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1968-04-19 第58回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十九日(金曜日)    午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 金丸  信君 理事 砂原  格君    理事 丹羽喬四郎君 理事 森下 國雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 岡本 隆一君    理事 佐野 憲治君 理事 内海  清君       伊藤宗一郎君    池田 清志君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       佐藤 孝行君    齋藤 邦吉君       正示啓次郎君    田村 良平君       葉梨 信行君    橋口  隆君       廣瀬 正雄君    阿部 昭吾君       井上 普方君    石川 次夫君       島上善五郎君    下平 正一君       渡辺 惣蔵君    吉田 之久君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         建設政務次官  仮谷 忠男君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 四月十九日  委員大野明君及び澁谷直藏君辞任につき、その  補欠として橋口隆君及び齋藤邦吉君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  都市計画法及び都市開発法制定反対等に関す  る請願野間千代三君紹介)(第四一六一号)  同(岡本隆一紹介)(第四一六二号)  同(島上善五郎紹介)(第四一六三号)  都市計画法制定反対等に関する請願帆足計君  紹介)(第四一六四号)  同外二件(内海清紹介)(第四一六五号)  同(島上善五郎紹介)(第四二五八号)  同(松本善明紹介)(第四二五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  都市計画法案内閣提出、第五十五回国会閣法  第一五二号)  都市計画法施行法案内閣提出第五六号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  都市計画法都市計画法施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  両案に対し質疑の通告があります。これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いよいよきょうで都市計画法案についての審査を終わる段階になったのでございますが、この法律案は、単に建設省だけでなしに、他の各省とも非常に関連の深い法律案でございますので、きょうは総理にお出ましを願いまして、いろいろ総理からお約束をしておいていただかなければならないことがたくさんありますので、お忙しい中を来ていただたのでございますが、これは単に社会党だけではございませんで、本日は社会党、民社党、公明党三党を代表して私が総理に御質問を申し上げる、こういうことになっております。  この都市計画法案の提案されてまいりました経緯につきましては、総理もすでに御承知であろうと思うのでございますけれども、これは昨年の通常国会において、政府地価安定施策の一環として、とにかく土地収用権を強化する、認定時価格でもって土地収用を行なう、こういう法律案を出してまいりました。その際私どもは、収用権だけを強化するのでは筋が通らぬではないか。もっと強力な地価の安定をはからなければならない、それにはどうしても土地利用計画を樹立しなくてはだめではないか、こういうことで、土地利用計画を出すというたてまえでもって、地価安定策一つとしてこの法律案を要求し、また、それに基づいて前国会の幕切れになってようやく間に合わせて本案を出してもらった、こういうことになっておるのであります。  ところが、出てまいりましたこの法律案というものは、地価安定策として国会に提案されながら、いわば一番のきめ手地価安定策というものを持っておりません。言いかえますと、刀を忘れて戦場へ出たさむらいといったかっこうのものなんですね。そこで、この法律案についていろいろ論議いたしておりますと、保利建設大臣も、委員会でもって、この法律案にはなるほど地価対策きめ手はありません、だから税制その他の制度をもってこれを補わなければ、ものの役には立ちません、こういうことをはっきり言っておられるのです。それなら、それを同時に出せ、出すべきでなかったかということを私どもは要求いたしておるのでありますが、建設大臣は、いや必ずやります、八月には税制調査会答申もあることだから、それまで待ってください、来国会には必ず出します、こういうふうな話でございまして、政府の今後の打つ手に信頼してくれ、手形をあげるから、ひとつこれで信用せい、こういうことなんです。ところが、従来の経緯——総理のほうがよく御存じでございますが、どうも私どもはそう簡単に信用できないのです。というのは、一昨年の通常国会税制改革をお出しになりました。それは、譲渡所得税の二分の一課税をやめて、地価値上がり差益をがぼっと取って、そのことによって土地思惑買い抑制しよう。とにかく、一昨年出てまいりましたところの租税特別措置法改正、これは土地収用法一緒地価安定策として出してきたのです。その地価安定策として出てきた租税特別措置法、なるほど思惑買い抑制に役立ちますが、しかしながら、われわれは、それだけでは不十分だ、もっと土地を吐き出すような、土地の供給を豊富にするような税制一緒に伴わなければだめだということを言っておったのであります。しかしながら、とにもかくにも、いろいろ議論をし、修正もされましたが、結局、衆議院は通過いたしましたけれども、参議院で廃案になってしまった。だから、一昨年土地収用法一緒譲渡所得税特別措置改正を出してこられたなら、引き続いて昨年この土地収用法を再び提案される場合には、一緒におみきどっくりで出していただくべきが筋合いである。ところが、それを出してこられなかった。そのときに、たしか総理に、土地収用法採決の際に来ていただいて、食い逃げじゃないか、こういうことを私は申しました。いや食い逃げではございません、これは必ずやるから、信用してやってくれというふうなお約束があるわけなんです。ところが、そういうふうな意味において、都市計画法案が先国会に出てきて、今般審議された、都市計画法がこうして土地利用法で出てまいりましたら、当然それに伴うところの税制改正というものは今国会に出されるべきだ。出されるべきものが、いや税調の答申がまだだからと、うまいこと隠れみのに隠れて一寸のがれにのがれておられる、こういうふうに私どもには思われるわけなんです。だから、今度の論議の中におきましても、建設大臣は、政府の今後の打つ手を信頼してくれ、こうき然として胸を張っておっしゃいますけれども、しかし、私どもはどうにも信頼できない。  そこで、私ども社会党といたしましては、独自の地価安定策を出し、これをひとつ修正して織り込もうではないかということを要求したのです。その内容は、土地基金をつくりなさい、市街化区域土地は全部土地基金が買うことにして、個人間の売買は全然禁止する、市街化区域の中で土地の要らない人は基金に売る、また、土地のほしい人は基金から買う、こういうような、公的機関によって土地売買をあっせんいたしましたら、地価変動というものは一応なくなるわけですね。もう競争がなくなりますから。だから、一定基準審議会できめて、その基準によるところの基準価格によって土地売買をやれば、地価は安定する。のみならず、一面、土地を安く売ってしまったのであとの生活に困るというふうないろいろのなにがあれば、土地を貸すという制度でもいいじゃないか。だから土地収用法改正して、土地の要らない人から土地を買ってしまうのではなしに、基金が借り受ける、そしてまた、それを公的な用にも供すると同時に、ほしい人にも貸しつける、その借り入れる地代というものは物価にさえスライドしていくなら、提供した人は年金をもらえるのですから、その人の生活の将来の保障にもなれば、同時に、一面、公共事業をやるにも、用地費がうんと要らないことになりますから、公共事業も進むではないか、こういうふうなことから、土地基金制度を出し、そしてまた、その土地基金土地買収財源は、土地公債を発行したり、あるいは買い入れにあたって交付公債で買うということもできるではないか、こういう形の土地基金制度を持ち出して、ひとつこれで地価の安定をやってこの都市計画をどんどん進めようじゃないか、こういうことを申し入れたのです。ところが、自民党のほうからは、そういうことは土地の半公有制になるから、ほとんど公有制に近いことになるから、それだけはかんべんしてくれ、こういう強いことでございまして、結局、長い間折衝いたしました結果、それではひとつ税制改革をやろうではないか、従来から問題になっておりました税制改革をこの際思い切ってやることを法律案の中にきちっと書き込むということで、八十五条の改正の条項といたしまして、本日後ほど修正案が提案されますが、その八十五条に「国又は地方公共団体は、都市計画の適切な遂行を図るため、市街化区域内の土地について、その有効な利用促進及びその投機的取引抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとする。」こういう修正を入れることになったわけですね。したがいまして、今回のこの法律案がかりに成立いたしますとするなれば、土地の保有に対し、非常にたくさん土地を持っておるというふうな人に対しては累進的な課税をする、あるいは土地を遊ばせておる人には重い課税をする、こういうふうな形で、土地利用促進をはかるということと一緒に、土地の投機的な取引抑制するために譲渡所得税を増徴することによって思惑買いの規制をやる、思惑買いの甘みをなくする、こういうふうな修正が加えられたわけでございます。私どもは、この修正を伴うことによりまして、相当地価安定の一歩を踏み出すことができるのではないか、こういうふうな期待を持つことができるようになったわけでございます。また、私どもの言うところの土地基金制度がつくれなければ、少なくともこうした形の税制を設けなければ、地価の安定はございませんし、同時にまた、地価の安定がなければ、都市計画法をつくりますに際して、土地利用の、こちらは調整区域だ、市街化抑制する地域だ、この線からこちらは市街化促進する地域だというふうに分けると、片や地価はものすごく上がります。