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1968-04-17 第58回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十七日(水曜日)    午後一時五十四分開議  出席委員    委員長代理理事 渡海元三郎君    理事 久野 忠治君 理事 四宮 久吉君    理事 丹羽喬四郎君 理事 福田  一君    理事 島上善五郎君 理事 西宮  弘君       青木 正久君    奥野 誠亮君       白浜 仁吉君    高橋 英吉君       竹内 黎一君    谷川 和穗君       塚田  徹君    永山 忠則君       松浦周太郎君    山田 久就君       阿部 昭吾君    山花 秀雄君       山下 榮二君    伏木 和雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省選挙局長 降矢 敬義君  委員外出席者         建設省住宅局日         本住宅公団首席         監理官     野崎 清敏君         自治省選挙局選         挙課長     山本  悟君         自治省選挙局管         理課長     植弘 親民君     ————————————— 四月十七日  委員奥野誠亮君、菅太郎君、永山忠則君、松澤  雄藏君及び松野頼三君辞任につき、その補欠と  して青木正久君、塚田徹君、竹内黎一君、山田  久就君及び谷川和穗君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員青木正久君、竹内黎一君、谷川和穗君、塚  田徹君及び山田久就君辞任につき、その補欠と  して奥野誠亮君、永山忠則君、松野頼三君、菅  太郎君及び松澤雄藏君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 四月十二日  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇三号) 同月一日  政治資金規制に関する請願柳田秀一紹介)  (第三三九九号)  同(實川清之紹介)(第三四二八号)  同(西宮弘紹介)(第三四二九号) 同月十日  政治資金規制に関する請願山本弥之助君紹  介)(第三七六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇三号)      ————◇—————
  2. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が病気のため出席されませんので、私が委員長指名により委員長の職務を行ないます。  去る十二日付託になりました内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 まず、趣旨説明を求めます。赤澤自治大臣
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由内容の概略を御説明申し上げます。  一昨年実施されました永久選挙人名簿制度の運営の実態及び最近行なわれました選挙の執行の状況にかんがみ、来たる参議院議員通常選挙に備え、取り急ぎ改正を必要とする項目について、公職選挙法に所要の改正を行なうため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一に、選挙権を有する者の選挙人名簿への登録の時期は、現行制度では三月及び九月の二回でありますが、これに六月及び十二月の二回を加え、年四回に増加することといたしました。現行制度では名簿への登録期が年二回でありますため、選挙の時期によっては、相当数の新有権者選挙人名簿登録されず、投票ができないという問題も生じたのであります。したがって、来たる参議院議員通常選挙に備え、この際年四回登録に改め、こうした問題の解消をはかることといたしたのであります。これに伴い従来、住所移転者についての表示の抹消の期間が一年でありましたのを六カ月に短縮することといたしたのであります。  第二、選挙運動及びいわゆる確認団体選挙期間中に行なう政治活動について、その合理化をはかることといたしました。  すなわち、公営のポスター掲示場に掲示する選挙運動用ポスター個人演説会告知用ポスターは、あわせて作成し掲示することができるものといたしました。次に、立会演説会において、公職候補者は、他の候補者代理演説をすることができないことといたしました。さらに、いわゆる確認団体政治活動用ポスターは、参議院議員選挙においても、衆議院議員選挙におけると同様に、所属候補者選挙運動のために使用することができることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 以上で本案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  6. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。島上善五郎君。
  7. 島上善五郎

    島上委員 ただいま提案された法案に関連して二、三お伺いしたいと思います。  最初に、直接この法律ではありませんが、この法律は、確かに他の選挙運動改正選挙制度審議会答申にかかわるものと一緒提案する準備を進めておったはずであります。そして、それに先立って緊急に措置すべき事項として、七カ月も前に選挙制度審議会から答申された政治資金規正法改正というものがある。これらは相互に関連性があるわけですから、私どもはいままで、まず政治資金規正法改正提案され、次いで選挙運動一般改正答申にかかわる部分とこれを含めて、きょう出されたものを含めて提案されるもの、こう考えておったわけですが、なぜ切り離して出さなければならなくなったのかという点をお伺いします。
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 長年審議会でお手数をわずらわしまして、先般一応答申をいただいたわけでありまして、今回はぜひ、その答申に盛られておりますことを御指摘のとおり全部成文化いたしまして提出するつもりでございましたが、大体島上さん御承知のような状態で、成案を得る過程がなかなか手間どりました。しかしながら、これまた間もなく提案の運びになると思いますが、しかし、これを切り離しましたゆえんのものは、だんだん選挙人名簿を作製する事務段階合理化が進みまして、いままで年二回しか登録できないで一部有権者にたいへん御迷惑をかけておりました。これは事実でございます。しかし、永久選挙人名簿を採用するという大改正を一昨年行ないましたが、その後着々カード化などにつきまして準備を進めましたところ、大体年四回やれるという見通しがつくに至りましたので、これはぜひ次の参議院選挙にも、この新しい名簿登録されたもので投票していただきたいということから、特にこれを抜き出して、先に御審議を願うことにした次第でございます。
  9. 島上善五郎

    島上委員 それでは重ねてお伺いしますが、佐藤総理赤澤自治大臣も、政治資金規正法については、さきに、去年の総選挙後の特別国会提案された際にも、あの提案は、私どももちろん不満ですけれども、あの提案政府としては選挙制度審議会答申を尊重したものであり、最善のものであると確信して——当時の自治大臣の藤枝君の説明でもそれは強調しておりました。確信して提案し、あの国会成立を期する、こういう約束を何回かしました。それは自民党の反対で、最後には委員長がどこかへ雲隠れするというような問題まで起こって、廃案になりました。いまその廃案になった当時の責任云々を伺おうとはしませんけれども廃案になった後に、選挙制度審議会緊急総会総理大臣出席を求められて委員諸君からきつい質問があった際にも、次の国会には必ず出して成立を期する、こういう約束をしましたし、その後、国会の公の場所でも何回もそれを言明している。臨時国会は短期間であるからという理由もわからぬではないけれども、それが今日、まさにいまの通常国会が余すところ一カ月余りという時期に至ってまだ提案しない。ですから、これは、私は私なりに察します。これを一緒にしたのでは提案がおくれるばかりではなく、提案がおくれて不成立になるということを考慮してこれだけ切り離したものだと思いますが、これは私ども賛成できる事項ですからよろしいけれども、こういうふうに切り離して出したということは、今国会政治資金規正法成立も、その他の選挙運動改正も断念した、こういうふうに受け取らざるを得ない。断念したということはていさいのいいことばですけれども、いままでの公約をまたもや、あるいはまたぞろ裏切ってしまった、こういうふうに受け取らざるを得ないわけなんです。そういう点、いかがでしょうか。  それで、内容についても触れておきますが、この前、特別国会提案したときにはかなり骨を抜いていましたが、政府はこれが最善のものである、尊重したものである、こういっておった。新聞で伝えられるところによれば、それも再度、何回にもわたってひねくり回して、もうあとかたもないようなものになって出てくるのではないかという心配が多分にあるのです。一体政治資金規正法を、どうしてこういうふうに、国民期待公約を裏切ってするのか。何回も聞いているんですけれども、このいまの時期になって、ぜひはっきりと政府考えを承っておきたい。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今回提案いたしましたものを切り離しましたのは、何も他の答申を成文化することが、見込みが立たぬからという意味では決してございません。ただ、成文化したものを提案いたします際には、当然それは、心がまえとしては成立を期すということが含まっておるわけでございます。しかし、前々国会審議状況を顧みますと、ただいま島上さんはこの前の法案も骨を抜いたとおっしゃいましたけれども、なかなかいろいろな議論野党方々からも出ましたし、ことに与党側からいろいろな質問が出まして、機会が熟していなかったと申しますか、終局はああいう結末になったわけでございます。そこで、苦い経験を生かすという意味で、今度は、せめて与党内によく御理解をいただいて、提出いたしましたものはまた野党皆さんにも了解を求めて、ぜひ議決していただきたいという気持ちでございますので、そのほかには決して他意はございませんということを申し上げておきます。
  11. 島上善五郎

    島上委員 この前の特別国会提案したものは、選挙制度審議会答申を尊重したものであるというふうに、当時の自治大臣はおっしゃいましたが、あなたはそういうふうに思いますか。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先般もそうでしたし、また新たに提案いたしますものも、答申を尊重して作成する決意でございます。
  13. 島上善五郎

    島上委員 先般の特別国会提案したものが、もし答申を尊重したものだとすれば、今度出てくるのは答申を尊重しないものですよ。その答申を尊重しないものということばがもしお気にさわるなら、別のことばを使ってもいいけれども、少なくとも著しく後退したものですよ。正直にお答えになったほうがいいと思うのです。これは出たときにまたあらためて伺いますけれども特別国会提案したものが答申を尊重したものだとすれば、今度のは答申を尊重しないもの、もしくは極端に後退したものであるというふうに私ども思わざるを得ない。まだ法案が出ているわけじゃないから、この議論は早いといえばこれ以上はしませんけれども、著しく後退したもの、政治資金規正法改正期待しておる国民に大きな失望を与えるもの、別の意味でとるならば、政治資金規正法ではなくて、政治献金奨励法というふうに、形がそこまで変わったものにすらなるのではないかと、新聞報道その他の伝えられるところを総合すると判断せざるを得ないわけです。尊重したものを出すということを、再度ここで確言できますか。そういたしますと、今度は現物が出てきたときに、たいへん大臣答弁に困るようなことになりはしませんか。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御自分で言っておられますとおり、まだその議論を展開するのは少し時期が早いのではないかと思うわけですが、しかしながら、国民のこの問題に対する御期待もあるわけでございます。しかし、私ども考えますのに、政治資金規制のしかたというものはいろいろあると思うのです。あると思いますけれども、やはり新機軸を出すということでなくて、一応あの答申考え方に沿うていかなければならぬということが、政府の基本的な態度でございます。ただ選挙は、区制の問題であれ、あるいは資金の問題であれ、運動方法であれ、これを改正いたしますときには、世界じゅうどの国でも、そうすらすらといったためしはないのでして、なかなか紆余曲折があるわけでございますが、先般の西ドイツの政党法をつくりました際にも、あわせて政治資金規制の問題も一応曲がりなりに野党の妥協で成立したものがありますけれども、やはりみなそれぞれ苦労を重ねて、ついにしかるべき結末を得ておるわけでございます。日本は、先般ああいう答申がありましたが、それを右から左に法律化いたしましたって何したって、国権の最高機関国会が最終これを扱うことになりますので、そこらの呼吸は、島上先生は十分御承知のはずでございます。そこで、私どもとしましては、政府与党側の御理解を得る努力というものをいま日ごと積み重ねておる最中でございますが、この国会はもう間もなく時間切れになりますので早く成案を得たい、かように考えておる次第でございます。
  15. 島上善五郎

    島上委員 大臣おっしゃるように、間もなく時間切れですね。この委員会がもしいままでの申し合わせどおり定例日にやるとすれば、会期内あと四回しかない。そのうち一回はメーデーに当たるので、これはその日をほかの日に変更してやるかどうかは先へいって理事会で相談することですけれども、まるまるやっても四回、大法案ですからかなりかかります。   〔渡海委員長代理退席福田(一)委員長代理着席〕 これを衆参両院十分審議するということは、神わざでなければできないことですよ。この次の二十四日に出してもそうです。いまの時期に出さぬということは、もう成立はどうでもいい、野党がうるさいし、世論もうるさいから、出すだけ出しておけば参議院選挙におけるたたかれ方も違うだろう、ずいぶん皆さんの腹を読み過ぎているようですけれども、そういう腹であろうということは、これは私ばかりでなく一般の人はそう見ていますよ。きょう出しておってもあと四回しかないのですから。では一体、二十四日の定例委員会までには確実に出せますか。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私、たびたび申し上げておりますとおりに、日にちを切るわけにいかないわけです。それはやはり、責任政党である与党がこの法案について十分理解をしてくれませんと、この前のようなみじめな状態になりかねません。そのかわり与党側ではっきり理解をして、よしこれでいこうということになりましたら、むしろこれはきわめて簡単に通る。簡単に通るが、しかし、私どもは筋の通らぬものをむちゃくちゃに多数の力で通そうということは考えておりません。しかしながら先ほど申しますように、国民期待もありますので、ただいま島上先生が皮肉なことばかりお述べになりましたけれども、決してそういうふざけた気持ちでなくして、ぜひ成立させなければならないという現状を踏まえた、しかもこの答申の筋をくずさない成案を得て皆さんの御審議に供したい、かように考えております。
  17. 島上善五郎

