運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-02-28 第58回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十八日(水曜日)    午後零時四十分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 久野 忠治君 理事 四宮 久吉君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 島上善五郎君 理事 西宮  弘君    理事 岡沢 完治君       奧野 誠亮君    高橋 英吉君       永山 忠則君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    阿部 昭吾君       山下 榮二君    伏木 和雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省選挙局長 降矢 敬義君  委員外出席者         議     員 篠田 弘作君         議     員 島上善五郎君         議     員 岡沢 完治君         議     員 斎藤  実君     ————————————— 二月一日  委員山手滿男君辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 二月十四日  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三三  号) 同月二日  政治資金規正法の一部改正に関する請願(粟山  秀君紹介)(第八六号) 同月十三日  小選挙制反対に関する請願華山親義君紹  介)(第五六一号) 政治資金規制に関する請願小川三男紹介)  (第五七四号)  同(大柴滋夫紹介)(第五七五号)  同(島上善五郎紹介)(第五七六号)  同(長谷川正三紹介)(第五七七号)  同(帆足計紹介)(第五七八号)  同(柳田秀一紹介)(第五七九号)  同(鈴木一紹介)(第六二一号)  同(永末英一紹介)(第六二二号)  同(本島百合子紹介)(第六二三号)  同(井手以誠君紹介)(第六三六号)  同(加藤勘十君紹介)(第六三七号)  同(河上民雄紹介)(第六三八号)  同外四件(依田圭五君紹介)(第六三九号)  同(麻生良方紹介)(第七二三号)  同(江田三郎紹介)(第七二四号)  同(黒田寿男紹介)(第七二五号)  同(河野密紹介)(第七二六号)  同(佐々木更三君紹介)(第七二七号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第七二八号)  同(島本虎三紹介)(第七二九号)  同(三宅正一紹介)(第七三〇号)  同(山内広紹介)(第七三一号)  同外二件(山花秀雄紹介)(第七三二号)  同(山本政弘紹介)(第七三三号)  同(吉田之久君紹介)(第七三四号) 同月十六日  政治資金規制に関する請願佐野進紹介)(  第七九四号)  同(松本善明紹介)(第七九五号)  同(広沢賢一紹介)(第一一〇七号) 同月十九日  政治資金規制に関する請願(稻村隆一君紹介)  (第一一三七号)  同(門司亮紹介)(第一一三八号)  同(穗積七郎紹介)(第一一九九号) 同月二十二日  政治資金規制に関する請願外一件(武部文君紹  介)(第二二八四号)  同(浅井美幸紹介)(第一四四〇号)  同(有島重武君紹介)(第一四四一号)  同(伊藤惣助丸君紹介)(第一四四二号)  同(石田幸四郎紹介)(第一四四三号)  同(小川新一郎紹介)(第一四四四号)  同外一件(大野潔紹介)(第一四四五号)  同(大橋敏雄紹介)(第一四四六号)  同(近江巳記夫紹介)(第一四四七号)  同(岡本冨夫紹介)(第一四四八号)  同(沖本泰幸紹介)(第一四四九号)  同(北側義一紹介)(第一四五〇号)  同(小濱新次紹介)(第一四五一号)  同(斎藤実紹介)(第一四五二号)  同(鈴切康雄紹介)(第一四五三号)  同(田中昭二紹介)(第一四五四号)  同(竹入義勝君紹介)(第一四五五号)  同(中野明紹介)(第一四五六号)  同(樋上新一紹介)(第一四五七号)  同(広沢直樹紹介)(第一四五八号)  同(伏木和雄紹介)(第一四五九号)  同(松本忠助紹介)(第一四六〇号)  同(矢野絢也君紹介)(第一四六一号)  同(山田太郎紹介)(第一四六二号)  同(渡部一郎紹介)(第一四六三号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三三  号)  公職選挙法の一部を改正する法律案篠田弘作  君外四名提出、第五十五回国会衆法第二九号)  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正す  る法律案島上善五郎君外二名提出、第五十七  回国会衆法第三号)  公職選挙法改正に関する件      ————◇—————
  2. 小澤佐重喜