片や地価はどっと下がっていきます。そうすると財産に非常に大きな影響がございますし、地価安定施策というものなしには、都市計画そのものを立てるということ自体、それすら不可能なことでありますから、ぜひともこの税制は来国会に間に合うようにやっていかなければならぬ。その話し合いの過程の中では、都市計画法が実施されても、実際動き出すのは二、三年先だから、それまでにやればいいじゃないかというのんきな意見も出ておりました。しかしながら、そういうことがきちんと出ませんと、そういう税制によって、もう土地のいわゆる思惑買いをしたってだめだ、あるいは地価変動というものはあまりなくなるのだということにしなければ、都市計画そのものが出発できない、私はこう思うのです。だから、その意味におきましては、八月の税制調査会答申を待ってこれはぜひとも次の通常国会には必ず提案する、こういうお約束総理からいただかないと、この法律案を本日採決に応じるということはできないのでございますが、総理の御所信をこの際承っておきたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 最初は御高説を拝聴しておりましたが、しまいになるとやや恐喝じみてきて、約束ができないときょうの採決は無理だというふう言われると、ちょっとそこらがやや話が違うように思います。  とにかく、いま岡本がいろいろお話しになりましたが、土地で一番問題なのは、土地取得にも困難ですが、それよりも、何といっても投機的にこれが扱われて、物価基礎になるものだ、こういう批判を受けておる地価がどんどん一方で上がる一まああまり下がるものはございませんが、そういうところでこれはたいへんな問題です。しかし、そのためにはどうしても利用計画を立てなければだめだ、ここらまでは皆さんから賛成をしていただくのだが、その利用計画を立てると、一つそこに投機的な思惑が動くだろう、これはものの道理だろうと私は思います。過去におきましても、新産都市あるいは工業整備特別地域等々におきましても現に価格が非常に上がった、変動した、これはございますから、したがいまして、今回の利用計画を立てた場合に、その弊害が生じないようにもちろんこれに最善の注意をすることが必要だと思います。  そこで、社会党の御提案まで御議論になりましたが、これは委員諸君がいろいろ内輪話をされたように、たいへんドラスチックな処置のように思いますから、どうも私どもとしては一がいには賛成しかねますけれども、しかし、社会党の方がこの地価問題と真剣な姿勢で取り組んでおられるその一証左だと思って、私はそういう意味で評価したいと思います。とにかく、この地価の問題は、これはいいかげんにほうってはおけない。取得が楽になったというだけで満足してはいけないし、これは物価基礎になるという意味で取り組んでいかなければならぬ。  そこで、ただいまの税制調査会の問題になりますが、税の改正の場合は、いつでも税制調査会答申を得てという経過でございます。この答申なしに税の問題と取り組めと言われても、これは無理だと思う。すでにこの問題は昨年来あるいは一昨年来問題になっておる事柄でありますし、あるいは、一昨年というよりもっと前からか、遊んでおる土地に税を課せとか、あるいは不労所得について課税したらどうかというような話がございます。しかし、どうも税のかけ方によっては地価の中にその税の負担だけがまた織り込まれる、こういう結果もしばしばあるのでありますから、必ずしも税をかけることがいいか悪いか一がいには言いかねると思う。しかし、問題が、先ほどから議論になっておりますように、都市計画をやり、土地利用計画をやり、そして当然そこに価格変動がある、かように考えると、そういうものは不労所得とでもいうようなものになるだろう、かように考えると、それについて税制処置をとるのは当然だろう、私はかような結論を持っております。それについてはぜひとも税制調査会答申を得なければならない。これはもう数年前から継続した問題でありますから、いますぐいきなり出せ、かように申しましても、すぐできる問題ではございませんけれども——これはなかなかむずかしい問題だから、そう簡単に結論が出ないかもわかりません。しかし、税制調査会のほうも、土地利用制度がなければ新しい計画はできないんだという政治的な理由も、また社会的な理由もよく考えていただいて、税制調査会が急いで結論を出すように私どもも督励するつもりでございます。そうして幸いにして税制調査会結論を出しましたら、できるだけすみやかに案を国会で御審議いただく、こういうようにしたい、かように思います。  どうも政府が信用ならぬとか、どうも建設大臣だけ胸を張るが、だめだとか、いろいろございましたが、これは率直なお話だと思います。私は、ただいま申しますように、この問題と真剣に取り和む、こういう意味で、この際はぜひともまず第一段の先の橋を渡っていただき、そうして次の橋を渡っていただく、こういうようにしたいものだ、かように思っております。
  5. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 税制調査会もすでに数年にわたって論議しており、総理もいまおっしゃっておられますが、確かにこの問題はもうすでに論議が尽きておると言ってもいい段階に来ているのではないか、私どもはこのように思っております。したがって、この処理につきましては、いまも前向きの姿勢で取り組む、こういうような御答弁で、きわめて抽象的ではございますけれども、しかし、一応この法律案の中にもうすでにそういう税制を設けるのだということが書いてございますから、政府はわれわれにも法律を守れということを始終おっしゃっておられますが、その前にまず政府が守っていただかなければならないのでありますから、その点、政府の今後の姿勢に一応信頼をおくことにいたしたいと思います。  その次には、この都市計画法では市街化区域調整区域とに分けます。しかし、その調整区域といえども一定規模以上のもので相当まとまった面積、そしてそれがある基準に従ったものであれば開発することができるということになっております。しかしながら、そういう都市計画を立て、各地に市街地農地あるいは緑地というようないろいろな計画を立て、その上に、山林であるとか農地を、まとまってやりさえすればどんどん開発できるということになってまいりますと、せっかく立てつつあるところの都市計画がくずれてくることもあり得る。それと同時に、私はこれが一つ汚職根源にもなってきはしないかということを心配しています。というのは、まとまって、不動産会社であるとか、あるいは電鉄会社などが、山林その他を安い値で買い占めていきます。そうして二十ヘクタールできた、そこに今度は適切な公共施設さえつければ開発できる、こういうことになってまいりますと、これは知事の認可でできることでありますから、知事のほうに頼みにいく。都市計画審議会がある。審議会もぐるぐるおみやげを持ってあいさつに回る。また、場合によったら、政府の方針を動かすためには政党へも献金する、こういうようなことで、従来ずいぶんそういう政治献金によっていろいろの施策が動かされるやの——動かされたと言うとまたあなたの顔色が変わりますから、動かされるやの傾向がなきにしもあらずでございました。また、土地のブローカーが堂々と山林あたりを安い値で買いたたいては買い占めて、ひいては都市計画をくずし、のみならず、じゃんじゃん政治献金をしつつもうけていくことが汚職根源にもなるということを私は懸念いたしております。したがいまして、こういう調整区域開発というものは、原則としてやらせない。国が国全体の開発として大きなニュータウンでも建設する場合以外は、原則としてやらないんだ、また、やる場合には公的機関がやるんだ、民間資本の導入だとか活用だとかいうようなきれいなことばで汚職の種をつくっていくというようなことはやらない、こういうことをひとつはっきりさせておいていただきたいと思うのでございますが、総理の御見解を承りたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 岡本君と私、だいぶん基本的なものの考え方が違っているのかと思って心配していたのですが、きょうのお話を伺いますと、おおむね私も同様の考え方を持っております。したがいまして、たいへん安心したのでありますが、ただいまの市街地調整区域開発というものは厳にしないとたいへんな問題が起こる、社会問題が起き、同時に政治問題が起こる、かような御注意でございます。私もさように思いますので、よほどの特殊な場合でない限り、民間開発さすということは考えないで、公的機関開発さす、かように法案もなっておるだろうと思いますが、私も賛成でございます。
  7. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 次に、この法律案によりますと、一応十年以内に市街化できる地域市街化区域としてどんどん先行投資を始めるということに内容がなっております。そこで、この都市計画法が実施に移されますと、各自治体では一斉に都市計画をやります。そして今日の宅地難また経済の成長にこれから見合わしていくための都市計画をどんどん始める、そうすると、一斉に公共投資需要が多くなっていくということになってまいります。したがって、これには大きな需要の増大が急速に出てまいるということでございますが、これについて大蔵省はどういう見解を持っておられますか。こういうふうに需要が増大して自治体公債発行にも応じる、あるいはまた、それに対する財政負担の援助をやる、こういう用意があるのかどうか。  その次には、自治体も、今日の日本経済事情、さらにまた今日の日本宅地事情、これに応じたところの都市計画を一斉に始めて公共投資をやる、こういうことになってまいりますと、自治体財政負担がとてもたまらないと思うのです。これは従来の補助率、たとえば道路であれば三分の二、あるいは公園であれば二分の一ですか、下水道では四割といった補助率がきまっておりますが、そうした補助率ではとても先行投資がやれない。その先行投資を裏づけしてやるためには、新産都市その他にかさ上げ措置が講じられておりますが、必ずそういう要求が出てくると思うのです。だから、補助率をうんと大幅なかさ上げをやって先行投資を助けていく、こういうふうなことを考えていただかなければならぬと思います。きょうは大蔵大臣にぜひ出ていただいてそういうふうな財政上の見通しも聞きたい、こう思っておったのでございますが、きょうはどうしても出られないということでございますから、あなたはひとつ大蔵大臣のかわりにかちんと約束をしておいていただきたい。あいまいなことではいかぬ。
  8. 倉成正

