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熊谷委員 私は
災害地から昨日帰ってまいりまして、まだ感触になまなましいものを
感じながら、今度の
災害のポイントについて質問をいたしたいと思います。
今度の
地震の
中心地は、
十勝沖地震と銘打たれておりますが、実際上から言いますと、
青森県の
八戸市が
中心になっておりまして、このことは
あとで
災害の
概況を申し上げますが、そのことによっても明らかなごとく、むしろ
八戸沖地震災害とも称すべきものだ、こういうふうに思うわけでございます。
たとえば、今度の
災害について、ただいま
政府から
報告のありました
死者、行くえ
不明者全国で四十九名、こうなっておりますが、
青森県においてはその中で四十五名、四十九名中
青森県が四十五名、その
青森県の四十五名の中で、さらに
八戸市
周辺を含めまして二十八名、こういう
死者行くえ
不明者の数でございます。この事実、また
政府の
報告によりますと、二十日現在で二百三十億、こう言っておりますが、五月二十日の午前九時の
青森県の
調査申告によると二百三十億、
青森県だけで二百三十億、さらに
農業災害につきまして、二十日の午後五時に到着いたしました
調査がプラス十五億となって、四十五億ということになっておりますので、この時点におきまして、
青森県だけで二百四十五億こういうような巨額に達しておるわけでございます。そうしたようなことでございますので、今後の
政府の
調査あるいは当
委員会の
現地調査等にあたりましても、その
中心地である
八戸市を
中心に
青森県全域というよりも、
青森市
以南地域、これを
中心にひとつ見てもらいたい、
調査の徹底を期してもらいたい、こういうことをまずもってお願いしたい、こう思うのでございます。
特に、今度の
災害について特筆されなければならないことは、
農地災害の多いことでございます。
死者、行くえ
不明者、これの大
部分が
農業者でございまして、しかも時期が
田植え時期でございますので、その
田植えの作業中に、たんぼで山くずれにあって、その下敷きになって倒れているという痛ましい事実が数々重なっておるわけでございます。しかも
余震がまだ続いておりまして、昨日も震度三というような
余震がまだ続いておりまして、しかも今度の
農地災害を多くしました
関係は、
八戸市
周辺の丘陵的な丘からする
地すべり、
現地では山津波と言っておりますが、これがなお続いておる、亀裂が次々に広くなっていっている、鳴動を伴っているというようなことで、部落は
総ぐるみ避難命令を受けて、全部避難しているというような
実情にございます。いつまでこの
余震が続くかというようなことで、
田植えなどには手もつかないというようなことが、この
被災地域の
農業者の
実情でございます。この
状況をまのあたり見ながら、これに対する
対策は何としても公共的な手によってするのでなければ、力の弱い
百姓農家、そうしてまた町村の手においては負い切れない、こうした
感じが強くいたしますし、また
農家のその
地域の者からしますと、日ごろ
自衛隊にたよっているというような
実情もございまして、
自衛隊の手によって、つぶれた農道、
水路等の
回復を少しでも早くという声が高いのでございます。ところが
自衛隊は
鉄道災害のために動員されまして、そうした
農地災害等に対する
措置に回す
員数がないというような、
地域の
現状でもあったわけでございます。この点については、今後さらにそうした全体的な
対策と関連して、
自衛隊の
動員対策について、大局的な、また大量的な手を打ってもらわなければならないという
感じを深くいたしたわけでございます。
さらに、
農地災害のそうしたような
実情に続きまして、今度の
災害の特徴といたしまするところは、小
災害が広範にわたっている。
住家のごときは、ほとんど軒並みといっていいほどの
被害を受けている。常識的にはたいしたことはあるまいというように外見から見て、中に入るともう家具の類や何かはめちゃめちゃだ。
商店におきましては、店舗の
災害のほかに商品の
災害、
在庫等の
被害等おびただしいものがあるわけでございまして、
中小企業者の
被害というものは
相当額に達しておりますが、その範囲があまりにも広いというような
実情からしまして、
調査がまだ行き届いておらない。したがって、今後なお
被害額は
相当額出てくるであろうということが予測される
状態にあるわけでございます。
住宅についての
対策——しかも
地すべりが続いておりまして、
避難命令を受けておる
世帯が三百
世帯以上をこえておるわけでございますが、この
避難命令をいつ解除するかということにつきましては、
余震が続き、
地すべりが続き、地割れが続いている間は、どうしても
避難命令の解除をすることは、
市町村長はできない、こういうのが
現地の
実情でございまして、これに対しては、科学的な
