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1968-04-09 第58回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月九日(火曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 宇野 宗佑君 理事 鴨田 宗一君    理事 島村 一郎君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君       内田 常雄君    小笠 公韶君       大橋 武夫君    岡本  茂君       海部 俊樹君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       田中 六助君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       佐野  進君    多賀谷真稔君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    三宅 正一君       塚本 三郎君    近江巳記夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君  委員外出席者         外務省経済協力         局外務参事官  有田 武夫君         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         参  考  人         (金属鉱物探鉱         促進事業団理事         長)      加賀山 一君         参  考  人         (海外鉱物資源         開発株式会社社         長)      山田 義勇君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 四月九日  委員佐野進辞任につき、その補欠として野口  忠夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として佐  野進君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月九日  砂利採取法案内閣提出第一〇〇号) 同月八日  化粧品再販契約制度に関する請願植木庚子  郎君紹介)(第三四五九号)  同(川野芳滿紹介)(第三四六〇号)  同(黒金泰美紹介)(第三四六一号)  同(高橋清一郎紹介)(第三四六二号)  同(床次徳二紹介)(第三四六三号)  同(西岡武夫紹介)(第三四六四号)  同(早川崇紹介)(第三四六五号)  同(麻生良方紹介)(第三六八九号)  同(河野洋平紹介)(第三六九〇号)  同(古井喜實紹介)(第三六九一号)  盲人世帯電気料金低減に関する請願小峯柳  多君紹介)(第三四六六号)  北海道地下資源開発株式会社労働者の処遇に  関する請願川上貫一紹介)(第三五〇六  号)  同(田代文久紹介)(第三五〇七号)  同(谷口善太郎紹介)(第三五〇八号)  同外一件(林百郎君紹介)(第三五〇九号)  同(松本善明紹介)(第三五一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会の設置に関する件  金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四九号)  金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案  (内閣提出第五〇号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案並びに金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、前回に引き続き参考人として、金属鉱物探鉱促進事業団理事長加賀山一君、海外鉱物資源開発株式会社社長山田義勇君が出席されております。参考人におかれましては、御多用の中再三御出席いただきまして、まことにありがとう存じます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本三十次君。
  3. 坂本三十次

    坂本委員 私は、海外鉱物開発の国の援助政策ということにつきまして質問をいたしたいと思うのですが、それに入るに先立ちまして、前回委員会におきまして社会党の岡田委員硫黄のことで質問をされました。それに関連をいたしまして、ちょっと一つ確かめたいことがございますので質問をいたしますが、回収硫黄というものが非常にふえまして、その過剰対策ということで問題になっております。世界的にその不足傾向から貴重な天然資源でありますから、ひとつこれを海外に振り向けるということになろうかと思うわけでございますが、この間の岡田委員、の海外に振り向けようという政府の施策に関連をいたしまして、回収硫黄鉱山硫黄とを調和をいたすという意味で全般的な調整機構お話がございました。私はそれにも関連をすることでありますが、その全般的な調整機構というものは、鉱山硫黄回収硫黄買収価格に格差を設けて、国内向けは買い上げ後価格プールの上で即時売り戻す、そして輸出向けは基地に在庫として貯蔵し、継続的に輸出をするというような調整機構、これもひとつお考えをいただきたいと思うのですが、私の場合はそれよりも、過剰硫黄買い上げ輸出機構というものについて政府はいかようにお考えになっておられるか、これは関連関係業界人たちが実地の体験に基づいていろいろ考えておられることでありますから、政府もひとつよく考えたほうがよかろうと思うわけであります。買い上げ輸出機構というのは、業界の意見などをよく政府が聞いていただいて、年間の需給計画などをつくってその過剰分をきめるとか、それからまたこの機構過剰硫黄の全部を想定輸出採算価格で一手に買い上げて、これを輸出に向けるというようなことでありまして、国内需要見通しよりも多くなった場合は、輸出向けに凍結在庫してある硫黄国内に放出して需給均衡をはかるなどというような考えが含まれておると思うのでございます。こういうようなことをやるために、国の役割りといたしましては、こういう輸出機構に対して国の援助を期待されておるのでありますが、特殊法人としてひとつ十億程度輸出機構を設立をしたいとか、あるいはまたこの機構に対して国の出資を半額程度希望をしておるとか、この在庫資金長期低利融資希望しておるとか、こういうことが希望をせられておるわけでありますが、これらについてひとつ通産省のお考えを前向きで聞かしてもらいたいと思うわけでございます。
  4. 両角良彦

    両角政府委員 お答えをいたします。硫黄わが国におきまする需給関係は、ただいまお話のございました回収硫黄が今後逐年ふえてまいりまして、全体の需給関係でまさに回収硫黄生産分だけが大体過剰になってまいる、かような関係になろうかと想定をいたしております。これにつきまして、ただいまお話しのような特殊な機関を設けて処理をいたしていくことがいいかという点については、なお私どもも十分検討いたしたいと考えておりますが、とりあえず過剰硫黄の処置につきましては、一つ国内におきまする山硫黄に対する需要を将来とも安定的に確保してまいるということが必要であろうかと思います。この点に関連いたしましては、鉱山硫黄業界石油精製業界との協調的な話し合いのもとに、鉱山硫黄需要確保対策ということを積極的に進めてまいりたいと考えます。  また、御指摘をいただきましたように海外に対する輸出という点につきましては、十分これを積極化いたす必要があるわけでございまして、特に輸出のための専門の機関を設けることの可否につきましては、今後検討を加えてまいりたいと存じております。問題は、特にわが国肥料プラント輸出等が相当積極的に行なわれておりますので、このような肥料プラント輸出とも関連いたしまして、肥料原料としての硫黄輸出ということも積極的に打開してまいる道があり得るのではないかということで目下鋭意検討中であります。また輸出市場開拓のための調査団等も派遣いたす準備を進めておる次第でございまして、これらを通じて、なおかつ硫黄問題が一手買い取りもしくは一手輸出機関というものによって解決せざるを得ないという事態におきましては、われわれとしてもさような機構検討いたしたいと考えております。
  5. 坂本三十次

    坂本委員 前向きな御検討をいただくということで、ひとつ今後とも善処をお願い申し上げたい。  そこで、本論に入りまして、探鉱促進事業団海外業務につきましてお尋ねをいたします。  それに入るに先立ちまして、わが国主要鉱産物、銅などの、現在から少なくとも五十年度に至るまでの需給見通しをごく簡単にお尋ねをいたします。
  6. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、銅につきましては、これまで金属鉱物探鉱促進事業団中心といたしまして各種の探鉱努力を続けてまいりました結果、相当量国内銅鉱山埋蔵量の増大を見たのでありますが、しかしながら需要の上昇というものははるかにこれを上回っておるというような関係から、逐年わが国の銅の自給率は低下をいたしておりまして、四十二年度におきまして自給率は二割を切るという事態に相なっております。したがいまして、国内鉱山から出てまいります銅分というものよりは、外国輸入鉱石から出てまいる銅分のウエートが漸次高まってまいりました。この傾向昭和四十七年度ないし五十年度に至るまで依然として継続をいたすものと考えます。したがいまして、ただいま手元にあります数字で申し上げますと、四十七年度におきまして、銅は、地金といたしまして八十五万五千トンの需要がございますが、これに対する国内鉱出生産は十四万八千トン、外国鉱出が五十三万五千トン、かような供給見込みに相なるわけでございます。したがいましてその他のスクラップ出等を合わせましても、なおかつ輸入には約七万トン程度依存せざるを得ないというような事態になってまいるかと思います。
  7. 坂本三十次

    坂本委員 現在でも自給率が二〇%を切るような低さであって、五十年の見込みに至っては、ますます銅その他亜鉛も増加の必要がある。それも海外依存をしなければいけないというお話でございますが、まあ海外依存と申しましてもそう簡単に、単純に輸入でこれをまかないきれるものであろうとは思われない。価格の面でも量的にも、安定的に供給ができるものだとも思われない。そこで、わが国みずからの手でひとつ海外進出をやって、開発をする、そうしてそれを輸入をしようということにならざるを得ないと思うわけでありますが、そういう海外探鉱をやり開発をやる、そうして輸入をする上におきまして、いままでは、わが国政府援助が大体手薄でありまして、業界がひとつ意欲に燃えて海外進出をやってきたと思うわけでありますが、いままでの探鉱あるいは開発をやった実績、あるいはそれに基づいていかなる反省をせられるか、その反省に基づいて将来の進出をやらなければ実効があがらない、こういう質問を私はしたいと思う。  ちょっと聞いたところによりますと、どうもいままでは、探鉱をやって開発をしようとして着手をしたのが三十五の山、しかし成功はたった六つしかしておらぬということであります。これはもう六分の一ということでありまして、野球でいえば打率は一割五分ということであって、問題にならない。そういうわけでありまして、いままでこの探鉱事業開発事業をやってきた経験に基づいていかなる点を反省をしておられるか、それを将来に向かっていかに生かそうとしておられるか、そういうことについてちょっとお尋ねをいたしたい。
  8. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話がございましたように、今日までのわが国海外資源開発、特に金属鉱物開発は、必ずしも探鉱面においても十分な成果をおさめたとは申しがたいということでございますが、昭和二十八年から昭和四十一年度までの間に約二百四十五億円の投融資海外に行ないまして、その結果、今日輸入しております銅分の約四分の一がこれらの投融資対象鉱山から国内に入ってきておるという実情でございます。しかしながら、探鉱につきましては、ただいまの数字のうち約四十億円が探鉱部門に充てられたのでありますが、その成功率は御指摘のとおり六分の一弱であるという実績に相なっておるわけでございます。  なぜこのようなことになったかという理由はいろいろあろうかと考えますが、一つは、従来わが国海外で取り上げましたプロジェクトは、外国企業がすでに探鉱をいたしまして放棄をした鉱区等を取得いたしたケースが多かった、また、これら鉱区探鉱にあたりまして、基礎的な調査というものが十分行なわれたとは言いがたかったというような事情もあったかと思います。さらに外国側との契約期間が一、二年というような短期な期間が多く、十分な期間をかけての探鉱活動というものが不可能であった、さらにはわが国企業自体の体質に関連いたしまして、投入資金が必ずしも十分でなかったというようなことが重なりまして、探鉱成果が必ずしも満足すべきものでなかったということに相なったと思います。  したがいまして、将来のわが国海外探鉱をより効率的に推進をいたしますためには、何よりも組織的な探鉱、組織的な開発というものについての十分な努力をいたすべきかと考えます。そのためには、一つは今回改正をお願いいたしておりますように、探鉱事業団におきまして世界各地に関する資料情報の組織的な収集を行なう、また有望地域というものの選択等につきまして、十分広範な資料に基づいての責任ある選択を行なってまいるということが必要でございます。さらに、広い地域にわたります地質構造調査国内でやっております広域調査、精密調査的なものを海外にも拡大いたしまして、事業団による基礎調査並びに地質構造調査というものを併用いたしてまいりまして、企業探鉱成功率を高めていくような基礎的な、組織的な探鉱情報というものを提供いたすようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  9. 坂本三十次

    坂本委員 いままでの実績をよく反省をせられて、基礎的にそしてこれから積極的にやられるということはまことにけっこうなことである。  そこで、おのれを知り、敵を知らば百戦危うからずというわけなんだが、われわれは一人で海外進出をするわけではないんで、特にこれからわが国競合状態に立つ英米とかEEC諸国、これらが一生懸命進出をしてくるわけであります。これらとしのぎを削って海外進出をいたさなければならぬ。その場合に、敵も知らなければいけない。そこで、これらのわが国との競合関係に立つ先進諸国のいままでの探鉱海外開発政策というものについて学ぶべき点は学ばなければならない。そういう意味合いにおいて、参考になるようなこれらの日本との競争国海外探鉱政策というものをやはり研究をする必要があろうと思うわけであります。そういう意味合いにおいて、非常に参考になるようなこれらの国の諸政策があったら、ひとつお聞かせをいただきたい。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 金属鉱業関連いたしましては、特に国際的な大企業というものがアメリカ、カナダあるいは欧州諸国に存在をいたしておりまして、わが国産銅会社は、これら国際的な大企業に比較してはきわめて劣弱な地位にあるということは、ただいま御指摘をいただきましたとおりであります。したがいまして、海外開発を推進いたしていきまするためには、これら国際的大企業のこれまでの成果あるいは経済的な戦略といったものを十分私ども研究をいたす必要があるという点は、まさにさような必要があろうかと考えております。同時に、今後海外開発を進めていく上できわめて肝要な点は、これら国際的大企業との協調関係を積極的にはかってまいるということであろうかと思います。  すでにアフリカのコンゴにおきまする銅の開発関連いたしましては、当該地域におけるユニオン・ミニエールとの協力関係というものの樹立が必須の条件であろうかと考えております。また、たとえばインドネシアにおきまするニッケルの開発につきましても、インコとの提携もしくは協力関係あるいは協調関係の確立がきわめて肝要な点でなかろうかと思っておりますが、かような実例に徴するまでもなく、今後とも世界各地におきましてわが国企業は、これら先進諸国の国際的大企業との協力関係協調関係相互理解を深めていくということを私どもとしては銘記する必要があろうかと考えております。  あわせまして、国際的な進出のためには、主として低開発諸国が、これら資源賦存が豊かでありまするので、これら低開発諸国との連携の強化あるいはこれらの諸国政策理解、あるいはそれに対する要望といったような意味におきまして産銅諸国との積極的な相互理解を深めていくこともあわせて必要ではないかと考えておる次第でございます。
  11. 坂本三十次

