運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-23 第58回国会 衆議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十三日(火曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 鴨田 宗一君 理事 中川 俊思君    理事 中村 重光君 理事 堀  昌雄君    理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    小笠 公韶君       大橋 武夫君    岡本  茂君       海部 俊樹君    神田  博君      小宮山重四郎君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    始関 伊平君       塩谷 一夫君    田中 榮一君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    岡田 利春君       久保田鶴松君    佐野  進君       多賀谷真稔君    中谷 鉄也君       三宅 正一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君  委員外出席者         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君         建設省計画局建         設振興課長   桑山 行夫君         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君         建設省住宅局日         本住宅公団首席         監理官     野崎 清敏君         参  考  人         (日本万国博覧         会協会会長) 菅野 義丸君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     稗田  治君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第四〇号)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより議会を開きます。  内閣提出日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、前回に引き続き参考人として日本万国博覧会協会会長菅野義丸君、日本住宅公団理事稗田治君が出席されております。  質疑の申し出がありますので、これを許します。佐野進君。
  3. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、たいへん幼稚な質問になるかわかりませんが、あと質問と関連がありますので、最初に名称のところから質問をひとつ進めてみたいと思います。  万国博覧会は、歴史的な経過の中で、日本が今回初めて開催するということになったのですが、一八五一年以来、各国において開かれた博覧会が、それぞれその国の経済的な事情背景にして一応の成功を見つつあることは、非常に喜ばしいことだと思うのです。しかし、大体においてそういうような開催をする際、その国の経済的な実力を背景にして万博が開かれておるわけですが、おもにたとえばロンドン、たとえばニューヨーク、たとえばパリというように、その開催都市名前を冠した博覧会が開かれておるのです。ところが今回日本万国博覧会という名称において開かれることとなったわけですが、なぜ日本という名を冠したのか、その経過について、大体わかっているつもりなんですから、答弁は簡単でいいですからひとつしてもらいたいと思うのです。
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 橋本参事官、どうぞお申し出のとおり、答弁は簡潔に願います。
  5. 橋本徳男

    橋本説明員 これは日本全体の博覧会という意味におきまして、地元名前をつけないで、日本というふうな形にしたようでございます。
  6. 佐野進

    佐野(進)委員 ようでございますじゃ困るのだよ。こうですということでなければ質問に対する答弁にはならぬと思うのですよ。だから、日本全体の博覧会というのは一体どういうことなんですか。そうすると、たとえば前回開かれたモントリオールはカナダ全体の博覧会ではない、ブリュッセルで開かれた博覧会はこれまたベルギー全体で開かれた博覧会でない、こういうように判断していいのですか。
  7. 橋本徳男

    橋本説明員 博覧会名前をどうするかということは、条約に基づきまする一般規則できめることでございまして、必ずしも地名にこだわる必要はない、したがいまして、その国々の事情によりまして、これを日本とつけるかあるいは地元名前をつけるかということは選択の自由があるわけでございます。日本の場合には、東洋で初めて開かれるというふうなことからも、日本という名前をつけることが適当であろうという判断が当時なされたように私は記憶しております。
  8. 佐野進

    佐野(進)委員 だから、参事官、あなたはそういう名前をつけたということについての最高責任者でないようですね。そうすると、この名前を冠した最高責任機関はどこのだれだったのですか。
  9. 橋本徳男

    橋本説明員 この名前をつけましたのは、条約に基づきまする一般規則といいまして、条約を具体的に実施する場合の一般的な約束事を取りきめた規定がございますが、これは博覧会協会においてつくりまして、政府が承認して、これを国際博覧会事務局で認めたという形になっておりますので、原案博覧会協会でつくりましたけれども、これを認めたのは政府であるという形をとっております。したがいまして、協会並びに政府ともども、この問題につきましては十分意思を通じてつくったものと記憶しております。
  10. 佐野進

    佐野(進)委員 だからそこのところをこれからの質問に関連するから私はいま聞いておるのですが、政府なのか協会なのか、そのどちらなんですか。両方だなんてことはないでしょう。最終結論をつける機関というのは二つあったり三つあったりするものじゃないでしょう。結論最後一つ出なければならぬわけでしょう、いかなる場合においても。だから日本万国博覧会という、いままで十何回か開かれたそれぞれの博覧会開催の中で、その国の名前を冠して博覧会開催するのは初めてですね。その初めてのことをやったということについて、その初めてのことをやるにふさわしい背景、いま説明がありましたけれども背景、そういうものはいいですよ。しかしどこで占めたかということについてはっきりきめる場所があるわけでしょう。だから政府責任なのか、協会責任なのか、どっちなんですか。どちらできめたのですか。
  11. 橋本徳男

    橋本説明員 あくまでもこの原案博覧会協会でつくりました。しかしこれを閣議で承認はしております。そういう形になっております。   〔委員長退席天野(公)委員長代理着席
  12. 佐野進

    佐野(進)委員 だから、これからの質問が非常にそれに関連して、あらゆる部面でそれが出てくるからはっきり申し上げたいのですが、博覧会協会というものは、日本において博覧会を開くということが決定したあと、あるいは承知することについてのいろいろな経過があった形の中でできたのでしょう。日本において博覧会を開くというはるか十何年か前に日本博覧会協会ができているのですか。あなたが答弁がもしあれなら、政務次官でもいいですよ、政府責任なら。
  13. 橋本徳男

    橋本説明員 博覧会協会はこういう一般規則をつくる前から、その前身である事務局ができておりましたですが、政府がこれを承認したということは条約に基づいて国際的にこれを政府が担保しますという意味において政府が承認したわけです。しかしこれは公認博でございますので運営全体の責任協会にある、こういうふうな解釈に立ちまして、原案をつくったのは協会であって、それを政府は、国際的にこれで政府は担保しますという意味におきまして、閣議で承認しておるという形になっておるわけでございます。
  14. 佐野進

    佐野(進)委員 この問題を議論しているとたいへんおもしろい問題がいろいろあるのですが、いまの答弁で私は本質的に満足しないのです。それで協会のほうから、その点についてなぜ日本という名前を冠したのか、この際ひとつ聞いておきたいと思うのです。
  15. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいま橋本参事官からお答えしたとおりでございます。協会としても同じ意見でございます。
  16. 佐野進

    佐野(進)委員 私も非常に勉強してきているつもりなんですから、その場を過ぎればいいというような態度答弁をしておられますと、私は答弁のいかんによっては質問を中止しますよ。あるいは理事方々にお願いして、それについてもう少し誠意のある答弁を求めなければ、次へ進まざるを得ないということになりますから、その点はひとつあらかじめ含んで答弁してください。いまの協会側の御答弁は――私の聞いておるのは、なぜ大阪という名前を冠しないで日本という名前を冠したか。そこには政治的なあるいは歴史的ないろいろな事情背景にあるわけでしょう。どちらがきめるのだと言ったら、橋本参事官万博原案に基づいてきめたんだ、こういうことでしょう。あなたは政府のほうの説明どおりです、こういうことでしょう。それじゃ答弁にならぬじゃないですか。それじゃあなたのほうはこういう経過の中で日本という名を、あえて大阪という名をはずしてかけたんだということにならなければ意味がないじゃないですか。答弁意味にならぬじゃないですか。
  17. 菅野義丸

    菅野参考人 ことばが足りなくて申しわけございません。原案をつくりますときには、やはり橋本参事官から申し上げましたように、大阪万国博覧会と言いますといかにも地方的の行事のように思われますので、アジアで初めて、日本で初めての万国博であるから、これは国をあげてやるべきことであるというような考えから、日本という名前をつけた、こういう次第でございます。
  18. 佐野進

    佐野(進)委員 そう御答弁になっていただければ、協会のほうは、これはそれでいいと思うのですよ。ただしかし政府のほうが、そうするとこの博覧会はいわゆる大阪万国博覧会ではない。モントリオール博覧会とかあるいはブリュッセル博覧会とかパリ博覧会とかいうことではなくて、いわゆる日本万国博覧会だ。日本万国博覧会ということだったんだが、開催された土地がたまたま大阪である、こういう形になるわけですね、いまの御説明を聞くと。しかし本来の趣旨から言うとこれは大阪万国博覧会という開催地名東京なら東京万国博覧会、あるいはオリンピックが開かれる場合は東京オリンピックと言われるように、そういう地名が冠せられることが国際的な慣行から言ってもあるいは本来持つ万国博覧会の意義からしてもふさわしいと思う。アジアに初めて開かれるから日本だ、今度アフリカで初めて開かれるということになったらその国の地名が冠せられるのかどうかということは、これは議論があるところだと思うのですよ。これは説明にはなっていないと思うのですよ。私は日本万国博覧会という名前を冠したという背景の中には、いわゆる時の政府なりあるいは万博協会、いわゆる発足の準備段階にあった協会首脳部方々判断一つ資料として、日本という名を冠せざるを得ない歴史的な背景があった、歴史的というか現実の背景があった。それには経費の問題もあるでしょう。それにはいろいろの問題もあったかもしれませんけれども、そういうことを無視して、ただアジアにおける――だからそういう形で大阪という名を冠しなかったということは説明にならぬじゃないかと私は思うんですがね。しかしそういうことで時間をとってはいけないので……。  私は非常に疑問に思うのは、まず第一点において、今回の日本万国博覧会というのが、その主体的な条件において、その主体的なものの判断の中において、非常に責任の分担、責任範囲というものがぼけていってしまっている。それが今日まだ運営経過の中にあるけれども、非常に大きな疑義を生まざるを得ない一つの大きな条件になっているんじゃないか、こう考えておるわけです。  そこでこれは政府側に聞きます。日本万国博覧会ということであえて日本の名をつけたということは、日本が、いわゆる国の政府最高責任を負うんだ、こういう結論で対処するというぐあいに解釈していいかどうか、この点をひとつ、これは政務次官でもいいですよ。
  19. 藤井勝志

    藤井政府委員 日本万国博覧会最終責任はどこにあるかという、こういう問題の御質問だと思いますが、これは先般も簡単にお答えをしたわけでございますが、御承知のように国際博覧会に関する条約の第四条に二種の博覧会を規定しておりまして、公の博覧会と公に認められた博覧会、公の博覧会というのは国いわゆる政府あるいはまた公法人が直接主催する博覧会でございますけれども、このたび大阪開催される予定の博覧会は公に認められた博覧会、この分類に入るわけでございます。したがって、この大阪博覧会準備あるいは開催並びに運営責任というのは、第一義的に万博協会がこれをになう、こういうたてまえになっておるわけでございます。しかしながら細案内のごとく諸外国招聘、こういったことについては条約政府窓口になって外国参加を要請する、こういうことになっておるわけでございますから、招聘をいたしました外国政府に対する責任日本政府がこれを保証する、こういったことでありますから、対外的には政府責任を持たなければならない、こういうことにもなりますし、同時にまた国内的に見ましても、全国民的背景のもとに全国こぞっての世紀の大事業、こういう価格でありますから、これが成功するかしないかは政府の威信にかかわる、こういうことでありますから、政府も本腰を入れてこれが助成あるいは指導、こういったことをやらなければならぬ、こういうことになるわけでございますので、先ほど立の御質問でどっちかに割り切れと言われますけれども、事実上法的には最終責任万博協会にある、しかしながら実質上政府と一体になってこれが運営に当たらなければならない、こういうことになりますので、特に名前日本万博ということに相なっておると私は心得ております。
  20. 佐野進

    佐野(進)委員 橋本参事官、ぼくはいまの政務次官答弁では満足しないのですよ。そこで御質問申し上げますが、いま政務次官が言われたとおり、一九二八年締結の国際博覧会条約に基づき今回開かれる博覧会は公式の第一種一般博覧会だ。前々回のニューヨーク万博とはその性格を異にするのだ。こういうことになって、わが国としては公式博覧会に対する責任ということについて政府としても非常に重要な決意を持っておるというとはたびたびの説明で私もわかるのですよ。ところが、わかるのだけれども、その政府責任というのと協会責任というのが一体どこのどの辺に限度が引かれて、これからこれは政府責任ですよ、これからこれは協会責任ですよという明確なる基準というものがありますか。私は、日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律、これをずっと何回も何回も読み返してみました。それからあなた方政府機関が出しておるいろいろな資料も何回も何回も読み返してみました。読み返せば読み返すほどその責任の不明確さを指摘せざるを得ない。しかもその後における運営内容についてもいろいろな形の中において検討してみました。そうすると、どうしても首尾一貫しないものが出てくるのですね。今回の法律改正案については後ほどまた触れてみたいと思うのですが、法律改正を要する議案として出された問題については非常に多くの疑問というものがその経過の中に出てくるのです。しかし非常に大きな事業をやるときに、私はこまかなことについて一々どうこう言いません。大きな時の流れに対する、よくやってほしいというところから私は質問してみたいと思うのです。そうすると、参事官日本万国博覧会協会の置かれておるいわゆる法律的な地位というものは、一体どういう点にあるのですか。
  21. 橋本徳男

    橋本説明員 これは先ほど政務次官から御説明いたしましたように、博覧会二つの形式で、日本の場合には公に認められた博覧会という形をとっております。しかも財団法人博覧会協会財団法人、いわゆる民法上の法人によって運営されるという形になっております。したがいまして、あくまでも法律的に解釈いたしますれば、主催者である博覧会協会がすべての責任を負うというのが法律のたてまえでございます。しかし、これは条約に基づいて行なうものでございますので、国はその博覧会協会のやりまする事業成功するような形において援助、助成または監督をやっていくというふうな形において政府責任がある。それから、諸外国に対しましては、条約によりまして、国が条約に基づくいろいろな行事なり内容についての担保をやることになっておりますので、それは、ストレートに諸外国に対しては政府代表というものを置きまして、国が担保しておる。いままでの博覧会はどちらかといいますと公式博でございますから協会会長政府代表になっておる。ところが、日本の場合には公認博でございますので、会長政府代表とを別人格にしておるということでその法律のたてまえを二つに分けておるわけでございます。そういう範囲において協会法律上の責任はあり、政府はそれを助成していく義務がある、両々相まってこれを成功させる、そういう形になっております。
  22. 佐野進

    佐野(進)委員 参事官、いいですか。財団法人として民法上の人格を持つ協会に対して政府の行なわんとする補助、育成については万国博準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律で定められておる。そうすると、この法律で定められておる範囲というものの形の中で政府が果たすというごと、それから国際条約に基づくところの取りきめに際する政府慣行、そういうものに基づいてこれの運営をやっていくんだ、こういうことになると、政府というものが果たさんとする万国博覧会、特に日本という名を冠した万国博覧会というものに対して、私はここで言っていいのか悪いのかわからぬけれども、その表現が適切であるかどうかわからぬけれども、非常にでたらめだ、まるきりなっていないじゃないか、かっこうだけつけて中身がないじゃないか、こういうような表現で当たらざるを得ないのですね。ほかの委員が、中谷さんはじめこの前もいろいろ言われておるように、いわゆる専任大臣を置かないというようなこともそういうような点についての一つ指摘の材料になると思うですよ。いわゆる日本という名を冠してあえて大阪という名をとった、そうしてその特別の法律をつくった。仕事政府としての公的な形の中で一生懸命やるんだ、こう言っておきながら実際上は万博におやりなさい、それには指揮監督だ、金はやるんだからおまえさんたちうまくやらないとたいへんだぞとおどしあげる。それで政府はそれに対応する施策としてどういうような姿勢をもってやるか、こういうことになると、全然ない。一参事官と言ってはおこられるかもしれないけれども、橋本さんが最高責任者でその対政府窓口になって仕事をやっておる。何か問題があるというと、閣議を開いて、あるいは関係閣僚会議を開いてやる。日本という名を冠し、日本アジアに初めて開かれた万博主催国であるといって大みえを切って成功しなければならぬというようなことを言うにしては、あまりにも主体的な取り組みなり果たさなければならぬ責任姿勢というものがでたらめじゃないか。矛盾しませんか、そういうことについて。   〔天野(公)委員長代理退席委員長着席
  23. 橋本徳男

    橋本説明員 御指摘を受けましたように、いろいろ政府態度自体にもそういった誤解を招く点もありましたので、御承知のように推進対策本部というものを設けまして担当大臣本部長になり、各省の事務次官が本部員になりまして、さらにその下に参事官クラス幹事会を置き、各省打って一丸として諸問題の解決に当たるというような体制を現在とっておる次第でございます。
  24. 佐野進

    佐野(進)委員 これは政務次官あとから質問しますけれども、万博の問題にはいままでずっと質問があったとおり、非常に問題が多いのですね。ところが、これはここまで来ると成功させないわけにいかないのです。問題が多いからけちをつけてやめさせるとか、あるいは足を引っぱってざまを見ろとか、こういうわけにいかない仕事になってきておるでしょう。これは政府であるとか政府でないとか、万博協会であるとか万博協会でないとかいうことでなく、われわれも非常に議論があるけれども、その議論を乗り越えて何とかうまくやっていかなければならぬのではないかという気がするわけです。そういう気持ちはおそらく日本国民全体の気持ちじゃないですか。ところが、そういう全体の気持ちにもかかわらず、いま取り組みつつある政府姿勢並びにそれに対応する協会のあり方、こういうものに対しては国民的不満とまではいかないけれども、それはPRが足りないからそこまで育っていかないけれども、しかし、これがもう少し国民的な関心の深まる行事にだんだん近づいてくるとしたら、いまのようなもたもたした形ではおさまらない問題になってくると思うのです。その最高責任がどこにあるのか。これは日本でやるんだという形の中で大みえを切っておるけれども、日本でやるという姿勢を示していない政府の根本的な姿勢に原因があると私は思ううのです。だから、大臣が来ないのは実に残念です。私は通産大臣くらいこの委員会を軽視している大臣はいないと思っておるんだけれども、しかし、大臣がいないのにそんなことをいったってしょうがないが、特にこの前、私はしろうとだから何にも知らない――主管大臣であり、最高責任を持たなければならぬ大臣が、私はしろうとだから偏も知らないと言って済まされるような問題じゃ占いのですよ。わが党の大会の中においても、これに反対しようということで非常に激しい声があった。しかし、堀先生はじめ出身議員あるいは関係者が、そういうことじゃないんだということで大会の中において努力をした結果、社会党もこれに対してきわめて協力する姿勢を示しておる。そういう形がある中において、最高責任を持って去るんだという政府が、全然これに対して熱意を示さない、大臣は私はしろうとだから何も知らない、こういうことでは成功おぼつかない。しかも、いまお聞きしている範囲内においては、私の冒頭における質問に対してもきわめて明確を欠く答弁で、どっちがどうなんだかわけのわからぬ答弁を繰り返しておる。非常に残念ですよ。私は、これは政務次官にお尋ねしたいのですが、これはどうしても国の総力をあげて――与野党とかあるいはあいつがいるからいやだとかいいとかということではなくて、やはり協力一致して成功させるようなことにしなければどうにもならぬ問題だと思うのですよ。大阪だっていまそうでしょう。これに対して地代を払えとか払わないとかいう議論がこの前あって、地元大阪ですら十分な協力態勢が示されていない。これは残念だと思う。  そこで、時間がだんだんなくなりますから進みますが、これに対して、オリンピックのことがこの前も議論されておるのですけれども、オリンピックのときには組織委員会を組織してやったですね。私もあの当時都議会代表組織委員として最後まで開催に携わった経験を持っておるけれども、やはりあそこの場において激論を戦わしたことが、国論の一致した形の中において非常にむずかしいと言われたオリンピック成功させ、前進させ終了させた大きな原動力になっていると私は思うのです。地元大阪はじめ関係している地域の人たち協力を求めたり、政府並びに国会とあらゆる関係人たち協力を求めて、いわゆる財団法人である博覧会協会がそういうことについて何ら後顧の憂いなく仕事に没入できるほんとうの準備活動なり開催へのエネルギーを燃やし続けることができるように、この際勇断をもって取り組まなければならぬ時期だと思うのです。そういうような機構なりそういうような全体的な盛り上がり、そういうものをつくり上げるために政府はいまこそ立ち上がるべきだと思う。きょうは大臣がいないのは残念だけれども、政務次官通産省当局としてそういうことについて検討し、いま少しく政府機関の中においてそういう取り組みをする気持ちがあるのかどうか。それから協会のほうとしては、そういうことが必要であると考えるか考えないか、その点をひとつお聞きをして次に進みたいと思います。
  25. 藤井勝志

    藤井政府委員 非常に前向きの、万博をして有終の美をなさしめるようなかまえの真摯な御発言、まことに私も同感でございます。  まず、これは御質問じゃないのですが、大臣は、きょう石炭対策特別委員会で法案の関係でぜひということで、各委員会相互の御了解のもとに、とりあえず私がかわって出ておりますので、決して大臣万博を軽視して欠席しておるという事情でないことは御了承願いたいと思うのであります。  ところで、ただいま万博をしてほんとうに全国民的基盤の上に、これが運営にあたってオリンピックの例にならって組織委員会的なものを考えるべきじゃないか、こういう御発言ですが、私も先般のこの場における同一の趣旨の御意見に対して、いまのような広い範囲の盛り上がり、また運営に万全を期するという意味においても、その必要性について十二分に検討さしていただいて、早期に結論を出したい、このようにお答えをし、部内でいま検討をさしておるわけでございます。御了承願いたいと思います。
  26. 菅野義丸

