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1968-04-26 第58回国会 衆議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十六日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君 理事 内海  清君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       佐藤 孝行君    正示啓次郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       阿部 昭吾君    石川 次夫君       島上善五郎君    下平 正一君       福岡 義登君    渡辺 惣蔵君       吉田 之久君    小川新一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         建設省河川局長 坂野 重信君  委員外出席者         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)   進藤武左ヱ門君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 四月二十五日  委員葉梨信行辞任につき、その補欠として倉  石忠雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員倉石忠雄辞任につき、その補欠として葉  梨信行君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員木部佳昭君及び北側義一辞任につき、そ  の補欠として齋藤邦吉君及び小川新一郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十四日  都市計画法及び都市開発法制定反対等に関す  る請願(大原亨君紹介)(第四六四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十五日  国道一一号線バイパス道路早期着工等に関す  る陳情書  (第二七八号)  建設業法の一部改正に関する陳情書  (第二七九号)  低家賃公共住宅建設促進等に関する陳情書  (第二八〇号)  びわ湖総合開発に関する陳情書  (第二八一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  水資源開発公団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七二号)      ――――◇―――――
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本案審査のため、水資源開発公団より参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人出頭日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御了承願います。  本日は、参考人として水資源開発公団総裁進藤武左ヱ門君が御出席になっております。  参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じます。     —————————————
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  5. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 簡潔に若干お尋ねをいたしますが、なお私がお尋ねいたしまして明らかにならぬ点について、石川委員のほうから関連質問がありまするので、あらかじめ申し上げておきたいと思います。  今度の水資源公団法の一部改正の中身は、愛知用水公団水資源の中に吸収する、端的に言うと、こういう内容と言えるわけであります。一昨日の佐野理事質問に対しまして、宮澤大臣が言われておったのでありますが、五大水系水資源公団の行なっていく仕事ということになるのでありますけれども、この中で、今回のこの公団法改正によってやっていくのは、愛知用水事業の吸収、これだけに局限をしておるというふうに私ども理解をしておるわけですが、このことがまず一つ。  それから、水資源公団仕事に一千八百人くらいの働いている職員の方々がいらっしゃるわけでありますけれども、この水資源仕事というのはどういう将来的な全体計画——というのでしょうか、将来どの年次にまいりましたならば仕事がこの程度になる、またこの年次にまいりましたならば仕事はこういうぐあいになるという、全体の計画というものが必ずしも明らかにはされていないというふうに思うわけであります。これはある時期においてはそういう将来展望というもの、水資源公団の担当する仕事年次的な展望計画、こういうものを持っておられなければならぬのではないかと思うのです。いま愛知用水公団で吸収するというこの一つだけが今度の改正で裸で出ているわけでありますけれども、将来は一体どういうふうになっていくのか、この点について若干お聞かせをいただきたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 たまたま愛知用水公団が一応の任務を終了いたしましたので、ほぼ同種の目的を持っております水資源公団と一緒にすることが、行政簡素化の上でもよかろう、こういう考えでこのたびの法律案改正を提案しておるわけでございます。  それから、水資源公団が将来どういうふうな仕事をどんなスケジュールでしていくかということにつきましては、御承知のように、水資源公団そのものは時限を持った公団ではございませんし、また、地域的に制限をされておる公団でもございません。他方でわが国の今後の水需要というものを考えますと、これはもう申し上げるまでもなくすでによく御承知のとおりのことでございますので、これから各省、また都道府県にも協力を得て、昭和五十年、昭和六十年といったような時点における水需要調査をしてまいりまして、そうして従来指定されております水系のほかにも全国重要水系仕事を広げていくことが必要であろう、こう思っております。したがいまして、具体的に何年にどうというスケジュールを立ててはおりませんが、今後も水資源公団仕事は年とともにふえていく、当分そういう状態が続くのではないかというふうに考えます。
  7. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま現状状態では私ども五大水系というぐあいに限定をしておるというふうに理解をしているのですが、将来この水の需要というのはふえていくであろう、その場合には、その時代時代における水の需要というものに対応して五大水系限定をするということではなくて、公団仕事というものが広げられていく、こういうふうにお話しがあったのであります。この中で、水資源公団目的としております水資源開発というのは、主として工事用水あるいは都市が要求する水、こういうようなものが水資源公団のになっている水というもののおもなる性格なのではないか。ところが、もう一つ、水に対して長い深い歴史的な関係を持つ農業水利というものであるわけであります。したがって、私ども、この水資源公団農業水利関係が一体どういうからみ合いになっているのか、このあたり一定の基準、一定原則というものを持たなければ、いろいろな意味で、その場その場で——都市の要求する水、あるいは工業、それらの関係から要求される水、これが水資源公団の主要な任務だと思うのですが、従来から長い歴史を持つ農業水利とのからみ合いというものは、その場その場で、五大水系限定するだけじゃなくて、将来は需要に基づいていろいろなことに広げていかなければならぬ、こうおっしゃるから、その場合に、農業水利関係とどういうけじめ、原則を持つかということが非常に重要になってくるのではないかと思うのです。したがって、このからみ合う問題に対して、いかなる方針を持っておられるかということをお聞きしたいのでありますが、同時に、各省協力を得て、一定の、五年後、十年後あるいはもっと将来、こういうふうに、将来年次的に水資源公団仕事長期計画、こういうものも考えなければいかぬというふうにもとれるし、あるいはそれはもうちょっとやってみなければ何とも言えないというふうにもとれる。先ほどの答弁はあまりはっきり私どもには理解できなかったのですが、水資源公団というものが——国は国で、たとえば社会発展計画とか、あるいは池田内閣当時、大臣もたいへん役割りを果たしたと聞いておるのですが、高度経済成長とか、いろんな長期的な計画というものを樹立されておる、その場合に、水を抜きにした計画というのはあらゆる意味で成り立たぬものではないか、そういう意味で、やはり水資源公団というものの持つ性格任務、そういうものから見ました場合、水資源公団長期的な事業の輪郭、計画、こういうものはやはり早急に持ってもらわなければいけないんじゃないかと思うのです。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳細な点につきましては後ほど政府委員から申し上げますが、この問題についての私どもの基本的な心がまえは、近来、工業用水あるいは都市用水需要がふえてまいったことは確かでありますし、また、趨勢としては今後ともそれがふえていくであろうということもほぼ間違いないところだと思います。そういう観点からいたしますと、与えられた水資源というものをできるだけ効率的に使うということはどうしても必要な要請になってまいるわけですが、ただその際、ことに農業用水については、これは農業、農家にとっては命のようなものであります。伝統的にそう考えられてきましたし、また今後もそうであろうと思います。でありますから、そういう水というものをいわゆる一種の既得権としてその上に行なわれておった農業、あるいはそれに基づく農民の要望というものは当然尊重されなければなりませんし、また現実に尊重しなければ、実際の総合開発計画というものは立たないというのが実情でございます。したがって、わが国農業も変貌するとは思いますけれども、また変貌しつつありますが、当該農民自身にとってはなかなか先の変貌までを読み込んでということはむずかしい、無理な注文でありまして、やはり十分な上にも十分に自分たち農水を確保しておきたいという希望は、これは無理からぬところであります。でありますから、そういうことを十分に考え総合開発計画を立てる。現に目標年度において上水の、あるいは工水の、あるいは農水必要度は新規に毎秒どのくらいであろうというような計算をいたしますときにも、十分関係農民の納得を得てやる。それから先日、佐野議員からも、国営事業との関係についてお尋ねがありましたが、これも農林省の指導のともに、不安が起こらないような形で従来の仕事を続けていく。まあ全体といたしまして水資源というものが新しく工水上水の必要から登場してきたということは事実ではありますけれども、そうかといって、従来農民が持っておった伝統的なこれに対する権利あるいは期待というものを、十分過ぎるほど、場合によってはやや十分過ぎるほど尊重してまいりませんと、実際開発計画も立ちませんし、また施行もむずかしいことは、私どもよほど注意して認識しておかないといけない問題であろうと思います。そういう心がまえでこれからも行政をやってまいりますし、水系追加指定ということもこれは将来に向かってあると思いますけれども、その場合にもそれらの観点はよほど十分考えていかなければならないと思います。それで、長期計画を立てることが必要ではないかということは、そのとおりであると思いますが、全国全体にわたっての何カ年計画というものはなかなか立ちにくいというのが現状でございます。  なお、詳細な点につきまして政府委員から説明を申し上げたいと思います。
  9. 今泉一郎

    今泉政府委員 基本的にただいま長官からお話がありましたとおりでございますが、やや具体的に、かいつまんで申し上げますと、長期計画はもちろん立ててやらなければいかぬ、これは先生のお説のとおりでございます。ただ、地域的に、また年次的にも、最近の水需要というものは非常に急激な変化、飛躍を遂げる性質のものでございますから、それに弾力的に対処していかなければいかぬ、こういうことが一方にあると存じます。そこで、具体的には、先生承知のように、水資源開発公団水資源開発をやります際には、基本計画を立てまして、それに従って事業をやっていくということになるわけでございますが、この基本計画を立てます際にはできるだけ前広に立てていく、そうしてかつ長期的に展望を加えていく、こういうことになりまして、具体的に申しますと、大体昭和五十年ないし昭和五十五年あたりをさしずめの目途としてやっておる。しかしながら、われわれといたしましてはこれをもって満足しておるわけではございませんので、先ほど長官お話にもありましたように、さらに六十年を目標として、急遽ただいまの水需給調査を行なっておる、こういう状況でございます。  さらに、最近飛躍的に増大しておりますのは上、工水でございますが、同時に農水との調整をとるべき必要性のあることは、ただいま長官お話し申し上げたとおりであります、この点につきましては、水資源公団におきましても、愛知用水公団におきましても、それぞれの基本法は違いますが、十分なる配慮をいたしておりまして、法律はこの点につきまして非常に綿密な配慮をいたしております。同時に、実際の基本計画に基づきまして施行いたします場合も、十分地元方々と懇談いたしておる、これが実情でございます。しかして、これが将来の計画の実現に非常に大きな意味を持つものでございますから、特段の注意を払っておるつもりでございます。なお、そういうことを含めまして、実際の計画策定に際しましては、関係府県知事にも十分な御相談を申し上げたい、法律的にもこういうような取り扱いになっておる、こういう状況でございます。
  10. 石川次夫

    石川委員 関連水資源開発公団をつくるときに、私もこの法案の審議に参画いたしましたので、非常に関心を持っておるわけでありますが、これは関係するところが通産省厚生省農林省、それぞれありまして、結局、取りまとめというかっこうでもって経済企画庁が総括をするということに落ちついて今日に至っておるわけであります。その当時心配されたようなことがいまだに尾を引いておる。いま申し上げた農業用水がどうなるかという問題もありますけれども、私が言っていることが間違っていれば訂正していただきたいと思うのでありますが、知多半島のいままでやった愛知用水関係で、大企業向けの、工業用水といいますか、水は大体四円、それ以外になると四十四円というふうに、十倍以上上水用の水のほうが高いわけですね。この違いは、おそらくいろいろ理屈をつければあると思います。これは工業用水一本で工事が非常に簡単だということもあるし、それから一般家庭用の水は、一軒一軒管を引かなければならぬというふうなことがあって、非常に工事上の手数がかかるということもわかることはわかるのでありますけれども、しかし、あまりにもこれが違い過ぎるという点について非常に私は疑問を感じておるわけであります。その原因は、この場合、工業用水法によりまして通産省の管轄では工業用水関係国庫負担が非常に多い。それで、第一期工事が十六億五千万円、第二期工事が四十六億円という膨大な金を国庫負担として引き受けている関係工業用水というものは非常に安く提供ができる。しかしながら、厚生省関係は、飲料用水法によりましてこれは各戸の負担が多いというような形で、四十四円という非常に膨大な金額になっている、こういうような状態は、これは水資源開発公団がやっていくこれからの仕事についても同じようなことになるのではないか。あこりにこの差がはなはだし過ぎるのじゃないかという点の疑問が一つあるわけであります。その点についての御説明をいただきたいということと、それから水資源開発公団全部というわけにいかなければ、これから愛知用水公団から引き受けられる木曾総合三重用水だけでもけっこうでありますけれども事業計画として、愛知用水公団から引き受けた事業内訳として、農業用水上水道と工業用水、その計画が一体どうなっているか、この点の資料をひとついただきたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前段に御指摘になりました問題は、確かにしばしば指摘されておるところでございまして、理由はいろいろあろうと仰せられましたが、そのとおり、末端に対する配水のコストといったようなものが相当違うということも事実でありますし、また工業用水にそのような補助があるということも事実であります。したがって、現地においては同じ水がかなり値段が違うということについていろいろ御批判があることも承知をいたしております。この点は、やはり上水について、都市用水について、もう少し国なり公共団体が何らかの財政負担をしていくべきではないかという考え方を私ども持っておりまして、水源の開発でありますとか、あるいは広域の利用でありますとかいうものには幾らかそういう考え方が策にも出てまいりました。しかし、はなはだ不十分でございまして、上水があまりに高いということは、何ぶんにも水でございますから、財政の許す限り、何かのことでやはりだんだんに緩和をしていかなければならないというふうに考えております。  なお、公団の問題につきましては政府委員から申し上げます。
  12. 今泉一郎

    今泉政府委員 公団三重用水あるいは木曾関係の将来の事業につきましての内訳につきましては、別途資料をもってなるべくすみやかに先生のお手元に差上げたいと思います。ただいま計画中でございますので、最終確定ではございませんが、なるべくすみやかに先生のお手元に差し上げたいと思います。
  13. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 若干具体的な点でお尋ねをしたいのでありますが、その前に、水資源公団の将来的な事業計画を、相当長期に、あるいは五十年ないしは六十年、こういうものを展望しながら策定をしていくという御説明があったのでありますが、そういう骨格になる計画は一体どの時期に樹立をされ、策定をされ、明らかにされるということになりますか、まず伺いたいと思うのです。
  14. 今泉一郎

