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1968-03-28 第58回国会 衆議院 社会労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)    午後五時一分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君    理事 田川 誠一君 理事 橋本龍太郎君    理事 藤本 孝雄君 理事 河野  正君    理事 田畑 金光君       大坪 保雄君    海部 俊樹君       齋藤 邦吉君    世耕 政隆君       田中 正巳君    竹内 黎一君       中山 マサ君    増岡 博之君      三ツ林弥太郎君    箕輪  登君       粟山  秀君    渡辺  肇君       井上 普方君    枝村 要作君       岡本 隆一君    後藤 俊男君       島本 虎三君    西風  勲君       八木 一男君    山本 政弘君       本島百合子君    和田 耕作君       大橋 敏雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君  出席政府委員         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         厚生政務次官  谷垣 專一君         厚生大臣官房長 戸澤 政方君         厚生省医務局長 若松 栄一君  委員外出席者         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         厚生省医務局次         長       北川 力夫君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月二十六日  委員渡辺肇辞任につき、その補欠として古井  喜實君が議長指名委員に選任された。 同日  委員古井喜實辞任につき、その補欠として渡  辺肇君が議長指名委員に選任された。 三月二十八日  委員賀屋興宣君、加藤万吉君及び八木昇辞任  につき、その補欠として三ツ林弥太郎君、井上  普方君及び岡本隆一君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員三ツ林弥太郎君、井上普方君及び岡本隆一  君辞任につき、その補欠として賀屋興宣君、加  藤万吉君及び八木昇君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 三月二十六日  最低賃金法案河野正君外九名提出衆法第一  号)  最低賃金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二号) 同日  医師看護婦の増員に関する請願井手以誠君  紹介)(第三〇三九号)  同(佐野憲治紹介)(第三〇四〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第三〇四一号)  同外八十五件(米内山義一郎紹介)(第三〇  四二号)  同(三木喜夫紹介)(第三一一七号)  同(村山喜一紹介)(第三一一八号)  同(森本靖紹介)(第三一一九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三一五六号)  同(稻村隆一紹介)(第三一五七号)  同外二件(河野正紹介)(第三一五八号)  同(栗林三郎紹介)(第三一五九号)  同(柴田健治紹介)(第三一六〇号)  同(田中武夫紹介)(第三一六一号)  同(横山利秋紹介)(第三一六二号)  同(井岡大治紹介)(第三二〇二号)  同(實川清之紹介)(第三二〇三号)  同(平等文成紹介)(第三二〇四号)  同(三木喜夫紹介)(第三二〇五号)  同(依田圭五君紹介)(第三二〇六号)  ソ連長期抑留者処遇に関する請願外四件(大  久保武雄紹介)(第三〇四三号)  同外八件(八田貞義紹介)(第三〇四四号)  同(原健三郎紹介)(第三〇四五号)  同外二件(粟山秀紹介)(第三〇四六号)  同外五件(坂田道太紹介)(第三一二〇号)  同外三件(武藤嘉文紹介)(第三一二一号)  同外五件(八木徹雄紹介)(第三一二二号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第三二〇〇号)  同外十三件(菅太郎紹介)(第三二〇一号)  柔道整復師法制定に関する請願増岡博之君紹  介)(第三一一四号)  せき髄損傷障害者援護に関する請願増岡博  之君紹介)(第三一一五号)  外傷性せき髄損傷障害者援護に関する請願  (増岡博之紹介)(第三一一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  医師法の一部を改正する法律案内閣提出、第  五十七回国会閣法第八号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出医師法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 このたびの医師法改正につきまして、大臣に少しく御所見をお伺いすると同時に、文部省学術局長見えていますか、お伺いいたしたいと思うのであります。  まず大学学術局長にお伺いいたします。先般の田邊委員質問に対しまして、東京大学医学部紛争処分するのが当然だ、こういうような御趣旨の御発表が国会において行なわれた。この社労委員会においてあなたがおっしゃられたことを私は記憶いたすのでございます。私は、学園自治ということにつきましては、これは十分に尊重しなければならないと思います。しかし私どもといたしましては、学園自治に対し、あるいは行なっておる事柄に対しましては、これは批判の自由はあると思います。しかも、あなたは政府委員という立場において、先日の処分の問題については当然であるがごとき答弁をなさった。そこで私は、先日来の新聞記事並びに私自身も一週間前から、実はちょっと切開をいたしまして、東大病院に毎日参っておるものでございまして、東京大学付属病院内における混乱ぶりというものをつぶさに、若手のあるいは古い医局員諸君から聞きました。この東大医学部処分問題については事実誤認があることは、昨日の朝日新聞にも明らかなところです。また退学というような重要なる処分、これをやっておるのを当然としたあなたの御答弁は、あれが当然であるとお考えになっておられるかどうか、ここでもう一度、これがまず第一点です。  第二点といたしまして、先日、この医師法改正問題につきまして、豊川東大医学部長を実はここにお呼びいたしました。その節の御説明によりますと、カリキュラムについて要求しておるので、学生との間に話し合うところがないのだということをを申されましたし、また新聞記事によると、昨年の五月以来、医学部長学生との間に全然話し合いが持てていないということがはっきりと発表されております。また上田病院長のごときも、これまたホテルに住まいをいたしまして、ほとんど大学に出ていない。学生との間にコミュニケーションがない。全然話し合いが行なわれていない。こういうことではたして大学の運営がよくいくかどうか、ひとつあなたのお考え方をお示し願いたいのでございます。本日、わが党の堀議員東京大学の経済学部の教授に会いますと、学生教授室へ入ってくることを実は拒んでおる、困るというような態度医学部教授がおるのだ、実にどうも医学部教授態度というものは解せない、そのようなことを申されておる。私も医者でございます。インターンをやりました数少ない国会議員の一人でございますので、そういうような点からいたしますと、このたびの東京大学医学部紛争並びに各大学医学部紛争というのは、すべてこの医師法改正に重なってきている。ここで大学学術局長としては、現在の学生教授との間のコミュニケーションのないこの状況についてどういうようにお考えになっておるか、どう処置されるおつもりであるか、また、学園自治というものがあるがゆえに、あなた方としては手がつけられないだろうと思いますけれども、そこらの関係をどう考えるか、ひとつお伺いいたしたいのです。と言いますのは、前言を取り消していだきたいのです。
  4. 清水成之

    清水説明員 ただいま先生質問の第一点でございますが、大学学術局長は、ただいま文教委員会国立学校設置法審議が行なわれておりますので、そちらに参っておりますが……。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 大学学術局長の先日の答弁でございましたので、あなたの答弁はよろしゅうございます。  それでは大臣にお伺いいたします。この医師法改正によって非常に学園が乱れておる。これは言いかえますならば、戦争後アメリカによってインターン制度というものが持ち込まれました。これは先日豊川参考人お話によりますと、一部では非常にいい成績を残したところもある、こう申されましたが、私も、インターンをやった医者国会の中ではわずか二人しかないそうでございますが、その一人でございます。ところが、私がインターンを一年間やってみまして、実際得るところは何であったかと言いますと、何らなかった。ともかく看護婦以下の処遇であった。しかもインターンを受けなければ国家試験を受けられないという制度のもとにおいてやられたのです。それで私も、後輩諸君のために努力しなければならないということは痛感いたしておったのでございますけれども昭和三十七、八年ころからようやく学生運動として起こってきて、初めて厚生省が取り上げてきておる。しかも昭和二十八年以来、インターン制度、これがいいか悪いかということについて論議がなされておるのです。しかるにもかかわらず、厚生省としては、二十八年以来この問題について何ら改善しようとする余地がなかった、まさに厚生省の怠慢だと思うのです。あるいはもう少し申し上げますならば、厚生省のセクショナリズム、それがあったのではないかと思うのでございますが、過去の責任について大臣はどのようにお考えになりますか、ひとつ御答弁をお伺いいたしたいのであります。
  6. 園田直

    園田国務大臣 学校のことについては、私はきわめて知識が浅薄ではございますが、各方面の御意見並びに学生諸君新聞等に発表されておるところの意見を拝見しまして、過去のインターンというものが、教育制度充実、あるいは直接教育する方々準備等が不十分のために、大学を出てから一カ年間ただ時間の経過を過ごせばいいというようなことで、実質に目の色変えて学生諸君が勉強するような環境をつくらなかったところに責任があるのではないかと、私はひそかに考えておりまして、二十八年以来今日まで、この問題について主管省である厚生省が手をつけなかったことはまことに遺憾であると考えております。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 設備が不十分である、そのとおりであろうと思います。まことに私は皮肉な言い方で、私どもといたしましてはアメリカ軍の駐留を反対いたすものでございますけれども、実際はインターンで最も充実できるのはアメリカ陸軍病院であった、これが実態なんです。と申しますのは、十分に二十四時間勤務ができるように設備も完備しておる、さらにはまた給与も十分出す、そしてまた時間も十分与えておる。というので、アメリカ陸軍病院において最もインターン制度が完全になされた、こういう事実があるのです。これは一般にいわれておることなんです。私は社会党におりますから、もちろんこのアメリカ陸軍病院の存在につきましては否定的な立場ではおります。しかし、医学の学問を進めさせる上において、学術を修めさせるという点において、研修させて実際に成績をあげたのはそこであったということは、日本政府の、すなわち制度はつくりながら金は出さなかったというところに一番大きい原因がある。  ところが、このたびまた研修医制度というものをつくろうとしておりますけれども、この研修医制度のもとにおいて、財政的な裏づけがまことに貧弱である、何らなされていないと言っても過言ではございませんでしょう。このもとにおいて、二年間の義務制ではないと申しますけれども実質上は義務制に近い制度が行なわれようとしておるわけでございます。昨年来いろいろ厚生省方針はぐらついて、あるいは変わってきてはおるようでございます。あるいは登録医専門医名称をつけるとか、これがだんだん変わってきてはおります。しかし、変わってきてはおりますけれども予算的に十分な処置ができてないところに一つ大きい欠陥があるということは、これはお認めになりましょうか。どうでございましょう。そうして将来どういうような予算処置をなさろうとするのか、その点お伺いいたしたいのでございます。
  8. 園田直

    園田国務大臣 今年度、いままでのインターン制度から研修生制度に切りかえることについては、御指摘のとおりに、まず準備しなければならないのは、充実した教育環境をつくり、そして今日問題になっておるのは、私が第三者として総合的に考えてみますと、やはり学校を出られた学生諸君というのは、医術を身につけた職人ではなくて、人間の生命を守るとうとい人間形成の目標を持っておられるものだと考えております。その彼らの理想と今日の教育環境が離れ過ぎておるところに問題があると私も考えるわけであります。そこで、その教育充実のために、あるいは研修生の新たな医師諸君の待遇の問題等のために、本年度文部省と両方合わせまして約八億四千数百万。昨年度は二億七百万でございまして、教字の上からいえば三倍ぐらいの予算をつけておりまするものの、もともとの基礎が非常に不十分でございまして、率直に言いますると、決してこれは十分ではないと考えます。ただこのまま放任することは所管大臣としてまことにたえがたいところでございますので、その過渡期については、教育病院なりその他の施設あるいは振り当ての方法等を新しい医師諸君が希望されることになるべく沿うように、いろいろ苦労してこの過渡期をカバーしながら、学生諸君も希望され、われわれも考える、二年間の研修の価値がある、法律で規制しなくてもみずから進んで研修をやろうと思われるような意欲の出るような環境づくりをすみやかにやらなければならない、こう考えております。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 私はここで、インターンが不備である、かつまた有害であるということを強調いたしたいのでございます。先日も、実は谷垣政務次官お話し申し上げましたところが、無給医局員インターン生との区別がつかないのです。一般インターン一をやったがためにレベルが上がると、こう考えになっております。しかしながら、現行のインターン制度におきましては、この大学を卒業した生き生きとした頭を実は一年間休止さして、無給なるがゆえに、あるいは給与が非常に悪いがゆえに、一般の開業医のところに行ってアルバイトをやる。むしろ医術の低下を来たしておるというのが実態であります。したがって、先日も参考人としておいでになりました方々お話でも、全部、インターンというものは有害である、無用であるという結論を出されておるのでございます。昭和三十九年に朝永振一郎さんが、学術会議勧告を出されております。それによりましても、インターン制度はすみやかに廃止すべきだ、これが日本医学を振興させるゆえんである、こう申されておるのであります。その後のインターン問題小委員会というものがどういう機関でつくられたのでございますか知りませんけれども、つくられておる。権威あるといわれておる人々がつくられておりますけれども、それらの資料を見ましても、いずれもインターンというものはすみやかに廃止すべきだということを実は申されておるのでございまして、私もこの点同感なのでございます。ところが、インターンかわりとしてこの研修医制度をお考えになったのかどうか、この点ひとつお答え願いたいと思うのです。大臣の御答弁をお願いいたします。
  10. 若松栄一

    若松政府委員 このたびの法律改正趣旨は、御指摘ありましたような、すでにむしろ弊害さえ伴ってきたインターン制度を廃止いたしまして、これにかわって新たな研修制度というものを確立したいという趣旨に出るものでございます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 そういたしますと、現在のインターン制度にかわるべきものということになりますね。そうでございますね。インターン制度が悪いからこれにかわらなければならないという考え方で進まれておるわけではございませんか。
  12. 若松栄一

    若松政府委員 現在のインターンにかえる、いわゆる代用の品ということではございませんで、インターン制度は廃止する、そして新たに研修制度を確立するという趣旨でございます。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私は、インターンを廃止するので、それでかわり研修医制度をつくろうという考え方に受け取れる。受け取りかねない、世論は。政務次官である谷垣さんさえも、インターン無給医局員区別がつかないのです。大学におる無給医局員インターン学生のごとく考えがちなんです。これを利用してこの専門医制度というものをつくりつつあるのではないかという危惧を私は深くするのでございます。学術会議が、朝永振一郎さんが、昭和三十九年の十一月の十七日に、インターン問題に対しまして実は勧告をやっております。その後も、インターン問題の厚生大臣文部大臣諮問機関であるところのインターン問題小委員会資料にも、すべて「医師免許取得後の臨床研修医学教育の一環として医育機関がその責任においてこれを行なう」ということをどの項目にも書いてあります。ただ昨年来、豊川東大医学部長なんかになりますと、教育病院というような名前が出てまいります。教育病院という名称が出てまいりますが、しかし実際に、このインターン指定病院という資料を私はここに厚生省からいただきましたが、これを拝見いたしますと、一例をあげますならば、インターン指定病院定員十名のところが、実は私のくにの徳島県立中央病院でございます。医者定員が三十四名であって、現在の実数は実は二十三名しかおりません。こういう中において、しかもベッド数がどれだけあるかと申しますと二百六十四でございます。一般病院でございますよ。特殊病院じゃないのですよ。そういたしますと、一人当たり十二、三のベッドを持たなければならない。これが実態です。こういうのがインターン指定病院になっているわけなんです。だからインターンという身分で、医者でもない、学生でもない、ただ働きの医者で一年間縛りつけておったのがインターン制度であったといっても過言ではないのです。病院によっては違いましょう。しかし、こういうような実態について改めようとするものでございますがゆえに、あなた方厚生省当局は、このたび病院研修医を割り当てる際に、実績に応じて大学病院と公、私立、国立病院とに配分をしようとしておりますけれども国立病院並びにあなたが指定しようとするこのいままでの二百七十一の病院のうちで、実際医者は幾らおりますか。欠員がどれくらいありますか。そして指導医は、はたしてほんとうに指導できる医者がどれだけおりますか。ひとつあなたの、百三十でございましたか、教育病院として指定しようとする病院定員と現在員とをお示し願いたいと思うのです。
  14. 園田直

    園田国務大臣 局長から具体的に答弁いたします前に、私から一言ただいまの御所見に対する私の方針を申し上げたいと思います。  研修医病院の振り当てあるいはその他について、インターン実績をそのまま使用したり、あるいはインターンの当時の数字を参考にすることは、私は誤りであると考えております。ということは、インターン研修生は全然本質的に目的を異にしておるばかりでなく、また研修を受けられる医師諸君と、インターンの当時のインターン学生諸君とは、心境も希望される場所も非常に違うと存じます。そこで、これは予算が組まれたあとでありますから、相当困難ではありまするが、そういうことをしんしゃくをしまして、新しく医師免許をとられた研修医師諸君の希望になるべく沿って割り当てができるようにいろいろ配慮したい、困難があろうとも実施したい、こう考えております。
  15. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま御指摘のありました本年までのいわゆるインターン指定病院につきましては、一般病床の数と現実におります医師の数を一覧表にいたしましたものを、先生のお手元まで差し上げたはずでございますが、これを全部集計した総計というものはいま数を出しておりません。個々の病院についてはごらんいただけると思います。  なお、差し上げました資料は本年までのインターン指定病院資料でございまして、これは二百六十幾つございます。将来教育病院として育成していきたいと言いますのは、この中から相当優秀なものを選びましてこれを教育病院にしていこうということでございますので、今後の教育病院というものはどのようになるかということは、まだこれは医師試験研修審議会におはかりいたしましてきめていただくということになっておるわけでございます。
  16. 井上普方