    菅野参考人 協会のほうといたしましても、広く国民各層の方々の御意見を伺って、改むべきは改めるということにやぶさかでございません。ただいまのところは協会運営をするための議決機関である理事会しかございません。オリンピック組織委員会的なものはちょっとございません。その理事会等でもいろいろな意見が出るのでございますけれども、これは各層を代表しているとはもちろん言えないのでございます。そこで、広く国民の御意見を伺うためにモニター制度というものをつくって、百人ばかりの人にお願いをしております。これはいろいろな問題についてアンケート等をいただいて、準備、営運の参考にしておりますが、これをもって十分とするものではございませんで、組織委員会的なものでわれわれの日ごろやっておることについての御批判あるいは御献策等をいただくならば、これは非常にありがたいと思っております。
  27. 佐野進

    佐野(進)委員 それじゃ次へ進みまして、運営について若干聞いてみたいと思うのです。  この法律の第二条には「国は、財団法人日本万国博覧会協会に対し、博覧会準備又は運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができる。」とこう書いてあるわけです。参事官にお聞きしたいことは、この運営費はどのようにして捻出をしようとしておるのか。これは国ということでなくして、万博全体の運営費についてどのようにして捻出しようとしておるのか、そしてその捻出基準はどういうところにそれを求めておるのか。――簡単でいいですよ、一応わかっておるつもりだから。
  28. 橋本徳男

    橋本説明員 運営費につきましては、民間の創意くふうというものを全面的に活用するというこの設立の趣旨に基づきまして、協会と話し合いしまして補助金の対象外にする。そのかわり、その運営については協会で自由にやっていただく。したがいまして、その資金調達は、基本的には入場料金その他のいろいろな会場内における料金収入あるいは駐車料とか催しものに対する費用とか、こういったような観客からの資金、それから若干のものにつきましては、一般の民間等からの寄付といったような形において調達しております。
  29. 佐野進

    佐野(進)委員 菅野さんにお伺いしますが、「政府の窓」というパンフレットがあるわけです。ここに協会会長の石坂さんがお話しになっている、座談会をやっておられるのがあるのですが、その座談会の内容を見ますると、建設費については政府のほうから補助をしてもらっている、運営費については私のほうでそれぞれ政府の御協力を得ながら金を出しておる、こういうことを言っておるのですが、そのとおりですか。
  30. 菅野義丸

    菅野参考人 そのとおりでございまして、建設費につきましては国の補助及び地方公共団体の補助あるいは特定事業収入というようなものでまかなっておりますが、運営費につきましては、先ほど橋本参事官からお話がありましたように自まかないというものでございます。
  31. 佐野進

    佐野(進)委員 いまあなたは法律の趣旨に基づいて、「準備又は運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができる。」ということで、運営費についても補助しております、こうお答えになりましたね。私がそういう意味質問をしたら、それに対する答弁では、運営費についても補助の対象になっておりますから出します、こう言っておるわけですね。違うのですか。
  32. 橋本徳男

    橋本説明員 運営費につきましては補助対象にしておりません、こういうことでございます。
  33. 佐野進

    佐野(進)委員 そうするとおかしいのですね。この法律はどういうことですか。「国は、財団法人日本万国博覧会協会に対し、博覧会準備又は運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができる。」こう書いてある。予算をきめるのは国会でしょうけれども、提案するのはあなた方ですね。
  34. 橋本徳男

    橋本説明員 その予算の範囲内においてということで、予算をきめます際に、どの範囲において国の補助対象にするかということを関係者問でいろいろ打ち合わせをしたわけでございます。そのときに運営問題につきましては、補助対象にすることによる制約というものが運営の円滑さを阻害するおそれがあるというふうなことから、これは除外して考えたわけでございます。
  35. 佐野進

    佐野(進)委員 これをやり出すと時間が長くなるから、残念だけれども進まざるを得ないけれども、そうすると法律の条文というのは違うのですね。運営という字を削るのですな。博覧会準備に要する経費について予算の範囲内において一部を補助することができる、あるいはそうでなければ、この法律の解釈そのままいくと、建設についてはその一部を補助することができる、でなく、全部を補助する、こういうように文章をかえるのですか。
  36. 橋本徳男

    橋本説明員 この法文の解釈は、補助することができるということで、それは、法律でやることができる対象の範囲を規定したものでございまして、実際の運用としてはこの中でどれを対象にするかということは、博覧会が最も円滑に進むような方法で考えるべきものだろうと考えており出す。
  37. 佐野進

    佐野(進)委員 それではこの法律の解釈は、博覧会協会と相談した結果補助しないということにきまった。しかし、相談した結果によっては補助することもできる、そういうぐあいに解釈するのですか。
  38. 橋本徳男

    橋本説明員 この点につきましては、法律からいきますれば、先生のおっしゃいますとおりに、補助することはできると思います。しかし、いままでこれを補助しなかった理由が、要するに協会の自主性を尊重して、その自主性によって運営してもらわなければ、予算執行の面におけるいろいろな制約を容易に排除できないという面からでございますので、法律上はその道は開いておりましても、この段階になりますと、事実上は困難であろうと思うのでございます。
  39. 佐野進

    佐野(進)委員 おとといの新聞にこういうことが各紙全部書いてあるのですよ。日本万国博覧会協会は十九日の午後東京大手町の経団連会館で常任理事会、幹事会の合同会議を開き云々として、おとなは一般券八百五十円にする、子供は四百二十円にする。おとなは六百円から八百五十円に上げるということになっており、この表現はたいへんだということ、はたしてこれで庶民が万博に行けるのかどうかという心配につながる表現になっておるわけですね。しかも、この八百五十円にせざるを得ない原案をつくった、その原案の基本的材料になるのは運営費が上がっていくのだということなんですね。そうすると、いま運営費が上がりつつあるということ、まだあと二年先に開かれる万博に対して二年前の現在においてすら、すでにもう七十九億円の運営費増を見なければならないということになれば、二年後の日本の経済事情あるいはまたその他いろいろな背景から考えると、また運営費を上げないという保証はありますか。これは一つの基準ですからね。だから、そういう面からすると、この運営費に対して補助をしないということは、政府としては諸経費のかかり方によって運営費が増額した場合は入場料の増加によってこの開催をしていくのだ、こういう考え方をとり続ける、こういうことなんですね。ちょっと答弁してください。
  40. 橋本徳男

    橋本説明員 運営費と入場料金の関係といいますものは、結局、運営費の中身をどの程度にするかということは、観客に対してその期待に沿うかという問題と、それから入場料の負担と、この二つを双方勘案してきめるべき問題でございまして、中身が貧弱でよろしいということならば、これは非常に安いものになるだろうと思うわけでございます。したがいまして、そういった点はいまいろいろ協会のほうであらゆる角度から、運営の中身と会場の管理の姿といったようなものを検討いたしまして、協会としてはそれと入場料とのかね合いが、ほぼこういうところで妥当ではなかろうかという原案が出たものと考えておるわけであります。
  41. 佐野進

    佐野(進)委員 橋本さん、いいですか、ぼくはあまり長たらしくしゃべるつもりはないのだけれども、よく答弁してもらいたいのですよ。去年の九月、この六百円というものがきまったのでしょう。去年の九月きまって、ことしになってどのくらいですか、わずか十カ月足らずでしょう。四カ月と四カ月、八カ月の間に二百五十円上げなければならぬということになったわけでしょう。その間において何が上げる条件になって伸びてきたかというと、いわゆる一流芸術の催し費に対する二十億、岡本太郎さんの担当のテーマ展示の五億、広告宣伝が五億というような形の中でその必要経費が伸びてきたことによって二百五十円上げる。これはわずか八カ月の問ですよ。これからこれで上がらないという保証はないでしょう。しかもそういうことは政府であるあなた方がおきめになることではなくて、万博協会がおきめになることですね。万博がおきめになることにおいては、万博の自主的判断に基づいておきめになるのであって、国民大衆が万博に行きたいから、行ける値段が幾らになってほしいからきまるわけじゃない。あくまでもその運営費に見合う料金をはじいて、そのはじいた中からきめるのでしょう。そうだったら、これは国民のための万博になるでしょうか。行きたい、行きたいと思っていまから二年後を期待している国民が、ある新聞記事によれば、親子連れで行った場合においては一万円持っていかなければいけないだろう、こういうことを言っているのですね、これは足代を除いて、どこかから行くということではなくて。だから、私の言わんとするところは、そういうような点についてもうこれ以上値上げしない、八百五十円という線はやむを得ないものだ、これにもしきめたとしても、これは永久に変わらないものだ、そういうことがあなたのほうで言えますか。
  42. 橋本徳男

    橋本説明員 実は協会のほうでこの四月中にこれをきめたいという考え方でいっておりますことは、九月の半ばに前売り券を発売しなければならない。そうしますと、逆算いたしましてその前売り券の印刷、これは入場料金を入れての印刷でございますが、それをいまからかからなければならないというふうなことで進んでおりますので、一たんそれを出した以上は、もうこれの変更は不可能であろうというふうに考えておるわけでございます。
  43. 佐野進

    佐野(進)委員 モントリオールが三千万の入場者予想を基準にして入場料をつくった。ところが現実に五千万人の入場者があった。そういうことで、入場者の見通しということと料金の決定というのは、運営費の決定については重要な要素があるでしょう。これについて私も、いろいろ議論あったし、調べてきましたけれども、もう時間がないからそれはやめますが、いずれにしろ政府法律に基づき――あなた方が法律をつくったとき、いまあなたが説明するようなことじゃなくて、いま説明するようなことはあとできまった約束の中で、運営費については協会でそういうようにやりなさい、いわゆる一般の入場料あるいは宣伝広告その他を通じてやりなさいということになったと思うのですがね。これからずっとあと、いまのような形の中で、この前から議論があるように、収入が多くなるのか赤字になるかそれはいまはわからない。わからないけれどもおそらく赤字にならないような線であなたのほうは見ているんだと思うのですよ。あるいは黒字になる可能性があるというところで見ていると思うのですよね、それは当然のことだから。そうした場合、あるいはまた法律に許される取りきめの範囲内ということからするならば、政府の補助が行なわれ得ないということではないし、それから政府の補助が行なわれ得ないということと同時に、入場者の層を多くすることによって――安ければ多くなるわけですね、多くすることによって黒字幅を出していくということ、黒字を多くしていくということは、決して不可能ではないと思うのですけれども、私はそういうことについて、常任理事会と幹事会がただ単に相談して現在の時点の中できめて、ことしの九月だからということで、もうこれはきめるしだという形の中でやるということは、それこそ目頭言ったとおりの国民的世論を背景にしない、一つ運営の目先における問題だけを考えての取りきめだと思うのですよ。しかしここでいま批判してもしようがないけれども、私はここで政務次官参事官とそれから協会にお伺いしておきたいことは、この項について、将来とも運営費に対する政府の補助については、そういう基本方針をとり続けていくのかどうかということが一点。今後の情勢においては運営費の補助についても当然考えていくべきことになるのかどうかということです。それから協会のほうに対しては、この料金決定についてはいま少しく政府並びにそういう入場者その他いろいろな条件ですね、運営に対する諸条件を検討して、最も庶民が喜んで参加できるような万博にする努力を続ける考えがあるかどうか。それは政府に働きかけるということも必要でしょう。その他いろいろあると思うのですが、この運営についての基本的なやり方ですね。それから経費についても、それは幾らでも金をかければいいものができる。いいものができれば入るということになるかと思うけれども、その点についてどの程度を限度とするのか、そういう点について意見を申し述べると同時に、皆さん方の見解を聞かしてもらいたい。
  44. 橋本徳男

    橋本説明員 運営費の問題につきましては、当初におきまして相当議論をした結果、こういう形になっておりますので、自主運営の態勢、自まかないの態勢は変えたくないというふうに考えておるわけでございます。
  45. 菅野義丸

    菅野参考人 新聞紙等でもっていろいろ報道されておりますが、実はまだ正式には入場料金の額その他がきまっておりません。しかしながら、今月中にはどうしてもきめなきゃならぬというような立に場になっております。先般新聞に報道されましたのは、事務局がつくりました原案でございますが、おとな一人普通の入場料金が八百五十円という値でございます。これをきめますには、東京大阪でもって二度公聴会を開いて、いろいろな人の意見を伺っておりますし、また先ほど申しましたモニターにも一々アンケートを出して、こまかい点についての御意見を伺っております。そうして過去における万博の例等も考えまして、もちろん運営費全体を幾らにするかということも関係ございますが、いろいろな点を考えまして一応八百五十円ということできめたのでございます。しかしながら、もうことしの九月には、一年半前でございますが、これを前売りするわけでございます。これは二割引きになっておりますので、実際は六百八十円でおとなの普通券が手に入るというような形になるわけでございます。私どもといたしましては、ただいまお示しがございましたように、今後とも博覧会の入場料金のことについては、当然でございますけれども、その他の運営全般について、たとえば入場券の種類、割引というようなことにつきましても、広く各般の方々、各層の方々の御意見を尊重し、参考にしてきめていきたいと思う次第でございまして、国民の万国博であるという点については、私どもも全部その気持ちを持っておるような次第でございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)委員 橋本さん、あなたいまもう絶対基本方針は変えません、こう明言しましたね。したがってそれが政府のいわゆる最高方針であり、これは変わらないと私は判断してもいいのですよ。してもいいんだが、そうすると、もし赤字が出た場合もこの基本方針は変わらないと判断せざるを得ないわけです。したがって、重大な答弁になると思うのですよ。政府は今後運営費については一切協会にまかせる、この基本方針はあくまでも堅持する、黒字、赤字にかかわらずその方針をくずさない、こういうぐあいに解釈していいのですね。
  47. 橋本徳男

    橋本説明員 目下のところは、あとになってどうなるかということよりも、むしろ運営の中身におきましてもいろいろ弾力性を持ってもらいたい。そのときの事情の変化に応じて弾力的な運営ができるようにいたしまして、絶対に赤は出さぬというふうな考え方で進む以外にないと思っております。
  48. 佐野進

    佐野(進)委員 ここで時間をとりたくないのですが、いいですか、去年の九月にきまった運営費が、ことしの四月で七十九億も伸びているわけでしょう。だから、これは欲が出てきたから、その欲に見合うために出てきたわけでしょう。いろいろよくやりたいという気持ちから、結局いろいろ施設が多くなる。だから、その運営費に基づいてまかなおうとするから料金が高くなるということでしょう。これから欲が出ないと断言できますか。欲が出るということが適切かどうかわからないけれども、あなたの言われるように、出たときは出たときの問題だというのでは、あまりにも無責任ではないですか。出ないように一生懸命にやるというのは、それはあたりまえのことですよ。だから基本方針として、いわゆる料金の決定その他細部にわたる、いわゆる国民が全部、できる限りの人に万博に参加してもらいたい、そういう気持ちからするならば、できるだけ安くして、入りやすい条件をつくってやるのが政府責任であり、協会の果たなければならぬ役割りでしょう。そういうことについてあなたは全然念頭にないじゃないですか、念頭にない答弁だよ、それは。
  49. 橋本徳男

    橋本説明員 この博覧会につきましては、実はもちろん世界各国とも共通ではございますけれども、建設費につきまして多額の政府資金並びに地元の金が出ております。いわゆる国民の税ということでやっておりまして、その点はまるまるとにかく観客転嫁になっていないわけでございます。したがいまして観客転嫁し得る限界と、それからもう一つは一般大衆に転嫁すべき問題、この二つがあるかと思うのであります。したがいまして、そういう意味において絶対に赤字を出さないように、昨年の九月と今日とにおいて約八十億程度の増ではないかという御質問もございますが、昨年の九月に対しまして今回きめましたものは、催しものとか会場警備とか、こういったような内容が最近におきましてはほとんど具体化されてまいりましたので、積算ができるという段階になってそれだけふえましたので、これから、将来においてもこのような形で金の需要がふえるんだということはないと思っております。しかし運営のことでございますので、いろいろ変化はあるかと思うのでございます。そのときには、どういうものに重点的な資金配分をやることが、最もこの万博を国民的であり、かつまた観客のためになるかということを、十分考えていただいて、そのときに資金配分の適正化をやっていただいて、赤を出さないように運営していただくというふうな方向で進んでおります。
  50. 佐野進

    佐野(進)委員 あとでまとめて政務次官に聞きますから、この問題はそのままにして、次へ進みます。  次は、建設の計画についてちょっとお伺いしておきたいと思うのです。これも、もうすでにこの委員会で何回か議論になっておる問題ですが、やはり重要な問題ですから、お伺いしておかなきゃならぬと思うのです。いま言われたように、建設計画については、政府がその責任を負う、こう言っているのですね。したがって、政府がその責任を負うということは、あらゆる問題について、万博協会政府とが話し合いをした結果、それがいいとなった場合においては、その予算の範囲内において政府は最大の責任を負わなきゃならぬ、こういうぐあいに解釈していいと思うのです。いままでの答弁からいっても、解釈しなければならぬと思うのです。ところがこれも、きょうかきのうの新聞だったと思うのですが、万博協会会長は、丹下教授に設計変更の申し入れをした、こう書いてあるのです。その設計変更の理由は、協会側の予定価格七億四千万円に対して、一番安い入札価格でも十四億円と、二倍近くの開きがある。したがって、これではならないからということで設計変更を申し入れ、こういうことです。こんなばかなことがありますか。そのことをやるということで、設計をきめるのは、政府並びに協会と十分打ち合わせした上で、その設計が決定しているわけでしょう。決定しておればこそ、入札に出して業者の参加を求めているわけでしょう。それが、業者が、それじゃやれませんから、私は断わりますといったので、せっかく、権威ある政府協会とで話し合ったことについて、今度は設計者に対して設計変更を求めるというのです。これは、新聞記事が間違いだったらそれでいいのですが、じゃなかったら、これはどういうわけですか。これは両方から聞きたいと思うのです。
  51. 橋本徳男

    橋本説明員 詳しい内容につきましては、協会のほうから御説明があるかと思うのでございますが、いまの記事は、展望塔の話だと思うのでございます。こういう展望塔につきまして、設計者がいろいろ予算を頭に置きまして設計をいたしましたが、その設計者と施工者との間に、工法、いわゆるやり方の違い、あるいはまた、設計者の考え方が、必ずしも現実的ではないといったような点が若干ございまして、そういう意味において、一部修正をするということになったと聞いております。しかし、かといって、その展望塔の本来の機能が阻害されるような形には、設計変更はならないというふうなことを聞いております。
  52. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいまお示しになりました新聞記事の点は、これから近いうちに会長が丹下会場計画プロデューサーに会って、協力を頼むということの記事だと思いますが、実は、まだ会っておらないのでございます。会長とわれわれは、先般請負業者の代表には会いまして、今後の万国博の建設工事についての十分な協力をお願い――これは一般論的なお願いをしたのですが、御同様に、設計をするほうの側の丹下先生等にも会いまして、同じく協力を頼むということでございます。協力ということは、結局予算というものはきまっておる。それで予算がきまっている以上は、これの範囲内でもって建設ができるようなひとつ設計をやってもらいたいということでございます。建設業者のほうに対しましては、設計方面と十分意思の疎通をして、十分納得した上で入札してもらいたい。その間にいろいろ誤解や思い違いがあってはいけないから、意思の疎通を十分にしてから入札してもらいたいという意見の協力を頼んだのであります。もちろん基本設計につきましては、われわれも塔はどういうふうな形にするとか、あるいは会場計画はどうであるとかいうことは、十分に承知しておりますし、役員会にもかけてきまっておるのでありますが、その実施設計の細部にわたりましては、これはもう設計者にまかせておるのでございます。ところが設計者のほうで規格外のものをつくったり、または非常に新しい工法が必要なような設計になりますので、これに対して十分な意思の疎通を欠きますと、請負をするほうにおきましては、またいろいろな安全度を見たり、新しい工法の研究費を入れたりして、非常な差額が起こってくるようなわけでございます。この問題になっております塔の建設につきましては、私どもも設計側と工事を請負する側の間に立って、十分な意思疎通ができ、その間にいささかの誤解もなく、十分納得した上でもって、あらためて入札をしていただくつもりでもって、目下それを進めておる次第でございます。
  53. 佐野進

    佐野(進)委員 違うのですよ。日本万国博覧会は去る三月十八日展望塔について第一回の入札を行なったが、協会側の予定価格に対して、一番安いのが十四億円と二倍だった、こういうのです。いいですか。あなたの言われることは入札をする前のことですよ。入札をする前にそういうことをおっしゃるならおっしゃってやられたなら、それは当然のことでしょう。ところが入札してしまってから価格を見たら、一番安いのが倍の十四億。これは皆さんしろうとじゃないでしょう。丹下さんがどのような設計をされたか知らないが、その設計がどのくらいかかるか、おおよそのところはわかると思うのですよ、おそらく業界だって話し合いがあるでしょう。話し合いがないなんていったらうそになりますよ。いろいろ入れたが、結局一番安いのが十四億円でなければ落とすことはできないということで、だからこそ会長が話をするのでしょう。こんなばかげたことがありますか。もしばかげたことでないとするならば、万博に対して建設業界はそっぽを向いている、非協力だ。そういう場合は政府はどうします。簡単でいいです。
  54. 菅野義丸

    菅野参考人 お話のとおり三月十八日に第一回の入札をいたしました結果は、新聞紙等に報道されておるとおりでございます。そこで、これではもう全然話になりませんので、その後設計者側と工事を請負する側との間の話し合いを何回も進めております。まだ十分な話し合いがつきませんので、第二回の入札はいたしませんが、私は第二回の入札をする前のことを先ほど申し上げた次第でございます。それから会長が丹下さんに会うといいますのは、この具体的な問題も話に出るかもしれませんけれども、もっと一般的な、これから本格的に始まるところの会場内のいろいろな建設工事に対しての設計、そういうことについてひとつ予算を超過しないような設計にしてもらいたい、こういうことを十分言うつもりでございます。
  55. 佐野進

