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1968-03-27 第58回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十七日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 鴨田 宗一君 理事 島村 一郎君    理事 中村 重光君 理事 堀  昌雄君    理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    小笠 公韶君       大橋 武夫君    岡本  茂君      小宮山重四郎君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    塩谷 一夫君       田中 榮一君    橋口  隆君       岡田 利春君    佐野  進君       多賀谷真稔君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       三宅 正一君    塚本 三郎君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    柿沼幸一郎君         大蔵省証券局長 広瀬 駿二君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君  委員外出席者         参  考  人         (東京中小企業         投資育成株式会         社社長)    江沢 省三君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員塩谷一夫辞任につき、その補欠として福  永健司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員福永健司辞任につき、その補欠として塩  谷一夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十六日  化粧品再販契約制度に関する請願(吉川久衛  君紹介)(第三〇四七号)  同(砂田重民紹介)(第三〇四八号)  同(進藤一馬紹介)(第三〇四九号)  同(中川一郎君外一名紹介)(第三〇五〇号)  同(粟山秀紹介)(第三〇五一号)  同(上村千一郎紹介)(第三一二三号)  同(砂田重民紹介)(第三一二四号)  同(天野光晴君外一名紹介)(第三二〇九号)  同(海部俊樹紹介)(第三二一〇号)  同(中尾栄一紹介)(第三二一一号)  同(中村時雄紹介)(第三二一二号)  同(古内広雄紹介)(第三二一三号)  同(湊徹郎紹介)(第三二一四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長代理 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審議のために、前回に引き続き参考人として東京中小企業投資育成株式会社社長江沢省三君が出席されております。  参考人におかれましては御多用のところ、再三にわたりご出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。近江君。
  3. 近江巳記夫

    近江委員 まず第一点にお聞きしたいことは、常にいろいろと政府施策を講じられるわけで、その点は非常にけっこうに思うわけでありますが、それが要するにどれだけの効果をあげてきておるか、またその計画どおり推移しておるかどうかという問題であります。  ここで、この投資育成株式会社が、過去五年間でありますが、本法が成立して以来どのように実施してきたか。それをずっと見てまいりますと、相当計画におくれがあるように思います。たとえば年度別投資計画表、これで見てまいりますと、四十二年一ぱいで大体五百十二社を対象にしている。ところが現実には二百六十という数字が出ている。これは初年度、二年度あたりはしかたがないとしても、非常なおくれが見えるわけです。この点について、なぜこうなったのですか。
  4. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 会社投資計画につきましては、毎年監督官庁であります中小企業庁提出をされまして、それを事前に私たちもチェックをし、指導をしておるわけであります。したがいまして、この計画達成率と申しますか、これについては企業庁も十分責任を感じておる次第でございます。御指摘のように、現在までのところ計画に対する達成率は十分とはいえません。ただ、年を経るにしたがいまして上がってきておることは事実でありまして、三十八年のころは達成率はほとんどゼロに近かったのでありますけれども、三十九年になりますと三七%弱、四十年になりますと六〇%強、四十一年は七〇%弱、四十二年はまだ締めておりませんけれども、二月までで一応六三%強というふうに逐年上がってきておるわけであります。これを顧みますと、何しろこの会社のできました当初におきましては、会社及び中小企業庁を含めましてPRが十分でないという点も確かにございましたし、また会社側業務のふなれという点もございました。業界側もこれをどう活用していいか、その辺がよくわからなかったという点があったと思います。したがいまして、いままでの成績は相当不満足なものがあるのでございますが、今後せっかく努力をいたしまして、計画どおり成績をあげるように指導をいたしたいと考える次第でございます。
  5. 近江巳記夫

    近江委員 長官はいまそのようにおっしゃったわけでありますが、いままでの長官もやはりあなたと同じような答弁をなさっているわけです。いま経過をずっと話してもらったわけでありますが、三十八年、三十九年はまあやむを得ない、そう受け取りましょう。ところが、昭和四十年度もやはり同じなんですね。四十年の四月の参議院商工委員会での質問に対して、当時の中野中小企業庁長官は、四十年度の計画として、東京大阪名古屋の三社で約百件――計画では百六件になっておりますが、これに対する投資並びに転換社債を持ち、その七割を新株に、三割を転換社債にしたい、このように答弁しているわけです。しかるに実績は、再投資を含めて株式引き受け額は四十八件で、目標の六割五分しかなっていない。このように何とか前向きに今後やっていこうといっても、結果としては出ていない。そういう繰り返しであっては、幾らここで答弁し、あるいは計画をこのようにやっていこうといっても、われわれとしては信用できないわけです。いろいろな理由はあると思いますけれども、そういうずさんさがあってはならぬと思うのです。それで今年度のこの計画はできておるのですか。
  6. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 まだ役所認可はしておりませんけれども、本年度計画はすでにできております。
  7. 近江巳記夫

    近江委員 この第十条の中にも「事業計画等」とあって、「会社は、毎営業年度開始前に、その営業年度事業計画資金計画及び収支予算を定め、通商産業大臣認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも、同様とする。」――営業年度開始前にやるのですよ。そういう点でまだ認可を受けていないということは、実際にずさんですよ。計画をちゃんとやりますとかなんとか言ったって、このように法律上定められていることを実際上やっていない。口で幾ら私は計画どおりやりますなんと言ったって、第一の出発点からおくれておる。そうでしょう。口ばっかりのそういう点は改めなければならぬと私は思うのです。   〔鴨田委長員代理退席委員長着席〕 まだ来年度の分の計画もできていない、そういうことについてどのように感じていらっしゃるのか。その感じ方程度によってはまたあと続けますから……。
  8. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 法律第十条、御指摘のように、毎営業年度開始前に事業計画等を定めて通産大臣認可を受けよということになっておりまして、会社のほうでは、先ほど御答弁申し上げましたように、すでに通産省、中小企業庁に対して提出済みでございます。私たちは直ちに計画検討開始しております。もうほとんどできておりまして、年度内には、つまり四十二年度内には当然これは認可決定をいたして、会社の四十三年度からの営業開始に支障ないようにするつもりでおります。
  9. 近江巳記夫

    近江委員 長官としての御意見もわかったわけでありますが、いろいろな理由があるにしても、いままでそのように計画どおりできなかったという点について、この点はどう思っていらっしゃるのですか。
  10. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先ほど申し上げましたいろいろな理由がございますけれども、せっかく国がこれだけ助成をし、特別法までつくっております大事な制度でございます。しかもその計画事前通産大臣としては認可をしておりますので、この達成率が低いということにつきましては、長官としては、まことにこれは申しわけないことである、今後この点につきましては十分会社指導監督いたしたいというふうに考える次第でございます。
  11. 近江巳記夫

    近江委員 それから、さらに投資件数の内容を見てまいりますと、非常に地域差があるわけです。特に一番片寄っておるのは東京大阪名古屋、この投資会社の所在地に片寄っているわけです。なるほど大都会にはそのように企業集中しているということはよくわかります。しかしながら投資先を見てみると、全然ゼロのところがある。青森や岩手は全然ゼロです。鳥取、島根もゼロです。徳島もゼロです。愛媛もゼロ、長崎もゼロ、大分もゼロ、宮崎もゼロ、鹿児島もゼロ。それからさらに一件しかやっていないところは、宮城、秋田、山形、さらに栃木、埼玉、千葉、山梨、奈良、岡山、香川、佐賀、熊本、ほかにもまだ二件や三件というものはざらですよ。何でこんな地域差をつくるのです。制度があって、投資する会社は全然ない。その府県には企業がないのですか。企業がなければみんな生活できないじゃないですか。どうしてこのようなアンバランスな状態になったのですか。
  12. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 投資先東京それから愛知、特に名古屋、それから大阪相当集中をしておるということにつきましては、この前の国会におきましても実は御指摘になりましたところでありまして、政府に対して特に督励方の御指示があったわけであります。これにつきましては、私たちも鋭意会社等に対しまして指示をし、会社におきましても、その後いろいろ努力をしておるわけであります。地方、中央の連絡会議を開きますとか、あるいは会社においても、地方投資開発のための特別な部局を設けますとか、あるいはまた、中小企業金融公庫出先等を通じましてその啓蒙につとめますとか、努力をしたわけであります。そういう結果、現在では地方投資も相当上がってきております。ただ何せ対象になります企業が、東京なり名古屋なり大阪なりに集中をしておるというふうな理由もございまして、現在のところ、数字だけでございますが申し上げますと、一応会社投資先は二百三十三社でありますが、この中で東京名古屋大阪が百二十二社、それ以外の地区が百十一社ということで、パーセンテージにいたしますと五二%と四八%、こういうことになるわけでございますが、一応一千万円以上の中小企業対象企業というふうに考えますると、この対象企業数東京名古屋大阪に所在いたしますものが約六千百四、五十、それからその他の地区が六千弱ということでございまして、パーセンテージにいたしますと、三地区に五一%、その他地区に四九%、こういうことになっておるわけでございます。しかし先生指摘のように、一つ投資先がないという県もまだございますし、特にこういうふうな僻遠の地におきましては、おそらく自己資本充実もなかなかむずかしいということでもございましょうから、投資育成会社をむしろ僻遠の地こそ特に活用をしていくべきであるというふうにわれわれも考えまして、こういう方向努力をしてまいりたいと思う次第であります。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 政府方針は、要するに現在のそういう行き方に対して、あまりにも格差というものが出てきておる、したがって地域的にもその格差を直していこう、こういう方針でいままで取っ組んでこられたはずである。ところが結果としてこういうような結果が出てきておる。これは政府がとってきた政策というものがいかに失敗であったかという結果だと思うのですが、これに対してどう思いますか。長官並びに次官にお願いいたします。
  14. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、私たちとしては、未開発と申しますか、東京名古屋大阪から遠い県に対してのこの制度の適用について努力をしたわけであります。特に国会の御指示等もありまして、それ以後もさらに馬力をかけまして、その結果数字上に実はそれがあらわれておるのでありまして、たとえば東京会社に例をとりまして、四十一年の三月までの投資実績を見ますと、東京は全体二十六投資をしておりまして、全体の投資先からいいますと五五・六%になっておりますけれども、その後の四十一年四月から四十二年十二月までの投資先は、東京は全体四十五投資しております中の十二にすぎませんで、パーセンテージからいいますと二七%弱、こういうふうなことで約三倍近くが東京以外の地に投資をされておるということでございますので、私たち指導を受けまして、会社側においても非常な努力をしておるということは、私は認めてもいいんではないだろうかと思います。ただ、先ほどお答え申しましたとおり、これでもちろん努力が十分であるということではございませんので、今後も努力してまいりたいと思う次第であります。
  15. 藤井勝志

