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1968-05-07 第58回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月七日(火曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       大橋 武夫君    岡本  茂君       神田  博君    木野 晴夫君      小宮山重四郎君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    佐野  進君       楯 兼次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         中小企業庁次長 沖田  守君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    田代 一正君         通商産業省企業         局消費経済課長 谷村 昭一君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 四月二十七日  委員佐野進辞任につき、その補欠として山崎  始男君が議長指名委員に選任された。 五月七日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として佐  野進君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐野進辞任につき、その補欠として山崎  始男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二日  中小企業振興事業団金融施策強化改善に関す  る請願増田甲子七君紹介)(第四九七九号)  電灯線引込口避雷設備法制化に関する請願  (大野市郎紹介)(第五一一三号)  北海道地下資源開発株式会社労働者の処遇に  関する請願安宅常彦紹介)(第五一四九  号)  同外九件(阿部助哉君紹介)(第五一五〇号)  同外九件(赤路友藏紹介)(第五一五一号)  同(淡谷悠藏紹介)(第五一五二号)  同(井岡大治紹介)(第五一五三号)  同(井手以誠君紹介)(第五一五四号)  同(井上普方紹介)(第五一五五号)  同(伊賀定盛紹介)(第五一五六号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第五一五七号)  同(石野久男紹介)(第五一五八号)  同(大出俊紹介)(第五一五九号)  同(大柴滋夫紹介)(第五一六〇号)  同外九件(太田一夫紹介)(第五一六一号)  同外九件(佐野進紹介)(第五一六二号)  同外九件(多賀谷真稔紹介)(第五一六三  号)  同(楯兼次郎紹介)(第五一六四号)  同外五件(中村重光紹介)(第五一六五号)  同外九件(永井勝次郎紹介)(第五一六六  号)  同(山本政弘紹介)(第五一六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、割賦販売法の一部を改正する法律案について参考人から意見を求めることとし、その日時、人選等につきましては委員長に一任願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。佐野進君。
  5. 佐野進

    佐野(進)委員 割賦販売法の一部を改正する法律案につきましては、過日中谷委員からも質問がございましたが、引き続きまして若干の問題点について質問をしたいと思います。  割賦販売が現在の消費者経済に与えておる影響というか役割りというか、たいへん大きいものがあるわけでございますので、そういう点について前回の販売法が制定された当時審議された経過、そういうものも十分検討しながら私も勉強し、かつ今回の改正案についてその問題点をいろいろ検討したわけであります。そういう経過の中から、若干原則的な問題に及ぶ点もありますが、そういう点も含めてひとつ質問をしてみたいと思うわけであります。  御承知のとおり、いま割賦販売制度、いわゆる消費者信用に関係するいろいろな問題が国内においても発生をしておりますが、世界的にも、特に先進国アメリカにおいては、その問題の経済に占めるウエートが非常に大きなものがあるわけであります。今日、日本経済の中で経済発展さしていく方法はいろいろあろうかと思うのでありますが、特に消費経済国内における消費日本経済に果たしておる役割りを現在の日本経済の中で通産当局としてはどの程度把握しておるか、これは企業局長でけっこうですから、原則的な問題ですが、ひとつ質問してみたいと思います。
  6. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 経済の動きといたしましては、御承知のように海外に輸出することも大事でございますが、やはり国内の健全な消費があって経済伸びるわけでございます。そういう意味で、私ども生産消費一体である、こういう感じで行政を進めておる次第でございます。
  7. 佐野進

    佐野(進)委員 生産消費一体だ、こういうことを言われるわけですが、わが国消費経済の、経済における効果といいますか、現在輸出産業その他いろいろございますね、その中で国内消費はどの程度の地位というかそういうものを持ち、将来予想するのか、その点ひとつ……。
  8. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 現在こまかい数字は持っておりませんが、国民総生産の中で消費の占めるウエートは大体五〇%程度と考えております。これがアメリカにおきましては六〇%というふうにありますので、将来日本におきましても、設備投資よりもそういう面が伸びていく、かように考えておる次第でございます。
  9. 佐野進

    佐野(進)委員 国民総生産の中に占める消費経済割合は大体五〇%程度ですか。
  10. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 五〇%強と理解しております。
  11. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、現在のアメリカドル防衛をはじめ、ベトナム戦争の終結あるいは世界的に低開発国の追い上げ、こういう面からして、ことしの貿易収支をはじめとする国際収支がある程度の赤字を見込まなければならない、こういう情勢になっておるということは、いままでたびたびこの場所においても表明されておるわけですが、そういう事態に対応してことし日本経済発展させていく過程の中で、国内消費ウエートをどの程度に置いたらいいかという点について、検討しておるのなら、その内容をひとつ教えていただきたい。これは経済企画庁でもけっこうです。
  12. 八塚陽介

    八塚政府委員 今年度の経済運営ないしは今年度の経済見通しということになるわけでございますが、それにつきましては必ずしも私の所管をいたしておる分野ではございませんけれども、大体経済見通しによりますと、個人消費支出、これは今年度も基調的には堅調を続けるであろうという前提でございます。ただ、経済見通し一般的な点につきましては、すでに御承知だと思いますが、やや活動が鎮静化するというふうに考えておりますので、前年度比一四%程度伸び経済見通しでは見ておるのでございます。
  13. 佐野進

    佐野(進)委員 前年度比一四%程度伸びを見ておるということでございますが、そうなりますと、通産当局としては現在五〇%程度だ、それに対してさらに一四%程度伸びが見込まれるということでございますが、これが国民総生産全体の伸びとの対比の中でどの程度割合になるのか。これはいろいろ問題があろうと思うのですが、そうすると、今年度における消費経済伸びを五〇%から全体的にどの程度に置くべきか。いまの経済企画庁局長の答弁に関連して、これは通産当局としてどのように判断されるか。あとの問題に関連しますので、一応原則的に聞いておきたいと思います。
  14. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 数字は計算しないとわかりませんが、私ども考え方といたしましては、経済成長の中で、国民消費といいますかそういうものはだんだん伸びていく、特に消費は堅実に伸びていくだろう、こういうふうに見ております。  なお、今後の姿といたしましては、設備投資国民生産の中に占めるウエートがだんだん過去より減ってまいります。そのかわり今後は住宅面投資というものがふえていく、こういうように考えております。したがいまして、全体の構成といたしましては、国民消費支出のほうは伸びはいたしますが、極端に急カーブで伸びるということではなくて、着実に伸びていく、これは賃金ベースとかいろいろな問題がからむと思いますが、そういうような見通しを持っておるわけでございます。
  15. 佐野進

    佐野(進)委員 原則的な問題はその程度にして、それではいま局長が答弁したように、消費経済の指数は着実に伸びていく、それが一般的消費物資よりもいわゆる基礎的消費物資のほうにその重点が指向されていく、したがって、一般的な消費物資はそう伸びないのではないか。これは見通しだからわかりませんけれども、しかし世界的に、特にアメリカ経済での国民消費膨張ということが、いわゆるニューディール政策その他の近代経済学発展の中で今日の繁栄をもたらしておるということが大かた見方——これはいろいろ議論があるとしても見方だ、こういうことがいわれておるわけですが、先ほど冒頭に言ったような、当面する日本経済の中でこの消費者経済に対して、いま局長の言われた、政策的なものでなく単なる表面的な把握としてそうなるだろうということじゃなく、政策として通産当局がこの酒費者経済に対してどういう形の力を入れるべきかどうかということについて、何かそれがあるなら——当然なければならぬとは思うのですが、そういう点について、たとえばいわゆる近代経済学における消費者経済の位置づけというか、そういうものに対する日本経済の中における通産当局としてどういうウエートをここに置くのかという点について、判断がどのようにあるのか、ひとつここで説明してもらいたいと思います。
  16. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 住宅問題を除きますと、やはり国民生活が近代化し、合理化していく、こういう過程を進むと思います。そういう意味におきましては、私ども感じでは、耐久消費財というものが今後の国民生活の中に相当取り入れられていく、特に最近の傾向では、自動車等のいわゆるモータリゼーションというものが進んでおりますので、そういう感じを特に強く持っておるわけでございます。特に若い層の生活に対する態度は相当やはり近代的になってきておりますので、そういう方向が急速に進むのではなかろうか、かように考えております。
  17. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、次へ進むためにどうしてもそこをはっきりしておかなければならぬので、もう一回聞きますが、一般消費財国民生活の中にどんどんどんどん伸びていく、それに対応して耐久消費財、特に固定的な耐久消費財がある程度伸びを示す消費というものの形態がとられていくわけですね。その中で局長の発言では、前者より後者のほうにウエートがかかるだろう、これからそういうような形になるだろう、こういうような説明があるわけですが、またもう一回もとに戻るのですが、日本経済がいま国際環境の中に置かれている立場からして、一般国民は、いわゆる耐久消費財の中においても短期に消耗されたる消費財、こういうものがもうすでに潤沢に行き渡っておる、したがって潤沢に行き渡った形の中においては、長期に変形しない固定的な消費財、こういうものに対する需要がこれから伸びていくのだ、こういうような判断ですか。それとも短期に使用するものもこれから当然伸びていかなければならないものだ、こういう判断に立っているのか、その点はいかがですか。
  18. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 これは短期長期いろいろ分け方の問題はあろうかと思いますが、もちろん短期消費されるものも国民生活向上によって伸びていくと思います。ただ総体的に申しますと、やはり所得向上いたします。生活合理化する過程におきましては、耐久消費財的なものがより以上の伸び率としては大きいものになるだろう、かように考えております。
  19. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、日本における消費者信用というか、消費者信用経済というか、こういう方面におけるところのいわゆる政策としての取り扱い、こういうものについては経済政策全体の中で、消費者経済全体の中における指導とかあるいは規制とか、そういうものにはいまのところそう重点力点が向けられていない。いわゆる割賦販売法の持つその内容精神そのものも、これは秩序的法案というか、現在の制度を、いま行なわれつつあるものに対して、消費者なりあるいはそれを取り扱う者に対して損害を与えないとかそれを保護するとか、こういう方面力点が向けられている法律だと思うのです。そうなると、いまお話しのように、これから一般的な消費物資もどんどん伸びていく、同時に耐久性の特に長い消費物資についても相当の伸びが示されるだろう、こういうことになって、それがはたして日本経済の中で、いわゆる国内における消費力の増大が日本経済に与える影響がどの程度になってくるかということについて、まだ先ほどのお話では十分なる検討が政府においてはなされていないような、私としてはそういうふうな印象を受けたわけですが、そういうような形であるとすると、経済政策的な面における今日の消費者経済に対する対策というものが、いわゆる生産力増強というか、生産財の施設のほうの増強、拡大、そういう方面力点が向けられる、そして一般消費者に対する保護、それを取り扱う人たちに対するところの対策、こういうものが経済政策的な面からすると非常におろそかにされているのじゃないか、こういうような気がするわけですが、今日の割賦販売法法律の体系からいってもそういうような気がするわけです。それが現在の日本経済の状態に対応してはたして妥当かどうか非常に疑問に思わざるを得ないわけですが、この点についてひとつ見解を示してもらいたいと思います。
  20. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 通産省といたしましては、そういう生産財を中心に見るというような考え方は持っておりません。御承知のように自動車の問題にしろ、家電の問題にしろ、また繊維も大きく見れば消費財だろうと思います。そういう意味消費財ウエートは非常に大きくなりつつありますので、品質表示とかあるいは割賦販売法とかいろいろな法律を通じまして、それが合理的なものになるように努力をいたしておるわけでございまして、生産財だけに力をいたしておるということではございません。
  21. 佐野進

    佐野(進)委員 経済企画庁、いまの質問に対して……。
  22. 八塚陽介

    八塚政府委員 御承知のように消費の内客はいろいろございます。先ほど一般消費財というお話がありましたが、一般消費財の中にもいろいろあると思いますが、たとえば最も瞬間的に消費いたします食糧の中でも、もちろん穀類に対して次第に蛋白関係食糧ウエートがふえていくというようなことはございますが、しかし一般的には、御承知のようにエンゲル係数の低下というようなことで、全体的には耐久消費財のほうへ、あるいは住宅あるいはその他のほうへ当然消費性向としては動いていくのだと思います。そういう中でそういうものをつくります生産というものと消費バランスをどういうふうにとっていくかということにつきましては、これは当然調和的にいかなければならないわけでございます。先ほども申し上げましたように、たとえば来年度は個人消費支出は名目で一四%ということでございますが、全体の国民総生産はその際には一二%強ということで見通しておるわけでございます。同様に、もう少し長期的には、たとえば経済社会発展計画というような現在の長期見通しと申しますか、経済運営のいわば長期的な手法におきましても、生産消費というもののバランスがとれていなければ、その他の部分においていろいろ矛盾を生じ破綻を生ずるということで、これは当然調和的にいく必要があるわけでございますから、逆に申しますと、生産のみに片寄ってはならないということでございます。そういう意味におきまして、先ほど企業局長が申し上げましたように、片っ方に片寄った運営ということはあり得ないのではないかというように考えております。
  23. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、あと大臣にこの項についての総括的な質問を申し上げますが、もう一ぺん企業局長に聞いておきたいのですが、いわゆるわが国消費経済伸びは順調に伸びておる、いま企画庁の国民生活局長も、国民総生産伸びは一二%で予想しても、消費支出伸びは一四%になるだろう、こういうことですから、消費動向は強含みで推移されるだろう、こういうことを言われておるわけですが、こういうような消費動向に対応して、割賦販売によるところの耐久消費財購入ということがはたしてどのような見通しをもって行なわれるかということが一つの大きな問題点になってくると思うのです。アメリカが近々数十年の間に国民生活の中で割賦購入による耐久消費財比率が非常に高まりつつある。日本経済は、アメリカがくしゃみをすればかぜを引くとか、いろいろいわれておるように、アメリカ的傾向の中で日本経済が推移しつつあることはいなめない事実だと思うのですが、そういう面からすると、日本の現在の割賦購入比率というものは、欧米先進国に比べると非常に低い。低いということば、まだ現金購入のほうが利がある、あるいは購入しやすい、したがって自分で貯金して物を買ったほうが月賦で物を買うよりいいのだという印象が非常に強い。こういうところで現金購入のほうが率として非常に高いというのが日本の現在の状況なんですが、日本の将来の、近々におけるところの割賦販売伸びが非常に目ざましい、急激だという面からすれば、当然アメリカ的な形のものが日本へも反映してくるだろうということは予想されるわけですが、ここ数年、たとえば、十年ということですと長いから、五年間程度で、現在までの伸びに対応して、割賦販売による国民物品購入ということがどの程度伸びていくと予想されるか。いわゆる諸外国と対比した形の中においても一応この際将来の対策を立てる上に必要なことじゃないかと思うので、この点ひとつ検討してあるならここで示してもらいたいと思います。
  24. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 将来の見通しでございますので、むずかしい点はございますが、先ほど申し上げましたように、国民生活の中で耐久消費財ウエートがだんだんふえている、しかもその耐久消費財というのがだんだん高額なものになってくるという傾向がございます。それと同時に、比較的所得の低い人も生活合理化によってそういうものを買ってくるという形になろうかと思います。そうしますと、勢い購入では割賦販売に依存するという形になろうかと思います。従来の傾向を見ますと、一般の小売りの伸びは年間約一〇%程度でございますが、割賦販売伸びというのはやはり二〇%近くになっております。ものによりましては三〇%程度伸びておるというような状況になっております。この推移は当分四、五年の間には変わらない、かように見ておりますから、少なくとも二〇%程度伸びで今後伸びていく、かような見通しを持っております。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 アメリカ割賦販売における伸びが、第二次世界大戦前あるいは後における一つの時期を画して対比した形の中においては、戦後急激に伸びていっておるわけですね。だから、日本戦前月賦という表現の中でわれわれも親しんできましたが、それが戦後の混乱の中で一時停滞し、ここのところ急激にまた伸びつつある。これはもちろんなかなか現金購入でき得ないものが割賦という形の中で購入しやすくなったという状況があるにしても、国民消費伸びが非常に順調に伸びていくということと対比するならば、あるいはまた経済的な動向が非常に変化していくということを前提とするならば、割賦購入ということが、一〇%に対して二〇%、三〇%程度伸びでなく、将来もっといくような気がしてならないのです。これは通産当局としては堅実性基礎にした見通しであるから二〇%ないし三〇%といわれるのか、そういうような点が予測されるわけですが、大臣は、前の三十八国会田中さんの質問に対して、健全な割賦制度についてはこれを育成していくことであるが、特に抑制するとか助長するとかいうことはしないのだ、現在あるものに対して規制しあるいは保護するのだ、こういうような表現をしておられるわけですね。ところが、いまずっと私が御質問申し上げてきておるように、消費経済伸びは必然的に膨張の一途をたどりつつある、世界的にその動向は、顕著に膨張しておることは事実明らかである、そういうような形の中で、日本経済の対外的、対内的に置かれた環境の中で、国民生活向上ということと相対比して、耐久消費財購入したいと思う国民気持ちは、必然的に現在の収入より以上のものを購入したいという気持ちに変わっていくであろうということは、ここ二、三年の趨勢を見ても明らかですね。特に住宅問題、これはまたあとから質問しますが、住宅とか土地とかいう方面における国民の意欲が非常に強まっている現在においては、そういうことが予想されるわけですが、この三十八国会における当時の心境と、本改正案を出した現在における心境大臣としてはどのような変化があるかないか、この際お聞きしておきたいと思うのです。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どういうことばで申し上げたかわからぬが、心境としては変わりございません。特にこれによって国民があまり欲しないものを押しつけようという気持ちがあるわけでもない。だから、自分生活をより合理的に計画的に持っていこうということにどうしてもなると思うのです。そうすれば、やはり第一に住宅、その次には耐久消費財というようなものを取りそろえて、そうして生活を計画的に持っていくというのは自然の勢いだ、そういう自然の傾向に対して、特に押えるとかあるいはそれ以上にこれを伸ばそうとか、そういう恣意は加えない、そういう意味で申し上げたのでございます。
  27. 佐野進