    倉成政府委員 お答えいたします。  まず第一の土地基金についてのお話でございます。大蔵省といたしましても、従来から公共用地先行取得の場合の地方債ワク拡充については努力をいたしてまいりましたけれども、今回の法律にもございます土地基金のための財源確保については、適切な資金融通あっせん措置を講じてまいりたいと思っております。  第二の補助率の問題、これはやはり自治体財政事情あるいは国の財政事情、総合的に検討すべき問題でありますので、いま直ちに補助率を引き上げるというお約束はいたしかねます。
  9. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 あなたがお約束いたしかねるかもしれぬが、しかしながら、自治体のそういう事情というものはよう御承知でしょう。そんなすげない返事では都市計画はやれませんよ、法律だけできめたって、やれぬような法律なら通さないでもいい。成立さす必要ないですよ。だから、将来そういう努力をやって必ず実らせる意思を持っているくらいのこと言わなければ、そんなものはできぬ。できぬ法律をつくったってだめじゃないか。
  10. 倉成正

    倉成政府委員 ただいまの御趣旨の点も十分含めて検討いたしたいと思っております。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 一応大いに努力していただくことに——総理も聞いていただいておるのでございますから、そういう今後の政府努力を期待いたしたいと思います。   〔発言する者あり〕
  12. 加藤常太郎