    今泉政府委員 先生お尋ねによりますと、非常に全国的かつ網羅的なものをお考えのようでございますが、私どもの実際考えておりますのは、理想といたしましてそういう性格のものができ上がれば非常にけっこうなことだと思いますが、具体的には、それぞれの河川水系別にそれぞれの目標年次をきめ、具体的な計画を立てていく、こういう作業一つと、それからさらに全国的に水需給一般調査をいたしまして概括的な目標を立てる、この二つの考え方でいま作業をやっております。   〔委員長退席金丸(信)委員長代理着席〕  後者のほうの全国、全般的な水需給調査につきましては、たしか昨年から調査にかかっておりまして、なお今年度一ぱい必要とするのではないか。それによりまするから、来年度内にはおおむね需要面におきましてはほぼ地域別に、また水の用途別に見当がついてまいる、こういうことになるのではないか、こう思って鋭意作業に励んでおる。これは地方各県の御当局にも非常な御援助を願ってやっておるわけでございます。  同時に、各河川別につきましては、やや具体的に申しますと、利根川につきましてはすでに四十五年目標計画はできておるわけでございます。現にこの計画に基づいて各種の工事をやっておるわけでございますが、とうてい四十五年ではわれわれ満足できませんので、これは鋭意五十年の改定の目標を目下樹立中でございます。これは近く完成いたすと思います。それから筑後川におきましては五十年計画木曾川につきましてはこれは五十年を目標にしていま具体案を用意しております。しかして関係各県、地元方々とただいまお打ち合わせ中。吉野川につきましては五十五年のものがすでにでき上がっておる、こういう状況でございます。
  15. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 先ほど五大水系というぐあいに必ずしも限定するのではなくて、需要がいろいろな意味で増大をし動いていく、この流れを見ながら、五大水系限定するのではなくて、水資源公団の果たすべき任務機能、こういうものを五つの水系に限らずにやっていくという情勢、こういう御説明があったように思うのです。そういたしますと、国には国全体の総合開発計画なり、あるいは従来からありました、非常に大ざっぱなものだというふうに私ども指摘をしているわけでありますが、社会発展計画なり、いろいろなものがある。こういう場合、五大水系なら五大水系は当面水資源公団任務といったぐあいですと、それはきわめてすかっと理解がいくのですけれども五大水系に限らずに、水需要というものの流れを見ながら水資源公団長期的な仕事計画というものを考えなければいけない、こういうお話があったわけでありますから、そういたしますと、五大水系以外の一体どういう水系を将来考えるのかということも、なるべく早い機会に水資源公団事業計画として明らかにして国民の前に示すということが必要なのではないか、こう考えるわけであります。  そこで、今度のいま当面問題になっております愛知用水公団というものを水資源公団が吸収するという改正、これに伴っていろいろな問題が派生的に起こってくるわけであります。これらの問題に対して幾つかの点についてお尋ねをしたいのでありますが、いままで水資源公団というのは、性格として、さっき申し上げましたように、工業用水あるいは上水、そういうものを中心にしてやっておられるわけでありますが、この愛知用水というのは、工業用水上水、それに農業水利、これが全部からみ合った水資源開発というものを従来は公団がやってきた、これがいわゆる愛知用水公団方式、私どもはこういうふうに言っておるわけであります。これを吸収する際に、経済企画庁水資源公団を所管になさっているわけでありますけれども農林省との関係も出てくる、あるいは通産省との関係も出てくる、あるいはその他の関係官庁のいろいろなおのおの分担し分担しておるポジション、機能性格が違うわけでありますから、農林省立場からすれば、農業水利中心農業開発に水の開発がどういう影響を持つか、こういう意味で取り組むことは当然です。また工業部面から見ました場合には、どうしてもその部面中心に見なければいけない。また上水という観点を担当なさっておる分野から見ますれば、その部面を重点的にやはり見なければいけない。そういう意味で、従来水資源公団は、それぞれ農林省なり、あるいは通産省なり、あるいはその他のおのおの持っておる役所を調整するのに、非常に——これは私とも仄聞しておるのでありますけれども、一日にバスで二回ぐらい定期便のようなものを水資源公団は用意して、各省間をずっとぐるぐる回っていないと問題が煮詰まっていかない、こういう体質を持っているというふうに実は仄聞しているわけであります。したがって、そういう水資源公団というのは、ほんとう農業用水農業用水観点から持つきびしい注文、あるはい上水上水立場から持つ主張、あるいは工業用水はその観点から持つ主張というものを、いろいろぐるぐる回って歩いてコントロールしなければいけない。したがって、だんだん考えてみますと、どうも一方立てれば一方立たぬというようなところで焦点が非常にぼけてくる。そういう意味では、従来、特に今後この水資源公団仕事にいろいろなものが水に対する目的別に多面的にからみ合ってまいります関係から、どうもすっきりしない。したがって、農業水利というのは、従来、土地改良水利開発、こういった農林省主体の一本のルール——というのでしょうか、方針のもとにやってきているわけであります。そういう原則ほんとう水資源公団の中で一体的にそれぞれの主張立場というものをすきっと包括したかっこうで運営ができるのかどうかということに、若干の疑念というのでしょうか、こういうものを持たざるを得ないわけであります。そういう面で、大臣の先ほどの答弁だと、農業用水についてはもう細心の上にも細心の——権利やその他を入れていくように、いままでも気を便ってきたし、今後もそうする。そうしないなどと言ったのではたいへんなので、すると言うのには間違いないと思うのですけれども、そういう意味では、どうも水資源公団というものの性格が、八方にみな引っぱられておって、基本的にはあいまいになっていくという性格を持っていると思うのですが、そういう面で何か一つ原則一つの基準というものを何かすっきりしたものを持たなければいかぬのではないかと思うのです。そういう原則を現在お持ちならばお示しを願いたい。
  16. 今泉一郎

    今泉政府委員 さきの五大水系以外のことにつきましては、私もことばが足りませんでたいへん失礼いたしましたが、水系をどこを指定するかということになりますと、地元方々にも相当大きな影響がございまして、いろいろ問題もあるかと思いますが、五大水系以外にも、長官お話のように、今後の水需要にこたえるべく取り上げるべきものが当然出てまいるかと思います。ことに緊要性の度から考えまして、やはり利根水系関連事業関連水系等はやはり近き将来問題になる可能性が大いにあり得るのではないか、こういうふうな感じを持っております。  れそから農水工水上水等の各種の水利の調整、ひいてはそれぞれの受益される受益者の方々立場の調整、さらにそれを反映する各省間の利害調整ということについてはどうか、こういうお尋ねがございますが、この点につきましては、先生承知のとおり、水問題につきましては、こういう利害調整そのものがすなわち利水ないしは治水の仕事である、こういうふうに思わなければいけないほど重要なものと考えております。でございますから、先ほど公団の話もございましたが、水公団がその独力をもちましてこの利害調整の任に当たる、そういう筋合いのものではございませんので、このためには、法律制度上も、また各省行政上も、全力を注いでやっておるわけでございまして、考えてみますと、これは法律に基づきまして、先ほどお話し申し上げました基本計画を立てなければならぬ。五十年あるいは五十五年で立てる。その際におきましてやはり農水工水あるいは上水というものの調整は十分とっておるわけです。とらなければできないわけです。とっておるわけでございますが、さらにこれを具体化いたします際には、水資源開発審議会という、各方面のお立場を代表する方々の公正な委員会の十分御審議を得ます。また、関係都道府県知事にも御照会申し上げますが、同時に、公団自身の計画を実行いたします際には、実施計画をつくりまして、それでこれの主務大臣の認可を得るのでありますが、その主務大臣につきましてもいろいろな御批評があろうかとは存じますが、水資源開発公団法におきましては、第五十五条というのは御承知のとおりかとも思いますが、それぞれの目的に従いましてそれぞれの主務大臣につきまして混同あるいは不公平の起こらないように法律をもって明定してある、こういうような形になっておりまして、こういう組織と行政の実際をもちまして円滑に事業を推進してまいるように全力をあげておる、これが実情でございます。
  17. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 今度の木曾水系事業の実施にあたって一貫施工方式というものを出されているわけでありますが、これはいままでの愛知用水公団がやったやり方と一体どういうふうに違うのか、これを端的にひとつ……。
  18. 今泉一郎

    今泉政府委員 愛知用水公団事業を行なっておられました際の一貫施工方式といわれておるのは、先生承知のとおり、農業かんがい事業につきましては、いわゆる国営級のもの、さらに県営級のもの、さらにその先の団体営級のものまでも公団工事を施行いたす、それでなるべく早くこれを完成し受益者のための利便をはかる、こういうふうな趣旨のものと私ども了解しておりますが、これに対しまして、水資源公団におきましても、その本旨とねらいと申しますのは、法律制度上も同じでございます。ただ、実際上の違いはどういう点にありますかいいますと、御承知のとおり、水資源公団は、従来もそうであり、将来もそうでございまするが、全国的な開発公団でございまするによって、大体大きな部分を水資源公団で手がけていく。かん排施設で申しますれば、国営級をもって原則として施行の対象とする、こういうことでやってまいっております。この辺が若干の相違になっております。ただ、これから両公団統合後に木曾水系につきまして新たに実行いたそう、こう考えております木曾総合用水事業並びに三重用水、あるいは長良川河口ぜき等の各種の事業につきましては、お隣に愛知方式でやった事業がございますと、その隣が全く違った方式というのもいかがであろうという趣旨もございまして、県営級まではさしずめ四十三年度予算をもってこれは公団事業として行なう、こういうふうな取り扱いになっております。団体営級につきましては、来年度の予算の際十分慎重に検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
  19. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 さしずめ県営までやる。それはさしずめであって、来年あるいはその先はまた別、こういうふうに理解していいのかどうか。
  20. 今泉一郎

    今泉政府委員 県営級までやりまするのは、引き続いて四十三年度以降この事業完了までその方針でやってまいるつもりでございます。
  21. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それでは次に移りますが、現在愛知用水公団に働いている職員、これが五百何中名いらっしゃるわけでありますが、この皆さんを水資源公団が継承する、引き継ぐということになるのだと思うのです。この場合、従来の愛知用水公団の職員として働いているという場合と、水資源公団に引き継がれた場合の身分、待遇、条件、こういうものにどういう変化があるのか、この点をお聞かせ願いたい。
  22. 今泉一郎

    今泉政府委員 今回の水資源開発公団法の一部改正法案の附則第二条にも明記してございますように、水資源公団は、愛知用水公団の解散に伴いましてその一切の権利義務を承継する、こういうことが書いてございますが、その意味するところは、各種の対外的な債権債務を引き継ぐということのほかに、職員諸君の雇用関係の諸条件あるいはその権利義務、こういうものも法律的には原則としてそのまま引き継ぐ、こういうふうなことをも含むものと解しているわけでございます。したがいまして、職員の方々を引き継ぐほか、その勤労条件と申しますか、雇用条件も、法律上は当然その形で引き継がれるのが理屈でございます。ただ、先生承知のように、水公団職員と愛知公団の職員の勤務条件については若干の相違もあるようでございます。そういう点につきましては、私どもは、公団一つになれば職員も早く一つになることはけっこうなことではないか、しかしながら、それは当然当事者である公団とあるいは職員組合の人たちとの円満な話し合いによってそういう統一がなるべくすみやかに実現される、そういうことがあれば望ましいことである、かよう考えておる次第でございます。
  23. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういたしますと、愛知用水公団の当局と組合との間に一定の雇用関係、労働条件あるいはそれを規定する労働協約なり就業規則、いろんなものを持っておると思うのです。これをそのまま今度の水資源公団と職員組合との間に引き継ぐ、こういうふうに理解をすることは間違いですか。
  24. 今泉一郎

    今泉政府委員 法律上はそのまま一応引き継ぐ、しかして事前あるいは事後におきまして実質的な調整を必要ならば当事者間の円満な話し合いで行なう、これが常道ではないか、かように思います。
  25. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 こういう現象が起こるのではないかと思うのです。たとえば、愛知用水公団は解散、水資源公団になる。経過的段階になるか、相当長期にわたるかは別にして、従来の愛知用水公団の職員組合というものが経過的にはそのまましばらく存続をしていくという可能性も多分——これは国の場合などでも若干そういうケース——私はあまり知りませんが、民間などの企業の合併などの場合にしばしばそういう経過段階が一定期間継続するという例があるわけであります。その場合に、従来の水資源公団の職員組合と愛知用水公団関係の職員の組合という二つの組合がそのまま水資源公団の中に存在するという経過的期間が存在するのではないか。この場合に、協約なり規則なり従来の取りきめというもの、水資源の組合と水資源公団が持っておったそういう協約、取りきめと必ずしも全く同じでない取りきめを従来の愛知用水公団とその職員組合が持っておるという場合があり得ると思うのです。この場合にどう取り扱うのか。
  26. 今泉一郎

    今泉政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、労働協約自身もいろいろむずかしい法律上の議論はあるかとは思いますが、当事者間のお話し合いが特段事前になければ、合併の際には、先生指摘のように、二つの労働協約があり得るということもあり得ようかと思います。しかして、それを履行するかどうか、こういうことは、当事者である公団当局、それから職員組合の諸君と十分なるお話し合いによって解決すべきことではあるまいか、かように監督官庁としては思っておるわけでございます。
  27. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 その場合には、愛知用水公団とその職員組合との間に相当長い歴史的な経過があるわけでありますから、その中には、一定の労使慣行なり、そういうものを樹立してきておったと思うのであります。こういう労使慣行も当然尊重されるもの、こういうふうに私ども理解をするのです。非常に具体的な問題でありますけれども、特に退職金をどうするとか、あるいは共済組合などの問題をどう扱うかとか、非常にデリケートな具体的な問題がたくさん出てくると思うのです。こういう場合に、従来の水資源公団とその中の職員組合との間に持っておる関係と、従来愛知用水公団とその職員組合が持っておった関係は、いろんな意味で違う面のものがたくさんあると思うのです。こういうものをどうすっきりした姿で一つのものにしていくかということには、一定の経過的な期間、時期というものが当然に存在しなければならぬと思うのです。そういう意味で、水資源公団立場から考えた場合、単にそれは労働関係諸法規の明示をしておるような方法に従って当事者間で円満にということなのでありますけれども、それは円満にいくことが前提だと思うのですが、経過的段階、この場合には一定の時間、その期間内の扱いは相当に慎重でなければいけないものではないか。これは私ども、国関係、公共的な関係の場合よりも、主として民間の企業の合併とかいう場合に多くの困難をした例などをも知っておるものでありますから、少なくとも水資源公団というちゃんとした主体でありますから、そういう意味での困難はなきものと思うのですけれども、その場合に一体どのように具体的に慎重な配慮を払われる用意がおありなのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  28. 石川次夫