    佐野(進)委員 私の質問する点と若干ずれておると思うのです。私ども、いわゆる割賦販売を何も助長しろとかあるいはそれを抑制しろとかいう気持ちで申し上げておるのではないのです。もちろん国民割賦販売を利用して生活向上させようという気持ちの中でそれを利用することは必然的な姿として当然なんです。ただ私の言わんとするところは、いわゆる世界的な傾向、特にアメリカ動向日本経済の現在置かれておる立場、そういうものと、国民経済生活に対する現在のあり方、こういうものから考えたとき、割賦販売というものに対しては、いいとか悪いとかということにかかわらず、非常に需要が多くなり、これに対する政府としての取り組みが必然的に必要になってくるのではないか。そういう点からすると、第三十八国会においてこの法律ができたときは、いわゆる秩序法的な、現在の事態の中において混乱が起きないということを前提にして、規制というか取り締まりを前提にして割賦販売法というものができたと思うのです。ところが、今日の事態の中には、もちろんそれも必要ですが、それをやや超越した国民的な趨勢の中、世界的な動向の中で割賦販売というものを見直していかなければならぬ時期に来ているのではないか。いわゆる経済政策的にもこの問題について一つ判断通産当局として持たなければならないときに来ておるのではないか。そういう点について三十八国会当時と変わらないのかどうかということを私は聞いておるのであって、大臣の言われたことについてちょっと気持ちが食い違っているようですから、この際お聞きしておきたいと思うのです。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 結局消費資材の購入に非常な混乱を来たしておるのが現状でございますから、その混乱を整理する。そしてそれをより以上に利用するかしないかは、これは国民の欲するところによるのであって、われわれとしては割賦販売というものの混乱を整理し、いわゆる消費経済における秩序を確立する、こういう考え方に立っておるのであります。それは以前と今日も変わりません。
  29. 佐野進

    佐野(進)委員 私の質問する質問点と大臣のお考えなり答弁とがどうしても若干食い違って合わないので、これはしようがないと思うのですが、局長をはじめ皆さんの答弁をお聞きして、大臣感じておる気持ちというものが、三十八国会における答弁と——時代の趨勢というか時の流れというものがこの法を制定した当時と幾らか変わってきている。今度の割賦販売法の一部を改正するとか、あるいは通産当局がこういう問題について全体的に意見を出しておる、そういう中にも、そういう動きがはっきり把握されておる、こう思って私も質問しておるわけですが、そういう意味大臣の答弁も、私としてはそうなんだと理解しながら次へ進んでいきたいと思うわけです。  そこで次は、現在の割賦販売法、この法律の制定以降今日までの取り扱いの状況について質問をしていきたいと思うのです。  この法律がいわゆる消費者の保護とそれから業界の育成というか健全なる発展ということの両方を達成するという意味において、先ほど来大臣も言われているように、秩序法的な意味でこの法律が成立していることは、この前の国会の審議の経過の中ですでに明らかであります。したがって、私はここでまず第一点お聞きしたいことは、この法律ができてから消費者の保護あるいは業界の育成ということについて、これは資料で若干いただいておりますけれども、具体的にどのような成果があがっておるかということについて、この際次の質問へ入る前にお伺いをしておきたいと思うのです。
  30. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 先ほどお話がございましたように、割賦販売法は秩序法でございます。そういう意味合いにおきまして、この割賦販売法の制定を機会にいたしましてある程度——まだまだ問題は残って、今後本格的に取り組まなくてはいけませんが、割賦の金融あるいは保険の問題、そういう問題がようやく緒につきかけてきております。そういう形で割賦の普及に資してきたと思いますが、ただ反面、普及すれば普及するほどその間にいろいろ消費者との間のトラブルも多くなってきております。苦情処理とか倒産の場合の処理というような問題でその問題を解決してまいったわけでございますが、最近さらに割賦販売が進むという段階を迎えまして、われわれとしては万全の措置を講ずるという意味で今回の改正法を提出した次第でございます。
  31. 佐野進

    佐野(進)委員 私の聞きたいことは、割賦販売法が第三十八国会で成立したことによって、成立する以前と成立した以後において、消費者保護ないし業者の保護というか指導ということについてどれだけの成果があがったかという点について、具体的なものがあったらここで示してもらいたい、こういうことを申し上げているわけです。  それから、先ほど言った秩序法的な法律でありますけれども、その後における情勢は、現時点はともかくとして、これから将来とも、このような法律だけでなく、その運用の中に経済政策的なものも当然取り入れていかなければならない、そういう事態が先ほど来のいろいろな答弁なり何なりの形においても明らかになりつつあるわけですから、そういう部面から見ても、消費者ないし業界、こういう人たちに対してどのようなメリット、デメリットがあったかという点について、もし説明ができるならばしてもらいたいと思うわけです。
  32. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 具体的な問題を申し上げますと、たとえば自動車につきましては、御承知のように、この法律に基づきまして標準の割賦条件をきめております。それを守っていただくというような措置をとっているわけでございます。  なお、いまの秩序法をさらに進めて、いろいろな面の規制といいますか措置が必要になってくるのじゃなかろうかという御質問でございますが、おそらく諸外国におきましてこういう割賦販売を景気調整策に実は利用しております。そういう意味の御質問かと思いますが、日本割賦金融が確立しまして、割賦販売法が完全なものになりました段階におきましては、そういう問題も出てまいろうかと思います。しかし日本の現状から言いますと、割賦金融制度を確立するのがいまのところは一番大事な問題であろうかと思います。そういう意味で現在の段階では景気調整にこの割賦販売法を活用するということは考えておりません。
  33. 佐野進

    佐野(進)委員 それではいま言われたような抽象的な答弁ということでなく、具体的な答弁をしていただくために次の質問をしてみたいと思うのです。  割賦販売法は、当然消費者の保護並びに業者の保護ということも育成ということも相関連した形の中で制定されておるわけですから、そうなりますと、この法律の精神は、それぞれの立場を守るとともに、それを守らなかった者に対して罰則規定があるわけです。したがって、通産当局から出されておるこの法律に関連する資料について私も見せていただきましたら、業者の伸び方あるいは事故の発生条件その他いろいろございますが、罰則が適用された数は一体この法律施行後何件で、その内容はどういうものか、この際ひとつお示しを願いたいと思うのです。
  34. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 現在までのところ、罰則を適用されたケースはございません。ただ先ほど来申し上げますように、倒産のおそれがあるとか、あるいは経営がうまくいっていないというような場合におきましては、御承知のように新規契約の停止を命ずることができることになっております。そういう場合におきましては行政指導によりまして実効をおさめておる、こういうことでございます。罰則を適用した件数は一件もございません。
  35. 佐野進

    佐野(進)委員 だから秩序法としての割賦販売法、その中で消費者の利益を守りあるいは業界の健全なる発展を促していく、それに対する対策をとる、もちろんその中に行政指導も当然加わっていくというのが法律の精神ですが、しかし法律施行後、完全に消費者の利益が守られ、完全に業界が行政指導そのものを受け入れた形の中において健全なる運営がなされてきたとばかりは言えないと思う。もちろん罰をすることがその目的ではないわけです。そうすると、逆に言うと、その期間中消費者のいわゆる被害というものは全然なかった、こういうぐあいに判断していいのですか。
  36. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 消費者に対する被害は、先ほども申し上げましたように、やはり割賦販売業者の中で倒産の不幸な事態が出るような場合も十数件かございまして、その場合にそれに対して消費者をいかに保護するかということが一つ問題点でございます。それと同時に、最近はケースも多くなりましたので、いろいろ契約解除の場合のクレームとかいろいろな不平不満、苦情が多うございます。そういうものを行政指導によって解決しておる。これは罰則の問題ではないわけでございまして、あくまでも行政指導でそういうものをこなしておる、こういうことでございます。
  37. 佐野進

    佐野(進)委員 割賦販売法によると、第六章罰則、第四十九条、第五十条、第五十一条、第五十二条、第五十三条、第五十四条と、非常に条項を多く設けて罰則の規定があるわけです。したがって、私はこの罰則の規定に該当するものが一つもなかったということには考えられないのです。したがって、法律の施行によって利益があったというと同時に、やはり不利益をこうむった人もあったと思うのです。それに対して制裁を加えることによってのみもちろん効果をあげるということはないが、しかしある程度、全業界に対する反省、あるいはこれらの行為をする人々に対して今後それをなさしめないという意味において非常に重要な条項であろうと思うのです。ところが、秩序法的なわが国割賦販売法が施行されて以後今日まで、その秩序を守る形の中において割賦販売の健全なる発達を促そうとしておるとするならば、それに対して行政指導の面だけで事足りたということについては若干うなずけない面があるけれども、法本来の趣旨からいって、そういうところにねらいがあるのではないという理解に立つならばうなずけないこともないと思うのですが、それならばもっと具体的に御質問申し上げますが、罰則適用直前の状況に至っておった事件がありますか。
  38. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御承知のように、罰則は、登録を受けずに営業をやるとか、あるいは政府の契約禁止の命令に違反をした場合とか、報告をしない場合というのがおもなものでございますが、契約禁止の場合におきましては、行政指導によりまして誓約書をとりまして禁止といいますか、それを守っております。また、登録を受けずにそういう業務を営む者は現在のところございません。そういう意味で、多少報告的なものでおくれるというようなケースはあったかと思いますが、罰則まで適用するという段階にいかずに業界で協力をしていただいておる、こういう実情でございます。
  39. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、この今回の法律の一部改正が提案された趣旨の中でも、前払式割賦販売の方法について、やはり法律を改正しなければ消費者の利益と行政的な指導が行なわれない、利益を守れないし行政的な指導が行なわれないという判断に基づいて、審議会の答申を基礎法律改正を政府から提案されておると思うのです。したがって、そういう見地からするならば、罰則適用に至らない事件のみだとは考えられない。したがって私は、この法律が秩序法的なたてまえから成り立っておるとするならば、いわゆる今後割賦販売そのものが日本経済に与える意義は非常に重要だという先ほどの質問経過から見ても、私は、行政指導の責任ある通産当局としては、これらの面について、消費者の保護ないし健全なる業者の保護、育成をはかるために、いま少しくきびしいというか、いま少しく現実的な処理をなすべき必要があるのではないか、こう考えるわけですが、この点について答弁を聞いて、次に進みたいと思います。
  40. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 今回の改正は、割賦販売業者がこの法律を守らない、あるいは役所の行政指導を聞かないという意味で改正するものではございません。むしろ、やはり倒産に至る前において経営改善をやっていただく、そしてその経営改善の目途としてはこういう基準でやっていただくとか、あるいはそれがどうしてもあぶないというような場合は、役所が事前に改善命令を出す、あるいは標準約款をつくっていただいて自主的にそれる守っていただくというところに大きな改正のねらいがあるわけでございます。もちろんそういうことをいたしますと同時に、それを現実に守っていただけないところにつきましては、御指摘のように罰則の適用も考えざるを得ないと思いますが、私ども気持ちといたしましては、そういう罰則の適用をしない段階において業界が御協力願える、また役所もそれを十分行政指導できる、こういうふうに判断いたしておるわけでございます。
  41. 佐野進

    佐野(進)委員 私も罰則を無理に適用しろということでなく、いま局長の言われた答弁の趣旨と同じような意味質問しているわけですから、別に考えは違っておりませんが、ただ、法律ができて、その法律によって効果がどの程度あらわれたかあるいはあらわれないかということ、その何千件も何万件も何十万件もある取り扱いの中で、全然罰則の適用を行なわれないということは、これは稀有に属する事項であって、実際上役所の指導の怠慢ということの一つのあらわれに見られてもやむを得ない。法律があって法律の適用が除外されるということばかりがあるわけではない。指導された中で犯罪が起きないなんということはないわけですから、もちろん割賦販売が罰則を主として運営されるものではないわけですから、そういうことについては私も理解するわけですが、こういう点についてはこれからやはり数多くの業者が出現し、多くの人たちが利用する割賦販売ですから、そういう面については、やはり行政指導の面においてもいま少しく慎重かつ厳粛なと言っては表現が適切でないかわかりませんが、取り扱いをひとつ要望しておきたいと思うのです。  そこで、私はこの現行法の中で、今回の改正案にも関連するものなんですが、いろいろ検討してみてふしぎに思うのは、指定商品ですね。これは前回の審議の際にも言われておるのですが、指定商品の解釈、こういうものが前回のとき確かにきめられた数が今日までそのままきておると思うのですが、割賦販売法の第二条第二項によれば、「この法律において「指定商品」とは、耐久性を有し、かつ、定型的な条件で販売するのに適する商品であって政令で定めるものをいう。」こういうようになっているのですね。「耐久性を有し、かつ」というあとはいいとしても、一応耐久性という文字にあらわれる製品が、前回の質疑応答の中でもいろいろ解釈がなされておるようですけれども、この三十八の品目、その中において、はたしてこれが耐久性というように解釈できるのかどうかと思うものが非常に多いわけですね。こういうようなものについて、これを耐久性と称し、本来最も耐久性を有すると目される住宅、土地、その他ここには出ておりませんが建設機械とか、そういういろいろなものが現在割賦販売をされておるわけですね。ところがその割賦販売を現実にされておるそれら本質的に耐久性を有する商品が除外されて、指定商品といわれるものが昭和三十六年十一月一日付の政令三百四十一号で発表されて、そのまま今日まできておる。これはどう説明をされるのか。私も非常にふしぎに思うことなので、政令は政府判断に基づいて出される政令であって、国会の議決を要する内容ではないのですが、通産当局は、今日までどうして三十八品目の内容について変更を加えず、なおかつ当然加えられるべきものについてその内容を追加しないのか、その点をひとつここで明らかにしてもらいたい。
  42. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御質問の趣旨は二つあろうかと思いますが、耐久性という意味は、消耗される商品以外のものを考えておるわけでございます。問題は、むしろ御指摘の不動産等の問題であろうかと思います。この法律のたてまえは、商品ということになっておりまして、不動産は含まれておらないわけでございます。しかしこの土地、建物についてこういうことを考えなきゃいかぬというのは御指摘のとおりであろうかと思います。それは、建設省のほうで先般も御答弁申し上げましたように、別個の法律で至急今後一年以内に対策を立てる、こういうことで検討を進めている次第でございます。
  43. 佐野進