    加藤委員長 御静粛に願います。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 次に、従来都市計画をやります場合には、しばしば、こっそり計画しておいてばさっと発表するというふうなことで、計画を立てること自体住民参加がないために非常に紛争が起こるということがございましたが、この点につきまして、地方自治の本旨に基づいて、審議会をつくって民意の反映をやり、それで十分な住民の納得の上で都市計画を進めていくというふうな点で、これは行政指導の面になりますが、そういう用意がしていただけるのか。  もう一つ——もう一緒にお尋ねをいたしておきます。総理は時間がないそうで、そわそわしておられるから、こっちも気をきかすのですが、市街化区域農地の問題です。これは今度、適用除外の場合、届け出制になることに修正されようとしつつあるわけです。そこで、農業団体その他からは、優良農地はできるだけ保全してほしいという強い要望が出ております。その場合、やはりこれは税制上の問題と非常に関係がありまして、市街化区域にあるからやはり税制上は農地として扱いにくいというふうなもの言いが大蔵省からついてくると、これは実質上、相続税であるとかあるいは固定資産税の面から、農地の保全が困難になってまいります。だから、これは農林省だけでなしに、建設省、さらにまた大蔵省、自治省その他各省が協力して、市街化区域になりましても、優良農地で、そこで近郊蔬菜の農業をやっていきたい、こういう強い意思を持っている人たちの農業を保全する、こういう点については、ある程度の適切な措置を講じていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、いかがですか。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 第一点の地域住民の協力、理解を求めるというお話、これはもう私から言うまでもなく、公共事業を遂行する場合におきましては、地域住民の理解と協力がなければできるものじゃございません。でありますから、どういうような協力方法をつくるか、これは別でございますが、とにかく地域住民の協力と理解を求めることに最大の注意をしていく、そういう意味におきまして、また審議会委員会等も設けるし、あるいは説明会を設ける等々の運用をすべきだ、かように思います。これは最も大事なことであります。  それからもう一つの、優良農地についての扱い方の問題、これは私が申し上げるまでもなく、この都市計画法をつくりました際に、関係大臣、農林あるいは大蔵、建設等々が一致した考え方でございますから、ただいま御指摘のとおりになるだろう、これは御期待になってもう御心配ないことでございます。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今日の日本土地事情というものは、国民生活の上にも、また日本経済の上にも、もう放置できないような状態になっておるということは、総理も御承知のとおりでございます。したがいまして、この都市計画法が成立いたしましたら、これが地価安定への一つの足がかりになる、日本の国民生活を正常な姿に戻す第一歩を踏み出すことになるだろうと私どもは思っておりますので、この点、特にいろいろいままで論議されましたことを中心にして適切な措置を、かつ、迅速にとっていただくことをお願いいたしまして、四党を代表しての質問を終わります。(拍手)
  16. 加藤常太郎

    加藤委員長 これにて両案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  18. 加藤常太郎

    加藤委員長 両案に対し、渡辺栄一君外三名よりそれぞれ修正案が提出になっております。
  19. 加藤常太郎

    加藤委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。渡辺栄一君。
  20. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました都市計画法案に対する修正案及び都市計画法施行法案に対する修正案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、都市計画法案に対する修正案について申し上げます。  近年における人口及び産業の都市集中はきわめて著しく、都市地域におきましては、無秩序な市街地の形成が行なわれ、都市環境の悪化と公共投資の非効率化の弊害をもたらしております。  このような事態に対処するためには、国、地方公共団体住民が一体となって、広域的かつ総合的な都市計画を強力に推進する必要があるわけでありますが、今般提案されております都市計画法案には、なお住宅問題に対する配慮、土地等を失います者の生活再建の措置等につきまして若干の不備な点が指摘されるのでありまして、その修正を行なう必要があります。  以上が都市計画法案に対する修正案の趣旨でありますが、次にこの修正案の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、近時、住宅問題がますます大きな問題となっている現状にかんがみまして、都市計画は、当該都市住民が健康で文化的な都市生活を享受することができるように、住宅の建設及び居住環境の整備に関する計画を定めなければならないものといたしました。  修正の第二は、都市計画事業の施行に必要な土地等を提供したため生活基礎を失うこととなる者の生活再建のための措置でありまして、施行者は、関係者の申し出を受けまして、宅地、農地や住宅、店舗の取得等のあっせんにつとめるものといたしました。  第三は、都市計画に対する住民の意見の反映についてであります。この点につきましては、都市計画法案におきまして、すでに都市計画の案の縦覧や住民の意見書の提出の措置が講ぜられることとしておりますが、さらに、都道府県知事または市町村が都市計画の案を作成しようとする場合においても必要があると認めるときは、公聴会の開催等、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすることといたしました。  第四に、市街化区域内の都市計画として決定した重要な都市施設または市街地開発事業の区域内の土地につきましては、地方公共団体が先買い権を行使できるものとし、その先買いを行なうため、都道府県または指定都市土地基金を設置することができるものといたしました。この土地基金は、先買い権の行使による用地の取得のほか、都市計画施設または市街地開発事業の用地の先行取得、工場あと地等の再開発事業の用地取得、買い取り請求に応じて行なう土地の買い取り等を行なうものとし、国は、この基金財源を確保するため、都道府県または指定都市に対し、必要な資金の融通またはあっせんその他の援助につとめるものといたしました。  第五に、国または地方公共団体は、都市計画の適切な遂行をはかるため、市街化区域内の土地について、その有効な利用促進及びその投機的取引抑制に関し、税制上の措置その他の適切な措置を講ずるものとすることといたしました。  第六は、市街化区域内の農地転用の特例についてでありまして、市街化区域内の農地につきましては、あらかじめ、都道府県知事に届け出て、農地以外のものにする場合には、転用の許可を要しないものとすることといたしました。  次に、都市計画法施行法案に対する修正案について御説明申し上げます。  都市計画法施行法案に対する修正案は、都市計画法案に対する修正に伴い必要になります条文の技術的整理を行なうものであります。  以上が、都市計画法案に対する修正案及び都市計画法施行法案に対する修正案の趣旨でありますが、各委員の御賛同をお願いいたしまして、趣旨の説明を終わることといたします。
  21. 加藤常太郎