    藤井政府委員 よき制度のメリットは、広くこれが効果を全般に普及すべく努力するというのは、これはもう当然のことでございます。ただ、この投資育成会社は、たとえば新株引き受けの場合の選定基準五つほどあることは御承知のとおりでありますが、そういう点並びに申し込みの件数に応じて総体的な投資をきめる、こういう点から見て、結果的に、御指摘のように地域によって全然ないという結果が出ておるわけでございまして、私は、政府のとった政策失敗であるという、こういう御指摘はちょっと酷ではないかというふうに思うわけであります。御趣旨の点もよくわかりますので、すでに会社では投資先開発部門を担当する部を置き、出先相談出張もいたしまして、極力このいい制度に資格のある人が地方で漏れないように努力する、こういうかまえは今後も一そう強めてまいりたい、このように思います。
  16. 近江巳記夫

    近江委員 ちょっと私の言った意味とり方投資会社だけにしぼってとっておられるように思うのです。要するに、そこまでいろいろな条件にかなったものを貸すわけです。しかしその条件になるまでの会社に育っていない。いままでいろいろな中小企業施策があるけれども、それがほんとうに生きておるならば、それだけの五つ条件に合致する会社に育てなければうそなんです。そういう結果が地域において全然出ていないということ自体は、政府がいままで数多くの中小企業政策をとってきたけれども、結局はそれは名前だけであって事実がないという証拠ではないか、私はこう言っているのです。この中小企業白書を見ても、やはり政府とり方というものは非常に見方が甘い。倒産はあったけれどもかなり中小企業は一ことばの意味はそのままでありませんよ。しかし、その中にあっても、中小企業はかなりの好況な状態を示してきた。それじゃまるで倒産をしたところは君ら何の努力もせぬから倒れたんや、こういう言い方ですね。被害中小企業はみな受けているのです。その中で必死にもがいてがんばってきたところが生き残っているのです。だれも倒産なんかしたくありませんよ。必死になってがんばった。しかしながら、政府助成も弱い。あるけれどもなかなか受けられない。そんな悪条件の中でがんばって、倒産が戦後最高の記録を示してきている。ですから全然考え方の根底が違うのです。そういうような施策をこのままこういう気持ちで続けていくとするならば、これはますます被害者が出ますよ。そういう点において重大な反省をやってもらいたいと思う。  投資会社だけに限って、私一つ提案するのですけれども、いろいろそういう開発していく部門を設けてやっていきますと次官もいま言われましたけれども、しかし、いま三社で全国を掌握することができるのですか。こういう点でたとえば地域の重点的なところにさらに今度また新しく設けていくとか、そういう発展の段階というものを今後考えられないのか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  17. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 後進地域と申しますか、こういう地域に対します普及宣伝投資努力、これは繰り返し申し上げましたように、さらに拍車といいますか努力を続けていくべきであるし、私たちもそういうふうにさせたいと思っております。ただ、先生指摘のように、投資会社を増設と申しますか新設することはどういうふうに考えるかという御質問でありまするが、これに対しましては、この会社は非常に利益の薄い会社であります。現在のところ政府出資に対してはもちろんのこと、民間出資に対しても配当もできていない、こういうことで、極力一般管理費の節約はせねばならないというふうにわれわれ考えております。現在のところ、この三社の投資規模一般管理費を償うのに実はまだ十分でないという段階でございまして、さらに、大ざっぱな数字で恐縮でございますけれども、倍程度投資をするのでなければ、現在の三社の一般管理費も、これは適正配当をした上のことでありますけれども、生み出すことはできない、こういう状態でございます。したがいまして、こういうときにおいて、確かに先生指摘のように僻地開発は大事でございますし、政府としていろいろ大きな対策はとられているわけでございますが、そのためにさらに投資会社を増設すると、やはり管理費負担増ということは避けられないのではないかということをおそれる次第でございます。
  18. 近江巳記夫

    近江委員 それでは次に業種別投資状況を見てみたいと思うのですが、ずっとデータで見ていきますと、皮革製品製造業、ゼロですね、三社合わせて。鉱業石炭鉱業を除く。)もゼロ。それから貨物自動車運送業、これもゼロです。これは何でゼロですか。ゼロにしなければならなかった理由長官参考人からお伺いしたいと思います。
  19. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 役所は、さっき政務次官答弁がありましたように、極力指定業種については投資が行なわれるように、またその必要を感じて政令でもって指定したわけでありますが、業界からの、投資先からの希望がなかったものなのか、あるいは希望がありましても役所認可しております業務規程条件に合わなかったのか、いのいずれかであるというふうに考えまするが、具体的案件につきましてはひとつ育成会社社長からお答えを聞いていただきたいと思います。
  20. 江沢省三

    江沢参考人 私から新しいことを申し上げるのじゃございませんが、私どもは、こういう指定されました業種の方がおいでになれば、できるだけ御希望に沿うように御指導もし、また取り上げるような気持ち努力しておるわけであります。御指摘の三業種で一、二窓口へおいでになったものはございます。ございますが、先ほど次官からお話がございましたように、選定基準というものが示されておりまして、それはきわめて一般に非常にやかましく言われております。そういうふうな関係で取り上げることができなかったというような事情になっておる、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 社長さんの御答弁いただいた中には若干のそういう意味が入っておりましたけれども、長官がおっしゃった、あるいはその業界が知らなかったのじゃなかろうかということ、それは一つ考え方としておっしゃったと思うのですが、しかし私はゼロのところを当たってみた。みんな借りたくて一生懸命申し込んでいるのですよ。その対象にも入れてもらおうということで必死になって働きかけた。やっとその対象に入れてもらった。さあこれで投資をしてもらえるだろうか。してもらえないのですよ。非常に選別がきびしいし、条件がうるさくてだめになったりして、そのうちに、必死になって資金等のことについても働きかけているところから、何とかしてあげましょう。政府にたのんだって、こんなものやかましいだけで、なかなかパスもしてくれない、もういいわといって、ほとんどがあきらめているのです。こういう制度があるけれども、結局いろいろなことでやってくれないのだ、そういう気持ちが非常に濃厚なんです。なるほど、そういう条件もきめていらっしゃるのですから、その条件も当然検討しなければならないし、それは会社でありますから、そういう事情はよくわかりますよ。わかるけれども、一般企業者はこの点そういう気持ちを持っているのです。こういう点、政府PRが足らないとかいう問題もあるでしょうし、さらにその条件をもう一段考えて、将来性のあるところを、条件一つぐらい足らなくとも、何とかそこのところには投資をしてあげるとか、そういう条件の緩和とかいう点は考えられないのですか。そうしてもっと公平に多くの企業投資できる方向に持っていってもらいたい、私はこう思うのです。この点に対してどうですか。
  22. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先ほど申し上げましたように、会社業務規程通産大臣認可をいたしておりまして、その業務規程の中に選定基準が入っております。この選定基準によりますると、過去三期間以上一割以上の配当が継続されておりますこととか、それから利益率が三五%以上であることとか、相当考えようによってはきびしいと思われる条件もあるわけでありますが、ただこれは、一面におきましては、この制度そのものが、中小企業に対する助成政策がいろいろございますが、金の助成政策の中で特に自己資本充実する、しかも自己資本を単に充実するというだけではなくして、もう一歩国が助成をすれば社会資本が動員できる、そこに手が届く、具体的に申せば証券取引所に上場できる、こういう程度中小企業に対しまして助成をするというのがこの投資育成会社制度上与えられた機能と申しますか、役割りと申しますかでございますので、自然、中小企業の中で成長性の高い、しかも収益力の大きい、しかも相当規模が現に大きくなっておるというところに投資対象がきまっていくという点はあるかと思うのでございますが、これは投資育成会社制度そのものの持っております性格から来ましたものと、それからもう一つは、資金童もあるわけであります。育成会社の使い得る資金量が相当潤沢になるという場合におきましては、さらに投資対象ももつ上広げることができるかと思うのでございますが、この業務規程の中の選定基準につきましては、私たちも常にこれはさらに検討を進めていくという一態度でまいりたいと思うわけでございます。
  23. 近江巳記夫

    近江委員 二十三業種指定をされておるのですけれでも、この二十三業種だけでいいと思ってらっしゃるのですか。たとえば内航運送業の場合なんかほとんどが小さい企業でありますけれども、これなんかも当然対象の中に入れていかなければならぬ、こう思うんです。こういう点でまだいろいろあるでしょうが、二十三業種でいいと思っていらっしゃるのか、さらにこの指定業種をふやしていこうという考えでいらっしゃるのか、どちらですか。
  24. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 これは当然産業構造高度化ないしは国際競争力をつける必要のある中小企業に対しては、この制度の拡充ができるようにならなければいけないわけでありますから、現在のこの指定業種が網羅的であるということは決して申し上げられないわけであります。したがって、必要が起こりますれば業種の追加はもちろんやぶさかでないというふうに考えております。
  25. 近江巳記夫

    近江委員 それでは、業種を今後さらに検討してふやしていかれる、このように受け取ってよろしいですね。――わかりました。  それから、この投資育成会社投資をして五千万以上の資本金になった。そうしますと、これは中小企業の定義にはずれますね。そうしますと、この中小企業育成というのは自己資本充実ということと長期資金、要するに安定資金の確保、この二つがあると私は思うのであります。そうした場合、中小企業の場合には政府金融公庫とかいろいろなことが考えられている。ところが五千万以上になったら中小企業の定義からはずれる。ところが実態の中身というのはまだ中小企業なんです。そうすると、常に政府がおっしゃっている、私がいま申し上げた二つの柱、あとの長期安定資金の確保という問題について一貫したものがないじゃないですか。この点をどう考えていますか。
  26. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この育成会社制度そのものは、先ほども申し上げましたように、中小企業政策の中で自己資本充実、しかもその自己資本充実がもう一歩手助けしてあげれば社会資本を動員できる部類に属している中小企業に対する助成策というふうに位置づけているわけであります。したがいまして、五千万円以下の中小企業としてこれはきまっておるわけでありますが、これに対する資本助成をいたしましてなおかつ証券取引所に上場できない、五千万円以上の資本金になったけれども証券取引所に上場できないという会社があるわけであります。こういうものに対しましては、これはこの法律の条文によりまして、特に通産大臣認可いたしました場合には、さらに相当程度上の資本金までこの会社投資し得るということに規定されておりまして、それによりまして最初申し上げました社会資本の動員ということが可能になるというところまでつないでいくというふうに制度ができておるわけでございます。
  27. 近江巳記夫

