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1968-03-29 第58回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十九日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 鴨田 宗一君    理事 島村 一郎君 理事 中川 俊思君    理事 中村 重光君 理事 堀  昌雄君    理事 玉置 一徳君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       岡本  茂君    海部 俊樹君       神田  博君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       田中 榮一君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       佐野  進君    多賀谷真稔君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       古川 喜一君    三宅 正一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         大蔵省国際金融         局企画課長   熊田淳一郎君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 三月二十八日  委員海部俊樹君、小宮山重四郎君、坂本三十次  君、田中六助君、武藤嘉文君、中谷鉄也君及び  岡本富夫辞任につき、その補欠として木野晴  夫君、岡崎英城君、伊東隆治君、藤田義光君、  山口シヅエ君、佐々木更三君及び斎藤実君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員伊東隆治君、岡崎英城君、木野晴夫君、藤  田義光君、山口シヅエ君及び佐々木更三君辞任  につき、その補欠として坂本三十次君、小宮山  重四郎君、海部俊樹君、田中六助君、武藤嘉文  君及び中谷鉄也君が議長指名委員に選任さ  れた。 同月二十九日  委員中谷鉄也君及び斎藤実辞任につき、その  補欠として佐々木更三君及び岡本富夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  中谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第二六号)  金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四九号)  金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案(  内閣提出第五〇号)      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案及び金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案の両案について参考人から意見を求めることとし、その日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 内閣提出金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案並びに金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。両案に対する質疑の申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。
  5. 橋口隆

    橋口委員 通産省にお尋ねいたします。このたび提案をされました金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案について若干の質疑を行ない、あわせて、当面の急務でありますわが国鉱業政策についても所信をただしたいと思います。  最近のわが国鉱業を取り巻く環境条件は非常にきびしいものがあり、わが国鉱業はそれに即応することが非常に強く要請をされておると思います。そのため鉱山局としては、四十一年の八月に鉱業審議会に対して今後の鉱業政策基本的方向について諮問を行ない、昨年八月、一年の審議期間を経て答申が行なわれたことは周知の事実でございます。その答申の御趣旨は、鉱業政策の最重点として探鉱促進策充実によって優秀高品位鉱床確保を掲げ、特に海外鉱物資源開発について抜本的な強化をはかる、これが一番大事な要点になっておるようでございます。この点について通産省としては四十三年度においてどういうような施策を講じられるつもりであるか、その基本方針について承りたいと思う次第でございます。
  6. 両角良彦

    両角政府委員 お答えいたします。ただいまお話のございましたように、わが国鉱業をめぐります環境変化に即応いたしまして、鉱産物の安定的な供給確保いたしまするためには、特に国の内外を通じまする探鉱促進ということが最重要課題になっておる次第でございます。国内につきましては、すでに金属鉱物探鉱促進事業団中心といたしまして、広域調査精密調査並びに企業段階調査のいわゆる三段階方式を用いまして、国内有望地点二十七カ所の探鉱活動助長促進をいたしてまいっておりまして、かような方向に沿いまして、四十三年度以降も一そう国内資源開発探鉱に努力をしてまいりたいと考えております。また海外につきましては、特にわが国経済の伸びに対応いたしまして、鉱産物自給率が非常に下がってきております。このためには、やはり安定供給方策としまして、わが国自身の手によりまする海外探鉱並びに開発ということが特に重要課題になりまするので、さような方向に即応いたしまして、金属鉱物探鉱促進事業団法の今回の改正をお願いいたしまして、海外探鉱につきましても国内と同様な強力な助成措置を行ない得るようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  7. 橋口隆

    橋口委員 この鉱業政策日本産業発展上きわめて大きな問題であろうかと思います。そういう意味で、いまのような基本的方針を、事務当局においてもまた首脳部におかれましても堅持されて、今後推進していただきたいと思います。政務次官におかれましてもその点についてどういうふうにお考えになりますか、ひとつあわせてお伺いしたいと思います。
  8. 藤井勝志

    藤井政府委員 ただいま鉱山局長から御答弁をいたしましたように、最近の非鉄金属需要の急増、こういったことから、ただいま国内だけでなくて国外にも資源開発を急がなければならない、こういうことから、このたび御提案をいたしております金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正によって、海外資源開発もはかる、この基本的な考え方は、先ほど御指摘のとおり、去年の八月の鉱業審議会答申、これがわれわれの施策基本姿勢でございます。先ほど局長からお答えをいたしましたように、最近の鉱物資源を取り巻く状況の激しい変化、この変化に一口に申しまして対応して、低廉かつ安定的な鉱物資源供給確保、これが基本姿勢である、このように考え、この線に沿うて具体的な施策を進め、四十三年度の予算編成もこれに沿うてやりたわけでございます。
  9. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの基本方針に基づいて、このたび金属鉱物探鉱促進事業団海外探鉱のための融資また開発資金債務保証を行なわせることはきわめて適切であろうかと思います。それにつきまして伺いたいと思いますが、現在銅、鉛、亜鉛等主要鉱産物につきましては、石油供給計画のような制度的根拠を持つ需要供給計画策定されていないようでございます。この際、鉱物資源安定供給確保重要性にかんがみて、鉱業審議会等の場において、当該年度を含む五カ年計画程度期間について毎年需給計画策定することが非常に大事な問題ではないかと思うのでございますが、その点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 御説のように、主要鉱産物につきましては、法律に基づきまする需給計画というものは存在いたしておりませんが、行政上は毎年度需給計画策定をいたしまして、それは当該年度における需給のみならず、約五年くらいの期間にわたりまして需要並びに供給の見通しを策定をいたしまして、必要な輸入確保方策あるいは国内生産推進方策を講じておる次第でございます。そのような行政上の計画につきましては、ただいま御指摘をいただきましたように、鉱業審議会等の場におきまして御検討を願い、また御承認を願って、これを権威づけていく方向で今後とも進めてまいりたいと考えております。
  11. 橋口隆

    橋口委員 次に、参考までにお伺いしたいと思いますが、日本鉱物資源は、国内が非常に貧鉱になって、海外にたよらなければならないということでございますが、まず、銅、鉛、亜鉛、この三品目について海外への依存度というのは現在どの程度になっておりますか、また明年度あるいは近い将来においてはどういうふうに想定をされているか、それを簡単に伺いたいと思います。
  12. 両角良彦

    両角政府委員 まず銅について申し上げますと、銅の自給率の低下、逆に申しますと海外依存度上昇ということは、近年きわめて著しい傾向でございまして、昭和四十二年度につきましては輸入依存度は八〇%ということになろうかと思います。またこれがさらに傾向が強まりまして、昭和四十七年度の推定につきましては、輸入依存度は八三%近くになろうかという見込みでございます。鉛地金につきまして申し上げますならば、現在輸入依存度は約六〇%でございます。これまた昭和四十七年度におきましてはさらに一%強輸入依存度上昇いたす予定でございます。亜鉛につきましては、四十二年度におきまする輸入依存度は四五%強でございます。これまた逐年上昇が見込まれまして、四十七年度におきましては五三%程度にまで上がってまいる見込みでございます。
  13. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの数字にいたしましても、非鉄金属は今後海外資源にたよらなくてはならないことは非常に明白になってきたようでございます。そういう意味でも、内外を通ずるただいま申し上げましたような鉱物資源需給計画策定していただくことは非常に大事ではないかと思われます。そこで、あわせて、こういう資源開発するために、今回探鉱調査計画があるようでございますが、そのためには地質構造調査基本計画探鉱計画策定されることが、一番必要ではないかと思います。そういうような具体的な計画をもって、これから着実に推進することが大事ではないかと思うのでございますが、その基本計画または探鉱計画については、どういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、探鉱促進にあたりましては、これを計画的に推進いたすということは、きわめて必要なところでございまして、国内探鉱につきましては、すでに鉱業審議会おきまして、国内有望鉱床賦存地区と推定されまする二十七地区を選定いたしまして、これを約十カ年の見込みをもちまして、逐年金属鉱物探鉱促進事業団中心に、広域調査精密調査推進してまいりたいと考えております。また海外につきましては、昭和五十年度を想定いたしまして、その際わが国確保を必要とする銅分約四十三万トンにつきまして、これをその半分はいわゆる融資買鉱という方式により確保し、また残りの半分は開発輸入という方式確保いたすべく、この開発輸入確保すべき約二十万トン強の海外探鉱というものを、具体的に計画を立てまして推進をいたすという方針をとっておる次第でございます。
  15. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの計画に基づいて、大いに促進していただくようにお願い申し上げます。  そこで、従来の開発方式でございますが、多少海外資源開発をやっておったようでございますけれども、それは先方のオファによるものが多くて、開発に至った鉱山はきわめて少ないと聞いておるのでございますが、その実績はどういうふうになっておりますか。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 従来までわが国が行ないました鉱産物海外開発は、ある意味相手国側の事情を受けての開発でございましたために、いわゆる二番せんじ的な地点を選定いたしたり、また小規模計画にとどまったりいたしまして、あまり開発成果というものが多くあがらなかったという点は御指摘のとおりであろうかと思います。今日まで、昭和二十八年から四十一年までの間、わが国鉱業界は、全体といたしまして、探鉱投資を三十九億円、開発投資を二百六億円外国に対して行なってまいっております。その地域は、カナダあるいは南米のチリペルーボリビア諸国、フィリピン、オーストラリア等東南アジア諸国等でございます。これによりまして、現在わが国との間で、開発に達しまして輸入をしておりまする銅量は約九万五千トン、すなわちわが国全体の輸入銅量の四分の一が、海外投資成果として今日わが国に持ち込まれておる、こういう実績になっておる次第でございます。
  17. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、実績はこの投資額に比べてかなり低いと見てもよろしゅうございますね。
  18. 両角良彦

    両角政府委員 融資買鉱につきましては、今日まで見るべき成果をおさめておりまするが、いわゆる開発輸入というものにつきましては、開発が成功いたした事例が六件程度でございまして、その意味では成功率は理想的なものではないということは申せるかと思います。
  19. 橋口隆

