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1968-02-28 第58回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十八日(水曜日)    午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 山崎 始男君    理事 田村 良平君 理事 橋本龍太郎君    理事 河上 民雄君 理事 島本 虎三君    理事 本島百合子君       地崎宇三郎君    葉梨 信行君       藤波 孝生君    箕輪  登君       和爾俊二郎君    加藤 万吉君       工藤 良平君    佐野 憲治君       浜田 光人君    折小野良一君       岡本 富夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤一郎君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         参  考  人         (公害防止事業         団理事長)   原 文兵衛君     ————————————— 二月二十二日  委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として  箕輪登君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十二日  公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  産業公害対策に関する件(産業公害対策基本  施策等)      ————◇—————
  2. 山崎始男

    山崎委員長 これより会議を開きます。  産業公害に関する件について、調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  産業公害対策に関する件について、本日参考人として、公害防止事業団理事長原文兵衛君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 山崎始男

    山崎委員長 この際、産業公害対策に関し、園田厚生大臣椎名通商産業大臣宮澤経済企画庁長官から、それぞれ所信を伺うことにいたします。園田厚生大臣
  5. 園田直

    園田国務大臣 第五十八回通常国会における当特別委員会の御審議をいただくに先立ちまして、所信一端を申し述べ、各位の御指導御協力を賜わりたいと存じます。  現下のわが国において、公害問題が当面緊急な解決を必要とする国民的課題であることは、申し上げるまでもないことであります。  公害解決するためには、企業をはじめ国、地方公共団体住民一体となって対処することが必要であり、政府としましても、公害対策推進に特に意を用いているところでありますが、私といたしましては、あくまでも国民の健康と福祉を守る立場から、人間尊重を基調に、公害問題解決のために一そう積極的に取り組んでまいる所存であります。  幸い、昨年公害対策基本法成立を見、公害関係の問題の解決に関する基本的方向が明らかにされましたので、今後は、基本法に基づき、その理念を具体的に実施するための諸施策を積極的に推進する所存であります。このため、厚生省としては、当面特に次の点に重点を置き、広く施策を進めてまいる考えであります。  第一は、環境基準設定公害防止計画策定であります。環境基準については、目下生活環境審議会において審議が進められているところであり、本年度内にも亜硫酸ガスについての環境基準案を発表する等、逐次設定していくように努力いたしております。  また、公害防止計画については、昭和四十三年度においてすみやかにその基本方針を決定し、関係都道府県知事に指示するよう取り運んでまいる所存であります。  第二に、規制強化についてでありますが、大気汚染騒音等対策に関し、規制強化をはかる方向で、目下鋭意検討を重ねているところであります。なお、公害紛争処理及び被害の救済についても早急に制度化をはかるよう、関係省庁との意見調整を急いでいる段階でありますが、とりあえず公害医療に支障のないよう、予算措置を講ずることといたしております。  第三に、助成措置拡充についてであります。公害防止施設は、その助成拡充強化が望まれているところでありますが、明年度においては、公害防止事業団の行なう事業について、金利引き下げを行なうほか、新たに政府出資することとするとともに、業務ワクを広げ、事業対象地域拡大し、集中暖房事業対象に加えるなどの措置を講ずることとしております。  第四に、公害監視測定体制充実についてでありますが、昭和四十三年度においては、引き続き、国設大気汚染測定点の新設、地方のテレメーターの整備等をはかるほか、新たに監視測定機動力整備についても配慮いたすことにしております。  以上申し上げました施策を通じまして、今後公害対策の飛躍的な推進をはかる所存でありますが、私といたしましても、誠意をもって全力をあげて努力する所存でありますので、委員各位におかれましても、よろしく御支援を賜わりますようお願いする次第であります。(拍手
  6. 山崎始男

