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1968-04-24 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十四日(水曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 井原 岸高君 理事 池田 清志君    理事 稻葉  修君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 川村 継義君    理事 永井勝次郎君       小澤 太郎君    小山 長規君       橋口  隆君    藤本 孝雄君       水野  清君    渡辺  肇君       金丸 徳重君    兒玉 末男君       田原 春次君    平等 文成君       村山 喜一君    森  義視君       小沢 貞孝君    正木 良明君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         農林省園芸局長 黒河内 修君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         大蔵省銀行局特         別金融課長   小宮  保君         国税庁直税部審         理課長     大塚 俊二君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 赤穴  博君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局統計調査部作         物統計課長   雑賀 忠蔵君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         中小企業庁計画         部金融課長   井川  博君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         建設大臣官房建         設機械課長   圷   質君         建設省河川局砂         防部長     木村 正昭君         建設省道路局道         路総務課長   川田 陽吉君         建設省住宅局住         宅総務課長   白川 英留君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君     ————————————— 四月二十四日  委員山口敏夫君、井上普方君、唐橋東君、折小  野良一君及び小川新一郎辞任につき、その補  欠として小山長規君、村山喜一君、田原春次  君、小沢貞孝君及び正木良明君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員小山長規君及び村山喜一辞任につき、そ  の補欠として山口敏夫君及び井上普方君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  南九州えび地震による災害対策  昭和四十三年二月の異常降雪等による災害対策  昭和四十三年一月以降の豪雪による災害対策      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、南九州えび地震による災害対策昭和四十三年二月の異常降雪等による災害対策、及び昭和四十三年一月以降の豪雪による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  まず、先般政府に設置せられましたえびの吉松地区地震対策連絡協議会において検討を進めている諸般の措置についての経緯等、並びに政府調査団現地調査の結果について説明を聴取することといたします。田中総理府総務長官
  3. 田中龍夫

    田中国務大臣 えびの吉松地区地震総合技術調査団報告につきましては、先般その中間報告をいたしたところでございますが、今回最終報告書が提出されましたので、一応要約を作成いたしまして、お手元に配付いたしてございます。  報告の主要な点を申し上げますると、まず地質班でございますが、第一に、被災地域地質は主としてシラスでございまして、非常に崩壊しやすいものでありますので、今後降雨等によりまする崩壊地拡大新生が起こります危険性がありますこと。  第二には、地震対策のための地質構造に関する調査研究といたしまして、当面、地表地質坑井地質調査研究及び物理探査地化学探査によりまする調査研究が必要でございます。  次に、建築物班でございますが、この報告は、第一に、今回の大被害の原因は、建築物構造上耐震的な考慮がほとんど払われていないことによるものでございますので、今後この程度地震に対しましては、構造工法が適切でさえございますれば、十分に耐震的なものとすることが可能である。  第二には、急傾斜地の崩壊、落石の危険のありまする建築物は、移転等の手段をすみやかに考慮する必要があるということ。  第三には、特に災害の大きい小中学校の木造校舎につきましては、補修の不適当なものもありますし、この際鉄筋コンクリートづくりへの改築を考慮すべきである、かような報告でございます。  次に、治山砂防班におきましては、まず第一に、山くずれによりまして、崩土山脚、山腹に堆積いたしておりまして、また多数の地割れが生じておりますので、今後の降雨によりまする崩壊新生やら拡大注意をいたしまするとともに、早急に治山工事砂防工事を実施いたす必要がある。  次に、総合調査班の結論でございますが、震度程度地震発生は今後も考えられますので、十分注意をいたす必要がある。  大体報告は以上でございますが、これらの点につきましては、現在関係省庁におきましてさらに検討いたし、今後の措置を進めていくことといたしております。  次は、この災害状況に対します政府対策でございます。えびの吉松地区地震によりまする被害状況につきましては、この委員会におきまして御説明もあったようでございますが、その後四月九日の閣議決定をもちまして地震対策連絡協議会が設置せられ、このたび同協議会におきましてえびの吉松地区地震によりまする被害状況政府対策につきましての資料を取りまとめて、お手元に配付いたしたところでございます。  えびの吉松地区地震によります被害は、一般被害は、死者三名、負傷者四十六名、住家全壊三百八十六棟、同半壊八百五十一棟、同一部破損三千二百二棟でございました。施設等被害は、公共土木施設約九億四千万円、公立学校施設約二億二千万円、農地農業用施設約五億四千万円等、総計四十六億六千万円程度にのぼっております。  こういった災害に対しまして、各省庁におかれまして現在まで各般の措置がとられておるところであり、その詳細は同資料に記載してあるとおりでございますが、そのおもなものにつきまして若干申し上げます。  まず、地震対策連絡協議会についてでありますが、同協議会は、去る四月十五日第一回会合を開催いたし、これまでに各省庁がとりました措置及び今後政府のとるべき措置検討協議をいたしました。  次に、警備救助活動関係につきましては、関係各県の警察官延べ約五千五百人、陸上自衛隊員延べ約五千二百人、えびの吉松地区地元消防団員が連日約五百人出動する等して、被災者救助給水炊事支援等活動に当たり、現在も引き続きまして警戒等に当たっております。  次に災害救助関係につきましては、えびの町及び吉松町に災害救助法適用し、避難所応急仮設住宅設置建設、たき出し、給水医療等救助を行なっております。  なお、被害を受けました水道施設につきましては、三月八日に応急復旧を完成いたしましたが、その後再度罹災をいたしましたので、現在鋭意これが復旧につとめております。  次に、住宅対策につきましては、災害公営住宅五十八戸の建設を予定いたし、このほか住宅金融公庫からの融資も行なっております。  次に、文教施設対策につきましては、鉄筋コンクリートづくり校舎に改良復旧すること等を予定いたしております。  次に、公共土木施設等復旧に関しましては、河川道路砂防設備等公共土木施設農地農業用施設荒廃林地等のうち緊急に復旧を要しまするものにつきましては、すでに査定を完了する等復旧の促進につとめております。  次に、財政金融対策につきましては、国税の申告、納付等の期限の延長及び減免、災害融資資金運用部短期資金融通等措置を講じております。また、特別交付税等財源措置につきましては、各省におきまする施策とも照応いたしながら、諸事情を勘案いたしまして、措置することといたしております。  政府といたしましては、これらの諸対策につきまして、連絡協議会を円滑に運営いたし、今後ともにこれが推進に鋭意努力する所存でございます。     —————————————
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 総務長官がお時間がないそうでございますから、まとめの役をされておる長官一言御質問いたします。  この災害発生以来、地元宮崎鹿児島県の関係機関が終始一貫主張してまいりまして、また、お願いしてまいったことは、今回のこの災害に対して、激甚法適用なりまたは財政上における特別措置ということを強く要望してまいっております。ところが、いまだにその適用については明らかにされないわけでありますけれども、いま長官概況報告の中にもございましたとおり、関係機関との対策連絡協議会を設置されましたことについては、心から敬意を表するわけでありますが、問題は、農地にいたしましても、あるいは住宅にいたしましても、公共関係施設復旧にいたしましても、その進捗というのがばらばらな状態であり、特に農地なり個人住宅等災害については、その復旧の見通しにおいても全くその方向すらきまらないような状況にあるのが現実であります。一昨日も地元から、たくさんの関係者が上京されまして、実に涙ぐましい要請を受けておるわけでございますが、昨年の十月から十一月の間のいわゆる休会中の審査に行なわれました当委員会におきましても、特に激甚法適用基準については、これを検討すべきであるということが附帯決議の中で明らかにされております。この点、前回の当委員会においても、私は強く主張いたしておるわけでございますが、やはり各地の災害におきまして、激甚法指定適用ということが常にどの地区において強調されていることは、やはりこの適用基準を早急に改定する段階に私は来ているものと判断するわけでございますが、この点について、特に長官の御所見を承りたいと存じます。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 罹災されました地元各位のお気持ちから申すならば、ほんとうにただいまお話しのとおりであろうと存じます。何しろ罹災されました各位におかれましては、住むに家なく、また惨たんたる惨状をまのあたりにごらんになっておられますと、当然さようなお気持ちは考えられると存じますが、他方また、激甚災害指定の問題に相なりますと、いままで激甚災害なるものがこういうふうな局所的な災害ではございませんで、相当広範囲にわたりまする大被害対象にばかり考えてまいっておるのでございます。これはまあ災害性質がこういうふうなごく限られた小地区に非常な災害をこうむったという例は珍しいんでございまして、さようなことから申しまして、相当な広い範囲ばかりが対象になっておる。ただいまのお説は、この激甚法指定の問題で、激甚法が予定しなかったようなかような対象に対して、やはり激甚法をひとつ考え直してみる必要があるんじゃないかという御意見であると存じます。激甚法自体適用ということになりますと、現行法制上におきましては、これはなかなか対象になりにくいということは、しばしば申し上げたとおりでございます。非常な小範囲ではあるが、非常な惨たんたる被害を受けたかような場所に対して、激甚法それ自体法改正ということを御考慮に相なる場合は、これはまた別な観点から問題が扱われますが、しかし、現行激甚法適用ということになりますと、非常にお気の毒ではございまするが、すぐには当てはめにくいということだけは申し上げておきます。
  7. 芳賀貢

  8. 小山長規

    小山(長)委員 一言いまのに関連して質問いたしたいと思いますが、激甚法の現在のたてまえからいって、小範囲のものに適用できないことはわれわれも了解しております。将来の問題としては当然改正しなければならぬと思いますけれども、現況では激甚法適用できないだろう。しかし国会において総理みずからが激甚法に準ずる取り扱いをする、こう言われておる。とするならば、取りまとめ官庁である総務長官においても、激甚法に準ずる取り扱いとは具体的に何だということは、もうすでにその腹案があるはずだと思いますが、それについてひとつ腹案をお示し願いたい。
  9. 田中龍夫

    田中国務大臣 激甚法に準ずるという総理の御答弁に対しまして、しからば、行政当局激甚法指定外のケースにつきまして激甚法同様の高率補助適用をいたすということはなかなかむずかしいのではないか、かように考えます。問題は特別交付金等々によりまして、その財政措置激甚法によってなされるであろうところと、普通災害との間の穴埋めと申しますか、補てんをいたす以外には交付金によって調整する以外には方法がないのではないか。小山先生のほうが、御専門でございますが、私の類推する範囲におきましては、さように報告を受け、考えておるわけでございます。
  10. 小山長規

    小山(長)委員 しかし、結果において特別交付税でというお話はわからぬではありません。わからぬではありませんが、特別交付税で処置するという前提がきまっておらないと、一体県は幾ら負担したらいいのか、町村は一体幾ら負担したらいいのかということがわからぬ。特別交付税であとで始末してもらえるというなら、そのつもりで予算も組みまするし、あるいは設計もいたしまするし、するのであります。最後には国が特別交付税その他で見てくれるというその額が、率が一体幾らになるのかということがわかっていないと、第一、設計をつくることができない、どのような規模の復旧をするのか、その設計はどうなるのか、その設計自体がきまりませんから、そうなれば応急復旧工事をやろうとしても、あるいは恒久的な工事をやろうとしても、注文を出すことはできない。そうなってくれば、田植えの時期が迫っておるし、特にあの地帯シラス地帯でありますから、この梅雨期になりますと、あの地震でくずれた山は当然崩壊を起こします。崩壊すれば、それがまた水路を埋めまするし、田畑を埋めてしまう。そのことを防ぐためには、このつゆどきに入らない前に恒久的な工事をしなければならぬはずであります。ところが負担割合がきまっておらなければ、町村財政からいっても、県の財政からいっても、とうてい膨大な負担はできないはずなんであるから、そうすると、一体どうしたらいいのだろうかと、お互いに腹探りをしている間にどんどん日時はたってしまう。ですから、政府としてはその点の決断をまずしてもらう必要がある。  それからもう一つは、お急ぎのようでありますから続いて申し上げますが、たとえば激甚法の場合には、住宅損壊にいたしましても二分の一の補助があるのですね。松代地震の場合には国有林の払い下げをやって、そしてそれで補強工事をやったはずです。この場合にどうしてそれがやれないのか。松代地震えびの地震とは性質が違うというような言い方をされますけれども、しかし現実にはその様相は全く同じである。そうすれば、いままだ震度三とか四とかというものがしょっちゅう来ている現状において、これ以上の住宅損壊を防ごうとするならば、木材補強をするということが当然あってしかるべきだと思うのであります。それだけの能力はとても住民にはありません。住民の家屋の被害だけでも、鹿児島宮崎両方合わせてでありますが、三億八千万円くらいの住宅被害がある。そういうものの補強に要する木材の支給ぐらいは当然林野庁あたり連絡をとられて、そしてその復旧を考えるべきではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  11. 田中龍夫

    田中国務大臣 この報告にもございますように、なお地すべりの危険もある。また現地に参りました副長官報告にも、山の尾根のほうに亀裂が入っておって、それが降雨によって新しく崩壊するような懸念もある。またこの報告の中にも、さらに移転等の問題も考えるべきだというふうなのが出ております。ただいま小山先生お話しのごとき問題は、当然この協議会によりましてすみやかに具体的に、計画のみならず、応急措置を次から次にいたさなくちゃならないものだ、かように考えます。松代方式等につきましても、協議会におきまして検討してもらいたい、かように考えます。
  12. 小山長規

    小山(長)委員 私が特に希望したいことは、総務長官がせっかく窓口になって取りまとめられていらっしゃるのですから、各省報告を受けて、それをわれわれに報告するような態度でなしに、総務長官としてむしろ積極的に各省指導してほしいわけなんです。松代地震の場合にはこういうことができたのだから、こういうことができないはずはないじゃないかというふうに指導してほしいことを特にお願いしておきたいわけです。
  13. 田中龍夫

