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1968-04-18 第58回国会 衆議院 社会労働委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十八日(木曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 佐々木義武君 理事 田川 誠一君    理事 橋本龍太郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 河野  正君 理事 田邊  誠君    理事 田畑 金光君       大坪 保雄君    海部 俊樹君       齋藤 邦吉君    澁谷 直藏君       田中 正巳君    竹内 黎一君       増岡 博之君    箕輪  登君       枝村 要作君    加藤 万吉君       島本 虎三君    西風  勲君       平等 文成君    八木 一男君       山田 耻目君    山本 政弘君       本島百合子君    大橋 敏雄君       伏木 和雄君    關谷 勝利君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君         労 働 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         厚生大臣官房長 戸澤 政方君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省医務局長 若松 栄一君         厚生省社会局長 今村  譲君         労働大臣官房長 石黒 拓爾君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         警察庁保安局保         安課長     鍛冶 鉄人君         自治大臣官房参         事官      皆川 迪夫君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 四月十六日  委員八木一男辞任につき、その補欠として野  口忠夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として八  木一男君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員田中昭二辞任につき、その補欠として大  橋敏雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十六日  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五二号) 同日  医療保険制度改悪反対等に関する請願實川清  之君紹介)(第三九九二号)  同(山口鶴男紹介)(第三九九三号)  同(山口鶴男紹介)(第四〇四六号)  原爆被害者援護法制定に関する請願竹本孫一  君紹介)(第三九九四号)  原水爆被害者援護法制定等に関する請願(永末  英一君紹介)(第三九九五号)  せき髄損傷障害者援護に関する請願内田常  雄君紹介)(第四〇三六号)  外傷性せき髄損傷障害者援護に関する請願  (内田常雄紹介)(第四〇三七号)  引揚医師の免許及び試験の特例に関する請願  (大坪保雄紹介)(第四〇三八号)  同(世耕政隆紹介)(第四〇五一号)  同(加藤万吉紹介)(第四一一八号)  特例老齢年金制度改正に関する請願中嶋英夫  君紹介)(第四〇三九号)  同(平林剛紹介)(第四〇四〇号)  同(大出俊紹介)(第四一一五号)  同(野間千代三君紹介)(第四一一六号)  同(加藤万吉紹介)(第四一一七号)  医療労働者増員及び労働条件改善等に関する  請願川上貫一紹介)(第四〇四一号)  同(田代文久紹介)(第四〇四二号)  同(谷口善太郎紹介)(第四〇四三号)  同(林百郎君紹介)(第四〇四四号)  同(松本善明紹介)(第四〇四五号)  老齢福祉年金増額等に関する請願外二件(世  耕政隆紹介)(第四〇五二号)  同外二件(渡海元三郎紹介)(第四〇五三  号)  同外二件(堀川恭平紹介)(第四〇八二号)  同(荒舩清十郎君外二名紹介)(第四一一一  号)  同外四十件(船田中紹介)(第四一一二号)  医療保険制度における助産の給付に関する請願  (山下元利紹介)(第四〇六〇号)  医師、看護婦増員に関する請願井岡大治君  紹介)(第四一一三号)  同(阪上安太郎紹介)(第四一一四号)  ソ連長期抑留者の処遇に関する請願小坂善太  郎君紹介)(第四一一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  清掃施設整備緊急措置法案内閣提出第三五  号)  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  3. 河野正

    河野(正)委員 最近合理化政策がだんだん進んでまいりますと同時に、それらを受けて、企業内の一部業務というものが下請業に出されるという傾向というものが非常に強まってまいりましたことは、御承知のとおりであります。   〔委員長退席田川委員長代理着席〕 ところが、そういう下請あるいは合理化政策の善悪は別として、そういう政策が進んだためにこの現行法が著しく犯される、こういう傾向が出てまいりましたことは、まことに遺憾だと考えておるところでございます。特に先般来も、国鉄の下請問題、あるいは北九州市立病院下請問題、それからさらには、この特会法を中心としていろいろ論議されました国立療養所あるいは国立病院下請問題、こういう問題が具体的に出てまいりますし、さらにまた、そういう具体的問題の中で職業安定法違反という具体的な事実もだんだん出てまいっております。そこで私どもは、合理化政策なり下請問題の是非は別として、いやしくも職業安定法違反という形でそういう政策が進められることについては、これはもう法治国であります以上は、われわれの全く容認することのできないところであります。特に医療問題については、この医療業務の一部が下請に移されるために、医療本質というものが大きく阻害されるという事態がございますので、そういう意味医療問題におきます下請問題というものは、きわめて私は大きな意義を持っておると思うのです。そういう意味で先般来、北九州市立病院におきます給食業務を民間に委託する問題、それからさらには特会法をめぐって国立療養所国立病院業務の一部、特に国立療養所国立病院清掃と寝具について論議を進めたわけでございますけれども、そういう問題の中で職業安定法違反が行なわれる、あるいはまた、そういう職業安定法違反が行なわれるのみならず、一方におきましては医療本質というものが大きく阻害される、そういう意味で私どもは、この問題を国民医療という問題からきわめて重視をいたしておるところでございます。それらの点について先般来いろいろ論議をいたしたわけでございますけれども、まことに残念でございますけれども、私の満足のいくような御答弁が得られなかったことは御案内のとおりでございます。したがって、いま申し上げましたような私ども見解に対して、さらにひとつ御見解をお聞かせいただければ幸いだと思います。
  4. 園田直

    園田国務大臣 過日大蔵委員会河野委員が御質疑をされまして、病院清掃業務等委託をめぐる管理運用面において、職業安定法違反の問題を指摘されましたが、運営の責任者としてはなはだ遺憾でございます。労働大臣協議の上、早急に善処いたしたいと存じておりますが、病院の使命から見て、これらの業務原則として直営で行なわれるわけでございますことは、御指摘のとおり当然であると考えますので、今後はこの原則に立ち、厳正に行政指導をなし、再びかかる事態が起こらないように十分注意してまいる所存でございます。なお河野委員から御指摘をいただきました、現実に行なわれている委託業務実態については、直接係官をして調査を実施をさせ、職業安定法等違反する事実その他不適切な事態があれば、これを直ちに改善するよう、これまた強力な指導をしたいと考えております。
  5. 小川平二

    小川国務大臣 過日の大蔵委員会における河野委員の御質疑に対します私の発言が、病院管理運用面における職安法違反の問題を容認するかのごとき誤解を招いたことははななだ遺憾に存じます。その後清掃業務委託の事情について聴取いたしましたところ、問題の病院経営管理指導要領に定められております清掃委託の条項は、職安法施行規則第四条に抵触するものと考えられますので、直ちに厚生大臣是正方を申し入れると同時に、清掃業務委託実態について、職業安定機関をして査察の上、違反の事実については厳正な処置を講じさせることといたします。
  6. 田川誠一

  7. 田邊誠

    田邊委員 最初に、ただいま問題になりました国立療養所病院特会移行関係をする問題に対して、現在参議院法案審議中でありますけれども、これに関連をいたしまして、予算が成立いたしましたけれども特別会計移管法律が施行されておらないことを理由にいたしまして、現在国立療養所の諸君に対する給与支払いしておらない、あるいはまた療養所内のいろいろな支出が渋滞をしているということを聞き、非常に憂慮いたしておるわけでございます。この問題は、こういう事態が起こり得るということはいろいろな場面で予測をできたはずであります。予算が通過をして法律が通らない、あるいは逆に法律は通過したけれども予算の執行はできない、こういうことは当然予測できる問題でございますけれども、今日の事態は、その性格上からいいまして人命にも関する問題であり、一つは、給与支払いをしなければならぬという一般職職員給与に関する法律たてまえからいいましても、遅延、不払いは当然なし得るものではない、こういうふうに私どもは考えておるわけでありますが、大臣ひとつ、この問題非常に深刻でありますけれども、一刻を争う問題でありますから、この事態解決のために、園田さんあなたは一体どういうようなお考えと努力をされようとしているか、この際ひとつ承りたいと思います。
  8. 園田直

    園田国務大臣 一般会計から特別会計の繰り入れの時期について、このような事態を起こしましたことはまことに遺憾でございまして、かといって、ここに働いておられる二万数千名の方々及び患者給食、投薬ということを、一日もゆるがせにするわけにはまいりません。しかしながら、暫定予算に組みましたこの種の支出が本予算の成立によって吸収をされまして、これを支出するについてはいろいろ問題が出てまいりますし、また支出をしなければ現実に問題が出てまいりますので、数日前から、何とかして俸給の支払い日である十七日に、格別の方法を講じて患者並びに働いておられる職員の方に御迷惑をかけないように努力をしてまいりました。昨日処置すべきものを本日まで持ち越したことはまことに残念でございますが、本日中には何とかしてこれを解決したいと努力をしております。
  9. 田邊誠

    田邊委員 この際でございますから、多くを私は問いただそうとは思わないのであります。しかし財政法予算総則たてまえ等をたてにとってこの事態解決を遷延することは、私は、いま申し上げた中身でありますから許されない、このように考えているのであります。財政法違反といいますけれども財政法予備費支出にいたしましても、あるいは移流用にいたしましても、これは大臣決意努力があれば、大蔵大臣協議をし閣議決定等を経るならば、これはでき得ると私ども解釈をいたすのであります。財政法違反だといいますけれども、それをたてにとるということを言っておりますが、しかし明らかに給与法違反であることもまた事実である。したがって、いわば両者板ばさみということになっているかと思いますけれども、しかしどちらが重いかといいますれば、これは当然、職員給与を支払う、あるいは病院のいろいろな支弁をする、これが私は、厚生省並びに厚生大臣に課せられた何といっても最大の責務ではないか、こういうように思っているわけでございます。  したがって、いま大臣から、ひとつ早急の機会にこれが解決のために努力いたしたいということでございます。私はこの法律案審議を通じて、厚生大臣がいろいろ努力されたことは承知をいたしております。ただ、大蔵当局はいわば金の支出をがえんじないという、こういういわば頑迷固陋考え方に大きな障害があることもまた現実の姿でございましょうが、しかしあくまでも私は、主務大臣としてこの解決こそがあなたに課せられた政治的な責任であり、園田大臣であれば、私は当然努力によってこれができると確信をいたしている。したがって、新聞等で、何かしらこの法律が通っておらないことがこの事態を招いた責任であるかのごとく、実は印象づけられるような談話が厚生省等から発表されていることは、私はあくまでも筋違いであると思っております。そういう事態は万々いろいろな面で予測をしなければならぬ。その場合における救済措置は当然あり得るのであります。財政法上こまかく私どもがいろいろ検討いたしましても、当然あり得るのであります。大臣やはり措置努力を怠ってはならない、こういうように私は考えているわけでございまして、これらのことを勘案した上で、いまの大臣言明は私は生きてくるだろう、こういうふうに思うわけでございますが、そういう立場に立って検討をされるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  10. 園田直

    園田国務大臣 支払いをきのうできなかったことは、これは給与法違反のおそれがございます。また一方、議決のない支出をすることは違反であるという意見もございます。私は国会議決がかりになくても、暫定予算は通ったものであるし、本予算も通ったものであるし、国会の御意向は、払わなくてもよろしいという御意向でなくて、払ってもよろしいという御意見もありますけれども、何にいたしましても、そういう解釈上の問題で手間をとらして、実際に必要なお金職員の方や患者に渡らないことは全く重大な問題でありますから、そういう論議等にかかわらず、何とか方法を講じてとにかくお金が本日中には渡るように、御指摘のとおり全力をあげて努力をいたします。
  11. 田邊誠

    田邊委員 この問題はこれ以上追及をいたすことを避けまするけれども、人事院が便法支給期日を変更するという措置をとる。これはあくまでもただ単なる形式上の便法でございまして、そのことによって問題が解決するわけではございません。参議院審議状態等ももちろんあります。ありますから、われわれとしては、これらの問題に対しても、やはりそれぞれ与野党を通じて努力をいたさなければならぬことは承知をいたしておりまするけれども、いずれにしても、そういったことに籍口して大臣努力を怠ることは、まかりならぬと思っておるわけでございまして、いまの大臣言明を私はしかと心に受けとめて、その成果を注目しておりますので、ひとつ最大努力をいたされることを特に要請をしておきたいと思います。  それでは、きょう私は、国民の最も底辺におりまする生活保護人たちに対して、政府があたたかい手当てを講じなければならぬ。この実態を把握をいたしまして、これに対して憲法二十五条に基づく最も正しい行政指導政府がやらなければならない、こういう観点で質問をいたしたいと思っておるわけでございます。  大臣、ついせんだっては筋ジストロフィーの患者の大会に出られて、あなたはこれらの問題の解決のために努力をするというふうに衷情を披瀝したことを、私は報道関係を通じて拝見をいたしました。私は厚生大臣のその面におけるところの誠意を信じておるわけでございまするが、何といっても、やはり日本の現在の高度成長の中でも取り残されつつある生活保護人々、それに類するボーダーライン層人たち、こういう人たちに対して、よりあたたかい手当てを講じなければならぬことが、現在の日本の政治に課せられた最も大きな任務だろうと思うわけでございまするが、大臣、これらの人々に対してどういうような考え方で今後対処していかれるか、ひとつ御決意のほどをまず承っておきたい。
  12. 園田直

    園田国務大臣 厚生行政全般、特に社会保障福祉政策については御指摘のとおりでございまして、日本の今日までの現状が、先進国西欧諸国に比べてばかりでなく、現実状態からして非常に不十分であることは御指摘のとおりでありまして、これはよほどわれわれ当事者が決意をし、各位の力をかりていろいろな方法を講じなければ、なかなかたいへんなことであると考えておりますが、特にその社会保障の中でも、いま御指摘生活保護基準というものは、大体社会保障のバロメーターでありまして、これが社会保障の中の一番基盤になるものだと考え、今年度予算につきましても、この点に特に注意をしてやったのでございまするが、その結果は必ずしも私は満足すべきものでなかったことは、まことに残念でございます。
  13. 田邊誠