    橋口委員 海外探鉱のこれからの可能性というものは、地質学的には非常に明らかでございますけれども、はたして経済採算に乗るような開発が期待できるかどうかという点は、非常に問題があると思います。そういう意味で試算と申しますか、コスト計算をされたことはございますか。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 これからの海外開発は、プロジェクトの大規模なものを選定してまいりまして、しかもその選定にあたりましては、基礎調査並びに地質構造調査等、前段階として尽くすべき方策を尽くして探鉱にかかるべきものと考えております。したがいまして、今日までさような具体的なケースというものは、なお数が少ないために、計算をいたす材料が不十分でございまするが、いずれにいたしましても、今後の海外開発は、大規模プロジェクト中心推進をしていくことになりますので、当然国際的に見てコマーシャルベースに乗る開発促進をいたすべきことになろうかと考えております。
  21. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、銅の地金で入れる場合と鉱物で入れて製錬する場合との原価の比較というものはできておりますか。銅についてお示しいただきたい。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 わが国といたしましては、海外開発によりまして鉱石輸入を行ないまして、国内の大型製錬所において製錬をいたすということで、海外からの地金輸入をいたすよりも、かような鉱石輸入製錬方式のほうが望ましい、そのためには御指摘のように国内製錬所のいわゆる国際競争力というものが充実をいたさなければならないわけでありまして、さような見地から国内製錬所の大型化合理化ということにつとめてまいってきております。したがいまして、将来たとえばコンゴあるいはチリペルー等地域おきまして、かりに製錬所を建設いたしまして、その製錬されましたブリスターわが国輸入するという場合に比較いたしますと、わが国といたしましては、十分国際的に対抗できるコスト国内製錬が可能であるというふうに考えております。
  23. 橋口隆

    橋口委員 それでは四十三年度の具体的計画についてお伺いしたいと思います。今回のこの事業団を通ずる探鉱資金融資でございますが、何社くらい出して、その開発資金の総額はどのくらいになりますか。
  24. 両角良彦

    両角政府委員 昭和四十三年度の金属鉱物探鉱促進事業団予定をいたしておりまする海外探鉱に対する助成計画は、ただいまのところ具体化段階に至っておりませんが、資金計画といたしましては、一億円を海外開発のための債務保証に充当をいたし、残りの一億円を探鉱のための助成に用い、さらに基礎調査情報資料の収集に一億八千万円を計上いたしてまいりたいと考えております。
  25. 橋口隆

    橋口委員 そうすると大体何社くらい、または総体計画というものは現在ではまだ具体化していないそうでございますが、おおよそのめどもわかりませんか。
  26. 両角良彦

    両角政府委員 金属鉱物探鉱促進事業団によりまする海外基礎調査というものにつきましては、一億六千万円をもちまして、チリカナダ等の場所を予定いたしております。それ以外のいわゆる探鉱並びに開発資金対象につきましては、現在まだ未定でございまするが、たとえばアフリカコンゴおきまする探鉱計画というものについては、これは一つ予定として考えられるかと思います。
  27. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、今度の開発資金調達でございますが、海外経済協力基金または輸出入銀行にたよる率もかなり大きいと見てよろしゅうございますか。
  28. 両角良彦

    両角政府委員 海外探鉱開発のためには、その実際の資金輸銀並びに経済協力基金に多く依存をいたさなければならぬと考えております。その四十三年度以降の計画といたしましては、大体輸銀基金を合わせまして、探鉱費として二百十七億円、また開発費としまして一千三百億円程度が、昭和五十年度における目標を達成するために必要な資金量となろうかと考えております。しかしながら、このような資金調達は必ずしも容易でないということから、これについて探鉱促進事業団等融資保証業務その他の資金的な補完をはかってまいりたいと考えます。
  29. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、輸出入銀行または海外経済協力基金に対する依存度はきわめて大きくなるわけでございますが、こういうような政府関係金融機関につきましては、現在のところ事業団の行なう債務保証対象になるかどうかは疑問であると思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  30. 両角良彦

    両角政府委員 その件につきましては、すでに石油開発公団の際に、債務保証政府関係金融機関に対して行ない得るかどうかという点が問題になったわけでございまして、金属鉱物探鉱促進事業団債務保証も、石油開発公団の前例に即しまして処置をいたすことになろうかと思いますが、少なくとも、個々案件に即しまして具体的にその必要性を検討いたしまして、処置をいたしてまいりたいと考えます。
  31. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、債務保証は可能であると考えてもよろしゅうございますか。
  32. 両角良彦

    両角政府委員 案件の具体的なケースに応じまして、債務保証が必要な場合が想定されようかと存じます。
  33. 橋口隆

    橋口委員 そうすると、政府の解釈としては、原則的に債務保証は可能であるとお考えなのか、具体的ケースによって善処するというお考えでございますか。
  34. 両角良彦

    両角政府委員 原則論として政府関係金融機関に対する債務保証は不可能であるという割り切り方ではなくして、個々の実態に即しまして債務保証必要性を検討いたしまして、事態を個別的に処理をしてまいりたいという考え方であります。
  35. 橋口隆

    橋口委員 次に、核原燃料対策についてお伺いしたいと思います。  原子力発電は将来最も重要なエネルギー源でございますが、申し上げるまでもなく、わが国ウラン資源は非常に少ない、そこで海外資源にたよらなくてはならないと思うのでございますが、今回のこの法案改正によって、この事業団にこれを取り扱う資格があることになりますか。
  36. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、ウラン海外開発ということにつきましては、先般エネルギー調査会原子力部会答申にも指摘をいたされましたように、今後原子力発電促進のためにきわめて緊要な課題でございます。これが海外における資源確保のために金属鉱物探鉱促進事業団対象鉱種として追加をいたす必要性はきわめて高いと私どもは考えております。
  37. 橋口隆

    橋口委員 このウラン資源の問題につきましては、特に力を入れて推進をしていただきたいと思います。  そこで、今回のこの法案改正によりまして、金属鉱物探鉱促進事業団は、海外資源開発に乗り出すわけでございますけれども、そのためにいまの陣容ではたしていいのか、またそれについてどういう強化策をお考えになっておるか、政府としての意見を伺いたいと思います。
  38. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話をいただきましたように一新しい業務金属鉱物探鉱促進事業団としてはつけ加わるわけでございますので、当然海外開発促進のために必要な人員の充実をはかってまいるものと考えております。現在探鉱促進事業団は総計六十五名の役職員をもって構成されておりますが、特に海外開発のためには、新しく事務もしくは技術職員増員をいたし、これも二十五名程度増員をわれわれとしては検討いたしておる次第でございます。この増員によりまして初年度の海外業務を発足せしめたいと考えております。
  39. 橋口隆

    橋口委員 それでは非鉄金属に関する私の質問を終わりまして、次に、産金対策について伺いたいと思いますが、関連質問があるそうでございますから……。
  40. 小峯柳多

    小峯委員長 関連して田中榮一君。
  41. 田中榮一

    田中(榮)委員 私は、ただいま橋口先生の言われたように、金属鉱物探鉱促進事業団海外における金属鉱物探鉱についての事業を今回大いに拡張しようということで法律改正をしようとしておりますが、たいへんけっこうなことだと考えております。特に、銅につきましては、最近非常に国内における需要が増加したにかかわりませず、海外からの輸入が非常に減りまして、したがいまして、銅の市場価値も非常に高騰いたしまして、これを原材料にしておりまする工業生産方面おきましても非常に困っておる状況でございます。  そこで、たまたま私は、昨年の暮れから一月にかけましてアフリカ各地をずっと回ってまいったのでございますが、ちょうどコンゴキンシャサに参りました。そこで、現地おきましてある鉱山探鉱しておる日本会社技師長以下多数の方々に面会を申し込まれまして、現地おきまして陳情を受けたのであります。それによりますると、現在コンゴの南の地域ザンビアとの国境おきまして、約一千マイル程度国境線に沿いまして、銅の非常に優秀な鉱脈がございまして、これはもうほとんど国境すれすれのところのコンゴ側であります。ところが、ザンビア側地域内におきましては、現に国境線に沿うて英国の鉱山事業者が豊富な銅鉱石をいま盛んに採掘いたしておるわけであります。この埋蔵量は、私は専門的なことはよくわかりませんけれども、五十億トンと称されておるそうであります。その数量の詳しいことはわかりませんけれども、数量がかりにその十分の一といたしましても、その将来性というのはまことに大きなものじゃないかと思っております。それで現に、会社日本鉱業でございましたが、日本鉱業から五十名の技師長以下の駐在員がルムンバというその地方の都市におりまして、百メートルおきボーリングをやっているわけであります。その技術者の言によりますと、百メートルのボーリングも必要ないのです、しかしながら政府から試掘権の許可をとっておりますから試掘をしないとぐあいが悪いので、やむを得ず百メートルおきボーリング試掘をやっておりますが、こんなボーリングはしなくたって銅のあることははっきりわかっているのです、こういうことであります。その銅を採掘いたしますについては、今後三年間にこれを事業化することによりまして、そこに一万の都市をつくりたい、現地の労務者並びに日本からも相当な熟練工を連れてまいりまして、約一万の都市をつくって、将来ここにおいてしっかりした事業を確立いたしたいということであります。  そこで、その採掘された銅鉱石をどこへ持っていくかと申しますと、すでに敷設されてありまする鉄道によりましてコンゴ川の上流のほうに持っていきまして、あとコンゴ川を航行いたしまする貨物船によって運んで、キンシャサ付近まで持ってくる、あとは浅瀬でありますので、これをさらにトラックまたは鉄道を敷設して、さらに既設の鉄道で持ってきて、大西洋岸に持ってくる、そして喜望峰を回って日本に運搬したい、こういうような一つ運搬計画があり、新たに約一千マイルにわたる鉄道を敷設して銅鉱石を持ってくるという計画も立てておるようでございますが、私は、この現地五十人の従業員の真摯な努力の姿を見まして、ほんとうに感動いたしたのであります。  そこで、先ほどお聞きいたしますと、橋口委員からの御質問に対しまして、資金計画としては大体三億円以上の探鉱助成のようなものが出ておりますが、少なくとも三千五百万ドルの資金がとりあえず必要であるということを言っておるのであります。これは単年度で必要ではありません。少なくとも二年計画あるいは三年計画で三千五百万ドルくらいの資金はとりあえず必要である。これは採掘だけです。鉄道敷設は別です。鉄道敷設は、昨年日本から鉄道敷設のための調査団が一行十名で参りまして、調査をしまして、すでに路線、事業計画を大体確定されたそうであります。この採掘並びに掘さく、採鉱だけで両三年で三千五百万ドルから四千万ドルの資金が必要だというのであります。これはいまの海外経済協力基金もしくは輸出入銀行資金のワクからこれを受け出して資金準備に充てるわけでありますが、一体四十三年度の輸出入銀行資金のワクにいまのコンゴのモンロビア国境付近の銅の探鉱事業計画に対する融資プロジェクトが入っているかどうか、それについてひとつお伺いしてみたいと思います。
  42. 両角良彦