    佐野(進)委員 二つに分かれる、そのとおりですが、そうすると、現在の前のほうの品目ですね、現在きめている三十八品目については、これを除外する必要のない今日以前において決定されたものですが、この中にあるのは今後においても除外する必要のないものばかりですか。それが一点です。
  44. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 こまかく検討いたしますと、多少指定商品でなくてもいいんじゃないかというものがあろうかと思います。たとえばハンカチ等の品目も入っておりますので、そういうことは考えられますが、現在のところ大部分のものにつきましては、やはり指定商品として残しておくべきである、むしろ今後こういう商品がふえる場合も予想されますので、販売形態とかあるいは新規製品の出現というような場合には、むしろこれを追加していきたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 佐野進

    佐野(進)委員 品目の追加ということになると、第二条の第二項の「耐久性」ということをどうそれでは解釈されるのか、この際ひとつ……。これ以上品目を追加するということは、これ以上短期消費されるものを加える。たとえばハンカチですね、いまお話のあったとおり。ハンカチはいまやまさに消耗品、一回使ってすぐ捨てるものに類するものだと思うのですね。それらに類するものはここにも幾つかあるわけですが、そういうもの。鉛筆は消費財でない、いわゆる指定商品でない。しかしハンカチは指定商品だ。鉛筆とハンカチとが指定商品であるかないかということは、どういうことの差によってきまるのですか。
  46. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 追加すると申し上げましたのは、もちろん耐久性があって、定型的な条件で売られる、先般も問題になりました書籍等を今後研究してみたい、こういう意味でございまして、耐久性のない普通の物品をやたらに指定するということは毛頭考えておりません。
  47. 佐野進

    佐野(進)委員 だからいま申し上げたとおり鉛筆が——いや、この中にいろいろあるわけですよ。これから追加するということになると、また便宜的に追加されるということであるならば、便宜的に追加するんだということでいいんですよ。しかし耐久性という法律のたてまえからいって、品目を政令できめるわけでしょう。あなた方がおきめになるわけでしょう。そうするとあなた方の判断できまるわけですよ。そうすると鉛筆の消耗する時間とハンカチの消耗する時間がどっちが長い、どっちが耐久性があるかということになると、それは使い方によってきまるわけですね。ハンカチだって一時間もたないうちにくしゃくしゃになって、どうにもならぬ場合もあるだろうし、鉛筆だって、使い方によれば半年だってもつ場合もあるわけでしょう。したがって、私は指定商品の決定というものがいかなる判断に基づいて行なわれるか、耐久性というものはいかなる形の中で出てきておるのか、それをちょっとお聞きしないと次へ進めないわけですよ。どういうことなんですか。
  48. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 耐久性という意味は、一回限りで消耗されない、こういう意味でございます。しかし御承知のように、この割賦販売法というのは割賦販売の秩序法でございます。割賦販売のルートといいますか、制度に現実に乗っていないような商品までこれで指定するという考え方は毛頭ございません。耐久性があって、しかも定型的な条件で、しかも最近の取引の実情として、それがやはり割賦で売られておるというようなものを厳選しておるわけでございます。そういう意味では、御指摘のように、過去のものの中でこの際多少洗い直していいじゃないか、国民所得向上したので、いまさらこれを割賦では買わぬではないかというものも多少あるかと思います。そういう問題は今後研究してまいりたい、かように考えております。
  49. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは研究するということですから、次へ進みたいと思います。それというのも、この法律ないし政令、施行令等を見ても、やはり現在の時点の中でいろいろ検討を要すべきものが幾つかあると思うから質問したわけです。  そこで、後段の質問に入ります。  いま言われたとおり、不動産は消費物資でないからこの割賦販売法の指定品目の中に入ってないのだ、こういうような御説明であったわけです。機械等もそのとおりだということにおそらく御説明になるだろうと思うのですが、それでは土地はもちろん移動は完全にできないし、再生産もできるものではないわけです。しかし家屋は二十年たつといわゆる償却年限がきて、普通木造家屋については二十年をもってその限度とし、いわゆる賃貸借の更改契約に該当するということは、現在の民法上のたてまえになっておるわけですね。そうすると、電気洗たく機あるいはカラーテレビあるいはその他の品目について、この耐用年数というものは、もちろんその使用方法、使用のやり方によっては年限の短縮はあるにしても、一応基準年数があるわけですね。そうすると、住宅が不動産だという形においても同程度の評価をするというのはどういうわけですか。
  50. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 土地と建物が経済的に、あるいは形の上で相当違うということは私も理解できます。しかし、従来の法律解釈を申し上げて恐縮でございますが、商品というものの中にはやはり建物は入らない、こういう解釈になっております。もちろん機械は、それが定着いたしますと、不動産の一部になるかと思いますが、そうでない場合は機械は動産でございます。そういう意味で指定していいと思いますが、建物はこの法律では無理でございます。そういう意味で、これは実態的にこういうことをする必要がないという意味ではなくて、別個の法体系で、いろいろな問題もございますので、建設省が検討しておる、こういうことでございます。
  51. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、現にすでに行なわれつつある割賦販売のそれぞれの品目については、指定品目に該当せざる各種品目が相当ありますね、いろいろな形で。それらはずっとそれぞれの省庁でその法律を出す、こういうことにいまの説明ではなっておるわけですが、そうすると、この割賦販売法との関連はどうなるのですか。割賦販売法の特例としてそういう法律が成り立つのか。あるいは割賦販売法でなくそういう法律が成り立つということになると、法体系の上からいってもおかしいのではないですか。
  52. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 私が申し上げましたのは、商品関係、いわゆる動産の関係は各省の物資でもこの法律でまいりたい、ただ不動産の関係は別な法律関係がございますし、従来法律的に概念が違っておりますので、不動産関係だけは別の体系でいくべきではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  53. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、いま御説明あったのですが、割賦販売法という法律のたてまえからいって、不動産をはじめこれに類する物件が割賦をもって販売せられるとき、これがこの割賦販売法律の適用を除外する、いわゆる指定品目という形の中における品目に該当しない、該当しないがゆえにほかの法律をつくるんだ、ほかの法律はこの割賦販売法の特別法ではなくして、新しい法律なんだ、こういう企業局長のいまの説明なんですが、そうすると割賦販売法というものが、割賦という文字を冠する法律の中において、一体今後いかなる位置づけがされるのですか。これは政府の方針として、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
  54. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 まあ耐久性云々という点からいくと、共通の性格を持っていないこともありませんけれども、不動産の売買は商品売買とは違った取引形態をもって従来取り扱われておるのでございます。両者を同一の法規制の対象にするということは適当でない、こういう観点からこれは別にされておる、こういうふうに判断願えないでしょうかな。
  55. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは局長でいいです。今日不動産といってもいろいろあるわけですね。鉄筋コンクリートあるいは鉄骨コンクリートをはじめとする永久的な不動産もあれば、プレハブ住宅といって、簡易、簡便に移動でき得る住宅もあるわけです。しかもその耐用年数は五十年、六十年からあるいは三年、四年という短期にわたる物件もあるわけです。だから土地とは違うのですよ。土地はあなた方の言われる概念でそれを判断していいと思うのですよ。しかし家屋と称するもの、これはプレハブ住宅というものは今日新しい建築業界における一つ趨勢というか、趨勢とまで言わないけれども一つの方向として打ち出されておるでしょう。これは不動産という概念の中で一括して処理できますか。耐久性と称する判断一体どういうことになりますか。だから通産省当局としてはこの問題については、一般の商品の中におけるあり方としては一種の判断があるけれども、建設省とそれらの関連の中において政府として統一見解でそういうことになったのだということならいいけれども、本来の不動産だから違うのだという説明では割賦販売の原則からいっておかしいのではないですか。
  56. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 不動産の取り扱いにつきまして通産、建設の関係でございますが、これは政府内部でいろいろ議論いたしました結果、制定当時からでございますが、そういう形に両者了解してなっております。今度の改正におきましても、もちろん御指摘のように不動産関係に問題がないわけではございませんので、建設省のほうではこれに引き続いてこれを検討しようという了解のもとに申し上げておるわけでございます。  なお、プレハブ住宅の問題が出まして、これは私、それを従来の不動産の概念でいいかどうか、法律的に非常にむずかしい問題だろうかと思います。ただ申し上げたいと思いますのは、この法律でそれを動産というようなことにしますと、おそらくはかの法律関係で非常に大きな問題を起こすだろうと思います。第三者対抗要件とか税金の関係とか。したがいましてそれは、こういうものを動産と見るか不動産と見るかというのは、全般的な法律論としては議論をしなければならぬ問題だ、かように考えております。
  57. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは次に進みます。  私は、割賦販売法ができたときやはり一番問題になっておったのは、この法律の制定によって大企業のいわゆる独断的な取り扱いに基づく中小企業への圧迫、こういうものがどの程度出てくるかという点についていろいろ議論があったと聞いておるわけですが、今度の前払式割賦販売法の一部改正についてもこの問題がやはり出てくるのでありますが、割賦販売法ができてから今日まで、大企業と中小企業との関係、特に中小業者のこの面におけるところの影響はどのようにあらわれておるか。いわゆる大企業の圧迫によって危殆に瀕するとか、あるいは転廃業を余儀なくされるとか、あるいは倒産したとかいう事例がどの程度あったか、この際ひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  58. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 中小企業と大企業の関係につきましては、国会修正の趣旨もございますので、運用におきましてはわれわれは十分気をつけてまいっておるつもりでございます。特に百貨店、しかもその百貨店がいわゆる総合的なチケットを発行する加盟店になるとか、あるいは百貨店自体が購入あっせん業者になるというような場合は、非常に中小企業に与える影響が多いわけでございます。したがいまして、そういう点につきましては通牒も出し、中小企業と大企業の調整は十分はかっているつもりでございます。そういう意味で現在までのところ、大企業と中小企業との間にこの割賦販売法の関係で非常に大きなトラブルを起こしたというケースは、私一件も聞いておりません。
  59. 佐野進

    佐野(進)委員 中小企業庁来ておりますね。それでは、この法律が通る際、一部修正と附帯決議がつけられておるわけですね。修正においては、本法の運用上の配慮として、「この法律の運用にあたっては、割賦販売を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない。」こういうように書いてあるわけですが、この安定と振興にどのように留意してきたか、この際ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  60. 沖田守

    ○沖田政府委員 割賦販売法第一条第二項にございます「割賦販売を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない。」こういう点につきましては、この割賦販売法自体の運用にあたって、ただいま企業局長からの御答弁にございましたような配慮のほかに、中小商業者に対する一般的な金融面、税制面その他の中小商業者の事業の安定、振興、一般対策として中小企業対策を進めていくような努力を進めてまいりました。
  61. 佐野進

    佐野(進)委員 ですから、割賦販売をする中小商業者に対して、法律の精神に基づいて具体的にどのような対策をお立てになってこられたか。いわゆる抽象的でなく、具体的に、金融の面あるいは税制の面、あるいはその他設備改善の面、それらについてどのような対策をとられたか、ということをお聞きしたいのです。
  62. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 割賦販売法の関係でございますから、私から答弁さしていただきたいと思います。御承知のように、附帯決議にも、税制面で優遇措置を講ずるようにということがございましたので、いわゆる利益金の計上につきましては、割賦の場合は期限到来主義を採用いたしております。それと同時に、割賦をおもな業種とします小売りというような中小企業につきましては、貸し倒れ準備金は、一般は千分の二十でございますが、千分の二十五に引き上げるというようなことを考えたわけでございます。なお、そのほか、御承知のように、現在中小企業ではいろいろ商店街組合等におきまして、チケットを出しております。そういうものを軌道に乗せ、現在チケット販売高といたしましては、むしろ割賦購入あっせん業者よりはこういう中小企業が出すチケットの売り上げ高が高いという状況になっております。そういう意味合いにおきまして、この割賦販売法の関係におきましても、中小企業をいい意味でできるだけ育てるという措置をとってまいったわけであります。
  63. 佐野進

    佐野(進)委員 政府がやらないということではないということでいろいろ御説明なさっておられるのでありますが、今後この改正案が通過されたあとにおいても、おそらく附帯決議なり何なりがつけられて要望されると思うのですが、それについて、ただ単に附帯決議がつけられたということだけ、あるいは修正されたというだけで、対策が行なわれないということであってはならないと思うので、あえてこの点について質問しているわけであります。いまの答弁では、修正の精神が十分生かされておるかということについてはきわめて不満足だと思うのです。したがって、これについては今後さらに努力をしていただきたいと要望しておきます。  次に、衆議院の商工委員会でこの法律が可決された際、四点にわたって附帯決議が付せられておるわけです。これは割賦制度全体に対する非常に重要な意味を持つ附帯決議だと思うのですが、この点について、この際、どのように附帯決議の趣旨が生かされておるかという点をひとつ御質問してみたいと思うのです。  第一点、「割賦販売審議会の委員のなかに、一般小売商業者ならびに消費者の代表をそれぞれ任命すること。」こう書いておりますが、小売り業者と消費者の代表は、どういう方が小売り業者として、あるいはどの方が消費者として入っておられるか、ここでひとつ御説明願いたいと思います。
  64. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 割賦販売審議会の委員は総計十名でございますが、小売りの代表に一名入っていただいております。(佐野(進)委員「何という方ですか」と呼ぶ)全日本小売商団体連盟の方でございます。責任者でございます。それから、消費者代表に二名入っていただいております。消費科学連合会の責任者の方と、日本生活協同組合連合会の責任者の方、計三名の方に委員になっていただいております。
  65. 佐野進

    佐野(進)委員 次に、第二番目に、「一般小売商業者の行なう割賦販売に対しては、税制上、金融上の特別優遇措置を考究すること。」これは修正点との関連で説明がありましたが、これは、それほど特別優遇という形には感じられないわけですが、この点、ひとついま一度はっきり聞いておきたいので、御説明を願いたいと思います。
  66. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 税制関係につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、私ども、税制としては、正直のところ、これ以上のものは税制理論からもなかなかむずかしいのではないか、問題は金融問題であろうか、と思います。これは、中小企業といわずに、全般的な問題でございますが、今後、割賦販売金融の問題につきましては、軌道に乗せるべくわれわれが一番努力しなければいけないと思います。その中におきまして、特に中小企業の、先ほどのチケット団体等につきましては、十分金融が回るように、これがためには、保険制度とか、あるいは消費者の信用調査機構というものの整備が必要でございますので、いろいろむずかしい問題がございますが、取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  67. 佐野進