    田邊委員 いま、大臣も披瀝をされましたとおり、生活保護基準の問題にいたしましても、生活保護者に対するいろいろな手当てにいたしましても、もちろん国は国でもってその責任を明らかにして、いろいろ手当てを講じておると思います。しかし私は、これは厚生省の担当が局長以下おりますけれども、最近ややもすればイージーゴーイングに流れがちではないかという心配をいたすのであります。まあ、そういうふうでないと言われるかもしれませんけれども、何かしら生活保護基準の改定にいたしましても、あるいはその行政指導にいたしましても、形式的に流れがちではないかという気がいたすのでありまして、そういうことのないようにぜひひとつお願いをいたしたいと思っておるのであります。  大臣は、いろいろ参議院との都合もございまするから、退席をされてもけっこうでありまするけれども、またきょうはこまかい数字等もお示しをいたしますので、あなたがおられる際にひとつよくお聞きをいたしまして、その結果によって、私は大臣の今後の施策に対して一つの提案をいたしてみたいと思っておりますので、ぜひそういうようなお計らいをお願いいたしたいと思います。  そこで社会局長にお伺いをいたしますが、きょうあと法案審議もございまするので、全部意を尽くすことはできないと思いまするけれども、今後数回にわたって事態の究明をはかり、いろいろな面における検討をさせていただきたいと思っておりますので、ぜひそういうふうに端的なお答えをいただきたいと思う。それからいろいろ数字のやりとりもありまするから、わからないところは次回に持ち越していただいてけっこうでございまするから、検討していただくということで、あまり時間をかけないように運んでいきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず一番基本になりますることは、生活保護基準を一体どこに置くかということでございます。大臣委員会等における答弁をお聞きしておりまして、本年度一三%の保護基準引き上げはきわめて合理的のようなお話を実はされておるのでありますけれども、これはまことにナンセンスであります。いま大臣が言われましたように、結果的には非常に不十分だという御答弁が、私はいわばその率直なお答えではないかと思っておる。厚生省は毎年予算要求をいたすのでありますが、今年度予算概算要求をいたしました際の根拠になりました二五%増という数字というものは、一体どこに根拠がございますか。
  14. 今村譲

    今村政府委員 お答え申し上げます。実は二五%というのは、政府全体で来年度予算というものに二割五分というようなワクもかかっております。一昨年は三割でございました。こういうふうなことは、ほんとうならば、七月の省の予算編成までに、たとえば四十二年度あるいは四十三年度物価とか国民消費水準伸びとか——これはFIESという総理府でやっております。あの利用できる数字というものが、ほんとうは、できれば七月までにかちっと計算して出したいわけでございます。ところが実際は、七月の状況で利用できます物価なりFIES実態分析なりというものは、たとえば四十三年度予算編成を例にとりますと、去年の七月に出さなければならぬときに利用できるのは、その年の一月か二月のものです。したがって、四十二年度統計資料はほとんど使えない、こういうふうな状況でありますので、非常にむずかしい問題ではありますが、二割五分という目一ばいのワクをとった。そうしませんと、省全体で二割五分かかってまいりますので、ワクをとっておいて、実際に大蔵省で説明をし、それから予算折衝に入るのは、例年であれば十二月の下旬、二十日前後ということになります。そうすると、十二月でも上旬か中旬に経企庁経済見通しというのが出てまいります。厚生省経企庁経済見通しが出ますと、物価あるいは国民消費水準伸び、総生産とか、雇用関係とか、いろいろな関係がありますが、その辺で初めて政府の姿勢というか、財政の指針みたいなものができる。そうして十二月くらいになりますと、六月、五月くらいのFIES分析がやっと出てくる、こういうような状況でございます。最初大蔵へ持ち込むときに、一五一何%とか一八とか数字が上がりにくい状況にある。一応ワク要求をしておる、こういうことでございます。   〔田川委員長代理退席委員長着席
  15. 田邊誠

    田邊委員 それで、結果として一三%増に基準引き上げはなっておるわけですが、これは具体的な科学的根拠というのは、何か大臣はいろいろ言っていますね。言っていますが、物価の動向、国民生活水準の向上、雇用賃金アップ等をいろいろ勘案いたしますると個人別には一二・九になるというのは、何ですか、これは。
  16. 今村譲

    今村政府委員 申し上げます。これは三十五年までは厚生省では物価のいわゆるマーケットバスケットをとっておったわけです。それで、イワシが何匹とか何が何匹とかとやっておったわけです。ところが、そういう物量計算というものは、たとえばイワシアジにかえたいと言っても、カロリーは同じじゃないかということで、非常に伸びが悪い。三十九年の暮れに生活保護分科会、これは社会福祉審議会の中にありますが、そこからそういうふうな物量の積み上げなんてものは時代が古い。国民生活全般生活がどんどん伸びているというときに、なぜイワシアジにかえなければならぬのかという議論をしておったのではだめだ。それで、FIES全国平均水準がどういうふうに上がっていくか。特に第一・五分位とか第一・十分位、これは一千万が第一・十分位ですが、その辺がこういうふうに上がるなら、それにさらに同じように追っかけて格差是正をプラスアルファしなければならぬ。こういうふうなマクロ的なものの考え方をしないといつでもおくれる。現に労働組合あたりでは、マーケットバスケットというのは、終戦後盛んにはやりましたが、二十七年にはほとんどやめてしまった。そんなことではとても伸びないという中間報告がありまして、それでマクロ方式に変えたわけであります。今度一三%の問題につきましては、その目安としては、経企庁明年度国民全体の消費支出が一四%伸びる。ところが、人口もふえておるわけです。したがって、国全体がたとえば一四%ふえでも人口が一四%ふえれば前年と同じことで、ひとつも個人的にはふえない。ですから、人口が一%ふえる、一億で約百万人ふえるという経企庁見通しがありますので、一四%割る一・〇一、人口伸びがありますので、それを一人当たりに割り戻してみると一二・九になるということで、そういう算式をして一人当たりならばどのくらいになるかという計算をするわけです。そういうのが一二・九ということでございます。
  17. 田邊誠

    田邊委員 それはあまりにもいわば総括的な話でありまして、あくまでも保護基準というものは、いわゆる科学的な根拠に基づいてやらなければならぬと思うのです。それに加えて問題は、政治的な判断をどうするか。その政治的な判断というのはどこかといえば、いま局長言われた格差是正をどのくらいにしていくかということではないかと思うのであります。これはいわばエンゲル係数に代表される問題である。まあ、これも数年前からこの問題に対して、わが党の八木先生等も専門にいろいろとお聞きをしておるわけでございまするが、厚生省自身が、これに対する一つの将来にわたる見通し、計画、これを持ってないところに非常に弱みがあるのじゃないかと私は思うのです。これは社会保障制度審議会の十年後にわたる一つの青写真というものは、すでにもう半ばを過ぎておるわけであります。したがって、あともう五年足らずの間に欧米の社会保障水準に到達すべきである。三十八年当時でですね。こういう勧告は一つの契機になっていることは事実でありまするけれども、これを受けて、一体厚生省はこの保護基準に代表される国民の底辺の引き上げは、一体どういうふうにしようとするのか。たとえばエンゲル係数はだんだん縮まってきているのだ。縮まるという言い方は悪いですが、だんだん小さくなってきております。が、一体将来は、あるべき姿としては、この格差是正の中身というのはどこに目標を置くのか。そして今年度は一体努力目標としてここまでひとつ到達しようじゃないか、こういういわば計画と目標なしに、ただやみくもに経企庁数字に基づいて、これによって国民生活のいわば基準の中に当てはめておるということは、私は、どうもやはり一つの独自性というか、計画性があまりにも之しいのではないかという気がしているわけですけれども、この際局長どうでしょう、私が前々から提案をしているわけですけれども、あなた方のほうにおける確固たる五カ年計画なり十カ年計画なり、そういうものを立てて、景気の変動、物価の上下、いろいろありましょうけれども、あくまでもその目標に向かって邁進をするという、そういう気概と計画性がなければ、私は生活保護基準を全体的に引き上げていくということはできないのじゃないか、こういうように思っているわけですけれども、どうでしょう。
  18. 今村譲

    今村政府委員 お答え申し上げます。一番ポイントを言っておられるわけでありますが、その点は私ども率直に申し上げますと、外国の事情、それから生活保護本質を考えて、いろいろ迷っているところでございます。というのは、たとえばイギリスあるいはドイツというふうなところで生活保護基準というふうなものはどうか。イギリスでいきますと、一般の世帯の生活水準から見まして大体五八%くらい。ドイツにおきましては、これは連邦全体ではありません、州によって違いますが、保護基準が六〇%から六一%くらいというふうな状況にあります。それで問題は、日本の場合にどうかと申し上げますと、経過を申し上げますと、たとえば昭和二十八年というのは一般の勤労者の四八%であった。それがどんどんと下がって、国民生活のほうは急激に伸びる、生保は伸びないということで、昭和三十五年には一般勤労世帯の三八%まで下がってきた。そこで、ちょうど所得倍増計画の発足にあたりますが、三八%ではどうにもならぬではないかということで、私どもはその当時せめて五割に首を出すというかけ声のもとに、毎年一八%とか二〇%とかをやって、財務当局といろいろ話をしてまいりました。そして四十年度にやっと五〇・二、四十一年度に五一・七、四十二年度には、これは十二月までしか統計ができておりませんが、統計によりますと、五二・五というところまでこぎつけた。こういうことで、やっと首を出した、五〇台を切ったという状況でありますが、これから先、たとえばドイツあるいはイギリスのように、五八でいいのか、六〇でいいのかというふうな問題があります。それから、もう一つ考えなければなりませんのは、私ども非常に苦労しておりますのは、一般国民が、例の所得倍増計画が三十六年から発足しておりますけれども、たとえば前年度の三十五年を基準にしますと、一般勤労が四十二年までの生活水準伸びというのは、名目で二一一%、実質が一四二というふうなものに対して、生活保護は毎年相当十数%ずつ積んでまいりまして、一般国民の二一一に対して四十二年度は二四四・九、約二四五、実質は一般の一四二に対しまして一八五%、四〇%ぐらいに追い詰めてきた、こういうふうなかっこうでありますが、必ずしも所得倍増計画のようなかっこうには、一般国民伸びというのは、実質でまいりますといっておらないというような状況、その辺ともにらみ合わせながら、少なくともいわゆる一番下の第一・十分位というものの生活実態に並行して持っていって、さらに上乗せプラスアルファをつける、その辺の状況努力しているわけでございます。ただ、これが五八でなければならぬ、六〇でなければならぬということは、これは非常に大きな政治問題でもあろうと思いますので、私どもとしては、まだそこまでのめどがつけられない、その年の国民生活状況に応じてプラスアルファをつけるということに努力してまいる、こういう状況でございます。
  19. 田邊誠

    田邊委員 考え方としては私ども意見に同調されておるわけですけれども、これはまだやみくもだろうと思うのです。五八がいいか六〇がいいかという論議そのものよりも、当面の目標としては、やはり五八なり六〇なりというものを掲げて、それに対して追いつく計画は一体どうするか、こういう形にならぬと、やはり弱い、迫力がない上私は思うのです。ですから、やはり毎年幾らかの何か格差是正をしているというけれども、実質的な面ではなかなか向上をはかれない、こういう形になってくると私は思うのです。そうすると、局長の話というのは、やはり百尺竿頭一歩を進めて、さらに目標を掲げ、具体的な目標に到達するプロセスを毎年どうやってつくるか、やはりこういう要求をしていかなければならないのじゃないかと私は思うのです。ですから、予算折衝の両で、財政硬直化である、予算が足らないというような形で、この程度でひとつ基準をおさめようじゃないかというような、いわば足して二で割るような形というものだけで終わっているのは、やはり何といっても本来の行き方じゃない、私はこういうふうに思っておるわけでございまして、その点に対してはさらに一考をわずらわしたいと思っておるわけであります。  そこで、今年度新しく改定をされたわけですけれども、一応昨年度までの現状把握をいたす中で、一体これで最低生活を保持できる状態になっているかどうかという点に対してひとつお聞きをしてみたいと思っておるわけでございますが、生活保護の中における柱は、何といっても生活扶助であります。生活扶助の中でいろいろと問題が多く山積をいたしておりますけれども、やはりその中心は何といっても食であります。食でありますけれども、この食を維持する上に立って、栄養とカロリーがこれでもって一体どのくらいまかない得るのか。現在その根拠になっているのは、三十八年一月二十五日の栄養審議会における答申であります。さらに栄養審議会は、その後における四十五年を目途とした栄養基準量を出しておるわけでございますけれども、私どもは、これらをめどにいたしましていろいろとこの中身を検討してまいりますと、実情は、あなた方の思っているような思惑とは違って、実際はかなり低いところに押えられざるを得ない、こういう状態になっているのじゃないかと私は思うのですが、カロリーは一体どのくらいを——これは年齢によって、男女別で違うわけですが、私があとで例にとりますのは、六十歳から六十九歳の女子を対象にいたしました際に、一体どのくらいのカロリーとたん白質がこの基準によって与えられるのか、お伺いいたします。
  20. 今村譲

    今村政府委員 お答え申し上げます。実は私ども、いま生活保護計算をやります場合やっておりますのは、いまおっしゃいました三十八年度の栄養審議会の答申、これはゾルレンといいますか、四十五年までにかくありたいということでございます。それで最初は、三十四年に、日本人の労作別熱量所要量という年齢別、労働別、男女別という非常にこまかい数字がありまして、三十八年にはそれを若干改定して、一日一人当たり、大体最近は据え置きですが、三十カロリー、多くて八十カロリーくらい、四十五年までにふやすべきである、こういうふうな数字になっております。たとえば三十歳から三十九歳までの男で非常に軽い労働をした場合には、三十四年では二千二百カロリー。それが四十五年目標の三十八年答申では二千二百八十カロリー、プラス八十カロリーになる。それを四十五年までに上げるべきである。女子については、非常に軽いのは千八百カロリーで、これは移動する必要はない、こういうふうな百項目ほどに分かれますけれども、個々の労働状態、それから性別、年齢別に出ております。その資料を持ってまいりませんでしたが、六十歳から六十九歳というのは、たとえば非常に軽い労働で男子の場合には千九百カロリー、それから女子の場合には千六百カロリーというのが、三十四年答申で、三十八年答申では何ぼになっているか、若干上がっていると思いますけれども、そういうふうな計算に基づいて私ども考えております。  それからもう一つ、第二点の御質問でございますが、被保護者のいわゆる生活実態調査というものをやっております。やっておりますが、国民栄養調査のように、詳細に、毎日みそを何グラム食った、その価格は幾らというふうにつけさせるのは、被保護家庭においては非常に無理でありますし、いろいろあるものですから、金額だけ出しております。したがって、その中身、何を何グラム食って廃棄率が何グラムでなんという計算まではとてもまいりません。したがって、現実状況はこまかい内訳はわかりませんが、実際の消費の実態を見ますと、食費は、四十二年の一月から九月までの国民一般平均、それをとりますと、一人当たり一日百六十七円、それから第一・十分位階層が百三十八円、それに対して生活保護は、実態調査によりますと百二十八円。食費は、第一・十分位階層に比べて被生活保護が九二・七%ということになっております。この辺の状況が当然一〇〇%まで持っていかなければならぬのじゃないか、こういうふうな問題があるかと思いますけれども、現在のところは、一−九月平均で百二十八円、第、十分位階層が百三十八円ですから、約九円幾ら、十円ほどの差がある、それが九二・七%という差が現実にある、そこまでは詰めております。
  21. 田邊誠

