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武藤(琦)
政府委員 和解の仲介
制度の構成員のことでございますが、
先生は、加害者の
産業代表が入っていて、
被害者の代表が入っていない、これはすこぶる片手落ちではないか、こういう御意見でございますが、これは仲介をする人でございますので、
一般的に当事者が入ること自体はおかしいわけでございます。それから、しいて
被害者を――いわゆる「公益を代表する者及び
産業又は公衆衛生に関し学識経験を有する者」というのは、いわゆるどちら側を代表するというようなニュアンスで選ぶわけではございませんで、やはりこの
大気の問題についての学識経験がある範囲を一応示したわけでございます。したがいまして、たとえば
産業といっても、当該
産業の方を選ぶわけではなくて、
一般的に技術的に知識、経験の高い方を
産業界から選ぶという
趣旨でございますし、公衆衛生の問題は医学上の専門家を選ぶ、しいて言えば、公益を代表する側に、いわゆる
国民なり庶民を代表する方を選ぶ、こういう
趣旨でございまして、決して、これはどちらを立ててどちらを軽く見るという
趣旨ではございません。
それから、御
指摘のように、
大気の問題についての和解の仲介が非常に少ないのは事実でございます。水の場合は三十数件ございます。この和解の仲介
制度については、御
指摘のように、
制度そのものをどうして利用されないのかという
一般的な議論がございます。この点につきましては、現行の紛争
制度との
関係で、
公害の紛争処理をどういう
制度できめるのが適当であるかということを、現在政府部内並びに中央
公害対策審議会のほうで合同で検討を行なっておりますが、その際に、この和解の仲介
制度というものをそのまま存続せしめるか、あるいは少し改正するか、あるいはほかの新しい
制度に切りかえるか、いろいろ検討が行なわれておるわけでございまして、その点、なお検討さしていただきたいと思います。
やはり、
大気というのは、いわゆる
住民の感覚でとらえて
汚染状況がわかるというような問題でなくて、健康障害までいかないとなかなか
住民から自発的に問題が起きてこないような実情もございます。しかしながら、騒音問題につきましては、おそらく和解の仲介
制度というような問題は一番なじみやすい問題ではなかろうかと思います。なお、この和解の仲介に持ち込まれます前に、いろいろ行政当局で相当の努力が行なわれておりまして、統計を見ましても、相当数の解決が行なわれておるわけでございます。