    近江委員 それは投資育成会社がさらに投資をしていく、それはわかりますよ。だけれども金融対策として政府として一貫した政策というものがないじゃないですか、いまのお話では。こういう点は通産省としてどのように大蔵省当局との話し合いをし、さらに一貫した効果を出していくためにやっていこうとしているのか、その点を私は聞きたいのです。大蔵省とはどういう話をしているのですか。
  28. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いまの御質問でございますが、資本金の増額という意味におきましては、いま申し上げましたように証券市場につなぐまで、いわゆる法律的な中小企業を卒業した中堅企業に対しましても、さらにこの制度の活用ができるということは法律的に可能でございます。もちろんこれは大蔵省としてもその点は当然のことでございます。さらにしかし先生指摘の点は、私はこういうふうに御質問を考えたのでございますが、中小企業に対して政府投資育成会社制度であるとか、その他三金融機関の制度であるとか、いろいろの助成措置を講じ、しかも長期安定資金を供給しておるけれども、中小企業でなくなったとたんにそれは制度の恩恵が受けられなくなる、ところが資本金は一応五千万円以上になったけれども、なおかつ実質的には中小企業であるものが相当あるのではないか、こういうお話だと思うわけでございますが、これに対しましては、現在のところ一応中小企業法律的には卒業しかかっておるが実質的に中小企業者であるという人に対しての、政府といいますか国の助成と、さらにまた、しかし国の力にも限りがあるわけでございますので、なお中小企業の中で下の小さなほうに対する政府助成と、どちらに限られた政府の力を振り向けていくかというふうな問題とわれわれは考えておるわけでございまして、一応限られた現在の国の力というものは、資本金五千万円というところで中小企業の定義を限っておるわけでございますので、それ以上になりますと特段の中小企業としての金融措置から卒業していただくということ、しかしその場合にはさらに開発銀行でございますとか等々の別の制度一般企業として使っていただく、こういうことになっているというふうに思うわけでございます。
  29. 近江巳記夫

    近江委員 ですから、こういうようになっておりますといま長官が言われましたけれども、それじゃそういう金融界に対して――要するに投資をして育てて、いうならばわが子ですよ、通産省にとって。その子供の将来についてこのようにしてやってもらいたいというような働きかけをどれだけ積極的にやっているかという問題。何もエリートばかり育てろ、そうばかり言っていたのでは違う。実際にこれだけ企業倒産があり、弱小企業中小企業はもうほんとうにかわいそうな状態です。そっちのほうに力を入れるというのは当然ですよ。両方力を入れなければならぬ。ところが、五千万を卒業したらあとは何とかやってくれるでしょう、そんな他人頼みのそういうことであってはならぬと私は思います。そういう一貫性のないことを私はここで指摘しておきます。  さらに、要するに上場して大衆からそのように資本を集める。上場ができればいいですよ。だけれども、政府が最初計画したときは上場基準が一億だった。いま三億じゃないですか。ほとんどが上場まで持っていくことができないという批判的な見方をいましているのですよ。実際企業者はみな考えていますよ。そういう点を今後どうしていくか。一億こえた場合には、大臣が認めた場合にはさらに投資をして上場まで持っていくことができる、たとえばこういうことがありましたね。だけれども、会社方針としては上場まで持っていくというのが方針じゃないですか。何で一々通産大臣認可をしなければいけないんですか。矛盾があるじゃないですか。この点どうするのですか。
  30. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生のいまの御質問は、一つは、制度の面におきまして、育成会社は証券市場に上場するということを踏んまえた制度である、その証券会社のほうが、東京大阪においては三億、名古屋においては二億ということに上場基準が上がったのだから、その場合、この育成会社のほうの法律の文面も原則一億というのを三億ないし二億に変えるべきではないかというのが一つの点であったと思うのでございますが、これに対しましては、実は証券取引所のほうの上場基準が三億ないし二億になりましたのは、事実上の証券取引所理事会の決定で当分の間三億ないし二億にするということで、取引所の制度としてこれを恒久的に三億ないし二億にしたということではないようであります。もちろんこれは、私はこれから先はしろうとでございますけれども、われわれが大蔵当局等に本件についても接触しましたり、また証券取引所の当局に接触しましたところによりましても、この上場基準の三億ないし二億を一億に引き戻すということは当分ないようではございますけれども、ただ制度としては一億が原則であって、理事会の決定で当分の間三億ないし二億に引き上げておる、こういうことのようでございます。したがいまして、その点もございまして、一応投資育成会社のほうは制定当時の一億という本文で、そのままにしておきまして、特に通産大臣の承認という特例によって、上場まで育てることについては支障がないような橋渡しをしておるわけでございます。
  31. 近江巳記夫

    近江委員 そこで、実際には上場まで持っていくのはむずかしい、大体時間がかかるという場合、公開にしたらどうかというような状態になってきている、こういうような状況でありますが、じゃ、公開にした場合に受け入れ態勢がどうなっているか。たとえば社員が持つとして、その受け入れ態勢は十分なのか。さらにはまた会社の乗っ取りというようなことが考えられるわけです。せっかくここまで育ててきても、買い占められて、この会社が変な方向に進んでいく、そうなったんじゃ、政府がいろいろと考えていることが逆の方向にいくわけです。こういう中間的な方法としての公開という問題についていま一、二点申し上げたのですが、その点、どう対処していかれるのですか。
  32. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 本件につきましては、実は堀委員から先日非常に的確と申しますか、ポイントをえぐる御質疑がございまして、それに対しまして大蔵当局及び私たち中小企業庁の者といたしまして、この点は十分考えなければならない点であると思います、制度論として検討しなければならない点でございます。ということをお答え申し上げてある点でございます。  御指摘のように、東京でございますと三億という資本金までこの育成会社で抱いていくことはなかなかむずかしい点でございます。したがいまして、いま近江先生指摘のように、中間的な公開ということをわれわれも実は検討しておるわけでございますが、これにつきましては、金融機関に引き取るとか、ないしは取引先で引き取るとか、あるいはもとの株主が引き取るとか、いろいろの方法があるかと思いますけれども、いまの御指摘のように、金融機関や取引先に引き取らせた場合に、せっかく育成しつつある会社の主導権、支配権が握られてしまうということでは何にもならぬわけでございまして、その辺のところは十二分に意を用いた上で、中間的な公開と申しますか、売り渡しをやらざるを得ないと思うわけでございます。この辺につきましては、会社と私たちと真剣に検討をしてまいらねばならない問題であるというふうに思っております。
  33. 近江巳記夫

    近江委員 時間等の関係もありますので、あとは簡潔に聞いていきたいと思っておりますが、転換社債は、現在の状況を見ていきますと、件数、金額ともに新規投資の三割以内、このようになっておりますが、この転換社債の引き受けを希望する企業がふえてきているわけですね。これに対して、どの範囲まで――三割となっていますけれども、しかし、実態というものは非常に転換社債希望してくるという増加状態にある。それに対してはどう対処していくかという問題が今後出てくるのですが、これに対してはどう対処していきますか。
  34. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 最初の制度としては、転換社債制度はなかったのでございますけれども、なかなか企業成長性を見きわめることも容易でないという点もございます。しかし、本来この投資育成会社は、やはり自己資本充実する、自己資本について助成をするという点がポイントになっておるわけでありますから、社債ではこれはぐあいが悪いということで、最初に申し上げました点とあとに申し上げました点との橋渡しということでもって、転換社債という策がとられておるわけであります。したがいまして、これは当然比較的短い期間、すなわちわれわれは四年と思っておりますけれども、四年以内くらいにはこの社債は株式に転換される、そういう意図をはっきり持った社債だけを引き受けるというふうにしておるわけでありまして、あくまでもこの転換社債の引き受けというのは、株式を引き受ける補助手段というふうに考えておるわけであります。そんなことでございますので、一応七割、三割というふうなかっこうでいま会社側に対して企業庁は指導しておるわけでございますが、この点につきましては、転換社債の要望も相当大きいというふうに聞いておりますし、検討を加えていく必要がある問題であるというふうに思っております。ただ、繰り返しになりますけれども、あくまでもこの制度中小企業自己資本を増大するというところにねらいがございまして、金融的な助成ではないということの筋は堅持してまいりませんと、この制度そのものがわけがわからなくなるというふうには考える次第でございます。
  35. 近江巳記夫

    近江委員 それからその次にお聞きしたいのは、コンサルテーション業務でありますが、この投資会社投資を受けた企業に聞いていきますと、一つの大きなメリットは、自己資本充実は当然でありますが、このコンサルテーション業務というものが非常に大きいわけです。企業の経営が非常に合理化された、あるいはまた一国一城のあるじ的な感覚から、仲間意識が芽ばえてきたとか、いろいろなそういう利点も確かに認めるわけです。しかしながら、それじゃこれで十分かというと、決してみな満足はしていないわけです。  以下二、三の点で、いろいろな声が出ておりますので、それを申し上げますから、それに対する具体策、方針というものをひとつお聞かせ願いたいと思います。  まず最初は担当者のことであります。これは特に地方の場合でありますが、担当者の異動があって、十分会社内の事情を理解しないうちに交代したりするので、満足できるコンサルテーションが得られないという声もあるわけです。この実態はどうなっておるか、参考人長官にお聞きしたいと思う。また、その交代があるというのは一つは各種の機関からの出向社員だからというような見方もあるのですが、その点はどうですか。まずその点をお聞きします。
  36. 江沢省三

    江沢参考人 ただいまコンサルテーション業務について、担当者の交代が多く、十分な相談に乗ってもらえぬ、こういうお話でございました。これは私どものほうも種々心配しておることでございまして、なるべく出向者でない者を育成部のほうに置きましてこれに当たらせるというふうにだんだん心がけておるわけでございます。特に中心になっております次長、課長という者につきましては、なるべく動かさぬという方針でやっておりますので、あるいは若い下のほうの段階で異動があったということについてお話が出たんではないかと思います。そういうことのないように今後とも十、分努力していきたい、こう存じております。  それから出向者につきましても、私どものほうは女子も入って全員で五十五名でやっておりますが、いまのところやはり手が足りませんので、なかなか企業指導育成するという力量の者を急に集めることは困難でございます。新規採用も少しずつやっておりますが、これまた研修させましたり、各会社に見学をやらせましたりしてやっておりますが、五年たってもまあまあ一人前ということでございまして、しばらくの間はそういう出向者の力をかりるよりほかにいい方法はないんじゃないか、こう存じております。しかし、これもそうひんぱんにかわることのないように、少なくも三年くらいはというような方針で各会社とも交渉しておる次第でございます。
  37. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 コンサルテーションの実効をあげますためには、文字どおりあたたかく親身になってやらなければいけません。それで、かりに先生指摘のようなことがございますと、これは十分なコンサルトはできないので、いま参考人がおっしゃいましたようなことで各会社も非常に努力しておられますから、その方向を私たちも支持いたしまして、せっかく努力してまいりたいと思います。
  38. 近江巳記夫