    両角政府委員 お話をいただきましたように、コンゴ日本鉱業によります開発はきわめて大規模計画のものでございまして、そのための所要資金もばく大なものになろうかと考えておりますが、さしあたり日本鉱業といたしましては、両三年の間に五億円の資金を投入いたしまして、現地探鉱を行なうことになっております。もちろんこの探鉱はすでにユニオン・ミニエールが行ないました探鉱地域あとの確認探鉱というような意味合いのものでございますから、きわめて成功率が高いことが期待できるわけであります。この探鉱資金調達につきましては、経済協力基金昭和四十三年度におきまして予定をいたします融資の中で、コンゴ分として当然計上をお願いするということに相なっております。なおそのほかに、日本鉱業に協力をいたしまして、三井金属鉱業、住友金属鉱業、古河、東邦の各社がこの計画に参加をいたしましたそれぞれの資金的な協力を行なうことになっております。
  43. 田中榮一

    田中(榮)委員 ただいま承りますと経済協力基金、四十三年度におきましてはたぶん資金ワクは前年度繰り越し七十億を加えまして四百八十八億だと私は思います。今回法律改正されまして、相当条件も緩和されまして資金が放出されることに相なっておるのでありますが、もしこの経済協力基金の中にこのプロジェクトの一部が含まれておるといたしましたならば、できれば四十三年度じゅう、なるべく早く資金の準備あるいは実際の手続を終了いたしまして、現地の実際の採掘事業に支障のないようにしていただきたいと思います。  それからもう一つは、経済協力基金でどれだけの資金ワクが予定されているかは私は存じませんが、こうした事業というものは、経済協力基金の非常に安い金利でやっていただくことはけっこうでありますが、これは一つの営利事業でありますので、これはあくまで輸出入銀行というコマーシャルベース資金においてやるのが一番堅実ではないかと思うのであります。輸出入銀行資金ワクの予定の中にはこれは含まれてないのでありましょうか、その辺ひとつ承っておきたいと思います。
  44. 両角良彦

    両角政府委員 探鉱事業の性格上、このような探鉱資金融資につきましては、経済協力基金が適格な窓口ということになっております。ただいまのところ輸出入銀行コンゴ探鉱資金を依頼をいたす予定にはなっておりません。
  45. 田中榮一

    田中(榮)委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、もしこれが探鉱の域を脱して、恒久的、恒常的な事業化された状態に移行した場合におきましては、輸出入銀行、いわゆるコマーシャルベースの線においての融資が行使されることになるのでしょうね。
  46. 両角良彦

    両角政府委員 コンゴ計画につきましては、当分の間基金中心融資体制を考えてもらいたいと思っておりますが、なお将来開発規模の拡大に伴いまして、特に輸出入銀行融資適格性が出たという場合におきましては、大いにそちらのほうの協力も期待したいと考えております。
  47. 橋口隆

    橋口委員 次に、産金対策についてお伺いいたしたいと思います。  ことしの初め以来の欧州におけるゴールドラッシュは、最近になってやや静まったような感じのようでございます。ところが、きょうの外電によりますと、いまストックホルムで開かれている十カ国蔵相会談でIMFのSDR、特別引き出し権が問題になっておる。これがもしまとまらなければ、ドル、ポンドに対する不信からゴールドラッシュの第四波が襲ってくることは必至である。また世界の通貨当局は金価格の引き上げに追い込まれるであろう。こういうようなことが報ぜられております。そこで、現在国際的にも、また特にわが国にとりましては地域開発の立場から見ましても、今後の金の問題はきわめて大事であろうかと思います。私は、その金の問題について、きょうは産金政策の面から通産当局並びに大蔵当局にお伺いをしたいと思います。  まず、最近の金の需給の問題でございますが、四十二年度の需給、それから四十三年度の見通し、そういうものについて一応概略説明を願いたいと思います。
  48. 両角良彦

    両角政府委員 金地金需給でございますが、四十二年度につきましては国内産金は十五トン、それから政府の放出が八トン、回収を入れまして供給計は二十三トンということになっております。これに対しまして、需要面では、大口は装身具関係五トン、それから歯科医療用四トン四百等々になっておりまして、大体需給は均衡をいたすことになっております。四十三年度につきましては、国内産金が十八トン五百でございます。これに対しまして政府放出を約十トン期待いたしまして、需要が総計二十八トン四百ございますので、これに対応するバランスをとりたいと考えております。需要構造につきましては、四十二年度と大差のない需要構造でございますが、特に通信機その他の機械部品用に使われます金の需要上昇をいたす見込みでございます。
  49. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの需給計画のうち、四十三年度の見通しは別といたしまして、四十二年度につきましては密輸も入っておると思うのでございますが、最近の密輸の実情はどういうふうになっておりますか。
  50. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま申し上げました需給数字の中には密輸分は入っておりません。いわゆる市中回収金といたしましては六百六十二キログラムの計上をいたしておりますが、密輸金は入っておりません。密輸の実績は、当省では詳細はわかりかねますが、検察庁からの資料によりますと、三十九年度から四十三年二月までの総計は、押収分が一トン三百六十二キロということになっております。ただし、違反摘発として摘発をされました密輸金の量は、その間七トン二百四十九キロという大きな数字に相なっております。
  51. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの御説明によりますと、押収が一トンで摘発が七トン、こう推定をされておるようでございますけれども、そうしますと、非常に多額の金がやみ相場で出回っていると考えなくてはなりません。そうしますと、もし四十三年度において完全に密輸を取り締まって、それが入ってこないとなれば、需給はアンバランスになるはずでございますが、その辺についてはどういうふうにお考えになりますか。
  52. 両角良彦

    両角政府委員 密輸金の需要と申しますか、供給と申しますか、これがわからないところが密輸たるところでございまして、一応需要といたしまして私どもが金地金商からとっております各用途別の需要の積算によりますると、先ほど申しました国内産金に政府放出十トンをもってバランスいたすはずでございます。
  53. 橋口隆

    橋口委員 そういう見通しのもとにおそらく大蔵省でも計画されたと思うのでございますが、貴金属特別会計では四十三年度十四トン買い入れの予定でございますね。
  54. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 そのとおりでございます。
  55. 橋口隆

    橋口委員 この十四トンというのは従来どおりの政府輸入になさいますか、それとも民間輸入方式を今回は認めるというような方針もございますか。
  56. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 従来どおり貴金属特別会計で買い入れる予定にしております。
  57. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、現在の国際情勢のこういう状態のもとで十四トンは確実に入る、そういう見通しを立てておられますか。
  58. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 まだロンドンの市場がクローズされておりまして、四月から再開される見込みでございますが、そういう大手の市場の価格の動向、こういうようなものを見ませんと、いま直ちに国際価格がどういうふうになるかということは的確な判断はいたしかねるわけでございますけれども、現在のパリあるいはチューリッヒにおいて開かれております市場の価格を見てみますと、大体オンス四十ドル前後のところで上下をしておるように見受けられます。こういうような従来の一オンス三十五ドルよりも一割あるいは一割五分増しというような価格で今後推移するといたしますと、今回御審議をいただいております四十三年度の貴金属特別会計の買い入れ予算、これはもちろん予備費も含んでございますが、こういうものを含めて考えますれば、十分可能であるというふうに考えております。
  59. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、その十四トンのうち払い下げは、いま鉱山局長から御説明がありましたように、十トンでございますか。
  60. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 そのとおりでございます。
  61. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、残りの四トンは政府でどういうふうにお使いになるつもりでございますか。
  62. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 これはランニングストックとして持っておる予定でございまして、そのときどきの金の需給状況を勘案いたしまして、非常に需給が逼迫してくるというような場合にそのストックの中から放出をするという考え方をしております。
  63. 橋口隆

    橋口委員 そういう意味で四トンという数字が必要であり、かつ、十分であるとお考えになりますか。
  64. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 現在のところ四トンで十分であるかどうかということは、これはなかなかむずかしいわけでございます。四十二年度の予算におきましても、十トン輸入いたしまして八トン放出をいたしました。残る二トンをランニングストックで持つ、こういうことによりまして、大体二カ月分足らずをストックとして持つということにしたわけでございますが、今度十四トン、そのうち四トンを持つということは、四十二年度に比べますれば若干割合はふえております。ふえておりますが、これでもちろん十分であるかどうかということは、私ども的確には判断がつきかねるわけでございますけれども、一応現在のところ、全体の二十八トンの需要から見まして、今年度の二トン、と、それから来年度の四トンを加えまして六トンのストックがあるわけでございますが、そういたしますと、これでやはり二、三カ月分のストックは持っておるということになりますので、大体適正な規模と言えるのではないかというふうに考えております。
  65. 橋口隆

    橋口委員 大蔵省にもう一つお伺いしたいのですが、現在産金業者は赤字を出して非常に困っておるようでございますが、その産金額の五%は政府に納入することになっております。これは今回の七カ国会議の申し合わせによりますと、金準備のために民間から金を買うようなことはしない、こういうような申し合わせが出ておるようでございますが、そういう意味では、日本はこの会議には入っておりませんけれども、対米関係上ドルに従属している現在で、この国内産金の五%の買い上げというのを停止されるお考えはございませんか。
  66. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 現在のところ、わが国といたしまして五%の買い上げをやめなければならないということは考えておりません。ただ、将来の国際金融情勢なり各国の動きなり、こういうものは今後注視してまいりたい、こういうふうに考えております。
  67. 橋口隆

    橋口委員 それでは金の価格についてお伺いしたいと思いますが、金恐慌以来、国際的には二重価格制を採用することになっておるわけでございますが、現在わが国の金価格はどういうふうになっているか、念のためひとつお伺いしたいと思います。
  68. 両角良彦

    両角政府委員 金のわが国おきます価格の実態は、政府が買い上げを行ないます場合はグラム四百五円、それから輸出向けに特価で売り渡します場合は平均五百二十三円、一般の市中向け販売はグラム六百六十円、平均をいたしまして市中価格は六百三十七円ということに相なっております。
  69. 橋口隆

