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1968-03-08 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十三年三月八日(金曜日) 午後一時三十分
開議
出席委員
委員長
芳賀
貢君
理事
井原
岸高
君
理事
池田
清志
君
理事
稻葉 修君
理事
湊 徹郎君
理事
川村
継義
君
理事
神田 大作君 小澤
太郎
君 塩谷 一夫君 中川 一郎君 橋口 隆君
三ツ林弥太郎
君
水野
清君 渡辺 肇君
井上
泉君
井上
普方君
唐橋
東君 兒玉 末男君
斉藤
正男
君 平等
文成
君 福岡 義登君 村山 喜一君 森 義視君
折小野良一
君
小川新一郎
君
出席国務大臣
農 林 大 臣 西村 直己君 建 設 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
総理府総務副長
官 八木 徹雄君
厚生省社会局長
今村 譲君
農林政務次官
安倍晋太郎
君
農林省農林経済
局長
大和田啓気
君
農林省農政局長
森本 修君
農林省園芸局長
黒河内 修君
林野庁長官
片山 正英君
気象庁長官
柴田
淑次
君
建設省河川局長
坂野 重信君
建設省道路局長
蓑輪健二郎
君
建設省住宅局長
三橋 信一君
委員外
の
出席者
内閣総理大臣官
房参事官
上田
伯雄
君
警察庁警備局公
安第一
課長
勝田 俊男君
防衛庁防衛局
第 一
課長
今泉 正隆君
科学技術庁研究
調整局総合研究
課長
緒方 雅彦君
大蔵省主計局主
計官
井上
幸夫君
大蔵省銀行局特
別
金融課長
小宮 保君 国税庁直
税部審
理課長
大塚
俊二君
文部省管理局教
育施設部長
菅野 誠君
厚生省環境衛生
局環境衛生課長
赤穴
博君
厚生省環境衛生
局水道課長
大橋 文雄君
厚生省社会局施
設
課長
大和田
潔君
農林大臣官房参
事官
太田 康二君
農林省農地局参
事官
佐々木四郎
君
農林省園芸局園
芸課長
千野
知長
君
食糧庁業務
第二
部長
荒勝
巌君
林野庁指導部長
木村
晴吉
君
林野庁指導部造
林保護課長
大塚
武行君
中小企業庁計画
部長
井土 武久君
気象庁予報部主
任予報官
加藤
茂数
君
気象庁観測部地
震課長
木村
耕三君
建設省河川局防
災課長
坂井 秀正君
建設省住宅局
市
街地建築課長
上野 洋君
自治省財政局財
政課長
首藤 堯君
消防庁調査官
永瀬 章君
—————————————
二月二十八日
委員稲富稜人君辞任
につき、その
補欠
として岡
澤完治
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 三月八日
委員金丸徳重
君、
工藤良平
君、
平等文成
君及び
小沢貞孝
君
辞任
につき、その
補欠
として
唐橋東
君、
斉藤正男
君、
井上泉
君及び
折小野良一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員折小野良一
君
辞任
につき、その
補欠
として
小沢貞孝
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
南九州えび
の
地震
による
災害対策
昭和
四十三年二月の
異常降雪等
による
災害対策
派遣委員
からの
報告聴取
————◇—————
芳賀貢
1
○
芳賀
委員長
これより
会議
を開きます。
災害対策
に関する件について
調査
を進めます。 まず、
南九州えび
の
地震
及び
昭和
四十三年二月の
異常降雪等
による
被害状況
並びに
昭和
四十三年一月以降の
豪雪
による
被害状況等調査
のため、先般当
委員会
より
現地
に派遣されました
委員
から
報告
を聴取することといたします。 第一班につきましては、便宜この席から私が御
報告
いたします。
南九州えび
の
地震
及び
昭和
四十三年二月の
異常降雪等
による
被害状況調査
のため、
議長
の
承認
を得て、去る三月一日から五日までの五日間、
高知
県、
宮崎
県、
鹿児島
県及び
徳島
県の四県に派遣されました
派遣委員
を代表して、
調査
の
概要
を御
報告
いたします。
派遣委員
は、
自由民主党
の
池田清志
君、
水野清
君、
日本社会党
の私、
芳賀貢
、
民主社会党
の
岡津完治
君及び公明党の
小川新一郎
君の五名であり、ほかに
地元選出議員
多数の御
参加
を得て、
現地
の
実情
をつぶさに
調査
してまいったのであります。詳細につきましては、
調査報告書
として提出いたしましたので、本
委員会議録
の末尾に参照として掲載していただくこととし、簡単に御
報告
申し上げることといたします。 まず、
南九州えび
の
地震
による
被害状況調査
の結果について申し上げます。
地震
の
発生状況
については、先般の
委員会
において
政府
から
説明
を聴取いたしましたので、これを省略いたしますが、今次
調査
に同行いたしました
気象庁
の
木村地震課長
の
報告
に基づき、その後の経緯について申し上げます。 まず
地震
の現況と
見通し
でありますが、去る二月二十五日、東大、京大及び
気象庁
の合議により、
現地
に構成されました
えびの
地震総合観測班
に集積された資料によれば、
地震活動
は多少の消長を繰り返してはおりますが、傾向としては順調に衰弱しつつあるとのことであります。
震源域
は二月二十一日午前十時四十五分の本震までは
えびの
町
真幸地区
にありましたが、余震は
吉松
町東部にあるようであります。この現象は
地震
の場合常に見られることであり、特異なものではなく、
火山地帯
で
発生
する
地震
の場合、しばらく静かになってから再び活発化する場合もありますので、当分の間、
地震
の
活動状況
を監視する必要があるとのことであります。また、
火山地帯
での
地震
が
火山活動
の前兆となる場合もありますので、
霧島火山
及び
桜島火山
の
観測
を強化する必要があります。
地震
の
活動状況
を監視するため、
気象庁
は人体に感じない小
地震
の
発生回数
を自動的に数える
地震計
を、四月一日より
えびの
町、
吉松
町に設置し、また
霧島
及び
桜島
両
火山
の
観測方式
を改めて、体制を強化する
方式
を早急に検討し、近日中に
現地官署
へ指示する予定であるとのことでありました。
宮崎
県の
報告
による
被害状況
は、
負傷者
三十二人、
罹災者
数一万二千六百二十人、
住家全壊
四百十二戸、
半壊
六百七十五戸、
被害総額
は四十八億七千万円にのぼっております。これらの
被害
はいずれも
えびの
町、一町の
被害
であり、
えびの
町は最近合併したばかりの町でありますので、
被害
が
真幸地区
に集中していることからして、旧
真幸
町一町のみの
被害
であるということができるのであります。このことは、
災害
の範囲は必ずしも広いとは申せませんが、一町がほとんど
全滅
というきわめて傷の深いものである点に特徴があると考えられます。 県においては、同町に
災害救助法
を
適用
し、自衛隊の出動を要請して、
応急対策
に万全を期したとのことでありましたが、特に
乳牛
を所有している
農民
は
避難
ができない
実情
にあったため、県において、これらの
乳牛
を一カ所に集め、
集団管理
を行なったことはまことに適切な処置であったとのことであります。 われわれ
調査団
は、三月三日
えびの
町におもむき、
被害
の実態を克明に
調査
したのでありますが、
道路
には大きな
亀裂
が入っており、
亀沢橋
は三十センチも沈下しており、川内川の堤防及び
用水路
にもたくさんの
亀裂
が入っており、
住家
及び畜舎は傾き、特に、
温泉旅館
の大きな建物は、外見上はそれほどでもありませんが、一歩足を中に踏み入れると、柱は折れ、廊下は落ち傾き、家全体がねじれている惨状は、
想像
を絶するものがあり、
地震
の激しさを物語って余りあるものがありました。 次に、
鹿児島
県の
報告
による
被害状況
は、
死者
三名、
重軽傷者
九名、
住家全壊
三十五戸、
半壊
二百四十八戸、
被害総額
十七億七千万円であり、本県においても、ほとんど
吉松
町一町のみの
被害
であります。 県においては、
吉松
町に
災害救助法
を発動し、
諸般
の
応急対策
を推進したとのことでありますが、特に、知事の決断によって
プレハブ
の
学習場
七棟を
建築
して授業を開始し、また
住宅
の
改築補修
のため、県の
備蓄木材
三千七百立方メートルを準備して、
資材
の
値上がり等
に備えたとのことでありました。
吉松
町の
被害現場
におきましては、
えびの
町と同様、
住家
はほとんど柱が折れ、家全体がねじれ、あるいは傾いている
状況
であります。また、
特殊土壌地帯
でありますため、随所に
山腹崩壊
が見られ、
危険区域
内に六十戸の
住家
があり、うち二十戸は
移転
を希望しているとのことでありました。 小学校三年生の女児を含む二名の
死者
を出した
落石現場
では、
住家
の裏にある新築の
ブロックづくり
のガレージに、たまたま九名の
人々
が
避難
をしたところに、直径一メートル余の岩石が落下しての事故であったとのことで、まことにお気の毒な
状況
でありました。
プレハブ
の
学習場
において、勉強中の
小学生
の代表から、われわれ
調査団
に対し、
手紙
が寄せられ、また、中学生からも二通手渡されたのでありますが、この
小学生
の
手紙
には、
地震
の激しさ、雪の中で竹やぶの中にテントをはって
集団
で夜を明かし、あたたかい食べものがなく、飲み水にも不自由している
状況
がたくまずに描かれ、早く
お家
にゆっくり寝たいから、
お家
をよくしてくださいという切々たる訴えがしたためられていたのでありまして、真に胸迫るものがあったのであります。 両県の
要望事項
の詳細は、
調査報告書
及び
陳情書
を御参照願いたいと存じますが、第一に
激甚災害法
の
適用
またはこれと
同等
の
措置
が強く
要望
されているところであり、
宮崎県議会
の決議による
要望
があったことを申し添えておきます。 また、
鹿児島
県からは、
危険区域
の
住民
には
集団移転
もやむを得ないとの空気があり、また、
被災住民一般
についても、将来の
地震
の見きわめがつかないことから、家屋の
移転
、
改築等
に踏み切れない
現状
であるため、とりあえず
応急仮設住宅
を建設してこれらの
人々
を収容することについて、何らかの
助成
の道を講じられたいこと並びに、
建築資材
として
国有林材
の払い下げと
個人
に対する
減価措置
が強く望まれておりました。
最後
に、
調査団
としての印象及び
政府
に対する
要望
を申し述べますと、
地元
の
要望
と一致するのでありますが、第一は、
激甚災害
としての
指定
またはそれと
同等
の
措置
についてであります。今次
地震
による
災害
は、
被害
の額においてはるかに基準に遠いのでありますが、局地的にはきわめて深い
被害
である
実情
と、連続的な
頻発地震
の様相を呈しており、
地震
の将来の
見通し
がはっきりしないこと、さらに
特殊土壌
の
地帯
であることから、
民心
にきわめて深い不安があり、これを安定せしめるため国による総合的な強力な
対策
を早急に樹立する必要が痛感されるところであります。 第二は、何はさておき、まず
住宅
の早急な復興が肝要であり、そのためには、
応急仮設住宅
の供給の
ワク
を
拡大
する方向を検討するとともに、
住宅
を
復旧
するための
資材
及び
資金
について
現行制度
の
ワク
を越えた何らかの
措置
をとる必要があり、恒久的な
対策
としては、
危険区域
内の
住家
の
移転
、
耐震構造
、
屋根がわら
を長
尺鉄板等軽量
なものに改めることなどについても早急に考慮する必要が痛感されるところであります。 第三は、
シラス土壌地帯
であるため、今後の
災害
を防止するため、
緊急治山事業
をはじめ地すべりの
防止等
に早急な
対策
の樹立が必要であります。 第四に、埋没あるいは
亀裂
を生じている
用水路
などの
農業用施設
について、
田植え期
に間に合うよう早急な
復旧
が必要であります。 第五に、
危険校舎
を
耐震性
のものに改築する
措置
並びに
応急仮設校舎
の
建築
について配慮する必要があります。 第六に、恒久的な
地震観測施設
を設置して、将来に備えるとともに、
民心
の安定につとめる必要があることを痛感してまいった次第であります。
政府
におかれましては、以上の諸点について、
特段
の
配意
を用い
措置
されるよう
要望
いたしておきます。 次に、
昭和
四十三年二月の
異常降雪等
による
被害状況調査
の結果について申し上げます。二月十四、十五日の両日にわたるいわゆる台湾坊主の
影響
で、
九州
、
四国
から
関東地方
に至るまでの各都府県におきましては、
造林木
、
果樹
及び
農作物
に
総額
六百十六億円にのぼる激甚なる
被害
が
発生
いたしました。このうち特に、
九州
、
四国
の各県に
被害
が顕著であります。 まず、
高知
県の
調査
結果について申し上げますと、同県においては、二月十五日瞬間
風速最大
五十二・九メートル、
被害
の最も多かった
安芸地方
で三十メートルをこえる突風に見舞われ、ちょうど
出荷期
を迎えていた
ビニールハウス栽培
の
促成野菜
に激甚なる
被害
を生じ、
ハウス経営者
に与えた
物心両面
における
影響
はきわめて深刻なものがあります。また、
異常降雪
による
民有林
の
造林木
に甚大な
被害
が
発生
しております。県の
報告
による
被害総額
は十九億三千万円であります。 同県の
促成野菜
は同時期のものとしては、
全国
一といわれ、特に
販売面
で県と
園芸連
との
組織
がきわめてスムーズに運ばれている点で他に例を見ないものでありますが、県においては、
被害発生
後直ちに積極的な
指導
を行ない、まず代作として
白いぼキュウリ
を奨励することとし、
共同育苗
及び
つなぎ融資
について
県費
で
助成措置
を決定推進しているとのことであります。また、
恒久対策
としては、
ハウス
を
鉄骨
または堅固な木造に変えるよう
指導
することとし、
圃場整備
のため
土地改良事業
を推進するとのことであります。
安芸地方
の
ビニールハウス
の
被害状況
について
調査
を行なったのでありますが、ほとんどの
ハウス
は破壊され、中の
野菜
は枯れしぼんで
むざんな姿
をさらしている
状況
は、
収穫
を
目前
にして、二十年来初めてという
被害
の深刻さを十分に察知できたのであります。 次に、
宮崎
県について申し上げます。同県においては、十五日午前一時から十一時間にわたり、雨または雪を伴う強風が吹き荒れ、瞬間
風速
三十二メートルをこえる
状況
であったため、
ビニールハウス栽培
の
施設
及び
蔬菜類
並びに
北部山林地区
の
造林木
に大きな
被害
の
発生
を見たのであります。県の
報告
による
被害総額
は、五億六千万円余であります。県においては、
施設園芸被害
に対し
緊急対策指導班
を編成して、
現地指導
を行なうとともに、
広報活動等諸般
の
対策
を実施したとのことであります。 延岡市、
祝子地区
及び
東海地区
の
被害現場
について視察を行なったのでありますが、
祝子地区
におきましては、
構造改善事業
として
法人組織
で大
規模
な
ビニールハウス栽培
を始めたばかりであり、
収穫
を
目前
にして、
鉄骨ハウス
、
作物とも
に壊滅的な
被害
を受け、こわれた
ハウス
のあと片づけにも手がつかないという
状況
でありました。
東海地区
におきましても、
個人
で一千万円の
費用
をかけたという
鉄骨
の
ハウス
がほとんど
倒壊
破損している
実情
を見て、この
被害
から立ち直るのに十年以上を要するとの
説明
を聴取し、まことに
同情
を禁じ得ないものがあったのであります。 次に、
鹿児島
について申し上げます。同県においては、二月十日から十二日までの
異常低温
、
降霜
に引き続き、十五日の
暴風
及び二十日から二十一日にかけての
降雪等
により、
農作物
及び
ビニールハウス等
に大きな
被害
が
発生
しております。県の
報告
による
被害総額
は、十一億一千万円にのぼり、このうち
サトウキビ
が三億四千万円を占めております。
国分
市の
ビニール栽培
のトマトの
被災現場
及び
垂水
市の
キヌサヤエンドウ等
の
農作物被害
について
調査
を行なったのであります。
国分
市においては、農協、
普及所
の職員、
一般部落民
に加えて、
実業高校
の生徒八十名の応援により
被害
を
最小限度
に食いとめるため、あとうる限りの
努力
を傾注したとのことでありましたが、
資材
と
人手不足
に加えて二日後に
降霜
を見たため、一部助かったものの中からもさらに
被害
が出たという
実情
で、若い
農業者
の中から転職の声も聞かれ、心配しているとのことでありました。
垂水
市におきましては、
風速
四十メートルという
暴風
と冷害のため、
規模
は小さいが
全国
一の
栽培面積
であるといわれる
キヌサヤエンドウ
をはじめ、
農作物
に二億四千万円の
被害
が
発生
したとのことであり、農産物の
価格安定方策
及び
野菜団地
の育成についての抜本的な
対策
について
要望
があったのであります。 次に、
徳島
県について申し上げます。同県においては、二月十四日夜半から降り始めた雨が雪となり、十五日も終日降り続いたため、
積雪量
は、
都市部
で二十センチ、
平野部
で三十センチ、
山間部
で五十センチに及ぶ十七年
ぶり
の
大雪
で、しかも、この雪は水分を多量に含んだぬれ雪であったとのことであります。その後の気温が平年より二、三度低かったため、降り積もった雪は根雪となって残り、
積雪継続日数
は一週間をこえ、同
地方
にとっては、明治二十四年の
気象台開設
以来の記録であるといわれております。このため
通信線
、
電灯線
の切断により、
通信
は途絶、全
県下停電
となり、交通は完全にストップするとともに、
積雪
による
造林木
、
果樹
の折損、凍害、
ビニールハウス
の
倒壊
及び
停電
による
農作物
の
被害
はきわめて甚大なものとなったのであります。県の
報告
による
被害状況
は、
住家半壊
十八戸、一部損壊八百七十四戸、
被害総額
五十九億四千万円にのぼっております。
被害
の内訳について見ると、
電力関係
で
配電線
はすべて
配電停止
、断線したもの三万カ所、
送電線
は六十八回線中、五十六回線が
送電停止
、
停電戸数
は九五%に当たる二十二万四千戸を数え、そのほとんどが、一週間の
停電
であったといわれ、
通信関係
では
電話回線障害
一万七千回線、
電柱破損
二千本に及んでおります。
農作物被害
は、三十九億四千万円、
園芸施設
四億四千万円、
林業関係
十億五千万円であります。県としては、
高知
県同様、
促成野菜
の
転作対策
を推進し、
共同育苗
を実施するなど、
応急対策
を樹立し、
県費
でかんきつの
苗木購入
及び
蔬菜
の
共同育苗ハウス施設
のため千百万円の支出をきめるとともに、
つなぎ融資
の
利子補給
として二千万円を予定しているとのことでありました。
小松島
市、
阿南
市及び
鳴門
市の
被災現地
を視察したのでありますが、
小松島
市及び
阿南
市における
ビニールハウス
の
倒壊状況
は、前記三県の風による
被害
と異なり、
積雪
によって押しつぶされたものがほとんどで、
被災者
の
説明
によれば、
ビニールハウス
の上に積もった雪が異常に重く、しかも固まっているため、雪の中でくつが脱げているのも気がつかずに雪をおろす
努力
をしたが、一向に雪が落ちず、ついに
全滅
してしまったとのことで、全く
同情
を禁じ得ないものがありました。
鳴門
市におきましては、
果樹
の
被害状況
を見たのでありますが、枝折れ及び枝裂けの
被害
は
想像
以上に激甚であり、十七年
ぶり
の
大雪
というけれども、四十年来全く経験したことのない異常な
災害
であるとのことで、後遺症により、二、三年後には改植しなければならないとの声も聞かれたのであります。 次に、各
県共通
の
要望事項
のおもなものについて申し上げますと、まず第一に、
天災融資法
の発動及び
特別被害地域
の
指定
について、第二に、
自作農維持資金
の
ワク
の
拡大
について、第三に、
既借り入れ金
の
償還延期
について、第四に、
造林木復旧作業
に要する経費の
助成
及び再
造林
に対する
補助
について、第五に、
特別交付税
の増額について、いずれも
特段
の配慮が望まれているほか、
高知
県からは、
基盤整備事業
の
条件緩和
について、
宮崎
県からは、
農業構造改善事業費補助金
にかかわる
施設
の
災害復旧
について、
復旧工事等
の施工を
補助対象
にされたいこと、
鹿児島
県からは、
熊毛地方
における
サトウキビ苗
の
購入費
の
助成
及び
ブリックス低下
の
サトウキビ
の
原料価額
の確保について、
徳島
県からは、
激甚災害法
の
適用
並びに
林業関係
の
育種事業
、
種苗
、
ハウス等
に対する
助成措置
及び
公庫資金
の
融資条件
の
緩和
、税の
減免措置
について
要望
があったのであります。 以上が、今回視察いたしました四県の
被害状況
及び
要望事項
の
概要
でありますが、
最後
にわれわれ
調査団
の感じてまいりました二、三の点について申し述べたいと存じます。 今次の
暴風雨雪
による
災害
は、
果樹
及び
造林木
に巨額の
被害
を与えるとともに、ちょうど収獲、
出荷期
を迎えていた
ビニールハウス栽培
の
施設
及び
促成野菜
に壊滅的な
被害
をもたらしたのであります。御承知のとおり、
四国
及び
九州南部
における
施設園芸
は、
農業近代化
の一環として各県とも大いに力を注ぎ、将来ますます発展が期待されているところでありますが、
ハウス経営
の
農民
にとっては、多額の投資を必要とする上、
需給関係
、
出荷
時期及び
農作物価格
など危険もまた大きいのでありまして、国の施策として十分なる
援護措置
が必要であることは論をまたないところであります。今次の
暴風雪
により、
ハウス経営者
は、
施設
及び
作物とも
全滅
という
災害
に見舞われ、
物心両面
に受けた打撃はきわめて深刻なものがありますが、これらに対する何らの
補償措置
もないのが
現状
であります。このことは、最近いわれるところの過密、
過疎対策
との
関連
において、
農業
の
後継者養成
の
観点
からしても、
施設園芸
が比較的若い
農業者
による
開発途上
であるだけに、これらに与える
影響
は真に憂慮されるものがあると思うのであります。したがって、今次
災害
を契機として、
施設園芸
に対する抜本的な
救済措置
を講ずる必要が痛感されるところであります。 以上の
観点
から、二、三の点について、
政府
の積極的な善処を
要望
いたしておきたいと存じます。 第一は、
ビニールハウス等
の
施設
を
対象
とする
共済制度
を早急に検討する必要があるということであります。 第二に、
天災融資法
において
ビニールハウス等
の
施設
を
対象
として取り上げるとともに、
貸し付け限度額
の
引き上げ
を考慮する必要があり、また、これとの
関連
において、
自作農維持資金
の
融資ワク
の
拡大
と
限度額
の大幅な
引き上げ
を考慮する必要があります。 第三に、
鉄骨ハウス
の新設、再建、
復旧
に対する
特別助成措置
を講ずることについて検討する必要があります。 第四に、
土地基盤整備事業
についての
条件
の
緩和
について、
実情
に即しての
措置
を考慮する必要があります。 次に、
施設園芸
の
被害
と並んで、きわめて
被害
が顕著であった
果樹
及び
造林木
についての
対策
として、第五に、
果樹
の
優良種苗導入
を
昭和
四十三年度においても
農業改良資金
(
技術導入資金
)の
対象
にするとともに、
融資ワク
の
拡大
をはかることを考慮する必要があります。 第六に、
造林木
について、いわゆる雪起こしに要する
費用
についての
助成措置
を講ずる必要があります。 終わりに、今次
調査
に御協力賜わりました各県知事をはじめ、
地元関係者
の方々に深く謝意を表しまして、
報告
といたします。 次に、第二班、
川村継義
君。
川村継義
2
○
川村委員
昭和
四十三年一月以降の
豪雪
による
被害状況等調査報告
を申し上げます。
昭和
四十三年一月以降の
豪雪
による
被害状況等調査
のため、去る二月二十七日、
議長
の
承認
を得て、
自由民主党
の
三ツ林弥太郎
君、
民主社会党
の
小沢貞孝
君及び
日本社会党
の
川村継義
君のほか、
地元参加
の
議員
多数の御
参加
を得て、三月一日から四日までの日程で、新潟県及び福島県における
被害状況等
をつぶさに
調査
いたしてまいったのであります。 本
調査
の詳細につきましては
調査報告書
を
委員長
に提出いたしてありますので、本日の
会議
録に参照掲載していただくようお願いをし、以下その
概要
につきまして御
報告
申し上げます。 新潟県及び福島県の会津
地方
におきましては、今年一月末から二月上旬にかけて
豪雪
に見舞われ、その
積雪量
は平年の
積雪量
をはるかに上回り、所によっては、去る
昭和
三十八年の
豪雪
をしのぐ
積雪量
を記録したのであります。このため同
地方
の
道路
、鉄道等の交通が至るところで麻痺状態となり、不通となる個所が続発し、ヘリコプターにより急患の救出や緊急物資の輸送を行なう等孤立したところもあり、除雪のため消防団、自衛隊の派遣を要請する等の緊急事態が
発生
したのであります。 新潟県におきましては、今冬の初め、雪害予防計画実施要領を作成し、また福島県におきましても、県が雪害
対策
についての通達を関係方面に発して雪害に対する体制を固めていたのでありますが、一月末から襲った
豪雪
に、二月二日両県とも雪害
対策
本部を設置し、
道路
等の交通の確保に全力を傾注するとともに、救援体制の確立をはかったのであります。
調査
時点における県の
報告
による
被害状況
は、新潟県におきましては、
死者
九人、
負傷者
五人、建物損壊等三百四十三棟、農林、商工関係の
被害
約四十億円、
道路
等除雪経費九億五千万円、一般除雪経費等十八億六千万円となっております。福島県におきましては、
負傷者
五人、建物損壊等二百四十棟、土木、商工関係等の
被害
額は十一億円、
道路
の除雪費は一億九千六百万円となっております。この
豪雪
による
被害
はむしろこれからが心配で、すでに
発生
し始めた底なだれとともに、融雪期における洪水、消雪遅延による
農作物
の植えつけ遅延等の
災害
が憂慮されているところであります。 われわれ
調査団
は、新潟県におきましては、県庁、上越支庁、長岡市役所等において、県当局並びに各市町村長、商工、
農業
団体各代表のほか、関係各層の方々から
説明
を聴取し、新井市、高田市、直江津市、長岡市等の
豪雪
状況
を視察したのであります。また、福島県におきましては、会津若松駅の駅長室及び会津若松から只見に向かう三時間の列車内において県並びに各市町村長等から
説明
を聴取し、蒲生駅から只見町までの間は雪上車に乗って三メートル余の
豪雪