    近江委員 次に、コンサルタントが出向いていって直接投資先企業のなまの声を聞くとか、あるいは専門家による指導をするとか、あるいは定期的な講習会を実施するとか、要するに、そういう積極的な働きかけが非常に弱い、相談に来ればそれに応ずるというような受け身的なコンサルテーションの傾向にある、これを改善してもらいたいという声があるのですが、これについてどのように改善していかれるか。江沢参考人長官からお聞きしたいと思います。
  39. 江沢省三

    江沢参考人 そういうふうな御質問がありますのは、はなはだ私ども申しわけないことと思っております。私どもも先ほど申し上げましたように比較的小人数で、私どもの会社で申し上げますと、百社のお世話をしなければならぬというような事情にございますので、私どもの職員の手の足りぬところは外部の指定コンサルタントをつくりまして、技術、電子計算機その他特殊の化学工業に関する技術者というふうな者を頼みまして、この方々に御相談に乗ってもらうというふうなことで補っておるわけでございます。私どものほうは、方針といたしまして育成が本業であり、投資はその手段である、こういうふうに私ども考えておりますので、そういう不満の点がないように、極力努力してやってまいるつもりでございます。現在も公認会計士の資格を持っております職員が、私どものほうにも四、五人ございます。一割ぐらいあるわけでございます。若い連中もそういうふうな資格のとれるように極力育てております。しばらく時間をかしていただきたい、こう存ずる次第でございます。
  40. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 参考人の言われますような方向役所としてもせっかく努力をしてまいりたいと存じます。
  41. 近江巳記夫

    近江委員 もう一つの問題は、中小企業は特に技術的におくれているわけです。大企業との格差というものがかなり大きいわけですが、それが中小企業をさらに不利にしていく、こういう原因が考えられます。そういう意味で、技術の開発が非常に重要になってくるわけです。そういうわけで、今後技術部門のコンサルタントの養成もどんどんひとつ力を入れてもらえないか、こういうような声もあるわけでございますが、政府としてどのようにこの点は考えていらっしゃるか。参考人長官にお聞きしたいと思います。
  42. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 中小企業の競争力強化、高度化のためには技術がキーポイントであるというのはもう御指摘のとおりでありまして、私たちも特に中小企業政策の重点項目にもあげて努力をしておるわけでございます。特にこの投資育成会社は、単に株を持つということだけではなくして、十分投資先に対して相談相手となって体質改善をしてあげようということでございまするので、この技術問題が非常に大事であるということで、重点を置いて指導すべきであると思います。ただ、何といいましても、相当経費もかかる仕事でございます。したがいまして、十分いいコンサルトを育成会社としてはすべきでありますが、依頼をされる会社のほうも、相当なコストをかけても技術問題についてはいいコンサルテーションを受けるという気がまえが必要であるというふうに思います。
  43. 近江巳記夫

    近江委員 もうひとつわかったようなわからないような受け取り方を私はしておるのですが、この点は確かに経費等の面できびしいことはわかりますが、しかし、やる以上はやはりそれだけ効果があがる方向に持っていかなければならない。ですから長官答弁なさったことを、今後はただこういう方向に持っていきたいという方向だけではなくして、具体策を持ってその充実を期していただきたい。この点を要望しておきます。  もう時間もありませんので、最後に、今後投資育成会社はどのような方向で進んでいくか。たとえば持ち株会社的なそういう性格を持つようなことはないか、こういう点があるわけです。いろいろここまでお聞きしてきたわけでありますが、今後十年、二十年先にいって悔いを残すことのないように、いまここで投資育成株式会社というものが歩む道、ビジョン、これをひとつ明確にしておいてもらいたい、このように思います。そういうわけで、参考人並びに長官から最後にその点の考えを述べていただきたいと思います。
  44. 江沢省三

    江沢参考人 たいへんむずかしい、しかし適切なお話だと思います。時間の関係がありますので、あまり大きなビジョンを申し上げてもどうかと思います。ですから個々の問題について申し上げたいと思います。  持ち株会社となることはどうかという御質問かとも思いますが、私どもは、投資はするが、またお助けはするが、干渉はしない、こういうふうな気持ちでやっております。現在私どものほうのお世話しておる会社はみなそういう気持ちで、何といいますか、集まりをときどきやりますが、和気あいあいとやっております。やはり自己資本充実するということを通じまして、これが外資対策にも通ずる、こう思うのでございます。ですから、願わくは政府のほうでこの投資育成制度という現在の制度、これを改善し、そしてもう少し強力な仕事のできるようにしていただく。資本を強いものにしなければならぬと思いますが、いわば民間資本を大黄に導入するために、政府が率先して後配株等の形である程度出資をしていただくということ、これが根本でございます。  それから制度的にも、先ほどちょっとお話しございましたように、非常に希望されておる転換社債のワク、これはもう少し御考慮いただきたい。  その他たくさん私どものほうでは問題を持っておりますが、そういう点がさしあたりの問題として私どもは解決していただきたい。そういたしますれば、この制度を通じまして中堅企業の成長を促進しまして、そしてその傘下にありまする――たとえば一つ会社で百くらい小企業を持っておられます。普通は二十、三十とあるわけです。ですから非常に多くの小企業育成にも大きな力になるのじゃないか、こんなふうに私は存じておる次第であります。お答えが足りませんでしたら、またあらためていたしたいと思います。
  45. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この投資育成会社が発足しましたときにも十分この制度の必要性が感じられて発足したわけでありますが、さらに、ただいま中小企業の置かれております地位、立場は、先生指摘のように非常にきびしいことになってきております。特に、国内だけで中小企業問題が考えられない、海外からの中小企業に対する圧力を考えなければいけないという場合に、この自己資本充実ということは非常に重要なことになってきておるわけであります。そういう意味におきまして、政府としては、この育成会社制度をますます健全に発達させ、しかも量的にも拡大をしてまいりたいというふうに考える次第でございますが、いろいろ御指摘のような問題点もございますので、その辺につきましては十分検討をし、この制度の健全な発展を期してまいりたいと思う次第であります。
  46. 岡本富夫

    岡本(富)委員 関連して。ただいま近江委員から質問をいたしました東京大阪名古屋ですか、この三カ所よりももう少しふやすところの考えはないか。これに対して長官は、管理費が非常に少ないし、出ないし、利益も少ないからこういうことはできない、こういうように私は横で聞いておって聞き取れたわけでありますが、四十二年の損益計算、これについて東京投資育成会社はどれだけの利益を出しておりますか。
  47. 江沢省三

    江沢参考人 四十二年の決算でございますか。四十二年は、七十六億当期の決算上利益を出しでおります。
  48. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そんなに利益一が出るわけはない。
  49. 江沢省三

    江沢参考人 失礼しました。七千六百万円です。
  50. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大阪投資育成会社利益は八千七百七十五万円と、こういうように利益が、いま出てないと長官はこういうことでありましたが、経営の状態あるいはまたその投資育成会社会社の手腕によってこういうように利益が出るわけです。そこで投資育成会社中小企業を育てるということは、その下請をしておるところの零細企業が非常に潤う、間接的に育成をしておることになる。したがって、これはもう少し個所を考えて、あるいは九州だとかあるいは北海道だとか、ふやしたほうが私はよいと思うのですが、長官の御意見を承りたいと思います。
  51. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いま参考人がお話しになりましたように、四十二年度、相当の利益が決算上出ておる、これは事実でございます。ただこれは先ほどもちょっと私お答えしたと思うのでございますけれども、株主配当を全然実はしていないというような状況でございます。政府の株につきましては、さらにこれは優先株式ということになっておりますし、ある時期が来ますれば消却もせねばならない、さらに六分五厘の金利を政府に対しては払わなきゃいけない、これは当然でございますし、さらにまた、民間と申しましても、地方公共団体なり金融機関なりの、これはいずれも出資になっておりますが、これに対しての適正配当努力をしてやっていかなければいけないというのがこの投資育成会社の現在置かれた採算的なポジションでございます。そういう面におきまして、極力経費の合理化を考えていかなければいけないということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、ただ、これも先ほどもお答え申し上げましたように、開発地域に対しますこの制度の普及の努力は、これは十分にまたせねばいけないと思うわけでございまして、私たちといたしましては、九州とか東北とか等々に会社をつくる、それも一つの方法ではございますけれども、現在の三つの会社開発機能を十分充実していくということによって処理してまいりたいと思う次第でございます。
  52. 岡本富夫

    岡本(富)委員 中小企業が納入している税金と、それから政府中小企業に対するところの予算というものを考えますれば、時間がありませんから、これについてはこまかいことは申しませんが、もっともっと大きな中小企業対策を予算の面でも講じていいんじゃないか、この投資育成会社についてももっと強力な力を入れるべきである、こういうように思うわけであります。それは要求しておきます。それで、これはあとで長官と政務次官にお答えを願いたいと思います。  次に、東京投資育成会社の来年度の方針と申しますか、大体何社をこうしたい、こういうようなビジョンを持っておりますか。計画はどうですか。
  53. 江沢省三

    江沢参考人 その前にちょっと、はなはだ恐縮でございますが、先ほど申しました当期利益数字は、四十二年と申し上げましたが、四十一年度の数字でございます。四十二年度はこの三月で終わりますので、予想になりますが、大体若干上回る、こういうことでございます。  それから四十三年度の事業計画を御質問かと思いますが、いま私どものほうで考えておりますのは、新株引き受け対象となる企業数二十社、それから転換社債の引き受けの対象となる企業数八社、再増資の引き受けの対象となる企業数八社、合計三十六社、こういうふうになっております。
  54. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大阪では、聞きますと大体三十九件、そのうち大体三十六件を行ないたい、こういうようなことを言っておりましたが、もっともっとこの育成会社に力を入れて、そうして中小企業育成を行なったほうがいいんじゃないか、こういうように思うわけであります。それについて長官と政務次官からお答えをいただきたい。
  55. 藤井勝志

    藤井政府委員 長官答弁もお求めでございますけれども、私が責任を持って通産省としての答弁をさせていただきます。  育成会社の四年の足跡、これが効果、こういった面を考えまして、御指摘のとおり投資育成会社充実については今後もわれわれとしては最善の努力をいたしたい、このように考えております。
  56. 岡本富夫