    橋口委員 この一般価格の六百六十円というのはどういうふうにしておきめになるわけでございますか。
  70. 両角良彦

    両角政府委員 この六百六十円の価格の性格は、なかなか明確には断定しがたいのでありますが、要は、業界として、産金コスト上から見まして、六百六十円をきめました当時、この程度の価格という考え方がございます。これに対しまして、政府側といたしましても、その程度の価格で新産金の売買というものが行なわれることが適当であると考えたわけであります。また、これを上回っての取引がかりに需給関係上出る場合には、政府輸入をいたしまして、その輸入分の放出を通じまして六百六十円の価格の実効性を保っていく、こういうたてまえになっております。
  71. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、日本鉱山は現在非常に窮しているというふうに考えられて、業界からもそういうような苦情が出ていると思いますけれども、山元のコストというものは現在どのくらいとお考えになりますか。
  72. 両角良彦

    両角政府委員 その六百六十円を定められました以後、産金コストは、鉱床の状況なり、労務費の上昇なりいろいろな要因が重なりまして上昇をいたしております。今日、大手各社の平均の山元コストは、グラム当たり六百九十八円ということになっております。
  73. 橋口隆

    橋口委員 産金のコストはグラム当たり六百九十八円、そうすると、売り渡しによる手取り額というのは六百三十七円でございますね。そうすると、赤字が六十一円出る、これがおそらく日本の産金業界の非常な苦しみの種であろうかと思います。この赤字解消というものはどういうふうに考えておいでになりますか。これをこのままもう泣き寝入りをさせるつもりであるか、それとも補給金を出す、あるいは探鉱助成金を出すことによってカバーしていく、いろいろなことが考えられますけれども、政府方針がその点について定まっていない、特に大蔵省、通産当局、この二つの意向が合致してないように思われるのでございますが、その点については、まず、通産当局はどういうふうにお考えになりますか。
  74. 両角良彦

    両角政府委員 お話にございましたように、現在の産金コスト面から見ますと、グラム当たり六十一円の赤字ということでございますので、今日のまま推移いたしますならば、金山の経営は危殆に瀕するということは御指摘のとおりかと思います。これに対しまして、わが国としまして、金の生産を今後とも、少なくとも国内消費に見合う相当部分というものは国内産金をもってまかなってまいりたいということが、通産省としましては考えておるところであります。いかにしてこれを可能ならしめるかということは、基本的には六百六十円をもってコストがまかない得るような、そのような産金を育成し、開発をしていくということになろうかと思います。  すなわち、金山に対する探鉱投資、特に構造坑道の掘進補助等を推進をいたすことによりまして、金山の再開発を行ない、その再開発を通じまして六百六十円の線に乗せ得るような金山経営というものを今後進めてまいるべきであろうかと考えております。そのため、とりあえず基礎調査費としまして四十三年度予算に一千万円を計上いたしますとともに、別途、金属鉱物探鉱促進事業団対象鉱種として金を追加いたし、事業団によります助成強化しますとともに、さらに中小の金山に対しましては、新鉱床探査補助金を重点的に投入をいたす等々の方策を通じまして、金山の再開発を進めてまいりたい、かように考えております。  なお、昨今の国際情勢がきわめて流動的でありますので、今後の情勢の推移に応じまして、わが国金山の再開発につきましても、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  75. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの通産省方針に対して、大蔵当局はどういうふうにお考えになりますか。
  76. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 ただいまの通産省鉱山局長お話と全く同意見でございます。
  77. 橋口隆

    橋口委員 ただいま同じ意見であると言われたので非常に心強いと思いますけれども、それならば、探鉱助成金につきまして今回たった一千万しか出さないというのは、これは少しスズメの涙ではないかと思いますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  78. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 ただいまのところは基礎的な探鉱をやらしてみたいという考えでございます。
  79. 橋口隆

    橋口委員 これからおそらく四十八億円ぐらい数カ年計画でやることになると思うのですが、それに対してたった一千万ということは、これはあまりにも——もう政府の政策はないのではないかと考えてもいい。ただ、ゼロではあまりひどいから、それでは一千万ぐらいにしようかという、そういう考え方のようにとれるのでございますが、ちょっと冷酷無情ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  80. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 これはあくまでも基礎的な調査でございますので、基礎的な調査費といたしましては四十三年度一千万で、十分とは考えませんけれども、やれるのではないかと考えております。
  81. 橋口隆

    橋口委員 それでは、これから四十四年度の問題が展開をされてくると思うのでございますが、この次の予算要求にあたりましては、ひとつ十分大蔵省でもお考えをいただきたいと思います。  また、最近国際的に金の問題がクローズアップされてまいりました。これからいままでの考え方をかなり大幅に修正をされなくてはならないと思うのでございますが、そういう点については新しい構想というのは大蔵省としてお持ちではございませんか。
  82. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 四十三年度まだ国際的にも金問題はかなり流動的ではございますが、国内的な金対策といたしましては、この四十三年度につきました一千万円の基礎探鉱資金を使いまして基礎的な調査を進めて、その結果を参考にしながら四十四年度の予算は検討してまいりたいと考えております。
  83. 橋口隆

    橋口委員 この問題をどうしてわれわれがこうしつこく言うかと申しますと、前の通常国会におきましてこの商工委員会において産金対策の小委員会までつくった。ところが、それほど与野党あげて一緒に協議して、そして政府当局にも迫ったにもかかわらず、たった一千万ということでケリをつけられた。これは全く商工委員会、ひいては国会を侮辱するものと考えます。ここにおいでになる皆さんは産金対策に非常な関心をお持ちでございますから、十分御考慮を賜わりたいと思います。この点については大臣、政務次官その他の首脳部にも十分お伝えをいただきたいと思います。  そこで鉱山局長にお伺いいたしますが、これからの探鉱を進めるとすれば、そのためにどのくらいの金額を必要とされておりますか。たしか四十八億以上かかるというふうに聞いておりますけれども、それはどういうふうに手当てをされるつもりでございますか。
  84. 両角良彦

    両角政府委員 通産省といたしましては、一応金山の再開発につきまして四十数億円の資金を投入いたす探鉱計画計算いたしておりますが、ただいま申し上げましたように、とりあえず四十三年度一千万円の基礎調査というものを実施いたしまして、より正確な金山再開発計画具体化してまいりたいと考えます。また資金の手当ても、それに対応いたしまして検討を加えたいと存じております。
  85. 橋口隆

    橋口委員 その点について少しく突っ込んで聞きたいと思いますが、四十八億円の内訳を、どういうふうに処理するかということをもう少し具体的に承りたいと思います。
  86. 藤井勝志

    藤井政府委員 鉱山局長がお答えする前に、先ほど橋口委員から御指摘になりました商工委員会において行なわれた十二月二十二日の緊急対策確立の決議でございますが、御指摘のとおり、四十三年度の予算においてはまことに言いわけ的な予算裏づけになっておる、全く申しわけない感じを私は通産省へ入って感じておる一人でございます。特に申し上げるまでもなく、金の生産対策は外貨の節約というような問題だけではなくて、人手不足の今日でありますけれども、国内地域経済開発促進の面からいっても、ぜひ推進しなければならぬ。同時にまた最近、先ほどお話がございましたようないわゆる金戦争といいますか、そういった金を取り巻く激しい経済の動きというものは——われわれ通産省の立場としては、物としての産金対策というかまえを基本にはいたしますけれども、やはり人類の金に対するイメージというものは、いろいろ人工的な通貨制度がどのように生み出されようとも、永遠に基本的に忘れることのできない問題だと思うのであります。やはり今年こそは、御決議にもありましたような、いわゆる輸入地金との差益金による財源対策によって産金対策を積極的に進めるということについては、政府として本格的に取り組まなければならない、お茶を濁すような予算措置では相ならぬ、こういうふうに私は強く感じております。  本日御指摘の点は大臣にもよく報告をいたしまして、四十四年以降の国内産金対策においては万全を期す、前向きの線をはっきり打ち立てたい、このように感じておる次第であります。
  87. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの政務次官の力強い御発言に対して非常にうれしく思います。ぜひひとつ通産当局でもこの方針をお固めになり、また大蔵省とも十分御相談いただきまして、商工委員会がこの決議をいたしましたように、ぜひそれが実現するようにお願いいたします。その意味では、この商工委員会の皆さん方は早目にそういう対策に着眼をされたのでありまして、政府のほうが多少おくれているのではないかと考えられます。そういう意味でぜひ本問題が進捗いたしますように御尽力をお願いいたします。  そこで、最後に重ねてお伺いいたしますが、この再開発のための探鉱資金は総額幾らで、またその内訳をどうするということを、もう一度伺いたいと思います。
  88. 両角良彦

    両角政府委員 当初、通産省としまして再開発事業計画策定いたしました内容によりますと、四十三年度以降の五カ年計画によりまして、基礎調査、構造坑道並びに新鉱床探鉱の三つの内容を持って、総額四十八億の計算をいたしたのでありますが、そのうち基礎調査につきましては約二億円、ボーリングを含みます構造坑道の掘進費として十二億五千万、新鉱床の探鉱費として三十四億というものを計算をいたしたのであります。
  89. 橋口隆

    橋口委員 この基金の手当てといたしまして、仄聞するところによりますと、特別基金を設けてその差益でこれをまかなっていくという構想があったように聞いておりますけれども、その制度はいまどういうふうになっておるのでございますか。
  90. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまの事業計画を、先ほど申しましたように、四十三年度の基礎調査の進行とにらみ合わせながら、われわれとしては再度正確なものに検討を加えてまいりたいと思いますが、その場合の資金手当ての考え方につきましては、ただいま政務次官から御発言がございましたように私どもも考えております。
  91. 橋口隆

    橋口委員 せっかく主計官もお見えになっておりますし、国際金融局企画課長もお見えになっておりますが、この特別基金の問題について、通産、大蔵で意見がまとまらなかったのではないかと思いますけれども、そういう点についてどうお考えになりますか。
  92. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 特別基金の構想につきましては、予算査定の段階通産省からも説明を受けたことはございますが、十分意見の調整がついておらない段階で、最終的には、四十三年度といたしましては先ほどの予算計上となったわけであります。この問題につきましては、いろいろな角度から検討を要する問題がまだ残っておると思います。そういう特定の財源を使うべきかどうか、特定財源を使うことについて、現在ございます国内金価格と国際金価格の格差というものはどういう形で生じておるかという問題等も十分考慮に入れなければなりません。かつて雑豆資金というものがございまして、雑豆の差益を特定の財源として使うという、これは金ではございませんが、そういう方式についていろいろ法律的にも問題があったわけでございます。したがいまして、直ちに特別の財源としてそういう価格差を利用する方法がいいかどうかという問題は別途検討すべきであろうかと思います。ただ、金対策につきましては、その財源を必要とあらば一般会計から一応支出するというのが常識的な考え方と思いますが、これにつきましては、やはり財政の許容する範囲というものとその必要性というものを検討した上できめるべきであろうかと思います。
  93. 橋口隆

