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1968-03-25 第58回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十五日(月曜日)    午後一時十一分開議  出席委員    委員長 山崎 始男君    理事 天野 公義君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 橋本龍太郎君    理事 河上 民雄君 理事 本島百合子君       伊藤宗一郎君    齋藤 邦吉君       櫻内 義雄君    瀬戸山三男君       塚田  徹君    葉梨 信行君       藤波 孝生君    箕輪  登君       山口 敏夫君    佐野 憲治君       折小野良一君    岡本 富夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省国立公園         局長      網野  智君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君  委員外出席者         近畿圏整備本部         審議官     井上 文治君         林野庁林政部長 亀長 友義君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         建設省都市局技         術参事官    葛生 新一君         参  考  人         (公害防止事業         団理事長)   原 文兵衞君     ————————————— 三月二十五日  委員久保田藤麿君、塩川正十郎君、地崎宇三郎  君及び和爾俊二郎辞任につき、その補欠とし  て瀬戸山三男君、齋藤邦吉君、山口敏夫君及び  櫻内義雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員齋藤邦吉君、櫻内義雄君、瀬戸山三男君及  び山口敏夫辞任につき、その補欠として塩川  正十郎君、和爾俊二郎君、久保田藤麿君及び地  崎宇三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  産業公害対策に関する件(水質汚濁対策等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 山崎始男

    山崎委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  公害防止事業団法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として、公害防止事業団理事長原文兵衛君に御出席お願いいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎始男

    山崎委員長 御異議左しと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 山崎始男

    山崎委員長 公害防止事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  公害防止事業団から、理事長原文兵衛君がお見えになっております。  なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対する応答の形でお述べいただきますので、さよう御了承をいただきたいと存じます。  質疑通告がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 公害防止事業団法の一部改正の法律案につきまして、最後一言念を押しておきたいと思います。  この件につきましては、先般私が質問いたしましたけれども、その中で、譲渡物件、その譲渡物件担保率の引き上げ、それから金利の引き下げについて、今後努力をなされることができるかどうか、まず厚生大臣にお伺いいたします。
  6. 園田直

    園田国務大臣 担保物件その他については、御意見のとおりでありまするから、そのように極力努力したいと考えております。
  7. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次に、事業団理事長お願いします。
  8. 原文兵衞

    原参考人 御承知のように、公害防止事業団では、工場アパート工場移転用地を建設して譲渡いたしておりますが、その際、建設費の五%を頭金として受け取りまして、残りの九五%は十五年ないし二十年の割賦償還をいたしております。この場合、譲渡物件担保価値建設費の八0%といたしております。したがいまして、頭金五%を除いた残りの一五%について担保を提供していただくということになっておりますが、これはいわゆる債権確保のための、金融機関一般に行なわれているところに従っておるものでございます。しかしながら、この種の担保支障のある企業が出逢した場合には、公害防止事業緊要性にかんがみまして、担保力が不十分な場合におきましても、連帯保証活用等によりまして、弾力的に運用して、事業を実施する方針でおります。  なお、年々償還が進みまして、償還元金が減少した場合には、担保を逐次返還することは当然のこととして、考慮しておるところでございます。  以上お答え申し上げます。
  9. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、質問はこれで終わります。
  10. 山崎始男

    山崎委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  11. 山崎始男

    山崎委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  公害防止事業団法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 山崎始男

    山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  13. 山崎始男

    山崎委員長 次に、本案に対し、橋本龍太郎君、河上民雄君、本島百合子君及び岡本富夫君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。橋本龍太郎君。
  14. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 私は、自由民主党、日本社会党民主社会党及び公明党を代表いたしまして、公害防止事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  その内容は簡単でございますので、案文の朗読をもって説明にかえさせていただきます。    公害防止事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の事項について措置を講ずべきである。  一、公害防止事業団への政府出資は今後増額するよう努力すること。  一、公害防止事業団事業運営を積極的に行なわせるとともに業務の範囲及びその対象地域の拡大を図り、譲渡条件等の緩和及び貸付金利息の引下げについては引き続き努力すること。  一、今後、都市公害にも適用できるよう検討すること。 以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  15. 山崎始男