    田中国務大臣 おっしゃるとおり、対策協議会本部長でもございます。私の役所の責任におきまして積極的に推進をいたしたい、かように考えます。  実は本会議のほうのあれがありますので……。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 最初に農林省関係にお伺いしたいわけでございますが、御承知のとおり、県からの資料等によりますと、農地関係あるいは施設関係におきましても、災害復旧に関する状況を見てみますと、大体復旧事業費の全体が五七%ということが報告をされておるわけであります。現に鹿児島県の場合におきましては、地元吉松町のほうで三割五分に適用する関係予算を町で予算化しまして、そして復旧に真剣に取り組んでいる。この点、当然来年度の特別交付税をその引き当てとしての予算措置であろうかと思うのですが、その点宮崎県はまだそういう措置がとられていないやに聞いておるわけでございます。特に田植え時期を控えましての農地並びに関係施設復旧ということはきわめて緊急を要する課題でありますが、この辺農林省としてはどういうふうな指導なり、また措置を講じられようとしているのか、この点をお聞かせをいただきたいと思います。
  15. 太田康二

    太田説明員 現在の査定状況を申し上げますと、六月上旬の田植え期までに用水を確保するために必要なため池とか用水路等緊急に復旧を要する個所につきましては、三月十五日から三月二十二日までに第一次査定を実施いたしたのでございます。また三月二十五日発生分を含めまして未査定個所につきましては、目下第二次査定を実施中でございまして、これが済みますと、全個所査定が完了するということでございます。そこで、査定済みについて緊急に復旧を要するため宮崎県に五千九百九十万円、鹿児島県に二千六百五十七万二千円、熊本県二十一万五千円の予備費支出を四月十六日にいたしております。これは大体査定額の六〇%相当額ということに相なっております。  復旧工事着手状況でございますが、宮崎県について申し上げますと、堂本水路を含む十一個所水路につきましては、六月上旬の田植え期までに通水するように四月十五日に工事の発注を行なっております。鹿児島県の竹中水路、鶴丸、中津川揚水機等を含む二十五個所の用水路ため池等につきましては、三月二十八日に工事を発注いたしまして、五月下旬工事の完了を目途に目下復旧工事着手をいたしておるという状況でございます。  それから、先生のお尋ねの農業用施設につきましては、国の補助一般災害の場合には六五%、残りの三五%は地元負担になるわけでございますが、吉松町におきまして、農家負担を軽減する意味におきまして、市町村でその残りの部分を負担なさるために財政支出をされた。しかるに、宮崎県はそういうことが行なわれていないわけでございますが、それぞれ地方の財政事情等によってそういったことが出てくることがあろうかと思うのでございます。これらにつきましては、いずれにいたしましても特別交付税等で後ほど措置される問題でもございますので、宮崎県等を招致いたしまして実情調査の上、十分指導をしてまいりたい、かように考えております。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 再度農林省にお伺いいたしますが、いまの報告によりますと、大体宮崎関係の通水可能なものは六月上旬、こういうことになりましても、実際の苗しろ仕立てその他は四月下旬から五月上旬にかけて行なうというのですが、そういうふうな関連はどういうふうな指導を行なっているか、お聞かせいただきたい。
  17. 松井芳明

    松井説明員 各地区状況によりまして、共同苗しろその他を被災地外のところで準備いたしまして、そういう被災地農地復旧ができて直ちに植えつけができるような準備を各県のほうでやっております。各県のほうでは植えつけに支障のないように、苗の仕立てその他についても、十分地元町村と打ち合わせの上、指導しております。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 八木長官にこの際特にお伺いしますけれども、ただいま農林省からの御答弁がありましたが、鹿児島県のとったような、こういう来年度の特別交付税等による措置前提とした積極的な取り組みをしておるわけですが、おくれておる宮崎県等の場合には、特にここは三町が昨年合併になったばかりでありまして、被害を受けた多くはそのうちの真幸町地区に集中的に被害が起きておる。ですから、全体のえびの町の地域住民の感情は多分にこの財政措置に抵抗があるのではないかということから考えますれば、災害という特異な状況の中にあります関係から、特に総理府は全体の連絡機関の中心でありますので、そういう特別交付税措置については、格別の配慮をして、地域のつながる両地区において、それが取り扱い上の差異がないように指導していただきたいと思うのでございますが、これに対する副長官の見解を承っておきたいと思います。
  19. 八木徹雄

    八木政府委員 この間第一回の対策協議会を開きましたときにもそのことをいろいろ論議をいたしたわけでございます。先ほど長官からも申し上げましたように、気持ちとしてそういうことをしなければならないということは、われわれも痛感いたしておりますし、また県が積極的に、あるいは町村が積極的にそういう措置をした場合に、特別交付税等で心配してあげるという基本的姿勢においても全く同感でございます。ただ、特別交付税性格上、それではいまそれだけのことをやれば必ず全額を特別交付税でめんどうを見てあげますよという約束ができない。できないが、しかしそういう町村の、あるいは府県の積極的意欲に対しては、また別の特別交付税性格上、これに対して配慮するということは当然でございますので、総理府といたしましては、特別交付税のその分配時期において、そのような措置をとられたところについて特別の配慮をするように、自治省に対しても十分に申し入れをし、それを実現するよう努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、林野庁関係の点についてお伺いしたいのですが、現在のところ、林野庁がいわゆる予算措置として考えておるのは、県の要望額に対しまして、わずかに一八・四%であります。先ほど小山委員からも質問がありましたが、特に治山関係におきましては、御承知のとおり、シラス地帯相当広域に山はだが出ておりますし、六月から七月にかけての集中的な豪雨期に対しましては、この復旧ということがきわめて緊急を要するわけでありますけれども、特に治山関係につきましては、この程度措置ではとうてい間に合わないと考えておるわけですが、具体的にどういうふうな指導措置をとられようとしておるのか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  21. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 御指摘のように被害区域が広範囲にまたがっておりまして、宮崎県が約七十ヘクタール、鹿児島県が約三十ヘクタールになっております。御承知のように、シラス地帯で、堆積した土壌が次期の雨期に流れ出しまして、水田、家屋等に被災を起こす地域が非常に多いのでございます。県の報告では、復旧総額は約十二億に相なっておるのでございますが、私のほうで現地査定を全部終わりまして、その中で集雨時期までに工事を完了しなければならない緊急性のものを一応積算いたしますと、二億足らずに相なるわけでございます。その中で、特に資材運搬等のできない山の上部のようなところもございますので、ヘリコプターによる、接着剤を導入した緑化工法による緑地造成事業も約五千万近く実施いたす考えでございます。すでに二億六百万の緊急治山を県に内示済みでございまして、早急に緊急性のものについて、さしあたってとりあえず実施いたしたい考えでございます。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 大体その作業の完了する目途は、どの辺に置いておるのか、この際お伺いいたします。
  23. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 約二億六百万の中で、一億五千万程度は、雨期までに工事を完了いたしたいという考えを持っております。あとの五千万近くは、これは後半期に入るのじゃないかというふうに考えております。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 現地の特殊事情から判断いたしまして、どの程度の集中的な降雨があるか、これは予測できないところでございますけれども、特にシラスという特殊な状態から、相当てこ入れを強化しなければ、せっかくの復旧した個所がさらに破砕をするという危険性が十分に考慮されるわけでございまして、これはやはり最悪の事態、最も多くの降雨量ということを予想した復旧を考えてやるべきだと思うのですが、この辺はどういうふうな判断をされておるのか、重ねてお伺いいたします。
  25. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 地域によって非常に区々でございますが、最高は時雨量八十ミリ程度、平均的には三十から五十ミリ程度に対して耐え得るものを一応考えております。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、今回の住宅復旧に対しまして特に国有林関係の払い下げということを地元は強く要望しておりますが、林野庁としては公共施設以外についてはその措置はできないということを答弁されております。ところが鹿児島県の場合は、こういう災害に備え、備蓄材の払い下げについて最も適正なる、低廉な価格においてそういう措置がされているが、宮崎県のほうは木材協会等の協力がないために鹿児島県に対応するような措置がとられていない、こういう住民からの要望が強く出ておるわけでございます。この辺の指導ということは当然林野庁としても、住民の根強い要望がありますので、行政指導ということをこの際考えて行なうべきじゃないかと思うのですが、この辺の関連についてどういうふうなお考えを持っておるのか、お聞かせいただきたい。
  27. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 所管いたしておりますのは熊本営林局でございまして、随契の価格につきましては被災以前の時価相場ということで、災害による値上がり等についての配慮も十分いたしておるわけでありますが、先生御指摘のような点がございますれば、私のほうでも十分御指摘の点を体得いたしまして、指導を強化していきたいという考えでございます。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 次に厚生省関係にお伺いしたいのでありますが、特に今回の地震の特異性としまして、水道施設がほとんど損害を受けておるわけでございます。これに対しましては、簡易水道並びに上水道に対しましては二分の一の補助をいただいておるわけでございますけれども、先年の新潟地震の場合には、たしか十分の八の補助がなされておる。これについて、なぜこういうふうな特別の措置が新潟の場合とられたのか、その辺の見解をひとつこの際お伺いしたいと思います。
  29. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  水道の災害に対しましての国の助成、補助金は予算措置で行なっております。水道法では災害復旧に対しての補助の規定がありませんし、また激甚法適用をも受けておりません。したがいまして、その災害のたびごとに、従来見てみますと、大体ほとんどの災害に対しまして二分の一の補助率ということで、ただいま御指摘になりましたように、新潟の地震だけが非常に被害が大きかったという点で十分の八の適用の率になっているわけでございます。
  30. 兒玉末男

    兒玉委員 全体の被害が大きいという問題と、個々の水道の被害によって受ける各家庭の損害の度合いというのは、私は変わらないと思うのです。そういう点から申し上げますならば、確かに新潟の場合は、現在のえびの地震と比較すれば被害の規模は大きかったにしましても、水道そのものが受ける損害というものは、個々の立場から考えたならばその差異はないと思うのですが、八割と五割というのは災害復旧に対する地域負担率というものは非常な差があるわけでございます。その辺の法的な根拠というものはどこに求められているのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  31. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、予算補助でやっておりまして、法的の根拠につきましてはございません。
  32. 兒玉末男

    兒玉委員 同じ災害であることに変わりはないわけでございますから、このような措置については、もう少し実情に即応したところの補助対策というものを講ずべきだと私は思うし、同時にまた、この水道がいわゆる激甚災適用に対する公共施設の対象になっていない、この点副長官にもお伺いしたいのでありますが、やはり水道というものは住民の生活には不可欠の問題でありまして、この際は公共施設に準じた取り扱いというものを検討すべきではないかと思うのですが、水道課長並びに八木長官にお伺いいたします。
  33. 八木徹雄

    八木政府委員 ただいまお話がありましたように、水道の復旧につきましては、予算補助でございますから、その意味においては弾力性があるとも言えるわけです。これが何分の一補助ときまっておれば、それだけしかやれないということでございますが、通常ベースにおいては二分の一、新潟の場合は十分の八という前例があるということは、今後対策協議会においても検討さるべき課題であると思います。  ただ、水道であるという性格上、かりに二分の一になったとしても、あとの二分の一については府県なり市町村が受ける特別交付税措置するという道もございますし、そうでなく、補助率自身もこの際予算補助で上げるということもありましょうから、これはいわゆる被害の実態、復旧金額の状況等も勘案いたしまして、何らかの措置をとれるように善処いたしたいと考えます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員長 特に補助率の弾力性の点について……。
  35. 大橋文雄

    ○大橋説明員 ただいま副長官から御答弁申し上げましたように、地元負担がかからないような方法で、できるだけ善処いたしたいと思います。
  36. 兒玉末男

    兒玉委員 八木長官、ただいま担当の課長もできるだけ負担のかからないようにということでありますが、これは一つの限界で、表現は抽象的でございますけれども、自主的にこの負担がかからないようにということをひとつ強力に御指導いただきたいということを要望したいと思います。  次にお伺いしたいのでありますけれども、これは先般も少し触れましたが、今回の災害というのは連続的でありまして、去る四月二十日にもまた地震が起きているわけでありますが、こういうことでとにかく全体的な長期の展望に立つ復旧計画が立たない。商店街あるいは旅館街等にいたしましても、全く二月の事故発生以来今日まで、商店街なり旅館街等は収益はほとんどゼロという状況にあるわけですが、この際私は税制上の問題について国税庁関係にお伺いしたいと思います。  やはり事故の発生が本年度に入ってからでございますし、すでに昨年度のいわゆる所得に対する課税額はきまっておるわけでございますけれども、国税等に関連するいわゆる税金の減免措置あるいは納期の延長等についてこの際格別の御配慮をしていただきたいと思うのですが、現在どういうふうな措置をとられているのか、この点お伺いしたいと思います。
  37. 大塚俊二

    ○大塚説明員 まず、申告、申請等の納期の問題でございますが、去る二月の地震の際に、その後到来いたします申請、申告等の期限につきましては、これを四月の二十二日まで延長をいたしております。その後三月にもう一回大きな地震がございましたので、さらにその期限を五月の二十五日まで延長をいたしております。  それから、いま先生お話しございましたように、四十二年分の所得税につきましては、これは実は税金というものは一応確定したたてまえになっております。それの申告は、ただいま申し上げましたように申告期限は延長になっておりますけれども、税額そのものの減免という措置現行税法にはございません。そこで、納期限の延長と申しますか、納税の猶予という措置がございまして、原則といたしまして一年間は納税が猶予できる。これはそれぞれの納税者の方の被害状況に応じまして、どれだけの期間延長するかということは変わってまいりますけれども、原則として一年間延長になる。なお、一年間延長いたしておりましても、被害状況によりまして納付困難という方々もおられるかと思います。こういう方については、さらに納税猶予の申請をいただきますれば、さらに一年間、特にそれでもなお納付が困難であるという場合にはさらにまた一年間、通算いたしますと最長の場合は三年間の納付の猶予ができるということになっております。  それから、四十三年分の税金に関しましては、一般の申告所得税は、まだ四十三年度については納付された税金がございませんので、これはそれぞれ申告の段階におきまして、もし災害の損が非常に大きいということになりますと、本年度もちろん税金は出てまいりません。さらに災害による損失の額を三年間繰り越して今後生じます所得から控除していくという制度がございます。  それから、給与所得者などの源泉所得税でございますと、これは一月から本年度の税金についても税額が納められておるわけでございますが、こういう方々につきまして、財産について非常に大きな被害を受けた、大体年間の所得が百万円以下の方と見込まれる方々については、たとえば一月、二月に源泉徴収でとられました税額はすでに還付いたしております。  そういった状況でございます。
  38. 兒玉末男