    石川委員 関連。労務関係の問題のようでありますから、私から簡単にひとつ質問をしたいと思います。  これは愛知用水公団にしても水資源開発公団にしてもたいした違いはないと思うのでありますけれども、賃金の体系で大きく違っている点があるかどうか、こういう点が一つ。それから賃金の水準は、大体平均の水準でどこがどういうふうに違っているかという点と、それから共済組合などでやっている年金などはそのまま継続すべきものと思うのでありますけれども、その話し合いが一体どうなっているかという点をあわせてひとつ御答弁願いたいと思います。  それと、ついでで恐縮でありますけれども、人間の問題で伺いたいのでありますが、四十三年度で利根川水系事業は一応一段落だというふうに私は聞いておったわけであります。そうすればここに四百五十名ばかりの人が余るのではないかという点。それで、愛知用水公団を引き継いだときには五百五十名というかなり大きな人数で、これを消化するための方法として考えられたのが、一貫施工方式を今後そのまま引き継いでいくというようなことになったのではないかと思っておりますけれども、この点についてはいずれ機会があれば質問いたしますが、そういうことで五百五十名のところに四百五十名がまた新たにつけ加わるということになると、現在の千二百人に見合うくらいの数字になってしまうのですね。かなり大きな世帯になる。この人間を今後どういうふうに消化をするのだろうかという、人事配置の今後の計画というものを、先ほどの事業計画とあわせてこれもぜひはっきりさせておかなければ、私は非常に不安が残るのではないかと思うのです。この点ひとつ資料として出していただいてもけっこうですし、いま御説明できるならば御説明していただきたいと思います。
  29. 今泉一郎

    今泉政府委員 最初に阿部先生お尋ねでございますが、統合後の経過的な時期におきます職員間の勤務条件と申しますか、あるいは労働条件と申しますか、そういうことに関するごたごたが起きないように、こういう点につきましては、関係各省もでございますが、当事者である水資源公団並びに愛知用水公団のいわゆる経営者と申しますか、幹部の方々も一番頭を労しておられるところであり、また両職員組合の方々もその点に最も関心と申しますか、注意を向けておられることではあるまいかと思います。しかしてこの点は、先ほど申し上げましたように、法律上の取り扱いはともかく、私どもといたしましては、先ほど申し上げたような精神によりまして、必ずや両公団の労使双方の当事者の良識と健全な労使慣行によって円満に解決さるべきではないかと思います。それほど大きな基本的な相違点はないのでございますから、必ずや円満に解決すべきものではないか、そうしてできるだけ早く一本化するのが、世間全体から見ても良識ある結論ではあるまいか、こういうことを私どもは期待しているわけでございます。御指摘の点につきましては、私ども監督官庁といたしまして、あるいは関係各省といたしまして、十分に配慮してまいりたい、かよう存じております。  石川先生からの御指摘の点でございますが、賃金の水準につきましては、私どもも実際にいろいろ比較検討をいたしてみますと、そう大きな差があるとは思いません。もちろん、個人的に申しますと、個人の経歴と、その人の実際に支払いを受けています給料というものを比較しました場合は、いろいろ個人的な事情もあることでございますから若干の違いはございましょうが、いわゆる賃金水準というふうな考え方でものを見た場合には、私どもの見方からしますとそう大きな差はないのであるまいか、いまのところ、かよう存じております。  なお、賃金体系につきましては若干の相違があるようでございます。諸手当等につきましても、私どもが見てみますと確かに差があるようでございますが、これは統一を全く不可能にするような大きな差とは私は思っておりません。  さらに共済関係につきましては、これは法律も今回の改正法案の中におきまして法的措置をいたしまして、愛知用水公団の職員の方々水資源開発公団に引き移られましてからも、恩給あるいは共済組合の諸給付上期間通算等については法的にこれを保障する、これによって損失のないようにということでやっております。この点は御心配は要らないのではないかと思っております。  それから、最近利根川水系におきましていろいろな大きな工事が相次いで完了したので、そういう方々の配置についてどう考えるかというような、愛知用水の今後ともからみましての御質問でございます。御承知のように、利根川水系路は、確かに矢木沢、下久保等最近利根導水路の数年越しの大きな工事が完了いたしましたが、なおいろいろな管理業務が依然として残るわけでございます。また新規に開発すべき点も、利根水系につきましては、東京を中心とする水需要にこたえるという意味から、相当にございます。そういうことをもちましてこういう方々の処遇につきましても十分考えてまいりますが、なお実際の配転等につきましては、家庭事情等も考えまして、できるだけ円満なる人事行政をやり得るように、監督官庁といたしましても配慮いたしてまいりたいと思っております。  愛知用水方々につきましては、たびたび申し上げましたように、さしあたり新しい事業木曾水系について行なわれるわけでありますから、そちらのほうで働いていただくことになろうかと思います。
  30. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 愛知用水公団というのは今度解散をするわけでありますから、そこのいわば上のほうですね、理事長以下、こういうふうなものは、全部水資源公団にそのまますっと入ってくるということになるのかどうか。新たに水資源公団として、たとえば愛知用水公団の持っておった組織、機構というものをどういうふうにやっていこうとなさるのかということが一つ。   〔金丸(信)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、従来、愛知用水公団というのは、現場にちゃんと理事長以下おってそして事業の遂行に当たってきた。水資源公団というのは、東京にあって、五大水系ですか、方々をにらみ回している、こういう状態なんですね。そういう意味で、今度愛知用水公団が解散するわけですが、その機構、上ほうの人の配置というものは、一体水資源公団としてどういうふうに扱うということになるのか。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 平たいことばで申しますと、おのおの公団の家風がいろいろに違うわけでございますから、今度の法律をかけますときにも——第一、仕事のしかたも、地元との関係では、甘い辛いと申しては語弊があるかもしれませんが、言ってみれば、愛知用水公団のほうが甘い、水資源公団のほうが辛いわけでございます。しかし、急激に地元にそういうことをしてはやはりいけないだろうということで、先ほどから御指摘のように、愛知用水公団関係木曾あるいは三重については在来の方式をかなりの程度にそのままやっていこう、こういうことにいたしましたし、また、この家の中のことにつきましては、これも先ほどから御質問のように、いままで一緒でなかった家風でありますから、それを急に一つにしてしまうということは、事実問題としても問題がありましょうし、法律問題もあるかもしれない。ですから、そこもやはり配慮しなければなるまい。この法律はかなりそういう点で念を入れて考えたつもりでございます。ただ、先ほどから局長が申し上げておりますように、そのうちに一緒になったらだんだん融和をして一つの家風になるのが望ましいのでございますから、これは当事者間の良識に期待する、こういう考え方であります。ただ、役員につきましては、これはやはりこの辺をある程度合理化しなければ、統合という一つのメリットは失われるわけでございますから、その点も考えながら、しかし、前のほうのことも勘案いたしまして、水資源公団に暫定期間理事の増員をしよう、こう考えました。  それから現地の仕事の体制でございますが、いままで公団があって、それが店をたたんでいってしまうということでは、これはいかにも現地の人にも気の毒でありますから、どういう名前になりますか、名古屋に一つの機構を置いて、そしてその担当の責任者も役員として置いておく、こういう形で、なるべくいろいろな不都合、不便を現地に与えないようにしながら統合をはかっていきたい、基本的にそういう心がまえでございます。
  32. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私がいまのお尋ねをいたしましたのは、水資源公団というのは、大体上のほうはヤマタノオロチのように方々からみんな出向してつくり上げられている、そして管理職というのでしょうか、トップのほうは各省に全部従属をしておる、そういうところと、愛知用水公団のように、従来いわば全くの一家をなしてきた、完全に融和をされて、理事長以下現場におって仕事を遂行してきた体制と、水資源公団のように長官が八方から集めてきて各省、各方面の意向を調整しながら事を運ばなければならぬ、こういう水資源公団の組み立て、人の配置、こういうものとの間には、体質的に相当ズレがあるのではないか、異質なものがあるのではないか、これを水資源公団の責任において今後の運営をやっていくのに、人の配置の面では相当やりづらい。水資源公団そのものが寄り合い世帯でスタートを切っているわけでありますから、そういう意味では非常にやりづらい面があるのではないか。ヤマタノオロチを長官が一人で責任だけは持たざるを得ないというのは、いまのほんとうに一家をなした愛知用水公団というものを引き継いでいくのに、体質的に異なるものが一つすぽっと入ってくるという意味で、やりづらい点があるのではないか。そういう意味で、今後水資源公団が相当なさる木曾水系全体の開発の場合でも、相当慎重な配慮というものがなければいけないのではないかということを私ども指摘をしたいと思うのであります。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょっとお答えをさしていただきます。  そういう問題は、水資源法律が最初にできましたとき、あるいは水資源公団が発足いたしましたとき以来、国会でもそういう御懸念の御表明があり、また私どももそういうことを一番に心配をいたしました。しかし、今日までの経緯を顧みますと、その辺が非常にうまく運営をされてきたように思います。この点は直接調整に当たります私どものほうの行政に当たります者もずいぶん苦労をいたしてきたようでありますし、また関係各省もよく協力してきたと思いますが、それにもまして、総裁である進藤さんが非常に御苦労なすって、そして今日、かつての危惧があったにもかかわらず、水資源公団が非常にうまく動くようになった、それについて私は実は敬意を表しております。同じような精神で今後も愛知用水公団を迎え入れたいと思っておりますが、人事などにつきましても、ただいま阿部委員が御指摘のようなこともよく配慮いたしまして、融和してやっていけるように心を使ってまいりたい、こう考えております。
  34. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 水資源公団農業用水部面までやっていくということになっているわけでありますけれども、従来大規模な農業用水というのは国営工事でやってきておった。私が先ほどそういう意味お尋ねをしました際に、今後五大水系以外の水の開発についても、水の需要流れを見ながら考えなければいけない、こういうお話があったのでありますが、本来農林省国営事業として農業水利開発をなしてきた、あるいは将来ともなそうとしているもの、これを全部水資源に将来相当部分を入れていこう、水資源がそういう部面に次第次第にいわば仕事の領域というものを広げていこうというふうに考えていらっしゃるのかどうか、私は、その面をある程度——ある程度というよりも、基本的に明快にしておく必要があるのではないかと思う。たとえば五大水系なら五大水系限定するというのも、それもまた一つの問題点だと思う。五大水系以外に、将来の水の需要というものを見ながら、水資源がいろいろと農水工水上水、そういうものを総合的な角度からとらえて、仕事の領域というものを広げる長期的な計画というものを各省協力を得てつくるんだ、こういうお話でありますから、そういたしますと、従来国営事業として農業用水の場合に方々でやっているわけでありますが、この領域というものを将来水資源なら水資源で全部とっていこうということなのかどうか。とらないとするならば、この辺のものはとるし、ここからこの程度のものはとらないんだという、この基準というか、原則というものがあるのかどうか。
  35. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 お尋ねの点が農林省国営事業関連いたしますので、私のほうからお答え申し上げます。  国営土地改良事業は、現在土地改良長期計画という長期目標をつくりまして、これは四十年から十カ年という期間をきめまして進めてきておりますし、今後もその計画に基づきまして強力に推進さしていく方向をとっております。これは農林省の所管する土地改良法に基づいてやっておるわけでございますけれども、一方、水資源開発促進法あるいは水資源開発公団法、この体系によりまして水の広域的な総合的な利水という開発の方式が別にございますから、このいわゆる水資源開発二法の法律の趣旨に基づくものがある場合には、先ほど来経済企画庁のほうからお話しのようなそういう観点で、農業用水も含まれまして他の利水も総合的に開発していくという必要なものがある場合には、その法律の体系で今後も仕事を進められる、こういうふうに理解いたします。  もう少し申し上げますれば、御承知のように、国営土地改良事業はあくまで農業中心でございますし、農業重点であるのは当然でございますけれども水資源のほうでは、農業は含まれますけれども、必ずしも農業が重点であるとか、そういう趣旨のものではございませんで、各種利水が総合的にかなりのウエートを持ちながら計画される、そういう趣旨のものが水資源のほうでやられると理解しておりますので、国営土地改良事業のほうからこれを見るならば、そう多くの仕事がこの水資源開発二法のほうで今後行なわれるとは予測されない、こういうふうに考えております。
  36. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 長官の時間と、それから次の質問者のあれがあるようでありますから、私はもう一つだけお尋ねをして私の質問を後ほどにしたい、こう思うのであります。  先ほど御答弁があったのでありますが、ちょっと確認していただきたい、こう思うのでありますけれども、組合と公団との間に協約なり規則というものを持っておるという場合に、その適用をする場合に、場所によって、いわば属地ということになるのか、あるいは、そうではなくて、その働いている職員が所属をしている組合によってきまっていくのか、いわば属人ということになるのか、この点は、十月一日愛知用水公団が解散をして水資源に吸収されていくということになった場合に、その日から直ちに起こってくるということになりますので、話し合いを持つにしても何にしても直ちにその問題だけは起こってくる問題でありますので、この点はひとつ明らかにしてほしいと思います。
  37. 今泉一郎

