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1968-03-21 第58回国会 衆議院 社会労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十一日(木曜日)    午後五時四十六分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君    理事 橋本龍太郎君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       大坪 保雄君    海部 俊樹君       齋藤 邦吉君    世耕 政隆君       田中 正巳君    中野 四郎君       中山 マサ君    粟山  秀君       渡辺  肇君    井上 普方君       枝村 要作君    加藤 万吉君       後藤 俊男君    西風  勲君       平等 文成君    八木 一男君       山本 政弘君    本島百合子君       和田 耕作君    大橋 敏雄君       伏木 和雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君  出席政府委員         厚生政務次官  谷垣 專一君         厚生大臣官房長 戸澤 政方君         厚生省医務局長 若松 栄一君  委員外出席者         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月二十一日  委員黒金泰美君、重政誠之君、八木昇君及び山  田耻目君辞任につき、その補欠として田川誠一  君、田中正巳君、井上普方君及び實川清之君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員井上普方君及び實川清之辞任につき、そ  の補欠として八木昇君及び山田耻目君議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月十九日  社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  医師法の一部を改正する法律案内閣提出、第  五十七回国会閣法第八号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出医師法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
  3. 田邊誠

    田邊委員 前回の委員会で、今回の医師法改正にからむ研修する者の身分地位についてお伺いをいたしたのでありますが、この研修する人たちのいわゆる地位というものは、今回の研修制度のいわば一つのポイントをなすものでございます。しかも、インターン制を廃止して、学部卒業と同時に国家試験を受ける、その合格した者が二年以上の研修をする、こういう形でありますから、いわば一種の医師の資格を持った者を、いずれにいたしましてもその場所に充てるという形になります。しかも一面、研修の中には実際の診療行為に携わるという事態も起こってまいります。もちろん指導医がその中に付き添っているという形はございますけれども、これは、医療を受ける国民立場からいいますならば、非常に重要な事柄であります。そういったことから言いますと、当然、医局制度の今後の改善、その中に含むところの医局員身分待遇、こういうものの改善のいわば前提になるものであると言わなければなりません。われわれとしては、国がこれに対して措置をする場合には、当然国家公務員並み身分待遇を与えなければならぬと考えておるわけでありますけれども、本制度発足の時点でありますから、いろいろの困難な要素がその中に含まれていることは重々承知をいたしているわけであります。それにいたしましても、厚生省所管国立病院文部省所管大学病院との間において、この考え方の差等があってはならないし、また労働省の見解による、診療行為を受け持つというこの現実の事態の中から、雇用関係についても明らかにすべきであるという見解も示されたのであります。われわれとしては、この際、政府はこれに対する統一的な立場をとるべきではないか、こういうふうに強く要望しておったのであります。したがって、今後さらにいろいろと検討をしてもらう必要のある事柄が含まれておりますけれども、とりあえずこれに対する政府見解をお示しをいただきまして、今後に対処いたしたい、こういうふうに私は深く念願をいたしておりますので、この際大臣からひとつ御所見を承っておきたい。
  4. 園田直

    園田国務大臣 ただいま御指摘研修中の医師の処遇並びにその地位は、統一するのが望ましいものと考えます。
  5. 田邊誠

    田邊委員 いま大臣のおことば意味するものは、いろいろと内容のある、またわれわれとしては十分検討しなければならない問題が含まれておると考えますが、ことば趣旨を私どもはよくのみ込みまして、さらに今後にひとつ対処をして審議を続けてまいりたいと思います。私の残余の質疑は本日は保留をしておきたいと思います。
  6. 八田貞義

  7. 山本政弘

    山本(政)委員 過日、田邊委員のほうから、国民立場から質問したい、こういう話がありました。私も同じように国民立場から質問をいたしたいと思います。率直に申し上げまして、私は、日本医学会というのは、人材も、それから技術面でも優秀だと思います。しかしその反面に、インターン制度、あるいは無給医局員の問題、それから学位の問題とか、いろいろ封建的なものもたいへん含んでおる、こういうふうに考えるわけですけれども国民皆保険という体制の中で考えていきますと、今後の医僚制度の整備というものも、やはりこのことを避けるわけにはいかない、こういうふうに実は考えるわけです。したがって、まずインターンの問題から実は入っていきたいと思うのですけれどもインターンは廃止しなさい、廃止すべきであるという主張がありました。しかし、豊川参考人もせんだって言われましたけれども発足当時はそれなり意味はあった。しかしいまは意味がない。だがその発足当時の意味というものは、やはり国民の保健の向上という立場から見て、医学を学ぶ人たちの資質のレベルアップということを考えると、当初はそれなり意味があった、こう言っておられました。しかし、それはともかくとして、インターン制のかわりにいま医師法の一部改正というものが出てきた。そこで、非常に素朴な意見かもわかりませんけれども国民としては医者に生命を託す、したがって大学基礎教育を受けただけでは不十分だ、やはりもっと高度の水準というものを実地修練によって引き続きやってもらいたい、これは私はそのとおりだと思うのです。したがって、日本医師会のほうで、今後医師として二年間ですかの研修というものは必要だというふうな見方も、わかる気持ちがするわけです。しかし同時に、いずれにしても患者のほうで、つまり国民の望むことは、臨床教育充実というか、新しい医師養成制度というものをどうするかということで、ともかくも水準の高い技術を持った医者というのが望ましい、こういうふうに思うわけですが、そこで、インターン制にかわる研修制度としては、現段階ではこれ以上のものはないと思うというようなことも厚生省では言っておられるようですけれども、いまの段階臨床教育充実をはかるために考えられる最良の方法というのは、研修制度といいますか、今回の医師法の一部改正案というものが最良のものであるかということについて、まず大臣の御意見をひとつお伺いしたいと思うのです。
  8. 園田直

    園田国務大臣 研修制度研修生審議を願っておりますのは、全く趣旨はそこにあるわけであります。したがいまして、その研修の目的を達成するのには、やはり施設、教育スタッフ、これらに伴う予算の面を充実しなければならぬと考えております。そこで、大学付属病院以外の病院につきましても、指導体制及び設備等の点について医師試験研修審議会で慎重に審議してもらってそれぞれ充実をし試験をしたい。予算面については局長からお答えをいたします。
  9. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ文部省の方にお伺いしたいと思うのですけれども、四十二年の六月に実施をされた無給医局員実態調査があると思いますが、これは私がお伺いしたところではたしか面接調査によっておやりになった。同時に、これは国立大学付属病院の二十一病院について行なわれたということを聞いております。この中で、いま無給医局員というのは一万四百五十八人、その当時の調査段階で。そうして医療従業員が八千五百七十一人。これをずっと見てみますと、一年から十年以上までありますけれども、一年、二年、三年、四年とずっと漸増しておりまして、五年、六年になってこれはピークになっている。そうして六、七、八、九、十というふうにこれは漸減して、十年以上というのは、これは十年以上全部ですから数字としては高いわけですけれども、五年、六年がピークになっているというのは、一体どういう原因でピークになっているのか、その点をまずお伺いをいたしたい。教育というものと関連いたしまして、ピークになっている根拠は一体どこにあるのかということをひとつ……。
  10. 清水成之

    清水説明員 ただいまの件でございますが、あるいはいろいろの事情があろうかと思いますが、最も大きな要素は、いわゆる論文博士博士号取得の点が大きな要素ではないか、かように考えております。
  11. 山本政弘