    島上委員 文字どおり選挙制度審議会答申を尊重したものであれば、私どもは賛成しますよ。これは何回も言っているとおりです、現にわれわれが答申を尊重したものを出しておるのですから。ところが、これはまだ案がきまらないから、内容についてはこの場所では大臣としては言えないでしょう、出しているわけではないのですから。しかし、おおよそわかりますよ。これはもう大臣ももちろんわかっているだろうし、私たちもわかる。さんざん、大骨、小骨どころではない、背骨まで抜いてしまったものを出しても、野党は、はいそうですか、けっこうでございますといって、そう簡単に通すわけにはいきませんよ。十分審議をし、その骨を抜いた実体を国民の前に明らかにしなければならぬ。相当時間がかかります。二十四日の定例委員会までに出すという状況でなくてどうして今度の国会を通りますか。これは絶対通りませんよ。絶対通すというなら、選挙制度審議会答申どおりの、野党三党が共同提案しているものと同じものを出しなさい。そうすれば私どもは、あれを出すまでに十分審議をしてやったものですから通しますよ。そうでないものを出したって、それは二回や三回の委員会審議で通るなどというものではない。私は、大臣がこの期に及んでも、いままで繰り返したと同じ答弁しかできないという苦衷は察します。わからぬことはないけれども政府答申を尊重するという気持ちがない。それは、政府自民党はと言ったほうが正確かもしらぬ。答申内容を尊重するという気持ちはもうすでに捨て去っておる。後退したものですら今国会成立させるという熱意も失っているものと判断せざるを得ないのです。このことについては答弁はもう要りません。  今度は、参議院選挙は、いろいろな形でもう合法的な意味政治活動ということでの事前運動、違法すれすれの事前運動というものが行なわれておりますし、日通その他の汚職事件に関連する政治献金問題等もありますが、そういうことについて二、三お伺いしたいと思います。  政治資金規正法は、いまのようなわけで規制されない、従来どおり総理参議院場所答弁しておったかのようにちょっと新聞で見ましたが、来たる参議院選挙に際して、いずれ相当多額政治献金方々から受けることになろうと思いますが、法律改正されなくとも、ああいう答申があったのですから、答申精神を尊重して献金を受ける際に自粛をする、汚職問題を起こしているようなところからは献金を受けない、こういう気持ちがあるかどうか。私はぜひ総理に伺いたかったのでありますが、そういう点に対しては、これはまあ党のことだから私は答弁できないとおっしゃるかもしれませんけれども総理参議院で若干そういうことに触れておったようですから、答申精神を尊重して、献金を受ける際に、あるいはこれを使う際に十分自粛をするということをここで御答弁できますか。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政治そのものが清潔にならなければならぬということは言うまでもございません。政界そのものの浄化につきましては、総理も非常な熱意は持っております。そこで、今回もうすでに予定されております参議院選挙をめぐりまして、残念ながら違法とおぼしきものが警察の調べでいろいろ出ておりますが、これは形式的なものでございまして、それぞれの判断で警告を発したり、できるだけ事故がないようにということで注意はいたしております。  それから、ただいまの日通のことでございますが、これもいま事件司直の手にあるわけでございまして、ただ、日通がいたしました政治献金があるのかないのかということは、私は現時点では知っておりませんけれども、何か新聞にあらわれておりますああいう金額の中でそういったものがかりにあるということになるかどうか、そういうようなことはわかりませんけれども、しかし、いずれにしてもああいう事件を起こしておる最中でございまするので、規正法違反があるないにかかわらず、やはりこういうところからの献金を受けることは、私は好ましくないということをこの間参議院でも申し上げた次第でございます。やはり党のほうでも、何も新しい政治資金規正法成案を得たとかあるいは成立したとかいうことがなくても、答申考え方というものは十分尊重して、そうして政治献金などは処理するものと、かように考えております。
  19. 島上善五郎

    島上委員 選挙局長参議院答弁しておったようですが、念のため、大臣日通方面から献金があったかなかったかよくわからとぬおっしゃっておりますが、わからぬはずないと思うのです。日通からここ数年間——数年間ではばく然としているかもしれぬが、三年間でもいい、あるいは四年間でもいい、ここ四年間、政治資金規正法によって自治省に届けられたうち、自民党に五十万、百万、何百万と献金されたものがあるはずですが、ちょっとそれを答弁してください。
  20. 降矢敬義

    降矢政府委員 参議院でやりましたのは、あのときも御答弁申し上げましたが、質問された委員の方が自分で調べられましたものについて、どういう方法で調べたか私たちわかりませんが、調べられたものについて官報と照合してくれということでありましたのでそのことをやったわけでございまして、いままでもしばしば御質問がございましたが、どういうもので、どこからどこというようなことを私たち自身がつくりまして、それを公表したことは一回もございません。
  21. 島上善五郎

    島上委員 それでは、参議院質問者が調べて、あなた方が官報と照合して、これは間違いない、そのとおりであると答えた数字をあげてください。
  22. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいまその資料を手元に持っておりませんので、後日申し上げたいと思います。
  23. 島上善五郎

    島上委員 それはもう新聞に載っていましたから、はっきり私どものほうでわかっていますけれども大臣、数年間にわたって相当多額献金がされておることは、これは間違いないですから。司直の手によって調べられたとか、やみ献金も今後出てくるかどうかわかりませんけれどもやみ献金にあらざる公然たる献金相当多額のものが党に対して、派閥に対してあったことは事実です。  そこで、最近自治省参議院選挙事前運動に対する通牒を発したようですが、あれを見ると、何か文書形式違反ですね、紙一重といわれるような、ここまではよろしいが、この先はまずいぞといったような通牒を発しておりますね。いまの法律からいえば、文書その他の事前運動は禁止されておりまするから、紙一重のものでも違反違反違反をしないようにという配慮は、まあ親切な配慮だとも受け取れるわけですけれども審議会答申は、こういうような紙一重の、特に文書とかことばとかいうようなものは、そうたいして実害があるわけではないから、こういうものはもっと大幅に自由化しようではないかという答申が出ていることは、御承知のとおりです。その法律改正がいまだにされないからとはいっても、そういう文書形式違反実害のないものを、さながら厳重に取り締まるかのような印象を与えるやり方は、私は好ましくないと思いますね。あらためてああいう通牒を出さなくたって、現行法については下部の選管その他で知っておるのですからね。あらためてああいう通牒を出して取り締まりを厳にするかのような印象を与えていることは、そのほかの大きな違反悪質違反がかなり潜行的に行なわれているときに、肝心の方面に目を向けないで、実害のない、へのようなことにばかり取り締まり重点を置く、あるいはその度を越えて選挙に干渉するというような少なくとも印象が非常に強い。私は、きょうは警察方面の人が来ていないので伺うことができませんけれども、やはりいまの法律のたてまえからいっても、悪質違反に防止の重点あるいは取り締まり重点、検挙の重点を置くべきものだと思うのです。そういう点に対して大臣、どういうふうにお考えですか。
  24. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 悪質犯は、取り締まるのは当然でございます。それとは別に、先般、お読みになったと思いまするけれども、ある新聞には、警察現行法どおりきびしく取り締まる、一方自治省としては、ただいま御指摘になりました審議会の大幅に自由化するという方向を認めて、やはりこういった点は少しゆるやかに扱うのだといったような記事が並行して出たわけです。そのために、全国の選管からいろいろな問い合わせもあったのが実情でございます。きょうは警察は来ておりませんけれども、私にしてみれば、自治大臣として選挙のほうを担当しておりますし、一方取り締まり警察のほうも担当しておるわけでございますので、これはいかぬと思いまして、あのときの新聞記事も、何も自治省が明確にこういう方針を打ち出したということではなくて、自由化への方向が進められつつあるということがやはり内容であったわけでございまするけれども、しかし、少なくとも誤解を起こして——現行選挙法のもとに行なわれる選挙ですから、これは制度改正になった後は別ですけれども、まだ現行法が現存しておるわけでございまするので、そういうことでうかつに違反なんかに問われるような場合があったらたいへんお気の毒だ。そこで選挙するには、御案内のとおり、文書を出すにいたしましても、これが違反になるかどうかということは一応それぞれの選管に持っていって、どうでしょうかと聞く人が多いわけですから、いままでの実例を見ますと、全国の選管でそういう問い合わせがあった場合の指導がまちまちであった面もあったわけでございます。そういうことから、この間自治省が出しました通達については、ここからここまでは違反でここからここまではよろしい、そういう明確なものでなくて、大体こういった形のものは多く違反に問われる場合が多いといったような形で、選管に問い合わせられたときの選管の判断の基準というものを出したわけでございまして、これはあくまで制度改正などは頭に入れないで、現行法でつくりましたような基準でございます。
  25. 島上善五郎

    島上委員 いま私が聞いたうちで、買収供応とか、そういったような俗にいう悪質違反、防止にしても取り締まりにしても、そっちに重点を置くべきものであるという考え方に対して御答弁がなかったですけれども、あまり形式違反ばかりに——いまも法律があるから、それは文書違反でも違反ですよ。しかし、そういう文書の書き方、ちょっと一行の書き方がこれは違反違反でないかといったようなことにばかり忙殺されておったのでは、肝心のものがやれなくなっちゃうんです。いままでの選挙取り締まりというのは大体そうだったのです。幾つも資料がありますけれども、きょうは直接の担当者がいないから聞きませんが、大きな方針としてはそういう悪質違反を防止する、あるいは発生したものは取り締まる、そこに重点を置くべきものであると私は考える。その点のお答えはなかったのですが。
  26. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは前提としてお答えしたつもりでございまして、悪質違反をやっていいかどうかという伺いを立てるものはありませんから、これは別途厳重に取り締まる。ただ、選管を指導いたしましたのは、先ほど申しましたようないきさつもあることは、もう島上先生よく御承知のとおりでございまして、だから全国で、こういう形式違反に該当するものでもばらばらな判断をいたしておることは危険でございまするので、ここにやはり統一的な確認と申しますか指導要領を出した、こういうことになっております。
  27. 島上善五郎

    島上委員 建設省の住宅局の方がおいでですね。お伺いしますが、いまの選挙法のたてまえからしますれば、たとえば選挙の告示があってから以後の選挙運動については公共の建物、公共の場所の便宜を与える、こういうことになっておりますね。ですから、区の公会堂であるとか市の公会堂であるとか公民館であるとか、そういうところは優先的に貸しておりますね。選挙のときは、選挙以外のものがかち合った場合には、少なくとも遠慮させても選挙に優先的に貸すというふうにしておりますね。ところが、最近、公団住宅の中にある集会所、それから都営住宅の中にある集会所——これは公団の場合には公団が管理をしておる、都営住宅の場合には都の管理事務所が管理している、県の場合には県の管理事務所が管理している、そういうところを貸すのをいやがったり、場合によっては貸すのを断わったりという事例さえあるのですよ。何かあなたのほうで通牒でも出しておるのですか。まさかそんなことはあるまいと思いますが、貸すなという通牒は出すわけないと思うのですが、選挙法のたてまえから便宜を与えるという通牒を出しておるか、出しておっても不徹底であるのか知りませんが、そういう点についてお伺いします。
  28. 野崎清敏

    ○野崎説明員 住宅公団の関係についてお答え申し上げたいと思います。  住宅公団の団地内におきます集会につきましては、選挙期間につきましてはでき得る限りお貸しするように取り計らえるようにいたしております。ただ、選挙期間中以外のものにつきましては、特定の宗教並びに特定の政治活動について便宜供与することのないようにということで一般的な通達は出ておりますけれども選挙中に限りましてはでき得る限り供与する。もちろん、公団の仕事、また公団の団地内に居住しておられます方々の支障になるようでは困るわけでございますが、そういったことのない限り便宜を供与するようにいたしております。
  29. 島上善五郎