    坂本委員 ただいまの御答弁の中で、特に低開発諸国に対する政策理解、それから協調関係ということを考慮してやりたいというお話がございましたが、特に低開発諸国、これらの国々ばいま世界の南北問題の中心になっておるところでありまするから、これらの国々に対する日本としての外交姿勢というものは非常に大切であるということは言をまちません。またこれらの低開発地域政情に不安がないかどうかというような点につきましても、十分に御調査をされておられるかどうか。現在のみならず将来にわたってのいわゆる政治の安定というものが求められなければ、これは何にもならないわけでありまするが、これは外務省あたりばお詳しいでしょうが、どうでしょうか。コンゴインドネシア、あるいはまたチリ、ペルーなんというところもありまするが、こういうコンゴとかインドネシアなどというようなところに対する海外進出バックアップする、そういう国としての外交基本姿勢というものが私は非常に大切になってくると思うわけでございます。そういう意味合いにおいて、これらの国々政情に不安がないかどうか、それから外交ルートを通じてもこういう海外進出をうまくバックアップしていっておるのであろうか、将来の見通しはどうであるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  12. 有田武夫

    有田説明員 低開発国に対する日本経済協力外交姿勢についてのお尋ねだと思います。  わが国が戦後低開発国に対して海外経済協力をやってまいりました基本理念と申しますと、それぞれの国の民生、経済発展向上にいかに寄与できるかという点に重点が置かれてきたと思います。そういう経済協力が効果的に実施できますためには、もちろんその国の政治情勢ということが重要でございまして、外務省といたしましても、その政情の成り行きについては、常に関心を払っておるところでございます。ただ、われわれのやります根本理念は、先ほど申しました経済開発、それが引き続いて民生安定、向上ということにありまして、いわゆる政治借款、たとえばイデオロギーにとらわれて、申しますればこの国は赤であるからやらないとか、この国は白であるから一生懸命やるということではございませんで、日本単独あるいはIMFだとか世銀のような国際機関と協調いたしまして、二国間あるいは多数国間のベーシスで協力をやってまいった次第でございます。
  13. 藤井勝志

    藤井政府委員 通産省の立場、すなわち貿易政策の面から見た発展途上国東南アジアへの日本の今後の政策の進め方についてお答えをいたしたいと思います。  東南アジア諸国との貿易は、数年来輸出においてわが国の総輸出額の三分の一、輸入額においては六分の一というような状態にふえてまいっておりまして、わが国にとってはきわめて重要な市場であることは申し上げるまでもございません。特にごく最近の御案内のようなジョンソン大統領ベトナム和平提言ということもあって、これからますます東南アジアが平和な姿で経済総合発展をはからなければならぬ、こういう局面に向かうわけでありますから、そういう点についてわれわれはますます重大な関心を払うべきであるというふうに思っておるわけでございます。ところが、いずれにしても、まだ発展途上国国内状態はいわゆる流動的でございましょう。同時にまた、国内経済建設を急がなければならぬという事情から、主としてわが国からはそのような経済建設のための建設材料、こういった資材関係をそれらの国に輸出をして、それらの国々からは、わが国は原材料を輸入しておる。こういうことでありまして、相互に補い合っておる関係ではございますが、全体的に見ますと、やはりわが国のほうが送り出す品物が多くて、向こうから買う品物が少ない。そういうことから、昨今一部の国からは、貿易が不均衡である、日本のほうが輸出超過であり、もうちょっと品物を買ってくれ、こういう強い要望があるわけでございまして、わが方としては、向こうの国の経済を発展させ、いわゆるささえをし、開発協力をしながら輸入を促進する、いわゆる開発輸入、こういう線も経済協力の一環として積極的に進めていかなければならない、このように考えるわけでございまして、今後とも各国の事情十分考慮をしつつ、全体的に安定した姿で東南アジアのいわゆる経済復興が都合よくいくことは日本運命共同体である、このように考えて進めなければならぬというふうに思うわけでございます。
  14. 坂本三十次

    坂本委員 それでは、いよいよ海外進出をいたしまして探鉱をする、開発をするという場合には、これは業界だけの力では不十分である、国も積極的にあと押しをして、これからやろうというわけでありまするが、何さま膨大な開発資金探鉱資金が要ることと私は思うわけであります。それで、ひとつ今後のそれらの計画あるいは所要資金といったようなものを、少なくとも昭和五十年ごろまでの長期見通しについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  15. 両角良彦

    両角政府委員 海外鉱物資源開発長期的な見通しでございまするが、銅について申し上げますると、大体昭和五十年度を目途といたしまして、五十年度におきまするわが国の銅の手当てのついておりません約四十三万トンという数字を、今後の海外開発において確保をいたすということが一応の目標になっておる次第でございます。この四十三万トンは、そのうち半分をわが国企業海外開発によって確保をいたしたい。残りの半分はわが国企業によりまする融資を通じまして、長期契約による買鉱によって確保をいたしたいというのが大体の考え方になっておるわけでございます。この四十三万トンをそれぞれ開発並びに融資買鉱によって確保をいたしまするために必要な資金といたしましては、探鉱のために二百十七億円、また当該探鉱鉱区開発のために八百六十八億円、さらに融資買鉱のために必要な融資額約四百三十四億円というふうに一応想定をいたしておる次第でございます。
  16. 坂本三十次

    坂本委員 そういたしますると、昭和五十年ごろまでにはざっと千六百億という膨大な資金が要るわけでございますが、そういう膨大な資金あるいは計画、これに見合うように国がひとつバックアップをし力を入れていこうというのが、このたびの促進事業団海外業務を新設をした理由であろうと思うわけでありまするが、それにつきましてひとつ政府のこの壮大な計画に見合うだけのいかにバックアップをしていくか、事業団海外予算規模、こういうようなものにつきまして、皆さん方はどういうふうにお考えになっておられるか。今年は財政硬直化のおりにスタートをしたのであるから、まあまあ少額はやむを得ないといたしましても、さしあたり今年とりあえず民間進出意欲にこたえられるだけの予算であるかどうか。あるいはまた、全体の千六百億の事業規模に見合うだけのこれからの国の長期援助計画というか、計画というよりも現時点では決意というべきものでありましょうが、こういうものにつきまして、ひとつ政府のお考えをただしたいと思う。これは長期的に継続的に飛躍的に努力をしなければとても海外進出のエネルギーに見合うというわけにはいかない。その点について政府決意というか、そういうものがありましたらひとつ聞かしていただきたい。
  17. 両角良彦

    両角政府委員 今度の海外開発を進めてまいります場合に一千数百億という膨大な資金が必要であり、この調達はきわめて重大なかつ困難な問題であろうかと思います。この場合、まず第一に海外進出をいたしまする民間企業資金調達というものを十分助成、助長をいたしていくということが基礎的に必要ではないかと考えております。今日までお認めいただきました減耗控除制度というものは、これら鉱山会社の再投資資金確保でございままして、かような減耗控除のための基金から海外探鉱開発に振り向けていくということも今後期待をされるところではないかと考えます。また民間が必要な資金調達するにあたりまして、ただいまお願いをいたしておりまする法律改正の後におきましては、金属鉱物探鉱事業団融資の保証ということを通じまして、より金融の調達を便ならしめるという措置をいたしたいというふうに考えております。  次に、事業団自体といたしましても、カナダ、オーストラリア等の先進国に対する開発探鉱計画につきましては、積極的な融資を行なうたてまえになっておりまして、そのために必要な財源は今後とも予算的に確保してまいりたいと存じております。また後進諸国における探鉱開発事業につきましては、経済協力基金によります積極的な資金投入というものをわれわれとしては強く期待をいたす次第でございまして、そのための資金確保というものにつきましても十分努力をしてまいりたいと存じております。  なお、開発段階に至りました後には、先進、後進諸国を通じまして、輸出入銀行等の資金の活用も積極的に考えてまいりたいと存じます。以上の各種の方策を通じまして、千数百億にのぼりまする海外開発資金調達をできるだけ円滑に進めてまいるというのが私どもの所存でございます。
  18. 坂本三十次

    坂本委員 現場の第一線に立たれる事業団の責任者が来ておいでになっておられまするので、四十三年度の事業団海外業務に対する予算というものを見てみますると、補助で一億二千数百万、あるいはまた産投特別会計で二億という予算がついておりまするが、この予算をひとつフルに活用をしていただかなければならぬわけでありますが、どうですか、今年度この予算をフルに活用するにあたって、民間意欲にこたえるだけのやはり知恵をしほった活用ということを考えていただかなければならぬ。民間意欲にこたえてどういうふうに具体的におやりになるのですか、ひとつお答えをいただきたい。
  19. 加賀山一

    加賀山参考人 お答え申します。今年度の予算は、確かにわれわれのほうから申しますと十分でなかったというふうに考えております。しかし現在その予算でやる以上は、われわれとしてはいまお話しのように最も効率化された使い方をしなければならぬ、こういうふうに考えております。調査費が一億八千万円ほどございますが、これは、ただいままでの私の考え方といたしましては、基礎調査はむろん一ぺんにはできませんけれども、年を追って、二年、三年とかかりますけれども、三カ所程度のものは今年度にぜひやりたいというふうに考えております。先進国に対する探鉱費のほうは一億円でございますので、これも、とても一億円では十分でない、おそらくそれの五倍、六倍というものが要求されるのじゃないかと思いますので、これは、そのうちの最も適当だと思うものを、皆さんと相談して、りっぱな成果をあげ得るものというところをねらって効率的に使いたい、こういうふうに考えております。
  20. 坂本三十次

    坂本委員 事業団の業務の内容についてちょっとお尋ねをいたします。  事業団の債務保証につきまして、輸銀とか基金の開発融資でありますけれども、実際は、こういう政府機関と市銀との二人三脚の協調融資で行なわれておるというのが実情でありますけれども、これはどうですか、輸銀それから基金の融資に対して事業団が保証をするというふうになっておりますけれども、これは実際にやられますか。というのは、石油開発公団に対しまして、やはり協調融資分の市中銀行に対しては保証をするけれども、輸銀とか基金に対する保証という点についてはまだうまく行なわれていないように聞いておる。石油開発公団の法律が通ったときの附帯決議によりましても、実情を十分考慮して弾力的に運用する、こう書いてあるわけでありますが、実際業界海外進出をほんとうにしやすいようにするためには、市中銀行に対する保証というよりも輸銀とか基金に対して保証をしてやったほうが非常に喜ぶ、やりやすいということを聞いておる。これは、今後の運営はいかなる見通しに立っておられるか、承りたい。
  21. 両角良彦

    両角政府委員 探鉱事業団によります融資の保証にあたりまして、政府関係金融機関融資について事業団が保証をいたすかどうかという点につきましては、お話の石油開発公団の前例によりまして処置をいたしたいと考えております。石油開発公団につきましては、ただいまのところ、輸出入銀行等の融資につきましては一定の限度までは開発公団による保証が認められ得る、またそれを越えます場合も、個々の案件についてケース・バイ・ケースで検討をいたしまして、必要なものについては融資を行ない得るというたてまえで進めてまいる方針でございます。
  22. 坂本三十次

