○加藤(万)
委員 第四の問題を御
質問申し上げます。
枝村
委員並びに私の
質問ないしは
大臣とのやりとりを通じまして、私は、
全国一律
最低賃金制の今日的意義を本
委員会で述べてまいりました。またわが党は、
全国一律
最低賃金制を基本とする
最低賃金法の提起をしているところであります。私どもこの問題を提起しておりますゆえんは、実は単に今日こつ然と本法を提起したのではありません。
昭和三十二年に開催をされておりました当時の
中央最低賃金審議会でも、私どもの
委員を通して、
わが国における
最低賃金制は、全
産業、
全国一律の
最低賃金制こそが低
賃金構造を打ち破り、しかも実効性のある
最低賃金法案であるということを提起をしてまいりました。そして
全国一律の
最低賃金制については、当時の
審議会はこういう
答申をいたしているのであります。
最低賃金制の基本的な
あり方については、将来の問題としては全
産業一律
方式は望ましいものであるが、とこう言っているのであります。すなわち、いまから十年前、すでに
わが国の
最低賃金制の基本的な
あり方としては、全
産業一律
方式が正しいということを
答申は述べているのであります。当時の
経済的な、社会的な条件がありましたから、将来という疑問符はついております。しかし、十年たちますと、将来というものは消えているのであります。すなわち、三十二年に
答申を受けた
全国一律
最低賃金制が望ましいというその中の将来ということばは、
昭和四十三年に至っては、今日に直しても私は差しつかえないと思うのであります。しかも、高度成長期における諸点を私は申し述べまして、その中で高度成長期における池田内閣の
労働大臣である大橋
労働大臣は、
労働者側の代表等を通して、あるいは
国会でのいろいろな発言等を通して、それらをつなぎ合わせてみますると、若干の例外を除いては、一律制も
わが国において可能であるという
意味にとれる発言を幾たびかいだしておるのであります。そしてまたその話の中で、四十年春ごろからは改正の準備を始めて、来年度の通常
国会にはその考え方に基づいて
提出をしてもよろしいとまで、労働代表間の話では、言明をしているかに聞いておるのであります。だとするならば、
全国一律
最低賃金制は、
昭和四十二年の段階で、
国会の論議にならなければならなかったのでありましょうし、また
賃金審議会の
答申等を見ましても、この時期に、すでに
全国一律
最低賃金制が可能であるということをいみじくも述べているわけでありますから、今日の改正にあたっては、当然私どもは全
産業、
全国一律の
最低賃金方式による
法案が提起をされるものと期待をしておったのであります。
審議会の経過や
政府の見解はこのとおりでありました。
一方、
わが国の
経済条件はどうであったでしょう。三十二年ころから比べて、三十八年の高度成長期、所得倍増政策、
わが国の鉱工業の生産
水準は実に世界の第三位、しかも、国民所得の面では世界で二十一位前後というわけでありますから、この鉱工業生産の世界第三位と国民所得の二十一位との
格差を埋めるのは、結局低
賃金構造をどういう形で手直しをし、国民所得を、世界第三位にふさわしい所得に変えるかということが問題になっていかなければならないわけであります。すなわち、
経済の面から見ましても、あるいは政策的な面から見ましても、今日
全国一律の
最低賃金制をつくることは、決して不可能な条件ではないという客観的な条件にあると私は思うのです。したがって、こういうことが結果的に、わが党の
全国一律
最低賃金制は実効性があり、しかも可能な条件を備えているというように今日の条件はつくってまいりましたし、またそれに伴って、たとえば公明党さんにおきましても、
全国一律の
最低賃金制を指向する、こういう
法案が提起をされ、また民社党におきましても、大筋においては
全国一律の
最低賃金制について賛意を表せられているかのように私どもは承っているわけであります。
そこで、私はこの際、このような事実と経過の上に立って
労働大臣にお聞きをいたしますが、
全国全
産業一律の
最低賃金制を基本とするよう、
中央最低賃金審議会にあらためて諮問する考えはないかどうかお伺いをいたしたいと思います。