    兒玉委員 あと質疑者もあるのでございますので、きわめてしぼって御質問いたしますが、いまの減免関係のことでございますが、特に先ほどの御答弁がありましたように、一年間延長というのは、いわゆる四十三年の十二月三十一日までという意味なのか、あるいはいま御答弁のありましたとおり、申告期限を五月二十五日まで延長したということは、その時点から起算をして一年という意味なのか、その辺はいかがでありますか。
  39. 大塚俊二

    ○大塚説明員 申告期限を延長いたしますと、その延長された申告期限と同時に納付の法定の期限も延長された形になりますので、五月二十五日まで一年間ということに相なります。
  40. 兒玉末男

    兒玉委員 さらに減免の措置については、四十三年度内に発生した災害でございますが、これについて地域関係者というのは少なくとも法的にはあまり詳しくない方が多いと思うのですが、この辺のいわゆる行政指導といいますか、そういうことはどういうふうにやっておられるのか。
  41. 大塚俊二

    ○大塚説明員 二月の最初の災害発生いたしますと同時に、所轄の熊本国税局のほうからそれぞれ担当の係員が現地に参りまして、それから現地の小林税務署、それから鹿児島県の加治木税務署、それぞれの担当者がすぐ町当局といろいろな、ただいま申し上げましたような点につきまして打ち合わせをいたしまして、被災者の方々に、先ほど申し上げましたような税の上での特別な措置について周知していただくようにそれぞれ手配をいたしまして、町当局の御協力も得まして、被災者の方々に周知徹底をはかる、そういう措置現地で講じております。
  42. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、建設関係に二点だけお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。  第一点は、特に今回の住宅復興ということについて、普通の住宅でなくして、先ほど総務長官からの御報告もありましたが、今後の復旧はやはり耐震性を高めたところの復旧でなくてはいけない。また、住宅建設にそういうことを考慮しなければいけないという点でございますので、耐震構造ということを考慮するならば、今回の災害復興住宅建設資金の貸し付けにつきましては、当然その限度額を、現行の百万円を百五十万円程度に引き上げる等の措置を講ずべきだという要請が強いわけでございますが、この辺はどういうふうな御検討をなされておるのか、お伺いしたいと思います。
  43. 白川英留

    ○白川説明員 ただいまの点につきましては、住宅金融公庫の災害復興住宅のことだと思いますが、住宅金融公庫の災害復興住宅につきましては、四十一年の十一月に貸し付け限度を改定いたしまして、木造につきましては六十七万円、簡易耐火構造につきましては八十一万円でございます。さらにこのほかに、土地の取得費といたしまして十万円、それから整地費十二万円でございます。四十一年十一月に改定いたしましたので、その後一年半たっておりますが、ただいまのところ一般貸し付けの限度が六十三万円でございます。したがいまして、一般貸し付けとの関係考慮いたしますと、災害復興住宅については今回限度を改定する必要がない、こういうふうに考えております。
  44. 兒玉末男

    兒玉委員 一年半の間に物価なり人件費あるいは資材の値上がりということは当然考慮されているはずだし、さらにまた、今回のこういう耐震構造ということは、鉄筋の場合におきましても、あるいは木造の場合においても当然改定をさるべきだ、こういうふうに私は考えるわけですが、そういう客観情勢の推移ということはどのように分析をされているのか、再度お伺いしたいと思います。
  45. 白川英留

    ○白川説明員 一般個人住宅につきましては、昨年度、限度が五十八万円でありましたのを六十三万八千円に上げております。しかし災害復興住宅のほうは、すでに限度が六十三万八千円をこして六十七万円でございますので、従来より特に災害復興住宅については一般住宅よりも限度を上げておりますので、今回は特に限度を上げる必要はないんじゃないか。一般住宅との均衡上六十七万円で差しつかえないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  46. 兒玉末男

    兒玉委員 六十七万と六十三万ということでございますが、その程度で差しつかえないんじゃないかと言いますけれども、その差というものが、一般の場合と違って、災害の場合は特殊な事情にあろうと思うし、特に今回の吉松えびの地震というのはほかの災害と違った特殊な事情にあるし、しかも耐震性を高めるためには、その基礎工事から一般の場合と違った特殊な状況にあろうかと思うのですが、この辺はどういうように反応されておるのか、お伺いしたいと思います。
  47. 白川英留

    ○白川説明員 今回特にいろいろの事情がございますので、六十七万円で十分だとは考えておりませんが、やはり一般個人住宅との関係もあるので、今回はこれで参りたい、こういう考えでございます。
  48. 兒玉末男

    兒玉委員 これは要するに資金のワクがないということがその本質だと思うので、この際特に副長官のほうでは、諸般の情勢を考慮されて、要請に応ずるように、ひとつ特別の措置を要望いたします。  次に、建設関係のいわゆる復旧の問題でございますが、先ほど林野庁も非常に意欲的な答弁をなさいましたが、特に治山治水というこの関係におきまして、相当量の土砂が流出して、流域の川内川の場合に川床等の上昇による河川のはんらんということが、先般においても——時間がなかったので、具体的な措置等についてはお聞きできなかったわけでございますけれども、現在の建設関係復旧率というものは、大体県工事が六七・七%、町村工事はわずかに二五%という低率にあるわけでございます。総体的に、降雨期を迎えての措置として、いま少し積極的な対策が必要じゃないかと思うのです。治山関係と同じように、降雨期を迎えての災害防止という点からも積極的な取り組みが要望されているわけでございますが、これに対する建設省の措置についてお伺いしたいと思います。
  49. 木村正昭

    木村(正)説明員 お答えいたします。  まず災害復旧につきましては、二月二十一日の地震に伴います災害復旧査定は三月中に終わりまして、この額が宮崎鹿児島を含めまして約三億八千万でございます。そのうち六〇%の二億二千八百万は支出済みでございまして、すでに工事にかかっておるものと考えております。なお災害復旧だけでは土砂の流出ということがございますので、砂防事業といたしまして、宮崎県におきましては二カ所、すでに砂防堰堤に着工しておるはずでございます。それから鹿児島県の吉松町におきましては一基着手しておると考えております。なおこれだけの砂防堰堤では非常に不十分だというので、現在現地に参りまして、もっと大規模な砂防堰堤を必要とするのじゃないかというので、県を指導して、どこへどういう大きいものをつくるかということをやっております。金につきましては、現在まだ手持ちがございますので、それで処置したいというふうに考えております。
  50. 兒玉末男

    兒玉委員 これで終わります。
  51. 芳賀貢

  52. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、兒玉委員のほうからもうあらまし触れられましたので、二、三点に重点をしぼりまして質疑を行ないます。  予備費から支出した総額は幾らですか。
  53. 上田伯雄

    ○上田説明員 大蔵省のほうの担当の方がおられぬようでありますから、私のほうから御説明いたします。  えびの関係の予備費は総額で四億一千八百万円でございます。
  54. 村山喜一

    村山(喜)委員 四億一千八百万円で、八木長官にお尋ねいたしますが、雨期が参りますが、それまでの間に応急的な措置はこれで十分行なえるというふうに、総合対策連絡協議会のほうとしてはお考えになっておりますか。自信がありますか。
  55. 八木徹雄

    八木政府委員 緊急応急に対する特別措置というふうに考えております。ちょうど年度末のことでございますし、予備費の性格上からいっても、取り急ぎ措置すべきものとしてこれだけのものをやった。今後各省がそれぞれ具体的に推進していく上に、なおこの種のものは出してもらわなければならぬというものが当然次々に出てくると思いますが、雨期までの間にさらに追加要因というのが生まれてまいれば、それぞれに対して対処していく、こういう考え方でございます。
  56. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、六月の雨期前までに処理すべきものとしては、これで大体応急的なものはなされるだろうと思います。いま副長官がおっしゃったように、追加すべきものはさらに予備費から支出をしていく、こういうようなお考えのようでございますので、副長官のほう——この前、官房長官にもお会いいたしましたらそういうようなお話でございましたから、それで納得をいたしますが、この四月の十五日に協議会は第一回の会合をやったというような記録をいただいております。その後会合をおやりになりましたか。
  57. 八木徹雄

    八木政府委員 まだやっておりません。
  58. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、恒久的な対策なりあるいはさらに追加しなければならない重要な問題等が出た場合には、次から次に会合を開かれる予定でございますか。
  59. 八木徹雄

    八木政府委員 そのとおりでございます。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 一回だけの会合で、その後はやる必要がなかったわけですか。
  61. 八木徹雄

    八木政府委員 ただいたずらに会議を開くということだけではないと思うのであります。具体的に各省現地に当たって、そして調査をして、緊急性の高いものからひとつ取り組んでいくということでございますけれども、そのつど合同調査だけに限らず調査も進めておりますし、また地元からの具体的要請というものも生まれてまいると思います。地元からの具体的要請のあり方いかんによって、そのつど対策を立てる必要性が生まれてまいれば、遅滞なく開くようにしていきたい、こう考えております。
  62. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなたが副会長ですね。その点間違いございませんね。
  63. 八木徹雄

    八木政府委員 そのとおりでございます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで地元のほうからいろいろな要請が参っております。その中身を見てみますと、すでに予備費の今回支出されました中でやられているものもありますし、今後やらなければならない問題も残されているわけですが、これはやはりきのうですかおとといになりますか、両県の知事から新たな要請文が届いていると考えますが、そういうようなのを見て、必要に応じてこれからさらにやっていくんだ、こういうふうに確認していいですね。
  65. 八木徹雄

    八木政府委員 私も昨日両県からの最近の要望書というのをちょうだいいたしました。まだこれでも必ずしも具体性を帯びておりません。これでもかなり抽象的な表現があるようでございますから、何々についてという具体的な要請が次々に出てまいると思いますが、それによって各省と協議をし、対策協議会を開かなくても措置できるものは措置していくし、対策協議会を開く必要性のあるものが生まれてまいれば、協議会を開くのにやぶさかではございません。
  66. 村山喜一

    村山(喜)委員 このえびの吉松地区地震総合技術調査団報告書を私たちいただいております。これの地質班調査報告レポートによりますと、地質の構成がシラス台地、それから沖積低地、さらに洪積低地等のいろいろな地質学上の土地の成分構成が出されておりますが、ほとんど今後の調査研究に待たなければならないものが大部分であるようであります。特にそれらの点から、たとえば京町の場合には、沖積低地につくられておるわけですが、そこは家屋の全壊及び半壊率が非常に高かった。シラス台地の場合には崩壊しやすいというような形態を持っているわけでありますけれども、そういうようなところに人家をつくる場合には、いわゆるその地質に合ったところの構造物を考えていかなければならないし、また住宅をつくる場所の選定も、その地質学上の点を考えて、これから土地選定等もやらせなければならないと思うわけです。人間が家をつくるということは人生一生の中で非常に大きな仕事だと私たち考えますが、なけなしの金を出して家をつくり、そのつくった家がまた地震が来て崩壊をするというようなことでは、これはもうさいの川原の石積みみたいな行ないになるわけでありますから、私はやはり基本的には、そういったような恒久的な科学技術庁あたりの地質調査あるいは地質構造調査、これがなされなければ、あなた方の行政指導の面においても欠ける点があるのではないかと思うのです。そういうような点に対する配慮というものが、予算や人的な措置その他について十分考えられているかどうか、副長官はいかがお考えでございますか。
  67. 八木徹雄

    八木政府委員 先ほど長官からもシラス台地のような特別な地域における、しかも連続地震災害地帯ということで、そういう意味における地質構造に関する調査研究というものをさらに一そう進めなければならない、こういうふうに申し上げたわけでございます。調査団の報告がそういうような報告になっておるわけでございますので、おっしゃることは全く同感でございます。みんなを安心させていくためにも、どこに建てたらいいか、どういう家を建てたらよろしいか、そういうことが当然安心感を与えるためにも必要になってまいると思いますし、われわれの重点もそこに重点を置いて考えていくようにしなければならぬと思います。そのことは緊急性を要することでございますので、引き続き的確なる調査ができるように進めていくし、まあそれまでの間の応急対策はどうするかということは別にあると思いますけれども、今後とも重点施策として考えてまいりたい、こう考えております。
  68. 村山喜一

    村山(喜)委員 その方法といたしまして、地震観測には東大並びに京大の地震観測班が現地に参りまして、観測関係についてはやっておりますが、その地質調査とかあるいは地質構造というような総合的な精査というものは、どの機関でおやりになるつもりですか。文部省関係のそういう大学等を動かしておやりになる考え方ですか。
  69. 上田伯雄

    ○上田説明員 お答えいたします。  先日の技術調査団のほうからお手元にお配りしましたような調査報告書が出てまいりまして、特に地質班のほうから先生御指摘のような問題が指摘されておるのでございます。そこでこういう問題につきましては、現在われわれの協議しておる段階の状況を申しますと、科学技術庁が中心になりまして、地質調査所とか建設省の国土地理院だとか、そういうような関係するところがあるわけでございます。たとえば、科学技術庁の防災センターという施設もございますし、それらのもので手分けをして調査をしよう、しかも、これに対する予算措置としましても、もちろん、まだ細目がきまっておるわけではございませんけれども、科学技術に関する調整費の制度もございますので、こういうようなものの円滑な運用によって、それぞれの立場から手分けして調査しよう、こういうような方向で、現在専門家の間で検討されておるわけでございます。
  70. 村山喜一