    坂本委員 実情に応じて、ほんとうに大きな国策として海外進出するならば、実際に海外に向かってそのエネルギーがうまく爆発をしていけるように政府援助するのがほんとうである。何か次元の低いなわ張り争いで足を引っぱるようなことがあってはならぬと私は思う。特に留意をして、ひとつ今後大蔵省方面と折衝をしていただきたいと思うわけであります。  時間が来ておりますので、最後に一つ。  わが国のこれからのほんとうの基本的な国是というものは、海外進出、そして通商、こういうところでどうしても日本という国の行くべき道を開いていかなければならない、こういうことはもう論をまたないところでございます。まあしかし、外国から見ますと、憶病な巨人だとか、魂なき繁栄だとか、こう言われておる。さらにマイホーム主義でありまして、海外援助などでもまだ積極性を欠くと後進国、低開発国あたりからの非難もあるやに聞いておりますけれども、ひとつこの際、国民の目を外に向けて開く、そうして大いに海外進出をし、通商をいたさなければならぬ。これは海洋国家日本としては当然のこれからの大方針でございまするが、そういう意味におきまして、一言にしてこれをいえば、通産省あたりの海外進出海外開発、通商、この大方針はいかがでありますか。きょうは大臣おいでになりませんが、政務次官はたまたま総理大臣のいすにすわっておられるので、総理大臣になったつもりで格調の高いところを簡潔にお答えをいただきたい。
  23. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘のとおりでございまして、日本の産業を動かすすべてのエネルギー資源の、専門家の総合的な結論は、昭和四十年代においては六〇%は海外依存しなければならぬ、昭和五十年代には八〇%、昭和六十年には九〇%、こういう現実の見通しの上に立ちまするならば、日本は、いわゆる貿易立国といいますか、そういうたてまえが基本の姿勢であり、われわれが貿易をやるということによって国の繁栄をはかることを前提とするならば、やはり世界は波風のない平和な世界であってほしい、いわゆる貿易立国は平和外交主義でなければならぬ、このように思うわけでございまして、われわれの進むべき進路はまさにそこにある、このように考えるわけでございます。
  24. 坂本三十次

    坂本委員 これはまだまだ論議をいたしたいところでありまするが、時間の制限がありますので、後刻に譲ります。  質問を終わります。
  25. 小峯柳多

  26. 永井勝次郎

    ○永井委員 地下資源開発について、国内海外とに手を伸ばして三段階の方式で開発をしていく、これらの問題を文章に書けばたいへんけっこうでありますけれども、具体的にどのような目標に焦点をしぼって、どのような手段で、どれだけの力でこれを進めていくかという具体的な内容について吟味しなければ、ただ抽象的に文章とことばで言っておる限りにおいては、これはどんなことでも言えるわけでありますから、われわれが、この目標の設定が適切であるかどうか、こういうことを判断するに足る資料と、それから、それをどういうふうに進めていくのだという手段について、もっと具体的に、そうしてこの手段を動かしていく力についてもっともだとわれわれが納得できるかどうか、批判できる具体的な説明を望みます。
  27. 両角良彦

    両角政府委員 海外開発計画的な推進並びにその推進に必要な諸方策、手段の確保という点につきましては、御指摘をいただきましたとおりかと存じますが、一応銅につきましてそのたてまえを御説明いたしますと、昭和五十年度におきまする銅の需要を当方では百一万七千トンと想定いたしております。この百一万七千トンの需要に対しまして、現在国内鉱あるいは輸入鉱あるいは輸入地金等々国際的国内的手当てのついておりまするものが五十人万三千トンと見込んでおるわけであります。したがいまして現段階におきまして、昭和五十年度においてなお手当ての見通しのつかないものは四十三万四千トンということになっておる次第でございます。この四十三万四千トンを探鉱開発によりまして半分を確保いたしたい。また融資買鉱によりまして残りの半分を確保いたしたいということでございます。これに必要な総所要資金は、探鉱投資額といたしまして二百十七億円、開発融資額といたしまして一千三百億円ということになるわけでございます。  これら総所要資金につきまして、年度別に四十三年度から四十九年度に至りまする計画を策定いたしておるわけでありますが、基礎調査探鉱並びに開発の各項目別に年次計画を策定いたしまして、これを鉱業審議会におはかりをして、各年次の計画の具体的な推進に当たってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 永井勝次郎

    ○永井委員 具体的な事例として銅をあげられたのでありますが、金属鉱業について銅を主体にしてこの計画をただいまのところ進めていこうというのですが、そのほか金であるとかあるいはそのほかの金属をどういうふうに組み合わせて、どういうふうな年次計画なのか、おおよそでよろしいから示していただきたい。
  29. 両角良彦

    両角政府委員 海外開発の必要性は特に銅の鉱石において大きいわけでございますが、なおわが国といたしましては、このほかにボーキサイト、ニッケル、ウランといったような各種の国際的に確保を必要とすべき鉱産物があろうかと思います。これら鉱産物の海外開発並びに探鉱計画につきましては、それぞれの事情に基づく長期計画を今後設定をして取り組んでまいりたいと思っておりますが、さしあたり事業団海外業務が四十三年度は発足いたしたばかりでございますので、これらボーキサイト、ニッケル、ウラン等につきましては、来年度以降新たに検討を進めてまいりたいと存じております。
  30. 永井勝次郎

    ○永井委員 それでは銅について伺いますが、四十九年度までに四十三万トンという量の手当を確保する、そのために探鉱費として二百十七億、それから先ほどの答弁では八百六十八億に融資四百三十四億、非常にこまかい単位まで数字が刻まれているのですが、それには探鉱するところとしてどういうところがあるのか、そういうところがあって具体的にこの計画が立っているような数字の計算ですが、その内容をさらに明確にしていただきたい。
  31. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御説明をいたしました数字は、五十年度における銅分四十三万トンの確保という量的な面から立てた年次計画になっておるわけでございまして、海外開発地点別の積み上げ計画ということにはなっておらないわけであります。
  32. 永井勝次郎

    ○永井委員 四十三万トンというのは決勝点の願望で、その願望からそういう数字を計算したということになると、そのときの国際情勢や経済環境等にもよるわけで、いま五十年の年度を展望することは無理です。探鉱費二百十七億、こういうふうに言うと、非常に具体的な計画路線がしかれておるように見えるのですが、そういうものはないのですか。ただ単に四十三万トン手当てができた場合にこれだけの金が要る、こういう数字の積み上げであって、計画を遂行するに必要な数字の積算でない、けういうふうに理解してよろしいですか。
  33. 両角良彦

    両角政府委員 四十三万トンを確保するための必要な計画でございますが、具体的な開発地点との対応関係というものを積み上げ的につけておるわけではございません。かような趣旨でございます。しかしながら、この四十三万トンを五十年度までに確保いたします具体的な地点といたしまして、現在手をつけておりますコンゴあるいはペルーあるいはチリといった諸点の開発計画探鉱計画というものはそれぞれその内数として推進をいたすことになっておるわけでございます。
  34. 永井勝次郎

    ○永井委員 それはそれとして推進しながら、新しい分野にも手を伸ばすわけですから、そうしますと、これから新しい分野への触手はどういう計画でお進めになる予定ですか。いまペルーとかそういうところを重点に五十年度を目標に具体的に進める、そのほかはそれが済んでから手を広げる、こういう順序になるのですか、そこはそことしてやりながらもっと手を広げていく、こういうことになるわけですか。その辺明確にしていただきたい。
  35. 両角良彦

    両角政府委員 すでに海外におきまして探鉱計画に着手をいたしました地点以外に、わが国として今後積極的に海外進出をはかるべき地点が多々残されておるかと存じます。そのためには、金属鉱物探鉱事業団によります基礎的な資料情報の収集というものによりまして、世界的になお残されておる有望鉱床賦存地域の把握ということが基礎的な前提になってまいるかと思います。その情報をもとにいたしまして一定の個所を選定いたしてまいります。これに対して地質構造の基礎的な調査事業団によって行ないまして、有望性があるという地域を発見し、これを企業による開発にゆだねていくということで今後の海外開発の積極的な拡大をはかってまいりまして、その総計が先ほど申しました四十三万トンを確保できるように努力いたしたいと存じております。
  36. 永井勝次郎

    ○永井委員 四十三万トンという鉱量を限度としていま五十年度までの計画を銅の場合は進めるのだということです。そうすると、それ以外にいろいろな情報から有望なところがある、これはタイミングの上からいってもいま手をつけなければだめだというようなところでも、こういう予算に制限されて手が伸びないということになるのか、あるいは開発が重点であるから、そういう有望な対象が見当がつけば、金に糸目はつけないでやるんだ、こういう関係にあるのか、その辺前進していく上において探鉱開発の性格を明確にする必要があるので、お示し願いたい。
  37. 両角良彦

    両角政府委員 有望地点が新たに確認をされましたならば、わが国といたしましては当然その利権の確保につとむべきでございまするが、この場合の資金につきましては、まずもって民間企業によりまする鉱区確保探鉱のための所要資金調達されることを期待いたしたいと思います。もちろん政府もしくは事業団としまして、可能な限度において十分これに協力するために必要な資金手当を行なうべきことは当然であろうかと考えております。
  38. 永井勝次郎

    ○永井委員 大体こういうリスクの高いものについて、営利を目的とする私企業に一切をまかせるというような性格においてこういう地下資源開発というものが国家の要請に基づいて正しく進められるとお考えになっておられますかどうですか。私は、営利会社の私企業である限りにおいて、企業採算を度外視したやり方というものはできるはずがない。そうすると、リスクの高いものには手がつかない。確実なものに手をつける、そういうことになると、国際競争の激しい中で、タイミングがおくれてしまうのではないか、そういう心配もあるわけでありますし、それから四十三万トンという銅の関係について、その目標を立てましても、はたしてそれだけのものが現在手をつけているところで確保できるかどうかも不確定であろうと私は思います。そういう点を考えますと、リスクの大きな点についてはどのくらいの限度の負担を企業にかけるか、その限度をこえた分については国が持つとかなんとかいう、企業の存立に影響を与えない限度でやらなければこういうものはスムーズに運ばないと思うのですが、一体この探鉱、ことに海外投資、こういうものは経済的条件ばかりでなくて、政治的なリスクも非常に多いわけでありましょうから、そういう裏づけがなければ私企業では手が伸びないのじゃないかと思うのですが、いかがでありますか。こういう一部法律改正だけで、そして私企業に一切をゆだねて、けちくさい金の出し方で、国家要請は大きくして、そして目的が確保できるのだ、そういう抽象的な積算だけで目的が達成できると保証できるかどうか。
  39. 両角良彦

    両角政府委員 金属鉱物もしくは石油、いずれの場合も探鉱というものがリスクを伴うものである。したがって、企業の負担に耐え得ない面があるという点につきましては、御指摘のとおりかと存じます。この点は国内金属鉱物探鉱につきましても、また海外探鉱につきましても考え方は同じでございまするが、国内の例で申し上げますると、広域調査というものは国が事業団に委託をいたしまして、全国二十七カ所を将来にわたって調査をいたす、これは一つの基礎的な探鉱業務でございます。これを国の負担において行なうということになっております。また、次の精密調査という段階につきましては、国が六割の資金を出しまして、企業の負担は二割ということに相なっております。したがいまして、精密調査段階についての企業のリスクは当該探鉱費の二割にとどまるということになっております。この二つの基礎的な広域並びに精密調査という探鉱段階を経ますと、きわめて鉱床の賦存状態が明らかになってまいるわけでありまして、これ以後の探鉱企業の手にゆだねるという場合には、そのリスクは大幅に減少してまいるたてまえになっております。かような考え方は海外探鉱につきましてもひとしく適用をいたしたいと考えておる次第でございまして、今日事業団によりまする資料情報の収集並びに基礎調査の実施ということは、国内における鉱探の三段階方式に対応いたす方式を海外探鉱に適用して、もって企業探鉱リスクというものをできるだけ縮小をいたしたいという考え方によるものでございます。しかし企業探鉱について全くリスクを負わないということもまた不自然でございまして、したがいまして、きわめて有望性の高い地域を限定するまでは、国もしくは地方公共団体の負担においてこれを行ない、その有望地域内における具体的な探鉱リスクというものを企業において負担していただくというたてまえが正しいあり方ではなかろうかと存じております。
  40. 永井勝次郎

    ○永井委員 局長の言うように、国内資源探鉱というものがずっと長期計画の中で相当の基礎調査ができている、こういう条件の中でこれだけできているんだから、あとはそれを企業化するかどうかということで取り組めばいい、こういうのではなくて、そういうものは国内だってまだほとんどできていないのでしょう。たとえば探鉱関係を、事業団地質構造調査実績というものを見ましても、三十九年は八千万円、四十年は一億四千万円、四十一年は一億五千万円、四十二年は二億八千万円、こんなつめのあかほどの金を広域調査に支出しているからといって、そういうものができている、企業化できるような基礎調査ができているんだというようなことが言えますか。こんな金額で何ができるのです。私は、もしできているというならば、どれだけの金をなにして、どれだけの網の目を日本列島にかけてどこまで調査しているのだということを明確にしていただきたいと思います。以前石油の事業団をつくる場合でも、東大の上床さんですか、あの教授などは、もう地質調査はできているんだ。あとはどこにボーリングをおろして金をどれだけ注ぎ込めば油が出てくるんだということを言っていたのですが、調査にもいろいろあるでしょうが、地図に色を塗って、ここは第何紀層だというくらいの調査では資源調査というわけにはいかないわけですから、そういう点で、一体どれだけの基礎があってあとは企業化の段階だというようなことが言えるのか、そこまで調査ができているのかどうか伺います。
  41. 両角良彦