に閉ざされた同
地方
を視察したのであります。 これら両県の
調査
現地
において切々たる
要望
を数多く承ってまいったのでありますが、本
調査
の所感を含めてその
要望
を申し上げます。 一、除雪の問題は最大の課題でありまして、今日の経済社会の急速なる発展、変化に伴い、
道路
等交通の途絶が及ぼす
影響
ははかり知れないものがあり、
豪雪
地における
道路
確保の問題はあらためて検討をする必要があり、
積雪
寒冷特別地域における
道路
交通の確保に関する特別
措置
法に基づく
指定
路線の追加を大幅に認め、幹線となる市町村道の除雪費について
助成措置
を検討し、防雪
対策
事業費、凍雪害防止事業費、除雪機械整備費等の増額をはかることなどを感じてまいったのであります。 二、
地方
団体の行なう除雪費はばく大な額に達し、
地方
財政を大きく圧迫しているのでありまして、新潟県においては今年の除雪費として支払うべき額のうち、九千万円の財源について全く見込みが立たない
現状
にあり、こうしたことは県のみならず、各市町村においても同様のことが言えるのであって、交付税等の増額等について考慮すべき問題があろうかと存じます。 三、
豪雪
に際して
地方
公共団体が行なう公共の
施設
の除雪事業に要する
費用
の
補助
に関する特別
措置
法について、各地で問題となったのでありますが、これが
適用
について
実情
にそぐわない点が多く、
実情
に合わせてその
適用
がはかれるよう、これら関係法令について再検討する必要を痛感してまいった次第であります。 四、その他、なだれの防止策、緊急用ヘリコプター、雪上車の拡充、固定資産税の減免、消雪期の遅延による
農作物
の植えつけ遅延の問題、会津線、飯山線のラッセル車等の問題等数多くありますが、時間の関係上詳細は
報告
書に譲ることとし、以上簡単でありますが、派遣
報告
といたします。
芳賀貢
3
○
芳賀
委員長
これにて
派遣委員
の
報告
は終わりました。
派遣委員
各位には、まことに御苦労さまでございました。
—————————————
芳賀貢
4
○
芳賀
委員長
なお、ただいま
報告
がございました両班の
派遣委員
から、内容の詳細についてその
調査報告書
が提出されておりますので、これを
会議
録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
芳賀貢
5
○
芳賀
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
—————————————
〔
報告
書は本号末尾に掲載〕
—————————————
芳賀貢
6
○
芳賀
委員長
それでは、本日は、
南九州えび
の
地震
による
災害対策
、及び、
昭和
四十三年二月の
異常降雪等
による
災害対策
について
調査
を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
池田清志
君。
池田清志
7
○
池田
(清)
委員
私は
委員長
のお供をいたしまして、西のほうの
調査
第一班に加わって
現地
の
被害状況
を
調査
をしてまいったわけです。その
実情
並びにこれに対します県市町村等の御
要望
の趣は、団長であります
委員長
から詳細に御
報告
になりました。その要求として
報告
を申し上げましたものは、私ども国
会議
員といたしまして、国会においてもこれが実現をはかるべきである。そしてまた
政府
、各省庁におかれましても、これが実現に御協力を願いたい、こういうふうに考えるわけであります。
現地
の
被害
の
状況
はまことにひどいものでありまして、それにいたしましても、
現地
を拝見をいたしまして、
地震
情報の速報や、あるいはまた警察、消防、警備当局の活躍によりまして、
えびの
地震
地帯
におきましても人心が安定しつつあるという
実情
を伺いまして、せめてもの喜びといたして帰ったわけであります。 そこでお尋ねを申し上げ、御要求も申し上げるのでありますが、関係県市町村の要求の第一項にありましたところの、
えびの
地震
に対しまして
天災融資法
の
適用
と激甚地の
指定
をやれ、これはもう強い強い要求でございました。 そこで、まず、
災害
の
状況
は
委員長
が
報告
をいたしたのでありますけれども、くどいですけれども、もう一ぺん申し上げてみたいと思います。
宮崎
県は
えびの
町、
鹿児島
県は
吉松
町、この二つの町において起こった
えびの
地震
であります。その他のところにおきましてもいささかの
被害
はありましたが、集中的に
被害
をこうむっておりますのはこの両町でございます。
えびの
町におきましては、住まいの
被害
が、ラウンドナンバーで申しますが、二十二億円、
鹿児島
県
吉松
町におきましては七億円、合わせまして二十九億円。また農林
被害
を見ましても、
宮崎
県
えびの
町におきまして十一億円、
鹿児島
県
吉松
町におきましても七億円、締めて十九億円。これらを総合いたしまして、
宮崎
県の
被害
四十八億円、
鹿児島
県の
被害
十七億円、締めて六十五億円、こういう
報告
があったわけです。この
災害
地の両町におきます
被害
の
状況
はまことに甚大であります。でありまするから、私、思いまするに、激甚地なりと、こう断定を申し上げるわけです。そこで、
地元
におきましても、われわれ国
会議
員といたしましても、
天災融資法
の
適用
をしてしかるべし、激甚地の
指定
をしてしかるべし、こう考えておるものでありますが、これに対しまして、この問題について
政府
のお考えをまずお伺いしておきます。
西村直己
8
○西村国務大臣
えびの
の
地震
に際しまして羅災されました方々に対しましては、心から御
同情
を申し上げます。と同時に、また
政府
といたしましても、各省関係事項を通し、また
現地
のそれぞれの機関、また
地方
公共団体に御苦労をお願いいたしまして、これが
復旧
なり今後の
対策
に推進をしてまいりたいと思います。 具体的に、ただ
天災融資法
の発動いかんという具体問題に入りまして御答弁いたすにつきましては、
天災融資法
の
対象
である
農作物
の
被害
というようなものをどうつかんでいくかというところが、県の
報告
、実態
調査
等から見まして、必ずしもこれが直ちに法の
適用
になり得るというふうには、ちょっと現在の段階では困難ではあるのであります。その点につきまして、県の
報告
等をしんしゃくいたしまして、どういう
状況
でありますか、法の具体的運用につきまして、事務の関係者からさらにお答えをさしたいと思います。
池田清志
9
○
池田
(清)
委員
災害
を受けた者の立場から申しますと、
災害
の
被害
がどうあろうと、
災害
の区域がどうあろうと、そういうこととかかわりなく、
罹災者
についてはもう激甚である、こういうふうであるわけです。ところが、法制のたてまえといたしましては、基準がどうのこうの、
被害状況
がどうのこうの、地域がどうのこうの、こういう基準があるということは承知しております。その基準自体は、
政府
、省庁において研究されてつくったものです。ですから、その基準というものは人為的にあるいは政策的に変更し得るものであると考えますが、まずこの抽象的なことについてはいかがでございましょうか。
西村直己
10
○西村国務大臣 もちろん、そのおっしゃるとおりだと私思います。これは人間のつくった法律でございますから、あるいは国会の最高機関において御意思が決定すればこれは尊重してまいる。ただ、国政をあずかる者といたしましては、こういう
災害
のないことを望むのでありますが、また他にもありますから、したがってそれらを勘案して、立法されたる趣旨に基づいてやっておるわけでありまして、もしこの法において現実にまた手の届かないような場合には、この法だけでない方法でもまた勘案していかなければならぬ場合もあると思うのでありまして、そこいらは十分検討はいたしていかなければならぬと思います。
池田清志
11
○
池田
(清)
委員
この法律そのものを直接に
適用
することが無理な場合においては、法を
適用
した結果と同じところまでは
措置
してもよろしいというような農林大臣の御発言でございます。これ等につきましては、先例等も松代
地震
等においてあろうかと思うのでありますが、この点について明らかにしていただきたい。
西村直己
12
○西村国務大臣 私も具体的な別に考え方を持っておりませんが、こういうものにつきましては、直ちに具体的な方法でここでぴしゃっとしたお答えを申し上げる段階ではございませんが、
被害
を受けられた方々の立場からいえば、確かにその部分が激しいものを受けておるということは十分認識をしながら、法運用なり、法運用外のことも検討はしていかなければならぬ、こういう考えでございます。
池田清志
13
○
池田
(清)
委員
天災融資法
の
適用
そのものをお願いを申し上げるわけでありますが、もしそれ、それができないという場合においては、一歩譲りましょうというわけで、農林大臣、
説明
されましたように、その法律を
適用
したものと同じような結果において
措置
をすると、こういうことであってほしいと思います。これはぜひお願いを申し上げておきます。 農林大臣がいらっしゃった機会でありますから、農林土木の問題について申し上げます。これは具体的に申し上げますと、
えびの
町の柳地区の
用水路
に丘がくずれてきて、ふさがっております。さらにまた、
吉松
町の竹中池が水が出なくなって干からびております。これらは大事な大事な用水関係であり、水源でございまするから、あと三カ月の間に切り開いて、また水をためていかなければなりません。こういうことについて具体的にどういうふうに進めていかれるか、
農民
の方々が安心されるように御処置を願っておきます。
西村直己
14
○西村国務大臣 端的にお答えいたしますが、おそらく農地あるいは
農業用施設
の
災害
の早期
復旧
の問題であると思うのでございます。すでに
池田
さんも十分に御研究になり、御存じのとおり、この問題につきましては、法律の基礎は、農林水産業
施設
災害復旧
事業費国庫
補助
の暫定
措置
に関する法律というものがございます。その規定によって緊急を要するもの、その他のもの、緊急を要するものについては三カ年以内、そこで今回の
えびの
地震
に対しましては、ことしの作付に支障のないように応急
措置
をさしあたりやっていくように目下
指導
中でございます。査定というものが御存じのとおりございます。これは三月二十日ごろ実施をいたす予定でございます。
池田清志
15
○
池田
(清)
委員
大臣はお急ぎのようですから、ほかの方、やってください。
芳賀貢
16
○
芳賀
委員長
橋口隆君。
橋口隆
17
○橋口
委員
私は、二月中旬に西日本を襲いました
暴風雪
の
状況
について、特に種子島、屋久島地区の
実情
を視察してまいりましたので、それを御
報告
申し上げ、あわせてせっかく農林大臣がおいでになりましたので、御
要望
を申し上げたいと思う次第でございます。 今回西日本を襲いました
暴風雪
の中で、種子島は独特の地位を占めておるのでございます。それは、ほかの地域は降雪による
被害
でございますが、種子島は独自の
降霜
による
被害
でございます。それによりますと、二月十日、二月十二日、二月十三日のこの三日間にわたりまして、特に二月十三日の霜は連続時間十二時間をこえまして、種子島全域にわたり、
サトウキビ
に非常に大きな打撃を与えたのでございます。四十年
ぶり
の霜と申しておりますが、記録は正確でございませんので、おそらく最近では未曽有の
被害
ではないかと考えるのでございます。非常に
被害
が大きく報道されておりましたので、私は
芳賀
委員長
を団長とする
現地
調査団
と相前後いたしまして、この種子島、屋久島の
実情
を見てまいったのでございます。予想しておりましたよりも非常に
被害
が大きくて、私は驚いたのでございます。二月ごろのこの島の
実情
は私は非常によく知っているのでございますが、
サトウキビ
なんかまだ青い色をしておるのでございますが、それが一面にもう枯れておりまして、農家も森閑として静まり返って、悲嘆に暮れておる、そういうような
実情
でございました。この
被害
は全島にわたっておりますけれども、特に
降霜
による
被害
が大半でございまして、それと台湾坊主の
被害
等を合わせますと八四・二%でございます。
降霜
だけで八二%の
被害
を受けておるのでございます。そして
サトウキビ
の中で全然
被害
がなかったというのは、わずかに一五・八%であるという、これは
現地
の
調査
ができ上がっております。 そこで、どのくらいの損失になるかと申しますと、非常に糖度が下がりまして、かねては平均十八度くらいでございますが、今度は平均十六度くらいであろうといわれておるのでございます。その
被害
額を概算いたしますと、ブリックスの低下に伴う損失の分だけで、二億九百八十三万円と一応推定をされております。また
サトウキビ
の減収量が五千八百万トンと県の推定になっておるのでございます。したがって、
現地
の農家としては非常な損害でございまして、現在のままの値段でもし工場に売り渡すとしますと、二億数千万円にのぼる農家の
被害
になるわけでございます。なお、このほかに苗不足の分によりますものが六千二百万と推定をされまして、合わせて、今回の霜による
サトウキビ
の損害は三億二千九百八十七万円と推定をされております。この数字は、この
災害
の直後に
地元
当局で作成をしたのでございますが、その後六日の日に、農林省から
調査団
がお見えになったはずでございます。したがいまして、あとでその農林省の
現地
調査団
からの
調査
実情
をここで御
報告
いただきたいと思うのでございます。 そこで、
現地
の
要望
といたしましては、
降霜
によってブリックスが低下して、十六度未満のものが二万六千トンに達する見込みでございます。これは従来のブリックス十六度未満の
サトウキビ
の集荷量は約七十二万トンでございますから、差し引き二万六千二百六十五トンにつきましては、トン当たり十六度の値段、最低価格の五千三百五十円が確保されるように特別の
措置
をお願い申し上げたいのでございます。もし五千三百五十円で買っていただくとなれば、農家の損失はかなり軽減されるものと見込まれております。これが第一点の
要望
でございまして、ぜひとも最低五千三百五十円を確保するように万全の処置を講じていただきたいのでございます。 次に、天災による
被害
農業者
に対しまして、
資金
の融通に関する暫定
措置
法の
適用
をお願い申し上げたいのでございます。農家は明年度の農作につきましては、非常に
資金
の不足に悩まされることと思いますので、特にその点も御配慮を願いたいと思います。 なお、苗の購入に対して、苗が全島でほとんど枯れておりますので、その分に対する
助成
策を講じていただきたいと存じます。 生産農家に対しては、この三つの点を特に御配慮をいただきたいと思う次第でございます。もしこういうような五千三百五十円で工場に売り渡していただくといたしますと、工場側では企業のコスト高となりまして、大幅な赤字が予想されるのでございます。この点については、すでに農林当局は十分御
調査
済みのことと思うのでございますが、実績コストによる事業団買い入れを実施していただくように特にお願いを申し上げる次第でございます。 私は種子島、屋久島
地方
を見てまいったのでございますが、この地域はわが日本では最低の所得水準の地域でございまして、
サトウキビ
だけにたよりまして、それで農家の生計を維持してきたのでございます。ちょうどいまから二十年くらい前に台湾から
サトウキビ
を入れまして、そして営々として今日を築き上げてきたのでございますが、台風にも弱く、霜にも弱い。また
政府
に特別の
措置
を講じていただかないことになりますと、再び逆行いたしまして、サツマイモに作付転換をしなくてはならないという悲境におちいるのではないかと思われるのでございます。そういう意味で万全の
措置
を講じていただきますように、特に農林大臣にお願いを申し上げたいのであります。
西村直己
18
○西村国務大臣 ただいま橋口
委員
から御意見の開陳なり御質問なり御
要望
が出まして、種子島の
サトウキビ
に対しまする凍霜害というものは島としては未曽有のことだ、こういう
状況
につきましては、私もかねがね承っております。 そこで糖価、
サトウキビ
の原料価格、これを安定的に、しかも生産を安定させる意味で従前法律があり、買い入れ価格あるいはこれに対する最低価格等ができていることは御存じのとおりでございますが、実は御質問の中で、第一は
資金
が要る金の問題、これは
天災融資法
、これらはできるだけ、
災害
の
状況
、損害の
状況
等を私のほうでも
調査
中で、近くまとまってまいりますので、それによって一つは発動するという方向をきめていくように
努力
をしてみたい、これが一つ。 それから第二は、この価格安定と申しますか、買い入れ価格等によって安定してもらいたいというお話でございます。これらの
被害
の実態をつかむために、お話がありましたように、農林省からも
調査団
が出ておりまして、近く帰ってまいるのではないかと思いますが、これらの実態をはっきりつかみました上で、なるべくすみやかに
措置
をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
芳賀貢
19
○
芳賀
委員長
兒玉末男君。
兒玉末男
20
○兒玉
委員
特に農林省関係だけに限って質問し、他の部分はまたあとで質問したいと思います。 まず大臣に一言お伺いしたいのは、今回非常に集中的に
被害
を受けておるわけでございますが、特に農地関係の
復旧
につきましては、昨年十一月二十九日の
災害対策
特別
委員会
の
災害対策
の基本問題に関する小
委員会
におきまして、特に緊急治山並びに農地
復旧
等農林関係に対する決議がなされております。これの一つは、農地
復旧
の反当
復旧
限度額
の
引き上げ
についてすみやかに
措置
をすること、緊急治山につきましては、予備費等の支出により大幅な促進をはかること、こういうことが決議されておりまするが、特に今回の
えびの
地区における農地関係、並びにこれに
関連
しまして先ほども
説明
がありましたが、
用水路
が山のくずれによって大幅な損害を受けております。これの
復旧
は単に原形
復旧
という問題だけじゃなくして、特に、御承知のとおり、シラス土の
特殊土壌地帯
でございまして、現在の
状況
から類推しますならば、単に原形
復旧
等のことでは、再び
災害
が重なるという危険性が十分にある特殊事情にあるわけでございます。こういう点から、特に今後の山地崩壊に対処するためのいわゆる
緊急治山事業
並びに農地の
復旧
等につきましては、いわゆる原形
復旧
から将来への防災を加味したところの
復旧
を行なうべきだと思うのでございます。これに対する大臣の御所見を承りたいと存じます。
西村直己
21
○西村国務大臣 私もその点は同感でございます。と申しますのは、御存じのとおり、先ほど農地につきましても来年の作付に間に合うようまず応急をやって、それから今度は
災害復旧
の本来の原形
復旧
、しかし原形
復旧
と申しましても改良ももちろんそれに
関連
してやれることはやります。それからもう一つは防災関係、
関連
防災と申しますか、そういったことも当然やってまいらなければならないし、それからもう一つは、あそこの
地帯
の特殊性、シラスと申しますか、そういう特殊性があるということも十分考慮して、
関連
なり改良なりの中でもそういうものを含めて考えていかなければならぬ、そういうような趣旨で御答弁申し上げたいと思います。
兒玉末男
22
○兒玉
委員
先ほど申し上げました農地
復旧
の反当
復旧
限度額
の
引き上げ
について促進をはかることになっておりますが、これは、この決議が出されましてから、具体的にそういうふうな
措置
がなされておるのかどうか、その点を伺いたい。
西村直己
23
○西村国務大臣 いわゆる財政負担の限度の
引き上げ
になりますと、これは農林省だけでございませんで、財政当局とも十分
関連
を持って最終的な決定をしなきゃなりませんので、あるいは財政当局もお呼びいただいて御答弁願いたいと思うのでございます。
佐々木四郎
24
○佐々木
説明
員 従来やってきております
災害
の農地
復旧
の単価と申しますのは、毎年物価のスライド等がございますので、それにつれて
引き上げ
ていくのは当然でございますが、新しい土地をつくったり何かする場合にかかる最高限度の線、そういうものがもともとは基準として考えられているわけでございます。だんだん
復旧
単価が上がりますので、先ほどお話しのような御意見が強く出ております。現在具体的にどの程度どういうふうにするということはきめてはおりませんが、かねがね前々から農地
復旧
単価につきましては、個々の
復旧
農地の
実情
に応じまして、
復旧
が可能になるように単価を計上してやってきておりますので、実際の設計に支障のないようには今後とも進めていきたい、こういうふうに考えております。
兒玉末男
25
○兒玉
委員
大臣の時間に制限がありますので、あと三点にしぼって特に質問したいと思います。 一つは
災害
に伴う自作農
資金
の
融資ワク
の
拡大
と、それから
貸し付け限度額
の
引き上げ
について格別の御配慮を願いたい。御承知のとおり、今回、農家の厩舎とかあるいは養畜豚舎など、畜産関係に
関連
の深い農家の
倒壊
が非常に多いのでございまして、しかも非常に零細であり、経済力も非常に劣悪な
状況
にありますので、特にこの農林漁業金融関係の
措置
について、非常に強い
要望
を持っておるわけですが、これに対する御所見、並びにこの地域は開拓者の多いところでございまして、今回のこの
災害
によりましてすでにこの
復旧
だけでも相当の
資金
を要するわけでございますが、今後これに対する
復旧
と
融資ワク
の増額、さらにいままで借り入れたところの返済等の
条件
を
緩和
していただきたい、この
要望
が非常に強いわけであります。それからもう一つは、御承知のとおり、この
地震
によりまして、ほとんどの家が全壊あるいは
半壊
、しかも
半壊
としましても、ほとんど全壊同様の
措置
が必要であります。そういう点から特に
住宅
再建のために、この際
個人
を
対象
ということよりも、県なり市町村団体等を
対象
にして、ひとつ最大限の国有林等の払い下げ、こういう
措置
等によって木材等の値上がりに対処する
住宅
対策
を含めた
措置
を
要望
されておりますが、ぜひひとつお願いしたい。この金融関係と国有林の払い下げの点について、農林大臣の御所見を承りたいと思います。
西村直己
26
○西村国務大臣 自作農創設
資金
の問題でございますが、
資金
の貸し付け限度、一般的には御存じのとおり五十万円という現行限度がございます。今回の
災害
に伴う貸し付け限度の
引き上げ
につきまして、
被害
の
実情
、本
資金
の農家の需要、もうすでに貸し付けてある金の残高等を十分把握いたしまして、その必要について慎重に検討していきたいということを御答弁申し上げたいと思います。 それからもう一つは、入植者の問題、入植
施設
の
被害
につきましては、従来と同様の
助成
を行なうように検討してまいりたいと思います。 それから、家屋
被害
に対しましては御
同情
にたえないのでありますが、公共
施設
等に対しましては、国有林の備蓄等があるいは廉価で提供になると思うのであります。その他につきましては、他のいわゆる家屋に対する一般の融資とかいう中で解決をしていくという方法ではないかと思いますが、なおこの点につきまして補足がありますれば、事務当局のほうから後ほど補足させていただきたいと思います。
片山正英
27
○片山(正)
政府
委員
ただいまの家屋
復旧
についてでございますが、国有林といたしましては、いま大臣がおっしゃいました備蓄をいたしております。そして、
災害救助法
の発動されました市町村の管理に属する公共
施設
並びに県が
応急仮設住宅
として
復旧
するというものにつきましては、五割の減額で出す予定でございます。その他のものにつきましては、
災害
等によって値上がりするというような場合には、
災害
前の時価によって売り払うということでございます。
兒玉末男
28
○兒玉
委員
あと一点だけでほかの人に譲ります。 先ほども少し触れましたが、特にこの前の
気象庁
関係の方が飛行機の上から見た
現地
の
状況
を類推しますと、非常に地すべり現象がたくさん見られまして、これから五月、六月の雨季を控えまして、どうしても大きな土砂崩壊等による
災害
が予想される。そういう点から、特に
特殊土壌地帯
ということを考慮し、人命財産に直接
被害
を与えるということが十分予想されますので、特に林地崩壊防止事業を
適用
して、積極的な予算
措置
と、林地並びに林業
施設
の
災害
の早期
復旧
に格段の御配慮が願いたい、こういうことでございますが、これについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
西村直己
29
○西村国務大臣 林地とそれから林業
施設
の早期
復旧
をしろ、各地にそういうくずれがあるからということはごもっともでございまして、山地の崩壊につきまして、現在、御存じのとおり、
現地
調査
を実施中でございます。民生安定上、これは非常に不安を与えますし、同時に将来の問題としても、予防なり防災なりをしておかなければなりません問題でございますので、緊急に
復旧
を要する個所につきまして、治山事業として早期
復旧
をはかりますことをお約束申し上げます。
兒玉末男
30
○兒玉
委員
それではこれだけで農林大臣に対しては終わります。
芳賀貢
31
○
芳賀
委員長
井上泉
君。
井上泉
32
○
井上
(泉)
委員
二つの問題を農林大臣にお尋ねいたしたいと思います。 過般の
災害
によって生じた
高知
県とか
徳島
とかいうところの台湾坊主による
被害
、特に
ハウス
園芸、これは今日は俗に
施設園芸
と称しておるわけで、この点は農林大臣も
高知
県の知事をされておったので、
高知
県とかあるいは
徳島
県の地理
状況
はよく御存じだと思うのですが、その
施設
に要する経費というものは相当ばく大なものが要るわけです。そういうものに対する補償というものは、
農業
災害
補償法の中で
適用
するなり、あるいは農協の事業の共済の事業内容の中へ繰り入れるなり、何かの法的な方法を改正し、そういう救済の
措置
を講ずる必要がありはしないかと思うのですが、この点についての農林大臣の見解を承りたいと思います。
西村直己
33
○西村国務大臣 この点につきましては、少し専門的な問題もございますし、共済でございますから関係の
局長
から御答弁さしていただきたいと思います。
大和田啓気
34
○
大和田
政府
委員
共済事業につきましては、農協がやりますものと
農業
共済組合がやるものと両方ございますが、農協がやるものにつきましてはあるいはまた農政
局長
からお話があろうかと思いますが、
農業
共済組合がやるものにつきましては、私ども任意共済という形で、法律上省令で
指定
すればビニールの
施設
についても共済事業ができるような法律制度にはなっておるわけでございます。ただ、何ぶん
ビニールハウス
による
農業