    今泉政府委員 労働法関係の御質問でございまして、私もあまり専門ではございませんが、これはやはり属人的な解釈をするのが普通のものではあるまいか、こう思っております。そうしますと、先生の御懸念のように、同じ場所で働く方々が違った組合で違った条件というふうなことがあってはお互いにあまり愉快でもございませんでしょうから、なるべく早くこれは話し合いで一本化を進めたい、こう思っておるわけでございます。
  38. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それでは大臣の都合もあるようでありますから、次の質問者が大臣がいる間にどうしてもやりたいということでありますので、一たん中断して、私の質問大臣の時間のあとにしたいと思います。
  39. 加藤常太郎

    加藤委員長 内海清君。
  40. 内海清

    ○内海(清)委員 この水資源開発公団法の一部改正につきましては、私は、この改正に伴う問題点と、さらに今後の水資源開発の問題と、そういうことで若干お尋ねをいたしたいと思いますが、大臣のお時間の都合があるようでございますし、次の小川委員大臣に御質問申し上げたいということでありますので、そこで最初に今後の水資源開発問題ということで若干お伺いして、それで法案につきましては、小川委員大臣に対する質問が済みまして、質問に移りたいと思います。  御承知のように、今日非常に産業が発展する、それから人口の都市集中あるいは国民の生活水準がだんだん向上してくる、あるいはまた農業の近代化、こういうふうないろいろな面からいたしまして、上水用水あるいは工業用水あるいは農業用水、こういう各面にわたります水の需要というものは非常に増大してまいるだろう、急激に増大するのじゃないか、こういうふうに考えます。その点から考えますと、今日の状態からいうならば、今後におきますこれら各方面に対する水の不足ということはこれは深刻な問題になるのじゃなかろうかと思います。  そこで、昨年の三月でございましたか、経済企画庁から発表になりました経済社会発展計画というのが出ておるように思うのでありますが、十分拝見いたしておりませんけれども、これの中でも、いま申し上げました水の需要の飛躍的な増大に対処するためのいろいろな対策が必要である。こういうことが指摘されておるようであります。そこで、この水資源の広域かつ長期的な開発利用計画が早急に策定されなければならぬ問題じゃなかろうか、このことはこの中にも強調されておるようであります。そういう点から考えますと、少なくともある程度の長期的な見通しに立ってこの問題に取り組む必要があるのじゃなかろうか。建設省では先ごろ水の長期需要計画というふうなものをまとめられておるようでありまして、これは私も新聞等で拝見したのであります。今後の水の需要の増大並びに不足、こういうふうなものに対しまして一応の計数的な把握がなければ相ならぬと思うのであります。建設省のものは私は新聞で拝見いたしましたが、今回の問題に付随いたしまして、企画庁におきましてもそういう今後の水の需要の増大量あるいは不足量というふうなものが策定されておりますならば、一応お聞かせいただきたい、かように思います。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前段について申し上げますが、内海委員指摘のとおり、長期にわたる水の需要並びに供給について私どもがもう少しはっきりしたプログラムを持たなければならないことは、確かでございます。  ただいま私どもといたしましては、経済社会発展計画にお述べになったことが書いてございますが、何ぶんにも水でございますから、国全体の需要供給もさることながら、その地方地方における需給関係がどうなるかということがやはりもう一つ具体的には大切でございます。したがって、各都道府県から昭和五十年、六十年の需要の見積もりをいま協力をしてもらってつくりつつございます。五大水系については需給計画のプログラムがかなり具体的にほとんどできておるわけでございますが、この秋ごろ全国総合開発計画が新しくなりますと、その各地方地方における大型の開発計画がおのおの出てくると思います。そういたしますと、その地方におけるもう一つ具体的な需要と供給という問題を考えなければならないと思っておるわけでございます。もう少し先の問題といたしましては、原子力電力が安くなりましたらそういう追加供給の可能性もあると思いますが、まだそれは当面の問題ではございませんから、やはり御指摘のような計画をいま都道府県を通じてやっておりますが、もう少し具体的に、需要ばかりでなく、今度はこれに対する供給の面も考えていかなければならないと思っております。
  42. 内海清

    ○内海(清)委員 いま大臣お話のような、現在公団でいろいろ進めておられます事業五大水系ということでございます。したがって、この地域については、ことに利根川あるいは淀川、吉野川、筑後川、これはもう基本計画策定されて、木曾水系につきましてはなお計画策定されていないようでございまして、これは十月に告示の計画とかいうふうに承っておりますが、こういうものがはっきり策定されてまいらなければならない。さらに、この五大水系以外、全国的な都市、ことに新産あるいは工特地域の指定等におきましてはこの水の問題が、特に工業用水の問題などはきわめて深刻なものもございます。したがって、これは早急に進められなければ、せっかくのいままでの新産あるいは工特の指定がありましても、十分な予期の成果をあげ得ないのじゃなかろうかという気もいたすわけでございます。それによりまして供給計画開発計画が十分進められていくことが必要である。これは全国の国土総合開発計画が十月ごろに策定されるようでありますが、このときには明示されることと期待しておりますけれども、いずれにいたしましても、これらの点については急を要するものではないか。  そこで、建設省の長期需給計画というものを私はちょっと新聞で見たのでありますが、河川局長おいでのようでございますので、一応建設省のものがございますれば、ひとつお聞かせいただきたい。
  43. 坂野重信

    ○坂野政府委員 建設省といたしましては、治水の長期構想をつくります場合に、水の問題も含めて検討しておるわけでございますが、いま国土計画、地方計画立場から国土建設の長期ビジョンというものを立てておりまして、その際に各省資料を参考にいたしまして——まだこれは各省ともちろん完全な調整はできておりませんが、建設省の立場需要量を推定いたしたわけでございます。  ざっと申し上げますと、昭和六十年までに都市用水の増加が日量にして約一億トンぐらいはふえるのではないかというふうに踏んでおりまして、それに対して今後の供給の関係でございますが、これに対する供給の長期の構想をつくりまして、今後十カ年ぐらいで需給のバランスを立てていこうというのが、建設省の大体の構想でございます。もちろん、各施設計画等につきましてはいろいろの問題点がございますが、一応の構想としてそういった需給のバランスを考えてみたわけでございません。
  44. 内海清

    ○内海(清)委員 建設省のものも公のものではないと思うのでありますが、そういう計画ができますならば、それに対する開発計画が同時に行なわれていって、その必要なものが供給されるということにならなければならぬと思うのであります。しかし、これはいまの段階ではまだそこまで至っておりませんので、これは早急に確定さるべきものであると思うのであります。ただし、先ほどの五大水系の中の四つはすでに基本計画策定されておるようでありますので、もしこれらについて開発計画、さらには供給計画等がわかりますならば、資料としてあとからお出しいただきたい。  次は、私はきわめて重要な問題は治水と利水の問題ではなかろうかと思うのであります。この治水と利水を総合的に実施すると申しますか、これは当然そうでなければならぬと思う。ところが、はたして総合的な体制ができておるかどうかということを思うのであります。さらに、利水につきましても、先ほど申しましたような、農業用水あるいは工業用水あるいは上水道というふうな各面にわたるものがあるわけでありまして、これらが総合調整されまして、管理体制が確立されなければならぬのじゃなかろうかと考えるのであります。ところが、今日までこの面で両者が十分かみ合ったものができておるかどうかということに対しましては、はなはだ疑問に思うのであります。今後の膨大な水の需要に対しますためには、これまたばく大な利水投資というものも必要になってくるだろう、こういうふうに思うのでありますが、用途別の利水の調整機能を確立いたしますことはもとよりでありますが、治水、利水の総合的な実施体制、これが急がれねばならぬのじゃないか、こういうふうに思うのであります。これがてんでんばらばらでは、はっきりしたものはできてこない、計画的のものは生まれてこないというふうに考えるのでありますが、それに対しまする御所見なりあるいは具体的な対策がございますならば、お伺いいたしたいと思います。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう必要につきましては、経済社会発展計画でも、御指摘のようなことを述べておるわけでございます。ちょうど建設省の政府委員がおられますので、具体的には政府委員からお答え願ったらいかがかと思います。
  46. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘の治水と利水の調整問題でございます。先生指摘のように、まことに重要な問題でございまして、私ども河川の立場からいたしましても、治水と利水の総合調整という問題——河川法にもうたわれております。そういう立場からいたしまして、常々これは念頭に置き、重要視しながら仕事を進めておるわけでございます。  計画面におきまして申し上げますと、先生承知のように、治水の方式としては、堤防をつくって河川改修をする方法と、上流あるいは下流で洪水を調節するという問題があるわけであります。堤防の改修は治水の本来の問題でございますが、それに対しまして利水が入ってまいりますと、ダムを計画するような場合にも、治水と利水の両方を考えまして、双方の調整の上に立った施設計画をつくるわけでございまして、また、いろいろな河川の改修計画をつくる場合におきましても、諸用水の取り入れ等の問題いろいろ施設的に総合的に考慮してやっておるわけでございまして、水資源開発につきましても、指定水系につきましては、もちろん、経済企画庁中心にして各利水間の調整あるいは治水との調整をはかっていただいておるわけでございます。それ以外につきましても、多目的ダムの建設等にあたりましても、利水の分と治水の分と、計画する際に分けて両方が十分うまくいくように、計画の段階においてやっておるわけでございます。  それから管理面につきましては、それぞれの河川管理者のお立場、あるいは用水といいますか、利水の施設等の関連がございますので、そういう管理の体系につきましても十分調整をやりながらやっていくつもりでございますけれども先生のおっしゃるとおり、治水と利水とで往々にして競合する場合もございまして、特に渇水時あるいは洪水時等につきましてはそういう緊急調整をするような場合もございますけれども、そういう場合におきましても、建設省はもちろんでございますが、各省の協議会というようなものをつくりまして、そういう段階においてできるだけスムーズに調整がいくようにはかっているわけでございます。
  47. 内海清

    ○内海(清)委員 これはいま大臣お話しのような経済社会発展計画の中にも、水資源開発と利用という項であげられておるわけであります。ことに、「新規水資源開発にあたっては、治水と利水を一体とした水系一貫の見地に立脚して、多目的ダムの建設、湖沼開発等の大規模水資源開発を行なう。この場合、水系相互間を考慮しつつ、治水と上水用水工業用水農業用水および電源開発とを調整した広域かつ長期的な開発利用計画水系ごとに作成し、これにもとづいて先行的な開発をはかることとし、そのための資金の拡充と関係各省庁間の連絡協調体制の強化に努める。」こういうのが出ておるわけであります。したがって、この点について現在何か具体的な対策がとられておるかどうか、こういうことであります。
  48. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもの役所の関係で申しますと、電源開発の審議会を所掌いたしておりますが、これはプログラムを立てますときに、それが治水と利水どういう関係になるかということに常に大きな関心を置いておりまして、各省を調整いたしまして、計画をつくりますときには必ずそういう点をチェックするようにいたしております。
  49. 内海清

    ○内海(清)委員 このことは非常に必要なことと思うのでありまして、なお建設省の三十九年の河川法の改正のおり、こういうものがこれに関連したものがあるわけです。しかし、これを見ますと、上流県と下流県の水利用に関する利害対立を調整するために、流水占用許可を建設大臣に引き上げるというふうなことが中心になっておるように思うのであります。これでは用途別の調整というものは生まれてこないのじゃないかと思うのですが、これは建設省のほういかにお考えですか。
  50. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっと先生の御質問の御趣旨に必ずしも合うかどうかわかりませんが、河川法の改正一つの重要な点は、河川を従来適用河川と準用河川に分けておったわけでありますが、これを今度は一級河川と二級河川に分けまして、一級河川は水系を一貫して建設大臣が管理をする、そうなっておりまして、その中で実は指定区間というものを設けまして、指定区間につきましては管理の一部を県知事に委任しておるということでございますけれども、重要な水利問題あるいは重要な工作物設置等につきましては、一々建設大臣の承認をとるということになっておりますので、そういう段階におきまして、全体的に建設大臣が河川管理者の立場で水の一貫管理できるというぐあいになっておりますので、その点、指定区間ということで、従来どちらかというと河川の区間主義でございましたものが、今度水系一貫主義になっおりますので、それよりもその点はだいぶ進歩したものと考えております。
  51. 内海清

    ○内海(清)委員 その点は認めるのでありますけれども、いま申しました治水と利水という立場から考えまして、これも用途別の調整にはなお手がつけられていないじゃないかというふうに考えるのであります。河川法の改正は、いま局長お話しのように、これを一貫的に行なう、こういうことが主体になっておるようでございます。しかし、いま水資源開発公団でやっておられます仕事、この面から見まして、業務の所管、権限を見ますと、これは今日、厚生、農林、通産、建設、こういうほうの面で多元的にこれが管理されておるのであります。これを統轄してひとつ調整して、治水と利水というものが密着する体制が必要なんじゃなかろうかということを私は考えるわけであります。三十九年の臨時行政調査会の答申を見ますと、「水資源開発を総合的に遂行するため「総合開発庁」を主務官庁として、水資源開発公団を再編成すべきものと考える。」、こういう一つ指摘があると思うのであります。そこで、水に関します行政総合化の第一歩として、この答申の趣旨に沿って水資源開発公団のそういう意味合いにおける再編成についてどう考えになっておるか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる臨調の答申は、理論としてはまことにそのとおりであろうというふうに私どもも読むわけでございますが、しかし、利水と治水が、たとえば一つの建設省の中においてすら、事の性質上なかなか一つのことにならない場合が、御承知のように、多いわけでございます。いわんや、他省との関係がまたそこに出てくるわけでございますから、開発庁のようなことは、考え方としては臨調の言っておるとおりであろうと思うのでございますが、しかし、従来水資源行政を水という観点から経済企画庁で所管しておりますことだけから見ましても、結局これは機構の問題ではなく、やはりその関係者の局長の心がまえの問題ではなかろうかという感じが強うございます。でございますから、まあ開発庁という構想も、抽象的に考えますと、うまくいきそうなという感じもございますが、どうも経験からいたしますと、やはりいまの行政の中で各省が協調をしていく、そういう精神と場を発見するというようなことが、現在望み得るところではなかろうか。はなはだ歯がゆいようなお答えでございますけれども実情も内海委員よく御存じでいらっしゃいますので、いまとしてはそう思っております。
  53. 内海清