    井上(普)委員 厚生大臣お話はよろしゅうございますけれども、あなたのお話は、局長そんなことじゃないのですよ。私は徳島中央病院を知っています。これは国立病院だったのです。それが県立病院に移管になったのです。このときにも、国立病院当時からインターン指定病院であったのです。そのときに定員が三十二名だったのです。いいですか、当時から二十三名しかいないのです。一人の医者耳鼻科医者がパートで来ているだけなんです。申しますならば、医療法施行規則第十九条に違反するような病院までも、あなた方は事実インターン指定病院に指定しているじゃないですか。どう思います。
  17. 若松栄一

    若松政府委員 御指摘のように、従来のインターン指定病院の中には、相当医師その他の定数不足なものがございまして、現実に、御指摘のように、医療法施行規則十九条の標準に合わないものもあったと思っております。そういう意味で、今後はそういうようなことのないように指導してまいりたいと思っております。
  18. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、この一例をもってしても、インターン生医者不足病院、すなわち国立病院であるとか公立病院のなにとして使われてきた。不足をカバーせんがために使われておったという例証にほかならぬと思います。医療法施行規則十九条にまでも違反するのです。こういうような病院を指定しておきながら、これに対して厚生省は、依然としていままで指定したインターン指定病院を指定しておる事実に対しては、一体あなた方はどういう責任をとろうとするのか、どうお考えになりますか。しかも、あなたのほうでおきめになっておるところのインターン実施要項、「診療及び公衆衛生に関する実地修練運用基準」というのがございます。これを見ますと、静脈注射もできないのです。いいですか、医者でないのですから、できないようになっておる。ともかく看護婦以下の処置しかできないようなインターン基準なんです。片一方におきまして、私は内科専門でございますので申し上げますと、内科とかあるいは精神科にすればインシュリンの衝撃療法であるとか電撃療法、こういう診療を会得させるところまでは書いてあるのです。私実はこれを二、三日前に拝見いたしまして、インターン制度がいかに矛盾に満ち、しかも医療法との関係において矛盾だらけ制度であったかと断定してはばからぬのです。しかも一面において公衆衛生保健所の実習がございます。A級保健所に、私らのときでございますと、三週間行かなければなりませんでした。ところが、A級保健所におきまして、医者定数に達しておるところが幾らあります。実際は一年間この能力のある卒業したて学生を遊ばした制度インターン制度であるといっても過言じゃないのです。私がこれを言いたいのは、この研修ということについて後ほど申し上げますけれども、どうしても研修医者というもののレベルというものをアップしなければならぬために必要であるが、このインターン制度は一日も早く廃止することが私は望ましい、そう思いますがゆえにあえて私は厚生省当局を追及しておるわけです。厚生省医務局長及び公衆衛生局長は、こういうA級保健所についてどういうふうにお考えになっておりますか。そこで実際に公衆衛生インターン実地修練ができたと思いますか。御答弁願いたいと思います。
  19. 若松栄一

    若松政府委員 御指摘のように、従来のインターン制度のもとにおきましては、指定病院の内容も非常にお粗末なものも相当ありました。もちろん相当充実したのもございました。したがって、病院臨床研修が不十分であったということは、もう間違いなく認めざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、できるだけ私どもも至急これを改めたいということから、このたびのインターン制度の廃止ということをいたすわけでございまして、同時に、公衆衛生の勉強にいたしましても、御指摘のように保健所におきましても医師は非常に少のうございます。これは医師全般の不足の状況から、保健所医師法律上の基準はございませんけれども、一応望ましい姿としての補助の対象としての定数というものはございます。それに相当満たないというのも事実でございまして、保健所実習におきましても決して満足であったとは思っておりません。そういう意味で、このたびは従来のインターン病院における臨床研修並びに保健所の実習というものも含めてそれを廃止いたしまして、新たに臨床研修制度をつくり、今度はいい病院を将来にわたってどんどん育成していって、そしていい研修が行なわれるように、特に将来にわたって、先ほどお話が出ましたような、研修を行なう医師の宿舎であるとか、そういうような生活環境までも整備してまいりたい。しかし残念ながらなかなか一挙にできないために、ことしは予算額としては昨年の二億に対して八億四千万という程度にとどまったということでございますが、将来はさらにこの増額、さらにその内容の充実に努力してまいりたいと存じております。
  20. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、いま局長からお話がありましたが、インターン制度の悪弊というものにつきましては、これはもうお知りになったと思います。そして現在のままでは不十分であって、順次直していくんだというお話でございます。順次直していくような、すなわち教育病院なりそういうものを指定していくようなお考えはございませんか。たとえば現在、病院で百三十カ所予定しておるというのです。しかし、私はこの病院定数ベッド数とを見てみました。これは実員じゃないんです。ここにあなたからいただいたのは、医師数とは書いてございますが、これは定員数です。実数ではございませんよ。徳島中央病院の一例を申しましてもそのとおりです。ともかく三十四名の定数のところで二十三名しかいないんですからね。そういうことをあなた方はやっているんです。ですから、一般の百三十の教育指定病院というものがはたしてできるのかどうかということについて、私は大きい疑問を持たざるを得ない。どういう基準でこの教育病院を百三十カ所御予定になっておるのか、ひとつお伺いしたい。
  21. 若松栄一

    若松政府委員 百三十という実数も決して確定した数ではございません。およそ半数ぐらいといえば百三十ぐらいになるということで、少なくとも半数ぐらいにはしぼらなければなるまい。従来の制度の改善等につきまして、いろいろ審議会その他で御審議をいただいております途中で、少なくとも半数程度ということで百三十という数を一応予定しているわけでございます。これの最終的な決定につきましては、各病院について調査表をとりまして、その個別の審査をいたしまして最終的な決定をするつもりでございます。
  22. 井上普方

    井上(普)委員 ただいまの御答弁は私はふに落ちない。と言いますのは、医師法提出いたしましたのは昨年の夏です。そしてこの四月一日から施行しようとしているのです。そして自民党並びに政府は一日も早くこれを上げてほしいと言っているんです。四月一日からともかく教育病院というのは発足しなければならないのです、あなたのこの法律どおりいけば。そういたしますと、百三十にしぼるといいますと、一体ベッド数でしぼっていくのか、人数でしぼっていくのか。私はどうもおかしいと思うのです。実は数字をずっと分析してみました。ところが、あなたのおっしゃる百三十といいますと、医者の数でいいますと、四十四、五人以上のところをあなた方は予定されておるようです。そうじゃございませんか。
  23. 若松栄一

    若松政府委員 医師の数だけで現在は考えておりません。いままでにお話に出ましたのは、少なくともベッド数では、三百以上とは言いませんが、三百程度、それを多少下回っても二百数十でもいいということで、ベッド数では一応三百を基準に、教育指導者としての個別的なある程度の履歴をとりまして、そうしてスタッフが十分であるかどうかということを考え、また内容については、おもな設備であるとか、検査実績であるとか、あるいは病理解剖の率であるとか、あるいは図書の率であるとか数であるとかいうようなことを総合的に判定してきめていきたいというのが、確定的ではございませんが、大まかな意向でございました。
  24. 井上普方

    井上(普)委員 じゃあ一例を申しましょう。三百ベッド基準としておると申されますけれども、北海道に厚生農協帯広厚生病院というのがあります。これは指定病院になっておりますが、これがベッド数が三百五十です。そうして医者の数が二十二名です。としますと、医者が外来患者を見ずに、一人当たり十七から十八のベッド数を持たなければならぬことになります。これで教育ができるとお考えになりますか。私は内科の医局で実は八年おったことがございます。内科に入りますと、大学病院でも大体最初一年は入院患者を持たされます。そうしますと、私一人で五つのベッドを持てば、朝の八時から夜の十時まではびっしりそれの検査実績なりあるいは勉強にかかるものです。こういうように、一人で十七も十八もベッドを持つというようなことが、実際教育病院の名に値するかどうか。病床だけでそのとおりです。ひどいのになりますと、三百五十人のところで十六人の定数しかいない。これは現員では少ないと思います。この百三十という数はまさに私はおかしげなことになるのじゃなかろうかと思うのです。こういうように見てまいりますと、現在のインターン制度のもとにおいては、医者一人当たり十五ベッドから十六ベッド、十八ベッドという病院がたくさんある。そしてまた、教育病院の百三十、三百を基準にしましても、十五ないし十八というようなベッド数医者一人が持たなければならぬ病院の数はたくさんあります。しかも病理解剖とあなたはおっしゃいます。あなたは病理の専門家だと私は承った。しかし病理解剖が現在この百三十の教育病院で一体どれくらい行なわれておるか。あなたは実数をお知りでございますか。実際に教育病院に値する病院が一体幾らあるのか。私は百三十なんという数字は、とてもじゃないが日本にはないと思う。と言いますのも、これはまた後ほど大学付属病院の不当性について私は質問申し上げたいと思いますけれども、いずれにいたしましてもこのような数で、一番少ないのが実は東京国立第一病院医者一人当たり六・一ベッドというので、私が調べたところによるとこれが最低です。これは定数ですよ。こういうような数字で、どうも教育病院の指定というのは場当たりと言わざるを得ないし、四月一日から発足するこの教育病院がきまっていないというのも、これまたおかしな話じゃないですか。  それと同時に、あなた方この前も岡本委員田邊委員質問に対しまして、実施要項を作定するというようなことをおっしゃられておりましたが、その原案はできておるのでございますか。できておるとすればひとつお見せ願いたいと思います。  と申しますのは、あなたは、このたびの研修医制度専門医のジュニアコースに考えたい、こうおっしゃられた。とするならば、いま学会におきましては、眼科であるとか小児科であるとかというような、こういうところにおいての専門医制度というものはできておりましょう。しかし、内科であるとか外科であるとかというようなところにおいての専門医制度を施行するためには、学会では現在大論争が行なわれているはずです。あなたも病理の学者だと私は考えますけれども内科において一体専門医というのは何々を考えるのですか、ひとつお答え願いたいと思います。
  25. 若松栄一

    若松政府委員 最初にお手元に差し上げました病院のリストの医師数というのは、これは定数ではなくて現員であるということでございます。それにいたしましても、医師が相当少ないというところは相当ございます。したがって、このリストに載っておりますのはいわゆるインターン病院でございますので、この中から相当精選して今後教育病院にしていくということになるわけでございます。  なお、専門医制度との関連でございますけれども、現在なおお話しのように、各学会で専門医制度が確定したものはごく少数でございます。ことに内科等におきましては、各学会の認定医は制度としてまだ全般的に確立しておりません。またいわゆる専門医といわれる認定医の制度は、これは役所のきめる制度ではございませんで、各学会がそれぞれ自主的にきめる制度でございますので、国の制度と直接に結びつくものではございません。しかし、将来認定医というものができるならば、当然一部においては認定医の修練病院というようなものの指定も考えられているようでございまして、どういう病院で修練をしたということが認定医の資格要件の中に入るようでございますが、そういう場合には、認定医のための病院といわゆる教育病院というものができるだけ一致して、したがって、その教育病院における二年間の研修というものが、事実上認定医の研修コースの中に組み入れられ、評価されるようにわれわれとしては希望しておりますということを申し上げただけでございまして、決して直接的なつながりはございませんし、またこの認定医のジュニアコースでなければならぬというものではございませんので、そういう事実上二つの制度ができるとすれば、できるだけいいつながりをつけていきたいという希望を申し上げたわけでございます。
  26. 井上普方

    井上(普)委員 まず第一点の、きのういただきました数字が現員である、こうおっしゃいますけれども、私はきのう実は徳島中央病院に電話をかけまして聞いたのです。うそだと思いますなら、〇八八六の五四局の三一一一番に電話をかけて聞いてごらんなさい。あなたのおっしゃるのと違うのですよ。三十二人の定員のところで二十三名、しかもその一名がパート、これがあなたの数字に実は出てきているのです。私、実をいうとこれだけしか調べていないのです。二百七十一の中で実は私これだけしか調べておりませんが、私自身が確認したのは違うのです。いいですか、それくらい違っている。  さらに私はここで申しましょう。これは学生さんからいただいた資料です。この資料につきましては私自身が確認したものではございませんけれども、しかし一応の資料としてこれは考えられる。としますと、この中に、入院受け持ちは厚生年金病院が二十人、八尾市民病院が二十五人、関西労災は二十五人、大阪府立は二十人、国立呉は三十人というような数字が出されているのです。見ていただいてけっこうです。こういうようなことから考えるならば、しかもこれらの病院はあたな方が考えておる百三十の中に全部入る病院です。とするならば、若手の医師をこういう国立、公私立の病院に二万五千円いう安い謝礼金の形で割り当てようとする制度にほかならぬと断定する理由は十分にある。学生諸君がこれらに対して、われわれを拘束するものだと言う理由も十分に成り立つと私は思う。大臣どう考えます。大臣の御答弁をお願いします。
  27. 園田直

    園田国務大臣 日本医師の総員が不足のためと、もう一つは国立病院その他の経営のために定員の充足ができない点が多々あると思います。そこで、いま伺いました御意見によりましても、私自身もそう考えておりまするが、やはりこの問題の一番大事な問題は、教育病院の指定と、それから指定した病院にどのように新しい研修医師を振り分けるかということが問題であって、ただ数字を半分に割って、それに新しく医師の資格を得られた研修医師を数字の上で割り当てるようなことがあるならば、いろいろいまおっしゃったような問題がたくさん出てくると思います。したがって、教育病院の指定についても、いままでのいきさつとかあるいは役所の体面とかいうことは一切この際捨てて、もっと厳密に医師定員数、ベッド数あるいはその病院の施設等を考えながら、ただ大きい小さいばかりでなく、そういう点を考えて指定をしていかなければならない。また指定する場合には、各方面の御意見も十分聞いていかなければ、ただ数字をきめて強制的に、大きい病院であるからとか国立病院であるからということで割り当ててまいりますと、学生諸君が言うように、低賃金で定員不足を補うという誤解がそのままになるおそれがありますから、この点は十分注意をしてやらなければならぬと考えております。
  28. 井上普方

    井上(普)委員 しからば大臣、百三十という数字をいま医務局長は再三言われておるのです。百三十という定数をきめますと、どうしても三百ベッド以上ということにならざるを得ないと思います。とすると、この数はうんと縮小するつもりですか。二十なり三十なり、あるいは五つなり十なり、充実したものだけしかやらないおつもりなのか、そこのところをひとつお伺いしたいと思います。
  29. 園田直

    園田国務大臣 現実問題として、こういう事態でございますから、完全に理想どおりにはまいらぬと存じまするが、インターンの場合の指定病院を半数に削るとかあるいはどうするとかという数の問題ではなくて、最小限何とか研修医師が勉強されるのに適するような病院をさがして、それによって数をつくっていきたい、このように考えております。
  30. 井上普方

    井上(普)委員 大臣病院をさがしてつくるのじゃございませんよ。施設ができておるところにはめ込むならまだ話はわかります。十分に施設があり、しかも教育ができるというところに入れるなら話はわかります。あなたのお話しように、そういう病院をさがして入れ込むという考え方はおかしいと私は思う。
  31. 園田直

    園田国務大臣 いまのことばづかいは非常に不適当でございまして、さがしてというのは見つけるという意味ではなくて厳選という意味でございます。数をしぼるという意味ではなくて、そういう施設があって、しかも教育環境もわりに理想に近いという病院に指定するようにしたい、こういうことでございます。
  32. 井上普方

    井上(普)委員 しからば医務局長、あなたの百三十という数は、私は大臣のお答えとよほど違ってくると思うのです。数字はうんと変わってくる。あなたは病理学者として一応研究された方だと聞いておる。あなたは、実際に見て少なくとも教育病院に値するような病院は、医務局長という立場はのけて、医者として、科学者として一体幾らぐらいあるとお考えになりますか。
  33. 若松栄一