    山崎委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、本案附帯決議を付するに決しました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣
  17. 園田直

    園田国務大臣 一言、この際、公害防止事業団法の一部を改正する法律案決議に際して、所信を申し上げます。  本法律案については、公害緊急性にかんがみ、非常な御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。  ただいま御決議に相なりました決議案については、当委員会の御意見並びに附帯決議趣旨を体しまして、その実現につとめ、公害防止事業団強化に、より一そうの努力をいたす所存でございます。(拍手)     —————————————
  18. 山崎始男

    山崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  20. 山崎始男

    山崎委員長 産業公害対策に関する件について、調査を進めます。先般、札幌市における冬季大気汚染状況など調査のため、委員派遣いたしました。  この際、派遣委員から、その報告を聴取いたします。葉梨信行君。
  21. 葉梨信行

    葉梨委員 去る三月十日より三日間にわたり、議長の承認を得て、委員派遣し、札幌市における冬季大気汚染状況等調査をいたしてまいりました。  以下、その概要について、私が代表して御報告申し上げます。  各委員すでに御承知のとおり、北海道日本の北端に位置する寒冷地であります関係から、道内各都市においては、その冬季間、ビル、一般住宅暖厨房から排出されるばい煙及び有害ガスによる大気汚染が最大の公害問題となっており、その防止対策確立が迫られておる現状であります。  本派遣も、このような現状を重視いたしまして、会期中にもかかわらず、その代表的な札幌市の実情調査し、これに基づいて全国寒冷地住民健康保持生活環境の改善のための政府施策推進させるべく行なわれた次第であります。  まず、札幌市当局より、札幌市の冬季大気汚染は、寒冷地暖厨房用ストーブ等から出るばい煙が大きな要素となっており、また、産炭地を控えた地理的条件及び長年の習慣として、また暖房効果の上からも、暖房炊事用石炭を好んで使用しており、これが市の大気汚染にますます拍車をかける結果となっている。  特にその都心部においては、全市の三〇%を占めるボイラー施設が集中しているため、熱消費密度市内で最も高い地域となっている。これらの状況から、その汚染は、昭和四十一年冬季を例にとってみれば、降下ばいじん量全市平均一ヵ月一平方キロあたり十二トンであるに比べて、都心部は五十二トンであり、亜硫酸ガス量についてみると、全市平均より約二倍と、きわめて汚染度が高く、このまま看過できない状況である。  市当局は、このような現状に対処して、一九七二年の冬季オリンピックを目途に、青い空の下に白い雪を、きれいな大気を、のスローガンを掲げ、道当局と協力して、一般家庭には無煙固体燃料普及を、都心部においては個別暖房のかわりに地域暖房方式をとり、大気汚染防止をはかるべく計画を進めている、との説明があり、その実態を把握するため、十一日、十二日の早朝、市内のテレビ塔並びに藻岩山より、それぞれ市内を望見したのでありますが、市街地はスモッグにおおわれ、あたかもふたをした状態となり、黒褐色の雲様のガスが盛り上り、上空の気象の変化に従って、生きるがごとくに浮動するさまには、われわれの想像以上の汚染のひどさを息苦しく感じました。なお説明によりますと、一日を通じて、早朝及び夕方特にひどくこの現象があらわれるとのことであり、また市当局によって派遣委員に示された雪の断面には、降下ばいじんの層がはっきり認められるといった状態であります。  次に、札幌市が大気汚染防止対策として重点を置いている、無煙固体燃料地域暖房二つの問題について述べたいと思いますが、まず無煙固体燃料については、月寒にある通商産業省の北海道工業開発試験所を視察し、その際、道、市当局試験所より、札幌市においては、昭和四十年を例にとれば、石炭荷渡しは約五十二万トンであり、このうち家庭暖房のみに使用された量は二十八万トンと、その五五%を占めており、このような実情から、ばい煙防止施策を考えるに、二十八万トン全量の無煙固体燃料への転換は考えられぬとしても、早急にこれが生産される場合には、約十万トンの需要量が想定されるが、試験所北海道開発庁からの研究委託を受け、粉炭の熱間成形に関する実験を、特別研究として実施してきたが、企業化に対する技術的確信を得たので、公害対策の一環として、製造企業化を積極的に推進することを要請している旨の説明がありました。  