    加藤委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本修正案について別に御発言の申し出もありません。     —————————————
  22. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより都市計画法案都市計画法施行法案、及び両修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。浦野幸男君。
  23. 浦野幸男

    ○浦野委員 私は、自由民主党を代表して、都市計画法案に対する修正案及び都市計画法施行法案に対する修正案について賛成の意見を述べます。  近年における人口、産業の都市集中ははなはだしく、その結果、都市地域の無秩序な市街地形成、都市環境の悪化と公共投資の非効率等の弊害、または、公害等の問題を惹起しておるのは、御承知のとおりであります。  このような事態に対処するために、現行の都市計画を改め、今日の時代に即すべき新都市計画法案の提案をみたのであります。新都市計画の大きな要点は、国、地方公共団体住民が一体となって、広域的、総合的観点から都市計画を強力に進めようとするものでありますが、本都市計画にはなお住宅問題に対する配慮、土地等を提供する者への生活再建の措置都市計画事業の推進のための土地基金の設置等について不備な点が指摘され、都市計画法案のより充実をはかるため、ただいま提案の都市計画における住宅建設の計画策定、土地提供者に対する生活再建の措置都市計画事業推進のための土地基金の設置、土地投機的取引抑制及び土地の有効利用促進のための税制上の措置農地転用の特例等の措置は、はなはだ時宜に適し、適切妥当な修正案と信じてやまない次第でありまして、都市計画法案に対する修正案、及び都市計画法施行法案に対する修正案につきまして、大いに賛成の意を表する次第であります。  次に、修正部分を除く原案につきましては、提案理由及び審査の過程において委員各位御承知のとおり、都市計画区域の決定、都市計画の決定における市街化区域及び市街化調整区域の区分その他開発許可制度の創設等、今日の都市問題にはなはだ即応した法案と確信いたしており、大いに賛成の意を表する次第であります。  以上をもって私の賛成討論といたします。(拍手)
  24. 加藤常太郎