  7. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 第五十八回通常国会における産業公害対策特別委員会の御審議をいただくに先立ち、通商産業大臣として、所信一端を申し述べたいと存じます。  公害問題は、現在緊急な解決を必要とする国民的課題であり、国としても社会開発の重要な一環として、これが対策に積極的に取り組んでいるところであります。公害問題を解決するためには、何よりも、事態の適確な認識に基づいて、企業も、国も、地方公共団体も、そして住民一体となって対処することが必要でありますが、この基本的姿勢は、第五十五国会成立を見ました公害対策基本法で明らかにされているところであります。  通商産業省といたしましては、今後、この基本法を軸といたしまして、産業及び生産技術の実態に即した実効ある公害対策を一段と積極的に推進する所存でありますが、昭和四十三年度においては、特に次の点に重点を置いてまいる考えであります。  まず第一は、産業公害総合事前調査拡充工業立地適正化対策推進により、公害未然防止することであります。公害対策のうち、通商産業省といたしましては、以前から、未然防止対策が最も効果的であり、かつ、重要な施策であるという考え方のもとに、大規模工業地帯等について、産業公害総合事前調査実施し、その成果に基づいて、適切な公害防止措置企業及び地方公共団体に指導してきております。昭和四十三年度は、この調査地点拡大するなど、その充実をはかることといたしております。  さらに、この対策を一歩進め、無秩序な都市化工業化公害問題激化の重要な一因となっていることにかんがみ、工業立地適正化対策を強力に推進するため、現在工業立地適正化法制定準備中であります。  第二は、公害対策基本法に基づく公害防止計画策定のための調査実施することであります。  公害対策基本法制定に伴い、特定地域につきましては、公害防止計画策定が必要であり、国は、その基本方針策定防止計画の承認を行なうこととなっており、そのための調査昭和四十三年度から開始することといたしております。  第三は、以上の措置とともに、発生源である企業等に対しては、規制措置等を一段と拡充強化する必要があります。  このためには、基本法に基づく環境基準策定を行なうほか、ばい煙規制法工場排水法等に基づき、逐次規制措置強化をはかるとともに、騒音悪臭等規制公害防止対策拡充強化することといたしております。  第四は、亜硫酸ガス自動車排気ガス等による公害問題の根本的解決をはかるため、公害防止技術の立ちおくれを克服することであります。この点につきましては、通商産業省は、これまでも、特に重点を置いてきたところでありますが、四十三年度は、さらに、公害防止技術開発費を大幅に増額し、昭和四十二年度に引き続き、亜硫酸ガス対策としての脱硫技術及び自動車排気ガス防止技術等、抜本的な防止技術開発とその実用化を一そう促進することといたしております。  第五は、ばい煙処理施設排水処理施設等公害防止施設設置促進をはかるため、企業等に対する助成措置拡大強化することであります。この点については、従来から、公害防止事業団、日本開発銀行、中小企業金融公庫中小企業振興事業団低利融資等によって、公害防止施設設置促進をはかっているところであります。  四十三年度は、公害防止事業団事業規模拡大金利引き下げ業務対象地域拡大等をはかるとともに、石油精製業脱硫装置の建設に対し、開銀融資の道を開くことといたしております。  第六は、砂利採取に伴う公害対策強化することであります。近年の山砂利、おか砂利採取増加に伴い、洗浄汚濁水の排出など各種砂利公害が問題となっており、これに対処するため、現在、砂利採取法抜本的改正案準備中であります。  以上申し上げました施策を通じまして、今後公害対策推進をはかる所存でありますが、委員各位におかれましても、一そうの御支援と御協力を賜わりますようお願いする次第であります。(拍手
  8. 山崎始男