    田邊委員 これは局長でなくてもけっこうですけれども、四十二年度基準によりまして、六十歳以上の女子の生活費の中における飲食費は幾らでございますか。
  22. 今村譲

    今村政府委員 これは一級地で申しますと、これは東京とか大阪とかですが、六十歳以上で飲食費の合計が月額三千六百六十五円、したがいまして、これは一日平均百幾らということであります。
  23. 田邊誠

    田邊委員 飲食費といっても、主食と副食その他がありますね。それで、これで大体所要の千六百カロリー、その後の是正答申では千七百五十カロリー、たん白質五十五グラムに大体当てはまるというふうにお考えでございますか。さっき局長はそれに似通ったような御答弁がございましたけれども、大体一日平均百二十円くらいでございます。これで一体栄養が行き届いておるというふうにあなたお考えでございますか。
  24. 今村譲

    今村政府委員 ちょっと順序が逆かもしれませんが、四十年五月の国民栄養調査、これは栄養課でやっておりますが、それによりますと、常用勤労者——これは六十歳以上の分だけ区分した資料がございませんので、国民栄養調査という普通の世帯との比率上、一級地における日雇い労働者世帯の一人当たり計算いたしますと、国民栄養調査では四十年五月に常用勤労者が二千百二十三カロリー、日雇い家内労働者世帯は二千七十カロリー、それに対しまして一級地の生活保護の日雇い労働者世帯というのは二千百十カロリーというので、現実に常用勤労者よりは十三カロリーほど落ちます。日雇い家内労働者世帯よりは少し上回るが、カロリーとしてはほとんど同じでございます。それからたん白質につきましては、やはり若干落ちまして、常用勤労者世帯が一日一人当たり平均七十一・二グラム、それに対して日雇い家内労働者世帯が六十七・〇グラム、それから日雇の生活保護の世帯が六十六・八というので、栄養調査に出てくる日雇い家内労働者世帯よりも〇・二グラムだけ少ないことだけは事実でございます。
  25. 田邊誠

    田邊委員 たとえば施設に入っておる場合、かなり大人数の施設の状態というものは、いま局長答弁をされたように、大体百二、三十円、多いところはいわば弾力条項を用いて百五、六十円の食費で二千カロリー前後、たん白が大体六十五グラムぐらいまでいっておるのを実は私も知っておるのであります。しかし個々の保護家庭の場合は、そういう全体でもって単価が安かったり、栄養士がおっていろいろと注意しながらやるということもございませんしするので、実際にはそういう状態になっておらないのであります。  個々のこういう実例がございます。六十歳から六十九歳までの御婦人が二人で生活をして保護を受けておる。その二人の方々の一月間の献立をずっと調査いたしまして、これを栄養士によって換算いたしましたところが、一日平均一人当たり金額にして百十一円五十五銭、九百七十三カロリー、蛋白が三十三・三グラム、脂肪十一・〇グラム、こういう状態が実は出ておるのであります。私は、これはまた特別な何か作為があったり、特別どこかにミスがあったりするのじゃないかと思いまして、一応栄養士を通じて私自身さらに再検討いたしましたけれども、大体時価に合っている。これは東京の場合ですから、いろいろと時期によって値段が違う点もございますが、大体合っている。私はこれが大体現在の実情ではないかと思うのですけれども、そういう追跡調査をあなたのほうでされたことございませんね。
  26. 今村譲

    今村政府委員 ちょっと聞き落としたかと思うのですが、二人でカロリー九百七十三とおっしゃいましたのは、何か計算間違いじゃないでしょうか。ちょっと考えられませんが……。
  27. 田邊誠

    田邊委員 私も、これはいろいろと中身について問題が起こるのではないかという気がいたしまして検討いたしましたが、大体毎日の状態は合っておりました。ひとつこれをお上げしますから、次回の委員会で私はもう一度追加質問をいたす予定でございますから、あなたのほうで権威ある栄養士において調査をいたしまして、その結果を持ってきていただきたいと思います。
  28. 今村譲

    今村政府委員 はい。  それから、いま先生がおっしゃいました、個々の被保護家庭の献立の指導、栄養指導、実は私どももやりたいのでございます。しかし、これは、家庭が非常に千差万別であり、老人夫婦のところに行ってこうやれ、ああやれというふうな、生活保護献立みたいなものを押しつけたとか、いろいろあったり、そういうようなところの私生活まで入り込まれてはという気持ちもありまして、実は大数計算だけ私どもやりますけれども、個々については、何を食いなさい、これを食いなさいというようなかっこうのことは、意識的に避けておるというふうな状況でございますので、実は追跡調査までまいっておらないという状況でございます。御了承いただきたいと思います。
  29. 田邊誠

    田邊委員 それでは、時間がございませんから、端的にその後の質問に移りますが、生活扶助の中における衣類の支給は、大体何を基準にして支給することになっていますか。
  30. 今村譲

    今村政府委員 実は、先ほど申し上げましたように、例の朝日事件の時代、三十三年ころは、たとえばシャツが一年に何枚使えるとか、石けんは何個要るとか、非常にこまかいことを書いて、要するに積み上げをやっておったわけです。ところが、それでは生活保護伸びないというので、エンゲル方式というのに三十六年から切りかえました。したがって、飲食物費だけまず積み上げまして——現在はまたマクロ方式に変わっておりますけれども、積み上げて、それからその程度の飲食物費を出しておる。いわゆるエンゲル係数ですね。たとえばそれが五一とか四八とか、そのエンゲル係数で、これだけの飲食物費が四八に当たるといえば全体の総生計費は幾らに当たるかというふうにして、飲食物費以外は全部エンゲルの逆数で総生活費をきめる。こういう方式でやりましたので、それと同じ程度のエンゲル係数の一般の世帯が払っておる、あるいは使っておるだけの被服費とか交際費とかなんとかいうものは、一切はエンゲルの逆数で包含せしめるということでありますので、中身はこまかいことは何もきまっておりません。
  31. 田邊誠

    田邊委員 実際に保護を適用しあるいはそれに対する指導をするあなたのほうでは、保護の実施要領というものを各実施機関、指導機関に流しておるわけでございまするが、この一二二ページ、被服費の(ウ)の項を見ますると、「浮浪者等であって保護開始時において現に着用する被服が全くないか又は全く使用に堪えない情況にある者又は保護受給中であって前記の者と同様の状態にあると実施機関が認めた者の場合一人当り三千円以内」の支給をする。この条項を見ますると、衣類について全く使用に耐えない状況にあるもので、大体浮浪者と同様の状態にあると実施機関が認めた場合に限って衣服を支給する、こういうかっこうであります。いわば基準は浮浪者という基準であります。私は、こういったいわば実施要領というのが下部に流れておる状態の中では、実際にそれを取り扱うケースワーカーにいたしましても、あるいは生活保護をする民生委員にいたしましても、これが一つ基準になると思うのでございます。もうちょっとこれに対するあたたかい配慮というものがなければならぬと私は思うのでありまして、あなたのほうでは、これは最低のものだ、決してこれに全部こだわっているのじゃないと言うかもしれませんが、基準はどこに置くかといえば、ここに具体的な例としてずっと見た場合に、これが具体的な基準であります。これはあまりにもひどいじゃないかと私は思うのですけれども、どうでございますか。
  32. 今村譲

    今村政府委員 お答えします。これは、普通被保護を継続している場合は、飲食物費と、先ほど申し上げましたその他経費というものを含めて、それは毎月本人に支給しておりますから、普通のものはそれで済む。ここに書いてありますのは、普通の生活をしておったのだが、たとえばふとんがすり切れてしまったというふうな場合に、その部分の代替品を特別に生活保護のほかに支給するというプラスアルファの問題。それからたとえば上野あたりの浮浪者が、救護施設、生活保護施設がありますけれども、そこに入ってきたときに、着のみ着のままというときに新品を支給するというもので、根っこの普通の低所得階層並みの被服費を含めたその他経費、飲食物以外の経費というのは本人にいっているわけです。ですからこれは、そういうふうな事態に特別になった場合における代替品のプラスアルファの支給という規定でございますので、その辺ひとつ、毎月三千円という意味でございませんから、御了承いただきたいと思います。
  33. 田邊誠

    田邊委員 しかしあなた、こういう表現をあくまでしている以上は、プラスアルファというけれども、プラスアルファも何もないじゃないですか。浮浪者並みなんだ。保護受給中であって前記の者と同様の状態にある、浮浪者と同様の状態にあった場合支給する、こういう表現が一体いいのかどうか。これが下部へ行くと、いま局長はそういうふうに答弁されたけれども、だんだん締めつけの一つの材料になりはしないかという心配を一面ではするのですよ。これはやはり変える必要がございませんか。
  34. 今村譲

    今村政府委員 いまおっしゃいますように、やはりちょっと字句がぐあいが悪いのですが、ここで考えておりますのは、「浮浪者等であってその現に着用する被服が全くないか又は全く使用に堪えない情況にある者又は保護受給中であって前記の者と同様」というのは、前記の被服が使用に耐えない状況に立ち至った場合、厳密に書けばそういう趣旨だと思いますが、前のページにありますように、普通のもののほかに、(5)でありますが、「被保護者が次のいずれかに該当する場合は、それぞれに定める額の範囲内において特別基準の設定かあったものとして被服費を計上して差しつかえない」、毎月のもの以外に特別に支給をするんだ、こういう趣旨でございますので、ちょっと表現が、おっしゃいますように、うちにおって保護を受けた者でも、浮浪者みたいになり果てた者というふうに読めるのでは、これば字句がまずいことは確かであります。これは改めたいと思います。
  35. 田邊誠

    田邊委員 この実施要領にいたしましても、それ以外のいろいろな指示にいたしましても、別に私はその中身をほじくっていこうというのではなくて、それが現実指導の面であたたかい配慮となって下へ行き渡らなければいかぬ。こういう考え方で、ぜひひとついろいろと検討さしていただく中で、あなたのほうで是正すべきものがあったら是正するようにお願いしたいと思うのです。  次に、現在非常に物価がどんどん上がっていますが、消費者米価はもちろん上がった場合には補正をされるわけですけれども、その他の消費者物価や公共料金が値上げをいたしました場合は、この保護基準は一体どういうふうに取り扱いますか。
  36. 今村譲

    今村政府委員 これはたとえば、一三%の当否はいろいろございましょうが、一三である。それで四十二年度は、経企庁の発表では四・五という予測といいますか、政策数字というのは大体それを若干下回るぐらいでおさまりそうであるという状況でありますが、本年度四・八ということにやっておりますので、実際は一三と四・八との差、七・八ぐらいになりますか、それは実質上の改善である、こういうふうに私ども思っております。ただ、米価の改定があります場合に、ことしは総合予算主義というので、なかなか補正というわけにはまいりませんが、しかしこれは関連がございまして、上がったらその部分は予備費でもらうぞということにしてございます。ただ、それ以外の一般物価が、四・八がたとえば五・二になった、あるいは六になったというふうな事態があるかも——よく推定はできないのでありますけれども、それは四・八と実質改善分が七・幾ら、合計一三というふうな、七・八の実質改善部分は若干引き下げられてくるということになるのでありまして、そのつどその部分だけ、四・八からちょっとでも足を出したらすぐに補正だというかっこうにはならない、しようにもなかなかできないというかっこうで、全体の一三の中でやりくってもらう。それは一般国民にも、低所得階層にも全部ひっかかってくる問題である、こういうふうに考えますので、米価補正以外は一三の範囲内でまかなっていく、こういうふうに考えております。
  37. 田邊誠

    田邊委員 これは四・八がいいか、現実にそれが行なわれるかどうかという論議は、私はきょうは現実論議だけいたしますから、別にいたしますけれども、私どもは最低賃金法にいたしましても、物価の変動によって三%くらいの上下があった場合は、六カ月くらいに一回は調査をして改定しなければならぬという趣旨のものを考えておるわけですけれども、一年間ほうっておくということは、私はぎりぎりの生活をしている人たちですから、これはやはり適当でないと思うのであります。せめて私は半年に一回、でき得れば三月に一回ですけれども、そう厳密な統計資料はございませんでしょうから、半年に一回くらいはやはり物価の動向、国民生活水準のいろいろ推移等を見ながらこれに対して対処する、こういう考え方に立たなければ私は現実的でないと思うのですけれども、どうでしょう。
  38. 今村譲

    今村政府委員 御趣旨はよくわかりますが、私どもの手に入る物価の資料も、これは相当時間的にずれて入ってくるわけです。そういうふうな問題もありますし……(田邊委員予算を組むときは同じだ」と呼ぶ)ですから、予算を組むときも同じ状況でありますので、一年間という方法しか技術的にはないという問題と、それから、ただ物価だけ組むということなら、非常に大きな問題になります。たとえば物価アップ分だけしか組まないということでは困りますが、それが一二であれ、一四であれ、物価をオーバーして七%あるいは幾らというふうな、実質改善部分が組み込んでありますので、先生おっしゃいますように、半年あるいは三カ月ごとに基準改定というのは、事実問題として非常にむずかしいというふうに考えております。
  39. 田邊誠

    田邊委員 それはさらに前向きの検討お願いしたいと思います。  さてその次は、この保護基準は月単位で出されておりまするけれども、これはいま言った非常にぎりぎりの生活をしている人たちの対象の問題ですからお伺いするのですけれども、一月は幾日で換算されておるのですか。
  40. 今村譲

    今村政府委員 これは三百六十五割る十二、したがって三十・四に相なります。
  41. 田邊誠

    田邊委員 しかし、これは月によって三十日、三十一日、二十八日とございますね。ところがそれならば、それらのことは保護家庭に、今月は三十日だから、三十・四なら四で換算してあるのだから幾らか残しなさい、三十一日の月があるのだから、そういう指導をしているのですか。
  42. 今村譲

    今村政府委員 これは理論的に言えば、二月は二十八日だから二十八日分、大のときは三十一日分と計算すればいいと思いますけれども、しかし実際われわれの家庭でも、三十一日だから月給をふやしてくれるわけじゃございませんので、それはやはり月単位という計算でまいって、それはみそ、しょうゆの買い置きも若干あるし、繰り越しもあるしということで、そこのところは行政事務上、毎月毎月別な計算表を出さなければならぬというかっこうでも困りますので、年にならしてそれを十二回に分けて月々三十・四だ。ですから二月なんかの場合には、三日分かそこらは余しておいて翌月食ってくれ、こういうことになるだろうと思いますけれども、その辺はひとつ御了承いただきたいと思います。
  43. 田邊誠

