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1968-04-26 第58回国会 衆議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡本  茂君       神田  博君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       久保田鶴松君    佐野  進君       楯 兼次郎君    中谷 鉄也君       三宅 正一君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         法務省人権擁護         局長      堀内 恒雄君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         建設政務次官  仮谷 忠男君  委員外出席者         建設省計画局宅         地部宅地政策課         長       大河内正久君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 四月二十五日  化粧品再販契約制度に関する陳情書外十三件  (第二六三号)  米国の輸入課徴金対策に関する陳情書外三件  (第二六五  号)  盲人世帯電気料金低減に関する陳情書  (第二七二号)  人口激減地域振興法早期制定に関する陳情書  (第三一一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  内閣提出割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る五日提案理由の説明を聴取いたしております。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 割賦販売による売り上げ高というのは、昭和三十九年度の商業センサスによりますと、卸、小売り合計が二兆四千億円に達しており、総販売額の五・二%に相当するたいへんな金額だと思われます。たとえば、本改正案の中で問題になっている前払式割賦のいわゆる契約指数を見てみましても、大きな社会的な問題を含んでいるといわざるを得ません。そういう中で、以下、順次お尋ねをいたすわけでありますけれども、審議を掘り下げるために、次のような資料要求をしておくことが適当であると思われますので、最初資料要求をいたしたいと思います。すでに拝見をしたものもありますけれども、会議録にとどめておきます。  割賦販売法改正案に関する資料要求は、まず第一に割賦販売現状に関するものといたしまして、(1)割賦販売による売り上げ高推移資料要求いたします。それは経済成長所得水準向上消費革命に伴って割賦販売売り上げが大幅に伸びてきたところの実態右資料によって検討するのが目的であります。  第(2)に、消費者向け割賦信用供与額及び割賦信用残高推移についての資料を求めたいと思います。資料請求趣旨は(1)と同様であります。  同じく(3)割賦利用世帯数推移について、同じく同趣旨資料請求をいたします。  (4)といたしまして、家計消費支出に占める割賦購入ウエート各国の例について適当な国を選んで資料をいただきたいと思います。この点についての資料要求趣旨は、わが国においては、まだ家計消費支出に占めるウエートが低いのではないだろうか。これがこれから伸びる余地があるのかどうかということについての判断の資料といたしたいためでございます。  第(5)といたしましては、国民総生産に対する割賦販売ウエート、これも各国ということで適当な国をお選びいただきまして、資料提出していただきたい。資料要求趣旨は、割賦普及状況について、各国との比較、伝えられるところによりますと、米英では高く、欧州はわりあい低いということでありますけれども、これらについての資料要求をいたしたいと思います。  第(6)といたしましては、耐久消費財普及状況及び欧米との比較であります。わが国特徴といたしましては、自動車については低いけれども、家庭電化は進んでいるというふうなことが国民生活白書などにおいても指摘されておるわけでありますけれども、これらの実態についての統計等提出していただきたいと思うのであります。  第(7)といたしましては、耐久消費財別割賦による販売の割合、商品別特徴についての検討をいたしたいというのが資料請求趣旨であります。  第(8)といたしましては、諸外国における賦払い信用残高割賦販売機構割賦販売関係立法等概況について資料提出を求めたいと思います。  次に第二の資料要求は、当面大きな問題になっておりますところの割賦販売金融に関するものであります。  その(1)は、割賦販売業者資金調達状況についての資料、特に資金調達はどこに依存しておるのか、自己資金金融機関、メーカー、前受け金等についての類別をもって資料をお示しいただきたいと考えます。  第(2)は、消費者信用供与状況についてですが、これについては、住宅もお含めいただきたいと思うのであります。消費者信用はどこから供与されるか、特に金融機関の占めるウエートはどのようなものであろうかということが本件審議にあたってかなり問題点であろうと思いますので、資料要求をいたします。  第(3)といたしましては、金融機関消費者ローン状況でありますが、銀行等がどの程度消費者ローンに力を入れているのか、総貸し出しに占めるウエートはどうかという問題、最近、消費者ローンの問題は、いわゆる脚光を浴びている問題でありますし、この問題についての資料をお願いいたしたいと思います。  第(4)は、消費者信用調査機構現状についてであります。未整備実態ということが言われておりますけれども、その未整備実態についての資料要求いたしたいと思います。  第(5)は、消費者金融金利状況であります。これについては、いわゆる金利割り高であるか割り安であるかというふうな中から、消費者金融の今後のあり方というものを検討いたしたいというのが資料請求目的であります。  第(6)といたしましては、諸外国割賦販売金融制度概況について、一般的でよろしゅうございますから、これについての資料の御提出をいただきたい。  大きな項目の第三でありますけれども、割賦販売条件についての資料請求をいたします。  その(1)は、割賦販売条件明示義務及び書面交付義務励行状況、特にこの点についての調査実績があればお示しをいただきたい。特に調査実績の中においては、この明示義務あるいは書面交付義務違反実態等についてお示しをいただきたいと思うのであります。  次に第(2)といたしまして、頭金比率及び割賦期間現状についてであります。ことにこの問題は、景気変動業種ごと競争、特に過当競争状態との関係の中において微妙に動く問題であろうと思いますので、この点についての資料をお示しいただきたい。  第(3)といたしましては、耐久消費財割賦販売における過当競争状況について、特に自動車家庭電気製品等を中心として資料を御提出いただきたいと思います。  (4)は、自動車割賦販売にかかる標準条件、いわゆる法第九条の問題でありますが、この問題についての資料をお示しいただきたい。  (5)は、割賦販売金利及びその表示方法についての現状であります。  (6)は、諸外国割賦条件規制等実態であります。  (7)は、割賦販売契約にかかる紛争事例であります。この紛争事例については、長期の継続の契約のためにトラブルが非常に多いということが言われております。それらの紛争について、紛争を類型的に、でき得ればそのような受理した紛争あるいは知り得た紛争がどのような解決を見たかというふうなこともあわせて御提出いただけば幸いであります。  (8)は、主要商品前払い式を除く)及び住宅割賦販売契約約款の例について、若干のものを御提出いただきたいと思います。  四につきましては、前払い式割賦販売について、次のような項目別資料要求いたします。  (1)は、規模別、すなわち資本金従業員数営業所数にかかわるところの規模別及び商品別業者数資料としてお出しをいただきたい。  次に、第(2)といたしまして、規模別商品別の予約前受け金残高について、この二つの問題は、中小企業業者が多いと思われるので、その実態について特に検討したいというのが資料要求目的であります。  四の(3)につきましては、業者経理状況及び前受け金の運用状況について資料提出をいただきたい。  四の(4)は、倒産等事故発生契約に関する紛争発生及び苦情申し立て状況処理実績。  四の(5)は、約款例についてお示しをいただきたいと思うのであります。特に約款例につきましては、前払い式割賦販売契約約款のいわゆる基準案なるものがありましたら、これを御提出いただきたいと思います。  なお、ほかに割賦購入あっせん業現状について、業者数売り上げ額会員数加盟店数についての資料をお願いいたしたい。  なお、この点については、すでにおおむね承知をいたしておりますけれども、念のために昭和四十二年四月五日付の前払式割賦販売制度あり方についての答申、これをひとつ御提出いただきたいと思います。  以上が資料要求でございます。委員長のほうでよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 お聞及びのとおりですが、大体資料はそろいますね。  それから少し詰めてやりますから、早目に調製をお願い申し上げたいと思います。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで大臣が十一時半においでになるということでございますので、さっそくこまかい各論的な問題に入りたいと思います。  要するに、割賦は安いのか高いのかというふうな割賦購買者がきわめて素朴に考えていること、あるいは消費者王さまだと言われているけれども、裸の王さまであって、高いか安いかよくわからずに、いわゆるデモンストレーション効果などというふうな影響の中で品物を買っている。そのような購買者のために、割賦は安いのか高いのか、割賦はどのような点で購買者にとって有利でありあるいはまた不利な内容を含んでいるかというふうな点について、お尋ねをいたしたいと思いますが、最初お尋ねいたしたいのは、いわゆる割賦については、現金価格割賦価格とを表示しなければならないことになっております。そういたしますと、たとえば前払式が現在審議の対象になっておりますので、例として出したいと思いますが、お手持ちの資料でけっこうですから、ひとつミシンについて、まず最初に、その価格を、たとえばある会社のあるミシンはこういうことになっているということをお示しいただきたいと思います。
  6. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 ミシンの平均でございますが、月賦価格が四万四千百円、それから現金価格が三万九千四百八十円、こういう資料がございます。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、その現金価格割賦価格との差額内訳は何になるのでしょうか。
  8. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 主として金利集金費用その他になろうかと思います。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 実はこの点の質問をかなり詳しくいたしたいと思いますので、明確に内訳を御答弁ください。
  10. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 現在調査中でございますが、金利で申し上げますと、大体日歩四銭というのが通常になっております。これは年率に直しますと、大体一割五分程度になろうかと思います。  それから全体の経費でございますが、集金費あるいは販売手数料等になるわけでございます。前受け金の中でそういうものが支出される率は、大体一五%程度というように全体の数字はなっております。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうふうなことで、購買者は一応納得をしていると思うのです。しかし、どうも私は納得ができないのです。  もう一度申し上げますと、割賦価格のほうが高いわけですね。その割賦価格現金価格との差額はまず金利なのだ、そしてほかに集金等費用が要るのだということですけれども、そうすると、その差額を、集金費用としてはこれだけだ、管理費用としてはこれだけだ、事務用品費用としてはこれだけだというふうに仕分けはできないかということなのです。
  12. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 サンプル的な例につきましては、仕分けができると思います。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、この質問も留保してよろしゅうございますが、一つサンプル的なものをお出しいただいて、次回にそれについての御答弁をしていただけますか。
  14. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 そのようにさせていただきます。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 次に前払式割賦の問題について質問をどんどん飛ばしていきますけれども、苦情はどのような苦情購買者のほうから多いのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  16. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 一番多い苦情は、契約期間中に契約を解除した場合の苦情が一番多うございます。これが大体全体の苦情のうちの三分の一程度を占めておりまして、次が集金とか勧誘に関する苦情、こういうものが多うございます。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 苦情内容については、セールスマン勧誘に関する苦情集金に関する苦情、途中解約に関する苦情、途中商品渡しに関する苦情満期商品渡しに関する苦情商品受け渡し後の問題に関する苦情というふうに相なっております。  そこで、その苦情の集計についてでありますけれども、たとえば、通産省あるいは通産局、日本消費者協会消費者相談室日本割賦協会等において苦情を受理したものの数が、昭和四十一年四月一日から昭和四十二年三月三十一日までが二百九十一件、昭和四十二年四月一日から昭和四十二年十二月三十一日までが二百二十五件ということに相なっております。さてそこで、いわゆる一千万世帯がこのような割賦等についての契約をしているという中で、これらの苦情の数はいわゆる氷山の一角、九牛の一毛というふうなことばが当たる。もっともっと割賦に関する苦情不平不満を持っている人が多いと思われますが、いかがでしょうか。
  18. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 われわれといたしましては、問題があれば、できるだけ積極的に申し出ていただくようにお願いは申しているわけでございますが、御指摘のように、これ以外のその統計に載った以上に相当苦情があろうかと思います。これをなくしますためには、結局セールスマンの心がまえというものが大事であろう、かように考えております。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 質問が飛び飛びで非常に恐縮ですが、商品取引関係では、商品取引所紛争処理委員会というのがございますね。さて、割賦販売業者人たちの当面している問題の中では、あと順を追って私はお尋ねをいたしますけれども、たとえば、信用調査機関の拡充の問題などというふうなことがございます。そういたしますと、契約自由の原則という原則の中で、割賦販売業者と、そうしてその割賦販売業者から品物割賦で買っているところの購買者、たとえば、その業者がナショナルであるとか日立であるとか東芝などというところの大きな企業だという場合になってまいりますと、とても一人一人の購買者家庭主婦などは、こういう大きな企業と対抗する力がないということは当然のことだと思うのです。そういう業者については信用調査機関というふうなものがあって、いわゆる取り込み詐欺をするようなところの常習的な割賦購買者といいますか、不良割賦購買者についてのリストをつくるという努力はしている。ところが、購買者のほうについては、かりに購買者セールスマン勧誘に関する苦情があったとしても、それを組織的に解決してくれる機関というものは見当らないのではないかと私は思うのであります。通産省へ参りましてそういうことを相談をしなさいと言ったって、たとえば、私の住んでいるところの和歌山県の新宮というところから通産省まで東海道新幹線に乗ってくるのに金が往復二万円かかりますよ。編みものの機械は二万円ちょっとだということになれば、相談に来る費用のほうが高いわけです。そういうふうな問題について、消費者王さまだといわれるけれども、考えてみれば、それは裸の王さまではないか。これはひとつ政務次官お尋ねをいたしたいと思います。  消費者保護ということが消費者保護基本法制定等の中でいわれております。経済企画庁にもこの点についてはお尋ねをいたしたいと思いまするけれども、一体割賦販売購買者不満というものは非常に多い。これは、そういう不満をこの改正法案によって行政的に指導してなくしていこうというのが今度の改正の眼目であることはわかります。しかし、法律だけによってそういう不満が全部解消するとは限りません。そういう購買者不満消費者保護基本法の精神にものっとって組織的に解決をするための機関というのが、割賦販売業者についての信用調査機関などというところの機関の設立を通産省としても行政指導で急がれると同時に、購買者のためのそのような機関も必要ではないか、この点については政務次官いかがですか。
  20. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘のとおりだと思います。その具体的な方法は今後検討にまたなければなりませんが、いろいろ御質疑を通じ私の頭に浮かぶことは、やはり消費者が現に生活しているその地域市町村市町村行政、こういった面とタイアップして、協力を仰いで万全を期すべきではないか、このように考えます。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで次に、先ほど局長さんのおっしゃったのは、契約解除に関するトラブルが一番多いというお話でございましたですね。この問題についてひとつお尋ねをいたしたいと思いますけれども、最初に、私この点について非常に不満を持ったわけなので、これはひとつ政務次官に御答弁をいただきたいと思うのです。  と申しますのは、契約書については書面交付義務がございますね。そういうのを見せなければいかぬという義務がある。ところが、これはあるベッド会社売約書なんです。書面交付をしなければならないというけれども、その問題の契約書内容虫めがねをかけねば見れないような内容のものであって、一体それが契約書交付になるのだろうか。しかも消費者教育というようなことの観点からも、これは非常にむずかしいことが書かれている、こういうようなことははたしてそれでいいのだろうか。これをひとつ政務次官ごらんをいただいて、こういう契約書ですが、私があとお尋ねをいたしますこの契約書の第五条なんというのは一体読めるのかどうか、ひとつごらんをいただきたいと思います。   〔中谷委員藤井政府委員に書類を示す〕
  22. 藤井勝志