  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 最近における経済の目ざましい発展によりまして、国民生活水準は著しい向上を見せております。しかし、人口都市集中産業構造高度化などが急速度に進んでおりますため、住宅、上下水道、交通施設などの整備の立ちおくれが目立つ一方、ばい煙、汚水、騒音などの各種公害が発生し、国民生活向上を妨げる大きな要因となっております。  このような公害問題を解決するためには、都市における過密の弊害の除去、土地利用適正化社会資本充実等を着実に進めていくことが必要であり、政府及び地方公共団体事業者住民の三者が一体となって取り組んでいくことが何よりも重要であると考えます。  国民生活行政を所掌する経済企画庁におきましては、経済成長成果がひとしく国民生活向上に結びつくよう、人間尊重社会開発行政基本とし、公害問題にも対処する所存であります。  次に、公害防止行政一環としての水質保全の問題について申し上げたいと存じます。  経済企画庁といたしましては、従来から、公共用水域水質保全に関する法律に基づく水質調査及び規制水域指定排水基準設定等に鋭意努力してまいりました。すでに約二十水域について排水水質基準設定し、関係各省協力のもとに、その確保につとめておりますが、今後とも水域指定拡充監視態勢強化などにより、水質保全行政の一そうの充実をはかってまいる決意であります。  なお、第五十五回国会公害対策基本法制定されましたが、これに関連いたしまして、環境基準設定規制対象拡大等につき検討を続けているところであります。  本委員会及び委員各位の御鞭撻、御支援をお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  10. 山崎始男

    山崎委員長 公害防止事業団法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。園田厚生大臣。     —————————————   公害防止事業団法の一部を改正する法律案    公害防止事業団法の一部を改正する法律  公害防止事業団法昭和四十年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。  第三条の次に次の一条を加える。  (資本金)第三条の二 事業団資本金は、一億円とし、政  府がその全額出資する。2 政府は、必要があると認めるときは、予算で  定める金額範囲内において、事業団に追加し  て出資することができる。3 事業団は、前項の規定による政府出資があ  つたときは、その出資額により資本金増加す  るものとする。    附 則  この法律は、昭和四十三年四月一日から施行する。     …………………………………      理 由  公害防止事業団業務充実を図るため、同事業団に対し、政府出資することができることとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。     —————————————
  11. 園田直

    園田国務大臣 ただいま議題となりました公害防止事業団法の一部を改正する法律案について、提案理由の御説明申し上げます。  産業活動の急速な発展人口都市集中に伴って発生する公害が、重大なる社会問題となっておりますことは、すでに、御承知のとおりでございます。これら公害問題の解決のためには、企業をはじめ、国、地方公共団体国民一体となって対処しなければならないものであり、政府といたしましても、公害防止に関する諸法令により、環境汚染規制措置を講ずるほか、監視測定体制整備公害防止技術開発等に意を用い、今後もなお一そうこれらの公害対策強化充実をはかり、遺憾なきを期してまいる所存でありますが、企業設置する公害防止施設は、直接的には生産性向上に結びつかないものがあるため、その助成強化拡充が強く望まれているところであります。  公害防止事業団は、昭和四十年に設立され、公害防止施設整備助成し、促進する役割りをになってまいったのでありますが、公害防止のより一そうの推進をはかる施策一環として、同事業団業務について、事業ワクを広げ、利子引き下げを行なうなど、その充実強化をはかることが是非とも必要であると考えられるのであります。  このため、この法律案では、公害防止事業団に、全額政府出資による一億円の資本金を設け、もって事業団強化をはかることといたしております。  なお、政府は、将来必要があると認めるときは、予算で定める金額範囲内において、事業団に追加して出資することができ、かかる場合、事業団は、その出資額により資本金増加するものとすることといたしております。  以上が、この法律案提案する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  12. 山崎始男

    山崎委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  13. 山崎始男

    山崎委員長 引き続き、産業公害対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十三年度産業公害対策関係予算等について、厚生省通商産業省及び経済企画庁から順次説明を聴取いたします。  厚生省武藤公害部長
  14. 武藤き一郎