    山本(政)委員 そうしますと、学位を獲得するために少なくとも五年なり六年なりを無給で多くの人が働いている、こういうことになりますね。
  12. 清水成之

    清水説明員 現在、博士号をとるために、いわゆる無給医局員といたしまして、従来は無給研究をしながら診療業務に協力をしてまいった、こういう実態があるわけでございます。文部省といたしましては、四十二年度から、満足ではございませんが、一億の予算をいただきまして、この無給医局員の解消も緒についたというところでございまして、四十三年度におきましても、これをただいま御審議いただいております予算で拡大をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  13. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、無給医局員のうちに医療従事者が八千五百七十一名いる。その中で三十六年に三十三人、三十七年に七十一人、三十八年に三十人、三十九年に二十人、四十年に四十一名、四十一年に五十名、こうなっております。そうして四十二年に百名に一挙にふえているわけです。倍になっているのですけれども、その倍にしたのはどいう理由で倍にしたのか。四十三年に飛躍的に大きくなるというのだったら、これはそれなりに私は考えられるのですけれども、四十二年に百名になって、四十三年に百名だ。四十二年に一挙にふやしたという理由はどこにあるのか。
  14. 清水成之

    清水説明員 従来とも診療要員の増をはかりまして、そうして、それに充てますのは講師でございますが、そこへ無給医局員定員化をして解消していきたいということで従来ともやってまいったのでございますが、四十二年度から特に引き上げましたのは、これは各方面の御要請、先生方の御鞭撻の結果、従来よりは倍程度に引き上がった。考え方といたしましては、私ども従来御承知のとおり診療科講師二、助手三でまいっておったわけでございますが、これをとりあえず講師二、助手五というようなセットの方向に持っていきたいというふうに鋭意努力をさしていただいているわけでございます。
  15. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、もう一つ伺いしたいのは、大学医学部卒業者数の中で大学院入学者数というのがかなりありますね。大体三分の一から半分程度ありますね。そうすると、ちょっとお伺いいたしたいのですけれども大学院というのは、私もよく知らないから教えていただきたいのですが、基礎臨床する方がおると思うのです。さっきのお話ですと、無給医局員で五年も六年もおられるというのは、学位をとるためだけというふうに解釈せられるのですが、そうしますと、この大学院の約半数、たとえば四十一年ですと三千二百二十五名の大学医学部卒業者のうち、千四百五名が大学院に入っておる。そして差し引いた残りがおそらくインターン学生だと思うのですが、千八百二十になります。その千四百五名の人が大学院に入って、基礎臨床に分かれて教育を受ける、こういう形になりますと、話は戻りますけれども、四十二年に百名ふやして四十三年に百名ふやすといっても、まるまる三十六年から四十三年も含めて五百四十六名くらいの講師しかおらないわけで、今回の医師法の一部改正によって教育スタッフ充実させるのだということには非常にほど遠いような気がするのですけれども、その点はどうお考えになっているのか、ひとつお伺いしたいのです。
  16. 清水成之

    清水説明員 ただいまの点でございますが、増員いたしました分は以上でございますけれども、従来から病院教官といたしまして、助教授とか、講師助手がおるわけでございます。それから、なお御承知のとおり、医学部学部所属先生病院教官と一体となって医学教育が行なわれております。増員分だけでまかなっていく、こういう考え方ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  17. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、大学院基礎臨床を学ぶ人たちがおるわけですけれども臨床を学ぶ研究生の方で、この方々には実際には無給医局員と同じように患者診療に当たっておるのでしょうか、当たっていませんか。その辺はどうなんでしょう。
  18. 清水成之

    清水説明員 臨床関係大学院学生につきまして、御承知のとおり研究も行なっておりますが、その研究を通して診療業務にタッチをしておるということは、実態としていなめないと思います。
  19. 山本政弘

    山本(政)委員 研修生制度といいますか、そういうものができた場合に、研究生も卒業生の中で約半分くらいおるでしょう。それと同時に、研修生もそれを上回る人数があるとするなら、臨床に関しては研究生研修生の間に、片一方大学院という制度の中に入れておく、そして片一方研修生として置くというほどの違いがあるかどうか。その辺は疑問に思うのですよ。この辺はどうなんでしょうかね。
  20. 清水成之

    清水説明員 御承知のとおり、大学院正規学生につきましては、博士課程大学院医学研究科として設けられておりまして、選考のときに大学院入学正規試験を受けまして、四年間御承知のとおり医学研究科研究をやるわけでございます。一方、現在問題になっております所定研修中の医師につきましては、正規学生ではございませんで、医師免許をとりましたあと二年間研修をする、こういう点に正規学生との違いがございます。  なお、いまお尋ねの点でございますが、大学院医学関係につきましては四年の博士課程だけでございますので、今後の課題といたしまして、修士課程を立てて、そういうものを受けざらにしていくかどうかということは、これは厚生省とも従来のあり方の問題として十分御相談をさしていただきたい、こういう課題であろうと存じます。
  21. 山本政弘

    山本(政)委員 私は、大学院の中に修士課程を置くという考えがあるということをいま初めて知ったのですけれども、こういう考え方というのはできないわけですか。大学院というのは要するに基礎医学だけをやる、徹底的に人数をしぼっていく、そうして臨床研究生というものはやはり制度として研修生と同じようにしていく、そういうふうにしていっていいのじゃないかという気がするのです。というのは、いまあなたのおっしゃったように、患者を見るというのですか、そういうことはいなめないと言うのですけれども実態としては、研究生無給医局員も全部同じような形で、今日の医者不足の中では患者診察ということに追われておるのじゃないかという気が実はするわけです。そうすると、臨床に関しては、研究生ということをことさら制度化をして、大学臨床研究生という制度というものを置く必要がないような気が私はするわけです。いろいろお話を聞いて、私もよくは知りませんけれども、聞いている中ではそういう気がするわけですけれども、その点についてのお考えはどうなのでしょう。
  22. 清水成之

    清水説明員 先生のおことばをとらえて非常に恐縮なのでございますけれども正規大学院学生と、それからいま先生おっしゃいました研究生というのと研修というのを使い分けになりまして、そこがちょっと私意味をとりかねておるのでございますが、その点ひとつよろしくお願いします。
  23. 山本政弘

    山本(政)委員 つまりいまの制度は、インターン学生大学院臨床研究をやっている学生というのが、内容的には同じような仕事をやっているのじゃないか、今日の医者不足の中で、というような気がするのですよ。そうすると、要するに大学院臨床研究生というものをことさらにつくっている意味はないような気がするのです。その点をお伺いするわけです。
  24. 清水成之

    清水説明員 その点でございますが、先生の御質問の趣意をとりかねておりまして失礼いたしました。おそらく大学院につきましては基礎だけでどうかという先生の御質問だと思うのでございますが、これらの点につきましては、例の懇談会等におきましても相当議論があったところでございます。今後の課題といたしまして、特に臨床関係について大学院をどうしていくか、こういうことにつきましては、懇談会でまだ結論は出ておりませんけれども、いわゆる専門医構想が学会で検討されております。専門医構想がどういうふうに運ぶかということと関連をして検討をしよう、こういう御意見をいただいておるところでございまして、先生の御質問趣旨は、非常に私どもももっともな点があると存じております。
  25. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、修士課程をつくってはどうかというお考え厚生省とも相談をしているのだという話がありましたけれども修士課程というものをつくる、そういう発想の根拠というものをもう一ぺん説明していただきたいのです。
  26. 清水成之

    清水説明員 ただいま、修士課程につきまして厚生省と話し合いということは、まだいたしておりません。それで、私申し上げました意味は、実は懇談会で、大学付属病院におきます所定臨床研修を受ける医師受けざらと申しますか、取り扱い方についてどうするか、こういう議論段階におきまして、二年間だから二年間の修士課程を与えたらどうだろうか、こういう意見もあったわけであります。そのことを申し上げたのでございまして、いま直ちにどうこうということには考えておりません。
  27. 山本政弘

    山本(政)委員 せんだったの参考人お話の中で、たしか豊川参考人だと思いましたけれども、スモールグループ・ティーチング、ベッドサイド・ティーチングのお話があって、なるべく人数は小人数のほうが望ましい。実地修練については教授一、助教授一、助手三、講師一、こういうお話があったのです。そうして、いまあなたのほうから、講師二、助手五ぐらいが適当ではないだろうか、そういうふうに考えておるというお話もありました。そうすると、これは率直にお伺いするのですけれども大学病院では無給医局員の手をかりないで患者診察をすることはいまできるのですか、できないのですか。その辺はどうなんでしょう。
  28. 清水成之

