミシンならミシンの前払いしておる業者から経理の内容を調べまして、それを、ある意味では総平均的な形になりますが、平均してみて、販売手数料、これは外交員に払う手数料でございますが、これがたとえばいまの現状では大体八回くらい払っておるようでございますが、その平均がどのくらいあるかとか、それから集金手数料がどのくらいかかっておるかとか、それから初回の事務用の費用がどのくらいかかっておるか、あるいは前払式に直接かかる管理費用がどのくらいになっておるかということを、ミシン業界全体の経理を調べましてこの額を算出しておるわけでございます。個々の額をいま申し上げるわけにはいきませんが、そういう算出の上に基づきましてこの基準額をきめていきたいと思っております。したがって、いまお手元にありますものは、たとえば将来におきましては、ミシン業界ならミシン業界、電気用品なら電気用品というふうな形に業種別に、実態も違うかと思いますので、さらにお示ししております基準案を再検討して、具体的な、そういう裏にございます資料もかっちりいたしまして、さらに改善していきたい、こういうふうに考えております。
  121. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私がお聞きいたしておりますのは、九四ページの標準例についてお聞きしているわけなんですね。ですから、これは問題は、ミシン会社の例としてお出しになっているわけですね。だから結局この場合に、一回の場合はゼロ、二回の場合は百円、三回の場合は二百円、四回の場合は四百円とある。一体この合理的な根拠は何なのでしょうか。これは一体どういうふうな内訳になるのか、これをひとつお示しをいただきたい、こういうことなんです。
  122. 谷村昭一

    ○谷村説明員 この積算根拠になりましたのは、実はそのミシン会社から出してきました経理の額より大幅に削って出しておるわけでございます。したがって、われわれとしては、またさらにそのミシン会社が出してきました経理の内容を詳細に当たらなければならないわけでありますが、ミシン会社が出してきました原案でいきますと、販売手数料が大体八回払いで合計二千四百円、それから集金手数料が合計千六百七十七円、それからそのほか事務用品費が四十八円、直接管理費が二千四百四十円というような数字を出しております。ただし、この基準案にございますのは、いま申し上げましたものを合計したものより事実上相当改善をしておりますので、実はその個別の積算になりましたそういう個々の経費を見たものより相当シビアーな案にしておるわけでございます。したがって、直接それにぴたりの積算の根拠というのは正直言って現在も手持ちございません。しかしながら、一般的にミシン会社が出しております案を参考にいたしまして、いま申し上げましたような数字を参考にいたしまして、一応の案としてそれをつくってあるわけでございます。
  123. 中谷鉄也

    ○中谷委員 時間のようですから、最後に一点だけお尋ねしておきますが、同じことをもう一度申し上げますけれども、実態よりも標準例が格段に進歩しているということは認めるのです。しかし、その標準例自身の合理的な根拠を御説明いただかなければ私はどうも納得がいかない。消費者保護ということは幾ら言っても言い足りないと思うのです。  そこで、一点だけ、先ほど委員が、どうも消費者が道具になっているのではないかというふうな指摘をされましたが、これは私は大量消費販売というか、大量消費財というのがそういうふうにすべてが規格化されているのでやむを得ないと言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、この標準例の中にも、支払いの方法として、とにかく振替貯金の払い込みだとか銀行払い込みの方法があるのだ、そういう場合にはそういうふうに書いてくれということでここに出ておりますね。もしそうだとするならば、そういう銀行払い込みの方法をとったという人に対しては集金手数料というものはゼロに見てもらわなければいかぬ。少なくとも取り立て払いの人よりもうんと低く見てもらわなければいかぬ。ところが、そういうふうな個々の問題はすべて大量消費という中で規格化されてしまっておる。そんなこまかいことはもう購入者のほうでそうがたがた言わなくてもいいじゃないか、そんなめんどうくさいことはできぬというのが業者の立場のように私は伺うが、こういうことまで配慮される意思があるかどうか。局長どうでしょう。
  124. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 標準例を出しまして、それでもうすべて済んだというようにかえって誤解を与えているようでございますが、われわれとしては一歩前進のためにこういうものを出したわけでございます。いまおっしゃいました向こうが払い込むというような場合は、当然返還額は変わっていいと思います。そういうきめこまかい作業はいまからやるつもりでございます。したがいまして、これをそのままやるというように御理解願わないようにぜひお願い申し上げたいと思います。
  125. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう時間のようですから、これで質問を中断いたします。そうして委員長にお願いしておきたいと思いますが、再開後はひとつ中村委員質問から始めていただいて、そうしてそのあと時間があるようでしたら私の質問をさせていただきたい。そういうことで一応留保いたしまして、この程度で終わっておきます。
  126. 小峯柳多

    小峯委員長 午後三時から再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時五十分休憩憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  127. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  割賦販売法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。中村重光君。
  128. 中村重光

    ○中村(重)委員 割賦法の改正案の問題については、同僚委員から詳細にわたって質問がなされたわけです。なお若干の疑問点がありますのでお尋ねをいたしたいと思うのですが、その前に通産大臣に御所見を伺いたいと思うのです。  本法の制定のときはやはりあなたが通産大臣であられたわけです。私も本法案の審議の主査を実は野党の中でいたしまして、あなたの割賦販売についての御見識というものを十分伺っておるわけです。当時、法の制定の際は、御承知のとおり池田通産大臣のときに一応提案をされて、遂にこれが日の目を見ることにならなかった、こういうことで、あなたのほうであらためてまた御提案になったわけですが、あの際、私どもはいわゆる交通整理的な秩序法ではなくて、割賦販売を助長するいわゆる助長法的なものにする必要があるのではないかということを強調したわけでしたが、大臣から、割賦販売の健全化を期していくということを一応考えて、続いて助長法という方向へ進めてまいりたいという御答弁がなされたわけであります。割賦販売の問題に対しましては、最近前払式割賦の問題につきまして、御承知のとおり悪質業者によって消費者が被害を受けているというようなこと等から相当注目されてきたわけでありますけれども、本来の通常の割賦販売ということに対してはどういうような運営がなされておるのかということに対しましては、あまり大した関心というものがなかったようにも考えられるわけであります。  そこで、いままで法制定以来、割賦販売の問題に対しまして監督指導をしてこられたでありましょうし、健全な割賦販売の育成についてそれなりの取り組みをしてこられた通産当局として、その功罪ということになりますか、どういうような成果が割賦販売の法制定によってもたらされたかということに対して伺いたいと思いますのと、もう一つは、前払式割賦販売ということにつきましては、一応健全化をはかっていき、善良な消費者が被害を受けないというようなことを考え改正案を御提案になったということはよくわかるわけでありますけれども、大臣がお答えになった、いわゆる助長法として割賦販売の育成をはかっていきたいという意図は、その面には実はあらわれていないと思うわけであります。したがって、今回の改正案というものがただ前払式にとどめたというのはどういうことであるのか。  時間の関係から一括してお尋ねを申し上げますならば、当時流通部会において、その助長法としてのいわゆる割賦販売のあり方というものをさらに追求をしていくために、消費者金融の問題にいたしましても、あるいは信用調査の点に対しましても、あるいは割賦保険の問題その他検討されておったというように伺っておるわけでありますが、その流通部会結論というものはどういうことであったのか、それらも含めてひとつお答えを願いたいと思います。基本的な問題に対しては大臣にお答えを願いまして、具体的な点は企業局長からひとつお答えを願いたいと思います。
  129. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 前回、通産大臣を七カ月ほどつとめさしてもらいましたが、そのときの創設による割賦販売制度でございますが、その後きわめて順調に——順調にと言うと少し語弊がありますが、とにかく消費者にもあるいはまた販売する側にとっても、制度としての十分の使命を発揮したものと考えております。今回、この制度現状に照らして、前払式割賦販売の実施状況にかんがみまして、これの秩序を正すべきは正し、そして割賦販売制度の誤りのない活用を期する必要があるというので、とりあえず秩序法をつくるという趣旨に重点を置いて今回の改正案を出したような次第であります。  今後これがたまたま時勢の要請に合致して、そして相当これが活用されるということに相なりますれば、その段階において、これを政策的にどういうふうに運営すべきかというような点もいろいろ問題が出てこようかと思いますが、その節におきましては、適当に考究を加えまして、その対策を樹立してまいりたい、かように考えております。
  130. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 大臣からも申し上げましたように、制定当時と比べまして、その後の割賦販売発展は非常に目ざましいものがございます。一つの法律で秩序づくりをやったということが、もちろん経済の進歩もございますが、そういう面で貢献しておると思います。同時に、急速に普及しましただけに、特に前払式を中心にして弊害が出てまいるという事態になりましたので、今回の改正案をとりあえず提出したような次第でございます。  なお、割賦の問題につきましては、御指摘のように、この割賦販売法だけの問題でなくて、今後割賦販売が健全な経済の進歩に応じたあり方を歩むように、この法律だけでなしに秩序づけが必要であろうと思います。その意味では、金融の問題、保険の問題、多々研究すべき問題がございます。そういう問題につきましては、御承知のように割賦販売法が制定になりました翌々年の三十八年に税制関係改正をいたしたような次第でございます。それから金融、保険につきましては、一応四十一年の十月に中間的答申をいただいております。信用調査機関の問題とか、専門金融機関の問題とか……。しかし、これは筋でございまして、それをいかに具体化していくかという問題はさらに詰めるということになっております。したがいまして、現在割賦販売審議会を中心にいたしまして、業界の実態に応じまして、これをいかに具体化していくかという問題を詰めている段階でございます。この作業は月に二回、各委員にお願いしてやっておりますので、必ず今年度中には結論を得たい、その上で金融制度調査会にもお話し申し上げて実行段階に入ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。そういう段階になりますれば、割賦制度全体の問題が軌道に乗ってくる、かように考えておる次第でございます。
  131. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的なことはこれからずっと質問を進めてまいりたいと思いますが、経済企画庁長官に御所見を伺ってみたいと思うのです。  この割賦販売というのは、伸ぶべくして伸びたということになりますか、流通秩序法的なものが制定をされて、そのことも割賦販売の伸びが著しい現在の状況に寄与したということは私は言えると思うのです。ところが反面、割賦販売弊害も出てくるように思うのです。景気調整に対してこの割賦販売をどうにらんでいくかという問題もありましょうし、また、国民の消費経済の中における割賦販売位置づけをどのように考えていくのかという問題、あるいはこの割賦販売が、現在のような制度と申しますか政策ではどうしても企業問信用が拡大をしてくることになっていくであろう、そうなってまいりますと、非常に不安定であるということにもなって、経済全体に対する影響も生じてくるでありましょうし、また国民経済の点にも問題がないとはいえない。  そういったいろいろなことを考えてみますと、この割賦販売に対しては、経済企画庁長官として他の閣僚よりも特に関心を持っておられるでありましょうし、また対処する方策もいろいろと考究していらっしゃるのではないか。その他いろいろと御見解をお尋ねしたいことがありますけれども、一応私がただいま申し上げました点、それだけでなくて、経済企画庁長官として、この割賦販売そのものに対してどうお考えになっておられるのか、どうあるべきか、また進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ高邁なる御所見を伺ってみたいと思います。
  132. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは今朝も申し上げておったのでございますけれども、どうも私ども勉強不足もあるのでございますけれども、日本割賦販売がこれからどういうふうになっていくのかということがしっかりわかり切らないところがございます。アメリカのようにこれが非常に大きく伸びていくものか、あるいはむしろヨーロッパ大陸程度のものになっていくものなのか、どちらかどうもはっきりいたさないような感じがしております。わが国の経済全体の戦後の動き方は、管理通貨でもありますし、どっちかといえば新しいエコノミックスでやってきたと思います。その点は、ヨーロッパ型でなくてアメリカ型かと思われるのですが、しかし、消費そのものが同じパターンでいくの、がいいのかどうか、あるいはいくだろうかどうだろうかということにいろいろ問題があるのだと思うのでございます。  割賦販売というのは、メリットもデメリットもいろいろ御議論があったに違いありませんし、ことに、中村委員は最初の法律ができますときから御存じでございますから私が申し上げることもないのですが、要するに、割賦販売の対象となるものがどういうものであった場合に比較的メリットが多くて、どういう場合に比較的デメリットのほうが多いかということになってまいりますと、たとえば住宅などというのは、いまのわが国の現状から考えまして一般的にメリットが多かろうという感じがいたします。それから耐久消費財にもそういうものが、どちらかといえば多かろうと思うのでございますが、しかし非常に消費期間が短いもの、たとえば、これはときどきスローガンなんかで、とにかく先に楽しんであとから払いなさいという、エンジョイ・ナウ・ペイ・レイターなんというのがございますが、こういうようなのは非常に問題なのではなかろうか。ですから、耐久的なもので生活に必要なもの、必要度の高いものについて行なわれる場合にはかえってメリットが多いでありましょうし、そうでない場合にはデメリットの部分が多い。いずれにしても、これは使いようでいずれにもいくのではないだろうか。  そこで、後段にお尋ねの、わが国の信用なり景気なりの調節の一つの道具として割賦販売条件を変化させることがどうかということについては、むろんアメリカのようにこれが大きくなりましたら、当然そういうことを考えなければなりませんし、また、考えることが有効でありましょうが、これがヨーロッパの、むしろ大陸の型程度にしか進まないとすれば、そう大きな武器にならないかもしれない。いずれの場合がわが国全体にとって好ましいかということについて、ちょっと私ども自身にまだはっきり見きわめがつかないというのが、私の正直なところでございます。
  133. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣の率直なお答えでございましたので、追及するということでなくて、考え方として、意見を含めてなおひとつ見解を伺ってみたいと思うのですけれども、確かに、大臣おっしゃるとおり、いまこうして通産省からも資料をいただいておりまして、それを見せてもらったわけですが、割賦販売に対して、その消費面においての比率を見てみるとそう高くはないのですね。それから経済全体の中においても割賦販売の占めている面は低い。しかし、だからといって、景気調節の問題等に対しても、割賦販売を何とかコントロールしなければならぬという段階になって考えるということでは私はおそいんじゃないかという感じがするんですよ。ですから、ヨーロッパ諸国において割賦販売が相当伸びてきている、そして景気調整についてもこの割賦販売の果たしている役割りはやはり相当大きいということですね。  そういうことであるならば、やはり日本の国民の消費性向から考えてみましても、この割賦販売が将来大きく発展をしていくであろうということはわかるわけでありますから、その点に対してどうあるべきか、経済面において、また国民の消費生活の中において割賦販売というものがどう位置づけられてくるのかということは、当然私は検討を加えていかなければならないのじゃないかという感じがするわけです。だから、そこらあたりの基本的な問題があまり検討されていない、議論されていないということは私は適当でないと思う。やはりそうした面については、経済企画庁としても相当関心を持って対処してもらわなければいけないのではなかろうか。だからして、いま出されております法律案にいたしましても、前払式弊害を除去する、ある意味においては、これもやはり秩序法的なものになっているわけですね。これは助長法ではないわけです。だから通産大臣も、いろいろこのことも検討していく、問題が出た場合にこれで対処していくというようなお気持ちを含めたお答えがあったわけですけれども、私はそうではなくて、制定以来もう七年間ですから、現状においていろいろと問題が出てきておるわけです。やはりこの価格が非常に高いということは同僚委員からそれぞれ指摘されたわけでありますし、私も参考人に申し上げたわけでありますが、そういうことがやはり日本割賦販売制度の欠陥であると見なければいけないのじゃないか。  だから、どうしたならば現金売りと割賦販売との値開きというものがそんなに大きくならないようにできるのかということです。いろいろな点を政策的に検討していく必要がある、そして欠陥も除去していかなければなりますまいし、また健全な発展をしていくということを政策的な面から樹立していく必要があるのではないかという感じがするわけですが、私の考え方が飛躍しているのかどうか。そうは思わないわけですが、その点に対してはどのようにお考えになりますか。
  134. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 さようなわけで、私がちゃんとお答えできるほど十分な研究も知識も実は持っていないのでございますが、この改正案のように、秩序法といいますか、秩序をきちっとしていくということは、これだけ割賦販売というものが行なわれるようになりましたら、これが伸びると伸びないとにかかわらずどうしても必要なことであると思うのでございますが、他方でそういう一種の消費者金融というものを全体としてわが国のような場合助長していくべきなのか、あるいはそれに対して、多少警戒的といいますか、少なくとも中立的な態度をとるべきなのかということは、いろいろ深い問題があるような気がいたしまして、それについてもう少し研究をしてみる必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  135. 中村重光