    田邊委員 これはあなたのほうで、いままでは三十日で指導しておるのじゃないですか。
  44. 今村譲

    今村政府委員 これは、前に月単位という計算をしておったときに、こっちの内訳のつくり方について、三十分の一というふうにやっておった時代もございます。しかしこれは現在、十二分の三百六十五、こういうふうに計算いたしております。これを厳密に言いますと、うるう年というのが一つあるのですが、これは人事院でもどこでも、三百六十五を十二で割るという仕組みになっております。
  45. 田邊誠

    田邊委員 一級地から四級地までの差がございますが、この差は一体どのくらいの間差がございますか。
  46. 今村譲

    今村政府委員 これば四段階で一級地を一〇〇、それから九%刻みで九一、八二、七三、こういうふうにいたしております。
  47. 田邊誠

    田邊委員 いまの状態では、大都市と町村、都市と農村との差は、非常に縮まってきていると私は思うのです。したがって、これは全体でいきますと、これは算術計算ですからちょっとどうかと思いますが、二七%差があることになります。それほどの一級地から四級地までの間の間差というのは、ちょっと差が大き過ぎるのじゃないかという気がするのですけれども、どうでしょうか。
  48. 今村譲

    今村政府委員 これは現在の九%刻み、二七%差というのをきめましたのは、たしか三十二年か三年だと思います。それ以前にはある時期には、六段階に分けたり五段階に分けたり、いろいろ経過がございます。ただ私ども、逆なことを申し上げて非常に失礼でございますけれども生活保護は要するに現実生活というものを改善する力はございません。それでむしろ一級地あたりでは、隣近所の生活が非常に高度化してくる。したがって飢餓的な感じ、要するに欠乏感というものは非常に強い。ところが農村あたりにおきましては、わりに波及がおそいものですから、その地域における上と下との生活格差というものは開きが少ない。したがって七三でも少しおかしいじゃないかというふうな感情も出てくる。それから都市部のほうではもう幾らあっても足りないというふうな、その辺の実態なり感情なりいろいろ調べたのですが、きめ手がございませんから、現在のまま九%刻みにしておりますけれども、これは、自治省の地方交付税交付金の種地とか、あるいは補正係数とか、いろいろなものを使ってきめたわけでございますけれども、再検討の時期に来ているとは思います。しかし、私どもがいままで詰めておったところでは、むしろ七三くらいのところがちょうどいいところじゃないのかなというふうな気がしております。ちょっと計数的になかなか詰めにくいものですから、まだ未決定であります。
  49. 田邊誠

    田邊委員 これも農村ならば、保護家庭といわず、特に食費について融通はつくじゃないか、何かこういう観念はあるんですね。しかし現実的には、いまのかなり流動化しつつある状態の中で、小都市においても大都市とあまり変わらぬ生活実態である、こういうことを私どもはやはり把握しなければならないと思うのです。したがって、いまの九%間差という状態がいいかどうか、私は、やはりそろそろ検討してもらわなければならない時期じゃないかというふうに思いますから、ひとつ関係各省とも相談をされて、この次の時期の一つの参考として検討お願いしておきたいと思うのです。  いろいろございますが、せっかく警察庁がお見えですから、教育扶助以下の各扶助に対する質問はあとに譲りまして、警察庁にお伺いします。  いま、いろいろ申し上げたような、保護家庭は難渋をする状態にございます。わらにもすがりたいという気持ちになることは当然でございます。ところが、この保護家庭の窮状に便乗いたしまして、つい最近相次いで悪徳の金融業者が保護家庭を食いものにしているという事件が発生いたしておるのであります。これに対して、警察当局はそれぞれこれを取り調べをいたしておるようでございますが、つい最近起こりましたのでは、神戸ないし東京において、特に月二割以上の高金利でもって貸し付けを行なっておる。しかも生活保護の扶助料のための銀行通帳等を担保に取り立てておる。こういう事件の発生を見ておることが報道されております。これに対する措置は一体どのようにされておるのか、まず警察にお伺いをいたしたいと思います。
  50. 鍛冶鉄人

    ○鍛冶説明員 兵庫県警では、昨年の暮れ、神戸市内における悪質な高金利事犯のあることの端緒を得まして、捜査に着手をいたしまして、二月五日までに悪質な従業者十一名を検挙いたしております。それで、この事犯の実態でございますが、二月五日の検挙の際に、被疑者の自宅、店舗等四カ所を捜索いたしました。被疑者を逮捕して取り調べましたところ、被疑者は昭和四十二年の七月ごろから四十三年の二月ごろまでの間、七十三名の生活保護、困窮者に対して百五十二回にわたって金銭を貸し付けております。その貸し付けにあたりまして、おおむね日歩三十五銭から八十銭くらいの割合の高利で貸し付けておりましたが、不当な利得としては、約四百万円の貸し付けに対し四十万円余りの不当な利得を得ておりましたので、これを取り調べまして二月七日に被疑者を送致いたしました。二月二十三日には起訴されまして、目下審理中でございます。  次に、警視庁における事件でございますが、警視庁におきましても、生活保護者等を対象とした高金利事犯を三月十四日に検挙いたしております。その状況は、被疑者は荒川区で無届けで貸し金業を行なっていたのでありますが、同じ区内の生活保護者等十三名に対しまして総額約五十三万円を貸し付けるにあたりまして、兵庫県の例と大体同じようなやり方でございますけれども生活保護費の受給に必要な銀行預金通帳等を担保にとりまして、日歩三十一銭から最高一円三十三銭までの間の高金利で貸し付けを行ないました。超過利息、約三万五千円の不当な利息を得ていたものであります。三月十四日に被疑者を逮捕いたしまして取り調べを行ない、三月十六日に送致いたしております。
  51. 田邊誠

    田邊委員 これは高金利のいわば悪質な金融業者である、こういう観点で捜索をされておるようでございまするが、警察当局として、法律違反というのはこれだけに限定をされておるのは、私は幾らか捜索の面で十分でないじゃないか、こういう気がするのであります。いま申し上げたように、生活扶助料のためのいわば銀行預金通帳を担保にするということは、これは法律に禁止をされておるはずであります。そういった点から見まして、ただ単に何か高金利の貸し付けであるということで、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反容疑ということのようですけれども、結果は罰金刑かどうかわかりませんけれども、その程度の取り締まりでは、この悪質業者の現状を根絶することはむずかしいのじゃないか。何か強力な手だてを講ずる必要があるのじゃないかと私は思うのですけれども、そういう御検討をされたことはございませんか。
  52. 鍛冶鉄人

    ○鍛冶説明員 高金利の取り締まりにつきましては、ただいまお話のございましたように、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律によりまして取り締まっておるわけでございます。この第五条に規定するところによりまして、その条項に該当するものには三年以下の懲役、三十万円以下の罰金というものに処せられることになっております。確かに御指摘のように、これの対象が生活保護の受給者であるというような場合には、たいへん悪質であるというように私のほうでも考えておるのでございます。こういうものに対する取り締まりは強力にするように考えておりますが、何ぶんにも、この支払通知書等を貸し金の担保として預かる行為につきましては、これを罰するところの規定がございませんので、直ちにそれによって、その行為だけをとらえて取り締まりをするということはできないわけでございます。ただ何ぶんにも、この種の事犯というものが、生活困窮者に対して著しい障害を与える、また社会一般に与える影響も大きい、かように考えておりますので、これらの事犯のありました際には、債権取り立て等にあたりまして、あるいは暴行であるとか、あるいは脅迫であるとか、あるいはまたひもつき手段というようなことを弄する例が間々ございますので、これらに対しましては、警察といたしましても十分注意をいたして、刑法に融れるこれらの行為に対しましては、それぞれの条文によりまして厳重に取り締まっていきたい、かように考えております。
  53. 田邊誠

    田邊委員 もちろんもぐりの高利貸しをやっている人たちに対しては、それらの措置があると思うのです。しかし、堂々といわば営業している金融業者の中にも、それに類するものがあるわけです。これはある金融業者のやっておる営業案内でございまするけれども、そこに「なお当社は生活保護を受けてる方には特別な御相談に応じております。通帳不要」という印刷をして堂々と営業している業者がおるわけです。これらはあなた方のほうで察知されたことがございますか。
  54. 鍛冶鉄人

    ○鍛冶説明員 警察としてはまだ察知しておらないわけでございます。  ちょっともう一つつけ加えますと、いまのところ私のほうではそういう報告を聞いておりません。
  55. 田邊誠

    田邊委員 厚生省はどうですか。こういう事例が随所にあらわれているわけです。その一部が警察の摘発を受けて取り調べを受けておる、こういう状態です。あなたのほうは直接生活保護を取り扱っている監督官庁ですから、こういう事実を御存じでございますね。
  56. 今村譲

    今村政府委員 存じております。ことに最近いろいろ問題が起きましたのは福岡県、北九州というところで、そういうものも実は話は聞いております。ただ、被保護者だから判こをつかなくても簡単に貸しますよと書いてあるということを聞いて、それだけではひっかけるというかっこうにはならないのかなと、もやもやしているうちに、きょうになったわけであります。ただ一番困りますのは、大体福祉事務所あるいは市役所で金を払いますが、その日には何十人かずっと来るわけです。もらって出ると、そこに人品骨柄といいますか、異様な人がおって、そこでむしられる。そこで、警察権がありませんので、福祉事務所の職員が裏口から逃がしてやろうといたしましても、裏口にもいるということで非常に困っております。そういうことで、これは大蔵省の金融体系にも関係がありますので、財務局と警察本部と警察署というふうに、何とかそれを取り締まってもらいたい。というのは、別に脅迫するわけではありませんが、やはりそういう印象を受けてしまってそういうかっこうになるものですから、その支払い方法なんかも、やはり銀行払いとかいろいろ方法を考えないと——もっとも銀行払いにしたところで、自宅まで押しかけるようではあれですけれども、いまの制度ですと一カ所に集まっておりますから、車を持ってくると簡単に連れ込まれてしまうということで、生活保護の運用を考えなければなりませんが、しかし本質的には、なかなかこちらでは直に手が出ないということで弱っている。ケースワーカーに、こういう者に借りるものじゃないということを、口をすっぱくして連絡はしております。
  57. 田邊誠

    田邊委員 これは厚生省と警察庁両方にお願いしておきたいのでありまして、こればかりを取り締まるのが警察の任務ではございませんでしょうが、しかし何といっても、金額の多少にかかわらず、いわば国民の総がかりで生活をよくしてあげたいと考えておる保護家庭を食いものにするというこのやり方は、断じて許すことができないと思うのであります。したがって、福祉事業所等から十分連絡を警察にもしていただき、それに対応して警察当局は適切な措置をとっていただくことを、私は特にお願いしたいと思うのです。聞くところによると、三十五銭から八十銭、一方は三十一銭から一円三十三銭で、この金利がべらぼうだということももちろん問題でありますが、その背後には、何といっても暴力団的な色彩が非常に濃いのではないかというような気がするのであります。それらとの関連からいきましても、この種のものが根絶するような断固たる措置をぜひひとつ警察にお願いしたい、こういうふうに思いますので、要望しておきます。  それから、何といっても原因は現在の厚生行政にある。他の委員会で大橋委員の質問にお答えしておるのを私も拝見をいたしましたが、局長、世帯更生資金があると話をされておりましたね。生業費やその他生活保護にはいろいろなものがあるというお話をされておりましたが、問題は、これらの制度なり貸し付けを十分利用するという状態になっておらない、ここに問題があると私は思うのです。そういう便利で金利のかからない貸し付けがあるという話はいたしましても、そういった貸し付けを受けたり、生業資金やその他の技能修得費や住宅資金を受けたりいたしますると、それが保護の打ち切りに通じはしないかという懸念が保護家庭にあるところに、何といっても、この種の問題の取り扱いが十分に行なわれておらない、こういう点があろうかと私は思うのでありまして、この悪質な金融業者をどうしても利用しなければならないという状態というものを払拭するために、いままでの指導要領だけで十分足りるというふうに考えるのは誤りである、こういうふうに思っておるわけでございますが、こういう事態がつい最近随所に起こっておるという事実にかんがみて、さらにこれに対応する施策を具体的に講じてもらう必要があるのではないかと思うのですが、いかがお考えですか。
  58. 今村譲

    今村政府委員 生活保護の中にも生業資金とか技能修得とかいろいろございます。しかし、それをもらったから、すぐに二、三カ月で切られてしまうというようなことはございません。屋台を買って仕事をする、あるいは店先を改良して何かする、その状況を見ながら、ほんとうに一応落ちついたということになればということで、別に期限を切ってということは私どもやっておるつもりはございません。末端のほうでいろいろ渋いことを言うものですから、あるいはそれをおそれるということがあるかとも思います。それは、末端のほうに十分注意して、生活保護本来の趣旨の中には自立助長という問題が一つあるわけでございますから、間違いのないようにいたしたいと思います。
  59. 田邊誠

    田邊委員 あとの質問もございまするから、実は御案内のとおりの七つの生活扶助の問題だけをとらえたわけでございますが、それ以外にもこれからたくさん実はいろいろ問題がございます。ただ、いま行政指導の問題が出ましたので、行政指導上の問題が、すべての扶助の適用にあたっての具体的な一つの問題として残されておるのではないかと私は思うのであります。  そこで、きょうは一点だけお聞きをしておいて、あとは来週に回したいと思っておるわけでありまするが、保護の決定や保護の開始、あるいは保護の変更、打ち切り等をするについて、最も基本となる法律上の定めは何でございましょうか。ちょっとおわかりにくければ、保護家庭を訪問されていろいろ指導をされておりますけれども、その中で、保護家庭に対して対処する場合における、忘れてはならない法律上の根拠といいましょうか、たてまえは一体何でございましょうか。
  60. 今村譲

    今村政府委員 これは二本立ての問題がございまして、一つには、理由がどうであれ、厚生大臣が定めるわけでありますが、とにかく一定の生活水準以下に下がった人については、その人が国にいわゆる保護請求権を持ち、それを保障するということが一点でございます。  それからもう一点は、第一条にもありますように、無差別平等に保護いたしますけれども、それで、働けない人は別でありますけれども、そうではなしに、その世帯が自立更生して一般の経済活動に入っていけるように応援をしなければならない。この二本だと思います。
  61. 田邊誠

