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河上参考人 ただいま先生のお尋ねの
一つの点、いまの
探鉱のやり方、これが大局的にあるいは長期的に見てほんとうに有効に行なわれているかどうかということの本質論でございまして、非常にむずかしい問題だと思いますが、私
ども感じておりますのは、
探鉱事業団ができる以前と
探鉱事業団ができましたあととで、
探鉱につきましての
考え方、やり方が本質的に違ってきておる、オーソドックスな行き方に向いて今日にきておるというようなことを感じております。
事業団として、国の費用を実際使う、みずからやるということになってまいりますと、これは企業ベースでの
探鉱にまかしてはおけない、他の分野をやるというふうに
考え方が当然なってくるわけでございます。いずれは企業ベースの
探鉱を最終的にやって、
開発の段階になるわけでございますけれ
ども、企業ベースでやれないところを
事業団のみずからの
探鉱でやる、それから、企業ベースの
探鉱をバックアップする、助けてやるのがその次に来る、こういうことになってまいります。そこで、いわゆる三
段階方式、広域調査、
精密調査、それから
企業段階における
開発に直結する方面の探査、この三つの段階、これを想定した
探鉱の
考え方に整理されてまいっておる段階だというふうに思います。そういう意味では、おっしゃいますとおり、全部
探鉱を企業ベースにまかせますと、どういたしましても、現在やっております地先の
探鉱、それから周辺の
探鉱にとらわれる
探鉱しか、力がないからやらないというふうな傾向になってまいります。それと並行して、大いにあり得るんじゃないか、ここをやれば
鉱床を発見し得る
可能性があるのじゃないかというゾーンは、よほど余力がないとできない。余力がある会社じゃないとできないことになる。ましてや、根本的な――実際、一体そういう
可能性があるのかないのかを確かめてみるといったような、最も基本的な地質構造を解明するような意味の大局的な
探鉱、これはもうとてもそういう私企業ではできない。それを、一番
最後に申し上げましたそういう広域調査を
探鉱事業団ができましてからもう一ぺん考え直して、それじゃそういう
考え方から全国をどこを
重点的に取り上げるかということもそこで相当検討され、こいつをやる。それから、そういう広域調査が済みますと、ここでやはり
鉱床発見の
可能性がかなりある地帯がわかってくる。そうしますと、それについての
精密調査の段階に入る。
精密調査ということで、あらためて取り上げる。
精密調査でいよいよ
鉱床発見の
可能性が濃厚であるということになりますと、そこであとは
企業段階にまかせるということになります。そうしますと、これは
事業団から
融資のかっこうになる、あるいはそういう場合には、従来の新
鉱床補助金というものが助けてくれるということで、
企業段階の
探鉱が進むわけでございます。そういうふうに
考え方がかなり秩序立つと申しますか、系統立った行き方が、
事業団が発足いたしましてから、かなりそういう面の再吟味、再検討が加わりまして、現在では先生が御懸念になるような
方向には向いておりませんで、大体いい
方向に向きつつある。ただ、予算が非常に足りません。私
どもから申しますと、いまのような予算ではとうてい
国内に、一体まだあるのかないのかということについて、断定的な返事をとてもできない。何年たったらそれができるかわからぬというような状況でございますが、しかし
方向はかなり着実な
方向、いい
方向に向かっておるということは申し上げられると思います。
それから、
海外の問題はどう考えるかということでございます。先ほど来だんだんの御
意見も出ておりましたが、
国内がむしろ主ではないか――
国内が主かどうかという議論はずいぶんやったわけでございますが、これは
国内が主だとか
海外が主だとかいう問題でなしに、並行的に考えるべき問題である。むしろある意味で申しますと、
国内はほっておきましても、これは外国に持っていかれるという心配は、
日本の
現状でまいりますと、資本自由化という問題もございますけれ
ども、
国内の
鉱源を目がけて非常に外国の資本が入ってくるというほどのものではございません。そういう意味では心配ございません。むしろ心配は、いま非常に世界的な偏在
資源を従来の植民
政策で持っておった国は、これを放しておりません。独立しましても何らかの形でそれを握っておる。やっとはずれたコンゴに
日本鉱業さんは非常に
努力をして食い込まれた。これは相当なものであります。そういうチャンスをねらうべきである。やはり将来の百年の
日本の
資源政策から見まして、どうしても、すきあらば
日本からつばをつけるということをいまにしてやらないと、永久にとれない。
日本のほうがほっておいても、どこかだれかがやるから。時期の点はどうかという、こういうような
考え方からいたしますと、これは少なくとも
海外の
資源に対するコネクションをつけるということを、いまにして抜本的な
対策を考えないとおかしいということを私
どもは
業界でも考え、特に私はそういう
意見を申しておる一人であります。
そこで、今後ただそれを企業にまかしておっても、やはり目前の行動しかとれないということで、先ほど申しましたような
事業団方式、そういう
考え方で根本的な
探鉱もやれるような態勢に一歩ひとつこの際進めていただくということで、これは将来の
海外の
開発政策にとっては非常に大事であるというふうに歓迎しておるわけでございます。ですから
海外の
開発につきましては、どちらが優先というようなことでなしに、やはり並行的にやるべきことであるというふうに考えております。
なお、いまも一言触れましたように、英米資本中心に相当
資源をコントロールしようという動きをやっております。
開発をあせらないで、
資源を押えることを最近非常にアクティブに動いております。これと対抗してやっていくということは、相当の
努力、リスクをおかしてやるべき問題でございまして、この辺にひとつ諸
先生方の御理解と御後援をお願い申し上げたい、こう思う次第でございます。