    岡本(富)委員 長官のはあとにして、もう一点だけ。アメリカでは民間がこういうことをやっておるというようなことを聞いておりますが、この方面の開拓もしていく考えがあるかどうかが一つ。  それから、逆の面から見れば、独禁法との関係は、これについては先般同僚委員のほうから話がありましたが、最近企業合同の問題が起こっております。資本の自由化で、外国資本に乗っ取られないように、こういうような状態のときに、この投資育成会社がここまで育てた、それを外資が導入されまして外国に乗っ取られるということは私はまずいと思うのですが、それに対するお考え、この二点の施策について長官から御所見を伺いたいと思います。
  57. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 アメリカの中小企業投資育成会社でございますが、これは法律と、それから中小企業庁の定める規則で制限されておりまして、純民間のものはないようでございます。日本におきましても、実際上今後純民間というのは当分考えられないのではなかろうか、政府助成指導のもとにおいて、この制度の発達を期するのがいいのではないかと思っております。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕  それから第二の問題でございまするが、企業合同問題につきまして、この前ほかの先生からも御指摘があったのでございますけれども、だんだん日本の経済が険しいことになってくるということでいろいろな動きがあるわけでございますが、それだけに、私たち中小企業の行政の衝に当たる者といたしましては、十分警戒をしながら対処していく必要があると思う次第でございます。
  58. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、企業合同をなされた場合に一社のみで独占されることになるわけです。たとえば紙とかあるいはいろいろなものが一社だけで。そうすると、その会社できめたものがそのまま市場の値段になる、あるいは品質もそういうようになる。この面について、どういう面でチェックしていくか。あるいはまた、そういう点について公取のほうからいろいろと意見も入れ、調査もする、そして物価の安定、妥当な価格になるように、品質も妥当になるように、こういう面についての調整あるいは査察と申しますか、そういうことを公取としてはやるのかどうか。これを最後にお聞きしたい。
  59. 柿沼幸一郎

    ○柿沼政府委員 企業合同の例はいろいろあるわけでございますが、その企業合同が一定の取引分野における競争を実質的に制限することになるような場合におきましては、これはしてはならないという規定が独占禁止法にございます。公正取引委員会としても、こういう合併は認めないということであります。
  60. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これで終わります。
  61. 鴨田宗一

    鴨田委員長代理 中村重光君。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 同僚委員からそれぞれ質問がされて、政府答弁がなされておるようですが、どうですか、この投資育成会社、これは政務次官に言うのは若干無理だと思うが、乙竹長官、これはいい制度だと思いますか。実はこの投資育成会社が設立されるときにも、あまりどうも、いい制度だといって積極的に賛成をするほどのものじゃないのじゃないかということが全般的の空気だった。だけれども、中小企業基本法が出た、その関連法としてこれは出てきたもので、特別にこれがうしろ向きだということで否決をするということもどんなものだろうか、きわめて消極的賛成という形で、問題点としては地方財政法の問題等若干の疑義もなきにしもあらず、だけれども一応の説明に対してこれを了承しようという形で本法案は成立をしたわけです。この制度が四年間実施されてきたのですが、質問に対してはそれぞれにお答えにはなっておるものの、たいして迫力も感じない。特に長官がお答えになったような、この制度中小企業の体質改善という面からいって、あるいは自己資本充実というような点からいって、いい制度として働いておるという積極的な理由づけというのか、そういうことがお答えができるのかどうか。  それから、社長は、いまこの制度が小企業育成という点についてその意義を見出すというような意味のお答えがあったのだけれども、社長が言われる小企業というのは、どういう程度規模企業をお考えになっておられるのか。また、特に力点を置いてお答えになったことについて、具体的なあらわれとして私どもはどうこれを受け取ればよろしいのか。そういう点についてひとつお答えを伺ってみたいと思います。
  63. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この制度につきまして、その効果でございまするが、端的に申し上げまして、この制度のねらっております上場会社はまだ出ておりません。したがいまして、この制度が生まれてから、私たちは、依然として――依然としてと申しますより、現在むしろこういうふうな中小企業自己資本充実の必要性はますます高まってきており、その充実をいたしますためにはこういう制度による以外にはなかなか名案はないと思うのでございまするけれども、この制度の運用につきましては、よほど私たちいろいろ知恵をしぼり、がんばっていく必要がある、さらに政府としてももっともっと大きな力をこれに注入する必要があると思うわけでございます。  この投資効果でございまするけれども、卒業生は出てはおりませんけれども、しかし経営について相当安定感が出たというふうな投資先の意向は強うございますし、また特に金融機関、取引先に対しまして信用が増大しておる、さらに、社会的評価が高まったために、従業員の採用が容易になり、また士気が高揚しておるということは、現実に私たち調べましても出てきておる点でございまして、相当効果は出ておるというふうに考える次第でございます。
  64. 江沢省三