    橋口委員 金をめぐる国際環境も非常に変わってきたわけでございますから、ひとつぜひ今回は通産、大蔵当局で十分協議をされまして、そして方針を確立されるようにお願い申し上げます。  最後にもう一つお伺いいたしますが、鉱産税、鉱区税、固定資産税等の地方税を免除して、このための公共団体の減収は、国の地方交付金の増額によって補てんをしてくれという要求、これは地方の公共団体からもきておりますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  94. 両角良彦

    両角政府委員 本件は財政上の問題かとも思いまするが、通産省としましては、かような要望を伺ったことはございますが、従来さような実績もございませんし、また財政的に見て、いかなる問題があるかもわれわれとしましては判断がつきかねまする現状におきまして、本件は一応従来どおりの考え方で今日まで対処をいたしてきております。
  95. 橋口隆

    橋口委員 そうしますと、この問題を自治省当局あるいは大蔵当局と相談して推進するというお考えはございませんか。
  96. 両角良彦

    両角政府委員 御要望の実態を十分検討しました上で対処をいたしたいと思います。
  97. 橋口隆

    橋口委員 それでは私の質問を終わりたいと思いますが、繰り返し申し上げますように、金の問題は日本にとって非常に重大な問題であり、特に今後産金対策をどうするかということは、喫緊の要務であろうかと思われます。そういう意味政府は、通産省、大蔵省あわせて政府としての基本方針を確立していただきますようにお願いを申し上げます。政務次官に最後にお答えいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  98. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の線に沿うて努力いたします。
  99. 小峯柳多

    小峯委員長 岡田利春君。
  100. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 理事会の決定で、二時から本会議がございますので、私の質問は一時でとめたいと思います。時間が足りませんから、質問はそのまま保留させていただきます。  いま橋口委員から産金政策について質問がありましたので、これに加えて質問をいたしたいと存じます。  先般の予算委員会において大蔵大臣は、わが党の河野委員の今後の国際金価格の暴騰についての質問に対して、金価格が公定価格と自由価格の二本立てになることはあり得るということを明確に答弁をいたしました。私どもは、これはあり得るのではなくして、避け得られない情勢下に入ったのではないか、こういう見解を持っておるのでありますが、この面について通産省はどういう見解を持たれておるか、政務次官からお答え願いたいと思います。
  101. 藤井勝志

    藤井政府委員 金の二重価格制の問題につきましては、所管は大蔵省でございます。大蔵大臣の答弁というものが、まず一応現段階におけるわが政府考え方であるということで、私からつけ加える何ものもございません。
  102. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 最近の国際金相場は第三次のゴールドラッシュである、こういうことが言われておるのでありますけれども、先般のパリ市場の状態では、ロンドンの市場が閉鎖をしたために、一キロ金塊が七千フランに高騰した。これは実に一オンス四十四ドル三十六セントになるわけです。また先ほど答弁がありましたように、チューリッヒ、スイスの相場ではすでに四十ドルをこす、こういう相場も出ておるわけです。またそれぞれの国際的な専門家の見解では、わが国では昭和二十八年から金の価格は据え置かれておるわけです。しかもその間物価が大体二倍に上がっておる。したがって実質上金の価値というものは、現行三十五ドルの二倍の七十ドルではないか、こう実は言われておるわけです。したがって二本立ての相場が出てまいりますと、今後は五十ドルの突破はもう避け得られないのではないか。しかも長期的には、ソビエトあたりが主張しておりますように、金価格の二倍引き上げ七十ドル、こういう動きが非常に強くなっていくのではないか、こういう想定を一応私どもはいたすのでありますけれども、国際金融局としては、現時点でどういう見通しを一体立てられておるか、見解があれば承っておきたい。
  103. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 今度の金プール七カ国の決定によりまして、金の国際価格というのが二重価格制をとることになったわけでございますが、ただいまも先生おっしゃいましたように、その後のパリ市場あるいはチューリッヒの市場の金の価格、これを見てみますと、確かに従来の一オンス三十五ドルを中心としましたロンドン価格に比較をいたしますと、一割あるいは二割近い高騰を一時いたしたわけであります。しかしその後また金価格は落ちてまいりました。最近のところでは、先ほども申し上げましたように、大体一割ないし一割五分増しくらいのところで価格は推移をしておるわけでございます。今後の国際価格の推移といいますものは、ロンドン市場が直ちに再開をしてみませんとはっきりした見通しはつかないわけでございますけれども、今回の金プールの決定等を勘案してみますと、通貨用金と産業用金と、この金の価格が分かれてまいるわけでございますので、しかも世界の産金量を見てみますと、大体一九六六年で千二百七十八トンというような非常に大量な量でございまして、この新産金がどういうふうに今後使われていくか、これも今後の推移を見ないとわかりませんけれども、これが産業用にかりに全部回るというようなことを想定いたしますと、金の価格が今後現在の価格よりもまた高騰するというようなことは、ちょっと考えられないのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。また今回の金プール会議の決定によりまして、アメリカの国際収支改善に対します努力、あるいはイギリスも同じような国際収支の赤字解消策というものを強力に推進をいたしまして、しかもヨーロッパ諸国が、従来の黒字を今後は国内の拡大政策によりまして消していく、こういうふうにいたしまして、世界の国際収支が均衡するように持っていければ、現在までございましたドル不安というようなものも、次第に解消をいたしまして、国際金価格というものは、あまりこの二重価格の間に差がなく推移するのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  104. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 わが国は金準備が少ないから、どうしてもそういうわが国の立場に立って期待、可能性の判断が非常に強いのではないか。このことが今日一般論として指摘をされておるところであり、今日の政策を進めてきた大蔵当局として、現時点でそういう答弁をされることはわかるのでありますけれども、しかし今日情勢は依然流動的であるとはいえ、世界の産金総量が最近は非常に下回ってきておるわけです。特に四分の三を占めている南ア連邦の産金は、大体三割以上その産出量が実績より下回ってきておる。しかも深掘りで非常に湧水が多い。ますます条件が悪化をする。こういう意味では世界の産金量というものはその増産はなかなか期待できないのではないか、こう私どもは判断をいたしておるわけです。そういう情勢を反映して、今日アメリカにおいても産金政策として、IMF協定はございますけれども、何らかの形でこれは積極的な補助政策をとらざるを得ない、こういう機運になって、先般上院をすでにこの問題については通過をいたしておるわけです。私どもの聞いておるところでは、アメリカにおいては、すでに年間五千万ドルのいわゆる補助金を出して、大体グラム当たりに直しますと四百五円になる、こう聞いておるわけです。こういうアメリカ自身の動き等もわれわれ十分考えないでは国内の産金政策というものは立てられないのではないか、こう判断をするのでありますけれども、こういう世界の産金に対する補助政策というものがどうなっておるか、鉱山局から承っておきたいと思うのです。
  105. 両角良彦

    両角政府委員 各国とも産金対策といたしましては、相当な補助政策をとっておるように承知をいたしております。主要国について見ますと、カナダおきましても補助金を交付いたしておりまして、グラム当たり最高手取り額は五百十四円というふうな計算になるかと承知しております。またオーストラリアにおきましても、やはり州政府によりまする補助のほか、中央政府によりまして最高手取り額五百九円までの補助金が交付されておるようであります。その他ローデシア、南ア連邦、フィリピン等々におきましてもそれぞれ補助体制をとっておるように承知しております。
  106. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 わが国の産金政策で、今日、探鉱補助金とか、若干の助成を行なっているわけですが、これはグラム当たり何円になりますか。
  107. 両角良彦