は、ごく最近急に伸びたわけでございますから、共済事業でやります場合は、保険として保険設計を立てて、どういうものについて
被害
率が
地方
的に見てどのくらいかということを厳密に保険数理の上から仕組みを組み立てませんと、
全国
的な事業はできないわけであります。したがいまして、私ども
農業
共済組合による共済事業といたしまして、
全国
的な
規模
でこれをやることはとうてい不可能でございますけれども、
地方
、
地方
によりまして、
ビニールハウス
をやっておる農家の
要望
が非常に強いようでありますれば、私ども県あるいは団体に話をしまして、
地方
的に任意共済事業として出発して、だんだんに資料を集めていって、はたして
全国
的な
規模
で共済事業に乗るかどうかということを検討することが一番良策ではないかというふうに現在考えておる次第でございます。
森本修
35
○森本
政府
委員
農協が現在やっております建物関係の共済事業は、御承知のように、建物更生共済という名前で呼ばれております。これは長期の共済でございます。
対象
としております建物は、主として基礎工事がしてある建物ということ、それから自然
災害
は補償のてん補の率としても少ないということで、現在はおそらく
被害
を受けられた
ビニールハウス等
はほぼ
対象
になっていないのではないかというふうに思っております。将来のところについては、先ほど経済
局長
が言われましたような保険に共通の問題がございますので、何ぶんにも農協が自主的にやっております事業でございますから、農協にそういうふうな点を十分研究させたいというふうに思っております。
井上泉
36
○
井上
(泉)
委員
そういうふうにやっていない。現在そういうことはやれていないから、それをやる必要がありはしないかという私の質問なんですから、それを将来にわたってとかいうような問題ではなしに、
ハウス
園芸というのは
高知
県にしても
宮崎
県にしてもあるいは
徳島
県にしても、今日の農家にとっては非常に生命線的な要素を持っておる
農業
ですから、これはいま経済
局長
が言われたように、農協が、たとえば単位農協——単位農協というのは、
高知
県なら
高知
県、
徳島
県なら
徳島
県の連合会が任意的に
共済制度
を設けてやる、こういうようなことについては、農林省の省令というようなものを改正するなり、あるいは何らかの
措置
でこのことが実行できるかどうか、やり得るか、やり得ることが可能だ、こう解していいわけですか。
大和田啓気
37
○
大和田
政府
委員
先ほども申し上げましたように、
農業
共済組合の共済事業としましては、農林省の省令でこれを
指定
すれば事業はできるわけであります。
森本修
38
○森本
政府
委員
農協のほうは、たてまえとしましては、農協のほうから共済規程の
承認
の申請というものが私のほうへ出てまいります。それを
承認
すればできるということになるわけであります。農協のほうで先ほど言いましたような問題点を十分検討した上で判断されるべき問題だというふうに思っております。
井上泉
39
○
井上
(泉)
委員
そういう判断の場合に、経済
局長
さんのほうは、そういうふうな地域の
要望
があれば早くできるというような印象を受けるわけで、たいへん
農民
としてはうれしい話ですけれども、あなたの答弁は何かことさらに問題をおくらそうとするような考え方であるようですが、この点やはりこれは政策的なものにもなるのですから、大臣の見解を承っておきたいと思います。
西村直己
40
○西村国務大臣 非常に残念でありますが、正直に申し上げまして、私自体が事柄を十分認識いたしておりません。と申しますのは、保険の問題でございますから、保険計算という問題がございましょう。それから国の、あるいは制度の仕組みというものもございましょう。しかし、同時に、日本の園芸と申しますか、そういったものの地域的な片寄りであっても、いまおっしゃるような
農業
の中の実態的な中心になりつつあるとすれば、それを保険経済の上からどう守っていくかということについてわれわれはやはり検討すべきじゃないか、そういうような気持ちで私どものほうも研究はしてみていかなければならぬ、こういう考えでございます。
井上泉
41
○
井上
(泉)
委員
そういうような研究は何年も時を経過するということではなしに、これは
池田
先生も視察をしてごらんになっていただいたような
状況
で、
高知
県にしても
徳島
県にしても
宮崎
県にしても、
ハウス
園芸というものは相当広大な地域を占めておるわけで、
高知
県なんかでは、米の生産額が百二十億あるのですけれども、園芸になると百五十億をこしておる。それはほとんど
ハウス
園芸、こういうような実態です。これは単に
高知
県だけでなくて、太平洋岸の暖地
地帯
の農家としてはどうしても必要な
施設
だと思いますから、その点は、政調会長をされておって、非常に
農業
にも明るい農林大臣としては、早急にひとつやっていただきたい。 その次に土地改良の問題ですけれども、これは日本の国土の性質から考えて、県営の土地改良を行なえる広い面積あるいは団体営の土地改良の行なえる面積はごく限られた地域です。やはり
農業
の構造改善に伴って、今度の
災害
でも、突風による
災害
事故を見ても、
ハウス
が右へ向いておるものもあれば左へ向いておるものもある。とにかくその建て方というものは、その土地の
状況
に応じてやっておる関係です。なぜそういう状態であるかと言いますと、やはり
農民
のほうは、小
規模
な土地改良を行なうことに対する国の
助成措置
を講じていただかないと、
高知
県あるいは
徳島
県、こういうところの多くの地域が土地改良の
助成
の
措置
からはずれておる、こういうことを訴えるわけです。事実そのとおりだと思います。やはり日本の国土の性質を考えて、三十ヘクタールとかあるいは二百ヘクタールとかいうような限度の幅は改正する必要があると思うのですが、この点についての農林大臣の御見解を承っておきたいと思います。
西村直己
42
○西村国務大臣 土地改良につきましては、これは事業
規模
によりまして御存じのとおりいろいろ分けているわけでございますね、国営、県営、団体営と、
補助
事業の採択基準以下の小さいものをどうしようか。これは現在非
補助
あるいは非融資
対象
として扱っている、こういうふうに一応の
補助
体系ができておりますものですから、この中で御存じのとおり、いま
施設園芸
等を考えても、小さい
規模
のものを土地改良の中で考えてみる場合に、採択基準を下げてそれを
対象
にしたらどうかという御意見のように承っておりますが、いまのところは私どもは困難ではないか、こう考えております。
井上泉
43
○
井上
(泉)
委員
特にこれは防災的な見地から
被害
地域の農家が平均して大体三反歩くらいの土地で
ハウス
園芸をやっておる、こういう状態です。そういう状態の中でやはり小
規模
な土地改良を行なうような
助成措置
を講じないと、また一方のところでは
被害
を受けておる、すぐ隣のほうでは全然
被害
を受けていない、こういうふうな状態が今後においても起こり得ると思うので、やはり小
規模
の土地改良を行なう、共同の
施設
を行なうとか、あるいは
災害
のあとで共同の育苗
施設
をつくって涙ぐましい再建への
努力
を重ねておるわけです。この点については、やはり日本の零細
農民
を救済するたてまえ、あるいは
過疎対策
という面からも、この問題はぜひひとつ防災とあわせて考えていただきたいと思うのです。もう一回そういう点を配慮の上での御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
西村直己
44
○西村国務大臣 いまでも御存じのとおり、公庫融資として三分五厘と申しますか、最低の低利融資の方法等はあるわけであります。なお私どもも十分検討はしてみたいと思っております。
芳賀貢
45
○
芳賀
委員長
小川新一郎
君。
小川新一郎
46
○小川(新)
委員
大臣にお願いしますが、農協の共済保険制度に
地震
対策
が盛り込まれておりませんが、これは農協の保険の中に
地震
を受けた場合の農家の補償というものが今後できるでしょうか。
西村直己
47
○西村国務大臣 事務当局からちょっと答えさせます。
森本修
48
○森本
政府
委員
先ほど御
説明
しましたようなことで、現在は自然
災害
のてん補率が非常に少ないというようなことで、将来は自然
災害
についてもある程度盛り込んでいくといったような方向で検討すべきものだというふうに考えております。
小川新一郎
49
○小川(新)
委員
農村後継者
対策
について、
現地
では非常に
ビニールハウス
とか近代園芸の
施設
農業
に対して希望を失っておりますが、こういう若手の後継者の方々に対して農林大臣は激励に行かれる決意がおありでしょうか。またこれらの農村青年に対して何らかの物質的な援助を与えることができるのかどうか、この点ひとつお願いしたいと思います。
西村直己
50
○西村国務大臣 もちろん、私、微力ではございますが、この職責をいただいております以上、私は農家の自立あるいは近代化、また希望の持てる、あるいは採算のとれる農家経営、この方向へ向かって、特にこれから農家経営の方々が主体的な経営をしながら、しかも優良な青少年の方々が農村の中心になっていく、こういう意味で農政の方向を推進してまいりたい。その意味では私どもがまた現場へ入ってそれ自体をみずから身に感じてまいるという機会はできるだけつくってまいりたいという決意でございます。
小川新一郎
51
○小川(新)
委員
鳴門
市のかんきつ類の中でハッサクというミカンをつくっている専業農家が
全滅
であります。このミカンの木は、五年、十年、十五年もかかって育てたものでありますが、これから先五年も六年もかからなければ取れないということで泣いておりました。この問題はどのように補償してあげられるのか、またこれらの農家がいま生産意欲をなくしておりますが、これについて保険制度または農協のこれからのこういった
農作物
の共済保険制度についてはどう考えられているか。
西村直己
52
○西村国務大臣 実はミカン一般につきまして、もちろん将来この
果樹
全体を共済の
対象
にする、これはたしかいま試験研究をやっておると思います。それから融資につきまして、一般としては、御存じのとおり、改植、移植とか、そういうものに対して公庫の低利
資金
等はもちろん用意されておるわけでございます。ただ具体的に、ハッサクというかんきつの一種でございますか、これに対しましては専門の農政
局長
のほうから御
説明
いたしたいと思います。
小川新一郎
53
○小川(新)
委員
農林大臣はお時間がないようですから、もう一点、大臣だけに伺います。 林業の樹木の
補助対象
になる八年生ですね。これが非常に損害を受けましたけれども、今回の損害は十年、十五年ものが非常に多いのであります。この点について損害の
対象
基準というものが十年生、十五年生に及ばなければならないという点を農林大臣は今後お考えになられて、どのような
措置
をおとりになりますか。
西村直己
54
○西村国務大臣 これは雪害による倒木の問題で、十年生とか十五年生とか、そういうものは、八年生というもの以下に現行ではなっているわけで、今度はいまお話しのようなそれより大きい木がたくさん倒れた、それをめんどう見ろ、こういう御質問だと私は思うのであります。そこで、これについては、いままでのあれでいきますと、現行は八年生以下ということにはなっておりますが、その
実情
把握をいたしますれば、そこまで私どもは考究の
対象
にしていくように
緩和
するように、
実情
に応じて検討を前向きに加えていいんじゃないかと思います。
小川新一郎
55
○小川(新)
委員
それでは
農業
構造改善事業
の中の問題でありますが、
復旧工事等
の施工に対して
補助対象
に今度できるかできないかという点でありますが、いかがでありますか。
太田康二
56
○太田
説明
員
農業
構造改善事業
で実施いたしました
施設
のうちで、共同利用
施設
等につきましては、農林水産業
施設
災害復旧
事業費国庫
補助
の暫定
措置
に関する法律で当然
補助
の
対象
になるわけでございます。ただ
個人
施設
等ですでに完了しているものにつきましては、現在の段階では、
資金
の融通
措置
はございますが、
助成
の
措置
はないということでございます。
芳賀貢
57
○
芳賀
委員長
折小野良一
君。
折小野良一
58
○折小野
委員
農林大臣に対する質問だけに限って申し上げたいと思います。今度の台湾坊主による
暴風雪
、これは南国なるがゆえに大きい
被害
を出した、こういう特質があると思います。先ほど来質問のございました
サトウキビ
だとかハッサクだとか、あるいはその他の暖地
作物
、こういうものが特に大きな
被害
を受けておるわけでございます。こういうものについて、今後品種の耐寒性ですか、そういう面の品種の育成あるいは寒さに対する
指導
と申しますか、そういう面の
対策
についてお考えになっておりますかどうかをお伺いいたします。
黒河内修
59
○黒河内(修)
政府
委員
私どもといたしましては、従来
果樹
園芸試験場、それから県の試験場等を通じまして、そういう品種の更新等につきまして試験研究をいたしております。
折小野良一
60
○折小野
委員
時間がございませんので簡単に申しますが、今回の
暴風雪
につきましては、特に西日本が激しいのであります。西日本につきましては、御存じのとおり、昨年は例の干害というものがございました。それから立ち直れない状態の上に、また今度の
被害
が重なっておるわけでございます。したがって、いわゆる重複
災害
、こういう状態になっておるわけでございますが、特に今回の
災害対策
についての御配慮の中で、そういう面を十分考慮して
対策
を講じていただきたいと考えるのでございますが、その辺の大臣の所信をお伺いいたします。
西村直己
61
○西村国務大臣 それは当然のことだと思うのでございます。
折小野良一
62
○折小野
委員
特に今回の
災害
を受けました地域は、従来後進地といわれる地域でございます。また日本全体から考えますと、いわゆる過疎地域でございます。したがって、こういう地域を立て直すためにはやはり
農業
を振興する、これが当然の道である、こういうことで、
政府
におかれましてもいろいろな
指導
がなされております。また
地元
におきましてもそれにこたえる、こういう立場で意欲を持って新しい
農業
に立ち向かってまいっておるわけでございます。たとえば、
構造改善事業
にいたしましても、そういう立場から何とか立ち直っていかなければならない、そういう意欲を持って、特に農村の青年たちが中心になってやっていっておるわけでございます。それが
災害
のためにむざんに打ちのめされる。先ほど
調査団
長の御
報告
にもありました延岡の
ビニールハウス
の
災害
等につきましては、これは若い人たちが中心になって、昨年ようやくそれをやって、そうしてことしのできを楽しんでおった。そこに今回の
災害
を受けておるわけであります。したがって、私どもが最も心配いたしますのは、そういう人たちが立ち直れるかどうか、少なくも
災害対策
という立場においてこういう人たちを立ち直らせるように、こういう人たちの意欲を阻害しないように、十分な
災害対策
というものが講ぜられてしかるべきだ、かように考えます。したがって、こういう面について特に大臣の所信をお伺いいたしておきたいと思います。
西村直己
63
○西村国務大臣 先ほどの干害の昨年の西日本の
状況
も、実は私
個人
として
現地
へ行ってよく事情は見ておるのでございます。その後拝命をいたしまして、今回の雪害等の処理もしなければなりませんが、そこで、おっしゃるとおり、皆さんがこれに対して非常に御熱心に、
補助
をしろとか率を上げろとか、それよりももっと基本的に、農村の青年あるいは優良な壮年、りっぱな壮年が自分の
農業
というものをみずからの力で興すのだという意欲を阻害しない、むしろそれを促進をしていくようにとか、いろいろおっしゃいます。これは全くそういうような気持ちで、われわれはそういうところの基本的な姿勢の中でこういった
災害
の問題を解決してまいりたい、全く同感でございます。
折小野良一
64
○折小野
委員
最後
に、そういうような立場で今回の
災害復旧
についていろいろ御
指導
、御援助をいただくといたしまして、
農業
構造改善事業
によってやったそれが今回の
災害
でやられた。これに対する具体的な援助の方法、こういう面についてお答えいただきたい。
太田康二
65
○太田
説明
員 先ほど小川先生の御質問にもお答えいたしたのでございますが、
構造改善事業
ででき上がりました共同利用
施設
等につきましは、現在その
災害復旧
につきまして農林水産業
施設
災害復旧
事業費国庫
補助
の暫定
措置
に関する法律という法律に基づきまして、
補助
の道があるのでございます。 それから
構造改善事業
で実施中に、まだ完成しない場合に一部
施設
が
被害
を受けたというような場合には、これを手戻り工事として調整をいたしたというような事例は過去にあるのでございます。ただ、完成した
施設
がまたやられたというような場合には、
助成
の道といたしましては、
個人
施設
の場合には農林漁業金融公庫の
資金
融通で
措置
するというふうにいたしておるのでございます。
芳賀貢
66
○
芳賀
委員長
兒玉末男君。
兒玉末男
67
○兒玉
委員
ただいま折小野さんが言われましたこの件ですが、事故の状態が全壊という状態でございまして、おそらく、せっかくの希望を持った青年たちはこのことに対して非常に関心を持っておると思うのです。事業費五百万、この改善事業に対しましては
災害復旧
事業は再度
指定
事業として実施させるべきだと思うのですが、農林省当局としてはどういうふうな見解をお持ちなのかお聞かせをいただきたいと思います。
森本修
68
○森本
政府
委員
現地
の事情を
調査
いたしまして、検討したいと思います。
芳賀貢
69
○
芳賀
委員長
水野清
君。
水野清
70
○
水野
委員
私も
芳賀
委員長
のお供をして南
九州
に行ってきたのでございますが、特に
ビニールハウス
の
ハウス
園芸の問題について先ほど兒玉
委員
からの御質問もありましたが、ちょっと不足な点が多うございますから、もう一度伺いたいと思います。 先ほど大臣及び関係
局長
の御答弁がありましたが、いま日本の国の
農業
の中で
ハウス
園芸の
農業
というものは、農林省の
構造改善事業
にも取り上げられております。そして非常に急速な勢いで太平洋沿岸
地帯
の新しい形の
農業
として進展をしているわけです。実は私は数字は調べておりませんが、その生産額は相当な金額になると思うのです。それに対して
個人
共済制度
が一切ないということについて、先ほど大臣及び関係
局長
の御答弁は、私はやや退嬰的な態度をとっておられるのではないか。この際さらに積極的な
対策
を、
農業
共済に入れるということについて大臣から御所見を承りたい。さらに、もし取り入れるとすると、財政負担がどのくらいになるかという御試算があれば伺いたい。私はこの問題につきましては、関係当
委員会
として、できればこれを決議をしていただいて、行政当局に早急に申し入れていただきたい。これは今回は
豪雪
地帯
だけでございますが、私の関係の千葉県のほうでも常にこの問題は起こっておるわけであります。大臣の御出身の静岡県でも起こっておることはよく御承知だと思いますので、御所見を承っておきたい。
大和田啓気
71
○
大和田
政府
委員
先ほど申し上げましたけれども、
農業
共済事業は
災害
が起こりました場合に見舞い金を出す制度ではございませんで、保険掛け金を取って保険金を支払う制度でございますから、相当長期にわたる綿密な
被害
その他のデータがないとできない仕事であります。御承知のように、米麦につきましては、すでに二十年の資料がございますし、
果樹
保険につきましてもことしようやく出発いたしましたが、それでも数年の資料では足りないので、なお五年間の試験実施をいたす段階でございます。
ビニールハウス
につきましては、ここ数年急速に伸びましたもので、構造がきわめてまちまちでございますし、
被害
率が
全国
的な資料として一向つかめておりません。また、地域的な片寄りも相当あるわけでございますから、いまのままの資料で
全国
的な設計に立って
共済制度
をつくるということは、困難というよりむしろ不可能なことでございます。したがいまして、私ども別に
ビニールハウス
園芸の共済事業について消極的なのではございませんで、先ほど申し上げましたように、関係者の御
要望
が強ければまず
地方
的に任意共済の形で農林省の省令の
指定
で始めて、だんだんにデータを積み上げて、これを
全国
的な
規模
でやることができるかどうかということを十分検討いたしますというように申し上げて、御了承を願います。
水野清
72
○
水野
委員
その話はよくわかるのでございますけれども、米麦と同様に二十年間の
調査
を待つというわけにはいかないと私は思います。それから各県の任意
共済制度
をそれじゃ即刻農林省で始めるような手を打っておられるかどうか。
大和田啓気
73
○
大和田
政府
委員
これは農林省の省令で
指定
をすれば共済組合の共済事業としてできるということでございまして、何よりも保険需要と申しますか、
農業者
あるいは
現地
の共済組合なり連合会がこれをやろうという強い希望がないと、これは農林省が押しつけるわけには毛頭まいりませんので、先ほども申し上げましたように、関係者の
要望
を見ながら十分連絡して相談をしてまいりたいというふうに申し上げておきたいと思います。
水野清
74
○
水野
委員
それでは私はこの議論を繰り返してもしようがないので、次回でけっこうでございますが、共済連の担当者とそれから農林省に来ていただいて、さらにもう少し前向きな議論をしていただかないと、議論だけでやっておっても私は全然ナンセンスだと思うので、この点はやめます。 もう一つ、折木、折損木の問題で簡単に伺いたいのでありますが、今度の
豪雪
で
全国
的に森林
地帯
の折木や倒伏木が相当出たわけであります。これについて、一ヘクタール単位の
補助
金の単価の問題でございますが、御承知のように、来年度は五万八千九百円という単価によって、それに計数をはじいて植林の
補助
金を
災害
の場合出すということです。御承知のように、最近の山村
地帯
の労賃も非常に高騰しております。この単価を変えろというのは無理かもしれませんが、何らかの方策を考えていただかないと再
造林
ができない。できないとまた夏の干ばつになって、今度はまた雨が降ると水害を伴うわけであります。これは
災害
の累積の原因になると私は思うのです。それについてちょっと大臣の御所見を伺いたいと思います。
西村直己
75
○西村国務大臣
復旧
造林
につきまして、
被害
が著しいという場合には普通再
造林
の場合よりは優遇
措置
をとっている、これは御案内のとおりだと思います。これを考えてまいりたいと思います。 それからあと
公庫資金
等のいろいろな
緩和
の問題、これも検討していきたいというふうに考えておるのでございます。
水野清
76
○
水野
委員
その際お願いをしたいのでございますが、
農業
と林業は
収穫
の年期が非常に違うわけでございます。
農業
の場合は一年でございますが、林業の場合は大体二十年とかありますので、それをあわせて御考慮いただきたい。要するに金融の返済の期限、金利を
農業
金利よりさらに下げていただくというようなことをお考えいただきたいと思います。これは
要望
しておきます。
芳賀貢
77
○
芳賀
委員長
池田清志
君。
池田清志
78
○
池田
(清)
委員
台風のあとの家屋の全壊、損壊、これはまあ大きな
被害
であります。しかしながら、
被災者
は直ちに帰ってあと片づけやらあるいは
半壊
の補強やらできるのです。ところが、
地震
のあとの全壊、
半壊
につきましては、
被災者
の方々はなかなか家に帰っていけないという気持ちがあるわけです。というのは、
地震
が続いておりまするし、いつまたあるかもしれない、こういうことでありまするから、台風一過の場合と趣が異なるということをここに申し上げるわけです。そこで、仮設
住宅
というものが非常に喜ばれるわけであります。
災害救助法
の
適用
のありましたところの
えびの
町、
吉松
町におきましては、いち早く仮設
住宅
、応急修理等それぞれ許されております。
吉松
町につきまして申し上げますと、仮設
住宅
十戸、応急修理七十六戸、これが限度であるかのごとき許し方であります。ところが、
罹災者
の数を考えてみますと、
吉松
町におきまして一千六百九十八世帯、こういうわけです。一千六百九十八世帯に対しまして十戸の仮設
住宅
、応急修理七十六戸では、これはもう九牛の一毛と申しますか、あまり足しにならないのです。そこで、こういうような制度がありますから、それを特別
えびの
地震
の場合においてはさらにふやしていただきたい、こういう
鹿児島
県、
宮崎
県の要求となってあらわれておるわけです。
鹿児島
県のものにつきましては、ここに要求の数字がありますからそれを申し上げて、ぜひ実現方をお願いいたしますが、特別基準といたしまして仮設
住宅
をさらに十二戸、応急修理をさらに七十二戸、これはぜひひとつ願いたい、こういうわけでありますから、いわゆる
地震
後の
災害救助法
関係に基づきまする住まいの問題は特別な問題としてぜひ許していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
今村譲
79
○今村
政府
委員
お答え申し上げます。 いま仰せになりました応急仮設のほうの十二戸、それから応急修理の七十二戸のいわゆる追加、これは申請がございまして財政当局と話し合いをしております。
池田清志
80
○
池田
(清)
委員
ぜひ許していただくようにお願いをしておきます。
地震
地帯
におきましては、建物は軽い建物、これがぜひ必要であると思うわけです。今回の仮設
住宅
におきましても、
プレハブ
住宅
は十五万円で一世帯分ができるということで、たいへん
罹災者
の方々は喜んでおられます。 そこで今後の問題でありますが、この
地震
地帯
につきまして
地震
に強い軽い建物の
指導
、こういうことが大事になってくると思うのですが、これについてはどういうお考えでしょうか。
上野洋
81
○上野
説明
員 お答え申し上げます。 実は
えびの
を中心といたしました
地震
の場合の構造は、御案内のように基礎構造が非常に不安定な構造になっておりますし、その反面屋根の重いものをかけているような
実情
でございます。そこで、いま
宮崎
、
鹿児島
両県の
建築
技術員を中心にいたしまして、今後の
地震
の場合によくもつような構造にするように
現地
で
指導
したい、かように思っておる次第でございます。
池田清志
82
○
池田
(清)
委員
お願いを申しておきます。 なお、
現地
を視察して目につきましたのは、ブロックというものが弱いということです。ブロックの建物はこわれてしまっておる。ブロックのへいはこわれてしまっておる。これではいけません。建材といたしましてブロックを使うという傾向がどしどしあるのでありますから、あのブロックを使ってつくりまする建物やへいは
地震
に対しまして弱いという、こういう
建築
の
指導