    島上委員 その通達が十分正しく理解されていないのではないですかな。たとえば、できる限りといったようなことでも、よほど十分に説明しないと、公団の団地の人が使う場合には貸さなくてもよろしい。できる限りというふうにすると、意地悪いところでは、この自治会できょうも婦人の会合がある、あしたは何の会合がある、あさってはこういう会合があるといって貸すことを拒否することもできるわけですね。選挙期間中は、この法律のたてまえからいっても優先的に申し込まれたものに対しては貸すべきものだ、私はこう思うのですが、そういうふうに理解できるように徹底しているかどうか。むしろ誤解があって、貸さなければ貸さぬでもよろしい、なるべく貸すな、こういうような考えが下部にかなりあるのではないか。そのために貸すことをちゅうちょしたり、ときには拒否したりということになっているのではないかと私は思うのですが、どうですか。
  30. 野崎清敏

    ○野崎説明員 公団といたしましては、各団地の管理主任に対しましてはそういう趣旨のもとに説明をいたしておるはずでございまして、そう誤解をいたしておるとは考えておりませんけれども、実際問題といたしまして、団地の集会所の利用頻度というものは非常に多くなっております。しかも団地の建設費そのものは、公団住宅の家賃の積算の中に入っておるわけであります。家賃の中の一部になっておるわけであります。そういった関係もございまして、管理主任といたしましては、できる限り団地の方に利用させたいという気持ちが働いたのではなかろうかと思います。いま先生のおっしゃいました趣旨はごもっともでございますし、私どももさらに徹底をさせたいというふうに思います。
  31. 島上善五郎

    島上委員 集会所ばかりではなく、団地内にはそれぞれかなり空地がございますね。それから金網で囲いをしておって、そこにポスターをぶら下げるのに都合のいいようなところもありますね。その空地にプラカード式にして足をつけてポスターを立てる、あるいは金網に針金で縛りつけるというようなことに対しても団地の管理事務所では拒否する、あるいは非常にいやがる態度が見えるのです。これが非常に風致を害するとか何か通行のじゃまになるとかいう極端な場合はいざ知らず、そういう通行のじゃまにもならぬし、ポスターを立てるといってもそんなにやたらにめちゃくちゃに立てるわけではないのですから、そういう点に対しても、どうもはなはだしく非協力的であるという点が見られますが、そういう点、来たる参議院選挙については改善するように通達なりその他の方法で指示をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  32. 野崎清敏

    ○野崎説明員 選挙期間中におきましては、選挙活動をできる限り、こちらとしても自由にできるようにいたしておることが趣旨でございます。ただいま先生のおっしゃいましたような趣旨に沿って措置いたすようにいたします。
  33. 島上善五郎

    島上委員 この法案に関連して二点ばかり伺いたいのですが、永久選挙人名簿の制度を、三月、九月であったものをさらに六月、十二月にするということは、私ども賛成です。できればもっと回数をふやして、選挙権を持ちながら実際に行使することができないという人をなくすようにしたい、こう考えております。  そこで伺いますが、この説明書の中にもありますが、相当数の新有権者選挙人名簿登録されず投票することができないという問題が生じておる。今度の改正によってこうした問題の解消をはかる、こういう趣旨でございますが、いままでの三月、九月という登録回数ですと、相当の新有権者になっておりますが、選挙権を持ちながら実際に投票できなかった者の人数、たとえば今度の参議院選挙について具体的に考えてもらってもよろしいわけですが、その人数はどのくらいの数になるものか。今度の改正によってそれがどの程度に減少して解消されるものか。今度の改正によってもなお相当数のものが残ると思うのですが、そういう数字。これは何十何万何千何百何十何人というまで的確にはなかなかつかみにくいと思いまするが、その推定し得る数字の根拠を明らかにしてもらいたい。
  34. 降矢敬義

    降矢政府委員 現在統計等によって推定される者は、満二十歳で新有権者となる、そういう意味で新有権者となる者が、現在の統計から推定して大体月二十万だといわれております。したがいまして、三月以降六月までの間に、約六十万が新有権者になるわけでございます。
  35. 島上善五郎

    島上委員 それで、今度の改正によって全部解消するわけではないでしょう。今度の改正でもなお、有権者となりながら投票することができない数が現実に残るでしょう。それを聞いているんです。
  36. 降矢敬義

    降矢政府委員 普通は名簿登録を申告しないという新有権者については登録の機会がございませんので、申告をしないという推定をどのくらいにするかということでございますが、東京都やその他で若干聞いてみますと、先般の三月期の登録のときには大体七割程度申告をしている状況でございます。
  37. 島上善五郎

    島上委員 私の聞いているのは、申告しない人を聞いているのではない。全部申告をして、七割なら七割でもよろしいが、たとえば今度七月七日が投票日になりそうですか、——これだけ伺っておきますが、七日の投票日は確定しましたか。
  38. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 会期延長がからんでおりますので確定はいたしておりませんが、そう考えていただいていいのではないかと思います。
  39. 島上善五郎

    島上委員 そうすると七月七日。今度の法律改正によって六月となるわけですね。六月の登録の後に満二十歳になって所要の要件を満たした、しかし、七月一日は登録日ではないから、七日に投票はできない、そういう人が残るわけでしょう。そうすると、やはり二十万ですか。
  40. 降矢敬義

    降矢政府委員 おっしゃるとおり二十万でございます。六月中になるという人間でございますので、二十万と推定されます。
  41. 島上善五郎

    島上委員 そうすると、もうちょっと完ぺきを期するためには、笹月登録するのが一番いい、こういうことになるわけですね。その毎月登録ということは、事務的に実行は非常に困難ですか、それとも可能ですか。可能ならば、私は、いっそのこと毎月登録するように改正したほうが一番いいと思うのですが。
  42. 降矢敬義

    降矢政府委員 永久選挙人名簿登録回数の問題でありますけれども、先ほど大臣もちょっとお答え申されましたが、カード化の進捗と窓口事務の一本化というものをあわせて実施されることによって、あるいはそういう可能性が生まれてくるわけでございまして、現在の段階で毎月登録というのは、事務的には全く不可能といってもよろしゅうございます。ただ、御案内のとおりに、すでに実施されております住民基本台帳法の第十五条に、「選挙人名簿登録は、住民基本台帳に記録されている者で選挙権を有するものについて行なうものとする。」という規定がございまして、この規定は、四十四年七月までには施行されるということになるわけでございます。これとの関連におきまして、その間、市町村が窓口事務の一本化及びカード化を促進いたしますれば、事務的にもそういう方向で処理できる可能性が十分あると私たちは判断しております。   〔福田(一)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  43. 島上善五郎

    島上委員 今度は、個人演説会告知用のポスターを選挙運動用のポスターと一緒に、一体化したものでよろしいという改正をされるわけですね。この選挙運動用の部分ついては、どういう内容であっても、内容に関する規制は何もないわけですね。ところが、個人演説会告知用の部分は、個人演説会告知用ですから、日時も場所も書かないものは告知ではないのですから、これはいけないわけですね。
  44. 降矢敬義

    降矢政府委員 従来の改正前の選挙法では、確かにそのようにきびしくやっております。ところが、御案内のとおり、告知用ということを厳密に解しますれば、当該告知にかかる演説会が終了したならば、そのまま放置しておくということも実は許されないわけです。ところが、選挙法におきましては、告知用として書いたものが、選挙当日までこれをそのまま掲示しておくことができるということがわざわざ規定してあるわけです。そこで、終わったものをずっとほっておいて、中身がないかっこうであるわけですから、これも厳密にいえば違反といわざるを得ないわけですけれども、今回の改正におきましては、「合わせて作成し、掲示することができる。」ということにいたしまして、そうして、いま御指摘のように、当初個人演説会の予定がつかない場合がしばしばあります。と申しますのは、御案内のとおり、二日前に選挙管理委員会に申し出て、それからやるというかっこうにいまの法律はなっておりますので、実際の運営からいたしましても、私たちのお聞きしたところでは、必ずしも厳密に守られていないという状況でありますので、当初はないままで張っておいてもよろしい、そのかわりあとで告知として、演説会としてここに記入していただけばよろしいわけです。また、半ペラだけを用意しておいて、書いたものをそこに一緒に張っていただいてけっこうです。そういう意味で、実際は各候補者に割り当てられたポスターの大きさに従って、自由なるデザインで掲示場を使っていただけば、選挙運動の公平は期せられるのではないか。実際候補者の側からいたしましても、それが実際の運動にマッチしているのではないか、こういうふうに考えましたので、そのところを「合わせて作成し、掲示することができる。」という表現で、いま先生の御質問のような、当初ブランクのまま掲示されておってもかまわない、反面、実際に演説会が終わったあとでも、当日まではそのままの状態を、個人演説会のポスターについても不問にするということで改正をしたわけでございます。
  45. 島上善五郎

    島上委員 そうすれば、ここでもっとはっきりしておきたいんですが、個人演説会告知用の部分は、日時、場所を入れないまま当初張ってもよろしい。ということは、最後まで個人演説会の告知に実際使わないでもよろしいということにもなるわけですね。たとえば、もっとはっきり伺いますが、全選挙区で張るわけですから、公営掲示場は全選挙区にわたっておるわけですから、いま個人演説会は、都会地などでは集まりがなかなか悪い、骨が折れるわりに効果が少ないというので、個人演説会をあまりやらぬ傾向が出てきておるのです。やっても重要なところで数カ所やっているだけだ。そうすると、会場と著しくかけ離れているところに個人演説会のポスターを、何月何日、どこそこで、こうやっても、この告知の効果は実際にはほとんど期待できない。会場の周辺はそういうふうに使うけれども、会場から著しく離れて、東と西の端っこのように離れているところは、何月何日、どこそこという告知の用に使っても、実際の効果があがらないという場合がしばしばある。ですから、この部分については、日時、場所を入れないで、会場がきまったとき、あとでつけ加えるということでもよろしいが、つけ加えなくてもよろしい、そういうていさいになっておれば、実際に個人演説会の告知に使わなくてもよろしいということになるわけでしょう。その点、はっきりしてください。
  46. 降矢敬義

    降矢政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  47. 島上善五郎

    島上委員 それから、参議院のポスターですね。政治活動用のいわゆる確認団体のポスターですが、いままで衆議院と若干法的に相違しておりましたものを、今度共通にする。これも私ども当然そうあるべきだと思うのですが、「候補者選挙運動のために使用することができる。」こういうふうに改正されるわけですね。これも少しはっきりしておかぬと、まぎらわしいところがあるのです。候補者選挙運動用のために使うことができるが、候補者の氏名や氏名が類推されるような文句が入ってはならぬ、こういうことです。そうなると、候補者のために使用するということは具体的にはどういうことですか。
  48. 降矢敬義

    降矢政府委員 具体的には、先般の総選挙の際の各政党のポスターに書かれたような文句が書けるということであります。たとえば、「あなたの一票〇〇党へ」「〇〇党にあなたの一票を投じて下さい」「公認候補を勝たせよ!〇〇党」というようなことが先般の総選挙における政党のポスターには書けたのです。ところが、そういうことを現行の衆議院議員選挙の際に政党のつくるポスターに書けるという表現を、選挙法は、「所属候補者選挙運動のために使用することができる。」という表現で、そういうことをいっておるわけであります。ただし、いま御指摘のように、特定の候補者の名前、あるいはそれが類推されるようなことは書いてはいかぬ、こういうことでございます。
  49. 島上善五郎

    島上委員 これもほんとうは少しおかしいのです。一つの区に二名の公認候補が立った場合には、二名の間で若干の問題があると思うのですが、大体地方区では一名ですね。全国区は大ぜい立ちますけれどもね。一名立って、あなたの一票は自民党にといえば、丹羽喬四郎さんが立っておるところは丹羽喬四郎さんなんですね。それ以外にないんです。名前を書いてはいけないというのは、名前を書いてはどこに弊害があるのですか。弊害はないですよ、何も。
  50. 降矢敬義