    清水説明員 ただいま御指摘のような、どちらかと申しますと、残念なことでございますが、身分が比較的不明確でございます無給医局員の手をかりなければ十分に行ない得ないということは、実態として確かにございます。
  29. 山本政弘

    山本(政)委員 文部省は、たしか四十二年度から三カ年計画で全国二十一大学有給医局員を二千名増員したいということで、予算の要求をしたことがありますね。そうすると、三カ年計画で二千人、今回は四十三年度百人で、これはもっと多く要求したのかどうか知りませんけれども、数としては非常に懸隔があるような気がするのです。そうすると、せっかく研修制度というものをあなた方はお考えになりながら、実態としてはそういう教育スタッフというのが、これだけから見ても非常に不足だという感じがいたします。そういうことになると、せっかくインターン制度というものの批判から研修医制度というものをお考えになったんだろうけれども内容が実際のあなた方の考えに伴わないということが指摘できるのではないか、しかもそれは非常に著しい内容の格差があるんじゃないか、こういう感じがするのですけれども、その点については、一体大学当局としてどういうふうにお考えになっておるのか。私はむしろ、無給医局員患者診察をすることに対しては問題があるということで、有給医局員等を大幅にふやし、そして、しかもそれを教育スタッフにするんだというようなことで、こちらの片一方のほうでは無給医局員診療に対する批判にこたえながら、そして片一方のほうでは研修制度ということに対して教育施策充実していくという、非常にことばが悪いのですけれども、お考えの中に一石二鳥をねらっているような感じが何かするのです。その点は一体どうなんでしょう。
  30. 清水成之

    清水説明員 ただいまの点でございますが、御批判はさようにあろうと思うのですが、率直に申しまして、無給医局員だけの問題でまいりますならば、ことしの定員増の非常に困難な時期にはとても百名は認められなかったのではないか。やはり医師法改正案の問題があって、指導要員の問題が非常に強く要請された、こういうことからこの定員問題が窮屈な時代にお認めいただけた、かように考えておるわけでございます。
  31. 山本政弘

    山本(政)委員 医療法の七十条に診療科名がありますね。若松さんにお聞きしたほうがいいのですが、ふえているのかもしれませんけれども、歯科を除けば十九科あるように思うのです。そして国立大学だけでも二十四科。そうすると、百名ぐらいな講師増員だが、大学のいまの教授スタッフも加えてかなり補えるのだというお話があったのですけれども、それにしても十九科があって、そしてそれぞれの大学がおそらく二十四の科をお持ちになっていると思うのですけれども、それにしても、なおかつ教育スタッフというのが非常に不足をしているように私は感ずるのです。たとえばアメリカでは、主任教授が一名、そして助教授が数人、客員教授講師で十名から二十名、しかも一つの科で多いところで八名、あるいは少ないところでは二、三人ぐらいのところにも、それだけの教育スタッフがつくわけですね。それらと比べると、日本の場合には、せっかく研修医制度という、あなた方にとっては非常に合理的だと思われる制度かもしれないけれども、なお教育スタッフというのがはなはだしく不足をしているというふうに私は思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  32. 若松栄一

    若松政府委員 ただいま医療法の七十条の診療科名のことをお話がございましたが、この診療科名のことは、医師医療機関で標擁することのできる診療科名でございまして、この診療科名大学講座名とは一致をいたしておりません。たとえばこの診療科名の中には肛門科であるとかあるいは性病科であるとかいうような科名もございますから、いわゆる講座と一致していないということだけを申し上げておきます。
  33. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは文部省のほうにお伺いしますけれども、今回の改正によって百名講師がふえるということで、ともかくも教育スタッフはそれである程度補えると思われるのか、あるいは絶対的に不足だと思われるのか、その辺文部省としてはどうお考えになっておるのか、御意見をお伺いしたいのです。
  34. 清水成之

    清水説明員 ただいま病院関係教官が三千・人、これは従来からおるわけでございますが、それに百名をお認めいただきたい、こういうことでお願いをしておるわけでございますが、いま御指摘のように、これで絶対十分だ、満足だというふうには私ども考えておりません。なお一そうこの教官の確保につきまして努力いたしてまいりたい、かように考えております。
  35. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、文部省のほうはなおかつ不十分だ、こうおっしゃっているのですけれども厚生省のほうは教育スタッフについては一体どうお考えなのか。私の感じでは三千百名というスタッフ——つまりスタッフと言っていいのでしょう。三千百名というスタッフにしてなおかつ不十分だ、こう言っておられるのですけれども厚生省のほうでは、そういう教育スタッフについてはあまりお考えになっておらないような感じがする。私あと予算のことについてもお伺いしたいのですけれども予算のほうから考えてみても、そういうことがあまり配慮されておらないような感じがするのですけれども大学ですら教育機関としてなおかつ不十分だと言われているにもかかわらず、そういう配慮が厚生省については払われてないような気がするのですが、その点は一体どうお考えになっておるのか。
  36. 若松栄一

    若松政府委員 文部省における大学付属病院と、厚生大臣が指定される教育病院というものとは、本質的に差があるわけでございまして、先ほど来もお話が出ましたように、文部省においては教育研究診療と三つの仕事を持っておられます。国立病院も含めましていわゆる教育病院というものは、本来診療を行なう場でございまして、教育あるいは研究というものは本来の任務として持っておりません。したがって、病院におきましては、本来的な職員としては診療に必要な要員を持っているというにすぎないわけでございます。しかし御承知のように、また現在の病院におきましても、相当程度の高い病院におきましては、相当の臨床研究が行なわれていることもまた事実でございます。しかし、この臨床研究といいますのは、おおむねやはり診療行為を通じてのいわゆる臨床研究でございます。そういう意味で専門の研究要員というものは必ずしも持っておらないわけであります。したがって医師等の要員は、国立病院その他の教育病院大学病院スタッフを直接に比較することは、きわめて困難でございます。しかし総体といたしまして、いわゆる教育病院というものが指導要員という意味で十分であるかどうかという点につきましては、私は現在の段階では決して十分ではないと存じております。幾つかの相当すぐれた病院におきましては、これは相当のまた能力を持っておるのもございます。しかし、おそらく今度法律改正に際しまして指定されるであろう教育病院というものは、総体といたしましては必ずしも十分でない、そういう意味で、病院というものが本来診療を主なる任務として経営している立場から見ましても、今度の研修という新しい任務を付加し、これを十分にやっていただくためには、何がしかの援助をどうしてもしなければならぬ、そういう意味で今回相当額の予算も計上して、それに教育体制の整備もはかろうという趣旨で出ておるのでございます。
  37. 山本政弘

    山本(政)委員 若松さんにそれじゃちょっとお伺いしますけれども、大体大学では教育スタッフとして考えられる方々は三千百名。そうすると、国立病院の場合に考えられる教育スタッフは、大まかな数字でいいのですが、どれくらいでございましょう。
  38. 若松栄一

    若松政府委員 教育スタッフという専門の職員はないわけでございますので、どうしても内科医長、外科医長というような診療要員が同時にまた研修に当たるということになります。しかし国立病院等におきましても、この種の教育を担当しようというような病院におきましては、いわゆる医療法の通常の基準によります医師のほかに、その病院の特殊性あるいは特殊技能を大いに伸ばしたいという意味で、従来から、循環器にひいでたところは循環器センターであるとか、あるいはガン診療センターであるとか、アレルギーセンターであるとか、あるいは救急センターであるとかいうような形で、いろいろな意味をつけまして診療スタッフ充実をはかり、かつ研究的な仕事もできるような配慮をいたしてきております。そういう意味で、国立病院を例に申しましても、九十あります国立病院の中で、おそらくせいぜい三分の一程度がどうやら研修にたえ得るものではないかというふうに存じております。  そういうような三十程度の病院考えてみますと、医師としては定員が千二百四十四名でありまして、大体内科系、外科系それぞれ十一、二名程度の医師を擁しております。これが現実には指導要員になるわけでございますが、そのほかに今回の措置といたしまして、研修をさらに強化するために非常勤の職員を相当数入れ得るような予算措置をいたしたわけでございます。
  39. 山本政弘