    若松政府委員 非常に理想的なしぼり方をしますと、私どもまわりで見ておりましても、東京都内でも十数カ所程度だと私は思っております。東京地方のリストであるいはごらんいただいたかもしれませんが、そういう意味で、理想的なことをいえば非常に少なくなってまいりますが、かなりのところでしんぼうするとすれば、百三十はどうかわかりませんが、相当な数が得られる。また、日本病院総体のレベルというものが現在それほど高くはないことは、まことに残念でございますけれども肯定せざるを得ない。したがって、ただいまいろいろお話しになりましたような、いわゆる従来のインターン病院と称する二百六十程度のものも、それぞれの地方ではそれぞれ信頼を得ている病院でございますので、ある意味では日本の医療水準の一端をうかがわせるものであろうかと思います。しかし教育病院というものは、さらに教育にふさわしい実質、内容を備えなければなりませんので、決して百三十というような数に拘泥せずに、これは実際に大学教授が過半数を占めます今度の医師試験研修審議会に個別におはかりをいたしまして、そして決定してまいりたいと思っております。
  34. 井上普方

    井上(普)委員 医者がいま大都会に集中しておるということは私もわかりますし、大病院が東京に集中していることもわかります。しかし、あなたのおっしゃる東京でも十数カ所といいますと、指定病院の半分になるのですよ。いいですか。この数からいきますと半分しかないけれども、しかもこの中で、医者が四十人、五十人、ベッド数が非常に大きいところ、これはたくさんありますが、私らから言いますならば、教育病院に値するのは東京においても四、五カ所ぐらいの程度じゃなかろうかと考えられるのです。あなたのおっしゃるように、日本一般病院レベルが低い、これも認めます。そして同時に、一般として言いますと、大学病院との格差があり過ぎます。これはなぜあるかというと、大学人間を多くかかえ過ぎておると思います。これをいかに分散さすか、いかに大学の得た知識を一般病院に及ぼすかということを考えなければならないと思います。そうでなければ日本の国民の治療水準というのは上がらない。これを上げることがわれわれの目的なんですから。だから、大学の中にこもっておるこの無給医局員、私の調べでは、調べによって違ってきますけれども、大体大学病院で約八千人近くあるのです。こういうような人たちをいかにして分散させるかということを、あなた方はお考えになる必要があるんじゃないか。これが国民の治療の水準を高めるゆえんでないか。これに対して具体的にあなたお考えになったことございますか。あるならひとつ方策を示していただきたい。あなた方のお考え方を示していただきたいと思います。
  35. 若松栄一

    若松政府委員 大学における無給医局員の問題は、これは直接的には大学管理の問題でございますので、大学の問題でございますけれども、ただいま御指摘のように、日本大学におきましてはあまりにも多くの医師が集中し過ぎておるということもまた事実でございまして、しかもそれがいわゆる無給医局員というような形で、大部分の者が大学それ自体で生活の安定が得られずに、外でポジションを持って、そして一部大学にかけ持ち、あるいは大学にポジションを持って外にアルバイトに行くというような、非常に不安定な形で勉強を続けていくというような非常に不合理な状態であると思っております。これが、たびたび指摘されますように、従来の学位制度の問題だとか、あるいは大学院のあり方というようなものとも関連があることは確かでございますけれども、いずれにしろ現在の大学における医局制度、特に無給医局員のあり方というものは相当批判さるべきものと考えております。そういう意味で大学医学部卒業後における教育研修に関する懇談会等におきましても、当然こういうものは逐次整理していくべき性質だ。しかも現在の大学病院においても、診療それ自体が大学の本来の職員でまかなえない、無給医局員にたよるところが相当多い、このような事実も解消しなければならぬし、したがって無給医局員というものをある程度数を限定して有給化していくべきであるという意向が出ております。これは国立大学についてはいずれ文部省のほうからお話をお伺いしたほうがよかろうと思いますが、そういう意味で無給医局員定数有給化というものとあわせて、今度の研修医というものの受け入れの体制、その受け入れについても、やはりある程度の定数をしぼって、そうして確実に責任を持って研修ができるような体制にいくべきだ、そういうことの第一歩をこれで踏み出すのだというような考え方で今度のこの制度改正も行なわれていると思うわけでございます。
  36. 井上普方

    井上(普)委員 私も無給医局員の数字を実は調べてみたのです。といいますと、あなたは学位論文があるから免許後五、六年の無給医局員が非常に多いのだ、こういう答弁を山本委員にされております。しかし十年以上の無給医局員が実に千二百六十一人おるのです、八千六百人のうちで。いいですか。これは国立大学付属病院二十一病院の面接調査によって実は出てきておる数字なんでございます。これは個々によって、調査のしかたによってかなり違ってくるとは私らも認めます。しかしながら十年以上も千二百六十一名もが無給医局員でおるということですね。これは何を意味するかといいますと、やはり自分自身に高い技術を身につけようとすること、同時に良心的な治療をしたいという、この二つ。そうして研究がしたいということ、これがとりもなおさずこういうような制度にあると私は思う。でありますがゆえに、教育病院に指定する国立病院にしても、一般病院にしても、とにかくレベルアップをするということになりますと、どういたしましても、研究施設において、そしてまた高い治療水準を行なうような方法、すなわち特別会計とかあるいは独算制というようなやり方をやめて、足らぬところは一般会計から補っていくというような方法をとらなければ、日本の医療水準というものは上がらないと思う。  大学無給医局員制度につきまして、これは非常に不合理なものがある。一つの内科で百人もともかく医局員がおる、これが大体東京大学内科実態です。しかもその一人の教授が——これは大学学術局長、聞いておいてください。一人の教授が百人の医者を指導することができるというたら、これはもう聖徳太子並み以上なんです。これはともかく大学の封建性について私はお話し申し上げると同時に、先ほどあなたに質問したことも御答弁願いたいと思うのですが、この大学の封建性というものを、医局の封建性というものを打破しなければならない。これはわれわれ、文部省として考えられることは、すなわち文部教官あるいは病院教官というものをたくさんつくると同時に、あるいは国立病院、こういうものとの関連を十分にすることによって日本の医療水準を高めることができると思うのでございますが、大学の、特に現在卒業時期を目前に控えまして集中的にあらわれておる医学部の封建性について、あるいは前近代性ということばを使いましょう。前近代性等をいかに払拭していくようなおつもりなのか、この点をお伺いいたしたいのです。
  37. 宮地茂

    ○宮地政府委員 先ほど来いわゆる無給医局員お話がございました。これは私から申し上げるまでもなく、先生のほうが十分御承知のことと思いますが、このいわゆる無給医局員発生の過程を考えてみますと、もともとは、医学部を卒業したけれどもなおかつ残って勉強をしたいというような気持ちで当初は残ったものと思います。ところで、大学等におきましては、病院診療科の教官が多少不足をしておるということ、大学病院に患者が非常に大ぜい来るといったようなことから、まあ大学も都合がよいからいわゆる無給医局員診療を仰ぐといったようなことで、両方が、いい意味なら協力し合うのですが、悪い意味なら持ちつ持たれつといったような関係で、そういういろいろな沿革で今日に至ったものと思います。したがいまして、現在の無給医局員の問題を考えますときに、やはり沿革というものを無視しても考えられませんが、私どものほうといたしましては、根本的には大学付属病院というものの性格を検討する必要がある、そのようにまず基本的には考えております。ただ、国立病院大学付属病院が全く同じ性格のものではなかろうと思います。そういうようなことから、大学付属病院のあり方というものを根本的に検討しないと、やはりこの無給医局員に対する対策も当を得ないような結果になるのではないか。そういうことで、大学付属病院のあり方も一方においては検討を始めております。同時に、それは別として、現在おる無給医局員につきましては、必要な無給医局員という基本的な数字は——科学的な数字は出てまいりませんが、ともかく現在おる無給医局員に対しまして、これが大学付属病院のいわゆる要員になっておって、たとえば一週間に二回以上とか、そういうようなことに対しましては、これは有給化につとめていく、そういう基本的な考え方で現在進んでおるわけであります。
  38. 井上普方

    井上(普)委員 あなたのお話はどうも長過ぎる、この前から伺いますと。時間の関係もございますので、簡単にお願いしたい。  先般も、一番最初に私、大学学術局長だと思って聞いたのでございますが、東京大学処分について、あれは当然だとあなたはおっしゃった。これはたしか岡本委員質問に対しての答えだったと思う。ところが、先ほど来私申しておるのですけれども、一週間前から東京大学病院に実は切開手術しまして参っておるのです。ところが、至るところで各中堅の講師、助手あるいは無給医局員が非常に心配しておる。何だと言いますと、ともかく実際におらなんだ人間が処罰されている。九州に行っている人間が処罰されている。あるいはまた、こういうような事実からして、私は先ほども申しましたが、学園自治について口出しするつもりはないけれども、あなたはあの処分は当然だとおっしゃったがゆえに、あなたはまだそれを固執されるつもりかどうか。  それともう一つ、あの医学部においては学生教授との間にコミュニケーションが全然行なわれておらない。新聞発表でも、豊川学部長は、大学学生とは昨年の五月以来一回も話したことがないとおっしゃっておる。これらに対して、正しい大学の姿とあなたはお考えになりますか。どうでございます。簡単にたのみます。
  39. 宮地茂

    ○宮地政府委員 医学部長から私のほうが聞いておりますところは、いわゆる医学連、こういった団体の者との話し合いは、医学連というものが十分わからないから、その団体とは話さない、しかしながら医学部自治会代表となら話し合いをしましょうというふうに自分は言っておるというのが一点です。  それから、話し合いという以上、やはり一般に言われます大衆団交といいますか、そういうような姿なりあるいはつるし上げといったようなことではなくて、静かな雰園気においてほんとうの話し合いをしたいということは言っておるというふうに聞いております。  それから先般十七名の者を処分いたしましたうち一名が九州にいたということ、これはきのうの新聞にも載っておりまして、私どもその新聞も読みました。そこで東京大学にその点を確かめました。医学部の申しますのは、これは声明も出されておりますが、前回行ないました処分は確証に基づいて行なわれたものである、しかし当人が文書をもって正式に学部長に異議を申し出るならばわれわれは当人から事情を聴取する用意があるということで、大学といたしましては、自分どもがやった処置は事実誤認ではないというふうに言っております。  それから、私が先般岡本先生の御質問でしたかに答えました点、私もその言った文言どおりは覚えておりませんが、たしか岡本先生からは、大学処置したことに対して文部省の大学局長としてはどう思うかというお尋ねであったと思います。したがいまして私はあのような事態——まあそれが多少説明が長かったというおしかりも受けましたが、長く説明しませんと事のいきさつがわからなかったのでちょっと申し上げたのですが、文部省としては、直接文部大臣学生処分する権限はございません。大学がいたすわけです。したがってそのいたした処置に対して、一応大学を所管し、指導助言の権限のある文部省としてどう思うかということでございますから、まことにああいった事態は遺憾なことでございました、しかしながら大学としておとりになられた措置は、医学生として許しがたい行為であるという考えのもとにおやりになったことであって、やむを得ない措置であったと思います、このような趣旨で答えたと思います。ただ、当然の措置というふうに答えましたかどうですか、私も速記録を調べましてまた申し上げますが、私は東大がとられた措置はやむを得なかった措置だ。それではとった措置はよかったのか悪かったのかというかぶせての御質問があるとしますれば、よいとか悪いとかというお答えよりも、とられた措置はやむを得なかったけれども、やむを得ないが当然であったであろうという意味のことを、お尋ねであれば申したであろうという気持ちでございます。
  40. 井上普方

    井上(普)委員 わかったようなわからぬような、とにかくナマズみたいな答弁でございますけれども、それではあなたにひとつお伺いしましょう。あなたは教育者としての立場においてこれを御判断願いたいと思います。いいですか。  「事件の現場で処分学生を目撃した者の名前や人数は、当人の人権問題になるので、裁判にならなければいえない。」こういうことを教育者が言うことは妥当であると思いますか、どうでございます。教育者の態度として適当かどうか、あなたはどう思います。
  41. 宮地茂

    ○宮地政府委員 これまた説明すると長くなりますが、ただその部分だけをおとりになられましてどうだこうだと言われますとちょっと返事がしにくいわけですが、しかしおっしゃっておられることは、その前のほうがあっての豊川先生の言であろうと思います。したがいまして私は、豊川先生としてはほんとうに悩み抜かれたあげくそういう御発言をなさったのであろうというふうに考えております。
  42. 井上普方

    井上(普)委員 私は、教育者というものは学生と十分話し合う、少なくとも裁判所に持ち込まなければものが言えぬというのは教育者として失格だと私は考える。こういうような不届きなと申しますか、少なくとも教育者である以上は、十分に学生教育するものでなければならない。法律あるいは裁判というのは法秩序を守る上の最低のものです。それ以前にともかく教育というものはしなければならない。ところが、裁判でなければ言いないというようなことを新聞にでかでかと出されるようなことでは、一体どうなるのだと言わざるを得ないのでございますが、ともかくこの処分について事実誤認があることについては、この朝日新聞で半時間おきに時間を追って言っているんですから、これはお認めになるんでしょうな。どうでございますか。
  43. 宮地茂

    ○宮地政府委員 朝日新聞に載っておること自身は私も読んでおります。ですから承知しておりますが、ただ大学当局としては、自分らがとった措置は確証に基づいて行なわれたものでございますという御報告がございますので、そのように朝日新聞で断定されても、大学のほうはこのようにも言っておりますということを私は申し上げておるので、それが事実であったかなかったかということを、私はいま朝日新聞のが事実でございますということはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  44. 井上普方

    井上(普)委員 あなたは先日の答弁で、あれは妥当な処置であると、こうお答えになっておるから私は聞いているのです。私は学園自治に対して介入するつもりはない。また、あなた自身が、文部省が学園自治に対しても介入することは、私は行き過ぎだと思う。しかし、あなた自身として、公式の政府委員として、役人として、あの処置が当然だと思いますというようなことを言われると——事実誤認、これはただ単に学生さんだけが言っているんじゃないんですよ。ほかの久留米大学教授連中も証人に立った上でこれは出されているのです。こういうようなことから考えると、あなたが妥当だと言ったことについては、私は取り消す必要があるのではないかと思うから、あえて私はお尋ねしておるのです。どうでございますか。
  45. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私は、大学のとられた措置は、お答えしたときは、事実誤認ではないという前提で大学が報告をしておられた。したがって、私どもとしては大学を信頼しておりますので、そういう前提に立って申し上げた次第でございます。しかし、きのうの朝日新聞に出ましたことにつきましては、これはほかの委員会でも御質問がございました。ですから、事実が誤認であったとかなかったとかいうことは、これはもう少ししなければはっきりしない段階でございますから、私としてはどちらが正しいとか正しくないということは申し上げられない、そういうことを言っているわけです。
  46. 井上普方

    井上(普)委員 ともかくあなたの、この前の大学処置は妥当であったという答弁は、これは取り消したものと受け取ってさしつかえございませんな。  それと、実はあそこに参りまして、私写してまいったのでございますが、とにかくあらゆる講師、助手諸君から声明書というものがどんどんと出されておる。あそこに張り出されています。この赤線を引いてあるところだけでもこれだけあるんです。これだけ実は私持っておるわけなんです。ところが、それが全部事実誤認であるといって、第三者的立場から批判しておるわけです。そして教授会と学生とが話し合えと言っています。しかも教授会が話し合わないのが不当だということを言っているのです。なぜここで私は言うかといいますと、これは医師法改正に最も密接な問題だから私はあえて申し上げるのです。これほど重要な問題でございます。医者とすれば。医者があるいは特権階級的な考え方を持つという考え方も一部ありましょう。しかしいまの学生諸君が、このインターンのくだらなさ、しかも一年間のブランクをいかにして埋めて日本の医業水準を高めるかということを中心に、彼らなりに真剣に討議をやっておると思います。  私は大臣に一つお伺いしたい。こういうような点から、この医師法改正についてもう少し真剣に、すなわち日本の医療制度、医育制度、あるいはまた学位論文の制度、こういうもの全体を日本の医療水準を向上させるという立場に立って、もう一度審議会なりあるいはそういうようなものをつくってひとつ考え直すお気持ちはございませんか。いかがでございますか。
  47. 園田直