    佐野(進)委員 橋本さん、いいですか。あなたはさっき建設については政府責任を持ちます、運営については協会がやっていただきたい、こういうことをはっきり申しましたね。これは建設になるのですか、運営になるのですか、どちらでしょう。
  56. 橋本徳男

    橋本説明員 それは建設費でございます。ただ先ほどの御質問との関連でございますが、たとえばいまの例にされました展望塔につきましても、新しい試みでございますので、建設業者に対する設計者サイドの十分な説明の期間がなかった。建設設計者が新しい方法において新しいものをつくるという場合は、建設業者に対して、それ相当の時間と労力を重ねてそのやり方を説明しなければならない。それからまた、建設業者も、非常に新しいものだけに、それに従来の工法を適用することのよしあしの判断も要るといったようなことからこの問題は手間どっておるのでございまして、双方十分その辺の話し合いをいたしますれば、予定の範囲内において、機能的に従来と変わりのないものができると私は考えております。
  57. 佐野進

    佐野(進)委員 いま申し上げておるとおり、私はでたらめとは言わない、言わないけれども非常にずさんであるということは、やはり筋の通った運営、指導、そういうものがないというところにどうしても帰着せざるを得ないということになってしまう。あなたのほうは、設計についてはおそらく協会と十分話し合ったのでしょう。それから会場の建設計画というものについてはずいぶん話し合っておるわけでしょう。さらに、建設費の構成についても、ある程度話し合いがついておるのですよ。そこで予算が編成せられ、その実行のためのそれぞれの措置が講ぜられていくわけでしょう。その中で、こういうようなことはこれからも何回も何回もあると思うのですよ。だから、あなたのほうで建設について責任を持つのだということであるならば、もう少しやはり指導を強化するなり、あるいは業界に対してそれらのそれぞれの形の中における協力を求めるなり、そういうことは協会にまかせるならまかせるでいいけれども、そういうことについて明確なる措置が講ぜられなければならないと思うのですよ。時間がないので、質問を続けたい点が幾つもあるのだけれども、それは建設計画についての一つの具体的な例です。私は、建設ということについて、またオリンピックの例を出してはいけないけれども、オリンピックの例においても、たびたび変更が行なわれたことも事実だけれども、こういうようなことはなかったと思うのですね。倍以上の入札価格なんということはおそらくないと思うのですよ。そういう点については、もう少し建設計画について――私は反対法案だったら非常におもしろいと思っているのだけれども、賛成法案で非常に残念なんですよ。ひとつ十分なる配慮をしてやってもらいたいと思うのです。  最後に、ほんとうに中途はんぱになって私は残念なんだけれども、今回の法律案は、住宅公団が会場近辺に建設する住宅を万博協会に提供する、万博協会はこれを借り受けて外国従業員に提供する、こういう形になっておるわけですね。これは、公団法なり、あるいは先ほどの特別措置に閲する法律なりを検討してみたのですが、住宅公団法という法律の趣旨からいって、こういうこと州できるのですか。  それは公団のほうから来ている人に対して御質問申し上げます。
  58. 稗田治

    稗田参考人 住宅公団の業務につきましては、公団法の三十一条にいろいろございます。なお、現在の法律の附則のほうに似たような業務がございます。今回この万国博覧会関係特別措置に閲する法律改正によりまして、公団法の三十一条の業務のほかにこういうような業務ができるという範囲が与えられてあるわけでございます。
  59. 佐野進

    佐野(進)委員 一体どの程度住宅をつくる予定ですか。
  60. 稗田治

    稗田参考人 八百戸でございます。
  61. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、その場所はどの初ですか。
  62. 稗田治

    稗田参考人 万国博覧会の隣に千里丘陵という大阪府の企業局が開発しました千里ニュータウンがございます。そこに住宅公団は数年前からいろいろ住宅を協力して建てておるわけでございますが、今度その千里丘陵の中央部にある敷地を大体それに予定しまして建てるつもりでございます。
  63. 佐野進

    佐野(進)委員 その公団法の三十一条に規定する業務のほか「アメリカ合衆国との相互防衛援助協定第七条の規定に基き政府が接受することに同意したアメリカ合衆国政府の職員の居住の用に供する住宅の賃貸その他の管理を行うことができる。」ということに特例でなっておるわけですね。そのほか、さらに三十一条に規定する業務のほか、第二項で「技術研修その他これに類する目的で日本国内に滞在する者の居住の用に供する住宅及び当該居住者の利便に供する施設を供給する者に対し、」云々ということになるわけです。今度の法律改正によれば、賃貸ということでなく、建設ということですね。建設し、貸し与えるわけでしょう。だから、既存のもの、いわゆる第三十一条の目的に合致する、住宅公団の業務の範囲に合致するのは、居住者の住宅を賃貸することでしょう。その中における特別として附則の三条にいろいろあるわけですね。それに対して、今度の法律というものは、住宅公団がいわゆる外国の技術者ないし従業員を収容するために建てるのでしょう。これは既存のものに対して賃貸するのではなくて、建てて貸し与えるわけですね。だから、それが住宅公団法の第一条の目的とそれから三十一条の業務の範囲、そういうことと、日本万国博覧会に対する利便供与ということと非常に矛盾しませんか、三十一条の特例の「公団は、」云々という一号と二号との関連というまた違った意味において。これは半年という瞬間的な事業ですね。だから、そういう点についてどういうふうに解釈していますか。
  64. 稗田治

    稗田参考人 住宅公団といたしましては、この使用が終わったあとは、やはり都市勤労者のための住宅としてこれを使うことになるわけでございます。したがいまして、生活様式も若干違いますけれども、日本人があとで使えるということを考慮におきながら万博のほうといろいろ協議を進めていくわけでございます。
  65. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、日本住宅公団は――これは公団よりも建設省のほうが答弁することになろうと思うのですが、住宅公団法の目的、第一条、業務の範囲、第三十一条、これの範囲は特例法という法律をつくればいかようでも拡大できるというのがこの住宅公団法の基本的な精神ですか。
  66. 野崎清敏

    ○野崎説明員 特例法によって、住宅公団の業務の範囲が幾らでも拡大できるというふうには考えておりません。今回の場合におきましては、万博が終わりました後には公団住宅として引き続き使用していくというふうに考えておりますので、その間、一時万博協力する意味におきましてそれを賃貸するということでございますので、公団法の精神からは逸脱しないという意味におきまして特例法の中に書くことにいたしたわけでございます。
  67. 佐野進

    佐野(進)委員 建設省の方、二、三日前の新聞ですが、いま一生懸命万博の会場内で市営住宅をぶちこわしている写真が出ていました。あなた、読まれたかどうかわかりませんが、りっぱな鉄筋の住宅を一生懸命ぶちこわしているのですよ。その反面、いま住宅公団に対して住宅をつくれという。あなたは特例法さえつくればいいのだが、その内容外国人の居住の用に供するということですから、日本国の勤労者の居住に相合致するかどうかというと、必然的にそこにたいへん疑問がある内容になってくると思うのです。それが八百戸とさっき言われましたね。そうすると、いわゆる千里丘陵における大阪府の土地というのは、その隣接するところですね。同じ地域の中において、片一方では、つくって問もない住宅をどんどんぶちこわしている、片一方は、日本国民の利便に供さない――供さないか供するか一々わかませんが、一応、日本国民と生活環境の相異なる人たちに提供する住宅を建てるということになるわけですね。建設省として、よく何の矛盾もなく法律改正をして住宅を提供させていますね。それは万博がその業務の執行上当然必要として、万博の予算の範囲内においておやりになるということはいいけれども、少なくとも住宅公団法の特例法をつくるということは、十分法律の趣旨に相合致しないのじゃないか。建設省、どうですか。
  68. 野崎清敏

    ○野崎説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、今度建てます八百戸につきましては、万博終了後、賃貸住宅として転用する、転用と申しますか、本来の用途に戻すつもりでおりますので、住宅建設計画としてはさほどの影響を受けないというふうに考えておる次第でございます。
  69. 佐野進

    佐野(進)委員 橋本さん、いいですか。それだったら、特例法をつくらなくて、住宅公団が千里丘陵につくるその住宅を万博協会が借りるという、法律改正に基づかない措置においても当然可能じゃないのですか。
  70. 橋本徳男

    橋本説明員 実は、この点につきまして、私たち法律をつくるかどうかということで検討したわけでございます。ただ、この法律は、建設ではございませんので、住宅公団が一般用の住宅として建てますものを一年間だけ借りる、賃借するというだけの規定でございます。ただ、その賃貸ということになりましても、一年間賃貸ということになりますと、住宅公団法の業務範囲を逸脱いたしますので、法律改正をお願いしておるわけでございます。それから、同じような形で、もちろん海外の技術研修者といったような者にも住宅公団が建設し、あるいは賃貸しておりますので、趣旨としては、この公団法の趣旨を期間を限っております関係と、それから数字におきまして、公団全体の、たとえば四十三年度におきまして九万一千戸ですかの中ではそれほど大きな数字でもございませんので、一般の住宅を阻害することはあるまい、そういう数字の面とそれから期間の面から限定されておりますので、法の精神を特に逸脱することはないというふうに考えております。
  71. 佐野進

    佐野(進)委員 疑問もあるのですが、質問最後に入りたいと思います。  それは法律改正ということで、いまの住宅公団法の特例をつくるということについてこうやって議論が行なわれたのだから、万博を意識させるために非常によかったと思うのですが、いま橋本参事官の言われるようなことであったとすると、賃貸という形の中で、特例法がはたして必要なのかどうか。この特例法をつくることによって、今後何でも住宅公団法の特例法という形になってくると、住宅公団の本来の業務の範囲に入ってしまうということも当然予測しなければならぬという気もするわけです。したがって、いわゆる駐留軍との協定、あるいは技術開発者を収容する、あるいは万博だ、何だかんだということになってくることは、住宅公団法ばかりでなく、新しい法律をつくって、そういう形のものに対応する法律によていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えていま御質問を申し上げているわけですが、それはこの程度にとどめます。  最後に、一番問題になるのは、私、いままでずっと質問してきた形の中で感ぜられることですが、いわゆる政府協会との責任範囲が明確でないわけですね。明確であるように皆さんお考えになろうとして無理しておられるけれども、それはそのときにおける政治情勢なり経済事情なりによってどうとでも変更できるという、多分に変動的な要素が多いわけです。  したがって、私がいまここではっきりお聞きしておかなければならぬと思うことは、この万博が終わったあと、その残された施設――半年たつと終わるわけでしょう。九月幾日かで終わったあとの残った施設はどこに所属するのですか。
  72. 橋本徳男

    橋本説明員 協会が建設いたしました施設は、協会がそれを清算いたします。したがいまして、清算完了するまでは協会に所有権がございます。
  73. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、建設費については政府は出すけれども、しかし、それは協会のほうへ補助するわけでしょう。協会のお金になるわけでしょう。清算するということは、協会にそれを残すのか、あるいは大阪府なら大阪府のほうへ提供するのか、あるいはどこかへ入札させてそれを売るのか、どういう形をとろうとするのか。政府のほうでは協会にまかせるというのだから、協会のほうにお聞きしますが、最終的に何千億になるかわからぬけれども、膨大な施設についてどう処理されようとしておられるのか、ひとつ聞いておきたいと思います。
  74. 菅野義丸

    菅野参考人 協会がつくります基本施設につきましては、ただいま橋本参事官から申し上げましたように、協会の清算事務の一つとしてその財産を処分することになると思います。  その処分のしかたにつきましては、今後政府のほうできめていただきますあと地利用の問題に非常に関係があると思います。そのあと地利用を、どこの主体がどういうふうに使うかによってその基本計画の諸施設の処分がきまってくるのじゃないかと思います。それから、あと外国館あるいは国内の企業館というようなものは、一応契約上では原状に復するということになっております。
  75. 佐野進

    佐野(進)委員 橋本さん、東京オリンピックの事後の施設は、国立競技場あるいは千駄ケ谷の体育館あるいは駒沢の競技場、いろいろ建設主体によって管理運営がなされておりますね。それが赤字になったり黒字になったり、いろいろな形があるといわれるけれども、しかし歴史的にオリンピック東京で行なわれたのだという一つの影響をいまなお都民の中に、国民の中に残しておりますね。いまのお話では、そういうことについての計画が明確でないということをお話しになっておられるのですね。これは政府の補助というのは、国民のお金でしょう。税金でしょう。建設費用を含めればばく大なものが投ぜられている。そうすれば、これに対して、その地域における事後の対策について十分な対策が立てられていなければならない。それでなければ、予算を通すということ自体、おかしいのじゃないかと考えるのですが、そういう点について、いま菅野さんがお話しになった程度のことですか、この際、もう一回確認しておきたいと思うのです。
  76. 橋本徳男

    橋本説明員 あと地利用とそれから建設物との関係になると思うのでございますが、この土地は大阪府の所有でございます。それから、上の建物は清算法人となる協会の建物ということになります。  それで、まず、大阪府の土地でございますので、大阪府におきまして、あの土地を近畿圏全体の開発計画面からどういうふうに活用するのが、一番全国的ないしは地域住民のためにもいいかというふうなことで検討をしてまいりまして、メーンの中心部分は都市公園、それから、二十万平米程度は流通センターそれから学園都市というふうなことにしたいという考え方で、すでに公園の部分につきましては、都市計画によりまして、普通公園ということで決定しております。したがいまして、将来、その公園の管理者である大阪府と協会並びにその所管の省である私たちのほうと一緒になりまして、その設備をどういうふうな形において残し、それでどの程度の清算をするかという問題は、将来詰めていかなければならないというふうに考えております。
  77. 佐野進

    佐野(進)委員 それじゃ政務次官最後に、ずっといままで質問を続けてきたわけですが、私は、いまのいわゆる日本万国博覧会という名称を冠したという経過並びに運営、建設、そして公団法を改正する今回の措置、さらに事後の利用というものを一貫して感ずることは、万博は、国民がたいへん期待してその成功を嘱目して見ている、こういうような内容を持つ重要なものであるにかかわらず、なおいま非常に心配されるべき要素が多い、いわゆるもろ手を上げて、いつ来るのかなというよりも、はたしてうまくいくのかなということについての心配をされる要素が多い。それは政府のこれに対する取り組みがきわめて明確さを欠いておる、積極性がない、こういうようなところにその原因があるように私は感ずるわけです。したがって、予算の執行、編成、その他いろいろな部面において、あるいは万博協会に対する指導、そういう面についていままで質問を続けてきたわけですが、この際、政務次官のこの万博に対する全体的な取り組みについて私の質問を通じた要望その他について、決意をひとつ聞かしていただいて質問を終わりたい、こう思うわけです。
  78. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘のとおり、万博は全国民的な基盤の上にこれがりっぱな成果をあげなければならない。そのためには、先ほどお答えをいたしましたが、一応の法律上のたてまえは、先ほどからるる質疑応答の中に出ておりましたので重複を避けますが、ともかくそういう法律論よりも、むしろこの万博の意義から考えまして、政府万博協会一体となって、同時にまた、国民的基盤の上にりっぱな万博運営並びによき効果、そのテーマにふさわしい内容に仕立て上げる、これがもうあらゆる関係者の基本的なかまえでなければならぬ、このように思います。
  79. 小峯柳多

    小峯委員長 玉置一徳君。
  80. 玉置一徳

    ○玉置委員 まず最初にただいま提案されております日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特例措置に関する法律の一部を改正する法律案について、住宅公団が公団住宅をつくりまして、ここへ参ります外人の用に供するということで、ただいま佐野さんからも御質問がございましたが、その答弁が、私は、質問者のとおりでありまして、それはあまりにみだりにすべきことじゃない。ただ、ちょうど幸い、そのあと地にそれだけのものを建てることによって住宅公団の用途そのものにも非常にぴたっとそれははまる、それからもう一つは、万博に各省が協力しなければいけないというような大きな見地からこういうようにさしていただきます、若干筋が通らぬかもわかりませんが、ひとつ御了承いただきます、こういうようなお答えでないと、ちょっと筋が通らないと思うのですが、われわれは社会党も同じく、万博を推進するという意味で、この法案に対してどうこう言う筋合いは持っておりません。ただ、答弁に対して異議をお話ししておきまして、今後住宅公団のあり方についての筋だけを通しておきたいと思います。  そこで、先ほどお話がございましたが、われわれが非常に心配いたしておりますのは、この世紀の祭典が前回のオリンピック同様、世界的に好評を博してりっぱに終了することを非常に心配をいたしております。かような意味におきまして、先ほどお話がありました入場料の問題ですが、ここに書いておりますように、まだ決定はされておりませんけれども、大体二十四日の緊急の役員会におきましてこれにほぼ似通ったものが出されるということは新聞の報ずるとおりだと思います。  そこで、八百五十円、三千万人、こういうことになりますが、安ければ安いほど入場者が多い、これは当然なことでございます。自主運営をするために八百五十円にならざるを得なかったなにはよくわかりますが、やはり大体国民各階層、しかも三千万人の予定者が入ってくれるような値段に落ちつけておかないと、せっかくの値上げせざるを得ない支出増に対しまして、逆にまた、そういった点から思惑どおりの支出が入らないというようなことになりましては、かえって、せっかくの入場料決定が危ぶまれる、こういうことも考えますのですが、そういう意味におきまして、新聞論調にもありますとおり、八百五十円は高いという印象をつい持たざるを得ないのでありますが、どういうようにお考えになりますか。
  81. 橋本徳男

    橋本説明員 八百五十円そのものは、先ほど御説明申しましたように、いろいろなコストの面から出てくる数字でございます。ただしかし、何といいますか、いろいろな券種、たとえば回数券とかあるいは特別なものに対する割引とか、あるいは団体券とかあるいは前売り券とかの割引とかいうふうなことによりまして、実質的の負担がそれほど高くならないようにはしていくような考え方を現在協会も持っておるようでございますので、そういうような方法を講ずることによって、より観客の負担を軽減するように考えていきたいと思っております。
  82. 玉置一徳

    ○玉置委員 大阪の近郊の方は数回行くだろうと思いますけれども、一応三千万人といえば、日本人のおとなも子供も入れまして、約三分一の人間に来てもらわなければいかぬ、こういうことにたりますので、私は原価計算から出ました八百五十円というのが少し無理だということを言うておりまして、入場券その他によります割引というものは、これはまた特定の人によるわけでありますので、六百円でもなかなかたいへんでありますのに、まして、先ほどお話がございましたとおり、中へ入りますと、いろいろなものを見たい、せっかく行ったのですから一日おりたいのも、これは人情のしからしむるところで、相当の飲食費その他の、しかも三千万人といえば、汽車賃を払って遠いところから来てもらう人も相当見込まなければならない。その人たちの支出を考えますと、やはり六百円くらいが手ごろじゃないかと思われるのも私だけじゃないと思うのですが、副会長、どういうようにお思いになりますか。
  83. 菅野義丸

    菅野参考人 入場料の問題につきましては、最近の新聞紙上をにぎわしているようなわけで、私どもも非常に参考になっておる次第でございます。ごく近いうちにこれを正式に決定しなければならないのでございますが、六百円というのがもうすでにきまっておって、その値上げをするというような印象を与えております。一般世間の方がそう考えるのは無理からぬことと思いますが、実は、入場料問題を正式にきめるのは今回が初めてでございます。六百円というのは、あの当時の運営費二百三億のワクをきめたのでございますが、そのときの入場料金は、このくらいにすれば計算が合うというような計算のめどをつくったのでございまして、決して六百円でもうこれは動かさないんだというような正式の決定をしたわけではないのでございます。  しかし、いずれにいたしましても、いま玉置先生がおっしゃるように、一般に高いという感じを与えておるような様子でございますが、実は、これをきめますときには、先ほどもお答え申し上げましたように、何度か公聴会も開き、また、モニターのような人たちの意見も十分聞いてきめたのでございまして、その結論は、七百円から千円程度のものならば決して高いとは思わない、ことに、関東方面あるいは遠いところの人は運賃との関係がございますが、入場料としてはそんなに高いとは思わない、むしろりっぱなものをつくってもらいたいというような意見でございます。近郊の方々は何回も行く、統計上も二・七回くらい行くことになっておりますので、これは相当負担になると思います。しかし、一年半前には相当の数の前売り券を出します。これは二〇%引きになりますので、何回も行かれるような方々は、なるべく前売り券をお買いになっておいていただければ、実質的な負担は六百八十円くらいになるのじゃないかと考えておるような次第でございます。
  84. 玉置一徳

    ○玉置委員 三千万というようなほんとうに広範な、いままで動員したことのないような人間を対象にしたものであれば一このくらいの内容があるのだから、千円くらいのものだったら当然であるというようなことは、モニターにしろ、われわれにしろ、言い得ると思うのです。ただ、すべての人が来てくれというくらいのものだからこそ、この値段では高いという印象を新聞が報じることだけでも、ちょっととまってくるのじゃないか。役人さんの考え方で、これだけの価値があるからこれだというのではなしに、やはり商売ですから、非常に安いような印象で、さあ来てくださいというような意気込みでないとこういうものは成功し得ないと私は思うのです。  そこで、副会長にお尋ねしますが、これは前の二百三億よりも予算がオーバーしたから実際はこうなったのだと思いますが、運営費をあなたのほうでおやりなさるのに、このくらいの値段でないと、せっかくの世紀の祭典ですからという形で、このくらいに下げていただきたい、そうしてこのくらいの補助をいただければ必ず三千万人入れてみせましょうという気魄にそのとき燃えると思うのです。そうお思いになりませんか。
  85. 菅野義丸