なお、派遣委員より、製品によるばい煙量製造工場設備費公共施設への導入、灯油との競合の問題、コストダウンの問題、専焼ストーブ開発研究、無煙炭の普及関連したサービス、特に配炭、灰の処理問題について、それぞれ質問いたしましたが、道、市、試験所より適切な説明がありましたが、コストダウンの問題については、普及度とも関連が強いので、今後十分検討する旨の説明がありました。  次に、都心部にある地域暖房施設建設予定地を視察しましたが、市当局より、本計画は、前状のごとく市中で汚染度が高く、かつ、発生源の集中している都心部に対し、この地域内に設置されている各種の燃焼装置を一ヵ所に統合し、除害装置を設備した地域暖房導入することにより、  一、大気汚染防止  二、熱エネルギー有効利用  三、労働力不足の解決  四、建物面積有効利用  五、燃料、灰の運搬費節減  六、火災防止等の利点をねらったものであり、このため現地会社法人を設立し、第一期工事を昭和四十五年に、第四期までの全計画昭和五十二年までに終了しようとするもので、これにより平均千キロカロリー当り約三円で、一・五五平方キロにわたる対象地域内の契約事業所に供給する計画であります。  これについて派遣委員より、事業所契約加入の問題、供給価格低廉化操業運転の際の騒音問題等について疑念をただしましたが、道、市当局より十分留意している旨の説明があり、なお補足して夏季間の操業については、各事業所熱交換器を設置することにより、冷房への転用も可能であるとのことであります。  また、地域暖房施設のモデルケースとして、市内北円山日本住宅公団北海道住宅供給公社の建設した住宅団地を視察いたしました。  札幌地域暖房事業計画について、市長より次のような援助に関する要望がありました。  一、地域暖房事業に対して、昭和四十三年度政府予算案において公害防止事業団からの融資が計上され、目下国会において審議中であるが、その融資金利を、事業の性質にかんがみ、長期かつ低利のものとするようにされたい。  二、地域暖房事業に対して、北海道東北開発公庫からの出資が可能となるよう措置を講ぜられたい。  最後道当局より、北海道全域にわたる観点から、公害対策基本方針として、未然防止を基調とし、先行的、予防的な対策を配慮しつつ、積極的に対策推進するため、道公害対策審議会の答申も参考とし、昭和四十三年度においては、公害実態把握推進公害防止のための指導強化指導要鋼設定公害防止体制整備無煙燃料製造普及地域暖房導入の促進、啓発指導の充実、公害対策基本法制定に伴う公害防止施策確立推進重点事項として対処していく旨の説明がありまた、国に対して次の要望がありました。  一、公害対策基本法制定に伴う公害防止施策確立推進については、公害対策基本法昭和四十二年八月に公布施行されたことにかんがみ、公害行政総合的推進をはかるため、国と地方公共団体との事務分担環境基準設定及び調査測定体制整備等具体的な行政施策早期実施について  二、大気汚染防止法騒音防止法等整備調整をはかるとともに、さらに都市計画関係法等公害関係法整備調整をはかること。  三、現行の公害防止事業拡充強化をはかるとともに、地方公共団体が行なうべき公害防止事業に対する財政上の特別措置及び除害施設に対する融資助成制度整備強化等関連施策確立をはかること。以上であります。  北海道、特に札幌市における冬季大気汚染は、以上御報告申し上げましたごとく、都市公害としての性格が強く、むずかしい問題を含んでおりますが、道、市及び研究機関が一体となり解決努力していることは心強い限りでありました。  われわれは寒冷地都市における冬季公害対策として、札幌市におけるこの試みに注目していく必要があるとともに、政府におかれましても、道及び市当局要望事項は十分これを配慮し、同様な問題に悩む諸都市に積極的に働きかけ、公害防止対策に万全を期されんことを強く要望いたしまして、私の報告を終わります。(拍手
  22. 山崎始男