    藤井政府委員 おっしゃるとおり、これはたいへん実用的でない、ただ契約をしたという一方的な書式になっておること、御指摘のとおりでございます。したがいまして、今度改正する一つの大きな要点は、その定款を通産省ではっきりひな形をきめて、それに沿ったものでやらす、それによって許可してやっていただく、こういうことになるわけでございます。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 局長お尋ねをいたしますが、いま政務次官のほうから御答弁がありました前払式割賦販売契約約款内容についての基準案は、必要的記載事項と、記載してはならない事項についての定めがありまするけれども、まず冒頭に、先ほど私が指摘いたしましたような契約書の活字が虫めがねで見なければわかりませんよというふうなことについての取りきめはないようですね。これについては明確に行政指導をしていただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  24. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 消費者が一目見てわかるように指導いたしたいと思います。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで次に契約解除の問題ですが、たとえばお嫁さんに行きたいということで、娘さんがミシンについてのいわゆる前払式割賦契約をいたしますね。そういうふうな、娘さんが割賦契約をした、そうしてその割賦契約については、ずいぶん長い間の期間、たとえば三十六カ月というふうな支払いをしていくという契約がかりにあるといたします。一生懸命にお金を積み立てていく、支払っていく。そういうお嫁に行きたいという娘さんが途中で解約をすることがございますね。一体解約動機購買者のほうからの契約解除動機というのは、どういうふうなものが考えられているのですか。実態調査があるでしょうか。ひとつその点においてお答えいただきたいと思います。
  26. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 申しわけございませんが、動機については調査したものがございません。結論的に言いますと、いろいろな事情商品が要らなくなった、こういうことだろうと思いますが、動機についての調査はございません。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 企業局長さんは非常に通産行政にはお詳しいですけれども、やはりそのあたりの感覚が私と若干違うのですね。質問がずっと続いていく、質問のリズムといいますか、一貫した立場というのが違います。ことばじりをおとらえするわけではありませんが、品物が要らなくなったとおっしゃいましたね。一生懸命にわずかのお金を、たとえば毎月五百円ずつ積み立てていった。早くりっぱなミシンがもらいたいということで積み立てていった。ところが、そういう積み立てていったお金を積み立てられないような事情ができてきた。品物はのどから手が出るほどほしいけれども、積み立てられないで契約を解除するという人だってずいぶん多いと思うのです。そうでございますね。ですから、少なくとも局長さんがおっしゃるように、品物が要らなくなったというおことばは、そういう答弁でもいいのかもしれませんが、品物が買えなくなった、こういう人が私かなりいるのではないかと思う。そこで、そういうことで五百円という金さえも出すのが非常に困難だという庶民がいる。そういう購買者立場に立って契約解除の問題をお尋ねいたしたいと思いますけれども、たとえばある会社契約書によりますと、一回から三回まで前払い金支払いをしたものについては一〇〇%、とにかく結局とってしまう、要するに購買者にお返ししないというふうなことになっているように私は思います。あるいは、四回から六回までで六〇%、これを引きます。七回から八回までは四〇%を引きます。九回から十二回までは一〇%を引きます。こういうことになっています。そうすると、一回から三回まで、五百円とすると、千五百円かけた人は千五百円まるまる返ってこないことになりますね。こういうふうなことがはたして契約としてあっていいのだろうかどうか、そういうふうな契約がどういう意味で合理的なんだろうか。これはやはりこういうふうなミシンを買い、編みもの機を買って内職をしようとしている家庭主婦にとっては一番知りたいところだと私は思う。そういう点で、こういうふうな契約が有効だ無効だというのじゃなしに、どういう点で妥当性を持っているのかということについて、ひとつ局長答弁をいただきたい。
  28. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 解約した場合の返還の問題でございますが、いま御指摘になりましたような例は適当でないと私は思います。もちろん契約募集費もかかりますし、費用がかかりますので、あとであろうと前であろうと同じでございます。それは通常契約に要した費用は差し引かざるを得ないと思いますが、いまのように三月以内ならば全然返さないということは適当でない、今後改めさしていきたい、私はかように考えております。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで次のようなことをお尋ねいたします。  いま、そういうふうな三回もお金を払った、しかし返ってこないというふうなことは適当でないという御答弁がありました。通産省からいただきました前払式割賦販売契約約款内容についての基準案によりますと、この基準案の中に前払式割賦販売契約約款の標準例というのが出ておりますね。この標準例によりますと、七ページのところをごらんいただきたいと思います。前項の規定により返還する金額は次の表のとおりとします。そういたしまして、これは五百円の契約の準則なんですね、約款例なんですが、そうして一回払った場合についてはゼロになります、一銭もお返ししません、二回目のときにはたしか百円返す、三回目のときには二百円返すというふうなとにかく契約になっているわけです。この程度のことであれば、通産省としては経費その他を見てやむを得ないだろうという意味でおつくりになったのでしょうか。同時に、たとえば五百円のミシンのいわゆる割賦販売契約というふうなものは、解約をした場合のお金の返し方はこの程度にしなさいという趣旨でおつくりになったのかどうか、いかがでしょうか。
  30. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 これは一つの例として書いたわけでございまして、業界の実態に応じまして契約に要する費用は変わってまいろうかと思います。したがいまして、業界の実態に応じて適正妥当な計算をいたしまして、それで指導してまいりたい、かように考えております。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、実態に応じてということですけれども、私は契約自由の原則はやはり生きていないと思うのです。たとえば割賦購買者の場合は、前払式の場合でも必ずしも取り立て払いとは限らないわけですね。近くにその割賦払いの出張所があった場合には、家庭の奥さんが持って行く場合だってあると思うのです。持って行ったとすれば、集金費はゼロですね。持参して行った場合にも取り立ての場合と同じだけ、契約によればとにかく三回までは五百円ずつ納めても、千五百円と泣き別れということになってしまう。これは個々の非常にたくさんの契約があるからこういうことになるのですが、一対一の契約であればこういうことはおかしいのですね。そうすると、実態に即してとおっしゃるけれども、結局割賦というのは本来定型的な商品の大量販売ということになるのだけれども、そういうふうな個々の購買者立場というのは捨象されてしまう、抽象化されてしまう、全体の中に埋没してしまう。そうしてただ業者実態だけが浮かび上がってくるということについては、私は購買者立場というか家庭主婦立場から納得できない、こういうふうに考えるわけなんです。  そこで、先ほどのお話では、一回から三回まで全部そういうふうなものを没収してしまうというふうなことは適当でないだろうと思うとおっしゃいましたけれども、そうすると、この準則に示してあるのは、一回の場合はゼロだ、しかし二回の場合には百円ぐらい返すのが適当だろうということの契約約款の標準例というのが出ている。この程度のことはむしろ業界の平均的な実態だろうということでお書きになったのかどうか、これはいかがでしょうか。
  32. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 先ほども申し上げましたように、業種によって相当違いますので、実態に応じてやりたいと思いますが、これは現在行なわれておりますのを少し改善したような数字を載せたようでございます。したがいまして、こういう数字を業界に発表することは適当でない、資料として作成した、こういうことでございます。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 建設政務次官お忙しいことと思いますから、この機会にひとつ質問を中断いたしまして、お尋ねをいたしたいと思います。  実は割賦販売法昭和三十六年に成立をいたしましたときから、いわゆる建て売りの建物、そして土地、要するに住宅についての割賦販売がされている。そうすると、要するに割賦販売の対象となる商品というのは定型的なものだということで、そういう建物というものは含まないのだ、しかし、これについての保護というのはしなければならないじゃないかということが当時から論議をされておりました。ところが、そういうふうな論議があってからもうすでに八年になる。そうすると、今日まで建物、土地についてのいわゆる前払式割賦に似たようなものについて、いまいろいろなやり方がありまするけれども、保護立法をつくるべきだということが現実の日程にのぼってきている。したがいまして、お尋ねをいたしたいのは、いつ、どのような内容法律を、消費者保護という立場でお出しになるか。物特等においても若干問題になったのですけれども、ひとつかなり詳しい御答弁をいただきたい。
  34. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 突然のお呼び出しで、実はこまかい数字のなにを持っておりませんけれども、確かにおっしゃるとおり、宅地建物の前払式割賦販売についての問題を早急に私どもも重大な関心を持って解決せなければならぬということはよくわかっておりまして、率直に申し上げまして、いま立法については内容検討いたしております。したがいまして、成案を得次第国会に提出したいと思っておりますが、いつということになりますと、まず次の通常国会までには成案を得て提出したい、こういう考え方で努力をいたしております。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 建設省の方にお尋ねいたしますが、現在前払式割賦のようなかっこうで、頭金の問題とか、中間で全部お金を払ってしまうとか、いろいろなやり方がありますけれども、要するに前払式割賦の形式と、それに近い類型で売買契約されているところの建物の数というのは年間どのくらいあるのか、あるいはまた、そのような業者の数は一体どの程度あるのか、今後それはどのような伸び方をしていくのだろうか、トラブルの数は一体どの程度あるのか、類型的なトラブル一体どんな点にトラブルがあるのか。これらについてひとつお答えをいただきたい。  同時に、質問をどんどん続けていきますが、政務次官のほうからお話があった、なるべく次の通常国会に提出をしたいといわれている立法の、保護の規制内容一体何か、この点について……。
  36. 大河内正久