    加藤委員長 阿部昭吾君。
  25. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、ただいま議題となりました新都市計画法案並びに新都市計画法施行法案に対し、日本社会党を代表し、その重要な点について反対の討論を行なわんとするものであります。  今日のわが国における都市社会は決定的な行き詰まりと混乱を引き起こし、人間生活基礎的環境条件を全く喪失し、きわめて深刻な事態にあるのであります。大都市への急激な人口集中は、住宅難、交通戦争、公害、災害の激発、緑地や遊園地などのない今日のこの潤いのない非人間的な都市の姿を現出したのであります。他方において、地方農村社会の人口流出はいわゆる過疎現象を引き起こし、わが国農業と農村社会を根本的崩壊過程に追い込み、大きな打撃を与えつつあります。  私は、今日のこの深刻なる都市問題こそは、一言にして、積年にわたる保守政治の失政によるものであり、保守政治の本質と限界を端的に物語っていると思うのであります。今日の行き詰まったわが国都市社会の姿こそは、企業利益の追求をすべてのことに優先させてきた保守政治が、体質的にもたらした当然の結果であるといわねばならぬのであります。この事実は保利建設大臣も認めているところであります。都市改造政策は、企業利益の追求や単なる経済合理性の追求ではなしに、そこに住む生きた人間を中心に潤いのある、人間味豊かなものでなければならぬのであります。都市改革の政策は、進歩的な社会政策と計画的な推進によってこそ着実に行なわれ得るのであります。総理が、寛容と調和を言い、調和と風格ある社会などと言う、ことばだけを何万言演説されましても、戦後歴代内閣の中で一番の右傾化内閣といわれる佐藤総理のもとでは、この新都市計画法が目ざしている、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保するなどということは、木によって魚を求めるようなものと思わざるを得ないのであります。  私は、以下、われわれの主張を展開せんとするものでありますが、第一に、本法案の最大の欠陥であり、われわれの容認し得ない点は、地価安定策について政府は何らの保障、何らの歯どめを示しておらないのであります。地価の高騰を野放しにしておるという点であります。今日の都市計画の課題は、都市の秩序なきスプロールを防止し、はてしなき地価の高騰に対し、いかにしてこれを抑制し、安定させるかということが根本にあるのであります。われわれはこのような立場から、国及び都道府県、また市町村の出資による土地基金を設置し、市街化区域における土地売買、貸借等の権利移転をすべてこの基金によってのみ一元的に行ない、基金がこの土地の管理と運営とを行なうことによって土地に対する投機や思惑抑制し、土地基準価格を定めるための審議会を設置することなどによって地価安定を確実に実施することを提案してきたのであります。また、税制による開発利益の社会還元の措置を提案したのでありますが、われわれのこの現実的な、しかも正しい提案は、各方面の共鳴と賛同を得たのであります。政府・自民党も、このような情勢の中で、われわれの提案からははるかな後退ではありますが、土地基金の設置、基金による土地の先買い権、基金に対する資金の裏づけ、さらには、市街化区域内の土地の有効利用促進と、投機的取引抑制するために税制上の措置を講ずるという修正が行なわれたのであります。これらはかすかな一歩前進であります。しかしながら、本院における昭和三十九年の地価安定対策強化に関する決議、また昭和四十一年、四十二年、本院における土地収用法案の審議に際し、地価安定対策についての佐藤総理の答弁があるのでありますが、これがただの一度も尊重され実行されたためしがなかったのであります。佐藤内閣のその場しのぎのから手形政策の歴史的経過がございまするから、なかなかもって信用できないのであります。  次に、本法案は、住民に対し私権の制限を明らかにしたという点でまさに、画期的であります。また、住民に対し負担と義務を強要しながら、住民計画参加と権利の保障を認めないということも、まことに特徴的であります。これは二十世紀後半の近代文明国家のやり方ではなくて、十六世紀時代の封建国家における帝王のやり方であり、まさにこの事実は、戦後一番の右傾化内閣と呼ばれる佐藤内閣らしい、なるほどのやり方と思わざるを得ないのであります。  われわれは、都市計画の遂行による都市改革の目的は、ただ一つ住民の幸福にあると信ずるのであります。都市計画策定の過程において、住民の積極的な参加を保障し、計画確定後における住民の協力による計画の実行性が確保されなければならぬのであります。われわれは、そのために、都市計画の策定権者は市町村長でなければならぬと主張するのであります。市町村に都市計画審議会を設け、計画策定以前に公聴会を開いて住民の意見を十分に聞き、計画一定期間縦覧に供し、不服申し立ての道を開き、一定期間縦覧後において初めて計画は確定するという、住民の参加と協力、住民を中心とした都市計画策定手続制度の確立を提唱してまいったのであります。これに対し、都市計画権利者が必要があると認めたときは、公聴会の開催等、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるという修正や、自治法上の審議会を市町村に設置することを約束してはおるのでありますが、依然として住民の権利は何ら保障されるに至っておらないという、あいまいな規定になっておるのであります。  次に、われわれが特に重要視しなければならぬのは、この新都市計画法実施に際し、その財政措置については、従来の都市計画事業からほとんど前進しておる事実が見られないのであります。一方的に住民地方公共団体にしわ寄せされておるという点であります。この点はわれわれのとうてい容認し得ないところであります。われわれは、市町村が都市計画に基づく公共施設の整備に要する経費に充てるために起こす地方債については、他の地方債に優先させること、この地方債の元利償還に要する経費については、その市町村の基準財政需要額に算入する、地方道路譲与税の増額と市町村に対する譲与、また都市計画先行投資財源措置都市計画事業に対する国庫補助は事業費の三分の二とすること等々、われわれの主張は政府当局と並行線をたどり、依然として激しい対立の姿に置かれているのであります。  第四点は、農業を圧迫し、農民生活に与える大きな不安についてであります。そしてまた、わが国の地方総合開発計画の策定されておらない今日の現段階から見て、今後のわが国全体の進路と、今日の都市計面がいかなる位置づけを持って相関連するかということが何ら明らかにされていないという点であります。二十世紀の終末における段階は、人類が決定的な食糧危機に見舞われるといわれておるのでありますが、今日のこの新都市計画法案が、わが国の長期的な総合的計画の中でどれだけの農地市街地として食いつぶさんというのであるかということが不明確であります。わが民族の食糧自給体制や食糧確保の計画など、これらとの関係は全く明らかにされないのであります。われわれは緑と潤いのある都市社会、快適な住宅と居住環境の整備のために、土地の合理的な利用を長きにわたって提唱し続けてまいったのでありますが、しかし、同時に、市街化の中に没し去っていく農地に対し、反面においてはわが国土の中に積極的な農地開発が行なわれて、それこそ調和ある計画的な発展がなければならぬと思うのであります。これが今日の佐藤内閣の政策では著しく後退している点であります。  また、都市計画ということは、国民に対し、あすへのエネルギーを養うに足る快適な住宅を供給することであり、環境を整備するということであり、この住宅計画を明らかにすることは当然の責任であると思うわけであります。土地提供者に対する生活再建の措置と責任を明らかにすることであり、調整区域は、農業振興の地域として十分な農業投資を行なうべきこと、市街化区域においても、一定優良農地については、農地法上、税制上、農地としての保護を受けるべきといった具体的な主張を行なってまいったのでありますが、これが一部実を結ぶこととなって、幾つかの点で法案修正が行なわれることになったのであります。  さきに指摘いたしましたとおり、土地基金の設置と土地の先買い権及びその資金対策、公聴会の開催、土地の有効利用促進と、投機的投資を抑制するための税制上の措置土地を提供する者に対する生活再建の措置市街化区域内の優良農地の取り扱い等について、また住宅建設と環境整備について明らかにするという修正が行なわれることになったのでありますが、これらの修正は、確かに一歩ささやかな前進ではあります。  また、現行法が大正八年、半世紀前に制定されて以来、かたかな法文というスタイルにも示されているように、今日の急激な都市社会の変化に対応し得ない、全くの前時代的な陳腐なものであることはもちろんであります。その意味で、今日の本法案に歴史的な期待と希望が大きく集中することは、けだし当然のことであります。しかるに、今日この法案都市計画土地利用の野放しを抑制するだけにとどまって、さきに指摘いたしましたように、最も大切な地価安定対策の欠落をはじめ幾つかの根本的な点で欠陥を持っているばかりでなく、今日の保守政治と資本家本位の政策がもたらす都市の暴発に対して、とうてい実効のある成果を期待することはできないのであります。  われわれはかような観点に立って、今後も、われわれが今日まで主張してまいりました潤いのある豊かな都市形成のために努力することを申し上げまして、本法案に対する討論を終わりたいと思います。(拍手)
  26. 加藤常太郎