    山崎委員長 質疑通告がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  23. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私は、水質保全あるいはまた水源保全の立場から、きょうは林野庁長官がお見えになっておりませんから、まず農林省の亀長林政部長さんにお尋ねいたしますけれども、国有保安林、これを解除した際に起こりますところの水源地汚染あるいはまた防災についてお尋ねいたします。  一つの事例をここに掲げましたが、これは兵庫県の芦屋市、その上のほうに剣谷というところがあります。うしろには大きな国有林を控えておりまして、この剣谷保安林解除、そして農林開発という会社払い下げた。この問題について、将来起こるであろうというこの予防について、私は善処していただきたい、こういう意味から、きょうは質問するわけであります。  まず、今回のこの解除されました芦屋市の国有林の現在地の、当該地の下に六麓荘という町があります。この六麓荘は、国際文化住宅都市芦屋市の中でも特にすばらしい住宅地であります。そしてこの町は民間人の手によったところで、六麓荘の今日あるのは、昭和の初めに某実業家が範を香港にとって、香港の欠点である上水道の不足をカバーするために、理想的な住宅地を阪神間に求めた。たまたま宮川という川がありますが、その上流にごろごろ岳といって、その南のほうに剣谷の海抜二百メートルのこういう傾斜面がありますが、そこに水源地を設けた。国有林民有林の権利を買い上げて、そうして将来の水不足のために、上水道として農業用水も買収して、非常にすばらしい住宅地をつくることに成功したわけであります。しかしながら、昭和三十七年ごろ、この六麓荘の上の国有林民間会社払い下げられる、こういうことで、もしもそういうことが起こるならば、もしもそれが開発宅地化されたならば、上水道枯渇また汚染、風致の損傷、また一つ間違うと、昭和十三年ごろに起こりました、死者三名、重傷者一名、流失家屋が十四戸、全壊が十戸、半壊が九十一戸、こういうような大きな山津波が来る、また水源枯渇あるいは汚染公害が必ず起こる、こういうわけで、芦屋市あげての大反対をしたわけであります。しかしながら、それが今日農林開発払い下げられてしまった。その条項の中に、昭和三十八年の十二月四日、三八大総第一〇一一号の大阪営林局長より芦屋市長に送られたところの書類の中で、その内容を見れば、これは、農林開発芦屋市との間にかわされた覚え書きでありますが、その中で、防災上並びに水源地保護等の見地から妥当と考えられ、必要な措置をとる、こういうようにありますが、必要な措置とは何か、すでにこのときに、大阪営林局長は、水質汚濁また水源枯渇あるいは災害を認めていたのではないか、しかるにこういうような民間会社払い下げてしまった、それはどういうわけか、これについて亀長さんにお答え願いたいと思うのです。
  24. 亀長友義

    亀長説明員 いま御指摘のとおり、農林開発払い下げが、芦屋市の剣谷というところについて行なわれております。その際に、われわれのほうとしましては、先ほど申し上げましたように、必要な保安施設を講ずるということを条件としまして払い下げて、現在に至っております。現在までのところ、払い下げ後、大きな形質変更は事実上行なわれていないというふうに承知いたしております。  当該地域保安に関しましては、担当木村指導部長が参っておりますので、詳細に申し上げることにいたします。
  25. 木村晴吉