    小澤委員長 これより会議を開きます。  この際、細田自治政務次官から発言を求められております。これを許します。細田君。
  3. 細田吉藏

    細田政府委員 昨年十一月末、はからずも自治政務次官を拝命いたしました細田でございます。  至ってふなれでございますし、未熟のものでございますが、一生懸命やりたいと思います。本委員会の諸先輩の御指導をよろしくお願い申し上げます。  たいへんごあいさつがおくれておりまして、申しわけございません。どうもありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  4. 小澤佐重喜

    小澤委員長 去る十四日、当委員会付託になりました内閣提出国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案、去る一月三十日付託になりました篠田弘作君外四名提出公職選挙法の一部を改正する法律案、並びに島上善五郎君外二名提出政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  5. 小澤佐重喜

    小澤委員長 内閣提出国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案について、政府から趣旨説明を求めます。赤澤自治大臣
  6. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨説明申し上げます。  この改正法案は、国会議員選挙等執行について、国が負担する経費地方公共団体に交付するものの現行基準実情に即さないものになりましたので、今回これに所要改定を加えようとするものであります。すなわち、最近における公務員給与改定賃金変動旅客運賃郵便料金改正及び選挙事務執行実情等にかんがみまして、執行経費基準改正し、もって国会議員選挙等執行に遺憾のないようにしたいと存ずるものであります。  次に、この法律案による改正内容についてその概要説明申し上げます。  第一は、最近における公務員給与改定等に伴い超過勤務手当積算単価実情に即するよう引き上げ、投票所経費開票所経費等基準額改定しようとするものであります。  第二には、最近における賃金変動に伴い、人夫賃等単価実情に即するよう引き上げ、投票所経費開票所経費等基準額改定しようとするものであります。  第三には、投票管理者開票管理者投票立ち会い人開票立ち会い人等費用弁償額実情に即するよう引き上げようとするものであります。  第四には、旅客運賃郵便料金等改正に伴い、旅費、通信費及び燃料費積算単価実情に即するよう引き上げ、関係基準額改正しようとするものであります。  第五には、開票事務執行実情にかんがみまして、経費積算の基礎となる開票時間を延長し、関係基準額改定しようとするものであります。  以上が、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次に、篠田弘作君外四名提出公職選挙法の一部を改正する法律案について、提出者から趣旨説明を求めます。篠田弘作君。
  8. 篠田弘作