    村山(喜)委員 科学技術庁なり、あるいは国土地理院、そこで調査していただく予算は幾ら計上してあるのですか。このための予算というのはない、調整費の中から支給するとなると、どのくらい充当できますか。
  71. 上田伯雄

    ○上田説明員 主としては調整費かと思うのでありますが、既定経費でもってやるという部門もあろうかと思います。その辺についての具体的なこまかいやり方、数字等はまだ定まっておりません。総ワク等についても私ちょっと専門でありませんので、数字も押さえておりませんが、相当のことはできるようなものの言い方をしておりました。これはちょっと無責任な言い方でございますが、そういうふうに聞いております。
  72. 村山喜一

    村山(喜)委員 その点は、数字の持ち合わせがないようでございますので、これ以上は追及いたしませんけれども、ぜひ早急にやらなければならない問題だと思うのです。そうでないと、恒久的な対策も今後において立てられないという問題が出てまいりますから、大学の協力を得るなど、いろいろな方法もありましょうから、そのような面において取り組んでいただきたい。  そこで、先ほど見玉委員のほうからも質問がございましたが、住宅の、いわゆる構造上の欠陥というものが災害を大きくした、被害を大きくしたという事実が、この調査団の報告書の中にも出ておる。建築法上の構造規定によるそういうような耐震性の考慮というものがほとんど払われていなかった。だから、建築基準法上の構造規定に準拠した建物は被害が軽微であったとなりますると、そういうような耐震構造というものの建築物は、大体普通の家屋の二割くらい高いものにつくということをわれわれは聞いておるのですが、そういうような耐震構造性の建物をこれからつくらしていくということになりますと、先ほどの六十七万と六十三万ですか、四万円の開きだけでは、数字が合わないし、理屈も合ってこないと私は思う。その点は、そういうような耐震性の構造物をつくらなくても、いまの建築基準法上の一定の条件を整えた、たとえば公営住宅であるとか、そういうような場合等のそういうような施設で事足りるんだ、こういうふうなとらえ方を建設省としてはしておられるのかどうか。その点はいかがですか。
  73. 白川英留

    ○白川説明員 今回の災害の模様を見ますと、大体破壊されました住宅は戦前なり戦争中に建てられた住宅でございます。したがいまして、建築基準法のまだできていない前に建てられた住宅でございますので、建築基準法施行後に建てられました住宅は大体基準法に準拠いたしておりますので、被害が比較的軽微であった、こういうことでございますので、今後建てます住宅につきましては、建築基準法の構造規定どおり建てれば、木造であっても大体耐えられる、こういうふうに考えておりますので、建築基準法の現行構造規定に準拠するように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  74. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなたは現地へ行かれましたか。現地をごらんになりましたか。
  75. 白川英留

    ○白川説明員 私は現地へ行っておりません。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 だからあなたはそういうようなことをおっしゃるのです。現地へ行ってみなさい。柱の大きな、そして、昔のはりの大きながんじょうな家ががんとして残っているのですよ。このごろのように非常に柱を小さくした、簡単な構造の形でつくったやつほど倒れている。新しい家がたくさん倒れているのです。古いやつは、長い間たって、もう老朽化して倒れるようになった家、そういう家ももちろん倒れておりますけれども、去年つくった、ことしつくったという家がばたばた倒れているのですよ。特にブロックの家などは、あなた方の報告書は、鉄筋の入れ方が少ないから倒れたというのだけれども、鉄筋そのものがひん曲がっちゃって、ゆがんで、一番あぶない形になっている。耐火構造物であるブロック建築などが一番弱い。こういう実情をわれわれは目で見ているわけです。だから、あなたのおっしゃるのはどうも納得できません。この地帯はほんとうの地震地帯でありますから、長い歴史を持っているわけです。その地帯に合うような構造物でなければ、普通の建築基準法上の建物だけでは、中に安心して住めないような状態がやはり今後においても予想できるということで、そういうような前提に立って問題を処理願いたいと思う。よろしいですか。そうでないと、一般的な問題にこれを転嫁したら困りますよ。やはり地震多発地帯だという考え方でこれから取り組んでもらわなければならぬ。そういうような気持ちでひとつやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  77. 白川英留

    ○白川説明員 わかりました。そういうふうにいたします。
  78. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、あと一問で終わりますが、気象庁のほうから自動地震計数機の設置を、約束どおり四月五日の日にしていただきまして、これによって、地震の予知あるいは観測というものについて、私どもも幾らか安心をいたしました。  文部省からは見えておりますか。見えておりますね。東京大学なり、東京大学の地震観測班は、これは予算関係もあろうし、だんだんこれから下火になっていけば、学術上の研究の余地というものもそうなくなるというので、いずれ引き揚げていかざるを得ないのですが、ことしはずっと現地におって、そういうような観測を続け、研究を続けていくような体制になっているかどうか、この点はいかがでございますか。
  79. 菅野誠

    ○菅野説明員 施設部の所管とちょっと違いますけれども……。  現在、東大の地震研究所及び京都大学の関係地震調査しておることは存じておりますが、いつまでにどういうふうにするかということの確認までは、資料として持っておりません。  どうも、お答えにならなくて恐縮でございますが、御要望の点を関係局に伝えたいと思っております。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 答弁にならない答弁じゃ聞いてもしようがないわけですが、やはり、観測体制なりあるいは予知対策というものが今後住民に安心感を一番与え、的確な誘導政策というものがそこから生まれてくると思うのです。そういうような点から、なるほど、気象庁を中心にして、湯之野火山観測所に職員を二名増置したり、あるいは自動地震計数機の設置等をやっていただいたりしておりますが、そういうように東大なり京都大学なりの地震観測研究の人たちがある程度そこで続けて研究ができるように予算の面において十分な配慮をひとつしておいていただきたいと思うわけです。そうでないと、もうおさまつてきたからこれで引き揚げるのだというようなことになってまいりますと、非常に不安感が生まれてくるというような形になりますので、こういうような点については、総合的な問題でございますから、八木長官のところで、各省庁にまたがる問題でございますから、十分連絡をとって講じていただきたいと思うのです。副長官、よろしいですか。
  81. 八木徹雄

    八木政府委員 地震観測の必要性のある限り、予算上の理由によってこれを中止するようなことにさせないように、十分に配慮してまいりたいと思います。
  82. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで最後に、いま、危険地帯といわれるシラス崩壊地あるいは安山岩の下に家ができており、それによって山地の崩壊等が予想される地帯に住んでいる人たちは、移転させなきゃなりません。私の鹿児島県の吉松でも六十九戸ございますが、すでに町のほうとしては移転地の整地もやっております。ところがこの中で、生活保護を受けている人あるいは住民税の均等割りしか納め得ない人、いわゆる住民税の所得割りも納め得ない人が二十九戸あるわけであります。したがって、これらの人は資力がない。というのは、そういうような住民税の所得割りも納められない人たちなのですから、移転をしようにも金がない、そうして金を借りようと思っても担保物件がない、こういうような人には、何らかの措置を考えてやらなければならないと思います。全体に考えるということはいろいろ問題がありましょう。しかし、そういうような低所得者層であり、しかも移転をしなければ生命の危険がある、どうしても移転をしてもらいたいと町長も要請をする、こういうような者に対して、いまの法制上は、あるいは予算上の措置としても、そういうようなものを見ていないわけでありますが、これらの点について何か対策はありませんか。当局の考え方をお伺いしたいと思います。
  83. 白川英留

    ○白川説明員 集団移転につきましては、住宅対策といたしまして、災害公営住宅建設がございます。これは補助率が三分の二でございますので、非常に低家賃で賃貸できます。  それからもう一つの、先ほど申し上げました住宅金融公庫の災害復興住宅につきましては、市町村の保証があれば無担保で貸すという制度がございますので、これらによって大体集団移転ができる、こういうふうに考えております。
  84. 村山喜一

    村山(喜)委員 ところが、おまえたちは災害公営住宅に入れというのだったら、それで処理ができましょう。しかし、農家でありますから、公営住宅に入って農業をするわけにもいきませんし、やはり農家として成り立つためには、それに付随をする農舎なども必要ですから、そういうような人たちの場合には、公営住宅に入るわけにはいかぬ。だから、勢いその災害復興住宅にたよらなきゃならない。町長としても二十九戸もあってボーダーライン層に入っている人にそれを保証してやる、あと払えなくなったら、これは市町村がかぶらなきゃなりません。そういうようなことをやらせるつもりなのですか。
  85. 白川英留

    ○白川説明員 災害復興住宅につきましては、市町村の債務保証によって現に貸しておるわけでございまして、従来とも貸しておるわけでございます。
  86. 村山喜一

    村山(喜)委員 債務保証によって金を貸すという手もありましょう。しかしこの問題は、基本的に非常に大きな問題を含んでおると私は思うのですよ。だから、これらの問題については、八木長官のところあたりでもっと掘り下げて、これらの低所得者層に対するしかも移転を要するような人たちについては十分な考慮を払って検討をいただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  87. 八木徹雄

    八木政府委員 検討いたしたいと思います。
  88. 小山長規

    小山(長)委員 ちょっと関連して。いまの問題に関連してですが、こういう方法はとれませんか。集団移転を必要とする、その中には、金を借りてやれる人もおりましょうが、いま言ったようなボーダーライン以下の人々のような場合には、実際金を借りることもできない。そこで、国有林から資材を提供して、資材を提供したやつを県なり町村が買って、それを実際に償還できないときには特別交付税で見るという方法もあるでしょう。ですから、その国有林の材木を県なり市町村に特別に措置するという方法はとれませんか。
  89. 八木徹雄

    八木政府委員 なおそれは協議会で十分調整しなければならぬと思いますけれども、現行法上いわゆる国有林野の払い下げをこういう特殊事情であるから特別措置をするということは、ストレートにはできがたいと思います。だから、こういう場合には、国有林野の特別措置をするという特別立法措置なり方策というものが確立することが必要だろうと思いますが、小山先生も、必ずしもただでよこせとか半額でよこせということを言っておるのではないと思います。とりあえずその国有林野の払い下げをやって、町村で交付税なりあるいは特別措置でひとつ考えろということだと思いますから、長野の地すべり対策の前例あるいは松代のときの前例等も配慮しながら、先ほど申し上げましたように十分検討してみたい、こう思います。
  90. 小山長規

    小山(長)委員 私の申し上げるのもそのことでして、国有林野特別会計に特別の負担をかけるという趣旨ではありませんよ。とにかく材木だけ提供しなさい、それを県なり市町村が買う、そうして実際住宅移転にいろいろな費用がかかるところは、それは払えない人たちですから、当然市町村なり県なりは損失が起こるんですよ。それは特別交付税であとで必ず見ますからといえばそれはやりますよ。そこのところは総理府が積極的にひとつ指導していただきたいということを副長官に申し上げ、副長官もそうしますと言われたから、これはやってくださいよ。
  91. 八木徹雄

    八木政府委員 特別交付税のことについては先ほど御返事申し上げたとおりでございまして、決してうしろ向きの逃げの答弁をしようとは思っておりません。積極的にやる、そういうことであります。ただ、国有林野からもらおうとどこから来ようと、特別交付税で払うということにさえすれば御安心がいくだろうと思いますが、それらのことを含めて十分ひとつ検討してみたいと思います。
  92. 村山喜一

    村山(喜)委員 それで尽きたと私も思いますので、これで終わりますが、その問題は、公の団体に対する国有林の払い下げについては特別な措置をとることが可能である。ただ個人に払い下げる場合には、それができないようになっております。そういうような現行法上のいろいろなたてまえがございますので、そこらあたりのやりくりはうまくやっていただくことにして、その財源措置を講じてもらう。そうでなければボーダーライン層以下の人たちは生活の場を失うと同時に、これからの仕事の場も失っていくというかっこうになりますので、集団移転については人間の生命を尊重するという立場からぜひ協議会で、あなたが副会長をしておられるのですから、そこらあたりで十分に検討をお願いしたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  93. 八木徹雄

    八木政府委員 お答えしたとおりです。十分努力いたします。
  94. 芳賀貢

  95. 小山長規

    小山(長)委員 金融関係地元から非常な不満や要望がありますのは、いろいろ法制上の話は町村役場なり県の役人から聞くけれども、実際に金融機関にぶつかってみると、なかなか聞いたとおりやってくれない。こういう点の不満が非常に多いのであります。特に国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、商工中金、農林公庫等もありますが、そういうところで一番問題のあるのは利率と据え置き期間、それと償還年限、これが住民としては非常に要望が強いわけであります。これは別に法律上の制約がある場合もありますけれども、最低と最高をきめてある。利率あるいは据え置き期間についてそれぞれあるわけなんです。その場合に、こういう特別な措置の場合には特別な事態の場合でありますから、据え置き期間については一番長い据え置き期間あるいは償還期限については一番長い償還期限、利率については一番安い利率というような措置をとることができるように総理府で取りまとめ、窓口のほうでひとつ推進していただきたいのでありますけれども、その点についてお考えをお伺いいたします。
  96. 小宮保

    ○小宮説明員 小山先生のおっしゃいましたように、いろいろな公庫で、金利それから償還期間、据え置き期間等の特例につきましては、今回の場合も許されます範囲内でできるだけ罹災者に対して十分なことができますように私どもも指導いたしておるわけでございます。
  97. 小山長規

    小山(長)委員 具体的に言いますと、国民金融公庫の場合は、普通の災害の場合には利率は八・二ですか、激甚災の場合に六・五まで下げることができるようになっている。中小公庫の場合にも八分二厘が六分五厘まで下げることができるようになっておる。こういうような場合に、いまおっしゃったことは両方とも六分五厘で適用する、こういうことですか。
  98. 小宮保