    降矢政府委員 これは選挙時における政党の政治活動の特例ということになっておりまして、そもそもこれは選挙運動ではないというたてまえであります。そこで、候補者間における文書というものはそれぞれ制限がございまして、要するに、自分の名前を書いて選挙民に訴えるというポスターについても制限がございまするし、したがって、それは政党公認候補者と無所属の候補者の間でバランスをとらなければなりません。したがって、選挙時における政治活動においては、特に、特定のいわゆる確認団体については特別の政治活動を認めて、その他の政治運動には認めない。その際に、なお選挙運動にわたってもよろしい。しかし、公認候補者とそうでない候補者とのバランスというものを候補者間でとらなければいけませんので、やはり名前を書いてはいかぬということにせざるを得ないわけでございます。
  51. 島上善五郎

    島上委員 大臣に最後に一つだけ質問して終わりますが、政治資金規正法についても党内の調整でだいぶ苦労されたようですけれども、その他の、いわゆる選挙運動自由化に関する改正案もまた、漏れ承るところによれば最終的にまとまっていないようですが、そんなぐあいですと、政治資金規正法もその他の選挙運動自由化も、今国会成立するということは九分九厘、あるいは一〇〇%と言ってもよろしいかと思うのですが、困難だと思うのです。答申を尊重するという大きなレールだけはあるわけですが、いろいろ議論があって、法案にまとめる際に現に苦悩しているように手数がかかっているわけですが、どうも、いままでの過程から見ると、自民党さんだけの党利党略的なにおいが非常に強いという感じがするのです。将来、こういう問題に対しては、ちゃんときちっと固めてしまう前に、他の野党ともざっくばらんに話し合うというような方法をとるべきものだと思いますが、そういう考えはありませんか。
  52. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もっとも御提案のように聞けますけれども自民党の内部で御理解を得るということでもいろいろ議論が多くて難航している状態でございます。そんな中で、また野党の方に入っていただきましても、一そう混乱するだけで、それこそ成案を得ることはなかなかむずかしかろうと思います。ですから、先ほど申しましたように——島上さんは先ほどからもう見込みがない、見込みがないとおっしゃいますけれども、私は、現時点でも、成案を得て、御審議を願って、成立を期するというつもりでおりまするので、やはり政府が提出いたしましたものを十分御審議をしていただきたい、かように考えておりますので、いまの段階で、成案を得る過程で他の政党の方々と同時にいろいろ話し合うということは、かえってこれが難航する原因になるのではないかという判断を持っている次第でございます。
  53. 島上善五郎

    島上委員 これは私の前からの持論ですけれども選挙法は、党内にもなかなかいろいろな意見があるだろうけれども、通すためにはある党の党利党略をむき出しにしたものではいけませんよ。通ることもなかなかむずかしいし、きょうはおりませんけれども、小選挙区でそれこそ当時の小沢委員長は身にしみるほどこたえているわけですから、党利党略を抜きにしてやる、もう少し高い次元でやるというのでなければなかなか改正もむずかしいのですから、そこで、党利党略を抜いた、公正な高い次元で改正をしようというのでつくったのが選挙制度審議会だが、その審議会は、いま法律はあるけれども審議会はない、こういう状況ですね。この前も伺いましたが、あれからもうしばらくたっているわけで、いまの考えとして、選挙制度審議会、第六次をいずれこれは発足させる考えであるか、もう必要ないから法律もやめてしまおう——法律がある以上はつくらなければならぬと私は解釈します。法律を廃止してやめてしまおうというお考えなのか、その点を最後に伺っておきます。
  54. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まだそこまで考えを固めておるわけではございませんので、いまの段階では、長い間かかって最終御結論を得たわけでございまするので、これをぜひ具体化して、その段階でまた次に第六次の審議会をお願いするかどうかという判断をいたしたい、かように思っております。
  55. 島上善五郎

    島上委員 そうすると、かりに第六次の審議会を発足させなければ、いまの法律を廃止しなければならぬでしょう。そうでしょう、法律がある以上は。法律がいまそこにありますから、法律を読んでごらんなさい。その法律のたてまえからすれば、法律がある以上は審議会をつくらなければならぬ。つくらないとすれば、法律を廃止しなければならない。これは間違いないですね。私はそう理解しているのです。
  56. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 審議会総理の諮問機関でございまするから、諮問があって初めて審議会というものの活動が始まることになります。ですから、ただいま申し上げましたことは、せっかく長い間かかっての御答申をいただいておまりするので、まずこれを成文化することに全力を尽くすというのがいまの段階と考えておりますし、なおその過程で次の審議会をお願いするかどうかという判断をいたしたい、かように考えております。
  57. 島上善五郎

    島上委員 法律的には、いまの法律は諮問機関であるけれども、諮問した事項、及び諮問されなくとも答申することもできるんですよ。そうなっているんです。それと、設置法という法律があるのですから、法律がある以上はつくらなければならぬ、設置しないとなれば、法律を廃止するという手続をとらなければならぬ、私はそういう解釈をしているのですよ。そうなんですよ。ところが、法律よりも問題は、もっとほかのところにあるんですよ、これはあなたも御存じだろうけれども。この二つの答申の線に沿うた改正をしなければ、この前の改正でも審議会の連中は非常に憤慨したのですから。今度資金規正法のもし骨抜き案が出されれば、小委員長に参考人に来てもらいたいと私ども考えておりますが、答申とほど遠いものだとなれば、これはもう不満。そして、二つの重要な答申が全く尊重されないという事態になりますれば、少なくともいままでの委員の大多数はごめんをこうむる。審議会を設置すること自体が——何もいままでの委員じゃなくたって、新しい委員だってできますよ。できますけれども、少なくとも従来は、特別の理由があって辞退をする者を除いては、議論の継続もありまするから、従来の委員を委嘱しておったわけで、そういう考えからすると、委員の大多数はごめんをこうむる、こういう事態に私はなると思うのです。そういう点から設置がむしろ困難ではないか、こう思うのです。いかがでしょう。
  58. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、そういうふうには考えておりません。法律はあるわけですけれども、なお、さらに総理選挙の制度に関し諮問しなければならぬと考えられる点がありました場合には、またその問題点について審議していただかなければなりませんが、そのメンバーが先般のメンバーであるかどうか、これは予期しがたいことでございます。しかしながら、私ども考えますことは、ああして長い間忙しい方々がこの問題に取り組んで、そして国民期待にこたえ、また総理の諮問の期待にこたえるということで御努力になった結果が出てまいりましたので、まずそれを法案化いたしまして、そして、審議会委員皆さんの御期待にも沿わなければならぬという考え方が先行しておるということを申し上げたまででございまして、今後の審議会をどう扱おうかということにつきましては、その過程を通じていろいろの判断が生まれてくると思いますし、その時点で考えていきたい、かように思っております。
  59. 島上善五郎

    島上委員 もう一つ、これでほんとうに最後です。あなたも、よく御承知のとおりなんですよ、御承知になっておるはずなんです。諮問した事項の三つのうち、参議院制度に関しては途中までしか検討していないのですよ。結論を出していないのですよ。ほんのもう序の口に入っただけです。三分の一か五分の一審議した程度ですね。参議院制度というのは、選挙制度の重要な事項ですからね。いわば継続審議みたいな形ですね。そういうふうに残されておるのです。それともう一つは、必ずしも諮問された事項ばかりではなく、その他選挙制度審議会が自主的に判断して答申することもできるようになっておるのです。法律を見てごらんなさい、そうなっておりますから。これだけはちゃんと。いつ発足させるかさせないかは別として。いまお答えになったことは私どもまだ釈然としないものがあるけれども、いま私が指摘したこのところだけは、大臣理解しておってもらわなければ困るのです。
  60. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 委員方々、随時お集まりになって意見を述べていただくことになっておりますと法律に書いてあります。しかし、先般答申をいただいたものですら、例の区制改正ですら、ああいう柱がはっきり出ておりますものも柱を認めるとか認めぬとか、これだけの解釈でさえなかなかたいへんでございます。それはりっぱな御意見が出てくれば、十分政府としては耳を傾けることになると思いまするけれども、しかし、やはりこの審議会の性格といたしましては、総理大臣の諮問機関である限りはこの諮問が前提となって、これが主体、それに対して答申をいただく、かように考えております。
  61. 島上善五郎