    江沢参考人 私が中堅企業育成は小企業育成に非常に有力な武器であるということを申し上げたのでございますが、地方のほうを私ども視察してまいりまして、私どもの各関係先とよく懇談をするわけでございます。そうすると、私どものほうの下請は一社ある、五十社ある、こういうことを言うわけであります。その関係から申しまして、そういうような零細企業にやや類するものが多いわけでございまするから、その中堅企業は、それを育成しなければ自分のほうの仕事もできない。しかし彼らは現金でもらわなければ、これまた食っていけないというふうな事情にございますので、支払いのほうは現金で払う。しかし大企業から中堅企業が受け取るものは手形で受け取る。特に金融が詰まってきますと、中堅企業に金融のしわが及ぶわけでございます。だからここを何とかしてもらわなければ、小企業、中堅企業共倒れだというふうなことをよく聞くわけでございます。経済の均衡的発展という意味におきましても、中堅企業を強化するということによって小企業のお世話も間接にはできる、こういうふうなことを私は感想として申し上げた次第でございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 長官がいろいろお管えになったような内容でもって喜ばれておる――それは二百六十社、再投資がそのうちに二十七社ある、投資額も七十億円、これだけの財源を投じて特定会社に対しての株の引き受けをやっているのだ、だからいまお答えになったようなことで評価されないなんというのは間違っているという。私はそういう狭い意味でお尋ねをしたのじゃない。中小企業基本法に基づいて、中小企業の大企業との格差をなくしていく、二重構造を解消して中小企業としての日本経済におけるところの地位を確保して、それぞれ持つ重要な役割りを果たさしていく、そのために中小企業の全般的な、特に重点的な政策を推し進めていかなければならない、そういう中においてこの投資育成会社が七十億も投資をやる、やっただけの効果というものを中小企業全体の中でどれほど評価されるのかということを申し上げておるわけです。これ一つについて問題を特に取り上げて、私はこれがいいとか悪いとかというわけじゃない。政府中小企業政策を進めていく上において投資育成会社というものがどれほどの有効な働きをしておるということで評価できるのかどうか。今度また三億円の出資をしようとしているのだから……。いま中小企業全体の予算を見てごらんなさい。まだ総予算の中でコンマ以下でしょう。四十二年度よりも中小企業の予算としては絶対額はふえても、比率は低下している。それほど中小企業に対する政府の取り組みというものは弱い。よりシビアである。そういう中でこの三億円の投資をしていこうといわれるのだから、よほど積極的な理由づけがなければならぬと私は思う。従来の、実績、また同僚委員諸公の質問に対してお答えがあっているんだが、質問ということよりも、私は各委員指摘されている点は、この投資育成会社の運営に対する批判というものが非常に強いように記録を見て感じるのです。それらの点に対していま少しく積極的なお答えを聞かなければ、この投資育成会社というのは社長以下社員がどのくらいいるのか知らぬけれども、そういうような投資育成会社そのものを維持する社長以下社員を育成するような育成会社になったのでは意味がないと思う。そういうことをお尋しておるわけです。
  66. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 積極的な中小企業政策の中における位置づけ、基本法のねらっておる中小企業格差是正、この位置づけはどうかという御質問でありますが、これにつきましては、私はこう思います。中小企業はいつまでも中小企業でおられないというか、中小企業であってはならないような業種、業態がある、こういう業種、業態につきまして金融面で国が助成をするのは、いろいろ手を出しておるわけでありますけれども、金融面では限度がある、これはどうしても資本の面で国が直接助成をしなければならない面がある、それによりまして中小企業を中堅企業に育て上げていくことは、中小企業政策として非常に大事な問題である、その部分を分担するのがこの育成会社の仕事であるというふうに考えます。ただ、そういう抽象的に申し上げましても、投資資金量がわずか七十億程度、これによってどこまでできるかということでございまするが、しかし、これはもちろん多ければ多いほどいいし、またさらに相当の需要というか、中小企業からさらに中堅企業に脱皮したいというか、成長したいという、しかも自己の手回りで資金が集められないという企業が相当あることは間違いないわけであります。それに対しまして、もし国の助成なり地方公共団体の出資なり等々が多ければ、さらにこういう育成制度が強化拡充されるわけでありまして、そういうことが望ましい、現在のところ七十億程度では十二分な成果があがっているということを申し上げることはむずかしいのでありますけれども、私は最初申し上げましたように、この制度中小企業政策一つの重要な部分であり、またそれを果たしつつある、まだ量的には少のうございますけれども、また今後も期待できる、というふうに考えておるわけであります。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 では具体的に聞いていきましょう。  上場会社がない。これはないのはどういう原因に基づくのか。
  68. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 上場基準が事実上引き上がりましたために、いまのところ上場できないというわけであります。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 いまは三億に引き上げられたから上場できないという。前から三億じゃなかったわけです。この制度をつくったときは、いまお答えのようなことじゃなかったのです。できるだけ育成会社の資本というものを円滑に回していかなければいけない。そうしないと特定の企業、限られた少数の企業にこれは資本が集中してしまうでしょう。それではこの制度が有効に働かない。なかなか当初予定しておったように動かないでしょう。それを聞いているわけです。だから、当初は一億であった、今度三億に上場基準が引き上げられた、そういうことでは私の質問に対する答えにならないでしょう。どうですか。
  70. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生の御質問は、なぜ一体上場できぬのかという御質問だったと思ったものでありますから……。最初は一億の上場基準というのを予定してこの制度ができました。それをめがけて、現在のところは四十社以上が一億円以上の資本命になっております。したがいまして、最初この制度ができたままの上場基準でございましたならば、相当の卒業生――四十四社でございましたか、これを全部上場できるかは別でございますけれども、このうち相当のものが上場し得たと思います。そういたしますれば、先生指摘の回転がスムーズに、比較的短い時間で回転ができて、立法当時の所期の成果をあげることができたと思うわけでありますけれども、それが上場基準が変わりましたために、最初お答えいたしましたように、まだ卒業生を出すことができない、卒業生を出すことができないので、したがって回転が非常に困難であるということをお答え申し上げたわけであります。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 それは、公開することを投資を受けた会社が好まないとか、政府出資の分は自分のほうが引き受けるとか、いろいろなことでなかなか投資育成会社が考えているような形でこれは回転してこない。そこいらが問題になるのですよ。だから何も一億が三億に引き上げられたからといって、基準の問題を私はあなたにお尋ねするほど時間の余裕はないのです。われわれの質問がどこにあるかということをもう少しあなたはよくかみ分けていただきたい。そうすると、公開をしないという問題は、やはり企業のいろいろな希望というものもあるだろう。それについてどう対処していくか。そういう企業希望だけを聞いておったのでは、資金の回転というものはなかなかうまくいかない。そういうことに対してどう対処していくのかということ、どうしたならば一番いいのかということ、そういう点を聞きたいんだから……。
  72. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 わかりました。御指摘のように、この会社は一応公開の決心のきまっておる中小企業者に対して投資をするのがねらいでありますけれども、一ぺん株を引き受けてもらうと、もう公開したくないという中小企業の本能があることは事実であります。したがいまして、それを予想いたしまして、この会社といたしましては、株式を引き受けますときに、必ず公開するということを書面または口頭等で確実に中小業者の意思を確めるということをして投資をいたすということをやっておりますほかに、さらにまた、これは役所認可しております事業規程によりますと、相当期間株を保有いたしていましてもなお公開する見通しが立たない場合にはこれを放す、保有しておる株式を処分することができるということで、その裏打ちと申しますか保証を制度的にはしておる次第でございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 まあおっしゃるとおりでしょう。ところが処分がどの程度なされたか。それから投資をしてまた再投資をしている。これは中小企業の定義でいって五千万以下であるから、再投資をしたということであろうと思う。しかしこれは投資は適当であるという形で投資をしたわけだ。だからしてこの株の処分ということについても、それなりに考え方があったと思う。それをしないで再投資をしたわけだ。再投資は二十七社にのぼったのだけれども、処分がなされているものはない、ただ投資をする一方である、こういうことになっている。投資育成会社を有効に働かせるということ、そういうところに重点を置いて対処してもらわなければ困るのです。二百三十社ということだけでなくて、もっとこれを拡大をしていくとか、あるいは地域の問題等、いろいろ同僚委員から指摘されたとおり。だからそういうことをお答え願わなければならぬと思う。またあなたが先ほど近江君の質問でしたか岡本委員質問でしたかにお答えになっておられた点についても、附帯決議との関連があるわけです。ほかにも、この会社を他につくるということはどうも利益率が低いのだからあまり好ましくないというお答えもしておられた。一方また業種の拡大についても、そういうことで御希望にこたえてやりましょうという答えもしておった。だから質問に対する単に機械的なお答えでは困るわけだ。業種を拡大しようということの期待を持たしたのだから、具体的にどういう業種を拡大をしなければならぬという構想があなたの頭の中にひらめいておらなければ、ああいう答弁はできないと思う。委員がもっと業種を拡大しなさいと言ったから、それに対して気に入るような答弁をしなければならぬから、そういうことでやりましょうというような無責任な答弁であってはならない。だから、あなたの頭の中にはこういう企業、こういう業種を拡大しなければならぬのだというもう少し何か具体的なものがあるのじゃないかという感じがする。それから、三社以外には利益が上がらないからこれを拡大しないというようなことは答弁にならない。少なくとも大阪東京名古屋だけでなくて、たとえば具体的には北九州であるとかその他の地域に対して投資育成会社というものをもっとつくりなさいということは、委員の強い意思になっている。単に附帯決議をつけたということだけではなくて、質疑応答の中でこれは活発になされた。それに対して相当積極的な答えというものもなされているのだから、一片のあなたの、利益が上がらないからこの会社をつくってもおもしろくない、メリットがないというようなことだけでは、われわれは満足しないわけです。納得できないわけです。だから、そういうことについてもう少し責任ある答えをしてもらいたい。お答えになる以上は、附帯決議がどういう形でついているのか、どういう質疑応答が過去においてなされているのかということについても、あなたのほうでは十分検討しておられると思うのだから、それに対してわれわれが納得いくようなお答えをしてもらいたい。
  74. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 まず業種の拡大の点でありますが、私はどういう種類の業種に広げるということを頭の中に置いて先ほどお答え申したわけではございません。御質問が、あれ以外に広げ得るのかという御質問でございますから、当然抽象的にといいますか考えまして、国際競争力の強化なりそれから高度化なりの必要性がある場合にはもちろん広げることができますというお答えを申し上げたわけであります。  ただ、現実に、それならばどういう業種を想像できるかということでありますけれども、資本の自由化、後進国の追い上げ、こういうふうなことで中小企業の構造改革、脱皮、これはもう非常に急がれておる問題であります。この場合の構造改革におそらく要請される一つの大きなきめ手は、自己資本充実ということであると思います。したがいまして、そういうことにこの自己資本充実策の重要な方法である投資育成会社制度というものが活用できるのではないだろうか、逆にそういう面からの御要望が出てくるのではないだろうかということは、私は考えられると思います。  それから次に、君は利益が上がらぬから会社をつくりませんということが、こういうふうなことは従来の審議の過程からいってどうであろうかという、若干おしかりの入ったお話がございましたが、私は利益が上がらないから三社以外に育成会社をつくらない、こういうこととはちょっと違うのでありまして、北九州とか東北とか、東京とか大阪から離れておる地区育成会社制度というものをさらに普及し広げていくという必要性は十分ございますし、それに対する努力もいままでしてまいりました。それで衆議院の御決議もいただいておるわけでありますし、特にいろいろ中小企業庁としても説明会をやりましたし、あるいはまた中小企業金融公庫等活用してもいたしましたし、さらにまた会社におきましても特別の努力をしております。ということは申し上げておりましたし、今後もそのつもりであります。ただ、そういうために新しく育成会社を増設するのも確かに方法であると思いますけれども、必ずしも育成会社を増設しなくても、北九州なり東北なり等々にこの制度を普及させることは、私は不可能ではないと思うわけであります。かたがた、会社を増設いたしますと、維持管理経費等もかかりますので、そういう方法よりも、さしあたり現在の三つの会社で大いに努力をして、この僻遠の地への制度の普及に努力をいたしたい、こういう意味の御答弁を申し上げたわけであります。  それから処分でありますが、これは現在のところ、先ほど申し上げましたように、制度的には相当期間保有した後においても株式を証券市場に公開できる見通しが立たない場合、こういうことになっておるわけであります。この相当の期間というのは五年ということでございますので、ぼつぼつ考えてまいらなければならないわけでございますが、現在、先ほどお答え申し上げましたように、証券市場の上場基準が引き上げられたということで、いまこの育成会社投資対象の株、これが企業者希望しないで、つまり最初の約束と違って公開を希望しないで上場をしないのか、それとも証券市場の上場基準が引き上げられたために、さらに育成会社としてはこれにてこ入れをしなければ公開がむずかしいのか、この辺は相当問題があると思います。私たちとしてはすらっと考えますと、現在投資しております会社に対してさらに投資をするということで証券市場への上場につないでいくのが現在の制度で考えられておる方法であるというふうに思っておるわけであります。ただ、それになりますと相当時間がかかりますので、今回の国会におきましても非常に御質疑がございましたように、それ以外の方法についてやはり公開の努力をする必要がある、これはこれから文字どおり前向きと申しますか、真剣に検討を進めていかなければならない点である、というふうにわれわれ考えておる次第であります。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 乙竹さんが投資育成会社の問題に対する質疑応答の場に立ったのはきょうが初めてなんだから、既往においてどういうことが質疑されたかということについてあなたにあまりやかましく言うのは酷であるかもしれない。ですけれども、いままでの質疑応答の中では上場の基準というようなことが問題ではなかったのです。今度は三億になったのだから、確かに出てくると思う。しかし、公開をしようとしても相手の企業がなかなかそれを喜ばないということが問題点であったわけです。  そこで江沢参考人にお尋ねしますが、公開しようとして、相手企業が公開は困るということでいろいろな理由をつげたと思うのですけれども、そういうことで公開をしなかったということはどの程度の比率になっていますか。
  76. 江沢省三

    江沢参考人 公開というのを第二部市場上場というふうに解釈いたしますると、これは先ほどのようにまだその基準に達しておりませんので、まあ問題にならぬ、こういうふうにお答えしていいかと思います。それ以外の公開、すなわち従業員、縁故者あるいは取引先に譲るというようなことを公開の一つの方法というふうに解釈いたしますると、これは今後ちょいちょい起きてくる問題だと思います。現在のところは、そういう処分について自分は反対であるというふうな意向を示した会社はないというふうに申し上げていいと思います。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 従来の私どもの質問に対する答えはそういうことじゃなかったのです。議事録を調べてみればわかる。資金を回転させるために公開しよう、そういう要求をするけれども、自分のほうで引き受ける、こういうことで、実は公開をしようとしてもできなかったということがきわめて積極的な答弁であったわけです。今度は、上場基準が三億に引き上げられたというのが、中小企業の実態からいうとこれは決定的な要因みたいなことになってきているのです。事情は変わってきた。従来はそうであった。ここを私がいろいろお尋ねをするのは、この資金の回転という問題があるわけです。投資育成会社というものをできるだけ働かせなければいけないのじゃないか、業種も拡大しなければならない、同じ業種の中でそういう企業というものをたくさんこれの対象にしていくという努力が最終点でなければならないと私は思うのです。そういう点でどうもあなた方のほうに気魄というものを感じないのです。ただ質問に対して何かこうだこうだと言って、やむを得ないんだというようなことで、そういう答弁に終始しているという感じがしてならないのです。
  78. 江沢省三