    田邊委員 この指導要領の一八九ページ、第一〇「保護決定実施上の指導指示、検診命令」、こういうものがございまするけれども、私はこれをずっと読ましていただきましたけれども、これは重大な欠陥があると思うのです。ここに流れている精神というのは、生活保護法第六十二条の規定に基づく「必要に応じて保護の変更、停止又は廃止をすることができる。」、このことばかりに頭がいっていると私は思うのです。もちろん、ここに書かれておるいろいろな保護の要件を欠くものとして、申請を却下する、あるいは変更、停止または廃止を行なう、こういうことも場合によっては必要でございましょう。しかし、これだけを力点にして指導をし、指示をやられるという印象が、これは非常に強いのではないかと思うのです。しかし、生活保護法の法律に流れる精神というのは、決して、保護の打ち切りをしたり、停止をしたりすることに重点があるのではないと思うのです。もちろん、保護を受けないような状態引き上げることが最大の目標である。しかし、それができ得ない事態の中では、いかにあたたかく保護家庭に対処してやるかということが基本でなければならぬと思うのです。これをずっとながめてみて、その精神は一体どこに流れているか。これは第一〇ばかりではございません。大体、この指導要領をずっと拝見をいたしましたけれども、この中には、その精神の基本になるものを書いておるところがございますか。どこに書いてありますか。
  62. 今村譲

    今村政府委員 御指摘、なるほどこれを見ますと、いわゆる被保護者の自立更生の義務ということを表面に立てておりますが、これは法律の四条の生活保護の根本問題でありますけれども、これは全額公費でまかなわれる限りにおいては、やはり本人の資産、能力全部を自分の生活に充当して、それでなおかつ足らないところは全部公費で見るのだ、こういう制約がありまして、これは保険のように、いわゆる当然の給付請求権というようなかっこうとは違うものですから、そこが昔から、いわゆる救貧法的だとかいろいろ議論がございますけれども、やはり筋道からいけば、働ける者は働くし、資産のある者はまずそれを生活に充当していくということがございますので、その部分については、具体的に丁寧に第一線のほうでは話をしなければなりませんが、そこのところだけはよく注意しておかなければならぬという、こういう部分の規定といいますか、通牒でございますので、思想としてはこの法律で、もらったから惰民養成だとか、あるいは劣等感を感ずるとかいうふうなことがないように、ケースワーカーの本務というものはそういうものなんだということを十分第一線のほうにも浸透させるように努力している、こういうつもりでございます。
  63. 田邊誠

    田邊委員 この指導、指示が、いわば何か押しつけのような、命令のような印象を与えておるのであります。法六十二条にあるように、被保護者は指導、指示に従う義務があることはもちろんであります。しかし、この生活保護法の指導、指示を行なうという原則は何かと言えば、これは六十二条じゃございません。これはあくまでも二十七条であります。それによって、指導、指示ができるというふうになっておるのであります。しかも、二十七条二項は、「前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。」、第三項には「第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。」、これが基本であろうと思うのです。ところが、六十二条を強調し、これに従う義務制を何か重んじるあまり、これに対して強制力を持つような印象を第一線の職員が持つことは、これは非常に危険だろうと思うのです。私は、もちろん保護家庭が何か安易に流れ、ただ保護を受けていればいいというような状態へおちいることは避けなくちゃなりません。自立更生をしようという意欲を持たせることは必要であります。しかし、そのことと保護の打ち切り、停止とは、これはもう全く似て非なるものであります。そういったことから言いますると、もちろん法をたてまえとしていますから、ここの指導要領に——法律を考えなくても、これはもうケースワーカーもみんな知っているんだ、こうあなたはおっしゃるかもしれない。しかし現実に、いろいろな面における締めつけと称して、実は何か打ち切りを強制されやしないか、こういう観念を与えているのは、現場の職員があまりにも職務に忠実だからであろうと思うのです。しかし、そこにやはり一項起こして、常にその基本は二十七条である、被保護者の自由な意思というのは尊重するんだ、決してこれは強制するものでない、こういう精神というものを常に生かせるような、そういう指導がなされておらないところに、どうも局長がおっしゃるような考え方というものが下部へ徹底していない状態があるんじゃないか、私はこういうように思うのです。私は十数年前からこの問題に対して注目をしてきて、一時ほど福祉事務所の職員等に対する非難は少なくなっているように思いますが、しかし、まだやはりそういった考え方というものが被保護世帯にあるといたしまするならば、私はやはり、これらの実施要領等を作成をし下部を指導する場合に、法の基本というものに対して常に触れておく必要があるんじゃないか、こういうように思いまするけれども、どうでございましょう。私の意見というものをあなたが受け入れられて、さらにひとつ今後の適切な指導の材料にされる御用意がございますか。
  64. 今村譲

    今村政府委員 先生おっしゃいましたように、十年前あるいは数年前においては、非常に福祉事務所に対する、取り扱いの態度が悪いというような議論がございました。しかし、これはいろいろ考えてみますと、保護基準が例の三八%まで落ち込んだような状態のもとにおいて、非常に実態から見て苦しいというのを、この要領に基づいてやらざるを得なかったという点からいろいろきていると思います。その後、おっしゃいますように、基準もだいぶ上げてもらった、十分とは決して申しませんが、というふうな問題があります。  それからもう一つ、これはごらんになった一番最初のページ三枚目か四枚目に、私どものあらゆる会合をやりますときに、とにかく常に公平でなければならぬとか、被保護者の立場を理解しよき相談相手になるようにつとめること。ただ計算ワーカーじゃないのです。ケースワーカーなんだ。これは要するに、ほんとう生活に解け込んで親身になって話を聞かなければだめなんだ、それは生活保護実施以前の問題なんだということは、重重申し添えてあろうと思っておりますから、今後とも一そう努力したいと思います。
  65. 田邊誠

    田邊委員 ひとつ具体的な指導の面で、私はやはりそういった配慮が常に必要だろうと思うのでありまして、一番最初読まれたような意味では、なかなかそうはいかぬのであります。具体的な実施要領のほうばかり注目するのであります。そういう誤りが現実に起こってないと言えないのでありまして、そういうことのないことが最も望ましい。締めつけが激しい、打ち切りを強制される、こういう印象を与えることの絶対にないように配慮していただくような必要がある。今後の指導をぜひお願いしたいと思うのであります。  それでは、きょうは、まだ御案内のとおり、その一片をのぞいただけの審議でございまして、引き続き私はこの問題に対してさらに徹底をした質疑を行ないたい、こういうように思っておりますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。きょうはとりあえずこれでもって打ち切ります。      ————◇—————
  66. 八田貞義

    八田委員長 次に、内閣提出清掃施設整備緊急措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本政弘君。
  67. 山本政弘

    ○山本(政)委員 昭和三十八年に生活環境施設整備緊急措置法というものが出まして、そしてその後に四十二年度に計画を早めるということで、今度清掃施設整備緊急措置法案が出たわけですが、昭和四十二年四月十二日の官報付録に、「清掃で美しい国づくり・環境衛生週間」ということで「昭和三十八年度を初年度とする生活施設整備緊急五カ年計画もその終了年度を一年早めて、本年度からは」——これは昭和四十二年のことを言うのだと思いますけれども、「新五カ年計画が策定され、」、こういうふうに言っておるわけですが、終了年度を一年早められた理由というのをまず第一にお伺いをいたしたいと思います。
  68. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 四十二年度を中心といたします五カ年計画をあらためて提案申し上げることとなりましたのは、一つは下水道関係との所管の問題の整理が昨年ございました。それに基づきまして下水道関係の五カ年計画もあらためて行なうということになりましたので、それにし尿処理の計画もあわせていきたい。こういう調整をはかるという問題が一つございます。  それからいま一つは、やはり最近の都市化あるいは生活の向上というようなものに伴いまして、こういう清掃関係の処理すべき対象というものが非常に膨大になっております。こういう環境をこういう面から維持してまいりますためには、やはりそれにマッチした計画を繰り上げてやるべきではないか、こういう判断から新しい提案をしたいと考えておるわけでございます。
  69. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしますと、この清掃施設整備緊急措置法案による計画というものは、一応、対象の人口とかそういうものについては、ここでいただきました資料に書いてありますけれども、その金額ですね、財政的な措置についての内容をお聞かせいただきたい、こう思うのです。
  70. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 この五カ年計画の事業量の総量をセットいたしますにあたりましては、昭和四十二年の三月に経済社会発展計画というものが策定をされました。その中におきまして、いわゆる社会資本投資額というものが一兆二千七百億というようなセットがされておるわけであります。その際に、これに合わせまして、その、長期計画を作成をするという中におきまして、清掃関係の五年間の総事業量を千三百三十億というふうに設定したわけでございます。五年間における清掃のこの措置に伴います総事業量というのは千三百三十億ということでございます。
  71. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしますと、その初年度からこの五カ年計画になるわけなんですけれども、各年一体どれだけの予算的な措置をお講じになるのか、その内容をひとつ大ざっぱでけっこうですから、お聞かせいただきたいと思います。
  72. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 四十三年度状態で申し上げますれば、国の補助金がし尿に関しましては二十三億、それから起債関係が四十三億、一般財源が約十七億というようなことで、四十三年度のし尿関係は八十三億。それからごみ処理につきましては、補助金七億、起債九十二億、一般財源三十九億、合計いたしまして甘三十八億というような事業量の設定でございます。ちなみに四十二年について申し上げますと、し尿処理につきましては、補助が二十一億、起債三十六億、一般財源が十五億、合計いたしまして七十二億でございます。それからごみ処理につきましては、補助金が六億、起債が九十一億、一般財源からは三十九億で、百三十六億というのが四十二年の状態でございます。
  73. 山本政弘

    ○山本(政)委員 三十八年に五カ年計画が立てられましたね。そのときには総経費たしか千九百五十億だったと思うのですけれども、今回はそれを下回る千三百三十億。局長のお話では、下水道との関連で、そうして新たな状況の変化でということであったのですけれども、少なくとも内閣のほうでそういう社会開発計画ということで新五カ年計画をお立てになるならば、予算的に見ても、もっと前の五カ年計画を上回る財政的な措置が講ぜられていいと私は思うのですけれども、その点はなぜ少ないのかという疑問を私は持つわけです。その点の説明をいただきたいと思います。
  74. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 前の旧五カ年計画のときの事業総額は、一千百億で設定しておったわけであります。内訳としまして、し尿関係が六百五十億、それからごみが四百五十億ということでございます。このほかに下水道関係が千百億ございました。合わせて二千二百億というような額になっておったわけでございます。ただいま私が申し上げましたのは、ごみとし尿に関します千百億という従来の計画に対しまして今度は千三百三十億、こういうふうな対応になるわけでございます。
  75. 山本政弘

    ○山本(政)委員 三十八年度に、これは決算だったと思いますけれども、不用額が出ております。その理由は、不用額を生じたのは用地の選定難により一部市町村において事業を中止したので、清掃施設整備補助金を要することが少なかった等のためである。これはおそらく、用地買収のために非常に地元の反対とかなんとかいうものが起こって、そういうものができなかったと思うんですけれども、三十九年には事業を変更したので同じような不用額が出ているわけです。額は違いますけれども、不用額が出ている。三十九年の事業変更したというのは、どういうふうに事業が変更されたのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  76. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 三十九年の場合におきましても、事業計画の変更と申しますのは、やはり予定をしておって建設しようという計画ができなかったという意味で、事業計画の変更という表現を使っております。
  77. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十年度の決算も、不用額を生じたのは用地の選定難によりという理由になっております。三十八年、四十年、四十一年も同じ理由なんですよ。なぜそれでは三十九年だけが事業を変更したというふうになっているのか。私は、あなたのおっしゃるような理由から言われれば、当然三十九年度の決算も、不用額については三十八年と同じような理由がつけられなければならないと思うのですけれども、ここだけなぜ違うのか、この点私は理解できないのですが、もう一度御説明をお願いいたしたいと思います。
  78. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 前の時代のことでございますけれども、特別の事情があってそういう表現を変えたということではないという由でございます。
  79. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長のお話を信じて次の質問に移りますけれども、三十八年、それから三十九年、四十年、四十一年と、この不用額を総計しますと、七億円をちょっとこえるわけですね。そしてことしの一般会計は、増はたしか七億円くらいだと思うのです。そうじゃございませんか。——そうすると、不用額についてきちんとした計画がない。地元民の反対があるというようなことで不用額を生じたというのですけれども、五カ年計画をおやりになるときには、当然そういうことが将来予想されると思うのですよ。その点について私は、厚生省としては監督官庁として慎重に配慮しなければならぬだろうと思うし、十分な準備といいますか、そういうものがあらねばならぬと思うのです。毎年用地買収のためにそういう不用額が出る。しかも三十八年から五カ年計画の中で七億円の金が不用額として計上せられる、しかも前年度と比べてそれに見合うだけの金額しか増額されていない、こういうことについては、私は行政指導上としてはたいへん問題がありそうな気がいたします。その点について、今後そういう問題が起こり得ないという保障があるのか。これは厳密にいえば保障はできないと思いますけれども、一体どのようにそういうことを生じないように完全に五カ年計画を遂行されるのかということについて、御意見をお伺いしたいと思います。
  80. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のように、この清掃施設を設置いたしますときに、地元の、特に周辺の方方が反対をされまして、立ち往生いたしましてできなかった、あるいは計画が延びてしまう、こういうことが往々にして起こっておりますことは、御指摘のとおりでございます。それで私どもといたしましては、まずこういう問題の処理につきましては、具体的には、個々の問題が起こりましたときに、それぞれ地方公共団体の御相談を受けながら、個別的に解決できるような方法はそれぞれとっておるわけでございます。必ずしも同じ事情、同じ方法というわけにまいりませんので、できるだけ個別的に当たって解決をしたい、こう考えておるわけでございますが、全般を通じて申し上げますと、執行に当たる地方公共団体みずからが、かような施設を設置するための十分な知識といいますか、どういう影響があるか、あるいはその周辺にどういうような問題があるか、あるいはこういう現在の技術力をもってしてどの程度の不満、不平というものを与えるものであるかというような点についての配慮がやや足りないような場合が多いような気がいたします。そういたしまして、急にどこか便利なところに適当にきめまして、つくろうとして立ち往生しているというような事例がございます。そういう点を計画の当初から十分よく認識をされまして、また一般にそういう問題が起こるところにつきましては、わりあいに都道府県との連絡という点も薄いような印象を受けておりますので、都道府県からもより積極的に指導させるということで、そういう障害をできるだけ少なくさせたい、こう考えておるわけでございます。
  81. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それでは、条文についてちょっとお伺いいたしたいと思うのですけれども、いただきましたこの資料の六ページの第三条に「厚生大臣は、昭和四十二年度以降の五箇年間における屎(し)尿の処理に関する計画及び昭和四十二年度以降の五箇年間に実施すべきごみ処理施設整備事業の計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」とあるけれども、これは、私はしろうとでよくわからないのですけれども、四十二年度というものはもう過ぎたわけです。そして、さっきのお話では、あなたは四十二年度についての予算の計画も説明していただきました。そうすると、四十二年から五カ年計画をやる——もう過去に過ぎ去った年度である。しかもそこに、あなたのおっしゃることから言えば予算がついている。本来ならば、常識からすれば、四十三年度からの五カ年計画であるべきはずなのだけれども、私はどうも何か理解ができないものがあるわけです。そうすると、この五カ年計画というものは実際は四カ年計画ではないのか。あなたのおっしゃるように五カ年計画ではないのではないか。そして同時に、今年度、四十三年度の、これは予算がついたものについての審議なんですけれども、この法案というものはなぜ四十二年度ということになっているのか、この点は理解ができないのです。と同時に、よく知りませんので、教えていただきたいと思うのです。
  82. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 今日の段階におきまして、先生御指摘のような印象を受けますことはごもっとものことだと存じております。私どもも、できますならば、四十二年度に成立をさせていただきたいという願望を持っておったわけでございます。ただ、少しこの経過を申し上げますれば、第五十五国会のときに、下水道の緊急整備五カ年計画とあわせましてお願いをしたものでございます。下水道五カ年計画のほうは、ちょうどやはりこのし尿処理が下水道計画と調整をしなければならないというのと同じように、下水道のほうも、し尿処理の五カ年計画と調整をして閣議で決定しなければならない、こういうことになっておるわけでございます。ところが、その下水道計画のほうは昨年の夏に成立をいたしておりまして、ただいまは、このいわば相手方になりますこちらのほうの計画、この法律上の調整をはかって閣議決定をするという段取りが、こちらがないためにできないというような事態になっておるわけでございます。そういう意味で御指摘のように、確かにいまここで御審議いただいている段階におきましては、そぐわない感じを受けることは当然でございますけれども、そういう計画とマッチをさせたいという面がございます。それからまた、この五カ年計画全体としての計画を早く閣議決定をいたしまして、確かにある年次を過ぎておりますけれども、今後の問題の総量というものをやはり明らかにいたしまして整備をはかりたい、こういう二つの点でお願いを申し上げておるわけでございます。
  83. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、四十二年度はすでに第一年度としては終わったものと理解していいですか。四十二年度の計画というものは、すでに初年度としては終わったものと考えていいのかどうか、その点を伺います。
  84. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 この五カ年計画というものが、この法案にもありますように、五カ年間全体の計画というものをどうするかということをきめるということが主体でございまして、年次別の計画をこれできめるというものではないわけでございます。ただ、おっしゃるように、実際問題としましては、この五年間のうちのすでに第一年に相当する部分は、実績としてすでにもうできておる、こう御理解いただくしかないと思います。
  85. 山本政弘