    島上委員 まだあるけれども、きょうはいいです。
  62. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 山下榮二君。
  63. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 順序を変更していただいてまことに恐縮ですが、西宮さんの御了解を得ましたので、発言をお許しいただきたいと思うのであります。  私は四つばかりお伺いをいたしたいと思うのであります。  まず第一に、大臣は、自治大臣であると同時に国家公安委員会を担当されておることは御承知のとおりであります。そこで伺いたいと思いますのは、いま日通の問題が大きく新聞に報道されております。これは脱税であり、あるいは一面汚職であり、いろいろな面から考えられるのじゃないかと思うのであります。新聞紙上報ずるところによると、政治献金もこの中から相当出ておるやに伺っておるのであります。正規の政治資金規正法に基づいて、一体日通関係からどれだけの政治献金が出されておるか、おわかりでしたらひとつ御答弁をいただきたい。
  64. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まだ事件司直の手にございますので、日通の寄付が政治献金であったかどうか、こういったことは申し上げる段階ではございません。しかし、先ほど選挙局長が御答弁いたしましたとおりに、みなそれぞれ、法人の献金いたしましたものは官報に公示されてあるわけでございます。ですから、それをお拾いになった数字が、これに間違いないかと言ってお出しいただければ、自治省のほうで調査いたしまして、これはたとえば国民協会に何月何日、日通が寄付したものでありますということは申し上げることができますけれども、いま係争中の問題につきましては、これは結果を待ちませんと軽々に申し上げることはできないと思います。   〔渡海委員長代理退席、久野委員長代理着席
  65. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 きょうは検察当局が来ておられるわけでもございませんから、この問題に対しましては、世間も相当疑惑の目で見ておることは御承知のとおりであります。したがいまして、私はこの次の機会に、この問題については、いまお話しになりましたように、官報に掲載されました政治献金等を中心にしてお尋ねをいたしたい、こう思っておりますので、ひとつ当局においてもその準備と用意をしていただきたい、このことを御注文申し上げておきます。  その次に伺いたいと思いますのは、今度の法律の一部改正については、同僚島上委員から詳細にわたってお話がございましたから、もう多くを申し上げません。沖繩の国政への参政権について、一体いかようにお考えになっておりますか。新聞紙上の報ずるところによりますと、定員だけはきめるが、オブザーバー的な資格を与える、こういうことをいっておられます。総理は過般アメリカへ行かれて、三年以内に沖繩の復帰のめどをつける、こういうことを言っておられるのでありますが、日本が進んで沖繩の国政参与の道を開くということが、沖繩復帰の一つの大きな足がかりになるのじゃなかろうか、こう考えておりますが、大臣はこれに対していかなるお考えをお持ちでしょうか。
  66. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 沖繩の住民諸君に対して潜在議席を与えるかどうかということは、前から議論があるところでありまして、いま野党皆さんからも一つの提案もあっております。しかし、私どもの判断といたしましては、潜在議席と申しましても結局現実は選挙ができないわけですから、いわゆる公職選挙法による選挙は行なえない現状のもとにあって潜在議席を割り振るということはそう多くの意味はない、私はかように考えます。ただ、御指摘の、もう施政権返還の時期になっておると判断いたします今日では、やはり国政に参加する、オブザーバーということばがいま山下さんからあったわけですが、オブザーバー的な立場でこの国会に参加していただくことは、むしろ私は国会内部の問題であって、これは国会法その他で十分検討しなければならぬ問題であると思います。  なお、念のために、先ほど資料云々といったことばがございましたけれども、たびたび申しておりますとおりに、たとえばどの政治団体、政治結社等、どの法人の関係はどうかと言われます場合には、一応質問なさる方がお調べいただいて、これは官報に出ておりますからきわめて簡単な作業でございますが、これが間違いないかとおっしゃった場合には、克明に調査いたしましてそのことの確認はいたしますけれども、ただ、全国で届け出られた政治結社並びに団体というものは一万三千六百余あるわけでございまして、全部の調査はなかなかたいへんなわけでございます。ですから、たとえば日通なら日通がどういう政治結社に献金しておるかなどという資料を出せとおっしゃいましても、実際問題としてなかなかやり切れぬわけでございます。逆に、どの政治結社はどういうところから献金を受け取っておるかという御質問であれば、官報そのものをお目にかければ済むということになりますので、願わくは、その御質問になる方は、たとえば自民党日通の関係、こういうことになれば、自民党はちゃんと届けておるわけでございますから、それをわれわれのほうで確認さしていただく、こういうふうにひとつお取り扱いを願いたいと思います。
  67. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 沖繩問題とチャンポンで御答弁になったので、ちょっと私も戸惑っておるわけなんですが、いま沖繩問題を伺っておったのですが、沖繩の国政参加の問題をもしお取り上げになるのなら、これは復帰前でも発言権と議決権をお与えになるのかどうか、その点を聞いているのであります。
  68. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 それは、先ほど申しましたとおりに国会内部の問題でございまして、オブザーバー的な立場を考えましても、なかなか議決権云々ということには至らぬと思います。いずれにいたしましても、公職選挙法による選挙は行なえませんので、やはり便宜上、現実政治に参加する機会をどういう形で与えるかということは、国会内部において解決すべき問題であると考えております。
  69. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 沖繩問題は、それではいずれ、今日の問題ではございませんから、次の機会に伺うことにいたしまして、先ほど島上委員は、政治資金規正法一体いつ出すのか、これに対してどう政府考えておるのか、こういうことをあらゆる角度からお尋ねになったのであります。その前に私は、最後に島上委員も触れられておりましたが、選挙自由化の問題について伺いたいと思うのであります。  第五次選挙制度審議会答申の中に、選挙自由化について、文書、図画の自由化、戸別訪問の自由化、第三者の演説会その他の選挙運動自由化について答申をいたしておることは、御承知のとおりであります。過般来、与党たる自民党選挙制度調査会というのですか、松野会長はいろいろ試案を発表されたようであります。ところが、その発表が政府との間に調整がうまくついていないようであります。したがって、提案が延び延びになっておる、これがその真相であろうと想像いたすのであります。しかし、私の考えることは、先ほど島上委員も話を申し上げておりましたように、選挙自由化という問題と政治資金規正法という問題は、これはいわばうらはらの問題である、片方だけを実現しても意味をなさない、両方が同時に成立をいたしまして、初めて選挙の公正な争いの体制が整う、こう申さなければならぬと思うのであります。さような関係からいたしまして、一番初めに発表された松野試案が、選挙自由化についてもだんだんあとずさりして後退してまいるようでございますが、一体選挙自由化に対して政府として今期国会にお出しになるつもりがあるのか、もしお出しになるといたしますならば、どういう点を自由化しようとされておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりに、選挙自由化するということは審議会の圧倒的な御意見でございまして、ですから、あとう限り自由化するという構想でこの成案を得べく努力はいたしておりますが、資金規正法と同じように、やはり議席を持っていらっしゃる方はもう三人三様でございまして、なかなかこれは議論がまとまらないわけでございます。特に運動方法にありましては、私どもとしては、何も自治省でこうでなければならぬという案を出すよりは、むしろこれは国会で与野党を通じて最大公約数をとればそれでいいのではないかというくらいの軽い気持ちを持っておるにもかかわらず、なかなか自民党の内部でも御意見がまとまりかねているのが実態であります。規正法にいたしましても、あるいは運動方法の改革にいたしましても、これは一党が自分の党に有利なような形で改めるべきものではないのでございまして、そういうことはもう絶対に戒めなければならぬということは、われわれは前提として考えております。ですから、運動方法自由化につきましては、私どもといたしましては、自治省として特にこうという考え方はありません。審議会も大体の方向をお示しいただいただけで、具体的なことについては何も触れておられないわけでございます。だからいろいろ議論を呼んでおるのが現状でございます。しかし、やはりできるだけ審議会の御期待に沿うように、一歩でも二歩でも自由化方向へ進まなければならぬ、かように考えて努力しておる最中でございます。
  71. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 もし自由化法案を出すとするならば、一体いつごろ国会に提出される予定であるのか、おそらくもうこの月じゅうくらいには提案をされなければ、とうてい成立の見込みはない、こう私は想像いたすのであります。さらに、これは政治資金規正法とのうらはらの関係もあって、これとのにらみ合わせも考えられなければならぬと思うのですが、ほんとうに間に合うつもりでお考えになっておるのであるか。総理がしばしば出す出すと、こう言ったから義理にでも提案だけはしなければしょうがない、こういうお考えなのか、ほんとうの腹のところをおっしゃっていただきたい。
  72. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ほんとうの腹は最初からきまっておりますので、たびたび同じことを申し上げて恐縮ですけれども、やはり一日も早く成案を得て皆さんの御審議に供したい、そうして成立を期すということが本音でございます。しかし、私自治大臣の職をお受けいたしましたときに、参議院の半数改選のときの議会というものは、私の長い経験から、山下さんも二十年も国会におられるわけですが、いつでも中途はんぱで、十分会期一ぱい落ちついた議論をした国会はなかったと私は記憶しておりますので、これはこの国会でこの大法案を出して、はたして十分御審議の時間があるだろうかということをちょっと苦慮いたしまして一言申しました感じがすぐ新聞に伝わりまして、今度の大臣提案しないつもりだといったようなことでやられたわけでございます。しかし、それはそうでなくて、私といたしましては、やはりお引き受けいたしましたからには、ぜひ私も責任を持って成案を得て、そうして皆さんといろいろな質疑応答を重ねたい、かような熱意は持っておりまするので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  73. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 いやしくも選挙法は、御承知のごとく、民主日本をつくる基礎法律であると申し上げても過言でないのであります。そうにわかづくりに荒削りでものをつくるべき問題ではない、慎重の上にも慎重の審議を重ねて、各人が、各党がそれぞれ公正な争いのできる体制の法律をつくるということが当然でなければならぬ、こう思うのであります。かような意味合いからして、私はできるだけ早急に提案されることを要望いたすのであります。  次に伺いたいと思いますのは、過般新聞を拝見いたしますると、和歌山県の裁判所で、過ぐる昨年一月総選挙の際の戸別訪問が無罪であるという裁判長の判決がございました。これは、私は選挙法のたてまえから非常に奇異に感じたのでございますが、一体この判決に対して、これは司法当局でなければ、私はあるいは解釈できにくいのじゃないかと思うのでありますが、自治大臣として、選挙法のたてまえからこれに対していかようなお考えをお持ちになっているか、伺っておきたいと思うのであります。と申し上げますのは、もしあれが大きく伝わりまして、戸別訪問は選挙法に触れないのだというようなことになってまいりますならば、まだ選挙自由化法律も出ない前に、これは今期参議院選挙を通じてもたいへんなことになるのじゃないか、こういう危惧の念を抱く一人であります。これに対しいかようなお考えであるか、お聞かせいただきたいと思います。
  74. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 選挙権というものは、国民に与えられた重要な権利の一つとして憲法が保障しておるわけでございます。それにいろいろな制約を加えるということについて、確かに議論はあります。しかし、先般の裁判所の扱い、私は新聞を見ただけで、詳細にこの判決の内容は読んでおりませんけれども、しかし、まだ最高裁の再審の段階も踏んだわけでもありません。しかし私は、選挙の公正を期するために一つの制約をつくったということ、そのものが憲法に触れるとは考えません。しかし、これは私が申し上げるよりは、最終段階の裁判所の判決を待ちたい、かように考える次第であります。
  75. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 これはあなたに申し上げるわけにはまいらないと思うのですけれども、かりそめにも、最終の最高裁の結審でないとはいいながら、第一審であるとは申しながら、こういう判決が下るということは、国民に多くの混乱を招くということは当然だと私は思うのであります。したがいまして、これも次の機会に司法当局の御出席を願い、司法当局の御解釈を伺いたい、かように考えておりますので、ひとつさようお取り計らいを願いたい、こう思うのでございます。  時間も参ったようでありますから多くは申し上げませんが、今度の選挙権登録有権者登録改正案に対しましてはもとより賛成であります。島上議員も申し上げましたように、できることなら毎月やって、一人の有権者といえども脱落することのないようにするということが理想であろう、こう考えておるのであります。そこで、これもきょう私は要求するわけじゃございませんが、昨年の九月からことしの六月までに登録されるといたしますならば、六月までの新有権者というものは一体幾らであるのか、昨年の三月から九月までの登録をされた有権者というものは幾らであるのか、何人であるのか、これを次の機会にひとつ資料として御提出を願いたい、かように考えるのであります。  また、今回のポスターの様式が変わることについて、先ほどからいろいろ質問がございました。これについてもいろいろ伺いたいことがたくさんあるわけですが、時間もないようでございますからこの次に伺いたいと思うのですが、ただ単に一言伺っておきますと、掲示板に掲示するこのポスターが、今度は演説会用を含めてポスターができる、こういうかっこうになっておるのでありますが、演説会を初めから全部書き加えてポスターだけ張るというわけにまいらないのであります。ポスターをたくさんつくって、そのたびごとにポスターを張っていったらいい、こういうことに解釈したらいいと思うのですが、どういうことになるのでしょうか。
  76. 降矢敬義

    降矢政府委員 いまおっしゃられるような方法は、まさに現行法のやっておる方法でございます。現行法は、いま先生がおっしゃったような方法で、演説会場が変わるたびごとに告知用のポスターの新しいやつを張っていくという仕組みにしておるわけでございます。だから、今度のやつもその方法は当然許されるものでございます。
  77. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それはそのまま演説会場用のやつを刷っておいて、それを張ることも許される、こういうわけですね。
  78. 降矢敬義

    降矢政府委員 そのとおりでございます。
  79. 山下榮二

    ○山下(榮)委員 それではこれで質問を終わります。いずれ残った分は、この次の機会に質問を申し上げることをひとつ御了承願っておきたいと思います。
  80. 久野忠治

    ○久野委員長代理 西宮弘君。
  81. 西宮弘

    西宮委員 非常に短い時間にまとまった——まとまったと申しますか、ごく要約した点をお尋ねしたいと思うのであります。  いま自治大臣答弁を聞いておりますと、たとえば政治資金規正法にいたしましても、あるいは自由化をねらいとする公職選挙法改正にいたしましても、現職の議員は三人三様の意見を持っておる。したがって、そのためにまとまった案を提出できないのだ、こういうお話でありますが、それではもう、いやしくも選挙に関係する法律というようなものはいつまで待っても永久に成案を得ることができない、こういうことになってしまうと思うのであります。そういう点においていろいろいままで論議がありましたので繰り返しはいたしませんが、いわば与党内の三人三様、十人十色の意見の相違から、これらの大事な法案がみな日の目を見ないということはまことに残念しごくだと思うのでありますが、その点についてどういうお考えなり感想なりを持っておられるか、あらためてお尋ねをしたいと思います。
  82. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申し上げましたことは、ほかの法案でもむずかしいものはありますけれども、特に選挙の制度あるいは資金に関するこういった法案は、世界どこの国でもすらすらと簡単に片づいたためしはないのでございまして、しかしながら、決して日の目を見ない形で葬ってしまおうということは全然考えておりませんので、早い機会に与党にも御理解を願って、一日も早く成案を得たいということをるる申し上げておる次第でございます。ですから、決してこの法案をつぶしてさよならをしてしまおうというような気持ちは毛頭ございませんので、そこのところをよく御了察をいただきたいと思います。
  83. 西宮弘