調査によって、
人心の安定をはかる等の徹底した
調査の上で、かくかくの理由によって不安がないというようなことを打ち出さない限りは、この不安は解消されない、こうした
実情にあるのでございます。
さらに問題は、
木村長官は先ほど、
災害対策の
中心は何としても
人心の安定であり、
行政に
信頼を持たせるということでなければならないというようなことを言っております。
人心の安定のために、また
行政に
信頼を持たせるために、そのとおりでございますが、実際問題としましては、なかなかにそうしたようなことには運んでおらないというのが実相であるわけでございます。たとえば、けさの
新聞報道を見ましても、
官房長官の談として、
激甚災の
適用は無理だとかなんとかというような、
現地の
罹災者を失望させるような言が報道されておるわけでございます。自民党は
政府に対して、
激甚災の
適用について配慮すべきである、こういうような申し入れをしたと報道されているのとまさに対称的なものを見るわけでございますが、私は、この五十名にのぼる
死傷者、特に
八戸市を
中心に三十名にのぼっている
死者、行くえ
不明者、それと過去の各地の
災害を考えまして、近い例としまして、
新潟地震災害の
死傷者等と比べてみましても、これがどうして
激甚災に
指定ができないのかということを常識的に怪しむのでございます。しかも、社会的、経済的な影響が少ないとかなんとかというようなこともいわれておりますけれども、たとえば
通信の面からしますと、
青森県の
甲地村に
マイクロウェーブの
中継地があるのでございますが、これが今度の
地震でことごとく
自家発電の
施設までやられてしまった。そのために、
北海道と本土との
通信は全部途絶した、こうしたようなことによる道民の
不安等を考え、また
東京から
北海道までのそれも、
甲地村の
マイクロウェーブ中継施設の破壊によって全部不可能になった、こうしたような事実、また
鉄道交通におきましても、
東北本線のあの不通、しかも
復旧についてはまだ予測もつかないというような
状況等を考え、またさらに、この
災害の
中心であります
八戸は
漁業の基地でございまして、年間三十二万トンの水揚げがあるわけでございますが、その大
部分が
大衆魚である。したがって
一般都民をはじめ関西まで及んでいるわけでございますが、
大衆魚の供給に対して非常な不安を与えるような
魚市場施設が破壊されているというような事実、また
港湾の防波堤が三百メートルにわたって倒壊し決壊している、こういうようなこと等を考えまして、社会的不安に通じ、また経済上からしましても、
新産地域の
八戸の諸
工場が全部
工場運営をストップしているというような
状況でございます。こうしたようなこと等を考えますときに、どうして
激甚災の
適用が不可能なのかということについて、この点、
政府の基本的な考え方をお伺いしたいと思うわけでございます。
しかも、今後に残されている問題は、つゆ時期が今後に続くわけでございます。一例を
東北本線の
災害復旧の
関係について見ましても、実は
新聞にも報道されておりますように、
地震の前に長雨がございまして、その長雨のために、
東北本線の一部が不通になった、それが
地震で追い打ちをかけられている、こういうようなことが事実でございます。そうすると、
地震がなくても、長雨だけでも起きる
災害だということが考えられるわけでございまして、今後に続くつゆ時期の雨の追い打ちを考えますときに、さらに再び
災害が起きないということは断じて言えないわけでございます。むしろ
地震災害の前に起きた長雨のための
災害による
鉄道の不通、それが今後とも起きるであろうということを予想するということが正当性があるんじゃないか、こうしたようにも考えられるわけでございます。
しかも、こうしたような今度の
災害を通じて考えますことは、チリ津波
対策として
港湾施設に防潮堤がずばりと先行投資的に
施設されたわけでございますが、それが今度の
災害をきわめて軽微にさせた大きな導因にもなっている。したがって先行投資的ないわゆる
公共施設についてのそれは、何としても徹底的な
施設施策として行なわれなければならないということを痛感いたしたわけでございます。
そうしたようなこと等を考えまして、今度の
災害が
激甚災の
適用いまだしというようなことは、むしろこっけい千万だとさえ私には
感じられるわけでございます。
人心の安定のためにも、また
行政に
信頼を持たせるということのためにも、
激甚災の
適用に断固踏み切って、そして各面にわたる
災害復旧に対して、時間的に早い
措置をとるべきだということを考えるわけであります。
以上、時間の
関係もございますので、この程度にとどめまして、以上につきまして、結論的には、
政府は断固として
激甚災の
適用に踏み切るべきだということを強く主張し、これに対する
政府の見解を伺いたいと思うわけでございます。