    篠田議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由とその内容概略を御説明申し上げます。  日本国憲法は、主権在民の思想に基づき、民主主義の原理に立脚して、地方自治理念を高く掲げ、地方公共団体議員はもとより、その長について、住民が直接これを選挙する住民自治制度を採用いたしているのであります。  これにのっとり、日本国憲法施行と同時に、地方自治法施行され、地方公共団体の長は、選挙人投票によりこれを選挙し、その任期を四年とする制度が確立されたのであります。  御承知のとおり、都道府県知事選挙は、新憲法施行に先んじて、昭和二十二年四月に行なわれ、自来今日に至っておるのでありますが、その現実を見ますると、連続して五回当選知事五人、四回当選知事五人、三回当選知事十三人でありまして、四十六都道府県知事のうち、まず本法案対象となる三選以上の知事は、二十三人となるのであります。これらの方々地方自治伸展のために、日夜その努力を傾倒せられていることに対しましては、深く敬意を表するものであります。  従来知事多選制度については、その利害得失が種々論議されてきているのであります。その利点としては、特に、一貫した長期計画に基づく重要施策実施、あるいは複雑専門化している地方行政に精通することによって能率的行政が期待される等のことが述べられているのであります。しかしながら、他面において、新憲法制定当初より危惧されておりました知事長期在職に伴う重大な弊害があらわれていることも事実でありまして、私は一々ここにその具体的な事例をあげることを省略いたしますが、多くの問題が各方面において惹起されていることも事実であります。  本来民主主義は、その歴史的沿革から見ますれば、その基本理念において、長期にわたり行政執行権がひとり占めされ、それがさらに強大化されるようになることとは、本質的に相いれない観念でありまして、同一人が長期知事の職にあり、その地位の保有期間が長ければ長いほど、制度的必然的に、行政執行権がひとり占めされ、その強大化の危険を内包するに至り、民主主義の本質に相反する傾向を生ずるのは免れ得ないところであります。アメリカをはじめとし諸外国におきまして大統領あるいは知事の再選、三選等禁止しておりますのは、まさにこのような趣旨からなされているものと思うのであります。  また、知事長期在職は、一面におきまして制度的に種々の弊害を内包し、地方自治伸展を妨げ、他面におきましては、行政権力がますます選挙と密着することにより、選挙選挙民の自由に表明せる意思によって、公明かつ適正に行なわれることを確保する憲法及び選挙法趣旨に沿わない結果となると考えるのであります。  以上の基本的な考え方の上に立ち、知事在職長期化に伴って、その弊害は必然的に制度自体に内包するに至るという観念から、私どもは、一般的制度的に法律をもって知事多選禁止しようとするのでありまして、このことこそ、地方自治の本旨に沿い、かつ、選挙公正確保趣旨にも沿うのみならず、憲法が掲げる公共の福祉の要請にこたえるゆえんであると確信するものであります。  なお、禁止の限界を四選に置きましたのは、以上の趣旨にかんがみ、立法政策上、四選以上を禁止することが妥当であると考えたからであります。  また、知事のみを対象とし、内閣総理大臣国会議員あるいは市町村長、特に六大市長等について何らの制約を加えないのは不公平ではないか、という議論もあろうかと思うのでありますが、内閣総理大臣につきましては、御承知のように、憲法議院内閣制のたてまえをとり、国会指名に基づいて国会議員から選ばれることとなっておるのでありますから、知事同一に論ずることはできないと考えます。また、国会議員は、議決機関構成員でありまして、合議体でない独任制機関である知事とは全く性質を異にするのであります。六大市長その他市町村長につきましては、知事とは行政執行面におきましてその権限等も異にし、その影響力も大いに相違するものと考えますので、現時点におきましては、特に弊害があると認められる知事についてのみ、その禁止措置を講じようとするものであります。  なお、これが提案に至りました過程におきましては、問題の重要性にかんがみ、数年にわたりたびたび会合を重ね、その間、学者、評論家知事経験者報道関係者等意見を聴取し、慎重に検討を加えてまいりましたことをつけ加えておきたいと思います。  次に、法律案内容の大綱につきまして、御説明申し上げます。  現行公職選挙法第八十七条の次に第八十七条の二として新たに一条を加え、「引き続き三期にわたつて一の都道府県知事の職に在る者又は在つた者は、当該都道府県の次の期の知事選挙における候補者となることができない。」と規定し、連続四期目の当該都道府県知事選挙に立候補することを禁止することといたしたのであります。これに伴って公職選挙法第六十八条第二号を改正して、立候補禁止知事氏名を記載した投票は無効とすることとし、なお第八十六条中立候補届け出につき所要改正をすることといたしました。  その他以上の改正に伴い、この法律施行の日に、すでに四期以上知事の職にある者に対しては、所要経過措置を講ずることといたしました。  なお、この法律は、諸般の事情を考慮して、この法律公布の日から施行することといたした次第であります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次に、島上善五郎君外二名提出政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、提出者から趣旨説明を求めます。島上善五郎君。
  10. 島上善五郎