    ○山本(政)委員 わかりました。  三十八年度の五カ年計画の事業実施の目標を、前の厚生大臣の小林さんが説明をしておられます。これはその当時の議事録でありますけれども、それを見ますと、「し尿処理施設整備につきましては、五カ年間に約三千万人分のし尿処理施設を整備する。またごみにつきましては、厚生省としましては、し尿処理施設と同じように五カ年間に約五千五百万人分のごみ処理の施設をする、こういうことを目標としましてその年次計画を持っておる、」こう言われておるわけです。  そこでお伺いいたしたいのは、この達成率について、私はたいへんいいかげんではないかという気がするわけです。それはし尿処理につきまして、これもたぶん厚生省のほうから下さったものだと思いますが、その資料によりますと、三十八年から四十一年度の間に、し尿浄化槽は二百五十三万一千、それから公共下水道が三百七十三万五千なんです。合計しますと六百二十六万六千しか、実は水洗人口が得られておらないということになる気がいたします。あとは非水洗化人口だということになると、五カ年計画というものは、実はほとんど、三千万人ですから五分の一しか達成せられておらないということにしかならないのじゃないか。五カ年計画で五分の一しか達成せられていないということは、幾ら何でも、これは厚生省は、そういう清掃に関する行政としては私は非常に遅滞をしているものだという感じがいたします。  それから、ごみの処理につきましても、五千五百万人という計画であったのが、実際は三十七年、三十八年、三十九年、四十年、四十一年と、この五カ年をとっても、一千七十八万一千人にしかなりません。そうすると、これも五千五百万人というものについて、ほぼ五分の一にしかなっておらないという、そういう数字しか、どうしても出てこないのです。  そうすると、あなた方のおっしゃる先ほどの金額から申し上げても、新しい五カ年計画をおつくりになっても、実態としてやはり五分の一程度、あるいはそれをやや上回る程度のし尿あるいはごみの清掃施設が完備されるだけにすぎないのではないか、こういう気がするわけです。総額で申し上げましても、ふえたと申しましてもその程度のふえ方で、はたして厚生省のおっしゃるように五カ年計画が達成できるのかどうか、たいへん私は、財政措置から見ても、過去の実績から見ても、疑問に思うわけですけれども、一体この点について、厚生省は自信をお持ちになっているのか。お持ちになっているなら、その根拠というものを実はお伺いをいたしたいと思います。
  86. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 ただいま御指摘になりました人口によります数字について、ちょっと私ども理解しにくい点もございますが、実態のほうを申し上げますと、三十七年にいわゆる特別清掃地区の人口が五千七百万でございました。それが四十一年末におきましては六千八百四十三万、総人口の約五九%から六九%というふうにふえております。そういうふえ方に対応いたしまして、それを処理する施設というものをつくる。先ほど申し上げましたように一千百億という事業量を目標に計画を進めてまいりましたけれども、その点に関しては、実績としては四十一年度でほぼ達成してきているわけでございます。ただ、あるいは私どもが今度の五カ年計画をあらためてやり直さなければならないと思っているもう一つの背景がございますが、それは当時の旧五カ年計画では、特にごみ処理につきましては、ごみの一日の排出量といったものをほぼ従来どおりの線で据え置いて計画をしておったという点がございました。したがいまして、その点に関する限りはある程度の計画量は達成されたといたしましても、ごみの実際の実態から見ますれば、はるかにまだ低いという実態がございます。この点は、今後の計画ではさような誤りをしてはならない、こう考えておりますので、従来の計画と違って、ごみの排出量というものもそういう生活状態からふえてくるという態勢に応じて今度の計画をつくっていく、こういう計画でございますので、最初申し上げましたように、事業総量というようなものから私ども把握しておる関係におきましては、ほぼ計画は達成できたといってもいいと思います。ことに、この処理すべき目標というものは、対象となりますごみ等が非常にふえたということで、あるいはし尿処理にいたしましても、一日一リットルという計算でございましたが、現実にはやはりそれが不足である。一・二リットルという今度の計画にしなければほんとうの目標達成にならないんだ、そういう点で今度の場合には修正を加えてございます。おそらく御指摘のような点が、積算の基礎になりますごみの排出量等の見込みというもののミスがあったんではないかというふうに感じておるわけでございます。
  87. 山本政弘

    ○山本(政)委員 つまりあなた方は、抽象的に計画がほぼ遂行されたという言い方をおっしゃるけれども、当時の小林厚生大臣は、正確に申し上げますと五カ年間に三千万人のし尿処理施設を整備すると言われた。ところがいただいた資料によりますと、三十七年から三十八年にふえたし尿の浄化槽というのは五万一千です。そして三十九年は三十八年と比べると八万一千しかふえていない。四十年はかなり伸びて八十八万ふえております。そして四十一年は戸五十一万九千ふえておる。そしてその合計が二百五十三万一千人なんです。そうすると厚生大臣は三千万人といって予算をお取りになり、そして目標をお立てになって計画を遂行された。しかしその結果が三千万人と二百五十三万人では私は非常な懸隔があると思うんですよ。これは下水道は別でしょう。公共下水道は別だと思うんですよ。これはあなたのおっしゃるように理解をするならば、下水道は別なはずなんだから、少なくともし尿の浄化槽だけをとるべきだ。データとしてはそうだと思うのです。そうするとこれは一割に満たないのですよ。そうすると事業計画としてはあまりにもずさんではないか。あるいはあまりにも計画の遂行が小さ過ぎるのではないか。その点の説明が私はいただきたいというのです。
  88. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 小林大臣がそのときに、浄化槽として三千万とおっしゃったということでございますけれども、どうも私どもの計画のほうから見ますと、浄化槽で三千万という数字はちょっと考えようがないような気が私はしているわけでございまして、ただいまの、今度の新しい計画を考えました場合でも、四十六年におきまして浄化槽人口というのは千二百四十八万人という計画を私どもセットしておるわけでございますから、おそらく三千万人というのは浄化槽だけでなくてほかの数字を入れられたのを大臣が申されたんではなかろうかと感じておるわけでございます。そのほかいわゆる下水道のマンホールの処理でございますとか、し尿処理施設というような点も含めた数字を言われたのではないかと感じておるわけでございます。
  89. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そういうお答えがいただけると思ったのです。  それじゃ申し上げますけれども、四十一年に六千七百八十五万五千人ですね。そして三十八年には五千八百五十三万三千人、四十一年から三十八年を引きますと、正確には千九百三十二万二千人になります。そうなりますと、かりにあなたのおっしゃることをうのみにしても、三千万人と言ったのが二千万人を割っているわけですよ。そうすると計画量は三分の二しかできていないわけです。あなたの御説明のように新五カ年計画と前の五カ年計画とを比較してみますと、それだけの財政的な増加であなたのおっしゃるような五カ年計画が遂行できるんだろうかどうだろうか。し尿だけをとってみても私は疑問に思うわけですよ。これについてはあとでまたお伺いいたしますけれども、その点についてのきちんとしたあなた方の計画というものをお示し願えれば、私はたいへんありがたいと思うのです。
  90. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 過去の計画によりまして進められてまいりましたし尿処理というものにつきましては、たとえば農村還元というようなものが三十七年当時には約一六%程度あったわけでございますけれども、四十一年におきましては四・六%に減り、それからし尿処理施設等による処理は、三十七年に二〇%でございましたものが、四十一年は四七・九と約五〇%近くにもなってまいりました。そういうようなことから、その計画というものが相当達成できてきていると踏んでおるわけでございます。  今後の一つの計画といたしましては、先ほど来申し上げましたように、ごみについていえば、特別清掃地域というものが現在、四十一年の状態でございますけれども六千八百四十三万、これは都市化の問題その他によりまして人口の約九〇%、九千三百万をカバーすることになるだろう。その場合にごみの量もふえてまいりますので、ただいまのごみの量というものの中で六千八百四十三万人の清掃人口の中から出ます可燃物の五〇%が現在は焼却をされております。しかしながら、ごみが今後ふえてまいります要素も全部入れまして、この五カ年計画では七五%までは衛生処理、焼却をしたい。残り二五%は、埋め立てがおそらく一五%、それから堆肥だとか飼料関係が二%、自家処分というのが八%くらいは残るということで、ごみについてはそこを目標に進めてまいる。  それからし尿につきましては、現在六千八百四十三万人のし尿のうちの八〇%が衛生的な処理をされているわけであります。しかしながらあとの二〇%がいわゆる不衛生処理、海洋投棄でありますとか、山林に捨てるとかいうような状態になっておりますが、これもやはり人口増大に伴って衛生処理量もふえますけれども、その量を四十六年度は一〇〇%の衛生処理状態に置きたい、こういう計画でございまして、ただいま御指摘のように実効があがらないのではないかということもございましたけれども、私どもいままでの事業量、それから実績等を見ましても相当やはり環境改善をはかってこられたと思っております。この目標が達成できますように全力をあげたいと思っておるわけでございます。
  91. 八田貞義

    八田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 八田貞義

    八田委員長 速記を始めて。  山本君。
  93. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そういたしますと、特例清掃地域の人口は四十一年度に六千七百八十五万五千人、そして水洗人口が千四百四十五万一千人、そうすると、残りの五千三百四十万四千人というのは非水洗化人口ですね。そうですね。——そうすると、こだわるわけではありませんけれども、小林厚生大臣のおっしゃった五カ年間に三千万人のし尿処理施設の整備というのは、できなかったということになるでしょう。差し引きをしますと四百七十万七千人の人口に対する処理施設しかやられなかったということになるのではないでしょうか。その点の説明をお願いいたしたいと思います。
  94. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 し尿処理の施設を三千万人というふうにおっしゃっておられるわけでございますが、それはいわゆる浄化槽だけではございませんで、し尿処理施設というものを含めたものでございます。それで特別清掃地域の人口が六千八百四十三万人になったそのふえ方は、御指摘のようにそんなに三千万ふえておるわけではございません。しかしながら六千八百四十三万人という特別清掃地域の人口の中において、し尿処理施設で処理されるものは三千万人でございますという目標は、先ほど来申し上げましたように、四十一年度までの段階ではほぼ達成いたしております。と申しますのは、ちょうど一人一リットルという計算でスタートしているわけでございますので、先ほど来申し上げましたように、三十八年から四十一年までの計画として考えますと、一日二万九千三百五十キロリットルというものが計画でございまして、これは一人一日一リットルといたしますと二千九百三十五万、約三千万という形になっておりまして、それが実績といたしましても、し尿処理施設といたしましてはやはり達成いたしておるわけでございます。特別清掃地区の人口でお考えいただきますと、その特別清掃地区の人口はそんなにふえてはおりません。しかし、その内部におります住民のし尿の処理につきましては改善をされた、こういうふうに御理解をいただきたいと存ずる次第であります。
  95. 山本政弘