    菅野参考人 お話しのとおり、入場者の推定数と入場料金とは非常に密接な関係がございまして、これは、その額が少なければ入場者が多くなるというのは当然でございます。そこで、私どもといたしましては、八百五十円ではたして三千万人――これは延べでございますが、三千万人の入場者を得られるかどうか、これはもうわれわれとしては、最小限度そのくらいのものは獲得しなければならぬという努力を覚悟しております。  先ほど、六百円から八百五十円になったのは運営費が多くなったからだ、こういうふうなお示しがございました。そのとおりでございますが、ただ、これは決して値上がりとかそういうふうなものではなく、二百三億の運営費をきめました当時には、たとえば催しものであるとか、あるいはテーマ展示であるとか、警備計画とか、こういうようなものが、プロデューサーはきまっておったのですが、具体的の計画が全然きまっておらなかったのであります。その後、各プロデューサー及び会場警備の実際の具体的計画がきまりまして、このくらいの人間がこういう体制でもって警備すればだいじょうぶだというような案がきまりましたので、それに基づいて計算をし直したわけでございまして、その他の値上げりとかなんとかいうものではありません。そして、今後運営費がかりに何かのことで増額になりましても、入場料というものはもう前売り券でもって出しておりますから、これは絶対手がつけられないと思います。結局、六四%を占めておる入場料金というものはこれで確定するわけでございます。その他は、協会の努力によっていろいろな収入をあげていかなければならないと思うのでございますが、われわれといたしましては、先般もお答えいたしましたように、事、運営費に関しましては絶対赤字を出さぬというつもりでやっておりまして、いまのところ、政府との話し合いもありまして、政府から補助金をいただいて、というようなことは考えておりません。
  86. 玉置一徳

    ○玉置委員 私が質問をしたのは、運営費が値上がりしたから増したのだという意味じゃなしに、見積もりの違いですから、それはそれでいいのです。そうではなくて、運営そのものに政府から助成をもらえるとすれば、どのくらいが、三千万人動員するだけの自信のある値段であるか。六百円か、八百五十円か、それを聞いているのです。  それからもう一つ、物価が高騰すると思います。いろいろな変動があると思います。もしもそういう変動によって運営費に赤字が出たときには、それはどうするのか。この二つ質問いたします。
  87. 菅野義丸

    菅野参考人 三千万人の入場推定数をきめましたのは、これは野村総合研究所がサンプルの調査によって得た結果でございますが、そのときは、確かに大体のめどは六百円程度でサンプル調査をやったようでございます。したがいまして、六百円ならば、これはもう三千万人は理論的にもだいじょうぶだと思います。しかしながら、その後の国民所得あるいは生活程度の上昇あるいは物価の値上がり等というようなものを考え合わせますと、二年ばかり前に調査したのと、これから二年後の昭和四十五年の状況を考えますと、大体その調査した当時の六百円というのが昭和四十五年の八百五十円くらいになるんじゃなかろうか、こういうふうに考えておるのでございまして、いまのところ、私どものほうとしましては、三千万人はだいじょうぶであるというつもりでおります。  それからもう一つの御質問は、もし何かの関係運営費が足りなくなったら、赤字を出したらどうするのかという御質問でございますが、私どもは運営費の予算につきましては相当弾力性を持った使い方をしたいと思いまして、予算があるから無考えにどんどん使うというようなことではなく、不測の何かが起こっても弾力的にできるような予算の使い方をしたい、こういう考えでありまして、結論としましては、運営費の赤字は出さないということをモットーとして今後も努力していきたい考えております。
  88. 玉置一徳

    ○玉置委員 運営費の赤字を将来とも出さないということは、予備費をうんと持つか、あるいはサービスを落とすか、どっちかしかないのです。赤字を出したらいいのですよ。やむを得ぬときには出るのがあたりまえですよ。せっかくみんな国民がこれだけ金を投資して一生懸命やるのです。運営費だって建設費だって同じことだとぼくは思います。絶対出さないということになれば、あなたのほうはサービスを落とすか、あるいはいまうんと予備費をふんだんに持っておるか、どっちかしかあり得ないのはあたりまえですよ。  橋本参事官に伺いますが、運営費は自主的にやってもらいたい――自主的にやってもらうということは、結局自前でまかないなさいということと、それから運営そのものを自主的にやりなさい、まかないもなるべくあなたのほうでやりなさいという二つがあると思うのです。だれがやっても、これは三千万なんというような人間を入場者に予定するような大きな見積もりですから、経験も何もないわけですから、そこにはそういういろんな問題、たとえば二十八年災害とか三十年災害というようなどえらいものがここで全国的に起こったときに、そんなことが一ぺんにこたえるわけですから、むしろ運営費に、善良な注意を払いながら赤字が当然出たというような場合は、国がそれだけのめんどうを、何らかの違う直接の金かあるいはいろいろな助成の方法で考えてあげるべきだと思いますが、どう思いますか。
  89. 橋本徳男

    橋本説明員 三千万の問題につきましては、これはいままでの博覧会で三千万以下というのはないと思っておりますし、野村研究所の場合でも非常に下限の数字が二千七百万で、上限は三千八百万というふうなことにもなっておりますので、博覧会をやる以上は、三千万というものは完全に確保できると思っております。  それから、運営の問題といたしましては、これはその予算をつけることが運営をかなり制約いたしまして、御承知のように、国民の税金を使う以上は、事こまかなところまでやはり国民の納得という形においての執行をせざるを得ないという形になりますので、これは運営並びに運営費の調達の自主まかないというふうなことで協会との話がついております。したがいまして、あくまでもその原則でいく考えでございまして、絶対に赤字を出さない弾力的な運営をとってもらうことに話がついておりますので、協会のほうでもその考え方で努力しておりますから、赤字は出ないものと私は考えております。
  90. 玉置一徳

    ○玉置委員 答えにも何もなっておりゃせんよ。そういうことを言っておるんじゃないのだ。いままで日本で三べんも四へんも経験したことでこのくらいの人数ということを見積もるのだったら間違いないけれども、君が言うておるじゃないか、野村研究所においても二千七百万と三千八百万、ずいぶん大きな開きがあるじゃないですか。そういうことで通産省の一役人がどんなに思ったって、できぬことはできやせぬですよ。その場合をどうするかということを聞いておるのです。答になっとりやせぬ。  大臣、答えてください。では、親切に、ていねいにもう一回質問をいたします。大臣にお願いをいたします。  課徴金の問題か何か御心配なことがたくさんあるのはごもっともなことなんですが、ただいま質問をしておりますのは、三千万という、まだわが日本では経験をしたことのないような大きな人数の場を見込んだ入場料が大体六割か七割の運営費をまかなっているわけです。そこで、六百円と想定されておった、予想されておったものが八百五十円となりまして、新聞が一斉に、これは高いということの見解を表明したような発表になっております。八百五十円でやられましたときに、三千万があるいは二千万になるようなことになれば、これはたいへんだ。そこで問題は、ほんとうは六百円程度の、非常にみんな入りやすいことにしておくほうが、三千万が三千五百万にもなれば非常にけっこうなんです。そういう意味で、一つは値段を一般国民が入りやすいような値段にとめて、その他運営費にも直接、間接の何らかの助成措置を講じることが望ましいんじゃないかということが第一点。  第二点は、万一、国内の情勢その他で赤字が出ることはあり得ると思います。不可能じゃありません。可能なことです。いま参事官は確実に入りますなんて、冗談を言っちゃいかぬ。通産省の一参事官がそんなことを言えるものじゃない。万一なったときどうするか聞いておるのに、答えもせずに……。そこで大臣にお聞きしておるのは、万一運営費に赤字が出ました場合、非常に一生懸命やっていただいておって、あるいは善良な管理者のような形でやっていただいておっても赤字が出ることがあり得るわけですから、そういう場合には、国が当然あとを持ってあげるのだろうと思いますが、どういうふうにお考えになっておるか。
  91. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それぞれの専門の方が十分に研究して今回八百五十円ということに踏み切ったわけでございますが、これがかりに百円安くてもあるいは二百円安くても、やっぱり心配は、これは七百円あるいは六百五十円にすれば絶対に三千万人は入るとかいったようなことは、これはどうもなかなかきまらない問題じゃないかと思うんですね。それで、もういまこうやった以上は、それに向かってあらゆる努力をいたしまして、それでもなおかつ赤字が出るというような場合には、これはもう総力をあげて、知恵をしぼってその対策を今度は考えざるを得ない、こう思いますので、これでだいじょうぶだということはなかなか言えないような気がいたします。とにかく六百円では心細い。これは国家が直接直営の場合と、それから国が監督者になって、そうして被監督者によって運営されるという場合と、二つあるようでございますが、モントリオールの場合は国が直接、今度は、こちらのほうは万博というものにやらせたわけでございますが、直接の場合には、もう国の責任において、たとえ予定の収入がなくともこれはやらざるを得ない。今度は間接でございますから、それだけ予定が狂った場合には、あと始末はそう簡単ではない、こう思います。第一は、できるだけひとつ目標を達成するように努力する、そうしてどうしてもいかぬという場合には、これはそのときになって考えるということにどうもせざるを得ないかと思います。
  92. 玉置一徳

    ○玉置委員 まあ、椎名さんらしい御返答で、これはやむを得ぬと思うのですが、六百円にしたら三千万人入るということも確定しませんかわりに、八百五十円にしても三千万人は確実に入るということもまた言えないわけです。これはもう将来の問題でありますから、国も、そのかわりにその赤字の場合には全力をあげてお世話をするという姿勢だけは、これはとらざるを得ない、ということで了解をしたいと思うんです。  そこで第二点目でありますが、これはわざわざ万国博覧会法律をつくりまして、国も直接投資としてばく大な数字、それから地方の間接の公共投資におきましても膨大なものがありますわけですが、御承知のとおり、財団法人協会申し出しても、役所がある程度の費用をこしらえ、法律をつくり、地方とお話し合いし、財界とこういうものをつくろうじゃないかといってやっているやつでして、原子力委員会におきましても、宇宙開発委員会におきましても、その他日本では行政委員会というやつで能率をあげる例はあまりないのです。ましていわんや、こういうものをつくろうじゃ占いかといって、政府が直接やらなかった。地方と一緒に相談して二つがやらなくて、財界その他の方々も入ってもらってこういうものをつくろうということで、菅野会長にはまことに失礼ですが、そちこちから、ちょっと有名な才能ある方々に寄り合いをしていただきましていまやっていかだいております御運営、まことに御苦労さんでありますが、これだけの膨大な公共投資その他と関連しまして、これをやらしていくのに、通産省の一局の中では実施はなかなかやりこなせぬ。いま予算が通りまして、ようやく着工したその頭から、こうして建築業者の協力を得なければいかぬというようなことになっておることが新聞に大きく報道される。ほんとうは、国民は初めから心配をぶつけられたわけです。そのようなことで、前のオリンピックの場合にも、専任大臣を置いて強引に最後に押し切ったわけです。人手は不足になる、物資は不足だ、物価は上がる、これからいよいよ最後の段階に近づくにしたがって、不眠不休でしりをたたき回らなければやれない問題が必ず出てくる、こう思うのです。そういうときに、やはり万国博覧会協会が全般の運営をしながら、しかし公共事業なんかのしりたたきは、やはり専門の政府のそういう機関が要るのじゃないか。でたかったら、お互いに、各省ごとになかなかむずかしいのは、日本のこれは事実の問題です。それを協会の、しかも民間人の方々に集まっていただいた全般の計画、中の運営を考えていただくのはこれでありますけれども、設備その他、それまでの施設につきましてはいまのままでは不安でならないというのが、われわれの大体の心配じゃないかと思います。  こういう意味におきまして、何らかの措置を講じなければいかぬ。こういう値段がきまるときでも、せめてわれわれ国会の特別委員会――次の通常国会からは必ずできると思います。ことし一年いいじゃないか、自由な形の推進的なものでもう一年待とうというので待っておるわけでありますが、せめて特別委員会でも国会で早くしておけばよかったと、いまさら思っておるわけです。政府も、このままでこういった公共事業全部を総括していくということはなかなかむずかしいのじゃないかという感じがするのですが、大臣、どういうようにお考えになりますか。
  93. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 オリンピックにおいても、運営に関する非常に敏速に動く機能的な委員会ができたようでございますが、そういうものも考えてはおります。とにかく現状において最善を尽くすという意味におきまして、推進本部をつくり、寄り寄り、事柄によっては特別の小委会組織でこれを推進しておりますが、もちろんこれで十分というわけにいくまいと思う。片手間ではとてもだめだろうから、専任の大臣を置いたらどうかという御意見も前から出ております。私がこういう立場で、いいの悪いの、あるいはごめんこうむる、こう言ってみたところがどうにもしようがないので、私としては最善を尽くし、そして客観的に見てやはり専任大臣を置かなければならぬということになれば、これはひとつもっと高い見地から考えてみる。いずれにいたしましても、当座はこれでまいりまして、そして十分にその状況経過を見守って、そして、これではいかぬ、こういう点がありましたら、それをどんどん解決するように方法を考えなければいかぬ、こう考えております。
  94. 玉置一徳

    ○玉置委員 要するに、協会でおやりいただくようには仕組みはできておりますけれども、いよいよ公共事業なんかと関連のものを実施ということになれば、推進本部の大臣を長としまして、各省の次官がお集まりいただいておる、これではいかぬぞというところまではいきますが、入礼だ、設計だ、どうなっておるかというところまで推進しようと思いますと、あるいは資材だ、労力だ、その他の公共事業は、近畿地方、あるいは全国のものをある程度セーブしなければならぬじゃないかというところまで最後はなるのじゃないかと云うところまで私は心配しておりますので、せめて、専任大臣といわないでも、そういう実施機関の強力なものだけはつくらないと、期日に問に合わぬというようなことになり、あるいは国民の金を効率的に使えないようなおそれがありますので、お願いをし、御注意を申し上げておるわけでありますので、どうぞひとつお考えのほどをお願いいたします。  あとは、モントリオールに行かれました実際面に詳しい塚本さんに関連で若干お願いします。
  95. 小峯柳多

    小峯委員長 関連質問を許します。塚本三郎君。
  96. 塚本三郎

    ○塚本委員 私、しろうととして、一入場者としてモントリオールに行きまして気のついた点を御質問申し上げてみたいと思っております。これは専門家でありませんから、多少ピントがはずれておることになるかと思いますが、しかし、この万国博覧会成功させるためには、しろうとの考えた印象というもの――実は、実際来る人はみな初めて入るしろうとが多いのでありますから、この印象は最も大きな要素になるのではないか、こんな考え方をもちまして、私は深く追及してこれを論ずるわけではございません。しろうとしての印象で、見たり聞いたりした観点から、おも立ったものを、関連して、二、三お聞きしたいと思っております。どなたでもけっこうですから、担当の方にお答えいただきたいと思います。  先ほどから入場料の話が中心に論ぜられておりましたので、これからお聞きしたいと思いますが、入場に対しまして、モントリオールで意外に入場者が多かった最も大きな要素は定期券というもの、一つの定期券をもって何度も入れるということで、入場者が意外にふえてきたということ、金にはならなかったかもしれませんけれども、しかし、あの祭典を盛り上げた最も大きな要素の一つになっておるといわれております。私どもは終わりごろでございましたから何ですが、すべての関係者の中でその声が最も高かったはずでございます。私どもの耳には、今度の万博に対して定期券のことは入っておりません。どんな見解を持っておられるか、これからお聞きしたいと思います。
  97. 菅野義丸

    菅野参考人 モントリオール万国博は、いろいろな意味において今度の日本万国博のいい手本になり、また教訓になるのでございますが、いまお尋ねの入場券の制度の問題でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、前売り券の関係でいま決定を急いでおりますために、おとなの普通の入場券をとにかく前売りをしたいと考えております。そこで、おとなの普通の入場料は幾らにするかということをとりあえずきめるのでございまして、その他の、たとえば回数券であるとかあるいは定期の入場券であるとかということについては、これからなおいろいろな方面の御意見を伺って検討していきたい、かように考えております。
  98. 塚本三郎

    ○塚本委員 定期券をきめるにあたりまして、私は観客の立場から、土台としてこういうことがいわれるのではないかと思います。いわゆる会場の全館を見て歩くのに、私はあそこで五日間たんねんに見て聞いたのでございますけれども、なお何分の一かしか見て歩くことができませんでした。今度日本で行なわれます博覧会場を一観客として見て歩きます場合――専門家ではありません。もの珍しく、多少の興味を持って見る、こういうときに、専門家がすみからすみまでじゃなくて、一旅行者として、観光客として、あるいは国民としておおよそおも立ったところを概略見て歩くには何日問かかるという想定がなされておるか、どうでしょうか。
  99. 菅野義丸

    菅野参考人 モントリオール博覧会は、会場が非常に離れておりまして、広い地域にわたっておったのでございますが、それに比べますと、大阪万国博は非常にコンパクトにできておりまして、ただ入るだけでも万国博の雰囲気というものは十分わかるのでございます。  そこで、いまお尋ねの何日ぐらいかかるかということは、見方にもよりますけれども、少なくとも一日だけでは、ただ万国博の外観を見ただけで、しかも雰囲気を感ずるだけでもって、パビリオンの中までゆっくり見物するということはむずかしいと思います。あとは、パビリオンをどの程度見るかということになるわけでございますが、三日くらいあれば、おもな大きな呼びものになっておるパビリオンは見られると思います。しかし、全部見るには、もちろん一週間くらいの入場は必要だと思います。
  100. 塚本三郎

    ○塚本委員 各国ごとに、たとえばジャパンデーというものがありまして、おもな国、実力のある国、あるいは相当に意欲的な国はそういうふうな特別の行事等をする、そして国家の責任者等も余りまして行事をいたすことだと思います。こういう主たるものとして、そのときに多くのいわゆる祭典が行なわれるはずでございます。それは全期間を通じておおよそ何日くらい行なわれると想定されておりますか。
  101. 菅野義丸

    菅野参考人 私ども、参加国の数は少なくとも七十カ国ということを目標にして進んでおりまして、もしどこの国でも全部ナショナルデーをやるとすれば七十回になるわけでございます。そのほかに州、都市等が参加しておりますので、これはスペシャルデーというものをぜひやってくれ、こういうような要望もございます。したがいまして、百八十三日の会期の間におきまして、おそらく二日に一回かあるい五日に二回くらいはそういうようなナショナルデーとかスペシャルデーというものがあって、それぞれの行事がお祭広場を中心として行なわれると思います。
  102. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういうことを想定いたしてみますると、これは同じ会場の中においても相当大きな変化が出てくるわけです。これは、モントリオール関係者が予想もしなかった、一カ月の間にその予想を裏切った多くの入場者が出てきた、こういう経過等から見てみるとき、同じ人が何日も――先ほどの話で、実は最低三日間はかかるという話が出ましたが、私は、モントリオール日本と比べてみて、コンパクトにできておるとはいいましても、敷地はいずれも百万坪といわれております。そういう点からいいまして規模が彼らより小さくなるとは見られておりませんし、時代が三年間たっておりますうちに、やはりおのおのが趣向をこらして、いろいろな点におきましてさらに内容は充実されると想定されるのが常識でございます。そういたしますと、各有名な国のそういう記念の日というものと全般的なことを合計いたしますと、同じ人が相当何回か見るということを想定することが正しいし、また、せっかく日本で行なうならば、会場の外観だけを上から見させるということではなくて、素通りでもいいから、各館の七十のうちの二十館や三十館は入ってもらいたい、そうすると、少なくとも最低一週間から十日はかかるはずでございます。  そういうことを想定いたしますと、一番親切な方法は、カナダの政府が言っておりますように、定期券というものが最も大きな要素を占めるし、特にこれは子供にとっては、夏休み等におきましては最も大きな社会科学の勉強の機会になると判断されまするし、そこまで持っていくことが必要ではないか。だから、私は、回数券という話が出ましたけれども、土台を定期に置くべきだという感じがいたすわけでございます。そのことがまた会場を最も盛り上げるところの――カナダの成功したのは、実は、お金の面では予算より下回ったといわれておるくらいです。しかし、入場人員だけは三千万が五千万を突破したということは、定期券というものの力が最も大きな力だ、見てさえもらえれば、それは会場の雰囲気を盛り立てますし、それだけ国民に大きな知識と無形の財産を残したことになると判断されます。そういう意味で、私は是が非でも定期券の制度というものを設けるべきだと考えますが、どうでしょう。
  103. 菅野義丸

    菅野参考人 カナダのモントリオールが初めて定期券の制度をつくったのでございます。そうして、各国のスタンプをちょうどパスポートに押すように押したのが非常に好評であったのは、確かに私どもも認めるのでございます。日本万国博にそういうような制度をやるかどうか、あるいは、あれは記名式でございますけれども、無記名式の定期券――持参人というやつですね、ああいうものがあってもいいのじゃないかという意見もございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、これは今後の検討にまちたいと考えております。
  104. 塚本三郎

    ○塚本委員 私どもの見解でいきますと、土台をこれに置くべきであって、定期を中心に考えていくという、特に夏休み等におきます各級の学生の入場などは、私は、小学校から大学に至るまで、これは何といいましても日本が離れ島だというところから考えてみても、海外旅行がきわめて制限せられる国民にとりましては絶好のチャンスだといわざるを得ません。こういう意味から、これを土台にして、そのことを論じていくことが必要ではないか。私ども数名の参りました議員の人たちも、異口同音にこのことを主張いたしておりました。幸い私は、いま入場料のことで気がつきましたから、専門家ではありませんが、このことだけはぜひ実現してほしい、こういうふうに思いまするが、重ねて御答弁いただきたいと思います。
  105. 菅野義丸

    菅野参考人 非常に貴重な御意見を伺いまして、私ども今後その御意見を十分検討いたしまして進めていきたいと考えております。  確かに、近傍の方々は、定期券というものがいかに便利なものであり、また非常に役立つものであるかということは申し上げるまでもないのでありまして、どういう程度にそういうものを出すか、あるいは出すとすればどんな形で出すかというようなこともこれから真剣に検討してまいりたいと思います。
  106. 塚本三郎