    佐野(進)委員 消費者の利用に供する消費者金融、信用保険制度と二つあるわけですが、これは今後の制度として重大な問題でありますので、時間がありましたら、あとで附帯決議と離れた形で質問したいと思いますので、この質問は終わりたいと思うのですが、第一番目の割賦販売審議会の委員の中に、いま御説明のありましたような、小売りの団体の長であるとか、あるいは消費科学とか、あるいは経済何とかという形の、非常に有名な方の代表がお入りになっておられるわけですが、これが悪いということではないのですが、真の意味において消費者とだれでもうなずけるような代表、あるいはまた、真の意味においての小売り業者、現実に店を持っておられる、こういうような方の代表に入っていただけるならば非常に身近なものになるのではないかという気がするので、その点については、今後の人選の際においてひとつ御参考にしていただきたいと思うのです。  税制、金融両についてはいろいろ議論がございますが、時間がなくなりましたから次へ進ませていただきたいと思います。  さて、法律改正案内容に関連する問題について若干質問をしてみたいと思うのであります。  この提案の説明では、いわゆる審議会の答申を経てこの法律改正案を出しているのだが、これについては、購入者が不測の損害を受ける、あるいはまたその紛争が起きる、こういう点について、この改正に基づいて、前払式の割賦販売制度をより前進せしめるのだというのが提案の主たる趣旨でありますね。そうすると、この事故及び紛争がどの程度発生したのか、この点について、ここ一年でいいですから、その件数をひとつお示しを願いたいと思います。
  68. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 倒産はこの一年で三件でございます。それから苦情といいますか紛争の件数は約二百五十件ばかりでございます。
  69. 佐野進

    佐野(進)委員 倒産ないし紛争が発生をしたという形が三件と二百五十件あるわけですが、この中で、いわゆる行政指導の面から、こういう事態に至らずしてあるいは倒産に至らずして防止できた件数も若干あるのじゃないかと思うのですけれども、あるいは紛争発生ということがいかなる内容を持つものか、すなわち単に通産当局のほうへ紛争として持ってこられたものというようにこの件数を解釈していいのかどうか、この点はどうですか。
  70. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 倒産の関係でございますが、これは年によって非常に違うわけでございますが、非常にあぶなくなって、いろいろ御相談申し上げて、いろいろなてこ入れをしていただいて立ち直ったというものもこれ以外にございます。やはり二、三件毎年あるようでございます。  それから苦情の件数でございますが、これは私どもあるいは通産局あるいは日本消費者協会等の窓口で受け付けました苦情の件数でございます。消費者のほうからは、問題がありますればできるだけ持ち出していただきたいということをお願いしておりますが、あるいは持ち出さずに、この統計にも載ってないという苦情も相当あろうか、かように考えております。
  71. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、倒産に至る件数として三件というように御説明になっておるのですが、いわゆる世上非常にわれわれの耳にまで入ってきておった問題としてマルマンガスライダーですかをはじめとする一応大きな企業がございますね、これらの企業が倒産に至らず再建をしておるわけですが、その再建するに至る経過の中で、消費者に対して、利用者に対して、どの程度の損害というか被害というか、そういうものを与えたのかどうか、あるいは倒産に至らざるということに至る経過の中で通産当局の行政指導としての役割りがどの程度あったのか、この点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  72. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 原則的に申し上げますと、倒産に至りました場合は、これはいろいろ消費者との事後措置が出てくるわけでございますが、倒産に至らない、どうも今後こういうようにしていただかなければあぶないのじゃないかというケースにつきましては、これは消費者に迷惑をかけずに立ち直っていただく、こういう措置をとっております。その措置といたしましては、少し営業の範囲を縮小していただくとか、あるいは増資をしていただくとかといういろいろな措置が個々の実情に応じてあろうかと思います。そういうことをやっておるわけでございます。  それから倒産いたしました場合は、いままでのケースで、四十二年度のケースは別でございますが、大部分のものは消費者にあまり御迷惑をかけずに解決しておる。その方法といたしましては、まず親会社がございます場合は親会社の責任でそのあと始末をしていただく、あるいは仕入れ先あるいは同業者の方がその債権債務を肩がわりしていただくというような措置、さらには最悪の場合は役員の連帯保証によってそれを解決していただくというような措置である程度消費者に満足をしていただきながら解決しておる。それで、この点につきましての行政指導は、私どもとしましては相当強力に行ないます。特に当該業界の協力を全面的に受けましてやっておるつもりでございます。ただ将来、こういうことを曲がりなりにやっておりますが、こういうケースができるだけなくなる、そういう問題を起こさないということは大事でございますので、今回こういう改正案を提出した次第でございます。
  73. 佐野進

    佐野(進)委員 事故及び紛争の発生という問題がこの法律改正の大前提でありますし、さらにまたそれだけでなく、割賦販売法における運用を適正にするという意味において一番大きな眼目になっておるわけですが、これにつきましてはまだまだ質問をしたい事項がたくさんあるわけですが、時間がございませんし、あとの機会ということもあろうかと思いますので次に進みたいと思います。  次に、この法律の改正の中で前受け金の供託義務ということ、それから販売業の許可制、こういうことが非常に大きな改正の眼目になっているわけですが、その前受け金を不当に流用する形の中で、消費者に不測の損害を与え、特に倒産あるいはそれに類する事態に逢着した場合、苦しまぎれにそういうことをやる。だからそれをさせないように今後この法律の改正を行なうのだということになるわけですが、この三分の一相当の——これは問題になるのですが、一度供託をさせた場合、その金を基礎にして事業の運営をはかっておった業者が、必然的に供託することでその金の運用がはかれなくなっていくわけですから、経営上むずかしい条件にぶつかるのは当然だと思うのですが、この法律改正の際、どのようなことを前提としてこういう措置をさせていくのか。特に先ほど中小商業者に対する金融上、税制上の優遇措置を講ずるということを言われておったものと関連して、これに対する対策をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  74. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 まず申し上げておきたいと思いますのは、現在の割賦販売業者、登録割賦販売業者の中には中小企業の方々が非常に多いわけでございますが、その経理内容を大企業と比較してみますと、経営方針を非常に着実にやっておられる中小企業の資産内容というのは非常に良好でございます。したがって、中小企業だから悪いということは、この割賦販売業者については絶対にございません。  御指摘の、三分の一を積み立てさせた場合に運転資金を窮屈にして問題があるのではないかということでございますが、われわれとしてはそういう意味におきまして、附則におきまして、これを一気に積み立てますといろいろな予測しない事態が起こりますので、四回に分けて積み立てていただくという慎重なる措置をとったわけでございます。ここで消費者保護ということと業界の健全なる運営ということを調和いたしたつもりでございます。
  75. 佐野進

    佐野(進)委員 それはだからわかるのですが、その際政府としてこれら業者に対してどのような金融上の対策を考えておるかということをお聞きしたいと思うのです。ただ金を積みなさい、もちろん積む、それだけの条件のない会社は許可をしない、これは新しい法の精神ですから当然そうでしょうけれども、しかしそれと同時にやはりこの前の法律修正なり附帯決議の精神なり、そういうものからいえば、金融上の措置というものがこれの背景として出てきてこういうものが正面にあらわれる、こうでなければならぬと思うので、その点どういう対策をとっておるかということをお聞きしたいと思うのです。もちろん一番最初の許可制にするということは、いわゆる登録制より一歩進んだ、政府の行政責任が明確になったものになるわけですね、許可するので、登録を認めるのじゃないわけですから。したがって、それだけのことをするかわりに、それの裏づけとして何かなければならぬ、こういうことだと思うのですが、それの裏づけとしてその対策は何があるかということをこの際お聞きしておきたいと思う。
  76. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 これは個々の企業によっていろいろ事情は違うかと思います。中小企業である場合、大企業である場合、金融のあっせんの方法は違うかと思いますが、健全な経営をやっておられるとわれわれが考えます限りにおきましては、それによって資金のショートを来たすような場合は、金融のあっせんを積極的にして、過渡的に混乱が起きないようにするつもりでございます。
  77. 佐野進

    佐野(進)委員 これは中小企業庁に関係があるのかあるいは大蔵省に関係があるのかどうかわかりませんが、いわゆる許可制にする、それから改善命令や約款変更命令を出せる、いわゆる政府がこれから割賦販売業者に対して非常に強い指導権というか、そういうものを持つようになるわけですから、したがって、その強い指導権が強まれば強まるほど、業界というかそれを取り扱う業者の人たちは非常に大きな犠牲というか負担というか、そういうものを必然的に負わなければならなくなってくる。これは当然だと思うのです。しかし、そのことが消費者の保護に通ずるということであれば、また業界の健全な発展に通ずるということであれば、これはだれしも否定することはないのですが、その権力が必然的に政府のほうに集中されるということになってくれば、権力の集中された政府の機関が単に取り締まるということだけでなく、健全なる発展に資するような対策というものが必然的に出てこなければならぬと思うのです。だから通産省の企業局のほうでそういう対策をとるなら、一番問題になるのは金を積むのですから金融上の問題だと思うのです。積むということはその金が寝ることになる。いままででさえも苦しい金融状況の中で仕事をやっているのにそれだけの金が寝ることになる。もちろん金を集めることを必要とするからいまの前払式の割賦販売制度がある。そういう中において、中小企業庁なりあるいは大蔵省なりあるいは企業局になるかそれはわかりませんが、もっとこういう方策を考えていこうというものがなければ、この法律の精神は生きてこないのじゃないか、こう思うのですが、ひとつどなたでもけっこうですから、いま一度答弁を願いたい。あるいは大臣でもけっこうです。
  78. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘の点は、中小企業の関係が一番問題だろうと思います。われわれといたしましては、商工中金と十分な連絡をもうすでにとっておりますが、連絡をとりながら、個々のケースに応じて、まじめにやっている方がこれによって不測のことにならないように十分注意してまいるつもりでございます。
  79. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは、この点については強く要望して、次に進みたいと思います。  改善命命及び約款変更命令という点について、通産大臣は、許可割賦販売業者の財産状況または業務の運営が是正を加えるべき状態にあり、購入者保護のため必要かつ適当であると認めるとき、これらの改善を命ずることができることとする、こういうようになるわけですが、約款の問題についてその変更命令を出すということは、既存のいままである約款に対して変更命令を出すのか、この新しい法律が通ったあと、この約款というものがその基準に基づかなければ許可しないのか、あるいはそのときは許可しておいて、あとその約款を変更しなければならぬ、改善しなければならぬという事態が発生したとき改善命令を出すようにするのか、この点はどういうぐあいにこの法律を提案するとき考えておられたのかお聞きしたいと思う。
  80. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 もちろん許可のときに約款の基準を示しまして、その基準以内であるかどうかということで審査をいたします。その後変更がありました場合に、その基準以内の変更でございますと、これは自動的に手続だけの問題になろうかと思いますが、基準をオーバーした変更、基準に違反したような変更の場合は変更命令を出すということでございまして、許可のときもその事後においても両方チェックしていく、こういうことでございます。
  81. 佐野進

    佐野(進)委員 ですから、いままであるその業界における約款、これをどうするかということなんです。そうすると、これからについては許可するとき約款について通産省令の基準に該当するものでなければ許可しないわけですから、既存のものについても変更命令を出すのだ、こういうことなんですね。
  82. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 もちろん現在の登録業者も一年後におきましては許可を受けていただかなければいかぬと思います。したがって、そのときは許可基準ではっきりいたしますから問題ないと思います。その間の御質問だろうと思いますが、その間におきましては、法律施行後適当な期間を置きまして約款をとりまして、それが基準に合っていなければ変更命令で直していただくようにやってみたい、かように考えております。
  83. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、約款を変更することによって、あるいはまた改善命令を出すことによって、一年なら一年の間、中小というよりも小零、といっても百万という資本金が一体零に入るのか小に入るのか、あるいはその取り扱いが一店だけであるということと支店を持つということといろいろありますけれども、今日百万という資本金がはたしてどうかということになればいろいろ議論があると思いますが、私どもは零の部類、小の部類——かつて十年、二十年前に百万というのは小の部類に考えられたが、これから設立するということになれば、百万という資本金はきわめて少ない資本金だ、こう思うのですよ。しかし、そういうような業者というものに対して、必然的に条件のきびしさによってその経営の基盤を喪失させるということが考えられる場合が出てくるのじゃないかと思うのです。さっき言ったように、全体的に金融面においてこれに対する対策を立てるとともに、最も零に近い小企業者に対して、これら改善命令ないし約款変更という事態は淘汰を迫ることになるのじゃないかという懸念が当然出てくると思うのですが、これらに対する対策はどう考えられるか。
  84. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 約款の基準でございますが、もちろん業界の商習慣から、現在の約款はこの基準とは相当違ったものがございますが、われわれはこの約款の基準で不必要なところまできびしいものをつくるつもりはございません。だれが割賦販売をやっても、あたりまえのこと、業界から見てもあるいは消費者から見ても、そういうものをねらっておるわけでございます。したがって、その点については私はそう混乱なく、その気持ちになっていただければ資金的な問題はそう出さずにやれると思います。問題は、許可基準等の財産的基礎の問題であろうかと思います。その点につきましても、先ほど申し上げましたように、比較的まじめな中小企業の方は資産内容がよろしゅうございます。したがって、絶無とは言いませんが、ほとんどこれは十分注意してやりますれば問題ない、かような確信を持っております。
  85. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは次へ進みます。  いろいろ問題点が多いのですが、前払式割賦制度と関連して、許可制になる、あるいは約款その他の改善命令を出す、あるいは前受け金を供託する、こういうようにいろいろな施策が行なわれるわけですが、これに関連して、スタンプ業をどうするのかという問題が必然的に出てくる。これは過日新聞で、通産省のほうで許可制などを検討しておる、こういうようなことがいわれておるわけですが、これがこの改正案との関連においてどう処理されるのか、この際やはり一応許可制という問題——前払式のほうは許可制になる、スタンプ業はいまと同じということであっては、片手落ちというか、何か合わないような感じもしますので、この新聞との関連の中で当局の見解を聞いておきたいと思います。   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕
  86. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように今後の一つ問題点であるということはわれわれも認識いたしております。ただ、これはアメリカにおきましても、一時非常に過去においてスタンプ業というのがはやりましたが、また一時非常に下火になって、最近また非常にふえているというような傾向をたどっております。日本状況は、現在スタンプの売り上げ高が約百億程度と思います。その中で専業的にそれをやっておられるところは数社でございまして、あとはいわゆる中小企業の組合あるいはその他の小さな機関でやっておられるケースが多いようでございます。残念ながらわれわれとしてはまだその実態をつかまえておりません。今後専業的にやる面あるいは付属業務としてやる面、どういう指導なり、必要においては規制を加えていいかということは、もう少し実態の調査を待って研究してみたい、かように考えておる次第でございます。したがいまして今回の改正案には取り入れなかった、こういうことでございます。
  87. 佐野進

