○内村
説明員 ただいま御質問の新幹線の
騒音防止対策、これは今回の
騒音防止法の中には入っておりません。まずその
理由の
一つとして、現在東海道新幹線についてどういうふうな
騒音防止対策をとられておるかということを御
説明申し上げたい、こういうふうに思います。
現在、東海道新幹線の
騒音防止に関しましては、まず設計
計画当初から、あるいはロングレールを採用するとか、あるいは駆動歯車の音を抑止するとか、あるいはロングスカートを使いまして、床下の機器の
騒音を
防止するとか、あるいは市街地につきましては防音壁の
設置、こういうふうな
措置をとってまいったわけでございます。それでなおその開通後も
騒音があるという実態にかんがみまして、さらに学校であるとか病院であるとか、そういった個所については防音
施設をつくる。それから変電所については防音構造にする。あるいは工事用の低圧配線、こういったものについても防音
対策をはかる。こういうことを実施してまいったのでございます。そういうふうなことによりまして、ある
程度の
騒音の
防止というものは果たせておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。今後とも学校とか病院とか、そういうものの存在する個所、あるいは市街地の民家の密集しておる場所、こういうところについては防音壁の
設置を推進してまいる、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、これだけでは必ずしも完全ではないかもしれないということでありますので、今後は
公害対策基本法に定めております
環境基準というものの設定につきまして、厚生当局とも十分密接な連絡をとりまして、そういったものを
設置いたしたい、そしてその暁に、その結果必要とあれば、所要の
措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
また、なお今後の山陽新幹線の建設にあたりましては、鉄げたの橋をなくすとか、あらかじめ防音壁を必要な個所につけるとか、車両の床下の機器をカバーするボディマウント方式をとるとか、そういったような機器の
開発、こういった面から十分に
措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
そういうところで、それではなぜ
騒音規制法から落ちたのだという御質問かと思いますが、その点につきましては、まず
騒音を
規制するということになりますと、一体どういう
騒音をどういうふうに
規制したらいいのかということが問題でございます。そこで
公害基本法に書いてございますように、いわゆる
環境の
保全ということとそれから経済
発展との調和ということが
公害基本法の定めるところでございまして、なかんずく鉄道、新幹線というふうなものにつきましては、公共的使命も非常に大きいものでございます。したがいまして、その
措置のとり方あるいは補償
措置が非常に要るというふうな場合には、これがひいては運賃にはね返ってきますので、国鉄財政に非常な負担をもたらすということも考え得るわけでございます。したがいまして、そういうことも慎重に検討いたしませんと、どういうふうな形にしていいか、その形が明確にならぬというふうなことから、今回はこの
法律には盛られなかったというふうな経緯になっておると存じております。ただしかし、それだからといって、放置しているわけではなくて、ただいままで申しましたように、諸般の防音
対策を進めてまいりたい、またまいっておる、こういうことであります。