    山本(政)委員 予算から見ますと、国立大学病院では、たしか六百三十六名でしたね。そうすると、国立大学病院が二十四あるとすると、非常に大ざっぱな言い方ですけれども、一病院が大体二十六名見当ですね。いま若松さんのお話で、国立病院で大体そういう教育をなし得る病院というものは約三十ぐらいだろう。そうして二百人とすると、一病院大体七人ぐらいになりますね。そうすると、公私立大学病院、それから公私立の教育指定病院というのは、平均としてどれくらいになりますか。
  40. 若松栄一

    若松政府委員 公私立の大学につきましては、一大学当たりの引き受け得る研修医師というものは、およそ官立の場合と似たものになろうかと思います。国立病院が二百人に対しまして、その他のいわゆる教育病院が九百四十一名でございますので、大体国立病院の平均程度になりますか、およそ大体国立病院並みの——国立病院を三十といたしますと、大体その程度に匹敵する病院が選ばれることと考えておりますので、やはり水準もおよそ似たようなものになると考えております。
  41. 山本政弘

    山本(政)委員 そうしますと、公私立大学病院がいまのお話で九百四十一人というような分け方になりますと、公私立大学病院が大体国立と同じように平均して研修生を引き受けるということになると、これは公私立大学病院というのは、大体二十二という数字が出ますね。これは文部省の方ですか。そうして公私立の教育指定病院は百十ぐらいになるでしょう。そうすると、ちょっと私もわからないのですけれども、四十二年度に比べて四十三年度は医育機関の付属病院がちょうど十ぐらい少なくなるような勘定になるのです。ここに資料をいただいたのですけれども、四十二年度の「医師実地修練病院名簿」というものがありますが、この医育機関付属病院というのを私なりに整理してみましたのですが、四十三年度は、ここに書いておるものから少なくとも十ぐらい少なくなるような気がするのです。その少なくなった学校というのは研修生をとらないのでしょうか。
  42. 若松栄一

    若松政府委員 学校の数は減るわけがございませんので、国立、私立等も施設の数としては減るわけではございませんが、ただ私どもがあげております研修施設というのは、四十六大学の中でも大学によって、たとえば東大も東大の付属病院と分院あるいは医科学研究所の付属病院というように、一つ大学が幾つかの施設を持っておるところもございます。したがって、医育機関の設施としては五十六カ所を予定しているわけでございます。そのほかにいわゆる教育病院というものがあるわけでございますが、教育病院の数につきましては、研修審議会の御審議を経てからきめたいということで、まだ数はきめてございません。
  43. 山本政弘

    山本(政)委員 四十二年度で医育機関の付属病院はなるほど五十六カ所ですね。ただ予算の面から私がいま確めたような計算でいけば、国立大学病院は二十四カ所、それから公私立大学病院が二十二カ所になるでしょう。そうすると、医育機関付属病院は四十二年度では五十五カ所であったのだけれども、四十三年度では四十六カ所にしかならないという計算になるのですけれども、その辺はどうなんでしょう。そうなりますよ。だから私は一病院当たりの研修生を引き受ける人数も聞いてみたのです。
  44. 若松栄一

    若松政府委員 大学の数が四十六校でございますので、大学の数四十六に対して、研修する施設つまり病院といたしましては五十六になるということでございます。
  45. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、一大学で平均二十六人という中には、たとえば一つのAという大学が二十六人受ける。しかしBという大学は、かりに付属病院が三つあれば、その三つのところで二十六人を受けるというのですか。だとすれば、それだけで私は何か教育スタッフについても非常に不均衡が出てくるような気がするのです。あなた方は教育スタッフ充実しているというけれども大学の中でさえ非常な格差が出てくるような気がするのです。ましてや、こう私は言いたいのですが、大学の中でさえ格差はできるのだ、ましてや国立病院においてもそれ以上の格差ができるのではないか、こういう気持ちがするのです。その点はいかがなんでしょうか。これは文部省にお伺いしたほうがいいのかもわからないですけれども
  46. 清水成之

    清水説明員 私ども国立大学考えました場合に、一大学平均いたしますればいま御指摘のような数でございますけれども大学病院診療科数とかあるいは規模が違いますので、その規模に応じて定員ワクを設けたい、かように考えております。
  47. 山本政弘

    山本(政)委員 そうしますと、四十二年度の厚生大臣の指定病院というのは二百七十一、今度の場合には公私立教育病院というのは百十カ所。そうしますと百六十くらいにしぼられてくるわけですね。そうすると、従来そこにおった一これはいまの段階ではインターン生ですか、その方たちが、今度はかりに新しい制度があれすれば研修制度というものになるのかもしれませんけれども、そのしぼられた関係で、従来ずっと二百七十一病院研修を受けておったのが百十の病院にしぼられてくるわけですね。そうすると、それだけでも半分以下にしぼられるのですから、なるほどいい病院にしぼってくるという言い方は成り立つかもわからぬけれども、数は非常に多くなるわけですね。そうしますと、多人数の人にいま局長のおっしゃったスタッフでは、非常勤も加えてにしても、四十三年度の研修生といいますか、その方々は条件的にははなはだしく不利な条件になるというような気がするのですよ。そうなりませんか。
  48. 若松栄一

    若松政府委員 たとえば国立病院等のいわゆる教育病院に関してみますと、先ほどお話しのように平均七名ということを仮定いたしますと、七名というのは、三名くらいの病院もあれば十名くらいのところもあるということになります。したがって、三名あるいは十名というものがそれぞれ内科とか外科とかいうように分かれますので、現実には、十名いるところでも、内科系が五名、外科が三名、婦人科が二名というぐあいに分かれますので、それぞれの医長あるいはそのスタッフが指導をしていくということになりますから、比較的マン・ツー・マンの形で指導ができるのではないかと思います。
  49. 山本政弘

    山本(政)委員 要するに、教育を受ける人たちがいまの教育指定病院では教育が受けられないというからこういう問題が起こっているのじゃありませんか。そのときですらマン・ツー・マンの教育がやれないから学生たちは不満を持って反対をしているのであって、にもかかわらず、それがふえたときにマン・ツー・マンの教育ができるということは、私は解しかねるのです。その点はどうも局長の答弁のほうが非論理的だと私は思うのですが、どうなんです。
  50. 若松栄一

    若松政府委員 先回の審議のおりにも申しましたけれども、このたびのいわゆる医師法反対のいろいろなトラブルが起きます以前の三十九年以前におきましては、いわゆる教育病院で卒業生総数の半数以上の方が研修をしてインターンの修練をやっていたわけでございます。そういう場合に非常に不満があったかどうか。経済的な問題は別としまして、研修それ自体に非常な不満があったかどうかということになりますと、私は、その際にマン・ツー・マンの比較的懇切な指導は全くできなかった、そのできなかったゆえに今度こういう騒動が起こったのだというぐあいには考えておりません。今度の騒動の起きる以前に六割程度の方が教育病院を志望して行かれたということは、それなりにやはり相当の研修が行なわれていたというふうに解釈できるのではないか。さらに今度の問題は、インターン制度それ自体に反対するために国立病院をボイコットする云々ということで大学に集中いたしましたけれども、従来の教育病院における研修が非常にまずかったからこういう問題が起きたというふうには、必ずしも考えておりません。
  51. 山本政弘