    園田国務大臣 インターン研修制度の問題を契機にしていろいろ問題が起こっておりますが、所管の省としてはこれを契機に、たとえば国立病院の問題にいたしましても、ただ大学無給医局員定員にして給料を払うだけでは国立病院に参られぬので、ここに国立病院たる資格のある近代設備と、それから研究の設備及び一流の病院長等を持ってくることによって、医療水準を逐次上げていく。なおまた、研修制度につきましても、これを契機に、逐次各界の御意見及び私が表明いたしました方針に従って向上をしていかなければならぬことは急務であると考えております。
  48. 井上普方

    井上(普)委員 報酬の点におきましても実に安い。私は司法研修生制度と実は比較いたしました。そうすると、これもインターン制度といかに違っておるかということで、実はびっくりいたしたのです。司法研修生制度といいますものは、このごろ五百人くらいとっておるようでございますが、この人たちにはまず一番に国家公務員並みの給与が与えられております。それから在京手当も与えられております。それから扶養家族の手当も与えられております。それから共済組合の保険の適用もあります。ところがその内容を見てみますと、どういう教育内容をやっておるかと言いますと、これは判検事の補助をやらないのですよ。片方は医者になっておるのです。医者の免状を持っている。片方は免状を持っていない。その間におきまして給与が実は違うのですよ。ところが司法研修生であっても、これだけの処置をしているわけです。保険も持っているのです。給料もとにかく国家公務員並みに与えているのです。ところが、この教科内容を見ますと、「原子物理の周辺」というので教育大学朝永振一郎さんの講義を一週間のうちで二時間やっています。あるいはブリヂストン美術館、国立近代美術館の見学も予定しています。あるいはまた「ピアノと講話、ハーモニーについて」とか、ステレオコンサート、音楽鑑賞、そういうようなのも教科の中に入って、教養を高めながら司法研修生は国家公務員並みの給与を与えられているのです。そして保険も与えられているのです。  実は、私の一年先輩で、精神科インターンをやっているときに、外来のヒロポン中毒患者に刺されまして死亡したという先輩を持っています。ところが、これに対しては、とにかく国家として一文も補償もなかった、泣き寝入りであったということがございました。事実私はこういうことを考えるがゆえに、少なくとも医者の免状を持って国立病院あるいは大学に行かすならば、国家公務員並みの、あるいは少なくとも保険のそういう身分上の保障を十分にしなければならない。私はこれを強く要求するわけです。大臣のお考え方はいかがでございますか。
  49. 園田直

    園田国務大臣 この前の委員会でも述べましたとおりに、このたびのは制度ができました初めで、ようやくここまで持ってまいりましたが、決して十分だとは考えておりません。御指摘のような点に従って、この次の予算からはそのように必らずやらなければならぬと考えております。
  50. 井上普方

    井上(普)委員 それでは、あなたにこれをお貸ししますから、ひとつ司法研修生と比べてごらんなさい。
  51. 園田直

    園田国務大臣 私も聞きました。私も調べました。
  52. 井上普方

    井上(普)委員 もうこれは判検事の補助もできないのです。ところが片方は医者の補助として医者の実際の行ないをやらされているのです。そして二年間、高いところで二万五千円の給料で縛りつけられる制度と私は解釈します。事実的にこうならざるを得ない。この可能性が大きいがゆえに、私はこの研修医制度というものに対して—少なくとも医者である以上は一生研修しなければなりません。いいですか。そして研修医という身分であるがゆえに患者を研修の具にしてはなりません。医者というものは、あくまでも患者の治療、健康というものを中心にものごとを考えなければなりません。研修医という制度がありましたならば、むしろ患者を研修の具にして、すなわち患者、病気を対象にしがちになります。生命の尊厳ということを忘れがちになります。現在の医学教育の最も欠陥と私は考えておるのは、生命の尊厳ということをおろそかにしていることにあると思う。そこで、千葉のチフス事件のごとく、病気に興味を持つような医者ができてはたいへんだ。病気に興味を持つような医者ができたら日本はたいへんなことになると思うがゆえに、研修医というような制度——私は研修医という名前を削除すべきだと思う。医者というのは一生研修しなければならぬのです。そして事実やっているわけです。だから研修医という名前をつくることは、患者は研修の医にかかったんでございますから、当然これは研修の具にせられたものと解釈せざるを得ません。としますと、どうしましてもこれは病気に対して興味を持つような医者ができてはたいへんだ。医者というものは、あくまでも患者の人格、生命というものをともかく中心にものごとを考え医者でなければならないと考えますがゆえに、あえて研修医制度につきまして反論を加え、私は反対するものであります。はなはだ簡単ですが、終わります。
  53. 八田貞義

    八田委員長 田畑金光君。
  54. 田畑金光

    ○田畑委員 まず、私は初めて第十六条の三、第二項についてお尋ねしたいと思いますが、第二項では、厚生大臣が適当と認める場合は、沖繩地域にある病院または外国の病院については、内地の教育病院指定の場合と違い、医師試験研修審議会意見を聞かないでもできることになっておるわけです。この項目については、この間の質問に対して大臣並びに医務局長は、当然医師試験研修審議会意見を聞くことに解釈すべきだという趣旨答弁があったわけでございますが、条文をすなおに読む限りにおいては、そのような解釈にはならぬわけです。この点についてもう一度ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  55. 若松栄一

    若松政府委員 外国の病院あるいは沖繩の病院につきましては、日本の施政権が及んでおりませんので、教育病院等の指定の行為が行なわれないわけでございます。したがって、この研修をしたということの認定は、個人についてその者が行なった実績を認定する以外にないわけでございますので、沖繩の病院その他外国のこれこれの設備、能力のある病院でこういうようなカリキュラムで研修を行なってきたという事実を厚生大臣が認定するということでございます。  沖繩の病院につきましては、すでに私どもも十分その内容を熟知しておりますので、これはある程度その病院を初めから予想しておくということはできるわけでございます。そういう意見でこの認定は個別の認定になるわけでございます。もちろんそういう個別の認定をするにあたりましても、沖繩の病院等を事前に研修審議会等の意向を伺ってきおまして、そういう沖繩の病院研修をした者を内地の教育病院で行なったと同等に認定しようという趣旨になるものでございます。
  56. 田畑金光

    ○田畑委員 ちょっと質問趣旨を取り違えての答弁に聞こえるわけですが、内地の病院については「厚生大臣の指定する病院において、臨床研修を行なうように努めなければならない。」こうなっておるわけです。ところが、沖繩地域にある病院とか外国の病院については、厚生大臣が適当と認める場合、その病院臨床研修を受けてもよろしい。しかし内地の病院については、先ほど申し上げたように、厚生大臣が指定する場合は「医師試験研修審議会意見をきかなければならない。」こうなっておるわけです。内地の病院については審議会の意見を聞かねばならぬ、こう明確に規定しておるにかかわらず、沖繩の病院、外国の病院については、審議会の意見を聞かないでも厚生大臣が適当と認めればそれでよろしい、こういうような区別をつけておくということは矛盾じゃないか、不合理じゃないか、こういうことです。あなたの御答弁を承っておりますと、手の届かないところだからというわけでありますが、そういう病院になればなるほど、むしろ厚生大臣が適当と認めるその前提として審議会の意見を聞く、こういうことでなければならぬ、こう思うのです。答弁がはずれておるようですから、いま一度お答え願いたい。
  57. 若松栄一

    若松政府委員 少しことばが足らなかったかもしれませんが、内地でありますと教育病院厚生大臣が指定するわけでございます。したがって、その指定に際しては、医師試験研修審議会意見を聞いて教育病院を指定するということになるわけでございます。ところが、沖繩の病院は内地の行政権限が及んでおりませんので、厚生大臣が指定するわけにはまいりません。したがって、その病院として指定することはできませんので、そこで研修を行なった個人について、その行なった研修が適当であるかないかということを厚生大臣が個別に認定してやろうという趣旨に出るものでございまして、そういう意味で、病院の認定ではなしに個人の行なった研修に対して個別的に認定をしてやろうという趣旨でございます。その際に、世界じゅうの病院をあらかじめ調査して試験研修審議会におはかりするわけにはまいりません。しかし沖繩には、数名の者が固定的に研修するということであれば、あらかじめ研修審議会の御意見を聞いておきまして、そうして病院の指定はできませんけれども、そこで行なった研修は内地の教育病院で行なったものと同等に厚生大臣が認定するという趣旨でございます。
  58. 田畑金光

    ○田畑委員 私のお尋ねしておることは、第十六条の三の二項については大臣、それから医務局長、この間あなたがたの答弁を聞いておりましたら、この沖繩の場合についても、あるいは外地の病院についても、当然これは審議会の意見を聞くんだという答え方をしておるんでしょう。ところがいまあなたの答えはそうなっていないのですね。この間の秋元参考人もこの委員会で、沖繩地域にある病院や外国の病院について、審議会の議を経ないでも厚生大臣が適当と認めれば教育病院と同様の資格を認めることはおかしい、審議会の議を経ないで沖繩の病院、外国の病院だけを特別扱いにすることはおかしい、こういうことを明確に指摘されているわけです。この点について私は、どうしてこういうふうに差別を設けてあるのか、こういうことをお尋ねしているわけですよ。
  59. 園田直

    園田国務大臣 御質問趣旨はよくわかっておりますので、前に井上委員の御質問答弁いたしましたとおりに、ただいま局長が答えましたことは、沖繩の病院は施政権が及んでいないので、厚生大臣が指定するという形式をとるわけにいかぬ。したがって、これは適当と認めた者については研修課程を終わった者と認めるというふうに書いてはありますが、御指摘のとおりに、このままではいかにも沖繩にある病院あるいは外国病院には特権を与えたかのごとき誤解を与えるおそれがありますから、この点については私のほうでは指定はいたしませんが、この病院研修した者は研修課程を終わったものと認める、その場合にはやはり審議会の意見を聞いて厚生大臣がきめますと、こう答えました。答えましたが、ただ大臣委員会で答えたことが、将来法律解釈上の根拠にならないかもわからぬ。また井上委員から言われたとおりに、私が大臣をいつまでもやるわけではありませんから、この個条に、私が申したことで申すのもなんでございますが、委員各位が、誤解のないようにそれらの文言を付加され、または修正されることはけっこうでございます。
  60. 田畑金光

    ○田畑委員 いまの答弁ならば一応了解しないでもないわけですが、そうしますと、まず最初に、沖繩の病院あるいは外国の病院厚生大臣が適当と認める、その厚生大臣が判断する前提として審議会の意見は聞かなくともいいのかどうか。その点を私はお尋ねしておるわけですが、答えてください。
  61. 園田直

    園田国務大臣 二十六条の規定によって「厚生大臣の諮問に応じて、医師国家試験及び第十一条に規定する実地修練に関する重要事項を調査審議させ、並びに医師国家試験及び医師国家試験予備試験」云々の個条があります。この重要事項に入ると解釈をしておりまするので、当然適当な病院大臣が認めるときには審議会にはからなければならぬとわれわれは解釈しているわけであります。しかしながら、誤解がありますればそれぞれの処置委員会でなさってけっこうでございます。
  62. 若松栄一

    若松政府委員 ただいまの大臣お話のように、二十六条の規定で重要事項は審議会の意見を聞くということになっておりまして、当然この指定とか認定とかということは重要事項でございますので、同様に扱うべきものと考えております。
  63. 田畑金光

    ○田畑委員 そうしますと、「厚生省設置法の一部を次のように改正する。」「第二十九条第一項の表医師試験審議会の項を次のように改める。」「医師試験研修審議会」その下にいろいろ書いてありますね。この医師試験研修審議会の取り扱う所管事項はこれこれであるということになっておりますから、当然この中を改めなければならぬということになりますか。どうですか。
  64. 北川力夫

    ○北川説明員 ただいま大臣並びに局長から申し上げましたとおり、国内の病院につきましては、指定にあたりましてあらかじめ審議会の意見を聞く、こうなっております。   〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕 それから、沖繩地域並びに外国の病院につきましてはそういったことができませんので、この改正原案におきましては、研修を行ないました個人につきまして申請があったときに登録する、こういうかっこうになっておりますから、その際に、その申請者が研修を行ないました沖繩ないしは外国における病院につきまして、厚生大臣が適当と認めるという認定を行なうわけでございます。その認定の際に医師試験研修審議会意見を聞く。それは医師試験研修審議会の所掌事務といたしまして、改正原案によりますと第十六条の二の一項の指定及び同法第十六条の三の第一項の規定する登録に関する重要事項、あるいはまた、第十一条二項に規定する実地修練、こういったいろいろな規定がありますから、この重要事項の中に含めまして、重要事項として認定をこの審議会に求める、こういうかっこうに実定法上はなると思います。それを受けまして、組織法である厚生省設置法におきましても、同様な趣旨改正が加えてございますから、当然この規定によって動いていくと思います。
  65. 田畑金光

    ○田畑委員 沖繩地域にある病院というと、どういう病院考えておられるわけですか。
  66. 若松栄一

    若松政府委員 現在一つ沖繩中央病院という病院がございます。この病院が現在インターン指定病院といいますか、実質的にその病院研修を行なった者はインターンを行なったものとみなしておりますが、この病院は、由来を申し上げますと、実は沖繩の医師が非常に不足している。そうして沖繩から医師がたくさん日本に来ておりますけれども日本研修をして日本へ定着してしまって帰らない。これでは困るので、何とかして沖繩で研修できるような病院をつくり、沖繩に医師が定着するようにしたい、そういうことに協力しようということから、沖繩に約四百床のりっぱな病院ができましたので、そこにアメリカ側の協力も得まして、教育スタッフを充実いたしまして、そうしてこれを現在事実上インターン病院に使っているわけでございます。この病院が非常に優秀で、かつ教育内容が充実しておりますので、将来もそこで研修した者を同じような扱いにいたしたいということを考えておるわけであります。
  67. 田畑金光

    ○田畑委員 いま局長がお答えになったように、沖繩の住民の最大の悩みは医師不足ですね。私も沖繩に両三度行ってみましたが、いま局長お話しになったような悩みを持っておるわけです。医療施設が非常に不備であるということ、また医療保険制度もまだまだ不完全な実態であるということ、琉球大学ではどうしても医学部を設置したいという強い願望を持っておるわけです。したがって、いまの局長お話しのとおり、従来沖繩中央病院インターン指定病院として認めてきた。しかし今度は、先ほど来の質疑応答にあったように、臨床研修生を今後教育の対象として受け入れる病院とすれば、従来のインターン指定病院とはおのずから指導員、スタッフの面においても、あるいはまた医療施設の面においても、当然充実強化されることが前提になってくるわけでありますが、この点については、沖繩援助費本年度百五十三億と言っておりまするが、今度の援助費の中には沖繩のそういう病院充実強化の面などについても具体的な配慮がなされておるのかどうか。この点どうですか。
  68. 若松栄一

    若松政府委員 沖繩中央病院につきましては、これは援助の具体的なものは総理府の特連局でございますので、直接詳しいことは存じておりませんが、いろいろな接触を保っておりますので、おおよそのことは承知しておりますが、施設は相当充実いたしております。そして職員についても、医師は現在ハワイ大学から相当の応援が来ております。また日本側からも、大学にお願いしまして数名の医師の派遣をいたしております。なおそのほかにも那覇病院がございますが、これの改築、整備につきましては、現在相当の予算が計上されておるはずでございます。
  69. 田畑金光

    ○田畑委員 あなたはやじが出たのでそれで適当に答弁しておるような内容ですが、こういう法律を出して沖繩病院についても内地の病院と同じようにひとつ資格を認めようということでしょう。そういう重要な法律をいま改正案を出して審議を求めているわけですから、沖繩の病院についてどういうような援助費で、どういう施設の強化なり沖繩の医療制度の改善に政府として努力しておるのか。これは何も総理府の所管といっても、当然この法律の適用についてはあなたのほうで所管することになるわけですから、その点はそういうことを考えているならば、もっと自信を持って具体的にお答え願いたいと思うんですが、どうなんですか。
  70. 若松栄一

    若松政府委員 先ほどのようないきさつでこの病院ができましたので、これをインターンの資格のある病院にしようという場合に、私どもも実は現地へ参りまして、そして病院を見、そしてその後、この病院の指導スタッフをどういうふうに充実するかということにつきまして、沖繩政府並びに米軍政府とも協議をいたしまして、そして現在では最も大きな勢力はこれはハワイ大学が担当しております。それに日本の国内からも各大学の協力も得て、そして両者でこれを充実していこうという計画を立てまして、そのような計画に沿って指導内容の強化をはかってまいったわけでございます。ただ予算的に経常費その他の点についての援助はどの程度あるかということになりますと、これは総理府特連局の予算でございまして、私は現在その予算の援助費の内容についてはつまびらかにいたしてございません。
  71. 田畑金光