    木村説明員 先生いまの御指摘の、保安林解除の問題に伴う水質汚濁土砂流出の問題についてのお尋ねの件につきましては、実は地域開発の非常に進みつつあるところに対して、森林の保全開発調整についてはいろいろ配慮いたしておる問題でございまして、重要な保安林については、できるだけ温存いたしていく方針をとっております。当該地につきましては、別に代替地になるべき土地も見当たらないし、総合的な土地利用の問題から見れば、防災施設あるいは水質汚濁防止施設さえ十分完備し得られれば、総合土地利用の問題から見て、保安林解除支障ないという判断に基づきまして、四十年の一月二十八日に、県知事からの申請に基づきまして、四十年の五月二十六日に解除告示を行なった次第でございます。  先生お尋ね水質汚濁の問題につきましては、できるだけ土砂流出防止する、それから水源地が現在そこにございますが、これは現在保安林解除からもはずしておりまして、保安林内に温存されておりますし、いま林政部長が話しましたように原形はそのままになっておりますが、宅地造成計画され、実行される場合における代替施設等につきましては、十分諸条件を加味いたしました計画が盛られておるわけでございます。その辺御了解いただきたいと思います。
  26. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま木村さんは、水質汚濁あるいは水源地枯渇、また防災については十分考慮に入れてこれを払い下げたのだ、こういうようにおっしゃっておりますが、間違いありませんか。
  27. 木村晴吉

    木村説明員 当時申請者から、保安林解除に伴う代替施設計画が出てまいりまして、私のほうでは、地域地域だけに、流量も九十ミリ程度、流出係数〇・九という、私らのほうで治山計画を立てる場合における一番濃度の濃い計画基準で、一応検討したわけでございますから、御了解いただきたいと思います。
  28. 岡本富夫

    岡本(富)委員 こういうように、私はその土地地形を持ってまいりました。これが当該芦屋市の全図であります。このうしろ国有林があります。この一部でありますけれども、この一部の十三・一ヘクタールを大きくいたしますと、こういうようになります。これが水源地、それからこれも西宮の水源地、こういうように二つはさんで水源地があるわけです。そのまわりを宅地化いたしましたり、あるいはまたこれをふさぎますと、この水源枯渇あるいは汚染というものは、計算しなくたって、これはしろうとでもはっきりわかる。あなたはこの状態をごらんになったのですか、どうですか。
  29. 木村晴吉

    木村説明員 申しわけありませんが、また現地は見ておりませんですが、御指摘の点は、十分今後の対策として、現地踏査等も含めまして、検討させていただきたいと思います。
  30. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ここに示しましたのは剣谷国有林の姿ですが、あなたはこれに対して何も検討はしていない。実はこの前、私は林野庁長官に部屋に来ていただきまして、この芦屋剣谷国有林払い下げ問題について起こるであろう、いろいろの水質汚濁あるいは水源枯渇あるいはまた防災についての相談に乗ってもらうように、いろいろとお願いをしておきました。それからしばらくいたしまして、あなたのほうからだれか若い人が、芦屋市に行っております。そして、芦屋市の要望あるいは現地人たち要望もお聞きに雇ったと思いますし、また現地の姿もすでに調査されたと私は思うのです。また質疑通告につきましては、早くから、私は林野庁に対しては申し入れてあります。しかるに、いま聞きますと、地形についても、あるいはいろいろなこういう面についても、ただ一片の書類の上であって、そして前の書類から引っぱり出してきて、こういう問題はこうで、これでだいじょうぶです……。現在の時点に立って、私はあなたに質問しているのです。(「調査不充分だ」と呼ぶ者あり)いま言われたように、調査不十分じゃないでしょうか。
  31. 木村晴吉

    木村説明員 私のほうが舌足らずで、どうも失礼いたしました。いまお尋ね二つ水源地上流開発計画に入っておるのだが、現地を見ているか、まだ現地は見ておりませんと答えて、どうも舌足らずなことばで、失礼いたしましたが、先生指摘のこの地域に対する今後の対策の問題につきましては、芦屋市当局及び県当局からも、意見を十分私らも聞いております。それから第二点といたしましては、そういう事態に対しまして、担当課長補佐現地に行かせまして、そうして実は兵庫県当局調査構成メンバーも大体きめまして、近く月がかわれば、新年度早々この調査に入りたいという現況でございまして、その辺ひとつ御理解いただきたいと思います。
  32. 岡本富夫