    山本(政)委員 こういう言い方は失礼かもしれませんけれども、私は日本病院というものは、大学病院と普通一般の病院との落差というものは非常にあると思うのです。大学病院というのは医学教育が本来の目的だと思うのです。だから一つの病症といいますか、そういうことに対して検査したり、あるいはいろいろな診断をしたり、あらゆる方法というのですか、手段というのですか、そういうものをしてその病症を追及していくのが大学のあり方だと思うのです。だから学生はそういうところへ行きたいので、私はそういう大学生の向学心というのはやはり否定ということはできないと思うのです。そういう意味で、局長さんそうおっしゃるけれども、決して希望して教育病院に行ったのではない。つまりはみ出して、行かざるを得なかったという実情というものもあるのではないか、こう私は考えるのです。そうじゃないでしょうか。
  52. 若松栄一

    若松政府委員 このたびのいわゆるインターン騒動になりまして、国立病院等がボイコットされて大学に集中するという状態になる以前におきましては、先ほどのように六割方、が教育病院研修いたしたのでありますが、その際のインターン生の志望というものを決して大学が締め出したということはなかったはずでございます。大学も自由に受け入れておりまして、そのころは大学は定員でしぼっていたという例はなかったはずでございます。したがって、締め出されて、いったのでなしに、やはりある程度のそれぞれの希望を持っていったということになると思います。また大学によりましては、臨床修練は大学内よりはむしろ教育病院において行なうほうがいいのだという指導方針を持って、できるだけ大学外の病院インターンをやることをすすめたという大学もございます。
  53. 山本政弘

    山本(政)委員 ただ納得がいかないのは、一般的にいわれている、あるいは常識的であるとさえ私は思うのですけれども国立病院の場合、待ち時間三時間診察三分ということがよくいわれているのです。このことは前々回の委員会でも私が申し上げたと思うのですけれども、そういう状況の中で、四十二年度よりも四十三年度に医学を学ぶ人たちの数がふえていくということに対して、実情として十分な教育ができるかというとたいへん疑わしい気がするのです。同時に、こういうことを申しては何ですけれども国立病院というのは特会制で、これは数字を見てもだんだん赤字から黒字になっていっている、患者数もふえてきているという実態がある。そうして、このことがいいかどうかは別として、大病院ということがいわれておりますね。患者さんも、やはり診断を受けるならば大きな病院でという傾向があるわけで、これは否定できないと思うのです。そういう三時間と三分という追われた実情の中で、医局の中で指導に当たる人たちが、はたして十分な教育をすることができるかどうか、私はたいへん疑問だと思うのです。この点については若松さんにあとでもう一度お聞きをしたいことがあるので、決してことばじりをつかまえるわけじゃないのですけれども、はっきりと御答弁をいただきたいと思います。
  54. 若松栄一

    若松政府委員 医療機関診療業務が非常に忙しくなってきておることは確かでございます。これは単に国立病院だけでなしに大学においてもそうでございますし、また開業の医師の場合でもそうでございまして、十年前に比べますと国民医療需要が倍以上に高まっております。しかも医師自体の増加はきわめて微々たるものでございます。そういう意味で、結局一人の医師が担当しなければならない医療の量というものが飛躍的に増加いたしております。そのため、最近におきましては三時間と三分というようなそしりを受けるようになってきておりますが、これは必ずしも国立病院だけのことでは決してなく、大学病院においても、開業医においても、ほぼ同じ傾向があると言い得るのではないかと思います。  それならば、国立病院はそういう忙しい中だ診療ができるかどうかということでございますが、これはある意味では大学にも共通することではないかと思っております。その中でも、教育病院といわれるような施設では、そういう教育研修ということに相当力をさいておりまして、病院内における症例検討会であるとか、病理臨床検討会であるとか、あるいはフィルム読影検討会というような、診療に関する研修業務を組織的に運営しておりますので、将来ともそういう努力をできるだけ系統的にやってもらうような方法で教育病院内容を向上させていきたいというふうに考えております。
  55. 山本政弘

    山本(政)委員 岡本委員質問だったと思うのですけれども病院大学付属病院教育病院に分けられる、人数は約九百人、九百人ではないかという答弁をされております。私の申し上げることは間違いないと思う。速記ができたらあとで見ていただきたいと思いますけれども、そういうお話があった。私もあとで拝見させていただきますが、公私立大学病院、公私立指定病院が千四百四十五名、国立病院が二百名、国立大学病院は六百三十六名、合計二千二百八十一名です。あなたは九百名、九百名と非常に大ざっぱなことをおっしゃった。合計しても千八百名で、人数が約五百名くらい違うでしょう。それから大学病院と指定病院との配分のしかたにも、非常にずさんな御答弁をなさっておられる。なぜ先ほど私がはっきりと答弁をしてほしいと申し上げたかというと、そういうずさんな答弁をされているので実は確かめてみたのです。しかし、いずれにしても、努力をするといっても、現実に待ち時間三時間、診療時間三分とある中で、飛躍的に教育スタッフをふやす以外には、患者は今後ますます増加傾向になってくると思うのですけれども、どう考えても、教育スタッフの方々が教育をするのに十分な時間を持ち合わせることができないような感じがするのですが、その点どうなんでしょうか。
  56. 若松栄一

    若松政府委員 いわゆる教育病院等における臨床研修のやり方は、いわゆる大学における教室内講義とは相当違う形になりまして、上級の医師について助手として診療業務に従事していくというような形になってまいりますので、そういう意味では、従来、医師がそれぞれ入院患者を受け持っておりますのに対して、主治医がついている上に、今度はその主治医と一緒に研修をする医師がついているという形になりますので、従来の指導する医師は、診療を行ないながら同時に研修する医師の指導をも行なっていくという形になりますので、大学教育形態とはかなり違ったものになると考えております。
  57. 山本政弘

    山本(政)委員 だから、その研修生というのは一日何百円ですか、三百円くらいですか、そういうもので結局患者診療することに使われる結果になるのではないでしょうか。つまり大学病院国立病院が違うというのは、そういうところに違いが出てきやしないかと私は申し上げておるのです。あなた方は、ともかくも教育スタッフを整えて、臨床ということで実地と教育というものをあわせ行なうのだというけれども、しかし主眼とする教育という面はどこかにいってしまって、現実には診断にそういう人たちも使っていく。つまり私が申し上げたいのは、インターン制度が問題があるからこれを廃止すると言いながら、十分な措置というものができないときには、研修制度そのものがインターン制度と同じ批判を何年か後には受けるという結果をもたらさないであろうかということでありまして、あなた方は、教育スタッフとかなんとかを増員するのだ、非常勤の講師もふやすのだとおっしゃっておられるけれども、いまのようなこそくな予算措置で、はたして十分な教育ができるのかできないのか。そうして何年かたっているうちには、そのことがなおざりにされてしまって、結局は、今日インターン制度批判があるように、研修制度というものについても批判が出るおそれがありはしないかということを私は心配するわけです。そのことについて明確にひとつ御答弁願いたいと思います。
  58. 若松栄一

    若松政府委員 従来二十年間インターンをほったらかしておいたということで非難が起こってまいったわけでございますが、予算的に見ましても、三十九年ごろまで、インターン制度が始まりまして十数年の間、インターン制度の運営に関する予算というものは、五百万円程度しか支出していなかったわけでございます。それを今度は、決して十分ではございませんけれども、飛躍的な予算ということで、総額といたしましては八億四千万円程度の額に強化することができましたので、現在も決して十分とは申せないかもしれませんが、少なくとも、そういう研修環境の強化に相当の努力をするということの緒についたということは、言い得るのではないかと存じます。
  59. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、非常勤講師予算というのは組まれておりますか。組まれておれば、ちょっと教えていただきたいのですけれども。どこに組まれておるのか。
  60. 若松栄一

    若松政府委員 私どものほうの国立病院では非常勤の指導医、こう称しましたわけでございますが、国立病院のほうでは、臨床研修に必要な経費として、指導医の謝金といたしまして組んでおるわけでございますが、国立病院におきましては、四十人程度の指導医の手当を計上しているわけでございます。
  61. 山本政弘