    ○中村(重)委員 それならそれでよろしいと思うのです。  先ほど来企業局長のお答えをお聞きになりましてもお感じになったと思うのですが、信用調査の問題をどうするかとか、あるいは税制の問題については、附帯決議の線に沿うて、他の一般の販売所得に対する扱いとは若干違った扱いをしているということもいまお答えがあったわけです。事実、そういう形になっておると思います。その他消費者金融の問題、あるいは一般の販売者のいわゆる割賦金融の問題等々、前向きで取り組んでおるし、できるだけ早く結論を出していく、こういうことは、いま大臣がお答えになりましたように、助長する方向か、あるいは中立的か、あるいは警戒的でこれに対処するか、そういう意味においての企業局長のお答えではなかったわけですね。ですから、政府部内においても、肝心かなめの経済の元締めである経済企画庁長官、実施官庁である通産省の考え方というものが一致していなければ、私はやはりそれ自体に混乱が起こってくるような感じがするわけです。大臣が率直に、まだほんとうに勉強していないのだというような謙虚な態度をもってお答えになりましたから、私は別にそれを追及しようとは思いません。思いませんけれども、もっと関心を持っていただかなければならないんじゃないかというような感じがするわけでございます。  また具体的な問題についていろいろとお尋ねしていきたいと思いますので、その際にまたお尋ねをいたしますが、法務省からもお見えでございますので、七年間これを実施されて、いろいろトラブルが起こったことで、それなりに研究をされた点もあるであろうと思うのですが、私どもが三十六年にこの法案を審議をいたします際に、所有権の留保の問題、この点が実際において可能なのかどうかということを相当議論をしたところでございます。実際において物は売った、そこで占有権は相手方に移っておる、所有権の留保というのが伝家の宝刀——この品物は売ったけれども渡してはいないのだぞ、代金を完納するまでは売ったこちらのほうに権利があるんだぞという一つのにらみをきかせることには役立つであろうが、これはあくまで精神面であって、実際上物を渡してしまった以上はたいした歯どめにはならないのじゃないか、むしろこれは混乱することになるのじゃないかということは警戒したところでありました。  それからもう一つは、売り主の一般債権と買い主の一般債権の問題私が物を買った、ところが、いま所有権の留保ということで、代金は完納していないのでございますからまだ所有権は私に移っていない、ところが私が第三者からの債務があった、債務によって、私の持っておる一応占有権という形になるわけですが、それの差し押えを受けた、こういう場合にどうなるのか。異議の申し立てということがはたして可能なのかどうか、また、実際の効果というものがどうであろうか。一方、今度は売り主の一般債権というものも、同じような意味で問題が出てくると思う。割賦販売でございますから、ずっと代金を納めていって、完納に近いころではあった。たまたま売り主の一般債権によって、差し押えを逆に買ったほうが受けるという、ましてや名義の変わらない不動産であるとか、あるいは登録制の動産の場合、自動車の場合なんかもそうなるのではないかと思うのでありますけれども、そういう場合に、たまたまその売り主の名義であったということのために、買い主がほとんど代金は完納に近い状態、そうでなくても同じでありますけれども、それがついに売り主の債務によって差し押えられたということになってくると、やはりそこに問題が出てくる。そういう場合の異議の申し立てということがはたして可能なのであろうかどうだろうか。いろいろな費用がまたそこにかかってくるわけでありますが、そういう処理がどうか、相当議論されてきところでありましたが、こういうことがどう処理されてきておるのか、また、これらの問題に対しての考え方はどうなのかということにつきまして、このほうも問題があるわけでありますから、ひとつ見解を承っておきたいと思います。
  136. 田邊明

    ○田邊説明員 いまのお尋ねの点でありますが、割賦販売に関して、特に所有権留保の売買がなされておるときに、債権者が、いま例を自動車にとられましたが、たとえば自動車の販売業者が債権を持っておる、この自動車の販売業者に対する債権者が他におりまして、この人が、つまり需要者、現に自動車を月賦で買って金を払いつつあるという人にかかっていけるか、こういう問題が一つある。この場合については、法律的には他の債権者なるものは、直接はその自動車を現に使っておる人にはかかっていけないと考えるべきだと思うのですが、かりにかかってこられた場合において、それに対する救済手続があろうか。これは民事訴訟法上の手続として、いわゆる第三者異議の訴えという方法で処理できると思うのです。ところが、一番初めに御指摘のとおり、所有権留保をいたしておりましても、買い主の側の意識といたしましては、これは法律問題ではなしに、そういう意識が非常に薄いようでございます。現に月賦を払っておる、完済近くなれば、徐々に所有権というものが自分に移りつつあるというふうな意識が強いのだと思われます。  現実に、それでは争いがどのように起こっておるかということを見てみますと、大体販売業者及び販売業者に対する債権者もそうですが、直接需要者、買い主の持っておる財産にかかっていっての紛争というものは少ないようでございます。というのは、まず販売業者から見まして、所有権留保をつけておる場合でも、買い主が債務を履行しない、代金が滞るというような場合には、やはり極力代金回収という手段をとっておるようでございます。紛争が起きておる例は、その所有権留保の契約の中に特約がついているような場合、というのは、債務不履行におちいれば、代金を滞った場合には期限の利益を失って、一ぺんに代金を請求されるし、場合によっては契約を解除されて、その物件、たとえば自動車を直接引き揚げていくぞというふうな特約があるときに、買い主としては、なかなか金を払わないし、そうかといって、もうほとんど払った品物を返すという意識がないわけですから、これを直接引き揚げようとすることから出てくるトラブルがあるようでございます。しかし、これは法律的には自力救済になるわけですから、やはりその場合の引き揚げについてもしかるべき法的手続が必要だろう、このように私どもは考えております。  所有権留保のついておる割賦販売で御指摘問題点というのは、やはり所有権留保というふうなそういう契約形態にわれわれ一般が、特に買い主側の意識がなじめないという難点があるのではないか、こう思うわけであります。しかし、実際の取引上はまことに販売業者も賢明な方法をとっておるようで、その所有権の留保をたてにとって直接権利を発動しているような例はきわめて少ない、こう聞いております。ただ、最近報ぜられますように、特殊の事例、つまり月賦で何台も車を買って次々と処分していくというふうな、むしろ本来の買い主でない詐欺的な行為をなす者に対しての業者の自衛の問題ですが、これは信用調査その他が相当発達しておるようで、業者間でもその種の者の名前をそれぞれ知らせ合って、この種の者に対しては相当強い手段をとっている、こういうふうに聞いております。
  137. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまお答えになりましたようなこと、当時もいろいろとお尋ねをしてお答えを願っておる。若干違った当時の答弁であったと記憶をいたしておりますが、私がお尋ねをいたしましたのは、このトラブルが、これはもう起こっていないんじゃなくて、相当トラブルが起こってきている。だから、所有権留保の問題、確かに、買った側は、これは買ったんだ、お金を一回でも納めておりますと、もう自分のものだという気持ちになってしまうのですね。そこでこれはただ形式に終わっていくんだという、しかし、売った側にいたしましては、代金を納めてもらっていなければ当然これは品物を引き揚げていく、いわゆる自力更生、いまあなたのおっしゃった自力救済という形ですね。そういう形の発動になる。そのこと自体にまた問題が起こってきておる。むしろいわゆる刑事事件にまで発展していくという事実等もある。  それから、私が申し上げましたように、いわゆる第三者債権、売り主、買い主のこの問題も重要な問題点でして、やはりこの割賦販売が非常に拡大されてくればくるほど問題点は出てまいるわけでありますし、そのトラブルがその当事者同士の問題にとどまらない。それについてはいろいろと費用がかさんでまいりますと、やはりそういうものが、販売業者の側に立つと営業経費という形になっていく、そういうことは全体の割賦販売価格そのものの形成にも関係をしてくることでございますから、私はそれらの点については十分検討をしておられるであろうと思ったわけでありますし、また訴訟事件にも発展をしておるはずでありますから、そういうことをお尋ねしたかったわけでありますが、あとで企業局長からこれらの問題に対して、実際に問題が起こりましたでしょうから、どういう指導をこれらに対してはしておられるか。そういういろいろなトラブルが起こっておる事実というものを吸い上げていらっしゃるのかどうか。その点だけをひとつお伺いをしておいて、時間の関係もございますから先に進みたいと思います。
  138. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 どういうトラブルが起きておるか、それを知っておるかという御質問だろうと思いますが、われわれも、問題があればできるだけ当事者のほうから出していただくようにお願いをしておるわけでございますが、現在、苦情処理の窓口にそういうケースはあまりあがってきておりません。先ほど民事局の課長が申しましたように、ほとんどあがってきていないというのが実情でございます。
  139. 中村重光

    ○中村(重)委員 実は私も割賦販売について関心を持っておりますだけに、私なりにいろいろと調査をいたしております。問題はありますが、それを具体的な例をここで申し上げて見解をさらにお尋ねをしていくほどきょうは時間もございませんから、あらためて適当な機会にお話をいたしたいと思います。  法務省けっこうでございます。  中小企業庁長官お尋ねをいたしますが、御承知のとおりに割賦販売が非常に拡大をしてまいりまして、最近は百貨店の割賦販売——京王にいたしましても松坂屋にいたしましても、あるいは最近は三越であるとか、もうほとんどのデパートが割賦販売に進出をしてきておる。それから割賦百貨店が再編成をやるという形になっておる。これは百貨店が一口幾らからチケット販売をやっておるのかということもお答え願わなければならないのでありますし、こうした大企業の再編成や百貨店の割賦進出ということになってまいりますと、勢い中小企業の割賦販売にも影響することは言うまでもありませんが、中小企業の経営そのものに甚大な影響を及ぼしてくるであろうと私は思う。だからして、中小企業庁長官として、そうした百貨店等の割賦販売進出に対してどのような関心をお持ちになっていらっしゃるか、中小企業が健全な割賦販売をやるためにどういう政策指導をしていらっしゃるのか、またどうあるべきかということに対してあなたの見解をひとつ伺ってみたいと思います。
  140. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お答え申し上げます。割賦販売が次第にふえてまいりまして、しかも先生御指摘のように、百貨店及び大資本によります割賦販売がふえてきておることは、中小商業者にとりまして非常に大きな問題でございます。しかし、この割賦販売制度が、好むと好まざるとにかかわりませず、事実としてふえてきておるわけでありまして、したがいまして、私たち中小企業庁の者といたしましては、二面について監視及び対策を講じておるわけであります。  その一面は、大資本の割賦販売業者の進出があまり急激に出てこないということ、このやり方といたしまして、百貨店法、それから割賦販売法、これは割賦販売法には明瞭に法律上の留意義務が政府にも課せられておるわけでございまするが、この両法律の運用によりまして、百貨店業者なりまた割販の大資本業者なりが急激に進出してこないように、ただいま先生御指摘のように、たとえば百貨店の割賦につきましては、六大都市におきましては千円以下、それ以外のものにつきましては五百円以下の商品割賦販売には手を出さないようにという制限もいたしておるわけでございます。  このように、大資本サイドに対する制限を一面とり、反面、中小企業サイドにつきまして、まず割賦販売を行ないます業者に対する振興と、それから割賦販売以外の中小商業者が割賦制度によりまして影響を受けます。これに対します振興策を講じておるわけでございます。  まず割賦販売を行なっております中小業者が一番苦労いたしますのは金融でございますので、この辺は割賦に必要な金融を、特に商工中金等を通じまして流しますように配意をいたしておるわけでございます。さらに、立法当時、税法についての附帯決議がございましたが、これにつきましてはある程度の措置をしておることは御承知のとおりでございます。  次に、割賦販売以外の中小商業者でございまするが、これに対しましては、とにかく割賦制度というのは、何と申しますか、やはり商品が多数しかも長期に買える、資本力を駆使して買える、こういうことでございますので、弱小の中小業者の販売力を強化いたしますために、商店街を振興いたしまするとか、あるいは中小商業のいろいろの共同施設につきまして、中小企業振興事業団等を活用いたしましてこれに対します助成措置を講じておる次第でございます。
  141. 中村重光