    岡本(富)委員 昭和三十八年十二月十八日に、当時の芦屋市の市長でありました内海市長から、この六麓荘町、岩園町、朝日ヶ丘町に対して、その水源地になっておりますが、この水源地から出ておる水に対して「強力節水についてお願い」、こういうパンフレット、ビラが回っているわけです。「向寒のみぎり、水道使用者の皆さんにはつねづねご協力をいただきまして有難くお礼申し上げます。本年も秋以来の降雨量が少なく、水道源水の流入が枯渇しまして、すでにご不便とは存じながら節水のお願いをして、今日まで送水を続けてきました。」、さらに強力な節水をお願いしたい、というように、このまだ開発をされていない、現在保安林があるままにおいても、すでにこういうように節水しなければならぬ、こういう地点におきまして、さらに宅地造成され、あるいは開発されますと、さらに枯渇することは、これはもう火を見るよりも明らかであります。したがって、一日も早くこの保全をしなければならない。  もう一面からいいますれば、この地域の地質というものは、ちょうど兵庫県の神戸のうしろにあります六甲山、あれと同じ花こう岩の地質でありまして、非常にくずれやすい。先ほど説明いたしました、このうしろには、ごろごろ岳と申しまして——なぜごろごろ岳と申しますかというと、雨が降ったら大きな石がごろごろと落ちてくるのです。だからごろごろ岳というのです。だから、ハイキングコースあたりもとめてしまうくらいにあぶない地域です。その前を開発したらもう将来どうなるかということを考えるときに、亀長さん、あなたは、この問題について、これはそのままほうっておくとたいへんであるということをお考えになりませんか。どうですか。
  33. 亀長友義

    亀長説明員 交換当時におきましても、いろいろ芦屋市とも協議いたしまして、私どもとして、その地域保全については、その段階においては必要な措置を講じたつもりであります。その後いろいろな事情もあって、形質変更も行なわれることなく、現在事実上はあまり造成工事等も行なわれないで、そのままに至っておりますが、今後さらにそういうことも行なわれるようなことに相なりましょうから、そういうことも予想いたしまして、早急に、先ほど指導部長からも御説明申し上げました、技術者の入りました調査というものを進めて、念には念を押すという態度で進んでまいりたいと思います。
  34. 岡本富夫

    岡本(富)委員 もう一つだけ申し上げますが、これを契約いたしておりますところの農林開発、この会社はどういう会社ですか。その会社がしっかりしておれば、あなたのおっしゃるような間違いないところの処置もとられるでしょうが、その会社はどういう会社ですか。それについて、亀長さんからお答え願いたいと思います。
  35. 亀長友義

    亀長説明員 農林開発興業は、その後の経済状態はあまりよくなかったのだろうと私想像いたしております。と申しますのは、国税滞納のために、現地を国税庁に差し押えられております。もちろんこの地以外にもそういう物件があると承知いたしております。しかし逆に申しますと、そのために、現地払い下げられた当時そのままになっておりまして、あまり保安上の問題を起こすほどの大きな工事は行なわれておらないのであります。農林開発の経済事情につきましては、私どもも、国税庁の——少なくともその土地に関しては、そういう状態になっておるという以上に詳しい情報をいま持ち合わせておりませんが、この土地が、先ほど御指摘のようないろいろな保安上の問題もある地区であるからということから、私どもとしましても、国税庁が今後これをどういうふうに扱われるかという点については、非常に関心もございますので、国税庁のほうとも十分連絡をとりながら、御指摘のような危険のないように考えてまいりたいと思っております。
  36. 岡本富夫

    岡本(富)委員 あなたは、人命とお金とどちらが大切だと思いますか。あなた、水質が汚染され、あるいはまた災害があった場合に、国税庁が押えており、また国税庁の意向によってそういうようになりました、こういうことで答弁が済みましょうか。あるいはまた、それで、お金で人命存解決することができるでしょうか。いまの答弁だとそうですよ。
  37. 亀長友義