  27. 内海清

    内海(清)委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、内閣提出の部市計画法案及び都市計画法施行法案に関し、ただいま提案されました修正案並びに修正部分を除く原案に対しまして、賛成の意を表明いたしたいと思います。  近年、著しい都市化の進行によりまして、都市、特に大都市におきましては、深刻な住宅難、地価高騰、そして都市の周辺地域における無秩序な市街化の進行、さらには交通渋滞と通勤、通学難、都市機能の麻痺等、都市の過密と膨張による弊害はいよいよ深刻化し、これら都市問題の解決は、もはや一刻の猶予も許されない状態となっております。これらの弊害を除去し、秩序ある正しい都市形成を行なうため都市の発展に即応する基本計画を策定し、都市計画的な建設と整備をはかることは、いまや緊急の課題、必要欠くべからざる問題であります。  現行の都市計画が大正八年に制定されて以来現在まで何らの根本的な改正が行なわれず、今日の急激な都市化に全く対処し得ないものとなっているとき、都市計画法案並びにこの修正案は、第一に、市街化区域市街化調整区域の区分をはじめとする土地利用計画を策定し、かつ開発許可制度を創設して、秩序ある市街地形成のための制度の確立をはかっていること、第二に、都市計画内容の総合性をはかっていること、第三に、都市計画区域の広域化と実態化、並びに都市計画策定の主体と手続の合理化がはかられていること、また、修正案で、都市計画策定に対する住民の意見を反映する措置土地基金の設置、都市計画事業に土地を提供する住民生活再建、さらに、都市計画の遂行を促進するための税制上の措置等が課せられることによって原案の欠陥がある程度是正されることによって、今後の都市建設と整備を促進するにあたり、一歩の前進を示すものであると考えまして、賛成するものであります。  しかしながら、本都市計画法に基づく総合的な土地利用計画の合理的な実施を担保するため、かつ、都市計画事業の円滑な進捗をはかるためにも、抜本的な地価対策が本法と同時に実施されることが必要不可欠であります。よって、政府にあっては今後早急に一定時点における土地基準価格を設定して、これを公示する制度を設けるとともに、公共用地等の取得価格をこの基準価格に統一し、土地価格の評価にかかる混乱を是正し、また、土地高価譲渡税の制度を設けて開発利益の帰属の合理化、適正化をはかり、また、余裕地税等の制度を確立することによって土地の有効利用促進をはかるなど、地価に対する総合的な施策を確立するため、別途地価抑制法等を早急かつ確実に制定するようにつとめるべきであります。また、都市整備の促進のためには、各省の縦割り行政の弊害を除去し、都市行政の一元化措置を講ずるとともに、都市計画事業の実施年次計画とその財源を明示した実施計画を作成することによって、本法に基づく都市計画の完全実施をはかっていく必要があると考えます。  これら地価対策をはじめとする諸対策の裏づけなくしては、本都市計画法案によって都市の健全な発展とその整備をはかることは困難であって、解決を迫られている都市過密の弊害の解消さえも不可能であることは明らかであると存じます。本法を実効あらしめるために以上の諸対策の実施をはかることを条件といたしまして、私は本法案並びに修正案賛成するものであります。(拍手)
  28. 加藤常太郎

  29. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は、公明党を代表いたしまして、内閣提出の部市計画法案並びに都市計画法施行法案に関しまして、四党共同提案による修正案並びに修正部分を除く原案に対し、賛成の意を表明いたします。  わが国におきます二十世紀後半の重大な課題は、宇宙開発都市問題の解決であるといわれております。今日ほど都市政策の重要性が痛切に感じられるときはありません。  都市は、大衆福祉の源泉にして、国民文化の淵源でありまして、今日における、世界各国に類を見ない都市への過度集中の問題は、日本民族に課せられました最重要な政治的課題であります。それは、一都市の形態の回復の問題ではなくして、実にわが国の経済発展と国民生活改善の基盤を形成するものというべきであります。  都市は、複雑多岐な性格を有し、したがって、都市政策も総合的に計画されなければならないのであります。よって、都市政策の中心的な法律である都市計画法は、都市開発法、建築基準法等の一連の関係法律とともに審議されなければならないことは、さきの委員会におきまして指摘したところであります。都市三法の連係された審議なくしては完全な審議は望めないということをあらためて警告し、反省のかてとされたいことであります。  都市は、人間が造成したものであり、それゆえに人間の組織体といわれておりますが、今日の都市政策は、ややもすると人間の存在を忘却し、市民なき都市建設がなされようとしております。市民のための、市民により創造された都市は、単に輪奐の美を誇る高楼により形式的に完成されたものではなく、産業基盤施設が整備され、かつ、生活基盤施設が完備されたものでなければならないことは、言をまちません。今日のわが国における住宅政策の立ちおくれは、近代都市の理想からはるかに遠く、それは憲法第二十五条の基本的精神を没却するものであります。よって、都市政策は、住宅政策を中心として強力かつ緊急に遂行され、健康で文化的生活を具現するものでなければなりません。近代都市生活における人間尊重の立場から、住宅の整備こそ焦眉の急務であります。  今日、世界的に問題になっております都市化現象は、とどめるすべもない、世の発展の姿であります。しかも、各国に比し急激に過ぎ、都市政策を困難にしております。さらに、過密と過疎の現象が生じておりますが、かかる時運の歩みを当然のものとして受けとめ、しかも人間の力で正しい方向に導かなければなりません。都市の建設改造計画は、今日の問題であるとともに、永久の問題であります。  わが国の都市計画は、各国に比しておくれている。しかし、ロンドンがいまだテームズ河岸の上屋の一団にすぎなかった日に、わが国の奈良の都は、高度の都市計画技術により、咲く花のごとくにおっておりました。かのトインビー教授の言った、都市は民族のつくった偉大な芸術品であるということばが正しいならば、京都、奈良としていまも残る平安、平城のいにしえの都は、わが民族の創造した偉大な芸術品の一つであるのであります。かかる史実に対しても、今日において後世に残る都市建設がなされなければならないのであります。  私は、修正案及び修正案を除く原案に対して賛成はいたしますが、これは、修正案が理想的最善のものであるがゆえに賛成するものではないのであります。わが党は最善のものを求めて鋭意努力をいたしてまいりましたが、次善の修正に終わったことは、最善を望みながら次善に満足せざるを得ないという、人間の宿命的な問題であるかもしれないのでありますが、それにしても、まことに残念なことであります。しかしながら、大局的に見て、都市政策の一つの進展ということができます。  この際、特にわが党として主張することは、都市政策における国家責任と都市政策の総合性の確保であります。そして、そのためには国土省の新設を要望しておきます。すなわち、都市問題は、行政区域としての一都市内の問題ではなく、広範な広がりを持ち、広域的性格を有しておりますので、高度の広域的対策を講ずる必要のある国家的問題というべく、諸都市にその対策をまかせるのみでなく、国家的立場からその責任において対処する必要があると思います。また、都市政策は、大都市の過密化防止、大都市周辺地域の整備、地方中核都市の育成、都市と農村の配置の調整、産業の適正立地、あるいは住宅、土地、水、交通、公害、災害等の問題を包含するのであります。したがって、総合的に計画されなければならないことは申すまでもありません。そのためには、一元的な行政機構の確立が最も必要でありますので、現在の建設省を母体としたところの、国土建設に関連ある行政を総合する、縦割り行政のひずみ是正のためにも、新しい省を設置し、国土省と名づけ、大衆に対して政府の責任を遂行できる体制を確立することが必要であります。  「今日を目標として建設することなく、永遠を目標として建設せられよ」とのことばは、帝都復興の重責をになって、都市計画について国民を指導しておりました当時の内務大臣後藤新平氏あてのビーアド博士の書簡の結びであるのです。将来の都市像、国土像は、わが国の歴史と風土と国民性を基礎として、人類永遠の福祉に指向するものでなければならない。都市政策において、今日国民大衆のために奉仕している実力大臣である保利建設大臣は、この都市計画法の通過を将来への一歩といたしまして、さらに永遠を目標として都市政策の遂行を祈念してやまないものであります。  以上をもって私の意見並びに討論といたします。(拍手)
  30. 加藤常太郎