    武藤説明員 それでは、厚生省関係の四十三年度公害対策予算の御説明をいたします。  お手元にお配りをしてあります資料に基づきまして、順次御説明いたします。  公害防止対策企画等事務費の中では、新しいものといたしましては、基本法に基づきまして、公害白書を提出するようになっておりますが、その関係事務費が百万。それから公害紛争関係調査をいたします百万が新しいものとなっております。  それから公害対策会議等諸費で減になっておりますのは、これは委員手当てを総理府に所管がえいたしました関係で、減になっておる次第でございます。  その次に、還境基準設定費で三百万入っておりますが、これは公害対策基本法に基づきまして、還境基準を定めるに必要な準備費でございます。  それから公害調査研究等強化費でございますが、これはほぼ前年どおり予算になっております。  それから次の、特定地域公害防止計画策定費でございますが、これは公害対策基本法に基づきまして、特定地域公害防止計画を、政府基本方針を示して、都道府県知事策定するわけでございますが、それの来年度事務費でございます。  それから、公害監視測定体制整備費の中で、大気汚染測定網整備運営費がございますが、これは先ほど大臣所信表明の中にありました、いわゆる国設大気汚染測定網整備費でございまして、新しく二カ所分が増設になっております。既存の測定地域は七カ所でございます。  それから、地方公害監視等設備整備費でございますが、これは地方モニタリング整備につきまして、国が補助をいたすわけでございます。昨年度は六カ所の補助個所でございましたが、本年度は二カ所ふえまして八カ所になっております。それから、新しく移動監視測定車整備費補助金が入っております。これは監視測定車にいろいろの機械を積みまして、移動できるような測定体制ができるわけでございます。三の測定機器等設備整備費補助金は、昨年どおりでございます。  次に、公害防止事業団関係でございますが、事務費では一億八千三百万でございますが、この中には、新たに認められました政府出資金の一億と、それから補給金の九百七十万が入っております。財政投融資関係は、五億ふえて五十五億でございます。債務負担行為は七十五億でございましたのが、本年度は九十億に引き上げております。  それから、金利引き下げでございますが、大企業につきましては、共同処理施設につきましては、当初三年間はいままで七分でございましたのを六分七厘五毛に、四年目以降は七分五厘でありましたのを七分に、その他の施設につきましては、四年目以降が七分五厘でありましたのを七分に、というふうに引き下げをはかっております。それから中小企業につきましては、共同処理施設が当初三年間が六分五厘でありましたものを六分に、四年目以降七分でありましたのを六分五厘に、その他の施設につきましては、四年目以降七分でございましたのを六分五厘に引き下げております。  そのほか、現在まで事業対象地域といたしましては、ばい煙規制法指定地域及び水質保全法地域事業対象が限定されておりましたが、その地域ワクをはずしまして、それ以外の地域でも事業ができるようになったことが、第二点でございます。  第三番目には、いわゆる集中暖房につきましても事業ができるようになった点でございます。  最後に、公害医療研究助成補助金というものは、いままで水俣、四日市、阿賀野川等公害医療につきましては、それぞれ補助金なりあるいは研究費等助成を行なってまいりましたが、ここに一括して二千万を計上して、こういう問題について対処できる体制をとったわけでございます。  以上でございます。
  15. 山崎始男