    亀長説明員 これは、私どももちろん人命が一番重要であると思っております。それから、農林開発興業が将来この滞納処分を解除されて、その地で事業を行ない得るかどうかも、現在のところまだ未定の状態でございます。それから国税庁がこれを取得して、第三者に渡すことになるのか、その辺もまだ未定でございます。私ども、いかなる状態になりましても、もちろん人命のほうが大事でございまして、別にそこが国有林というものと関係あろうとなかろうと、森林保安という立場からはわれわれも責任があるわけでございますし、もちろんこれは他の、建設省でありますとか、その他の保安担当の省とも十分連絡をとりながら、保安については遺憾のないように、今後考えていきたいと思います。
  38. 岡本富夫

    岡本(富)委員 保安については遺憾なく対策を整えるというのは、結論として、保安林に再指定し、そしてこの地域保安林を国に買い上げて保護するということに、私はとってよろしいか。しかし、あなたはそれを答えることはできないと思います。それは、やはり林野庁長官やあるいは大臣に相談しないと、できないと思います。  そこで、きょうはあなたのほうが調査不十分でありますし、またこの問題については、私どもは相当大きな、人命尊重の上から考えておりますので、ただ一点だけ申し上げておきますけれども、私どもの調査によりますと、この国が契約した会社は、最初は社長が高橋喜寿丸という人です。次に、昭和四十二年九月十八日には菅住江さんという人です。四十二年の十月五日には野原弘という人です。このようにちょくちょく社長がかわるような信用のおけない——私どもはさらに興信所で調べております。そういう会社を相手にして、私のほうは保安確立いたします、決して住民の皆さんに迷惑かけないようにいたしますと、そういうようなことは、私は言えないと思うのですが、どうですか。
  39. 亀長友義

    亀長説明員 御承知のように、森林法でいいます森林の保安については、林野庁が責任を持っております。それ以外の土地については、建設省が保安の責任を持っておりまして、政府のそのよう左分掌に従いまして、われわれとしては、われわれが担当すべき森林につきましては、十分保安措置について考えてまいるべきことであります。この具体的な土地につきまして、相手の会社が必ずしも経理良好でなかったというような点はあるかと思いますけれども、私どもとしまして、大体この地域は大阪営林局が管轄をいたしておるわけでございますが、国有林として持つには非常に孤立団地でございまして、森林経営としては非常に採算の悪いところであります。したがいまして、国有林経営上は、むしろ有利な森林地帯を買いたい。その際に、金で払うかわりに、この土地を渡した、こういう事情でございます。もちろんこの地域が国土上森林として分類されております場合に、森林の保安につきましては、私ども、保安林整備に関する法律というものもございまして、そういうものに従って、十分林野庁の責任は果たしていくつもりでおります。
  40. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これでは話にならないと思うのですが、ここに示されました地図のように、うしろにありますのは全図でありますが、うしろに大きな国有林を控えております。その前の一部です。あれだけ、一部だけが、国有林の経営について非常に手間がかかる、うしろのほうはかからない、また有利でないというのでしょうか。私はその点が非常に理解に苦しむのです。  そこで、その当時のことを私は全部調べてあります。この当時の、共和製糖グループの黒い霧にまつわるところのいろいろな問題が、ここに関係してくるのです。したがって、きょうは私は農林省の皆さん方に対しては、もう少しはっきりした答弁ができるように、林野庁長官あるいは大臣ともよく相談されて、再びここに保安林の再指定をし、国が買い上げて、そして地域住民の不安を除き、また水源枯渇を除き、また水質汚染を除こう、こういう誠意があるかどうか、これをしばらく私は見たいと思います。  そこで、近畿圏整備本部の方が見えておると思いますが、近郊緑地特別地域にこの地域が指定されるかどうか。すなわち芦屋剣谷のこの付近が特別地域に指定されるかどうか、これについてお答え願いたいと思います。
  41. 井上文治