    ○塚本委員 近畿圏中部圏等におきましては、日曜ごとにサラリーマンは自家用車でドライブを兼ねて行く、私は当然考えられるところの問題だと思っておりまするし、遠くからの人はキャンプのような気持ちで来まして、一週間くらい泊まり込んで見ていく、いろいろな方法等が考えられますが、私はあのモントリオールのいろいろなことを聞いてみて、しろうとなりに、日曜ごとに子供たちはやってくる、すばらしいことだというふうに思いました。もちろん悪口を言う人は、カナダというところは娯楽設備のないところだから、日曜ごとに何回来ても同じだから入るのだよと言っておりますが、それにしても、すばらしいことではありませんか。そのこと自身が会場を盛り上げておるということと、私は、そういう意味で、サラリーマンが不健全な娯楽に走る傾向が心配されております昨今におきまして、日曜ごとにドライブで家族連れで博覧会場にすべり込むという姿、これはもはや二年後には不可能ではないということが想定されるわけでございます。特に中部圏あるいは近畿圏の人たちにとっては、それは大きな所産になっていくというふうに考えられますから、ぜひこのことは具体化させるように進めていただきたいというふうに要望申し上げるわけでございます。  それから次に、これも私どもが参りましたときに想定いたしましたストライキの、いわゆる労務対策の問題でございます。会場の中ではいわゆるストライキを行なわないように、事前にあらゆる事態を予測して労務協定をしておいだそうでございます。ところが、その会場に入りまする一般の交通機関に対する労務対策の配慮がなされておらなかったということでもって、一カ月間全交通はストップになってしまいました。そんなことからえんえんと車の長蛇の列で、帰りなんかはひどい状態が続きました。私どももそんなことでもってずいぶん足どめを食わされた経験がございます。報告書の中には、こういうふうな状態でも入場者がたくさんあったということが書いてあるだけでございますが、これはやはり、私ども革新の政党であります議員の立場からも、一緒に行った社会党さんの議員と話しておったのですけれども、これは事前に十分にあらゆる事態を想定いたしまして、外国のお客さまに御迷惑をかけるということは、これは政府だけじゃない、労働団体にとっても好むところではないはずなんだから、十分に前もって話し合って想定しておくべきだということを現地で話し合って――そういうことで足どめを食わされたから、実感を持って味わったわけでございますが、この点の具体的なことに対して配慮がなされておるか。どうでしょうか。
  107. 菅野義丸

    菅野参考人 その点はモントリオールのデュピー会長からも特に石坂会長に忠告がありまして、これはモントリオールとしても失敗であったと言って、再び前車の轍を踏まないようにという御注意があったほどでございまして、石坂会長もわれわれも非常にこの点は関心を持っており止して、よりより組合の方々なんかと話はいたしております。しかしまだ別に協定ができたとかなんとかじゃございませんけれども、いままでの話し合いでは、万国博は特別なものであるという御認識が十分先方にあるというふうに信じております。
  108. 塚本三郎

    ○塚本委員 相手方、労働組合側にそういうことを期待するよりも、前もって当局と十分に了解でさるだけの話し合いをして、あらゆる事態を想定して準備を進めていただくことが必要ではなかろうかというふうに――これはたいへん深刻な問題であったはずでございます。  次は、日本というところの特有の季節の問題を建設にあたりまして配慮しておく必要があると思うわけでございます。梅雨のとき、あるいは台風の時期、外国にはこういうものの判断というものが乏しいと思うのです。だからパビリオンを建設する場合に――私が参りましたときも、イギリス館は張り子の建物でございますから、めくれてみっともない状態で、あわてて修理をしておりましたあるいはドイツ館におきましては、これはテンしでございましたから下は吹きさらしでございます実に合理的だなと快晴のときには思いましたが、雨の降った日には実に気温が下がっておりまして、中におるお客さんはふるえておりました。ひっそりいたしておりました。何度か行くうちに長所とともに欠陥をさらけ出しておったことも私どもは見てまいりました。これらはやはり、ドイツ人にはそのことがわからなかったと思うのですね。梅雨だとか台風だとかいうものも日本特有の現象であろうと思います。そうであればあるほど、建設に対する配慮、親切な指導というものがなされなければ、君たちの特有なものを芸術的に建てたらいいだろうということではいけない。日本の特殊な季節というものを前もって連絡をして、こちらもそれに対する配慮をしてあげるべきではないかということを痛切に感じてまいりました。したがって、雨降りの日には観客は全くひっそりしたものでございます。こういう激しい波があの入場者の中にはあったはずでございます。こういうことを十分に計算に入れてやらないといけないのではなかろうか。なかんずく日本は雨の多い国でございます。会場から会場までの間かさを持ってこうやって走っていくという姿を私どもが想定いたしまするとき、近距離の間はいいのですが、離れた距離の間におきましては地下道を、歩いていくだけのものでいいからつくるとか、あるいはミニレールで会場の中を見物がてら運んでおりましたが、これは吹きさらしの箱でございました。これらも雨にも耐え得るような形を考慮するとか、何らかの形で季節に対する処置というものを講じておかなければ、建物も吹きさらしになって、そうして実は各国のせっかくの建築物がその真価を発揮することができないという悲劇も高じますし、そうしてまた観客も、行きましても全く迷惑の受けどうしという形が生まれてまいりますると、勢い次から雨降りには来ないという形が出てきてしまうわけでございます。こういう点に対する何か特別な考慮が計画に際しまして払われておるかどうか、どうでしょうか。
  109. 菅野義丸

    菅野参考人 二点でございますが、第一点は、外国の、要するに日本事情に十分通暁しておらない国々のパビリオンの建設に対してどういう措置をしているかという点だと思いますが、その点につきましては、かねてから建築マニュアルをつくりまして、日本の会期中の気候あるいは雨の程度、風の強さ、方向というものは全部知らせてございます。それからこの五月の二十七日には政府代表会議の第一回をやりますが、そのときには建築関係の専門家もぜひ連れてきていただきたいということをお願いしまして、専門家の分科会もやりまして、そういういまお示しのような点について十分インフォメーションを差し上げたい、こういうように考えております。  第二点は、協会がいろいろ施設をやる、その施設について、日本の気候にどういう特別な考えを持っておるかという点だろうと思いますが、私どもも雨とそれから暑い夏の炎天を避けるためになるべく屋根を多くとっております。たとえばお祭広場というようなところには非常に大きな屋根を用意して、いままでかつてどこの万国博にも例のないような、広場に屋根をかけて、雨が降っても暑い日がさしても大丈夫のようにしております。また、おもな通りの装置道路というものは、必ずしも動く歩道でないところでも全部屋根をかけまして、雨のかからないように、あるいは炎天のときに強い日光にさらされないように用意をいたしておる次第でございます。また、地域冷房というようなものも、これはいままでかつて例のないところでございまして、これができればおそらく世界最大の地域冷房になると思いますが、これも日本の蒸し暑さというものを少しでも防げるようにという考えで私ども計画しまして、各国にもそれを利用してもらう、こういうことを考えております。
  110. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間がないようでございますから、私全部一括してお聞きいたします。モントリオール成功しておるところの最も大きな理由は、先ほど申し上げた定期券の問題と、もう一つ、私たちが観察しました会場そのものの中に、きわめて躍動的な動的なものが支配しておった、こういうことであったと思うのです。このことは、お客さまが来ても、ただ見て歩くだけでなくて、動く状態、動的なものが最も生き生きとしたものにさせておったということ。地理的に見て、あのセントローレンス川の美しい流れの中で船が浮かんでおるように二つの島が並んでおる、そういう環境そのものにもあると思うわけでございますが、日本の場合もやはりそういう水の流れというものを――これは山でございますから無理かもしれませんが、ともかく動的なものを、どこを見てもどこかが動いておるという、これはやはり観客の心を非常に生かしていくという大きな力があったと思うわけです。ミニレールが上を走っております。あるいはまた、最も人気がよかった展示場はどこであるか、チェコ館だといわれております。これも出たり入ったりする電子何やらで、映画のような形、たいしたものではないと思いました。しかし、動いておるということ、あるいはまた、ファッションショー等を常に行なっておったとか、あるいは電気館がいつも超満員であったのは、全面におけるところの九画面を通じて、映画が立体的に行なわれておったとか、あるいはケベック館が、下から上へ動くに従って、景色が変わってくるとか、ともかく、子供のような表現でございますが、われわれおとなどもが見ても、ああなるほど、くふうしておったな。おい、ケベック館を見てこいよ。行きますると、そういうことでなかなかくふうがこらしてあるということ、こういう動くということ、ともかく会場の中を、水の流れを中心といたしまして、パビリオンの中においても動くものが人気を集中させたということ、こういう意味におきまして、千里山は水を活用することの可否はいろいろ問題があろうと思いまするが、いずれにいたしましても、やはり動くという立体的な動的なものを中心に置くということが、さらに何回か同じお客さまを会場の中に引きつける最も大きな要素だ。同じあるものをそのまま見にいくのではなくて、それが様子が変わっておるということ。このことを私は強調すべきではないか。  それから、第二は食堂でございます。どこの食堂も超満員、長蛇の列をなしております。それは、昼になったらめしを食べさせればいいという、おなかをふくらまさせるための食堂ではないのです。博覧会における食堂というのは、その国のいわゆる食生活の中心的、誇るべきものを、そこで、その国に行ってレストランに入ったと同じような気分を味わわせるということでございますから、きょうはフランスの食堂、きょうはイタリアの食堂、きょうはアメリカ、ソビエトと、そうして行くたびに、私どもも同じようなことで、時間がないときだけは日本館に入って日本食を食べましたけれども、そうでないときは、好きであろうときらいであろうと、違ったところへ行っておる。このことは、各国の人もみんなそういうふうな状態でございまするから、食堂は、ちょっとホットドッグ食べてコーヒーを飲んで終わりというようなことは、あまりしないわけでございます。だから、どこの状態も、お昼になると食堂は長蛇の列。博覧会成功させる最も大切なものは食堂がその一つなんだということを、事務総長も私どもに力説をしておってくれたわけでございます。これで二時間も並ばされたら、これはたいへん貴重な時間がそれでそがれてしまう。しかし、大体二時間ずつはおもな国の食堂は並んでおったように見ております。したがって、日本の諸君にも、この点だけは十分に忠告申し上げる、こういうことを、事務総長も別れぎわに言っておってくれました。私は貴重な意見だと思います。それは忙しくなれば、そのあたりでパンを食べれば、そういうところは幾らでも出ておりますが、にもかかわらず、二時間も並んでおるというその観客の心理は、やはりイタリアに行って食事をしておるんだという気分を入った人に味わわせる。チェコに行ってそこで食事をしておるんだということを味わわせる。こういう意味で食堂に対しましては大きなスペースをとって、これが準備を――その点日本はじょうずでしたね。お盆に盛ったまますっと出せばいいのですから、何回転も回転するのですが、よその国は、昼は一回転だけ、夕方一回転だけでございますから、ひどい状態になる。こういうことで、開く前に一時間ぐらい前から並んでおる。こんな現象さえも起きておる。何だ、食事をするのに並んでおると思うのですけれども、行く人にとっては、食事をすることも、また博覧会におけるところの大きな意義があるということを、やはり観客の立場になると、そういうことを痛感をいたしました。したがって、その点特に日本は多種多様な食事形態をとっておりますから、そういう点大きな関心を引くのではなかろうか。  それから次に、売店でございまするが、これもまた最も魅力あるものに観客にはなっておったと判断いたしております。どこの売店も、ずいぶんたくさんありましたが、常にお客さまが一ぱい入っていました。これは税関の関係等もありますから、やたらに各国の特産物を廉売するわけにはまいらないでございましょうが、小額のものを手ごろに買うという意味におきましては、私はこれはまた、売店だけ見て回っても二日間はかかったと思っております。しかも、ほんとうに楽しそうに各国の小額の、金額の少ない手ごろなみやげ品というもの、これもまた大きな人気を呼んでおって、それがために入ってきた。これはもう外国へ行って宝石を買うようなお金もうけのための、金持ちの道楽じゃなくて、ほんとうに市民がその特産を千円か千五百円で買ってくるというこの心理というものも、私は博覧会を盛り上げる意味におきまして、最も効果的な演出をしておったように思います。特に日本人は海外旅行等の中におけるみやげ品の魅力というものは非常に大きな潜在的な力を持っておるようでございまするから、こういうささやかな市民に対する手ごろなみやげ品、各国の特産のこういうものに対しては、特段の配慮をしていただくことが、これまたこの博覧会を盛り上げる意味におきまして大きな意味があるのではなかろうか。  最後に、変な話でございまするが、博覧会にとって、膨大な人が入ってくるとき最も気になるのは何か、便所と休憩所だ、こういうことを事務総長が言っておりました。もうとにかく多過ぎるというほど便所と休憩所だけはつくっておかなければいけないのだぞ、博覧会成功させるところの秘密は食堂と便所と休憩所なんだ。歴代の事務総長は次の事務総長に、このことを伝えることが義務だと私は思っております。成功させるのは、この食堂と休憩所と便所というものが最も大事な要素なんだ、これは事務総長として申し上げることが義務だと思います、こんな表現まで使っておったことを、いまでも忘れることはできません。  以上、三点につきまして御質問と意見を述べて、私の発言を終わらせていただきます。
  111. 菅野義丸

    菅野参考人 いろいろ貴重な御意見を伺いまして感謝にたえません。  まず第一に、動くもの、ことに水でございますが、モントリオール万国博の会場は全くうらやましいように水が豊富でございまして、非常にりっぱなものでございましたけれども、吹田の会場は御存じのとおり山の中でございまして、あれほどの水はとうてい望むべくもないのですけれども、ただすりばち型になっております底辺は人工湖になっておりまして、また高いところからだんだんに水をおろしていくようにして、あるいは滝をつくったり、あるいは各パビリオンにそこから水を供給したりする、こういうようなしかけになっております。そうしてその人工湖には、いろいろな噴水とか水の芸術のようなものを考えておりまして、夜間はそれを照明し、音楽もそれに従って出すというようなものも考えております。  それから各国のパビリオンの中の様子を見ますると、モントリオールの実際の人気を得た館のやり方が非常に参考になっておりまして、いままで私どもが承知しております各パビリオンの中の展示の計画は、非常に動くものが多いのでございます。映画はもとよりのこと、人形その他のものが静止しておるよりか、むしろ動いておる、こういうものに人気が必ず集中するであろうと思うのでございます。  それから向こうではミニレールが非常に活躍しておったのですが、私どものほうでは場内を一周するモノレールをつくりまして、これは無料でもって乗せることになっておりますが、高いところを通りますので、会場を全部一回り、一望のもとにできるような状態になっておりまして、また動くものという点から見ますと、非常に魅力的なものになると思います。  第二番目の、食堂でございますが、食堂は確かに私どもも参りまして不足がちであったと感じましたし、またモントリオールの当局もそれを直感しまして、途中でずいぶんラ・ロンドのほうにふやしておりました。私どもはその実際の経験を参考といたしまして、全部でもって二万七千席くらいの食堂を考えております。この中には各パビリオンの中の、いわゆる高級な食堂のほかに、軽食あるいは非常に簡単なものも入っておりますけれども、とにかくみんなが安心して食事ができるような十分な余裕を持った席をつくっております。それから各国のパビリオンの中の食堂というのは、どうもその国のやり方でもって行ないますので、お話がありましたように昼間一回、夕方一回というような非常な能率の悪いものでございますが、おそらく日本人の多くの人が各国の食事をしたいという希望があるだろうと思いまして、これはぜひうまいもの街というようなものを考えております。これはシンボルゾーンの南側のところにいろいろな各国さまざまな形の食堂をつくりまして、そこで各国特有な食事ができるというようなことも考えております。また、日本ではよく弁当を持ってまいる人が多いのでございまして、こういう人たちは無料の休憩所を提供しまして、そしてそこでお茶ぐらいは自由に飲めるようなことも考えております。  それから第三点の、売店でございます。これもまことにお話しのとおりでございまして、これは各国からいろいろな物産を持ってまいりまして売る、その売店が非常な人気を得るのでございますけれども、これはどこの万国博でもそのパビリオンの中では客が非常にたまりますから、簡単なもの以外は売らせないことになっておりまして、今度の大阪万国博でも、各展示館の中ではいろいろなものを売るということは原則としてはできないことになっています。絵はがきだとか印刷物のようなものはけっこうですけれども、その他いろいろな品を選ぶようなものは売らないことになっておりますけれども、そのかわりに各国の売店をつくります。これも国際名品店というようにかりに言っておりますけれども、そういう名店街というようなものをつくりまして、これは参加した用はできるだけそこに売店を出して、各国それぞれの安い、また手ごろなものを売るようにということを考えております。  最後に、便所、休憩所につきましては、これはもうモントリオールでも確かに少ないし、また表示が十分でなかったためにずいぶん不自由をしたようでございます。そこでわれわれのほうとしましては、数を増すばかりではなく、この案内といいますか、表示を至るところにやりまして、そしてどこにあるかということがわかるようにすると同時に、お年寄りの方とか子供などがそこまで行くのが非常にたいへんだというときには、移動便所というようなものも考えております。これは自動車でもってずっと回りまして、それで簡単に田が足せるというようなことを考えております。これから休憩所は、先ほども申しましたとおり七つの広場がございますが、その広場には必ず休憩所を置きまして、無料でもって休んでいただくというふうにいたしまして、なるべく疲れを知らないで楽しく中が見られるようにということを心がけております。
  112. 塚本三郎

    ○塚本委員 一分だけ最後に意見だけ述べさせていただきます。いまお話がございましたように、ともかくそういうことでいわゆる各国の行事が幾つかございます。あるいはまたパビリオンの中におきますところの映画等のいろいろの展示等を見ておりますと、一日二、三館で過ぎてしまうはずでございます。食事を食べるという楽しみもございます。あるいは買いものにくるといういわゆる楽しみもあります。したがって私は、これさえ成功するならば少なくとも近くの人は十回は入るのではなかろうか、こんなことを想定いたしますと、どうしても定期券だけは設けておくということが最も大切なポイントになる、こういうふうに思いますから、重ねてこの点は実施していただきますように要望申し上げまして、発言を終わらせていただきます。
  113. 小峯柳多

    小峯委員長 岡本富夫君。
  114. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に対する法律の一部を改正する法律案につきましては、先般の委員会で同僚の近江委員からしておりますが、私は数点だけお聞きしたいと思いますから、時間もありませんから明瞭にひとつ答えていただきたいと思います。  そこで、この万博については、非常に各国とも注目もしておりますし、また先ほどからも聞いておりまして、非常に総合計画というものは進んでおる、こういうように思いますが、この入場料につきまして現地のほうでは六百円が八百二十円になった、それから三百円のが四百二十円になった、また新聞には八百五十円、こういうようないろいろな説が飛んでおりますが、これはやはり早くきめて、それだけの総合計画と予算、そういうものができればこれは早くきめなきゃならぬ、こう私は思うのですが、早急にというようなことではいけない。したがって、いつこれが決定されるか、まずこの一点についてお聞きしたいと思うのですが、菅野さんにお願いします。
  115. 菅野義丸

    菅野参考人 協会の予定といたしましては、明日の午後開かれます緊急常任理事会及びそのあと理事会において何とかきめたいと考えております。ですから、特別の支障のない限りは、明日にはきまると思います。
  116. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それにつきましてのいろいろな意見は、先ほどからもいろいろありましたから、それはそれでおきますが、聞くところによりますと、シンボルタワーの件ですが、万博の基本計画、この設計をなさったのが東大の丹下教授である、こういうように聞いておりますが、約二百メートルのタワーの計画である、しかし建設費が二十億かかる、協会側としては資金が不足で百七十メートル、七億円を希望しておる、しかし丹下教授はそんな小さいものではつくらぬほうがいい、こういうような話があった。そこで三菱グループがその寄付を申し出て、施設参加をする、それに対してこれは常任委員会ですか、で認めたちょうどそのときに堀田さんですか、会長さんですか、この人がアメリカに旅行中であった、そのあと菅野さん、あなたを中心にして今度は航空機のじゃまになるかどうか、こういうような点についても航空局にも問い合わした、しかしそれは問題にならない、それで常任委員会で一応決定したが新聞にもそういうことが予想されて発表された。しかしながら、この堀田さんがアメリカでそのことを聞いて、これは一ぺん中止してもらいたいというような話があった、こういうことがあったわけですかどうですか。
  117. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいまのお話はだいぶ前のことでございまして、現在の予算とは関係ないのでございますが、世界で一番高い塔がソ連の四百何十メートルというのがございますが、そのくらいのものを建てたらどうかという話がございまして、その費用を計算してみますと、これは二十億以上かかるのでございます。とても協会ではそんなものを建てる余裕もないというような話をしておりましたところが、三菱グループのほうで、それでは自分のほうで建てたいというような希望が口頭で申し出があったのでございます。そこで、それじゃ三菱グループにそれを頼むとすれば、どういうような支障があるかということをいろいろ検討いたしまして、すべての点は解決したのですが、航空問題でもって運輸省と相談したときには、現在の法律あるいは規則の上からいうと支障はないというような話で、これはだいじょうぶかなと思っておりましたところが、伊丹の空港の現場をやっておりますほうから、なるほど現在の法律規則からいうとあの場所は制限ないけれども、これはもう、当然あの場所は制限区域にすべきところであって、そういうことがわかっておるところへそういうものを建ててもらっては困るというような話がありまして、これはもう絶対であるということに考えまして、せっかくの三菱グループの申し出であったのですが、お断わりしたようなわけでございます。堀田副会長からアメリカからこの点について電話がかかってきたというのは、別に反対というわけではなく、様子がよくわからないというので事情を聞いてきたようなわけでございます。しかし最初にも申しましたとおり、この案はもうすでになくなっておりまして、その後国会の承認をいただいた予算では、七億五千万円の経費で一応百二十メートルくらいのものをつくるということになっておるわけでございます。
  118. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の言わんとするところは、三菱あるいは住友、要するに業界が――この新聞報道によりますと、皇太子に名誉総裁をしていただきたいというような、日本をあげてのこの行事に、競争意識といいますか、不団結の姿を示しておるということは、私はこれは問題だと思うのです。その点について、この一つのあらわれた事実から見まして、ほんとうに一致協力して日本全国がこの問題に当たっていこう、また財界人が当たっていこう、こういうのならば私はうまくいくと思いますが、この一つの事例を見まして、何かことばの表現はあれですが、競争意識あるいはよそのグループをけ飛ばすというような考えがあれば、これはもうたいへんだ、こう思うわけです。この点について、そういう感じは菅野さんどうでございますか。
  119. 菅野義丸