    ○田畑委員 その程度の質問が出るくらいは、局長であれば当然準備しておくべきじゃないですか。法律の条文にもちゃんと沖繩地域と書いてあるのですから、一体沖繩の援助費の中に医療関係はどの程度にのぼるかということくらいは調査しておくべきじゃないですか。  琉球大学医学部を設置してくれということは、琉球政府はじめ地域住民あげての長い間の日本政府に対する希望である、申し入れであるわけですが、この点はいままでどうなっているのですか。
  72. 若松栄一

    若松政府委員 数年前にその話が相当強く高まってまいったわけでありますが、そのために沖繩に医学部を設置すべきかどうかということを、沖繩政府当局並びに日本の総理府を中心にいたしまして、学識経験者を集めまして検討いたしました結果、沖繩の現在の人口、経済規模その他から見まして、一つの医科大学というものを設置するには少し時期が早いんじゃないか。また、この医科大学を単独に設置しても、とうてい十分な職員が得られないということも考えられまして、時期が少し早い。むしろもう少し将来に待とう。それよりも現在の沖繩の学生を内地の医科大学に入れ、内地の医師免許を取らせ内地で研修さしてやったほうが合理的だということで、一応沖繩の医科大学設置をしばらく見合わせる。そのかわり内地で勉強した医師が沖繩に定着しやすいようにということで、先ほど来のインターン病院の設置強化であるとかいうようなことが行なわれたわけでございまして、それと同時に、医科大学の設置は少し時期が早いけれども、いわゆるパラメディカルと申しますか、看護婦、保健婦、助産婦、X線技師、衛生検査技師その他の医療従事者の養成をもっと高度にする必要があるということで、さしあたり保健学部を設置するがよかろうということで、明年度から保健学部設置の計画が発足するわけでございます。
  73. 田畑金光

    ○田畑委員 この間新聞でこういう記事が出ていたわけですが、この二十日の日に医師国家試験を沖繩でも実施する予定になっていたところが、急に日本政府から中止してくれ、こういう申し入れが琉球政府になされた。琉球政府もあわてて、予定された受験生に話し合いをつけて急速福岡に試験場を変えた、こういうことが出ておりましたが、こういう点について、これは私は特に厚生大臣にお尋ねするわけですが、厚生大臣も御承知のように、三月一日から日米琉諮問委員会が発足して、日本政府代表の一番大きな仕事の一つは、一体化政策の一環として、御承知のように本土と沖繩の各種の資格や免許の一本化、こういうことを重要な項目として取り上げておるわけですね。そういう大事な、日本政府が一体化政策の重要な柱の一つとして取り上げておるその医師の試験の問題について、突如としてこのような申し入れが日本政府から琉球政府になされた、こういう点についてはこれはまことに遺憾なことだと思うのですが、どうしてこうなったのか。また厚生大臣としてはこういうことについてどういう所見を持っておられるのか。沖繩問題については担当大臣でないということでは済まされない問題だと私は見ておりますので、この点について厚生大臣の御意見をひとつ承っておきたいと思うのです。
  74. 若松栄一

    若松政府委員 経緯を先に申し上げさせていただきます。  実は先ほど来お話し申し上げますように、沖繩の医師不足対策というものを根本的にきるだけ解決していこうということからいろいろなことを考えておったわけでございますが、沖繩にインターン病院を設けて、事実上そこでインターンをやるということを行ないまして、八名の者がインターンをやったわけでございます。せっかくそこでインターンをやったことでございますので、何とか現地で試験をしてやりたい。そうすると、一そう沖繩に定着ということが確実になり、さらに将来に向かっていい影響があろうということで、沖繩でインターンをやった者については沖繩で試験をしようということを話し合いまして、私どもとしては、その手続をするように総理府とも話し合いながら進めてまいったわけでございます。そして現実にその準備を私たちはしてまいったわけでございますが、その準備の途中で総理府と米軍政府との間の連絡が十分でなかった点があったようでございます。そしてわれわれ厚生省側といたしましては、実施できるものとして準備を進めてまいったわけでございますが、ただいまお話が出ましたように、日米琉諮問委員会で一体化の一端として資格の統一化をはかろうということで話をしようとする段階にあるわけでございます。そういう総合的に話をしようとする段階にあるのに、医師の試験だけ先がけてやるということは適当ではないじゃないか、総合的にこの方針をきめた上でやってもいいではないか、したがって今回は少し見合わしたらどうかという意見が出てまいりまして、急速試験を見合わせ、そして九州博多で試験を受けさせるという手配をいたしたわけでございます。
  75. 園田直

    園田国務大臣 この問題まことに残念なことでございまして、御意見のとおりに、本土と沖繩との一本化という面からも、ぜひ沖繩で試験を実施したいと考えておったわけでございますが、最初から日米琉委員会に相談してやればよかったのに、現地同士の話し合いでできると考えて、しかも一応内諾を得たものでありますから、その準備をしておったために、まぎわになってからこれを委員会できめようということで、事務上の手違いからできなかったことはまことに遺憾でございまして、こちらから断わったわけではございません。早急にこれは委員会にかけて、そして一本化の線をはかりたいと考えております。
  76. 田畑金光

    ○田畑委員 これは日本政府から断わったのではなくして、要するに米大使館が本国の政府に連絡をとって、免許の問題などについて、いまそのような日琉一本化をやるということは施政権の一画をくずされるという不安と申しますか、焦慮、これから出て、在日米大使館から抗議が出てついに中止せざるを得なくなったということが真相のように聞いておるわけで、この点についてはまあこれ以上深く追及するつもりはございませんが、ひとつ大臣もこういうような問題についてはもっと強い姿勢で事に処してもらいたい、このことだけを希望しておきます。  それから「外国の病院」というと何をさすわけですか。どんな病院ですか。
  77. 若松栄一

    若松政府委員 「外国の病院」は、外国の地にある病院ということになりますと、これは世界じゅうに無数の病院がございますので、これを一々指定するというようなことはできませんので、たとえばニューヨークの病院でカリキュラムの定められた研修を行なってきた場合には、それを個別に認定してやろう、その個別の認定というのは、ニューヨークの何々病院でこういうようなカリキュラムでこういうような研修をしてきた、これを日本の内地の教育病院でやった研修と同等に認めてくれというような場合を想定しているわけでございます。
  78. 田畑金光

    ○田畑委員 国内にある米陸軍病院、米軍の病院、こういうものは入るのですか、入らないのですか。
  79. 若松栄一

    若松政府委員 従来のインターンの場合には、先ほども話が出ましたように、米軍の海軍病院等で非常に整ったカリキュラムでインターンをやった者は、これを、病院を指定するのではなしに、その病院でやった修練をインターン修練とみなして扱ってまいりました。しかし今後の扱いについては現在まだ確定しておりません。これはいずれ研修審議会におはかりした上で、今後そういう扱いをするかどうかということもあわせて御意見を伺いたいと思っております。
  80. 田畑金光

    ○田畑委員 インターン病院に指定はしていないが、事実上そこで勉強した者については、審議会の議を経て同じ資格を認めたということであるならば、事実上指定病院と同じ取り扱いをやっているわけですが、国内の米軍病院でそういう病院は幾らぐらいの数にのぼるわけですか。
  81. 若松栄一

    若松政府委員 いままでは三つアメリカ病院がその認定を受けております。
  82. 田畑金光

    ○田畑委員 今度の臨床研修教育病院等に準じて、アメリカ病院についても同じような取り扱いを今後ともやる方針なのかどうか、明確に言ってください。ただ、何かしらぬがアメリカ病院というといろいろ想定されてどうも明確を欠くようだから、どうするつもりなのか、明確に答えてください。
  83. 園田直

    園田国務大臣 私から明確にしておきたいと思います。  大臣のほうで研修生教育病院を指定する場合に、在日米軍の総合病院に指定はいたしません。ただし何かの都合で新しい医師免許をとられた医師の方がそういうところで二年間研修された場合には、審議会にかけてこれを検討いたします。
  84. 田畑金光

    ○田畑委員 厚生大臣に若干例の王子の野戦病院の問題についてお尋ねしておきたいと思うのですが、厚生大臣は三月十九日の閣議で、王子の米軍野戦病院については日本側の係官が米軍基地内の病院に立ち入りし確認ができるようにしてほしい、このことを外務大臣を通じ折衝してほしいということを外相に持ちかけた、こういうことを私は新聞で読んだわけです。その後、防衛庁の施設庁長官が、十九日の午後日米合同委員会の施設特別委員会でこの問題を取り上げて話し合いをなされたという新聞記事を私は読んだわけです。ところが、三月二十二日、厚生大臣は閣議で報告をなされているわけですが、その報告によりますと、米軍と折衝した結果、王子病院内で伝染病が発生した場合、日本側担当官が同病院内でこれを確認し、米側と対策を協議できるようになったというような報告をされているわけです。当初は外務大臣を通じこの問題について話し今いをしてくれと外務大臣に頼まれていたわけですね。ところが数日後、厚生省の担当者が直接米軍と話し合いをした結果、いま言ったような話し合いがついた、こういうことになっているわけですが、これはどういう経過をたどってそのようなことになっているのか、この辺承っておきたいと思います。
  85. 園田直

    園田国務大臣 この問題は、お答えをする前に一言お断わりしておきますが、委員会において河野委員が、米軍の病院で伝染病については現在の規定、覚え書きでは周期的に情報を交換するだけになっているが、それを確認する方法がないではないか、したがってそれを確認する方法を考えるべきだという御意見を承りまして、それを受けて私は直ちに閣議で発言をしたわけでございます。もちろん念のために申しておきますが、河野委員の発言は、王子の病院の開設に賛成という意味の発言ではなく、また私もそれに沿ったあれでもなくて、現に開設しようとしておる病院についての伝染病に対する私たちの所管としての問題をやったわけであります。当初発言しましたのは、そのようなふうであるから、ぜひひとつ外務省は厚生省のこの意見が向こうに伝わるように何らかの処置を講じてもらいたい、こういう話をいたしましたところ、数日して外務省が立ち会いで会議を持ってくれた。この会議は任意会合でおりまして、向こうから出てまいりましたのは、在日米陸軍の司令部の軍医総監、王子の病院長以下それぞれの担当官、それから外務省からは係担当官、私たちのほうからは公衆衛生局長及び担当課長と出席をして会合をやったわけであります。この問題については河野委員の発言から出たことでございまするから、さっそく当委員会にまず報告してと思いましたが、事情がありまして委員会が開かれなかったためにおくれたわけでございます。  三月二十一日の午前十一時から会議を開きまして、それで実はこれは覚え書きがございまして、任意会合でありまするから、正式の文書を交換するわけにはまいりませんが、お互いに書いたものを読み合ってそれを公開してよろしいという了解事項できまったことでございます。  その第一は、「王子陸軍病院は、いわゆる野戦病院ではなく、完全な病院機能を有する総合病院である。ベトナムで負傷した軍人等は、野戦病院及び中間病院を経て当病院に搬送されるものであって、直接ベトナムから王子陸軍病院に運ばれるものではない。二、厚生省防疫担当官又は地元保健所長は、随時王子陸軍病院長を訪ね、防疫対策について協議すること。」これは覚え書き並びに協定で、現在のままでは基地に立ち入り検査するということはございませんので、したがって、王子病院長を現地にたずねるという意味で確認する形式をとったわけであります。「協議」とは、伝染病の現状を確認する、協議をする、及び病院内または周辺に伝染病が起こった場合の対策の協議でございます。三番目に、「今後も必要の都度、王子陸軍病院問題について、本日のメンバーで会合をもち、防疫上の諸問題について、その解決にあたるものであること。なお、必要ある場合には地元保健所長を加えることに同意する。病院の規模は四百ベッド、隔離病棟は置かない。」四番目に「昭和四十一年一月三十一日、合衆国陸軍少将E・A・チャプマン発、外務省安川北米局長あて文書、米軍は検疫伝染病患者については、その感染力を失うまで日本に搬入しない。」ということで、これは国際衛生規則にいわれているペスト、コレラ、発しんチフス、天然痘、黄熱、回帰熱、これは今後もあらためて確認するという四カ条の了解事項をしたわけでございますが、これは先般申し上げましたとおりに、任意会合でありまするから、早急にこれをオフィシャルの会合に変えて、そうして正式の文書にして交換したい。したがって、いま言いました要旨は、王子の病院長をたずねるという形式で確認することができるようにしたこと、及び伝染病持ち込みの国際衛生規則を確認したこと等々でございまするが、これは今後オフィシャルに変えてもらいたいということを外務省に伝えたわけでございます。
  86. 田畑金光

    ○田畑委員 それからもう一つ、これに関連して私、おかしいなという感じを受けておるのは、大臣のいまお読みになった内容については、私も翌日の新聞でおおよそ拝見いたしました。ところが、今度は三月の二十七日に美濃部都知事等がアメリカの大使館にジョンソン大使をたずねていろいろ話をなされた。その内容を見ますると、厚生大臣が読み上げられた内容とだいぶ違うのですね。時間の関係もありますから内容について触れることは省きますが、ただ一点だけ申し上げますと、美濃部知事に対するジョンソン大使の答えは「一刻も早く手当てを必要とする傷病兵を運ぶので、ヘリコプターを使わざるをえない。騒音で迷惑をかけないよう民家や学校の上を飛ばず、荒川の上空を飛ぶようにする。夜は運ばない。」あるいは「東洋における最大の設備を持ち最優秀の医者がいるので伝染病などの心配はない。」こういうように、先ほど大臣がお読みになった内容と、今度は美濃部都知事等に対するジョンソン大使の答えた内容とは相当開いておりますね。先ほど大臣のお読みになったところで重要な点は、王子陸軍病院はいわゆる野戦病院ではなく、完全な病院機能を持つ総合病院である、ベトナムの傷痍軍人などは中間病院を経て運んでくるので、直接ベトナムから運び込まれることはない。ところが、この美濃部都知事に対する答弁はまるきり違っておるのですね。どれがほんとうなのか。  それからもう一つ。私はそれに関連して大臣にお尋ねしておきたいのは、任意の話し合いで先ほどのような了解事項に達した。これをオフィシャルにこれから話をなさる、こういうわけですが、そのオフィシャルに話をなさるというのはどういう手続を経ていつごろ実現する見通しなのか、それらをあわせてお答え願いたいと思うのです。
  87. 園田直

    園田国務大臣 私と美濃部さんが行かれた場合の発言とに食い違いはないと思います。と申しますのは、米軍の患者収容体系は、戦場にまず救護所がありまして、そのうしろに収容所がございます。その収容所のうしろに師団の収容所があり、そのうしろが野戦病院であり、その次が各空軍基地等にある基地の病院で、その最後のものが軍病院という総合病院になっておりまして、この総合病院には、もちろん軍人軍属の家族、あるいは戦線で負傷した者で救護所、収容所あるいは兵站基地病院等を経てかつぎ込まれる患者もおるわけでありまして、私との申し合わせば、ベトナムから直接王子に患者を運ばないという意味であって、美濃部さんに答えた米軍の意見と私との申し合わせには食い違いはないと考えております。  なおまた、これをオフィシャルなものにしたいということは、日米合同委員会で議題にして、安川北米局長とチャプマン少将との間にかわされた覚え書きの改定をしてもらいたい。ということは、これは単に王子だけの問題ではなくて、王子については地元でも相当開設の反対をしておるようでございますし、しかもあれは文教地区であり、あるいはその他の施設等がありますので、これが総合病院であっても反対の機運が強いようであります。政府としてもこの地元の動きというものはやはり重視をしなければならぬと考えておりますので、単に王子病院だけでなくて在日米軍の病院についてこういう取りかわしができればけっこうであると考えておるわけであります。
  88. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣に重ねてお尋ねいたしますが、日米合同委員会で従来の日米間の取りきめを変更したい、これは望ましいことだと思うのです。ところが昭和四十一年九月一日の日米地位協定に基づく合同委員会では、「日米衛生関係者間における情報交換について」という覚え書き条項で、基地内で発生した伝染病その他の問題については、単に日本政府に通報する、こうようようなことだけになっていたわけですが、これを改正して、王子の病院だけでなく、内地にある米軍病院についてはすべて、今後は先ほどのような日本の行政機関も基地の中に入っていって検疫その他について確認する、こういうようなことが原則的に了解されたのかどうか、了解されたものとみなしてよろしいのかどうか、その点……。
  89. 園田直