    両角政府委員 広域調査につきましては、三十八年度以降四十二年度までに、延べ六億九千四百万円の政府資金を投入いたしまして、全国十三カ所の調査を行なっております。これは昭和五十年度までに全国二十七カ所の広域調査を行なうのが目標でございまして、そのうち四十二年度までに、すでに十一カ所におきまして広域調査に着手もしくは完了いたしたという実績に相なっております。また精密調査につきましては、三十九年度以降四十二年度までに七億九千三百万円の事業費を投入いたし、そのうち政府が四億七千六百万円の補助金を交付いたしております。これによりまして現在三地点における精密調査を進行いたしておる状況になっております。またこの広域調査、精密調査成果を受けまして、企業段階におきます探鉱につきましては、金属鉱物探鉱事業団によりまして、三十八年度から四十二年度にかけまして百五億六千五百万円の融資を行なっております。この間延べ数にして三百九の鉱山がこの融資を受けた探鉱を行なった次第でございます。さらに、中小鉱山につきましては、この間十六億円の補助金を交付いたしまして、延べ八百八十一鉱山探鉱を行なっておるわけでございます。したがいまして、三段階方式によります探鉱計画というものは、現在までのところ所期の成果をおさめつつあるものと考えております。
  42. 永井勝次郎

    ○永井委員 それじゃあらためてお伺いしますが、いま日本列島の地下資源調査というものは満足すべき状態にあるんだというふうにお考えになっているのか。あるいは非常に問題にならないほど地下資源調査というものは、手がついたような段階で、これから大いにやらなければならないという未確定な、将来の大きな可能性を待望しながら、大いにこれから金をつぎ込んでやらなければならぬというところの出発点に現在あるのか。満足すべき状態で、今度いま出発しようとしておるのか、その点をひとつ伺いたいのと、いまそうした関係について一体何が足りないのか。すべて満足すべき状態でいま出発しようとしているのか、あるいは非常な不満足な中で与えられた条件を満たすために一そうの努力をしなければならないのか、何が欠けておるか。欠けておるといったって私は限度があると思うのです。四十三年度の予算は一億の予算ですが、一億くらいの金で何ができますか。少なくとも地下資源開発、あるいはいろいろな買鉱にいたしましても、それだけの予算よりなくて、そうして今度ことばの上や計画の中ではたいへんりっぱなことをなにしていますが、そんなことで何ができるか、こう思うのです。ですから、いまそうした資源調査などに取り組んでおる、国策としていま何が欠けておると、責任のある担当局長としてお考えでありますか。それを、条件が足りなければ遠慮なくひとつ示してください。
  43. 両角良彦

    両角政府委員 今日までの探鉱計画成果というものが十分満足すべきものであるかどうかという点につきましては、わが国金属鉱物賦存状況から考えまして、なお私どもは不十分であると考えます。問題は、特に深いところにあるいわゆる港頭鉱床というものにつきましての探鉱の余地はなお多数残されておるかと思います。一つの試算によりますと、これら深層部における金属鉱物賦存は、わが国において約四億トンにのぼるというふうに想定をせられておりますが、その大半はまだ技術的にもまた事業的にもつかんでおらない実情でございまして、今後とも探鉱開発のためには、政府といたしましても、また事業団といたしましても、企業といたしましても、全力をあげて努力をいたす余地が残されておるかと思います。そのための第一の要件は、やはり企業並びに政府を通じまして所要の資金確保ということであろうかと思います。この点につきましては、今後とも全力をあげてまいりたいと存じております。
  44. 小峯柳多

    小峯委員長 関連質問の申し出があります。これを許します。三宅正一君。
  45. 三宅正一

    ○三宅委員 私ははなはだしろうとでございますけれども、どうも政府の金の使い方についてふに落ちぬ点があるのであります。それは、たとえば広域調査をやるにいたしましても、ウランはウランで調べる、石油は石油で調べる、そうして鉱物は鉱物で調べるというやり方は、大局的に見れば一文惜しみの百文失いをやっておるのではないかと思うのであります。同時に石油やその他のものにつきましても、もう、大陸だななどの調査もやらなければならない。  まず第一点としてお伺いしたいのは、ウランだとか石油だとか金属だとかいうものは、別々に調査したほうが効率的なものなのか、あるいは金を惜しまずに、ひとつまとめて、どうせ調査するのだったら、官庁のセクトだとかいろいろにとらわれずに、ずっと総括的に調査したほうが効率的であるかどうか、この点をまず承りたいと思います。
  46. 両角良彦

    両角政府委員 石油その他のいわゆる炭水化物の賦存状況と金属鉱物賦存状況とはそれぞれ異なっておるわけでございます。御承知のように、石油につきましては、地層的には背斜構造という構造における石油の賦存の可能性が最も高いということから、地質調査もしくは物理探鉱等はこの背斜構造の発見に努力を傾注いたしておるわけであります。金属鉱物はさような地質構造とは全く無関係賦存状況を示しております。したがいまして、石油と同じ探鉱計画の中で金属を探鉱いたすというわけにはまいらない事情があるわけでございます。また金属自体の賦存状況につきましても、鉱物の種類によりましていろいろなタイプがあるわけでございまして、現在たとえば黒鉱、キースラーガー、あるいは接触鉱床等々いろいろなタイプによりましてそれぞれの賦存する金属の種類が変わってきておる、かような状況でございますので、たとえば黒鉱をさがすと同時に金をさがすということは困難な情勢でございまして、このような地質学的な条件によって左右されておるという点につきまして御了承いただきたいと存じます。
  47. 三宅正一

    ○三宅委員 全くしろうとの疑問でございますから、鉱山局長の御説明でたいへんわかりましたが、たとえば国土地理院なら地理院が相当な技術者、学者等を動員いたしまして、相当な金を入れまして全面的にやはり地質調査をする、そうして鉱物というものが第何紀層に多いとか——そういう関係があるのかないのか知りませんけれども、地層の形成過程から、また土質とかいろいろな点から考えまして、総合的に相当調べた上に立って、かりに、金属においても性質が違うから別々に調べるといたしましても、この区域はたとえばこういうものがありそうだとかなんとかいうような広域調査については、私はそういうやり方をやったほうがいいんじゃないかと思うのです。それをほんのはした金でもってそれぞれ小さな調査をやっておりますから、実は一文惜しみの百文失いになっておるのではないかというしろうとの一つの疑問がありますので、もしなんでございましたら、鉱山局長は技術出身であるかどうか知りませんが、参考人としておいでくださいました技術関係者がおられましたならば、そういう点どう考えられるか、それから大局的に、政務次官おられますから、政務次官どう考えられるか、私はほんとうのしろうとの疑問でございますから、お答えを願いたいと思います。
  48. 加賀山一

    加賀山参考人 お答え申します。ただいまの国土地理院ですかでやらしたらどうかというようなお話でございますが、国土地理院のほんとうの仕事を私も正確には把握しておりませんけれども、これはやはり国の地図と、昔の陸地測量部というような仕事をしているところではないかと思っております。いわゆるジオロジスト、地質学者というものは入ってないと思うのですが、地質に関しましてはむしろ地質調査所というのがございまして、これは通産省の工業技術院に入っておりますが、これは全国の地質を図幅にまとめるという仕事をしております。別にこれは銅とか金とかということに限らず、全国を歩いて、そうしてそこの地層を調べて、これを報告しております。そういうものがやはり一つの今後の進む材料になって、それぞれ金なら金、銅なら銅、石油なら石油というふうになってくると思うので、材料は提供しているというふうに考えてよろしいかと思っております。
  49. 三宅正一

    ○三宅委員 政務次官の御答弁の前に、私が地理院ということを言いましたのはほんの一つの例に引いただけで、地質調査所もありますが、要するに私は、基礎調査は、ちょうど原子力の開発にいたしましても何の開発にいたしましても基礎科学というのは非常に必要だと同じ意味において、周密な基礎調査の上にそれぞれの分野の探鉱等をやるのが筋じゃないか、そういう点について国の施策というものは、今日までほんとうに継ぎはぎの思いつきをやっておったのじゃないか、こういうふうに考えるのです。そういう大局観についてどうお考えになりますか。
  50. 加賀山一

    加賀山参考人 ただいまのお話、われわれのただいまやっております広域調査に通ずる話ではないかと思うのであります。われわれのほうが仕事を始めます前は、地質調査所がこの調査をやっておったのでございます。一昨年からわれわれのほうにこの調査がゆだねられたわけでございます。ただいままでにわれわれのほうでやりました仕事を申し上げますと、これはたいへん内容がこまかくなりますので、ごくわかりやすく申しますと、われわれのほうの調査で動員しましたほんとうの地質関係の人、これは大学の先生とそれから企業関係がおもでございますが、大学の先生を主力にした調査団でございますが、四十一年度には延べ人員で四千三百人でございます。人夫が九千五百人。四十二年度は調査員が七千七百人、人夫が一万人をちょっとこえております程度の仕事をしておりまして、着々と広域調査の実はあがっている、こういうふうに確信しております。広域調査の結果、これは有望地帯であるというようなところで精密調査に移り得る地帯も出てきております。その精密調査に移ると、これをやりまして、これが企業の手にゆだねられる、こういうことになってまいりまして、いわゆる三段階方式はそれなんでございます。先生のおっしゃいました広域調査ということについては、政府も非常に力を入れていただいておるものですから、今年度も非常にむずかしい予算のところを、相当思い切ってつけていただきましたので、われわれとしてもこれを有効に使って、なるべく的確な調査を精密調査のほうへ回せるような資料を提供したい、こういうふうに考えております。
  51. 三宅正一

    ○三宅委員 しろうとが同僚の大事な質問の時間をとっては悪うございますから、私、これで切り上げますが、どうも質問と答弁のピントが合わぬのです。私の申しますのは、広域調査でやられる、そういう筋は一つの大きな進歩だと思うのです。思いますが、私の考えるのは、国の鉱業政策というようなものについて、石油は石油、ウランはウラン、何は何というようなやり方でなしに、基礎調査の部面においては総合的にやっていくのが本式じゃないか、それにもっと金を入れることが本式じゃないか、そういう点のかまえがへっぴり腰だからして、ほんとうのことができぬのではないか、こういうふうに思うのでありまして、政務次官の御答弁を得て、私はそれで失礼いたします。
  52. 藤井勝志

    藤井政府委員 私もしろうとでございますので、お答えになりますかどうか……。ただいま先生御指摘の問題の所在は、同じような地質調査中心にしたいわゆる広域調査については、総合的にやることが、金もまとまって、しかも横の連絡も十分ついて効率的ではないか、こういうふうなお考えではないかというように拝察するわけでございまして、私もそのような考え方については、全くそうあるべきだという気がいたすのでありますが、先生御案内のように、建設省のほうに国土地理院というのがあって、これはいわゆる地図をつくる、地形を調べるという役割りをしております。それから通産省に直接関係のある地質調査所、これはいわゆる地層を調べる、こういうやり方で広域調査的な仕事をやっておる。ところが事業団につきましては、いま申しましたような地形であるとか地層であるとか、こういった調査を、横の連絡をもちろん密にいたして運営を現在しておりますが、そういうところをねらって、今度は鉱床を見つける、こういうことを事業団がやる。事業団の段階において石油関係金属鉱物関係とが分かれてくる、こういうことに相なるわけでございます。運営上の実際のあり方は、緊密にそれぞれの資料を活用してやっておる、こういう実態に相なっておるように聞き及んでおるわけでございまして、現在の運営のしかたがそれぞれの目的、すなわち地形調査あるいはまた地層の調査、その上に立っての鉱床の発見、集中的な調査ということに相なりますので、先生御指摘の趣旨は運営において生かされておるのではないか、このように考えるわけでございます。
  53. 永井勝次郎

    ○永井委員 いま三宅先輩から一つ考えとして、スズメの涙ほどの予算で、本腰を据えないで、これだけの金を入れたんだから、そこからすぐ何かいい結果が生まれるようにというようなへっぴり腰で、そうしてネズミの食いっかじりのようなことをやっていて、国土の資源開発なんかほんとうに本格的に取り組めるか、こういう立場の質問があったのです。それは先ほど局長が言ったように、広域調査で何億使った、精密調査で何億使った、これは何年もの年次をかけての金であって、問題にも何にもならぬ。少なくも地下資源調査というものの名前に値する予算ではないと思うのです。  そこで私は事業団にお伺いしますが、海外一億という四十三年度の予算では何ができるのですか、どれだけのことができるのですか、お伺いいたします。
  54. 加賀山一