    ○内海(清)委員 いま大臣お話でございますが、これは私も理想としてはそういうものができて一元的に行なわれるということが最も好ましいと思います。まあ現在の役所の形からいい、いろいろむずかしい点があるだろうと思います。したがって、この趣旨に沿うものとしては、いま大臣お話しのような各省庁がほんとうに協調してやるということ以外に現段階ではないのじゃないかというふうに考えますけれども、将来水の需要というものはますます増大するわけでございます。しかもそのためには多くの投資も必要でありまするし、そういう点から考えて、いままでのような各省庁のばらばらのものでなしに、できるならばそういう形のものができていくということが最も好ましい、特に今後の日本の非常な発展の度合いから見ましてもそういうことを考えるのでありますが、現段階では大臣お話のようにこれはなかなかむずかしい問題だろう。まあ各省庁の調整ということも、私どもが見ておりますところでは、いろいろな面でむずかしい面があるようであります。しかし、これは宮澤大臣でやられるならば私はこの点は十分できるのじゃなかろうかということを考えますので、今後それらの立場としては各省庁間の調整であります。できますならば今後そういうふうなものが総合的な一つのものができるように御努力いただきたい、特に要望申し上げたいと思います。  なおお尋ねしたいことがございますが、小川委員大臣に御質問があるようでございますので、一応大臣には以上で終わります。
  54. 加藤常太郎

  55. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣に私初めて質問させていただくのでありますが、経済問題からひとつこの水資源の問題をお聞きしたいのであります。  企画庁長官は物価の問題ではオーソリティーであります。この点で、現在、水道料金の問題で非常に問題になっておりますが、この水道料金の値上げという問題が、東京都でも——赤字が一日一千万円とか聞いておりますが、このように公共団体の公営事業が赤字になっていく、そのしわ寄せが水道料金にはね返ってくるということで問題になるのですが、東京都が淀橋の浄水場あと地などを売り払ってこれを財源の見返りにするというようなことを発表したときに、大臣は、そのようなことは好ましくないんだ、それはもう単独で水道事業というものはその会計をやっていかなければたらないのだ——当然値上げも含まれたような発言を大臣はなさっておりますが、私はその点がよく理解できないのです。そういった、国民生活、また物価値上げの一番大きな問題になっていくような水道料金について、いま東京都の直面しておるようなものの考え方、これに対して大臣の見解をまずお伺いしたいのです。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは地方公営企業の一つでございますから、やはり独立採算ということはたてまえであろうと思います。しかしながら、飲料水の料金というものは、これはもう国民生活に最も不可欠なものの価格でございますから、やはりその地方団体の一般会計から、また処分し得る資産があればそういうことも考えてもらって、新しい建設費あるいは配水費等にも充てていってもらいたい。政府としまして上水についてある程度の補助をするということは、まだ始まったばかりでございまして、決して十分とは申せませんが、やはり地方公共団体では他の会計及びその持っておる資産を処分し得るものは処分するといったようなことでできるだけ利用者の負担を低くしていってもらうような努力はぜひお願いしたいと思っております。
  57. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 東京都の水道は、水を飲み水にするために一リットル当たりどのくらいかかっておるのか。首都圏の水質汚濁が原因で上水にするためのコスト高、こういう点が東京都の水道事業にはね返ってきておる、こういう点、単価は一体どの程度公営事業の健全な運営上必要なのか。東京のように、また大阪のように大都市で水の需要が大きい、しかしその周辺の川の水が汚れておる、そのために、清浄にするためのコストが高くなる。それが一律の水道の補助率であっては、赤字になるのはあたりまえだと思うのです。そういう点、大臣はどのようにお考えになっておりますか。こういった特殊情勢にあるところの公共団体の水道事業の補助というものをどう考えておられますか。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは御承知のように、国も、水源の確保、それから導水路などについてはずいぶんの金を使ってまあお手助けもいたしておるわけでございますし、今後もそういうことをいたさなければならないと思っております。
  59. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点が私は最も詳しく聞きたいのですけれども、時間がないのであまり追及はできないのですが、そうしますと、公共団体は土地を売り食いするとか、または淀橋の浄水場のあと地を売り払うとか、そういったやり繰りをやらなければならぬ。いま大臣のおっしゃったような、そこの独立採算制ですね。水道事業は水道事業の独立採算制なんだから、その中でものごとを解決していかなければならない——それは当然どこかにしわ寄せがきますね。いま言ったとおり、単価が上がってくる。コスト高になる。ところが、国からあまり金は来ない。公営事業の独立採算制という点からいけば、水道料金の値上げというところにはね返ってくる。こういう点、大臣の発言の中で、水道料金が物価高の要因になってくるという気がわれわれはどうしてもしてならないのです。その点を明快にひとつしていただきたいと思う。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 具体的に淀橋の場合について私は申すわけではございませんが、やはり大きな行政でございますから、当面必要のない資産を処分するということもあり得ましょうし、一般会計から金を入れるということもあり得ましょうし、また給与についても、非常にたくさんの手当、特別手当といったようなものがございますのを、やはりある程度整理してもらうということも必要な場合もあろうと思います。国といたしましては、やはり奥のほうの水源開発、それからそのための導水路、用水路といったようなものについては、御承知のようにずいぶん配慮いたしておるのです。それらの上で、どうしてもやむを得ないというときには、これはある程度利用者に負担していただかなければならない、こういうことではなかろうかと思います。
  61. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この点はあとでいろいろと議論をしたいと思いますが、大きな問題としまして、利根川水系開発の点です。この利根水系開発もいろいろと出ておりますが、特に淀川水系でいえば琵琶湖、それから利根水系でいえば霞ケ浦の開発、これが計画されているのだということだけ出ておるのですけれども、具体的にいえば霞ケ浦の開発というものは一体どうなっているのか。昭和四十五年を目途といたしますと、東京都だけでも大体六十立米、毎秒六十トン必要だという。昭和四十五年におきましては、皆さんの出した資料からいきますと、百二十立米、毎秒百二十トン必要だ。ところが、利根河口の開発だとか、矢木沢、下久保ダムの開発だとか、それから群馬県の神戸ダムの開発とか、種々の開発が行なわれても、現在六十から八十くらいの間だ。四十五年度には百二十立米、百二十トンの必要が見込まれているにもかかわらず、現在の情勢ではそういった供給量しか与えられていない。霞ケ浦の開発というものが、聞くところによると、三十立米、毎秒三十トンくらい開発できるということを聞いておりますが、霞ケ浦の開発ということは非常に大きな問題なんです。大臣のほうでは、水資源の問題として霞ケ浦開発の具体的な問題はどうなっていますか。
  62. 今泉一郎

    今泉政府委員 先生指摘の点は、われわれも非常に大きな問題じゃないかと存じております。ことに、東京都、並びに鹿島臨海工業地帯あるいは学園都市等の造成が具体化しつつあるおり、これは一そう真剣な問題じゃないか、こう思っております。それで、ただいまの数字の問題でありますが、御承知のように、利根川水系につきましては、秒当たり百二十トン。これを四十五年度の一応の目標といたしまして、それに対応する施設を着々と進めておる。矢木沢あるいは下久保あるいは利根神戸、これによって大体四十五年度の目標百二十トンというものはまかなえるのではあるまいか、われわれはこう思っておるわけでございますが、しかし、御指摘のように、また私がいま申し上げたように、将来の需要に対処する意味ではこれでは不足でございますから、五十年度の目標というふうなことにつきまして、しばしば申し上げましたように、目下いろいろ具体的な計画を立てる、その際には当然霞ケ浦の開発というものも考えに入っておるわけでございますが、非常に大きな問題でございまして、利害関係者の各県も多いことでありますし、また各水域に対する、何と申しますか、技術的な波及というものも相当あることでありますし、それから沿岸住民の方々のお気持ちも、また経済的な影響も、これもあろうと思います。目下そういう意味で慎重に検討しておるわけではありますが、机上の考え方ではなくて、すでに四十三年度予算といたしまして、たしか一億円だと思いますが、建設省の調査費として計上されまして、いよいよ開発計画が具体的に動きつつある、こういう段階になっておるわけでございます。
  63. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは霞ケ浦と琶琵湖も含まれているのですか。
  64. 今泉一郎

    今泉政府委員 琵琶湖のほうは、これはたしか四十三年度予算一億三千万であったかと思いますが、これまた問題が多いところでございます。いま、地元方々も含めまして、関係者慎重に開発計画を練っておりますが、まず十分な調査をする、こういうことでいま検討しておるわけでございます。
  65. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 東京都の場合をあげましても、利根導水路、荒川を利用いたしまして利根川の水をいただいているわけですが、私は埼玉県に住んでおりますから、これはひとつ大臣お尋ねしたいのですが、東京都の人のために、埼玉県の中を——これはいいです。人類救済のために必要なんですが、非常に不合理な点が一点あるのです。なぜかと申しますと、行田の取水口から利根導水路を通って浦和の秋ケ瀬を経て朝霞水路に入っていきますね、その場合の単価の問題なんですが、東京都と埼玉県の、水をいただくお金、単価がなぜ同じなんですか。この点が県でも非常に不合理だといっている。埼玉県としては非常に大きな立場に立って——あの八月の渇水のときには、時の建設大臣の河野さんが来てうんとハッパをかけて、そのために、われわれとしても大きな広域行政立場からあれを検討して、非常に犠牲を払った。ところが、行田の取水口ができたおかげで、昭和四十一年の台風のときには、公団の方も聞いておいてもらいたいのだが、あれができたために、はんらんの原因になっておる。その補償の問題もまだはっきりしていないように聞いております。そういうような大きな犠牲を払って埼玉県の土地の中を——そういった取水路として田畑をつぶし、いろいろな面で犠牲を払っておるのですから、工業用水または上水の取水に関する単価に格差をつけるべきだと私は思うのですが、この点はどうなんですか。それはできないですか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、あの当時私もたまたまいまと同じ仕事をしておりましたので、多少事情を知っておりますのですが、結局、お互いのことであるということで埼玉県にたいへんにいろいろ配慮してもらいまして、やはりプールをして考えるべきではないかということで、大乗的に考えていただいた、こういう経緯であったと思います。それは非常に感謝をいたしておりますが、経緯はそういう経緯でございます。
  67. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 感謝というものは、何かの形になってあらわれてきて初めて感謝の意を表するのであります。国会答弁のように、遺憾でございますとか何とかいう問題ではないのであって、埼玉県のように、首都圏の中で、それでなくても東京の人口のベッドタウンとして、いま都市計画で市街化区域、市街化調整区域をつくる、またはこれから再開発を検討していこうというような立場に立って、水の需要というものは東京都に七割持っていかれておる、埼玉県の需要は三割か四割、そういう中で、単価というものをここで何らかの形で——起債の面でもめんどう見るとか、あるいは補助金の問題でも何とかするとか、埼玉県に有利になるように御配慮をしていただけないかという御質問なんです。ただ感謝する、あのときの情勢はよく知っております——あのときはとうだったです。頭を下げて三度も来て、拝みます、水を何とかしてください、東京は死んでしまいます——私も県会議員でしたから、わかっておりますが、広域行政立場に立って水をやれというので、そのとき埼玉県は農業取水まで犠牲を払った。農業用水のほうはとにかく、飲み水に回せ。あの八月の渇水期に、オリンピックを前にして非常に困っていた。ところが、次の年に災害が起きて、四十一年には行田の取水口ができて、あの工事のために大きな犠牲を払っておる。そういう点で、トン当たり単価一円でも五十銭でも東京都との格差をつけて国のほうで何とかできないかということなんですが、企画庁長官どうですか。
  68. 今泉一郎