    ○小宮説明員 先生のおっしゃいますのはおそらく激甚災の場合のお話を引き合いに出されておるのだと思います。国民公庫、中小公庫の場合には、これは御案内のとおりでございますが、基準金利は八分二厘ということになっておるわけであります。ただし災害の場合にはどういうことをするかと申しますと、災害が起きますと、通常の場合には金利はそのままなのでございますが、限度その他に特例を設けまして、それからいろいろ受け付けなんかはできるだけ簡便化する。要するに一口に言えば非常に借りやすくする、そういうことで窓口を十分指導して既存の制度をできるだけ活用する。私ども普通それを一般的な災害融資と呼んでおるわけでございますが、そういうことをやっておるわけでございます。それで、さらにこれは例の激甚法という法律がございまして、それで特例が設けられておりますのは、実は商工中金に特例が設られております。これは法律の十五条かと記憶しておりますが、これは要するに特別の場合に金利を下げる。特別な場合というのは、つまり激甚災が起こった場合には商工中金の金利を下げてくる、そういうことを政府が法律で規定をしておる。ただし商工中金の場合には、これは民間機関でございますから、政府が単純に命令だけをするわけにはいかない。そこでもってある程度財政負担をするのだ、そういうことが激甚法に書いてあるわけでございます。法律で書いてございますのは、実は商工中金の場合だけでございます。  その場合に、おそらく先生の御質問の趣旨は、国民、中小はその場合にはフリーなんだから、ある程度行政権の範囲内において弾力的にできるのじゃないか、こういう仰せだと思うのでございますが、実は私どもはやはり中小三機関ということで、おのずから融資条件にバランスがございますので、その際には、もちろんこれは法律には規定はございませんけれども、やはり特利をきめるということになりますと、何らか明確な基準があって、それで金利体系をきめておるわけでございます。それを一つのめどといたしまして、要するに激甚災の災害指定を受けまして、商工中金のその激甚法の規定が発動された場合、あわせて国民、中小も行なうということを閣議決定でやるというシステムで従来きておるわけでございます。
  99. 小山長規

    小山(長)委員 そこで建設省の住宅関係にちょっとお聞きしたいのですが、いま宮崎鹿児島両県下における住宅の全壊、半壊、この総戸数が出ていますが、半壊の場合、戸数からいうとかりに二分の一と仮定しますと、両方で千百六十三戸ぐらいになる。千二百戸をこえると激甚法指定があるやに聞いておるのですが、それは間違いないのですか。
  100. 白川英留

    ○白川説明員 激甚災の指定を受けるためには、先ほどおっしゃった千二百戸で、かつ一市町村四百戸以上、二つの縛りがございますので、したがいまして、今回は適用がない、こういうことになると思います。
  101. 小山長規

    小山(長)委員 これは千二百戸になることは間違いないので、半分と仮定すれば、あと二、三回地震が来れば千二百戸になりますよ。その場合に激甚法適用は、この住宅関係とそれから中小公庫、国民金融公庫、商工中金その他の金融関係の利率にも響いてくるわけですね。その点どうですか。
  102. 白川英留

    ○白川説明員 ちょっと訂正いたしたいと思いますが、激甚災の場合は半壊は見ておりません。したがいまして、全壊千二百戸かつ一市町村四百戸以上、こういうことになるわけでございます。
  103. 小山長規

    小山(長)委員 そうすると、その半壊というのは、何にもメリットは見ないわけですか。全壊に幾らに換算するということは先例にあるでしょう、半分に見るとかなんとか。
  104. 白川英留

    ○白川説明員 滅失じゃないとだめなようでございます。全壊でないといけない、こういうことでございます。
  105. 小山長規

    小山(長)委員 半壊はいかぬのですか。
  106. 白川英留

    ○白川説明員 そういうことでございます。
  107. 小山長規

    小山(長)委員 それはどういう根拠から出てくるわけですか。全壊でなければいかぬとか半壊は見ないとかということは、それは法律のどこに書いてあるのですか。
  108. 白川英留

    ○白川説明員 法律には「滅失」と書いてございます。したがいまして、法律の解釈として出てまいる、こういうわけであります。滅失戸数と書いてあります。
  109. 小山長規

    小山(長)委員 これはおそらくこの法律で予定したときは、火災とか洪水を考えたんじゃないですか。地震の場合全壊の場合もあれば全壊に近い半壊もあるし、いろいろな状態が起こるのですよ。たとえば、地震の場合には、滅失というときには半壊はメリットを二分の一見るとか、こんなものは私は法律解釈としてできると思うのです、法律で予定していなかったんだから。こういうものは閣議で担当大臣がその気になって主張すれば、できないことはない。ですから、こういう点もひとつ取りまとめ官庁総理府にお願いしますが、これは協議会で議題にしてほしい。この法律をつくったときには、おそらく、滅失という以上は、火災か洪水を考えているのです、地震を考えていないはずなんです。地震というものはその法律をつくった当時は考えていなかったに違いないから、地震のように火災や洪水と違う場合には、半壊以上の損害は非常にたくさん出るということが想定されるわけですから、今後だって起り得るわけですから、新しい解釈として、滅失の場合には全く影も形もなくなる、地震じゃそんなことはありっこない、滅失という以上はなくなったということでしょう。地震の場合には全部こわれても、それは滅失じゃない、こわれたというだけで、ものは残っているんだから。ですから、そういうことは法律が予定してなかったんだから、地震の場合における滅失とは何ぞや、滅失ということをどういうふうに見るかということを、新しい法解釈として協議会の議題にしてほしい、これをお願いしたい。
  110. 白川英留

    ○白川説明員 ちょっと補足して申し上げたいと思います。  住宅災害の場合における滅失と申しますのは、全壊、全流失、全焼でございまして、被害程度は大部分倒壊、流失または焼失して復旧しにくいものということになっておりまして、被害の割合といたしましては、主要構造部について五〇%以上の被害があれば全壊、こういう査定をやっております。
  111. 小山長規

    小山(長)委員 そうすると、全壊であるか半壊であるか——半壊はあなたのほうでは対象にしてないんだから、全壊であるかどうかは、建設省が現地で見て、一戸一戸査定するわけですか。
  112. 白川英留

    ○白川説明員 さようでございます。
  113. 稻葉修

    ○稻葉委員 関連して。——新潟地震のときに激甚災の適用がその点について問題になって、上田さん、あなたはあのときも総理府に参事官としておられて……。(上田説明員「おりません」と呼ぶ)いなかった——それは失敬しました。  それで、あのときに問題になって、いまのような基準が生まれましたね。そうして地震の場合は——新潟の場合はうんとあったあれですから、問題なく激甚災の適用を受けたんだが、この吉松えびの地震のときみたいに境になると非常に問題が起きますから、きちんとやっておかなければいけませんが、前例はあります。前例を覚えていないようでは困る。
  114. 八木徹雄

    八木政府委員 いま課長から答弁いたしましたように、いわゆる全壊、流失、全焼というものがその対象だ、こういうことを申し上げた。地震においてどの程度以上を全壊にするかということだと思うのですが、いま課長から言いましたように、ぺしゃんと倒れなければ全壊でないということではなくて、その査定については建設省がするということですから、その査定について十分配慮して、しゃくし定木にならないように、そうかといって野方図にならないように、十分にひとつ検討さすということよりほかに方法がないのではないかと思います。
  115. 稻葉修

    ○稻葉委員 そういうことでないのです。全壊、滅失に準じて建物が本来の用途に供することができなくなったということが基準であったはずです。たとえば新潟地震の場合はぽかっと沈んでしまって、斜めになって、あることはあるけれども、これを起こす費用のほうが、こわして建てる費用よりも大きいのです。そういうものは滅失とみなす、こういうことでやっておりますよ。災害対策の当局者が前例を覚えていないようでは困るのです。しかもそういうことは、激甚法適用にならないけれども、激甚災害に準ずる措置をとるという総理大臣の口先ばかりでない言明に基づいて、あなた方のほうで協議会をつくって開いたのですから、当然に話題になっていなければならぬ事項だと私は思いまして、あなたに期待するところ甚大なるがゆえにきちんとしてもらいたい。
  116. 八木徹雄

    八木政府委員 お答え申しましたように、そのとおりの気持ちなんです。また総理自身が激甚災に準じた措置をするということを国会の場を通じて国民に約束しておるのですから、それに対して行政当局配慮することは当然でございます。ただ、いま課長が申しましたように、だからといって野方図になってはならぬという意味、基準そのものを改定してはならぬという意味——滅失の場合、地震の滅失というものは全壊だといっておるが、その全壊というのはぺしゃんと倒れるのが全壊といっていないので、先ほど半壊以上のものを全壊とみなすといっているのですから、その尺度で十分検討いたします、こう申し上げたわけであります。
  117. 小山長規

    小山(長)委員 いま事務当局からもらったのですが、防災会議の「激甚災害指定基準」、こういうのを見ますと、激甚災に指定する場合には「当該災害による住宅の滅失戸数が被災地全域でおおむね四、〇〇〇戸」あるいは「当該災害による住宅の滅失戸数が、被災地全域でおおむね一、二〇〇戸以上であり、かつ、一市町村の区域内で四〇〇戸」、こう書いてあって、その次に「ただし、火災の場合における被災地全域の滅失戸数については、被害の実情に応じ特例的措置を講ずることがあるものとする。」こう書いてあるのです。実情に応じて特例の措置を講ずることがあるものとすると書いてあるんだが、これは、ただし火災の場合においてと書いてある。防災会議において、これは地震の場合においてということで検討されれば、また別の基準が出るはずです。ですから、防災会議をさっそく開いて、この基準についてお考えを願いたい。
  118. 八木徹雄

    八木政府委員 防災会議でやることでございますから、私が軽々に、承知しました、約束しますと言うわけにまいりませんが、そういう強い要請があったということを踏まえて、検討をいたしたい、こう思います。
  119. 小山長規

    小山(長)委員 それでけっこうです。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員長 池田清志君。
  121. 池田清志

    ○池田(清)委員 えびの吉松地震に対しまして激甚法適用をすべしということは、われわれの委員会で最初から強調しておるところであり、本日もまた、小山委員からその旨をやかましく主張がございました。ことに基準を改定すべきであるというようなこと等の内容についての提唱もありまして、協議会の問題として提起されております。必ずこれが実現されるように、協議会で前向きで御検討を願いたいと思います。  同僚議員からいろいろな問題で質問をいたしましたので、私は国庫補助及び金利というような財政的の面について、二、三の具体的な問題についてお尋ねをいたします。  その第一点は、水道に対する国庫補助であります。先ほど小山君及び兒玉君がやかましく主張したところでございまして、恐縮でございますが、総理が、この地震について激甚法指定するというところまでは言いませんが、指定した結果と同じようなものを実施する、こういうことを言うておるのです。われわれの委員会といたしましては、激甚法適用すべしという主張でありますが、その主張を実現されない限りにおきましては、総理のお答えでありまするところの激甚法適用と同じような結果を生み出すということにならないわけであります。これはそうすると個々の問題になってまいります。さらにまた一歩下がりまして、個々の問題を提唱するにあたりましても、松代地震、新潟地震というようなものに対する政府対策の前例がございますから、少なくともすべての諸施策がこの前例までは実現してもらわなくちゃならないということに考えます。その一つがこの水道に対しまするいわゆる補助率の問題です。現在は二分の一の補助でやってまいっておりますが、新潟については、先ほど来説明がありましたように、要求がありましたように、十分の八の補助をいたしておるのです。ですから、この問題も必ずそれをやるということのお答えを求めるものです。
  122. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  水道の補助につきましては、先ほどお答えしましたように予算補助でやっております。したがいまして、今後関係方面とよくその点につきましては協議をしてまいりたいと思いますが、趣旨といたしましては、できるだけ地元負担を軽減するということに重点を置きたいと思います。
  123. 池田清志

    ○池田(清)委員 いまの問題、必ず新潟地震のところまで進めてもらいたいということを強く要求をいたします。  次は緊急避難所。緊急避難所建設につきましては、えびの町におきましても吉松町におきましても、町当局の要求をのみ込んでいただきまして、それぞれ実現しつつあることを喜びに考えるわけです。ところがその補助率であります。災害救助法によりますと二分の一というところで今日までやっております。ところが松代の地震につきましては三分の二ということを実行いたしたわけでありますが、この補助につきましても、松代地震を前例といたしておりまするから、そこまでひとつ三分の二の補助を実行してもらいたいということを強く要求いたします。
  124. 大和田潔

    ○大和田説明員 松代地震のときは予算措置でございまして、これが国庫補助の五分の三ということに相なっておるわけであります。今回のえびの吉松地震につきましては、これは予算措置でなくて、ストレートに災害救助法適用が行なわれたわけでございまして、その災害救助法適用が行なわれました場合の国庫補助率は、災害の規模によりまして国庫補助率が違ってまいるということになっております。標準税収入の二%以内の場合が二分の一、二%から四%までが十分の八、それをこえます場合には十分の九、そういう高率の国庫補助率が適用されることになるわけでございます。したがいまして、そういったようなルートに乗ります国庫補助率の適用ということになりまして、この場合に考えますると、まだえびの地震の場合は標準税収入の二%をこえないというようなところで、やはり所定の二分の一というような補助率に相なったわけであります。  なお、これにつきましては、法律でこういうぐあいな国庫補助率になっておりますので、私どもといたしましてはどうもなかなかむずかしいのではないかというふうに考えておるわけであります。将来の問題として検討に値する問題だろうと思いますが、今回なかなかむずかしい問題だろうと考えております。
  125. 池田清志