もしてもらわなければなりません。いかがでしょう。
上野洋
83
○上野
説明
員
えびの
のブロックの場合には
倒壊
が目立っておりますけれども、その全部が鉄筋の入っていないブロックの
倒壊
のようでございます。したがいまして、ブロック造そのものも、先ほどの木造と同様に、縦横の鉄筋を十分に入れるように
指導
してまいりたい、かように思っております。
池田清志
84
○
池田
(清)
委員
ブロック
ハウス
につきましても、いわゆる耐震的立場から、よい
指導
をお願い申し上げます。
吉松
町におきましては、がけがくずれてきまして、二人の方が犠牲になっておられます。急傾斜地
対策
、これが必要になってくるわけです。
鹿児島
県はシラス
地帯
でありまして、そのシラスの中に大きな石ころがまじっておるような傾斜地であります。土地がゆれたのでありますから、石ころがころび落ちて、その下敷きになって二人の方が生命を失われた、こういうわけです。これらの
地帯
におきましては、
住宅
が
集団
的に移らなければならないかもしれません。また、おくれておりまする急傾斜地に対しまする
対策
そのものも確立して、こういうことが再びないようにしなければならぬと思います。当局のお考えはいかがでしょうか。
坂野重信
85
○坂野
政府
委員
いまの急傾斜地の問題でございますが、急傾斜地の崩壊地
対策
事業の
適用
をされるかどうか、農林省との関係がありますので、いま農林省と打ち合わせております。農林省が
現地
を見ておりますので、その結果を待ちまして、できるだけ急傾斜地または治山の関係で
措置
いたしたいと思っております。
池田清志
86
○
池田
(清)
委員
急傾斜地
対策
は緊急にひとつお願い申し上げておきます。 学校の
施設
に移ります。
えびの
町の京町の
真幸
小学校、これはもう校舎がこわれる寸前の状態になっております。授業は休んでおります。授業をいたしまするためには、
プレハブ
教室をつくらなければなりません。そしてまた、本
建築
によりまする小学校を
建築
しなければなりません。
吉松
町におきましては、
吉松
小学校がこれまた倒れかかっておる。学校に行ってはあぶないから、部落、部落に部落講習所というものを開設いたしまして、そこで教育をしておるという
実情
です。この部落講習所も、長く続くわけにまいりません。そういたしますと、
吉松
小学校におきましても、いわゆる
プレハブ
教室をつくり、そして堅固な本
建築
の小学校をつくる、こういうことになっていかなければならないのですが、これに対しまして文部省はいかに進んでおるでしょうか。
菅野誠
87
○菅野
説明
員 ただいまのお話、
現地
からの
報告
も受けております。その点につきましては、全壊、
半壊
の
被害
を受けた校舎に対しましては、必要
最小限度
の仮設校舎の
補助
をすることができる規定になっておりますので、この点、現実に
半壊
、全壊の問題につきましてさらに検討いたしまして、
補助
ができるようなことになるかどうかは、全壊、
半壊
の
被害
を受けたということになるわけでありますから、この点は研究いたしまして……。
池田清志
88
○
池田
(清)
委員
建設省の関係です。国道二六八号を通りますと、あちこち
亀裂
が生じております。橋の取りつけのところに段差ができております。これに対しましては、応急的に埋めてある、段差を補正してある。これは臨時、緊急のものです。それじゃいけませんので、
災害
といたしましてぜひ本格的に
復旧
をしてもらわなければなりません。これに対しまして早急
復旧
をお願いするわけですが、いかに進んでおるでしょう。
坂野重信
89
○坂野
政府
委員
応急的な
措置
はただいま先生がおっしゃるとおりでございます。緊急の査定につきましては、
宮崎
県は三月十一日から六日間査定官が参ることにいたしております。
鹿児島
県につきましては、三月十七日から査定官が参りまして、その際に緊急査定を実施いたしまして、
復旧
の工法等を早急に決定いたしまして、できるだけ早急に
災害復旧
の本格的な工事に着工いたしたいと存じておる次第であります。
池田清志
90
○
池田
(清)
委員
川内川の堤防もあちこち
亀裂
しておるという
報告
を受けました。そのうちの一つといたしまして、
鹿児島
県栗野町のとどろき橋、これがあぶなくて交通どめになっておるというのです。建設省河川当局はよく御承知のように、とどろき橋のあそこは迫っておる、そして古い橋がかかっておるというのでありますから、あれを切開して新しい橋をつくるということが
地元
の念願であるのであります。今回の
地震
が原因となりまして
災害
を受けておる、こういうのでありますから、この際
災害
といたしまして、
災害復旧
では改良を加えて
復旧
することになっておるのですから、それを本格的にやってもらうということはいかがですか。
坂野重信
91
○坂野
政府
委員
査定官が参りましてよく実地を
調査
いたしまして、できるだけ先生のおっしゃるような線に沿って本
復旧
ができるようにいたしたいと思いますが、
被害
程度等がはっきりいたしませんので、その段階におきましてできるだけ御趣旨に沿うように
努力
したい、かように存じます。
池田清志
92
○
池田
(清)
委員
個人
災害
が非常に多いところの
えびの
の
地震
でございました。
宮崎
、
鹿児島
両県を回ってみますと、知事が見舞い金を出しております。あるいは市町村長で見舞い金を出す、こういうところも耳にいたしました。そうすると、
地方
団体はこの
災害
のために出費をしておるわけです。これに対しまして、御承知のように国自体が見舞い金を出すとか
個人
に対して
助成
をするとかそういう道はまだないのでありますが、このことについては先般も申し上げましたように、私どもも勉強して実現できるように
努力
をしなくちゃならないのでありますけれども、現在の状態において
地方
公共団体が
災害
のためにその出費をいたしておりますから、これを中央で見てくれ、こういう要求になってくるわけです。自治省のお考えはいかがでしょう。
首藤堯
93
○首藤
説明
員 お答え申し上げます。
地方
団体の
災害
に伴いますもろもろの出費につきましては、
特別交付税
をもって
措置
をいたしておることは御承知のとおりでございます。ただ、
特別交付税
は、
災害
に必要な諸種の財源に充てますための一般財源、こういうかっこうで
措置
をいたしておりますので、
災害
の全体の
規模
に一定の比率をかけましたり等の計算を基礎にいたしまして、交付をいたしております。したがいまして、直接に見舞い金そのものとリンクをするという考え方ではございませんで、そのようなもろもろの経費のために充てる所要財源、こういうかっこうで交付をしているわけでございます。
川村継義
94
○
川村委員
関連
して、文部省にちょっとお願いします。 いま
池田
先生から学校関係の
施設
のことについて質問がありました。もちろん
災害
を受けたら公立学校
施設
災害復旧
費国庫負担法でやるでしょうが、今度の
えびの
の
地震
によって
えびの
町の
真幸
小学校というのがやられたようです。これは査定に行きましたか。
菅野誠
95
○菅野
説明
員 ただいまの点は、査定ということになりますと
現地
立会査定ということになりますので、大蔵省と文部省の査定官が一緒に参ることになるわけでございますが、ただいまのところでは
現地
の査定ということではなしに、
現地
に
調査
員を派遣したことはございます。査定は当該の市町村から事業計画書が出てきた上で査定になりますので、ただいままだ事業計画書が出てきておりませんので、
現地
査定までには至っておりません。
川村継義
96
○
川村委員
調査
官はいつやりましたか。
菅野誠
97
○菅野
説明
員 二月二十四日と二月二十五日であります。
川村継義
98
○
川村委員
文部省から
調査
に来ないから手がつけられぬ、このままに校舎をしておかなければいかぬ、こういう声が伝わっておるのです。そこで私がこの際考えてもらいたいのは、台風でも何でも校舎が大きな
被害
を受ける。ところが文部省が
調査
あるいは査定に行くその以前に手をつけたら、これを
対象
にしないということでよくトラブルを起こしている。たとえば台風がありまして、校舎のかわらが吹っ飛んだ、雨がじゃんじゃん漏る、授業はせにゃならぬ、ところがうっかりかわらでもはめようものなら、そんなのは
補助対象
からはずすということがいわれる。これはたぶんおどしかもしれませんが、とにかくトラブルが起こったり、あるいはいろいろおもしろくない事態がよく起こるのです。こういうものは急いで
調査
をして、そして写真にとらせるとかなんとかもう少し
地方
団体を信用して、早く手をつけておく。雨が漏ったら一日も早く雨漏りを防げ、授業せい、あとからちゃんと
復旧
の
対象
にしてやる、これをやってもらわなければならぬ。おそく行って、それまで校舎をほったらかしておくような事態がよく起こるのですね。今度の
えびの
の学校のことでも、さっき言ったようなことがいわれておる。これは行政的にできることでしょうから、ひとつ何とか検討してもらわなければならぬと思うのですね。こんなところに目をつけるのが大事なことじゃありませんか。どうですか。
菅野誠
99
○菅野
説明
員 まことにおっしゃるとおりだと思います。その点若干
現地
とのトラブルを起こしたことがありますれば、まことに申しわけないと思っております。
被害
の立証ができれば
復旧
にかかってよいことを
指導
しておりますから、先ほどお話がありましたように、写真をとりましたり、その事実が認定されれば、その前に
復旧
作業をいたしましても、これは
災害
の
対象
になり得ることになっておりますので、その点
指導
が足りなかったと思いまして、まことに申しわけございません。以後さらに早期
復旧
をして、おっしゃるとおりにしたいということで
努力
してまいりたいと考えております。
橋口隆
100
○橋口
委員
ただいまの
池田
先生の質問に
関連
して、建設省に
要望
いたします。 本日
現地
のほうから要請がございまして、緊急にこの
委員会
で建設省当局に要請をしてくれということでございます。それは二月二十一日の
えびの
地震
の
発生
以来、現在も連続して
発生
する
地震
や地鳴りのため、
住民
は一日として安眠することができず、今後長期的
地震
対策
の一環として
プレハブ
緊急
避難
所の設置が急務である、こういうことを
地元
で非常に痛感しておるようでございます。そこで、こういう緊急
避難
所について全額国庫負担をもって建設できるよう特別の
措置
ができるかどうか、それをひとつ御開示願いたいと思います。
上野洋
101
○上野
説明
員 先生の御指摘の件につきましては、実は従来まだ例もございませんで、新しいケースだと思いますので、検討させていただきたいと思います。
橋口隆
102
○橋口
委員
それでは、いまの緊急
避難
所の問題は初めてのケースだと思われますが、最近日本列島各地においてこういう
災害
が非常に予想されますので、建設省においては十分御検討をお願いしたいと思います。
芳賀貢
103
○
芳賀
委員長
兒玉末男君。
兒玉末男
104
○兒玉
委員
最初に
気象庁
にお伺いします。 この前の二十七日の
委員会
でも私は質問申し上げたわけですが、御承知のとおり、
地元
民は
地震
気象
観測
に非常に重大な関心を持っておるわけでございます。いままでは東大の測観所のデータ等に委託しておった。もちろん
地震計
は人吉かどこかにあるそうですけれども、われわれが
地元
において感じますことは、やはり
気象庁
としても的確なる
観測
設備というものをこの際置くことは決して国費の乱費じゃないと思うのであります。以前にも新燃岳が噴火しまして、煙をはいておるわけでございますが、この際特に
桜島
と同様に
霧島
にも
観測
所を置いて的確なる情勢の把握をすべきだ、こういう
要望
を申し上げたわけでありますけれども、予算の関係でそれは実現しなかったという過去の歴史的な背景があるわけであります。私は、こういう際にこそ、
気象庁
は勇断をもって地域
住民
のために的確なる
地震
観測
ができるように
措置
をすべきだと思うのでありますが、これはいかがでございますか。
柴田淑次
105
○柴田
政府
委員
地震
観測
の設備の整備のことでございますが、これは先生のおっしゃるようにいろいろな過去のいきさつもありまして、
えびの
町だけじゃなくて、
全国
的に目下整備を急いでおる最中でございます。十分ではございませんが、しかし、先生も御承知のように、
気象庁
の
観測
所が
霧島
町に一カ所ございます。これは
霧島火山
帯の
観測
を主目的とした
観測
点でございますが、今回の
えびの
地震
におきましては、この
気象庁
の
観測
点はむろん利用いたしまして解析に使いました。しかし、御承知の東大その他の
観測
点がまわりに数十ございます。 〔
委員長
退席、
川村委員
長代理着席〕 そういうような
観測
点の資料も同時にその解析に使えるような体制を現在とっているということは、先ほどの
委員長
の御
報告
の中にも書いてあるとおりでございます。 御承知のように現在は、この
えびの
地震
は一進一退がございますけれども、総体的に見ますと、漸次衰弱の方向に向かっているというように
現地
の資料の分析から判明しているのでございます。しかし、何ぶんにもこういうような
地震
予知の問題につきましてはなかなかむずかしいのでございまして、たとえば伊豆七島のように、一ぺんおさまりましてまたふたたび活動し出すというような経過をたどるような場合もあるのでございますので、今後はその情勢の推移を十分分析いたしまして、必要な
観測
施設
を
現地
に備えつける、すなわち、
観測
施設
の整備につきましては今後ともなお一そう強力に推し進めていきたいと考えております。 なお、これは現在のところの方針でございますが、実は、御承知のように、あそこに
霧島
山という
火山
がございます。こういう
地震
はときどき
火山活動
と結びつく可能性も考えられるのでございますので、そういう面から早急に
えびの
町と
吉松
町に機械を持っていきまして、その
観測
をしたいというように考えておりますし、また
霧島
の高千穂岳の西側にも
地震計
を一カ所追加する予定になっております。 なお、
桜島
につきましては、
観測
体制を強化するというような方向で強力に進めていきたいと思っております。
兒玉末男
106
○兒玉
委員
長官に再度お尋ねしたいのですが、この前東大の
観測
計でございますか、これが電気が全部とまった関係で、何か水をくみ上げるための自家発電機を借りて一カ所だけは
観測
が継続的にできたが、あとは全部だめだった。こういうことを考えますと、私は非常に心もとない気がするわけですけれども、
地震
観測
計というのはそんなにお粗末な機械なのか、相当の耐震というものを考慮しなければ
観測
の意味がないと思うのですけれども、前に日向灘の
地震
があったときも
宮崎
の測候所の
地震計
はとたんにとまってしまって役に立ってない、こういうことがあるわけですが、この辺の関係は一体どういうふうに処置され、今回の
えびの
地震
の教訓から一体何を学び、何を
措置
しようとしておられるのか、この辺の専門的な立場の御見解を承りたいと思います。
柴田淑次
107
○柴田
政府
委員
実は
停電
のために機械が動かなくなったということは、
地震計
のみならず、気象機械で、そういうように電気で動いているものにつきましてはそういう場合が往々にございますけれども、現在の
気象庁
におきましては、できるだけ
停電
によって機械がストップしないように、
停電
した場合でもすぐ自家発電あるいは電池に切りかえられるような装置を使っております。したがって、今回の
えびの
地震
の場合の
気象庁
の
霧島
山の
観測
所にございます
地震計
につきましては、
停電
しても機械がとまらないような装置になっておるのでございます。
兒玉末男
108
○兒玉
委員
ひとつそういうことを二回と繰り返さないように、十分な
措置
をお願いしたい。 それから、これは
現地
に行かれました
気象庁
の
調査
官の御意見の中にもありましたが、飛行機の上から見た
状況
によりますと、先ほども農林大臣にもお伺いしたのでありますが、これからだんだん雨がふえてくる。しかもシラス
地帯
の
地震
の動揺と同様に、降雨によるところの
災害
の波及ということを非常に懸念されておられたようでございますが、この辺の関係については、
気象庁
、農林省さらに建設省としては、あの膨大な土砂が降雨によって川内川に流れていきますと、川底が上がって洪水の危険性ということが十分予測される、こういうような一つの御意見を述べられておりましたが、この件について
気象庁
並びに農林、建設両省の方から、そういうことに対する予防
措置
等について御見解を承りたいと思います。
柴田淑次
109
○柴田
政府
委員
先生のおっしゃいますように、確かに今後大雨がございますと、特にあの
えびの
の今回の
地震
で地盤がゆるんでいるところは、大きながけくずれあるいは地すべりその他の大
災害
を起こす可能性が十分考えられるのでございます。そういうようなことを
気象庁
としては念頭に置きまして、ともかくそういったがけくずれあるいは地すべりというようなことは大雨の場合が主でございますので、
気象庁
の仕事の分野としまして、いつごろ大雨が降るかという、その大雨に対する注意というのが非常に重大でございます。したがいまして、今後の
九州
地方
に大雨の心配がございますような場合には、福岡の管区気象台、これが
九州
を統轄しておりますし、それからまた、予報的に
鹿児島
の
地方
気象台が
鹿児島
県の付近を統轄しております。その福岡と
鹿児島
のそれぞれの気象台に対しまして、特に今回の
地震
があった
えびの
地方
のことを念頭に置いて、そういった大雨の注意警報を出すようにという指示は先日与えてございます。すぐではございませんけれども、できるだけそういう先生の御意思に沿いまして、
気象庁
としては万全を期していきたいと考えております。
片山正英
110
○片山(正)
政府
委員
お答え申し上げます。 地勢によりましてそういったくずれやすい
地帯
がございます。それに対しましては、治山計画といたしまして、従来の荒廃地の
復旧
のみならず、予防治山というものに重点を置いてやってまいる所存でございます。今後ともそういう形で推進してまいりたい、かように思います。
坂野重信
111
○坂野
政府
委員
建設省関係では、
現地
の大丸川という小さな川、あと二河川あるようでございますが、それが一番シラス
地帯
で崩壊のひどいところ、現に相当川の中にも崩壊土が入っておる。崩壊土の排土につきましては、いま緊急に処置いたしております。恒久的な
対策
といたしましては、それぞれの河川の末端のほうに砂防のダムを計画いたしておりまして、できれば山腹工等も実施いたしまして、実質的な処置をやっていきたいと考えております。
兒玉末男
112
○兒玉
委員
同じように
気象庁
と建設省の関係ですけれども、これからの
住宅
復旧
にしましても、
現地
における地すべりなり、あるいは
地震
の強度、それからあそこの地殻は
地震
に弱い、こういう点等から考えますならば、
住宅
の今後の
復旧
にしましても、
耐震構造
ということを十分考えていかなければ、
復旧
の計画も立たないであろう。その辺のこれからの、的確な予報は不可能だとしても、過去の幾多の例から推して、がけの近くだとか、特に今回の
地震
によって地動の激しかったところ等はやはり避けて
住宅
の建設を行なうべきだ、こういうふうに私は
現地
を三回見まわして痛切に考えておるわけです。その辺、建設省のほうとどういうふうな連携をおとりになっておるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
柴田淑次
113
○柴田
政府
委員
この問題につきましては、
気象庁
と建設省だけじゃございませんで、まだ関係方面の省庁がございます。したがいまして、これは科学技術庁の防災センターのほうでこれを調整いたしまして、そこで大体の計画を立てたりなんかやっておるのでございますが、
地震
に対しての構造物あるいは家の建て方ということにつきましては、私のほうの
気象庁
としてはしろうとでございますので、大体
地震
というものはこういうようにゆれるのだというような、
地震
というものについての
説明
は関係方面には十分やっておるつもりでございます。また今後もその方向で進んでいきたいと考えております。
兒玉末男
114
○兒玉
委員
これは総理府の関係かと思うのですけれども、防災
会議
ですね、この前村山
議員
も指摘したわけですが、
地方
自治体における防災
対策
というものが非常になまぬるい、徹底していない、こういうような指摘がなされたわけです。現在まだ余震も続いているし、今後どういうような作用が起こるかわからないのでありますが、この辺の
措置
についてはその後どういうような
指導
をしているのか、この点お聞かせをいただきたい。 〔
川村委員
長代理退席、
委員長
着席〕
上田伯雄
115
○上田
説明
員
えびの
地震
のあとで、さらにこういうようなことに対する将来の
指導
でございますが、現在のところ私ども、各省庁ともいろいろ連絡し合いまして、当面の
対策
に追われておるというのが
実情
でございまして、今後こういうものに対してどうするかというようなことは、その辺が一段落して、さらに各省とも連絡をとりながら考えなければならぬ、特に
地震
関係の今後の趨勢といいますか、
気象庁
のほうでは、松代のようないつまでも続くというようなことはあるまい、いまのところ断定的ではございませんが、そういうような
状況
でございますので、その辺の
地震
等の趨勢なども見ながら、そういう学問的な研究も見ながら考えていかなければならぬ、かように考えております。
兒玉末男
116
○兒玉
委員
次に、先ほども質問がありましたが、文部省関係にお伺いしたいのであります。
現地
におきましては、学校の
災害
の状態というのが、一般的な台風等による被災率というか、そういうのと若干本質を異にしているわけです。というのは、
半壊
だとか全壊だとか、これによって公立学校の
災害復旧
の国庫
補助
の
適用
率も変わると思うのですけれども、これは
報告
もありましたが、とにかく
地震
によっていつまたゆれるかわからない、いつ倒れるかわからぬ、こういうことでもって、どうしても木造
建築
では不安である、だから県並びに
地元
の町としてもどうしても
耐震構造
を考えた、いわゆる鉄筋校舎にしなければいけない。しかしながら現在の町の財政状態ではとても鉄筋校舎を建てることは不可能に近い、これに対して格別の配慮をしていただきたいという強い
要望
がなされております。現在いまだに全面的な授業再開ができない、こういうことから考えますと、単に一般の
災害
に
適用
するような被災率ということでなくして、これが
地震
に耐えるだけの、十分子供たちが安心して勉強のできるような学校校舎の再建ということを配慮していただかなければいけないと思うのですが、この辺どういうような
現地
からの
報告
を受けているのか、またそういう特殊な
状況
に対処してどういうふうな
措置
をとるお考えなのか、この点お聞かせをいただきたいのであります。
菅野誠
117
○菅野
説明
員 ただいまのお話も
現地
のほうからも承っております。ごもっともなことだと思います。なお、御案内のように、公立学校
施設
災害復旧
費国庫負担法に基づきまして、全壊、
半壊
の
被害
を受けた学校建物につきましては、これを上位構造で
復旧
すること、つまり木造が全
半壊
いたしましても、鉄筋で
復旧
するということは認められることになっております。したがって、全
半壊
の部分については立会査定の上でその必要ありということになりますれば、木造の
被害
に対しても上位構造で
復旧
することは可能でございます。これは
現地
がまたそのように
復旧
計画を立てなくてはならぬことになりますが、木造で倒れたものは木造で建てるという場合でなくて、鉄筋で建てようとする場合には可能だということでございます。 さらにいまお話のなかにありました全
半壊
に至らない建物の関係でございますが、全
半壊
に至らないものにつきましては、義務教育諸学校
施設
費国庫負担法に基づきまして、危険改築という形になりますので、その部分につきましては、この義務教育諸学校
施設
費国庫負担法に基づく新改築の場合に、やはりその木造の場台を鉄筋にするということは可能になるわけでございます。
兒玉末男
118
○兒玉
委員
ただいまの御
説明
によりますと、こういう
地震
が今後も予想されるというふうな考慮を十分払っていただけるという意味にとってもいいですか。
菅野誠
119
○菅野
説明
員 さようでございます。
兒玉末男
120
○兒玉
委員
それでは次に、総理府のほうにお伺いしたいと思いますが、いずれの
災害
の場合でも
激甚災害
の
適用
ということがどこの場合でも言われながら、それがなかなか大きな隘路となって、現実に激甚災の
適用
が実質的に行なわれておらない。でありますから、このことは、今回の
激甚災害
に
関連
する法案というものに大きな隘路があるのではないか、この際、私は思い切った基準の改定を含めたところの内部の改善をすべきだと思う。しかも、このことにつきましては、先ほど申し上げました昨年十一月二十九日のこの関係の小
委員会
におきまして、特に決議事項の十二項に、「
激甚災害法
の
適用
に関する
指定
基準について、
災害
の実態に即するよう再検討を加え、整備拡充を図ること。」と、こういうきちんと規定づけられた決議がなされておるわけであります。ですから、すでに三、四カ月たっておりますが、その後、至るところ
災害
が
発生
している。こういう
状況
等、特に各
地方
自治団体等の熱烈な
激甚災害
に対する要請は、みずからの力で立っていけない、だからこそこういう
要望
が強いし、しかも、十一月二十九日のこのような決議に相なったと思うわけですが、その点はどういうふうにその後具体的な検討がなされたか、また今回の、この
えびの
災害
を転機としてひとつ積極的な前向きの姿勢で取り組んで、地域
住民
の
要望
にぜひこたえていただきたい。この点、あわせてお尋ねする次第であります。
八木徹雄
121
○八木
政府
委員
兒玉さんのお気持ちは、ほんとうにすなおによくわかるわけでございます。また、当
委員会
におきましても、御指摘のとおり、
指定
の基準につきまして前向きに考えろというふうな決議につきましても、私ども賜わっておりますので、正直に申し上げまして、いま慎重に検討中でございます。前向きで、基準改定につきましては、対処してまいりたいと思っております。
兒玉末男
122
○兒玉
委員
前向きの姿勢で検討中というお気持ちはよく察しますが、この
委員会
において先ほど申し上げたような基準の改定なりそういう具体的な点について、たとえば今国会中にそういう検討を加えて改善するとかいうふうな、それこそ前向きの積極的な御意見というものがぜひほしいわけでございます。その辺はいかがでございますか。
八木徹雄
123
○八木
政府
委員
この国会中に出すということを約束するほど検討が煮詰まっているというふうには、まだ私も
報告