    菅野参考人 いまのお説はまことにごもっともでございまして、いやしくもこの国家的な事業に対して財界といわずどこといわず、不要な争いをするとか競争をするとかいうことは、これは慎むべきであると私も考えておりまして、現在のところそういうようなことでもって博覧会準備運営に支障のあるようなことはいままで気がついておりません。私の感じでは、万国博ということについてはかなり、どこの方面でも幸いにしてみんな一致した態度で推進をしていただいておりまして、私ども心から感謝すると同時に、責任の重大さをますます感ずるのでございますけれども、ふだんいろいろな意見の相違があっても、事万国博になりますと、みんな一致して激励、推進してくださるようでございまして、非常に感謝しておる次第でございます。
  120. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この万博の担当の大臣通産大臣ですが、非常に工事がおくれておるように思うのです。それで四十二年度の八十二億円の予算のうち、推定四十六億が四十三年度に繰り越された、そういうように聞いておりますが、非常にこの工事が、四十三年から四十四年に対して集中してくる、こういうことは通産大臣御存じでしょうか。
  121. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 その後幾らか回復いたしまして、ただいまのところ、大約一月くらいおくれておるそうであります。
  122. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それで現在、調べますと大体千五百人くらいの労務者が入っておると推定されるのですが、四十三年の夏から四十四年にかけまして、最低五万人くらいの労働者が入らないとこれはできない。そこで大体住宅はプレハブ住宅を建てる、こういうような状態になっておりますけれども、   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 すでにいま千五百人の人たちが来て、そしてこの横には、御承知のように夢の大ベッドタウンといって、千里のニュータウンがあるのですが、ここで暴行あるいはまた家屋破損、窃盗あるいは交通事故、大体三百六十一件を数えておるわけです。そうしますと、五万人にもなってきますと、また相当なことが起こるのではないかという、現地の人たちは不安を感じているわけです。そこで、住宅以外にどういうような娯楽設備、あるいはまた、この労務者の人たちによってこういういろいろなことが起こらないように、できれば千里ニュータウンは隔離してもらいたいというようなこともいっているわけですが、これは橋本さんいかがですか。
  123. 橋本徳男

    橋本説明員 確かに労働者の問題につきましては、そういう事件の発生したということは聞いておりますけれども、これが直接その万博関係労働者がやったかどうかということについてはどうも必ずしもそうでもないようでございますが、今後におきましてそういう問題が起こらないように、地元におきまして、これは警察ばかりではなしに、協会並びに建設業者一体になりまして協議会をつくりまして、そこでそういうことのないようないろいろ措置をやってございます。それから娯楽等の施設につきましては、もちろんたとえば会場の中に約一万戸の労務者住宅をつくるわけでございまして、そのときに警備あるいはその他労働者の生活としてふさわしい程度のものはいろいろ考えたいというようなことを、現在地元では考えておるようでございます。
  124. 岡本富夫

    岡本(富)委員 地元では考えておるようでございますというよりも、これは私は何と申しましても、こういう事業が始まれば、そこに付随するところの公害とかあるいは災害、あるいはまたそういうような、先ほど私が申しましたような思わない事故が発生するのがあたりまえなんです。それに対してどういうような指示をし、またどういうような手を打つように、協会のほうに、あるいは各業者に、あなたがはっきりした明示をしているかどうか。それは向こうのほうでやっているようでございます、では、この万博担当の省としてはちょっとおかしいと思うのですが、どうですか。
  125. 橋本徳男

    橋本説明員 公害の問題につきましては、これは公害といいましても非常にたくさんございます。たとえば物価等の値上がりがしないようにというふうなことで、農林省並びに現地の農地事務局と、野菜生産出荷安定法に基づいた計画的な生産と出荷の調整をやるというふうなことで、現地にそういう指示をやっておりますし、それからそれ以外にも、たとえば建設途上におきましても、トラック等の資材輸送のために交通事故等が起きないようにということで、特に工事用道路につきましては、ガードレールとかあるいは陸橋とか、こういったものをつくるようにということで、会場周辺の特にふくそうする道路につきまして、四十三年度約八千万円程度の金を大阪府におきまして用意いたしまして、そういう工事を現在やっております。それ以外にも、たとえば先般会場の西側のほうにおきましていろいろ砂煙等の問題が起きましたので、これはさっそく協会からそういう近隣、近傍の住宅に迷惑がかからないようにということで、ダストグリーンといいますか、そういったようなものをさっそく散布してじんあいの防止につとめたといったようなことで、そういう形におきまして公害防止に現在つとめております。
  126. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の言っているのは、現在でも千五百人入ってきてこういう状態であり、またいまあなたが言ったように車の公害で手に負えない、総合病院も悲鳴を上げている、こういうようないろんな新聞報道も出ております。現地の人も困っておりますけれども、一つ一つについて、これはこういうようにしなさい、これはこういうようにするというような、はっきりした命令を出したか、通産省から、万博担当の大臣としてそういう責任あるところの処置をとったかどうか、これを聞いておるのですが、どうですか。
  127. 橋本徳男

    橋本説明員 特に通牒という形においては出しておりませんが、現在におきましては、万博対策本部におきまして一つ一つの問題を詰めておる次第でございます。
  128. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それは現在千五百人が今度は五万人くらい入ってくるようで、この千里ニュータウンの近所の人たちは非常に不安がっているわけです。それに対しては、隔離するとかあるいはどういうようにこれを解決するというはっきりした手段、方法がございますか、どうですか。
  129. 橋本徳男

    橋本説明員 現在段階におきましては、資材輸送の問題等を先般来ずっとやっておりまして、実は本日の二時から大阪府、労働省、それから大阪市寄りまして、万博対策協議会の幹事会をやって、たまたま労務の問題労務に関連する諸般の問題というものを現地と話し合い、対策を考えるということになっておるわけでございます。
  130. 岡本富夫

    岡本(富)委員 時間がありませんから、この問題について通産大臣責任を持って、千里ニュータウン――これは夢のベッドタウンといいまして大阪ではいま一番優秀だそうなんですが、その付近の人に迷惑をかけないように手を打ちますという、こうしたはっきりした答弁をひとつ大臣からいただきたいと思いますが、どうですか。
  131. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 現地の当局と十分連絡をとりまして、そういう不安を与えないようにいたしたいと思います。
  132. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次は最後に、建設省の方見えていますね。零細企業は万博のために倒産をだいぶしているというような報道がありますけれども、事実私もこの状態を見てまいりましたが、万博仕事をするという名を求めるだけで非常に無理な受注をしておる、また労務賃がどんどん上がって、そして建築会社が相当倒れておる、こういう状態であります。この問題について今後予防、あるいはまたこういう建築業者に迷惑をかけないようにするにはどういう指導をなさるおつもりですか、これをお聞きしたいと思います。
  133. 桑山行夫

    ○桑山説明員 建設業の倒産の問題でありますけれども、その原因につきましては、中小建設業者の経営能力など内部的要因に基づくもののほかに、中小建設業者の乱立というような現象に基づきます過当競争が一段と実は激化いたしまして利益率が低下しているというような構造的な要因に基づくものがあるというふうに認められるわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、これが対策といたしまして、やはりまず第一に中小建設業者の近代化を推進する必要がある、こういうふうな観点から中小企業近代化促進法に基づきまして、現在土木工事業につきましては昭和四十一年度に近代化基本計画を策定いたしまして五カ年計画でこれが近代化をはかる、こういうことで実は推進いたしております。建築工事業につきましては実は四十二年度の法律の指定業種になりまして、現在これが基本計画の策定という作業を進めているわけでございます。なお四十二年度の指定業種といたしまして、さく井工事業が指定を受けましたので、これが実態調査を現存やっておる段階でございます。  なお、中小建設業者のいわゆる経済行為の効率化というものを進めていきます上におきましてやはり組織化が必要であろう、組織的な活動を推進する観点からいわゆる設備の共同保有、金融の円滑化または生産性の向上等を目的といたしまして、いわゆる中小企業等協同組合法に基づきます協同組合を推奨する、それからまた、新しい法律でございますけれども、協業組合というようないわゆる組織的な経済活動を推進させるということで指導をいたしております。  それから第三点といたしましては、やはり中小建設業につきましては、その健全な発達という意味から、その受注機会の確保をはかってやることが必要であろうというような観点から、発注調整を厳密にいたしまして、いわゆる大手業者が中小規模の工事にみだりに入ってこないように、等級別の区分を明確にして、その受注確保をはかってやる、こういうふうな指導をいたしますと同時に、さらに施工能力を向上いたしまして受注機会の確保をはかってやるという意味から共同請負制度、いわゆるジョイントベンチャーと申しておりますけれども、ジョイントベンチャーの推進を実ははかっているわけであります。  以上申し上げましたような中小企業に関する施策をさらに推進いたしますことによりまして倒産の対策というふうなことで進めているわけでございます。
  134. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それは一般の建築業界あるいはまた中小企業に対する施策ですから、そういうことはわかっておりますけれども、報ずるところによりますと、建設費の五百二十三億円、これが税金で、この工事をするために業者が集まってくるわけですが、元請の会社がどんな下請を使っておるのか、そういうことの実態の調査を完全にしてない。そういうところから、たとえばそれだけの能力がないのに、あるいは赤字受注とみすみすわかっておるのに受注をしておる、こういう面について協会のほうではチェックし、あるいはまたその状態をよく把握をなさっておるのでしょうか。ひとつお聞きしたいと思います。   〔鴨田委員長代理退席委員長着席
  135. 菅野義丸

    菅野参考人 協会といたしまして、請負契約をする場合には、これは下請をするということはある程度認めておるのでございますが、その下請業者の名前は必ず協会のほうにも通知していただきまして、信用度あるいは工事能力というような点をチェックいたしております。ただ、その下請業者がまた下請をさせるような場合もございまして、これも本来ならばあくまでも追及してやらなければなりませんが、ごく一時的なものもあるようでございまして、これを全部手にとるようにわかるというような状態になっておらなかったのでございます。たまたま先般ある業者が途中でもって倒産したというようなことがありまして、私どものほうでも従来のやり方では不十分であるということを感じまして、今後は下請であろうが、そのまた下請であろうが、全部これは協会としては納得がいくようにチェックをしていきたい、かように考えて、元請業者と相談して実行しつつあるところでございます。
  136. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最後に、万博はうまく開催できたけれども、そのあとを見たら業者がまくらを並べてみな戦死していたというようなことでは相ならない。したがいまして、どうかひとつさらに強力にその面も注意をしていただきまして、そしてみんなが犠牲のなかった、またみんながあとでよかったというようなりっぱな開催をしていただきたい。それを最後協会のほうにお願いをいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
  137. 小峯柳多

    小峯委員長 暫時休憩いたします。  なお、本会議散会後再開の予定であります。    午後一時五十一分休憩      ――――◇―――――    午後三時四十八分開議
  138. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  139. 堀昌雄

    ○堀委員 通産大臣にお伺いをいたしますが、この万国博というのは、国民に対して政府は何を期待し、何をしようとしておるのか、それをひとつ通産大臣お答えをいただきたいと思います。
  140. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 万博のテーマは、申し上ぐるまでもなく人類の進歩と調和ということになっておりますが、特に日本の国民に対して、どういうことをしようとしているのか。私は、やはり世界に向かって日本の過去、現在及び将来の姿を示すとともに、日本の国民に対しては、日本の国民の文化というものをこういうことによって海外にこれを知らしめ、同時にそれによって日本の国民一人一人の自覚と反省を求めるというところにあるのではないかと私なりに考えております。
  141. 堀昌雄

    ○堀委員 いま大臣のおっしゃったように、確かにこの博覧会というのは海外に対する一つの問題と、やはり国民に対する一つの問題と二つに分けて考える必要があるだろうと思います。とかくこれまで論議されている中には、海外に対するものについての比重がやや高いかのような感じがいたしておるわけですけれども、やはり海外から出品されたものを国民が見ることによって国民の教養を高めるというか、文化的水準を高める働きがこの万国博の中には非常に大きなウエートを占めておるものじゃないか。要するに皆さんが出しておられる入場者の状態を見ても、大体三千万人のうちのほとんど大部分というのはわが国の者が入場することになっているわけでして、海外からの方との比較をすれば、海外からの入場者というものは、この三千万人の中で二千九百十万人がわが国民ですから、九十万人程度というものが予定されておるにすぎない、こういうふうに思います。ですから九十万人の者が受け取って帰るいろいろな影響もきわめて重要だと思いますけれども、やはり私は二千九百十万人と推定をしておるわが国民がこの万国博を通じて得るものが非常に大きいのではないか、こういうふうに考えておるわけです。その点、大臣はどうでございましょうか。
  142. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 海外の文化に接し、その真髄を吸収することによって日本の国民の文化的水準というものを高める努力をするということに、そこにこれからの日本の国民としての新しい使命を自覚するというようなところまで持っていきたいような気がするのです。
  143. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、先ほどまで何回かお話が出ておりました問題ですけれども、目的がいまのように国民に対する一つの教育の場、あるいは啓蒙の場、こういうことになるならば、できるだけ広く国民がここへ来てものを見るということのほうが、実は主ではないのか。博覧会運営費を生み出すということが主であって、国民にいかにしてこれを見てもらうかということが従であるということになってはならないのではないかと思いますが、大臣どうでしょうか。
  144. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 もちろん御指摘のとおりだと思います。
  145. 堀昌雄

    ○堀委員 そうならば、やはり先ほどからずっといろいろ議論がされておる入場料の問題というのは、私は非常に重要な課題の一つになってくると思うのです。先ほどからの質疑をずっと聞いておりまして、いろいろとわからないことがあるわけですが、まずわからないことの一つは野村の経済研究所というのに依頼をされた時期と、それの回答といいますかレポートが提出をされた時期はいっか。事務当局でけっこうです。万博のほうからでもけっこうです。
  146. 菅野義丸

    菅野参考人 野村総合研究所に依頼いたしましたのは、たしかいまから二年くらい前だと思いますが、それで実際の調査をいたしましたのは四十一年の七月に行なったのでございまして、昨年の初めにその結果を私のほうでちょうだいしたようなわけでございます。
  147. 堀昌雄

    ○堀委員 昨年の初めどいいますと、正確にはいつですか、何月ですか。
  148. 菅野義丸

    菅野参考人 四十二年の二月二十八日でございます。
  149. 堀昌雄

    ○堀委員 野村総合研究所というのは、野村証券に付属しておる研究所ですね。そうじゃないですか。
  150. 菅野義丸

    菅野参考人 さようでございます。しかし外用の大学等とも一緒にやって研究をしておるところでございます。
  151. 堀昌雄

    ○堀委員 経済の研究所であるならば、問題を把握する場合にはやはり私は経済的な観点からの把握がなければやや問題があろうかと思っておるわけです。そこでこの問のお話では、上限と下限帯二千八百万人と三千五百万人でしたか、幾らか上限と下限があって三千万人が適当だ、こう判断序されたというわけですが、ここで私が疑問に思うのは、何人入場するかということはこれは経済的行為との関連で起こるわけです。ただではいれるのなら、経済的行為を離れて、地域的な住民の数なりアンケートをやって、何にどういう層が関心があるということでいいでしょう。金を払って入る以上は、要するに一万円なら何人、五千円なら何人、千円なら何人、五百円なら何人、三百円なら何人という経済行為との函数上の数字としてこれが把握されていないようなものが、一体入場者の推定に役に立つのかどうか。一体あなた方は、副会長も経済のほうのお仕事をしていらっしゃるし、万博協会の幹部というのはほとんど経済人の皆さんがやっていらして、そのキャップは石坂さんという経団連の会長で、みんな経済人が仕事をしておりながら、そして経済の研究をしておる研究所にものを頼んで、ここのレポートが出たのをもとにしていろいろなことをやろうなんという、この考え方が私は全然納得ができない。これは要するにただの場合のあれじゃないですか。幾らの場合ということになっているか、そこらをちょっとお答えいただきたい。
  152. 菅野義丸

    菅野参考人 先ほどもほかの先生の御質問にお答えしたのでございますが、そのときはまだ入場料というものが正式にはきまっておらなかったのでございますが、ただ予算をつくる上におきまして、運営費予算の積算の根拠といたしまして、大体おとな一人六百円ということはすでに新聞紙等にも出ておりまして、野村の調査はそれを念頭に置いて、大体そういう料金ではいれるものとして調査をいたしております。
  153. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、一応それでは六百円スタンダードと考えますが、野村の調査の中には五百円の場合、七百円の場合、千円の場合という、そういう想定のもとにおける入場者数というものの報告があったのでしょうか。
  154. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいま申し上げましたように、大体六百円ということを基準にしておりまして、千円とか五百円とかいうのはございません。
  155. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、そういう調査を依頼した場合に――本来これは調査になっていないと思うのですよ。六百円と、こういうお話でありますけれども、これは、ちょっと試算をしてみますと、皆さんのほうの最初の、四十二年九月におけるこの予算二百三億八千八百万円ですか、この中から出ておるところの入場料というのは百二十二億六千五百万円となっておる。これを三千万人で割ってみますと、一人当たりというのは四百八円八十三銭に実はなっておるわけですね。これが、おそらく皆さんのほうとしては、いろいろな割引をすることによって起こるもので、実質的一人頭というのは四百八円八十三銭になる、こういうことだろうと思うのです。では、いまの六百円というもので計算をして、ここに年齢階層別のとり方なんかもあるわけですが、皆さんのほうの資料を拝見すると、たとえば、十四歳以下をどういう割引をする、それから二十二歳以下をどういう割引をする、こういうような割引についてのルールを皆さんのほうではお考えになっておるようです。ところが、このレポートのほうには実はそういう人間のくくり方がしてないのですよ。これはもっと正確なものが皆さんのほうにあるのかもしれませんが、私が拝見したところでは、六歳から十七歳までが近畿六府県で五百三十万人だ、その他の諸県から百六十五万人だ、こういうことになって、分け方そのものも実はいまの皆さんの割引-がこれに見合うようにはなっていない。十八歳-十九歳という分け方、あとは二十歳から三十歳-三十-四十、四十-五十、五十-六十という分け方になっている。皆さんのほうでは、割引料金なんかを計算をされる場合には、一体何をこういう推計の基礎に使っておられるのか、一歳ごとのもっとこまかいデータが実はあるのかどうか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  156. 菅野義丸

    菅野参考人 これは非常に膨大な資料でございまして、協会にはその資料がございます。ただ、世間に発表したものはその要約を発表したのでございまして、実際の調査では、年齢別、地域別、男女別というような調査ができております。
  157. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、その六百円が七百円になったら一体どういう逓減率が起こるのか、八百円になったらどういう逓減率が起こるのかということは、皆さんのほうではこれからもう一ぺん再調査をするわけですか。
  158. 菅野義丸

    菅野参考人 野村総合研究所の調査は、大体五千人くらいの人を抽出いたしまして、そしてサンプル調査をしたのでございますが、その調査にあたりまして、当時、大体におきまして二年くらい前の万博というものに対する認識というものが基準になっております。したがいまして、私どものほうとしては、もっと万国博意味が国民にもよくわかっておりますし、それからまた期待というような気持ちも当時の調査よりか多いだろうということを考えております。したがいまして、六百円という前提で調べたのでございますが、一方においては、この八百五十円にするために減る要素とふえる要素と両方あるのじゃないかということを考えております。それから、モントリオール万国博の実際の状況がその後起こりまして、その状況を見ておりますと、カナダでも、初めの理論的な調査に比べますと非常な数の増加を来たしております。そこで、私どものほうでは、三千万というのは決して無理な数字ではないと信じて、それを根拠にとっておるような次第でございます。
  159. 堀昌雄

    ○堀委員 いま八百五十円になったら減る要素とふえる要素があるとおっしゃいましたね。ふえる要素というのは何でしょうか。
  160. 菅野義丸

    菅野参考人 先ほどちょっと申し上げましたように、実際にインタビューしていろいろ聞いたのでありますが、中には全然知らない、わからないというのが相当多いのでございます。それは、当時としては無理からぬことと思いますが、最近におきましては、大阪で一九七〇年に万国博が開かれるということは、もうたいていの国民が知っておりますし、またこれは国家的な世紀の大事業で、なかなか見られるものじゃないということもわかっておりますので、何とかその機会に万国博を見たいという気持ちは、当時より少なくとも相当多くなっておると私たちは考えるのでありまして、それをプラスの要素に考えておるわけでございます。
  161. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、八百五十円になったことでプラスになったということではないわけですね。八百五十円になったことは全部マイナス要因、こういうことですね。どうですか。
  162. 菅野義丸