    西宮委員 政治資金規正法については非常な苦心をされていることは私どもも仄聞いたしておりますが、少なくとも、いわゆる自由化をねらいとする公職選挙法改正、これはもうおそらく、いまの時点では完全にあきらめているという状態ではないかと思うのですね。さればこそ今回、特定の問題についてだけ改正案を出してきたのでありますから、それ以外の問題については、少なくともいまの時点では断念をしているというふうに私どもは解釈するわけですが、その点はいかがですか。
  84. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 決してそういうことではございませんので、たとえば文書図画の自由化にいたしましても、いろいろ議論がございますが、一番難航いたしますのは、大体御推察のとおり戸別訪問の自由化です。審議会では最初は、もうこれは野放しでやらせるべきであるという御意見もありましたけれども、それではまた有権者方々が迷惑をなさる向きもあるだろうし、それから戸別訪問競争などということになりますと、たとえば老人の候補の方は健康上とても耐えられないだろうという御意見もありますし、ですから、答申でもやっぱり若干、時間だとか人数だとか、条件などを考えて戸別訪問の自由化をやりなさいという方向だけは出たわけでございます。  さて党内でいろいろ議論いたしてみますと甲論乙駁であって、この甲論乙駁の中にも、何も自民党にどれが有利、どれが不利ということではなくて、やはり基本的な問題についてなかなか議論が絶えません。しかしながら、私どもは、やっぱり政治資金規正法と同時に、かりにこの問題については議論が十分尽くされていなくても、国会でまたどういう御修正を受けてもけっこうですから、とにかく成案を得て提出いたしたい、かような考え方を持っておるわけでございます。
  85. 西宮弘

    西宮委員 政治資金規正法と同時に提案をし、同時に審議をしてほしい、こういうことでありますが、私もその点は全く同感であります。むしろ厳密なことばの使い方をするならば、私は政治資金規正法をまず出して、金のかからない選挙をやる、こういうことを大前提にしてその上で自由化を推進する、こういうことでなければならぬと思うのです。いわゆる自由化と称するやつが先行いたしまして、しかも金のかかる選挙規制するということが何ら行なわれていないということになると、これはもうはなはだしい弊害を生ずると思う。同時にという表現でもけっこうでありますが、厳密に言うならば、政治資金規制が先行すべきであるというふうに私は思います。  それから、いま大臣は一つの例として戸別訪問の問題を引用されましたけれども、私もこの点はかなり問題があると思うのです。なぜならば、戸別訪問というのが選挙運動の本来の姿であるかどうか、非常にその点にまず疑問があると思うのです。これは政党が政策の普及をするのだというふうに、当時中間案として発表された中にはそういう表現がありましたけれども、実際の現実は、そういう政党の政策普及員が政党の政策を普及するというようなことではなしに、全く候補者に直結をした運動員が、頼みます頼みますということで言って歩くという結果になってしまうと思うのですよ。一つの選挙区に複数の候補者が立つわけでありますから、その際に、そのいわゆる普及員なる者は政党の政策だけを論ずるというのではなしに、その選挙区内の甲を頼みます、乙の運動員は乙をよろしくということで言って歩く、こういう結果に終わってしまう。それに終始してしまうと思うのです。ですから、そういうやり方が選挙運動としてあるべき選挙運動であるかどうかということに私多大の疑問を持つので、いま大臣、戸別訪問について問題があると言われた点は、問題があるという点については私も同感であります。  いろいろお尋ねをしたい点もたくさんありますが、時間もありませんので一つだけ。  伝えられる中間案では、たとえば選挙費用をもう少し現実に合うものにしたい、こういう案もあったようであります。私は、何も選挙費用を増額しろということを言うのではありませんが、およそ世の中で、この選挙費用ほど実態と届け出その他が不一致であるという点で極端なものは、まずないのではないかというふうに考えるわけです。そこで、これは局長でけっこうでありますが、この点を何とかもう少し是正できないものであろうかどうか。たとえば一日の食費は何円である、そしてその食事を出す人数は何名である、こういうふうに規定をされているから、届け出のときには何百円掛ける何人ということで計算して届け出をする。要するに、そういうふうに法律に書いてあるからそのとおりに届け出をするということだけに終わっておって、それではもうこれは当然に選挙費用のワクの中で経理をされているという届けになっていることはもちろん当然でありますが、しかし、これは現実に必ずしも一致しておらない。というよりも、むしろかなり実態を離れておる報告がなされておると思うのですね。大体衆議院の場合に選挙費用の限度は二百五十万ぐらいが平均だといわれておるのでありますが、実際の届け出は、みんな百万台で届け出をされているわけです。それで実際にあがるというならたいへんけっこうな話だけれども、実際はそうではない。ただ法律にそう書いてあるから、その法律に書いてあるとおりに届け出をする、こういう結果に終わっておるわけですね。それではおよそ意味がないと思うのだけれども、何かもう少しこれを現実に即した届け出をさせる、したがってそういう立場で規制を加える、こういうことにもう少しうまい方法がないかどうか、知恵がないかということを痛感するのですが、どうですか。
  86. 降矢敬義

    降矢政府委員 選挙運動費用につきましては、法律に基準額をきめてあるいま御指摘の宿泊料とか、弁当料とか、茶菓料とか、あるいは労務者の一日の基本額とかいう基準額がきめてあるものと、それからもう一つは、御案内のとおり、各種の文書の制限とか、各種の運動方法の制限をして、費用の支出をある程度押えるという二つのしかけでこの運動費用の仕組みができているわけでございます。前段の基準額の改定につきましては、たとえば弁当料について、現在一食百五十円というふうになっております。これは三十七年の改正法でございますが、実際御案内のとおり駅弁でもすでに百五十円をさがすのが困難なくらいでございまして、やはりこういう実態に合わぬものはある程度直したほうがよかろうというのが先般の答申でございます。全体としてどう合理化し、どういうふうに実態に合わしていくかという御指摘と関連いたしまして報告の問題がございました。この点は昭和二十六年にも、選挙制度調査会時代にもある程度御議論になりまして、意見をまとめておられます。今般も答申で若干その点に触れられておりますが、結局当時の記録を見ましても、最終的にこの実態調査を認めるか認めないかという議論でありました。これは当時国会の各党の方々も御参加された御議論でございまして、その点が一番のポイントでありますけれども、実際問題として司法警察権に類するような権限を選管に認めることは適当でもありませんし、認めてもまた実際それを行使するだけの権限もなければ、知識もない、こういうことでございまして、御指摘のような点を現実に即するよう計らってやるためには、やはりいま定められておる基準額を改定することによって、実際要るものなら要る範囲のものをきめていかなければならないのじゃなかろうかというような気持ちで、現在答申の具体化に当たっているところでございます。
  87. 西宮弘

    西宮委員 私は必ずしも増額しろという主張をするわけではありませんが、とにかく現実離れがしておるというところに、公職選挙法というのは規定のとおりにやらなくてもけっこうなんだといったような、そういう安易な気持ちを生んでしまっている、そのとおりにやるのはよほどどうかしているのだというような、むしろそういう気持ちに関係者をさしている、こういうおそれが多分にあるわけですね。ですから、もし実際にそぐわない、即さないという点があるならば、ぜひそれを改めて、とにかくまじめにやりさえすればそのワクの中でやれるのだ、そういう法律にすべきだ、そうしてそうしたからには徹底的にそれを厳守させるべきだ、こういうことを私は強く御指摘をしたいと思うのです。  時間がありませんからこの程度にいたしますが、もう一つそれに関連をいたしましてお尋ねしたいのは、テレビの利用ですね。いまの選挙運動が、これまたきわめて時代離れがしているので、何とかもう少し活用する方法がないのかどうか。伝えられた中間案にはこの問題も取り上げておったようですが、そういう点だけでもやってほしかったと思うのですが、一言だけ答弁してください。
  88. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま一番政策でも、また選挙運動でも徹底いたしますのは、私はテレビ中心のマスコミの利用だと思うわけでございます。そのことにつきましてもずいぶん審議会で御議論がありました。いまでも政党の場合は、やはりテレビを利用しておることは皆さん承知のとおりだと思いますけれども、ただ、衆議院段階の選挙でテレビを使う場合には、たとえば電波というものはそう一つの地域に区切るわけにもいきませんので、特に関東地区また京阪神などは実際問題として利用できないということでございます。ですから、将来は、特にテレビの活用などにつきましてはもっと真剣に検討して、やはり政党本位の選挙をいたすという考え方に立てば、こういうものを活用することによって、個人がむだな活動をしなくてもいいようにという方向はたどるべきものであると私ども考えております。
  89. 西宮弘

    西宮委員 この公職選挙法に関連いたしましては、この程度に質問をとどめておきます。  一つ簡単なことでお尋ねをしますが、このビラですね。たとえば、この掲示責任者というのは両方に書かなくてはならぬことになっているのだけれども、一本にまとめて出すのなら掲示責任者は一カ所に書けばよろしい、こういうことになるのじゃないですか。
  90. 山本悟

    山本説明員 その大きさを一枚の紙でおつくりになる場合には一カ所でけっこうだと思います。ただし、今度の改正は一枚の紙にしなければならないわけではないので、二枚に切ってもよいわけですから、二枚にした場合は、図柄は一体になるけれども別に書いてもいいわけです。別に切ってあります場合はそれぞれに書いていただきたい、こういうことでございます。
  91. 西宮弘

    西宮委員 わかりました。  それでは、公職選挙法についてはそれだけにいたしまして、先ほど来問題になっておりました政治資金の問題について、時間はごくわずかですが、端的にお尋ねしたいと思います。大臣は、どういう内容にするか、あるいは時点はいつかということはけっこうでありますが、とにもかくにも、出すか出さないかということだけお答えください。
  92. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 出すという決意で、今国会審議の時間などを目測しながらいま急いでいる最中でございます。大体、党内の事情を申し上げておりませんけれども西宮さんに申し上げますと、やはり党では一応党案というものを政審を通しまして総務会へ、まだ上げておりませんけれども、近々上げるという段階ですけれども、先ほどから申しますようになかなか議論が多いと思います。多いと思いますが、出す決意はいたしておりますので、最終は政府側と党側と調整いたしまして、それで問題点を詰めて、そして早い機会に閣議決定を経て国会に提出したい、かように考えております。
  93. 西宮弘

    西宮委員 手続を経て国会に提出をしたい、こういうことでわかりました。そのつもりでわれわれも了解しておりますが、具体的に一、二お尋ねをしたいのです。たとえば、新聞等で伝えられておるように、中間案でありますが、そのうちの一つで私も非常に疑問に思い、また、おそらく国民もその点疑問に思っておると思うのでありますが、それは、前回の案に比べて今度伝えられておる中間案なるものは、いわゆる各企業体の税法上の損金算入限度までは寄付を認める、これは大臣としておとりになりますか。
  94. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いろいろな議論が飛び出しておりまして、それがそのつど新聞記事になってあらわれるものですから、あちこち批判も受けておるわけでございます。政府側としては一つの決意を持っておりますけれども、いまの段階でこれを申し上げますとまたそのことが反響を呼んで、せっかく一つの方向をたどっておる党の意見というものがまた混乱するようなことになると困りますので、いまの時点で損金算入限度までということにするかせぬかということの明言は、差し控えさせていただきたいと思います。
  95. 西宮弘

    西宮委員 そういう複雑な御事情があれば、そういうどんぴしゃりの答弁をしていただかなくてもけっこうですが、少なくとも自治大臣としてはそこまでワクを広げていく、損金算入の限度まで広げていくということは避けたい、そうすべきじゃない、こうお考えであるかどうか、個人の意見でもけっこうですから聞かしてください。
  96. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 個人の意見を申すことは差し控えたいと言ったわけですが、審議会委員の中でもいろいろ私案がありまして、中には損金算入限度額といった線をお出しになった委員の先生もあるわけでございます。しかし、二千万、一千万、五十万といったようなあの数字は、最終段階で起草委員の手に渡ってから、いままで議論もされておらなかったものが突然あらわれまして、この数字が出ましてからの審議というものは半日やるかやらぬかということでばたばたと、しかも決をとったわけではありませんし、これが最終審議会に持ち込まれましてああいう形の答申になったわけでございます。ですから、おととしの暮れから去年の夏にかけましてずいぶんありました議論は、私は全部記憶はいたしております。しかし、まとまりました形があれでございますので、私は審議会答申——政治資金規制のやり方は、私はいろいろあると思います。あるけれども、一応政府としていただいた答申でございますので、この基本線というものは尊重するという考え方に立っておるわけでございまして、いまの段階で千万、二千万で切るとか、あるいは損金算入限度額まで認めるとかいうことは、審議会審議の途中にまでさかのぼっての議論になると思いますので、特に先ほど申しました理由で、ここで私見を申し上げることはひとつごかんべん願いたいと思います。
  97. 西宮弘