    加賀山参考人 いま一億とおっしゃいましたのは、探鉱費の融資の問題だと思うのです。これは、われわれのほうで融資いたします対象は先進国だけでございまして、カナダ、オーストラリアとかいう先進国に対する融資が一億、こういう意味でございます。あとは海外経済協力基金のほうからの融資、こういうことに相なっております。それでも一億円じゃ足らぬじゃないかという御質問かと思いますが、確かにこれも、おそらくまだはっきりした希望もとっておりませんし、どれだけ足りないということは申し上げ切れないのでございますけれども、足りないということだけば間違いないと思います。その中で、われわれといたしましては、せっかく融資するならば、最も効果のあがるところを選んで、その一億円が十分その役割りを果たすように選んでいきたい、今年度は少なくともそういうふうに考えておるわけでございます。
  55. 永井勝次郎

    ○永井委員 融資だって、一発ねらったらはずれがないような、そういう融資をしようと思ったら、それは何もできないのと同じですよ。有望で、相当のリスクを計算に入れながら手を打って、そうして百融資したら、そのうちから一割当たればいいとか、それだけの腹をきめてものをやらなかったら、地下資源なんというものは、拡大していける条件なんかない。そんなけちけちした、一億ドルならまだいいのだけれども、ドルでなくて、一億円の金で海外融資をするなんて、そんなものを有効に使うということは、ことばでは使えますけれども、使いようがないだろうと思う。  それから局長にお伺いいたしますが、国内だって二十七億融資なんですね。二十一億は資金運用部から、あとの六億は自己資金から、こういうことなんですが、大体、こういうリスクの高い、当たるか当たらないかわからない、そして基礎調査もできていない、そういう中における探鉱というものを、一私企業にけちくさい金を出しながら、そうして国土の資源調査していくというようなことが、能率的に、有効的に、そうしてできるだけ早くというような条件を満たすような探鉱ができると考えているかどうか、それを局長と政務次官にもひとつ……。そういう方式で探鉱をやって、そうしてこんなスズメの涙ほどの金をつぎ込みながらやって、一体日本の国土にどれだけの資源があるかというようなことが、いまの時点に間に合うようにできるのかどうか。少なくも何百億の金を一年に使っているというのならば、順次やっていきますということも何ですが、海外に一億円、国内融資でこれだけという、そして予算からいえば問題にならない。こういうようなもので、心なくも資源調査をしているなどと大きな口がきけるのかどうか。まず、そういうお気持ちを聞いておきたいと思います。
  56. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、探鉱費の調達にあたりまして、より多額の資金による助成が望ましいという点につきましては、全く先生お話しのとおりかと存じます。ただ、現在までの状況を申し上げますと、わが国におきましては、鉱山会社は、大体年間百億くらいの探鉱を行なっておる次第でありまして、この百億に対しまして、事業団探鉱融資というものが、たとえば昭和四十三年度二十八億、約四分の一程度融資を行なう、残りは減耗控除による積み立て金から投入し、また市中銀行から調達するというような方式にたよっておるわけでございますが、これをさらに、政府資金による助成を拡充いたすということが望ましいという点につきましては、全く私ども同感をいたす次第でございます。さらに海外につきましても、今日まで大体年間五億円程度探鉱投資を鉱山会社は行なっておりますが、そのうち先進国は約億円、それに対して事業団は半額の事業計画ということで、四十三年度一億円という数字に相なっておるわけでございます。しかしながら、これまた御指摘のようにきわめて不足をいたすと考えますので、今後とも海外開発計画にふさわしい、十分な政府資金による助成というものにつとめてまいりたいと存じております。
  57. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘のとおり、いわゆる探鉱、山仕事というものはリスクを伴い、相当の資金を要する。特にまた、このたび御提案申し上げておりますように、海外にまで手を伸ばして、現在の急務である大切な原材料の鉱物資源の安定的な供給をはかるという課題にこたえるため、いろいろ施策を進めなければならぬ、そういう大きな目標から考えますと、私は率直に感じましてきわめて少ない。一文惜しみの百失いという結果になってはならない、こういう気がいたすわけでございます。いま局長並びに事業団のほうからお答えがあったわけでございますが、特に先進国、カナダ、オーストラリア、その方面には事業団中心で、これが資金対策をやる、いわゆる発展途上国には経済協力基金がこれにあてがわれておること、御承知のとおりでありまして、でき得れば今後——もちろん限られた予算の中で効率的に使うという制約がありますから、多々ますます弁ずとはいいながらも、おのずから制約、限界がございますけれども、もうちょっとリスクを考えた、将来への安定供給資源確保をやるという点からいうと、先生御指摘のような点について一そうわれわれは決意を新たにしていかなければならぬ、このように考えております。
  58. 永井勝次郎

    ○永井委員 外務省の方見えてますか。——大蔵省の主計官が見えておるそうですか、ソ連のシベリアのウドカン銅鉱の開発について、いろいろ外交折衝、経済折衝が重ねられておると思うのであります。あの地域は単に鉱山開発だけでは資源市場に出回らないので、相当長距離の輸送開発もしなければいけない、いろいろ問題ありますが、鉱量は非常に大きい、日本に近い、確実にある。問題は、開発の金について日本がどれだけ協力するかということだと思うのですが、これらのウドカンの銅鉱開発について、どのような調査をされ、そしてその開発協力についてはどのような話し合いの段階にあるのか、わかればそれを解明していただきたいと思います。
  59. 両角良彦

    両角政府委員 シベリアのウドカン銅鉱山の問題につきましては、先般わが国から調査団が参りまして、ソ連当局と接触をいたしました結果、きわめて有望な鉱床があるということを確認いたしたわけでございますが、大体今日の調査でわかっておりますところでは、年産約四十万トン程度銅分の産出がが可能でございまして、これが百年以上にわたって継続できるというふうな、きわめて優秀な鉱山であると聞いております。しかしながら、その開発につきまして、いろいろな計画がまだソ連側においても固まっておらない状況でございまして、おおむね四億ドルないし十億ドル程度資金の投入が必要であろうかといわれております。しかしながら、わが国の立場といたしまして、かような巨額の投資というものはなお力に余る面もございますので、本件の具体的な推進につきましては、今後とも十分に検討を加えまして、またソ連側とも密接な連絡をとりながら、本件についてはわが国にふさわしい開発のあり方というものについて検討を前向きに進めてまいりたいと存じております。
  60. 永井勝次郎

    ○永井委員 これは政務次官から答弁をしていただきたいのでありますが、日本政治姿勢として、基礎的なことをやらない、そうして応用的な面の、もうけることだけに焦点を合わせる、応用面にばっかり力を入れる。たとえば医学でいえば、基礎医学のほうはそっちのけで、そうして基礎のほうはいい教授が教室になかなかとどまらない。そして臨床の面ばかりやる。あるいは企業でいえば、基礎的な研究をしなければならぬところを応用の面ばかりやる。そうして国内における基礎的なことをちっともやらないで、外国から早いところ特許権を買って、少しでも早く手をつけてもうけよう、そういうことばかりやる。そういうことはやはり政治姿勢から来るものだ。こういう探鉱だって、一億や二億や五億のはした金を使って、これで地下資源開発をしています、探鉱しています、三段階です、そんな大きな口がきけるわけは私はないと思う。ほんとうに民族的な立場から言うならば、地下資源国内にどれだけのものがあるかということをたくましく取り組んでやっていくという——ないかもしれない、ないかもしれないけれども、少なくもあるかないかを確めていくという取り組み方が本格的になされなければならないと思う。政治姿勢にみんなそういうことが欠けている。農業なら農業でも、食糧が足りなくなれば食糧をつくれ、貿易関係で繭がよくなれば繭をつくれ、要らなくなれば桑をつぶせ。そのときどきの流れや景気の波動で動いて、しっかりした土台が据わっていないというのが政治の姿勤であると思う。ことに保守党の計画性のない、もうければいいという姿勢がこういう形をなしている、こう思っております。その具体的な事例として、こういう地下資源なんというものになると、あるかないかわからぬ、ある所へ行って外国から買ってきて、もうければいいというだけのかまえでこの地下資源に取っ組んだら——国防のことをやかましく言うなら、経済防衛のかまえとして、もっと国内の地下資源開発することについての本格的な取り組みが私は必要であろうと思う。そういう点で、先ほどから現状に対する批判的なことがもう少し当局からも何からも出てくるかと思ったら、一億でけっこうです、二億でけっこうです、もういままでに七億の金を使っています、話を聞いたらほんとうに物わらいの材料のような、けつめんどの小さい、そして言いわけの答弁以外の何ものでもない、こんなことで地下資源開発なんかできっこありません。この際、担当している限りにおいては、政治家としての立場ではもっとどっしりとした政治への基本的な取り組みの姿勢が必要であろうと思う。そういう点において、次官会議でもあるいは閣議で影響させることについても、現在提起されているこの問題を中心に、もっと本格的に取り組んでいくべきだ。一番欠ている点は、もうければいいというこの商人根性、それじゃいけない。政治家としての取り組み方があるという点について、私は、政府を代表して政務次官から、高邁でなくてもたくましくなくてもいい、常識的な答弁でいいから、もう少しまともな答弁がほしいと思います。
  61. 藤井勝志

    藤井政府委員 たいへん批判的なお考えというより、むしろわれわれに対する励ましの御発言だったと敬意を表して拝聴したわけでございまして、御指摘のとおり、とかく日本の従来のあり方は、いわゆるものまね的な行き方と安上がりな行き方、こういう点が多々あったわけでございます。しかし、ことしの予算では、中小企業もその例外ではございませんけれども、これからはいわゆる国際競争力をつけて、みずからの力で海外進出する、こういうことの基本はみずから技術開発をしなければならない、われわれもこういう考え方の背景のもとに、予算措置もわずかでありますけれどもいろいろな面において頭を出しておる、こういう点は御了承をいただきたいと思うのでございます。同時にまた、おことばを返すわけではございませんけれども日本も基礎的な面においてもすぐれたものも生み出しておる。湯川理論を引き合いに出すわけではございませんけれども、そのような一つの線も出しており、同時にこれが企業化するためには、工業技術院が大型プロジェクトの線で当面の公害対策としていわゆる脱硫の研究をやり、近々成果を得るというようなことにもなっておるわけでありまして、いまのいろいろ鉱物資源中心にしてもう少しやるならばやるらしく裏づけられたもので推進しろ、そのおことばはそのまま私はちょうだいいたしまして今後に処したい、このように考えておる次第でございます。
  62. 永井勝次郎