    菅野参考人 さようでございます。
  163. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの三千万の人間を予想しておって、五千人のアトランダムのサンプルというのはちょっと小さ過ぎますね。私どもの感覚からいきまして、六千分の一ですから、こんなものはサンプルという名前に値しない。統計上サンプルというのは、大体いいところ千分の一くらいまでならサンプルとして通用しますが、それ以下はサンプルではなくて、一種の抜き取り調査みたいなもので、統計的な価値はないように思うし、私は何広統計の議論をするわけではないのですが、一体三千万人と六百円という問題がかなり不可分に結びついた統計ではないかという気がするので、それが八百五十円になれば、経済的行為から見れば、そのほうは三千万人が減るというのが一般的経済行為じゃないかと私は思うのです。ですから、その点は、いまおっしゃる周知をされたらふえるということで、それでは一体昭和四十二年二月の周知度といいますか、それを一応一〇〇として、では――確かにみんな四十五年になれば万博があるということはほとんど知るでしょう。では、知ったら行くかというと、やはりそこには経済行為州伴っておる限り――八百五十円でいけるのじゃないですよ。これは千里山の人が八百五十円で行けるのですね。要するに、近畿圏の人たちはこれに交通費を払っていかなければならないのです。ちょっと遠距離の人は宿泊料を払って行かなければならないのですからね。おそらく計算に入っておるのだろうと思いますけれども。だから、そういうものを加味した場合は、この金額というものは、かなりな金額になるということは間違いありません。だから、そういうような点で、私は、どうも経済行為を計量する場合には、やはりそれはあくまでも経済行為として把握がされていないとリスクができるだろう。だから、一体そのリスクをどのくらい見ておるのか、アローアンスをどのくらい見ておるのかというと、どうも拝見したところでは――今度何か、予算をというか、収入見込みを改定をして、八百五十円ということでお出しになったのは、三千万人で割ってみると、実は六百二十円八十銭というのが一人当たりです。この前の六百円に対して四百八円八十三銭というのは、実は六八・一三%になっておるのです。それだけ、そのことは裏返して言えば、約三二%を値引きをしましよう、こういうことだったのですね。ところが今度は、八百五十円に対して六百二十円八十銭というのは七三%ですから、値引き率がもうすでにここで二七%に下がっておる。前の発想の六百円では、それはベースが安くて一人当たりに対する割引率も大きかったものを、今度はベースを上げておいて割引率を減らしてくるということになれば、私は、どうも、経済効果から見て、三千万人というのはややむずかしくなってきているのではないかと第一点に思うし、さらにそこにアローアンスが一体あるのか。さっきちょっと伺ってみたけれども、そこのところは非常にはっきりしなかった。三千万人と言うけれども、収支見込みを立てるならば、二千八百万人で立てておいて三千万人というのなら話はわかりますよ。要するに二百万人くらいはアローアンスが見てあるというのならわかりますけれども、三千万人で立てておいて三千万人の収入が組んであるということでは、三千万人を少し切れば直ちに赤字になるという性格のものだろうと私は思うのです。その点について、これは万博の側だけでなく、政府もこれを認めてきたのだろうから責任があると思う。それらは一体どうなっておるのか。
  164. 橋本徳男

    橋本説明員 三千万人とそれから入場料の問題、確かに先生のおっしゃるような経済的な法則がそこに働くだろうということはわれわれもそう感じております。それで野村研究所の研究いたしましたものは、もちろんいろいろな角度からの検討でございまして、アンケート調査もいたしますれば、世界各国の博覧会における入場者のいろいろな動向調査、それから遊園地における調査、こういったようなものも全部一つの方程式にまとめまして、その上で大体当時六百円と想定してみた場合には二千八百万から三千七百万の入場が予定されるというふうな考え方をとっておるわけでございます。同じようなアメリカの調査機関モントリオールで調査しましたが、大体三千万というふうなことでございましたが、現実は五千万を突破したといいますことは、結局その間の差額というものはやはりそういう調査機関では十分果たし得ない、いわゆる特殊な入場券あるいは先ほどお話がありましたようにパスとか回数券とかああいったようなものの組み合わせが非常に大きく入場者を左右しておるということで、確かに先生おっしゃいますように、何もない基本料金的なものの考え方を前提とし、通常の団体割引程度を頭に置きますれば、三千万人で六百円の場合に比べまして八百五十円の場合には当然限界需要でありますが、しかしモントリオールの例等から見ましても、いろいろな券種を考えることによって十分それはまかない得るし、むしろモントリオールの例等から見まして、われわれは三千五百万ないし四千万は券種の組み方さえうまくやれば入るのではないか。ただしかし、それを財政上見込むことにはあまりにも危険が大きいというところからこういうことで踏み切ったわけでございます。
  165. 堀昌雄

    ○堀委員 モントリオールの例でちょっとお伺いしますが、同様にモントリオールでの一人当たりの入場料ですね。それを五千万人で割った場合の、要するに私がさっき提起をしたような八百五十円に見合うところの六百二十円、要するに結果としての一人当たりはスタンダードの入場料に対して何%くらいになっているのか。そこのところをちょっとお伺いをいたしたい。
  166. 橋本徳男

    橋本説明員 ちょっとこまかいデータはわからないのでございますが、一人当たりの入場料は一ドル九十九セントというふうな数字が出ているわけでございます。したがいまして、子供がどの程度であり、団体割引がどの程度でありということを総体的に検討してみないと、割引率から実効率というふうなものの割り出しはちょっと時間がかかるかと思うのでございます。
  167. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのモントリオール博のは入場料のスタンダードが一ドル九十九セント、約二ドルですね。
  168. 橋本徳男

    橋本説明員 スタンダードは二ドル五十セントでございます。おとな一人でございます。子供はその半分。それからそれ以外にいろいろな割引のものがございます。そういうふうなものを全部総体して、実際に五千万入りましたのを総収入で割ってみますと、一人当たりが一ドル九十九セントになっておるという形でございます。
  169. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いま一ドルというのは確かに三百六十円なんですけれども、アメリカを旅行してみまして、私ども一ドルという感触はどうもやはり日本の百円という感じがする場合が多いわけですね。決してこれは一ドルというのは三百六十円という感じでなくて、アメリカ全体での感じというものは大体どうも日本の感触でいくと、ドル百円がパーだなというような感じがするわけですが、大臣、諸外国によくお出かけだと思うが、感触としてはどんなものにお感じでございますか。
  170. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 どうも自分でさいふをあけて物を買うとかいうような旅行じゃなしに、全くどっかへ持っていかれるような旅行なものですから、そういう感触は出ませんので申し上げにくい……。
  171. 堀昌雄

    ○堀委員 なるほど大臣の場合はそうかもしれませんが、政務次官はどうですか。政務次官は私と一緒にアメリカその他ずっと旅行されたわけですが、政務次官の感触をちょっと……。
  172. 藤井勝志

    藤井政府委員 堀先生とこの前一緒にずっと回りましたが、私はやはりわがほうの貨幣価値がやはりそう低く感じない。アメリカとの関係で、やはり一ドルは多少三百六十円よりも低目だという感じはしますが、そう一ドルが百円という、こういう感じは買いものをして残っておりません。
  173. 堀昌雄

    ○堀委員 もちろん通貨は三百六十円一ドルになっておるわけですが、たとえば理髪の料金とか、一般的にわれわれが町で接する料金その他の感触は大体やはり一ドル百円、向こうへ行っておる人がそう言っておりますからね。感触は大体一ドル百円ですよというのが大体の感触で、だからチップその他の点を見てもおおむねそのくらいの感じになっておるわけですね。だから私はいまの話を聞きながら、カナダの二ドル五十セントというのは、私はカナダからアメリカ圏を通じた感じでは日本の八百五十円より一もちろん、いまドルで換算をしてもうちょっと上にいくかもしれ印せん。三百六十円ですから二ドル五十セントにすれば九百円くらいですかね。だから八百五十円というのは少し安い。換算すればそうなりますよ。しかし、私はどうも実際のそういう通貨に対する国民の感じ方、要するに収入の状態あるいはその他の一般的な向こうの価格体系の中における二ドル五十セントと日本の場合における八百五十円では、やはり私は割り高だという感じをおそらく用民的には感じるのだろう、こう思います。これはさっき塚本さんの話もありましたけれども、前印で大臣のおっしゃったように、要するにやはり国民に広く見せることのほうに重点があるのならば、その八百五十円は私は動かせというのではありませんけれども、できるだけその八百五十円は八百五十円としながらも有効に、同じ人が一ぺんではなかなか見切れぬのですから、できるだけ常識的に考えて、たとえば普通に見て歩けば四日汁ら四日かかるということならば、やはり一ぺん入場券を買ったらせめて全部を見るに足るだけの何らかの配慮が行なわれるということでなければ、収入のために、その人たちから四回も金を取ってでなければ全部は見られませんよというようなことは、私は国が関与する、国民の税金でかなりはまかなわれる万国博については適正ではないと弔うのですよ。だからさっき塚本さんから提起された定期の問題というのは、それは形はいろいるあっていいと思いますから、これは今後皆さんのほうで十分検討していただきたいのですけれども、少なくとも正常なペースで歩いてその中を一回り全部するために必要とする時間、食事をしたりいろいろする時間、そういうものを考慮して、それがもし三日かかるのならやはり一枚の券によって三回は入場できるんだということにならなければ、さっき大臣のお答えになったこととちょっと違ってくるわけですからね。だから、比さんは、そうではなくて、ともかく三回見にくるやつからは三回料金を取るんだということになれば、万国博を一ぺん見ることは、要するに二千五百円から六百円かかることだということになってきますから、私はその点で前段で大臣にお尋ねをしたのは、国民に見せることに意義があるのならば、せめてそのくらいの配慮はしかるべしだ、こう考えておるのですが、大臣、どうでしょう。私のこのものの考え方に対して大臣からひとつ、これは政治的な問題ですから……。
  174. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それはまあ安ければ安いほど二度、三度と足を運ぶことになりやすいと思います。
  175. 堀昌雄

    ○堀委員 私はそういう聞き方をしていないんですよ。安ければ安いほど二度、三度と見に行きたいでしょう、ということじゃなくて、要するに、一回全部を見て回るについては三日かかるとかりに仮定をしたときに、一回行ったら八百五十円、それを全部見るためには三日間かかるということは、八百五十円の三倍の料金をいただくということをきめたと同じことですよ。それでなければ国民をだますことですよ。八百五十円の入場料を取って、しかしそれは三分の一しか見られないんだということなら、これは国民をだますことになるから、私はやはり国民に見せるということ、そうしてそれで国民の教養を高める、啓蒙をする、使命感を抱かせる、そういうことをこの万国博の主要な国民に対する政府の考え方だとするならば、当然一回見るについて八百五十円ということがやはり筋ではないかと思うのですよ。よろしゅうございますか、大臣。ですから、私は八百五十円を安くしなさいといま言っているのじゃない。八百五十円、三千万人という計算は一応それでよろしいけれども、少なくとも国民に見せるのだということならば、その八百五十円で見られるようにしようではないか、国民の税金を入れているんですからね。いいですか、国民の税金を使っていないものなら話は別ですが、国民の税金によってやる万国博に国民の参加する権利があるのは当然でしょう。その参加を、そういうことで、八百五十円ということで三分の一しか見られないということになって権利を制限するわけにいかぬというのが私の発想の土台ですから、大臣がそこはやはりそういう方向でひとつ指導をしたい――税を出しているんだから、国がそういうことを言う責任があると私は思うのですよ。どうでしょう、大臣
  176. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 確かに、八百五十円だぞ、こういうのですから、全部見ようと思ったら、人によると一週間も二週問もかかるかもしれませんし、それから、まあこんなものはもう一回でいいという人もあるでしょうし、一回八百五十円というのですから、必ずしもあなたのような論理は成り立つかどうかちょっと私もよくわかりませんが、これは一回限りだ。ですから、二回も三回も行けばそれの二倍、三倍とかかってくるというのですから、だましたということにはならないけれども、とにかく一回では見切れないということになると、やはりそこに割り切れないものが何がしか残るかと思います。ただ、だましたということにはならないと私は思います。
  177. 堀昌雄

    ○堀委員 私も、まあ表現のことですから……。私が言っているのは、よく理解してください、大臣、いいですか。何も、ちょっと行って、ぷらっとしていて見られなかったからそれで一週間かかったというのは、これは別ですよ。ともかく、おそらく協会人たちだって一ぺんやる前に歩いてみて一それもだれもいないところを歩くんじゃないですから、人がたくさん込んでいれば待たなければならないでしょうし、だから、そうやって結局全体をノーマルな状態で一回りするためには一日で見切れないんじゃないか、こう思っているんですよ、どうですか。大体そういうことになるでしょう。そっちのほうから答えてください。何日くらいかかることになるか。   〔鴨田委員長代理退席委員長着席
  178. 菅野義丸

    菅野参考人 まだどういうふうなパビリオンの建て方になるかわかりませんけれども、一日で全部のパビリオンを見るということは至難でございます。見方もありますが、おもだったものを見るというならば、あるいは一日で三つや四つは見られると思いますけれども、全部となりますと、少なくとも百近いパビリオンになりますから、これをすみからすみまでということになりますと、ずいぶん時間がかかると思います。
  179. 堀昌雄

    ○堀委員 私も全部すみからすみまで見ろというのじゃないです。行った人が一応ずっと歩いてみて確かに見足りない一やっぱり常識的にやってみて一体何日かかるのかということが、私は一つスタンダードにあっていいのじゃないかと思うのですよ。ところがともかく人がたくさんくる。大体こうなるのじゃないかと思うのですよ。一般の人というのは、日曜日でなければ、休みの日でなければ行けないのですよ。これは平均して人が来るわけじゃないです。週日に行けるような人というのはわずかであって、主として日曜とか祭日とかに集中をする。集中をしたら実際は見られないわけですよ。だから、入ったけれども結局見られなかったで帰らなければならぬという問題が起きれば、まあだましたことにはならぬかもしらぬが、裏切られたという感じはするのですよね。八百五十円払って来たけれども人が一ぱいでとうとう何も見られなかったとなれば、私はやっぱりまずいと思うのです。そういう条件を考えてみると、私は前段で大臣からお答えをいただいたように、国民に見せるのが非常に重要な今度の問題だろうと考えますから、お金は国の費用を使ってやることだから、せめて国民が一わたり常識的に見る分は一回の入場料に込めてやったらどうか、こういうことが私の申し上げている論理なんですよ。言っていることはおわかりでしょうね。だから、さっきの何歳以上が何%引きとかなんとかというようなそういう問題以外に、少なくとも正常に見られる時間をもってその入場券の単位とすべきではないか。だから、入場券に副券がついていて、どうしても三日間は必要だということになれば、八百五十円で、その副券を一枚抜いたら、あと二回は見られます、そしてとにかく八百五十円、三日間有効――それは日にちをつけたらとても行けませんから、会期中で適当なときにいらっしゃいというようなことにして、みんなに見てもらうこと州非常に重要なんじゃないか。そうすると、その三千万人というのが動いてくるかもしれませんけれども、私が言いたいことは、いまの三千万とかなんとかというのは運営費の問題でしょう。金の問題と国民教育の問題とをあまり同一次元で結びつけるべきではないということを言いたいわけですよ。教育的効果ということなら、それがもし多少赤字が出たって、国民がほんとうにそれを有効に使ったのなら、国の費用を出しても、われわれとしても納得をするけれども、四角四面のことにしておいて、なおかつ赤字が出たときにしりを用で見てくれと言われたら、われわれ拒否しますよ。何だ、国民の側に立たない運営をしておいてあとはしりを国へ持ってくるということはけしからぬ、お断わりだ、こうなるから、私としては、国民的な合意の上に問題を処理しようということになる以上、そういう配慮が前段にされておれば、国民に見せるためにいろいろ努力をした結果赤字が出ました、国民の御負担でお願いしますというなら、これはわかりますけれども、そうでない。ただ計算上の問題で処理をされてきて赤字が出ましたということでは、われわれは納得をしない。その点を大臣から少し明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  180. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 おっしゃることはよくわかります。しからばどういう切符を幾らで売ればいいかということは、これはちょっと専門家におまかせしまして、あなたのおっしゃることはよくわかります。ですから、一応最小限度の一枚として、そして、人によって違いましょうけれども、大体満足し得るような状況であることは、非常に望ましいと思います。
  181. 堀昌雄

    ○堀委員 技術的なことは協会のほうで御検討いただけばけっこうですが、私がそこを申し上げておるのは、カナダのモントリオール博も、結局、五千万人入ってなおかつ赤字だといわれているのじゃないですか。どうですか。
  182. 橋本徳男

    橋本説明員 カナダの場合にも、たしか三百億くらいな赤字になろうというふうにいま聞いております。
  183. 堀昌雄

    ○堀委員 だから、三千万人と当初予想したのに五千万人来ても赤字になったということは、私は日本の場合に、三千万人予定しておって、もし四千万人来たとしても、必ずしもそれで黒字になるかどうかは、これは今後の問題だろうと思うから、だから私はそこのところを、要するに五千万人見て赤字で私はちっともかまわないと思うのです。五千万人の人がこれを見ることに意義があるので、金の多寡だけでははかり知れないものじゃないですか。要するに、五千万人の人が見て、そしてその人たちが何らかのものを得て帰るという中に評価があるのであって、金だけの問題じゃないと思っている。要するに、教育だとか文化だとかというものは単純な経済行為ではないから、だから金だけでものを解決しようということでなくものを処理しておきたい、こう私は思うから、そこでそういう問題について配慮をしておいてもらいたい、こういうことを言っておるわけです。大臣は、私の考えはわかったとおっしゃるから、通産省もひとつそういう考えにのっとった指導をしてもらいたいし、万博はどうですか、私の考えは。
  184. 菅野義丸

    菅野参考人 国民の各層のなるべく多くの人に見ていただきたいという念願につきましては、堀先生のおっしゃるとおりで、われわれも人後に落ちるものではないのでございます。けさほどほかの先生にお答えいたしましたように、実はごく最近にきめますのは、おとなの基本入場料だけをきめるのでございまして、それをなぜ早くきめなければならぬかというと、前売りをするために一応それだけをきめよう、それで入場券制度の全体につきましては、ただいまいろいろお教えいただいた御意見等も十分取り入れまして、参考にいたしまして、あらためて検討したい、こういう考えでおります。もちろんなるべく多くの人に、なるべく多くの回数を、負担をかけないで来ていただくということは非常にいいことでございまして、ことに私どものほうでは、勤労青年であるとかあるいは学生生徒あるいは小学生というような人たちには一応割り引きをしたいと思っておりますし、また学校行事としてする場合にはさらにその上に割り引きもしたいと考えておりまして、そういうふうなことを考えまして、入場券制度全体につきまして、これから慎重に検討いたしましてきめたいと考えております。
  185. 堀昌雄

    ○堀委員 まあひとつこれからきまることでしょうから、角度は、先ほど大臣がお答えになったように、国民に見せるためのものだというそこに比重をかけて、要するにアカウントのほうばかりにこだわらないでひとつものを考えてもらいたいと思うのです。その原則が貫かれておる限り、もし赤字が出ても国民は、五千万人の人が見てくれたとするならば、あと百億やそこら出したって何でもないですよ。それはもう国民のプラスになっているのだから。だから、どうかそこらを――赤字が出たらどこが責任をとるとかなんとかという問題は、万博運営のあり方との関連で出てくることであって、その運営が国民のためであるならば、赤字が出たって、それは国が見ればいいので、あたりまえのことですからね。そこらはひとついまの担当大臣である通産大臣も、それからあなた方のほうも合意に達しておいてもらいたいわけですよ。あなた方があまりアカウントにこだわるばかりに、結果として入場者が制限されるようなことになるのじゃ、あとその結果赤字が出たってわれわれはお断わりだ、こうなっちゃうわけですから、そうでないということをここでひとつ認めておいていただきたい、こう考えるわけです。  で、その次に、この間からずっと見ておりまして、私がやはり非常に問題があると思うのは、工事費のほうはどうもコンクリートになっておるようで、そこで設計のほうを変えるというような感触を、この間石坂さんは大手か何かの建設業者に話しておられるようですが、これは工事費がコンクリートで設計が変わるのですか、そこをちょっと伺いたいのですが……。
  186. 菅野義丸

    菅野参考人 もちろんこの予算をつくりますときには、一応基本計画というものをきめまして、マスタープランといいますか、これはできておるのでございます。ところがこの工事を実際に行なう場合には、その設計をもとにして実施設計をつくるのでございますが、この実施設計をつくる場合におきまして、やはり万国博である以上は、いろいろ新しい試みもしたいというような設計者側の意向が出てくるわけでございます。ところが、この工事の請負をするほうは、あまり新しいものにつきましては非常に経費が高くなるものですから、その間に話がなかなかまとまらないのでございます。それで石坂会長が請負人の代表の方に会っていろいろお話しいたしまして協力を求めたのは、われわれとしては国会の議決を経て建設費というものがきまっている以上は、これを超過してさらに追加の予算をいただくということはほとんど至難である、だから予算というものは、やはりきめた以上、その範囲内のものにしなければならぬから、ひとつ工事の実際を請け負う人もそのつもりでもって御協力願いたい、同時に、まだ会っていませんけれども、設計をするほうの側に対しましても、工事の予算というものはきまっているのだから、この予算の範囲内でできるようなひとつ設計をしてもらいたい、こういうふうにお願いをするつもりなんでございます。たまたまそれが合わないというような場合には、よく両者の意思の疎通をはかって、たとえば非常に手間のかかるあるいは経費のかかるようなところは、もっと簡単なほうに変えていただくというように設計変更をお願いしようかと考えております。
  187. 堀昌雄