    西宮委員 党内の意見を取りまとめておる最中で、その間でいろいろな決定的な意見を出すということは取りまとめにも不利だ、こういう気持ちならばその事情は私もよくわかります。ですから、それ以上追及はいたしませんけれども、少なくとも前回でさえもその点は明白にして提案をされたのですから、それがさらに大きく後退するというようなことのないように、くれぐれも御注意願いたい。  もう一つだけお尋ねをして終わりにいたします。それはこの間もかなり問題になった点でありますが、いわゆる寄付金を会費名義の場合には包括をしてよろしいのだ、こういうことになるかならぬかという点でありますが、この点もおそらく党内でも議論をされておるのだろうと思いますけれども大臣としてのお考えはどうですか。
  98. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この点につきましては、先般参議院でも私のかねて考えておりますことの一端に触れましたので、申し上げておきたいと思いますが、やはりこれにつきましては審議会答申の線を尊重いたしたい、かように私は考えております。
  99. 西宮弘

    西宮委員 それは非常におくれておるということにわれわれは不安であり、かつ内容についてもいろいろ巷間伝えられる。そういうところで、われわれも非常に一喜一憂しておる。一喜一憂よりも一憂一憂しておるかもしれませんが、そういう状態で、非常に私ども残念だと思うのでありますが、大臣は出すという決意を明確にされた、これをひとつ確認をいたします。  それから、いまの各会社等の寄付の限度を拡大するということについても、非常に明確な答弁は得られませんですけれども、私は少なくとも大臣は良識を裏切るようなことはしないだろうというふうに期待をいたしますので、ぜひその点も党内で強く主張してもらいたいと思います。  それから、その会費の扱いについてはすでに明確にしておる、こういうことでありますから、その点は安心いたしましたが、ぜひそれらの点を明確にしてほしい。こういう点をほんとうはもう少し具体的に詰めてお尋ねをしたいのでありますが、時間がありませんので、この次にさせていただきます。
  100. 久野忠治

    ○久野委員長代理 次に、伏木和雄君。
  101. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間がありませんようですから、簡単に御質問します。  いままでにも質問がありましたように、公職選挙法の一部改正という問題に関連しましては、政治資金あるいは選挙自由化等がすべて一丸となって改正されていくようにということは、国民の要望であると思います。先ほどから大臣が御答弁ございましたように、国民期待にこたえるという御答弁もありましたのであえて私はお伺いするわけですが、この永久選挙人名簿登録のみを今回出して、政治資金並びに自由化のほうをいまだに出さないということは、先ほどからの御説明によると与党の党内事情ということですが、それも一つの理由かもしれないけれども政府自身の熱意に欠けているところがあるのではないか。先ほどからの議論を聞いておりますと、昨年の特別国会において政府法案提出がおくれたときに行なわれたような議論を、再びここでやっているというような感じがいたします。これは政府みずからの政治資金に対する積極性が欠けているのではないか、こう考えるわけですが、この点について大臣からお答えをいただきたいと思います。
  102. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 たびたび申し上げますように、政府がこの法案をつくってそれがすぐ国会に出るのならいとも簡単でございますけれども、政党政治ですから、最終は責任政党である与党にはかって、与党の御了承を得たものを閣議決定するという、その段階がなかなかむずかしいのです。ですから、こういう種類の法律というものは、世界じゅうそうすらすらいったためしがないということを私は例をあげて申し上げておるわけなのです。とにかく国会もだんだん審議の日数がなくなってまいりますし、皆さんの非常にお急ぎになる気持ちはよくわかるけれども、また党としても、一日も早く成案を得たいということで努力をしておるということもひとつお認めを願いたいと思う。そういう上に立って、私としてはやはり、総理が言っておりまするとおりに、この国会に必ず成案を得て皆さんの御審議に供するという決意を持っておる次第でございます。
  103. 伏木和雄

    ○伏木委員 与党の意見がまとまらないということでありますが、国会には限りがあります。日数には限りがありまして、大詰めになった以上、いつまでも与党の意見を聞いているというわけにはいかないと思います。したがって、法案提出がいつごろであるかという点は、その成立を期しているかどうか、これが問題ではないかと思います。継続にし、あるいは流してしまうという考えであればこれは会期末でもけっこうであると思いますが、成立をさせるという大前提に立ったとなると、これはいつ出しても、会期末であってもいいというわけにはいかないと思うのです。ですから、大臣自身が今国会でこの法案成立させるつもりなのかどうか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  104. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 成立させないつもりで法案を提出するなどというふざけたことは、私としてやれるわけではございませんので、もちろん成案を得て提出いたしますというからには、成立を期するのは当然のことでございます。だからこそ、だんだん審議日数というものが減ってくるということに非常に苦慮しておるわけでございます。しかし、とにかく御審議の対象にいたしたい、かよう考えて努力しておる最中でございます。
  105. 伏木和雄

    ○伏木委員 成立をさせるということになりますと、衆議院が終わってから参議院ということになります。もう会期のほどは御承知のとおりです。そうすると、来週あたりは出さなければ、実際与党のほうの意見は調整がついたかもしれません、しかし、それでは与党の意見さえ聞けば野党の意見は聞かなくてもいいのか、これではこの政治資金規正法については野党の意見は全く無視して与党ペースで何でも持っていこう、こういうことになると思います。昨年来一年かかって与党ではだいぶ議論をしているわけです。また、前臨時国会からも半年になんなんとする日数を与党のほうではかけているわけです。それでは野党のほうの審議一体幾日ぐらい見込んでいるのか、こういう議論が出てくるのではないかと私は思うのです。そういった問題からしますと、この規正法を成立させる、しかも選挙法に関係する法律である以上、国民の合意という上に立って、与野党同じような時間をけてしかるべきではないか、私はこのように認識するのです。そういう点からいきますと、当然もう、少なくとも来週の本委員会においては提案されて、それが審議に入るという形になりませんと、たとえ成立したとしても野党の意見は全然入らずに、与党の一方的な考え方でこの法案を押し通してしまう。大臣自身がこういった点を認識されて、会期等を勘案されて成立させる、あるいは今国会提案するということを発言されているかどうか、野党に対するお考えをどういうふうに受けとめていらっしゃるか、この点をお伺いしたい。
  106. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 提案がおくれておることにつきましては、たいへん責任を感じております。しかし、国会も大幅延長はできぬと思います。しかし、御案内のとおりに、先ほど参議院の投票日はいつかというお話でございました。まだきめたということではございませんけれども、大体七月七日とお考えになっていいじゃないかと思いますということを申し上げましたけれども審議の時間は決して長くはない。国会のほうも、自分の御都合をお考えにならなければならないわけですから、しかし、事実は事実、こういう半数改選の年というものは、長い経験に照らしましても、なかなか落ちついて審議のできぬ国会でございまするので、だからこそ、先ほど私が就任いたしましたときの危惧を申し述べたわけでございます。にもかかわらず、やはりこの成案を得たものを一日も早く提出したい。そうして野党の御議論も十分承わる審議の時間を持ちたい、かように考えておるわけでございます。
  107. 伏木和雄

    ○伏木委員 七月七日の投票日を想定しますと、もう六月十二日ないし十三日ですか、参議院の告示、その事前の準備考えましても、これは当然、衆参合わせても委員会の回数は四回ほどしかありません。そうしますと、参議院で二回とっても、衆議院では二回しかとれない。これはこの次に出したとしても、そういうことになります。二十四日の次か、その次が五月一日、メーデーです。こういうことになっていきますと、これだけの大きな法案国民世論が盛り上がっておるこの重大な法案を、この委員会一回もしくは二回でもって押し切ってしまおうという大臣のお考え方自体、私はこの法案に対する認識が甘いのではないかと思うのです。少なくとも来週出さなかったら、もうこれは審議をした中に入りません。たとえ成立しても、与党の一方的な意見だけで通るということになるのは、もう決定的な問題です。そうしたぎりぎりのところまで来ても、なおかつ法案提出の予定がたたない。一体いつお出しになるつもりなのか、ひとつお伺いしておきます。
  108. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 提出の時期につきましては、たびたび同じことを申し上げて恐緒ですけれども、一日も早くということで急いでおりまして、事実、先ほど私どもの党内での進捗状況についてまでも、きょう初めて申し上げたわけでございます。ただ、私が先ほど国会にも御都合があるようだということを申しましたのは、事務当局には気の毒だけれども、日曜といわず祭日といわず、また定例日でなくても、ちゃんと御質問がありましたら私は受けるつもりでございます。だから、そうしますと、何も審議日数は三日、四日であろうはずがないのでございまして、それほどの重要法案だったら、連日夜を徹してでもやってもいいと思います。しかし、これはそうは言い条、国会でそういったことをやった例もありませんし、やれるものでもありませんので、伏木先生は、いつものような調子でやったとしたら日数がないという御計算であろうと思うのです。しかし、やはりこれは、われわれのほうでも一日も早くと思って努力しておることはひとつ認めていただきませんと、大体政党政治というものはこういうものだと私ども思うわけでございますので、いましばらくのごしんぼうをお願いいたしたいわけでございます。
  109. 伏木和雄

    ○伏木委員 いま大臣の勇ましい御答弁をいただいたわけですが、提出した以上は土曜、日曜にかかわらず、連日連夜審議をするそうですから、時期の点についてはこのくらいにしておきたいと思います。  そこで、先ほどもちょっと質問がありましたが、提出がおくれている理由に、与党の意見調整ということの答弁がたびたびありましたが、先月の月末に、自民党選挙調査会においては調査会の案がまとまったということを、私は新聞で報道を受けておりますが、それでは、その後、その調査会の案がどういう形で進められているか、自来その案と自治省の案、大臣のほうとの折衝があるのか、あるいはもっと自民党の上部機関を経てから自治省当局へ持ち込まれるのか、実際その後、調査会の案が出た以後の作業が進められているのかどうか、大臣はこの点はおわかりだと思いますので、その点を承りたいのですが……。
  110. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 言うまでもなく、議院内閣制ですから、政府与党というのが一体であるわけであります。これは伏木先生御承知のとおりでございます。そこで、与党がぐずぐずしておったって政府提案すればいいじゃないかというわけにいきません、この問題だけは。ですから、やはりわれわれといたしましては、よく党でもこの問題について御理解を願って、少しは党でも御検討を願って結論が出ました場合には、さらに政府との間でこれを調整して、最終閣議できめたものを成案として出すわけでございますので、その点はひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。
  111. 伏木和雄

    ○伏木委員 私が聞いている点は、自民党の調査会でもって成案ができている、その後自治省当局とその案を持って検討に入っているのか、あるいは与党の上部機関を経て、その後に自治省との折衝に入るのかという点を承っておきたい。ということは、先月末に調査会の案ができてから十数日、二週間以上経過しているわけです。これほど会期も迫られ、しかも一日も早く提案を急いでいる法案が、その後どういうふうに当局との折衝が重ねられているのか、実際空白になっているような印象を受けるわけです。
  112. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 空白ではありませんので、われわれのほうではとにかく日々進行しているわけでございます。しかし、これが議員提案ならいとも簡単ですけれども政府提案で出す法律でございますので、やはり党でもまだ最終的にきまっておりません。きまりかかっている——何と申しますか、もうきまる段階まで来ておりますけれども、それがきまりましたあとで、政府提案するについて今度は与党側と十分折衝をする。それを経た上で閣議決定になる、こういう経過であります。
  113. 伏木和雄