    島上議員 ただいま議題となりました政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、私は日本社会党民主社会党及び公明党を代表し、提案理由とその内容概略を御説明申し上げます。  政府は、選挙制度審議会に対し、選挙区制その他選挙制度根本的改善の方策について諮問しておりましたが、同審議会は、昨年四月七日、当時の政治情勢にかんがみ当面緊急に措置することを要する事項として、政治資金規正及び連座制強化等中心とした「政治資金規正等改善に関する件」について、政府答申をいたしました。  政府は、答申を受けた場合これを尊重し、勇断をもって実行することを再三にわたり公約してきたのでありますが、自由民主党との意見調整に名をかり、政府案作成段階で重要な数点に変更を加え、総選挙後の第五十五特別国会提出したのであります。しかるに、その骨抜きの政府提案すら廃案にしてしまったのであります。緊急に措置すべき事項としての答申であり、国民早期成立を期待していたものでありますから、当然次の第五十六臨時国会に再提出されるべきものと考えましたが、その提出も見られず、日本社会党民主社会党公明党の三党共同提案として、答申に沿うた改正案提出したのに自民党はそれをも廃案にしてしまったのであります。  その後、タクシー汚職事件勃発等によって、政治資金規正法改正が一そう必要となっているのに政府は第五十七臨時国会にも提出せず、最近伝えられるところによれば、さきの政府案よりもさらに大きく後退した案を今国会半ばに提出する模様なので、ここに日本社会党民主社会党及び公明党は、三たび三党共同提案として本案提出するに至った次第であります。  次に、この法律案内容について、御説明申し上げます。  まず、政治資金規正法改正についてであります。  第一に、政治資金寄付制限について御説明いたします。  まず、寄付の総額につきましては、個人のする寄付にあっては最高額を一千万円とし、会社その他の団体のする寄付にあっては最高額二千万円、最低額五十万円の範囲内において、それぞれ団体規模に応じて制限を加えることといたしました。この場合、会社のする寄付につきましては資本金のほか収益をも基準とし、労働組合等のする寄付につきましてはその組合員数に応じて十段階に区別して制限することとし、その他の団体のする寄付についてはその規模等を表示する尺度を求めることがきわめて困難であるため、一律に前年の支出額の十分の三に相当する額を限度とすることとしたのであります。また、制限額範囲内において寄付をする場合には、政党及び政治資金団体に対する寄付については制限を設けないこととし、それ以外の政治団体または個人に対する政治資金寄付については、同一の者に対し、年間五十万円をこえてはならないことといたしました。  次に、国または公共企業体請負契約関係にある者及び日本開発銀行等政府関係金融機関から融資を受けている中小企業以外の会社のする寄付につきましては、前の政府案では請負契約額融資額の比重が低いものを除外していましたが、本案では一律に一般の場合の二分の一に制限することといたしました。また、国から補助金等給付金の交付を受け、または資本金等の出資を受けているいわゆる特定会社その他の特定法人のする寄付につきましてもこれを禁止することといたしましたが、これらの場合において国との関係のない地方公共団体の議会の議員または長の候補者等に対してする寄付については適用を除外することといたしております。  なお、地方公共団体請負契約関係にある者、地方公共団体から補助金等給付金を受けている会社その他の法人等のする寄付についても、国の場合に準じて、制限ないし禁止することといたしました。  らさに欠損を生じた会社のする寄付、匿名及び他人名義寄付並びに外国人等のする寄付につきましても禁止することといたしました。  以上の政治資金寄付制限と関連して、その違反者に対する所要罰則規定を設けることといたしております。  第二に、政治団体届け出並びに収支報告及びその公表等についてであります。  