    佐野(進)委員 この問題についてももう少し議論してみたいのですが、時間が——気にしてはいけないと言われるのですが、だいぶ一人でしゃべっておりますので、この程度で終わりたいと思います。  最後に、私先ほど来質問を留保しておるように幾つかの問題点がまだあって、割賦販売の将来の対策について特に聞いておきたいなと思うことが一ぱいあるのですが、これは堀先生がこれからあとやりますから、おそらく先生のほうが専門的に聞かれると思いますから、私は省略したいと思うのですが、ただ一つ割賦販売制度をずっと検討し、今度の改正と関連して研究をしてみると、結局日本経済の中で割賦販売というものが非常に大きなウエートを占めていくであろうということはだれしも否定することのできない趨勢であると思うのです。たとえば先ほど言ったとおり、経済政策的な意味を加えませんと言ってみても、そういう政策を加えざるを得ない時期に、あるいはそういうことについて着手しなければならぬ時期に来ているように感ずるわけです。ただ、いま秩序維持法的な形の中でこの問題について消費者なり業者なりに適切な対策をするということで改正案を出されていると思うのですが、その中でやはり一番大きな問題は金融対策、いわゆる一業者がその金融の全的な責任を持ち、あるいはそれに関連するメーカーなりあるいはそのメーカーの関連する銀行なり、そういうような形の中において、個々ばらばらな金融対策の中で割賦販売が行なわれる中で、そういう大宗的に欠陥があるがゆえに派生的に出てくる問題が混乱を招くというか被害を生ずるというかそういうことになってくる。そうすると金融公庫みたいなものをつくればいいじゃないかということで、それがはたしていいのかどうか私どもはまだその結論に至っておりませんが、こういうことについて通産当局としては、これまた専門の新機関を設立、こういうような構想があるようですが、私どもはそれがいいとか悪いとかいうことではなくして、割賦金融というものについて、原則的な考え方とそれからこれに対する具体的な取り組み、この両面について企業局長の答弁をお伺いするとともに、割賦販売制度、特に今度の改正案を提案したそういう面から見て、今後この運用、特に金融機関なり保険機関なり信用調査機関なり、こういう面について通産当局としてはどう取り組むべきかという決意がおそらくあろうと思うのですが、そういう点についてひとつ大臣からまとめて御意見を聞かしていただいて、私の御質問を終わらせていただきたいと思います。
  88. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 今回の改正は御指摘のように消費者保護という観点から発想した問題でございますが、それを根本的に考える上におきましても、あるいは今後のやはり割賦問題を考えていく上におきましても、一番大事な問題は御指摘のように私は割賦金融の問題だろうと思います。これは何も割賦金融だけでなしに、将来の日本経済のことを考えます場合には、やはり流通の合理化、流通金融、それから金融サイドも流通金融に重点を置くというような方向があり方として望ましい、かように考えております。そういう意味割賦販売、特に割賦金融の問題は具体的問題として取り組んでまいりたい、かように考えております。  その方法といたしましては、御承知のように割賦審議会がございますので、その中に特別にこの問題を取り扱ってもらう部署をつくったわけでございます。そういう意味割賦審議会のメンバーも少し入れかえたわけでございますが、そういう取り組み方をいたしております。  それから、そのときに問題になりますのは、やはりいまの金融機関特に商業銀行をどれだけ活用するか、専門の金融機関をつくるかどうか、あるいはそれの前提として信用調査機関をどうするかというような点がおもな問題になろうかと思います。ただ、それをこなします場合には、やはり信販あるいは中小企業金融あるいは自動車、家庭電機のような大手の問題、いろいろ業種によっても相当違います。したがって業種に応じた施策も必要かと思います。いま勉強中でございまして、本年度中には大蔵省のほうの金融制度調査会とも連絡の上、何らかの具体的な方向を出したいというので鋭意努力をしておる段階でございます。   〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御質問の範囲は、どうも私まだ了解が足りないのかもしれませんが、大体いま企業局長から話した筋合いのことで十分なのではないかと思いますが、しいて私から補足すれば、さっきも申し上げたとおりだんだん、その日のものを見物して歩く、飲み食いをする、こういうだけでもう満足しなくなって、やはり自分生活を基本的に向上させようということになると、どうしても住宅あるいはまた耐久消費資材というものを購入して、そうすれば高いようでも結局それは安くつくというような面がずいぶんありますので、そういう一段と高い生活に進んでいきたいという気持ちは、別にアメリカのまねをするわけじゃないが、自分生活を見詰めていけば自然同じようなところへいくのじゃないか。そういう意味において、秩序法としてこれは出発したものではございますけれども、そういう点で弊害を十分に未然に防止し、安心してこの制度を活用できる。消費者のみならず販売業者からいいましても、それからまた金融機関の面からいっても、そういう国民傾向というかそういうものを認め、そしてこれに応じていく上においての特別の助成政策がなくとも、秩序がきちっとしてくることによって、国民もこれを利用しやすくなるし、また業界もこれに相当な励みを感じてくるということになりまして、やはり相当こういう方面が繁盛するようになるのじゃないか。しかし、それでも別にこれは政策上の制度でございませんから、私はこれに対して別の観点から、何らかの規制を加える必要があればそのときに考えるということにして、そのときに考えやすいのは、やはり各国でやっているように割賦金融の問題をてこにして、これに対して政策的な措置を講じていくということになるかもしれませんが、とにかく、これによって行き過ぎは出てくるかもしれませんが、飲んだ食った、遊んで歩くというような、どっちかといったら浪費を節約して、そして自分生活を計画的に築いていくというような面において、私は国民生活にプラスになっていくというふうに考えております。
  90. 佐野進

    佐野(進)委員 終わります。
  91. 小峯柳多

    小峯委員長 堀昌雄君。
  92. 堀昌雄

    ○堀委員 最初に少し大臣にお伺いをいたしたいと思います。別に意地の悪い質問をするわけではないのですが、少し伺いたいのは、月賦販売の場合にアドオン方式というのが非常にあちこちでいわれているのですが、このアドオン方式というのはどういうことか、大臣御存じでしょうか。
  93. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 どうもよくわかりませんが、日本語ですか。
  94. 堀昌雄

    ○堀委員 アドオンですから、これは英語を日本に流用して、しかし英語として通用しているのではなくて、どうやら日本式のことばでアドオン方式とこう言っておるようです。大臣も御存じないと思いますし、一般的に私ども、よく言われておりますけれども、この中身を正確に理解しておる方がわりに少ないのじゃないかと思うのです。ひとつ事務当局のほうで、アドオン方式というものを、これは委員の皆さんも必ずしも正確に御理解になっていないと思いますから、ひとつ設例をして説明をしてください。
  95. 谷村昭一

    ○谷村説明員 たとえば金融機関がやっております自動車消費者ローンがございますが、これが現在、普通アドオン六%といわれておるわけです。たとえば自動車で三十万円と仮定いたしますと、三十万円の六%の金利がつくわけでございます。ところが、実際上はこれは分割払いで支払われていくわけでございますから、元本がだんだん減っていくということになるわけで、本来ならば支払われた残額に関する六%という形で金利が払われていくのが筋だと思うわけでございますが、アドオンの場合では、当初の三十万円の六%が金利として全体でとられるという形になるわけでございます。したがって実質的には、六%の場合でございますとその約二倍、十一、二%の金利になるということになろうかと思います。
  96. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いまお聞きになりましたように、実は私がきょう少し中心的に取り上げたいのは価格の問題なんです。価格の問題というのは国民生活に非常に重要な関係がありまして、御承知のように、いま物価問題というのは国民生活にとっては一番重要な部分の一つになってきておるわけですが、月賦の場合にはアドオン方式で五%とか六%の利子ですとこう書いてあるわけですが、いま事務当局から説明がありましたように、実は実効金利、実質金利としては大体二倍の負担になるというのが現状であります。第一、ここで消費者は五%のアドオン方式の金利とだけ書いてあると、一体それは五%だけ金利を負担したのかという錯覚におちいるわけですが、実質的には、いま説明のあったように、元本が減ってくるに従って実は金利は高くなる、こういうことになって倍になるわけです。こういうふうに、割賦販売の場合に非常に大きな問題は、日本法律の場合には第三条というのがありますけれども、ここには実は金利についての問題が書かれていないわけです。第三条をちょっと念のために読みますと、第三条割賦販売を業とする者(以下「割賦販売業者」という。)は、割賦販売を行なう指定商品について次の事項を顧客の見やすい方法により明示しなければならない。 一 現金販売価格(商品の引渡しと同時にその代金の全額を受領する場合の価格をいう。) 二 割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。以下同じ。) 三 割賦販売に係る代金の支払(その支払に充てるための預金の預入れを含む。以下同じ。)の期間及び回数 四 第十一条〔前払式割賦販売業者の登録〕に規定する前払式割賦販売の場合には、商品の引渡時期 これだけが実は明示をすることになっておるわけです。ところで、これを諸外国の例を少し調べてみますと、アメリカの場合には、生産性本部の「米国の割賦信用」という資料によりますと、こういうふうに書かれております。「なお、これらの項目のうち販売価格については契約書の初めに現金売価格をかかげ、これに金利、税金等を加え、頭金を差引いたものを買い手の割賦返済所要額として表示するのが普通である。したがって現金売価格と信用売価格は、金利等の違いがあるだけであり、取引の実際においてもいわゆる月賦だから価格そのものを高くするという慣習はないようである。もっとも基準となる現金売価格は、メーカー指示価格に比べれば競争上相当値引きされるのが普通のようである。」こういうふうに実はアメリカの例は報告をされておるわけであります。諸外国についても、通産省の資料をいただきまして、ちょっと拝見をいたしましたけれども、ドイツの場合にはやはり明らかに、こういうような金利等を書くようになっておるようです。  そこで、この問題を考えてみますときに、価格というものが非常にでたらめな条件が実は日本の現行の中にあるということをひとつ最初に申し上げておきたいと思います。  Mという大きな企業でミシンを出しておりますけれども、そのミシンのMZ2型というミシンについて少し調査をしてみました。そうすると、そこの会社が出しておるこういうビラですが、このビラには、定価が四万四千四百円と、こうはっきり刷り込んであるわけです。ところが、これの販売店の中のあるしにせの店で資料をとってみますと、その店では現金正価というのが三万七千九百円になっています。そうして月賦払いになっておりますものは、月払いが三千円で頭金が六千円で十二カ月払いのときには四万二千円。それから、同じ初回金六千円で、二千円の十九カ月払いのときは四万四千円。ですから、定価と書いたものよりも月賦の販売価格のほうが低いというのが一つの実態としてあるわけです。そうして、この店で、それではおたくで現金で買うとしたら一体幾らになりますかとこう調べてみますと、だいぶお詳しいようですから、おたくのように価格について非常に詳しいお客さんの場合には、ぎりぎり勉強いたしまして一五%お引きをいたしましょう、これはこういう販売の場合の、小売りとしての最高の値引きの金額ですと、こういう話で、それが三万二千二百十五円です。ですから、定価として表示をした四万四千四百円から、私が買うという場合には一万二千百八十五円低く売ってくれるという話に実はなったわけです。しかし、普通のお客さんで、おたくほど詳しくない場合には大体一〇%引きにさしてもらいます、三万四千百十円。これで、いまの定価から見ると一万二百九十円の値引きと、こういうことになっておるわけです。ですから、一つのミシンの例をとってみましても、価格が実に幾通りにもなっておる。同じ一つの店だけではちょっと問題がありましたから、別の、荻窪にある大きな小売り店でちょっと調べてみました。そうすると、ここでは現金正価というのは三万九千八百円だ、こう言っておるわけでして、もしキャッシュならば、これから一〇%引きます。こういうことになりました。それからさらに杉並にある専門の店で調べますと、ここはたいへん慎重で、ともかくここでの定価と称しておるものは四万五千八百円、そうしてキャッシュの場合にはこれから二〇%引きましょうと、こういう話です。同じ会社の同じ商品。この法律の第三条の一は、現金販売価格というものを明示しなければならぬと書いてあります。その現金販売価格というのは、カッコして「商品の引渡しと同時にその代金の全額を受領する場合の価格」をいうわけですから、いまの場合は、私がAという店で買う場合のこの現金販売価格は幾らになるかというと、三万二千二百十五円というのが現金販売価格に該当するわけです。この三万二千二百十五円に対して、ここの店の月賦販売価格というのは四万二千円、これが十二カ月払いの場合の月賦販売価格とこうなるわけです。そういう表示がされておるかというと、そうではなくて、実は三万七千九百円というのが現金正価、ここにいう現金販売価格として表示をされておるというかっこうになっておるわけですね。そうするとどういうことが起きるかというと、消費者——大体私は、この三条が設けられております理由は、消費者に選択の機会を与えるということが目的ではないのか、こう考えておるわけです。大臣どうでしょうか。
  97. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 そのように思われます。
  98. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、選択をさせるためにはスタンダードとなるものがはっきりしないと——ここでごまかしたものを出しておいて選択をさせれば、消費者は誤った選択をする、こういうことになろうかと私は思いますが、大臣どうでしょうか。
  99. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 非常に表示が正確を欠くんじゃないかというような気がしてまいりました。
  100. 堀昌雄

    ○堀委員 私はいま、割賦販売の問題をずっと調べた結果、どうも一番重要な問題の一つがここにあるような気がしてしかたがないわけです。要するに、割賦販売というものによって——ここに生産性本部が書いておりますように、アメリカの場合には、そこで現金で売る価格に金利と税金とを足したものが月賦販売価格、これは私は経済的に合理性があると思います。私は日本経済というものは、非常に幼稚な経済から、今日世界競争に耐えて合理的な経済になっていかないことには競争に耐えられないと思いますから、すべてに経済というものが合理性が明らかになる、そうしてそういう選択が自由にできて、その選択する基準というものは、−そんなに顧客によって価格がいろいろ違ったりするというようなことでは、これは私は、日本の商業道徳といいますか、そういうものをもう少し経済合理性に徹しさせるように指導することが必要ではないか、こう考えるわけですが、大臣いかがでしょうか。
  101. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のとおりです。
  102. 堀昌雄

    ○堀委員 そうなりますと、この第三条にあります問題は、ただ訓示規定になっているわけですね。通産省のほうの資料を拝見すると、この明示がされているかどうかについてのアンケートの調査がありますね。一体どのくらい明示されているというふうに理解されておりますか。
  103. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 これは四十二年の消費者のアンケート調査でありますが、明示してあった、それから明示してあったように思う、それを合わせますと約八二%。したがって、八〇%程度は守られており、二〇%程度が守られていない、こういうことでございます。
  104. 堀昌雄

    ○堀委員 その明示されてあるという事実はこれで確認できたと私は思うのです。しかし、明示されておることが法律の定めたとおりに明示されておるかどうかという点については、これは私、全然疑問があると思うのですが、その点どうですか。
  105. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 第三条の趣旨といたしましては、やはり先ほど御指摘のように、消費者が選択のしやすいようにするという点が趣旨であろうと思います。そういう意味から言いますと、御指摘のように、実際に売る価格というのが望ましい、かように考えておりますが、先ほど来お話しのように、日本の、これはいい意味の商慣習ではなくて、悪い意味の商慣習だろうと思いますが、定価をつけて、それから割り引くというのが相当の部門で行なわれております。したがって、この三条については定価をつけるという例が非常に多いと思います。こういう点は今後相当、やはり割賦販売だけの問題ではなくて、日本の商慣習として指導なり合理化していく面はあろう、かように考えております。
  106. 堀昌雄

    ○堀委員 いま日本でも百貨店というのが非常によく利用されてきておる一つの理由は、百貨店というのは原則として定価で販売しておる。定価で販売しておるということは適正な利潤以上には取っていないという安心感を消費者に与えておると私は思うのです。定価で販売されてないということは、適正な利潤以上のものが常に積み上げられていて、そこで適正利潤までは引くということによって、要するに不当な利潤が織り込まれた価格を表示しておるということに結果としてなっておると私は思うのです。  そこで、ちょっと企業局長にお伺いしたいのですけれども一般的に電気製品について、要するにいわゆる現金定価と称せられておるものが実は電気製品には表示してあります。現金定価、それから月賦定価とこうあります。一般的に、商品によって多少違いましょうが、いま卸売り価格は現金定価の一体何割引きぐらいになっているのですか。
  107. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 申しわけないことですが、私も詳しく実態を知りませんが、従来の経験によりますと、実際これは形式的な問題と、リベートというのが御承知のようにございますので、形式問題と実際問題は分かれるわけですが、実際的には半分ぐらいがメーカーの出荷価格ではなかろうか、かように考えております。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いまお聞きになりましたように、現金定価というのと卸売り価格の間には、いまおっしゃるようにリベートとかいろいろな複雑な仕組みがありますから、実態としてはなかなか把握がむずかしいと思いますが、形式的に見ても実はそのくらいの値開きがある、こういうことになっておるわけです。ですから二割引いたり二割五分引いたりしてなおかつマージンがあるから、そこでこういう価格の引き下げが行なわれておる、私はそういうふうに理解をしておるわけです。  そこで問題は、いまの月賦の問題になるわけですけれども、実は私がちょっと計算をしてみましたのは、これは通産省のほうで資料を出していただいたものなんでありますけれども、ある電機会社のテレビでありますが、割賦販売価格は七万九千八百円で、現金定価というのが七万二千八百円になっておる。頭金一五%。ところが、これは現金で買うときには通産省の共済組合でも二割引くんだそうです。そこで、二割引いたところから、この月賦の価格で買った人の場合には一体幾ら金利を払うのかと計算してみたのです。企業局長、どのくらいになると思いますか。二割引きで現金で買えるものを七万九千八百円の月賦価格で買った場合に実質金利は一体幾らぐらい負担するか。
  109. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 勘でございますが、五割近くになるのではなかろうかと思います。
  110. 堀昌雄