    ○堀委員 設計というのは、まあ私もしろうとですからよくわかりませんけれども、かなりこまかい計算をした上にできているものでしょうから、値段が合わないから再設計となれば、かなりまたその設計に時間がかかるのじゃないか。そうでなくてもいま非常に時間が切迫しておるという点で非常に問題が一つあろうと私は思うのです。  それからもう一つは、さっきちょっと、あなたのことばじりをとらえるわけではありませんけれども、六百円が八百五十円になったのは、所得の増加とか物価上昇とかがあってそうなったというような話ですが、実は六百円が八百五十円というのは四一%上がっておる。物価は大体、おそらく四十五年で見ても、この四十一年の調査時点から見て、大体二三、四%ぐらいどまりの物価上昇がろうと思うのです。で、ここで問題なのは、あの予算というのは、そういう物価上昇というようなものは考えられていないと思うのですね。そうすると、いま皆さんがやられようとしておっても、工事をやっている過程では、ことに後半の四十四年、来年中の施工というのは、相当工費は上がるのが普通なんじゃないだろうか、こう思うわけですね。だから、それだけを見越した設計というものはもっとうんと小さいものにしておかないと、実際には工事にかかる人たちはそれを計算に入れるならばなかなか入札ができないというのが現出になって、それがいま皆さんのほうの、契約が六〇%ぐらいしかこなせなかったということの原因の一つじゃないかと思っているのです。四十二年度というのはまだ工事量が少ないにもかかわらず契約が六〇%しかこなせないで、四十三年度、四十四年度と飛躍的に工事量がふえてくる中ではたしてスムーズにいくのかどうか。まあ裏返して言うならば、この間参考人が来ておられたときにも申し上げたわけですけれども、私どもがほんとうに心配しているのは、恥ずかしくないものがやれるのだろうかという点の心配が実はあるわけ外す。皆さんここで、それはやりますと、こう簡単に、立場もあるでしょうからおっしゃるでしょうけれども、ほんとうにざっくばらんの話になると、皆さんもかなり危機感があっていいのじゃないか。大臣もどうお感じになっているか知らないけれども、これはほんとうに国の威信がある程度かかったことが、結局予算が固定してやるという条件と物価上昇するという条件のために、初め思ったのに比べれば全くみみっちいものができてきたなということになりかねないのじゃないかという心配を、私、しておるのですが、万博のほうはそういう心配ありませんか。
  188. 菅野義丸

    菅野参考人 先般来報道機関等でもってしばしば報道されておりますのは、ランドマークとして展望台の塔でございます。この塔は幸いにして開会のときよりか相当早くできる予定で、工事中の展望視察にも使おうと思っておる塔でございまして、相当、半年くらいは早くできるような工期を組んでおるのでございます。その塔の請負についてそういう問題を起こしましたので、われわれといたしましては、この問題はまだいいけれども、あと本格的になってくる、ほんとうにきちんと工期をきめてあるのっぴきならないような建設物がそういうことになってはたいへんだというので、石坂会長はじめわれわれ、両者の間を橋渡しをいたしまして、そして今後こういう問題が再び起こらないようにというようなことからいま努力しておるのでございまして、私どもはそんなに規模を小さくするとかあるいは施設の機能を悪くするとかというような、そんな大きな程度の設計を変更しなくとも、だいじょうぶこの予算の範囲内でもってできるというつもりでおります。また、両者の協力を得てそういうふうにしていただきたいということを懇願いたしているわけでございます。  そこで、工事そのものはなるべく早くやる、少なくとも四十三年度中にはほとんど大きなものの契約はしてしまいまして、全部の工事は四十四年の十二月三十一日までに仕上げるという予定で工程表を組んでおりまして、少なくとも、それでなくてもほかのパビリオンの建設がだんだんと本格的になってまいりますので、せめて協会のものはなるべく早く仕上をしてしまいたい、こういうつもりでもってそれぞれ進行管理をしているような次第でございます。
  189. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、運営費の問題の中に、今度七十九億何か追加をされることになったように新聞は伝えておりますが、そうでしょうか。
  190. 菅野義丸

    菅野参考人 この問題は、先般の十九日の常任理事会に出した事務局案が報道されておるのでございまして、まだ正式にはきまっておりませんが、その事務局案を基準にして申しますと、仰せのとおり七十九億の増加ということになっております。
  191. 堀昌雄

    ○堀委員 そのうちの六十三億は入場料のほうに転嫁をされて、差し引き十六億というのは何でまかなうことになるのですか。
  192. 菅野義丸

    菅野参考人 その実際のワクの増加は七十九億になっておりますが、実は、従来水道、ガス、電気というようなものは協会が一手で買いまして、これを各パビリオンに売るのでありますが、その差額だけを予算の上に載っけてあったのですが、今回は収入は収入、支払いは支払いというふうに両建てにいたしましたので、その額が相当予算のワクをふくらましております。その他催しもの等におきましても、入場料は入場料、経費は経費というふうに両建てにいたしましたので、そういう増加が十数億になっておるのでございまして、結局純粋に増加したのは六十億くらいでございます。
  193. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、けさ佐野委員指摘をしておりましたように、今度の問題で私どもは納得のいかない点がいろいろあるわけですが、私は関西におりますから、ずっと事の経過を見ておって、そもそもこの話が出てきたのは、左藤大阪府知事がぜひひとつ大阪万博をやりたいと言い出したのが私は事の始まりだと思っているのですが、これは事務当局どうですか。
  194. 橋本徳男

    橋本説明員 表面に立って出てきたのは、いま先生のおっしゃいましたとおりでございます。
  195. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、私はそういう意味では、大阪府が、やはり東京オリンピックがあった、ある程度大阪の地盤沈下を防ぐというような意味とか、あるいは東京オリンピックでかなり関連公共事業が進捗をしたことが東京にとってプラスだったから、ひとつ今度は万博をやって関連事業を含めて大阪に寄与したい、こういう発想がかなり比重が高かったと私は思っているのです。ところが最近の事情をずっと見ておりますと、今日大阪は逃げ腰になって、どうも責任をもっぱら国に転嫁しようということになっておる感じがしてしかたがない。この間もお話の出たように、地代を請求するとかどうとかいうような問題すら出てきておる。私も関西にいる。けれども、こういうものごとのけじめは少しはっきりしなければいけないのではないか、こう思うのですが、通産大臣どうでしょうか。やはり地代を払うなどということにはなるべきではないんじゃないか、国があれだけあそこへ費用を持っていく以上、大阪府が当然無料でその六カ月間なりそういう問提供するのはあたりまえだと思うのですが、大臣どうでしょう。
  196. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 それはけじめはもちろんこういうことははっきりしなければなりませんが、向こうのほうから提供するというように初めからふれ込んできたものまでも――好意は好意として受けるというような、そういう柔軟な態度でやっておりますので、ええ。
  197. 堀昌雄

    ○堀委員 通産大臣のいまの答弁、全然私はわからないので、もう一ぺんはっきり聞きますから。  万博の土地はいま大阪府が持ったことになっているんでしょう。それで大阪府の土地を万博が使用するについて、大阪府は地代をよこせと言っているんでしょう。地代をよこせと言っているんですけれども、私に言わせたら、その地代を取るのと、いろいろ大阪府も金を出しただろうけれども、国がそこに寄与しているものを比べると問題にならないのだから、地代ぐらいは大阪府は棒引きにする、大阪にそれだけの国の費用も集まり、全体としていろいろな費用がここへ集まってきているのだから、そんなことを言うのは、言い出した左藤知事にすればおかしいのではないか、地代ぐらいただにするのはあたりまえだ。だから私がいまけじめと言うのは、国も金を出すのだから大阪府も地代ぐらい棒に引くというのが当然ではないかというけじめなんですよ。そこらをひとつはっきり御理解の上でお答えください。
  198. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 大体向こうから提供するというようなふれ込みでやってきたのですから、それは大阪のほうできまりをつけるものはきまりをつける、こういうふうにしてもらいたいと思います。
  199. 堀昌雄

    ○堀委員 だからそこで政府がいまのようにはっきりすれば、万博もその気でやれるだろうと思うので、やはりそこらはもう少しけじめをつけてもらいたい。  そこで、事務当局に伺いますが、大阪関係でそういう問題があるのは地代だけですか。あと何かほかにありますか。さっきあと地利用の問題があったのですけれども、あと地利用はちょっと簡単にここでいまどうというふうにいかないと思うが、そのほかに何か大阪府に関連した問題がありますか。
  200. 橋本徳男

    橋本説明員 大阪府に関係いたしました問題では地代の問題が一番大きいのでございます。それから最後あと地の利用。それから地代の問題で若干からみまして、当初大阪府としては、あの土地を買収するのに二百五十億金がかかった、その利子補給をしてほしいという要望がございました。しかしこれは先ほど大臣答弁がありましたように、地元として誘致を強く要請し、土地も提供するというようなことばの中にはそういった一切がっさいが入っているものだというふうにわれわれは考えております。
  201. 堀昌雄

    ○堀委員 われわれは考えておるではなくて、どうかそこはきちっとひとつけじめをつけておいてもらいたいと思います。  建設省の道路局の次長が入ったようですから、先にちょっとそっちのほうをやりますが、今度万国博が開かれる四十五年の三月には、東名道路は開通をしておりますでしょうね。
  202. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 東名道路の供用開始の計画は来年の五月ごろに一部の区間、具体的に申し上げますと御殿場と松田問が若干おくれておりますが、開通いたしますが、全線開通は大体来年の七月か八月ごろになろうかと思っております。
  203. 堀昌雄

    ○堀委員 私が伺ったのは、私も大体そこらで全線開通と思うが、四十五年三月から万国博が始まるわけですから、要するに東名、名神を含めた、東京から大阪まで――まあ神戸までですが、これは完通をするということですね。その場合に、最近の高速道路がもし開通をするならば、私は万国博にとってはたいへんプラスだと思うのです。モータリゼーションが非常に進行しておる今日、さっきからお話があったように、自動車に乗って見に行こうという人たちがたいへんふえるだろうと思います。その車が集中をしてきたときに、それに対する対応処置の問題ですが、一体名神高速道路はいまの万国博に対して新しいインターチェンジかゲートか何かをつくる予定になっておるのかどうか、その点を最初に伺いたいのです。
  204. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 万博関係といたしまして名神高速道路の吹田にインターチェンジの計画をいたしております。
  205. 堀昌雄

    ○堀委員 このインターチェンジとあとの接続道路の問題ですが、御承知だろうと思うけれども、実は最近は日曜日は名神高速道路の豊中インターチェンジは完全にだめになっているわけですね。これはいま再工事か急がれておるわけですが、要するに高速道路というものはスピードがあって、車がどんどん来るから、単位当たりの車の出てくる量は非常に大きいわけです。ところが受ける側の道路は、道幅の関係やその他ゴーストップの関係があるから、なかなか単位時間に多量の車がはけるようにはなるまい。道路幅がうんと広くなれば別だけれども、そうでなければはけない。そうすると、インターチェンジのところから下側の受ける道路のほうに問題があるために、インターチェンジは完全にストップして、この間の日曜日は、名神は大体三十キロでしか走れなかったというのが現実の姿です。高速道路で三十キロしか走れないというのは、結局じゅずつなぎになっているから走れないということですが、東名道路が開通をしてこうなった場合に、その吹田インターチェンジから万国博の会場に至るトランスポーテーションは一体どういうことになるのか。日本の場合には、さっきから申し上げていますけれども、週日はうんとダウンしていて、休日、祭日にどかっと車が出てくるというのがいまの実情だから、それは非常に波とあれがあるわけだけれども、そのどかっと来る車を処置できるだけの道路幅なり道路状況というものが万国博との間に考えられておるのかどうか。それを吸収する道幅は一体何メートルなのか。百メートルなのか二百メートルなのか。そこらは一体どういうことになっているか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  206. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 名神高速道路と万博会場との連結施設は、先ほど申し上げました、吹田に新しくインターチェンジを設けまして、吹田のインターチェンジから万博会場に至る高速道路のアプローチができるわけでございます。これは御案内のとおり、中国縦貫自動車道が吹田のインターチェンジから分かれまして建設されることになっておりますが、とりあえず万博開催時点までには、あの時点に、ちょうど会場の南部になりますが、大阪の府道でございます中央環状線が入ることになっております。その中央環状線の中央部分を中国縦貫高速道路が通る予定でございます。万博開催時点までには高速道路は建設されませんが、一般の中央環状線は整備されることになっております。これはかなりの広幅員の道路でございまして、ちょっと幅員が何メートルか私いま記憶いたしておりませんが、それに名神からインターを通じましておりる会場に直結する、こういうふうな計画になっております。
  207. 堀昌雄

    ○堀委員 いま名神高速道路の豊中インターチェンジが非常にふくそうするのは、御承知のように阪神高速道路というのですか、大阪高速道路というのか、大阪の南部から入ってくるあの伊丹空港へ行く高速道路が、これが実はあそこでおりて名神に入るために起きておるわけですね。ですから、今後モータリゼーションが非常に異常な速度で進行しておりますので、非常に問題になるのは万博の問題はいろいろありますが、交通条件が整わないということになると、いま万博が三千万人というような計算をしても、なかなかこれははけないのじゃないか。ここは今度の万博の受ける非常に重要な問題点だと私は思うので、建設省としてもこの道路関係の問題については十分検討してもらいたい。やってみたら、結局道路が麻痺して、実は行こうにも行けなかった、行くのは行けた、朝から出たけれども昼過ぎにしか行けなかった、それでも八百五十円を取られて、またたく問にまた帰らなければ帰れなかったというようなことになっては、これはまことにまずいわけですから、どうかひとつ道路上の問題点は一ぺん精査をして、一体、どのくらい自動車が通ったときにいまの状態がいけるのか、どうなるのか。これは建設省も万博当局、通産省の事務当局もあわせて検討を進めてもらいたいと思うのです。その点を要望して、建設省はけっこうです。  だいぶ時間がおそくなりましたから、まだ少しありますが、はしょりまして、結論を急ぐことにいたします。  今度の万国博の問題をこの間からずっと議論をさせていただいてきておる中で、やはりもう一つの問題があるのは、何といっても金の問題になるのだろうと思うのですが、今度財界その他がいろいろ寄付を集めておられる中で、ここに出展するものとそうでないものとがあるようですね。パビリオンを建てるところは、また寄付をいわれてもこっちはかなわぬ、こういうような話がぼつぼつ出かかっておるやに聞いておるわけです。ですから、寄付を募ることはたいへんけっこうであるけれども、自力でここに参加をしておるものとその他の間には、やはりある程度の公平の原則といいますか、何かがないと、御承知のように経済条件はこれから四十四年にかけて非常によくない時期に、逆に寄付のほうで金を取るとなると、出展のほうを少しダウンをしなければいかぬということになったのでは元も子もないじゃないか。やっぱりやらせる以上は――そういう企業グループがやるのは、私はあまり適切だとは思っていませんけれども、いまの情勢、やむを得ないから、そういうものをやるについては、あまりそれの足を引っぱらないような問題を考えておかないと、逆な面の寄付を一生懸命集める結果、こっちにあれだけ取られたのでは、こっちは下げようということになると、この点、私は非常にまずいと思います。すべてが経済行為と関連をしておることで、ことしの暮れから来年にかけてわが国はやや不況の条件にならなければ国際収支が改善できないような、まことにつらいところにきているわけでありますから、そこらについては十分配慮があってしかるべきだと思いますが、これは万博のほうでどういうような考えで処理をされるのか、ちょっと承っておきたいと思います。
  208. 菅野義丸

    菅野参考人 日本の企業のパビリオンの出展の費用というものは、これはまだ全部が契約しておりませんから正確にはわかりませんが、大体三百億円ぐらいになると思います。それで今回この建設費のほうにいわゆる施設参加として寄付をお願いする額は六十九億、約七十億でございますが、この七十億の施設参加をお願いするために、われわれといたしましては別に財務委員会というものをつくりまして、それぞれの委員をお願いしていま発足しているわけでございます。そこで、いま先生のおっしゃった出展をしている会社に対して、二重、三重の負担をかけるということは好ましくないという仰せは、全くそのとおりでございまして、われわれといたしましても、できれば出展に関係のないような企業そういうところをねらってお願いをいたしておるわけでございます。それから、なるべく単位を小さくいたしまして、たとえばベンチ一つ、灰皿一つでもというようにして、中小企業の、方にもそういう意味において参加していただくというふうに配慮して、広く、しかも二重の負担にならないように考えて、いま計画を立てて実行しつつあるところでございます。
  209. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで万博の方に伺いたいのは、やはりだれかが最後まで、清算をするまで責任を持ってもらわないとまずいと思うのです。とにかく万博は終わった、それではわれわれ役員全部やめますとなっちゃうと、これは最後の清算が済むまで、協会のほうもだれか最後責任を明らかにする人が残ってもらわないと私は困ると思うのですが、こういうことについての心がまえは協会の幹部にはあるのでしょうか。
  210. 菅野義丸

    菅野参考人 おっしゃるとおり、協会といたしまして責任が完全に解除されるのは清算が済んでからでございます。そこで運営費の予算等におきましても、万国博が終わりましても、一年間はある程度の職員も要るし、また役員もおりまして、その清算事務を完全に果たすつもりでおるわけでございます。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 最後まで残るのは、現在はだれとだれが残ることに予想されておりますか。
  212. 菅野義丸

    菅野参考人 いま別に人を指定しておりませんけれども、役員になっておる者はほとんど無給でございますので、みんな残るつもりでおります。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 ただ残るということだけに意味があるのじゃないのですよ。残って責任を果たしてもらうということに意味があるのですから、残っておったけれども責任はあまり感じなかったでは困りますから、そういう意味ではいまお話しの無給の役員が残っておられること、たいへんけっこうですが、それは完全に責任を果たして清算をするのだ、こういうことをひとつここで明らかにしておいてもらいたいと思います。
  214. 菅野義丸

    菅野参考人 ことばが足らなくて申しわけございません。残るということは責任を果たすために残るのでございまして、もちろんただ名前だけ残すのではなく、清算事務を完全にやるまで残って責任を明らかにするということでございます。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いいですか。いま政府が委託をしたところの万博協会は、要するに役員はおおむね全部残って、最後の清算を終わるまで責任を負う、こう言っておるわけです。私はちょっとそこを詰めたわけですが、協会責任最後まで負う以上、やはり政府最後までそれに伴う責任が私はあると思うのですが、大臣どうですか。
  216. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 間接の経営とはいいますけれども、政府と一体の関係において万国博覧会協会というものができてこれの運営に当たるわけですから、役員が全部残って最後責任まで全部果たす、こういう場合に政府だけはお先にというわけにいかない。政府としても相当な責任を感ずるのが当然でございます。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 協会最後まで責任を負う、政府責任を負う、大体締めくくりはできました。責任を負う以上は、その過程が問題ですから、よろしゅうございますか、ただ責任を負うと言ったのでは済まないのですよ。責任を負うと言った以上は、責任を負うように、やれるようにこれから二年間するということが、実はいまのことばの裏返しの内容ですから、通産省が主務官庁であるならば、ひとつ優秀なスタッフを協会に送ってエンジンをかけなさい、協会もお願いをします、こうなっておるわけです。大臣、そのほうもいいですね。いまの責任との関係でちょっともう一ぺん答えてください。
  218. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 政府としてはできるだけの責任を尽くすつもりでございます。
  219. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  220. 小峯柳多

    小峯委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。
  222. 小峯柳多

    小峯委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  223. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  224. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、ただいまの可決いたしました本法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、趣旨の説明を求めます。中谷鉄也君。
  225. 中谷鉄也

    中谷委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、私から附帯決議案の趣旨につき御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、日本万国博覧会を全国民の合意と協力並びに諸外国の理解のもとに成功させるよう、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、日本万国博覧会への参加決定国が未だ少ない状況にかんがみ、積極的な招請活動を進め、特にアジア諸国がもれなく参加するよう最大の努力を払うこと。  二、博覧会会場建設及び関連事業の進捗状況にかんがみ、現在の遅れを速やかにとりもどすとともに、計画的に事業を遂行するよう努めること。  三、博覧会準備運営について、経理面等の公正明朗を期するとともに、運営費調達にあたり一般国民の負担に依存しすぎることのないよう配慮し、さらに、会場跡地の利用についても早期に計画を決定すること。  以上でございます。  日本万国博覧会を国民的事業として成功させなければならないことは、各党一致の意見でありますが、現在の準備体制は必ずしも満足すべきものでなく、幾多の支障が生じつつあり、あるいは生ずるおそれがあるのが実情であります。  第一に参加決定国が現在三十カ国程度にすぎず、万国の名に値する外国参加が達成できるかどうか危惧されております。  また、会場建設等について、入札問題、設計変更、予算変更等に見られるように計画性に欠けるところがあり、事業全体の進捗は相当におくれておりまして、諸外国の不信を招く懸念も生じつつあります。  なお、今後万国博準備及び運営に関連して、かりそめにも不正事件等が発生するならば、重大な悪影響を及ぼすことは当然でありますので、経理面等の公正明朗について特に留意する必要があります。  その他入場料等については、質疑によって問題が明らかにされておりますので、説明は省略させていただきます。  要するに、万国博準備の実態から見て、これらを放置するならば成功はとうていおぼつかないといわざるを得ません。  以上の意味におきまして本決議案を提出した次第でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  226. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  227. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議について通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。椎名通商産業大臣
  228. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいま御決議なさいました附帯決議に関しましては、極力これを尊重いたしまして、御趣旨に沿って最善の努力をいたしたいと存じます。
  229. 小峯柳多

    小峯委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  231. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は、明二十四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会