    ○伏木委員 もうこれについては、政党政治であるということは十分理解した上で私どもは申し上げているわけなんです。いかに政党政治だからといっても、自治省自体の見解というものも、はっきりした見解を持っていなくてはならぬと思います。その上で調査のつかない点は、自治省独自で提案をして、あと委員会で修正するなり、どういうふうにでも議会のほうでできるわけです。ですから、その点は政府自身がもっと自主性を持っていかなくてはならぬと思います。それでないと、いつまでたっても結論が出ない、ただいたずらに日にちが過ぎていってしまうというように考えられますので、この点は重ねて申し上げておきたいと思います。  それで、調査会の意見が出てから、非公式でありますかどうですか、自治省との折衝に入ったというようなことも聞いております。自民党調査会のほうでできましたところの成案、これに対して自治大臣の見解の異なっている点が報道されておりますが、それは先ほど大臣自身が、私の私見でございますがと言って損金算入の問題——二千万円の限度額を損金算入限度にしようという調査会の案に対して、大臣が反対をしているというように聞いております。たまたま先ほどの答弁によりますと、審議会において損金算入限度額に対する異論が出てがたがたしたけれども、最終的に二千万円という案が出て、これですんなりとまとまった。したがって、審議会の当時の論に戻す必要はないという先ほどの大臣の御答弁だったわけです。これほどはっきりとこの問題については見解をお述べになっているわけです。それでは、審議会でいうところの会費も寄付とみなすべきであるという答申と、会費はこれは別として公開するものでなくともよろしいという調査会の案に対して食い違いがある。この点については、法人からの会費は寄付とみなすかみなさないかという、大臣自身のお考えはどうなんでしょうか。
  114. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申し上げましたが、いまの伏木さんの御質疑の中で、損金算入限度額は、私は私見として、認めないなどということは決して申し上げておりません。これもやはり党では議論の対象になっております。その一部が新聞紙に伝えられた。私の私見を申し述べた記憶はございます。それも新聞に取り上げられたようでございますけれども、それは議論の過程でいろんなことが出たということでございますので、そういうことに御了解をお願いいたしたい。これは与党案がまとまりました段階で、政府との最終調整できまることでございます。  それから、いま一つの、会費を寄付とみなす、これはまだ、私の承知いたします範囲では、党の委員会の段階では、これまた未決定と私は承知いたしております。しかし、これにつきましては、先ほど申しましたとおりに、先般も参議院で御質問がありました際に、これに対する私の考え方ということを、これについてだけは申し上げた、そのことをさっき御説明した次第でございます。
  115. 伏木和雄

    ○伏木委員 それでは、あと二つ、重要な点です。  一つは、派閥に対する別ワクということが非常に議論の対象になっておるようですが、政党に対する献金同額を別ワクで派閥に対しては献金とする。  もう一点は、国あるいは地方公共企業体の請負契約、これを請負総額の二分の一までの会社の寄付は認めるというような大幅な骨抜きが論じられているようでございますけれども、こうした審議会答申から大幅に後退していくこれらの案については、どういうお考えであるか。
  116. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まだ、そういったことも確かに党内で議論にはなっております。しかし、これも最終きまったわけではございませんので、いまの段階では、これについての私の意見を申し述べることは差し控えたいと思います。しかしながら、全体として、伏木さんもたびたび御質問いただくわけですけれども国会は国権の最高機関で、はっきり憲法が立場を認めておるわけでございますから、審議会も、案件が案件だからこういう答申が行なわれまして、また、国民の一部は支持しておられます。おられますけれども、これはもう、政治の仕組みとして、最終には国会が意思決定をすることは言うまでもないことでございます。ところが、その意思決定にあたりましては、現実と遊離したいかな答申が行なわれましても、なかなかそれは具体化することはむずかしいと私は判断する。にもかかわらず、やっぱり国民期待というものもありますし、それにどういう形で沿うかということについて、政府自体、また党自体も苦慮しておるのが事実でございます。ですから、骨、骨とおっしゃるけれども、まあ審議会ではいろいろな数字などを並べられておりますが、数字が一つ変わったから骨が抜けたなどという、そういうお考えのもとでは、これほど大事な法案を早く出せ、早く通せとおっしゃってもなかなか無理がいく。やっぱり現実は現実でございますので、それを踏まえて、そうして前進するという形でお考えいただきませんと、いまのような御質疑で追い詰められましても、何ともお答えのしようがないので、何とぞひとつお許しをいただきたいと思います。
  117. 伏木和雄

    ○伏木委員 規正法ですから、数字が変わるということは、規制がゆるめられるということで、これは大事な骨だと思います。われわれが、このようにして早く提出、そうして十分な審議と言う理由は、もう昨年からこの法案は、時がたてばたつほど、日にちがたてばたつほどゆるめられていく、こういう現状でないかと思います。特別国会において総理は、小骨一本抜かないで早く出すと言っておきながら、やはり会期ぎりぎりに提出しております。それでついに廃案。それから、臨時国会においては、審議する期間が短いから出せないんだ、来年の通常国会において十分審議ができるように、時間をかけてできるように提出いたします、こういう答弁をしておきながら、また再び会期末ぎりぎりまで引っぱってきて、しかも、その日数をかけている間にどんどん形が変えられまして、いま与党の調査会で議論をしているこの改正案を見ますと、私は、これはにじのようなものじゃないか、こう思います。国民の前に、こういう政治資金規正法改正法を提出いたします、こんなりっぱなものができました、あたかもにじのように見せかけて、にじの中へ入ってみれば何にも見えなかった、どの色も見えなかったというような改正案になりかねない、これが国民の危惧するところだと思います。したがって、どうかこの規正法の意図するところを十分了解された上で、この改正案提出に踏み切っていただきたい。要望いたしておきます。  次に、名簿の点について若干伺っておきますが、三月一日の名簿登録のときに、新有権者が百万、それに対して四十万の未登録者が出た、こういうことから考えまして、これはただ単に回数をふやすのみで解決できない問題ではないか。現に登録できる資格がありながら、四十万人、約四割が登録しなかったという事実から見まして、これは回数だけの問題ではない、何かほかに原因がある、私はこのように理解するのですが、これは局長でよろしいのですが、何が一番問題になってこの四十万という人が登録しなかったか。
  118. 降矢敬義

    降矢政府委員 何が原因かという確たることはなかなかつかみがたいわけでありまして、われわれとしても、三月はもともときまっておる登録時期でございますので、十分PRもいたしたつもりであります。しかし、また同時に、三月の卒業期というようなものもありまして、新有権者にとりましては、就職というようなことで移動の問題も多分にあったろうと推測いたしております。まあ調べてみないと、どういう原因でこうなったのかということは、確たることは申し上げられませんが、いま申し上げたようなことも、私の考えとしては、一つの原因としてあったんじゃなかろうかと思います。
  119. 伏木和雄

    ○伏木委員 これは十分事情を調査していただきたいと思います。実際登録にあたって、日曜日ではだめだとか、あるいは勤務外ではだめだ——当然職員の勤務ということも理解できますが、何らかの便宜を与えるべきではないか。たとえば日数を区切って、このときは時間外でも受け付けるとか、あるいは昨年自治省が総選挙の前には指示したそうですか、団地等においては出張所をつけるとかいうような、何らかの対策を立てて、そうして全有権者登録できるように考えなくては、たとえ六月一日をやったとしても、またここに数十万人の未登録者ができるんじゃないかということが考えられるわけですが、前回四十万の未登録者を出したことについて、六月一日に対しての何らかの対策は自治省としてお持ちになっているかどうか。
  120. 降矢敬義

    降矢政府委員 いま申されましたような団地における問題は不在者投票の問題でありまして、当時の事情から特別に配慮したわけでございます。  選挙人名簿登録の問題は、住民基本台帳の窓口一本化というものとあわせて、少なくとも世帯主が届け出をやることができるようなことをやりましたし、またこのこと自体は普通の行政事務でありまして、申し出ればいつでも受け付けることになっておるわけであります。ただ、PRといたしましては、特に三月期、九月期の年二回しかございませんでしたのを今回は新しく加えようとしておりますので、特にこの機会をとらえてPRを徹底するわけでございまして、住民基本台帳と一本化して行政事務を処理するという体制におきましては、住民の把握ということは、普通のルーティンーワーク的な行政事務でありますこのルートにのせて、十分に登録を励行していくことができるようにしていくのが一番筋ではなかろうか、これは結局長いことでありますので、そのときそのときの特別の方策を講じてやっていくべき問題ではなかろうかと思っております。ただ、今度登録を新しい機会に追加するものですから、そのためには十分にPRもいたしまして、この趣旨を徹底して、できるだけ御趣旨に沿うような方向で努力してまいりたい、こう思っております。
  121. 伏木和雄

    ○伏木委員 最後に一つお伺いしますが、選挙法が非常に複雑なために、こうした登録自体にたくさんの登録漏れができる、その上さらに今度は、登録できなかった人、新有権者のみでなくして、住居が変わった人あるいは出かせぎ、季節労務者等が投票を実際に行なう場合、不在者投票が非常にむずかしいという点があるわけです。今回も、四月に移動をした人、これは不在者投票にたよる以外にないわけです。三月の末から四月、五月という期間は、就職の時期あるいは転勤の時期、こういうものが一年間において一番大きな時期になっているわけです。その転勤等によって移動した人たちが、全部不在者投票を行なわなくてはならない。実際不在者投票というものは、昨年の東京都の選管の調査によりますと、非常に少なくなっております。たとえば千代田区では都外に転出した者が三千、そのうち不在者投票をやった者が五十二名という事態になっております。あるいは中央区では三千八百のうちたった三十名、世田谷が一万九千ののうち六百二十一名、非常に少ない数しか不在者投票をやっておりません。こうしたことから見ますと、登録自体に脱漏者が出る、しかも不在者投票の機構が非常にむずかしいということで、選挙において、権利を有しながら、法律がやかましいために、実際その権利を行使できないという状況にあるのではないかと思います。こうした点について、いかなる人でも、どんな状態の人でも公平に投票ができるように、しやすいようにということを、この法律改正にあたって考えていかなくてはならないと思います。こうした複雑な投票に関する選挙法のむずかしさに対して、局長並びに大臣の見解を承っておきたいと思います。
  122. 降矢敬義

    降矢政府委員 不在者投票の手続がむずかしいというのは、仰せのとおりかもしれません。不在者投票には二つありまして、自分が載っておる名簿の所在地の市町村にその機会に出かけていけば、投票日以外にすぐそこでできるわけであります。それができるというのは、要するにその人間が有権者であるということが、その市町村の選挙管理委員会名簿に載っておることによって確認ができるわけです。しかし、いま御指摘のように、ここの名簿に載っておりますけれども、たまたま住所移転して、国会議員の選挙だけはできるのだ、こういう人につきましては、その新しい市町村にはこの人が有権者かどうかの認定をするすべがないのです。したがって、そちらに照会をして、この人間が有権者でありますということと同時に、そこから投票用紙をもらってこの選管に出す、こういう手続しかとりようがないわけです。したがって、いま御指摘のように、四月に住所を移した人は、三月まで住んでおった市町村に行ってみずからやるか、あるいは新しく移した市町村に行って、その市町村の選管を通じて、もとの市町村に自分有権者であるという確認を求めてやるかしか方法がないわけなんです。したがって、いまむずかしい、むずかしいといわれますけれども、この方法をどうして解決するかということは、現在の考えの仕組みの中では解決しようがございません。したがって、遠隔地に住所を移した人で、その市町村の名簿に載らない人については、いまの方法しかどうしてもしようがないと私たち考えておまりす。どうしても、幾ら考えても、選挙人であるということを確認する方法はそれしか考えられません。それ以外にはないように思います。
  123. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま局長の申しましたとおりでございまして、選挙の投票権行使ということは厳密にやりませんと、間違いが起こりましたあとでは、ほぞをかんでも間に合わぬことになりますので、勢い多少めんどうな手続を踏んでいただかなければならぬと考えます。
  124. 伏木和雄

    ○伏木委員 以上で終わります。
  125. 久野忠治

    ○久野委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  126. 久野忠治

    ○久野委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  127. 久野忠治

    ○久野委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 久野忠治

    ○久野委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  129. 久野忠治

    ○久野委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会