すなわち、政治団体届け出があったときは、その内容を公表して、これを国民に周知することとするほか、会計帳簿及び収支報告書に記載すべき内容等について改善合理化を加え、政治資金公開趣旨を徹底することといたしました。  第三に、政党等の定義についてであります。  今回の改正によりまして、政治資金寄付に関しましては一定の制限が加えられることとなり、かつ、政党本位政治活動の推進をはかるため、政党に対する寄付政党以外の政治団体に対する寄付を区別して制限することになりますので、政党政党以外の政治団体との区別を明確に規定することといたしました。  また、政党中心資金調達を容易にするため、各政党について一の団体を限って政治資金団体を設けることを認め、これに対する政治資金寄付については、政党と同様の取り扱いをすることといたしました。  このほか、党費会費及び政治活動に関する寄付等についても、その内容を明確にして、規制合理化をはかることといたしております。  以上申しあげましたほか、これらの改正に伴いまして、個人寄付政党または政治資金団体に対してした場合には、その寄付金について課税上の優遇措置を講ずるとともに、その他必要な関係規定の整備を行なうことといたしております。この場合、法人寄付金については、課税上の優遇措置の必要はないものといたしました。  次に、公職選挙法改正について申し上げます。  第一は、公職候補者等寄付規制についてであります。すなわち、公職候補者等選挙区内にある者に対してする寄付は、政党その他の政治団体または親族に対してする場合を除き、全面的に禁止することとしたほか、公職候補者等がその役職員または構成員である会社その他の団体がこれらの者の氏名を表示しまたはこれらの者の氏名が類推されるような方法でする寄付についても、政党その他の政治団体に対してする場合を除き、一切禁止することといたしました。また、後援団体のする寄付等についてはこれを禁止するとともに、後援団体以外の団体特定公職候補者等を推薦しまたは支持するものについても、後援団体に関する制限に準じて制限を設けることといたしました。前の政府案においては、公職候補者等がもっぱら政治上の主義または施策を普及するために行なう講習会等において必要やむを得ない実費の補償を認めることになっていましたが、これは答申を逸脱しざる法化するおそれがありますので禁止することといたしました。  第二は、連座制度についてであります。いわゆる連座制につきましては、選挙運動の実態にかんがみ、数個に分けられた選挙区の地域における選挙運動、または多数の選挙人が属する職域、または組織を通じて行なう選挙運動を主宰した者をも連座対象者範囲に含めるとともに、公職候補者または総括主宰者等意思を通じて選挙運動をした公職候補者父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者と同居の有無にかかわらず、連座対象者範囲に含めることとし、同房している父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者意思を通じているものと推定することといたしました。  また、選挙犯罪を犯し罰金の刑に処せられた者については、当該選挙犯罪がきわめて軽微なものである場合を除き、裁判所が情状により公民権を停止しない旨を宣告することができる制度を廃止することといたしました。  その他、昨年実施された永久選挙人名簿制度の運用上の欠陥にかんがみ、選挙人名簿登録回数を増加する等、その合理化をはかることといたしました。  また、答申の重要な眼目である本法施行後五年を目途として政治資金はすべて個人寄付及び党費または会費によることを実現するための原則を確立いたしております。  なお、実施時期は、選挙人名簿登録回数増加改正については昭和四十三年六月一日とし、その他の改正昭和四十三年四月一日とすることといたしました。  以上がこの法律案要旨であります。この法律早期成立国民至上命令ともいうべき強い要請であることに思いをいたし、かつ第五十五特別国会以来相当審議された事実にかんがみ、すみやかに審議を進められ、御可決あらんことを望みます。
  11. 小澤佐重喜