    園田国務大臣 この前の任意会合では、全病院に及ぶものではございません。王子の病院だけでございます。そこで、この前の申し合わせ事項は、本日の午前十一時に日米合同委員会でオフィシャルな会合として了承したそうでございます。そこで、この覚え書きというものでございますが、私としては、この覚え書きというものをあまり窮屈に考えることは、日本の将来にとって非常に不利益であって、単に担当者と担当者の約束を文章にしたものが覚え書きであるから、社会はどんどん変わっていくのであり、米軍と日本国家との関係も当然変わっていくべきであって、協定あるいは条約等はそのつどでございますが、こういう覚え書き等はその場その場でどんどんわれわれの都合のいいように変えてもらっていくという習慣をつくることがいいことだと私は考えております。そこで、いまの問題も、先日の申し合わせば本日了承されてオフィシャルなものになったそうでありますから、さらに進めて、先ほど申し上げましたような方針で日米合同委員会に相談を申し上げたいと考えております。
  90. 田畑金光

    ○田畑委員 きょう話し合いがついたというのは、日米合同委員会という正式の機関話し合いがついたわけですね。そしてさらに、それは王子の病院だけについての話し合いなのか。大臣お話のように、王子の病院だけでなくすべての米軍病院について同様な取りきめをするという話し合いがついたのか。あるいはそれを今後の課題としてつけるのか、その点はどうなんですか。
  91. 園田直

    園田国務大臣 日米合同委員会の模様を詳細に聞いておりませんからはっきりわかりませんが、本日了承したのは、私が申し上げました、米軍の軍医総監と公衆衛生局長との任意会合で申し合わせました、ただいま読み上げました四カ条を了承したものと考えております。したがって、今後さらにこれを在日米軍の病院について広くふえんするように相談をしていきたいと考えておるわけであります。
  92. 田畑金光

    ○田畑委員 そうしますと、政府としては、王子の米軍病院については、都民をはじめいろいろ設置反対の声がありますが、大臣がいま言ったような確認事項もとられたので、これはやむを得ない、こういう形で王子の病院を今後とも認めていこうという方針なのかどうか。ことに私、いろいろ複雑怪奇と申しますか、これまた新聞報道によれば、三月二十六日の総理をはじめ与党・政府間の話し合いの中では、王子の病院の移転の問題を取り上げる、こういうふうな報道も伝えられておるが、この覚え書き事項で王子については心配しなくてもいいのだというような話し合いがついたような報告があるし、また一方においては、いろいろな不安もあるし、世論の批判も強いので、これは移転しなくてはならぬ、政府・与党の首脳の間ではそのような話もなされたというのですが、これは今後どういう方針でいかれるのか。
  93. 園田直

    園田国務大臣 最初お断わり申し上げましたとおりに、私がこの問題を閣議で発言いたしましたのも、河野委員の発言も、これを条件に王子病院の開設を認めるという筋合いのものではございません。王子病院の開設とは別個に、米軍が開設しようとしておる病院について、伝染病については私が所管でございますし、特にこれは大事な問題でありますから、伝染病についての情報の交換だけではなくして確認する方法をとったというわけであります。   〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕 いま地元で反対しておりますのは、伝染病ばかりでなく、風紀の問題、それから文教地区であるという問題。あそこに託児所であるとか養護院とかいろいろ学校施設があります。そういう伝染病以外の問題でも相当反対しておられるようでありまするから、この地元の意見を無視してはなりませんので、政府としてもこの地元の意見を重視するわけでございます。
  94. 田畑金光

    ○田畑委員 最後の大臣の御答弁聞き漏らしましたが、政府としては、今後あの王子の病院についてはこのままやむを得ないだろうということで認める方針なのかどうか。これは日米地位協定に基づく施設、区域の提供ということは日本が義務づけられておるわけでありますが、これはやむを得ないという形で認めていこうとするのか。それとも他にこれを移転させるという日米の折衝というものを今後ともやる方針なのか、その点はどうなんですか。
  95. 園田直

    園田国務大臣 申し上げましたとおりに、ただいま私が申し上げました米軍と私のほうとの申し合わせ、本日オフィシャルになったこの申し合わせば、王子に病院が開設されることを認めるための条件としてやったわけではございません。ただ単に、王子の病院現実に開設しようとしておるのでありますから、それについてとりあえず、伝染病のおそれがありますから、それに対する申し合わせをやっただけであって、王子病院を開設するのを認めるとか認めぬとかいうことは全然別個の問題。河野委員の御意見もそのとおりであって、決して開設するための条件として意見を出されたものではないと私は解釈しております。そこで切り離して第二番目の問題、王子に軍病院が開設されることの適当であるかいなかという問題は、伝染病以外の問題、いわゆる風紀の問題あるいは文教地区であるという問題、その他いろいろな問題がまだまだほかにたくさんあるようでございます。しかも、その地元住民の反対というのは、一部の反対ではなくて大部分の反対のようでありまするから、これを無視して米軍が病院を開設することは必ずしも適当ではないと思う。そこで、これについては十分政府が検討して、その意向を米軍に伝えたいと検討中であると私は承っております。
  96. 田畑金光

    ○田畑委員 これは検討中であるというお答えでこの場を逃げる以外に大臣としてもない、こう思います。しかし、ジョンソン大使の美濃部都知事に対するあの答えなどを見ますと、東洋一の完備された病院である、こういうことを言っておりますね。またこれを移転するについても、これにかわる適当な場所が見当たらぬので悩んでおるというのも、現実の政府の内部事情のように私は観察するわけです。  それはそれといたしまして、東洋一のりっぱな内部の整った病院である、こういう病院臨床研修を受けるには、これはまた別の面から言うと最もふさわしい病院ではないか。こう思うのですが、この点はどうですか。
  97. 園田直

    園田国務大臣 米軍のつくるところであって、先ほど沖繩の病院の話も出ましたが、残念ながら施設その他は完備しておるわけでありまして、開設しようとする病院ベッド三百でありますが、施設その他は完備しております。しかしながら、研修生研修をやってもらう教育病院の指定というものは、やはり国に誇りもあれば、あるいはまた今日のいろいろな問題等もございますので、この軍病院大臣教育病院として指定することは適当ではないと私は考えておりまするから、いかに完備しておりましても、これを指定するつもりはございません。
  98. 田畑金光

    ○田畑委員 アメリカ病院だから、これは指定できるはずはないですよ、先ほどからのお答えのとおり。そうではなくして、臨床研修をやりたいという若い医師が、このアメリカ病院は勉強するのに最もふさわしい、勉強するのには非常にやりがいがあるぞ、こういう気持ちを持ってそこに志望するということは、厚生省として阻止するわけにいかぬでしょう、「外国」と書いてある以上。それはさっき局長の答えの中にあったように、ニューヨークの病院もあろうし、ロンドンの病院もあろうし、一番手近な国内にそんな完備した病院があるならば、それはたまたまアメリカ陸軍病院であっても、この法律から言うならば何も差しつかえないじゃないですか。だから、それで二年間勉強してきた者についても、当然この法律は適用することになると思うのですが、これはどこで押えることができるのですか。
  99. 園田直

    園田国務大臣 新しく資格をとられたお医者さんが、何らかの都合でそこで研修をされて、研修のあれを認めてくれという申請がありますならば、審議会に相談をして検討していただきます。私個人に相談があれば、問題のある病院にはあまり行かぬほうがいいだろう、こう言うつもりでございます。
  100. 田畑金光

    ○田畑委員 しかし、この法律はそうなっておりませんよ。そんなことを言われても、大臣、取り越し苦労ということじゃないですか。法律をすなおに読めばそのようには読めないでしょう。しかし、こういうようなことであまり時間をつぶしても、時間が参りますから……。  私は、次にお尋ねしたいのは、医師試験研修審議会というのができますね。これはいままでの医師試験審議会が今度医師試験研修審議会、こう名前を変える、衣がえするわけですが、何か実体が変わるのか、どうなんですか、これは。
  101. 若松栄一

    若松政府委員 今度の研修審議会は、いままでのインターン病院の指定というような単純なものでなしに、各科の臨床研修の計画についてもいろいろ御審議していただこうと思っておりますので、病院長学部長会議等におはかりいたしまして、診療各科の代表に入っていただいて構成するという考え方でやっております。
  102. 田畑金光

    ○田畑委員 どれぐらいの構成を考えていらっしゃるのですが。それともう一つは、従来の医師試験審議会の構成はどれくらいでどういう人方がが入っていらっしゃったのですか。
  103. 若松栄一

    若松政府委員 従来の国定試験審議会は十五名の定員でやっておりまして、これは大部分は大学教授及びいわゆるインターン病院の院長あるいは副院長という方、それに医師会長、医務局長大学学術局長というような構成でございました。今度の研修審議会は二十名の定員で、これにつきましては過半数は大学教授をもって充てろという医学部卒業後の研修懇談会の意見がありますので、その趣旨に沿いまして過半教は大学教授をもって充てる、しかもその大学教授を含めまして診療各科のいろいろな意見が聞けるような構成にいたしたいというふうに考えております。
  104. 田畑金光

    ○田畑委員 大学教授以外の審議会の委員になれる人、あるいは審議会の委員に委嘱しようという人はどんな人を考えていらっしゃるのですか。
  105. 若松栄一

    若松政府委員 大体大学教授とそれから教育病院の院長あるいは副院長級の方々考えております。
  106. 田畑金光

    ○田畑委員 そうするとお医者さんばかりですね。大学教授といってもお医者さんでしょう。あるいは病院長。お医者さんばかりですか。あるいは一般の代表も何名か加えるという方針なのかどうか、その辺はどうですか。
  107. 若松栄一

    若松政府委員 現在の段階では、こういう非常に技術的な病院の指定のための審査であるとかあるいは現実に行なわれた教育の事後の審査であるとかいうことになりますので、大学教授あるいは院長級の方々だけで構成するように考えております。  ただ、この前参考人の御意見の中に、秋元先生の御意見であったと思いますが、診療を受ける側の代表も入れたらどうかというお話がございました。私はこういう制度それ自体を検討するという場合には、そういうような診療側以外の、実際に診療を受ける国民の代表ということも十分考慮する必要があると思います。しかし、この審議会というものは、非常に技術的な専門的な審査だけでございますので、いまのところいわゆる患者側といいますか、診療を受ける側の代表というものはそれほど働き場所がないのではないかと考えております。
  108. 田畑金光

    ○田畑委員 いま局長から御答弁がありましたように、この間の秋元参考人の御意見の中には、特に医師試験研修審議会については、医学専門家のほかに世論を代表する委員をぜひ加えるべきだと思う、なぜならば、医師が何をなすべきか、そのための医師研修はどうあるべきかというようなことは、医療を受ける側の世論の声を十分に聞いて、それにこたえる方法を講じなければならぬからだ、こういう御意見が述べられておるわけであります。秋元参考人は、その道の大家であり、特にインターン問題について長年取り組んでこられた医学者であり、また医育者である、こう私たちは見ておるわけでありますが、こういう貴重な意見についてはやはり傾聴して——私は全くしろうとだからわかりませんけれども、やはりもっと医事評論家、医療評論家、こういうような人方、第三者的な人も入れて、公正な審議会の構成ということを考えるべきじゃないか、こういうような感じを持つわけであります。この点について局長考え方を承りたいと思うのです。  さらに、もう一つ、時間も参りましたので、まだたくさんありますけれどもこの辺で約束に従ってやめますが、医者懇という懇談会ですね、これはどういう性格の機関なのか。法律に基づいてできたものであるとも聞いておりませんし、行政的な措置によってできた機関だ、こう考えますが、今後この機関は、どのようなテーマを取り上げてさらに検討を続けていくのか。今回この医者懇の答申に基づいてこの法律改正がなされたわけでありますが、今後はこの医者懇というものはどういうテーマを取り上げて、また今後の医療制度に対してどういう構想を持って進んでいこうとするのか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  109. 若松栄一

    若松政府委員 いわゆる医者懇と言われますのは、医学部卒業後の研修教育に関する懇談会でございますが、これは名前のとおり懇談会でございまして、一昨年の国会で、緊急にインターン制度の改善をはかれ、しかもこの問題は文部省と厚生省両省にまたがった問題が多いので、十分に連絡、協議しながらやれという国会の御意見がございましたので、その趣旨に沿いまして文部省と厚生省が共同でこの懇談会を設けました。したがって、この懇談会は、その結論を文部大臣厚生大臣にそれぞれ意見提出されたわけでございます。  なお、この懇談会が発足いたしました当時は、単にインターン問題だけでなく、いわゆる無給医局員問題から学位問題、その他大学制度まで広げて、十分に広く検討をすべきであるということで、非常に広い検討をいたしましたけれども、何ぶんにも公式の懇談会ではございませんので、諸制度の改変に関することについてはあまり決定的な意見を出しても困るというような空気で、結局は最終的には今度のインターン問題とその改善というところに焦点をしぼって検討を続けたわけでございます。この結論が出ましたので、一応この懇談会は休止をしておりますが、まだ廃止にはなっておりません。この法律案が通り、実際の施行等に入りました場合には、場合によりましては、さらに開催していただきました状況の報告も申し上げ、さらに御意見もお伺いし、さらに懇談会で今後どのような方向で審議を進めるかということは、懇談会として御決定いただくことになろうかと思っております。
  110. 田畑金光

    ○田畑委員 私は大臣に最後に希望だけ申し上げて質問を終わりたいと思うのですが、今回は、例の医者懇答申の中で、インターン制度の廃止にかわる措置だけを取り上げて、この法律改正になっておるわけです。だが、あの懇談会の答申の中には特に教育病院の指導体制の充実のために、予算面はもちろん、大学教育病院の人事交流の強化をはかるべし、こういうことを強くうたっているわけです。特に、私は時間がないので取り上げることもできないわけでありますが、今回の予算措置などを見ましても、ようやく動きだした程度と言ったほうが適切かとこう思うわけであります。  今後の財政措置の強化の問題については、大臣はしばしばもろもろの質問に答えて、これは第一歩であって、必ず今後はこのような方向に真剣に取り組んで前進するんだということを答えておられますが、これが実行について責任を持ってひとつやっていただきたい、こう考えておるわけです。あるいは答申の中には、民間資金の導入による教育病院基金の設定など、こういうこともうたっておるわけでありまして、したがって、今回の法律改正というものは、ほんの一部分を実現したと申すのが適当かと思います。いままでの無意味な、いわゆるインターン制度の名のもとで一年間実地修練をやってきたが、それを廃止して、今度は国家試験をパスした者について医師免許を付与し、二年以上の臨床研修につとめなければならないというようなことになっております。今回の予算の裏づけを見ますと、いままで一年間で、ただ無為無策というとどうかと思いますが、無為に過ごしてきた者が、また、かえって二年間も同じようなことになりはぜぬか、こういう心配もあるわけで、それがまた反対する学生たちの一番大きい不安ではなかろうか、こう考えておるわけです。  そういうことを考えてみましたときに、この委員会でこの法律案審議にあたり、いろいろな角度からいろんな問題が提起されたわけでありますが、これについてはどうぞひとつ、大臣の政治力をもって今後これが実現のために一そうの努力を払っていただきたい。大臣所見を伺って私の質問を終わることにいたします。
  111. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御意見につきましては、私の決意はしばしば申し述べておりますとおりでございますが、さらに御意見を拝聴してその実行に努力する所存でございます。
  112. 八田貞義

    八田委員長 大橋敏雄君。
  113. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私は、皆さまが御承知のとおりに医学、医療界というものにはまるでしろうとでございますが、そのしろうとの私でさえも、現在の医療行政あるいは医療界等をのぞいてみますと、それはたとえばからみ合った糸みたいな、またどろ沼みたいな状態を感じずにはおられません。そういうわけでございますので、そのようながたがたの土台の上にどのようにりっぱな政策を打ち立ててみても、法律を打ち立ててみても、これはしょせん無意味である、私はそう感ずるわけでございます。したがいまして、私はまず現実問題を取り上げまして、足元から解決しなければならないものからお尋ねいたします。  三月の二十日から行なわれましたところの医師国家試験の実情はどうだったのか、まず報告願いたいと思います。特に数字の面から答えていただきたいと思います。
  114. 若松栄一