    ○大河内説明員 お答え申し上げます。宅地建物の前払式割賦販売状況でございますが、これは昨年私ども調査しました結果、全国で十七社ございます。件数はつまびらかでございませんが、契約金額は約二千億円という契約金額でございます。このうち前払い金は六百七十九億という状況でございます。  紛争状況でございますが、一般的に申し上げまして、宅地建物、不動産関係にはトラブルが非常に多いわけでございますが、ただいまのところ前払式割賦につきましては、前払い金が返ってこないというような前払い金独自の重大な事故はまだ起きておりません。ただし、契約に際しまして賠償額についての争い等もままありまして、これは東京の例でございますと、月に二、三件割賦関係についての苦情が持ち込まれておるという状況でございます。  それから、ただいま政務次官からお話がありました立法の作業でございますが、ただいまのところ、契約解除に際しての賠償額の制限、それから前受け金の保証措置、それから、これはまだペンディングでございますが、標準約款の示す条項あるいは兼業の禁止の可否等について検討いたしております。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ、建設省に対するお尋ねは、これで終わりますから……。  次に、企業局長お尋ねをいたしたいと思います。  同じような前払式割賦販売契約書に関する現行のものについての疑問点をひとつお尋ねをしたいと思いますが、たとえばある会社販売条項の中に、十三条のところに次のようなことが書いてございます。経済情勢の激変により、商品市価の変動及び商品の仕様などが変更した場合は契約価格の変更をいたす。要するに、経済情勢の変動によって商品価格が変動するというのですね。そういうふうなことがいわゆるモデルチェンジというふうな問題とも——またこれは別個にお尋ねいたしますけれども、要するに経済情勢の変動によって商品市価の変動があった場合には契約価格の変更をいたしますというふうなことで従来きたことについてはいかがでしょうか。
  38. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 値上げの場合が消費者にとっては問題だろうと思いますが、そういう契約は適当でないと考えております。今後はそういうものは標準約款からは規制をいたしたい、かように考えております。
  39. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、それよりも問題になるのは、先ほども私のほうから指摘をいたしましたけれども、商品の機能とかそれから飾りとかいろいろなものが変わった、要するにモデルチェンジしたという、そういうふうな場合の値上がりというふうな契約が出ているものがありますね。これはどうなんでしょうか。
  40. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 今後つくります標準約款においては同じに考えております。値上げは好ましくない、このように規制いたしたいと考えております。
  41. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで次に、標準約款に戻りますけれども、標準約款は必要的記載事項と、記載してはならない事項について特にお書きをいただいています。ところがこのほかにも記載してはならないというのは、そういうふうなものを記載することは通産省が禁止されるわけですね。しかし、通産省は禁止まではしないけれども、適当でない記載というのも私はあると思うのです。それらのものについて、こういうふうな標準約款の基準案をおつくりになるときに、かなり問題にされたと私思う。それをひとつこの機会に購買者のために、また健全な割賦販売業を行なう業者のためにもお話しをいただきたいと思います。
  42. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 この約款をつくります場合に、いろいろなケースを検討したのは事実でございます。ただ、非常に個々のケースを集約するということがむずかしい段階がまいりましたので、七項で特に抽象的ではございますが、購入者に著しく不利となると認められるような特約ということでございまして、これは約款を提出してまいりますので、その個々の例をよく調べまして運用してまいりたい。ある程度それが判例的といいますか、積み上げて、これは一般的に書いていいという事項がありましたらば追加して漸次書いてまいりたい、はっきりしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 中谷鉄也