    小澤委員長 以上で三案の趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  12. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次に、公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡沢完治君。
  13. 岡沢完治

    岡沢委員 政府提出を予定されております政治資金規正法改正案、ただいまの島上委員野党のとは違った政府公約改正案提出時期だけにしぼって御質問いたしたいと思います。  佐藤総理は、二月二十四日の予算委員会におきまして、野党委員の質問に対しまして、ただいま申し上げました法律案について今月中に提出したいというお答えをなされました。ところで、きのう自治大臣は、閣議後の記者会見で、政治資金規正法改正案国会提出する時期について、三月中旬以降になろうというふうに述べられたという新聞記事がございました。明らかに総理自治大臣のこの問題についてのお答えが違うわけでございますが、一方は、総理予算委員会における発言である。後者のほうは、自治大臣新聞報道関係方々に対する御説明である。総理のほうが権威があると思いますし、また、二月中に提出するというお約束は、従来のたびたびの政府の御答弁からして、今国会でほんとうに成立させる気持ちであればそのほうが正しいというふうに解釈したいと思いますが、その点について自治大臣の御意見を承りたいと思います。
  14. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私どもといたしましては、二月中にぜひ成案を得て提出をしたいという考え方で鋭意努力をしてまいりました。やはり総理も、その含みで御発言になったと思います。しかし、そそ次の委員会で、実情をよくお調べになって、少し御訂正があったようでございますが、いまでも私どもといたしましては成案を得次第提出したいと考えておるわけであります。しかし、どうしてこうおくれぎみになったかということは、御案内のとおりに国会運営に大きな蹉跌があって、この間は、いろんなこういう重要な問題につきまして与党側でも相談をしようとしましても、なかなかそういう機運にならぬ。しかも、私残念に思いますことは、やはりその余波がありまして、ちょっと機会をつくってぜひ意見調整をしたいと思いましてもうまくいっておらぬのが実情でございます。総理のことばの中に、前回の政府案審議の苦い経験にかんがみということを言っておられますことは、やはりこういった問題についてはよく与党と政府とが意見の調整をしておきませんと、何日早く出したからそれで成立するというわけのものじゃないと思う。やはり何と申しましてもいまの現状では与党のほうが腹ぎめをすればいいわけでございまして、その内容がどうかということが、私は一番問題であろうと思う。そのことを気にして各新聞の方々がいろんなことを紙面に盛っておられます。それは、そのときにあってはやっぱり間違いではない。しかしながら、これは政府できめたことではないのでございまして、この問題についてはいろんな議論がある、その時点で起こった議論をそれぞれ報道機関のほうでは拾って紙上に述べておられますが、しかし、まだ残念ながら固まるところへ行っておらぬわけでございます。固まれば、私はこの法案化にはうんと馬力をかけて、できるだけ早く成案を得て提案いたしたいと思っておりまするので、その間の事情はひとつ御賢察をお願いいたしたいと思います。
  15. 岡沢完治

    岡沢委員 この問題につきましては、私から説明するまでもなしに、ただいま野党提出法案説明に関連して島上理事からも御説明がございましたように、昨年の四月にすでに選挙制度審議会答申が出され、政府もこれを尊重するというたてまえで、五十五国会以来論議を重ねた問題であります。いまさら党内調整ということは全く聞こえませんし、また、先ほどの倉石問題に関連する空白とは全く関係がございません。むしろ時間的には調整の余裕があったはずでございます。そういうことは、私は納得できない理由かと思います。また、内容等につきましても、選挙制度審議会答申を尊重するという政府の言明からいたしまして、これはもうそう論議の余地がないはずであります。納得ができません。  それにつきましても、ただ、具体的にそれでは時期はいつごろ提出される予定でございますか。もう今国会も相当期間経過いたしております。参議院選挙もあることでございますし、ほんとうに成立を期されるならば、これは私は、いまの段階においてわからないはずはないと思います。自治大臣の見通しについてのはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 提案をいたしますからにはぜひ成立さしたいということはもちろんでございまして、それだからこそ、この与党側の意見の調整ということにたいへん苦慮して時間をかけておる。さっき総理が言われました苦い経験ということも、そのことをさすのだろうということを申し上げたわけでございますが、言うまでもなく、私は政治資金規正法に関する答申というものを十分尊重していく、筋はくずしたくない。しかしながら、御案内のとおりに、いろいろな議論が出てまいりますが、これは各政党のそれぞれの体質にもよりまして、いろいろな議論が出るのは当然であります。しかし、成立することが第一であると考えました場合には、やはり十分与党の意見調整をして出したい、しかも筋はくずさぬ、そういう考え方に立っておりますので、提出の時期と申しますと、いつ幾日ということはなかなか申し上げることができませんが、とにかく今国会中に成案を得て必ず提出したいという気がまえでやっております。
  17. 岡沢完治

    岡沢委員 ただいまの最後の御発言は、今国会中に成案を得て提出するということで、成立ということをおっしゃらないのですが、成立するということを前提にした提案が当然だと思いますが、間違いございませんか。
  18. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その意味で苦慮しておるわけでございまして、ただ政府法案をつくって出すことは何でもないことでございますけれども、成立を期するためには、やはり与党側との意見の調整が十分行なわれないとなかなかむずかしいわけでございます。そこはひとつ御了察をいただきたいということを申し上げておるわけであります。
  19. 岡沢完治