    ○堀委員 おっしゃるように、これは毎月実質金利というのは割り算をして出してきますから動きますが、一番高いところの初回の実質金利は月に五・八%です。最終回が四・一九%。ですからこれは加重平均のようにすると大体五八%ぐらいになるわけですが、おっしゃるように実は五割をこえる実質金利を負担させられておる。大臣、いまの電気製品というのは、もし秋葉原へ行って電気製品を買いますと、いまの通産省の共済組合では二割しか引かないでしょうけれども、もっと引くところはたくさんあるわけです。もう通産省のような共済組合のところでも五割以上の負担になる。月賦で行なわれておるものは六割も六割五分もの実は月賦の負担になる場合がしばしばあると私は思うのです。要するに、それは秋葉原で買う場合と月賦で買う場合の差でありますから一番極端と極端の場合でありますけれども、ですから私はそういう場合を考えてきますと、いまの月賦販売の第三条に規定するところは、やはりもう少し正しく消費者に選択の機会を与えるような現金価格の表示ということをもう少し強制をしてもいいのじゃないだろうか。ここでは単に訓示規定でありますけれども、この点については四十三条の報告を義務づけておりますから、報告を義務づけたもので正式にとってみて、そうしていまの表示された卸売り価格に少なくとも適正な利潤と見るものを一部——二割なら二割、二割五分なら二割五分を積み上げて、そこらは少なくとも現金の価格として実際に売られる場合が普通なんでしょうから、実際に値引きをして売られるであろうところを明らかに表示をさせ、もしそれがそうではなしにいまの現金定価のような表示があるものについては、この法律の一部を少し改正して、その割賦販売の取り扱いについて何らかの勧告か命令ができるように行なう必要があるのではないか。それと、割賦販売法というものが、大臣がこの前の法案の制定の際に消費者保護ということを中心に考えておるのだとお答えになって、本日冒頭にも、考えは変わらないとおっしゃっておる以上、やはり割賦販売法の一番肝心な消費者保護というのは、第三条の規定の中で現金の販売価格というものをもう少し正しく明示をさせて、あわせて実質金利が一体幾らになるかということも表示をさせるくらいの必要があるのではないだろうか、こういうふうに考えるのですが、大臣、その点についてはいかがでございましょうか。
  111. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘の点は非常に同感なところが私も多いわけでございますが、問題は二つあろうかと思います。一つは、定価といっておきながらそれより相当割り引いて売っておる。割り引くということはいいわけですが、そうすると定価がおかしいじゃないかという議論、それをどういうふうにして合理的にしていくかという問題が一つあろうかと思います。  それからもう一つは、そういう現金売りと割賦の場合の差額をどういう表示をさすか、それを金利的にやはりわかりやすく、消費者が選択しやすいようにする、二つの問題があろうかと思います。  前段の問題につきましては、これは割賦だけの問題ではなくて、商業全体の商業道徳として、そういうことをできるだけ合理化していくという必要性は私も考えております。実は電機業界におきましても少し改善しようということで、お客さんによって一割五分のところと一割のところとあるわけでございますから、個々の場合ではなくて一般的にこの程度にしようじゃないか、実際売る価格を表示しようじゃないかという相談をしたことがあるようでございますが、どうもいまの消費者の態度から見ますと、まけてもらわないとどうも得をしたような感じがしないという態度も実はありまして、そういうことを思い切ってやったところが非常に商売不振になったというような例もあるようでございます。したがいまして、これをやるためには業界全体がそういう姿勢を正すということが一つ必要であろうかと思います。  それから第二の金利表示の問題につきましては、私はそういう方向で検討したいと思いますが、これはアメリカでもいろいろ現在問題になって、もう少しいい方法はないかというようなことは研究されておるようでございます。それと同時に、日本の表示の方法としましても業界の実情によってずいぶん違うだろうと思います。したがいまして私どもとしましては、金利を表示さすというようなことを考えながら、どういう具体的な方向が発見できるかということを今後研究してまいりたい。今回の改正案につきましても、その点は一応議論したわけでございますが、相当調査なり、業界の指導なり、そういうものをあわせないと、法律だけ改正しても区々になるのではなかろうかということで、慎重に取り扱ったわけでございまして、今後多少時間がかかるかと思いますが、慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  112. 堀昌雄

    ○堀委員 方向はそれでけっこうなんですが、時間がかかるとおっしゃったのですが、どのくらいかかりますか。
  113. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 先ほど来、佐野委員からもいろいろ御指摘がありましたように、割賦の問題につきましては、金融制度を含めていろいろな問題がございます。しかし、重点的に取り扱わざるを得ない、かように考えております。したがって、大きな問題につきましては、私どもは一年以内くらいに大筋のめどをつくりたい、かように考えております。そういう意味合いにおきまして、この金利表示の問題は大事な問題でございますので、一年くらいの期間の間には何か具体的な結論を出してみたい、かように考えておる次第でございます。
  114. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私、関東と関西の実情をいろいろ調べてみまして、割賦で一番安心して買えるのは、別に企業の宣伝をするわけではございませんけれども、丸井だとか緑屋だとかいう月賦の専門店がございますね。ここは月賦が専門なものですから、いまの現金定価として出しておるものが月賦販売価格になっておるのです。これがまず第一点。それから、頭金のシステムがなくて、十カ月の均等払いになっておりますから、特別に頭金をたくさん払わなければならないという点がないわけです。ですから、こういう点では、いろいろなところで月賦で買っていらっしゃる方もあろうと思いますが、ここは大体五%のアドオンのようですから、実質金利が大体いまの形でいくと一〇%ということで、ここも非常にはっきりしております。ですから、それがこれらの店の売り上げが最近たいへん伸びてきておる一つの背景だろうと思うのですが、少なくとも月賦は、そういう公正な表示によって行なわれるような方法がどうしてもとられるべきだろうと第一に思います。  ただ、問題は、一年以内にひとつやってもらいたいわけですが、これはきょうはもう時間がありませんから、これで終わるわけですけれども消費者金融のほうと非常に関係があるわけです。というのは、私は、大蔵省に対しては、消費者金融をもう少し拡充してやれ、こういう要求をしておるわけでありますが、これが、たとえば十万なり二十万くらいについてはわりあいに簡単な消費者金融ができるようになれば、比較をする必要があるわけですね。要するに、銀行から金を借りて、ものを買って、——キャッシュでものを買ったほうが得なのか、割賦でいったほうが得なのかという選択をするためにも、実質金利というものをどうしてもすみやかに出していく必要があるのではないか。そのときに初めて選択ができるわけですね。  関東では、丸井や緑屋という月賦の百貨店はたいへん大きくなっておりますが、関西では月賦の販売店というものはあまりないのです。ありますけれども、そんなに大きくない。関西ではどうなっておるかというと、ダイエーをはじめ巨大なスーパーがいまどんどんできておるわけです。これは地方性といいますか、関西人は御承知のように、がめつい。私も関西の人間ですけれども、がめついといわれておるわけですけれども、それはどうしてかというと、要するに、そういう選択をきちんとしておるわけです。そうしてみると、結局、現在の割賦の状態は、安い現金買いをしたほうが有利だという判断が実は関西にあるものですから、要するに関西ではそういうスーパーに行って安いものを現金で買うという傾向が非常に強い。それは、いま私が申し上げたように、消費者の知恵だと思うのです。いま、卸売り価格から見て五割も高いところにある現金定価にさらに金利を上乗せした月賦価格で物を買うほうがいいのか、いまの五割のところを、マージンを一割五分くらいにさして、三割五分引きのキャッシュで買ったほうがいいかとなれば、これは問題なくキャッシュで買うほうが、実は消費者にとってきわめて有利なのであります。そこで、ダイエーが神戸で、各電機メーカーの商品を、自分のところのマージンをできるだけ少なくして大量販売して出そうとすると、何が起きてくるかというと、御承知のように、ナショナルは、再販類似行為をもって、だあっと来て、店にある商品を全部買い上げて、トラックに積んで持っていってしまう。そうやって、トラックで全部積んで持っていって、あとはどこで何をするかというと、裏側にある番号に対して赤外線を当てて、その商品番号を全部調べ上げて、その商品番号は一体どこの地方の販売ルートを通してどういうふうに行っているかということをナショナルは全部自分のところでチェックしていって、その買い取ったものを卸に全部ぽんと持っていって、買い取れといって、そこに買い取らしているというのが、御承知のように、いまの審判にかかっている問題の一つであります。五割の中で三割なりのマージンを消費者に還元しようとしているスーパーの諸君のやっていることに対して、メーカーは卸売り価格が切れさえしなければかまわないわけでありますから、本来ならば再販価格の類似行為を行なうべきでないと私どもは考えておりますけれども、極端にこれをいまやっているのがナショナルですね。だから、通産省に伺っても、通産省の共済組合でも、松下のものは一割引き、その他のものは大体二割引きです、こういうふうにこの間伺ったのですが、企業局長、そういうところはあなたはどういうふうに思いますか。
  115. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 私、最近買ったことがございませんのでわかりませんが、ナショナルのほうの引き方がほかのメーカーより少ないということは事実のようでございます。
  116. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは時間がございませんので、私はここで終わりますけれども大臣、要するに、このあと、今度の法案の関係のものもこれから十分いろいろ議論さしていただきますけれども、まず第一に、この割賦販売法消費者保護のためにあるならば、時間は一年かかってけっこうですが、価格を、いまのようなでたらめな現金定価なんていう表示をさせないような指導がどうしても心要じゃないかと私は思います。  そして、そのことは、単に電機だけではなくて、カメラについても実はそういうことが起きているわけですね。外国人がいま日本へ来てカメラを買っていく場合に、一体フェアな価格でカメラを買っているだろうか、どうだろうか、実は私は非常に心配しているのであります。あれはノータックスですけれども、タックス以外の部分のところに実はタックス以上のものが積み上げられた価格で買っている外人もいるのではないだろうかと私は思うのです。外国人がよく来るようなそういうカメラ店では、少なくとも正確な適正利潤によるところの価格表示をすみやかにするようにするくらいのことは、将来の日本の海外に対する信用の問題からいっても重要な問題じゃないか、私はこう思っておりますので、価格表示全般について——月賦だけではありませんが、割賦全体についての大臣の御見解をひとつ承って、本日の質問はここまでにいたしたいと思います。
  117. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 私自身も、電気製品なんか買ってみて、どうもあまりに違うので、その価格は一体どういうことになっているのか、不可解なのでございます。したがって、こういうことが一般に内外の購買者にびまんするということは、日本経済の伸長の上からいって非常にゆゆしい問題であると私は思います。この点は十分に是正していかなければならぬと考えております。
  118. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうはここまでで終わります。
  119. 小峯柳多