  16. 矢島嗣郎

    矢島説明員 お手元に、産業公害対策予算通産省という縦書きのものがございますが、この資料に基づいて御説明いたします。  一ページには、予算全般を通じておもな柱が六つばかり書いてございます。  昭和四十三年度通産省産業公害対策については、対策基本法に定められた方向で次の点に重点を置いて拡充強化することといたしております。一から六までございますが、第一が「工業立地適正化法制定」、これは基本法についていえば、第十一条の関係でございます。二番目が「産業公害未然防止のための事前調査実施」、これは基本法関係では、第十四条の関係でございます。三番目が「公害対策基本法に基づく公害防止計画策定のための調査実施」、これは基本法についていえば、第十九条の関係でございます。四番目が「大気汚染水質汚濁等防止のための規制措置拡充強化」、これは基本法に即していえば、第十条の関係でございます。五番目が「排煙脱硫重油脱硫等公害防止技術開発促進」、これは基本法に即していえば、第十五条の関係でございます。六番目が先ほど来話のありました「公害防止事業団事業拡充強化等による助成措置強化」、これは基本法に即すれば第二十四条の関係と思われます。  以上がおもな柱でございますが、総額は、そのところにございますように、一般会計二十億四千八百万円で、前年度の十五億何がしに比べますと一・三倍になります。そのうちには、公害防止事業団関係予算も入っております。財政投融資は七十五億円でございます。  二ページにまいりまして、若干各項目について補足説明さしていただきますと、一番目の「工業立地適正化法(仮称)の制定」の関係でございますが、そこに123と書いてございますように、「産業公害及び過密現象の原因となつている無秩序な工業立地調整を行ない、」二番目として「産業公害弊害をおこさずに企業が効率的な操業を行ないうる地区への立地を積極的に誘導するとともに、」「産業公害等弊害が著しい地区からの企業の分散を強力に推進する。」、これが法律の要旨でございますが、そのための準備費施行費調査費等がここに掲げられている金額でございます。  二番目が先ほど申し上げました「産業公害未然防止のための事前調査実施」で、大臣所信表明にも強調してあるとおりでございまして、これは通産省といたしましてはすでに四十年度からやっておりまして、四年目に相なる次第で、地区も毎年一地域ぐらいずつ、ここにありますようにふえている。たとえばそこに左のほうに書いてございますように、大気関係であれば、カッコ内は前年度の五地域でございますが、来年度も一地域ふやす、逐年少しずつふやしておりまして、着実な成果をあげつつある次第でございます。  三番目が「公害対策基本法に基づく公害防止計画策定のための調査実施」、これは一千百万円、これは新たにいよいよ防止計画もつくらなきゃならぬというので、千百万がついております。  それから四番目が「公害防止対策拡充」で、これは従来から引き続きまして、公害に関するいろいろな規制をやっておる関係で、その関係事務費等がおもでございます。さらにこれの規制強化いたすとともに、映画等による啓蒙宣伝あるいは未規制公害である騒音悪臭、振動というものの防止についての調査費その他が計上されております。  四ページにまいりまして、五の「砂利採取に伴う公害防止対策強化」、これも大臣所信表明にございましたように、砂利採取法提案いたしますので、その施行費の一部でございます。  六番目が「産業公害防止技術開発」、これも冒頭の柱で、基本法十五条の関係施策でございますが、この六つ、七つあるいろいろな通産省予算の中で最も重点を置いておるところでございまして、金額も多いし、内容的にも、公害対策としては一番前向きの抜本的な対策であると、私どもは確信しておる次第でございますが、総額十三億八百万円で、前年度に比べまして相当額増加を来たしております。おもなところは、そこにあります大型工業技術研究開発費、いわゆる大型プロジェクト関係でございまして、七億八千万ばかりでございます。それからそれ以外の、大型プロジェクト対象でないその他のもろもろの公害防止技術、その関係が、試験所特別研究費等で五億二千万でございます。その大型プロジェクトは、その左から三行目に書いておりますように、排煙脱硫重油脱硫の二つがおもでございまして、これは当委員会におきましても御決議をいただきまして、早急に開発を完了するように御指導いただいておるわけでございますが、ほぼその予算によりまして、予定どおり開発が完成すると思います。たとえば排煙脱硫は二カ所でやっておりますが、一つは今年末、もう一つは来年半ばには完成して、早急にこれを火力発電所等に据えつけて、公害亜硫酸ガス対策に資したいと思うものでございます。そのほか、自動車安全公害研究センターによって、排気ガス研究、たとえば全然排気ガスの出ない自動車、曲るいは燃料電池、そのガソリンを使わないで燃料電池でやることによって、抜本的な排気ガス対策をやるというようなことの研究費が、この中に含まれておるわけでございます。  七番目の「公害防止事業団事業拡充強化」は、ただいま厚生省のほうから詳細な説明がございましたので、内容は全く同じでございますので、省略いたします。  六ページにまいりまして、「開銀等金融上の助成措置拡充」といたしまして、日本開発銀行のワクがございますが、大部分、来年度からは公害防止事業団のほうに統一するようにいたしておるので、金額といたしましては減っております。先ほど申し上げました重油脱硫が逐次開発されておるので、それに対する開発銀行の融資というものを、新たに一般ワクでもって行なうことになっておる点が新しい問題でございます。中小企業金融公庫につきまして十億、それから中小企業振興事業団で約三億円の出資になっております。  あと、こまかい点が横書きの表にありますが、これは省略させていただきます。  以上であります。
  17. 山崎始男