    ○中村(重)委員 せっかくあなたが真剣にお答えになったのだから、何か型どおりの、こうあるべきだということを作文にしてお答えになったというような失礼なことは、実は申し上げたくございません。ですけれども、現実はそのとおりだと私は思っておる。中小企業庁が割賦販売の現在の動向ということを真剣にお考えになっておられるならば、それなりの、ほんとうに具体的な地についた指導というものがなされなければならぬ。しかし、いまあなたがお答えになったのは中小企業の一般対策である。特に中小企業の割賦販売に対して実のある指導をしておられたという事実は、残念ながら私は承知していない。私の調査した中では出てこない。まして、いまあなたは、百貨店の割賦販売がチケット販売一口千円以下はだめなんだ、こうおっしゃった。いま割賦販売は、百貨店というのは三万円であるとか五万円であるとかというような、そういう大口のもの以下は売らない。それは、いろいろとあまり小口になってまいりますと、メリットの問題その他いろいろあるわけでありますから、そういうことで、金額的にも三万円、五万円ということになっておるであろうと思う。当時私どもこれを審議するとき、千円ではだめなんだから、三千円以下というものはいけないということで、三千円というようなことでこれを指導するという答弁が七年前になされておる。いまごろ、百貨店に対しては千円以下のチケット販売をやってはいけないのだということを、こんなに物価が上昇して貨幣価値が下っているいまお答えを聞こうとは思わなかった。だから、非難はしょうとは思いません。思いませんけれども、ほんとうに現実というものを踏まえた中小企業の指導というものをしておちれないという一つのあらわれだと申し上げざるを得ないと思う。しかし、あなたが非常に真剣に中小企業の問題に対して取り組んでいらっしゃることは事実でありまするから、私は事実は事実としてそのことを認めたい、そうして評価したいと思いますから、この中小企業の割賦販売共同化を推進するにあたっても、割賦販売をやっている中小企業がばらばらでやっておるのではないか、それがこういう大型化しておるところの状態の中で、中小企業はどうあるべきかということについて直接的に話し合いをされて、そうして企業の合併であるとか、あるいは協業化であるとか、あるいは組織面、そういうことについても重大な関心を持って対処してもらわなければならぬと私は思う。この点に対しては、ひとつ通産大臣、どういう指導を進めていかれるのか伺いたい。せっかくあなたに御答弁を願うわけでありますから、大臣、どうも割賦販売について日本の欠陥——これは経済企画庁長官にもお答え願いたい問題であろうと思うのですが、メーカーが物をつくる、そして物を売りもする、あるいは代金の回収というように、何でもかんでもやろうとするところにも、流通機構の問題にも非常に問題点が出てきましょうし、割賦販売の場合に非常に代金がこげついてくる、代金回収が円滑にいかないというような点もそこらに欠陥があるような気がしてならない。だから、メーカーは物をつくるところだ、そうして販売をする機関、割賦販売の場合においては、代金回収機関というものは別に専門機関があってもいいのじゃないか。契約されたならば直ちにそこに回していくというようになってまいりますと、回収だって円滑にいくでありましょうし、これはあとでまたお尋ねするのでありますけれども、焦げついた債権を売買して、そして幾らかでもここで利益があがるじゃないかというような、高利貸しのような状態が最近はびこってくるということを押えることにも役立ってくるのではないか。やはりこういうところに問題があるのです。  これらの点に対してどうあるべきかということ、それらの点に対してひとつ御見解を伺ってみたいと思う。
  142. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 全く御指摘のとおり、つくる、売る、代金回収というようなことで、一人で何人前も気を配るというようなことよりも、つくることに専念して、あとは代金回収のエキスパートにまかせる、安心してまかせる、そういう機構がもしできるならば、たいへん世の中はこれは喜ぶと思います。結局、これは流通機構というものの強化ということにねらいを定めて、その方面に対して努力をすべき余地が相当にあるような気がいたします。
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まさにもうその辺のことが、先ほど申し上げましたように、実はなかなか問題がわからないと申し上げている一つ問題点だと思うのでございます。それで、製造と販売、ずっとそれが一貫した体制になっていたということは、かつては、戦前はおそらくやはり財閥といったようなことと無関係ではなかったように私は思うのでございます。それから戦後はそういう資本的なあれはなくなりましたが、今度は管理通貨ということとやはり関係があるだろうと思うのでございます。つまり、資本を全部自分で持っておって、その上で販売ならば販売ということをマージンを取ってちゃんとやれる状態にあったかといえば、だれも自己資本をそれだけ持って商売をしておらないわけで、やはり借り入れ資本でやっております。したがって、借り入れ資本では販売のマージンが十分に取れないということに非常になりやすいわけでありますから、金融機関としても、金を流すならばメーカーのところに流しておくほうがやはり無事だということになります。そういうことにどうも関連があるように私は思います。  それからもう一つは、支払い側の信用状態というものが、これはしばしば問題になりますように、ほとんど調査ができておらないわけですが、これはやはり日本先進国に比べて、雇用形態に入っておるいわゆる俸給生活者というものの割合がまだまだ少ないということと、つい最近までは雇用状態が全体として安定していなかったということがありますから、たとえばアメリカなんかに比べますと信用状態の把握というものが非常にむずかしい。かりに調査はいたしましても、はっきり信用があるという人が、ごく最近まではそうたくさんは出てこなかったのではないかということもあります。そうなりますと、また割賦債権というものがちゃんとした債権になり得るかなり得ないか。少なくとも信用状態がしっかり把握されていない限りは、割賦債権というものは担保力のある債権にはなり得ない、こういったようなことがいろいろあちこちに混雑しておって、つまり割賦販売というものがもう広く商習慣になるためには、消費者のほうがかなりの所得力と信用力を持っていなければ、そしてその信用状態がはっきりしなければなかなかなり得ないわけだと思いますし、また、銀行自身がそういうときのファイナンスをし得るだけの資金的な余裕がなければまたできないはずだと思う。少なくとも中央銀行からオーバーボローイングになりやすいというような金融機関でどれだけそういうことがやっていけるかというような問題がやはりあるだろうと思うのであります。ですから、結局昭和四十年代の後半に、たとえば設備投資といったようなものはもうそんなに大きくなくて、銀行の手元に余裕ができて、そうして銀行がいまのような金融もし得る、それから消費者のほうも完全雇用になって十分先の所得というものを担保にしていけるというところまでいくかどうかというのが、割賦販売をこれからわれわれが助長していいかどうか、私はほかにもいいかどうか考えなければならぬ点があると思うのでございますが、そこらの点、ちょうど御指摘になったようなことが、問題をこれから検討していく上に私どもにはっきりわかっていない要素ではないかと思います。
  144. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃる点、確かに私もそういう点を感じながら実は申し上げているのです。消費者金融ということを盛んに強調しておる点もそこらにあるわけですよ。参考人に対しては、この消費者金融をやりますとオーバー消費というものを抑制することにもなるではないか、景気調整というものに対しても、その面から政府がコントロールできるという点も申し上げたのですが、また反面、確かに消費性向は高いのだけれども、消費水準はヨーロッパ諸国と比較をすると必ずしも高くはなく、まだ低い。五三%かそこらでございましょうから、低いのです。そうなってまいりますと、まだ押える段階ではない。また、へたにこれを押えますと、結局経済そのものに重大な影響を及ぼしてくる、輸出そのものにもそのことは影響してくるということにもなってまいりましょうし、問題が非常に大きい。しかし、いずれにしても、いま大臣がお答えになりましたような観点から考えてみましても、やはりこの割賦販売における消費者金融というのは重要な点として考えていかなければならない点であろうと思うのです。ですから先ほども、いまは伸びが低いのだからたいしたウエートを占めていないのだというようなことであってはならないということを申し上げたのです。  以上、まだまだ言い足りないのでありますけれども、大体考え方はお互いにわかり合ったわけでございますが、そういう面からも、企業局長先ほどお答えになりましたように、国会の意思であるとして附帯決議を尊重するという立場からも、いろいろと前向きで検討しておるということでございますが、それらの点も、基本的な問題とあわせてひとつ十分遺憾なく検討もし、対処してもらいたいというふうに思うわけです。  それから、続いて長官にお尋ねをするわけですが、割賦販売が拡大をしてまいりますと、勢い割賦販売機関というものは、金融機関的な側面というものを強めてくると思うわけです。ですから、この消費経済ということとあわせて、金融制度金融政策という視点からこの割賦販売というようなものを総合的に進めていくのでなければならないのではないか。ですから、金融制度として、割賦販売の場合にこれは全然違うのだというような考え方であっていいのかどうか。きょうは銀行局長にも御出席願いたいということを申し上げておったのですが、田代財務調査官がお見えでございますから、あとでお尋ねをするわけでが、御承知のとおり、銀行になりますと大蔵省が監督をしておる。信用組合にいたしましても、間接的には大蔵省が監督をしておる。直接的には都道府県が認可もし、これを監督しておるわけですね。しかし、それに対しては定期検査というものも行なわれておるわけですね。ところが、前払い資金の規制というものが今度きびしくなりまして、三分の一の供託をしておるといいながら、この金は、そうした企業自体の資金を供託するというのではなくして、そうした消費者から集めた金の三分の一を供託していくということですね。そうして倒産というようなものも御承知のとおりたくさんあって、いまたいへんな社会問題になってきている。それらのこと等々を考えていくと、先ほど私が申し上げたこの割賦販売の拡大、そのことは金融的な側面を強めてくる。そこで、金融制度金融政策というものを関連さした中で割賦販売制度というものを検討していかなければならないのではないかという基本的な問題と、それから、後段は大蔵省の田代財務調査官からお答えを願うのですが、これでいいと大蔵省はお考えになっていらっしゃるのかどうか、この改正案にありますところの規制措置で事足りると考えておられるのかどうか、それらの点に対してお答え願いたいと思います。
  145. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大体私はおっしゃっていらっしゃるような疑問をやはり同じように持っております。結局、信用を与えるということが、生産に対して信用を与えるということであれば所得になることが明らかでありますが、消費に対して信用を与えるということが国民経済的にどういうことになるかということに関係があると思います。自動車金融なんかにいたしましても、これが生産財である限りは、その返済というものは理屈の上では一応保証されるわけですが、そうでない場合に、その返済能力というのは、結局信用を受けた者の個人的な能力ということになっていくと思いますので、消費者金融も結局は生産金融につながると言えば言えないことはございませんけれども、それは実は簡単にそう言えない面があるだろうと思います。ことに、もとが管理通貨である場合は、その辺がよほどむずかしい問題があるらしく思われます。結局、いまの金融機関になるじゃないかといったような問題も、ことに消費者の信用調査というものがよほどしっかりいたしませんと、割賦債権というものがはたしてどれだけ信頼できる債権であるかということには、やはり問題が残るような感じがいたします。
  146. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。先ほど指摘のように、今回の規制で前金払いの前金分についてその三分の一を供託するという形になっておるわけですが、だんだん割賦金融業者もそういう形をやりますと金融機関に近い機能を果たすのではないかということかと思います。確かに、お客さんの金をしばらくある時点まで預かるという意味におきましては非常に近い機能があろうかと思います。しかし、金融機関で現在預金あるいは預かり金といっておる場合とは性格が違うと思います。預かり金という場合には、やはり不特定多数の方々から何がしかのお金を預りまして、法律的には、消費寄託といいますか、その元本を預かって、ある約束した所定のときにお返しするということであります。  ただ、今回問題になっております前払い金と申しますのは、商品を買う場合の前段階として、そのお金をある瞬点でお渡しするということで、給付といたしましては、商品の引き渡しということが対価になるわけでございます。したがいまして、性格的には非常に違う感じがいたします。しかしながら、お客さんのお金をしばらく預かるという点に着目いたしますれば、相当厳重な規制と申しますか、監督を要するということは事実だと思います。そういう意味で、今回通産省におきまして、その三分の一を供託にするということは、従来に比べますると一歩前進だというぐあいに私は考えております。ただ、それだけですべての問題が終わるわけではないのでありまして、やはり信用調査機構の充実とか、そういったいろいろな客観的なほかの条件もこれにあわせまして鋭意講じていくということが必要じゃないかというふうに私は考えます。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  147. 中村重光