    両角政府委員 大体グラム当たり十円程度につくかと思います。
  108. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 結局わが国の産金政策は公定価格四百五円、そして実際に国内金は六百六十円である、こういう二重価格制を設けることによって金産業を保護育成をする、こういう政策をとってきたわけです。直接政府としてはこれに対していま述べられたようにグラム当たりわずか十円の補助金しか出していない。これがわが国の政策の実情である。しかし、各国は積極的にむしろ産金政策として補助金政策に転換をして、それがいま述べられたオーストラリア、フィリピン、カナダ、またアメリカにおいてすら先ほど申し上げましたような動きがあるわけです。こういう趨勢というものをわれわれは的確に把握する必要があるのではないか。たとえば、四百五円のグラム当たりの補助金を出せば、結局金価格というのはわが国の貨幣で換算すると、四百五円でありますから八百十円ということになるわけです。そういう点から考えますと、先般商工委員会で——先ほど橋口委員質問しましたように、わが国の産金政策はかつて二十七トン程度の記録を持っておる実績にかんがみて、また最近の地質学の進歩、こういう面から港頭鉱床の発見、こういったようなことについてやはり画期的な手を打つべきではないか、こういう立場に立って本委員会は満場一致で決議案を出したわけです。しかしながら、今年度の予算を見ますと、わずか一千万円の予算よりついていない。一千万円で基礎的な調査をするというのでありますけれども、大体一千万円で行なう十一地域対象にいたしてみますと、これはまあほんとうに手を染めたという以外にこの効果というものはあらわれてこないのではないかと考えるわけです。そういう意味で私は、この予算がきまるときに通産省と大蔵省でいろいろ議論が行なわれて、ただ大蔵省と通産省の関係の議論だけならばよろしいのでありますけれども、問題は、金緊急合理化計画というのはもちろん業者の負担もございますし、またそれぞれの補助金もございますが、それと同時に昨年昭和四十二年十トンの輸入をし八トンの放出をした、その差益金の一部を充当してもこの政策を進める上に価値があるのではないか、こういう意見を持っておりますけれども、主計当局としては、これは今日の財政状態からいって、通産省の要求に対して、とにかく一千万円という査定をする。しかし一方通産省の要求は、その差益金の貴金属特別会計からの大体四億か五億程度の金の支出を要望した。それは主計当局の問題ではなくして、国際金融局の問題であるというような形で、どうも通産省、大蔵省当局の関係ではなくして、そういう三角的な関係、鉱山局、国際金融局、主計局の三角関係、こういうふうな中で結局最終的に一千万円ということにきまったように私はある筋から聞いておるわけです。私はそういう点非常に今日のこういう情勢からかんがみて残念に存ずるのでありますけれども、問題は、国際金融局としては、貴金属特別会計の性格上、これは別に何も高い国内金の開発にそれだけ特別会計から出す必要はないではないかという見解もあるでしょうし、もし必要であるとするならば、一般会計でやるといいのではないか、こういうことも言えるのでございますけれども、しかしながら従来までは、戦時中の手持ちの金の放出によって国内需要をまかなってきたわけです。四十二年度十トン輸入して八トン放出し、そこに差益金が生まれてまいったわけであります。そういう金が貴金属特別会計に入ったわけでありますから、そういう面から積極的な助成をするということは、今日の産金政策のたてまえからいって、しごく当然の要求ではなかろうか。そういう配慮がなされてしかるべきではないか。たとえば農産物についても輸入の乳製品の差益金、この差益金から金を出して、結局乳価不足払いで国内原料乳の増産体制に寄与している。こういう政策が幾つかとられておるのでありますから、そういう考え方はむしろ妥当なものではなかろうか、こう私どもは考えるのでありますけれども、この点いかがですか。
  109. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 産金対策につきましてはいろいろ考え方があるかと思うのでございますが、私どもの考え方は、従来から国際価格がこれだけ低いのに、他の産業との権衡をあまりにも失するような過度の助成、保護を金産業だけに加えるのはどうであろうか。ただいまも先生のおっしゃいましたように、四百五円と六百六十円の差、これは実質的にやはり産金業者の保護になっておるわけでございます。そのほかに従来四億円の鉱山探鉱費、この中から六千二百万円の補助金が金鉱山に出ております。しかも四十三年度にはまた地質調査費といたしまして一千万円を計上いたしておるわけでございます。こういうようなものを総合して考えますと、金鉱山に対します助成策というものは、他の産業に対します助成と比較をいたしまして、決して劣るものではない、むしろ十分なものでなかろうか、こういうふうに私どもは従来考えておるわけでございます。したがいまして、予算編成当時、通産省との間で今後の産金助成につきましての考え方につきましては、いろいろ議論がございましたけれども、先ほども主計官からも申し上げましたように、四十三年度は一千万円の基礎調査費をまず計上いたしまして、それで基礎調査を進める、こういうことで大体十分じゃなかろうかということで話がついたわけでございます。私どもは、これで何ら不都合はないというふうに考えておるわけであります。
  110. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今日、予算が一応予算委員会で審議をされておるわけですけれども、政府の五%買い上げについては、これはやめる意思はありませんか。
  111. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 これは先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、現在のところは五%の買い上げをやめるということは考えておりません。ただ、今後の国際金融体制の動向あるいは他の国がどういうような政策をとるかというようなことも見守りながら、さらに考えてまいりたいと思っております。
  112. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 予算は自然成立するわけですから、そういう客観的な情勢の中で考えるわけですが、いずれにしても、いまの金山は赤字を出しておることは、先ほど鉱山局から説明があったとおりなんです。いま鉱山局調査で、自由価格の平均価格、すべて含んだ平均価格は幾らになっていますか。
  113. 両角良彦

    両角政府委員 六百三十七円であります。
  114. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 平均の自由価格に比べて、二十三円ですか、差があるわけですね。したがって五%の政府買い上げをやめ、そして陶磁器あるいは万年筆に対する価格については、輸入金の安い金をその価格で放出してやる、それだけ差益金は、大蔵省の場合には減るわけですけれども、そういう政策をとれば、平均価格六百六十円にはなるわけです。とりあえず、二十三円程度でありますけれども、赤字の四割程度は何とかカバーできる。そうして一千万で基礎的な調査にかかる、こういう措置を今日緊急的にとることは、やる気があれば、私は可能であると思うわけです。そういう対策を、今年度まずすべきではないのか。もうすでに衆議院で四十三年度の予算が通り、一カ月たてば客観的にこの予算は成立をするわけですから、そういう中で、まず国内産金政策をこの機会に充実をする、こういう体制にこの機会に踏み切るべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  115. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、産金政策の充実強化という点につきましては、通産省といたしましても全力をあげまして努力いたしたいと考えておりますが、その内容につきましては、まずこの基礎調査成果というものを見ながら今後の具体化をはかってまいりますとともに、資金手当て等々につきましても、なお流動的な諸般の情勢のもとで、随時情勢の変化に即して具体的な対策を講じてまいりたいと考えます。
  116. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは別に金山の経営者といわず、働いている労働者全体も含めて、非常に期待は大きかったと思いますし、それだけに増産体制に踏み切ろう、こういう方向も、私はそれぞれの実情を視察して、大勢として強くはだで受けとめたわけです。しかし残念ながらその期待にこたえることができなかった。しかも国際的な環境は、むしろそういう面にわが国として強く一歩踏み出す、こういう情勢が日に日に強まっていくという理解に私は立つものですから、実はそういう提案をいたしたわけです。この点についてはまず中間的な問題としてやはり検討を加えるべきではないか、こう思うのですが、政務次官の見解を承っておきたい。
  117. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点、前向きで検討させていただきます。
  118. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 わが国の金の生産というのは、付随して銀の生産が伴うわけです。大体金の十一倍の銀が平均出る、こう理解していいのだと思うのですが、いま国際的に銀の相場は上がってまいりましたし、暴騰を続けております。しかもこれは慢性的な不足である、こういう見通しが明らかだと思うわけです。したがって、各国では手持ちの銀が不足をしてまいりますから、銀貨をつぶしてこれを回す。わが国においても最近銀貨から白銅貨に切りかえるというような方向もとっておるようであります。そういう趨勢にあると思うのですが、この銀の国際環境の見通しと価格の趨勢についてはいかがですか。
  119. 両角良彦

    両角政府委員 銀につきましては、国際的に見ましても需給関係がややタイトになりつつありまして、それを反映いたしまして、内外ともに銀価格は上昇傾向をたどっておるかと思います。昭和四十一年度の数字でございますが、国内おきまする価格は、キログラム一万五千五百九十五円、それから海外おきましては一万四千九百六十六円、大体かような数字になっておりまして、三十七年当時と比較いたしますと、それぞれ約三千円ないし二千円の上昇になっております。四十二年度につきましては、さらにこの傾向強化されてきております。
  120. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いわゆるわが国の産金政策は同時に産銀政策につながる、こういう重要な意味を持っておることをわれわれは知らなければならぬと思うのです。しかも銀は、いま述べられたように、価格は暴騰いたしておりますし、しかも長期的に銀というものは不足をする、こういう情勢になっておりますから、アメリカにおいてもいま銀貨の発行は押える、あるいはイギリスにおいても銀貨を積極的につぶす、こういうような方向の政策すらとっておるという状態でありますので、そういう理解をわれわれはする場合に、いまわれわれがいう産金政策とは、同時に銀を確保する、こういう政策につながることを特に御理解を願っておきたいと思うわけです。  私はそういう意味で先ほど提案もいたしたわけですが、今度海外に対する探鉱事業団業務の範囲を拡大をするという法案が出されてまいったわけですが、大蔵省おられますが、特に最近の海外開発に対する資金手当ての問題ですが、最近のドル防衛、そういう影響を受けて、アメリカの最も大きい鉱山会社ですらも、日本鉱山会社に対して資金融通、協調融資を強く要請をしておる。こういうことがございますし、またそういう意味では資金調達を、日本の国際収支の現状から見て、できるだけ従来の方式よりも自主的にひとつ調達してほしい、こういう要請がなされておるようでございますけれども、海外開発に要する資金融資について、大蔵省としてはどういう方針で臨んでいるわけですか。
  121. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 この問題は私の所管でございませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  122. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の聞いておるところによりますと、大体四割程度は自主的に資金手当てをするようにという指示が大蔵省から出されておると承っておるのですが、鉱山局はその点についてはどう理解いたしておりますか。
  123. 両角良彦

    両角政府委員 具体的な割合と申しますか、さような数字は私どもは伺っておりませんが、いずれにいたしましても、今後の海外開発は、石油、非鉄金属を通じましてきわめて肝要な施策でございますので、これに要する資金調達につきましては、政府並びに政府関係金融機関において極力重点的に取り上げていくべきものと考えます。
  124. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大蔵省には、きょうは局長さんが忙しいようですから、いずれまたあらためて質問いたすことにいたします。  時間がございませんから、引き続きわが国の中小鉱山の問題についてこの機会に承っておきたいと思います。  中小鉱山の果たしている役割りというものは非常に大きいものがあると私は思うわけです。特に鉱種別に見た場合に、銅、鉛、亜鉛の場合には、その六割から七割は大手鉱山によって生産をされておりますけれども、多種多様の金属あるいはまた非金属、そういう鉱物資源の生産というものは中小鉱山依存しておる面が非常に大きいと思うわけです。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 私どもの調査の結果では、たとえば水銀、アンチモン、クローム、ドロマイト、あるいは珪砂、耐火粘土は、その九〇%が中小鉱山で生産をされておる、あるいは重晶石やタングステン、モリブデン、石膏、黒鉛、ろう石、砂鉄、これらは七〇%以上が中小鉱山で生産されている、あるいはまた金、硫黄、マンガン、チタンについては六〇%以上は中小鉱山で生産をされておる、こういう統計が出ておるわけです。銅、鉛、亜鉛については平均して大体一四%から二〇%の間でそれぞれ生産をされており、いわば基礎資源である地下資源開発に中小鉱山が果たしている役割りはきわめて大きい、こう申し上げなければならないと思うわけです。しかしながら、この中小鉱山に対しては、今日探鉱あるいは坑道探査の補助金制度が設けられておりますけれども、中小鉱山に対する手当てというものが案外手が抜かれておるのではなかろうか。ともすれば銅、鉛、亜鉛、まあ加えて水銀程度に重点が向けられて、こういう多種多様な鉱物資源を産出しておる中小鉱山対策というものがおくれているのではないか、実は私はこういう見解を持っておるわけです。そういう意味において、これらの補助金制度はございますけれども、しかし今度の法改正を求めている探鉱事業団そのものの業務の内容は、業務方法書を調べてまいりますと、業務方法書では、銅、鉛、亜鉛に限る、こう実は規定されておるわけです。私は、そういう意味においては、全部を対象にしてとは申し上げませんけれども、当然国内資源の有効活用、あるいは国際的に見て基礎資源は不足をしてまいりますし、そういう傾向が顕著になってまいったわけですから、その自給度は低うございますけれども、それは確保する、こういう政策が必要なわけです。そういう点では、この対象鉱種について、あるいは中小鉱山に対する場合は補助金制度でありますけれども、むしろ事業団ボーリングの機械を持つ、そして機械貸与を行なってこれらの地下資源の探査を進める、こういう積極的な姿勢に立つべきではないか、こう私は思うのでありますけれども、この点についての見解を承りたいと思います。
  125. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話をいただきましたように、中小鉱山わが国鉱業において果たす役割りはきわめて大きなものがございます。また鉱種別に見ましても、金、硫黄、石膏等多くの問題をかかえた鉱種の大部分が中小鉱山によって担当されておることも事実でございます。かような見地から、中小鉱山に対する国の助成措置というものを強化充実をいたしてまいるということで、通産省といたしましても従来行政を進めてまいった次第でございます。その意味では、まず先ほど御指摘をいただきました新鉱床探査補助金というものを毎年中小鉱山に対しまして交付をいたしてまいりまして、探鉱活動の活発化を期待をしてまいったのでありまするが、あわせて中小企業近代化促進法というものによりまして、天然珪砂、耐火粘土あるいはろう石等の業種を指定いたしまして、その近代化、合理化についての指導をやっておる次第でございます。  またお話のございました設備につきましては、特に中小企業近代化資金というものの助成対象といたしまして、中小企業鉱山が必要としまするコンプレッサーあるいは運搬設備、選鉱設備等につきまして、低利資金供給を行なってきておる次第でございます。これらの施策の総合を通じまして、中小鉱山に対する助成措置を行なっておる次第でありますが、今後ともいろいろな角度から、中小鉱山に対する新しい助成施策というものは十分検討いたしまして、随時これを取り上げていくことにいたしたいと思います。
  126. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 探鉱補助金の政策の場合には、その対象鉱種の中に耐火粘土、ドロマイトあるいはすず、アンチモンが入っていないと思うのですが、これは入っておりますか。
  127. 両角良彦