    ○永井委員 政務次官のところだけにとどめないように、もっと閣内に発展させなければならないと思います。
  63. 小峯柳多

  64. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 本会議まであと一時間半ですから、要約して質問したいと思います。  同僚各議員から、ほとんど網羅的に質問がありましたので、それを避けて、問題点を提起してみたいと思います。  まず第一点は、金属鉱業等安定臨時措置法を廃止されるわけです。私は結論的に言いますと、作るほど自由化を前にして、日本金属鉱業が非常な危機に直面をした。国会におきましても、本会議において、自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する特別決議がなされ、あるいはまた鉱業審議会においても答申がなされ、そういう中で需給安定をはかっていったという任務は終わった、こういうようにお考えであるかどうか、それをまずお聞かせ願いたい。
  65. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話がございましたように、金属鉱業等安定臨時措置法は、貿易自由化対策といたしまして、主としてわが国金属鉱業海外輸入鉱に対するコストの引き下げ、競争力の強化という観点から制定をされて運用をしてまいった次第でございますが、御承知のように今日までの海外事態は、本法制定当時予想いたしました事態とやや異なった面があったわけでございます。その一つは、国際的な面におきましてベトナムの戦乱、あるいはローデシアの問題あるいは産銅国のストライキ等々、いろいろな要因が海外金属鉱物の相場を上げる方向に働いた、また反面産銅国自体が低開発国としてこれら価格形成に介入をする、あるいは労務費の上昇その他コストプッシュの要因が働いてくる等々、いろいろな要件が重なり合いまして、わが国の置かれました金属鉱業は国際的なコストの面における負担をあまり感じないで過ぎてまいったわけであります。また、今後も、かような一時的な原因は別にしまして、恒久的な要因を考えましても、国際的な金属鉱物の市況というものは相当高水準で推移いたす可能性があろうかと思います。かような面から一つ金属鉱物等安定臨時措置法の基礎的な前提が変わってまいったということが申せるかと思います。同時に、この間国内鉱山は採鉱、選鉱、製錬の各段階における合理化を行ないまして、それぞれ所期の成果をおさめてまいってきております。かような状況が重りまして、われわれとしては、この際安定措置法は法律に視定しました五年の期限をもって打ち切ってよろしいのではないか、むしろ今後はより積極的な金属鉱物の安定供給確保の見地からの前向きの施策を多角的に展開をしてまいるという方向に切りかえるべき時期が参った、かように考えております。
  66. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は国内における需要見通し、その伸び率というものを否定するわけではありません。確かに昭和三十年代から比べると四十年までに九・七五%伸びておるし、さらにまた五十年には、先ほどからお話がありました百一万トンの需要がある、こういう話であります。しかし、海外全体がそれほど伸びておるかというと、必ずしもそうでない。ベトナム戦争とかあるいはローデシア問題とかチリの銅ストライキとかというようないろいろな要素があり、そういう中でよその国の伸びというのは、アメリカで三十年から四十年までに二・八%、西ドイツが飛躍的な経済の発展を見た時期においても、これは四・五%の伸びしか示していない。日本は確かに飛躍的な伸びを示したけれども、今後十年間において日本のような伸び率を示す国はないし、また各国とも、あなたのおっしゃるように供給不足である、売り手市場だということを断言できるかどうかというところに一まつの疑問を持つわけです。すなわち、昭和三十七年に二十三万一千円しておったロンドン市場における相場が三十八年は二十三万四千円、四十年になると四十六万八千円、四十一年は五十五万五千円です。四十二年の見込みが四十一万程度と言われておるのですけれども、私はこれだけ価格に変動のあるものについて、需給安定はあまり考えなくてもいいのだ、とにかく海外鉱石の確保が必要なんだということを言い切ることができるかどうかですね。私は、政治に携わる者として非常に不見識だと思う。要するに、これだけ金属鉱物というのは国際物資であるという、こういう中において、確かに日本では伸び率はいいけれども、それならば需給安定は必要ないというこういう考え方は、私はこれまた間違いではないかと思う。ですから、せっかくありました法律がなくなるわけですから、私は臨時措置法を何年も続けろとは言いませんけれども、本来、金属鉱物のような非常に価格変動のある国際物資はやはり需給安定機関というものがどうしても必要である。景気がいいときに打つべきであり、産業政策は不況になって産業政策をやるというのは愚の骨頂です。これは需要業界からたたかれるにきまっておる。そのときの政策というものはなかなか利害関係があって、消費者対生産者側の利害関係、また個々の供給者側における利害関係、これらがあって調整ができないわけですよ。ですから、一番不況の激しいときにはどうにもならないでそのままいく、そのときにやっと、おくれて政府がある法律をつくったら、次の景気の波にやっと合うというようなことです、現実は、あらゆる政策がそうなっておる。現実に鉄鋼なんか見てごらんなさい。みんな困っておるというのはだれでも知っておるわけです。しかし、いま過当競争の中で法律をつくるとかあるいは制度をつくるということは不可能です。ですから、私は、いま金属鉱物は非常に好況に恵まれて、わりあいに価格も高水準を保っておるときに、不況であるとかあるいは次の時期にくる需給逼迫のときとかというものを想定して産業政策というものば立てなければならぬと思うのです。それが私は政治だと考える。しかるに、一回大きな不況がくるだろうと想定した、意外に傷は浅かった、景気はよくなった、ですからその法律はやめるのですと、こういうのでは私は非常におかしいと思うのですね。当時昭和三十七年、二十八万円でなければとても国内鉱山は立っていかないといったが、いま一体どのくらいでなければ立っていかないのですか、損益分岐点というようなものは銅について何万円になるのですか、ひとつお聞かせを願いたい。と同時に、私が質問をしている点について回答願いたい。
  67. 両角良彦

    両角政府委員 最初に、世界的な銅の需給見通しでございますが、アメリカ等で公表されておりまする資料をもとに、一応推計をいたしますると、自由世界における銅の需給は一九六四年くらいから不足状況に入ってきておりまして、一応現在の想定では、一九七〇年におきましては、自由世界全体として約五十万トンの不足量が見込まれておるわけでございます。さような意味からは、世界的な需給のタイトな状況ば今後相当期間継続すると予想される。したがって、国際的な価格面におきましても、これを反映する可能性は高いわけでございます。あわせまして、産銅諸国が低開発国の立場から価格形成に介入をいたすという傾向が強まってきておりまするとともに、これら諸国における労務費の上昇等々、コストを引上げる要因が今後とも継続いたすと考えておるわけでございます。かような世界的な需給関係からいたしますると、わが国におきまして、銅を中心としまする金属鉱物需給安定をはかる必要というものはますます今後とも高まってまいるという点については、全く御指摘のとおりかと思います。かような需給の安定をはかる方策は幾つかあり得ると存じまするが、私どもはその最も基礎的な方策は、やはり国内開発に精力を傾注いたしまするとともに、海外における自主開発というものを進めてまいりまして、自主的な供給源を内外にわたって確保をいたす、これが需給安定をいたす最も大切な方策ではないかというふうに考えまして今回の法律案の御審議をお願いいたした次第であります。  またこれと並びまして、需給安定のための機関というものが必要であるかという点につきましては、すでに鉱業審議会においていろいろ御検討を願ったところでありますが、この問題は産銅業界需要業界との意見の調整がなかなかむずかしい問題であることはただいま御指摘のとおりでございまして、われわれとしても、何とか合理的な方向でこの需給安定機関構想というものについて一つの結論を得たいということでせっかく努力をいたしておる次第でございます。  ただ現在まで、御承知のように、わが国におきましては、わが国の銅が国際的に割り安な場合には銅地金会社の機能が働きますし、また国際的に割り高な場合には銅振興協会の機能が働くというような、一応の産銅側の対策、あるいは需要業界との協力した対策はできておるわけでございますが、政府がこれに関与をいたしまして前向きの方向でこれらの需給安定機関についての合理的な結論を出していくということについては、目下鋭意努力をいたしておる次第でございます。(多賀谷委員「二十八万円というのは、いまどのくらいですか。」と呼ぶ)  申し落としましたが、現在わが国国内銅山におきます損益分岐点は、おおむね三十一万円から三十二万円ぐらいのところではなかろうかと思います。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、海外開発について異議を言うものではないのです。また大体の趨勢について異論を唱えるものでもないのです。しかし現実、たとえば銅について見ると、輸出物資ではないわけです。というのは、付加価値が非常に少ない。亜鉛は付加価値が少なくとも二〇%ある。銅は七%しか付加価値がない。そのうち労務費が二%を占めておる。鉛は一五%の付加価値しかない。八%が労務費である。亜鉛は、先ほど申しましたように、二〇%の付加価値があるから若干輸出が出ておる。  そこで、銅の製品、すなわち電線とか、伸銅の輸出を見ると、国内需給も逼迫しておったという関係もあるけれども、たとえば四十年に例をとってみても、電線で三十五万トンの生産に対して二万四千トンしか輸出していない。伸銅においても三十一万トンに対して二万九千トンしか輸出していない。要は鉄鋼とは違うということです。ですから、海外の市況が悪くなっても、安い鉱石を買ってきて早く輸出すればそれでやっていけるという性格のものでないという点が問題です。海外が安くなれば、早く輸入して、その鉱石を製錬して、早く製品にして輸出すれば、これは一つ金属鉱業そのものが痛まない、   〔委員長退席、島村委員長代理着席〕 鉱石が安ければ安く輸出できる、付加価値は依然として保留できる性格のものであれば、需給関係について私はあえて言わない。ところが、これは付加価値がないから輸出がきかないのです。貿易立国の話が出ておったけれども輸出がきかないということは、輸入するばかりなんです。要するに、輸出の見返りというものが少なくとも銅についてはない。ですから、鉄鋼は、原料炭が下がり、あるいは鉄鉱石が下がったら、それだけ製品を安く輸出すれば、競争力がある。こういう品物とは違うというところに問題がある。そのしわ寄せば全部国内にかかる。結局、国内鉱山がかぶるわけですよ。ですから、ここに非常に大きな問題があると私は思うのです。ことに産銅国においては漸次地金の製錬体制に入っていくということは、火を見るよりも明らかです。ですから、そういうことになれば、いままで鉱石鉱石、こういって若干製錬でという気持ちもあるけれども向こうは地金で輸出してくる。こういう情勢になれば、一体どうして対処できるかということです。ですから、景気がいいから、高水準だからといって、いまの現状でじっとして政策を見詰めていくということは、少なくとも政府としてとるべき態度でない。銅の歴史を見てごらんなさい。昭和二十六年から二十七年、日本は銅が余って輸出した。翌年はまた輸入しておるのですよ。銅を安く輸出して、翌年は高く買っておる。そこで一年間持ちこたえられたら、そんな高い銅を買う必要はない。また安い銅の地金を輸出する必要もなかった。これほど景気変動の激しい物資であるということを考えなければならない。ですから、私は、大勢はそうだろうけれども、部分的に来た波というものは防ぎ得ないではないか、少なくとも日本鉱山においては防ぎ得ないのでないか、こういうふうに考える。せっかくの機会に、法律を廃止するならば、新しい法律をつくるべきではないか、かように考えるのですが、もう一度御見解を承りたい。
  69. 両角良彦

    両角政府委員 銅は、確かに国際的にきわめて変動の激しい物資であります。したがいまして、その影響をわが国鉱山業界がきわめて大幅に受けざるを得ないという点はお説のとおりだと存じます。ただ、先ほども申し上げましたように、今後の国際市況というものは、現在の建て値が五十万円をこえておる。また、いかなる事態が今後出現するかは予想できませんが、おおむねわが国の採算点である三十一万を上回った国際市況で推移する可能性が高いという事情につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。しかしながら、それだけでわれわれとしては国内の銅山対策というものが十分であるとは考えておりません。したがいまして、海外開発と並びまして一国内の銅山のあり方というものに関連した需給安定の各種の方策というものについては、前向きに検討を進めさしていただきたいと存じておるわけであります。  なお、これと並びまして新しい法律が必要かどうかという点は、今後の国際的な状況の推移、また、今日までのわが国の銅山業界の合理化努力成果というものが、国際競争力の面から見てどれだけの評価をいたすべきかというような点は、今後の激動する事態の推移を見守りながら、具体的な立案、検討をいたしてみたいと考えております。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 製錬会社の大手の多い日本金属鉱業において、私は、そのことは、要するに鉱山プロパーをやっている企業に対しては非常に不親切な答弁だと思う。それは製錬でもうければいいという気持ちもある。同じ鉱山株式会社でも、製錬をやっているわけですから、安い鉱石を買ってくればいい。そうすると、結局、国内鉱山がしわ寄せを受けるということは当然でしょう。ましてや、開発をする、償却もしなければならぬ、しかも外国関係がある。そうすると、外国開発したものはコンスタントに入れなければならぬ。国内がむしろ調整用になる可能性だってある。ですから、いま産業界がいいのだから、いまからよく情勢を見て検討するなんてことを言わないで、せっかくある法律をなくするのだから、その機会に、将来予想されるものを入れておくべきではないか、こういうように考えるのです。ですから、どういうことがあるかわからない。しかも、あなたが言われましたベトナム戦争とか、ローデシアの問題とか、チリ問題とかについて、いわばみんな非常に偶発的というような問題がありますけれども、そんなに一度に重なってくるなんてことは今後はあまりないです。また、あったらたいへんだ。そういうものが重なって値段を上げているのに、そういうものは一応恒久的に続くようなものの考え方をすることに非常に問題があると私は思う。ですから、一時の大きな不況でも、それに耐え切れない鉱山——製錬会社は耐え切れると思うのです。ましてや、百万トンの消費に対して十五、六万トンぐらいしか国内鉱石はないのですから、他は輸入鉱や輸入地金に待つわけですから、それば耐え得ますよ。しかし、鉱山プロパーをやっているところは耐え得ない。こういうところがきわめて問題じゃないかと思うのですよ。ですから、私が先ほどから申しましたように、政策は、好景気のときに不況のことを想定して手を打つべきだ。ですから、これはいまが絶好のチャンスじゃないですか。金属鉱業安定法を出すならば絶対のチャンスだと私は思う。いまの時期に話がつかぬようでは、利害関係が対立する、だんだん不況になるというようになったら、とても話がつきませんよ。いま供給不足だから、需要業界でも、銅を節約してアルミの電線をつくろうかなんて言っているわけでしょう。   〔島村委員長代理退席、委員長着席〕 これが銅が安く買えるなんていったら、そのときはもう政府が幾らやったってどうにもならない事態にきている。御存じのように、鉄鋼の状態を見てごらんなさい。役所が言っても、日本の政界を動かすくらいの財界がものを言うのですから、どうにもならないでしょう。あなたも経験があるように、石油業法というような、何かよくわからないような法律でも、法律があるから、あなたのほうは現実に需給調整をやったでしょう。だから、野放しで、鉱業審議会があるからということでできるわけはないですよ。ですから、これは絶対に必要だと私は思う。大臣がおられぬけれども、ひとつ政務次官から御答弁願いたい。これは、いまから検討するという問題じゃない。頭の中で想定をすればいい事実、そういう事実をわれわれは苦い経験を得ているわけです。ですから、これは、その法律によって好況のときに使えというわけじゃないのでしょう。不況になったら使えばいいわけですからね。あるいは需給が逼迫したときに、特別の場合に使い、発動すればいいのですから。しかも、これは国際物資である、変動が非常に激しいということはだれでも知っているわけでしょう。ですから、それに対してどういうお考えであるか。もしその法律を発動する必要がなけれぱ、これは幸いですよ。これはひとつ御答弁願いたい。
  71. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点は、十分考えなければならない問題だと思うのでありまして、あの当時、ちょうど昭和三十八年安定法が施行されたときとは国際市場いろいろ状況の変化が来ておりますけれども、いわゆる合理化という必要性は、これは過去も現在も変わらない。特に中小鉱山の場合にはなおさらその必要性があると思うのでございまして、こういう時期にこそ合理化路線を強く押し進めていくべきで、安定供給という一応のたてまえのために、国内資源がいわゆる効率的な操業によって安定供給されるという道がおろそかになっては相ならないという点については、全く御指摘のとおりだと思うのでありまして、この問題については、いわゆる関係業界の意見調整も必要でございますし、鉱業審議会もせっかくあることでございますから、よくそれらの方々の意見を聞きまして、御趣旨の線をひとつ早急に前向きで検討さしていただきたい、このように考えております。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これはひとつぜひ検討をしていただきたい。そういう必要な時期になっては調整がきかないということですよ。ですから、まだみんな高水準にいくんだと考えているときに法律はつくるべきではないか、こういうふうに考えるわけです。  それから次に、海外開発について質問をいたしたいのですが、端的に質問をいたしますと、石油開発公団の場合は出資ができることになっている。ところが、今度の金属鉱物探鉱促進事業団の改正には出資という文句が入っていない。これは一体どういう考え方で差をつけられたか。これをひとつお聞かせ願いたい。
  73. 両角良彦