    ○井上説明員 近畿圏といたしましては、先生も御承知のとおり、近畿圏の保全区域の整備に関する法律に基づきまして、ことしの二月二十三日に、この地区を近郊緑地保全地域として指定いたしました。それによりまして、この地区につきまして、そういう宅地造成などがある場合には、届け出を要するということになっております。さらにこの地区について、もう少し強い規制と申しますか、いま先生がおっしゃいました特別地区の指定の問題につきましては、建設省が、都市計画の施設として指定することになっておりまして、現在準備中と聞いております。
  42. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、この問題につきまして、建設省の葛生さん、お答え願いたいと思います。
  43. 葛生新一

    ○葛生説明員 ただいま近畿圏のほうから御説明がございましたように、この地区につきましては、保全区域の指定をこの二月二十三日にいたしまして、三月一日から効力を発生しております。なお、規制の強い特別保全地区につきましては、現在地元のほうで検討中でございます。そういう意味におきまして、先生の御趣旨を体しまして、さらに検討を進めて、作業を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  44. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次に、厚生省の国立公園局長さん、この地域は、国立公園の特別地域と聞いておりますけれども、もしもこの地域開発するときには、どういう手続あるいはどういう許可、どういう認可が必要なのか、これをお答え願いたいと思います。
  45. 網野智

    ○網野政府委員 この地区につきましては、瀬戸内海国立公園の一部といたしまして、この地区が特別地域になっておりまして、特別地域の中でも第二種の特別地域になっておるわけであります。したがって、森林伐採とかあるいは宅地造成等につきましては、都道府県を経由して、民間がやる場合には、私のほうに許可の申請をしなければいかぬ、こういうことになっております。
  46. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしますと、国立公園法のほうからいえば、これは許可の申請をしなければいけない、要するに申請をして許可をとらなかったならば、これはできないわけですね。
  47. 網野智

    ○網野政府委員 そういうことです。
  48. 岡本富夫

    岡本(富)委員 芦屋剣谷の六−四−二、この番地においては、将来土地造成をしようとするならば、これは許可を必要とする、こう解してよろしいでしょうか。
  49. 網野智

    ○網野政府委員 そういうことです。
  50. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、建設省の葛生さんに再度お願いいたしますけれども、私がいま申し上げているのは、可もこの問題についてとやかく言うのではなくして、住民の不安、水質汚濁、また水道の枯渇、これを一日も早く解消したい、こういう意味から、私はあらゆる方法でもってこの地域を確保したいと思うので、特にお願いをしておきます。どうでしょうか。
  51. 葛生新一

    ○葛生説明員 近畿圏の保全区域の整備に関する法律の第六条に、特別保全地区の指定につきましての要件がございます。第六条の第一項の二号でございますけれども、「近郊緑地特別保全地区として指定することによって得られる既成都市区域及びその近郊の地域の住民の健全な心身の保持及び増進又はこれらの地域における公害若しくは災害の防止の効果が特に著しいこと。」、こういうふうにうたってございますので、この法律の趣旨に従いまして、検討を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  52. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、最後に、農林省の亀長さんに。  当時の農林大臣はだれか、また官房長はだれか、また高橋喜寿丸という農林開発の社長はどういう人であるか、これについて御存じであれば、お答え願いたいと思います。
  53. 亀長友義

    亀長説明員 ちょっといますぐ思い出しかねますので、さらにまた同時に、私、当時は林政部長をいたしておりませんので、まことに申しわけございませんが、あとから調べてお届けすることにさせていただきます。
  54. 岡本富夫

    岡本(富)委員 こちらの調査によると、当時の農林大臣は重政さん、官房長は中西一郎さん、またこの農林開発の社長は元重政大臣の秘書であった、こういうふうになっております。  そこで、私はきょうはこれで質疑を打ち切ります。そして農林行政の問題について、今度は農林委員会において、この点にも究明を加え、なお私は、芦屋剣谷のこの地域人たちの不安を一日も早くなくし、また、水質汚濁あるいはまた水道の水源保全につとめていきたい、こういうわけでありますから、その点についても、今度の委員会において、国民の前にはっきり答えができるようにしてください。いまのように、のらりくらりでは納得できないと思いますが、よろしいでしょうか。
  55. 山崎始男

    山崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二分散会