    小峯委員長 本会議散会後再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————    午後三時五十一分開議
  120. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  割賦販売法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず、この法案の質問に入る前に、この割賦販売法が昭和三十六年、第三十八国会で審議された際に、附帯決議が行なわれているわけです。四項目にわたって附帯決議がなされておるわけでございますが、どの程度その附帯決議が実行されているか、その段階をひとつ御説明願いたいと思います。
  122. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御指摘のように四項目ございますが、第一点は、割賦販売審議会の委員の中に一般の小売り業者並びに消費者の代表を入れたらどうかということでございますが、現在委員は十名でございますが、小売り代表一名、消費者代表二名、計三名を委員にお願いをしております。  それから第二点の、一般の小売り業者の行なう割賦販売に対しては、税制上、金融上の特別の優遇措置を講ずるようにという決議でございますが、税制の問題につきましては、利益額の算定にあたりまして期限到来主義を採用いたしております。法人税法六十二条でございます。それから割賦販売を主として行ないます小売り事業者に対しましては貸し到れ準備金の繰り入れ限度率を千分の二十五にいたしております。一般小売りは千分の二十でございます。金融の問題は、現在割賦販売審議におきまして中小企業の問題のみならず、消費者ローン等を含めまして全般的に検討をいたしております。具体的な方向は今年度中には出したい、かように考えております。割賦販売審議会でも中間答申は四十一年の十月にいただいたわけでございますが、それを具体的に実行するためにはさらに具体的に詰める必要があるということで、目下勉強いたしている段階でございます。  それから、「消費者の利用に供するため、消費者金融の道を考究すること。」これは消費者ローンの問題でございますが、先ほど申し上げたように研究中でございます。  それから最後に「信用保険制度の整備に務めること。」ということでございますが、御承知のように、三十六年この法律が通りましてから、損害保険会社でもこの保険を始めておるわけでございます。現在のところまだ規模が小さい、なかなか採算ベースに乗らないという問題はございます。現在機械等がこれを利用いたしておりますが、まだ完ぺきなものとは言いにくい、かように考えております。それからもう一つは、生命保険会社で団体信用生命保険制度を開いておりまして、これは住宅金融を中心に運用されております。これもまだ規模が小さい、したがって民間でそういう信用保険というものが発足する段階になっておりますので、われわれとしてはこれを側面から援助いたしまして、この問題は信用調査機構の問題ともからむ問題ではございますが、今後育成してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 この四項目について御説明をいただいたわけでありますが、特に金融等の問題については、三十六年から出発をして現在まだ検討中である。大体目鼻はついておるとは思いますが、しかしいずれにしても、これだけの年数がたっておって、まだ実施の段階に来てない。いつも附帯決議を、採決のたびに各党からいろいろと要求を出し、まとめをつけるわけでありますが、この実行というものは非常におそいわけです。そういう点で、特にこの金融等の問題、これは全般的でありますが、さらに附帯決議の実行について今後強力に推進なさっていかれる考えであるかどうか、この点をもう一度確かめておきたいと思います。
  124. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 附帯決議の中で一番おくれています点が金融の問題だろうと思います。これは御指摘のように非常に大事な問題でございますと同時に、非常にむずかしい信用調査機関の問題とか専門の金融機関の問題とか、いまの商業銀行をどういうように活用するかとか、通産省サイドのみならず銀行行政としてどういうように今後持っていくかという問題があるわけであります。したがいまして、私どもとしましては、大蔵省の金融制度調査会のほうにもお願いいたしまして、並行して御審議をお願い申し上げるということにいたしておるわけであります。いままでおくれてはおりますが、この問題は非常に大事な問題であろうと思いますので、全力をあげて今後取り組んでまいりたい、こういう決意でございます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからこの法案を見ますと、許可制になっておるわけでありますが、これは私許可制のあり方ということについてはいつも疑問を感じるわけであります。今回のこの法改正というのは購入者保護の強化のためになされた、これはよくわかるわけです。しかし従来の登録要件のほかに財産的基礎の有無あるいは約款の内容等を審査すること等が加えられておる。このような判断要素の多い行政行為、これは登録制よりも許可制のほうがよいのだというようなお考えに立っておられてなされたとは思うのでありますが、はたして許可制にしなければ購入者の保護を強化することができないかどうかという問題です。また許可制にすれば完ぺきなのか、これははなはだ疑問だと思うのです。登録制であっても、登録要件の中でこうした内容調整をはかって、常に政府が、適切な指導監督を行なっていくならば、許可制以上の効果をあげるのじゃないか。また、たとえ許可制にしても、いつでも見ておりますと初めだけきびしくする、しかしあとはそうした指導監督においても非常に手ぬるい。許可行政をめぐって、JISマークにおいてもそうでありますけれども、黒い霧が発生している。非常にそういう行政をゆがめていく要素が多いのではないか、こういうように心配するわけです。そういうような点からいろいろな問題も出てきますし、ほかにも、許可基準の中に、業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する。これは先ほども申しましたが、この一項目がありますが、こういう点からも中小企業、特に零細業者を圧迫していかないか。その判断においても非常に私は問題があると思うのです。ここで資本金の最低限度額の引き上げあるいは営業規模の限定等はないと政府委員の方がおっしゃっておるわけでありますが、もう一度ここで確認をはっきりしておきたいと思います。中小企業、特に零細業者をここで圧迫しないか、またそうした点に対してどのような対策を立てておられるか。許可制の問題から数点の問題を申し上げたのでありますが、以上の点を簡潔に答えていただきたいと思います。
  126. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 登録制にするか、許可制にするかというのは一つの立法政策の問題でございまして、御指摘のように絶対的なものではないと思います。ただ従来の立法政策といたしましては、実質的要件で判断するというような場合は許可制をとっております。それから形式的要件で判断する場合は登録制ということでございまして、今回は消費者保護の観点から、契約基準とかあるいは財産的基礎とか、実質判断基礎にいたしたがために許可制にしたわけでございます。ただこれは、許可制になったから役所がかってでやれるという意味ではございません。許可制になればなるほど、その基準は明確にしなくてはいけない、かように考えております。  それと同時に、そういう消費者保護のためにやった措置でございますので、事後につきましても、今回の法律改正では、改善命令とか変更命令で、事後までトレースしていくという制度にいたしたわけでございます。そうなりますと、御心配の中小企業に対して影響がないかという問題でございますが、先ほど御指摘になりました資本金の問題は、引き上げるつもりはございません。現行どおりにしていきたいと思います。  なお、登録業者の経理状況を調べてみますと、中小企業だから非常に悪いというケースはございません。むしろ資本金のわりに非常に業務を拡張し過ぎて経営がまずかったというあぶない面がございます。したがって中小企業なるがゆえにあぶないということは言えないと思います。しかし、今後いろいろな問題が出てこようかと思います。許可にあたりましてはそういう問題、中小企業に急激な変化を与えないように、しかもそういう場合はできるだけ資金のめんどうも、商工中金等を中心にして見ていくという体制をしきまして、健全なる業者の発展ということと消費者の保護ということを両立さしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 割賦販売法の第九条でありますが、標準条件の公示、この規定に基づき規制されているものにどのようなものがあるか。またこの標準条件が景気調整等のために変更されるようなことはないか。米英等においては景気調整、外資対策等の手段に使っておるわけでありますが、さらに今後どのような商品に制定を予定しているか、大体以上の点についてお聞きしたいと思います。
  128. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 現在第九条によりまして標準条件をきめておりますのが自動車でございます。今後非常に過当な競争が行なわれる、あるいは将来外資が入ってくる可能性もございますので、外資対策上必要だという面につきましては、具体的にそのつど検討してまいりたいと思いますが、さしあたりすぐ指定するという業種はいまのところございません。  それからなお、景気調整のためにこの割賦販売条件を変更していくかという問題でございますが、私ども感じは、現在のところ日本もようやく割賦制度が緒についたところでございます。特に今後大事な問題は、先ほども御指摘がございましたように、それがための金融制度を確立するということでございます。したがって、そういう制度が整わない段階でこういうものを景気調整に利用するということは考えておりません。将来そういう制度が完ぺきに整いました場合に、諸外国と同じようにこれを景気調整のために利用するかどうかは、そのときの情勢によって将来考えてまいりたい、こういうことでございます。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 標準条件についてでありますけれども、この順守状況ですね、これを実際通産省としていままで調査されたことがあるかという問題なんです。もしも調査したことがあったならば、その結果を示していただきたい。先ほどトラックの話も出たわけでありますが、このトラックなどは頭金比率の順守状況があまりよくないのではないか、こうした意見も聞いております。そういうことに対しても第十条の大臣勧告が適用された事例があるか。もしもそれがないとすれば、どういうような状態のときに大臣勧告を行なうか。以上の点についてお聞きしたいと思います。
  130. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 従来、部分的ではございますが、標準条件の順守状況を調査したことがございます。前回の調査におきましては、東京地区だけでございましたが、御指摘のように頭金を守っていないというケースが多うございます。前回の調査では、二五%程度が守っていない。それから期間は比較的守られておりますが、最近、東京、香川、福岡につきまして調査いたしました結果は、やはり頭金の順守状況が悪い。しかも最近は相当競争が激しくなりまして、期間につきましても一五%程度やはり守っていないというような状況になっております。今後外資の問題もございますし、非常に行き過ぎた過当競争はあまり好ましくないという面もございますので、今後さらに全国的な調査をいたしまして、業界の自制を訴えると同時に、必要によっては勧告も今後は考えてまいりたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたのほうでデータを持っていらっしゃるし、私も調べたのがあるわけでありますが、いまおっしゃったそうした点、さらに継続的に調査も行ない、また勧告等もやって、適正にそれをやっていただきたい。要望しておきます。  それから供託制度の問題であります。今回の改正案において、購入者への優先弁済に充てるため前受け金の三分の一を供託する、この制度でありますが、三分の一の根拠ですね、どこから三分の一を出したか。  また立案の過程において、業者の自己責任と相互共済を加味した業界での積み立て案が検討されたように聞いておるわけであります。これがなぜ実現されなかったか。  さらに、供託制度を円滑に進めるために前受け金の残高を正確に把握することが非常に重要になってくる、このように思われますが、そのための体制はどのようになっているか。  もう一点、事故が発生して営業保証金を債権者である購入者に返還するのはどういう方法をとるか。これは将来の問題でありますが、以上の点についてお聞きしたいと思います。
  132. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 まず供託金を三分の一にした理由でございますが、御承知のように、この前払式におきましては、前払式の金は代金の一部でございます。それを活用してできるだけ消費者に安いものを供給しようというところにこの制度の本来の目的があるわけでございます。供託金の前受け金の約半分ですか、やはり商品を買い入れる代金に利用されております。したがって、そこまで供託させるのは無理であろう。それからもう一つは、割賦でございますので、集金費用とかいろいろな手数料がかかるわけでございます。集金費用で言いますと、これが前受け金の九%程度を占めておるという実績が出ております。それから販売手数料が六%。そうしますと六五%程度というものはやはりどうしても必要な経費に要るという形になるわけでございます。そういう意味で、残りの三分の一程度を確実に保管するという意味で供託さすということにしたわけでございます。  それから、この検討の段階におきまして、業界が自主的にやる保険制度的なものも考えられたようだ、こういうお話でございます。いろんな面を研究したわけでございますが、業界が共同してやる保険制度とか積み立て制度といいますのは、御承知のように、この割賦をやっております業界は種々さまざまでございます。一本にまとめませんと意味がございませんし、一本にまとめるにしても、やはり問題があり得るということで、いろいろ業界とも相談しました結果、あきらめたわけでございます。  それから、前受け金を供託さすためにその額を正確に把握していかなきゃいかぬ、御指摘のとおりだろうと思います。そういう意味で、今回帳簿の備えつけ義務を新たに課しまして、前受け金については常に正確な記入をしていただく、それに報告もいただく、こういうことにしてございます。  それから、最後の、事故が起きた場合に消費者購入者はどういう方法で還付してもらえるかということでございます。これは原則としては民事訴訟法の手続によりたいと思いますが、非常に還付請求が殺到しまして、供託額より返してもらいたいという額がふえるとか、あるいは破産の状態になるというような場合におきましては、消費者に公平にこの金を配分するということが必要だと思いまするので、配当手続に移りたい、そういう措置を政令できめてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 業界でもいろいろと積み立て案等について検討がなされた。結局はいろいろ多種多様であって問題があったのであきらめた。それをあきらめたままでほっておくのですか。将来、ただだめだからというのではなくして、政府としてさらにそのだめだといういろいろな問題を取り上げて前向きにどのように今後考えていくのか、その点をもう一度お聞きしたいと思うのです。
  134. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 三分の一の供託制度を今回とったわけでございますが、もちろん事故がありました場合に、この金額だけで完全に消費者サイドの保護ができるとは考えておりません。そのほか同業者の協力とか、あるいは未払いを払っていただいて現品を出すといういろいろな措置が必要だろうと思います。そういう措置をあわせとりますれば、三分の一の供託によりまして、消費者には御迷惑をかけずにいけるのではなかろうか、かように考えております。将来これをやってみまして、さらにこれでは不足するというような場合も予想せられますので、引き続いて、保険制度とかあるいは積み立て制度ということは、これは十分各業界が足並みをそろえなければできないことでございますから、指導もしながら、少し長い目で見て研究はしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 この業界も非常に多種多様になっておるわけでありまして、業種別にそういうような制度を考えていくという方向はどうなんですか。その点について……。
  136. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 業種別に考えますと、非常に事故の多い業界とそうでない業界と差がございます。それからこういうものはやはりみんなの共同で、事故が起こった場合に防止する保険制度と同じようなものでございますので、相当広範な業界が入らないと、理論的には単一の業界で可能でございますが、非常に高い積み立てをしなければいかぬということでございまして、あまりいまの供託制度と各自がやる供託制度と変わらない結果になりまして、妙味が少ないと思います。やります場合は全体の業界が、大きいところも小さいところも、全部の業界が共同歩調をとるということが大前提であろう、かように考えております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで先ほどの供託の中の話で、大体集金業務に九%くらいかかっておる、こういうような点からいきますと、外国における例を調べていきますと、割賦販売の金融機構の中に信用調査機関あるいはまた専門の金融機関等と並んで代金の専門回収機関も設置しているわけです。こういう点わが国において今後どのように考えていくか、こういう問題が一点です。それからこの代金回収の問題で、大体どのくらい回収しているのか。私どもいろいろと調べてみたのですが、三カ月以上支払いをためたのは全体の大体五%、このように聞いています。最終的に未回収として残るのは大体一%くらい、非常に回収率がいいと思うのです。しかし反面考えてみれば、取り立てが非常にきびしいのではないかという面も一面は考えられるわけです。これもたまたまうわさで聞いたのでありますが、代金回収のためにやくざといいますか、そういうような系統の人を間に立ててきた場合もある。こういうような点は私は回収行為としては非常に行き過ぎだと思うのです。そのように非常に被害を受けておる消費者もかなりいるのではないか、こういった話を聞いていらっしゃるかどうか。そのほかのいろいろなケースがあるでしょうが、そういうことがあればひとつここで発表をしてもらいたい。もとに戻りますが、正常な代金回収を行なうためにそういう回収機関をつくる考えはあるか、この点についてお聞きしたいと思います。
  138. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 御承知のように、アメリカにおきましては、専門の回収機関がございます。日本においてもそういうものをつくるかどうかという御趣旨の御質問かと思いますが、私ども気持ちを率直に申し上げますと、まず金融制度を確立するのが第一であるというように考えております。あるいはそういう金融機関等とタイアップすれば、回収もある程度可能ではないかというようなことも考えられるわけでございます。現在のところ回収機関を積極的につくる気持ちはございません。これをつくるとすれば、先ほど御指摘のような弊害も場合によってはございますので、そこら辺についての慎重な配慮をしながら慎重に検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまきびしい取り立てのそういう一面を話したわけでありますが、あなたのほうでもそういう話をだいぶん聞いていらっしゃるでしょう。そういう行き過ぎ等の問題について、監督の通産省としてさらにそういうことのないようにやっていただきたい、特に要望しておきます。  それから外務員の問題でございますが、四十一年の十二月末の統計で約八万八千人、このように聞いております。データは若干違うかもしれませんが、それだけの多くのセールスマンのいろいろな状態をずっと聞いていきますと、非常に事故が多いわけです。事故の中に当然詐欺のような行為もあるし、あるいはまた不当勧誘行為によって問題を起こす、あるいはまた消費者に非常に迷惑をかけておる例が多いわけです。こうした外務員に対しての教育なり、あるいはまた訓練、そうした指導監督という問題を考えると、非常に重要な問題だと思います。こういう点が非常に軽視されておるのじゃないかと心配するわけです。業者にまかし切るのでなくして、監督官庁としてこうした問題に対してどういうように対処していかれるか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  140. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 大事な点であろうと思います。従来、いろいろ苦情とか事故がありました過程におきまして、一番問題になりますのは、セールスマンが契約の内容をあまり消費者に知らさずに契約して、あとでもんちゃくを起こすというケースが多かったようであります。今回の改正におきましては、契約の基準の条件を定めまして、しかも約款をあらかじめ定めさしていくという形をとっております。これは許可要件あるいは改善命令、変更命令の要件にするというような措置までとっておるわけでございます。そういうことで、われわれとしては相当改善はされてくると思いますが、万一そういう面でさらに苦情が絶えないというような段階におきましては、改善命令とかあるいは変更命令を発動します。さらにそういうことによってうまくいかないという場合は取り消しも辞さない、こういうように考えておるわけでございます。教育自体を通産省が積極的にいまやるというようなことは考えておりませんが、そういう法律の運用で、業界もそういう姿勢をもって臨んでいただける、かように確信をしている次第でございます。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 ここに日本消費者協会から出している消費者相談報告書、私が持っておるのは四十年、四十一年の分でありますが、これは皆さんもお持ちと思いますが、これの中を見ていきますと、苦情の問題が非常にたくさん出ておるわけです。この中で一つとってみたのですが、ある人がセールスマンの勧めで手編み機の月掛けをした。大体四、五回集金に来たけれども、それきり来なくなった。何回か集金に来るように会社に電話をした。ところがさっぱり取りに来ない。解約したいと申し出た。そうすると、違約金等を差し引かれて、返還金は掛け金の一回分の半分、わずか二百円くらいしか返ってこなかった。しかも最初は、満期日でないとその二百円の金も返さない、そういうような問題が出てきたわけです。再三それが表面にも出てきまして、会社のほうでも調査をして、全額返してもらったそうでありますけれども、要するにそういう苦情を持ち込んでいくところを知っておる人ならいいです。だけれども、ほとんどの人は泣き寝入りというケースが多いわけです。ですから、そうした割賦販売という制度は今後ますます発展していくでしょうし、こういうような問題をほんとうに解決しなければならない。泣き寝入りに対して、そういう人々を救うために、どういうような対策を今後政府として考えていくか、非常に大きな問題だと思うのです。苦情処理等の問題について、どういうぐあいに考えていますか。これはあがってきた分だけを解決していくという態度ですか。