    両角政府委員 これは石油開発公団の場合は、過去におきまして石油資源開発株式会社当時から、内外の石油資源開発に対する政府資金の投入形式といたしまして、出資形式を事実上とってまいったという経緯が反映をいたしております。特にその場合は、出資による資金形式のほうが融資による資金供給形式よりも石油のような場合は適当であるという判断も加わっておったかと思います。しかしながら、金属鉱物につきましては、従来探鉱事業団から探鉱資金融資という形式で供給をいたしてまいった実績がございまして、この実績をそのまま尊重いたしたということになっておるわけでございます。
  74. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、やはり将来を想定して立法者は法律をつくるべきだと思うのです。ですから、たとえば電源開発促進法ができたときに、これはみな水力だと思ったけれども、あるいは火力という字句を入れた。これは国会で修正した。今日火力発電ができる基をつくった。ところが、そのときはだれも電源開発が火力をやろうなんて考えていなかった。そこで、私は、今度の場合も、この海外鉱物資源開発株式会社は海外経済協力基金から出資を受けておる。それで一応こと足りるではないかという気持ちもあるだろうけれども、しかし、石油開発公団の場合は、この公団が出資する。事業団の場合は、出資しないで融資だけやる。石油開発公団も融資をやるわけですよ。ですから、どうも同じ鉱山局の内部にあって、私は画一行政を必ずしも好まないけれども、やはり出資という余地を立法者としては残しておくべきではないか。どうも日本政治というのは、そのときに予算をつけるたびに法律を直す、そういう行き方というのはよくない。フランスのように、政局は不安定であるけれども政策は安定しておる。イタリアだって十カ年計画の場合には法律で十カ年計画予算をうたっておる。そして政府はその法律に基づいて予算をつけていくわけです。日本の場合は、予算政府がやるから、そのたびに法律を改正する。ささやかなことでも予算に合うように法律を改正する。これは私は国会として非常に不見識だと思う。ですから、あらゆる場合を想定して、やはり出資ということは必要ではないか、こういうように思う。で、私聞きますけれども、先進国の場合、要するに海外経済協力基金法の適用を受けない地域において、いろいろな事情で会社を設立しなければならぬ。融資よりも、出資は利子が要らないのでありますから、当然有利に資金が運用されることは事実です。そうした場合には一体どういう法律で出資ができますか。できないでしょう。どうなんです。
  75. 両角良彦

    両角政府委員 さような場合は、協力基金の出資は別として、事業団としては出資を行なうことは考えておらないわけでございます。といいますことは、融資による資金供給方式を想定いたしておるわけでありまして、これは従来の経緯と、また鉱山会社側の事情を反映しておるわけでございます。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、私は鉱山会社の事情を反映し過ぎて法律をつくっておると思う。確かに現実は、鉱石を購入する製錬所を持つ鉱山というのは大手の鉱山会社であり、しかも国内に本社を持つ会社ですから、その必要がないかもしれない。しかし相手国がある、いろいろな国際事情もある。ですからそれは独立会社として、ことにリスクの多い鉱山会社、鉱業を営もうという場合に、どうしても出資をしなければならぬことがあるでしょう。しかも、それは先進国だといった場合、いまの法律ではこれは方法がないですよ。ですから事業団に出資を認めておけば、低開発でもできるのですよ。ただ、いま幸いに海外経済協力基金からは低開発については出資ができるようになっておるけれども、現実に石油開発公団ならば低開発も出資ができるでしょう。ですからもう少しいろいろな場合を想定して法律は弾力的に運用されるようにやっておったらどうですか、こう聞いておるのです。
  77. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、石油の場合は、従来、資金供給形式は政府資金という形式だけできておりましたので、それを石油開発公団の基礎的なたてまえといたしたわけでございますが、なお将来純民間企業海外開発に従事する場合を想定いたしまして、純民間企業に対する資金供給形式としての融資という新しい道を金属事業団の例にならって開いたわけでございまして、むしろ金属事業団がその先例を開発公団に与えたというふうに私ども考えておるわけでございます。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 一方は出資であるし、一方は融資である。発生の過程が違うということでは答弁にならない。それを十分承知して質問しておるわけです。ぼくは十分予想されると思うのですよ。出資を必要とする先進国への投資というものは十分考えられると思うのですよ。ですから、せっかく新しい改正が出ようとするときに、なぜ石油開発公団と区別をされるか。区別する意味が全くないでしょう、現時点においては。政務次官、これは与野党ひとつ話し合いますけれども、これは出資という条文を入れても、政府に関しては異論ないと思うのです。ただ四十三年度の予算、それに日合う法律、こういう形式は国会としてはがまんできない。ですから、やはり出資というものを入れておいて、そのあとは、これを運用するのは政府が運用するのですから、執行官が運用するのですから、制度としてはやはり必要じゃないか、こういうように考えるのです。石油と区別する何らの理由がない、かように思いますがね。
  79. 藤井勝志

    藤井政府委員 先ほど鉱山局長から、沿革的な事情事業団にはこの際出資の道を開かなかったという説明をいたしたわけでございますが、同時に、御承知の海外鉱物資源開発株式会社というのが現にあるわけでございまして、これには基金を通じて出資を政府がしておる。これが石油公団の場合とはちょっと事情が違うという点があろうかと思うのでございます。ただしかし、探鉱事業団についても出資の道を開くことについて御意見を拝聴いたしまして、検討すべきであるというふうに思うわけでございますが、ただ、いま申しましたような事情が多少石油公団とは違うのではないか。いわゆる鉱物資源開発会社が現にあって、これが先進国にも今後仕事を広げる必要があれば、それに出資をふやしていくことによって需要は満たされるのではないか、このように考えるわけでございます。
  80. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ものの関係が、海外鉱物資源確保するというのが主たる目的でしょう。未開発地域開発が主なる目的ですか。たまたま海外鉱物資源開発株式会社をつくったときには制度がなかった。制度がなかったから、海外経済協力基金というものを利用さしてもらったわけですよ。新しい制度ができたら、やはり新しい制度に切りかえるべきが行政としての統一性を保つゆえんじゃないかと思うのですよ。ですから、ばらばら行政の上に常に乗っかるというのはぼくはよくないと思う。こういう金属鉱物確保が必要だというなら、その大目的に向かって整理統合すべきですよ。今度の場合も、先進国は金属鉱物探鉱促進事業団から融資をする、低開発国経済協力基金から融資をする、そんな二重行政ありますか。これだっておかしいでしょう。どうも便宜主義だと思う。あちらから金を借りた、こちらから金を借りた、通産省としては大蔵省に言いにくいから、せっかくあるからその機構を利用せい、そして先進国だけは今度海外開発することになります金属鉱物事業団から行なう。それから、先ほどから政局が不安だ、リスクはどうだ、こういうことを言っておりながら、事業団融資は先進国だけだというのもおかしいでしょう。どうもきわめて便乗しているきらいがある。ですから、もう少し行政をすっきりさしたらどうですか。
  81. 両角良彦

    両角政府委員 事業団の出資を計上しなかったという事情は端的に申し上げまして二つございます。一つは、鉱山会社はすでにそれぞれわが国において企業としての実体を十分備えた存在でございまして、これら企業の今後の海外開発というものにつきましては、できるだけその自主性を尊重するたてまえで行なうことが望ましいし、またそれが可能であるということを一つ理由にいたしておるわけでございます。第二の事情は、融資の返済能力の判断でございます。御承知のように、石油の海外開発につきましては、今日までは石油資源株式会社しか存在しなかったのでありまするが、昨今新しい企業が出てまいった。これらはいずれも企業としての実体、実力というものはいまだ十分備えておらないわけでございまして、かような企業に対する融資はそれだけ危険性が高い。したがって、その危険性を回避する一つの技術的な方策といたしまして出資という形態をとるわけでございます。これに対しまして十分返済能力というものが国内的にも整った企業であるところの産銅各社に対しましては、やはり返済を前提とした融資という方式によるのが実際的でもあり適当である。この第一の事情、第二の事情、二つが重なり合いまして、私どもとしては、海外開発の場合に産銅各社に対する出資の必要がないということに判断をいたした次第でございます。
  82. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は現在あります日本産銅会社に出資をせいと言うのでないのです。あなたの理論を押し詰めていくならば、海外鉱物資源開発株式会社というものは不要です。そうでしょう。それほど能力があるなら自分でやればいいのですよ。そうでなくて、やはり海外鉱発というようなものをつくってやらないといけない、こういうところから出ておるわけでしょう。ですから、私はどうも矛盾しておると思うのですよ。確かに現在ある産銅会社への出資なんか考える必要はない。しかし、いろいろな事情によって日本産銅会社がそのまま進出ができないという場合もある。そういう場合に、やはりその国との関係で合弁でやる場合もあるでしょう。あるいはまた非常にリスクが多い場合は、政府出資を願えないであろうかという場合もある。だからひとつ出資というものが必要ではないか、こう言っておる。  それからまた、私もう一点質問したわけです。融資についても低開発国ならば海外経済協力基金から仰ぐ、先進国ならばその金属鉱物探鉱促進事業団から仰ぐというような行政というものはおかしいじゃないか、こう言うのです。本来金属鉱物確保することが前提であるならば、同じところから出されたらどうです。しかも同じように国の資金ですよ。ただ入口が違うというだけです。だからそういう二重の行政というものは本来おかしいじゃないか、こう言っておる。これに対して御答弁を願いたい。
  83. 両角良彦