    加藤委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず都市計画法案に対する渡辺栄一君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。(拍手)  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案を採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 加藤常太郎

    加藤委員長 起立多数、よって、修正部分を除く原案は可決され、都市計画法案修正議決すべきものと決しました。  次に、都市計画法施行法案に対する渡辺栄一君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案を採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 加藤常太郎

    加藤委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決され、都市計画法施行法案修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  35. 加藤常太郎

    加藤委員長 なお、ただいま議決されました都市計画法案につきまして、渡辺栄一君外三名より、四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。渡辺栄一君。
  36. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 私は、ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案による都市計画法案に対する附帯決議案の趣旨につきまして、四派を代表して御説明申し上げます。  近年における都市への人口、産業の集中は激烈をきわめ、これに伴い都市内、特に大都市における土地需給のアンバランスはますますひどくなり、無秩序な市街化の現象及び都市機能維持のために絶対必要な各種都市施設用地の確保の困難性等々の現状にかんがみ、ただいま議決されました都市計画法案を施行することにより、市街化区域における土地の適正利用、さらには、市街化調整区域におけるスプロール化の防止等を強力にはかろうとすることは、質疑応答において各委員ともに御承知のとおりであります。また補足すべき必要規定は、さきの修正にて補われたのであります。  しかし、本都市計画法案をより充実させ、実効ある法律とするために、政府は、法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきことを強く要望してやまない次第であります。  その第一点は、地価抑制に資するため、すみやかに地価の公示制度を実施するとともに、宅地の大量にしてかつ計画的な供給措置を講ずることであります。  第二点は、市街化区域内において、市街地としての環境が整備されるに至らない地域にある農地については、固定資産税等の課税にあたっては、土地所有者の税の負担が増加しないように配慮し、農業経営の継続にできるだけ支障を及ぼさないよう所要の措置を講ずることであります。  第三点は、市街化区域内において行なう都市計画事業の推進をはかるため、地方債については特別に配慮することであります。  第四点は、都市計画の策定にあたっては、地方自治のたてまえを尊重し、住民の意思が反映されるよう配慮するとともに、住民都市計画に対する自発的協力を促す措置を講ずることであります。  以上が都市計画法案に対する附帯決議案の趣旨でありますが、委員各位の御賛成をお願いして趣旨の説明を終わります。  —————————————     都市計画法案に対する附帯決議(案)  政府は、都市計画法の施行に当たり、左の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一 地価抑制に資するため、すみやかに、地価公示制度の実施、宅地の大量かつ計画的な供給等の措置を講ずること。 二 市街化区域内において、市街地としての環境が整備されるに至らない地域に存する農地については、固定資産税等の課税にあたり、土地所有者の税負担が増加しないよう配慮する等農業経営の継続に支障を及ぼさないよう所要の措置を講ずること。 三 市街化区域内において行なう都市計画事業の推進を図るため、地方債について特別の配慮をすること。 四 都市計画の策定にあたつては、地方自治の建前を尊重し、住民の意志が反映されるよう配慮する等住民の自発的な協力を促す措置を講ずること。  右決議する。  —————————————
  37. 加藤常太郎

    加藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  38. 加藤常太郎

    加藤委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決定いたしました。  この際、保利建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。保利建設大臣
  39. 保利茂

    保利国務大臣 委員各位の連日御熱誠なる御審議に対しまして、心から感謝をいたす次第であります。  ただいま御決議のございました都市計画法案に対する附帯決議につきましては、政府といたしましても、御趣旨を尊重し、その運用に遺憾のないように措置してまいりたいと存じます。(拍手)     —————————————
  40. 加藤常太郎

    加藤委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕
  42. 加藤常太郎

    加藤委員長 次回は、来たる二十四日午後一時理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会