    ○中村(重)委員 田代調査官、おっしゃるように、形式論としてはわかるのですよ。しかし、消費者だって、物を買う人は不特定多数の人なんです。さらに、最近のように経済が非常に安定をしていない、あるいはゴールドラッシュの問題その他いろいろなことから不安がある、貸幣価値が下がってくる。そうすると、物を買ったほうがいいというそういう面からも、物を買う、あるいは住宅なんかもそうですが、借家におったほうがいいという考え方の人でも、この際家をつくっておいたほうがいいかもしれないということ、そういうような傾向が強く出ていることは否定できないと思うのですよ。だから、日常どうしても必要なものを買うこととは違うのですね。そういう目で見ることは適当でない。いずれにしても、長期間にわたって——しばらくとあなたはおっしゃったのだけれども、しばらくか長期間かは主観ですけれども、消費者にしてみれば、ほしい人は、それを積み立てをさせられるのは相当長いと思うのです。いずれにしても、相当長期間にわたって積み立てていくわけでしょう。その後でなければ物はもらえないわけです。その間に、御承知のとおりに倒産だって相当あるわけですよ。申し上げたくはないのですけれども、実はこの前払式割賦販売業界は早く成立させてもらいたい、継続審議になったならばこれはたいへんだという警戒の念が非常に強いということです。なぜですか。これはあなたにやかましく言うんじゃありません。前払式割賦販売店が近く倒産するかもしれません。もしこの法律案が継続審議になっておりますと、この前払式割賦販売に対する危機感というものが非常に高まってくるということ、そういう点を警戒して、この法律案の制定が一日も早いことを願っている。業界全体とは申しませんが、前払式販売業者の中で相当のものがこの法律の制定を期待しているという事実、私はこれは重大な問題だと思う。したがって、その三分の一を規制するとか、積み立てをさせるとか、登録制を許可制にするとかということで事足りると考えることは間違いであると思う。いままでよりはよくなったかもしらぬ。しかし、それはいままでのが間違っておったわけなんです。だから、そういう間違っておる、非常に不安定な状態、それをここから出発するのだというものの考え方は私は間違いであると思うのです。ほんとうのあるべき姿はどうなのか。  私は端的に申し上げて、堀委員その他からも申し上げましたが、先般参考人にも意見を申し上げてお答えを願ったわけですが、前払式割賦販売制度はやめるべきだと思っている。ごらんなさい。世界のどこへ行ったら前払式割賦販売制度というものがありますか。この割賦販売制度が出発をした初期にはありましたが、もうすっかり影を隠してしまっている。これはあなただけに申し上げているのではなくて、通産大臣あるいは経済企画庁長官、事務当局、企業局長等にこの点を特に強調するわけです。だから、いままでよりましなんだというようなことでこの問題を見過ごしていこうという考え方には非常に危険を感じます。率直に言って、もうやめるべきだと思うのです。  それと、大蔵省がお考えにならなければならぬことは、これは確かに不特定多数なんだから、信用組合に対してそれなりの監督をしていらっしゃるが、金融機関にはいってないわけですよ。だからこれには今度立ち入り検査の制度はあるけれども、定期検査はないわけですね。そういうことであっていいと私は思わない。  これらの点について、ひとつあなたからもお答えを願うわけですけれども、きわめて基本的な重要な問題でございますから、通産大臣に、前払式割賦販売のあり方についての考え方を明らかにしておいていただきたいと思う。いままで私はやめるべきだと申し上げたのですが、あなたはこの前払式割賦販売制度をどう進めていこうとお考えになっていらっしゃるか。実は、これには附帯決議があとでつきます。私が申し上げたこととそう変わらない形において附帯決議もつくであろうと私は思いますから、あまりあなたがうしろ向きの答弁をしておられると、あとで、御趣旨に沿いますという発言もしにくくなりますから、念のためにそういうことを申し上げて、お答えをお願いいたしたいと思います。
  148. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 やはり割賦金融の発達によりまして、品物が手に入るまでの代金を預託をする相手方は、金融機関のほうが私は安全だと思うのであります。でありますから、そういう割賦販売に関する金融制度というものが発達するに従って漸次その方面に移行するということのほうが望ましいと思います。
  149. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたが、これは金融機関に移行すべきことが正しい、こうおっしゃったわけですから、その限りにおいては明快です。ですから、あとで附帯決議ももっと明確なものをつけたいものだと思うわけでございます。  それから企業局長、あなたはきょうは主掌なんだから、あなたに主として質問を展開していかなければならぬわけですが、御承知のとおり、メーカーが新しい商品を次から次に製作をして、マスコミに乗って買いそそりをやっておるわけですね。技術開発ということについて相当積極的に取り組みを企業がやっておられることは間違いないわけですけれども、そんなに次から次に新商品ができるものであろうか。テレビで見て、またかまたかというようなことで、私はいつも感心したり疑問に思ったりして見たり聞いたりしておるのですが、性能がほんとうに違っておるのだろうかという点ですね。だから、いろいろな角度からあなたのほうでも調査をしていらっしゃるのでしょうから、その点の御調査の結果をお聞かせ願いたいと思います。
  150. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 計画的に、ものによりけりでございますが、全般的な調査はいたしておりませんが、御承知のように、耐久消費財も世界的に技術の進歩が非常に激しい、日本もそれに合わせていま発展途上にございます。その意味で、二、三年前から見まして、品質、性能は相当の進歩をいたしておる、かように私どもは考えております。   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 新しい技術、たとえば集積回路というようなものが開発されまして、それによって相当合理化なり品質の向上をはかられておる、こういうように考えております。ただ、御指摘のように、従来ややともすれば、これは非常にむずかしい問題ではございますが、売らんがためにデザインを変える、そういう行き過ぎの傾向があるのも事実でございます。これはメーカーにとりましても、消費者にとりましても、流通機構にとりましても、必ずしも望ましい傾向ではございませんので、必要以上の規格の変更、デザインの変更は行なわれないように御協力を願っておるわけでございます。ただ、これを一律的に押えますと、技術の進歩を阻害するということになりますので、非常にむずかしい問題でございますが、基本的な考え方としては、そういうふうに二つを使い分けているというのが実情であります。
  151. 中村重光

    ○中村(重)委員 いろいろ私が私なりに調査したことを具体的な例として申し上げたいのですけれども、時間の関係からはしょりますけれども、非常に極端な例だと思うのですが、あるカメラメーカーが今度ダイヤルを使わなくなって非常に便利になったのです。便利になったけれども、故障がどんどん出る。ところが、そういう障害を直すためには、またあらためて設備投資をしなければいけない。ところが、従来かけてきた宣伝費——将来かかるのは別として、それと設備投資の費用を計算してみたところが変わらない。だからこれはたいへんだ、若干評判が悪いだろうけれども、とにかくこのまま売ったほうがよろしい、そして適当なときにまた新しい銘柄でもってこれを売ることのほうがいい、こういうことでやめたという。中身を調べてみると、ハンダづけか何かで磁石の上に何かくっけているというのです。何かこつんと当たるとそれははずれる、だから故障するのはあたりまえです。そういうような極端な例は数多くないと思うのですけれども、あるのですね。テレビジョンなんかにしてもそうなんですが、ともかくそう中身は変わらないのです。ただ意匠が違う。それも木の木目を合わせる、そういうところに金をかける、そして新製品だというので盛んに宣伝をして、またこれを買いかえをさせる。そういういわゆる商魂たくましいやり方が行なわれておるということです。ですから、これは商売人がやることなんだからということでほうっておいてもらったら困ると思うのです。経企庁にしても、特に通産省は、これらの点については関心を持って指導してもらうのでなければならないと思うのです。  私は事実自分でぶつかったことを一つ例として申し上げるのですが、私のうちのテレビが実は悪くなったというので修理を頼んだら、一万八千円かかる。これは一万八千円かけるよりも新しい製品と買いかえたらいいですよ——カラーテレビということを言ったのだそうです。カラーテレビを買うと高いから、まあいいですから修理をしてくださいと頼んだ。修理をするために持っていった。そして三日目に持ってきて、三日使ったらそれがまたもとどおりになってしまった。私の知っている者の中にもそういうのがある。私のほうは買いかえをしておらぬですけれども、結局、それならしようがないからというので、新しい製品と買いかえをするというようなことで。あの手この手で売り込みが行なわれておるということです。だから、いろいろと問題点はあるであろうと私は思うのです。  もう一つは、下取りという形でそれを取るのですが、この下取りの価格基準というのはあるのでしょうか。御調査になったことがありますか。
  152. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 自動車関係はそういう基準をもって指導いたしておりますが、ほかの物品には、私は、あるいは間違うかもしれませんが、あるということを聞いておりません。
  153. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるとおりですよ。自動車にはあるのですね。ところが、その他の電化製品にはないようです。結局あなたまかせということですね。  もう一つ問題は、この割賦販売の中で品物を引き揚げる、いわゆる契約解除して物を引き揚げるのですよ。引き揚げた品物がどう扱わておるかということについても関心を持っていただくのでなければならぬと私は思います。これは全部ではないでしょうが、私が聞いたある一つの例としては、引き揚げて、メーカーでこれを若干修理をして、ぬりかえたり何かちょっとして、また新品としてこれが再販売されておるということも聞くのです。ですから、割賦販売の問題について、ともかく流通秩序を確保するためのこういう法律をおつくりになったわけでございますから、やはり消費者を守っていくということ、そして業者側にも健全なまじめな商売をさして、健全な割賦販売を育成をしていくという点からは、それらの点についても関心を持って指導をしていただく、監督をしていただくことを私は強く要請しておきたいと思う。  こういう具体的なことをたくさん申し上げますと切りがございませんから次に進みますが、ともかく同僚委員から強く言われた問題でございまして、割賦販売価格現金買いとの価格差というものが非常に開き過ぎるという点、参考人にも私は申し上げたのですけれども、焦げつきも非常に多い、あるいは回収するための費用がたくさんかかってくる。そういう場合は、結局品物にこの金はかかっているのですから、善良な消費者というものがその被害者になる、そういう諸費用を負担をしていくということになってまいります。その点は、これもまた先ほど委員質問に対して、秘密会等を通じていろいろな点を明らかにしていきたいというお答えもあったようでありますから、私は念のために一つ申し上げておくのですが、秋葉原に約七百軒程度の電化製品の販売店があることは企業局長も御承知であろうと思う。御調査になったことがございますか。——あると思います。特にこういう改正案をお出しになるわけでございますから、関心を持って、企業局長みずから調査されたかされないかは別として、御調査になったと思うのでございますが、どの程度の値開きになっておりますか、実態をひとつ——私は調査をいたしておりますから、ひとつお答えを願いたい。
  154. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 そのくらいの軒数があるということは私も承知いたしておりますが、実際に私行ってみたことはございません。系統的な調査をしたことはございませんが、言われます価格の割引は大体二割程度といわれております。
  155. 中村重光

    ○中村(重)委員 たくさんございませんから簡単に申し上げますが、電気冷蔵庫で三菱のMRA、これが現金正価が七万三千円、月賦価格——これは公正取引委員会の山田委員長、よくお聞きになっておってください。月賦価格、十二回払いで七万九千二百円、十五回払いで八万三百円、ここに協定価格というのがあります。これが四万七千円、実質販売価格が四万三千円、この月賦販売現金販売との差額が、わずか七万三千円程度の品物で三万七千三百円の値開きがある。それから同じく三菱のこれもMR一二〇AGのほうですが、これは現金正価六万八千八百円、月賦価格が、十二回払いで七万四千七百円、十五回払いで七万五千七百円、協定価格が四万五千円、実質価格が四万三千円。日立のほうで現金正価が六万二千円、月賦価格が、十五回で六万七千九百円、協定価格が四万八千円、実質価格四万五千円。三洋等もあるわけですが、東芝は現金正価が六万二千八百円、月賦価格が十五回で六万八千八百円、協定価格四万七千円、実質価格四万四千円。ナショナルもあり、シャープもある。それに東芝のカラーテレビの価格でいくと、現金正価が十八万三千円、月賦が十九万五千五百円、協定価格十四万三千円、販売価格十四万円、相当月賦販売現金販売との価格というのが開いている。この数字を見ると、企業局長、高利貸しから金を借りて買ったほうが安いのですよ。たとえば四万四千円のテレビを買うという場合に、結局、頭金を払わなければ月賦の場合も買えないでしょう。そうすると、頭金だけを現金正価のほうから除いて、月五%の金利でもって買う場合と月賦で買う場合とどれだけ違うかというと、七千三百円、わずか四万円から四万四、五千円のテレビで七千三百円、高利貸しから金を借りて買ったほうが安いのですよ。こういう事実がある。どうしてこんなに価格が違うのかということが一つ、これはもう同僚委員からもるる質問があったわけでありますし、またあなたからもお答えがあったわけでございますから、特に関心を強める意味で私はあなたに問題を指摘いたしておるのでありますし、またお答えを願ったわけですが、山田委員長、秋葉原にある協定価格というのは独占禁止法上から問題があると私は思うのです。こういう点を御調査になったことがあるかどうかという点、この協定価格というものに対してはどのようにお考えになるか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  156. 山田精一

    ○山田政府委員 秋葉原の価格につきましては、少し前でございますが、カラーテレビの価格協定事件に関連いたしまして取り調べをいたしたことがございます。ただ、ただいま御指摘のございましたいわゆる協定価格につきましては、まだ調査をいたしたことがございません。その協定価格なるものが共同して決定したものであるかいなか、十分調査をいたしてみたいと存じます。
  157. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは調査を当然してもらわなければならないのですが、いわゆる協定価格というものが独占禁止法違反であるということは間違いございませんね。
  158. 山田精一

    ○山田政府委員 協定ということの内容を調査いたしてみまして、独禁法で定めておりますところのいわゆるカルテル価格に該当しておれば、これは違法でございます。
  159. 中村重光

    ○中村(重)委員 業者が集まって価格協定をやりますね。この品物は幾らだ——それは品物の種類によって違うわけですから、業者が集まって、これは幾らで売ろうじゃないかというので、それぞれその品物をにらんで価格を協定するということは、独占禁止法上の違反であるというようにはあなたはお考えになっていらしゃいませんか。
  160. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいまおっしゃいましたとおり、業者が集まって相談をいたしまして価格を決定いたしておりますならば、これは違反でございます。
  161. 中村重光

