○堀
委員 大臣、いまお聞きになりましたように、実は私がきょう少し中心的に取り上げたいのは価格の問題なんです。価格の問題というのは
国民生活に非常に重要な関係がありまして、御
承知のように、いま物価問題というのは
国民生活にとっては一番重要な部分の
一つになってきておるわけですが、
月賦の場合にはアドオン方式で五%とか六%の利子ですとこう書いてあるわけですが、いま事務当局から説明がありましたように、実は実効金利、実質金利としては大体二倍の負担になるというのが現状であります。第一、ここで
消費者は五%のアドオン方式の金利とだけ書いてあると、
一体それは五%だけ金利を負担したのかという錯覚におちいるわけですが、実質的には、いま説明のあったように、元本が減ってくるに従って実は金利は高くなる、こういうことになって倍になるわけです。こういうふうに、
割賦販売の場合に非常に大きな問題は、
日本の
法律の場合には第三条というのがありますけれ
ども、ここには実は金利についての問題が書かれていないわけです。第三条をちょっと念のために読みますと、第三条
割賦販売を業とする者(以下「
割賦販売業者」という。)は、
割賦販売を行なう指定商品について次の事項を顧客の見やすい方法により明示しなければならない。
一
現金販売価格(商品の引渡しと同時にその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
二
割賦販売価格(
割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。以下同じ。)
三
割賦販売に係る代金の支払(その支払に充てるための預金の預入れを含む。以下同じ。)の期間及び回数
四 第十一条〔前払式
割賦販売業者の登録〕に規定する前払式
割賦販売の場合には、商品の引渡時期
これだけが実は明示をすることになっておるわけです。ところで、これを諸外国の例を少し調べてみますと、
アメリカの場合には、
生産性本部の「米国の
割賦信用」という資料によりますと、こういうふうに書かれております。「なお、これらの項目のうち販売価格については契約書の初めに
現金売価格をかかげ、これに金利、税金等を加え、頭金を差引いたものを買い手の
割賦返済所要額として表示するのが普通である。したがって
現金売価格と信用売価格は、金利等の違いがあるだけであり、取引の実際においてもいわゆる
月賦だから価格そのものを高くするという慣習はないようである。もっとも基準となる
現金売価格は、メーカー指示価格に比べれば競争上相当値引きされるのが普通のようである。」こういうふうに実は
アメリカの例は報告をされておるわけであります。諸外国についても、通産省の資料をいただきまして、ちょっと拝見をいたしましたけれ
ども、ドイツの場合にはやはり明らかに、こういうような金利等を書くようになっておるようです。
そこで、この問題を考えてみますときに、価格というものが非常にでたらめな条件が実は
日本の現行の中にあるということをひとつ最初に申し上げておきたいと思います。
Mという大きな企業でミシンを出しておりますけれ
ども、そのミシンのMZ2型というミシンについて少し調査をしてみました。そうすると、そこの会社が出しておるこういうビラですが、このビラには、定価が四万四千四百円と、こうはっきり刷り込んであるわけです。ところが、これの販売店の中のあるしにせの店で資料をとってみますと、その店では
現金正価というのが三万七千九百円になっています。そうして
月賦払いになっておりますものは、月払いが三千円で頭金が六千円で十二カ月払いのときには四万二千円。それから、同じ初回金六千円で、二千円の十九カ月払いのときは四万四千円。ですから、定価と書いたものよりも
月賦の販売価格のほうが低いというのが
一つの実態としてあるわけです。そうして、この店で、それではおたくで
現金で買うとしたら
一体幾らになりますかとこう調べてみますと、だいぶお詳しいようですから、おたくのように価格について非常に詳しいお客さんの場合には、ぎりぎり勉強いたしまして一五%お引きをいたしましょう、これはこういう販売の場合の、小売りとしての最高の値引きの金額ですと、こういう話で、それが三万二千二百十五円です。ですから、定価として表示をした四万四千四百円から、私が買うという場合には一万二千百八十五円低く売ってくれるという話に実はなったわけです。しかし、普通のお客さんで、おたくほど詳しくない場合には大体一〇%引きにさしてもらいます、三万四千百十円。これで、いまの定価から見ると一万二百九十円の値引きと、こういうことになっておるわけです。ですから、
一つのミシンの例をとってみましても、価格が実に幾通りにもなっておる。同じ
一つの店だけではちょっと問題がありましたから、別の、荻窪にある大きな小売り店でちょっと調べてみました。そうすると、ここでは
現金正価というのは三万九千八百円だ、こう言っておるわけでして、もしキャッシュならば、これから一〇%引きます。こういうことになりました。それからさらに杉並にある専門の店で調べますと、ここはたいへん慎重で、ともかくここでの定価と称しておるものは四万五千八百円、そうしてキャッシュの場合にはこれから二〇%引きましょうと、こういう話です。同じ会社の同じ商品。この
法律の第三条の一は、
現金販売価格というものを明示しなければならぬと書いてあります。その
現金販売価格というのは、カッコして「商品の引渡しと同時にその代金の全額を受領する場合の価格」をいうわけですから、いまの場合は、私がAという店で買う場合のこの
現金販売価格は幾らになるかというと、三万二千二百十五円というのが
現金販売価格に該当するわけです。この三万二千二百十五円に対して、ここの店の
月賦販売価格というのは四万二千円、これが十二カ月払いの場合の
月賦販売価格とこうなるわけです。そういう表示がされておるかというと、そうではなくて、実は三万七千九百円というのが
現金正価、ここにいう
現金販売価格として表示をされておるというかっこうになっておるわけですね。そうするとどういうことが起きるかというと、
消費者が
——大体私は、この三条が設けられております理由は、
消費者に選択の機会を与えるということが目的ではないのか、こう考えておるわけです。
大臣どうでしょうか。