    山本(政)委員 これに出ていますか。
  62. 若松栄一

    若松政府委員 国立病院特別会計の臨床研修費の中の非常勤職員手当というものの中に、指導医のための非常勤手当と、研修する医師のための非常勤手当と両方が組まれている、それが六千六百万円ということでございます。
  63. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、この予算案概要の中に、国立病院臨床研修指導費八千万円とありますね。これが二百人分の謝金というのですかがこの中に含まれているわけでしょう。そうしますと、二百人分ですから一人当たりとして四十万円、そうすると、その中の内訳は、研修費が一カ月一万五千円ですから年間十八万円ですか。それから研習指導費が十五万円。それからこれは教材費と言ったらいいのですか、材料費、これが七万円。そうすると、国立病院は二万五千円出す、こう言っているのですけれども、その二万五千円の出どころはここからは出てこないですね。これはどういうわけなんでしょう。
  64. 若松栄一

    若松政府委員 私どもは二万五千円程度出したいということを申し上げたわけでございまして、予算に現在計上しておりますものは、文部省と同じように一万五千円として計上してございます。しかし私どもとしては、何とかしてせっかく研修中の医師の生活の安定をはかりたいというためには、一万五千円ではあまりにも少な過ぎるではないかということで、できるだけ努力をしたいということから、国立病院には、そのほかにもまだいわゆる非常勤職員手当というのが相当ございますので、そういうものをやりくりしてでも相当額を出したい。少なくとも教育病院では二万五千円程度出していただきたい、それならば国立病院も同じような努力をしようということから、そういうふうにあらわされているわけであります。
  65. 山本政弘

    山本(政)委員 昨年の五月二十三日に医卒懇の樋口さんのほうから文部、厚生両大臣に、「新規に医師免許を取得した者の臨床研修について」というものがございますね。そしてそこに「予算措置に十分配慮すること。」こう書いております。その後六月には厚生、文部両省の共同で、大学学部卒業後における教育研修に関する懇談会というものを開いて審議を願う、こういうふうなことがありましたね。そうすると、文部省厚生省でこれだけのことをやりながら、これは文部省のほうにお伺いしたいのですけれども厚生省はともかくも二万五千円で努力する、予算上は一万五千円しか組んでないけれども、ともかくそういうふうに努力する、こう言っておるのですね。そうすると大学のほうは一万五千円です。その辺は一体どうするつもりなんですか。少なくとも両省でこれだけの話を進めたならば、予算の場合だって、研修制度というものをあなた方がやるならば、二万五千円と一万五千円という一万円もの格差が出るはずはないのです。二万五千円でも私は不十分だと思うのですよ。たとえば司法修習生は三万七千円ですが、それに比べてはるかに少ないですよ。しかし、それにしても、文部、厚生の中で一万円の格差がつくなんということは、ちょっと私は常識としては考えられないと思うのです。この点、文部省のほうとしてはどうなさるおつもりなのか。この辺をひとつお伺いしたいのです。
  66. 清水成之

    清水説明員 ただいまの点でございますが、予算編成の積算の段階におきまして、いろいろ関係省とも相談をいたしまして、国立大学におきまして、ある条件はございますけれども、一応一日六百円、月二十五日といたしまして一万五千円、こういう計算でいく、国立病院につきましても、さようである、こういうように私ども承知をしておったのでございます。
  67. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、厚生省のほうでは二万五千円の努力をすると言っておるのですよ。文部省のほうではそういう努力はなさらないわけですか。
  68. 清水成之

    清水説明員 ただいまの点でございますが、実は国立大学の特別会計と厚生省所管の特別会計の予算上の組み方の問題があるわけでございまして、私どもといたしましては、ひとつ一万五千円でお許しをいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  69. 山本政弘

    山本(政)委員 御了承いただきたいと言ったって、あなた方は、先にこの研修制度については——これは医師会から出ておる雑誌ですが、あれによりますと、文部省のほうでこの問題については先にイニシアをおとりになった、こういうように書いてあります。今日では、そういう厚生省のほうが、この前の若松さんのお話では、むしろ主導権があるのだというようなお話があったのですけれども、最初に問題提起をなされたのは文部省なんですよ。しかも、出された文部省が、これはどうにも予算にならないのだということも私は解しかねるのです。同じ研修生ですよ。同じ研修生片一方は、口の悪いことを申し上げると、国立病院とかその他条件の悪いところに行くから二万五千円努力しよう、片一方、私のところは教育病院だから、教育をやる場なんだから、それでがまんをしなさい、こういうようにもとれるじゃありませんか。私はそういうばかなことはないと思う。そういうことが問題としてやはり学生の反発も買う、こう思うのですよ。あなたのほうでそういうだけの努力をする義務があるでしょう。しかも少なくとも文部、厚生と話し合いをしておる中で、片一方は二万五千円、片一方は一万五千円という一万円の格差がつくことは私は納得できませんよ。そんなばかなことないでしょう。
  70. 清水成之

    清水説明員 その点につきましては、なお御指摘の点もございますので、十分内部でも相談をさしていただきまして、検討さしていただきまして、努力いたしたいと思います。
  71. 八田貞義

    八田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  72. 八田貞義

    八田委員長 速記を始めて。  清水審議官。
  73. 清水成之

    清水説明員 研修中の医師に対する協力謝金の額につきましては、国立大学病院においても他の病院と統一すべきものと存じます。
  74. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ大臣、もう一ぺん確認いたしたいと思いますけれども大臣のお考えを……。
  75. 園田直

    園田国務大臣 そのとおりでございます。
  76. 山本政弘

    山本(政)委員 もう一度、文部省予算ですけれども診療協力謝金、国立大学の場合、無給医局員が一日六百円、それで三百日ですね。二千四百五十七人おるから、四億四千二百二十六万円。それからこれは研修生ですか、一日六百円、三百日、これが六百三十六人ですから一億一千四百四十八万円。計五億五千六百七十四万円になると思うのですが、この場合に、無給医局員研修生の額というのが、一日両方同じですね。医局員の場合と研修生の場合で六百円、六百円、これでも私は何か矛盾があるような気がするのですよ。と申しますのは、無給医局員の場合は、ある場合には技術的にもかなり習熟されておると思うのです。そして研修生の場合よりか技術的にもはるかにすぐれておると私は思うのです。この場合に、研修生無給医局員とが謝金として一日同じ六百円であるということも、これも私は納得できないのですが、これはなぜ同じ額にしたのか、この点もお伺いしたいと思います。
  77. 清水成之

    清水説明員 ただいまの御質問でございますが、実は私どももそういう点を考えなかったわけでもございません。いわゆるひげのはえたほうと申しまして、若干上げたらどうかということも考えた時期もございますが、一方医師法によります分につきましては、法律自体で研修が要請されておる。それからまた一方、いわゆる無給医局員の面につきまして、実態はございますが、法律制度の上の問題でもございませんので、実はやむなく同一にせざるを得なかったということでございまして、この間の格差をつけるべきかどうかということにつきましては、今後十分考えさせていただきたい、かように存じております。
  78. 山本政弘

    山本(政)委員 ちょっとはっきりわからないのですが、そうすると、その次の研究生当積算校費ですか、これも無給医局員の場合、一人二万円、二千四百五十七人で四千九百十四万円。研修生の場合も、一人二万円、六百三十六人で一千二百七十二万円。これは合計六千百八十六万円なんですけれども研究生当積算校費についても、教育をする側と教育を受ける側とでは当然異なってしかるべきだと私は思う。同じ条件ではないはずなんですね。それが同一に二万円、二万円にされておる。このインターン制度を廃止して研修制度をつくるのに、何かきわめて安易な考え方予算自体が組まれておるような気がするのです。そこには無給医局員に対する配慮もあまりされていないような気がいたしますが、この点についてどうお考えなのか、この予算をおつくりになったときのお考えというものを一ぺんお聞かせを願いたいと思います。
  79. 清水成之