    ○中村(重)委員 協定価格というのは、私がいま問題提起をいたしましたこと以外に、どういう場合が具体例としてございますか。
  162. 山田精一

    ○山田政府委員 これは調査をいたしてみませんとわかりませんのでございますが、先般ちょっとした事件がございましたのは、定価がたしか四万数千円の品を割引きをして三万円弱で安売りをするという表示を家庭電気製品の店でいたしたことがございます。ところが、その定価と書いてございましたのは、実は架空の、実際のいわゆるメーカーの希望価格よりもはるかに高いものを書いておったことがございます。したがいまして、協定価格と申しますのが、どういうつもりで書いておりますのか、調査をいたしてみませんとわからないように思うのでございます。
  163. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたがお答えになりましたような場合も、これはあなたのお答えを伺ってみても全く首をかしげるのですが、何百軒とある店舗で売っている電気製品が、協定価格というので価格をきちっと明示してあるわけです。この店はやっておる、この店はやってないじゃないのです。もうほとんどの店が協定価格ということで価格表示がしてあるのですよ。これは明らかに業者の話し合いをやって価格協定をやったということは間違いない。それ以外には、私が申し上げている協定価格というのは、いまあなたがお答えになったようなケースではないのです。さっそく秋葉原においでになってこれを御調査になっていただきたい。これはメーカーの圧力も一つあると思う。メーカーの圧力によって、これ以下には売らないようにしよう、そういうことから協定価格というようなことになったのであろうと私は思う。独占禁止法違反であるとするならば、東京のどまん中で、何百軒という業者が協定価格として堂々とこの価格表示をされたのでは、公正取引委員長の面目はどこへいったのかということになってしまって、これはたいへんなことだと思います。ですから、さっそく調査をしてもらいたいと思いますが、おやりになりますか。
  164. 山田精一

    ○山田政府委員 さっそく調査をいたしたいと存じます。
  165. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまお答えになりました家電六社、それから松下電器の再販並びにソニーが再販の疑いありとして審査を進めておるやに伺っておるのでございますが、こういう点がどうなっておるのかということと、それからこれだけではなくて、いまの松下の場合におきましても、特殊な塗料でもって、いわゆる隠しナンバーというものがあったわけですね。だから、秋葉原で売られているところのそうした電化製品等について隠しナンバーがあるということは、これは公然の秘密になっているわけです。だとするならば、松下とかあるいはまたソニーとかいうようなもの、いまあなたのほうで審判中の事件あるいは審査中のもの、それだけでなくて、ほとんどの電機メーカーがいわゆる再販売制度、やみ再販を実はやっておるのではないかということが考えられるのでございますが、あなたはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。いままでずっと審査、審判を進めてこられた点から一つ考え方というものがあるだろう、にらんでいたような点があるだろうと思いますが、ひとつ差しつかえない範囲でお聞かせ願いたと思う。
  166. 山田精一

    ○山田政府委員 ただいま御指摘のございました現在審判にかかっております事件でございますが、個々のケースにつきまして申し上げますことは差し控えさせていただきたいと存ずるのでございますが、一、二申し上げますると、一番最初におあげになりましたケースにつきましては、新しい証拠の提出がございましたので、それにつきまして参考人を審訊いたしまして、その上で結審の予定でございます。  それから二番目に御指摘のございましたケースは、大阪で集中的に今月末から来月初めにかけまして審理を実行いたしまして、これもできるだけ早く結審に持っていきたいと存じておる次第でございます。  三番目のケースは、ただいま審査中でございまして、まだ結論に到達しておりませんでございます。  これらを総括いたしまして、御指摘のような隠しナンバーを使っておったというケースは、審査の結果判明しております例がございます。しかし、それは全部がやっておるとは考えておりませんでございますが、必要に応じまして調査をいたしてまいりたい、かように考えております。
  167. 中村重光

    ○中村(重)委員 隠しナンバーがあるという事実が判明をいたしておるわけでありますから、申し上げるまでもないと思います。  ともかく、秋葉原で売り出されておる電化製品をメーカーのほうがすぐ買い上げをやっておる。全部のメーカーでありません。特殊なメーカーはこれの買い上げをしておる。そしてその隠しナンバーを調べて、これはどこの問屋、どこの問屋が流したということを発見して、そこにはもう物は売らないですよ。これは明らかに再販制度が、やみ再販というものが行なわれておるということがはっきりしておると思うのです。私はここでどこのメーカー、いつということまではっきり申し上げたいのでございますけれども、まあきょうはその点はおくといたしまして、適当な機会にあなたに私が知っている内容でもって、調査した内容でお話し申し上げてもよろしいと思います。  この再販の問題にいたしましても、ともかくもっと積極的にやっていただきたいということです。もたもたしておられるから——それは慎重におやりになることはけっこうです。決して私は拙速をとうとぶものではございません。ですけれども、それにもおのずから限界があるんじゃないでしょうか。だからしてやみ再販というものは次から次にあとを断たないのですよ。これは端的に申し上げて、私は公取はなめられておる。そういうことであってはならぬと思います。だからして、ひとつできるだけ早く審判の結論をお出しになる。そして審査中のものはこれもまた早く結論をお出しになって、そうした法律もあるいは制度も公取も無視するような悪い傾向というものを除去してもらいたい、こう私は強くあなたに要請いたしておきたいと思います。  次に、建設政務次官にお越し願っていますから、住宅の前払式割賦販売の問題でございます。これはいろいろ私のほうで時間の関係もございますから意見は申し上げませんが、そこでこの住宅の事情が非常に深刻である。そういう中で金を持って家を建てるというような者はもうほとんどないのです。いろいろな形で住宅金融公庫から金を借ります場合でも、そう簡単ではございません。だからして、いわゆるメーカーが住宅割賦をやっておられるところもあるのですが、その契約内容というものも、住宅を建てる側にとっては非常に一方的な片務的な契約というものが実はなされておるということですね。だからして、もう少しこの住宅の問題に対しては、それらの業者のやっておるやり方についても何とか規制措置を講じていく必要があるのではないか。これは割賦販売の中では住宅に対する規制というものが出ておりません。建設省としてはこの点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか。  それから、いまのこの住宅信販です。毎月の負担金というものが相当大きいです。この住宅信販で、個人住宅に対して政府は相当な期待があるわけですけれども、現実には一般庶民のいわゆる持ち家住宅ということはなかなか不可能であろうと思うのでありますが、これらの点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ御意見を伺ってみたいと思います。
  168. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 宅地、建物の取引については、五十五国会でも業法を改正して消費者保護をいたしてまいったのでありますけれども、御指摘のように積み立て式あるいは前払式といういわゆる割賦販売方式ですか、これについては、消費者といいますか、権利者、債権者といいますか、というものの保護が不十分であることは率直に認めます。そういう意味で、何らかの新しい規制をしようということで、実は私どもも鋭意その案を現在検討をいたしておりまして、でき得れば次の通常国会には成案を得て提出をいたしたい、こういう考え方を持っております。  いま検討中でありますから、まだまだ具体的なはっきりしたことを申し上げることはできぬのですけれども、大体いまわれわれの考えておる規制内容と申しますか、たとえば業者の資格、これは免許条件の強化であります。それから積み立て金の担保制度、これは会社の資本金あるいは準備金、供託金といったようなものを十分に精査をして契約高の制限をしていこうという問題、それから解約金の制限、これはいろいろ問題が起こっておると思います。それから契約の約款の規制、兼業の制限、その他業務監査等の運営の規制、こういったものをまず骨子にして新しい立法を実は考えておるわけであります。住宅問題については先生御指摘のとおりでありますが、本年度建設省は住宅対策は重点中の最重点として積極的に努力をいたしておるわけであります。ぜひこの五ヵ年計画を完全に達成して御期待に沿わなければならぬというのが私どもの考え方で、せっかく努力をいたしておるわけであります。
  169. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま土地、建物というようになってまいりますと、少なくとも四百万はかかる.わけです。そうすると、これに十五年月賦ということになって、六%のアドオンということになると、借り入れ金が四百万、金利が三百六十万つきますよ。そうすると合計七百六十万ですと毎月四万二千円、十年月賦になってくると六万三千円ぐらいかかりますよ。これは外国の例をあなたのほうでも十分御調査になっていらっしゃるのだろうと思うのですが、アメリカにいたしましてもこれは四十年月賦、これですと、毎月の償還というものは金利を含めて一万円かそこらでいいわけです。だから、現在の住宅月賦をやっている業者の規制ということは、もちろんこれは当然やってもらわなければなりません。なりませんが、政府が個人住宅、持ち家住宅というのに対して相当な期待を持っていらっしゃるわけでございますから、それならば、いま言う割賦販売におけるところの電化製品等、その他相当割賦販売というのは金利が高い、危険負担というものをこの価格の中に付加しておりますから。こういうようなことが住宅の場合においても現在は行なわれてきている。あるいはそれ以上のものだということが考えられるわけですから、そういう点もあわせてひとつ検討してこれに対処してもらいたい、こう思います。  最後に、割賦協会の問題に対してお尋ねをするわけですが、私は時間の関係から端的に通産大臣に伺います。  昨年、四十二年八月二十三日から九月二十日にかけて、割賦協会がヨーロッパ調査団、これは一行十四名でございます。団長がスズキ信販株式会社の代表者森吉武司という人です。ここで割賦販売の実情調査をしておるわけでございますが、この調査報告が通産省のほうにも出されて、私もいただいておるわけです。これに自転車振興会から二百万円の補助金が出ておるということでございますが、どういう事情、どういう理由でこの割賦販売のヨーロッパ調査団に対して、そういう多額な旅費の補助をなさったのか、そして、その調査の結果はただこの一片の調査報告にとどまっておるのかどうか、これと、この調査団と通産省との直接的な関係はどういうことなのか、それからこの二百万円の使途はどうなっておるのか。ひとつこれらの点に対して詳細にお答えを願いたいと思います。
  170. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 局長からお答えいたします。
  171. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように、四十二年度の海外の実態調査費として、競輪から百九十二万円を交付いたしております。  この趣旨は、現在問題となっております割賦金融制度の確立を審議するためにはぜひヨーロッパ諸国の実情をつぶさに目で見ていただいたほうがいい、こういう意味で十五名の方に御参加を願いまして行っていただいたわけでございます。それで、通産省といたしましてはそのうち五人分につきまして渡航費の補助をし、そのほか事務費につきまして翻訳料、印刷費等について補助を差し上げたわけでございます。非常に大事な問題でございますので、こういう補助を差し上げたわけでございますが、御承知のようにこの割賦協会というのは会員組織でございます。会員から多額な金を特別に取るということもむずかしい情勢にございましたので、こういうことをいたしたのでございます。  それから、できましたものがどうなっているかという御質問でございますが、私どもこれを拝見しまして、日本考えておりますことの相当の裏づけができた、したがって今後の方向を検討いたします上に非常に参考になる、これを見るだけではなくて、今度の割賦審議会の審議過程においてこれをこなしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから監査の点でございますが、四十二年度分でございますので、まだ自転車振興会のほうで監査はいたしておりません。今後補助金の趣旨に合って使われておるかどうかは厳重に監査するつもりであります。それと同時に、この割賦協会というのは民法上の公益法人になっておりますので、通産省としても監督の義務がございます。そういう面からもこの使途については十分監査してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  172. 中村重光

    ○中村(重)委員 調査団の中の五名とおっしゃいましたね。その五名はだれだれに補助をされたのか、そのお答えと、その使途について監査をして.いないというそのこととは結びつかないわけです。それはどういう意味なのか。
  173. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 ただいま五名分について渡航費を補助したということは間違いございませんが、個人の名前はいまのところ持っておりません。  それから監査という問題でございますが、その渡航費あるいは事務費が適正に行なわれたかどうかというのは、補助金の交付後に、御承知のように自転車振興会が監査するわけでございます。その監査は四十二年度分についてはまだ行なわれてない、こういう意味でございます。
  174. 中村重光

    ○中村(重)委員 重工業局長、いま企業局長のお答えをお聞きになったわけですが、五名に渡したというのではなくて五名分渡した、こう言っているのです。そうすると、一行十四名ですね。それに対して特に五名分渡したというのはどういう意味なのか。あなたは自転車振興会の担当の局長でいらっしゃるわけですから、この二百万円の補助金を出されるについてあなたは当然関係されたと思うのですが、五名分というのはどういう意味でございますか。
  175. 高島節男

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  予算の査定をいろいろやります際に、予算全体として潤沢ではございません。この計画につきましては、いま企業局長のお話がありましたように、当時の企業局から重工業局へ役所のうちでも相談があったと思います。意義のある、一つのけっこうな計画ではある、こういう認定はいたしました。しかし金のほうから言いますと、五名程度の分を中心において、それを補助の対象にして、あとは自弁で全体やっていくという計算のもとに予算をつけたわけでございます。あとの実行は具体的な企業局の御監督と実行にまかせた、こういう一般の予算の査定の場合のやり方でございますが、五名程度でいいんじゃないか、こういう認定をしたわけでございます。
  176. 中村重光

    ○中村(重)委員 それはどのようにも受け取られるのですが、この代表団のメンバーの職業を見てみると、いわゆる自転車振興関係があるような業者も入っています。そういうことから、この人たちならばいいじゃないかということで五名分お出しになったのか、あるいはそうでなくて、十四名行くんだけれども五名分出そうということにされたのか、どうもその点があいまいであるということが一点。五名分の計算の根拠というのか、その基礎はどういうことになっているのか。
  177. 高島節男

    ○高島政府委員 当時の査定の説明内容が、私もちょっとはっきりいたしませんが、やはり機械に関係がある中で具体的にどういう人選をして何の何がしが行くということは、おそらく予算の段階では具体的にお示しがなかっただろうと思います。それでまず大体五名程度のところで踏み切って行ってほしい、機械に関係がある分ということを重点に考えてまいりますと、当時どういう御説、明があったか、十人といいましたのか、十五人といいましたのか、相当の団を組んで行かれるかと思いますが、その辺はカバレージの問題も若干ございますので、内輪目に査定していっていいんじゃないか、こういう感触からやったものだと想像いたします。
  178. 中村重光