    今泉政府委員 どうも比較的昔の話につきまして、私も先生よりは知識が少ないので、はなはだ申しわけございませんけれども、そういう事情があったということは仄聞しております。また、それに基づきましては、単に水道用水のみならず、その他の両都県間の諸問題につきましても種々さまざまなるお話し合いがあったのではあるまいか、その結果、大乗的見地から、先ほど長官お話しのようなことできまってきたのではないか。もちろん、その前提には、非常に科学的と申しますか、技術的なアロケーションの原則というものがございますけれども、そういうものではないか、こう存じております。
  69. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 公明党の大臣ランクの中で、宮澤企画庁長官は非常に尊敬しているという数字が出ている。それはなぜかというと、非常に思いやりがあるという話です。ちっとも思いやりがないではないですか。私は、ほんとうに見直ししなくてはならないと思うのです。何とかひとつそういった広域行政立場に立ってものごとをこれから判断していただきたいということを御要望申し上げておきます。  ここで水の話で水かけ論をやってもどうしようもないし、煙に巻かれてしまうのが落ちでありますから、私はこの辺でやめますけれども、もう一点大臣お尋ねします。  ダムの放水の件ですが、ダムの放水で事件が起きて、子供が死んでいるのです。これは島根県です。島根県でお子さんがなくなったのです。川は飯梨川で、これは多目的ダムです。ところが、こういったダムの放水というものは、非常に長大な流域を持っておりますね、そういう場合に、あらゆる手を尽くしたと言っておるのですけれども、そんな一キロや二キロじゃないのです。そういう中を、警報だけで徹底はできないのです。そこでこのダムの放水に女児が巻き込まれて水死というような悲しい事件が起きた。これは四十三年三月二十八日のできごとですが、これは見舞い金も出ない。しかも保育園には連絡を忘れているのです。こういった点で、たとえそれは過失がなくとも、こういった事件が起きたときにも、無過失補償という点で何らかの形で補償制度を設けられないのでしょうか、どうでしょう。
  70. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御質問の、後段はむずかしい問題でございますが、前段のほうをお答えいたします。  布部ダムの問題につきましては、先生は二十八日とおっしゃいましたが、 二十六日でございます。事件は、布部ダムが大体でき上がりまして、建設省の一部使用検査も終わり、繰作規程の承認等、そういっ行政的な手続はすべて終えまして、ダムのゲートの振動実験を行なうということで水の放流が行なわれたわけでございます。その際に、問題は、島根県知事の責任でございますが、島根県といたしましてどういう事前の警告なり措置をやったかということでございますが、私ども島根県当局から聞いた報告によりますと、相当徹底した事前の警告の措置をやっております。まず、昭和四十三年の三月十二日に、公民館で、役場、市役所、それから各学校、消防団、そういうものすべてにパンフレットを配って十分徹底した、それからまた三月十五日に、さらに間違いがあっては困るということでやっておる。それから、前日の三月二十五日にまたマイクロ警報車を走らしてやった。そしてまた、聞いてみますと、なくなった娘さんのおじいさんが、ダムの放流があるのでおまえ外に遊びに行ってはあぶないから、川の付近で遊んじゃいかぬということを十分言い聞かした。それにもかかわらず、子供さんでございますから、川の中で遊んでおったら、たまたま水がふえておぼれ死んだということでございまして、県当局といたしましては、それに対して、葬儀の費用はもちろん県から出したし、診断書の費用も県から出しておるようでございます。それからまた、葬儀には参列しておりまして、県知事から見舞い金十万円も出しておるということで、道義的な責任を県としては感じて——行政的な責任、管理上の責任はございませんが、そういうことで、県としては十分やるべき手を尽くした。しかも、そういう管理上の責任がなかったということでございますので、私どもとしては、県のやっておるすべての措置はこれで間違いないのじゃないか、行き届いたことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  71. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは確かに全部心得ております。心得ておりますが、そういう過失がないとかあるとかじゃなくて、無過失であっても、きちっとした体制を整えてもらいたいというのが私の本旨でございます。その点よろしいでしょう、その点で出ておりますので了解いたしますけれども、将来にわたって、こういう無過失でも国家は補償しなければならぬということを、大臣どうですか。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは簡単にお答えできる問題ではないように思います。いま具体的なケースをあげになりましたので、無過失ではありましても非常にお気の毒なことでありますが、一般的に無過失責任というものについてはむずかしい問題がたくさんあるようでございますので、私からにわかにいずれともお答えすることがただいまはできません。
  73. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、とにかく将来検討していただきたいと思います。  それから、地盤沈下の点でございますが、いま私の住んでおる川口では一年間に百七十ミリも沈下しておる。並木町というところですが、年々ひどくなる。それともう一つは、地盤沈下の範囲が広がっています、工業用水くみ上げ規制等に関する法律で、またはいろいろな法律通産省とか建設省とかでいろいろな規制が行なわれておりますが、一体これは県等にまかしておくべきことでなくして、国がこの地盤沈下対策という問題ともっと大きく取り組んでいかなければならぬときが来ておりますが、この点、大臣どうお考えになっておりますか。
  74. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 地盤沈下につきましては、終戦後十何年間に国として相当の国費を使いました。しかし、当時の地盤沈下は海岸などについておもに起こりましたので、いまの工業用水のような関係とは違った形であったと思います。実情につきまして通産省のほうから御説明があるかと思いますが、それも伺いました上でなおよく検討いたしたいと思います。
  75. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはあとでけっこうです。大臣時間がないようですから……。  群馬県の沼田ダムです。まぼろしのダムといわれておるが、いつまでもまぼろしでいいのかどうかということです。これはまぼろしでは困る、いま沼田ダムは、土地の問題、補償の問題で群馬県と埼玉県で問題になっておるダムだ。この沼田ダムに対する構想、計画、予算等、これについてお聞かせ願いたいのですが……。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題はここ十年ぐらい前から議論されておる問題でございますけれども、結局水没するところが非常に多いというようなことがありまして、私ども何とも考え方をきめかねております。
  77. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはちょっと困るのですがね。そうすると、四十三年度予算では調査費はどれくらいついておりますか。
  78. 坂野重信

    ○坂野政府委員 約五千万でございます。
  79. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、五千万で、いままでどれくらいこれに積み上げられておりますか。
  80. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっといま資料の持ち合わせがございませんので、はっきりは申し上げられませんが、とにかく数億の予算は調査費としてあげております。
  81. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、大臣、きめかねておるということは、このダムをつくらないのですか、その辺はどうなんですか。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはこの地方の水資源関係から申しますと、やはりどうしてもこれくらい大きなものが必要だという必要の面は従来しばしば強調されてまいって、そして調査もしておるわけでございます。しかし、水没地との関係は、何ぶんにも事が事でございますから、よほど慎重に結論を出さなければならない問題ではないかと思うのでございます。
  83. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 成田空港設置の場合にはあれだけの反対があっても強行しているわけですね。これはまあ問題が違いますけれども必要性という点があって、今回利根の開発ですか、先ほど申しました毎秒八十トンの確保、または百二十トンの確保という一連の利根開発計画の中では、ただいま大臣のおっしゃった沼田ダムはぜひ必要なんだ、これは利根川開発のためには必要である、一応あそこは一番いい地点でこうなっているんだということで、予算の計上も相当されておって現在まできておるのですが、その点、地元民に与える問題というものが非常に考えられてくる。いまのような不明確な、どうなんだかわからないんじゃ私ども困るので、こういう点がこうであるからこうするんだ、こうなんだということではっきりしていただかないと、群馬県のほうでは困ると思うのですが、その点私は聞きたいのです。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは正確には建設大臣からお答えがあってしかるべきものと思いますけれども、必要ということはおそらくすべての人が認めておるのであろうと思いますが、何ぶんにも相当多くの家屋の水没があるということになりますと、その人たちに対して、総合開発なりあるいは今後の生活の問題なり、住居の問題なり、よほど納得のいく対案を出しませんと、理屈なり必要だけで進んでいくわけにはいかない問題であるのだろう、こういうふうに承知しております。
  85. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣も時間がないようですからこれで終わりますが、一つ最後に、海水の開発が行なわれていることは承知しておりますが、現在の海水開発、その利用というものはいまどの程度に進んでおるのでしょうか。また、これに対して国ではどういうふうな姿勢、方向で進んでいらっしゃいますか。
  86. 今泉一郎

    今泉政府委員 御承知のように、現今並びに将来の水需要考えますと、特に原子力発電との関連におきまして、海水の淡水化ということはやはり将来非常な必要性を持ってくるのではないか。しかして現在のところは非常なコスト高でございます。現実の、直ちに利用できるという状況ではございませんが、原子力発電の将来の発展等々と関連して、将来そういう実用可能性の生ずることも考えられるじゃないか、そうしてやはり政府としては、われわれとしては、水の関係に携わる者としては、そういう新しい分野につきましても研究と研さんを積まなければいかぬ、こういうふうに考えております。
  87. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では大臣に対する質問はこれで終わらせていただきます。
  88. 加藤常太郎

  89. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いまの三重用水木曾総合関係で、十月一日以前の段階で、農業用水関係につきましては地元の三分の二以上の同意を求めなければいけないというような関係が出てくると思うのでありますが、現在この関係地元協力状況、これは一体どういうふうになっているのか。
  90. 今泉一郎

    今泉政府委員 農林省の担当の方もおられまして、現在農林省調査されておるわけでございますが、三重用水の点につきましては、御承知のように、三重県は水利の必ずしもよくないところでございますから、農水中心といたしまして、上、工水とともに当該三重用水の完成の一日も早からんことを祈っておられるというのが実情じゃあるまいかと思います。しかしながら、同時に、水源が比較的少ないところでございますから、この水をどこからどういうふうにとるかということにつきましては、これはまた非常な苦心を要するところ、また関係者にも影響するところでございます。この辺あたりの問題につきましては、私どもも、地元の各県御当局とも十分御相談しまして、これから具体的な基本計画の中に表現していきたいと思って、構想をいま関係各省とともに練っている状況でございます。
  91. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 同意を得なければならない組合員、農民の対象数は何名ですか。
  92. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 いま組合員の数そのものはちょっと手持ち資料がございませんが、木曾、総合の全受益面積は約一万四千町歩、それから三重用水は七千四百町歩くらいございますので、数千人以上の人たちがこれの受益者であろうと思います。現在、この仕事を進めていくために地元方々の同意が必要でございますので、出先のほうあるいは該当の愛知県、三重県、岐阜県、こういったところで同意の手続を進めつつあります。
  93. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それから長良川の河口ぜきの事業については、漁業権との関係でたいへんに困難があるというふうに承っているのですが、木曾総合三重用水、長良川河口ぜき、この三つについて、補償の問題なり、あるいは受益関係者と呼んでおるわけでありますが、この皆さんの同意あるいは補償、これらの問題を九月三十日以前に確実に解決つけられ得る、こういうふうに思っていらっしゃるのかどうか。
  94. 今泉一郎

    今泉政府委員 御指摘の点は、確かにいろいろむずかしい問題もございます。ございますが、大かたの点につきましては地元方々の御支持、御了解も得ていることでございますから、各種の問題はございますが、私どもといたしましては、これは御指摘の十月までにそういう円満なる御納得を得て、基本計画をつくり、かつ事業を進めるという上に支障がないようにしたいし、また、できると思っております。また、そうしなければいかぬと存じておるわけであります。
  95. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま漁業補償の問題は方々でよく起こる問題ですから、よくわかるのでありますが、農業者がいろいろ反対をする、なかなかすらっとは乗ってこない、こういう原因というのは、私が方々の経験で見て知っておるのでは、受益者と呼ばれるのでありますけれども、受益という概念が非常に少ないのであります。なぜかということになりますと、長い間慣行水利権なりいろいろな経過をもってきているわけでありますから、そこでこういう種類の大規模な水利開発をやります場合、受益関係者の負担という問題が起こってくるわけであります。この負担の問題で方々の場合において関係者が非常に不安を持つ、こういう例が非常に多いように思うのですが、しなければならぬと、たいへんきびしい決意を承ったのでありますけれども、いま起こっておる不安なり、あるいは関係者がなかなか乗ってこないという、その内容のおもなるものは一体何なのか。
  96. 今泉一郎