    岡沢委員 この問題については、野党は三派とも、むしろ答申尊重の趣旨で成立に協力する態勢をとっておるわけでございます。与党との調整だけだと思いますけれども、これももう指摘するまでもなしに、一年近い期間があったわけでございます。おそらく党としても、答申を尊重しないというようなことは、たてまえとして表明なさるはずがない。だから、そう問題はあるはずはありません。そういたしますと、私たちは、予算委員会における総理の御答弁を信用して、二月中に提出されると解釈するのが当然だと思いますけれども、間違いございませんか。
  20. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その次の日に総理はあの発言を少し直しておられますし、実情を私が総理に申し上げていなかったのが失敗であったかもわかりませんが、少しおくれた事情をちょっと内輪のことを申し上げたわけでございまして、二月といいましてもまだ二月で、何日かは間があるわけでございます。その間に出せとおっしゃいましても、実はなかなかできかねるということを率直に申し上げておるわけでございます。
  21. 岡沢完治

    岡沢委員 それでは全くこの大事な問題について総理と担当大臣の意見が違う、閣内不統一というようなこともことさらにあげ足とり的に言いたくありませんが、実際にそういう印象を国民に与えます。それからまた、朝令暮改というようなことが、ほんとうにそのまま文字どおり適用されるような態度ではないかというふうに感じます。ことにこの問題につきましては、私は、単に総理あるいは自民党の問題だけでなしに、国会、これは政治に対する国民の不信を助長するおそれのある問題だと思います。それだけにほんとうに党利党略を離れて、国民政治への信頼を取り戻す意味で、私はむしろ早く出していただきたい。  最後に一点だけ。自治大臣が昨日新聞記者に発表された、三月中旬以降になろうという報道は正しいのでございますか。
  22. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 以降になろうということは無期限みたいになるわけですが、そういうことではありません。報道機関の方が聞かれたニュアンスがそれぞれ盛られておるわけでございますが、私が言い得ることは、少なくとも早く成案を得て今国会中に必ず出したい、それもできるだけ早く出したいということ以外には、ちょっとその日にちを切ったことは申し上げられないのではないかと考えております。
  23. 岡沢完治

    岡沢委員 終わります。
  24. 小澤佐重喜

  25. 伏木和雄

    伏木委員 岡澤委員の質問に関連いたしまして二、三お伺いいたします。  ただいま大臣は答申を尊重するということを言われておったのでございますが、この答申尊重ということは、答申のすべてという意味であると私は考えております。あの第五次選挙制度審議会答申が、なぜ区制と分けて政治資金規正法を先に提出したかという点は答申にも明確にされているわけでございますが、この答申内容を見ますと緊急に措置すべき事項、こういうふうにうたわれているわけであります。しかるに、昨年提出されましてから約一年になっておるわけですが、いまだ政府案ができ上がらない。これでは答申政治資金だけ先に切り離して出したその趣旨すらも踏みにじるものではないか、私はこのように考えるのですが、審議会政治資金規正法答申を早く出したその意義について大臣はどのようにお考えになっておられるか、明らかにしていただきたいと思います。
  26. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も終始審議会委員でその席におったわけでございますが、やはりすみやかに提案をしなければならぬ、議決をしなければならぬ、かように考えております。
  27. 伏木和雄