    ○山本(政)委員 これは四十三年の一月の調査ですけれども、四十一年度決算の大蔵省主計局の説明なんです。これによりますと、昭和四十一年度においては三百七十九市町村に対して補助を行ない、昭和四十年度末の完成市町村八百二十九市町村に昭和四十一年度完成三百二十九市町村を加え、計千百五十八市町村の施設が運転されて、それによってし尿については五千七十二万人が処理可能になった、こう言っているのです。そうすると、あなた方のおっしゃる三千万人と五千万人、先ほどのお話では非常に少ないと私は言ったのですけれども、今度はきわめて多過ぎるのです。そういうことを言われれば数字的にどうもつじつまが合わないのですね。大蔵省でおっしゃるのと、厚生省でおっしゃるのと、五年前の新計画の実績と、こういう三つを比べてみますと、どれもが数字的に合致しないという感じがするわけです。この点について御説明をいただきたいと思います。
  96. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 いままでに過去にも、旧五カ年計画以前に処理すべき施設があった。そういう状態を踏まえまして四十一年末における状態を述べたものだと存じます。私どものほうがただいまつかんでおります数字を申し上げましても、六千八百四十三万という特別清掃地区の人口に対しまして、四十一年末におきましては水洗化人口が千五百四十五万人、それからし尿処理施設によりますのが四千百六十三万、残る一千百三十五万人といういわゆる二〇%に相当する部分が、非衛生的なし尿処理である、こういうことになっておりますので、合わせまして五千六百万程度の人間が、水洗化あるいはくみ取りでございましても、し尿処理施設で処理されることになっておるということでございまして、それは五カ年計画を積み上げてきた最終の段階で、過去の実績も全部含めた段階でそういう姿になっております。
  97. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、これは施設と、それから海洋投棄などという船とか車との区別が、どうも一緒に説明をされて、そして数字がごまかしといってはなんですが、たいへんじょうずに説明されているような気がしてならないのですけれども、私用身ももう一度勉強させていただきたいと思います。  それでは次の質問に移らしていただきたいと思いますが……。
  98. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御意見は非常に貴重な御意見でございまして、五カ年計画でそれぞれ整備を極力推進することにしてはおりますが、それらのいまの計画目標及び事業量等を、ただいまお願いしております本法及びさきに制定をお願いいたしました下水道整備緊急措置法に基づくその他のこともありまするので、さらに計画を充実というか修正というかさせて、もう一ぺん閣議決定をしたほうが、特に財政上の裏づけのためにも、そのほうが必要であると私は考えております。
  99. 山本政弘

    ○山本(政)委員 し尿のほうはそれで終わりといたしますけれども、それではごみのほうで、五カ年間に約五千五百万人のごみ処理施設をする、こうなっておるわけですね。そうしますと昭和三十七年の特掃地域の人口が五千七百七万四千人、四十一年には六千七百八十五万五千人、こうなっておるわけですから、一千七十八万一千人ふえておるわけですね。そうすると、このふえた千七十八万一千人というものの処理はできた、資料によればそうなるはずなのですけれども、そうするとこれも五千五百万人のごみ処理施設の五分の一しか計画の遂行ができなかった、こういうふうになるのではないでしょうか。この辺の資料も、私は取り扱い方が不十分なような気もいたしますが、その辺の御説明をお伺いいたしたいと思います。
  100. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 ごみにつきましては、先ほど来申しましたように、特別清掃地区の人口が約千七十万ばかりふえておりますが、そのふえた分だけのごみ処理計画ではございません。既存の特別清掃地区に住んでいる方のごみの処理というものが衛生的になるというのも含めて、五千五百万人の人口の予定があったわけでございます。これにつきまして五年間に整備すべき焼却量というものは、まるめて一日当たり処理量は二万七千五百キロトンでございますが、それだけの処理施設を五年間に整備すれば、五千五百万が達成できる、こういう計画であったのでございます。この点は確かに、現在の処理能力では完全に達成できたとは私どもは考えておりません。やはり下回った実績になっていると思います。
  101. 山本政弘

    ○山本(政)委員 第三条の七項に「第一項及び前三項の規定は、屎(し)尿処理五箇年計画又はごみ処理施設整備五箇年計画を変更しようとする場合について準用する。」こうあるのですけれども、これは法文の解釈のしかただと思うのですが、「第一項」というのは閣議の決定を求めなければならないという条項ですね。そして「前三項」というのはごみ処理施設整備五カ年計画の目標と量をさしているのだろうと思うのですけれども、その辺の解釈はどうなんでしょうか。
  102. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 第三条の七項にございます「第一項」は、先生御指摘のとおり閣議決定をしなければならない、こういうことでございます。  それからその次にございます「前三項」でございますが、これは六項、五項、四項という読み方になりますので、五カ年計画を変えようとするときには、し尿の処理につきましては、この下水道整備五カ年計画との調整をはからなければならない。また経済企画庁長官とも相談をしなければならない。そしてさらに公表しなければならない。この三つのものに「前三項」はかかっておるわけでございます。
  103. 山本政弘

    ○山本(政)委員 わかりました。そうすると、第四条に「政府は、屎(し)尿処理五箇年計画及びごみ処理施設整備五箇年計画を実施するために必要な措置を講ずるものとする。」こうあるのですけれども、これは主として財政的な措置を含めてのもろもろのものを含む、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  104. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 そのとおりでございます。
  105. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十年の、たしか清掃法の一部改正のときだったと思いますけれども、私どもの党の滝井委員から質問がありまして、そのときに厚生省のほうでは二点をお約束されたと思うのです。一つは必ず清掃事業というのは直営でやります。それからもう一つは、五カ年計画の予算の裏づけというものをきちんといたします。その二点であったと思います。  そこでお伺いいたしたいのは、いま直営の問題がたいへん問題になっていると思うのです。その点で、委託基準というものがございますけれども、その委託基準についての御説明を局長からいただきたいと思います。
  106. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 委託につきましての根拠は、清掃法第六条にございまして、「市町村は、特別清掃地域内の土地又は建物の占有者によって集められた汚物を、一定の計画に従って収集し、これを処分しなければならない。」「前項の収集及び処分の方法に関する基準並びに市町村が同項の収集及び処分を市町村以外の者に委託する場合の基準は、政令で定める。」ということになっております。政令に移って、政令第二条の二のところにございまして「受託者が受託業務を遂行するに足りる設備、器材、人員及び財政的基礎を有し、かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する者であること。」あと、清掃違反のような人が役員や何かに入ってはならない。第四号では「受託者がみずから受託業務を実施する者であること。」第五といたしましては「汚物の収集又は処分に関する基本的な計画の作成を委託しないこと。」委託料につきましては「委託業務を遂行するに足りる額であること。」それから「汚物の収集とこれに係る手数料の徴収をあわせて委託するときは、汚物の収集の業務に直接従事する者がその収集に係る手数料の徴収をしないようにすること。」「汚物の処分を委託するときは、市町村において処分の場所及び方法を指定すること。」ここに掲げておりますように、違反がありましたときは解約できる、このような条件で委託基準をきめております。
  107. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そういう条件のもとで委託する場合にも、委託をするということについて条件があったと私は思うのです。それが清掃法の十五条の二だったと思うのです。清掃法の十五条の二というのは「市町村長は、当該市町村による汚物の収集及び処分が困難であり、かつ、環境衛生上の支障が生ずるおそれがないと認められるときでなければ、汚物の収集又は処分の業についての前条の許可をしてはならない。」とあります。だから、反対解釈をすれば、当該市町村による汚物の収集及び処分が困難でない、そして、環境衛生上の支障が生ずるおそれがない場合には、市町村長は委託業務をしてはならないというふうに理解してもいいと思うのですけれども、その点はいかがですか。
  108. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 法律上は第十五条のほうは、いわゆる許可の基準という形でございまして、許可業種というものについての制限でございます。したがいまして、ただいま申し上げました、委託をする基準と直接すぐ結びつくというたてまえではないわけでございます。
  109. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ、もう一ぺん確認いたしますけれども、十五条の二というのは、委託における一つの条件でしょう。条件じゃないですか。要するに、「前条」というのは、これは委託業務ですね。そうすると、その許可をする場合には、こういう十五条の二というものが生じた場合でないと許可ができないのだということを言っているわけではないのでしょうか。
  110. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 受託者の場合は必ず許可業種を、許可を受けたものでなければならないという解釈ではないわけでございます。
  111. 山本政弘

    ○山本(政)委員 当時の舘林さんの答弁の中にこういう答弁があるのですよ。市町村による汚物収集及び処分が困難である場合の具体事例としては、「当該汚物が工場等の生産活動に伴って排出される多量の汚物または通常の清掃施設において処理することが困難な特殊な汚物である場合、年度の途中において予期しなかった急激かつ大幅な人口の増加があったため、市町村の作業体制の整備が間に合わない」というような場合に十五条の二ということが考えられる。こういうように答弁をなさっておられるのです。そうしますと、そういう条件がない場合には受託ができないと法的には当然解釈していいのではないか、こう私は思うのですけれども、その点の御説明をいただきたいと思います。
  112. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 許可すべきときのそういう実体的な判断は、ただいま先生の御指摘のようなことでいいと私ども考えております。
  113. 山本政弘

    ○山本(政)委員 舘林さんはさらにことばを続けて、「また、環境衛生上の支障を生ずるおそれがある事態と申しますのは、当該汚物取り扱い業者が持っております汚物を処理するための施設設備をもってしては、衛生的に汚物を収集または処分をすることが困難と認められるとき、当該汚物取り扱い業者が、過去において清掃法第十一条の汚物の投棄禁止に関する規定に違反したものであるとき、」と言っている。後段は、先ほど松尾局長がお話しになった基準というものにかかわることだと思います。前段の場合には、一つ委託業務をする場合の条件といいますか、十五条の二というのは、ある場合には、これは禁止規定というのですか、こういうことがなければしてはいけない、こういうことをうたっていると思うのですけれども、しかし、現実には、委託業務というものが全国であちらこちらに行なわれております。そうすると、清掃法の十五条の二にうたわれている法の趣旨と非常に異った事態がここにあるのだ、こういうふうに私は理解いたします。この点について、本来ならば、厚生省としては、そういうような事態というものはあるべきでないという強い態度で監督とかあるいは規制をすべきだと私は思うのです。しかし、それが現実にはなされていない。この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  114. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御意見は、現実はいろいろ問題がございまするけれども、やはり御意見のとおりに、それが原則であって、その方向に強く前進をしなければならぬと考えております。
  115. 山本政弘

    ○山本(政)委員 昭和四十二年八月四日でございます。「各省庁官房長殿」ということで、「昭和四十三年度の地方財政措置について」ということで、自治省の財政局長から通達が出ております。それによりますと、「し尿、じん芥の収集処理、保育所の経営、学校施設の実施等については、」これは、あとの二つは別といたしまして、し尿、じん芥の収集処理については、「各団体の実情に応じ地方公共団体の十分な管理監督の下に、その民間委託または間接経営等の方法を採用することが適当と考えられる場合が多く、また各種試験研究機関については、その統廃合を強力に推進する必要があると認められる」云々と、こうあるわけです。そうしますと、自治省は民間委託または間接経営の方法をとれと言い、大臣のいまの御答弁では、実情はともかくとして、直営であるべきだという御意見だと思うのですけれども、これは内閣のもとで、自治省と厚生省との見解が私は相反しているような気がいたします。再度大臣の御答弁お願いいたしたいと思います。
  116. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 私どももそういう、たしかあれは地方財政審議会か何かが出されました答申というようなものを受けて出されたものだということを、あとで承知いたしたわけでございます。直接私どものほうまで、そういう文書を出すということについての了解が求められたということの事実はなかったようでございます。私どものほうとしては、したがって、そういういわば先ほど大臣お答えいただきましたように、基本的な清掃法の姿勢、解釈というものがあるわけでございます。それを、実体論はいろいろあろうかと存じましたけれども、軽々にこう出して、しかも、それが形式的に浸透される、信じられるということは、やはり遺憾であったと考えておるわけでございます。
  117. 山本政弘

    ○山本(政)委員 五カ年計画について、この措置法によりますと、企画庁長官あるいは建設大臣に相談をしなければならない、と同時に、閣議決定もしなければならない、こうあるのです。閣議決定ですね。その場合に、自治省のほうから、あとでお伺いしたという松尾局長の御答弁でございますけれども、別々に閣議決定をしなければならないほど、これは私は国民の環境衛生としては重大な問題だと思うのですけれども、自治省があとで通達を出す。あなた方の御存じのないときに通達を出すということについて、私はその点についてはたいへん疑問があると思うのです。  そこで、厚生大臣にお伺いいたしたいのは、直営が本来の考え方であるとするならば、自治省からそういう委託あるいは間接経営といいますか、そういうことが、ともかくも現実としては出ております。そのことについて、これを是正、改善する方向に、そして直営の方向に、これが基本的な考え方とするならば、そちらのほうへ持っていかれるというお考えがあるかないか。この点について、これは大臣からお伺いいたしたいと思います。
  118. 園田直

    園田国務大臣 自治省と私のほうとの事務上の連絡が十分でなかったようでありますが、自治省がそういう方針をとるのは、これはほかのことも考えまして、やはり地方財政の面からそういうことを言っておるのだと思いますが、しかしながら、こういう事業というものは、財政の面ばかりからだけ考えてまいりますと、本質を逸脱するおそれもありますので、この点は、大蔵省、自治省とも十分話し合って、現実の問題として、将来はそちらの方向に向かっていくような姿勢だけはとるようにしたいと考えております。
  119. 山本政弘

    ○山本(政)委員 大臣、姿勢をおとりになっても、現実厚生省施策としてそれが実行されなければ、姿勢はとっておるけれども現実はどうにもなりませんということでお逃げになられては実は困ると私は思うのです。これはなぜ私がお伺い申し上げるかというと、自治省のほうは地方交付税とかいうようないろいろなことがあって、財政的な問題とこの問題とはからみ合うことです。したがって、大臣に再度お伺いいたしたわけです。このことについては、姿勢だけではなくて、ぜひ施策として強力に推進していただきたい、こう思うのです。たいへん申しわけありませんが、再度大臣の御答弁お願いいたしたい。
  120. 園田直

    園田国務大臣 姿勢と申し上げましたのは、単にその方向を示すということではなくて、ですから、いまの、大蔵省とも相談してと申しましたのは、やはり自治省は、地方自治の財政に対するそういう面の何らかの大蔵省の協力がなければ、現実の問題として処理することができないでありましょうから、三者で話し合いまして、その方向に将来の問題あるいは現実の問題と逐次修正していくようにやりたい、こういうことでございます。
  121. 山本政弘