    清水説明員 従来いわゆる無給医局員につきまして、予算の費目上、大学付属病院におきます研究生当校費というような費目になっておるわけでございますが、従来無給医局員につきまして、たしか年額四千八百円だったと思います。それを今回二万円に引き上げていただいたわけでございます。他面いま御指摘がございましたけれども、一応無給医局員実態としまして診療に従事するということは確かでございます。一応これも病院におきまして研究をする、こういうたてまえから、研究の面に着目しました場合には同額でいいのではないか、こういうことで従来の四千八百円を二万円に引き上げまして統一をとった、こういう次第でございます。
  80. 山本政弘

    山本(政)委員 どうも私わからないのですけれども無給医局員は同じ研究をしているということにはならぬでしょう。先ほどの話じゃないけれども大学院については研究を主眼とするのだ、そしてこの場合の研修生については臨床教育を受けるのだ、こうおっしゃったわけですね。そうすると、これはたしか、要するに臨床教育を受ける人たちですね。受けながら、かつある場合には患者を診断もする、こういうことでしょう。そうすると、当然研修生の場合と無給医局員の場合とでは違ってしかるべきだと思うのですよ。同一ではどうしてもないと私は思うのです。それを単に一律に、同じく研究をするのだからということにはならないでしょう。かりに研究するにしても、無給医局員研究というのは、研修生の場合と異なったというより、むしろより高次な研究になるはずですよ。そうすると、その費用からいってももっと多くてしかるべきだという、これはしろうと考えですけれども、そういう感じがするのです。それが一律に同じだということですが、私はいまのお答えでは理解ができかねるのですけれども、もう一度説明をしていただきたいと存じます。
  81. 清水成之

    清水説明員 同じことを繰り返しましてまことに恐縮でございますけれども、実は四千八百円を引き上げるにつきまして、一方が法令の制度に載っていないものですから、非常に苦労をしておるところでございます。率直なところさような状況でございます。四千八百円から二万円に引き上げる、それをさらに二万円以上に持っていくということが、今年度の予算折衝におきましては実現を見なかった、こういうところでございます。これまた十分努力さしていただきたい、かように考えております。
  82. 山本政弘

    山本(政)委員 納得がいかないのですが、次の質問に移りたいと思います。  ことばじりをとらえているようでたいへん申しわけないのですけれども、岡本委員質問に答えて、若松局長のほうは、今回の研修制度は各人が志望する知識を専門的に深めていこうとするもので、インターン制度とは意味が異なる、そして基本的な、あるいは専攻しようとする科を勉強し、専門課程、関連科についても習熟させる必要があると思う、これが厚生省の基本方針だ、こうお話しになったと思うのですけれども、そうしますと、これはあなたのおことばにひっかかるわけじゃありませんが、専門医というものを将来は志向しているのかどうか、その点ひとつはっきりお聞かせ願いたいのですが。
  83. 若松栄一

    若松政府委員 二年間の研修というものは、いまお話しがありましたように、従来のインターンの場合は医師になるための広い研修をやったわけでございます。しかし今度の場合は、医師になってから、将来内科をやろうとか、産婦人科をやろうというような自分の将来の志望を定め、その方途を志向する研修をやるという意味を申したわけでございます。しかも、将来専門医制度というようなものができます場合に、せっかくこの二年間というものをカリキュラムに沿った研修をするならば、これは将来できます場合の専門医制度のジュニアコースというような形に組み込めれば、研修をする人のためにも非常に幸いであろうということでございまして、まだ専門医制度が十分出そろっておりませんので、はたしてどのような扱いになるかということは今後にかかる問題だと思っております。
  84. 山本政弘

    山本(政)委員 確認いたしますけれども、私は専門医制度についてはよくわかりませんが、あるいは問題点もあるような気がするのですけれども、専門医制度というものを将来考えての上のジュニアコースとしてとおっしゃったけれども、それじゃ専門医制度というものを将来お考えになっているわけですか。もう一ぺんその点をはっきりお答え願いたい。
  85. 若松栄一

    若松政府委員 専門医制度というものは、現在厚生省といたしまして、いわゆる法律、規則に基づく制度として考えているものではございません。したがって、厚生省が専門医制度をつくろうというようなことは全く考えておりません。しかし、学会がそれぞれ学会の責任において認定することが専門医制度でございますから、その学会が認定する場合に、今度の医師法に基づく研修というものをそれ相応に評価していただきたいということを学会当局にお願いしたい、そういう趣旨でございます。
  86. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、従来とあまり変わらないような気がするのです。いままでの医学生に対する教育考え方と変わっておらないと思うのですけれども、これは文部省のほうにお伺いしたほうがいいのでしょうか、厚生省のほうにお伺いしたらいいのか、私もよくわかりませんけれども、どうなんでしょう。
  87. 若松栄一

    若松政府委員 もう一度私のほうから申させていただきますが、従来のインターンというものは、医師国家試験を受けるために必要な資格条件としての修練でございました。したがって、インターンを行なって初めて医師になる。その医師はまだ内科医でも外科医でもなかったわけでございます。医師になってからそれぞれ自分の志望する方向でさらに研修を進めていくということでございまして、今度は、そういう従来のインターンの期間にやったようなことは、将来はできるだけ学部教育の中で取り入れていただきたい——若干はそういう傾向がすでに進んでおります。したがって、今度の研修というものは、それぞれが将来を志向する専門の分野に直結した研修を行なっていただくという趣旨でございます。
  88. 山本政弘

    山本(政)委員 今度の一部改正については、私は、つまり教育する側、それから教育を受ける側、こういうふうに考えていいのだと思いますけれども、昭和四十二年の三月二十九日、これは官報の付録で厚生省のあれで出ておりますけれども、「インターン制度を再検討」という見出しで出ておりまして、そこに「存在意義と問題点」という中で五つの点があげられております。「他の学部より二年長い」「不安定な身分」「経済的負担が大きい」「指導医師が不十分」「不十分な財政援助」、こういうのでありますけれども、この問題点の中で他の学部より二年長いということは別として、あとの四点に対して、財政援助というものは、これはいまさっきの話から聞いていても不十分ですね。それから指導医師についても不十分だと思うのですよ。それから経済的負担というものは、これは従来と変わって若干謝金という形で出てきている。しかし、それにしても先ほど申し上げたように司法研修生などと比べればはるかに低い。身分的な問題はどうかというと、これだって私はそうはっきりはしていないという感じがするのですが、そうするとインターン制度についての批判点がそっくりそのままいまの一部改正による研修制度に私は当てはまるような感じがするのです。そうすると、あなた方がおっしゃっている、つまり現時点で考えられ得る一番いい方法だというふうな言い方もされておると思うのですけれども、どうも私は、条件からいえば全部不十分であるということになれば、先ほど申し上げたように、インターン制度にかわる画期的だといわれるこの研修制度が、結果的にはインターン制度と同じ運命にあるような気もするわけです。つまり私の申し上げたいことは、財政的な裏づけというものが十分でなくてこういうことを一体やっていいのかどうか。つまりなるほど一歩前進だという考え方はありますけれども、しかしそれと一緒に、そういう条件が満たされない中で強行していいのかどうかということに対しても疑問があるわけです。その辺について、ひとつこれは大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  89. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおりに、大学病院あるいは教育病院研修のための費用は予算に組んではありますものの、必ずしも十分ではございません。したがいまして、この過渡期における問題では、病院の指定ということが非常に大きな問題になっております。先般も申し上げましたが、厳選という意味は、施設や設備ということばかりでなく、やはり施設の上に立った人員、教育医、こういうものを考え教育の受け入れ態勢が十分であるかどうかということが厳選という意味でありまして、それは数を縮小することとは別個の問題である、こう考えます。  なおまたもう一つは、インターンの場合の問題が、研修生の場合にはあまり参考にならない。医師になられた方々が志望される場所とかあるいは率というものは、インターンの場合と変わってくるわけであります。こう考えてまいりますと、予算を御審議願ったあとがございまするから相当無理はあるとは思いまするが、なるべく新しい医師の諸君が希望される場所、及び審議会等に相談をして、教育病院等を指定する場合には、そういう観点からやってもらいたい。これでカバーしつつ明年度の予算からそういうふうに逐次やっていきたい、早急にやっていきたい、こう考えております。
  90. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは、これは岡本委員からも質問がありましたけれども、なお私もこの点については改正の一番の問題点だと思うのですけれども、十六条の二ですね。これは義務づけではないというお話をお伺いいたしました。しかし十六条の三で医籍への登録というものがあれば、それは義務づけでないといいながら、間接的には義務を強制しているような感じが私はするわけです。この点について、十六条の三について厚生省のほうではひとつ考え直しをするお考えはないか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。  どうも私の考えでは、医籍への登録というものが十六条の三に出ておるが、教育を受ける側では、何か心理的に強制を受ける気持ちが出てくるということはいなめないのじゃないか、こういう気がするのです。そういう点について、義務規定でなければ、医籍への登録ということについてもあらためて検討してもいいのではないか、こういう感じがいたしますが、その点どうでしょう。
  91. 園田直