    両角政府委員 新鉱床探査補助金の対象鉱種は、現在十七ございまして、ただいま御指摘のすず、アンチモンはこれに含まれておりません。
  128. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これはぜひ対象鉱種としてほしいという要望があるわけです。もちろんウエートは小さいわけでございますけれども、そういう点について、私は、当然対象鉱種に含むべきではないかと思うのです。これは国際的に見て、すずの場合でもあるいはニッケルの場合でも、やはり資源があり、そこに鉱山が活動しておる以上は、当然対象鉱種の中に含むべきではないか、こう思うのですが、見解はいかがですか。
  129. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話しの鉱種につきましては、大体対象鉱種十七鉱種と併存して、あるいは同一の企業によりまして稼動されておるものが多いものでありますので、おおむね実質は対象鉱種として含まれておる扱いになっておるかと思いますが、なおそれをもってカバーできない鉱種であって、しかも実質上その必要性の高いものにつきましては、別途検討を加えさしていただきたいと思います。
  130. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 基礎資源鉱山開発のために海外にこれから大きく目を向けてまいることはけっこうな話でございますけれども、一方中小鉱山の果たしておる役割りから、先ほど質問しましたボーリング機器、これをむしろ事業団が持って貸与する、これは坑内から直接坑内ボーリングも可能なわけでございますから、そういう点について十分検討すべきではないか。実は本商工委員会に北海道地下資源開発株式会社法を廃止する法律案がかかっておるわけです。これは昭和三十七年に業務範囲の地域を変えて全国で事業ができる、こういうことに法改正が行なわれておるわけです。聞くところによると、この探鉱事業団に、もちろんそのすべてを吸収するわけにはまいらぬでしょうけれども、ある部分を吸収するなら吸収して、そういう機器の貸与制度を持つ。これは九〇%国家資金なわけですから、それはもう事業団に持ってくる。そして、どうせ生産をすると金が出てまいるわけですから、必要な機器はそこで買うというわけです。全部対等に吸収をするというわけにはまいらぬでしょうけれども、そういう生かす面は、むしろ鉱山局としても積極的に生かすという姿勢があってしかるべきではないか。それを何かみすみす見のがしているような感じを受けるわけでございますけれども、こういう点についてはどういう見解ですか。
  131. 両角良彦

    両角政府委員 金属鉱物探鉱促進事業団と北海道地下資源との関係につきましてたいへん御示唆のある御発言を承ったわけでございますが、当省といたしましても、北海道地下資源の改組問題に関連しましては、いろいろな角度から事業団との関係の合理的な調整を検討いたした次第でありまするが、ただいまお話しをいただきましたボーリング事業につきましては、今日まで探鉱事業団といたしましては、最も安いコストで最も効率的なボーリング推進してまいるというたてまえから、いわゆる競争入札制度に付しておりまして、みずからがボーリング事業を直営いたすということは、他の民間ボーリング事業者との関係等もありまして、また事業団自体の運営の合理化という面から考えますと、必ずしも適当でないということから、今回の北海道地下資源の改組ということになったというふうに承知をいたしております。したがいまして、今後中小鉱山に対しまして事業団が設備面から大いにこれに協力し、もしくは助成すべきであるという点は、まことにごもっともな御意見考えますが、民間事業との競合にならず、かつ事業団も合理的な運営を保つ限りにおいて、新しい観点から検討をさせていただきたいと存じます。
  132. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は金属鉱業安定臨時措置法及び金属鉱物探鉱促進事業団法律が制定をされてできたときの背景、客観的な情勢と、今日の情勢とでは大きく食い違っておると思うのです。しかしながら、探鉱事業団は、今度さらに法改正をするように、漸次融資事業から精密調査、さらにつけ加えて広域調査、さらに今度はつけ加えて海外資源開発、いわゆる探鉱を行なう、こういう方向に発展をしてきているわけです。ですから、いうなれば、当時の立法のものごとの考え方、こういうものと今日の実態というものは大きく変わってきていると私は思うわけです。いずれ海外の問題になれば、ウランの問題もあるでしょう。他のいろいろな鉱種の問題もありますけれども、そういう意味では私はこの事業団自体がむしろ一歩体系的に前進をする必要があったのではないか、こういう気がするわけです。いうなれば石油開発公団海外石油開発のために融資をする、そして、国内のSKを一応吸収して、三年後にはおそらくこれは公団の子会社になると思いますけれども、そういう形にする、しかし、一応その間は本部として国内のSKを吸収してこれを事業本部とする、こういう形で実は昨年公団が発足をいたしたわけです。そういう意味においては、探鉱事業団ではもはやなくして、鉱物資源開発のための公団、大体こういう構想になってきたのではないか。にかかわらず、目的を変え、単に事業団業務の内容をつけ加えたというものごとの考え方は、どうも納得いかないわけですが、そういう点については検討されたのかどうか、どういう見解を持たれておるか、お聞きいたしたい。
  133. 両角良彦

    両角政府委員 金属鉱物探鉱促進事業団業務の実態が成立当初から漸次拡充をされてまいりまして、今日では内外を通じての金属鉱物開発推進助長する総合的な母体であるような性格のものになってきた、またさように将来もなっていくであろうということにつきましては、私どももさように考えておる次第であります。そのような事業団の実態の変化に対応いたしまして、業務の追加をお願いをいたしておる次第でありますが、あわせてその業務の追加に対応する事業団法律の目的の変更もお願いをいたしておる次第でございます。  なお、名は体をあらわすという意味おきまして、その実態にふさわしい名称の問題につきましても、われわれとしましては十分検討を加えたのでありまするが、現段階おきましてはさしあたり公団の新設等々の一般方針との関係がございまして、従来の名称を踏襲をさせていただくということで今回の改正法案を提出いたした次第でございます。
  134. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は今度の改正の目的からいって、いま述べられたように、名は体をあらわすということで、この探鉱事業団の名称はもはや不適当ではないかと思う。従来は融資をして探鉱するだけだったのです。直接事業として、地質調査所でやっていた精密な調査をやる、基礎データとして広域調査を十一カ所に踏み切ってやる、さらに海外へ行く、しかもエネルギー源であるウランにまで手を伸ばしていくということになってまいりますと、やはり目的を変えるのではなくて、そういう姿勢というものを明確に示すべきではないか、私は実はそういう理解をいたしておるわけです。この点は時間がありませんからいずれさらに議論することにしまして、それと同時に金属鉱業等安定臨時措置法が廃止になるわけですが、これはもう対象鉱物が銅、鉛、亜鉛になっておりまして、銅、鉛、亜鉛は国際価格も非常に暴騰いたしました。もちろん各社の収益も非常によろしゅうございますから、そういう意味で、この法律は臨時措置法であるし廃止をする、こういう考え方に立たれたと思うわけです。しかし、国際的に見て、あらゆる鉱種を鉱種別に検討してまいりますと、いずれもが需給状態は供給不足の傾向、価格は上昇するという傾向です。銅、鉛、亜鉛に限ったものではございません。先ほどから出ている金属鉱物については、全般的にそういう傾向にあることは間違いない事実なわけです。こう考えてまいりますと、結局国内の自給度は低うございますけれども、国内のそういう多様な鉱業開発の安定をはかっていく、積極的に開発を進め、その経営の安定をはかっていくということは、非常に緊急な問題になってきておるのではないか。私はそういう意味において、この法律をいまここで廃止をするということについては反対はいたしませんけれども、むしろこの法律を廃止する姿勢として、鉱物鉱業の安定をはかる、そういう一つ法律をむしろ体系的に立てるべきではないのか。鉱業審議会ももちろんそういう法体系の中に組み入れらるべきではないか。設置法で鉱業審議会残りますけれども、そういうぐあいにむしろ発展していくべきではないか。鉱物の概念としては、石油、石炭——可燃性天然ガスはもちろん除きますが、それ以外の鉱業法でいう鉱物全般を対象にした安定法をつくるべきではないか。法律の名称はどうでもいいわけなんです。そして自給度が低い各鉱種にわたる鉱山経営の安定をはかる、その母法をやはり鉱山局として、通産省としては確立をする必要があるのじゃないか。もしそういう見解があるとするならば、この廃止法の附則を改正をして、来年度の通常国会には鉱物鉱業安定法でもけっこうですが、鉱業安定法を提案する、こういうぐあいに踏ん切るべきではないか、こういう積極的な意見を持っておるのでありますけれども、この点についてはいかがですか。
  135. 両角良彦