  18. 今泉一郎

    ○今泉政府委員 経済企画庁関係の四十三年度公害関係予算につきまして、御説明申し上げます。  第一番目には、水質保全のための経費でございますが、これは全体といたしまして水質調査であります。これに規制設定する、いわゆる水質基準設定する、そういうための調査並びに事務費関係でございます。一の項目にございますように、全体の経費といたしましては昨年度が補正後三千八百万円余り、これに対しまして本年度総額が四千二百六十万一千円となっておりまして、大体二%の増加と相なっております。内訳はここに書いてございますように、水質審議会の経費、これは御承知のように、経済企画庁長官の諮問にこたえて、水質規制についての重要問題を協議していただく諮問機関でございます。これの運営経費でございます。次に、二番目の水質保全事務費、これは水質調査事務の指導監督等に要する事務費でございます。三番目が、いわゆる調査費でございまして、これは指定水域指定あるいは水質基準設定のために、都道府県または国の各種の出先機関に調査をお願いする、そのための経費でございまして、昨年度に対しまして一四%強の増加と相なっております。四番目は、水質紛争仲介事務費、これは各都道府県に仲介員を、名簿を設けまして、有事の際には、その仲介事務を行なっていただく、このための運営経費でございます。  なお、経済企画庁といたしましては、地盤沈下対策に必要な経費を計上しております。これは御承知のように、地盤沈下につきまして、経済企画庁長官並びに関係主務大臣の諮問にこたえて、地盤沈下に関する重要問題を御審議いただくために、地盤沈下対策審議会を設けておりますが、これにつきましても、前年同様の運営経費を計上してあります。  以上でございます。
  19. 山崎始男