    中谷委員 一ないし六の記載してはならない事項というのをお書きいただいています。そして七項にはいま御答弁がありましたとおり、前六号に掲げるもののほか購入者に著しく不利となると認められるような特約を記載してはならないとあります。そういたしますと、そういうふうな特約というのは、この場合は非常に非常識な、法が予想していないような、そういうふうなものを記載するというようなことはもういけませんよという趣旨に私読んできたのです。  私がお聞きしたのは、記載してはならないという、通産省として禁止はされないけれども、あるいは法律的に見て禁止することはやや問題があるけれども、適当でないと思う約款はあると思うのです。要するに違法でないけれども妥当でないというようなもの、そういうようなものについても十分御検討になったと思う。だから一ないし七以外のものでそういうふうなものはありませんかとお聞きしたつもりなんですが、一ないし六の記載は違法なんだ、七については妥当でないものについても禁止する趣旨なんだというふうにお伺いができれば、非常に購買者のためには私はいいと思うのです。要するに、一ないし六の記載してはならないものというものに反すれば、これはそれ自体において約款についてあとで問題になりますね。七についても問題になる。通産省としては改善命令その他出せないけれども、しかしこういうものは好ましくないというものが私あると思うのだけれども、それに対してお答えいただきたいという趣旨なんです。
  44. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 妥当でない、後段で御指摘になったようなケースにつきましても、購入者に不利であるというようなものは、これによって規制をしてまいりたい、かように考えております。
  45. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、また契約解除の問題に戻って恐縮ですけれども、最近非常に——これは外資の進出の問題、あとでお聞きする問題にも関係をしてくるのですけれども、外国の年鑑などについての割賦販売契約契約解除の問題について非常にトラブルが多く起こっております。これはもう名前を私申し上げてもいいと思うのですけれども、ブリタニカの契約書なんというのは日本的な契約の観念から見ますと非常に問題があり過ぎる、購買者に対して非常に心理的な強制を加え過ぎている契約だと私は思うのです。たとえばこの契約の一番上のところには、結局本契約解約できませんということも日本語で書いているわけなんですけれども、この契約については購買者に非常に不利益にできていると私は思います。これはもう私がいままで指摘をいたしましたミシンだとかあるいは家電などの問題に比べまして問題にならないくらい多くの法律的な内容も含んでいると私は思うのですが、これらの苦情の中に、これらのブリタニカ等の外国のこの種の百科事典等に関する、年鑑等に関する苦情というものがかなりあるのだと思いますが、そういうようなものを通産省では御存じかどうか。またこれらの契約については非常に問題が多いと思いますけれども、この点について御答弁いただけるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  46. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 最近こういうケースがふえまして、一、二件そういう苦情も参っております。書籍は現在割賦販売法で指定いたしておりません。今後指定するかどうか。それからもう一つは、そういう契約というのは法律的に申し上げますと、契約自由の原則からいいますと、法律的には無効と断定するわけにはいかないかと思いますが、私は適当でない、かように考えます。したがいまして、今後指定してそういう規制をほかのものと同じようにするかどうかは十分検討してまいりたい、かように考えております。
  47. 中谷鉄也