  142. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 表面に出てきた問題だけを解決するのでは足りないと思います。今後基準約款をつくりまして、それを忠実に守っていただくということは周知徹底させたいと思いますが、それと同時に、やはり末端におきましてはいろいろな問題が出ないとも限りませんので、苦情処理の機構がやはり必要だろうと思います。これは割賦販売でございますので、個々の小さな取引もございます。全国的に散在しておるわけでございますので、一カ所で苦情処理を実際持ち込まれるケースは少ないと思います。そういう意味でわれわれとしては、消費者行政全般の問題でございますが、今後は市町村等の方面と十分連絡をとって、こういう問題を円滑にこなしていただくというような配慮をしてまいりたい、とにかく末端組織を広げていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長のおっしゃった、それで実際にうまく解決するかどうか、今後の問題になりますけれども、それはいろいろと国会でこういった質問をすれば、そういうような答えが出てくるわけです。だけれども実情というものは、なかなかほんとうに歯がゆいくらいのそういう解決しかできていないわけです。苦情処理機関で受けつけたものだけでも、過去見ていきますと、昭和四十一年度で二百九十一件、四十二年度で十二月末現在で二百二十五件と非常に多い。ですから潜在したものはそれの何倍、何十倍、あるいはもっと百という倍数になるかもしれない。そのくらいまだまだ表面に出てこないそういうものがあると私は思うのです。これだけでも十分な指導が行なわれていない。はっきりとここに証拠が出ておるわけです。監督官庁の立ち入り検査にしても、昭和四十一年度で業者数二百三十七のうち、あなたのほうで計画なさった件数が百十四件、実施されたのは八十四件。四十二年度で二百十九業者のうち、計画が百四十四件、実施件数がただの五十六件、これは九月まででありますが、このように非常に少ないわけです。そうした点で登録制を許可制にしたから解決するとか、あるいはまたいろいろと先ほどおっしゃった対策もあるわけでありますけれども、しかし私はこの答弁だけで安心できぬわけです。本気になってこういうような問題について考えていかなければ、消費者は非常に迷惑をしていくと思うのです。この点はいま都道府県等でというような答弁もあったわけでありますが、ただここの答弁だけではなくして、実際にひとつそれを運用の段階で効果の出るようにやっていただきたい。私どもじっと見ておりますから…。またある時間を選んで実際のそれの実情を調査して、この問題については、今後またやっていきたいと思っております。その点ひとつ特に要望しておきます。  それから、先ほどの供託金の問題でありますが、三分の一供託をする。いままではその金をどんどん運用していたわけです。そういう点で購入者、消費者にとっては、いろいろな点で非常にメリットがあると思いますが、そのために業者の資金というものは手薄になってくる。こういう点で消費者に結局はしわ寄せされないか。しわ寄せの形態については、いろいろな問題が起きてくると思います。価格の引き上げとか、あるいは下請の企業に対して発注単価を切り下げていくとか、あるいはまた手形サイトをさらに長くしていくとか、いろいろな点が考えられるわけです。こういう点は政府として相当監視していかなければ、結局はこういう制度のために消費者が、あるいはまた関係業者が苦しまなければならない。この点を心配するわけです。こういうような問題についてどのように考えていらっしゃるのですか。
  144. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 しわ寄せの問題として価格引き上げのお話が出ましたが、御承知のように、現在各企業とも非常に競争いたしておりますので、これを価格の引き上げによって転嫁するということは、実際問題として不可能だろうと思います。ただ御指摘のように下請の問題とか、手形の支払いサイトの問題は、下請代金支払遅延等防止法等の運用で十分注意しないといけない、かように考えております。それと同時に、一番大事なことは附則でも、附則の規定によりましてそういう緩和規定も置いてございますが、四回に分けて払うというように、急激な影響は与えないようにしてございますが、どうしても健全経営をやっていってしかも資金が回らないという面については、積極的に金融措置を、特に中小企業の面については講じてあげるということが大事だろうと思います。先ほども申し上げましたように、商中にお話をすでに申し上げておるわけでございますが、個々のケースに応じまして、そういう法律改正によって急激な変化の起きないように十分注意してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 業者に対する金融の問題でありますけれども、いままでいろいろそういう法案も出てきました。そのたびに業者に対しても金融の措置をしますと非常に話しはいいわけですよ。しかしながら実際になかなかそういうような金も借りれない。運用の面において第一線と皆さんおっしゃっていることが全然違うわけです。ですからただ締めつけるだけが能じゃない。高いお金を借りて、その人が全然お金がない、それを返せ返せと無理にお金をとる。そうすればどうすればいいか。結局この人が悪い人であれば、どろぼうをしてみたり、いろいろな形でどこかにしわ寄せが来るわけです。そのように、法律はつくってもいいけれども、必ずそういうようなしわ寄せが考えられる。そのしわを政府が埋めてやらなければならぬ。ところが、そのしわを埋めますということばだけなんだ。ですからそういう点において、実際の運用の面において、もっとあたたかいそういう手を差し伸べなければならない。運用の面で今後その点を特に配慮してもらいたい。この点を私は、全部業者を一ぺん、調査の範囲といったって知れていますけれども、それぞれの業種にわたって私も一ぺん今後調べてみるつもりですけれども、金融を言いにいって断わられた、そのようなことのないように、よくそういう点まで見てもらいたい、これも要望しておきます。  それから先ほども話が出ましたが、消費者金融の問題でありますが、具体的に消費者金融を、まあはっきりときまってないにしても、どういうような金融の制度を考えていらっしゃるか、その構想をひとつ聞きたいと思う。やはりこういった制度をつくる以上はそこまで考えていらっしゃると思うのです。いま考えていらっしゃる時点でひとつ答えてください。
  146. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 割賦販売金融を軌道に乗せますためには、割賦販売の債権にやはり担保力を持たすということが大事だろうと思います。そういたしませんと、金融はなかなかついてまいりません。そういう意味でまず考えたいと思いますのは信用調査の機構でございます。現在少しずつ手がけておりますが、そういうものをまず考えたい。それから第二番目といたしましては、そういうものができた場合に、一般の商業銀行のルートで金融がついていくものなのか、あるいは業種の実態においては特別な金融機関をつくったほうがいいか、業界によりましては共同してそういうものをつくりたいという御希望もありますので、業界の実態に応じてそういうものを考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。したがいまして、この金融制度というのは非常に多岐にわたっていると思います。それと同時に、業種の実態に応じて具体的方法は違ってくるかと思いますが、そういうことで現在検討しております。それで、スケジュールといたしましては、各業界のヒヤリング、御意見を言っていただくのが済みまして、最後にそれをどういう方向で今後こなしていくかという段階に入っております。秋口までに一応おぼろげながらどういう構想で進むかということをつくりまして、これは通産省だけではなくて、金融制度調査会との打ち合わせもありますので、そこの辺に持ち込みまして、大蔵省サイド、金融サイドからも御検討していただく、こういう形にいたしたい、かように考えております。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点については、それじゃまた発表してもらいたいと思います。  それから保険制度でありますけれども、損害保険として割賦販売代金保険というのがありますね。これはPR不足かどうか知りませんが、利用度が非常に低いわけです。その他いろいろな弊害があるからみなが入らないということも考えられるわけでありますが、こうした制度について、それじゃ改善するなら改善する、あるいはこれをさらにPR等もして一般に普及していくとか、この保険制度についてどのように考えていらっしゃるか、この点を、もう少し具体的な制度考え方についてお聞きしたいと思います。
  148. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 この保険制度を考えます場合に、二つの問題があろうかと思います。一つは、いわゆる貸し倒れの危険を分散するための保険制度という問題があろうかと思います。もう一つは、販売業者なりメーカーなりが割賦販売金融を受けるために、その担保力を増大するための保険制度という問題もあろうかと思います。現在の保険制度というのは、御指摘のように非常に規模が小さくて、まだ未発達な状況にございます。今後こういう保険制度をさらにどういうふうに持っていくかという問題は、先ほど申しました信用調査機関の問題とうらはらの問題にもなろうかと思います。それとあわせて研究したい、かように考えております。それから金融を受けるための担保力を増大するための保険制度でございますが、これは中小企業関係でその必要性があろうかと思います。現在の信用保険制度生産関係にございますあれが活用できるかどうかという方向で検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 その問題も、時間の関係がありますので、今度聞きたいと思っておりますが、どうもばく然としたような話に思います。  クレジットカードの問題でありますが、最近も特に有力な都市銀行が直接あるいは間接的にクレジットカードの部門に進出してきているわけです。たとえば三和系のJCB、富士のダイナースクラブ、これはだいぶ前からありますね。それから、四月から三菱系のダイヤモンドクレジット、第一銀行の第一バンクカードチェック等、あと引き続いて発足の予定、このように聞いております。今後も住友あるいは東海あるいはそうした一流銀行、さらに地方銀行等でも普及していくような形勢にあるように思います。そうした現況について、政府として銀行のクレジッ卜部門の進出に対する見解、これはいままであまり出てないのですね。その点をどういうように考えていらっしゃるか、たとえば一例ですが、第一銀行などが直接やっているようなものについては大蔵省でも掌握をしておる。しかし他の傍系会社等にやらしているものは現在どこが掌握しているかわからないというのが現況ではないか、また実態等もつかめてない、このように思います。この点についてどのように考えていらしゃるか、大蔵省と局長から、お二人に聞きたい。
  150. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。ただいまお話がございました銀行を中核としたクレジットカード業務ということでございますが、これはただいま御指摘のとおり、各都市銀行が大体中核になって、直接ではございませんが、別の会社でもってそういう業務をやっております。こういった業務がそもそも日本に入ってきた沿革を考えますと、これの起こりはアメリカでございまして、アメリカの社会で現在非常に騒がれている問題の一つにチェックレス、それからキャッシュレスソサエティーということがございます。そこで、現金の要らない、また小切手の要らない社会ということが非常に問題になっておりまして、おそらく一九八〇年前後にはそういった社会に変わってくるんじゃないかという傾向、そういった学説、雰囲気が非常に多いわけです。そういう雰囲気を踏まえまして、非常にアメリカで盛んな現象でございます。わが国におきましても、つとに三和銀行を中核としたJCBあるいはまた富士銀行の関連のダイナースクラブというものができまして、また最近では住友、三菱、その他都市銀行がずっとやるということになっております。私は、今後日本経済の、国民所得向上、それから消費の多様化という点から申しまして、乱にわたらない範囲でこういった業務が行なわれるということは、非常に国民生活向上のためには好ましいんじゃないかという感じを持っているわけでございます。お答えいたしましたこれは、いずれも銀行が直接やった業務ではないので、銀行の融資先である機関がやっているという業務でございます。しかし考え方としましてはそういった考え方で現在いるわけでございます。
  151. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 銀行の消費者金融、やはりこれはわれわれとしてもぜひ銀行に乗り出してもらいたい、金融制度を確立したいという気持ちがございます。そういう意味で、銀行がこういう問題に関心を持っていただいておるということは非常にいい傾向だろうと思いますが、ただ、そのやり方によりますと、現在の中小企業がやっておるチケット販売あるいは信販の業務というものに大きなひびが入るという問題もございます。したがって、消費者金融を軌道に乗せるという問題と、現在の中小企業の信販の業務範囲との調整の問題であろうかと存じます。いずれをためましても問題は解決しない、したがって、もう少し実態を調査いたしまして調和点を見出したい、かように考えておるわけでございます。なお、これは銀行が直接やらずに銀行の別な機関がやっております。しかし、銀行が相当関与できることは事実でございますので、われわれのほうとしましては、大蔵省と十分連絡をとって、いい方向に誘導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  152. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が聞いた焦点がちょっとぼけておるように思うのですが、確かに大蔵省と連携をとってやっておる。これで、それじゃ実害は起きないかといえば、いま中小企業等の問題も出てきましたけれども、確かに害は出てきますよ。たとえば、いまやっているような問題等を見ていきましても、加入金の問題にしても、デパートであろうと小さい店であろうと、大体一店で五万円——いろいろとありますが、三万円から五万円くらいというのが標準になっているわけです。そういうような取り立て方をしておる。また売り上げの五%を取っているわけです。これは一体何をするのか聞いてみたら、集金費用あるいは金利あるいは信用料などの意味で取っております。こうした点も将来、売り上げはどんどん伸びてくることも予想される。これは非常に大きな商店の負担にもなってくるわけです。結局負担になってきたものがどこに転嫁されるか。消費者ですよ。価格の面にまた転嫁されてくる。あるいはまた加盟店のこういう選別というものは非常に厳重に行なわれておる。したがって、小売店会のこういう系列化というものが進められていくということも考えられるわけです。したがって、小売店の格差が非常に大きくなってくる。あるいはまた銀行から誘われたときに、たとえ入りたくなくても、将来の融資等を考えると入らざるを得ない。そういうような問題もあるのではないか。こういうような、まだいろいろと私はあるように思うのですが、これからもいろいろな問題が一まだいまそういうような大きな事故は起きてないと思いますが、そういうようなときこそ私は監督官庁というものをはっきりしなければ責任のなすりつけ合いになる。したがってこの点は大蔵省と通産省とどこが直接責任を持つか、この点をひとつはっきりと答えてもらいたいと思う。
  153. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 銀行業務としてやられる場合は、これは大蔵省にお願いせざるを得ないと思います。しかし、別な機関でそういう業務が行なわれておる、それと中小企業関係をどういうようにするか、あるいは割賦金融制度とどういうふうに勘案をしていくかという問題は、通産省が責任を持つべき問題だと思います。金融制度の問題を、先ほども申し上げましたように検討いたしております。その中に含めましてわれわれも今後検討するつもりでございます。その上で大蔵省とも、銀行行政の指導面で必要があれば十分連絡をとって、大蔵省の方面からも指導していただきたい、かように考えております。責任はあくまでも通産省が持ちたいと考えます。
  154. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはこれから非常に大きい問題になってくると思いますが、この点をひとつ特に要望しておきますから、さらに広範な調査、そしてまた起きてくるいろんな問題等に対してもひとつ十分な対策を立てていただきたいと思います。私も決して反対ではないわけです。しかしながらマイナスの面もあるわけですから、その点を要望しておきます。  もう時間もありませんので終わりたいと思いますが、住宅あるいは宅地の問題ですが、この問題について、この割賦販売法では不動産は対象外になっておる。私はこれは非常に盲点だと思うんです。不動産の問題については、非常に悪質業者が出ておりますし、その被害というものは非常に深刻な社会問題にもなっているわけです。こういう問題について建設省のほうでも考えておるようには思いますが、不動産だから関係がない、そういうような態度であってはならぬと私は思うのです。ですから独自の立場で、通産省としてどういうようにその問題に対処していかれるつもりか、根本的にひとつこの点をお聞きしたいと思うのです。
  155. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 宅地、建物の割賦販売の問題は、ウエートから言いましても私、非常に大事な問題だろうと思います。したがって、通産省が無関心でおるわけではございません。建設省にも、われわれが今回改正いたします段階におきまして、こういう宅地、建物についても同じように強化する必要があるのじゃないかということを申し上げて、向こうも至急研究するということになっておるわけでございます。それと同時に、やはり金融問題、割賦金融の問題になりますと、これは不動産の特別な金融機関もございますが、ラップする面が相当ございます。そういう問題につきましては一緒になって研究しなければならぬ、かように考えておるわけでございます。したがって通産省としても、この問題につきましては、規制の問題は建設省でございますが、実態的にそれがうまくいくようには十分関心を持って今後連絡をとってまいりたい、研究もしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  156. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃひとつ、その点研究してまいります、そういうふうにおっしゃったわけでありますから、将来において——将来といっても遠い時点ではなくて、現実にそのような被害が出てきておるわけでありますから、早急にひとつこれは対策を立てていただきたい。この点、最後に次官に、それに対する見解、決意をお聞きして終わりたいと思います。
  157. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御説のとおり、土地、建物は、いまわれわれの日常生活にとって一番要求の大きい問題であり、しかも物価問題に直結している大事な問題でございますので、建設省とも十分連絡をとって、可及的すみやかに御趣旨の線を生かしたい、こういうように考えております。
  158. 近江巳記夫

    ○近江委員 ではこれで終わらせていただきます。
  159. 小峯柳多

    小峯委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は、明八日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会