    山崎委員長 この際、公害防止事業団事業概要について、参考人理事長から説明を聴取いたします。公害防止事業団理事長。
  20. 原文兵衛

    ○原参考人 公害防止事業団理事長の原文兵衛でございます。  お手元に、「公害防止事業団事業について」というガリ版の横書きの書類を差し上げてございます。これに基づきまして、公害防止事業団事業について御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、国の公害防止施設に対する助成促進一端をになう機関といたしまして、公害防止事業団は、一昨々年、昭和四十年十月に設立されまして、設立以後現在までの事業実施状況について申し上げますと、一ページにありますように、造成建設事業で百二十七億一千四百万、貸し付け事業で三十六億四千九百万となっております。この造成建設事業のうちには、別表にありますように、継続事業で四十三年度以降実施する分も含んでおるのでございます。  四ページ以降に別表がございまして、現在までにやりました事業がここに書いてございますが、概要を申し上げたいと思います。  この別表によりまして御説明申し上げますと、造成建設事業と融資事業になっております。  造成建設事業は、公害防止事業団法によりまして四つの事業をいたすことになっております。その第一は、共同公害防止施設の建設譲渡でございますが、これにつきましては、三重県の四日市市の排水処理施設、日本合成ゴム外三社の共同の排水処理施設を建設することになっております。  それから共同利用建物。共同利用建物と申しますのは、公害防止施設の完備した工場アパートのことでございますが、これは現在までに神戸の第一次のゴム工場アパート、神戸の第二次のゴム工場アパート、これはゴムぐつ製造の中小企業でございます。これらの工場アパートが完成しております。また、東京の葛飾区の葛飾メッキ工場アパート、これが完成いたしました。  次に工場移転用地と申しますのは、主として町中にありまする騒音あるいは粉じん等を出します町工場を、住家から離れた埋め立て地その他に移転させるいわゆる工場の移転団地の造成でございますが、ここにございますように、四十一年度におきまして、大阪の岸和田の埋め立て地にできました大阪鉄工団地造成、これが完成しております。  それから、その次の共同福利施設と申しますのは、工業地帯と住宅、商業地帯の間に緩衝緑地を設ける。その緩衝緑地の中には競技場あるいは野球易というような、住民も工場従業員もともに利用できるところの福利施設、運動施設等を併置したものでございます。これは千葉県の市原市、三重県の四日市市、また大阪府の埋め立て地の泉北一区というところに、この緩衝緑地、共同福利施設の造成をいたしております。  次に、四十二年度におきましては、ただいま申し上げました共同公害防止施設につきまして、これはまだ予定でございますが、兵庫県の西脇の染色工場の共同排水処理施設が予定されております。  また工場アパートにつきましては、神戸のゴム工場の第三次アパートが予定されております。それから宮城県塩釜の水産物加工工場、主としてかまぼこ製造でございますが、この排水が松島港に流れまして、ノリの栽培、カキの養殖等にたいへんな被害を及ぼしておりますが、それを集めまして、その排水処理を完備したものにするというのが、塩釜の水産物加工工場アパートでございます。これも契約が済んでおります。  それから工場移転用地、先ほど申し上げました騒音工場その他の移転団地でございますが、大阪府の岸和田の埋め立て地に設けます大阪鉄工団地造成工事第二次分が現在造成中でございます。そのほか、大阪府の枚方の鉄工塗装団地、東京の羽田の埋め立て地に設けまする羽田鉄工団地、東京の八王子市の郊外に設けまする繊維工業の団地、新潟県の燕市の郊外に設けます金属洋食器移転団地、兵庫県尼崎に設けまする油脂化学工業の団地、それから緩衝緑地といたしましては、兵庫県赤穂地区に設けまする共同福利施設、以上のようなことでございまして、四十一年度、四十二年度合計しまして、十八カ所、百二十七億一千四百十万という事業をいままでにしておるのでございます。  貸し付け事業につきましては、その六ページ、七ページ、八ページにございますように、現在まで三十四件——これは大企業中小企業合わせてでございますが、三十四件、三十億二千五百三十万の貸し付け事業実施しております。  以上が、いままでに行ないました事業でございますが、次に一ページに戻りまして、昭和四十三年度予算等について、先ほど厚生省御当局から御説明がありましたので、重複もいたしまするけれども、一応御説明申し上げたいと思います。  四十三年度事業計画は、その特徴としては事業規模拡大でございますけれども、建設事業としての共同公害防止施設につきまして二億、共同利用建物、すなわち工場アパートにつきまして四億九千万、工場移転用地につきまして三十六億七千一百万、共同福利施設すなわち緩衝緑地について二十四億三千九百万というのが予定でございます。