    ○池田(清)委員 いまの問題も災害待ちというようなお答えであります。さっき小山君も質問いたしまして、激甚災とするためにはもっと災害がなくちゃといったようなことの話もあったのですが、災害が起こらない現状に対しまして松代と同様にやるべきである、こういうことを強く要求いたしておきますから、これまた協議会の問題として、この委員会で強い要求のあったことをひとつ御協議を願って実行していただきたい、こう思います。  次には国民金融公庫です。これも先ほど触れられました。私が前例としておりまするのは、激甚災害並みの金利であるべきであるということを求めるものです。そういたしますと六分五厘ということに下がって、低利になってまいるわけでございますから、これも必ず激甚法適用したと同様な結果を生み出すという総理のお答えを体しましても実現すべきである、こういうふうに思うのでありますが、重ねてひとつお尋ねをいたしておきます。
  126. 小宮保

    ○小宮説明員 先ほど小山先生のお尋ねに対しましてお答え申し上げたとおりなんでございますが、私どもそれは罹災地域の方には非常にお気の毒だという感じはもちろん強く持っておりますが、特利の設定でございますので、やはり法律の規定に基づかない場合でもかなり明確なめどを立てまして、それに基づいてやはり運用すべきものだと考えまして、現に従来もそうやってきておるわけでございます。したがいまして、国民公庫、中小公庫等におきましても、従来は六・五%の特利を適用するというのはやはり激甚法指定があった場合等非常に厳格な条件で運用してきておるわけでございまして、そういうことでひとつ御了承願いたいと思います。ほかの面で努力をしたいと思います。
  127. 池田清志

    ○池田(清)委員 いまもそれは小山君が私語をいたしておりますが、準ずるというのはどういうところでどうやるのかという問題です。具体的に激甚法適用したと同様な中身になってこなければ、それは地元もわれわれも納得しない、こういうわけでありますから、この点強い主張であることをひとつ念頭に置いて前向きで進めてもらいたいと思います。  次に消防施設に対しまする国庫負担率でございます。  今日は補助率三分の一ということになって実行されておるわけでございますが、地元の要求は三分の二にしてほしいという要望であります。その三分の二にまでいかないまでも、松代の地震に対しましては二分の一ということを実行しております。ですから、松代並みまではいくべきであると冒頭に申し上げましたその二分の一というところの実現を要求するわけですが、この点まではいかがでしょう。
  128. 中沖豊

    ○中沖説明員 お答え申し上げます。  消防ポンプ自動車等の消防施設の整備につきましては、消防施設強化促進法に基づいて三分の一以内の補助率ということになっております。したがいまして、目下のところは実は補助率の引き上げを考えておりません。現地からの消防ポンプ自動車の補助金の要望等については優先的に配慮するという考え方でおります。ただ、今後の地震状況によりましては、補助率の引き上げ等について十分検討いたしまいりたいと思っております。
  129. 池田清志

    ○池田(清)委員 私は国庫負担率及び金利の具体的な例を二、三あげまして強く主張したのでありますが、これらに対しましてはもう毎回この委員会で取り上げて進めておる問題です。八木長官もお聞きのとおりでございますから、われわれといたしまして強く要求しておることをしっかりと踏まえていただきまして、協議会で必ず前進するように御相談を願って、実現方を要望いたします。
  130. 八木徹雄

    八木政府委員 先ほど来申し上げておりますように、行政最高責任者である総理大臣が国会の場を通じて国民に対してお約束をしておる、いわゆる激甚災害に準じてやるというそのお約束をわれわれ忠実に守らなければいかぬと思います。ただしかし、総理といえども、法律無視はできぬと思うのです。その意味ででき得る最高限度というものはおのずと限定されてくると思いますが、われわれは可能の最高限度を探究して、それに応ずるように最大の努力を払って御期待に沿うようにいたしてまいりたい、こう思っております。
  131. 小山長規

    小山(長)委員 関連して、——だんだん聞いておりますと、総理が言われた激甚災害に準ずるということは、一つ一つの省の話を聞いていると、法律上できません、何ではできませんということで、実際は総理が言われたことは実現できないという結論になりそうな気がする。しかし、たとえば、公共に対する補助率は、補助率のアップをしなくとも、これはいまの特別交付税の方法で措置できるのですよ。ですから、この点については総理はおそらくそれを頭の中に置いてやられたのだろうと思うのです。ところが住民が一番切実な関心を持っておる、たとえば借り入れ金の償還期限とか利率とかあるいは集団移転というような問題、これは激甚災に指定されなければ六分五厘にならぬというなら、最初から総理はそんなことは言わぬほうがいいのですよ。激甚災に準じて取り扱いますなんということを言わぬほうがいいのです。言った以上は、やはり法律の改正を要するなら要するとか、法律の改正をするとか、あるいはそうでなければ閣議で予算措置としてできるとか、何か方法を講じられないと、せっかく総理が国会において激甚災に準ずる措置をとりますと言ったことは、一つ一つずれてまいります。そういうことで、八木長官がしばしば言われるように、総理が言明されたことであるから、一つ一つの事項について、これはこういう措置をとります、これはこういう措置をとりますということを、総理と打ち合わせて、次の委員会においては報告をしていただきたい、そうひとつお願いいたします。
  132. 八木徹雄

    八木政府委員 さっそく相談いたしたいと思います。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員長 えびの地震関係の質疑は、この程度にとどめます。     —————————————
  134. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、農林省雑賀作物統計課長から発言を求られておりますので、これを許します。雑賀作物統計課長
  135. 雑賀忠蔵

    ○雑賀説明員 前の委員会におきまして、作物の被害調査の方法について資料を呈示して説明せよ、このようなことでございましたので、別紙の資料をお手元に差し上げて御説明いたしたいと思います。  台風とか降ひょうとか雪害、水害、こういうふうな災害発生いたしまして農作物にかなり被害が出た、こういうふうな場合には、普通の平生行なっておる調査とは別に、その時期にできるだけ早く農作物の被害調査をいたしております。そして、この前の二月の西日本を襲いました降雪、強風、それに続く低温の害、これを一括いたしまして調査をいたしたわけであります。この場合に、農作物の中で普通一般に栽培される従来の作物のほかに、最近では施設のビニールハウスとか、温室とか、そういった施設を持った野菜が最近かなり多くなっております。こういうものにつきましては——ほかの作物、たとえは従来の米とか麦とか、そういう作物につきましては、米の政府の買い入れ価格、麦の買い入れ価格、こういうふうに最も一般的な価格を使っております。その他の作物につきましても、統計調査部で調査をしております物価調査、それから生産費調査、その他農家経済の物財調査、そういうものから出されてくる価格を使って価格の算定をいたしておるわけでございますけれども、特にそういう価格は、大体年間を平均して推算される平均の価格を使っております。それにつきまして、今回の場合には野菜、特に冬から春にかけて出す野菜でございますので、価格がだいぶ違う。そういうことで市場に出す価格を基準にいたしまして、それから一応出荷の市場外の諸がかり等を考えまして、農家の手取りを推算いたしまして、それを使っております。  それから、果樹につきましては、被害が当年の被害、それから果樹の樹体自体が受ける被害とございまして、樹体が受ける被害というものはあとの年まで響いていくわけでありますが、われわれの被害量の計算の中では、果樹につきましてはその当年の被害については果実の被害として計算いたしております。それから果樹の樹体そのものの被害については、樹体の被害の割合とか損傷の割合を考えまして、三割以上の損傷を受けた、それから七割以上の損傷を受けた、こういうふうなもので別途そういう面積を出しております。そして、そういう被害量を出す場合に、最初は出張所で調査をいたしまして被害量を出して、被害量に金額をかけまして総被害額を概算しておるわけでございます。果樹の場合にも、果実については概算いたしておりますけれども、樹体につきましては面積を出しておるだけでございます。  なお、こういう被害が起こりますと、追っかけて被害が起こってくる。たとえば、台風がございまして、調査の途中、まだ終わらないうちに次の台風が来た、こういうふうな場合には二つの台風を分離しておきませんで、これを一括して調査することとしております。したがいまして、二月の場合にも、二月の十五、六日の雪とそのあとに追っかけて降った雪、このようなものは一緒になって、統合された結果として出しております。  以上でございます。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、黒河内園芸局長から発言を求められておりますのでこれを許します。黒河内園芸局長。
  137. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 先般当委員会におきまして委員長から御要求がありました去る二月の雪害の果樹被害に対しまする所得税の繰り延べ控除の問題につきまして、その後私どもといたしまして大蔵省等とも協議をいたしました結果を御報告をいたします。  問題の要点は、主としてミカン、ハッサク等の果樹が本年二月中旬の雪害によりまして被害を受けた農家のいわゆる事業用資産の損失の繰り延べ控除の措置を、現在の所得税法におきましては三年間ということになっておるのでございまするが、それを延長すべきではないか、こういうところが問題の要点であったかと思います。  御承知のように、被災事業用資産の損出の金額の繰り延べ控除の措置は、所得税法の規定によりまして、これは単に農業経営のみならず、およそ個人経営につきましては三年とされているものでございまして、果樹につきまして特にこれを延長するとすれば所得税法の改正というような措置も必要でございますし、また果樹以外の他の業種とのバランスの問題、それから納税の問題でございますから、納税対象となっておる果樹経営農家の個々の被害の実態、それからその後におきます所得の見込といったような各種の事情からその必要性が実証的に明らかにされる詳細な資料が必要と考えられます。このため私どもといたしましては、果樹被害の著しかった主産県に対しまして、被害農家の経営の実態等についてその後調査をいたしましたところ、一部の県につきましてはまだ未報告のものがございますけれども、報告のあった県からの意見を総括をして申しますと、第一は今次の被害のためにその樹園地の二分の一以上を改植しなければならなかったというほどの被害程度のものはほとんどなかった、こういうことが第一点です。それから第二点といたしましては、被害農家のうち被害程度の少なかった樹園地からの収入及び他の兼業収入等によって三年の繰り越し措置でおおむね被害の回復が期待されるというようなこと。それから天災融資法の発動によりまして改植の場合の資金措置が講じられましたといったようなことなどのために、今年の雪害のために特に繰り越し控除の期間を延長してほしいという強い要望は聞かれなかったのが実情でございます。したがいまして、ただいまのところ、三年の繰り越し措置を延長する必要はないと存じますけれども、なお今後とも被災県、さらに大蔵省とも連絡をとりながら、慎重に検討いたしたいと存じております。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、今次の豪雪との関連において、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法の運用等について、先般文部省当局において調査をせられました結果について、説明を聴取いたします。菅野文部省教育施設部長
  139. 菅野誠

    ○菅野説明員 この問題につきましては、たびたび当委員会におきましても、この法律が今次の豪雪の実態に即さないではないかという御指摘がありました。また理事会等におきましても、稻葉先生よりも強い御指摘もありました。その実態とも関連をいたしますために、前回の機会に申し上げたと思うのでございますが、四月十日を期限として関係都道府県教育委員会に市町村単位の資料収集を依頼しておきました。この実態に即しまして関係各省検討する計画であったことは、この前の委員会に申し上げ、御了承を得たとおりでございます。ところがたいへん申しわけないことでございますが、ちょうど年度初めに当たりますために、教育委員会関係が学年初めに当たりまして、多忙だった関係もあろうかと思いますが、各市町村からのこまかい資料収集に予想以上の時日を要しまして、実はこの期限の二日前、あるいはその一日前、当日と電話の催促等もいたしまして、期限には間違いないようにというようなことをかなり督促いたしてまいったのでございます。関係者ができるだけこの問題につきましては真剣に取り組んでまいったのでございますが、本日なお若干の未提出の県がありまして、この資料として提出するまでに至っていないことはまことに申しわけないところだと思っております。しかしながら、私どもといたしましては、全部の資料の集まるのを待って検討するのではおそいということで、来た資料をもとにいたしまして、すでに検討を開始しておるのでございますが、公式にはまだ関係各省連絡するまでに至っておりませんが、非公式には自治省、大蔵省とも連絡をとりまして、この資料をある程度分析を始めております。  それで、これまでの資料収集からある程度明らかになりました点を申し上げますと、第一には、予想されておりましたように、今次の災害が例の閣議で了解とされております豪雪指定基準に該当するかどうかという、県単位の基準に対してでおりますが、現在のところは、これに該当する県は一県もないということが明らかになったことは、前に予想したとおりのことかとも思います。未報告の県はまだなんですが、当然これには該当しないであろうという推定も現在のところはされております。  さらに、この豪雪政令がもし出されたとして現在の法律の二条にありますところの基準によって該当町村がどうなるかということを、報告のありましたところだけについて検討したのでございます。これは、御案内のように、第二条の基準といたしましては、平年における除雪事業に要する費用の合計額の二倍をこえ、かつ標準税収額の百分の四をこえるというのがあるわけでございますが、これに該当する町村が、現在のところでは豪雪指定基準がまず県単位で該当しないのですが、これをもし該当するとして町村でこれに該当するのがどうなっておるかということを、現在まで報告のあったところだけでいたしますと、新潟県の一村しかないということになっておることがわかったということでございます。それで、この間の事情をいろいろまた内容的にも分析する必要がありますので、いろいろこまかい資料等も分析しておるのでありますが、現在の規定自体では実情に即しないというのか、あるいは実情に即しているというのか、その地方交付税との関係等につきまして、さらに明らかにしたい点があるわけでありますが、ともかく、現在のところでは以上のようなことでありますので、これらの点をさらに突き詰めて実態を明らかにした上で、正式に、また随時非公式にも連絡しておるところでありますが、関係各省と早急に折衝を開始したいと考えております。  問題がどうもこのように、あるいは一面から見れば予想したとおりかもしれないのでありますが、実態の内容につきまして、いろいろ予想に反する点もあるというようなことで、計画したよりも若干資料の収集がおくれております点をおわび申し上げるのでありますが、引き続いてこれらの点について分析をいたしまして、関係各省と前向きに進めてまいりたい、こういうふうに考えております。     —————————————
  140. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますから、これを許します。稻葉修君。
  141. 稻葉修