    ○中村(重)委員 調査団の調査目的とその割賦とどう結びつけをされたのか、この点もお答えを願うのですが、そうしますと、その監査というものは割賦協会の全体の経理監査をなさるのではなくて、この旅費の監査をすることによって足りると私は思う。五名分出してあとは自弁でやってもらうのだということを企業局長はお答えになったのだから、そういうことになる。それならば、何年度の監査をいつするということではなくて、帰ってきたならばこの旅費の精算をやって、その精算報告をやらせるということが常識ではございませんか。
  179. 高島節男

    ○高島政府委員 これは私からお答えするより、現実に即した企業局のほうから補足していただいたほうがいいかと思いますが、出てまいりまして、そして実行されて帰ってくるという過程を経ますと、監査の一般のやり方の時期というものは、まず実行されたその年度が経過します。ことしの四十二年度が済みまして、おおむねこの五月ぐらいから監査に着手してまいるわけでございます。御指摘のような点に問題があれば、むしろ監査の順序といたしまして今後こういったケースを優先的に取り上げて監査していくという方法も一つあるかと思いますので、そういう面につとめるように自転車振興会のほうにも督励をいたしたいと考えます。
  180. 中村重光

    ○中村(重)委員 重工業局長、監査の問題はあなたのほうではない。これは企業局長からお答えを願うのです。ただ問題は、あなたのほうはこういうものに対して金を出すのかということですよ。あれほどのギャンブルで相当利益をあげていくのだから、それを償うという意味等もあって、機械工業関係、それから一方においては社会保障こういう形で資金が流れています。ところが、ヨーロッパ諸国の割賦販売の実情調査のために行った、それに対して二百万円これは私はあえてばく大と言います。このメンバーからいってそうなんですが、そういう金をどういう目的でお出しになるのか。この種のものは相当たくさん調査団が出ておると私は思います。何かこういうひっかかりがあると、全部出しているのですか。こういうものに補助金等を出していいのですか。
  181. 高島節男

    ○高島政府委員 本件につきましては、割賦販売法審議過程でも信用調査ということにも踏み込まなければいかぬという非常に強い御意見も現にございますが、当時、割賦販売審議会の審議過程におきましても、まずこれに取りかかれという感じの要請が非常に強うございました。現に予算の申請といたしましてこういったものを出しておられたことと思いまするが、それに対しまして、おそらく全体の財源からにらみ合わせてみて、意義はあることだからこれは取り上げていいのではないかという御判定であったのではないかと思います。
  182. 中村重光

    ○中村(重)委員 企業局からそういう連絡があったにいたしましても、意義のないものはないでしょう。この種の程度の意義のある調査団なんというものは、私は連日とは言わないけれども、一年間にはおそらく何十組、何百組と行っているでしょう。審議会の委員が直接調査に行ったというのではないのですよ。このメンバーから見ればおわかりのように、業界人です。この人たちに対して五名分ということですが、これも大体おかしいんですよ、企業局長。十四人行って五名分出した。その五名分の積算の基礎だって明確でないから、これは明確にしてもらわなければならない。そして監査にいたしましても、私は高島局長答弁は詭弁であると思うのです。こういう調査の結果の報告は出ているんだから、それは二百万円もらいましたが、これはこういう形で使いましたといって、旅費の使用の報告というものがあるのはあたりまえじゃないですか。なかったにしてもそれを要求するのがあたりまえじゃございませんか。そういうことは常識でしょう。それは協会のいわゆる一般経費ということになるだろうと思うのでございますが、定期的な一つの監査というものは、総会その他によってその報告か何かができるのでございますから、そういう場合に対して報告をやらせる、あるいは監査をする、こういうことになりましょうけれども、こういう旅費という一定の期間限った、目的がはっきりしている、その使用目的がそれに使ったんだとするならば、それと同時に、こういう報告とあわせて報告を請求すべきでなかったんですか。積算の基礎であるとか……。私がいま申し上げたような点に対してひとつお答えを願いたい。
  183. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 渡航費五名分といたしまして、トータル二百三十一万七千円かかっております。これに対しまして半分の補助をお願いしたわけでございます。そういう積算の基礎になっております。  なお、御指摘のように、協会全部の監査でなくて、こういう特殊のケースのはっきりしたものの補助金だから監査すべきだという点は、私もごもっともだと思います。まことに申しわけないことですが、現在まで報告を受けておりません。さっそく報告を受けると同時に、精密な監査を実施いたしたい、かように思っております。
  184. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうしますと、その二百万円の旅費の補助でございますから、それは特定の人五人に渡るべきものと思いますか、あるいは十四人に均等でもって支給さるべきもので、いわゆる補助したというような理解をしていらっしゃるのでございますか。
  185. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 こういう方に補助するという形で出しておると思います。したがいまして、具体的にその五人につきまして渡っておるかどうかを監査してみたい、かように考えております。
  186. 中村重光

    ○中村(重)委員 それではあなたは、特定の人五人に渡っておる、またそういう考え方でこれを出しておる、そういうことで理解してよろしゅうございますね。
  187. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 そういうような出し方をいたしておりますので、監査もそういうたてまえでいたしたいと思います。
  188. 中村重光

    ○中村(重)委員 ところが、それが五人の人に渡っておると思いますか。
  189. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 監査の結果御報告申し上げたいと思います。
  190. 中村重光

    ○中村(重)委員 監査の結果というが、私はいまこれを突然質問しているのじゃない。質問をするということをきょう通告したのじゃございません。私は具体的に問題をあげて、参考人にもこの問題について触れたのだから、あなたもお聞きになっておられるはずだ。昨日次長が私のほうへおいでになったから、この問題に対して質問をいたしますよ、こう言って通告しておるのだから、十分調査していらっしゃるはずなんだ。ところが、あなたやっていらっしゃらない。けさ、団員に対して協会から金を渡したことにして領収証をいただけませんかと言って連絡に行っている。この事実をあなたは御調査になっていらっしゃいますか。
  191. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 そういう事実は残念ながら知っておりません。
  192. 中村重光

    ○中村(重)委員 私がこれを質問をするということは通産省しか知らないはずなんです。ところが、協会が私のこれを質問することを知って、そしてこの団員に対して連絡をとって、あなたがこの金を受け取ったことにして領収証をいただきたい、そういう連絡をしておるじゃありませんか。明らかにそれは不正であります。これはどう措置いたしますか。
  193. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 よく事情をさっそく調べまして善処いたしたいと思います。
  194. 中村重光

    ○中村(重)委員 善処ということではだめなんです。いまはっきりあなたは個人にこれが渡っておると言う。こういう団体の調査に対して補助をした、このことが適当でないと私は言っておる。それも問題です。同時に、特定のその五人に渡したというならば、一行十四名に対して均等にこれが使われてくるということでなくて、特定五名の人であるとするならば、その五名の人に関してどうして出さなかったのか。その点も明らかにしてもらわなければならない。そこに問題がある。ましてや今日に至るまでその金が団員に渡されていないというこの事実もあなたは御承知になっていない。私が知っているんだから……。団員の旅費は個人個人七十万円出しておるのですよ。実際は実費五十五万程度しかかからない。七十万円団員には出さして、そして二百万という振興会からの補助金というものはどこへ使われたのです。この作成費もこの費用の中に入っておるという考え方ですか。
  195. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 補助の対象といたしましては、先ほど申し上げましたように渡航費と、それから事務費についても補助いたしております。翻訳料、印刷費等も補助いたしております。したがいましてどういう用途に使われておるか、さっそく調べまして御報告申し上げたいと思います。
  196. 中村重光

    ○中村(重)委員 翻訳の印刷費等にも使われておるということになりますと、この報告書があるわけです。これは翻訳してこういうものができるわけですが、こういうものの製作費にも使われたというように理解をしていらっしゃるわけですね。
  197. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 そのように理解いたしております。
  198. 中村重光

    ○中村(重)委員 それならば、この作成に対して八十万の金を出ておりますね。いま二百万円からあなたは出しておる、そういうことだとお答えになった。ところがこの作成に対してはまた別に八十万円という金を渡しておるのでしょう。
  199. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 トータルで百九十二万円交付いたしております。その内訳といたしまして、渡航費、これは補助を含めました全体の渡航費、五名分が二百三十一万七千円、事業費が百五十三万五千円、これの二分の一が百九十二万円に当たるわけでございます。したがいまして、正確に申しますと、この事業費の約七十五、六万円を補助しているのが百九十二万円の内訳でございます。百九十二万円以外に渡しておるという事実はございません。
  200. 中村重光

    ○中村(重)委員 二百万円の旅費を助成をされて、補助をされて、そしてこの報告書の製作費という形にしたのかどうか、ともかく八十万円という金をまた出しておられるはずなんです。もう一つ四十三年度七百七十七万円という金、三年間で約五千万円程度、数字はあとで調べればわかるのですが、五千万円から若干切れています。その金は同じく割賦協会に補助をしようとしていらっしゃる。それはどういう根拠でそういう多額の補助をされるのですか。
  201. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 協会には先般来御説明申し上げていますように信用調査の事務をやっていただきたい、こういうことでございます。信用調査の事務はこれが完全に軌道に乗りました場合は、私は採算ベースに合う組織にしなければいかぬ、かように考えておりますが、何しろ御承知のように協会自体はお互いにブラックリストはどちらかというと、競争しておりますので出したくない、こういうことでございます。そういう意味で当座はそういう業務を軌道に乗せるために補助すべきではないか、かように考えたわけであります。もちろんこの補助金だけでまかなえるわけではございません。それと同時に、協会からもこれと同じあるいはこれ以上の金を特別会費として出していただいて、約二千万円に近い金でこの二、三年の間に問題になっている信用調査というのを軌道に乗せてみたい、こういう趣旨で補助金を要求したわけでございます。
  202. 中村重光

    ○中村(重)委員 四十三年度七百七十七万円はもうすでに決定されて、三年間でもって約五千万円の補助をしようとしていらっしゃるわけですね。そしてその業者が同額の金を出すということになるわけですね。そうすると、この資料によって明らかでございますが、一社当たり百万円支出をしなさいということを協会は要求している。その対象となる業者はどれだけですか。
  203. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 現在、団体会員もございますし、個別会員もございます。また信用調査だけの会員、いろいろございますが、それを全部含めまして八十六社だったと思いますが、そのくらいの数字がございます。そにに対して要求しておるのだろう、かように考えております。
  204. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたのほうもすでに七百七十七万円という端数まで出ている。この補助はもうしょうということで決定をして、そしてそれなりの作業を進めていらっしゃいますね。
  205. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 決定をいたしまして準備を進めております。
  206. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、これは約百名の業者の人たちがいわゆる焦げつき債権の調査が目的でつくる機関でございますか、あるいは信用調査をすることを目的としてつくる機関でございますか。その機関をつくらなければ出さないのでございましょう。どうですか、その点は。
  207. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御承知のように協会内に信用情報所がございます。それを活用したいと思いますので、その信用調査のために要る費用に充当するつもりでございます。別段新しい機関をつくるつもりはございません。
  208. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうなりますと、信用情報交換所というのは、もう割賦協会の中にできているのですね。その機関はあるのです。そこでいまあなたのほうのこの報告書によると、約十二万程度のデータが集まっている。実際は七万から八万しか全国から集まっていない。ところが報告書は十二万程度と書いてある。それは問いません。こんななまぬるいことでどうするのだということは言いたいが、それは信用調査の問題でございますから、それは別の角度からいろいろと申し上げたいことがありますから、きょうはその点には触れません。ところが、いま私が申し上げました七百七十七万円というのはそういうような費用に使われるのではない。焦げつき債権の取り立てをする機関をつくるのですよ。だからして同額の補助でしょう。七百七十七万円同額の補助をその機関に参加する業者が出さなければいけないのですよ。その業者が何人出していると思いますか。いま何人これに対して参加をしたと思いますか。あなたのほうの課長がおいでになって説明をしている。どういうことをしゃべっていたか、私はここへ資料を持っているのだから、議事録まであるのだから……。これは時間の関係がありますから私が申し上げますが、これに参加するリストに載っているのは日本信販とか東芝とかフランスベッド、日立月販、日本信用保証ほか一社、これだけが予定になっているのだけれども、ところがこれが全部参加することになっていない、割賦協会そのものを信頼してないのだから。そうなりますと、企業局長、いいですか、わずか三社か五社の企業のために自転車振興会は七百七十七万、三年間に約五千万円の金を出すことになるのですよ。そういう不合理な金を出していいのですか。重工業局長どうですか。
  209. 高島節男

    ○高島政府委員 予算といたしましては本年度分として、ただ先に計画があるということでやっておるわけでございますから、したがって金額としては前年度分の百九十万とそれから本年度の分と、御指摘の程度の金額になってくると思います。こういった信用調査というものの発足にあたりましての重要性、意義というものを企業局の説かれるところを了といたしまして出した次第でございます。
  210. 中村重光