    ○山本(政)委員 自治省の方、あとでお見えになったので、あるいは御存じないかと思いますので、あらためて申し上げたいのですけれども、四十二年の八月の四日に自治省の財政局長の通達が出ておりますね。そうして、これは民間委託または間接経営ということについての指導を推進しておられるように承っております。いま厚生大臣に私は要望申し上げたのですけれども厚生大臣からは直営化の方向で進んでいきたい、こういう御答弁をいただきました。そうすると厚生省と自治省とでは考え方が違うような感じがいたします。そして私も資料をそこに置いておりますけれども、環境衛生に対する財政的な措置というものが、何と申しますか、伸びが悪いのです。そういう方向で、あなた方は民間委託または間接経営というようなことを打ち出しになったのかもしれません。しかし本来は、清掃法の十五条の二によっても、明らかに直営が本旨だと私は思うのですよ。そのことについて自治省の方から、どういうお考えなのか明確に私は御返事がいただきたいと思います。
  122. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 自治省としましては、地方団体の行なう行政の内容が、住民に対するサービスを低下することなくして、しかも、合理的な運営の方法によって経費の節約をはかるとか、いろいろな他の方法があれば、そういうことを地方団体として自主的に考えていくべきではないかということを一般的、抽象的に絶えず指導しておるわけでございます。もちろん、そういうことをやるにあたりましては、制度のたてまえ、そのほか、それぞれの所管行政庁の指導ということもあろうと思います。そういうワク組みに反してやれということも……。制度において認められた中においてやるべきで、——もちろん、行政のサービスを低下してはいけない、そういう両面から考えて、くふうをこらしてやったらよいのじゃないか、こういうことを指導しております。
  123. 山本政弘

    ○山本(政)委員 自治省では、それでは民間の委託ないしは間接経営ということは合理的である、そして住民のサービスに資すると、こうお考えなのですか。
  124. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 この点につきましては、私たちは形式的、画一的にどういう方法であればサービスがよくて経費も安いかということは、なかなか一がいには言えないかと思います。それはあくまでも当該自治団体の事情によって、このほうがよい、こういう判断ができる場合においてはやるということを言っております。民間委託のほうがいいということを決して形式的にきめておるわけではありません。
  125. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それでは、直営と民間委託について、あなた御自身のお考え方はどちらがあるべき姿だとお思いになるのか、その点をちょっとお聞かせ願いたい。
  126. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 この点につきましては、あくまでも抽象的には判断しにくいことであろう。やはり個々の事業の規模なり、あるいはその土地の状況なり、地方によりますと、なかなかそういった職員も集めにくいというようなところもあるようでございます。そういう場合に個々の事柄について判断をすべきことではないか。もちろん、直営が原則たてまえであろうと思います、制度としては。
  127. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たいへんありがとうございました。直営が制度としては原則であるというお答えをいただいて私は安心したのですけれども、しかし抽象的には——私はひっかかるのですけれども、あなたは、抽象的にはどちらがどうとは軽々に言えない、こうおっしゃいました。しかし、四十一年度の会計検査院の決算報告には、明らかに民間委託についての批判というものが加わっております。これはし尿処理施設管理のことについていっているわけですけれども、「第四年度に当たる昭和四十一年度末をもって打ち切り、新たに四十二年度を初年度とする第二次五箇年計画が発足したが、この間、市町村等が行なったし尿処理施設の新設は六百五十三箇所(四十一年度までにしゅん功したもの五百六十九箇所)事業費総額五百二十四億九百六十七万余円となっている。」こう説明があって、そのあとに、「しかして、上記しゅん功した施設のうち二五%に当たる百四十三施設につき、その管理の状況について検査したところ、処理実績が施設の処理能力を著しく下回ったり、清掃法に基づく水質基準に適合しない水質の放流水を放流したりしていて設置後の管理が適切を欠くと認められるものが相当数見受けられた。」こう書いてあります。そうしてその次に、「このような事態を生じているのは、主として、事業主体において、し尿運搬機材の整備、し尿しゅう集業者に対する指導監督が十分でなかった」と同時に、これらの資質向上についてきちんとしなければいけませんよということがここに書いてあるのですよ。直轄でないから、民間だからこういうことになっているんだということを書いているのです。あなたは抽象的に軽々には判じがたいと言っているけれども、四十一年度の会計検査院の報告に書いているのですよ。だとするならば、やはり直営ということが当然だ、私はこういうふうに考えられます。再度お考えをお伺いいたしたいと思います。
  128. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 そういう点のような御指摘があるということは、私、実は存じませんでしたが、民間でやる場合にも、いわゆる許可でやる場合、委託でやる場合、いろいろあるだろうと思います。また委託をする内容も、どこまでどの程度のものをするかということがいろいろあろうと思います。その委託をした場合には、何と申しましても、直接じゃありませんから、したがって、その条件なり監督なりを厳重にしなければ、そういうことも起こり得るだろうと思います。したがいまして、いろんな条件からしまして、委託をする場合には、十分にその監督を厳にすると同時に、前提の条件もつまびらかにしておかなければならぬというように考えております。したがって、ただ委託はいかぬということでなくて、これは、その場合の監督なり条件なりに十分目を光らせていかなくてはならぬ、こういうふうに考えます。
  129. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いまあなたのおっしゃったとおりを私メモしたのですが、何ぶん直営ではございませんから問題がある、こういうふうにあなたおっしゃっているのですよ。ということは、委託だからそういうことが生じるのだ、こうあなたはその裏にお考えになっておるはずですよ。だからこそ、何ぶん厳重に監督をしなければなりませんということが出ておるわけでしょう。直営でないからということなんです。直営であったならばもっときちんと監督ができるはずだけれども、何ぶん委託だからというのがあなたのおっしゃったことです。だとするならば、直営というのが本来のあるべき姿であるとあなたがおっしゃったのであるならば、この四十二年度の自治省の通達というものは、私はやはり実態というものを踏まえた通達ではないような気がいたします。それを取り消せ、こう私は申し上げているのじゃありませんよ。あなたに認めてもらいたいことは、直轄が本来のあるべき姿であり、そして制度であるとするならば、やはりその線に沿って、自治省としても予算的な措置について厚生省考え方に協力することがあたりまえじゃございませんか。その点についての御答弁をはっきり伺っておきたいと思います。
  130. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 清掃法のたてまえが、法律の中に、原則としてどれがたてまえであるというようなことは書いてございませんけれども、全体を流れている思想は、直営でやるという考え方であると思います。ただ特別清掃地域がどんどん拡大していくというような中において、現実に地方団体において直営で処理しがたい、そういうことがむずかしいという場合も予想して、委託なりあるいは許可ということを規定してあると思います。そういう規定をしておる中においてそれを適用してやる場合には、やはり同じように法律にあります監督なり条件の認定というものを厳にしなければならない、かようにいっておるわけでございまして、そういうものをないがしろにして、ただ財政上の見地から委託したということを申し上げたわけではないのであります。
  131. 山本政弘

    ○山本(政)委員 自治省の方から、たいへん理解のある御答弁をいただいてありがたいと思うのですが、ただ現実を申し上げますと、あなたのおっしゃるように、特別の事情ということでなくて、これが一般化しているような気がいたします。ここに例がありますけれども、鹿児島市、広島市、久留米市、横須賀市、都下の昭島市、三鷹市、下関市、徳山市、新潟市、それから豊橋市、安来市、浜田市、伊東市、続々とこういうことが出てきておるというのが率直にいって今日の現状だと思います。ぜひあなたのおっしゃったように、原則で、特別の例外というものはあり得るだろうということを私は期待をいたしまして、自治省に、あなたの御答弁に対しては質問を打ち切りたいと思うのです。  これは厚生省にお伺いしたほうがいいだろうと思いますけれども、標準団体規模というのがありますね。正確に申し上げますと、標準団体行政規模というのですか、昭和四十二年度人口十万人について特掃人口七万人、そして公便十、あるいはじんかい処理場数、その他下水処理場数等が出ておりますけれども、そこでお伺いいたしたいのは、人口十万人としながら、特別清掃地域をなぜ三万人落として七万人にされておるのか、その辺の理由をお伺いしたいと思います。
  132. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 特別清掃地域の人口の総人口に対する比率と、こういうものを基準にして、それの平均値を基準にして使っております。総人口の中で特別清掃地域の人口というものの占める割合、これをとって七割という線で押えておるわけであります。
  133. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、たとえば人口十万人の都市がありますね、そのときに七万人といいますか、つまり実際にし尿あるいはごみを処理すべきものは、十万人現実におっても、七万人しかおらない、こういうことなんですか、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  134. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 実体的には、その十万人というものの中で、清掃法に基づきます特掃地域の人口として適用されるものが七万、そういうことになります。
  135. 山本政弘

    ○山本(政)委員 たぶんそうだと思うのですけれども、そうすると、その三万人、特掃地域に適用される人口が七万ということは、十万人のうちの三万人というものは適用除外人口とみなしていい、こういうことなんでしょう。そういうことでございますね。
  136. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 いまの数字から言えばそういうことになります。
  137. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、三万人がなぜ適用除外になっているか、その根拠をお示しを願いたいと思います。
  138. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 十万人の地区でございましても、清掃法の中に特別清掃地域として指定をする地域と、それから除外をしている地域とございます。いわゆる市街地的な構成をしているところは指定地区になります。それからそうでないところははずす。そういうもののいわば平均という形でいまの七割論が出てきているということでございます。
  139. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ことばを返すようですけれども、三万人の人口というのもやはり排せつをするのですよ。たいへんことばとして何ですけれども、排せつもされますし、それからごみもやはりお捨てになると思うのです。そういうことから言えば、三万人ではなくて、やはり人口十万の都市については十万というふうに特掃地区というものをお考えになるのが、私は考え方としても当然ではないかと思うのです。その点についてもう一度、つまり人口でやるのではなくて、あなた方は一日のごみの処理数というものを一人当たり幾ら、それから排せつ量を一人当たり幾らというふうに計算なさっているわけですね。そして私に資料をよこしてくださったのです。それからするならば、三万人というのを除外をする理由というものは、私は人口——その適用とか適用でないとかということは別といたしまして、十万人おるならば、やはり十万人に特掃地域として適用すべきというのが当然だと思うのです。地域によって分けるのではなくて、やはり人口によって処理をするように考えるべきではないか、こう思うのですけれども、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  140. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘の点は、ほんとうの実体論から申せば、十万人の人がおられまして、すべてそこにごみもあり、排せつ物もあるわけでございます。それを全部清掃法の対象として処理をする、これはまさにそのとおりの方向に行くべきだと存じます。したがいまして、その問題は、結局は清掃地域と特別清掃地域というものをどうかぶせるかという問題にかかってくるわけでございまして、私どもは先ほど来申し上げましたように、それを四十六年度のこの計画では人口の九〇%まで、そこまで持っていきたい。しかし、あとは山の中に住んでおられる方でございますとか、それから実態上そういう処理ができない、純粋の農家の山奥におられる方とかというものが残ってまいりますので、そういう点は多少は残りが出てくる、こう感じておりますけれども、あるべき姿としては、やはり全部カバーする。  それからもう一つ先生の御指摘は、十万という算定の基礎に、十万人のうちの七万というものを持っていくことが、結局はその市町村の実態清掃すべき実態に合ってないと、こういうことで御指摘になったかと存じておりますけれども、その点は私どもも具体的にあてはめればそういうことが起こり得ると思います。したがいまして、もう少し具体的な地域に合ったような基準というものを検討させていただきたいと思います。
  141. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いま、検討させていただきたいというおことばがございましたけれども、私は十万人ということで、十万人に相当する都市をさがしてみました。三重県の鈴鹿市がそうです。これは四十年度でございますけれども、十万五百九十四人なんです。そのうちでごみを捨てない人口は一体どのくらいか考えてみました。おそらくゼロ歳の赤ちゃんはごみを捨てません。四歳の赤ちゃんぐらいまでも、あまりごみを捨てないと思います。しかし一応十四歳まで、かりにごみを捨てないと勘定いたしましたら、二万三千六百四十四人なんですよ。十万人のうちに二万三千六百四十四人ということになると、あなたのおっしゃっておる七万の特掃地域ということにほぼ匹敵します、若干少ないですけれども。しかしその中には五歳から九歳までの七千三百四十七人、十歳から十四歳までの八千八十五人がおるんですよ。これはやはり人並みにし尿も排せつするだろうし、そしてごみも出すだろうと思うけれども、そういうことを考えれば、私は特掃地域が九割であるとあなた方がおっしゃるならば、まだ理論としても納得いたします。しかし、三割となると、これは私はたいへん問題がありそうな気がいたします。やはり十万に対しては十万だということを、努力するのでなくて早く私は実現してほしいと思うのです。  と同時に、農家のことをあなたはおっしゃった。農家はしかし全国で、これは農林省の資料ですけれども、経済局の調べで、すでに金肥が三百五十万トンなんですよ。これは昭和四十二年度。そして人ぶんが別に四万トンしかないわけです。そうすると一割ないんですね、一%強なんですよ。農家還元の肥料については、どこから資料をおとりになったかわかりませんけれども、あなた方の資料のほうがはるかに高いですよね。しかし農林省のほうでは、これは肥料として精密な調査をおやりになった、このほうが精密な調査かもわかりません。それが四万トンと金肥が三百五十万トンということで、これは幾ら考えても、あなたのおっしゃるように処理ということについては農家だってたいへん今日は少なくなって、むしろ農家では処理をするのが困っておるのが現状ではないかと思うのです。そういうことを考えると、特掃地域が人口十万に対して七万ということは、私はたいへん不合理だと思うのです。十万に対してはやはり十万であるべきだと思うのですが、再度局長さんの御答弁お願いいたします。
  142. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 御指摘のとおり、今後における具体的に取り組むべき清掃事業の中で、農家のし尿あるいは農家の飼っております家畜のし尿、こういうものの処理は、これから取り組まなければならぬ大問題だと私ども考えております。いま御指摘のように、私どもも特別清掃地域というものをさらに拡大をしようという努力をしておりまして、少なくとも四十六年までにはそういう九割の線までいまの制度の中でもカバーできるように持っていきたい、かように考えておるわけでございまして、先生のおっしゃるような方向で努力してまいりたいと思います。
  143. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ本会議が始まったそうですから、あと留保させていただきまして、私はなぜそのことを申し上げるかといいますと、交付税の単価の算出基礎にもやはりこれはかかわってくる問題なんです。そして自治省と厚生省では数字が明らかに違っておる。自治省は十万都市で算出をした場合に、三十九年六十三名、四十年七十九名、四十一年八十八名、四十二年、四十三年と変わらないで九十一名になっている。ところが、厚生省は三十九年百名、四十年と四十一年は同じで四十二年百八名、四十三年が百十名なんですよ。あとスイスのことについては私は留保させていただきますが、そのことについても、スイスのことを例にあげまして私はぜひ御理解をいただきたいと思いますけれども、そういうことにかかわってくる。私は十万都市はやはり十万都市として特掃地域が七万であるというような、そういうこれは除外例と申しますか条件づきだ、そういう条件というものをつけないのがあるべき本来の姿である、こう思いますので申し上げたのでございます。  あとこの次は、私は簡単に二、三点を質問を申し上げたいと思うのですけれども、きょうはこれで質問を終わらせていただきます。
  144. 八田貞義

    八田委員長 次回は明十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十分散会