    中谷委員 たとえば、この点については、ブリタニカの問題ですけれども、要するに契約書ができたらブリタニカを届けます、そうしてその支払いについては何年何月のとにかく何回払いということにいたしますということにこれはなっていますね。そうすると実態あと払いの割賦契約と全く同じだと思うのです。そうすると一体こういうふうなものはどういうことになるのでしょうか。指定しておらないということと、大手を振って通っている、しかもずいぶんこれには被害を受けていると言えば言い過ぎになりますけれども、かなり高価なものですので、問題が出ているのです。またこの点はどうでしょうか。ブリタニカという性格から言えば、こういうふうな契約書でいいのかもしれませんけれども、はたして日本の契約としてこのような外国語と申しますか英語が非常に多いような契約書が適当なのかどうか、そういうような点もありますが、ひとつ現物をごらんいただいて——指定をしていないとおっしゃると、このブリタニカが一体どういうことになるのか、ひとつ御答弁いただたきたいと思います。
  48. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 これは割賦方法によって非常に違うわけでございまして、前払いですと先ほど申し上げましたように相当強い規制ができるわけでございますが、御指摘のように、あと払いというかっこうになりますと、指定しましても違約金の問題とか契約解除の問題、そういうものが法律的に適用を受けるだけでございまして、あまり実質的な変革はできない。したがいまして、われわれとしては外資のビヘービアの問題もございますが、適当でないと思いますので、指導行政を強化してまいりたい、さしあたりはそういうふうに考えております。
  49. 中谷鉄也