を聞いていないのであります。たびたび手直しをするということでなくて、一ぺんやれば、それは相当長期にわたってその基準が実施できるような、そういう形にしなければならぬと思いますので、各省の意見も十分聞くし、財政当局のほうの配慮も聞いた上で善処してまいりたい、こう思っております。
兒玉末男
124
○兒玉
委員
それでは、ひとつそのことを強く
要望
しまして、次の点に移りたいと存じます。まだあとたくさんの方がおりますので、できるだけしぼってやります。
芳賀貢
125
○
芳賀
委員長
兒玉
委員
、ただいま保利建設大臣が出席しましたので……。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
芳賀貢
126
○
芳賀
委員長
速記を始めて。
兒玉末男
127
○兒玉
委員
せっかく大臣がお見えでございますので、ほかの
委員
も質問があると存じますから、二点にしぼって御質問をしたいと存じます。 特に今回の
災害
地が
特殊土壌地帯
でございまして、先ほど農林省関係にもただしたのでございますが、今後の
災害
を防止するための防災
対策
、恒久的に対処するための防災
対策
ということが非常に重要ではないかと考えております。これに対するお考えを伺いたい。 もう一つは、御承知のとおり、総計で一千戸以上の
住宅
が全壊あるいは
半壊
をいたしました。しかも
住宅
復旧
に対しましては、特に
住宅
金融公庫法による
災害
特別融資のいわゆる認定を早急にしていただきまして、この
対策
を積極的に推し進めていただきたい。それから生活困窮者に対しまして、建設省の御理解ある協力なくしては、この混乱した状態から不安を解消し、生活の安定を期することはできない。こういう点について、特に大臣の御所見を承りたいと思います。
保利茂
128
○保利国務大臣 先般の
えびの
地震
につきましては、御同様まことに
罹災者
に対しましては御
同情
を申し上げるわけでございます。
地震
があって、相当の
被害
が出たのではないかという報を耳にいたしましたので、仮谷政務次官に、厚生省等の係官とともに至急
現地
へ行っていただいて、
現地
の視察をしていただきました。 御指摘のように、
特殊土壌地帯
ではございますし、相当奥地のほうには、まだ今日つかんでおられない
被害
も出ておるのではないかということが
想像
できるわけであります。建設省としましては、とにかく
災害
に対しては迅速に手を打っていくということが大事であるということから、この十一日から査定官に
宮崎
、
鹿児島
両県に出てもらうように手配をいたしております。その上で適切な
対策
を講じてまいるつもりであります。 御案内のように、おそらく御
説明
があったと思いますが、とりあえず本日の閣議決定で緊急の予備費支出というものをいたしておるわけであります。 なお、お話のように
罹災者
の
住宅
問題というのは非常に困難をされておることは、
想像
に余るわけであります。こういう場合に備えて
住宅
金融公庫にも相当な
ワク
がございますし、時期を逸せずこの
措置
ができるようにいたしております。 とにかく
現地
の要請というものにこたえて、遺漏なきように尽くしてまいりたいというようなことで、勉強してもらっております。
兒玉末男
129
○兒玉
委員
それでは一点だけ大臣にお聞きいたしまして、他の
委員
に譲ります。 これは特に建設関係が大きいわけでありますけれども御承知のとおり、
激甚災害法
の
適用
ということが、いままでだいぶ論議されましたが、今度の場合等も、非常に小地域に限定されておる関係で、なかなか
適用
ということがむずかしい、こういう総理府の答弁でありますが、特に今回の場合の状態というのは、一つの地域に五十億というばく大な損害を与え、しかも八〇%の
住宅
が全壊、
半壊
で、この立ち上がりにはとにかくどういうことをしても国からの援助なくしては再起は望めない、こういうきびしい
状況
の中にあるのでありまして、基準の
適用
ということについては、これは法律等を改正していけばできるわけです。同時にまた、国の財政的な限度というものもあるわけでしょうけれども、こういう余測できない
災害
等については、やはりあたたかい思いやりの政治こそが行なわれてしかるべきだ、こういう点から
激甚災害法
の
適用
について格段の御配慮を私は
要望
しているわけですが、建設大臣としての御所見をひとつ承りたいと思います。
保利茂
130
○保利国務大臣 区域の広い
激甚災害
に対しては直ちに
激甚災害法
が発動される。しかし、激甚度は同じでも、区域が狭いと発動されないということは、これはお互いさま全くいかがかという感じを私らも年来いたしておるわけでございます。そういう矛盾を感じておる一員でございますけれども、しかし現行法のたてまえは現行法のたてまえでございますから、現行法のたてまえの中でできる限りの処置を講じてまいるということ以外には、いま私は申し上げ得ない。そういうあなたと同じ矛盾を感じておることは率直に申し上げます。
兒玉末男
131
○兒玉
委員
終わります。
芳賀貢
132
○
芳賀
委員長
村山喜一君。
村山喜一
133
○村山(喜)
委員
吉松
町の場合は、
えびの
地震
災害
で全壊が三十五、それから
半壊
が二百四十八、一部破損が千四百十五棟出た。これを公営
住宅
法に基づく基準からまいりまするならば、一市町村の区域内で二百戸以上ということになりまするし、また
住宅
戸数の一割以上というその該当事項に抵触をいたしまして、このままの形ではこの公営
住宅
法に基づく
災害
公営
住宅
の割り当てが困難になろうかと思うのでございます。そこで、滅失家屋、この戸数が被災地全域で、これは
えびの
町と
吉松
町が中心でございますが、その全域で五百戸以上、こういうようなことにその地域を、県は境にいたしておりますが、全体的な形でとらえていくということになるならば、これは解釈の運営の問題になってまいりますが、
災害
公営
住宅
の割り当てが可能になってくるのではないかと思います。そういうような、いわゆる特別に
緩和
をする方法というものを考えていただくような
措置
をこの際処理願いたいと思うのでございますが、いかがでございますか。この点についてお尋ねをしたい。
保利茂
134
○保利国務大臣
吉松
地区の
被害
につきましても、同様に私心配いたしております。したがいまして、お話しのように基準のなににはまってこないというところはありますけれども、一般の公営関係がございますから、これを
えびの
地区とできるだけ同じような扱いになるように運用できると思っておりますし、またできるようにひとつやってもらいたいと考えておるようなわけであります。
村山喜一
135
○村山(喜)
委員
ぜひそういうふうに温情ある
措置
をお願いをしたい。 そこでもう一点だけ大臣にお尋ねをいたしますが、それは松代
地震
のときに、大臣も御承知のように、これが非常に長期間にわたりまして
地震
が継続をいたしました。ところが全壊をいたしました家屋は、松代の場合は確かになかったと記憶しておるのでございます。したがいまして、
災害救助法
の発動はございませんでした。しかしそれにかわるべきものとして、松代
地震
の
災害
の特別
措置
というものを講じました。それはいわゆる夜安眠ができるように
プレハブ
住宅
等について三分の二
助成
方式
というものを予算
措置
で講じたのであります。これは所管が厚生省になるかと思いますが、しかし考え方はそういうような
住宅
の問題として考えられて差しつかえないのではないかと思いますのは、四百九十三戸、当時そういうような
方式
で家をつくったのでございます。そこでこの
災害
公営
住宅
なりあるいはいわゆる
災害
復興
住宅
資金
の
ワク
の設定の問題等にあたりましても、こういうような国のほうの
補助
金
方式
による
災害
住宅
の建設という問題について、非常に人心が安定をするようなそういう問題について考える方法はないだろうかということ。罹災した者が金を借りてつくればそれでいいじゃないかということに現在の法律の上はなっておりますが、国の
補助
方式
による考え方というものはとられないか、一般
災害
住宅
についての大臣の御所見を、この松代
地震
を引き伸ばして
適用
をしていくようなそういう
方式
で建設省としても考えていただくことはできないかどうかということをお尋ねしたいわけです。
保利茂
136
○保利国務大臣
災害
の公庫融資の
住宅
につきましては、御案内のように三年間据え置いて償還していくというような特別の
措置
も講じております。また今回の場合もそういうことで処置していかなければならないと思いますけれども、これはまあ村山さんも御存じのように、
住宅
に
補助
をしないかということになってきますと、問題のたてまえが根本から
個人
の
補助
になってくるわけでございますから、これはいますぐ言明をなし得る問題じゃございません。しかしそうでない点におきましては、可能な限りひとつ手を打たしていただきたいと考えております。
村山喜一
137
○村山(喜)
委員
この問題は、無理だろうと思いますが、将来の問題として御検討いただきたい。 そこで
災害
復興
住宅
資金
の貸し付け
ワク
の問題でございますが、これは
住宅
金融公庫で、新築をする場合に平均七十万ないし八十万程度にいまなっているようでございます。ところが、いなかでありましても、あとの残りの半分は自分で出さなければ家ができないようなかっこうでは、困るのでございます。そこで特別な
措置
として、木造であれば百万円くらい、耐火構造であれば百五十万円くらいの
資金
の融通を願いたいというのが
現地
の声として非常に出ているわけでございますが、この一戸当たりの
資金
ワク
の設定の問題については、特別な配慮は、こういうような
地震
災害
等についてはできないかどうかということを、大臣から、そういうような方向で
努力
をしてみていただきたいと私たち
要望
申し上げておるわけでございますが、御回答をいただきたい。
保利茂
138
○保利国務大臣
努力
いたしますことはやぶさかではございませんけれども、全体の
住宅
政策をとってまいっております関係からいたしまして、いま直ちに御要請にこたえ得るかどうか、どうも歯切れの悪いお答えを申し上げるほかはないと思うのであります。しかし
努力
はいたしておきます。
芳賀貢
139
○
芳賀
委員長
折小野良一
君。
折小野良一
140
○折小野
委員
大臣に、一つだけお伺いいたしたいと思います。
災害
応急
住宅
の建設につきましてですが、これは通常の運用からいたしますと、関係の市町村から土地を出していただいて、そこにまとめてつくって、入居してもらう、こういうようなことになっておる。ところが、現実に今度の
えびの
地震
の場合のように、農村
地帯
ということになりますと、つとめ人はいいわけなんですけれども、
農民
、こういう人たちはそれじゃちょっと困る、こういうような面が多いのであります。これは運用の問題でございますけれども、
災害
応急
住宅
の建設につきまして、地域の
実情
に即して、あちこちある程度分散してつくる、こういうような面の御配慮がいただけるかどうか、そういう面について御答弁を願いたいと思います。
保利茂
141
○保利国務大臣
住宅
局長
から……。
三橋信一
142
○三橋
政府
委員
お答え申し上げます。 公営につきましては、たてまえ上は、できないことはございません。ただ、問題は、従来の実例から申し上げますと、その
地元
の市町村が公営
住宅
の管理の問題、いろいろ散っちゃうと管理がしにくいというようなことが、いろいろ従来から問題がございまして、そこいらの問題で解決しなければならぬ問題がございますが、たてまえとしては、できないことはございません。 それから、もう一つ、広さとか何かの点もあるかと思われますが、これらにつきましては、公営
住宅
では、これがある限度までどうしても解決できませんし、と申しまして、しからば公庫で、先ほどお話しのように、相当大幅に貸せるかどうかということになりますと、やはりこれは返せるかどうかという問題にもつながってまいりますので、ただいま六十七万円くらいで区切っておりますけれども、そこいらは十分検討いたしましてやってまいりますが、公営でまいりません点は公庫でカバーするというような考え方でまいりたいと思っております。
折小野良一
143
○折小野
委員
公営
住宅
の管理ももちろんでございますけれども、当面、仮設
住宅
は、とにかく応急の、いまの
災害対策
なんですね。そういう方面から考えまして、あとあとの市町村の管理という問題もそれはございますでしょうけれども、当面の
実情
を考えて、できるだけ
実情
に即した運営というものをぜひひとつお願いをいたしたいと思います。大臣、ひとつお願いいたします。
保利茂
144
○保利国務大臣 仮設は厚生省のほうで……。
折小野良一
145
○折小野
委員
厚生省ですか。それなら厚生省からひとつお願いします。その点だけ……。
今村譲
146
○今村
政府
委員
災害救助法
に基づきます
応急仮設住宅
というのは、いま、申しわけありませんが、五坪くらいの小さなものでございまして、これは必要なところにまとめてつくらなければならないことはございません。
状況
によってはどこにでもつくれます。したがって、公営
住宅
のようなりっぱなものではございませんので、このための管理というような、それほどむずかしい問題はございません。ただ、これは長持ちはいたしませんから、これは簡単なものでございます。私のほうといたしましては、先ほど先生からお話がありましたように、前回の三〇%と、それから、それがどうしても
現状
がどうにもならないという場合には、特別
復旧
ということで、戸数のある程度増減ということもできます。そういうふうな
状況
であります。まとめてという問題は、私のほうではないのであります。
折小野良一
147
○折小野
委員
わかりました。終わります。
芳賀貢
148
○
芳賀
委員長
小川新一郎
君。
小川新一郎
149
○小川(新)
委員
建設大臣にお尋ねいたしますが、
災害
復興
住宅
建設
資金
の貸し付けの耐火構造にするための
ワク
の
引き上げ
というものは、お考えになっておられますか。
三橋信一
150
○三橋
政府
委員
ただいま、耐火
住宅
につきましては、八十一万で
ワク
をきめておりますが、これを直ちに
引き上げ
るというのはちょっと無理だと思います。
小川新一郎
151
○小川(新)
委員
そういう
要望
はたくさん来ておりますが、何らかの特別
措置
というものは考えられないのですか。
三橋信一
152
○三橋
政府
委員
特別
措置
というお尋ねでございますけれども、これはやはり特別
措置
と申すより
恒久対策
になってくる問題であると思われます。したがいまして、将来の検討問題としては、これは私ども当然積極的に検討せにゃいかぬと思っておりますけれども、やはり公庫のたてまえといたしまして、返していただくというのがたてまえなんでございまして、そうすると、おのずからの限度があろうかというふうにも考えられますので、そこいらをあわせ考えまして、前向きに検討いたしたいと思っております。
小川新一郎
153
○小川(新)
委員
少なくとも百五十万円ぐらいはお願いしたいというのが
現地
の声であります。よろしくお願いしたいと思います。 建設大臣、これは御所見をお尋ねしたいのですが、日本の
災害
の問題につきまして、
地震
対策
というのは非常にないがしろにされております。これは農林共済組合なんかでもはずされておりますし、火災保険の
対象
にもなっておりません。こういった日本の
建築
、不良
建築
、木造
建築
に対して、将来、こういう
地震
の
災害
に対する何らかのこういった不動産に対する保険の
適用
というものに対しては、建設大臣としてはどういう御所見を持っておられるか、まずそれを聞きたいと思うのです。
保利茂
154
○保利国務大臣 仰せのような検討をしなければならない問題だと思いますから、
政府
のほうとしても検討いたしますが、国会のほうにおかれましても、ひとつ十分御検討、御審議をいただきますようにお願いを申しておきます。
小川新一郎
155
○小川(新)
委員
今回の
地震
によりまして、
鹿児島
県栗野町、それから
えびの
町においては、橋に相当
被害
が出ておりますが、こういった緊急に直さねばならぬ橋はどれくらいありますか。また、それに対する国の援助
措置
はどういうふうになっておりますでしょうか、お答え願います。
保利茂
156
○保利国務大臣 今回の
地震
に対しては、もうひとつできるだけ迅速に手を打ってまいりたいということで、先ほど申し上げましたとおりでございまして、直轄の川内川堤防の
亀裂
等につきましては、二千百余万円の予備金支出をきょう決定していただいたわけでございます。先ほど申しますように、十一日から
宮崎
県、十六日から
鹿児島
県、両県に防災担当官が査定に参っておりまして、査定を持って帰ってくると思いますから、適切に手を打ってまいりたいと思っております。
小川新一郎
157
○小川(新)
委員
建設省としては、今回の
災害
に対して、有能なるそういった
耐震構造
等の技師等を
現地
へ派遣して、そういった
指導
を行なっているんですか。
保利茂
158
○保利国務大臣
現地
では、これは
地震
の
被害
でございますから、建設省のその面の技術陣は絶えず研究をいたしておりますから、それに対応するところの手は十分打っていけると思っております。
小川新一郎
159
○小川(新)
委員
最近
地震
が連続して起きておりますね。東京においても、きのう、おとといと大きな
地震
が、震度三というのが三つくらい続いております。日本全土に、東京等も含めてですが、
気象庁
あたりから建設省に、
地震
に対する——
えびの
地震
にも関係しておるのですが、大きな
地震
が来るといううわさがいま飛んでおります。佐藤内閣がゆれ動いていますせいか知りませんが、とにかく非常に
地震
が多い。この点について建設省は、
気象庁
のほうから何らかの注意等を受けておりますでしょうか。
保利茂
160
○保利国務大臣 私は何も伺っておりません。ただ閣議で、
気象庁
の所管である運輸大臣から、どうも
地震
の多い年らしいというようなお話は伺ったことがあります。
小川新一郎
161
○小川(新)
委員
最後
に、建設大臣として、
現地
被災者
の激励また
地方
自治体の激励等に実際出向いていく御決意がおありでしょうか。それをお聞きして終わりたいと思います。
保利茂
162
○保利国務大臣
地震
の
被害
の報に接しまして、私自身が飛んでいきたいというような衝動にかられたわけでございますけれども、どうも離れがたい事情がございましたので、仮谷政務次官に御無理を願って行っていただいたようなことでございまして、もちろんその気持ちは十分でございますけれども、今日はちょっとなかなか許されないのじゃないかと思っております。
芳賀貢
163
○
芳賀
委員長
兒玉末男君、先ほどに続いて……。
兒玉末男
164
○兒玉
委員
それでは、厚生省関係と防衛庁の関係についてお伺いしたいと思います。 まず、今回の
地震
によって、井戸水のくみ上げ過ぎ、それから水道管が全部だめになりまして、結局自衛隊のいわゆる救援活動を通じて、初めて給水ができた。この点について、自衛隊がとりました
措置
を非常に私たちは感謝いたしておるわけでございますが、こういう異常時における給水作業というものは、衛生的な面あるいは人道上の点についてもきわめて重大な課題であります。今回自衛隊のほうがとられたこの給水活動というのは、私は一部を拝見したわけですけれども、どういう形で、そして大体延べ何名程度の給水活動が行なわれたのか、この点をまずお聞きしたいと思うのです。
今泉正隆
165
○今泉
説明
員 お答えいたします。 自衛隊が給水をいたしましたのは、二月二十一日から三月七日、きのうまででありますが、給水しました総量は三百十八トンでございます。給水に何名のものが当たったかというのは詳細なデータをとっておりませんが、たとえば昨日給水をやりました例では、大体三十名のものでやっております。ただし給水も、途中ではこれは
宮崎
県につきましては都城の四十三連隊、
吉松
町につきましては
鹿児島
県の
国分
の第十二連隊から出動して当たっておりますが、多いときには両方それぞれ三百名ずつぐらいのものが当たっております。 それから、給水いたします場合には、浄水セットその他を用意いたしまして、衛生には十分注意したいという話でございます。
兒玉末男
166
○兒玉
委員
いまの自衛隊のほうから
報告
があったとおり、厚生省に対してお聞きしたいのですが、少なくとも
災害
が
発生
してから二週間以上、自衛隊の援助に待たなければ給水ができない。これはやはり衛生的な面を担当する、特に水道関係は厚生省の所管だと思っておるのですが、こういうような
災害
時に対する給水活動はいつも自衛隊の力をかりなくては早期の
復旧
ができないということは、もう少し厚生省としても積極的な取り組みを示すべきじゃないか。しかも、今回の場合は、
停電
、しかも、
地震
によって水道管がどこが破壊したかわからない、非常に
復旧
も手間どる、こういう非常に困難な情勢にあるわけですけれども、これをひとつ貴重な教訓として、もう少し前向きの姿勢でこういう給水活動というものができるような体制を整備すべきじゃないかと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
大橋文雄
167
○大橋
説明
員 お答え申し上げます。
地震
にあたりまして水道が非常に
被害
を受けるということでございますが、今回の
えびの
町の場合には、水道で水を送っておりました給水人口が約四千人でございました。水源が三本ございましたが、その中で、水が取れなくなったもの、あるいは一部取れるもの、
被害
が軽微というようなものもございます。また、浄水
施設
、あるいは配水管、送水管等が非常に破損されまして、断水しました。それに対しまして、先ほど来防衛庁のほうから御
説明
のございましたように、自衛隊の非常に強力なる給水応援を得まして、給水活動を行ないました。町といたしましても、給水の車等により給水を行なったわけであります。 まず
えびの
町から申し上げますと、
復旧
状況
は三月五日をもちまして一応応急
復旧
が全部終わりまして、現在では全域に給水中でございます。こういう場合には、どうしても水道は応急
復旧
を最初にやりまして、次に本
復旧
ということになるわけでございますが、御指摘のように、非常にその間に給水体制を自衛隊に依存するというふうな弱さ、それから非常に
復旧
が手間どるということにつきましては、こういうことを教訓にいたしまして今後検討してまいりたいと思う次第でございます。
吉松
町につきましても、同じように二カ所の水源が使用不能になりまして、そのほか各所におきましてパイプがやられておるというようなことで、この両町につきましては同じような状態でございまして、
吉松
町のほうの水源を新規に仮工事をしなければならないというようなことで、
吉松
町のほうがむしろおくれたというようなことで、きょう現在で、ようやく応急的な給水装置が全部できるようになったというような状態でございます。したがいまして、こういう両町のことを教訓といたしまして、水道の給水体制というものにつきまして今後大いに
努力
してまいりたいと思います。
兒玉末男
168
○兒玉
委員
それではあと二問御質問します。一ぺんに質問したいと思います。 一点は、厚生省関係でございますが、先月二十七日の当
委員会
におきまして、同僚
議員
の村山さんからの環衛公庫融資の
拡大
についての御質問の中で、四月一日から業務方法書の改善を通じまして、いままでの貸し付け
対象
の
ワク
を
拡大
する。特に当町は旅館なりこのような関係の商店街が多いところでございますが、特に環衛金融公庫の融資に非常に期待をかけておるわけでございます。これらの
措置
についてその後どういうふうな御検討なりあるいは県等からの要請によって対処されておるか。 それから大蔵省関係でございますけれども、特に商店街が壊滅的な状態でありまして、ほとんど商行為もできないし、相当の商品が
地震
のために損壊し、ばく大な
被害
を受けておる。当然これに対しましては、国税等の減免もしくは納期の延長等、特に御配慮していただきたいと思うわけでございます。けれども、この辺いかような
措置
をとられておるか。 以上、二点を質問しまして、私の質疑を終わりたいと思います。
赤穴博
169
○
赤穴
説明
員 お答え申し上げます。 環衛公庫の融資につきましては、近代化、協業化、こういう点を主体に従来融資を行なっておるわけでございます。明年度以降につきましては、およそ環衛業につきましてはすべて環衛公庫で特別な融資をするということで、一応関係方面との御了解にも達しておりますので、できるだけこの線を早期に出発させるということで御
要望
の線に沿いたい、こういうことで関係方面と折衝いたしている次第でございます。
大塚俊二
170
○
大塚
説明
員 租税の
災害
に伴います減免、それから徴収猶予等に関する取り扱いにつきましては、
えびの
地震
についてさしあたって
災害
が
発生
しました二月二十一日から四月二十一日までに期限がまいります申請、申告それから納期、納税、これらを全部四月二十二日まで延長してございます。 それからいま御質問の、商店等が全部非常に
災害
を受けておる。現在の税法でまいりますと、四十二年分の所得税は、実は今度の三月十五日が申告期限になっておるわけでございますが、四十二年分の所得税につきましては、税の減免という制度が現行法では実はございません。これにつきましては、ただいま申し上げました申告期限の延長はございますが、税の減免そのものはございませんで、一応これは計算はいたしていただきまして、納税のほうを原則といたしまして一年間猶予ができる。さらに個別の事情によりましては、最高三年まで猶予ができるという制度になっております。今回の
地震
に関します
災害
は、四十三年分の所得税として減免する、あるいは雑損控除とか、商店の場合でございますれば純損失の繰り越し控除とか、四十三年分の所得税の問題として
措置
がございます。そういう
状況
でございます。
芳賀貢
171
○
芳賀
委員長
村山喜一君。
村山喜一
172
○村山(喜)
委員
もうほとんど触れられてまいりましたので、私は問題を二点にしぼって質問をいたします。 第一点は、
災害救助法
に
関連
をする問題でございます。厚生省の社会
局長
にお願いをしたいと思いますが、いまたき出しは一日百円というのは、これはいつきまったのですか。
今村譲
173
○今村
政府
委員
昨年の春だったと思います。
村山喜一
174
○村山(喜)
委員
その前は幾らですか。
今村譲
175
○今村
政府
委員
その前は九十円だと思います。
村山喜一
176
○村山(喜)
委員
一日百円で、これは一週間でしょう。一週間過ぎたら、今度は百三十円になるわけですね。老人ホームでなにしている人の基準が、いま百三十九円ですか。
措置
児童、収容
施設
の子供たちが百八十七円、こういうことでございますが、男も女も子供もおしなべて一日百円で、緊急事態だからというので食わせる。これはなんですか、百円で何カロリー処理できるのですか。
今村譲
177
○今村
政府
委員
これは私
説明
