○塚本
委員 時間がないようでございますから、私全部一括してお聞きいたします。
モントリオールが
成功しておるところの最も大きな理由は、先ほど申し上げた定期券の問題と、もう
一つ、私
たちが観察しました会場そのものの中に、きわめて躍動的な動的なものが支配しておった、こういうことであったと思うのです。このことは、お客さまが来ても、ただ見て歩くだけでなくて、動く状態、動的なものが最も生き生きとしたものにさせておったということ。地理的に見て、あのセントローレンス川の美しい流れの中で船が浮かんでおるように
二つの島が並んでおる、そういう環境そのものにもあると思うわけでございますが、
日本の場合もやはりそういう水の流れというものを――これは山でございますから無理かもしれませんが、ともかく動的なものを、どこを見てもどこかが動いておるという、これはやはり観客の心を非常に生かしていくという大きな力があったと思うわけです。ミニレールが上を走っております。あるいはまた、最も人気がよかった展示場はどこであるか、チェコ館だといわれております。これも出たり入ったりする電子何やらで、映画のような形、たいしたものではないと思いました。しかし、動いておるということ、あるいはまた、ファッションショー等を常に行なっておったとか、あるいは電気館がいつも超満員であったのは、全面におけるところの九画面を通じて、映画が立体的に行なわれておったとか、あるいはケベック館が、下から上へ動くに従って、景色が変わってくるとか、ともかく、子供のような
表現でございますが、われわれおとなどもが見ても、ああなるほど、くふうしておったな。おい、ケベック館を見てこいよ。行きますると、そういうことでなかなかくふうがこらしてあるということ、こういう動くということ、ともかく会場の中を、水の流れを中心といたしまして、パビリオンの中においても動くものが人気を集中させたということ、こういう
意味におきまして、千里山は水を活用することの可否はいろいろ問題があろうと思いまするが、いずれにいたしましても、やはり動くという立体的な動的なものを中心に置くということが、さらに何回か同じお客さまを会場の中に引きつける最も大きな要素だ。同じあるものをそのまま見にいくのではなくて、それが様子が変わっておるということ。このことを私は強調すべきではないか。
それから、第二は食堂でございます。どこの食堂も超満員、長蛇の列をなしております。それは、昼になったらめしを食べさせればいいという、おなかをふくらまさせるための食堂ではないのです。
博覧会における食堂というのは、その国のいわゆる食生活の中心的、誇るべきものを、そこで、その国に行ってレストランに入ったと同じような気分を味わわせるということでございますから、きょうはフランスの食堂、きょうはイタリアの食堂、きょうはアメリカ、ソビエトと、そうして行くたびに、私どもも同じようなことで、時間がないときだけは
日本館に入って
日本食を食べましたけれども、そうでないときは、好きであろうときらいであろうと、違ったところへ行っておる。このことは、各国の人もみんなそういうふうな状態でございまするから、食堂は、ちょっとホットドッグ食べてコーヒーを飲んで終わりというようなことは、あまりしないわけでございます。だから、どこの状態も、お昼になると食堂は長蛇の列。
博覧会を
成功させる最も大切なものは食堂がその
一つなんだということを、事務総長も私どもに力説をしておってくれたわけでございます。これで二時間も並ばされたら、これはたいへん貴重な時間がそれでそがれてしまう。しかし、大体二時間ずつはおもな国の食堂は並んでおったように見ております。したがって、
日本の諸君にも、この点だけは十分に忠告申し上げる、こういうことを、事務総長も別れぎわに言っておってくれました。私は貴重な意見だと思います。それは忙しくなれば、そのあたりでパンを食べれば、そういうところは幾らでも出ておりますが、にもかかわらず、二時間も並んでおるというその観客の心理は、やはりイタリアに行って食事をしておるんだという気分を入った人に味わわせる。チェコに行ってそこで食事をしておるんだということを味わわせる。こういう
意味で食堂に対しましては大きなスペースをとって、これが
準備を――その点
日本はじょうずでしたね。お盆に盛ったまますっと出せばいいのですから、何回転も回転するのですが、よその国は、昼は一回転だけ、夕方一回転だけでございますから、ひどい状態になる。こういうことで、開く前に一時間ぐらい前から並んでおる。こんな現象さえも起きておる。何だ、食事をするのに並んでおると思うのですけれども、行く人にとっては、食事をすることも、また
博覧会におけるところの大きな意義があるということを、やはり観客の立場になると、そういうことを痛感をいたしました。したがって、その点特に
日本は多種多様な食事形態をとっておりますから、そういう点大きな関心を引くのではなかろうか。
それから次に、売店でございまするが、これもまた最も魅力あるものに観客にはなっておったと
判断いたしております。どこの売店も、ずいぶんたくさんありましたが、常にお客さまが一ぱい入っていました。これは税関の
関係等もありますから、やたらに各国の特産物を廉売するわけにはまいらないでございましょうが、小額のものを手ごろに買うという
意味におきましては、私はこれはまた、売店だけ見て回っても二日間はかかったと思っております。しかも、ほんとうに楽しそうに各国の小額の、金額の少ない手ごろなみやげ品というもの、これもまた大きな人気を呼んでおって、それがために入ってきた。これはもう
外国へ行って宝石を買うようなお金もうけのための、金持ちの道楽じゃなくて、ほんとうに市民がその特産を千円か千五百円で買ってくるというこの心理というものも、私は
博覧会を盛り上げる
意味におきまして、最も効果的な演出をしておったように思います。特に
日本人は海外旅行等の中におけるみやげ品の魅力というものは非常に大きな潜在的な力を持っておるようでございまするから、こういうささやかな市民に対する手ごろなみやげ品、各国の特産のこういうものに対しては、特段の配慮をしていただくことが、これまたこの
博覧会を盛り上げる
意味におきまして大きな
意味があるのではなかろうか。
最後に、変な話でございまするが、
博覧会にとって、膨大な人が入ってくるとき最も気になるのは何か、便所と休憩所だ、こういうことを事務総長が言っておりました。もうとにかく多過ぎるというほど便所と休憩所だけはつくっておかなければいけないのだぞ、
博覧会を
成功させるところの秘密は食堂と便所と休憩所なんだ。歴代の事務総長は次の事務総長に、このことを伝えることが義務だと私は思っております。
成功させるのは、この食堂と休憩所と便所というものが最も大事な要素なんだ、これは事務総長として申し上げることが義務だと思います、こんな
表現まで使っておったことを、いまでも忘れることはできません。
以上、三点につきまして御
質問と意見を述べて、私の発言を終わらせていただきます。