    今泉政府委員 建設、農林その他の御当局にも関係するところでございますから、総合して申し上げますが、一つは、長良の河口ぜきにつきましては、御承知のように、アユ等の魚類の遡上等に悪影響がないかということが心配の種でございます。この点につきましては、補償問題もさることながら、まず補償問題が起こらないよう、アユができるだけのぼるように、そして岐阜県の名物であるアユに損害が起きないようにできるだけの努力をする、もちろん魚道もつくります、あるいは用水路がたくさんございますから、そういうところに対する稚魚の迷入を防止するためのこまかい技術的な装置をするとか、いろいろな研究をやっております。しかしてなおかつ、その将来の問題を含めまして、建設、農林両省並びに私どもが県会の御当局を通じまして地元方々と十分な話し合いをいま持っておる段階でございます。したがいまして、そういう方々お話し合いによる円満な妥結を待って工事を進めてまいりたい、こう私ども考えておるわけであります。それが長良川の話ということになろうかと思います。  なお、先生の御心配になっております受益者の負担というようなお話は、これはおそらく各種の用水施設ができる、ことに農業関係用水施設ができる、そうした場合に、お百姓さんの負担が一体幾らになるか、どうなるんだ、できるものはできたが、あまりかかってはかなわぬぞ、こういう点をさしておるのであるとするならば、この点は、御承知のように、愛知用水また豊川用水等におきまして非常に苦労をした問題であります。そういう苦労を無にしないように、今後水資源公団が引き継ぎましても、十分慎重に地元との話し合いを持ってやってまいりたい、こういう気持ちが私ども関係の役所並びに関係公団の一致した考え方であるということを申し上げておきたいのでございます。
  97. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 先ほどの愛知用水公団でも受益者の負担というのが三十七億程度ですね。これが一つのひっかかりになっているという事実があるわけでありますが、私なども方々の地域で国営の水利開発事業その他の場合の負担金問題でたいへんにもめておる事実を知っております。したがって、今後これらを解決するためには、国のほうでは受益者だというのでありますが、関係者の側から見ますと、必ずしも受益者だという理解にはすらりとは入っていかない性格を持つ場合が多いのであります。特に水資源公団がやります場合には、従来は農業水利がおもであったものが、今度工業用水上水と、いろいろな問題を持っていく。いままでわれわれが慣行水利権を持っておったのを、いろいろな開発を国がかってにやりながら、さらに負担をするのは何事か、こういう一連の流れというものは当然そこに発生してくるであろう、こう思うのであります。そういう意味で、負担の問題は、国のほうは受益者だというのでありますが、特に慣行水利権やいままで長い経験を持っておる農民の側から見ますと、どうもわれわれがいままでとっておった水をよそに持っていかれてたいへんなことになるのじゃないかというような問題がいろいろ起こってくると思うのであります。  時間的な事情もありますので、ずっとたたみ込んでお尋ねいたしますが、これは農林省の佐々木参事官お尋ねしたいのであります。  いま国営の木曾総合三重用水の現況は、どの辺まで農林省の手によって進められているのか。
  98. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 前段の農民負担金の問題でございますが、農業の水の開発を行ないます場合は、土地改良法の手続を踏むことになりますが、この法律では地元の申請に基づいて仕事をやっていく、この方式は、当然地元がそういう事業を要望し、ぜひやりたいというところから始まるわけでございますから、三分の二の同意があれば全体の計画をやれるという仕組みになっております。この段階では、法律手続がそうなっておるのと並行いたしまして、事実行為といたしまして、この事業の全体計画、特に事業費等に対する負担金がどのくらいになるかということを事前に納得しなければ、農家の方も不安がございますので、進められない、そういう事実を一方ではやりながら、そういうことが納得された段階で法律手続が進んでいく、こういうことでございます。確かに御指摘のように、こういう計画に対しましては、農業で従来から水を使っておる場合——新たに水を引かれる場合は別な観点がございますけれども、どうも負担に対する意識が他の部門からすれば比較的軽いということはあることだと思いますけれども、かなり巨大な資金が入りまして、そのお金は、国営事業の場合は大体八〇%くらいは国と県の負担でやることになりますので、二〇%程度くらいが農民負担金ということになります。したがって、現在のやり方からいたしますならば、非常に農民負担の軽減をはかりながらやっておるとわれわれは考えております。  それから木曾総合三重用水事業はどうなっておるかということでございますが、いずれの事業もかなり長期にわたりまして基礎調査から始めておりまして、二、三年前にこの事業計画はきまりましたので、すでに農林省の出先をつくりまして、国営という形式を踏んでおりますが、現在の段階ではまだ本工事まで入ってございません。いずれもかなり大きな計画でございますから、本工事を進める前の段取りというような段階にきておりまして、受益地域につきましては、古くからこれらの開発計画をぜひやりたいんだという希望が非常に強く、そういうことにこたえまして、いま申し上げたように、いずれの計画も三十九年から国営事業として取り上げることをきめたわけでございます。
  99. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大体国営の場合二一%の受益者負担、これは金利をかけて負担をさせるわけでありますから、いま農民の賛同、同意を根拠にして事業をやるというのですが、私どもも、実は正直言って、方々でそういう問題に長年取り組んできているわけであります。それは、一万人おるならば一万人がすらっと乗かって、よかろうということにはならない。したがって、三分の二というものを一定の限度にしていることはわかるのでありますけれども地元の同意があったのでそれじゃ国はやってあげますというようなぐあいには、下のほうはなかなか受け取らぬ場合が多いのですね。特に工業用水上水道やあるいは農業用水、いろいろからみ合いになります場合に、いわばその費用の負担、アロケート、これがやはり農業というものに対して、特にこれは慣行水利権なり長年の水利権を持っておる立場農業が一番最初なのでありますから、こういう意味では、費用の分担のことなどが、どうも私ども最近見ておりますと、込みでいろいろなものを一括で持ってまいります場合に、農業の側がもっと考えられていいのじゃないかという主張を実は私は持っているのです。それは答弁要りませんけれども、そういう意味で、先ほど、九月三十日まではなってもらわなければならぬし、必ずならせなければいかぬというお話があったのでありますけれども、ならせなければいかぬということになると、私が方々知っている例で言うと、農民がなぜ不安を持つかということになると、たとえば私どもの地域でやっておる国営事業ども、最初は、十アール当たり九千円でできるんです、それは完工の翌年から十年間で金利六分五厘を付して返せばいいんだと言っておきながら、七年間の工事を進めておる間に、そろそろでき上がるころになったら、十アール当たり四万五千円かかりますというようなことになってくるわけですね。ほとんどの場合そうなっていっているんです。したがって、いま愛知用水公団の場合も三十七億のまだ引っかかっている負担金という問題があるというような姿などを見ますと、私は、やはり農業者の場合に負担の問題というものが相当こういう場合にすらっとは乗ってき得ない問題の原因に大きく流れているんじゃないかということを懸念するわけであります。これをどう乗り切っていくかは、なってもらわなければいかぬし、ならせなければいかぬということじゃなしに、上からおっかぶせてただやっていくということじゃなくて、上では受益だと思っている、下では、われわれの持っておる水利権というものをどこかへ持っていくんだという考え方を持っている場合が非常に多いわけでありますから、そういう意味の根回しなり、ほんとう関係者の理解と納得と腹の底からの自発性に基づいて、よし、なろうというようなことになれるように、運び方としては配慮してもらわなければいかぬのじゃないか。  これも農林省なんですが、国営の木曾総合三重用水はまだ調査をやっている、本格的な段階には入っておらぬ、こうおっしゃるのであります。そこに現在何名くらい農林省の職員を配置していて、そしてこの職員は今度公団に引き継ぐことによってどういうことになっていくのであろうか。
  100. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 三重用水木曾総合にそれぞれ国営の事業所を持っておりますが、その二つの事業所で約五十名の農林省の職員がおります。それで、これらの人たちは、十月一日時点で合併された場合は、その職員の希望も当然聞きますけれども、その近辺のほかの農林省所管の各種国営事業、そういうところとか、あるいは農林省といたしましては東海地域にもまだ国営事業がございますし、その他にもございますので、その方々の将来の自分その他については責任を持って処置したいと思っております。
  101. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 それは先ほど水資源公団の側で言われるように、円満に正常なる労使慣行に基づいて運用されておる、こういうふうに理解していいわけですね。  それからもう一つの問題でありますが、農林省はかつて——私がいま特にこのことをお尋ねいたしましたのは、豊川の事業、これは三十六年ですか、それから印旛沼、これが三十八年、八郎潟、これが四十年というぐあいに、そこに農林省が配置をしておった職員の配置転換の問題でたいへん混乱をしておる事実があったように思うのです。どういう混乱が起こったか、ちょっとお聞かせ願いたいのであります。
  102. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 過去にいまおあげになりました幾つかの例で、農林省がやっておりました仕事公団事業団というふうに切りかえます場合は、やはりそこに勤務しておられる職員の皆さんは身分等が変わるのではないか、確かに肩書きは変わりますが、その他の条件等で不利になるのではないか、労働条件が不利になるのではないかというような不安が非常に強くあります。そのことのために、移管する場合に摩擦が起こる。これらのことは、結果的には、豊川の場合も印旛の場合にも決してその方々を不利にするようなことはいたしませんで、国営事業から公団事業団のほうに仕事を移してやって、豊川、印旛いずれももう完了しております。八郎潟の場合は若干事情が異なっておりますが、これは国営は国営として続けていき、八郎事業団は八郎事業団でみずからの仕事の範囲を進めていく、こういう方式をとっております。
  103. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この場合に、従来の例のようにトラブルや混乱が起きないように円満な話し合いをやはり行なっていく。私どもはやはり従来起こった混乱やトラブルを見ました場合に、農林省の側において、農林省自体の職員である同じ中において円満な話し合いというものが尽くされているというふうに思えない事実を二、三感じているのであります。今後の場合においてもこの点はぜひひとつ明快に円満な話し合いで解決をしていただきたい。  最後に、さっき一切の公団の権利関係、これらは承継していくというお話があったのでありますけれども一つだけこれもお聞きしておきたいのですが、愛知用水公団は解散しますね、それからそこの組合も経過的段階なしにかりに解散をする、その場合に、従来愛知用水公団と組合との間に持っておった約束、協約あるいは規則、こういう関係水資源公団——向こうが解散するのですから、かりにそこの労働組合も職員組合も解散するならば、水資源公団と一本になるのだと思うのです。これは解散するわけですから、その下の職員組合も解散した、そしてすらっと水資源公団のほうに移ってくるということになった場合、組合も解散した場合、かつて愛知用水公団と組合との間に持っておった関係、これはそのまま承継されるのかどうか。
  104. 今泉一郎

    今泉政府委員 もしかりに先生指摘のようなことがございましたならば、愛知公団と愛知公団の職員組合として持っておりました団体協約等のことについては、これは公団と組合のことでございますから、当然それですぐなくなってしまう。しかしながら、愛知公団と個々の職員の方々公団仕事に従事される職員の方々の雇用関係というものは残るわけですから、組合員として——というよりも、職員としての雇用関係というものは当然残る。この関係につきましては、これは法律の規定に従いまして当然水資源公団に引き継がれる、これが理屈ではあるまいか、こう存じます。したがいまして、この組合はなくなりますが、個々の職員の方の引き継ぎに関しては、組合の存在する場合と別に変わりはない、職員の方々がそのまま水資源公団に引き続いて雇用されるという意味合いにおいては別に選ぶところはない、原則的に変わりはない、こういうふうに考えるべきではなかろうかと存ずるのであります。
  105. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 関連して、局長に一つお聞きしたいと思いますが、愛知用水公団の職員と愛知公団との雇用関係は私法上の契約関係だ、こういうことになってくるでしょう。その関係におきましては引き継がれる。しかし、労働協約なりその他によるあるいは労働条件、これらのいろいろな関係がありますね、そういう点、持っておる固有の権利というのは、いわゆる民法上における、私法上における契約というのか、それとも労働協約その他によって労働条件として確保されているものも引き継いでいくのか、その点をはっきりしてください。
  106. 今泉一郎

    今泉政府委員 先ほど申し上げましたように、公団と個々の職員との間の雇用関係は、御指摘のとおり私法上の雇用関係、これは法律に従いまして当然承継されることに相なります。しかして団体協約等、いわゆる職員組合の存在を前提といたします公団と組合員との諸関係につきましては、労働関係の諸法規並びに団体協約自体の取りきめ等の解釈、運用にもよりましょうが、原則としてはこれは解消するもの、こういうふうに解するのが妥当ではあるまいか、こう存ずる次第であります。つまり、当事者がなくなるわけでございますから、そういうものはなくなる、こういうことではあるまいかと存じます。
  107. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 解消されるということになってまいりますと、愛知用水公団に働いていた人たち、しかも、一切が承継されるといいますけれども、承継されるのは私法上の契約事項であって、その間労働条件として現に愛知用水公団の中において確保されているいろいろなものは白紙になってしまう。そうしますと、その関係は一体どういうことになるわけですか。
  108. 今泉一郎

    今泉政府委員 愛知用水公団の職員の方も、ばらばらに水公団にお行きになって、全然組合をお持ちにならぬというつもりで解散されるのか、それとも、そういうふうにされるからには水公団の組合と一緒になって新しい労使関係をやったほうがいいとお考えになってそういうふうにされるのか、その辺のところは当然お考えになってそういう組合の解散ということをおやりになるだろうと思うのです。もし後者を選ばれるならば、水公団の職員組合と十分お話し合いになって、当事者同士の新しい労使関係に入る、これが当然のことじゃないかと思います。
  109. 佐野憲治

    佐野(憲)委員 その点はもうちょっとはっきりしておかないと困る。もちろん、愛知用水公団の職員が、労働組合を解消するか、あるいはまた、引き続き労働者としての組合を持続するか、これは愛知用水公団の職員の皆さん自身が決定する場合だと思います。この場合におきまして一応確認しておきたいのは、愛知用水公団の中で業務を執行していくために労働条件なりいろいろな点に対して当然確保されておったことに対しましては、新たなる交渉の中においてそれを承継していく考えがあるかどうか。あるいは水資源開発公団とその労働組合との間に結ばれておる協約なり、あるいは超過勤務手当なり、いろいろな問題があるだろうと思いますが、それらと愛知用水公団との間にやはり相違点が相当あると思います。そういう場合に、過去における既得権として、現に同じ業務をやるわけですから、愛知用水公団の人たちが、たとえ水資源開発公団に統合された結果として移管されたとしても、同じ業務に携わるわけですから、たとえそういう相違点があったとしても愛知用水公団の労働条件を低下させない、こういう保証があるわけですか、どうですか。
  110. 今泉一郎

    今泉政府委員 しばしば申し上げましたように、愛知公団の職員組合と愛知公団との間にございました雇用関係、労働関係は当然そのまま承継せられる、これが法律でございますが、同じ職場に働く者につきましてはなるべく同じほうがいいということになりますと、御指摘のように、従来の水公団の労働条件等と若干の相違がある点につきましては、これは労使間の円満なお話し合いによって一本化されるのが望ましいと思います。
  111. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 確かにいま局長が言われるように、いつまでたっても、愛知用水公団は別だ、こっちは水公団だ、この二本建ては、長い経過の中でそのまま存在していくことはないと思うのです。だから、将来当然一つの姿が生まれなければいけない。愛知用水公団と、そこで働いておった職員との間に一定の積み重ねてきている労働条件、労働慣行あるいは協約なり規約なり、いろいろなものがある。これを今度愛知用水公団は解散、全部水公団だ。前の関係を承継するとはいっておりながら、そっちは愛知用水公団と職員組合との関係なんで、わがほうは知らぬということになるのか、経過的にはそれもずっとそのまま承継して、将来一本化を目ざすというかっこうになるのか、最初から一本化して同じものにするのか、これははっきりしてもらう必要があるのじゃないか。
  112. 今泉一郎

    今泉政府委員 法律的には、しばしば申し上げましたように、愛知公団と……
  113. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 実際問題……
  114. 今泉一郎

    今泉政府委員 実際問題としても、職員組合の心配されるような点につきましては、従来の労働慣行を公団の当事者の方も十分尊重されていかれるものではないか。すなわち、労使問題につきましては、両公団の経営者側の首脳部も、組合員諸君もそうでありましょうが、相当これまで経験を積み、また苦労を重ねております。その辺のことについては、両公団の当事者の方々の十分な良識と御手腕にまつ、私はこれは心配ないものと心得ております。
  115. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 早く切り上げたいのですが、そこをすかっとしてほしいのです。  水公団の進藤総裁がお見えになっているわけでありますが、従来、愛知用水公団とその職員組合は、長年の労使関係の中で労働条件などの具体的な取りきめをきちんと持っていられるわけであります。これが十月一日をもって愛知用水公団は存在しなくなる、そこで働いておった職員は水公団に移ってくるという場合に、愛知用水公団と職員組合との間に持っておった労働条件あるいはそれをささえる協約なり規約なり慣行、こういうものをそのまま当然引き継いで——それは将来水公団の中で労使が円満に話し合って一体の姿をつくることは当然だと思いますが、十月一日発足すのわけですから、先ほどの答弁では、その際、前の関係は当面全部承継される、そういう理解なんですが、こういうふうに理解していいのかどうか、総裁としてお答えいただきたい。
  116. 進藤武左ヱ門