    若松政府委員 今度の医師国家試験は、四十二年の三月に医学部を卒業いたしまして、一年間の実地修練を終了した者が受験資格に該当するわけでございまして、その者の数が二千九百六十六人と計算いたしております。なお、そのほかに四十一年度までに終了した者で、いままでに国家試験を受けずにいた者あるいは落第した者等もございます。それらの者を合わせまして約三千百九十三人と私どもは計算いたしました。このうち受験の出願をいたしました者が千四百二十二名でございまして、このうちさらに実際に受験した者が千百六十五名、したがって受験資格のある受験該当という数に対しまして約三六%という実績でございました。
  115. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いま有資格者が二千九百六十六人ということでございましたが、当初の厚生省の見込みとしては三千二百人が予想されていた。ところが、その中の東大生の卒業者で卒業試験を受けなかったという人が百九十名、そのほかに卒業はしたけれどもインターンの一年生をやらなかった、そういう人が四十四名だということで、二千九百六十六名ということになったのではないかと思います。ところが、その中からもう一つ青医連の拒否組が出ておりますが、私が調べたところではそれが千五百四十四名、出願者はいま言われましたとおり千四百二十二名、これはぴったり合うわけです。ところが実際受験したのは千百六十五名、こういうように聞いておりますが、それは間違いありませんか。
  116. 若松栄一

    若松政府委員 間違いございません。
  117. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そういうことになりますと、当初予想されていた数より実際に受験した者を引きますと二千三十五名というのがいわゆる宙ぶらりんになっているわけですね。こういう人に対して、厚生省として、特に大臣はどのようなお考えでおられるのかお尋ねいたします。
  118. 若松栄一

    若松政府委員 受験資格のある方々はできるだけ国家試験を受けて、早く医師になっていただきたいわけでございます。今度試験を受けなかった方々も、新法が成立いたしますと、当然受験資格が出てまいりますので、新法による試験が五月末あるいはそれより若干おくれるかもしれませんが、そのころには実施できますので、その時期にはできるだけ国家試験を受け、医師になっていただくことを希望しております。
  119. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 新法というのは今度の改正案のことですか。
  120. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま御審議いただいている医師法でございます。
  121. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 もしそれが成立しなかった場合はどうなるのですか。
  122. 若松栄一

    若松政府委員 新しい法律が成立いたさないといたしますと、従来からの医師法がそのまま継続されますので、したがって、インターンを終了したことを受験資格とする国家試験が行なわれることになります。もしも新しい法律改正ができないといたしますと、例年は九月あるいは十月に試験を実施いたしております。
  123. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そうしますと卒業後インターンをやらなかった人は、あらためてインターンをやってもらわなければならないということですね。  もう一つ、では卒業試験を受けなかった東大生の百九十名の方についてはどうなるのですか。
  124. 若松栄一

    若松政府委員 前段のお話は、そのとおり新法が成立いたしませんと従来どおりこの三月の卒業生はインターンを実施していただくことになります。  なお、卒業試験を受けなかった方の問題は、文部省のほうからお答えいたします。
  125. 清水成之

    清水説明員 卒業試験を受けなかった者につきましては、留年ということになるわけでございます。
  126. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いま法律をたてにとって、いろいろとお話ししていらっしゃるようでございますが、もともと考えてみると、厚生省の、あるいは文部省の行政そのものに欠陥がある。そういうものに対してその人たちは拒否をしたわけですから、いわゆる腐った御飯を食べろといったって食べられるわけがないじゃないか、こういうことで拒否しているという立場を私は考えるわけです。ですから、もし今度の法律が成立すれば五月ごろという話がいま出ましたけれども、成立するしないにかかわらず、当然五月にそういう人もいままでの事情を考慮して試験を受けさせるべきではないか、このくらいの配慮があってしかるべきだと思うのですが、厚生大臣はこれについてどう思われますか。
  127. 若松栄一

    若松政府委員 医師国家試験は、従来から年二回春秋行なっておりますので、その例に従いまして、もし新法が成立しなかった場合は、従来の例どおり春秋に実施するというつもりでございます。
  128. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまも言いましたように、教育や、あるいはその研修の内容、また生活保障、あるいはその身分の不確定な現状に対して反対してきたわけですから、法律が成立しない限りはということでございますが、かりにでは法律が成立すれば、インターン一年やるやらぬは別としても、試験は受けられるわけでしょう。ですから、そういう立場に立てば、従来のその姿に対して恩情ある措置をとるべきだと思うのです。そういうことで大臣の所感を聞きたいわけです。
  129. 園田直

    園田国務大臣 これは一般の人が、法律並びに規則を順守してやるわけでございますから、新法が通らなければ例年の制度どおりにやる以外にないと考えております。
  130. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 とにかくこの新法というものは問題ですね。  次に移りますが、これは仮定の問題になりますけれども、四十三年度に医学部を卒業する学生さんを見込まれた数、そしてその方々がどのような方向に進まれていくか厚生当局は当然予想されていたと思います。きょうも実は卒業式がありますけれども、そういう現状から見ますと、その予想は相当狂ってくるであろうということは容易に判断できますけれども、一応厚生省としてどのように予想されていたか、それを説明願いたいと思います。
  131. 若松栄一

    若松政府委員 現在のような医学部における混乱がなければ、昭和四十三年三月には卒業者が三千三百五十六名程度になるはずであるというふうに予想しております。この者が将来どういう方向に向かうかということは、これは全く私ども把握していないところでございまして、いままでの例でございますと、すべてがインターンに入ったわけでございますが、今度は国家試験——もし新法が成立するような状態を考えますと、医師になりますので、それぞれが研修に向かう。研修に向かう方法といたしましては、私どもとしては一応大学関係、それから教育病院関係を従来申しました予算に積算しましたようなことで一応推定したということでございます。
  132. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 ではこのように理解してよろしいでしょうか。三千三百五十六名が、一部は大学院へ進む、一部は国立大学付属病院に進んでいく、一部は国立病院のほうに進んでいく、あとの残りは指定病院に行く、このような理解でよろしいでしょうか。
  133. 若松栄一

    若松政府委員 そのとおりでございます。
  134. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そうしますと、同じように卒業いたしましてある者は国立大学病院にとどまる、話によればこの定員は六百三十六名だと聞いております。それから国立病院定員は二百名だと聞いておりますけれども、この点もこれでよろしいのでしょうか。
  135. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま申されました官立大学に残ることを予想している者は六百三十六名、それから国立病院で受け入れることを予定いたしておりますものが二百名ということでございます。
  136. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは身分というものは、卒業と同時に国家試験に受かれば医師という身分になるわけですが、地位といいますか、その立場がいろいろと変わると思うのです。国立大学付属病院に行く人は、これは研修生という立場になり、もう一つ国立病院に行く側は、非常勤国家公務員だと聞いておりますけれども、これもそのとおりですか。
  137. 若松栄一

    若松政府委員 研修中の医師ということでございますので、その扱いは施設によって異なりますが、できるだけ統一することが望ましいと考えております。
  138. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 研修生という立場に立った場合、いまの法律からいけば、今度の改正案の内容からいけば、診療謝礼金という名目のもとに手当が出る。ところが、国立病院のほうははっきりした手当、いわゆる賃金が支給される。ここに大きな差別ができるように思うのですけれども、というのは、謝礼金というのはあくまでも謝礼金でありまして、これは研修生のほうから請求するわけにいかないと思います。ところが手当になりますと、これは賃金ですので、当然請求もできる、こういう差別も起こるのではないかという懸念を持っているのですけれども、この点はどうですか。
  139. 若松栄一

    若松政府委員 いずれの場合におきましても、広い意味の契約でございますので、法的にどうこうというものではないと存じております。
  140. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 その点がはっきりしないと、その差別の問題が解消されないと思うのです。  それでは一つずつ聞きますけれども国立病院に行く側は、これは手当ですね、賃金ですね。
  141. 若松栄一

    若松政府委員 現在国立病院の特別会計に組まれておりますのは非常勤職員手当でございます。
  142. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 では、もう一方の国立大学付属病院側は、これはどういうことになっているのですか。手当じゃないのですか。
  143. 清水成之

    清水説明員 診療協力謝金ということで予算費目にあげております。
  144. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これははっきりと、賃金とそうでない立場のお金と、こう分けられると私は思うのです。ですから私は、これはやはり大きな問題だと思います。したがいまして、まだ差別をなくすことと、それから金額の面においても大いに違いますので、この格差をなくすという方向にぜひとも進んでもらいたい。大臣、ひとつお願いします。
  145. 園田直

    園田国務大臣 これは、この前も非常に大きな問題になったところでありますから、私からお答えしますが、身分、待遇については統一すべきものと考えております。
  146. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それではもう一つお尋ねしますが、国立病院に進む中でも、たとえば公立大学を出る人が五百名近くおる。そこで、みんな大体国立大学付属病院を希望するけれども、これはおそらく行けないだろうということで、あとの希望は国立病院になる。ところが、国立病院定員はわずか二百名ですから当然漏れるわけですね。漏れた人の身分、地位というものはどうなるのですか。
  147. 若松栄一

    若松政府委員 研修を行なう医師は、国立の大学付属病院、それから公立、私立の大学付属病院あるいはその付置の研究機関病院、それから国立病院を含めました教育病院というもので受け入れることになりますので、その受け入れについては、現実に起こって言いります二千名なり三千名なりを受け入れるだけの研修施設の準備はいたすつもりでございます。
  148. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そこで確認しますけれども、そこの国立病院の二百名以外に、よその指定病院に行った人々は、やはり国家公務員という地位のもとに扱われるのでしょうか。
  149. 若松栄一

    若松政府委員 それはそれぞれの施設の扱いによって異なるわけでございまして、それぞれの施設の性格によって異なることと思います。
  150. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 これも先ほどと同じように、こういう差別は当然解消しなければならないと思いますが、どうでしょうか、大臣
  151. 園田直

    園田国務大臣 先ほどと同じように、これは早急に統一しなければならないと思っております。
  152. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それからもう一つの差別といいますか、格差が出ることを指摘しますけれども、たとえば大学付属病院に行く人は、その地位は研修生である。そうしますと、たとえば健康保険なんかに入ろうと思っても、これはあくまでも国民健康保険だけである。ところが、国立病院のほうに参る人は、これは国家公務員になりますので、一年間は政管健保に入れる。二年目は国家公務員共済組合にも入れる、あるいは厚生年金にも入れる。また失業保険にも入れる。このような感じを受けるのですけれども、どうですか。
  153. 若松栄一

    若松政府委員 現在のところ、残念ながら施設の性格によりまして受け入れの態様が異なりますのでしたがって、厚生関係の扱いもいろいろ異なってまいるのは御指摘のとおりでございます。
  154. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣これも統一しますか。
  155. 園田直

    園田国務大臣 そのとおりでございます。
  156. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 じゃ、次に話を移します。  国立大学病院研修希望が殺到する、集中するというその理由を聞かしてください。
  157. 若松栄一

    若松政府委員 先ほど来の御審議にもありましたように、現在遺憾ながら、民間その他の一般病院大学付属病院とでは、相当学問的な内容等に格差がございますために、大学病院を希望する者が多いということはやむを得ないところかと思います。
  158. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それではお尋ねしますけれども、国立大学病院国立病院あるいは研修指定病院と、これにはいまのお話では、格差がある、こういうわけですね。
  159. 若松栄一

    若松政府委員 現状におきましては、平均的に申しますと、大学病院のほうがはるかに高い、しかし普通のいわゆる教育病院といわれるものの中にも、たとえば聖路加病院であるとか、虎の門病院であるとか、警察病院であるとかいうように、非常に高いレベル研修を行なっているところもございます。そういう意味で、今後教育部門というものをだんだんレベルを高くしていくということに努力してまいりたいと思います。
  160. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 まあ努力して、その解消をはかるということですけれども、現時点ではその格差があるということになりますと、研修をそこで一年ないしは二年——これはまたあとで議論するといたしますが、その施設や教育スタッフその他いろいろのものが、もう現時点で格差があるのですから、同じ期間研修しても、研修の成果は当然格差がついたままに出てくる。いわゆる医者の技量やその他の面で、そういう成果そのものに格差がついて出てくるというふうに私は理解するのですが、この点はどらですか。
  161. 若松栄一

    若松政府委員 いまは、一般病院大学それ自体の資質に相当格差があるということを申したのでございまして、研修はまたおのずから別な観点があろうかと思います。現実研修を行なう方の熱意、努力、それから研修をやる側の熱意、努力というものが非常に大きく響いてまいります。したがって、非常に高いレベル大学に行なわれておりました従来のインターンも、やり方等がまずければ、ただいままで非難が出てまいりましたように、有害無益であるというような非難も出て養いるわけでございますので、何ぶんにも施設の熱意並びに研修医——研修を行なう医師の研究態度研修態度というものが大きく響いて、それらを総合して、できるだけそういう格差のないように努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  162. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 じゃ、たとえば研修する医者が同じような熱意、努力を持ってかかった。そうすれば、施設だとか、設備だとか、教育スタッフのメンバーの違いによっては、その違いというものは当然出てくるわけでしょう、同じような立場で進んだと仮定した場合に。
  163. 若松栄一

    若松政府委員 全くの仮定でございますが、研修をする側もさせる側も、全く同程度の熱意と懇切さを持ち研修が行なわれたとすれば、いい施設のほうが効果があがると思います。
  164. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまおっしゃったとおりですので、現在の格差をどのように具体的に解消なさろうとしておられるのか。
  165. 若松栄一

    若松政府委員 先ほどから出ておりますような、いわゆる医者懇の答申というようなものにもありますように、将来教育病院というものが大学との密接な関連を保ち、特に人の交流等も合わせまして密接な交流を保ち、また大学自体も——大学自体は非常に資質が高うございますけれども、受け入れ能力というものにはおのずから限度がございます。そういう意味で、大学で無制限に研修を行なうということはできません。どうしても、現状におきましては、ある程度教育病院というものを活用し、育成せざるを得ない。そういう意味でこの教育病院大学との連携を強化し、人事その他の交流をはかりまして、教育病院の内容充実、向上につとめたいという考えでございます。
  166. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねします。いまのお話を聞いてまいりますと、結論として国立大学病院ほどの内容の充実した病院は他には少ないということになりますので、格調高い現在の大学病院を大幅に拡張する、あるいはそれと同等の力ある内容を持った病院をつくっていく、こういう方向に全力をあげるべきだと私は思うのですが、大臣考えを聞きたいと思います。
  167. 園田直

    園田国務大臣 国立大学は文部省の所管でありますが、医師不足あるいは無医地区等を見ましても、大学のある県のほうが比率は多いようでございます。  そこで理想を申しますと、高度の近代的な設備を持った、内容の充実した大学が各個所にあればいいのでございますが、現実としては大学を広げていったほうがいいのか、あるいはまとまった大学がさらに内容を充実拡大していったらいいのか、これは私のほうとしても文部省としても相当研究問題だと考えます。ただ、国立病院を、人的にも施設的にも、国立大学病院以上の水準に引き上げなければならぬことは急務であると考えております。
  168. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは時間の関係で次に移りますが、先ほどから現行インターン制度は有害無益である、有名無実である、だから廃止されるのである、こういうふうな話がありましたが、私もそういう立場から見た場合同感でありますけれども、もう一面から言えば、なぜ現行インターン制度を廃止しなければならないのか、他の面からも考えられると思うのです。その点を答えてもらいたいと思うのです。
  169. 若松栄一