    ○稻葉委員 長野県、福島県、山形県、新潟県等にやってまいりました今年の豪雪につきまして、ただいま菅野政府委員から実態調査の御報告がありましたとおり、三十八年の豪雪の際に、当委員会で強い要望でつくった豪雪に際して公共施設の除雪事業に要する費用を特別に補助してやるという法律は、ただいまの菅野教育施設部長報告によれば、空文化しておる。こう言ってあえて過言ではないと思うのであります。  第一に、豪雪指定基準をいま報告のありましたように、現行法では県下全域を単位とするということになっているから、あれだけの豪雪があっても一件も該当しないという法律を空文化するような結末を生むのでありまして、これを実のある法律にするためには、県下全域を単位とする現行方式を改め、市町村単位に豪雪指定基準をするということにしなければならぬと思うが、総理府長官はその意思があるかないか、なければないと言ってもいいのだ、やるつもりで努力するというのなら努力する、必ずやりますと言えば一番よろしい。
  142. 八木徹雄

    八木政府委員 たびたびのおしかりをいただいているわけでございますけれども、立法当時にはこれが実際に現実適用されない法律というふうには、お互いにだれも考えていなかったと思うのであります。当然、これは活用できるものだと思っておった。ところが自来一度も発動する機会がない。そのことは、結果的には睡眠立法と同じではないか、こういうことであろうと思うのであります。法律の前提として、無効の法律を温存したところで意味がないわけでございますから、その意味では考慮の中に入れなければならぬと思いますけれども、ただ、あのときの事情については、私よりも稻葉先生のほうがより詳しいわけでございますから、その意味において、私にこれを直ちに修正する意思があるかないかと言われるよりも、国会の意思として適宜の措置をひとつ推進していただきたい、私のほうにおきましても十分国会の意思を尊重するということで善処してまいりたい、こういうふうに思います。
  143. 稻葉修

    ○稻葉委員 私の問うておるのは、あなた方がやらぬと言えばわれわれがやるが、政府提案で修正する意思があるかどうかということを聞いているのです。
  144. 八木徹雄

    八木政府委員 十分に検討してみたいと思います。
  145. 稻葉修

    ○稻葉委員 それでよろしい。  次、第二。かりに市町村単位に指定基準の政令を改めて、そうなったと仮定しましても、菅野教育施設部長報告によれば、どの県のどの市町村も該当しない。わずかに新潟県の一小村だけが補助基準に該当する。その補助基準が政令できわめて厳密になっている。平年除雪費の二倍をこえ、かつ、そのこえる額が当該市町村の標準税収額の四%をこえる場合、こういうふうになっているから、あれだけの豪雪があっても補助基準に該当しない。この法律は空文化している。私ども立法者として、あの当時制定しました法律がこんなに空文化するとはもちろん思っていなかった。政令がうまくやってくれると思ったら、こちらはだまされて、政令ですってんてんに足をすくわれた、こういうことになっているんですから、この政令を改め、補助基準についても標準税収額の一%以上とか、平年除雪費の一・二倍をこえる場合とか、こういうふうにやらないと、あの困っている市町村の除雪費に要する財政負担はとうてい救われない、こういうことになろうかと思うのですが、同感であるか、あなたは意見が違うか、総理府長官の御答弁を求めます。
  146. 八木徹雄

    八木政府委員 よくわかりませんから、大蔵省の意見を先に聞きたいと思います。
  147. 原徹

    ○原説明員 私ども文部省から断片的に調査の結果を聞いておりますが、まだまとまったお話を聞いておりませんので、結論的なことは申し上げられません。ただ、ただいままで聞いておりますところで調べてみますると、三十八年のときを先生はおっしゃいますが、別に空文化するように政令をつくったものではもちろんございません。三十八年のような豪雪がありますれば、例の発動基準で——三十八年のときをモデルにしてあれをつくったわけでございますが、県単位にしまして、いまの一・三をこえるという県が出てくるわけでございます。それが今度は出てこないというわけでございますが、それは結局基準——先生も御承知の、交付税の除雪寒冷の補正の際の基準財政需要額、これをまずもとにしておるわけでございます。これは豪雪ということでございますから、そのワクの中に入ってしまうような雪であるならば、それはもう雪の降ったのは豪雪であっても、費用等のからみからいえば、必ずしも豪雪ではない、こういうことになります。  そこで……。
  148. 稻葉修

    ○稻葉委員 そこまででいい。あなた、大間違いをやっておるよ。三十八年の豪雪よりも除雪費に関する限りは、ことしの雪の除雪費のほうがはるかに大きいんだ。あのときは一度にばーんと降ったから、全部交通がストップしたというような異常の事態だ。除雪量については、はるかに当時より大きいんですよ。したがって、除雪の費用ははるかに大きいんですね。その三十八年の、あの豪雪の除雪量を基準にしてつくった法律であるならば、当然それをはるかにこえる今年の豪雪には適用になるべきはずに政令はできていなければならぬわけです。それができていないという私の見解に対し、この程度のことは、総理府長官でもそれはそうですねとか、それはこういうふうに違いますねとか返答があってしかるべきだ。あなたのいま言っていることは大間違いだ。
  149. 原徹

    ○原説明員 基準財政需要額そのものは、三十八年からはだいぶふえましたものですから——三十八年の政令をつくったときの状態で三十八年の災害適用してみれば、これは当時の基準財政需要額の一・三倍をこえる県というのは出てくるわけです。ところが、基準財政需要額そのものが動いております。動いておりますから、それに達しないということになったのではないかと思います。ところが基準財政需要額そのものは、やはり平均的なものとして考えられておりますから、基準財政需要額に達する県が一つもないということは、費用とのからみで申しますと、どうもいまは断片的な報告だけでございますので、これから出てくるかもしれませんが、いまのところで見ますと、確かにことし降りました雪は豪雪だと思いますけれども、国が補助すべきものとしての豪雪という意味で基準財政需要額とのからみで申しました場合に、そういう県が一県もないというときに、はたしてそれを豪雪と考えるべきかどうかというところにやはり検討すべき問題があるのではないかと思います。
  150. 稻葉修

    ○稻葉委員 除雪費というものは、雪をのける費用なんだからね。屋根から雪おろしする、主として公共建物について。そののける費用というのは、降った分量によるのです。一度に二日か三日でがっと降ったから、三十八年のときには、ああいう交通途絶になったけれども、あれからそういう意味で除雪機械の補助費をつくったり、いろいろの制度をつくったり、あのとき私どもこの委員会でいろいろやったものだから、用意もできて、しかも二日、三日にがっと降ったのではなくて、降ってはやみ、降っては除雪をし、またやみということで、一冬全体を通じたら、はるかに除雪費用というのは大きくなるわけです。ところが、その除雪費用を補助できない政令に政府はしたのじゃないか。この法律を空文化する政令に、故意ではないかもしらぬけれども、結果としてはされたのではないか、それはどうなのかということだけ聞いているのです。
  151. 原徹

    ○原説明員 もちろん故意にそういうことをやったわけではございません。あの発動基準は、例の基準財政需要額のもとにすること、これは私は合理的なことだろうと思います。基準財政需要額は当時に比べてふえておる、そして今度の豪雪——サンプルはまだわからないのでございますけれども、市町村単位でとってみても、基準財政需要額をこえる市町村というのは、あれだけ広い地域でとってみてもほとんどございません。少しはございます。そういたしますと、三十八年のときのデータでとれば、相当の市町村がとにかく基準財政需要額で見たものよりは実際の支出額が多い、それはそのとおりなんでございますけれども、今度の場合については、基準財政需要額をこえる市町村というものがほとんどない。若干ございますようですが、これまた最終的に詰めてございませんから、私も最終的なことは申し上げられませんけれども、いま聞いているところではほとんどない。そこが一番根っこの問題だと思うのです。もしそうだといった場合に、私、別に基準に加えないとかいうお話をしているわけじゃないのですが、これに国が補助すべき豪雪というのは、やはり基準財政需要額が市町村単位で見ても相当上回るというのが前提だろうと思います。そして、それがまた相当の数の県にあれば、それは国として補助すべきだ、こういうことになるのだろうと思います。そういうところが、今度の調査の結果によりまして、そういうふうにならないということになりますと、もとのところの基準財政需要額と被害額との問題になりますものですから、そこの点はなおよく検討いたしたい、こういうことでございます。
  152. 稻葉修

    ○稻葉委員 あなたは基準財政需要額の点だけを言いますけれども、この政令は、それとは無関係に平年除雪費の二倍をこえる、さらに当該市町村の標準税収額の四%をこえる、こういうきつい条件を付しているために、これを低めないことには、たとえ豪雪指定基準によって豪雪指定を受けても、この除雪費について補助を受ける基準には該当しないために補助が受けられない。これは不合理ではないか。この点同感と考えるか不合理と考えるかという質問をしているのです。副長官どうですか、わからなければわからないでいいのです。
  153. 八木徹雄

    八木政府委員 わかりません。
  154. 稻葉修

    ○稻葉委員 わからなければ、それでけっこうです。これは非常に不合理な政令であって、このためにせっかくつくった法律が空文化している一原因をなしていると思います。しかし、総理府長官がわからない、わからなければやむを得ません。  それから、いま二分の一の補助でありますが、建物の除雪費は、これはいわば災害予防費みたいなものです。現にこのたびの豪雪で体育館が、鉄骨でできているものが、吹雪が片方に寄りますと、全部ゆがんでしまって、ひん曲がってしまって、使いものにならないというところが、私の聞いているところでも二町村ございます。いま文部省とどうしてくれるかというわけで交渉中でありますが、こういうのは半壊以上だという査定を取りつけて、災害復旧建築のやり直しということになって、国費についても市町村財政負担についても非常に好ましきことでないから、もしこれが、市町村財政等を考慮して、そういう道路除雪費や災害復旧費並みに三分の二の補助であったならば、たいへんこの法律の実効が上がるのだが、二分の一を三分の二に政令改定の意思はあるのかないのか。わからぬならわからぬでけっこうです。
  155. 菅野誠

    ○菅野説明員 御要望としてたいへんごもっともなこととは思うのでございます。実はその点まだ詰めていないので恐縮でございますが、これはある程度私見にわたるかもしれないのでございますが、気持ちといたしましては、今回の問題につきましては、御指摘のように政令のほうに問題が相当あるというふうに考えております。いまの補助率は、御案内のように法律のほうに書いてありますので、法律をいまいじるということは、若干時間的にも問題があり、またせっかくできている法律でございますので、現在のところでは、補助率はそのままにして、その裏打ちの特別交付税等につきまして自治省その他と連絡をとりたい。補助率についてはそのままにして、これは個人的な見解になりますが、政令について十分検討させていただきたい、かように考えております。
  156. 稻葉修

    ○稻葉委員 これを要するに、この政令が非常にむずかしくできているので、この政令を何とか改定してもらいたいというのが豪雪地帯各県の強い要望であることは委員長も御承知のとおりだし、政府もよく知っていると思いますが、これらの点についての詳細については、なお小澤委員からも質問があると思う。私は、結局、手っとり早くこの法律をこういうふうに改正してみてはどうかという意見を持っているのですが、これに対して御答返願いたい。平衡交付税で見ている、平年除雪費をこえる除雪費を要した豪雪年度においては、その平年除雪費をこえる部分の三分の二を国庫補助をするということに法律を改めれば、やれ指示基準であるとか、補助基準であるとか、非常にやかましい、きつい条件をつけることによって、この法律を空文化するという弊害、罪悪、罪滅ぼしをすることができるのではないか。私どもは、当時の委員として、この災害対策でつくった法律がこういうふうになっているということについては、国民に対して非常に罪悪感をいだかざるを得ない。申しわけないと思う。そういう私どもの考え、意見に対して政府はどういうふうにお考えでしょうか。そういう法改正政府提案を検討する意思ありやいなや。ないというなら、議員立法でやらざるを得ぬ。あるのかないのか。わからぬなら、わからぬと、御返答をお願いします。
  157. 八木徹雄

    八木政府委員 いま申し上げました、こえる部分の三分の二の補助が適当であるかどうかは問題として残ると思います。しかしながら、基礎的な考え方として、普通交付税で見ておる除雪費以上を要した分で何らかの措置をすべきであるという御意見につきましては、十分に検討に値することだと思いますので、部内調整してみたいと思います。
  158. 稻葉修

    ○稻葉委員 この法律については、なお詳細を小澤委員から質問があるかと思いますから、もう一つ次に移ります。  積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、この法律は、法体系上は災害立法ではありませんね。けれども、現在のような産業、経済がこういうふうにスピードを要する時代になりますと、雪が降ること自体が非常な経済格差を醸成するわけであります。したがって、これらの豪雪地帯道路確保については、この法律はまことに有効な法律であるけれども、その指定路線を建設大臣がやった場合に、補助することになっている道路は国県道に限られておる。ところが、市町村道の中にも、どうしても除雪をしなければ、経済活動が非常に妨げられるという幹線がたくさんあるわけであります。でありますから、現在市町村道路の除雪費について、除雪機械だけが補助対象になっておりますが、それだけでなく、国県道と同様に幹線市町村道についての除雪費についても国庫補助の道を講ずることがどうしても必要であると本員は経験に徴して考える次第でありますが、政府の見解はどうですか。
  159. 川田陽吉