    ○進藤参考人 いまお話しのとおりにわれわれも考えております。ただ、労働協約を承継しまして、それからあとどういうふうに改正し、どういうふうに合理化して合理的にやっていこうか、あるいは統一していこうかということは、これは組合と話し合いの上でやっていくことになると思うのです。組合が同意しないものをこちらが強行するということはあり得ないことですから、組合とお話しながら、もし協約を変更するなら、それに応じてやっていく。しかし、方向としましては、先生お話しのとおり、やはり一つの企業体として、だんだん不合理を直して、一つの方向に持っていくということは当然だと思います。
  117. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上で私の質問を終わります。
  118. 加藤常太郎

    加藤委員長 内海清君。
  119. 内海清

    ○内海(清)委員 だいぶ時間が過ぎたようでありますから、できるだけ重複を避けて簡単にやりたいと思います。  愛知用水公団を解散して、そうして一切の権利義務を水資源公団に継承する、同時に、水資源公団の業務の範囲を改めるというのが、この法律の趣旨であると思いまするが、このことにつきましては、今日までの経過を見ますると、三十六年あるいは七年に参議院あるいは衆議院でそういう趣旨の付帯決議も出ておるようであります。三十六年というのは、いわゆる豊川用水が開始されたときだと思うのであります。また三十九年には、臨調の答申でもそういう趣旨のこともございます。豊川用水事業が終わったならばそうあるべきだという趣旨のこともあるようでありますし、それから行政監理委員会の特殊法人に関する第一次の意見書の中にも、これは四十二年でありますけれども、そういうものがあるようであります。そういういままでの歴史的な経過から見ますると、今回の統合措置というものは、行政改革上から申しまして、行なわれてしかるべきものじゃないかというふうに考えますが、しかし、これに対しましてすべての人が賛成したわけではない。地元も反対いたしておりまするし、さらには農林省関係でも、ことに木曾川の総合開発の点は愛知用水公団を残してこれにやらしたほうが好ましいではないかというふうな意見もあるようでありますが、存置という意見のほうは、今日までの愛知用水公団の非常なとうとい経験とその組織力というものが高く評価されておるがゆえにこういう議論が出ておると思うのであります。しかし、国家経済的な立場から申しまして、こういうふうな統合されますことも当然なことではないかというふうに私は考えるのであります。そこで問題は、こういう反対の人の意見というものを十分尊重しなければならない、すなわち、水資源公団がこれを受け継ぎました場合に、そういう反対の人々の存置を希望したことが満たされるような今後の運営がなされていかなければ、そこに問題を残すだろうというふうに考えるのであります。今度の改正によりましてこれがむしろ一そう進んでいく、こういう形が生まれてこなければ、そこに問題を残すであろうというふうに考えるのであります。この点はあと水資源公団が継承されるのでありますから、十分考え水資源公団でこれを継承してやられるということが最も好ましいことだ、こういうふうに私は考えるのでその点につきましてひとつ総裁の御所見を伺っておきたいと思います。
  120. 進藤武左ヱ門

    ○進藤参考人 お話しのとおり、今度の統合をやった結果いままでよりよくなった、つまり、あの土地の受益者の方はそういうことを御希望になっているでしょうし、愛知用水公団の職員も、いままでよりは気持ちのよい職場となった、そしていままでよりも自分の腕を伸ばせるということにならなければ、統合の意味は私はないと思います。そこで、われわれどうしたら一番そういうことができるかという実際問題を実は検討中なのであります。すでにことしの初めごろから実は非公式に愛知用水の責任者の方とわれわれの副総裁以下としょっちゅう打ち合わせいたしまして、どういうふうな考え方でいこうか、どういう組織でいこうかという、そういうことの検討をいま進めておるわけであります。これは遠い将来は別といたしまして、一応はいまお話しのありましたように、愛知用水公団で従来仕事をやっておられた方々が一番地元の事情に詳しい方々ばかりであります。それで、できるだけあそこで一つの組織をつくる。いま構想としてありますのは、名古屋支店というふうな形の組織をつくりまして、そしていままで愛知用水におられた方は大体あそこで仕事をしていただくという構想でございます。特に管理のほうに関係する方は、たいていいままで従事した方にお願いしたいと思っております。それで仕事は大体済みますから、あとは三重用水、それから木曾総合用水、こういうふうなあの地方の仕事愛知用水にいままでおられた方々にやっていただくということをいま考えております。いまお話しのとおりでございます。
  121. 内海清

    ○内海(清)委員 いま総裁の御所見を伺いましたが、これはいまお話しのように慎重に進められるべきであると思うのであります。そうしなければ今後の公団の運営もうまくいかない、こう考えるのであります。  そこで先ほどからいろいろ問題になっております愛知用水公団の職員も引き継がれる、この労使関係につきましては、なかなか現実の問題としては困難な面もあると思う。愛知用水公団の職員はそのまま水資源公団に移籍する、したがって、勤続年数その他も当然通算されるでありましょうが、現実の問題としては、組合と雇用者の間にはいわゆる労働協約もございますし、あるいはいままでのいろいろな労働慣行がある、あるいは超過勤務の問題も出てまいりましょうが、そういうふうなものが、水資源にまいりました時分にこれが大きく変わりますと、問題が生まれてまいる。つづめて申し上げますならば、水資源公団にいったために労働条件が低下するようなことがあれば、これは決してうまくいかぬはずで、この点については、先ほど来いろいろ論議がございましたから、私は申し上げませんけれども、先ほど来総裁の御所見を伺えば、私が想像いたしますのでは、労働条件の低下はないであろうということを確信いたしますが、いずれにいたしましても、そういう問題につきましては労使間で十分話し合いが行なわれるべきである。同時に、十月一日からでありますから、それまでも、非公式ではございましょうけれども、それぞれの話し合いが十分進められるべきである。そしてこれが継承されましたら、できるだけ早くこれは一本の形になりまして、そしていままでの愛知用水公団の組合のほうでより進んだ問題もあるかもしれません、あるいは水資源公団のほうでより進んだ問題もあるかもしれません、両方の長所というものがますます生かされて、水資源公団の労使間の問題が、継承されたことによってより一そうよくなるということになってこなければ意味がないと私は思うのです。そういう点で、簡単に申しますならば、継承されることによっていわゆる労働条件の低下はないんだ、このことがまず前提としてはっきりしなければならぬ。その点はいかがですか。
  122. 進藤武左ヱ門

    ○進藤参考人 お話しのとおりわれわれも考えておりますが、ただ、労働協約の内容を実は私いま詳しく検討いたしておりません。ただ、いま理事者を中心といたしまして非公式の打ち合わせをやり話し合いをやっている際も、そういう問題がやはり取り上げられておるわけです。それと、こちらへ統合が決定いたしましたときには、これは組合の形が、一緒になられるのか、愛知用水公団のいまのような一つの団体として残られるのか、この点は組合の問題になりますが、どういう形になりましても、組合と十分話し合いをいたしまして、労働条件の低下というふうなことはおそらく考えられないと私は思っておりますが、話し合いの上、不合理のものがもしあるとすれば、あるいはまた、うちの現在の労働条件、労働協約と非常に不均衡のものがあるというふうな場合には、組合なり、あるいはうちの労働組合と三者よく打ち合わせをいたしまして、どうしたら一番合理的であり、またスムーズにいくだろうかということをつくり出すことに努力いたします。
  123. 内海清

    ○内海(清)委員 もちろん、組合が違うのでありますから、あるいは公団も違うのでありますから、いろいろ給与形態その他も違いがあるでございましょう。したがって、そういうものが一つになれば、ある程度そこで調整されるのは当然でありますが、実質的に条件が低下しないということ、これが基本にならなければ、おそらく、これが継承されて、その点が話し合いがつかなくて組合が二つあるというふうな場合に、なかなか運営はうまくいきませんよ。このことは当然であります。でありますから、水資源公団としては、まず実質的な労働条件の低下はないんだ、これは起こさぬのだということを基本にして十分お考えになることが必要である。この点を特にひとつ強調いたしておきたいと思います。  それからいま一つは、あの愛知用水公団は向こうでいままで非常な成績をあげてきた。一つ公団方式とさえいわれてやってきたのでありますから、したがって、向こうにおいてよりその力を発揮させようということでありますけれども、これがこの開発公団に吸収されましたおり、この事業量との関係、人との関係ということ、これが人が事業量に対して過剰になってもいかぬであろう、また不足しても労働強化に相なるであろう、したがって、今度継承されて、大体いまのままで向こうに同じような組織のもとに置くといたしましても、やはりそれに対する受け入れの体制としては、この事業をどういう方面に振り当てるかという、このことがほんとうに技術なりあるいは経験を十分生かさせるゆえんであると思うのであります。そういうことに対する御所見がありましたら、ひとつお伺いいたします。
  124. 進藤武左ヱ門

    ○進藤参考人 私のほうはただいま千二百人くらいおりますが、愛知用水が五百人近くであります。実はことしの予算の第一次査定のときに、新しい仕事をぜひあちこちへ始めて、そうしてことし足場をつくって、昭和四十四年から新しい仕事をどんどん展開していくという考え方を、これは愛知用水統合にかかわらず、考えておったわけであります。すでに利根川水系は大体仕事が片づきまして、ただいま実は配置転換をやっている最中であります。その配置転換をやっておりますのに、各個人の希望と、それからもう一つは、その方の技術をどういうところへ行ったら伸ばしてもらえるかというふうなことを直属上長連中の意見を聞きまして、考えましてやってまりますから、いままでのところ非常に配置転換がスムーズにいっていると申し上げてよいと思います。昭和四十三年度になりまして予算復活をお願いいたしまして、新しい開発事業がだいぶ頭を出してまいりました。それから四国の早明浦でありますとか、九州の両筑平野用水事業、去年の四月一日からやっておりますけれども、すでに来年は相当仕事が進んでまいるわけでありまして、だから仕事の量といたしましても、うちの中でもそう配置転換を心配しておらなかった。特に愛知用水におきましては、今度三重用水あるいは木曾川総合あるいは長良河口ぜきというような新しい職場が出てまいりますから、いまのところ実は配置転換についてはそう心配しておらぬわけです。ただ、ほんとうに現場で仕事をやっておられる方と、計画をし設計をするというふうな、机の上でやっておられる技術者、いままでの愛知用水の経験をぜひ全体の職場に生かしてもらいたいという気持ちは、私は熱望しておるのです。と申しますのは、愛知用水公団と同じような仕事がいま群馬用水あるいは四国の吉野川水系にあります香川用水、それから両筑平野用水というふうなものがいま仕事がどんどん進んでおりますから、こういう方々には、これから御本人の了解を得ながら、配置転換という四角ばった話でなくて、やはり新しい職場でいままでの経験を十分伸ばしていただきたいという考え方を持っております。
  125. 内海清

    ○内海(清)委員 この組織、人の問題と、それから事業量という、これは非常に重要なことだと思うのであります。たまたま木曾川の総合開発あるいは三重用水の総合開発事業、こういうふうなものについて大体十月ごろに基本計画ができるように、たまたま一致いたします。したがって、あの地域におって、愛知用水公団の人々もいままでのその地域でその経験と技術が発揮できるのだろうということを私は期待いたしております。しかし、このことはひとつ十分考えられなければならぬ。ことに、配置転換などは——いま承りました状況では、たちまちないと思いますけれども、配置転換ということは、これは職員にとりましては非常に重要な問題になるわけであります。だから、これらにつきましては、利根川用水のほうが大体終了しておると思いますが、これらに関連いたしましても、十分本人の納得いく、本人との話し合いの結果によって行なわれなければならぬ。これは一つの工場内におきましても配置転換というのはきわめて困難である。職種の問題、その他いろいろございます。やはりこれは本人が新しい職務についてほんとうにその技術なり経験が発揮できるような、しかもこれには本人の生活も関連してくるということで、非常なめんどうなものです。でありますから、これを失敗いたしますると今後の非常な障害になってくるということを考えますので、その点も特に慎重にやっていただきたい。  それから次は、臨時行政調査会の答申によりますと、豊川用水工事の終了後、その施設管理事業は、地方公共団体に委譲すべきもの、こういうふうに言っております。水資源開発のための建設事業実施主体でありまする公団としては、施設管理、こういうふうなものは、答申にあるように、地方公共団体に委譲し、そうして公団は建設事業に専念する、このほうが、実際事業を実施する能率上からいっていいのじゃないかと思う。これはひとつ局長のほうにお考えをお伺いしてみたいと思います。
  126. 今泉一郎

    今泉政府委員 先生お話のとおり、三十九年の臨調の答申につきましては、施設管理は地方公共団体へ委任したらどうかという御意見がしるされてございます。その点につきまして、私どもも、また私どもの先輩も従来いろいろ検討したようでございますが、最近の水質源の開発は、御承知のように、農業用水のみではなくて、工水上水あるいは発電等々、きわめて総合化して多目的になっております。また、その施設と申しましても、非常な山奥にございますダムから用水路末端に至るまで数府県にわたる、こういうふうな状況でございまするために、個々の県ないし土地改良区等に全面的に委譲するということはなかなかむずかしい実情にあるわけでございます。したがいまして、臨調の御答申につきましては十分われわれも検討いたしておるのですが、現在までのところでは、今回の改正法におきましても、やはり施設管理の根幹は公団のほうでやらないとむずかしいのじゃないか、ことに洪水の防御等非常の際の連絡調整ということもございますから、そういう点を考えますと、やはりなるべく統一的な管理、これが必要なのではないか、こう考えておるわけでございます。
  127. 内海清

    ○内海(清)委員 私はなおあと賦課金の徴収に関して少しお伺いしたいと思いましたが、時間がございませんから、これでやめたいと思いますが、いずれにいたしましても、この賦課金は、先ほども質問ございましたけれども、今日いろいろ問題があるようであります。したがって、豊川用水につきましても同様のことが今後考えられる。このことがすべての人が十分納得いくような方法で確実に行なわれていかなければならぬ、こう思うのであります。その点につきましては、先ほど来いろいろございましたから、今後これに対処いたしまして十分慎重な用意のもとに行なっていただきたい、それを要望して終わります。
  128. 加藤常太郎

    加藤委員長 本日はこの程度とし、次回は、来たる五月八日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十三分散会