    江沢参考人 いまの答弁はなはだ足りない点があって申しわけございませんでしたが、中小企業庁方針によりまして、私どものほうも、五年たったところでどうするかということをきめるというふうなことに考えておるわけであります。現在は、最初の投資から数えましても、まだ四年余でございます。ぼちぼちどうだろうかという打診をしておる程度でございまして、現実にこれをどうしようかという方針をきめて折衝をしたというふうなものはないわけでございます。しかし、今後はそういう件も起きるだろうと内々当たっておりますが、それについては向こう側にも資金の不足だとかいろいろな問題がありますけれども、私どもの言うことは最初の約束でございますから、できないとしてほうり出すということはないように私どもは気をつけたいと思います。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどから何回も申し上げましたように、お答えはだいぶ変わってきている。しかしそのことだけを私は追及していこうとは考えてない。だから考え方としては、投資育成会社のほうで公開することが適当であるという判断をしたならば、相手がそれを拒もうが拒むまいが積極的に公開していく、こういう方針を貫いていこうとする基本的な考え方であると了解してよろしいですか。
  80. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のとおりであります。なお申し上げますならば、私たちは便々としていままで三億なり二億なりの市場での上場を待ってはおらないつもりであります。これは実はすでに答弁でお答えしてあって省いておったわけでありますけれども、金融機関等、いろいろこれは弊害もあるものでございますから考えなければいけませんけれども、他の方面にはめ込んでいくということを考える。それから、これははっきり堀先生にお約束しておるわけですけれども、大蔵当局と共同でもって、証券取引所につなぐ以外の方法で公開の方法を勉強するということをお約束申し上げておるわけでございます。  それから、なおかつ僻遠地というか特に産炭地域等への拡大の問題が実は答弁が落ちておったわけでありますけれども、産炭地域につきましては、すでに事業団がございますので、育成会社と同様な仕事が事業団でもってできるということで、事業団法の改正をいたしまして、現に事業団から出資を相当程度やっておるということを御報告申し上げます。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 三億の上場基準に達しなくても、株式を引き受けたものについての効果をある程度あげたということをあなた方のほうで判断されるならば、積極的にこれを処分していく、そしてできるだけ広く資金を回転させていく、そしてより多数の中小企業者を育成していくという考え方であるというお答え、そういうことで了解をいたします。  なおいま、産炭地域の問題については私もよくわかっておる。それでだめなんだから、地域開発という形においてこの投資育成会社というようなものを――これと同じようなことではないと思う、性格が変わってくるから。そういうことを考えたらどうかということを、これは政治的な判断になってくるから大百に私は見解をただしたことがある。それに対して大臣の答弁がありましたが、きょうはこの点については触れません。この地域開発という形で何か考えてみる必要があるのではないかというように私は思うので、政務次官からお答えが願えればなお幸いです。産炭地がいまのところ一番中心になってまいりますね。大阪東京名古屋というのは最初から中小企業集中しておるけれども、それに対して投資育成会社がそれなりの役割りを果たすということになる。ところが一番おくれておる地域については、これにかわるようなものが何もない。産炭地域振興事業団というふうにいまお答えがあったのだけれども、土地造成に重点が置かれておる。企業誘致に対する積極的な機能を発揮してない。またこういうような性格を持つ事業団ではない。何か私は考えていく必要があるのではないかと思いますが、どのように思いますか。
  82. 藤井勝志

    藤井政府委員 投資育成会社の使命、機能が、御指摘のように、私も実は結果的にきわめて部分的に終わるということについて非常に出発のとき心配をしておった一人でございます。ところが、いま御指摘のような方向でともかくある程度効用をあげておる、その効果を一そう充実するために、育成会社自身が効率的な運営をやることによって、幅広くその機能を発揮し、効果を発揮するというその線については全く同感であります。地域的にこれを広げていくという問題については、先立つものは金ということになるわけでおりますので、ひとつ十二分に今後予算編成のとき御趣旨を体して努力したい、このように考えております。ただ一つ最後につけ加えさせていただきますならば、いま三つの機関がある、その機関自体に対してまだ十分手当てができておらぬという事実でございますし、また、中小企業投資育成会社が手がけておるその企業自身が、中途半ぱで十分育成しないで未成熟のまま放任されてもいけないといういろいろな問題がからみますから、御趣旨の点はよくわかりますが、まあどの程度いけますか、最善の努力を前向きでいたしますということで御了承いただきたいと思います。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 まあおっしゃる点もあります。それから先ほど乙竹長官がお答えになったように、また三社以外の会社を多くつくっていくということもさることながら、現在の会社の機能を発揮して効果をあげていくということが必要ではないかというお答えがあったわけですね。それも考えられるのです。しかし現実はやはり直視しなければいけない。この北九州の問題が特に取り上げられたのは、八幡製鉄所があるわけですし、その他御承知のとおり北九州には大きい企業、国の基幹産業というのが非常に多いわけです。それに伴って関連中小企業というのが多い。ところが受注関係から非常に景気変動の波を受けるというようなことで、倒産相次ぐという深刻な状態が現出しておる。これは産炭地等が非常に多い等々から北九州には別会社を特につくる必要があるのではないかということを積極的に議論されてきた。この表を見ると、福岡が四件、佐賀が一件、長崎ゼロ、熊本一件、大分ゼロ、宮崎ゼロ、鹿児島ゼロ。長官、何ぼ何でもこれじゃひどい。十分努力をしてまいりましたとあなたはさっき答えられた。えらい力こぶを入れられた。どういうふうに努力してきたのか。さっきから言うように、答弁のための答弁はあなたにお返しする。私はたまたま長崎なんだけれども、あまり名誉でないゼロだ。ところが投資育成会社に対して長崎県に特に出資をしようという積極的な働きかけをしたという事実もなさそうだし、また投資育成会社というものがあるということを知っている企業もなさそうなんだ。きわめてこれは無関心。   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 これは県が悪いかもしれない、あるいは当該の業者団体もよくないのかもしれない。だがしかし、あなたが努力してきたというその実績というのがどういう形であらわれておるのか、そこを聞きたい。
  84. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 これもすでに申し上げた数字でございますが、この前といいますか四十一年三月当時、国会から強く御指摘のあったときでございまするが、この当時と現在と比べますると、東京名古屋大阪、三つの投資会社を比べまして、いずれも、東京名古屋大阪以外に対します投資は、非常に積極的にふえてきております。で、数におきましても、大体一千万円以上の中小企業のこの三都市とそれ以外の分布とほぼ同じような比率、すなわち五一%と四九%というふうな大体の比率に近く実はやってきておるわけでございます。この辺のところにつきましては、役所も一生懸命いたしましたが、会社としても相当努力をしたということを私たちは認めておるわけでございます。これは単に口先だけの話ではございません。ただ九州の各県がどうも一つも頭を出しておらないという点につきましては、これはどういうことでございますか、特に大阪投資会社が手を抜いておったということではないと私は思います。しかし、この辺はほんとうにどうも申しわけないと思います。とにかく努力しなければいかぬと思います。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが正直に答えたから、あまり言わぬけれども、どういうことでございますかとは何ですか。十分に努力をいたしましたとあなたは答えたんだ。質疑応答にはもう少し責任を持って応じなさい。この法律案が審議されて、附帯決議がついて、その附帯決議は尊重さるべきものであると私どもは理解をしている。しかし一〇〇%尊重されないこともあり得る。それならば、せっかく附帯決議がついておるけれども、こういう理由によって実はまだ尊重するに至っていない、こういう答えがあってしかるべきなんだ。どういうことでございましょうか、大阪が手を抜いたんでございましょうか、これは正直な答弁ですけれども、そういうことでは委員会を愚弄することになります。院の決議というものを軽視しておる。もう少しまじめな態度でなければなりません。どうですか。
  86. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 私は決してふまじめな態度で申し上げたつもりはございません。役所もまたこれは一生懸命に、私の前任者も、私になりましてからも、三地区以外のこの制度の普及につきまして努力したわけであります。しかし、結果としては、先生にしかられるように、確かにこれはないわけでありますので、ただいまといたしましては、今後とにかく努力いたしますということを申し上げるわけであります。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが十分に努力しましたといって力こぶを入れたから、十分に努力したならばどうしてそれができなかったかということをあなたはわかっているはずなんだ。そうしてあとの答弁は、どういうことでございましょうか九州が頭を出しておらぬのは、大阪が手抜きをしたんでございましょうか――前の答弁とあとの答弁とつながりますか。私はことばじりをとらえているのじゃありませんよ。そういう無責任な態度ではいけないと私は言っているわけです。これを三カ所にプラスして、北九州あるいはその他の地区につくらなかったということそのものを私はやかましく言っているのじゃないのです。納得いく答弁がなされるならば、あえて私はつくらなかったことについて大きい声でもって責任を追及しようとは考えない。これはどうも政務次官答弁を求めるのにはあまり具体的な問題だから……。
  88. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 私の発言がまことにどうも行き届きませんで、おわび申し上げます。これは一生懸命やっておったことは事実であります。ただ、先ほどの発言が不穏当でございましたのですが、実は福岡などにも大阪から相当行って啓蒙といいますか、現地において普及のための会を何べんもしておる、こういうことも実は聞いておるわけでございます。今後とも努力をいたしたいと思います。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが非常に誠実な人柄だということは知っておるのです。答弁も、何というのか、気にいるような答弁をしようというようなことで終始するような人柄でもないということをわかっておるのですよ。しかし、あまりつながりのつかないような答弁をされると、これは指摘せ、ざるを得ないわけです。だから、努力をされて、附帯決議をつけておるけれどもこれが尊重されないということについては、やはり納得いく取り組みの結果を明らかにされるのでなければいけない。これは指導上の問題になりますから、政務次官、お答え願いたい。
  90. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点は十二分に今後の投資育成会社の運営に生かしていきたいと、かたくお誓いを申し上げます。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 それから長官育成会社をつくった目的の中の一番大きい柱は、何と要っても自己資本充実という点にあったと思うのです。そこで、この引き受け後の動向ですが、いわゆる自己資本というのがどの程度充実されているのか、それから業種はどういうことになっているのか。時間の関係もありますから、こういうことはどうかといって私から申し上げませんから、あなたのほうからひとつそういう点について具体的にお答えを願いたい。
  92. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お答え申し上げます。投資会社投資前の資本金でありまするが、一千万円未満が一、一千万円から二千万円未満が三十三、二千万円から三千万円が五十五、三千万円から四千万円が五十三、四千万円から五千万円が四十二五千万円が四十八、計現在の投資先二百三十一ということになっておりまするが、これが投資会社投資をいたしました事後の四十二年の十二月二十一日現在におきましては、一千万円から二千万円未満が一、二千万円から三千万円までが三、二千万円から四千万円が七、四千万円から五千万円が二十七、五千万円が三十一、五千万円から一億円未満が五十三、一億円が三十、一億円から一億五千万円までになっておりますのは九、一億五千万円が二、一億五千万円以上が三、こういうことに成長をいたしております。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 成長をしておる。それはさっき当初お答えになったこの引き受け当時の自己資本の比率と、十二月一日現在の自己資本の比率、それをいまお答えになったわけでしたか。
  94. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 そうでございます。
  95. 中村重光

    中村(重)委員 自己資本の比率はそうですか、借り入れ金の動向というのはどういうようになっていますか。
  96. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 借り入れ金の資料はただいま手元にございません。さっそく取り調べましてお答えいたします。
  97. 中村重光

    中村(重)委員 私は、自己資本と同時に、やはり融資状況というのは重要だと思うのです。どういうところから融資されているのか。これらの企業に対して政府関係金融機関がどの程度の融資をやっているのか。民間金融機関であると、都市銀行であるとかあるいは地方銀行、相互銀行等のいろいろな関係等も出てくるのですね。健全な経営をやっておるかどうか。やはりこれを引き受けた時点と引き受け後のその動向というようなことは、これはあなた方もその後会社育成をしていく上に、あるいは今後新たに株式を引き受ける上についても、やはり基準というような点についても重大な参考事項になると思うのですね。だから伺ったのです。具体的な資料がなければ江沢参考人からでけっこうですが、何か私の質問に対して適当なお答えがなされるならばひとつしていただきたいと思います。
  98. 江沢省三