不十分でございましたが、一週間百円でございませんで、最初の三日間は百円、それから四日目からは百三十円、これも去年の春に——これは正確に申しまして、何カロリーとかなんとかいうような恒常的な栄養計算というふうなものではございませんで、臨時緊急に握りめしというものから出発しておるのだから、一日、二日ぐらいはどろ水の中ということで、四日以降については何とか直してくれというので、これを百二十円に昨年の春に直してもらった、こういうふうな
状況
でございます。
村山喜一
178
○村山(喜)
委員
それにしましても、今日、百円では、ラーメン一ぱい食べても百円取られるわけですね。握りめしとつけものくらいで——これは一食分じゃなくて、三食分でしょう。こういうようなことで応急
措置
を講じて
災害救助法
を発動したからということで処理される状態から見ますと、あまりにも現実離れをした
災害救助法
の内容ではないかと私は思うのですが、これを現実に合うように改正をされる必要があるのではないかと思いますけれども、そういうようなことは検討はしておられませんか。 時間がありませんので、その答えと、それから中身に関する問題でございますが、テント借り上げ料一人当たり一日五円二十五銭だそうですね。それから
避難
施設
に入った場合には、一日四円五十銭だそうですね。これも、そういうような安い値段でテントを貸してくれるのは、
地方
公共団体や自衛隊のほうから貸してくれるのでしょうが、そういうようなやり方をいつまでも続けて、
災害救助法
を発動してやったから、なんじ臣民はこれで助かったんだというような感覚に立っているところに、佐藤内閣の政治の姿勢があるような気がしてならないのですが、もう少し人心を安心させるような形を名実ともにとらなければ、社会開発も発展も何もありませんよ。この点を、私はもっと現実に即するような方法で内容を改善をしてもらいたいということを考えるわけですが、それに対する御回答をお伺いをしたい。
今村譲
179
○今村
政府
委員
お答え申し上げます。 おっしゃいますように、
災害
救助も二十種目くらい、遺体捜査から医療から、いろいろなものがございます。いまお話しになりましたように、
避難
所五円二十五銭、既存建物の中に入ってもらった場合には四円五十銭、これは実は二十八年から基準は同じでございます。この問題は、現実に仮小屋をつくる、あるいは天幕を業者から借りてきてという実態がほとんどございませんで、自衛隊から貸してもらう、あるいは公民館に入れるということで、こっちのほうはほとんど市町村としては負担にならないという問題がございますので、われわれとしましては、
応急仮設住宅
、たとえば十三万円であったものを十六万円に直すとか——五坪でありますけれども、それからたき出し、被服、毛布、そういうようなもの、それから
住宅
の応急修理というふうに、とりあえず一番緊急なものというものを重点にやってまいりましたので、お話しのように、
避難
所の設置経費は、実例は非常に少ないのでございますけれども、これはほったらかしになっておるという点については、私どももちょっとあと回しにし過ぎたというふうに考えます。特に
個人
の
住宅
とか、被服とか、めし代とか、そういうふうなものについての
引き上げ
を重点的にやってきたものですから、ちょっとこれが立ちおくれになっておるという事実は、私どもとしても非常に手落ちであった、こういうふうに考えます。
村山喜一
180
○村山(喜)
委員
八木副長官、いま私が言ったことをお聞きになって、どういうようなお感じでございますか。
八木徹雄
181
○八木
政府
委員
確かに非常識な話だと思います。ただ実態が、要請がないから惰性でそのままで置いておるということのように聞こえるのですけれども、それならやめればいいのであって、やる場合においては、それによって処置できるという可能性の範囲で処置しなければならぬと思いますから、まだまだこういう点、
災害
の各種の問題について配慮が足りないところはたくさんあると思いますから、御指摘をいただきながら、現実に即した、それこそ社会開発にふさわしい
対策
になれるように仕上げていくことに
努力
してまいりたい、こう思います。
村山喜一
182
○村山(喜)
委員
いい答弁をいただきましたので、ひとつ資料としてお出しをいただきたいのですが、現行の
災害救助法
の各項目ごとの
適用
の単価基準、これをこの
委員会
にお出しをいただいて、この
委員会
でももう少しこのような問題については、何か小
委員会
あたりでもずいぶん検討されておるようでございますが、内容をより高次なものにしていかなければならぬ任務が国会にもあろうかと思いますので、それをお願いをしたいと思います。 そこで、この
応急仮設住宅
の問題がございますが、先ほど以来お話が出ておりました、また、
委員
の方からも
鹿児島
県の
要望
についても触れられたようでございますので、あまりくどくは申し上げません。いま三割以内、それに特別加算をある程度認めて処置してやるということでございますが、それにしても全壊戸数が少なければ割り当て戸数が少ないことは事実でありまして、
鹿児島
県にせいぜい認められて二十二戸ぐらいしか認められないんじゃないかというふうに私は思うのであります。ところが、現場を回ってみまして、もう半分こわれかかった家の中に寝るのはかなわぬ、眠れない、庭先にテントを張って寝ているわけですね。あるいはたんぼの中にわらを敷いて、その上に
農業
用の
施設
のビニールのテントを持ち出して、その中で人間が寝ている。余震は一向におさまらない。先ほどの
気象庁
の話ではだいぶおさまってくるようなお話をお伺いしましたが、それがおさまるという保証は、
気象庁
として保証書を出してくれといっても、保証書は出せないのが現在の
地震
の、地球物理学の
現状
ではないかと思うのです。そういうようなことから考えますと、人心の安心立命のなにをやるためには、まず第一に寝る場所、眠れるということを
措置
してやることが必要だ。いつまでもテントの中に、あるいは
ビニールハウス
の中に寝泊まりをさせておくということは、政治のあり方ではないと私は思うのです。そういう立場から、もっと仮設
住宅
について、あなた方が松代
地震
のときにとられましたように、当時の記録によると四百九十三戸ですか、これだけ三分の二の
補助
方式
でそういう家の中に眠れない人たちに特別の
措置
をしてやったわけですね。だから、余震がまだ続いておる、これからどれだけ続くかわからない、そういうような情勢の
見通し
に立つならば、長期的な展望の上に立って、この
応急仮設住宅
という問題は処理してしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、担当の厚生省としてはどういうような感触でおられるのか、これをお聞かせいただきたいと思うのです。
今村譲
183
○今村
政府
委員
いまお話しの点でありますが、私どもが県なりあるいは
気象庁
なりから
報告
をしていただいておりますのは、松代と違って大体終息しかかっておる。回数は多いですけれども、小さなもので、一応
災害
はおさまってきている。たとえば、
えびの
町あたりはほとんど自宅復帰しつつある。
吉松
町のほうの情勢も大体同じだと思いますが、そういうふうな情報に基づきまして、従来の三割、たとえば
吉松
町でいいますならば三十五戸なので、三割なら十二戸となり、それに対して約倍近くになりますけれども、二十二戸の申請が出てきております。そういうふうな
状況
で、現在まで
地元
もおさまったと聞いておったわけです。しかし、いまお話しのように、今後
被害
がどんどん出るかもしれない、こういうことになれば、たとえば松代のように、ほとんど数カ月にわたって激烈なやつが続いたというふうな事態になれば、またもう少し考えなければならぬじゃないかというふうな気はいたしております。
村山喜一
184
○村山(喜)
委員
気象庁
にお尋ねいたします。松代の場合には群発
地震
だった。今度のやつは群発性
地震
、こういうふうなことになっているようでございますが、余震がだんだん減ってきているということは事実であろうと思います。しかし、これがいつおさまるのかということになってくると、いまの予測、予知というのですか、
観測
による予知、この技術の段階においては、これが
火山
に飛び火するというような事態も
現地
のああいうような状態の中で考えられないでもない。だからいつになったら完全におさまるかということは、私ははっきり言えないのではないかと思うのです。たとえば五月なら五月になったらもう完全におさまる、こういうような証明ができますか。
柴田淑次
185
○柴田
政府
委員
そういう証明あるいは将来の
見通し
につきましては、
現状
では断定はできません。
村山喜一
186
○村山(喜)
委員
それであれば、やはり
地震
がまだ継続するという前提のもとに、行政なり政治というものは手を打つべきではないか、私はこういうように考えるわけですが、厚生省のほうは、もう松代と違って、
えびの
はこれでおさまるのだという前提のもとに行政
措置
をしようとしておられるわけです。これではやはり家の中に入って寝ろと言うて幾らせき立ててみても、いや、おっかなくて中に入って寝ることはできないと言うて、たんぼの中でがんばっているわけです。いつまでもテントの中で生活をする、こういうようなことになっているのが現実の姿なんです。やはりそのような
現状
に即した
対策
をお取りいただきたいと思うのですが、八木副長官、どうですか。
八木徹雄
187
○八木
政府
委員
地元
からどうしても仮設
住宅
をこれこれつくってもらわなければ民生安定上好ましくないということで強い要請があるということであれば、それはまたそれなりの基準というものをオーバーしても考えなければならぬ場合があり得ると思うのです。しかし、いまの実態がどうであるかということ、われわれのほうで聞いておる
報告
によりますと、徐々にそういう現象が少なくなってきて、
集団
生活というものも徐々に解除していっておるということで、自然に減少しておるといったようにも聞いておりますので、仮設
住宅
というものはあくまでも仮設
住宅
であって、仮設
住宅
にいつまで置いておくかという問題がまた出てくるかと思いますので、実態を十分に把握した上で厚生省側も対処しておると思いますけれども、問題はやはり実態の把握というものを的確にして、
個人
並びに
地方
のそれらに対する期待といいますか、要請というものがどういうものであるかということを把握した上で善処していくように、私のほうからも関係当局のほうにお願いをしてまいりたい、こう思います。
村山喜一
188
○村山(喜)
委員
仮設
住宅
に入れるのは、御承知のように、行政の基準がございますね。生活保護を受けている者が第一優先順位ですね。その次に市町村民税の均等割りですか、これしか納めていない者、そこまでで一応の線が引かれて、そして所得割りの
住民
税を納めている者はなかなか入れないでしょう。そこで現場の市町村長といたしましては、それに従って申請をする。
住民
からは責め立てられるんだけれども、思い切った行政
措置
をとろうと思っても、そのような基準にしばられて申請が出せないでおる。だから、政治家である私どもの立場から見れば、何をあなたはぼやぼやしているんだ、もう少し
住民
の気持ちに立って申請をしたらどうですかと言ったら、いや、そういうようなことはというようなことで二の足を踏んでいるという状態にある。それはやはり行政の責任者と政治をやる人との間には、そのような感覚の違いが出てくるわけです。そこでわれわれ国会のほうが、そういうような立場で善処すべきじゃないかということをもの申しまして、皆さん方が、そういうような基準があるけれども
実情
に即してやるようにするからということを下のほうに流してもらうと、そういうような
実情
に即した体制というものが生まれてくると私は思うのであります。そういうような点からそのような配慮というものを講じていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
今村譲
189
○今村
政府
委員
実は
宮崎
県、
鹿児島
県は非常に
災害
常襲
地帯
でありまして、県の人方はなれておるのです。その判断もよく存じておりますし、それから一応三割という一般基準であっても、現実にいまおっしゃいましたように、市町村民税の非課税とかそういうものでなしに、それ以外にも現実にどうしても困るというものがあれば特別基準というものもどんどん持ってくるという道も県の担当の人方はよく知っておられると私どもも思っておりますので、それとしょっちゅう一日に十分も実は
地元
と電話連絡をしているわけであります。ですから、いま仰せられたように、そういう現実に
地震
の
被害
の認識の違い、私どもは若干甘いかもしれませんが、その辺でよく連絡をとって、必要があればその辺の打ち合わせは十分
現地
とやっていきたい、こういうふうに思っております。
村山喜一
190
○村山(喜)
委員
終わります。
芳賀貢
191
○
芳賀
委員長
森義視君。
森義視
192
○森(義)
委員
時間がだいぶおくれておりますので、林業
災害
にしぼって、しかも内容を要約して二、三点お尋ねしたいと思います。 先ほどいただきました資料によりましても、今度の
暴風雪
害の
被害
の内容は、全額で五百七十四億、その中で林業
被害
が三百十九億を上回っておるわけです。林業
被害
というのは、今度の雪害の五割を上回っておるわけですが、林業の
災害
に対して準拠する法律的根拠というのは林業基本法の十一条だと思うのです。この林業基本法の十一条をどういうふうに理解され、それに対して対処してこられたか、これをまずお伺いします。
木村晴吉
193
○
木村
(晴)
説明
員 先生のいまお尋ねの件は、
現行制度
では、御案内のように、森林国営保険制度というものに対していま現在運営されておるわけでございます。国営保険制度は、御承知のように、沿革的に非常に古いものでございますが、三十七年に気象
災害
を新しく含めまして、運営上いろいろな問題を実は持っております。加入率もそのわりに伸びてはおりませんし、保険てん補額も現情に沿ってない面もありますし、支払い関係も非常におそい。それから気象
災害
を入れた以後は保険負担率の問題等、いろいろ問題もございますので、この問題につきまして、端的に申し上げますと、四十三年から向こう二カ年間林業
共済制度
的な新しい制度の検討に実は取りかかる段階に相なっておるわけでございます。
森義視
194
○森(義)
委員
もう一回林業基本法の第十一条を読んでみます。「国は、
災害
によって林業の再生産が阻害されることを防止するとともに、林業経営の安定を図るため、
災害
による損失の合理的な補てん等必要な施策を講ずるものとする。」現行の森林国営保険あるいは森林組合連合会がやっておる
共済制度
がこの法十一条の精神に合致しておると思っておられますか、どうですか。
木村晴吉
195
○
木村
(晴)
説明
員 直接その旨のものにぴたりと結びつくものとは考えておりません。つまりこれを全部包含したものとは考えておりませんが、御承知のように、林業経営は長期性あるいは低利性というような立場から、いわゆる属人的な、
個人
の資産に対しますところの
造林
補助
金制度もございますし、その他森林病害虫等、森林経営の面についてもろもろの
補助
制度も、
農業
には考えられない面も加味されておるのでございます。そういう点もあわせまして、その柱になるものは、先ほど若干触れさせていただきましたが、林業
共済制度
の改正の問題に結びつくのではないかと思っておるのでございます。
芳賀貢
196
○
芳賀
委員長
森
委員
に申し上げますが、
林野庁長官
が御出席になりました。
森義視
197
○森(義)
委員
それでは長官にお尋ねします。 四十年の林業
災害
です。これは大体
現地
の集計では二百億を上回っているわけですが、農林省の集計では百数十億、それに対して森林国営保険で支払われたのは何と千百四十九万、全森連の共済で支払われたのは千五百万です。双方合わせまして〇・一%にしかならない。こういうものでこの基本法の「
災害
による損失の合理的な補てん等」、これに当てはまるのかどうか。三百数十億の
被害
に対して、おそらくいまの状態では三千万円ぐらいしか森林国営保険やあるいは
共済制度
では損失に対する補てんにならないと思うわけです。これは御承知のように
農業
災害
補償法やあるいは漁業
災害
補償法、これと比べましてあまりにも格差がつき過ぎておるわけです。こういう問題について、いま
指導
部長
の答弁では、森林国営保険の内容について検討しておる。林業基本法が三十九年に制定されましてからこちらで、もう二回
大雪
害が起きておるわけですが、いまだ検討しておるという段階でございますか。これについて長官はどういうふうにお考えでございますか。
片山正英
198
○片山(正)
政府
委員
ただいま先生がおっしゃいましたように、現在の森林保険は、面積にして、国営保険、森林組合共済、一般の保険会社のものを含めて、おそらく三分の一ぐらいしか入ってないと思います。さらに、国営保険がなぜ金額的に補償が少ないかということにつきましては、面積のほかに大体幼齢林の補償が主体になっておる。若い木の林が大体保険の主体になっておるということから、保険金額が非常に低調であるということに存じております。しかし、先生がおっしゃるように、現在のそういうような保険の内容におきましては、今後さらに保険の加入率を高めるとか全般の林業経営を安定させるための保険に誘導するとかいうことにつきましては、今後ともわれわれも十分検討してまいりたいのでございますが、さらにそれを具体的に進めるために、来年度予算におきましてその
調査
費を実は計上いたして御審議をいただいているわけでございます。その結果によって、基本法の定める趣旨に沿った林業らしい保険の制度の問題を確立してまいりたい、こういうふうに存じております。
森義視
199
○森(義)
委員
長官も御承知のように、
農業
災害
補償制度の場合においては、国庫負担の割合は最低五〇以上、現在では五〇から七八・八七%、これだけ国庫負担しているわけです。森林国営保険では掛け金は全部森林家の負担である、事務費まで全部掛け金の中から払われておる。こんな保険に国営保険という名前をつけておることが私はおこがましいと思う。こういうものが基準になって森林保険にはなかなか入らない。 そこで、いまそういう森林保険の国営保険は制度としては十分でないので、十分
調査
費を取って
調査
して検討する、こういうお話でございますが、どういうものを考えようとしておるか。聞くところによりますと、現在の森林国営保険を基準にして考える、こういうふうに承っておるわけですが、私はあくまで
農業
、漁業の
災害
補償と同じ制度を林業にも確立すべきであると思います。特に林業の場合においては、営々として育ててきた、二十年、三十年の木材を一挙にして全部失う。
農業
の場合でしたら一年ですね、そうでしょう。ところが、これは全財産を失うのと同じなんです。そういう場合におけるところの補償制度というものが、あまりにも、他の同じ農林省の中で取り扱われておる
農業
災害
補償や漁業
災害
補償とこんなにかけ離れたものを今日まで温存されてきた、こういうところに私は非常に問題があると思うわけです。したがって、いま検討されておりますところの新しい
災害
補償制度というものは、
農業
、漁業と劣らないところの、それを上回るような
災害
補償制度をしいてもらわないと、日本の林業の将来に向かっての安定的経営だとかあるいは
拡大
だとかいったところで、十年も二十年もかかっても、ぱっと一度来たらおしまいだというものに、だれが投資する者があるか。私は日本の林業の荒廃に通ずるものがあると思うのです。その点についてもう一回、どういうような形のものをいま検討しようとしておるか、長官の確たる答弁をお願いしたい。
片山正英
200
○片山(正)
政府
委員
ただいま先生のおっしゃいました
農業
並びに漁業の
共済制度
、それに準拠するとかこういう意味の、あるいはそれ以上のものかどうかというような御質疑を承わったわけでございますが、私たちとしましては、それに準拠するというような意味じゃなしに、もちろんそういうこともあり得るかもしれませんが、そういう意味じゃなしに、あるいは国営保険であるというふうに限る、そういうふうな意味じゃなしに、もっと基本的な意味で林業らしいものをひとつこの際検討していきたい、こういうふうに考えております。
森義視
201
○森(義)
委員
林業基本法の十一条とそれから
農業
基本法の十条は、ただ「林業」と「
農業
」をかえただけですよ。同じ文章です。同じ文章であるのに、その
災害
に対する補償制度というものは全然違ってくる。準拠すべき基本法が
農業
も林業も、十条、十一条同じ文句ですよ。それなのに林業はほったらかしたままで、今度考える場合においても林業独特なものを考えるのだという、林業独特なものが
農業
を上回るようなそういう制度ならば、私はそれは非常にけっこうだと思うのです。その点、上回るような考え方でおられるように、いまの答弁からは受け取れないわけです。あくまでも森林国営保険を何とかいじくったような形、そういうものを考えておられるように思うのですが、少なくとも準拠すべき基本法で同じ文章を使われておる
農業
と林業が、違った形に補償制度が出てくるということ自体に疑問を持つわけですが、いま一度その考え方を明らかにしてほしい。
片山正英
202
○片山(正)
政府
委員
林業の
災害
につきましても、
調査
はやっておるのですが、期間的に非常にまだ短い関係で明確な態度がとりにくいのでございます。したがいまして、先ほど御
説明
したように、
調査
費まで計上いたしまして、その解明をはかろうということでございます。したがいまして、それらの中でいまの漁業、
農業
との関係、あるいは現在の国営保険との関係、それらを明確にしまして、そして林業らしいものを打ち立てたい。したがって、現在いまここでそれが国営保険であるとかあるいは
農業
共済以上のものであるかということは、ちょっとまだその段階でないように思います。御了承いただきたいと思います。
森義視
203
○森(義)
委員
森林国営保険がつくられたときは、民間の保険を圧迫しないということで、掛け金もそういう民間の保険会社を圧迫しないということを根拠に置いてつくられておるわけなんです。そういうことで、今度新しくつくろうとするときに、これほど大きな林業
災害
が
昭和
三十八年、四十年、四十三年と連続して出ておる、こういう事態に、そういうものを根拠に置きながらものを考えるということは間違っておる、こういうことを私は言っておるわけです。白紙に戻って、どうすればこの林業基本法の十一条の精神にのっとるところの
災害
に対する立法
措置
ができるのか、こういうことを白紙の上から考え直してほしいと思う。先ほど長官がお見えになる前に、林業基本法十一条の精神をどういうふうに理解し、どう対処してきたかということを聞いたわけです。それに対しては、
指導
部長
のお話では、現在の森林国営保険のあれを何とか検討してと、こういう話です。それじゃならないのですよ。この林業基本法の十一条の精神は、「損失の合理的な補てん」を行なうということです。林業の三百十九億のこの営々として築き上げた損害に対する合理的な補てんということはどういうことを考えるか。これは基本法の精神ではっきりとうたわれているのです。それを合理的に補てんするというのは、どれだけの金額を出せば合理的であるのか。それに対しては林業には
造林
補助
とかいろいろな
補助
があるとおっしゃっているわけです。 それではお聞きいたしますが、四十年
災害
のときに、あの
災害
に対してどれだけの
補助
があって、どれだけの融資の
ワク
が設けられたか、出してもらいたい。
片山正英
204
○片山(正)
政府
委員
四十年度の
災害
の資料、ちょっと持ち合わせておりませんので、調べまして後刻申し上げたいと思います。
森義視
205
○森(義)
委員
それでは非常にしつこいようですが、今度の林業
災害
補償法をつくるについては、自民党の林業部会からもあるいは
全国
森林組合からも案が出ているわけです。ところが、その案が林野庁の森林国営保険に拘束をされて、それを見ようとしない、ここに問題点が一つあるわけなんです。だからあくまでもただしておきたいわけなんです。林野庁の考えておるところの林業の
災害
補助
制度というものはどういうものをいま
調査
して考えておるのか、
全国
森林組合連合会から出されておる
災害
補償制度の案も、あるいは自民党の林業部会から出されておる案も、大体
農業
や漁業に準拠したものである。それを変えようとしておる。あなたたちは、変えてよくなるのか、そういう自信があるのだったら、私は明確にあなたたちが考えているほうが現在の
農業
災害
補償制度やあるいは漁業
災害
補償制度よりもよくなるのだということであるならば、それに賛成をいたします。どうもそこら辺先ほどからの答弁を聞いていますと、林業の実態に応じてとかなんとかいう形でごまかしておられますが、腹がどこにあるのだという問題を、もう一回聞いておきます。
片山正英
206
○片山(正)
政府
委員
ただいま先生の御指摘のように、私たちは基本法の趣旨を体しまして、いわゆる林業の経営を安定的にする、その意味の補てんでございますから、そのような態度で検討してまいりたいと思います。
森義視
207
○森(義)
委員
林業の経営を安定的にするという、その意味においての補てんを考えるというならば、ばく大な金額ですよ。それを腹をくくっておられますか。少なくとも七〇%以上の、今度
災害
補償制度ができても、そのくらいの国費の補てんがなかったらできませんよ、林業の安定的な経営を補てんするという考え方が基礎に立つならば。そういう腹がまえがありますか。
片山正英
208
○片山(正)
政府
委員
先生のおっしゃる意味は——私たちは、加入する
対象
人員、現在三分の一くらいでございますが、そういうことじゃなしに、相当の人、できれば一〇〇%、そういうものを
対象
にし、そして保険料率、保険額、そういうものを総合した中で判断してまいりたいと思いますので、いまばく大なものかどうかということですが、それはそれらとの
関連
で判断してまいりたい、こう思う次第でございます。
森義視
209
○森(義)
委員
それでは、その
調査
をされて、いつごろまでに国会に提案する考え方ですか。
片山正英
210
○片山(正)
政府
委員
先ほど御
説明
したように、
調査
費といたしまして今年度具体的なある程度の数字で御審議をいただいておるわけでございますが、その結果を待って、法案の改正ということで提出してまいりたいと思います。
森義視
211
○森(義)
委員
結果を待ってというと、どのくらいの期間ですか。来年は出せますか。
片山正英
212
○片山(正)
政府
委員
現在林野庁として考えておりますのは、いま御審議をいただいている四十三年度予算、さらに二年の予定でいま準備を進めておるわけでございます。
森義視
213
○森(義)
委員
それでは、根本的な林業
災害
に対するところのそういう補償制度ができておりませんので、現行法の中で、いまの
災害
をどう救済していくかということについてお伺いしたいと思うわけですが、まず第一に、
災害
が起きますと直ちに要るのは
復旧
資材
です。それと
復旧
労務の確保です。