    伏木委員 先ほどからのお話によりますと三月中旬というお話ですが、そのおくれた理由が、いかにも空白国会、倉石農相問題に関連しておくれたかのような御発言でありましたが、私はこれは大きな間違いではないかと思います。ということは、昨年臨時国会特別国会において私ども政府案提出を要求したわけです。そのとき政府は、臨時国会あるいは特別国会は日数がきわめて少ない、これだけの案件を慎重審議して成立させるためにはどうしても通常国会で日数をかけなくてはならない、こういう答弁があったわけであります。その趣旨からいうならば、もう通常国会の冒頭に政府提出して、そして十分審議を重ねるべきではないか。今国会は参議院選を六月に迎えるという大きな歯どめがあるわけです。そういった特別な関係の上に立ってこの法案がおくれているということは、政府みずからが言った十分な日数をかけてということを全く無視して、むしろ参議院選の歯どめを期待して、日数をかけずにこの答申を前国会と同じような形で扱うのではないか、こういう危惧すら出てくるわけです。こうした政府の前国会における答弁と今国会における政府政治資金規正法に対する態度とは、大きな違いがあるのではないか。こういった点、明らかにしておいていただきたいと思います。
  28. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま申し上げましたとおりに、これをすみやかに成立させるためには、どうしても与党が納得をして同調しませんとこの前みたいな苦い経験が残るわけでございますので、政府提出いたします案に超党派で御賛成いただけるかどうか、それはわかりません。わかりませんけれども、少なくとも与党が十分同調してくざさることになれば——しかもそれもかってな案をつくるというわけじゃない。やはりただいま申しましたように、審議会答申というものを十分尊重して、政府側と党側とこの点について十分意思の疎通をはかって出しますれば、私は一挙に通るものであると考えております。いま問題はやはり与党内の意見の調整にありますので、その点をたいへん苦慮しておるということを申し上げたわけです。  それから、何も倉石君のああいう事件があったからという、それを種にしておるわけでは決してありません。しかしながら、実情は皆さんも内々御承知のとおりに、あれは国会運営の大問題になりまして、その間に与党内でこの問題だけにしぼって調整しようという場がなかなか持てなかったということはひとつ御了解をいただきたい、そのことを申し上げたわけであります。
  29. 伏木和雄

    伏木委員 最後に一点だけ伺っておきますが、ただいま大臣の答弁によりますと、与党の協力を得なくてはならない。政党政治のたてまえである以上、これを全く無視することはできないということは、私は理解できます。ただし、私は、政府政府なりに、答申を出したのは政府なんですから、政府の自主的な見解というものを持ってなくてはならない。もしも政府がそうした自主的な態度を持たずにおるというのであるならば、自民党案イコール政府案だ、こういうことになると思います。そうなってまいりますと、ただいま自民党の選挙制度調査会ですか、いろいろなものを打ち出しております。この政治資金に関しても、いろいろと調査会の見解等も新聞紙上で見てまいります。それが政府案というような考えになって、私たちは、自民党の選挙制度調査会の考え方政府考え方になるのではないか、こういう危惧があるわけです。とすると、これはもう前回の政府案よりは大幅な後退——まあ案ができるまで待っていただきたいという政府の答弁でございますけれども、もうすでに案がきまっておるのではないか。とすれば、これは大幅な後退、全く答申を無視した行き方になるのではないかということが言えるのではないか、こう考えるわけですが、政府みずからが自主的な態度を持って、この政治資金規正法を、政府みずからが諮問をしたその審議会答申に沿っていこうという決意があるかどうか、担当大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  30. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 予算委員会その他本会議でも総理も述べられましたとおりに、総理自身が政治の姿勢を正すということについて非常に強い決意を持っておられる。私自身も決して人後に落ちないつもりでございます。ただいまるる申し上げますことは、政党政治であるという御理解をいただいておるようでございますが、この前出しました政府案も結局ああいう姿になってしまった。これを繰り返したくないと思えば、やはり与党側と十分意見の調整をはからなければならぬ。それに私どもとしては、やはり政府側としてはあの答申趣旨に少しでも沿わなければならぬ、同じものをというわけには今日の実情からいかぬかもわかりませんけれども、沿わなければならぬ考え方を持っておるわけなんです。しかし、最終それが与党側と意見調整が不幸にしてできなければ、またこの前と同じ結末を告げて、皆さんに御迷惑をかけることになっては申しわけないと思う、そういう苦慮があるわけでございます。
  31. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十三分散会