    中谷委員 購買者立場に立ってというつもりで、はたして割賦は高いんだろうか安いんだろうか、ことに現金価格割賦価格との差額というのは一体妥当なんだろうかというふうな点についてお尋ねをしたわけですけれども、あまり私自身のほうの質問もまとまりませんでしたが……。  それから、現金価格割賦価格との差異の内容内訳について明確にしていただきたいと思います。この機会にこの問題もひとつ明確にしていただきたいというのは、たとえばテレビの場合です。テレビについては月賦百貨店でテレビを買った場合には、これはある資料ですけれども、七万二千八百円という場合に現金価格が六万五千五百二十円、賦払い期間は十五回というふうな例が出ております。こういうふうな例が出ておる。そうすると、あるテレビの小売り商なんですけれども、現金の札がついている、そういう普通の店だったらとにかく五万九千八百円のテレビを私のところでは四万六千円で売ります、こういうふうな広告が大々的に出ているわけですね。この点については有名なお店ですから、新聞広告等もしょっちゅう出しているところですから、これはもう局長御存じだと思いますけれども、現金価格で買う場合にはかなり値引きといいますか、お店で買う場合には現金価格という表示がしてあっても、かなりおまけしておきますよというかっこうで買えると思うのですが、割賦価格の場合にそうそう値引きしますという話は聞かない。これはいわゆる仕組みの問題に関係してくると思うのですよ。そうなってくると、ますますその割賦価格というのは消費者にとって便利なように見えて高いものを買っていることになるのじゃないかという問題もあると思います。  そこで、私はいまの問題についてもう一度整理をいたしますが、カラーテレビ、それからテレビ、冷蔵庫、洗たく機、ステレオ、ミシン、クーラー、こういうふうなものについての現金価格割賦価格との違いというものは当然あるわけです。その違いは一体どこから何で出てきて、それは合理的ないわゆる納得できる根拠を持っているのかどうか、これをひとつ御説明いただきたいと思うと同時に、この資料はお渡しをいたしますから、一体こういうふうなある商会の、たとえば先ほど申しましたようにナショナルのテレビ五万九千八百円というのが四万六千円で売れるというふうな仕組みは一体どうなっているのか、そういう問題についての御答弁をいただきたいと思うわけです。これをひとつ見てください。(中谷委員熊谷(典)政府員に資料を示す)  次に、一応私は先ほど、法律的な問題というほどの問題ではありませんけれども、いわゆる約款基準の問題についてお尋ねをしたわけなんですが、そして、若干の資料要求をいたしましたけれども、次のような割賦販売金融の問題でお尋ねをしておきたいと思うのです。  外国での信用供与の機構というのはどういうふうになっているんだろうか、日本の場合とどういう点が異なるのかというような点について、一応調査をいたしましたけれども、局長の御答弁をいただきたいと思います。
  50. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 外国におきましては、割賦金融制度が非常に発達いたしております。そのポイントは、私どもの考えますのは、やはり信用調査機関が非常に発達しておるのが一つのポイントだろうと思います。いわゆる割賦債権を担保にとれる、こういう制度が発達いたしております。  それから次は、これは各国事情によって多少異なりますが、いわゆる専門の割賦販売機関というのがつくられております。アメリカにおきましては二千以上、イギリスにおきましても千五百程度、そういうものが発達いたしております。そのほか、商業銀行等も、流通金融、特に割賦金融につきましては非常なウエートを置いております。アメリカ等におきましては四五%がそういう面に行っておる、こういうようにいわれております。そのほか、未払いの場合の専門の回収機関というようなものもございます。そういうように、あらゆる面から、割賦金融の制度が非常に発達いたしております。  ところが、日本の実情は正式な金融に依存します程度は、割賦資金としては、全体の所要資金のうちのおそらく一〇%程度あとの九〇%というのは自己資金なりそういうものでいろいろまかなっておる。特に買い入れの際に、いわゆる買い掛けといいますか、そういうものでまかなっておる、こういう実情でございまして、割賦金融制度は、現状におきましては諸外国とは比較にならない段階であろうと思います。こういう問題を育てていく、あるいは助長していくということが今後の割賦制度の一番問題点であろうか、かように考えておる次第でございます。
  51. 中谷鉄也

    中谷委員 いまの御答弁の中に出ていましたので質問を続けていきたいと思いますが、たとえば消費者信用調査機構整備をする、それが割賦金融制度の整備につながっていくわけでございますね。そこで、そういうふうな信用調査機関現状と今後の整備の方向というようなことについて、御説明を願いたいと思うのです。  そこで、人権擁護局長さん、お待ちいただいて恐縮なんですけれども、この点についてお尋ねしておきたいと思います。要するに、信用調査機構というのは、購買者立場からざっくばらんに理解してみると、購買者の中のブラックリストをつくるというふうなものとして理解してもそう間違いではないと私は思うのです。たとえば取り込み専門の月賦購買者なんというものは、取り締まられなければならないことは当然のことだと私は思います。しかし、そういう信用調査機構というふうなものが行き過ぎた場合には、プライバシーの侵害の問題だって出てくる可能性が十分にあるだろうと私は思う。こういうような問題について、人権擁護局としてどのようにお考えになるかという点が一点。この機会に御質問をまとめておきますけれども、先ほどから、契約解除の問題等にまつわる購買者販売業者とのトラブルの問題についてお尋ねをいたしましたが、通産省のほうへはそういう苦情の申し立てが行っているということなんですが、人権擁護局のほうに、そういう割賦に関する苦情の申し立ては行っていますかどうか、こういう点が第二点でございます。  それからもう一つ、第三点、人権擁護局長に、これは御検討をいただくということではなしに、法律専門家としてお答えいただきたいと思うのですけれども、割賦販売法には所有権留保の規定があるわけですね。これはもうすでに多くの人たち指摘をいたしておりますように、販売業者購買者に対して、所有権は、お金を払うまでは販売業者のほうにあるんだということの心理的な強制を加えることの規定だということがいわれております。そういう中で、たとえば三十回払いのうち二十九回まで払ったのに、あと一回払ってないからといって、横領罪だとか何だとかいっておどかすというようなことも聞かないわけではない。こういうようなことから、所有権留保という規定の中において、三十回のうちの二十五回ぐらいも払えば、むしろ所有権は購買者のほうに移っている、少なくとも横領なんというような問題が起こってくるはずはないと私は思うけれども、この三つの問題について、最後の問題は御所見の程度でけっこうですから、お答えをいただきたいと思います。
  52. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 お尋ねの第一点について申し上げますが、割賦販売業者が、購入者の支払い能力の有無を明らかにするために信用を調査するということは、割賦販売の性質から見まして、企業防衛上やむを得ないところでありまして、また購入者となった者も、割賦販売によりまして物品を購入する以上は、信用調査を受けるということは一般に了承しているとも考えられますので、業者がその取引を行なうにあたりまして、必要な範囲で、購入者の名誉、信用、プライバシーを害しないような方法調査を行ない、また、その調査結果を乱用しない限りは、一般には人権侵害とは言えない、こう考えます。  第二点につきましては、従来まで割賦販売関係しました苦情というものは、私どもの局あるいは法務局でもあまり見受けておりません。  第三点につきまして、これはまあ法律問題でございますが、非常にむずかしい問題で、御承知の有名な「あたぼう」の問題がちょうどこれに該当するのであろうと思うのです。やはり個々の具体的なケースに当たりまして、それぞれによって判断してみなければわからない問題であろうと考えております。
  53. 中谷鉄也