復旧
資材
は、雪害が起きますとすぐに上がるわけです。雪起こしの針金やあるいはなわやナイロンテープ、これがすぐ上がる。こういう問題について、これは四十年の経験もあるわけですが、どういう対処をされたか。それから
復旧
作業はちょうど植林時とぶち当たるわけですね。したがって、労務費が非常に高くつわけです。この労務確保の問題についてどういう考え方を持っておられるか。
復旧
労務の確保については、林野庁は、
災害
が起きたらすぐ考えなければならぬ問題ですよ。どういうふうに考えておるか。
片山正英
214
○片山(正)
政府
委員
まず第一点の、なわとかそういう
資材
に対してどう考えるか、こういうことでございますが、ことしの雪害には、御承知のように十二、三年くらいの年齢のものが多いように
調査
しております。したがいまして、従来八年ものということで
造林
資金
の融資をいたしておったわけでございますが、それを十五年ぐらいまで延長する、年齢を上げるような形で対処してまいりたいというふうに検討いたしております。それは金利の関係が
造林
資金
は三分五厘でございます。普通は育林
資金
になりますと八年もので五分でございます。それを十五年もの三分五厘ということで、従来の実績もございますので、そういう形で検討している最中でございます。 それからその中でビニールとかそういうなわとかのものを手当てしていただきたいと思う次第でございます。と申しますのは、それらの
資材
は非常に小額でございます。したがって、そういう低利融資の中で御処置いただきたいと思う次第でございます。 それから労務の問題につきましては、ちょうどたまたまぶつかるような期間にもなろうかとは思いますが、森林組合あるいは県等との連絡の中で、国有林といたしましても、常用の以外に臨時的に雇っておるのがございますから、そういう国有林で臨時的に雇っている人たちとの関係も
地元
で調整いたしまして、お互いに安定した形で労務をやるというふうに打ち合わせてまいりたい、そのように考えます。
森義視
215
○森(義)
委員
雪起こしの
補助
金の
対象
はいま十五年とおっしゃいましたが、四十年のときには二十五年までやったのですよ。今度の雪害は、特に二十年生以上の木でかなり
被害
が大きいのです。奈良県あたりの統計を見ますと、十年から二十年までのものよりも、二十年以上のものが
被害
は倍です。十年以下の幼齢林は比較的
被害
が少ない。だから二十年以上のものが多い。四十年の
災害
のときには雪起こしの
補助
金を二十五年にしたのを、今度十五年というのはどういうことですか。
片山正英
216
○片山(正)
政府
委員
私十五年と申しましたのは、大体木が太ってまいりますと、十五年過ぎますと、雪あたりで倒れましたものが、軽度の倒れたものでございますと雪起こしで直りますが、相当の倒れ方をしますと、必ずしも成林しないというふうに判断するわけでございます。たまたま奈良とかそういうところにおきましては、いわゆる密植栽培をやっておる関係上、特殊な林業栽培をやっておるわけでございますので、十五年を過ぎましても細い木であると存じます。したがいまして、そういうものは雪起こしで十分成り立つというふうに考えられますので、特例として処してきたと思っております。今回もそのようなことで対処してまいりたい、そういう意味で検討をいたしております。
森義視
217
○森(義)
委員
そういう
資材
の確保や労務の確保については、これは
災害
と同時に緊急
措置
として考えていただきたいことで、しかしこれは、口で言うべくして、実行はなかなかむずかしい。特に
復旧
労務の確保はむずかしい問題ですが、御
努力
いただきたいと思います。 その次に問題になってくるのは、やはり改植の問題でございます。そこで、罹災地の改植
造林
の
費用
は従来どれだけの
補助
というか、融資がついたか、お聞きしておきたい。
片山正英
218
○片山(正)
政府
委員
改植
造林
につきましては、再
造林
という
補助
のやり方があります。しかしその再
造林
の
補助
のやり方のほかに、激甚な、非常に
災害
の多かった場合には、さらに四十点の加算ということで、
補助
率と申しますか、
補助
点数を上げてやる。さらにそういう形の中で
補助
残融資というものをあわせてやっておるわけであります。
森義視
219
○森(義)
委員
造林
補助
の問題については、これは毎回農林水産
委員会
で問題になるが実態に合わない。特に奈良県のような一ヘクタール二十万円かかるような密植
地帯
では、これは問題にならない金額なんです。こういう
災害
のために木が倒れた。そのあとの改植
造林
をやる場合に、こういう事業費くらいは当然、あの林業基本法の精神からいうならば、合理的な損失の補てんに当てはまると思うわけです。そういうふうな抜本的な、いわゆる林業
災害
による損失の補てんを合理的にやるという考え方は、そのくらいのところまでお考えいただけないものだろうかと思うのですが、いかがですか。
片山正英
220
○片山(正)
政府
委員
われわれもそのような形で
努力
してまいったわけでございますが、御承知のように、
造林
費の単価と申しますのは、労賃がだいぶ大きなウエートを占めるわけでございますが、労賃は、ことしは七百十円でございます。御審議いただいております予算ではそれを八百五十円に上げまして、なるべく実態に合うように
努力
はいたしておるわけであります。しかし、なかなか一挙にいきませんので、今後とも
努力
していきたいと思います。 なお、
災害
につきましての
補助
率と申しますか、
補助
点数と申しますか、そういうものにつきましては、先ほども御
説明
いたしましたように、従来、再
造林
については六十点満点ということで、六十点の加算しかしないわけですが、それに四十点を加算しまして百点ということで、少なくとも
被害
を受けた方になるべく御迷惑のかからぬようにという意味で
努力
してまいった次第でございます。それで十分とは思いませんけれども、そのような
努力
をしてまいったわけでございます。
森義視
221
○森(義)
委員
この問題については、またあらためて
委員会
で検討いたしますが、いまひとつ、税法上の特別
措置
について聞いておきたいのですが、山林所得の計算上、ことしは概算経費率を二六で押えられておりますね。去年までは三〇で押えておられたわけです。今度こういうことになった理由はあとで聞くといたしまして、被災立木の損失を、所得税法上この概算経費率の
ワク
外で計算してもらえるかどうか。
大塚俊二
222
○
大塚
説明
員 私、直接の担当ではございませんので御答弁申しかねますが、至急に調べましてお答えしたいと思います。
森義視
223
○森(義)
委員
もう一つ自治省に伺いますが、
地方
税について、木材引取税あるいは今度の被災立木の場合にはそれを免除してもらえるかどうか。
首藤堯
224
○首藤
説明
員 申しわけございませんが、税は直接の担当ではございませんので、調べまして、ひとつ連絡申し上げたいと思います。
森義視
225
○森(義)
委員
いま申し上げましたようなことは、
林野庁長官
、これは当然林業の
災害
に対して、この基本法十一条の精神からいうならば、林野庁は大蔵省なりあるいは自治省と話し合ってとるべき
措置
なんです。私がいま聞いておりますと、いま責任者がおられないからああいう御回答でございますが、林野庁のほうから直接大蔵省なりあるいは自治省と話し合って、こういう税法上の被災地に対する特典を与えるような
措置
を講ずることが、私は林業基本法十一条の精神に基づくところの林業
災害
に対する林野庁のあるべき姿勢だと思うのです。その点いかがですか。
片山正英
226
○片山(正)
政府
委員
私のほうの所管ではございませんけれども、
関連
した御質問でございますが、ただいまの所得税の減免につきましては、概算控除率ということではなかなかいきにくいんじゃないだろうか。したがいまして、実際これだけ経費がかかりましたという申告をすれば、その中で確かに損害額は損金として見ていただくことになっておると私承知しております。 それから木引につきましては、これも関係省と一応打ち合わせてみたいと思います。
森義視
227
○森(義)
委員
私は、所得税の取り扱いについて、概算経費率の二六%の
ワク
外に考えよ、こう言っているのですよ。だからその点については、損失が出た場合には、申告をすればそれだけ損金として落としてもらえる、こういうことなんですが、その損金が二六%の概算経費率の中に入られたら困るわけです。その点は大蔵省と十分話し合ってもらって、これは自治省とも話し合ってもらって、基本法十一条の精神にのっとった形で、林業
災害
の救済に林野庁は格段の
努力
をしていただくように
要望
いたしまして、時間がまいりましたので、質問を終わります。
芳賀貢
228
○
芳賀
委員長
林野庁長官
、それでいいですか。
片山正英
229
○片山(正)
政府
委員
いまの概算控除率というのは、それもたしか一括した中できめられている性格のものですから、もしそういう特定の
被害
があって、それを控除するという場合には、それだけかかったものを別に申告すれば、それは損金に見ていただく制度になっているはずですから、そのような進め方でいいのじゃないかと思います。
森義視
230
○森(義)
委員
そういう
説明
で大蔵省はいいですか。
大塚俊二
231
○
大塚
説明
員 私、直接担当でございませんので、制度そのものとしましては、概算経費控除の制度は全体に対する経費率でございます。もちろん概算経費を
適用
するか、それとも育成期から伐採に至るまでの実際経費で所得を計算するか、そのどちらかの計算になると思いますが、概算経費を控除いたしまして、概算経費率を
適用
して、さらにその外で個別の
費用
を見るということは、現在認めておるかどうか、そこは私実は明確にお答えできませんので、至急調べましてお答えしたいと思います。
森義視
232
○森(義)
委員
終わります。
芳賀貢
233
○
芳賀
委員長
折小野良一
君。
折小野良一
234
○折小野
委員
災害
地はどこでもそうなんですが、
被災者
の
民心
の安定、これは
災害対策
におきまして、非常に大切なことだと思っております。特に
地震
のあと、その面の
見通し
がつかないということも、一つは
民心
の安定に非常に問題がある点でございますが、そのほかに、
えびの
地震
の場合、この間
地震
直後、副食物、こういうものが欠乏いたしまして、一時的ではございましたが、非常な値上がりをいたしました。今後もこういうようなことはいろいろ出てくるんじゃなかろうか。特にまた
現地
におきまして全壊家屋あるいは
半壊
家屋、こういうものが非常にたくさんございますので、一時的にそれに対する
建築
、こういうものが非常に多くなってまいります。したがいまして、工事費とかあるいはそういう面の人件費とかあるいは
建築資材
とか、そういう面の値上がりがあるということが当然予想されるわけでございますが、こういう面に対して特に被災地における
被災者
の
民心
の安定という立場から、どのような
対策
を御考慮になりますか、お伺いいたします。
今村譲
235
○今村
政府
委員
災害救助法
の発動に
関連
するものでありまして、いまお話しのように、たとえば輸送機関による生鮮食料品の問題あるいは労務の問題、
資材
の問題、ちょっと厚生省が担当いたしておりませんので、申し上げにくいかと思います。
黒河内修
236
○黒河内(修)
政府
委員
私のほうのは、
施設園芸
の関係の
ビニールハウス
の
復旧
資材
でございますが、いま私どもが業界に対して調べておりますところでは、大体六千万平方メートルくらいストックがあるわけであります。そこで、今度の
災害
によりまして、大体三千万平方メートルくらいあれば足りるということでございますから、
施設園芸
の
ハウス
の関係につきましては、たいして御心配の点はないというふうにただいまのところ考えております。
折小野良一
237
○折小野
委員
いま園芸用の
資材
についてお話がございましたが、私が申し上げておるのは、一般的に特に先ほどの工事費とかその他の例で申し上げましたのは、
えびの
地震
の関係でそういう
建築資材
その他が非常に暴騰するのじゃなかろうか、そういう面が
地元
に非常に大きな
影響
を及ぼす、したがって、あらゆる物資にということでお願いしたいわけであります。総務副長官のほうからでもひとつお願いいたしたいと思います。
上田伯雄
238
○上田
説明
員 私のほうは総理府でございまして、直接的には扱っておらないのでございますが、食糧につきましては食糧庁のほうでそれぞれ
地元
の食糧事務所等を通じまして、いろいろ差しつかえのない
措置
をしているはずでございますし、
建築資材
、たとえばかわら屋根とかトタン板とかというものは通産省のほうで処置しておるはずでございます。それから特にそれらのものについて、こういう
災害
が越こりますと一番問題なのは、物はいまのような時代でございますから、あちらこちらに相当たくさんあるわけでございます。交通機関、
道路
、鉄道等がやられるのが実は一番おそろしいのでございまして、これさえ
復旧
すれば、物が出回ってきますれば、これは潤沢になるわけでございます。そういうことで、今回の
えびの
の場合、鉄道、
道路
等はそれほど大きい
被害
がなかったので、私どものほうとしましては、実は的確には値上がりの
状況
等はつかんでおらないのでございますが、
資材
の関係、食糧の関係等はそれぞれ担当省のほうで
措置
をしてくれておると考えております。
折小野良一
239
○折小野
委員
いろいろな
措置
が講ぜられるはずだということでございますが、現実にいままでの例からいきましても、値上がりをして困ったという例があります。もちろんそれは直ちに
措置
されました。しかし今後もそのおそれがある。これは何もこの地域だけについてのことじゃありません。いろいろな
災害
のあとでいろいろな物資の値上がりその他を来たすということは、いままでしょっちゅうあっておることです。ですから今度の際につきましても、やはりそういう面の
対策
というものはなされるはずだということでなしに、ある程度あらかじめ手を打つということが必要じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。
八木徹雄
240
○八木
政府
委員
非常に抽象的なことを申し上げて恐縮なんですけれども、とりあえず私どもとしては
現地
の両県知事に対して、とにかくおっしゃるとおり、
民心
を安定さしていくためには、後手に回らぬことだ、だから食糧にしても、あるいは
建築資材
にしても、あるいは
地震
の予報にしても、あるいは
道路
の
復旧
にしても、あるいは水の確保にしても、後手後手に回ることが
民心
を不安にさす原因である。そういう意味で、先々にどうしたらいいか。いま
説明
がありましたように、的確に事前にキャッチして
措置
すればできる世の中でありますから、そういう意味で、的確な
現地
情報というものを把握して、それに対する
対策
というものを先行しながらやっていくというふうにしてもらいたい。それに対して、当方としてやらなければならぬ
措置
につきましては、どのようにでもひとつ御協力申し上げましょう、こういうふうに申し上げております。それは少しのんきではないかと言われるかもわかりませんが、われわれが把握しておる情報としましては、一時的に混乱がなかったとは言えませんけれども、大体の流れとしては、
民心
を不安定ならしめるような、異常な物価だとか、あるいは
通信
途絶だとか、あるいは交通途絶だとかいったような、そういう特異な現象というものは幸いにも起こらないで、順調に復興というものが進められつつある、こういうふうに聞いております。
現地
をごらんになった皆さん方のほうがより的確であるわけでございますけれども、御指摘がございますならば、それに対しては、いま言ったような精神に従って、できるだけひとつ善処してまいりたい、こう思っております。
折小野良一
241
○折小野
委員
今後の問題として予想されますのは、特に
えびの
地震
地域におきまして
建築
需要が一ぺんに出てくるということでございますので、私どもが予想しておりますところでも、
建築資材
、あるいはその面の人件費、工事費、こういう面に
影響
があるだろうと思われます。いまのような御趣旨でひとつ事前に十分お手配をお願いいたしたいと思います。 ところで、
えびの
地震
の中心地でございます
真幸地区
、これは昔から京町温泉といわれております温泉場でございます。もちろん、今度の
地震
で
温泉旅館
が倒れたり、いたんだりいたしております。しかし、その建物あるいは
温泉旅館
のいろいろな
施設
、こういうものにつきましては、中小企業金融公庫であるとか、あるいは環境衛生公庫であるとか、こういう面の御配慮をいろいろいただけるそうでございますので、そういう面で何とかできていくのではないかと思いますが、私が聞いておるところによりますと、今度の
地震
で一部泉源が変わった、こういうところがあるのでございます。したがって、建物の
被害
もさることながら、また建物の
復旧
は一応できるといたしましても、泉源が変わったがために今後営業が成り立たない、あるいは、新しく何とか考えていかなきゃならないのじゃないか、こういう温泉街全体の将来に対する
見通し
と不安、こういうものがいろいろあるわけでございます。こういう面につきまして、実は私もどこがそういう点を所管されるのかよく存じませんのですが、
指導
、
対策
、こういう面を何とか
政府
の立場でやっていただけるようなお手配ができますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
赤穴博
242
○
赤穴
説明
員 先ほどお答え申し上げましたように、環衛公庫におきまして、明年度、そういう面も含めて一般貸し付けをするという手はずを現在進めておりますので、関係方面と折衝を経ておりますので、最終的な詰めを早急にいたしまして、できるだけそれらの方々の御融資に応ずるというふうな態勢を考慮いたしていきたい、かように考えております。
折小野良一
243
○折小野
委員
そういたしますと、ただいまの御答弁は、泉源が変わった、したがって、新しいところにボーリングをしてみるとか、新しい
施設
をつくるとか、そういうものが環衛公庫の融資の
対象
になる、こういうふうにおっしゃるわけですね。
赤穴博
244
○
赤穴
説明
員 そういう
施設
の設備の新設につきまして、従来は改築その他をほかの制度で見ておったわけですが、今後そういう
施設
につきましては、環衛公庫として一括運営していくというふうなこともございますので、これは貸し付け限度の問題、いろいろ困難な問題がございますけれども、そういう問題をできるだけ御
要望
の線に沿うよう、関係方面と折衝いたしまして考慮さしていただくという方向で、検討さしていただきたいと思います。
折小野良一
245
○折小野
委員
そのもう一つ前に、泉源が変わった、現実に出ていた温泉が出なくなった、かれて非常に量が少なくなった、こういうことになるわけでございますが、そうしますと、どの辺に新しい泉源を求めたらいいのか、あるいはいま掘っておる井戸が浅いので、もっと深くすればいいとか、そういうようないろいろな面の
指導
というような面、こういうものもあろうかと思いますが、そういう面は何とか御
指導
いただけますかどうか。
今村譲
246
○今村
政府
委員
実は厚生省で温泉法というのを主管いたしております。したがって、それの権利関係とか規制とかいうふうなものは、厚生省の国立公園局でやっておるのですが、おそらくそっちだと思います。ただ残念なことに、厚生省ではどのくらい掘ったら湯が出てくるかというふうな、千里眼みたいな役人はおらないわけです。とにかく現在ある温泉の権利義務関係というふうな問題、掘さくの制限とかいうふうな法律関係や民事法的なものでやっておるだけでありまして、技術的には鉱山とか別なところになると思います。
折小野良一
247
○折小野
委員
私どものほうも、何も千里眼的なものを求めておるわけじゃ決してないのです。現在の科学技術の段階で、そういう面に対するある程度の
対策
というものはつくはずだと思うのです。しかもその温泉によってささえられてきた町なんです。もしそれがなくなるということになりますと、町全体が今後どうしていったらいいのか。ただ単にこわれた家を
復旧
するだけでなしに、長い将来にわたってのいろいろな不安というものが出てくるわけであります。ですからそういう面について、ある程度的確な
指導
をやっていただくとか、こういうようなことが必要なことじゃなかろうか、そういう面でいまお尋ねしておるわけです。
八木徹雄
248
○八木
政府
委員
不確かなことを申し上げては申しわけございませんから、あとで的確なことはまた御
報告
さしていただきますが、通産省の地質
調査
所で、温泉のボーリングの試掘といったことを実際問題としてやっておると思います。その地質
調査
所が全責任を持ってやれるのかどうかということは、また別の課題だと思いますけれども、どちらにしましても、いままで温泉でその町が経営できておった。それが震災によって泉源が変わってくるということになれば、その町の将来の運命にもかかわるものでございますから、どこでやるかということも含めて、そういう心配がある場合には、それにこたえられるような
対策
というものをひとつそれぞれのほうであっせんをいたしまして、
措置
をするようにいたしたい、こう思います。
折小野良一
249
○折小野
委員
その点につきましては、ただいまの御答弁もございました。したがって、
政府
のほうでどこでやっていただくか、あるいはどういう方法でやっていただくか、あるいはそれに対する援助その他の
措置
があるか、そういう面についてひとつ資料を御提出いただきたいと考えております。 それからあと一、二申し上げますが、
災害
応急仮設住宅
、厚生省関係の小さいやつ、あれは
地震
にはだいじょうぶなんですか。
今村譲
250
○今村
政府
委員
これは非常に軽量な
鉄骨
を使っておりますので、少なくとも松代の場合でも危険があったということは聞いておりませんし、それからこれを扱っておりますいろいろな鉄鋼メーカーとかいろいろな関係からデータを出させても、屋根が非常に軽くできておりますので、相当の震度のものでもだいじょうぶだ、こういうふうに私ども聞いております。おそらく震度五以上だいじょうぶとか六はどうとかいうことは言いにくいのですけれども、構造から見まして、それほど危険なことはないというふうに思います。
折小野良一
251
○折小野
委員
まあ、ただ聞いているというのでは、厚生省の国民に対する立場としては困るのじゃないかと思います。ですから、
地震
の場合にはだいじょうぶなんだ、あるいはこの程度以上はだいじょうぶなんだ、そういうような資料はちゃんとそろえていろいろ御
指導
いただきたいと思います。 それから、
最後
ですが、先ほど自治省のほうから関係市町村あるいは県、こういうものの
災害
に対する単独事業、こういうものに対しましては
特別交付税
で見るというお話がございました。そうしてまたちょうど年度末でもございますので、これは
つなぎ融資
、こういうような面で
対策
をとっていただく、こういうふうに承知をいたしておりますが、その際、その金利、これは小さい問題かもしれませんが、
現地
の特に小さな町村にとってはやはり大切な問題だと思いますが、その金利の補給についてまで御考慮いただけるかどうか。
首藤堯
252
○首藤
説明
員 お答え申し上げます。
特別交付税
につきまして、四十二年度の配分にこの
地震
は間に会いませんで、残念ながら四十三年度の配分のほうに回したいと思うと申し上げましたのは、この前申し上げたとおりでございますが、その際に、途中に非常に大幅な経費が要りまして、現金支出等があるという場合には、
つなぎ融資
等のお世話を申し上げたい、こうも申し上げたところでございます。 もし、そのような
つなぎ融資
の金利、これが大きな額になりまして、当該団体の財政を圧迫するような事態になりますれば、もちろんそのような金利をもあわせて四十三年度の
特別交付税
の際にいろいろ考慮してみたい、こう思います。
折小野良一
253
○折小野
委員
一般的にいって、その公共団体の財政を圧迫するようなということで申し上げているわけじゃないのです。少なくも、
災害
の
応急対策
に要する経費というのがほとんどなんです。ですから、特に関係の町村あたりにおきましては、出せるだけ出すということでなきゃ、現実に何とも手がつかないような状態なんです。ですから、それについてはわずかな金利であっても、やはり小さな町村あたりにおきましては非常に痛いわけです。そしてまた少しでもそういう経費があれば、何とか
住民
の不安をなくすためにやれるだけのものはやろう、こういうことでございますから、それが大きい小さい、あるいは財政的に圧迫を加える加えないということでなしに、やはりこういう、特に
災害
に伴う交付税の
つなぎ融資
、こういう面の金利については、当然見ていただくべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
首藤堯
254
○首藤
説明
員 お気持ちといたしましては、全くそのような考え方で
災害
に対します所要財源は
特別交付税
においても最も優先的に配分するつもりでおりますし、また現在もそのように扱っております。なお、その他の面におきましても、現在まだ
つなぎ融資
の所需要求は参っておりませんのでございますが、非常に多額の金額が要るような場合におきましては、これも一定の基準がございますが、交付税の繰り上げ交付等の
措置
をやりまして、金利がかからない金を前もって交付をしてやる、このような
措置
をとっておるわけでございます。全般的に考えました場合には、いずれにいたしましても、
特別交付税
の配分は、一般財源をそういう面で補てんをしてやる、こういう考え方でございますので、完全なひもつきと申しますか、金利がごくわずかかかったら、その分はひもつきで配分する、このような体制にはなっておりませんので、先ほどのように申し上げたわけでございます。
折小野良一
255
○折小野
委員
ただいまの御答弁の趣旨はわかりますので、ひとつ
実情
に即した運用というものを十分御考慮願いたいと思います。 終わります。
芳賀貢
256
○
芳賀
委員長
小川新一郎
君。
小川新一郎
257
○小川(新)
委員
気象庁
にお尋ねいたしますが、今回の
えびの
地震
の最高の震度はどれくらいあったのですか。
柴田淑次
258
○柴田
政府
委員
最高六でございます。震度にしまして六でございます。
小川新一郎
259
○小川(新)
委員
これは予測ができなかったのですか。
柴田淑次
260
○柴田
政府
委員
残念ながら現在の
地震
予知の知識の上に立ちましては、的確にそれを予測するということはできなかったわけでございます。
小川新一郎
261
○小川(新)
委員
将来そういう予測ができるためにはどれくらいの
資材
、そして技術、また国の援助、またそういった設備等があれば、その必要に応じられるのですか。
柴田淑次
262
○柴田
政府
委員
先生も御承知のことと思いますけれども、
地震
予知問題につきまして、
地震
