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松永政府委員 ただいまの御
質問、非常にたくさんの項目にわたっての御
質問でございますが、
基本的な
立場といたしましては、公労委の機能は公企体等の
労使関係につきましてあっせん、
調停、仲裁という三
段階の調整機能を持っておるわけでございます。したがいまして、あっせん、
調停等の
段階におきまして、
労使がそれぞれ自分の資料に基づき自分の
主張をいたしまして、これはたとえば使用者側
委員を通じ、あるいは
労働者側委員を通じという形になるわけでございますが、その結果におきまして、調整のめどがたつという形をとっておるわけでございます。したがいまして、人事院が人事院としてその独自の権限に基づきまして
民間の
企業の
賃金を調査し、そして勧告をするというのとは違いまして、
労使両当事者の
主張を聞きつつ調整を行なう。そしてその最終形態が仲裁であるということでございます。その点は、中労委とかあるいは船員中労委の機能と似ておる、同質であるというふうに
考えられるわけでございます。
それからもう
一つの点は、もちろん言うまでもなく、
政府からの独立機関でございますので、たとえば
政府から公労委に対しまして、ああせい、こうせいということを言うことはできないということでございまして、われわれといたしましては、公労委が発表をいたしましたものについてのこれの解釈というものはいたしますけれ
ども、それについて当、不当というようなことを言うべき筋合いではない。これが
政府と公労委との
関係の
基本的な
立場だと思います。
ただいまの御
質問につきましても、具体的には、たとえば昨年の場合は
調停段階で相当
労使の間——これは合議の
段階でございますので、労働側
委員と使用者側
委員の間だと思いますが、相当激しい議論が展開された。そうしてその議論の間におきまして、公益
委員であります
調停委員長が、その両者の
主張をよく吟味しつつ最後に
調停委員長意見というものを出したといういきさつでございます。したがいまして、私
どもといたしまして聞いておりますところは、このような理解をしておるということは申し上げられますけれ
ども、それが妥当であるかどうかということにつきましては、一切批評はいたさないという
方針であり、またそうあるべきだと思います。御
指摘の点につきまして、三公五現ございまして、
組合はさらに十一ですかございますから、その間に
交渉が行なわれ、そして
調停段階で
主張が行なわれる。したがって、各
公社それから各
組合とも
主張が違うわけでございまして、たとえば勤続年数とか、前歴とか、それから学歴別、年齢別の
賃金比較というようなことを自主
段階で
主張された
組合もございますし、
主張しなかった
組合もあるわけでございます。それらの全体を通じてどうかということになりますと、統一して全体共通の問題点はこうだということにはならないのでありますが、そういう
主張なり論議が行なわれたということも承知をいたしております。
〔小沢(辰)
委員長代理退席、
委員長着席〕
それから
昭和三十九年におきましては、
企業体ごとに裁定のアップ率において格差がつけられました。これは
賃金格差があるという
主張が非常に強くなされました結果、公労委におきましてそれらの
意見や資料を参酌して、格差是正ということをやったんだというふうに聞いておりますので、たてまえといたしましては、おそらく公労委としては、三十九年に格差是正が行なわれた結果、その後においては格差というものはないのだというたてまえで
考えておられるのではないかというふうに推測をいたすのであります。
それから定期昇給でございますが、公労委の裁定は
賃金の、基準内
賃金に対しましてどの程度アップ——たとえば昨年の場合は六・五%プラス三百円というような
調停委員長意見であり仲裁裁定であったわけでございますが、定昇につきましては、裁定の中に入っておりません。発表された中に定昇に触れておりますけれ
ども、これは裁定の内容ではなくして、それに定昇が大体これぐらいあるという数字であるというふうに
考えております。そうしてこの定昇値は予算定昇値ではなくして、理論定昇値といいますか、現実定昇値といいますか、そういうものであるというふうに承知をいたしております。それで各公企体それぞれ違うわけでございますが、平均いたしまして理論定昇値が昨年の場合は四・三%であるというふうに承知をいたしております。