    ○中村(重)委員 ともかく企業局長、いまの高島局長答弁は実にでたらめです。大体こういう補助をしようという団体ができた、そうしてこれに参加するものは何名である、幾らそういう業者は支出をする、あるいはどの機関から幾ら出る、だからしてこういう公的な——これは私は公的とは言わないのだ。公的な事業なんだからこれに対しては幾ら振興会から補助をするのだ、そういう根拠がある金の出し方をするということがあたりまえじゃありませんか、局長。ギャンブル事業、好ましいものではない。だけれども、機械工業の振興、特に社会保障関係で恵まれない人たちに金を出してやるという、それを隠れみのにしてギャンブル事業というものをやっているのでしょう。それを、割賦販売事業をやって、そうして危険負担とかいって高い高利貸し以上の金利をとって、それは相当笑いのとまらぬほどもうかっているのだ。そういう負担というものは善良な消費者にかぶせて、その上にヨーロッパ各国——行ったところまで全部私はわかっているのだ。行っているところはオランダ、スエーデン、西ドイツ、スイス、イタリア、スペイン、フランス、イギリス、こういうところを回ってきている。これがどれほど割賦関係があったのか知りません。そうして、こういうものに対して二百万円の補助を出している。局長はいま、これに対しては別に出していないとおっしゃったが、私の調査するところによると、八十万円がこれの製作費用という形で実は出ておるということなんだが、それだけではない。これから三年間でもって約五千万円の補助をしようとしておる。これほどこの割賦販売の問題というものが、前払い資金の問題等についても大きな社会問題になっておることもおわかりのとおり。そういう中において、こうした非常識、不見識、でたらめな補助というものが大体できますか。やっていい道理がないじゃございませんか。
  211. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 信用調査の五千万円の件は、一応そのくらいの金、それから業界からも金を供出願いまして、この二、三年の間に完全なものにしたいという計画で発足しておるわけでございます。将来補助をどれだけ出すか、四十三年度は別でございますが、その後についてどれだけ出すかということはきめておりません。一応の長期見通しをつくっただけの話でございます。なお、四十三年度の補助金を交付いたします場合の気持ちといたしましては、やはり信用調査でございますので、各団体、各業界が自分も供出してこれに協力していただかなければ信用調査はできないと思います。そういう意味で、御指摘のように二社とか三社だけがこれをやるのだというようなことならば計画は進まないと思います。したがいまして、そういう場合は、この補助金は責任を持って返還させたい、かように考えております。
  212. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなた方がおやりにならなければならぬことは、国会において附帯決議をつけられた、そういう国会の意思を尊重することを先におやりなさい。信用調査の問題であるとか、消費者金融であるとか、あるいは保険制度であるとか、そういうようなことにこそあなた方は政治的な取りきめをすべきなんですよ。それをやらないでおいて、まだできてもいない団体に、どういう性格のものであるかもわからないのに、もうすでに早手回しに七百七十七万、三年間に約五千万円の金を出すということをきめて、そうしてどんどん事務処理を進めておるじゃございませんか。そんなでたらめな話ってございません。まず見きわめるべきです。どういう団体か、何名参加しておるのか、どういう性格のものか、そしてこれに出していいかどうかということを実績によって考えていく、それが正しいのじゃございませんか。
  213. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 私どもは、新たにやります回収業務とかあるいは回収機関の考え方もあるようでございますが、そういう新しいものにこの金を出すという意味ではございません。従来から細細ながら、東京地区だけでございますが、十三万件のブラックリストをつくった信用調査をやっております、そういう業務に出す、こういうことでございまして、回収業務とかそういう新しい業務に出すつもりは毛頭ございません。しかも、その信用調査業務というのが多数の業界の協力を得られる組織になった場合に出す、こういうことでございます。
  214. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたがそういうことを言われるなら、この議事録を読みなさい。あなたのほうの課長がいって説明をしておる。その中で、その機関に入る人は一人当たり百万円出さなければいけないのですよ。そうして同額の金をあなた方のほうでは出すのですよ。そんなでたらめな答弁てない。(「暫時休憩をしなさいよ。」と呼ぶ者あり)委員長、一応休憩をして……。
  215. 小峯柳多

    小峯委員長 ちょっと速記をやめて……。   〔速記中止
  216. 小峯柳多

    小峯委員長 速記を始めてください。  中村委員。私どももはっきりさせておく必要があると思いますので、どうぞ明確に聞いて、重ねてはっきりさせてください。
  217. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは通産大臣先ほど来自転車振興会の補助金を割賦協会のヨーロッパ調査団に対して出して、その使途がきわめてあいまいであるという点、それから四十三年度に七百七十七万円の補助を同じく割賦協会の一つの業務に対してしょうとしておる。しかも、それは私の調査したところによると、焦げつき債権の回収というための特別な機関をつくろう、そして企業局長は、業者が協力したものでなければ出さないのだ、こう言うわけですが、それは私が先ほど来申し上げましたように、特殊な業者に対して百万円支出をしなさい、そしてその支出し得る業者のみが参加するわけですね。これに対して七百七十七万円、同額になるわけですが、その補助をする。それに参加し得る業者というのは、先ほど名前をあげましたが、きわめて限られた少数の業者にすぎない。そういうような焦げつき債権回収ということは、ある意味においてはその債権をどういう形で取り立てようとするのか。これは焦げつき債権を商売とする人もいるわけですが、それに売って、その債権額の二割とか幾らかで買って回収して、五割も七割も取り立ててもうけようというようなことをやっている。それを専門にしている業者もあるわけですね。この機関というものも、私がいま調査した範囲では、そういう性格を多分に持っておる請負的な業務をその機関の中でやろうという、そういう意図があるように私は聞いている。それは通産省に対してはいろいろと粉飾して報告するでありましょうが、実際問題としては請負的になってまいります。そういうものに対して自転車振興会がそうした貴重な資金を助成するということは、私はもってのほかだと思う。そういう観点から先ほど来私は追及をしてまいりました。  さらに、その二百万円の補助にいたしましても、五人分出したのだと言うんだが、もらった者は一人としても——それで私が質問をすると言ったら、それが業界に伝わって、通産省と協会と連絡があったかなかったか、私は私なりに調査をいたしておりますけれども、それはきょうは触れなかったわけでありますが、その二百万円というものはそうした一行の調査団には全然渡っていない、どこへ使われたかわからない。それで、私が質問するというので、調査団の特殊な人に対して領収証をもらえないかという交渉が始められて、その人たちはそれを拒否しているというようなことが、けさの実情なのであります。全く不明朗、けしからぬやり方である。通産省は知っておられたのかどうか、これに対してはどう措置しようとお考えになるのか、ひとつ明快にお答えを願いたいと思います。
  218. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  二百万円を支給した者に対しては、これは旅費として支給したものでございますが、当初の約束に照らしてもし不当な点があるならば、これは絶対に回収させます。  それから四十三年度分の七百七十七万円につきましては、もしこれを焦げつき債権の回収業務等に使うというならば、絶対にこれは認めない。もうもっぱら信用調査のみに限定してこれを使用するということにいたしまして、 しかも、 この場合、業界の協力というものをまって、それが果たされる場合においてのみに限定する。言い直しますと、焦げつき債権の回収業務等にはこれは使わない、もっぱら信用の調査のために、しかも、業界の協力というものをまってこれを使用する、そういうことにいたします。
  219. 中村重光

    ○中村(重)委員 業界の協力ということになってまいりますと、先ほど私が申し上げましたように、いま割賦協会が業界に対して協力を、いわゆる参加を求めておる業者は、特定の業者、いわゆる大手業者数社にすぎないのであります。いまのところ百万円支出をさせる。そういう特定の業者のための信用調査であってはならぬと私は思う。国会において法制定の際に附帯決議をつけましたが、それは特定の業者に限って、その業者を守るための附帯決議をつけたものではありません。割賦販売の健全なる発展、善良な消費者に被害を与えない、そしてそのことが消費者を守ることにも通じ、あるいは中小企業者の利益を守ることにも通じ、あるいは経済界の発展にも寄与していくというような意図から附帯決議はつけたものであります。したがいまして、業者の協力という意味はそういう意味と理解してよろしいのかどうか。いま協会で考えられておるような特定数社の参加による協力であってはならないという考え方であるかどうか、その点を一応明確にしておいていただきたいと思います。
  220. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 業界の協力とは、御指摘のとおり業界全体のために、しかも、全業界の協力をまって業界全体のための調査をするということでございます。
  221. 中村重光

    ○中村(重)委員 その旅費の問題にいたしましても、これが正当に使われていないということは、私、確信を持っている。したがって、これの返還を求めることは当然でありますが、私は、そのことが旅費として使われておったにいたしましても、そのこと自体に問題を感じるわけです。そういう調査団に対して二百万円という補助をしたということ自体に問題を感じる。私は、そういった今回のこのヨーロッパの割賦販売の調査団、それに対して補助をするというならば、そういう類似のものは数多くある、したがって、そういう補助をするという場合、もっとまじめに真剣にあらゆる角度からこれを検討していく、そして、補助をすべきものに対しては堂々とこれをしていくという態度でなければならぬと考えます。したがいまして、大臣は、いわゆる振興会の各種の団体に対する補助というものを、この後どういう態度で進めていこうとお考えになるのか、そのこともひとつ明確にこの際お答え願っておきたいと思います。
  222. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 いやしくも、高い見地に立ってすべての業界の健全なる発達のためにこれは使用すべきものであって、特殊のもののために使うべきものではない、かような確信を持っております。
  223. 中村重光

    ○中村(重)委員 長時間にわたって質疑を続けてまいりましたが、この割賦販売に対しましては、改正案そのものには反対はいたしませんが、しかし、必ずしも歓迎をしておるものではありません。ともかく前払式割賦販売というものは、先ほども私は考え方を申し上げましたように、また、大臣からもはっきりお答えを願いましたから、一応答えは出たようでございますけれども、この改正案というものが一応成立をいたしましても、大臣先ほど来お答えになりましたような線に沿って、すみやかに前払式割賦販売制度そのものをなくしていくという方向でひとつ取り組んでいただきたいということを、強く要望いたすと同時に、さらに与野党全会一致でもって附帯決議をつけるつもりでございますが、法制定の際にもつけましたような附帯決議と同じ内容の附帯決議もつくことと私は思っております。だからして、健全な割賦販売を育成していく、そうして消費者も守っていく、価格の問題等々強く指摘をされたところでございますから、そういう点に対しても十分熱意を持って真剣に取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  224. 小峯柳多

    小峯委員長 中谷鉄也君。
  225. 中谷鉄也

    ○中谷委員 改正案について質問をしていない点、三点だけお尋ねをしておきたいと思います。  約款の承認あるいは約款の変更命令を出し得るということが改正案の一つの大きな問題点であります。そこで、改善命令に従わなかった場合には登録の取り消しあるいは科料等の罰則がある。ところが、そういう改善命令というのは、消費者すなわち購入者に対する不利益な約款内容を含んでいるということで命令をお出しになる、そうでございますね。そうすると、そういう命令が出されたことによってそれが改善される、それは非常にけっこうだと思うのです。ところが、その改善される以前の約款に基づいて購入をしいられていたところの消費者、これに対する救済というのは何らこの場合は考えられていないじゃないか、これは一体どういうことなんだろうか。要するに改善命令が出されたことによって出された以後の消費者は保護されるだろう。しかし改善命令を出さなければならないようなそういう約款のもとにおいて購入をしいられておったところの購入者について生じたところの損害というのは、どのような形において補てんをするのか。それは不法な契約じゃないからやむを得ないということになるのかどうか、この点については局長いかがでしょうか。
  226. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 改善命令をそういう意味で機動的に出す必要は十分あろうかと思いますが、その前の行為につきましては、これは取引段階において当事者におきましてはいろいろなことを考える余地はあろうかと思いますが、政府として損害賠償というようなことは考えておりません。したがいまして民法上の原則による、こういうこういうことになろうかと思います。
  227. 中谷鉄也