    中谷委員 企業局長答弁を……。
  54. 小峯柳多

    小峯委員長 局長、いまのことで答弁ありますか。
  55. 中谷鉄也

    中谷委員 局長質問いたしましたのはこういうことなんです。要するに、消費者信用調査機構整備する必要があると言われているけれども、一体その現状と今後の整備の方向はどうなっているかということ——人権擁護局長に対する質問が長くなってしまったので……。そういうことです。
  56. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 たいへん失礼いたしました。  日本割賦協会におきまして、現在そういう情報交換といいますか、資料を収集いたしております。相当広範囲にやっておりますので、私どもの方向といたしましては、今後割賦販売審議会でこの問題は多角的に検討してまいりたいと思いますが、方向としては、この機構を強化していくということになるのではなかろうか、かように考えております。そのほか金融機関でも個々の信用調査はやっておられますが、まとまったものは以上申し上げたようなことでございまして、その方向を強化したいというのが現在の結論でございます。
  57. 中谷鉄也

    中谷委員 社団法人日本割賦協会の中に信用情報交換所があるということはお聞きいたしました。ただ、そこで信用記録の収集を行なっているというのは、どの程度のものが現在収集されているのかということでございます。もちろん先ほど人権擁護局長さんがお答えになったように、割賦販売購買者が、いわゆる契約をしてそのお金を払わないで品物を取り込むというふうなことが普通になるんだというふうな風潮があるとすれば、私は非常にゆゆしい問題だと思うのです。そういうことから、業者の利益ということの中で、この種の信用情報交換所というふうなものが拡充されていくことは、私は必然の趨勢だろうと思うけれども、もう少しその実態について御答弁をいただきたいと思います。
  58. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 現在まで約十万件のブラックリストがございます。
  59. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、先ほど同じく御答弁があり、割賦債権の回収等の専門機関が必要ではないかというお話がありました。これは前払式の問題とは直接関係をいたしませんが、お尋ねをいたしたいと思うのですけれども、一体割賦債権というのがどの程度いわゆる貸し倒れをするのか。これは資料がございましたね。どの程度貸し倒れをするのか。それは通常の他の、たとえば比較するとすればどんなものと比較をした場合に貸し倒れ率が高いとか低いとかいうことになるのか。たとえば銀行の小口貸し付けというふうなものがあると比較の対象になるかどうか。また外国の例と比べまして日本の貸し倒れ率はやや高いんだというふうなことも言われているようでありまするけれども、それは事実なのか。この種の点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  60. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 一般的傾向といたしましては、外国より高いと言われております。どうもそういうようでございます。それから具体的な数字でございますが、一、二%が貸し倒れになる、こう言われております。そういうことでございまして、なおこの金融制度を軌道に乗せます場合は、そういうことができるだけないようにするということは必要であろうかと思います。
  61. 中谷鉄也

    中谷委員 一、二%の貸し倒れというのは、とにかくもう税法上の処理をしてしまったものであるというふうなことも言われております。そうすると一体いわゆる遅延していく分、これは不良債権ということになるのでしょうが、そういうものの実態はいかがでしょうか。
  62. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 三カ月以上停滞いたしますのが五%程度に全体としてなっております。
  63. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうことからどうなんでしょうか。局長の回収機関の専門機関をつくるかつくらないかということは問題は別といたしまして、もう一度私は最初の問題に戻って、購買者の利益がどの程度守られておるのかというふうなこととの関連でお聞きいたしますけれども、三カ月以上の遅延が五%程度、しかもその三カ月以上の遅延というのは必ずしもその実態購買者の責めに帰すべき事由だけではございませんね。たとえば名古屋の調査によりますと、ことに家庭の奥さんが一番不満に思っているのは、集金人がさっぱり約束の日に来なかったとか、あるいはまた集金人の態度が悪かったのでお金を払う気にならなかったとかいうふうなことが遅延の原因を占めておるようでございますが、そういうふうなことだとすると、現在の割賦販売業者の、三カ月以上の遅延がほぼ五%程度、それから回収不能に終わったのが先ほどの一ないし二%というふうなことは、現状としては満足すべきものだと思いませんか。
  64. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 率直に申し上げますと、わりあいうまくいっておる、こういうような感じがいたしております。  なお、私が先ほど回収機関のことを申し上げましたのは、これは外国の例を申し上げたわけでございまして、日本といたしましては、信用調査機関をつくる——必要に応じて特別な割賦金融会社をつくるというところまでは考えておりますが、回収機関がはたして必要かどうかという問題は十分慎重に検討しなければならない。むしろいまの段階では回収機関は要らないのじゃなかろうか、将来割賦制度が非常に普及いたしました場合にあらためて検討する程度でいいのではなかろうか、というのが現在の気持ちでございます。
  65. 中谷鉄也