    両角政府委員 先進国に対しましては事業団から、後進国に対しましては基金からというのは、実際上の取り扱いの区分でございまして、たてまえといたしましては、金属鉱物事業団世界各国に対する地域を問わざる探鉱事業に対する資金供給のたてまえになっておりますが、実際問題といたしまして、現在の資金量の不足並びに基金自体が後進国に対する資金供給の道が開かれておるという面を活用してまいるということで、当面実際的な措置といたしまして、先ほど申し上げたような区分けをいたしておるということでございます。
  84. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 通産当局が予算折衝する場合に、なかなか多くの予算が取れないというその気持ちはわかるわけですけれども、行政としては実にまずい行政だと思うのです。どこからでもいい、金を出すところがあれば借りてきなさいというが、同じ政府資金が、一方においては事業団から、一方においては協力基金から出ていくというような行政のしかたというものは本来おかしい、こういうように考えるわけです。それと同じように、出資の問題もひとつぜひ検討してもらいたい。これはあとから私は理事会で提案をしてみたい、かように思います。  それから次に、岡田君も心配をして質問しておりましたけれども、やはり海外鉱発という会社と事業団との関係ですね。これはちょっとやはり心配なわけですよ。これはこの前も指摘がありましたけれども、この金属鉱物探鉱促進事業団ができますときに、北海道地下資源開発株式会社と同じことを二つでやるということはおかしいじゃないか、だからこれは統合すべきであると私は考えた、ところがむしろ議員の中でいろいろ議論があって、その統合ができなかったということは残念です。ところが今日、地下資源のほうは非常なうき目を見て、そうして廃止するという法律が出るような状態になっておる。ですから、この海外鉱発がその同じ運命にあうのじゃないかということを非常に憂慮しておるわけです。どうも行政がすっきりしない。しかも海外鉱発は法律に基づく会社ではないのです。地下資源のほうは法律に基づく会社であってもあれだけのうき目を見たわけですからね。しかも海外というリスクの非常に多い、しかもこれは銅あるいはその他の非常に不安定要素の強い探鉱事業であるというところに問題があると思う。だから、海外鉱発をなくせよというと非常に問題があるけれども、何かはっきりしたことを確約しておかないと、これはたいへんなことになるだろう、私はこういうように思うのです。それは人情として各社は、いいところ、確実なところは自分でやりますよ。確実でないところはひとつ海外鉱発でやってくれぬかということになる。それでもいいのですよ。それでもいいが、それならそのように初めから、出資というのはかなりリスクを見る。ですから私は、協力基金というようなことでなくて、一般会計から出資をすればいいと思う、事業団を通じて。そうすると、一般会計から事業団に出資をして、それから海外鉱発なら海外鉱発にいった場合は、これは一応国の予算として支出していくわけですから、出資金々使をたってやむを得ない。ところがそうでなくて、返す予定の経済協力基金なんかを当てにして出資をしてもらうと、やはりなかなか出資金を食いつぶすわけにはいかないでしょう。ですから、これだけリスクの多いものを、何らか政府としては——ことに一般会計から事業団を通じて出資を行なって、その出資分はリスクだ、こういうように考えるべきではないか。どうせ海外鉱発がやるのは、大きなプロジェクトとかなんとかいいましても、あぶないところをみなやらすのですよ。あぶないところは政府がやってくれという気持ちですよ。それを徹底したらどうかと思うのです。徹底しないとろに日本の行政が非常にすっきりしない。できるときには、これは確かにリスクが多いからというけれども、ところが実際事業に失敗すると、これはうまくいかなかったじゃないかということになる、名前は株式会社だから。それはひとつ徹底されたらどうですか、こう言っておるのです。これはだいじょうぶですか。
  85. 両角良彦

    両角政府委員 海外鉱発につきましては、今日まで産銅各社の海外開発の共同の実施主体としてその活動をしてきたわけでございますが、今後とも産銅各社の個々の開発プロジェクトではなくして、わが国が総力をあげまして共同で開発をする場合に、海外鉱発というものを主体として活用してまいるという方針は不変でございます。また事業団との関係におきまして、一方は、事業団としては助成の主体であり、また海外鉱発はみずから探鉱開発に乗り出す実施の主体でございまして、両者は緊密に協力をして海外開発を有効に推進をいたすたてまえに相なっております。したがいまして、北海道地下資源のような前例に相なることは絶対にないと確信をいたしております。
  86. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、株式会社という名前をつけておっても、海外の非常なリスクの高い開発というものについては、相当政府がめんどうを見てやらなければならないと思うのですよ。ですから、一般会計から出た金はもう返らなくてもやむを得ない、これだけの腹がまえをしておかないと、出資金を食いつぶしたじゃないかという、あとから責任問題が起こったのではどうにもならぬ、こう言っているのですよ。これを確立してやらないとだれでもできない。しかも、簡単に手っとり早く開発されそうなところは各社がやるわけでしょう、実際問題としては。どうかなと首をかしげるようなところを海外鉱発に頼むわけでしょう。それは、あなたは首をかしげられておるけれども、現実にそうですよ。それが経済の原理ですよ。そんな、各社がやれるようなところは何も海外鉱発なんか頼みませんよ。しかも、いま産銅会社は経営状態はそう悪い状態でない。ですから、その点はやはり徹底してやらないと、あとからいろいろな問題が起こる。そうすると、日本海外開発に対する熱意を全体が失う、ここに問題がある。私はこういうように考えるわけですが、ひとつ政務次官、先ほど海外に雄飛する話を積極的にされましたけれども、具体的な問題としてお答え願いたい。
  87. 藤井勝志

    藤井政府委員 通産省の現時点に立っての答弁としては、局長が申し上げたので尽きておるわけでございますけれども、話が多少それますが、先般来当委員会でいろいろ御審議を願っておる意見を通じて、やはり石炭問題、特に原料炭の海外開発問題、こういったものをひっくるめまして、日本の鉱物資源海外開発、こういう問題を含めて、今後事業団のあり方についていろいろの御意見を十分われわれは参考にいたしまして、同時にまた、業界あるいは審議会、こういった関係機関の意見も十分考えまして、おっしゃるとおりすっきしたり形でいかなければならぬ。ただし、何と申しましょうか、それぞれの持ち味を生かした進め方ということも忘れてはならぬ、ここら辺の関係をどういうふうに持っていくか、十分今後検討さしていただきたい、このように思います。
  88. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この海外鉱発はどうして法律による法人とされなかったのですか。要するに、これだけ今後伸びようとする、しかも事実上政府の金を使っている、出資をしておるそれを、ただ民間会社ではないけれども、事実上法律に基づく設立の会社でないというのは、これはやはりわれわれ立法者としてはちょっと困るわけですよ。ですから、これをあなたは、主として大プロジェクトはこれでやるのだ、こうおっしゃるなら、なぜ法律事項にされなかったか。
  89. 両角良彦

    両角政府委員 法律に基づきます特殊会社は、御案内のとおり、国家的な目的を会社形態で推進をいたす場合の特殊な形式として理解をいたしておるわけでございますが、海外鉱発につきましては、主として産銅各社の共同の海外開発の実施主体であるというたてまえでございまして、いわゆる採算制に基づきました株式会社というたてまえが実際的であるということで、かような、特殊会社によらざる方式をとったのであります。しかし、やはり反面、政府としても、かような海外共同開発というものを応援をいたす必要があるということで、その方策としての基金の出資という形態をこれに加味をいたしたという次第でございます。
  90. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、表と裏は違う、言うことと腹が違うのですよ。先ほどから海外鉱発について私がいろいろ質問しているけれども、これは日本の国家的使命を持ってやるのだというような話をしているかと思えば、いや、これは採算制にのっとるものだ。ですから企業の共同的なものであるということになれば、先ほど私が申しました出資を食いつぶしても開発しなさいということは理論的には通らない。ですから、むしろこれだけの海外開発促進事業団を通じてやるということになった以上は、海外鉱発にだって法律に基づく国家的使命を負わしたらいいじゃないですか、こういうように考えるのですよ。そこへ時期がきているでしょう。少なくとも日本昭和二十六年ぐらいまでは銅の輸出国、ところが将来は約百万トンのうち国内では十七、八万トンくらいしか出ないという。ですからもう情勢は変わっている。変わっているなら変わっているようにやはり国家的使命を海外鉱発に負わしてやらすということが必要ではないか。どうもすっきりしないのですよ。一方においては従来の経緯、従来の経緯と、こういうことを言いながら、やはり海外開発促進事業団でやるのだということに踏み切った以上は、海外鉱発も国家的使命を負わして、法律に基づく会社にする、あるいはまた出資をする、こういうように徹底をしないと、全く私企業を応援しているのだというような考え方では、私は使命を達することはできない、こういうように思うのですが……。
  91. 両角良彦

    両角政府委員 今後の海外開発を進めるにあたりましては、先ほど来御説明を申し上げましたように、事業団によりまする資料情報の収集なり基礎調査なり、できるだけ企業段階における探鉱リスクというものを減少するような方向で国家助成を行ないたいというのが基礎的な施策方向になっておるわけでございます。その場合、なお産銅各社が顧みないような危険なプロジェクトを海外鉱発に担当させる必要があるかないかという点については、今後の事態の推移を見ないと、われわれとしては何とも申せないかと思いますが、しかし少なくとも基礎的な調査、基礎的な探鉱というものを事業団が行ないまして、それを受けて立つ海外鉱発のあり方といたしまして、特に危険なものを集中的に海外鉱発にしょわせるというたてまえがはたして必要かどうかという点は、なお慎重に検討いたしたいと存じます。しかしながら、その上でなおかつ海外鉱発には特殊な使命を負わせるべきだという方向が明確に出てまいるならば、われわれとしては、先生御指摘のとおり、新しい海外鉱発の資本方式というものについて検討いたすべきものと考えます。
  92. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 時間が参りましたから、あと一、二点質問いたしたいと思いますが、これは後に法律によって出るわけですが、探鉱促進事業団海外に業務範囲を広げるというのに際して、北海道地下資源開発株式会社の従業員を何かこの際引き取って、そして安定した再就職というものができないかどうか、こう考えられる余地はないか。法律による会社をなくするときに、現実の処理としてはきわめて不親切な処理が行なわれようとしておる。これは後に質問しますが、せっかくの機会ですからひとつ局長から御答弁願いたい。
  93. 両角良彦

    両角政府委員 北海道地下資源開発株式会社民間会社移行につきましては、その方針は政府部内で確定をいたしておりまするが、具体的にどういう移行計画をつくるかという点については、目下関係方面でいろいろ検討を重ねておる次第でございます。したがいまして、その人員の問題についても、どのような配置転換が必要であるかというような方向は、まだわれわれつまびらかにいたしておりませんが、しかし、かりに地下資源民間移行に伴いまして人員の配置転換が必要であるという場合には、通産省といたしましても、ひとり事業団にとどまらず、いろいろな角度からあたたかくこれに応援を申し上げたいと考えておる次第でございます。
  94. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、この鉄鉱石の開発、これはもう製鉄会社にまかしておっていい、むしろ安定供給されている物資だ、こういうように見ておられるのかどうか、要するに、むしろ買い手市場だ、かように考えられておるかどうか、これらをひとつお聞かせ願いたい。
  95. 両角良彦

    両角政府委員 鉄鉱石につきましては、お話しのとおり現在は買い手市場でございまして、わが国としては、融資買鉱長期契約によりまして安定供給確保されておると見ております。
  96. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あらゆる鉱物が鉄鉱石のような運命をたどるというと、非常に国内鉱山は問題がある。日本も確かに鉄鉱石は必要であるけれども問題にされぬ。鉄鉱石というのはあらゆる場合政策の外にある。それはもう安定供給とかなんとかいいましても、安全保障とかいっても、あまりにも少ないし、もう鉄鉱石というのは政策の中に入ってこない、こういう状態です。これは日本の地下資源にとって一つの大きな問題だと思うのですね。ですから、いまの石炭の原料炭にしても、やがて鉄鉱石同様の運命になるのじゃないかという心配をしておる。そうするとこれかやがて——いまは一応国内の消費は伸びておる、これから供給不足が続くだろうという見通しですからなにですが、これは大体国内鉱石は十分の一ということになってくれば、一体国内鉱石なんかやってみても問題にならぬじゃないか、あってもなくても同じだなんという議論になると、日本の地下資源全体が非常な危険にさらされることになる。ですから私は、いま確かに海外における市況は安定しておる、こういうように思います。そして鉄鉱石の手当ては製鉄各社ができておる、こういっておる。また供給地も比較的政局が安定した地域であるということも承知しておるのですが、鉄鉱石を忘れないように。とかく忘れるわけですよ。この間、鉱山局長、離職者対策をやったところが、鉄鉱石を忘れておって非鉄金属の離職者対策、こう出た。それで鉄鉱石のほうの労働者からえらくやかましく苦情が出た。すぐ非鉄金属と、こう出るわけですね。鉄のほうは鉱物でも政策から忘れてしまう、こういう可能性がある。ですからこれもひとつ金属鉱物ですから忘れないように、何とかして常に政策の中に入れてやるように配慮を願いたい。この答弁をいただいて質問を終わります。
  97. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、鉄鉱石の重要性というものは今後とも国内資源としても十分あり得ると存じます。私ども忘れないようにというだけでなくして、より積極的に鉄鉱石の開発という問題について対処してまいりたいと存じます。
  98. 小峯柳多

    小峯委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。  参考人には、御多用のところ長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。      ————◇—————
  99. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、小委員十一名よりなる、産業構造並びに貿易対策に関する小委員会、産業金融に関する小委員会及び鉱業政策に関する小委員会をそれぞれ設置することにいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、各小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員並びに小委員長は追って指名いたします。  次に、小委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じた場合の参考人の出席を求める日時、人選、手続等、並びに小委員及び小委員長辞任補欠選任等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会