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岡本(隆)
委員 これは一足飛びというわけにいかないと思いますが、しかしながら、こういう事実を十分把握していただきまして、やはり国が求めておるところの看護体制というものを、国みずからが積極的に確立していくという意欲を今後
——四十四年度の予算には必ずそういう意欲を、なるほど
委員会でがんばったかいがあったなと私が思えるような予算の編成をひとつお願いいたしたいと思います。
それからもう
一つお尋ねいたしたいことがございますが、この看護婦の養成課程において正看護婦と准看護婦との間に、あまりにも大きな開きがあるということです。御承知のように正看護婦は高等学校を出て、それから高等看護学院に三年行くのです。中学を出て高等学校三年、それから看護学院三年、そういうコースですね。だから、これは短期大学よりも上です。短大よりも一年長いです。ところが、准看護婦は中学を出まして、そのまま准看護婦学校に二年入ったら准看護婦になるのです。そういたしますと、高等学校卒業の一般教養がないわけです。ところが、このごろ教育
程度が非常に高くなってまいりまして、ほとんどは高等学校を出ておりますね。もういろいろな町の一たとえば電気器具の松下電器だとか、日立だとかいうテレビを組み立てている子でも、高等学校を出ているのですよ。にもかかわらず、正看護婦と一緒に働いておると言いながら、しかし人が足りなければ夜勤勤務にもつきます。独立でもって患者の容態を
判断し、適切な応急
処置も講じなければならぬというふうな、高度な
判断を要求される看護業務につくのに、他の一般の教育水準から見るならば、少し低くありはしないか、この准看護婦の
制度は、昔、高等小学校を出て看護婦学校へ入る。それで准看護婦になるという、これは大正から
昭和の初めにかけての教育課程がそのまま残っておるから、こういうふうな形が現在残っておると思うのでございますが、これは少し高めていく必要があるのではないか、一般の教育水準が、ほとんどの人が高等学校を出るというふうな
段階になりましたから、やはり看護婦も、高等学校卒業
程度の教養課程を要求しても当然であるし、またそうすべきではないか。
さらにまた、そういうふうにするのには、現在の准看護婦の学校を、定時制の高等学校のような形にして、定時制高校のような教育課程に伸ばすことによって一般教育もして、それで准看護婦にするというふうな新しいコースですね。そういうふうなものを考えていただいたらどうか。というのは、今日中学校を出まして、二年間准看護婦学校に入って准看護婦になった者は、ほかの人は高等学校を出ている、自分は高等学校を出ていないというので、それから定時制の夜間高校に行くのですよ。そうすると、夜間高校を出るまでには六年かかってしまうわけですね。准看二年と夜間高校を四年間、六年間かかって、やっと高等学校卒業の資格を得る。これは別に資格というものは必ずしも本人の価値をきめるものではないにいたしましても、やはり何と申しますか、自分の友人諸君が高等学校を出ると、自分も高等学校を卒業しているという、何と言いますか、教養を持っているという形をとりたいというのでありましょう。そこまで勉強する
子供は、学校に行かなくても、それだけの教養は持っておるのですけれ
ども、やはりそういう教養を持っている者ほどそういろ資格を得たがる。だから、私は横から見ておりまして、それがかわいそうに思えるのですね。
准看学校を出て、さらにまた夜間高校に四年間通う。その四年間夜間高校に通うのには、非常に勤務上の摩擦が出てくるわけであります。と言いますのは、夜間高校でありますから、五時から十時ごろまで。ところが、それが女の子にとっては、おけいこをしたりするゴールデンアワーになりまして、他の者に全部しわ寄せがいくんですね、勤務割りで。だから朋輩同僚から、ときにはいろいろ何と言いますか、不満の声を浴びつつ夜間高校へ通っておる。だから何とかしてこういうことをしなくても、准看になると一緒に高等学校になれるような
制度というものを考えるべきじゃないか。だから、医師会看護婦学校なんかも、一ぺんにということは困難かもしれませんが、その中に四年制の定時制コースというものをつくって、それと同時に、准看学校の定時制コース、准看になれる高等学校コースというものをつくってもらう。これは初中
関係のなにになるかと思うのです。
それからもう
一つは、従来のような、医療機関にまかせ切りというのではなしに、高等学校の中に
衛生看護科をもっとふやすことはできないか。
衛生看護科というのは、これは母性としての教養なんです。料理や裁縫ができるということも大事でございますけれ
ども、やはり
衛生看護というのは重要な部門でございますから、
衛生看護というものを教養として与える。そして、
衛生看護科の高等学校コースをもっとつくって、
衛生看護科を出れば、半年
程度のインターンをやらして、そこで国家試験をして看護婦にするというふうにすれば、看護婦の供給はもっと順調にいくのではないか。だから、
厚生省のみにまかせずに、あるいは
厚生省が文部省とよく話し合って、
衛生看護科をもっとつくることの中から看護婦の供給を増していく、こういうことを考えていただいたらどうかというふうに思うのでございますが、文部省並びに大臣からお答えを願いたいと思います。