    中谷委員 その点が私のお聞きしたがったところなのですが、要するに、割賦協会なんかでは専門的な回収機関をつくることについての非常な要望とか主張があるようでありますが、そういう回収専門機関をつくったという場合のいわゆるメリットとデメリット、特にそれが消費者に与える影響というようなことについてはどういう点が検討さるべきでしょうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  66. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 回収機関をつくった場合に、消費者には心理的な影響を相当与えると思います。それと同時に、この回収機関をつくります場合に考えなくてはいかぬのは、ほんとうにそういう機関を現段階につくってペイするかどうか、事業として成り立つかどうかというのはやはり相当問題であろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、先ほど申し上げましたように、この問題はもう少し割賦制度の普及状況、それから金融制度というものが軌道に乗ってからむしろ考えるべき問題である、むしろ金融制度を軌道に乗せることが第一番目の問題である、かように私は考えております。
  67. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、次のような問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  とにかく今度の改正消費者保護の強化を目的としているものだと言われているけれども、販売業者の中では特に中小商業者に大きな影響を与えるのではないかというふうなことがずいぶん盛んに、立法当時から言われたわけでありますけれども、この点についてはやはり中小企業問題専門の委員のほうからも質問が詳しくあると思いますけれども、この点についてはやはり大きな問題でありますので、お尋ねをしておきたいと思います。
  68. 熊谷典文

    熊谷(典)政府委員 割賦販売法の制定当時に、この点は国会でも慎重に御審議をいただきまして、しかも修正をいただいておるわけでございます。現在の割賦販売業者の約七〇%というものは中小企業者でございます。したがって、こういう方々がまじめな営業ができるということは、非常に大事なことでございます。今回の改正におきましても、そういう点は十分配慮いたしました。たとえて申し上げますと、許可を受ける要件である資本の額につきましても、現行どおりでそれはいじらない、また、前受け金の供託にいたしましても、四回に分けてそれをやっていただくというように、十分配慮をいたしたつもりでございます。それと同時に、現在の割賦販売業者実態をいろいろ調査いたしてみますと、必ずしも、規模が小さいから悪いということは絶対に言えないわけでございます。規模が小さくても、それに見合った確実な業務をやっておられるところは非常に成績がいい、こういう実態になっておりますので、われわれといたしましても、今後の運用につきましては、中小企業をいい意味で育てていくということには十分配慮してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  69. 中谷鉄也

    中谷委員 それでは、私のほうから大臣お尋ねをいたします。  割賦販売法改正案について、若干の問題についていままでお尋ねをしてきたのですけれども、この法案の審議に関連をして、次のようなことを大臣お尋ねをいたしたいと思うのです。と申しますのは、次のようなことばなのです。まず最初大臣の御見解を承りたいのは、第二次消費革命だとか大量消費の時代だということが現在言われている中で、消費は美徳だということばが言われておりますね。消費することがいわゆる経済の拡大につながっていくのだというのです。しかし同時に、倹約は美徳だということばもあるわけなんです。そういうふうな二つのことばの中で、いや健全な消費だということばもあると思うのですが、一体、消費は美徳だとか倹約は美徳だという、こういうふうなことばは、要するにこれは、国民の消費生活に対する態度なり姿勢なりに対して政府がどう考えるかということにも関連してまいるでしょう。  いま一つは、佐藤総理が、現在は、クーラーだとかカラーテレビだとか自動者を買うよりは住宅だというふうな趣旨のことをおっしゃったが、直ちに、それは消費抑制論だという批判があって、額に汗を流している勤労者に対してそういうことを言うのはおかしいじゃないかというような批判も出てきた。いや、そうじゃないのだ、社会的な資本の充実という観点からも、住宅は大事だというのは、そういうふうな消費抑制論というのじゃない、総理の発言は正しいのだというような声もあった。そういうような中で、消費は美徳、倹約は美徳というこの二つのことばがあるけれども、この割賦販売法というのは、まさに大量消費を対象とするところの法案であるので、このような問題について、消費に関する大臣の御見解をひとつ承りたいと思います。
  70. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私は、政府が、消費は美徳だとか倹約は美徳であるとかというようなことを、一つのスローガン的な言いぐさで言うのは、大体おかしいと思います。それは時と場合により、また、何を消費するかという消費の対象にもよるものと思います。倹約またしかりでございまして、それをただ抽象的に美徳であるとか美徳でないとかということを論議することが大体無意味だと思います。
  71. 中谷鉄也

    中谷委員 一つの見識だと思うのですが、いま一点だけお聞きしておきます。  そうすると、消費者王さまだということばがありますね。いま一つは消費者は裸の王さまだということばもあるが、大臣は、そういうふうなことばについて一体どういうふうにお考えになるでしょうか。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  72. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 消費者王さまであるなんていうことばは寡聞にしてまだ聞いたことがない。初めてあなたからいま承ったようなわけでございまして、したがって、どう考えるかというようなことも何も考えはございません。
  73. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣、ほんとうに消費者王さまということばをお聞きになったことはないのですか。そうすると、消費者主権ということばは御存じでしょうか。
  74. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それも聞いたことがございません。
  75. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると大臣お尋ねをしたいのですけれども、割賦販売法検討を通じて私は次のようなことを疑問に感じました。消費者保護ということとそれから業者保護ということとは調和するのかどうか、割賦販売法の中ではどう調和させているのか。これなら聞いたことはないとは言えませんね。お答えいただきたい。
  76. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは業者保護あるいは消費者保護といいましても、非常に高い見地でいうと一致すべきものである、こう思います。
  77. 中谷鉄也

    中谷委員 とにかく質問はさらに続行するわけですから、消費者王さまだということばを知らないというようなことは、これはいかぬというふうなことは私は言いません。まさに非常にりっぱなことだと私は思うのですけれども、消費者保護基本法制定の中でも、消費者主権ということばが盛んに出てきているわけなんです。消費者は主権者だという意味でそういうことばも出てきているわけですから、この消費者王さまか、それとも裸の王さまかということについて、次に私は日をあらためて大臣にこのことはお聞きしますから、ひとつ十分に——消費者保護行政というものが通産行政の中でどのようなウエートを占めているのか。聞くところによると、消費者王さまだというけれども、その王さま消費者通産行政の中に入ってない、まさに消費者不在で、王さまは知らない通産省だということになりかねませんから、ひとつ十分にこの問題について、私のほうも検討いたしますから、御準備をいただきたいと思います。  終わります。
  78. 小峯柳多

    小峯委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