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田邊委員 この
指導、指示が、いわば何か押しつけのような、命令のような印象を与えておるのであります。法六十二条にあるように、被保護者は
指導、指示に従う義務があることはもちろんであります。しかし、この
生活保護法の
指導、指示を行なうという
原則は何かと言えば、これは六十二条じゃございません。これはあくまでも二十七条であります。それによって、
指導、指示ができるというふうになっておるのであります。しかも、二十七条二項は、「前項の
指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。」、第三項には「第一項の規定は、被保護者の意に反して、
指導又は指示を強制し得るものと
解釈してはならない。」、これが
基本であろうと思うのです。ところが、六十二条を強調し、これに従う義務制を何か重んじるあまり、これに対して強制力を持つような印象を第一線の
職員が持つことは、これは非常に危険だろうと思うのです。私は、もちろん保護家庭が何か安易に流れ、ただ保護を受けていればいいというような
状態へおちいることは避けなくちゃなりません。自立更生をしようという意欲を持たせることは必要であります。しかし、そのことと保護の打ち切り、停止とは、これはもう全く似て非なるものであります。そういったことから言いますると、もちろん法を
たてまえとしていますから、ここの
指導要領に——
法律を考えなくても、これはもうケースワーカーもみんな知っているんだ、こうあなたはおっしゃるかもしれない。しかし
現実に、いろいろな面における締めつけと称して、実は何か打ち切りを強制されやしないか、こういう観念を与えているのは、現場の
職員があまりにも職務に忠実だからであろうと思うのです。しかし、そこにやはり一項起こして、常にその
基本は二十七条である、被保護者の自由な意思というのは尊重するんだ、決してこれは強制するものでない、こういう精神というものを常に生かせるような、そういう
指導がなされておらないところに、どうも
局長がおっしゃるような
考え方というものが下部へ徹底していない
状態があるんじゃないか、私はこういうように思うのです。私は十数年前からこの問題に対して注目をしてきて、一時ほど福祉事務所の
職員等に対する非難は少なくなっているように思いますが、しかし、まだやはりそういった
考え方というものが被保護世帯にあるといたしまするならば、私はやはり、これらの実施要領等を作成をし下部を
指導する場合に、法の
基本というものに対して常に触れておく必要があるんじゃないか、こういうように思いまするけれ
ども、どうでございましょう。私の
意見というものをあなたが受け入れられて、さらにひとつ今後の適切な
指導の材料にされる御用意がございますか。