    両角政府委員 各鉱産物の種類にわたりまして、国際的な需給関係の変化に対応いたしまして今後とも積極的に安定供給をはかっていく必要があるという点については、私どもも全く同感でございます。さような方策といたしましていかなる対策を考えていくかという点につきましては、私どもといたしましては、金属鉱物安定供給というものを実質的に確保してまいりたいという点に重点を置いて、今回の法案をお願いいたしておる次第でございますが、それは、一つには、過去におきまする安定供給考え方が、もっぱら貿易自由化対策としまして国内鉱山コストの引き下げ、輸入の防遏という面から考えられていたいわば消極的な施策であったのに対しまして、今後は国際的な需給関係を考えながら、実質的に安定供給確保するという面から、内外にわたる探鉱強化、拡充という点に重点を置いてまいる、またそのような内外探鉱強化のための長期計画というものを鉱業審議会において策定、検討をお願いするということによって、権威づけをはかってまいるのが、最も実態に即した、かつ機動的なやり方であろうかと考えております。もとより法的にこれを措置することが必要であるかどうかという点につきましては、いろいろな御意見もあろうかと存じます。また、十分これを承りまして、われわれとしても検討をいたしたいと思いますが、現段階おきましては、私どもは実質的な安定供給対策といたしまして、内外にわたる探鉱充実強化、そのための事業団法の改正、こういう姿勢でお願いをいたしたいと存じます。
  136. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これもいずれまた若干議論を深めなければなりませんけれども、私どもは、少なくとも次の国会には鉱業安定法を提出をしたい、こういうことで今日法律準備をいたしておるわけです。したがって、せっかくある法律でありますから、廃止をするにあたって、むしろ鉱山局として、そういう鉱業政策全般にわたる基本法といいますか、母法といいますか、そういうものをやはり明確に位置づける必要があるのではないか、そうでないとするならば、むしろ金属鉱物探鉱促進事業団というまぎらわしいこの事業団を、もう少し前向きに改組をして法案を出すべきではないか、いずれかを取るべきではないのか。そういう見解を持っておるわけですけれども、いずれもそういう議論というものはなかったのかどうか。鉱山局では、まあ特殊法人の廃止は強く言われるし、特殊法人の名前を変えるということは、大きくなることについてはまた制約があるというような制約下に置かれて、そういう議論が深められなかったのか、それとも簡単に、法改正で実質目的が果たされればいいんだ、こういう気持ちでこの法案提案されたのか、いずれでございますか。
  137. 両角良彦

    両角政府委員 お話にございまするように、その辺はきわめて重要な問題でございます。私どもも、安定臨時措置法の廃止をお願いいたすにあたりましては、これにかわるべき法律が必要であるかどうか、また、探鉱事業団につきましては、さらに名実ともに全面的な改定を行なうことが妥当であるかどうかという点については、部内におきまして十分審議をいたしたつもりであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように、予算は飛躍せずに、また施策も一挙に進展をいたすことは、いろいろな事情がございまして困難な面もありまするので、当面わが国にとって最も緊要な探鉱充実促進という面に重点を置きまして今回の改正法案を提出いたした次第でございます。
  138. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど局長の答弁で、海外を今度対象にする場合、ウランについても当然入るであろう、対象鉱種になるであろう——であるとははっきり言ってなかったように聞いておったのですが、この点は明確なのですか。どうですか。たとえば、わが国内のウラン鉱の埋蔵量は五千五百ショートトンである、これ以上望めないのではないか、こういう見解に立ち、昭和六十年には大体十万ショートトンのウランが必要である、開発しなければならない、こういう長期見通しに立たれておるわけです。これは、入るのですか、入らぬのですか。するのですか、しないのですか。するとすれば、国内はどうなんですか。
  139. 両角良彦

    両角政府委員 ウランにつきましては、ただいま御指摘のございましたように、海外ウラン資源確保がきわめて緊要でございまするが、その場合の方策といたしましては、長短期の購入契約ということによりまして相当部分を確保してまいることになろうと思いますが、なおわが国自身開発をいたすという場合につきましては、科学技術庁とも十分協議をいたしまして、金属鉱物探鉱事業団助成対象となり得るようにつとめてまいりたいと考えます。
  140. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 国内の場合もそうですか。
  141. 両角良彦

    両角政府委員 国内ウラン開発につきましては、動力炉事業団がみずからこれを行なっておる次第でございます。
  142. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 その場合、ウラン探鉱事業の主体は、これは電力会社が主体になるのですか、それともわが国のメタル会社鉱山会社が主体になっていくのか、そういう点についてのいまの動向はいかがですか。
  143. 両角良彦

    両角政府委員 エネルギー調査会原子力部会答申によりますると、将来の海外ウラン資源開発につきましては、電力事業者を中心としながら関係業界、すなわち産銅業界の協力のもとにこれを進めることが望ましいということに相なっておりますし、また先般契約の行なわれましたカーマギーとのウラン開発の内容によりましては、産銅各社が電力事業者と相並びまして事業に参加をいたすことに相なっております。
  144. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大臣が来るまでというので時間が気にかかりますけれども、先ほど田中委員質問をいたしましたコンゴの銅鉱山開発について、局長が答弁をされたわけです。日本鉱業が主体になって大手六社に対して呼びかけをし、さらに半官半民である海外開発株式会社ですか、この会社の参加をも日本鉱業は要請しておる。ところがこの特殊法人の参加について他の大手業者は非常に渋っている。こういう面で大手各社及び特殊法人会社が入った一体化の体制、コンゴの銅鉱山開発の乗り出し体制というものがなかなか困難である、足並みがそろわない、こういわれておるのですが、そういう主体的な体制はいかがですか。
  145. 両角良彦

    両角政府委員 コンゴのカタンが州の銅鉱山開発につきましては、日本鉱業といたしましては、従来現地政府と単独交渉を進めてまいりまして、利権の獲得に至ったのでありますが、これが開発探鉱につきましては国内産銅業界の協力のもとに進めたいということで、広く業界に呼びかけました結果、三井、住友、古河、東邦の各社が参加をすることになったのであります。しかしながら海外鉱発につきましては、御承知のように経済協力基金がこれに半額出資をいたしておりまして、半政府的な性格のものでございますので、現地政府側の意向等も参酌いたしまして、これが参加についてはいろいろ微妙な事情もあったということ、並びに海外鉱発自体が現在サバ州の銅山開発の大部分の事業努力をしいられておりまして、コンゴ計画に対する積極的な寄与という面について、いま十分な体制が整っていないというような事情も加わりまして、今回のコンゴ計画には一応参加をいたしておりませんが、将来この現地開発の進行状況によりまして、また総力をあげまして日本の産銅業界が協力する必要が出てまいりました際には、当然海外鉱発をも含めましてこの体制を考えていくものと思います。
  146. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そういたしますと、最終的に日本鉱業はじめ住友、三井含めて大手四社が主体になって開発をするのか、あとの二社はどういう理由でこの呼びかけには参加をしなかったのですか。
  147. 両角良彦

    両角政府委員 個々の企業の詳細の事情は別といたしまして、他の二社もいずれもコンゴ計画については興味がある、興味があるが、現段階においてはそれぞれの社の海外開発計画もあるので、この際は一応見送らせていただくが、将来また情勢に応じて協力をするにやぶさかではない、かような意向と承っております。
  148. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 質問あと保留させていただきます。
  149. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 本日の質疑はこの程度にとどめ、岡田君の質疑は後日に保留いたします。      ————◇—————
  150. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 この際、内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は去る二十七日終局いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  151. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 起立総員。よって、本案は原案どおり可決いたしました。     —————————————
  152. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、その趣旨の説明を求めます。千葉君。
  153. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 ただいま議決されました法律案に対し、附帯決議案を提出いたしましたが、私から自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、左記事項につき配慮すべきである。  一、中小企業投資育成株式会社の投資財源については、今後ともその増強並びに資金の効率的運用を期するため、適切な措置を講ずること。  二、投資対象企業並びに指定業種の拡大をはかるとともに、投資先の地域的偏在を是正するため会社機構の拡充強化等適切な措置を講ずること。  以上が案文でございます。  以下、事項別に補足説明いたします。  第一点は、中小企業投資育成株式会社資金の効率的運用についてであります。中小企業投資育成株式会社事業は、設立以来おおむね順調な発展を示し、投資企業数延べ二百六十社、投資額七十億円にのぼっておりますが、最近の中小企業を取り巻くきびしい環境に対処するため、中小企業の経営基盤強化が強く要請されていることは御承知のとおりであります。したがいまして、今後とも中小企業に対する投資育成事業の拡充強化をはからなければなりません。  また、投資先株式の公開につきましては、法制定当時、二部市場の上場基準は一億円でありましたが、現在三億円に引き上げられており、公開まで投資会社がめんどうを見るとすると、長期にわたり多額の資金が固定化することになります。したがって、投資先企業の株式を一定期間保有した後は、すみやかに関係金融機関、投資先企業の株主、従業員等に対して株式を処分するなど、新たな企業に対する投資が円滑に行なえるよう、資金の効率的運用につき適切な措置を講ずべきであります。  第二点は、投資対象企業及び指定業種の拡大と投資先の地域的偏在是正のための会社機構の拡充強化についてであります。  本法による指定業種は二十三でありますが、そのうちいまだに投資されていないものが四業種あります。また、投資先の分布を見ますと、新規投資企業二百三十三社中、投資会社の所在している東京、名古屋、大阪に過半数の百二十三社が集中しており、投資先企業の地域的偏在が認められるのであります。  したがいまして、投資対象企業並びに指定業種の拡大をはかって、広く中小企業者がこの会社から投資を受けられるよう配慮するとともに、投資先企業の地域的偏在是正の見地から、投資先企業がある地域に集中しないよう、会社機構の充実強化等について適切な措置を講ずべきであります。  以上、決議案の趣旨につきまして簡単に御説明申し上げましたが、委員各位の御賛同をお願い申し上げて、説明を終わります。
  154. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  155. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議について通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。椎名通商産業大臣
  156. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議は、これを尊重いたしまして、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。
  157. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 おはかりいたします。  本案に対する委員長報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  159. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 次回は、来たる四月一日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十七分散会