    若松政府委員 このインターン制度が実施されまして二十年を経過いたしましたけれども、この制度を開始いたしました当時におきましては、従来から医師は卒業後研修を行なうものであるという常識、慣行が確立されておりましたために、無給であってもインターンをやるということに対してそれほど抵抗がなかったと思います。したがって、すべり出しはどうにかうまくいったと思いますが、さらに時代が進展するにつれまして、やはりここに世の中の常識というものがかなり変わってまいります。したがって、普通の学科よりも長い学科を卒業して、なお一年間無給で働くというようなことに関して、非常に抵抗が出てまいったことは事実でございます。さらにそのインターンの内容それ自体が、どうも不十分であったということも加えまして、インターンそれ自体に対する批判が強まり、これを廃止せよという声が高まったわけでございますが、当初は、私どもは、やはりせっかくの制度であるから、これを何らか改善することによって成果をあげることができないかと、かように考えましたけれども、さらにこの批判が高まってまいり、もはやそのようなこそくな手段ではとうていこの事態を解決できないということでむしろこの際インターンをあっさり廃止してしまい、別に新たな研修制度を立てるほうが、より効率的な研修ができるという大方の見解に沿いまして、このような改革をいたしたわけでございます。
  170. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまのお話の中で、無給で長く働くという問題に大きな抵抗があった、そのほかいろいろ移り変わりがあったのでということでございますが、それは確かにそうだろうと思います。しかし、その研修それ自体をいやがっている人は一人もいなかったと思う。研修しようと思っても研修できない、そういう環境であった。たとえばインターンの現状をかいつまんで言いますと、実地修練をやるべきなのに、それはほんとうに有名無実である。夜警とか、あるいは人夫同様の肉体労働をさせられる、あるいはアルバイトなどで生活をする、また極端な言い方をしますと、大病院等の医師不足、その手不足をこのインターンで補っている、こういう事実もあるのですが、私はいろいろと考えました結論としまして、インターン廃止を主張する一番大きな問題というのは、まず生活の保障がないからだということ、それからいわゆる教育設備体制、教育スタッフ、そういうものが不備であるということ、それから身分が非常に不安定である、これが大きな反対の理由であろうと思うのですが、この点どうですか。
  171. 若松栄一

    若松政府委員 御指摘のように、インターンの修練におきましては、研修の体制が十分でなかった、また修練を行なう医師の生活の安定がなかったということ、さらにインターンの場合は医師でもない、学生でもないという身分の不安定のために、研修自体も非常にうまくいかなかったという三つの点があったと思います。
  172. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 今度の法律改正で、インターン制度を廃止するということは私は賛成です。しかし、いま言いました生活の保障がないとか、教育スタッフあるいはその体制整備等が何ら改善されないままに法律の条文だけを変えてみても、真の解消にはならない、私はこう思うのですが、その点どうですか。
  173. 若松栄一

    若松政府委員 決して法律の条文だけを変えるという趣旨ではございません、先ほど来も話に出ましたように、今年度二億であった予算を八億四千万円というぐあいに増加いたしまして、研修環境の整備、特に指導体制の整備をはかり、またあわせて生活の、安定のために、非常に不満足ではございましたけれども一歩前進をしたということで、御趣旨の線に沿って不満足ながら一歩踏み出したということであろうと思います。
  174. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 不満足ながら一歩前進したと言われますが、これは大いに前進しているように見えて後退した、私はそう感ずるわけです。大体これらの諸問題をいままでなぜ手をつけてこなかったか。これはあなたがおっしゃるとおり、一年二年前の問題ではない。もう二十年前からの問題である。これに対して積極的な手を打たなかったというのは、これはもう明らかに厚生当局の怠慢である、私はそう思うのです。大臣は、この放慢的行政に流れてきたことに対する責任は重大だと私は思ますが、それに対してどのようにお感じになっていますか、お答え願います。
  175. 園田直

    園田国務大臣 私は所管大臣であるから言うわけではございませんが、後退したとは考えておりません。しかし、御指摘の点は十分反省する点がありまするので、あやまちを改むるにはばかることなかれ、率直に反省をして、明年度の予算から、昨年までは二億であったものが八億にふやしたということは第一歩を踏み出したということであって、しかしながら、身分にいたしましても、施設の充実にいたしましても、ほんとうに第一歩を踏み出したということで、四十三年度を契機に、目標に向かって前進していきたいと考えております。
  176. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、相当前進されたということですのでお尋ねいたします。無給医局員実態から、その待遇の改善並びに開業医に対する融資制度の拡充という観点からお尋ねいたします。  まず第一番に聞きたいことは、私がその関係者から漏れ聞いたことでございますが、三十九年度におきまして医師免許をとった後に五年を経過する、その前に個人開業した人は何人おるのかというと八十数名だということを聞いております。つまり五年ですから、簡単に推計しますと、大体一万五千人の中からわずかに八十数名、こういうことでございますけれども、それでは医師免許をとって一年目に開業した医師というのは一体何人おるのか、二年目に開業したのは何人おるのか、三年目、四年目、五年目くらいまで説明願いたいと思います。
  177. 若松栄一

    若松政府委員 残念ながら、一年目に開業をした者、二年目に開業した者という数字は私ども全く把握いたしておりません。
  178. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そういうことを把握しないから、今度の研修期間の問題があいまいになると思うのです。これは時間がございませんからあとに回します。  いま無給医局員の現状は、大学病院あるいは大学の研究室などにおいて、まず財力をつくっていこうということが一つ、それからその当該大学病院の系列にある病院長になりたい、そういう方向にほぞを固めている。またあるいは開業をしたくてもそれができない、というのは、力があっても他の条件が整わないために、関連病院でアルバイトなどをやっているという恵まれない人がおるわけですね。そういう恵まれない環境におる人が非常に多いというわけですが、私はここでまずはっきりと答えてもらいたいことは、無給医局員は非常に診療協力をやっている。これは当然のことだろうと思いますが、その診療協力だけではなくて、その研修する医師に対して教育面、いわゆる研修面にも大きく貢献しているということです。事実教育指導スタッフといいますか、その中に教授もおれば無給医局員もおるというのが現実です。これは認めますか。
  179. 清水成之

    清水説明員 いま御指摘のように、無給医局員という者が非常に多うございますが、先ほどお話もございましたように、たとえば十年以上の者が千人をこしておる、こういうようなことから、実態といたしまして教育研究に協力をしておるというような実態はあろうかと思いますが、数字的に正確には把握いたしておりません。
  180. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いつでしたか、今度教育スタッフは三千名プラス百名、これで大体補われるというような話を聞きましたけれども実態は、そうした無給医局員の中の優秀な方々が、それに協力するから補われているのであって、三千プラス百で決して補われていないということです。したがいまして、私は、そうした力ある無給医局員に対しては、はっきり地位をきめて俸給を出すべきであると思いますが、これはどうですか。
  181. 清水成之

    清水説明員 いまのお話のように、地位が不明確であるということ、これは確かでございまして、私どもといたしましては、病院教官要員の定員増をはかりましてその解消に努力をしてまいりたい、こういうつもりで非常にわずかではございますが、年々いただいておる次第でございまして、今後も努力をいたしてまいりたいと存じます。  なお、定員外に漏れました分につきましては、これまた十分ではございませんが、協力謝金を四十二年度からいただいておる次第でございまして、これもまた増額に努力いたしてまいりたい、かように存じます。
  182. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 一人当たり幾ら出すのですか。
  183. 清水成之

    清水説明員 四十二、四十三年度とも一日六百円、二十五日としまして一万五千円、こういう積算でございます。
  184. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 その指導スタッフの教授のほうは幾らくらいもらっておるのですか。
  185. 清水成之

    清水説明員 教授も、経験年数等の関係がございますので一がいに言えませんが、大体十万前後の金額でございます。
  186. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 その十万前後もらっている教授の右腕となりがんばっているその無給医局員の人に対する謝礼金としては、あまりにも低過ぎるんではないですか。もっと大幅に有給化すべきだと思いますが、この点どうですか。
  187. 清水成之

    清水説明員 先ほど、私どものほうの局長からもお答えしましたように、大学病院のあり方というものを根本的に再検討いたしまして、その診療要員、教官要員がどういうふうに要るかという前提の上で、この無給医局員の問題も総合的に考えていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  御指摘の点につきましては、一挙に私ども考えております構想までいきませんが、及ばずながら努力をいたしてまいりたい、こういう次第でございます。
  188. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねいたしますが、いま文部省は及ばずながら努力していくと言いました。厚生大臣としてこの点についてどのように思われたか、お答え願います。
  189. 園田直

    園田国務大臣 これは文部省の所管でございまして、私の所管ではございませんが、文部大臣と相談をして、やはりただいま言われたような方向でやっていただきたいと考えております。
  190. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 所管違いだとは言いまするけれども、当たる医師の問題は同じでございますので、そういう点で、いまの格差是正という立場から徹底した方向で進んでもらいたい。これは要望ですが、どうでしょうか。
  191. 園田直

    園田国務大臣 御意見を拝聴して、そのとおり努力いたします。
  192. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 医療金融公庫の融資制度立場から開業の問題を聞いてみたいと思います。  現在必要資金の八〇%は公庫で出す、あと二〇%はいわゆる自己資金とされているということでございますが、これも銀行側で医者診療見込みをいたしまして、つなぎ融資をするということを聞いておりますけれども先ほど言いましたように、実際に開業する医者というものは非常に少ないわけです。その実態を探っていきますと、診療所ないしは病院等をそういう資金を借りて施設したいと思うけれども、土地を買う金がない。その土地を買収する資金がそうした制度の中にはない。そのために、すばらしい腕を持ちながらも開業できないということを聞くのですけれども、この医療金融公庫の融資制度の内容を大幅に拡張をして、そうした土地の購入までの道を開くべきじゃないかと思うのですが、厚生大臣、これはどうでしょうか。
  193. 若松栄一

    若松政府委員 医療金融公庫は年々融資の額を増大しておりますけれども、なお現実の申し込みの数割を翌年度に繰り込しておるような実情でございます。したがいまして、現在の建物に対する一定の割合の融資ということをさらに土地にまで広げるということは、残念ながら現在の立場では非常に困難かと思っております。
  194. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 もう少し内容を調べてもらいたいと思います。これは年々ふえているとは言いますけれども、実際問題として、この土地の買収資金がないために開業されないという人々がたくさんおるわけです。だから、ほんとうに国民の医療、保健という立場から、そうした力ある医者をどんどん開業させる立場において、そういうことも十分検討してもらいたい。よろしいですか。
  195. 若松栄一

    若松政府委員 将来に向かってそういう点も含めて検討してまいります。
  196. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それじゃ、いよいよ十六条の二の問題に入りますが、臨床研修の項目に関連してお尋ねいたします。  研修期間を二年だとなさっておりますが、現行インターン一年制の実質的な延長であるということを非常に聞くわけです。この二年間の期間をとられた根拠、これを明確に答えてもらいたいと思います。
  197. 若松栄一

    若松政府委員 二年間をとりました根拠は、先ほど来出ております医学部卒業後における教育研修に関する懇談会の答申として二年間の答申をされましたもので、その線に沿ったわけでございます。
  198. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 医卒懇の中での話ですけれども、現行のインターン終了時点、その程度の能力、力というものですか、そういうものは現在の学部教育充実することによってその程度は解消できる、こういうふうにも私は見ているのですけれども、その点は認めますか。
  199. 清水成之

    清水説明員 医卒懇の答申にもございますように、このことに関連いたしまして学部段階におきます実習教育を強化する必要があるということが懇談会で出されております。私どもといたしましては、大学設置審議会の中に基準分科会というものがございまして、そこの専門委員を、十八名を委嘱いたしまして、この臨床実習の強化につきまして、時間数の問題とか、あるいは教育方法の問題についてある程度の中間案はいただいております。そのうちに最終報告をいただけるものと考えております。大橋(敏)委員 もう一度お伺いいたします。現在の学部教育充実することによって、現行のインターン終了時点の能力あるいは技量、そういうものになれるかどうかという問題です。
  200. 清水成之

    清水説明員 医学部長並びに付属病院長等、御専門家の意見によりますと、そういう改善を加えることによって、同等にいける自信があるという御意見をいただいております。
  201. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そういうことになりますと、現在の二年の問題が非常にいろいろな批判を受けておりますので、むしろ学部教育に全力を尽くし、その一年間分を取り戻して、あと一年間の研修をやればよろしい、現在の二年を一年に短縮できる、私はそう思うのですが、その点はどうですか。
  202. 若松栄一

    若松政府委員 従来のインターンというものは、御承知のように各科専門の診療領域を巡回いたしまして基礎的な技術、基礎的な面の仕上げをするというたてまえをとっております。したがって、これはある意味では学部教育の中で充実することによってこれを完成するということが可能であろうと思います。今度この新しい法律で予定しております研修は、そのような基礎的なものができ上がったことを前提といたしまして、そして診療各科の専門的な分野、診療科を専攻する分野において二カ年間の勉強をしてもらおうという趣旨でございますので、従来のインターンをもって今度の研修の二年の中の一部にすりかえるということは、必ずしも適当でないと考えております。
  203. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いろいろと御説明がありましたが、多くの人の意見を合わせますと、現在の学部教育充実と、あと一年もあれば十分だという意見が強いのです。そういう立場から、われわれもそれに同感しております。だからもっとその点は研究してもらいたいと思います。  大臣にお尋ねしますが、この二年を一年に縮めれば問題は簡単に解消するのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  204. 園田直

    園田国務大臣 インターン医者の資格を取るための教育課程でありまして、教育内容が充実してまいりましたから、インターン制度を行なわなくても、大学を卒業する際には医師としての基礎の資格は十分ある。しかしながら、近代医学は日々に進歩いたしておりまして、単に治療だけではなくて、生命の合成まで考える時代になっております。したがいまして、そういう観点から専門家の御意見を聞きますと、二年間という期間は必要だろう。問題は期間ではなくて、その二年間、新たな資格を持った医師諸君が希望を持って、しかも毎日熱中して研修ができるという教育環境充実することが問題であると考えております。
  205. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 私はこれを二年ではなくて一年に短縮して、そしてこれを義務づけるのではなくて、あくまでも医者の意思を尊重した立場研修が行なわれるように配慮さるべきである、こう思います。
  206. 園田直

    園田国務大臣 御承知のとおりに、この法律は義務づけるものではなくて「努めなければならない。」と書いてございます。したがいまして、われわれ厚生省並びに文部省は協力いたしまして、「努めなければならない。」という法律で、医師の資格を取られた方が全員こぞって研修につかれるような環境を、一日も早くつくり上げることがわれわれの責任であると考えております。
  207. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それでは、十六条の三の登録医の項がありますね。これは削除すべきだと思いますが、どうですか。
  208. 園田直

    園田国務大臣 登録については先般も申し上げましたが、これは義務づけたり、あるいは医者の資格に格づけするものではなくて、研修制度に国が責任を持つという意味でありますから、これが義務づけるというような誤解がありまするならば、委員各位の御意見によって善処されることを私は考えております。
  209. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 委員各位の御意見で大いに申し述べますが、それは医籍にチェックするのではなくて、むしろ医者の仲間同士でそれを認め合う、チェックする、こういう方向が自然ではないかと思うのです。たとえば医師会か何かでそれを認める、私はこれが理想的ではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  210. 園田直

    園田国務大臣 これは国が責任を持つという意味で書いた法律の個条でありまして、提案した私がどのように修正するということは申し上げられませんので、それは国会の権威において適当に善処されるようにお願いいたします。
  211. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それではお尋ねしますが、先ほどからの話を聞いておりますと、今回の法律が成立するかのような立場でのお話が多かったのですが、実際四月の一日から実施するとありますが、では指定病院等の受け入ればがっちりできておるのですかね。
  212. 若松栄一

    若松政府委員 御承知のように、今度新しい法律が成立いたしますと、新法に基づく試験が行なわれまして、その試験に合格して新たに医師になった者からその修練が適用されることになりまして、その試験が大体現在のところ、もしも今年度一ぱいに法律が成立さしていただけるものであるならば、五月末くらいまでには試験を実施したい、その試験の合否の発表を見まして、その後に研修が始まりますので、その間に指定その他の事務を完了する予定でございます。
  213. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 試験の実施についてはある意味では了解できますけれども、私がいま言っているのは、そうした研修する医師を受け入れる指定病院等の態勢はできているのかと聞いているのです。
  214. 若松栄一

    若松政府委員 現在調査をいたしておりまして、そして十分この任にたえ、今後向上するであろうと思われるようなものを指定したいという準備中でございます。
  215. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 いまお話では確信ある答弁と思えません。というのは、何らその態勢は整っていないのである、私はそのようにも理解したいと思っております。  そこで、大臣にお尋ねしますが、これは時期尚早である、もう少し地ならしをした上で実施するなら実施するということのほうが賢明ではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  216. 園田直

    園田国務大臣 不十分であるからといって、事を始めることがおそくなりますと、いつまでも現時点のままに固定するおそれがありますから、現時点並びに明年度の財政上の措置のもとに最高の環境をつくりたいと努力をいたしますので、その後におきましても各委員からの御意見に従って最高の努力をする所存でございますから、何とぞ慎重にすみやかに御審議を願いたいと思います。
  217. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 あまり了解できない答弁でありますけれども、時間が来ましたのでこれで終わります。
  218. 八田貞義

    八田委員長 次回は明二十九日午前九時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時三十六分散会