    ○中谷委員 まさに売り主と買い主、その関係におけるものは民法の原則が支配している、それだけのこと、だとするならば、何回かの質問で私が繰り返して申し上げたのは、大手の割賦販売業者と購入者すなわち消費者とは決して対等ではない。消費者は何ら自分の不満や不利益を表明する場所がない。これについて一体どのようにお考えになるのかということを、執拗なくらいに私は本法案の審議にあたってお尋ねをしてまいった。次のような例をひとつどのように理解されるか、対策をかねてお答えをいただきたい。  四月十一日の新聞の報道によると、東京都の経済局は前払い月賦の監視班をつくった。そして悪質業者を突きとめて警視庁にその捜査を要請したという趣旨の記事が載っている。問題と思われるのは次の点です。  すなわち一つは、消費者保護基本法の立場からいって、なるほど地方公共団体には住民を保護するというそのような責務があるだろう。しかし地方公共団体が割賦販売法運営や前払い割賦の業者について監視班をつくらなければならないというふうな状態が、国の立場から見て、はたして国自身がそのようなことでいいのだろうか、この問題が一つ。いま一つは、この業者の名前の公表と、行政指導を東京都は監督官庁である通産省に対して求めているということがこの新聞には報道されている。その業者とは一体何か。毛糸編み機、ミシン、ベッドなどを製造販売している資本金約九億円の中堅業者だといわれている。通産省のほうに対して東京都経済局のほうから、そういう業者の名前の公表を迫っているという事実があるのかどうか。  私がお尋ねいたしたいのは次のことなんです。消費者はどの業者が優良な業者であり、どの業者が善良な業者であるかということを知ることができない。知る機会がない。また知り得る立場にない。先ほどの御答弁によると、七百七十七万円というお金を信用調査のためであるならば出すことは正当であり、正しいことであり、いいことだというふうな趣旨の御答弁で問題を解決された。そういうことであるならばそういうことでやむを得ないだろう。三年間にわたって五千万の金を出される。結局大手業者は、十二万人あるいは十万人、実数八万人といわれるところの不良な購入者のブラックリストをつくる、そういう権力、権限を持っている。消費者は一千万世帯あっても、どの大手業者が不良であり善良でないかということを知る機会がない。知る立場にない。これを一体われわれはどういうふうに理解したらいいのか。この不良な業者というものについては、通産省もすでに把握をしておられると思う。こういう業者の名前を公表されることが適当かどうか。適当ならばぜひ公表していただきたい。そういうことを私はこの機会に、対等でない消費者立場に立って、対等でない消費者割賦販売の中でどのように保護するか、これをひとつ局長、そして対等でない消費者保護というものをどのようにするかということをひとつ大臣から御答弁をいただきたい。
  228. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 東京都が通産省に指導なり苦情処理を促しておる、その会社の名前も私は知っております。しかし他面、それを公表いたしますことによりまして、その企業の経営が行き詰まるということになりますと、現実に相当多く消費者につながっております。それに御迷惑をかけるという事態もございます。したがいまして、名前の公表はおっしゃる観点からは必要でございますが、他面を考えると相当慎重でなければいかぬ。ただし新規契約者がそれによって迷惑をこうむるということは避けなければいかぬと思います。したがいまして、そういう悪い業者につきましては、われわれは新規契約の停止をお願いしておるわけでございます。従来からそういう指導もやってまいりましたが、大体守っていただいておるわけでございます。それを聞かない場合は、法律的な新規契約停止の命令を出すということを考えてまいりたい、かように考えております。
  229. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣答弁を求める前に、もう少しこの問題についてお尋ねをしておきたいと思います。不良な業者といわれているこの特定の業者については、そうするとすでに新規契約の停止措置をおとりになったとお伺いをしてよろしいわけでございますね。その点が一点。  そこでいま一つ、そういうことの前提の中でお聞きをしたいのは、東京都が監視班をつくったということは、国の立場から見てもけっこうなことだろうと思う。しかし一体、そうすると、通産省や通産局というものはこの問題について不良な割賦販売業者の取り締まり、監視ということにどれだけのことを現在実際に努力しておられるのか。これは一体十分にやれるのかどうか。たとえば割賦販売施行費というのは、一体本年度幾ら予算が計上されているでしょうか。——けっこうです、私のほうから申し上げます。予算によりますと、二百二十九万八千円ですね。私が申し上げたいのは、大手の割賦業者の集まりであるところの財団法人割賦協会に対しは、信用調査という一ただ購入者のブラックリストをつくるためということで七百七十七万円をすでにお組みになっておる。三年間で五千万円をお出しになる計画になっておる。割賦販売の施行費、要するに悪質な業者についてそれを摘発し、それを調査し、改善命令を出すなどという費用は年間を通じて二百二十九万円、このアンバランスは一体どうなのかということを私は申し上げたい。一体これはどうなるのだろうか。もちろん消費者行政のその他の予算があると言えばそれまででしょうけれども、そういうことを私はお聞きしたい。少なくとも割賦販売の施行費として二百二十九万しかないというこの実態は私は注目に値する。対等でない消費者というものを一体だれが保護するのか、国以外にないじゃないか、通産省以外にないと思う。それがそういうようなことでいいのだろうかということ、これをひとつ大臣のほうからも御答弁をいただきたいし、局長のほうからも御答弁をいただきい。
  230. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 第一点の、先ほど申し上げました企業について新規契約停止の指導をしたかというお話でございますが、これは指導いたしておりまして、新規契約は現実にストップしている段階でございます。
  231. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いつですか。
  232. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 正確な期限をいま覚えておりませんが、三月の半ばと了解しております。  それから第二の、苦情処理あるいは指導のための費用が少ないではないかという御指摘でございます。私どもの姿勢といたしましては、こういう消費者行政というのは末端の問題でございます。中央だけで処理できる問題ではございません。そういう意味で今後通産局あたりは府県と一体になって活躍していただきたい、こういうふうに考えております。  それから金額の問題でございますが、御承知のように現在の状況というのは人数をふやすわけにまいりません。現在ある人をそういう方面に活用するという意味で、人件費は組んでございません。従来より別に組んでございません。そういう意味でこれは大体旅費、事務費に充当できると思います。これではなお今後の消費者行政をやっていく上において十分とは言えないと思います。私のほうも消費者行政ということで予算編成でも重点を置いて大蔵省に話しているわけでございます。だんだん充実してまいる、そういう努力を続けたい、こう考えております。
  233. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それでは大臣答弁をいただく前に、もう一度私のほうから大臣お尋ねをしておきたいと思います。  通産局の協力を得なければならない、末端の努力が必要だ、こうおっしゃいますけれども、その二百二十九万のうち、地方、すなわち通産局配分の分が八十九万五千円でございましょう。これは私はもう問題にならない額だと思うのですよ。そうだとするならば、大臣は前回、私が消費者は王様だということばを知っているかと言ったら、知らぬ、聞いたこともない。消費者主権ということを知っているかと言うと、そんなことばは私は知らぬ、こういうふうにおっしゃった。知らないことは私はそれでけっこうだと思うけれども、そんなことで、大手業者の信用調査機関というものは育成さるべきだということで、十二万人のブラックリストをつくっている。そのことはけっこうです。しかし一千万世帯に及ぶところの契約をしている消費者は、どの業者が悪質なのか、善良でないのかということを知るのには一体どうして知るのですか。知る機会はないでしょう。現にこの新聞に大きく四段抜きで報道されているこの悪質業者というものについても、新聞の報道等も取りつけ騒ぎ等が起こってはいけないという配慮から、特に名前は書いてないわけです。なるほどそのとおりだ。そうすると結局どの業者かわからない。だまされた消費者こそいいつらの皮だ。はだかの王様だといわざるを得ない。こういう割賦販売法の法構造は、割賦販売流通におけるところの秩序の維持と、そうして販売業者の保護と、そうして消費者の保護という三本の柱になっておるけれども、三本目の柱であるところの消費者保護の柱というのがいかにも細いじゃないか、こういうふうに私はいわざるを得ないけれども、大臣いかがですか。
  234. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 予算の多寡の問題はしばらくおきまして、とにかくいままで消費者行政というものはまことにお恥ずかしいような状況でございまして、最近ようやくほうぼうに消費者行政の卵みたいなものができ始めておる。おかげさまで割賦販売等につきましても、だんだんかっこうがついてまいりました。しかし御指摘のとおり、消費者はどうも赤ん坊のようなもので、ここに悪質業者がおればまず一回はひっかかる。しかし二回も三回もひっかかる消費者もそうたくさんはおるまいと思います。お互いに消費者同士でいろいろな情報を交換したり、やはり大衆は愚にして賢であるということをいわれるが、自分の生きる道なんですから、そうばかばかりそろっているわけじゃない。私はそういう意味において消費者教育というものを、第一線行政というものを督励して、今後たくましく展開する必要があると思います。そうすれば、何か自分らの消費生活に対して明るい指針はどこかにないかということを待望しているさなかでございますから、必ずこれは相当見るべき成績があがるのじゃないかと思いますので、今後この方面に力を入れます。二百何十万円ですか、何に使っているのか私もよく知りませんが、もう少し予算等におきましても、十分ひとつ大蔵省を口説いて、消費者啓蒙の行政を大いに展開したいと考えております。
  235. 中谷鉄也

    ○中谷委員 要望しておきます。  消費者行政が、消費者保護基本法ができたけれども、まだ卵の状態だというようなことをおっしゃった。そうかもしれない、率直な御答弁かもしれませんが、私が指摘したいのは、割賦協会に、信用調査だからそれは大事なことだということで、三年間に五千万を補助する、そうして片方においては、割賦販売法施行費については三百万に足らない、二百五十万に足らないようなところのお金しか計上してないという、こんな姿勢であれば、卵がかえりませんよ。卵が腐ってしまう。  いま一つ、私はこの機会に要望しておきますけれども、現に行なわれておるところの前払式割賦販売業者の契約書というものを十通ばかりつぶさに検討した私の感想は、率直に言って、前払式割賦販売業者の性は善じゃなくてどうも悪じゃないかという感じを持った。これはとてもじゃないけれども、消費者はこれには対抗できないという感じを持った。通産省がこの割賦販売法の柱を、業者保護という観点よりも消費者保護という観点を徹底的に推し進めなければ、本来力において対等でないところの消費者保護というものはとうてい守れないということだけは、私は要望しておきたいと思います。  あと、法案について二点だけまとめてお尋ねをいたします。  業者のことばかりいろいろな点を申しましたけれども、今度は業者の保護のことについて一つだけ……。と申しますのは、三分の一の供託という問題ですね。この三分の一の供託については、いろいろな点について、資金が拘束されるのではないかという問題点がある、これは私もよくわかります。そこで従来の、いわゆる供託金の内容といいますか、国債だとかいろいろなものは許されておる。そういうものを有価証券等について、ある範囲の有価証券等については認めてあげてもいいのじゃないか、これは業者保護になるだろうと私は思うのです。この点については御検討になっておられると思うけれども、ひとつお答えいただきたい。  いま一つ、これはもう最後の質問です。これは消費者保護の質問。三分の一の供託をさせますね。ところが、その三分の一の供託をさしたけれども、そこまでして消費者保護というものをはかってみたけれども、不幸にして業者がつぶれてしまった。その場合その供託金について、民訴の原則からいうならば早い者勝ちだということになる。通産省の考え方としては、通産局の窓口を通じて配分するということを考えておられるということである。これはひとつ明確に御答弁をいただきたい。しかしそれを政令の過程においてするということだけれども、はたして、そういうふうな優先弁済の、早い者勝ちというかっこうでなしに平等分配ということが政令でできるのかどうか。これは商品取引所法の改正のときにも問題になった。法務省のほうではかなり難色を示した。これは明確に政令でできるのだということで話をつけてもらいたい、これが一つ。  いま一つは、通産局の窓口を通じてということだけれども、私が本案審議の一番冒頭に申し上げましたとおり、和歌山県の一番いなかの山奥に住んで編み物機械を買うところの、前払式割賦の契約をしたところの購入者は、どこに通産局の窓口があるかわかりませんよ。むしろこういうものに対しては、倒産した業者と指導をする通産局との責任において、それらのいわゆる前払い金を払い込んだ人間に、通産局に対してそういう返還の申し込みがあったとか手続をしたとかしないとかいうことにかかわらず、金を返してやるような方法を考えてやらなければ、届け出をしないままに返還金をもらえないという購入者も私は出てくるだろうと思う。これは、最後まで私の質問というのは、消費者保護というか、その点に力点を置いて質問をしたので、そういうことまで配慮できるかどうか、これをひとつお答えをいただきたい。
  236. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 三分の一の供託の問題でございますが、そのときに有価証券でいいように検討しておるかというお話でございますが、現行でも確実な有価証券はいいということになっておりまして、そういうものを指定しておりますが、さらにこれを確実なものについては広げるべく現在関係方面と検討を進めております。ある程度のところまでできるのではなかろうかという考え方を持っております。  それから第二の、いわゆる配当計画について政令でできるかどうかという御質問でございますが、商品取引所の場合は、御承知のように取引所に供託するという制度をとりました。そういう過程におきまして、政令では無理ではないかという議論が出たわけでございますが、今度は裁判所に対する供託でございます。しかも通産局長が責任を持って配当計画をつくるという線をはっきり打ち出しておるわけでございます。法務省とも十分連絡いたしました結果、差しつかえないということでございますから、この点は実行できる、かように考えております。  最後の点につきましては、いろいろな方法があろうかと思います。泣き寝入りになるような人が一人でもあるということは好ましい傾向ではないと思います。何とかいろいろな方法のくふうを前向きにしてみたい、かように考えております。
  237. 中谷鉄也

    ○中谷委員 終わります。
  238. 小峯柳多

    小峯委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  240. 小峯柳多

    小峯委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  割賦販売法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  241. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  242. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、趣旨の説明を求めます。中谷鉄也君。
  243. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、次の諸点について万全を期すべきである。  一、前払式割賦販売については、当面、法改正趣旨に沿い極力消費者保護に努めるとともに、近い将来、通常の割賦販売形態に移行するよう検討すること。  二、割賦販売体制を強化するため、信用調査、消費者金融割賦販売金融割賦代金回収、割賦信用保険等の各機構の整備を図ること。  三、割賦販売価格とその金利及び現金販売価格の表示方式の明確化及び合理化を図るとともに、不当に割高な割賦販売価格の是正について指導監督すること。  四、健全な中小規模割賦販売業者の存立基盤を確保するため、金融、税制上の特別の配慮を図る等割賦販売の体制の強化に努めること。  以上でございます。  第一点の前払式割賦販売につきましては、その取引形態に前近代的な面が多く、また消費者にとって不利な点が多い現状に照らしまして、当面は本法を厳正に施行することによって消費者の保護をはかり、近い将来におきましては、前払式割賦販売を通常の割賦販売方式に移行する方途について検討すべきものと考えるのであります。  第二点の、割賦販売金融関係の諸機構の整備につきましては、欧米各国において、権威ある信用調査機構、一般銀行等による消費者金融制度、専門の割賦販売金融機関、対消費者債権を一括して割賦代金の回収に当たる機関、消費者の信用補完のための保険制度等がそれぞれ整備され、割賦販売の健全な発達のために効果をあげている実情にかんがみまして、わが国においても、割賦販売の健全な発達と消費者保護の見地から、適切であり可能なものはすみやかに取り入れる必要があると存じます。  第三点につきましては、現在、割賦販売価格、金利、現金販売価格の表示がはなはだ不統一、不合理であって、消費者の選択を誤らせる事例が多く、また、割賦販売価格が不当に割り高で消費者に不利益をもたらすことが多い実態から見まして、これをすみやかに是正するよう政府が指導監督すべきものと存じます。  第四点につきましては、中小規模で健全な経営を行なっている割賦販売業者の存立基盤を確保することは、中小企業政策の上からも、消費者の利便のためからも望ましいと思われますので、この点を十分に配慮する必要があると考えるのであります。  以上の趣旨に基づきまして、本決議案を提出した次第でございます。何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  244. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  245. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議について通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。椎名通商産業大臣
  246. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいま割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が行なわれましたが、政府といたしましては、この附帯決議を尊重し、その御趣旨に即して格段の努力をいたす覚悟でございます。
  247. 小峯柳多

    小峯委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  249. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後六時二十三分散会