    ○川田説明員 先生の御指摘のとおり、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する法律は災害立法ではございません。また、この法律に基づきまして雪寒路線の指定を行なっているわけでございますが、現状におきましては、仰せのとおり、国道、府県道が中心になっております。しかし、府県道と申しましても、全体延長が大体十二万キロほどあるわけでございますが、そのうち積雪地帯に属するものが四万三千キロメートルございます。また、その四万三千キロメートルのうちで、現実に国庫補助対象として取り上げられております除雪区間は一万六千八百キロメートルでございまして、全道路延長の約三九%という状況でございます。しかし、市町村道も、民生安定上、公共施設の連絡でございますとか、バス路線等につきましては十分除雪の必要性もあるわけでございまして、そういう観点から、昭和四十年度以降、建設省といたしましては、除雪機械の補助という形で除雪に協力してまいってきておる次第でございます。  四十年度の採択基準は、人口が二万以上の市町村で自動車交通量百五十台以上、一日交通量でございますが、そういう路線というふうに制限的に運用していたわけでございますが、四十一年度には採択基準をさらに緩和いたしまして、人口一万五千以上ということにし、さらに四十二年度においては人口の制限を撤廃いたしまして、バス路線とか公共施設を連絡する道路で、一日の交通量が百五十台以上あるそういうふうな市町村道について、除雪のための除雪機械を補助するという形で運用しておる次第でございます。補助した台数も、四十一年度までで百六十八台、四十二年度には百二十台というふうにふやしまして、さらに四十三年度にはこれを百五十台程度さらに上乗せしたいというふに考えている状況でございまして、いましばらく機械補助という形で市町村道の除雪を援助してまいりたい、こういうことをただいま私ども考えておるところでございます。
  160. 稻葉修

    ○稻葉委員 それではなかなかうまくいかない。どうしても除雪費そのものに助成をしてもらわぬことには、主要幹線市町村道の交通がとだえるという現象が各県にことし起きたわけです。したがって、通学にもこと欠く、病人の救出にもこと欠く、経済活動のストップはもとよりという状態であるにかんがみまして、機械の購入台数の補助をふやしますから、台数をふやしますから、除雪費についてはいままでどおりやってくれ、こういうわけですが、全部やってくれとは言っていないのだ。また、市町村のほうに、ここは幹線だなということに追随してくれともいっていない。建設省、当該県当局が市町村の要望に基づいて必要ありと認めた場合に、それを国県道の指定路線と同様に指定路線の中に加えていく。いまのところは指定はおやりになりますね。この法律に基づいて指定はやっておられる。ただし補助はしない。国県道は指定をして補助をする。市町村道は、道を広げ交通ストップをさしておいてはならぬ、こういうことから指定はするのだ。けれども費用は一銭も持たない。こういう制度になっているから、指定をした以上は国県道並みに費用は負担したらどうか、こういうことなんですけれども、これはだめですか。
  161. 川田陽吉

    ○川田説明員 市町村道の性格から申しまして非常に多目的な効用を持っていることは確かでございますが、一方冬季の道路交通の最も地方的な幹線である府県道に対しましても、まだ私どもとしては不十分であると考えている次第でございまして、そうしたものを逐次ふやしまして、十分になった段階において、やはり市町村道の除雪費に対する直接援助というものを道路側としては考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  162. 稻葉修

    ○稻葉委員 いまあなたは、国県道についても手が回らないのに市町村道まではとても及ばぬ、こういうことをおっしゃったが、それならば指定しなければいい。国県道については指定するのですよ。そして国県道についても指定の路線からはずれている部分もあるのですよ。それよりは先に、まず市町村道のほうが先だといって指定しているんでしょう。いいですか。そういう順序になっている。だから、国が指定した市町村道については国県道並みに補助したらどうか。あなたのは、まず国県道です、こういう御説だが、国県道を全部積雪寒冷地帯における交通の確保に関する法律で除雪する、そして補助するという指定路線に全部なっているわけではないのだ、残っている。市町村道だけれども、それよりはこっちのほうが先だというので指定しているのじゃないか。そうしたら国県道よりも先にやったってちっとも意味のないことではない。あなたの理論は私の理論よりも弱いような気がするね。
  163. 川田陽吉

    ○川田説明員 市町村が行ないます除雪に要する経費のうち大きなものは、道路に積もった雪を動かすわけでございますが、その雪を動かすにあたって機械力でもって行なう、スノーローダーでございますとかあるいはグレーダーでございますとか、そうした機械を使って雪を動かすわけでございまして、その際に機械の購入につきまして補助金を差し上げる、そういう形での市町村除雪に御協力していきたい、こういうのが道路局の考えでございます。
  164. 稻葉修

    ○稻葉委員 それならばどうして指定するんだね。国県道よりも先にこっちのほうが除雪をしておくことが必要だといって指定する以上は、その点について補助の道を講ずるのは当然じゃないかと思う。あなたのお説ならば、それならまず市町村道などは全然指定なんかしないで、国県道の指定路線を延ばすということに専念したらいい。  総理府長官、いま私と川田君の問答を聞いて、どっちに軍配を上げるか。
  165. 八木徹雄

    八木政府委員 指定をしているということは、重要市町村道であるということの証拠である。その意味においてやはりその道は国の立場においてもひとつ確保してほしいということの意思表示だと思うのです。だから、それをのけるについて、何らかの国の措置をするということはやはり責任上あるべき姿ではないか。ただそれをどういう形でやるのか。たとえばいま機械はとりあえず買って補助いたしましょうということをしているが、それだけで十分なのか、あるいはそれに要する人件費なりあるいはガソリン代なりといったようなものを交付税なら交付税で見るというようなことをするのかどうかということは検討に値するのではないか、こうしろうと的には感ずるわけでございます。言わんとするところはわかるように思いますから、ただ機械さえ与えればそれでいいということでは済まされないというような感じもいたしますので、それが市町村に与える財政負担がどういうふうになっているのかということを見きわめた上で、たいしたことでなければお許しをいただくということもあるのではないかと思いますけれども、検討をしてみたいと思います。
  166. 稻葉修

    ○稻葉委員 たいへんけっこうです。だめを押しますけれども、指定路線になっている国道、県道、これに並行しているものがある。これを除雪せよということになっている。それをつなぐ市町村道がある。これは雪が降りますとここも込みますから、これをつなぐことは非常にこの効果を増すのです。それで指定されるのですから、どうしても国県道の交通確保のためにこの市町村道は除雪しなければならぬ。それを機械をやるからおまえたち金を出してやれ、こういうのは指定した意味がない。国道のため、県道のためにもなっている除雪についてめんどうを見ないなんというような、そんな不親切な道路行政があるか。しかし、いま総理府長官住民に対し非常に愛情のある答弁を得たから、それでもって許します。  私の質問は終わります。
  167. 芳賀貢

  168. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 何しろ花咲き花移ろって、花の散った時分になって豪雪の話だから、ちっとも身が入らないのだけれども、いま稻葉先生の質問のあったあと、一、二点だけわずかな時間、質問いたしたいと思います。  一番最後の、市町村道の重要なのを指定路線にして除雪の補助を出すような道を講じないかという問題については、いまどうもわかったようなわからぬような八木長官の御答弁ですが、私はたとえば高田市内に見に行って、昔と生活態様、経済条件が違ってきたので、バスで通学、通勤とか、市内の商店街とか、そういう市町村道でどうしても除雪をやらなければならない経済的な条件が出てきたと思うのです。ところが、これはブランクみたいなもので、交付税でも特別見てくれるというわけでもなさそうだ。そうかといって、いま建設省でいうところの雪寒のほうの指定路線にしたところで、県道や国道だけ指定路線にしておいても、ましてや市町村までは回るまい、そういう空白地帯。この前さんざ論争したのだけれども、うんと雪が降ったのが災害になるかというと、豪雪災害関係はかねてあいまいだった、こういうようなことで、いま一番必要に迫られている重要な市町村道の除雪について、一メートル二千円から三千円かかるようなそういうものを見るものが何にもない、こういうことなので、ブランクに入ってしまっているわけです。これは要望なんですが、この対策は今度の災害の場合一番重要な一つだと思いますので、ぜひ真剣に考えていただきたい、こういうように特にお願いをしておきたいと思います。  そこで、そのもとに戻って、例の長たらしい豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法、このことについて、いま稻葉先生から御質問があって、ある程度検討しましょうということなので、私はそれでいいと思いますから、あえてあまり追及はしないようにしたいと思いますが、ただ、稻葉先生方が三十八年にせっかく立法されたのを、私はどう考えても、この法律の実効を失うようなぐあいに政令がつくられたんじゃないか、こういうように考えます。どうしてかというと、この法律のできたのは三十八年七月です。ところが、なかなかこの政令をつくりたがらなかったわけです。その政令のできたのが、政令三百八十二号は四十年十二月二十七日、これは幾年ほっといたわけか、二年半ばかりほっといたわけです。それでまた、どうにもこうにも、どの府県も該当しないように閣議了解事項としてこの豪雪指定基準、この閣議事項をきめたのが四十年十二月二十四日、こういう時間的な経過を経ておるわけです。この法律ができてからまん中どころ、ちょうどいまから六、七年前にできたんだけれども、その中間どころで閣議了解事項と政令とができたわけです。だから、その政令をつくっているときは、先ほど大蔵省の御答弁にあったように、財政需要というものが年々増してまいりましたということは、それだけ、二年も三年もたった後にその政令をつくったんですから、その後財政需要が増してきたから該当しなくなりましたという理由にはならないわけです。昭和三十八年に法律ができた、その年にすぐ政令ができ、三十八年の雪にほんとうに間に合うようにつくったとするならば、あるいはいま大蔵省で言われるようなその弁明も成り立つかもしれませんけれども、この法律ができて二年も三年もほっといて政令をつくったのでしょう。それから、政令ができてたった二年しかたたないのに、財政需要云々でもって、当時の情勢と違うので、これは該当しなくなりましたということでは、理由にならぬと思うわけです。  それで私は質問いたしますが、四十年十二月二十四日の閣議了解事項、四十年十二月二十七日の政令三百八十二号、これをそのまま三十八年の豪雪適用したならば、その当時の県はどことどこが該当いたしましたか。——いますぐじゃわかりませんね。これは、わからなければ、この閣議了解事項及び……
  169. 菅野誠

    ○菅野説明員 三十八年の豪雪のときの適用の場合どうであったかということにつきましての試算は、一応いたしたものがございます。それで、この場合、三十八年の一月豪雪適用した場合の超過率、適用率というのを、平年除雪費の超過額、この当時やはり一・五倍、二倍、三倍、四倍というような段階にいたしまして、この平年除雪費用十万円以上超過した市町村が五十六あり、その超過額が六千五百十九万四千円ありということで、これを二倍以上のものが五十六町村だったわけですが、さらにこれを平年除雪費と標準税収額との比率を四%で足切りいたしますと、適用団体が二十三町村の四千六百十三万一千円になって、この適用率は六三%になるという一応試算があったわけでございます。ただ、しかし、これはいま御指摘のように、三十八年一月の豪雪を三十八年の標準税収の関係でやっておりますので、これをさらに四十年に置きかえての試算はいたしておりません。
  170. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこを私は言っているのです。政令は延ばしに延ばして、三年もたって後につくったわけでしょう。その年の標準税収なり何なりやってみれば、この法律というものはまるで適用のしないということがわかっていて、このときにやっておるわけじゃないですか。三十八年のその年につくったならば、あなたの言うように、これだけの町村適用になったはずだ、こういう御答弁で私は満足します。しかし、この政令をつくったのは三年後につくって、三十八年の標準税収か何かでもって当てはめてやってみたらこのくらいになるだろう、こうは言っても、時系列的に考えれば、四十年の暮れごろにつくっていたならば、いまやその財政規模はこういうように上がってきたから、今日の時点においてはこの法律、政令が適用しない、こういう点がわかっていて、わかってやったのじゃないですか。そのことは答弁してもらいたい。  もう一つ、いま言っているのは、政令のほうを言っているのだけれども、閣議了解事項のほうでは該当しておったわけですか。その〇・三%及び一・三倍……。
  171. 菅野誠

    ○菅野説明員 第一の点は、確かに年度を違えた場合の超過額あるいは標準税収でやるべきではなかったかという御意見も一つの考え方とは思うのでございますが、これは一つの考え方としては、やはり三十八年の豪雪だから三十八年の標準税収の関係でもってやったという一つの考えもあるわけでございまして、これはまあ見解の相違かとも思いますが、六三%の該当率もあることだから、まあまあということできまったいきさつがあろうかと思います。  第二点の、その当時閣議了解の該当県があったかということでございますが、これはあったのでございます。
  172. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 幾県あったのか、それは。
  173. 菅野誠

    ○菅野説明員 一県でございます。
  174. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ、その当時のことを想定すると、一県で、一県の中にこの五十六町村ですか、それが想定された、こういうわけですね。
  175. 菅野誠

    ○菅野説明員 この法律、政令のたてまえからは、一県該当すれば、その県だけではなくて、ほかの県にも該当する、こういう仕組みになっております。
  176. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあその言いわけみたいなことはわかりました。わかったが、三年もたった後に政令や閣議了解事項をつくるのだから、今日の財政の時点においては、この法律の趣旨が生かせるだろうかということでもって政令をつくらなければ、立法の趣旨というものは生かされない、こういうふうに考えるわけです。したがって、国会が国権の最高機関としてつくった法律を、一政府の役人によって骨なしに、うんと悪口で言えば作為的に、まるでやられてしまったように見えてしようがないわけだ。これは稻葉大先輩、もっと怒らなければいけないのじゃないかと思うのだけれども、先ほどたいへんやさしかったものだから、私は一つつけ加えて、その点だけは申し上げておきたいと思う。  まあそのことは別といたしまして、今日においては一県も該当しない。たとえ閣議了解事項でこの政令が発動されても全然だめだ、こういうことなので、これはひとつ根本的に改正をしてもらう。これは総理府八木長官から明確にそれを言明していただかないと、まるで立法の趣旨というものは、みんなこういう政令や何かで無にさせられてしまっている、こういうことなので、きょうは私はこれ以上質問をしないつもりでおりますので、根本的に検討する、こういうことで御答弁をいただきたいと思うわけです。
  177. 八木徹雄

    八木政府委員 たびたびの御要請でございますので、検討に値することだと思いますから、検討いたします。
  178. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ、これで終わります。
  179. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時三十九分散会