    江沢参考人 いまお話しの点でございまするが、私どものほうでも常時どの程度成長したかということを調べておるわけでございますが、統計的にはなかなかまとまりにくいのでございます。しかし一例を申しますと、三十九年度に投資いたしました十三社について調べたものを御報告申し上げたいと思いますが、これは三十八年の資本金一〇〇に対しまして、四十一年、二年後には二三二、こういうふうになっております。また売り上げ高をこの十三社について例をとりますと、三十九年度に投資した分につきまして三年間に六割ふえておる、こんなふうに数字としては、ごく一部の数字でございますが出ております。こういうふうな結果は、計数的にはつかみがたいのでありますが、将来長期にわたって徐々にあらわれてくると考えます。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになった点はきわめて重要な問題点なんですね。私どもにいただいている資料にございませんから、いまお答えになったような具体的な点は、もしなかったら何か資料をひとつあとで出していただきたい。そうしませんと、投資育成会社制度というものがどれほどの効果を発揮しておるのかわからない。だから審議をする上についても迫力がないですよ。だからして、投資育成会社について、この制度についてこういうような企業の成長がなされたということ、それがやはり十分な成長がなされておらぬということになってくると、原因はどこにあるのか、運営上の問題であるのかどうか、そこいらもやはりえぐり出すことができると思うのですね。またあなた方もそれをつかまなければ運営できないでしょう。一番大事な点じゃございませんか。だからこういうことは、質問によってお答えするというだけでなくて、資料として出しておかれる必要があると思うのです。
  100. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 詳細な資料は後刻提出いたしますが、若干の数字がございますので申し上げます。一社当たり平均資本金でございまするが、この制度の発足当時、東京の例でとりますると、三十八年度が三千三百九十万円、それに対しまして四十一年度はまあ八千万円ということになっておりまするので、この比率を見ますると、資本金については二三七%になっております。それから売り上げ高でございますが、同じく東京の例で、三十八年度が一社当たり六億一千八百万円、それが四十一年度は九億七千二百万円、平均売り上げ高が、比率で三十八年度対四十一年度をとりますると一五七%という数字になっております。  以上手元にある数字でございますが、後刻さらに数字提出さしていただきます。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 私たちが聞きたいことは、資本装備率であるとか、売り上げであるとか、あるいは利潤率であるとかいうことと同時に、労働者の充足状態はどうなのか、労働者の賃金はどうなっているのか、労働者に対する福祉対策というものはどういうような状態になっておるのか、そういうような全般的な問題を知りたい。また、いま中小企業の中で若年労働力の充足状態というものはきわめて重要な問題です。これが中小企業の生死を左右するとさえいわれる。だからそうした労働力の充足状態、なかんずく若年労働力というものがどの程度充足されてきているのかということ、同時にその福祉対策というものの充足状態について、さすがに政府資金の投資という形においてなされておる企業が責任を持ってそうした問題点に対して積極的な取り組みをやっている、そういうことが知りたいところです。また、あなた方のほうとしても、それらの点に対して十分着目していかなければならない点であろうと思う。お答えができなければ、そういう点も資料として出していただきたい。
  102. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 承知いたしました。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 次にお尋ねしますが、この株式引き受けをこの後やることについて、いままでの経験から反省しても、いろいろあっただろうと思う。そこで、重点的な検討事項としてどういう点をお考えになっていらっしゃるか、この後の選定基準ということについてもあわせてお答えを願いたい。
  104. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 選定基準と、それから株式を引き受けます場合に選定基準の基礎になっておる考え方でございますが、これはこの会社が、自己資本充実させることによりまして中小企業を卒業させていくということをねらっておるわけでございますので、まず株式を証券市場に対して公開をする意思を当然中小企業は持っていなければいけないのは前提でございますが、この事業が成長発展することと、さらに成長発展の基礎になります安定した収益がございますことと、さらにこの収益のもとになっております設備の近代化、合理化、これに対して十分な計画を持っておるということと、それから、当然でありますけれども、独力で、自己資本を調達することがむずかしいということ、ここが基準になっております。その基準の運営の基本は、先ほど申し上げましたように、成長性のある中小企業を中堅企業に育て上げていくということを基本にいたしております。
  105. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになったようなことがこの制度をつくるときの趣旨でもあった。ところがそれは矛盾もある。配当率が二期、三期を通じて一〇%以上であるとか、あるいは利益率が三五%以上であるとかいうのがあるのですね。それほど安定した経営をなし得る企業というものは比較的融資の道が開かれておる企業あるいは自己資金を充足し得る企業なんです。優良な企業といえると私は思う。一方においては、いわゆる自己努力によって資金を充足し得ない企業、それはいわゆる株式の充足の場合もあるいは借り入れの場合もいえるだろうと私は思うのです。そういうものでなければならないのだということ、そこに私どもは矛盾を感じる。だから配当率が二期、三期を通じて一〇%以上であるとか、利益率というものが三五%以上であるとかいうようなこの基準と、それから独力でいわゆる資金を充足し得ない企業というもののウエートは選定にあたってどちらに多くかかってきているのかということです。それはやはり問題点であると思うのですが、そこらあたりをひとつ明確にしておいてほしいと思う。
  106. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この会社で引き受けますことによりまして中堅企業に成長させていくということでございますから、成長性が一番大事であると思います。その成長性が大事であるということになりますと、成長性を判断いたします――全部ではございませんが、一つの重要な要素として、利益配当というものが出てまいると思います。それから自分でもって資金が調達できないということは絶対的な要件でございまして、国の制度として補完的な制度でございますから、これは絶対的な要件であると思います。
  107. 中村重光

    中村(重)委員 結果としては配当というものを一〇%以上二期、三期にわたってできるかもしれない、あるいは利益率というものも、おっしゃるように三五%というような形で充足できるかもしれない、成長した暁においては。しかしそういう企業はいわゆる自己資金というものを充足し得る企業であるというように考えることが常識ではないでしょうか、いまの中小企業の実態からいって。だから配当がいま言うように一〇%以上、それから利益率が三五%以上ということ、これが絶対的な要件であるということになってくると、自分でもって資金を充足し得ない企業という、その要件とぶつかってくると私は思う。なかなかその判断がむずかしくなるんですよ、投資育成会社としても。だからいままで二つの要因ともに十分これを満たしておる企業投資をしてきたのかどうか、これは会計監査上の問題ということにもなってくるだろうと私は思うのですよ。その点はひとつ長官からお答え願わなければなりませんが、実際現場でこの引き受けをやっていらっしゃる江沢参考人としては、矛盾はお感じになっておられないのかどうか、いままでは二つともどういう形でこれを満たして引き受けてこられたのか、ここいらをひとつお答え願いたい。
  108. 江沢省三

    江沢参考人 ただいまのお話の引き受けの選定基準、これは私ども厳重に守っております。しからば、そういう優良な企業であるならば、自分で金の調達ができるのではないか、こういうお話でございますが、それが五百万、六百万という資本金ですと、何とか親類縁者でもって持ってもらって、資本の調達ができるわけでありますが、二千万、三千万ということになりますと、同族会社といたしましてはこれはなかなか困難であるというのが多いように思います。そういうことで、この条項が満たされるものが私どものほうの関係者として入ってくるわけであります。  それから、これまた以前長官が御説明になりましたが、非常に有望な事業である、また成長性もある、しかし現実に一〇%の配当はまだしていない、こういうものもあるわけであります。私どもとしましては、できるだけ広くこの制度を利用していただきたいという気持ちは一ぱいでございますが、そういうものについてしばらく私どものほうで御指導し、あるいは育成すれば何とか基準に合うだろうというような企業があるわけであります。こういうのは転換社債という制度がございまして、これによってしばらく四、五年お世話をいたしまして、それから適格になったようなときに新株引き受けというようなかっこうに持っていくというふうなこともやっておるわけでございます。私どもは、何とかこういうかっこうで今後もやっていけるのではないか、こんなふうに思っておる次第でございます。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、実はきょうは時間がありますと、財政法で当初議論になっておった点もありますから、その後いろいろ検討しておられればお答えを願いたいことが一つと、いまお答えになりましたこの二つの要件を満たしたものということについて検討する必要もあるのではないかというような気もいたします。そうしませんと、これをあまり固守されると、非常に有望な企業であるけれども配当が二期、三期にわたって、いわゆる一〇%配当がなされておらない、利益率も三五%あがっておらぬということをもって、この株式引き受けをしないということには問題があるように思う。なるほどいまお答えになりましたように、五百万か一千万までならば銀行融資というようなこと、あるいは株式の引き受けをしてくれるものもおるだろう、しかし何千万ということになればむずかしい、こう言われた。そういう点も確かにある。あると思うのだけれども、その資本金をふやしていく場合に、中小企業、いわゆる小規模企業資本金三千万とか四千万というような企業でなくて、一千万以下の企業とかあるいは一千万前後という企業は、五百万にしても一千万にしても自己資金をふやしていくというようなことはそんな簡単なものじゃないと思う。だからして選定基準というものは経済の動向ということ、それから中小企業の構造変化ということ、いろいろあるわけだから、そういうような点も十分踏まえて再検討する必要もあるのではないかと私は思う。だからして、あまり固守されないほうがいい。生きて活用していかなければいけないのじゃないですか。そういうように私は感じます。私の申し上げていることに矛盾があるならば御指摘願いたいと思うのだけれども、もし御指摘申し上げているようなことで確かに検討の価値ありとお考えになるならばお答え願いましょうし、何回も申し上げましたように、この制度というものをできるだけ幅広く深く有効なものに育てていかなければならないと思います。いま置かれておる中小企業の体質改善はなかなか思うようにまいりません。だから、せっかくつくられているこういう制度が、ほんとうに当初の趣旨に沿いますように、目的を十分果たし得るような制度として、私どもは政府と一体となって対処してまいりたいと思いますから、そういうことについて、ひとつ政務次官のお答えを願って私の質問を終わります。
  110. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点は十分検討するに値する御意見だと思います。ただ、先ほど参考人のほうから答弁がありましたように、利益率の少ない会社にはいわゆる転換社債の引き受けということで、これは原則として一応二、三期における配当率あるいは利益率においても非常に少ないものを救済しておるということでありますから、この運営を考えながら、同時に基準をゆるめると、今度はいい基準のものにも十分いかない、そこら辺の関係、やりくりがなかなか骨が折れるだろう。私もこれに取っ組んでまだ日が浅いわけでございますから、御指摘の点は十分検討さしていただきたい、このように思います。
  111. 小峯柳多

    ○小峯委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小峯柳多

    ○小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑はこれにて終局いたしました。  参考人には御多用中のところ長時間にわたり御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  次回は、明後二十九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会