これは、この細分は予定でございまして、私どものほうの事業団事業と申しますのは、先行投資的に先行造成するわけでございませんので、譲渡の相手方がきまりまして、そこと契約ができてから造成するようになっておりますので、この予定はやはり若干変更されるという可能性はあるのでございます。四十三年度の貸し付け事業は二十二億予定しておりまして、合計でもって、事業費のワクが九十億ということになっております。実はこの九十億というのは、四十三年度中に契約をしてよろしいというワクでございまして、それに要する資金額は先ほど御説明がございましたけれども、総額で六十六億ということになっております。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、契約ができてから造成にかかるものでございますから、その契約の時期が年度末近くになりますと、資金はそれほど使い切れない、翌年に資金の支払いが回るというようなことで、資金額に比べて契約をしてよろしいというワクがそれだけ上回っているということになる次第でございます。  それから二番目に、政府出資金が一般会計から一億認められる予定になっております。これは、当事業団は設立当初、政府資金のない事業団として、政府資金がなかったのでございますが、四十三年度以降、当事業団事業拡充の意味におきまして、出資金を認められることになったわけでございます。  次に、政府補給金九百七十万というのは、これは利子補給でございまして、事業団事業は、財投のお金を六分五厘の金利で借りてきて、事業し、あるいは融資をする、こういうことになっておるのでございますが、やはりその公害防止施設というのは、生産に直結しないというような意味合いもありまして、企業、特に中小企業等におきましては、よほど低利、長期の融資、あるいはそういう仕組みの金融でないとなかなか受け入れ切れない。したがって、公害防止施設推進もすみやかにいかないというようなこともありまして、私どものほうといたしましても、やはり金利はできるだけ安くすべきではないかと考えておるのでございますが、その点、四十三年度におきまして、金利引き下げが若干認められたわけでございます。すなわち先ほども御説明がございましたけれども、もう一度繰り返しますと、中小企業及び地方公共団体に対しましては、いままでは、年賦の金利のうち当初三年間が六分五厘で、それ以後七分でございましたのが、当初三年間だけでなく、年賦期間中引き続き六分五厘ということになりました。ただ先ほど申した四つの事業のうちの共同公害防止施設といたしましては、特になかなか進まない仕事でもあるし、また重要な仕事でもあるということで、一般の中小企業地方公共団体六分五厘よりもさらに当初三年間だけは六分にする、こういう金利引き下げが行なわれました。大企業につきましては、いままで当初三年が七分、それ以後七分五厘でございましたのを、まあ四年目以降も七分に据え置く、ただ大企業につきましても、共同公害防止施設は、中小企業と同じような意味合いにおいて、ただ中小企業よりもやや差をつけまして、当初三年間六分七厘五毛、こういうような金利になったわけでございます。したがいまして、少なくともこの共同公害防止施設につきましては、当初三年間、中小企業及び地方公共団体について六分、大企業について六分七厘五毛というようなことに相なりますので、逆ざやになります。六分五厘で財投の金を借りてくる場合に、逆ざやになりますので、その利子補給金として六百七十万が認められるようになったわけでございます。  その次の二ページの一番最後に書いておりまする緩衝緑地、共同福利施設すなわち緩衝緑地の建設補助金二億五千万と申しますのは、これは企業が緩衝緑地建設費の一部を負担する場合に、これだけの額の国庫補助を行なうということで、建設省の予算でもって計上されているわけでございます。  そのほか、公害防止施設助成推進の意味におきまして、五番目に、三ページの5に掲げてありますように、業務対象地域が、先ほど来御説明がありましたように、いままでは指定地域に限定されておりましたが、これからはその地域制限を撤廃する、四十三年度から撤廃するということに相なります。  また業務対象事業も、いま札幌市で一応計画されつつありますが、いわゆる集中暖房というような事業につきましても、当事業団の融資対象とすることができるというようなぐあいになったわけでございます。  以上のように、公害対策基本法がすでに制定され、またそれに基づく実施法が今後整備されようとしているわけでございます。公害防止事業団といたしましても、公害問題の重要性にかんがみまして、今後さらに一そうの努力をして、この事業推進してまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしく御協力、御支援のほどをお願いしておきます。  簡単でございますが、事業について御説明いたしました。  失礼いたしました。私が先ほど利子補給金の額を、二ページの3でございますが、政府補給金六百七十万と申し上げたかと思いますが、そうでしたら間違いで、ここに書いてございますように、九百七十万でございますので、訂正しておきます。失礼いたしました。
  21. 山崎始男

    山崎委員長 本日は、これにて散会いたします。    午前十時二十六分散会