    園田国務大臣 この前も申し上げましたが、これはあくまでも強制的でなくて、「努めなければならない。」というのが本旨であります。したがいまして、「努めなければならない。」といいながら、実際は研修をやらなければならぬことになってくるのじゃないかという誤解があるとしますならば、審議の過程において十分委員各位の御審議を願いたい。これは手続の問題としまして、私のほうでは提案したあとでございまするから、提案した私のほうで修正するということは考えておりませんけれども委員会の御意見によってそれぞれ御検討をいただくならば、その点に従って私のほうは善処したい、こう考えております。
  92. 山本政弘

    山本(政)委員 それから最後にお伺いしたいのは、外国病院についてもその研修を受けた場合には適用要件になるというようなことが書いてありますね。この辺についてどうも私は、日本以外の病院になると、気を回すわけではありませんけれども、外国の病院、たとえば野戦病院とかなんとかいうところで教育を受けた場合もいいということになる。そういうことについて、これはある意味では、受け取り方によると思いますけれども、どうもそういうことについては、私自身から言わせれば、モラルの問題としては納得しかねる問題があるという気がするわけです。そういう点についての考え方をひとつお伺いしたい。
  93. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの点につきましては、野戦病院または軍、いわゆる戦傷病者を治療しておる病院等には、その点十分大臣心得ておりますから、指定する場合、御意見がそのまま通りまするよう善処したいと思っております。
  94. 井上普方

    井上(普)委員 関連。ただいま大臣から外国病院についての御答弁がございましたけれども、本法によりますと、「二年以上沖繩地域(硫黄鳥島及び伊平屋島並びに北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)の地域をいう。)にある病院又は外国の病院であって、厚生大臣が適当と認めるものにおいて、臨床研修を行なった者は、前項の規定の適用については、前条第一項の規定による臨床研修を行なった者とみなす。」こうあるわけでございます。考えてみますと、厚生大臣あるいは厚生省当局がお考えになっておる教育病院というものを考えますと、沖繩あるいは硫黄鳥島において、それくらいのレベルのものは私はあり得ないと思います。この点については当然国内における外国病院、すなわちアメリカの陸軍病院、これらにおける臨床研修、これをお考えになっておるのではないか、このように考えるのでございますが、この点いかがでございますか。  第二点といたしまして、国内の病院でございましたならば、臨床研修を行なう病院審議会によってきめられるのでございます。ところが、外国の病院に関しましては、法律ではこの審議会の審議を受けないということになっております。この点につきましては、これはまさに明治時代における治外法権的な考え方に相違ない、このように考えるのでございますが、大臣の御所見を承りたい。
  95. 若松栄一

    若松政府委員 第一問の沖繩の地域にそのような病院がないではないか……。
  96. 井上普方

    井上(普)委員 硫黄鳥島がありますよ。
  97. 若松栄一

    若松政府委員 これは十六条の三の「沖繩地域」ということばにカッコして硫黄島云々とございますが、これが法律上の沖繩地域の定義だそうでございます。沖繩地域というものの定義を、法律的にはこういうふうにいうことになっておるそうでございます。それで硫黄島を初めから考えたことではなしに、沖繩という意味でございます。沖繩には、日本医師をそのまま使っておりますので、どうしても沖繩にそういうものがほしいという気持ちがあるわけでございます。  なお、米軍病院等の病院は、審議会等にもかけないではないかというお話でございますが、これは医師試験研修審議会の重要事項として審議会に審議をしていただくことになっております。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 それであるならば、十六条の二の二項には、厚生大臣は、教育病院であるとか、指定病院臨床研修を行なう病院を指定するには、あらかじめ医師試験研修審議会意見を聞かなければならないとある。これは国内の場合です。ところが、十六条の三の二項には厚生大臣が適当と認めるものにおいて、臨床研修を行なった者は、前項の適用を受けるとある。すなわちいま医務局長がおっしゃられたこととここに書かれた改正案とは違うわけなんです。どうでございますか。
  99. 若松栄一

    若松政府委員 厚生大臣が認めるという場合には、厚生大臣が独断でやるということではなしに、医師試験研修審議会にはかって指定するということでございますから、一般の病院についても、このような特別な病院についても、一様に審議会にはかって、その意見によって厚生大臣が指定するということになるわけでございます。
  100. 井上普方

    井上(普)委員 私は納得ができません。片方においては審議会を経なければならないのです。ところが、片一方においては、大臣が適当と認めるものにおいては研究あるいはまた研修することができるとあるのです。外国病院においてもそのとおりです。これは私は言うならば、園田大臣はなんでございましょうけれども大臣の寿命なんというものはあまり長くなさそうだ。かわって変なのが出てまいりますとどうなるか……。だから、これは第二項につきましては、まさに外国病院への治外法権だと私は考えるのでございますが、大臣の御所見を承りたい。医務局長でなく、大臣にお願いしたい。
  101. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおりに、十六条の二の二項に、厚生大臣は、前項の指定をしようとするときは、あらかじめ審議会にかけなければならぬとありますが、「前項」ということばがありますので、あとで出てきた外国の病院審議会にかけなくてもいいという誤解が出てくるかもわかりません。(井上委員「違いますよ。」と呼ぶ)もう一ぺん申し上げます。第二項に、厚生大臣が指定をしようとする場合には審議会にかけなければならぬとあるが、「前項」ということばがありますから、そのあとで出てきた外国の病院を指定する場合には、審議会にかけなくてもよろしいという誤解があると思います。そこで、この点はこれをカッコにするとかなんとか、誤解のないように委員会のほうで御検討願ってもけっこうでございます。
  102. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは最後に要望申し上げておきます。  実は市川でしたか、三十軒ほどお医者さんを頼んだけれども、どなたも診察に応じてくれなかったという事件があった。私は、市川だけじゃなくて、東京にだってそういうものがあり得ると思う。たとえば日曜にお医者さんが出払ってしまって診察に応じない、無医村地帯ということがいわれるけれども、都心だって日によって無医師都市があるような気がするのです。そういう点で、医療制度の整備といいますか、そういうことにぜひ考慮を払っていただきたい。  同時に、今度の教育病院について、教育臨床研修研究が十分に行なわれるように、ひとつ国の責任と負担で施設の整備あるいは指導体制充実をぜひはかっていただきたい。  もう一つは、国が一定期間の研修というものを条件にして医師に資格を与えるというような格づけは、私は行なうべきではないと思うし、その点十分にお考えをいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  103. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御意見は十分拝聴いたしましたから、十分検討いたしまして、御意見に沿うようにいたします。
  104. 八田貞義

    八田委員長 次回は明二十二日午後五時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時四十七分散会