予知十カ年計画というものが立っておりまして、本年はたしか二年目か三年目かでございます。その計画によりまして、そのとおりまいりますと、その計画では概算百億円という金額になっております。これは国の
地震
予知関係の機関及び研究所も含めまして、全部集まって、共同でやろうじゃないかという計画になっております。それが十年たちますと、大体こういうことをすれば
地震
の予知ができるであろうという段階に達するのでございます。したがいまして、それからその方法に沿いましていろいろな
施設
をやらなければならないというような順序になっておるのでございます。
小川新一郎
263
○小川(新)
委員
十年計画なんということは現在の状態から見て非常に甘いように考えられますが、これはもっと短縮した国土計画の中で
地震
対策
というものを盛り込むことを
政府
で考えなければならぬと思うのです。それが一点です。 第二点としては、最近東京にも、私の感ずる範囲でも、もう皆さん御存じのとおり、国会開会中二回大きな
地震
があった。あれは震度三ですね。
えびの
地震
程度の六の
地震
がもしもいま東京に来たならば、どの程度の
被害
が出るのですか。
柴田淑次
264
○柴田
政府
委員
最初の問題でございますが、十年という期間に対しての御批判だろうと思うのでございますが、こういう技術的あるいは科学的
調査
をするに際しましては、やはり相当の期間が必要なんでございます。そうしないと結論が出ないという問題がたくさんございます。
地震
予知の問題もそのうちの一つでございまして、
地震
学者が大ぜい集まりまして考えました結果、どうしても十年の資料を蓄積しないとその結論が出ないであろうということになったので、十年ということで計画が立っております。 それから次の、東京
地方
に六程度の
地震
があったらどのような
被害
があるかということにつきましては、これは
気象庁
の所管でございませんで、建設省その他です。
被害状況
になりますと、
気象庁
のほうではその点はつまびらかではございません。これは防災
会議
というのが東京都にございます。その防災
会議
でこういう点を審議しておりまして、われわれのほうからも職員が参っておりまして、その審議に加わっている
状況
でございます。
小川新一郎
265
○小川(新)
委員
御答弁を聞いておりまして、われわれはまことに不安でしょうがなくなりました。なぜかと申しますと、大正十二年の関東大震災のときには震度七であります。それ以来私どもは
地震
を何十回となく経験しておる。まして新潟
地震
が最近ありました。それから
えびの
地震
、それから松代
地震
、
昭和
になって数えただけでも大きな
地震
が幾つかある。それを十年計画で、まだ二年目だというようなことでは、私は
災害対策
のあり方についても疑問があるのです。なぜかと申しますと、こういった陳情のその場限りの検討よりも、この
災害対策
、いかにしたら
災害
を防止するかという研究もここでなされなければならぬ、こういう考えを持っております。そういった
地震
が、まだ二年目だ、予算も百億しかない。そうしますと、一年間わずかに十億足らず、こういうふうなことで、国土総合開発計画とかまたは地域開発計画、国土利用計画等の中から、東京のように過密の大都市まで、こうしてなっております。それが
気象庁
のほうから御意見が出ない。われわれのほうの立場から言ったら、東京はこういうふうな危険な状態にあるのだから、
えびの
地震
の震度六ぐらいの
地震
ではこの程度になってしまうというような研究のデータというものは、当然こういった総合研究機関の中に、省庁としてのまた研究というものがなされなければならない。その一つの例をあげますと、
えびの
地震
でプロパンガスの問題が出ておる。プロパンガスの危険度というものは、いま
えびの
地震
においても相当問題になっておる。東京の場合はそういった問題どころじゃないのです。ここにはガソリンもある、ガスもある、プロパンガスもある、あらゆるものがここに集中されておる。それでなくとも東京はいま下が空洞化しております。掘って掘って掘りまくっております。こういう状態で
えびの
地震
級の震度六の
地震
が来ないとはだれも断言できない。ましてここで二回も
地震
が起きておる。われわれ大衆は、
えびの
地震
に関係しておるのではないかという気を持っております。そしてこの間も小笠原の
地震
が二回ございました。これとは一体どういう関係があるのか、この点ひとつ
気象庁
のほうから、もう少し見解を私が納得するように話してください。
柴田淑次
266
○柴田
政府
委員
たいへんむずかしい問題でございまして、先生が御納得なさるかどうかわかりませんが、東京にたとえば六とか七とかいうような大きな
地震
がありましたら、どういうような
被害
がどの程度にあるかということにつきましては、これは東京という町における
被害
の種類はいろいろな種類がございます。それぞれ各省に関係した種類もございますし、各分野に関係した種類がございますので、そういうものを総合いたしまして、先ほど申しましたように、目下東京都の防災
会議
でどういうような
被害
を受けるかということが検討されておるのでございまして、一部は私も聞いております。一部は聞いておりますが、そういうような
現状
でございまして、総括的にこういう
被害
が出るのだという総合研究はまだ私は聞いておりません。
小川新一郎
267
○小川(新)
委員
そうすると、科学が進みまして、
地震
気象の
観測
が進みまして、ある程度
地震
が予測できるような状態に立ち至ったときに、
えびの
地震
のような
地震
がもしも一年とか半年前、もう少し前でも一週間、十日前にキャッチできた場合に、これを発表すると、大衆に及ぼす心理的
影響
、これは大なるものがある。しかし、こういった過密大東京のような場合には、子供を疎開させるとか、緊急事態に備える体制をとるとか、ベトナム戦争の例を引くわけではありませんが、ベトコンがサイゴンを襲撃するときに、情報が入った、それに対して準備をしたけれども、あのとおりの、アメリカ大使館を六時間占領されたような事態にまで立ち至っております。これは戦争の例でありますが、
地震
、雷、火事、おやじといって、一番おっかない
地震
がいつ来るのだかわからないというような、そんな状態ではわれわれは困るのであって、金を惜しみなく使ってもらって、ほんとうにこういった自然の
災害
に対しては、あくまでもわれわれは団結して、科学の力でこれを防いでいく、これは大事な問題と思うのです。その点、もしもそういう点がキャッチできた場合には、
気象庁
としてはどういう態度をとられますか。
柴田淑次
268
○柴田
政府
委員
事前に大
地震
が起こるということが科学的な根拠によりまして確実にそういうことが申せるということになりますと、これはその時代が来れば事前に発表すべきじゃないかと私は考えております。しかし、そこまではまだ
現状
のところは、いっておりません。
小川新一郎
269
○小川(新)
委員
先ほど建設大臣が来て、私が、建設大臣はこういう
地震
に対する情報を受けたかという質問をしたときに、ことしは
地震
が多い、たくさんあるようだというようなことをちょっとさっき漏らしておりました。それは根拠のある、確たるところから、
気象庁
あたりから運輸大臣がつかんでことしは
地震
が多いのだというような発表をなされたというのか、それが一点。 第二点は、東京に先日も二回、それから小笠原方面に二回、こういった
地震
は
えびの
地震
と関係がありますか。また今後東京に大きな
地震
が来る可能性がある状態にいまあるのですか、その三点をお聞きします。
柴田淑次
270
○柴田
政府
委員
大臣の発言につきましては、現在の
地震
状況
を見てみますと、統計的に非常にあっちこっちに
地震
が頻発している、こういう状態でございますが、それを大臣が閣議でおっしゃったのじゃないかというふうに私は考えております。 それから次の、東京あるいはどこかに大きな
地震
が近いうちにあるかどうかというようなお尋ねでございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、特に
えびの
地震
とこれを関係づけるということにつきましては、現在のところ、私のほうではその関係についての何の根拠も持っておりません。これは
えびの
地震
のみならず、きのう、おとといの千葉県とか茨城県の
地震
などをながめてみますと、第一にすぐ気がつくことは、震源地が同一ではない、一つは
えびの
付近、一つは千葉県というような、震源地がばらばらしておりますので、これは同一の
地震
の巣から起こっているものではないということがわかります。 それからもう一つ、ただいまも申し上げましたように、
地震
があっちこっちにぽかぽか起こるというのは、統計的に考えてみますと、ある期間にそういう期間がございまして、その期間が過ぎますと日本国じゅうあまりそういった
地震
が起こらない期間がまたあるのでございます。そういうような状態が統計的にわかります。こういうようなことを考えますと、現在
地震
が多いということが、すぐに大
地震
が起こるという前兆とは考えられないのでございます。しかし、何度も申し上げますように、
地震
予知はまだできません。したがいまして、東京のみならず、日本に絶対に今後あるいは近い将来に大
地震
が起こらないということをここで断定的に申し上げることはできないというのが
現状
でございます。
小川新一郎
271
○小川(新)
委員
八木総務副長官にお願いいたします。 ただいま
気象庁
の非常に責任あるおことばを承ったのでありますが、今後
政府
においては
観測
陳の強化とか、日本
全国
の国土の状態から配置したところの
地震
対策
における
政府
の今後の姿勢と申しますか、学者の養成とかいろいろございますが、そういう点、また予算の増加とか、そういう点はどのようにお考えになっておられますか。
八木徹雄
272
○八木
政府
委員
いま長官は非常に謙虚なものの言い方をされておりますけれども、われわれが聞いている限りにおいては、世界の中で
地震
に対する研究というものが一番進んでおるのは日本である、こういうふうに聞いております。しかし、その研究を重ねておる日本であっても、いま的確に、
地震
を事前に完全にキャッチするということができないというのが実態だと思うのです。そういう意味では、今後科学の分野において惜しみなく金を使いながら、その
地震
科学に対する検討というものが進められていくということが絶対必要であろうと思います。この前この席でも申し上げましたように、
災害対策
に対する国の姿勢、取り組み方というのは、概して台風とか風水害とかいったことに重点が置かれて、
地震
が軽視されておるきらいがなかったとは言えぬと思います。やはりそういう意味合いで、
火山
列島である日本列島のことでありますから、
地震
に対する
対策
というものが
災害
の重要課題であるという御指摘については全く同感でございます。それらの問題に対処するためには、一つにはやはり学問研究の、大学あるいは研究所というところの拡充強化、そういうものによって、いやが上にも世界に冠たる
地震
科学というものの確立をはかるようにしていく、その上で一つの成果があがって、これぐらいの
措置
をすれば予知が完全にできるのだ、そういう予知のための機械といいますか設備といいますか、そういうものが日増しにできてくると思いますけれども、そういうものができれば、先ほど言った
災害対策
の見地に立って、それをひとつ各地に適宜、予算をつけて分配をして配置をして、それができるように研究陣の充実と
施設
設備に対する拡充というものを含めて、やはり
対策
を立てていくようにすべきではないか。中央防災
会議
もあることでありますし、総理を長にしてそういうことについて絶えず気を配っているところでありますから、そういう方向で、国の基本的姿勢がそういうほうに向かっていくように、総理にもよく御連絡申し上げまして、御配慮いただくようにお願いをいたしておきたいものだ、こう思います。
小川新一郎
273
○小川(新)
委員
具体的に申しますと、
地震
対策
が確かに日本の
災害対策
の中でおくれておりますことはいまお聞きしたとおりでありますが、この
地震
災害
に対しては、防災の中にどのように繰り入れられていくのですか。
八木徹雄
274
○八木
政府
委員
これからの課題でございますから、先ほど申しましたようにいままで不十分であったということは私たちも率直に認めたわけであります。だから、防災ということとそれから
災害復旧
ということとは別でありますが、防災のためにはやはりそれ相応の学問の研究がなされ、それに対する、何といいますか、学問的成果というものがあがった上でそれをひとつ活用することによってやらなければならぬということでありますから、いますぐ、それでは来年度こういう予算をつけますとか、こうやれば問題が解決しますとか、それだけの成果はまだあがっていないと思います。その方向に向かって
努力
するようにいたしてまいりたい、こう申し上げたわけであります。
小川新一郎
275
○小川(新)
委員
税金
対策
についてちょっとお尋ねしますが、
現地
の
災害
によって滅失した不動産にかわるべき不動産を取得した場合は、滅失した不動産の価額に見合う税額を免除すべきでありますか。またこのようなことは
現地
から
要望
が来ておりますか。国としてはどうお考えになりますか。
大塚俊二
276
○
大塚
説明
員 滅失した家屋につきまして、その家屋のかわりの資産を取得した、こういった場合に税金のほうで特例を設けておりますのは、保険金で取得した場合、それから一般的に収用で取りこわされた場合、それから事業用で使っております資産を買いかえる、こういった場合だけでありまして、
災害
で滅失いたしました場合は、結果といたしましては、保険金をもらいまして、その保険金で取得した場合だけ
適用
することになっております。
小川新一郎
277
○小川(新)
委員
現在、
地震
で保険がかかっている保険というのはあるんですか。どういう保険ですか。
大塚俊二
278
○
大塚
説明
員 直接担当ではございませんが、
地震
保険というものができております。
小川新一郎
279
○小川(新)
委員
いまおっしゃられているのは、火災保険会社の保険のことを言っているのですか。
大塚俊二
280
○
大塚
説明
員 損害保険として昨年から制度化されております。
小川新一郎
281
○小川(新)
委員
そうしますと、
えびの
地震
で、新しく今度できた、私も初めて聞いたのですが、
地震
を加えたところの損害保険に加入されているのを
政府
としてはキャッチしておりますか。あの辺では入ってないのじゃないですか。
大塚俊二
282
○
大塚
説明
員 入っているか入ってないか、これは実は私関係しておりませんので、全然存じません。
小川新一郎
283
○小川(新)
委員
副総務長官にまことに悪いのですけれどもお尋ねいたしますが、こういう状態でいま申し上げました不動産を買いかえる場合に、保険の
対象
になっている場合は認められるのですね。
大塚俊二
284
○
大塚
説明
員 前の古い建物の帳簿価額をそのままつけかえることが認められておるわけであります。
小川新一郎
285
○小川(新)
委員
それが、
現地
へ私たちが直接視察に行って聞いた声は、保険に入っていないのですよ。それで困って泣いているのです。だから
プレハブ
住宅
を建てるとか、それから先ほど申しました公営
住宅
をつくるとか、いろいろの声があがってきている。そういう血の通った政治というものが行なわれませんと、規則はこうだといっても、
委員長
以下われわれ全部あそこへ行って、かわいそうで泣いたわけですが、もう何とかしてくれということに対して、ここで
現地
の声をペーパー一枚の資料だけ見て、
地震
というものはわかるものではないです。たとえば、かんきつ類の喪失のときなんか、十五年もののミカンの木が
全滅
になった。そのときに、三十七、八の壮年でありますけれども、意欲をなくしている。ちょうど自分の長男を失ったような気持ちだという、これはやっぱりわれわれが
現地
へ行ってものを見る、百聞は一見にしかずということわざのとおり、見てきてほんとうに感じました。そこでわれわれはいまのような免税点ということを言うのですが、これは
宮崎
県で今後の
応急対策
の中で県がこういうことをきめているのです。だから国もこれに対してどういうような処置をとるかと私はいまお聞きしたのであって、明快な御答弁を、またあとでひとつ
調査
して、いただきたいと思うのです。 次は、衛生関係でございますが、その後伝染病等の
発生
または流行性感冒等、非常な
対策
をしていただきましたけれども、現在どのような状態になっておりますか。
今村譲
286
○今村
政府
委員
公衆衛生局の担当の者が来ておりませんので、はっきりいたしておりませんが、私が二、三日前に聞いたところでは、伝染病の
発生
はない、それからかぜは一時非常に寒いところにおったということで若干はやったけれども、それがどんどん蔓延しておるというような
状況
ではないのだ、こういうことを担当官が言っておりましたのを聞いたわけでありまして、詳しいことはよくわかりません。
小川新一郎
287
○小川(新)
委員
最後
にお尋ねいたしますが、今後の生活の問題とか身の振り方とかいろいろな問題で生活相談、身の振り方の相談と申しますか、それに対する市民相談所、被災地の方々のために生活相談所を設置して、市町村と協力してあたたかい援護というものを精神的にも物質的にも与えていくようなことを
政府
が中心になってやっていくお考えがございますでしょうか。それを聞いて、私の質問を終わらしていただきます。
今村譲
288
○今村
政府
委員
この問題は非常に大きな問題がありまして、
現地
の県の民生部では、その関係で第一番には
地元
の市町村、それからこれは役人ではありませんが、民生
委員
制度というのがございます。それから福祉事務所というのがございます。これは生活保護とかいろいろやっておりますが、そういうものが全力をあげてその相談に当たらせるということで準備をいたしております。これは
災害
地ではどこでもそういう体制をとっておるわけでありますが、
えびの
でもあるいは
吉松
でも、できる限り従来のとおり
努力
をしたいというふうに思います。
小川新一郎
289
○小川(新)
委員
結局その問題ですが、ただ、
指導
の場合は、
地震
が今後この
地帯
に多いから、
屋根がわら
はこういうふうにしなさいとか、耐震の
建築
はこうしなさいとか、こういう問題はこうしなさいとか、アドバイス的な市民相談所の中に
政府
関係の専門官が行って、ほんとうに
指導
相談に当たってあげるかどうかということを私は聞きたいんですよ。どうですか、その点。
今村譲
290
○今村
政府
委員
いま私が申し上げたのは、いわゆる民生部門だけでございますが、おっしゃいますように、それは県のほうにもよく連絡いたしまして、
建築
関係とかいろいろなそういう専門家も入ってもらえるような体制を至急検討してみたい、かように思います。
川村継義
291
○
川村委員
ちょっと
関連
して——たいへんおそくなって恐縮ですが、せっかくですから簡単にお尋ねしておきます。実は先ほどの森
委員
の質問に
関連
してお聞きすべきでしたけれども、お許しいただきます。 まず林野庁の方はおられますね。先ほどのお話で、いわゆる雪害を受けた森林関係保育
資金
について、いうところの一−二齢級、これは十年生以下、それから三−七齢級、これは二十年以下、これがいままでは八年以下が
適用
であったのをさらに三−七齢級まで、十五年とか言っておりましたが、そこまで
適用
を広げるというお話がありまして、
現地
の
被害
を受けた連中はたいへん力強く思うのじゃないかと思いますから、早急に結論を出していただきたい。 私がお尋ねしたい一つは、この雪害関係でいろいろ問題を起こしておる。特にきょういただいておる資料を見ると、
造林
地が一番
被害
額が多いですね。そこで農林漁業金融公庫から出ております林業経営維持
資金
、これにはたしか三十万とかいう
ワク
があると思うのです。それから貸し付けの
対象
条件
がたしか四項目ばかりありましたね。現在は
ワク
が三十万円なのか、それから
対象
ワク
がどれだけだったか、ちょっと教えてください。
木村晴吉
292
○
木村
(晴)
説明
員
ワク
は
限度額
が三十万でございまして、総
ワク
は十一億でございます。
川村継義
293
○
川村委員
そこで三十万という
ワク
を、こういう大
災害
を受けたんですから、少し
ワク
を広げてやるという検討はできませんか。 それといま一つは、この林業経営維持
資金
の貸し付けの
対象
には、いわゆる生活に困った諸君の生活費というか、そういうのはたしかもうないはずですね。これもやはり見てやる必要が今日出ているんじゃないかと思うのですが、ちょっと考え方をはっきり聞かせてください。
木村晴吉
294
○
木村
(晴)
説明
員 いまの三十万の
貸し付け限度額
の
拡大
につきましては、前向きの姿勢でひとつ検討してまいりたいと思います。 それから生活のために金が要るので、これに対して木を切るんだ、これをある適正伐期齢級まで残すための伐採調整
資金
制度は、昔はあったのでございます。三十七年の法律改正でそれは一応廃止されております。
川村継義
295
○
川村委員
この山林を持っておる山間地の皆さんは、これは木を切って売るときに現金が入るけれども、日ごろの生活はたいへん苦しいんですよ。そういう意味でこの貸し付けの
対象
というものをぜひ検討しておいてくださいよ。生活
資金
、これは率直に言うと非常にむずかしいかもしれぬけれども、ぜひひとつそれをきょうはたのんでおきます。 それからもう一つは、先ほどだんだん質問がありましたが、いわゆる改植再
造林
、これは六十点を満点としていく。激甚な場合には加算する場合がある。ところが再
造林
の単価というものは、いうところの
拡大
造林
に比べて単価が安いですね。再
造林
の場合の単価はいまどうなっていますか。
木村晴吉
296
○
木村
(晴)
説明
員 再
造林
の場合は、やはり
造林
地を切ったあとに植えるというのが再
造林
でございまして、若干
拡大
造林
よりは単価が低くなっておるのが
現状
でございます。
川村継義
297
○
川村委員
再
造林
の場合の単価幾ら、
拡大
造林
の場合幾ら、ちょっとその金額を……。
木村晴吉
298
○
木村
(晴)
説明
員 失礼いたしました。四十二年度は再
造林
の場合は一ヘクタール当たり五万三千円に相なっております。
拡大
造林
の場合は六万七千円になっております。
川村継義
299
○
川村委員
そこで、こういう
災害
を受けたんだから、再
造林
の場合は五万幾ら、
拡大
造林
の場合はこうだと言うのですが、単価を一緒に見てやってくれませんか。どうです。できるはずだ。
木村晴吉
300
○
木村
(晴)
説明
員 この問題は
災害
とは実は
関連
がない一つの制度でございまして、天然林を成長量のいい
造林
地に切りかえる場合におきましては、やはり実質的に歩掛かり工程人工が多くかかるということから、
拡大
造林
は高くなっておる。それから再
造林
の場合は、先ほど申し上げましたように人工
造林
地を切ったあとの植栽のためのいろいろな諸掛かり人工の点からこういうことが出ておる。そこに
災害
があった場合は、人工
造林
地の
災害
という形に対しまして、あと地
造林
の場合の歩掛かり人工数につきましては、やはり再
造林
というものの人工数を使って、いま先生のおっしゃるように
災害
のための一つの損失的な面から見まして、そこに四十点を加算しておるわけでございます。
川村継義
301
○
川村委員
とにかく今度
被害
を受けた場合、どうも再
造林
のほうは単価が安くてという声が大きいですから、これはやはり検討してください。
拡大
造林
と同じ単価でこれは研究してもらう必要があるのじゃないかと思いますから、きょうはひとつ頼んでおきます。 それから
最後
に申し上げておきます。これは農林省にお尋ねすべきですか、あるいは総務副長官にお聞きしたほうがいいかもしれません。 今度非常に
施設園芸
がやられた。特に園芸だけでなくて鶏のいわゆるひなをやっておる
施設
等がやられた。そこで保温のために電力を使っておるわけですね。この場合に電力会社の責任というものはないんだろうか。なぜ私はこんなことを聞くかと言うと、
農業近代化
、これは
政府
が一生懸命やっておる仕事であります。ところが電力会社がやはり電気を使って実験して見せて、そしてああいう
施設園芸
や鶏を養うこと、これは電力会社でも奨励しているわけです。ところが今度の
暴風雪
で電線がやられてしまう、長い間
停電
をする、
施設
に対する電力は行かない、だから
施設園芸
がやられる、あるいはひなが斃死をする、こういう事態が起こっているでしょう。となると、電力会社も何かやはり考えるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
安倍晋太郎
302
○安倍
政府
委員
いまの問題ですけれども、電力会社に責任があるかどうか、何といってもこれは天災だと思いますので、不可抗力な点があると思います。だから電力会社に責任があるかどうかということについては、はっきりお答えできないと思います。
川村継義
303
○
川村委員
それで実は私も考えてみたのです。電力会社に損害補償を出せ、これはちょっとどうも言えないようだけれども、やはり
停電
で
被害
を受けたところのそういうものに対しては、これは見舞い金ぐらいは出してしかるべきじゃないか。これは
政府
は全然考えておりませんかね。それは電力会社に交渉すべきだと思うのです。こちらの東日本あたりの非常に雪が降るところは強いですね、ちゃんと用意ができておる。ところが、西日本なんというところは、ああいうものには電力会社の配電設備そのものが弱い。だから今度の
暴風雪
でやられる、
停電
する。そうするとそういう
施設園芸
や鶏のひなの斃死という
被害
が出るでしょう。これはやはり電力会社が、損害補償とまでいかなくとも、見舞い金を出すぐらいのことがあってしかるべきじゃないか。私が
現地
で電力会社の出張所の諸君にそういう話をしたら、それはやはり見舞い金ぐらいは考えるべきでしょうねという意見もあるのです。
政府
のほうでひとつ考えてみてください。そうしてしかるべき見舞い金を電力会社が出すように、ひとつ
政府
があっせんしてやりなさいよ。八木総務副長官の御所見を承ります。
八木徹雄
304
○八木
政府
委員
お答えのしようがないと思いますけれども、お気持ちはわかります。自主的に持っていくというのがほんとうの見舞い金だから、その意味で、そういうことの御質問があったということを強調して、国会でもこういうような御意見もあることだから、ひとつ善処したらどうかという程度のことぐらいなら、それは当然やるべきだと思いますから、お話しします。
川村継義
305
○
川村委員
そこで副長官、ひとつあなたのほうから通産省に言うて、通産省が電力会社に補償させるというところへ運んでください。
八木徹雄
306
○八木
政府
委員
通産省に連絡いたします。
芳賀貢
307
○
芳賀
委員長
本日はこの程度にとどめ、次回は来たる三月十三日午後一時
理事
会、一時三十分
委員会
を開会することとし、これにて散会いたします。 午後六時二十四分散会 ————◇—————